本年度の本屋大賞が辻村深月さんの『かがみの孤城』に決まった。4度目のノミネートでの栄冠だ。作家生活14年目にして進化し続ける人気作家・辻村深月さんの今、そしてこれから。開けていなかった扉を開くことができました。――新作『青空と逃げる』は、父親が交通事故に巻き込まれたのちに失踪、周囲の悪意から逃げるために母親の早苗と小学生の息子・力ちからが逃避行を続ける物語です。新聞に連載された長編ですね。辻村:連載する3年ほど前、まだ直木賞を受賞する前に依頼を受けました。毎日掲載する新聞連載に堪えうる作家だと認めてもらえたのが光栄でした。どんな話がいいか打ち合わせをしている時、「辻村さんが書く親子の話が読みたい」と言われて。私がこれまで書いてきた親子は、親にとって子どもは保護の対象であり、子どもにとって大人は反発の対象となる場合が多かった。それで今回は、母親も子どもも、お互いにきちんと対話する話にしようということになりました。「逃避行だから実際の風光明媚な場所を入れてほしい」「できれば4~5か所出してほしい」「できれば最後に泣かせてほしい」といろいろオーダーされ、そのおかげで景色を丁寧に描写するなど、それまで開けていなかった扉をここでもまた開くことができました。――母子は最初、四国の四万十へ行きます。そのあと家島や別府温泉など、場所を変えていく。実際に取材に行かれたのですか。辻村:四万十は数年前に女友達と行きました。取材旅行だったわけではないのですが、四万十川の広がりや青さ、カワエビが美味しかったことなどを思い出しながら書きました。家島は『島はぼくらと』に出てくる冴島のモデルなんです。ですから、『青空と逃げる』に出てくるこの島の女の子は、『島はぼくらと』に出てくるシングルマザーの娘さんがその後少し成長した姿をイメージしています。漁港のおばちゃんたちは同一人物だと思っていただいていいです(笑)。――そうだったんですか!この作品では『島はぼくらと』に出てくる谷川ヨシノという、地域活性デザイナーも意外なところで登場し、そんなリンクも楽しいですね。新たに取材した場所は?辻村:別府温泉には行きました。早苗が各地で仕事を探すので、「温泉地ならいろいろと仕事があるはず」と、担当者に薦められたんです。資料にあった、海辺の砂風呂でお客さんに砂をかける「砂かけ」の女性にお話を聞いたら、「砂かけは女の仕事で、ここは女の職場だから」と言われて、ああ、早苗にはここで働いてほしいと思いました。実際に取材した分、書いていて楽しかったですね。早苗たちに、もうここに住んでほしいと思ったくらい。高崎山の猿も実際に見に行ったので、読み返していてやっぱり楽しいですね。――早苗は元舞台女優ですが、出産を機に専業主婦になっている。そんな彼女が、各地で仕事を見つけ、周囲と人間関係を築いていく姿が頼もしく、痛快でした。辻村:まわりの女友達を見ていて、やる前から諦めている人が多いなと感じていたんですよね。家庭に入った女の人が、「私はもう働いてないから」と諦め口調で話していたりする。本当は使える翼があるのに長い間しまっているためにもう自分は飛べないと思っているんじゃないかな、って。早苗は閉じていた翼を開いていくんです。読んでくれた方の感想に、最後に早苗と力が“選べる自由”を獲得したことが素晴らしい、とあって。今、貧困の問題や家族の関係性などから、選べないから追いつめられることってたくさんあると思うんです。早苗も、他に方法がないから、最初はただ逃げざるをえない。彼らが自分たちの今後を選べるところに連れていくまでを、私は書きたかったのかもしれないなと後から思いました。――事件の謎が解明されたのちの、ラストが素晴らしかったです。辻村作品は緻密な構成が魅力ですが、いつも結末を考えずに書き始めるというから驚きます。『かがみの孤城』も、伏線が見事に回収されるあの見事な終盤、当初は何も考えていなかったそうですね。辻村:そうですね。『アンアン』に連載した「ハケンアニメ!」もそう(笑)。いつも何も決めずに書きだす時は、「ここ」と思える場所に辿り着けるか分からず、やっぱり怖いです。「でもこれまでも絶対、何かが降りてきてラストに辿り着けたんだから」という気持ちの積み重ねで、10何年もやってきた感じがあります(笑)。――今後の刊行予定などは。辻村:6月には短編集『噛み合わない会話と、ある過去について』が出ます。いくつかの媒体に書いた短編をまとめたものですが、実は一冊にまとめる時を見越してどれも共通する裏テーマとして、“結晶化された過去”というものを設定していました。いじめられた過去だったり、いい友達同士だと思っていた過去だったり、そうした結晶化された過去を持つ2人がその思い出について語るけれど……という。読んでくれた人から「よくぞこれを書いてくれた」という感想の声がもう届いていたりして、一冊読み終えた時には、不思議とスカッとしてもらえると思います。それと来年、『週刊朝日』に連載した「傲慢と善良」という婚活の話が刊行の予定です。つじむら・みづき1980年2月29日生まれ、山梨県出身。2004年「冷たい校舎の時は止まる」で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。‘11年『ツナグ』で吉川英治文学新人賞、‘12年『鍵のない夢を見る』で直木賞受賞。今年、4度目のノミネートである本屋大賞を『かがみの孤城』で受賞。他の著作に『朝が来る』『東京會舘とわたし』など。※『anan』2018年5月23日号より。写真・女鹿成二インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2018年05月21日ミステリ&ファンタジー小説『かがみの孤城』が、今年度の本屋大賞を圧倒的支持で受賞。作家生活14年目にして進化し続ける人気作家・辻村深月さんの今、そしてこれから。「いつも通り全力投球」という感覚でした(笑)。本年度の本屋大賞が辻村深月さんの『かがみの孤城』に決まった。4度目のノミネートでの栄冠だ。新作長編『青空と逃げる』も好評で、来年には作家生活15周年を迎え、充実の時期を迎えた彼女は今、どんな思いを抱いているのか。――まずは本屋大賞受賞おめでとうございます。辻村:今までノミネートされたどの作品で受賞できても嬉しかったのですが、今回特別に感じるのは、前年の受賞者がプレゼンターになるため、恩田陸さんから花束を受け取れたこと。このための今年の受賞だったのかと思いました(笑)。私は10代の頃から、それこそ恩田さんのデビュー作『六番目の小夜子』からずっと作品を読んできているんです。大好きな恩田さんからバトンをもらったことで、私も次にバトンを渡していけたらなと強く感じています。もちろん私にとっては今まで書いてきたどの作品も大切で、ひとつひとつ愛情を持って書いてきたつもりです。今回も特別気合を入れたということはなく、「いつも通り全力投球」という感覚でした(笑)。それでも、今まで開かなかった扉が開いた感じがあるのは嬉しいですね。――この作品は、学校に通えなくなった少女が、鏡を通じて異世界の城と行き来するようになる、という内容。でもある仕掛けにより、すでに大人になった読者にも、自分たちにも関係する物語なんだ、と思えますね。辻村:そういう思いで書きました。読んでくれた方の感想がものすごく熱くて、みなさん“自分の物語”として受け止めてくれているのが分かるんです。その方たちも今回の受賞を喜んでくれるだろうと思うと、とてもありがたいです。自分の代表作って自分で選べないんですよね。いろんなテイストのものを書いていることもあって、人によって「辻村深月の代表作」が違うと思うんです。今後は本屋大賞を受賞したことで『かがみの孤城』が代表作だと言ってもらえると思いますが、それは誰に対しても悔いがないというか。――14年間の作家生活のなかで、変わらないものは何ですか。辻村:やっぱり原点にあるのはミステリです。ミステリ作家であることが私の支え。傍から見れば私が書くものは、謎を提示して真相を探るというオーソドックスな形ではないかもしれません。でも、今まで全部の小説を、私はミステリの技法を使って書いてきました。謎だと思っていなかったものが実は謎だったり、謎だと提示しないでいきなり秘密を明かす方法を物語作りの軸にしてきたんです。――『かがみの孤城』はミステリ作家たちにとって大切な賞、日本推理作家協会賞の長編および連作短編集部門にもノミネートされていますね。この取材の時点で発表はまだですが。辻村:そうなんです!憧れの賞なのですごく嬉しいんです。自分はミステリの本家の子じゃなくて分家の子だから、この賞は目指せないのかなとも感じていたので。今回のノミネートで、ミステリ作家だと見てもらえているんだと思えました。ノミネートされたこと自体が、これからも頑張ったら扉は開くんだと、励みになりました。――来年で作家生活15周年です。先ほどご自身もおっしゃいましたが、作風を広げてきましたよね。辻村:ノンミステリのものも含めいろいろ書いてきましたね。デビューの頃からリアルタイムで読んでくださっている方に「初期の頃のような青春ミステリを書いてください」と言われて「待っててね」と言い続け、ようやく書けたのが『かがみの孤城』でした。ただ、今でも初期の作品を挙げて「最近これを読んで、そこからハマりました」と言ってくださる方も多いんです。10年前に書いたものも現役の物語として、今も読んでくれている人がいるのが嬉しいです。――2007年の作品『スロウハイツの神様』が昨年、演劇集団キャラメルボックスにより舞台化するなど話題になっていますし。過去の作品も愛されていますよね。辻村:『かがみの孤城』の初版の帯に「著者最高傑作」とあったのですが、それに怒ってくれる読者もいるんですよ。「実際に読んだら本当に傑作だったけれど、自分にとっては『ぼくのメジャースプーン』が最高傑作なんです」とか「過去の作品も全部あっての辻村さんなのに」とか(笑)。作品に一番愛情を持っているのが作者とは限らないものなんですよね。作者以上に作品のこと、登場人物のことを愛してくれたり、考えたりしてくれる人がいるのがすごく幸せ。自分の小説が今、私の手を離れたところで愛されている自覚を持てることを、作家として一番誇りに思います。つじむら・みづき1980年2月29日生まれ、山梨県出身。2004年「冷たい校舎の時は止まる」で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。‘11年『ツナグ』で吉川英治文学新人賞、‘12年『鍵のない夢を見る』で直木賞受賞。今年、4度目のノミネートである本屋大賞を『かがみの孤城』で受賞。他の著作に『朝が来る』『東京會舘とわたし』など。※『anan』2018年5月23日号より。写真・女鹿成二インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2018年05月18日子どものときも、大人になっても!いつだってアニメは、私たちに寄り添ってくれる人生のバイブル的存在。あのシーン、あのセリフに、笑ったり、感動したり、勇気が出たり、行動したり、価値観を変えられたり……。深い人生観がつめ込まれた、大人が観るべきたくさんの名作をピックアップ。