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発達支援とは?子どもの発達が気になる時の相談先に関するアンケート結果も発達支援とは、障害のある子どもや発達が気になる子どもの困りごとを軽減し、家庭や園・学校などでの日常生活を支援する取り組みです。福祉分野では、児童発達支援や放課後等デイサービスのほか、保育所等訪問支援や居宅訪問型児童発達支援などがあります。児童相談所や市町村保健センター、医師によって療育の必要性が認められた場合に、発達支援を利用することができます。また、児童福祉法に基づく障害児通所支援サービスを利用するためには、自治体から発行される「通所受給者証」が必要となります。お子さんの発達が気になっているけれど、誰に、いつ、どうやって相談すればよいのか悩んでいる保護者の方も多いのではないでしょうか。発達ナビでは、子どもの発達が気になる保護者を対象に相談先についてのアンケートを実施し、75名の方から回答をいただきました。Upload By 発達障害のキホンお子さんの発達について支援機関・支援者に相談したことがある (93%)お子さんの発達について支援機関・支援者に相談したことはないが、これからする予定 (3%)お子さんの発達について支援機関・支援者に相談したことがない (3%)その他 (1%)「お子さんの発達について支援機関・支援者に相談したことがある」が93%、「お子さんの発達について支援機関・支援者に相談したことはないが、これからする予定」が3%と、ほとんどの方がお子さんの発達について相談したことがある、あるいはこれから相談する予定であることが分かりました。※本アンケートは発達ナビ内の「みんなのアンケート」を母体としています。このため、一般集団のアンケート結果とは異なります。発達ナビ利用者の皆さんは、実際にどのようにして発達支援に繋がったのでしょうか?アンケートに寄せられたリアルな声を一部ご紹介します。【お子さんの発達について支援機関・支援者に相談したことがある】1歳半健診の時に、個別相談を利用したのが最初です。(中略)「2歳になったらもう一度検査してみましょう」と勧められて、そこから月1回開催される市の親子教室に繋げられました。(中略)困り事や悩みに対して、具体的な解決方法を教えてもらえるのが本当にありがたかったです。【お子さんの発達について支援機関・支援者に相談したことがある】娘が幼稚園入園後、「私の育て方の問題で、娘が他園児さんと同様の行動が出来ないのでは…」と不安になりました。市の子ども発達センターに個別面談として相談。(中略)児童心療内科受診につなげてもらい、受診することができ、軽度のADHDとASDと診断を受けました。(中略)市の子ども発達センター、障がい者支援センターにもお世話になることとなり、放デイの利用や相談窓口になっていただきました。小学校入学後は、スクールカウンセラーにもお世話になっています。※発達ナビ内の「みんなのアンケート」に寄せられたコメントを抜粋・編集しております。1歳半健診で個別相談をした、自治体の子ども発達センターに相談した……など、きっかけはさまざまですが、適切な支援に繋がったことで保護者の不安が軽減された様子がうかがえます。続いて、障害のある子どもや発達が気になる子どもが利用できる発達支援についてご紹介します。発達ナビのコラムもあわせてご覧ください。児童発達支援は、発達に課題のある未就学の子どもを対象とした通所支援サービスです。遊びや学びを通して、日常生活の練習や、集団生活への適応訓練など、個別のニーズに合わせた専門家による支援が受けられます。保護者の方への相談援助も行っています。放課後等デイサービスは、発達に課題のある小学生~高校生の子どもを対象とした通所支援サービスです。放課後や休日、長期休暇中などに利用することができ、一人ひとりの状態にあった個別支援計画に沿って集団活動や個別支援を行い、子どもたちの自立や社会参加を促します。 また、放課後に子どもたちを預かることで、保護者の負担軽減につながる面もあります。保育所等訪問支援は、児童福祉法に基づく福祉サービスのひとつです。保育所や幼稚園、認定こども園、学校、放課後児童クラブなどに専門の支援員が訪問し、子どもの集団生活への適応をサポートすることを目的としています。子どもの様子を観察し、先生と連携しながら、個別の支援計画を作成します。参考:保育所等訪問支援の効果的な実施を 図るための手引書|厚生労働省居宅訪問型児童発達支援とは、平成30年度に創設された比較的新しい福祉サービスです。重度の障害等により、障害児通所支援を利用するために外出することが著しく困難な18歳以下の子どもに発達支援が提供できるよう、作業療法士や理学療法士、言語聴覚士、保育士、看護職員等が障害児の居宅を訪問して発達支援を行います。精神障害等により外出が困難な状態にある就学児や、行動障害により通所支援の利用が困難な児童に対しても、居宅訪問型児童発達支援による支援を行うことが認められています。※地域によっては提供できる事業所がまだ十分でないところもありますので、各自治体窓口にお問い合わせください。参考:障害児支援施策の概要|厚生労働省参考:令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等(障害児支援)に関する Q&A VOL.5|子ども家庭庁児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援・居宅訪問型児童発達支援は、児童福祉法に基づく障害児通所支援サービスです。利用するためには、自治体から発行される「通所受給者証」が必要となります。各サービスの利用にあたっては、申請手続き等が必要になるため、お住まいの自治体の福祉課にお問い合わせください。【専門家に聞く】発達支援にまつわるギモンを分かりやすく解説!発達支援にまつわる保護者の疑問やお悩みについて、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生にお伺いしました。Q:初めての発語が2歳半過ぎと、言葉が遅いことが気になり、発達支援センターに相談しましたが、様子を見ましょうと言われ、定期的に面談をしています。人見知りや場所見知りが激しく、目も合いにくいなど、そのほかにも気になることがあります。このまま様子見を続けていてよいのでしょうか?受診の目安などはありますか?A:限られた情報だけで具体的な受診の目安については回答できませんが、発達が気になる場合は発達支援センターに相談しつつ、児童発達支援など未就学児で診断がなくても受けられる福祉サービスがあります。児童発達支援を利用するためには医療機関で意見書などをもらい、お住まいの自治体の窓口で申請して通所受給者証を取得する必要があります。児童発達支援では個別や集団による言葉や対人関係を含めた発達支援を受けることができます。また、事業所によっては、保護者が子どもとの関わり方を学べるペアレントトレーニングのプログラムなどが提供されていることもあります。Upload By 発達障害のキホンQ:幼稚園の頃から気になる行動が出てきましたが、先生たちからは気にするほどではないと言われていました。しかし小学生になっても困りごとは増え続け、自治体の発達相談を受けたところ、ADHD(注意欠如多動症)の傾向があると言われました。日々注意することばかり続き参っています。どのような解決策があるでしょうか?A:ADHD(注意欠如多動症)の診断はなくともそれに対応した接し方や支援方法をとっていくことで、問題は軽減すると思います。そのお子さんの気になる行動がさらに続くようであれば、自治体での発達相談だけではなく、医療機関で診断を受けてみることをお勧めします。診断があることによって、小学校でも合理的配慮が受けられるようになり、環境調整や個別的な配慮などお子さんの特性に合わせた支援が進んでいくと思います。これらを実施しても行動改善が難しい場合、服薬等についても主治医と相談していかれるとよいと思います。Upload By 発達障害のキホン(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年03月23日言葉が遅い次男、幼稚園の満3歳児クラスに通うことに3歳になった次男かーは、夏休み明けから幼稚園の満3歳児クラスに通うことになりました。当時、かーは母(私)に対しての執着が激しかったので、入園するにあたり少し心配していました。しかし、人と関わるのが好きな印象がありましたので、すぐに慣れていくかなあと楽観的に考えていました。Upload By かし りりあかーの通う幼稚園はバス通園でした。朝、バスが迎えに来てくれる場所まで送っていくと、目に涙を浮かべています。長男りーにはなかった反応でした。かんしゃくを起こしている時のように泣き叫ぶのではなく、目にいっぱい涙をためて両手でふいていました。感情があふれないように我慢している姿に心が痛みましたが、これも成長なのかなと思い、私も一緒に泣きそうになるのをこらえて、笑顔で見送るようにしました。環境変化のストレス?寂しさ?怒りっぽくなった次男かーは最初こそ涙を見せていたものの、入園から1か月ほど経った頃には、バスが来るとピョンピョン跳ねて喜んで、うれしそうに先生と手をつないでいる姿も見られるようになりました。そのため、徐々に園の生活にも慣れてきたのかな?と思っていたのですが……。それは家で遊んでいる時のことでした。兄と弟に対して、かーが発する声が怒っているように聞こえたのです。Upload By かし りりあ私が見たところでは、2人がかーに特に何かしたというわけではなかったのですが、明らかにイライラしている様子が見られました。その場から私が離れると、かーはすかさず「あーー!」と怒りながら私を探しに来ました。その後お風呂に入る時、夫に対しても怒った言い方が続きました。Upload By かし りりあ当時、三男おーは1歳。歩き始めて、いろいろなものに興味津々で、なかなか目が離せない状況でした。長男りーは療育園に通っていましたが、家に帰ってくる時間は次男かーとほとんど同じでした。かーは甘えられる時間も少なくなり、急に変わった環境に戸惑っていたのかもしれません。次男に「甘え放題の日」をつくってみた!ちょうどその頃、長男りーの誕生日のお祝いで、りーと夫が二人旅に行くことになっていました。そこで私は三男おーを実家に預け、幼稚園をお休みし、かーと二人きりで過ごす時間を設けました。かーは久しぶりの母とのお出かけにとてもうれしそう。抱っこや手をつなぐなど、求めてくることにはすべてこたえました。その際、かーには「大好きだよ」「いつもありがとう」「かーのおかげでママは頑張れるよ」などたくさん話しかけるようにしました。Upload By かし りりあ長男りーにも同じような言葉はかけますが、あまり長く集中が持たないため、すぐにどこかへ行ってしまいます。頻繁にはできません。しかし、かーはそういう話をしている時には私の顔をじっと見て、落ち着いて聞いているように感じました。それからというもの、私は意識的にかーとスキンシップを多くとり、たくさん話をするようにしてみました。その効果があったからか、しばらくするとイライラした様子を見せることも減りました。以来、かーにはできるだけ、プラスの言葉がけをするようにしています。長男と次男、それぞれの特性の違いに寄り添う日々長男りーとは違い、スキンシップや人と関わるのが好きな次男かー。それぞれの性格や特性の違いがありますが、模索しながら対応をしていくのも、今思えば私は苦ではありませんでした。うまくいかないことのほうが多いですが、その分成功した時の反動がとても大きくうれしく感じるからです。Upload By かし りりあかーは幼稚園でも徐々に生活の流れを覚えて、安定して過ごしているようでした。これでひと安心、と思っていたのですが……今度は児童発達支援の先生から、気になる言葉を聞きました。かーの新たな問題が起きたのです。その話はまたの機会に書いていこうと思います。執筆/かしりりあ(監修:新美先生より)次男さんの幼稚園入園時の様子やかかわりについてお聞かせいただきありがとうございます。きょうだいでも、一人ひとり性格も入園時の反応も違って、それぞれに合った対応をお母さんが試行錯誤を楽しみながらされているというエピソードがとっても素敵だなと思って読ませていただきました。幼稚園・保育園入園時は、楽しく通えていても疲れもたまるので、家に帰ってからかんしゃくをおこすようなこともよくありますね。疲れがたまっているような時に、特別デーを設定するのはいいですね。きょうだいがいても1対1でママを独占できて、好きな遊びに付き合ってもらえる時間、甘えられる時間があると、心身ともにリフレッシュします。これはもっと大きくなっても続けていけたらいいかもしれないですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年03月21日LITALICO発達特性検査はどうやって作った?LITALICO発達特性検査は、発達が気になるお子さまと保護者のための、オンライン完結の検査サービスです。保護者の方がスマートフォンやパソコンから、お子さまに関する150問程度の質問に回答することで、発達特性や困りごと、よく見られる姿やその背景要因、お子さまに合ったサポートの方向性などを知ることができます。受検される保護者の方にとって、「LITALICO発達特性検査は信頼できる検査なのか」は大きな関心事の一つだと思います。そもそも検査がどのように作られているのか、信頼性をどう判断したらいいか、よく分からないという方も多いと思います。そこで今回は、LITALICO発達特性検査の開発プロセスや、品質をどうやって高めていったのかなどについてお話を伺います。※LITALICO発達特性検査は 医学的診断を行なうものではなく、お子さまの発達特性やその背景、適切なサポートの方向性などの情報を提供するためのものです佐藤先生:公認心理師、臨床心理士の立場から関わらせていただいた佐藤秀樹です。今回のプロジェクトでは、検査での質問項目や、質問の仕方、選択肢が適切かどうかなど、検査の妥当性や信頼性の質を担保する観点からアドバイスをしています。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部野田さん:作業療法士としてのお子さまの支援経験を活かし、LITALICOで研究開発をしています。LITALICO発達特性検査では、プロダクトマネジメントや尺度の研究開発、コンテンツのディレクションなどに関わりました。今回は、実際にどのような手順を踏んで開発していったか、開発するうえで大事にしたことなども、佐藤先生と一緒に分かりやすくお話しできればと思います。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部野田さん:LITALICO発達特性検査は「質問紙法の尺度を用いた検査サービス」です。そもそも、尺度や質問紙といった用語も馴染みがないかもしれませんが、質問紙法は、分かりやすく言うと質問項目の文章と、回答の選択肢で構成されたアンケート形式のことで、対象となる方、つまり受検者は、自ら質問文を読んでそれに回答します。その回答を判断するための基準も含めて「尺度」と呼んでいます。今回、質問紙の開発を進める中で、2つの点で品質の担保がより重要であると感じるようになりました。検査を製品として販売する以上、誤解を与えるような品質なものであってはならないということ。そして、このLITALICO発達特性検査がオンラインのソフトウェアという形であり、人の解釈を介さない検査であるため、尺度自体の品質がより重要になってくるという点です。