イギリスで最も愛されているデザイナー、マリー・クワント。現在92歳の彼女は、ミニスカートやタイツなどを世の中に広め、「ミニの女王」とも呼ばれるファッション界のレジェンドです。現在、Bunkamura ザ・ミュージアムで、マリー・クワントのすてきなファッションを紹介する展覧会『マリー・クワント展』が開かれています。今回、マリー・クワント本人とゆかりのある方々にお会いし、当時のファッションや展覧会の見どころなどを聞いてきました!女性のファッションを一変!マリー・クワントの破壊力右:ヘザー・ティルベリー・フィリップスさん、左:ウルリカ・ヘインズさん【女子的アートナビ】vol. 273『マリー・クワント展』では、服や下着、コスメ、インテリアなどライフスタイル全般をデザインし、世界的なブランドにまで成長させたマリー・クワントの歩みを紹介。英国・ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(略称V&A)が所蔵する約100点の衣服を中心に、小物や写真、映像なども展示されています。本展はロンドンを皮切りに、スコットランド、オーストラリア、ニュージーランド、台湾でも開催されている世界巡回展。イギリスでは、約40万人も訪れたという人気の展覧会です。マリー・クワントは、1930年ロンドン生まれ。25歳の若さで若者向けのアイテムを揃えたブティック「バザー」をロンドンに開き、それまでの伝統的な価値観を打ち破って時代を先導。今では当たり前のミニスカートやタイツ、ジャージー素材のアイテムを浸透させ、当時の女性たちのファッションを一変させました。本展の開幕に合わせ、マリークワント社元取締役のヘザー・ティルベリー・フィリップスさんと、元モデルのウルリカ・ヘインズさんが来日。ヘザーさんは、1970年からマリークワント社で広報・マーケティングを担当されたあと経営に携わり、マリーさんとも家族ぐるみのお付き合いをされています。また、ウルリカさんは、1974~75年までマリークワント社のモデルとして活躍。その後、大手ブランドや日本でもモデルを務めていた方です。お二人に、展覧会の見どころやマリー・クワントさんの魅力などをお聞きしてみました!なぜ今も人気?マリー・クワントの魅力――まずは、お二人にお聞きします。日本での展示をご覧になって、いかがでしたか。ヘザーさんカラフルで遊び心があり、マリー・クワントらしさを効果的に見せていると思います。もともとオリジナルの展覧会をやっていたヴィクトリア・アンド・アルバート博物館の基本を踏襲しながらも、日本ながらの解釈を加えて、すべての世代の方々にアピールできる内容になっていると思います。ウルリカさん私はこの展覧会が好きです。すばらしいと思いました。私たちがロンドンで見たのと同じくらい、日本の方々がこの展覧会を楽しむことができるのか、当時の若々しい刺激的な現象や雰囲気を、日本の方々も感じることができるのか、知りたいですね。私のドレスを見て!――この展覧会では、1955年から75年にかけてのマリー・クワントの活動に焦点を当てています。anan読者の若い女性たちには知らない時代だと思いますが、そんな女性たちでも楽しめますか?ウルリカさん私が着ているマリークワントのドレスを見てください!ほら、今でも新鮮でしょ。ミニスカートは、今でも若い世代にうけると思いますよ。ロンドンで開かれた展覧会では、実際に若い世代のモデルさんたちに当時のドレスを着てもらったのです。ヘザーさんその若いモデルの子たちは、マリークワントのドレスをおしゃれに着こなしていました。当時のドレスにドクターマーチンのブーツを合わせてみたり、白いソックスを履いたり、スニーカーを履いたりして、いろいろ組み合わせていました。今の時代に着ていても、まったく変に見えないし、居心地よく着られるドレスだと思います。ロンドンで展覧会が開かれていたとき、会場でお客さんたちの話を聞いていたのですが、18歳の女性は「このドレス着たい!」と言ったのです。マリークワントの服は、タイムレスな存在になっているのだと思いました。ファッションを手に届く存在に…――マリー・クワントさんは、ファッション界への多大な貢献を認められて、英国王室から2度も勲章を授与されています。イギリス人にとって、彼女はどんな存在ですか。ヘザーさん今は主に、起業家のロールモデルとしてみなされていると思います。衣服だけでなく、ライフスタイルのクリエイターとして認められている存在です。変革を起こしたいとき、彼女のように強い思いや自信をもって取り組めば、どんな人でもやりたいことを実現できるのではないか、と思わせてくれる存在です。ウルリカさん彼女を特別な人にしたのは、ファッションを低価格にした、という点です。大量生産することにより、ファッションを手に届く存在にした人だと思います。当時、デザイナーの服というのはオートクチュール(高級仕立服)で、お店ですぐ買うことができるものではなかったのです。ファッションを多くの人に届けることができたのがマリー・クワントです。専属モデルに求められていたのは…『マリー・クワント展』展示風景――マリー・クワントさんは、ご自身もスタイルが良く、ミニスカート姿でメディアに出られてファッションアイコンのような存在になっていました。当時、モデルとして活動されていたとき、マリーさんからは、どんなことを求められましたか?ウルリカさんfun(楽しさ)を求められていましたし、性格の良さも求められました。ポジティブで熱心に仕事をする、いわゆるプロフェッショナリズムを持っている人をマリー・クワントは求めていました。モデルのチームのなかに、ディーバ的な存在、例えばケイト・モスのような人はいなくて、常にチームワークで物事が進んでいたと思います。チームで仕事をして自らを解放し、楽しく仕事ができる人を彼女は求めていました。ヘザーさんそれに、インテリジェンス、賢さも求められていたと思います。マリー・クワントのデザインを理解してカラダを動かせる人、デザインを身につけることによる高揚感を伝えることができるような人を求めていました。――マリー・クワントさんの服を着ると、どんな気分になりましたか?ウルリカさん気分は良かったですよ。新鮮なデザインで、常に楽しさを与えてくれた洋服で、モデルたちはみな「着る」ということに誇りを持っていました。着心地がよくて堅苦しくなくて、軽く動きやすい服でしたので、本当に着ていて気分が良かったです。――展覧会では、当時のファッションショーの映像も見ることができます。ステージに踊りながら登場したり、ドラマティックなポーズをとったりして、今の時代に見てもとても刺激的です。ウルリカさんファッションショーは仕事ですから、当然、みんなまじめに取り組んでいましたけれど、常に同じモデルたちと仕事をしていたので、いい雰囲気でした。さらに、モデルの数は何十人もいたわけではなく、5、6人という選ばれた数人だけでした。選ばれているということ自体が、モデルの喜びにつながっていたと思います。人数が少なかったので、着替えは急いでしなければならなかったですけどね(笑)。それも楽しかったです。なぜマリー・クワントは日本好き?『マリー・クワント展』展示風景――マリー・クワントさんの回顧録を読むと、日本についての記述がたくさん出ています。彼女は日本の女性たちについてどう思っていたか、ご存じですか。ヘザーさんマリー・クワントは日本が大好きで、日本人のライフスタイルに感銘を受けていたようです。日本女性の着こなしのセンスにも感銘を受け、上品でありながらファッションを賢明な形で解釈しているというのが彼女の感想でした。また、日本人が自分たちの文化を大事にするという点も感激していました。マリーは息子を一時期日本で働かせていたほど、日本人と日本の文化を愛していました。日本人のお嫁さんが来てくれるといいな、と思っていたほど日本が好きでしたよ。――ウルリカさんは、モデルとして日本のブランドや百貨店ともお仕事をされていました。日本の印象はいかがでしたか。ウルリカさん私も日本が大好きで、来る機会があればすぐにでも行きたいと思うほどです。日本から大きな影響を受けていましたし、文化的にも違う部分が多いのでワクワクします。日本では細かい部分まで気配りがされていて、すばらしいと思っています。エキサイティングな場所ですね。――興味深いお話を聞かせていただき、ありがとうございました。インタビューを終えて…マリー・クワントさんと一緒に華やかな時代を過ごされてきたお二人。鮮やかなピンクのジャケットを羽織ったヘザーさん、ミニスカートとタイツ姿で颯爽と歩くウルリカさん、どちらも美しくキュートに服を着こなされ、見とれてしまいました。色あせないマリー・クワントブランドの底力をお二人が体現されているようでした。多くの刺激とインスピレーションを与えてくれるマリー・クワントの展覧会、ぜひ足を運んでみてくださいね!Information会期:~2023/1/29(日)※12/6(火)、1/1(日・祝) 休館会場:Bunkamura ザ・ミュージアム開館時間:10:00-18:00(入館は17:30まで)毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)※状況により、会期・開館時間等が変更となる可能性があります。※12/31(土)は18:00まで(入館は17:30まで)観覧料:一般¥1,700、大学・高校生¥1,000、中学・小学生 ¥700※学生券をお買い求めの際は、入館時に学生証(小学生を除く)のご提示をお願いします。お問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル)※本展は会期中すべての日程で【オンラインによる事前予約】が可能です。予約なしでも入場できますが、混雑時にはお待ちいただく場合があります。予約方法等の詳細は展覧会HPにてご確認ください。撮影:堀口宏明
2022年12月11日ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのファッションスナップレポートです。本日はこの時期に多いパーティやイベントに着て行くのに参考になるトレンドスタイルを、ご紹介します。ジャケットで着飾るパーティ服ちょっとしたパーティなら、ジャケットで華やかに見せるだけで十分!こちらの淡い色のスパンコールジャケットも、どこから見てもパーティにもってこい。でもジャケット以外は普段着。ジャケット次第でパーティっぽさがこんなに出るんですね!品よくメリハリをつけたい場合はストッキング!こちらはショートパンツにロングコートとアンバランスに見えますが、黒ストッキングで上手にバランスを取り、見せ過ぎず隠し過ぎない絶妙なバランスに。冬はストッキングは欠かせません!可愛いピンクで決める大人パーティスタイルピンク好きにはたまらない魅惑的なコーディネイト。ピンクだけでまとめると可愛すぎることもあるので、レッドなどで色の強さを変えることで、可愛いだけではなく大人っぽさが強調されます。シルキーな素材でセクシー上品なワンピース肌触りも良し、着やすさも抜群なシルキーワンピース。光沢感が派手すぎず上品な印象を与えます。パーティやちょっとした重要なイベントなどでは、素材にこだわるだけで正装に見えたりします。ブラックでカッコよく決めたい!パーティでは常にカラフルでなければいけないわけではないので、ブラックでビシッと決めるのもよし。ブラックで決める場合の注意点は、どこかで肌を少し見せること。すると大人上品に見えます。首元や足元など、露出度を高めるというよりは、色を抜いてあげるだけでスタイリッシュに見えるんです。キラキラドレスはやっぱり目を引く美しさグリーンの美しいドレスは、まさにパーティドレスと言えるスタイル。キラキラ素材はパーティ服には欠かせないといえるかもしれません。これからの季節は忘年会やクリスマス、年末年始のパーティなど人の多いイベントに出かける機会が多くなる方もいらっしゃると思います。ぜひ上記のパーティスタイルも参考になれば嬉しいです。写真・平野秀美
2022年12月10日2022年も激動の1年となりましたが、国内だけでなく、世界で起きている出来事にもしっかりと目を向けるのも大事なこと。そこで今回ご紹介するのは、香港の民主化デモに参加する若者のリアルと自殺志願者を救うために奔走する民間捜索隊の姿に迫った話題作です。『少年たちの時代革命』【映画、ときどき私】 vol. 5392019年、デモに参加する若者であふれている香港の街にいたのは、少女YYと親友のジーユー。2人はゲームセンターで遊び、ときにはデモにも参加する普通の17歳だった。ところがある日、デモに参加した際に逮捕されてしまうと、「香港は変わらない」と感じたジーユーはYYに香港を去ることを告げる。父親とも母親とも離れて暮らすYYは、孤独と絶望を抱え、18歳の誕生日にSNSにメッセージを残して香港の街に1人で消えてしまう。そんな彼女のメッセージを見つけた少年ナムとその仲間たちは自殺を防ぐための捜索隊を結成し、YYを探して香港の街を駆け巡る。しかし、誰もYYを見つけられないまま時間だけが過ぎていくのだった……。香港では上映禁止となったにもかかわらず、台湾のアカデミー賞を席巻したのをはじめ、そのほかの海外でも大きな反響を呼んだ本作。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。ラム・サム監督本作を手掛けたのは、デビュー作にして世界的な注目を集め、「香港映画界に彗星のごとく現れた」とも言われているレックス・レン監督とラム・サム監督の2人。今回は、ラム・サム監督に自身の体験や撮影時に危険を感じた出来事、そして若者が政治に興味を持つべき理由などについて語っていただきました。―近年、香港のデモを題材にした作品はいくつも制作されていますが、そのなかでも本作は自殺志願者を救うために結成された民間捜索隊にフォーカスしています。どのようなきっかけから取り組もうと思ったのですか?監督当時は、自殺を選ぶ若者が徐々に増えてきていたので、デモが始まった早い段階から「自殺」をテーマにした映画にしようと考えるようになりました。実際、レックスと僕の友人のなかにも「自殺したい」という話をする友人が出てきたので、その人のために救助隊を結成した経験を僕たちもしています。香港のデモを取り上げている最近の映画では、運動のなかの大きな場面を映し出していることが多いですが、背後にある小さな事件はなかなか注目されていないので、そういう部分を取り上げたく、民間捜索隊を中心に描くことを決めました。―では、本作では監督の実体験も反映されているところがあったということでしょうか。監督劇中にも出てくるチャットアプリは実際にあり、そのなかで自殺者が出そうだという情報が上がったらいろんなグループの人たちが捜索を始めるので、僕自身も見知らぬ人を探したこともありました。そのときに感じた無力感や戸惑いといった感情は、実際に自分の体験に基づいて描いています。実際の感情をリアルに表現することができた―起用した多くの俳優は、演技経験のない新人ということですが、演出面で意識したことは、苦労したことは?監督今回、ソーシャルワーカー役を演じてくれたアイビー・パンさんは、舞台俳優で香港インディペンデント映画には欠かせない存在の俳優さんですが、それ以外はほとんど素人か俳優やアーティストを目指している新人、あとはデモ現場でスカウトした人たちでした。なので、シーンに合わせた気持ちに入るのに時間がかかってしまうこともあり、そのあたりは難しかったところです。ただ、そのいっぽうで“素人の味”みたいなものはあったかなと。特に、彼らは実際にデモに参加した経験があったので、そのときに味わったリアルな感情が表現できたのはよかったなと思います。―デモを取り上げたほかの作品では、匿名や覆面で出演するような人もいるので、こういった作品に出ることは、出演者にとっても勇気のいることだったのではないかなと。出演に対して、みなさんはどのような思いだったのでしょうか。監督この映画は、わりと運動が始まった初期の段階でスタートしていたこともあって、当時と現在とでは状況もかなり異なり、まだ希望があったのでそこまで拒否反応はなかった印象です。不安があればプロジェクトから離れてもらっても大丈夫ということは伝えていましたが、彼らも香港のために何かしたいという思いの強い人たちだったので、「問題ありません」と言ってくれました。ただ、いまのような香港の状況下では、もしかしたらこの映画に出演したことによって、ほかの映画への出演が難しくなってしまった俳優はいるのかもしれないという不安は感じています。本物の機動隊に囲まれてしまうこともあった―実際にデモの映像なども使われていますが、監督自身が撮影時に危険にさらされるようなことはありませんでしたか?監督こういった性質の映画ということもあって、正式な撮影申請というのは出しづらかったため、ゲリラ撮影をしては移動する、ということの繰り返しでした。そんななかで、印象深かったシーンとしては、キャストが裏道で警察に追いかけられるシーンを撮っていたときのこと。撮影時の衣装がデモの参加者と同じ服装や装備だったので、本物の警察が驚いてしまい、機動隊が20~30人ほどやってきてしまったのです。一時は、どうなるかと思いましたが、運よく撮影チームのなかに映画を教えている学校の教師がいたので、その方が「いま映画撮影の指導をしているところなんですよ」と言ってくださったおかげで、その場を切り抜けました。あとで、そのシーンをもう一度撮り直しましたが、実際に起きた出来事を思い出しながら撮影したので、リアルな感情が撮れたのはよかったなと思っています。―本作は極秘裏に制作されたということですが、完成が危ぶまれるようなこともありましたか?監督それよりも、香港の状況がますます悪くなっていったことによって、香港での上映が難しくなってしまったということはありました。事前に編集したものを配給会社の方々に見せたときには、「香港の映画審査さえ通れば手伝うよ」と言ってくださる方もいたのですが……。状況が厳しくなったことで、香港での上映は断念せざるを得ませんでした。―そんなふうに、香港の映画人はかなりいろんな制限を強いられていると思いますが、改善の兆しは見えているのか、それともますます厳しくなっているのか、香港映画界の現状をお聞かせください。監督映画制作に関してはっきりとした禁止事項は言及されていませんが、逆にどこまでがオッケーなのかわからない状況なので、香港国家安全維持法が施行されて以降、自粛が起きているところはあります。ただ、そのいっぽうで香港映画のなかにこういった香港自身の物語を描く作品が増えているのは、希望の兆しではないかなと。「香港で上映できなければ海外ですればいい」とか「海外ならサポートしてくれる人が見つかるかもしれない」と考える人も多くなっているので、そういう意味で新たな作品を楽しめる可能性は高くなっていると感じています。一人一人が、もっと社会に起きていることに注目すべき―また、劇中で興味深いのは、若者と親世代の考えに大きなギャップがあることでした。こういった世代間の違いというのは、香港ではよく見られることですか?監督そうですね。その背景には、彼らが育った環境がまったく違っているという理由が挙げられます。年長者たちは、香港の経済がすごくよかった時期で、がんばればいい生活ができる時代に育ちました。それに比べていまの若者たちは、給料は安いのに地価は高く、ずっと仕事をし続ける以外できることがないので、自分たちで生活を変えられない負のループに陥っています。しかも、彼らは政治的な圧迫や自由の制限というのも直接肌で感じている世代。そういった違いによって、ギャップが生まれてしまっているのだと思います。―政治に対して積極的に参加する香港の若者が多いなか、日本では若者の政治に対する関心の低さが問題となっています。政治に参加することの大切さについて教えてください。監督日本の状況に詳しいわけではないので、あくまでも香港において言えることになってしまいますが、私たちの生活自体が政治の一環だと考えています。政治というのは、給料や物価、教育など、さまざまなところに影響を与えるものです。なので、一人一人が社会で起きていることに対して、もっと注目すべきだと思います。ニュースの裏側にある人々の感情を知ってほしい―確かに、その通りです。ちなみに、日本に対してはどのような印象をお持ちですか?監督日本には旅行で訪れたことがあり、そのときは大都市よりも地方都市のほうに行きましたが、日本のみなさんは礼儀正しい方が多かったです。そもそも香港人は日本の文化や映画、そして何よりも日本のご飯が好きで、ポジティブなイメージを持っています。観光として行くのはとても楽しい場所ですよね。―劇中でも日本のキャラクターが数多く映っていたので、それくらい香港でも日本の文化は浸透しているのだなとは感じました。監督今回は香港の若者という設定だったこともあって、彼らの年代が好きそうなものを揃えています。特に、若い子たちのなかには日本のアニメやドラマが好きな子が多いので、それに合わせて小物やぬいぐるみを準備しました。香港人というのは、それくらい日本の文化から大きな影響を受けているのです。―本作は、海外でもさまざまな反響があったと思いますが、日本の観客にもどういったところを感じてほしいのか、メッセージをお願いします。監督おそらく日本のみなさんはニュースなどを通じて香港で起きている出来事を知ることが多いので、客観的な状況しかご存じないかもしれません。特に、メディアだけではその裏にある人々の感情にまでフォーカスしきれないところがありますから。だからこそ、この映画を通して若者たちが抱いている、人としての感情を見ていただきたいです。僕たちは、そのためにこの映画を作ったので、ぜひそういった部分に注目もらえたらと思っています。最後まで諦めずに、駆け抜ける!社会情勢や文化が異なっていたとしても、お互いを思い合い、そして自らの人生をかけて闘い続ける香港の若者たちの姿に刺激を受けずにはいられないはず。政治や他人に対して無関心になりがちな環境に生きているからこそ、視野を広げるためにもいまこそ観るべき1本です。取材、文・志村昌美引き込まれる予告編はこちら!作品情報『少年たちの時代革命』12月10日(土)よりポレポレ東中野ほか、全国ロードショー配給:Cinema Drifters・大福️© Animal Farm Production
