「女性の場合、大豆製品を種類多く摂取する人ほど、そうでない人に比べて、心筋梗塞や脳梗塞といった循環器疾患のリスクが34%、全死亡リスクが14%低くなる――」今年3月、このような調査結果が国立がん研究センターから報告された。40~69歳の男女約8万人を20年近くにわたって追跡調査(コホート研究)したものだ。この研究を実施した大妻女子大学家政学部食物学科公衆栄養研究室の小林実夏教授は、研究内容についてこう説明する。「調査では、対象者が133種類の食材を、1日に何種類摂取しているかを算出し、死亡リスクとの関連を調べました。魚、肉、野菜、果物、大豆食品などの個別の食品群についても同様の検討を行いました。男性は果物を、女性は大豆食品を種類多く摂取するほど死亡リスクの低下が見られました。特に循環器疾患については顕著でした」国立がん研究センター、社会と健康研究センター予防研究部部長の井上真奈美さんは、このような早死のリスクを下げる食品について、次のように話す。「これまで数多くの大規模調査を行ってきて『これさえ食べておけば大丈夫』という食品は存在しません。しかし、健康に影響をどう及ぼすかが、わかってきた食品も少しずつあります。まだ断定できるものは少ないのですが、大豆食品、緑茶、コーヒーは、その効果が明らかになってきています。野菜、果物も健康に何らかのよい影響のある食品だと推測しています」死亡リスクを下げるには抗酸化、抗炎症作用の働きが必要不可欠というのは、お茶の水健康長寿クリニック院長の白澤卓二先生だ。「がん、心筋梗塞、脳梗塞など死亡リスクを高める疾患の原因は、細胞の慢性炎症であるということがわかっています。加齢や酸化ストレスなどで細胞の炎症が進行すると、血管が弾力を失って硬くなり、心筋梗塞や脳梗塞の原因ともなる動脈硬化を引き起こすことになります。血管の硬直を防ぎ、弾力性を持たせること、また血中のコレステロールを抑えて血流をスムーズにすることが重要なのですが、それには抗酸化作用や抗炎症作用のある食品を取る必要があるのです。たとえば、ビタミンA、C、Eに含まれる抗酸化成分は酸化ストレスや細胞の炎症を抑える働きがあり、ビタミンB群は細胞のストレス耐性を上げてくれます。また、食物繊維には腸の働きを活性化させ、腸内環境を整える働きもある。野菜や果物には、こうした栄養素が多く含まれるものが多いのです」さらに、野菜、果物には副次的な作用もあるのだとか。「野菜や果物を取る人ほど幸福感が高い状態が保てるということがわかっています。野菜や果物には“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンなどの脳内物質を分泌する働きを持つものも多く、それも病気を遠ざける要因のひとつになっているのではないかと推測しています」(白澤先生)これまでに世界中でさまざまな食材の疾患との因果関係が調査研究されている。健康増進、疾病予防に働くと認められている食品をピックアップした。食材を選ぶときの参考にしてほしい。■死亡リスクを下げる食品リスト(監修:白澤卓二)【なす】病気:動脈硬化、心疾患、高血圧効能:なすにはカリウム、ビタミンC、ビタミンB6が含まれている。特に皮の部分に多く含まれるポリフェノールのアントシアニンには抗酸化作用があるので皮をむかずに食べたい。アントシアニンが心疾患のリスクを34%下げるという報告がある。カリウムの働きで血圧抑制作用も期待できる。【セロリ】病気:がん、動脈硬化、高脂血症効能:「セロリに含まれるアピゲニンという成分に細胞の抗炎症作用があるといわれています。またルテオリンには抗がん作用が働くという疫学調査もあります。食物繊維が腸の働きを整えてくれるだけでなく、セロリの葉の部分には血液をサラサラにする栄養素が含まれていて、コレステロールの低下や動脈硬化の予防に」(白澤先生)【にんにく】病気:心臓病、脳卒中、動脈硬化、がん(胃がん、結腸がん、食道がん、すい臓がん、乳がん)効能:アリルスルフィドという成分にがんの発現予防、生成抑制作用があることがわかっている。にんにくを摂取すると結腸がん、前立腺がんのリスクが約50%低下するという報告がある。米国国立癌研究所(NCI)もにんにくを抗がん特性のある野菜と認めている。血液サラサラ効果もあり、心臓病や脳卒中の予防にも効果が。【しょうが】病気:脳卒中、心疾患、がん(肺がん、大腸がん)、糖尿病効能:しょうがに含まれる活性化合物がインスリンと代謝の改善につながるという報告が。血糖値の上昇を抑え、血液をサラサラにする作用も。「抗炎症作用、消化促進の働きが、大腸がんの予防に期待されています。唐辛子と一緒に使うと唐辛子の発がん性が相殺され、肺がんの発生率が減少したという実験結果も」(白澤先生)【ターメリック(うこん)】病気:脳卒中、がん(肺がん、乳がん、皮膚がん、胃がん、すい臓がん)、心疾患、高血圧効能:ターメリックに含まれるクルクミンというポリフェノールには抗酸化・抗炎症作用があり、代謝異常や自己免疫不全疾患の治療効果がわかっている。肝臓のダメージをサポートする働きも。「肺がん、乳がん、皮膚がん、胃がんのがん細胞の成長を妨げる効果のほか、すい臓がんや前立腺がん、骨肉腫の予防効果が期待されています」(白澤先生)【シナモン】病気:糖尿病、高コレステロール効能:シナモンに含まれるプロアントシアニジンという成分が、インスリンの分泌を促し、糖質の代謝を促す働きがある。シナモンの含まれたスパイスを取った人から抗酸化作用の上昇が13%認められ、インスリンの反応が20%低下したという研究結果がある。【ナッツ類(くるみ、アーモンド、ピーナツ)】病気:心疾患、脳卒中、動脈硬化、糖尿病、肥満、高血圧、がん効能:くるみはナッツ類の中でもオメガ3脂肪酸を最も多く含む。コレステロール値や中性脂肪値を下げ、動脈硬化を防ぐ。αリノレン酸により冠動脈疾患の予防効果が期待できるとされている。2型糖尿病の発症リスクが33%減になるという報告も。ナッツをよく食べる人は心臓病などを含めた総死亡率が低いことも報告されている。【りんご】病気:高コレステロール、脳卒中、心臓発作、がん(乳がん)効能:りんごにはビタミンや食物繊維が豊富に含まれている。英国の研究では、1日1個のりんごを食べる人は脳卒中や心臓発作のリスクを下げることがわかっている。別の研究では、りんごを含む白い果実の摂取が多い人は、脳卒中リスクが52%低かったという結果も。りんごのフロレチンが乳がんの予防を示したデータもある。【ぶどう】病気:がん(乳がん、胃がん、大腸がん、すい臓がん、肝臓がん、皮膚がん、白血病)、心疾患、脳卒中、動脈硬化効能:ぶどうにはカリウム、ビタミン類のほか、レスベラトロールが豊富に含まれている。「レスベラトロールには血栓を予防する働きがあり、心臓病患者に与えたところ心臓内皮の機能改善が見られたという研究結果があります。また、ケルセチンにはがん細胞の抑制、成長を防ぐ働きがあるという報告もあります」(白澤先生)【チョコレート】病気:脳卒中、心疾患、高血圧、がん(乳がん、胃がん、大腸がん、すい臓がん)効能:原料のカカオにはミネラルや食物繊維が豊富。レスベラトロールの含有量はワインの約1.6倍。カカオバターの主成分のステアリン酸には血中コレステロールを下げる働きがある。ココアを1日2.25グラム摂取するグループは0.5グラム未満のグループに比べ心血管系のリスクが4割減、脳卒中の危険度が4割程度減少したという報告も。
2019年07月25日「女性の場合、大豆製品を種類多く摂取する人ほど、そうでない人に比べて、心筋梗塞や脳梗塞といった循環器疾患のリスクが34%、全死亡リスクが14%低くなる――」今年3月、このような調査結果が国立がん研究センターから報告された。40~69歳の男女約8万人を20年近くにわたって追跡調査(コホート研究)したものだ。この研究を実施した大妻女子大学家政学部食物学科公衆栄養研究室の小林実夏教授は、研究内容についてこう説明する。「調査では、対象者が133種類の食材を、1日に何種類摂取しているかを算出し、死亡リスクとの関連を調べました。魚、肉、野菜、果物、大豆食品などの個別の食品群についても同様の検討を行いました。男性は果物を、女性は大豆食品を種類多く摂取するほど死亡リスクの低下が見られました。特に循環器疾患については顕著でした」国立がん研究センター、社会と健康研究センター予防研究部部長の井上真奈美さんは、このような早死のリスクを下げる食品について、次のように話す。「これまで数多くの大規模調査を行ってきて『これさえ食べておけば大丈夫』という食品は存在しません。しかし、健康に影響をどう及ぼすかが、わかってきた食品も少しずつあります。まだ断定できるものは少ないのですが、大豆食品、緑茶、コーヒーは、その効果が明らかになってきています。野菜、果物も健康に何らかのよい影響のある食品だと推測しています」死亡リスクを下げるには抗酸化、抗炎症作用の働きが必要不可欠というのは、お茶の水健康長寿クリニック院長の白澤卓二先生だ。「がん、心筋梗塞、脳梗塞など死亡リスクを高める疾患の原因は、細胞の慢性炎症であるということがわかっています。加齢や酸化ストレスなどで細胞の炎症が進行すると、血管が弾力を失って硬くなり、心筋梗塞や脳梗塞の原因ともなる動脈硬化を引き起こすことになります。血管の硬直を防ぎ、弾力性を持たせること、また血中のコレステロールを抑えて血流をスムーズにすることが重要なのですが、それには抗酸化作用や抗炎症作用のある食品を取る必要があるのです。たとえば、ビタミンA、C、Eに含まれる抗酸化成分は酸化ストレスや細胞の炎症を抑える働きがあり、ビタミンB群は細胞のストレス耐性を上げてくれます。また、食物繊維には腸の働きを活性化させ、腸内環境を整える働きもある。野菜や果物には、こうした栄養素が多く含まれるものが多いのです」さらに、野菜、果物には副次的な作用もあるのだとか。「野菜や果物を取る人ほど幸福感が高い状態が保てるということがわかっています。野菜や果物には“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンなどの脳内物質を分泌する働きを持つものも多く、それも病気を遠ざける要因のひとつになっているのではないかと推測しています」(白澤先生)今回の研究では、「1日に摂取する食品の種類が多いグループは、少ないグループに比べて全死亡のリスクは19%、循環器疾患死亡のリスクは34%、その他の死亡リスクは24%低い」という結果も出ている。小林教授はこう話す。「昭和60年ごろに当時の厚生省、文部省、農林水産省が合同で出した食生活指針では『1日30品目を食べましょう』と言われていましたが、実は、この『30品目』の根拠はわかっていませんでした。私は、当時から30品目の裏付けが欲しいと思っていたのですが、約20年たって、多目的コホート研究という長期間に及ぶ追跡調査で、それを検証できると思ったのが、今回の調査のきっかけでした」調査では1日30品目以上食べた人と30品目以下の人との比較も行った。「30品目以上食べた人のほうが、循環器疾患のリスクおよび死亡リスクが低く出ました。これで、1日30品目の健康に及ぼす好影響が証明されたことになります」(小林教授)小林教授はこう加える。「今、日本が世界でもトップクラスの長寿国なのは、今の高齢者たちのこれまでの食生活が優れていたことの証明です。大事なのは、さまざまな食材を種類多く取るということです。たとえば、野菜を1日350グラム取りましょうといっても、キャベツだけで取るのは大変です。いろんな種類を50グラムずつ取ると取りやすいですし、さまざまな栄養素が相互に作用し、それが病気のリスク分散にもなります。今回の研究が、買い物時などに、『昨日はこれを食べたから今日は別のものにしよう』といったふうに、食材を選ぶときのきっかけになり、それが健康増進につながってくれればと思っています」
2019年07月24日「女性の場合、大豆製品を種類多く摂取する人ほど、そうでない人に比べて、心筋梗塞や脳梗塞といった循環器疾患のリスクが34%、全死亡リスクが14%低くなる――」今年3月、このような調査結果が国立がん研究センターから報告された。40~69歳の男女約8万人を20年近くにわたって追跡調査(コホート研究)したものだ。この研究を実施した大妻女子大学家政学部食物学科公衆栄養研究室の小林実夏教授は、研究内容についてこう説明する。「調査では、対象者が133種類の食材を、1日に何種類摂取しているかを算出し、死亡リスクとの関連を調べました。魚、肉、野菜、果物、大豆食品などの個別の食品群についても同様の検討を行いました。男性は果物を、女性は大豆食品を種類多く摂取するほど死亡リスクの低下が見られました。特に循環器疾患については顕著でした」国立がん研究センター、社会と健康研究センター予防研究部部長の井上真奈美さんは、このような早死のリスクを下げる食品について、次のように話す。「これまで数多くの大規模調査を行ってきて『これさえ食べておけば大丈夫』という食品は存在しません。しかし、健康に影響をどう及ぼすかが、わかってきた食品も少しずつあります。まだ断定できるものは少ないのですが、大豆食品、緑茶、コーヒーは、その効果が明らかになってきています。野菜、果物も健康に何らかのよい影響のある食品だと推測しています」死亡リスクを下げるには抗酸化、抗炎症作用の働きが必要不可欠というのは、お茶の水健康長寿クリニック院長の白澤卓二先生だ。「がん、心筋梗塞、脳梗塞など死亡リスクを高める疾患の原因は、細胞の慢性炎症であるということがわかっています。加齢や酸化ストレスなどで細胞の炎症が進行すると、血管が弾力を失って硬くなり、心筋梗塞や脳梗塞の原因ともなる動脈硬化を引き起こすことになります。血管の硬直を防ぎ、弾力性を持たせること、また血中のコレステロールを抑えて血流をスムーズにすることが重要なのですが、それには抗酸化作用や抗炎症作用のある食品を取る必要があるのです。たとえば、ビタミンA、C、Eに含まれる抗酸化成分は酸化ストレスや細胞の炎症を抑える働きがあり、ビタミンB群は細胞のストレス耐性を上げてくれます。また、食物繊維には腸の働きを活性化させ、腸内環境を整える働きもある。野菜や果物には、こうした栄養素が多く含まれるものが多いのです」さらに、野菜、果物には副次的な作用もあるのだとか。「野菜や果物を取る人ほど幸福感が高い状態が保てるということがわかっています。野菜や果物には“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンなどの脳内物質を分泌する働きを持つものも多く、それも病気を遠ざける要因のひとつになっているのではないかと推測しています」(白澤先生)これまでに世界中でさまざまな食材の疾患との因果関係が調査研究されている。健康増進、疾病予防に働くと認められている食品をピックアップした。食材を選ぶときの参考にしてほしい。■死亡リスクを下げる食品リスト(監修:白澤卓二)【大豆食品】病気:がん(乳がん、前立腺がん)、脳梗塞、心筋梗塞効能:国立がん研究センターのコホート研究では「1日3杯以上味噌汁を飲む人は1杯未満の人に比べて乳がんの発生率が40%少ない」という結果が。大豆に含まれるイソフラボンに乳がんの予防効果があると考えられる。大豆をよく食べる女性グループの脳梗塞のリスクは36%、心筋梗塞のリスクは45%低いことがわかっている。【緑茶】病気:がん(胃がん)、動脈硬化、心疾患、脳梗塞効能:緑茶に含まれる茶カテキンに、がん細胞の増殖を抑制する働きがある。カフェインは血管内皮の修復を促し、血管を健康に保つ。国立がん研究センターのコホート研究では、1日5杯以上緑茶を飲む女性は、1杯未満と比べて胃がんリスクが3割減、心疾患死亡リスクが37%減。脳梗塞のリスクも2割程度減という報告がある。【コーヒー】病気:がん(子宮体がん、肺がん、大腸がん)、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患、消化器疾患、糖尿病、高血圧効能:コーヒーに含まれるクロロゲン酸が活性酸素の働きを抑え、抗炎症作用・抗酸化作用に。カフェインには血管内皮の機能を改善し、脂肪燃焼作用も。コホート研究では、飲まない人と比べてコーヒー1日1杯以上で脳出血リスクが2~3割減、子宮体がんリスクに関しては1日1~2杯で4割、3杯以上で6割減という報告がある。【青魚(イワシ、アジ、サンマ、サバ)】病気:がん(すい臓がん、乳がん)、心疾患、脳出血、動脈硬化効能:コホート研究では、青魚に含まれるDHAを多く摂取する人は、すい臓がんのリスクが最大30%低下したという研究結果が。すい臓がんは慢性炎症が関係していると考えられており、青魚に多く含まれるDHA、EPAが、免疫調節作用を持ち、抗炎症作用に働くといわれる。また、中性脂肪やコレステロールを減少する働きも。【柑橘類】病気:がん(口腔がん、食道がん、胃がん、肺がん)、心疾患、脳卒中効能:柑橘類に含まれるビタミンCが体内の抗酸化作用を促し、免疫力も高める働きをする。国立がん研究センターのコホート研究では、柑橘類の摂取の多い人は、少ない人より循環器疾患のリスクが20%低いという報告がある。オレンジ色をつくるβカロテンには抗酸化作用も。温州みかんには肝臓の疲労回復を促す作用が。【玄米】病気:がん(大腸がん)、心臓病、脳卒中、2型糖尿病効能:玄米に含まれる食物繊維が血液をサラサラに、ミネラルは血糖値の急激な上昇を抑える働きが。十分な食物繊維を取っている人は脳卒中のリスクは22%減、大腸がんのリスクは16%減。心疾患のリスクが30%減になるという報告が。米国の調査では玄米をよく食べる人の糖尿病発症リスクは36%低かったという報告がある。【酢】病気:糖尿病、高血圧効能:酢は穀物や果実を発行させてできた発酵食品。酢の成分の酢酸には代謝の促進と、脂肪の分解を促進する働き、塩分の取りすぎを防ぐ働きがある。1日大さじ1杯のお酢を12週間飲んだ人は内臓脂肪・腹囲が減少したという研究報告や、血圧の高めの人が酢を6週間飲むと正常域に下がったという研究結果などが多数ある。【そば】病気:心筋梗塞、脳卒中、動脈硬化効能:食物繊維、ミネラルのほか、ルチンとビタミンB群が豊富。そばのルチンが高血圧の抑制をし、血管内皮を丈夫にするという研究報告がある。米国心臓学会では、食物繊維の多い全粒穀物を取ることが血中コレステロールを正常にし、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病のリスクを下げる可能性があるとしている。【海藻】病気:がん(大腸がん)、高血圧、糖尿病、心疾患、甲状腺疾患効能:海藻はミネラルとビタミンを豊富に含み、ケイ素というミネラルが血管壁の弾力性を保ち、血管内にコレステロールが付着するのを防ぐ。血中コレステロールを18%下げるという報告も。血糖値を抑える作用や抗酸化作用もある。海藻に含まれるアルギン酸にはナトリウムを排出し、フコイダンには抗がん作用がある。
