生後9ヶ月で離乳食開始するもまったく食べず、何度も離乳食を中断することにUpload By 鳥野とり子わが家の息子ねこ太は現在小学校1年生。ADHDグレーゾーンで特別支援学級に在籍しています。ねこ太は在胎27週930グラムで産まれた早産児で、寝ない・飲まない・とにかくよく泣く赤ちゃんでした。新生児の頃から直接母乳を飲むことが下手で授乳には大変苦労をしました。そのうえ生後半年を過ぎた頃から、遊び飲みがひどくなりミルクを飲まなくなりました。悩んだ私は主治医に相談をして、生後9ヶ月(修正月齢6ヶ月)から離乳食を開始することにしました。ミルクには興味がないけれど、もしかしたら食には興味を持ってくれるかも?なんて淡い期待を寄せながら迎えた離乳食初日、小さじ1杯分の10倍粥を口に入れると……見事にブーっと吐き出されてしまいました。「初めての離乳食だし仕方ないな」と思っていましたが、何日経ってもこの状態。なんと、お粥を小さじ3杯食べられるようになるまで1ヶ月以上かかったのです。主治医のアドバイスで夜間断乳を決意!これで離乳食が進むかと思いきや……Upload By 鳥野とり子離乳食開始から3ヶ月、あまりにも食べないので離乳食を中断したり再開したりを繰り返していました。どうしていいか分からず、主治医に相談したところ、「思い切って夜間断乳をしてみたらその分食べるようになるかもしれない」というアドバイスを頂いたのでさっそく夜間断乳をする事に。夜間断乳を始めると夜泣きがひどくなり大変でしたが、それでも食べてくれるようになるならと夫と交代で一晩中必死であやして寝かしました。しかし夜間断乳しても食べ具合はまったく変わらず。夜泣きは悪化するし食べないし、何をしても上手くいかずクタクタになりました。さらなる苦戦!離乳食から幼児食への切り替えUpload By 鳥野とり子離乳食に苦戦しましたが、さらに苦戦したのは幼児食への移行でした。その頃のねこ太はお粥から軟飯に移行しただけでも食べなくなる状況だったので、普通のごはんなんて食べる訳がなく、かなり長い間水分が多くドロドロにすりつぶした状態の離乳食を与えていました。あまりにもドロドロの状態の物しか口にしないので、「この子はこのままずっと流動食のようなドロドロの物しか食べられないのかな……」と不安になったのを覚えています。ねこ太に気付かれないように少しずつ少しずつ食事に含まれる水分を減らし、幼児食っぽい食事を少し食べられるようになったのは2歳0ヶ月(修正月齢1歳9ヶ月)の時でした。もしかしたら口の中に問題があるのかも?と思い言語聴覚士さんに相談することにUpload By 鳥野とり子少しずつ幼児食も口にするようになりましたが、2歳を過ぎても水分が多い食事でないと食べられない息子。もしかしたら咀嚼や嚥下の機能に問題があるのかもしれないと思い病院で相談したところ、言語聴覚士さんにねこ太が食べているところを見ていただけることになりました。いつも食べさせているごはんをタッパーに詰めて病院へ行き、言語聴覚士さんの前でお昼ごはんを食べさせてみました。結果は……なんと問題なし!口の動かし方も、舌の動かし方も、飲み込み方もゆっくりだけどちゃんとできているし、大きな問題はなさそうとのことでした。言語聴覚士さんには「食べないのは咀嚼嚥下の問題ではなく、単に食に興味がないのかもしれないですね」と言われ、この時は「食に興味がないってどういう事?」と不思議に思いましたが、のちにこの言葉の意味が分かりました。無理せず息子のペースで食事を進めた幼児期。療育の給食が救いにUpload By 鳥野とり子息子が飲まない・食べないのは単に食への興味が薄いのが原因と言われ、特にこれといった対応策が見つからないので、息子の食事のペースに根気強く寄り添うしかありませんでした。その後もなかなか年齢相応の食事内容や食事ペースにはならず、私はどんどん精神的に追い詰められていきました。しかし、そんな私と息子に転機が訪れました。それは児童発達支援事業所の給食です。2歳4ヶ月から6歳3ヶ月まで通った児童発達支援事業所は給食の提供がある施設で、この給食のおかげで息子が食べられる物がどんどん増えたのです。家とは違う環境でお友達や先生と食べる給食は息子にとって刺激になったようです。今まで食べようとしなかったおかずや、私が息子に食べさせたことのないおかずを口にするようになり、食事の幅が一気に広がりました。7歳になった今でも食は細い息子。でもよく食べる日もあるし元気に成長しているのでそれだけで花マル!Upload By 鳥野とり子先日7歳になった息子ですが、今でも食への興味は薄めなので食事に集中できなくて食べながらボーっとすることが多いし、食べるスピードも相変わらず遅いです。お友達より食べる量は少な目ですが、すごく食べる日もあるし何より元気に成長しているので食事に関してはあまり気にならなくなりました。気にならなくなるまでには長い道のりがあり、息子の食事のことで私がノイローゼ気味だった時期もあります。たかが食事と思われるかもしれませんが、1日に3回もあることです。食べないと心配だし、せっかくつくった物を食べてくれないのは悲しくて親として大きな悩みでした。私は自分が食べるのが大好きなので食に興味が薄いという状態が理解できず、ごはんは本能的に食べる物なのだと思いこんでいました。でも今の息子を見ていると、言語聴覚士さんに言われた通り乳幼児期に食べなかったのは食への興味の薄さだったんだなと納得しています。今では、息子には息子の食事のペースがあると思い気長に見守っています。執筆/鳥野とり子(監修:初川先生より)ねこ太くんの食事にまつわる、とり子さんの悩みと対応の変遷のシェアをありがとうございます。ミルクをうまく飲まない、離乳食で大苦戦、幼児食も大苦戦……こうしたことに心当たりのある読者の方も多いのではないでしょうか。とり子さんも書かれていましたが、つくったものを食べてもらえないのはどうしても保護者の心情としては悲しくなりますね。折々に小児科の先生や言語聴覚士の先生など、専門家の方に見ていただきながら対応されてきたこと素晴らしいと思います。何か器質的な問題や体の使い方の問題などがあればそれはそれで対応する必要があるのでそのあたりをまず相談されてこられたことは何よりです。「食への興味が薄い」「食に執着がない」といった話は相談場面ではよくうかがいます。ただ、ご家族の中に同じような傾向の方がいないとなかなかそうした要因は思いつかないかもしれないですね。ねこ太くんは児童発達支援事業所での給食がきっかけでさまざまなものを食べられるようになったとのこと。小学校での給食をきっかけに食べられるものが増えたという方もいらっしゃいます。同世代の子たち、家族ではない大人(先生方)との食事という状況から食べることに興味を持ったり挑戦したりするということもある、ということですね。また、自分で食べ物(野菜など)を育ててみたり、調理してみたりしたことをきっかけに興味を持つお子さんもいます。食事との付き合い方もお子さんの個性が出るところです。無理強いしていいことはないので、心配なことは専門の方に相談しながら、本人のペースや興味関心の変遷を見守っていけるといいと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年01月28日ペアレント・トレーニング(ペアトレ)とは?ペアレント・トレーニング(ペアトレ)とは、保護者が環境調整方法や子どもへの肯定的な働きかけを学ぶことで、子どもの発達を促進し、子どもの問題行動や保護者の心理的なストレスなどを改善していくプログラムです。ついつい子どもを叱ってしまいがち。ペアレントトレーニングのメリットとは?Q:子どもに発達障害があり、「片づけをしない」「宿題をしないでゲームばかりしている」などの好ましくないと思われる行動をすると叱ってしまいがちです。ペアレントトレーニングに関心があるのですが、どのようなメリットがあるのでしょうか。A:ペアレントトレーニングは保護者が個々の子どもの特性を理解し、子どもに合わせた関わり方を学ぶことで問題行動の改善や発達の促進を目指すことができます。発達障害のある子育てにはさまざまな困難やストレスがあると言われています。また、子どもの示す不適切な行動に対して感情的な対応をしてしまうこともあるかもしれません。ペアレントトレーニングは保護者が個々の子どもの特性を理解し、一人ひとりの子どもに合わせた関わり方を学ぶことで問題行動の改善や発達の促進を目指したプログラムです。例として、・子どもの行動を観察し、良い部分を見つける・良い部分を褒める・子どもが落ち着けるような環境を見つける・より良い声掛けの方法を知り、子どもに伝えるなどがあります。内容としては、講義だけでなく演習やホームワークも設定され、具体的、体験的に学べるようになっています。グループや個別などさまざまな形式がありますので、自分に合ったプログラムを選んでいくとよいでしょう。Upload By 発達障害のキホン(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年01月28日当てはまる特性とそうではない特性がある……。これって発達障害なの?「もしかしたら発達障害かもしれない?」と思って調べても、当てはまる特性とそうではない特性がある、ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)の特性に少しずつ当てはまるけれどどっちなの?と思われたことがある方は多いのではないでしょうか。なぜそのようなことが起こるのでしょうか。発達障害を理解するには、具体的なイメージをもつことが大切です。以下のケースの男の子は発達障害に該当するでしょうか?また、発達障害だとしたら、どのような診断がつくでしょうか?一緒に考えてみてください。ケース:時間にルーズな小4の男の子Upload By 専門家体験談小学4年生の男の子の例です。ゲームが大好きなのですが、ゲームで遊び始めると、友達との約束や宿題をやる時間、寝る時間などを忘れて熱中してしまいます。寝る直前になって宿題をやり始めても、疲れているのでそう簡単には終わらず、翌日は寝不足となって授業にも集中できなくなります。ただし、教室のルールを厳守しすぎる傾向があり、ルール違反をした友達を注意するという面もあるそうです。ゲームの時間は1日〇時間と決めても、1日しか持ちません。また、この子の場合、ゲームにだけ集中しているのかというとそうではなく、プレイ中に気が散って、ゲーム機の電源をつけたままほかの遊びを始めることがあり、ゲームへの情熱にもむらっ気がみられます。さて、この男の子には発達障害があるのでしょうか?ADHD(注意欠如多動症)?ASD(自閉スペクトラム症)?Upload By 専門家体験談男の子には「活動の切り替えが苦手」「用事を忘れてしまう」「気が散りやすい」という特徴がみられました。このことから、ADHD(注意欠如多動症)の特性の可能性があるのではと考えられます。また、ケースをよく読むと、ゲームをやり続けるこだわりや教室のルールを厳守しすぎる律儀な面もみられます。こうした面に加え、ASD(自閉スペクトラム症)の特性である対人関係の困難さが見えるならば、ASD(自閉スペクトラム症)と診断される可能性もあります。ちなみに、これらは特性によって生活上の支障が生じた場合「診断」されます。このように発達障害の人の一部は、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)などいくつかの特性がまじりあっているタイプになるため、一概にASD(自閉スペクトラム症)である、ADHD(注意欠如多動症)であると診断されるとは限らないのです。発達障害には「重複」や「強弱」がある発達障害のようではあるけれど、どの障害とも言い切れない……、はっきり答えが出ていない解説に驚いたり、釈然としない思いを抱かれた方もいらっしゃるかもしれません。ですが、これが発達障害の実際の姿です。この男の子の例のように、発達の特性に「重複」や「強弱」があることは、発達障害を理解する上でとても重要なのです。私は、発達障害がある人のことを「~ができない」と考えるのではなく「~よりも~をする」という「選好性」を持っている人だととらえています。例えば「雑談よりも内容重視の会話をしたがる」、「対人関係よりも自分のこだわりを優先する」、「じっとしていることは苦手だが、思い立ったらすぐに行動に移せる」といったものです。その優先するものが少数派なため、発達障害の人たちは周囲から理解されづらく、生きづらさを感じているのです。発達障害は、けっして特別なものではありません。発達の特性は、いわゆる「ふつう」と地続きのものです。いまは特に困難を感じることなく生活している人の中にも、発達障害の特性がある人はいます。もし特性に当てはまる部分があったという人は、生活をしていて困ることがでてくる前に、自分の特性、自分のやりたいことを理解すること、そして生活環境の調整に取り組んでいただければと思います。マンガ/吉田いらこ(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年01月27日良い出会いを求めて奔走私には発達障害がある24歳の娘がいます。私たち親子はこれまで多くの人に支えられながら暮らしてきました。今までの子育ての中で私は良い人との出会いこそが要(かなめ)だとつくづく感じています。もちろん出会った人すべてのが「最高!」というわけではなく、ときには「うーん残念」と思うようケースも少なからずありました。でも教育の現場も福祉の現場も、複数人(チーム)での関わりが基本なので「この人とは何かウマが合わないなぁ」と思ったら私は周りの関係者に相談をしたりしてきました。このように、私は長い間良い支援者との出会いを求めて奔走してきました。周りの人はきっと「このお母さん必死だなぁ」と感じていただろうと思います。今の私たち綱渡り状態ではありましたが、何とかドロップアウトすることなく成長した娘。彼女は現在、親元を離れグループホームで生活をしています。娘はずっと暮らしてきた地域とは違う自治体管轄のグループホームを選んだので、小学生の頃からから築き上げてきた支援者との繋がりは引っ越しと同時になくなってしまいました(引継ぎはしてもらいましたが)。環境の変化が苦手な娘が、新たな支援者との関係を一からつくるのには時間がかかります。でもさまざまな苦労をしながらも彼女のペースで頑張っているようです。今の私たち親子は以前に比べ程よい距離感が築けています。では、“子育て”が終わったのかといえば決してそうではなく、大きな問題が起きたときには本人や支援者の方から連絡が来ます最初は手探りで娘に接していた支援者の方々も1年、2年と娘と接していくうちに彼女の特性(ツボ)を徐々に理解してくれてきたように感じています。人と制度の両輪先にも書きましたように、私は支援の要は『人』だと考えています。それは娘が24歳になった今でも変りません。でも最近はそれに加え『制度』も大事なのだと感じるようになってきました。娘が中学生の頃までは放課後等デイサービスの制度はなく、役所などでも障害のある子どもの居場所の情報を集約、統括はしていませんでした。ですので、民間の施設の情報をクチコミやインターネットで集め、一件一件電話をしては子どものことを説明し、自分の足で確認に行くしかありませんでした。良い施設が見つかったとしても全額自費で経済的にかなり厳しかったです。「子ども食堂」や「ヘルプマーク」といったものも、娘が高校生の頃にでき、徐々に全国に広がっていきました。今では多くの人が利用しているこのようなサービスが全国に広がるには制度(=国や自治体の予算)が欠かせません。もちろんどんなに制度が整っても、それを使う人の知識や技術や適性、意欲がなければそれは意味を成しません。でも逆もまた然りで、素晴らしい支援者や職員がいても、適切な制度がなければ彼らの動きに制限がかかってしまうこともあるのです。『人』と『制度』この両輪が上手く機能してこそ充実した支援が得られると私は考えています。Upload By 荒木まち子制度の最新情報を集める大切さこのコラムの読者さん(発達ナビユーザー)は小さいお子さんの保護者の方も多く、制度や法律と言われてもいまいちピンとこないかもしれません。私も子どもが小さかった頃は毎日を過ごすのが精いっぱいでした。幼稚園でトラブル、学校での勉強、友達関係、反抗期、生活リズム、受験、進路、就職etc.目の前のことの対応に日々追われていました。でも、振り返ってみると「もう少し早いうちから制度や法律についても気にかけておけば良かった」と思っています。改正された障害者総合支援法・児童福祉法が2024年4月1日に施行されます。法律は難しいと感じるかもしれませんが、私たちの暮らしにどんな影響があるかを知っておくと将来への不安は少なからず減るはずです。改正の内容の一部をざっくり言うと◆グループホームで暮らしている方がそこを出て、別の暮らし方を希望した場合・2024年3月まで→新居は本人が探す・改定後→入居中のグループホームなどが居住支援(物件探し、一人暮らしで必要な支援の相談など)を行うといったようなものがあります。<参考>厚生労働省障害者総合支援法等の改正についてまた、障害のある子どもの就労に関しても、令和7年10月に新たな就労選択支援が施行される見込みだそうです。これは現在中学3年生の子どもからが対象ですので、当てはまる方は注視が必要です。情報はどこで入手する?地元に根づいたママ友同士の情報はときにとても有益ですが、法律や制度についての最新情報が話題に上がることは少ないかと思います。では、それらの情報収集はどこでしたら良いでしょうか。特別支援学校であれば学校やPTA主宰の勉強会などでも情報は得ることができますし、親の会(手をつなぐ育成会)の広報誌などでも最新情報が手に入ります。企業が主宰する講演会などに参加するのも良いかもしれません。<参考>全国手をつなぐ育成会連合会 (zen-iku.jp)人との繋がり、ネットワークを制度が充実したからといって、すべてを行政や支援者に丸投げして任せてしまうことがないよう私は心掛けています。なぜなら人との繋がりが希薄になってしまうからです。