2022年12月09日いよいよ今年も残すところ1か月を切りましたが、これから迎える最大のイベントといえばクリスマスと新年。楽しみな反面、恋愛に対して心残りがある人もいるのでは?そこで、あと1歩踏み出す勇気が出ない人にオススメの恋愛映画をご紹介します。『ハッピーニューイヤー』【映画、ときどき私】 vol. 538クリスマスと新年を前に、ホリデームードに包まれている高級ホテル〈エムロス〉。そこにいたのは、男友達への告白を15年間もためらっているホテルのマネージャー、イケメンで優秀なのにちょっとクセのあるホテルのCEO、ミュージカル女優の夢に破れた新米のハウスキーパー、ビジネスウーマンとなった初恋の相手と40年ぶりに再会したドアマン。そして、公務員試験に落ち続けたうえに恋人にもフラれた就活生、下積みを経てついにスターとなった人気アーティストとマネージャー、超スピード婚へと突き進もうとするラジオプロデューサーとピアニスト、ホテルのラウンジで毎週お見合いをする整形外科医、告白チャレンジゲームに巻き込まれた高校生カップルたちも次々とホテルにやって来る。ドタバタが繰り広げられるなか、あと数時間で彼らはハッピーな新年を迎えることができるのか……。ハン・ジミンやイ・ドンウク、カン・ハヌル、少女時代のユナをはじめとする豪華なキャストが一挙に集結し、話題となっている本作。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。クァク・ジェヨン監督『猟奇的な彼女』や『ラブストーリー』など、数々の恋愛映画を生み出してきたジェヨン監督。今回は、初の群像劇に挑戦し、同時に展開されるさまざまな恋愛の様子を描いています。ストーリーやキャラクターの構成におけるこだわりや人気俳優たちの素顔、そして恋愛において大事にしてほしいことなどについて語っていただきました。―本作のきっかけは、弘兼憲史さんのコミック「黄昏流星群」を読んだことでもあるそうですが、どういったところに惹かれたのでしょうか。監督これまで私は若い人たちの恋愛を手掛けてきましたが、「黄昏流星群」では中高年の人たちの恋愛が描かれていたので、そんなふうに私自身の年代に合うような作品を作ってみたいと思うようになりました。特に、ある程度年齢を重ねたあとにもう一度経験する恋愛のなかでどんな風に愛情を感じるのか、といった点について研究してみたいと思ったのです。いろんな事情があって「黄昏流星群」の映画化は叶いませんでしたが、ドアマンのサンギュとビジネスウーマンのキャサリンは登場人物のなかでも少し上の年代なので、「黄昏流星群」のことを頭に浮かべながら2人を描きました。恋愛には、国境も年齢も関係ない―本作にはとても幅広い年代の男女が登場しますが、キャラクターを設定するうえでこだわったことがあれば、教えてください。監督今回は、高校生から60代までさまざまなカップルが出てきますが、私は恋愛に国境がないのと同じように、年齢も関係ないと思っています。そういったことから、一番年上のカップルが高校生よりも子どもみたいにはしゃいで遊んでいる姿を見せることにしました。いろんな経験をしてきた2人には少年少女のような恋愛をしてほしいと思いましたし、いくつになっても誰でも恋愛できるということを表現したかったのです。そのほかに、恋愛ではなく歌手とマネージャーという男同士の友情やカップルの周りにいる家族や友達、ホテルの人たちの物語も散りばめて構成しています。そんなふうに、キャラクターの年齢も状況もさまざまですが、今回意識したのは、ラブストーリーには付き物である性的な部分を排除すること。純粋に人を愛する姿を描きたかったので、気持ちだけでもハッピーな恋愛ができるのだという思いを込めてシナリオを書いています。実際、俳優たちにも「とにかくピュアな愛を表現してほしい」とお願いしました。―その舞台に、新年を選んだのはなぜですか?監督新年を迎える前に解決できていないことがあると、少し怖い気持ちもあると思ったので、その点も描きたくてそのような設定にしました。誰もが希望に満ちた新年を迎えたいと考えるはずですから、解決できないことを一緒に悩んでくれる人や自分のことを気遣ってくれる人たちを見つけられるのが何よりも幸せなことなのではないかなと。新年を前にすべてを解決し、そして恋愛も叶えてほしいという思いで作りました。イメージと実際が違う人もいておもしろかった―そんな監督の思いを体現しているのは、豪華俳優の面々ですが、現場でのみなさんの様子を教えていただけたらと。まずは印象に残っている方はどなたですか?監督私がこれまで一緒に仕事をしたことがあったのは、イ・ジヌクさんとチョン・ジニョンさんの2人だけで、あとはみなさん初めての方ばかりでした。そのなかでも意外だったのは、イ・グァンスさん。テレビで見ているとすごくおもしろくて活発なイメージですが、実際は非常におとなしい方で、余計なことは一切言わず、自分が演じるマネージャーの役について本当に真剣に考えてくれました。ただ、あまりにも何もしゃべらないので、思わず「無口なんですね」と言ったら「はい、そうなんですよ」と自分でも答えていたほど(笑)。でも、逆にそういうところがおもしろいと感じました。―ほかにも、イメージと違った方はいらっしゃったのでしょうか。監督あとは、キャサリン役のイ・ヘヨンさんですね。彼女は強そうな印象がありましたし、役としても強烈なキャラクターでしたが、撮影の初日に「すごく緊張している」と携帯にメッセージが送られてきたのです。ただ、そういうところは見せないようにしていたのか、いざ演技が始まったらガラリと変わりましたが、いままで私が知っていた彼女の性格とは違う部分もあるのだなと驚きました。相手役のチョン・ジニョンさんはほかの方より少し年齢が上で重厚感のある俳優ですが、みなさんを笑わせてくれるような方なので、とても親しみやすかったです。―では、現場をリードしていた方はいらっしゃいましたか?監督姉御肌タイプなので現場を引っ張っていってくれたのは、ハン・ジミンさん。劇中のキャラクターもホテルのマネージャーでしたが、実際も同じような感じで立ち振る舞ってくれました。―いろんなキャラクターが出てきますが、監督にとって思い入れのある登場人物といえば誰ですか?監督カン・ハヌルさんが演じたジェヨンは、自分と同じ名前なので、とても親しみを感じていました。しかも、ほかはみんなかっこよくてステキなキャラクターばかりなのに、彼だけが現実的で負け犬のような役どころ。それだけに、シナリオを書いているときから一番愛着を持っていました。ユナさんともお似合いのカップルでしたし、2人ともすごく上手に演じてくれたと思います。観客の記憶に残るような楽しいシーンを作りたかった―また、驚かされるようなこともありましたか?監督今回、ソ・ガンジュンさんには歌手の役を演じてもらいましたが、本当に多才な方なので、劇中で披露している曲は用意されていた歌詞をご自身で脚色して書いたものを歌っています。一生懸命練習してくれたおかげで歌唱力は歌手レベルでしたし、ダンスも非常にうまかったので、何をやらせてもうまくできる方なんだろうなと思いました。あとは、高校生カップル役のチョ・ジュニョンさんウォン・ジアンさんは映画の出演は初めてだったにもかかわらず、萎縮することなくしっかりと演じてくれたので、私が監督デビューした80年代頃の若手とは違うんだなと。昔は、アフレコする前提で演じていたので、多少未熟なところもありましたが、最近の方は初めてでもうまいですよね。―そして何と言っても、スペシャルゲストとして登場するクォン・サンウさんには、日本のファンもびっくりするのではないかなと。監督クォン・サンウさんが登場するシーンは、シナリオ上では「ホテルのレストランでセレブが食事をしている」くらいの描写しか当初はありませんでした。でも、みなさんがよく知っているクォン・サンウさんが出てきたらおもしろいんじゃないかなと。あとは、本作の製作会社が手掛けた別の作品に彼が出ていたことと、私が以前エグゼクティブプロデューサーを務めた中国の作品に出演されていたというご縁があったのでお願いをしました。ただ、そこは絵コンテも何もなかったシーン。「できるだけ観客の記憶に残るような楽しくておもしろいシーンを作ろう」と2人で相談をして作り上げました。その結果、有名人であるにもかかわらず気づかれず、自分を知らない人がいることにすねて帰るという設定にしたのです。でも、彼に尋ねてみたところ、「実際の僕は違いますよ!」とは言っていました(笑)。いまは世の中も恋愛の仕方も変わってきたと感じる―そのシーンは、ぜひ注目ですね。また、本作を制作する過程では、日本の映画『マスカレード・ホテル』や『THE 有頂天ホテル』などもご覧になったそうですが、監督にとって日本映画とはどのような存在ですか?監督この作品を撮る前に、ホテルを題材にしている日本の映画を参考に観ましたが、あとで真似していると言われてしまうことがないように自分の映画との違いを確認する意味も込めて観ました。私は黒澤明監督をはじめとする有名な過去の作品はよく観てきましたが、それらは私が映画監督をするうえで素養を磨いてくれたもの。私にとって日本映画というのは、自分を映画監督にしてくれた大きな柱のひとつだと考えています。―それでは最後に、恋愛映画を得意とする監督から恋愛に悩む日本の女性たちに向けて、いい恋愛をするためのアドバイスをお願いします。監督私の娘たちもなかなか恋愛がうまくいかないようで、彼女たちにすらいいアドバイスができずにいるところではありますが(笑)。でも、まずは積極的になることがやはり一番大事ではないでしょうか。実際、結婚をする前、私は妻に対してとても積極的でしたから。とはいえ、いまは昔と違って本当にいろんな出会いがありますし、自分の意志でいろんな選択ができる世の中になっていると思います。今回のシナリオができたときに娘たちとも話し合いましたが、いまの世代は恋愛の仕方も変わってきたと感じました。ですから、私の考えをアドバイスとしてお話しするのではなく、映画を通してさまざまな恋愛の姿を見ていただき、「自分だったらこういうタイプの人が合うかな?」とか「ここは避けたほうがいいかな?」とか、そんなことを考えながら楽しんでいただけたらうれしいです。今年最後の行動が来年の幸せにつながる!恋愛において大事なのは、年齢や立場ではなく、自分の気持ちに素直になること。シンプルだけどつい忘れがちなことだけに、そんな気持ちを思い出させてくれるハッピーな1本を観て、最高の新年を迎える準備を整えてみては?取材、文・志村昌美幸せの予感が詰まった予告編はこちら!作品情報『ハッピーニューイヤー』12月9日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー配給:ギャガ️© 2021 CJ ENM CORP., HIVE MEDIA CORP. ALL RIGHTS RESERVED
2022年12月07日ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのファッションスナップレポートです。この時期にちょうどいい、素敵なジャケットスタイルをヨーロッパから拝見!ジャケット in ジャケットが新しい!斬新な着こなしが新しい、ジャケット in ジャケット!ジャケットも左右異なる色で独特。完全に自己流着こなしが参考になるスタイルです。ボンバージャケットは男女共に人気私も愛用しているブラックのボンバージャケットは、クールに見せてくれるアイテムですが、この方のジャケットは超オーバーサイズのボンバージャケットで、可愛い&かっこいいスタイルに。サイズ次第でもだいぶ雰囲気が変わるんですね!モコモコジャケットは冬ならでは厚手のモコモコジャケットは、お洒落なだけではなく暖かいので、寒いヨーロッパではかなり重宝します。さらにシンプルだけどスタイリッシュに見えるのも特徴的。日本ではムートンコートも人気ですが、ヨーロッパでは最近は本物ムートンは需要が少なくなっているように見えます。ジャケットは長さで雰囲気が変わる!どちらの写真もクールながらスタイリッシュに決まっています。これらのジャケットは、雨の多いヨーロッパでは良く見かける、雨に少し濡れても大丈夫な素材。ビーガンレザーや本革ではないけれど、上品さが出ています。柄ものはシンプルなボトムスと合わせて個人的には柄ズボンにはまっていますが、スタイルのどこかに柄物をコーディネイトすると、簡単に華やかさを演出できるんです。こちらの写真のジャケットは和風の花柄がオシャレ。ボトムスをシンプルにすることで、柄が強調されます。定番チェック柄のジャケットも注目!チェックはいつの時代も人気の柄。こちらはジャケット&ベルトでスマートな感じに仕上がっています。ベルトなしでも十分スタイリッシュですが、ベルトを使うとさらにシャープな感じに見える!今回はこれからも参考になりそうなジャケットの着こなしについてご紹介しました。海外ならではの着こなしから、普段でも真似できそうな着こなしまで、参考になれば幸いです。写真・平野秀美
2022年12月04日大阪万博のシンボル《太陽の塔》や渋谷駅のパブリックアート《明日の神話》、さらに「芸術は爆発だ」など多くのアートや名言で知られる岡本太郎。彼の大回顧展が、上野の東京都美術館で開かれています。カラフルでパワフルな会場の様子や東京展での見どころなど、学芸員さんの話もまじえてレポートします!「本職は人間!」岡本太郎のすべてを紹介【女子的アートナビ】vol. 272『展覧会 岡本太郎』では、今なお人気を誇り、特に若い世代にも愛されている芸術家、岡本太郎(1911-1996)の絵画や立体作品、生活用品なども含め、初期から絶筆までの多彩な作品が一堂に集結。亡くなるまでアートを描き続けた彼の人生のすべてを紹介する、過去最大規模の展覧会です。この展覧会のポスターやチラシには、「本職?人間だ。」という文字が大きくプリントされています。これは、アート制作だけでなく、本の執筆やプロダクト製造、テレビ出演などさまざまな活動をしていた岡本が、「本職は何か」と問われたとき、「人間――全存在として猛烈に生きる人間」と答えた言葉からとられたもの。本展では、猛烈に生き抜いた彼の人生を、作品を通してガッツリ体感できます。作品とぶつかり合う…!『展覧会 岡本太郎』展示風景では、展示の様子をご紹介。会場の入り口を抜けるとすぐに、強烈な作品群に囲まれます。最初のフロアでは、初期から晩年までの代表作が集められています。本展を担当された東京都美術館学芸員の藪前知子さんによると、岡本太郎は「常に現在と自分の作品をどうぶつけるか、どう対峙するかと考えていた」とのこと。最初の展示室では、時代やテーマにしばられずに作品が並べられ、作品同士がぶつかり合う構成で順路もありません。まず、ここで岡本太郎の作品との強烈な出合いを味わえます。パリ時代の謎が明らかに…『展覧会 岡本太郎』展示風景続く第1章からは、時系列に作品が紹介されています。1929年、家族でヨーロッパに渡った岡本は、その後ひとりでパリに残り芸術家を目指します。大学で学問を学びながら、絵画を制作。しかしドイツ軍がパリに侵攻し、やむなく帰国します。その後、徴兵されて出征し、終戦後は長安で俘虜生活を送った後、1946年から活動を再開。20代のときにパリで描いた作品は戦時中に焼失していたため、岡本は戦後すぐに自身で再制作しました。今回の展覧会では、パリ時代の貴重な再制作作品4点すべてを展示。今まで、明らかにされていなかったパリでの創作活動を知ることができ、本展の見どころとなっています。ドキドキ…!坐ることを拒否する椅子『展覧会 岡本太郎』展示風景第4章「大衆の中の芸術」では、油彩画だけでなく、椅子や時計、ネクタイなどのプロダクトも登場。カラフルでかわいいグッズが展示され、ワクワクする展示室です。1950年代になると、岡本は前衛的な新しい絵画を創作するのと並んで、外側への発信も開始。パブリックアートなども手がけるようになります。『展覧会 岡本太郎』展示風景より《坐ることを拒否する椅子》なかでも、目を引くのが《坐ることを拒否する椅子》。めちゃくちゃかわいいです!れっきとした作品ですが、座ってもいいそうです。大きな目玉の上に座るなんて、ドキドキします。この章の作品について、藪前さんは次のように解説しています。藪前さん岡本太郎は、生涯作品を売りませんでした。なぜなら、売ったら一部の金持ちだけのものになってしまうから。「芸術は大衆のもの」という考えを持ち、1954年に立ち上げた現代芸術研究所で大衆に作品を広めていく方法を研究するいっぽうで、彼らが手に入れることができるようなプロダクトを作りました。ゆかたやネクタイ、スカーフなど、どれも岡本太郎の作品なのです。《坐ることを拒否する椅子》も、椅子はゆったりくつろぐものではなく、椅子そのものが人間に挑んでくるような雰囲気。椅子は、「戦いの連続である人生のちょっとした休息のためだけのもの」という彼らしいメッセージが込められています。超有名な作品も登場!『展覧会 岡本太郎』展示風景第5章では、岡本太郎の代表作、《太陽の塔》と《明日の神話》にフォーカス。日本万国博覧会(大阪万博)のシンボル《太陽の塔》は、1/50サイズの立体作品と内部模型、さらに構想スケッチが展示されています。いっぽう、《明日の神話》は、渋谷駅コンコースにあるパブリックアートの1/3サイズの下絵。岡本は、この2つの作品を同時並行的に制作していました。渋谷駅で、《明日の神話》を目にしている方も多いと思いますが、作品に何が描かれているか、テーマまで知っている方は少ないかもしれません。藪前さんは次のように解説しています。藪前さん《明日の神話》は、原爆と水爆をめぐる人類の関わりを描いています。人間の進歩に対して警鐘するかのように、ビキニ環礁での水爆実験で被ばくした第五福竜丸や、中心には原爆の火に焼かれている人間もいます。ただ、警鐘だけではなく、異なる力がぶつかり合うなかで悲劇を越えて人類が新しく生まれ変わるのだ、というメッセージも込められています。東京展は12月28日まで!岡本太郎のエネルギーをたっぷり浴びられる展覧会は、12月28日まで開催。その後、愛知に巡回します。ぜひ会場で、彼の力強い作品と対峙してみてください。Information会期:~12月28日(水)※日時指定予約制休室日:月曜日会場:東京都美術館開室時間:9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)夜間開室金曜日は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)※最新情報などの詳細は展覧会公式HPをご覧ください観覧料:一般¥1,900、大学・専門学校生¥1,300、65歳以上 ¥1,400作品はすべて岡本太郎記念現代芸術振興財団
