モデル・本山順子が神社仏閣、教会や寺院を国内外問わずご紹介する本連載。第88回は奈良県高市に街詣で。“壷阪寺(つぼさかでら)”の名で親しまれている〈南法華寺〉にお邪魔させていただきました。“桜大仏”で有名な桜の名所。もう何年も前から桜の季節にぜひともお伺いさせていただきたいと思っていたのでうれしい!それでは早速!詣でましょ〜う!奈良市街地からレンタカーで向かうこと1時間。壷阪山を登ったところに桜の雲海ができていました。この桜に包まれた仁王門の美しいこと!〈壷阪寺〉は斜面に建っているため、見上げると目の前一面に桜が広がって、それはもう言葉にできないほどの光景です。さらに足を進めると、見えてくるのがこの大きな仏様の数々…!このスケールからわかるように、とっても広大な境内なのですが、全てのエリアがバリアフリーになっていていることにもとても驚かされました。そして、この季節にぜひ足を運んでご覧いただきたい光景がこちら。先ほどの大仏を包み込むように咲き誇る桜。それはもう、説明不要の美しさです。桜の時期逃しちゃったわ!っていう方もご安心ください。これからの季節は“新緑大仏”が見頃を迎えております。秋になったら紅葉も美しいそうですよ〜なんとも異国の風格を漂わせているこちらは天竺(インド)から遥々渡来した「大石堂」。インドの〈アジャンタ石窟寺院〉をモデルとして造られたこちらは、なんと延べ12万人の日本・インドの人々によって彫刻され組み立てられたのだとか!オリエンタルな空気が漂う心洗われる素敵な場所でした。さらに上段に進むと、国指定重要文化財の「三重塔」と「禮堂」、本堂にあたる「八角円堂」が立ち並びます。目を引くのが壁一面のレリーフ(写真はほんの一部!)。全長50mにも及ぶ丁寧な彫刻は南インドの彫刻師、延べ5万7,000人の手によって制作されたのだとか。「八角円堂」に入らせていただき、まず目に飛び込んできたのは「大雛曼荼羅」!その名の通り、雛人形で曼荼羅が造られています。中には一風変わった雛人形も混ざっていて、その遊び心に思わずにっこり。広い境内の中、ようやく辿り着いた御本尊「十一面千手観音菩薩坐像」。古い時代から“眼の沸”として親しまれてきた壷阪観音様は、桓武・一条の天皇の眼病も平癒されたのだとか。目を駆使する仕事をしている私の旦那もしっかり「眼病封じ祈願」をさせていただいていましたよ〜!さてさて遠く本堂からも見えていた、道路を挟んだセクターにあるこちら!天竺渡来の全長20mもある大観音様です!巨石は66個に分割して延べ7万人の石工によって彫刻されたのだそう。立像でこんなに大きなものは初めて拝見させていただき、その雄大なお姿にすっかり圧倒されました…。全長8mの涅槃さんもいらっしゃいましたよ。〈壷坂寺〉はインドとの交流が本当に盛んで、そしてその繋がりをとても大切にされている様子がヒシヒシと伝わってきました。また、眼の不自由な人々にとっての聖地として親しまれており、この地に住みたい!という人々の願いに応えるように「養護盲老人ホーム慈母園」があり、私自身も福祉事業についても考えさせられるようなきっかけとなりました。全てを抱きしめるようなダイナミックなふところと、慈悲の心に満ちた良い参拝となりました。それでは皆様も良い参拝を〜!〈壷阪寺〉
2022年05月07日モデル・本山順子が神社仏閣、教会や寺院を国内外問わずご紹介する本連載。第87回は京都市北区平野に街詣で。京都もすっかり暖かくなってきて、街中では、ちらほら桜を目にする機会が増えてきました。今回、お邪魔させていただいたのは、桜の季節にピッタリな〈平野神社〉。それでは早速!詣でましょ〜う!京都市街地からバスで揺られること20〜30分。西大路通りに立派で真っ赤な鳥居が突如現れます。私ははるばる自転車でやってきたので、ここが西鳥居だということも知らず、こちらから入らせていただきました。鳥居の奥には紅白幕から顔を覗かせる桜の木が。なんだかとってもめでたい雰囲気ですね〜!紅白幕の入り口で入場料を納めて、早速「桜苑」に入ってみることに。満開にはまだあと5日ほど早かったかなぁ〜!という三分咲き。ですが背の高い桜たちが見事な桜のトンネルを作り出していて、満開を想像するには容易な光景です。桜の足元には菜の花がかわいく揺れています。985年に花山天皇が桜を手植えされて以来、〈平野神社〉は桜の名所とされており、江戸時代からは「平野の夜桜」としても知られるようになったのだそう。この桜たちは遠い昔から、ここ平野の地をずーっと見守ってきたのでしょうね。桜苑を抜けると、〈平野神社〉の参道と右手には大鳥居がお目見え。ポンポンと咲き始めた桜がとても美しい参道。さすが「東の祇園」「西の平野」といわれるほどの桜の名所。参道の両脇の灯籠も夜になると優雅に桜を照らし、境内を彩るのでしょうね。そして、〈平野神社〉の社紋は桜なんです。かわいらしい!神門をくぐると拝殿が。こちらの拝殿は平成30年の台風の影響で一度倒壊しており、令和3年の9月に無事に修復されました。拝殿の屋根は樹齢50〜70年の檜から原皮師によって採取され、屋根に敷かれます。檜の希少性と専門的な技術のため、膨大な費用を必要とするのだそう。そのため拝殿の檜皮の奉納も受け付けていらっしゃいました。一刻も早い復興をお祈りいたします。拝殿のすぐ隣には大きな御神木があり、その足元には“すえひろがね”という、大きな石というよりは、もう岩というサイズの石が。こちらは日本最大級の餅鉄(べいてつ)で、通常は豆粒程度のものしかないのだそう。強い磁力があり、磁石がくっつけられていました。これだけ強い磁力のある石は珍しいですよね(磁石をくっつけるのに夢中になってしまい写真を撮り忘れてしまいました…)!〈平野神社〉の御祭神は今木皇大神、久度大神、古秋大神、比売大神。本殿は4殿2棟からなっており、この独特な形式は「比翼春日造」または社名にちなんで「平野造」と称されています。そしてなんと、創建は平安京遷都の頃(794年頃)まで遡ります。主神である今木皇大は元は平城京の中に祀られていらっしゃいました。そのため社格がとても高く、伊勢神宮などと同格の二十二社の上七社の一つに数えられます。御本殿は檜皮屋根の葺き替え工事のため、御神体は仮殿に移されていました。春爛漫の〈平野神社〉には本当にたくさんの桜が植わっており、その数なんと60種400本!そのため通常は1週間ほどで散ってしまう桜も、いろんな桜が代わる代わる咲くことで約1ヶ月半も楽しむことができるのだとか。先ほどお伝えした台風のため、残念ながら倒木してしまった桜もあるのだそう。境内のお土産屋さんではチャリティーのかわいらしいお花いけなどもあり、地元の方々から本当に愛されている神社なのだなぁ、と伝わってきて、心もポカポカいたしました。4月10日の「桜花祭」では200名の時代行列が巡行されるので、そちらも要チェックですよ!それでは皆様も良い参拝を〜。〈平野神社〉
2022年04月09日モデル・本山順子が神社仏閣、教会や寺院を国内外問わずご紹介する本連載。第86回は京都の京都市北区上賀茂本山に街詣で。“上賀茂神社”の名で親しまれている〈賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)〉にお邪魔させていただきました。「古都京都の文化財」の一つとして、ユネスコの世界遺産に登録されてるんですよ〜!それでは早速!詣でましょ〜う!一の鳥居から二の鳥居まで真っ直ぐに続く参道には清々しく広がる芝生。4月上旬には銘木「斎王桜」をはじめ、「御所桜」などが見頃を迎えるのだそう。春に思いを馳せながら気持ちの良い青空のもと参道を進みます。そして、今回の参拝でとっても楽しみにしていた7代目神馬さん「神山号」に早速お会いすることができましたー!こちらにいらっしゃる前までは競走馬としても活躍していたサラブレッド。早速、私も“お心持ち”を納めてにんじんを差し上げてみることに。とっても穏やかで優しい瞳の神山号。ソフトなタッチでにんじんを食べられていました。か、かわいい…!神馬さんがいらっしゃる神社は全国にも10社ほどしかなく、とっても珍しいんですよ〜。そんな神馬さんに会えるのは、日曜日と祭日と神事が営まれる9時30分から15時まで。二の鳥居をくぐった先には細殿があり、なんとも不思議な形の「立砂」がありました。こちらは御祭神である賀茂別雷大神が降臨したと伝えられている神山をかたどったもので、砂のてっぺんには3本と2本の松の葉が立てられ、陽と陰をあらわしています。境内には御手洗川(写真左)と御物忌川(写真右)が流れており、その合流地点となる三角形の斜面に社殿群が立てられています。〈上賀茂神社〉はどの方向から境内に入っても、本殿に辿り着くまでに必ず川を渡るようになっており、それは穢れを祓い清めるという意味も込められています。また、手水舎には神山の水脈から汲み上げられた湧水が使用されているんですよ〜!そして、その御物忌川に掛かる玉橋越しに眺める楼門の美しいこと。京都最古の神社の一つともいわれる〈上賀茂神社〉では、毎年5月中頃に京都三大祭りでもある「賀茂祭(葵祭)」が行われています。8kmに及ぶ行程を、煌びやかな平安装束を身に纏った人々の行列が練り歩く「路頭の儀」もとても趣があり、今年は私もぜひ、この目で拝見させていただきたい。楼門をくぐると石段を上がったところに中門があり、私はこちらで参拝をさせていただきましたが、中門左手の授与所で特別参拝の受付を行うとさらに奥の国宝の本殿・権殿で参拝も可能。高倉殿での展示物なども拝観することもできるようですよ〜!授与所では神馬さんがおみくじを咥えたかわいらしい「馬みくじ」も。おみくじの他にも「斎砂(いみずな)」という土地や家の四方に撒くお清めの砂なるものがあり、こちらも〈上賀茂神社〉ならではですよね。のんびり参拝を終えたあとは、神山湧水で淹れられた珈琲を味わえる境内のお休み処〈神山湧水珈琲|煎〉でゆるりと足休め。私はお茶菓子とのセットをいただきました。〈味の素AGF〉の協力を得て開発された珈琲は水質に合うようにブレンドされており、すっきりと香り高く、水のおいしさが際立ちます。控えめな甘さの「賀茂名物やきもち」とも相性バッチリでのんびりとした昼下がりを過ごさせていただきました。私がお伺いした日は手づくり市が開催されており、とっても賑やかでほがらかな境内。私も手づくり市で小さな盆栽を家に迎え、そのほがらかな空気を思い出と共にをそっと持ち帰れたように思います。上賀茂神社が水に守られて水を守り継いできたように、ここに集まる方々の交流が脈々とこの地を潤わせていくのだなぁと感じた参拝となりました。それではみなさまも良い参拝を〜!〈賀茂別雷神社(上賀茂神社)〉
2022年03月05日モデル・本山順子が神社仏閣、教会や寺院を国内外問わずご紹介する本連載。第85回は東京都築地に街詣で。駅を降りて驚いたのは〈築地場外市場商店街〉の活気!確か豊洲に移ったんだよね〜くらいの薄い知識しかなかったのですが、商店街の賑わいを見て元気をいただきました。新鮮なお魚やキラッキラのいくらやうにに後ろ髪を引かれながらやってきたのは〈築地本願寺〉。それでは早速!詣でましょ〜う!〈築地本願寺〉を訪れたら、誰もが驚くであろうこの佇まい!まるで異国の寺院に迷い込んだような気分。手掛けたのはシルクロードを旅してきた伊東忠太氏。西洋建築学を基礎にしながら、日本建築を本格的に見直した第一人者です。〈築地本願寺〉は日本の伝統的な寺院様式ではなく、仏教発祥の地であるインドなどのアジアの古代仏教の建築様式を独自の解釈で取り入れています。狛犬(?)さんも立派な翼があしらわれていて、ベネチアで訪れたサン・マルコ寺院の“有翼の獅子”のよう!そしてお寺の至る所に優美な彫刻が施されており、どこかイスラム建築を思わせるようなところも。そして何より驚いたのが、本堂入口のステンドグラスと堂内のパイプオルガン。これまでたくさんのお寺を巡ってきましたが、こんなに立派なパイプオルガンをお寺で拝見する日が訪れるなんて!そしてなんと「築地本願寺倶楽部」会員限定でナイトタイムのパイプオルガンコンサートも開催されているんです。会員でない方もYouTubeのオンライン配信で楽しめますよ〜〈築地本願寺〉は浄土真宗本願寺派。京都の“お西さん”で知られる〈西本願寺〉の直轄寺院にあたります。御本尊は阿弥陀如来立像。元々は浅草近くに創建されましたが1657年の「明暦の大火」で本堂を焼失。江戸幕府による区画整理のため浅草での再建が許されませんでした。その後、江戸幕府から与えられた土地はなんと海の上!そこで土地を埋め立てて土地を築いたことから、この土地を「築地」と呼ぶ由来となりました。関東大震災の火災により前身の本堂が焼失し、1934年に現在の本堂の姿になっています。(回廊の階段にいる表情豊かな動物たち可愛らしさったら!)また〈築地本願寺〉では、誰にでも“開かれたお寺”を目指す「寺と」プロジェクトが進められています。築地本願寺倶楽部のパンフレットを拝見させていただいて驚いたのが、その懐の深さ。「生きがい(KOKOROアカデミー)」「心(よろず僧談)」「医療(メディカルサービス)」「終活(生前整理など)」のサポートまで幅広く取り組まれているんです。また「合同墓」や“築地の寺婚”という結婚相談所まであるんですよ〜!ひろ〜い境内をゆっくり参拝した後の足休めにぜひ立ち寄っていただきたいのは「インフォメンションセンター」内にある〈築地本願寺カフェTsumugi〉。私たちがいただいたほうじ茶パフェやみたらしシフォンのほかに、18品の朝ご飯や野菜たっぷりのブッダボウルなどもあり、健康にも良さそう〜!こりゃあ近所にあったら通っちゃいますね。お寺の境内にこんなおしゃれ施設が?ってほど洗練されたオフィシャルショップには実際に〈築地本願寺〉のお勤めで使用されてる香りをモチーフにしたショップ限定のお香や、本堂のかわいい動物たちの文房具やグッズがずらり。どれも素敵で目移りしちゃいます。心ゆくまで楽しませていただいた〈築地本願寺〉。そう、お寺って楽しいんだ!っていう新しい感覚なんです。いやぁ〜ここは至れり尽くせりの極楽ですよ。…と、すっかり〈築地本願寺〉のファンになってしまうほどに心満たされる参拝となりました。みなさまも〈築地本願寺〉で遊び尽くしてみてはいかがでしょう?それでは皆様も良い参拝を〜!〈築地本願寺〉