2019年07月24日「女性の場合、大豆製品を種類多く摂取する人ほど、そうでない人に比べて、心筋梗塞や脳梗塞といった循環器疾患のリスクが34%、全死亡リスクが14%低くなる――」今年3月、このような調査結果が国立がん研究センターから報告された。40~69歳の男女約8万人を20年近くにわたって追跡調査(コホート研究)したものだ。この研究を実施した大妻女子大学家政学部食物学科公衆栄養研究室の小林実夏教授は、研究内容についてこう説明する。「調査では、対象者が133種類の食材を、1日に何種類摂取しているかを算出し、死亡リスクとの関連を調べました。魚、肉、野菜、果物、大豆食品などの個別の食品群についても同様の検討を行いました。男性は果物を、女性は大豆食品を種類多く摂取するほど死亡リスクの低下が見られました。特に循環器疾患については顕著でした」国立がん研究センター、社会と健康研究センター予防研究部部長の井上真奈美さんは、このような早死のリスクを下げる食品について、次のように話す。「これまで数多くの大規模調査を行ってきて『これさえ食べておけば大丈夫』という食品は存在しません。しかし、健康に影響をどう及ぼすかが、わかってきた食品も少しずつあります。まだ断定できるものは少ないのですが、大豆食品、緑茶、コーヒーは、その効果が明らかになってきています。野菜、果物も健康に何らかのよい影響のある食品だと推測しています」今回、大豆食品が挙がった理由として、大豆に含まれるイソフラボンの効果がある。イソフラボンは、女性ホルモンに似た構造をしていて乳がん予防の効果があると考えられているが、血中コレステロール、血圧、インスリン抵抗性を改善する効果も認められているという。さらに血液循環を促進するビタミンE、オメガ3脂肪酸も含まれており、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを下げる働きをしていると考えられている。味噌汁を1日3杯以上飲む人は、1杯未満の人と比べて乳がんになるリスクが40%低く、血圧を下げるのに有効だという結果も出ているという。「コーヒーには抗酸化作用やインスリン感受性改善作用、および脂肪燃焼の働きが明らかになっており、緑茶には循環器や呼吸器機能への働きが認められています」(井上さん)次に健康によい影響があると考えられているのが野菜と果物だ。今回の調査結果でも女性の場合、野菜が循環器疾患のリスクを23%下げていることがわかっている。緑黄色野菜は胃がん、ビタミンB6を含む食品は大腸がん、野菜に多く含まれるαカロテン、βカロテンは肝がん、葉酸、ビタミンB6、ビタミンB1は心筋梗塞、野菜、果物は食道がんのリスクを低くするという調査結果がある。「しかし、ビタミンやミネラルといった野菜や果物に含まれる特定の栄養素が体にいいからといって、サプリメントで摂取すればいいというわけではありません。むしろ、サプリメントでリスクが上がったという報告もありますので注意が必要です。安易にサプリメントで栄養を取ろうとせず、食べ物から摂取することが重要です」(井上さん)
2019年07月24日真夏のような暑さを記録した5月10日、東京郊外にある廃校で映画『星屑の町』の撮影が行われていた。昭和の薫りが漂う木造校舎の小学校旧分校。そこに“のん”こと、能年玲奈(25)の姿があった。4月30日、同作にヒロインとして出演することが報じられたのん。14年12月公開の『海月姫』以来4年ぶりの抜擢とあって、現場でも気合十分のようだ。のんは照り付ける日差しのなか、30分以上何度もブランコをこぎ続ける。それでも彼女は最後まで笑顔を絶やさず撮影に臨んでいた――。驚くほどの奮闘ぶりを見せるのん。理由は、念願の映画出演がかなったからというだけではなかった。“ある人物”に元気を届けたいという思いが胸に秘められていたのだ。「実は先日、のんさんのおばあさんが脳梗塞で入院してしまったんです。もう70歳をすぎていますからね。命に別状はなかったものの、後遺症が残ってしまったそうです。現在は退院して、別の病院でリハビリに励んでいます。のんさんのお父さんは長男なので、頻繁に病院に通っているみたいです。自宅には三男、つまりのんさんの叔父さんが住んで留守を守っています」(のんの知人)本誌が昨年10月に取材した際、祖母は元気に孫への想いを語っていた。「大事なのはあの子が生き生きとした姿でいられるかどうかだけです。玲奈には自由に好きなことをやってほしいし、これからもいろんな挑戦をしてくれるはず。私はそれを見届けるため、あと10年は長生きしないといけないなと思っています」そんな孫を応援し続けた祖母が、まさかの緊急入院――。記者は、兵庫県にある祖母の自宅へと向かった。すると夕方になって、のんの叔父が戻ってきた。祖母の病状を尋ねたところ、叔父はこう答えた。「そうです、脳梗塞で2月に入院しまして……。でも、元気なことは元気なんですよ。普通に話したりできますから。ただリハビリが必要と言われたので、専門の病院へ転院したんです」祖母の入院を聞かされたのんは、すぐさま病院へと駆けつけたという。「連絡したらすぐお見舞いに来てくれたみたいです。私は会えなかったのですが、母が『玲奈が来てくれたんや』と言っていました。来てくれたことは、うれしかったと思いますよ。玲奈の活躍を見るとが、母にとってのいちばんの楽しみですからね……」前回の取材時も、祖母はNHK朝ドラ『あまちゃん』の再放送を何度も見ていると語っていた。自分が活躍することが、祖母に元気を与えるはず。見舞いに訪れた彼女はそう決意し、病室から撮影現場へと向かったのだ。叔父はこう語る。「これまでも母はいつも玲奈の活躍を見ては、『ようがんばってるなぁ』と言って喜んでいました。音楽を始めたときは、ステージを楽しみにしていました。映画に出るとなると、同じように公開を心待ちにしていました。そんな母だから、今回の映画出演が決まったことも喜んでいると思います。あの子ががんばってくれることが、何より母のリハビリの励みにもなるはずです」
2019年05月14日子どものさまざまな能力には、身体だけでなく脳が関係していることが知られています。そのため、昨今では脳を育てることに注目が集まっています。しかし、具体的にはどんなことをすればいいのでしょうか?今回は、脳を育てることの重要性や、そのためのポイントについてご紹介します。「脳を育てる」ことが重要すぎるワケ脳を育てることは、子どもが心身ともに健康に成長していくことや、社会性や学力の向上に大きくつながっています。脳の中でも、子どもの成長に特に影響を及ぼす部位は、脳幹、大脳新皮質、前頭葉、シナプスの4つです。脳幹は、中枢神経系を構成する重要な部位が集まる器官です。睡眠欲や食欲、呼吸など人間が生きていくために必要な機能を担っており、情緒面にも影響しています。五感からの刺激によって、特に2~6歳の時期に大きく育つのだそう。大脳新皮質は、言語能力や手指を使った細かい動きなどの機能を担っており、親からの言葉や仕草から刺激を受けています。前頭葉は記憶力や集中力、論理的思考などの機能を司り、心の状態にも大きくかかわっている部分です。運動やコミュニケーションなどで活性化するといわれています。シナプスは、脳の中にある神経細胞同士のつながりのことです。神経細胞同士がうまくつながると、脳がよく働きます。シナプスは会話やスキンシップによって増えていくものです。これらの部分を育てることで、子どもが生きていくうえで欠かせないさまざまな力が身につくのです。健康体、ストレスフリー、チャレンジ精神……。脳が育つとメリットだらけ!脳が育つと、以下のようなメリットがあります。・規則正しい生活が送れるようになる脳が育っていくことで、体内時計がしっかり働くようになるため、朝は自然に目が覚めて活動的になり、夜は自然に眠くなってぐっすり寝ることができるようになります。よって、健康体になっていきます。・自分の気持ちをコントロールできるようになる脳の中でも、前頭葉がしっかりと育つと、自分の気持ちをコントロールできるようになります。そのため、嫌なことがあっても気持ちを切り替えることができたり、不安になった時にも解決策を探して安心できたりと精神が安定するのだそう。さらには、自分の気持ちをしっかりと相手に伝えられるため、ストレスを溜めにくくなります。・好奇心旺盛になるシナプスが増えて脳が発達していくと、好奇心旺盛になり、運動や勉強など何事にもチャレンジできるようになります。そして新しい刺激をたくさん受けることによって、さらに脳が活性化されるという好循環につながるのです。「脳を育てる」ために、すぐにでも始めたい5つの習慣子どもの脳を育てるために、以下の事柄を始めてみませんか?・朝型の生活をする朝は、睡眠によって脳内のシナプスが整理された状態となっており、脳を育てるのに適したタイミングです。親子で早起きして、運動や散歩をしたり、ゆっくりと朝ご飯を食べながら会話を楽しんだりすることは、脳を育てるのに有効です。ぜひ習慣にしましょう。・会話に具体性を取り入れる子どもの言葉や表現を引き出すために、会話の中で具体性を意識することも脳を育てるのに役立ちます。例えば友だちと遊んだ後は「楽しかった?」だけでなく、「どんなことをして遊んだの?」「その時、〇〇ちゃんはなんて言ってたの?」などと、より具体性のある質問を投げかけましょう。記憶を辿ったり、表現を考えたりしながら話すことで、子どもの脳が刺激されます。・食事中はテレビをつけない食事は、料理のにおいや味、色合いや温度などで、あらゆる五感が刺激されるため、脳を育てるのに欠かせません。しかし、その際にテレビをつけてしまうと、五感からの刺激がなくなってしまいます。食事中はテレビを消すルールを作りましょう。・魚料理を定期的に出す魚の脂に含まれているDHA(ドコサヘキサエン酸)は、脳の神経細胞の主な成分でもあり、脳の働きを高めるといわれています。ぜひ普段の食卓に魚料理を取り入れましょう。時間がない時には缶詰やフレークなどを使うのもおすすめです。・ピアノなどの楽器を演奏させるアメリカのバーモント大学で行なわれた200人超の子どもを対象にした調査では、楽器を演奏することによって脳の運動機能を司る部分が活性化することがわかりました。また、音を司る脳の領域と言語を司る脳の領域は非常に近いため、楽器を演奏することは言語能力の発達や外国語の習得にも役立つといわれています。***子どもの脳を育てる工夫を行なうことで、親の脳の活性化にもつながる場合がたくさんあります。ぜひ親子で脳を活性化させていきたいですね。文/田口るい(参考)こどもまなび☆ラボ|“親の愛情” で子どもの海馬が大きくなる!?子どもの脳を育てる5つのヒントPHPファミリー|6歳までが勝負です!才能の芽がグングン育つ「脳の鍛え方」日経DUAL|脳科学者が教える「努力する子を育てる10カ条」ダ・ヴィンチニュース|一番最初に始める習い事のおすすめは? 脳科学で解明する賢い子の育て方マイナビニュース|脳を育てる食事ってどんなもの? 子どもの成功を支える食生活の秘訣
2019年05月02日映画監督の園子温(57)が2月7日、病院に救急搬送された。8日のサンケイスポーツによると園監督は心筋梗塞と診断され、そのまま入院し手術を受けた。命に別状はないが、「当面は療養を要する」と事務所はコメントしているという。独自の世界観により、出演俳優からの支持も厚い園監督。各メディアによると同日に開催されたエランドール賞授賞式後の会見で、09年の映画「愛のむきだし」に出演した松岡茉優(23)は「えっ!今、知りました」と園監督の一報に絶句。また同席していた02年の「自殺サークル」で映画デビューとなった田中圭(34)も「びっくりしました」と言葉少なだったという。11年の映画「冷たい熱帯魚」や12年の「ヒミズ」といった作品が海外でも人気の園監督は、日本映画を牽引する存在。現在は、あのニコラス・ケイジを主演に迎えたハリウッドデビュー作の準備をしている。「園監督は今後、ハリウッドを中心に制作をしていきたいと考えています。そしてハリウッドでうまくいったら日本で、新しい映画会社や映画館をつくりたいそうです。そうして古い体制やしがらみの多い日本の映画業界を変えたいという夢を持っているんです。園監督のそういった姿勢は業界でも支持されています。そのため、無事だったことにみんなが安堵しています」(映画関係者)Twitterでも園監督の復帰を望むエールが上がっている。《監督にはまだこれからハリウッド随一の怪優ニコラス・ケイジと映画を撮るという超ビッグプロジェクトがあるのです!早く元気になって欲しいです!》《完治してニコラスケイジ主演のハリウッド映画を完成させて世界をあっと言わせてくれ!!》《たのむで、ハリウッド》心筋梗塞は喫煙と関連が強いとされているが、園監督は大の愛煙家。8日のスポーツ報知によると、「150回以上も禁煙を試みたが、できなかったようだ」と関係者は明かしているという。映画ファンのためにも、身体には気をつけてほしい。
