NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』のヒロインをはじめ、活躍目覚ましい芳根京子が舞台に挑戦する。演目は、2016年に上演された『母と惑星について、および自転する女たちの記録』。脚本を手がけた蓬莱竜太が第20回鶴屋南北戯曲賞を受賞した珠玉作の待望の再演である。そこに新キャストとして加わる芳根。作品にまた新たな魅力を与えそうだ。【チケット情報はこちら】この舞台の登場人物は母と3姉妹の4人のみ。長女役の田畑智子、次女役の鈴木杏が初演から続投し、母親役のキムラ緑子、三女のシオ役の芳根が、新キャストとして出演することになる。芳根はまず、この少人数編成に心惹かれたのだという。「出演者が4人しかいないというのは、ちゃんと舞台を経験するにはすごくいい機会だなと思ったんです。演出の栗山(民也)さんにもきっとたくさんご指導いただけるのではないかなと思いますし。みなさんと一緒にひとつの作品を作る喜びもより感じられるのではないかなと思うんです」。芳根にとって舞台は、2015年の『幕が上がる』に続いて実はこれが2度目。高校演劇部を舞台にした前作は、映画からスタートしたこともあり、同年代の出演者たちと楽しく過ごしたという記憶が大きいらしい。「だけど、舞台を経験されている先輩方の話を聞くと、舞台ってもっと悩んでもがいて作り上げていくものじゃないかという気がして。楽しいだけじゃいけないんじゃないかと勝手に思い込んでしまっているところがあるんです。だから今回は、ちゃんと壁を乗り越えてやるぞと思っています(笑)」実際、壁は大きそうだ。「まずセリフ量がすごいんです。台本をいただいて蛍光ペンを引いてみたら、インクがなくなっちゃったほどでした(笑)。しかも、長崎弁なので大変だろうなと思います。でも、それだけセリフをいただけるのは幸せなこと。しっかりやっていきたいと思っています」。また、演じるのは、“母”というものに恐怖を懐き、ある大きな選択を迫られているという複雑な役どころ。「私自身も苦しむだろうなと思います。でも、その分いろんな景色が見えるだろうなと思うので、しっかり苦しみたいと思いますし。自分から出てくる感情を1回1回大切にしたいなと思います。1度完成した作品をやるのはプレッシャーがありますが、もう1度やる意味を感じていただけるように、みなさんが引き込まれるお芝居ができたらなと思っています」。映像でも瑞々しい演技を見せる芳根だ。ナマの舞台にさらに期待したい。公演は2019年3月5日(火)から26日(火)まで東京・紀伊國屋ホールにて。チケットは12月8日(土)より一般発売開始。取材・文:大内弓子
2018年10月19日来年NHKの大河ドラマに出演する女優・橋本愛さん。今回、主演する映画『ここは退屈迎えに来て』は地方都市の閉塞感や東京への憧憬、元カレへの執着、互いを値踏みするかのような友人関係…。どんな女子にも心当たりがありそうなリアルな感情を描いた話題作。映画『ここは退屈迎えに来て』主演の橋本愛さんは、山内マリコさんの原作を17歳前後で読んでおり、好きな作品に関われることに感動を覚えたそう。「脚本が出来上がる前から、この映画では『原作者の想いを最優先に』と思っていました。山内さんがゼロら創造したこの小説を、映画が“利用”してはいけないなって」橋本さんが演じる“私”は、マスコミ業界での活躍を夢見て上京したけれど、今は地元に戻りタウン誌で書いている27歳のフリーライター。「東京に憧れていた“私”と自分は正反対。今は違いますが、私はもともと東京が大嫌いだったんです。初めて新宿に行った時、ビルが全部同じに見えて迷っちゃって…。桜を見ても『地元のとは違う』と怒ってました(笑)。東京の桜は、一枚フィルターがかかったような色に見えるんです。でも、私が地元の熊本に帰りたくてしかたなかった気持ちと、“私”の東京への渇望は、方向こそ真逆でも、強度は同じ。“私”を演じる時にとても役立ちました」こんなはずじゃなかったとモヤモヤしている“私”にとって、唯一の心の拠り所になっているのは、煌めいていた高校時代。その描写にも自身の経験が活きた。「あの時代のキラキラした瞬間が、いつまでも心に輝きをもたらしてくれることは、実感として知っています。私は、この仕事を早くから始めたので、学生生活の一日一日を目一杯楽しんでいました。友達と夜に花火をしたり、母校に行ってサッカーをしたり、当たり前のような時間がすごく尊かったんです」“私”が抱える鬱々とした気持ちは、橋本さん自身にもあった。「物足りなさをなんとか埋めなきゃとあがく彼女の苦しさは、理解できます。私も、常にそれが原動力になっていますし。だけど、その過程で、幸せと苦しみのバランスは総合的には1:1で、“待てば必ず、幸せが来る”という方程式のようなものが私の中でできたんです。それでも、意外と苦しい時間が長くて、『まだ来ないの?』ってこともあるんですけど(笑)。絶対に来ることに対しては自信があります」物語のキーパーソンで、誰からも愛される男子「椎名くん」役の成田凌さん、彼のことを忘れられない「あたし」を演じた門脇麦さんなど、演技力抜群の俳優陣が見応えある芝居を見せてくれる。なかでも橋本さんがとくに惹かれたのは、親友とファミレスで恋愛話にふける女性を演じた岸井ゆきのさん。「岸井さんの目の色や口元の表情から“何か”が漂ってて。その正体を考えながら完成作を観たんですけど、やっぱり“何か”でしかなくて。ファミレスでお茶しているエキストラとして、岸井さんたちの斜め後ろに座り、観察したかったです(笑)」現在22歳の橋本さんが、“私”と同じ年齢を迎えるのは5年後。「私は、30歳から絶対に面白くなるって信じてるんです。ただ、10代の時も『20歳から』と思っていたから、少しもったいない生き方をしてしまいました。だから最近は、ただ未来に期待して待つのではなく、“今”を浴びるように味わってます。例えば、小さいことですけど、引っ越ししたいのにしないで死んじゃうのは嫌だなっていう思考回路なんです。究極、今死んでもいいと思える生き方をしていったら、10代のような悔しさは残らないのかなって」はしもと・あい1996年1月12日生まれ、熊本県出身。映画『オズランド』が10/26より全国公開に。来年放送のNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』に出演。ドレス¥199,000(マルニ/マルニジャパンTEL:03・6416・1024)『ここは退屈迎えに来て』高校時代、みんなの憧れだった「椎名くん」を軸に、もどかしさを抱えた男女の切ない交錯を描く。音楽は、彼らの世代を代表するフジファブリック。名曲「茜色の夕日」が、物語を美しく彩る。10/19より全国公開。©2018「ここは退屈迎えに来て」製作委員会※『anan』2018年10月24日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・清水奈緒美ヘア&メイク・岩田美香(モッズ・ヘア)インタビュー、文・小泉咲子(by anan編集部)
2018年10月19日岩田剛典×杉咲花のW主演映画『パーフェクトワールド 君といる奇跡』を鑑賞した人が、つぶやかずにはいられない“是枝”という名前。もちろんあの世界的監督ではなく、俳優・須賀健太が演じている原作でも共感必至の片想いキャラ・是枝洋貴のこと。「是枝くんは幸せになって」「最高にかっこいい男」との声も聞こえる中、「是枝役って須賀健太だったの?」と驚きを隠せない人もおり、ひと際注目を集めている。そんな須賀さんは、10月19日で24歳。同年代の山崎賢人や菅田将暉らと比べるまでもなく、映画のみならず、舞台、テレビと多彩な活動を見せる須賀さんには、もうそろそろ元“名子役”という枕詞は不要なような気がする。芸能生活20周年!映画&舞台&テレビで大活躍「『ハイキュー!!』の舞台を観た人が、映画館に来て僕を観て、度肝を抜かれるっていうのが理想」と語りながら、逆に「映画で僕を知って、舞台を観に行ったら『こんなまぶしい青春やってんのか!』と驚いてほしい!」と、シネマカフェのインタビューで語っていた須賀さん。2017年、伊藤沙莉とW主演した青春ブラックコメディ『獣道』の公開時期で、人気バレーボール漫画を舞台化した、とにかくアツいハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」の日向翔陽役が定着してきたころだ。今年は、(社)日本2.5次元ミュージカル協会により1年間に渡って2.5次元ミュージカルのプロモーション活動を行う2018年度「2.5D アンバサダ-」に就任(昨年度の初代は加藤諒)、GyaO!配信中の「What’s 2.5D?」では初心者にも分かりやすい“2.5次元”の魅力を伝えている。舞台への思いが言葉の端々に覗くだけでなく、豪華ゲストを迎えるトークコーナー「健太ラボ。」でのMCもうまい。須賀さんが2015年11月の初演から座長として牽引してきた「ハイキュー!!」は、この10月20日(土)よりスタートする「“最高の場所(チーム)”」をもって須賀さんら烏野高校のキャスト陣が“卒業”する。自ら「新しい演劇をつくる!」をモットーに掲げてきたが、輝かしい足跡を残したことは確かで、今回は集大成にふさわしくシリーズ最大規模の公演数となり、東京、広島、兵庫、大阪、宮城と全国5都市をめぐる。「ライブ・スペクタクル NARUTO‐ナルト‐」や「劇団☆新感線『髑髏城の七人 上弦の月』」などにも出演してきたが、「ハイキュー!!」は間違いなく“役者・須賀健太”を代表する作品となった。「人にやさしく」『ALWAYS 三丁目の夕日』でブレイクするも…1994年生まれの須賀さんは、4歳のときに特撮ヒーローに憧れ、有名子役や俳優が多数所属するセントラルグループへ。99年から子役として活動を始め、「仮面ライダークウガ」「忍風戦隊ハリケンジャー」などに出演し、ドラマ「人にやさしく」(02)五十嵐明役の“泣き演技”で一躍脚光を浴びる。2005年の大ヒット映画『ALWAYS 三丁目の夕日』で演じた吉行淳之介役を、続編となる『続・三丁目の夕日』(07)、『三丁目の夕日’64』(12)でも演じ、同シリーズは“名刺代わり”に。初主演作『花田少年史幽霊と秘密のトンネル』(06)で第30回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。そのほか、『死にぞこないの青』や『釣りキチ三平』などでも主演を務めた。「喰いタン」シリーズで共演した東山紀之、森田剛と「トリオ・ザ・シャキーン」というグループを結成、「愛しのナポリタン」で歌手デビューし、ミュージックステーションなど音楽番組に出演したことも。2012年に現在のホリプロに移籍すると、舞台に本格的に出演するように。広瀬すずや神木隆之介など豪華キャスト集結のドラマ「学校のカイダン」(15)にも参加し、“こじらせ青春漫画”の名手・押見修造の同名コミックを映画化した『スイートプールサイド』(14)では、“毛”にコンプレックスを抱える男子高校生を演じて新境地を開拓する。新境地といえば、嘘に傷つき、夢をあきらめ対人恐怖症となった主人公・真(まこと)が壮大な“ドッキリ”に遭遇していくNHK-BSプレミアムドラマ「嘘なんてひとつもないの」(17)、妊活に苦悩する先輩(松山ケンイチ)を仕事の面で支える後輩・矢野を“スーツ姿”で演じた「隣の芝生は青く見える」(18)なども、視聴者にはかつてない“役者・須賀健太”の姿となっただろう。また、バラエティ番組「世界の村で発見!こんなところに日本人」へのレギュラー出演ほか、あの伝説的作品がCGアニメとなって現代に蘇った「俺たちゃ妖怪人間G」では、べム役の杉田智和、ベラ役の倉科カナとともにベロ役で声優レギュラー出演。バラエティといえば、10月17日放送の「1周回って知らない話」では、「義母と娘のブルース」で注目を集めた横溝奈帆や、鈴木福らを輩出する子役プロダクションを訪れ、“子役界のレジェンド”三倉茉奈&加藤諒とともに“現役子役”とガチバトルを繰り広げたばかり。須賀さんは30秒以内に涙を流す“早泣き”対決で、貫禄の勝利(!?)を勝ち取っている。先のインタビューでは、「高校生になっても、言われるのは過去の作品のことばかりで『なんでこの人たちはいまの僕を見てくれないんだ?』と思っていました」とふり返っていた須賀さん。「でも」と言葉を続けると、「やはり僕の中にいま根付いてるものは、子役の頃に培われたものがすごく大きい。いまは感謝しているし、やれててよかったと思えます。そういう風に思えるってことは、自分の中でひとつ区切りがついたということなのかな」と語り、過去の呪縛から心境の変化を経てきた様子だ。では、そんな須賀さんの新たな“代名詞”となるのは、どんな作品なのだろうか?「江戸前の旬」寿司職人見習いの姿が眩しい!銀座に店を構える「柳寿司」、二代目の父(渡辺裕之)を継ぐため修行を続ける寿司職人見習い・柳葉旬を演じる主演ドラマがスタートしたばかり。まだまだ半人前、叱られっぱなしではあるが、調理白衣姿が実に眩しい。江戸前寿司も食べたくなってくる。須賀さんはクランクアップの際、「少しだけ寿司握れるようになりました!!その須賀の集大成握りがこちらです!」とのコメントとともに握りの画像をアップしたほどの入れ込みよう。閉鎖されたばかりの築地市場がテレビドラマ“最後の出演”となるのも見どころだ。『獣道』伊藤沙莉と放つ、鬱屈した“居場所探し”現場では内田英治監督に「試されている」感が常にあったという須賀さん。地方都市に暮らす若者たちを描いた実話ベースの『獣道』では、自分の居場所を探しながら“半グレ”となっていく少年・亮太を好演、20代初めの代表作となった。地方都市に燻り続ける若者たちの行き場のない感情と居場所探しを体現して見せた伊藤さんの体当たり演技、吉村界人らの怪演もヤバいが、ラストシーンで伊藤さんを見守る須賀さんに最も心を打ち抜かれる。『シマウマ』「須賀史上最悪キャラ」の快楽殺人者“絶対に読んではいけない漫画”を実写化した超問題作『シマウマ』(16)。まるで“ジョーカー”のようなメイクを施した回収屋・アカは、かつてない悪役キャラが話題となった。まさかのキャミソール+ハイヒール姿の蹴りから始まり、いじめられっ子時代の明定(あかさだ)からの振り幅が強烈すぎ。だが、狂気の中にどこか哀しい愛らしさをにじませる役どころは彼にしかできないだろう。ドラ/倉神竜夫役の竜星涼も殻を打ち破る演技を見せている。『ディアスポリス』相棒と“殺人逃避行”…中国語にも挑戦!狂気と背中合わせの哀しみといえば、松田翔太主演、熊切和嘉監督による『ディアスポリス -DIRTY YELLOW BOYS-』(16)も。原作漫画で人気の高いパートが映画化された本作では、アジア人犯罪組織「ダーティイエローボーイズ」に属する中国人・周(ジョウ)を熱演した。残忍で次々と人を殺めていくが、絶対的に信頼される林(NOZOMU)と続ける逃避行は、2人の壮絶な過去をあぶり出す。確かに「ハイキュー!!」から本作や『シマウマ』を観てしまったら、衝撃を受けずにはいられない。『ちょっとまて野球部!』イマ旬キャストの“3バカトリオ”こちらは一転、須賀さん、小関裕太、山本涼介がとことんゆる~い野球部の“3バカトリオ”を演じる青春コメディ『ちょっとまて野球部!』(17)。汗水は流さないし、甲子園も目指さない、そんな非・熱血部活映画があってもいい!実際に同じ高校の先輩後輩だったというだけに3人は息もぴったりで、“キング・オブ・バカ”役の須賀さん、“乙女男子”がすぎる小関さん、“天然マイペース男子”な山本さんという、ちょっと残念なイケメン3人衆を温かな気持ちでご覧あれ。『サイモン&タダタカシ』イケメン同級生から片想い!?若手監督の登竜門「ぴあフィルムフェスティバル」出身の小田学監督の完全オリジナル脚本による長編デビュー作。工業高校3年生のタダタカシは男子だらけの学生生活に焦りを感じ、同級生のサイモン(阪本一樹)を誘って“運命の女”を探す旅へ。実はサイモンが思いを寄せているのは、親友のタカシで…という恋のベクトルが青くて切なぎる。ロマンチストで、どこか抜けている愛されキャラはハマリ役。さらには、今期注目のドラマの1つ「今日から俺は!!」で「ついに念願の福田組」に初参戦。「お話をいただいた時はどんなアドリブやれるんだろうなぁ~とワクワクしていました!しかし蓋を開ければアドリブゼロ!っていうより僕、笑いゼロ!ですがそれ以上にトリッキーで刺激的な役を頂きました」とコメントしており、もしや『獣道』『シマウマ』以来の強烈な役となるのかも!?来年には、芥川賞作家でお笑い芸人の又吉直樹が舞台用に書き下ろした長編サスペンスを、佐野勇斗と本郷奏多のW主演で映画化する『凛』も控えている。この作品でも、忘れられない存在感を発揮してくれるに違いない。(text:Reiko Uehara)■関連作品:獣道 2017年7月15日よりシネマート新宿ほか全国にて公開© third window filmsパーフェクトワールド 君といる奇跡 2018年10⽉5⽇より全国にて公開©2018「パーフェクトワールド」製作委員会
2018年10月19日広島県東広島市の銘醸地・西条を舞台に、幻の日本酒造りと恋を巡る『恋のしずく』で、日本酒の蔵元の息子・莞爾を演じている小野塚勇人。劇団EXILEのメンバーであり、『仮面ライダーエグゼイド』の九条貴利矢/仮面ライダーレーザー役ではお茶の間でも注目を浴びた彼が、役作りのほか、父子役で共演した大杉漣への熱い思いなどを語った。あまり馴染みのなかった“蔵元の息子”の役作りにあたり、撮影数日前に西条に入り、実際に酒蔵での酒造りの工程を学んだ小野塚。「酒造りを肌で感じてからクランクインできたことは有難かったですし、酒蔵のリアルな跡継ぎ事情も聞くことができたのも、役作りの参考になりました」と語る彼だが、本作ではあえて今の若い世代が使っている広島弁にも挑戦している。また、NHK朝ドラ『マッサン』の監修も担当した杜氏・石川達也から直々にレクチャーも受け、共演者らとともに、ほぼ毎晩のように日本酒を飲みに行ったことにより、「僕ら世代にありがちな日本酒は悪酔いするイメージは、勘違いだったことが分かりました」とも。杜氏役の小市慢太郎からは「お前、どんどん莞爾になっていくな」とも言われ、「この映画を通じて、日本酒のいいイメージを与えられたらと思うようになった」と語るように、役に対する、作品に対する思いは次第に膨らんでいったようだ。劇中、莞爾と確執が生じている父親を演じたのは、本作が遺作となった大杉漣。「監督のスタートからセリフを言われる間に、大杉さんの背中から覇気というか、オーラみたいなものが出ているのを感じ、鳥肌が立ったんです」と、今まで感じることのなかった経験を経た彼だが、大杉のアップ日に行われたバーベキューではお互いの趣味であるサッカーの話をすることもできた。「とてもいい想い出になりましたし、大杉さんのような背中で語ることのできる俳優になりたい、という新たな目標ができました」という言葉には、彼の強い意志を感じた。“貴利矢ロス”現象が起こるほどの人気から、異例の復活劇を遂げた『仮面ライダーエグゼイド』。放送終了から1年以上経った今も、自身にとって「大きな変化はない。街でも電車でも、まったく気づかれませんから」と笑顔で語る小野塚。「ひとつひとつの現場で、自分の爪痕を残すんじゃなく、少しでも作品が良くなる、面白くなるように頑張りたい」その気持ちは、ずっと変わっていないんです」という謙虚な姿は、さらなるブレイクを期待させる。そんな彼の初主演ドラマとなる『妖怪! 百鬼夜高等学校』が本日10月18日(木)より放送開始(BS日テレ23:30~)。妖怪たちの“日常”を捉えたシュールなコメディで、生徒会長の天狗役を演じている。「僕が主演とかいうことはあまり考えずに、たとえ撮影が深夜になっても、キャストのみんなが楽しく、おバカにやれることで、作品を面白くできれば、と思っています!」と意気込みを語る彼だが、すでに来年には同作舞台版の公演も決定。さらなる座長としての一面を見せてくれそうだ。『恋のしずく』10月20日(土)より公開『妖怪!百鬼夜高等学校』10月18日(木)よりBS日テレで放送取材・文:くれい響撮影:源賀津己ヘアメイク:鵜飼祐輔(TRON)衣装協力:CALEE INC.
