意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「スピーキングテスト」です。受験科目に加えることが、英語力向上につながる?都立高校の入試の合否判定に、来年度から英語のスピーキングテスト導入の準備が進められていますが、受験生や親御さんらから中止を求める声が多く上がっています。都議会でも、立憲民主党や東京維新の会から、合否判定から除外する要請を盛り込んだ条例案が出されました。入試の中学校英語スピーキングテスト(ESAT‐J)は、日本人の英語能力を上げていきたいという理由から導入されました。英語能力を示すEFEPI(英語能力指数)の世界ランキングを見ると、2021年は日本は112か国中78位。前年は100か国中55位、2011年には44か国中14位でした。経済成長につれ海外留学が増えたことなどで、英語力が上がっている他国に日本がどんどん追い抜かれている状況が露わになっています。ESAT‐Jは、英文の音読や絵に描かれたシチュエーションに対する解答、自分の意見を述べることが求められ、タブレットに録音して答えます。このテストが、英語以前に、自分の思いを言葉に表すことが得意か否か、コミュニケーション能力を問うものにならないか。吃音や障害のある子供に対して不公平にならないかという問題が指摘されています。テストを受けないという選択肢もあるのですが、受けて低い点数をつけられるよりも受けないほうが受験に有利になる可能性も。また、ベネッセが実施しますが、一事業者が選定された経緯が不透明。解答した音声はフィリピンに送られ採点されます。AからFのグレードに分けられ点数がつきますが、1点の違いでもグレードが分かれてしまうこと、採点の正当性についても問題視されています。そもそも、受験にスピーキングテストを加えることで、日本人の英語力が上がるのでしょうか。それよりも、普段から、英語に触れられる機会を増やす、海外から来る外国人との交流を頻繁にする、留学や英会話スクールへの助成を入れるなど、ほかにもより効果的な方法はあるように思います。11月27日には本テストが実施されます。東京で導入されればこれは全国に広がる可能性も大きい。改めてきちんとした議論が必要だろうと思います。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年11月30日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年11月25日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「NPT会議決裂」です。核の危機感を持ち、橋渡しに、本気の姿勢を見せて。ウクライナでは、ロシア軍がヨーロッパ最大級のザポリージャ原子力発電所を占拠し、原発を盾に攻撃を強めています。本来、国際法により、原発は攻撃してはいけないと定められているのにもかかわらず、原発のある地域を舞台にした戦闘が続いています。国際原子力機関(IAEA)が現地に入り、誰が攻撃し、何が起きているのか、原発事故が起きないよう策をとっていますが、送電網が遮断されるなど、非常に深刻な事態に陥っています。8月にはNPT(核兵器不拡散条約)再検討会議がニューヨークで開かれました。ここでは、核兵器の不拡散だけではなく、現在のウクライナ情勢を背景に、原子力は平和利用のために使うことを盛り込んだ最終合意文書を作ろうとしましたが、ロシアは一貫して、「原発を攻撃していない。ロシアに非があるようなことを盛り込むのであれば、文書に署名できない」と主張。最終的に文書はまとまりませんでした。前回の検討会議でも、最終合意文書はまとまらず決裂しました。中東の非核化を求め合意を取ろうとしたのですが、土壇場になってアメリカが核保有国のイスラエルに配慮して、合意できないと言い出し否決されました。NPTは2回連続、核を持つ国は大きな脅威であり、保有国にしか交渉力がないことを見せつける結果になりました。核保有国も非保有国も一致団結しようと昨年、核兵器禁止条約が発効しました。しかし、核保有国は不参加。広島選挙区選出の岸田総理は両者をつなぐ橋渡しをしたいと話していましたが、核兵器禁止条約には参加せず。NPT再検討会議に乗り込んだものの、何か成果を残したわけではありません。いま、核兵器がいつ使われてもおかしくない緊張が続いていますが、その危機感が日本では共有されていないように思います。今年は、核兵器や原子力の平和利用の大きなターニングポイントとなる年になるはずでした。次のチャンスは、来年のG7。岸田総理の肝入りの企画で、広島で開催されます。核保有国に対し、「核が再び攻撃に使われるようなことがあってはならない」と、粘り強く交渉する姿勢をぜひ世界に打ち出してほしいと思います。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年10月12日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年10月08日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「宗教2世」です。公的支援から外れる貧困。偏見もなくそう。安倍元首相の銃撃事件を機に宗教2世の存在がクローズアップされました。僕は以前からオウム真理教信者の子供たちや、脱会した方のその後の社会生活について当事者に取材してきました。彼らは、一般の社会生活を送るのは極めて困難な状況に陥っていました。学校でも職場でも自分が宗教2世であることを伝えるのは難しかったとみなさん話しておられます。奇異な目で見られたり、レッテルを貼られたり、警戒されたり。友人や恋人に話せば自分から離れていくのではないかという怖さから、余計に一人で抱え込んでしまいます。一方では、SNSの普及により、初めて自分以外にも同じような状況にある人がいることがわかり、心が支えられたとおっしゃる方もいます。今回の事件の山上容疑者の家は、旧統一教会の信者である母親が多額の献金をしたことにより破産しました。このようにカルト教団で、常識を超えた霊感商法などで信者がお金を吸い上げられていくような家庭で育った人は、経済的に非常に苦しい状況に陥ります。ところが、こういう場合の貧困は法的なサポートから外れてしまうんですね。生活保護費は、病気や怪我で働くことができない人に支給されます。しかし、宗教による過剰献金の家庭の場合、両親のどちらかが働いており、お金も稼いでいる。それが家庭や子供たちに回らないという状況ですから、当然、生活保護の対象にはなりません。旧統一教会の信者の子供たちは「祝福2世」と呼ばれ、教会内で大切に育てられます。しかし自由な恋愛や結婚ができないなど厳しい教えがあります。教義に疑問を抱き、親とは違う道を歩みたいと思っても、家族や人間関係、自分の居場所などをすべて切り離すことになるので相当の覚悟が必要です。この問題はほかの新興宗教にも通じます。宗教2世は自分で信仰を選べず、そういう家庭に生まれたことで社会的孤立を強いられ、学びの機会や様々な選択の自由を奪われます。偏見を抱いてしまう社会風潮にも問題はあると思います。公的支援のあり方も再考の余地があるでしょう。宗教の問題というよりは、子供の虐待や貧困の観点から捉えるのが重要ではないかと思います。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年9月21日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年09月17日仲野太賀主演の新・土曜ナイトドラマ「ジャパニーズスタイル」に、市川実日子、要潤、KAZMA(しずる)、石崎ひゅーい、檀れい、柄本明が出演することが分かった。本作は、主演・仲野太賀×金子茂樹(脚本)×深川栄洋(監督)とタッグを組んだ、30分間ノンストップの本格シットコム。さびれた温泉旅館「虹の屋」の玄関とロビー、従業員室・大浴場の入口とエレベーターのみを舞台に群像劇が繰り広げられていく。物語は、「虹の屋」の三代目である父親に反発し家を飛び出したものの、うだつの上がらない毎日を送っていた哲郎(仲野さん)が、10年ぶりの帰宅を果たすところから始まる。彼を待ち構えていたのは、市川さん演じる口が悪い流しのフラメンコダンサー・ルーシー、要さん演じる温泉嫌いで潔癖症の支配人・影島、KAZMAさん演じるUNO依存症の料理長・浮野、檀さん演じる息子と占いに人生を捧げるシングルマザーの仲居・桃代と、石崎さん演じるその母親と一輪車を愛する従業員・凛吾郎、柄本さん演じる省エネ仕事で40年も旅館にしがみつく古株・梅さんこと梅越という猛者たち。彼らに翻弄されながらも、哲郎もクズっぷりを見せ、ドタバタ劇はより加速していく。撮影自体がほぼ本番一発の長回しという、演じる側にとってチャレンジングなこの試み。「ドラマなんだけど、ドラマじゃない、しかも、撮り直しもしない…緊張感と恐怖感で震えておりますが、誰ひとり予想ができていないことがこれから始まりますので、孫を愛でるような気持ちで(笑)、観ていただければと思います」(市川さん)、「シットコムに関しては、僕は普段、音楽をやっていてライブをしているので、その時にしか生まれない空気とかを感覚的に求めているところがあります。表現者としてそういう空気を作り出すのが喜びであり、とてもスリリングなことだと思っています。ですので、楽しめればいいなと思いますが…正直、いっぱいいっぱいです(笑)」(石崎さん)、「ぶつかり合った時に、どういうものが生まれるのかが、本番当日でしかわからないところなので、どんなことでも柔軟に対応できる自分でありたいですね。自分の中にしっかりとセリフや役の感情を叩きこんだとしても、どんなハプニングがあるか予想もつきません。でも、あまり不安ばかり考えないように、その場を楽しみたいなと思うようにしています」(檀さん)と心境を明かす。要さんは「今まで観なかったようなドラマになっていると思いますし、役者としての力量も感じていただけると思います。今の時代にやるからこそ、新しいものになるんじゃないかと思っています」と期待し、KAZMAさんは「うまい具合に作品の《歯車》になれるようにできたらと思っています!」と意気込む。そして柄本さんは「見どころは、せっかくこういう撮影スタイルでやっているんだから、いろいろと失敗が起これば面白いと思いますよ。人がセリフを忘れたりするのを見るの、面白いでしょ(笑)。ハプニングが今作の醍醐味でもあると思いますので、ぜひ期待してください」と呼びかけている。仲野さん曰く「一緒にお芝居をするうえでこんなに頼もしい共演者の方々はいない」と全幅の信頼を寄せる今回の出演陣。一方で「皆さん個性的ですし、異種格闘技戦みたいになるのでは(笑)」と、本番一発勝負ならではの、先読み不可能な展開の予想を少し不安げに吐露している。そのほか、桃代が頼りにする怪しげな霊媒師を宮澤美保、債務者を水風船で追い詰める、怖さはさほどでもない闇金屋を松川尚瑠輝が演じることも分かった。土曜ナイトドラマ「ジャパニーズスタイル」は10月、毎週土曜日23時30分~テレビ朝日にて放送予定。(cinemacafe.net)