2022年02月05日モデル・本山順子が神社仏閣、教会や寺院を国内外問わずご紹介する本連載。明けましておめでとうございます!本年も神社仏閣、日本の素晴らしい文化をお届け出来るよう努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたしますさてさて、第84回は前回に引き続き、京都市宮津市に街詣で。前回訪れた〈籠神社〉の本宮を左に抜けていくと、今回の目的地〈成相寺〉へ向かうロープウェイが見えてきます。それでは早速!詣でましょ〜う!ケーブルカーを降りると見える、〈傘松公園〉からの景色は素晴らしい!〈成相寺〉までは運転手さんのガイドが楽しい登山バスに乗り継いで向かいます。これからの季節は雪も深くなって白く染まった天橋立も別格なのだそうですよ〜。とても山深い場所に位置する〈成相寺〉。それでもたくさんの参拝者が足を運ばれていました。こちらは鋳造の際に誤って乳飲み子を落としてしまい、出来上がった鐘をついてみると、乳飲み子の悲しい泣き声が聞こえてきて、成仏のために鐘をつくことをやめ「撞かずの鐘」と呼ばれるようになった鐘。悲しい伝承とは相反して、とても格好いいオーラを放っています。「撞かずの鐘」から階段を上っていくと、更に凄まじいオーラを放つ本堂が…!〈成相寺〉は704年に文武天皇が発願した勅願寺。つまり国家鎮護などを祈願して創建された格式高い祈願寺。宗派は橋立真言宗で、御本尊は33年に1度しか開扉されない秘仏の聖観音菩薩様。身代わり観音(美人観音)とも呼ばれており、これまた不思議でありがたいお話が伝わっています。その当時、真応上人が雪深い草庵に篭り修行中に食料が絶え、御本尊に食べ物を恵んでいただけるように祈ったところ、一頭の傷ついた鹿が現れました。命には変えられないと肉食の禁戒を破り、鹿の腿を鍋にして食べてしまいました。春になり御本尊を見てみると、腿が切り取られており、鍋の中には木屑が散っていました。身代わり観音であると悟った上人は木屑を拾って御本尊の腿につけると、元通りになったということです。以来、この寺を“願う事成り合う寺”、成合(相)寺と名付けられたのだそう。本堂から山を登りながら10分ほどのところにある弁天山展望台へも向かってみました。登山バスの運転手さんがとてもお勧めされていたので気になっていたのですが本当に絶景で!私はここから眺める天橋立が一番好き。天橋立にお越しの際は是非足を伸ばして、この絶景をその目で見てみて下さいね。「底なし池」「平成五重塔」を通り、最後にやってきたのは威風堂々の「山門」。見て下さい、この溢れ出る風格。丁寧に掘られた様々な生き物たちは極彩色で彩られ、いまにも動き出しそうな程生き生きしています。重厚感のある空気と成相山の緑に、疲れた心身が浄化されるような素晴らしい参拝となりました!ありがとうございました!さてさて、すっかり夕暮れとなりお腹を空かせて向かった先は…前回の天橋立散歩でもお邪魔させていただいた「とんだ屋(富田屋)」。この粒だったうに!甘エビの新鮮さを物語る色!ぶりや鰆がこれでもかと乗せられたお刺身盛り合わせ!お味の方は、もう説明するのは野暮なほど。あ〜ここぞとばかりに豪遊してしまった…お財布が心配だなぁ。なんて思いながらお会計。これまたビックリ。大袈裟じゃなく想像の半分のお値段なのです…!いや〜さすが“海の京都”感服いたしました。ごちそうさまでした。滞在したホテルでは天橋立名物のカニや松茸とハモの土瓶蒸しに舌鼓。タプタプと波打つ浜辺から眺める満天の星空、その全てに心が満たされていく素敵なお散歩となりました。海の京都、また必ず訪れたい!それでは皆様も良い参拝を〜〈成相寺〉
2022年01月01日モデル・本山順子が神社仏閣、教会や寺院を国内外問わずご紹介する本連載。第83回目は前回に引き続き、京都府宮津市に街詣で。前回訪れた〈籠神社〉の奥宮〈“元伊勢”籠神社〉の発祥の地である〈眞名井神社〉へお伺いして参りました。なんと時代を遡ること縄文時代から眞名井原一帯を神聖な場所として神々を祀られていたと考えられるのだそう。それでは早速!詣でましょ〜う!〈元伊勢籠神社〉からのどかな小径をオニヤンマや蝶々を眺めて、のんびり歩くこと10分。先ほどののどかな空気からは一転!私のような何でもない人間でも「あ、空気が変わった…」と感じられるようなビシリッ!とした空気が立ちこめているんです。これは皆様にもぜひ体感していただきたい。鳥居をくぐって左手には天村雲命(あめのむらくものみこと)が黄金の鉢に入れ天上より持ち降ったとされる御神水「天の眞名井の水」があります。そして、さらに奥には水汲み用の蛇口も用意されていました。蛇口をひねると龍の口からお水が出てきますよ〜!持っていたペットボトルに汲んで飲ませていただき、身を清めて拝殿へと向かいます。長い階段の手前には、狛犬ではなく阿吽の狛龍が!とても珍しいですよね〜。階段を登っていくと立派な藤棚がありました。春過ぎには綺麗にお花を咲かせるのでしょう。〈眞名井神社〉の主祭神は豊受大神。匏宮(よさのみや)として豊受大神をお祀りし、その御縁故により、ここ眞名井原に天照大神がお遷りになりました。そこから4年間、天照大神と豊受大神を吉佐宮という宮号でお祀りし、このことが「元伊勢」を呼ばれる所以となっています。藤の花に豊受大神が宿り、藤棚は安らぎの場所として伝わっているのだそう。絵馬を掛ける棚には美しい「藤絵馬」がかけてあり、藤棚ができていました。藤絵馬は〈籠神社〉で授かることができます。また〈眞名井神社〉の授与所は月数回しか開設されていないようなので、〈眞名井神社〉の授与品をいただきたい方はこちらを確認してみてください。〈眞名井神社〉の裏には、神が宿る石「磐座」が鎮座し、直視するのも憚られるような空気感です。手前「磐座西座」には天照大神、伊射奈岐大神(いざなぎのおおかみ)、伊射奈美大神(いざなみのおおかみ)が、奥には豊受大神が祀られています。気持ちの良い秋晴れも相まってとっても気持ちがすっきりするような参拝となりました!ありがとうございました。〈眞名井神社〉を後にして天橋立を散策していると、〈天橋立神社〉を見つけました!振り返り、参道を歩いて行くと…なんと海に向かって鳥居が立っているではありませんか。周りを海に囲まれているのに真水が湧いている不思議な「磯清水」は「日本名水100選」にも選ばれています。波音を聴きながらのんびりと天橋立さんぽを楽しんでみてくださいね!それでは皆様も良い参拝を〜!〈眞名井神社〉
2021年12月04日モデル・本山順子が神社仏閣、教会や寺院を国内外問わずご紹介する本連載。第82回目は前回に引き続き、京都府宮津市に街詣で。今回は特急電車「JRはしだて」と「たんごリレー」を乗り継いでやってまいりました。「たんごリレー」の先頭車両はラグジュアリーなスペースになっており、ゆっくりとくつろぐことができますよ。まだまだあります“海の京都”の魅力!それでは早速!詣でましょ〜う!前回、訪れた〈智恩寺〉から天橋立を渡った北浜に鎮座するのは〈籠神社〉。宮津に伝わる民謡“伊勢へ詣らば 元伊勢詣れ〜”からわかるとおり、こちらはお伊勢様のふるさと。天照大神が、奥宮である〈眞名井神社〉に祀られたのちに、〈伊勢神宮〉の内宮に遷られたことから、そのようにいわれています。参道を進み二の鳥居までくると、まぶしいほどの鮮麗な空気を感じます。そして鳥居をくぐった神門前には、こんなに可愛らしい狛犬は見たことがない!ってほどチャーミングな狛犬さんが鎮座していらっしゃるんです。ちょうど御朱印帳が最後まで埋まったので、この狛犬さんが織り込まれている御朱印帳を授かってまいりました。神門の内側に足を踏み入れると、ピタリと辺りの空気が静まります。本殿は〈伊勢神宮〉と同じ神明造りになっています。天照大神と豊受大神が伊勢にお遷りになってからは、社名を吉佐宮(よさのみや)から籠宮(このみや)と改め、彦火明命(ひこほあかりのみこと)を主祭神として祀られています。産霊守(むすひまもり)という、〈籠神社〉ならではのお守りがあります。こちらはなんと、新月と満月の日だけしか授与されないんですよ〜!一対の産霊守の裏面を二つ合わせると「明」の文字が現れます。たまたま新月の日に「産霊詣り」できたので、私は黒い産霊守を頂戴しました。ぜひ満月の日にも訪れてみたい!新月・満月の確認は籠神社のホームページをチェックされてみてくださいね。拝殿を左側に抜けていくと、手前から「天照大神和魂社」「春日社」「猿田彦神社」と錚々たる摂社と末社…!一番奥には明治末期までは籠神社の奥宮である〈眞名井神社〉に鎮座していた「眞名井稲荷神社」があり、こちらは1991年に本宮の境内に移転再建されたのだそう。また、拝殿右側には「恵美須神社」もありましたよ〜。そして私はすっかり見逃してしまったのですが、「恵美須神社」の左手にある、本殿の欄干を見てみてください!「五色の座玉(ごしきのすえたま)」を拝見することができますよ〜。擬宝珠が赤、黄、緑、白、黒に彩色されており、格式の高い神社の証だと伝えられているのだとか。不思議なほどに、気持ちがすっきりしていく〈籠神社〉をご紹介してまいりました。次回は〈籠神社〉の奥宮であり〈“元伊勢”籠神社〉の発祥の地である〈眞名井神社〉へ。〈籠神社〉に訪れた際には、こちらにも絶対に訪ねていただきたい!神秘的という言葉では言い表せないほどの神聖な空気を体感してまいりました。そちらはまた次回!それでは皆様も良い参拝を〜!〈籠神社〉
2021年11月06日モデル・本山順子が神社仏閣、教会や寺院を国内外問わずご紹介する本連載。第81回目は京都市宮津市に街詣で。今回は張り切って京都市街からドライブ。有料道路を走ること2時間ほどでやってきたのは天橋立!天橋立といえば日本三景の1つで、言わずと知れた観光地ですよね〜。友達に「秋のドライブに最適だよ!」と、おすすめされてやってまいりました。それでは早速!詣でましょ〜う!海を目指して歩いているとなにやら人だかりが。早速かけ寄ってみると、なんと橋がぐるりと90度回転してるじゃないですか!その名も「回旋橋」といい、天橋立と陸地を継なぐ橋。大型の船などが通る際に90度回転。真ん中の回転する部分にはマイクを持って案内されてる方もいて、まるでアトラクションのようですね〜陸地の方に戻るとおみやげ屋さんが立ち並ぶ先に、〈智恩寺〉の立派な三門・黄金閣が街を温かく見守るように建っています。三門を見上げると「海上禅叢(かいじょうぜんそう)」の扁額が掲げられ、その意味は“海上に聳える禅の道場”。古来より俗界と隔離された幽玄の地とされてきました。境内に入ると出店なども出ており、すごい賑わい!御本尊は文殊菩薩様、正式には文殊師利菩薩といい、年に5日しか御開帳されない秘仏です。“三人寄れば文殊の知恵”のことわざからわかるように、文殊菩薩様は智恵のスペシャリスト!全国からその智恵を授かろうと参拝する方が絶えません。境内を見回してみると松の木にたくさんの扇子がぶら下がっているではないですか。こちらは“すえひろ扇子”という縁起のいいネーミングのおみくじ。これまでたくさんの神社仏閣を巡ってきましたが、扇子の形のおみくじは初めてです!とってもフォトジェニックで可愛らしいですねー。文殊菩薩様は物事のあり方を正しく見極める力・人々の悩みや苦しみを解き、安心へと導く仏様。訪れたものに温かく手を差し伸べる様な優しい空気が漂う境内で、心休まるひと時を過ごさせていただきました。素晴らしい参拝をありがとうございます!〈智恩寺〉を後にして、私たちが向かったのは「天橋立ビューランド」。比叡山〈延暦寺〉に訪れた際に何年ぶりに乗ったかしら?と思っていたロープウェイにまさか年に2回も乗るとは思っていませんでした(笑)。そしてロープウェイを降りるとこの絶景ですよ!!日本三景というだけあって、さすがの展望です。この絶景と写真に収まりたいと思いシャッターを切ってみると…あら不思議!天橋立が美しすぎるからか、まるで合成写真のよう。天橋立ビューランドには観覧車やメリーゴーランドもあり、私たちは園内を半周するサイクルカーに乗ったりして日暮れまで思う存分楽しみました。“海の京都”いかがでしたでしょうか?実は天橋立と日本神話は深いつながりがあるんですよ〜。そちらはまた次回。そして私ごとで恐縮なのですが、日本仏教検定2級を取得いたしました。もちろん目指すは1級!さらにパワーアップしたこのコラムを、みなさまの“迷子のお守り”として携えていただけるよう、これからも努めてまいります!それでは皆様も良い参拝を〜!
2021年10月02日モデル・本山順子が神社仏閣、教会や寺院を国内外問わずご紹介する本連載。第80回目は前回に引き続き、奈良県雑司町に街詣で。大仏殿、二月堂と回ってまいりましたが、広〜い境内でさらにもう一歩!〈東大寺〉を深めてまいりましょう。そして、今回の宿泊先であるの〈奈良ホテル〉での滞在がとても素晴らしかったので、そちらの様子もご紹介それでは早速!詣でましょ〜う!二月堂からの階段下って左に曲がると、三月堂の名で知られている東大寺法華堂が。733年に建てられた仏堂は国宝に指定されており、〈東大寺〉に現存する最古の建築物です。堂内には奈良時代の10体の仏像が並んでいるのですが表情がイキイキしてるという域を超えて、これはもう生きてるな!って感じなんです。〈東大寺〉に来たら絶対に体感していただきたい。法華堂を振り返ると手向山八幡宮(たむけやまはちまんぐう)が。古今和歌集で菅原道真公が和歌を詠むほどの紅葉の名所なのだそう。鎮守神として〈東大寺〉に勧請されたということもあってか、ここの境内だけは雰囲気がガラリと変わりピーンっとした空気が流れていて心が鎮まるような感覚があります。境内をぐるりと回った大仏殿の裏側の原っぱでは、鹿さんたちが集会を開いてました(笑)。鹿さんたちを眺めて境内を巡っていると、時の流れを忘れてしまうほど癒されます。また併設されている「東大寺ミュージアム」はマストスポット。時代背景や流行りの手法、大きさや表情も多種多様で、私もすっかり仏像ファンになってしまいました!さてさて、今回の宿泊先であるクラシックホテルファンとしては憧れの〈奈良ホテル〉へ!東京駅などの設計を務めた辰野金吾が1909年に設計しています。私の地元の武雄温泉の楼門などの建築もされているので馴染み深いというのもあるのかもしれないですが、ノスタルジックで重厚感のある大正時代の建築がたまらなく好きなんですよね〜!高〜い天井のお部屋も素敵です。中でもフロントのこちらの階段は“特別な時間”を演出してくれる重要な場所ではないでしょうか?館内の写真を撮っていたらホテルの方から「お写真お撮りいたしましょうか?」と声をかけてくださり、いたく感激いたしました!いやぁ〜素敵なホテルはやはりホスピタリティも違いますなぁ〜。ホテルショップもとても充実していて、牛乳石鹸×奈良ホテルがコラボした赤箱の鹿さんバージョンの記念品もとっても可愛いですよ〜。お待ちかねのディナーの時間メインダイニングルーム〈三笠〉でいただくお料理たちはひと味もふた味も違いました。窓の外を眺めると〈興福寺〉の五重の塔、そして目が離せないほど美しい夕焼けがお料理にさらに魔法をかけてくれます。私たちは斑鳩のコースをいただいたのですが、マグロ、トリュフ、フォアグラ、オマール海老、フィレ肉のどれもが最適な調理が施されソースとの相乗効果がすごいんです。最後のデザートがテーブルに運ばれて来たときは思わずはしゃいでしまうほど、盛り付けまでもが美しい〜。美味しゅうございましたー!〈奈良ホテル〉でゆっくり休まった次の日は、〈奈良国立博物館〉に足を運び「奈良博三昧ー至高の仏教美術コレクションー」を拝見してまいりました。奈良散歩では今までの一生分以上の仏像を拝見したのですが、新しい扉を開いてしまった感がすごくあります(笑)。いくつになっても新しい趣味と出会わせてくれる散歩って本当に最高だなぁと感じた奈良散歩となりましたそれでは皆様も良い参拝を〜!