そこで、実際にどのように尺度を開発し、品質を担保するかというところで、佐藤先生にご相談し、コンサルテーションをお願いしたという経緯です。尺度や質問項目をつくるのは一見簡単そうに見えますが、高い専門性がある方のアドバイスがないと、どうしても内容が偏ってしまったり、間違った方向に進んでしまうという危険性があると感じています。LITALICO発達特性検査は、COSMINという国際的な基準に基づいて開発しています。それは、COSMINに関して日本語版の翻訳に携わるなど、心理尺度の品質保証についての知見がある佐藤先生のお力を借りることができたからです。佐藤先生:LITALICOについては以前から、「発達障害のある方の支援や就労支援を、幅広い年代に画一的なサービスを提供するのではなく、ニーズに応じて関わっている企業」として知っていました。しかも「質問紙の妥当性を評価し、検査の質をどう高めて担保するか」という、私としても関心が高い分野だったので、関われてとても光栄でした。サービス自体は簡便に。内容や結果は妥当で信頼できるものを野田さん:検査をどうやって作っていったのか、一般の方には開発フローがイメージしにくいかなと思います。佐藤先生:一般的な尺度開発として広く行われている方法は、研究者のチームが中心となって、質問項目をたくさん準備するところから始まります。まず、検査でどんなことを知りたいのか(つまり測りたいのか)を検討したうえで質問項目を多めに集めて、質問紙の案を作ります。次にチーム内での話し合いや予備調査を行ないます。その結果をふまえて問題のある項目を見つけて修正するといった工程を経て、項目数を絞った素案を作ります。その後に、検査対象の方に実際に回答していただき、その数量的な結果をもとに、妥当性と信頼性を検討し、優れた項目だけをピックアップして質問紙を完成させるというプロセスです。野田さん:今回の開発で特徴的なのが、こうした一般的なプロセスよりも踏み込んで丁寧に行なった「内容的妥当性」の担保だったと思います。佐藤先生:内容的妥当性は、「質問紙の内容が妥当かどうか」ということです。「質問の仕方が適切であるか」「検査で測定したい状態がきちんと測定できているか」といった観点が必要になるため、専門家でも判断するのはとても難しい部分です。また、内容的妥当性は専門家だけでなくユーザーの方の立場からも判断しなければいけないので、これまでの質問紙開発では内容的妥当性が十分に担保できていないものもあったと思います。LITALICO発達特性検査の開発では、たくさんの保護者の方や専門家の方にご協力いただき、質問項目、質問の仕方、回答の選択肢が的を射ているのかなどについて繰り返し評価をして、尺度を開発できたというのが大きな強みだと思います。野田さん:LITALICO発達特性検査は、保護者の方がオンラインで回答する検査サービスということもあって、サービス自体は簡便に受けられるけれども、その内容や結果については妥当で信頼できるものであるべき、という点から、品質の担保に関してはできる限りのプロセスを踏んでいます。COSMINを基準に尺度開発を行ったこと、特に専門家だけではなく検査対象となる保護者の方への認知的インタビュー(※)を繰り返し行なうことで内容的妥当性を担保することができたことは、今回の開発の大きな特徴だと思います。LITALICOの尺度開発チームによる質問項目の素案を作成後、妥当な質問項目になっているか、その質問項目で検査で調べたい内容がきちんと測れるか、質問の文章が適切かなどについて、専門家と保護者の視点でそれぞれ改善を繰り返しています。専門家はデルファイ法(※)、保護者の方には認知的インタビュー※という手法で実施しています。時間も手間もかかる方法で、なかなか採り入れるのが難しいのですが、検査の品質を保つための重要なステップだと考えました。そのため、内容的妥当性を担保するために、保護者と専門家それぞれの認知的インタビューを1年以上かけて行なっています。※認知的インタビュー:「質問がきちんと理解できて意図された通りに解釈されているかどうか」を評価するために、参加者に尺度の内容について自身の考えや解釈を聞くインタビュー方法※デルファイ法:複数の専門家が質問項目をチェックし、意見に基づいて修正するプロセスを繰り返すことで、質問項目を精査していく方法Upload By LITALICO発達特性検査 編集部佐藤先生:内容的妥当性や信頼性が重要であるということ、このようなプロセスを踏むことが望ましいということは専門家も理解していて、これらを完全に無視した尺度開発というのはないと思います。ただ、認知的インタビューやデルファイ法は繰り返し実施する必要があるため、コストも時間もかかります。そのため、開発者としてはやりたいけれども、実際にはなかなか難しいというのが本音だと思います。調査にご協力いただける専門家や対象者を募集し、場所を確保するだけでも大変なことです。LITALICO発達特性検査の開発では、何より、ユーザーの方から直接話を聞き、一緒にプロダクトを作っています。同意が得られるまできちんと説明し、調査を繰り返し行なったということに頭が下がります。ーー佐藤先生がご存じの中でも、しっかりプロセスを踏んだ開発だったということでしょうか?佐藤先生:私の知っている中ではベストですね!野田さん:たくさんの保護者、専門家のみなさまにご協力いただいてなんとか実現できたところです。佐藤先生:一般的な予備的調査だと、1回だけ意見を聞いて、それを質問紙に反映するということも多いと思いますが、今回の開発では、同じ方にも質問紙の改定案をその都度見ていただいて、意見をもとに修正する、というのを繰り返し行ったというのが大きな(品質担保上の)強みだと思います。野田さん:インタビューして「ここは〇〇だった」という前回の意見をもとに改善して、そのアップデートしたものを見ていただいて合意を取って、そのうえで気になった点について意見をいただき、さらに直すというプロセスを数回繰り返しています。このような形で品質を重視する開発は、前例として多くなかったということもあって、方法論もあまり確立されていない部分もありました。その点は、佐藤先生に具体的なアドバイスをいただきながら進めていったところです。その中で、COSMINの基準についても、佐藤先生に教えていただいて採り入れることができました。佐藤先生:これまで、こういった尺度開発の手続きは、研究者独自のやり方で進めていることが多かったと思うんですよね。妥当性や信頼性の質に関しても、専門家がそれぞれ自分の判断で質を高めようとしていた部分が多いのですが、COSMINはそれらの手続きや質の評価を可視化するためにチェックリストを作成しています。COSMINチェックリストは検査の項目、尺度の質を評価する際の国際的な基準です。基準はさまざまな専門家や当事者の声も採り入れて設定され、妥当性や信頼性などの特性ごとにたくさんの項目があります。今回の検査は、COSMINの基準を満たすように開発されているので、国際的な基準に沿った開発になっていると言えます。その点で、内容的妥当性の質の担保がよくできているのがこの検査の強みだと思いますね。ーーこうした質の担保ができないと、どうなってしまうのでしょうか?佐藤先生:回答はしたけれども理解しにくい質問だったり、自身の経験や考えとは的外れな質問などが含まれている可能性があるので、回答者にとって負担になってしまうリスクがあります。また、受検するたびにばらついた結果が出てしまい、検査結果が安定しない恐れもあります。こうした問題は、検査の妥当性や信頼性を損ねる要因となります。野田さん:そういったことがないように、COSMINの基準をクリアできているか、というのをチェックしていくということです。どのようなプロセスを経たらいいか、どの程度のユーザー数でテストすればいいか、といったさまざまな論点について、基準をもとに開発で満たすように進めていったということですね。もし、クリアできていない場合、佐藤先生にアドバイスいただいてプロセス自体を改善し、なるべく高い基準を満たすように開発できたというのは大きかったです。佐藤先生:お子さまの状態像は一人ひとり異なりますし、支援者の専門分野が多様になると、その分さまざまな意見が出てきます。そのため、実際には認知的インタビューでの意見を完全に集約させて尺度に反映するのは難しいこともあります。こうした研究上の限界点はどうしても出てきますので、COSMINの基準を完全には満たせない項目が含まれてしまうことも少なくありません。その中でも、今回のプロダクトは厳しい基準をできるだけいい評価でクリアできるように開発されていると思います。野田さん:内容的妥当性の担保方法に関する知見があまり広まっていなかったこともあり、COSMINを基準に作成しようと決めるまでは、今回のようなインタビュー研究をこの規模で行なうことは計画されていませんでした。佐藤先生のCOSMINに基づいたコンサルテーションがなければ、このレベルで内容的妥当性を担保することは難しかったと思います。心理尺度や質問紙という形式の検査自体の強みと限界Upload By LITALICO発達特性検査 編集部佐藤先生:広くたくさんの方に簡便に回答していただきやすいのが質問紙法という検査形式の強みだと思います。例えば、発達検査の中には対面式の検査もありますが、お子さまや保護者の方と支援者が対面で検査をして所見をまとめるとなると時間もかかりますし、検査を実施できる専門機関や専門家の数も必要になってきます。特に地方にお住まいの方にとってはシビアな問題です。質問紙の場合、受検者に配布した質問紙の説明文を読んで回答していただくので、より気軽に受検できますよね。ただし、回答者の主観的な判断に基づいての回答になることについては、少し注意が必要です。回答だけをもとに、原因を確定したり診断したりすることはできません。それが限界点になりますね。野田さん:おっしゃる通りで、ユーザーとしては「検査」というと「診断」が出るということを期待される方も多いと思うのですが、LITALICO発達特性検査は医学的診断を行なうものではありません。しかし、診断がなくとも特性や困りとそれらの背景という観点で測定して、すぐにデジタルである程度個別化された情報を届けられるということが、このプロダクトの特徴だと佐藤先生のお話を伺って改めて感じました。検査結果レポートでは、診断の有無にかかわらず理解や支援の助けになる情報を、監修者の先生方と厳選しています。実際に自分のお子さまについて、なぜお子さまが困っているのか分からない、どうサポートしたらいいか分からないという場合に、お子さまの状況を把握するため受検していただくといいのかな、と思っています。そして状況に変化があるかを追っていくための確認としても使っていただけるようになるといいな、と。佐藤先生:そうですね。アンケート形式はとても回答しやすいと思いますし、いつでもどこでも回答できるというのはメリットです。この検査を糸口にして、より専門的な支援サービスを受けることを検討するなど、最初の一歩になりやすいツールだというのが強みだと思いますね。野田さん:逆に言うと、お子さまを支援したり、環境を作ったりするときに、検査だけで完結することはもちろん無理で、専門家を始め、周囲の関わる人たちが一緒に協業していかないと難しい部分は確実にありますね。また、ほかの検査の代わりに受検するというよりは、この検査のメリットを活かすことで、早期かつ簡便に、ある程度適切な情報や個別化された情報を得ていただいて、適切な支援や相談できる場所とつながる、より詳しい情報を調べるという形で使っていただけるといいなと思います。今回、認知的インタビューで保護者の方の意見を聞く中で、困りが一元的ではなくて、本当に多面的なんだなということが印象的でした。それは「質問紙で必要十分なのだろうか」「この形で本当にいいのだろうか」と制作の過程で問いなおすきっかけになりました。その意味でもインタビュー研究という形で尺度の質を確認していく、実際にユーザーの方にお話を聞くことが重要なんだなということを痛感しました。これが質問紙開発以外のプロダクト作りにおいても、ユーザーインタビューを積極的に行なうことにもつながったと思います。やはり、多様な困りに対して一つの形で答えていくしかないというのが質問紙という形式の限界でもあります。強みと限界があるうえで、既存の検査や人を介した直接的な支援と相反するものではなく、両立して使っていただけるものになったかな、というのが個人的に感じているところです。配慮や工夫を重ね、品質を高めた検査。多くの方に使ってほしいーー佐藤先生は、具体的にどのような方に使っていただきたいとお考えでしょうか?佐藤先生:お子さまの状態を知りたいという保護者の方はもちろんですが、私としては、この検査の結果をコミュニケーションのツールに使ってほしいという想いがあります。今回のプロダクトは、家庭の中でお話しする材料になりますし、あるいは学校だったり、支援機関の方と話し合う際の材料になるものだと思います。検査結果レポートの内容も大変充実しているので、そこがこの検査のすごくいいところですね。自分だけで抱え込まないで、いろいろな方とシェアをしてよりよい方向を検討するための第一段階のステップとして、すごく優れたツールだと思います。不安な気持ちと知りたい気持ち、いろいろな悩みを持たれて受検される方が多いと思うのですが、得るものもたくさんある検査だと思います。多くの方に安心してご利用いただけると、私としてもすごくうれしいですね。取材・編集:発達特性検査編集部撮影:タムラケンジ(記事の後編では、開発の過程で保護者や研究者の方の意見がどのように反映され、LITALICO発達特性検査がブラッシュアップされたのか、より詳しく伺いました。合わせてお読みください)
2025年03月06日ウーマンエキサイトの皆さん、こんにちは!ドイツで子育てをしている主婦のぱん田ぱん太です!私はこうしてウーマンエキサイトで漫画を連載しているだけでなく、自身のブログ、SNS、書籍などでも描いた漫画を皆さんに読んでいただいています。「毒親」に関する知識は、仕事にもプライベートにも有用で重要なものなのです。そうしてお勉強した内容で、気になったものが一つ。「子供に手を上げる」「侮辱する」「育児放棄をする」といったタイプの毒親が最悪なのは、分かりやすい。一方、「過干渉」タイプの毒親もいます。過干渉ってそこまでNGなのかな?と最初は思っていましたが、実は「過干渉」タイプの毒親は、子供の心にとても強い悪影響を及ぼすのだそうです。我が子が心配で、道を修正してあげたり、助けてあげたりしたくなるのは親心ですよね。だけどその度が過ぎると、子供は「親に信頼されていない」と自信を失い、それが長期的な自己肯定感の低さや、自分を信じられない価値観につながってしまうのだそうです。果たして「過干渉」に、ある程度の基準のようなものはあるのでしょうか?通学路かつ子供が多い住宅街の割に、どうも危険な道が多く……。家との距離は徒歩5分ほどとかなり近いのですが、私は送迎を欠かさないようにしています。言った直後にはっと気付く…。「あなたが心配なのよ」のようなネガティブっぽいワードをなるべく使わないように説明してみることに。すると、フリッツ君の方から質問が。親から押し付けるのではなく、子供が望むのであれば、なるべくかなえてあげたいもの。あ、すみません、それはさすがに自立してください(笑)私はこれからも勉強をして知識をつけます。そして小学校の送迎はしばらく続けますが、親としてしっかり彼の能力を見極め、さまざまな事を教えながら信頼し、少しずつ少しずつ自立できるようにお手伝いをしていきたいと思います!
