意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「1人当たりGDP」です。国のGDPは世界3位でも、個人は下がる一方。GDP(国内総生産)は、その年にどれくらいの経済成長をしたかを見るための指標。経済成長は、新しい付加価値をどれほど生み出せたかによって測られます。それはたとえば、今まで100円で売っていた飲料に、技術革新で新しい機能性を加えて商品価値を上げ、150円で販売するというようなこと。そんなふうに「昨日よりもちょっと違う何か」を積み重ねていったものが経済成長なんです。2019年1~3月期のGDP成長率は、実質0.6%上方となりました。しかし、上向きを手放しでは喜べません。なぜなら内情は、輸出が増えただけで、内需(国内の需要)は増えていない。付加価値のついたものは高くて買えないくらい、日本の国民生活が弱っているからです。日本の、国のGDPは世界第3位にとどまっていますが、1人当たりのGDPは下がり続けて26位。国民一人一人の稼ぐ力、新しい価値を生み出す力が落ちているんですね。秋には消費税の増税を予定しており、今月の参院選では、増税に賛成か反対かが争点になると予想されます。しかし、仮に増税しなかったとしても、個人が付加価値を作り出して稼ぎが増えないことには、国の借金はいつまでたっても減りません。もっと根本的な解決策が必要です。副業・兼業について規定が新設され、働き方改革の流れもあり、一企業に一生を委ねる社会ではなくなりました。ならば、個人がもっと稼ぎ出す力をつけなければいけない。それには、どういう社会の仕組みが必要なのか。政治家のみなさんには具体策を打ち出していただきたいです。大学で職業訓練を受けたり、専門技術を学べる教育プログラムを作ることかもしれませんし、ロストジェネレーションと呼ばれる30代後半~40代の人材活用や再教育が必要なのかもしれません。みなさんも、自分ならどんな「昨日とは違う何か」を生み出せるか、考えてみてください。経験や特技を生かして、きっと何か新しい価値を見いだせるはずです。それは、ワクワクする創造的なことなのだと思います。1人当たりのGDPを伸ばして、生きやすい社会にしましょう。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年7月17日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年07月12日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「米中貿易摩擦」です。アメリカも中国も譲らない状態がまだまだ続きそう。先日福岡で開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議で、多くの国から、アメリカと中国の貿易摩擦が激化すれば、世界経済に大きなリスクを負わせるのではという意見が出ました。関税を巡る米中の貿易摩擦が表面化したのは昨年からです。トランプ大統領は就任前から、アメリカの貿易赤字を問題視しており、輸入品に高い関税をかけ、自国製品が売れるようにしたいと考えていました。昨年7月、中国製品に高い関税をかけ始めたところ、中国は反発。アメリカからの大豆や牛肉などに高い関税をかけ、対立が加速したのです。今年になり、アメリカは、「中国製の携帯電話はアメリカの技術を盗み取ったもの」と、中国の特定企業との取引を停止させました。対する中国は、半導体の元となる「レアアース」のアメリカへの輸出制限を示唆。アメリカは中国からの輸入品のほとんどの関税を引き上げましたが、さらに3000億ドルに相当する品目も、最大で25%まで引き上げるかどうか、6月末に決めると発表しました。『ウォール・ストリート・ジャーナル』の記者は、両者の勝負はしばらく膠着状態だろうと見立てており、中国研究の第一人者・遠藤誉さんは、「GDPで世界1位になるまで中国は退かないだろう」と話していました。中国外務省は先日、「米国が貿易摩擦を激化させたいのであれば、断固たる決意で対応する」と強い態度を示しました。いま中国は一帯一路構想により、アジア、中東、ヨーロッパ、アフリカまでの巨大貿易ルートを確保しようとしています。各国に巨額の支援や融資を施し、中国側に引き入れようと画策。例えばカンボジアのフンセン政権は、中国の支援に対し、プノンペンに中国人のための街を建設。強制退去させられた地元の人々の不満が募っています。アメリカもまた、中東地域の戦争や、自国内でも不法移民問題で人権を抑圧。人々の不満が積もれば、いつかほころびを見せるのではないでしょうか。いまこそ日本には、目先の利益にとらわれず、人権を守る協調体制が求められます。アメリカや中国、その他の国々との橋渡し役になることが、長期的には自国を守る術にもなるでしょう。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年7月3日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年06月28日「10月1日に消費税を10%に増税することは、法律で定められていて、増税を延期や凍結するには、法改正が必要になります。今国会は6月26日に閉会しますから、6月中旬ごろが、決断のタイムリミットでしょう」そう語るのは、昨年11月に『「10%消費税」が日本経済を破壊する』(晶文社)を上梓した京都大学大学院教授の藤井聡さんだ。第2次安倍内閣で6年にわたり内閣官房参与を務めたが、増税などに反対する「言論活動に注力するため」、昨年12月に参与の職を辞した。「“たった2%”の増税と楽観する人も多いようですが、私たちの生活に破壊的な影響を与えます。’97年に消費税が3%から5%に上がったときを例にしましょう。消費税3%が導入されたのは’89年ですが、このときは経済も大きく成長し、物価も上昇していました。一方、’97年の増税は、物価が下落(デフレ化)する局面で行われました。消費税はいわば消費への“罰金”のようなもので、消費を減退させる効果があります。この増税で、日本は深刻なデフレ・スパイラルに陥ったのです」消費が縮小すると物価は下落し、企業業績が悪化する。そうなれば、給与カットやリストラされる人が増え、ますます消費が縮小して、物価を下落させる。これがデフレ・スパイラルだ。GDPの6割近くを占める個人消費の落ち込みは、それだけ深刻な影響を経済に与えるのだ。「バブル崩壊後も、日本経済は鈍化しつつも成長し続けていましたが、5%への増税によって衰退が始まりました。1世帯あたりの平均所得は、増税を機に年間数万円、多いときで約20万円も減っていった。ピーク時の’94年には1世帯あたり年間664万円あった平均所得は、’13年には529万円と、135万円も減少しています。“失われた20年”は、消費税の増税が原因だったのです」’97年の増税の直後に、一時的に税収が上がったが、翌年から下がりはじめ、増税からわずか6年で10兆円も税収が減ってしまった。結局、消費税増税が招いた不景気のために、税収が減ってしまったのだ。さらに、「リストラが横行し、自ら命を絶つ人が急増した」と藤井さんは指摘する。’96年には2万3千104人、’97年には2万4千391人だった自殺者は、’98年には3万2千863人に増えている。「20年近くにわたり2万人強を推移していた年間の自殺者数が、’97年を機に、3万人強へと1万人も増えてしまった。その後14年間、3万人を下回ることはありませんでした。“たった2%”の増税が、十万人単位の国民を“殺した”のです」’14年の8%への増税も、消費を大きく悪化させている。増税直前には369万円あった1世帯あたりの消費支出は、現在335万円。つまり、私たちは消費税のために34万円も “貧しい暮らし”を強いられるようになった。それでも、政府や財務省は「増税の影響は軽微」と、日本は好景気だと喧伝してきた。「数字上はそうなっていたのは、世界景気が好調なため、輸出が伸びていたからです。日本のGDPは増税前と比べて、4年間で約18兆円増えていますが、そのうち約15兆円が『輸出』の増加です。これを除けば、実質的な『ゼロ成長』と言ってもいい。さらに、『輸出』には波及効果がありますから、世界経済の状況次第では、ゼロ成長どころか『マイナス成長』になっていた可能性が高い」日本の輸出産業を支えてきた世界経済にも陰りが見えている。5月上旬に再燃した米中貿易摩擦の影響などによる、世界的な同時株安が懸念されている。「現在の状況は’97年の増税時の状況に似ています。このタイミングでの10%への増税は日本経済を徹底的に破壊し、日本をますます貧しくしてしまうでしょう。デフレ下の消費税の増税はけっしてやってはいけない愚策。過去の過ちを繰り返してはならないのです」消費税の増税によって、この20年間で日本の所得は2割減となっている一方、世界経済は成長を続け、この20年間に2.4倍に拡大した。「日本での初任給は20万円ほどですが、中国やアメリカの一流企業では50万円になっています。オーストラリアではラーメン店のアルバイトの時給が2千500円にもなった。日本はもう豊かな国とは言えないのです。“インバウンド景気”などと言われるのも、単純に世界が豊かになるなかで、日本が貧しくなり、観光客が来やすくなっているために過ぎません」
2019年05月16日テレビでは軽減税率の特集が組まれ、コメンテーターが日本の財政赤字の多さを強調する……。増税やむなしと思っているそこのあなた、財務省にだまされています!そこで識者が緊急提言・10月消費税10%はいますぐ凍結を!■「増税で軍備が増強される」浜矩子・同志社大大学院教授「GDP(国内総生産)に対して、借金が2.5倍もある日本の財政状況は、立て直す必要があります。いずれ消費税の増税はやむを得ないと思いますが、安倍政権での増税には強く反対します」経済学者で、同志社大学大学院教授の浜矩子さんは語気を強める。「安倍首相は、ことあるごとに『強い日本を取り戻す』と発言しています。たとえば、’15年に“アベノミクスと外交、安全保障政策は表裏一体”と、経済を強くして、国防費を増やすという主旨の発言もしています」昨年9月、トランプ大統領は安倍総理との会談後に「日本はすごい量の防衛装備品を買うことになった」と発言。その後、1機100億~150億円もするF35戦闘機を、アメリカから105機も購入する予定であることが明らかになった。「世のため、人のための増税なら理解できますが、私には、安倍首相は“富国強兵”を目指しているとしか思えません」今年10月に幼児教育・保育無償化が始まるが、これも消費税の増税を見越したものだ。「もともと社会保障と税の一体改革のために増税するといわれていたのに、教育無償化することに目的が広がってしまった」子育て世帯にとってはうれしいことだが、懸念があるという。「私は、タダより怖いものはないと思っています。政府がより教育に干渉し、森友学園のように、教育勅語を暗記させるような教育が全国に広がることを警戒します。このような“21世紀版大日本帝国”を目論んでいるとしかみえない現政権による増税には反対です」だが一方で、日本の財政への懸念もある。「不測の事態に陥ったとき、国民や企業をレスキューするのが、国の役割です。そのためにわれわれは税金を払っているのに、現状では、むしろ国が苦しいからといって、国民がレスキューを強いられる。こんなばかな話はありません。本来の役割を果たせるような財政に立て直すことが急務です」その一つの方法が、消費増税ではあるが、一定の“条件”がなければならないという。「同時進行的に、お金のあるところから税金を集めることです。たとえば個人所得税率の上限は、もともと75%あったのが、今や45%に引き下げられています。増税とともに軽減税率をするのであれば、“重増税率”もあるべきです。明らかに富裕層しか買わないような物品には80%、90%の税率をかけてもいいでしょう。一方、食材などの生活必需品などは0%にするなど、強いグラデーションを付けることが必要だと考えています」
