開催中の第65回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で、5月21日(現地時間)、イランのアッバス・キアロスタミ監督の『ライク・サムワン・イン・ラブ』が上映され、奥野匡、高梨臨、加瀬亮がキアロスタミ監督と共に満場の喝采を浴びた。映画は『桜桃の味』(’97)で同映画祭にてパルム・ドール(最高賞)を受賞したキアロスタミ監督が、日本で全編撮影したラブストーリー。3人は元大学教授、デート嬢として働く女子大生、彼女の暴力的な恋人をそれぞれ演じている。上映後、スタンディングオベーションを浴びた高梨さんは、感激の面持ちで目を潤ませていた。長年、舞台を中心に活動し、84歳にして映画初主演となる奥野匡さんは、上映前の会見でキアロスタミ監督の独特の演出方法について、「長く芝居をしていますが、脚本なしで演じるのは初めてで少し戸惑いました。監督からは『演技をしてはいけない』と言われました。たとえば、眩しい顔をするときは眩しい演技をするのではなく、本当に1度暗くしてから、パッと光を当てるんです。加瀬さんが息を切らしているシーンでは、撮影前に『ジャンプを20回しろ』と言ったり。私が下手な役者だから、演技をしないのがうまくいったんでしょうね」と謙遜した。キアロスタミ監督は日本人キャストで日本での撮影を選んだことについて聞かれると、「長年、イランで撮っていましたが、想像力をもっと掻き立てるために、新しい場所に行くことが必要だと思い、日本を選びました。でも私は、いままでもイラン人としてイランを描こう、などと思ったことは一度もありません。日本人とイラン人ではかなり違いもあります。奥野さんに、怪我をした高梨さんの顔を触ってほしいと言ったら、『どうしてもそれはできない』と言われました。『日本では老人が若い女性の顔に触ったりしないんです』と、そこだけはとても頑固でした。私は彼の考えを尊重しましたし、それでよかったと思っています。でも、喜びや痛みの感覚は日本人もイラン人も同じです。何か少しでも共通の感覚がないと、映画は成立しませんから」と語った。また、日本映画についての質問には「日本には何度も行っていますし、日本映画は、監督を目指す以前から、小津安二郎や、溝口健二らの映画を観ていました。いまの日本映画も、今回キャスティングをするためにいくつか観ましたが、なんだかハリウッドのリメイクのようでしたね。私には多くの日本人の友人がいますが、最近の日本映画には、そこには私の知っている日本人の感性が反映されていない気がしました。もっとも、そういう繊細な映画を私が観ていないだけかもしれませんが」と、日本映画の現状に対する苦言も呈した。『ライク・サムワン・イン・ラブ』(原題)は9月、渋谷・ユーロスペースにて公開。第65回カンヌ国際映画祭は今月27日(現地時間)まで開催。(photo/text:Ayako Ishizu)特集:第65回カンヌ国際映画祭■関連作品:ライク・サムワン・イン・ラブ 2012年9月、渋谷・ユーロスペースにて公開
2012年05月22日井上靖の自伝的小説を原田眞人監督が映画化した『わが母の記』が公開されている。本作は、原田監督が「巨匠・小津安二郎監督の作品に近づきたい」と撮り上げた作品だ。そこで、『早春』(1956年)以降の6作品で、小津組のプロデューサーを務めた山内静夫氏に作品を鑑賞していただいた。山内氏は本作をどう観たのだろうか?その他の写真本作は文豪・井上靖が自身の人生や家族との実話を基に綴った『わが母の記~花の下・月の光・雪の面~』を原作に、普遍的な家族の愛を描いた物語。役所広司が作家・伊上洪作を、樹木希林が母親の八重を、宮崎あおいが三女の琴子を演じている。試写室から出て、原田監督と対面した山内氏は「監督さんのいる前だと緊張するね」と笑みを見せながら「とても爽やかな印象。映画としてどっしりしているし、そこに“人生”が描かれている」と鑑賞した直後の印象を述べる。「一家がいて、それぞれが人生を背負っている。映画は物語だけではなくて、そこに“人生”があるのがいい。みんなが色々な気持ちで生きている空気がしっかりと漂っていて、ここ最近の映画にはない日本映画を観た気がしました」。原田監督は「改めて小津安二郎監督の作品を集中して勉強して、これまで小津作品の“本当の良さ”に気づいてなかったな、と。小津さんという存在には憧れていましたが、この3年で画期的に印象が変わりました。その結果としてこの映画が出てきた」と振り返り、山内氏は「映画を観ている間は集中していたので小津作品のことは思い出すことはなかった」と語るも「主人公の作家と母の姿を観たときに小津作品のことが頭に浮かびました」という。大学で教鞭をとっている原田監督は「今の若い世代は小津監督や黒澤明監督を知らなくても、少しガイドをしてあげると、とてもいい感性をもっている。