2025年03月01日子どもの発達の遅れはいつ頃分かる?乳幼児期の発達などのアンケート結果、保護者のリアルな声は?子どもの発達の遅れとは、月齢・年齢相当の成長が見られない状態のことを指します。原因はさまざまですが、遺伝的な要因や環境的な要因などが考えられます。発達の遅れに気づく時期はお子さん一人ひとりで個人差があります。乳幼児健診、1歳半健診や3歳児健診などでは身体や心の発達を確認し、異常なし、要フォローなどと判断されます。ここで発達の遅れや専門機関などを紹介されることも多いです。Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン参考:乳幼児健診について|子ども家庭庁Upload By 発達障害のキホン乳幼児期、発達に関して気になることがかなりあった (47%)乳幼児期、発達に関して気になることが少しあった (43%)乳幼児期、発達に関して気になることはなかった (10%)乳幼児期、育児に奮闘する中「わが子だけ発達が遅い気がする?」「こんなにも育てづらいのはわが家だけ?」とほかのお子さんとの違いを感じた、健診で経過観察になったなど、「もしかして発達が遅れているのかもしれない」と思ったことがある方も多くいらっしゃると思います。発達ナビでは『発達が遅れてる?健診で遅れを指摘され…「乳幼児期の発達」』についてのアンケートも行いました。「乳幼児期、発達に関して気になることがかなりあった」が47%、「乳幼児期、発達に関して気になることが少しあった」が43%と多くの方が大なり小なり発達に関して気になることがあるという結果になりました。※本アンケートは発達ナビ内の「みんなのアンケート」を母体としています。このため、一般集団のアンケート結果とは異なります。・乳幼児期、発達に関して気になることがかなりあった生まれてすぐから寝ない子だった。背中にセンサーがついていて降ろすと泣く。立ってだっこし、揺れていないとぐずる。毎日夜中の2時頃まで立って揺れていた。授乳中も目が合いにくく、母子手帳の「目が合いますか?」の質問にこんなもんなのかなぁ?と思っていた。・乳幼児期、発達に関して気になることが少しあった歩きはじめが早かった息子。好奇心旺盛で子供らしいイタズラもひと通り経験。一歳半健診で言葉が遅いと指摘を受けたけど、2歳までには話も出来るようになり意思疎通も取れていた。今思えば、呼んだ時の反応は鈍かった。 By 発達障害のキホン子どもと一緒の外出先で困ったことがかなりある (65%)子どもと一緒の外出先で困ったことがたまにある (26%)子どもと一緒の外出先で困ったことはあまりない (9%) By 発達障害のキホン行事でトラブルが起きたことがある (68%)行事でトラブルが起きたことがない (32%)発達特性があり、運動会やお遊戯会、遠足や各種式典など「普段と違う環境」が苦手なお子さんも多いのではないでしょうか。また、お子さんとのおでかけなどは予期せぬハプニングの連続ですよね。発達ナビでの『運動会、お遊戯会、遠足、入園(入学)式や卒園(卒業)式など行事でのトラブル』『パニック!固まって動かない!白黒思考で困った!「外出トラブル」』のアンケート結果は……。行事トラブルアンケートの結果は「行事でトラブルが起きたことがある 」が68%、「行事でトラブルが起きたことがない」が32%と半数以上の方が行事でなんらかのトラブルが起きていると回答しています。外出トラブルアンケートは「子どもと一緒の外出先で困ったことがかなりある 」が65%、「子どもと一緒の外出先で困ったことがたまにある 」が26%と9割以上の方が外出時にトラブルがあったと回答される結果になりました。※本アンケートは発達ナビ内の「みんなのアンケート」を母体としています。このため、一般集団のアンケート結果とは異なります。・行事でトラブルが起きたことがある入園式、運動会など行事のときは行き渋りから始まります。なんとか宥めて登園しても、中に入るのに30分以上かかります。行動が制限されることから、叫んだり、寝そべったり、補助の先生にしがみ付いていたりといつもと違う雰囲気に恐怖を感じているようでした。・子どもと一緒の外出先で困ったことがかなりある自閉スペクトラム症の息子が4歳の時、通っていた幼稚園の避難訓練で火災報知器の説明があったらしく、(「火事の時は先生がこのボタンを押して火事を知らせます」という内容だったそうです)それ以来、出先で火災報知器を見かけるとボタンを押したがるようになりました。半年近く、火災報知器の前でボタンを押したい息子と押させないように報知器の前に立ちはだかる私(母)の攻防が続きました…「息子だけ歩かない…赤ちゃんのまま?」と感じた1歳半健診。療育を紹介され…途方にくれた乳児期を振り返って今感じること【ユーザー体験談】Upload By 発達障害のキホン軽度知的障害(知的発達症)やASD(自閉スペクトラム症)の診断があり、特別支援学級に通っている現在小2の息子さん。そんな息子さんの障害が分かったのは年中の頃でした。出産後の子育ては首が座らない、寝返りしない、お座りしない……健診は気になることだらけ!同じように悩んでいる方にもこちらのコラムはたくさん読んでいただけたようです。専門家が解説!発達の遅れ対策や支援の方法などもQ:3歳グレーゾーンの子どもですが、言葉の遅れがあり、うまく意思疎通ができずに癇癪に繋がり困っています。家庭でできることはありますか?A:言葉の遅れにもいろいろな段階がありますのでこれだけで正確なアドバイスはできませんが、例えばまだ発声そのものが少ない場合、発音の多少の間違いは問わず発語されたことに対して褒める、認めるなど言葉で言えたこと自体に対して認めたり、注目や要求を叶えたり肯定的な対応をしていくことが大切です。また、やりたくない場合に癇癪ではなくて「やめとく」「おやすみ」など、分からない場合に「おしえて」「それなに」などその子の発語能力や文脈に応じて癇癪ではなく適切な言葉によるコミュニケーションができるようにモデリングやスモールステップを使って教えていきましょう。Upload By 発達障害のキホンQ:3歳児健診で積み木がうまくつまめず、「運動発達遅滞の可能性がある」と言われました。運動発達遅滞とは何でしょうか?周りの子に追いつくことはあるのでしょうか。A:運動発達遅滞とは、今の診断名では発達性協調運動症にあたるかもしれません。例えば、物をつかんだり、はさみや刃物などの道具を使うことが不正確である、書字に困難が生じるといったものが、日常生活に困難さを与えている状態です。運動のどこが苦手なのかということで実際の診断名や対処法が違ってくることがあります。個人差がありますので「追いつくか」ということに対して答えることはできませんが、個人の運動発達レベルに合わせて取り組みやすい課題や遊びを設定していくことで少しずつできることも増えていくと思います。Upload By 発達障害のキホンQ:発達遅滞と発達障害の違いってありますか?発達が遅いと発達障害ということなのでしょうか?A:発達遅滞とは発達が遅れているという概念です。・言語発達遅滞・運動発達遅滞・精神発達遅滞・全般発達遅滞などがあります。発達障害は広い意味で使われる場合と狭い意味で使われる場合がありますが、狭い場合ですとASD(自閉スペクトラム症)や ADHD(注意欠如多動症)などの診断基準を満たすことを指すことが多いです。広い意味では発達障害者支援法で指定されているような行政概念を指す用語となります。Upload By 発達障害のキホン(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年02月22日皆さんこんにちは。毎日、寒い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。暦のうえではそろそろ春がやってくるはずなのに……日本海側では記録的な大雪!!!!我が家は暖房と加湿器を毎日フル稼働しているので、電気代が大変なことになっています(泣)。早く暖かくなってほしいですね。さて、皆さんは、我が子の意外な才能に驚かされた経験はありませんか?意外と記憶力がいい! 瞬発力がある! 手先が器用など……。何かの出来事がきっかけで、子供の隠れた才能に気づくことってありますよね。うちの子供たちは勉強もスポーツも「The 普通」で、普段の生活では特別に光るものはあまりないんですが……(笑)。先日、家族旅行へ行った際に、ムスコの才能?(意外と得意なこと?)を発見して驚かされました。他の挑戦者は、バケツの近くにあたって跳ね返って失敗しているのに……。ムスコの投げたボールは前面の壁にあたって、息子のところへまたボールが返ってきてしまいました(笑)あきらかにムスコが断トツで下手だったので、パークの方が、直々にムスコへ投げ方のコツを教えてくれていました。一投目が変なところにあたったので、私もパパも「ダメだこりゃ……才能はないな……」と思ってあきらめていたのですが……。なんと!!!!!!? めっちゃきれいに「スポッ」とバケツに入ったのです!!びっくりしすぎて、動画を撮影しながら変な声が出ちゃいました。一投目が下手だっただけに……二投目の成功はまぐれなんじゃないかと私とパパは疑っていました。疑っていたけれども……三投目も入りそうだったんです!! すごく惜しかったんです!! 失敗だったけども、これはまぐれじゃないかもと思い始めました。四投目も「スポッ」ときれいに入って、見ていた周りのお客さんから「おおおおお!」と驚きの声があがりました!私と主人は顔を見合わせて、「あいつ本物だ」と笑い合いました。一投目の失敗から学んでうまく修正する力にもびっくりでしたし、狙ったところに投げるコントロール力、本番のプレッシャーに負けないメンタルにもびっくりしました。ムスコ、本番に強いタイプなんです。でも、肝心の野球ではあんまり活躍できてないんですけどね~(笑)これから上手になるのかも!? 素質アリ!?ムスコのこれからの成長が楽しみです!!
2025年02月19日ウーマンエキサイトの皆さん、こんにちは!ドイツで子育てをしている主婦のぱん田ぱん太です。わが家の一人息子・フリッツ君は現在6歳。どのお子さんにもあるあるだと思いますが、その興味はいろいろなものに移り変わっていきました。例えば……。傾向として、典型的な「男の子の好み」に沿っている感じですね! 最近は小学校で友達とアメコミヒーローになりきり、戦いごっこなどもしているみたいです。ドイツでは(日本もでしょうか?)、そんなアメコミの「子供向けバージョン」が売っています。絵柄のテイストを少しやわらげ、セリフも分かりやすくし、残酷なシーンはカット……など調整されたものです。それを読んで楽しんだり、アメコミヒーローたちの幼児向けおもちゃ(組み立てブロックやフィギュアなど)を買って遊んだりしています。そんなある日のこと。久しぶりに映画館に行きたくなったので、現在はどんな映画が上映しているのかプログラムを観てみると、とある新作アメコミ映画が上映中であることをフリッツ君が発見。しかし、映画となるとまた話は変わってきます。大人ぶりたいお年頃のフリッツ君、たとえ16歳以上向けの映画でも平気だと自信満々。しかしとにかく、なんの映画を観に行くのかを決めなければなりません。私はメルヘン系のお話が大好きなので、ふとそう呟いてみました。童話の原作は結構残酷だったりしますが、童話を絵本にしたものや映画にしたものなら、もちろん子供向けですし。しかしフリッツ君いわく「メルヘンは逆に怖い」とのこと。どういうこと?なるほど(笑)。フリッツ君は、ヒーローやモンスターが戦ってケガをしたりするのはまったく怖くないのですが、メルヘンにありがちな「悪いママが子供に"死んじゃえ"などと暴言をはく」のは怖いようです。たしかに、人やモンスターが派手に戦う場面はファンタジーとして受け止められますが、「悪いママ」は身近に想像できるおそろしさですものね……。世界基準で定められている「◯◯歳以上」の基準と、子供それぞれの感性はまったく別の問題なのだなあと実感した出来事でした。
2025年02月01日ウーマンエキサイトの皆さん、こんにちは! ドイツで一人息子を育てている主婦のぱん田ぱん太です!突然ですが、私が最近始めたこと。それは……。「投資で資産運用」です!しっかりと投資について勉強をし始めてからというもの、お金に対する考え方や扱い方も変わりました。そのため、もっと早く投資について知り始めておけば、シンプルにその年数分、資産が増えただけではなく、より上手にお金を扱うこともできただろうになぁ、と残念に思います。当然ながら過去に戻ることはできません。でも、私には一人息子のフリッツ君がいます!自分の人生をやり直すことはできないですが、代わりに、私が早くから知りたかったことを息子に早くから教えてあげることは可能です。そのきっかけは、2024年の2月、フリッツ君のお誕生日のことでした。やっぱり何かについて学ぶなら、実践が一番! 私は家にあったかわいい空き箱に「ママバンク」と書いた紙を貼った、簡単な貯金箱を作りました。銀行預金、金利、複利……なるべく難しい言葉は使わないようにしながら説明してみました。すると……。「ぜんぜん分からん」とのこと。そりゃそうですよね(笑)。しかし先ほども書いた通り、大切なのは実践です! とにかく「月利1%のママバンクに貯金」をスタートすることに。すると、フリッツ君は少なくとも「自分のお金を使わず、ここに入れておけば増える」ということを理解してくれたようです!%の計算などを理解するのは当然まだまだ先ですから、ざっくりと分かってくれれば十分です!そして後日のこと。実際のところ、フリッツ君にはまだおやつを自分で買うような機会はありませんが、お勉強のために「お金を使う? 貯金する?」と聞いてみました。すると、「貯金する」との答えが! その理由も、しっかりと私の説明を復唱してくれました!親子でそれぞれの貯金を眺める日々(笑)。フリッツ君にはこの調子で、将来のためにしっかりと資産運用について学んでほしいです。もちろん、お金をためて増やしてばかりでドケチな子になるのも大変ですから、もう少ししたら「人生を豊かにするための上手なお金の使い方」についてもしっかりと教えていきたいと思っています!
2025年01月06日2024年4月リリース!「LITALICO発達特性検査」の特徴や、お子さまのサポートに活かすヒントをまとめてご紹介新しい年が始まりました。春の就学や新学期に向けて、「もっとお子さまに合ったサポートがしたい」「園や学校、医療機関との連携を深めながら、合理的配慮についても相談したい」とお考えの保護者の方も多いのではないでしょうか?LITALICO発達特性検査は、お子さまの発達特性や困りごと、よく見られる姿やその背景要因、お子さまに合ったサポートの方向性などが分かる、オンライン完結の検査サービスです。このコラムでは、LITALICO発達特性検査の企画段階から参画し、多動・不注意/情緒・行動/感覚/運動(くせ)の検査結果テキストの監修を担当した公認心理師の井上雅彦先生のインタビューを中心に、LITALICO発達特性検査で分かることや、検査結果の活用のヒントなどを解説した記事をまとめてご紹介します。Upload By 発達ナビ編集部LITALICO発達特性検査では、お子さまの特性を、7の大分類と18の小分類に分けて測定します。本検査をご利用いただくことで、お子さまがどのような困りごとがあり、なぜ困っているのかを多面的に理解することができます。この記事では、LITALICO発達特性検査について、その特徴や対象となるお子さまについて、検査で分かること、受検方法などを分かりやすく解説しています。LITALICO発達特性検査に企画段階から携わっている公認心理師の井上雅彦先生は、「診断の有無にかかわらず、子どもの特性を理解し、対応方法や関わりの具体的な方法を提案できるツールが必要だと感じていた」と話します。この記事では、LITALICO発達特性検査ができた背景や、この検査で解決したい親子の抱える課題について、ご紹介しています。お子さま本人にとって障害となる困りごとや子育ての課題を解決するためには、お子さま本人の特性を理解し、その特性や困りごとに応じた対応方法を保護者の方や、園や学校などの周りの人が理解することが、とても重要です。この記事では、特性を検査するとはどういう意味を持っているのか、また、特性を検査することで、どのようにお子さま・ご家族の困りごとや課題をサポートしていけるのかについて解説しています。環境調整とは、お子さまが困りごとや困難さを感じる環境を整えることを指します。ストレスや困難が生じやすい環境を、お子さまに合わせて調整することで、心理的・行動的な困難を減らしていきやすくなります。また、お子さまの特性に適した環境を整えることで、課題や困りごとが軽減できるケースも多くあります。この記事では、お子さまのための環境調整のコツや、LITALICO発達特性検査の検査結果の活用方法を解説しています。園や学校はお子さまにとって、長い時間を集団で過ごす場所になります。しかしながら、集団での行動や学習、自立活動など、家庭とは異なる状況や困難が現れたり、家庭と同じようなサポートが難しかったりという場面も……。そのため、本人に合った環境やサポートの方法を、先生方と保護者が連携してつくっていくことがとても重要です。この記事では、LITALICO発達特性検査の検査結果を活用し、園や学校とスムーズに連携するためのポイントをご紹介します。子育てや福祉に関する窓口、教育相談の窓口などの相談機関は、ヒアリングや相談内容をもとに、保護者の方にアドバイスをする、適切な支援制度を紹介する、医療的な支援に繋ぐといった機能を持っています。その際に、重要になってくるのが保護者の方からの情報です。どのようなことに困っているのか、お子さまにどのような様子や行動の傾向がみられるか、保護者の方がどのくらい困難を感じているかなどを分かりやすく伝えることで、相談の具体性や、その先のサポートの適切さが上がります。この記事では、相談機関との連携の際に、どのように検査結果を活用できるかについて解説しています。発達が気になるお子さまの専門科としては、発達外来や児童精神科、小児神経科などがあります。医療機関での問診は時間が限られていることもあるため、事前にお子さまについての情報や、相談したいことなどをまとめておくとスムーズです。この記事では、医療機関との連携の際の検査結果活用方法についてご紹介しています。「検査結果を受けて、まずは何をすればいいの?」「サポートを試してもうまくいかない場合はどうすれば?」など、検査結果の活用についての疑問にお答えします。お子さまの対応や特性理解に活かすためのヒントを見つけてみてください。「LITALICO発達特性検査」で春からの新生活に備えてみませんか?LITALICO発達特性検査は、お子さまの発達特性や困りごと、よく見られる姿やその背景要因、お子さまに合ったサポートの方向性等を知ることのできるオンライン検査サービスです。お子さまの特性理解とサポートのためのツールとして、ぜひご活用ください。【受検方法】:保護者の方がオンラインにて150問程度の質問に回答いただく形式です【検査時間】:約30分(検査結果は回答完了後、すぐに確認いただけます)【検査価格】:2,970円(税込)※受検1回分の価格【対象年齢】:本検査の対象年齢は3歳~18歳です※就学猶予、原級留置(留年)で高校入学、進級が遅れた場合等は、19歳も受検することが可能です※本検査はお子さまの発達特性やその背景要因、適切なサポートの方向性に関する情報を提供するためのものであり、医学的診断を目的としたものではありません