2019年05月16日太宰治の『人間失格』をダイナミックにリメイクした劇場アニメーション映画『HUMAN LOST 人間失格』が、2019年11月29日(金)公開。太宰治の『人間失格』"SFエンタテイメント作品"に破滅に至った一人の男の生涯を描いた太宰治の『人間失格』は、深い死生観・文学性から今なお高い人気を誇る不朽の名作。太宰治生誕110周年を記念し、日本文化の代表作が、日本最高峰のクリエイター陣によってアニメーション映画化される。試みたのは、日本の古典文学をSFアクション化させ、近未来の物語を描いた"SFエンタテイメント作品"として再構築すること。ストーリー物語の舞台となるのは、医療革命により“死”を克服した昭和111年の東京。人々は体内の“ナノマシン”とそれらをネットワークにより管理する“S.H.E.L.L.”体制の支配により、無病長寿を保証されていたが、その究極的な社会システムは国家にやがて歪みをもたらしていった。そんな世界の中で、薬物に溺れ怠惰な暮らしをおくる主人公・大庭葉藏は、ある日暴走集団とともに行動する謎の男・堀木正雄と共に、激しい闘争に巻き込まれてしまう。そこで遭遇したのは、“S.H.E.L.L.”体制から外れ異形化(ヒューマン・ロスト)してしまった“ロスト体”。間一髪のところで、不思議な少女・柊美子に命を救われた葉藏は、自らもまたヒトとは違う力を持つことを知るのだったー。怒り。悲しみ。憐れみ――絶望に呑みこまれ、血の涙とともに大庭葉藏は“鬼”と化す。 無病長寿を実現した究極の社会システムと生きる人間たちは、失格か、合格かーー。キャラクター紹介主人公・大庭葉藏(声:宮野真守)死を克服した社会で、生きる意味を見いだせない男。アトリエ兼住居のバアの2階に引きこもって絵を描き、薬物・酒・女に溺れる自堕落な生活を送っている。友人の竹一に流されるまま、暴走集団の“インサイド”突貫に参加し、未来を巡る闘争に巻き込まれる。柊美子(声:花澤香菜)ヒューマン・ロストに対抗する隠れた国家機関“ヒラメ”の女隊員。健康保障機関“S.H.E.L.L.”の広報官も兼務し、その組織によって明るい未来が来ることを信じている。また、ヒューマン・ロスト現象を感知し、抑え込む不思議な力を持っている。堀木正雄(声:櫻井孝宏)貧困エリア“イチロク”の暴走集団に出入りし薬物をばら撒く謎の男。“S.H.E.L.L.”に反発する竹一の助言者として周囲に一目置かれている。葉藏は心から信用できないものの、自分の内面を見透かされるような視線を無視できずにいる。竹一(声:福山潤)貧困エリア“イチロク”の暴走集団のリーダー。主人公・葉藏の唯一の友であり、生き方に惑う彼に絵を描くきっかけを与えた男でもある。“S.H.E.L.L.”による健康管理を不快に思い、その意志を示すべく“インサイド”突貫を試みている。そうした自分の考えを言語化してくれる正雄を尊敬している。厚木(声: 小山力也)ヒューマン・ロストに対抗する隠れた国家機関“ヒラメ”の実行部隊長。実直さと信念がある屈強な老兵。美子の親代わりで、彼女が“ヒラメ”に保護されてからずっと面倒をみている。澁田(声:松田健一郎)ヒューマン・ロストに対抗する隠れた国家機関“ヒラメ”の所長。“S.H.E.L.L.(シェル)”の信奉者で、現体制の維持継続を最優先に命令を下す。医療革命がもたらしたアンチエイジングによって見た目こそ中年だが、実際は厚木よりも年長者。本広克行×木﨑文智×冲方丁×ポリゴン・ピクチュアズスーパーバイザーには「踊る大捜査線」「PSYCHO-PASS サイコパス」などを手掛けてきた本広克行。監督は「アフロサムライ」「バジリスク 〜甲賀忍法帖〜」『ベヨネッタ ブラッディフェイト(BAYONETTA BLOODYFATE)』などのヒット作を飛ばしてきた木﨑文智が担当する。コンセプトアートは、「ファイナルファンタジーXI」や「メタルギア ライジング リベンジェンス」を生み出した富安健一郎。そして、アニメーション制作は『スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ』『トランスフォーマー プライム』などで多数のアワードを受賞しているポリゴン・ピクチュアズが担当する。脚本は「天地明察」で吉川英治文学新人賞ほか数々の賞を受賞した小説家・冲方丁が、キャラクターデザインは「PokemonGO」や「ファイアーエムブレム」などでゲームやアニメーションの登場人物を生み出したコザキユースケが手掛ける。音楽は「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズなど実写・アニメともに活躍する菅野祐悟。音響監督には海外でも活躍する岩浪美和が参加。m-floが主題歌を担当主題歌はm-floがグラミーアーティスト、J. バルヴィンをフィーチャリングに迎えた「HUMAN LOST feat. J. Balvin」に決まっている。<あらすじ>昭和111年――医療革命により死を克服し、環境に配慮しない経済活動と19時間労働政策の末、GDP世界1位、年金支給額1億円を実現した無病長寿大国・日本、東京。 大気汚染と貧困の広がる環状16号線外“アウトサイド”で薬物に溺れ怠惰な暮らしをおくる“大庭葉藏”は、ある日、暴走集団とともに特権階級が住まう環状7号線内”インサイド”へ突貫し、激しい闘争に巻き込まれる。そこで”ロスト体”と呼ばれる異形体に遭遇した葉藏は、 不思議な力をもった女性“柊美子”に命を救われ、自分もまた人とは違う力をもつことを知る。 暴走集団に薬をばらまき、ロスト体を生み出していたのは、葉藏や美子と同じ力をもつ男“堀木正雄”。正雄はいう。進み過ぎた社会システ ムにすべての人間は「失格」した、と。文明崩壊にむけ自らのために行動する堀木正雄、文明再生にむけ誰かのために行動する柊美子。平 均寿命120歳を祝う人類初のイベント“人間合格式”を100日後にひかえ、死への逃避を奪われ、人ならざる者となった大庭葉藏が、その果てに選択するものとは――【作品情報】『HUMAN LOST 人間失格』公開時期:2019年11月29日(金)原案:太宰治「人間失格」より監督:木﨑文智スーパーバイザー:本広克行ストーリー原案・脚本:冲方 丁キャラクターデザイン:コザキユースケコンセプトアート:富安健一郎グラフィックデザイン:桑原竜也CGスーパーバイザー:石橋拓馬アニメーションディレクター:大竹広志美術監督:池田繁美、丸山由紀子色彩設計:野地弘納撮影監督:平林 章音響監督:岩浪美和音楽:菅野祐悟キャスト:宮野真守、花澤香菜、櫻井孝宏、福山潤、小山力也、沢城みゆき、千菅春香アニメーション制作:ポリゴン・ピクチュアズ企画・プロデュース:MAGNET/スロウカーブ主題歌:m-flo「HUMAN LOST feat. J. Balvin」配給:東宝映像事業部■ムビチケ情報発売日:9月20日(金)価格:1,500 円(税込)※ムビチケのみ特典:キャラクターボイス付メタリックステッカー(全4種・ランダム)キャラクターボイス:大庭葉藏、柊美子、 堀木正雄、竹一※販売劇場は公式 HP参照。 ※前売券1枚につき特典は1枚。※ボイスの種類は選べない。
2019年03月26日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「TPP11」です。安くてよいものが入ってくる半面、危機感も否めない。2018年12月30日にTPP11(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的)協定が発効しました。日本やオーストラリア、チリ、東南アジア各国など、太平洋を取り囲む国々で関税を取り払い、サービスや投資の自由化をめざすという経済連携協定です。12か国で交渉を進めていましたが、トランプ政権になり、アメリカが離脱し、「TPP11」となりました。関税は、自国の産業を守るための防波堤です。外国から入るモノに対して高い税金をかければ、消費者を安い国産品に誘導できます。それが、自由貿易に向かう流れになったのは、関税を取り払うことで競争が生まれ、より質のいい製品が作られるようになることや、また、他国の消費者を取り込むチャンスにもなると考えたからです。TPP11協定で、日本のコメは関税を維持。オーストラリア米だけ13年目以降年間8400tの輸入が決まりました。他にも、牛肉は現行の38.5%から段階的に引き下げ、発効から16年目に9%とすることに。小麦はカナダやオーストラリアからの輸入ものの売買差益を9年目までに45%削減。チーズではチェダーやゴーダ、クリームチーズなどの関税が16年目に撤廃に。日本から輸出する際の関税は大半の撤廃が決まり、日本酒や醤油、水産物の輸出が増えることになるでしょう。工業製品は、日本から輸出する品目の99.9%で撤廃されることになります。TPP11発効に伴い、貿易や投資が拡大し、日本経済は拡大向上。新たに46万人の雇用が生まれ、GDPをおよそ8兆円、1.5%押し上げる効果があると政府は公表しています。しかし、そう楽観視はできないと思います。自由貿易により競争が激しくなれば、安いモノが売れますから、国内では生産コストを削減しなければいけなくなります。人件費をおさえるため、機械化や国外での生産になり、雇用が奪われるかもしれません。また、国産品が海外に売れるというのは、世界中の人が欲しいと思う「いいモノ」であることが大前提です。企業の不祥事が次々に起きているいま、日本のモノづくり産業そのものが崩れかけています。危機感を持って対処するべきでしょう。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年1月16日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年01月14日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「米中貿易戦争」です。自国産業を守るはずが、自らの首を絞める結果に。いま、アメリカと中国の貿易戦争が激しくなっています。アメリカの貿易赤字を解消し、経済を立て直したいと考えているトランプ大統領は、最大の貿易赤字を出している中国に対して関税を引き上げることにしました。これに対し、報復措置として、中国側もアメリカに高い関税をかけ、競争はエスカレート。11月末の米中首脳会談で進展がなければ、アメリカは、中国からの全輸入品にさらに制裁関税をかけると発表しました。自動車でも、農産物でも、海外からの輸入品が安く手に入るようになれば、国内産のものは競争に負け、売れなくなってしまいます。そうならないよう、自国の産業を守るために、輸入品に関税をかけるのです。トランプ大統領は、自身の支持層でもあるドメスティックな企業を守ると約束し、TPPやNAFTAなど、関税をなくして人やモノが自由に行き来する「自由貿易」の流れから真逆の方向に向かいました。しかし、現代はグローバル社会です。すべてを自国でまかなえた時代はそれでよかったのですが、いまやドメスティック産業も、部品など、一部は輸入に頼っています。国産車が輸入車に負けないようにと関税をかけたつもりが、国産車を作るための原材料や部品は実は輸入しており、それらが関税により高額になったため、製品の価格も上げざるを得なくなり、結果売れない。というようなことが様々な産業で起きてしまったのです。GDP1位と2位のアメリカと中国が貿易摩擦により国内経済がひっ迫すれば、世界経済も低迷します。ドルやユーロが不安定になれば、安定している円が買われる。すると、輸入品は安く手に入りますが、輸出は厳しくなる。