2018年10月18日『娼年』『孤狼の血』など“体を張った”主演作が続き、先の日曜劇場「この世界の片隅に」では主人公の夫を好演した松坂桃李が、10月17日に30歳の誕生日を迎える。松坂さんをはじめ、“昭和の最後”ともいえる1988(昭和63)年生まれには新垣結衣、戸田恵梨香、東出昌大、窪田正孝、三浦翔平、瀬戸康史らに89年早生まれの佐藤健や千葉雄大などがおり、その顔ぶれの豪華さから“奇跡の世代”と呼ばれている。松坂さんは、その日本エンタメ界を担う中心世代の旗手ともいえる存在だ。30歳となった“役者・松坂桃李”は、文字どおり大きな節目を迎えている。若手俳優の登竜門“戦隊もの”と“朝ドラ”を制覇松坂さんは、大学在学中「FINEBOYS」専属モデルとして芸能活動をスタートすると同時に、所属事務所トップコートの養成所入り。2009年オーディションに合格し、「侍戦隊シンケンジャー」シンケンレッド・志葉丈瑠役で俳優デビューを果たす。特撮ファンには、同作の“殿”としておなじみだ。その後、「チーム・バチスタ2ジェネラル・ルージュの凱旋」では冷静沈着な研修医を演じ、「GOLD」では五輪候補の競泳選手に、配信コメディドラマ「女神のイタズラ ~キミになったボク~」では9歳の少年の魂が乗り移った青年にもなった。当時、シネマカフェが初めて松坂さんにインタビューした際には、俳優になることを両親から反対されたことを打ち明け、「『この世界でやっていく!』と自分で口にして、そこで後に引けなくなったときに覚悟が固まった」と初々しく語る姿が印象的だった。躍進の年となったのは2012年で、『麒麟の翼~劇場版・新参者』(1月公開)に始まり、NHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」(4~9月放送)で安岡信郎役に抜擢されると、さらにファン層を拡大。『王様とボク』(9月公開)では菅田将暉や二階堂ふみらと共演し、生者と死者を再会させる高校生に扮した単独初主演映画『ツナグ』(10月公開)では故・樹木希林さんとも共演。『今日、恋をはじめます』(12月公開)では学校一のイケメンを演じ、翌2013年・第36回日本アカデミー賞で新人俳優賞を受賞する。『ガッチャマン』(13)ではリーダーである“大鷲の健”こと鷲尾健を演じたほか、大河ドラマ「軍師官兵衛」(14)では稀代の軍師である父の背中を追う息子・黒田長政に。映画出演が続いた2015年は、『マエストロ!』での若きバイオリニストから、『エイプリルフールズ』でのセックス依存症の若手医師、『日本のいちばん長い日』での敗戦を認められない血気盛んな青年将校、『ピース オブ ケイク』での主人公の親友のオカマ、『劇場版MOZU』での狂気のテロリストと実に多彩な役柄を経験してきた。そして、堤幸彦監督による舞台と映画のメディアミックス『真田十勇士』では霧隠才蔵に。宮藤官九郎脚本の「ゆとりですがなにか」では“ゆとり第1世代”の事なかれ主義の小学校教師役に。『パディントン』では愛すべきドジっ子クマ、『デスノート Light up the NEW world』では死神の声を務め、2度目の連続テレビ小説「わろてんか」ではヒロイン・てん(葵わかな)の夫で、笑いを商いにするために奔走した北村藤吉役で深みを見せた。日曜劇場「この世界の片隅に」でも、ヒロイン・すず(松本穗香)を支える凛々しい姿が好評を博したばかりだ。素は天然?無頓着?後輩・菅田将暉&先輩・中村倫也にもイジられ…その「わろてんか」出演中には「あさイチ」のプレミアムトークに登場。「松坂さんはコンビニのビニール袋に台本や飲み物、ハンカチなどを入れ現場バッグとして使っている」と共演の藤井隆に暴露された。なんと、そんな無頓着な松坂さんと同様、恋敵から商いの相棒となる伊能栞役の高橋一生も同じく“ビニール袋派”だったことが判明、ちょうどいいエコバッグを見つけた高橋さんが「“そういえば桃李君も…”と買ってくださって、いまは一生さんと色違いのエコバックを使ってる」と明かして、ファンたちを萌えさせた。一方、この10月15日(月)深夜には、同じ事務所の後輩・菅田さんがパーソナリティを務める「オールナイトニッポン」に、今年知名度を全国区にした事務所の先輩・中村倫也がゲスト出演。『キセキ ーあの日のソビトー』など共演も多い菅田さんは9月に松坂さんが出演した回をふり返り、「会話にならなかった」と述懐すると、中村さんも「トップコート1、ストレス発散が下手なやつだから」とイジりまくり、最後まで「あいつ」「あのあんちゃん」と言われる始末。そもそも今年1月、松坂さんが同番組に出演した際、映画『不能犯』の番宣もそっちのけでアプリゲーム「遊戯王デュエルリンクス」にハマっていると大盛り上がりしたことが発端。以後、ゲスト出演のたびに「遊戯王」トークを炸裂させたことから、今回も本人不在ながら言及されたようで、2人との“仲の良さ”(?)が伺えた。同じく“戦隊レッド”出身の千葉さんや志尊淳などは、ちょっぴり毒っ気も感じさせる“可愛らしい”系イケメンだが、松坂さんは“殿”らしいリーダー的な役回りはもちろん、近年ではクールなルックスを生かした優男や少々歪んだエリート、素に近い(!?)不器用すぎる青年など、1作ごとにその色を巧みに塗りかえてきている。R指定映画で見事な脱皮と進化!映画賞ノミネートは確実かそんな中、注目したいのは、国民的ドラマに出演する一方で、過激な性描写が話題となった『娼年』を筆頭に映画倫理機構(以下、映倫)に指定を受ける作品に相次いで出演してきている点。直近のシネマカフェのインタビューでは「20代後半でやれることは全部やった」「いろいろな作品の扉を見つけることができたので、30代は扉を開けて、その色を濃くしていくのがメインになっていくと思います。そこから40代につなげたい」と語っていたが、駆け抜けた20代の集大成とするべく、あえて“そこ”を目指してきたように思える。先日発表された、国内映画賞のスタートを飾る第10回TAMA映画賞では、「作品ごとにまったく異なる境遇に生きる若者の姿をほとばしる情熱で息衝かせた迫真の演技は、観客を魅了した」として『孤狼の血』『娼年』『不能犯』『彼女がその名を知らない鳥たち』の演技により、最優秀男優賞を同い年の東出さんと分け合っている。今後の各映画賞でもノミネートは確実となりそうだ。R18+『娼年』彼にしかできない役に絶賛相次ぐ2001年に石田衣良が発表したセンセーショナルな小説が、三浦大輔監督のもと舞台化(R15指定)に続いて映画化。幅広い世代の女性を中心に動員した本作は、リピーターも多く「#おかわり娼年」というタグができたり、土日やレディースデーは満席が続出。松坂さんは2017年春、スペシャルドラマ「ゆとりですがなにか 純米吟醸純情編」クランクアップ後、わずか1日半で“あの世界”に戻っていったそうで、様々な女性たちとの経験を通じて成長していく青年を見事に体現。その赤裸々すぎる性描写は、可笑しみすら感じさせた。最近になってソフトや配信で目にした人たちからは、改めて「役者魂すごい」「これの応援上映してたの面白すぎる」といった声が聞こえている。R15+『孤狼の血』平成版“東映実録シリーズ”でも存在感“警察小説 ×『仁義なき戦い』”といわれた柚月裕子の同名小説を映画化。続編製作も決定している。「変なコンプライアンスを気にしたり、自主規制をせず、やれることを逃げずにやる」と白石和彌監督が語るとおり、まさに泥くさく、汗くさく、容赦なく、“昭和”を感じさせる映画となった。警察のルールや常識を度外視するベテラン刑事・大上(役所広司)とコンビを組むキャリア刑事・日岡を熱演した松坂さんは、同時期に公開されていた『娼年』とは打って変わって(?)、偶然出会った桃子(阿部純子)と結ばれるシーンは不器用さも感じさせた。R15+『彼女がその名を知らない鳥たち』桃李史上最高のゲス男!?“イヤミスの女王”沼田まほかるの小説を、上記『孤狼の血』の白石監督がメガホンをとり映画化。演じたのは、クレーマーの主人公・十和子(蒼井優)が、同棲相手(阿部サダヲ)がいながら情事に溺れていく妻子ある男で、イケメンで優しく、言葉巧みな時計売り場の営業マン。蒼井さんを相手に『娼年』にも匹敵するエロティックなラブシーンを繰り広げるが、そのクズっぷりや、豹変の仕方は松坂桃李史上最高の“ゲス男”といえそう。『ユリゴコロ』R15+指定でもおかしくない衝撃作同じく沼田まほかるの小説を吉高由里子主演で映画化した本作は、「12歳未満は保護者の助言・指導が必要」というPG12指定だったが、松坂さん演じる青年が読み進めていく“殺人者”の手記の内容や、その暴力的で残虐な描写からR15+指定でもおかしくはなかった作品。今から観るなら、ぜひとも注意して観てもらいたいところだ。『孤狼の血』や『不能犯』(PG12)、「サイレーン 刑事×彼女×完全悪女」の終盤などでも見られた、松坂さんの“目がイッた”演技を堪能できる。これから2019年2月には、故・蜷川幸雄の志を継いだ吉田鋼太郎が演出を手がける舞台「ヘンリー五世」が控えている松坂さん。2013年に上演した吉田さん主演「ヘンリー四世」に続いて、シェイクスピアに挑む。さらに本木克英監督のもと、2019年5月公開の『居眠り磐音』では“時代劇史上最も優しい主人公”に。これまで『真田十勇士』や「軍師官兵衛」などに出演してきたが、時代劇は初主演!自身の言葉の通り、かつて叩いてきた扉を開けて、新たな1歩を踏み出そうとしている形だ。いま、30代の松坂さんにも期待しかない。(text:Reiko Uehara)■関連作品:彼女がその名を知らない鳥たち 2017年10月28日より新宿バルト9ほか全国にて公開© 2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会孤狼の血 2018年5月12日より全国にて公開ⓒ 2018「孤狼の血」製作委員会娼年 2018年4月6日よりTOHOシネマズ新宿ほか全国にて公開© 石田衣良/集英社2017映画『娼年』製作委員会
2018年10月17日――1983年デビューのアイドル、大沢逸美、木元ゆうこ、桑田靖子、小林千絵、徳丸純子、森尾由美、松本明子の7人が35年の時を経て奇跡的なめぐり合わせで集まり、11月19日と20日の2日間、銀座博品館劇場で限定ライブを開催。7人それぞれが83年当時の衣装を着用して、80年代の歌番組『夜のヒットスタジオ』風のセットでデビュー曲を歌う。桑田由美ちゃん(森尾)が歌うのはアイドル時代以来だから、ファンの方は必見だね。森尾そうなの。でも、当時の衣装はさすがにもう手元になくて再現だけれど。保管していたのは3人。アッコ(松本)と靖子(桑田)とイッちゃん(大沢)だよね。松本うん、着られる。でも、怖いものがあるよね(笑)。小林35年前の衣装を、よく保管していたよね、物持ちいい!松本35年前といえば、千絵ちゃん(小林)、覚えてる?デビュー1年目が終わる年末に、誓い合ったよね、「私たち、生き残ろうね!」って。小林1年目が終わると、“アイドルとしてはダメでした”って……そういう空気が漂ってきて、「悔しいね!」ってみんなで言い合ったんだよね。木元泣けるね。何かの収録のとき?松本最後の賞レース(日本レコード大賞)のとき。予選落ち組で集まっていて。小林デビュー1年目って、新人たちはみんな、毎日のように現場で顔を合わせるんだよね。アイドル番組でもなんでも、ほぼ動きが一緒だから。でも、来年からはもう「新人」という言い方もされなくなるし、みんなバラバラになる。で、「もう会えなくなるけど、お互い、長く生き残ろうね!」って誓い合ったのよ。松本私と千絵ちゃんと、あと83年組の(お神セブン以外の)ほかのメンバーもいたよね。大沢私と靖子はレコ大にノミネートされて、本選には出られたんだよね。でも、当時のアイドルの夢は、レコ大会場の武道館から紅白歌合戦のNHKまで、パトカーに先導されて向かうというコースだった。私たちは……。小林私たち、現地解散だよね。松本そうそう、現地解散(笑)。森尾でも、ずっとこんな思い出話ができるのも83年組だからでしょ。小林5年前、私は30年ぶりにみんなと再会したの。アッコちゃんとも「生き残ろうね」って誓い合ってから30年ぶり。そこでお酒を飲んで、「こんなに時が経ったんだね、みんないろいろあって、そして今があるんだね」って泣いたよね。そして、なぜか私たちのお墓のことまで話したんだよね(笑)。大沢私は介護で2年弱くらい仕事を抑えていた時期があって、由美ちゃんは出産で、ゆうこ(木元)はインドを放浪したりで……全員ブランクがあるのよね。桑田私も、もう人前で歌うことはないと思っていた時期もあった……。松本私は“放送禁止用語”で干されているし(笑)。みんな、いろいろあるんです。小林イベントに来てくださるお客さまも、みんな同じ時代を生き抜いてきたと思うので、元アイドルとしてステージに立つのではなく、同志として「平成をがんばってきたよね」という気持ち。木元本当に、そう思う!!【お知らせ】博品館劇場(東京・銀座)にて、7人のライブ『35周年イベント☆83年組アイドル~不作と言われた私たち「お神セブン」と申します~』を開催。11月19日(月)19時開演、20日(火)14時開演/19時開演。
2018年10月15日NHK連続テレビ小説「まんぷく」が好評だ。「DREAMS COME TRUE」の楽曲に乗せ、ヒロイン・安藤サクラの個性だけで押すオープニングは見れば見るほどクセになり、人となりが見えてきた登場人物の中には応援したい推しキャラが現れている。第2週は長姉・咲(内田有紀)の結核や激化する戦局という心配な出来事があったものの、何より、安藤さん演じる今井福子と、後の夫となる立花萬平とのやりとりに毎朝、ほっこり、にやにや、ハラハラ、キュンキュンしている方が多い様子。その萬平を演じているのが、ハセヒロこと長谷川博己だ。丸メガネに“技術屋”らしいエプロン、商売に疎く、恋にも奥手、でも決めるところはビシッと決める姿には「可愛いすぎる」「素敵すぎる」「癒される」といった声が続出。三姉妹の末っ子でおっとりはしていても、意外としっかり者の福子に比べて、「むしろハセヒロのほうがヒロインでは?」と「ハセヒロイン」といった言葉まで誕生するほど。本作ではこれまで以上に、ダメカッコいい、キュートな魅力が炸裂している。福子×萬平のほのぼのカップルはどうなる…!?家庭でも手軽に味わえるインスタントラーメンを生み出した日清食品の創業者・安藤百福とその妻・仁子をモデルに、激動の時代の大阪で生き抜く夫婦の苦労と成功を描く「まんぷく」。タイトルは劇中の夫婦の名前、萬平と福子からとられている。制作発表時には、「朝ドラは20代の頃に何度かオーディションを受けさせてもらいまして、何度も落ちておりまして(笑)」と語っていた長谷川さん。ところが、生真面目なインテリやエキセントリックな役柄をやらせたらピカイチな彼は、本作での矜持を持った発明家であり、ハニカミながらも福子にちゃんと恋する男がハマっている。朝ドラで実在の企業の創業者や配偶者がモデルとなるのはよくあることだが、今回は子役時代は描かず、いきなり大人(福子18歳!)からスタート。福子の人柄や仕事ぶり、今井家の実情、萬平との出会いや彼の事業など、様々な要素が初週から実に小気味よく描かれ、このカップルの初々しさ、お似合いぶりは見る者を大いに楽しませている。たとえば、2人の初デート。福子は父を、萬平は両親を早くに亡くしているのに、それぞれの身の上を明るく語り合う。屋台のラーメンを並んで食べながら、「そんなに深刻にならないでください、さあ食べて食べて」と萬平は朗らかに言ってのける。そして、自身の仕事場を案内しながら「世の中の役に立つ仕事がしたい。みんなが喜んでくれるような仕事を」と語る萬平を、福子は尊敬を込めて見つめる。また、「私なんか…」と自分を卑下するような福子に対し、「福子さんは、かっ、可愛い方です」と真っ直ぐに伝える。それに心が優しい、礼儀正しい、に続いて「ラーメンをおいしそうに食べる」と、本作らしい“愛の言葉”も。その上、福子の母・鈴(松坂慶子)に交際を断われると、萬平は「それはできません」ときっぱり!咲の病気が治ったら「結婚を申し込むつもりです」と、それまでのヘタレぶりはどこへやら、力強くそう宣言してみせるのだ。福子は、おいしい食べ物や楽しい出会いなど日常の些細な幸福を、極めて素直な心で喜ぶことのできる女性だ(その逆もしかり…)。そんな彼女に萬平が惹かれていく理由が、わずか2週間あまりで丁寧に描かれてきており、そこに視聴者も深く共感する。ただ、これからの福子と萬平がどうなってしまうのかは、気にならずにはいられない。加えて、萬平の周りには営業担当として共同経営者となる加地谷(片岡愛之助)、萬平の才能に一目置く世良(桐谷健太)という朝から濃~い顔ぶれが。かつてないほど可愛らしいヒロイン役を務める安藤さんの周りにも、勤務するホテルの先輩・保科(橋本マナミ)に、缶詰をくれる同僚・野呂(藤山扇治郎)、白馬の歯医者様・牧善之介(浜野謙太)など、個性豊かな面々ばかり。ここに瀬戸康史や中尾明慶、やがては菅田将暉などが加わってくるので、ますます楽しみは尽きない。なお、萬平が、長谷川さんの代表作「MOZU」シリーズの「チャオ!」の決めゼリフで知られる狂気の公安・東と180度違ったキャラクターであることを逆手にとり、「#ハセヒロイン」とともに「#チャオ平」なるタグも派生している。「セカンドバージン」で大ブレイク!1977年3月7日生まれの長谷川さんは、大学卒業後、2001年に文学座へ入座し、舞台俳優として活躍。文学座の「モンテ・クリスト伯」ほか、「ヘンリー六世」「海辺のカフカ」など故・蜷川幸雄の舞台にも数多く出演した。脚本家・大石静による「四つの嘘」(08)が、初めてのテレビドラマ出演。その後、大石氏の「ギネ産婦人科の女たち」などを経て、2010年「セカンドバージン」で、鈴木京香演じる敏腕出版プロデューサー・中村るいの不倫相手となる金融庁のキャリア・鈴木行役で一躍脚光を浴びる。