平成18年に介護保険法が改正され、「介護予防」の考え方やサービスが導入されました。高齢者が増加するなか、介護を必要とせずに自立した老後を送れるように、国や自治体が支援しています。上手にサービスを利用して、気持ちよく楽しい老後を過ごせるように、家族もサービスの概要を知ることが大切です。今回は、親御さんにいつまでも元気でいてもらいたいと思っている人のために、介護予防のサービスについてご紹介します。介護予防サービスとは介護予防サービスとは、これから増加していく高齢者のために、介護が必要にならないよう、主に市町村が提供するサービスです。地域の実情に合わせて、地域全体で助け合いながら、介護が必要な状態にならないように高齢者をサポートしていきます。介護予防とは介護予防は、次の2つを目的としています。高齢になっても自立して生活できるよう、要介護状態になることを予防する要介護になっている人がリハビリテーションで、できることを少しずつ増やしていく生活機能を改善するだけではなく、活動できる場や参加できるイベントなどを企画し、生きがいや自己実現など、生きる目的を持って楽しく過ごせる環境づくりを目指しています。高齢者が自立し介護を必要としなければ、昼間1人でいても、家族は安心して仕事や外出をすることが可能です。高齢者自身にとっても、1人でも大丈夫だということが自信や生きがいにつながります。介護予防サービスと介護サービスの違い従来の介護サービスは介護認定を受けた人だけが対象でした。しかし、介護予防サービスは、介護サービスとは違い、ある程度自分で家事などをできる人が対象です。例えば、1人だと買い物もだんだん大変になっていき、色々な材料を買い込んで料理をしなくなります。簡単に購入できる出来合いのものを食べるようになってしまい、料理をするという活動も少なくなるでしょう。結果的には、生活機能の低下につながります。介護予防サービスでは、ホームヘルパーさんが一緒に買い物に行き、料理の下処理などの手伝いをします。そうすることで、できることを増やし、できないことも少しずつまたできるように促すのです。介護予防サービスは、介護サービスのように全てをホームヘルパーに任せるわけではなく、高齢者が自分でできるようにサポートしていくサービスです。家族が高齢者をサポートすることも可能ですが、できなくなったことを認めたくないという気持ちもあり、うまくサポートできない場合もあります。ホームヘルパーなどの家族以外の人との接触は、生活に張り合いを持たせるというメリットがあり、おすすめです。介護予防サービスを受けられる人介護予防サービスは、要介護認定を受けていない65歳以上の高齢者で、要支援1及び2の人が対象です。地域包括支援センターが、高齢者ができるだけ自立した生活を送れるようにサポートしていきます。要支援1または2と判定された場合、介護ケアプランをケアマネージャーが作成してくれます。要介護状態にならないように、できなくなったことをリハビリテーションをして改善、サポートしていきます。 介護予防のためのケアプラン介護予防ケアマネジメントを受けて、プランを立ててもらいます。地域には「介護支援専門員」、一般にケアマネージャーと呼ばれている人がいて相談に乗ってもらえます。本人と一緒に、家族もケアマネージャーとプランを立てましょう。介護をしないですむように、老後の生活について話し合える良いチャンスです。家族だけでは話しにくいこともたくさんありますが、ケアマネージャーが一緒だと、掘り下げてプランを立てられます。家族が本音で話せる良い機会でもあるので、できるだけ家族全員で参加しましょう。 自宅で受けられる訪問サービス自分の家に住んで、介護なしで生活できれば理想的です。訪問サービスを受ければ、家族も安心して外出できます。ホームヘルパーの訪問サービスホームヘルパーが訪問して、家事の手伝いなどをしてくれます。目的は、要介護状態にならないように、支援することです。そのため、お手伝いさんのように掃除をしたり、買い物に行ったりするのではなく、一緒に活動します。また、利用頻度は、要支援1で週1回程度で、部屋の掃除はあくまでも高齢者本人が使う部屋のみです。介護予防訪問入浴「自宅に浴室がない」「感染症にかかって家のお風呂や銭湯に入れない」という場合、移動入浴車などを利用し、入浴をサポートします。訪問リハビリ生活機能を上昇させるための簡単な体操などを、理学療法士や作業療法士などが指導し、アドバイスしてくれます。高齢になると筋力が落ちて、体を動かしにくくなることが問題です。体操などで体を動かすことは、脳を活性化することにもつながります。介護予防居宅療養管理指導日常的には1人でなんでもできる状態であっても、通院は難しい場合があります。1人では病院に行けないため、通院をしないで家で我慢してしまうかもしれません。適切な医師や歯科医師の指導がないと、そのまま介護を必要としてしまう状態になりかねません。そのため、医師や歯科医師が自宅を訪問してアドバイスを行います。介護予防訪問看護利用者が自立できるようにすることを目的に、病状のチェックや療養上の世話(食事・排せつのサポートなど)をします。普段の生活が問題なくできる人でも、病に倒れたことがきっかけとなり、要介護状態になることがよくあります。できるだけ自宅で自立した生活が送れるよう、生活機能の低下が起きないように看護師が疾患のある人の自宅を訪問し看護をするシステムです。 施設に通って受けられるサービス介護予防通所リハビリテーションが、いわゆる要介護者のデイケアと同じように、老人保健施設や病院などに通って受けられるアシストです。送迎もドアトゥドアですから、家族のサポートがなくても参加できます。入浴もでき、さっぱりとして帰宅します。食事なども別払いで利用可能です。介護予防のために個々の能力に合わせ、機能訓練やセルフケアなどの指導をしてもらえます。また要支援1、要支援2では支払う料金が異なります。 宿泊して受けられる介護予防サービス介護予防の段階でも、ショートステイサービスが受けられます。仕事などでケアを十分にできない場合など、不在中のことが心配な場合に利用できるサービスです。介護予防短期入所生活介護家族の帰宅が遅くなる日が続く場合や、出張などで家族が不在の場合に、介護老人福祉施設などを利用できるサービスです。食事・入浴などのサポートや機能向上を目的とした体操などの指導が受けられます。介護予防短期入所療養介護(医療型ショートステイ)体調が思わしくない場合に、介護老人保健施設などを利用して、看護やケアが受けられます。看病する人がいない場合に安心できるシステムです。 自宅で始める介護予防まだ1人でほとんどのことができる65歳以上の高齢者が、要介護状態になることを予防するためのサービスを紹介しました。各自治体で用意されているアクティビティーなどの社会参加や日常的に身体を動かすことなどといったことは介護予防に有効です。家族がアクティビティーを見つけたり、お買い物に付き添ったりして高齢者をフォローしていけば、自宅でも介護予防ができます。その上で、早めに専門家の力を借りて要介護状態にならないようにしていくことが大切です。 参考:厚生労働省介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン(概要)公表されている介護サービスについて | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」介護予防サービスの種類(要支援1・2の方が利用できるサービス) – 石巻市介護予防サービスについて|東久留米市ホームページ介護予防サービス/池田市ホームページ介護予防訪問入浴介護厚生労働省これからの介護予防
2019年01月30日帰省で久しぶりに実家の両親に会うと、老いを感じてハッとさせられることがあります。介護の問題は誰にでも起こりうるものです。もしも介護が必要になったとき、何から手をつければいいのでしょうか。介護のエキスパートで関連著書も多い中村さんの記事から、“これだけは知っておきたい”介護に関するお役立ち記事を3本まとめてご紹介します!■ 1.認知症のリスクは誰にでもある!しげぱぱ / PIXTA(ピクスタ)少子高齢化が進む日本では、介護の問題は決して他人事ではありません。内閣府の調べでは2012年の認知症高齢者数は462万人。これは、65歳以上の高齢者の約7人に1人が認知症であるということを意味します。2025年には認知症高齢者数がさらに増えると予測されており、約5人に1人になるともいわれています。また、認知症は高齢者だけの問題ではなく、64歳以下の「若年性認知症」も増加傾向にあります。家族のみならず自分を含めて、誰でも認知症になるリスクを負っていると考えた方がいいでしょう。Ideya / PIXTA(ピクスタ)認知症の初期症状や、放っておくと危険な落とし穴とは?もしも認知症だと分かったときの相談窓口など、今のうちから知識を深めておきましょう。詳しくは記事をチェック!2025年には5人に1人が認知症に!介護問題って何から始めればいい?■ 2.“いい嫁”が「介護うつ」になりやすい!bee / PIXTA(ピクスタ)介護をしている家族が「介護うつ」になってしまうケースがあり、ニュースで事件として報道されることもあります。介護を行うときは負担を抱え込み過ぎないように注意することが大切です。高齢の家族に介護が必要になったとき、誰が中心となって介護を行うかというと、「嫁」であることがほとんどです。「親を介護するのは長男の嫁の努め」という昔ながらの固定観念が、いまだに残っているのかもしれません。KY / PIXTA(ピクスタ)“いい嫁”になろうとひとりで舅・姑の介護に勤しむと、「介護うつ」になる危険性が高まります。こちらの記事では、介護の負担を一人で背負わず、家族や外部に上手に分担する方法をお伝えしています。詳しくは記事をチェック!親の介護ではいい嫁になるな!妻が「介護うつ」にならない方法6つ■ 3.働きざかりで若年性認知症になったら?nonpii / PIXTA(ピクスタ)2018年10月から放送されたTBSのドラマ『大恋愛~僕を忘れる君と』では、若年性アルツハイマーがテーマに取りあげられました。主人公は女性医師で、34歳の若さでアルツハイマーを発症してしまいます。これは特殊なケースのように思われますが、若年性認知症の患者は約4万人もいるのが現実です。体力もあり働き盛りの頃に認知症にかかってしまったら、家族や仕事は一体どうなるのでしょうか。タカス / PIXTA病院や自治体から受けられる支援や、働き続けながら病気と上手く付き合っていくためのアドバイスをお届けします!詳しくは記事をチェック!ドラマ『大恋愛』のケースは現実にもある!若年性認知症の実態って?
2019年01月05日だんだん寒くなってきました。そろそろお子さんがいるおうちでは、鼻がずるずるいいはじめたり、幼稚園、保育園などで「インフルエンザの子がでました」なんてお知らせが出ているところもあるのではないでしょうか。冬にはさまざまな感染症が流行ります。今回は、特に流行りやすく注意してほしい子ども(と大人)の感染症の話をしたいと思います。この記事の著者■相川晴(HAL)内科医。研修中にうつ病を発症し、数年間の療養生活を経て復帰。病気の間支えてくれた医師の男性と結婚。某地方都市で夫、4歳の娘と暮らす。自身の出産・育児の日々をもとに、医学的なエビデンスを交えて女性の健康・育児情報などをブログやTwitter、連載コラムで発信中 インフルエンザインフルエンザは大人も子どももかかりたくない冬の感染症の代表格ですね。インフルエンザウイルスに感染してから1~3日程度の潜伏期間があったのち、38度を超える発熱、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛や関節痛といった症状が突然現れるのが典型的なインフルエンザです。それから上気道炎の症状(咳や鼻水など)が出て、大体1週間程度で治ります。普通の風邪とわけて考えたいのは「重症化しやすい」ということ。特に幼い子どもや高齢者、妊婦さん、基礎疾患がある人は重症化しやすいことで知られています。二次感染を起こしたり、中耳炎や急性脳症といった合併症を引き起こすこともありますので、乳幼児をはじめとしたハイリスクの方々には特に「予防」に気をつけてほしい感染症ということになります。感染性胃腸炎(嘔吐下痢症/ウイルス性胃腸炎)いわゆる「嘔吐下痢」です。それまで元気にしていた子供が突然げろっと吐いて、びっくりした親御さんも多いのではないでしょうか。娘も1歳の時に、突然テレビ台の前で吐いて、てんやわんやになりました…。冬場に流行する感染性胃腸炎の原因としてはノロウイルスが有名ですが、他にも様々な病原体によって引き起こされます。ウイルスが原因の事が多いので「ウイルス性胃腸炎」ということもあります。年が明けて春にさしかかるとロタウイルスによる感染性胃腸炎が増えてきます。症状は病原体の種類によって差があります。ノロウイルスの場合、1~2日程度の潜伏期間があったのち、吐き気、嘔吐、下痢、発熱、腹痛などの症状が出現します。体力のある大人はあまり大ごとにならないのですが(いえ、もちろん発症すると数日はかなりきついですが)、乳幼児や高齢者、基礎疾患のある方は脱水に注意が必要です。特にロタウイルスは乳幼児に脅威。ひどい下痢から脱水を起こし、場合によっては死にいたることもあります。特に3ヶ月未満の赤ちゃん、吐いたものの色が赤・緑・黒色、激しい腹痛、右下腹部痛(とくにみぞおちから移動したものは注意)、便の色が赤・黒色……といった場合には、単純な嘔吐下痢ではない可能性があり、受診が必要です。脱水がひどい場合も点滴の治療が必要になりますので受診をしてください。RSウイルス感染症もう一つ、お子さんをお持ちの方に気をつけてほしいのがRSウイルス感染症です。感染して4~6日程度の潜伏期間ののち、鼻水や発熱、咳が出てきます。大人や少し大きくなった子は、大体このちょっとした風邪で回復するのですが、乳幼児は注意が必要です。大体7割程度が1歳までに一度は感染しますが、初めて感染した際、1/3は肺炎や細気管支炎といった気道の奥の方(下気道)まで感染が広がり、ひどい咳や喘鳴、呼吸困難を起こし入院が必要になることもあります。中耳炎を合併する事も多いです。近年、RSウイルスは少し流行のピークが前倒しになる傾向があり、今年(2018年)も12月現在、もうすでに流行のピークは過ぎています。しかしまだ報告はありますので、小さいお子さんをお持ちの方は引き続きご注意ください。基本的な予防法これらの感染症は、「飛沫感染」「接触感染」で感染します。ですので、基本的な予防法としては●手洗い、マスク●人混みを避ける●風邪の症状がある人にはできるだけ近づかないといったことになります。「接触感染」に関していうと、特にトイレは要注意。前に使った人が感染性胃腸炎にかかっていた場合、あちこちにウイルスが付着している可能性があります。トイレの後の手洗いは念入りに。食品を扱う前にも必ず手洗いをしましょう!ただ、小さいお子さんにはマスクの付け外しは難しいですし、可能な範囲で手洗いをしてあげる&教えてあげる事が重要かなと思います。また、家族から感染する事も多いので、ご自身やご家族がかからないように予防を頑張るというのも大切な事です。栄養があるものを食べる、睡眠をとる…などをこの時期は普段以上に心がけるのがいいと思います。大人にとっては軽い風邪の症状でも、実は上記の感染症である事があります。特に乳幼児のいるご家庭では、風邪っぽい時にはマスク&手洗いをしっかりし、可能な限りお子さんのお世話を他のご家族などに任せるようにして(実際にはそれが難しいのですが……)、家庭内でお子さんにうつさないようご注意ください。幸いにしてインフルエンザにはワクチンがあります!もうすでにインフルエンザの患者さんがどんどん出ていますが、ワクチン、まだ遅くありませんよ! 流行の本番はこれからです。ワクチンは発症自体を予防する効果もありますが、重症化を防ぐ効果もあります。我が家も娘が1歳の時にインフルエンザをもらってしまったのですが、ワクチンをうっていたからか、発熱もひどくならず、数日で元気になりました。ワクチン大事です。生後6ヶ月から接種可能です。我が家も家族全員、毎年しっかり接種しています。妊婦さんもインフルエンザワクチン、接種できます。ワクチンを接種することで生まれてくる赤ちゃんにも、胎盤を通してインフルエンザの抗体をプレゼントしてあげることができます。妊婦さんは重症化しやすいので、ぜひご検討ください。(赤ちゃんへの移行抗体の話は、手前味噌ですがこちらを参考に) 妊娠中のインフルエンザワクチン接種は生後6か月までの赤ちゃんにも効果があります。 生後2ヶ月のワクチンデビューにロタウイルスワクチンをまた、感染性胃腸炎を起こす原因の一つ、ロタウイルスについてもワクチンがあります。ロタウイルスは感染力が非常に強く、ワクチン以外の予防は困難です。重症化すると、ひどい脱水から死にいたることもあります。ロタウイルスのワクチン(口で飲む甘いシロップです)は生後2ヶ月から使う事ができます。まだ定期接種になっておらず、高価ですが、ぜひおすすめしたいワクチンの一つになります。助成のある自治体もありますのでご検討ください。大変駆け足になりましたが、冬に気をつけたい子ども(と大人)の感染症の話でした。流行するタイプの感染症は感染力が強く、また小さいお子さんは手洗いなども上手にできませんし、手でもなんでも口にいれますので、どうしてもどこかで病気をもらって来がちです。周囲でインフルエンザなどが大流行している時期は、人が多い空間を避けるというのも一つの予防法になります。どうか今年の冬、みなさんがいろいろな病気をもらわずに、そしてもらっても軽く済むことをお祈りしています。頑張りましょう!◆参考サイト インフルエンザとは 国立感染症研究所 Neuzil KM, Reed GW, Mitchel EF, Simonsen L, Griffin MR. Impact of influenza on acute cardiopulmonary hospitalizations in pregnant women. Am J Epidemiol 1998;148:1094–102. RSウイルス感染症とは 国立感染症研究所 感染症発生動向調査週報 (IDWR) 国立感染症研究所