anan初のアニメ特集、はじまります!今回は、辻村深月さんにお話をうかがいました。小さい頃から観続けてきたアニメがすべての源に。私の父親はオーディオが趣味で、家庭用が出回るようになってすぐに、ビデオカメラやビデオデッキを買っていました。両親が共働きだったこともあり、私が家で退屈しないようにと、テレビで放送されるアニメをとにかくたくさん録画してくれていたんです。そのなかから好きな作品を選んで、ビデオテープが伸び切って画像がおかしくなるくらい繰り返し観ていたのが、アニメの原体験です。アニメはファースト世代が『宇宙戦艦ヤマト』、次が『機動戦士ガンダム』、さらにその次が『新世紀エヴァンゲリオン』といわれているのですが、わが家のビデオコレクションには父世代のアニメも網羅されていました。そういった作品も普通に観ていたので、50代、60代の人たちともアニメの話で盛り上がれるんです。これまで観てきたアニメが共通言語になるような体験は、大人になると結構あって、たとえば『ガンダム』を全部観ているって言うと、年上の方から途端に信頼してもらえるようになる(笑)。ひとつの世界を網羅することによって広がる人間関係が、大人にはたくさんあるのが楽しいし、それっていつ始めても遅くないと思うんです。反対に、下の世代におすすめを教えてもらうのも面白くて、アニメはどんどん表現が進化しているから、観続けていると時代に置いていかれる感じがしないんですよね。長編小説『冷たい校舎の時は止まる』でデビューしたとき、作品を読んでくれた周りの人に、「小説というよりアニメっぽいね」という感想をもらったことがあります。小説を書くうえでも私にとってアニメは影響だらけなのですが、アニメの素晴らしいところは、世界をひとつの層で見ていないことだと思います。アニメって設定が深いものが多いのですが、実写よりも先にそれが実現可能なメディアだったんですよね。自分が生きている世界とは別の扉がどこかにあるかもしれないっていうことを、初めて視覚的に見せてくれたのがアニメでした。私の小説は現実をベースにしているけど、ほんのちょっと不思議な設定が多い。たとえば『ツナグ』のように、死んだ人と会えるような世界観を抵抗なく書けるのは、アニメを観てきたおかげだと思っています。かなり年配の読者からも「実際は絶対にあり得ないことなんだけど、あってもおかしくないように読める」とよく言ってもらえるのですが、それは私の発明でも何でもなくて、アニメで上質なお手本をたくさん見てきたからこそ、できること。アニメを観てきたことは、作家としての私の武器であり、財産です。辻村深月さんの人生を変えたアニメ『ドラえもん』【人格と小説の書き方の基本を作った、パソコンのOS的存在】「これなくして今の自分はないと言えるほどに大切なのが、藤子・F・不二雄先生の作品。特に『ドラえもん』は私にとってのOSみたいな感じで、人格形成にまで影響を受けていると思います。こういうことをしたら人としてダメだというのを教えてもらったし、お話作りのお手本としてもあらゆる基礎がつまった一番の教科書です。テレビアニメ版と映画版、どちらも好きなのですが、今でも毎週放送されていることに幸せを感じます」(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK『銀河鉄道999』【想い続けるだけでもいいという恋愛観を育まれた名作】「特に夢中になったのは劇場版。周りの男子はメーテルに夢中になっていたけれど、私は女海賊・エメラルダスの強さに惹かれました。彼女はトチローという男の人のことが好きで、彼のことをずっと探しているんです。告白したり、結ばれることを前提としないで、自分の心の中だけで好きな人のことを想い続ける恋愛の形があってもいいし、それがすごく素敵だなと思えた作品。エメラルダスとトチローは、私にとって理想のカップルです」(C)松本零士・東映アニメーション『新世紀エヴァンゲリオン』【いろんな人と感動を共有してつながることの楽しさを実感】「高校生のときに放送された作品で、私と同世代で影響を受けていない人はほぼいないはず。内容の深刻さやシリアスさもですが、人間の弱さを肯定したテーマなど禁忌がないところが斬新でした。今でいうオタクとリア充の壁を取っ払った作品で、教室のあちこちでみんながアニメの話をオープンにできるようになったのが当時は衝撃でした。それまでアニメを観なかった子とビデオの貸し借りをするようになり、人によって見方が違うのも新鮮でした」(C)カラー/Project Eva.『絶対無敵ライジンオー』【日常と同じ場所に大冒険があることを意識させてくれた】「私が理想とする、ロボットアニメのすべてがつまった作品。クラスメイトが地球防衛組として団結して悪と戦うのですが、大事な模試の最中に出動要請があったりして、小学生の普通の悩みと地球を救う重大な任務が同居している。アニメはこうであってほしいと思うんです。最終回も衝撃的で、子どもをなめていない。自分が子どもに向けて何か書くときは、大人も面白いと思えるものでなければ通用しないのだと、常々言い聞かせています」(C)サンライズ『少女革命ウテナ』【女性としてどう生きるべきか規範を示し、支えてくれた】「この作品がなければ、今と同じ形で小説を書いていることはなかったと思います。最初に感動して、もう一度観直したらフェミニズムの話として完璧な一本の歴史を見せられた気持ちになって。これを作った幾原邦彦監督が男性であることにも、すごく勇気づけられました。主人公たちやこのアニメを作った人に軽蔑される生き方はしたくない、自分の好きなことを貫きたい、という規範になる部分がたくさんあって、女性としても支えられました」(C)ビーパパス・さいとうちほ/小学館・少革委員会・テレビ東京(C)1999 少女革命ウテナ製作委員会つじむら・みづきananで連載したアニメーションの制作現場を舞台にした小説『ハケンアニメ!』の文庫が好評発売中。『島はぼくらと』『朝が来る』『かがみの孤城』など著書多数。ワンピース¥6,500(ダブルネーム/ダブルネームTEL:0120・786・120)アクセサリーは本人私物※『anan』2017年12月6日号より。写真・女鹿成二スタイリスト・辻村真理取材、文・兵藤育子(by anan編集部)
2017年11月30日ラストシーン、舞台が暗転した瞬間に、待ちきれないような大喝采が会場を包む。演劇集団キャラメルボックス『スロウハイツの神様』が、7月5日、東京・サンシャイン劇場にて開幕した。キャラメルボックス『スロウハイツの神様』チケット情報原作は、辻村深月の同名人気小説。アパート“スロウハイツ”を舞台に、オーナーである脚本家の赤羽環と、住人である小説家チヨダ・コーキ、そして友人たちの共同生活が描かれてゆく。10年前、自分の小説を模した集団自殺事件が発生し、インタビューで答えた言葉がきっかけでバッシングを受けたコーキ。休業を経て復活したコーキと知り合った環は、スロウハイツでの生活にコーキを誘う。すでに活躍している環とコーキ以外は、画家、漫画家、映画監督と皆クリエイターへの夢を持つスロウハイツの住人たち。そこへ小説家志望の少女・加々美莉々亜が新たに加わったことから、少しずつその生活に変化が現れる……。原作は文庫本で上下2巻という大ボリュームで、群像劇の側面が強い。今回2時間の舞台にするにあたり、脚本・演出の成井豊が取った方法は、物語の主軸となっている「赤羽環とチヨダ・コーキ」のエピソードを中心にする、というもの。序盤こそただの住人同士に思える環とコーキだが、徐々にふたりがどういう関わりを持っていたか、莉々亜は何者か?などさまざまな謎が明かされてゆく。ふたりのドラマに焦点を絞ったことで、ミステリー的要素を解き明かす楽しさもより強調された印象だ。特に些細なセリフが伏線になっていたことが一気に明かされ、環とコーキの“本当の過去”が判明する終盤のカタルシスは凄まじく、劇場のあちこちからすすり泣きが聞こえるほど。観終わった後に「もう一度観たい」と思う人も多いのではないだろうか?また、この作品の登場人物は皆、過去に傷を負ったり、何かしらの秘密や葛藤を抱えている。そのエピソードはときに重く、人間臭く、苦さを残すものもある。しかしシリアスなエピソードの中でも、俳優たちが見せるコミカルな場面がフッと心を軽くしてくれるのは、舞台版ならではの強みと言えるだろう。劇中で、チヨダ・コーキの作品は中高生は夢中になるが、大人になるといつしか手に取らなくなる「いつか、抜ける」ものである、ということが強調される。そしてコーキ自身もそれを良しとしている、と。でも、たとえ作者自身がそう思ったとしても、作品に救われる人は確かに存在する。そして想いは“届き”、新たなバトンを紡ぎ続ける……そんな希望に満ちたラストシーンに、エンターテインメントにこだわり続けてきた劇団の矜持が、どこか重なる。この作品は、「創作物」を愛するすべての人へのエールでもあるのだ。公演は7月16日(日)まで、東京・サンシャイン劇場で上演される。取材・文:川口有紀
2017年07月07日直木賞作家・辻村深月の同名小説を、松坂桃李をはじめ樹木希林、桐谷美玲、橋本愛、大野いと、遠藤憲一らのキャストを迎え映画化した『ツナグ』が2月3日(金)今夜の「金曜ロードSHOW!」に登場する。歩美は生きている人と死者の間をつなぐ特殊能力を持つ“使者(ツナグ)”の跡継ぎ。幼い頃に両親を亡くし先代のツナグでもある祖母のアイ子と暮らしてきた。両親の死の真相を確かめる勇気を持てずにいた歩美だが、ある日アイ子が体調を崩し、歩美は本格的にツナグとしての修行を受けることに。歩美が初めて担当する畠田は母への後悔を引きずる横柄な男で、ツナグを詐欺師扱いする畠田に歩美は反発しつつもアイ子の指示通りに彼と母を再会させる。ツナグの力で再会できるのは生者にとっても死者にとってもたった一度きり。初めての仕事で自らの使命の重みに気付く歩美。次の依頼人は歩美の同級生で演劇部ホープの嵐だった。彼女は事故で亡くなった親友・御園に会いたいという。一方、7年前に失踪した恋人・キラリが忘れられない土谷はツナグの存在を知るが、彼女との再会をツナグに依頼すべきか悩み続ける…。歩美はツナグの役割を継ぐ決意を固めるが、自身がツナグになることは、歩美にとって亡くなった両親に会えなくなることも意味していた…。公開中の映画『キセキ ―あの日のソビト―』では異色ボーカル・グループ「GReeeeN」のプロデューサー・JIN役を、放送中のドラマ「視覚探偵 日暮旅人」でも主人公の日暮旅人を演じるなどいまや若手俳優のトップランカー的存在となった松坂さんが、主人公の歩美役で主演を務め、『海よりもまだ深く』『あん』『海街diary』などの樹木希林が歩美の祖母でツナグでもあるアイ子を、歩美の母・香澄を本上まなみが、父・亮介を別所哲也がそれぞれ演じる。歩美が初めて“ツナグ”として母と再会させた畠田役にはドラマ「お義父さんと呼ばせて」などの遠藤憲一。歩美の同級生でケンカ別れした親友に会いたいと願う嵐美砂役には『桐島、部活やめるってよ』や『バースデーカード』の橋本愛、事故で亡くなった嵐の親友・御園奈津役にはドラマ「馬子先輩の言う通り」や『雨にゆれる女』の大野いと。その他佐藤隆太、桐谷美玲、浅田美代子、八千草薫、仲代達矢らも出演。監督には昨年公開の『僕だけがいない街』や放送中のドラマ「A LIFE~愛しき人~」などを手がける平川雄一朗。テーマ曲「ありがとう」をJUJUが担当する。生と死、それぞれの世界でお互いを想う人々を描くことで“本当に大切なもの”とは何かを問いかける金曜ロードSHOW!『ツナグ』は2月3日(金)21時~日本テレビ系で放送。(笠緒)