輸出産業に頼る日本経済は冷え込んでしまうのです。日本はいま、自由貿易を推進していますが、安倍政権を応援する保守層には、いまのアメリカ同様に、国内にだけ目を向けた政策を望む声もあがっています。しかし、日本こそ、自国内だけでは商売が成り立ちません。トランプの関税政策は、中間選挙前の人気とりと捉える意見もあります。選挙が終わった今後、方向転換も考えられますから、目が離せません。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年11月21日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年11月14日日本時間9月27日未明、ニューヨーク市内のホテルにて、1時間15分におよぶ日米首脳会談が行われた。安倍晋三首相とトランプ大統領との間で、日米の貿易交渉や北朝鮮問題などについて話し合いがなされた。「今回の最大の焦点となったのは自動車の関税引き上げでしたが、“当面回避”での合意となりました。今後交渉が始まる農作物の貿易交渉に関しては、安倍首相も米国の要求に対して“妥協”を迫られることが予想されます」こう話すのは、第一生命経済研究所経済調査部の首席エコノミスト・永濱利廣さん。「自動車の輸入関税が引き上げられれば、日本からアメリカに輸出される車の販売にとっては大打撃となります。仮に日本国内での製造台数が10%落ち込むと、GDPでは4兆円の損失、4万人もの雇用に影響が出ると試算されるのです」(永濱さん)日本の景気にも直結する自動車関税については、「現状維持」を守ることができた形だが、まだ「農作物」の関税問題が控えている。生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんは、米国産の「大豆」について不安視する。「現在、米中貿易摩擦によって、中国は米国産大豆に高い関税を課しています。おそらく今後米国内では、大豆がだぶついてくるでしょう。今後の交渉によっては、その大豆の“在庫処分”をしようと、日本に売りつけてくるのではないでしょうか。遺伝子組み換えによって作られた大豆が、日本の食卓にあふれる可能性も見逃せません」食料の増産、農業の省力化といった、人間にとって有益な作物を育てるために開発された技術が「遺伝子組み換え」。米国では、穀物だけでなく、動物においても遺伝子組み換え操作を行っている。ハーバード大学の元調査員で、内科医の大西睦子さんは次のように語る。「全長1~2メートルほどもある、キングサーモンが持つ成長ホルモン遺伝子が組み込まれているアトランティックサーモンは、従来のサーモンよりも、半分の時間で成長するといわれています。このサーモンを『ミュータント(=突然変異した)サーモン』と呼ぶ人もいます。つまり、食用動物の遺伝子を操作することに対する疑問は、米国内でも消えていないのです」’15年、日本の厚生労働省にあたる米国食品医薬品局(FDA)は、このサーモンを“初の動物遺伝子組み換え食品”として認可しているという。「遺伝子組み換え食品=危険とは言い切れませんが、疫学的調査が十分でなく、私はまだ安全性が担保されていないと考えています。しかも、米国には『遺伝子組み換え』の表示義務がありません。今後、農作物が大量に日本に輸出されるようになったとしても、誰も知らないまま、食べてしまうことになる恐れがあります」(大西さん)
2018年10月05日「今回の最大の焦点となったのは自動車の関税引き上げでしたが、“当面回避”での合意となりました。今後交渉が始まる農作物の貿易交渉に関しては、安倍首相も米国の要求に対して“妥協”を迫られることが予想されます」日本時間9月27日未明、ニューヨーク市内のホテルにて、1時間15分におよぶ日米首脳会談が行われた。安倍晋三首相とトランプ大統領との間で、日米の貿易交渉や北朝鮮問題などについて話し合いがなされた。第一生命経済研究所経済調査部の首席エコノミスト・永濱利廣さんは、その合意内容を冒頭のように語った。「自動車の輸入関税が引き上げられれば、日本からアメリカに輸出される車の販売にとっては大打撃となります。仮に日本国内での製造台数が10%落ち込むと、GDPでは4兆円の損失、4万人もの雇用に影響が出ると試算されるのです」(永濱さん)日本の景気にも直結する自動車関税については、「現状維持」を守ることができた形だが、まだ「農作物」の関税問題が控えている。まず予想されるのが、米国から日本への牛肉の輸入問題だ。「農作物の輸入関税が引き下げられれば、米国産牛肉の価格は下がり、国内の農業は打撃を受けることになるでしょう。交渉内容が米国の望む方向に進まなければ、トランプ大統領は、脅しの意味で自動車関税を再び持ち出してくる可能性がありますから、安倍首相も“次”は守り切れないかもしれません」(永濱さん)消費者としては、牛肉が安く買えるのであれば、一見メリットのほうが大きいが、ハーバード大学の元調査員で、内科医の大西睦子さんは、米国産牛肉の“食の安全”を疑問視する。「米国では1950年代から、『オーガニック』と表示されているものでないかぎり、多くの牛肉に成長促進剤である『合成女性ホルモン剤』が使用されています。しかしこれは、発がん性が懸念されているものなのです」(大西さん)牛肉の輸入量が増えれば、米国産の乳製品も、販売網を広げる可能性がある。「米国で生産される牛の5頭に1頭という高い割合で使用されているのが『遺伝子組み換え牛成長ホルモン』(rGBH)です。これを投与された牛は、インスリン様成長因子(IGF-1)として知られる別のホルモンのレベルを増加させることで、牛乳、チーズなどの乳製品の生産量を、一気に増やすことができるわけです」(大西さん)日本の厚生労働省にあたる米国食品医薬品局(FDA)は、この薬を’93年に認可しているが、大西さんは「先進国では米国だけ」と、rGBHの認可について懐疑的な見方をしている。「このホルモンを投与された牛の牛乳は、乳がんや前立腺がんのリスクになるとの説があるIGF-1の濃度が高い、という研究レポートがあるからです」(大西さん)国の経済はもちろん大事なことだが、それを優先することで、食の安全を脅かすような決断をしてもよいのだろうか。安倍首相が、トランプ大統領の“ごり押し”をいなしてくれることに期待したい。
2018年10月05日いま、米国と中国が、貿易関税を巡る“制裁”&“報復”合戦で火花を散らしている。そもそもの発端は、3月1日、米国が鉄鋼、アルミニウムに高関税をかけると発表したことに始まるーー。 3月23日、実際に米国が関税を引き上げると、すぐに中国が“報復措置”を発表。4月2日に、フルーツ類や豚肉などの128品目、30億ドル(約3,200億円)相当の米国からの輸入品の関税が引き上げられた。 翌3日、今度は米国が中国の知的財産権侵害に対する“制裁措置”として、500億ドル(約5兆3,000億円)相当の中国製品(情報・通信機器、ハイテク製品など)、1,333品目に25%の追加関税をかけると発表した。すぐさま中国も、同額の追加関税を米国製品に課すと対抗を宣言。 これに激怒したトランプ大統領は、中国製品に対して、さらに1,000億ドル(約10兆7,000億円)規模の追加関税を検討すると発表した。米国がすべて実施すれば、計1500億ドル。中国からの総輸入額(約5,000億ドル)の3割強となる。 トランプ大統領と習近平国家主席という2人の“独裁者”の意地の張り合いで、いつ米中貿易戦争が勃発してもおかしくない状況になった。 「私の試算では、仮に米国と中国2国間すべての貿易に関税10%が上乗せされた場合、日本のGDPは1.4%押し下げられます。これが米中貿易戦争で考えられる最悪のシナリオです」 米中が“開戦”すれば、日本の家計を直撃すると警鐘を鳴らすのは、第一生命経済研究所・首席エコノミストの永濱利廣さん。 すでにマーケットにも影響が出ている。中国への輸出減を見越して、米国内の大豆や豚肉などの価格はジワジワと下がってきている。今後、米中貿易戦争が本格化した場合、私たちの生活にどのような影響を与えるのか。 「まず、国内の食品価格が下がります。米国産の大豆が下がれば、調味料を含む大豆製品全体の値段が下がります。また、大豆は家畜の餌なので、肉類や、乳製品の価格も下がります。そして大豆の代替品である小麦、とうもろこしなどの穀物全体も下落、それを材料とするパンやお菓子類の価格も下がるでしょう。一見、家計にはいいことにも思えますが、じつはそれ以上に給与が下がり、収入が減ってしまいます」(永濱さん) 永濱さんによると、世界経済が悪くなるという観測によって、円高株安が進むという。そうなればグローバル企業は軒並み影響を受けるのだ。 3月に内閣府が発表した『企業行動に関するアンケート調査』によると、輸出をおこなう企業が採算の取れる為替レートは1ドル=100.6円(実数値平均)。円高が進み100円を割った場合、利益が出ない計算となる。 そうなれば会社の株価も下がり、従業員の給与カット、リストラも含めた人件費の削減が起きる可能性も出てくる。 さらに貿易戦争が激化した場合、「日本にも流れ弾が飛んでくる」と予想するのは、家計の見直し相談センター相談員で、ファイナンシャルプランナーの藤川太さん。 「流れ弾とは、米国が要求してくる市場開放です。中国に輸出できなくなった牛肉や豚肉、農産物などの食料品を、“関税なしで大量に輸入しろ”と、これまで以上の市場開放を迫ってくる可能性も。そうなれば、食の安全性がどこまで保たれるか。そういう問題も出てくるかもしれません」 過去に起きたBSE感染牛や遺伝子組み換え作物の問題の再燃が懸念される。また、国内の畜産、農業といった生産業者も大きなダメージを受ける。 日本は中国と同様に、対米貿易の黒字国。米中貿易戦争は決して対岸の火事ではなく、“次は日本だよ”という、米国からのサインでもあるのだ。
2018年04月20日「米国と中国による貿易戦争が始まれば、日本は大きな影響を受けます。最悪のケースを想定した場合、サラリーマンのボーナスが3〜4%下がることが予想されます。またリストラや、給与カットなど、家計への影響も大きいでしょう」 米中が“開戦”すれば、日本の家計を直撃すると警鐘を鳴らすのは、第一生命経済研究所・首席エコノミストの永濱利廣さん。 いま、米国と中国が、貿易関税を巡る“制裁”&“報復”合戦で火花を散らしている。そもそもの発端は、3月1日、米国が鉄鋼、アルミニウムに高関税をかけると発表したことに始まるーー。 3月23日、実際に米国が関税を引き上げると、すぐに中国が“報復措置”を発表。4月2日に、フルーツ類や豚肉などの128品目、30億ドル(約3,200億円)相当の米国からの輸入品の関税が引き上げられた。 翌3日、今度は米国が中国の知的財産権侵害に対する“制裁措置”として、500億ドル(約5兆3,000億円)相当の中国製品(情報・通信機器、ハイテク製品など)、1,333品目に25%の追加関税をかけると発表した。すぐさま中国も、同額の追加関税を米国製品に課すと対抗を宣言。 これに激怒したトランプ大統領は、中国製品に対して、さらに1,000億ドル(約10兆7,000億円)規模の追加関税を検討すると発表した。米国がすべて実施すれば、計1,500億ドル。中国からの総輸入額(約5,000億ドル)の3割強となる。 トランプ大統領と習近平国家主席という2人の“独裁者”の意地の張り合いで、いつ米中貿易戦争が勃発してもおかしくない状況になった。 「私の試算では、仮に米国と中国2国間すべての貿易に関税10%が上乗せされた場合、日本のGDPは1.4%押し下げられます。これが米中貿易戦争で考えられる最悪のシナリオです」(永濱さん・以下同) “100年に1度の経済危機”といわれた’08年のリーマン・ショックで、日本のGDPは約6%下がった。この直後、国内では失業者があふれ、公園に派遣村などができたことは、まだ記憶に新しい。仮に日本のGDPが1.4%下がった場合、その数値は当時の3分の1。このときと比べれば、影響は小さく見えるが……。 「リーマン・ショックの影響からここまで立ち直れたのは、日銀の金融緩和の効果などで円安株高になったからです。だが、すでに日銀はやれる手はほとんどやり尽くしたので、今後これ以上の金融緩和をやることは難しい。つまり米中貿易戦争が起きた場合、日銀には使えるカードが残っていない。それだけに日本が受けるダメージは、リーマン・ショック以上に長引く可能性がある」 リーマン・ショックの翌年、サラリーマンのボーナスは10%以上下がり、以前の水準に回復するのに約6年かかった。永濱さんは、米中貿易戦争の最悪のケースで、ボーナスの下がり幅もその3分の1ほどと試算しているが、今回は回復までにもっと時間を要すると分析している。