だからこそ、良い芸術をちゃんと伝えるのが僕らの世代の役割なのではないかと思うようになった」と言い、山内氏は「撮影所がなくなってしまったのが大きいですよね。かつては撮影所で映画だけではなく色々なことを先輩から学ぶことができた。映画の世界にとって撮影所がなくなったことが本当に悲しい」という。以前より原田監督は「この映画は若い人に観てもらいたいし、僕が小津さんへの愛を込めたこの映画を観てもらうことで、そのうちの何パーセントかの人が小津映画に興味をもってほしいんです。そうやって文化を継承していかないと新しいものは生まれない」と語っている。本作を公開中の劇場では、若い観客も多く足を運んでいるそうだが、彼らが本作をどのように観たのかも気になるところだ。『わが母の記』公開中
2012年05月02日第35回モントリオール世界映画祭で審査員特別グランプリに輝いた『わが母の記』の外国特派員協会主催記者会見が18日に都内で行なわれ、役所広司、樹木希林、原田眞人監督が登壇した。その他の写真文豪・井上靖の自伝的小説を映画化し、昭和の家族の姿を描き出した原田監督は本作について「小津安二郎監督や黒澤明監督へのオマージュがある」と語り、役所は「監督には、ふんだんの予算と時間の中で映画を撮っていただきたい。でもハリウッドからオファーがきたとしても、監督は『この予算で4本撮らしてくれ』と言うと思う」と、監督の手腕をたたえた。記者から「認知症のリサーチはどのように行なったのか?」と質問された樹木は、「私は大ざっぱな役者なのでリサーチはないんです。日本映画は貧しいんです。『マーガレット・サッチャー』のように、メイクアップアーティストがついて時間をかけてはいただけない。なので、自分で状況に合わせて若返ったり、老けたりしました」と回答し、集まった外国人記者から大きな拍手が起こった。さらに樹木は「アカデミー賞外国語映画賞のノミネートはあると思いますか?」と質問されると、義理の息子である本木雅弘が主演した『おくりびと』が第81回の同賞を受賞していることに触れ、「婿が受賞していますので、頭にはありません」と回答。対して役所は「僕は英語でスピーチできるように準備しています」とユーモアを交えて答えた。『わが母の記』4月28日(土)全国ロードショー
2012年04月19日昭和の文豪・井上靖の自伝的小説を映画化した『わが母の記』が劇場公開を前に4月18日(水)、「日本外国特派員協会」で上映され、主演の役所広司、樹木希林、原田眞人監督が上映後の記者会見に出席した。複雑な思いを抱えつつも、老いた母を引き取った作家の伊上洪作。ずっと距離を置いてきた母と向き合うことでこれまで知ることのなかったある真実を知り、それまで伝えられなかった思いが時を経て母と子を結び付けていく。原田監督は本作を「イングマール・ベルイマン、小津安二郎といった監督たちへのオマージュ」と明かし、井上さんの数ある小説の中から「わが母の記~花の下・月の光・雪の面~」を選んだ点について「英語とフランス語に訳され、海外で最も読まれている井上さんの作品が『猟銃』と本作。日本のみならずワールドワイドな人々に観てほしい。原作では家族は娘2人と息子2人ですが、『リア王』を彷彿とさせたくて娘3人にしました。そこは上手くいったと自負しています」と流暢な英語で海外の記者たちに向け、自らの意図を説明した。役所さんは「原田監督と10年ぶりにご一緒できました。しかもこの映画をやることは、亡くなった母を思い出す時間でした」としみじみと語る。外国人記者からは認知症の老いた母親を演じた樹木さんを絶賛する声が相次いだが、樹木さんは「大ざっぱな役者なので(認知症について)リサーチはないんです。ただ(来年で)70歳になるんですが、認知症の役をみんなやりたがらないので私に回ってくる(笑)」とおどけながら明かした。製作費2億8千万円で本作を作り上げた監督は、井上さんの邸宅や別荘、原作にも登場する川奈ホテルで撮影が実現した点について「幸運だった」とふり返るが、樹木さんは与えられた条件を最大に生かそうとする監督の才能を絶賛。役所さんは「いつかふんだんな時間と予算を与えて監督に(大作を)撮らせて欲しい。でもハリウッドから予算をもらっても、監督は『この予算で4本撮らせて』と言いそう」と語り会場の笑いを誘った。外国人記者からは早くもアカデミー賞外国映画賞へのノミネートについての質問も飛んだが、監督は「願っていますが、僕はこの業界で決して好感は持たれていないので…」と言葉を濁す。樹木さんも「すでにムコ(本木雅弘)がもらっているので」と語ったが、役所さんは「僕はスピーチが英語でできるように練習中です!」とノリノリで意欲を明かした。『わが母の記』は4月28日(土)より全国にて公開。■関連作品:わが母の記 2012年4月28日より全国にて公開© 2012「わが母の記」製作委員会■関連記事:理想の“尽くす男”たちを発表!水嶋ヒロ、役所広司ら“侍”型の俳優たちが上位に役所広司、宮崎あおいからの「色気がある」という言葉に大テレシネマカフェ読者ゴコロなんでもベスト5(第24回)理想の“尽くす男”俳優は?豪華キャストで描く家族愛『わが母の記』完成披露試写会に50組100名様をご招待日本の家族の絆に、海外も涙『わが母の記』独占試写会に35組70名様をご招待