2019年02月08日「ある日突然、倒れる」というイメージが強い脳梗塞。しかし、実際に多いのは、「自覚症状もなく体をむしばんでいく」隠れ脳梗塞という微小な梗塞だという。ここでは、そんな恐ろしい病気を自分で発見する方法をお届け!昨年5月に63歳という若さで亡くなった歌手の西城秀樹さんは、精力的な芸能活動の陰で、17年間も脳梗塞と闘っていたことは記憶に新しい。その西城さんが「脳梗塞」と報じられたのは、’03年と’11年だったが、じつは17歳年下の妻・美紀さんの手記『蒼い空へ夫・西城秀樹との18年』(小学館)によると、結婚直後の’01年秋から脳梗塞を発症し、8回も入退院を繰り返していたという。「脳梗塞は脳内の血管が詰まり、脳細胞が壊死する病気で、『ある日突然、意識を失って倒れる』という印象を持たれがちですが、ごく微小な梗塞“隠れ脳梗塞”が少しずつ増えて脳梗塞に発展するケースのほうが多いのです。西城さんの場合、水分を取らずにサウナに入り続けて脳梗塞になったといわれてきましたが、隠れ脳梗塞を何度も起こしていたのが特徴です」そう解説するのは、くどうちあき脳神経外科クリニックの工藤千秋院長。隠れ脳梗塞は医学的には「ラクナ梗塞」と呼び、脳内の細い動脈にできる直径15ミリ未満の梗塞のこと。自覚症状がないのでCT検査やMRI検査で見つかることが多いという。隠れ脳梗塞の“ささいな前兆”に気づくことが大事というのは、隠れ脳梗塞に関する多数の著書がある眞田クリニックの眞田祥一院長。「人間の脳は、一部の機能がダメになっても、ほかの神経細胞でそれを補う『代償機能』があり、これが働くことによって動作、体の機能に支障がでないようにしていますが、実際には神経細胞が傷ついているので日常のなかでささいな神経症状が出てくる場合があります。これらを見逃さないこと。たとえば一瞬、意識を失うことがあってもすぐに戻る。頭痛やめまいが起こってもすぐによくなるので、『頭が痛いのは風邪のせいかも』『足がふらつくのは運動不足のせい』と、都合のいい解釈をしてしまう人が多いのです」一般的に手足のしびれなどの知覚や言語、思考の領域は代償が効きにくいといわれている。実際に西城さんも、隠れ脳梗塞を起こしていた’01年秋には「ふらつく」「しゃべりづらい」といった不調を訴えていたそうだ。次のようなことがあったら要注意!3つ以上当てはまる人は、隠れ脳梗塞の恐れがある。□なんの前ぶれもなく頭痛や肩こりに襲われることがある。□いつもめまいや耳鳴りがする。□階段の上り下りや敷居をまたぐとき、片方の足をよく引っかける。□以前に比べて手先が不器用になり、字が下手になった。□以前に比べて計算間違いが多くなった。□手足や顔、唇がしびれたり震えたりすることがある。□早口で話されると理解がしにくい。□すぐむせたり、たんがからんだりする。□突然、ろれつが回らなくなることがある。□突然、気分が落ち込んだり、うつ状態になったりすることがある。いち早く隠れ脳梗塞に気づくため、眞田院長が提唱する自分でできるテストの1つが「うずまきなぞり」と「両手突き出し」。【うずまきなぞり】1)紙を用意し、5ミリ間隔のうずまきを5周ほど書く。2)次に、色違いのペンで1で描いたうずまきの間を、線にふれないようになぞり、新しいうずまきを10秒以内で書く。※2カ所以上はみだしたり重なったりしていたら要注意!【両手突き出し】1)背筋を伸ばして立ち、目を閉じる。両手を肩の高さまで上げて、真っすぐ前方に突き出す。このとき指は真っすぐ伸ばす。2)腕を伸ばしたまま手のひらを上に向ける。指をそろえて伸ばし、10秒静止する。※どちらかの手が下がるなど、同じ姿勢を保てない場合は要注意!「特に、隠れ脳梗塞の兆候が表れやすいのが手の動きです。『うずまきなぞり』で2カ所以上はみだしていると、大脳基底核や小脳に隠れ脳梗塞を起こしている可能性があります。『両手突き出し』では、どちらかの手がやや下がってきたら下がった手と反対の小脳に、手の指が開き気味になった場合は前頭葉、頭頂葉に隠れ脳梗塞が疑われます」(眞田院長)気になる症状があったら放って置かないで、病院で検査してもらい、健康をキープしよう。
2019年02月07日昨年5月に63歳という若さで亡くなった歌手の西城秀樹さんは、精力的な芸能活動の陰で、17年間も脳梗塞と闘っていたことは記憶に新しい。その西城さんが「脳梗塞」と報じられたのは、’03年と’11年だったが、じつは17歳年下の妻・美紀さんの手記『蒼い空へ夫・西城秀樹との18年』(小学館)によると、結婚直後の’01年秋から脳梗塞を発症し、8回も入退院を繰り返していたという。「脳梗塞は脳内の血管が詰まり、脳細胞が壊死する病気で、『ある日突然、意識を失って倒れる』という印象を持たれがちですが、ごく微小な梗塞“隠れ脳梗塞”が少しずつ増えて脳梗塞に発展するケースのほうが多いのです。西城さんの場合、水分を取らずにサウナに入り続けて脳梗塞になったといわれてきましたが、隠れ脳梗塞を何度も起こしていたのが特徴です」そう解説するのは、くどうちあき脳神経外科クリニックの工藤千秋院長。隠れ脳梗塞は医学的には「ラクナ梗塞」と呼び、脳内の細い動脈にできる直径15ミリ未満の梗塞のこと。自覚症状がないのでCT検査やMRI検査で見つかることが多いという。「隠れ脳梗塞を起こしても、気がつかないほど軽い症状なので、血液をさらさらにする薬を1週間ほど飲んでもらうと、一時的に症状が解消されます。完治したわけではなく、繰り返し梗塞を起こして、大きな発作を招きます。症状が軽いからといって楽観してはいけません」(工藤院長・以下同)隠れ脳梗塞を放っておくと、重大な脳梗塞を起こすリスクは高くなり、脳梗塞や脳出血などの発症リスクは10倍以上にもなるという。では、予防するためにはどうしたらいいのか。「いつもと違う『頭が重い』といった症状があったら、病院で脳の検査を受け、隠れ脳梗塞を早期発見すること。糖尿病や高血圧など生活習慣病は動脈硬化が進みやすく、隠れ脳梗塞を起こすリスクが高くなります。喫煙をやめて食生活を見直すことが大切です」気になる症状があったら放って置かないで、病院で検査してもらい、健康をキープしよう。
2019年02月07日筋肉をつくるにはタンパク質、骨をつくるにはカルシウムが必要という具合に、食事と体の関係に関しては多くの人が少なからず知識を持っているはずです。でも、いい脳をつくるために必要な栄養素、食事といったら……?詳しく知っているという人は、そう多くはないでしょう。そこでお話を聞いたのは、オリジナルの「育脳」レシピ開発で子どもを持つ親御さんのファンも多い管理栄養士・小山浩子さん。脳に欠かせない栄養素を教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹(ESS)写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)脳を「つくる」材料となる栄養素子どもの頭が良くなるかどうかは、遺伝の影響が大きいと考えている人も多いでしょう。もちろん、頭の良し悪しには遺伝も大いに影響を与えます。ただ、その影響がはっきり表れはじめるのは、13歳くらいから。それまでは、赤ちゃんの頃からの脳への刺激や本人の好奇心といった外的要因、それから「食事」が大きな影響を与えます。食べものによって体がつくられることは、多くの人がイメージするものでしょう。でも、脳も体の一部ですから、当然、食事による影響を大きく受けます。子どもをかしこく育てたいのなら、食事にきちんと気を配る必要があるのです。脳のなかではいろいろな栄養素がチームとなって働いています。そこでまず意識してほしいのは、脳を「つくる」栄養素、「働かせる」栄養素、「動かす」栄養素をしっかり摂るということです。脳を「つくる」栄養素を紹介するにあたって、ひとつ質問をしましょう。脳はなにでできていると思いますか?じつは、脳の6割は脂肪でできているのです。そして、いい脳をつくる材料が、有名なDHA、それからEPAという油状物質。特にDHAは脳にとっての最重要栄養素と言えます。DHAをきちんと摂取しないと、脳の発達障害を起こしてしまうことも……。DHAの摂取量が十分な子どもとそうでない子どもでは、脳の神経回路の発達の度合いはい大きくちがいます。ただ、これは後からでも取り戻せるものです。オックスフォード大学の実験では、3カ月間、DHAを投与された子どもは、脳の神経回路がしっかりと改善されました。親の愛情が子どもの脳の発達を促すこのDHA、EPAの特徴として、体のなかでつくることができないことが挙げられます。つまり、食べものからきちんと摂取する必要があるということ。青魚に多く含まれることが知られていますね。ただ、意外にも、サバやイワシなどの青魚より多くのDHAを含むのがマグロのトロの部分。でも、お値段も高いですし……毎日のように食卓に出すのは難しいですよね。日常的に食べられるものとしては、サバの水煮缶や魚肉ソーセージ、それからツナ缶をおすすめしています。もちろん、魚が大好きなお子さんになら、ときには奮発してマグロのトロを食べさせてあげてください。その際、「頭が良くなるからね」と言ってあげましょう。子どもは100人いたら100人が「頭が良くなりたい」と思っています。そして、大好きなお母さんが自分の応援をしてくれていると感じるだけで、子どもは「頑張ろう」と思うもの。その気持ちが、脳の発達も促すのです。お子さんが魚嫌いという場合も安心してください。じつは、アマニ油とエゴマ油が、体内でDHAやEPAと同じ働きをするということがわかってきたのです。これらをドレッシング代わりに使うだけで、魚を食べるのと同じくらいの効果を発揮してくれます。脳を「働かせる」「動かす」栄養素IQが高い子どもの脳には、脳を「働かせる」アセチルコリンという神経伝達物質が多いという特徴があります。じつは、このアセチルコリンは、生まれたときには誰もがいっぱい持っているもの。神様は本当に平等に人間をつくっているんですね。ただ、その量は5歳くらいまでの間に徐々に減っていくのです。つまり、アセチルコリンをなるべく減らさないようにキープできた子どもがかしこくなる。5歳くらいまでの間に将来の脳の土壌ができるというわけですね。それだけ、幼い頃の食事が脳の発達には重要だということを意味します。このアセチルコリンの材料となるのが、卵や大豆に含まれるレシチンという栄養素。卵は1日に1個は子どもに食べさせてほしい。また、豆が苦手だという子どもには、きな粉をうまく使うことをおすすめします。朝食なら、「きな粉トースト」なんていいですよね。きな粉とはちみつと練乳を混ぜると、自家製のきな粉ジャムになります。これをトーストに塗るだけ。すごく手軽ですよ!それから、脳を「動かす」ガソリンとも言えるのが炭水化物です。脳が消費するエネルギーは、体全体の消費量のなんと20%に達します。低炭水化物ダイエットがはやっていますが、脳のためには、ご飯やパン、麺類をしっかり食べさせることが必要です。牛乳は体にも脳にも効く完全栄養食品そして、脳にいい食事のカバー役として欠かせないのが「牛乳」です。ここで、牛乳の偉大なパワーを紹介しましょう。これは、ここまで紹介したDHA、EPA、レシチン、炭水化物以外に脳が必要とする栄養素、そしてそれらを含む主な食べものです。【牛乳は万能育脳食材】ここで挙げた栄養素の多くを含むのが牛乳なのです。牛乳というと完全栄養食品とも呼ばれ、健康な体をつくるために欠かせないものですよね。学校給食でも何十年にもわたって出されてきました。その理由を裏付けるように、脳にとっても牛乳は完全栄養食品になっているのです。『かしこい子どもに育つ! 「育脳離乳食」:脳をはぐくむ食事は0歳から』小山浩子 著/小学館(2018)『こどもの脳は、「朝ごはん」で決まる!』小山浩子 著/小学館(2015)■ 管理栄養士・小山浩子さん インタビュー一覧第1回:子どもの脳は“親の愛情”と“食事”で育つ!「育脳」に効く食材の選びかた第2回:“パン&〇〇”で最高の朝食になる!脳が育つ食べ合わせ「5つの黄金ルール」(※近日公開)第3回:“美味しい”か“美味しくない”か。結果がすぐにわかる料理は、子どもがPDCAを学ぶのに最適(※近日公開)第4回:「お米さえ食べさせておけば大丈夫」が危険な理由。手抜きでも脳に効く朝ごはんとは(※近日公開)【プロフィール】小山浩子(こやま・ひろこ)1971年9月5日生まれ、愛知県出身。料理家、管理栄養士、フードコーディネーター。大手食品メーカー勤務を経て2003年にフリーに。料理教室の講師やコーディネート、メニュー開発、健康番組への出演など幅広く活動する。料理家としてのキャリアは20年以上。これまで指導した生徒は5万人以上に及ぶ。著書『目からウロコのおいしい減塩「乳和食」』(社会保険出版社)で、2014年グルマン世界料理本大賞イノベイティブ部門世界第2位を受賞。健康とつくりやすさに配慮したオリジナルレシピにファンが多い。2015年には日本高血圧協会理事に就任。また、日本ではじめて育脳をコンセプトにした離乳食を監修()。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年01月16日恋愛脳は実は男女で異なっていると言われていて、それが原因ですれ違ってしまうこともあるようです。今回は、そんな男女で違う恋愛脳について解説していきます。恋愛脳とは何か恋愛脳とは恋愛至上主義と呼ばれることもありますが、それ以外にも恋愛をしている時に生まれる考え方や本能のことを指しています。これはこれまでに培ってきた経験や性格、価値観などによって異なっているのはもちろん、男女でも違いがあるのです。このような恋愛脳は恋人として過ごしていくために必要なものではあるのですが、それぞれの恋愛脳による言動がすれ違ってしまうと喧嘩をしたり別れの原因になってしまうこともあると言います。特に男女の恋愛脳の違いはすれ違いを生みやすいと言われているので、その点を踏まえて恋人の言動に対応していく必要があるのです。男性の恋愛脳について男性の恋愛脳の特徴として挙げられているのが、独占欲の強さです。男性は元々恋愛をすると独占欲や闘争心が強くなるため、恋人を自分だけのものにしたいと考えやすい傾向にあります。恋愛脳の男性は特に独占欲が強くなるため、ちょっとした恋人の言動に不安を感じやすくなると言います。また好きになったら熱が急激に高まりやすいところも、男性の恋愛脳の特徴です。最初は男性が相手を追いかけるのですが、最初に急激に高まった分徐々に冷めてくるので最終的に女性が男性を追いかけるということが珍しくありません。ほかにも相手の気持ちを察することが苦手であったり、物事を忘れることが得意であるなどの欠点も挙げられています。女性の恋愛脳について女性の恋愛脳は男性の恋愛脳と比較すると、相手の気持ちを察する能力に長けている点や物事をいつまでも覚えていられる点が大きな特徴です。このため相手のちょっとした変化をすぐに察することができますし、記念日や恋人との会話内容もしっかり覚えていられます。ただこれを男性側にも要求することが多く、それがすれ違いの原因となることも少なくありません。また男性の恋愛脳よりも独占欲が弱いところや好きになったら徐々に熱が高まっていくところなど、付き合いが長くなってからようやく愛情が強くなる傾向がみられるところも特徴です。このような違いから、男女の恋愛はすれ違ってしまうことが多いと考えられています。
2019年01月08日テレビを見ながら、スマホを見ながら……なんとも「ながら」が多い私たちの生活。脳のエネルギーの6割が浪費されているとか。1日1分の「瞑想」で脳を休ませ、落ち着かせて!「スマホやSNSの普及により、この10年間で情報量は千倍近くになっているといわれています。こんなに情報過多だと、脳が情報を処理しきれずに、疲弊してしまいます。私のもとにも、原因不明の疲労や体調不良で来られる方が急増していますが、脳疲労が原因と思われる方が非常に多いです」こう話すのは、臨済宗建長寺派林香寺の住職で精神科・心療内科医でもある川野泰周先生だ。私たちは、起きている半分くらいの時間を、「マインドワンダリング(=心ここにあらず)」という状態で過ごしているのだという。これは、テレビやスマホを見ながら食事をする、歩きスマホをするなど、複数のことを同時にするときに起こる状態だ。「マインドワンダリングのとき、私たちの脳の状態はDMN(デフォルトモードネットワーク)といって、目の前の物事以外にも注意力を使っている状態なのです。このDMNによって、私たちは脳のエネルギーのなんと6割以上を消費しているともいわれます」(川野先生・以下同)つまり、1日の大半は脳のエネルギーをダダ漏れ状態にしているようなもの。これでは、脳が疲労してしまうのも無理はない。脳疲労は日常業務にも影響するが、慢性的に蓄積すると、自律神経失調症、うつ病などの疾患にもつながる可能性も指摘されている。川野先生は、SNSの弊害も指摘する。「SNSをし続けていると、他人の“リア充”生活を見続けることとなり、人と比べて自分を卑下してしまうという負のループに陥りがちです。ここでネガティブに陥った自分を無理にポジティブに納得させようとしても、脳が拒否反応を起こすだけ。かえって逆効果です」脳の疲労を軽くするため、川野先生が提案するのが「瞑想」。とはいっても、山や寺にこもったり、難しいことをする必要はなく、読者が簡単に取り組める日常生活の中でできる「ずぼら瞑想」だ。「基本的には『今この瞬間に体験していることだけに注意を払う』『善しあしなどの判断をしない』ことです。たとえば、何かを『悪い』と判断してしまうと、その反対の『よい』ものにしがみつこうとする“執着”が生まれてしまいます。単純に、生じた感覚を“観察”するだけ。ひとつひとつの行いから気づきが生じるので、それを受け入れるのです。積み重ねていくうちに自然と心に余裕ができ、脳の疲れも取れていくはずです」いくつかエクササイズを挙げてみよう。【1】納豆を混ぜる強くなる粘りを手にじっくり感じながら、丁寧に、ただ混ぜよう。「混ぜれば混ぜるほどグルタミン酸が溶け出しますので、おいしさもアップします。卵を混ぜるときも同様に」【2】文字を書く、円を描く書くものはボールペンでも筆ペンでも構わない。「大事に紙を用意し、ゆっくり落ち着いて字を書いたり、円を描くという行為は、とても気持ちがいいものです。このとき、『うまく書けなかった』などの“判断”をしないように。今日の自分の状態はどうか、円は丸く描けたか、ゆがんだかといった事実を受け入れるだけです」【3】キャベツの千切りをする「今日の包丁の切れ味はどうか、自分の包丁さばきはどうか、キャベツのどの部分を切っているのかなど、手の感覚も“観察” しながら切ってみましょう」大根をおろしたり、ねぎを刻むときも同様に。たとえ1日1分でも、こうしたエクササイズを積み重ねていけば、脳の疲れが取れて、心が乱れにくくなるという。早速、日々の生活に取り入れてみよう!