2018年04月20日●ネットがちょっとした“祭り”となった新CM3月30日、日清カップヌードルの新CMが公開されるやいなや、すぐにネットで話題になった。カップヌードルのCMは毎年新しい試みを打ち出してくることで知られているが、今年は何が注目を集めたのか、ご存知だろうか。AKIRA(EXILE/EXILE THE SECOND)や岩田剛典(EXILE/三代目 J Soul Brothers)、青柳翔、町田啓太、小澤雄太(共に劇団EXILE)らが出演し、コンテナが積まれた廃墟で火柱上げてド派手にぶつかり合うこのCM――これはどう見ても『HiGH&LOW』だ。『HiGH&LOW』とは、EXILEの創始者HIROが全面プロデュースし、映画やドラマ、ライブなど多岐にわたって展開される、LDHによる総合エンタテインメントプロジェクトだ。2016年に公開された映画『HiGH&LOW THE MOVIE』(以下、『ザム』)で、そのド派手でカネのかかりまくった映像と高レベルなアクション、豊富すぎるキャラクター&チームの魅力により、多くのファンを生み出した。以降、それまでLDHとは縁遠かったオタクや映画ファンたちまで、熱に浮かされたように劇中のセリフを口走り、解釈・考察を繰り広げる光景がネットの各所で見られるようになる。こうした状態に陥ることを、一部では「脳を焼かれた」と呼んだ。それくらいインパクトが大きい作品だったのである。2015年以降、次々と新企画を打ち出してきたハイローだが、昨秋公開の『HiGH&LOW THE MOVIE 3/FINAL MISSION』で“第一世代”の物語がいったん幕を閉じ、しばらくは続編などの予定が明らかになっていない。 “新規供給”が途絶えた状態になっており、ファンたちは「HIROさん、俺たちはいつまでも待ってます……」と、新たな動きを待ち望んでいた。と、そこへきて3月30日、突然カップヌードルの新CMが公開されたのだ。一旦公開されたあとアクセスできなくなったため、ネットでは「ハイロー民春の集団幻覚」などと言われたが、その後無事閲覧可能に。映像のあまりの“ハイローっぽさ”に、一部では「ジェネリックハイロー」と呼称され、ちょっとした“祭り”になっている。○重要な存在・コンテナが登場CM冒頭、グラフィティがボムされたコンテナの間を、男たちが抜けていく。コンテナは、ハイロー世界における重要な存在だ。これは、『ザム』のクライマックス、100人対500人の大バトルの舞台となったのが、コンテナが積まれた湾岸地域(愛称「コンテナ街」)だったことに由来している。昨夏行われたよみうりランドとのコラボイベント「HiGH&LOW THE MUSEUM」でも、敷地内に各チームの名前が描かれたコンテナが置かれ、来訪者のテンションを高めてくれた。コンテナを抜けたその先は、LDHのライブさながらに火柱が上がる廃墟だ。一段高い場所に、馬と鹿のレリーフを背負って集団が立っている。「予算委員会」の文字が表示され、集団の中央の男(岩田剛典)が「まずは経済政策から始めようや」と口火を切る。この集団は実質、岩田剛典演じるコブラが率いる山王連合会と見ていいだろう。なお、CMでは「HiGH&LOW」の名は一度も出てこないのでまったく別のキャラクターである可能性もあるが、本稿では便宜上、各キャラクターをハイローでのそれに則って表記する。コブラの横には町田啓太演じるノボル(仮)が立っている。山王連合会なのになぜナンバー2のヤマト(鈴木伸之)がいないのか、と一瞬思うが、ハッキングもできる賢いノボルのほうが「予算委員会」には適任なのかもしれない。なお、山王連合会の本来のロゴは、二匹のトラが王冠を支える図案だ。経緯を説明すると複雑になるが、二匹のトラはコブラとヤマトを、王冠はノボルを表すとされていた。今回のCMでは、馬と鹿が砂時計を挟むレリーフになっている。馬と鹿……つまり「馬鹿」ということだろうか。○すごい当て字「勝富鵺穫」「違うだろぉ〜!?」の声と共に、4WDの屋根に乗って登場するのは、達磨一家・加藤鷲(小澤雄太)と思しき赤い法被の男。達磨一家といえば、ハイローの劇中、常にクライマックスでとんでもない登場の仕方をしてきたチームだ。『ザム』では頭目・日向紀久(林遣都)が爆走するアメ車のボンネットに鎮座し、「SWORDの祭りは達磨通せや」と日本映画史に残る名台詞を吐いた。『ザム2』ではアメ車の後ろにブライダル・カーよろしくロープで板をくくりつけ、一家の若手たちが陸上サーフィンに挑戦。そして『ザム3』では、とうとう斜めになった車に乗って現われ、観客の度肝を抜いた。“達磨ボンネット”以来、「今度はどう登場するか」がファンの楽しみになっていたのである。それに比べれば今回のCMではいささかおとなしめだが、珍しくバイク集団を引き連れての登場だ。達磨一家の格好良さの所以のひとつに、揃いの赤の法被がある。特に幹部が着用する、背中と左脇に「達磨一家」、右脇に「問答無用」と白く染め抜かれた法被は、ハイロー劇中で強い印象を与えていた。今回のCMでも加藤(仮)は法被を着ているが、よく見ると違う文字が並んでいる。左脇には「全問回答」。何のクイズに対するものかはわからないが、すごい意気込みだ。そして背中と右脇に書いてある文字は、はっきりとは映らないが、「鵺獲一家」と見えなくもない。「勝富鵺穫」と染め抜かれたノボリを掲げた人もいるので、おそらく「鵺獲」で「ヌードル」と読ませるのだろう。昭和のヤンキーもびっくりの当て字だ。●AKIRAがカリスマ性を発揮、おなじみの地図もそしてAKIRA演じる琥珀さん(仮)である。ハイロー世界のカリスマは、今回のCMでは「外交問題なめんじゃねぇぞ!!!!!」と叫んでいる。天井から飛び散る火花は、『ザム』クライマックスにおける琥珀さんVSコブラ・ヤマト・九十九(青柳翔)の大バトルを思い起こさせる。黒いバンダナを顔に巻いた若者たちを引き連れ、まるで山王連合会を琥珀さん(仮)が率いているかのようだ。琥珀さんは『ザム』から『ザム2』の間に、どこか海外に行っていた。劇中ではどこにどれくらいの期間行っていたのかは描かれなかったが、もしかしたらその地で何か外交問題に由来するトラブルに遭遇したのかもしれない。なおAKIRAは、所属するEXILE THE SECONDの全国ツアー「ROUTE66」3月31日マリンメッセ福岡公演にて、「EXILEごとではありますが」という前置きからCM出演をファンに報告した。気炎を上げる琥珀さん(仮)チームに対し、ノボル(仮)が「デフレどうすんだ」と投げかける。琥珀さんの横に立つ、青柳翔演じる九十九(仮)は、「GDP100倍にすんぞ」と言い返す。九十九といえば、ハイローでは、掛け算の九九も怪しい上に、『ザム3』劇中で小難しい話をされると「途中から聞いてなかったわ」と言い放ち劇場を沸かせた、作中屈指の「お勉強できない」キャラだ。「100倍」という小学生のような数字を出してくるところからして、九十九さん(仮)、アンタ絶対「GDP」の意味わかってないだろ、とツッコまずにいられない。○名シーンを彷彿とさせるクライマックスそして「ちゃ〜んと話し合おうぜ。ド派手にな!」というコブラ(仮)の掛け声を号令に、全員が走り出す。これは完全に『ザム』のクライマックス直前、湾岸大決戦で両軍が走り出したシーンそのものではないか! 15秒版のほうでは、走り出す面々に寄った画もあり、ますますあの名シーンを彷彿とさせる。走り出した先は、炎に包まれる中で、『ザム』さながらのケンカが繰り広げられる――と思いきや、CMでは「クランプ」と呼ばれるダンスによるバトルが展開される。これはAKIRAや岩田剛典が若い頃からやってきたダンスのジャンルである。この演出は、キャスト本人たちのファンにもたまらないはずだ。コブラ(仮)の「景気ってのはなぁ、気合で上げるもんだ!」という言葉を最後に、「ヤバい。なんか熱い。」というメインコピーが入る。背景のコンテナには大きく「GDP」のグラフィティ。九十九さん(仮)が描いたのだろうか。九十九さんは意外と絵心があるので、これくらいのグラフィティはきっと造作もないだろう。そして最後、燃え盛る火と共にダンスバトルを囲む輪の中には、前述の馬&鹿ロゴと「参分連合」の文字が描かれたフラッグを降る人がいる。この世界では、コブラ(仮)が率いるチームは山王連合会ではなく「参分連合(会)」というらしい。○まさに「ヤバい。なんか熱い。」また、今回、これに合わせてリニューアルされたカップヌードルの公式サイトも非常に凝っている。琥珀さん(仮)の横に書かれた「商品情報」の文言は、「かつて、市場を圧倒的な力で支配していた、カップヌードル。」という文章から始まる。琥珀さんが率いたバイクチーム・MUGENを紹介する枕詞「かつて、MUGENという伝説のチームがこの一帯を支配していた。その圧倒的な勢力により、かえってその一帯は統率がとれていた」のようであり、思わず脳内でテーマ曲「MUGEN ROAD」のイントロが鳴ってしまう。地図のようなものの上に乗ったロゴをクリックすると、ジャンル分けされたカップヌードルの商品が表示される。これは、何度となく劇中で見た、おなじみすぎるSWORDの地図ではないか!芸の細かさと、あまりに熱いハイローリスペクトにあふれた日清カップヌードル新CM。カップヌードルのCMは、年間を通したプロジェクトになる場合が大半だ。ということは、今後1年を通じて「ジェネリックハイロー」な新規映像が観られる可能性が高い。3分間待てない村山ちゃん(仮)や、カップヌードルカレーで白い服にシミをつけるWhite Rascals(仮)、みんなでひとつのカップヌードルを分け合うRUDE BOYS(仮)なども観られるのだろうか。「ヤバい。なんか熱い。」というコピーはまさに、初めてハイローに触れたときに感じた胸のざわめきそのもの。ハイロー本体の続編が発表されるまで、カップヌードルをすすって待つしかなさそうだ。■著者プロフィール斎藤岬1986年生まれ。編集者、ライター。月刊誌「サイゾー」編集部を経て、フリーランスに。編集を担当した書籍に「別冊サイゾー『想像以上のマネーとパワーと愛と夢で幸福になる、拳突き上げて声高らかに叫べHiGH&LOWへの愛と情熱、そしてHIROさんの本気(マジ)を本気で考察する本』」『DEATH MATCH EXTREME BOOK 戦々狂兇』(共にサイゾー刊)など。
2018年04月05日All photos by Chihiro Lia OttsuLocation provided by HAIGHT&ASHBURY & OkidokeiーBe inspired! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!保守的な国ケニアで“出る杭”として活躍する姉弟クリエイティブ起業家から学ぶ「日本人に欠けていること」 日本で今、どれだけの人が自分らしくいることができているのだろう?日本に自己表現の選択肢は多い。2016年の時点でGDPは世界三位、経済的に比較的恵まれた国だから、...