2012年04月18日「円安」になると日本経済にとってはどういった影響があるのか。一般的には輸出企業が儲かって、日本経済はバラ色といった風潮です。円安こそがデフレや産業の空洞化といった日本経済の抱える根本的な問題までをも解決するかのように伝えられていますが、実際にはそれほど喜べない状況があります。特に一般市民の生活にダイレクトに関わってくる、という点ではむしろ深刻な問題が内在する、ということを考えておく必要があるでしょう。その最もわかりやすい例として、昨年からのレギュラーガソリン価格とドル/円レートの推移を取り上げてみました。昨年、対ドルでは歴史的な円高となり、かなりの期間円高水準に留まっていました。円高がピークを迎えたのは2011年10月31日でした。その後、今年になって、特に2月以降は円安が進んできた状況です。そこで2011年10月31日時点と直近のデータである3月26日時点を比較してみましょう。為替はこの間5.8%円安に振れたのに対して全国平均のガソリン価格は10.6%値上がりしています。為替レートを上回る上昇がみられたのは、この期間海外の原油相場が上昇したためです。為替が5円円安になっただけですが、原油価格そのものの値上がりもあったために、これだけガソリン価格が上がってしまったのです。海外の原油価格の代表的な指標としては米国のテキサス州西部とニューメキシコ州南東部で採掘される原油の先物価格であるWTI(West Texas Intermediate)、欧州の北海ブレント、中東のドバイがあります。実はWTIの産出量自体は1日当たり数十万バレルと非常に少ないのですが、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)に上場されているために、先物市場としての取引量も取引参加者も多く、世界的な原油価格の指標になっています。そのWTIですが、2011年10月時点では1バレル80ドル台だったものが、2012年3月には1バレル100ドルまで20%ほど上昇しました。緊迫するイラン情勢がこの間の価格上昇の最大の要因と言えるでしょう。ちなみに、今年は米国の大統領選を始め、各国も国のトップが入れ替わるような選挙を控えていますので、選挙結果に多大な影響を及ぼすようなイラン戦争をわざわざ起こすとは思えません。そのため逆に、この問題が来年まで長引く可能性があります。また、イラン問題がうまく収束しても、新興国の経済発展に伴う原油需要の高まり、という潜在的な価格上昇の要因は常につきまとうものです。そして原油価格だけでなく食糧価格など世界の資源価格が全般的に高騰を続ける中では、引き続き原油価格も上昇を続けるものと見るのが妥当でしょう。それを踏まえて、日本国内のガソリン価格の話に戻って考えると、同じような比率で今後も仮に円安と原油価格の上昇が続いた場合、1ドル=95円にまで円安が進むと、ガソリン価格は1リットル=198円になります。1ドル=120円では280円です。原油価格の上昇スピードが速まるといった状況になれば、さらにガソリン価格は値上がりしますし、便乗値上げということも出てくるかもしれません。ガソリン価格が1リットル=300円、500円となれば自家用車を運転する人はいなくなるのではないでしょうか。そういった状況も円安が進めば意外なほど簡単に起こってしまうのです。そうなれば燃料コストの上昇に見舞われるために、日本の輸出企業も円安で儲かるなどと言っていられなくなるでしょう。輸出による貿易黒字は輸入価格の高騰で吹き飛んでしまう懸念があります。また、原発推進派にとっては原発再稼働のよい理由づけとして、利用することもできるでしょう。さまざまな意味において、円安だからと日本経済はバラ色などと言って喜んでいられない状況が生まれてくるのです。前回から2回に渡った話を総括をすると、日本が経常赤字となる可能性は安定した所得収支の黒字ために現時点では考えづらい、ということになります。ただし、今後の資源価格の高騰は避けられそうになく、円安の進み方次第では貿易収支の赤字によって経常の黒字幅が少なくなることはあり得ます。日本の景気に関しては、個人的には非常に明るく見ています。年初来、日本の株価も順調に回復してきました。さすがに2012年の第一四半期の上昇のスピードが速かったために、4月から5月の連休にかけては調整が入るでしょう。どんなに力強い上昇相場でもひたすら上がり続けることはありません。