翌年に公開された劇場版は映画初出演作となり、第35回日本アカデミー賞新人俳優賞に選ばれた。大石氏は朝ドラ「ふたりっ子」の内野聖陽、同じく「オードリー」の堺雅人や佐々木蔵之介など、人気舞台俳優を全国区に紹介し、ブレイクさせてきた実績があり(系統は違うが「カーネーション」の綾野剛も)、当時34歳の長谷川さんも同作以降、遅咲きの実力派として認知度を高めていく。2011年は、4月期に後述する「鈴木先生」、10月期に高視聴率を記録した「家政婦のミタ」に出演。その後、綾瀬はるか主演の大河「八重の桜」(13)では主人公・八重の最初の夫となる洋学者・川崎尚之助を務めあげ、映画『進撃の巨人』2部作や『この国の空』などに相次いで出演。社会現象級の大ヒットとなった『シン・ゴジラ』では、巨大不明生物ゴジラの出現に立ち向かう官僚・矢口蘭堂を熱演し、第40回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞した。『散歩する侵略者』では憧れだったという黒沢清組に初参加。日曜劇場「小さな巨人」では前髪をすっきりと上げ、警視庁捜査一課から所轄に飛ばされる正義感あふれる主人公・香坂を演じた。映画『二重生活』で意外な下積み時代が明らかに!?門脇麦に尾行されるワケあり隣人を演じた、岸善幸監督の『二重生活』。実はこの完成披露試写会で、長谷川さんの大学時代のエピソードがリリー・フランキーにより明かされた。約20年前、長谷川さんは出版社でアルバイトをしており、リリーさんの家に原稿を取りに行っていたそうで「ずっと長谷川くんに尾行されていました」とリリーさん。そこで「居留守を使われたこともありました」と長谷川さんが応じると、「ポルノ映画のHなポスターを見て、どこに売ってるんですか?と食らいついてきた」とリリーさんが返し、思い出話(?)に花が咲くことに。さらに、リリーさんが初めて出演した映画『盲獣vs一寸法師』(04)では、同じ役を長谷川さんがオーディションで受け、落選していた事実も判明。それほど縁がある2人は、同作での共演を「変な感じですね…」とふり返っていた。このときに演じたのも“ゲス”なインテリ男だったが、今回は“まんぷく”的なツボをつく、長谷川さんのキュートな部分を堪能できる作品に注目してみた。妄想が教育を変える!? 黒縁メガネ+ループタイの「鈴木先生」2011年、武富健治の人気コミックをドラマ化した「鈴木先生」は民放連ドラ初主演作。『ALWAYS 三丁目の夕日』「リーガル・ハイ」の古沢良太による脚本がお見事。黒縁メガネとループタイがトレードマークの国語教師・鈴木先生が、“鈴木メソッド”なる独自の教育理論で、給食の献立から中学生の性に至るまで痛快に斬り込んでいった。シリアスとコミカルを行ったり来たり、スマートなルックスなのに時折、妄想が膨らみすぎるチョイキモな鈴木先生は、カルト的といえる人気に。2013年にはドラマ特別編「鈴木先生の結婚報告~待望の休暇も心の汗が止まらないッ!~」に続いて、『映画 鈴木先生』も公開された。歌声も披露!『舞妓はレディ』“エセ京都弁”を操る言語学者に周防正行監督による2014年のミュージカル映画。「東宝シンデレラ」オーディション審査員特別賞の上白石萌音が、主人公・春子役に初主演で抜擢された。長谷川さんが演じたのは、インチキ京都弁(?)を操る言語学者・京野法嗣。それでも、ほんのわずか聞いただけで春子が鹿児島弁と津軽弁の“バイリンガル”であることを言い当ててた。本作では、“京野メソッド”として「おおきに」「すんまへん」「おたのもうします」の舞妓必須三単語や「一見さんお断り」の精神を、春子に歌で伝えていくシーンは必見。彼女の上達を目にした際、「はははっ」と笑顔を見せる姿は萬平さんかと思うほど!?シルバーのタキシード姿で踊る、ラストのダンスまでお見逃しなく。『ラブ&ピース』冴えない男がカメのおかげで大逆転!?『地獄でなぜ悪い』園子温監督と再タッグを組んだ本作は、摩訶不思議な展開に転調していくファンタジック・ラブストーリー。社内で「カメ」と馬鹿にされ、パワハラを受ける鈴木良一は、閉まりかけのエレベーターに必ず挟まれるような冴えない男。やがて、“ピカドン”と名付けたミドリカメとの出会いで人生が激変。カメを思って作った歌が反原爆・反戦のメッセージと勘違いされ、レコード会社にスカウトされる。髪はボサボサの伸び放題、地味なメガネでカメとじゃれ合う前半の姿と、サングラスにアイメイク、“ワイルドリョウ”としてド派手な革パンでシャウトする姿の対比がクセになりそう!?映画版のエリート童貞に!『海月姫』月9のテレビドラマも話題を呼んだ、東村アキコの同名ベストセラーコミックを映画化した『海月姫』(14)。菅田将暉が女装美男子・鯉淵蔵之介に扮し、長谷川さんが恋愛経験のない、こじらせエリートの鯉淵修(映画では兄)を好演した。蔵之介にきれいにメイクされ、大変身した“クラゲオタク”月海(のん)にひと目惚れするシーンは、絶妙にずれた銀縁メガネがポイント!どうやらメガネ男子となると“ハセヒロイン”性が増すようで、終始ぎこちなく不器用な言動は十分に萬平を想起させる。本作の初日舞台挨拶に登壇した当時37歳の長谷川さんは、「変態おやじにならないように、できるだけ若さを出すのが難しかった」と自嘲気味にふり返っていた。月9史上最も恋愛下手な2人?「デート~恋とはどんなものかしら~」萬平のドタバタな交際申込みに、本ドラマの“高等遊民”のプロポーズを重ねた人も多かったはず。「鈴木先生」の古沢氏のオリジナル脚本であり、長谷川さんは月9初出演。東大大学院卒の超合理的女子・藪下依子(杏)と、文学や映画、エンターテインメントを愛するニート・谷口巧という、ともに恋愛力ゼロの凸凹な2人を温かく見守る人が続出した。理想のタイプが「オードリー・ヘプバーン、原節子、峰不二子、メーテルを足して4で割った女性」というのが、何より彼のパーソナリティを物語る。「僕なんかに月9のお話が来るようになったのか…と思ったら、ニートの高等遊民と聞いて『なるほど、そういうことか』と思いました(笑)」とは長谷川さん本人の弁。今秋、東京国際映画祭で新作映画が連続上映長谷川さんがキーパーソンとして出演する稲垣吾郎の主演映画『半世界』が、10月25日(木)より開幕する第31回東京国際映画祭コンペティション部門に正式出品される。ある地方都市、長谷川さん演じる瑛介が仕事を辞め、家族と別れ、突然ひとりで帰ってきた。この仲間の帰還が、同級生たち(稲垣さん&渋川清彦)にも変化をもたらしていく。『エルネスト もう一人のゲバラ』『北のカナリアたち』など、日本映画界を代表する名匠・阪本順治が贈る完全オリジナルストーリーが、どう受け入れられるのか要注目。一方、日本を含むアジアの気鋭監督3名が、1つのテーマのもとにオムニバス映画を共同製作する「国際交流基金アジアセンター×東京国際映画祭」による『アジア三面鏡2018:Journey』の1篇『碧朱(へきしゅ)』にも参加。『ハナレイ・ベイ』『トイレのピエタ』の松永大司監督とのタッグで、こちらも東京国際映画祭にてプレミア上映される。また、「すごいことを引き受けたんだな」と自身でも語るのが、明智光秀を演じる2020年の大河ドラマ「麒麟がくる」。主人公に据えられることは珍しい“反逆”の戦国武将を、「夏目漱石の妻」でも組んだ大ベテラン・池端俊策の脚本で描く。朝ドラからの“連投”で大河主演というのも、また異例。まだしばらくは、長谷川さんの大活躍が続きそうだ。(text:Reiko Uehara)■関連作品:半世界 2019年、全国にて公開予定Ⓒ2018「半世界」FILM PARTNERS
2018年10月15日俳優の瀬戸康史が14日、東京・新宿のブックファースト新宿店でアーティストブック『僕は、僕をまだ知らない』(10月17日発売 2,315円税抜き ワニブックス刊)の発売記念イベントを行った。2005年のデビュー以降、幅広いキャラクターを演じて注目を集めている瀬戸康史。現在放送中のNHK連続テレビ小説『まんぷく』では、長谷川博己扮する立花萬平を支える神部茂役として出演している。そんな彼のアーティストブックとなる同書は、自身がコンセプトを考えた写真のドラマ『海月姫』(フジテレビ系)で演じた"蔵子"の撮り下ろしポートレートや、自身が創作した物語&イラストによる絵本『小さな神様』、更に2万字を超えるロングインタビューが収録されるなど、瀬戸の魅力が詰まった1冊となっている。出来上がった同書を手にしながら「とてもうれしいですね。短い期間の撮影だったんですけど、悔いの残らない良い作品になったと思います」と笑顔を見せた瀬戸は「今回は"繋がる"をテーマにしていて、"街と繋がる"写真があり、串カツを食べました。そこはわんこそば形式で串カツが出てきて、ストップと言わないと永遠に出てくるんです。40本食べましたが、夕飯にスタッフさんが美味しいものを用意してくれたんですけど一口も手をつけられませんでした(笑)」と撮影エピソード。「アーティストブックとは銘打っていますが、写真ばかりではなく絵本や今まで30年間生きてきた僕を知ってもらえる文章も暴露しています。そういうところも楽しんでもらえたらと思います」とアピールした。瀬戸は、10代で芸能界入り。今年で30歳になった。10代と比べて「ちゃんと人の目を見て話せるようになりました。今まで人が怖くて拒否っていましたから(笑)」と自己分析。続けて、「今まで友だちはいませんでしたが、今では高橋一生さんという大事な兄貴ができ、人との繋がりも案外悪くないんだなと思うようになりました。悪い人たちもいますけどね」と笑いを誘う場面も。また、30代の目標を「30歳まではお仕事が充実していましたが、これからはプライベートを充実しないとダメだと思いました。それこそ美味しいご飯を食べるとか旅行に行くとか。今、一生さんと台湾に旅行に行きたいという話をしていますが、一生さんはお忙しいですからね。一生さんと台湾に行くことが目標です」と語っていた。
2018年10月14日お笑いコンビの博多華丸・大吉の博多華丸が14日、京都市内を中心に開催中の「京都国際映画祭2018」(11~14日)内で行われた映画『劇場版 めんたいぴりり』(2019年1月11日福岡県先行公開、1月18日全国公開)の舞台挨拶に、江口カン監督と共に登壇した。“めんたいこ”を日本で広めた辛子明太子メーカー「ふくや」の創業者・川原俊夫をモデルとして描いたテレビ西日本のドラマ『めんたいぴりり』が、舞台化に続いて映画化。主人公の海野俊之が“博多の街を幸福にしたい”という思いを胸に奔走する。主演の博多華丸は「やっと完成してみなさんの目に触れた。撮影のときは絶対終わらないと思っていたので、こんな日が来るとは…。本当に公開されるのかと、さすがに信じてきましたが、まだ1月11日まではちょっとだけ疑ってます」と、公開を疑うほど慌ただしい撮影だった様子。監督も「僕も終わるんだろうかと思っていた。試写が終わった直後に華丸さんから『信じてよかった』と言われました」と明かした。華丸は、この日の試写会の観客の様子を見ていたそうで、「初見のみなさんの声。こんなところで笑うんだとか、ここあんまりウケなかったとか、いい勉強をさせていただきました。生の意見だなと」と話した。撮影は3月に行われ、そのためにコンビでMCを務めるNHK朝の情報番組『あさイチ』の最初の出演時は坊主に。華丸は「謎の坊主で始まるっていう、NHKさんにしては…。これのせいなんですけど、あんまり言えないし。なんであいつは坊主なんだって」と振り返り、司会者から「とちられたのかなと」と言われると、「そう思われていた人もたくさんいらっしゃると思う」と笑った。また、『あさイチ』のMC就任当初の心境について「プレッシャーのある番組だったんですけど、あまりにもこの映画が大変すぎて、4月からのNHKさんのほうは割と気楽にやりました。ギリギリまで撮影で、プレッシャーを感じる暇がなかったので」と打ち明けた。同映画祭は、「京都映画祭」の伝統と志を引き継ぎ、2014年より開催。映画からアート、伝統工芸、新しいメディアへ「つながり、ふれあう」映画祭として展開してきた。5回目となる今年は、「日本映画発祥の地・京都」で行う映画祭であることを再認識し、「ちゃんばら」「伝統工芸」などを通じて京都・日本の心を伝える。
2018年10月14日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「北朝鮮の実情」です。予想外に開かれた平壌。互いに知ることが重要では?8月に平壌を視察してきました。想像以上に発展しており、現地の新聞や雑誌には、新しい工場建設の見出しが日々躍っていました。また、街なかでは外国人が多く歩いていました。北朝鮮と国交を断っている先進国はアメリカとフランスと日本のみ。世界の98%の国とは交流があるので、決して閉ざされた国ではないんですね。北朝鮮の人たちの話を聞くと、彼らの希望はとにかく経済発展させること。これまで国家予算は核開発にあてられ、国民は厳しい生活に耐えてきましたが、核兵器が完成して、ようやく生活や科学技術の向上を望めます。農村部との格差をなくすために、AR(拡張現実)技術を使って遠隔操作で教育を施すなど、教育にも力を入れていました。非核化に関しては、「アメリカが核を持っているかぎりは難しい」とコメント。ただ、9月9日の軍事パレードで大陸間弾道ミサイルの展示はなく、それは、米朝間交渉を円滑に進めるための配慮だといわれています。経済制裁のダメージは受けていて、ある女子学生は「おしゃれな雑貨が入ってこなくなった」と話していました。最新医療現場では日本やドイツ製の医療機器も置かれており、すべてを自国製で賄うのは難しいため、一刻も早い国際社会との連携を願っています。拉致問題について学生に意見を聞いてみると、そんなことが自国であったことに衝撃を受けた、と話していました。でも彼らの主張は、それよりもまず戦時賠償解決のほうが先立つんですね。交流を断っているため、お互いに50年くらい前のイメージのまま止まっています。これは両国政府の反日、反北朝鮮プロパガンダが浸透しているといえます。北朝鮮の方々は、過去の日本に対しては厳しい認識を持っていますが、日本の国民性や技術力に対しては期待を抱いており、互いに協力したいという声もたくさん聞きました。北朝鮮も日々変化しています。外交官同士が雑談レベルで話せる関係を持ち、互いの最新のニーズを知ることが大事だと思います。韓国や中国との間にある問題と同様、対立する道具にするのではなく、知恵を出し合って、解決する機運を高めていきたいですね。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年10月17日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年10月14日映画『万引き家族』で演技が世界的に評価された女優・安藤サクラさん(32)が、ついに連続ドラマ小説『まんぷく』(NHK)に主演として登場した。朝ドラ99作目にして、初めて育児をしながら撮影に挑むヒロインとなった、サクラさん。インスタントラーメンを生み出した夫婦の物語を、明るく逞しく演じている。「サクラが3~4歳のころ、彼女を見ていて、確信したの。ああ、この子は女優になるって」こう語るのは、サクラさんの母でエッセイストの安藤和津さん(70)。その直感は鋭かったが、シャイなサクラさんがその思いを口にすることはなかった。サクラさん誕生のころ、俳優で映画監督の父・奥田瑛二さん(68)は、大ヒットドラマの常連だった。しかし、そんな父の背中を見るまでもなく、サクラさんは生まれながらに、自分の道を一直線に見定めていた感がある。サクラさんは5歳で、父の舞台を見て、指をさしてこう言ったのだ。「ちゃくちゃん(サクラちゃん)あれになる!」奥田さんの思いは複雑だった。「あちゃ~と思った。女優にはならないでくれ。お願いだからって」(奥田さん)奥田さんは、自分のつらい下積み時代の経験から、娘たちを女優にだけはしたくなかったのだ。だが、父の願いもむなしく、幼稚園のお遊戯会から、サクラさんはその才能の片鱗を見せ始めていた。小学校5年の学芸会で『夕鶴』の主役オーディションに受かった。このとき、奥田さんは和津さんに頼まれて、サクラさんの演技指導をしている。「15分だけだぞ。正座してお願いしますと言わなきゃダメだ」と、言って始まった稽古は気づけば20分、30分と過ぎていった。「いや、そうじゃない。違う。小学生みたいな芝居してるんじゃねえよ!」小学生のサクラさん相手に、奥田さんは熱くなった。気づけば1時間半がたっていた。「バカヤロー!学芸会みたいな芝居してんじゃねぇんだよ!」ついにサクラさんが、「だってこれ、学芸会だも~ん」と泣きだした。しかし、このときのサクラさんの演技は後々まで語り草になった。「先生方みんな泣いたんですって。それに妙に色っぽかったのよね(笑)」(和津さん)サクラさんが秘めた思いをぶつけてきたのは、高校卒業のころだ。両親の部屋で、正座をしたサクラさんは、神妙な声でこう言った。「お父さん。お話があります」「うん。なんだ」「女優になりたいんです」シーンとした沈黙がしばらく続いた。奥田さんは観念し、サクラさんにこう言い渡した。「わかった。OKを出す。しかし、何も助けてやることはできない。自分で道を切り開く。そこだけは胆に命じて、親を頼らない」奥田さんはその夜、いろんな思いが錯綜して、眠れなかった。「親の七光り」などと言われるが、七光りで親が面倒を見た子どもが潰れていくのを、奥田さんはその目で何度も見ていた。「生き残るのは、親が手を出さなかった二世です。佐藤浩市、中井貴一、緒方直人もそうですね」(奥田さん)サクラさんは、自分で調べて、ワークショップに通いだし、自分の道を黙々と切り開いていった。