2022年12月04日ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのファッションスナップレポートです。今回は大人っぽく着こなしているオールインワンスナップをご紹介します。カジュアル感がさらにオシャレなデニムオールインワンの中でも人気が高いデニム!1年中着られる素材であり、どんなジャケットやシューズにも合わせやすいので、初めてオールインワンに挑戦したい方にもお勧め。ビーガンレザーはオールインワンでも人気!海外では現在はレザーよりもビーガンレザーが人気ですが、オールインワンでも徐々に見られるようになってきました。素材的に伸びにくいので着やすさに疑問が残りますが、その代わりゴージャス度はダントツ!柄次第で雰囲気が楽しめる比較的人気なオールインワンは一色でシンプルなものが多いのですが、実は柄次第で雰囲気が簡単に変わるので、複数の柄物を持っておくとファッションを楽しめそう。オートレース風なデザインも個性的!写真のスタイルは、色もデザインも個性的でかなり難易度が高そうです。でもオートレース風なデザインがクールで、人と被らず自分だけのスタイルに仕上げられそう。男性にも人気のオールインワン!こちらの男性は、シャツとの重ね着もかなりオシャレに着こなしています。1年中使えるからこそ、シャツやジャケットなどと合わせてその季節のファッションを楽しみたいですよね。いかがでしたか?常に新しいデザインを見せてくれるファッションウィークや海外のストリートスナップでも、オールインワンは本当によく見かけました。2023年もどんな着こなしが登場するか、楽しみですね!写真・平野秀美
2022年12月03日俳優でクリエイターとしても活動している元乃木坂46の伊藤万理華さんが、3度目の個展を開催。2022年12月2日から、渋谷のGALLERY X BY PARCOで、『MARIKA ITO LIKE A EXHIBITION LIKEA』がはじまります。今回、プレス向けに行われた取材会に伊藤さんが登場!個展への思いや今までの活動について、語ってくれました。かわいい!伊藤万理華さん登場!【女子的アートナビ】vol. 271取材会に登場した伊藤さん。グレーのジャケットとミニを組み合わせたスタイルがとってもクールです!乃木坂46を5年前に卒業した伊藤さんは、2017年に初個展『伊藤万理華の脳内博覧会』を開催。2020年には『伊藤万理華 EXHIBITION “HOMESICK”』、そして今回3度目の個展、『MARIKA ITO LIKE A EXHIBITION LIKEA』で展覧会三部作の最終章を飾ります。今回の個展は、伊藤さんと10組のクリエイターが創作した書籍『LIKEA』をベースに展開。ananにもコラムを連載されている劇作家・根本宗子さんの脚本をもとにしたラジオドラマのインスタレーションや、アーティストNAZEさんと生花アーティストのアレキサンダージュリアンさんとのコラボなどで同書籍の世界観を立体的に表現。空間設計は、CEKAIの福田哲丸さんが担当されています。また、会場では書籍『LIKEA』も先行販売もされるほか、オリジナルグッズやアパレルブランド「BODYSONG.」とのコラボアイテムなど、展覧会の開催を記念したグッズも多数販売される予定です。不親切な本にしたかった(笑)では、ここから個展準備中の伊藤さんが取材会で語ってくれたコメントをご紹介します。――まずは、書籍『LIKEA』をつくろうと思われたきっかけについて、教えてください。伊藤さん本を本格的につくろうと思い始めたのは、一年前くらいです。きっかけは、その時期に、同世代の活躍するクリエイターさんや、会いたいと思っている方に会う機会が多く、周りの人たちと衝動的に何か雑誌みたいなものをつくりたいなという思いが大きくなりました。制作していく過程で、自分の集大成になりそうなくらい大きな本になりました。――書籍『LIKEA』の見どころは?伊藤さん表紙だけ見ると「何の本やねん」という感じなのですが(笑)、写真集やフォトブックではないものにしたいと思って、カテゴライズするときに、どこに置けばいいのかわからないという「不親切な本」にしたかったのです(笑)。それで、こんなにサイズが大きくなりました。過去の展示でやってきたものづくりのやり方が書籍になるといいな、と思ったので、個展が本になったような感じかもしれません。――書籍タイトルの『LIKEA』とは、どんな意味ですか?伊藤さん LIKEAは、英語like aからつくった造語です。基本的に、何かをモノをつくるときは、自分の好きなものとか、憧れている人と一緒にするのがメインなのですが、ただそれは「好き」という距離感ではなく、もっとあいまいな「like a」という「~のような」という感じなのです。「~が好き」とはっきりしづらい言葉の表現が良かったのと、造語がいいなと思ったので『LIKEA』となりました。自分が救われたのは…――展覧会についての思いを聞かせてください。伊藤さん最初は本だけをつくろうと思っていたのですが、その過程で、パルコさんでやるなら、ちゃんと個展をしたいと思いました。自分がいつもモノづくりをする過程で、どんなふうに構想して表現しているのかを見せたいなと。根本宗子さんに書いていただいたストーリーをラジオドラマにしたりして、体験型の展覧会にしたいと思いました。――創作のインスピレーションは、どうやって得られたのですか?伊藤さんある一つのきっかけでした。本にも載せましたが、たまたま友だちが小さいギャラリーでポップアップをやっていたのを見に行ったとき、そこで人と出会い、ある本に出合い、とてつもない感銘を受けました。ファッションやモノづくりの興味の幅が広がり、私はこういう空間が好きなんだなーと気づき、自分もつくる側になりたいと思いました。何か完璧なモノを発表するのもすごくステキだと思いますが、その生まれる過程みたいなことが過去に活動してきて一番救われた部分なので、モノをつくる過程が好きです。以前は忙しすぎて、そういう部分を大切にできなくて、おろそかにしていました。なぜこういうモノが生まれたのか、という過程を知りたかったので、それを本で表現できたらいいなと思いました。――展覧会は最終章とされていますが、その理由を教えてください。伊藤さん最終章と言ってはいるのですけど…(笑)。たぶんデビュー10年で区切りがいいから。それに、自分がここまで過去を振り返る機会は、今後あったとしても、ここまでモノにすることはないと思います。本をつくるのは大変だったから、もうつくりたくない(笑)、それぐらいやりきったので、最終章と言っています。ライブで恩返し…――2022年はデビューされて10年で、乃木坂のライブにもサプライズ出演されて話題になりました。10年を振り返り、いかがでしたか。伊藤さん今年は振り返る機会が多くありました。なかでも大きかったのが、乃木坂10周年のライブに出させていただいたこと。それ以外でも、映画やドラマですごく自分の肌に合う作品に出合い、表現方法が今までと全然変わりました。個展だけでなく、ドラマや映画、演劇でも自分を消化できるようになったのが、この10年で一番大きなことだったと思います。――5月のライブは盛り上がっていましたね。伊藤さん自分があの場に立てるとは想像していなかったので、活動していた人間として、あの場で一曲でも自分を見せることができてうれしかったです。ずっと見てくださった方や、今でもお世話になっているスタッフさんへの恩返し、親孝行みたいな気持ちでした。――最後に、ファンのみなさまにメッセージをお願いします。伊藤さん今まで、自分がやりたいことをやってきて、ファンのみなさんは私のその意思をくみ取って、静かに見守ってくださいました。そんなふうに応援してくださる方が私の周りにいると思えるから、私もあきらめずに何か伝えたいことを発信していこうと思えました。今回、一冊、形になっています。みなさんにとっての大切な一冊になるとうれしいです。個展は12月2日からスタート!――まっすぐな眼差しでクリエイターとしての思いを話してくれた伊藤さん。つくる過程が好き、という彼女のこだわりと魅力が詰まった書籍は、本というよりもまさにアートワークそのもの。『LIKEA』というタイトルもクールで、ファンの方はもちろん、ファッション好き、アート好きな方も刺激を受ける内容だと思います。展覧会とあわせて、ぜひ書籍もチェックしてみてください!Information『 MARIKA ITO LIKE A EXHIBITION LIKEA 』概要会期:2022年12月2日(金)~12月19日(月)会場:渋谷PARCO B1F 「GALLERY X BY PARCO」営業時間:11:00~21:00 ※入場は閉場時間の30分前まで入場:¥700 ※小学生以下無料12月2日(金)から展覧会会場で書籍を先行発売撮影 : 岩澤高雄
2022年12月01日2022年のノーベル文学賞に輝き、現代のフランス文学界でもっとも注目を集めている作家アニー・エルノー。これまでに数々の衝撃作を世に送り続けていますが、今回ご紹介するのは、自身が経験した違法な中絶体験をもとに描いた小説『事件』を映画化し、大きな反響を呼んでいる話題作です。『あのこと』【映画、ときどき私】 vol. 537貧しい労働者階級に生まれたものの、飛びぬけた知性と努力で大学に進学し、未来を約束する学位にも手が届こうとしていたアンヌ。前途有望な彼女の毎日は、輝いていた。ところがある日、大切な試験を前に予期せぬ妊娠が発覚してしまう。学位と自分の未来のために、いまは産むことができないアンヌだったが、1960年代のフランスで中絶は違法とされていた。そこで、アンヌは自らの力であらゆる解決策に挑むことになるのだが……。第78回ヴェネチア国際映画祭では、審査員全員が満場一致という他を寄せ付けない結果で最高賞となる金獅子賞を獲得した本作。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。オードレイ・ディヴァン監督2008年から脚本家として活動し始め、さまざまな作品の脚本を手掛けてきたディヴァン監督。2019年に監督デビューを果たしたのち、監督2作目となる本作で各国の賞レースを席巻し、一躍脚光を浴びています。今回は、中絶というテーマに挑んだ理由や原作者とのやりとりで感じたこと、そして作品に込めた思いなどについて語っていただきました。―原作は1960年代のフランスを舞台にした実話ですが、いまの時代にこの作品を映画化したいと思ったのはなぜですか?監督実は、最初から映画化したいと思っていたわけではなく、ただこのテーマに興味があって本を読み始めたのがきっかけでした。なぜなら、ちょうどそのときには私も中絶をしたばかりだったので、違法な中絶と合法な中絶にどのような違いがあるのかを対比したいと思ったからです。そして、実際に両者の間には大きな差があることを知りました。あとは、主人公のアンヌが性的な欲望だけでなく、「勉強をしてもっと上に行くんだ」という欲求を持っている知的な女性であることも惹かれた点です。―なかでも、違いを感じた部分についてお聞かせください。監督特に、違法な中絶の場合は、きちんとした医療体制下で行われるものではないので命を落とすかもしれませんし、もしかしたら告発されるかもしれないというリスクがあります。ただ、そういった部分にサスペンス性があると感じたこともあり、映画化に向けて脚本を書き始めました。自分のなかに突き刺さったのは、怒りの感情―ということは、ご自身の経験が反映された部分もあったのではないかなと。監督そうですね。といっても、私の体験と違法な中絶とでは、まったく違うものだと感じました。それでも本を読んでいて私に突き刺さったのは怒り。それは、「どうして私たち女性は自分のカラダの運命さえも自らの手で変えることができないのだろうか」という怒りです。私は政治学も勉強しているので、いまでも世界のあらゆるところで違法な中絶が行われていることを知っています。それだけに、このことは決して過去の話ではないという思いもありました。―制作過程では、原作者のアニー・エルノーさんと1日一緒に過ごしたそうですが、そのなかで印象に残っている彼女とのエピソードについても教えてください。監督彼女との関係性というのは、私にとっては非常に重要なことでした。というのも、今回は単に彼女の作品を映画化するわけではなく、彼女自身の人生をもとにしているので、とても繊細なことでもあったからです。そこで、私が彼女にお願いしたのは、本には書き切れなかった部分を教えてほしいということ。それはまるで、扉の裏側を見せてもらうような感じでもあったので、デリケートであると同時にワクワクする瞬間でもありました。―実際、ご本人からお話を聞いて感銘を受けることもあったのではないでしょうか。監督確かに彼女に話してもらったことのなかには、興味深い話がたくさんありました。なかでも印象的だったのは、彼女が感じた恐怖。非常に厳しい法律を犯してまで中絶をしたわけですから、それに対する恐怖心というのはものすごくあったと教えてくれました。そして、忘れられないのは、中絶を行ったときの話をしていた彼女の目に浮かんでいた涙。その姿を目の当たりにしたとき、若い頃に味わった苦痛が80歳を越えたいまなお彼女のなかにあり、傷が癒えていないことを痛感せずにはいられませんでした。中絶の権利は、合法化されたいまでも脆弱に感じる―劇中では、アンヌを演じたアナマリア・ヴァルトロメイさんがアニーさんの心情を見事に体現されていたと思いますが、演出面で意識されていたことはありますか?監督私たちの仕事は共同作業なので、私がオーケストラの指揮者のようにそれぞれのパートをどうしたらまとめられるかを考えました。今回のアナマリアは、知的で最高のパートナーだったので、この作品における哲学を理解し、同じ方向を見ることができたと思います。私自身はリハーサルを何度も繰り返すタイプではなく、どちらかというとリスクを取るほうですが、現場では限界に到達してはアナマリアが的確なものを差し出してくれる、ということの繰り返しでした。―フランスでは1975年に人工妊娠中絶が合法化されましたが、それによってフランス人女性に何か影響を与えたとお考えですか?監督法律ができたかどうかにかかわらず、「中絶をする」ということに対して女性が抱く感情的な部分は昔もいまも変わっていないように感じています。医療体制が整っていたとしても、危険が伴うことはありますし、自分の人生をかけて行うものでもあると思うので。もちろん、女性の自立に貢献した部分はあるかもしれませんが、私からするとこの権利はとても脆弱なものに見えています。―なぜそう感じたのでしょうか。監督たとえば、今回私が「中絶をテーマにした作品を撮りたい」と話したとき、資金を出す人たちからは「すでに合法化されているものなのに、どうしていまこのテーマを扱うんだ」と言われました。そういった反応が思った以上にあり、いまでも難しさを感じることが多かったからです。ただ、私はそのときにプロデューサーに対して「じゃあ、第二次世界大戦は終わっているのに、なぜ第二次世界大戦をテーマにした作品を撮るんですか?あなたはそれに対してもダメと言いますか?」と反論しました。この作品には、性別を超えて真実を伝える力がある―そんな反発の声をよそに、本作は各国の賞レースでも高く評価されましたが、中絶の問題は国や文化によっても捉え方が異なるので、性別や観客によって作品に対する見方に違いもあったのでは?監督私としては、どの国でも性別や文化の違いを超えて、みなが身も心も委ねて大きな船に乗り込んで一緒に旅をするような体験をしてくれたという印象を持ちました。とはいえ、男性のなかには映画の最中に気絶をしてしまったほど衝撃を受けた方もいらっしゃったようですが……。それ以外は、男女ともに同じような反応が多かったので、そのときにこういった出来事があったことを知らない人たちに事実を伝える力がこの作品にはあることに気づかされました。といっても、私の目的はそこで答えを出すことではなく、あくまでも観客に対して問題提起をすること。若い女性が身体的かつ精神的な苦痛を伴いながら孤独のなかでこういった経験をしていたことを知っていただき、自分のなかでそれぞれ考えてほしいと思っています。―日本はフランスよりも早い1948年に中絶が合法化されてはいますが、現在も中絶においては原則として配偶者の同意を必要とする数少ない国(世界203ヵ国のうち日本を含む11の国・地域のみ)です。女性の自己決定権がない中絶に関してはどのように思われますか?監督そんなふうに男性の同意を必要とする背景には、いまだに女性よりも男性のほうが大事であるという考え方が残っているのではないかなと。もちろんすべてにおいてとは言いませんが、そういった部分はいまでも多い気がしています。自由に判断を下せているのか、つねに自問してほしい―では、日本についてもおうかがいしますが、日本に対してはどういった印象をお持ちですか?監督もうすぐ初めて来日しますが、日本に行くことは私にとっては夢のひとつでもありました。なぜなら、私は日本の文化やアーティストのことをとても敬愛しているからです。なかでも私が若いときから影響を受けているのは、是枝裕和監督。私にとって重要な映画監督といえば、ケン・ローチ、ダルデンヌ兄弟、そして是枝監督なのです。―日本の女性たちにとってもアンヌと同様に妊娠や中絶は人生における大きな問題でもあるので、本作を通してananweb読者に向けて伝えたいメッセージがあればお願いします。監督私は答えを差し出したり、アドバイスを押し付けたりするようなことをするのは好きではないので、みなさんに疑問を投げかけるとすれば、「あなたにとってそれは本当に大事なことですか?そして、それはする意味があることですか?」ということでしょうか。そんなふうに、自問すること忘れないでほしいと伝えたいです。そして、判断を下すときに自分が自由に判断できているかも、自分自身に問いかけてもらいたいと思います。私の話をすると、日本とフランスで文化の違いはあるかもしれませんが、仕事をする際にも日常生活においても、あまり性別による差を考えることはありません。それよりも、一人の人間として生きることをつねに心がけるようにしています。赤裸々な真実を目の当たりにする!一人の女性を襲う戸惑い、怒り、孤独、そして恐怖といったあらゆる感情をリアルに体感し、衝撃に打ちのめされる本作。まるで自分が体験しているかのような錯覚を起こしてしまうほどの痛みを味わい、圧倒的な没入感へと引き込まれてしまうはず。目を逸らすことのできない現実を突き付け、観る者に忘れられない映画体験を与えてくれる必見の1本です。取材、文・志村昌美胸を突き刺す予告編はこちら!作品情報『あのこと』12月2日(金)Bunkamura ル・シネマ他 全国順次ロードショー配給:ギャガ️© 2021 RECTANGLE PRODUCTIONS - FRANCE 3 CINÉMA - WILD BUNCH - SRAB FILMS️©Richard Giannoro
2022年12月01日1児のママでもあるライター・かわむらあみりがお届けするコラム【ママライフばんざい!】連載第46回は、子どものいる既婚女性たちが、「夫を頼りにできない」と実感したエピソードをご紹介します。1.義両親の嫌味にヘラヘラしている【ママライフばんざい!】vol. 46恋人時代はカッコよく見えていた彼でも、結婚して夫になり、義実家や親戚などとの付き合いも出てくると「あれ? 実はそんなに頼りがいがないかも」と思う場面もあるのかもしれません。ママ友の中でもよく聞く話のひとつに、「義両親の嫌味にヘラヘラしている」夫を見ると、頼りないと実感するということがあります。妻にとっての義両親といえば、夫の両親なわけですが、必ずしも相性がいい場合ばかりではありませんよね。とはいえ、お盆やお正月、法事などで1年のうちに必ず顔を合わさなくてはいけないタイミングも。たとえイヤイヤだったとしても、とりあえずは夫の実家に顔を出すという人も多いのです。そんなときに、「たまにしか子どもの顔を見せに来ないなんて、どうしてそんなに忙しいの?」と嫌味たっぷりに言われたママがいたり、前に話した会話を忘れられて「そんな話は聞いた覚えがないし、秘密主義なんだねえ…?」と吐き捨てるように言われたママがいたり。とにもかくにも、義両親の癇に障る言動と認識されたら、子どもの前でもおかまいなしに嫌味口撃。でも、そこで妻を守るために夫が動いてくれたらいいのですが、嫌味を言う両親をただヘラヘラと笑って見ているだけ。だからこそ、そんな夫をもつ妻たちはウンザリしてしまうのです。確かに、自分の親に何も言えない、妻を守らないような夫は、役に立ちませんから。2.子どものことには無頓着続いては「子どものことには無頓着」な夫も、妻からすると期待できません。たとえば、子どもの初節句のようなイベントや、学校の参観日など、親子で育んでいきたい行事のことなんて頭にないというタイプもいます。仕事が多忙を極めてしまって、家庭のことがおろそかになってしまうのは、夫の職場の状況もあるのでなんともいえないこともあるでしょう。それでも基本的には、子どものことにまで気をまわせるかどうかは、夫の性格によるところも大きいのかも。とはいえ、子どもの行事を忘れるぐらいならまだカワイイもので、自分のことにしか関心がないタイプの夫だと、子どもの誕生日さえ忘れてしまうというウッカリ者もいるようです。さらには、毎日の子どもの育児にももちろん興味がなく、協力して育児をするなんてことも頭にないタイプの夫もいて、こういった夫は頼りにならないと妻が思っても仕方がありません。3.頼んだことを忘れる妻が頼んだことを忘れてしまう夫も、「役に立たないなあ」と思われてしまうことは少なくありません。何も大きなことを頼むわけではなく、たとえば「帰りにを買ってきてね」と頼んだ日用品を買ってこない夫。朝、家を出るとき、ついでにゴミ出しを頼んでも忘れてしまう夫。妻も忙しいときの食後、自分のぶんだけでも食器を洗ってと頼んでも、ひとつも洗い物をしない夫…。日常生活の中でのちょっとしたことばかりなのですが、頼みごとを忘れられる行動を積み重ねられると、そんな小さな頼み事さえもこなせない夫を目の当たりにして、妻たちは「頼りがいがないな」とつくづく思うのだそうです。つまりは、責任感のない様子にため息が出てしまうんですよね。とはいえ、夫には夫の事情があるのかもしれませんから、何度頼んでも忘れるようなら最初から期待しないでおくとイライラしなくて済むことも。しかし物理的な作業が軽減されるわけではないので、大変なときは両親にも頼ってみるなど、べつの方法も探っておくと安心です。生活しているといろいろなことがありますが、ママたちが安らげる家庭であるよう、応援しています。文・かわむらあみり©Zinkevych/Getty Images©PeopleImages/Getty Images©Kriangsak Koopattanakij/Getty Images文・かわむらあみり