制度や支援を理解し上手く利用することで、親の私自身の心にも余裕が生まれ、子どもに対しておおらかに接することができるようになったのは事実です。でも親にはできなくて支援者にはできることがあるように、親だからこそできること、親にしかできないこともきっとあると思うのです。“親も支援者もワンチーム”といったぐらいの気持ちでお互い素敵な関係が築けたなら、そのネットワークはきっと親がいなくなった後も子どもを支え、守ってくれると私は考えています。今後、私が願うこと現在、支援やサービスに地域差があるのは確かです。でも都心に限らず、先駆的・画期的な取り組みをしている自治体はあります。それらが良い「モデルケース」となって全国に広がり、いつしか「スタンダード」になれば良いな、と思います。行政の、地域や業種・職種を超えた柔軟な繋がりや連携が広まり、どこに住んでいても同じような支援やサービスが途絶えることなく受けられるようになる日がくることを願ってやみません。放課後等デイサービスだって、子ども食堂だってヘルプマークだって全国に広まったんだから不可能ではないはず!と私は思っています。執筆/荒木まちこ(監修:渡部先生より)まさにおっしゃる通りで、私がコメントを差し挟む余地はほとんどないというのが率直な感想です。制度が無ければ希望する支援は受けられませんが、その制度を担う人がいなければ利用できない。どちらかが欠けても、本人の地域生活は成り立ちません。そして制度も少しずつ変わったり、新しいものができたりしています。こういった情報はなかなか検索しても見つかりません。ぜひどこかの家族会に入会して、本人が少しでも安心して暮らせるような情報をゲットして、下世話な言い方をすれば「トク」してほしいと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月27日早期療育とは?療育とは、障害のある子どもや、発達の遅れや偏りのある子どもに対して行われる支援です。それぞれの子どもの発達状況や特性などに応じて今現在の困りごとの解決や将来の自立に向けて支援を行います。知的発達症やASD(自閉スペクトラム症)の子どもが早期に療育を始めることで、社会的コミュニケーションの能力などが伸びるとも言われています。参考:就学前早期の自閉症児への療育介入は、社会予後を改善させる可能性|国立成育医療研究センター3歳児健診で「要観察」。療育に通うのは早い?Q:子どもが3歳児健診で「要観察」となり、療育機関を紹介されました。まだ要観察なので療育に通うのは早いのではと悩んでいます。「早期療育」のメリットなどが知りたいです。A:子どもに合った早期療育を行うことで、子どもにとって発達を促進し、困難を減らしていく可能性が高まり、保護者にとっても子どもに合わせたかかわり方が相談できるというメリットがあります発達障害者支援法においても早期支援の重要性が示されています。診断がなくても主治医の意見書によって早期から児童発達支援が受けられるようになってきました。早期療育にも個別支援や集団支援などさまざまな形態があります。子どもの発達や特性には個人差があるので、一人ひとりの子どもに合わせたプログラムが必要です。自発的、意欲的に周囲とかかわれるような環境を作り、自信や意欲、コミュニケーション能力の向上、自己選択、自己決定などを伸ばす支援を行います。子どもに合った早期療育を行うことで、子どもにとって発達を促進し、困難を減らしていく可能性が高まり、保護者にとっても子どもに合わせたかかわり方が相談できるというメリットがあります。Upload By 発達障害のキホン(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月27日療育園から幼稚園に転園して早3カ月が経過したどんちゃん。幼稚園にもすっかり慣れて毎日、楽しそうに通っています。■お友だちからお手紙をもらったそんなどんちゃんのクラスは現在、お友だちや先生にお手紙を送り合うのが、はやっているのだそうです。定型発達の年中さんだと、確かにそろそろ文字に興味を持ち始め、平仮名やカタカナの読み書きができる子が増え始める頃です。しかし、知的障がいに加えて発達障がいもあるどんちゃん。文字はまだまだハードルが高いです。(きっとお手紙を送り合うお友だちを、離れたところから見つめるのが精一杯なんじゃないだろうか…)と、なんとも言えぬ寂しさがあるのかもしれないと心配していました。ですがある日、どんちゃんの通園バッグの中から見慣れないサイズの紙が出てきました。なんと! お友だちからお手紙をもらったのです!お手紙の内容もさることながら、読み書きがまだできないどんちゃんを仲間はずれにすることなく、お手紙を書いて渡してくれたお友だちのことを思うと、涙が止まりませんでした。そんなことがあった数日後。 ■どんちゃんからのお手紙は家宝に今度はどんちゃんから私にお手紙が!体が未発達なうえに小さくて、ペンを持つための力もあまり強くないどんちゃん。話によると、いつもどんちゃんをサポートしてくださる加配の先生が手を握ってくれて、どんちゃんが書きたいように補助してくれたそうです。お手紙の内容も相まって、私はさらに涙が止まらず…!先生やお友だちの温かい気持ちの中で、どんちゃんは日々成長している! と強く思った出来事でした。ちなみに、このときのお手紙はあまりにうれしかったので、額に入れて飾っております。家宝です。
2024年01月26日大きな不安を抱え始まった幼稚園生活。順調に見えたけれど……わが家の長男あーにはASD(自閉スペクトラム症)があります。まだそうとは知らなかった頃に迎えた幼稚園の入園式で、一人だけ走り回り、夫の眼鏡も私のコサージュ(借り物!)も破壊する暴れっぷり……。大きな不安を抱えた状態で迎えた幼稚園生活ですが、いざ始まってみると一見そこまで大きな問題があるわけではありませんでした。登園不安が強いわけでもなく、泣いたり暴れたりが頻発するわけでもない。トイレにも行ける。身辺自立や集団参加には難があるけれど、年少さんでは珍しいことでもない。それでも私は、3歳半健診で発達について相談しようと決めていました。私が発達相談をしようと決めた2つの理由3歳半健診であーの発達について相談すると固く決意していたのはなぜか……母親の勘、というとあまりにもふわっとし過ぎているので、当時をよくよく思い返して言語化を試みようとするのならば、やはり「わが子とコミュニケーションが取れないことによるストレス」の一文に尽きると言えるでしょう。3歳なりのコミュニケーション。いや、年相応でなくてもいい、それが叶わないフラストレーション……。おしゃべりはするんだけど、会話のキャッチボールができないんですよね。例えば、「パパはどこに行ったの?」と聞いたら「パパはお菓子が好きなんだよ」と返ってくる。「パパ」という単語は分かる。それについての話をする。おしゃべりはできている……だけど、それってコミュニケーションではないんだよなああああ(ここで頭を抱える)。会話の……ストラックアウトなんだよなああああ!(うまいこと言えた?)Upload By よいこ一事が万事これなんです、ちなみに12歳の今もその傾向が非常に強いです。そして謎遊び。幼稚園で、小高い山の上に立って葉っぱや砂をひたすら落とす。人とは遊ばないし、いったい何が彼をそんなに魅了しているのか分からない……。それがダメってわけじゃないけれど、おままごとやごっこ遊び、お友達との交流などにだんだんと興味を持ち始める年齢において、意味のない(ように見える)ことを2時間とか平気でできる。Upload By よいここの2点から導き出される結論……。わたしにとって、あーは「よく分からない」存在でした。わが子なのに「よく分からない」存在?募る不安自分で産んだ、自分の子どもなのに、何を考えているのか、よく分からない。いや、生まれた時からべったりで育てているので何が好きか、何が嫌か、は分かります。何が欲しいかも。でもそうじゃなくて、こちらの言うことを理解してくれない、してくれようともしないあーは、私にとってまるで「未知の生き物」のようでした。そして理解できないことで、なんだか不安になるのです。Upload By よいこしかし相手は自分の子ども。「可愛さ」と「分からない」が拮抗する毎日。よく分からない、を分かりたい。愛しているから、可愛いからこそ理解したい。そしてこの不安から脱して安心したかったんだと思います。発達相談を決めた一方で……「気のせいだよ」という言葉も期待していた自分というわけで、発達の相談をすることになんの迷いもありませんでした。でも一方で心の奥底で、「気のせいだよ」「そんなことないよ」「普通に生きていけるよ」って言われることを望んでいた気もします……。Upload By よいこ母の気持ちは常にアンビバレンス。だってそうじゃないー!?できれば普通がいいじゃん、みんなと一緒がいいじゃん!そんな物分かりよくいられるわけなくない??と、思い返せば雑念だらけの診断前。いいじゃんいいじゃん人間だもの!そんなこんなで、運命の(?)3歳半健診の日を迎えたのでした。執筆/よいこ(監修:初川先生より)3歳の時に発達相談を受けると決断された理由のシェアをありがとうございます。自分の子どもなのに分からない。可愛いと分からないが拮抗する。よいこさんが言葉にしてくださった当時の心境に共感なさる読者の方も多いのではないでしょうか。よいこさんが理由として挙げられた、会話のキャッチボールならぬ「会話のストラックアウト」(お伝えされたいニュアンスがよく伝わる表現ですね)。そして、「謎遊び」。このくらいの年の子どもはこのくらい育っているはず、こうして遊ぶはずという知識や経験との違和感。体感としておぼえる違和感。そうした違和感はとても大切だと相談業務にあたりながら日々思います。そうした違和感をきっかけに相談やお子さんへの理解、支援などへつながることができます。場合によっては、「心配しなくて大丈夫ですよ」の場合もあるかもしれませんし、支援者の方としばらく一緒にお子さんの成長を見守る伴走体制に入ることもあると思います。どんなお子さんであっても、子育ての中で悩ましく思うときはあると思いますが、そこに何らかの診断が後からつく場合にはその悩みや違和感、葛藤の度合いがかなりのものだと思います。保護者が日々悩みながら、アンビバレントな心境になりながらも、子どもは育ち、子育ては続いていきます。お子さんはもとより、保護者を支える意味でも相談や支援につながってくださることを支援者としては願うところです。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月26日生涯学習とはどんなもの?「生涯学習」と聞くと、成人後の学びであるとか、シニアの方向けの学びであるととらえている方も多いのではないでしょうか。生涯学習について、文部科学省は下記のように記しています。「国民一人一人が,自己の人格を磨き,豊かな人生を送ることができるよう,その生涯にわたって,あらゆる機会に,あらゆる場所において学習することができ,その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。」引用:平成30年度文部科学白書第3章生涯学習社会の実現|文部科学省「生涯学習」とは、「生涯にわたる学習」を指す言葉です。これは障害のある方たちにとっても同様です。このコラムでは、・障害がある子の学校卒業後の学び・豊かな余暇のためにできることなど、生涯学習についてのギモンから、知的障害のある方の将来の学びまで専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。【専門家が回答】知的障害のある子どもの生涯学習とは?分かりやすく解説!ここからは鳥取短期大学 幼児教育保育学科 教授であり、「特別ニーズ教育学」「障害児教育学」の専門家、國本 真吾先生に知的障害のある子どもの生涯学習についての質問にお答えいただきます。Q:障害のある方の「生涯学習」とはどのようなものなのでしょうか。目的なども簡単に知りたいです。A:「生涯学習」というのは、人の一生涯にわたる学びです。障害がある方にとっても「学び」は決して学校だけではなく、「あらゆる機会に、あらゆる場所」で保障したいものです。「働く」だけで終わってしまう毎日ではなく、「生きがい」としての活動が充実することで、働く意欲や労働の目的も変化していくことでしょう。「生涯学習」は、その人らしい人生や幸福を形にしていくものとして注目されます。Upload By 発達障害のキホン「生涯学習」と聞くと、「大人の学び」と思われる方もあるかもしれません。しかし、「生涯学習」というのは、人の一生涯にわたる学びなのです。一生涯ということですから、生まれてから老いるまでとなりますから、年齢にかかわりなく、学校教育、社会教育、家庭教育などの学びを含んでいるわけです。障害のある人にとって、学ぶ機会は学校教育を終える18歳までで途切れる形が多いと言えます。例えば、特別支援学校高等部を卒業した人で、大学等に進学する人の割合は1.7%です(2023年3月卒業者、学校基本調査)。一方で、高等学校を卒業した人の場合は60.8%と、障害の有無で約36倍の差があります。また、障害種別で見ると、聴覚障害校からの大学等への進学は36.3%に対し、知的障害校は0.4%と、そこに約90倍の開きが存在します。18歳以降も学び続けたいという希望があっても、進学には障害の有無や種別により大きな差があるのが実態です。「学び」は決して学校だけではなく、「あらゆる機会に、あらゆる場所」で保障したいものです。大人になった時、働く場や日中活動の場もそうですが、生活する中で知っておきたい知識や技術は存在します。学校で学んだことが、その先一生使えるものかと言われたら、そういうわけではなくなっています。知識や技術のアップデートの機会でさえ、障害のある人にとっては一人ではできないこともあったりするわけです。人生100年時代と言われる中、AIやICTツールなどの技術革新も進んでいます。生活の中に浸透していくそのようなものを使いこなすことを、この先どこで誰が教えてくれるのかということもあります。大学ではなくても、希望すれば誰もが学ぶ機会が保障される活動が存在することが求められるわけですが、障害のある人はその機会から遠ざけられてきたと言えます。2017年度より、文部科学省は障害のある人の生涯学習支援に力を入れるようになりました。そこでは、「生涯学習」を「学び」の活動に限らず、文化・芸術、スポーツなども含めて、障害のある人の生涯学習を広く推し進めようとしています。これまで、そのような活動は「余暇」と括られる時間の取り組みとして見られてきましたが、休みの日に「生きがい」となる活動があることは、人間らしい生活としても重要です。「働く」だけで終わってしまう毎日ではなく、「生きがい」としての活動が充実することで、働く意欲や労働の目的も変化していくことでしょう。「生涯学習」は、その人らしい人生や幸福を形にしていくものとして注目されます。参照:学校基本調査-令和5年度結果の概要-|文部科学省Q:子どもに知的障害があります。将来、就労以外にも自分の余暇の時間を楽しんでほしいと思っています。障害がある子どもの将来の生活の質をあげるために、いまからできることはあるのでしょうか?A:お稽古事の類も一つではありますが、地域の中で障害のある子どもを対象とした活動は存在しているかを探ってみましょう。図書館の利用、公共交通機関の利用や交通系ICの使用(チャージ含む)なども、生活の質を考えると必要なことになるでしょう。スーパーやコンビニでの買い物経験、カフェやファミリーレストランの利用などの中での何気ない経験の積み重ねが将来の生活を切り拓く力にもなるはずです。Upload By 発達障害のキホン「生涯学習」は学校教育も含めたものですが、学齢期からの取り組みも必要です。例えば、大人になってからの休みの日をどのようにして過ごすかを考えた場合、子どもの時からの経験の積み上げが生かされていくだろうと思われます。お稽古事の類も一つではありますが、地域の中で障害のある子どもを対象とした活動は存在しているかを探ってみましょう。私が住む鳥取市では、障害のある子どもを大人になっても継続して受け入れている、音楽、体操、ダンス、スポーツなどの活動があります。民間の取り組みにはなりますが、一人の子どもが複数掛け持ちしていたり、親子で一緒に参加していることもしばしばです。子どもにだけやらせるのではなく、親も一緒になって楽しめる活動という選択肢もあってよいだろうと思います。また、図書館の利用を例にすると、学校図書館や地域の公共図書館の利用を重ねておけば、休みの日の居場所の一つとして使うことができます。そして、公共交通機関の利用や交通系ICの使用(チャージ含む)なども、生活の質を考えると必要なことになるでしょう。学校や放課後等デイサービスで誰かによる送迎が当たり前になっていると、帰り道に道草を食うような経験自体が奪われています。一人で、または友だちと出かけることができるためには、楽しい活動の存在とともに、それへのアクセスに必要な経験や力も不可欠です。スーパーやコンビニでの買い物経験は、学校でも取り組んでいたりしますが、カフェやファミリーレストランの利用などもあってよいでしょう。休みの日に親子で一緒に楽しむ活動を終えて、ほっと一息するためにファミリーレストランに寄った際、タッチパネルで注文したり、ドリンクバーを自ら操作させたりなど、何気ない経験の積み重ねが将来の生活を切り拓く力にもなるはずです。Q:知的障害がある子どもは特別支援学校卒業後、もう学びの機会は失われてしまうのでしょうか。知的障害のある子どもが卒業後もっと学べるような場所はあるのでしょうか。A:特別支援学校の高等部卒業後も、学びの機会を得ようと思った場合、知的障害対象の特別支援学校高等部専攻科、障害福祉サービスを活用した「福祉型専攻科」「福祉型大学」、大学・専門学校などの科目等履修生や聴講生制度の利用、青年学級、公民館講座などの選択肢が考えられます。Upload By 発達障害のキホン特別支援学校の高等部卒業後も、学びの機会を得ようと思った場合、いくつかの選択肢が考えられます。・知的障害対象の特別支援学校高等部専攻科高等部3年を終えたあと、専攻科を置く特別支援学校への進学があります。