2025年01月04日すでに診断やほかの検査を受けている場合、検査をする意味はあるの?公認心理師の井上雅彦です。LITALICO発達特性検査では、検査結果テキストの監修を担当しています。また、臨床の現場では発達検査などを実施する立場でもあります。LITALICO発達特性検査を受検されるかどうか、迷っている保護者の方の中には、すでにお子さまが医療機関や相談機関とつながっていて、これまでに診断を受けている場合や、発達検査や知能検査など、なんらかの検査を受けたことがある方もいらっしゃると思います。私はそのような場合も、LITALICO発達特性検査の受検は意味があると考えています。診断や、ほかの心理検査とは別のものとして、検査結果で得られるものが異なり、そして、医療機関や相談機関と連携し、併せて活用していただくことで、より意味が増してくるツールがLITALICO発達特性検査だからです。今回はそのことをテーマにお話しします。診断を受けている場合のLITALICO発達特性検査LITALICO発達特性検査は診断の有無にかかわらず、お子さまがサポートを受けやすくすることを目的としています。その前提のうえではありますが、すでに医療機関とつながっている場合には、LITALICO発達特性検査を併せて使っていただくことで、より具体的な支援に役に立つと思っています。一般的に医療機関での診察時間というのは、限られた短い時間であることが多いです。そうすると、その時間内に日々の具体的な困りに対する対応方法を一つひとつ医師と相談して解決法を探っていくというのは難しいかもしれません。また、医療の観点からのアドバイスを得たい場合もあると思いますので、ある程度相談したいことや、保護者の方が課題だと思っていることを整理しておくというのが、とても役に立つと思うのです。そのような場合に、あらかじめ整理したり、お子さまに合いそうなサポートの方法を試してみたりしておくツールとしてLITALICO発達特性検査を使うといいと思います。また、診断や特性自体は変わらなくても、お子さまの環境や年齢などによるライフステージの変化によって困りごとや特性の現れ方は変化することもあります。そのような場合に、この検査はお子さまの具体的な状態を把握するためにも大きな意味があると思います。ほかの検査を受けている場合のLITALICO発達特性検査検査と言っても、WISCや田中ビネーなどの知能検査や、Vineland(ヴァインランド)などの適応能力を調べるための検査、本人の不安やうつ傾向を調べる検査など、種類はたくさんあり、目的もそれぞれ異なっています。これらの検査はそれぞれ測定したいものがあって、それを数値で表すものです。例えば、知能検査では、認知機能の偏りについて測定し、IQ(知能指数)という数値で表します。この数値は、全体と比較してどの水準にあるかを示すことで公的な支援に繋げやすくするという役割があります。また認知機能の中でもどの領域に凸凹があるかというのを数値にすることで本人の困難さをより具体的に示すことを目的としています。検査結果として数値やグラフで示される検査が多く、保護者の方がもらえる検査結果レポートも、検査を実施する機関によって異なりますが、簡易なものが多いです。検査を実施した心理士などによるアドバイスが示される場合もあると思います。しかし、文量的にレポートだけで保護者の方がさまざまな場面で生じている困難の背景を理解し、日々のお子さまへの具体的な対応に役立てるということは難しいかもしれないですね。一方、LITALICO発達特性検査は、オンラインで保護者の方が受検して、日々のサポートに活かすことを目的にした検査です。その点で、レポートはお子さまへの特性理解を踏まえた対応をすることを目的とした作りになっていて、検査で分かったお子さまの特性に合うようなサポート方法のヒントが提示されます。また、検査で分かる領域も、まずはお子さまの特性や苦手を広く測れるように、7つの大分類、18の小分類を扱っています。生活と関連が深い睡眠の課題や、発達に特性のあるお子さまに現れることが多い行動や情緒の課題なども検査項目に含まれています。LITALICO発達特性検査はこうした広い領域を広くカバーするものであり、そのお子さまの特性や苦手なことの背景要因から具体的な対処法まで保護者の方にとって理解しやすい内容で説明されています。このことでお子さまの全体的な発達特性と一緒に対処法を理解することができます。ほかの検査と併用する場合、例えば、それぞれの検査結果をみて、「ああ、この検査の数値で表れている部分は、こういう背景要因があったからなんだ。ではサポートの方法を変えてみよう」などと理解を深めるきっかけにしていただきやすいと思います。また「以前受けた検査では苦手だった部分が、サポートの方法でカバーできている」という点も見つかるかもしれません。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部医療機関や相談機関の指示を仰がずに受検しても大丈夫?LITALICO発達特性検査は、検査という名前ではありますが、保護者の方がお子さまの困りごとや支援方法を把握するためのツールです。したがって、ほかの検査を受けている場合やかかっている医療機関がある場合にも、気軽に受検していただいて問題はないと考えています。もちろん気になる場合は、受検前に相談していただいてもいいと思います。中には、「すでに受けている診断や検査と矛盾する結果が出たらどうしよう」と悩まれる方がいるかもしれません。LITALICO発達特性検査は保護者の方の主観で回答する検査ですので、ほかの検査や医師の見立てとは異なる可能性もあると思います。もし、これまでの結果や見立てと違うという場合には、その点が医療機関や相談機関で相談されるいい視点になると思います。例えば、それぞれが課題に感じている点、それほど課題ではないと思っている点が違う場合は、詳しく相談したりすり合わせていくとスムーズです。課題の出る状況や場面が限定的な場合は、それを見つけること自体が環境調整のヒントになることもあります。検査結果は情報の一つとして捉えていただき、決めつけずにフラットな見方をしていただくと、前向きな話し合いやアセスメントがしやすくなります。また、そうした相談の際には、保護者の方が事前に相談の優先順位と要点を整理しておくと、短い相談の時間を有効に使えると思います。お子さまの困りごとは環境や状況、お子さま自身の発達やスキル獲得などによっても変化するので、お子さまの特性や困りごとをどのように把握してどのようにサポートしていくかという視点で、協力体制をつくれるといいですよね。受診・受検から時間がたった場合の「点検」にもUpload By LITALICO発達特性検査 編集部診断のある方でも、服薬治療がない場合には、頻繁な通院をしないというケースもありますし、頻繁に検査をしたり、診断を受け直すという方はそれほど多くないと思います。心理検査も、現状では費用やリソースの観点から、なかなか頻繁には受けられないかもしれません。そうなると、例えば、5歳児健診の時に診断や心理検査を受けて、それからしばらく間が空いているという場合もあると思います。また、発語の課題があって未就学の一時期に専門機関と繋がっていたけれども、その後言葉が出るようになったなどで、一度支援から離れているという方もいるかもしれません。特性のあるお子さまにとって、成長に伴って環境や状況が変わることで新たな課題や困りごとが現れるということは、珍しいことではないのです。例えば、限局性学習症に含まれる学習面での苦手は、その現れ方が一人ひとり違うので、例えば算数の筆算だけが苦手だとか、その学習をする年齢になってはじめて現れる困りごともあります。また、成長に応じて求められる態度やスキルが変化してくることもあるかもしれません。小学校までは許容されていた行動が、中学や高校では認められないという場合もあるかもしれません。人間関係やコミュニケーションや学習など、年齢によって複雑になっていき、そこで課題が出てくるというケースは多いと考えられます。そうすると、特性は変わらないのだけれども、困りごとが変わってきた、対応方法も変えた方がよさそう、という場面は結構あると思うのです。そのような時に、ぜひLITALICO発達特性検査を受検していただいて、変化がないかをみたり、対応方法を変えるきっかけにしていただくといいのではないかと思います。受検してみて、以前受けた診断や心理検査の結果と違うなと感じたり、家庭では対応が難しいと感じたら、その点を相談するために、ぜひ医療機関や相談機関と連携してみてください。医療・専門機関との間を繋ぐ共有ツールとしてすでに診断を受けられている場合、医療機関や専門機関で相談する機会もあるでしょうし、保護者の方もご自身でいろいろと知識を得て、日々のお子さまへのサポートを工夫されていると思います。検査結果のレポートを見て、「私のやり方で合っていた」「私の見立てと同じ」と感じる方もいるでしょう。そういった場合、自信を持って支援を進めていただく根拠になるかもしれないですね。また、背景要因としてまとめられているテキストを使ってよりお子さまの理解を深めたり、今まで試していない方法を見つけて、ヒントにしていただくのもいいと思います。もう一つ、LITALICO特性検査は保護者の方が感じていることの言語化ツールでもあります。ぜひ、医療機関や専門機関、あるいは園・学校・支援者・家族など、周りの方にも、課題に感じていることやお子さまの特性、その背景要因を周りの方と共有するためにも使っていただけることを願っています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年12月18日ウーマンエキサイトの皆さん、こんにちは! ドイツで一人息子を育てているぱん田ぱん太です!我が家の一人息子・フリッツ君は2024年で6歳になりました。子どもの成長スピードは本当にそれぞれですが、この年頃の子どもたちに共通して訪れる変化がありますよね。歯の生え変わりです!我が家では、フリッツ君の抜けた乳歯を専用の入れ物に保管していくことに。実は2019年頃から私は元夫と別居しており、裁判を経て共同親権で子育てをしています。共同親権といえば、日本でも話題のテーマですね。向かって左側の前歯に続き、右側の前歯もしばらくぐらついていたのですが、ある週末にパパの家から戻ってきたフリッツ君を見ると、右側も抜けていました。そのため、右側の乳歯はパパが保管することになり、トゥースボックスには乳歯なしで、抜けた日だけを記載しておくことに。それを見たフリッツ君が言いました。初耳です(笑)。しかもこのゲームに勝った方のご褒美まである様子。なるほど、よく考えられています。もちろん、本気で争っているわけではないのですが(笑)、乳歯が抜けることもゲームとして楽しめる姿勢が良いな、と思ったこと。そしてフリッツ君なりに、ママとパパが別居していることを受け入れてくれているのだな、と安心した出来事でした。
2024年12月01日”大人の発達障害”という言葉を聞いたことはありますか?子どもの頃は困り感がなかったものの、大人になってからミスなどが増え、自身の発達障害に気づくというケースもあるようです。そこで今回は、MOREDOORのオリジナル漫画『大人の発達障害』をご紹介します。※少しでも多くの方に、このことについて考えるキッカケづくり目指して制作されました。当事者の声はさまざまです。あくまで一例として、考えるキッカケになれば幸いです。あらすじもうすぐ社会人2年目となる田所。幼少期から友人との関係も良好で、スポーツでも成果を出していました。しかし、会社で働くようになるとミスが目立ち始め、後輩からも馬鹿にされてしまいます。ミスばかりの自分に嫌気がさした田所は、会社を仮病で欠勤するように……。友人に相談すると心療内科の受診をすすめられ、勇気を出して受診してみると”ADHD”と診断され……?彼女に伝えることに……彼女に”ADHD”だと打ち明けた勇気を出し、彼女に診断結果を打ち明けた田所。昔から田所を見ている彼女は寄り添うような優しさで受け止めます。その後は自分に向き合い受け入れながら、周囲の理解もあり職場の人たちとも上手に関わっていけるように。そして「自分のことも相手のことも知って認めて尊重する」そんな風に人も自分も大切にできるようになりたいと思うようになったのでした。”大人の発達障害”だとわかった田所、あなたの周りで同じような状況だったら、なんと声をかけますか?※この漫画はフィクションです。■監修:三崎てるひこ(臨床心理士・公認心理師)■作画:長月よーこ(MOREDOOR編集部)
2024年10月25日ウーマンエキサイトの皆さん、こんにちは!ドイツで一人息子を育てているぱん田ぱん太です!我が家の一人息子、フリッツ君は現在小学校入学(ドイツは9月から新学期が始まります)を控えた6歳。そんな彼の特徴的な性格の一つはと言いますと……。人見知りをしないことです!たとえばレストランなどで、子ども好きのウェイターさんに話しかけられたりすると、フリッツ君は意気揚々と語ってくれます。「おいしい?」という問いに対して「はい/いいえ」だけではなく、どれが自分にとっておいしいか、どうやって食べるのが好きか、これを食べない理由は何か……などを詳細に語ってくれるので、そもそもおしゃべり好きなのだと思います。そんなある日のこと。暑い夏日だったので、友達家族とお出かけすることになりました!とりあえず、5人分のチケットをまとめて買うことを受付の男性に伝えると…?なんと、特例で「家族チケット(大人チケット2枚+子供チケット3枚セット)」を売ってくれるとのこと!仮の料金設定で説明しますね。たとえば、大人10ユーロ、子供5ユーロのチケットだとしたら、別々に買うと「大人×2枚(20ユーロ)+子供×3枚=(15ユーロ)=35ユーロ」になるところを「家族チケット」なら30ユーロに!しかも、本来なら私たちは「大人×3枚(30ユーロ)+子供×2枚(10ユーロ)=40ユーロ」なわけですから、さらにお得!とても優しい受付の方の対応が嬉しく、私はこのようにドイツ語でつぶやきました。すると……。マネしたがりのフリッツ君が、私の口調をマネて、このように受付の方に向かって言いました。ここで私は感激! これまでにも大人の口調をマネるフリッツ君を「かわいい坊やね」と褒めてもらったことはありました。しかし「育ちがいいね」と褒めてもらったことは初めてだったのです!「こういう場面できちんとお礼を言うのよ」と教え込むことももちろん重要ですが、フリッツ君のようなとにかく大人をマネしたがるタイプの子には、目の前で見本となるのが一番だということに気付き、私はそれ以来、以前よりもさらに意識してあいさつやお礼を言うことにしています!
2024年09月01日ウーマンエキサイトの皆さん、こんにちは!ドイツで一人息子を育てているぱん田ぱん太です!皆さんは夏の夏季休暇をどう過ごしていますか? ドイツの子どもたちも日本の子どもたちと同じように約6週間の休暇があるので、わが家も比較的長期の旅行を計画しました!昨年、2023年の夏季休暇には日本に行ったばかり。フリッツ君はバイリンガルとはいえドイツ育ちで、ごく普通の幼稚園に通っているので、日本語はドイツ語ほどは上手に話せません。とはいえ、簡単な意思疎通をするには十分に話せるので、日本旅行では特に問題なし。しかしフランスやイタリアに行くとなると、話は変わってきます。フランスやイタリアでは、私たちがドイツから来たと分かると、基本的に英語で意思疎通を図ります。フリッツ君に向けても同じように英語で話しかけてくれますが……。まだ英語がわからないフリッツ君は困惑気味。しかし、旅行中のある日、レストランでフライドポテトを注文すると、店員さんが「ケチャップ?マヨネーズ?」と英語でフリッツ君に質問してくれたのです。ドイツ語ではケチャップもマヨネーズもほぼ同じ発音のため、フリッツ君は質問の意味を理解したらしく、さらにフリッツ君が唯一知っているらしい英単語であるイエスとノーを駆使し、自分の意思を伝えることができたのです!フリッツ君が英語ができないと知っていた店員さんも感心した様子で「分かったわ!」と言ってくれましたが、当然母親の私の感動はその倍以上でした!もちろん、「マヨネーズノー、ケチャップイエス」は文法的に正しい英語かと言われれば、そうではありません。しかし私自身、ほとんどドイツ語ができない状態で渡独し、知っている単語を必死に並べ立ててコミュニケーションを取っていた時代を乗りこえて今があるため、それが語学習得の最初の段階であることをよく知っています!私がベタぼめしたからか、フリッツ君はこの旅行中、積極的に簡単な英語やフランス語・イタリア語であいさつをするようになりました。せっかくバイリンガルという強みもありますし、これからももっともっと語学に興味を持って、楽しく習得していってほしいです!