「こっちは人づてに、誰々のワークショップに行っていると聞いて、驚くわけですよ。本気度が増して、本人は命がけだったと思います。親としては、正直、もどかしい。手を差し伸べてやりたい。でも、何もしないで無視する強い気持ちを持たなければいけない。そこから静かなる“せつない親子関係”が生まれてくるわけです」(奥田さん)当時、サクラさんに対するネガティブな視線が実際にあった。「『あの顔で女優になるわけ?』とか『親の七光りもどこまで通用するかね』とか。ずいぶんヒドイことを言われました」(和津さん)冷たい世間の風のなか、奥田さんにできるのは、自分の作品の現場を見せることだけだった。そんなころ、奥田さん監督の映画4作目『風の外側』で、主演女優が降板する事態が起きた。クランクインまであと10日。奥田さんは、撮影を延期するつもりだったが、プロデューサーが「サクラさんはどうですか?」と提案してきた。しかし、すぐには首を縦に振れない。このとき初めて和津さんが口を出した。「サクラを主演にするのは、あなたがしたくないと断固、自分で決めたこと。それはわかる。でも、今回は、神様のプレゼントだと思って、やったらどうなの?」と。「それで腑に落ちたんですよ。これは運命的なことだなと思って」(奥田さん)奥田さんは、1人の監督として、サクラさんに出演を要請。サクラさんはそれを受けた。「最初の1週間は、現場で怒鳴りまくっていましたね。でも1週間たったら、サクラがスコンと変わって『あ、こいつ化けやがった』と、思った。残りの20日は一切、注文はつけなかった。顔が役の顔になってるし、本名のさくらというひとりの娘ではなく、女優サクラになっているのがプロの目で見えた。それからは撮影も楽しかったです」(奥田さん)その後、サクラさんは園子温監督作品『愛のむきだし』(’09年)など、話題作に次々出演。その圧倒的な存在感と演技力に、しだいに注目が集まっていった。サクラさんは、スイッチのオン、オフが明確で、自然に役に入り込み、憑依させた役からスルリと抜けて、日常生活に戻ってくるという。「ある人は『人智を超えている』と、言っていたね。僕もサクラを見習って、実践しようと思うけど、なかなかできない。役が憑依しかけたクランクイン10日前がいちばんダメなんですよ。自分で自分が制御できない。ピリピリして、パンパンに張った風船みたいになっちゃうわけです」(奥田さん)若き日の奥田さんは、そんなとき家で暴れた。ちゃぶ台をひっくり返して、亭主関白を演じたり、酒に溺れたり、ときどきは女性スキャンダルも起こしている。「そうしないと、僕は役の自分から元の自分に戻れない。ところが、サクラはピリピリしない。役の咀嚼の仕方が僕とはまったく違う。セリフを咀嚼して、血と肉にしていくスピード感があって、現実に生活している環境が、変わらない。異次元だね、あれは」(奥田さん)
2018年10月13日女優の松井玲奈が、集英社の文芸誌「小説すばる」11月号で小説家デビューを果たすことが分かった。現在放送中のNHK連続テレビ小説「まんぷく」にレギュラー出演するなど、女優として活躍中の松井さん。幼少期からの読書好きが高じて、近年は書評の寄稿や文庫解説の執筆なども行ってきた彼女が、今回満を持して小説家デビューを飾る。掲載されるのは、短編小説「拭っても、拭っても」。過去の恋愛によって心に傷を負ったアラサー女性の主人公が、小さな、しかし確かな希望を持って前を向くまでを綴った、失恋と再生の物語だという。10月17日10時より、同誌公式サイトにて試し読みができる。また、本作執筆に関する松井さんのエッセイが集英社の月刊読書情報誌「青春と読書」11月号に掲載される予定となっており、松井さんは執筆をふり返り「頭の中にある映像を言葉で人に伝えるのは、とてもエネルギーのいる作業でしたが、どこかで物語の続きを考えて遊んでいた子供の頃を思い出して楽しんでいる自分がいました。書き続けることで、自分の新しい感性に出会える予感がしています」とコメントを寄せている。「小説すばる」といえば、村山由佳、萩原浩、堂場瞬一、朝井リョウといったそうそうたる作家たちを輩出したことでも知られ、現在、北方謙三、夢枕獏、冲方丁らの連載が掲載されている。今後も同誌での執筆が予定されており、小説家としてもどんな活躍を見せるのか期待したい。「小説すばる」11月号は10月17日(水)発売。「青春と読書」11月号は10月20日(土)発売。(text:cinemacafe.net)
2018年10月12日いまや戦隊ヒーローと並び、人気俳優への登竜門となっている男性ファッション誌「MEN’S NON-NO」の専属モデル。近年では阿部寛を筆頭に、坂口健太郎、斎藤工、東出昌大、井浦新…と、そうそうたる顔ぶれが実力派俳優として日本映画界を牽引している。そんな大活躍中のメンノン出身俳優の中でも、注目株は今年計6本の映画出演を果たし、月9ドラマ「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命- 3rd season」の悩めるドクター役が話題となった成田凌。この秋には3本の映画が公開され、ただいま快進撃中!ルックスの良さはお墨付きながら、俳優としても存在感を示すMEN’S NON-NO出身俳優たち。今回はその中でも“いま注目すべき若手俳優”をチェックしてみよう。出演作ラッシュで快進撃!…成田凌NHK連続テレビ小説「わろてんか」でその名を全国区にした成田凌。映画俳優としての活躍も目覚ましく、2018年上半期は井浦新との共演作『ニワトリ★スター』、放送作家・鈴木おさむの初監督作『ラブ×ドック』、大ヒットドラマの映画化『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』の3本が公開に。また下半期となるこの秋には橋本愛、門脇麦と共演した『ここは退屈迎えに来て』(10月19日)、三上延によるベストセラーの映画化『ビブリア古書堂の事件手帖』(11月1日)、『リング』の中田秀夫監督によるミステリー『スマホを落としただけなのに』(11月2日)が相次ぎ公開。演じる役柄は女性たちの憧れの男性やネット専門の古本業者、セキュリティ会社社員などそれぞれ異なりながらも、どこかミステリアスな雰囲気をまとった奥行のある人物を怪演している。加えて2019年には周防正行監督の4年ぶりの新作『カツベン!(仮)』で初主演を飾るほか、計4本の映画が待機中~と、出演作がめじろ押し。2018年度最もブレイクしたメンノン出身俳優と言えるだろう。個性派俳優として存在感もバッチリ…柳俊太郎また個性派俳優という点では、メンノン出身俳優の中でも群を抜く存在感の柳俊太郎。近年では漫画家・石田スイによる大ヒットコミックの実写化『東京喰種トーキョーグール』(2017年)での“人ならざる”喰種役や、松岡茉優の主演作『勝手にふるえてろ』(2017年)での三つ編み&つながり眉毛がインパクト大だったコンビニ店員役、そして林遣都、前野朋哉と共演した人気コミックの実写化『チェリーボーイズ』(2018年)で扮した“イケメンなのに身体に残念な秘密を抱える”童貞男役が強烈な印象を残している。元サッカー少年で高校時代はバレーボール部だったという抜群の運動神経、そして切れ長の目元が涼し気なその容姿は、“第2の綾野剛”ともいうべき可能性を感じる。イケメンから個性的な役柄まで自在に演じ分けるカメレオン俳優となって、ジャンルを問わない活躍に期待したい。天性の王子様キャラ!?…清原翔結婚情報誌「ゼクシィ」のCMで新郎役を務め、世の女性たちをザワつかせた清原翔。2017年から本格的に俳優としてキャリアを積みはじめた清原さんは、桐谷美玲主演作『リベンジgirl』(2017年)で、ヒロインが政界進出を目指すきっかけとなった政治一家の御曹司役で俳優としての知名度を上げている。2018年は中井貴一主演ドラマ「記憶」に出演、続く「いつまでも白い羽根」ではイケメン研修医役を好演している。そしてこの秋には“王子様が大渋滞”をテーマとする「PRINCE OF LEGEND」のほか、「忘却のサチコ」や「SUIT」~と、出演作品が一斉にテレビ放映!また2019年にはNHK連続テレビ小説「なつぞら」に初登板が決まっているほか、劇場版『PRINCE OF LEGEND』(3月21日公開)にドラマと同様の“美容師王子”役で出演。そして高里椎奈の人気小説シリーズを実写化した『うちの執事が言うことには』(年内公開)では主人公の執事役に抜擢~と、ネクストブレイクの予感がぷんぷんと漂う。今後も王子様キャラを最大限活用し、女性たちをキュンキュンさせて欲しい。勝利条件そろいぶみ!…山本涼介美少年コンテスト「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」のファイナリストに輝き、芸能界入りを果たした山本涼介。また2015年には戦隊アクション「仮面ライダーゴースト」に出演するなど、“勝利条件”がそろいぶみのメンノン出身俳優だ。2011年ドラマ「花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイス~2011」で俳優デビュー。それ以降テレビ、舞台、映画と多方面で話題作に出演し、2018年には、ゆくえ高那の人気コミックを実写化した『ちょっとまて野球部!』で須賀健太、小関裕太と共に“野球部トリオ”のひとりに扮している。またこの秋には、有川浩のベストセラーを実写化した『旅猫リポート』(10月26日公開)で福士蒼汰扮する主人公・悟の友人役を好演したほか、ジャニーズJr.安井謙太郎主演作『ニート・ニート・ニート』(11月23日公開)で主人公・レンチと共に北海道を旅する同級生役に。一方、過去にはズバ抜けた身体能力を駆使し、スポーツエンターテインメント「SASUKE」に出演。お昼のバラエティ「バイキング」に木曜レギュラーとして参加したことも。そのマルチな才能で今後も活動の幅を広げていくに違いない。インターナショナル&知性派…宮沢氷魚父親は「THE BOOM」のボーカル宮沢和史、母親はタレント・パーソナリティの光岡ディオンという芸能一家に育ち、アメリカ・カリフォルニア生まれという宮沢氷魚。メンノン出身俳優の中でも、インターナショナル&知性派として知られている。国際基督教大学卒業、日本語と英語に堪能なバイリンガルという宮沢さん。その語学力を活かし、2016年にはNHK「おとなの基礎英語」のスキットドラマで演技に挑戦。2017年には綾野剛主演のドラマ「コウノドリ」で俳優デビューを飾っている。2018年は「トドメの接吻」で山崎賢人、門脇麦、新田真剣佑、菅田将暉ら若手人気俳優たちと共演したほか、NHK BSプレミアムの地域ドラマ「R134/湘南の約束」でドラマ初主演。東京芸術劇場で上演された「BOAT」では、舞台初出演にして初主演も務めている。またこの秋には、三島由紀夫の小説を舞台化した<2018 PARCO PRODUCE “三島× MISHIMA ”>「豊饒の海」で、東出昌大扮する主人公の生まれ変わり役に挑む。三島由紀夫が6年の歳月をかけてつむいだ絶筆作品を舞台化するという一大プロジェクトだけに、難役に挑んだ宮沢さんの演技にも注目だ。ギャップ萌えイケメン…中田圭祐この春放映された杉咲花初主演ドラマ「花のち晴れ~花男 Next Season~」で、「King & Prince」の平野紫耀と共にセレブ軍団“C5”のメンバー役を演じて一気に女性ファンを増やした中田圭祐。武道の達人・杉丸役を演じるにあたり筋トレに励んだというたくましい体躯と、つぶらな瞳のギャップが魅力のギャップ萌えイケメンだ。2016年に水曜ドラマ「毒島ゆり子のせきらら日記」で俳優デビューとなった中田さんは、坂口健太郎×miwaのダブル主演作『君と100回目の恋』(2017年)で映画デビュー。また住野よるのベストセラーを映画化した『君の膵臓をたべたい』(2017年)やスペシャルドラマ「ゆとりですがなにか 純米吟醸純情編」などの話題作にも名を連ねる。2018年は菅田将暉×土屋太鳳のダブル主演作『となりの怪物くん』に出演、24時間テレビのドラマスペシャル「ヒーローを作った男 石ノ森章太郎物語」では藤子・F・不二雄に。またこの秋には、社会現象となった台湾映画のリメイク『あの頃、君を追いかけた』で、山田裕貴扮する主人公の友人を演じている。作品ごとにガラリと雰囲気を変える中田さん。今後が楽しみな若手俳優だ。2018年に入りメキメキと頭角をあらわしてきたMEN’S NON-NO出身の若手俳優たち。今後ますます露出度がアップする彼らから、いま目を離したらソンしちゃうかも!(text:足立美由紀)(text:Miyuki Adachi)
2018年10月12日10月1日にスタートした、NHK連続ドラマ小説『まんぷく』。朝ドラ99作目にして、初めて育児をしながら撮影に挑むヒロインとなった、女優の安藤サクラさん(32)。インスタントラーメンを生み出した夫婦の物語を、明るく逞しく演じている。21歳で父・奥田瑛二さん(68)が監督した映画『風の外側』でデビューしたサクラさんは、数々の女優賞に輝き「異次元の能力の女優」との呼び声も高い。今年5月、カンヌ映画祭でパルムドールを受賞した是枝裕和監督作品『万引き家族』では主演を務め、その演技は、審査委員長ケイト・ブランシェットに絶賛された。姉の桃子さん(36)は、気鋭の映画監督。’10年『カケラ』で監督デビューし、自身の小説を映画化した『0.5ミリ』(’14年)で、数々の映画賞を受賞した。現在は、『0.5ミリ』の撮影地だった高知市に移住。昨年10月、映画館「ウィークエンドキネマM」を開館し、舞台や映画製作などを学ぶ「桃子塾」を開くなど、高知を拠点に活動の幅を広げている。映画監督と女優の姉妹。2人の天才を生み出した安藤家。2人の母でエッセイストの安藤和津さん(70)は、感受性を育むことをいちばんに考え、子どもの目線になって娘たちに接したという。「知識は後からでも学べる。それよりも、ものを感じる力をつけることが大事だと思っていました」ユニークなのは、桃子さんと4歳違いでサクラさんが生まれたときのことだ。「桃子の立場で、妹ができるとはどういうことなのか考えると、手放しでうれしいわけではないでしょ?お父さんもお母さんも赤ちゃんに取られちゃう。皆からプレゼントをもらうのは、生まれてくる赤ちゃんばっかりだし」そこで、和津さんはお祝いをくれる人たちに、「大変、申し訳ないですが、桃子に『お姉ちゃんになって、おめでとう』のプレゼントか、妹とのペアのものをいただけたら、すごくありがたいです」とお願いした。“お姉ちゃんになって、おめでとう”のお祝いの効果は絶大だった。「これがたぶん桃子のサクラへの限りない愛の発端だったような気がする。桃子もまだ4歳だったから『なんで妹ばっかり』ってなったら面白くないじゃない」桃子さんはいま、何の衒いもなくサラリと言う。「母は母性の塊、菩薩のような愛を注いでくれました。おかげで私、ずっと安藤サクラのファンクラブ会長です。幼少期からサクラには私がいる。私が守る。それが、いまもあるんです。サクラが生まれた瞬間、無償の愛を思いました。4歳で、命を捧げようと」桃子さんはすでにこのときから、母の深い愛情を受け継いでいた。サクラさん出産後、仕事に復帰した和津さんが心がけたのは、娘たちとの密度の高い時間だ。「1日最低5分は2人きりで向き合って、話をする。桃子とも、サクラとも2人っきり。それぞれ1対1で話をする。1人に集中する時間を作りました。それから毎日ワクワクすることを1コさせたの。生きていてうれしいと思うこと。“1日1笑”というのかな」和津さんの育児法は、自身の生い立ちとは逆のものだった。「私の母が忙しく働いていていつも仕事が頭にある人だったから。結構つらい子ども時代だったのかも」愛知県春日井市出身の奥田さんは、長期休暇になると、故郷に娘たちを連れていき、自然のなかで感性の幅を広げていった。意外だが、奥田さんはボーイスカウトの指導員もしていたという。塩むすびと水筒を持って、山登りをし、いとこたちと一緒にヘビやカエル、ザリガニに触れさせた。「男の子、女の子の隔てなく、自然と触れ合う。スッポンポンで池に入って、カエルの卵を頭からかぶったりしていましたよ」奥田さんは、独立プロで妥協しない映画製作を続けながら、俳優としても高い志を持ち続けている。奥田さんが主演し、ガレッジセールのゴリが、本名で監督した映画『洗骨』(来春公開)は、今年8月、ニューヨークで開催された映画祭で観客賞を受賞した。和津さんも娘たちの育児サポートをしながら、エッセイストとして多忙な日々だ。母・昌子さんの介護の後に陥ったうつ。そこから脱した経緯を『“介護後”うつ』(光文社)にまとめ10月18日、出版。桃子さんは『0.5ミリ』を高知で撮った縁で、’13年、高知県観光特使に就任。その翌年、高知市に移住し活動拠点にしてきたが、娘に続いて奥田さんも今年、県の観光特使に任命された。家族一人一人がそれぞれの場で自分の道に邁進しながら、安藤家は何か目的が見えたら集結し、いつでも一丸となれる。奥田さんはこう語る。「集結力とか才能も含めてそこは最強だと思う。コッポラ一家よりうちのほうが。クリント・イーストウッドのところも最強だろうけど、わが国では安藤家が最強だと思っています」