2022年11月30日ネコといえば、いまや好きな動物ランキングでトップを争うほどの人気を誇っていますが、19世紀末頃にはネズミ退治役として軽く見られ、不吉な存在として恐れられていたこともあります。そこで、今回ご紹介するのは、ネコの歴史を大きく変えるきっかけを作ったイラストレーターの実話を基に描いた愛の物語です。『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』【映画、ときどき私】 vol. 536イギリスの上流階級に生まれたルイス・ウェインは、父を亡くした一家を支えるためにイラストレーターとして活動していた。そんななか、妹の家庭教師としてやってきたエミリーと恋におち、大反対する周囲の声を押し切って結婚する。ところが、しばらくしてエミリーは末期ガンを宣告されてしまう。ある日、庭に迷い込んだ子ネコにピーターと名付けたルイスは、エミリーのためにネコの絵を描き始める。深い絆で結ばれた“3人”は、残された日々を慈しむように大切に過ごしてゆく。エミリーがこの世を去ると、ルイスはピーターを心の友としてネコの絵を猛然と描き続け、大成功を収める。次第に精神的に不安定となっていくルイスだったが、「どんなに悲しくても描き続けて」というエミリーの言葉の本当の意味を知ることに……。イギリスの人気俳優ベネディクト・カンバーバッチの主演最新作としても、注目を集めている本作。今回は、こちらの方にお話をうかがってきました。ウィル・シャープ監督イギリス人の父と日本人の母のもとに生まれ、8歳まで日本で育った経験を持つシャープ監督。現在は、テレビシリーズや映画の監督・脚本で才能を発揮するだけでなく、Netflixオリジナルシリーズ『Giri / Haji』では俳優としても高く評価されています。そこで、ベネディクト・カンバーバッチとのエピソードやネコの魅力、そして日本から影響を受けていることなどについて語っていただきました。―まずは、本作の監督をされた経緯からお聞かせください。監督もともとはベネディクトの製作会社からお話をいただいて監督をすることになりましたが、決め手になったのは、ルイス・ウェインという男の一生が勇気に溢れていて、インスピレーションを与えてくれるものだと感じたから。そして、そんな彼の物語を綴りたいという気持ちになったからです。あとは、ベネディクトをはじめとする才能のある方々と仕事ができるというのも大きかったと思います。―実際、ベネディクトさんと一緒に仕事をしてみて、いかがでしたか?監督本作では、ルイスの若い頃から高齢になるまでの長い年月を描いているので、まずはそれをこなせる役者でなければいけないというのがありました。そういう意味でも優れた技術を持つベネディクトはまさに適役だったと思います。彼はドラマとユーモアのバランスをうまく取ることができるだけでなく、抱えているトラウマの部分をしっかりと表現できるので、一緒に仕事ができて楽しかったです。ベネディクトは、兄であり、親としての先輩でもある―演出面において、監督が意識されたことはありましたか?監督動き方などに関しては、撮影の最初の頃にベネディクトと2人でよく話し合いをしました。なぜなら、ルイスはちょっと変わったところのあるユニークなキャラクターで、社会におけるアウトサイダーでもあるので、それを動きで表現したいと思ったからです。しかも、彼には無邪気で純真なところもあるので、そういった部分をどのようにして出せるのかが重要でした。ベネディクトは一人でもしっかりと表現できていましたが、妻役のクレア・フォイと一緒に演じることで、お互いにそういう部分をさらに引き出し合っていたので、それもすごくよかったです。―日本にはベネディクトさんのファンも多いので、ぜひ監督が知っている素顔を教えてください。監督一緒にいて思ったのは、すごくユーモアがある人だということ。でも、これは別に隠されている部分ではなく、ファンのみなさんならすでにご存じですよね(笑)。本作では、主演だけでなくプロデューサーも兼ねていたので、そういう立場から僕を導いてくれることもありました。そして、ちょうど僕の第一子が生まれる頃だったので、子育てに関するアドバイスもたくさんしてくれたので、僕にとっては兄のような存在であり、親としての先輩でもあります。彼は自分の思いを100%込めることができる人なので、俳優としても感服するようなことばかりでした。ネコの魅力は、ありのままの自分でいるところ―また、もう一人の主役といえば、劇中に数多く登場するネコたち。今回はCGを一切使わずにリアルなネコの姿を映し出していますが、撮影は大変だったのではないでしょうか。監督まずこの作品でCGを使わずに表現したいと思った理由は、CGを使ってネコを描いてしまうと、ファンタジーっぽい雰囲気が出てしまうと考えたからです。それよりも、僕はこの物語をヒューマンドラマとして描きたかったので、そういう判断に至りました。ただ、みなさんもご存じのようにネコというのは自分の考えがある生き物ですから、ネコを撮影するときに意識していたのは、その場にいる全員が“キャットモード”になること。まずはネコをリスペクトし、急に動いたり大きな声を出したりしないように心がけました。とても静かな現場だったので、不思議な空気感に包まれてまるで禅のような雰囲気でしたね(笑)。言うことを聞いてくれなくて大変だったこともありましたが、ネコらしい瞬間が撮れた映像に関してはエンドロールでも使っているので、ぜひそのあたりも見ていただきたいです。―ネコ好きは必見ですね。いっぽうで19世紀末頃はネコが不吉な存在として恐れられていたのは驚きでしたが、監督はネコのどのようなところが好きですか?監督ルイスはネコがいつか人間と同じように言葉を話すと本気で信じていてましたが、僕もネコを2匹飼っているので、そこまでではないものの、彼がどう思っていたのかを理解することはできます。実際、僕はネコに向かってけっこう長い会話をすることがよくあり、答えてくれている感じがするので(笑)。あと、僕が好きなのは、彼らが誰に謝ることなく、ありのままの自分でいるところです。日本のお笑いから影響を受けている―ネコに対する世の中のイメージを一気に変えることができたのも、そういったネコの魅力をルイスが見事に捉えて描いたからですよね。監督ルイスがネコに魅了された理由のひとつとして考えられるのは、自分自身の置かれている立場と重なるものがあったからのようにも感じました。当時、世間ではネコが誤解され、ネコのありがたみについて誰も認識していませんでしたが、その様子が自分のように思えたから、ルイスはネコたちの気持ちが理解できたのかもしれません。―なるほど。では、監督ご自身についてもお伺いしますが、8歳まで日本にいらっしゃったとか。いまでも日本から影響を受けていると感じることはありますか?監督大人になってから好きになったのは是枝裕和監督の作品ですが、子どもの頃は日本のお笑いをよく見ていました。なかでも好きだったのは、とんねるずやダウンタウン、志村けんのバカ殿様、ウッチャンナンチャン。イギリスに移ったときには、彼らと同じようなコメディアンがイギリスにもいないか探したほどです(笑)。なので、日本のお笑いから影響を受けている部分はあると思います。また、僕はハーフなので、日本にいると外国人のようで、イギリスにいると日本人のような感覚を味わってきました。ただ、そういう経験をしているからこそ、物語を描くうえでアウトサイダーの視点を持てるのだと思いますし、社会においてアウトサイダーなキャラクターに惹かれるのかもしれません。自分にとって、日本は童心に帰れる特別な場所―ドラマ『Giri / Haji』では、日本の俳優と共演もされましたが、今後日本でも仕事してみたいというお気持ちは?監督はい、ぜひやりたいです!以前、野田秀樹さんの英語劇『表に出ろいっ!English version”One Green Bottle”』で英語翻案に関わっていたこともありますが、もっと日本のいろいろな方々と仕事をしたいと思っています。というのも、日本のみなさんはとてもプロフェッショナルで、仕事に対して労を惜しまず、寛大な心の持ち主であるところに感銘を受けたからです。『Giri / Haji』では平岳大さんや窪塚洋介さんのような素晴らしい日本の俳優たちと楽しい時間を共有することもできましたし、同世代の日本人と仕事をするのは初めてだったのでそれだけでも興味深かったです。演技面においても、欧米とは何かが違う手法が日本の俳優さんたちにはあるので、そういった部分も含めてもっといろいろと掘り下げていけたらいいなと。日本が好きなのはもちろんですが、僕にとって日本というのは童心に帰るような特別な場所でもあるので、日本で仕事ができたらいいですね。―楽しみにしています。本作ではルイスとエミリーが繰り広げるラブストーリーも見どころだと思うので、ananweb読者に注目してほしいポイントなどがあればメッセージをお願いします。監督彼らは少しだけ変わったキャラクターではありますが、お互いを見つけたことでありのままの自分でいることができましたし、自分のもろさもさらけ出せるような関係も築くことができました。エミリーを失ったあとのルイスは、悲しみに満ちた生涯を送りますが、その悲しみこそが彼にとっては愛のカタチでもあります。葛藤や痛みもあるものの、ぜひ希望のある物語として感じていただきたいです。すべての物語は愛することから始まった伝説のネコ画家ルイス・ウェインがいかにして誕生したのか、その奇跡を目の当たりにする本作。運命の出会いを果たす妻エミリー、そしてネコたちとの間に生まれる深くて優しい愛に心が温かくなるのを感じるはずです。取材、文・志村昌美美しさに満ちた予告編はこちら!作品情報『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』12月1日(木)TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー配給:キノフィルムズ️©2021 STUDIOCANAL SAS - CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION
2022年11月29日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第126回は、男性が「好きになってよかった」と思った本命女性の特徴を3つ届けします。1.自然とねぎらえる女性【結婚引き寄せ隊】vol. 126いろいろな出会いがあるなかで、男性が彼女にしたいと思った女性を「好きになってよかった」と実感するときがあるようです。それはどんなときなのか、これまで婚活中に見聞きしてきたなかで聞いた、女性の特徴のひとつめはこちら“自然とねぎらえる女性”。とくに仕事が忙しい男性ほど、このタイプの女性に安心感を覚えるそうです。たとえば、彼女とデートをする予定だった日に急に仕事が入ってドタキャンになってしまったとき、自分本位なタイプだと「なんで!?」などと責められてしまうこともあるようですが、自然とねぎらえる女性は違います。「忙しくて体調崩さないように」「仕事がうまくいくといいね」などと、押し付けがましくなく、とっさに彼氏にねぎらいの言葉をかけられる彼女。そんなタイプなら、男性は“彼女をもっと大切にしよう!”と強く思うのだそうです。楽しみにしていたデートのドタキャンが1度くらいならやさしくできても、何度もドタキャンされると、せめて理由はしっかり確認し、対策も考えたいところです。ただ、自然とねぎらえる女性の場合、何度同じようなことがあっても、きちんとねぎらう対応にはブレはありません。確かに、そんな女性は大事にされるはずですよね。2.自立している女性次に男性から「彼女を好きになってよかった」と思った理由として、“自立している女性だった”から、という声も少なくありませんでした。甘えてくれる女性を引っ張っていきたいという男性もいる一方、自分のことは自分でやるのは当然ながら精神的、経済的にも、自分の足で立っているようなタイプが安心できる男性も多いようです。そう言われると、いまの時代は、男性のうしろを三歩下がってついていくというよりも、一緒に肩を並べて歩くような恋人同士がスタンダードだといえますよね。それに、自立していて、なんでもひとりでできそうな彼女なのに、ときどき甘えてくれることがあるとものすごくうれしいという声もありました。つまりギャップ萌えのようなこともあるんだろうなと思います。いずれにしても、男性に頼りきりになってしまうタイプよりも、時には女性側にも頼れるという、しっかり者がいいのかもしれませんね。3.一緒に笑い合える女性最後は、彼女が“一緒に笑い合える女性”だから、好きになってよかったという男性もいました。よく「笑いのツボが同じ」という表現をされることもありますが、物事の見方や感じ方といった点が似ていると、幸せ感が増すのです。何も大げさなことで笑い合うわけではなく、ちょっとしたことでも一緒に笑い合えるというのがポイント。好きな相手と一緒にいるだけで幸せなのに、とくに笑いの部分で共感しやすい相手だと、楽しみも二倍になりそうな印象がありますよね。それは相性がいいということにもつながり、ふたりは、価値観も似ているということ。そんな女性は、男性にとっても、手放したくない選んでよかった相手だと断言できそうです。相手に好感を持ってもらうには、自分なりのアピールポイントを把握しておくのもいいのかもしれません。思いを寄せる人と、みなさんがうまくいきますように!文・かわむらあみり©Jamie Grill/Getty Images©Morsa Images/Getty Images©Tim Robberts/Getty Images
2022年11月29日350年以上も前から、華やかなバレエやオペラが上演されてきたパリのオペラ座。舞台、音楽、美術などが一体となった「総合芸術」の殿堂には、どんな魅力があるのでしょう?アーティゾン美術館で開催中の展覧会、『パリ・オペラ座―響き合う芸術の殿堂』の内覧会を取材してきましたので、レポートします!パリ・オペラ座の魅力を体感!【女子的アートナビ】vol. 270『パリ・オペラ座―響き合う芸術の殿堂』では、17世紀から現代まで続いているパリ・オペラ座の魅力を、絵画や彫刻、自筆譜などの資料により「総合芸術」的な観点で紹介。フランス国立図書館やオルセー美術館など国内外から多彩な作品約250点が集められ、マネやドガ、ルノワール、シャガールなど巨匠たちの見ごたえある絵画も展示されています。本展を担当されたアーティゾン美術館学芸員の賀川恭子さんは、「オペラ座とは、絵画・音楽・彫刻・バレエなどさまざまな芸術が一堂に会した場所。それを総合的にお見せするのが今回の展覧会」と解説。パリ・オペラ座と諸芸術とのつながりをテーマに極上のアートを楽しめる、大変贅沢な展覧会です。バレエは国王が踊っていた…!『パリ・オペラ座―響き合う芸術の殿堂』展示風景では、展示の様子を見ていきます。序盤から、華やかな絵画や彫刻が並び、とてもゴージャスな雰囲気。さすが、パリ・オペラ座の展覧会。心が躍ります!展示構成も、オペラのように序曲からはじまり、第Ⅰ幕、第Ⅱ幕から第Ⅳ幕へと続き、最後はエピローグで終了。いつもの展覧会とは違う趣向が凝らされています。パリ・オペラ座は、1669年に太陽王ルイ14世が創立したアカデミーが起源。もともとオペラ自体はイタリアで誕生したもので、ルイ14世の宰相がローマで見たオペラに感銘を受け、フランスに持ち込みました。第Ⅰ幕の展示室では、ルイ14世が踊っている場面を描いた作品などを展示。バレエは女性が踊るイメージですが、もともとは宮廷で男性が踊っていたもの。宮廷バレエでは国王自身も舞台に出演していました。公式図録に記載されている舞踊史研究家・芳賀直子さんの解説によると、当時は、「踊りがうまいことがそのまま権力につながった」とのこと。ルイ14世の「太陽王」という呼称も、バレエの役名にちなんだものだそうです。この展示室では、ほかに、ブーシェやヴァトーなどロココ芸術の作家による作品も展示。オペラ座の舞台から影響を受けた華やかな絵画を楽しめます。マネ・ドガ・ルノワールに興奮!『パリ・オペラ座―響き合う芸術の殿堂』展示風景絵画好きの人におすすめしたいのは、第III幕の展示室。ハムレットを演じている歌手を描いたマネの大きな作品2点をはじめ、バレエダンサーを描いたドガ作品やルノワールの絵画など、見ごたえある作品を堪能できます。『パリ・オペラ座―響き合う芸術の殿堂』展示風景特におもしろいのは、ヴァーグナーのコーナー。印象派の巨匠ルノワールが描いたヴァーグナーの肖像画や、オペラ『タンホイザー』の場面を描いた絵画などを見ることができます。前出の賀川さんによると、ルノワールは大のヴァーグナーファンだったとのこと。イタリア滞在中のヴァーグナーに会い、緊張しながら彼の肖像画を描いたものの、大作曲家の反応はイマイチだったようです。実際、ルノワールが描いたヴァーグナーの顔は、ふつうの気難しそうなおじさんの雰囲気。音楽室に飾ってあった威厳のある堂々とした姿とはだいぶ違います。意外と、素顔に近かったのかもしれません。マーク・ジェイコブスの衣裳デザインも!『パリ・オペラ座―響き合う芸術の殿堂』展示風景第IV幕では、20世紀と21世紀の芸術家たちによる舞台デザインや衣装デザインなどを展示。マーク・ジェイコブスやカール・ラガーフェルトなど現代の有名デザイナーによる衣裳デザイン画も見ることができます。また、現在のパリ・オペラ座ガルニエ宮に飾られているシャガールの天井画の最終習作も展示。実際にオペラ座で実物をご覧になった人もいると思いますが、現地では高い場所に飾られているので、細かいところなどはよく見えません。『白鳥の湖』や『カルメン』、『魔笛』など有名な舞台作品が随所に散りばめられたこの絵画、近くでじっくりと見られるのはうれしいですね。本展は、オペラやバレエファンはもちろん、音楽好き、ファッション好き、パリが好きな人など幅広い人が楽しめる展覧会です。ぜひ、華やかな世界を体感してみてください。Information会期:~2023年2月5日(日)休館日:月曜日(1月9日は開館)、12月28日ー1月3日、1月10日会場:アーティゾン美術館開館時間:10:00 ー 18:00(毎週金曜日は20:00まで)*入館は閉館の30分前まで※最新情報などの詳細は展覧会公式HPをご覧ください観覧料:ウェブ予約チケット(税込)¥1,800円、当日チケット(窓口販売)¥2,000円、学生無料(要ウェブ予約)※当日チケット(窓口販売)はウェブ予約枠に空きがある場合に販売※中学生以下の方はウェブ予約不要※この料金で同時開催の展覧会をすべてご覧頂けます。※開催情報は予告なく変更となることがあります。同時開催:石橋財団コレクション選特集コーナー展示Art in Box ーマルセル・デュシャンの《トランクの箱》とその後