2017年12月21日日本で今、どれだけの人が自分らしくいることができているのだろう?日本に自己表現の選択肢は多い。2016年の時点でGDPは世界三位、経済的に比較的恵まれた国だから、そのぶん消費の選択肢も広がる。でも文化的には「出る杭は打たれる」と言われるように、突出したものを煙たがる風潮があることも事実。マスメディアが作り出す大きな流れに身を任せることが“普通”なのだと、日本に住んでいれば肌で感じるはず(そのおかげでカウンターカルチャーが盛んなのもまた事実だけれど)。今回、Be inspired!は「自分らしくいてもいい」という選択肢を保守的なケニア、ナイロビに生み出した姉弟クリエイター2manysiblings(トゥー・メニー・シブリングス)に取材した。選択肢はあるものの「自分らしさ」を追求できていないことがある私たち日本人は、彼らの言葉から学べることがあるかもしれない。ローカルな「好きなことの追求」が、SNSを介して世界へ左・姉ヴァルマ右・弟オリバー2manysiblingsはケニア・ナイロビを拠点に活動する姉のヴァルマ・ロッサと弟オリバー・アシケによるクリエイターデュオ。2013年、大学と仕事のために住んでいた南アフリカから帰ってきたヴァルマと大学を卒業したばかりのオリバーがナイロビで再会。「企業の人形になりたくない、好きなことをやりたい」と、それまで取り上げられることのなかったナイロビのアーティストやストリートスタイルを記録し、Tumblrに投稿し始める。自分らしくいることに徹底した彼ら自身のスタイルや視点は国際的に注目を浴び、現在ではSNSだけでも約7万人を超えるフォロワーを世界中に持つ。これはケニアのクリエイターとしては異例の規模だそう。ヴァルマ:Tumblrにはバイラルを生む力がある。しかも多くの人に長い間リーチする。2年前に私たちが撮ったものが未だにシェアされたりするぐらい。そうやって私たちに興味を持ってくれる人が増えていくの。SNSは成功の大切な要素だったと言えるわ。今回2manysiblingsを日本に連れて来たのは以前Be inspired!でも取材した、デザインを通じて、アフリカのクリエイティブな視点を発信する革新的なブランド、Maki & Mpho(マキ & ムポ)。ブランドのビジュアルストーリーの共同製作を目的に、来日プロジェクトを立ち上げた。「アフリカ的でなくても、日本的でなくてもいい。2ManySiblingsという彼ら個人の視点、そしてナイロビという特定の環境がおもしろいと感じた」と共同創設者のマキさんは話す。左から、PRや新しいコレクション作りに参加している友人のティム、オリバー、ヴァルマ、マキさん気づいたらケニアの「自由な自己表現」の象徴となっていた姉弟「アフリカは保守的」と口を揃えて言うヴァルマとオリバー。ヴァルマ:アフリカでは慣れていないことを歓迎しない傾向があるの。「自己表現の方法は変わっても私は同じ人間だよ」って証明しないといけない。でも国際的に関心を持たれ、成功したあとケニアに戻るとクリエイティブシーンのアンバサダーみたいになった。これまで自由に自己表現をすることに抵抗を感じていた人たちに「大丈夫だよ」って示せたんだと思う。意外だけれど、「出る杭は打たれる」という精神は日本とケニアに共通しているのかもしれない。そのなかで生きづらさを感じている人たちが日本と同じようにケニアにもいて、2manysiblingsは図らずともそんな人たちの希望となった。活動を通してどんなことを人々に伝えたいの?と聞くと、弟のオリバーからこんな答えが返ってきた。オリバー:自由。自由に自己表現できるというアイデア。自分らしくいられること。箱に押し込まれないこと。ケニアには保守的な人が多い。ファッションでは特にね。みんな同じ「普通」なことをしていた。誰も自由に正直に自己表現をしている人がいなかった。2manysiblingsは“オーガニック”なアフリカ的視点を持っている。「他のメディアの取材でアフリカの伝統的な模様をいまどきに着こなすと言っていたけど…」と質問しようとすると、オリバーがすぐに「俺そんなこと言った?テキトーなこと言ったかもね(笑)」と一言。取材に立ち会っていた友人のティムが「お前いつも着てるじゃん」と笑いながら言うなか、ヴァルマが冷静に上手くまとめてくれた。ヴァルマ:でもそう、(オリバーがアフリカ的な服を選んでいると自覚がないくらい)私たちが選ぶものは“あえて”ではないってことは真実よ。全てオーガニックなの。つまり、いうまでもなくアフリカのカルチャーが自然と彼らの「自分らしさ」に影響しているということ。ファッションデザイナー・イベントオーガナイザー・写真家、そういった肩書きに縛られたくないという2manysiblings。今後のプランを聞くと、「アップサイクル」という言葉が出てきた。ヴァルマ:ケニアにきてみればわかると思うけど、ケニアは欧米からたくさんのものがくる。まるで欧米のゴミ箱みたい。クレイジーなの。長い目で見たときの目標は、そういうものをアップサイクルして、全く新しいものと価値を生み出すこと。オリバー:それで循環を作る。西洋から古着がケニアに来るから、新しい服を作る代わりにその古い服を使って作り変え、それを西洋に売り返す。弟の言葉を聞いて「それできたらジョークだよね、“ハハハ!”って感じじゃない?」といたずらに笑うヴァルマだが、アフリカに対する真摯な思いが二人の言葉から伝わってきた。***Maki & MphoWebsite|Facebook|Twitter|InstagramMaki & Mpho(マキエンドムポ)は、南アフリカ人テキスタイルデザイナーによるオリジナルの柄デザインを使ったインテリア・ファッション雑貨のブランド。デザインを通じて「アフリカの視点」届けることで、オルタナティブな文化や価値観を世界に発信する。まだあまり知られてないアフリカ人クリエイターたちの視点を紹介する活動の一貫として、今回ナイロビ発のクリエイティブ・ユニット2ManySiblingsとのコラボレーションプロジェクトをプロデュースした。
2017年12月21日今月のシネマな旅先はノルウェーです。映画『ヒトラーに屈しなかった国王』は、1940年にナチス・ドイツ軍に首都オスロを侵攻され、次々と主要都市を占領され、降伏を迫られながらも抵抗し続けたノルウェーの国王ホーコン7世の運命の3日間を描いた映画です。この映画に興味を持ったのは、世界幸福度ランキング2017でノルウェーが1位だったこともひとつです。幸福度の高い国がどんな歴史を辿ってきたのか知りたくて。また、ホーコン7世はスウェーデンとの同君連合(※)を解消した独立後、初めて国民投票によって選ばれた国王、ノルウェー国家の礎を築いた国王です。彼の選択した決断があったからこそ、いま世界一の幸福を感じる国であるとしたら、この映画は観る価値がある、観るべき映画だと思ったわけです。※同君連合:複数の君主国の君主が同一人物である状態・体制のこと。1814年~1905年までノルウェーはスウェーデンと連合王国を形成。世界幸福度ランキングは、国際連合が定めた3月20日の国際幸福デーに、世界の155ヶ国を対象に発表されます。日本は残念ながら51位。上位は下記のとおりです。■世界幸福度ランキング20171位 ノルウェー2位 デンマーク3位 アイスランド4位 スイス5位 フィンランド6位 オランダ7位 カナダ8位 ニュージーランド9位 オーストラリア10位 スウェーデン日本も住みやすい国とされていますが、このランキングはGDP(国内総生産)など客観的な経済的指標だけではなく──“人生に幸せと不幸せを感じる度合いを、1人当たりの実質国内総生産(GDP)、社会的支援、健康寿命、信頼性、人生選択の自由度、寛容さ、腐敗認知の6つの指標を用いて相関分析したもの(※WORLD HAPPINESS REPORT 2017より)”によって出されているそうです。物語としては、ドイツ軍がノルウェーへの侵略を開始した1940年4月8日から4月10日までの3日間、降伏を抵抗し続けた運命の3日間を描いていきます。正直、地味な映画ですが、ホーコン7世のセリフや行動には、自分自身の心に留めておきたいと思うものがいくつもありました。たとえば、家族は何があっても一緒にいるべきであるという言葉や、議会に対して怒りをぶつける息子、皇太子オラフをなだめるシーン、何よりもノルウェーの人々にとってどんな選択をすることが幸せに繋がるのかを第一に考え、考え抜いたうえでの決断の瞬間は観ていて胸が熱くなりました。家族のため、国民のためを思って選択したその決断が現在の幸福度ランキングに繋がっているのだなぁと思い、もちろんノルウェーにも行ってみたくなりました。映画のメイン舞台となっているオスロの街を歩いてみたいですし、ノルウェーを代表する画家ムンクの「叫び」を展示しているオスロ国立美術館にも行ってみたい。そして、やっぱりオーロラを見てみたい! ので、オスロとセットで行きたいのは北極圏にある小さな島の町、トロムソでしょうか。短い滞在でもオーロラ出現率が高く北極圏の中でも比較的暖かいそうです。映画の感動が冷めやらないうちに、ノルウェーの旅に出たいと思います。(text:Rie Shintani)(text:Rie Shintani)
2017年12月20日こんにちは。コラムニストの鈴木かつよしです。「棚上げ」というと難しい問題にかんする意思決定を先延ばしするだけのようで、何となく“無責任”な印象を受けますよね。でも、実際の世の中にはあえて棚上げにすることによって関係者の良好な人間関係と面子が保たれている場合が多々あります。間もなく夫婦生活30年目を迎える筆者から、夫婦の間の問題であえて”棚上げ”にした方がいいことを具体的な例を挙げてお話ししたいと思います。●お互いの“実家”の悩みはあえて”棚上げ”に先ず第一に、夫婦の間の問題でもお互いの“実家”にかんする悩み事や不安については、無理して性急な結論を出さずに”棚上げ”にすることをおすすめいたします。田舎で代々続く地場産業の商売を営んでいるパパの御両親から「もうそろそろ郷里(くに)に帰ってきて店を継がないか?」と言われたとしても、そもそもその気がないから都会に出てきてサラリーマンになりママと出会って自分の家族も持つことができたパパにとっては、困ってしまいますよね。もちろんママにとっても同じ。子どもたちにとってはもっとカルチャー・ショックが大きい話でしょう。そうかといって年を取って気弱になっているおじいさん・おばあさんに「そんなことできるわけないだろう」と突き放すように言い切ってしまうのもちょっと……。こんなときは、課題に対する意思決定を”棚上げ”にするべきです。期限を定めずに、すごくいいアイデアが思いつくまで無期限に棚上げ することです。いいアイデアが浮かばずにズルズルと都会のサラリーマン生活が続いて行ったなら、それはそれで仕方ないし。そのうちにパパの勤務先の会社が傾いてヤバそうな気配になったならここぞとばかりにみんなで田舎の実家に移り商売の見習いを始めるのもよし。この態度こそ、ママと要らない喧嘩もせずに済むしそうかといって課題を無視するわけでもない、最も賢明な態度であろうかと思います。ママの実家の独身の弟が40代にさしかかってきたというのに定職に就かずバイト暮らし。ママの御両親から「どうしたもんかね」と相談されたとします。こんなときも、”棚上げ”にしましょう。働いてはいらっしゃるのだから、いいではありませんか。すぐにママの弟さんだって50代になり、定職に就いていたとしたって“定年退職”の年齢になります。ママの御両親にしても70代・80代になっていて、弟さんがそばにいてくれた方が何かと心強いでしょう。棚上げにすれば現状をこれ以上に悪化させることもありません 。<h3棚上げし、節約生活をしながら対策を練る次に、夫婦間の問題で”棚上げ”の効用を活かすべきなのは、経済面での諸問題においてです。「あなたのお給料、もうちょっと上がらないものかしら?」「ママのパートの方も、もう少し時給がいい仕事はないの?」こんなことを言い合ったところで何にもなりません。パパもママも家族のために毎日精一杯働いています。