2022年09月10日来年の大河ドラマ「どうする家康」で徳川家康を演じる松本潤が、家康の素顔を求めて旅をする歴史ドキュメントの第2弾「どうする松本潤?徳川家康の大冒険2」が9月10日(土)に放送される。今回のテーマは、「なぜ家康は天下人になれたのか?」。幾度となく襲いかかる人生の危機の中で、家康が熱心に行っていたのは戦や政争ばかりではない。実は、家康が人知れず、日々熱心に取り組んできた「趣味」の中に、家康が危機を乗り越え、天下人にのぼりつめることができた秘密が隠されている。乗馬、たか狩り、聞香など家康が打ち込んだ趣味の数々を松本さんが体を張って実際に体感。さらに、「最も家康に似ている」といわれる普段は非公開の家康・等身大の木像や、徳川宗家・次期当主の徳川家広さんも登場。愛知県、岐阜県、山梨県、京都府をめぐり、教科書には載っていない知られざる徳川家康の人物像に迫る。解説は本郷和人(東京大学史料編纂所教授)、語りはキムラ緑子が務める。【どうするポイント 1】「乗馬」天下人への道は「負けても死なない」こと三方ヶ原の戦いで武田信玄に惨敗し、絶体絶命の危機に陥った若き日の家康。「生きていてこそ次がある!」。どんな状況であっても最後は逃げて命をつなぐために、家康がのめり込んだのが「乗馬」だった。日本伝統の古馬にまたがり、「家康の逃げの乗馬術」に迫る。【どうするポイント2】「たか狩り」天下人への道は「誰よりも長生きする」ことライバルたちが次々と病死する中、家康の秘策は「ライバルたちよりも長生きすること」。健康オタクへの道を邁進する家康がことのほか重視したのは「たか狩り」だった!75歳という驚きの長寿を全うし、天下人レースを逃げ切った家康健康長寿の秘訣に迫る。【どうするポイント 3】「聞香」天下への道は「己に勝つ」こと誰が敵で誰が味方なのか?陰謀渦巻く心理戦を勝ち抜いた家康の強さは、どんな状況下でも冷静さを失わないメンタルの強さでもあった。それを支えていた家康の趣味こそが「香」。家康がのめり込んだ「聞香」とはどんな世界なのか?家康考案のオリジナル香の再現にも挑戦する。■木道壮司チーフ・プロデューサーよりコメント天下人となった徳川家康は、神君・家康公として神格化され、「いかにエラい人か」を伝える記録ばかりが残されています。本当の人間・家康とはどのような人物だったのでしょうか?今回、そんな家康の素顔を探るため、家康がのめり込んでいた「趣味」を、松本さんが家康の気持ちになりきって体当たりで挑戦!そこからどんな家康像を発見することができたのでしょうか?歴史の裏側を松本さんと一緒に探っていけば、2023年の大河ドラマ「どうする家康」がより楽しくなること間違いありません。「どうする松本潤?徳川家康の大冒険2」は9月10日(土)19時30分~NHK BSプレミアム、BS4Kにて放送。(text:cinemacafe.net)
2022年09月06日嵐の松本潤が出演する、日本航空の新WEB動画「櫻井翔・松本潤の行こうぜ! ニッポン! 九州」編 Part1~3が21日、公開された。同WEB動画は、松本と櫻井翔が日本全国に旅に出かけ、各地の魅力を紹介するシリーズの最新作。松本が福岡と佐賀を訪れ、九州の文化・伝統に触れている。佐賀・呼子にある漁協直営の「呼子台場みなとプラザ」を訪れた松本は、名物のイカを自らさばいて食べることに。「イカは暴れるって聞くよ」と墨対策にカッパを着ながら恐る恐るすくい上げ、包丁を入れていくと、見守っていた婦人会から「上手!」と声が上がる。続いて、福岡・八女の「光安青霞園茶舗」で玉露とういろうを堪能し、茶葉の香りや茶器にも興味津々。店主・光安さんのお茶入れを真剣に見つめ、2煎目にはお茶入れにチャレンジし、華麗な所作を披露した。また、最後に訪れた「門田提灯店」では、櫻井へのお土産として提灯の絵付けに挑戦。「櫻井くんといえば迷彩のイメージだけど、時間がかかりそうだな……やっぱり彼の名前を入れるのがいいかな……!」と提灯に“櫻井”の文字を入れることに。“櫻”の字を間違えてしまうハプニングもあり、「(出来上がりが)どうなってもいいや……(笑)」と言いながらも、スタッフが話しかけると「ちょっと静かにしてください」と返し、真剣な様子で書き進めた。旅を終えた松本は、「その土地の文化・食に触れたり、そこに行かないと見られない景色、感じられない空気感を感じることができたので、心が豊かになる気がします。旅に来られてよかったです」と満足気に振り返っていた。
2022年08月22日嵐の松本潤が出演する、リクルート・SUUMOの新CM「松本潤さんのスーモノリスで地図検索」編が、17日より放送される。新CMでは、無機質な白い空間に松本が登場。スマホを模した巨大な石板を前に松本が「住まい探し……」「地図……」と語りかける。するとそこに地図が浮かび上がり、手でなぞりながら物件検索をし、「使いやすい……」とつぶやく。■松本潤インタビュー――今回のCM撮影の感想は?楽しかったです! 実は撮影の方は以前から親交がある方でしたし、監督も僕と同い年で、以前から監督が作る映像が好きで、一緒に仕事してみたいと思っていたんです。今回のCMは結構特殊な設定・空間なので、どうやって演じるか目指す映像の世界観を監督と話し合いながら撮影しました。――今回のCMのみどころは?独特な世界観の中でちょっとクセのある感じを楽しんでいただけたら嬉しいです。「SUUMO」が、「物件数 No.1」であり「いろいろな情報が手軽に手に入る」というサービスのすごさと、近未来的な映像のかっこよさの両方を楽しんでいただけたらと思います。――「なぞって検索」機能で検索して、どんなエリアに住みたいですか?リアルに自分が選ぶとすると、普段行くジムや、よく行く友達がやっている飲食店などは、わりと1カ所に集まっているので、そのエリアを囲むかな。やっぱり近い方が楽なので。これまでいろいろな所に住んできましたが、僕の場合、結局行く所はほとんど変わらないんです。そこから離れたエリアに住んだこともあるのですが、やっぱり近い方が便利だなって(笑)。僕はいろいろ見るのも好きなので、緑の多いエリアや、魚がおいしそうな海沿いなどを検索してみるのも楽しそうですよね。――物件選びで迷うことはありますか?あまり迷わないかな。自分がその家に住んだらどこに何を置いて、玄関や風呂へはどこを通って……などを想像しながら選びます。あとは、日当たりや景観、駅からの時間、近くに自分に必要な場所がいくつあるのかなども考えます。でも最終的には、自分のフィーリングで「あ、ここにしよう」って納得がいくということがいちばん大事なのかなと思います。――最近の自宅でのマイブームは?最近は、帰ってきてリラックスするために、お香やキャンドルをたくことがマイブームで、割と習慣づけていますね。現場にいる時間が長いので、家に帰ってきて、仕事と自分の時間を切り替えるスイッチにしているんです。あとは、最近、撮影で朝が早いことが多いので、毎朝6時くらいには起きるようにしています。朝のうちに運動したり、サウナに入ったりして現場に行っています。――現在の自宅を「今後こうしたい」などのお考えはありますか?僕は現状に満足していますね(笑)。あえて言うと、最近仕事が立て込んでいるので仕事の資料が増えてきたんです。本などを買ったことで本棚が整理しきれなくて。前回のインタビューの際に「物を減らしてシンプルにした」と言ったんですけど、もうちょっと収納を作っておけばよかったな(笑)。
2022年08月16日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「戦争犯罪」です。ルールはあっても、現実的には大国を裁くのは難しい。国連憲章では、他国への侵略行為、戦争は禁じられています。しかし、戦争になった場合も最低限守るべきルールが、ジュネーブ条約(赤十字条約)によって国際的に定められました。まず、民間人への攻撃は禁止。市民の暮らしの要になるインフラを故意に攻撃することも禁じられています。また、無差別攻撃を目的とする兵器、クラスター爆弾や焼夷弾、化学兵器や生物兵器、毒ガス、対人地雷も使用は禁止されています。兵士を含め、病人や負傷者は手当てを受ける権利が保障されており、それらの人々を助ける赤十字の関係者や施設は、中立的な立場のため攻撃してはいけません。捕虜への拷問や残虐行為も禁止。これらのルールを犯した場合、戦争犯罪になります。また、特定の民族や人種を意図的に根絶やしにするような民族虐殺(ジェノサイド)も禁じられています。ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻では、数々の戦争犯罪の証拠が挙がっています。自転車に乗った民間人を殺害したロシア兵は、明白な戦争犯罪だとして、ウクライナで終身刑が言い渡されました。国家間の紛争を解決するために設立されたのが国際司法裁判所(ICJ)。ウクライナ政府はロシア政府をICJに訴えましたが、ICJは国連の司法機関で、執行は国連安全保障理事会が担います。しかし安保理の常任理事国であるロシアは拒否権を持っています。そのため、ICJがロシアを戦争犯罪を起こしている国と認定しても、実際には裁くことは難しいのです。もうひとつ、国連から独立した国際刑事裁判所(ICC)があり、人道に対する罪や戦争犯罪に問われる、組織のリーダーや個人を裁きます。ICCは、ウクライナでのロシアの戦争犯罪に十分な証拠が揃っていると述べています。しかし、ICCは警察機関を持っておらず、犯罪者の逮捕はその国の警察機関に働きかけます。ただ、ロシアもアメリカも中国も、ICCには加盟していません。そのため、戦争犯罪が立証されても逮捕する手立てはないのです。そもそも戦争を起こさないための知恵を、諦めずに出し合うしか解決方法はないのだろうと思います。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年7月6日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年07月03日2022年6月15日、俳優の要潤(かなめ・じゅん)さんがTwitterを更新。「最近ドキドキしている」という、自身の身体にまつわる悩みごとを打ち明けました。要さんといえば、キリッとした意志の強そうな表情や、180cmを超えるすらりとした長身が特徴的な俳優です。そんな要さんですが、痩せることによって気になることがあるのだとか。それは、何かというと…。最近ドキドキしているのだ。「顔痩せました?」「体はそんなでもないけど、顔の辺りしぼりました?」と聞かれる度に、自分のアゴがまた伸び始めているのではないかと。。— 要潤 (@kanamescafe) June 15, 2022 要さんの気になることとは、顔が痩せることによってアゴが長く見えてしまうこと!身長だけでなく顔もすらりとしており、一般基準よりも少し長いアゴが特徴の1つである、面長の要さん。「顔が痩せたように見えるのは、アゴがまた伸びたせいでは…!?」と心配をしているようです。要さんは以前も、自身のTwitterでアゴに関する悩みごとを明かし、話題になっていました。要潤の『コロナ禍での悩み』が切実すぎた「笑った」「好感度爆上げだわ」投稿は拡散され、「オチで吹いたわ!」「要さんってこんなにユニークな人だったの!?」といった声が上がっています。また、中には「要潤ほどのイケメンですら、自身の顔に心配ごとがあるのか…!」と勇気付けられる人も。アゴが本当に伸びたかは分かりませんが、アゴにまつわる投稿は伸びた(拡散された)ようです![文・構成/grape編集部]