専攻科は、高等部の卒業生だけではなく、高等学校を卒業した人も対象となる障害であれば入学できます。ただし、知的障害を対象とした特別支援学校では、全国で10校にしか専攻科は存在しません(2024年1月現在)。専攻科を設ける場合、多くは2年制ですが、なかには3年や4年間学べる学校もあります。学びの中身も、職業自立をめざした形もあれば、生活の質を高めたり、大人として豊かに生きるための学びを重視する学校など、それぞれで違いがあります。・障害福祉サービスを活用した「福祉型専攻科」「福祉型大学」特別支援学校の専攻科が少ないこともあり、障害福祉サービスを活用する形で、ゆっくり大人になるための時間を保障しようという取組みが広がっています。障害福祉サービスの「自立訓練事業」や「就労移行支援事業」などを組み合わせたもので、「福祉型専攻科」とか「福祉型大学」と称する場合があります。・大学・専門学校など知的障害特別支援学校高等部卒業であっても大学入学資格は有します。また、正規の学生としての入学ではなくても、科目等履修生や聴講生制度を利用したりすることもできるでしょう。大学によっては、知的障害の人を対象とした公開講座やオープンカレッジ、履修証明プログラムを設ける試みも始まっています。また、いわゆる専門学校(専修学校専門課程)に進む形も考えられます。2024年4月より、合理的配慮の提供義務の対象に私立の大学・学校も加わります。学生としての身分にかかわらず大学・学校を利用する上では、合理的配慮に関しての建設的対話を申し出てみることも必要になるでしょう。※制度上は特別支援学校卒業で大学入学資格は得られますが、大学側が定めた科目の単位を取得していないと受験自体ができない場合もあります。・青年学級、公民館講座など地域によっては、「障害者青年学級」や公民館講座などで、障害のある人が学べる場を設けていることがあります。学びといってもさまざまで、季節ごとでの行事や旅行を計画して楽しむ場合もあります。行政が実施しているものもあれば、民間団体が実施しているものなど、運営主体もさまざまです。そのため、行政の窓口では十分把握できていなかったり、ネット検索でも十分ヒットしないこともあります。文部科学省は、毎年「障害者の生涯学習支援活動」に係る文部科学大臣表彰を行い、事例集の形で表彰された活動などを紹介しています。このようなものを参考にしてみると、身近なところで行われている活動を見つけることができるかもしれません。参考:令和3年度における専攻科の生徒への修学支援の対象となる高等学校等専攻科|文部科学省参考:「障害者の生涯学習支援活動」に係る文部科学大臣表彰事例集|文部科学省障害のある子どもの生涯学習について、さらに詳しく知るためにUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年01月25日物を投げる、弟や妹を傷つける。癇癪で近所から苦情……対応は?Q:特別支援学校小学部に通う高学年の子どもがいます。家で1日に何度も、物を投げたり、弟や妹を傷つけたりします。また、癇癪が起きると叫び声をあげ、床を踏み鳴らすので近所から苦情がきて困っています。このような場合、どのような対応をしたらよいのでしょうか。A:家庭だけで抱え込まず、特別支援学校の先生、相談支援専門員などと相談しながらチームで対応することが大切です。他害行動はどのような場所や状況で生じやすいか振り返ってみましょう。まず起こりにくい環境を整備し、回数を少しでも減らしていくことを考えましょう。Upload By 発達障害のキホンもの投げやきょうだいに対する他害行動はどのような場所や状況で生じやすいでしょうか。振り返って書き出してみてください。これらの行動の機能として要求が通らないとき、注目が得られていないとき、余暇がなくすることがないとき、嫌な刺激や感覚が生じているときなどが考えられます。まず起こりにくい環境を整備し、回数を少しでも減らしていくことを考えましょう。環境整備には視覚支援や構造化などが有効です。それぞれの問題行動の代わりになる適切な行動も教えていきます。保護者だけで考えるのではなく、特別支援学校の先生や専門機関の相談員に相談してみましょう。家庭環境の中で対応が困難な場合、在宅支援に関連する福祉サービスで利用可能なものがあるかもしれません。相談支援専門員に訪ねてみるのもよいかと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年01月24日行き慣れていない場所が苦手な、知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)の息子現在12歳の息子は、3歳の時に知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)と診断されています。機嫌が良くても悪くても言葉にならない奇声を発していることが多いです。マイペースな息子ですが臆病な面があり、賑やかであったり行き慣れていない場所が苦手。ですから、普段病気になったときは、息子が行き慣れているかかりつけの小児科にかかっています。慣れているとはいっても、病院へ行く前には病院の外観や待合室の写真を見せながら、口頭で病院へ行くことを説明してから行くようにしています。そして、可能なら大人2名で連れていき、診察が終わったら、大人は子どもを連れてすぐ帰る人、会計を済ませる人に分かれるなど、オペレーションにも心を砕いていました。Upload By ユーザー体験談現在、かかりつけの小児科は先生の都合で一時閉院中。なるべく息子が病気にならないように注意していたのですが、先日、息子が急に高熱を出したのです。もしかしてインフルエンザ?でもかかりつけ医はお休み……どうする?学校ではインフルエンザが流行っていたため、真っ先にインフルエンザを疑った私。検査をしなければと思うも、ただでさえ鼻の中を診られるのが苦手な息子が、行ったことがない病院でインフルエンザの検査となったら、大騒ぎ必至です。どうすればいいか悩みましたが、家で診てもらうのが一番良さそうだと思い、初めて往診を頼んでみることにしました。息子は高熱のためとてもつらそうで、トイレ以外で立ち上がることさえできません。私は(インフルエンザ検査で陽性となれば、抗インフルエンザ薬を処方してもらえるから、それを飲めれば少しは楽になるかな……)と心配しながら息子の看病をしていました。検査の結果、もしインフルエンザでなければ、解熱さえすれば登校できます。実はその週末は学校の学習発表会でした。できたら参加させてやりたいと思っていたので、私としては息子がインフルエンザ検査をすることは欠かせないことだったのです。ですが……。検査を嫌がり家中を逃げ回る息子!それを追いかける母……やがて医師が到着したので私は部屋に案内しました。息子は初めて会う医師に警戒している様子でした。医師は慣れた様子で「この時期の高熱ですから、インフルエンザかもしれませんね」とすぐ検査の用意を始めてくれました。すると、その瞬間、息子は検査をされると察したようで(ものすごい洞察力!)、いきなり立ち上がり逃げ出したのです!先ほどまで立ち上がることすらできずぐったりしていたのに……!(えぇ!?)と私はその素早い動きにびっくりしつつも、息子を追いかけました。私一人ではまったく連れ戻すことができません。息子は家中を逃げ回りました。普段は狭く感じる家が、この時はやけに広く感じました……。Upload By ユーザー体験談医師はそんな私たちの様子を見て、これは無理だと思ったのでしょう。「お母さん、検査は諦めましょう」と言い、ただ息子の熱が高いこと、周りではやっていることから「見なし陽性」と解熱剤などを処方してくれました。ただし、検査はできていないので、当然抗インフルエンザ薬は処方してもらえませんでした。Upload By ユーザー体験談私としては、息子にはなんとしても検査を受けてもらいたかったので、がっくり。抗インフルエンザ薬を処方してもらえなかった……、もし解熱したとしてもインフルエンザかもしれないことを考えて学習発表会は欠席しなければ……と。医師が帰ると、息子はさっとベッドに戻り横になりました。その様子を見て(具合が悪いのに、よくあそこでまで逃げ回れたね……本当に嫌だったんだね……)と思いました。抗インフルエンザ薬を飲まなかった息子はなかなか解熱せず……その後程なくして私も発熱、検査を受けたところインフルエンザと判明しました。おそらく息子もインフルエンザだったのでしょう。私は抗インフルエンザ薬を飲んだのでほどなく快方へ向かいましたが、薬を飲んでいない息子はなかなか解熱しませんでした。1週間以上、熱が上がったり下がったりしていたので、本人もとてもつらかったと思います。Upload By ユーザー体験談往診はとてもありがたいものですが、往診の先生はお一人でいらっしゃっしゃったので、検査時に嫌がる子どもの場合、その対応をする人手は病院のほうがあると改めて感じました(もちろん、病院にもよると思います)。このままだと、今後息子が病気や怪我をした時、「息子に抵抗されることを考えたら、これくらいなら受診しなくても大丈夫かな」と思ってしまいそうです……。高学年になり体も私より大きくなってきた息子。このままでは通院や検査はさらにハードルが高くなってしまいます。息子が落ち着いて受診できるように、なにか対策を講じなければと改めて思わされた出来事でした。イラスト/keikoエピソード参考/あきこ(監修:藤井先生)普段のかかりつけ医院に受診されるときには、写真を用いて見通しを持った声かけをされていたのですね。見通しを持てることで落ち着く場合には、その対応をされるのが良いと思います。中には、病院の写真を見るだけで嫌がるお子さんもいるので、お子さんのタイプにもよります。私の勤めているクリニックでは、お子さんには嘘はつかず、見通しを伝えます。診察に不安な様子が伺える場合には、写真、絵カードなどで示してから診察や検査を行うこともあります。それでも、不安の全てを解消することは難しいのですが、不安がありながらも診察を受けてくれたことを労い、褒めることを繰り返し行なっています。以前までは、血液検査や注射で大暴れであったお子さんも、だんだんと診察が受けられるように成長する姿もみられます。病院の先生、スタッフの方と協力しながら、落ち着いて受診できる工夫を講じることをお勧めします。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月24日1歳半で言葉が出ていなかったわが家の長男けんとは3歳の時に自閉スペクトラム症と診断を受けました。けんとが周りの子たちに比べて発達がのんびりだと、私がハッキリ気が付いたのは1歳半健診の日でした。けんとが初めての子どもだった私はどれくらいの月齢の子が、どういう行動をするのか……という知識がありませんでした。母子手帳などに書いてある「生後〇ヶ月で〇〇をする」というのは「あくまで平均的な目安で、人それぞれ発達のスピードは違うだろうから、気にしなくてもいいのかな」と、のんびり考えていたのです。けんとは1歳半で言葉が全く出ていませんでしたが、私はそれほど気にしていませんでした。Upload By ゆきみ1歳半健診の通知が届き、指定された日程に保健センターへ。会場には、けんとと同じ1歳半とは思えないような子どもたちで溢れていました。けんとは言葉が全く出ていなかったことに加え、歩き方も、ほかの子に比べると不安定でヨチヨチ。落ち着きがなく、常に興味のあるものを見つけては歩きまわっていました。ほかの子が保護者とやりとりをしながら、椅子に座って順番を待っている姿に私は愕然。順番を待っている間だけで、けんとは「何かがみんなと違う」と私は感じました。そして、名前が呼ばれ、いざ1歳半健診がスタート……とはならなかったのです。やりとりが上手な周りの子たちに驚愕案内された大きな部屋では、数組の親子が椅子に座っていました。けんとは、自分の席につくまでの間に気になるものを発見したのか、そこへ行きたくて全然座ろうとしません。そして大声で泣き出してしまいました。落ち着かせている間、私はほかの子の様子をチラチラと見てみました。周り子が保護者と一緒に、大人しく椅子に座っているだけで「すごい!」と驚きました。さらに、保護者とコミュニケーションを取りながら、保健師さんとも指さしや言葉をつかったやりとりが上手にできている姿を見てさらに驚愕。Upload By ゆきみ当時のけんとは言葉も出ていないうえに、指差しも全くしていませんでした。大号泣するけんとをあやしながら見渡した、周りの子の1歳半健診の模様は、とにかく衝撃的で驚きの連続でした。ほぼ何もしないまま1歳半健診が終了けんとの様子が少し落ち着いたので1歳半健診がスタートしました。保健師さんがけんとに挨拶をしたり、話しかけたりしても反応は薄く、保健師さんの顔を見ることもしませんでした。保健師さんからの問いかけに、ほぼ何もしないまま1歳半健診が終了。周りの子たちとの違いに不安になりすぎて、私は放心してしまいました。その様子を見たからなのか、保健師さんが「希望者は臨床心理士さんによる発達相談が受けられますが、どうなさいますか?」と声をかけてくださいました。待ち時間はかなりあるようでしたが、発達相談を受けて帰ることに。Upload By ゆきみ発達相談から繋がっていった支援別室で臨床心理士さんによる発達相談を受けました。私と臨床心理士さんが、けんとが産まれてから今までの発達について話をしている間も、けんとは落ち着きがない様子。けんとは落ち着きがない様子。臨床心理士さんは、けんとの行動を観察したあと、けんとに話しかけ、いくつか質問を出しました。しかし、けんとは心理士さんの話を聞こうともしませんでした。当時、私は次男を妊娠中。あと数ヶ月で里帰り出産を予定していたので、次男の出産を終えたあと、またけんとの様子をみていただくということでその日は終わりました。Upload By ゆきみ次男を出産し1ヶ月月が過ぎた頃、けんとは2歳になりました。しかし、相変わらず言葉は出ておらず、指差しもしません。改めて発達相談をして、けんとの様子を見てもらいました。その発達相談にて、市で行っている親子教室を紹介してもらいました。そして年少の歳から、地域の幼稚園に通うのではなく、少人数で手厚く療育を受けられる市立の発達支援施設に通うことを親子教室の先生、臨床心理士さんなどに薦められ、通うことを決断。親子教室や発達支援施設では発達に関する勉強会があったので参加し、けんとの特性について理解を少しずつ深めていくことができました。今、思い返してみても、周りの子たちとの違いに驚愕しすぎた1歳半健診。あの日、発達に関する悩みがスタートした、私にとっては思い出深い1日となりました。執筆/ゆきみ(監修:室伏先生より)1歳半健診でのけんとくんのご様子、ゆきみさんのお気持ちを具体的に共有していただき、ありがとうございました。想定外の状況に、ゆきみさんのご不安や戸惑いもとても大きかったのではないかと思います。自閉スペクトラム症のお子さんの中には、普段と違う状況が苦手で、目新しいものに注意を惹かれやすかったり、不安感からそわそわしたりパニックになってしまうという子も多いものです。健診などの普段と違う環境では、なおのこと力を発揮するのが難しいかもしれません。早い段階で療育に繋がることができたこと、勉強会への参加などを通して家族の方がご理解を深めることができたこと、本当によかったですね。またけんとくんに関する記事を楽しみにしております。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月24日友人とのトラブルなどがきっかけで現在不登校。家では癇癪。相談場所は?Q:発達障害のある小3の子どもがいます。友人とのトラブルなどがきっかけで現在不登校になっています。学校にどのような対応をお願いしたらいいのかも分からず、家にいても癇癪がひどくどうしたらいいのか悩んでいます。どのような場所に相談をしたらよいのでしょうか。A:きっかけとなった友人とのトラブルについて、学校の先生と一緒に解決方法を探っていきましょう。場合によっては保健室や相談室登校などの可能性も探っていくことが考えられます。自宅以外の居場所なども探してみましょう。Upload By 発達障害のキホンまず友達とのトラブルの原因を考えてみます。担任の先生に相談しながら、双方が納得するような指導や環境をつくっていくことが考えられます。また、友達とのトラブルも含めて、不登校の要因はほかにも複数考えられる場合があります。再登校に関しては学校との連携に基づいて、登校しやすい環境条件を整えることから始めていきましょう。登校が困難な場合は、自宅以外の居場所として放課後等デイサービス(※)などの利用も考えられます。放課後等デイサービスの利用に関しては、お子さんの状態に合わせてクールダウンのスペースの確保や、感覚過敏性に対する配慮などの環境調整や、個別の課題やスケジュールの提供などの配慮が得られることが望ましいと思います。地域の相談支援専門員などと相談しながら進めていけるとよいでしょう。学校と福祉機関の情報共有や連携も必要だと思います。(※)放課後等デイサービスの利用には「通所受給者証」(受給者証)が必要となります。取得の条件や手続き方法は自治体により異なります。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年01月23日障害のある子は親を選んで生まれてくるってホント!?新年早々、なんだかいきなり波乱を呼びそうなテーマですが、けっこう私はこの手の話を耳にするんですよ。「子どもは親を選んで生まれてくる」って。そして、「障害のある子どもは、それに耐えうる強い親を選んで生まれてくる」と……。こういった話について、障害のある子どもを育てている親御さんの反応はさまざまだと思います。「そうか!だからか……!だからうちを選んで生まれてきたのね!」と、救われるような気持ちになる人もいれば、「は?そんなことある訳ないわ」と否定する人もいることでしょう。じゃあ、私の場合はどうだったかというと……。「いや、もしそうだったら選び先間違えてるんじゃない?」と正直思いました。