上下動を繰り返しながら上がっていくものですから、上昇相場の中でのこうした調整は「healthy correction(健全なる調整)」と呼ばれます。健全な調整をした後5月の下旬辺りからは本格的な上昇相場となるでしょうし、日本経済もそれに伴って一層の明るさを取り戻していくはずです。そんな中、唯一の懸念材料は急激で大幅な円安による輸入価格の急騰で、日本の景気が腰折れしてしまうことです。海外の資源価格が高騰している昨今、そして今後もその傾向が続くと思われる中で、あえて円安政策を取る必要はないと思われます。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年04月17日第84回アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞など5部門に輝いた『アーティスト』が7日(土)から日本公開される前に、本作を手がけたミシェル・アザナビシウス監督が来日し、インタビューに応じた。その他の写真本作は、映画がサイレントからトーキーへと移行する時期のハリウッドを舞台に、大スターとして活躍する男性俳優と、彼に見そめられた端役女優の栄光と転落をモノクロ&サイレントで描いた作品だ。『アーティスト』は、完全なサイレント映画ではないが、その手法を活用し、ひと組の男女の人生の浮き沈みと恋を描いている。「サイレントは、とてもシンプルだけど美しい物語を語るのに適した技法じゃないかという直感があった」というアザナビシウス監督は、サイレント映画は“欠如の芸術”ではないと強調する。「私自身はサイレントをトーキーから音を抜き取ったものだとは考えていません。そこにはサイレントならではの語り口があると信じています」。そこで、監督は過去のサイレント映画を徹底的に研究し、その話法や表現の制約と可能性を追求したという。「私たちはどこから来たのか? その出自を知ることは重要なことです。たとえば、(クェンティン・)タランティーノは彼流のやり方で過去の作品にオマージュを捧げています。それは懐古主義ではなく、過去を尊重し、より聡明なかたちで未来に進んでくことだと思います。それにサイレントが古いと感じるのは、単にある時期から製作されなくなったからだけで、このフォーマットは時代を超えていると思います」。本作をモノクロ&サイレントで撮ろうと決めたとき、アザナビシウス監督は「斬新で、世界で初の試みができるのではないかと思った」と振り返る。映画『アーティスト』は、形式至上主義的な作品でも、懐古主義的な作品でもなく、21世紀に“新しさ”を求めてモノクロ&サイレントの手法を用いた作品だと監督は主張する。「それに映画史を振り返れば、小津安二郎やロベール・ブレッソン、ジャック・タチなど、トーキーであっても表現の要素を可能な限り排除して、自身の語りを見つけていった人たちもいます。僕はサイレントになることで可能性は広がるし、この形式によって観客の感動を呼ぶと考えています」。『アーティスト』4月7日(土) 全国ロードショー
2012年04月06日11月16日、東京・柴又帝釈天で初春新派公演『東京物語』のお練り・成功祈願と製作会見が行われた。この公演は、映画監督の山田洋次が監督生活50周年を迎える記念作品として、小津安二郎の名作をもとに脚本と演出を手掛ける注目の舞台。物語の舞台が山田の着想で新たに葛飾区金町に設定されたことを受け、イベントも同じ葛飾区の柴又にて行われた。お練りには山田監督と出演者の水谷八重子、波乃久里子、安井昌二、英太郎、瀬戸摩純が参加。柴又駅前にある寅さん像の前から出発し帝釈天までの参道を進むと、沿道からは歓迎の声援が起こっていた。初春新派『東京物語』チケット情報会見で山田監督は「(小津作品は)一昨年の『麦秋』が第1回で、今度もう一度同じ形で小津さんのものをやろいうということになり、だったら『東京物語』がいいなということで。(映画と)ほとんど変わりませんよ。舞台用にいろいろ工夫して作りかえてはいますが、登場人物も物語の移り変わりも、ほとんど映画のままです。ただ、一番大きく違うのは、(映画では)お母さんは尾道の故郷で亡くなったということになっていますが、今度の芝居では、東京の旅先で亡くなるところが大きな違いです。物語の舞台も葛飾区金町にしました。常磐線の列車の走る音なども効果的に入ると思います。また紀子の故郷を新たに石巻にしました。そのことにより現代のお客様には思い起こさせることもあるのではないかと思います」と映画と舞台の違いを話した。また、出演者は「小津作品の、山田洋次先生の、新派の世界というものがこれから先にどんどんシリーズとして膨らんで、何本も何本も産まれていって欲しいです」(水谷)。「(監督が)新派を愛してくださればこそやってくださること。私たちの劇団にとっては大変なラッキーなことです。この機会を本当に大事にしたいと思います。お賽銭をいっぱいあげてきたので、きっと御利益があります(笑)」(波乃)。「夫婦愛や絆、そういったものをお伝えできれば。笠智衆さんの、ののほほんとした感じは僕と正反対ですが、そういうものが出せるかな。監督に任せます」(安井)。「凄く楽しいのと怖いのと、でも『麦秋』から2本目ですからね。先生の細かい指導を楽しみにしております」(英太郎)。「原節子さんが演じた役なので、本当にプレッシャーで眠れなくてどうしようかと思いましたが、あまり考えないようにして自分なりに頑張りたいと思います」(瀬戸)とそれぞれ意気込みを語った。公演は1月2日(月)から1月24日(火)まで東京・三越劇場にて上演。チケットは発売中。