2021年09月18日モデル・本山順子が神社仏閣、教会や寺院を国内外問わずご紹介する本連載。第79回目は前回に引き続き、奈良県雑司町に街詣で。古都奈良の文化財の一部としてユネスコ世界遺産に登録されている〈東大寺〉の魅力に迫ります。それでは早速!詣でましょ〜う!大仏殿の堂内には、大仏様以外にもたくさんの仏像が鎮座されています。そして、その仏像の大きさたるや…!大仏様のお隣にいらっしゃるので小さく感じてしまいますが、いやいや、普通に大きいんですよね!こちらは大仏様の左右に脇侍として安置されている木造如意輪観音坐像と空虚菩薩坐像。堂内で特に私が気になったのは、堂内右奥にいらっしゃる、仏教における天部の仏神、四天王の一尊に数えられる武神「多聞天」。とにかく強そうでイカツいのに宝塔を手のひらに乗せて可愛い感じになってしまったポージングが最高に好きです。七福神でいう毘沙門天にあたる方。堂内の奥の方には大仏殿の鎌倉時代と江戸時代に再建された模型が並べて展示されていました。なんと現存の大仏殿よりも鎌倉時代の方が大きいではありませんか…!奥行と高さは創建当時とほぼ変わらないのですが、間口は約3分の2に縮小されているのだそう。おや!観相窓から大仏様が顔を覗かせていますね〜。実際に、大晦日から元旦は窓が開かれるのだそうですよ〜。かれこれ1時間半ほど滞在した大仏殿を後にして向かったのは、二月堂。二月堂から眺める夕日がとても有名なのでご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか?斜面に建てられた懸崖造りがとてもかっこいいですよね〜。二月堂は2005年に国宝に指定されました。旧暦の二月に「お水取り(修二会)」が行われることから名付けられた二月堂。堂内に入るとたくさんの灯籠がかけられていてとてもモダンでおしゃれな雰囲気。ご本尊は大観音、小観音と呼ばれる2体の十一面観音で、どちらも秘仏になっています。この日は曇天だったので残念ながら夕日は拝見することはできなかったのですが、それでもこの絶景です。二月堂で行われる修二会は752年から一度も途絶えずに行われたきた「不退の行法」なのだそうで、なかでも大松明を抱えて飛び跳ねたり内陣を一周する“達陀”は言語も意味も不明で、謎に包まれた行法なのだとか…。写真で拝見しましたが大松明の炎で二月堂が包まれ、圧巻の光景です。いつかこの目で拝見してみたい!〈東大寺〉散歩もやっとこさ中盤を迎えました。次回は少し趣向を変えて奈良での滞在先での様子やディナーもチラリご紹介させていただければと思います。それでは皆様も良い参拝を〜!
2021年09月04日モデル・本山順子が神社仏閣、教会や寺院を国内外問わずご紹介する本連載。第78回目は奈良県雑司町に街詣で。そして、ついにやってまいりました!古都・奈良の文化財の一部としてユネスコ世界遺産に登録されている〈東大寺〉。そして世界最大の木造建築でもあるんですよ〜!それでは早速!詣でましょ〜う!東大寺へ向かう前にちょっと〈奈良公園〉をお散歩。ベンチにゆっくり腰掛けて、朝の木漏れ日が差し込む芝生でくつろぐ鹿さんたちや鹿せんべいを購入した観光の方について行く鹿さんを眺めて過ごします。奈良県では鹿さんがいる光景は当たり前ですが、よくよく考えてみるとすごい非日常ですよね。鹿さんは国の天然記念物に指定されているんですよ〜。鹿さんに癒されながらてくてく歩いていると、それはもう圧倒的な存在感と形容し難い威厳を放つ南大門が、どか〜ん!と現れます。南大門は962年に台風で倒壊しましたが、1199年に再建され、国宝に指定されています。そして、門内の左右にはかの有名な木造金剛力士像が!あまりの迫力に腰が抜けてしまいそうになります。高さ8.4mとありますが体感でははるかに大きく感じられ、今にも動き出しそう。大仏師・運慶、湛慶、快慶、定覚によってなんと、わずか69日で造立されたのだとか…!力士像の足元で鹿さんが休憩していました(笑)。回廊の中に入ると、見えてくるのは大仏殿!!学生以来の再訪ですが、やはり何度拝見しても変わらぬ衝撃。だって想像の数倍大きいんですもん!大仏殿は1567年に兵火のより焼失し約120年あまりの間、大仏さまは雨ざらしになっていました。現存の大仏殿は1709年(江戸時代)に再建されたものになります。いや〜人間って圧倒されると声が出なくなってしまうんですね!大仏殿に入ってからはしばらくは黙々と見入ってしまいました。一般的には“奈良の大仏”として知られる「東大寺盧舎那仏像」は大宇宙の存在そのものを象徴する仏様。大仏は政府の事業のみならず、国民に結縁を求め造立されたのだそうです。大仏様が座る蓮華座が展示されていたのですが、これがとても興味深い!2度の兵火に巻き込まれたにも関わらず線刻画は当初の部分がかなり残っており、以前の大仏様のお姿が描写されています。上段部分には釈迦坐像が大きく描かれ、下の楽譜のようなところは「華厳経」の説く「華厳蔵世界」の有様を表したものなのだとか。7世紀に描かれたもだと思うとビックリですよね〜!ありがたいながらもどこか可愛らしくもあり、オーパーツの様でもある彫刻画にドキドキしました。さて、念願の〈東大寺〉にお邪魔させていただいたのですが、私が〈東大寺〉に到着したのは午前10時で、帰る頃にはすっかり夕暮れの17時になっていました。つまり、今回ご紹介させていただいたのはほんの一部!〈東大寺〉に関しては数回に分けてじっくりご紹介させていただきます。それでは皆様も良い参拝を〜!
2021年08月21日モデル・本山順子が神社仏閣、教会や寺院を国内外問わずご紹介する本連載。第78回目は正岡子規の「柿食へば鐘が鳴るなり…」の俳句で有名な〈法隆寺〉へ。その建築物群は法起寺と共に「法隆寺地域の仏教建築物」として日本で初めて〈ユネスコ〉の世界遺産に登録されています。それでは早速!詣でましょ〜う!国宝の南大門をくぐり境内に入ると、ひらけた空の下にまっすぐ伸びる美しい参道が中門まで続きます。そして不思議なことに、境内に足を一歩踏み入れると風が涼しく感じられるんです…!〈法隆寺〉はなんと607年創建。聖徳宗の総本山で聖徳太子を宗祖としています。中門の近くまでやってくると、もうすでに気配を感じる!バシバシと覇気を放つ仁王像が待ち構えておられるではないですか。なんとこちらの仁王像は修復や補修をされながら1200年もの間、この場所にたち続けているのだとか。どっひゃー!とんでもない数字過ぎてクラクラしてきます。恐れ入りました…!中門から左に曲がり、拝観チケットを購入して回廊の中へ入ると、金堂・五重の塔を中心に様々な建築物が立ち並びます。〈法隆寺〉は大きく分けるとこの2つの建物を中心とした「西院伽藍(さいいんがらん)」と夢殿を中心とした「東院伽藍(とういんがらん)」の2つに分けられます。写真中央に見えるのは先ほどの中門の裏側。世界最古の塔である〈法隆寺〉の五重の塔。最下層を拝見させていただいたのですが、洞窟のような舞台に小群像が立ち並ぶ不思議な構造なんです。こちらはお釈迦様に関する4つの場面の説話を東西南北それぞれの面で表しているのだそう。金堂(本堂)は屋根を支える柱に龍や象、獅子などの彫刻が施されていて、いつまでも眺めていたくなるほどの美しさ。こちらには御本尊である金堂釈迦三尊像が安置されています。驚かされるのがその御姿。お顔つきが細長く穏やかに微笑まれており、私がこれまで拝見してきた仏像の概念を覆えさせられました。天井からは豪華な天蓋が3つ吊るされ、たくさんの仏像が並んでいます。まさに圧巻の光景です。回廊の一番奥には仏教の学問を深めたり、法要を行う場所である大講堂が。中央には背光を合わせると4mを超える薬師如来坐像とその脇侍である日光菩薩・月光菩薩坐像がどっしりと鎮座しており、その周りには四天王像が安置されています。金堂とはまた違った凛!とした空気が漂います。〈法隆寺〉の広大な境内の三分の一ほどをご紹介してまいりました。飛鳥時代、奈良時代、平安時代と、想像すると混乱しそうなくらい古い時代の国宝がずらり。奈良ってすごい!と語彙力を無くしてしまうほどの感動を味わいました。〈法隆寺〉についてはまた次回ご紹介させていただきます!それでは皆様も良い参拝を〜!
2021年08月07日モデル・本山順子が神社仏閣、教会や寺院を国内外問わずご紹介する本連載。第77回目は前回の〈岡崎神社〉の際にお邪魔した岡崎エリアに街詣で。この辺りは昨年リニューアルオープンしたばかりの〈京都市京セラ美術館〉や〈スターバックス コーヒー〉が併設された〈蔦屋書店〉もあり、感度が高い人たちが集まるスポット。そんなエリアのど真ん中にある〈平安神宮〉にお邪魔してまいりました。そんなそれでは早速!詣でましょ〜う!〈蔦屋書店〉の目と鼻の先、〈岡崎公園〉から見えるのは應天門。平安京の大内裏の正庁朝堂院を5/8の大きさで再現しています。〈平安神宮〉の神門として造営されました。ここ〈岡崎公園〉では毎月ほぼ10日に「平安蚤の市」が開催されており100店舗以上が店を連ね、たくさんの人が賑わいます。古道具や骨董品を眺めながらぶらぶらするだけでもとっても楽しいですよ〜!應天門をくぐるとライブ会場かよ!っというほどの広大な空間が現れます。それもそのはず、ライブ会場としても開かれているんです!きゃりーぱみゅぱみゅさんや堂本剛さんなどなど、名だたるアーティストさんがこちらでライブを開催されていました。神社でライブって!斬新ですよね。その奥に鎮座する大極殿(外拝殿)。こちらは平安京大極殿院を模して造られています。平安神宮は平安遷都1,100年を記念して明治時代に京都で開催された国内勧業博覧会の目玉として復元されたのだそう。外拝殿の奥には内拝殿、本殿に続き、本殿には桓武天皇が祀られています。大極殿の正面に向かって右側には蒼龍楼、左側には白虎楼が左右対称に位置しています。なんだか珍しい形ですよね!この楼は平安京が方角を司る“四神”、蒼龍・白虎・朱雀・玄武が守護する「四神相応の地」として造られた為で、その考えに基づいて造られています。外拝殿でチケットを購入して平安神宮神苑にもお邪魔してまいりました。神苑は社殿を囲み四つの庭で構成され、その広さはなんと東京ドーム約一個分!明治を代表する回遊式庭園として国の名勝に指定されています。明治から昭和にかけての名造園師である、7代目小川治兵衛が20年以上かけて造園されたのだそう。この神苑の構成がとっても好きで、最初は小さなお庭が立ち並び、徐々にひらけていって最後はこちら「東神苑」にたどり着きます。泰平閣に腰掛けるとたくさんの生き物が押し寄せてきて、本当に可愛いんですよ〜!鯉、亀、スッポン、鴨にお麩をちぎってあげると大騒ぎ!心より癒されるひとときを過ごせます。写真に納めることはできなかったのですが、カワセミも浮島の木に遊びにきていました!初めてのカワセミに大興奮でした〜!〈岡崎公園〉まで戻ると〈京都市京セラ美術館〉の目の前には〈平安神宮〉の大鳥居が!京都にきて初めてこの大鳥居を目にした時「あぁ、京都は神社やお寺を中心に街が広がっているんだなぁ。」と感じました。道路のど真ん中に高さ24mもある鳥居があるなんてロマンありますよね〜。午前中に訪れると中神苑には睡蓮が水面に静かに浮かび美しい光景が広がります。〈平安神宮〉周辺には〈京都府立図書館〉〈京都国立近代美術館〉〈京都市動物園〉などもありデートにはもってこい!のんびり過ごしてちゃっかり高まっちゃうひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか?それでは皆様も良い参拝を〜!