2018年10月12日小耳沢はさ美(以下、耳)「バルサミコさん、おひさしぶり」バルサミコ瞬(以下、バ)「おやこれはこれは永遠の婚活迷子、小耳沢さん。こう言ってはなんですが、婚活はそのくらいにして、そろそろ終活に入られたほうが賢明では?」耳「そういえば、先日樹木希林さんが亡くなられて……。享年78歳。わたしはまだそこまでの年齢じゃありませんから。後半生の命運を賭して、婚活成功してみせますとも。このたび部屋をたたんで大相撲の親方業を廃業された貴乃花さんだって、御歳46歳からの転身。ちゃんこダイニングかアメフトか知りませんが、相撲界から足を洗って、今後の人生をどうするっていう大勝負に出られるわけですからね~」バ「なぜ兄と同じ失敗の道を辿る必要が?でもあれ?なんかつながりましたよ。今日ご紹介する2018秋ドラマも、主演陣がこれからの俳優生命を賭けて打って出た勝負作が揃ってます」耳「きたきた!それでは早速ご紹介しましょう」耳&バ「小耳沢はさ美とバルサミコ瞬の、今クール推しドラマBEST3!」■1推し『獣になれない私たち』日本テレビ/水曜22時/新垣結衣主演/10月10日スタートできることなら本能のまま、獣のように自由に生きたい。そう願いながらもいろいろと我慢して、周りに合わせながら生きている大人たち。そんな頭でっかちなふたりが、本音でぶつかり傷つけあいながらも、恋の一歩を踏み出していく。ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の野木亜紀子脚本×新垣結衣主演という大ヒットコンビが再び!■2推し『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』テレビ朝日/木曜21時/米倉涼子主演/10月11日スタート弁護士資格を剥奪されたスキャンダルまみれの「元」弁護士が、弱きを助け強きをくじく痛快リーガルドラマ!大ヒット作『ドクターX』を生んだ放送枠で、米倉涼子がアウトローな元弁護士役に挑む。響きは『リーガル・ハイ』、字面は『ドクターX』を彷彿とさせるおいしいとこ取りなタイトルは、米倉の新たな代表作となるか?■3推し『今日から俺は!!』テレビ朝日/日曜22時30分/賀来賢人主演/10月14日スタート80〜90年代にヒットした伝説のヤンキー漫画が、このタイミングで謎の実写ドラマ化。悪知恵と喧嘩で既成概念をぶち壊す規格外のヒーローが、80年代初頭のツッパリ全盛期を舞台に大暴れ!『勇者ヨシヒコ』シリーズの福田雄一脚本・演出で贈る痛快ヤンキーコメディー。耳「1推しはまあ順当ですか。空前の大のヒットとなった『逃げ恥』こと『逃げるは恥だが役に立つ』から2年。ガッキー久々の民放連ドラ主演がその『逃げ恥』の脚本家・野木亜紀子とのタッグですものね。松田龍平とのラブストーリーっていうのも、いい味出してきそう」バ「不安材料としては、若干プロットがアバウトかもと。野木さんは『逃げ恥』のあと石原さとみの『アンナチュラル』も当ててるんでね。ちょっと信頼されすぎ、自由に書かせてもらいすぎで、訴求点の絞りきれていないラブストーリーになるのではという懸念もあって……」耳「なんです、訴求点とかジジくさいなあもう」バ「いやそこはほら、訴求点を可及的速やかに希求してお灸して…」耳「無理やり韻踏んだって古いもんは古いんですよ!ここは脇に黒木華、田中圭と注目の若手も配置完了。秋の夜長にじんわりくる恋物語、期待してます!」バ「2推しも注目作ですよ。テレ朝を代表するドル箱コンテンツに成長した『ドクターX』を映画化したいという、テレ朝の懇願を蹴ってまで米倉さんが熱望した新作ですから。今クール、実は注目の弁護士対決にもなっていて」耳「対抗馬は織田裕二の『SUITS/スーツ』でしょう?なんでしょ。『世界陸上』以外で織田裕二見るの、ひさしぶりかも」バ「『敏腕だけど傲慢な弁護士』というキャラ設定。織田裕二が演じると茶目っ気のない普通のいやなヤツに仕上がってしまうんじゃないかと。彼に『リーガル・ハイ』の古美門(堺雅人)レベルのコメディができるとは思えない。妙なキャラ作りが不評で、サブキャラのディーン・フジオカにおいしいとこ全部持っていかれた『IQ246~華麗なる事件簿~』の悪夢が蘇ります。耳「そこへいくと米倉さんの『弁護士資格を剥奪された元弁護士』という正義の味方キャラのほうが、視聴者から愛されやすいのかな。不透明な過去を背負って闘う正義漢というところに『ドクターX』からの流れを感じるし、米倉さんに勝機ありと見ました」バ「おそらく。あとは小耳沢さんの強力なプッシュを受けて、3推しに『今日から俺は!!』を挙げましたが」耳「来る来るといわれていた賀来賢人がいよいよプライムタイムに降臨の、初主演作ですからね」バ「深夜枠でヒットした『勇者ヨシヒコ』の福田雄一脚本・演出とはいえ、80年代のヤンキーコメディ。これをプライムタイムにもってくるのは、日テレ、文字通りかなりの勇者ですな」耳「プライムの初主演でコケると、痛手が大きいですよね。前クールの『シグナル』が惨敗に終った坂口健太郎もその後パッとしないし。賀来くんにはぜひここでひと花咲かせて、若手主演陣に名を連ねてほしいんですけど、ああ心配!」バ「たしかに大当たりか大コケの二択という博打作品のにおいが……。そうだ、今回は特別に、『心配すぎる3作品』も挙げてみましょうか。心配ついでに」耳「え~?じゃあわたしはやっぱりこの『今日から俺は!!』かなぁ」バ「心配しつつ推す、という我が子見守り態勢ね。じゃあぼくは『中学聖日記』。有村架純演じる女教師が、10歳歳下の中学生と恋に落ちる純愛×禁断のヒューマンラブストーリーなんですけど。中学生相手とはいえ、恋愛ものなら艶を出せなくちゃ話にならないわけで……」耳「有村さんにはまだ無理って気がしますよね。うーん、たしかに心配な作品」バ「でしょ?あと3つめに挙げたいのが、高橋一生主演『僕らは奇跡でできている』。動物を研究する変わり者の大学講師が、周囲の常識や価値観に揺さぶりをかけるコミカルハートフルドラマ、ということですが。高橋一生の民放プライムドラマ初主演作が、この感じで果たして正解なのか疑問です」耳「ゆるゆるのほっこりって感じですもんね。高橋一生はやっぱり色香ふりまいてこそ、かなぁ。でもその色香にもすでに女性視聴者は食傷気味のような気もするので、本作は本当に勝負作。ここでコケると、今後高橋の主演はめっきり減っちゃうかも?」バ「推し3作に、心配3作もあわせて楽しみましょう」耳「まあそのうち1本は、推し兼心配作というハイブリッドなわけですが」バ「小耳沢さんの婚活は、間違いなく心配作ですけどね」耳「失礼な!推しながら心配してください!」バ「ははは……謎のハイブリッド婚活術……」小耳沢はさ美/よろず文案作成家。何も考えたくないときによいかもと、今さらひとりで韓流ドラマにハマってます。長い作品はワンクール25~26回もオンエアがあるので、ラブコメといえども起承転転転結と曲折が多くて見応え充分。ガッキー似、キムタク似と激似俳優が多いのは、整形大国の面目躍如ってことなのでしょうか?バルサミコ瞬/ライター兼放送作家。27年ぶり(!)に再放送で『東京ラブストーリー』を観て、何よりも自分がストーリーを全く憶えていないことに驚愕。当時はカンチと同じくらいさとみかリカか迷ったが、今なら迷わずリカ一択!三上(江口洋介)のポジションでもリカに行くくらいの圧倒的一択!2018年 秋ドラマリスト【月曜日】■『SUITS/スーツ』(フジテレビ/月曜21時/織田裕二主演/10月8日開始)■『ハラスメントゲーム』(テレビ東京/月曜22時/唐沢寿明主演/10月15日開始)【火曜日】■『僕らは奇跡でできている』(フジテレビ/火曜21時/高橋一生主演/10月9日開始)■『中学聖日記』(TBSテレビ/火曜22時/有村架純主演/10月9日開始)【水曜日】■『獣になれない私たち』(日本テレビ/水曜22時/新垣結衣主演/10月10日開始)■『相棒 season 17』(テレビ朝日/水曜21時/水谷豊主演/10月17日開始)【木曜日】■『科捜研の女 season 18』(テレビ朝日/木曜20時/沢口靖子主演/10月18日開始)■『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』(テレビ朝日/木曜21時/米倉涼子主演/10月11日開始)■『黄昏流星群〜人生折り返し、恋をした〜』(フジテレビ/木曜22時/佐々木蔵之介主演/10月11日開始)【金曜日】■『昭和元禄落語心中』(NHK総合/金曜22時/岡田将生主演/10月12日開始)■『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBSテレビ/金曜22時/戸田恵梨香主演/10月12日開始)■『僕とシッポと神楽坂』(テレビ朝日/金曜23時15分/相葉雅紀主演/10月12日開始)【土曜日】■『ドロ刑 -警視庁捜査三課-』(日本テレビ/土曜22時/中島健人主演/10月13日開始)安っぽい枠ではあるが、脚本家の腕が確かなので、案外期待できるか。【日曜日】■『下町ロケット』(TBSテレビ/日曜21時/阿部寛主演/10月14日開始)■『今日から俺は!!』(日本テレビ/日曜22時30分/賀来賢人主演/10月14日開始)画像/Shutterstock
2018年10月11日10月10日、連続ドラマ『獣になれない私たち』(日本テレビ系)の第1話が放送され、平均視聴率11.5%の好調な滑り出しを見せた。これは今年同枠で放送されたドラマでもトップの数字だ。すでに“けもなれ”の愛称で親しまれるなど、ヒットの兆しを見せている。16年に社会現象となった『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)で主演を務めた新垣結衣(30)と同作で脚本を担当した野木亜紀子(44)の逃げ恥タッグが再び――。それもあって放映前から大きな注目を集めていた本作。新垣の相手役には松田龍平(35)、おっさんずラブで大ブレイクした田中圭(34)、黒木華(28)らそうそうたる役者陣が顔を揃えている。そんななか、ドラマファンから絶大な信頼を集める一人の女優がいる。彼女の名は伊藤沙莉(24)。本作では新垣演じる晶の他人任せでことなかれ主義な同僚役・松任谷を演じる伊藤。昨日放送された第1話でも《伊藤さんは同性をイラつかせる女性を演じるのが本当にうまい》《伊藤沙莉が出てるなら間違いないと思わせるこの安定感》と絶賛の嵐。今年だけでも4本の映画、ドラマにいたっては昨年10月から5クール続けてレギュラー出演を果たす超売れっ子女優なのだ。伊藤は24歳ながら、これまで40作以上のドラマへの出演実績を持つベテランだ。05年に放送された『女王の教室』(日本テレビ系)で志田未来(25)を激しくいじめる同級生役を演じ話題に。そして17年の朝ドラ『ひよっこ』(NHK総合)でパンに憧れを抱く米屋の娘・さおり役でブレイク。この夏放送された『この世界の片隅に』(TBS系)で松本穂香(21)のひょうきんな恋敵役も記憶に新しい。一度聞いたら忘れられないハスキーな声とシリアスなものからコメディまで演じ切る高い演技力で多くの人を魅了している。今年にはTAMA映画賞で最優秀新進女優賞を受賞するなど、名実ともに実力派女優の仲間入りを果たし、今最も注目を集めている若手女優の一人である。「伊藤さんは強烈な個性と抜群の演技力で見る人にインパクトを残し、キャスティングでも真っ先に名前が挙がる女優の一人です。共演者やスタッフからの評価も高く、『そのおこだわり、私にもくれよ!!』(テレビ東京系)で監督を務めた松江哲明さん(41)も天才と評していました。今後もオファーが絶えることはないでしょう」(テレビ局関係者)ちなみに名前の読み方は「さり」ではなく「さいり」なので、この機会にしっかり覚えておこう。
2018年10月11日劇団EXILEの町田啓太が、映画『L・DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』(2019年3月21日公開 ※"・"はハート)に出演することが11日、わかった。同作は、渡辺あゆによる累計発行部数1000万部越えの同名コミックを映画化。2014年に1度実写映画化され、再実写化となる。高校3年生の西森葵(上白石萌音)はあるきっかけから学校一のイケメン・久我山柊聖(杉野遥亮)と同居し、付き合うことに。しかし柊聖のいとこ・久我山玲苑(横浜流星)が突然アメリカから来て、3人で同居することになってしまう。町田が演じるのは、カメラマンとして仕事をしながら、親代わりとして弟・久我山柊聖を見守る 兄・久我山草樹(そうじゅ)。葵との恋、そして将来に悩む弟に厳しくも愛のあるアドバイスをしたり、ワイルドな見た目とは裏腹に、若手キャストたちを見守る優しい兄的存在となる。大河ドラマ『西郷どん』(NHK)や、10月スタートのドラマ『中学聖日記』(TBS)など、最近は爽やかで清楚なイメージの役が多かった町田だが、今回はダーティーでワイルド・大人の色気あふれるキャラに似せるため、髪の毛を金髪に染め、ひげを生やし、イメージを一新。大人の魅力をプラスした。○町田啓太コメント登場人物たちの真っ直ぐさと可愛らしさが微笑ましく、ドキドキするストーリーに自分が少しでもプラスできるように励みたいと思いました。僕が演じた柊聖の兄でカメラマンをしている草樹は、陽気だけど、どこか掴み所のないキャラクター。原作のイメージに近づきたく髪の毛を金髪にし、ひげを生やして現場に挑みました。カメラマンという設定もあり、柊聖と玲苑をモデルに撮影をするシーンがあったのですが、被写体が良すぎてついつい撮るのに夢中になってしまい、気付いたら毛穴が見えるくらいに寄っていました(笑)。みなさん初共演でしたが、キラキラとしていてまぶしかったです。上白石さんの柔らかな人柄、杉野くんのまっすぐな眼差し、流星くんのやる気にあふれる姿。それぞれ役柄にぴったりで見ているだけで元気をもらえました。僕には男兄弟はいませんが、杉野くんの不思議と構いたくなるピュアさに、弟がいたらこういう気持ちになるのかなと思わせてくれる存在でした。応援しながらドキドキ感を楽しんでいただける、心温まる作品になっていますので、皆さん是非公開を楽しみにしていて下さい。
2018年10月11日映画『万引き家族』で演技が世界的に評価された女優・安藤サクラさん(32)が、ついに連続ドラマ小説『まんぷく』(NHK総合)に主演として登場した。朝ドラ99作目にして、初めて育児をしながら撮影に挑むヒロインとなった、サクラさん。インスタントラーメンを生み出した夫婦の物語を、明るく逞しく演じている。「朝ドラ、ヒロインのオファーが来ちゃった」サクラさんが、おどけた調子で両親に打ち明けたのは、昨年の秋ごろだった。「えーっ!すごいじゃないって私たち、叫んだんですけど、『できない』って言ったんです」と、語るのは、サクラさんの母でエッセイストの安藤和津さん(70)。俳優で映画監督の父・奥田瑛二さん(68)もうなずき、「でも本当は、背中を押してもらいたかったんだろうね」と続けた。「ものすごく、覚悟がいることだから。一時的に大阪に移住しなきゃならないし、旦那さん(俳優・柄本佑・31)や子どもをどうするかとか……」(和津さん)朝ドラ『まんぷく』は、NHK大阪放送局の制作だ。撮影期間中、東京を離れることになる。サクラさんに、NHK側から打診があったのは昨年10月の初旬。長女を出産して、3カ月ほどしかたっていないころだった。「子どもを産んだら、お仕事はほとんどしないつもりだった」というサクラさんは、うれしい以前に、念願の仕事ができないと思い、悔しさでいっぱいになったという。そこで、まず夫の佑さんに打ち明けると「できるかもしれないよ。できると思って考えてみたら」。夫に励まされたサクラさんは両親に相談にきたのだった。奥田さんは即座に勧めた。「絶対やったほうがいい。子どものことは任せておけ!じぃじとばぁばで育てたっていいんだ」和津さんも言った。「心配しないで!一日中べったり一緒にいなくても、濃い時間をしっかり持てば大丈夫」と説得。映画監督で、自身も3歳7カ月の娘を持つ姉・安藤桃子さん(36)のプッシュも効いた。「子どものためにもやってみれば」家族一丸となった支えを得て迎えた1月31日、ヒロイン決定の記者会見で、サクラさんはこう言って、涙を見せた。「このお話をいただいてから、すごくたくさんのことを考えて、たくさんの時間を使って、悩んで、覚悟を決めてきました。そうして、ここに立っていることが、なんてありがたいことなんだろうと思って、ちょっと泣けてきました」『まんぷく』のオファーを受けて以来、サクラさんは、大阪で部屋を借り、娘さんと暮らしながら、連日の撮影に臨んでいる。サクラさんは毎朝早くに起きて、娘さんにご飯を食べさせる。NHKのキッズルームにいるときは、撮影の休憩時間のたびに親子の時間も作れている。和津さんは月に一度、大阪のサクラさんと孫が暮らしている家を訪れるが、そのとき懐かしいものを見つけた。「桃子とサクラが小さいときに、DIYが好きな奥田が段ボールで家を作ってくれたんです。私がお菓子の袋を屋根や部屋の内側に貼って、子どもたちの遊び場にしていたの。遊びながらお菓子をはがして食べて、本当に楽しそうだった」それと同じ家が大阪の部屋にあったという。「サクラが作った段ボールの家は結構地味目だったけど。先日、奥田が手伝って完成させました。受け継がれているんです。自分がすごく楽しかったことを、子どもにしてあげている」そんな両親の愛情と助けに支えられているからか、毎日を心配した和津さんが「大変じゃないの?」と聞くと、サクラさんはケロリとこう言った。「東京にいるときに比べたらずっと楽。暮らしがシンプルだから。仕事と子育てだけで、日常生活の中に無駄な選択肢がないし、NHKのみなさんのサポートもあるから。旦那さんのご飯の支度も洗濯もしなくていいんだもん(笑)」とはいえ、朝ドラは長期にわたる撮影で、独身の若い女優でも泣くことの多い過酷な現場だ。しかし、サクラさんは、子育てをしながら、特別な気負いもなく、ヒロインという大役をこなしているように見えた。「子どもといて困ったら『助けて!床がクレヨンだらけなの!お母さん、ちょっと拭いてほしい!!』とか、ふだんどおり。サクラと佑って両方で主演をやっていても、何も変わらないんです。日常生活を普通に生きてる。そのまま現場に行って、現場でそれぞれ役に変わるんだと思う。そこがスゴイと思うんです」(和津さん)現在、大阪で『まんぷく』の撮影真っただ中のサクラさん。両親や姉のサポートを受けて、全国に笑顔を届け続ける!