2024年08月01日放課後等デイサービスを利用したことがないコウですUpload By 丸山さとこ神経発達症(発達障害)がある息子のコウは、中学3年生の今まで放課後等デイサービスを利用したことがありません。小学生の間は探したり空きを待ったりしていたのですが、結局一度も利用することなく小学校を卒業しました。中学生になってからは部活が忙しく、放課後等デイサービスは選択肢から外れている状態です。今は主に発達外来とスクールカウンセリングにお世話になっています。未就学児の間も、支援施設に通っていたのは1年間だけです。3歳児健診の際に勧められた週5回のクラスは定員に達していたため、1年で卒園する規定のある週1回のコースを利用していたのですが、その後も週5クラスの空きは増えずに療育園を卒園しました。そのため、4歳と5歳は保育園のみ通い、支援とは一切繋がりがない状態で過ごしていました。そうして、療育園卒園以降は特にどの支援機関とも繋がりがないまま小学校入学が近づいた保育園年長のある時、ふと「あれ?小学校入学前の相談とかしなくていいのかな?」と気になりました。保育園では先生や同級生の助けを得て過ごすことができたため、大きな問題は目立ちにくくなっていましたが、3歳児健診で「発達障害の可能性あり」と指摘された箇所は卒園が近づいても大きく変わっていないように見えました。Upload By 丸山さとこどこに連絡をすればよいのか分からなかった私は、ひとまず市の保健センターに相談の電話をしました。すると、「小学校内のことはスクールカウンセラーが対応しやすいので、入学後の活動が心配であれば、スクールカウンセリングを受けるのが良いと思います」と教えていただけました。Upload By 丸山さとこ「スクールカウンセラーの先生は、クラスの様子を直接見に行くことができます。学校内でトラブルがあったり、それについての小学校の先生とのコミュニケーションがスムーズに運ばなかったりした場合は、専門家としての意見を踏まえた上で調整を助けて下さることもあります」……と詳しく教えていただき、私は学校に連絡をとりました。そのおかげで、小学校入学後から中学3年生の今に至るまでとても助っています。私は今までに数人のスクールカウンセラーの先生にお世話になっています。「やはり相性の合う合わないは大きいな~!」と実感したこともありましたが、それでもメリットのほうが大きかったと思います。早め早めに動くこと、選択肢を多く持っておくことの大切さこのようにしてスクールカウンセリングという情報を得て助かった反面、当時の電話相談の中では『放課後等デイサービス』の名前が出ることはありませんでした。放課後等デイサービスは2012年4月に児童福祉法に位置づけられた支援です。コウが小学校に入学する頃はまだ選択肢が少なかったのも、今振り返れば「それはそうだろうな」と思います。ですが、三歳児健診で「発達障害の可能性が高い」として療育園への通園を促され、その後支援との繋がりがプツンと切れてしまった私は、当時その状況に戸惑いを感じていました。参考: 放課後等デイサービスガイドライン|厚生労働省Upload By 丸山さとこよく、「子どもが対象の福祉は受け身でいると得られない。保護者の積極的な行動が必要」という体験談を聞くことがあります。それは、コウをこれまで育ててきた中で私も実感していることです。スクールカウンセリングや病院での診察の際に「コウが通える放課後等デイサービスはありますか?」と伺っては、選択肢の少なさと空きのなさに打ちのめされたことは数知れず……「放課後等デイサービスを利用するには、保育園に入る時と同じか、それ以上の『リサーチと行動と運』が必要だな!」としみじみ思いました。早め早めに動くこと、頼れる先を多く持っておくことの大切さそんな風にオロオロしたまま過ぎてしまった『コウが小学生だった頃』に比べると、今は選択肢が多くなったようです。市内を移動中に「あっ、ここにも新しくできたんだ!」と目にするほど支援施設が増えたことを実感しています。とはいえ、まだ順番待ちだったり、合うところを選べなかったりすることも多いだろうと思います。このたった10年ほどの間にもこれほど状況が変わっていったことを考えると、事前リサーチが空振りになることも、きっとあるのだろうなと思います。それでも、調べたことや行動したことは無駄にはならないのだろうということも、私はこの10年で実感しました。3歳児健診にて療育園の情報は貰えますが、連絡や入園手続きは保護者の私が行わなければなりません。スクールカウンセリングを利用しなければ、発達外来の受診や服薬についても様子見期間がもっと長くなっていた可能性があります。そうであれば、コウは今よりも学校生活に疲れ果てていたかもしれません。Upload By 丸山さとこ今回のコラム内では「時期によって状況や得られる情報は変わる」というお話をしましたが、時期だけでなく地域による差も大きなものです。地元に詳しい医師やカウンセラーなどの支援者を頼るほか、地域の親の会に参加するのも選択肢のひとつだと思います。それはそれとして、私は、本来であれば児童福祉に関する情報が得られるかどうかが保護者次第であってはならないと考えています。現状が結果的にその状態であったとしても、「ちゃんと情報を得ないのは親が動かないからだ」と他者から責められるいわれはないし、自分を責める必要もないと思っています。その上で、何とかして多くの家庭が支援に繋がれることを願っています。情報がなく頼れるところがない状況で子育てをするのは大変なことです。書籍やWebサイトの情報を足掛かりに放課後等デイサービスなどの支援に繋がり、多くの保護者と子どもが助けを得られるようになって欲しいと思っています。執筆/丸山さとこ(監修:室伏先生より)さとこさん、放課後等デイサービス探しの状況や、児童福祉に関する情報を得る方法などについて共有くださり、ありがとうございました。さとこさんのおっしゃる通り、現在は放課後等デイサービスは増えてきてはいるものの、情報が整備されていて、誰でも簡単に情報にアクセスできる状況かというと、まだ課題がある部分と思います。さとこさんには、学校外の活動である、放課後等デイサービスについてご紹介いただきましたが、それに加えて現在では学校での支援も少しずつ強化されてきています。就学にあたって、特別な配慮・教育を希望される場合や、発達に不安があり就学先について相談・検討をしたい場合には、各自治体で行われている就学相談を受けることができます。特別な配慮・教育を受けられる学校、教室としては、特別支援学校、特別支援学級、通級指導教室などがあり、お子さんの知的能力や、お困りの内容や程度によって、どちらを利用するのが望ましいのかを、専門スタッフで検討します。就学相談を受けられると、その決定した場所に必ず通わなければならないのかと心配に思われる親御さんもいらっしゃるかと思いますが、この決定に強制力があるわけではなく、最終的な判断は親御さんにしていただけるようになっています。放課後等デイサービスを選ぶにしても、学校や教室を選ぶにしても、やはりリサーチは必要ですし、迷われることも多いと思います。このような時には、園の先生方、療育先のスタッフの方々、市区町村の相談先など、地域のプロフェッショナルの方々に相談してみるのもよいかもしれません。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年07月28日新版K式発達検査とは?新版K式発達検査は、子どもの心身の発達の状態を観察し、支援に役立てるための検査です。課題への子どもの反応や回答から、発達の状態を多面的に評価します。検査の適用年齢、かかる時間、費用などは以下となります。・新版K式発達検査の適用年齢:0歳~成人まで・新版K式発達検査にかかる時間:生活年齢や検査を受ける子どもの発達によって検査内容が異なります。時間に余裕をもって受検しましょう。・新版K式発達検査の費用:受検の目的や実施機関によって費用が異なります。専門・相談機関でのアセスメントを目的の場合は無料の場合が多く、保護者や本人の希望により民間施設などで受検する場合はその施設が定める料金がかかりますので、受検の前に確認をしておくと安心です。知能検査は学習能力や知識などの認知機能を中心に評価します。検査結果は精神年齢(Mental Age:MA)や知能指数(Intelligence Quotient:IQ)で示されます。一方発達検査は、知能検査と一部重複する認知機能の評価も含みますが、それ以外にも姿勢・運動の発達や言語・社会性の発達など幅広い領域にわたって評価をします。検査結果は発達年齢(Developmental Age:DA)や発達指数(Developmental Quotient:DQ)で示されます。検査結果の見方や準備するもの、心構えなど新版K式発達検査のギモンを専門家が解説!Q:新版K式発達検査を受けるにあたって、準備するものや心構えなどはありますか?Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンQ:新版K式発達検査を受けたのですが、検査結果の見方などが知りたいですUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年07月27日マンガ「発達障害の子どもと私たち」プロローグUpload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談マンガ「発達障害の子どもと私たち」の連載がスタートします発達ナビユーザーから寄せられた体験談を元にしたストーリー・マンガ「発達障害の子どもと私たち」のプロローグをお届けします。この物語の主人公は、発達障害のある子ども、そして彼らを育てる保護者たちです。子どもたちと保護者は、幸せに暮らすことができる環境を迷いながら求め続けます。子どもたちがぶつかった学校という社会の「壁」、それは乗り越えるものなのでしょうか?それとも……。次回からは「はるき編」が始まります。ぜひご覧ください。発達障害の子どもと小学校発達障害の特性が目立ってくる時期は、障害のタイプや個人によって異なります。ただ、小学校就学後は、幼児期までは目立ちにくかった落ち着きのなさや忘れ物の多さ、対人関係のスキル、学習面での凸凹などについて指摘されることが多くなり、トラブルも増えてくる傾向があります。幼児期は保護者や園のフォローで乗り越えられていた面も、小学校の通常学級(普通学級)だと1年生で1クラス35人、2年生~6年生だと1クラス40人になるため、集団の中での手厚いフォローを期待しづらい面も否めません。合理的配慮などさまざまな方法もありますので、担任の先生を含め連携をとりながら進めていきましょう。Upload By ユーザー体験談発達障害のある小学生のサポート方法については、以下の記事をぜひご覧ください。次の話「このままだと完全な不登校に…?母の焦り【マンガ発達障害の子どもと私たち/はるき編第1話】」はコチラから(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年06月27日ウーマンエキサイトのみなさん、こんにちは!ドイツで一人息子を育てている主婦のぱん田ぱん太です!我が家のフリッツ君は6歳。ドイツ生まれドイツ育ちのバイリンガルのため、日本語のほうは少しつたないですが、毎日いろいろなことを話してくれます。しかしある日、フリッツ君が突然とんでもないことを言い始めました……。おそらくそこまで真剣に言っていないということは分かっているものの、慌てて聞き返してみると……。フリッツ君には特に特定の宗教を信仰するようには教えていませんが、ドイツに住んでいると、必然的によく触れるのはキリスト教の考え。たしかキリスト教の思想に輪廻転生はあまり関係なかったはずですから、いったいどこでフリッツ君が「生まれ変わり」の概念を学んだのか、不思議に思いつつ……。なぜねこちゃんなのか聞いてみると「強いから」という理由……。強い生き物に生まれ変わりたくてねこちゃんをチョイスしたのだとしたら、ちょっと変わってますね!(笑)これにはぐうの音も出ない。たしかに、フリッツ君だけがねこちゃんになるのが嫌だったら、ママもねこちゃんになれば解決する話ですね(笑)。これは子どもあるあるかもしれない。大人の男性と女性が家族であれば、子どもがいるかいないかに関わらず「パパとママ」って認識したりしますよね、子どもって(笑)。そんなわけで、フリッツ君の「ねこちゃんに生まれ変わりたい」という夢は否定せず、まだまだ先にしようね、ということで納得してもらいました。皆さんも、愛するわが子から「死んじゃいたい」なんて言われたら、私みたいに慌ててしまいますか?ひょっとしたら、子どもなりに考えた理由があるのかもしれません。