2021年07月17日モデル・本山順子が神社仏閣、教会や寺院を国内外問わずご紹介する本連載。第76回目は京都の岡崎に街詣で。昨秋に訪れた紅葉の名所“秋は紅葉の永観堂”から徒歩15分ほどのところにある〈岡崎神社〉にお邪魔してまいりました。こちらの神社では非常に珍しい光景を目にすることができますよ〜!それでは早速!詣でましょ〜う!街をぶらぶらしているだけで何箇所か神社仏閣を巡ってしまう京都。〈岡崎神社〉も例に漏れず、住宅街の車がビュンビュン行き交う交差点のど真ん中に突如として現れます。この時期は半年間の罪穢を祓う神事である「夏越大祓」が各所の神社で執り行われており、〈岡崎神社〉でも茅(ちがや)という草で編んだ輪がありました。こちらでは毎年6月30日にミニ茅の輪の授与もされています。私もこの輪っかを八の字にくぐり、しっかり「茅の輪くぐり」をして境内にお邪魔致しました。境内に入ると早速見つけました!〈岡崎神社〉では、狛犬ではなく狛うさぎがお出迎えしてくださいます。かつてはこの辺り一帯が野うさぎの生息地であったことから、うさぎを氏神様の神使とされているのだとか。口元もしっかり阿形、吽形をされていてかわいらしい!境内を見回してみると、あら!狛犬さんもいらっしゃるんだ〜。なんてよ〜く眺めてみると…狛犬さんの足元の台座にはしっかりうさぎさんが彫刻されていました。なんて芸が細かいの!飛び跳ねたりお餅をついたり、隠れうさぎさん発見してなんだか嬉しい気持ちに〈岡崎神社〉の御祭神は「速素戔嗚尊(スサノオノミコト)」と「奇稲田姫命(クシイナダヒメノミコト)」のご夫婦。ヤマタノオロチの生贄にされそうになっていた奇稲田姫命を助け出したことをきっかけに結婚し、たくさんの子宝に恵まれました。このことから縁結びや子授けの神とされており、二人の子どもである「三女五男八柱御子神(ヤハシラノミコガミ)」も祀られています。また、本殿の前にはたくさんのうさぎみくじが並んでいました。ちょこちょこしていてとっても可愛い!よくみると耳が立っていたりねていたり前足が地面についていたりする子もいて、いくつか種類がいるようですね〜。手水舎にも“子授けうさぎ像”があり、その周りにはたくさんの絵馬とピンクのかわいらしい布で編まれた「うさぎ安産祈願神札」が並んでいます。境内には他にも、招きうさぎだったり障子や提灯にもうさぎさんが描かれており、うさぎづくしの参拝を楽しむことができましたぜひカップルやご夫婦で訪れてみてはいかがでしょうか?旧暦の6月1日は氷の節句。当時の庶民にとっては大変貴重であった氷に模して作られた、ういろうの上に小豆を乗せた甘いお菓子「水無月」。夏越大祓には「水無月」を食べて半年の間に溜まった穢れを落とし、暑気払いをして残り半年も乗り越えていきましょう!桓武天皇が平安京遷都の際に王城鎮護のために平安京の四方に建てられた社の1つとされ、都の東に鎮座することから“東天王”と称された〈岡崎神社〉。お邪魔した日にはたくさんの地元の方が自転車で訪れていて、地域に根付いた親しみ深い神社なのだなぁと思わされた癒されるひとときでした。それでは皆様も良い参拝を〜!
2021年07月03日’90年代より、雑誌『anan』に恋愛特集や「一人で生きる方法」「運のつかみ方」などのテーマで多くのエッセイを寄稿している、エッセイスト酒井順子さん。『anan』創刊から2000号までを分析した1年半の連載を1冊にまとめた書籍「ananの嘘」の文庫版が出版された機会に、いままでとこれからの『anan』についてうかがいました。『anan』の創刊から今まで歩んできた道とは?2017年3月にマガジンハウスより刊行された酒井順子さんの著書『ananの嘘』。1970年の『anan』創刊から2016年に迎えた2000号までを振り返り徹底検証した人気連載のまとめです。それに書き下ろしを加えて再構成された文庫版が出版されました。著者の酒井さんに、日本の雑誌カルチャーや女性の価値観の変遷、さらにananが読者とともに悩み葛藤しながら歩んできた歴史について、うかがいました。初期のananは過激だった!?編集部とにかく驚くのが、創刊当時のananの尖りっぷりです。酒井さん’70年代には、ヌードのお見合い写真を掲載したり、セックスに開放的な企画など、「既成概念にとらわれない」、「タブーに挑戦したい」という姿勢で、我が道を歩んでいました。すでにある権威に反発するという時代を表していた雑誌がanan。男性に対しても、「簡単には従わない」「媚びない」など、声を高々と上げて突っ走っていました。編集部時代の流れに乗って尖っていたananに、迷いが生じた時代もあったということですが。酒井さんそれは70年代半ば、いち早くニュートラ(ニュー・トラディショナル)というモテファッションを紹介したことから始まりました。ニュートラをリセ(リセエンヌ、フランスの女子学生風スタイル)の対抗概念として扱い、モテ路線と非モテ路線を並走させることに。両者の間でananは悶々とするのですが、’80年代になると、ananはニュートラに別れを告げ、リセを選んだのです。つまり、男のために生きるか、自分のために生きるかの分かれ道で、「自分のために生きる」という選択をしたということ。これは後の読者にも大きな影響を与える出来事でした。編集部モテを求めるのはやめようと決めたはずのananですが、彼氏が欲しくないわけでも、結婚をしたくないわけでもない…と、悩み続けているうちに、だんだんと時代は変わり、スローライフの’00年代へと突入したというわけですね。’00年代になると、占いやスピリチュアルが登場編集部不景気の大変な時代で、コロナ禍でもないのに「おこもり」というキーワードが出てきたころ。「カフェでまったり」や「節約はしっかり」「スローライフとスローラブ」など、ananはそれまでと同じ雑誌とは思えないほどの変貌ぶりを遂げました。酒井さん皆がギラギラしていたバブルが終わって人々の気が抜け、本当は色々な欲望があるのに、欲望を充足させにくくなってきたころだと思います。例えばセックスしたいという欲望があっても、現実で充足させるのは難しいから妄想で解決する、などのスキルが開発されることになりました。そのころ、恋愛や結婚観も迷走。「鍛えれば絶対強くなるのが恋愛力」などの恋愛企画に、読者は惑わされていました。ニュートラとの決別時、モテのために生きるのはやめようと決めたけれど、とはいえやっぱり恋愛も結婚もしたいと揺れ動くanan。読者と一緒に迷っている姿こそ、ananの魅力だと思います。編集部仕事でも恋愛でも、努力だけではどうしようもない部分がある。そんなジレンマを抱えているとき、江原啓之さんにご登場いただいています。酒井さん江原さんが頼りにされているのは、見えない部分が見えた気持ちにさせて、救ってくれるから。バブル崩壊後、自分ではどうしようもない不景気の中で、それでも何かを掴みたいと思っている読者にとって、スピリチュアルな世界や占いは、ホッとできる逃げ場になりました。誰にも言うことができない悩みでも、ananの占い特集は答えをくれますし、時には親や友達も言ってくれない厳しいアドバイスを、江原さんはくれるわけですよね。仕事も結婚もどうしていいかわからない、と迷子になっている女性たちにとって、占いやスピリチュアルは、心の拠りどころになっているのでしょう。ananがついた“嘘”を楽しんだ読者たち酒井さんananは、「おしゃれグランプリ」という企画で様々な地方の読者のファッションを競わせたり、’80年代には「ハウスマヌカン」(洋服店販売員のこと)やスタイリストなどのカタカナ職業を猛プッシュして、読者にもそう言った仕事を勧めたりしてきました。そうかと思えば路線変更し、「やっぱり結婚したい」と言い出すなど、読者に対して「こうしたほうがいい!」とアグレッシブな提案を次々としてきました。創刊当時から、ananが振る色々な旗を見て、「こんな服を着ればいいのね」とか、「私もハウスマヌカンになりたい」とか、「結婚しようかな」などと、真剣に考えた読者が多かったと思います。ananによって人生が変わった人もいたはずですが、アンアンが「こっちにおいで」と先導していた方向は、必ずしも正しかったとは限りません。でも、今と違って他の情報源があまりなかった時代、ananの発売日を楽しみにしていた読者は多かったことでしょう。その時代を生きた女性たちは、ananに振り回され、騙されることもまた楽しかったのだろうな…と言うことで、「ananの嘘」というタイトルなのです。これからもananは、時代に沿った道を進むのか!?編集部最近では、「高めよう!免疫力」や「半径2メートルのライフスタイル」など、このご時世ならではのタイトルが並んでいます。酒井さん東日本大震災のときでもコロナ禍でも、その環境下でどうやって充実した毎日を過ごそうかと考えているのがanan。何十年も経ち、コロナを知らない若者が現在の企画を見たら、不思議に思うかもしれませんね。即時性のある対症療法的な企画は、雑誌、それも週刊誌ならではのものです。ananが50年もの間、愛され続けているのには、週刊誌ということも大きいのではないかと思います。雑誌は、書籍のようにずっと残るものではないからこそ、その時々の時代にマッチしたことを全力で伝える、刹那的な部分が魅力です。特にananは、すぐに次の号が出る週刊誌だからこそ、セックス特集や読者ヌードの企画など、世間を驚かせるような企画ができるのかもしれません。それはモテとは直結しない、いばらの道かもしれないけれども(笑)、それも自ら選んだ道。編集部創刊当時とは打って変わり、ネットなどの情報が入るようになった昨今。これからのananはどうなると思いますか。酒井さん創刊当時のananからは、社会を変えていこうという気持ちが溢れていました。今も、社会の変革期。女性達の視線を社会的な問題に向けるような特集は、実はananのお家芸です。ファッションの特集や、紙の雑誌だからこそじっくり楽しむことができるグラビア記事の中に、社会的意義を持つ特集も混じると言う硬軟取り混ぜた雑誌作りが、最もananらしいのかもしれませんね。酒井順子(さかい・じゅんこ)1966年、東京都生まれ。高校在学中に雑誌「オリーブ」でコラムの執筆を始め、大学卒業後は広告代理店に勤務。その後、執筆に専念し、2003年に発表した『負け犬の遠吠え』では婦人公論文芸賞、講談社エッセイ賞を受賞。近年の著書に『子の無い人生』『男尊女子』『源氏姉妹』『家族終了』『ガラスの50代』『処女の道程』などがある。温かいツッコミを入れつつ、時代背景と特集内容からananの歴史を分析した「ananの嘘」は、アンノン族、ニュートラなど懐かしい言葉が頻出する、親子で楽しめるエッセイでもあります。ぜひ手に取って、過去のananへタイムトリップしてみてください。Information『ananの嘘』 ¥880/マガジンハウス(酒井順子 著)購入はコチラからどうぞ。写真・山本嵩、文・三谷真美
2021年06月21日モデル・本山順子が神社仏閣、教会や寺院を国内外問わずご紹介する本連載。第75回目は京都市岩倉幡枝町を街詣で。京都市街から電車とバスを乗り継いで40分ほど行くと街はすっかり様変わり。乗馬クラブや野鳥の森があったりと緑豊かな景色が広がります。今回は〈妙満寺〉に訪れました。それでは早速!詣でましょ〜う!〈妙満寺〉は顕本法華宗(けんぽんほっけしゅう)の総本山。顕本法華宗とは日蓮宗から派生した宗派で、日蓮聖人を宗祖とし、開祖の日什が〈妙満寺〉の伝統を守るために独立を主張した派閥です。そのため、どの門流にも属さない独立した宗派となっています。〈妙満寺〉には“鐘に恨みは数々ござる”で知られる「安珍・清姫伝説」の鐘が収められています。この鐘の供養する際の霊話が「京鹿子娘成寺」となり、歌舞伎や長唄などの演目になっています。清姫の祟りを恐れ、山に打ち捨てられた鐘は計600年の月日を経て、秀吉の家臣・仙石秀久が掘り起こし、清姫の怨念を解くため〈妙満寺〉に持ち込まれました。鳴音美しい霊鐘となった「安珍・清姫の鐘」は展示室にてご覧になってみてくださいね。山門をくぐってからずっと気になっていた「仏舎利塔」はインドのブッタガヤ大塔をかたどってつくられたもの。こんなに神社仏閣を巡っているのに初めて拝見しました。こんなことを言うのはアレかもしれませんが古代遺跡みたいでめちゃめちゃかっこいいですよね…!仏舎利塔の最上階にはこのお寺に古くから伝わる釈迦の遺骨とされる仏舎利が収められています。外壁には全国の末寺や檀信徒の寄進により、3年の歳月をかけ486体のお釈迦様の仏像を奉安されています。社務所から本坊へ進むと、そこには立派な枯山水が。俳句の源流であり、貞徳俳諧の祖とされる松永貞徳が造営された「雪の庭」。その名の通り、冠雪の比叡山を借景とした眺望が最も美しい庭なのだそう。この日も先客が何組かいらっしゃって、ゆっくり時間を過ごされていました。この日はお友達の陶芸家うーたん・うしろくんが「大土友展」というグループ展に参加されていたのでそちらも拝見させていただきました!現代ではほとんどが原料を買って作陶するのが当たり前のなか、土を掘るところから始める陶芸家30名が集まった展示。作家の熱量を感じられるとてもいい展示でした。こうやって人と人をつなぐ場としてお寺を貸し出されていて素敵だなぁ〜!となんだか温かい気持ちに。〈妙満寺〉は何度も戦火や火災に遭い、幾度となく移転を余儀なくされています。豊臣秀吉の時代に寺町二条に移され400年にわたり「寺町二条の妙満寺」として親しまれ「昭和の大遷堂」で現在の岩倉の地に移り、今日に至ります。開祖である日什上人は比叡山〈延暦寺〉にて学僧3,000人に教えを授ける学頭にまでなったにも関わらず、一巻の書物も残されませんでした。それは自分の意見を挟まずに、仏の教えを誤解されてはないという配慮の気持ちから。実直な日什上人の人となりにほんの少し触れられる良い参拝となりました!それでは皆様も良い参拝を〜!
2021年06月19日モデル・本山順子が神社仏閣、教会や寺院を国内外問わずご紹介する本連載。第74回目は前回に引き続き、比叡山全域を境内とする〈延暦寺〉をご紹介させていただきます。数々の日本仏教の宗祖がこの地で学んだことから「日本仏教の母」として仰がれる〈延暦寺〉。今回は東塔から西塔までのんびり散策していきますそれでは早速!詣でましょ〜う!前回ご紹介した大講堂をさらに奥に進んでいくと、〈延暦寺〉東塔地区で最も標高の高い場所に建つ阿弥陀堂があらわれます。阿弥陀堂の右手にはとても立派な水琴窟があり、美しい音色を奏でていましたよ〜癒される!阿弥陀堂に並び建つのは東塔。最澄は「六所宝塔」という日本全国に6ヶ所の宝塔を建て、日本を護る計画を立てられたのだそう。その中心の役割を担っているのがこの東塔です。初夏の緑に朱塗りの鮮やかさが際立って美しいですね〜。阿弥陀堂と東塔が繋がっている回廊は中央が楼門になっていて、とても風情ある雰囲気。こちらの二つの建物を合わせて「法華総持院」と呼ばれています。「法華総持院東塔」はご本尊として大日如来はじめとする五智如来が祀られています。五智如来とは密教で5つの知恵を5柱の如来にあてはめたものなのだとか。東塔エリアを抜け西塔エリアに進むにつれ、緑の匂いが濃くなっていきます。その中で物々しい雰囲気を放つのは「山王院」。こちらには千手観音様が祀られています。自然の荘厳さを感じながら山王院からは長〜い(写真の3倍くらいはある)階段を下っていきます。東塔エリアと西塔エリアの境目に静かに佇む「浄土院」。こちら名前通りの極楽浄土感(?)が漂ってるんです。言葉でうまく言い表せないのですが「あ、“聖域”ってここのことをいうのか」と腑に落ちる不思議な感じなんですよ。それもそのはず、浄土院は比叡山(天台宗)開祖・最澄の“御廟”つまりお墓で、そのため比叡山中で最も清浄な聖域とされている場所なんです。この御廟所を守る僧侶を侍真僧といい、今でも12年間山を降りない「籠山修行」の内規に則って生活をされているのだとか。浄土院からにない堂などを通り、歩くこと15分ほどのところに西塔の本堂にあたる釈迦堂(転法輪堂)が見えてきます。釈迦堂は〈延暦寺〉に現存する最古の建築物。と、ここまできたところで閉山時間になってしまい、1日で〈延暦寺〉をまわるのは難しいことが判明しました(笑)。〈延暦寺〉には今回ご紹介した東塔・西塔エリアの他に横川エリアもあります。〈延暦寺会館〉という宿泊施設もあるそうなので、もっとゆっくり参拝したい!という方はこちらを利用されるのも手かもしれないですね。目まぐるしく変わる天候や景色の中、美しさと厳しさを強く感じる良い参拝が出来ました。感謝!それでは皆様も良い参拝を〜!