2018年12月10日認知症予防において、生活習慣の改善がとても大切であることは知られています。特に、食事、運動、睡眠は大きなポイントであり、多くの実験や成果が報告されています。今回は体と脳を一緒に動かす、認知症予防運動プログラム「コグニサイズ」をご紹介してみたいと思います。■ 運動と頭を使う「コグニサイズ」とは?歳をとってくると、筋力低下や心肺機能の低下、関節の動きの低下などが起こります。運動によってこうした身体機能をある程度向上することができますが、運動にはもうひとつの効果として脳の活性化があります。プラナ / PIXTA(ピクスタ)認知症を対象としたデイサービスなどでは積極的に運動を取り入れ、身体と脳の活性を促そうという試みが日常的に見られます。こうした運動に熱心な施設で、最近よく取り入れているのが、運動+脳トレーニングを行う「コグニサイズ」という方法です。二つのことを同時に実施するほうが、脳への刺激がより強められ、活性化につながるという発想です。cognicise(コグニサイズ)とは、英語のcognition (認知) とexercise (運動) を組み合わせた造語です。■ 計算や記憶にかかわる簡単なゲームがオススメ運動と一緒に行うものとして、計算や記憶に関する簡単なゲームがあります。あひる / PIXTA(ピクスタ)いわゆる脳トレーニングとして広く実施されていますが、これらを運動と同時に行うことでより効果が高まるといいます。コグニサイズの効果については数年前から国立長寿医療研究センターで実験が始まりました。2010年に軽度認知障害(MCI)のある方100人を対象にコグニサイズの調査をしていますが、調査の結果、約8割の参加者に記憶力の向上がみられました。■ 激しい運動より持続できる軽い運動を実験では、ウォーキングしながら簡単な引き算(例えば100から7を引いていくなど)をしたり、踏み台昇降をしながら数人でしりとりをする、といった計算や記憶に関わるエクササイズが行われました。千和 / PIXTA(ピクスタ)こうしたコグニサイズは一般の家庭でも手軽にできます。運動は激しい運動より、持続できる軽めの運動がオススメです。ただし、計算しながら歩くと集中しすぎて周囲が見えなくなることがあるので、公園など安全な場所で行うようにしてください。cba / PIXTA(ピクスタ)自宅であれば、庭を歩きながらパズルを解くなどの方法も可能だと思います。■ 自分にあったやりかたで楽しむことが大事!コグニサイズは自分なりにアレンジができるので、子どもと一緒にやったり、夫婦で散歩しながらやったり、あるいは独りで好きな時にやるなど、楽しみ方はさまざまです。つむぎ / PIXTA(ピクスタ)あまり難しく考えないで、楽しんで長く続けることが大切です。【参考】※国立長寿医療研究センター認知症予防運動プログラム「コグニサイズ」
2018年12月03日これからの子どもたちに必要とされるのは、テストだけでは測ることができない力――「非認知能力」だとされています。もちろん、将来の夢を子どもが叶えるためには、いわゆる学力である「認知能力」も必要でしょう。ただ、子ども教育のプロフェッショナル育成に携わる増田修治先生は、「認知能力を育むためにも非認知能力が重要」だと語ります。まずは、現在の教育現場が直面する問題から語ってもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹(ESS)写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)日本の教育が抱える「見えない貧困」問題いま、日本の教育は「貧困」という大きな問題に直面しています。「世帯収入が高いほどその家庭の子どもの学力も高い」という調査結果は、ニュースなどを通して耳にしたことがある人も多いことでしょう。貧困にはふたつの種類があります。ひとつは「絶対的貧困」で、もうひとつが「相対的貧困」。絶対的貧困にあたるのは世帯年収が約60~70万円を下回る世帯。月収が5万円以下で、食べものや着るものにも困るほどです。一方の相対的貧困は、世帯年収が120万円ほどの世帯。この相対的貧困は「見えない貧困」ともいわれていて、わたしは大きな問題だととらえています。この世帯の子どもは、食べものは食べているし衣服に困るほどではない。つまり、見た目は普通なのです。でも、その世帯の子どもたちは、さまざまな機会を奪われている。どんな機会かといえば、サッカーをしたくてもサッカーシューズは買ってもらえないし、バレエを習いたくても月謝を払ってもらえない。当然、学習塾に行くこともできません。この相対的貧困にあたる世帯の割合が、いまの日本ではどんどん増加しているとされています。「子ども食堂」というものを聞いたことはありますよね。貧困世帯の子どもたちを集めて食事を与え、同時に勉強も見てあげるという社会活動です。そこに来る子どもたちは、やはり学力が低い傾向にある。貧困世帯の子どもは、先にお伝えしたように学習塾には通えません。となると、自分で勉強しなければならない。でも、学習教材など自分で勉強できる環境が整っているわけでもないわけです。となると、その子どもにとって勉強できる唯一の場所は学校です。ところが、子ども食堂に来る子どもたちのなんと約8割が学級崩壊を経験しているというではありませんか。学級崩壊したクラスでは、まともに授業を受けることができません。そういう子どもたちは、勉強する機会を完全に奪われているのです。逆に、学級崩壊によって勉強する場所がないから、子ども食堂に通っているとも言えます。非認知能力の育成に欠かせない、子どもの声に耳を傾ける姿勢では、貧困家庭に育つと学力を伸ばすことができないのかというと、そうではありません。貧困世帯の子どもにも、貧困ではない世帯の子どもと遜色ない学力を持つ子どもたちがいます。彼らの共通点はなにかというと、「非認知能力が高い」ことです。非認知能力には、「朝ごはんを毎日食べる」といった生活習慣、「毎日の勉強時間の目安を決めている」といった学習習慣、あるいは、つらいことや困ったことがあったときに学校の先生に相談できるなどのコミュニケーション能力といったものも含まれます。これらは、一般的には貧困ではない世帯の子どものほうがしっかりと身につけている傾向にあるのですが、貧困世帯に育ちながら学力が高い子どもも、こういった基本的な習慣、非認知能力を身につけているのです。これがなにを表しているかというと、「非認知能力が認知能力を発達させる」ということです。2000年にノーベル経済学賞を受賞した経済学者、ジェームズ・ヘックマンらは、40年にわたる長期追跡調査の分析により、「非認知能力がその後の認知能力の発達を促し、その逆は確認できない」と結論づけました。非認知能力が高い子どもはテストの点数もあがるが、テストの点数がいいからといってその子どもの非認知能力が伸びるわけではないのです。となると、今後の乳幼児教育や小学校教育は大きく変わっていく必要があります。いつまでもテストで高得点を取ることだけが素晴らしいと評価する教育では駄目なのです。もちろん、これは学校などの教育現場だけの問題ではありません。家庭教育も、「非認知能力を伸ばす」ことを意識しておこなうべきでしょう。とはいえ、身構えるような必要はありません。大事なのは、「子どもの話をきちんと聞く」こと。教育に熱心な親ほど、子どもの言うことに耳を貸さず、「これが子どものためになるんだ」と勉強や習い事を押し付ける傾向にあります。それでは、まったくの逆効果。まずは、「なにかやりたいことある?」と子どもに聞いて一緒に考えること。そのなかで、互いに折り合いをつけていくべきでしょう。宿題ひとつ取っても、「●時になったから宿題をやりなさい」では駄目。「何時になったら宿題に取り掛かれる?」と子どもに聞いてください。そうして決めた時間は、親が決めたものではありませんよね?これはつまり、子どもに選択権を渡しているということ。そうすれば、親からすれば「あなたが決めたことでしょう?」と言えるし、子どもからすれば「自分で決めたのだからやらなくちゃ」と、自発性や意欲、責任感を養うことにもなる。多くの親は、その過程を省いてしまっているように感じます。そうではなくて、親と子どもそれぞれが納得する「一致点」をつくるコミュニケーションをたくさん取ってください。そういったことが、子どもの非認知能力を育んでいくのですから。『遊びにつなぐ! 場面から読み取る子どもの発達』増田修治 著/中央法規出版(2018)■ 子ども教育のエキスパート・増田修治先生 インタビュー一覧第1回:クイズで育む!?子どもの「人生を決める」非認知能力の伸ばし方第2回:非認知能力が高い子どもは、「認知能力」も伸びていく。ではその逆は――?第3回:子どもの自己表現力を伸ばし、自己肯定感を高める「親子コミュニケーション」(※近日公開)第4回:“おなら”に“裸”、なにを書いてもOK!?「ユーモア詩」が伸ばす子どもの力(※近日公開)【プロフィール】増田修治(ますだ・しゅうじ)1958年3月8日生まれ、埼玉県出身。1980年、埼玉大学教育学部卒業後、小学校教諭として埼玉県朝霞市内の小学校に勤務。「ユーモア詩」に取り組み、子どもたちのコミュニケーション能力の向上を図るとともに、楽しい学級づくり、保護者とのコミュニケーションづくりをおこなう。2002年にはNHK『にんげんドキュメント 詩が躍る教室』が放映され反響を呼んだ。2008年3月末で小学校教諭を退職し、同年4月より白梅学園大学准教授。現在は同大学子ども学部子ども学科教授。『小1プロブレム対策のための活動ハンドブック』(日本標準)、『「いじめ・自殺事件」の深層を考える—岩手県矢巾町『いじめ・自殺』を中心として—』(本の泉社)、『先生! 今日の授業楽しかった!—多忙感を吹き飛ばす、マネジメントの視点—』(日本標準)など教育関連の著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2018年12月02日テストで測ることができる力を「認知能力」、テストで測ることができない力を「非認知能力」と呼ぶことは見聞きしたことがあるかもしれません。でも、非認知能力が具体的にどういうものか、なかなか明確にイメージしにくいのも事実。それがどんなもので、なぜいま必要とされるのか――。教えてくれたのは、子ども教育のプロフェッショナルを養成している白梅学園大学の増田修治先生です。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹(ESS)写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)非認知能力とは能動的な心情を自分のなかにつくり出せる力「非認知能力」がどういうものかを知ってもらうため、まずは次のクイズに挑戦してみてください。Q:次の野菜や果物は水に浮くか、沈むか。1.ピーマン2.キュウリ3.ナス4.バナナ5.リンゴ6.ニンジン7.ジャガイモこれは、わたしが4歳児に出したクイズです。水槽を用意して1から順に、実際に答えを確かめながら進めました。ピーマンは……水に浮きますよね。4歳児も多くが正解しました。ところが、次のキュウリは子どもたちの答えがけっこうわかれた。正解は次のナスも含めて浮く。大人であれば、料理中にこれらを洗うときに水に浮かぶ様子を見たことがある人も多いでしょう。それでは次のバナナとリンゴは?このふたつも浮くんですね。では、子どもたちはニンジンについてはどう答えたでしょうか。それは「浮く」でした。なぜそう思うのかと聞いたら「これまでの全部が浮くから」と。子どもたちはちゃんと考えているんです。これまでの正解を聞いて、「野菜や果物は水に浮く」と考えたわけです。でも、答えは「沈む」なんですよね(笑)。それでは、最後のジャガイモはどうでしょう?答えは……「沈む」です。「野菜や果物は水に浮く」という仮説は正しくありませんでした。でも、別の仮説が浮かんできませんか?そう、基本的に地下にあるものは水に沈んで、地上にあるものは浮くのです。そして、このクイズの後、子どもたちは家に帰ってお風呂にいろんな野菜や果物を浮かべてみた。これが、簡単に言えば非認知能力です。このクイズで、なにが浮く浮かないといった知識を教えようとしたわけではありません。子どもたちはクイズをとおして、自分の頭でうんと考えた。そして、「面白い」だとか「やってみよう」「調べてみよう」という気持ちになった。こういう能動的な心情を、自分のなかでつくり出せる力――それが非認知能力なのです。AIの発達が進むこれからに求められる非認知能力いま、この非認知能力が「子どもたちの人生を決める」とも言われています。というのも、時代が大きな曲がり角にきているからです。これからは人工知能、いわゆるAIが社会を大きく変えていきます。そして、そのAIをどういう方向で使っていくかを考えられる人間が必要とされる。AIの時代になるからこそ、これまでとちがった角度からものを見ることができる、あるいは新しいものや発想を生み出せる力が求められるのです。それこそ、テストでは測ることができない、非認知能力そのものでしょう。また、オックスフォード大学の研究によると、「AIの発達によって今後10年で現在の約47%の仕事が自動化する」との試算が出ています。たとえばですが、バーテンダーの仕事は77%の確率でなくなるとか。他にもスポーツの審判員やレジ係、データ入力係、集金人などもなくなる仕事だとされています。これは遠い未来の話ではありません。現在進行形ではじまっているものです。いま、「スマートガスメーター」の導入が全国で進んでいることをご存じですか?これは、ガスの使用量を無線通信回線で把握するというメーター。つまり、これまで検針員がやっていた仕事がなくなるということです。なくならない仕事は、教師や保育士など人間相手の仕事、それからデザイナーといった創造性が必要な仕事などに限られてきます。単純な仕事は基本的にどんどんなくなるので、これからは自ら仕事を生み出すような人間になっていかないとならない。それがいいかどうかはともかく、そうならざるを得ないのです。それこそ、他人とどう接するか、どういう新しい発想を持って創造性を発揮するかといったことは、なかなか点数にできるものではありません。それらはまさに、非認知能力だということです。重要性を増している幼少期における非認知能力を伸ばす教育ここで4歳の子どもを対象におこなわれた「マシュマロ・テスト」と呼ばれる実験をご紹介しましょう。その内容は、子どもにマシュマロをひとつ渡して「食べずに15分待てばもうひとつマシュマロをあげるよ」と告げるというもの。すると、2個目をもらえるまで我慢できる子どもと、我慢できずに食べてしまう子どもにわかれた。この実験でわかるのは、「自制心」が育っているかどうかということ。自制心も重要な非認知能力です。そして、実験はこれで終わりではありません。