2022年06月16日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「沖縄本土復帰50年」です。もとは独立国家。虐げられてきた歴史に目を向けて。50年前の5月15日、アメリカの施政権下にあった沖縄が日本に復帰しました。沖縄は、古くは琉球国という約450年続いた独立国家でした。明治政府は1872年に琉球国を解体し、琉球藩に。1879年には廃藩置県により、沖縄県に生まれ変わります。「富国強兵」のスローガンのもと、近代国家の仲間入りを果たそうとしていた日本。沖縄は内地とはある種、支配・従属的な関係にありました。中央から派遣された役人や軍人は、沖縄を見下し「はやく大和になれ」と押し付けます。沖縄の人々は差別や偏見にさらされ、「私たちは日本人なのだ」という強い機運を生み、太平洋戦争末期、日本を守るために玉砕、集団自決を決行します。日本で、民間人が戦闘要員として駆り出されたのは沖縄だけです。1945年、米軍は沖縄に上陸し3か月にわたり激しい戦闘が繰り広げられました。沖縄県民の4人に1人が犠牲になり、日米合わせて約20万人の被害が出ました。沖縄戦は9月7日に幕を閉じ、アメリカに統治されることに。マッカーサー元帥は、太平洋地域に拡大した日本国の影響を弱体化させるため、沖縄・南西諸島を日本から分離させることにこだわりました。当時、ソ連や中国を筆頭に共産化の波が押し寄せており、東の果ての防波堤として、沖縄を所有することはアメリカの安全保障上、大きな意味がありました。戦後、沖縄支配は日本からアメリカに移ります。やがて「島ぐるみ闘争」という、米軍支配への反対運動が勢いを増し、日本に復帰するか、独立するか、国連の統治下に置かれるべきか、沖縄住民の間でも意見が割れました。返還交渉は1969年に始まり、年末に最終合意。沖縄県内では「核抜き、本土並み」と核の持ち込み禁止、沖縄と本土が格差のないように扱ってほしいと訴えていました。しかし、裏で秘密協定が結ばれており、沖縄返還に関する費用は日本国が負担し、核の持ち込みも密約では認められていたことがのちに明らかになりました。沖縄には、いまなお米軍基地の約7割が集中しています。国家の安全保障のなかで、沖縄県民の思いを無為にしてきた歴史があることを忘れないでほしいです。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年5月25日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年05月21日俳優の要潤さんがオフィシャルサポーターを務める展覧会、『ボストン美術館展芸術×力』が、7月23日(土)から東京都美術館ではじまります。本展では、古今東西の多彩な作品が集まるほか、「日本にあれば国宝」ともいわれる作品も来日。今回、アートにお詳しい要潤さんに、展覧会の楽しみ方を聞いてきました!要潤さんがオフィシャルサポーター!【女子的アートナビ】vol. 245『ボストン美術館展芸術×力』では、アメリカのボストン美術館が所蔵する古今東西の多彩な美術作品から、エジプトやヨーロッパ、アジアなどで生み出された選りすぐりの作品約60点を紹介。その半数以上が日本初公開となります。本展で特に注目されているのは、日本の作品です。遣唐使・吉備真備の活躍を描いた《吉備大臣入唐絵巻大臣》や《平治物語絵巻三条殿夜討巻》など、日本にあれば国宝レベルの作品も展示されます。展示は5章で構成。「芸術と力」をテーマに、力を見せつけ、維持するために芸術を利用してきた権力者たちと、芸術のもつ役割にも迫ります。なお、本展は一度、2020年に新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となっていました。2年の期間を経て、いよいよ待望の開催となります。今回、展覧会のオフィシャルサポーターを務める要潤さんにインタビューを実施。楽しみにしている作品や好きなアートなどについて、語っていただきました。要潤さんにインタビュー!増山雪斎 《孔雀図》江戸時代、享和元年(1801)Museum of Fine Arts, Boston, Fenollosa-Weld Collection Photograph © Museum of Fine Arts, Boston――まず、今回の展覧会について、どんな印象をおもちですか。要さんボストン美術館は、市民のみなさんの有志で維持されてきた美術館です。日本の作品も多いので、一度は行ってみたいと思っていた美術館のひとつでした。今回、オフィシャルサポーターを務めるという機会をいただき、不思議な縁を感じています。僕自身、いろいろな芸術に触れたり(美術の)番組をさせてもらったりしていますが、ボストン美術館は本当に日本の作品を大切にしているのです。外国の美術館に行くと、外国の作品が主流だと思うのですが、ここまでアジアや日本の作品を大切にしている美術館の姿勢に感銘を受けました。「日本の美をすごく感じる…」《平治物語絵巻三条殿夜討巻》(部分)鎌倉時代、13世紀後半Museum of Fine Arts, Boston, Fenollosa-Weld CollectionPhotograph © Museum of Fine Arts, Boston――今回の展覧会で、特に楽しみにしている作品を教えてください。要さんメインのひとつである絵巻です。《平治物語絵巻三条殿夜討巻》が一番見たい作品です。――日本の作品ですね。絵巻とか日本画は、少し難しそうなイメージをもつ人もいるかと思うのですが、要さんはどんな点がお好きなのでしょうか。要さんこのような作品は、社会の授業で習ったりして、断片的に知っているかもしれませんが、身近にはなかなかないと思います。僕たちも、(時代劇などで)役を演じたりすることもありますが、写真があるわけではないですし、当時の人たちに話を聞くこともできない。リアルに感じることができないのです。今回の展覧会のような機会を利用して本物の作品に触れることで、日本の歴史や日本画に対して、日本人としてすごくインスピレーションを感じる部分があるのではないかな、と思っています。伝 狩野永徳 《韃靼人朝貢図屏風》桃山時代、16世紀後半Museum of Fine Arts, Boston, Fenollosa-Weld CollectionPhotograph © Museum of Fine Arts, Boston要さんモネやピカソとか見ると、確かに「わっ、上手」とは思うのですが、異国の文化が全部自分の身に染みて感じられるわけではありません。でも日本画は、日本人の根底にある何かがしっかりと表現されているのを感じられる気がします。色づかいひとつにしても構図にしても、日本の美をすごく感じるので、僕自身は日本画が好きですし、きっとみなさんも理解していただけるのではないかな、と思うのです。「気持ちをぐっとかき回される感じ」――要さんは美術の番組にも出られ、いろいろな美術館を訪れていらっしゃると思いますが、はじめて行かれた美術館やアートに触れた経験を教えていただけますか?要さんはじめて訪れたのは、地元の丸亀市猪熊弦一郎現代美術館です。小学生くらいのときに、家族と行きました。――猪熊さんの作品は現代アートで難解なイメージがありますが、お子さんのときに見られてどうでしたか。要さん当時は「なんだこれ」みたいな感じでしたけれど(笑)、周りの大人たちがすごく楽しそうに見ていたので、「きっとこれはすごいものなのだろうな」という感覚でした。作品を見たときの感想は、気持ちをかきたてられ、ぐっとかき回される感じです。はじめてそういうものに触れる経験をして、衝撃的だったという記憶があります。不思議な感覚でした。――今、お好きなアートや美術館はありますか。要さん現代アートの作家さんで、大巻伸嗣さんの作品は好きで、何点かもっています。好きな美術館は、箱根の彫刻の森美術館です。自然が好きで、自然と彫刻が一体化されているところがいいです。地元である香川県の直島とか瀬戸内海の島々でも、自然の中にぽつんとアートがあります。箱根は、そこの雰囲気とも似ているので、好きですね。――ご自身でも絵を描かれるのですよね。油絵もはじめられたそうですが、どんな絵を描かれているのですか。要さん描くのは風景が多いです。自然が好きなので、どうしても描きたくなります。季節の移ろいとか、今このときにしか見られない風景を自分のなかで探して描いています。――いずれ発表されてはいかがでしょうか。要さんいやいや、お恥ずかしいので(笑)。「僕も楽しみにしています」――最後に、この展覧会を楽しみにしているファンのみなさまにメッセージをお願いします。要さんボストン美術館展が、今年ようやく開催されます。この美術館には、日本の作品がたくさんあり、日本にくると国宝級といわれている作品も数点あります。ぜひ、この機会を見逃さないようにしていただきたいです。僕も楽しみにしていますし、一緒に体感できたらいいなと思います。――いろいろお話いただき、ありがとうございました。インタビューを終えて…要さんのお姿は、まさにアートのように端正で美しく、お話されているときの表情も穏やかで、本当にステキな方でした。質問にも丁寧に、やさしいお声でお話くださるのですが、その内容が深く、特に日本画の楽しみ方については目から鱗で、すごく勉強になりました。本物の「日本の美」をはじめ、多彩な作品に出会える『ボストン美術館展』、どうぞお見逃しなく!展覧会は7月23日開幕。チケットは7月1日発売開始予定で、日時指定予約制です。Information会期:2022年7月23日(土)~10月2日(日)※休室日は月曜日、9月20日(火)※ただし8月22日(月)、29日(月)、9月12日(月)、19日(月・祝)、26日(月)は開室会場:東京都美術館企画展示室開室時間:9:30~17:30※金曜日は20:00まで(入室は閉室の30分前まで)観覧料:※本展は日時指定予約制一般¥2,000、大学生・専門学校生¥1,300、65歳以上¥1,400高校生以下無料(日時指定予約必要)※最新情報は展覧会公式サイトでご確認ください問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)All photographs © Museum of Fine Arts, Boston衣装ブランド名/カナーリメーカー名/コロネット問い合わせ先/03-5216-6521値段/¥316,800(税込)スタイリスト/今井聖子(Canna)