2021年06月05日モデル・本山順子が神社仏閣、教会や寺院を国内外問わずご紹介する本連載。第73回目はどこに街詣でするかというと…!満を持してやってまいりました、京都府京都市と滋賀県大津市にまたがる天台宗の総本山・比叡山全域を境内とする〈延暦寺〉にお邪魔させていただきます。それでは早速!詣でましょ〜う!京都市街から比叡山山頂までは約1時間弱、そこからシャトルバスで〈延暦寺〉まで下っていきます。八瀬比叡山口駅からは「叡山ケーブル」と「叡山ロープウェイ」を乗り継いで比叡山山頂を目指します。ケーブルカーとロープウェイなんていつぶりでしょうか!?ドキドキしますね〜!ロープウェイで山頂までやってまいりましたー!京都の全景が見渡せる素晴らしい眺め。最近は黄砂がひどいのでモヤがかかった感じではあるのですが、それが逆に幻想的。ロープウェイや山頂の駅もとてもレトロな空気が漂います。山頂からはシャトルバスに乗り換えてはるばるやってまいりました、〈延暦寺〉!天台宗の公式キャラクターである“しょうぐうさん”がお出迎えしてくださりました〜とってもかわいい!〈延暦寺〉の総本堂である国宝・根本中堂は2016年より「平成の大改修」を10年に渡り行なっている最中で、外観は拝見することはできなかったのですが、その代わりに改修中にしか目にできないとっても貴重な体験をさせていただきました。根本中堂の中庭にあたる場所に修学ステージができでいて、お堂の瓦が取り払われた真っさらな屋根を拝見できます。他にも特定の場所でスマートフォンをかざすと改修後の根本中堂が現れるなど、とても面白い試みをされていらっしゃいました。改修工事の総工費はなんとおよそ50億円!入り口の広場に面している「大黒堂」は日本の大黒天信仰の発祥の地と言われています。ご本尊の大黒天様は「三面出世大黒天」と言われ、大黒天様と毘沙門様と弁財天様が一体になったお姿をされているのだとか…。なんと豊臣秀吉も出世を願いこちらに訪れたのだそう。〈延暦寺〉の境内では常に鐘の音が鳴り響いているのですが、どこから鳴っているのだろうと音を辿ってみると広場から大講堂に向かって階段を上がったところに立派な鐘楼を見つけました。しかも鐘をつけるなんてとても珍しい!早速私も突かせていただきました。低音の綺麗な音色が身体中にジュワ〜と染み渡っていくんですよ!とても不思議な体験をさせていただきました〜。大講堂の御本尊は大日如来様。堂内へ入ってみると、比叡山で修行した各宗派の宗祖の木像や肖像画がずらり!浄土宗の法然上人、浄土真宗の親鸞聖人、臨済宗の栄西禅師などなど、挙げればきりがないのですが、それはもう圧巻の光景です。さて、満を持して〈延暦寺〉へお邪魔させていただきましたが、今回ご紹介したのはおよそ6分の1ほど。比叡山全域を境内とするということはこういうことかと思い知ります…!数々の日本仏教の宗祖がここ〈延暦寺〉で学び、出家得度されていることから「日本仏教の母」として仰がれています。続きはまた次回!それでは皆様も良い参拝を〜!
2021年05月15日モデル・本山順子が神社仏閣、教会や寺院を国内外問わずご紹介する本連載。第72回目は京都市右京区を街詣で。さて、今回は前回に引き続きこの季節は“京都の春のフィナーレを告げる桜”で有名な〈仁和寺〉をご紹介させていただきます。桜だけでなく、国宝の金堂、庭園など見どころ目白押しの〈仁和寺〉。それでは早速!詣でましょ〜う!仁王門から続く広い中央の参道の突き当たりに見えてくるのは国宝・金堂。寺院建築でありながら、寝殿造という珍しい建築。それは元々は御所の天皇の私的区域である内裏の正殿である紫宸殿を〈仁和寺〉に移築したものだからなのだそう。そして、現存する最古の紫宸殿であることから国宝に指定されています。私が訪れた日には「御室花まつり」が開催中で僧侶の方が法話をされていました。〈仁和寺〉の“仁和”は仁和4年に創建されてことから、つまり元号なんですって〜!〈五重の塔〉同様、金堂も特別公開が行われていたので、ゆっくり拝見させていただきました。金堂を奥に進んでいくと水掛不動尊様がいらっしゃりました。ご挨拶を済ませ、水をかけさせていただこうと柄杓を持ってびっくり。柄杓の柄がとーっても長いんです!不動尊様が鎮座されている岩には立派に苔がむしていて、古くから親しまれていることがよくわかります。さて、お次はぐぐーっと仁王門の方まで戻り庭園へ!白砂敷きが美しい枯山水のこちらは「南庭」。江戸時代までは大切な儀式を執り行うための場所とされていました。綺麗でまっすぐな枯山水!清々しいですね〜。また、「仁和寺御室藝術」という芸術祭が行われていました。そのため境内のいたるところに作品が展示されており、まるで美術館のよう。境内や建築など、過去から継承された空間藝術空間の中で、その手法や技法を踏襲・改変した現代アートを展示されており、現代アートに寛容な姿勢がとても素敵です。庭園を奥に進むと辰殿があり、目の前には「北庭」が広がります。壮大でありながら繊細で、計算し尽くされたお庭はいつまでも眺めていたくなるほど美しい!縁側に座って庭の流水や鳥の声に耳を傾けたりとゆったりとした時間を過ごさせていただきました。春うららな素敵な参拝をありがとうございました〜。〈仁和寺〉でゆったり過ごしていたらすっかりお腹がぺこぺこに!タクシーで10分ほどのところにある〈西陣 鳥岩樓〉にお伺いさせていただきました。とても趣のあるお店構え。懐かしい雰囲気の渡り廊下や広い中庭があり、なんとも京都らしい風格。お店の奥の2階に通されたのですが、窓からは先ほどの中庭が。珍しい構造の建築に目を奪われていたら、トンっと置かれた親子丼と鳥のスープ。そう、お昼はこのメニューのみ。だしをよ〜く含んだフワッフワの卵にぷりんぷりんの鶏肉、そしてこんなジューシなお米食べたことない!それらが見事に調和して素晴らしいハーモニーを奏でます。鶏白湯のような白濁したスープも全く鳥の臭みやえぐみがないのに、しっかりとしたコクがありおかわりが欲しくなるほどでした。No.1の親子丼に出会いました。ごちそうさまでした〜!2回にわたりご紹介させていただいた真言宗御室派の総本山〈仁和寺〉。実はご紹介できたのは3分の2ほど。広い敷地をのんびりゆっくり散策して、春の空気を存分に味わうことのできる素晴らしい参拝となりました!それでは皆様も良い参拝を〜!
2021年05月01日モデル・本山順子が神社仏閣、教会や寺院を国内外問わずご紹介する本連載。第71回目は京都市右京区を街詣で。京都に引っ越してきてから初めての春!京都を歩けば桜に当たるというほど街中のそこかしこに桜が咲き乱れ、まるで白昼夢のような情景。そんな中、思いっきり桜を楽しみたい!とお邪魔したのは〈仁和寺(にんなじ)〉。それでは早速!詣でましょ〜う!京都で一番遅咲きの桜として古くから庶民に親しまれてきた世界遺産〈仁和寺〉。“京の三大門”の二王門が圧巻の風格で出迎えてくださりました。同じく京の三大門である知恩院三門、南禅寺三門が禅宗様であるのに対し、二王門は平安時代の伝統を引く和様で統一されています。ググッと近寄って見てみると仁王像も流石の迫力!〈仁和寺〉は現在に至るまで、数度に渡り火災にあってきました。現存する二王門は〈清水寺〉や〈知恩院〉を再建した、あの徳川家光公の発願により再建されたもの。後面には唐獅子が左右に二体、ちょこんと配されていて可愛らしい!受付を済ませ少し進んだところに見えてくるのは繊細かつ大胆な造りの勅使門。設計は京都府技師であった亀岡末吉。以前、連載でも訪れた〈東本願寺〉の修復や菊の門も設計されていた方ですね!鳳凰や牡丹唐草と幾何学模様の組み合わせや、彫刻だけで華やかさを表現できる細部までこだわり抜いた亀岡独自の斬新さが私はとっても好きです。中門をくぐると、左手には遅咲きの“御室桜”が一面に咲き誇ります。さすが京都の春のフィナーレを告げる桜。こんなに視界が桜に覆われるのは人生で初めて!と、桜のもりもり具合に思わず興奮してしまいます(笑)。樹高が低く「お多福のように花(鼻)が低い」ことから“お多福桜”とも呼ばれているのだそう。また、こちらの桜林は国の名勝に指定されており、日本さくら名所100選に選定されています。桜の雲の上に浮かぶ五重の塔の眺めは、ここは夢の中かと見まごうような世界。見事な曇天の日にお邪魔したのですが、そんなことはまるで気にならなくなるほどの天晴れな景色にすっかり感服いたしました〜!桜のトンネルを抜けると、目の前には先ほどの五重の塔が。なんと8年ぶりに内部が公開されていたのでもちろん拝見させていただきました!心柱を中心に胎蔵界五仏が安置され、一面極彩色の仏画が描かれています。1644年に建てられたそうですが、当時の様子がはっきりとわかるほど綺麗に保存されていましたよ〜。春爛漫の〈仁和寺〉ですが、ご紹介させていただいたのは半分ほど。国宝・金堂や庭園などなど見所満載。そちらはまた次回にご紹介させていただこうと思います。それでは皆様も良い参拝を〜!
2021年04月17日モデル・本山順子が神社仏閣、教会や寺院を国内外問わずご紹介する本連載。第70回目は京都市左京区を街詣で。“下鴨さん”の呼び名で親しまれている〈下鴨神社〉にお邪魔して参りました。〈下鴨神社〉の正式名称は〈賀茂御祖(かもみおや)神社〉。ユネスコ世界文化遺産に登録されており、なんと!京都の社寺では最も古い部類に入るのだとか。それでは早速!詣でましょ〜う!以前、Hanako.tokyoのコラムで拝見して伺ってみたいと思っていた第一摂社の〈河合神社〉にやってきました。たくさんの女の子で賑わう〈河合神社〉。それもそのはず!玉のように美しいことから“美麗の神”として信仰の深い〈下鴨神社〉の御神祭である玉依姫命をお祀りされています。〈河合神社〉といえば、鏡絵馬!自分のメイク道具で絵馬にメイクして祈願。個人的に驚いたのが、ゆっくりと腰掛けて鏡絵馬にメイクができる「化粧室」や、さらに色鉛筆やペンまで用意されている徹底ぶりに、なんて女の子の気持ちがわかってるのだろう!っと感服いたしました。念願叶って私も鏡絵馬に挑戦してみましたよ〜!東京ドーム3個分ほどもある広〜い境内の参道は「糺の森」と呼ばれ、樹齢200〜600年の樹木が約600本もあり原野の姿をとどめる森なのだそう。鴨長明が歌に読んだ瀬見の小川が流れており、境内は背筋が伸びるような凛とした空気をはらんでいます。京都には〈上賀茂神社〉と〈下鴨神社〉があります。〈下鴨神社〉の御祭神である玉依姫命は〈上賀茂神社〉の御祭神である賀茂別雷命の母親で、両社はほぼ同じ歴史を歩んできました。この2つの神社は決して切り離して考えることはできません。2つ合わせて「賀茂社」なんですね〜。〈下鴨神社〉の中でも言社(ことしゃ)はとっても興味深い!7棟のお社がぐるりと立ち並び、十二支全ての守護神が祀られています。また、幣殿の奥には東本殿と西本殿があり、どちらも国宝に指定されています。私事ではあるのですが、節目に当たる年だったのでご祈祷していただいたのですが周囲が静寂に包まれ、気が引き締まるということを肌で体感できるようなとても不思議で貴重な体験をさせていただきました…!境内をさらに奥に進んでいくと〈井上社(御手洗社)〉というお祓いのお社があります。こちらは井戸の上に建っているんですよ〜。〈井上社〉の前に流れているみたらし池では土用の丑の日に池の清水に足をつけて無病息災を祈る御手洗祭や、池の中央に50本の斎串を立て裸男が奪い合う神事が執り行われています。賀茂祭に先立って斎王代の禊の儀も行われたりと、〈下鴨神社〉ではとても重要な役割を担っている池なんですね〜。〈下鴨神社〉の歴史をたどると、紀元前90年(!)にはもうすでに神社の周囲の垣根を修繕したとの記録があります。なので、それ以前の古い時代からこの地に信仰があったのではないかとされおり、それを裏付けるように縄文土器や弥生時代の住居跡がたくさん発掘されています。気持ちを新たに、そしてこれからのことも前向きな一歩を力強く押し出してもらえるようなとても素晴らしい参拝になりました!それでは皆様も良い参拝を〜!