その後の追跡調査により、2個目をもらえるまで我慢できる自制心がある子どもは、少年期には学力が高くて誘惑に強い、青年期には教育水準が高くて肥満率が低い傾向にあることがわかりました。一方、我慢できずに1個目のマシュマロを食べてしまった子どもは、対照的に学力が低い、肥満率が高いといった結果が出たのです。【マシュマロ・テストの追跡調査結果】これは、4歳時点における自制心という非認知能力の有無が、その後の人生を大きく変えたということに他なりません。まだ幼い4歳でのちがいとなると、「非認知能力の優劣は遺伝的に決まっているのか」という疑問を持った人もいるでしょう。でも、そうではありません。「幼少期における教育」の重要性が高いということです。そして、今後は非認知能力を伸ばすための教育がより重要となるとわたしは考えています。このマシュマロ・テストで2個目をもらえるまで我慢できた子どもというのは、「先を見通して考える」ことができたということ。言い換えれば、ものと時間などの「つながり」が見えているということです。ところが、いまはそういった「つながり」がどんどん見えなくなっている、あらゆるものが「ブラックボックス化」している時代なのです。たとえば、自動車もそう。むかしの自動車はいまのものより構造がはるかに単純で、整備士にはなにがどうなって自動車が動くということがすべて見えていた。でも、数多くの複雑な電子部品が使われているいまの自動車だとそうはいきません。整備士にも理解できていない部分が多く、調子が悪い部分を基盤ごと取り替えるということになる。こういうことがあらゆるものにおいて起きているため、「つながり」というものが見えにくくなっているのです。読者のなかに、子どものころに時計やいろいろなものを分解してもとに戻すのが好きだったという人はいませんか?わたしがそうで、たいてい部品が余っちゃって捨てることになっていましたけどね……(笑)。ただ、それは子どもにとって大切なことなのです。非認知能力なんてものが知られていなかったむかしは、そういうふうに自然に「つながり」を知って非認知能力を伸ばす環境にありました。ところがいまはそうではない。だからこそ、意図的に非認知能力を伸ばすよう働きかけをしていく必要があるのです。『遊びにつなぐ! 場面から読み取る子どもの発達』増田修治 著/中央法規出版(2018)■ 子ども教育のエキスパート・増田修治先生 インタビュー一覧第1回:クイズで育む!?子どもの「人生を決める」非認知能力の伸ばし方第2回:非認知能力が高い子どもは、「認知能力」も伸びていく。ではその逆は――?(※近日公開)第3回:子どもの自己表現力を伸ばし、自己肯定感を高める「親子コミュニケーション」(※近日公開)第4回:“おなら”に“裸”、なにを書いてもOK!?「ユーモア詩」が伸ばす子どもの力(※近日公開)【プロフィール】増田修治(ますだ・しゅうじ)1958年3月8日生まれ、埼玉県出身。1980年、埼玉大学教育学部卒業後、小学校教諭として埼玉県朝霞市内の小学校に勤務。「ユーモア詩」に取り組み、子どもたちのコミュニケーション能力の向上を図るとともに、楽しい学級づくり、保護者とのコミュニケーションづくりをおこなう。2002年にはNHK『にんげんドキュメント 詩が躍る教室』が放映され反響を呼んだ。2008年3月末で小学校教諭を退職し、同年4月より白梅学園大学准教授。現在は同大学子ども学部子ども学科教授。『小1プロブレム対策のための活動ハンドブック』(日本標準)、『「いじめ・自殺事件」の深層を考える—岩手県矢巾町『いじめ・自殺』を中心として—』(本の泉社)、『先生! 今日の授業楽しかった!—多忙感を吹き飛ばす、マネジメントの視点—』(日本標準)など教育関連の著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2018年12月01日診断されるとお金がおりる認知症保険。高齢になると子どもに迷惑をかけたくないと加入を考える人も多いようだ。そんな認知症保険に加入する際の注意点を、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。病気やけがで認知症の方が入院した際、45%もの方が体を拘束されたことがある。そんな調査結果が今月18日、発表されました(国立がん研究センター)。ショッキングですが、人ごとではありません。認知症は、’12年には65歳以上の7人に1人でしたが、’25年には5人に1人になるといわれています(’17年・内閣府)。そんななか、「認知症保険」が注目されています。業界初の認知症保険は、太陽生命が’16年に販売を開始。今年10月までに、約40万件の契約があったといいます。最近は種類も増えました。それぞれの特徴を見ていきましょう。まず、太陽生命の「ひまわり認知症予防保険」です。以前の保険は、認知症状態が180日続いた後、保険金が出るものでした。ですが「それでは遅い」という声を受けて、認知症と診断されたときに最大100万円と、180日後に最大200万円の保険金が出るようになりました。また、加入から1年たって認知症になっていない方には、3万円の「予防給付金」が出ます。予防給付金はその後、2年おきに支給され、これを使って認知症検査を受けることを推奨しています。次は、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険の「リンククロス笑顔をまもる認知症保険」です。認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)と診断されると保険金の一部が出て、その後、認知症に進むと、残りの保険金がおります。MCIの段階で保険金が出るのは、今のところこれだけです。さらに、朝日生命の「あんしん介護」には、公的介護保険で要支援2と認定されると、一時金が出るタイプがあります。認知症でも体に不自由のない方は、要介護判定が低くなりがちです。要支援2という軽い段階で保険金が出るものは、業界初です。確かに認知症は介護も大変ですし、不安が大きいでしょう。ですが、保険はお金の問題。支払う保険料と、どんなときに保険金が出るかをきちんと納得してから、加入しましょう。注意点は3つです。【1】すべての認知症に、保険金が出るわけではない認知症のなかで、保険金を出す認知症を保険会社が指定しています。対象外の認知症になった方は、保険金が出ません。また、保険会社によって対象はさまざまです。【2】加入当初に、保険金が減額される「削減期間」がある認知症になっても、加入から1年以内だと保険金は半額、加入から180日間は出ないなど、保険会社ごとに削減期間が決まっています。【3】保険料は高め太陽生命の「ひまわり認知症予防保険」に60歳女性が加入すると、認知症の診断で100万円、180日後に200万円、入院日額5,000円や、骨折や入院時の一時金などもついて、保険料は月々1万8,660円。認知症以外なら持病があっても入りやすいのですが、保険料は高めです。子どもに迷惑をかけたくないからと加入される方が多いようです。でもその前に、家族でよく話し合ってみてください。
2018年11月30日「老いた親が認知症と診断されたからといって、子どもが絶望する必要はありません。認知症自体、直接的に死に結びつく病気ではないわけですし、対応次第では症状を緩和させたり、進行を遅らせることが十分に可能だからです」こう語るのは『先生!親がボケたみたいなんですけど……』(祥伝社)の著者、精神科医で国際医療福祉大学心理学科の和田秀樹教授。50代女性の親世代は70~80代、その多くが「ウチの親はいつ認知症と診断されるか」といった不安を抱えているはず。だが、和田先生は、診断が出た途端に別人に変わるわけではないと忠告する。そして、認知症は老化に伴う自然現象であり、前向きな姿勢で受け入れてほしいとアドバイスする。「今は“予防ブーム”で、認知症にならないようにすることばかりに力を入れています。ですが本当は、長生きすれば、認知症は誰もがなるものと捉え、準備と対策を、しっかりとやっておくべきものなのです」(和田先生・以下同)では「親の物忘れがひどい」と思ったときの対処法は?和田先生は次の5つのポイントを挙げる。【1】認知症の兆候を見逃さない【2】臨床経験が豊富な専門医に診てもらう【3】「いま現在の親」を受け入れる【4】“できなくなった”ことを悲観するより“できること”を維持【5】親に機嫌よく生きてもらうことを最優先にするさらに“全体の90%は使われていない”とも言われる脳をもっと活用して、脳の老化を防ぐことが大事だと、和田先生は話す。「脳内で最も早く老化が進行するのは前頭葉だといわれています。前頭葉は、記憶や感情、やる気などをつかさどる器官。この機能が落ちていくと、感情のコントロールが悪くなり、頑固になったり、怒りっぽくなったりします」そして認知症が始まった親との向き合い方について、和田先生が解説してくれた。「認知症の介護は、まず“慣れること”で対応の仕方が見つかります。そこで、どうすれば親の機嫌がよくなるかと観察する。ズルいと思われるかもしれませんが、工夫して、親がニコニコしている状態を維持できるようになれば、介護は楽になるでしょう」親のボケを受け入れる準備は、早ければ早いほどよい。
2018年11月25日ふだん、あまり気に留めない“嗅ぐ力”。知らず知らずのうちに衰えている可能性がある。この嗅覚こそ、病気と密接な関係にあり、きたえることで病気を予防できることも証明済み。鈍った鼻にはカツを入れよう!「認知症研究の第一人者である浦上克哉先生(鳥取大学教授)は、アルツハイマー型認知症の予兆として嗅覚低下の症状を挙げています」こう話すのは、入浴剤メーカーで調香師歴17年の荘司博行さん。3年前に脳動脈瘤が見つかり緊急手術したことをきっかけに、自分の専門である「嗅ぐ力」を人の健康に役立てようと決意したという。その結晶として『最新論文等から香りのプロが考案!嗅ぎトレ』(KADOKAWA)を出版し、話題になっている。嗅覚低下は、アルツハイマー型認知症の予兆として挙げられる症状だという。しかし、それは逆の視点から見ることもできると荘司さん。「認知症専門医の長谷川嘉哉先生は『においを嗅ぐことは脳に刺激を与え、認知症を予防する効果があると考えられる』と著書の中で紹介しています」(荘司さん・以下同)なんと、嗅ぐ力をアップさせることは認知症予防につながるのだ。では、どうしたら嗅ぐ力をきたえることができるのだろうか?「とにかく、日常生活で意識してにおいを嗅ぐことです」そこで荘司さんが考案したのが、次の「嗅ぎトレ」だ。【ステップ1】鼻クン嗅ぎトレ「ふだんの生活で、人は意外とにおいを嗅ごうとしていないもの。嗅ぎトレの第一歩として、室内、バッグ、本、石けん、衣服……手当たり次第になんでも犬のようにクンクンとにおいを嗅いでみましょう。嗅ぐ前に「今からにおいを嗅ぐよ」と唱えると、脳の意識が高まり効果的。実際にいろいろ嗅いでみると、今まで意識せずにいたモノに意外なにおいがあることに気づくはず。日常生活でにおいを嗅ぎまくるだけで、嗅ぐ力はぐっと高まります」【ステップ2】見てクン嗅ぎトレ「次は、食事の場面で、食べる前にお箸に取ったものを目で確認し、クンクン嗅いでみて。ふだんはテレビを見ながらなど、無意識に食べ物を口に入れている人も多いはず。目で確認してにおいを嗅ぐことで、脳に食材とにおいを直結させることができます。このとき、そのにおいが『何かに似ているか』を考えると、より効果的。いきなりはじめると周囲に奇異に映るので『嗅ぎトレをしている』と宣言してからすることをおすすめします」【ステップ3】チェンジ嗅ぎトレ「モノのにおいを嗅ぐことが習慣化したら、ふだん使っているモノのにおいを定期的に変えて、新しい刺激を鼻に与えてみましょう。鼻は同じにおいをずっと嗅いでいると慣れてしまい、においがわからなくなってしまうもの。そこで、化粧品、入浴剤、石けん、歯みがき粉、シャンプーなど、自分の生活で定番になっている『香りのあるモノ』を定期的に変えてみることも大事なトレーニング。鼻にときどき刺激を与え、リフレッシュさせてください」「ステップ1」で嗅ぐことを習慣づけ。「ステップ2」で視覚と嗅覚を一体化して脳により強くにおいを意識づける。そして「ステップ3」で、においに変化をつけることで鈍りがちな嗅覚に刺激を与える。この3つで、劇的にあなたの嗅ぐ力は向上するはず。「最後に、オレンジ、レモンなどのかんきつ系のにおいに、認知症を改善する効果があることが専門医の実証実験で報告されています。かんきつ類は、むいたときに皮のにおいを『見てクン嗅ぎトレ』してから食べることもおすすめです」ぜひあなたも鼻をクンクン利かせて、認知症を予防しよう。
2018年11月21日話題のスポットに本誌記者が“おでかけ”し、その魅力を紹介するこの企画。今回は、’16年に『Mr.サンデー』で放送され大反響だった、認知症の母を追ったドキュメンタリー『ぼけますから、よろしくお願いします。』の完全版が映画化ということで、高齢の両親を持つ記者は、少しドキドキしながら身に行ってきました。■映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』ポレポレ東中野にて上映中。順次全国公開テレビディレクター信友さんは45歳のとき乳がんが見つかり、明るい母親に支えられていたが、今度は母親が認知症に……。社交的で多才だった母親が変わっていくさまが描かれ、時に涙し、時には笑い、そして感動します。駄々をこねたり、突然怒ったりと困惑させられるのですが、母親の笑顔は少女のように無邪気でかわいい。そんな母を支える95歳の父。耳が遠いながらも初めての家事に挑戦したり、一生懸命奥様をサポートする姿に「夫婦ってこうあるべき」と感心させられます。信友監督も「認知症の介護はつらいことばかりじゃない、ということもわかってもらいたい」と語っているとおり、思わず「認知症になってよかった?」と思ってしまうほど、夫婦の感動的な姿も。誰もが直面する可能性がある高齢社会と認知症。でも、この映画を見たら、「両親が認知症になっても、どうにか対処できるのかも」とも思わせてくれます。高齢の家族がいる人にはぜひ、見てもらいたい作品です。
2018年11月12日突然ですが私は冬が苦手です。寒い、洗濯物が乾かない、日照時間が少ない、寒い、寒い…。まぁ寒さは私が着込めばなんとかなりますが、襲い来るさまざまな感染症については、私一人の問題ではありません。そこで今回は、娘の初めての休日診療の思い出と、その後の私なりの感染症予防について書きたいと思います。■休日診療での体験が母の意識改革に…休日に発熱し、謎の湿疹が出てしまった娘。週明けまで待ってかかりつけ医にかかるか、休日診療に行くか? 迷った末、休日診療に行くことにしました。きれいな待合室でおじいちゃん先生が丁寧に診てくれるかかりつけの小児科と比べると、利用した休日診療所は快適とは言いづらい…。家から遠いこともあり、願わくばなるべくお世話にならずに過ごしたい!そう思った私は、「連休、特に年末年始は子どもを感染症から守る!!!」という強い決意を抱きました。■ちょっぴり孤独な(?)我が家の感染症対策感染症対策として、基本中の基本であるうがい手洗いは家族全員で徹底。人ごみを避けるために、実家に相談し年末年始の帰省はせず気候の良い春秋にして、ショッピングモールでの買い物は人が少ないオープン直後に行くようにしました。子どもの遊びは、家に飽きたら晴れた日は公園へ。しかし私が住む関東平野のど真ん中、遮るもののないのどかな田園地帯には北風がビュンビュン吹きすさぶのです。そんな日は屋内の遊び場を利用することになりますが…新しくできた遊具が多い児童館はいつも利用者が多いのですが、小さくて年季の入った児童館はほぼガラガラ。ホールにポツンと私たち親子だけがいる図は寂しくはありますが、そこは私がしゃべり倒して盛り上げればOK!■しかし! 話はここで終わらない…こんなふうに、日ごろの習慣やお出かけ先に注意して過ごし、一家で元気に冬を乗り切るゾ~☆――と対策をしていましたが、昨年は5人家族で私だけインフルエンザにかかってしまいました…。息子を妊娠中で、免疫力が普段より弱っていたからかもしれません。というわけで、この経験から得られた人生訓は【自分も労わろう】です!!!わかっちゃいるけど、後回しになるんだよな~。ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