2018年12月25日心の病気を治療する方法として医療現場でも用いられているほど、世界ではポピュラーな“脳のケア法”である、「瞑想」。若い世代に急増中と言われている“お疲れ脳”にも瞑想を取り入れて疲れ知らずの体にしよう。瞑想は日常的に取り入れることで不調を未然に防ぐことができる。「ちょっと疲れてるかも」と感じたときに、気軽に試してみよう!精神科・心療内科医で、臨済宗建長寺派林香寺住職でもある川野泰周先生に教えていただきました。【歩行瞑想】会社の行き帰りを有効活用。足裏の感覚を追いかけるだけの手軽な瞑想。階段を利用して行うと、筋肉が伸びる感覚や足を踏みしめる感覚をより感じやすくなる。1.自然な呼吸を続けながら、いつも歩いているのと同じスピードで歩く。2.右、左、右、左と、足裏が地面に着く・離れる感覚に注意を向け、客観的に観察する。3.リズムに合わせるのではなく、歩いている足の感覚をあとから追いかけるイメージで行うこと。【つり革瞑想】通勤電車のストレスを軽減。心も体もぐったりさせる、通勤時の満員電車。イメージの力を借りた瞑想法を使って、車内から心を自由にし、ストレスから解放されよう!1.つり革や柱につかまり体のバランスをとる。安定したところで目を閉じ、呼吸瞑想をする。2.ビーチでのんびりしたことや、温泉に浸かった感覚など心が穏やかだった状況を思い出す。3.そのときの景色、音、香りなどの五感を頭の中で再現する。最後は深呼吸をして現実に戻る。【ボディスキャン瞑想】寝る前に、体のSOSに耳を澄ませる。心や脳だけでなく、自律神経の乱れからくる体の不調に効果を発揮するのがこの瞑想。眠る前の5~10 分を利用すれば、安眠効果も。1.仰向けに寝て、まずは一度深呼吸。その後、約1分間呼吸瞑想をする。2.「頭」に注意を向け、重さや熱さなど頭のあたりに感じるすべての感覚を意識する。1分間。3.一度深呼吸して頭に向けた注意をリセットし、「首肩」「腰」「足先」と順に同じことを続ける。【食器洗い瞑想】家事の時間を利用して仕事の疲れを癒す。体を使ってモノを綺麗にする作業は瞑想向き。食器洗いに限らず、トイレ掃除、お風呂掃除、洗濯など、家事の時間を瞑想に応用できる。1.いつものようにスポンジに洗剤をつけて泡立て、お皿を洗う準備をする。2.洗剤の香り、水の温度、泡立ち方、キュッキュとなる感覚と、五感を使って作業に集中する。3.同時多発的に五感を働かせるのではなく、一つ一つの感覚を切り離して順番に観察すること。【コーヒー瞑想】食べすぎ防止でダイエット効果も。食べる・飲むを五感で感じることで満足感がアップし、ストレスによるドカ食いを抑えられる。どちらも一口目に行うだけで十分な効果が。1.コーヒーを用意する。買ったものでも、自分で淹れたものでもOK。深呼吸で呼吸を整える。2.手のひらに伝わるカップの温度、立ちのぼる湯気の香り、コーヒーの色みを感じる。3.目を閉じてゆっくりと口に含み、舌で感じる味、鼻から抜ける香り、喉を伝う感覚を感じる。【食べる瞑想】食べすぎ防止でダイエット効果も。1.呼吸を整え、「食べる」という気持ちを高める。食事を観察し、どんな味がするか想像する。2.食材を取り、ゆっくり口に含む。食材を舌の上で転がして、味や形を感じたあとで噛みしめる。3.何度も咀嚼して味わってから飲み込み、食べ物が喉を通って胃に落ちる様子を感じる。川野泰周先生精神科・心療内科医。臨済宗建長寺派林香寺住職。寺務の傍ら、横浜市内のクリニック等で禅やマインドフルネスを取り入れた診療を行う。主著に『ずぼら瞑想』(幻冬舎)。※『anan』2018年11月21日号より。イラスト・中根ゆたか取材、文・黒澤祐美(by anan編集部)
2018年11月18日「脳」をもとにして考えられ、その斬新なダイエット法が数々のメディアで紹介されている「脳科学ダイエット」。先端脳科学研究に携わり、脳科学に関する本を多数手がけている久賀谷亮先生が提唱するこのダイエット法、実は産後太りにお悩みのママにもおすすめできるといいます。今回は、 『無理なくやせる“脳科学ダイエット”』 (主婦の友社)を出版された久賀谷先生に、脳科学ダイエットとはどんなものなのか、なぜママにおすすめできるのか。その理由についてお話をうかがいました。お話をうかがったのは…医師/医学博士久賀谷 亮 先生イェール大学医学部精神神経科出身。アメリカ神経精神医学会認定医。日本で臨床及び精神薬理、イェール大学で先端脳科学研究に携わる。その後、臨床医として精神医療の現場に従事。2010年、ロサンゼルスで「TransHope Medical」を開業。マインドフルネス認知療法、TMS磁気治療をとりいれた診療を行っている。 ■「太りにくい脳」をつくる脳科学ダイエットとは? ――久賀谷先生、本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、先生は脳科学の研究をされていますよね。先生が書かれた『無理なくやせる“脳科学ダイエット”』のなかの「脳科学ダイエット」とは一体どのようなものなのでしょうか?久賀谷亮先生(以下、久賀谷先生):このダイエット法は極端にいえば「食べ方改革」なんですね。焦点をおいているのは「食べ方」であって、「食べるもの」ではありません。――食べ方改革…!久賀谷先生:ダイエットに悩んでいる人は感情にまかせてドカ食いしたり、おなかも空いていないのに食べてしまったりして、食べるものがどういうものなのか知らずに食べていることが多いのではないでしょうか。――私も経験がありますが、食べることで気分を紛らわせたいと、どんどん口に入れてしまう…。食べるもの自体には注意を向けていないことが多いですね。久賀谷先生:そうですよね。脳科学ダイエットの基本はそこにあります。今までなに気なくしていた「なにか」に「注意を向ける」ということなんです。なにかに注意を向けることを脳科学では「マインドフルネス」と呼びます。――マインドフルネス…。初めて聞いた言葉です。注意を向ける…とは?久賀谷先生:例えば、目の前に緑の葉をつけた木が生えているとします。目をひかれて見ますよね。注意が向くことで「清々しいな」とか「きれいな緑色をしているな」という思いがわくこともある。これがマインドフルネスです。シンプルに、なにかに注意を向けることなんですね。――なんだかものすごく簡単で、それでいて奥が深そうな…。このマインドフルネスとダイエットがどう結びつくのでしょうか?久賀谷先生:注意を向けることで得られるメリットのひとつは「普段なに気なくやっていることがいかに多いか」に気づけることです。そして「食べること」はその最たるものではないでしょうか。考えごとをしながら数分で食事を終える、おなかが空いてないのに食べる。なにを食べているのか、たいして意識もせずに食べる。マインドフルネスを意識すると、そうした食べ方を変えていくことができるのです。■リバウンドしない「ついつい食べてしまう」を防ぐ食習慣――食べ方が変わると、体も変わっていくということでしょうか?久賀谷先生:そうですね。マインドフルネスをダイエットに応用して食事をする場合、「自分の体の呼吸と感覚を意識する」「食べものをじっと見たり、かいだりして体の反応を確かめる」「なぜ食べたいのかに思いをめぐらす」といった行動があります。そのどれもが好奇心を持って「今あるなにか」に注意を向けていることになるんですね。これは食事の仕方だけではなく、食欲を感じたときにも応用ができます。食欲という衝動があることに気づく、受け入れる、調査する、記述する。注意を向けることで欲求を管理することができるようになるのです。――なるほど。注意を向けると「食べたい!」という欲求とも向き合えるようになるんですね。久賀谷先生:依存と習慣による「ついつい食べてしまう」という行為は継続的な働きかけで変えていくことができるんです。それに有効なのがマインドフルネスなんですね。「今あるなにか」に注意を向ければ、我慢しなくとも「太りにくい脳」へと変化していくことができる。マインドフルネスはダイエットに有効であるという科学的な根拠もありますし、新たな習慣になるから脳が覚えて、内面の本質から変わる。だから、形だけの制限で本質が変わっていないから起こるであろうリバウンドもしにくいと思うんです。■「マインドフル・ダイエット」忙しいママに最適な理由――マインドフル・ダイエットは科学的に見ても集中力アップ、感情調整力アップ、免疫機能アップといった効果があるようなので、ぜひとも試してみたいです。…でも子育てに仕事に忙しいママでも、できるものなのでしょうか?久賀谷先生:お母さんは毎日忙しいですよね。でもマインドフル・ダイエットは時間がなくてもできます。例えば、運動をしてやせようと思った場合は、2~30分などある程度まとまった時間が必要になりますよね。でもマインドフル・ダイエットの基本は「注意を向けること」です。だから子育てしながらの生活でも、やりやすいと思います。――本当ですか! 注意を向けるだけでいいのであれば自宅でも会社でもできそうですよね。場所に左右されないのはうれしいです。久賀谷先生:お子さんを持つお母さんは、毎日やることがいっぱいですよね。余裕がなくなって怒りっぽくなったり、感情的になったりすることもあるでしょう。マインドフルネスは食習慣を変えるだけではなく、自分自身の状態にも注意が向けられるので、ネガティブな感情ともうまく付き合えるようになると思います。――科学的にみてマインドフルネスは「感情調整力があがる」というのがそれですね。アンガーマネジメントにもなりそうな。久賀谷先生:アメリカではマインドフルをつけるのがブームになっているのですが、マインドフル・ペアレンティングといって親子関係を良好に築くために有効な方法としても活用されているんです。――一緒になにかに注意を向けてみることで、親子関係に良い変化を生み出せるんですね。久賀谷先生:そうですね。マインドフルネスには本当にさまざまな効果があるといわれているんです。なかには、10歳くらいの子どもに半年間マインドフルネスを行わせた結果、算数の成績が上がったとのデータもあります。――それはすごい! マインドフルネスのコツをつかめるようになったら、今度はわが子にもやり方を教えてあげたり、一緒にやってみるともっとたくさんの効果を感じられそうですね。マインドフル・ダイエットの基本は「なにかに注意を向ける」こと。そうすることで自分の状態、自分の身に起きていることをじっくりと味わうことができるようになります。次回は「食べたくて仕方ない!」という欲求はどこからくるのか? 脳科学ダイエットから見る「食欲との付き合い方」についてお話を聞いていきます。参考図書: 『無理なくやせる“脳科学ダイエット”』 (主婦の友社)著者 久賀谷亮/1,598円(税込) やせにくい脳から太りにくい脳へ。最先端の脳科学を応用した脳から変えるダイエット法をまとめた一冊。巷にあふれるダイエット法は「~してはいけない」「~しなければならない」などの制限や命令がつきもの。けれど科学的研究で効果があると明らかになった脳科学ダイエットなら、そのしがらみから解放されます。人の食行動を変えるマインドフルネスとは何か?ダイエットシェアハウスで共同生活をする5人のストーリー仕立てで教えてくれるので仕組みが分かりやすい! ダイエットとは心と脳を満たすこと。本質的なことを教えてくれるダイエット本です。
2018年11月17日「なにかいいことがあっても脳はすぐに忘れてしまいます。しかし毎日、自分や家族のプラスイメージの写真を目からインプットすることで、そのつど脳にそれが上書きされ、強化される。それが自己肯定感を高めるんです」そう話すのは、脳科学者の篠原菊紀先生(諏訪東京理科大教授)。今年、ベストセラー『「親力」で決まる!』の著者で教育評論家の親野智可等先生と「ほめ写プロジェクト」を立ち上げた。「ほめ写プロジェクト」は、玄関、リビング、ダイニング、トイレ……家じゅうに、「家族のがんばっているシーン」「家族が目標を達成したシーン」「家族仲よくしているシーン」の写真をプリントして貼りまくるというもの。親が職場でがんばっている写真、運動会の写真、入学式や旅行先での家族写真などを毎日、目にすることで、子どもが自分に自信を持てるようになることを普及する活動だ。具体的なやり方は次のとおり。【1】家族の“ほめ写”を探す自分と夫、子どもを撮ったスマホの保存データやアルバムをすべてチェック。夫、子どもががんばっている写真、目標を達成したときの写真、みんなが笑っている家族写真を選び出す。【2】今の“ほめ写”を撮るあなたや夫、子どもが家事しているところ、自治会で草むしりしているところ、お稽古事で必死になっているところ、パートの職場での光景などを照れずにスマホで撮りまくる。【3】選んだ写真をプリントする家族で話し合って、【1】と【2】から部屋に貼る写真を選び、プリントする。Lサイズだけでなく、いい写真は大判のA4サイズにするなど、大きさに変化をつけることも効果的。【4】家じゅうに“ほめ写”を飾るプリントした写真を貼り切れるだけの新聞紙大のクリップボードを数枚用意。玄関とダイニング、トイレ、廊下などに、人の目線の高さを意識してプリントした写真を飾る。【5】家族で写真について語り合う家族で食事をするときなど、壁に貼られた写真を話題にし、「最近ママ、PTAでがんばってるね」「あの温泉旅行楽しかったね」など、家族でほめ合うことを習慣化する。「最初に話を聞いたときには、正直、半信半疑。ところが実際に脳の活動実験をしてみたところ、その効果の大きさに舌を巻いたというのが本音です」(篠原先生)篠原先生は、自宅にほめ写を貼って3週間生活した16人の子どもと、貼らない8人の子どもにグループ分け。全員に本人の写真を見せたときの脳活動を測定した。その結果、ほめ写に囲まれて3週間を過ごした子のほうが、自分の写真を見ると脳の「腹内側前頭前野」が活性化することがわかったのだ。「これは自分の写真を見ると脳が快になっている証し。つまり自己肯定感が非常に強くなっていることの裏付けでした」(篠原先生)なぜほめ写にこれほどの力があるのか?「なにかいいことがあっても脳はすぐに忘れてしまいます。しかし毎日、自分や家族のプラスイメージの写真を目からインプットすることで、そのつど脳にそれが上書きされ、強化される。それが自己肯定感を高めるんです」(篠原先生)篠原先生はこの効果はじつは大人も同じだという。「脳の仕組みは子どもも大人も同じ。家族に子どもがいる、いないに関わりなく、ほめ写を家じゅうに貼っている家庭は家族全員の脳にいい影響がでるはずです」(篠原先生)これを受けて親野先生は次のように語る。「私はこれまで講演などでずっとほめ写を勧めてきました。実際に実践したお母さんからは『家族全員の会話が増えた』『家で怒る回数が激減した』などの声が届いています。みなさんでほめ合うことで家庭は自然に明るくなる。当然、それはお父さんやお母さんにとっても自分の夢をかなえる大きなエネルギーになりますよ」「“ほめ写”で夢の実現」のプロセスはこうだ。【1】家族の“ほめ写”を家じゅうに貼る【2】毎日“ほめ写”を目にし、それについて家族みんなで語り合い、ほめ合う【3】家族全員が前向きになり、自然と家事や勉強などをやるようになる【4】あなたや夫が怒る回数が減り、イライラやストレスが激減【5】叱ったり、叱られることが少なくなることで、家族みんなの自己肯定感が増す【6】自分に自信が持てるようになり、夢をかなえるエネルギーが生まれる【7】家族みんなの夢がかなう「最初は他人の目が気になるかもしれませんが、恥ずかしがらずにとにかくいっぱい貼ることです。家を訪れた人は最初は驚くかもしれません。でも理由を聞けば必ず『なるほど、いいね』と思ってくれますから、始める勇気が大切。それと、お父さん、お母さん、子どもたちの写っている枚数を均等にすることも大事。兄弟姉妹で片方が少なかったり、お父さんの写真が少なかったりするのは不公平感が家族に生まれ、かえって逆効果になります」(親野先生)子どももあなたも自然と元気になって夢がかなう魔法の「ほめ写」。まずは古いアルバムやスマホに撮りためた写真を見返すことから始めてみてはいかがだろうか。