2017年02月03日宮沢りえが銭湯「幸の湯」の“お母ちゃん”を演じ、頼りないけど憎めない“お父ちゃん”をオダギリジョー、その娘を「とと姉ちゃん」の杉咲花と新人子役・伊東蒼が演じる映画『湯を沸かすほどの熱い愛』。このほど、本作に“心を熱く沸かされた!”各界の著名人からコメントが到着。漫画家・ヤマザキマリからは描き下ろしイラスト付きコメントが寄せられ、あの“お風呂大好き”古代ローマ人とまさかのコラボが実現していることが分かった。余命2か月を宣告された母と、残される家族や関わった人々の愛と絆を、宮沢さんを主演にオダギリさん、杉咲さん、伊東さん、さらに松坂桃李、篠原ゆき子、駿河太郎ら豪華実力派キャストで紡ぎ出した本作。「絶対にやっておくべきこと」を決め実行していく“お母ちゃん”。家出した夫を連れ帰り、家業の銭湯を再開させる、気が優しすぎる娘を独り立ちさせる、娘をある人に会わせる…。その母の行動は、家族からすべての秘密を取り払うことになり、彼らはぶつかり合いながらも、より強い絆で結びついていく。そんな本作を、いち早く鑑賞した著名人から絶賛コメントが続々到着。中でも、古代ローマ帝国の浴場設計技師・ルシウスが、お風呂を愛するあまり現代日本の大衆浴場にタイムスリップする、前代未聞の大ヒットコミック「テルマエ・ロマエ」を生み出したヤマザキ氏からはイラストも到着!描き下ろされたイラストでは、突如「幸の湯」の湯船から現れた、古代ローマ人らしき謎の人物が、「そなたの湯を沸かすほどの熱い愛に導かれて時空を超えて来たぞ!」と叫び、幸野家のお母ちゃんと娘2人をブルブル怯えさせている。この時空を超えた今回限りのスペシャルなコラボレーションは、まさに“お風呂が繋いだ縁”。思わずクスッとなり、ワクワクで心がさらに沸騰。さらに、ヤマザキ氏は「お母ちゃんひとりの愛情で、恐らく日本全国中の銭湯の湯を涌かせることだろう。間違いない 」という熱いコメントも寄せている。<著名人コメント>■辻村深月(小説家)作中で、まるでミステリのように次々と誰かの思いや秘密が明らかになる。何度目かの驚きがやってきたところで、心から思った。この映画が大好きだ、と。■安彦麻理絵(漫画家)観ている間中、泣き過ぎて、試写後はマスカラが全部ごっそり落ちていた。アイメイク完全崩壊。マブタ腫れ上がって人相も変わってるし。女の顔をここまで変えてしまうこの映画は本当に凄い。だからこそ「デートには向かない映画」とも言える。けれど、顔面崩壊しつつも、心の中は、熱い風呂に浸かったように、芯まであったまるのでした。■伊藤理佐(漫画家)途中まで泣いていたのに、ラスト5分で目玉が飛び出るくらい驚いて、涙がどっかにとんでっちゃいました。す、すごかった。■鎌田實(医師・作家)愛の海から生まれ、愛の海に死んで逝く、秘密を持った人間たちの優しく美しく熱い熱い映画だ。宮沢りえがすごい。泣いた。『湯を沸かすほどの熱い愛』は10月29日(土)より新宿バルト9ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年10月06日東京・丸の内にある東京會舘。辻村深月さんの『東京會舘とわたし』は、この建物を主人公に、大正・昭和・平成の人間ドラマを描き出す一大群像劇だ。「実は私は7年ほど前、ここで結婚式も挙げているんです。下見で館内を案内された時、“ここは芥川賞や直木賞の会見の部屋ですよ”と言われ、文学賞にゆかりのある式場って縁起がいい気もして(笑)。式を終えた後、ウェディングプランナーの方に冗談で“直木賞を受賞して戻ってきます”と言ったら“お待ちしていますね”と言ってくださって」その後、2012年7月17日に直木賞を受賞、ここで会見に臨んだ。「支配人の方に“結婚式もここだったんです”と言ったら“もちろん憶えていますよ。おかえりなさいませ”と言ってくださったんです」ほどなくして東京會舘は長期の改装工事に入ることになった。つまり、その時期に受賞したのはギリギリのタイミングだった。「そのことを新聞のエッセイに書いたら、社長さんがお礼のお手紙をくださったんです。これは今しかないと思い、東京會舘の小説を書かせてほしいとお願いに行きました。會舘は大政翼賛会の本部になったりGHQに接収された時期があったりと、歴史があって、小説になると思ったんです。改装前のタイミングで取材できてよかったです」バーテンダーや菓子職人、シェフなど館内で実際に働いていた人々が多数登場。どのエピソードも、仕事と真摯に向き合う姿勢に胸打たれる。また、たとえば第3章は灯火管制下での結婚式の話だが、「東京會舘には利用した方からのお手紙もたくさん寄せられていて、戦時に結婚式をした女性からのお手紙を見つけ、ご本人に取材させていただいたんです。ご高齢なのに式に付き添った美容師の名前も憶えていらして、あの話が生まれました」取材すると、事実と事実が結びつく瞬間があり、ミステリー小説をひもとくような楽しさがあったという。「小説だからこんな都合のいい話があるんでしょ、と思われないためにどうするかで苦労しました(笑)」実話がベースと思えないほど味わい深い話が並ぶ。もちろん直木賞を絡めた話もあり、ぐっとくる。「新装オープンしたら、今度は私が“おかえりなさい”と言いたいです」◇つじむら・みづき作家。2004年に『冷たい校舎の時は止まる』でメフィスト賞を受賞しデビュー。‘11年『ツナグ』で吉川英治文学新人賞、‘12年『鍵のない夢を見る』で直木賞を受賞。◇大正11年に丸の内に落成した東京會舘を舞台にした、一大群像劇。関東大震災から大戦、東日本大震災なども盛り込まれ、時代のうつろいが浮かび上がってくるところも読ませる。毎日新聞出版上下巻各1500円※『anan』2016年9月7日号より。写真・土佐麻理子(辻村さん)森山祐子(本)インタビュー、文・瀧井朝世
2016年09月02日女優のMEGUMIが、東海テレビ・フジテレビ系ドラマ『朝が来る』(毎週土曜23:40~24:35)に出演することが10日、明らかになった。25日放送の第4話から登場し、心の闇を抱える"ワケあり女"を演じる。このドラマは、直木賞作家・辻村深月の今年の本屋大賞にノミネートされた同名小説が原作。主演の安田成美演じる栗原佐都子は不妊治療を経験した後、特別養子縁組という光を得て、長男・朝斗と夫・清和(田中直樹)とともに幸せな生活を送っていたが、ある日、謎の女性(川島海荷)から「私が産んだ子供を返してください」という電話がかかってきたことで、光を失ったもう一人の母の存在が明らかになっていく。闇を抱える女性を演じることに、MEGUMIは「人とのつながりを避けていた人間が人とつながることで、気持ちに変化が生まれるプロセスを大切にしました」と意識。ワケあり女を演じるのは「すごく楽しいです!」といい、「気持ちを考え、広げていく作業が幸せですね」と充実の様子だ。私生活では母親のMEGUMIだが、今作については「親というだけで共感できるところがあります」と感想。闇を抱える役柄とは正反対で、「2人でお風呂に入りながら他愛もない話をするのがとても楽しい」と、幸せな日常を明かしてくれた。
2016年06月10日苦しい時、悲しい時、つらい恋をしている時、誰にも相談できない時にも、そっと寄り添い、救いの言葉や広い世界を見せてくれるもの…、それが本です。私たちの心を貫くいくつもの物語を紡ぎ、世の女性を救ってきた、作家の島本理生さん、辻村深月さん、西加奈子さんの3人に、自身の読書習慣について語っていただきました!辻村:以前、トークショーで「作家になって失ったものは何ですか」という質問に、他の作家の方が「本を読む時間」と答えていて。確かに読むより書くことに時間を割いてるなって思ったの。でもそれだけに一冊一冊が大切だし、印象深く自分の中に入ってくる気がする。旅に出る時なんて、どの本を持っていこうか考えるだけでテンションが上がるし。島本:そう、それで重いのについ分厚い本を選んでしまう(笑)。旅先で読むとその時見た風景と重なって記憶に残るのもいい。西:私はお二人のように子どもがいないから、いつでも読むかな。寝る前も移動中もお風呂でも。島本:私、普段はもっぱら、子どもが寝たあとで近所のバーに行って1冊読んでるよ。辻村・西:かっこいいー!島本:軽く一杯飲みながら読んで、読み終えたら「いい話だったなあ」って余韻に浸りながら、さらに飲む(笑)。西:お酒強いからできるよね。◇しまもと・りお(中)1983年生まれ。’01年「シルエット」で群像新人文学賞優秀作を受賞。’15年『Red』で島清恋愛文学賞受賞。最新刊は疾走感あふれる恋愛小説『イノセント』。にし・かなこ(左)1977年生まれ。’04年に『あおい』で作家デビュー。’07年『通天閣』で織田作之助大賞、’15年に『サラバ!』で直木賞受賞。著作に『舞台』『まく子』など。つじむら・みづき(右)1980年生まれ。’04年にメフィスト賞を受賞しデビュー。’12年『鍵のない夢を見る』で直木賞受賞。原作ドラマ『朝が来る』がCX系土曜23時40分よりOA中。※『anan』2016年6月15日号より。写真・洞澤佐智子(CROSS OVER)文・瀧井朝世
2016年06月08日女優の川島海荷が31日、都内のホテルで行われた東海テレビ・フジテレビ系ドラマ『朝が来る』(6月4日スタート、毎週土曜23:40~24:35)の制作発表会見に登場。自身の子供時代を「ゆとりですかね…」と自虐的に振り返った。今作は、安田成美が16年ぶりに連続ドラマに主演。その16年前、6歳だったという川島は、当時の自分を「無気力だったと思います」と振り返り、「ゆとりですかね…」と世代的に分析してみせた。決してヤンチャではなく、クラスでも端の方にいる地味なタイプだったといい、「多くの人に見てもらう仕事をするとは想像しなかったですね」と、芸能界で活躍することになる現状に驚いた。ガールズユニット・9nineを脱退し、女優業への専念を宣言してから初のドラマ出演だが、「いろんなプレッシャーもありつつ、いいプレッシャーを感じて今回ドラマに臨んでいます」と心境を説明。この役のために、人生初の金髪となっているが、「イメージチェンジして、役として自分を見てもらえるようなお芝居を頑張りたいなと思っています」と意気込みを示した。そんな決意の川島に、女優の先輩である石田えりは「かわいいので、早く辞めた方がいいと思います」と毒舌でエール。安田は「うちの子供と同い年くらいで、子供のように見てしまって、これから楽しみだなと思っています」と期待を語った。金髪姿も相まって、すっかり大人らしい一面を見せている川島。しかし、「幸せを感じる瞬間」という質問に、安田が「誰かと一緒に笑っているとき」と回答すると、川島は「答えを準備してたんですけど、安田さんの答えがすごいすてきなので、恥ずかしい…」と前置きし、「現場での朝のおにぎりが、ちまきだったこと」と顔を赤らめながら、あどけない表情を見せていた。このドラマは、直木賞作家・辻村深月の今年の本屋大賞にノミネートされた同名小説が原作。安田演じる栗原佐都子は不妊治療を経験した後、特別養子縁組という光を得て、長男・朝斗と夫・清和(田中直樹)とともに幸せな生活を送っていたが、ある日、謎の女性(川島)から「私が産んだ子供を返してください」という電話がかかってきたことで、光を失ったもう一人の母の存在が明らかになっていく。