2018年11月07日毎年、冬から春にかけて流行することが多い水ぼうそう。2014年にワクチンが定期接種化される前までは、日本国内で年間約 100 万人が水ぼうそうにかかり、約 4000 人が重症化から入院し、約 20 人が死亡していたという怖い感染症です。幼稚園や保育園のころに感染したというママも多いのでは?赤ちゃんや小さな子どもがかかるとどうなるのでしょうか? 症状や予防方法などをくわしく見ていきましょう。■ワクチンの定期予防接種「乳幼児の患者数が激減!」水ぼうそうと聞くと、幼いころに感染してつらかった…という経験を持つママも少なからずいるでしょう。日本で水ぼうそうのワクチン接種(任意)が始まったのは1987年のこと。その後、2012年に日本小児科学会からワクチンの2回接種が推奨されるようになり、2014年10月に国が接種を強くすすめる定期接種ワクチンになりました。一定の月齢に達した子どもなら、基本的に無償で接種することができます。国立感染症研究所によると、全国約3000の小児科の定点あたり、報告数(年間)は2005年~2011年まで66.1人~88.1人でした。しかし、2012年から減少し始め、定期接種化後の2015年には大幅に減って2011年の約3分の1にまでなりました。なかでも1歳~4歳の占める割合が2005年~2011年までは約70%だったのに対し、2016年には約40%にまで減少しています。患者数が大きく減ったのは、ワクチンの定期接種化が大きな要因のようです。■水ぼうそう「どんな症状? どうやってうつるの?」症状は軽くなりますが、ワクチンの接種が1回だと水ぼうそうにかかることがあります。感染すると、どんな症状が出るのでしょうか?【水ぼうそう 症状】全身、とくに顔から首にかけて、かゆみを伴う発疹や発熱があります。発疹は最初のころが紅斑(赤い発疹)で、その後は丘疹(小さな発疹)、水疱(すいほう)、膿疱(のうほう、うみのある水疱)、かさぶたの順に進行していきます。発熱はしない場合もあります。脳炎や肺炎、皮膚の細菌感染など合併症があります。白血病や免疫抑制治療を受けている子どもは死亡にいたることがあります。大人は重症化しやすい傾向にあります。免疫の低下している妊婦はとくに注意が必要です。【水ぼうそう 潜伏期間と感染期間】潜伏期間は14~16日間と比較的長いのが特徴。感染期間は発疹が現われる1~2日前から、すべての発疹がかさぶたになるまで。【水ぼうそう 感染経路】空気感染します。せきやくしゃみなどのしぶきによる飛まつ感染や接触感染、母子感染(胎内感染)もあります。水疱や膿疱にはウイルスがいるため、触れないように気をつけます。かさぶたの中にはウイルスは存在しません。■水ぼうそう予防「ワクチンは2回接種が基本!」ワクチンが定期接種化されたことで、乳幼児の患者数は減っていますが、それ以前の任意接種時代にはワクチン未接種の人が比較的多くいます。年齢の大きな子どもの患者数はあまり減っていないようなので、上に歳の離れたきょうだいがいる場合などは気をつけておきたいですね。ワクチンは1回の接種で重症化を防げますが、しっかりと免疫をつけるために2回接種がすすめられています。【水ぼうそう 予防方法】1歳以上3歳未満の子どもは、1回目を受けてから3カ月以上あけて2回接種します。感染力が強いため、1歳になったらすぐ接種するようにしましょう。費用の負担はありますが、日本小児科学会では3歳以上でも2回目の接種を受けることを推奨しています。【水ぼうそう 登校(登園)基準】学校保健安全法により、すべての発疹がかさぶたになるまで出席停止とされています。1回かかってしまうと、症状がおさまるまで1週間くらいかかる水ぼうそう。働いているママにとっては、インフルエンザ同様に頭を悩ませる感染症です。1回しかワクチンを接種していない場合は、忘れずに2回接種して確実に防ぎたいですね。参考サイト: ・国立感染症研究所「水痘ワクチン定期接種後の水痘発生動向の変化」 ・日本小児科学会「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説」
2018年11月05日好きな人がいる、恋人がいる状況は楽しい反面、自分や彼の気持ちに振り回されて疲れることもあります。そんな恋愛疲れを予防する方法を紹介します。1. 友人と過ごす時間を増やしてみる好きな人と過ごす時間も楽しいけれど、女同士でワイワイする時間もやっぱり必要です!特に彼との関係についての相談や、ケンカするほどでもない愚痴を吐き出すのにぴったりです。お酒でも飲みながら思う存分話せば、すっきりとしてまた彼に笑顔で接することができますよ。恋と友情のバランスはとても大切です。恋人と友人は、あなたにとっての車輪です。片方でも欠けてしまえば前に進むのが難しくなるでしょう。恋がうまくいっていない時は、友人との付き合いをおろそかにしていないか見直してみるのもいいですね。友人と過ごす時間は彼との間で凝り固まった思考を解きほぐしてくれます。2. 何もしない日を作って頭を空っぽにする考えすぎてもうまくいかないのが恋愛です。考えすぎて疲れてしまったときは、頭を空っぽにする時間を作りましょう。一日中家で過ごして好きな時に好きなものを食べて寝たり、あえてビジネスホテルに泊まって生活感のない空間に身を置くのもいいですよ。余計な考えが消えるように、自分でスイッチをOFFする習慣ができれば恋愛はもっと楽になります!恋に悩むのは、小説やドラマほどロマンチックなものではありません。本当に苦しくて、恋するのをやめたくなる時もありますよね。そんな時は、恋をお休みしましょう。頭を空っぽにして過ごす時間が作れれば、自然と今まで力みすぎていたことに気づきます。そして自然体を取り戻すことができるでしょう。3. 不満をためない関係を作っておく彼から嫌われるのが怖くて、小さな不満を押し殺す癖はありませんか?ちょっとしたことでも、「彼に自分の意見が言えなかった」という経験があなたを疲れさせます。それがマグマのようになって爆発するのは避けたいですよね。そのためには日頃から、彼に正直な気持ちを話す習慣をつけましょう。不満を小出しにすることで、あなたも楽になりますし二人の関係もより安定します。わざわざ言うほどでもない不満、それも積み重なると恋愛疲れに直結します。不満を爆発して二人の関係が傷つけば、一番苦しむのはあなた自身です。不満は常に小出しにするように意識して彼と接するのがおすすめです。written by まこと
2018年10月31日「DHA」ってどんな栄養素かピンとこない、という人も多いのでは?なんでも、仕事の効率アップや肥満予防、花粉症の緩和までもが期待できるというすごい栄養素らしい。DHAの働きや摂り方のポイントを管理栄養士の篠原絵里佳さんに教わった。――ズバリ、DHAって何ですか?篠原さん:ドコサヘキサエン酸の略で、不飽和脂肪酸のひとつです。――3大栄養素のうちの脂質ということですね。篠原さん:はい。脂質には(1)動物性油脂に多く含まれる飽和脂肪酸と(2)植物性油脂や魚油に多く含まれる不飽和脂肪酸の2種類があります。DHAは、(2)の魚に含まれる不飽和脂肪酸。体にいい油として話題になった「n‐3系(オメガ3)」の代表です。主に動脈硬化の原因となる、コレステロールを減らす働きがあります。――脂肪なのに、コレステロールを減らしてくれるんですか!篠原さん:脳や神経組織の機能を高める働きがあり、記憶力・集中力・視力アップも期待できる。ただ、体内でつくることができない栄養素なので、食材からしっかり摂ることが大切です。――なるほど。食事が重要ですね。どんな食材がいいんですか?篠原さん:サンマやアジ、サバなどの青魚にたっぷり含まれています。子どもの頃、よく「魚を食べると頭がよくなるぞ」って言われませんでしたか?あれはDHAのことだったのです。また、魚の脂には、EPAという脂肪酸も含まれていて、EPAは、血管を柔らかくし、血液をサラサラにするほか、中性脂肪を減らす働きがあります。DHAもEPAも、花粉症などアレルギー症状の緩和に効果的といわれています。――毎日どのくらい摂ればいい?篠原さん:DHAとEPA、合わせて1g以上摂ることが理想です。いま、サンマの季節ですよね。サンマ1尾にDHAが約1.7g含まれているので、十分まかなえます。ぜひ、おいしく摂取していただきたいですね。――摂取するときのポイントは?篠原さん:酸化しやすいので、抗酸化物質(ビタミンA・C・E)と組み合わせるといいでしょう。サンマにはレモンやカボス、大根おろしがいいですね。魚を買う機会がない方は、缶詰もおすすめですよ。また、魚に比べると含有量は下がりますが、卵やヨーグルトなどにも含まれています。――油はすべてDHAにすべき?篠原さん:偏りなくいろんな油を摂ることが大事です。脂質はエネルギーの源なので総量として1日大さじ2杯を目安に油を摂りたいところ。揚げ物1回で約大さじ1杯の油を摂取しますからドレッシングなどほかの食材にも油が含まれていると考えると揚げ物は1日2回食べると…ちょっとオーバーですね。上手にコントロールしてみてください。DHAを摂るには、青魚を食べるのが一番!酸化しやすいので、抗酸化作用のあるものと組み合わせて。オススメレシピを参考にしてみて!サンマ塩焼き摂取できるDHAの量:1.7g(サンマ1尾105g)1尾でたっぷり摂れる!旬のサンマは最強食材。脂ののったサンマはDHAの宝庫。ビタミンD・B2、亜鉛も摂れる。抗酸化作用のある大根おろしやカボスと合わせて。サバ水煮と玉ねぎのポン酢和え摂取できるDHAの量:0.9g(サバ水煮缶70g)サバ缶を使って簡単調理。1日の摂取量クリア!玉ねぎ1/4個を繊維に沿って厚めにスライスしラップをかけてレンジで2分。サバの水煮缶1缶とポン酢と合わせて出来上がり。トロ握り2貫摂取できるDHAの量:1.3g(マグロ〈脂身〉40g)たった2貫でOK!ビタミンも豊富に摂れる。マグロは魚のなかでもDHAの含有量がトップ。なかでもトロにはEPAが多く含まれ、ビタミンA・D・Eも赤身部分より豊富。しのはら・えりか管理栄養士。野菜ソムリエ、睡眠改善インストラクターの資格も持つ。今回は栄養素別おすすめ料理の監修にも参加。※『anan』2018年10月31日号より。写真・小川朋央イラスト・藤田 翔料理作製、監修・篠原絵里佳取材、文・神武春菜(by anan編集部)
2018年10月25日認知症は日常生活に大きな影響を及ぼし、時には寝たきりの原因にもなります。自分自身や身近な人が認知症になってから慌てる前に、早いうちから認知症の予防を心がけましょう。難しいことをしたり大金をかけたりしなくても、日々の生活習慣に注意するだけで認知症を防ぐのに役立ちます。認知症は予防可能な病気認知症は誰でも発症しうる病気ですが、認知症の多くは一度発症すると完治できないと言われています。そのため、近年まで認知症を防ぐことはできないと思われていました。しかし最近の研究によって、生活習慣への配慮によって認知症発症のリスクを下げられることが明らかになりました。認知症予防に役立つ要素として、バランスの取れた食事・適度な運動・質の良い睡眠・生活習慣病のコントロールなどの健康的な生活習慣が多く挙げられます。このほか、高等教育を受けたり知的活動を行ったりすることも認知症予防に役立つと考えられています。認知症の前段階「軽度認知障害(MCI)」認知症患者の多くは、認知症の前に「軽度認知障害(MCI)」を発症します。MCIはいわば正常と認知症の中間であり、記憶力・注意力などが低下しているがおおむね普通の日常生活ができる状態を指します。現在、日本にはMCIに該当する人が約400万人いるとみられています。国立長寿医療研究センターによると、MCIと診断された人を4年追跡調査した結果46%は正常に戻り、14%が認知症に進んだことがわかりました。このことから、MCIの段階で対策を立てれば認知症の発症を防げる、または遅らせることができる可能性が高いことがわかります。自分自身や身近な人の様子がおかしいと思ったら、早めに専門機関に相談しましょう。 認知症の種類と原因三大認知症と言われるアルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症・血管性認知症は、国内における認知症の8~9割を占めています。アルツハイマー型認知症日本人の認知症の約6~7割は、アルツハイマー型認知症と言われています。アルツハイマー型認知症は脳内に発生した異常なタンパク質などが神経細胞の働きを妨げることで発症し、進行すると神経細胞が破壊されて脳が萎縮します。アルツハイマー型認知症は軽いもの忘れなどから始まり、ゆるやかに進行します。病状が進むと新しいことを記憶できなくなり、日付・曜日や今いる場所などもわからなくなります。早い段階で認知症に気づいて適切な薬物治療などを受ければ、進行を抑えることができます。レビー小体型認知症認知症の約5%を占めるレビー小体型認知症は、脳内にレビー小体(異常なタンパク質)ができて脳の神経細胞が破壊されて起こります。このタイプの認知症では、幻視(存在しないはずのものが見える)・錯視(見えているものを全く違うものとして認識する)・睡眠中の大きな寝言や激しい動作・パーキンソン症状(動作が遅くなる・筋肉がこわばる・転びやすくなるなど)などが特徴的です。レビー小体型認知症の治療は、薬で症状を抑える対症療法がメインになります。血管性認知症脳梗塞や脳出血などの後遺症として起こる血管性認知症は、認知症の2割程度を占めています。脳の血管が破れたり詰まったりすると周辺の神経細胞がダメージを受け、認知症状が現れます。血管障害の部位によって症状が大きく異なり、記憶障害のほかに言語障害や歩行障害などが起こることもあります。脳血管障害を繰り返すと、血管性認知症も階段状に悪化していきます。言い換えれば、脳血管障害の原因となる高血圧・糖尿病・動脈硬化の予防や治療によって血管性認知症の進行を抑えることができます。その他三大認知症を除く認知症の中には、正常圧水頭症(脳室にたまった脳脊髄液が脳を圧迫する病気)、慢性硬膜下血腫(外傷などで頭蓋骨と脳の間に血腫ができて脳を圧迫する病気)、脳腫瘍などが原因で起こるものもあります。これらの認知症は、原因となる病気を治せば症状が消えることもあります。 認知症を防ぐ3つの方法認知症を防ぐ第一歩は、毎日の食事・生活習慣・活動に気を配ることです。最初から無理をすると挫折しやすいので、できることから少しずつ実行していきましょう。必要に応じて、医師などの専門家に相談しましょう。1.認知症を防ぐ食事毎日の食事は、わたしたちの身体をつくる大切なものです。栄養バランスや食事の摂り方に配慮して、認知症のリスクを下げましょう。食材について魚と野菜を多く摂る和食や地中海食が近年注目されていますが、これらの食事は認知症予防にも良いとされています。青魚青魚に多く含まれるDHAは脳の神経伝達を助け、脳の活性化に役立ちます。同じく青魚に含まれるEPAは血管を拡げて血流を良くし、生活習慣病のリスクを下げます。赤ワイン赤ワインに含まれる抗酸化物質の一種・ポリフェノールを十分摂ると、認知症や生活習慣病を防ぐ効果が期待できます。葉物野菜、果物ほうれん草や小松菜、いちごなどには葉酸が豊富に含まれています。葉酸を豊富に摂ることで、動脈硬化の原因となるホモシステイン(悪玉アミノ酸)の増加を抑えるのに役立ちます。緑黄色野菜、ナッツ類抗酸化物質であるビタミンA・C・Eやポリフェノール類が豊富なものが少なくありません。抗酸化物質は、動脈硬化のリスクを下げるのに役立ちます。炭水化物メインの食事や糖分の多い食品炭水化物や糖分を摂りすぎると、糖尿病の原因となります。糖尿病になると、脳血管性認知症やアルツハイマー型認知症のリスクも上がります。炭水化物・糖分とともに食物繊維の多い野菜・海藻・きのこ類などをしっかり摂ると、血糖値の上昇を抑えることができます。ショートニング、マーガリン、動物性脂肪(魚以外)ショートニング、マーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸や魚以外の動物性脂肪を摂りすぎると、血中のLDL(悪玉コレステロール)が増えやすくなり動脈硬化のリスクが上がります。塩分を多用するメニュー塩分過剰な食事は高血圧の原因にもなり得ます。高血圧をどを防ぐため、味付けや調理法を工夫して減塩を心がけましょう。食べ方について身体に良いからと同じものばかり食べると、栄養バランスが崩れて逆に不健康になってしまいます。朝は卵料理を食べたから昼食は魚がメインというふうに、いろいろな食材を摂りましょう。食事のたびによく噛むことで、脳を刺激できます。たとえ高齢でも、必要以上にやわらかいものばかり食べていると脳への刺激が減ってしまいます。むやみに食事制限をしてしまうと、脳への刺激だけでなく食事の楽しみも減ってしまいます。様々な食材をまんべんなくとることが重要です。 2.認知症を防ぐ生活習慣認知症を防ぐには、運動・睡眠をしっかり摂って健康維持につとめることも大切です。