2022年05月20日要介護認定には要支援1〜2、要介護1〜5の要介護度がある。要介護度が高くなるほど、受けられる介護サービスは多くなるので、要介護認定は介護を受ける人にとっても、介護する家族にとっても大事な問題だ。だが、高齢化による介護費用の増大を受け、全国的に要介護認定の“抑制”が行われているという。今までなら、認定を受けられたような人に「非該当」の判定が出たり、予想よりも低い要介護度の判定が出たりしているとの声が現場からあがっているのだ。どのような手順で、要介護認定は行われるのだろうか。東京都内で認定業務に関わっていたAさんが解説する。「認定の申請をすると、調査員が自宅などを訪れ、74項目の調査をします。調査結果がコンピュータにかけられ、一次判定が出ます」ここで出された客観的なデータと医師の意見書をもとに、一次判定の結果が妥当なのか、市区町村の審査会で審査される(画像参照)。「私が所属していた審査会のメンバーは5人。月に換算すると2.5回ほど参加してきました。1回で40名分ほどの審査が行われますが、時間は全体で30分から1時間ほどしか要しませんでした」もちろん、事前に資料が送られてくるので、問題なさそうな人は30秒ほどで審査が終わる。「しかし、どこの審査会でも、医師が議長のような立場となります。利用者思いの人もいれば、適当な人もいる。医師の意見に反論をしづらい雰囲気の合議体もあって、同じ市区町村単位でも、合議体ごとにばらつきが出ているはずです」審査会では“認定を抑制しろ”と表立って言われることはないが、そうした空気はあるという。「認定後も利用されたケアプランの点検が義務付けられていて、『そのサービスはいらないんじゃないか』など、厳しく判断されます」実態にそぐわない厳しさを感じるケースもあるという。「ある透析の患者さんには苦労しました。要支援2だったのですが、週3回、半日に及ぶ透析を受けて、その日は体力が持たない。床で寝るよりもベッドの生活のほうが楽なのですが、要支援2では介護ベッドは借りられませんので、本来なら要介護2に上げたかったんです。でも、ガイドラインでは、認知症の症状がなければ要介護1すら受けられません。また、車いすは歩行できる人は借りられませんが、その歩行の基準は、5メートルをものにつかまらずに歩けること。しかし、5メートルをやっと歩ける人が、徒歩10分のスーパーに買い物に行けるでしょうか。『日常生活に支障をきたすので、車いすを貸してください』としっかり伝えられる経験豊かなケアマネであればいいのですが、経験が足りないケアマネなら、引き下がってしまうこともあります」こうした状況下で、納得のいくサービス、そして要介護認定を受けるには、どうすればいいのだろうか。『図解ポケット 30分でわかる! 介護保険の上手な使い方』(秀和システム)などの著者で、介護施設のコンサルティング業務などを行う「スターパートナーズ」の齋藤直路さんは次のように語る。「まずは調査員への対応です。74項目のチェックポイントは、ネット上でも公表されているので、事前に、どんなところが見られるのか、知っておきましょう。とくに高齢者は、調査員の前でがんばってしまうので、ふだんはどうなのかをしっかり伝え、特記事項に書き加えてもらうようにしてみましょう」■「訪問調査」あらかじめ答えを考えておきたいこと【歩行はできるか】(1−7)歩行するとき、何かの支えを必要とするか。【移動や外出の程度】(2−2、2−12)どの程度の介助があれば移動できるか。外出の頻度はどれくらいか。【トイレの状況】(2−5、2−6)排尿や排便時に介助を必要としているか。どの程度必要か。【衣服の着脱】(2−10、2−11)上衣やズボンの着脱時に介助を受けているか。どの程度必要か。【記憶や認知機能の状況】(3−4、3−7など)少し前のことを覚えているか、自分がいる場所を理解しているか。訪問調査のときだけ正しく答えられることもあるので、家族が日常の状況を把握しておく。【日常生活は送れているか】(4−4、5−6など)昼夜は逆転していないか、簡単な調理はできるか。【会話能力に問題はないか】(4−5、4−15など)しつこく同じ話をすることはないか、話は支離滅裂ではないか。※()内は調査票の質問番号。医師の意見書も、認定に大きく影響する。高齢者は内科や整形外科など複数の主治医がいることが多いが、生活実態をいちばん知っている医師に依頼しよう。「医師のなかには、意見書をしっかり書き上げてくれる人もいれば、ほとんど白紙のような人もいます。真摯に対応してくれる主治医を見つけておくことが重要です」
2022年05月05日ベストセラー作家・池井戸潤原作、累計発行部数50万部突破の『シャイロックの子供たち』(文春文庫)が、2022年にWOWOWでドラマ化することが決定した。池井戸潤が「ぼくの小説の書き方を決定づけた記念碑的な一冊」と明言し、作家人生の転機として位置付けてきた本作。タイトルの「シャイロック」とは、シェイクスピアの戯曲『ヴェニスの商人』に登場する、強欲な金貸しのこと。本作は、銀行という組織を通して、普通に働き、普通に暮らすことの幸福と困難さを鮮烈に描いた群像劇である。物語の舞台となる東京第一銀行・長原支店は、中小零細企業が主な取引先の小さな店舗。出世街道を外れた課長代理・西木雅博をはじめ、家族を支える真面目な女性行員、エリートで策略家の支店長、業績のためにはパワハラも辞さない副支店長、業務課のエースなど、個性豊かで一癖ある行員たちが皆それぞれの事情や葛藤を抱えながら働いていた。そんなある日、長原支店で100万円の現金紛失事件が発生する。女性行員が犯人として疑われるが、紛失事件を追っていたはずの西木が突然失踪してしまう。現金紛失事件と西木の失踪。2つの謎と長原支店の行員たちの物語が交錯し、やがて現金紛失事件の裏に隠された不正が明らかに。そして西木が姿を消した驚きの真相とは。WOWOWでは、池井戸作品がまだ連続ドラマ化されていなかった2009年に『連続ドラマW 空飛ぶタイヤ』(2009年 / 全5話)を映像化し、その年のドラマ賞を席巻。それ以来『連続ドラマW 下町ロケット』(11年 / 全5話)、『連続ドラマW 株価暴落』(2014年 / 全5話) 、『連続ドラマW アキラとあきら』(2017年 / 全9話)、『連続ドラマW 鉄の骨』(2020年 / 全5話)など、数々の池井戸潤原作ドラマを世に送り出してきた(※いずれもWOWOWオンデマンドにて全話アーカイブ配信中)。監督は鈴木浩介、脚本は前川洋一が務め『連続ドラマW アキラとあきら』や『連続ドラマW 鉄の骨』に続いて再び池井戸作品でタッグ。なお、主人公・西木をはじめとする登場人物たちを演じるキャストは今後発表されるという。『シャイロックの子供たち』2022年放送・配信スタート公式サイト:
2022年02月17日松本潤が遊川和彦とタッグを組む「となりのチカラ」が1月20日スタート。松本さん演じるチカラに「見たことない松潤」「めっちゃ新鮮」などの声が殺到、ずっとセーターを裏返しのまま着ている姿にも「可愛い」の声が多数寄せられている。「人を救いたい」「周囲を平和にしたい」という思いから、いつも中途半端に他人の問題に関わり、簡単に解決できない問題だとわかるとオロオロと中腰になりながら悩んでしまう中越チカラを主人公に、そんなチカラが同じマンションに住む住人たちの悩みを解決し、やがてそのマンションはひとつのコミュニティーとなって強い繋がりを持っていくという、現代人の心に癒しと少しの勇気を与えてくれる、社会派ホームコメディーとなる本作。中越チカラを松本さんが演じるほか、チカラの妻で12歳の娘・愛理と10歳の息子・高太郎の母親、アパレルショップで店長を務めている中越灯に上戸彩。小学6年生のチカラの娘・中越愛理に鎌田英怜奈、高太郎に大平洋介。中越一家のお隣に住むエリート会社員で、妻と娘と仲良く暮らす理想的な3人家族に見えるが、なぜか妻と娘は何かに怯えている木次学に小澤征悦。学の妻の達代に映美くらら。小学3年生の娘・好美に古川凛。中越一家の真下に住み、数人でルームシェアをしているマリアにソニン。凶悪少年犯罪事件の真犯人“少年A”という噂がある上条知樹に清水尋也。震災で両親を失い祖母の清江と暮らす高校3年生の柏木託也に長尾謙杜(なにわ男子)。託也の祖母・清江に風吹ジュン。チカラの担当編集者・本間奏人に勝地涼(友情出演)。チカラが仕事場に使うカフェの店主に夙川アトム。マンションの管理人・星譲に浅野和之。中越一家の隣人で占いにハマっている道尾頼子に松嶋菜々子といったキャストが出演。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。東京の郊外にあるマンションにチカラたち一家が引っ越してくる。個性豊かな住人たちに思いを巡らせるチカラに対し、灯は「ご近所のことに首を突っ込まないように」と諭す。しかし隣の部屋から叫び声が聞こえ、心配でいてもたってもいられなくなったチカラは隣の木次家を訪ね、学に怯えたような表情をみせる達代と好美が気になる。実は好美は虐待を受けているらしく…というのが1話のストーリー。チカラ役の松本さんに「面白かった! 見たことない松潤だった!」「こういう役の松潤新鮮だなー。凄い好き」「今までの松潤と違うキャラでめっちゃ新鮮」などの反応が上がるとともに、「歩き方も話し方も違って松本潤くんなのに松本潤くんじゃ無かった」など、これまでにない役柄を演じる松本さんの演技力を高く評価したコメントも。一方、放送が開始してしばらくたつとSNS上には「セーター裏返しじゃんチカラくんw」「セーター表裏逆じゃございませんか?」など、チカラがセーターを裏返しに着ているという指摘が相次ぐように。その後、裏返しに着ていることを灯に指摘されたチカラはあわてて脱ごうとするのだが、視聴者からはその姿にも「セーター表裏逆可愛い」「チカラくん可愛すぎ セーター裏返し」など、多数の“カワイイ”という反応が寄せられている。(笠緒)