生活が楽でないのはパパやママの努力不足のせいではありません 。この四半世紀に目を当てれば経済規模で10傑に入る世界の主要国の中で唯一名目GDPの総額が減少しているわが国で暮らしているのですから、楽じゃないのは当たり前なのです。ですから、お金の問題で夫婦で愚痴をこぼし合うことは、一旦棚上げにいたしましょう。今はとにかく外食だったランチをお弁当持参に切り替え、間食を半分に減らし(ダイエットにも効果抜群ですよ!)、ストレスにならない程度の節約生活をしながら年度替わりなどの“時期”を待つことです。しかるべき時期さえ来ればパパにも”早出手当”が付く部署への異動のチャンスが来るかもしれませんし、ママの新しいパート勤務先として時給の高い外資系のストアーが近所にオープンするかもしれません。マイナス思考は棚上げにして、慌てずに時期を待ちましょう。●芥川賞作家も”棚上げ”をオススメお互いのことをよく解り合っているはずの夫婦の間でも、“お互いの実家にかんすること”と“経済面での諸問題”については、性急な答えを出そうとせずに問題を一旦「棚上げ」にして時期を待つことを、筆者は強くおすすめいたします。芥川賞作家の赤瀬川原平さんは「優柔不断術」という1999年の著作の中で、次のように言及しています。『日本人は様々な問題に遭遇したときに、すぐに解決しないで、時間というものを上手に利用して、棚上げしてきた。例えば、ひとまずこの問題は後で考えてみることにして…などと、会議でよく耳にすることがあるだろう』(赤瀬川原平・著「優柔不断術」より)----------いかがですか。さすがは前衛芸術家でもあった赤瀬川さん、ものの見方が違いますよね。今わたしたち日本人は、何かにつけて“白黒をつけたがる”傾向があるように思います。“決定を急ぎすぎている”ようにも見えます。重要な問題であればあるほど、「パパにとっては100点だけれどママにとっては0点」の回答ではなくて「パパにとってもママにとっても60点」の回答を求めるべきです。そのためにはしばらくの間“棚上げ”にして課題を放っておき、時間の手助けを借りてよりよい結論を模索する態度が必要なのではないでしょうか。●参考文献 『優柔不断術』赤瀬川原平・著(毎日新聞社)、1999年●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)●モデル/香南・TOYO
2017年11月14日9月4日から9月9日まで、ウクライナの首都キエフにて、ウクライナ・ファッション・ウィークが開催された。ロンドンやパリに比べると知名度は低く、業界人であっても馴染みは薄いが、今年で21年目という歴史を持つ。ファッション・ウィーク以前に、そもそもウクライナという国に良いイメージを持っていない人は多いかもしれない。一人当たりのGDPが欧州最貧国という数字を出し(2016年)、3年前の政権崩壊以降は内戦こそ避けられたものの、ロシアとの国境に接する東部では治安悪化が強まっている。入ってくるニュースといえばロシアとの領土問題で、ファッションやカルチャーに注目することはあまりなかっただろう。しかし、だからこそ未開拓の地であるウクライナに、新たな才能を発見できるチャンスが潜んでいるかもしれない。2014年LVMHファイナリストのアナ・オクトーバー(Anna October)や昨シーズンからパリ・ファッション・ウイークに参加しているパスカル(Paskal)、今季よりロンドン・ファッション・ウイークにてコレクションを発表するナターシャ・ジンコ(Natasha Zinko)など世界へと羽ばたくデザイナーも増えている。今期のウクライナ・ファッション・ウィークで、勢いのあるブランドとしてジャーナリストやバイヤーから評価の高かった若手デザイナーに注目してみてほしい。アナ・オクトーバー(Anna October)前途したように、LVMHファイナリストとして一気にその名を広げたデザイナーのアナ・オクトーバー。60年~80年代のヴィンテージスタイルを、現代のフェミニティと掛け合わせた新たな解釈で、モダンなスタイルとして蘇らせる。明るいカラートーンのコットンやシルク素材を使用したドレスがブランドのシグネチャー。プレゼンテーション形式で披露した今季のコレクションは、「より強い現代女性へ向けてデザインした」と語る。色味こそ強めのレッドやブルーのカラーブロックだが、パフスリーブやラッフルの裾など、ディテールで甘さを加えた。大人も着られる可愛い服として、バイヤーからの支持が高かった。アントン・ベリンスキー(Anton Belinskiy)アントン・ベリンスキーもLVMHファイナリストとして注目を浴びたデザイナー。ウクライナのカルチャーとスポーツウェア、ストリートウェアからインスパイアされたウェラブルな日常着を生み出す。今季は、ウクライナの不安定な情勢を反映してか、“政治家の夏休み”をテーマに、ハワイアンプリントが多用された。海パンにレザージャケット、デフォルメされたシャツドレス、水着のルックもあればダウンを羽織ったルックも登場し、ショーを終えても全体像が掴めず違和感が残った。「ソビエト連邦崩壊直後の人々の悪趣味なスタイルがブランドのコンセプトで、コレクションを理解して噛み砕けなくてもいい」のだと教えてくれた。彼に対しては、“違和感”は最高の褒め言葉になるようだ。クセニア・シュナイダー(Ksenia Schnaider)既に日本のセレクトショップでも取り扱いのあるクセニア・シュナイダーは2011年にデザイナーデュオ、クセニア・シュナイダーとアントン・シュナイダーによって立ち上げられた。ヴィンテージデニムを手作業で加工したアイテムがシグネチャーで、パッチワークのトレンチコートや全体にプリーツを施したロングスカートなどデニムのバリエーションを増やした。さらに今季は、ダブルブレストの白のドレスやシャツなどデニム以外のヴィンテージ加工アイテムも多彩。「ソビエト連邦時代から受け継がれるウィメンズウェアを、世代をまたいで引き継いでいきたい」とコレクションに込めた想いを語ってくれた。
2017年09月17日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「一帯一路」です。「一帯一路(One Belt,One Road)」とは、中国が目指す経済と外交圏構想のこと。今年5月に初の一帯一路サミットが開催されました。アメリカに次いで、GDP第2位となった中国。いまや中国の経済発展は、世界にとっても有益なこと。ただ、中国は陸地に囲まれ、領海がほとんどありません。ですから、一帯=中国から中央アジアを経由してヨーロッパまでの「シルクロード経済ベルト」と、一路=中国沿岸部から東南アジア、アフリカまでを網羅する「21世紀海上シルクロード」を実現させ、交易を活発にしようと主張しているのです。僕は今年初めて北京を訪れ、その発展ぶりに驚きました。天安門広場に自転車で行き交う人民服の人々なんて光景は皆無。ポルシェやアウディといった高級外国車が走り、三里屯(サンリトン)という日本の青山のような若者に人気の街では、ユニクロやスターバックス、アップルストアなどが立ち並び、おしゃれな装いの世界中の人たちであふれていました。IT化も進んでいて、街中はなんでもスマホのQRコードで決済可能。現金決済は減少しているそうです。2015年に中国政府が掲げたスローガンは“大衆創業・万衆創新”。みんなで起業し、イノベーションを起こして儲けよう、というもの。共産主義国とは思えませんが、そのくらい本気で経済発展に本腰を入れてきています。日本やアメリカは、中国と北朝鮮が隣接しているため、緊張関係にありますが、ヨーロッパ諸国は中国とは貿易相手としてとても良好な関係を築いています。また、中国は早い段階からアフリカ進出を行い、電信・通信網や港湾などインフラ開発をする代わりに資源の採掘権を得るなどしてきました。一帯一路の関係国は約70か国。アメリカを除く大国のほぼすべてがこの経済圏に入っています。中国と距離を置いている日本ですが、6月に安倍総理は「条件が合えば、一帯一路構想に協力する」とコメント、態度を翻しました。アメリカ次第では、拒絶していたAIIB(中国主導で作られたアジアインフラ投資銀行)にも加盟するかもしれません。いずれにせよ、日本の舵取りが重要になってきています。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年8月9日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年08月03日アフリカというと、何を想像するだろうか。ニュースや新聞などのメディアを見ると、内戦、犯罪、疫病、貧困などのネガティブなイメージが、どうしてもいつも付きまとう。しかしそれは本当であろうか。もう一度真の豊かさを考えた時、私たちはアフリカが世界で一番豊かな大陸だということに気が付くだろう。(Photo by バンベニ桃)植民地支配された悲しい歴史まずアフリカを語る時に、決して避けては通れないのは、欧米人の植民地支配の歴史だ。15世紀から17世紀にかけての大航海時代をきっかけに、アフリカ大陸をイギリスやフランス、ポルトガル、ドイツ、ベルギーなどが挙って植民地にした。欧米人の狙いはその豊富な資源と気候のいい土地であった。そして先住民を劣等な民族と見なし、巧みな戦術で奴隷化していったのである。それはアフリカだけに留まらず、アメリカ大陸、アジア諸国、オセアニア諸国と世界中に広がっていき、世界中が欧米人のために存在するという哲学が当たり前のように通ってきた時代があったのである。植民地撤退後も、その哲学は色濃く残り、現在でも第三世界と呼ばれる国は、先進国と呼ばれる国に安値で資源を搾取され、貧しいというレッテルを貼られているのは目を反らせない事実であるだろう。真の豊かさとは何か。(Photo by バンベニ桃)では、アフリカは本当に貧しい大陸なのであろうか。そもそも私たちが「豊か」だとか「貧しい」だとか言う基準はどこにあるのだろうか。豊かさを測るのに使われるGDP(国内総生産)。ではこの数値が高ければ豊かな国なのだろうか。そうであれば、それは「豊かさとは経済次第である」と公言しているわけである。先進国は豊かで、第三世界は貧しいという、なんとも単純で不可思議な方程式がまかり通っているのだ。当然であるが、この地球にはたくさんの民族が多様な文化を持ち暮らしている。その暮らしに優劣は付けられない。アフリカ中部に位置するカメルーンという国。筆者は2007年、この国の奥地の村を旅したことがある。電気も水道もない、売店もない村々。そこに住むアフリカ人はその土地で採れる土と木で家を作り、狩りをし、野菜を育てたり、山菜を収穫したりして生活していた。学校にいかない子供もいた。アフリカの教育は植民地時代の欧米式であるために、民族衣装では学校へ通えない。子供たちは民族衣装を脱ぎ、民族的に意味のある装飾を外し学校へ行く。当然であるが彼らがその後、民族衣装に戻ることはないし、装飾品を日常的につけることもなくなる。その村を暮らし見て、多くの人は援助が必要だと言うであろう。学校が必要だ。水道が必要だ。電気が必要だ。病院が必要だ。トイレが必要だ。そしてその後、ボランティアがその地を訪れ、それまでの長い歴史の中で作られてきた、先住民の生活を変えてゆくのだ。世界一豊かな大陸、アフリカ。(Photo by バンベニ桃)さてこのカメルーンの村人たちの暮らし。実は彼らは驚くほどにとても豊かな暮らしを営んでいる。その土地には豊富な食べ物があり、季節ごとに彼らのお腹を満たす。子供は小さいころから、狩りの仕方や、薬草の見分け方、哲学などの知恵、自分より小さい子供の世話などを学ぶ。家を建てるのも、その土地から採れる資源で、同じ村に住む村人の助けを借りながら建てる。当然ローンなどはない。他の人が家を建てる時に、自分も助けに行くだけだ。彼らは大自然の中で上手に自然と循環しながらも、慎ましくも、満たされた生活を送っているのだ。その暮らしを誰が貧しいと言えるのだろう。