運動ただ歩くだけでも、脳から身体の各部に「右手を前に出す」「左足で地面を蹴る」といった複雑な司令が送られています。つまり、体を動かすことで自然に脳を刺激できます。さらに運動で全身の血流が良くなれば、脳の血流もおのずと良くなるでしょう。睡眠習慣慢性的に睡眠時間が足りない人や睡眠の質が良くない人は、認知症のリスクが高まることがわかっています。熟睡できない状態が続くと、アルツハイマー型認知症の原因となる異常なタンパク質が脳にたまりやすくなるためです。睡眠の質を上げるためには、まず起床後に日光を浴び朝食をしっかり摂るよう心がけましょう。これらの行動によってすっきり目覚めやすくなり、昼間に脳をしっかり覚醒させることで夜に眠気を感じやすくなります。また、睡眠を妨げる病気(睡眠時無呼吸症候群など)がある人は早めに治療しましょう。生活習慣病予防上でも触れましたが、糖尿病・高血圧・心疾患などの生活習慣病になると血液や血管に異常が出やすくなり認知症のリスクも上がります。日頃の食事や運動習慣に注意しつつ定期的に健康診断を受けて、生活習慣病を防ぎましょう。すでに生活習慣病になっている人は、しっかり治療して進行を食い止めましょう。歯周病予防歯周病などによって多くの歯を失うとしっかり噛めなくなり、脳への刺激が減ってしまいます。また、歯周病菌が原因で動脈硬化のリスクが上がることもわかっています。毎日の正しいブラッシングや定期的な歯科検診で、歯の健康を守りましょう。すでに歯を失ってしまった場合は、入れ歯やインプラントを使えばまた噛めるようになるでしょう。 3.認知症を防ぐ活動日々の活動や趣味を工夫して、脳にほどよい刺激を与え続けましょう。多くの人と交流するなるべく家に引きこもらず、社会活動や趣味などのコミュニティに参加して多くの人と交流しましょう。地域のホームページや情報誌などで、中高年向けのボランティア活動やカルチャースクールなどの情報が見つかることも多いですよ。脳を鍛える知的活動や指先を細かく使う作業をするとき、脳は複雑に活動します。以下のような趣味を持つことで、手軽に脳トレーニングができます。・文章の読み書き(新聞を読む、俳句・短歌を作るなど)・博物館や美術館に行く・頭を使うゲーム(将棋、囲碁など)・新聞・雑誌に載っているパズルやクイズ(クロスワードパズル、数独など)・指先を使う趣味(裁縫、編み物、陶芸など) 認知症予防で大切なことまだ若いからと油断せず早いうちから生活習慣に注意すれば、将来認知症になるリスクを1/3ほど下げることができます。また認知症になる前のMCIの段階で症状に気づいて対策すれば、治る可能性は十分にあります。認知症を防ぐため毎日の食生活と生活習慣に注意するのはもちろん、人との交流や知的活動にも積極的に取り組みましょう。趣味を多く持つことで人生がより豊かになり、認知症のリスクを下げて健康寿命を延ばすのに役立つでしょう。 【参考】医療法人 東内科医院「認知症について」医療法人泯江堂 油山病院「軽度認知障害(MCI)について」厚生労働省認知症の基礎~正しい理解のために~「認知症施策の現状について」政府広報オンライン「もし、家族や自分が認知症になったら知っておきたい認知症のキホン」富山市「認知症ガイドブック」8020推進財団「歯周病対策で健康力アップからだの健康は歯と歯ぐきから」一般社団法人認知症予防協会「認知症を予防しよう」公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「認知症の予防」「認知症予防のための食事とは」「地中海食の特徴」
2018年10月24日自閉スペクトラム症(ASD)の人の感じ方を体感するワークショップへこのワークショップは、自閉スペクトラム症(以下、ASD)の特徴の一つである視覚過敏症状を「ASD視覚体験シミュレータ」を通して疑似体験したり、第一線で研究する専門家の講義を聞けたりするというもの。ワークショップが行われたのは、東京大学先端科学技術研究センターです。会場では、ひとつのテーブルに5~6人がグループとなって着席。最初に、認知ミラーリングシステムを用いたシミュレータ開発を行う、情報通信研究機構の長井志江(ながいゆきえ)先生による講義がありました。自閉スペクトラム症(ASD)ってなに?どんな特徴があるの?Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみASDのある人がどのような世界を見ているかを研究されてきた長井先生。視覚や聴覚など「感じ方」について分かりやすくお話してくださいました。Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみASDがある方は、瞳孔サイズの調整能力が弱い傾向にあることが分かっているそう。収縮率が低く、収縮のスピードも遅く、また瞳孔サイズが大きい。明るいところに行っても、瞳孔が小さくなりづらいので、まぶしさが強く長く続きつらく感じる人が多いんだとか。また、情報を統合する力にも特徴があり、人の顔をなかなか記憶できないというケースがあるとのこと。「顔」という複数のパーツが統合されたものを認識するより、目、鼻、口と、ひとつひとつのパーツに目が行ってしまい、パーツごとにバラバラにしか認識できないので、「顔」を認識しづらいし、表情の変化も分かりにくい。そのために、「人の気持ちを表情から読む」ことが難しいんですって!文字も、ひとつの塊としてではなく、一本一本の線としてとらえてしまい、うまく読めなかったり書けなかったりすることがあるので、板書ひとつとっても、困難になるのだそう。いざ体験!ASDのある人が見ている世界とは!?Upload By ひらたともみヘッドマウントディスプレイ型ASD視覚体験シミュレータに映し出されるのは、3本の動画。まずは通常の視覚で見る周囲の様子が流れ、次に同じシチュエーションでのASDの見え方が映し出されます。1本目のマンションの室内編では、屋内から一歩外に出たときの真っ白な世界を体験。2本目の駅のホーム編では、ホームを通過する電車がカラーからモノクロに変化する様子を体験。そして3本目の学食編は、想像を超えて、恐怖すら感じるほどでした…。Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみ同じグループの中学生は、「にぎやかな場所はつらいかもしれない。遊びに行く場所も、相手のことを考えて決めないといけないと思った」と、具体的に自分のやるべき行動レベルにまで落とし込んで考えられていました!私は今まで、駅や街中で大声で叫んでいる子や、何もない場所でおびえて耳をふさいでいる子を見かけても、対応方法どころか、理解すらしていませんでした。視覚や聴覚に特性があると、天気のいい日、一歩外に出ると一面真っ白に見えたり、カラフルな色の食材はコントラストが強すぎて、とてもおいしそうに見えなかったり。屋外やにぎやかな場所では、人の顔に暗い影がかかってしまい、真っ白な歯だけがぼんやり見えたりする…。シミュレータで体感した世界は、私には「恐怖」としか言いようがありませんでした。そして当事者がそんなふうに「感じている」なんて想像もしていませんでした。グループワークで参加者のみなさんとお話しさせてもらったのですが、みんな「学校でこういう授業をしてほしい!」と言っていたことがとても印象的でした。ワークショップでは、ASDがある人に多い「感じ方」を科学的に研究して分かったことを教えてくれます。そして、シミュレータで「疑似体験」ができます。だから、理解しやすい!こうした学び・体験の機会はとても大切だと痛感しました。他の人を理解するためには「知ること」がまず第一歩だと思います。まして、「感じ方」に特性がある人の場合、ただ想像するだけでは難しい…。貴重な体験の機会に恵まれた私ですが、今後は自分が「体験」したことを、言い広めてゆくのが私の役目だと思っています!
2018年10月24日《認知症の前段階とされる軽度認知障害(MCI)の女性は、男性よりも認知症になりやすい――》今年7月、東京大学の研究チームがアメリカの科学誌に発表した論文が反響を呼んでいる。「MCIとは、正常な状態と認知症の中間にあり、物忘れが主な症状です。日常生活には支障がないのですが、たとえば銀行のATMで暗証番号を忘れてお金が引き出せないことがときどきあったり、同じ物を何個も買ってしまったりと、生活するうえで細かい失敗が出てくる状態を指します。認知症に進行しやすいので注意が必要ですが、現在の医療では、あまり有効な手段がないのが現状です」そう解説するのは、研究チームの1人で、東京大学医学部附属病院・神経内科講師で医師の岩田淳先生。厚生労働省によると、約3,000万人いる65歳以上の高齢者のうち、15%の462万人が認知症を患い、13%の約400万人がMCIの状態だという(’12年度調査)。人生100年時代を迎えたが、日常生活を支障なく送ることができる“健康寿命”を延ばすためには、認知症を発症させない、発症しても進行させないことが求められる。「MCIの背景にはさまざまな疾患があり、アルツハイマー病が潜んでいると進行は早くなります。高血圧や糖尿病など生活習慣病を患っていると認知症になりやすいということも過去の研究で明らかになっていますが、その進行の過程は未解明な部分があり、また日本人のデータもなかったので、2~3年間かけてデータを採ってきました」(岩田医師)研究では全国の38医療機関で診察を受けMCIと診断された男女234人(平均72歳)に1年に1度、認知機能テストや脳の画像検査を続けて3年間追跡調査を行った。その結果、3年以内に認知症へ移行した人は、男性が40%だったのに対し、女性は60%だった。「認知機能の悪化が早い女性には、ほんのわずかな腎機能の低下がみられました。同じ方法で実施されたアメリカの研究では、認知機能の悪化に男女差はありませんでした。なぜ、日本人では男女差が生じたのか。その理由として、日本の女性は男性よりも体が小さいため血管が細く、生活習慣病などによって引き起こされる動脈硬化が起こりやすいためではないかと推測しました」(岩田医師)脳内の血管がダメージを受けると、動脈硬化が起こり、神経細胞が壊され、認知機能の悪化を招きやすくなるという。見過ごされがちだが、全身の血管のうち、健康を維持するためにとても大切なのは約9割を占める毛細血管。全身の隅々まで酸素や栄養、熱を送り、老廃物を流す役割があるからだ。「毛細血管は放っておくと加齢とともに徐々に消滅してしまい、無機能化(ゴースト化)が進みます。血管が細い日本人女性が特に気をつけなければならないのが、この“血管のゴースト化”です」こう語るのは、『血管の強化書-破れない!詰まらない!澄み切った血液は万病を治す』(ワニブックス)の著者で、金沢医科大学総合内科学准教授の赤澤純代先生。女性ホルモンの一種、エストロゲンには血管の保護作用があるため、エストロゲンが減少すると血管にダメージを受けやすくなる。40代以降は、特に注意が必要だという。
2018年10月18日厚生労働省によると、約3,000万人いる65歳以上の高齢者のうち、15%の462万人が認知症を患い、13%の約400万人が認知症の前段階とされる軽度認知障害(MCI)の状態だという(’12年度調査)。人生100年時代を迎えたが、日常生活を支障なく送ることができる“健康寿命”を延ばすためには、認知症を発症させない、発症しても進行させないことが求められる。《認知症の前段階とされる軽度認知障害(MCI)の女性は、男性よりも認知症になりやすい――》今年7月、東京大学の研究チームがアメリカの科学誌に発表した論文が反響を呼んでいる。「MCIとは、正常な状態と認知症の中間にあり、物忘れが主な症状です。日常生活には支障がないのですが、たとえば銀行のATMで暗証番号を忘れてお金が引き出せないことがときどきあったり、同じ物を何個も買ってしまったりと、生活するうえで細かい失敗が出てくる状態を指します。認知症に進行しやすいので注意が必要ですが、現在の医療では、あまり有効な手段がないのが現状です」そう解説するのは、研究チームの1人で、東京大学医学部附属病院・神経内科講師で医師の岩田淳先生。研究では全国の38医療機関で診察を受けMCIと診断された男女234人(平均72歳)に1年に1度、認知機能テストや脳の画像検査を続けて3年間追跡調査を行った。その結果、3年以内に認知症へ移行した人は、男性が40%だったのに対し、女性は60%だった。「認知機能の悪化が早い女性には、ほんのわずかな腎機能の低下がみられました。同じ方法で実施されたアメリカの研究では、認知機能の悪化に男女差はありませんでした。なぜ、日本人では男女差が生じたのか。その理由として、日本の女性は男性よりも体が小さいため血管が細く、生活習慣病などによって引き起こされる動脈硬化が起こりやすいためではないかと推測しました」(岩田医師)脳内の血管がダメージを受けると、動脈硬化が起こり、神経細胞が壊され、認知機能の悪化を招きやすくなるという。見過ごされがちだが、全身の血管のうち、健康を維持するためにとても大切なのは約9割を占める毛細血管。全身の隅々まで酸素や栄養、熱を送り、老廃物を流す役割があるからだ。「毛細血管は放っておくと加齢とともに徐々に消滅してしまい、無機能化(ゴースト化)が進みます。血管が細い日本人女性が特に気をつけなければならないのが、この“血管のゴースト化”です」こう語るのは、『血管の強化書-破れない!詰まらない!澄み切った血液は万病を治す』(ワニブックス)の著者で、金沢医科大学総合内科学准教授の赤澤純代先生。女性ホルモンの一種、エストロゲンには血管の保護作用があるため、エストロゲンが減少すると血管にダメージを受けやすくなる。40代以降は、特に注意が必要だという。「加齢のほかにも、喫煙、運動不足、ストレスなどの習慣が血管に負荷を与えてしまいます。そして、血管の老化を加速度的に進行させてしまうのは、塩分や糖分をとりすぎる悪い食習慣です」(赤澤先生・以下同)次の生活習慣を確認してみよう。当てはまる項目があれば血管のゴースト化が懸念される。丈夫な血管を保つためにも、すぐに改めよう。【喫煙】喫煙は血管を収縮させ、血液の粘度が高まりドロドロになる。さらに、動脈硬化が進みやすくなる。【過度のアルコール摂取】お酒を飲むと一時的に血圧が下がり脈拍を速めるが、長時間飲み続けると血圧が上がり高血圧症の原因に。【塩分&糖質過多の食事】血管力を高めるのは薄味の食事。外食や加工食品を減らし、野菜やタンパク質を意識的に取るようにしたい。【肥満体形】コレステロール値が高い状態が続くと動脈硬化が進み、血管が狭くなる。標準体重を維持しよう。【運動不足】少し息が上がるくらいのスピードで1日30分歩く習慣をつけたい。ハードな運動は関節を痛めることがあるので注意。赤澤先生によれば、マッサージで血管の循環を促すことで、血管は鍛えることができるという。赤澤先生が推奨するのは次の2つのマッサージだ。【血流を促す「ふくらはぎマッサージ」】1)マッサージオイルを使い、ふくらはぎを両手で包み込むように、アキレス腱から膝裏のリンパ節までやさしくさすりあげる。2)膝の裏は、少し力を入れて特に念入りにマッサージする。3)親指でツボを押しながら、鼠径部までマッサージ。反対の脚も同様に。血海(膝の内側から指3本分上)、足三里(膝下の外側)、三陰交(くるぶしの内側から指3本分上)の、3つのツボを意識する。【リンパの流れをアップさせる「首・鎖骨のプッシュ」】1)あごの先から耳の下に向かって手でさすり、後頭部に向かって頭蓋骨のすぐ下を押す。さらに鎖骨に向かって首をさする。左右5回。2)肩の骨の付け根あたりから、鎖骨の上側の骨に近い部分を指で押す。左右5回。「必ず行ってほしいのがふくらはぎのマッサージです。ふくらはぎは“第二の心臓”といわれるほど、血流に大きな影響を与える大事な部分です。静脈には一方向に流れる弁があり、末梢の血液を戻す流れを作るには、ポンプの役割を果たす筋肉が必要です。ふくらはぎが硬くなっていたら微小循環が悪いことが考えられます。心臓に戻す方向でさすり、少し太い静脈に血液を戻しましょう」さわってみて冷たく感じたり、硬かったり、むくんでいたりしたら血行が悪く冷えているサインだという。また、相手と楽しみながら行う「足指じゃんけん」も、末梢血管の血流を促進させる効果があるそうだ。「首・鎖骨のプッシュ」はリンパの流れをよくするマッサージ。鎖骨の周辺には老廃物を運んでくる静脈がめぐり、リンパ管もたくさん張りめぐらされている。このあたりをほぐして血流をよくすることで、肩こりや頭痛も改善できて、一石二鳥だそう。手軽にできることから始めて、血管のゴースト化を防ぎ、健康寿命を延ばしていこう!