2021年04月03日新年度。進級や進学を迎え、子どもが新しい環境にうまくなじめるか心配しているママもいるのではないでしょうか。とくに子どもが人見知りだったり、友だちとケンカしがちだったりすると、「新しい環境でお友だちとうまくやっていけるかな」となおさら不安になってしまいますよね。そこで、日本財団で「子ども第三の居場所」(*)プロジェクトを推進し、プライベートでも5児のパパとして、子どものコミュニケーション力を伸ばすことに取り組んでいる本山勝寛さんにインタビュー。子どものコミュニケーション力の育み方を教えてもらいました。日本財団 子どもサポートチーム チームリーダー 本山勝寛さん“地域の子どもたちのもうひとつの家”となる場所を目指す「子ども第三の居場所」の運営を統括。5児の父親で、これまで育児休業を4回取得。東京大学工学部システム創成学科知能社会システムコース卒業、ハーバード教育大学院国際教育政策修士課程修了。独自の子育て論、教育論が話題で『16倍速勉強法』(光文社)や『自力でできる子になる好奇心を伸ばす子育て』 (大和書房)など著書も多数。*子ども第三の居場所とは…さまざまな困難に直面する子どもたちが安心して過ごせる環境で、自己肯定感、人や社会と関わる力、生活習慣、学習習慣など、将来の自立に向けて生き抜く力を育む放課後の居場所。学習支援や生活習慣支援のほか、キャンプ・音楽・プログラミング等の教室を通して、自己肯定感やコミュニケーション力など非認知能力を育むことにも力を入れています。■人見知りは悩まずOK! 友だちづくりにはコツがある子どもの性格は人それぞれ。人見知りもその子の個性だとはわかっていても、親としては友だちと仲良く遊んでいる姿を見るとほっとするし、どこかでそういう姿を望んでしまいがちです。でも「子どもが小さいうちの人見知りはそこまで気にしなくていいと思います」と本山さん。本山さん自身も人見知りで口数は少ないほうだといい、5人のお子さんのなかにも人見知りの子がいるそうです。「友だちをつくるには、結構きっかけが必要なんですよね。きっかけのひとつになるのが、相手との共通点を見つけること。私は『オンナジ』ところを見つけるといっているのですが、たとえばスポーツならサッカーが好きとか、野球が好きとか。ほかにも遊びでなわとびをよくやるとか、流行りのアニメにハマっているとか。何でもよいので何か共通点が見つかると、それをきっかけに会話ができたり、わかりあえたりします」親がサポートできるのは、子どもをよく観察して、興味や関心のあるものを見つけ出し、同じ仲間のいるところへ連れていってあげること。たとえば習い事もそのひとつ。習い事はスキルそのものを高める目的もありますが、共通点のある友だちをつくるきっかけにもなります。新しいクラスでの友だちづくりなら、子どもとよく話をして、園や学校の様子、どんな子がいるかなどいろいろ聞き出してあげれば、共通点のある子との交流も促してあげられそうです。■コミュニケーション力が人生を左右する!?友だちがとさらに仲を深めていくには、コミュニケーション力が必要だといいます。「コミュニケーション力とは、『相手の話や考えをしっかり聞いて理解する力』と『自分の気持ちや考え方、伝えたいことを伝える力』。家族や友人と良好な人間関係を築くために必要な力です。それが発展していくと、他の人と協調して何かを生み出すコラボレーション力にもつながっていきます」コミュニケーション力は、最近注目を集めている「非認知能力」のひとつ。一般的にIQなど学力テストで測れるものを「認知能力」といいますが、「非認知能力」はテストではなかなか測れません。たとえば、物事を最後までやり抜く力、物事への意欲、協調性、社会性、創造性、好奇心などがそうです。「近ごろ、非認知能力は認知能力と同じくらい、もしくはそれ以上に、人生全般において非常に大切な力だといわれています。将来の学力や仕事へ影響するという研究結果も出てきました。私がサポートをしている『子ども第三の居場所』では、学習ももちろん大事にしていますが、非認知能力を伸ばしていくことにもかなり力を入れています」■育み方のヒント1:会話に関心をもつ具体的な子どものコミュニケーション力の育み方のヒントを4つ教えてもらいました。「まずは親子の会話のなかで、子どもが関心のあることに親も関心をよせる。子どもの話にしっかり耳を傾けて一緒に会話をふくらませていく、ということがベースになると思います。基本的なことですが、実はあまりできていません。これは自己肯定感を育むことにもつながります」忙しいときは、つい「ちょっと待って」「あとでね」なんて声をかけてしまい、子どもの話をちゃんと聞けないことも多いもの。けれど子どもにとっては「自分自身が話したいときに、しっかり聞いてもらった」「注目してもらえた」といった経験一つ一つがとても大事。それらを積み重ねていくことで、自己肯定感を育んでいけるのだといいます。親子の会話によって、語彙力や好奇心も育まれます。生後9か月から3歳の子どもを対象にした調査では、子どもに話しかける言葉が多いほど、語彙力も増え、3歳およびその後のIQも高くなる傾向があるという海外の研究結果もあるそうです。■育み方のヒント2:ごっこ遊びを工夫幼児期なら、ごっこ遊び、カードゲーム、ボードゲームなど、遊びのなかで育まれるコミュニケーションの機会をたくさん設けるのもおすすめだそう。とくに、ごっこ遊びはコミュニケーション力や社会性を育むよいトレーニングになるといいます。「子どもがよりごっこ遊びに没頭できるよう、いろいろな工夫をするとよいでしょう。子どもが興味のある人形やぬいぐるみを用意するのも一案。子どもは秘密基地のような場所が好きなので、段ボールや布で家のようなものをつくってあげても喜びます」大人がごっこ遊びにずっとつきあうのは大変なので、必要に応じて参加し、大人なりの視点や観点、語彙を入れて刺激を与えることもできます。たとえば、お医者さんごっこで患者役ならかなり辛そうな顔をしてみたり、おままごとでご飯を持ってきてくれたらとってもおいしそうに食べてみたり、少し大げさに表現すると子どもたちも盛り上がります。■育み方のヒント3:絵や写真を飾る子どもが書いた絵や習字、工作などの作品を見える場所に飾るのもおすすめだそうです。「わが家の壁には子どもたちの作品をぺたぺた貼っています。『子ども第三の居場所』でも子どもたちの作品やお互いのよいところを書きあった紙などを貼っています。小さいときの写真や親子の写真でもいいですね。そうしたものを普段の生活のなかで見えるかたちにしておくことで、愛していることや承認していることを表示でき、子どもの自己肯定感を育むことにつながります。また、そこから会話が生まれ、コミュニケーションのきっかけにもなります」■育み方のヒント4:他の子との「チガイ」を見つける友だちをつくるときには「オンナジ」を見つけることが大切だと先ほど説明しましたが、そこからさらに一歩、関係を深めていくには「チガイ」を見つけてあげることも大切だそうです。たとえば習い事やスポーツをしていたら、「どこが好きなのか?」「どんなポジションをやりたいのか?」などを突っ込んで聞き出し、自分の個性や友だちとの違いを認めて、ほめて伸ばします。「自分と相手の『チガイ』、つまり個性や強みを認められるようになれば、友だちと協力して何かをする“コラボレーション力”へつながっていきます。個性と個性、強みと強みをかけあわせて新しいものをつくったり、チームワークを発揮して共同作業をしたりすることは、これからの時代さらに重要になってきます」■親が子どもの安全基地になる進級や進学をはじめ、子どもが新たな社会や環境へ向かっていくことを、大海原への航海にたとえるなら、親はいつでも安全に帰ってこられる「港」であるべきだと本山さんはいいます。「親や家庭が子どもにとって、安全基地になっていれば、子どもは不安なく社会へ出ていき、他者と交わることができます。安全基地は“港”という言い方をすることもあるのですが、社会という大海原で失敗したり傷ついたりすることがあっても、帰れる港があれば、船を修繕してまた旅立てます。ですから、親としては子どもの安全基地・港になれるよう、どんなことがあっても存在そのものを認めて愛してあげてほしいと思います」子どもには、「勉強ができるから」など条件付きではない絶対的な愛情が必要です。とくにいまはコロナ禍で、進学や進級など新しい環境への船出は親子ともに不安を抱きがち。そんなときだからこそ親は子どもの絶対的な安全基地となり、自己肯定感やコミュニケーション力を育む手助けをしながら、新しい船出を見守ってあげたいですね。『自力でできる子になる好奇心を伸ばす子育て』(本山勝寛 著/大和書房)今回、お話を伺った本山さんの著書。公立校から独学で東大、そしてハーバードで学んだ本山さんの合格の原動力は「好奇心」でした。本書では子どもの好奇心を伸ばすヒントを、国語・理科・保健体育・算数・社会のカテゴリにわけて紹介。自分の教育方針に自信がもてない人や世界の最新教育事情を知りたい人にもおすすめの一冊です。 「子ども第三の居場所」とは 自己肯定感を育むには家庭環境が重要となりますが、現代は孤立や生活面などさまざまな困難に直面している子どもも少なくありません。本山さんが携わる「子ども第三の居場所」は、そうした子どもたちに温かい家庭のような“第三の居場所”を提供する施設。現在までに全国に39拠点が開設されています。「おもに小学校低学年の子どもたちが放課後に通い、信頼できる大人や友だちと安心して過ごせる場所です。さまざまなプログラムや食事を一緒に食べることなど、活動全般を通して、自己肯定感や社会と関わる力など、将来の自立に向けた生き抜く力を育んでいくことを目指しています」(本山さん)
2021年04月02日仕事や育児に追われていると、つい子どもをきつく叱ってしまったり、周りと比較して自分の子育てに自信を持てなくなったり…。もしかすると、その原因はママ自身の“自己肯定感”が低いからかもしれません。子どもの自己肯定感の大切さはあちこちで耳にする機会がありますが、ママ自身が自分の自己肯定感にまで思いをめぐらせる機会は、あまりないのではないでしょうか。今回は日本財団が推進する「子ども第三の居場所」(*)プロジェクトを通して、子どもたちの自己肯定感の育みに取り組んでいる本山勝寛さんにインタビュー。プライベートでは5児のパパでもある本山さんに、家庭でできる子どもの自己肯定感の高め方をうかがいました。日本財団 子どもサポートチームチームリーダー 本山勝寛さん“地域の子どもたちのもうひとつの家”となる場所を目指す「子ども第三の居場所」の運営を統括。5児の父親で、これまで育児休業を4回取得。東京大学工学部システム創成学科知能社会システムコース卒業、ハーバード教育大学院国際教育政策修士課程修了。独自の子育て論、教育論が話題で『16 倍速勉強法』(光文社)や『自力でできる子になる好奇心を伸ばす子育て』 (大和書房)など著書も多数。*子ども第三の居場所とは…さまざまな困難に直面する子どもたちが安心して過ごせる環境で、自己肯定感、人や社会と関わる力、生活習慣、学習習慣など、将来の自立に向けて生き抜く力を育む放課後の居場所。学習支援や生活習慣支援のほか、キャンプ・音楽・プログラミング等の教室を通して、自己肯定感やコミュニケーション力など非認知能力を育むことにも力を入れています。■子育てに自信がないのは自己肯定感が低いから?仕事に子育てに忙しい日々。余裕がなくて、イライラして、子どもにきつく当たってしまって、なんだか自己嫌悪…。そんなネガティブなループの裏には、もしかすると「ママ自身の自己肯定感の低さ」があるかもしれないと本山さんは話します。「親自身の自己肯定感が低いと、子どもをありのままに受け止めてあげられなかったり、他の子と比較して子どもの良さよりも子どもができないことを気にしてしまったり…。その結果、子どもにきつくあたってしまう、強く叱ってしまう、ということもあると思います」自己肯定感とは「生まれてきてよかった」「生きていていいんだ」と自分の価値や存在をポジティブにとらえられる感情のこと。これがあると、自分が関わることや自分がやることに対して前向きな気持ちになれるといいます。「自己肯定感は、おもに幼少期から青少年期に育まれます。その期間に、親や周囲の人たちから愛され、存在そのものを受け止めてもらって、『生まれてよかったんだ』と感じる機会がたくさんあったどうか。また直接的ではありませんが両親の夫婦関係や家庭全体の雰囲気も関わってきます」“自己肯定感”という言葉が注目されてきたのは、比較的最近の話です。昔はきびしい親も多く、成長の過程で自己肯定感がうまく培われてこなかったママもいるでしょう。「今の子どもたちの自己肯定感がなかなか高まらないのは、自己肯定感の低い親に育てられているから、という面もあるのだと思います」自己肯定感を育むには家庭環境が重要となるようです。■自己肯定感が低いのは、親がまじめすぎるから!?自己肯定感が高いと、どんなメリットがあるのでしょうか。本山さんによれば、「幸福感が高まり、人生全般にいい影響をもたらす」そう。「なにごとにもポジティブで前向きになれるので、失敗を恐れず新しいことに挑戦でき、好奇心をもって世界を広げていけます。自分を『このままでいい』と肯定できるので、人間関係においても相手のことを尊重でき、良好な関係を築きやすくなります」しかし残念ながら、日本の若者は、海外にくらべて自己肯定感が低め。13~29歳を対象にした内閣府の意識調査(2018年度「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」)では、「自分に満足しているか」という問いに対して、アメリカ・イギリス・フランス・ドイツなどが軒並み8割を超えるなか、日本は45%以下で調査対象国のなかでは最下位でした。「子どもたちの自己肯定感が低いことは、『子ども第三の居場所』に通う子どもたちと接するなかでも感じることが多いですね。具体的には『どうせ自分はダメ』『やったことがないからできない』という発言が多くなる。お友だちや大人に対して攻撃的な態度をとってしまう。さらには自分自身を傷つけるような言葉を発してしまう子もいます」日本の若者の自己肯定感が低い理由のひとつには、まじめな国民性もあるようです。「とくに親がまじめすぎるところはあると思います。加えて、何かひとつが飛びぬけてできるより、すべてが平均的にできていることをよしとする平均主義も影響しているかもしれません。日本社会全体として、個性や強みを見出して伸ばしてあげる力が弱いように思います」そこでぜひ意識してほしいのが、子どもをよく観察して、好きなことや得意なもの、個性を見つけて、それをほめて伸ばす機会をつくること。たとえば、子どもが車を好きそうだと思ったら、ミニカーをそろえたり、リアルな車を見に行く機会をつくったり、そこで得た車の知識をほめてあげたり…というふうにするとよいそうです。「小さくても成功体験を積むと、自己肯定感に加えて、どんなこともやればできると思える自己効力感も培われていきます。『子ども第三の居場所』でも毎日チャレンジタイムという時間を設け、音楽やプログラミングなどを通して成功体験を積める機会をつくっています」■忙しくてもこれだけは!子どもの自己肯定感を育むコツ「好きなことを見つけてあげる」以外にも、子どもの自己肯定感を育む方法はいろいろあります。「基本的には何があっても受けとめてあげることですね。何かができたらほめるという条件付きではなくて、別にできなくても失敗しても、どんなことがあっても存在そのものを認めて愛してあげる。具体的には『大好きだよ』とか『愛してるよ』と言葉がけしたり、手紙を書くのもいいですね。あとは子どもの話を関心をもって聞き、一緒に話をして、いろいろ聞きだしてあげる。そういうシンプルなことがまずは大事ですね。言葉に加えて態度も大切なので、特に幼少期はスキンシップを積極的にとってあげるとよいと思います。小さいうちは抱っこ、少し大きくなってきたら手をつないだり、遊びの中でスキンシップをとったり、意識的に機会を作ってみてください」たしかにどれもシンプルなこと。でも時間に追われている日々のなかでは、そんなシンプルなことすら、案外難しかったりします。「そんなときは、短い時間でも楽しくできるように工夫するとよいですよ。私は家で運動系のスキンシップを担当することが多いんですが、子どもが大きくなると“高い高い”も大変。かわりに『バランス平均台のチャレンジだ~』なんていって背中を歩いてもらっています。ちょっとしたマッサージになりますよ。もう少し大きくなったら、実際にマッサージや肩たたきをしてもらってもいいと思います。そんなに本格的じゃなくても、ちゃんと『気持ちいい』『上手だね』と伝えれば、子どもも親が喜んでいることがわかってうれしい気持ちになれます。疲れているときは、そんな感じでよいと思います」寝かしつけのときの絵本の読み聞かせタイムも、スキンシップのいいチャンスだそう。でも、読み聞かせだからといって、かたくるしく「言葉を覚えさせなきゃ」と考える必要はないとのこと。寝そべって肌を触れ合わせる親子のコミュニケーションタイムとして楽しむのがよいそうです。