2016年05月31日フジテレビ系・東海テレビ制作のオトナの土ドラ第2弾「朝が来る」の制作発表会見が31日(火)都内で行われ、主演の安田成美、共演の川島海荷、田中直樹(ココリコ)、石田えりが出席。16年ぶりに連ドラ主演を務める安田さんは、撮影現場での“座長”としての意外な立ち回りを明かした。直木賞作家・辻村深月による、夫の不妊症や特別養子縁組などをテーマにした同名小説を連続ドラマ化。養子の長男・朝斗と幸せな日々を送っている栗原佐都子(安田さん)は、朝斗の生みの親を名乗る謎の女(川島さん)からの電話をきっかけに、衝撃の過去と対峙することになる。3児の母でもある安田さんは「原作に感動して今回のドラマに参加しようと思った」と16年ぶりの連ドラ主演快諾の理由を語るも、座長の意識を問われると「座長の意識がなくてやらせてもらっているので、申し訳ございません。役に専念しているだけで、座長としては日々の差し入れに専念しています」と照れ笑い。それに田中さんは「差し入れのタイミングが抜群。甘いものがほしいときは甘いものが入ってきて、冷たいものがほしいときには冷たいものがくる。次にいつ差し入れが来るのかソワソワするので、そういう意味では現場が浮足立っている」と笑わせた。家族の反応について安田さんは「至って何もないかのように“今日は仕事?”と聞かれるくらいで、特に反応はないけれど、家に帰ると“大丈夫だった?”と心配してもらえる」と家族の無言のエールを紹介。幸せな時間は「笑っているとき。友だちでも家族でも現場でも。笑えるときが一番幸せ」とはにかみながら、母親としての忘れられない時間を聞かれると「長男が登校拒否っぽくなったり、下の子がアトピーになったりしたけれど、そういう問題がクリアできた瞬間が忘れられないし、とても良い時間に感じる」と柔和な母親の表情を浮かべた。また川島さんが、安田さんとの初共演に「安田さんは本当にほわほわしたオーラを持った方で、安田さんと喋ると普段早口な自分がゆったりなペースで喋ることが出来る。失礼ながらも癒されています」と感想を漏らすと、石田さんは安田さんに「シリアスな芝居のときに吹かないでほしい。目が合った瞬間にプッとされて…なんなんですかあれは?辞めてください」と天然ぶりにクレーム。当の安田さんは「はい!スイマセン。これからは心を入れ替えます」と謝りつつも「でも石田さん面白いから~」と自由だった。「朝が来る」は、6月4日(土)13時40分よりフジテレビ系にて放送。(text:cinemacafe.net)
2016年05月31日女優の安田成美が31日、都内のホテルで行われた主演ドラマ『朝が来る』(6月4日スタート、東海テレビ・フジテレビ系 毎週土曜23:40~24:35)の制作発表会見に登場。久々の連ドラ座長だが、「日々、差し入れに専念しております」と、独特の意気込みを見せた。安田が連続ドラマの主演を務めるのは、実に16年ぶりだが、「すみません、座長の意識が全く無くて…。ただ役に専念しているだけでして…」と恐縮。座長としては撮影現場への差し入れに注力していることを話した。力を入れているだけあって、この差し入れは好評。夫役を演じるココリコの田中直樹は「差し入れのタイミングが抜群なんです。全員が、次いつ安田さんが差し入れをくれるんだろうと、ソワソワしながら撮影に臨んでいます。そういう意味では、撮影現場は浮き足立っていると思います」と報告した。こうした安田の雰囲気は、現場を和ませているそうで、川島海荷は「安田さんは、ホワホワしたオーラを持った方」と印象を語り、安田と会話すると「自分もゆったりなペースでしゃべるようになった」と、癒やされていることを明かした。一方で、先輩の石田えりからは「シリアスな芝居をするときに、吹かないでほしい」とクレームも。安田は「分かりました先輩、ごめんなさい。これから心入れ替えます」と謝罪したが、吹いてしまう理由を「石田さん面白いから(笑)」と責任を押し付け、石田は「なんで!?」と混乱していた。久々の連ドラ主演だが、夫のとんねるず・木梨憲武ら家族からは「何も反応はないですが、帰ってくると『今大丈夫だった?』と心配してくれています」という。今作は親子の愛を描く作品だが、自身の子供について「長男が登校拒否っぽくなった時とか、一番下の子がアトピーだったりとか問題がある時に、それをクリアできた瞬間は忘れなれない」と、思い出を振り返った。一方、母親については「意味もなく母が大好きで、母が死ぬことだけが怖かった」という安田。「幼稚園の時に母のブローチを勝手に取って形見にして、引き出しにしまって、毎日引き出しを開いては『お母さん死んでも大丈夫』と思っていました」と強い愛情を明かしたが、ふと客観的になり、「なんか殺したいみたいですね(笑)」と苦笑いしていた。このドラマは、直木賞作家・辻村深月の今年の本屋大賞にノミネートされた同名小説が原作。安田演じる栗原佐都子は不妊治療を経験した後、特別養子縁組という光を得て、長男・朝斗と夫・清和(田中)とともに幸せな生活を送っていたが、ある日、謎の女性(川島)から「私が産んだ子供を返してください」という電話がかかってきたことで、光を失ったもう一人の母の存在が明らかになっていく。
2016年05月31日女優の安田成美が、6月4日スタートの東海テレビ・フジテレビ系ドラマ『朝が来る』(毎週土曜23:40~24:35、全8回)で、16年ぶりに連続ドラマに主演することが15日、明らかになった。このドラマは、直木賞作家・辻村深月の今年の本屋大賞にノミネートされた同名小説が原作。不妊治療の末、子供を諦めた安田演じる栗原佐都子は、特別養子縁組という光を得て、長男朝斗と夫とともに幸せな生活を送っていたが、ある日、謎の女性から「私が産んだ子供を返してください」という電話がかかってきたことで、光を失ったもう一人の母の存在が明らかになる。久々の連ドラ主演となる安田は「責任は感じていますが、楽しみたい」と心境を語りながら、「夫婦の関係や子供への親への思い、生き方などの価値観を問われる作品だと思いました」と印象を語る。また、自身が演じる佐都子が、夫、子供、ママ友と全て正面から向き合って試行錯誤しているところに「とても共感を持てます」といい、「血のつながっていない子供を愛し、信じて育てる強さも難しいですが、演じて経験してみたいです」と意欲を示している。原作の辻村氏は「安田さんにならば、朝斗の幸せを託せる、あの子をお任せできると感じています」と全幅の信頼を寄せ、「どうか、同じ朝の光が、ドラマを見た皆さんのもとにも届きますように」とメッセージ。東海テレビの松本圭右プロデューサーは「安田さんにはドラマ自体の光となっていただいて、ラストまで導いていただければと思っております」と期待を語っている。
2016年04月15日神木さんが各界の第一線で活躍する達人を訪れて、その世界観に触れながらさまざまなトークを繰り広げてきた人気連載「Master’s Cafe」が待望の書籍化となった。「2年前20歳になってやっと、大人1年生になれた気がしました。打ち上げでジュースではなくビールで乾杯できるようになって、周囲の大人たちと対等に話せるようになったと感じたんです。20歳の境目って大きいなぁ、と実感していたところにこの連載のお話をいただき、それまで知らなかった世界を見ることができた。この2年で経験できたことは僕にとって大きな意味があったし、それだけに思い入れの深い一冊です」手にしていた本には、角を折り込んで印をつけたページがたくさん!「今でも、それぞれの達人たちとのやり取りが鮮明に思い出されます。現場で話すのとはまた違い、文字を追うことで達人の言葉が『なるほどなぁ』と改めて心に染みたり、何気ないひと言が刺さったり……印象に残るページに印をつけながら何度も読み返しました(笑)」とくに印象に残った達人や、言葉を尋ねると、さっそくひとつめの印を開いた神木さん。「作家・辻村深月さんには、どうやって物語を動かしていくのか、というテーマでお話を聞いたのですが、『ラストを決めずに書き進める』というやり方は衝撃的でした。『書いているうちに登場人物たちが教えてくれる』ともおっしゃっていましたが、確かに僕も、そのシーンの中で僕らしく役をどう生きて全うしようかといつも考えながら演じています。そういう意味では、辻村さんとつながりを感じました。宇宙飛行士・野口聡一さんは、宇宙での仕事を普通に話してくださっただけなのに、僕の想像を遥かに超えていて、あんなに不思議な感覚になったのは初めてでした。『重力から解き放たれた瞬間に胃がせり上がり、すべてのものが宙に浮く』と言われても、未知すぎて受け止めきれなかった(笑)。それだけにインパクトがありました」書籍化にあたり、俳優の中井貴一さんとの特別対談も掲載された。「ドラマ『風のガーデン』で約半年間、北海道ロケをしていたこともあり、それ以来中井さんはお父さん的存在。中井さんほどのベテランでも『今でも撮影初日などは不安』と聞いた時は意外でした。でも、不安があるからこそ次はがんばろうって思えるし、過去の自分を超えて成長するためには、不安があって当然なんだと新たに勇気をもらいました」達人たちから学んだこと、またこの本の教えは何でしょうか?「自分の道を終わりなく追求し続ける達人たちに共通するのは、僕のような素人の意見にも聞く耳を持つ、柔軟な人柄でした。だから哲学者に天文学者、文化庁長官なんて肩書を聞くと難しそうだと構えがちですが、わかりやすく丁寧に説明していますし、誰にでも必ずひっかかる言葉があると思う。まずはサラッと読んで気になる場所に印をしておき、読み返してみると面白いです。悩みを解決する糸口や、目標達成のヒントが隠されているはずです」◇かみき・りゅうのすけ1993年生まれ。俳優。6歳でドラマ『グッドニュース』でデビューして以来、映画『桐島、部活やめるってよ』『るろうに剣心』『バクマン。』などの話題作に出演。ユニセックス コート¥48,000 オーダー販売(TATEGAMI/tategami.tokyoTEL:03・6324・2100 )ニット¥19,000(BLUE BLUETEL:03・3715・0281)パンツ¥18,000(HOLLYWOOD RANCHMAKETTEL:03・3463・5668)モンクストラップシューズ¥23,000(CEBO/JOURNEYTEL:03・3461・8506)ソックスはスタイリスト私物。◇神木さんが各界の第一線で活躍する達人を訪れて、その世界観に触れながらさまざまなトークを繰り広げてきた連載から、選りすぐりの達人14名と中井貴一さんとの特別対談を掲載。マガジンハウスより発売中!1300円。※『anan』2015年11月4日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・若山あや