2022年11月27日ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのファッションスナップレポートです。本日はイギリス人が冬に愛用するファッションアイテム、ニットの可愛い着こなしをご紹介!独特なイラスト系ニットは大人気!特に男性に人気があるように見えますが、イラストのような顔が描かれたニットは、普段でも大人気。クリスマス時期になると本当によく見かけます。こちらのニットは、なんともイタズラっぽい顔が可愛い!派手系カラーも今年のトレンド!今回はピンクをご紹介していますが、蛍光イエローやグリーン、鮮やかなパープルなんかもよく見かけます。こちらのニットは腕部分もウェスト部分も縛りがないようで、着やすさも抜群!古着系デザインニットも重宝!イギリスはオールドファッションもかなり人気ですが、ニットも中古で入手したものだったり、母親からの譲りものだったり、本当に大切に使うんです。もちろんファッションとしてもお洒落に着こなしているところが、さすが!いつも感心されられっぱなしです。超オーバーサイズをゆる〜く着こなすのもOK!全体的にオーバーサイズに着こなした、ゆるいスタイルですが、ここまで大きいニットをファッションとして着こなしちゃうのは、全体的にお洒落だからでしょう。個性的なデザインも自由に着こなせる!なかなか着こなしが難しそうなニットも、イギリス人ファッショニスタはなんともサラリとカッコよく着こなしちゃいます。ニットにミニスカートなんて想像もしていませんでしたが、全体のバランスと色も合っていて、とってもお洒落!かっこいいです。ここイギリスはもうかなり寒くなってきて、室内でもニットが手放せない季節になりました。この時期はどんどん新作ニットが発売され、お洒落な着こなしを見ることができます。また今年の新しいニットデザインも今後チェックしてみたいと思います。お楽しみに!写真・平野秀美
2022年11月26日いまや女性のファッションに欠かせないアイテムのひとつといえば、ミニスカート。とはいえ、1950年代頃まではタブー視されていた歴史を知らない人も多いのでは?そこで、ミニスカートを“武器”に世界を変えた伝説のデザイナーの真実に迫った注目ドキュメンタリーをご紹介します。『マリー・クワント スウィンギング・ロンドンの伝説』【映画、ときどき私】 vol. 535第二次世界大戦後、戦争の爪痕と階級差別が残るロンドン。マリー・クワントは、オートクチュールによるフランスのファッションに窮屈さを感じていた。1955年には、自分が着たい服を作ったロンドン初のブティック「BAZAAR」をオープンさせて絶大な人気を獲得する。そして、60年代初めに動きやすさと少女らしさを兼ね備えたミニスカートで世界中な大ブームを生み出す。マリーは夫と友人とともに、ビジネスの新機軸を打ち出し、ファッションから下着、メイク、インテリアなど、幅広い分野で革命を起こしていた。そんな彼女の知られざる素顔とは……。1960年代に世界中の若者を熱狂させたロンドン発のカルチャームーブメント「スウィンギング・ロンドン」で、ビートルズやツイッギー、ローリング・ストーンズなどと一緒に伝説の中心にいたマリー・クワント。今回は、その魅力について、こちらの方にお話をうかがってきました。サディ・フロスト監督映画監督としてだけでなく、プロデューサー、俳優、ファッション・デザイナー、作家としても活躍しているフロスト監督。マリーから受けている影響や日本との関係、そして働く女性として大切にしていることなどについて、語っていただきました。―まずは、この企画で監督をしたいと思ったのはなぜですか?監督もともと私は映画だけでなくファッション業界にも携わっていましたし、1960年代は子どもの頃に見てきた時代でもあったので、よく理解できるテーマであったのは大きかったと思います。そしてもうひとつは、このまま何もしなければマリー・クワントが若い人たちから忘れ去られてしまうかもしれないという危機感があったから。彼女は女性のためにたくさん尽くしてきた人物でもあるので、そのレガシーを残したいと考えました。―監督自身も、マリー・クワントから影響を受けたことはありましたか?監督当時、私の母がマリー・クワントのような格好をしていたこともあり、私にもそういった服装をさせていたことはありました。ただ、私にとってファッションは自己表現でもあったので、15歳くらいの頃にはパンクの影響を受けて中性的な格好をしていたことも。16歳のときには2か月ほど日本に滞在していたこともあったので、そのときは日本のファッションに刺激を受けていたと思います。―本作では、マリー・クワントと日本には非常に深い関係があることも描いていますが、彼女のファッションはなぜ日本にハマったのでしょうか。監督マリー・クワントの服は力強さがあって、メイクとの相性もよかったので、そういうところがよかったのかもしれませんね。あとは、やっぱり彼女のルックスやボブのヘアスタイル、そして楽しいだけではなくて地に足が付いている感じが日本には響くものがあったのではないかなと。そのいっぽうで、色の使い方などは、日本の文化からヨーロッパが影響を受けていた部分もあったと思います。触発されたのは、つねに進化し続ける姿―ちなみに、監督は日本でどういった活動をされていましたか?監督所属していたエージェントから、モデルとして日本での仕事のオファーをいただきました。当時の私はセクシーよりキュート系で、中性的なところがあったのですが、そこが日本の方々と共鳴するだろうと感じてもらえたのかもしれません。私はイギリスでも飲料水や化粧品の広告に出演したり、俳優業を始めたりしていましたが、日本でもいろんなテレビコマーシャルに出させていただきました。あとは、京都や富士山で行われたキャンペーンに出演したことも。ほかにもいろんな場所を旅することができたので、本当にエキサイティングな時間でしたし、若くして世界を見ることができたいい機会となりました。―日本に対しての印象についても、教えてください。監督まだ10代だったので、やはり文化の違いには圧倒されることもありましたね。そのほかに感じたのは、非常に男性中心の社会であるということ。もちろんファッション業界に女性はいましたが、ビジネスの場面においては男性のほうが重要とされているように見えました。でも、全体的にはいい思い出ばかりなので、また遊びに行けるのを楽しみにしています。―劇中ではマリー・クワントのさまざまな名言も知ることができますが、監督のなかで印象に残っている言葉や同じアーティストとして刺激を受けた部分といえば?監督いろいろありますが、「Be yourself. Free yourself.」というのは、自分らしくいることと、自分自身を解放させる大切さを教えてくれる言葉だと思いました。あとは、「洋服というのは暖を取るためのものではなくて、表現の手段である」という言葉も時代を超えて響くものだと感じています。そのほかに触発されたのは、決してギブアップすることなくつねに進化している彼女の姿。クリエイティブであると同時に遊び心やユーモアがあり、フェミニズムも大事にしていて非常に共感できました。知れば知るほど好きになってしまうのが、彼女の魅力だと思います。大事なのは、自分を好きなように表現すること―彼女の仕事に対する考え方や交渉術というのは、いまの働く女性たちにとっても見習うべきところが多いようにも感じました。監督そうですね。マリー・クワントは息が詰まるような生き方を強いられてきた1950年代の女性たちにズボンを履かせ、厳しい状況に立ち向かうための変化を起こした人物。それまでは男性と女性の間に主従関係のようなものがありましたが、そこを覆すきっかけのひとつとなったのが彼女です。この映画では、いかにして変わっていったのかを知ることができるので、いろんな気づきも得られると思います。―では、彼女のように新しい道を切り拓いていくために必要なものとは何だとお考えですか?監督一番大事なのは、やはり自分を好きなように表現することではないでしょうか。どこかに自分を合わせなければいけないとか、他人が決めた自分にならなければいけないとか、そういったことに縛られることなく自分自身を愛し、そして自分らしさをしっかりと持つことが大切だと思います。私自身も仕事をするうえで重きを置いているのは、自分に正直であること。ときには人を喜ばせようと思ってした善意が相手の機嫌を損ねるようなこともあるかもしれません。でも、人生においては、自分自身の気持ちに素直であることが基本的には大事だと考えています。―とはいえ、日本は他人の目を気にしすぎる文化があり、ファッションでも同様の傾向がありますが、殻を破るためのアドバイスがあればお願いします。監督おそらく自分が思っているほど失うものは何もないので、まずはやってみることですね。という私も、ファッションに関しては現状に満足しがちですが、友人であるモデルのケイト・モスやデザイナーのステラ・マッカートニーは、外出すると決めたらヒールを履き、しっかりとドレスアップするので、私もときにはそういうことをする楽しみを覚えました。そんなふうに、普段はしない格好をしてみるのもいいことですよ。あとは、他人から貼られたレッテルを裏切ってみること。周りの人たちは「あなたはこういう人だ」みたいに言うかもしれませんが、何かに挑戦して変わらないとあっという間に10年、20年、30年と過ぎてしまいますから。自分で自分を覆すようなことをあえてするというのは必要だと思います。私自身も、新しいことをするときは怖いですし、いっぱいいっぱいになることもありますが、チャレンジをしなければいつまでも同じまま。つねに自分を変えるきっかけを探すようにしています。フェミニンでセクシーなエネルギーを感じてほしい―実際、監督業だけでなく、ジャンルを超えた活躍をされていますが、仕事のバランスで意識をしていることはありますか?監督私はすごく飽きっぽい性格なので、いろんな仕事をするほうが向いているんですよ。あとは、シングルマザーとして4人の子どもを育ててきたこともあり、つねに騒がしい状況にいることに慣れているので、私の場合は忙しいほうがバランスを取れているのかなと。朝は4時か5時くらいから起きて機械のように働いていますが、意識しているのはシンプルであること。現実社会に向き合うと同時に、自然のなかにいる時間を大切にしているので、ヨガや瞑想で健康を保つように心がけています。監督業以外の仕事もいくつか抱えているので忙しいですが、チャンスがあれば積極的にやっていきたいですし、それによって得られる相乗効果も感じているところです。―それでは最後に、ananweb読者にメッセージをお願いします。監督この作品は構成が少し複雑なところもありますが、まずは楽しんでもらいたいですし、フェミニンでセクシーなところや放たれるエネルギーを感じていただきたいと思っています。「ドキュメンタリーはこうあるべき」みたいなルールもありますが、それよりも私はビジュアルの美しさとクリエイティブな部分にこだわりました。そのあたりをぜひ見ていただけたらうれしいです。自分を解放して生きる喜びを知る!ファッションの歴史をたどるだけでなく、成功の裏側を垣間見ることで働く女性としての生き方も学ぶことができる本作。マリー・クワントの精神を体現しているミニスカートを履き、大胆で自由で自分らしい人生を歩き出してみては?取材、文・志村昌美革命の瞬間に触れられる予告編はこちら!作品情報『マリー・クワント スウィンギング・ロンドンの伝説』11月26日(土)、Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー!配給:アット エンタテインメント️©2021 MQD FILM LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.️Courtesy Terence Pepper Collection
2022年11月25日いまだに終わりが見えないコロナ禍が続くなか、さまざまな変化を強いられたきた人も多いと思いますが、2022年のラスト1か月を迎える前に改めて自分自身を振り返りたいところ。そこでオススメする映画は、コロナ禍を生きる女性たちの孤独と希望を4本の短編映画にして描いた注目のオムニバス作品です。『ワタシの中の彼女』【映画、ときどき私】 vol. 534コロナ禍で20年振りにオンライン飲み会で連絡を取り合ったのは、大学時代に同じ演劇サークルに所属していた40代の男女3人。そこには不在の女優サヨコが、彼らの人生に影を落としていた。いっぽう、フードデリバリーのバイトをしている写真家のカズヤが出会ったのは、リモートワーク中の30代後半の会社員メイ。注文した食事を代わりに食べてほしいと泣きながら頼まれ、カズヤは仕方なく玄関先で食べていた。20代後半の風俗嬢サチがふとしたきっかけで話すようになったのは、帰り道のバス停に毎晩いる60代のホームレスの女性カヨコ。かつて同じ夢を持っていた2人は意気投合し、一時の救いを見い出すも、無残に打ち砕かれてしまう。そして、40代前半の盲目の女性トモコのもとに現れたのは、弟の同僚だという青年タケオ。お金をだまし取ろうとしていたタケオだったが、トモコから思いがけない“贈り物”をもらうのだった……。世代や環境の異なる4人の女性たちを中心に描き、すべての主人公を女優の菜葉菜さんが1人で演じている本作。そこで、それぞれの見どころについて、こちらの方にお話をうかがってきました。中村真夕監督『ナオトひとりっきり』や『愛国者に気をつけろ!鈴木邦男』などのドキュメンタリー作品を数多く手掛けるだけでなく、今年3月に公開された心理サスペンス映画『親密な他人』では国内外で高い評価を得ている中村監督。今回は、各エピソードの舞台裏やコロナ禍で感じたこと、そして女性たちに伝えたいメッセージについて語っていただきました。―まずは、本作を制作したきっかけからお聞かせください。監督もともと私がドキュメンタリーを撮っていたこともあり、パンデミックが起きたときから「世界中の人に影響を与え、みんなの生活様式も考え方も価値観も変えてしまったコロナ禍を描きたい」という思いがありました。そんななか、動き出したのは2020年に発令された最初の緊急事態宣言が明けた頃。仕事がなくなってみんなモヤモヤしていた時期ですが、いまなら優秀な人たちも時間があるので逆にこれはチャンスかもしれないと気がつき、菜葉菜さんと占部房子と草野康太さんに声をかけたのが始まりです。その後、私のシナリオを基に打ち合わせをし、みんなでいろんなアイディアを出し合いながら、男女が別々の公園でオンライン飲み会をするという設定にしました。撮り方には工夫を凝らしていますし、公園での撮影許可も限られていたので大変でしたが、撮影時間5~6時間という私自身の最短記録で作り上げています。―では、『4人のあいだで』を第一話とした短編映画四編のオムニバス作品としたのはなぜですか?監督当初は1本の短編として完成したものでしたが、大阪やニューヨークなどをはじめさまざまな映画祭で賞をいただいたので、このままではもったいないと思い、コロナ禍を生きるいろんな女性を連作で描いてみたいと考えるようになりました。しかも、ひとつの映画のなかで一人の女優さんがまったく違う役をしているというのもあまりないので、いい意味で年齢不詳の菜葉菜さんがすべてを演じてみたらもっとおもしろくなるだろうなと。そういったことから、挑戦してみようとなったのがきっかけです。自分にも起こる可能性がある出来事だと感じた―第二話『ワタシを見ている誰か』では、フードデリバリーのバイトをしている男性と注文した女性との出会いを描いています。監督この話はコロナ禍でデリバリーが普及するなかで、自宅を知られた女性がストーカーにあったとかいろんな事件が起きていると聞き、そこから生まれたものです。ただ、後半はリアリティからは少し飛躍する展開もあるので、一番苦労したストーリーだったかもしれません。でも、デリバリーの男性を演じてくれた好井まさおさんは絶妙な気持ち悪さとかわいらしさを出せるおもしろい人ですし、すごくお芝居もうまいので助けられました。―そして、第三話『ゴーストさん』もコロナ禍で職を失ってホームレスになった60代の女性が殺された実際の事件を基に描いたものです。監督にも大きな衝撃を与えた出来事のひとつだったとか。監督フリーランスという不安定な立場である私からすると、彼女とは似たような境遇というか、自分にも起こる可能性があると思ったので、とてもショッキングでした。その後、この女性を取り上げたドキュメンタリーがテレビでも放送されましたが、そこで行われた調査によると、コロナ禍で仕事がなくなった多くの若い女性たちが彼女に共感し、「彼女は私だ」と感じたといいます。演じてくださった浅田美代子さんも、女性がああいう状況になって一人になったらどうするのかというのを考えていたようなので、思うところがあったのかなと。自ら衣装を持ってきてくださったり、いろんなアイディアを出してくださったりしたので、一緒にキャラクターを作り上げる過程は楽しかったです。実体験を聞くなかで、考えさせられることは多かった―そのホームレスの女性と心を通わせる女性として登場するのが女優を目指していた20代後半の風俗嬢ですが、この女性にもモデルはいたのでしょうか。監督今回、実際に同じような仕事をしている20代前半くらいの方から、いろんな実体験を教えていただきました。声優になりたかったという彼女は、お金のためにいまの仕事をしているそうですが、「私もそういう事件に遭って殺されてしまうかもしれない」というようなことをポロっと口にしていて、考えさせられることは多かったです。コロナ禍で不安を感じていた2人の女性が救いを求め、一晩で心を通わせるという展開はどこかファンタジーみたいで“大人のおとぎ話”だなと思って作りました。―なるほど。そして第四話『だましてください、やさしいことばで』では、盲目の女性が描かれていますが、どのようにして生まれましたか?監督この話は『親密な他人』のときに視聴覚障害の方のための音声ガイドを作ったことがあり、そのときに目の見えない方からインスピレーションを受けて書きました。あとは、私に全盲の友人がいて、その人と話しているといろいろと見透かされているというか、私にも見えていないことが見えているような感覚に陥るので、そういった経験も入れています。今回は、菜葉菜さんと一緒に目が見えない方の体験ができるツアーに参加したり、途中から目が不自由になってしまった方にお話を聞いたり、目の動きを研究したりしながらキャラクターを作っていきました。劇中で菜葉菜さんが相手の顔を触るシーンがありますが、コロナ禍になってから、マスクを取ることも、カラダに触ることもお互いを信頼していないとできない行為。いまはそれくらい人と人の間に壁ができてしまったんだなと思いました。コロナ禍によって、より問題が見えるようになった―では、改めてコロナ禍が女性たちに与えた影響について、どのように感じていますか?監督これは女性に限らず、男性も同じですが、孤独になったからこそ人とのつながりについて考えたり、自分と向き合う時間を持ったりできたのではないかなと。そのいっぽうで、経済的に不安定な人がさらに追い詰められてしまい、弱い人が自分よりも弱い人に当たるという図式が生まれてしまったのは、悲しいことだと感じました。実際、ホームレスの女性を殺した男性も社会から疎外感を感じていた人物だと聞きました。政府だけでなく社会全体に言えることですが、コロナ禍によってもともとあった問題がより見えやすくなってしまったのだと思います。あとは、そもそも人に迷惑をかけてはいけないとか、人に助けを求めて頼るのは恥という日本的な文化がコロナ禍で拍車がかかり、困っていても声をあげられなくなったような気がしています。私は若いうちに海外に渡り、人に助けを求めるのも困った人がいたら助けるのも当たり前という欧米文化のなかで育ったので、もっと救えた人がいたんじゃないかなと考えると、そういう日本社会の慣習を歯がゆく感じることも……。たとえば、インドでは生きるということは人と関係し、お互いに迷惑をかけ合うことだという考えのようなので、ほかの国では日本とけっこう真逆なこともあるんですよね。―監督自身は、コロナ禍で何か変化を受けたことはあったのでしょうか。監督自分で言うのも変ですが、私は逆境に強くて、しんどいときこそ元気が出てがんばろうとなれるタイプ。こういう状況だから逆にいろいろと見つめ直しましたし、ピンチはチャンスだと思っています。実際、創作意欲も高まったので、コロナ禍になってから助成金を利用して作品を作りましたし、つまずいたぶんそこから学ぶことは多かったのではないかなと。これまでも大変なことはたくさんありましたが、いつも考えているのは、「この状況から何を得られるか。そしてどうやっていい方向に受け取るか」ということです。アメリカにあることわざのなかで私が好きなのは、「ひとつのドアが閉じるとき、次のドアが開く」という言葉。私はドアがひとつ閉まったときに、そこにはどういう意味があるのかを考えるようにしています。たとえば、「仕事が無くなってしまったらそれはもっと自分がしたいことに進むチャンスかもしれない」とか、「大きな失恋をしたらその人は自分に合っていない人だったのかもしれない」とか。そんなふうに、逆境であっても発想の転換でいくらでもいいほうに変えることができると思っています。苦労してでも、自分の好きなことをしてほしい―確かにそうですね。それでは最後に、ananweb読者に向けてメッセージをお願いします。監督本作には、20代後半から60代の女性が出ていますが、まずはいろんな状況に置かれている女性たちがコロナ禍でどう生きているのかを見ていただきたいです。みなさんも孤独や人とのつながりを考えるようになったと思うので、そのあたりも感じていただけたらと。あと、日本では年上の方や周りの方で「これはしないほうがいいよ」とか「あなたには向いてないよ」とか、マイナスなアドバイスをしてくる人が多いような気がしています。もちろん、その人のためを思って言っていることかもしれません。でも、私は転ばぬ先の杖よりも、自分で転んでそこから自分で考えてやりたいことしたほうが、あとから「あれをしておけばよかったな」と後悔することはないのかなと。他人の言うことを聞いて納得できない人生を送っても楽しくはないので、それよりもたとえ苦労してでも自分の好きなことをしてほしいです。それから若い方に伝えたいのは、「とりあえず英語を学んで、運転免許証を取ったほうがいいよ」ということでしょうか。英語ができるだけで得られる情報量は増え、世界は広がりますし、車が運転できればいろんなところにも旅に行けるので、それによってさまざまな価値観にも触れることができるはずです。いま自分がいる場所だけではなく、知らない世界を見ることでもっと豊かになってもらいたいと思っています。自分のなかにもいる“彼女たち”から自分を見つめ直す!コロナ禍によって環境や考え方が一変してしまったなかで、自分自身とどう向き合うべきなのかを改めて考えさせられる本作。さまざまな女性たちの姿に共感するだけでなく、これからを生きるヒントを得られるいまこそ必見の1本です。取材、文・志村昌美胸に響く予告編はこちら!作品情報『ワタシの中の彼女』11月26日(土)よりユーロスペースほか全国順次ロードショー配給:ティー・アーティスト️©T-Artist
