広汎性発達障害(PDD)の主な症状出典 : 広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorders:略称PDD)は、コミュニケーションと社会性に障害があり、限定的・反復的および常同的な行動があることを特徴として分類される発達障害のグループ です。世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)の診断カテゴリで、このグループには自閉症、アスペルガー症候群のほか、レット症候群、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害という障害が含まれています。広汎性発達障害の症状として主に下記の3つが挙げられます。1.社会性・対人関係の障害人に関心を示さない孤立型、言われたことに何でも従う受動型、一方的に話し続ける積極・奇異型、横柄な態度を取る尊大型の主に4タイプに分かれます。孤立型の特徴としてよく言われるのが、視線を合わせない(避ける)などの症状です。2.コミュニケーションや言葉の発達の遅れ他人とのコミュニケーションや会話が苦手で、抽象的な言葉の意味や曖昧な表現、文脈を理解できていないなどの症状があります。言葉の発達が遅れる症状も見られるため、3歳になっても会話ができないということで障害を疑う親も多くいます。3.行動と興味の偏りある特定の物事に強い興味やこだわりをみせることがあります。環境の変化や予定の変更を嫌がったり、普段はできていることも初めての場所だとできないなどの症状があります。その結果パニックを起こしてしまう場合もあります。こだわりが強く偏食になったり、同じ行動を長時間続けるなども見られます。また、機械音やサイレンなど特定の音に苦痛を示したり、抱っこを嫌がったりするなど、聴覚や視覚などの感覚過敏が広汎性発達障害のある人の多くに見られると言われています。広汎性発達障害はいつ分かる?診断の年齢は?出典 : 広汎性発達障害は、なんらかの先天的な遺伝要因と様々な環境要因に起因する何らかの障害が脳が発達する時期に起こり、それが成長段階で「広汎性発達障害」として発見されるとされています。要は先天的な素因によって起こる発達障害の一つとして医学的には捉えられています。広汎性発達障害は親のしつけや育て方の問題で起こっているわけではないことがわかっています。広汎性発達障害は、だいたい3歳までの幼児期に何らかの症状が現れると言われています。広汎性発達障害の子どもをもつ親が、言語能力の遅れやこだわりなどの何らかの症状に気づく時期についても3歳未満が多いとされています。また、1歳半健診や3歳児健診などの乳幼児健康診断で広汎性発達障害を含む発達障害に関する何かしらの指摘があり、その後医師の診断により判明することもあります。中には子どもの頃に気づかず、大人になってから広汎性発達障害と診断された方もいます。思春期以降には、不安障害やうつ病などの気分障害・睡眠障害などのいわゆる二次障害と呼ばれる症状や状態となり、その検査を通して広汎性発達障害に気づく人もいます。まだまだ認知度が低い発達障害ですが、本人に何らかの困りごとや症状があることに気づいた段階で早めに専門機関などで相談し、医療機関を受診するなどして、療育などの必要な支援を受けることが大切と言われています。広汎性発達障害の診断基準は?出典 : 一般的に専門機関での診断はアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版テキスト改訂版)や、世界保健機関(WHO)の『ICD-10』による診断基準によって行われます。アメリカ精神医学会の診断基準である『DSM-5』では広汎性発達障害の診断カテゴリ下にあったレット障害を除くすべての障害名が、自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害という診断カテゴリに統合されました。そのため今後「広汎性発達障害」という診断名は少なくなっていくと考えられますが、本記事では行政や医療機関で広汎性発達障害の名称を使用している場合も多いこと、すでにこの名称で診断を受けた人も多いことから、『ICD-10』の診断カテゴリに準拠して広汎性発達障害の名称でご説明しています。以下は『ICD-10』における広汎性発達障害の診断基準になります。以下の基準の中で当てはまる項目が多い場合や気になる場合は、専門機関で相談することをおすすめします。F84.2レット症候群Rett’s SyndromeA.胎生期・周産期は明らかに正常,および生後5カ月までの精神運動発達も明らかに正常,および生下時の頭囲も正常であった.B.生後5カ月から4歳までの間に頭囲の成長は減速し、また5~30カ月の間に目的をもった手先の運動をいったんは獲得していたのに喪失すると同時に,コミュニケーション機能不全,社会的相互関係の障害を伴い,また歩行および/または体幹の協調運動障害/不安定さがあらわれる.C.表出性および受容性言語の重度の障害があり,重度の精神運動遅滞を伴うこと.D.目的をもった手先の運動を喪失時またはそれ以後にあらわれる。正中線上での常同的な手の運動(もみ手や手洗いのようなもの)があること.F84.3他の小児期崩壊性障害Other childhood disintegrative disorderA.少なくとも2歳までの発達は明らかに正常であった.2歳時あるいはそれ以後に,コミュニケーション・社会的関係・遊び・適応行動について,年齢相応の正常な能力が存在していたことが診断に必要である。B.発症と考えられる時点において,それまでに獲得していた技能を明確に喪失していること.診断には臨床的に重要な技能について,次に挙げる領域のうち2項目以上の喪失(できなくなる場合があるだけではなく)が必要である.(1)表出性または受容性言語(2)遊び(3)社会的技能または適応行動(4)排尿または排便のコントロール(5)運動技能C.社会的機能の質的な異常が,次に挙げる領域のうち2項目以上に存在すること.(1)相互的な社会関係における質的異常(自閉症で定義した型)(2)コミュニケーションにおける質的異常(自閉症で定義した型)(3)常同運動や奇妙な運動を含む,行動や関心および活動性の,限定的・反復的・常同的なパターン(4)物や周囲に対する関心の全般的喪失D.障害は,広汎性発達障害の他の亜型,てんかんに伴う後天性失語(F80.3).選択制緘黙(F94.0),レット症候群(F84.2),統合失調症(F20.-)などによるものではない。F84.4精神遅滞[知的障害]および常同運動に関連した過動性障害Overactive disorder associated with mental retardation and stereotyped movementsA.重篤な過動が,活動性と中言い関する次の問題のうち2項目以上に明らかであること.(1)走ったり,跳んだり,全身を使った運動に示される,持続する落ち着きのなさ.