2015年10月28日ロイヤルパークホテルは3月11日、20階レストラン&バンケット「パラッツオ」にて、「日本橋老舗の逸品と辻村寿三郎の世界」を開催する。○日本橋の老舗の味と、"ジュサブローの世界"を堪能同イベントは東日本大震災より4年を迎える2015年3月11日に実施される、日本橋老舗店と同ホテルのコラボレーションによるチャリティーイベント。今年で4回目となる同イベントは、毎年売上金の一部を東日本大震災の義援金として寄付している。食事の前には、人形師、着物デザインのほか、最近ではメディア出演などでも活躍する辻村寿三郎氏の人形劇を鑑賞。平和を願う奥深い人形の世界に触れることができる。食事は、創業152年の割烹「とよだ」や、ミシュラン一つ星獲得のすき焼割烹「日山」のステーキなど、日本橋を代表する料理の数々を提供。同ホテルだからこそ実現できる特別コース料理だという。メニュー例は、前菜:ホテルシェフが作る「東北食材を使用した前菜」(「ロイヤルパークホテル」)、魚料理:日本料理名店の「銀だら西京漬け焼き」(創業152年「とよだ」)、肉料理:ミシュラン一つ星「特選肉ステーキ」(創業103年「日山」)、鴨料理:日本一の鴨料理専門店の「鴨そぼろ丼+特製漬物」(創業143年「あひ鴨一品鳥安」)、デザート:明治から続く和菓子店の「人形町風鈴(プリン)」(創業138年「つくし」)など。乾杯酒には、被災地の宮城県一ノ蔵の発泡日本酒「すず音」を用意。平和を願いながら、日本橋老舗の味を堪能できる機会とのこと。開催日時は、3月11日 17時30分~受付、18時~20時30分。会場は、ロイヤルパークホテル 20階レストラン&バンケット「パラッツオ」(東京都中央区日本橋蛎殻町2-1-1)。料金は、1人 1万5,000円(ワンドリンク付き、税・サービス料込)。なお、メニューは仕入れ状況により、変更になる場合がある。
2015年02月21日トーキョー女子映画部はこのほど、10代~60歳以上の女性を対象に「イタい女、イタい男」に関するアンケート調査を実施し結果を発表した。有効回答数は232名。○男運が良い女性は22.0%同調査は、辻村深月の直木賞受賞作を原作とし、経験したことはなくても誰にでも身に覚えのある話を描いたサスペンス『鍵のない夢を見る』のリリースにちなんで行われたもの。そこでまず、「あなたは男運が良いですか?」と質問したところ、「どちらとも言えない(47.4%)」という回答が最多で、はっきりと「良い」とは言えない女性が多くいることがわかった。「この結果は女子側の問題か、それともダメ男が世の中に多いからなのか。どちらにしてもややイタい結果となった」と調査ではコメントしている。○"器が小さい"男はイタい!!続いて、一番痛いダメ男はどのタイプなのか尋ねた結果、1位は「嫉妬深くて疑り深く暴力的(44.0%)」が断トツだった。次いで2位は「どんな状況であれ、自分の非は絶対に認めない(21.5%)」、3位は「大きな夢をたくさん抱いているが、現実味が全くないことを自覚していない(14.7%)」と、総じて"器の小さい男"が上位を占めた。「器の小さい男ほど見苦しいモノはないが、そういう男に限って、良かれと思って注意してくれる人がいても素直に聞かず、さらに器の小ささを発揮するから厄介」とのこと。イタい男を卒業するには、まずは自覚することが大事なようだ。ほかには、「格好つければつけるほど、すごくダサいと思われていることに全く気付いておらず自意識過剰(14.2%)」や、「素振りや遠回しな言葉だけでは女子が好意がないと察することができず、脈なしだと気付かない(3.9%)」など、“鈍感”な男性もイタい男の上位に挙がった。○イタい女は"客観視できていない"タイプ次に、イタい女のタイプについても同様に調査した結果、「自分だけがつらくて大変だと大騒ぎする(27.6%)」が1位だった。2位は「ダメ男であればあるほど、尽くしてしまう(24.6%)」、3位には「彼の奇行はすべて自分への愛ゆえだと自意識過剰で被害妄想に陥ってしまう(16.8%)」がランクインし、イタい女のTOP3は"悲劇のヒロインタイプ"が並んだ。「自業自得的な要素が強い分、自分で何とかしてもらうしかイタい女を卒業することは難しそうだ」と同社。さらに、「自分が悩んでいるときは人に甘えるのに、順調になると恩も忘れて感謝もしない(15.6%)」、「男に言いよられて困っているように見えて、相手に対して曖昧な態度をとり続けてしまう(14.2%)」といったタイプもダメ女とのこと。イタい女の特徴は共通して "客観視できていない"女性と言える結果となった。アンケートの全容、および“イタい女、イタい男”エピソードは「トーキョー女子映画部」のサイトから。
2014年10月06日『ツナグ』などの直木賞作家・辻村深月の同名小説を映画化した『太陽の坐る場所』の初日舞台あいさつが4日、に都内で開催され、水川あさみ、木村文乃、森カンナ、矢崎仁司監督が登壇した。高校時代、クラスの中で太陽のように輝いていた高間響子(水川あさみ)と、彼女に寄り添っていた同じ名前のクラスメイト、鈴原今日子(木村文乃)。しかし、ある日をきっかけに2人の立場は逆転する。その10年後、彼女たちはクラス会で再会し、過去と対峙する。水川と木村は本作で初共演を果たした。水川は「いっしょに撮影したのは、ラストシーンだけだったんだけどね」と、笑顔で木村と顔を見合わせる。木村は、水川について「普段から明るい方だと思っていたけど、本当に太陽のような方でした」と好印象だった様子。水川も木村について「すごく真っ白で何色にも染まらない強さがある。でも女らしくて仮面な一面もある」と称えた。その後、冬の寒かった撮影について、水川たちから矢崎監督に恨み節が。木村が、ポスター撮りのシーンで急遽、動画撮影が始まった件で「ものすごく寒くて、セリフの量もけっこうあったけど、使われてなかったです」と訴えると、矢崎監督は「すみません」と苦笑い。水川も「寒くて口がガタガタ言って、NGを出したことを覚えています」と続け、森も「たぶん、いちばん私が寒かった。お墓参りのシーンでは、セリフをしゃべると口から白い息が出るから、氷を食べろと言われました」と抗議。矢崎監督は恐縮しきりで、会場からは笑いがもれた。最後に、水川は『太陽の坐る場所』について「人の心のどこかにあるざらっとした部分に触ってくるような映画です」と表現。矢崎監督は、『太陽の坐る場所』について「僕の中の最高傑作。素晴らしい俳優さんの今を撮れた最高のものだと思っています」と自信をもってアピールした。
2014年10月05日映画『太陽の坐る場所』が10月4日(土)に公開を迎え、水川あさみ、木村文乃、森カンナという女性キャスト3人と矢崎仁司監督が揃って都内劇場で行われた舞台挨拶に登壇した。映画化もされた「ツナグ」などで知られるベストセラー作家・辻村深月の同名小説を映画化。高校時代は“女王”のような存在だったが、いまは地方局の女子アナとして充たされない日々を送る響子と、そんな彼女の影に隠れた高校時代を送るも、いまは女優として活躍する今日子という2人の“キョウコ”を中心に女たちのドラマが展開する。登壇するや、“女子会”のような雰囲気で楽しそうに話し、互いにツッコみ合う女優陣3人だが、撮影中に3人が顔を揃えるシーンはなく、メインキャストの水川さんと木村さんですら一緒のシーンはラストのみ。水川さんは「シーンの切り替わりですれ違ったり、あとは最初の本読みで顔を合わせただけ」と明かしつつ、2人の様々な思いが詰め込まれたラストについて「自然に、その場の空気や匂いの中であのシーンが出来たと思います」とふり返る。木村さんは共演シーンはわずかながらも、それ以外の時間でも水川さんの存在をしっかりと感じていたようで「普段から明るくて、本当に太陽みたいでした」と語り、“再会”のシーンでも「違和感なく『高間響子だ』と思えました」と述懐する。森さんは、なかなか胸の中の思いを言葉に変換できないようで、そんな様子を水川さんらからイジられ、励まされつつ、作品について「観終わって『女って切ない生き物だな』と感じました。男の人から見たら、どうでもいいことに囚われているように見えたかもしれないし、(舞台となった)山梨って東京に近いようで遠くて、『(地元から)出た組』と『出なかった組』とあって…」と映画に登場するドロドロとした思いを抱えた女たちの思いを代弁する。「言葉にしにくいものがあるけど、観終わったら分かっていただけると思います」とうなずいた。矢崎監督は「普段は映画を作る時に、映画史の中から『超えるべき作品』を見つけるんだけど、今回はそれが見つからなかった」と明かし、「僕の中で最高傑作と言えるかもしれない。繰り返し観るに耐えうる作品を作ったつもり」と落ち着いた口調のながらも強い自信を口にし、会場は温かい拍手に包まれた。『太陽の坐る場所』は有楽町スバル座ほか全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2014年10月04日直木賞作家・辻村深月の同名小説を映画化した『太陽の坐る場所』が10月4日に公開を迎え、主演の水川あさみに木村文乃、森カンナ、矢崎仁司監督が有楽町スバル座で行われた舞台あいさつに登壇した。『太陽の坐る場所』舞台挨拶その他の写真映画は、高校時代は女王のような存在だったが10年後のいまは地方局の女子アナとして充たされぬ日々を過ごす響子と、高校時代は地味だったが、いまは女優として成功を収めた今日子。“キョウコ”という同じ名を持つふたりの姿を通じて、女性特有の心理を繊細に紡ぎ出していく。実は、水川と木村と森の3人が劇中で顔を合わせる機会は一度もなく、この舞台あいさつでしか見られない貴重なスリーショットとなった。劇中では様々な思いを胸に秘めている3人だが、壇上に並ぶと和気あいあいとしており仲の良い3姉妹のよう。水川は、木村と唯一の共演シーンとなったクライマックスについて「自然に、その場の空気でああいうシーンが出来ました」と述懐。「何とも説明しづらいんですが、不思議と“キョウコ”でした。印象に残るシーンになりました」と語る。木村もそのシーンに触れ「違和感なく『高間響子だ』と思えました」と語る。普段の水川については「本当に太陽みたい!」とその明るいキャラクターを称賛する。水川も木村も、撮影時の厳しい寒さについて顔をしかめて振り返っていたが「ふたりとも『寒かった』と言ってますが、一番寒かったのは私!」と異議を唱えるのは、同級生を演じた森。「とにかく寒かった! セリフを話すと口から白い息が出るので氷を食べて体の中から冷さないといけなかった」と苦労を明かした。完成した映画について森は「女って切ない生き物だなと思いました。男の人から見たら、どうでもいいことに囚われているように見えるかもしれませんが…」と女性特有の感情のもどかしさを語り、木村も「小さい時や思春期の傷が大人になっても癒えない人はいる。周りに『そんなの何でもない』と言われても、そうじゃないということを丁寧に描いた作品」と登場人物たちの思いを代弁する。水川は「気持ちいい映画じゃないかもしれないけど、懐かしさや青臭さを感じていただければ」と呼びかけた。『太陽の坐る場所』公開中