2022年11月24日ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのファッションスナップレポートです。この時期に欠かせないブーツスタイルを、本日はピックアップしてみます。ホワイト系ブーツは、定番人気に!今まではブラックやブラウンが定番!と思っていましたが、ここ数年でホワイト系ブーツは本当によく見かけます。でもホワイトだと合わせにくいような…と思っていましたが、みなさん自由にホワイト系ブーツを楽しんでいらっしゃる。足元が重くなりすぎない点も魅力的!ショートアンクルブーツがお洒落!パンプス代わりにショートアンクルブーツはどうでしょう?この方のブーツはヒール部分も蛇柄も、全てがお洒落なんですが、なんといっても着こなし方が大胆!こういうファッションを見ると、私も欲しくなってしまいます。今年も外せない!ニーハイブーツインフルエンサーに人気のニーハイブーツ。お二方とももともとスタイルはいいのですが、やはり足がとっても長く見えますよね!オシャレだけではないニーハイブーツの利点は、脚長効果もあり、さらに寒さからも守ってくれる!どんなスタイルにも合わせやすいアンクルブーツ一見カッコ良すぎる印象ですが、スカートにもズボンにも合わせやすい、自由度が高いのがこちらのアンクルブーツ。ドクターマーチンの厚底アンクルブーツも人気ですよね!今年の流行りが全て詰まったハイブーツ!こちらは特に気に入った私の一押しブーツ。人気のホワイトカラーで、話題のニーハイに近いハイブーツ!紐でより個性的に見せてくれるデザインも素敵!なかなか合わせにくそうではありますが、写真の彼女はスカートの丈と色をしっかりブーツに合わせて調整できている、参考にしたいスタイルです。ヘビ柄は今もこれからも人気!いつになっても衰えることのない人気の柄といったら、まさに蛇柄です。本当によく見かけますが、シンプルなスタイルから柄同士の合わせにも嫌味なく溶け込んでくれる、大変重宝する柄の1つです。いかがでしたでしょうか?毎年冬になったらどんなブーツが流行るか楽しみなのですが、いち早くファッションウィークで見かけたインフルエンサーの今年のスタイルをピックアップしてみました。今後の参考になれば幸いです。写真・平野秀美
2022年11月23日昨今、ファッショントレンドでは襟や袖にアクセントが効いたデザイントップスが流行中。とくにここ1~2年で注目度が増しているのが「ボウタイブラウス」。大きなリボンが着こなしに大人かわいい印象を持たせますが、いっぽうで組み合わせが難しくもあるアイテム。そこで今回は、アラサー以上の世代におすすめするボウタイブラウスの甘さ控えめコーデをご紹介します。ダブルジャケット+ボウタイブラウスのハンサムルック首元に大きなリボンが特徴的なボウタイブラウスは、組み合わせるアウターがフェミニンテイストだと甘さがより強まってしまうので要注意。かといって、カジュアルなパーカーだとあまりにもミスマッチな気がして違和感が出ます。そこでちょうどよいバランスを保ってくれるのがダブルジャケット。ボウタイブラウスの持つクラシカルさとジャケットの持つトラディショナルな雰囲気は親和性が高く、実は好相性な組み合わせなのです。それでいて、ボウタイブラウス特有の“可愛い”というイメージを控えめにさせてくれます。さらにボトムスや他の小物も全体的にジャケットに合わせてトラッド要素の強いアイテムで揃えると、今度はボウタイブラウスの甘さが良いアクセントとなって「大人っぽくてクール。なのに、どこかフェミニンな着こなし」といったニュアンスの残るコーディネイトを作ることができます。ニットカーデ×ボウタイブラウスの甘めカジュアル先ほどのジャケットコーデよりは堅苦しくなり過ぎず、でもブリブリとした可愛いイメージを避けたい時に取り入れたいのが、ニットカーディガンとボウタイブラウスを合わせたカジュアルルック。ニットカーディガンはきちんとした印象があるミドルゲージのオーバーサイズニットカーディガンがボウタイブラウスにピッタリ。カーディガンのネックラインは大きめに開いたVネックを選ぶと、リボンの邪魔にならず上手にコーディネイトが完成します。こちらのコーディネイトは上半身にボリュームがあるので、ボトムスはできればショート丈を選ぶとコーデ全体がスッキリまとまって見えます。脚の露出が気になる方は、ロングブーツで肌見せラインを狭めるとショート丈ボトムスにも挑戦しやすくなりますよ。さらに配色も同系色で整えるとコーデの完成度がグッと高まります。今季はフェミニン+クラシカルテイストへの注目度がアップ!ここ数年で肌見せのアイテムや、ボディコンシャスなデザイン、ショート丈のアイテムなど女性のボディラインをより美しく見せるファッションアイテムを見かける機会が増えたという実感はないでしょうか。ファッショントレンドはこれまで主流だったユニセックス・ノームコアの時代が落ち着き、今後はさらにフェミニンテイスト・クラシカル要素の強いデザインの服がますます盛り上がりを見せていきそうです。なので一過性にも思えるボウタイブラウスですが、今シーズンだけでなく来年春先にも活躍できそうな予感。ぜひ、まだ手にしていない方はこの秋冬にGETしてみては?文・イラスト 角 佑宇子
2022年11月19日ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのファッションスナップレポートです。今回は、今年よく見かけるカラフルスタイルをチョイスしてみました。合わせにくそうで、実はお洒落な2色エメラルドとオレンジ。この色の組み合わせは意外!と思いきや、何度も見かけるので、人気の組み合わせだという事が判明!2枚の写真のように、エメラルドとオレンジが嫌味なく元気で個性的なファッションに見せてくれます。ピンクとイエロー系というキュートな組み合わせ「可愛い」が好きな方には、たまらない組み合わせ!差し色にホワイトで全体のバランスを落ち着かせているところが、センスありますよね。なかなか着こなせない光沢感あるピンクのコートも、完全に違う色のボトムスとの組み合わせで、スタイリッシュに着こなせています。カラフルファッションといえばエミリー!彼女のスタイルは、常にカラフルが基本。元気で合わせにくい色も全て自分のものにしてしまう色の天才!なかなか真似は難しそうですが、色のトーンが同じであれば、色違いでも合わせやすいんだなと参考になります。今すぐ真似したいエミリーのカラフルファッションロンドンファッションウィークで見せてくれた、こちらのスタイル。色使いを完全に統一した完璧な組み合わせ!ブルーとイエローを組み合わせよう、なんて思いつきませんよね。彼女がどのように服を選んでいるのかが気になります。難しく考えずに好きな色を選ぶもあり!?グッチショーの前に撮影した写真ですが、こちらは色の統一感はなさそうに感じるけど…でもなんだかありですよね。自分の好きな色を自由に組み合わせるのも、自分流ファッションなんだなと思わせてくれる参考になる1枚です。いかがでしたでしょうか?色はファッションをお洒落に見せる要素の1つとしても考えられると思います。インフルエンサーの方々の色使いはいつも参考になりますが、最後の写真のように、自分の好きな色を自由に使っても、自分流でかっこいいかも!今年は難しく考えず、好きな色でスタイリングしてみてください。写真・平野秀美
2022年11月19日現代日本を代表するアーティストとして国内外で活躍している大竹伸朗さん。彼の作品およそ500点を集めた大規模な回顧展が、現在、東京国立近代美術館で開かれています。プレス内覧会に登壇した大竹さんのコメントとともに、展覧会の様子をレポートします!美術館が宇和島駅に…?!【女子的アートナビ】vol. 269『大竹伸朗展』では、1980年代初めにデビューして以来、絵画や彫刻、映像、インスタレーション、巨大な建造物など幅広いジャンルで多くの作品を手がけてきたアーティスト、大竹伸朗さんの作品約500点を展示。16年ぶりの大回顧展となります。大竹さんは、1955年東京生まれ。武蔵野美術大学を卒業後、1982年に初個展を開催。その後、ドイツ・カッセルで開かれている世界最大級の国際美術展・ドクメンタ(2012年)や、120年以上の歴史を持つヴェネチア・ビエンナーレ(2013年)など、さまざまな国際展に参加。アートの島として有名な直島に多くの作品が展示されているほか、「東京2020 公式アートポスター展」にも参加するなど、半世紀近くもの長い間、多方面で活躍されています。プレス内覧会に登壇した大竹さんは、次のように述べました。大竹さん本展は挑戦要素が多い展覧会で、今までにないものになっていると思います。世界は破壊が続いていますけど、モノをつくる力、つくりだすパワーを少しでも感じていただければとてもうれしく思います。5回ぐらい来て、見てください(笑)。大竹伸朗展2022年11月1日(火)~2023年2月5日(日)東京国立近代美術館展示風景より《宇和島駅》(1997年)また、大竹さんは、美術館のテラスに設置された作品《宇和島駅》についてもコメントしました。大竹さん宇和島は、僕が制作拠点にしている場所です。宇和島駅が新しくなるとき、駅名の文字を廃棄するというので、納得がいかなくて入手しました。駅舎に乗って、ひとつずつ焼き切ったのです。東京国立近代美術館と宇和島駅が交差するのは、ある種のコラージュ。赤い色は僕が創造したもので、夜はライトアップされて見え方が変わります。圧が強すぎ…!7つのテーマで体感大竹伸朗展2022年11月1日(火)~2023年2月5日(日)東京国立近代美術館展示風景より手前:《男》(1974-75年)富山県美術館では、展示の様子をご紹介。会場では、テーマに合わせて7つのセクションに分けられています。ただ、テーマに沿って作品をつくっているのではなく、また、制作時代順にも並んでいないので、自分の好きなところから自由に見ていけばいいようです。最初の展示室から、けっこう圧が強め。ちょっと怖い感じの人形のような作品が立っていたり、天井からぶら下がっていたりして、もし照明が暗いとお化け屋敷と思ってしまいそうな雰囲気です。大竹伸朗展2022年11月1日(火)~2023年2月5日(日)東京国立近代美術館展示風景より手前:《スクラップブック #71/宇和島》(2018-2021年)本展を担当された東京国立近代美術館の主任研究員、成相肇さんによると、大竹作品の特徴は「貼り付けること。貼ってからはがして、重ねて量を増やして密度を増していき、ほとんどの作品がコラージュ作品になっている」とのこと。その密度の濃さを体験してほしいそうです。もっとも密度を感じられるのは、スクラップブックと題された作品たち。もはやスクラップブックの面影もないような、大きな塊です。展示室に巨大な小屋が…!大竹伸朗展2022年11月1日(火)~2023年2月5日(日)東京国立近代美術館展示風景より《モンシェリー:スクラップ小屋としての自画像》(2012年)本展でもっとも目を引く作品は、ドイツの国際展にも展示された《モンシェリー:スクラップ小屋としての自画像》。ネオンサインやトレーラー、ギター、巨大なスクラップブックなどが凝縮されたパワフルなインスタレーションです。展示室の空間に巨大な小屋が置かれ、かなり迫力があります。小屋の中をのぞくと、いろいろなものが詰まっていて、こちらも圧が強め。音も鳴る作品で、大竹さんの集大成のひとつといわれています。人気のニューシャネルも…!また、本展はグッズも充実。大竹さんは、文字の作品も多く手がけていて、本展の「大竹伸朗展」という文字も今回の新作です。そんな「大竹文字」のひとつが《ニューシャネル》(1998年)。スナックの看板をモチーフにしてつくられたもので、Tシャツなどのグッズが大人気です。今回のためにつくられた新作グッズもあるので、ぜひ特設ショップものぞいてみてください。本展は2023年2月5日(日)まで開催。その後、愛媛県美術館と富山県美術館に巡回予定です。Information会期:~2023年2月5日(日)休館日:月曜日(ただし1月2日、9日は開館)、年末年始(12月28日~1月1日)、1月10日(火)会場:東京国立近代美術館開館時間:10:00-17:00(金曜・土曜は10:00-20:00)(入館は各閉館時間の30分前まで)※最新情報などの詳細は展覧会公式HPをご覧ください観覧料:一般 ¥1,500、大学生¥1,000、高校生以下および18歳未満は無料お問合せ: 050-5541-8600(ハローダイヤル 9:00~20:00)
2022年11月19日映画を楽しむうえで欠かせない要素のひとつといえば、音響効果。そこでオススメの映画は、想像もつかないような道具を使って音を生み出す“音の魔術師”に迫った話題のドキュメンタリーです。『擬音A FOLEY ARTIST』【映画、ときどき私】 vol. 533映画界において、あまり知られていない職業とされているフォーリーアーティスト。足音やドアの開閉音、物を食べる音、怪獣の声など、映像に合わせてあらゆる音を生で作り上げていく職人のことを指している。そのなかでも、“台湾映画界の生きるレジェンド”と呼ばれ、国宝級の音響効果技術を誇るのはフー・ディンイー。40年に及ぶフォーリー人生で、1000本近い映画とドラマに携わってきた。そんな彼の技を目の当たりにするとともに、これまでの台湾映画史を紐解いていく。台湾のアカデミー賞とも呼ばれる金馬奨や東京国際映画祭での上映をはじめとする、大きな反響を呼んだ本作。今回は、こちらの方にお話をうかがってきました。ワン・ワンロー 監督プロデュースや助監督、編集などで映画作りに関わるようになり、2014年には詩人ルオ・フーを記録した『無岸之河』のドキュメンタリーで監督デビューを果たしたワンロー監督。今回は、撮影の裏側やフォーリーアーティストの魅力、そして日本での忘れられない出来事などについて語っていただきました。―自身のデビュー作を制作した際に、音の勉強をしようと思ったことが本作につながったそうですが、音を題材にしようと思ったのはなぜですか?監督実は、私はもともと文学や戯曲を専門にしていたので、ほかの監督のように学校で映画を学んで監督になったわけではありません。そんななか、2012年から2013年にかけて初めてドキュメンタリー映画を撮り、いろいろと模索しているなかで、音響について勉強しようと考えるようになりました。そして、ちょうどそのときに出会ったのが、フー・ディンイーさんです。そこで私は、彼からいろんなことを学びながら、彼の人生そのものを記録するいい機会になると思い、この作品を撮ることにしました。―フー・ディンイーさんのどのようなところに魅力を感じましたか?監督初めてお会いしたのはフーさんの仕事場でしたが、人としての温かさはすぐに感じ取ることができました。そして、どんなことを聞いても必ず答えを導き出してくれると思いましたし、絶対に怒らない優しい方というのが最初の印象です。ところが、実際に彼が仕事をしている様子を撮り始めると、作業に集中されていることもあり、少し怖く感じたことも……。特に、私たちがカメラを動かしたときにちょっとでも音を出してしまったときは、すごく厳しい顔をされていましたから。優しい方ではありますが、同時にとても真面目な職人なんだなと思いました。情熱を支えているのは、何よりも仕事を好きな気持ち―仕事部屋の様子もかなり興味深かったですが、間近でご覧になっていて驚いたことがあれば教えてください。監督本当に失礼な言い方になってしまいますが、物が多いのでゴミ置き場のようにも見えてしまいますよね(笑)。そのなかでも私がびっくりしたのは、自分の仕事場をどんどんと改造し、いろいろなよくわからない仕掛けをたくさん作っていることでした。たとえば、仕事場の床はすべて開けられるようになっていますが、ある場所は身長の半分くらいの深さに掘ってあり、そこにはなんと水槽が設置されているので、水を入れればプールのようになります。実際、そこに水を溜めて、プールの音を録っていて驚きました。ほかにも、いくつかの仕掛けがあるのが高い天井。弓矢を射るときに出るヒュッという音を録ろうとしていたときには、なんと本物の矢を天井に向けて放っていました。ただ、天井があまりにも高いので、いまでも矢が刺さったまま。それにもすごく驚いた覚えがあります。―リアルな音への追求がすごいですね。フーさんの仕事に対する姿勢は40年以上変わることがありませんが、それを支えているものは何だと感じていますか?監督まずは、やっぱり自分の仕事が何よりも好きだというのが一番。そして、映画に対する情熱ではないでしょうか。たとえば、フーさんは街を歩いているときでさえ、すれ違った人の足音に反応してしまい、音だけでどんな靴を履いているかを考えてしまうほど。それくらい普段から音に対して敏感なようですが、それは仕事が好きで楽しんでいる証拠でもあると思います。そしてもうひとつは、「この仕事で家族を養うんだ」という気持ちがあったから。実際、台湾も映画産業が盛んな時代があり、その給料で家族みんなが豊かな生活を送り、幸せに暮らせていたのも事実です。台湾の映画産業に貢献する使命を感じている―ただ、フーさんのような熟練の職人さんもデジタル化のあおりを受けて、現在はセミリタイア状態だとか。彼らの技術がなくなるのは映画界にとっては損失でもあると思いますが、監督はどのようにお考えですか?監督その答えは、なぜ私がこの映画を撮ったのかという話にもつながってくると思っています。というのも、台湾の映画界に関わっている以上、私は台湾の映画産業に対して責任や貢献する使命があるので、そういう意味も込めて本作を撮りました。フーさんはすでに会社から退職させられてしまっていますが、だからこそ私の仕事はフーさんの技術を記録して残しておくこと。その結果、本作が上映された翌年に、フーさんは金馬奨で年度台湾傑出映画製作者賞という映画人を讃える賞を獲りました。ほかにもよかったなと感じたのは、この映画によって若い人や映画好きな人にこういう職業があることを知ってもらえたこと。フーさんはいろんなところから招待を受け、各地で講演もされました。映画制作において、このような重要なポストがあることを知られていなかったので、それをたくさんの方に伝えられたのはすごく意義深いことだと思っています。―後継者不足も問題になってるようですが、この映画によってフォーリーアーティストという職業に対しても関心が高まったのではないかなと。監督それに関するエピソードといえば、2017年に私とフーさんでこの作品を携えて東京国際映画祭に参加したときのこと。上映後のティーチインを行った際に、高校生くらいの若い女の子が挙手をしてくれました。そして彼女は「この映画を観て、あなたの仕事にとても興味を持ちました。私もフォーリーアーティストになりたいのですが、どうすればなれますか?」と質問をしながら泣き出してしまったのです。私もフーさんもびっくりしてしまったのですが、日本と台湾では仕事の仕方も制度も違うので、どのように答えたらいいのか正直言ってすごく悩みました。最終的には「あなたがやりたいことに向かって努力し、それを実現すればいいのではないでしょうか」とコメントしたのですが、私たちにとっても非常に印象深い出来事でした。やりたいことがあれば、躊躇せずに行動してほしい―国を越えてそういった反響が得られるのは、うれしいことですね。ちなみに、日本に対しては、どのような印象をお持ちですか?監督いまお話した東京国際映画祭では、スタッフのみなさんが来客の方々に対して本当によくしてくださったので、とても順調に仕事をすることができました。観客やほかの映画人との交流の場も提供してくださったので、インターナショナルでアジアのなかでも成熟した国という印象を持っています。また、プライベートでは毎年日本へ旅行しており、スキーを楽しむのが大好きです。最近ようやく日本に行くことができるようになったので、実はさっそく日本行きのチケットを取りました。11月末に行く予定なので、できれば観客のみなさんともお会いできたらと考えています。今回はまだ雪がない時期なので、河口湖に行って、富士山を眺めながら温泉に入ろうと計画しているところです。―それは楽しみですね。それでは、ananweb読者に向けてメッセージをお願いします。監督いまは、いわゆる“ポストコロナ”の時代になり、不確定な要素がたくさんあるかもしれません。人生のパターンようなものが決まっていた私たちの親世代の頃に比べると、もはや「一生懸命勉強すれば人生は保証されますよ」という世の中ではないような気がしています。でも、こういう状況だからこそ、いまやりたいと思うことがあるのであれば、躊躇することなくすぐに行動を起こしてください。これが一番大切だと思っています。特に、自分がしたいことに対して愛を持って誠実に向き合えば、きっと周りの人はあなたを助けてくれるはずです。実は、私もこの映画を制作し始めたとき、取材を受けてくれるのはフーさんしかおらず、潤沢な資金もありませんでした。ところが、いつの間にか「自分もインタビューを受けてもいいよ」とか「少しでも出資したい」と言ってくださる方がどんどん出てきてくださったのです。そんなふうに不思議なことがたくさん起こって映画は完成しましたが、前向きに考えていればきっとあなたを助けてくれる人は現れます。なので、繰り返しになりますが、みなさんにも「やりたいことにはいますぐにでも取り掛かってほしい」というのは伝えたいです。仕事への愛に、胸が熱くなる!普段見ることのできない貴重な映画制作の裏側を見ることができるだけでなく、映画愛にも触れられる本作。そして、仕事に対する飽くなき探求心と尽きることのない情熱を体現する職人の姿は、観る者の心も突き動かしてくれるはずです。取材、文・志村昌美驚きが詰まった予告編はこちら!作品情報『擬音A FOLEY ARTIST』11月19日(土)より、K’s cinemaほか全国順次公開配給:太秦️©Wan-Jo Wang