2018年10月18日遠距離恋愛をする上で最も心配になるのが男性の浮気です。お互いなかなか会えないことで男性はあなたが恋しくなりますし、遠距離恋愛なら仮に浮気してもバレにくいため、誘惑に負けてしまう男性は少なくありません。このため、あなたが遠距離恋愛をする時には男性が浮気しないように様々な策を考えるでしょう。さて、ここでも遠距離恋愛中の浮気の予防方法をお伝えしますが、実際のところ浮気の予防方法については既にネットや雑誌で情報が溢れています。そこで、浮気の予防方法の中でも「意外な方法」と「物理的に浮気ができなくなる方法」にこだわり、厳選した本当に役立つアイデアをあなたに提供します。1. 物理的に浮気をできない状況にさせる方法「愛情」や「信頼」や「良心」があれば男性が浮気することはありません。しかしこの場合、問題なのは浮気しようと思えばできてしまうことです。例え本気であなたを好きだとしても、あなたの知らないところで女性と会うことは物理的に可能ですし、その女性とセックスすることも同様に可能です。ですからここは物理的に浮気できない…つまり、浮気をしようと思ってもできない状況を作る方法を考えてみましょう。そうすれば、例え男性に魔が差したとしても浮気できません。何しろ物理的に不可能なわけですから、どうにもならないのです。(1) 一緒にオンラインゲームで遊ぶゲームが好きなのはオタクのイメージですが、今ではスマホで誰もがゲームで遊んでいるため、ゲームをする行為自体にマイナス要素はありません。そこで、お互い家庭用ゲーム機を購入して一緒にオンラインゲームで遊んでみるのはいかがでしょうか。さて、この提案には実は物理的に浮気できない要素が込められています。まず家庭用ゲーム機を使用する点で、そこにPCやテレビがなければ遊べません。つまり、状況的に男性はPCやテレビのある場所…つまり自宅にいなければなりません。しかもあなたとオンラインゲームで遊ぶわけですから、遊んだフリをすることもできないわけで、少なくとも男性が外出して浮気するのを物理的に防げます。(2) ビデオ通話でコミュニケーションをとるコミュニケーションの手段として、今はLINEでやりとりをすることがほとんどだと思います。しかし敢えて電話を使って、さらにその電話もビデオ通話にしてはいかがでしょうか。ビデオ通話をすれば男性の姿が見えると同時に男性が現在いる場所の景色があなたの画面にうつるため、男性は迂闊な場所に行けなくなります。このため、男性が女性の家に行って浮気するのを物理的に防げますし、女性を家に呼ぶこともしづらくなるでしょう。LINEならチャットですからいくらでもウソがつけますが、姿がうつるビデオ通話においてはそのようなウソがつけなくなるのです。<物理的に浮気できなくさせるコツ>物理的に浮気できなくさせるには、文字どおり浮気しようと思ってもできない状況に男性を置けば良いのです。そして、その状況として一般的なのは「自宅で1人の状態」です。オンラインゲームやビデオ通話なら「自宅で1人の状態」を作れますし、ウソでごまかすこともできません。2. 浮気のリスクを実感させる方法男性が浮気をする上で最も恐れるリスクは浮気がバレることです。しかし、遠距離恋愛の場合は浮気が発覚しにくいため、言わばリスクがないに等しい状態です。リスクがないということは恐れるものがないということですから、状況次第で浮気をしてしまいます。そんな男性の心理に対処するには、やはり遠距離恋愛においても浮気に対するリスクを実感させることです。つまり、「浮気をしない方法」ではなく「浮気のリスクを実感させる方法」を考えるわけです。この発想の転換ができれば遠距離恋愛でも男性は浮気しなくなり、なぜならリスクを恐れて浮気できない心理状態になるからです。(1) 刺激的なセックスをする刺激的なセックスをすれば男性は興奮しますし、そのセックスに大満足するでしょう。最も、それは女性も分かってはいますがなかなか実践できるものではなく、なぜなら恥じらいの気持ちがあるからです。このため、実際には刺激的なセックスをする女性はほとんどいないのが現状です。その現状を利用して、遠距離恋愛の男性に浮気のリスクの高さを実感させようというわけです。浮気が発覚してあなたを失えば、男性はそんな刺激的なセックスをする女性と二度と出会えないかもしれません。それが男性にとって大きなリスクとなるため、万一の発覚を恐れて浮気しなくなるのです。(2) 「浮気したら絶対に別れる」と公言する彼女を持つ男性に「あなたの浮気が発覚したらどうなりますか?」と質問した場合、ほとんどの男性はしばらく考えて何らかの回答をするでしょう。ここでポイントになるのは、回答する前に男性がしばらく考えるという点です。「しばらく考える」という点から、男性は浮気が発覚した時のことをすぐに想像できないことが分かります。つまり、浮気をしてそれが発覚すればどうなるかが予想できないわけです。その点「浮気したら絶対に別れる」と公言しておけば、男性は浮気が発覚した時点であなたを失うことがハッキリと分かるため、軽率な行動をとらなくなる…つまり浮気しなくなるのです。3. まとめ遠距離恋愛で男性が浮気してしまうのは、女性が近くにいないことで浮気しやすい状況だからです。と言うことは、女性がそばにいれば浮気できないわけで、そのための意外な方法がオンラインゲームやビデオ通話です。ゲームで浮気予防する発想はなかなかできないですし、電話で会話する方も今は少ないですからね。また、刺激的なセックスをするのも良い方法です。この場合、男性がセックスにハマることで女性を失いたくない気持ちが強くなり、そのため別れのリスクを伴う浮気をしなくなるのです。さらに「浮気したら別れる」と公言するのも効果的で、そうすれば浮気したら女性を失うということを男性が強く実感するからです。written by Ryuka
2018年10月02日在宅介護では暴言や暴力が絶えないともいわれています。このいわゆる虐待は大きな問題でもあります。認知症の人に接するうえで最も大切なことは何か。このような悲劇を招かないために、一度立ち止まって考えてみる必要がありそうです。■ 最も暴力に発展しやすいのは子が親を介護するケース!?平成27年度、家族や親族による虐待数は15,976件でした。これは前年と比べて237件増えています。sakai / PIXTA(ピクスタ)介護者と要介護者の関係を大きく分けると、子が親を介護、妻が夫を介護、夫が妻を介護、妻が姑を介護、という4つのケースがあります。この中で最も感情を乱しやすいのは、子が親を介護するケースです。また認知症の人は感情のコントロールがうまくできないため、何かと怒ったり頑固になったりします。しかも言うことを聞かないうえ、暴言や暴力までふるうこともあります。その結果、介護者がストレスを抱え、今度は介護者による虐待が始まることも少なくありません。■ 虐待で最も多い!息子が親に対して行う暴力平成27年度の虐待事例15,976件のうち、息子が全体の40.3パーセント(7,099件)を占めています。Ushico / PIXTA(ピクスタ)以下、夫の21.0パーセント(3,703件)、娘の16.5パーセント(2,906件)の順に続いています。では、なぜ息子の暴力が多いのか。それは、もともと力の差があるうえ、身内という遠慮のない関係が災いし、暴力をふるいやすいのではないかと思われます。■ 在宅介護で虐待が起こる最大理由はストレス!息子や娘は、自分を育ててくれた親をいつまでも気丈で尊大な人と思いたいものです。しかし、幼児のようにわがままや身勝手な振る舞いをする親に、我慢できなくなり、つい手を挙げてしまうのではないでしょうか。厚生労働省の調査によると、在宅介護で虐待が起こる最大の理由は「介護疲れ・介護ストレス」とのこと。shimi / PIXTA(ピクスタ)徘徊や異常行動を起こす親に振り回されると、疲れ、ストレスが溜まり、やがて冷静に対処することができず、大声で怒鳴ったり、手が出たりします。■ 病に対する理解不足は悲劇を生む根源同じ質問を一日に何十回もされると、多くの人は冷静さを失うでしょう。でも、それが認知症なのです。言ったこと、聞いたことをすぐに忘れる病が認知症なのに、性格が悪いとか頭がおかしいとか、本気で思ってしまう人もいます。shimi / PIXTA(ピクスタ)認知症で最も悲しいことは、こうした誤解による関係性の崩壊です。では、どうすればいいのでしょうか?最大の防止策は、認知症を理解することです。多くの介護者が認知症を理解しないまま介護をしていると考えられます。介護方法は知っていても、病気についての理解がないため基本的な接し方ができない人が多いのです。これは悲劇の根源でもあります。認知症の人は病人である前に人なのです。汚い言葉には汚い言葉で返します。優しい言葉には優しい言葉で返します。■ 認知症を理解し受け入れる寛容さが大切認知症は治らない病気、認知症になったら家庭は崩壊する、などの言葉が独り歩きし、誤解を信じ込んでいる人はたくさんいます。認知症を理解することは相手を理解することであり、それによって憎まない・怒らないにつながります。しげぱぱ / PIXTA(ピクスタ)病を憎んで人を憎まず。難しいことかもしれませんが、病気を理解し真正面から受け入れる寛容さが私たちには必要なのだと思います。【参考】※イリーゼ高齢者虐待を防止するには?介護現場の実態と今後の解決策※厚生労働省医療経済研究機構「家庭内における高齢者虐待に関する調査」概要※厚生労働省平成27年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果
2018年09月18日少しずつ認知症の症状が現れるアルツハイマー型認知症とは異なり、脳梗塞、脳出血などの脳血管が原因で認知症になる人は少なくありません。しかも、脳梗塞は40代、50代でも発症します。とはいっても、脳梗塞は生活改善などで防ごうと思えば防げる病気です。ここでは脳梗塞で認知症を発症した人の介護について、一例を紹介します。参考になれば幸いです。■ ある日突然、父が倒れて自宅で介護することに…同居している義理の父親(78歳)が脳梗塞で倒れ、退院したら自宅での介護を考えているという主婦A(48歳)さん。KY / PIXTA(ピクスタ)Aさんのご主人は営業部で出張も多いため、主介護者となるのは必然的に自分だろうと感じていました。Aさんは事務職で比較的休暇が取りやすく、仮に会社を辞めてもご主人の収入でなんとかなるとも考えました。当初、Aさんは自宅で介護(在宅介護)するか、介護施設に入所させるかで悩んでいました。しかし、父の意識はしっかりしているため、施設入所はやはり気が引けました。■ 離職せず介護休業を利用して介護に専念Aさんは結局、自宅で介護という方法を選択しました。そして、現在の仕事について、次の4つの選択肢を考えました。勤務時間を短くして早く帰宅し、介護できるようにする地元のスーパーなどでのパートに切り替える自宅でできる仕事をする仕事をしないで介護に専念するAさんが選択したのは1でしたが、上司に相談すると、しばらく介護休業をとればいいとアドバイスされました。ふじよ / PIXTA(ピクスタ)介護休業は雇用保険から介護休業給付金が支給され、1回の介護休業期間は最長3か月です(介護休暇は最長5日間)。言われるまま介護休業をとり、父の介護に専念することにしました。■ 自宅でリハビリと介護に追われる日々に3か月ほど入院して自宅に帰ってきた父は、左半身麻痺と言語障害がありましたが、自分でご飯を食べたり、トイレに行くことはできます。KY / PIXTA(ピクスタ)リハビリ通院によって父親も機能回復を目指して頑張っていました。あまり回復はしないものの、現状を維持しながらそれなりに自立した生活が続きました。Aさんの介護は食事づくりと食事介助、歩行訓練の手助けや見守り、薬の管理、トイレ介助などです。歩行中に倒れると自分では起き上がれないうえ、下手をすると命の危険性もあります。自宅であっても目が離せないのです。しげぱぱ / PIXTA(ピクスタ)■ 「デイケア」に通い介護者も負担が軽減Aさんは父親に、より質の高いリハビリを受けさせようと考え、デイケアを利用することにしました。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)要介護3の父は毎日楽しくデイケアに通うようになり、Aさんの負担も一気に軽減されます。そして、仕事にも復帰しました。仕事の時間を短縮して、デイケアから帰ってくる父親を迎え入れることにしたのです。ところが、事態は急変しました。昼間大人しくしていた父が夜中に起きて動き回るという異常な行動をするようになります。昼夜逆転現象の始まりでした。Aさんの疲労はこれまで以上となり、睡眠不足の日が続きます。Ushico / PIXTA(ピクスタ)■ 認知症の19%にも及ぶ!脳梗塞が原因で認知症に発展するケースも多い脳梗塞や脳出血などによって発症する認知症のことを「脳血管性認知症」と呼び、認知症全体の19%にも及んでいます。主な症状としては、何に対しても意欲や自発性がなくなるとともに、感情の起伏が激しくなり、些細なことで怒ったり落ち込んだりします。NOV / PIXTA(ピクスタ)ただ、判断力や記憶力は比較的保たれています。また、手足に麻痺や感覚の障害、言語障害などの症状が現れることもあります。日中に活動する意欲が少ないため、不眠や昼夜逆転につながり、その対応に振り回される家族も睡眠不足や大きなストレスを抱えてしまいます。■ 「介護施設」に入所して落ち着きを取り戻した父その後、Aさんの父は「脳血管性認知症」を発症してしまいます。夜中に窓を割って出て行こうとしたり、家の中を歩き回るようになりました。Aさんは毎晩のように繰り返す父の対応に追われ、ついに疲労で倒れ入院してしまいます。それを見かねたAさんのご主人は、父親をグループホーム(認知症の人を対象とした介護施設)に入所させることにしました。IYO / PIXTA(ピクスタ)施設では父親に応じた介護プランが作られ、介護士が日々のケアを行います。異常行動を繰り返していた父もよやく落ち着きを取り戻し、面会に訪れるAさんとも笑顔で会話できるようになりました。Aさんの父親の場合、最初からデイサービスか施設か、という選択ではなく、自然の流れで最終的に施設に入所したケースです。自宅で介護する人が増えていますが、介護の負担が大きいか小さいかによって、最初から施設入所という選択もあり得るでしょう。脳血管性認知症の人が必ずしもこのような流れを辿るわけではありません。あくまでも参考として、一つの流れを知っておくと良いでしょう。【参考】※厚生労働省Q&A~介護休業給付~※認知症ねっと認知症とは?原因・症状・対処法から予防まで