(2)じっと座っていられない,常同的な活度に没頭しているときを除いて,ふつうは長くて数秒しか座っていられない(基準Bを参照).(3)静かにしていなければならない状況での強度の過動(4)めまぐるしく活動を変え,通常行動は1分未満しか続かない(時々,お気に入りの活動により長い時間を費やしても,除外しない.また,常同的な活動にひどく長い時間を費やすことがあっても,その他のときにこの問題が存在すればよい).B.行動や活動の常同的・反復的なパターンが,次のうち1項目以上に明らかであること.(1)固定して頻繁に繰り返される奇妙な運動,全身を使った複雑な運動ないし,手をひらひらとさせるような部分的な運動のいずれかがある.(2)過剰で意味のない活動の一定の形の繰り返し,単一の物体(たとえば流れる水)との遊びや,儀式的な行為(1人でしたり他人を巻き込んだり)など(3)反復する自傷行為C.IQは50以下.D.自閉的なタイプの社会機能障害はない.すなわち,次のうち3項目以上を示すこと.(1)社会的相互関係を調整するうえで,視線・表情・姿勢を発達的に適切に使用すること.(2)発達的に適切な,同世代の小児と関心や活動などを共有できる関係があること.(3)少なくとも時々は他人に慰めや情愛を求めていくこと.(4)他人の楽しみを時々は分けあうことができる.社会機能障害の他のタイプ,たとえば見知らぬ人に平気で近づくことなどは,あってもよい.E.自閉症(F84.0とF84.1),小児期崩壊性障害(F84.3)または多動性障害(F90.-)の診断基準を満たさない.F84.8他の広汎性発達障害Other pervasive developmental disordersF84.9 広汎性発達障害,特定不能のものPervasive developmetal disorder, unspecifiedこれは残遺診断カテゴリーで,広汎性発達障害の全般的記載には合致するが,十分な情報を欠く,あるいは矛盾する所見があるために,F84の他のコードのいずれの診断基準も満たさないような場合に用いるべきである。(中根允文ほか/訳『ICD-10精神および行動の障害DCR研究用診断基準』2009年,医学書院/刊p158より引用)自閉症・アスペルガー症候群の診断基準に関しては下記の記事をご参照ください。専門機関での診断は受けるべき?どこへ行けばいいの?出典 : 上記で述べた症状や特徴などが見受けられる場合、専門家に判断してもらうことをおすすめしますが、いきなり専門医に行くことは難しいので、まずは無料で相談できる身近な専門機関の相談窓口を利用するのがおすすめです。また、1歳半や3歳児健診などの乳幼児健康診断がある場合は、医師や専門家もいるのでその際に相談してみるのもよいでしょう。子どもか大人かによって、行くべき専門機関が違うので、以下を参考にしてみてください。【子どもの場合】・保健センター・子育て支援センター・児童発達支援事業所・発達障害者支援センターなど【大人の場合】・発達障害者支援センター・障害者就業・生活支援センター・相談支援事業所など児童相談所などでは無料で知能検査や発達検査を受けられることも多いので、児童相談所で相談するパパ・ママも多くいます。まず身近な相談センターに行って、診断をすすめられたら、そこから専門医を紹介してもらいましょう。自宅の近くに相談センターがない場合には、電話での相談にのってくれることもあります。診断は、子どもの場合、小児科・児童精神科・小児神経科や発達外来などで受けることができます。(大学病院や総合病院などにあります)大人になって検査・診断を初めて受ける場合には、精神科や心療内科、大人もみてくれる児童精神科・小児神経科や精神科など専門の医療機関を受診することが一般的ですが、大人の発達障害を診断できる病院はまだ数が多くありません。上記の相談機関で紹介してもらえるほか、医師会や障害者支援センター、発達障害者支援センターなどでも調べることができます。発達障害の専門機関は他の病気に比べると少ないですが、発達障害者支援法などの施行によって年々増加はしています。以下のリンクは発達障害の診療を行える医師の一覧です。この他にも、児童精神科医師や診断のできる小児科医師もいます。担当者との相性も大切なので、納得のいく医療機関を選ぶようにしましょう。日本小児神経学会 「発達障害診療医師名簿」診断の流れ、必要な持ち物は?出典 : 本人や保護者に対する問診(面接)や行動観察、家族・学校の先生による提供情報の精査などと、専門機関によっては知能検査や発達検査などを実施する場合もあり、筆記や口頭質問などの検査が行なわれ、様々な情報を総合的に評価して診断されます。検査は複数回に分けて行なわれたり、慎重に経過を見ながら行われるため、一度の受診で診断されることはあまりありません。知能検査は、田中ビネー知能検査Ⅴ(ファイブ)やウェクスラー式知能検査(3歳10ヶ月〜7歳1ヶ月の幼児の場合は「WPPSI」、5歳から16歳11ヶ月の子どもは「WISC」、16歳以上の成人の場合は「WAIS」)などの検査を受けることによって検査結果がでます。特性の現れ方や発達段階などを評価するため「CARS」や「新版K式発達検査2001」、「PEP-R」などを行う場合もあります。初診時に必要な物として保険証、子どもであれば母子手帳などがあります。服用中の薬などがあれば、お薬手帳なども持っていくとよいでしょう。また、生育や発達歴についての問診がありますので、言葉を話し始めた時期や日常生活での困りごとなどをメモして持っていくと質問に答えやすいかもしれません。発達外来などの専門機関によっては保育園や幼稚園の連絡帳、小学校の通信簿やホームビデオなどを参考にする場合もあります。事前に問診票をプリントアウトして持参する機関もありますので、専門機関の公式ホームページをチェックしたり、予約時に電話にて必要な持ち物を問い合わせてみてください。まとめ出典 : 広汎性発達障害の子どもをもつ親の中には子育ての仕方が悪いと自信をなくす方もいらっしゃいます。ですが広汎性発達障害は子育ての仕方が原因ではないことが医学的にわかっています。自信をなくすなど親がストレスを抱えていると、子どもにも気持ちが伝わってしまいます。専門機関に相談したりすることで、同じ悩みを持つ親と知り合える機会も増え、親にとっても子どもにとっても心の面でケアできる可能性があります。まずは相談や診断を受け、少しずつでも広汎性発達障害について理解し、じっくり子どもと向き合っていくことが大切です。広汎性発達障害と診断された場合、年齢に応じた療育相談や、理学療法士・作業療法士などによる個別訓練、てんかんなどに対する薬物療法などが行なわれます(専門機関によって異なる)。一般的に早期療育がよいと言われています。早めに広汎性発達障害と知ることで子どもにあった療育方法を見つけ、生活に必要なスキルを練習することで、子どもと家族にとって生きやすい環境をつくっていきましょう。