2022年01月20日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「親ガチャ」です。階層の固定化をどのように崩していくのか。「親ガチャ」とは、カプセル玩具やソーシャルゲームの“ガチャ”になぞらえて、親や生まれる境遇を選べない状況を表す言葉で、国会でも取り上げられました。かつては「一億総中流」といわれ、どの家庭に生まれても平準化された暮らしがありましたが、いまは大きく変わってしまいました。一般的に親の年収ごとに400万円以上ならN(ノーマル)。1000万円以上ならR(レア)。3000万円以上ならSR(スーパーレア)、400万円以下はB、C、D…と、ゲームのランキングのように、年収と職業を符号させることがネット上で流布されています。階層化をまざまざと認識させるような手法は、社会の分断を加速させてしまいます。一番の問題は、階層移動が不可能な格差が固定化されていることでしょう。これまでは、個人の努力によって、いかなる家庭に生まれようとも望む暮らしが手に入れられるチャンスがありました。ところが、いまは頑張ったところでどうにもならない状況に追い込まれています。この問題の解決には政治の力が求められます。少なくとも、「機会の均等」について対策をとるべきでしょう。日本は教育への投資がGDP比率で圧倒的に低い状況にあります。大学までは国が無償で面倒をみる、給食費は国や自治体が税金でまかなう、タブレットやパソコンなどのデジタル機器・通信環境は家庭によって差が出ないように補助していくなど、方法はいくつもあると思います。アメリカのシリコンバレーでは、難民や移民、貧困層の子供たちに民間の企業が寄付を呼びかけるなど、教育機会を与えて人材育成に力を注いでいます。日本では孫正義さんが率いる財団で、進学や留学、研究などを志す若者たちのサポートをしていますが、民間企業全体ではそういうサポートがまだ足りていません。自分たちの国を支える技能者を育てるという観点からも、必要なことなのではないかと思います。子供たちを国や社会で育成するという視点が重要なのではないでしょうか。読者のみなさんも、自分が親になったときに、子供の人生が自分の年収で決まってしまう社会でいいのか?考えていただけたらと思います。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年12月8日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年12月04日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「中国TPP加盟申請」です。中国も台湾も加盟を申し出た。行く末に注目。TPP(環太平洋パートナーシップ)協定の始まりは、ASEAN(東南アジア諸国連合)や南米地域の経済連携でした。ところが、オバマ政権時にアメリカが加わることになり一気に色合いが変わりました。中国の台頭が目覚ましくなり、中国を牽制する連携が必要と、自由主義諸国の中国経済圏への対抗措置として交渉が進められるようになったのです。日本は最初は関心を示していませんでしたが、この巨大な貿易圏に入っておかなければ、将来孤立しかねませんし、最初からルール作りに参加しておいたほうがよいだろうと判断。反対意見もあるなか、民主党政権下で参加を決め、交渉を開始しました。ところが2017年、ようやく貿易交渉も合意したところに、トランプ政権が誕生し、アメリカはTPPを離脱。一気に、規模が縮小してしまいました。そこからは日本主導となり、2018年に11か国がTPPに署名しました。今年、バイデン政権になり、日本はアメリカのTPP復帰を求めていますが、バイデン大統領は静観しています。そんな折、中国がTPP加盟を申し出ました。習近平国家主席は当初からTPPに関心を持っていたらしく、米国が抜けたいまがチャンスだったんですね。中国は戦争という武力で圧力をかけることよりも、交渉のなかで自国に有利なルールを作り、中国の貿易圏に取り込むことで他国を経済的支配下におくことに注力してきました。TPPはその大きな入り口になるところでした。そこへTPP加盟を申し出て牽制に入ったのが台湾です。これには「中国は一つではなく、台湾は台湾」というメッセージが込められています。TPPの加盟には参加国全員の合意が必要です。中国を先に入れれば台湾やアメリカの加盟は不可能になるでしょう。また、台湾を先に入れれば中国を敵に回すことになり、アジア太平洋地域の緊張につながります。日本にとって頭の痛い問題なのです。TPPの先には、さらに国や地域を拡大した連携などの構想があります。政治と経済を切り離し、東アジア全体の安定につながるような交渉ができるといいのですが、そう簡単にはいかないでしょう。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年12月1日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年11月26日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「東京オリパラ」です。パラの成長を見た東京大会。認知に広がりも。東京オリンピック・パラリンピックは大会としては結果的に成功だったように思います。無観客でさまざまな制約があったにせよ、特にパラリンピックは過去の大会に比べると注目度もたいへん高く、史上最多の4403人の選手が参加しました。アフガニスタンでは開催直前に政変が起き、選手が大会に参加できず他国に逃れるという事態に。開会式では国連難民高等弁務官事務所の方が代わりに国旗を持って入場行進をし、最終的にはサポートを得て2人の出場が叶いました。女性選手も、LGBTQをカミングアウトする選手も、これまでの大会以上に参加が増えました。僕はパラリンピックの取材に関わっていましたが、会場内の感染対策は徹底していました。関係者はPCR検査を毎日無料で受けられ、毎朝専用アプリに体温を入力。それが自分のIDナンバーに紐づけられていました。誰か記入漏れがあると同じ取材グループ全員にメッセージが届き、入力を促すシステムで、すごく安心感がありました。こういうデジタル化された管理システムが街中でもできればと思います。日本のボランティアは、海外から高い評価を得ました。しかしそのバックヤードでは、1年延期により指揮命令系統や担当者の引き継ぎに不具合があり、ボランティアのみなさんに大きな負荷をかけてしまっていたようです。東京五輪は、政治的な抗議パフォーマンスが認められた初めての大会でもありました。女子サッカーなどでは試合開始前に選手が片膝をつき、女子砲丸投げの銀メダリストは表彰台で両腕をクロスして人種差別等に抗議を示しました(表彰台上でのパフォーマンスは本来は禁止)。Black Lives Matterなどの流れを受けたことが背景にあります。ミャンマーの選手の日本への難民申請が異例の早さで認定されたのも、オリパラという世界が注目する場だからできた判断だったと思います。今回、オリンピックよりもパラリンピックのほうが、理念をより体現した大会だった印象です。世界中の人々が集まり、出身国の政治状況を身近に知る機会になったのは、大きな財産になったのではないでしょうか。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年10月27日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年10月23日米倉涼子主演の「ドクターX~外科医・大門未知子~」第7シリーズの2話が10月21日オンエア。要潤演じる興梠に怒りの声が上がるとともに、米倉さん演じる未知子がみせた“飛沫防止御意ポーズ”にも多くの視聴者の注目が集まっている模様だ。100年に1度のパンデミックで新局面を迎えた日本最高峰の大学病院「東帝大学病院」では感染治療と内科を最優先、不要不急の外科手術は延期する方針となっており、かつて花形だった外科は別棟の分院へ追いやられ、メスを使わない「ケミカルサージェリー」を推進する内科が台頭の兆しを見せていた。そこに舞い戻った未知子が疲弊しきった医療現場でも怯むことなく、目の前の命を救うべく邁進するのだが、彼女の前にまた “新たな敵”が立ちはだかる…というという展開の本作。米倉さんのほか、城之内博美に内田有紀、神原晶に岸部一徳、海老名敬に遠藤憲一、加地秀樹に勝村政信、原守に鈴木浩介、大間正子に今田美桜、蜂須賀隆太郎に野村萬斎、蛭間重勝に西田敏行といった顔ぶれが出演。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。前回ラッサ熱に感染しなんとか一命を取り留めた未知子は、外科医に復帰すべくリハビリを続けていたが、一向に手術を担当させてもらえないでいた。そんななか蜂須賀がアメリカからスーパー脳外科医・興梠広(要潤)を「東帝大学病院」に招聘する。未知子のことを知っている様子の興梠だが、未知子は記憶になく…。一方、分院に追いやられ肩身の狭い思いをしている蛭間は、気晴らしのために加地と海老名を連れ銀座のクラブへ。しかし昔馴染みのママ・二木麻也子(夏川結衣)が不意によろけ、長年懇意にしてきた彼女のため病院の特別室を空けさせ、検査入院の手配を整える。検査をしようとする未知子だが、そこに蜂須賀が現れ興梠を担当医に任命。興梠の検査結果分析を聞いた未知子は、もっと詳しく検査すべきと主張するが相手にされず、興梠は麻也子の手術を開始する。しかし途中で麻也子の血圧が急低下、興梠は麻也子の心臓にあった腫瘍を見逃していた。…というのが2話の展開。しかも未知子は興梠がNYでコロナ対策に当たっていた際、逃げ出すように帰国していたことを思い出す…そんな興梠に「興梠先生、逃げちゃダメだ…」「何ロックダウン中の街から逃げてスーパードクターだよ」「現場から逃げたのかそりゃみちこ激怒だわな」などの声が上がる。興梠から手術を引き継ぎ見事に成功させる未知子を見た蜂須賀は、彼女に自分の懐刀として働くよう告げるが、未知子はコロナ仕様の飛沫防止御意ポーズを見せるも、その後「それはいたしません」ときっぱりそれを拒む…。「未知子もヘンテコ御意した」「未知子が新しい御意のポーズをした」「まさかの未知子の、無言御意ポーズ」「未知子の御意ポーズは可愛いからイライラしないわぁ」など未知子の“飛沫防止御意ポーズ”にも多くの視聴者の注目が集まった様子だ。(笠緒)
2021年10月22日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「世界の気温1.5℃上昇」です。加速する温暖化。脱炭素に向けた新技術に注目。8月、IPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)は、今後20年以内に、世界の平均気温上昇が産業革命前と比べて1.5度に達するという予測を発表しました。これは3年前の報告よりも10年早まっています。温暖化は人間の影響により起きており、そのせいで熱波や豪雨、干ばつなどの異常気象が増加。気温の上昇は2050年頃にCO2の排出をゼロにしても1.5度、ゼロにならなければさらに上がり、脱炭素対策が急務であると警告しました。日本政府は4月、2030年度には‘13年度比でCO2を46%削減すると発表しています。しかし、産業界からは、それさえ難しいという声が上がっており、再生可能エネルギーの普及促進を政府に求めています。家庭でのCO2排出量削減は66%減が必要と国は試算していますが、個人でできる範囲は限られます。電力の使用量を可視化できる「スマートメーター」も個人で新たに設置するには高額です。国は街づくりと一体化して、効率的に電力を運用していく必要があるのではないでしょうか。環境省は、‘19年より省エネ製品買換ナビゲーション「しんきゅうさん」をウェブで公開。また、ステイホームで長時間使用するようになったエアコンのサブスク化の検討も進めています。新しい省エネ機種を購入するのではなく、月額使用料を支払い、導入しやすくする狙いがあります。また、大学や公的機関のインフラを再生エネルギー100%に変えていく試みも始めようとしています。企業に対しては、太陽光パネルの設置の義務化も提案されましたが、それには森林を切り開かなければいけなかったり、台風や土砂災害により太陽光パネルが産業廃棄物になってしまうという環境負荷の問題もあり、異論が出ています。