2018年10月11日「ゲゲゲの鬼太郎」の作者としておなじみの水木しげる。NHK朝ドラにもなった夫人のエッセイにより、その人柄も広く知られることとなった国民的漫画家だが、彼の作品に幼少期から当たり前のように接してきたという“イキウメ”の前川知大が水木ワールドに挑む舞台「ゲゲゲの先生へ」が、10月8日に東京芸術劇場 プレイハウスで開幕した。本作は前川のオリジナル。水木作品の舞台化でも、水木自身を描いた評伝劇でもないが、ファンとして深く知る前川が、水木の膨大な作品群から登場人物や言葉、エピソードを借りて、ひとつの作品に編み上げた。主演の佐々木蔵之介は、水木が最も愛したキャラクター“ねずみ男”をモデルにした根津(ねず)役を演じる。ほか、松雪泰子、白石加代子ら、あやかしの世界を表出させるにふさわしいムードの俳優陣が集まった。【チケット情報はこちら】完全暗転の中、上手で演奏するパーカッションの音がおどろおどろしくも力強く響く幕開き。舞台奥から這いつくばる形で、根津(佐々木蔵之介)が登場する。20年の眠りから覚めたという根津の正体は、半分人間半分妖怪の“半妖怪”。人間の見た目をしているが、据わった目が投げかけるねっとりとした視線はやはり、普通の人間のそれではない。「うるさいわねえ」などしばしばオネエ言葉が混ざるのは、モデルの“ねずみ男”の片鱗か。その根津のあばら家に、人間のカップル(水田航生、水上京香)が迷い込んでくる。謎の怪物の出現で混乱している都会から逃げてきたふたりで、女は妊娠中。なお障子に畳、ちゃぶ台のセットからすると昔話のようだが、時代設定は平成60年という(元号が変わるため)絶対に到来することのない近未来。ビジュアルと設定のこのアンバランスが、より作品に不気味さと深み、批判性を与えている。彼らが暮らす時代には人口が激減し、希少な妊婦と赤子は政府の管理下に置かれる。それから逃れようとこの廃村に迷い込んだふたりに根津は、詐欺師だった自分がなぜ“半妖怪”になったのかといういきさつを語る……。観劇後、不思議な夢を見ていたかのようでいて、ピリリとスパイシーな感覚が残る。水木の人生観に基づく、現代人へのけして甘くないメッセージが響いたからかもしれない。水木作品同様、本作の妖怪たちは人間よりも人間臭く、人間たちこそが怪物のようだ。選択肢の多すぎる現代における“本当の豊かさ”を、思わず考えさせられる。敬愛する作家の魂を、まるでイタコのように自身に乗り移らせて書いた、あの世とこの世のコラボレーション? 前川から水木への恋文兼感謝状のようなこの作品は、現代に生きる私たちに大切なものを届ける。東京公演は10月21(日)まで。その後全国を周る。取材・文:武田吏都
2018年10月10日10月8日、テレビドラマ『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)第1話が放送され、平均視聴率14.2%と好調なスタートを切った。これは“月9”として親しまれる同枠でも昨年の『コード・ブルー シーズン3』に次ぐ高い数字だ。アメリカで放送され、日本にも根強いファンを持つ大人気シリーズをリメイクした本作。織田裕二(50)が10年ぶりに主演。さらに出世作となった『東京ラブストーリー』以来27年ぶりに鈴木保奈美(52)との共演など、放送前から高い注目度を集めていた。そんななか、ひそかに注目を集めている人物がいる。それは織田のライバル弁護士・蟹江役を演じている小手伸也(45)だ。織田演じる甲斐と出世争いをするひねくれ者だけど、どこか憎めない役どころ。アメリカ版でも人気の高いキャラクターだが、《小手さんが演じてくれてよかった!》《小手さん見たさで毎週見てしまう》とすでにファンからの評判も上々だ。小手が月9に出演するのは実はこれで2度目。初めての出演となったのは長澤まさみ(31)主演で今年4月より放送された『コンフィデンスマンJP』。小手は同作で長澤演じるダー子の詐欺師仲間・五十嵐を熱演。最初はサポート役的な出演だったが、そのコミカルな演技が評判を呼び、最終的にはほぼメインキャストの一人になるという異例の出世を果たしていた。小手が最初に注目を集めたのは、2016年に放送された大河ドラマ『真田丸』(NHK総合)での塙団右衛門役。自己主張の強い傍若無人な浪人役を好演した。経験も豊富で学生時代から演劇活動を開始し、野田秀樹(62)、三谷幸喜(57)ら日本を代表する劇作家の作品にも出演するなど舞台を中心に活躍してきた実力派俳優だ。また自ら劇団を主宰し戯曲の執筆や、歴史にも詳しく古事記の解説動画をアップするなど多彩な一面も持ち合わせている才人でもある。今最も注目を集めるバイプレーヤーの1人だ。「前回の月9では小手さん見たさで見るというファンも数多くいたほどの人気ぶりでした。演技の幅も広く、コミカルなものからシリアスなものまで何でも演じることができるのでオファーがますます増えるでしょう。また深く重みのある声を活かして7月クールの『ハゲタカ』(テレビ朝日系)ではナレーションを担当するなど、活躍の場をどんどん広げています」(テレビ制作会社関係者)小手伸也、この名前を日本中が覚える日はすぐそこかもしれない――。
2018年10月10日「福ちゃんて、すごくかわいらしくて、どこかおっちょこちょいで、チャーミングな女のコ。語りを務めながら、福ちゃん頑張れって思っています」10月1日から始まった連続テレビ小説『まんぷく』(NHK)のヒロイン・福子(安藤サクラ)について、そう話すのは芦田愛菜(14)。「たまに視聴者のように、シーンに見入ってしまって……(笑)。監督からのアドバイスで、福ちゃんに寄り添う感じで読むことを心がけています。あとは登場人物たちをちょっと離れたところから、温かく見守るような存在でいられるように、と意識していますね」(芦田・以下同)全編を通しての語りでは史上最年少。「女優として演技を続けていくうえで、朝ドラは目標のひとつでもあったので、語りという形で参加させていただくことになり、すごくうれしく思っています」最後に今後の見どころを聞いてみると――。「3人姉妹とお母さんとの仲むつまじい家族団らんのシーンは、私が一人っ子なこともあって、見ていて羨ましいし、好きです。それと『まんぷく』には、おいしそうに食べている食事のシーンが多くて、どれもみんな温かい気持ちになれます。ほっこりするシーン、にこっと笑顔になれるシーンがいっぱいですよ!」
2018年10月10日時代を超えて世界中から愛され続ける不朽の名作「くるみ割り人形」を、ディズニーによる超一流のスタッフ&キャストで映画化する『くるみ割り人形と秘密の王国』。この度、本作の日本語吹き替えキャストが明らかになった。この度、主人公クララの日本語吹替え版の声優に抜擢されたのは、声優初挑戦にして抜群の演技力でオーディションから選ばれた、女優の小芝風花。2015年に『魔女の宅急便』主人公キキ役で映画デビューを果たすと、瞬く間にその知名度を上げ、その年のブルーリボン賞など、あらゆる新人賞を受賞。2016年には、NHK連続テレビ小説「あさが来た」で主人公あさの長女・千代役でお茶の間の顔に。着実にスターへの階段を上る彼女が今回挑むのは、ディズニー映画『くるみ割り人形と秘密の王国』の主人公“クララ”だ。同じくクララの役を厳しいオーディションで勝ち抜いたマッケンジー・フォイ同様、可憐な姿の中に持つ凛とした佇まいの小芝さんは、まさしくクララそのもの。小芝さんはイメージにぴったりということで起用が決定し、別世界の冒険を通して大切なものに気づき成長していくクララを演じる。ほかにも、クララを取り巻くキャラクターたちに超豪華俳優陣が決定。キーラ・ナイトレイが演じる“お菓子の国”の統治者シュガー・プラム役には、『攻殻機動隊 ARISE』や『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』などの大人気シリーズやハリウッド超大作の若手女優を担当するなど、圧倒的な実力とキャリアを持つ坂本真綾。さらに、王国に忠誠を尽くし、任務のためなら危険もいとわない勇敢さを持ち、クララを壮大な別世界の冒険にいざなう“くるみ割り人形”のフィリップ役は、4歳で子役デビューしてから俳優と声優の両立で高い人気を博し、「黒子のバスケ」の主人公・黒子役で人気を不動のものにした小野賢章が担当する。現在のTwitterのフォロワー数は驚異の98万人を誇る、いまをときめく超人気声優だ。本作ではヘレン・ミレンやモーガン・フリーマンなど、まだまだ大御所俳優が出演しており、彼らの吹き替えも誰が担当するのか今後も注目したい。『くるみ割り人形と秘密の王国』は11月30日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:くるみ割り人形と秘密の王国 2018年11月30日より全国にて公開© 2018 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
2018年10月10日「昔からダンスはたいへん苦手で、この歌を歌い始めたころは、竹島が踊ると客席から失笑が漏れたり、『人に見せられるダンスではない』とファンからお叱りを受けたりすることもありました(笑)」そう語るのは、今年デビュー17年を迎えた演歌歌手・竹島宏(40)。3月に発売した最新シングル『恋町カウンター』が、踊って楽しいムード歌謡と人気急上昇。ステップやターンや繰り出しながら手足を素早く動かす、その独創的な振付けは“恋町ダンス”と名付けられ、動画投稿サイトでアクセスが急増している。女性自身の取材で、「この歌は、これからの竹島宏の一つの軸になると思います。今までの歌では出せなかった表情や、僕のなかの意外に面白い部分をお見せできるようになった」と新境地を告白。ライブでは、竹島の歌と踊りに合わせて、心を一つに踊る大勢のファンの姿が。関係者いわくダンスが注目された理由のひとつは、日本のとある寺の住職がアップした恋町ダンスの完コピ動画だったという。同曲発売後まもなくユーチューブにアップされ、竹島本人も「なぜ、僕の下手なダンスに興味を持ってくださったのだろう?」と驚いたそうだ。ライブで恋町ダンスを初披露したときは、「下手な踊りのせいで、ちゃんと歌を聴いてもらえないのではないか」と戸惑いもあったが、いまでは「ダンスがないとこの歌じゃない(笑)」と“踊る演歌歌手”を自認するまでになった竹島。このたび人気の火付け役となった住職に会いに岐阜を訪れたが、「実は僕、本物の住職さんとは思ってなかったんです」と明かした。岐阜県在住の住職は、もともとマイケル・ジャクソンや少年隊のダンスを披露する“ダンシング住職”としてユーチューブに多数ダンス動画を公開している。「ダンスのお得意な方がたまたま、袈裟を着たお坊さんのコスプレをして踊っていらっしゃるのかな、と。本堂の映像は合成されたものだと思い込んでいました。まさか、お坊さんが踊ってくださるなんて思わなくて」と笑う竹島。かねてより疑問に思っていた、“恋町ダンスを踊ろうと思った動機”を住職に尋ねたという。「『NHKのど自慢』(総合テレビ・ラジオ第1)で偶然、竹島を見たのがきっかけだったそうです。出演者が歌う『恋町カウンター』に乗って、ゲスト席で一緒に踊る僕を見たときに『何かを感じた』と。もともとダンスがご趣味なこともあり、恋町ダンスを覚えてくださったそうです。僕のなかに『慈悲の心を感じる』とまで言っていただいて、本当に光栄です」念願のダンシング住職とのダンスコラボを実現させた竹島。「初めてお会いしたとは思えないほど、まるで身内のように応援してくださっているのが伝わってきました。こんなふうに、全国にはまだ直接お会いしていないファンがいてくださるのかなあと思って、改めて頑張り続けなきゃいけないという思いにさせられました」公式ページでは、竹島がいろいろなダンスの達人に会いに行く動画企画「Let’s 恋町ダンス」を実施。今回の岐阜ロケを収録した「岐阜編」も好評配信中だ。「浅草に日舞の先生を訪ねたり、ベリーダンスを踊ったり。岐阜では土産屋さんや食堂でレポートするなど、歌以外のことにも挑戦しました。最近、スタッフの無茶ぶりがエスカレートしていて、僕自身も、もっともっと弾けたいと思いがあふれ出てきてますね(笑)」と自身の変化を実感している。「日舞の先生には、一つひとつの動きに意味を持たせる大切さを教えていただきました。目だったら、カメラのレンズの向こうにお客様がいることを意識して見る目なのか、ただボーッと遠くを見ているだけなのかで意味が変わってくる、と。手にしても、指先までしっかり意識しないと死んでいるように見えると指摘されました。恋町ダンスを振り付けてくださった先生が、『スマートに!』と口酸っぱくおっしゃっていたのですが、それがこのことか、と腑に落ちて」竹島がダンス修行を積むいっぽう、ファンのダンスのレベルも格段に上がっていると感じているそうだ。「みなさん、すっごく必死にやってくださるんです。腕の上げ下げも機敏ですし、指先もピッと伸ばし、細部まで意識がいきわたって非常に完成度が高くて。最初に楽曲を聞いたときは、こんな展開になるとは全く想像もしてなかった。NHKの紅白歌合戦で、みなさんと一緒に踊って歌えたら最高に幸せでしょうね」そう夢を膨らませる竹島。8月に40歳の誕生日を迎えた。「なんか、明るく40歳を迎えました!という感じなんです(笑)。本当、恋町ダンスのおかげですね。歌い手としても、全身を使って歌を表現するというところにつながって勉強になると思いますし、ファンのみなさんには『僕の歌手人生、これからが楽しみですよ!』と大声で宣言しています。40代に突入しても『これからダンスありきの歌で弾けていくんです!』って。そういう空気をファンのみなさんも感じて、楽しんでくださっているのだと思います」『恋町カウンター』はオリコン演歌・歌謡シングルランキングで6作品連続初登場1位を獲得。現在までにカップリング曲を変えたA、B、C盤が発売され、通算8万枚の売上げを記録している。名実ともに一流の歌手がひしめく演歌界でブレーク必至の竹島宏に注目です!