2016年08月02日医学的に広汎性発達障害(PDD)の発現時期は分かっているの?出典 : 広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorders:略称PDD)は、コミュニケーションと社会性に障害があり、限定的・反復的および常同的な行動があることを特徴として分類される発達障害のグループ です。世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)の診断カテゴリでは、このグループには自閉症、アスペルガー症候群のほか、レット症候群、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害という5つの障害が含まれています。広汎性発達障害は、なんらかの先天的な遺伝要因と様々な環境要因に起因する何らかの障害が脳が発達する時期に起こり、それが成長段階で「広汎性発達障害」として発見されるとされています。要は先天的な素因によって起こる発達障害の一つとして医学的には捉えられています。広汎性発達障害は親のしつけや育て方の問題で広汎性発達障害が起こっているわけではないことがわかっています。広汎性発達障害は、だいたい3歳までの幼児期に何らかの症状が現れると言われています。広汎性発達障害の子どもをもつ親が、言語能力の遅れやこだわりなどの症状から何らかの疑いをもつ時期についても3歳未満が多いとされています。また、1歳半検診や3歳児検診などの乳幼児健康診断で広汎性発達障害を含む発達障害に関する何かしらの指摘があり、その後医師の診断により判明することもあります。中には子どもの頃に気づかず、大人になってから広汎性発達障害と診断された方もいます。不安障害やうつ病などの気分障害・睡眠障害などのいわゆる二次障害と呼ばれる症状や状態となり、その検査を通して広汎性発達障害に気づく人もいます。姫路心療内科 前田クリニック 「発達障害とうつの関係」埼玉県総合教育センター 「自閉症の理解と支援自閉症とは」広汎性発達障害の原因は?出典 : 現段階では正確な原因は解明されていませんが、脳機能の障害により症状が引き起こされるといわれています。その脳機能障害は、先天的な遺伝要因と、様々な環境要因が複雑かつ相互に影響し合って発現するというのが現在主流となっている説です。なお、広汎性発達障害という診断名は、アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版テキスト改訂版)の診断基準では自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害という診断カテゴリに変更されています。以下の各症状の中には、自閉症スペクトラム障害の概念から除外されたものも含まれています。しかし、行政や医療機関で広汎性発達障害の名称を使用している場合も多いこと、すでにこの名称で診断を受けた人も多いことから、本記事では『ICD-10』の診断カテゴリに準拠して広汎性発達障害の名称でご説明します。以下の図で広汎性発達障害に含まれている各症状の原因について、それぞれご紹介します。Upload By 発達障害のキホン自閉症は脳の機能障害が原因と考えられていて、これには複数の遺伝子が関わっており、最近では父親の高齢化で自閉症の確率が高まるという研究報告や、妊娠時の体内環境の要因などが関連すると言われることもあります。しかしながら、これらは全てはっきりしたメカニズムが分かっておらず、医学的根拠については解明されていません。アスペルガー症候群も自閉症と同様に脳の機能障害である可能性が高いとされていますが、その全てが解明されている訳ではありません。小脳や脳内物質の異常、環境ホルモンやウィルス感染、成長環境での心理的要因など国内外で様々な研究が進められており、アスペルガー症候群の原因について医学的な裏づけを研究している段階です。レット障害(レット症候群)はほとんどが女児に見られる発達障害です。レット障害についてはX染色体上に存在する遺伝子の突然変異が原因だということが発見されました。1999年にMECP2という遺伝子が主な原因遺伝子であることが発見され、その後2004年にCDKL5、2008年にFOXG1という原因遺伝子も発見されています。女性の性染色体はXX型、男性はXY型であるため、レット障害は女児に多いと考えられています。また、男児の場合、遺伝子の異常で流産や死産してしまう可能性が高いですが、男児のレット障害も少数ながら報告されています。レット症候群|難病情報センター小児期崩壊性障害(CDD)はヘラー症候群とも呼ばれますが、その原因は現段階では解明されていません。今まで話していた子どもが言葉を話さなくなるなど精神発達の退行が症状として現れますが、脳や神経系の感染症などを発現後に小児期崩壊性障害となるケースも多く、脂質代謝異常や結節性硬化症など、さまざまな疾患と関連があると考えられています。特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)は特定不能とあるように、特定の原因は不明とされています。一部では遺伝要因と環境要因による相互作用ではないかと考えられています。自閉症やアスペルガー症候群の診断基準には当てはまらないが、その特徴を一部持っているという場合に診断されることが多いです。広汎性発達障害は親から子どもへ遺伝するの?出典 : 広汎性発達障害は先天的な遺伝的要因が関与している可能性が高いと言われています。双生児研究や家族間研究が盛んに行われてきました。以下のようなデータがあります。広汎性発達障害の一卵性双生児における一致率は70~90%であり、その遺伝率は90%とされている。よって広汎性発達障害は遺伝因子がその発症に大きな役割を果たしていると考えられている。(橋本亮太、安田由華、大井一高、福本素由己、高村明孝、山森英長、武田雅俊「モデル動物を用いた発達障害病態解析」 2009年より引用)一卵性双生児の場合、基本的な遺伝子情報は同じです。その一卵性双生児間で一人が広汎性発達障害である場合、もう一人も広汎性発達障害であるという確率が90%と高いことは、遺伝的要因が影響していると言われている根拠の一つとなっています。一方で、一致率が100%でないということは、遺伝以外の要因があることも示唆しているのです。つまり、広汎性発達障害は遺伝的要因が関係している可能性がありますが、必ずしも単純に親から子どもへ遺伝するというわけではありません。また。遺伝する確率や詳しい原因については研究段階で、発現するメカニズムなどは解明されていないのが現状です。障害のある親から障害のない子どもが産まれる場合もありますし、親族の広汎性発達障害のない場合でも障害のない親から障害のある子どもが産まれる場合もあります。きょうだい間でも上の子が広汎性発達障害だったからといって、下の子も必ず広汎性発達障害になるとは限りません。広汎性発達障害を検査する方法はあるの?