そんななか、非常に薄いフィルム状の「ペロブスカイト太陽電池」が開発されました。世界で注目の次世代型太陽電池で日本でも研究が進んでいます。将来は自分の使用するエネルギーを、身につけているものでまかなう時代になるかもしれません。新しいテクノロジーに社会的関心が高まり、研究促進の後押しになるといいなと思います。ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年10月6日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年10月01日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「アフガニスタンとタリバン」です。タリバンの圧政を恐れ、逃げる国民。世界の監視が必要。8月16日、武装勢力タリバンがアフガニスタンのほぼ全域を制圧しました。タリバンは1996年に政権を樹立。しかし2001年、アメリカ同時多発テロの首謀者・ビンラディンを匿っているとして米軍などがアフガンを空爆、政権を崩壊させました。その後、約20年間、タリバンは駐留米軍や政府軍と戦闘状態にありましたが、前トランプ政権時に米軍が撤退することで合意。引き継いだバイデン大統領が5月から撤退を本格化させるとタリバンは次々に全土を掌握、首都を包囲されたガニ大統領は国外に逃れ、8月末の米軍の完全撤退前に政権が崩壊しました。元タリバンの兵士で、現在は現地で平和構築活動をしている方を3年前に取材したことがあります。そのときに、「シリア内戦やISの台頭など、世界の注目がアフガニスタンから外れていった。その空白(時期)が生まれると暴力が起きる」とおっしゃっていました。今回の制圧も急に進んだのではなく、ガニ政権は腐敗しており、タリバンの活動は近年活発化していたのです。旧タリバン政権は女性の教育や就労を認めず、男性家族が同伴しない外出を禁止。人権侵害だけでなく、反政府勢力となってからは無差別テロをたびたび起こすなど残虐性が増していると指摘する海外メディアもあります。復権による圧政を恐れた国民は、国外に逃れようと空港に押し寄せ、離陸する飛行機にしがみつき振り落とされて亡くなる悲劇も起こりました。そんななか、中国やロシアはいち早くタリバン新政権を支持すると表明しました。中国にとっては一帯一路構想の重要な地域なので、タリバンと良好な関係を築いておきたいのです。一昨年、アフガニスタンの緑化運動を進めていた中村哲医師が、武装勢力に殺害されました。現地には日本の人道支援に対して、強いリスペクトを持つ人が大勢います。こういうときこそ、アメリカかタリバンかではなく、市民の側に立ち、生活が安定するように関わり続けることが重要なのではないかと思います。いま現地では、激しい攻撃を受けながらも、女性たちが権利を求めて抗議活動を行っています。動向を注視しなければなりません。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年9月29日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年09月24日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「新型コロナの治験」です。多くの治験が新薬の完成を早めます。新型コロナウイルス感染症の感染拡大がなかなか収まらないなか、急がれるのは治療薬の開発です。そのために行われるのが「治験」です。治験とは、新しい治療薬の候補が開発される過程で、健康な人や患者さんに使ってもらい、効果や安全性、副作用の有無などを確かめる臨床試験のこと。体を使って調べるため、もちろんリスクを伴いますが、検査費用の負担はなく日本では何かあればすぐさま医療機関による手厚いフォローが受けられます。現在、国立国際医療研究センターの治験管理室や「生活向上WEB」で、新型コロナの治験参加者を募集しています。「生活向上WEB」の募集案内によれば、自宅で服薬しながら病院に定期的に通い、7か月にわたり経過を調べる。通院は、自宅から病院まで専用タクシーが送迎。参加することにより、薬の開発は進み、社会貢献になると記されています。ただし、治験にはデータを採るのに適した検体でなければいけません。新型コロナの治療薬候補の場合、陽性患者で症状があり、ワクチンをまだ一度も接種していない成人男女が対象になります。あらゆる治療薬の開発に治験は欠かせません。日本での治験の数は近年増えていますが、先進国のなかでは下位に位置します。アメリカなどは医療費が高額なため、無料で治療を受けられる治験を希望する人は大勢いますが、日本では一定水準の医療が保険適用で受けられるので、無理して受けようという人は限られているのです。治験の数が足りない分は、アジアの他の国のデータを活用しますが、日本人の治療には、やはり日本人による治験の結果が必要です。たとえば、海外の製薬会社で新薬が開発されても、日本人の治験結果がなかなか採れないためその薬が日本に投入されない、もしくは日本向けには開発されないという問題が起きてしまいます。このことに厚労省は危機感を抱いています。治験については、まだ一般にはよく知られていません。政府はもっと広くアナウンスするべきではないでしょうか。新型コロナの治療薬も、多くの治験データ収集が、完成に少しでも近づけることになります。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年9月22日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年09月18日Twitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2021年夏スタートのテレビドラマ『TOKYO MER』の見どころを連載していきます。誰かが現状やっていることだとしても、自分がやるとなると見える景色は全く違う。近くで見ていて自分のキャパシティを超えたものだと自覚があれば尚更だ。それでも、そんな仕事やミッションが転がり込んできたらどうするか。しかも大体そのタイミングは、準備もなく突然なのである。『TOKYO MER』9話大使館の地下駐車場に閉じ込められた喜多見と千住心配なニュースが入ってきた。TBSで毎週日曜9時に放送中のテレビドラマ『TOKYOMER』に出演中で、公安の警察官を好演している稲森いずみと馬場徹の2人が新型コロナウイルスに感染し、自宅療養・経過観察にて今後の撮影は状況次第とのこと。ドラマは最終回間近の佳境であり、そんな中で撮影スケジュールが変更になるということは、他の誰よりもご本人たちにとってどれほどもどかしく悔しいことかと思う。ただただ、お2人の1日も早い回復を願うばかりである。ありとあらゆる境界線を踏み越え、想像もつかないような危険区域に突入して患者を救ってきた救命医療チームMER。最終盤に入った今回の現場は、ある意味都内で最も厳密な『入れない』場所の1つある外国大使館である。大使館の地下駐車場で二酸化炭素中毒事故という、想像するだけでも息苦しい現場に、MERチーフの喜多見とレスキュー隊の隊長である千住(要潤)の2人はシャッターで閉じ込められてしまう。危機をこれでもかと何重にも重ねるのがこのドラマの真骨頂ではあるが、大使館での事故という高度な政治判断が求められる状況で、MERの長である都知事の赤塚(石田ゆり子)は持病が重篤化して指揮を取れなくなってしまう。赤塚に代わり、最終的な判断と責任を引き継いだのは、危機管理対策室長の駒場(橋本さとし)。レスキュー現場叩き上げの実直さの分だけ政治的な駆け引きには長けておらず、責任者である大使と連絡が取れずに活動の許可を得られないままの現場指揮に苦悩することになる(そして例のごとく厚労省の横槍も入る)。喜多見と千住のバディからも目が離せない今作において、主人公・喜多見のバディと言うべき存在はクールな医系技官の音羽尚(賀来賢人)だが、一方でレスキュー隊の無骨な隊長の千住もまた、喜多見とともに並ぶ佇まいが魅力的だ。互いに黙して語らず、目線や背中合わせの空気で通じ合う音羽とのバディとは対照的に、喜多見と千住のやりとりは言葉も主張もガツガツとぶつけ合って、信頼を得ていく熱さがある。今回のエピソードの通低音は『息苦しさの恐怖』である。この一年半、社会全体が新型コロナウイルスと闘い続けて、息苦しいということへの不安が共有されている今、この恐怖は鬼気迫るものがあった。かろうじて窒息寸前で脱出した喜多見は、駆けつけるMERメンバーに連れ帰った患者の正確な病状を息も絶え絶えに伝える。それは第3話で立てこもり犯人相手に命の危機に晒されながら患者の病状を叫んで伝えた看護師の夏梅の懸命さとも重なる。自らの危険を顧みず人を連れ帰るのがレスキューの矜持(きょうじ)ならば、自分の苦しみより1秒でも早く正確な判断で患者を救おうとする救急救命医の矜持を感じるシーンだった。レスキューのプライド、救急救命医のプライド、そして今まで絶妙な政治判断でMERの存続を繋いできた赤塚都知事の不在を危機管理対策室長の駒場はどのようにリカバーしたか。それは連絡のつかない当該大使をめぐる解決であり、半歩引いたところから情報収集をして駆け引きを交えながら大局の判断を下すという、いかにも「赤塚都知事ならばこうする」といった鮮やかな解決であった。手に余る判断や責任を負う時「あの人ならばどうするか」の仮定は、誰にとっても有効なツールである。室長の駒場とレスキューの千住は師弟のような間柄らしく、こういった脇を固める人物の来し方のサイドストーリーに思いをはせたくなるのも、このドラマの楽しさである。『TOKYO MER』最終回直前物語に不穏な空気もさて、これでめでたしというところに一旦落ち着きかけて、最後に不穏なトリガーを引くのも、最終回間近のエピソードゆえだろうか。一度はうまく隠しおおせたかに見えた喜多見の過去が厚労省の久我山によって蒸し返され、世間に流布されたことでMERは世論を敵に回すことになってしまう。救いたいと奔走してきた社会の人々から無情に石を投げつけられるとき、MERはその信念をぶれさせることなく走り続けられるのか。タフな医療従事者たちの物語も、終幕が近い。TOKYO MER/TBS系で毎週日曜・夜9時~放送過去のTOKYO MERドラマコラムはコチラから[文・構成/grape編集部]