2014年10月04日水川あさみと木村文乃が正反対の2人の“キョウコ”を演じる『太陽の坐る場所』が、舞台となった山梨の先行公開でヒットスタートを切り、10月4日(土)より全国でも公開となる。このほど、本作で、かつての高校時代の人気者から一転、現在では閉塞した日々を送るヒロイン・響子を演じた水川さんの、“転落”劇中ビジュアルが到着した。学校中の人気を集め、クラスの女王として君臨していた高間響子。自分の立場も、好きな人も、友達すらも、欲しいものは何でも手に入ると信じていた完璧な高校時代。彼女の傍にはいつも、同じ名前を持つ同級生の鈴原今日子がいた。しかし、高校生活も終わりが近づいてきた日、ある出来事をきっかけに、その光と影が逆転。10年後、響子(水川さん)は過去の輝きを失い、地元局のアナウンサーとして満たされない毎日を過ごしていた。一方の今日子(木村さん)は、東京で誰もが憧れる人気女優として成功。そんな2人の元に、クラス会の知らせが届く――。2012年にヒットした『ツナグ』の原作者で、直木賞作家の辻村深月の同名ミステリー小説を、『ストロベリーショートケイクス』『スイートリトルライズ』の矢崎仁司監督が完全映画化した本作。ほぼ全編、山梨でロケを行い、山梨出身の「レミオロメン」の藤巻亮太が、ソロとして初の映画主題歌を書き下ろしている。そんな本作で、高校時代の女王の座から転落し、鬱々とした日々を送る響子役を演じているのが水川さん。劇中では、セーラー服姿でお天気レポートをし、ラジオのディスクジョッキーとして番組をそつなくこなしてはいるが、その表情はどこか浮かない。過去に囚われ、同級生たちからのシビアな言葉に暗く落ち込むシーンでは、全く違う雰囲気をまとい、“光と影”の2面性を見事に表現しているという。水川さんは、響子という役について「いろいろな側面がある女性。その時々の仮面をかぶって、取り繕っているようなイメージを受けました。だから、響子という女性のことをすぐに理解はできなかったんです」と明かし、常に複雑な心理状態を抱える響子は、なかなかの難役であったことを告白。しかし、「だからこそ挑戦したかったし、信頼を寄せている矢崎監督のもとで演じたい」との熱意で、この役に挑んだという。その水川さん演じる響子と、かつては地味だったものの、いまでは華やかな人気女優となった、木村さん演じる今日子を中心に進む、ひと筋縄ではいかないミステリー。なお、本作では、そんな2人の“キョウコ”にちなみ、有楽町スバル座限定で“キョウコ”さん割引を実施。免許証、学生証、保険証のいずれかを劇場窓口で提示すると、劇場料金が割引される。『太陽の坐る場所』は10月4日(土)より有楽町スバル座ほか全国にて公開、山梨にて先行公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:太陽の坐る場所 2014年10月4日より全国にて公開(C) 2014「太陽の坐る場所」製作委員会
2014年10月03日グラフィックデザイナーの坂野公一氏による講演「クリエイターが語る、Creative Cloudと価値ある機能」が、六本木アカデミーヒルズ 49F タワーホールにて行われた。この講演は、アドビ システムズが「Adobe Creative Cloud」の導入を検討するユーザー向けに行った「Create Now Design Tour Special CS vs CC 徹底比較セミナー・特別編」の一環。実務の現場での活用例が学べるとあり、会場には多くのユーザーが集まった。○ブックデザイナーとアドビ製品は"長いつきあい"坂野氏は、綾辻行人、辻村深月、道尾秀介などのミステリー小説を中心に、1,000冊以上の装丁を手がけてきたブックデザイナー。普段から「Adobe Illustrator」や「Adobe Photoshop」を扱うユーザーであり、京極夏彦氏監修の「水木しげる漫画大全集」の復刊プロジェクトでは「Photoshop CC」を中心に活用しているという。講演の冒頭で、坂野氏は「カバーや帯など外側だけをデザインする場合もあれば、内側のページレイアウトまで行う場合もあります。レイアウトはInDesignですが、デザイン作業はIllustratorとPhotoshopを使うので、アドビさんとのおつきあいは長いです」と、自らのユーザー歴を語った。○「塗り・版ズレ」を原画に近づける作業現場最初に、「水木しげる漫画大全集」における、原稿の修復作業の概要を解説した。1冊平均400ページ強という分量のため、修復作業は京極氏や坂野氏ほかスタッフ数人が分担して行っている。おもな作業は、主線のかすれや色ベタを復元する塗り作業と、原稿の汚れ除去。「できるだけ初出本のよい状態に戻す」ことを基準に、版ズレの調整やレイアウトの再現、コマの復元など忠実な再現を目指している。色ベタの塗りは、書籍の色アミ点から抽出して作成した専用カラーチャートを用い、モノクロページも含めて2色刷の状態に戻していくのだという。また、カバーデザインのボツ案や背表紙案、編集会議中の光景など制作現場のエピソードも公開。めったに見ることのできない貴重な画像や内容に、参加者たちは熱心に耳を傾けていた。●Photoshop CCの機能を活用した修正方法○Photoshop CCを活用した印刷物用のデータづくり坂野氏は、1コマずつマウスで塗っているという京極氏の「手仕事と水木愛」に満ちた修復作業を紹介したのち、自らのPhotoshop CCを活用した作業の解説へ。印刷物用のカラー原画に活用できる「スマートシャープ」、手ブレ修正を版ズレに応用する「ブレの軽減」、「スポット修復ブラシ」の3つを挙げた。ひとつ目の「スマートシャープ」では、「印刷物用にデータを修正する」場合として、アンシャープマスクを適用した場合と比較しながらの実演を行った。「ノイズの軽減」の設定を平板になりすぎないようなバランスに設定するというポイントのほか、「シャドウ」と「ハイライト」について、「ざらっとした本文紙でインクを少し吸うため、シャープを強めにかけてカリッとさせ、暗めの階調にしています」と解説した。またシャープネスやノイズ、明暗の階調を個別に設定し、範囲選択すれば必要部分にだけかけられるので効率がよくなった、とも語っていた。ふたつ目の「ブレの軽減」は、手ブレしてしまった写真のための修正用機能だが、坂野氏は真っ先に「版ズレ(の修正)用に使えそうだ」と考えたというから驚きだ。手ぶれが起きている写真を用いて、元画像、アンシャープマスク、ブレの軽減、ブレの軽減に坂野氏が"コツ"と呼ぶ設定を加えた物の画像を比較しながら、「ブレの軽減」機能の「ぼかしトレーシングの境界」や「なめらかさ」の設定の重要さを語り、かなり美しい画像へと修正できることを証明した。こうした流れの中で、「ブレの軽減」の版ズレ修正への活用法を紹介。版ズレが起こっている「ゲゲゲの鬼太郎」の原画を例に、"元画像"、"アンシャープマスク"、"スマートシャープ"、"スマートシャープに詳細調整"、"ブレの軽減とポイント"、"ブレの軽減とポイントにアンシャープマスク"と5種類の画像で効果を比較。最も原画に近くなった"ブレの軽減とポイント"設定を採用し、現在も活用しているそう。坂野氏の解説からは、ある対象に活用できそうな機能を見つけたり、いくつかの設定をして実験したりするなど、自分なりに使い込むことも、ツールをより活用する上では大事であることが伺えた。○CCシリーズならではの便利さを活用する最後は、通常のブックデザイン作業に関連した機能として、Photoshop CCの「リサンプリング」と「パノラマ」、Illustrator CCの「パッケージ」と「マルチプルアートボード」の活用例を紹介。Photoshop CCの「リサンプリング」機能では、「メルカトルかく語りき」の表紙絵の制作を例に「画像解像度の"ディテールを保持"を選ぶと下絵に使える位のいい雰囲気に修正できます。元が鉛筆のラフ画のようなものに効果的ですよ」と解説した。CCでエンジンの改善が行われた機能「パノラマ」に関しては、サイズの大きな原画、紙以外の原画などを事務所などA4サイズの汎用スキャナでスキャンした際に便利であると紹介。オーバーラップ幅が多めになるよう細かくスキャンするなど、美しいデータを作成するためのコツも披露した。一方のIllustrator CCでは、「マルチプルアートボード」を中心に解説。坂野氏は、カバーや帯、本体のデザインをひとまとめにして一覧できるため、ブックデザイナーにとって使い勝手がよいと語った。同氏は、「マルチプルアートボード」が搭載される以前から、Illustratorのひとつのファイルに分割した独自アートボードを置いてデータを作成していたという。この機能では、データを分割しても扱えるほか、PDFで書き出すとアートボードごとに扱えるので、「表紙カバー用のアートボードのみ印刷してクライアントに渡したりできて、作業スピードも上がりました」とその便利さを強調した。人気コミックの復刊作業の裏側の面白さはもちろん、現場ならではの工夫やアイデアが凝縮されていた坂野氏のセミナー。CC初搭載の機能やより便利になった機能の活用も多く来場者にも大きな参考となったに違いない。
2014年05月02日倉科カナ、成海璃子、木村多江、高梨臨、広末涼子という豪華な女優陣を各話の主演に迎えて贈るWOWOWの連続ドラマW「鍵のない夢を見る」。いよいよ明日(9月1日)、倉科さんが主人公を務める第1話の放送がスタートするが、このほどそのドラマ劇中のビジュアルが到着した。「冷たい校舎の時は止まる」で鮮烈なデビューを果たし、その後も若者独特の心の揺れを描き続けている人気作家・辻村深月の「第147回直木賞」を受賞した小説を、全5話構成のオムニバス・ドラマとして完全映像化。ありふれた日常の一コマに潜む人間のドラマを描いていく。今回第1話として放送されるのは、身勝手なダメ男に振り回されながらも人生を差し出してしまう未玖の日常を描いた「芹葉大学の夢と殺人」。絵本作家を志す大学生の未玖は、同じ学科に通う恋人・雄大(林遣都)とよく夢を語り合っていた。彼の夢は途方もなく大きく、友人たちにはバカにされるかも知れないが、自分だけは純粋な雄大の夢を信じてあげようと思っていた。卒業とともに夢をあきらめて美術教師になった未玖と留年した雄大は、環境の変化もあって別れることになる。しかし、彼に未練のある未玖は、ずるずると会いに行ってしまう。求められるまま身体の関係を持つものの、雄大は身勝手な要求ばかり。ホテルや食事代も当然のようにいつも未玖の支払っていた。そんなある日、雄大が殺人容疑で指名手配中と知る…。“ダメンズ・ウォーカー”まっしぐらなヒロイン・未玖役には、ヒットドラマ「花のズボラ飯」や映画『みなさん、さようなら』など人気・実力ともに急上昇中の女優・倉科カナが、そして彼女を振り回すダメ男・雄大にはイケメン俳優の林遣都が演じている。先日行われた制作発表会見で倉科さんは、振り回されても思わず尽くしてあげたくなるダメ男・雄大の魅力をこう語っている。「だいたい7割が私を傷つける行動だったり、言動だったりするんですが…ただ、あとの3割は“私を愛しているんじゃないか”と錯覚してしまうような行動だったりするです。“飴とムチ”じゃないですけど、そのたった3割だけでより好きになってしまう…」と照れながら共感。さらに、「本当にダメ(な男)なんだけれども、“きっと私じゃないと、雄大は理解できない”…」。そんなヒロイン・美玖を深く理解できたといい「より一層彼女の気持ちを追いかけてみたくなった」と、ツラいのに幸せを感じてしまう悲しい“女の性”を語っていた。最後に倉科さんは、「みなさんの目には悲しいラストに映るかも知れないけれど、私としては幸せな気持ちになりました。人を愛することって幸せなんだと思いました」と母性あふれる優しい笑顔で本作をアピールしていた。「鍵のない夢を見る」は9月1日(日)よりWOWOWにて放送開始(全5話)。倉科さん主演の第1話「芹葉大学の夢と殺人」は無料放送。(text:cinemacafe.net)