出典 : 羊水検査やエコー写真などによって、出生前の妊娠中の段階で広汎性発達障害を検査する方法は今のところありません。原因遺伝子が確定されているレット障害(レット症候群)に関しては、出生後に遺伝子検査ができる場合もあります。しかし、その他の広汎性発達障害については、出生後も血液検査や遺伝子検査といった生理学的な方法で検査することはできません。一般的に子どもになんらかの症状や特性が現れてから、様々な心理検査や知能検査、保護者(親)に対する問診、子ども(本人)の行動観察、学校や家族からの情報提供などによって診断が行われます。診断基準は主にDSM-5やICD-10などが用いられます。診断はさまざまな情報や検査の結果から総合的に行われ、経過を見ながら慎重に行われます。レット症候群の遺伝子異常について|NPO法人レット症候群支援機構HP広汎性発達障害の治療法はあるの?出典 : 根本的な原因が解明されていないため、薬や手術などによる根本的な治療法は存在しません。一般的には環境調整や療育(りょういく)と呼ばれるトレーニングを行い、家庭での対応や専門機関による療育などによって子どもが自立して生活できるよう支援していきます。また、パニック症状やてんかん発作、感覚過敏など一部の症状に対して薬物療法が行なわれる場合もあります。療育は何歳からでも始めることができます。コミュニケーションの取り方がわかったり、療育の遊びを通して友達ができたりする子もいます。ストレスを抱えがちな親にとっても療育の場は相談できる場所であり、同じ悩みをもつ親同士の交流の場所ともなっています。療育の効果は個人差があり、子どもに合った療育が必要となりますが、子どもにとっても親にとっても療育は心の面でもサポートにもなると言えるでしょう。まとめ出典 : 広汎性発達障害の原因は遺伝的要因が有力とされていますが、必ずしも単純に遺伝するという訳ではなく、詳しい原因やメカニズムはいまだ解明されていません。一方で親の子育て方法が原因と言う心因論も誤りです。遺伝かどうか、原因は何かを探るだけではその子の生きやすさにはつながりません。その子が生きやすい環境を作ることがもっとも大切なことです。また、最近では3歳未満で診断されることも多いですが、見た目にも分かりづらいことから大人になるまで広汎性発達障害と気づかなかった方もいます。広汎性発達障害と気づき、療育などの適切なサポートを受けることは本人にとっても親にとっても大切なことです。少しでも気になることがあるようでしたら、専門機関での相談を受けてみてください。
2016年08月01日作業療法士(OT)とは?出典 : 作業療法士(OT)とはOccupational-Therapistの略で、看護師、理学療法士(PT)、言語聴覚士(ST)などとともに活躍するコ・メディカルスタッフの一員です。作業療法士は、理学療法及び作業療法士法が制定された翌年の1966年に、国家資格として認可されました。主に作業を通じた人々の身体機能回復・獲得に加えて、学校や職場、地域活動といった社会参加のサポートや、いきいきと生活していくための精神面のサポートまで行う役割を担っています。作業とは、工芸、手芸、園芸、絵画、おもちゃの操作などの手作業から、食事や入浴などの日常生活にかかわる作業まで、すべての活動のことを指します。作業療法士は様々な機関で活動しているため、人生のあらゆるステージでかかわる可能性があります。特に発達障害に関しても、療育施設で作業療法士の作業療法を受ける人も多く、生活面の機能の発達をうながしてくれる心強いスタッフです。理学療法士及び作業療法士法作業療法士の役割出典 : 作業療法士の役割は、人々の基本動作能力、応用的動作能力、社会適応能力を維持・改善し、仕事、趣味、遊びなど元気な日常生活を送ってもらうための支援をすることです。基本動作能力とは、食事やトイレ、家事など、日常で必要となる活動をする能力のことを言います。また、応用的動作能力とは、より高度な運動や感覚・知覚、認知・精神などの心身機能のことを指します。一方社会適応能力とは、基本動作能力や応用的動作能力などの心身機能と違い、対人関係を構築し、社会性を身につける能力です。主に、地域活動への参加、就労、就学などが挙げられます。これらの能力を維持・改善するために「日常生活活動(ADL: Activities of Daily Living)」の治療や援助を行うことはもちろん、工芸、手芸、園芸、絵画、おもちゃの操作などを通して、人々が社会に適応できるように支援します。作業療法士とよく混同されやすいものに理学療法士というものがあります。両者とも国家資格をもつ専門家ですが、どのような違いがあるのでしょうか?理学療法士は、からだの基本的な機能回復・獲得をサポートします。基本的な機能回復とは、寝返る、起き上がる、立ち上がる、歩くなどの日常生活を行う上で基礎となる動作の改善のことを言います。例えば患者が脚を骨折したとき、理学療法士は運動療法や物理療法などを用いて、その部分を曲げたり、伸ばしたりできるよう、身体の基礎的機能の回復をサポートします。一方作業療法士はまず、その人がどのような生活をしたいのかを考え、障害のない日常生活を送るために必要な機能回復・獲得を考えます。その上で、着替える、入浴をする、散歩するなどの作業を通して脚の機能回復を支援します。作業療法士になるには?どんな人が向いているの?出典 : 作業療法士になるためには、毎年1回行われる国家試験を受験し、国家資格を取得する必要があります。試験の合格率は例年約80%であり、2015年実施の試験の合格率は77.5%でした。受験には高校卒業後、文部科学大臣または厚生労働大臣が指定した養成施設で3年以上学ぶことが必須です。養成施設として、4年制の大学、3年制の短大、3年制または4年制の専門学校があり、講義と実習を通じて学んでいきます。習得する内容は、解剖学、生理学、運動学、病理学、臨床心理学、リハビリテーション医学など多岐にわたります。作業療法士には主に2つの適性が求められます。1.コミュニケーション能力: 面談を通じて患者の心身の状態や気持ちをしっかりと把握し、最適なプログラムを考えるためにコミュニケーション能力が必要です。特に、相手の話をしっかりと聞き、ちょっとした反応から相手の感情を読み取ることが求められます。2.温厚な人柄: 作業療法を行う上で大切なのは、患者に安心してもらい心を開いてもらうことです。そのためには常に温厚な気持ちで患者に寄り添う姿勢が求められます。作業療法士の支援対象と、支援の対象期間出典 : 作業療法士はこころとからだの機能回復・獲得を担当し、年代を問わず、なんらかの障害や疾病によって生活に困りごとを抱えている人すべてをサポートします。主に4つのタイプに分類されます。・身体に障害がある人: 脳卒中/パーキンソン病/リウマチ/脊髄損傷/その他・こころに障害がある人: 統合失調症/躁うつ病/アルコール依存症/認知症/その他・発達期に障害がある子ども: 脳性麻痺/ADHD/精神発達遅滞/自閉症/知的障害/その他・高齢期に障害がある人: 認知症/脳卒中/骨折/その他急性期から、回復期、生活期まで通してずっとサポートしていきます。