2022年11月18日女性にとって心が躍る瞬間といえば、好きな服を好きなように着ているとき。そこで今回ご紹介するオススメの映画は、クリスチャン ディオールが手掛けたきらびやかなドレスが次々と登場する注目作です。『ミセス・ハリス、パリへ行く』【映画、ときどき私】 vol. 532舞台は、1950年代のロンドン。家政婦として働くミセス・ハリスは、愛する夫が戦死したことを知らされる。それでも気丈に振る舞っていたハリスは、ある日クリスチャン ディオールのドレスに出会い、一目惚れしてしまう。その美しさに魅了されたハリスは、500ポンドもする高級ドレスを手に入れるため、資金を調達してパリに向かうことを決意。無事パリに降り立った彼女は、ディオール本店へと向かうが、威圧的なマネージャーのコルベールに追い出されそうになる。果たして、ハリスは“夢のドレス”を手にすることができるのか……。夏に公開されたアメリカでは、大作が並ぶなか1000館以下の公開作品としては唯一トップ10にランクインするなど幅広い層から高い支持を得た本作。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。アンソニー・ファビアン監督アメリカで生まれたのち、本作の舞台でもあるフランスとイギリスで思春期を過ごし、現在はロンドンを拠点に活動しているファビアン監督。今回は、映画化するうえでのこだわりやディオールの裏側、そして作品を通して伝えたい思いなどについて語っていただきました。―もともとは原作である『ハリスおばさんパリへ行く』を手掛けたポール・ギャリコがお気に入りの作家だったそうですが、この作品についてはどういったところに魅力を感じましたか?監督あとから振り返ったときに、いろんなところが自分に響いていたんだなと気づかされましたが、最初に心をつかまれたのは主人公のチャーミングさ。ものすごく正直で、はっきりとした道徳観を持っていますし、何よりも彼女のポジティブさには共感するところがありました。―今回は監督としてだけでなく、脚色する権利も取得していますが、その理由を教えてください。監督僕は7歳のときに家族と一緒にパリに移り住んだ経験があるので、フランスに対しては深い知識があると思っています。そんな僕からすると、イギリスやアメリカのフィルムメイカーたちが描くフランス人のキャラクターには違和感を覚えることがあったので、フランスにいたことのある自分ならもっとリアルなものが作れると考えました。まず決めていたのは、フランス人の役は絶対にフランス人の俳優に演じてもらうこと。この原作は過去にテレビ向けの作品として映像化されたことがありますが、そのときはフランス人の役に1人もフランス人が起用されていませんでした。本作はおとぎ話のようなストーリーではありますが、同時にリアリズムにも基づいている作品。ファンタジーのなかにもリアルな要素というのがしっかり描かれることが重要だと思い、そのあたりのバランスはこだわっています。ディオールが愛した花や要素を取り入れている―ほかにも、映画オリジナルのキャラクターや映画ならではの設定を加えていますよね。監督僕にとって、この作品を脚色することはひとつの挑戦でもありました。というのも、原作では主人公の道のりにあまり壁がなく、わりと簡単に夢を叶えてしまうところがあるので、映像化するにあたってはもう少しそこに立ちはだかるものを加えたいなと。そうすることでより重層的な物語になりますし、観客にとっても豊かな視聴体験になると考えました。具体的には、労働者の権利についての描写を入れたり、ディオールのマネージャーであるコルベールと心が通じ合うまでに時間をかけたり、という部分を付け加えています。―本作の大きな見どころは、現在の貨幣価値で250~400万円ほどになる美しいドレスの数々。今回はディオール全面協力のもとで一緒に仕事をされましたが、そのなかで感銘を受けたことはありましたか?監督まず、ディオールの人たちはメゾンの歴史というものをとても誇らしく思っており、アーカイブだけを集めたビルがあるほど。今回は、そこのトップが映画のプロジェクトに歴史的観点から関与してくれることになりました。幸運なことに、過去に作られたドレスを見せていただくことができたので、そのときに見た手縫いのビーズやベルベットからインスピレーションを得て、劇中の「テンプテーション」というドレスを作っています。当時は女性らしいフォルムを祝福するようなドレスが数多くあり、なかには何メートルもの生地を使った贅沢なドレスもあったほど。どれも興味深いものばかりでしたが、そういったものを参考にしながらディオールが愛した花や彼ならではの要素を取り入れていきました。ディオールすべての歴史にアクセスさせていただくことができ、本当にありがたかったです。そんなふうに、ディオールに関することは、実際にあったことを忠実に描くように心がけました。「ありのままの自分でいいんだ」と感じさせてくれるはず―また、ハリスは非常に魅力的なキャラクターですが、あんなふうに自分らしく好きなものを追い求めることはなかなか難しいことです。もし、彼女のようになれるヒントがあれば、教えてください。監督アメリカで公開されたときには、「ハリスはこの夏一番のスーパーヒーローだ」と評価してくれたメディアもあったほどですが、彼女のスーパーパワーというのは、人々が被っている“仮面”を取ってくれるところ。「ありのままの自分でいいんだ」とみんなに感じさせてくれるキャラクターだと思っています。とはいえ、ハリスも最初は周りから言われることに対して受け身の女性。ただ、パリでの冒険を終えて成長した彼女は自分自身に自信を持ち、自分の意見をしっかりと伝えられる強さを持てるようになるのです。それは、ありのままの自分でいることによって周りがどんな反応をするのかを目の当たりにしたからではないでしょうか。そんなふうに社会で報われることを知ったからこそ、自分に正直でいることの大事さを学ぶことができたのです。これはまさにこの映画の中心的なメッセージでもありますが、ハリスからみなさんに向けて「あなたもありのままの自分でいたらどうですか?」という挑戦状でもあります。ぜひ、日本の素敵な女性たちにもそのことを伝えたいです。年を重ねることの美しさを感じてほしい―確かに、他人の目を気にしがちな日本の女性たちには感じてほしいところです。ちなみに、日本に対してはどのような印象をお持ちですか?監督日本には何度か行ったことがあり、そのたびに日本の文化や国自体に魅了されています。歴史がありますし、豊かさに感銘を受けているところです。やはり欧米とはまったく違う文化なので、そういったところに面白さを感じて惹かれているのかなと。もっと日本の慣習についても知りたいなと思っています。また、普段から大好きでよく食べているのが日本食。日本に詳しい友人もたくさんいるので、日本食のレストランに行くときは、シェフが日本人かどうか、お客さんに日本人が多いかどうか、といったところをしっかりと見極めながら、なるべく本物の日本食に近いものを選んで楽しんでいます。―それでは最後に、ananweb読者に向けてメッセージをお願いします。監督この映画では、他人からどう見られているかどうかについても深く掘り下げて描きました。僕からすると、女性はある程度の年齢になると存在を忘れられてしまうようなことが多いと感じていましたが、本来大事にすべきなのは、年齢とともに得られる賢さではないでしょうか。そういったこともあり、年を重ねることの美しさを祝福するような映画にしたかったので、ぜひそのあたりも感じていただけたらうれしいです。諦めない気持ちが奇跡を起こす!先行き不安な時代のなかで、夢を見つけること自体が難しいと感じるときはあるものの、いくつになっても夢を追いかける大切さを教えてくれるハリスの姿。どんなに苦しいときでも、勇気と優しさを持って一歩を踏み出せば、きっとあなたの人生も美しいドレスのような輝きを放つはずです。取材、文・志村昌美胸がときめく予告編はこちら!作品情報『ミセス・ハリス、パリへ行く』11月18日(金) TOHOシネマズ シャンテ、渋谷ホワイトシネクイントほか全国ロードショー配給:パルコ、ユニバーサル映画️©2022 FOCUS FEATURES LLC.
2022年11月17日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第125回は、思いがけない相手に好意を持たれて、行き過ぎた行動をされて「ゾッとした」という女性たちのエピソードをお届けします。1.気づくと後ろにいる恋活や婚活、職場など、さまざまなところに出会いのもとがあります。自分が思いを寄せることもあれば、逆に、思いがけない人が自分に好意を寄せていたということもありますよね? そんな思いがけない相手に好かれ、さらには行き過ぎた行動にゾッとしたというひとつめは、“気づくと後ろにいる”というお話。Aさんは、出会いを求めて、婚活パーティに参加しました。そのパーティではフリータイムが多く、自由に会場にいる男性たちと会話することが可能。がんばってパーティに参加したものの、Aさんはどちらかというとおとなしい性格で、なんとか男性たちと挨拶まではできても、そこから先はほぼ聞き役にまわっていたそうです。パーティも半ばに差し掛かった頃、Aさんは、どのグループの男性と話していても、振り返ると必ず後ろに立って一緒に話を聞いている男性の存在に気づきます。最初は「偶然かなあ…」と思っていた、Aさん。でも、トイレに行って会場へ戻ろうとしたときに、なんとトイレの前でその男性がAさんを待ち伏せ。唖然とするAさんと目が合うと、ニヤッと笑って、Aさんの後ろをついてくるのです。怖くなったAさんは早足で会場へ戻りましたが、他の男性と会話していても、やはり後ろにいる男性。間に割って会話に入るでもなく、積極的にAさんに話しかけてくるでもなく、ただただ後ろに立って、ジッと見つめてくる男性に「心底ゾッとした」というAさんなのでした。その後帰宅するときは、何度も後ろを振り返りながら帰って、すごく疲れたそうです。このときはその場だけの出来事で済みましたが、初対面同士でどんな人がいるかわからないため、用心するに越したことはありません。2.なぜか住所を知られていたBさんは、転職したばかりの会社に早く慣れようとがんばっていました。婚活の女友達同士で集まったときは、同世代の男性はいるけれど恋愛対象になるような人がいないと嘆いていたBさん。だから、プライベートではやはり婚活しなきゃという話をしていました。でもあるとき、Bさんが職場の飲み会に参加した際、同じ部署の男性とツーショットになる機会があったのだとか。その際、「仕事には慣れた?」と聞かれて「なんとか」と応えながらも、次に「に住んでたら、出勤するときも電車が混んでるよね?」と、具体的な町名まで言われたそうです。話しながら、どこに住んでるって話したかな…? と記憶を辿っていたBさん。すると、その男性は「住んでるのってマンションでしょ、オートロックなのかな?」などと、聞いてきたそう。ギョッとして、「なんでそんなこと聞いてくるんですか!?」と聞き返すと、ちょっと聞いただけだろと逆ギレされたのだとか。怖くなって、飲み会では一気にテンションが下がったそう。後日職場の別の女性に相談したところ、その男性は、毎回新しく入ってきた女性の住まいや好みを本人やまわりの人たちに探りを入れて調べたり、時間があるときは女性の帰宅時についていったりするような人だそうです。本人は、職場に来た新しい人を守るためにやっている、という謎理論を展開していたらしいのですが…。Bさんは、上司から男性に注意してもらい、その後は踏み込みすぎるプライベートの詮索はなくなったのだとか。でも何も非はないBさんは、なぜか居心地が悪い感じがして、結局はその職場もやめてしまいました。その男性はギリギリのところで話が通じる相手だったのかもしれませんが、ストーカー気質の男性には、くれぐれも気をつけたいところです。3.勝手に仲が良いと言いふらすCさんは、ご両親がお酒が好きだったそうで、自分自身も大人になると自然と飲むのが好きになったという女性。趣味のジョギングでは、毎日同じところを走っていると顔見知りもできて、飲むことが好きなので男女問わずわいわい集まって飲むことも多いのだとか。とはいえ、仕事が多忙になると飲み会までは参加できないときもあり、久しぶりに集まりに出てみると「今日来てないけどくんとイイ感じなんだって!?」と、その日は不参加だったジョギング仲間の男性の名前を言われたそうです。まったく身に覚えのなかったCさんはすぐ否定したものの、仲間内でふたりが噂になっていたのは、その男性が勝手に「Cさんと仲が良くて付き合うかも」と言いふらしていたことが判明。その後いろいろな人たちの話をまとめると、彼が一方的にCさんに好意を寄せていたために、他の男性を寄り付かせないようにした話のようでした。好意を持つのはいいとしても、本人にまったくその気がないときに、一方的に親密ぶりをアピールされて困惑したCさん。直接その話を男性に確かめると、「え? だって、俺たちもう付き合ってるようなもんでしょ」と、まるで付き合うことが当然というように悪びれもなく迫られ、怖くなったそうです。結局Cさんのほうからジョギングコースも変え、飲み会にも行かなくなりました。なんだか腑に落ちない結末ではありますが、ちょっと違う感覚の相手とは、距離を置くのに越したことはありませんよね。望まない人物に好かれてしまったら、すぐに離れて、安全地帯に居たいものです。次こそ、心から安心できる素敵な恋ができますように!文・かわむらあみり©LittleCityLifestylePhotography/Getty Images©South_agency/Getty Images©Jamie Grill/Getty Images文・かわむらあみり
2022年11月16日いよいよクリスマスまであと1か月ほどとなり、今年はどんなふうに過ごしたいかと考え始めている人も多いのでは?そんななかご紹介する映画は、衝撃的なクリスマスの夜を描いた話題作です。『サイレント・ナイト』【映画、ときどき私】 vol. 531イギリス人夫婦のネルとサイモンと3人の息子たちは、田舎の屋敷でクリスマスのディナーパーティを開こうとしていた。そんな彼らのもとに集まって来るのは、学生時代の親友たちとその伴侶。子どもを含む12人の男女は、久々の再会を楽しんでいたが、今年はいつものクリスマスとは違っていた。なぜなら、あらゆる生物を死に至らしめる謎の猛毒ガスが地球全土を席巻し、明日にもイギリスに到達するという。パーティを満喫した後、大人たちは政府が配布した自殺用の薬を飲み、ともに“尊厳ある死”を迎えるという協定を結んでいたのだ。度重なるトラブルが勃発するなか、毒ガスの脅威は間近に迫っていた……。夫婦役を演じたキーラ・ナイトレイとマシュー・グードをはじめ、『ジョジョ・ラビット』の天才子役ローマン・グリフィン・デイヴィスやリリー・ローズ・デップといった豪華キャストが集結している本作。今回は、こちらの方にお話をうかがってきました。カミラ・グリフィン監督これまでにいくつかの短編映画を手掛けたのち、ついに念願の長編映画監督デビューを果たしたグリフィン監督。実は、本作に出演しているローマンと双子の弟たちの母親でもあります。そこで、現場での様子から子育てで大切にしていること、そして日本の女性たちに伝えたい思いなどについて語っていただきました。―劇中では、一年でも一番楽しいとされるクリスマスと人類滅亡の日が同時に起こる様子が描かれており、その組み合わせがとても皮肉に感じましたが、どうしてこのような設定を思いついたのでしょうか。監督クリスマスというのは、家族が集まったり、「しばらく会っていないあの人は元気かな」と考えたりするので、楽しい時間であると同時にセンチメンタルな気持ちになる時期。そんなふうに、いろんな感情が高まる日でもあるので、一見反対のようですが、攻撃を受けるにはぴったりの日ではないかと感じてクリスマスにしました。―本作はコロナ禍の前に制作していたオリジナル作品ですが、実際に劇中と同じようなパンデミックが起こり、さらにロシアの陰謀に関する描写もあります。いろんなことが現実とリンクしていますが、いまの社会情勢のなかで公開されることをどう受け止めていますか?監督「こういう状況で映画を公開したら当たるんじゃないか」みたいな考えは一切なく、むしろコロナ禍もロシアの状況もあまりにも現実と近すぎてすごく慌てているというか、悲しい気持ちでいます。ただ、ロシアではこの作品はとても好評だったので、もしかしたらロシアの方々はこういう問題を自分たちでも考えたかったという思いがあったのかもしれません。いろんな状況が悪くなってはいますが、パンデミックが起きたことによって、世界中のあらゆる問題がよりはっきりと見えてきた部分もあったのかなと。私はそれを予期していたわけでも、予想していたわけでもありませんが、これから起こるであろうことについて話をすることは健全だと思っています。とはいえ、この作品が観る方を傷つけたり、トラウマを与えたりするようなことにだけはなってほしくないと願っているところです。同じ野心を持っている俳優をキャスティングした―非常に豪華なキャストが顔を揃えていますが、現場での裏話などがあれば、教えてください。監督今回は、ひとつのテイクが終わるごとに次の準備をし、俳優たちのところに行っては彼らの調子をチェックしていました。そのなかで、政治に関して感情的なディベートをしているときもあれば、冗談を言い合っているときもあったり、また競馬をしているときもあったり、本当にみんないろいろでしたね。ただ、私がキャスティングをするうえで大切にしていたのは、この物語に共感できるかどうか。私の考えを理解してもらえること、そしてみんなで同じ野心を持っていることを大切にしていました。それが難しい俳優はキャスティングしていませんし、結果的に同じ思いを持った人たちに集まってもらえたと感じています。―息子であるローマンくんの演技は素晴らしかったですが、親子ならではの演出もあったのか、それともあくまでも一俳優として向き合われたのでしょうか。監督ローマンは9歳のときからずっと俳優になりたいと言っており、自然に備わった才能もあったので、まずはそれを邪魔しないことが大事だと感じていました。