2011年11月17日小津安二郎監督の名作『東京物語』が山田洋次監督の手で舞台化され、来年年明けに三越劇場で上演されることになり11月16日(火)、物語の舞台に近く、山田監督にとっては『男はつらいよ』でおなじみの東京・柴又の帝釈天で成功祈願イベントが開催された。山田監督に加え、水谷八重子、波乃久里子、安井昌二、英太郎、瀬戸摩純も出席し、柴又駅から帝釈天へと続く商店が立ち並ぶ参道をお囃子と共に練り歩いた。舞台化に加えて、本作をモチーフにした『東京家族』の製作も控えている山田監督は、東日本大震災の影響で延期となっていた撮影開始時期を来年3月と明かした。オリジナルの映画は原節子、笠智衆らを迎え、1953年に公開。広島の尾道から久々に老夫婦が息子たちを訪ねるために上京するが、自分たちの生活に精いっぱいの息子たちからは歓迎されない。そんな中、戦死した息子の未亡人だけが彼らに尽くしてくれる。彼らのやり取りから失われつつある家族の情愛や日本人の心を映し出し、海外でも絶賛された。山田監督は2年前に「劇団新派」と組んで小津監督の『麥秋』を舞台化し、初めて舞台の演出を手がけた。来年、監督生活50周年を迎える記念作品として今回、再び「新派」と組んで不朽の名作の舞台化の脚本、演出を手がける。柴又駅前に姿を現した山田監督とキャスト陣は、お囃子に先導されながら参道を練り歩き、参拝のために“寅さん”の故郷を訪れた人々や地元の商店街など多くの人々がその道程を見守った。監督自身「第二の故郷」と呼ぶ柴又での成功祈願に山田監督も笑顔。オリジナル映画では東京都荒川区とだけ設定されている物語の舞台を今回、あえて帝釈天からもほど近い葛飾区金町に変更。さらに、オリジナル版で原節子が演じ今回、瀬戸さんが扮する紀子の出身地を、震災の被災地である宮城県石巻市としたと明かした。「紀子のセリフで『常磐線で仙台まで行き、仙石線で石巻…そこが私の故郷(くに)です』というのが出てきます。老夫婦は西国の出身で、紀子の故郷は想像できない、というそんな会話も出てきます。(震災後の)いまの環境を重ねて見ることを意識してそうしました。(金町は)汽笛を鳴らして仙台や青森行きの列車が通る」とその意図を説明した。水谷さんは「麥秋」に続く山田監督との仕事について「“ザッケローニ父さん”という感じで山田監督に付いていきます」と満面の笑みを浮かべ、喜びを語った。波乃さんは「帝釈天で頭を下げたら訳もなく涙が出てきました」とこみ上げる思いを明かす。英さんは「楽しみと怖さでいっぱいです」と期待と不安を口にした。オリジナルで名優・笠智衆が演じた老父を演じる安井さんは「26、7の頃に小津監督の作品に出させてもらいましたが、何も分からないまま監督の下で『映画ってこんなに難しいものなのか』と苦労しました」と遠い日をふり返り、「それから何十年。同世代の男ということで何とか分かってるつもりです」と意気込みを語った。同じく小津作品のヒロイン・原節子が演じた紀子を演じる瀬戸さんは「スクリーンで観ると(原さんは)本当に美しくてプレッシャーです。新しいものを作り上げるということで、あまり考えないで頑張りたいです」と抱負を述べた。映画の『東京家族』は当初、今年の4月にクランクインを予定していたが、震災を受けて松竹より製作延期が発表されていた。妻夫木聡や蒼井優の出演が明らかになっているが、山田監督は「この舞台が終わったら準備を再開し、3月から撮影の予定」と明かし、「同じ原作で舞台と映画を作れるなんて僕は幸運です」と笑顔を見せていた。舞台「東京物語」は2012年1月2日(月)より24日(火)まで東京・三越劇場にて上演。■関連作品:東京家族