また、支援内容はその時期によって異なります。・急性期: 病気やけがの直後から将来の生活を見越したリハビリを開始し、初期段階の支援を行います。基本的なこころとからだの機能改善、新たな機能の低下の予防が目的です。病気やけがの直後は機能訓練や日常の基本的な動作の訓練を行います。サポート内容の例として、自分で食事ができる、自分で移動できる、自分でトイレを使えるようになる練習などが挙げられます。・回復期: より具体的な生活をイメージして機能や能力の改善をしていく支援を行います。急性期を経て病気やけがの状態が安定した後、患者が生活していくために必要な能力などを人それぞれに応じて提案していきます。主に服や靴を着脱する練習、調理や掃除などの家事、買い物など外に出る練習など、日常生活において応用的な動作ができるように支援します。・生活期: 一人一人が生きがいを持ち、豊かに生きるための生活を支援します。住み慣れた場所で、その人がありのままの姿でより良い生活を送るために、散歩など外に出る練習、地域コミュニティへの参加の援助、就労支援、趣味やレジャーを楽しむ支援などを行います。作業療法士のサービスを受けるには出典 : 作業療法を受けられる場所として大きく分けて、医療機関、福祉施設、教育・療育施設、企業・就労現場が挙げられます。病院やリハビリセンターなどの医療機関では、患者の回復状態に応じた作業療法をリハビリテーションチームの一員として行います。そこでは患者が新たな生活の第一歩を踏み出す手助けを担っています。福祉施設とは主に、保健所、福祉関連相談所、老人福祉施設、障害者福祉施設のような施設を指します。老人福祉施設では高齢者が新しい疾患を発症しないように予防したり、地域生活の質の向上をサポートしたりすることで、その人が日々の暮らしを健康に送れるように支援します。作業療法士は、障害のある子どもが通う特別支援学校などの教育・療育施設にも所属します。将来的に障害がある子どもが、地域の中で自立して生活できるように、医療や福祉教育の知識を生かして必要な学びの習得をサポートします。作業療法士はすべての企業ではありませんが、様々な企業や就労現場にも存在し、病気や障害があるが働きたいと思っている人の支援をします。状況に応じて企業の人事担当者や就労支援を担当するジョブコーチ、就労支援施設担当者と協働しながら、障害がある人が職場に適応し、継続して働くことができるように支援を行います。発達障害がある人への作業療法出典 : 発達障害のある人のなかには、協調運動障害のある人も多く、手先が不器用であったり、日常の動作の獲得を苦手とする場合があります。また、他人とコミュニケーションをとることに困難があり、人との距離感をうまくつかめない場合もあります。作業療法士はそのような人困りごとのある人に対しても支援を行います。発達障害における作業療法も子どもの成長ステージごとに分かれています。■乳児期(0~1歳): はいはいや歩くなどの運動発達を遊びを通して促します。保護者に対する子育て支援も行います。子どもがかんしゃくをおこす、抱っこを嫌がる、こだわりが強いなどの育てにくさがある場合。そして、保育所で集団活動ができずすぐに席を立ってしまう、寝つきが悪いなどの問題がある場合があります。そのような問題が起こる理由として、部屋が明るすぎる・暗すぎる、テレビや話し声、エアコンなどの気になる音が耳障りになるなどの、部屋の環境に問題がある場合があります。睡眠の問題に対しては寝具の肌ざわり・重さなどが合わなかったり、睡眠前にしっかり遊べていないため、元気があり余っていたりするときがあります。そこで作業療法士は、面談や調査を通じて問題を見つけ出し、問題に応じて部屋の環境調整や寝具の適合を行います。■幼児期、学童期、思春期(1~19歳): 主に発達障害がある子どもの園や学校でのサポートをします。学生生活で発達障害がある子どもが直面する問題は主に2つあります。席にずっと座ることができない、科目の得意・不得意の差が激しいなどの“授業面での問題”、そして、友達に自分の意見を言いすぎたり、全く言えなかったりするなどの“対人関係での問題”です。なぜこのような問題が起こるのでしょうか?授業面での問題が起こる理由として、姿勢が安定していないため座り続けることが難しいということや、文字を書くのが苦手、計画を立てることが苦手であるという可能性があります。対人関係での問題においては、子ども自身の認知した考えが行動と一致するように活動できない場合が多く、相手の発言を理解したとしても、相手に誤解を与えてしまうよう行動をとってしまうことがあります。すぐに席を立ってしまう場合には、いすに滑り止めシートをはる、机やいすの高さの調整をするなどの環境を整える支援をします。文字を書くのが苦手な場合、なぜ苦手なのか原因を探りながら書きやすい筆記具に変えたり、文字の形を覚えやすくするなどの工夫をします。計画を立てることができず作業をやり続けてしまう問題に対しては、スケジュールや活動の量を口頭ではなく、図や文字などの目に見える方法で掲示し、やるべきことを明確にします。また、考えと行動が一致しないときは、子どものケース別の適切な活動をサポートします。■成人期(20歳~): 主に発達障害がある人が健やかな社会生活を送るための支援を行います。多くの発達障害がある人は、明文化されたルール以外の決まりを理解することを苦手とし、相手の表情から感情を読み取ることを困難とする場合があります。こういった問題から、本人が就職することを難しいと感じたり、就職した場合でもうまくなじめないと感じてしまう場合があります。このような場合、作業療法士は対人交流スキルを向上させるプログラムの開発、メモ・レコーダーを使用した記憶の補強などを通じて、発達障害がある人のスキル改善を支援します。また、職場の人に障害がある人の苦手な部分を理解してもらい対応方法を共有するという、周囲の人のサポートを促すジョブコーチの役割も作業療法士は果たします。出典 : 発達障害における作業療法の流れは主に5つのステップにより構成されています。1.主訴・依頼: 現在の困っていることをもとに、病院や各施設に相談し、必要と判断された場合は作業療法が始まります。2.アセスメント(評価): 対象者・保護者との面談や、活動の中で行っていき、場合によっては検査を行うこともあります。作業療法士はアセスメントで得られた情報を整理し、困りごとが起こる理由を見つけます。評価する主な内容・はしる、あるく、すわる、などの、粗大な日常的な動き・スキップ、自転車、縄とびなどの、応用的な運動・食具、はさみ、鉛筆の利用などの、手先の器用さ・触覚過敏、偏食、感覚の処理能力・知覚 認知能力・育ってきた環境、自尊感情の度合いなどの心理社会的側面・コミュニケーション能力支援プログラムの立案と実施: 困りごとを解決するために必要な方法を考えます。大きく分けて3つの対応方法があります。