2018年11月07日脳と血糖値には深い関係があるのをご存じでしょうか?仕事や勉強の妨げになるような食後の眠気や集中力の低下などは血糖値が原因かもしれません。血糖値が脳に与える影響と血糖値を安定させる方法をご紹介します。血糖値が脳に与える影響とは空腹時に糖質を多く含む食事をすると、血糖値が急上昇します。上昇した血糖値を下げるために、すい臓から大量のインスリンが分泌され、血糖値は急激に低下します。すると、脳に糖分がいかなくなり、眠気を感じるのです。そこで、脳はブドウ糖が足りないと感知し、再び血糖値を上げるためにアドレナリンやノルアドレナリンの分泌を指示します。(※1)その結果、イライラや集中力の低下が引き起こされます。集中力の維持には、食後の血糖値の上下をなだらかにすることが重要です。血糖値を安定させる4つの方法1.野菜から先に食べる(ベジファースト)空腹時にいきなり白米など糖質が高いものを食べると、急激に血糖値が上がり、大量のインシュリンが分泌されてしまいます。しかし、野菜や汁物から食べることで、それらに多く含まれる食物繊維が糖の消化吸収を遅らせ、血糖値の急激な上昇を抑えてくれます。2.主食を玄米・全粒粉パンなどに切り替える普段の食事で、主食として食べている白米やパンを低GIの玄米・全粒粉パンにかえると、血糖値の乱高下を抑えることができます。GIの低い玄米やそば、全粒粉パンは精製されていない部分に、食物繊維やミネラルが残っているため、糖の吸収も穏やかになり、血糖値の急上昇を防げます。3.甘いお菓子を控える甘いお菓子や甘い飲み物は、砂糖が多く使われているため、血糖値を急激に上げてしまいます。また、洋菓子などは油分が多く、カロリーも高いので、健康のためにも食べ過ぎはよくありません。食べる場合は低GIにものを選びましょう。例えば、一般のチョコレート(GI:91)→ブラックチョコレート(GI:22)にかえると大幅にダウンできます。4.3食規則正しく食べるポイントは空腹になりすぎないことです。食事と食事の間は4~5時間くらいがベストといわれていています。その理由は、「空腹時間が長い=飢えている」とカラダが判断し、大量のエネルギーを吸収しようとしてしまいます。これが急激な血糖値の上昇につながってしまいます。次の食事まで時間が空きすぎてしまう場合は、間食をおすすめします。アーモンド・ヨーグルト・甘栗・牛乳・豆乳・野菜ジュースなどを食べれば、タンパク質やカルシウムの不足しがちな栄養素も一緒に補うことができます。 午後の仕事のパフォーマンスや勉強も昼食次第と言っても過言ではありません。ぜひ、食後の血糖値を最適化して、高い集中力を発揮したいですね。【参考】(※1)姫野友美心療内科に行く前に食事を変えなさい青春出版社(2016年p31) 【執筆者】衞藤敬子/管理栄養士コントラクトフードサービス大手(株)グリーンハウスに入社、社員食堂のメニュー提案や栄養指導業務を経て、2009年「あすけん」に参加。アドバイス作成やサービス開発に携わる傍ら、年間150件以上の栄養指導やプロアスリート選手の食事サポート、セミナーなどを実施。現在はフリーランスに転向し、幅広く活躍。
2018年10月05日「健康によくない」「ダイエットの敵」として認識されがちな脂質。実は、脳の機能を維持し、集中力や記憶力に欠かせないということをご存じですか?脂質は、重量にして脳の50~60%を占めています。特に重要なレシチン・オメガ3・コレステロールについて解説します。3つの種類と効果1.レシチンレシチンという脂肪酸は、記憶に関係する脳内物質「アセチルコリン」と「ミエリン鞘」の原料です。アセチルコリンは記憶力に関係する脳内物質です。人の顔は覚えているのに名前を思い出せないなどという記憶力の低下は、アセチルコリンの不足によるものです。ミエリン鞘は脳細胞同士の情報リレーをサポートする物質です。レシチンが不足し、ミエリン鞘が弱くなると、次の脳細胞に情報が届かなくなります。すると、買い物に出かけ、いざお店に着いたときに何を買おうとしていたか忘れてしまうなどの物忘れが起こります。2.オメガ3DHAやEPAなどのオメガ3とよばれる種類の油は、脳神経の発達や機能の維持に欠かせません。 特にDHAは脳の伝達情報に必要な神経細胞を活性化し、判断力や集中力を高めてくれます。また、EPAは血中の中性脂肪を減らし、血液をサラサラにする働きがあります。脳内の血管の若々しさを保ち、幸せホルモン「セロトニン」の働きも良くしてくれる物質です。3.コレステロール体内のコレステロールのうち、4分の1が脳に存在します。脳の神経細胞は高度な情報処理をしているため、複雑な形をしています。その細胞膜の形と柔軟性を維持しているのがコレステロールです。ストレスに強い体をつくる副腎皮質ホルモンや性ホルモンもコレステロールを原料にしています。脂質のとり入れ方のコツ5つ1.卵を食べる卵黄に含まれる卵黄レシチンは、脳内の神経伝達物質のもとになります。また、卵はコレステロールを多く含む食材として知られているため、気になる方は避けがちですが、食事からとるコレステロールで、すぐに高コレステロールになることはありません。2.大豆製品をとり入れる大豆にはレシチンが含まれています。最近、大豆製品をとれていないなという人は、間食に豆乳を飲んでみて下さい。3.魚を食べる魚の中でも、さんまやさば・マグロやいわしなどの青魚にDHAやEPAが多く含まれています。特にイワシにはDMAE(ジメチルアミノエタノール)が含まれており、脳を活性化します。DHAやEPAは熱に弱く酸化しやすいので、お刺身で食べるのがベスト。煮魚やグラタン、缶詰などもいいいですね。天ぷらやフライなど高温で加熱する調理法は、貴重な脂肪分が半分以上流出してしまいます。4 .亜麻仁油やしそ油を使う細胞の機能を正常に保つには、オメガ3とオメガ6のバランスが大切です。しかし、日常的に使われる食用油や市販のドレッシング、加工食品で使われているのは、オメガ6のリノール酸がほとんど。そのため、オメガ6系の脂肪酸が過多になりがちです。オメガ3の亜麻仁油やしそ油を使い、積極的にオメガ3脂肪酸を補いましょう。オメガ3とオメガ6の理想の割合は1:1。現代の日本人は1:4でオメガ3の摂取量が少ないので、意識してとり入れたいですね。(※1)5 .チアシードをとるチアシードは、オメガ3脂肪酸であるα‐リノレン酸が豊富。グレープフルーツジュースやオレンジジュースに浸して吸水させ、塩こしょうや亜麻仁油・しそ油などを加えて味を調えるとデリ風サラダドレッシングが作れます。少しの工夫でオメガ6をオメガ3に置き換えることができます。記憶力を維持・向上するために、脳に必要な脂質をしっかり補って、健やかな毎日を過ごしたいですね。【参考】(※1)生田哲「食べ物を変えれば脳が変わる」PHP新書(2012年P62)生田哲「食べ物を変えれば脳が変わる」PHP新書(2012年P6,40,148)姫野友美「心療内科に行く前に食事を変えなさい」青春出版社(2016年P108~115) 【執筆者】衞藤敬子/管理栄養士コントラクトフードサービス大手(株)グリーンハウスに入社、社員食堂のメニュー提案や栄養指導業務を経て、2009年「あすけん」に参加。アドバイス作成やサービス開発に携わる傍ら、年間150件以上の栄養指導やプロアスリート選手の食事サポート、セミナーなどを実施。現在はフリーランスに転向し、幅広く活躍。
2018年09月20日少しずつ認知症の症状が現れるアルツハイマー型認知症とは異なり、脳梗塞、脳出血などの脳血管が原因で認知症になる人は少なくありません。しかも、脳梗塞は40代、50代でも発症します。とはいっても、脳梗塞は生活改善などで防ごうと思えば防げる病気です。ここでは脳梗塞で認知症を発症した人の介護について、一例を紹介します。参考になれば幸いです。■ ある日突然、父が倒れて自宅で介護することに…同居している義理の父親(78歳)が脳梗塞で倒れ、退院したら自宅での介護を考えているという主婦A(48歳)さん。KY / PIXTA(ピクスタ)Aさんのご主人は営業部で出張も多いため、主介護者となるのは必然的に自分だろうと感じていました。Aさんは事務職で比較的休暇が取りやすく、仮に会社を辞めてもご主人の収入でなんとかなるとも考えました。当初、Aさんは自宅で介護(在宅介護)するか、介護施設に入所させるかで悩んでいました。しかし、父の意識はしっかりしているため、施設入所はやはり気が引けました。■ 離職せず介護休業を利用して介護に専念Aさんは結局、自宅で介護という方法を選択しました。そして、現在の仕事について、次の4つの選択肢を考えました。勤務時間を短くして早く帰宅し、介護できるようにする地元のスーパーなどでのパートに切り替える自宅でできる仕事をする仕事をしないで介護に専念するAさんが選択したのは1でしたが、上司に相談すると、しばらく介護休業をとればいいとアドバイスされました。ふじよ / PIXTA(ピクスタ)介護休業は雇用保険から介護休業給付金が支給され、1回の介護休業期間は最長3か月です(介護休暇は最長5日間)。言われるまま介護休業をとり、父の介護に専念することにしました。■ 自宅でリハビリと介護に追われる日々に3か月ほど入院して自宅に帰ってきた父は、左半身麻痺と言語障害がありましたが、自分でご飯を食べたり、トイレに行くことはできます。KY / PIXTA(ピクスタ)リハビリ通院によって父親も機能回復を目指して頑張っていました。あまり回復はしないものの、現状を維持しながらそれなりに自立した生活が続きました。Aさんの介護は食事づくりと食事介助、歩行訓練の手助けや見守り、薬の管理、トイレ介助などです。歩行中に倒れると自分では起き上がれないうえ、下手をすると命の危険性もあります。自宅であっても目が離せないのです。しげぱぱ / PIXTA(ピクスタ)■ 「デイケア」に通い介護者も負担が軽減Aさんは父親に、より質の高いリハビリを受けさせようと考え、デイケアを利用することにしました。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)要介護3の父は毎日楽しくデイケアに通うようになり、Aさんの負担も一気に軽減されます。そして、仕事にも復帰しました。仕事の時間を短縮して、デイケアから帰ってくる父親を迎え入れることにしたのです。ところが、事態は急変しました。昼間大人しくしていた父が夜中に起きて動き回るという異常な行動をするようになります。昼夜逆転現象の始まりでした。Aさんの疲労はこれまで以上となり、睡眠不足の日が続きます。Ushico / PIXTA(ピクスタ)■ 認知症の19%にも及ぶ!脳梗塞が原因で認知症に発展するケースも多い脳梗塞や脳出血などによって発症する認知症のことを「脳血管性認知症」と呼び、認知症全体の19%にも及んでいます。主な症状としては、何に対しても意欲や自発性がなくなるとともに、感情の起伏が激しくなり、些細なことで怒ったり落ち込んだりします。NOV / PIXTA(ピクスタ)ただ、判断力や記憶力は比較的保たれています。また、手足に麻痺や感覚の障害、言語障害などの症状が現れることもあります。日中に活動する意欲が少ないため、不眠や昼夜逆転につながり、その対応に振り回される家族も睡眠不足や大きなストレスを抱えてしまいます。■ 「介護施設」に入所して落ち着きを取り戻した父その後、Aさんの父は「脳血管性認知症」を発症してしまいます。夜中に窓を割って出て行こうとしたり、家の中を歩き回るようになりました。Aさんは毎晩のように繰り返す父の対応に追われ、ついに疲労で倒れ入院してしまいます。それを見かねたAさんのご主人は、父親をグループホーム(認知症の人を対象とした介護施設)に入所させることにしました。IYO / PIXTA(ピクスタ)施設では父親に応じた介護プランが作られ、介護士が日々のケアを行います。異常行動を繰り返していた父もよやく落ち着きを取り戻し、面会に訪れるAさんとも笑顔で会話できるようになりました。Aさんの父親の場合、最初からデイサービスか施設か、という選択ではなく、自然の流れで最終的に施設に入所したケースです。自宅で介護する人が増えていますが、介護の負担が大きいか小さいかによって、最初から施設入所という選択もあり得るでしょう。脳血管性認知症の人が必ずしもこのような流れを辿るわけではありません。あくまでも参考として、一つの流れを知っておくと良いでしょう。【参考】※厚生労働省Q&A~介護休業給付~※認知症ねっと認知症とは?原因・症状・対処法から予防まで
2018年09月14日「もの忘れが多くなると、このまま脳が衰え、いずれ認知症に……と不安になる人もいます。でも諦めることはありません。脳は何歳になっても成長するのです」そう語るのは、加藤プラチナクリニック院長の加藤俊徳先生。胎児から超高齢者まで1万人以上の脳のMRI画像を分析してきた脳科学のスペシャリストだ。加藤先生の新著『50歳を超えても脳が若返る生き方』(講談社)には、驚きの“新事実”が書かれている。たとえば、中高年になると年々脳の機能は低下していくと思っている人も多いはずだが……。「加齢とともに脳の神経細胞が減っていくことは事実です。ただ、脳の全体が衰えるわけではありません。脳には使われずに眠ったままの“潜在能力細胞”が残っています。それは100年以上生きても使い切れない。だから脳は死ぬまで衰えることはないのです」(加藤先生・以下同)さらに、大人になれば脳の成長は止まるという“常識”も覆す。「ある80歳の男性の脳のMRI画像を見ると“運動機能”が弱まっていました。そこで私が脳の活性化を促すコツをアドバイスしたところ、彼はドラムの練習を開始。すると、1年後に脳が7歳程度の子どもと同じ伸び率で急成長していたのです。私はこの木が枝を伸ばすように脳が成長することを『脳の枝ぶり』と呼んでいます」脳の成長には、複数の脳の機能を使うことが重要だ。「脳の中では、同じ働きをする複数の神経細胞が集合して基地を作っています。これを“脳番地”と名付けました。なかでも脳の若返りに欠かせないものが、8つの番地です」8つの脳番地は次のとおり。【1】思考系思考や意欲、想像力をつかさどる。【2】伝達系コミュニケーションを通じて意思疎通を行う。【3】運動系体を動かすこと全般に関係。【4】感情系喜怒哀楽などを感じ、表現する。「感覚系」を通じて活性化する。【5】理解系目や耳を通じて得た情報を理解する。【6】聴覚系言葉や音を脳に集積させる。【7】視覚系映像や画像、文章を脳に集積させる。【8】記憶系ものを覚えたり、思い出したりする。「体を動かすことが好きな人は運動系が鍛えられ、楽器演奏が得意な人は聴覚系脳番地が育つ。逆に苦手なものやふだん使わない脳番地は未熟なままで年々衰えていく。ですから、これをバランスよく刺激することで、認知症を遠ざけることができるのです」では、その8つの脳番地を常に刺激するライフスタイルとは、どのようなものだろうか。「実は男性より女性のほうが、ふだんの生活で脳を活性化させているのではないかと思っています。たとえば専業主婦の方であれば、子育て、家事、近所付合い、パートの仕事はもちろん、趣味やオシャレへの関心まで、多岐にわたって脳をフル活用しています。とりわけ美の追求やオシャレなものへの物欲は脳の成長に欠かせない栄養素。脳のためには、いくつになっても“欲”は持ち続けてほしいところです」