2011年11月16日実話を基にした細川貂々のベストセラーエッセイを映画化した『ツレがうつになりまして。』が10月8日(土)に公開初日を迎え、主人公の夫婦を演じた宮崎あおいと堺雅人を始め、佐々部清監督、原作者の細川さんと望月昭ご夫妻が登壇し、舞台挨拶を行った。夫がうつ病になったことをきっかけに、これまでの自分たちを見つめなおし、成長していく夫婦の姿を優しく温かく描いた夫婦の物語。宮崎さんと堺さんはNHK大河ドラマ「篤姫」に続き2度目となる夫婦役で息の合った演技を見せているが、再共演での互いの印象について聞かれると、宮崎さんは「とにかく真面目ですよね。たくさん色々と調べられるし、うーん…」と一瞬口ごもり、堺さんに「終わり!?」とつっこまれる一幕も。改めて「すごく頭をよく使ってらっしゃいますし、そのときの感情も大事にできる方なので、役者として尊敬しています」と宮崎さんが語ると、堺さんも宮崎さんについて「どっしりとそこに立っている方。『篤姫』のときもそうだったのですが、日常に自分を戻してくれるような、揺らぎのない豊かな存在感で、100%信頼できる存在」と全幅の信頼を見せた。そんなおふたりの現場での様子を「いつも台本を持たずに本棚から本を出して読んだり、宮崎さんは編み物をしたりと、うちのおじいちゃんとおばあちゃんを見ているような、小津安二郎の作品に出てくる老夫婦のような居ずまいでした」と語る佐々部監督。当の二人も「ここまで来たら手を変え品を変え、ずっと夫婦を」(堺さん)、「いろんなバージョンで(笑)」(宮崎さん)と、“夫婦役”に居心地の良さを感じているようだった。原作者の細川さんと望月さん夫妻も今回撮影に参加したが、完成した映画について「とても温い空気の映画にしていただいて、ありがとうございました」(細川さん)、「こんな素敵なお二人に演じてもらえて、夢のような話です」(望月さん)と感謝を口にした。また、この日壇上にはもうひとり、重要な共演者であるグリーンイグアナの“イグ”も登場し、みんなの注目の的に。宮崎さんが「かっこいいんですよね。癒されます」と優しく撫でれば、堺さんも「心の中でいつも『ありがとうございます』と敬礼してました。尊敬する俳優です」とすっかり心酔した様子で、会場を沸かせた。4年越しでの映画化実現から遂に公開を迎えた本作。最後に、堺さんと宮崎さんそれぞれから「『どんな瞬間も自分を誇りに思う権利がある』という、俳優としてもとてもありがたい言葉を映画からいただきました。その姿一つ一つがみなさんの心に響けばこれ以上の幸せはありません」(堺さん)、「この作品をみなさんに愛していただけることを祈ってます」(宮崎さん)と心のこもったメッセージが贈られると、500人の観客から温かい拍手が送られた。『ツレがうつになりまして。』は全国にて公開中。■関連作品:ツレがうつになりまして。 2011年10月8日より公開© 2011「ツレがうつになりまして。」製作委員会■関連記事:宮崎あおい&堺雅人夫婦になれる喜び、「一緒にいることが当たり前」の関係『ツレうつ』原作・細川貂々が明かす、宮崎あおい&堺雅人への特別な思いとは?宮崎あおい、堺雅人と「とことん夫婦役を演じ続けるのも面白そう」堺雅人、17歳の設定は「ハードル高かった」あなたならどうする?『ツレがうつになりまして。』プレス&ポスターを5名様プレゼント
2011年10月09日男性が選んだ結婚したい女性のタレントランキングNo.110月8日、安めぐみさん(29)が、かねてから交際していた東貴博さん(41)と婚約したとサンケイスポーツが報じている。グラビアアイドルの安めぐみさんは、「男性が選んだ結婚したいと思う、いいお嫁さんになりそうな女性のタレントランキング」で、2006年に1位に選ばれた「いやし系」タレント。お笑いコンビTake2の東貴博さんは、コメディアンの東八郎の次男で、「東MAX(アズマックス)」、「下町のプリンス」と呼ばれている。30歳を目前に、めでたく婚約関係者によると、12年前、テレビ番組のオーディションで、東が安をアシスタントに推したのが出会い。2007年、運命の糸に導かれたようにラジオ番組で再会し、交際がスタート。今年3月に週刊誌で「半同棲中」が報じられていたが、30歳を目前に、めでたく婚約に至った。安めぐみさんは、9月29日、<20代最後の写真集>「月刊 NEO 安めぐみ」 (イーネット・フロンティア )を出版しているが、<安めぐみさん最後の写真集>となるのかもしれない。元の記事を読む
2011年10月08日本年度モントリオール世界映画祭で審査員特別グランプリを受賞した映画『わが母の記』の連動企画として製作されたスペシャルドラマ『初秋』が、明日8日(土)15時からTBS系列で全国放映される。その他の写真『初秋』は、井上靖の小説『凍れる樹』を基に、ひとり娘が嫁いだ後、孤独の中で葛藤するひとりの男の姿をじっくりと描いた人間ドラマ。『わが母の記』にも出演する役所広司が主演を務めるほか、中越典子、でんでん、岩松了、キムラ緑子、藤村志保らが出演する。同じく井上靖の原作を映画化した『わが母の記』が原田眞人監督、役所広司主演で製作されたことから、連動企画として同原作者、監督、主演による映像作品の製作が決定。『わが母…』では“母と息子”の物語が描かれているのと対照的に『初秋』では、役所演じる父と、中越演じる娘の物語が、長野のブドウ畑や、京都市の寺や能楽堂を背景に静謐なタッチで綴られるという。原田監督は、父娘を題材にしたドラマ『初秋』について「惹かれたのは(小津安二郎監督の)『晩春』や『秋刀魚の味』とすごく似ているところで、そのイメージから脚本を書きました。すばらしい小津映画を少しでも継承できたらと…そんな気持ちをドラマにこめています」とコメント。骨太な演出とダイナミックな描写に定評のある原田監督が、小津映画の描いてきた繊細なドラマをいかに現代に継承するのか、映画ファンも気になるドラマになっているのではないだろうか。スペシャルドラマ『初秋』10月8日(土) 15時から16時54分までTBS系全国28局ネットで放映(C)CBC・松竹