■本人に対する介入本人に対する理解を深めることで、発達をサポートし、能力の改善・拡大を図ります。■周囲の人に対する工夫周囲の人が本人へよりよい言葉かけができるようになる方法、接し方のコツを教えることで、本人が過ごし易くなるように支援します。■環境調整家具を変えるなどの環境を変化させたり、道具の利用を図ったりすることで、本人が気持ちよく生活できるように支援します。4.再アセスメント: 本人・保護者への面談、活動の中での再調査から支援の結果を確認し、困りごとやつまずきの変化をとらえます。5.プログラムの変更: 再アセスメントの結果、支援プログラムの変更が必要なときは変更し、3に戻ります。もしくは、日常生活を送る上で必要な機能の回復・獲得ができたと評価された場合、状況に応じて作成されたプログラムを継続・終了します。作業療法の体験談出典 : では、実際の作業療法では具体的にどのようなプログラムが行われているのでしょうか?一人ひとりの個性、得意・不得意をみてプログラムを立案していくことが作業療法の特徴です。そのため全ての人に当てはまるものではありませんが、以下に一例として、お子さんやご自身が作業療法を受けた際の体験談をご紹介します。感覚過敏がある、我が子に出された宿題はぎゅっとたっちという遊びでした。ちょっと痛いくらいの力で腕や足を握り、スライドさせていくやり方です。ポイントは、静かに集中しているときを狙ってやり、にぎってるとこに注目させることと、一回3分を限度にやることです。3分以上やると親の方が疲れるからだそうです。逆に疲れないようだと、やり方が甘いんだそうです。うちは、これで、目がいくらか合うようになりました。あと、耳かきを嫌がるのを相談したら、布団です巻きにして、耳回りを圧迫する課題がだされました。楽しくやるのがポイントです。体幹をしっかりさせるために、バランスボールの上をとぶ課題もでました。部屋のすみにバランスボールをもっていき、親の足で固定し、歌に合わせて跳ばす。大きなたいこがおすすめですが、子どもが好きな歌なら何でもいいと思います。我が家ではバランスボールを椅子やソファで固定して、いつでも跳べる状況にしたら、体幹が鍛えられた気がします。このように遊びの中で作業療法を行うことで、子どもの興味を考慮しながら、応用動作ができるよう支援します。また、パパ・ママが作業療法に関わる場合は、お互いのストレスがかからないように楽しく行うことがポイントです。折り紙がキレイに折れるようになりました。力が弱い娘です。OTの先生が真ん中が穴のあいた分度器を100均で買ってきてプレゼントをしてくれました。分度器の丸い所を使ってキレイに折ります。作業療法士としてからだのサポートをするだけではありません。発達障害がある人が社会的に適応し、いきいきと生活していけるように相談できる身近な専門家として“こころのサポート”をすることも重要な仕事のひとつです。上肢に障害がある私は、お料理の便利グッズを紹介してもらったり、工夫の仕方を教えてもらいました。日常生活で困ったことを一緒に考えてくれる仲間という感じで、なんでも相談してました。発達の面では、人との距離感や、言葉の使い方、感覚統合をサポートしてもらいました。協調運動も苦手なので、ふとした行動や遊びから、手の使い方、体幹の使い方を教えてもらいました。作業療法士と他機関の連携出典 : 作業療法士はあらゆる場所で、障害のある人の暮らしやすい生活を取り戻すための支援をしています。そのため培ってきた高い専門性をもとに、様々な専門職と協力して働いています。医療現場では理学療法士や言語聴覚士などのリハビリ専門職、医師、看護師と一緒に働きます。保健・福祉現場では、介護職員、保健士や児童相談所の職員、ケースワーカー、介護福祉士、介護支援専門家などと協働します。そして教育現場では、保育士・教師、心理専門職などと連携しながら仕事を進めていきます。まとめ出典 : 作業療法士とは作業を通じて、障害のある人がその人らしい生活を送ることを支援する専門家です。作業とは、手芸や園芸などの手作業だけではなく、食べたり、トイレに行く、などの日常生活に欠かせない行為のことも指します。発達障害の場合、一人一人特性が違ったり、コミュニケーションが苦手だったりして、困りごとがあっても援助が難しいこともあります。そんなとき、本人の気持ちに寄り添って、その子に合った解決法を見つけてくれるスペシャリストが作業療法士です。子どもの作業療法士の方によって花開く姿を見たことがあります。2歳半。保育園ではヒモにお花のビーズを通す遊びが流行っていたけれど一切やらない。教室の隅で所在無げな視線でボーッとしていました。園の先生は、「全然やりたがらないとんですよねぇ」と。その話を作業療法士さんにすると、「やりたくない訳ではなくてやり方がわからないだけだよね !」と言って丁寧に指の使い方を説明しながら教えてもらうと、なんと出来ました。その瞬間、子どもが療法士さんを見て、出来た!ニコッとした表情をしたんです。いっぱい褒めてもらえました。その後、保育園で明るい表情になり紐通しを始めた姿に園の先生もびっくりして、「私達にも出来ることを教えて下さい」と。作業療法士の方によって園での生活から全てを変えることが出来ました。今でもあの方に出会ってなかったらどうなっていたか、と思います。その後、子どもはDQ70からウィスクで平均値となりました。子どもに、自信をつけてあげる事。親でもなかなか出来ません。むしろ、他人だから喜びがあったと思います。とても感謝しています。また、日頃何気なく生活していても、突然の怪我や病気などで、いつ、どのタイミングで作業療法士を必要とするかはわかりません。社会の作業療法に対する認知・理解が深まり、からだとこころに困りごとのある人が、いつでも適切なサポートを受けられるようになることを願っています。一般社団法人日本作業療法士協会
2016年07月28日こんにちは、ライターの渦マキです。今回は発達障害児童の問題行動について、対処法をご紹介したいと思います。発達障害にはさまざまなタイプがあり、同じ障害でも特性の現れ方には個人差があります。発達障害児の多くは、 通常の学級に在籍して他の子どもたちと学習しています。ケースバイケースで子どもの行動の特徴を理解し、対処法を考えていくことが大切になってきます。おもに学校生活で多く見られる行動についての対処法を、いくつかご紹介します。●(1)教室を飛び出してしまう●教室を飛び出してしまう理由・外の様子が気になり衝動的に出て行ってしまう・他の子どもにからかわれて感情的に出て行く・与えられた課題が終わり、次に何をやるのかがわからず出て行く●ポイント一度感情的になるとなかなか収まらない傾向が強いので、それを無理に制止すると逆効果になってしまいます。気持ちが収まってから 出て行った理由を聞いてみましょう。●注意点・力づくで押さえない・教室を出て行くことを黙認しない(無視されていると勘違いする)・他の子どもたちを放って追いかけない●(2)質問に上手に答えられない●質問に答えられない理由・先生の質問を聞いていない・話したいことがうまくまとめられない・先生の話の内容を理解できない・吃音などでうまく話せない●ポイントうまく答えられない理由を把握することが大切です。