だって私ときたらズボラでいい加減で、家事だって下手くそだし、どう考えてもできた親じゃないし、今もきいちゃんをフォローしきれていないことがたくさんあるからです。おうち療育だって正直面倒くさい(というか、ほぼできていない……)生まれてくるなら、もっと私よりもテキパキしてたり、イライラしなかったり、向いてそうな人、たくさんいるやん!!と(もちろんそういうすばらしい親御さんもたくさんいます)。Upload By 星きのこそして、実際のところ、私の周りにいる障害のある子どもの親御さんたちも、定型発達の子どもの親御さんと何ら変わりがないわけですよ。つまり、すごいなと思う人もいれば、ズボラな人もいる。お洒落な人もいればそうでない人もいる。たまたま、障害のある子どもが生まれたってだけで、別に障害がない子どもの親御さんと何も変わりません。Upload By 星きのことにかく明るい!初めて「親の会」に参加して私が初めて親の会に参加させていただいた時のこと。私のまったくの偏見なのですが、障害のある子どもの親御さんって、お洒落にも気を遣う余裕なんてなくて、とっても疲れているというイメージを持っていました(本当にごめんなさい……!汗)。でも、実際にお会いしてみると、すごくお洒落な方や、バンドマンみたいな個性的なお母さんもいて(笑)。本当にいろんな方がいてビックリしました。そりゃそうですよね、子ども産んだからっていきなりその人の個性が変わる訳はありません。もちろん、子どもを産んでからは自分自身に手がかけられなくなるのは、定型発達の子どもも、障害のある子どものお母さんも、皆一緒です。それどころか、わが子のエピソードをネタにして、大笑いしているのにビックリしました……。「うちの子、この前、電車乗り間違えて大変だったのよー!」「うちの子がお風呂の中でウンチしちゃって、プカプカ浮いちゃって……」「うわ~!! うちなんてね……」あ、明るい……!皆さま、とても明るい……!! と、衝撃を受けました。反対に、親の会のメンバーから見た私の初対面の印象は、「く、暗い……!このママ、大丈夫かしら!?」だったそうです。最近、先輩ママさんに「きのこさん、明るくなってよかったわー!あの時、暗すぎてどうしようかと思ったもの」と言われました(笑)。と、言っているその先輩ママさんはなんと暗黒期が6年間もあったそうです! 皆、それぞれいろいろなことを乗り越えて今があるんだなあと思いました。Upload By 星きのこ「障害がある子の母は強い」なんて言われがちだけど、実際は結局、何が言いたいかというと、「子どもが親を選んで生まれてくる。障害のある子どもの母は強い」と言われますが、皆、周りの助けを得ながら少しずつ強くなっているんです。私には分からないけれど、もしかしたら本当に「子どもは親を選んで生まれてくる」なんてこともあるのかもしれません。私自身は、そういった考え方については否定的でもなく肯定的でもないのですが(むしろちょっとロマンチック~なんて思ったりもします(笑))、でも、そういう言葉で、心が弱っている母親に付け込むような商売をする人たちもいると聞いたことがあります。ですので私は、ちょっとお金儲けの匂いや怪しい感じがする団体には近づかないようにしています。いつか遠い遠い未来に自分もきいちゃんもあっちの世界(?)に行った時に、「ねえ、本当はどうだったの?ママ、すっごく驚いたんだけどー!」ときいちゃんに笑いながら聞いてみたいと思います。Upload By 星きのこ執筆/星きのこ(監修:鈴木先生より)以前にもお話ししましたが、ダウン症児の親の集いである「こやぎの会」発行の「ダウン症の健康手帳」1ページ目に書いてある詩の一部を紹介させていただきます。「会議が開かれました。(中略)天においでになる神様に向かって天使たちは言いました。“この子は特別な赤ちゃんでたくさんの愛情が必要でしょう。(中略)どうぞ神様この子のためにすばらしい両親をさがしてあげて下さい。(中略)天から授かった特別な子どもなのです」あなたは子どもが、そして天使たちが選んだ親なのです。あなたでなければ育てられなかったと天使たちの会議では結論したのです。豊かな愛を抱いて育ててくださいね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年01月23日幼少期からの他害。小学校低学年くらいの頃に対策できることは?Q:子どもに重度のASD(自閉スペクトラム症)があり、幼少期から他害があります。このまま成長し、思春期を迎えたら親も他害を止められないかもしれません。小学校低学年くらいの頃に対策できることなどはありますか?A:まず他害が起こりやすい状況を振り返ってみましょう。そして、その子に合った環境調整をすることが大切です。Upload By 発達障害のキホン単に叱責したり注意するだけでは他害が改善しない場合、まず他害が起こりやすい状況を振り返ってみましょう。そして、指示や予定を視覚的に伝えたり、苦手な刺激を遠ざけたり、すべきことを具体的に伝えたりする環境調整を行ってみましょう。それでも改善しない場合、他害行動の代わりになる望ましい行動をスモールステップで教えていくことになります。特別支援担当の先生、もしくは発達障害者支援センター、医療機関などの専門機関に相談しながら対応していくとよいと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月22日相変わらず課題の提出を忘れがちなコウですUpload By 丸山さとこ息子のコウは中学2年生です。ADHDがあるコウは、学校の課題提出を忘れがちです。高校進学のための内申点を上げたければ提出物は避けて通れず、親子ともども頭を悩ませています。先日の個人面談でも「課題の提出状況に波がある」と先生から指摘されていました。コウ自身も「成績をあげたい。そのためには提出物だよね」と言っており意欲はあるようですが、はたから見ていると『どうも具体性に欠けているな』と感じるところがあります。個人面談からの帰り道でコウに「3学期は提出物忘れずに出せそう?」と聞くと、彼はニコニコしながら「頑張ります!」と言いました。やはり気持ちばかりで具体性がありません。思わず「あ~、これは出ませんな~」と笑ってしまうと、コウは「なんで?」と不思議そうだったので例え話をしてみました。Upload By 丸山さとこ「仮に、お母さんがお弁当をよくつくり忘れているとしてね。コウが『お弁当つくれる?』って言ったら、お母さんが『頑張ります!』って言うの。どうかな?」そう聞くと、コウは「え~、不安しかない!」と目を丸くしました。そんな彼に「だよね。お母さんもさっきそんな気持ちになったよ」と共感しつつ、さらに想像してもらいました。Upload By 丸山さとこ「じゃあさ、『〇日〇曜日ね。何時に家出るの?』『寝坊したときに備えて、冷凍のおかずたくさん買っておくね』って言うのはどう?」そう聞いてみると、コウは「これなら大丈夫そう!」と満足そうに頷き「やっぱり『頑張ります』だけじゃダメかも」と納得してくれました。『対策をとる』ということを改めて考えてみましたそうして改めて提出物対策を話し合うと、コウは「必ずやらなきゃいけないことは具体的な対策を複数とったほうがいいね」と言いました。『メモとペンをポケットに入れる』『帰ったらその日のメモをちぎってホワイトボードに貼る』など、基本的な対策を改めて試してみるとした上で、「僕は今まで『頑張る!』だけだったから上手くいかなかったのかも」と過去の自分を振り返っていました。Upload By 丸山さとこ「対策は100点にできる」Upload By 丸山さとこ「『具体的に何をどう頑張るか』を決めると、上手くいってもいかなくてもそこから次を考えることができるんだよね」としみじみ言うコウ。私が「PDSAサイクルのP(Plan・計画)を立てようってことなのだろうね」と返すと、「テスト対策も同じだね」と頷きました。そして「絶対に忘れ物をしないとか、絶対に100点を取るとかは難しいけど、対策は100点にできるってことだよね!」と名言めいたことを言い、「……これは既に有名塾講師の先生が言ってるような気がする!」と予想していました(笑)。具体的な対策をとる習慣が身につくにはまだまだ時間がかかりそうですが、「対策の100点を目指そう!」をテーマに頑張っているコウを応援していきたいと思いました。執筆/丸山さとこ(監修:鈴木先生より)お子さんがADHDと診断されているのであれば、ある程度の不注意は投薬でコントロールが可能です。現在は薬物治療ができる時代に入っていますので、選択肢の一つとして検討してみても良いかもしれませんね。忘れ物や不注意などADHDの傾向があるお子さんは、小児神経の専門医に相談してみるのが改善への近道です。できるまでに時間がかかることで自尊心が低下していくこともありますので、お子さんの自尊心を守るためにも、早めにまずはかかりつけ医への相談をお勧めします。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年01月22日聴覚障害のあるアテンドとともに音のない世界で対話をするダイアログ・イン・サイレンス(静けさの中の対話)は、1998年にドイツでスタートし、フランス、イスラエル、メキシコ、トルコ、中国など世界中で100万人以上が体験したエンターテイメントです。日本では2017年より期間限定での開催を続けています。ダイアログ・イン・サイレンスは、音を遮断するヘッドセットを装着した状態で、音声に頼らず対話をする達人である聴覚障害のあるアテンドや、ほかの参加者と表情やアイコンタクト、ボディーランゲージなど、声を出さずにコミュニケーションをとります。いつも頼っていた言葉を使わない対話は、人を信じる心、助け合う心を育て取り戻していくことができる稀有な体験となります。今回は10ヶ月ぶりの開催となるダイアログ・イン・サイレンス「LOVE IN SILENCE」(2024年1月13日(土)~2月25日(日)開催中)をご紹介します。言葉を使わない対話からLOVEを発見しやりとりする「LOVE IN SILENCE」Upload By 発達ナビ編集部ダイアログ・イン・サイレンスで開催中の「LOVE IN SILENCE」。聴覚障害のあるアテンドに導かれて、いくつかの部屋を90分かけてめぐっていきます。参加者はヘッドセットを装着し、声、言葉、手話を手放す部屋へ入ります。こうしたコミュニケーション手段を使えない状態になることで、自然と相手の目をしっかりと見て、相手が何を伝えようとしているのかを受け取ろうと全身を集中させるようになります。日常生活ではなかなか使うことがない集中力、そして相手の目を見て相手の発しているものを受け取ろうとする力、それが新しい対話の入口となっていきます。Upload By 発達ナビ編集部その後、手で表現する、表情で伝えるなど言葉や手話をつかわないサイレンスの世界での対話を深め、楽しんでいきます。言葉を手放したことで行われる密度の高い対話は、体裁をつくろわずまっすぐに伝え合うことを恐れない心の強さと相手を信頼する力を育ててくれます。いくつかの部屋を終えたあと、1つ目の部屋に入る前の自分と比べると明らかに何かの変化が生まれているはずです。Upload By 発達ナビ編集部ダイアログ・イン・サイレンスは、聴覚障害の擬似体験ではありません。言葉や音を使わないコミュニケーションを育む中で、耳の聞こえない人を知り、その生活や文化を想像し思いを馳せることができる体験です。2024年1月1日におこった能登半島地震では、障害者への支援不足という問題が叫ばれています。聴覚障害のある人は音声情報を得ることが困難であるため、避難所での食料の配布時間などが伝わらないなど、命にかかわる情報が届きづらい状態です。また、手話などの自分の言葉を使ったコミュニケーションがとれず孤独を抱えてしまう恐れが高いため、同じ障害のある人同士など対等の立場で話し合う「ピアカウンセリング」の必要性も高まっています。「LOVE IN SILENCE」での対話によって生まれる“LOVE”は、こういった困りごとの多い世界で助け合う心へとつながる一歩となります。だからこそ、今、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。ダイアログ・イン・サイレンス「LOVE IN SILENCE」チケット絶賛発売中Upload By 発達ナビ編集部【期間】2024年1月13日(土)~2月25日(日)【体験時間】90分【会場】ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」東京都港区海岸1丁目10番45号アトレ竹芝シアター棟1F【チケット】大人:3,850円学生:2,750円小学生:1,650円(税込)※クリックすると発達ナビのサイトから『ダイアログ・イン・サイレンス「LOVE IN SILENCE」』のページに遷移します。
2024年01月21日視覚刺激で理解を深めるーー『会話力がおどろくほど育つ だれ?どこ?なに?カード』Upload By 発達ナビBOOKガイド会話のなかで頻繁に使われる、「だれ」「どこ」「なに」という疑問詞。それぞれの疑問詞が「人」「場所」「物」をあらわすということを理解していないと、質問に正しく答えられないことも。「だれ・どこ・なに」を区別し、適切な使い方を理解することは、知的障害や発達障害のある子どもたちのコミュニケーション力を高めるポイントのひとつです。本書は、楽しく遊びながら、会話でネックになりがちな疑問詞の理解を深めることを目的とし、特別支援教育士として発達障害がある子どもたちへ訪問療育サービスを行う八坂美穂先生が、ABA(応用行動分析)の理論に基づいて開発したカードゲームです。明るい色合いのかわいらしいイラストで構成されたカードは、7枚の「だれカード」、13枚の「どこカード」、32枚の「なにカード」と「場面カード」そして「だれ・どこ・なにシート」がセットになっています。ゲームは、ABA療育で行われる課題の一つ、支援者からの質問や見本に対して、子どもがいくつかある選択肢から対応するものを選んでいくという「見本合わせ(マッチング)」の理論に基づいて考案されています。本書の対象年齢は3歳から。絵カードなので、まだ文字が読めない子どもや、視覚優位の子どもにも取り入れやすいでしょう。さらに、理解度に合わせ、できることからスモールステップで進めるように工夫されています。親子でやりとりをするなかで、子どもの成長を感じられるのではないでしょうか。楽しみながら学べる本書は、家庭学習はもちろん、児童発達支援や放課後等デイサービス、学校や園など支援の現場にもおすすめの教材です。ちがいが分かれば、寄り添うヒントが得られるーー『発達障害の子どもたちは世界をどう見ているのか』Upload By 発達ナビBOOKガイド本書は、発達障害がある子どもたちから見た世界がどのようなものなのか、豊富な精神医学的知見を有する精神科医、昭和大学医学部精神医学講座主任教授 岩波明先生が、優しく理解しやすい言葉で解説した一冊です。本書では、ASD・LD・ADHDの3つの障害ごとに「家庭」「学校」「社会」において発達障害がある子どもたちの言動や気持ちを深堀し、一つひとつ丁寧に解説されています。さらに、発達障害の特性が小児期、思春期、成人期にわたってどのように変化していくのか実際の症例をもとに紹介。そのうえで、子どもたちと関わる立場の人々が、彼らとどのようにコミュニケーションを図っていけばよいか、当事者たちのことを的確に理解するための対応方法がまとめられています。わが子や担任児童など、身近にいる発達障害がある子どもたちが、どのように世界をとらえ感じているのかを理解することができたら。「なんで?」や「イライラ」が減り、これまでより少しだけ肩の力を抜いて共に日々を過ごせるようになるかもしれません。当事者に関する事例紹介と、医学的知見に基づいたよりよい接し方を盛り込んだ本書は、保護者はもちろん、学校や塾などの教育現場などで日々子どもたちと接する方にとっても、手元に置いておきたい一冊となるのではないでしょうか。困りごとに向き合う育て方のヒントが万歳ーー『発達障害グレーゾーンの子の育て方がわかる本』Upload By 発達ナビBOOKガイド発達障害の特徴がみられるものの診断を受けるほど色濃くはない、発達障害の「グレーゾーン」といわれる子どもたち。発達障害の診断項目を満たすほど特性はなくても、発達に凸凹があり、そのために日常生活に困りごとがある状態です。本書では、発達障害のグレーゾーンの解説から、グレーゾーンの子どもへの発達支援の基本、さらに、幼児期の就学前にできるサポートと、就学後の学童期にできるサポートの4部構成でイラストを交えて分かりやすく記されています。監修は、横須賀市療育センター所長であり小児精神・神経科医の広瀬宏之先生。本書では監修に加え、専門家からの視点でのコラムも執筆されています。発達障害は目に見えにくい障害のため、周囲の理解を得にくいことがあります。グレーゾーンであればなおさらです。しかし、発達の凸凹からくる困りごとを見過ごしてしまうと、やがて周囲の環境とのミスマッチが高じて、本人が傷つき、結果として発達の遅れや2次障害に繋がることも。診断があってもなくても、毎日の生活では工夫が不可欠なのではないでしょうか。声かけやほめ方、適切な環境設定、就学準備や学習支援など、幼児期から学童期までの子どもとの関わり方や工夫が具体的に紹介された本書は、発達障害グレーゾーンの子どもたちの困りごとに向き合うヒントが詰め込まれた一冊です。苦手を減らして小学校につなげる工夫ーー『発達凸凹キッズがぐんと成長する園生活でのGood!なサポート』Upload By 発達ナビBOOKガイド本書は、保育園、幼稚園、認定こども園などの集団生活の場面を取り上げ、多くの園で実際に起こりがちな「おしい!」対応と、ひと工夫加えた「Good!」な対応をそれぞれ4コマイラストで紹介。それらを比較しながら、なぜ「おしい!」のか、なぜ「Good!」なのかを分かりやすく解説された一冊です。著者の石川道子先生は40年以上にわたり、発達専門の小児科医として名古屋市立大学病院などで発達専門外来を担当しながら、診療室外では巡回相談や家族支援なども実地。NPO法人アスペ・エルデの会の統括ディレクターも務めています。