2018年09月12日「もの忘れが多くなると、このまま脳が衰え、いずれ認知症に……と不安になる人もいます。でも諦めることはありません。脳は何歳になっても成長するのです」そう語るのは、加藤プラチナクリニック院長の加藤俊徳先生。胎児から超高齢者まで1万人以上の脳のMRI画像を分析してきた脳科学のスペシャリストだ。加藤先生の新著『50歳を超えても脳が若返る生き方』(講談社)には、驚きの“新事実”が書かれている。たとえば、中高年になると年々脳の機能は低下していくと思っている人も多いはずだが……。「加齢とともに脳の神経細胞が減っていくことは事実です。ただ、脳の全体が衰えるわけではありません。脳には使われずに眠ったままの“潜在能力細胞”が残っています。それは100年以上生きても使い切れない。だから脳は死ぬまで衰えることはないのです」(加藤先生・以下同)脳の成長には、複数の脳の機能を使うことが重要だ。「脳の中では、同じ働きをする複数の神経細胞が集合して基地を作っています。これを“脳番地”と名付けました。なかでも脳の若返りに欠かせないものが、8つの番地です」8つの脳番地は次のとおり。【1】思考系思考や意欲、想像力をつかさどる。【2】伝達系コミュニケーションを通じて意思疎通を行う。【3】運動系体を動かすこと全般に関係。【4】感情系喜怒哀楽などを感じ、表現する。「感覚系」を通じて活性化する。【5】理解系目や耳を通じて得た情報を理解する。【6】聴覚系言葉や音を脳に集積させる。【7】視覚系映像や画像、文章を脳に集積させる。【8】記憶系ものを覚えたり、思い出したりする。「体を動かすことが好きな人は運動系が鍛えられ、楽器演奏が得意な人は聴覚系脳番地が育つ。逆に苦手なものやふだん使わない脳番地は未熟なままで年々衰えていく。ですから、これをバランスよく刺激することで、認知症を遠ざけることができるのです」そこで「脳を老化させない習慣」について、加藤先生に解説してもらった。■新しいことに挑戦する「初めてのことに挑戦したいという前向きな考え方は、脳全体を活性化させますし、脳のマンネリ化を防ぎます。歯磨きを利き手と逆でやったり、自分では作らないようなB級グルメを楽しんだりするだけでも脳は元気になるのです。聴覚系と伝達系を鍛えるカラオケですが、いつも十八番ばかりの人は要注意。新しい持ち歌を増やして、記憶系や感情系、伝達系の強化をはかりましょう」■家事を楽しむ掃除、洗濯、料理など、家事は最強の脳トレ。ただし漫然とやっていては効果が半減するという。「ロボット掃除機は便利だと思いますが、せっかくの脳トレの機会を逃してしまうことになりますね。雑巾がけやホウキでの掃除は運動系を鍛えるだけでなく理解系を伸ばします。またリビングは10分、寝室は5分、と細かく掃除の時間を区切ることで、記憶系も元気になるでしょう。スーパーに行く際には、事前に買い物リストを作りましょう。1つの食材で3つのメニューを考えてみたりすることでも、思考系が活発に働きます。また料理の途中で3回以上味見をしてみてください。味見は過去の記憶を脳から引き出して比較する行為ですから、記憶系や思考系を鍛えることができます」■人とふれあう社会的に孤立すると脳は劣化していく。人とのコミュニケーションが脳の成長につながるという。「ご近所のお友達と“井戸端会議”をすることでも、聴覚系、視覚系、伝達系など複数の脳機能を使うことになります。趣味や習い事でも、社会とのかかわりが増えますね。とくに自分より若い世代の話をじっくり聞くことは効果的。今まで知らなかったことや刺激を与えてくれる情報に敏感な姿勢は、脳をイキイキとさせます。さらに人間関係を円滑にする笑顔の使い方も重要。これが右脳の伝達系を活性化しますから」■生活スタイルをキープ「文房具を長く愛用していたり、愛読書を読み返す、昔のアルバムを見返したりすることは記憶力の強化になります。早めに生前整理を、と思い切った“断捨離”をする方もいますが、それも善しあし。人生の終わりなど、これが限界だと諦めてしまうと、その時点で脳は成長を止めてしまうのです」年相応に持ち物を減らして人付合いもほどほどにと考える人は多いかもしれないが、“ひきこもり”はボケを早める可能性が。「便利すぎる生活は脳を老化させます。家の中も、多少不便なほうが脳は活性化するのです。どうせなら20歳以上、自分の年齢をサバ読んでみませんか?人は必ずしも年相応に行動をとる必要はありません。実年齢が50歳でも30歳のつもりで行動すれば、自然に体を動かす機会が増えるだけでなく、脳もその年齢の状態に戻っていくものです」なるほど。“楽チン生活”は脳を老けさせるのでご注意を!
2018年09月12日こんにちは!ひめまるです。台風の季節ですね。雨も風も強すぎるとホントに怖いです。でもね、それが嬉しくなっちゃうタイプもいるの。それはM!ちょっとした非日常にときめく感覚ってあるじゃない?仕事や習い事や日常生活に対して、週末のディズニーランドが楽しみだったり旅行にワクワクしたり。Sは基本的に自分の管理下のもと、非日常を作ってくんです。例えば旅行とか、パーティ参加とか、飲み会主催とか。能動的に非日常を作って楽しむのが好きなのよね。それに対してMは自発的に計画したり実行したりするのに腰が重い上に、自分で作った予定に関しては仕事のように役割をこなしちゃうんです。非日常を楽しめない!なので、Mが非日常を感じるのって、もっぱら受け身の時なんです。台風も、大雪も手放しに興奮。子供ですね。逆にSは管理していたいので、受け身の非日常になると心配の気持ちが出てきます。交通機関は大丈夫かな。傘はさすと飛ばされるかな。服はこれがいいかな。Sって、自分が攻める側だから打たれ弱いのよね。もし、気になる彼にアピールしたい場合は台風を参考にしましょう。もし彼が台風やらで、心配していたり対処を考えていたらS脳男子です。S脳男子は、物事が想像の範疇である必要があるんです。なのであなたも相手が安心する想像の範疇の女性でいてあげてください。常識的な可愛くて優しい人をSは好みます。そして、台風が来た時に窓の外を見て興奮を噛みしめているM脳男子には、あなたも台風になりましょう。「えーうそ!」「なにそれ?」「そんなに?!」と相手の意表をつけばつくほど、相手はあなたの虜。 突拍子も無い破天荒な人をMは好きになりやすいんです。台風が過ぎてしまっても、近くに台風がいれば彼は毎日大興奮。笑台風になってM脳男子をぜひ落としてみてください。Written by ひめまる
2018年09月03日こんにちは!ひめまるです。target="_blank" rel="noopener">前回のM脳度チェックに続き、今回は彼のS脳度チェックをご案内したいと思います。何にでも、ダメージを受けるのが苦手なのがS。食べ物でも買い物でもハズレを引くのがとても嫌なの。Mはむしろ変な味とか新しい味にも興味を持てるんですが、Sは無理。なのでSにはよく、行きつけがあります。安心安全のいつものあの味。いつものあの店をいくつかもっているんです。カレーならあそこ。豚骨ラーメンならあそこ。Mのようにあっちはどうだろ?こっちはどうだろ?と新たな店を探求しません。いつもの店が一番!「お茶しに行く?」と言われたときにあそこに行くんだな。と想像つく彼はS脳寄りの人でしょう。そのこだわりは洋服やスタイルにも出ます。S脳は見せ方を意識するので体型や服装、特に男性は車や時計など、ツールはそれぞれですが人と比べやすいものに興味を持ちやすいです。ジムに通って体を作ったり、あのブランドのあのシリーズが好きだったり、そんなこだわりがある彼ならS度が結構高いです。自分が欲しいと思ったものに対して情報収集がすごいのもS脳。ネットの情報や口コミ、雑誌やテレビも含めアンテナがピーン!すごく詳しく知ってます。きっとこれも、ハズレを引きたくないから。「一番いいのください!」なんて雑な発想じゃなく、店員さんを超えた知識を持って買い物に出ます。店員さん泣かせな彼なら間違いなくドS脳!あなたの気になる彼はいかがでしたか?今回は恋人を所有したがるS度ではなく、S脳度チェックです。S脳は価値を追求して行くこだわり型の性格を持ってます。「それもいいんじゃない?」というよりも「これがいい!」という強い思いがあるんですよね。S脳男子を好きになりがちな場合、きっとそのとんがった魅力が憧れてしまう要素ですよね。でももし例えばS脳男子がパートナーになるとしたら、こだわりについていかなきゃいけない形になり継続すると疲れてしまいます。棲み分けの要素を作り、抜け道を用意しておいてくださいね。Written by ひめまる
2018年08月28日フリーアナウンサーの大橋未歩が、7日に放送されたニッポン放送特別番組『大橋未歩 七夕ラジオ』(15:00~16:30)にて、パーソナリティを務め、13年に脳梗塞を発症したことによる心境を明かした。放送では「七夕ラジオ」と題して、リスナーから寄せられる願いや夢をテーマに放送された。大橋は子供の頃の願いは「ディズニーランドのお姉さんになれますように」というものだったというが、最近の願いとして「首のシワが浅くなりますように」「歯ぎしり防止のために作ったマウスピースを失くしませんように」と明かし、笑いを誘っていた。番組後半では、リスナーから寄せられた願いを元に、事後取材をして作成されたショートストーリーを大橋が朗読するコーナーも。脳梗塞で入院した男性のストーリーを朗読した大橋は、自身が以前に脳梗塞にかかったときのことを思い出し、当時の心境を語った。大橋は「半身麻痺になり、今は首にステントを入れて、血流を確保している状態なんですよね」と明かし、「私も脳梗塞の後の人生っていうのは、"新しい人生""二度目の人生"を歩んでいるような気がしているんですよね。すごく、"生かされている"って思うようになりまして、そう思うようになったら、周りの自然や景色がすごくキラキラして見えるようになったんですよ」と語る。さらには「病気ってすごく辛いことなんですけど、失うものだけではなくて、得るものってちゃんとあるよねって改めて思いました」と述べた。放送を終えた大橋は、「皆さんのおかげで、七夕が特別な日になりました。皆さんから届くメッセージを見ていると、皆さんと会えたような気持ちになりますね。今日は織姫と彦星が会う日ですけど、私は、ラジオの前の皆さんと会えたような気がします」と感想を語り、最後に「またニッポン放送で、皆さんとお会いしたいです」と願っていた。
2018年07月09日私たちの脳も内蔵の一部。栄養が足りていなければ、脳を構成する神経細胞のクオリティも劣化して、結果として老化も進んでしまいます。脳の老化を防ぐために気をつけてほしい食習慣のポイントはたくさんありますが、特に大事なのは「血糖値を上げない」「脳をサビつかせない」のふたつ。血糖値を上げない糖質の摂りすぎは確実に老化を進めます。糖質とは、ご存知の通りブドウ糖や果糖などのこと。似たような意味の言葉に「炭水化物」がありますが、これは一般的に糖質と食物繊維が組み合わさったものを指します。芋などの根菜類に含まれる「でんぷん」は、ブドウ糖がたくさん集まったもの。でんぷんは甘くありませんが、体内で消化されるとブドウ糖になります。このようなブドウ糖や炭水化物、デンプンは、消化吸収されると血液中に入り、血糖値を上昇させます。糖質はエネルギーを効率よく生み出してくれますが、ジュースやお菓子をはじめ、パンや麺類、ケチャップやソースなど調味料に至るまで、糖質を含む食品があふれている現代の生活では、気をつけないとすぐ摂りすぎになってしまいます。糖化が引き起こされる糖質が脳の老化のために良くない理由のひとつめが、「糖化」という現象を引き起こすこと。糖化は糖質がタンパク質と結合する現象です。体を構成する主要な成分であるタンパク質が糖と結合すると、本来タンパク質がもっている機能が失われてしまいます。たとえば肌のシワやシミ。これも糖化が関連しています。糖化の影響は肌だけではなく血管、目、骨、神経と広範囲に渡ります。そのため、糖化を防ぐことが老化予防の第一歩といっても過言ではありません。なお、血糖が高くなればなるほど、また血糖が高い時間が長いほど糖化が起こりやすくなります。インスリンが過剰に分泌される糖質の摂りすぎによるふたつめの問題が、高血糖によってインスリンというホルモンが出すぎるということです。インスリンは血糖を下げるホルモンですが、実は加齢を進めてしまうという働きもあります。実際、インスリンが低い人の方が長生きであるということがわかっています。また、インスリンが出すぎていると徐々に効きが悪くなり、血糖が下がりにくくなってしまう「インスリン抵抗性」という問題が現れます。「糖は脳のエネルギーだからいいじゃないか」と思う人もいるかもしれませんが、血糖値が高い状態が続くと、神経細胞がまるで「もうこれ以上糖はいらないよ」と言うかのように、糖があっても使わなく(使えなく)なってしまうのです。基本的に糖がなければエネルギーが作れず神経細胞は働けませんから、結果として脳の老化につながります。脳のシミが増える糖による3つめの理由は、脳のシミである「アミロイドβ」という物質も増やしてしまうということ。分泌されたインスリンは、最終的に「インスリン分解酵素」によって分解されますが、じつはこのインスリン分解酵素にはアミロイドβを分解する働きもあります。インスリンが出すぎていると、インスリン分解酵素が余らないので、アミロイドβが分解されずに溜まってしまうのです。脳をサビつかせない鉄が酸素とくっつくと、サビて脆くなってしまいます。これを「酸化」と言いますが、同じように、私たちの体の中でも酸化が起きています。多くの生物は空気中の酸素を取り込んでエネルギーを作っています。一方、その過程において「活性酸素」というより強力な酸素の仲間が生まれています。また、ストレスや大気汚染物質・タバコ・微生物・紫外線など活性酸素を増やしてしまう要因が私たちの身の回りには溢れています。体内には活性酸素を無害化するメカニズムが備わっていますが、活性酸素の量があまりにも増えたり、栄養不足などでこのメカニズムがうまく働かなかったりすると、活性酸素による「酸化」が進んでしまうというわけです。脳は大量に酸素を必要とするにも関わらず、じつは酸化に弱い臓器です。活性酸素が多くなると酸化が進み、脳のシミも増えていくことが知られています。脳をサビつかせないことも脳の老化を防ぐために非常に重要な要素なのです。