質問の仕方を変えながら、子どもが質問内容をどれくらい理解しているか を把握します。長い質問をところどころで区切ってみて、「ここまでの質問がわかりましたか?」と確認します。●注意点・罰を与えない・「聞いていないのが悪い!」と叱らない・「はっきり言ってみて!」と強要しない●(3)体育が苦手●体育が苦手な理由発達障害児には、手足の強調運動 が苦手だったり、体の動かし方自体に問題のあったりする子どももいます。こんな運動が苦手です。・球技が苦手・なわとびがうまく飛べない・音楽にあわせて動作することが苦手●ポイント・できそうなところからやらせる(到達目標を下げてみる)・周りの子どもがからかったら厳しく注意する●注意点・ほかの子どもと比べたり、できないことを責めたりしない・スムーズに動けない原因をしっかり見極め、どのようなトレーニングが必要か導きだす----------発達障害の子どもたちは得意不得意に偏りがあります。まずは、その子どもがどのような特性か、どんな偏りがあるかを見極めていくことが大切です。【参考文献】・『ケース別 発達障害のある子へのサポート実例集 小学校編』上野一彦・月森久江(共著)●ライター/渦マキ(フリーライター)
2016年07月27日その1ボタンの掛け違いは色で解決Upload By たっくんママパジャマのボタンを上下ずらさずにはめるのが苦手だった息子のため、ボタンが色違いのパジャマを見つけると、購入して家で練習に使っていました。ボタンとボタン穴が同じ色なのでこちらも説明がしやすく、色を組み合わせるだけでボタンの掛け違いを防げるのんで、息子も「掛け違いしないでできる!」という達成感を味わうことができたようです。小2の現在も、声かけをしないと、たまにずれることがありますが、「下からかけていこうね」と声かけすれば出来るようになってきました。余談ですが、トレーナーやズボンなど前後が分からない場合には、洋服に印をつけ、一目で「こっちが前だ」と分かるようにしました。私は、目立たないように糸でバッテン印を縫い付けましたが、他の方はワッペンをつけたりと色々工夫されていましたよその2左右がわからない時「間違いに気付かせる」工夫Upload By たっくんママ靴などを左右まちがえて履くと、足の形と合わずに違和感を感じる方も多いと思います。ですが、息子はその感覚が鈍いのか逆に履いても余り気にしていませんでした。そこで、左右を間違えないよう、上履きの内側に、左右を合わせると対になる目印に笑顔マークをマジックペンで書いてみました。「絵もいいね♪」と、息子もお気に入りです。ずぼらで不器用なわたしは簡単な絵を書くのが精一杯でしたが、目印としてはシールやワッペンなど色々な方法があるようです。 息子も絵を目印にして、左右を間違わなくなりました。上履きの外側にボタンをつけるその3見えなくて忘れるなら「見せて」解決Upload By たっくんママ小学校に入ると、忘れ物の多い息子は家へ持って帰るべきモノを学校に置き忘れることが増えました。特に困ったのが、筆箱の中身!鉛筆4本、赤鉛筆1本消しゴム1個というのが基本セットで、前日の夜に必ず持ち物を確認しているのですが、学校から帰っていざ筆箱を開けてみると、いつも何かが足りない状態でした。消しゴムがない、鉛筆が少ない、そしてなぜか息子自作の紙ふぶきが入っているなど色々ありましたが、中でも1番びっくりしたのは開けたら鉛筆1本だけという日もあったこと。息子に「帰りに忘れ物が無いか、持ち物のチェックをしてみて」と話しましたが、なかなかうまくいきませんでした。Upload By たっくんママそもそも、帰りの時間に持ち物をチェックするとき、わざわざ筆箱の蓋をあけないという事に気づき、自分でチェックできないならば筆箱の中が外から見えたほうが良いのでは?と考えました。外から見えやすい透明のケースを筆箱にしてみました。Upload By たっくんママ効果はテキメン!たまに鉛筆は学校に忘れてしまいますが、入っているものが一目で分かるのがよいのか、持って帰る回数が増えてきました。前はどうして持って帰れないのか、イライラして叱っていましたが、叱る回数も減って親の私も気持ちが楽になりました。ちょっとした支援で息子の自信につながる出典 : いかがでしたか?発達障害ゆえの、苦手なことはたくさんあります。そのなかで、視覚支援の力を借りて「できないをできるに変える」こともできます。できることが増えると自信につながるようで、息子の達成感や自己肯定感も高まったように感じます。1人でなんとかしなくちゃ!と悩んでも、いろいろな方法を見つけるのに限界があると思います。そういうときには、通われている医療機関や療育センター、保育園・幼稚園の先生方に相談して、プロの力をたくさん借りてみましょう。少しでも暮らしやすくなって、どうかママとお子さんの笑顔が増えますように!
2016年07月27日■1泣いてるよUpload By SAKURA■2お友達に会ったらUpload By SAKURA■3犬との会話Upload By SAKURA私たち夫婦は、娘のちょっとズレた発言にいつも笑わされています。子どもって本当にユニークですよね♪Upload By SAKURA
2016年07月27日発達性協調運動障害とは?出典 : 協調運動とは、手と手、手と目、足と手などの個別の動きを一緒に行う運動です。例えば、私たちがキャッチボールをする時、ボールを目で追いながら、ボールをキャッチするという動作を同時にしていますよね。他にも、縄跳びをする時、ジャンプする動作と、縄を回す動作を同時にしなくてはなりません。このような運動を協調運動と言います。発達性協調運動障害とは、日常生活における協調運動が、本人の年齢や知能に応じて期待されるものよりも不正確であったり、困難であるという障害です。別名、不器用症候群とも呼ばれていました。本人の運動能力が期待されるよりどのくらい離れているかは、通常「MABC-2」(Movement Assessment Battery for Children,2ndversion)や、「JPAN」(日本版感覚統合検査)と呼ばれる感覚処理行為機能テストなどのアセスメントテストによって評価されます。これらのテスト結果を参考に、医師が発達性協調運動障害かどうかを判断します。アメリカ精神医学会の診断基準である『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版テキスト改訂版)では以下のような診断基準になっています。A.協調運動技能の獲得や遂行が、その人の生活年齢や技能の学習及び使用の機会に応じて期待されるよりも明らかに劣っている、その困難さは、不器用(例、物を落とす、またはぶつかる)、運動技能(例、物を掴む、はさみや刃物をつかう、書字、自転車に乗る、スポーツに参加する)の遂行における遅さと不正確さによって明らかになる。