また、同じく著者の三輪桃子先生はフリーランスの言語聴覚士として、保育園や幼稚園などでの巡回相談や療育機関での言葉の療育を担い、集団の場と個別の場、その両方から子どもの発達を支えているエキスパートです。第1章では、乳幼児期の集団生活が大切な理由を、第2章では乳幼児期に「人とよい関係を築く」ためサポート方法を、第3章では保護者とよい関係を築く対応方法、第4章では、幼児期の頑張りを就学後の生活に繋げる工夫が記されています。発達に特性がある子どもの関わり方だけではなく、その保護者との関係づくりや、小学校との連携についても丁寧に記されているのも本書のポイントです。保護者との情報共有や就学に向けたサポートについてなど、それぞれの場面で保護者にどのように伝えたらよいのか、また、何に配慮したら良いのかも具体的に解説されています。発達に凸凹がある子どもに関わる幼稚園や保育園などの保育者の方、療育関係の方、そしてこれから子どもたちを引き継ぎ受け入れていく小学校の先生にもおすすめの一冊です。できた経験を積み重ねてほしいーー『発達障害の子のためのできる道具自信を育てる』Upload By 発達ナビBOOKガイド本書は、筑波大学付属大学特別支援学校で発達障害のある子どもたちに日々寄り添う佐藤義竹先生の監修のもと、「できない」を「できる」に変えるお助け道具満載のビジュアル図鑑のような一冊です。特別支援教育では、「手立て」をとても大事に考えられています。手立ては、言葉かけなどの関わり方や、教材教具までさまざまです。大切なことは手立ての活用を通じて、「できる」から「できない」に変わるということ。本書には、手立ての一つである教材教具の視点から、子どもたちに寄り添う道具がたくさん紹介されています。道具を使うことで「できた」という経験、その積み重ねを通じて、子どもたちが達成感を得て、自信を深め自己肯定感を高めることを意識して構成されています。本書では、「ちゃんと洗いなさい」の「ちゃんと」を見える化する道具や工夫、指に入れずに握って切るタイプのハサミの紹介や、親子の会話が生まれるゲームでコミュニケーションの手立て、持ちやすい鉛筆や書きやすくなるノートなど学習についてなど、道具の紹介と共に「できる!ポイント」や佐藤先生からの道具を導入する場合の一言コメントも、一つひとつ丁寧に記されています。身辺自立の手助けや学習面のサポート、コミュニケーションを楽にしてくれるお助け道具の数々。さまざまな道具の紹介を通じて、発達障害がある子どもたちの成長に寄り添う、新たな視点を感じる子育てサポートブックではないでしょうか。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年01月21日「白いもの」以外の食べ物……ならば、大好きなピンク⁉娘の偏食っぷりはひどくて、食事は基本「白いもの」。白米、豆腐、牛乳、ヨーグルト、チーズ、バナナは喜んで食べてくれますが、それ以外のものは、なかなか食べてはくれません。3歳の時に、便秘気味で小児科に受診した際、お医者さんから「しばらく玄米にしてください」と言われてしまいました。家に帰った娘は「みーちゃんは、はくまいしじょーしゅぎなの」と泣き続け、ハンガーストライキ。「白米至上主義」なんて言葉、いったいどこで覚えたんだか⁉ホントに夕飯は食べてくれず、翌日少しぐったりしている娘を連れて小児科に再受診したら、「子どもはおなかがすけばなにか食べます」とお医者さんに強くいわれたので、ひきつづき玄米をあげて様子見。しかし、結局「おなかちゅいたよぉ~ひもじいよぉ~」と泣きながらミルクだけで過ごしていたので、私が根負けして、白米を出してしまったこともありました。食べるものは白いものが好きですが、娘はピンクが大好きで、当時の服装は、ピンク色のものばかり。そこで、「ピンクならば食べるのではないか?」と、料理がピンクになる食べ物をあれこれと試してみたところ、ビーツ(大根のようなもの)には興味を持ってくれたのです。幸い、ビーツは「食べる輸血」といわれるほど栄養価が高いので、以来、ビーツはわが家でよく利用する食材の1つとなりました。今回は、娘が喜んで食べてくれて、しかも作るのもお手伝いできる時短レシピ「簡単ボルシチ」をご紹介します。感覚過敏の子どもが作れる&食べられる「簡単ボルシチ」●材料(大人2人分よりは少な目の、大人1人+子ども1人分)・牛肉100g・ビーツ(水煮されているもの小さめ2つ)・キャベツ・白菜・ほうれん草などの葉ものどれかを2~3枚・人参1/2本・玉ねぎ1/4個・ジャガイモ1個・お湯300ml・コンソメキューブ1個・塩少々【その他あると良い食材】・ニンニク少々・トマト1個、あるいはトマトの水煮大人だけだとニンニクも入れるとおいしいのですが、子どもも一緒に食べるので、ニンニクはなしでつくっています。入れたい方は、ニンニクを少々入れるともっとおいしくなります。娘はトマトが嫌いなので、トマトを使っていませんが、トマトやトマトの水煮を入れるともっとおいしくなります。水煮を入れる場合には、お湯の量を半分くらいにして、水分量が全部で300mlくらいになるように調節してください。保育園から帰宅してからスタート!30分で仕上げます!Upload By 秋山ゆかりUpload By 秋山ゆかりちょきちょきひたすら切ってもらいます。スープで煮込んでしまうので、わが家はバランスを考えて、しいたけなどのキノコ類を入れることも多いです(娘は絶対にキノコは口には入れませんが……)。仕上げにサワークリームやパセリをトッピングするとさらにおいしくなりますが、わが家は娘が偏食のため、サワークリームもパセリもなしのことが多いです。Upload By 秋山ゆかり1、水煮のビーツを使うこと。すでに柔らかいため、長時間の火入れが不要です。また、生から煮るよりもあくが抜けているため、味覚が敏感な子にも少しは優しい味のようです。2、小さめのサイズに切ること。火入れの時間が短くてすみます。ジャガイモは、洗って皮つきのままラップしてレンチンしておくと、火入れの時間が短くてすみます(うちは娘が電子レンジ調理のものを一切食べないので、この手が使えませんが……)。試行錯誤の末、水煮のビーツが定番に!最初娘のお手伝いは、はさみでチョキチョキと切ることでしたたが、すぐに大人の真似をしたがったため、子ども用の包丁を持って切るのを手伝ってくれるようになりました。最初は、手を切ってしまうのじゃないかとドキドキで、「自分でやったほうが早く終わるのに!」と思ったことも何度もありますが、「これは私の忍耐をつける修行だ!」「それよりも、この子が食に興味を持ってくれることの方が大事だっ!」と思い、ぐっとこらえていました。そのうち、ちゃんとできるようになるのですから、子どもの成長力たるやたくましいです。初めてお手伝いしてくれたボルシチは、「お手伝いをした!」という気持ちが強かったからか、あるいは、ジャガイモの味が安心だったのか、「みーちゃん、ごはんじょーじゅー」といいながら、半分近く食べてくれました。私は、娘が白ではない色付きのスープを食べていることに興奮しました(笑)。2回目につくったときは、生のビーツを使ったためか、薄切りにしてあったけれども、ほとんど食べてくれず……。あくが強かったのかもしれません。3回目は、ビーツパウダーを使ったのですが、コクがうまく出ず、味がぼやけていたこともあってか、娘は「うしゅーいピンク。ちょっとちがーう」といって、手をつけませんでした。Upload By 秋山ゆかり4回目以降は、水煮のビーツをスーパーで買うようになり、あくもそれほど強くなく、おいしくできあがったので、娘も「ピンクー、ピンクー」と喜んで食べてくれるようになり、わが家の定番となりました。ビーツといえば、この他にも、ビーツを使ったニョッキやサラダなど、いろいろとつくってきました。ニョッキは、ジャガイモをつぶしたものに、ほんの少しビーツの粉を混ぜ込んでつくって、白とピンクにして、ホワイトソースをかけて食べるのが一時ブームになりました。Upload By 秋山ゆかりほうれん草の粉も残っていたので、それを混ぜた緑バージョンや、カボチャの粉を入れた黄色バージョンもつくってみましたが、それらは食べてくれませんでした(涙)。なかなか手ごわいですね。よろしければ皆さんもお試しください!執筆/秋山ゆかり(監修:井上先生より)感覚過敏とこだわりは互いに関連することも多いです。秋山さんのようにお子さんと一緒に料理をつくることで、料理に入っている食材が何なのかも分かり、食べれるようになったお子さんもいらっしゃいます。また料理自体が楽しくなると食事も食べやすくなると思います。お子さんのリクエストを材料や調理方法に反映させていらっしゃるところはとてもすばらしいですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年01月20日コロナ禍での休校がきっかけで見通し不安、昼夜逆転、家庭内暴力が始まった息子小学校1年生のときADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けた息子は、小学校までは通常学級に所属していました。小学5年生の年度末にコロナ禍のため休校になったことをきっかけに、「いつから学校に行けるの?」と先の見通しが立たずパニックとなり、昼夜逆転生活がスタート。そして同時に他害が始まりました。できる限りのサポートをと向き合いましたが、暴力を抑えられず家族だけでは対応が難しい状況となり、きょうだいへの影響も大きかったことから、6年生になってすぐ半年ほど小児精神科への入院も経験しました。9月から小学校に復帰したのですが、マスク生活など今までの生活様式が一変してしまい、パニック症状が悪化しました。小学6年生の2学期に、小学校の先生、進学予定の中学校の先生と私たち保護者とで話し合う機会を持ちました。中学校の通常学級では教科ごとに先生が変わるので、息子へ細かなフォローアップができる特別支援学級が良いのではという意見がでました。息子に相談したところ、息子自身も特別支援学級がいいとなり、中学入学と同時に、特別支援学級(情緒学級)に転籍しました。これで息子も落ち着いた学校生活を送れるかと思ったのですが、環境の変化に弱いため特別支援学級の環境に馴染めず、孤独を感じたようです。授業内容もすでに習ったものであったそうで、勉強好きだった息子は学習意欲が低下。そして再び不登校となってしまいました。中学で再び不登校に。一日中ゲーム、子ども部屋はゴミ部屋に……。不登校後は昼夜逆転に戻り、一日中ゲームで遊んでいたり、近所のスーパーで買い物したものを食べたりしていたようです。片づけができないので、部屋はゴミ部屋状態でした。Upload By ユーザー体験談家庭内暴力もひどくなりました。夫はテレワーク中で、息子の暴力行為を目の当たりにしたためメンタルの調子を崩し、息子へ向き合うことができなくなりました。私一人で息子と話し合い、児童相談所との相談もしました。児童相談所より「自宅での療育が困難」と判断された息子。一時的に児童養護施設でお世話になることになったのですが、そこでも暴れてしまい受け入れ先がなくなってしまいました。そのため、以前から契約していたショートステイ施設でロングステイさせてもらい、しばらくは、そこから中学校へ週2、3日、半日登校するという生活になりました。そこで生活リズムを作ってもらえればと思ったのですが、ここでも昼夜逆転を直すことは難しく、相変わらず荒れた生活を送っているようだった息子。どうすればいいのか……私は悩みに悩みました。「息子の生活リズムが整えられるような施設はないでしょうか」児童相談所へ何度も相談し、全力で息子に合う施設はないか探しました。ですが、暴力行為のある息子は、県内の施設全てで受け入れを拒否され、行き場がありませんでした。しかし、ようやく県外の医療併設型児童養護施設が一枠あいていることが分かりました。ここへ入所することになると、施設内の学校へ通うことになります。息子のこれからの人生を考え、義務教育期間中に生活改善をしておきたいと思っていた私は、藁にも縋る思いで、施設入所への準備を始めました。「目標を立てて一緒に頑張ろう」最初息子は施設への入所を嫌がりました。ですが、日にちをかけて話し合い、「今のままでは、地元の中学に通い続けることが難しいよ。生活習慣を整えて中学3年生の4月からこちらに戻れるよう、目標を立てて一緒に頑張ろう」と、息子と一緒に目標を立てました。そして、息子とともに施設を見学し、本人も生活の乱れを自覚していて、なんとか立て直したいと思っていることから施設入所を承諾。中学1年生の1月から入所し、施設に併設されている中学へ通うようになりました。私は祈るような気持ちで見送りました。ここからが息子の踏ん張りどころなのです。Upload By ユーザー体験談一方、通っていた中学校の先生には都度報告、相談をしていたのですが、この施設入所については、先生方からはなかなか理解してもらえませんでした。「週に数日でも中学校に通えているのに、施設にいれるのですか?」「家庭で子どもの療育はできないのですか」「お子さんは見捨てられたと思わないでしょうか……」でも、どうすればいいのでしょうか。今のままでは息子の生活を立て直すことが難しいのです。私は先生に一生懸命説明しました。息子が納得したうえで入所することを。Upload By ユーザー体験談夫のメンタルが弱っている中、私自身の精神状態もかなり危うい状態でしたが、義務教育期間中に息子の生活リズムを整えなければ、彼は大人になってもずっとひきこもる可能性もあるかもしれない……。できるだけ早期に、息子の生活や精神面を整え、将来自立できるようにサポートしたい、それがかなう環境を息子に用意してやりたいという思いでいっぱいでした。その思いが、なんとか私を支えていたと思います。努力した息子は、生活習慣を整え目標通り退所。地元の中学へ入所中、息子は長期休暇などを利用して定期的に試験外泊し、寝る時間など自宅でのルールを取り決め実施しました。また、試験外泊の際は、地元の中学の先生と面談、また先生も息子の施設や施設内学校の訪問もしてくださり、施設と学校同士で情報共有してくださり、本当に感謝しています。そして息子は、目標通り中学2年生の終業式後に退所し自宅に戻ってきました。そして、中学3年生の4月から、地元の中学へ転入、特別支援学級へ再び通い始めました。先生方は、息子が戻ってくるまでに2年かけて、特別支援学級での指導の仕方について中学校と教育委員会と話し合い、改革をしてくださっていました。特別支援学級の生徒は30名程度いたのですが、息子は通常学級と同じ内容の授業を受けることができるクラスになりました。そのため、勉強好きな息子は不登校にはならず、通い続けることができ、なんと中学3年は皆勤賞。定期テストも通常学級と同じテストを受け、学外で行っている受験対策用の模試や9月以降は実力テストのみ交流学級で受験するようになりました。これは、息子の受験対策として、大勢の生徒に囲まれて試験をうけられるよう学校側が計画してくださいました。Upload By ユーザー体験談志望校受験に向けて頑張っている息子を支えていきたい家に戻ってきてからの息子は前向きで、障害受容もしっかりとできており、先日精神障害者福祉手帳3級を取得しました。息子は幼少期からの夢「設計士、建築士」への道を希望しています。学習能力は高いのですが、情緒が安定しないため公立高校への進学は断念し、丁寧に対応してくれる私立の専修学校・建築科を単願志望しています。一時期、家庭崩壊の一歩手前だったわが家ですが、息子は今、将来の夢に向けて前向きに勉強に取り組んでいます。悩んでいた数年前が嘘のように、落ち着いた生活を送れています。夫のメンタルも回復し、私自身の精神状態も成長した息子の姿が心の支えとなり回復してきました。息子はこれからどんどん成長していくと思います。自分のやりたいことに向かって、これからも頑張る息子を、私は支え続けたいと思います。イラスト/海乃けだま※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。(監修:鈴木先生より)自閉スペクトラム症のあるお子さんの対応には、ペアトレの基本である「傾聴と承認」が重要です。息子さんはまだ中学生なので児童相談所ではなく本来ならば小児科の神経外来を受診して相談すべきでしたが、該当するような小児科が近所にはなかったものと推測します。児童相談所は医療ではないので診断はできません。基本的にはかかりつけ医に相談して専門医へ紹介してもらうのが筋でしょう。中学校の先生がおっしゃるように、週に数日でも中学へ通えているならば一般的には施設に入れる必要はないと思われます。児童精神科医と小児神経科医との考えには多少ずれがありますが、医療へつなげることも忘れてはいけないことだと思います。そこには必ず答えがあるはずです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年01月19日いじめを避けて私立中高に入学した私ASD(自閉スペクトラム症)がある私は、公立小学校でひどいいじめを受けていました。兄が心配して両親に「義子は中学以降は私立に行かせてやってくれ、公立に進むともっとひどいいじめに遭うと思う」と頭を下げてくれたことから、中学受験をして中高一貫の私立の進学校に通うことになりました。進学校では好成績によってスクールカースト上位におっとりしたお嬢様の集まる女子校だったその学校では、スクールカーストはスポーツの得意さや言動のそつなさではなく、成績の良さで決まるところがありました。私はピタッといじめられなくなりました。「あの常に学年で3位以内の宇樹は私の友達なんだよ!」とほかの子に自慢する子や、いつも成績のいい◯組の宇樹ってどの子? と見にくる、他クラスの子もいるぐらいでした。コミュニケーションの面ではやはり浮いていたので、うっすら敬遠されて、同じグループの子たちが気づいたら休みの日にこっそり私抜きで遊びに行っていたとかはありましたが、それ以上のことはありませんでした。親や先生の期待×完璧主義・白黒志向で無理が加速仕方ないことなのですが、世間や周囲の大人の誰にも発達障害の知識がなかった30年前当時、両親には「学校の成績がいい = 有名大学に行って有名企業に入るか士業などに就いてエリートになる」といったイメージしかなかったようです。