2024年06月01日次男の湧太(仮名)は、小学校低学年の頃、特別支援学級に通っていました。大学生となった今は、支援は必要なく暮らせています。今回の連載では、そんな彼の中学・高校生活を伴走しながら考えたことを綴ります。 ■「うちの子、発達障害かも!?」と思ったら今回の連載は、2016年に掲載された『「うちの子、発達障害かも!?」と思ったら』の続編となります。実際にわが子が発達障害と診断されたライターが実体験を連載形式でお届けします。■「俺って、発達障害なの?」つい先日、「お母さん、俺って、発達障害なの?」と、息子の湧太から聞かれました。「何で?」と聞いたら、「発達障害の友だちに、『お前も、絶対に発達障害だろ!』って、言われた~!」と屈託なく話す彼を見て、「これで、良かったんだ」と思いました。私が息子を育てるにあたり、多大な影響を受けたのが、NPO法人えじそんくらぶ代表の高山恵子先生(※1)です。日本の発達障害分野を牽引されてきた高山先生は、よくこんなふうにおっしゃいます。「発達障害の子」ではなく、「湧太くん with発達障害」と表現しよう「発達障害の特性」からくる、困った状態はたしかにあります。けれども「湧太くん with発達障害」という表現には、「湧太という個性を大切にして慈しもう」そんな意思を感じます。■「普通」のやり方で子どもを育てられなかったら?高山先生はご自身がADHD(注意欠如・多動症)と診断されていて、小さい頃からたくさんの失敗を繰り返してきたそうです。「失敗のたびに、祖母が私にかけてくれた言葉がある」と、高山先生は言います。それは…。失敗は成功のもと、次にうまくいく方法を考えればいいこの言葉は、私が育児をする上での座右の銘にもなりました。「頑張れ」といった精神論ではなく、「今、ここにいる湧太」と楽しく暮らす方法を具体的に考えること。一般的なやり方でうまくいかないのなら、うまくいく工夫(手立て)を考えればいい…。ただ、それだけの話なんだと思ったら、とても気が軽くなりました。そして、困ったことが起きた時は、こんな「問い」を自分に返す習慣をつけました。湧太が暮らしやすくなるために、私ができることは何だろう?■子どもの特性を矯正せずに親ができる対策結論から言えば、私ができることは環境調整(※2)です。環境調整とは、子どもの特性を矯正するのではなく、特性があっても大丈夫なように、子どもの周辺環境を整えるイメージです。「環境調整」という概念を最初に知った時、コペルニクス的な発想の転換だと感じました。環境調整については、この記事の最後に少し詳しい説明を入れましたので、良かったらお目通しください。■「モノをなくさない」が前提になった社会に親ができること環境調整を、具体例に考えてみましょう。たとえば、湧太は、物の管理が壊滅的にできませんでした。ADHD傾向がある子に対して、「なくしものを『しない』支援」にトライしたことがある人なら、大変さはイメージしていただけると思います。今の日本社会は「なくしものはしない」ことが前提になっています。でも、湧太は爆発的になくしものする…。「なくしものはしない」という(社会の)前提に湧太を矯正するのではなく、湧太がなくしものをしても大丈夫なように、環境の方を整えます。私が実践した工夫(手立て)を3つほどご紹介しましょう。■私が実践した環境調整3例1)傘や手袋は消耗品と考え、ビニール傘や100均手袋を大量に購入しておく2)鍵は専用のホルダーで管理をし、本人には持たせない3)お弁当箱は、「タッパーとお箸箱」のセットを何組も作る■「できない」ことを、解像度高くイメージする湧太は、数限りない紛失劇を繰り返しました。上に書いたもの以外でも、学ラン(2着)、歯科矯正の器具、履いて出かけた靴、部活動の共有品(ボールが入った袋)などなど…。「そんなものがなくなるの?」と思うものも、たくさんありました。いちいち「なんでなくすの!」と怒っていたら身が持ちません。「今回はそれなんだ!」と、ちょっと面白がる気持ちで対応しているうちに、私のキャパは広くなりました。「特性がある子との生活」というのは、「なんで(誰もが普通にできることが)できないの?」といった感じで、「なんで?」の連続になります。私は、自分に「発達障害の特性」があったので、「何でできないの?」と言われる側の人間でした。言い換えれば、できないことをイメージしやすかったのです。ご自身が定型発達の親御さんの場合、「何でできないかがわからない。そこを、うまくイメージできない」という話はよく聞きます。そうなると、「頑張りや努力が足りないからだ」といった精神論に行きがちです。そうではなく、まずは「できない」ということを、保護者が解像度高くイメージする。そして工夫(手立て)を具体的に考える。工夫(手立て)のひとつ、ひとつは小さなことですが、それを積み重ねていくことが、「今、ここにいる湧太」と楽しく暮らすことと思っています。■発達障害の診断を受けた息子の今!母の支援、息子は気がついていたのでしょうか? 本人に聞いてみました!湧太:母がなくしものを叱らずに対処してくれていたのは、印象に残っています。そのお蔭で、「なくしものをしてしまったらどうしよう」といった気持ちに引きづられることなく、自由に生活することができました。今回は、家庭で今すぐできる支援についてお伝えしました。次回は、社会(学校・友だち)とのお付き合いについてお話します。【発達障害という「診断」について】私は、認知機能がかなり凸凹で、ASD(自閉スペクトラム症)の傾向があります。発達障害と「診断」を受けるには、「発達障害の特性」とされる診断項目を、基準より多く満たしている必要があります。つまり「発達障害の特性」をひとつ、ふたつ、持っているだけでは、発達障害という「診断」はつかないのです。私の場合は、「発達障害の特性」をいくつか持っていますが、仕事上や家庭で大きく困ってはいないので、「発達障害の傾向がある」という状態です。※1.【高山恵子(たかやまけいこ)さん】NPO法人えじそんくらぶ代表。ハーティック研究所 所長。臨床心理士。薬剤師。専門はAD/HD等高機能発達障害のある人のカウンセリングと教育を中心にストレスマネジメント講座などにも力を入れている。※2.【環境調整とは】発達障害への支援を考える時、「世界基準では『障害』をどう捉えられているのか」を知っておくと良いでしょう。WHO(世界保健機関)は、障害を「個人(医学)モデル」ではなく、「社会モデル」で捉えています。この場合の「障害」とは、「社会への参加を制限されること」です。たとえば、足が不自由だった場合で考えてみます。「個人(医学)モデル」は、足が不自由であることを個人的な問題として捉えています。足の機能訓練をして歩けるようにしたり、介護者を募ったりといったアプローチは、いわば従来の障害の捉え方です。一方で、「社会モデル」の場合は、必要とする人には公費で車椅子を支給し、社会全体をバリアフリー仕様にするなど、社会の環境調整をすれば、その人は社会参加を制限されませんから、「障害」とは捉えません。私がやっている「息子の周辺環境の整備」は、いわば「社会の環境調整」です。発達障害の特性があることは、国籍や性別を本人が選べないことと似ています。そうであるなら、発達障害の特性に付随する「大変さ」を本人だけが背負うのではなく、社会の環境を整えるサポートを一緒にできると良いなと思っています。本記事はあくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は専門機関にご相談ください。■楢戸ひかるの著書 『ギフテッド応援ブック −生きづらさを「らしさ」に変える本−』(小学館刊) 定価1,760円(税込)/192ページ著:楢戸ひかる監修:片桐正敏(北海道教育大学旭川校教授)取材協力:小泉雅彦/日高茂暢/ギフテッド応援隊マンガ:黒川清作 ギフテッドの生きづらさをリアルに描いたストーリーマンガ80ページと、約100ページの解説で構成。 当事者たちの「生きづらさ」を「らしさ」に変えるために必要なサポートのあり方についても提案した書籍。
2024年05月29日発達障害の小学生の特徴は?年齢別の起こりやすいトラブルについても発達障害とは、先天的な脳機能の障害で、想定される時期に年齢相応の特定領域の発達やスキルの獲得に遅れがみられ、日常生活にさまざまな困難が生じ、それらが持続する状態を示します。発達障害の特性に周りが気づく時期は、障害のタイプによっても異なります。ASD(自閉スペクトラム症)の特性は早期からみられますが、その出方は子どもによってさまざまです。診断時期は早い子どもだと1歳から2歳頃と言われています。ADHD(注意欠如多動症)も集団行動の始まる3歳頃から気づかれることもありますが、就学後の8歳から10歳頃に診断されることが多い傾向にあります。LD・SLD(限局性学習症)は、学校教育の始まる就学期に診断されることがほとんどです。ASD(自閉スペクトラム症)の小学生によく見られる特性・対人関係や社会性における困難・こだわりの強さ、臨機応変な対応の困難などADHD(注意欠如多動症)の小学生によく見られる特性・忘れっぽく、注意力散漫・落ち着きがない・衝動的に行動する傾向にあるなどLD・SLD(限局性学習症)の小学生によく見られる特性・文字を読むことが苦手・文字を書くことが苦手・算数、計算が苦手などUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン発達障害のある小学生のサポート方法は?専門家が解説!Q:小学校に上がってから困りが多くなり、叱ることが増えています。どのように子どもに関わればいいでしょうか。また診断を受けるべきかも悩んでいます。専門医にかかるかの判断のポイントなどもあれば知りたいです。Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンQ:発達障害の診断はなく「グレーゾーン」なのですが、学校生活での困りが多い傾向にあります。どのような支援を受けられるのでしょうか。Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンイラスト/taeko(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年05月26日【発達障害×PTA(父母会)】アンケート結果発表新年度になり、PTA(父母会)の役員決めも行われる時期になりました。今回、発達ナビでは発達障害のあるお子さんの保護者の皆さまへ「PTA(父母会)に参加した?感じたメリット、デメリット」についてアンケートを行いました。そちらの結果と、寄せられたコメントをご紹介いたします。アンケートの結果はこちら!Upload By 発達ナビ編集部アンケートの結果、「メリット、デメリットは半々だった」(35%)という方が最も多い結果となりました。次点は「どちらかと言えばメリットを感じたことがある」(26%)です。参加することで、先生方や保護者とのつながりができるけれど、やはり作業が大変という方が多いようです。小学校は、PTAの役員、しかも代表をやらせていただきました。いろんなお母さま方との交流は楽しくもあり、難しいものだということを考えさせられた一年間でした。PTAグループの中で、小グループに分かれての活動をしたので、その時のメンバー6名とは、今でもLINEでつながっています。年代も違う、子供の性別や年も進路も違うところでのコミュニケーションは、他にはない、あたたかさがあります。障がい児二人を抱えながら、健常児を育てているお母さま方の中に飛び込むのは、とても勇気が入りました。でも、どなたも、ウチの子供達にも(もちろん、他のお子さんにもですが)同じように接してくれ、成長を喜んでくれる関係性を作れたことは、良かったと感じています。私は5年間、夫は4年間経験しました。周りができない理由合戦状態になり話が進まず、面倒臭くなって引き受けました。先生達と距離が近くなり、関わりのなかったママ達と仲良くなったり……情報を貰いやすくなったり、自分のいろいろなスキルも上がった(パソコン等)けれど、「そのやり方だと後から問題が出てくる」等の明らかな運営ミスを理解してもらえずPTA役員外から苦情を言われて尻拭いしたり……。PTA役員外から役員への無理難題や攻撃も多く、私が退任する時にPTAの組織自体を廃止させました。全くママ友もいなかったのに、沢山話のできるママ友ができてとてもうれしかった。また、学校とのつながりもよくわかるようになったし、先生たちと仲良くなれたのも良かった。ただ、時間の拘束が長く、仕事量も多くてお金をもらっているわけではないのになぜこんなにやるのかと負担を感じることもあった。広報部と本部役員をやりました。メリットは、広報部の仕事と思われる広報誌の作成や学校行事の写真撮影。特に運動会は、広報部として競技間近で写真が撮れました。校正等で学校に出向かなくては行けなかったのですが、ついでに子供の学校生活を抜き打ちで見られたりしたので、個人的にはメリットを感じました。ですが本部役員は、知りたくないことまで耳に入るのでデメリットでしかありませんでした。今も継続でしてます。デメリットもあったのかもしれませんが、メンバーに恵まれて楽しい方が上回ってます。子供の様子が身近で見られることや子供のクラスの子と話せたりしてプラスが多いです。確かに面倒なこと、大変なこともありますが、今見れる成長を感じられることや、学校でどんなふうに過ごしたり、子供の報告だけでは理解できないことが分かったりして、心の財産になりそうです。ちょうど役員中に放課後デイの閉所問題があり、学校・相談支援員とも密接に意見交換ができ、保護者として行政・施設に希望意見を出すことができたのでPTA組織の必要性を感じた。校長先生や教頭先生など、先生方と接する機会が多いので、親子の顔と名前を覚えてもらいやすいのと子供の事を理解してもらいやすい。支援学級在籍というだけで、通常学級の親御さんに「気遣い」という線引きができるのを実感しました。ある親御さんは、名乗ってご挨拶もせず、娘の同級生と遠目から私の事を確認しにきました。今は、娘は協力学級へ怖がり入れません……(一年不登校です)。※誤字等の表記の一部を修正しております。以上のように、さまざまなコメントをいただきました。以下ではPTAに参加された保護者の皆さまの体験談コラムをご紹介します。思い切って父母会役員に立候補!/小学校~高等特別支援学校でPTAをやった経験から/特別支援学校と特別支援学級で役員をやって感じたメリット等PTA体験談3選3歳児健診で多動症の疑いがあると指摘された息子さん。保健師さんから「まずは幼稚園に入ってしばらく様子を見ましょう」と言われたのですが、入園してみると脱走、癇癪、お友達トラブルで幼稚園から毎日電話!「退園してほしい」と言われるのではないかと心配していたところ、幼稚園は加配を付けてくれ、息子さんも楽しく園に通えるように。そんな幼稚園に恩返しをしたいと思い切って父母会役員へ立候補したのですが、参加してみると驚きの事実が判明したのです!お子さんが小学生の時に校外委員、学級委員と謝恩会委員を、そして高等特別支援学校では進路委員と広報委員を経験された中で感じた、PTA活動のメリットデメリットとは?PTAは「子どものために」親ができる身近なボランティア活動のひとつ、でも負担を強いるのはよくないですよね。特別支援学校と特別支援学級に在籍した6年間で、2年に1度ほどはPTAの役員や委員会の委員を経験し、積極的に役員の仕事をしてよかったと感じているという立石さん。学校のバザーに出店する焼きそばを「太麺にするか普通麺にするか」で30分も意見が交わされ、さすがに嫌になってしまったこともあったそうですが、それに勝ったメリットとはどのようなものだったのでしょうか。さいごにPTAは任意団体ですので、参加することもしないことも選ぶことができます。もちろん無理に引き受けることはありませんが、参加することで出会いや経験ができたという声もありました。アンケートに寄せられた声や、体験談コラムなどが参考になれば幸いです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年04月20日ウーマンエキサイトの皆さん、こんにちは! ドイツで主婦をしているぱん田ぱん太です。息子のフリッツ君は、この2月に6歳になりました! そんな彼から唐突にこんな質問が。フリッツ君の意見を聞いてみたかったので、私から教えるのではなく聞き返してみました。それまで、少なくとも私はそういった話をしたことがなかったので、何かの絵本で読んだのでしょうか。もっと深く聞いてみたら面白そうだと思ったので、詳細を聞いてみました。お空の上って意外と地上と同じ感じなんですね。炊飯器とかもあるんでしょうか。記憶にはないのですが、どうやらフリッツ君が生まれる前、私は地上でおにぎりを作ってお空の上に投げて配達していたようです(笑)。子供の想像力は無限大ですね……。でもなんにせよ、フリッツ君が「生まれる前からママとのつながりを持っていたい」と思ってくれていることがうれしかったので……。晩ごはんは、フリッツ君がお空の上でも食べていたいくらい大好きなおにぎりにしました。皆さんのお子さんはこの質問をしたらなんて言ってくれますか? ぜひ聞いてみてください!