2018年10月09日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「エドテック」です。教育格差や不登校、地方創生など、諸問題の解決にも。エドテック(EdTech)とは、Education(教育)とTechnology(科学技術)を組み合わせた造語で、教育分野にイノベーションを起こそうと、世界中に広がっている取り組みです。アメリカでは、貧困問題、教育格差を解消するために、10年以上前に政府が貧困地域にノート型パソコンを配布し、授業カリキュラムを配信しました。現在では、スタンフォード大学やハーバード大学がインターネットで授業を公開するなど、遠隔地に高等教育を届ける仕組みを作っています。エドテックの最たるものとして、人気を集めているのが、アメリカのミネルバ大学。この学校にキャンパスはなく、全寮制なのに授業はすべてオンライン。サンフランシスコを皮切りに、学期ごとに学生は世界の7都市を巡って授業を受けます。世界中の教師が参加し、オンライン・ミーティングの形で授業を進行。学生の発言はすべて記録され、AIによって個々の弱点などを検出。一人一人に適切な指導が行われるのです。教室内で生徒のレベルに差があることや、不登校や引きこもりの問題は日本でも深刻化しています。平成28年度の不登校を含む引きこもりは、小学生で約7万人。中学生は約14万人、高校生は約8万人です。ニートの大人の2割は元引きこもり児だったという統計もあり、減少する労働人口を補う上でも、インターネットを使って、家にいながら安心して学べる仕組みを作ることは重要です。ネット環境さえ整えば、都市の学校に行かずとも、離島でもどこでも最新の授業を受けられますから、地域による格差もなくなり、地方創生にも一役買うことができるでしょう。これからは単純な仕事はAIやロボットが担いますから、暗記した知識より、それらに適切な指示を与えられる、そんな人材が必要になります。そこで、経済産業省はIT企業やNPOと協力し、「未来の教室」という名を掲げ、効率的な知識習得と、課題の発見・解決能力を育成する学習プログラムの開発を行っています。エドテックは学校教育にとどまらず、人生100年時代のリカレント教育、ITや医療などの専門分野の学習にも生かされています。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年10月10日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年10月09日昨年放送の有村架純がヒロインを務めた連続テレビ小説「ひよっこ」。この度、本作の続編となるスペシャルドラマ「ひよっこ2」が、来年3月に放送されることが決定した。2017年4月から9月まで放送されていた「ひよっこ」。本作は、東京オリンピックが開催された1964年から始まる物語で、茨城県の北西部にある山あいの村・奥茨城村で育った谷田部みね子が、“金の卵”として東京に集団就職し、自らの殻を破って成長していく波乱万丈の青春記だ。今回、本編放送終了後、「続きが見たい!」「スピンオフは無いの?」という声援を受け、30分×4回のスペシャルドラマの制作が決定。同ドラマでは、前回から2年経った1970年の東京赤坂と奥茨城村を舞台に描かれ、キャストにはヒロイン・前田みね子役の有村さんのほか、沢村一樹、木村佳乃、磯村勇斗、和久井映見、佐々木蔵之介、三宅裕司、白石加代子、古谷一行、宮本信子らお馴染みのキャストが集結する。続編放送決定に有村さんは、「再びみね子を演じられる喜びと、キャストやスタッフの皆さんと再会できる喜びでいっぱいです。ありがとうございます」と喜びのコメント。ドラマについては、「最終話からのその後の様子が描かれていきますが、相変わらずの『ひよっこ』ファミリーで、私の心もほっこり、見てくださる皆様の心もほっこりすることと思います」と話し、「『ひよっこ』色の強い楽しい楽しい作品を目指して。精一杯頑張りたいと思います。お楽しみに!」と呼びかけている。また脚本家・岡田惠和も、「こうして続編をお届け出来るとは『ひよっこ』はなんと幸せなドラマなのでしょう」と喜び、「『ひよっこ』らしい続編を書きました。あれから二年たった、みね子達の日常のドラマです。二年しかたってないので、そんなに大きな変化はありません。『近況報告』のような続編です」と内容について少し明かしている。「ひよっこ2」は2019年3月、NHK総合にて放送予定(30分×4回)。(cinemacafe.net)
2018年10月09日10月10日スタートの新番組「u&i」、テーマは「困ったあの子の気持ちになってみる」Upload By 発達ナビニュース10月からEテレで始まる新番組「u&i」は発達障害、身体障害、外国人など、困難がある子どもたちの特性を知ることで、多様性への理解を深める子ども番組です。番組のテーマは「困ったあの子の気持ちになってみる」。子どもと妖精が対話を重ねながら、「困った」を抱えるその子の気持ちに耳を傾け、どうしたらいいかを考えていきます。子どもたちの気持ちの橋渡し役はふたりの妖精。Hey! Say! JUMPの伊野尾慧さんが声を演じるシッチャカは、夢の世界に住むサルの妖精。明るい性格のお調子者で、こどもの悩み相談にのるのが好き。得意な楽器を披露したくてちょっと強引にアイちゃんに歌わせてしまうマイペースな性格で、片付けはちょっと苦手です。きゃりーぱみゅぱみゅさんが声を演じるメッチャカはシッチャカと仲良しの妖精。独特の美的センスの持ち主で、ファッションにこだわりがあります。お姉さんぶっているけれど、考えが的外れなこともある様子…。考えが煮詰まったときには人間のこどもに詳しい研究者、ジローはかせ(声:笹野高史さん)が夢の世界のモニターに現れて、アドバイスをしてくれます。第1話は「感覚過敏」。発達障害のある子にもよく見られる困りごと、どう取り上げる?Upload By 発達ナビニュース10月10日放送の第1話のテーマは「感覚過敏」。LITALICO発達ナビのユーザーのお子さんにも多く見られる感覚過敏の特性・悩みを取り上げます。授業中、鉛筆をコロコロ転がしたり、体操着入れをバンバン叩き続ける隣の席のユウくんに「嫌だなあ〜!なんて落ち着きがないんだろう!」と悩むアイちゃん。自分の部屋で眠ったはずなのに、気がつくとそこは悩みがある子どもがたどり着くという夢の世界…。シッチャカとメッチャカが現れて、賑やかに自己紹介を始めます。ふたりのペースに巻き込まれながら、悩みを相談してみたアイちゃん。シッチャカが取り出した「ココロのでんわ」でユウくんにそのわけを聞いてみることに…。すると、ユウくんから意外な答えが返ってきました。ユウくんが落ち着きのない行動をしてしまう理由とは…?「ココロのでんわ」のパートでは、いわゆる「問題行動」と括られてしまう困った行動が、実はユウくんが「困っている」状況によって引き起こされていることを、わかりやすく伝えます。映像によって、ユウくんが困っている感覚過敏の辛い状況が疑似体験できることも、テレビ番組の強みかもしれません。そして、ユウくんのココロの声を知ったアイちゃんは、どうしたらその「困った」が減らせるか、考え始めます。シッチャカとメッチャカもいろいろな可能性を示しながら、解決の考え方のヒントになりそうなあの手この手を一緒に考えます。解決法は一つじゃない。「違いを一緒に考える」シッチャカ・メッチャカの想像力と対話術Upload By 発達ナビニュース発達障害は「見えにくい障害」と言われます。特に学校での集団生活の中ではその振る舞いや問題行動だけが目立って見えてしまいます。「困った子」と誤解されたり、どうしていいかわからず「迷惑!」「無視された!」と周りの子に誤解されて困っている子もきっと少なくないはずです。でも、「みんなと違う、その行動の背景には何か理由があるのかも?」とその子の背景やココロの声に耳を傾ける。そんな想像力の使い方を知ったら…?その子自身も、こんな風に自分の「ココロの声」を伝えてみたら…?そして、明るくてマイペースなシッチャカ・メッチャカの掛け合いから、違いを同じ場所で一緒に話し合い、友達と分かち合う楽しみを知ったら…?u&iを通じて、あなたのココロに思いをはせる、私の考え方や行動が変わる。そんな何かがちょっと変わるきっかけになるかもしれません。また、第1話では、一つの決まった解決法は提示されません。発達凸凹のある人の特性や困りごとは十人十色。対処法や解決策も一人ひとりの状況によって異なります。たまたまユウくんに当てはまって解決したからといって、それはすべての人に当てはまる解決法ではないかもしれません。決めつけず、「その子」のココロの声に寄り添いながら、環境調整や解決法を一緒に考え、工夫し続けることがとっても大切。そんなことを、u&iが教えてくれているように感じました。そうして結論を出さないことは、多くの人が視るテレビ番組だからこそ、大きなポイントになるのかもしれません。【放送】Eテレ 毎週水曜 午前9:00~9:10(全10話)【声の出演】伊野尾慧(Hey! Say! JUMP)、きゃりーぱみゅぱみゅ、笹野高史【脚本】西田征史(朝の連続テレビ小説「とと姉ちゃん」などで知られる人気作家)【音楽】サキタハヂメ(Eテレ「シャキーン!」をはじめ、ドラマ、CM、舞台などで活躍)第1話の「感覚過敏」に続き、今後は第2話「身体障害」、第3話「運動障害」、第4話「学習障害」などのテーマを扱う予定です。毎週水曜日の放送後はインターネットの「NHK for School」でも配信されます。友達の悩みや困りごとを考えるきっかけに。困っている子の特性や背景を伝えるためのツールとして。ご家庭で、お子さんと対話を深める機会として。私とあなたは、違うけれど、一緒に話して考えることはできる。そんな「u&i」の物語を、ぜひご覧ください。 | NHK for School
2018年10月09日10月8日に放送された「香川照之の昆虫すごいぜ!」(NHK Eテレ)。今回も、香川の昆虫愛が炸裂した。番組は、「カマキリ先生」に扮した香川照之(52)とともに昆虫について学んでいくというもの。今回はハンミョウを特集した。ハンミョウとは聞き慣れない昆虫だが、昆虫界の宝石とも呼ばれるほど美しい模様で隠れファンが多い。それだけにTwitterでは《えっえっマジでハンミョウしてくれるの!?私も大好きですハンミョウ!!!!》《やったーーー!ハンミョウやぁー!》といった声が上がっていた。ロケが始まるなり、番組側から「ハンミョウが獲れなかったら番組終了」と宣告された香川は早速地面にダイブ!すると開始まもなく、ハンミョウを捕獲!そしてすぐに老眼鏡をかけ、その美しさを堪能。「超キレイ!やばくね?」と興奮の様子を見せた。スタジオでは捕獲したハンミョウを寺田心(10)に見せた香川だが、さらに興奮のあまり痛いと知りつつあえてハンミョウに噛まれるという暴挙へ。「痛った!ヒットしたよここ!」と叫びながらも、どこか嬉しそうだった。さらに番組では、ハンミョウにちなんだ実験を紹介。ハンミョウは時速80キロで走ることから、香川も高速走行を体験!長い足を高速で動かすと時速80キロを体験できるとあって、竹馬での猛ダッシュに挑戦した香川。ケガをしないようクレーンに吊られてのチャレンジとなったが……。40年ぶりの竹馬に苦戦し、スタジオでは「早送りしても遅い」といった声が上がっていた。しかしそうした香川の頑張りようにTwitterでは好意的な意見が続出。《今日は竹馬シーンで笑いのスイッチが入ったわ》《ハンミョウになりきる為に香川照之さんがクレーンに吊られ竹馬で屋外を疾走する全力の無意味さがたまらないです》など歓喜の声が上がっていた。ともあれ、ハンミョウ獲得により番組継続を決定させた香川。次回も楽しみだ!