「私自身も5人兄弟で、母親はとても忙しく、子どものころはあまり一緒に過ごす時間はなかったのですが、夜寝る前の読み聞かせがすごく楽しみでした。兄弟みんなで母親を奪い合うように聞いていたんですが、それでもすごく幸せでしたし、思い出に残っています。のちに母も、忙しい日々のなかの幸せな時間だと感じてくれていたことを知りました」寝かしつけや読み聞かせも、どうせやるなら義務感でやるより、忙しい一日のなかで子どもと気持ちを通わせ合える幸せな時間だととらえれば、気持ちも軽くなりそうです。「もちろん子どもがなかなか寝てくれなくて、先に眠くなってしまう日もありますよ(笑)。あんまり意気込みすぎないで、子どもと一緒に楽しい時間を過ごそうと思えばよいのではないでしょうか」ちなみに本山さんが好きなのは『パパだいすき』という絵本。ぎゅうっとだっこするシーンがあり、読み聞かせしながらそのシーンでは実際に子どもを抱きしめるそうです。■「認めてほしい」ママの気持ちを満たすには?自己肯定感を育むには、小さいときほど影響が大きいといわれます。大人になると変わりづらいのは事実ですが、変わらないことはないそうです。「大人になっても家族や友人や先輩など周囲の人に愛されたり、しっかり気にかけてもらったりすることで高まることは大いにありえますね」ママであれば、一番身近なパパが育児や仕事のがんばりを認めてくれれば、自己肯定感が上がるチャンスがありそうです。育児に協力的なパパは増えているものの、まだ「育児はママがやって当たり前」と思っているパパがいるのも事実。ほめてもらえないママも多いと思います。「子ども一人を生み育てることって、本当に一大事業です。子どもを産んで大人にするだけで、絶対的にほめられるべきことだと思うんですね。ママでいる、親でいる、それだけですばらしいことだと、私は声を大にしていいたいですし、社会全体がそう思うべきだと思っています。ですからママたちには『こんな大変なことをやっているのだから、私はがんばってるよね』と自分で自分をほめてほしいですね。ママが笑顔でいることが、子どもや旦那さんの幸せにもつながります。だから笑顔でいるために、ママも自分を甘やかすじゃないですけど、好きなことをやる時間をとって充電することも必要です」子どもの自己肯定感を培う方法のひとつに「好きなことを見つけてあげる」がありますが、ママ自身にも好きなことに没頭できる時間をつくることが大切だといえそうです。「あとは、あんまりまじめになりすぎないことも必要かなと思います。多少適当でいいや、と思うくらいでちょうどいい。他人と比較したり、自分のできていないことを気にして不安になったりする必要はないと思いますよ」幸せな人生を切りひらいていくために大事な自己肯定感。ママの意識がほんの少し変わるだけでも、育児に対する気持ちや日々の親子の時間にいい変化が生まれ、親子の自己肯定感を高めることにつながりそうです。『自力でできる子になる好奇心を伸ばす子育て』(本山勝寛 著/大和書房)今回、お話を伺った本山さんの著書。公立校から独学で東大、そしてハーバードで学んだ本山さんの合格の原動力は「好奇心」でした。本書では子どもの好奇心を伸ばすヒントを、国語・理科・保健体育・算数・社会のカテゴリにわけて紹介。自分の教育方針に自信がもてない人や世界の最新教育事情を知りたい人にもおすすめの一冊です。 「子ども第三の居場所」とは 自己肯定感を育むには家庭環境が重要となりますが、現代は孤立や生活面などさまざまな困難に直面している子どもも少なくありません。本山さんが携わる「子ども第三の居場所」は、そうした子どもたちに温かい家庭のような“第三の居場所”を提供する施設。現在までに全国に39拠点が開設されています。「おもに小学校低学年の子どもたちが放課後に通い、信頼できる大人や友だちと安心して過ごせる場所です。さまざまなプログラムや食事を一緒に食べることなど、活動全般を通して、自己肯定感や社会と関わる力など、将来の自立に向けた生き抜く力を育んでいくことを目指しています」(本山さん)
2021年04月01日モデル・本山順子が神社仏閣、教会や寺院を国内外問わずご紹介する本連載。第69回目は京都市上京区を街詣で。ちょうど1年程前に訪れた〈太宰府天満宮〉とともに全国約12,000社ある天満宮、天神社の総本社〈北野天満宮〉にお邪魔して参りました!ご祭神はもちろん、学問の神様・菅原道真公であります!詣でましょ〜う!今年こそはと梅の季節をねらってやってきたのですが、今年は例年よりも1週間ほど開花が早かったのだそう!ですが一の鳥居の側の梅は奇跡的に見頃を迎えており、滑り込みで満開の梅を堪能することができました。〈北野天満宮〉の梅苑には50種類、約1,500本の梅が咲き乱れるのだとか。楼門までのながーい参道を歩いている間にもたくさんの「撫で牛」を見つけることができます。最初に出会ったなで牛は親子で、雌牛と子牛が寄り添っている姿がなんとも愛おしい!手水舎のすぐ側には赤目のなで牛が。目が赤い理由は諸説ありますが、道真公のお供であった牛がまばたきもせずに道真公を待つあまり、目が真っ赤になってしまったと言い伝えられています。楼門を抜けた先にある手水舎にも驚かされました。こんなに華やかな手水舎は初めて!花を浮かべる“花手水”を〈北野天満宮〉が始められたのは昨年6月から。花手水もお清めの一種だとして、こんな時期だから参拝された方に癒しを感じていただけたらという思いが込められているのだそう。なんとも粋な計らいですね〜!本殿前には立派な三光門が建っています。三光は“日・月・星”の「三光」が由来なのですが、梁の間には月と日の刻印しか見当たりません。その理由はかつて朝廷があった大極殿から望むとちょうどこの門の上に北極星が輝いていたことから。平安京を天空と一つになって守っていた場所が、この北野の地なのですね〜。“星欠けの三光”は今も〈北野天満宮〉の七不思議として語り継がれています。三光門をくぐると、そこには白の玉砂利の反射で幻想的に輝く社殿が。本殿と拝殿、石の間、楽の間を連結した日本最古の八棟造で、国宝に指定されています。写真向かって左手の「飛梅」は道真公の御心に寄り添い飛翔した各地の「飛梅伝説」の原種とされています。また本殿をぐるりとまわった裏側には道真公のご先祖様の御后三柱が祀られています。天満宮の参拝は「裏の社」も合わせて礼拝することが常とされてきたのだそう。こちらもぜひ、ご参拝くださいね!たくさんの摂社、末社が建ち並ぶ参道の突き当たりには第一末社である「地主神社」が鎮座しています。〈北野天満宮〉の鬼門の位置にあり、創建以前からこの地にある、境内でもっとも古い社です。天地すべての神々「天神地祇」を祀られています。なにやらたくさん鳥居が並んだ先にちょこんと座られているなで牛を発見。こちらは「一願成就のお牛さん」だそうで、〈北野天満宮〉で最も古い牛さんです。これまでたくさんの方に撫でられてこられたからか、随分と小顔になられておられました!撫でると一つだけ願いを叶えて下さるそうですよ〜!道真公が太宰府で没した後、都では落雷などの災害が相次ぎ、これを道真公の祟りだと恐れ、朝廷は道真公の左遷を撤回して官位を復し、正二位を送りました。とてものどかで柔らかな空気に包まれている〈北野天満宮〉。欄間や社殿の装飾にもたくさんの動物が描かれておりとても賑やか。たくさんの摂社、末社に囲まれて温かな気持ちを受け取れるような良い参拝ができました。それでは皆様も良い参拝を〜!
2021年03月20日モデル・本山順子が神社仏閣、教会や寺院を国内外問わずご紹介する本連載。第68回目は京都市東山区を街詣で。前々回訪れた〈清水寺〉から歩くこと30分。浄土宗の総本山である〈知恩院(ちおんいん)〉にお邪魔して参りました!総本山とは一つの宗派を統括する、いわば大元のお寺。連載で総本山を訪れるのは初めて。それでは早速!詣でましょ〜う!東大路通に面した総門をくぐり、ゆるい坂道を上った先には国宝である威風堂々の三門が見えてまいります。なんと現存する日本寺院の三門の中で最大の二階二重門なのだとか。そのため日本三大門の一つに数えられることもあるそうですよ〜!京都の人々からは“ちよいんさん”と親しみを込めて呼ばれている〈知恩院〉。浄土宗の宗祖である法然上人が後半生を過ごし、没されたゆかりの地に建てられました。浄土宗徒であった徳川家康が寺地を拡大し、1633年に火災にあいますが、〈清水寺〉の再建も行った徳川家光のもと直ちに再建がすすめられます。国宝の本堂(御影堂)には法然上人が祀られており、お堂の中からは絶えず住職さんがお経を読まれる声が聞こえていました。また、お堂の瓦屋根の中央には積みかけの2枚の瓦が。意味は「満つれば欠くる世の習い」ーこの世は全て無常であり、完成すればあとは崩れていくばかりーお堂はまだ未完成であることを示すために、あえてこのようにされているのだとか。〈知恩院〉の境内は上段、中段、下段に分かれており、上段が開創当初の寺域になっています。そこには〈知恩院〉最古の建築物で、法然上人が最期の時を過ごされた勢至堂が。静寂に包まれた穏やかな時間が流れています。〈知恩院〉境内の中でもっとも高い位置に建っている御廟には法然上人のご遺骨がご奉安されています。また写真に写すことはできなかったのですが、平成の大修理の際に欄間などの彩色の復元や金箔押しが施され、表情豊かな龍や可愛らしい麒麟が華麗にお堂を彩っていました。そして一帯に漂う空気感からこのお堂が非常に大切にされていることが伝わってきます。勢至堂のさらに奥に進み墓地を抜けた所には千姫の墓と濡髪大明神が。ここにはとあるお話が伝わっています。〈知恩院〉の僧であった霊巌上人の枕元にすすり泣く童子が現れました。童子は御影堂の地に昔から住んでいた白狐で、御影堂が建設されたため住む所をなくしてしまいました。哀れに思った霊巌上人が寝ぐらを作ってやり、のちに濡髪童子と名付け、祠にお祀りしたのだそう。童子はお礼に〈知恩院〉を火災から守ることを誓ったそうです。濡髪で枕元で泣かれるのは勘弁して欲しいですが、なんともいいお話ですね〜。京都市指定名勝である方丈庭園にもお邪魔して参りました。ちょうど黄昏時に庭園を歩いていたのですが、言葉で言い表すのが野暮なほどの美しさ。池の水面はグラデーションに煌めき、木々の呼吸が聞こえてきそうなほどに緑が生き生きしているんです。みなさまも是非、〈知恩院〉へ訪ねられる際は方丈庭園にも足を運んでみてくださいね境内にはご紹介できなかった箇所も多々ありますが、さすが浄土宗の総本山といたく感動いたしました。とんでもなく広い境内を隅々まで散策させていただいたのですが、疲れるどころか、逆に本当にたくさんの元気をいただきました。〈知恩院〉には“忘れ傘”などの七不思議も伝わっており、そういった視点で参拝されてみても楽しみが増しますよ〜!それでは皆様も良い参拝を〜!
2021年03月06日さまざまな体験をしてきた20代を超えて、迎える30代。仕事に走り続けてきた方も夢中になれる趣味、見つけたいですよね。今回は働くアラサー女子に実際に聞いた趣味をご紹介します。夢中になれる何かがあるだけで、日々の暮らしが豊かになるかも?1.訪れたことのない街を開拓する/フード&空間スタイリスト・赤埴奈津子さん人気のモンブランをオーダー。仕事のインスピレーションや流行りを知るためにも、未開拓の地には積極的に行くようにしている。「知る人ぞ知る!と言われるようなディープな街が好きで、最近は日本橋兜町へ。元々はビジネス街でしたが、おしゃれなカフェやレストランが続々とできて注目されているんですよ。ビストロ〈Neki〉やパティスリー〈ease〉は、もう一度行きたいくらい素敵でした。日本橋は歴史のある街なので、いまと昔がどのように混ざり合っているのか興味深い。今度は茅場町辺りを開拓しようと思っています」。ちなみに、お店のリサーチはGoogleマップやインスタグラムを活用しているそう。2.カレー作りがきっかけでスパイスも集めてます/モデル・木村ミサさんスパイスカレーを自宅で作るようになり、さまざまなスパイスを買い集めているそう。「シナモンやカルダモンなどお茶に入れられるものもあって、重宝しています」Hanako1191号掲載/photo:Natsumi Kakuto text:Mariko Uramoto)3.ヅカファン歴6年。日々の活力になってます。/唎酒師・伊藤ひいなさん初めて観たときから宝塚歌劇団にドハマりしているというひいなさん。「星組の愛月ひかるさんのファンで、彼女の公演があるときは月に6回劇場に行くこともあります」(Hanako1188号掲載/photo:Natsumi Kakuto text:Mariko Uramoto)4. 1年前から習い始めた社交ダンスに夢中です。/モデル・斉藤アリスさんお母様の勧めで始めたという社交ダンス。「最大の魅力はやっぱり2人で踊ること。相手の呼吸やリズムに合わせて、心地よい音楽と一体になれる感覚は最高です」(Hanako1187号掲載/photo:Natsumi Kakuto text:Mariko Uramoto)5.YouTubeは編集担当。楽しくてハマってます。/モデル・本山順子さん今年に入ってYouTubeを開設。「撮影は旦那さん、編集は私。こだわりだすと止まらなくて、最初は1本作るのに1週間かかったことも。でも、天職と思えるほど楽しいです!」(Hanako1186号掲載/photo:Natsumi Kakuto text:Mariko Uramoto)5.祖父母と暮らした日々をエッセイにして〈note〉に投稿/ヨガインストラクター、ライター・高木沙織さんWeb媒体で10年間、記事を書いてきた高木さん。今年は自分が心から書きたいと思う内容をエッセイにしようと決めていたそう。「今年の3月末から8月半ばまでの4ヶ月半、祖父母の家で暮らしていて。そのとき体験した、田舎だからこそ驚いたことや、当たり前だけど特別な家族との大切な時間を誰かに伝えたいと思い、〈note〉で投稿を始めました。当時のことを振り返りながら、楽しんで書いています」。6.環境に配慮した家庭菜園で、食材を収穫/フードディレクター・さわのめぐみさん約2年前から自宅兼仕事場のベランダでは、家庭菜園をしている。「はじめはお花のみでしたが、せっかくだから食べられるものがいいなと思い、ハーブやにんじん、パクチーなどさまざまな種類の食材を育てています。基本的に育てるのは夫で、私は調理担当。ハーブはお茶、酒、バターなどアレンジして楽しんでいます」。環境を配慮して、土は生ゴミから作るコンポストに。「〈WWF〉さんとお仕事させていただいたのがきっかけで、環境について真剣に考えるように。食と環境は密接。フードロスを出さないよう心がけています」。7.ご褒美ヘッドスパで思考をクリアに。/〈シンシア・ガーデン〉PR・藤巻沙織さん気持ち良すぎて、すぐに寝てしまいます。系列のオーガニックヘアサロン〈シンシアリー 〉で体験できるヘッドスパ「ハーブクレイピーリングスパ」は、藤巻さんのご褒美メニュー。施術後は、とにかく頭が軽い!シャンプーではとりきれない、頭皮の毛穴の奥の汚れがとれて根元からふんわりヘアになります。また頭をほぐすことでリフトアップ効果、さらにくすみがとれるなど、いいことづくめ!オフィスの下にサロンがあるので、事前に予約しておいて、退社後に寄って施術してもらうことが多いですね」。8.海外の蒸留所で造ったお酒は旅の思い出に。/ライター兼PRコンサルタント・児島麻理子さん国内外の蒸留所を訪ねるのも趣味の一つ。「イタリアでマティーニヴェルモットを、スコットランドではデュワーズのブレンドを体験。これを飲むと現地での記憶がよみがえります」(Hanako1189号掲載/photo:Natsumi Kakuto text:Mariko Uramoto)9.古着で唯一無二のファッションを楽しむ/看護師・marikaさん今回のコーデは、全身〈natica〉。サンダルのみ中目黒にある〈Tam〉でゲット。Instagramで、カフェとともに欠かさずしているのがコーディネートの紹介。よく着るのは、学生時代から大好きな古着だそう。「他の人とかぶらない、唯一無二の服だから好き。流行がないから、長く着れるのもいいですよね」。最近お気に入りのショップは、代官山にある〈natica〉。「たまたまふらっと入ったのがきっかけで通うように。ヨーロッパヴィンテージのアイテムが豊富にそろっていて可愛いんですよ。店員さんに提案してもらいながら購入することが多いです」。10.オーラが見える!タロット占い/コミュニティマネージャー、フリーアナウンサー・和田早矢さん和田さんのタロット占いは、1枚だけ引くスタイル。実は和田さん、幼い頃から人とは違う力があり、悩んだ時期もあったとか。「あるときから、人のオーラが見えるようになって。はじめは友人には秘密にしていたのですが、相談を受けたときは色を参考にアドバイスをしたら当たってたんです」。それ以来、オーラの色について友人に相談されることが増え、大人になるにつれて、5感以外の感知能力をもつ第6感をまわりの人のために活かせたらと、最近タロット占いを始めたそう。「タロットは、相手のオーラとカードを組み合わせて占います。まだ覚えたてなので、実際に占った人は4〜5人。ひまさえあれば自宅で自分を練習台に占ってみたりしています」。占い師に転向する日も近いかも…!?