2024年04月01日いよいよ発達相談。悩める母の救いの手となるか!?保健師さんによる発達相談……相談したいことだらけ、分からないことだらけで毎日闇の中を手探りで進んでいた私たち親子にとって、唯一の救いの手のように思えました。この子の未来を、私たちの毎日を明るく照らせるような方法を、道を教えてほしい……。わらにもすがる思い、だったんです。その時は。Upload By よいこ「この子は普通の幼稚園で大丈夫なんでしょうか?」「家でできる療育はありますか?」 相談室に通されるなり矢継ぎ早に質問した私にも問題はあったのかもしれないし、今思えば無責任に答えられない側面はあったのでしょう。Upload By よいこけれど、対応してくれた保健師さんは戸惑いながら「それはちょっと分かりませんね」「あまり分かりませんね……」を繰り返すばかり……。のれんに腕押し感というか、発達相談に来た意味とは?と思わざるを得ませんでした。発達相談に来た意味はあったの?とりあえず児童精神科の予約を取ったけれど……思うような答えを得られないまま、発達相談の時間は終わりに近づいていました。保健師さんのすすめで、とりあえずその場で児童精神科の予約を取りました。半年後の……。いや、そこまで何もできず手をこまねいているのか!?こんなに不安を煽っておいて放置とかちょっと……。と軽い苛立ちと焦りを抱えつつ、結局ほとんど何も相談できずに発達相談を終えたわけです。この時の心境は……割と絶望寄り。あら、もしかして誰に聞いてもこの解像度?私の不安や苦しみってすくい上げてもらうことはできないの?言葉を尽くして説明しても伝わらない?響かない?……発達相談への期待が大きかった分、失望も大きかったんですよね。Upload By よいこ大きな失望の中、かかってきた一本の電話。そんなこんなで一週間ほどモヤモヤした気持ちのまま過ごしていたところ、一本の電話が鳴りました。それは前回とは異なる保健師さんからの電話でした。曰く、「あーくんの様子をお聞かせいただきたいので、一度お宅に伺ってもよろしいですか?」そう、保健師さんによるお宅訪問の予定伺いだったのです。「そんなのあるんだー」と承諾はしたものの、私の本当の気持ちは、めんどくさい、嫌だなあ……でした。そもそも前回の発達相談で、保健師さんに対して期待を裏切られたと感じていたので、何か解決策が得られるとも思えず、片付けるのも手間だし……と後ろ向きになっていたからです。でもまあ仕方ない。来るものは来るのだから。と半ばヤケクソ気味で迎えた保健師訪問。まさかこの時はこれが救いの一手になるとは1ミリも想像していなかったのでした……!Upload By よいこ執筆/よいこ(監修:室伏先生より)よいこさん、発達相談にまつわるエピソードを共有いただき、ありがとうございます。親御さんとしては、発達の今後の見通しや通園に関すること、療育に通う必要があるのか、どんな療育が合うのか、ご自宅でお子さんに対してしてあげられることは何か、とっても知りたいですよね。よいこさんがされていたご質問は、発達外来でもよくご質問いただく内容です。そこで、分からないですね、お答えできません、ひとまず様子をみましょう、という返答ばかりでは不安になってしまいますよね。確かに、これらのご質問のお答えはお子さんによって異なりますので、発達外来の医師であってもお会いさせていただいたばかりでこれらの質問にお答えさせていただくことは難しいかもしれません。でも、その疑問の答えをどこで聞けるのか、今何かできることがないのか、そして今後のおおまかな方針だけでも聞くことができたら、安心できたかもしれませんよね。発達外来では、まずは親御さんのご質問内容をお伺いした上で、お子さんの評価を行い、それからご質問にお答えをさせていただくようにしています。とはいえ、この評価にはそれなりに時間がかかります。親御さんから困りごとや生活のご様子、これまでの発達のご様子をお伺いして、実際にお子さんのお話している様子や遊んでいる様子を観察し、診断、見立てをしていく必要があるからです。ですので、受診していただいた当日にはクリアな回答をお出しできずに、複数回の診察を重ねて少しずつお答えさせていただくことも多いです。保健師さんの訪問がどのようによいこさんを救ってくださったのか、よいこさんがまた別の機会に書いてくださるのを楽しみにしていますね。前の記事はこちら
2024年03月26日保育や児童発達支援など、11事業28施設を運営する株式会社SHUHARI(本社:埼玉県志木市本町5-8-5)では、児童発達支援センター 元気キッズ チルズ(埼玉県朝霞市)にて、継続的に実施しているグループ内児童発達支援施設の利用者を対象とした「ヘアカット体験会」の第6回を2024年4月に開催いたします。元気キッズ チルズ外観■生きるために必要なヘアカットを、楽しいものうれしいものと思ってほしい発達に課題を抱えるお子さんの中には、一般の理美容室でのヘアカットが難しい子がたくさんいます。慣れない場所で慣れない人がハサミやバリカンをもっているのでパニックになってしまう子も少なくありません。そんなお子さんたちにとって、生きるうえで必要なヘアカットを少しでも「楽しいもの」「うれしいもの」と感じてほしい。そんな思いから2023年に10月27日に第一回ヘアカット体験会が実施されました。■きっかけは現役の美容師さんからのお声がけ青野氏今回お力を貸してくださったのは現役美容師の青野 賢士氏。ヘアカットが難しい子どもたちへ、何か力になりたいという思いから今回ボランティアとしてご協力くださいました。元気キッズの職員とご友人で、何気ない話の中でご自身の想いが元気キッズなら実現できると、お声がけいただきました。■いつもの場所、いつもの人がいる環境で、ヘアカットに慣れていくヘアカット児童発達支援センター 元気キッズ チルズの一部屋を利用し始まった体験会。いつも通っている施設での開催ということもありすんなりヘアカットができる子、やっぱり慣れなくてヘアカットを拒否する子など様々な反応がありました。初回は「慣れること」を重視し、決して完璧なヘアカットとはいかない部分もありましたが前髪がさっぱりして「可愛い!」「かっこいいね」という声に笑顔で返してくれるお子さんも。青野氏も、体験会を行うたびに「今回はこうだった。ああした方がよかったかもしれない」など子どもたちへの関わりについて試行錯誤されながらカットをされています。完璧なカットではなく、子どもたちが安心した空間の中でのカットを心掛けてくださっています。■保護者からは予想を大きく上回る反響が初回の開催以来、保護者の皆様からはたくさんの反響をいただきました。人数にも限りがある中、「次はいつですか?」と言っていただくこと少なくありません。すでに5回の体験会を実施していますが、毎回希望者が殺到している状況です。元気キッズの児童発達支援を利用される保護者の皆様の中にも、お子様のヘアカットに対して大変な思いをされた方がこんなにも多くあることを再確認しました。継続して活動を行うことで、きれいに整った自分を褒められてうれしい!と感じられたり、ヘアカットに慣れ、いずれは外部の理美容室へ行けるようになったりできることを目指しています。今後も青野さんのお力をお借りしながら邁進してまいります。■この活動をもっと広げるためにこのヘアカット体験会は月に1~2回程度で実施しています。現在はグループの児童発達支援施設利用者の方を中心に行っていますが、ゆくゆくは地域の理美容室とも協力しながらこの活動を広めていきたいと考えています。第6回ヘアカット体験会は4月に開催予定です。詳しくは下記のコーポレイトサイトのお知らせにて詳細を公開予定です。■元気キッズグループについて元気キッズグループロゴ「どんなGENKIもうけとめる」をコンセプトに多様なGENKIを認め合う保育・療育を理念とした、保育園や児童発達支援事業所を含むグループ。保育園から始まり、地域課題に向き合い、認可保育園、小規模保育園、埼玉県初の居宅訪問型保育、学童保育、病児保育、保育型児童発達支援、ペア指導型児童発達支援、相談支援など11事業28施設を埼玉県朝霞市、志木市、新座市で運営。インクルーシブな地域社会を作る事業、活動を行う。2023年には朝霞市から障がい児等療育支援事業を委託され、地域における障がい児支援の質の向上、医療的ケア児支援連携強化事業にも尽力している。また、代表 中村 敏也著書には「保育・療育で地域オンリー1になる 保育園運営の教科書」(かざひの文庫)、「発達が気になる子どもへの関わり方を教えてください!~発達障がい、グレーゾーン…」(かざひの文庫)がある。【会社概要】会社名 : 株式会社SHUHARI所在地 : 〒353-0004 埼玉県志木市本町5-8-5 中村ビル2階代表者 : 代表取締役 中村 敏也設立 : 2009年2月26日元気キッズグループHP: 事業内容 : 認可保育、小規模保育、病児保育、居宅訪問型保育、学童保育、保育型児童発達支援、放課後等デイサービスペア指導型児童発達支援、居宅訪問型保育、保育所等訪問支援、相談支援 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年03月25日ウーマンエキサイトの皆さん、こんにちは!ドイツで子育てをしている主婦のぱん田ぱん太です!わが家の一人息子、フリッツ君は現在5歳なのですが……。先日まで、3歳の頃に購入した、90cm×140cmの幼児用ベッドをずーっと使用していました。フリッツ君の身長は現在約111cmなのでサイズ的には問題ないのですが、小学校入学も控えているし、ちゃんとした子ども用ベッドを買いました!自宅で組み立てる際、何段階かの高さが選べるタイプのベッドだったので、フリッツ君は一番上の段を希望。”子どもあるある”ですね(笑)。シーツ替えなどが少々面倒かな……とは思いましたが、一番上の段にすればベッド下に遊ぶスペースもできるし、フリッツ君の希望をかなえて組み立てました。このベッドは壁際にくっつけてあるので、片側は壁、反対側ははしごで降りる側となっています。そのため、フリッツ君的には壁側は「安全な側」、反対側は「危ない側」と判断したようです。私がふと「落ちちゃわないかな、大丈夫かなぁ」とつぶやいたのを覚えていたのでしょう。そしてフリッツ君の希望通り、私が壁側、フリッツ君がはしごなどがある反対側で寝たのですが……。「危ない側」という認識が脳の奥にしみついたいたのでしょうか。真夜中、フリッツ君が隣でころんとはしご側に寝がえりをうった瞬間、うそのようにはっと目が覚めて「危ない!」と思わずフリッツ君の服をつかみました。これはもう「子を守る母親の本能」としか説明がつかないのではないでしょうか……(笑)。前述した通り、ベッドにはきちんと柵がついていて、寝返りをうっただけで落ちてしまうことはありえないのに、フリッツ君が少しでも動くたびに私は無意識に目を覚まして、フリッツ君が落ちないように服をつかんでしまうのです。完全に寝不足の翌朝こう決意し、それ以来、フリッツ君のベッドで一緒に寝るときは必ずフリッツ君が壁側、私がはしご側で眠っています……。なんとなく、フリッツ君が新生児だった頃の”ガルガル期”に似たような、母親の本能的なものを思い出した夜でした。
2024年02月01日Q:子どもの発達障害は、治せるのでしょうか?A:発達障害の診断の有無に限らず、本人の得意なことや苦手なことを理解させ、さまざまな相談や工夫によって乗り越えたり、解決するよう支援することが大事です。Upload By 発達障害のキホン発達障害は、原因として中枢神経系の機能に困難があるといわれています。それが、環境との兼ね合いの中で症状が強まったり弱まったりするともいわれています。発達障害の程度にもよりますが、症状として軽減する、年齢と共に適切な環境と療育によって症状はあるけれども問題にはならない、本人としての困難感はあるけれどもできる行動は増えていくということはあります。例えば、小さい頃は感覚の過敏性がひどく、こだわりのためにパニックを起こしたり、衝動的な飛び出し行動があったりということが、加齢と共に過敏性は感じられるものの行動の出方としては、やりすごすスキルや、対処法を身に付けていくことで問題とならなくなるなどです。また、発達障害の特性が軽いタイプの子どもの場合、診断基準を満たさなくなり診断が外れることもあります。しかし、この場合も本人が感じる困難さは残っていることが多く、注意は必要です。いっぽう、発達障害としての特性を理解しないで、本人の努力不足として叱責されたり、自信を失ったりすることで自らを追い込んでしまい、思春期位で不安や抑うつ症状が強まってしまうこともあります。診断の有無に限らず、本人の得意なことや苦手なことを理解させさまざまな相談や工夫によって乗り越えたり、解決するよう支援することが大事です。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年01月04日わが家の少数派?おそらく定型発達の夫ですUpload By 丸山さとこわが家は夫と息子と私の3人暮らしです。息子と私が神経発達症(発達障害)のため、おそらく定型発達である夫は、この家では少数派な存在です。息子や私に比べて一般的とされる感覚を持っているはずの夫ですが、わが家ではその「一般的な感覚・普通の感覚」があるがゆえに苦労をすることが多いそうです。今回は、そんな夫に「息子が発達障害だと告げられた時、どう感じていたか」「どんなところに苦労しているか」などいろいろとインタビューしつつ、わが家の子育てを振り返りました。息子のコウは3歳児健診の際に発達検査を受けるように提案され、「ASD(自閉症スペクトラム症)の可能性が高い」として療育園を勧められました。夫は私からその説明を受けた際、「うすうす感じてたけど、やっぱりそうか」と思ったそうです。ショックや不安は特になかったと言います。「ASDであろう妻が普通に暮らしているのだから、息子も本人なりに工夫をしていけば何とかなるだろう」と考えて特にショックは受けなかったそうです。(当時の私はまだ未診断でしたが、夫は私のことをASDだろうなと思っていたのだそうです)Upload By 丸山さとこただ、発達検査の結果には納得したものの、療育園に行くのは「わざわざ?家では一応意思の疎通がとれているし、行かなくてもいいのでは?」と思っていたそうです。私の説明を受けて『なら行くのもいいかな』とは考えたものの、必要性はそこまで感じていなかったとのことでした。私はこれらの話を聞いて、「それくらい、コウが就学するまで夫は大きく困っていなかったのだろうな」と思いました。これは、当時夫がとても忙しく、コウとゆっくり接する時間が少なかったことも影響したかもしれません。また、実際に未就学児の頃までは大きな問題が出にくかったことからも、「夫がコウの障害を感じる機会は少なかっただろうな」と思いました。未就学児の間は周囲の子どもも幼いため関わる大人の手も厚く、コウの苦手なところが目立ちにくい時期でした。コウの特性ゆえの言動に振り回されるようになった小学校時代その後コウが小学校に入学し、未就学児までの周囲のフォローの手厚さがなくなってからは、夫も『コウと周囲の子どもたちとのズレ』を感じるようになったそうです。小学1年生の時にはすでにハッキリとズレを感じていたと夫が言うので、私は意外に思いました。未就学児の頃ほど手厚くないとはいえ、1年生は『まだ小学校生活に不慣れな学年』として学校からのフォローが多い時期だったため、大きなトラブルは目立っていなかったからです。夫は、トラブルの有無だけではなく、普段の学校生活でもコウの様子を丁寧に見ていたのだなと感じました。Upload By 丸山さとこ「コウに関して、今までで一番大変だったと感じた時期はいつ?」と夫に聞くと、「小2の後半から小5の辺りかな~」と言うので、「分かる分かる。私も同じ」とうなずきました。小学2年生以降は周囲の子どもがルールや集団行動に慣れはじめる時期です。大人のフォローが減ってくることもあり、コウにも大小さまざまなトラブルが起きるようになりました。その頃からは、夫も生活の中でコウに対して「話が通じないのは困る」と感じることが増え、ストレスが強くなっていったそうです。小学校6年生から少しずつ落ち着いてきたコウは、中学生の今、話が通じずに思い込みでパニックになることがグッと減ったと感じます。夫も「今のコウと接するのは、あの頃(小2~5)よりもずっとマシ」としつつ、今でもイライラすることは多いと言います。「分かってることなんだから、毎日のことなんだからやろうよ! となってイライラしてくる。障害だからとは分かってるがムカッとしてしまう」と夫が言うのを聞いて、今、それを素直に口にできる家族関係でいられたことは良いことなのだろうなと感じました。ムカっとするとは言っても、夫は息子に毎日キーキー怒ることはありません。私は毎日ギャーギャー怒っては、ときどき夫に止められています。そのため、今回のインタビューで夫が「さとこがコウと接しているのを見て『ああいう関わり方をできたらコウも自分も楽だろうな』と思う」と言ったのは意外に感じました。Upload By 丸山さとこ「私からコウへのどういう関わり方をよいと感じるの?」とさらに聞くと、夫はウンウン悩みながら答えてくれました。「やれ!と言って強要するのではなく、コウが自分で選んだと感じるような関わり方をしてるよね。選択肢はこれだ、今の状況はこうだっていうのを根気よく話してる」「コウの『何で』に応えてるからすごいなと思う。俺は『何でじゃないよ、やれよ!』ってイライラしてくる」とのことでした。それらの夫の言葉を聞いていた私は、「いやもうその気持ちめちゃくちゃ分かりますけど!?」と全力で同意しました。Upload By 丸山さとこ私も毎日『何でじゃないよ、やるんだよ』『何でかについては100万回説明しましたが?』と思いながらコウと接しています。そしてそれを夫に愚痴ったりもしています。夫はそれらの私のもがき方を知った上で「いい関わり方をしている」と思ってくれているのだなとありがたく感じました。理想と現実の間をアクロバット飛行している感じの毎日です最後に、「コウとの接し方について本など読んだことはある?」と改めて夫に尋ねてみると「発達障害(神経発達症)については本やインターネットで多少勉強したが(コウのことは)よく分からない」と言いました。「全然分からないわけじゃないし、ASDやADHDの特性やあるあるに関しては『コウもそうだな』と思うことはたくさん書いてある」「けれど、生活の上で困ったことに対して、本やインターネットに書いてあるようなことは既にやっていて、それでも解決していないわけで。