2018年09月14日風邪やインフルエンザは、それぞれの体験を通してどんな病気かわかります。ところが認知症は頭で理解していても、本当のところは発症した人しかわからない病です。そんなよくわからない病について、実際に発症した方の意見を紹介してみたいと思います。■ すべてのことが不明確でぼやっとした感じ認知症医療の第一人者で精神科医の長谷川和夫氏は昨年、自身が認知症を発症していると明かしました。長谷川氏は1974年に認知症診断の物差しとなる「長谷川式簡易知能評価スケール」を公表し、今日まで多くの医療現場で使われています。氏の場合は、それほどひどい症状でなく、正常な状態と認知症とを行ったり来たりするという比較的軽度な認知症です。そんな氏が語ったのは、認知症って実はこういうことだった、という自分なりの体験でした。氏が痛切に感じているのは、確かさが欠如するということでした。freeangle / PIXTA(ピクスタ)今がいつなのか、今どこにいるのか、目の前の人が誰なのか――。そうしたすべてのことが不明確ではっきりしないということです。■ 不明確なことは何度も確かめたくなる病気のようで病気でないような、単なる物忘れと思われがちな初期の認知症のころは、同じ行為を何度も繰り返すことがあります。たとえば家を出て行くとき、ドアに鍵をかけたかどうかが不安になり、途中で引き返して確かめる。あんみつ姫 / PIXTA(ピクスタ)あるいは、昔の同級生や先生の名前がわからなくなり名簿を調べたり、学校に電話することも。cozy / PIXTA(ピクスタ)わからないままだと不安が募り、それが原因でパニックになることもあります。■ はっきりしないことが大きな不安と恐怖になる認知症の人は、よく「怖い、怖い」と口にします。何が怖いかと聞くと「よくわからない」と答えます。B612 / PIXTA(ピクスタ)おそらく何事もはっきりしないというのは、とても恐いことだと思われます。もし自分が急に知らない町で目覚めたとします。しかも、そこに至った経緯さえもわからない。え、ここはどこ?最初は不思議に思うでしょうが、やがて怖くなる。それが常に起きている状態が、認知症ではないでしょうか。■ 笑顔とやさしい声がけで安心感を与える長谷川氏は週に一回、デイサービスに通うようになり、そこでの体験はとても心地良いとも語っています。自分には馴染みのない職員でも、彼女らは自分のことをよく知っていてくれ、とても安心感があると言います。ボーッとしていると、長谷川さんどうしたの、何か困ったことでもあるの?と声がかかる。それがとても嬉しいと感じているそうです。kou / PIXTA(ピクスタ)こうした声がけはどこのデイサービスでも行うものですが、こんな一言だけで安心して過ごせるそうです。■ やさしく接すれば相手もやさしくなれる不安に苛まれる人が多い認知症ですが、誰かが常にそばにいて声をかけてあげるだけで安心できるのです。時には手を取って、笑顔とやさしい言葉で話しかけてあげましょう。kou / PIXTA(ピクスタ)多くの認知症の人はこちらの対応次第で笑ったり、怒ったりします。言葉もそうですが、相手の顔の表情をよく見ています。やさしい言葉でも顔がこわばっていれば、不安になってしまいます。それはあたかも人と接することの基本的な行動であり、心のクスリのようなものなのかもしれません。常にやさしい気持ちで接することができるといいですね。【参考】※認知症ねっと長谷川式認知症スケール
2018年09月07日50代以降から悩まされる人が急増している脊柱管狭窄症。体の異変を感じている人もそうでない人も、予防のための心がけを押さえておこう!「脊柱管とは背骨に沿ってのびるトンネルのようなもので、中には神経が通っています。加齢とともに脊柱管が狭くなり、神経が圧迫され、痛みやしびれが出るのです。脊柱管狭窄症は、活動的なシニアが増えたことから、注目されている病気です」こう語るのは、参宮橋脊椎外科病院の大堀靖夫先生。近ごろ、よく耳にする脊柱管狭窄症。平均寿命が延び、超高齢社会を迎えた現代。この症状に悩む人が急増している。脊柱管狭窄症は、腰痛はひどくなく、背筋を伸ばして立ったり、歩いたりすると、脚にしびれや痛みを感じるのが特徴だ。「脊柱管狭窄症は加齢にともなって増加しますが、誰でも発症するわけではありません。予防には、40〜50代からの生活習慣や運動習慣、正しい姿勢などが重要だと考えられています」(大堀先生・以下同)脊柱管は急に狭くなるわけではない。多くは長年の姿勢のクセや日ごろの腰への負担などからジワジワと狭くなっていくもの。脊柱管狭窄症予防にもっとも効果があるのが、運動の習慣を身につけることだという。背骨をあるべき状態でキープするには、筋力が不可欠。そこで、日常生活の中でできるエクササイズを大堀先生が教えてくれた。■筋肉をほぐす1)階段で段差に片脚をかけ、体重を前に移動して重心をゆっくり前に。太ももやふくらはぎの筋肉が伸びているかチェック。2)階段の手すりにつかまりながら、腰を曲げないようにゆっくり脚を横に開き、太もも内側の「内転筋」をストレッチ。■脚の筋肉を鍛える1)脚を肩幅に開き、背筋を伸ばして立つ。手を腰に当てて、上半身はやや前傾しながらも、腰を曲げないで頭とお尻を床と垂直に保つ。2)4秒かけてゆっくり腰を下ろし、4秒かけて腰を上げていく。顔はまっすぐ正面を見ていることがポイント。朝晩5回程度を目安に。※両脚の間隔が肩幅より狭いと腰に負担が。ひざを90度より深く曲げたり、ひざがつま先より前に出たりするとひざを痛めるので注意。■体幹を鍛える1)脊柱管の周囲の脊柱起立筋、腹直筋などの体幹を鍛えることで予防も。腰が反らないように四つんばいの姿勢に。2)片脚をゆっくり上げて、まっすぐ伸ばして5秒キープ。背中が丸まらないようにする。朝晩左右5セットを目安に。3)2で余裕があれば、伸ばした片脚と反対の手を前方につき出す。体をひねらないよう注意して左右交互に5セット。「運動不足は体を支える筋肉や靱帯が衰え、骨への負担が増加します。ウエイトリフティングなど極端に腰への負荷がかかる運動以外なら、どんな運動でも問題ありません。とくに有酸素運動のウオーキングは効果的です。歩幅を大きくして、ふくらはぎをしっかり伸ばして歩くといいでしょう。またストレッチで筋肉をほぐす習慣と併せて、自転車こぎや軽いスクワット、体幹トレーニングなど足腰を強くするエクササイズを実践するなど、ふだんから運動習慣を身につけることで、脊柱管狭窄症だけでなく、生活習慣病や高齢者にとって危険なサルコペニア(筋力が低下すること)を防ぐことにもなるのです」無理のない範囲で体をほぐし、筋力アップを積極的に心がけよう。
2018年09月03日50代以降から悩まされる人が急増している脊柱管狭窄症。体の異変を感じている人もそうでない人も、予防のための心がけを押さえておこう!「脊柱管とは背骨に沿ってのびるトンネルのようなもので、中には神経が通っています。加齢とともに脊柱管が狭くなり、神経が圧迫され、痛みやしびれが出るのです。脊柱管狭窄症は、活動的なシニアが増えたことから、注目されている病気です」こう語るのは、参宮橋脊椎外科病院の大堀靖夫先生。近ごろ、よく耳にする脊柱管狭窄症。平均寿命が延び、超高齢社会を迎えた現代。この症状に悩む人が急増している。脊柱管狭窄症は、腰痛はひどくなく、背筋を伸ばして立ったり、歩いたりすると、脚にしびれや痛みを感じるのが特徴だ。「脊柱管狭窄症は加齢にともなって増加しますが、誰でも発症するわけではありません。予防には、40〜50代からの生活習慣や運動習慣、正しい姿勢などが重要だと考えられています」(大堀先生・以下同)脊柱管は急に狭くなるわけではない。多くは長年の姿勢のクセや日ごろの腰への負担などからジワジワと狭くなっていくもの。脊柱管狭窄症予防にもっとも効果があるのが、運動の習慣を身につけることだという。背骨をあるべき状態でキープするには、筋力が不可欠。そこで、日常生活の中でできるエクササイズを大堀先生が教えてくれた。■筋肉をほぐす1)階段で段差に片脚をかけ、体重を前に移動して重心をゆっくり前に。太ももやふくらはぎの筋肉が伸びているかチェック。2)階段の手すりにつかまりながら、腰を曲げないようにゆっくり脚を横に開き、太もも内側の「内転筋」をストレッチ。■脚の筋肉を鍛える1)脚を肩幅に開き、背筋を伸ばして立つ。手を腰に当てて、上半身はやや前傾しながらも、腰を曲げないで頭とお尻を床と垂直に保つ。2)4秒かけてゆっくり腰を下ろし、4秒かけて腰を上げていく。顔はまっすぐ正面を見ていることがポイント。朝晩5回程度を目安に。※両脚の間隔が肩幅より狭いと腰に負担が。ひざを90度より深く曲げたり、ひざがつま先より前に出たりするとひざを痛めるので注意。■体幹を鍛える1)脊柱管の周囲の脊柱起立筋、腹直筋などの体幹を鍛えることで予防も。腰が反らないように四つんばいの姿勢に。2)片脚をゆっくり上げて、まっすぐ伸ばして5秒キープ。背中が丸まらないようにする。朝晩左右5セットを目安に。3)2で余裕があれば、伸ばした片脚と反対の手を前方につき出す。体をひねらないよう注意して左右交互に5セット。「運動不足は体を支える筋肉や靱帯が衰え、骨への負担が増加します。ウエイトリフティングなど極端に腰への負荷がかかる運動以外なら、どんな運動でも問題ありません。とくに有酸素運動のウオーキングは効果的です。歩幅を大きくして、ふくらはぎをしっかり伸ばして歩くといいでしょう。またストレッチで筋肉をほぐす習慣と併せて、自転車こぎや軽いスクワット、体幹トレーニングなど足腰を強くするエクササイズを実践するなど、ふだんから運動習慣を身につけることで、脊柱管狭窄症だけでなく、生活習慣病や高齢者にとって危険なサルコペニア(筋力が低下すること)を防ぐことにもなるのです」無理のない範囲で体をほぐし、筋力アップを積極的に心がけよう。
2018年09月02日「脊柱管狭窄症は、活動的なシニアが増えたことから、注目されている病気です。脊柱管とは背骨に沿ってのびるトンネルのようなもので、中には神経が通っています。加齢とともに脊柱管が狭くなり、神経が圧迫され、痛みやしびれが出るのです」そう語るのは、参宮橋脊椎外科病院の大堀靖夫先生。近ごろ、よく耳にする脊柱管狭窄症。平均寿命が延び、超高齢社会を迎えた現代。この症状に悩む人が急増している。脊柱管狭窄症は、腰痛はひどくなく、背筋を伸ばして立ったり、歩いたりすると、脚にしびれや痛みを感じるのが特徴だ。「脊柱管狭窄症は加齢にともなって増加しますが、誰でも発症するわけではありません。予防には、40〜50代からの生活習慣や運動習慣、正しい姿勢などが重要だと考えられています」(大堀先生・以下同)脊柱管は急に狭くなるわけではない。多くは長年の姿勢のクセや日ごろの腰への負担などからジワジワと狭くなっていくもの。日常生活の心がけで、発症や悪化を防ぐことが可能だという。たとえば食生活。“骨のアンチエイジング”に留意すべきだと大堀先生は話す。強い骨を保ち、神経を健康に保つ栄養素を含む主な食べ物は次のとおり。【カルシウム】乳製品、イワシの丸干し、小松菜など。【マグネシウム】のり、ワカメ、アーモンド、大豆製品など。【ビタミンD】きくらげ、サンマ、サケなど。【ビタミンB12】レバー、アサリ、シジミ、カキなど。「骨を増やす基本となる良質のタンパク質、ビタミン、ミネラルなどさまざまな栄養素を取ることが重要です。とくに日本人の摂取量が少ないカルシウムを積極的に取ったほうがいいでしょう。同時に、カルシウムをしっかり定着させるマグネシウムも不可欠です。カルシウムの吸収をよくするビタミンD、神経の修復に役立つビタミンB12なども摂取したいですね。ほかに、動物性のタンパク質は体に必要な良質なアミノ酸を豊富に含み、骨を支える筋肉をしっかりと保ってくれるのです」
2018年09月01日「『脚にしびれや痛みがある』『長く歩くとつらい』、こうした症状は脊柱管狭窄症、もしくはその前兆かもしれません。『もう年だから』と諦める前に、どんな病気なのか知っておくことが大事です」こう語るのは、参宮橋脊椎外科病院の大堀靖夫先生。近ごろ、よく耳にする脊柱管狭窄症。どんな病気なのだろうか?「脊柱管とは背骨に沿ってのびるトンネルのようなもので、中には神経が通っています。加齢とともに脊柱管が狭くなり、神経が圧迫され、痛みやしびれが出るのです。活動的なシニアが増えたことから、注目されている病気です」平均寿命が延び、超高齢社会を迎えた現代。この症状に悩む人が急増しているようだ。「腰痛はひどくなく、背筋を伸ばして立ったり、歩いたりすると、脚にしびれや痛みを感じるのが特徴です。前かがみになるとラクになり、また歩けるようになる『間欠跛行』という症状を自覚して病院を訪れる患者さんが多いです」気がかりなのは脊柱管狭窄症が、運動機能が低下する「ロコモティブシンドローム」を招くことだ。「問題は歩けなくなること。体が動かしづらくなるため、ひきこもりがちになり、活動量が落ちるため筋力も低下します。運動不足やストレスから生活習慣病やがん、うつや認知症などさまざまな病気につながることも。足腰が弱くなることで、寝たきりや要介護のリスクも高くなってしまうのです」脊柱管狭窄症は、どの神経が圧迫されるかによって『神経根型』『馬尾型』『混合型』の3タイプに分かれる。「『神経根型』は薬などの治療で7割ほどの人は症状がよくなります。痛みが強い場合は、患部に麻酔薬を注射する『ブロック療法』を行うことも。『馬尾型』『混合型』では投薬治療のほかに、神経を圧迫している骨や靱帯の除去手術も検討します。手術だと短期間で症状が改善されます。また内視鏡などメスを入れる部分を小さくして体の負担が少ない『低侵襲』の手術も増えています」発症を防ぐには、腰に負担をかけない生活を心がけること。仮に発症しても、前向きに病気と向き合ってほしいと大堀先生は語る。「脊柱管狭窄症は命に関わる病気ではありません。治療の目的は症状を改善するだけでなく、背筋を伸ばして歩くことができること。それだけで心身ともに若返ります。生きがいや生き方を見つめ直すことにもつながるのです」