彼らの社会には、このグローバル化がもたらした環境問題や、経済問題や、雇用問題や、少子化問題などを始めとする社会問題はないのだ。その暮らしは私たちの暮らしとは全く違う。それは彼らの社会形式が私たちのそれとは違うだけで、彼らの生活が劣っているということでは決してないのだ。学校に行かなくても生きていける人たちがいるということ。お金をほとんど使わずに生きている人たちがいること。自給自足の生活をしている人たちがいるということ。病院がなくても伝統的な薬草で十分癒されている人たちがいること。そんな生活を貧しいと決めつけてしまっては、この地球から多様な民族の暮らしは今まで以上に消えて行き、今まで以上に貧しい人たちが増えるだろう。本当の貧しさとは、それまでの暮らしの価値観や哲学や誇りを捨て、持ってない物を求めて彷徨うことにあるのではないだろうか。アフリカを貧しくしている一番大きな理由は、植民地支配が持ち込んだこの社会の仕組みにあり、その仕組みはアフリカを貧しいままにし、資源をこれまで通りに搾取するという目的がある。皮肉なことにアフリカは世界一豊かな資源を持つために、その搾取の対象とされてしまったのだ。今日もたくさんの資源がアフリカから採掘され世界中に渡っている。それを掘っているのはアフリカ人で、その多くを所有しているのは欧米人ということに、今も変わりはない。アフリカの豊かさから日本が学ぶこと(Photo by Rita Willaert)アフリカは世界一豊かな大陸だ。もちろんそれは資源だけの問題ではない。それは人々の暮らしのあり方である。人間のルーツとも呼ばれるアフリカは、その言葉に似つかわしく、人間らしい暮らしをしている。知恵ある年寄りを尊敬し、子供は子供同士で社会を作り、年上が年下の世話をしながら、大自然の中で育つ。その姿は生命力で溢れ、力強く逞しい。そしてまだまだ多様な民族がその土地と循環した伝統的な暮らしをしている。アフリカの暮らしを見て、日本の暮らしを振り返る。そういえば、私たちにももっと地球と循環できていた暮らしがあったのだ。日本人が日本人らしく暮らしていた頃。いつの日からかその暮らしを断ち、便利、便利だと言いながら遥か遠くまで来てしまった。気がつけば環境汚染は拍車をかけ、少子化は深刻で、多くの食べ物には農薬や添加物が使われた不自然な物になってしまった。アフリカの豊かさは経済的なそれとは違い、シンプルで、根っこがある。そしてその姿は日本人が忘れかけていた、何か大切なものを思い出させてくれるのだ—————Text by バンベニ 桃ーBe inspired!
2017年01月10日睡眠不足は死亡リスクを上昇させ、仕事の生産性を低下させるとされてきましたが、日本人の睡眠不足を原因とした国家レベルの経済的損失は、国民総生産(GDP)の2.92%にあたる1,380億ドル(約15兆9,638億円=2017年1月4日現在)に達し、このGDP比は調査対象5か国の中でも最大であることが、米国のシンクタンク「ランド研究所」の調査研究で分かりました。同研究所が2016年11月に発表しました。 各国の睡眠不足による損失はGDPの1~2%程度研究結果によると、米国の睡眠不足を原因とした経済的損失は年間4,111億ドル(GDPの2.28%)、ドイツは600億ドル(GDPの1.56%)、英国は500億ドル(GDPの1.86%)、カナダは214億ドル(GDPの1.35%)。 睡眠が6時間未満だと死亡リスクも13%高い同研究所は、OECD加盟5か国(日、米、英、独、加)の睡眠時間などのデータをモデル解析し、ひと晩に平均6時間未満しか眠っていない人の死亡リスクは7時間以上眠っている人より13%も高く、その結果として各国のGDPの最大約3%が失われていることを突き止めました。逆に、国民の睡眠時間が増えれば数十億ドルの経済効果があることになります。 ストレスと忙しさで睡眠不足の人は増えている一方、7時間の睡眠を取っていない人々の割合は年々増加しています。このことは、現代のライフスタイル、つまりストレスに加え、アルコール、タバコ、運動不足、スマートフォンやパソコンなど電子機器の使い過ぎなどと関係しているとしています。睡眠は人々の健康と生産性には不可欠です。睡眠が足りなければ、健康だけでなく、学校や仕事にも影響します。 米国政府は「睡眠不足は公衆健康問題」と宣言米疾病対策センター(CDC)は、米国の成人の3分の1以上が慢性的な睡眠不足に陥っており、このため、睡眠不足は公衆健康問題であると宣言しています。 出典:米ランド研究所のプレスリリース by m01229
2017年01月05日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「GDP」です。* **この連載でも頻繁に出てくるGDP。正式名称は「Gross Domestic Product」で、国内総生産と訳されます。国内で、一定期間内に新たに生み出された商品やサービスの付加価値の合計を指し、経済成長を測る指標になります。りんご農園にたとえると、初年度の収穫が50個だった。翌年、ビニールハウスを作り100個に増やした。するとGDPは2倍ということ。収穫の半分をジャムにして、りんごのまま売るより利益をさらに上げたら、その分GDPに反映されます。何の工夫もせずに同じ個数しか収穫できなかった場合は、経済成長ゼロとなるのです。GDPには名目GDPと実質GDPがあり、物価の変動を反映させたものが実質GDP。GDPが2期連続して下がると、景気後退と判定されます。現在、世界のGDP1位はアメリカ。2位が中国、日本は3位。日本はずっとベスト3に入る経済大国でした。ただし、これは国全体の話。日本の1人当たりの名目GDPは、3万6000ドルで前年比6%減少。1996年には主要国中3位でしたが、2000年代から下がり続けて現在20位。上位にはルクセンブルクやノルウェー、スイスが入っています。資源を持っていたり、金融サービスに長けていると上位に入りやすい。ちなみにアメリカは7位。シェールガスを持っていますし、莫大な利益を生む新しい金融商品も開発しています。政府が規制緩和をして、新しい産業が生まれやすくしていることも功を奏していますね。対して日本は、開発できる資源には限りがあり、広い意味でのサービス業が中心です。デフレだと、サービス業全体が安価競争になり、懸命に働いても得られる利益が少ない。また、GDPはドル計算なので、円安も不利になっています。国の経済成長を促すには、個々の変革も大切です。あなたは前年に比べ、新しい付加価値を生む何かをしましたか?収入の一部を使って英会話学校に行くことが、転職時に役立って高いお給料をもらえようになるかもしれません。投資信託を始めるでも何でもいいんです。未来のための自己投資が、経済の成長につながるかもしれません。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年3月2日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年02月27日20日に発表された中国の2014年のGDP成長率は前年比+7.4%と、過去2年の7%台後半の伸びから一段と鈍化し、1990年以来の低水準となりました。その主な背景として、不動産市場の過熱抑制に向けた政府の取り組みなどから、住宅価格の下落傾向が続く環境下、不動産投資の鈍化や建設需要の伸び悩みが続いていることなどが挙げられます。しかしながら、中国政府は以前より、無理に高成長を実現させるのではなく、構造改革を優先する姿勢を貫いてきたことから、景気の下振れが懸念されていたものの、「+7.5%程度」という政府目標に沿った水準を達成したことが市場では好感され、GDP発表後の中国株式は上昇しました。また、同時に発表された昨年10-12月期の成長率が、市場予想の前年同期比+7.2%をやや上回る+7.3%となったことも、株価上昇を後押ししました。習近平国家主席は、やみくもに経済成長率を高くするよりも、経済の質を重視した安定成長こそが中国経済の「新常態(ニューノーマル)」だと以前より訴えています。そして、政府は今年も、環境破壊や金融リスクなどの副作用を生みやすい高成長ではなく、構造改革を優先し、経済を安定軌道に軟着陸させることを目的として、経済成長率目標を昨年より引き下げると見られています。しかし、構造改革に伴なう経済の質の改善が重視されていることに加え、世界2位の経済規模でありながら、中国の経済成長率は依然として他国と比較して高いことや、今後、経済規模がさらに拡大していくと予想されていることなどから、同国株式市場の成長性は高いと考えられます。また中国株式は、足元で割安水準にあるとみられ、短期的な振れは想定されるものの、中長期的な上昇余地は大きいと考えられます。(※上記は過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。)(2015年1月23日 日興アセットマネジメント作成)●日興アセットマネジメントが提供する、マーケットの旬な話題が楽に読める「楽読」からの転載です。→「楽読」※1 当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘資料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。※2 投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。
2015年01月23日内閣府が11月17日に発表した2014年7-9月期の実質GDP(国内総生産)成長率の1次速報値は、前期比0.4%減、年率1.6%減と、2期連続のマイナスとなりました。市場予想の2.2%増を大きく下回ったことから、4月の消費税率引き上げで落ち込んだ景気の持ち直しが、市場の想定より遅れていることが示されたと言えます。各項目の寄与度をみると、外需が実質GDP成長率を前期比で0.1ポイント押し上げた一方、内需は同0.5ポイント押し下げる要因となりました。内需の中でも、在庫投資(民間在庫品増加)の項目が最も大きくマイナスに寄与しており、前期に需要の鈍化で積み上がった在庫が削減されたことが影響したとみられます。ただし、在庫削減により、今後は生産の回復が早まると期待されます。また、個人消費(民間最終消費支出)は天候不順などの影響で伸び悩んだものの、プラスに転じました。足元では、人手不足による賃金の増加基調や雇用環境の改善がみられ、今後も個人消費は緩やかな回復を続けるものと考えられます。安倍首相は、この結果や18日に終了する有識者会合などを踏まえ、来年10月に予定している10%への消費税率引き上げを延期するか、慎重に判断するものとみられています。今回、GDPが予想外のマイナス成長となったことで、市場では増税を延期するとの見方が強まりました。増税が延期となった場合、財政再建が遅れるとの懸念があるものの、個人消費が大きく落ち込む可能性は低くなると考えられます。足元では、設備投資の先行指標とされる機械受注が4カ月連続で増加していることや、輸出企業を中心に日本企業の好業績が続いていることなどから、今後、日本経済は緩やかに回復していくものと期待されます。(※上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。)(2014年11月18日 日興アセットマネジメント作成)●日興アセットマネジメントが提供する、マーケットの旬な話題が楽に読める「楽読」からの転載です。→「楽読」※1 当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘資料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。※2 投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。