2013年09月01日俳優の松坂桃李その他の画像が17日に公開中の主演映画『ツナグ』のヒットを記念して都内劇場で行われた舞台あいさつに登壇した。この日は松坂の24歳の誕生日ということで会場全体で松坂を祝福した。辻村深月の人気小説を映画化した本作。死者と生者を一度だけ会わせることができる少年と彼の依頼人たちが紡ぎ出すドラマを描き、公開2週目にして週末興行ランキング1位に躍り出た。先週1位の『アウトレイジ ビヨンド』、2位の『踊る大捜査線』を抜き去っての1位獲得に松坂は「まさか『アウトレイジ』よりも…。公開後にこうして舞台あいさつができるのはなかなかないことで、みなさんの口コミのおかげ。スタッフ、キャストを代表してありがとうございます」と客席に深々と頭を下げた。これまでのプロモーションには、祖母を演じた樹木希林と一緒に出席することが多かったが、この日は松坂ひとり。改めて樹木の存在について「本当のおばあちゃんのように支えてくださった」と感謝の思いを口にした。劇中の夕食のシーンで、樹木が松坂の皿にしらたきをよそい、松坂がそれを鍋に戻すというやりとりがあるが、これもその場のアドリブが入っているそう。松坂は「本当にしらたきが苦手で食べられないんです(苦笑)。樹木さんに『嫌いなものは?』と聞かれ『こんにゃくです』と答えたら入れられました」と明かした。24歳の誕生日ということで観客がバースデイソングを合唱。映画にちなんで満月をモチーフにした特製ケーキが運ばれた。24本のロウソクを松坂は笑顔で吹き消し「24には24のときにしかできない役があると思う。役者の立場でいろんなものを届け、表現したい」と抱負を語った。映画では、人生でたった一度だけ満月の夜に“ツナグ”を介して死者と会うことができるが、この日はサプライズで国民的映画『男はつらいよ』の寅さん(渥美清)と“キング・オブ・ポップ”マイケル・ジャクソンのそっくりさんの芸人が登場。松坂が演技の勉強を兼ねて、大好きな山田洋次監督作品のDVDを見ているということもあり、寅さんは『男はつらいよ』のDVDセットをプレゼント。マイケルは自身の死後に公開されて大ヒットを記録したライブ映画『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』のDVDを贈った。思わぬビッグな死者との対面に松坂は困惑気味。人生でたった一度の死者との再会が勝手にこの2人となってしまい「僕、呼びましたっけ?」と苦笑を浮かべていたが、すかさず寅さんが「それを言っちゃあ、おしまいよ」とおなじみのセリフで返し、劇場は笑いに包まれた。『ツナグ』公開中
2012年10月17日松坂桃李が単独初主演を果たした『ツナグ』の初日舞台あいさつが6日、東京・TOHOシネマズ日劇にて行われ、松坂をはじめ、共演の樹木希林、桐谷美玲、橋本愛、大野いと、遠藤憲一、平川雄一朗監督が登壇した。樹木とのプロモーション期間が撮影期間を上回ったという松坂は、「撮影期間も含めてこうして長い時間を過ごしたけれど、結局、何も掴めないまま。どこまですごい方なのか、まったく底が知れないまま終わってしまった」と、濃密な時間を振り返った。その他の写真原作は、いま最も注目されている女流直木賞作家・辻村深月の同名小説。死者との再会を望む人々の願いを叶える仲介役“ツナグ”を司る高校生・歩美(松坂)の葛藤と成長を、親子、恋人、親友の3つのエピソードを通して描く。本作の映画化を聞いて、「どうしてもこの歩美という役をやりたかった。誰にもやらせたくないなと思った」という松坂は、初日を迎え「こうして皆さんの前に立っていられることがうれしくて、幸せすぎて、もう何と言っていいか…。この作品に自分の名前を刻めたことがうれしくて仕方がない」と感激の面持ち。そして、観客から「映画を観て、泣いた場面はありますか?」との質問を受けると、「台本の時点でグッときていた。特に親子の再会のシーンはきましたね」と回答した上で、「あとは、自分の名前がエンドロールにあがってきた時。すごくグッときたなあ!」と、喜びを露に。「映画には3つの別れがあると聞いたことがあります。1つ目はクランクアップの時。2つ目は映画が完成した時。3つ目はお客さんに届いた時。そしていま僕は『ツナグ』の3つ目の別れの瞬間にいます。作品を手放すのは寂しいけれど、うれしい思いもある。感謝の気持ちを伝えたいです」とあいさつし、主演として見事に締めてみせた。そんな松坂のことを、実の孫を見守るように見つめていた樹木は、「最初のうちは『ああ…』と思うこともあったけれど、今日に至ってはもうマイクを離さない。この成長ぶり!もう安心したので、これでご無礼いたします」と、その成長に目を細め、太鼓判を押していた。『ツナグ』公開中
2012年10月09日直木賞作家・辻村深月の同名小説を映画化した『ツナグ』が10月6日(土)に公開初日を迎え、主演の松坂桃李、樹木希林、桐谷美玲、橋本愛、大野いと、遠藤憲一、平川雄一朗監督が舞台挨拶に登壇した。一生にたった一度、亡くなった人と会える。その仲介役を司る“使者=ツナグ”の青年・歩美(松坂さん)は、母への後悔を引きずる横柄な男、突然姿を消した婚約者を待ち続けるサラリーマン、ケンカ別れした親友に会いたい女子高生の願いを叶えるうちに、ある疑問と葛藤を抱くようになり…。『ツナグ』のほかにも、多くの邦画が公開されたこの日。のっけから遠藤さんが「こんな強面で、『アウトレイジ』じゃなく『ツナグ』に出させていただいて、不思議な感じがします」と挨拶して観客の笑いを誘うと、同日公開された『新しい靴を買わなくちゃ』にも出演している桐谷さんの「本当にこの作品に出られて良かったという思いしかない」という挨拶に対して、樹木さんが「ほかの映画館でハイヒールがどうのとかなかった?」と鋭いツッコミ。「いまはもう『ツナグ』のことだけなので、ハイヒールのことは置いといていただければ……」と慌てる桐谷さんに会場は爆笑に包まれた。そんな樹木さんとプロモーション活動を行ってきた松坂さんは、撮影からの日々をふり返り、「撮影で樹木さんと過ごした時間と、プロモーションで過ごした時間を数えたら、ついに撮影期間を上回りました」と報告。樹木さんから「最初はあぁ…と思うこともあったけど、今日に至ってはマイクを離さない、この成長ぶり!保護者のつもりで宣伝活動に関わったけど、もう安心。これでご無礼させていただきます」と太鼓判をおされると、「もう本当に底が知れません!こうやって長い期間一緒に過ごしましたけど、結局何も掴めないまま、どこまで凄い方なのか底が知れないまま終わってしまいました」と恐縮。「“底なし沼”の樹木希林です」とおどける樹木さんに笑顔を弾けさせていた。また、この日は観客とキャストを“ツナグ”という意味を込めて、観客からの質問を受けるティーチインも実施。映画と同じように親友を亡くした経験があるという男性から、「残された側はどう思うのが大切だと思うか?」と質問された橋本さん&大野さんが、言葉に詰まりながらも「この映画で伝えていることと同じで、前を向いて笑顔で生きること。それが亡くなった人への恩返しだと思います」(橋本さん)、「笑顔でいてもらえると、死んだ側も成仏できると思います」(大野さん)と回答すると、すかさず樹木さんが「生きている人が生き生きと人生を歩んでくれることが、死んだ方の喜びという形に受け取ったのね。よく喋れましたよ」と優しくフォロー。笑いを誘う一方で、締めるところは締め、舞台挨拶を終始リードしていた。『ツナグ』は全国東宝系にて公開中。■関連作品:ツナグ 2012年10月6日より全国東宝系にて公開© 2012 「ツナグ」製作委員会アウトレイジビヨンド 2012年10月6日より新宿バルト9、新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2012 「アウトレイジ ビヨンド」製作委員会新しい靴を買わなくちゃ 2012年10月6日より全国にて公開© 2012「新しい靴を買わなくちゃ」製作委員会
2012年10月07日第32回吉川英治文学新人賞を受賞した辻村深月のベストセラー小説を映画化した『ツナグ』の特別試写会が10月2日(火)、都内で開催され、主演を務める松坂桃李を始め、共演する樹木希林、佐藤隆太、桐谷美玲、平川雄一朗監督が出席した。この日は「想いを“ツナグ”小指チェーン」と銘打ち、松坂さんら登壇者5名と会場に駆けつけた996人の合計1,001人が“指きりげんまん”に挑み、見事ギネス世界記録を更新した。死者と生者を繋ぐ“使者”を務める青年・歩美(松坂さん)によってたった一度の再会を果たす人々のドラマが綴られる本作。主人公を軸に、親子に恋人、親友などそれぞれに思いを残したまま死に別れた人々の絆が壮大なスケールで描かれる。松坂さんにとっては、初の映画単独主演作品で、「今日ご覧になったみなさんは、ぜひ周りの人たちに映画を“繋いで”いただければ」と思いは格別の様子だ。そんな松坂さんを筆頭に、ギネス世界記録にチャレンジすることになった、この日の試写会。競技の正式名称は「ロンゲスト・ピンキー・スウェア・チェーン」といい、具体的には参加者全員の小指の“指きり”が少なくとも1分間、繋がり合った状態をキープできれば成功というのがルールだ。当日はギネスの本場である英国・ロンドンから、ギネス世界記録公式認定員である石川佳織さんが来日し、松坂さんたちのチャレンジを厳しい眼差しでチェック!1分間の挑戦が終わった後も、石川さんの審査を待つ必要があり、松坂さんも「何とも言えない緊張感ですね…」と表情も恐々。ついに石川さんの口から、チャレンジ成功が告げられると、会場からは一斉に歓声が上がった。「記念すべき歴史的な瞬間に立ち会えて幸せです。ご協力いただき、ありがとうございます!」と満面の笑みの松坂さん。チャレンジ開始前は「これって何か意味があるのかなあ…」と興味のないフリ(?)をしていた樹木さんも、いざ記録達成すると「ありがとうございます!」とバンザイをしながら安堵の表情を浮かべていた。また“チャレンジ”にちなみ、今後挑戦したことを聞かれた佐藤さんは「スカイダイビング」と即答。一方、恋人役で佐藤さんと共演した桐谷さんは「少し気が早いですが、正月のおせち料理を作りたい」と意欲満々。ところが、樹木さんが「おせちなんて買った方が早い!」と一刀両断し、桐谷さんは「じゃあ上手くいかなかったら、そうします…」と苦笑しきりだった。『ツナグ』は10月6日(土)より全国東宝系にて公開。■関連作品:ツナグ 2012年10月6日より全国東宝系にて公開© 2012 「ツナグ」製作委員会