脳の老化を防ぐ食事糖質入りのものを口にしないまずは血糖を急激に上げないように気をつけましょう。何はともあれ、砂糖やブドウ糖、ブドウ糖果糖液糖など、糖質が入っている食品や飲み物を口にしないようにすること。これらは生命維持に必要のない、あくまで「おやつ」です。おやつは食べなくても死にませんので大丈夫。炭水化物を減らす次に、ご飯やパン、麺類などの炭水化物を減らすこと。これらは「主食」とされていますが、これからは炭水化物を「デザート」、おかずが「主食」と考えを切り替えてください。炭水化物だけで食事を済ませるのはやめましょう。また、同じ炭水化物でも生成された白米や小麦よりは発芽玄米や雑穀、全粒粉などが◎。栄養価が高く、血糖値も上がりにくいのでおすすめです。毎食タンパク質を摂取する1日に必要なカロリーは、タンパク質と脂質で補いましょう。タンパク質を多く含む食品である卵・魚・豆・肉などは、できるだけ毎食食べて。目標は体重1kgあたり1gです。体重50kgの人が1日に必要なタンパク質を卵だけで摂取する場合は8〜9個ほどが目安です。実際にはいろいろな食品にタンパク質が含まれているので、こんなに卵を食べる必要はありませんが、案外足りていない栄養がタンパク質です。太ることを気にする人がいますが、一番体重を増やすのは糖質です。余った糖質が中性脂肪に変わり、体に蓄積されてしまうのです。一方、タンパク質は糖質に比べるとほとんど血糖を上げません。安心して食べてください。油はエキストラヴァージンオリーブオイルを脂質に関しては、オリーブオイル、特にエキストラヴァージンオリーブオイルを脳の老化を防ぐ観点からおすすめしたいです。脂質の多いアボカド、ナッツ類も栄養豊富で認知症予防に良いので日々の食生活に取り入れましょう。食物繊維をたっぷり摂る葉物野菜や海藻、きのこなど、食物繊維を豊富に含む食品を食事の最初に摂るように心がけてください。食物繊維を先にお腹に入れておくことで、血糖が上がりにくくなります。食物繊維をとる目安は1日あたり約20gとされています。一見少なそうですが、国民健康・栄養調査の結果、多くの日本人はこの基準も達成できていないことがわかりました。実はごぼう1本食べたとしても、食物繊維としては約10g。意外と多くありません。抗酸化物質をたくさん摂る脳をサビつかせないためには、なんといってもビタミンCやビタミンEなどの抗酸化作用のある必須栄養素、野菜の皮の部分に多いポリフェノール、魚やアマニ油などに多いオメガ3脂肪酸など、酸化を抑える「抗酸化物質」を含む食品をたくさんとること。抗酸化物質は加熱すると減ってしまうので、加熱する時は煮る、炊く、蒸すなどの料理にするようにして、揚げ物は避けるようにしましょう。油を加熱して使いたいときは、酸化しにくいオリーブオイル、ココナッツオイル、バター、ラードなどを使用します。食事のスタイルでいうと、イタリア料理のような「地中海食」、または「和食」がおすすめです。脳の老化を防ぐ食事のコツをできるところから取り入れ、いつまでも若々しい脳と一生続く健康を手に入れましょう。
2018年07月03日「いつまでも若くキレイでありたい」「年を重ねても魅力的な人間でありたい」といったポジティブな気持ちは、脳が生み出しているものです。脳が健康で若いからこそ、現状維持にとどまらず、より向上していきたいという気持ちが生まれます。脳の老化が進むにつれて、そのような気持ちは失われていき、考え方もネガティブになりやすくなります。脳の若さと健康を保つために必要なのは、普段の生活におけるちょっとした心がけの積み重ねです。中でもとくに大事なのは、(1)脳をしっかり休ませる、(2)脳に良い栄養を補給すること。今回の記事では、脳をしっかり休ませるための具体的な方法をお伝えします。■PCやスマホを使わない時間を作るパソコンや携帯電話やスマホなど、インターネットを介して情報をやりとりする技術が発達した結果、私たちが毎日処理しなければならない情報は、昔と比べて圧倒的に増えています。たとえば、ポケベルが現れる前の時代は、遠くの人とやりとりする手段は手紙か電固定電話くらいしかありませんでした。空いた時間は本や雑誌を読んだり、CDやカセットで音楽を聴いたりするくらいしかできなかったので、リアルタイムで得られる情報は有限でした。必然的に何もできず、ぼんやりと頭を休める時間を取ることができていたのです。現在では、ほとんどの人が自分の携帯電話を持っています。どこにいても遠くの人と話をすることができ、メッセージや写真を送り合い、インターネットから無限に情報を得ることができます。■ネットを見るだけで脳は疲れる私たちがネットの情報を眺めているとき、脳は何もしていないわけではありません。目に入る情報が自分にとって有用なのか、絶え間ない判断を強いられ、知らない間に脳に疲れが溜まっています。脳は筋肉と同じように、使い続けると当然疲れてきます。同じ作業を続けていればなおさらです。脳を酷使していると神経細胞内に活性酸素が発生し、細胞が傷つき、脳の老化につながっていきます。体力と同様、1日の意志の力には限りがあり、何かをすれば少しずつ減っていきます。スマホやPCを使う時間が増えた結果、本当にしたいことができなくなってしまっているかもしれません。あらゆることがスマホでできるようになってきた現代だからこそ、あえてそれから離れる時間を作ることが重要です。■仮眠をとる頭を休ませるにはなんといっても睡眠が一番です。仕事中に寝ることは難しいですが、ランチタイムに10分だけでも目を閉じてみてはいかがでしょうか。目を閉じるだけでも頭を休めることができます。やってみるとわかりますが、10分というのは意外と長い時間です。憧れのリゾート地など、リラックスできる風景を思い浮かべながらのんびり過ごしてみるのがおすすめです。実は1日10分の昼寝をする習慣がある人は、認知症になりにくいという報告もあります。午後3時までなら夜の睡眠には響きません。仕事のパフォーマンスを上げるためにも仮眠の習慣はおすすめです。ただし、ぐっすり眠り過ぎないこと。熟睡すると脳が働くようになるまでしばらく時間がかかってしまいますし、夜の睡眠にも響きます。仮眠をとる時間は30分以内にとどめておくと良いでしょう。■体を動かす「運動」というときついイメージがあり、言葉を聞いただけでも拒絶感がある人が多いですが、全身から汗を書くほどしっかり体を動かさなくても構いません。ラジオ体操のように誰でもできるような動きであっても、筋肉を動かすことによって脳が刺激されます。脳に流れる血液の量も増え、酸素と栄養が運ばれて脳の疲労回復に役立ちます。時間があるときは、少し近所を散歩してみましょう。特に自然が多いところを歩くと、草木の緑による視覚効果と、自然の中に多い超高周波という音の成分によって、より高いリラックス効果が得られます。■瞑想する現代では処理しなくてはいけない情報が多いため、ひとつのことに集中し続けることが難しくなっています。瞑想とは、「今、この瞬間に意識を集中する」こと。瞑想をすることによって集中力が鍛えられ、注意力が散漫になることによって起こる「もの忘れ」も改善できます。瞑想といっても、座禅を組む必要はありません。椅子に座ったまま安定した姿勢で目を閉じて、呼吸をすることに意識を向けるだけも瞑想になります。ゆっくりと呼吸を続け、空気の流れを観察しましょう。私たちは無意識に過去にあった辛い記憶や、未来に対する漠然とした不安について考えていますが、瞑想中は今に意識を向けることによって、ネガティブな感情を減らすことができます。1日10分を目指して実行するとよいですが、最初は2分くらいからでも構いません。毎日の瞑想を習慣にしましょう。■好きなことをする時間を作る忙しいからといって好きなことを我慢し続けていると、「ときめく気持ち」や「自分にとって新しいものに対する好奇心」が失われてしまいます。毎日少しでもいいので自分が本当にしたいことをする時間を作りましょう。時には心の赴くままに、自由に行動することも必要です。それが明日への活力となり、脳の若さと健康を保つことになります。
2018年06月01日赤ちゃんが生まれると、育児に家事に奔走するママたち。悪気がないのはわかるけれども、そこに追い打ちをかけるのが、夫の行動ですね。「子どもを早く寝かせたいのに、仕事から帰ってくるなりテレビをつけてしまう」「家事をしたいのに、子どもの面倒を見てくれずスマホばかり見ている」などママたちのイライラは募る一方…。つい文句を言ってしまって夫婦げんかになることはありませんか?子どもが生まれる前はけんかをしない仲良し夫婦だったのに、なぜ産後はけんかが増えるのでしょうか? 脳研究者で自身も子育て中の池谷裕二先生にお話をうかがいました。池谷裕二先生 プロフィール研究者、薬学博士。東京大学・薬学部教授。専門は神経科学および薬理学で、脳の成長や老化について研究している。『海馬』(新潮文庫)、『進化しすぎた脳』(講談社ブルーバックス)など著書多数。近著に『パパは脳研究者』(クレヨンハウス)がある。プライベートでは二児の父。■育児で脳がスタミナ切れ!? ママの脳内で起きていたのは…―― 仲の良かった夫婦が、産後、急にけんかが増えたという話を聞きます。なぜそのようなことが起きるのでしょうか?池谷裕二先生(以下、池谷先生):まず、考えられることとして、脳の「自我消耗」があります。自我消耗とは何かひとつのことにパワーを費やすと、別のことにパワーを使えなくなることを指します。言い換えれば、「精神力のスタミナ」を使い果たしてしまうこと。ママたちは初めての育児だと特に精神面での負担が大きく、育児で精神力が尽きてしまった結果、夫婦関係にまで気が回らなくなってしまっているのではないでしょうか。―― たしかに、一日の生活の中で子ども優先に考えるようになるので、夫のことはつい後回しにということはあるかもしれません。池谷先生:自我消耗は産後に限った話ではなく、あらゆる人に起こります。たとえば、気力の充実している午前よりも、疲れの出てくる午後のほうが、人はウソをつきやすくなる傾向にあります。海外旅行でお金をドーンと使ってしまうのもそう。初めての場所で極度の緊張状態からそうなってしまうのです。「対ストレス」という意味では、一般的に人生経験が少なく若い人ほど自我消耗しやすいといわれています。多くのママがそれに当てはまり自我消耗しやすいため、けんかが多くなると言えるでしょう。■産後のイライラ、実は「子どもを守るため」―― よく聞かれるのが、産後のママはホルモンバランスが変わってイライラするということ。やはりホルモンの影響はあるのでしょうか?池谷先生:そうですね。イライラとはちょっと違うかもしれませんが、「オキシトシン」の影響が大きいと思います。「オキシトシン」とは、子育て中に出るホルモンで、別名「愛情ホルモン」とも言われるので聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。生物学的に見て、産後すぐから1年間くらいまでがピークです。オキシトシンの影響で子どもに対して無償の愛情を注ぐ一方で、わが子を守るがゆえに他者に対して攻撃性が増すという側面もあります。人間がまったく同じとはいえませんが、赤ちゃん連れの猫や猿が攻撃的になっている姿を思い浮かべていただければわかりやすいかと思います(笑)。―― 同じ家族なのに攻撃されてしまうパパが気の毒になってきました(笑)。池谷先生:いえいえ、オキシトシンは何も女性だけに出るものではないんですよ。子育てへの参加率が高い男性からもオキシトシンが出ていることがわかっています。パパもぜひ育児に積極的に参加してみてはいかがでしょう。 ■「自分ばかり家事育児をやっている」は単なる思い込み!?―― ママたちの間でよく話題になりがちなのが、「夫が家事をしてくれない」「家にいる自分ばかりがやっている」ということですが、それについて先生はどう思われますか?池谷先生:物理的にパパのほうが仕事で外にいる時間が長く、家事をやる時間が短くなる傾向はあるでしょう。ただ、ママのほうに「セルフ・サービング・バイアス(自己奉仕バイアス)」がかかっている場合もあるといえます。セルフ・サービング・バイアスとは、何か問題が起きて原因を考える際に、自分を高く評価し、外部に原因を追究してしまうこと。自分の手柄ばかりに注目して、他人を怠慢と思い込んでしまうのです。そうすると、「もう、いつも私ばかり食器を洗っている!」なんていうことになってしまいます。―― そうなんですか!? 世の中のママたちから反論を受けそうです。池谷先生:ここはパパの立場として弁解させてください。パパたちも言わないだけで家のことや子どもの面倒をみていることだってあるんですよ。よく思い起こしてみたら、「実はお風呂上がりにお風呂掃除をしてくれていた」「たまっていた段ボールを捨ててくれていた」なんてことがあるかもしれません。冷静に判断してみるといいですね。■夫婦円満…それって必要? 産後は“防御と割り切り”で乗り切る―― なるほど。最後に、夫婦円満になるための秘訣を教えてください。池谷先生:円満になる必要はないですよ。産後すぐの時期はオキシトシンの影響もあって、なかなかうまくいかないもの。ここは、産後をどう乗り切るか考えてみるといいでしょう。―― ええ!? どうすればいいのでしょうか?池谷先生:パパはママから攻撃されない工夫をしましょう。産後、イライラしているママにあれこれ言うだけムダです。パパは具体的に指示されたほうが動きやすいので、ママが何をしてほしいのか率先して聞いてみるのもいいですね。一方のママは、「イライラしている自分」にイライラしないことが大切です。「なんだか私イライラしているな。でもホルモンのせいだから仕方ないか」などと割り切れるといいですね。ママ自身もパパになるべく具体的にやってほしいことを言うといいでしょう。ちなみに、夫をたてようとして、ママたちの輪の中で「うちの夫は家事も育児もよくやってくれて~」みたいな話をするのはやめたほうがいいでしょう。ママ同士で「夫自慢大会」をすると、かえって自分の夫に足りない部分に目がいってしまう傾向があります。実際に「妻が不満に思うかどうかは、友人の夫の手伝いぶりで決まる」というデータがあるのです。夫の良いところはわかっていても、「あそこの家は〇〇やってくれるのに、うちは…」みたいに“あら”が見えてくるようになり、かえって夫婦仲が悪化してしまっては大変です。「自慢も愚痴もなるべくなら言わない」のが一番ですね。