そこを補う情報はないなと感じる」これらの夫の発言を聞いて、現役の保護者としての重みのある言葉だなと思いました。私自身も日々、同じように感じています。Upload By 丸山さとこ私の場合は、SNSなどで支援者の方のお話を聞いて「私が保護者としてブレない対応をできてないのが良くないのだろうな~!」と思うこともしばしばあります。ですが、夫と私のかわいい子どもはこの『ASDとADHDがある話が通じにくいコウ』であり、そのコウの親は夫と私のほかにはないわけで……。『話がスッと通じる息子』という幻想を追いかけても仕方がないように、『上手いこと子どもに対処できる安定した親』という幻想を追いかけても、現実的ではないのだろうなと思います。ヒートアップするお互いを「どうどう」と制しつつ、「助け合って子育てをしていきたいな」と改めて感じさせられた夫へのインタビューでした。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:初川先生)夫さんにここまでの子育てを振り返ってのインタビューをしてみたエピソードをありがとうございます。さとこさん、夫さんそれぞれお互いへのリスペクトもありつつ、そしてお互いに共感する苦労もありつつ、素敵なパートナーシップだなと感じました。日々の子育て、そしてそこに関わる自分たちという状況から一歩引いて、俯瞰して振り返る・語り合うことができているのがいいですね。発達障害(神経発達症)がある子どもへの対応のコツなど、本やインターネットに出ている情報は助かる面もありますが、しかしいまひとつフィットしない面もあると思います。それは、同じ障害があったとしても、誰一人として同じ人がいないからです。そして、さとこさんも書かれているように、お子さんや保護者の側にうまくできる時とできない時があるなど、コンディションによる面もありますし、理想や幻想を追ってしまって実際の様子とは違うのにぐいぐい強行してしまう時もあると思います。対応のコツに関した情報などは使えそうな面は取り入れつつ、わが子のために少しカスタマイズしたり、そのような試行錯誤のプロセスごと子育てのパートナーや支援者などとまた話し合うなどを通して、ときどき冷静になって振り返りの時間を取れるとよいでしょう。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年11月20日「東大卒はなるべく隠しておきたい」という当事者の言葉『ルポ高学歴発達障害』は、世の中で言われる「高学歴」の発達障害当事者10人のインタビューや、大学教員、精神科医、支援団体への取材を通じて「理解が得られにくい不条理」に迫った1冊です。このコラムでは、著者である姫野桂さんのインタビューをお届けします。Upload By 発達ナビ編集部――姫野さんはご自身の経験も合わせて、発達障害についてさまざまな発信をされてきました。今回、「高学歴発達障害」をテーマに選ばれたのはどのような思いからですか?姫野桂さん(以下、姫野):以前、高学歴なのに発達障害の特性で仕事がうまくいっていない方の記事を読みました。今まで取材してきたなかでも京都大学を卒業している方で、同僚はすぐに覚えられる電話対応などの仕事が覚えられずにうつ病になってしまったとお話ししてくださった方がいました。高学歴というとエリート道を進んでいると思われがちですが、実は悩みも抱えている人が多いことを伝えたくて本にしました。また、私自身は超高学歴ではありませんが、就職活動や会社員時代に苦労したのでそういった苦悩も書きたかったからです。――大人の発達障害当事者の方からは、「ケアレスミスが多い」「マルチタスクが苦手」「職場でのコミュニケーションがうまくいかない」といった声が聞かれますね。姫野さんご自身の苦労とは、どのようなものだったのでしょうか?姫野:就職活動で例を挙げると、当時は自覚がなかったのですが算数障害があり、SPI(適性検査)の数学がまったくできませんでした。大手企業はSPIを導入しているところが多かったため、大手企業は避けるようにして中小企業に絞りました。――そうすると面接に進めるように?姫野:そうですね。ただ、自分をより良く見せることが不得意なこと、本音を話してしまうことなどから、うまくいきませんでした。例えば、「なぜ弊社を選んだのですか?」と聞かれた際に「福利厚生が良かったからです」と答えたり、「何か質問はありませんか?」と聞かれた際に「残業はどのくらいありますか?」といった質問をしたりしていました。――今回、10人の発達障害当事者の方を取材されています。印象的だった言葉を教えてください。姫野:東京大学法学部卒の女性の「東大卒はなるべく隠しておきたい」という言葉です。東大卒ということで期待されるボーダーラインが上がってしまうという点は、理不尽だと思いました。※本書では当事者の方のプライバシー保護のため、氏名や年齢、事実関係などが一部変更されています最後に、石川さんに東大卒であることを“損”に思ったことはあるか聞いてみた。「それはあります。やはりハードルを上げられてしまうので、「東大卒だったら何でもできるだろう」というような感じで“合格ライン”が上がってしまう感じがあるんです。だから、なるべく隠しておくほうが得だなと思います。石川真里さん(東京大学法学部卒業)の言葉――早稲田大卒の男性も同じようなことをお話しされていますね。結果的にその会社は辞めたのですが、そのとき僕を怒鳴っていた上司は学歴コンプレックスがあったんです。「お前は俺が行きたかった大学を卒業しているのになんでそこまで仕事ができないんだ」と言われたことがあって。(中略)必要のない限りは、大学名を口にしなくなりました。三崎達也さん(早稲田大学経済学部卒)の言葉――そして、お二人とも「東大は自分にとても合っている場所だったので、それはすごく良かった」「自分のポジティブな部分を作ってくれたのは早稲田のおかげ」というように、誇りに思われているのも印象的でした。プライドとの折り合い――精神科医の熊代先生とは、高学歴の発達障害者が自身のアイデンティティと向き合っていくことの困難さについてお話しされていますね。ご自身の体験と重なるようなことはありましたか?姫野:私自身、発達障害が分かったのが30歳のときでした。就活を始めた頃、鬱病を疑って心療内科にかかったのですが、発達障害については何も言われず、抑鬱状態という診断を受けました。もっと早く発達障害があると分かっていたら、就職活動の仕方や仕事選びも変わってきていたのではないかと思います。当時はリーマンショックの影響で周りの友人もなかなか内定が出ない人が多かったので、発達障害が原因ではなくリーマンショックのためだと考えていました。それでも、「なぜ人事受けが良いはずの大学なのに受からないんだ」という葛藤がありました。そのあたりのプライドの折り合いをつけられたら良かったなと思います。子どもの頃から学業では優れていても、社会関係の部分ですごく弱みや苦手があるということを踏まえて、天狗にならないようにするというか、学歴を鼻にかけないようにするのが処世のあり方として結構重要になります。そのためには自身の発達適性の早い段階での把握は肝要です。(中略)ただし一方で、「自分には何かできるはず」「秀でたものがあるはず」といったアイデンティティを持つことには可能性もあるんですよね。ここも高学歴発達障害者の方のアイデンティティの形成戦略としてかなり難しいところです。熊代亨さん(精神科医)の言葉「大学が一番楽しかった」という声――筑波大学における学生支援についても取材されていますね。姫野:筑波大学のヒューマンエンパワーメント推進局の取り組みは素晴らしいと感じました。特に発達障害のある高校生へ向けた「大学生1日体験講座」で、10名限定ですが高校生一人ひとりに学生のメンターがつき、中には「障害学生支援技術」などを履修したピア・チューター(有償のボランティア)がいるのはとても魅力的だと思いました。ピア・チューターになるには自由科目の「障害学生支援技術」を履修したうえで、視覚障害、聴覚障害、発達障害といった形でコースに分かれた集中講義を受けてもらいます。佐々木銀河さん(筑波大学ヒューマンエンパワーメント推進局)の言葉ただ、多くの高学歴発達障害者を取材してきて、ほとんどの人が「大学が一番楽しかった」と答えています。社会に出てからどう自分の特性とつき合っていくかが課題だと思っています。――たしかに、「社会に出てから」「就職してから」直面した困難がインタビューからも強く感じられますね。最後に、本書をどのような方に読んでほしいとお考えでしょうか。姫野:高学歴発達障害当事者だけでなく、同僚や家族、友人など身の回りに高学歴発達障害の方がいる方にも読んでいただき、周りの期待やエリートのイメージと実情との乖離、活躍している大学時代の友人との比較、アイデンティティとの折り合い……といった「高学歴であるからこその葛藤」があることを知ってほしいです。そして、「あの人は高学歴だから」という前置きを外して個として見てもらえたらと思いますし、彼らが苦手そうなことにぶち当たって困っていたら「何か手伝おうか?」と声をかけるなど、そっとさりげなくフォローしていただきたいです。――ありがとうございました。姫野 桂さんフリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。著書に『私たちは生きづらさを抱えている発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)、『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)『生きづらさにまみれて」(晶文社)電子書籍『ダメ恋やめられる!?発達障害女子の愛と性」(集英社)。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年10月27日療育手帳って?発達障害娘は取得できるの?中学1年生の娘は、4歳の時に広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)と診断されました。コミュニケーション能力が低く、情報を聞き取ること、自分の考えを口に出してしゃべることが苦手な特性があります。発達障害の診断を受けている娘ですが、療育手帳は持っていません。というより、取得することができませんでした。※「療育手帳」とは、知的障害がある人に発行される障害者手帳です。自治体によっては「愛の手帳」「緑の手帳」という名前で発行されています。療育手帳を持つことで、療育や支援をはじめとしたさまざまな障害福祉サービスを受けることができます。娘は2歳から療育畑を歩いてきました。Upload By SAKURAしかし、恥ずかしながら私は、療育手帳の存在を、娘が小学生になるまで知りませんでした。放課後等デイサービスに通うために必要な「受給者証」というものが、療育手帳と似たようなものだと勘違いしていたこともあります。Upload By SAKURA小学生になると「療育手帳持ってる?」と聞かれることが増え、「あれ?持っていないとまずいものなのかな?」と思い始めました。Upload By SAKURA療育手帳の取得方法を調べてみると……療育手帳の存在をちゃんと知らなかった私は、「取れるものなら取ろうかな」とその時は軽く思いました。Upload By SAKURAあとから知ったのですが、この療育手帳の取得は、親御さんにとって、「障害を認めたことになるようで、取得を躊躇する」ということがあるようでした。Upload By SAKURA私は、グレーゾーンの時から「早く診断名がついてほしい」と思っていましたし、療育手帳の存在は、診断を受けて3、4年経ってから知りました。躊躇することはまったくなく、前向きな気持ちでした。Upload By SAKURAそれから私は、療育手帳を取るため、取得方法を調べました。しかし、知的障害がない場合、療育手帳は取得はできないということが分かりました。※療育手帳は、各自治体によって療育手帳の取得基準や、受けられるサービスが違います。Upload By SAKURAそれ以降も、療育手帳について聞かれる場面はありましたが、「娘の場合、取れないみたいです」と答えていました。その後、娘が小学6年生の時、中学に向けて発達テストを受けることになり、テスト結果と(特別支援学級の在籍に必要な)診断書をもらうため、発達外来の受診をした時、療育手帳について確認してみると……Upload By SAKURA娘は療育手帳も精神障害者保健福祉手帳も取得はできないと言われました。やっぱり……。事前に調べていたので、確認のため……という感じの質問でしたが、帰宅後、私はふと思いました。障害者手帳が取得できない=困りごとがない訳ではないのに……Upload By SAKURAじゃあ……障害者手帳を取得できない娘は……どの位置にいるのだろうか。昔……まだ娘に診断がついていないグレーゾーンの時、発達障害なのか、そうではないのかという、中途半端な位置がとても嫌でした。その時のことを思い出しました。娘は知的障害がありません。IQも通常範囲内。しかし、しゃべれば、言葉の並びがぐちゃぐちゃだし、出てこない言葉も多い。口頭の指示は、一度では絶対に聞き取ることができないし、言われたことを覚えるのもとても苦手で、すぐに忘れてしまいます。Upload By SAKURA相手の立場になって考えることが苦手で、空気が読めないため、信じられないタイミングで、とても感じが悪いことを言ってしまうこともよくあります。自分の中の感情や、思いついた言葉を頭に留めておくことができないので、叱られているのにニヤニヤしてしまったり、一人でぶつぶつと独り言を続けてしまうこともあります。Upload By SAKURA娘は発達障害ではあるけど、障害者手帳を取得する基準にない……。今まで、手帳を持っていなくて、損したことや、受けたいけど受けられない福祉サービスがあったわけではありません。しかし、娘には、苦手なこと、困りごとが多くあります。それを証明する代わりになるような手帳は、持たせてもらえないのか……と思いました。知的障害がなくても、困っていないわけではありません。どうやってもできないことがあります。娘が大きくなった時、コミュニケーション面でなにか困ったら……。Upload By SAKURAなんてことにならないか……。考えすぎかもしれませんが、言葉で説明できない娘が心配になりました。知的障害がなくても、困ってること、助けて欲しいことはあります。日常生活に支障をきたすほどのパニックがなくても、冷静に対応できるわけではありません。そのことを証明するような……それぞれの特性や、困りごとにそった手帳があるといいのになーと思います。執筆/SAKURA(監修:新美先生より)療育手帳取得にまつわる、いろいろな思いを聞かせてくださりありがとうございます。あまりいいことではないと思いますが、療育手帳や精神障害者保健福祉手帳の取得基準については、地域による違いがあったりして、なかなかコメントがしにくいところがあります。多くの自治体において、療育手帳は原則として知的障害のある方が対象ですが、地域によっては発達障害がある場合、知的障害の基準が緩和されることもあるようです。知的障害を伴わない発達障害の方の場合、コラム内の漫画にも書いてありましたが、精神障害者保健福祉手帳が取得できる場合があります。これについても地域による基準がまちまちだったり、時代によって変化してきていることもあります。発達障害特性があって、生活面で何らかのサポートが必要な場合、精神障害者保健福祉手帳は取得できる可能性は十分にあります。一般的に、義務教育年代は、障害者手帳がなくても多くの福祉サービスは、コラムにあったように受給者証があれば利用できることが多いので、必要性をそこまで感じないかもしれません。ですが義務教育年代以降、福祉サービスを利用するためには、障害者手帳が必要になる場面が多くなります。こうしたことから義務教育年代を主に担当する支援者が精神障害者保健福祉手帳の取得は重度なケースのみと認識している地域でも、成人期にはもう少し柔軟に取得できる幅が広がるということもあるかもしれません。この先義務教育年代以降、就労などにあたって、精神障害者保健福祉手帳があったほうがいいと考える場合は、改めて地域の相談窓口等に当たってみてもいいかもしれません。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年10月04日ウーマンエキサイトの皆さん、こんにちは! ドイツで子育てをしている主婦のぱん田ぱん太です。わが家のフリッツ君は、日本人の母親(私)とドイツ人の父親の間に生まれたハーフちゃん。私とは日本語で喋っていますが、幼稚園に日本人家族はいませんし、日本語補習校などにも通っていないので、日本語を話す機会はそれと、日本語の歌を聴くくらい。逆にドイツ語は日常的に触れる機会が多いので、自然とドイツ語のほうが得意になっています。ドイツ語のほうがすぐに頭に浮かぶのは仕方ないのかもしれませんが……たまに「これはあんまりだ!」と思うほどに言葉を混ぜてしまうことがあります。私に対して日本語で話しているつもりなのに、単語のほとんどがドイツ語なのです! ひとまず話を止めて、聞き返してみます。「このドイツ語にあたる日本語を知らないから、ついついドイツ語で言ってしまう」というわけでもなく、「この言葉は日本語でなに?」と一つずつ聞けば、こうやってすぐに答えてくれるのです。ついつい、何も考えなくても話せる楽なほうを選んでしまうのでしょう。それにしても「日本語で話す時は日本語」「ドイツ語で話す時はドイツ語」の切り替えがここまで曖昧なのは、不思議だなぁ……と思っていました。しかしある日……。フリッツ君に「今日遊びに行く?」と日本語で聞かれた時でした。フリッツ君の習い事であるアイスホッケーの「Sommertraining(夏のトレーニング)」があるので、「Strassenbahn(路面電車)」の「Nummer Fünf(5番)」に乗ってトレーニングがおこなわれる「Sporthalle(体育館)」に行くよ、と答えました。……2言語ミックスさせてんの、私じゃん。私も、少し日本語だと聞き慣れないような言葉を、ついついドイツ語で言ってしまっていました……。フリッツ君が言語をミックスさせてしまうのも当然です……。これに気付いて以来、私もかなり意識して「日本語の時は日本語オンリー」で喋ることを心がけています。子は親の鏡ですね!
2023年08月01日