口でははっきり言わないものの、両親が私に「エリートになるに違いない」という期待を寄せているのはひしひしと伝わってきていました。また、父は幼稚園ぐらいの私に「世の中は戦場で、お前たちはそこで戦い抜いて生きていくんだ」と言って聞かせたり、小学校時代に学校に行きたくないと言ったら「いま学校に行かなくなったらお前の学歴は途絶えてしまう。そうするとお前は将来路頭に迷う。だから頑張って学校に行きつづけろ」と諭したりしました。ASD傾向のある幼い子どもだった私が、父の言ったこのようなことを鵜呑みにして恐怖し、「全力で努力しつづけて勝つ(良い大学に行くなどしてエリートになる)のでなければ生きていけない」と思い込んだのは自然なことです。私は本来の特性にもある完璧主義・白黒思考を加速させ、強迫的なまでに勉強に打ち込むようになりました。食べる寝る以外ほとんど勉強に捧げた青春と弊害中高時代は慢性的に過労状態でした。耳鳴りや口内炎、風邪がいつまでも治らないなどは日常茶飯事。いつも歩きながら眠り込んでしまいそうなほど眠くて、「思う存分眠れるなら思い残すことはない」と思うくらいでした。いま思えば学校まで片道で2時間近くかかる通学で毎日午前5時起きというだけでも体力的に無理がかかっていただろうに、高3になれば、午後4時ぐらいに学校が終わると予備校の始業に間に合わせるために文字通りダッシュして電車に飛び乗り、帰宅は午後11時近く。その後、午前0時過ぎまで復習をして、寝るのは午前1時半……。睡眠時間は慢性的に4時間前後でした。そして定期テストのときには徹夜に近いことをし、カフェイン飲料で心身に鞭を打っていました。自室を片づける気力体力が枯渇していて、部屋はいつも足の踏み場もないような状態。休日は夕方まで寝っぱなし、ニキビは顔じゅうに広がり、頭がクラクラしてくるほどの冷えのぼせに苦しめられ、毎度の生理痛はあまりの強さに時にはトイレで昏倒するほどになりました。部活を楽しむ余裕などもちろんなく、アルバイトや遊びで人間関係を楽しんだり学んだりする余裕もありませんでした(余裕もなかったし、「学生の本分は勉強だ」として父から禁止されていました)。幅広い経験を積んでたくさん勉強以外のことを学ぶべき時期に、あまりにも勉強、それも詰め込みの受験勉強ばかりに費やしてしまったこと、また、大事なこの時期にあまりに自分の身体を痛めつけてしまったことを、今深く悔いています。大学に入っての挫折、バーンアウトからのひきこもり傾向勉強も大学選びも自分の意志から出たものではなく、親の勧めや期待に盲目的に従うような形で300%ぐらいの無理を何年も続けていた私。親の言っていたとおりの有名私大に受かった時点で、すべてのモチベーションが吹き飛んでしまいました。バーンアウトです。入ったのは、有名作家を多数輩出している文学部でしたが、授業が始まってすぐに、「私はどうやら文学に興味がないらしい」と気づいてしまいました。ショックが大きすぎて、しばらくの間、頭が真っ白に……。高校までのように、「学校側が決めた時間割があって、何時から何時まできっちり授業に出なければいけない」といったような縛りがなくて自由なこと、どんな学生生活にするかを自分で選んで自発的に進めていかなければいけないことも、私の混乱に拍車をかけました。私はロクに大学の授業に出なくなりました。当時勃興期だったインターネットでチャットに没頭するなどして、だんだんに生活は昼夜逆転。昼間に出かけられなくなっていきました。この頃、悪いことに母の調子も悪くなります。私が出かけようとすると何かと妨害してきたり、私が日常の世話をしてやらねばならなくなったりしたことで、私はここから今の夫に出会って実家を出るまで10年間ほど、暗黒の準ひきこもり生活が始まることになってしまいました。ASDの私が今思うこと ーーまずは自立訓練、そして手に職が必要だった最近、ある自立訓練施設が「働き続けられる人間になるためには、スキルを身につける前に、心身の健康管理をして上手に日常生活を継続できるようにする『自立訓練』が必要」ということを発信しているのを見て、本当になるほどと思いました。誰もこのこと(世の中には生活の仕方について訓練が必要なタイプの人がいて、私がそのタイプだということ)を知らなかったのだから仕方ないのですが、私は子どもの頃から最近に至るまで、「私も当然、スキルを身につければ働けるようになるはずだ」と思って必死に勉強したり資格勉強したりしてきたのです。でも言われてみれば確かに、私に必要なのは、無理しすぎず適度に努力しつづけて結果的にものごとをやりとげることだったり、その前提としての無理しすぎないマインドセットだったり、そういうことだったのですね。また、やはり仕方がないことではありますが、「学校の成績がよい = 有名四年制大学に入るのがベスト」という、私の親世代の価値観も、結果的に私を苦しめてしまったなと思います。今となっては、私のようなタイプは、何か専門学校に通って「手に職」となるようなスキルや資格(特に、資格がなければその仕事に就けない「業務独占資格」)を身につけて早めに社会に出たほうがよかったのではとも思います。20代から30代は、定型発達の若者にとっても社会生活を送る上で大事な人生経験を積む時期。発達障害のある若者は人生経験から何か学んで自分のものにするのに時間がかかるので、この時期に何かしらの社会活動が継続できるようコンディションを保っておく(=ティーンのうちに本人にそぐわない無理をさせない)のが何より大事だと思います。私は自分に合う進路選択ができなかったため、この時期をひきこもってしまって学習機会を損失したり、立ち直るための治療に精一杯で過ごしてしまって充分なキャリアも積めなかったりしたので、次の世代の子どもたちにはもっと違った生き方をしてほしいと願っています。文/宇樹義子(監修・鈴木先生より)父親にもこだわりがあり、同じようなASD特性のある方だったのではないでしょうか。また、自分のやってきたことや、やってこれなかったことを、過剰に娘に押し付けて巻き込んだケースとお見受けしました。バイトや部活をして社会性を高めることも重要ですが、中には人間関係などでやめていく人も見られます。大学に入って自由が逆に混乱を招いたように、ASDの受け身型タイプの方は、人からやることを示されてその通りに行っていく方が楽なことも一方ではあるものなのです。中学高校の進学校で学んだことは決して無駄ではなく、将来に必ず役立つものと思います。プラス思考でやっていきましょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年01月19日週2日保育園のお迎え&預かりをしてくれる両親現在6歳の息子がいます。実家の両親は、週2日、息子の保育園のお迎え&預かりに協力してくれています。父は息子と一緒に家庭菜園の収穫をしたり、外遊びをしてくれたりするので、息子は「じいじ大好きっ子」です。母も、息子が来る日は夕ご飯を用意してくれていましたし、教育熱心なところもあるので、パズルや塗り絵、簡単なドリルなどを息子のために買ってきてくれて、一緒にやってくれています。息子にとって、優しいじいじは安心して甘えられる存在、そして、勝ち気なばあばは良きライバル(ケンカ友達?)として見ているようで、どちらのことも大好きです。息子は3歳6ヶ月児健診で、できることとできないことの差があると指摘され、3歳9ヶ月で「新版K式発達検査」を受けたところDQが80で3歳0ヶ月相当、境界域であることが分かりました。Upload By ユーザー体験談息子を預かってもらっていますので、両親へは息子の発達に関することについてこまめに話していました。発達検査を受けたこと、その結果、療育に通い始めたこと、就学相談を受けること……。最初は両親とも「〇〇くんはちょっと落ち着きはないけど、あんたの気にしすぎじゃない?」という反応でした。特に母は発達検査の結果が出たあとも、「私たちには○○くんは発達に遅れがあるようには見えないけれど……」と納得がいかない様子。ですが私が読んできた発達に関する本を「私たちも読みたいから貸して」と言って、読んでくれました。Upload By ユーザー体験談前向きな選択として決めた特別支援学級。でも母は「通常学級がいいのでは?」と反対でそして就学を控えた今年、私たち夫婦は就学相談に行きました。息子には偏食が強い、服が濡れることや大きな音を嫌がる、初めての場所が苦手、じっとしているのが苦手、人の話をじっと聞けずに途中で話をさえぎってしまう、会話が一方通行になりがちといった傾向があります。また、人に筋道を立てて物事を説明することや、人が決めたルールや指示を正確に理解して、それに沿って何かをするといったことも苦手です。息子のこうした面が、小学校で集団授業で受ける際にしんどさとなるのではと感じていた私は、息子の就学先として特別支援学級を視野に入れていました。私と夫は、息子が学ぶことや人と関わること、学校という場所を好きでいられることが大切だと思っています。そしていつか社会に出たとき、臆せず人に助けを求めることができたり、他者と良好な関係を築けたりするようになってほしいと思い、息子にとってなにがいいか何度も話し合いました。そして、特別支援学級に進むことに決めたのです。息子にとって最善な選択だと前向きに決めました。ですが、母は「どうして通常学級に行かせないの?」と難色を示し、反対したのです。Upload By ユーザー体験談「発達障害の本の内容に当てはまらない」と息子の発達障害を受け入れない母「発達障害の本は読んだけど、すべてが○○くんに当てはまるわけじゃない。発達障害ではないんじゃない?」「認知面に苦手さがあるって言うけど、あの子は記憶力もいいし、口も達者でしょ」「○○くんは、癇癪を起こすとか、友達とトラブルになるとか本にあった体験談に出てくるようなことはないよ。協調性があるように見える」「空気が読めないって聞くけど、○○くんはそんなことないよ」「境界知能っていうけど、○○くんは理解力があるし、賢い子だと思う」母は読んだ本にあった発達障害の特性と息子の特性は必ずしも同じではない、特別支援学級ではなく通常学級にしたほうがいい、と頭ごなしに言ってきます。確かに息子はどちらかというとおとなしいほうで、対人トラブルとは無縁。園のお迎えに行っても、お友達と楽しく遊んでいます。また、息子は人の顔色などに敏感なほうで、特に相手がイライラしていると、その空気をすぐ察します。母はそうした息子の姿をよく見ているので、そう言うのでしょう。母との話し合いは平行線のままでした。その後も母からはいろいろ言われましたが、なかでも一番こたえたのが、「家系的に発達障害の人はいないし、高齢出産だったのが原因かしらね」でした。発達障害についていろいろと調べた私は、発達障害の原因は私が高齢出産だったからだとは考えていません。ですが、私は41歳で出産しましたし、フルタイム勤務でストレスフルな職場でした。関連はないと思っていても人から言われると結構傷つくものだなと思いました。そんな話し合いが続いたのち、ある日母がぼそっと言いました。「まあ、私が『あの子は発達障害だ』と認めたくないからそう思うのかもしれないけど」。その姿は、かつて私の姿でした。確かに私も息子は発達障害ではないと思いたい時期がありました。でも、やはりなにか違うと感じましたし、息子のためにできることはしなければと思いました。たとえ、今は困りごとがなかったとしても、いつかトラブルが起こることを防ぐため、息子にあった環境で過ごせるようにすることが、なによりも大切だと考えるようになったのです。母は障害受容の手前。少しずつ分かってもらえたら今の母は「まあ、あんたたちが決めたことやから反対はしないけど」と言うようになりました。ただ、「○○くんの能力が伸びてきたら、通常学級に戻るつもりやんな?」と完全には認めてくれていない様子です。母は障害受容の手前で葛藤している状態なのだと思います。息子は、まだ医療機関で診断を受けたことがないので、息子の障害にまだ名前がついていない状態なのも、母にとってはややこしいのかもしれません。一方父は、息子の発達に関して私に直接何か言ってきたり聞いてきたりすることはありません。先日私に「○○ちゃんは年齢とともにできることが増えてきたね。がまんもできるようになってきたし」と言ってくれました。他人と比べてではなく、息子だけを見て、良い変化を見つけて喜んでくれているのがうれしいですし、母のように「息子を発達障害ではないと思いたい!」という圧を出さないでいてくれるのも私にはありがたいです。Upload By ユーザー体験談完全に理解してもらうのは難しいかもしれませんが、今後の私たち親子の姿を通して、いつか母にも息子に合った環境を選ぶことの大切さを分かっていってもらえたらと思っています。イラスト/まるエピソード提供/苗(監修:鈴木先生より)息子さんはあなたのお子さんです。いくら祖父母が子育てを手伝ってくれているにしても祖父母の子ではないのです。自分の子どものことは親が決めていいのです。発達障がいは症候名で具体的な病名としてはASDやADHDなどがあります。「発達障がい」という「障がい」だけが祖母の脳裏に刻まれており認めたくない気持ちがあるのかもしれません。今は発達障がいと言わず「障がい」がなくなり、神経発達症と言われています。「ASDは特性でADHDは慢性疾患で障害ではありません」と日頃私の外来では説明しています。具体的な診断をかかりつけ医に相談して早めに方向づけを行うのがよいかと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年01月18日「見た目」が変わっていると見失う?わが家の長男、タケル(ASD/自閉スペクトラム症・現在23歳)はASDの特性からか、物を見つけることがとても苦手です。タケルが机の上に置いていったものを、私がどこかに移動させたりすると、どんなに近くてももう見つけきれません。横向きに置いてあった財布を、自分でうっかり縦向きにしていただけで見失ったこともあります。Upload By 寺島ヒロタケルの記憶の中の「カタチ」が少しでも変わっていると、「違うモノ」と思い込んでしまうようです。だから、目の前にあるものでも、見つからないなんてことがしょっちゅうあります。帰省のついでに読まない本を持って帰ろうと……さて、昨年のお正月のことです。久しぶりに大分県の自宅に帰れることになったので(私たち家族は息子の通学のために大阪府に家を借りて普段はそちらで暮らしています)、大阪の家のリビングの本棚にあった、もう読まない私の本を持ち帰ることにしました。2段の棚に入っていた本は、中くらいの段ボール箱ちょうど1個分になりました。大分の自宅まではおよそ500キロ。車で8時間半の道のりです。私と夫で交代しながら、丸一日かけて帰省しました。大分の家では、長らく放っておいた部屋の掃除、そして近所の方へのご挨拶、地元でしか買えない調味料などを買いに行くなどして忙しく働きました。その間、子どもたちはそれぞれの部屋を掃除し、大阪に持って行きたいものを物色したりなどしていました。イリュージョン? ないはずの本が本棚に!?翌日また一日かけて大阪に帰宅しました。タケルといっちゃんは、2人とも重そうな紙袋を持っています。大分の家で見つけたもう一度やりたいゲームや本などを持って帰ったとのこと。大阪の家は借りている家ですから、あまり荷物を増やしたくないんだがなあ……とは思いましたが、気持ちは分かります。「仕方ないなあ、自分で置き場所を決めて片付けるのよ」と言い渡して、その日は寝てしまいました。翌朝、目を覚ますと……なんと! リビングの本棚に、私が大分の家に持って帰ったはずの本が詰まっているではありませんか!そう、タケルが大分の家で見つけて「めっちゃいい本があった!」と思い、大阪の家に持って帰ってしまったのです!タケル「ちょうど良い感じに棚が空いてた」って! 違うヨ!その本、以前からここにあったんだヨゥ……。Upload By 寺島ヒロ意識するかどうかの差?ほかにも持って帰ったり、持って行ったりしたいものがあったのに……。この本たちが往復1000キロも無駄に旅したのかと思うと、膝が抜けるくらいガックリしました。一度ちらっと見ただけの漢字やテレビCMを完璧に記憶していたりすることもあるのに、ずっと目の前にあった本の背表紙は覚えてないタケル。これもASD特有の感覚や、認知特性によるものなんでしょうか。発達障害、まだまだ謎なことが多いです。執筆/寺島ヒロ(監修:鈴木先生より)もしかしたら、ASDだけではなく不注意優勢に存在するADHDの要素もあるのかもしれませんね。物をなくしたり、見つけにくかったりする人はいつも同じ場所にしまう習慣をつけるか、透明のケースに入れておくような工夫が必要です。色で分けたりファイル化したりすることで見つけやすくなるかもしれません。これを逆に考えると、例えばテレビを過度に見すぎているお子さんの場合、テレビを大きな布で覆っておくのもよいかもしれません。布で覆うことで視界に入らなくなるため、テレビの存在に気付かず見ようとしなくなる可能性もあるからです。このように、ASDの特性を踏まえた発想ができるとよいかもしれませんね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年01月18日発達に特性がある子どもたちの中学受験体験談中学受験シーズンも本番です。ハラハラされている保護者さまも多いと思います。また、わが子の受験はまだ先のことだけれど、そもそも中学受験するべきか……と迷われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。発達に特性があるお子さんの中学受験、塾選びに勉強方法などみなさんどうされたのか気になりますよね。今回は、連載ライター陣などから寄せられた中学受験にまつわるエピソードをまとめてご紹介します。参考になる情報ばかりですので、ぜひご覧ください。私立大学附属中に合格も、実は本番3週間前に第一志望を変更した……!?全6話に渡る中学受験奮闘記私立の大学附属中に合格したスガカズさんご長男。受験勉強は小6の5月からスタートされました。