2021年09月02日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「熱海土砂災害」です。突発的な災害に備えるため、住む地域を見直そう。7月、熱海市伊豆山地区にて大規模な土石流が発生し、約130棟の建物が被害に遭い、多くの死者と行方不明者を出しました。現地に行ってみると、典型的な土石流とは明らかに様子が違いました。これまでの現場では大岩や根から折れた木などが流れてきて、土は粘り気のある泥状でした。ところが今回は、土を踏むと膝まで埋まってしまうサラサラのシャーベット状で、足が掬われそうになりました。専門家の調査では、「盛り土」により造成された山が崩壊し、そのまま土砂となって流れていたことが判明。この場所の、度を越した盛り土問題は県も把握しており、業者に対して指導をしていたにもかかわらず、対策が取られていなかったことが問題になっています。土石流を引き起こしたのは短時間の集中豪雨。熱海市の72時間降水量は、過去最大量の1.3倍にあたる500mm以上だったことが分かりました。明らかに気象が変わってきているため、防災基準の見直しは必須でしょう。国土交通省は大規模盛土造成地の徹底調査を行っており、全国で5万1306か所存在していると昨年3月に発表していました。しかし、自治体に対し国が安全対策の必要性を伝えても、自治体には、民間業者に販売権利を撤回する権限はありません。また、この背景には、都市近郊に人口が集中し、土地のないところに土地を造成して住宅を増やさねばならないという近年の宅地開発の流れも深く関係しています。やはり自分の身は自分で守るしかないと思います。山や川が近い、液状化が起きるかもしれないなど、自分の住む地域に災害の可能性を少しでも感じているのならば、何らかの対策を検討する必要があります。熱海の土砂崩れの第一報は、公的機関の発表より前に住民のグループラインによって、「あそこが危ないらしい」と連絡が回ったそうです。集中豪雨はすさまじい雨音のため、広報車の避難アナウンスもほとんど聞こえなくなります。予期せぬ大規模災害を即座に察知するには、地域住民の連携による防災発信が大切になります。これからは、“地方創生と防災”が、住みやすさの大きなキーワードになると思います。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年8月25日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年08月24日Twitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2021年夏スタートのテレビドラマ『TOKYO MER』の見どころを連載していきます。経験を積めば人脈は増える。増えた人脈はよりレベルの高い仕事を可能にする。一方でそれはしがらみにもなってあなたを縛る。利害の調整、恩義、尖った意見は誰かを怒らせそうで、もう言えない。最初に理想はあったのに、いつしか遠くに流されてしまう。そしてほろ苦く思う、生きるってこういうことさ。多少なり誰にでも覚えがあると思う。でも、戻れないところに流されてしまう前に、確かに幾つかの分岐はあったはずだ。『TOKYO MER』第5話、大物政治家と妊婦の救出で揺れる音羽移動する手術室として、さまざまな災害や事件の現場に駆けつけてきた『TOKYO MER』。第5話の現場は、本拠地としている病院内のエレベーター。ここまで、鈴木亮平演じる凄腕救命医のチーフ・喜多見と対になる存在として描かれてきた、賀来賢人演じる、医系技官(厚労省の官僚であり医師でもある)の音羽尚が、大物政治家と臨月の妊婦、そして病院ボランティアの喜多見の妹とともにトラブルを起こしたエレベーターに閉じ込められる。さらにエレベーターには火災の煙が充満し、臨月の妊婦の容体が急変する。官僚として更なる高みで大きな仕事を成し遂げたい音羽は、政治家の意向には逆らえない。煙の中、目の前で苦しむ妊婦か、自分を真っ先に助けろと騒ぐ大物政治家(桂文珍演じるこの政治家が、また下劣かつ自己中心的で同情の余地がない)か、音羽は苦しい選択を迫られる。こんな多重危機が次から次に発生する確率を考えてしまうより前に、視聴者をジェットコースターのごとき物語のレールに乗せてしまうのが今作の巧さだ。名探偵がいれば事件が起こる、それと同じだと思う。災害現場でも事件でも常に真っ先に患者の元に走るチーフの喜多見が、エレベーター内という特殊な環境もあって今回は一向に現場に辿りつけない。イヤホンマイクの声と不鮮明なエレベーター内カメラの映像を頼りに、喜多見と音羽はやりとりを重ねてエレベーター内での緊急帝王切開を決断する。音羽の出世の道を閉ざしてでも妊婦を救う決断に向けて、決して焦らずに柔らかい口調で対話を積み重ねる喜多見のありようが興味深い。喜多見はこれまでのMERの現場の経験から、音羽がどちらを選ぶのかは分かっている。しかし、どこまでも本人の明確な意思で選んでほしいと内心願っている。やはり喜多見は医者であるのと同時に、卓越したチームリーダーであり、オーガナイザーなのである(その『人たらし』ぶりは、喜多見が現場に辿り着いた時に政治家まで巻き込み当事者にして、味方につけるあたりでも発揮される)。その喜多見が決断のために音羽に最後に投げかけた言葉は「(手術をするかどうかは)あなたの判断に任せます。あなたは、医者ですから」。喜多見の言葉で、音羽は官僚ではなく1人の『医者』として手術の判断を下す。その決意は、簡潔な一言だった。「命より大事なものなんか、この世にはないんです」。誰の人生にも、大小の分岐点がある。常に迷わずに選べるならば幸せだが、大抵はどちらの道にもメリットもデメリットも同じくらいあって、私たちは迷う。迷って誰かに背中を押してもらうなら、せっかくならば妥協ではなく、きれいごとで背中を押してもらいたい。そう思わせてくれるような心の震えるシーンだった。複雑な人間の心の機微を表現する、賀来賢人の演技テレビドラマ『今日から俺は!!』(日本テレビ系)で、金髪の悪魔・三橋をコミカルに演じて世代を超えた人気を得た賀来賢人だが、出世作ともいえる朝ドラ『花子とアン』(NHK)では、妹・花子の成功に屈折した思いを抱く軍人の兄を好演している。感情を殺しストイックさを前面に押し出しつつ、心の奥にある柔らかさを隠しきれない。そういう複雑な役もよく似合う。音羽が医師と同時に官僚になった動機は、貧しさで適切な医療にアクセスできなかった自分の母親への思いからであった。しかし、喜多見の妹の涼香に問われても音羽はその動機を明かさない。音羽は命を救った新生児の小さな手のひらに触れながら、その母親に懺悔するように静かな声で語りかける。そして、「新しい命を支援する仕組みを利用してほしい、自分は誰もが希望を持って生きられる国にしていくから」と、付け加える。そこで気づく。今回の話は医療従事者へのエールであるのと同じくらい、時に愚かな上からの指示や、矛盾した社会の状況に息苦しく縛られながらも、少しでもベターに制度を変えたいと日々激務をこなしている官僚たちへの熱いエールでもあったということを。あらゆる危険な現場とタイムリミットに疾走する今作も第5話にして折り返しである。毎回の濃密さに「まだ」と「もう」という思いが交錯する。この爽快な医療チームがどんな道をいくのか、後半も見守りたい。TOKYO MER/TBS系で毎週日曜・夜9時~放送過去のTOKYO MERドラマコラムはコチラから[文・構成/grape編集部]
2021年08月07日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「育休法改正」です。現場の声を反映。男性が取得しやすい制度に。改正育児・介護休業法が成立し、2022年より施行されることになりました。この改正の大きなポイントは、「男性が育児休業を取りやすくするように定めた」ということです。これまでの男性の育休取得率は7.48%、1割にも達していませんでした。さらに、取得した人のうち、7割が取った期間が1週間以内。もっと長期に、必要なときに分割して何度でも取れるようにと、現場のお父さんお母さんの声が改正案には反映されました。これは大きな前進だと思います。現在、孤立してしまうお母さんの産後うつの問題が深刻です。また、僕も経験がありますが、働く男性にしてみたら、いったん長期間休んで前線を離脱してしまったら、元のポストに戻れないのではないかという怖さもあります。さらに、休めば残業代が減ってしまいます。そういう経済的理由からも育休は取りにくいものでした。改正後は新たに出産日から8週間の間に4週間の育休を取れ、子供が1歳になるまでに女性は2回、男性は最大4回に分けて取得することが可能になります。さらに、育休取得日の半分を上限に仕事をすることも認められます。給付金は育休開始時賃金の67%が支給され、厚生年金など社会保険料が免除されるため、実質、収入の8割程度が保障されることになります。これまでは正社員だけの制度でしたが、改正法では、働いて1年未満の非正規雇用でも育休を取れるように変更されました。ある調査で男性の5人に1人が、育休を取らなかった理由を「職場が育休制度を取りづらい雰囲気だったから」と答えています。「取っていいと思っているのか?」と上司に言われ、申請できなかったという例も聞きました。そんな職場の空気を是正するため、育休取得対象の男性に、会社は制度の説明をし、取得の意向を確認をすることが義務化されることになりました。日本は有給休暇も取得率が極端に低い。けれども休みを取りやすい会社のほうが生産性が高いという数字も出ています。休むことで仕事のパフォーマンスも向上します。子供の有無にかかわらず、休みが取りやすい職場に変わっていくことを期待したいですね。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年8月4日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年08月03日鈴木亮平主演「TOKYO MER」の4話が7月25日放送。これまで対立してきた鈴木さん演じる喜多見と要潤演じる千住が共に救出に向かう様と、佐野勇斗演じる徳丸がバイクにまたがり放ったセリフ。そして賀来賢人演じる音羽の“エアグータッチ”にSNSが沸いている。“一人も死者を出さないこと”をミッションとして、東京都知事の号令で新設された救命救急のプロフェッショナルチーム「MER」。最新の医療機器とオペ室を搭載した大型車輌(ERカー)で、危険極まりない重大事故・災害・事件の現場に駆けつけ、負傷者にいち早く救命処置を施す彼らの活躍と、彼らを“潰そう”と暗躍する人々を描いていく本作。都知事の赤塚から任命されTOKYO MERのチーフドクターとなった喜多見幸太を鈴木さんが演じるほか、TOKYO MERを潰すために送り込まれた“スパイ”の音羽尚に賀来さん。救命救急の知識と経験が豊富な看護師でシングルマザーでもある蔵前夏梅に菜々緒。TOKYO MERを兼務する研修医の弦巻比奈に中条あやみ。看護師のホアン・ラン・ミンにはフォンチー。麻酔科医の冬木治朗に小手伸也。臨床工学技師、救命士の徳丸元一に佐野さん。東京消防庁ハイパーレスキュー隊の千住幹生に要さん。喜多見の元妻で医師の高輪千晶に仲里依紗。TOKYO MERを発案した都知事の赤塚梓に石田ゆり子といったキャスト。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。今回はトンネル崩落事故が発生、東京海浜病院に移植手術のための心臓を運搬中の車両が巻き込まれ、心臓と医師の小山(高橋ユウ)が巻き込まれる。しかしその頃東京海浜病院では千晶がすでに心臓移植手術を始めていた。喜多見は千住たちと力を合わせ、崩落現場に閉じ込められている小山と心臓、“2つの命”の救出に向かう…というのが今回のストーリー。これまでは救助方針を巡って喜多見と激しく対立することもあった千住だが、今回は2次被害を危惧して救出を制止する危機管理対策室室長の駒場(橋本さとし)に「助けを待ってる人がいるなら行きます」と強く宣言、喜多見と共に崩落現場に突入する千住に「千住さんが喜多見化した?」「千住さんは根っこからレスキューの人なんやな」「今日こそ、喜多見先生と千住隊長が力を合わせる時」「千住隊長と喜多見先生かわ並び立つのエモい」などの声が殺到。危険な状況のなか小山は発見され、心臓も移植可能だと判断される。そこにバイクで現れた徳丸は心臓が入ったクーラーボックスを抱えた比奈を乗せ、病院に急行する…その際、比奈に対し徳丸が放った「飛ばすけど、心臓落とさないで下さいよ」というセリフに「視聴者の心臓は落とされたけど」「私なら無理まず自分の心臓落ちる」「徳丸くんめちゃくちゃかっこいいじゃん!!!がんばれ!」「ちょっと佐野くん格好よすぎる」などの反応も続出する。その後小山の手術も、移植も成功。喜多見のもとを訪れた千晶は、疲れて眠りこける彼にグータッチで感謝を伝えるのだが、実は2人きりだと思っていた室内には音羽もいて、千晶やMERメンバーがいなくなったあと、ロフトの上から喜多見に向けて“エアグータッチ”する…というラストだった。このラストにも「音羽先生もグータッチ!エアーグータッチ!!!!やりたかったのね」「えっ、やだ、音羽先生ったらエアグータッチしてる」「今の音羽先生、かわいい」「4話目にして最後デレたぞ加賀先生!!!!!!」などの声が次々と寄せられている。(笠緒)