2021年02月21日モデル・本山順子が神社仏閣、教会や寺院を国内外問わずご紹介する本連載。第67回目は京都市東山区を街詣で。前回訪れた〈清水寺〉の舞台を出てすぐに隣接する〈地主神社〉にお邪魔してまいりました。明治期の神仏分離令により〈清水寺〉からは独立していますが、歴史的経緯から〈清水寺〉の一部という形で「ユネスコ」の世界遺産「古都京都の文化財」として登録されています。それでは早速!詣でましょ〜う!〈清水寺〉の鎮守社でもある〈地主神社〉。これまで鎮守社は小さなお社の末社などでしか見たことがなかったのですが、こちらは全国に数ある地主神社としては特に著名なのだとか。私も〈清水寺〉に訪れると必ず立ち寄る神社です。縁結びの神社ということもあり、なんだかとても可愛らしくて賑やか!テンションが上がります〈地主神社〉はお守りがどれもとっても可愛らしくて、特に星座お守りは立ち寄るたびに友達は何座だったかなぁ〜なんて想いを馳せながら授かって帰るのが密かな楽しみ。他にも「キューピッド」や「愛のちかい」など縁結びの神様ならではのものもあり種類がとても豊富。〈地主神社〉の主祭神は大国主命。その両親、さらにその両親と三代続きの神々をお祀りしていることから、子授け安産の信仰も集めているそう。ワニを騙し、ズタズタにされた白ウサギを大国主命が助け、その白ウサギが美しい八神姫を引き合わせたお話は聞いたことがある方も多いのではないかと思います。結婚していても訪れると毎回やってしまうのが「恋占いの石」。本殿前にある写真手前の石から奥の石まで目を閉じて歩き、無事にたどり着くと恋の願いが叶うというもの。なんとこちらの石はイギリスの原子物理学者によると、縄文時代からの遺物という一説もあるそうな。現在の御社殿は〈清水寺〉と同じく徳川家光よる再建。拝殿には狩野元信の筆による竜が。夜ごとに天井を抜け出して音羽の瀧の水を飲むので、目を釘で打ち付けたという伝説が伝わっている「八方にらみの竜」が描かれています。本殿、拝殿のさらに奥に進むと「おかげ明神」があり、どんな願い事でも一つだけなら必ず叶えてくれる一願成就の守り神さまが祀られています。おかげ明神の後方の御神木は「いのり杉」、別名“のろい杉”とも呼ばれ、その昔は丑の刻まいりのわら人形が打ち付けられていたそう。今でもその釘の跡が無数に残っていました…!ひょー!!〈清水寺〉、〈地主神社〉へのご挨拶を済ませたら、ゆっくりと周辺を散策されるのもおすすめですよ〜。これこそザ・京都!っという街並みが堪能できます。〈法観寺〉の五重塔は通称「八坂の塔」と呼ばれ、京都東山のシンボル的存在として親しまれています。せっかく八坂の塔の前にやってきたので、以前友達に連れてきてもらって大ファンになった〈ドルミール八坂の塔〉さんに立ち寄ってきました。私たちがいただいたのは「あまおうとティラミスのパルフェ」と「いちごとホワイトチョコのピンクパルフェ」。見た目だけじゃなく味もおしゃれ!いちごの甘酸っぱさとティラミスのほろ苦さの後に、紅茶のフレーバーが爽やかに香って飽きがこない!特大サイズに圧倒されてしまいますが、意外にもペロリと食べれてしまいますよ〜社伝によれば、創建は日本建国以前といわれる〈地主神社〉。〈清水寺〉とはガラリと雰囲気も変わって縁日に来たような賑やかさがあり、日向ぼっこをしているようなほっこりとした気持ちにさせてくれます。そういえばあの子何やってるかな?なんてこれまでのご縁も改めて大事にできるような良い参拝ができました!それでは皆様も良い参拝を〜!
2021年02月20日2021年は特に良縁に恵まれたい!そんな時は神社で縁結びが吉。神社に精通した”神社マニア”たちが紹介する東京都内の縁結び神社へ行って、今年こそいいご縁見つけませんか。1.〈今戸神社〉/浅草(SHOCKEYEさん)「縁結びの神様として人気の高い神社。境内にはたくさんの招き猫がいて、アットホームでとても温かい雰囲気です。宮司を務めるのはチャーミングな母娘。境内で育てている四つ葉のクローバーも頂けて、運気アップできるかな」ショック・アイ/レゲエグループ・湘南乃風として活躍するレゲエミュージシャン。『歩くパワースポットと呼ばれた僕の大切にしている小さな習慣』(講談社)が絶賛発売中。Instagram:@shockeye_official(Hanako1180号掲載/photo : Satoko Imazu styling : Kan Fuchigami hair & make : Chiho Ohshima text : Chisa Nishinoiri)2.〈出雲大社東京分祠〉/六本木(モデル・MARIKOさん)六本木に鎮座する〈出雲大社東京分祠〉は、島根県〈出雲大社〉の御分霊をお祀りしている都内唯一のお社です。つまり〈出雲大社東京分祠〉にお参りすることで〈出雲大社〉と同じご利益がいただけるんです。これは嬉しい!まずは社殿のある3階へ。手水をとったら、本殿に参拝する前に手水舎の隣にある「祓社(はらいのやしろ)」でさらに心身を清めるのがルールです。シャンとした気持ちになったら、いざ本殿へ。こちらでの参拝は、出雲大社の作法に則り「二拝四拍手一拝」で行います。出雲大社の縁結びは生命の結びの力。人だけでなく、自然や動物、様々なものとの結びつきによって生かされていることの大切さを教えてくれています。(photo&text:MARIKO)3.〈神田明神〉/御茶ノ水(モデル・本山順子さん)〈神田明神〉は正式名称を〈神田神社〉といい、元々は大手町付近にあったのを江戸城の表鬼門を守るために徳川家康のブレーンでもあった天海が現在の場所に移したのだそう。〈神田明神〉には神様が三柱祀られており、一之宮には縁結びのだいこく様、二之宮には商売繁盛のえびす様、三之宮には勝負運のまさかど様が御祭神とされています。こちらのだいこく様はいしづくりとしては日本一の大きさなのだそうですよ〜。(text&photo:Junko Motoyama)
2021年02月19日モデル・本山順子が神社仏閣、教会や寺院を国内外問わずご紹介する本連載。第66回目は京都市東山区を街詣で。ついに、言わずと知れた京都の観光名所〈清水寺〉にお邪魔してまいりました。〈銀閣寺〉に訪れた際にもご紹介させていただきましたが、古都京都の文化財の一部として「ユネスコ」の世界遺産にも登録されているんですよ〜!それでは早速!詣でましょ〜う!清水道と称される約1.2キロの参道を抜けると、目にも鮮やかな仁王門が見えてまいります。別名「目隠しの門」とも呼ばれるこちらは何を目隠ししているのかというと…京都御所!清水の舞台を造営中に天皇のお住まいである御所を見下ろさないように建てられたのだとか。仁王門の左側には西門が。門から振り向いた夕暮れはそれはもう絶景だそうで、こちらでは“日想観”という西の空に沈む夕暮れの太陽を見つめ、朱く染まった空に極楽浄土を思う修行も行われてるのだとか。しっかりと自身の内面と向き合うことができそうですね〜。随求堂、三重塔を通りいよいよ本堂へ。轟門から本堂に続く渡り廊下からの景色はとっても清々しい!紅葉の木がたくさん生えているようなので紅葉の季節はきっと目を見張るような美しさなのでしょうね〜。最近まで平成(〜令和)の大改修が行われていて拝見することができなかった清水の舞台もすっかりピカピカになっていました。また、本堂の修理はなんと50年ぶり!「可能な限り創建当初の清水寺伽藍の再現」をモットーに4年の歳月を経て、晴れて真新しい本堂をご覧いただけるようになりました。実は、1629年の大火災で〈清水寺〉はほとんどの堂舎群を焼失しています。現在、私たちが目にしている堂舎群は徳川家光の寄進によるもの。50年ぶりの大改修で建物の状態によって修復方法は様々。総工費はなんと40億円!いかに大掛かりな改修工事だったのかが伺えます。本堂の全体を見渡せる位置に建つ「奥の院」の御本尊は本堂と同じく三面千手観音ですが、本堂はお立ちの姿でこちらは坐像の姿。お隣の阿弥陀堂は浄土宗の開祖である法然上人が日本で最初に常行念仏道場とした場所なのだとか。御本尊はもちろん阿弥陀如来様を祀られています。奥の院からぐるりと清水の舞台の下の方まで降りたところには「音羽の瀧」があります。こちらが清水寺の開創の起源であり、寺名の由来となった瀧。こんこんと流れ出る清水は古来「金色水」「延命水」と呼ばれ、清めの水として尊ばれてきたのだとか。〈清水寺〉は詣でるまでも楽しい!参道には産寧坂、通称「三年坂」と称される坂道があり、転ぶと“三年寿命が縮まる”、“三年以内に死ぬ” という伝記が。京都に遊びに来てくれた友達を案内する際にこの話をすると必ず盛り上がります(笑)。「私、転んでしまうかも…」って方も心配ご無用!飛び出そうとしている魂をひょうたんを携帯していればカラダから吸い込んでくれるそうですよ〜。“ザ・観光スポット”の〈清水寺〉は訪れるたびに元気をいただける場所。今回の参拝もとても楽しいものになりましたそれでは皆様も良い参拝を〜!
2021年02月06日モデル・本山順子が神社仏閣、教会や寺院を国内外問わずご紹介する本連載。第65回目は京都東山区を街詣で。〈京都ゑびす神社〉で毎年1月8日〜12日の5日間に渡り執り行われている「十日ゑびす大祭」へお邪魔してまいりました。1月10日の「十日戎(とおかえびす)」では商売繁盛を願ってたくさんの人が訪れます。それでは早速!詣でましょ〜う!みなさん一度はニュースなどで拝見したことがあるであろう、参拝一番乗りを競う恒例行事「福男選び」で有名な兵庫県の〈西宮神社〉と並んで、〈京都ゑびす神社〉は“日本三大えびす”と称され、“えべっさん”の名で親しまれています。神社の周りにはたくさんの出店が並んでいてお祭りムードが漂います。〈京都ゑびす神社〉は日本の臨済宗の祖である栄西禅師が〈建仁寺〉を健立するにあたり、その鎮守社として栄西禅師が建久2年(1191年)に南宋から帰国する際に海上で暴風雨から守ってくれた恵美須神を主祭神として勧請し、建設されました。そのため“旅ゑびす”とも呼ばれ、旅行安全を願う方も多く参拝されています。友達から「十日戎に行こう!」と言われたときはなんだろうと思ったのですが、どうやら西日本の風習のようで、関東でよく似たものでいえば「酉の市」にあたるのかもしれません。十日戎では主に福笹や吉兆笹と呼ばれる笹なのだそう。鳥居をくぐると「人気大寄せ」という赤い傘に金や白のかかしのような人形をぶら下げた縁起物を売る露店がありましたよ〜。人気者になる、いろんな人との出会いを呼び寄せる縁起物なのだとか。二の鳥居になにやら袋がかぶせてありますね〜。普段はこちらに恵比須さんの福箕が掲げられていて、その福箕にお賽銭が入ると願いが叶うとされているのだとか。十日戎中は混み合うため袋がかぶせてありますが、こちらも〈京都ゑびす神社〉特有の風習ですよね!とても楽しそうです。参拝してびっくりしたのですが、拝殿には立派なまぐろがドドンッとお供えされています。9日の宵宮の際に水産協会から奉納された“招福まぐろ”で、まぐろにお賽銭が張り付くと“お金が身につく”と言われているのだとか。まぐろには網が張られているため実際には貼り付けることはできませんが、とても興味深いですね〜!笛と太鼓の音に引き寄せられて神楽殿の方に目を移すと授与される笹に巫女さんが舞の奉納をされておられるではありませんか!舞の奉納をされた笹を授かれるんですね〜!なんだかとても贅沢な気持ちになりませんか!?神楽殿の先で笹に取り付ける縁起物を選ぶんですよ〜。その種類も大変豊富で、大宝・福俵・福箕・福熊手・福鯛・宝船・宝来・御札・御守り・福銭・小判などが授与されます。巫女さんが素敵な笑顔で参拝者を見送られていたのがとても印象的でした。今年は新型コロナウイルス感染予防のため中止されていましたが、拝殿の脇にお賽銭箱があり、帰る際に板戸をコンコンとノックするのだとか。恵比須様は長寿で耳が遠いため、「来ましたよ〜」と優しくお知らせするのだそうです。なんだかとても京都らしい参拝の気遣いですよね〜。今年の十日戎は例年に比べて人出は5分の1ほどだそうで、とてもゆったりした参拝ができました。福笹や縁起物の授与も今年は2月2日まで行われています。私も京都流の商売繁盛祈願ができてとても興味深い体験ができました!それでは皆様も良い参拝を〜!
2021年01月16日