2012年10月02日映画『ツナグ』の特別試写会が9月25日(火)に都内で行われ、上映前の舞台挨拶に松坂桃李、樹木希林、さらに主題歌を担当したJUJUが登壇。生で主題歌「ありがとう」を熱唱した。直木賞作家・辻村深月の同名小説を映画化した本作。死者と生者を一度だけ再会させることができる“ツナグ”という務めを負った青年が、思いを残したまま別れることになった人々の再会に立ち会う中で成長していくさまを描く。松坂さんは樹木さんの印象を尋ねられ「安心と興奮を与えてくれる人。お会いする前は緊張していたし厳しい人だと聞いてたんですが、すごく優しく包み込んでくださいました」と感謝の思いを語る。さらに「一緒にプロモーションを回る中で、『そんなところで?』というすごいところで『ツナグ』の宣伝をしてくれるんです」と感服した様子だった。樹木さんは「松坂くんの祖母を演じました。役でもそうですが、ここにも付き添いというか、おじゃま虫として付いて来ました」とイタズラっぽい笑みを浮かべるが、この日も次々と思うがままの放言を連発!松坂さんが「いつも現場に食べ物を持ってきてくれるんです」と樹木さんの優しい一面を明かすと、樹木さんは「うちで余ってたからね」と語り、「映画に出演しているよりも、プロモーションの方が3倍くらいある気がする」と愚痴をこぼして会場の笑いを誘う。JUJUさんが登場する間際に司会者からJUJUさんのことを知っていたかと問われると、モゴモゴと口ごもりつつ「似ているような感じですよね。“JUJU樹林(じゅりん)”って言うんですか?」とトボケて、さらに松坂さんに「JUJUさんは独身なの?」と質問。松坂さんが「どうですかね?」と困惑した表情で答えるのも構わず、「何か生まれるといいわね。(この映画が縁で)繋がれば」と“ツナグ”にちなんで“孫”の松坂さんとJUJUさんの交際を希望し、2人を繋ぐキューピット役に立候補!?客席の女性ファンからは「えー?」っとブーイング気味の声が聞こえてきたが、「大丈夫よ」と鷹揚に答え、再び会場は笑いに包まれた。ピアノ伴奏に乗せたJUJUさんの「ありがとう」の熱唱に会場は酔いしれたが、JUJUさんは出番直前での樹木さんの一連の発言にかなり動揺したよう。「『JUJU樹林です』って出てきた方がいいかな?と思いました(笑)。松坂さんとのお話も舞台袖で聞きながら『繋がらないです!』って言ってたんですが、客席から『えー?』という声も聞こえてきてどうしようかと思いました」と苦笑いを浮かべて語った。最後まで“希林節”は衰えることなく、JUJUさんの歌う「ありがとう」の歌詞にちなみ、出会えてありがとうと言える人は?という問いに、樹木さんは期待通り(?)「40年近く別居している夫(内田裕也)に出会えてありがとうと言いたい」と答え、客席からは笑いと大きな拍手が沸き起こった。『ツナグ』は10月6日(土)より公開。「ありがとう」は10月10日(水)リリース。■関連作品:ツナグ 2012年10月6日より全国東宝系にて公開© 2012 「ツナグ」製作委員会
2012年09月25日辻村深月の人気小説を映画化した『ツナグ』の完成報告会見が11日に、都内で行われ、松坂桃李、樹木希林、桐谷美玲、橋本愛、大野いと、遠藤憲一、八千草薫、平川雄一朗監督が出席した。その他の写真本作は、生者と死者を1度だけ再会させる仲介人という特殊な仕事“ツナグ”の見習いをする高校生の歩美(松坂)が、数々の依頼人と出会ううちに自身の行為に疑念を抱き、心の葛藤と向き合う姿を描いた作品。共演の樹木は、歩美へ仕事を引き継ぐ祖母・アイ子を演じる。「映画を観終わって、親に電話してたくさん話をしました。日常でなかなか言えなかった『ありがとう』を言えるようになりました」と語る松坂。本作で単独初主演を果たしたが、「主演と言うプレッシャーがなく現場に飛び込めたのは、みなさんの支えがあったおかげ」と共演陣への感謝を口にし、「僕にとって(本作の出演者との共演は)財産です。この先10年、20年と続けて、ふり返ったとき、『ツナグ』があったからと思えるくらい濃密な時間を過ごせました」と語った。松坂は、遠藤と八千草の親子パート、桐谷と佐藤隆太による恋人パート、そして橋本と大野の親友パートと各エピソード全てに出演しているが、特に親友のパートに関して「男としては怖いなと思いました。女性の生々しい関係にゾッとしました」と自身の理解を超えた女同士の関係への本音をのぞかせる。そんな松坂に対し樹木は、「孫がちゃんと成長するように」と横から口を挟み、松坂の手を取りつつ「男の嫉妬もすごいんですよ。これから世の中に出たらそのあたりも感じるようになる」と辛口のアドバイスをおくっていた。樹木はこの日も自由奔放な発言を連発。八千草と遠藤について「絶世の美女の八千草さんの息子が何で遠藤さんなのか?」とキャスティングに疑問を呈したかと思えば、監督の演出について「気を入れていたのは若い3人(桐谷、大野、橋本)の芝居の部分だけなんです。『もうOKでいいじゃないか?』というところでも粘っていた」と明かすなど言いたい放題。ここ最近、樹木の口からオセロ・中島の洗脳問題などの内幕が語られていることもあって、報道陣からは「樹木さんが芸能ニュースと我々(報道陣)をツナぐ存在」という言葉も出たが、樹木は「つながされてるんですよ!」と一蹴。「そろそろこのへんで」と自ら会見に幕を引くなど最後までマイペースぶりを発揮していた。『ツナグ』10月6日(土)より全国東宝系にて公開
2012年09月11日映画『ツナグ』の完成報告記者会見が9月11日(火)、東京国際フォーラムにて完成披露試写会に先立って行われ、主演の松坂桃李を始め、樹木希林、桐谷美玲、橋本愛、大野いと、遠藤憲一、八千草薫に平川雄一朗監督が出席した。直木賞作家・辻村深月の人気小説を映画化した本作。死者と生きている者の橋渡しをする青年を軸に、親子に恋人、親友などそれぞれに思いを残したまま死に別れた人々の絆が描き出される。松坂さんは「この映画を観終わって、僕は親に電話してたくさん話をしました。なかなか、日常では言えなかった『ありがとう』という言葉が言えるようになりました」と明かす。松坂さんはこの日、ズラリと並んだ豪華キャスト陣全員と共演シーンのある唯一の存在だが、それぞれとの時間を「僕の財産です」と断言。「主演というプレッシャーもなく現場に飛び込めたのは、みなさんの支えのおかげです。みなさんとお芝居の時間を共有できて、僕がこの先も役者として10年、20年とやっていってふり返ったとき、『この作品があったから』と思えるだろうというくらい濃密な時間を過ごせました。誇りに思います」と、この作品が分岐点となるくらい大きな経験だったと語った。そんな松坂さんの祖母を演じた樹木さんは「すくすく育ってまして」と“孫”の成長に目を細めるが、松坂さんが映画の中の橋本さんと大野さんの親友同士のパートについて「男としてはちょっと怖い。女の生々しい関係にゾッとしました」と語るとすかさず反応!「孫がちゃんと成長するためにアドバイスさせてもらいます」と前置きし、「男の嫉妬もすごいんですよ。これから世の中に出たら分かると思います」と松坂さんの手に自分の手を重ねながら熱弁をふるった。橋本さんは親友役の大野さんと長く時間を過ごし「いとのことは“戦友”だと思ってます。共演していると競争心が湧くこともありますが、この作品に関してはいとと一緒に戦っている意識だった」とふり返った。その大野さんは、完成した映画を観て「自分が泣いているシーンを観て泣いてしまいました」と告白。「人の大切さが分かる映画で、そんな作品に出させていただけて嬉しいです」と言葉に力を込めた。桐谷さんはこの日、欠席となった佐藤隆太の恋人役を演じたが「最初のシーンが再会のシーンで『どうすればいいんだろう?』と不安でしたが、監督に粘っていただき、佐藤さんにも『頑張ろう』と声を掛けていただきました」と感謝の思いを口にした。遠藤さんと八千草さんは親子を演じたが、樹木さんからは「絶世に美女の八千草さんのご子息がどうして遠藤さん?」とキャスティングへの疑問が…。遠藤さんは撮影時にも樹木さんから同じことを言われたそうだが、苦笑を浮かべつつ「八千草さんは即徳の温かさでオレを包んでくださって、『お母さん』という気持ちにさせくれました」と述懐。「こんな大きな息子を持つのは初めて」という八千草さんも「この子とどうやって暮らしてきたんだろう?と考えたときに、きっと言いたいことも言えずにぶっきらぼうに過ごしてきたんだろうなという気がして、息子という感じがしてきました」と優しい笑みを浮かべながら語っていた。『ツナグ』は10月6日(土)より全国東宝系にて公開。■関連作品:ツナグ 2012年10月6日より全国東宝系にて公開© 2012 「ツナグ」製作委員会
2012年09月11日直木賞作家・辻村深月の同名小説を映画化した『ツナグ』の大ヒット祈願イベントが13日に東京の神田明神で行われ、主演の松坂桃李と樹木希林、平川雄一朗監督が出席した。その他の写真死んだ人間と生きている者をつなぐ“使者”の役割を務める歩美(松坂)。彼を通じて後悔や疑問、様々な思いを残したまま死に別れた人々がたった一度の再会を果たすと同時に、歩美自身がこの務めを通じて成長していくさまを描き出す。死者と生者が再会するという物語にちなんでお盆のこの時期に開催されたヒット祈願。松坂らに加え、劇中で歩美がつなぐ“親友”、“家族”、“恋人”の3通りの計15組のペアが招待され、祈願に参加した。祈願を終えた松坂は「やっと映画が完成して嬉しい気持ちです。ヒットも大事ですが、見てくれる人の心に残ってくれる作品になればと思います」と笑顔で語った。樹木は「神田神保町の出身なので神田明神にはなじみがあります」と明かしつつ、「これでヒットしなかったら神田明神のご利益がないと言われてしまう」と懸念するが、平川監督は「ヒットする気がします」と晴れ晴れとした表情で語り自信をのぞかせた。本作で樹木と松坂は、祖母と孫の関係を演じているが、松坂は「安心と興奮を同時に与えてくださる方でした。最初はドキドキ緊張しましたが、いざ撮影に入ってみると何をやっても大丈夫という感じで、包み込んでくれるような温かい気持ちがこみ上げてきました」と樹木との初共演の感想を明かす。また、本作で単独初主演を飾ったことについて「主演ということよりも希林さんや仲代(達矢)さんら、大ベテランの方とやらせていただけるということの方が大きかった」と本音を漏らした。一方の樹木は「大ベテランの“大”というのはただ長くやってるだけ」と笑いつつ、松坂については「いまどきこういう人がいるんだ? というくらい素直でアクがない子」と評価。さらに「彼がスターになるかどうかは拝んでもダメ。本人にかかっているので後はよろしく」と飄々とした口調で語ったが、松坂は神妙な顔で「日々精進します!」とさらなる飛躍を誓った。『ツナグ』10月6日(土)より全国東宝系にて公開取材・文・写真:黒豆直樹
2012年08月13日