2011年10月07日CBC開局60周年記念スペシャルドラマ「初秋」の製作発表会見が9月20日(火)、都内ホテルで行われた。原作は井上靖の「凍れる樹」(講談社刊)。京都を舞台に、男手一つで育てた娘を嫁がせた男と、謎めいた若い女性の秘めた恋模様を描く。会見には役所広司と中越典子、そして脚本と演出を務めた原田眞人監督が出席。中越さんは「役所さんと?そりゃ(恋もあると)思いますよ」と劇中の“年の差”ロマンスをうっとり肯定し、役所さんも「現実ではありえないですけど、ドラマで経験させていただき嬉しかった。撮影中は加齢臭に気をつけた」と笑いを交え、中越さんとの共演にご満悦だった。早くに妻を亡くして以来、男手一つで娘を育て上げた父親・辰平(役所さん)は旧友の誘いで思い出の地・京都を旅することに。そこで大学院に通うかたわら京都の伝統工芸職人の手伝いをし、夜は高級クラブでバイトする27歳のベーコ(中越さん)と出会い…。原田監督と役所さんのタッグで井上靖の原作を映像化、といえば先日、第35回モントリオール世界映画祭で審査員特別グランプリを受賞した映画『わが母の記』が記憶に新しいが、同ドラマはその連動企画。原田監督自ら独自のアレンジを加えた脚本を執筆し、『わが母の記』同様、小津安二郎映画へのオマージュが散りばめられた。役所さんは『わが母の記』を撮影中に、ドラマが製作されると知り「その後あれよあれよという間に実現した。映画とはまた違った雰囲気や緊張感だった」。井上文学の世界を再び演じ「セリフや映像以外からあふれ出るものが多く、ものすごく奥が深い。演じる者としてはハードルが高いです」と改めて難しさを実感した様子。それでも「原田監督は映画作りの面白さを教えてくれた人。厳しい中にも、自由でいられる現場でいつも刺激を受けている」と、いまや名コンビといっても過言ではない役所×原田監督タッグに満足げな様子だ。一方の中越さんは原田監督とは初タッグで「ずばずば厳しく指導いただき、よく怒られたんですけど(笑)、でも自由にさせてくださるので、役者としては喜び。演技への考え方が変わる現場で、人生を変えてしまうかもしれない1週間でした」とこれまで以上に女優道に“開眼”したのだとか。原田監督も「すっぴんでナチュラル。それでいて美人。そんな中越君は本当に魅力的だった」と太鼓判を押していた。CBC開局60周年記念スペシャルドラマ「初秋」は10月8日(土)15:00からTBS系全国28局で放送される。■関連作品:わが母の記 2012年、全国にて公開© 2012「わが母」製作委員会■関連記事:役所広司&原田監督がモントリオール映画祭受賞の喜び語る復興へ家族の絆を強調ヴェネチア、モントリオールにトロント…世界の映画祭での邦画の奮闘に期待!
2011年09月20日日本国内の観客動員が130万人を突破し、大ヒット上映中の山田洋次監督×吉永小百合主演によるホームドラマ『おとうと』(英題:About Her Brother)が、2月20日(現地時間)、第60回ベルリン国際映画祭のクロージング・フィルムとして上映された。およそ1,600席の会場がたちまち満席となる中、現地に駆けつけた山田監督と吉永さんによる舞台挨拶が行われ、2人は盛大な拍手に迎えられた。2002年の『たそがれ清兵衛』以来、全ての監督作品を同映画祭コンペティション部門に出品している山田監督。今回は栄えあるクロージング作品に選ばれたのに加え、特別功労賞(Berlinale Kamera ベルリナーレ・カメラ)が贈られた。同賞の日本人受賞は市川崑監督(’00)、熊井啓監督(’01)についで3人目の快挙。授賞式では、同映画祭ディレクターのディーター・コスリック氏から「彼は小津安二郎の伝統にのっとって映画を作っており、大きな愛情をもって日本に住んでいる人々を描き続けています。我々ベルリン国際映画祭は、彼をここにお迎えすることを光栄に思っています」と“日本の名監督”として紹介された。登壇した山田監督は、本作が先輩・市川崑監督に捧げたオマージュであることに触れながら、「いまは亡き市川崑監督に『市川さん、僕もあなたと同じ賞をもらいました』と報告したいと思います。僕を選んでくださったディーター・コスリックさん並びにベルリナーレ関係者のみなさまに心からお礼を申し上げます。