2018年05月20日■脳の老化とは脳の老化は40代頃から緩やかに進んでいきます。ある日突然脳の老化が起こるわけではないため、普段自覚することは少ないと思いますが、昔と比べて忘れっぽくなったとか、新しいものを楽しめなくなったといったことがあれば、それは脳の老化かもしれません。このような現象は、必ずしも脳が縮んできているということを意味していませんが、脳の機能としては低下している可能性があります。例えていうなら、買った直後はサクサク動いていたパソコンが、長年使っているうちにだんだん動作が遅くなってくるようなイメージでしょうか。脳が老化していくと、最終的には認知症に至ります。たとえばアルツハイマー型認知症は、脳の老化で起こる代表的な病気です。アルツハイマーがた認知症では、発病する15〜20年前から少しずつ脳に老廃物が溜まってきているということがわかっています。早い人では30代くらいから溜まり始める場合もあります。■脳に老廃物が溜まると……この老廃物がある一定以上溜まってくると、神経細胞が傷ついて死滅し、脳が萎縮していきます。脳の老化に関わる要因としては肥満や糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病が大きいです。生活習慣病になると血管が徐々に硬くなる動脈硬化を起こします。その結果、脳に十分な血液を送れなくなったり、脳の血管が破れたりといったことが起こりやすくなります。脳の血管が破れても小規模であれば症状はありませんが、脳のあちこちで起きると脳の老化につながります。最近では20代でも生活習慣の乱れやスマホなどの使いすぎによって脳の老化現象を自覚する人もいます。■子どもと高齢者を比較してわかること脳の老化の症状は、子どもと高齢者を比較してみるとわかりやすいでしょう。子どもは動きが活発で、些細なことでも心から楽しみ、感情が豊かで好奇心が旺盛です。大人がびっくりするほど優れた記憶力を発揮することもあります。一方、高齢者は子どもと比較して動作がゆっくりになります。これは視覚や聴覚など、五感の感覚が衰えて判断や反応に時間がかかるようになることがひとつの原因ですが、失敗を恐れて慎重になるなど、心理的な側面も影響しています。感情面では一般的に落ち着いて感情が安定する人が多いですが、反対に理性をコントロールする脳の働きが衰えて感情を抑制できなくなる人もいます。性格の変化も脳の老化のひとつである場合があります。意欲の面では新しいことに関する興味を持ち続けることが難しくなる傾向が見られ、長年の習慣を変えにくくなります。何かを始めようとする気持ちは少なくなり、しばしば諦めがちになる傾向が見られます。見聞きしたことは頭に入るものの、記憶にとどめる能力が低下するので物忘れが多くなりますし、体内時計の乱れから不眠や日時の感覚の障害などの症状も見られるようになります。■脳の老化、症状まとめ物忘れが気になる人や物の名前がすぐ出てこない動作がゆっくりになった物事を判断するのに時間がかかる今までのやり方を変えるのが億劫新しいことに挑戦しなくなった嬉しい・楽しいといった感情を持ちにくくなった自分と違う意見をなかなか受け入れられない性格が変わったと言われる新しい発想がわいてこない諦めることが増えた眠りにくくなった今日の日付がすぐ出てこない脳が健康でないと、見た目にも気を使わなくなります。健康でありたいという意欲も失われます。どんなことをしている人が認知症になりにくいのか、近年かなり明らかになってきました。例えば食事の仕方。食物線維や発酵食品を毎日摂る地中海食という食事、あるいは伝統的な和食を続けている人は認知症になりにくいことがわかっています。定期的な運動習慣、十分な睡眠時間やストレスの解消法を持つことなども、認知症予防に役立ちます。このような毎日の生活の中でできるちょっとしたことの積み重ねが脳の老化を予防し、10年後、20年後の大きな差になって現れてきます。今からできることを始めて、脳をいつまでも若く元気に保ちましょう!次回は「脳の老化を防ぐ生活」について詳しくお伝えします。
2018年05月07日男と女は全く脳の作りが違うため、本来相容れない生き物同士。恋愛においても、結婚においても女性と男性の考え方は全く違い、分かり合えると思っていると必ず失敗します。「なんで私の気持ち分かってくれないの?」「考えている事がさっぱり分からない」とケンカするカップルも多いですが、男性脳の作りを少し学べば、今まで理解できなかった彼の不思議な部分も理解できるようになって、今より仲良くなれるかも。今回は、男性脳の作りを徹底解明していきましょう。性欲がないと女性を愛せない習性女性脳の仕組みは、生まれた子供を可愛がるような気持ちで男性を愛する事が出来ると言われています。本能の中に人を愛することが組み込まれていて、母性愛で男性を愛している事が研究で明らかになっています。それに対して男性は、脳の中のドーパミンという物質に恋愛を操られているようで、目の前の女性に対し性欲が沸くか沸かないかが、恋愛対象か対象外かの境目になります。性欲が沸かなければ「愛そう」という気持ちになれないのが男性脳なのです。付き合おうと思う時、その女性に性欲が沸くか沸かないかで判断しているという事です。近くのものが見えにくい習性男性の脳は、視野を広げ全体を見渡す事が出来る良い部分があります。例えばケンカをした時、会話において女性はスタート地点とゴール地点を見失うことがありますが、男性は何を話しているのか、問題はなんだったのかをブレずに話すことが出来ます。今自分に置かれている状況の全体像を捉え、問題解決するという能力があるわけです。しかし、逆に近いものに対して意識が向きにくいというマイナス面も持ち合わせています。そのため、付き合って数年たち彼女に対して自分のテリトリー内にいる人という認識が強くなると、髪型を変えてもわからない、新しい洋服を着てても気付かないというこよが起きてきます。「髪型変えたのに!」とケンカになるカップルもいますが、男性脳の仕組み上、仕方が無い事なのかもしれません。脳のリフレッシュはボーッとするという習性彼女によく「ねえ!私の話し聞いてるの?」なんて言われる男性は多いと思います。 でも、それも男性脳が関係しているんです。実は、男性の脳は「ボーッ」と何も考えない事でリフレッシュできると言われています。女性は、友達と会話をしながら頭の中を整理する事でリフレッシュしたと感じますが、男性は一人でボーッと何も考えない時間こそが脳のリフレッシュタイム。この時間がないとイライラしたり、無口になったりする男性は多いです。彼がボーッとしている時はできるだけ話しかけないで、そっとしてあげる事が大切です。この他にも、好奇心が旺盛なことが男性脳の特徴としてあり、それが浮気に繋がるなんて説もあります。好奇心がない男性は魅力的に感じないので、結局浮気をする男性ほど魅力的に感じるということなのかも?男性脳のシステムを知れば、ケンカやすれ違いでイライラしていた事も多少は我慢できるようになり、より相手を思いやる事ができるようになるはずです。お互いに思いやりを持って接して、末永くラブラブ状態を維持していきましょう。written by 亀ぱんだ
2018年05月04日「子どもが自分に似て、算数が苦手になったらどうしよう」「わが子には、算数嫌いになってほしくない」子どもが成長するにつれて心に沸々と湧き上がる、文系ママたちの悩み、切なる願い…!「“文系脳”の親から生まれた子どもは、やっぱり“文系脳”になるの?」「憧れの“理系男子”や“リケジョ(理系女子)”に育てるのは絶望的?」「親が苦手でも、生活習慣で改善できるものなの?」そんな文系脳のパパママの疑問(もしくは叫び?)を、脳の成長・老化について研究している東京大学・薬学部教授の池谷裕二先生にうかがいました。ご自身もふたりの娘さんの子育て真っ最中の池谷裕二先生の視点・言葉には、子育てのヒントがたくさんあふれています。池谷裕二先生 プロフィール研究者、薬学博士。東京大学・薬学部教授。専門は神経科学および薬理学で、脳の成長や老化について研究している。『海馬』(新潮文庫)、『進化しすぎた脳』(講談社ブルーバックス)など著書多数。近著に『パパは脳研究者』(クレヨンハウス)がある。プライベートでは二児の父。■遺伝だけではない!? 算数が苦手な原因、実は…―― まず、単刀直入にお聞きします。親の「算数苦手」は子どもに遺伝するのでしょうか?池谷先生:たしかに遺伝子の影響はある程度あります。算数だけでなく、絶対音感や読み書き、第二言語の習得、スポーツなどにも遺伝子の影響があることがわかっています。でも、もっと大切なのが、「環境による影響」です。小学校低学年時の担任の先生が「算数苦手」だと、そのクラスの子どもたちは、その後も算数の成績が低迷するといったデータが実際にあります。先生の「算数って難しいよね」などの発言があったと推測されます。―― ええ!? 環境による影響も大きいのですね。遺伝と環境による影響、割合としてはそれぞれどれくらいでしょうか?池谷先生:半々くらいですね。8、9歳くらいまでは感受性が高いので、環境による影響に気をつけてください。特に女の子は「女の子って算数苦手だよね~」といった周囲の何気ない言葉から、「私は算数が苦手」という自己暗示をしてしまいがち。その後、算数が得意な先生にならってもなかなかリカバーできない傾向があります。■何気ない「ママが算数苦手だったから…」発言はNG!―― 親の接し方によっても影響があるということですね。算数が苦手なママはどうすればいいのでしょうか?池谷先生:親が「私は算数が苦手だから…」と思っても絶対に言わないことが大切。少なくとも、幼児や小学校低学年の子どもよりはできますよね。劣等感からはじめると何事もうまくいきません。ここは堂々としていましょう。―― 子どもが計算を間違えたりしたら、「ママが算数苦手だから、あなたもそうなのかもね」と言ってしまいそうです。池谷先生:それだけは絶対にやめましょう(笑)。ぐっとこらえてください。わざわざ幼児教室などに通うことはありませんが、もしママが算数苦手だとしたら、算数が得意な人と子どもが接する機会を持てるといいですね。たとえば、パパが算数得意なら、土日はパパと一緒に積み木や数あてっこ遊びをするとか。算数が苦手ではない児童館の先生やおじいちゃんなどと遊ぶのもいいと思います。 ■算数苦手ママでも今すぐできる「数のかぞえ方」―― なるほど。ママ自身にもできることは何かありますか?池谷先生:小さな子どもと一緒にものを数えるときに、「1個、2個、3個…」と単位をつけるのではなく、「1、2、3…」と数えてみてはどうでしょうか。算数は抽象的な思考を学ぶもの。だから、単位をつけずに「数の概念(ルール)」を教えたほうが、汎用性が高くなります。ものごとのルールをほかに当てはめてみたり応用させたりする「水平思考」が、算数では求められています。例えば、イチゴを1個と数えてしまった場合、「じゃあミカンは?」「1個!」と答えられますが、魚や動物を数えようとなった時に、そのまま1個とは数えないですよね。イチゴやミカンの「1個」と魚や動物の「1匹(頭)」は同じ「1」という概念であることを、まずは教えなくてはいけません。だから、単位をつけずに数えるんです。単位をつけて数えることや単位を覚えることは、大きくなってからでも十分間に合います。■国語も算数も肝心なのは「コミュニケーション力」―― 親としては算数と国語の両方が得意になってもらいたいですが、先生は可能だと思いますか?池谷先生:それはできると思います。学校の勉強における国語と算数とは意味合いが違うのですが、国語力と算数力はコミュニケーションにおいて大事ですよね。知能指数(IQ)テストを考案したフランスの理学者アルフレッド・ビネーは、知能を支える3大要素を「論理力(主に算数や物理で身につくもの)」「言語力(主に国語で身につくもの)」「熱意」としています。適切な時に適切な言葉で伝える、相手が何を言おうとしているのか察知するなどのコミュニケーションには、論理力や言語力、やる気(熱意)が欠かせないわけです。―― そうですね。肝心のコミュニケーション力を高めるにはどうすればいいのでしょうか?池谷先生:親子の会話が大切です。正直、子どもってちょっと面倒な時がありますよね(笑)。何度も同じものを「見て!」と話しかけてきたり。でもそういう時に、親がスマホの画面ばかり見ていて、子どもと会話しないのはいかがなものかと。夕飯の支度をして忙しいなら、「準備が終わったら見せてね」の一言だけでも違ってくるはずです。そうやって親子の会話を通じて、子どもは空気を読むなど言語力を身につけているんです。なるべく誠意や愛情を持って接することができるといいですね。
2018年03月19日「48歳のときに脳梗塞、50歳目前で今度は乳がんが見つかって。思いもしない大病を患ったことが、生き方を見つめ直すきっかけでした」 こう語るのは、タレントの麻木久仁子(55)。乳がんの手術を受けたのは’12年のこと。それから5年がたった昨年10月、治療に一区切りついたことを発表した。がん罹患の2年前には、脳梗塞を発症していたことも明かしている。 麻木といえば、知性派のイメージと親しみやすいキャラクターを兼ね備え、これまでクイズやバラエティ番組で活躍してきた。加えて近年は、講演会を中心に、自身の闘病経験や検診の大切さを伝える活動を行い、予後について語る機会も多い。初の料理エッセイ本『ゆらいだら、薬膳』(光文社)では、毎日作りやすい薬膳レシピのほか、導き出した“生きやすい生き方”についても紹介している。 「もともと血圧は低い、コレステロール値も低い。健康にはそこそこ自信があったんです。特別、気をつかうこともなかった。それが大病を重ねたことで、食生活だけでも見直そうと思い始めて」(麻木・以下同) とりあえず料理教室にでも通うか、と考えているときに、偶然目に留まったのが「薬膳」の文字だった。 「薬膳って、薬という文字が入っているせいか、苦い、味は二の次、と思われがちだけれど、漢方薬とは違うわけで。むしろ折々で、本当に自分にふさわしい、本当においしい料理があるんだと知りました。私の薬膳の先生は、『おいしくなきゃ滋養にならないわよ』とおっしゃるくらい」 とはいえ、食材の入手が難しそう、細かいルールがありそう、専門の料理人が調理するもの、というイメージがまだまだ一般的に思える。 「それは、たとえるなら“F1ドライバーの薬膳”ですよね。一方で、普通免許証の薬膳もあるわけです。そもそも薬膳というのは食養生なので、ご飯を食べて体を健康にすることが目的でしょう?それが、高いお金を払って年に1回しか食べられないんだったら、体をつくれないじゃないですか。毎日食べなきゃ、身にならないもの」 がん治療を続けながら薬膳の世界にのめり込み、’16年には、国際薬膳師の資格を取得するまでに。現在はタレント活動のかたわら、クッキングセミナーにて薬膳講座の講師も務めている。 「私の乳がんの原因が何だったのか、本当のところは誰もわからない。遺伝子かもしれないし、それまで褒められた食生活じゃなかったから、食事の問題かもしれない。運動も嫌いだしね。でも、世の中には、たばこを吸わないのに肺がんになる人もいれば、健康の秘訣は喫煙だと話すご長寿さんもいる。だから、しょせん理不尽なんですよ。こういうものを食べていれば治るよ、と言う気はさらさらないけれど、でも、よりよく生きていこう、自分の人生を大事に生きていきたいという気持ちがあるなら、おいしいものをおいしく食べる、という選択肢は、誰にでも等しくあると思うんです。一回一回のご飯がおいしかったって思えることが、すごく大事なんじゃないのかなって」 薬膳には、食べてはいけない食材がないという。そして、〝体にいいもの〟は季節や体調によって変わる。 「『今日は寒かったかな』という日に、おかゆの中にしょうがを刻んで入れれば、それだけで薬膳。いつもの紅茶に、体を温めるみかんの皮を加えてみれば、それも薬膳。食材1個。ちょい足しでいいんです。つねに自分の体の状態を意識して、必要な食材をおいしくいただくことで、心身ともに調子のいい日が増えました。腹も立たなくなったし、くよくよしなくなったし、55代の今がいちばん健やかです」
2018年02月25日