コラムでは、私立進学を考えた理由や夏の天王山での勉強の様子、療育の先生と個別指導の先生の指導内容など盛りだくさんです。そして、本番3週間前に第一志望を変更……とハラハラが止まりません。声掛けの仕方も参考になります。LD・SLD(限局性学習症)のある長男が第一志望の中高一貫校に合格!発達の凸凹に合った勉強法や、しんどい時期の乗り切り方など本人が語る。志望校の選び方も『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』著者、楽々かあさんこと、大場美鈴さんのご長男も見事第一志望の中高一貫校に合格されました。LD・SLD(限局性学習症)があり学校の勉強が嫌いだった彼が、勉強が好きになるまでを、自身の言葉で語ってくれています。LD・SLD(限局性学習症)の傾向のあるお子さんの場合、は特にICTの導入状況も重要!?お子さんが私立中に進学し、「個性に合った環境で充実して過ごせるようになり、私はそこに『障害』を感じなくなった」という楽々かあさん。進学後に改めて感じた、学校選びの大切なポイントについてはこちらのコラムをどうぞ。わが子の中学受験、どうする?インタビューやセミナーもわが子は中学受験をしたほうがいいのか、どんなメリット・デメリットがあるのか迷われる保護者さまは多いと思います。そもそも椅子に座って試験を受けること自体に不安がある……という方は、「診断書」によって合理的配慮をしてもらえるかもしれません。発達に特性があるお子さんの受験について悩んでいる方は、ぜひ以下のコラムもご覧ください。さいごに山あり谷ありの発達に特性があるお子さんの中学受験。結果はどうであれこの経験によってお子さんはきっと大きく成長するでしょう。皆さんの体験談をぜひ参考にしてみてください。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年01月17日発達支援教室に行けず……現在5歳の息子は1歳半健診で発語が遅れていることや意思疎通ができにくいことを指摘され、保健師さんから自治体が運営する親子通園の発達支援教室を紹介されました。しかし、そこはきょうだいの同伴が不可とのこと……。生後2ヶ月の娘は当時持病があり一時保育などの預け先がなく、また実家義実家などの親戚も遠方に住み、頼ることができません。結果、週1回の発達支援教室に行くことができませんでした。どうにもならない状況なので、発達支援教室に行くことは諦めてそのまま様子を見ることになりました。しかし、家の中にいても出かけてもすぐに怒られるようなことをする息子。合わせて持病がある娘に手がかかり、息子に十分に手をかけられる状態ではありませんでした。私自身もどうしたらいいのか分からない気持ちと、息子の発達に対する焦燥感で精神的に追い詰められていたのだと思います。いつの間にか私は息子に対してだけでなく、時にはまだ生後2ヶ月の娘にさえも、イライラと腹を立てることが多くなっていきました。Upload By ネコ山しかし子どもに当たり散らしたところで何かが変わるわけではありません。それどころか、罪悪感が重くのしかかってくるのです。誰かに助けてほしい……そう思い産後サービスなどを利用したりもしましたが、週に数時間程度の利用では焼け石に水状態……。そんな苦しい時期でしたが、さらに他の子の様子を聞きショックを受けました。息子と同じ歳の親交のあった子が療育に通い始めたそうなのです。その子も息子と同じように1歳半健診で発達支援教室をすすめられ、教室に通ったところ、そこで療育をすすめられたとのこと。「うちも発達支援教室に通うことができていたら……」と、まるで私と息子だけが取り残されてるような気持ちになり途方に暮れました。焦った私は、息子の発達を促すことができる場所を探すことにしました。そこで見つけたのが、2歳児対象の私立幼稚園のプレ教室です。幼稚園のプレ教室を経験して見えたことUpload By ネコ山幼稚園のプレ教室は、年少や満3歳クラスに入園する前に通う週1回の親子通園教室で、療育や発達支援を目的としている会ではありません。しかし、抱っこ紐を利用すれば下のきょうだいが同伴しても良く、評判も良かったので「少しでも息子が伸びれば……」との思いで入会することにしました。結果から言うと、息子には合わなかったかなと思います。大きな癇癪を起こすような事態には至りませんでしたが、最終的にはずっと先生に注意されている状態になってしまいました。息子の多動傾向が強く出ていたことが理由だとは思いますが、園のカラーと合わなかったのが一番の原因だと思います。しかし、このプレ教室に参加して良かったことがたくさんあります。1つは息子の得意なことが分かったことです。教室では絵カードを使ったレッスンがよく行われていました。その時、息子は果物や動物の絵や国旗、漢字が書かれたカードに強い興味を持ったのです。特に息子は国旗のカードを気に入っていたので、自宅でも国旗カードを購入してみました。するとたちまち国旗を見ただけで国名を答えられるように!Upload By ネコ山息子の意外な特技が発見できて私も驚きました。また、息子の苦手なこともプレ教室を通して見えてきました。息子の苦手なことは場面の切り替えやルーティン化したものが崩れることです。そのこと自体にはプレ教室入園前から私は気付いていました。しかし、それらの苦手なことの根源が、その時やりたいことを止められることだと分かったのです。このことから「息子が年少から入園する幼稚園は、比較的自由な時間が多い園にしよう」と決めました。入園説明会にて……プレ教室を利用した幼稚園は教育的にとても魅力的な幼稚園と思いましたが息子には合わないと感じたので、改めて息子と相性が良さそうな幼稚園を探すことに。まずは、知り合いのお子さんも通っている幼稚園の入園説明会に参加しました。この頃には既にインターネットで、「発達障害がある子が入園を断られたり、退園を言い渡されたりしたこともある」などの情報を聞きかじっていました。私は「もしかしたら息子もそんな事態に陥るのでは……」と、不安に思っていました。そんな背景もあり、入園説明会で園内を案内していただいた後に「誰でも入園できますか?入園面接などありますか」と幼稚園の先生に聞いてみると「職員が限られているので、自閉症(※自閉スペクトラム症)の子はご遠慮頂いています」とのこと……。息子について、発達障害の傾向があるかなどの話をまだ園にしていない状態での発言だったので、息子の入園を断られたわけではありませんが、嫌な予感がしたので入園候補からは外しました。Upload By ネコ山最後に入園説明会に参加したのが公立幼稚園です。正直なところ親としては、下にきょうだいもいるので通園バスや給食がある幼稚園だと助かるのですが、私が住む地域の公立幼稚園にはそれがありません。入園候補としては優先順位が低かったのですが、実際に入園説明会に訪れてみて印象が変わりました。園児数が少ないということもあるのでしょうが、園児ひとりあたりの職員数が多く、一人ひとりに目が届いているように見えました。そして、外遊びの時間が終わりなのに遊び続けている園児に対して、先生が丁寧に接していたことが印象的でした。また、園でのタイムスケジュールでは自由時間が多く、毎日好きな遊びや工作にそれぞれ自由に取り組んでいいとのことで、まさに息子にピッタリだと思いました。念のため「誰でも入園できますか」と聞いたところ「誰でも入れます!」と即答があり、この幼稚園に息子をお願いしようと決めたのでした。執筆/ネコ山(監修:室伏先生より)ネコ山さん、療育に通うことができなかった経緯、幼稚園選びの奮闘のご様子、その時のお気持ちなど共有くださり、ありがとうございます。療育や保育園幼稚園を選ぶにあたっては、実際に親御さんが足を運んで探さなくてはならず、療育に関しては空きがなかったり、保育園幼稚園については職員さんの人数や体制などによって断られてしまったりすることも多く、不安感や孤立感、焦燥感などのお気持ちを吐露してくださる親御さんは少なくありません。また、実際に通ってみると園のカラーや方針に合わなかったり、お子さんが馴染めなかったり、ということもあって、親御さんの苦労は絶えませんよね。なかなか現状としては難しいのかもしれませんが、自治体と園が連携して、支援を必要とするお子さんと親御さんがスムーズに、安心して、園を選べるような社会になっていくことを願います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年01月17日2歳目前、保健所へ発達相談の電話をした娘が2歳になる目前、発達に何かあると確信した私は、保健所へ発達相談の電話をかけました。数日後、家に保健師さんが来て、娘の様子を詳しく確認してくれました(もともと1歳半健診で要観察になっていたのでそこまでの流れはスムーズでした)。保健師さんに娘の今までのことや発達で不安なことを伝えたところ、市でやっている「親子教室」をすすめられました。ですが話をよく聞いてみると、親子教室へ半年通ったあと、さらに支援が必要なお子さんに対しては、発達支援センターでの約3ヶ月間の療育プログラムをすすめるということでした。わが家は転勤族で5ヶ月後に引っ越しすることが決まっていました。そのため、私は親子教室を飛ばして、発達支援センターへすぐに通えないか聞いてみました。娘の様子を見ていた保健師さんは、少し考えたあとに「お母さんにならお伝えしても大丈夫そうなので……」と前置きしてから「しぇーちゃんは、発達支援センターに通うことをおすすめします」と言って、発達支援センターのパンフレットをくれました。これ以上モヤモヤする期間を過ごしたくなかったので、保健師さんが柔軟に対応してくれたことには感謝しかありません。いよいよ発達支援センターへUpload By マミヤ私は翌日、保健師さんに教えていただいたとおり、さっそく発達支援センターに電話をかけました。発達支援センターでは、未就園児を対象にした親子通所の発達支援プログラムを提供しているとのことでした。週に1回2時間、全12回で構成されていて、最後の12回目は発達検査を受けた上で、医師が診察をするとのことでした。緊張と期待を込めて参加した初回は、娘の多動が大爆発し、とにかく室内を追いかけ回した日でした。親子で一緒に運動をするのですが、娘はたくさんの刺激に興奮して声を上げ、私のことは全く視界に入りません。ほかのお子さんが遊ぶおもちゃすべてに興味を示し、おやつの時間も少ししか座らず(偏食で食べない)、終わった時には親子で汗だくでした。ほかのお子さんもそれぞれ発達に不安な部分があるからこそ、ここに通っているのだと理解してはいましたが、正直なところ、娘はその中でもとんでもなく突出していると思いました。唯一の救いは、ここでは娘の大変さを誰もが分かってくれているということでした。先生方もフォローをしてくれるし、ほかのお母さん方も見守ってくれている気がしました。私は誰よりも激しく動き回る娘を追いかけながらも「ここで療育を受けたら、娘に何かいい変化があるかもしれない」という希望を捨てず通い続けました。発達支援センターでの娘の成長Upload By マミヤそれからも、発達支援センターではいろんな経験をさせてもらいました。初めは興奮して走り回っているだけだった娘ですが、だんだんと先生の指示が聞こえるようになり、ダンスなどにも参加するようになりました。そして、そんな娘の変化を先生方やほかの保護者の方が一緒に喜んでくれ、今まで孤独だった育児が変わりました。その日その日をなんとか過ごすのではなく、今日は家で娘と絵カードをやってみようとか、療育でやった体遊びをしてみようとか、娘との時間を意識した生活に変わったと思います。そして、発達支援センターの最後の療育の日、絵本の活動の時間に椅子に座ったことがない娘がしっかりと座って聞いていました。発達検査を受けた娘。医師から結果の説明を受けるUpload By マミヤそしてプログラムの最終日、娘は発達検査を受けました。検査が終わると医師から結果の説明と合わせて診察がありました。先生は療育中の娘の多動や目の合いづらさなどが気になるとのことでしたが、まだ2歳なので、現時点で診断するかどうかはあくまで保護者の希望を優先しますと言われました。引っ越し先で療育に通うためには受給者証が必要だったため(引っ越し先の自治体では、受給者証発行には医師の診断書が必要でした)、そのことを伝えると、その場でASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。結果的に、2歳目前で自ら発達相談の電話をかけたことで、その後の早期療育や発達検査、診断へとつなげることができました。今回はわが家の娘が2歳4ヶ月という比較的早い段階で診断を受けた経緯を書きましたが、お子さんの発達に悩んでいらっしゃる方の参考になれば幸いです。執筆/マミヤ(監修:新美先生より)2歳前に発達に何かあると感じ、積極的に動いて早期療育・診断に結びついたエピソードを聞かせていただきありがとうございます。発達障害の概念自体、ここ10数年で急速に広まってきたため、保護者の方の認識は非常に幅広くまちまちです。地域のシステムとしては、あまりそういうことを感じていない保護者の方が戸惑わないように、ゆっくり、段階的に、マイルドに療育などにつなげていくような仕組みになっているところが多いかもしれません。なのでマミヤさんのように、すでに自ら発達に関する情報を求められて、お子さんに必要なことはなんでも早めに受けたい知りたいという場合は、記事にあったように積極的にこちら側の思いを伝えていくのは良かったと思いました。発達支援センターのように、お子さんのさまざまな特性に対応してもらえる場があると、余計な気をつかわず親も子も安心して、さまざまな経験を積むことができますよね。また発達検査や診断を受けることで、よりお子さんに適した情報や支援にたどり着くメリットも大きいと思います。そのあたりが詳しく伝わるエピソードを聞かせていただき、ありがとうございました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月16日無料の参加登録受付中!発達が気になるお子さんやご家族へ届けたい、オンラインセミナーが1/27(土)に開催決定Upload By 発達ナビアライアンス プログラム登校渋りが続いている、いつも休み明けに学校に行きたくないと言う……そのようなお子さまもいらっしゃるのではないでしょうか。不登校のお子さまの心の状態から、家庭でどう向き合ったらいいのか?今後どうしたらいいのか?専門家などから詳しい情報を得られ、さらにその場で質問もできるオンラインセミナーを開催します。・日時:2024年1月27日(土)9:30~14:10(予定)・参加費:無料・形式:Zoomウェビナー配信・参加方法:事前申込必須。下記ボタンよりお申し込みください。・内容:専門家講演、すべてのお子さまを応援する企業によるセミナー※企画調整中のため、今後変更となる場合もございますオンラインセミナーの内容をご紹介Upload By 発達ナビアライアンス プログラム勉強したら?とは言わないほうがいい?学校に行きたいのに行けない、どうしてこうなっちゃったんだろう……と自分を責めてしまう……。不登校や登校渋りのあるお子さんと過ごす中で、声かけや接し方、将来を見据えた対応など、さまざまな不安や悩みが浮かんでくるかもしれません。必要なサポートはお子さんによって異なり、状態に合わせて考えていく必要があります。今回は、児童精神科医を務める三木先生にご登壇いただき、これまで多く寄せられてきた不登校に関するお悩みにお答えしていきます。セミナー当日も、視聴者の皆さまからリアルタイムで質問やお悩みを受け付けますので、ぜひご参加ください。講師:三木崇弘先生社会医療法人恵風会 高岡病院 児童精神科医兵庫県姫路市出身。愛媛大学医学部卒。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科博士課程修了(医学博士)。早稲田大学大学院経営管理研究科修士課程修了(経営管理学修士)。愛媛県内の病院で小児科後期研修を終え、国立成育医療研究センターこころの診療部で児童精神科医として6年間勤務。愛媛時代は母親との座談会や研修会などを行う。東京に転勤後は学校教員向けの研修などを通じて教育現場を覗く。子どもの暮らしを医療以外の側面からも見つめる重要性を実感し、病院を退職。2019年4月よりフリーランスとしてクリニック、公立小中学校スクールカウンセラー、児童相談所、児童養護施設、保健所などでの現場体験を重視し、医療・教育・福祉・行政の各分野で臨床活動を行う。2022年7月より地元にUターンし、社会医療法人恵風会 高岡病院で児童精神科医として勤務。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム文部科学省が定めている「出席扱い制度」をご存じですか?自宅学習の努力を認めることで、いつかまた学校に行きたいと思ったときのために、学習の遅れを最小限にしておけるようつくられた制度です。この制度を活用すれば、不登校で学校を休んでいても、家庭学習を出席扱いにして、その先の進路などの選択肢を広げていける可能性があります。制度を利用するには、いくつかの条件を満たした上で、在籍する学校と交渉・連携していくことが重要です。本セミナーでは、のべ1,200名以上が出席扱いになった実績のある、無学年式オンライン学習教材「すらら」の担当者が、本制度利用の具体的なルールや、すららを使って出席扱いとなった事例、最新情報などをご説明します。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム子どもが「学校に行きたくない」と言うとき、どう関わったらいいのか・この先どうなっていくのか、不安な気持ちでいる保護者の方もいらっしゃると思います。前向きになってくれるサインを見逃さず、お子さまの自己肯定感を育みながら接していくことが大切です。不登校のお子さまが安心できる居場所を見つけて、楽しく過ごす事例も交えながら、お子さまとの関わり方について解説します。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム「学校の仕組みが合わない」「冬休み明けで行き渋りになっている」そんなお子さまに向けたセミナーです。子ども一人ひとりのありのままを受け入れ、自信を育み、社会で活きる力を共に学んでいくオンラインフリースクール「SOZOWスクール小中等部」。500名以上の小中学生が在籍するスクールながら、学校が合わないと感じている子どもの個性に寄り添うスタッフが揃っており、地上波のテレビ番組で紹介されるなど、注目されています。4月には高等部も開校し、進路にも安心を持てる居場所です。当日は、学校に行きづらいお子さまの実際にあった事例も含めてお話しします。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム発達が気になるお子さまの子育てをオンラインサポートする「発達ナビPLUS」。本セミナーでは、発達ナビPLUSの監修者でもある公認心理師・菅佐原洋先生が、不登校や行き渋りによって学習に遅れが生じたとき、保護者として何ができるか解説いただきます。・不登校で授業を受けておらず、勉強もできていない・将来も見据え少しはしてくれると親として安心だけど……・今の状況で勉強は何をどこまで頑張ればよいのかなどお子さまの勉強に関するお困りごとへの手立てについてお話しします。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム不登校やひきこもりがちなお子さまがいるご家庭向けの勉強会です。・不登校支援の選択肢フリースクールや訪問教室など、不登校のお子さまへの支援の選択肢や選ぶ際のポイント・中学以降の進路の選択肢義務教育以降の高校進学の選択肢として、通信制・サポート校や高等専修学校、チャレンジスクールなど、不登校に理解のある進路・教育にまつわる準備教育資金やお子さまの自立後に必要になってくる費用など、現実的な準備など、復学や居場所など、学校に行かない選択をした子へのサポートや、中学以降の進路の選択肢について解説します。たくさんの方のご参加を、心よりお待ちしております。