そして会場のみなさん、どうもありがとう。ダンケシェン」と感謝を述べた。また、舞台挨拶に登壇した吉永さんは、「ベルリンのみなさま、こんばんは。このベルリン映画祭に3度目の参加をすることができまして、私はとても幸せです。2年前に『母べえ』を上映したときのみなさまの温かい拍手が、いまでも私の胸の中に残っています。『おとうと』もまたみなさまの心に残る映画になることを願っています。ありがとうございました」とドイツ語でスピーチし、喝采を浴びた。その後、囲み取材に臨んだ監督は、一日をふり返り「この受賞は一生の記念になると思います。長年の功労に対して贈られたのであれば、みんなでもらった賞だと思う。寺島さんの銀熊も良かった。決して順調とは言えない日本映画だが、こんなことを機会に日本の時代が来たらいいなあと、今日の拍手を聞いて思いました」とコメント。さらに、吉永さんも「山田監督の授賞式に立ち会えただけで嬉しい。私にとって市川崑監督は“師匠”、山田監督は“先生”。この尊敬するお二人が同じ賞を受賞されたことは、生徒として、弟子として、とても嬉しいことです。きっと、市川監督も天国で喜んでおられると思います」と2人の巨匠のミューズとして喜びを語った。なお、本作を観終わった観客からは「笑えて最後は涙があふれてきた。素晴らしい作品だった!」、「心を深く揺さぶられた」といった感動の声が寄せられ、国境を越えて広く受け入れられたことを証明、文字通り有終の美を飾った。『おとうと』は全国にて公開中。photo:KAZUKO WAKAYAMA■関連作品:おとうと 2010年1月30日より全国にて公開© 2010「おとうと」製作委員会第60回ベルリン国際映画祭 [映画祭]■関連記事:日本映画が健闘した第60回ベルリン国際映画祭ベルリン“銀”の快挙の寺島しのぶ、大阪で会見「ヤッター!」藤原竜也「自由にさせてくれた監督の力量」ベルリン批評家連盟賞受賞の喜び【読者レビューをウォッチ】『アバター』旋風に負けず、邦画勢に高ポイント続々レオナルド・ディカプリオ、ベルリンでのワールド・プレミアで「ダンケシェーン!」
2010年02月22日各国映画祭で高い評価を受ける小林政広監督と名優・仲代達矢がタッグを組んで贈る『春との旅』の完成披露試写会が12月7日(月)に行われた。映画上映前の舞台挨拶に加え、上映後には観客からの質問にも応じる形で会見が開かれ、小林監督に仲代さん、共演の徳永えり、紀伊宗之プロデューサーが出席した。本作は、仲代さん扮する元漁師の祖父と、徳永さん演じる職を失った18歳の孫娘が親族を訪ね歩き北海道、東北と旅する姿を描いたドラマ。9年ぶりの主演映画となった本作への出演について仲代さんは「最初に脚本を送ってくださったんですが、それが素晴らしかったんです。黒澤明監督は助監督時代に、『監督になりたかったらとにかく本(脚本)を書け』と師から言われたそうです。また、僕の友人の岡本喜八は365日、本を書いていたと聞いています。正直、最初は『この素晴らしいシナリオを超える作品になるのか?』という不安もありました。でもロケが終わって作品を観て、小林監督には『監督、本を超えたね!』とまず声をかけました。自分で本を書いて演出をする…私は、小林監督は映画作りの天才だと思います!」とかつて自身が一緒に仕事をした名匠たちを引き合いに出しながら、小林監督に称賛を贈った。仲代さんを始めとする大先輩の俳優陣との共演について徳永さんは「純粋に、すごく贅沢な時間でした。錚々たる共演者のみなさまに甘えて、助けていただいた部分が大きかったです」と充実した表情で語った。小林監督は、映画を作る上で影響を受けた作品や監督を問われ「自分たちの世代は、黒澤映画をハナから嫌って、権威主義という先入観で観ており、“日本映画”ではなく“ヨーロッパ映画”のような作品を撮りたいと思ってました。でも、黒澤さんの映画を観て改めてすごいものだと感動しました。この映画は、『生きる』や『乱』、『どですかでん』(黒澤作品)や『東京物語』(小津安二郎監督作品)、また成瀬(巳喜男)監督作品などを思い浮かべながら撮りました」と明かした。大金を投じて作られたわけでもなく、また決して公開規模が大きくもない本作だが、映画を観終わった観客からは熱い支持の声が寄せられた。紀伊プロデューサーは「近年、ヒット作は全てTV局による作品という状況ですが、この作品はそういった作品ではありません。全国の劇場で働く人間など、人から人へと伝える“地上戦”をこれから展開していきたいと思います」と来年5月の劇場公開に向けての抱負を語り、会場全体に協力を呼びかけた。『春との旅』は2010年5月、全国にて公開。■関連作品:春との旅 2010年5月、全国にて公開© 2010『春との旅』フィルムパートナーズ/ラテルナ/モンキータウンプロダクション
2009年12月08日