2018年08月30日各地で40℃以上の気温を観測するなど、猛暑が続く日本。熱中症予防は夏の大切なテーマとなりつつあります。そこで、パパママ世代が実際にヒヤリハットした熱中症体験と、実践している対策について聞いてみました。Q.ご家族かご自身が熱中症になったことはありますか?1.ある 52.1%2.ない 46.7%3.その他 1.1%なんと半数以上の人たちが、自分もしくは家族が熱中症になった経験があるよう。まだ熱中症になったことがない人たちもかなり危機感はあるようで、習い事や部活をしているお子さんのことを心配している声も多く集まりました。■もしかして熱中症だった? みんなの体験談具合が悪い・頭が痛い・汗が止まらない…症状だけしか意識していなくても、後からあれが熱中症だったのかもと気づくことも。どんな症状だったのか詳しく聞いてみました。「トラックの積み込み作業をしている時、汗だくではあったのですが、次第に流れるように汗が吹き出してきて、視界が暗くなり、手足体が重くなってきて、あと5分で終わる作業を中断して休憩しました。もし作業を続けていたら、トラックから転落していたか、救急車で運ばれていたかと思うと怖いです」(埼玉県 40代男性)「仕事でマスク着用、灼熱のフロアでの作業に頭が痛くなり意識朦朧。酸欠状態で倒れかけました。下手をすると救急車でした、皆さんも気をつけましょう」(福島県 40代女性)「幼稚園のバザーのお手伝いの後、家に帰るまでなんとも言えないような体調の悪さ、やっとのことで家についたけど、だるいような嫌な体調。水をいくら飲んでも解決できないほどの喉の渇き。気絶するように寝ました。今思えば熱中症だったんですね。死ななくてよかった」(神奈川県 30代女性)「小学校のボランティア作業で草刈機を使い、草刈りをしていて立ちくらみとめまいが同時に来て…。校長先生からお茶をいただいてなんとか。1日中頭が痛かった。初めて死ぬかとと思った」(栃木県 40代男性)「子どものスポーツの大会で、応援していた私が熱中症になりました。やはり頭痛から始まり、最後には嘔吐してしまい、歩けなくなってしまいました。辛かった」(福島県 40代女性)「子ども3人とも夏生まれ。授乳では相当な体の水分が奪われるようで、それプラス寝不足や体力消耗も重なり、頭痛めまい吐き気…。点滴をしました。それ以降は意識して水分を取り3人の子育てを頑張りました」(神奈川県 40代女性)■熱中症の「予防・対策」と「応急処置」昔はエアコンはつけないほうが体が強くなるなどと言われていましたが、35℃が毎日続くようなときにはエアコンは必須。そのほか早寝早起きなどの基本的な健康管理なども重要なポイントです。「母が熱中症になりました。暑い中、水も飲まずに畑仕事をしていたそうで、もう少しで気を失うところだったそうです。高齢の方で汗が出るからとかトイレが近くなるからとか言って水分を摂らない方がいますが、危険です」(神奈川県 30代女性)「旦那が暑がりなので、自分が暑いからと言ってクーラーはつけっぱなしです。家計を考える私としては嫌ですが、そのおかげで熱中症にはならなかったのかも」(福岡県 40代女性)「早寝、食事、水分補給、疲れたと思ったら無理をしないで休む。毎日の体調管理が大事だと思います」(埼玉県 40代女性)「河川敷で野球の応援をしている時、ほかのチームのお子さんが震えてテントで横になっていました。慌てて保冷剤と凍らせておいたタオルを動脈に当てて様子を見ました。持っててよかった!」(埼玉県 40代女性)熱中症の応急処置では、まずは体を冷やすことが大切。そして、すぐに医療機関へ相談しましょう。 応急処置のポイント(「熱中症ゼロへ」日本気象協会) ■やっぱりスポーツドリンクを携帯しておくと心強い!水や麦茶なども水分補給になりますが、汗をたくさんかくとわかっているときはスポーツドリンクがいいみたいです。たとえ動いていなくても、外にいるときや湿度が高いときなどには積極的に飲むようにしたいですね。「数年前と今年、熱中症になりました。水や麦茶だけでは不十分です。スポーツドリンクで塩分や糖分を補給しないと危険です」(千葉県 30代男性)「今日、昼に熱中症になりかけてました。体がだるくて、水はいっぱい飲んでいるのに、体調戻らず。食事のお味噌汁を飲んだら良くなってきました。塩分が足りなかったのかもしれません。動いていなくても、スポーツドリンクは必要です!」(三重県 40代女性)Q.ご家族かご自身が熱中症になったことはありますか?アンケート回答数:4285件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2018年08月22日実は多い!?赤面症の悩み。 赤面症は精神医学的には社会不安障害(対人恐怖)のなかに位置づけられています。こうした対人恐怖は実はとても多くの方が悩んでいることにも関わらず、自ら治療を受けようとする方は少ないのが現状です。さらに、対人恐怖は何もせずとも自然と治ってしまう自然治癒率はとても低いのです。そのため多くの方が、そうした不安や苦痛を長い間ひとりで耐え忍んでいることが多いのです。そこで今回は、赤面症のメカニズムと、クリニックなどで、認知行動療法を用いてどんな風に治療をしていくのかご紹介します。もしあなたが赤面症で悩んでいたり、これからご説明することで思い当たることがあるようでしたら受診を考えてみるのも手。 赤面症のメカニズムとは? まずは赤面症というのが、いったいどんなメカニズムで生じているのかを考えてみます。赤面症の方が感じる恐怖には、1.「自分は赤面するだろう」↓2.「人は自分の赤面に気がつくだろう」↓3.「赤面によって、人に変だと思われるだろう」という3つの思考があります。そしてそれに赤面症を含む対人恐怖が、長い間つづいてしまう3つのポイントが関係しているのです。 ■1.意識を向ける先が自分自身へと向いてしまう 例えば、人前で話したり、誰かと会話をするとき。相手の反応や会話の内容ではなく「自分がどう見られているか」ということに意識が集中してしまっていませんか? ■他人にどう見えているか決めつけてしまう 二つ目は、自分の中にある「自分自身についての偏った情報」に基づいて、周囲の人の目に自分がどう映るのかを判断してしまうということです。たとえば、赤面症のある方は、実際以上に自分が真っ赤になっている自己イメージを頭のなかで描いていることがあります。そしてそのイメージをもとに「こんなに真っ赤になっている自分は変だと思われているに違いない」といった風に、周囲のひとの目に自分がどう映っているのかを判断してしまいます。 ■「安全行動」をしてしまう 三つ目は、恐れている結果になるのを防ぐために行う「安全行動」と呼ばれる行動をしてしまうことです。たとえば、赤面している顔を見られないようにするために下を向いて話したり、顔を手で隠そうとするような行動が安全行動といえます。しかし、こうした行動は実は逆にひとの注目を集めてしまったり、「変だと思われている」といった考えを強めてしまうことになります。 赤面症を治す方法 こうした視点に基づき、クリニックで行う認知行動療法では、一人一人のクライアントさんの話を聴きながら、赤面恐怖が起きている状況のモデルを作成します。そしてそのモデルに基づいて、その人に必要な様々な治療ステップを行っていきます。たとえば、自分自身について持っているネガティブなイメージを修正していったり、意識を自分自身ではなく外側の世界にむける「注意トレーニング」をしたり、安全行動に関する行動実験をしていったりします。「気づき」と「意識」で不安を和らげる 治療の目的を簡単にいうと下記です。・「実は自分で思っているほど、あなたが赤面しているということを人は気に留めていない」と気づくこと・自分自身のことを気にかけるよりも、会話の中身や、相手の反応など「外側の世界」へとあなたが意識を向けられるようになること・赤面しているのを、隠そうとせずに放っておけるようになることこれらの解決で、不安や恐怖はずいぶんと楽になっていくはず。 赤面症で悩んでいたら、この3つのことを思い出し、意識してみてはいかがでしょうか。ちょっと気持ちの切り替えで、心穏やかになれるかもしれません。 wellfyより
2018年08月18日8月も半ば。例年なら朝夕は秋めいてもいい時期ですが、今年はまだ記録的な猛暑が続いています。そのため熱中症にかかる人も多く、高齢者を中心に死亡する事態もたくさん起きています。高齢者と小さいお子様にとって、夏に危険なのが、台風のさなかに田んぼの様子を見に行って用水路にはまること(田舎の場合ですが……)と、熱中症です。介護職員ならではの目を通しての、熱中症対策についてご紹介いたします。■ 猛暑の夏はエアコンを使わないとダメ!その理由とは?熱中症は、体内の水分不足が主な原因で体温調節機能に失調をきたし、頭痛やめまい、最悪は死に至るという、なかなか侮れない症状です。特にお年寄りは、高齢になると水をあまり飲まなくなるんです。暑さ寒さの感覚も鈍くなって、真夏にカーディガンを羽織ったりしてしまいます。すると、体温が上昇して体内の水分が不足してしまい、加えて、じめじめと湿度が高い室内では発汗できずに、熱中症にかかってしまうのです。さらに「電気代を節約しなくちゃ」とか言っちゃって、エアコンを消してしまいます。ちなみにエアコンの室外機です介護施設では、職員が温度管理や水分補給に神経をとがらせていますから、そうそう熱中症になることはないのですが、独りで家に住んでいるおじいちゃん、おばあちゃんは、危険と隣り合わせ。遠方に高齢の両親がいる方は、まめに電話などして、エアコンを使うように促してくださいね。y_seki / PIXTA(ピクスタ)もちろん大人も、暑くて湿気の多い室内にいると、熱中症にかかるリスクが高まりますよ。頭が痛くなったら、熱を測ってみることをオススメします。tomcat / PIXTA(ピクスタ)体温が上がっていたら、熱中症の初期症状かもしれません。■ 脱水症状になる前に、水よりも経口補水液を飲もう!深刻な脱水症状になる前に、経口補水液(経口補水塩)を飲みましょう!経口補水塩経口補水液は、点滴に使われる成分の、短時間での吸収率が極めて高い水です。下痢や発熱、嘔吐などで、身体の上から下から、いろいろなものが出てしまった方にも効果があります。では、経口補水液の作り方を紹介します。水1リットルに、砂糖40g(スプーン大さじ4.5杯)と塩3g(小さじ1/2)を入れます。塩よりも砂糖がたくさん入っていますたった、これだけ!スプーンを使わない、もっと簡単な方法もありますよ。ペットボトルのキャップを使って、水2リットルに、砂糖14.5杯と、塩0.8杯を入れます。あとはキャップを閉め、ペットボトルを両手で持って、ぶるぶるぶると激しくシェイクするだけ!簡単ですね。あまりに激しく振りますと、まれにペットボトルが手からすっぽ抜け、天井や床にあたって中身が飛び散ることがあります。蛍光灯に命中すると、割れたガラス片が雨のように降ってきます。くれぐれもご注意ください。なお、経口補水液は一気に飲まず、ちょっとずつでお願いします。■ 大学研究者が推進!コップ一杯の牛乳を飲むと熱中症予防に熱中症の予防として、信州大学学術院医学系教授・能勢博さんが提案するのが、コップ1杯(約200ml)の牛乳を飲むことだそうです。ぱぱ〜ん / PIXTA(ピクスタ)経口補水液は、緊急時に手っ取り早く水分補給するのに役立ちますが、健康な人が飲むには、糖質も塩分も高すぎます。牛乳を飲むことによって、たんぱく質のアルブミンが血中に増え、浸透圧の影響で血管の中に水分が増えるということですよ。牛乳は高血圧の人や、ダイエットしてる人にも優しいですね。他には、夏にスイカを食べるというもの。そういえば、今年の夏にスイカを食べました?スイカの9割は水分で、しかもミネラルが豊富に含まれています。近頃、スイカは値段が高くて、スーパーで買うのをためらってしまいますけど、田舎では郊外の路上や産直ショップで安く手に入ります。なにげなく昔から続けている習慣には、ちゃんと意味や理由があるのですね。jyugem / PIXTA(ピクスタ)まだまだ暑い日が続きます。ぜひこれを参考にして、熱中症対策を心掛けてくださいね。【参考】※医療プレミア(毎日新聞)(written by とんちんさん)
2018年08月15日現在、認知症高齢者数は500万人とも600万人ともいわれています。また、認知症の年齢層は50~40歳代にも下がってきており、若いからといって決して安心はできません。介護をテーマに、誰にでも起こりうるさまざまな問題についてご紹介していきます。■ 65歳以上の高齢者の約7人に1人が認知症!内閣府によると、平成24(2012)年の認知症高齢者数は462万人で、65歳以上の高齢者の約7人に1人が認知症といわれています。しげぱぱ / PIXTA(ピクスタ)2025年には約5人に1人になるとも予測しています。参考までに平成25年にガンと診断された人は約86万人でした。この数字が示すのは、認知症は誰でもなりうる病気だということです。そしてそれと同じ数だけ介護する人(介護者)もいるということです。amadank / PIXTA(ピクスタ)■ 若年性の発症年齢は平均51歳!認知症は老人だけじゃない最近は64歳以下の「若年性認知症」の人も増えているようです。平成21年(2009)の若年性認知症者の方は約3万8000人もいるのです女性よりも男性がなりやすく、若年性の発症年齢は平均51歳といわれています。50代で認知症やアルツハイマーと診断されたらショックは大きいでしょう。しかし、それを引き延ばすと、取り返しのつかないことになります。若いために進行するスピードも速く、重病化する可能性が高まります。家族のことを思うなら、早めに病院で診察して、少なくとも進行を食い止める手立てを打つべきです。mits / PIXTA(ピクスタ)高齢者に比べて若年性認知症は本人に理解力があり、治療法を選択できるという判断力があります。■ 認知症の初期症状を単なる物忘れだと思い、放置してしまう人がほとんど!認知症の初期症状を単なる物忘れだと思い、放置してしまう人が大半です。そうして数年が経過し、ある日突然、家に帰ることができなくなったり、会社に行けなくなるなどの症状に見舞われることがあります。それまでも認知症の信号を多く出していたにもかかわらず、知識がないために見落としてしまうことが多いようです。それ以前に様子がおかしいと気づいたら、診察を受けることが重要です。Ideya / PIXTA(ピクスタ)ガンと同じように早期発見で改善したケースは多々あります。初期の軽度な認知症は自立した生活も可能ですので、その段階で進行を止めることができれば、仕事も家事も続けられる可能性はあるのです。■ 若年性認知症は多くの人を巻き込む可能性が大!一般の病気は病院に行くなど自分ひとりでも対応できます。しかし認知症の場合、親、配偶者、兄弟、子ども、さらには親戚をも巻き込んでしまうことがよくあります。80代の親を介護するのと、50代の夫や妻を介護するのとでは大きく異なります。70~80代に発症することが多い認知症ですので、それに応じた介護サービスが整っています。例えば日中はデイサービス(通所型の介護施設)、それ以外は自宅で過ごすことで介護者の負担は軽減できます。amadank / PIXTA(ピクスタ)ところが、40~50代で発症すると、仕事や育児に影響が出てしまいます。ふじよ / PIXTA(ピクスタ)子育てをしながら、夫の介護をするという難しい問題に直面することもあります。■ 認知症かもしれないと思ったら、すぐに病院に!いざ介護が必要になり、すべて自分ひとりで親や夫の面倒を看ようと頑張る方がいます。ひとりで24時間つきっきりの介護は共倒れになりやすく、最悪の場合、自殺や介護放棄といった事態になることもあります。現在は介護制度が整っており、さまざまなサービスを利用して介護の負担を軽くする方法が増えています。できれば、まず病院で診察して、その際に介護保険や介護サービスについて相談すると良いでしょう。CORA / PIXTA(ピクスタ)気軽に相談できるのは地域包括支援センターです。市区町村が運営しており、役所で聞いてみるのが手っ取り早いでしょう。ISO8000 / PIXTA(ピクスタ)介護のことならどんな些細な相談にものってくれますので、一度訪ねてみてください。問題なのは、知識がまったくないまま認知症や介護に直面することです。介護は誰にでも起こる問題と考え、今から少しずつ知識を吸収しておくことが大切です。【参考】※内閣府統計高齢化の状況認知症高齢者数の推計※厚生労働省若年性認知症の実態等に関する調査結果の概要及び厚生労働省の若年性認知症対策について※認知症介護情報ネットワーク若年性認知症について※国立がん研究センターがん情報サービス最新がん統計
2018年08月11日