しかも、彼は非常に感受性が豊かで、年齢のわりに成熟しているところがあるので、現場では俳優として接しています。とはいえ親子なので、当然お互いに分かり合えるところはありましたし、ほかの俳優よりもきつく言ってしまうこともあれば、撮影の合間に抱きしめてあげるようなこともありました。でも、彼はプロの俳優で、これまでもプロとして仕事をしているので、今回は私もプロの俳優として彼を演出しています。子育てで意識しているのは、自由を与えること―子どもたちの才能を伸ばすために、子育てで意識していることはありますか?監督私が実践しているのは、子どもに自由を与えること。それは親に同意しない自由や親に挑戦する自由、親が間違っていると思えば疑問を呈する自由です。それくらいお互いを尊重し合えるようなオープンな関係を持ちたいと考えています。そうすることで、子どもたちは感情的な自己というものに気づくことができると思いますし、それが大事なことなのです。うちには子どもが3人いるので、それぞれの視点が違うことによってよくケンカをしていますが、私の家ではそういうことができる自由がある環境にしたいと考えています。―また、本作では人々がさまざまな社会的重圧を抱えるなかで、どう過ごしていくのかを追求したかったということですが、そのなかでもいま監督が危機感を抱いているのはどんなことでしょうか。監督毎日いろんなニュースを追っているなかで、アメリカの人種差別やウクライナの問題、そして飢えに苦しむ子どもたちなど、どれも心が痛むものばかりで終わりがないように感じています。私自身は非常に恵まれた生活をしていますが、そうではない人たちにとってはあまりにもひどくてつらい世の中ではないかという思いでいっぱいです。特に、いまはよくなっている兆候が見えないので、自分の子どもだけでなく、その次の世代のことまで考えると心配になります。ネガティブな話ばかりになってしまい申し訳ないですが、それと同時に毎日たくさんの愛や情熱も感じているので、そういう部分は大切にしていきたいです。ほしいものがあれば、諦めてはいけない―日本についてもおうかがいしますが、日本にまつわるエピソードなどがあれば、教えてください。監督20年以上前になりますが、友達が何か月間も日本で舞台に出演していたので、実は私も一緒に1か月ほど滞在したことがありました。そのときに受けた印象は、日本というのは非常に美しくて素晴らしい国だということ。そして、日本人は自分が経験したなかでも最高のイタリア料理を作る人だということでした(笑)。いまでもあるかわかりませんが、イタリアンがたくさん並んでいるところがあり、本当においしかったです。文化体験として驚いたのは、自転車にカギがかかっていなくても安全であったこと、それからすごく礼儀正しくて、人々がお互いを尊重しているように感じたことです。おもしろいなと思ったのは、街にホームレスや危険な人がほとんどいないのに、夜になると酔っ払いがたくさん現れること(笑)。そのときに日本人というのは、マナーがあってきちんとしていると同時に、詩的で優しい人たちなんだなと思いました。―それでは最後に、仕事や恋愛に悩むananwebの読者たちにむけてメッセージをお願いします。監督私にとっての哲学は、「ほしいものがあれば諦めずに忍耐強くあること」。たとえば、私の夫は素晴らしい人ですが、ときには彼に悩まされることもあります。でも、もし彼が私を嫌になって諦めそうになっても、私は諦めませんし、彼にも諦めさせません。それは自分のキャリアにおいても言えることですが、私は何も諦めることなくやってきました。なので、諦めなければいずれよくなると私は思っています。そして、私からすると女性というのは年を重ねるにつれて、物事がよくなっていくもの。女性であることは非常にラッキーなのではないかとさえ感じています。そのなかで、自分をサポートしてくれる友達を作り、お互いに支え合っていってほしいです。それから、自分を受け入れることと、自分の不完全さを愛することも忘れないでください。現実とリンクして、リアルな感情が湧き上がる!刻一刻と近づく死の恐怖がもたらす緊張感がありながら、ブラックユーモアとの絶妙なバランスも堪能できる本作。まるで未来を予言したかのような驚きの展開は、これまでのクリスマス映画とは一線を画する1本です。取材、文・志村昌美衝撃の予告編はこちら!作品情報『サイレント・ナイト』11月18日(金)グランドシネマサンシャイン 池袋ほか全国公開配給:イオンエンターテイメント、プレシディオ️© 2020 SN Movie Holdings Ltd
2022年11月16日上野の国立科学博物館で、「毒」をテーマにした特別展が開かれています。オフィシャルサポーターは、クイズ王の伊沢拓司さん。内覧会に登壇した伊沢さんのトークとあわせて、展示の様子をレポートします!伊沢拓司さんがオフィシャルサポーター!伊沢拓司さん【女子的アートナビ】vol. 268特別展『毒』では、自然界に存在するあらゆる毒について、国立科学博物館(通称:科博)のスペシャリストたちが徹底的に掘り下げ、わかりやすく解説。動物、植物、菌類、鉱物、人工毒などあらゆる毒について、標本や模型、資料など約250点の展示物を見ながら、毒の奥深い世界を楽しめます。本展のオフィシャルサポーターは、東大クイズ王としておなじみの伊沢拓司さん。子どものころから科博に通っていたという伊沢さんは、「大好きな科博のサポーターになれて子ども時代の自分に自慢したい」とうれしそうな様子。さらに、展覧会の魅力を次のように語りました。伊沢さん毒のイメージは、子どものころから図鑑で見て、怖いし危ないと思いながらも、知りたくなる要素もある。刺激的で、興味をそそられ魅かれてしまう存在です。会場の展示は非常に重厚で、幅広いジャンルの先生方が集まり、毒についてありとあらゆるものが語られています。たくさんの標本やモデルもあって、子どもから大人まで楽しめるギミック(仕掛け)がある。僕は展示を見るのに3~4時間はかかると思う(笑)。毒クイズも楽しめる!また、会場では、伊沢さんが率いる東大発の知識集団QuizKnock【クイズノック】が作成した毒クイズも楽しめます。クイズについて、伊沢さんは次のようにコメントしました。伊沢さん毒クイズは、展示を見ながら解けるので、答えを探してみようという目線で見ていくと興味がわくと思います。毒展は、もしかしたら、子どもに見せたくないと思う方がいるかもしれませんが、大事なのは正しく知って正しく恐れること。展示の中では、毒も薬になるという要素だとか、毒の利用、人間と生物の毒の付き合い方の話もあります。ただ何となく知らずに恐れるのではなく、毒について魅力的な要素から入り、正しく知る。毒から逃れられないからこそ、うまく付き合う知識を入れていただきたいです。かなり役立つ!毒知識特別展『毒』展示風景では、展示のなかから、いくつかピックアップして見てみます。前半の第2章「毒の博物館」で個人的に一番興味を引いたのは、身近な植物の毒。ふつうに食べるインゲンマメやビワなどが並び、それらの持つ毒について説明が書いてあります。例えば、インゲンマメの果実については、「熟した豆は十分に火を通さないと中毒する」と記載。また、ウメやビワなどの果実は未熟だと毒性があり、いっぽうモロヘイヤの種子は熟すと有毒になるそうです。毒知識、役に立ちます。特別展『毒』展示風景菌類のコーナーでは、もちろん毒キノコも登場。「派手な色のキノコは毒キノコ」、「虫食いのあるキノコは食べられる」などの迷信はすべてウソ、とのこと。地球上には推定10万種以上のキノコが存在し、そのうち大半は食毒不明で、食毒があるか見分ける方法もないそうです。気をつけましょう。人間が作った「毒」…特別展『毒』展示風景さらにショッキングだったのが、人間が作った毒のコーナー。海洋中に漂う殺虫剤やダイオキシンなどの汚染物質が、自然界で分解されないプラスチックの小さな粒「マイクロプラスチック」に吸着し、それらを海洋生物が誤食。食物連鎖の過程で毒が濃くなり、最終的に化学物質が体内に蓄積された魚を人間が食べるという結果になっています。レジ袋などのプラスチックゴミも、殺虫剤もすべて人間が作ったもの。レジ袋は環境によくない、とわかっていたつもりでも、科学の視点できっちり解説されると改めて恐ろしいことだと実感します。正しく知ってうまく付き合う、という伊沢さんのコメントが身に沁みました。役に立つ毒も!特別展『毒』展示風景最終章では、役に立つ毒も紹介されています。例えば、アオカビの一種から発見されたペニシリンは、バクテリアの生育を抑える物質。人間にとっては薬でも、バクテリアにとっては「毒」になります。本展の監修者で国立科学博物館の植物研究部長、細矢剛さんは「毒と向き合う姿勢は科学そのもの。毒とうまく付き合うのが我々に求められるもの」と語っていました。迷信やウソにだまされず、科学的な視点できちんと理解することの大切さを本展で体感できました。特別展『毒』は2023年2月19日まで開催。Information会期:~2023年2月19日(日)休館日:月曜日、12/28~1/1、1/10(ただし、1/2、1/9、2/13は開館)会場:国立科学博物館開館時間:9:00-17:00(入館は16:30まで)※最新情報などの詳細は展覧会公式HPをご覧ください観覧料:一般・大学生 ¥2,000、小・中・高校生¥600※日時指定予約制
2022年11月13日冷えが厳しくなる冬はいつも決まって、ロングブーツかスニーカー。そんな方も多いのではないでしょうか。しかし、足元のコーディネイトがマンネリ化するとそれに合わせる服装もワンパターン化してしまいますよね。そこで今回は、スニーカーやブーツ以外も楽しめる!おしゃれな冬の足元コーデをご紹介します。ローファー×ソックスみんな大好き!定番のフラットシューズといえば、ローファー。トラッドな雰囲気を持ち合わせながらも、ストレスなく楽に履ける優秀アイテムです。しかし、冬はどうしても肌が見える部分から寒くなるので、真冬はローファーを避ける方も多いのでは?そんな寒い冬だからこそ楽しめるのがローファー×靴下の組み合わせコーデ。クラシカルな印象を持つローファーには、アクセントが効いたおしゃれでポップな柄の靴下がピッタリ似合います。チラ見せ程度とはいえ、あまり派手柄が得意ではないという方はローファーの色と似た系統の色の靴下を選んで統一感を出すと派手な印象を抑えられます。好みやその日の気分で組み合わせを楽しんで。ボトムスはパンツのほうが防寒対策に最適。とくにローファーと相性の良いセンプレパンツ、ワイドパンツ、タックパンツでトラッドな雰囲気に寄せてみると良さそうです。パンプス×レッグウォーマー今シーズンはいつものコーデにひとつプラスするだけでおしゃれさがぐっと高まる冬小物が多く登場!そのうちの人気アイテムのひとつがレッグウォーマーです。アラサー世代からするとちょっと懐かしのレッグウォーマーですが、今っぽく履きこなすポイントさえ押さえれば、大人の女性でも似合うレッグウォーマーの足元コーデが完成します。おすすめの組み合わせは、上品なパンプスにレッグウォーマーを組み合わせたスタイル。レッグウォーマーは過度なボリュームはNGですが、くしゅくしゅとたるむ程度のルーズ感は必須です。リブタイプのレッグウォーマーがは程よく引き締まりがあるので、脚を細見えさせたい方におすすめ。ワンピースやスカートに合わせるのはもちろんOKですが、スキニーパンツの上からONもしくは裾幅の広いパンツの下からチラリとレッグウォーマーをのぞかせるスタイルもおしゃれで可愛いです。レッグウォーマーは足の甲がほんの少しだけ見える12分丈の長さがトレンドです。防寒対策にレギンスをプラス!靴下やレッグウォーマーコーデはおしゃれで可愛いものの、ボトムスの隙間から風が入りこむと膝や太ももといった脚の上部が冷えてしまいますよね。そんな時はレギンスを併用するのがおすすめです。パンツやスカートの下に裏起毛のレギンスを仕込み、その上で靴下レッグウォーマーを履けば見えている部分はかわいい上に脚全体もしっかり暖かさを保持できます。ぜひ、今年の冬はスニーカー・ブーツ以外の足元コーデにも挑戦してみてくださいね。文・イラスト 角 佑宇子
2022年11月12日ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのファッションスナップレポートです。今年も目が離せない海外インフルエンサーのコートをチェックしてみました。もはや定番中の定番!ベージュトレンチコート毎年ベージュのトレンチコートは、どんどん新しく進化し、着こなしかたも変わってきますが、基本的な人気カラーとデザインはほぼ一緒。今年も長めのベージュトレンチは欠かせません!ゴージャスに大胆に!色と柄で勝負!個性的なファッションがお好きな方には、今年はぜひ色と柄モノにチャレンジ、個性的なコートを見つけてみてください。アウターが変わると全体的な雰囲気が一気に変わるので、この時期はアウターを何枚持っていても重宝します。色付きビーガンレザーコートは海外で大人気!本革コートも今だに人気ですが、やはり最近はビーガンレザーコートを着用する人が多いようです。また、ブラックやブラウンといった定番カラーよりも、遊び心のある色でファッションを楽しんでいるよう。王道ブラックで凛としたスタイルに全体的にブラックで統一しているのに、重く感じないのは不思議!足元がスッキリしているのもそうですが、素材違いのブラックの反射を上手に使って、バランスを保っているように見えます。かっこいい!アニマル柄の大胆なコートも人気!とっても大胆だけど、色も統一されていてスッキリとして嫌らしさもなく素敵ですよね!なかなか着こなしは難しそうですが、チャンスがあればぜひトライしてみたいデザインです。どんな色にも合わせやすいカーキが今年は一押し!私の一押しではあります、まだカーキ色のコートをお持ちでない方は、ぜひ今年はおすすめしたい!カジュアル感が強いように感じますが、カーキはアイボリー系との相性がいいだけでなく、ブラウン系やネイビー系ともマッチしやすいので、オフィス通勤やイベント、プライベートと広く使えてかなり重宝します!今年も定番コートが人気になると予想していますが、今年は少し他の人と違うコートをお探しの方には、カラーで遊んだ柄を選んでみてください。写真・平野秀美
2022年11月12日2022年、この時期に欠かせない最新ブーツスタイル10選を写真で一挙にご紹介!2022年、最新ブーツスタイル10選の詳細を知りたい人は、こちらからチェックして。ホワイト系ブーツは、定番人気に!ショートアンクルブーツがお洒落!今年も外せない!ニーハイブーツどんなスタイルにも合わせやすいアンクルブーツ今年の流行りが全て詰まったハイブーツ!ヘビ柄は今もこれからも人気!
2022年11月10日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第124回は、婚活していると出会う“男性”についてのエピソードです。なかでも、いまでも印象に残っている「婚活男性3選」その42をお届けします。1.固定観念が強すぎる男【結婚引き寄せ隊】vol. 124それは30代から40代の男女が集まる婚活パーティに参加したときのこと。40代前半の真面目そうなサラリーマンの男性と自己紹介することになり、まずプロフィールを書いたカードを交換。そのプロフィールカードには「自己PR」を書くところがあって、真面目そうな男性は、「今後も仕事一筋で邁進してまいります。僕がしっかり働くので、妻にはしっかり家庭を守ってもらいたいです」というようなことをカードに書いていました。話してみると、「結婚したらいつ仕事を辞める予定ですか?」「料理はどのくらいできますか?」などと、こちらが仕事を辞めるとも料理の話も何も言っていないのに、前置きなしにどんどん突っ込んで質問してきます。…なんだかなぁ。マイペースすぎる会話にも引き気味でしたが、自己PR内容や会話からも、絶対に亭主関白タイプだろうと判断。独身のときからもう「女性はこうあるべき」「男性はこうあるべき」と、家庭での役割を決めつけて相手選びをしているなんて、ちょっと話しただけでもドッと疲れてしまいました。真剣だからこその確認事項でしょうが、初対面から固定観念を見せつけられると、ついていけないなと思ったのでした。2.守りたい男それは20代から40代までの幅広い年代のシングル同士が集まる飲み会に参加したときのこと。飲み会も半ば頃になってくると、だんだんとほろ酔いになってくる参加者もいて、各テーブルはおおいに盛り上がっていました。ほどよくみんなが仲良くなってきた頃、向かいの席に30代半ばのふくよかな男性が座ることに。見ているだけで「いい人そう」と思えるほど、ニコニコと笑顔を絶やさない男性。ちょうどそのテーブルでは、「好みのタイプは何?」という話題になっていました。それぞれの好みを話し、ああでもないこうでもないと言っていると、次はその男性が好みを言う番になり、「女性らしい人がいいですね」とのこと。お酒の勢いもあるのか、まわりも「女性らしいってどんな人?」「具体的に」などと矢継ぎ早にツッコみ、その男性は「僕が守ってあげたくなるような人です」と即答しました。どうやらその男性にとっては、女性は守るべきか弱い存在で、常に自分が守り抜く覚悟があると豪語。頼もしい発言ながら、その男性にとっては、か弱くないと女性と認識されないのかも…と、ちょっと引いてしまったのでした。3.消費税まで割り勘の男それは婚活パーティで知り合った30代後半の男性と、ふたりで会うことになったときのこと。そのパーティでは、自己紹介やフリータイムを経て、最終的に気になる相手を紙に書き、マッチングしたらカップル成立という内容でした。無事にマッチングしたその男性と、あらためて休日に会ってみたら、ちょっとイメージが違う感じ。パーティのときはスーツ姿だったからキリッとして見えていましたが、その日は着古したようなポロシャツによれっとしたデニムパンツ。なんだか別の人みたい。カフェに入って話していても、あんまり会話が噛み合わず、いまいち盛り上がりに欠け、ひたすらコーヒーをゴクゴク飲み続けるという…。最後にお会計となって、サッと席を立ちササッと支払っている男性。もしかしてお茶代を出してくれたのかな? と内心思っていたら…「半分出しておきました」と、笑顔。へ? と思いお会計しようとすると、きっちり合計額から半額のみ支払っていた男性。もちろんこちらも、タダ飲みしようなんて思っていませんよ、自分が飲んだ分は自分で出します。でもね、こちらが飲んだホットコーヒーより、そちらが飲んだアイスコーヒーのほうが値段が高いから。なのに合計から半額支払うって、わなわなしているわたしをヨソに、「また連絡しますね!」と急ぎ足で帰っていく男性。なぜかその後も連絡が来ましたが、もちろん即、お断りしたのでした。婚活していると、時にびっくりするようなタイプの男性に出会うこともあります。でも、めげずに前向きでいれば、いずれ自分に合う人が現れるはずです。みなさんの恋がうまくいきますように!文・かわむらあみり©Morsa Images/Getty Images©gollykim/Getty Images©miniseries/Getty Images
2022年11月06日ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのファッションスナップレポートです。今回は上品で大人っぽい花柄ワンピーススナップをいくつかご紹介します。あなたはどの花柄ワンピースがお好きですか?品あるブラック&プリーツワンピースこちらの上品なプリーツにベースがブラックカラーのワンピースは、落ち着いて見えるのでTPO関係なく使える1枚。鮮やかなピンク&シルキースタイルこちらはより女性らしい鮮やかなスタイル。一瞬で華やかなムードになる明るいカラーのワンピースは、パーティなどで人気が出そう。大胆な大ぶり花柄が印象的!ブラックとレッドの甘辛な色の組み合わせは、色がはっきりとしているので、イベントやパーティなどで印象を残せそう。濃い色の組み合わせだけあって、その他の小物はシンプルで落ち着いた色にするといいようです。シャツ風ワンピースも大人っぽく!よく見ないと花柄とはわからないですが、シャツ風ワンピースは落ち着いた雰囲気。オフィスやデート、ちょっとしたお出掛けなどにピッタリ。小さな花柄がやっぱり可愛い!最後に、こちらはデンマークでもよく見かける小さな花柄のロングワンピース。カジュアルに着こなせるけど、小物次第でどんな時にでも着用できる、着回し優秀ワンピース!1年中着こなせる花柄ワンピース。今回は長袖ワンピースが多めでしたが、どの季節とも合い、女性らしく素敵な印象に魅せてくれるのが花柄。好きなデザインがあれば、複数持っておくと急なパーティやイベントにも困らず重宝しますよ!ぜひ参考にしてみてください。写真・平野秀美
2022年11月05日