2021年07月26日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「LGBT法案」です。LGBTと一括りではなく個別の課題解決を。与野党合意で進められていた、性的少数派をめぐる「理解増進法案」は自民党内の強い反対を受け、今国会での提出を断念しました。オリンピック憲章では、いかなる差別も認めず、ジェンダー平等を謳っています。オリンピック開催国でありながら、この法案が成案できないというのは恥ずかしい状況だと思います。2014年のソチオリンピックでは、ロシア政府が同性愛を認めないとLGBT運動を弾圧したため、各国の首脳は抗議の意を示し、開会式の参加をボイコットしました(日本は参加していました)。自民党内でも、稲田朋美議員をはじめ、LGBT当事者と対話を重ねてきた議員はなんとか成案させようと与党幹部に詰め寄りましたが、「家族観が壊れる」など、ベテラン議員からのクレームがついて進みませんでした。もともと野党は、ヘイトスピーチや、同性愛者という理由で入居を拒否されたり、社内で差別を受けたりすることを禁止する「差別解消法案」を提出していました。それに対して自民党はLGBTの人々の実情をまず知ってもらおうと「理解増進法案」を進めていました。結局、自民党案を修正する形で与野党合意したのですが、「差別は許されない」という文言に対して、与党内の保守派が「権利を与えることで、権利を極度に主張されると訴訟が起こり、かえって分断を生む。何をもって差別とするかを定義づけないかぎり法案は認められない」と強硬姿勢を崩さず、国会提出も叶わなかったのです。たとえ法律ができたとしても、差別感情を持つ人の意識が一変するわけではありません。理解を深めるためには、対話や交流の場を増やすことが肝要なのだと思います。残念なのは、この制度を決める国会議員の中に、公表しているLGBT当事者がほとんどいないということです。議員の多様性のなさにも問題があると言わざるを得ません。最初からLGBT法案に賛成か反対か、という二択から始めるのではなく、もっと小さな主語で、性別の問題で困っているさんの課題に対処するには、どんな方法があるのか。具体策を一つずつ見出すことが、状況改善の糸口になるのかもしれません。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年7月21日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年07月17日俳優の要潤が15日、高性能フィルター不織布マスク「纏(まとい)」新製品発表会に、女優の川栄李奈とともに登壇。コロナ禍で芝居にも変化が起こっていると明かした。「纏」は、自動車用ろ過機器をはじめとするフィルトレーション製品の開発・製造・販売を事業とするROKIが、約60年間のフィルトレーション製造で培った技術を活かして開発したもの。要は公式ブランドアンバサダーとして同製品のCMにも出演し、川栄はゲストとして今回の発表会に参加した。CM中で着用するブラックのスーツにゴールドのネクタイを合わせた衣装で登場した要。「撮影もすごく楽しく、仕上がりもカッコいいものになっている」と、CMの出来栄えを満足げに話しながら、「ウイルス飛沫を表現するために紙吹雪を使ったのですが、紙吹雪はいろいろなところに動いてしまうので、何回かテイクを重ねて苦労して作ったカットです」と撮影を振り返った。一方の川栄もゴールドの装飾をあしらったブラックのドレス姿で登場。CMやドラマで共演経験のある要の印象について、「本当に素敵で、カッコいい方。今回のCMもすごくカッコよくて。マスクをしていると、目で力強さを伝えないといけないと思うのですが、要さんは本当にすごいなと思いました」と絶賛した。それに対し、要が「川栄さんはお人形さんみたいにかわいらしくて大人しくて。でもお芝居になると、ガッとスイッチが入るので、女優さんだなと思います」と印象を伝えると、川栄は「ありがたいです」と要の言葉を噛みしめるように感謝の意を表した。また、マスクをする中で大変なことを司会者から聞かれ、要は「先ほど(川栄に)お褒めの言葉を頂いたんですけど、目だけで表情を作らないといけないということが多くて。先人の役者さんには『眉毛で芝居をするな』と教わったのですが、その時代が変わりつつあります。いかにここ(目元)だけで芝居するかを求められることもあるので」と、芝居にも変化が起こっていると語った。
2021年07月15日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「温室効果ガス46%削減」です。環境の問題だけではなく、経済の生き残り策 。4月に気候変動サミットが開かれ、各国が温室効果ガスの削減目標を表明しました。日本は2030年度までに2013年度比で46%削減するという新たな目標を掲げ、「50%の高みに向けて挑戦を続ける」と発表。それまでの目標値は26%削減でしたから、一気に引き上げた形になります。ところが、環境問題に熱心に取り組む若い人たちが、その数字では足りないと、経産省前でハンガーストライキを行いました。パリ協定では、世界の気温上昇を産業革命前と比べて1.5°Cに抑えることを目標に定めています。そこまで効果を出すには日本は62%の削減が必要だと訴えたのです。ちなみに他国の目標値は、アメリカは2005年比で50~52%削減。EUは1990年比で55%以上減。イギリスは1990年比で78%以上減です。アメリカのバイデン大統領は、オバマ政権で謳われた、温暖化防止と経済格差是正の両方を行う経済刺激策「グリーン・ニューディール」をさらに強化し、「クリーンエネルギー/持続可能インフラ計画」に4年間で総額2兆ドルを投入すると公約で掲げました。中国は、公害により健康被害が多く出たことを機に、環境対策に積極的になり、2030年までの温室効果ガス削減目標は2005年比で65%以上削減。また、2035年の新車販売でガソリン車をゼロに。電気自動車を中心に省エネ・新エネルギー車の割合を5割にし、残りの5割もすべてハイブリッド車にすると昨年秋に発表しました。欧米や中国の削減目標値が高いのは、環境対策がこれからの経済の主戦場になると踏んでいるからです。欧米の大手企業は、石炭や火力による電力に依存する企業とは取引しないと公言していますから、日本も再生可能エネルギーの比率を上げるなどの対処をしないと、このままでは世界の経済市場から日本の企業は排除されてしまいます。環境対策は、地球を守るというイデオロギー的なものから、産業の生き残り策に大きく変わったんですね。AIや再生可能エネルギーなど、あらゆるテクノロジーを駆使し、環境に負荷をかけない産業政策を、国が本格的にとる必要があるのではないかと思います。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年6月16日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年06月12日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「出入国管理法改正案」です。難民は犯罪者ではない。廃案後も対応是正を求める。日本の入国管理のあり方が国際的に問題視されています。まず、難民認定率が1.2%(2020年)と、とても低い。さらに、難民申請を却下された外国人が、入国管理の施設に長期間収容されていることも問題になっています。家族と引き離され、無期限勾留のような状況で、体調を崩してもきちんとした手当てが受けられません。扱いが非人道的ではないかと、国連からも再三勧告を受けていました。今国会では出入国管理法の改正が審議されました。改正案には、難民認定手続き中は強制送還が停止されるという規定を3回目以降の申請には適用せず、本国に送還できるという変更が含まれていました。しかし、内戦や封建的な軍政から命からがら逃れてきた人を母国に送り返せば、その人は殺されてしまうかもしれません。改悪案だと、多くの人が反対の声をあげ、3月に名古屋入管施設に収容中だったスリランカ人女性が死亡し、その管理状況が問題視されたことも受け、与党は今国会での審議を断念しました。難民申請をしている人が本当に難民なのかを判定するのは確かに難しいです。パスポートはもとより、その人を証明するものがないからです。けれども、難民=犯罪者ではありません。ただ、入管庁は麻薬カルテルの一味や武装集団を入国させないよう水際を守るのが仕事ですから、入管庁の中で難民審査を行うこと自体に無理があると思います。たとえば、難民局を作り、難民なのか、虚偽の申請をする偽装難民なのかを審査できる体制を整える必要があるのではないでしょうか。日本は難民申請を厳しくする一方で、特定技能制度など、外国人労働者を受け入れる規制緩和はしてきています。労働力のためには門を開き、助けを求める人には閉ざすというのは矛盾しています。欧米には多民族、多文化の土壌があり、移民を国力に反映させる術を持っています。その点、日本は多様性を受け入れるのが不得意なんですね。廃案になっても難民に対する日本の対応は問題が残っています。もしも日本が戦争状態になり、自分が国を逃れ難民になったとしたら?と想像力を働かせて考えてみてほしいです。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年6月9日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年06月05日