2018年10月08日2019年度のNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」など、話題作への出演が続く生田斗真。ジャニーズ事務所きっての演技派俳優として役者道を駆け抜けてきた生田さんが、10月7日の誕生日で34歳に!30代も半ばとなるいま、ますます男っぷりに磨きをかけている俳優・生田斗真の魅力に改めて迫りたい。ドラマでブレイク!から「50年に1人の映画俳優」へ1997年にNHK連続テレビ小説「あぐり」で子役デビューを果たして以来、数々の作品に出演してきた生田さん。そんな彼が大ブレイクを果たしたのが、2007年にフジテレビ系で放送された「花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~」だ。人気少女コミックをドラマ化した本作で、生田さんは同級生の芦屋瑞稀(堀北真希)に恋心を抱く中津秀一を好演。ただし、瑞稀は男子のふりをして男子校に通うワケあり女子で、そうとは知らない中津は大パニックに。この気持ちは友情なのか?それとも自分は同性愛者なのか?悶々とする中津の戸惑いを生田さんがチャーミングに演じ、コメディセンスの高さをうかがわせていた。ドラマ自体も好評価を得る一方、生田さん自身の快進撃が始まることになる。「花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~」以降も「ハチミツとクローバー」「魔王」などで輝く実力派を映画界が放っておくはずもなく、生田さんは満を持して映画デビュー。2010年、映画初出演にして初主演となる『人間失格』が公開された。太宰治の同名小説を映画化した本作で、生田さんが演じたのは名家に生まれながら酒と女に溺れ、堕ちていく主人公・大庭葉蔵。美しく、濃密に人間の脆さを描く作品世界を生き抜いた生田さんは、役者としての幅の広さをより見せつけることになった。監督を務めた荒戸源次郎は、シネマカフェのインタビューで「生田斗真は50年に1人の映画俳優」と断言している。様々な感情を、観る者と共有できる俳優・生田斗真その後も年に1~2本のスタンスで映画に出演し、映画俳優としての地位を確かなものにしていく生田さん。ラブストーリーからサスペンス、人間ドラマまで、作品や演じる役柄のタイプは多岐にわたっている。言い換えれば、どんな作品世界にもはまる存在だということだろう。『ハナミズキ』や『僕等がいた』で恋に身を焦がせば応援したくなるし、『源氏物語 千年の謎』で世紀の美男子を演じればうっとりさせられる。かと思えば、『脳男』『予告犯』『秘密 THE TOP SECRET』といったサスペンスでスリルを提供することも。『予告犯』公開の半年程前から放送された主演ドラマ「ウロボロス~この愛こそ、正義。」も含め、シリアスでダークな作品世界での生田さんは、苦悩に満ちた役柄を託されていることが多い。これは恋に身を焦がす生田さんを応援したくなるのと同じで、生田さんは観客に痛みを感じさせられる役者だからではないか。彼が苦しければ観ている者も苦しいし、哀しければ哀しい。“過去の罪”を題材にした『友罪』が複雑な味わいの作品になったのも、生田さんの存在あってのことだと言える。2019年度大河ドラマには、どんな生田斗真がいる?苦悩する役にも嬉々として臨み、“演じる”という行為を通して身を削ってきた生田さん。その誠実で真っ直ぐな役者魂こそが、俳優・生田斗真の魅力の一部だ。もちろん、苦悩する生田さんがいくら素敵だからといって、いつも眉間に皺を寄せておいてもらうわけにもいかない。ときには『土竜の唄』シリーズで車にくくりつけられたり、怪しさ満点のジュースを罰ゲームのように飲まされたり、女子のお色気攻撃を受けてフニャフニャになったり。舞台「Vamp Bamboo burn~ヴァン・バン・バーン~」で不老不死のヴァンパイアと化し、おバカでうざいが憎めない愛らしさを炸裂させたり。もう1つ付け加えるなら、生田斗真フィルモグラフィーに実は欠かせないドラマ「うぬぼれ刑事」で美形だが残念な俳優を演じたり。さすがはコメディ演技でブレイクした男の本気を感じたくなることもある。ちなみに、例に挙げた作品はどれも、“コメディでの生田斗真の輝かせ方”を熟知した男・宮藤官九郎が脚本を担当。となると、同じく宮藤さんが脚本を手掛ける「いだてん~東京オリムピック噺~」はどうなるのか?いまから放送が待ち遠しくて仕方がない。そういえば『予告犯』の公開前、30代に突入した頃、シネマカフェのインタビューで「ここ最近、特に思うんですよね。人を喜ばせたいって。この仕事を始めて間もない頃はこんな役を演じたいとか、あんな作品に出てみたいとか、自分の満足度を高めるためというのが大きかった。でも、今はもうちょっと外に向けている感覚があるかもしれないです。以前よりも、観客のことを考えるようになった。ハードな作品ばかりやってもお客さんは飽きちゃうだろうから軽めのラブストーリーも届けたいなとか、この作品を作ったらお客さんはどう思うかな?とかって」と語っていた生田さん。その後の出演作に目を向ければ、有言実行ぶりが分かるというもの。この先もずっと、様々な生田斗真を期待していいはずだ。(text:Hikaru Watanabe)
2018年10月07日映画『麻雀放浪記2020』が、2019年4月5日(金)全国の劇場で公開される。主演は斎藤工、監督は白石和彌。小説『麻雀放浪記』を斎藤工×白石和彌で映画化原案となったのは、阿佐田哲也の250万部を超えるベストセラー小説『麻雀放浪記』。映画化は、イラストレーターの和田誠が初監督した『麻雀放浪記』から35年振りとなる。『麻雀放浪記2020』の制作は、『去年の冬、きみと別れ』や『のみとり侍』などで俳優として活躍するのみならず、『blank13』で監督にも挑戦する主演・斎藤工が発起人となりスタート。斎藤は「麻雀放浪記」の再映画化を、10年間熱望し続けていたという。監督として白羽の矢が立ったのは、『彼女がその名を知らない鳥たち』や続編も決定している『孤狼の血』でヒットを飛ばし、香取慎吾主演映画『凪待ち』の公開も控える白石和彌だ。斎藤と白石がタッグを組むことにより誕生する『麻雀放浪記2020』では、原案の『麻雀放浪記』の設定を大胆に変更した。『麻雀放浪記』を愛する2人が、大胆かつ驚きの世界を繰り広げていく。竹中直人やベッキーも出演主演・斎藤工の他には、主人公・坊や哲を拾って面倒を見ることにした地下アイドル・ドテ子を姉妹ユニット「チャラン・ポ・ランタン」のボーカル・ももが、その地下アイドルたちを抱える芸能プロダクションの社長で、ドテ子の部屋に転がり混むクソ丸を『翔んで埼玉』『カツベン!(仮)』にも出演する竹中直人が演じる。原作では強運の持ち主の娼婦だったドテ子を、地下アイドルとして現代風にアレンジした。また、坊や哲がいた元の時代で、哲に麻雀を教えたアパートの大家であり、麻雀クラブ「オックス」のママ・ゆき役には、タレントでモデルのベッキーが抜擢。原作では加賀まりこが演じた妖艶なゆきに扮し、見事な牌さばきを披露する。そしてベッキーは、哲の前に現れる謎のAI搭載アンドロイド・ユキ役も兼任することが明らかに。ハードな2つの役どころを演じることに対しては「二役もやらせていただけて嬉しかったです。二役と言っても、“人間と人間”ではなく“人間とAI”なので、かなりやりがいがありました。」とコメントしている。麻雀クラブ「オックス」で坊や哲と激戦を共にしてきた、ドサ健、出目徳、女衒の達役には実力派俳優が集結。原案小説でも不動の人気を誇る名キャラクターであるドサ健を演じるのは的場浩司、冷静に麻雀を打ち続け、勝つためには手段を選ばず完膚なきまで相手を叩き潰す出目徳役には小松政夫、女衒の達には堀内正美が出演する。さらに、ドテ子の熱烈なファンであるドクを、NHK連続テレビ小説「まんぷく」での演技が話題となった、シンガーソングライターの岡崎体育が担当。2020年の近未来、電磁パルスを仕掛けるオタクテロリストとして、坊や哲を翻弄する。なお、岡崎が商業映画で本格的な演技に挑戦するのは初となる。全編をiPhoneで撮影なお『麻雀放浪記2020』では、邦画では初の試みとなる常時20台のiPhoneを駆使し、全編を撮影。プロデューサーが全編iPhoneで撮影された『タンジェリン』に感銘を受け、監督の白石和彌もiPhoneでの映画制作を切望したことにより、実行に移された。あらすじ主人公・坊や哲がいるのは、2020年の“未来”。なぜ?人口が減少し、労働はAI(人工知能)に取って代わられ、街には失業者と老人があふれている…そしてそこは“東京オリンピック”が中止となった未来だった…嘘か?真か!?1945年の“戦後”からやってきたという坊や哲が見る、驚愕の世界。その時、思わぬ状況で立ちはだかるゲーム“麻雀”での死闘とは!?【詳細】映画『麻雀放浪記2020』公開日:2019年4月5日(金)原案:阿佐田哲也『麻雀放浪記』(文春文庫・刊)キャスト:斎藤工、もも、ベッキー、的場浩司、岡崎体育、堀内正美、小松政夫 / 竹中直人ほか監督:白石和彌
2018年10月07日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「作詞」です。僕はかつて音楽をやっていく中で、作詞が最もどうでもいいものだと思っていました。デビュー前からデビュー後しばらくの間もそんな感じで。メッセージ性とかってなんなん?と、ネタに走ったり、意味のない言葉の羅列で歌ったりとかして、ちょけてたんですね。でも、それは変なプライドだったんだなと今は思います。心を入れ替えられたのは、私立恵比寿中学に楽曲提供した「サドンデス」や、ポケモンのエンディングテーマを手がけるようになってからですね。歌ってくれる人や聴いてくれる人のことをじっくり考えるようになったとき、言葉が持つ強さを軽んじてはいけないってあらためて思ったんです。岡崎体育は、つい物事を斜めに見がちですが、それを「アンタ、いつまでもかっこつけてんじゃないわよ!」と心の中のおねえに叱咤激励され、今では言葉選びの大切さを実感しています。ストレートな言葉を照れずに使えるようになってきたと思っています。実際に、現在のミュージシャンにとってどんな歌詞をつけるかってめちゃくちゃ大切やと思います。作曲って、もはや天井なんですよね。新しいリフとか新しいメロディを思いついたと自分では思っていても、それはすでに、たとえばコスタリカのバンドが使っているものかもしれない。いいリフもメロディも初出であることって難しいんです。世界中で出尽くされていて。でも、日本語はまだまだオリジナルになれる可能性がある。他のミュージシャンと差別化をはかれて、個性を出せるチャンスがまだまだあるのが、作詞なんだと僕は思っています。僕は叙情的な歌詞が好きです。フジファブリックの志村正彦さんだとか、くるりの岸田繁さんの歌詞にぐっときます。音楽を聴きながら街を歩いていて歌詞と目の前の景色がきれいに重なる瞬間がある。生活感とノスタルジーが混ざったこの感覚に痺れます。そういう影響をめっちゃ受けて書いたのが「鴨川等間隔」で、これも僕の中にある日常の景色を言葉にしたいと書いた曲。こういう曲の歌詞は、たいてい具合悪いときに書きますね。調子ええときには、叙情って醸し出せなくないですか?風邪ひいて体調悪いといろんなことが憂鬱じゃないですか。ここぞとばかりにその感性を利用しています。あと、作詞を誰かに頼むとしたら最初のオーダーはまず、おかんにしよかなと思ってます。おかざき・たいいく『テンゴちゃん』(NHK総合 毎月1回土曜深夜)がレギュラー番組に。JINRO presents 岡崎体育ホールワンマンツアー「エキスパート」11/17(土)埼玉・三郷市文化会館から全国7か所にて。※『anan』2018年10月10日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2018年10月06日