2024年01月15日まずは利用可能な放課後等デイサービスの情報を集める!住んでいる地域によって放課後等デイサービスの数も種類もさまざまだと思いますが、私の住む地域には、近所に特別支援学校があるので、放課後等デイサービスの数は比較的多いほうだと思います。でも多いからこそ、どの施設を選べば良いのか分からず悩むことになりました。そもそも、どこにどのような施設があるのか?まずは情報を集める必要がありました。児童発達支援センターや、市役所の子ども課などで近辺の放課後等デイサービスのパンフレットや資料を集め、何十軒とある施設の中から行きたい場所を選ぼうとしたのですが、全ての施設を見学する時間も余裕もありませんし、どの施設がわが子に合うのか?どのような雰囲気なのか?は紙面上の情報だけでは全く分かりませんでした。Upload By みん数ある放課後等デイサービスの中からわが子に合う施設を選ぶポイントは?そこで、私はインターネットやSNSなどで気になる施設の情報を調べてみることにしました。写真やブログなどを見ることで、少しですがどんな施設なのかを知ることができました。また、すでに放課後等デイサービスへ子どもを通わせているママ友たちに話を聞いて情報を共有し、Pを通所させたいと思う施設をある程度ピックアップしていきました。それから、施設に直接電話をかけ見学の予約を入れようとしたのですが、施設によっては見学できたとしてもすぐには空きがなく、利用できるのは半年~1年は待たないといけないところや、希望する日数や曜日は定員がいっぱいで利用ができないところもありました。そうやって地道に電話をかけ続け吟味した結果、私はPが利用できそうな施設を4ヶ所見学することにしました。見学の時は学校と家からの距離、送迎の有無、安全面を重点的に確認しました。Pは施設で起こったことなどを私に話すことができないので、防犯カメラはついているか?ワンフロアでたくさんの人の目がある場所で過ごせるか?またP本人や利用者の誰かがパニックになった時にクールダウンができるような場所があるか?脱走できてしまいそうな窓やドアはないか?などを確認しました。見学の時は、同時に利用者の様子も見ることができたので、全体的な年齢層や障害の程度、どのようなことをして過ごしているのかも分かり、イメージしやすかったです。そしてPの障害の程度や特性などを施設側へ説明し、Pがどのような子か、ある程度理解していただいたうえで、契約する放課後等デイサービスを決めました。Upload By みん受給者証のひと月の上限日数をどのように利用するのかを考えるわが家の場合は受給者証のひと月の利用上限が23日なので、週に4〜5日放課後等デイサービスを利用することができます。23日全てを同じ施設で過ごすのではなく、預かり型の施設と療育特化型の施設の2ヶ所と契約をすることにしました。なぜなら1ヶ所だけだと、もしもその施設がPに合わなかった時や何かのトラブルがあって辞めないといけなくなった時、また施設自体が突然移転や閉鎖になった時に困るかもしれないので、2ヶ所に分けて通わせたほうが良いと思ったのと、違う施設を利用することで、療育もレスパイトもどちらも取り入れることができると思ったからです。Upload By みん現在Pは、この曜日はどちらの放課後等デイサービスへ行くのかも理解していて、両方の施設で楽しく過ごすことができています。私もスタッフの皆さんと連絡帳や面談、送迎時にPの支援に関することを話し、それらの情報を特別支援学校とも共有していただいているので、安心して預けることができています。預かり型、療育特化型、どちらにもたくさんのメリットがあるので、その話はまた次回詳しく書けたらと思います。執筆/みん(監修:初川先生より)Pくんが利用する放課後等デイサービスの選び方、実際利用してみての感想などのシェアをありがとうございます。就学後の生活を組み立てるにあたって、放課後等デイサービスについて情報を知りたい、何から検討を始めたらよいか悩ましいと考えている方にとってはとても参考になるお話でした。地域によって放課後等デイサービスの数や種類はだいぶ異なります。またどのような障害をお持ちのお子さんが利用する事業所かということもさまざまなので、まずはお住まいのエリアで情報収集をと思います。Pくんが利用しているところは、スタッフの方との連絡がスムーズで学校とも情報共有していただいているとのこと、そしてPくんが楽しく過ごせていること、何よりです。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月15日2023年12月、インフルエンサーのぷちあや(プチプラのあや)さんが、再婚を発表しました。ぷちあやさんは、SNS総フォロワー数が200万人を越える人気インフルエンサー。自身の発達障害を公表していることでも知られています。結婚後、ぷちあやさん夫婦はとある動画をアップしています。“意図せず人を傷つけることを言ってしまう”という特性を持つぷちあやさんですが、夫婦仲はとても良いそう。その秘訣はーー。話題の動画では…ぷちあやさんがYouTubeにアップした動画は、Instagramに寄せられた質問に、ぷちあやさんと夫である安藤翼さんが回答するというもの。中には、発達障害に関する質問も寄せられていました。 近年、大人になってから発達障害に気づく人も少なくありません。自身や配偶者の発達障害がわかり、戸惑い、悩んでいる人からの質問もあったのではないでしょうか。 発達障害を打ち明けるのは怖くないのか? 相手の発達障害を親に伝えるべきか? そして、発達障害を持つぷちあやさん夫婦が気をつけていることとは? ぷちあやさん夫婦は、自分たちの出した答えを話していました。発達障害を持つ夫婦の家庭円満の秘訣ぷちあやさんは、自閉スペクトラム症(ASD)と多動症(ADHD)を持っているそう。自閉スペクトラム症の特性上、何気ない言葉で相手を傷つけてしまうことが多いと話します。もちろん悪気はありません。 そこでぷちあやさん夫婦は、『1日1褒め』をモットーに、傷つけてしまった分それを補うように相手を褒めるのだと言います。そして、ありがとうを必ず言うこと、相手からされて嬉しかったことはすぐに伝えることを大切にしているそうです。 これを実践するようになって、ぷちあやさん夫婦は喧嘩が減り、関係も良好になったと話していました。 ぷちあやさん夫婦の動画はこちらで見ることができます。発達障害を持つ人や夫婦の関係性に悩みのある人は特に、ヒントがあるかもしれません。 発達障害とは発達障害とは、生まれながらにある脳の発達の違いによるものです。自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如、多動症(ADHD)、学習障害などは、発達障害に該当します。 発達障害を持つ人は、脳機能の発達がアンバランスであるため、言動や行動に特性が見られます。決して本人のやる気が足りなかったり努力不足だったりするわけではなく、治るものでもありません。また、育った環境との関係性もないと考えられています。 発達障害の特性は、環境によって欠点になることも長所になることもあります。ぷちあやさんのように、苦手なことをカバーすることで人としての魅力になったり、生きやすくなったりするケースもあるのです。発達障害との付き合い方発達障害とどう付き合うかはもちろん、身近な人にどう付き合ってもらうかも、生活する上では大切なことです。ぷちあやさん夫婦のように、特性を無理やり矯正するのではなく、特性を受け入れた上で、それをカバーする方法を考えるのはとても素敵な方法ですね。 自身の発達障害や家族の発達障害で生きにくさを感じている人は、まねしてみるといいかもしれませんね。
2024年01月15日そもそもチックって……?それまでの私のチック症に対する認識子育てをしている方なら、一度は耳にしたことがあるんじゃないかと思うチック症。私は恥ずかしながら息子が発達障害と診断されるまで、「あー、聞いたことある。ストレスとかが原因やっけ?」くらいの認識でした。2~3歳頃から息子が目をぎゅっと目をギュッとまばたきするようになった時も、私はただただ「独特な癖だな~」くらいにしか思っておらず、それが“チック症”とは全く結びついていませんでした(この時が一番私の心が平和だったかもしれない……)。Upload By 海乃けだま息子が2歳半の時ASDと診断されたことをきっかけに検索魔になっていた私ですが、発達障害について調べれば調べるほど怖くもなっていました。"発達障害に合併しやすい疾患"とか"発達障害の二次障害"とか……インターネットって良くも悪くもいろんな情報が溢れてるじゃないですか……。もう見れば見るほど、読めば読むほど、「こうしちゃいけない、ああしちゃいけない」ばっかりに目がいって、そのうち「こうしたら二次障害になっちゃうかも!」と、"理想の母像"と"完璧な育児"を自分に課していたように思います(ま、思うだけで全くできてなかったんですけどね……笑)。もしかして……チック症?風邪をきっかけに出てきた症状で気づいた息子のチック。息子が療育に単独で通園するようになった夏(4歳9ヶ月頃)のある日、鼻水と咳がよく出るタイプの風邪をひきました。普段の息子は風邪をひいてもあまり鼻水や咳が出ないタイプだったので、その時の風邪は「珍しく鼻水も咳も長引いてるなぁ」と思っていました。痰が絡んだような"ゴホゴホ"の咳が、徐々に"コンコン"になり、治ってきたかなぁと思っていた矢先、"コンコン"の咳の後に"エ゛ーーーッヘン"という妙な咳払いがつくようになりました。治りかけで喉が痒いのかな~なんて最初は思っていたのですが、そのうち"コンコン"の咳もなくなりいよいよ全快しても"エ゛ーーーーッヘン"は治りません。『…………え?これ、もしかして……チックなんじゃ?』そう考え出したら最後、もうその"エ゛ーーーッヘン"が気になって気になって仕方がありません。息子がその咳払いをするたびに「またやってる……あ、また……え?10分おきくらいにやってないか??」と頭の中は咳払いでいっぱいになっていきました。Upload By 海乃けだま小児精神科の定期受診で相談してみると……一日中咳払いをする息子にいよいよ「やめてくれぇー‼︎」と爆発しそうになっていた頃、ちょうど小児精神科の定期受診がやってきました。診察室でも相変わらず"エ゛ーーーッヘン"を連発する息子。しかし先生は何も言いません。発達の状況、最近の困り事などを一通り聞かれた後、最後に「ほかに何か気になることある?」と聞かれ、思い切って先生に「この咳払いって、やっぱりチックですか?」と聞いてみました。先生からは「あーー、そやね。チックやねー。でも指摘せずに、気にしないのが一番よ。そのうち消えてくからね」と大事な感じはなくサラッと返答されました。『やっぱりチックやったんか……』と落ち込む一方で、先生のこのあっけらかんとした返答に少し気持ちが楽にもなったのを覚えています。息子のチック症のそれからと今……息子のチックに初めて気づいたのは4歳の頃の風邪がきっかけですが、思い返せば、2~3歳頃に「独特な癖だな~」としか思っていなかった目をギュッとまばたきする行動も、おそらくチック症状だったのだろうと思います。そのまばたきもいつのまにかしなくなっていました。"エ゛ーーーーッヘン"という咳払いのチックの行方はといいますと、夏の終わり頃にはいつのまにかしなくなり……新たに首をすくめるというチックが現れました(笑)。それまた首をすくめるチックも、冬ごろにはいつのまにかなくなり……代わりにしゃっくりのようなチックが現れ……というように、わが家の息子のチックはさまざまな症状へと変貌しながらも繰り返し出現しています。現在はというと、先月インフルエンザにかかり、またもや"エ゛ーーーーッヘン"の咳払いのチックが出ています(いや、戻ってくんのかーい!笑)。病院の先生に言われた、『気にしない』『注意しない』の姿勢で今も見守り続けています。Upload By 海乃けだま執筆/海乃けだま(監修:室伏先生より)息子さんのチック症に関して、ご共有ありがとうございました。チックは比較的よく見られる症状で、お子さんでは10人に1~2人ほどと言われています。けだまさんが共有してくださったように、チックは、少ない時期があったかと思えば、また増えてということを繰り返すことも多いですので、一喜一憂せずに長い目で見守っていただくのがよいと思います。特に学年の切り替わりやイベントの多い時期などに増えて、ひと段落すると落ち着くというお子さんも多いようです。症状は緊張している時に出やすいお子さんもいらっしゃれば、自宅のようなリラックスできる環境で増えるというお子さんもいます。発症は幼児期~小児期が多く、成人期までに軽快、消失してしまう方が多いとされています。一過性で1年以内に症状が消失してしまうこともよく見られるので、軽い症状であれば、指摘したり叱ったりせず、見守っていただくのがよいと思います。日常生活に影響が出るような場合(大きな声で叫んでしまったり汚言があり周囲への影響がある、チックによる体の動きが大きく苦痛がある、本人がとても気にしていたりチックのせいで自己肯定感が低下しているなど)や長期化する場合には、薬剤による対症療法や認知行動療法などが行われることもあります。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略
2024年01月15日「児童発達支援」や「放課後等デイサービス」、いつから、どうやって探す?新年を迎え、障害があったり、発達特性があるお子さんの保護者の皆さんの中には、次年度お子さんが通うための発達支援施設を探していらっしゃる方も多いのではないでしょうか?また、そもそも「児童発達支援」や「放課後等デイサービス」ってどんなところ?いつから、どうやって探せばいいの?と疑問に思っていらっしゃる方も多いかもしれません。児童発達支援とは、障害児通所支援の一つで、小学校就学前の6歳までの障害のある子どもが通い、支援を受けるための制度です。日常生活の自立支援や機能訓練を行ったり、保育園や幼稚園のように遊びや学びの場が提供されます。放課後等デイサービスとは、障害のある6~18歳の就学児童(小学生・中学生・高校生)が学校の授業終了後や長期休暇中に通え、生活力向上のためのさまざまなプログラムが行われています。学校や自宅までの送迎がある施設もあります。発達ナビの連載ライターの施設探しリアルエッセイ発達ナビ連載ライターの皆さんの施設探しの体験談をまとめてご紹介します。発達に心配のあるお子さんを預かってもらう施設を探す際には、さまざまな不安があると思います。知的発達症を伴うASD(自閉スペクトラム症)のある息子さん・ほぺろう君の就学にあたり、放課後等デイサービス探しを経験したぼさ子さんに、利用可能日、送迎の有無、発達支援内容など、施設探しのチェックポイントを教えていただきました。「障害のある子どもを長時間預かってくれる場所はあるの?」「仕事をやめないといけないの?」と不安に思っている方も多いと思います。ASD(自閉スペクトラム症)のある太郎君の母・まゆんさんは、太郎君が保育園を卒園した後、学童に入れるのかと不安でした。そんな時知った「放課後等デイサービス」。発達支援のための福祉サービスですが、働く保護者の強い味方になる場合も多いのです。まゆんさんに6年間通ってみて思うことを教えていただきました。ゆきみさんのご長男・けんと君は発語がゆっくり、運動が苦手、周りに興味を示さないなど、発達に気になる点がありました。けんと君との関わり方に悩んでいたゆきみさんですが、2歳から療育に通いはじめ、お子さんの特性を少しずつ理解していくことができたそうです。まるさんの息子さん・リュウ君は2歳頃から療育に通い始めました。しかし全力で嫌がるリュウ君の様子に「通う意味はあるの?」と思っていたまるさん。通い出して1年半、どのように成長したのでしょうか?さいごに施設によって、支援のスタイルも千差万別です。お子さんやご家族のニーズに合った「児童発達支援」や「放課後等デイサービス」を見つけられるように、ぜひ参考にしてみてください。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月14日