2014年11月18日OECD(経済協力開発機構)が、先頃発表した「2060年までの長期経済成長見通し」によると、購買力平価基準を用いた世界のGDP(国内総生産)総額は、2060年に238兆米ドルと、2012年の61兆米ドルのおよそ4倍にまで拡大する見通しです。また、現在急成長している新興国が世界経済において重要な地位を担うようになると予想されています。中でも、中国とインドが飛躍的な躍進を遂げ、2060年の中国とインド両国のGDP総額は109兆米ドルに達し、世界の約46%を占めるとされています。OECDは、「世界経済は今後50年で激変を遂げる」とし、新興国の重要性が高まり、世界の勢力図が先進国から新興国へと長期的に変化していく中で、新興国では生活水準が向上し、多くの国々において、2060年までに、現在の4倍を超える所得増加が期待できると分析しています。こうした新興国の躍進は、先進国と新興国の貿易の拡大を通じて、先進国経済に大きなメリットをもたらすほか、先進国からの技術提供や投資の拡大を通じて、世界経済を支える役割を担うと考えられます。OECDでは、各国において労働市場改革や企業の生産性向上などに取り組むことが重要であるとしており、世界全体の持続可能な成長のためには、従来以上に、先進国および新興国の相互協力が不可欠になるものとみられます。なお、購買力平価基準では、各国の物価の違いを調整するため、名目GDPとの間に乖離が生じる場合がありますが、より実質的な評価・比較ができるとされており、為替の換算を伴なう長期計画や、経済規模などの国際比較に使用されています。また、長期的な傾向を掴む上でも注目されています。(※上記は過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。)(2012年11月20日 日興アセットマネジメント作成)●日興アセットマネジメントが提供する、マーケットの旬な話題が楽に読める「楽読」からの転載です。→「楽読」【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年11月21日内閣府は12日、2012年7~9月期四半期別GDP(国内総生産、季節調整済み)速報を発表した。それによると、7~9月期の実質GDP成長率は前期比(4~6月期)0.9%減、年率換算で3.5%減となり、3四半期ぶりのマイナス成長となった。景気実感に近いとされる名目GDPの成長率は、前期比0.9%減、年率換算で3.6%減少した。GDPの寄与度について見ると、実質GDPは国内需要(以下、内需)が0.2%減、財貨・サービスの純輸出(輸出-輸入)が0.7減。名目GDPでは内需が0.5%減、財貨・サービスの純輸出(輸出-輸入)が0.4%減となった。民間需要の動向について見た場合、民間最終消費支出は、実質GDPが0.5%減(前期0.1減)、名目GDPが0.8%減(同0.5%減)。このうち、家計最終消費支出は、実質GDPが0.5%減(同0.1%減)、名目GDPが0.8%減少(同0.5%減)した。また、家計最終支出(持ち家の帰属家賃除く)は、実質GDPが0.6%減(同0.2%減)、名目GDPが1.0%減(同0.6%減)となった。民間住宅については、実質GDPが0.9%増(前期1.5%増)、名目GDPが0.6%増(同1.2%増)。民間企業設備は、実質GDPが3.2%減(同0.9%増)、名目GDPが3.7%減(同1.0%増)となった。また、民間在庫品増加の成長率に対する寄与度を見ると、実質GDPが0.2%増(同0.2%減)、名目GDPが0.2%増(同0.2%)増となった。政府最終消費支出は、実質GDPが0.3%増(前期0.5%増)、名目GDPが0.3%増(同0.4%減)。公的固形資本形成は、実質GDPが4.0%増(同2.6%増)、名目GDPが3.2%増(同3.0%増)となった。公的在庫品増加の成長率への寄与度については、実質GDPが0.0%増(同0.0%増)、名目GDPが0.0%増(同0.0%増)だった。財貨・サービスの輸出は、実質GDPが5.0%減(前期1.3%増)、名目GDPが5.1%減(同0.3%増)。財貨・サービスの輸入は、実質GDPが0.3%減(同1.8%増)、名目GDPが2.3%減(同0.5%増)となった。総合的な物価の動きを示すGDPデフレーター(前期比変化率)を見ると、前年同期と比べて0.7%減、国内需要デフレーターは同0.8%減となった。一方、財貨・サービスの輸出デフレーターは同2.9%減、財貨・サービスの輸入デフレーターは同3.4%減だった。2011年度の実質GDP成長率は0.0%減、名目GDP成長率は2.0%減。2011年度のデフレーターについては、GDPデフレーターが1.9%減、国内需要デフレーターが0.7%減となった。また、GDP成長率の内外需別寄与度を見た場合、実質の内需が1.0%増、外需が1.0%減、名目の内需が0.3%増、外需が2.2%減となった。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年11月12日内閣府は13日、2012年(平成24年)4~6月期四半期別GDP(国内総生産、季節調整済み)速報を発表した。それによると、2012年4~6月期の実質GDP成長率は、前期(1~3月期)比0.3%増、年率換算で1.4%増と、4四半期(12カ月)連続のプラスとなった。しかし、伸び率は前期の年率5.5%増から大幅に鈍化した。景気実感に近いとされる名目GDPの成長率は、前期比0.1%減、年率換算で0.6%減少した。GDPの寄与度について見ると、実質GDPは国内需要(以下、内需)が0.4%増、財貨・サービスの純輸出(輸出-輸入)が0.1%減。名目GDPは内需が0.1%減、財貨・サービスの純輸出(同)が0.0%減で横ばいとなった。民間需要のGDPの内訳を見た場合、民間最終消費支出は、実質GDPが0.1%増(前期1.2%増)、名目GDPが0.3%減(同1.5%増)。このうち、家計最終消費支出については、実質GDPが0.1%増と、5四半期連続のプラスとなったが、前期の1.2%増から縮小した。これについて内閣府は、エコカー補助金による押し上げ効果が鈍ったことが大きいと分析している。民間住宅に関しては、実質GDPが0.8%増(前期1.6%減)、名目GDPが0.8%増(同1.7%減)。民間企業設備は、実質GDPが1.5%増(同1.6%減)、名目GDPが1.6%増(同1.6%減)だった。公的需要について見ると、政府最終消費支出は、実質GDPが0.3%増(前期1.0%増)、名目GDPが0.4%減(同1.2%増)。公的固定資本形成は、実質GDPが1.7%増(同3.6%増)、名目GDPが1.9%増(同3.1%増)となった。財貨・サービスの輸出は、実質GDPが1.2%増(前期3.4%増)、名目GDPが1.0%増(同3.4%増)。財貨・サービスの輸入は、実質GDPが1.6%増(同2.2%増)、名目GDPが1.0%増(同3.3%増)だった。総合的な物価の動きを示すGDPデフレーター(前期比変化率)は、0.5%の減少(前期0.0%減)。国内需要デフレーターも同じく0.5%減(同0.2%減)となった。一方、財貨・サービスの輸出デフレーターは、0.2%減(同0.0%減)、輸入デフレーターは、0.6%減(同1.1%増)だった。古川経済財政政策担当大臣は、4~6月期のプラス成長の要因として、「復興需要に加え、雇用や収益環境の持ち直し等を背景に、民需の各項目が増加したこと、復興事業を中心とする公共投資も引き続き進捗していることなどが挙げられる」とコメント。その上で7~9月期について、「趨勢としては、雇用や収益環境の持ち直しが続くことから、緩やかな成長が続くと見込まれる。ただし、欧州政府債務危機を背景とした海外経済の更なる下振れには留意する必要がある」としている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年08月13日ニッセイ基礎研究所はこのほど、2013年度から2016年度までの消費税率引き上げによる実質GDPへの影響の試算結果を発表した。それによると、消費税率引き上げに伴う実質GDPへの影響は、2014年度がマイナス1.4%、2015年度がマイナス1.5%、2016年度がマイナス1.9%となるという。同研究所は今回、消費税率が2014年4月に5%から8%へ、2015年10月に8%から10%へ引き上げられる可能性が高くなっていることを受け、前回(1997年)3%から5%へと引き上げられた際の例を参考に、2013年度から2016年度までの消費税率引き上げの影響を試算した。それによると、2013年度には税率引き上げ前の駆け込み需要が発生。前回の引き上げ前の個人消費と住宅投資を合計した駆け込み需要は4.6兆円、GDP比で1.0%と試算されているが、今回は、個人消費、住宅投資ともに駆け込み需要の規模は前回と同程度として計算。その結果、2013年度の駆け込み需要は、個人消費が2.5兆円、住宅投資が1.3兆円の合計3.9兆円、GDP比で0.7%となった。駆け込み需要は年度末にかけて拡大し、税率引き上げ直前の2014年1-3月期には、駆け込み需要による実質GDP成長率の押し上げ幅は、前期比1.5%(前期比年率6.1%)に拡大すると予測している。2014年度は、2013年度の駆け込み需要と同額の反動減(GDP比でマイナス0.7%)が生じることに加え、消費者物価が2.1%(0.71%×3:消費税を1%引き上げるごとに消費者物価が0.7%上昇すると試算)押し上げられることに伴う実質所得の低下により、実質GDPは0.7%(マイナス0.24%×3)減少すると予想。これにより、2014年度の実質GDPの低下幅はマイナス1.4%となる見込みだ。また、反動減と物価上昇による影響を合算した2014年度の実質GDP成長率への影響は、マイナス2.1%と非常に大きい。「消費税率が予定通り2014年4月に8%に引き上げられた場合には、2014年度はマイナス成長となる可能性が高く、2015年10月の税率再引き上げが困難となる事態も考えられる」(同研究所)。2015年度は、2014年度の税率引き上げの累積的な下押しに、2015年度の税率引き上げの影響が加わることで、実質GDPはベースラインからマイナス1.5%となると予測している。2016年度は、2014年度、2015年度の税率引き上げによる累積的な影響などにより、実質GDPは1.9%下がると見られる。これらをまとめると、消費税率引き上げに伴う実質GDPへの影響は、2013年度がプラス0.7%、2014年度がマイナス1.4%、2015年度がマイナス1.5%、2016年度がマイナス1.9%。実質GDP成長率への影響は、2013年度がプラス0.7%、2014年度がマイナス2.1%、2015年度がマイナス0.1%、2016年度がマイナス0.4%となる。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年07月17日経常利益は500億円ソニー生命保険株式会社15日、平成22年度第2四半期(上半期)の業績を発表した。経常利益は前年同期比37.3%増の500億円、中間純利益は同33.4%増の289億円となった。詳しく数値を見ると、保有契約件数が517万4千件で、前年同期比6.7%増加。新契約件数も同6.9%増の29万5千件と、契約が順調に伸びている数値が示された。一方、解約・失効率は0.16ポイント減、保険金等支払金も1.8%減少して1,320億円という結果となった。総資産は4.7%増加して4兆4,878億円。運用環境と今度の方針同社は平成22年度上半期の運用環境について、国内経済の実質GDP成長率(2次速報値)が、前期比で0.4%のプラスとなったことを挙げ、緩やかな回復基調との見解を示した。ただ、名目GDPがマイナスとなったこと、エコカー補助金などの駆け込み需要の反動が予想されることなどを不安要素として挙げた。今後の運用方針としては、一般勘定の基本運用方針として、中長期的に安定した利益の見込めるポートフォリオを構築するという。主な投資対象は国内債券で、安定した利息収入の確保を図る方針。
2010年11月18日