B.診断基準Aにおける運動技能の欠如は、生活年齢にふさわしい日常生活活動(例、自己管理、自己保全)を著明及び持続的に妨げており、学業または学校での生産性、就労前及び就労後の活動、余暇、および遊びに影響を与えている。C.この症状の始まりは発達障害早期である。D.この運動技能の欠如は、知的能力障害(知的発達症)や視力障害によってうまく説明されず、運動に影響を与える神経疾患(例、脳性麻痺、筋ジストロフィー、変性疾患)によるものではない。発達性協調運動障害と運動能力出典 : 人間の運動には大きく分けて、粗大運動と微細運動があります。人間は、さまざまな感覚器官から得られた情報をもとに、初めは姿勢を保つことや寝返りといった粗大運動を習得し、次第に段階を踏みながらより細かい微細運動ができるようになります。粗大運動とは、感覚器官からの情報をもとに行う、姿勢と移動に関する運動です。粗大運動には、先天的に人間に備わっている運動と、後天的に学ぶ運動があります。寝返り、這う、歩く、走るといった基本的な運動は人間が先天的に持っている粗大運動能力です。一方、泳ぐ、自転車に乗るなどの運動は、環境的な影響や学習によって身につけると言われています。微細運動とは、感覚器官や粗大運動で得られた情報をもとに、小さい筋肉(特に指先など)の調整が必要な運動です。モノをつまんだり、ひっぱったり、指先を使って細かな作業、例えば、絵を書く、ボタンをかける。字を書くなどの運動があります。成長とともに、粗大運動から、より細かい微細運動ができるようになります。発達性協調運動障害のある人は、粗大運動や微細運動、またはその両方における協調運動が同年代に比べぎこちなく、遅かったり、不正確になります。子どもによって、乳幼児期の粗大運動には全く遅れや苦手はなかったが、幼稚園や、小学校に行くようになり微細運動を必要とする場面が増え、微細運動が顕著に困難である場合もあります。発達性協調運動障害のある子どもの年齢別の困りごと出典 : 発達性協調運動障害かどうかの判断は、協調運動が本人の年齢や知能に応じて期待されるよりも著しく不正確であったり、困難であるかどうかが重要なポイントとなります。以下で年齢別によく見られる傾向を紹介します。とはいえ、年齢が低ければ低いほど、得意な運動と困難な運動は子どもによって大きく差があり、人それぞれです。ですので、以下の例に当てはまるからといって、必ずしも発達性協調運動障害であるということではありません。子どもの様子を見つつ、気になるときは専門家に相談してみましょう。乳児期は、そもそも基本的な粗大運動を学び、獲得していく段階です。また子ども一人ひとりの運動機能獲得のスピードは違いますし、できること、できないことも個人差が大きい時期です。ですので、苦手なことがあっても心配する必要がない場合も多いと言えます。ですが、発達性協調運動障害と診断される子どもは、乳児期に以下の様な特徴が共通して見られる傾向があります。例:母乳やミルクの飲みが悪い、離乳食を食べるとむせる、寝返りがうまくできない、はいはいがうまくできない幼児期は、特に5歳を過ぎると、運動能力の個人差が縮まってきます。そのためこの時期に発達性協調運動障害と診断される場合が比較的多いと言えます。発達性協調運動障害のある幼児は以下のことが不正確であったり、習得が遅れていたり、困難な場合があります。例:はいはい、歩行、お座り、靴ひもを結ぶ、ボタンをはめる、ファスナーを上げる、平坦な場所でも転ぶ(転んだ時に手がでない)、トイレで上手にお尻をふく小学校に上がると日常生活、学習生活でより複雑で繊細な動作を求められる場面が増えます。そのため微細運動での協調運動障害が顕著に表れます。発達性協調運動障害のある子どもは以下のことが不正確であったり、習得が遅れていたり、困難な場合があります。例:パズルを組み立てる、模型を作る、ボール遊びをする、活字をますの中に入れて書く、階段の上り降りがぎこちない、靴ひもが結べない、お箸をうまく使う、文房具作業が苦手(消しゴムで消すと紙が破れる、定規をおさえられずにずれるなど)発達性協調運動障害の原因出典 : 発達性協調運動障害のはっきりとした原因は、まだわかっていませんが、いくつかの原因が検討されています。まず妊娠中、母親のアルコールを摂取、またはそれによる早産、低体重で生まれた場合、発達性協調運動障害を発症する確率が高いという研究があります。次に、ADHD、学習障害、アスペルガー症候群を含む自閉スペクトラム症との併発が非常に多いため、なんらかの共通する遺伝的要因があるのではないかと言われています。また、上記のような障害のある子どもは定型発達の子どもより、発達性協調運動障害を発症する可能性が高いと言われています。5歳から11歳の子どもでは、5~6%が発症します。また、女児より男児のほうが発症率が高いことが分かっています。『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版テキスト改訂版)発達性協調運動障害の診断と発達障害の関係は?出典 : 現在使われている精神疾患の診断基準は、アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』5版テキスト改訂版)と世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)による診断基準があります。現在、最新の診断基準である『DSM-5』が主流になりつつありますが、医師や医療機関によってどちらの診断基準に準拠しているかは異なります。発達性協調運動障害における診断基準の違いは、『ICD-10』と『DSM-5』で異なる点があります。『ICD-10』では発達性協調運動障害は心理発達の障害に分類されるため、精神遅滞と知能指数が重要になります。『ICD-10』の診断基準では、明らかな精神遅滞(知能指数70以下)の場合、運動の困難さ、不器用さはその精神遅滞が原因によるものと判断されます。一方で精神遅滞のない広汎性発達障害の場合、発達性協調運動障害と併発し、両方の診断が下りる場合があります。『DSM-5』の診断基準では、発達性協調運動障害は神経症群に入るため、精神遅滞や知能指数との関係ではなく、純粋に発達性協調運動障害の症状に当てはまるかどうかが重要になります。広汎性発達障害(アスペルガー症候群)と発達性協調運動障害を併発することは少なくありません。『ICD-10』の診断基準では、両方の診断基準を満たしている場合、両方の診断が下ります。対人関係において、認知されたものを統合する際に混乱が起きコミュニケーションがうまくとれないというアスペルガー症候群の特徴が、運動機能面においても現れているのではないかと検討されています。『ICD-10』の診断基準では、子どもが知的能力障害を持っている場合、その知的能力障害のため運動能力が損なわれているとの見なされる場合もあります。しかし、その運動が知的能力障害を考慮してもなお、不器用であったり、不正確である場合は、知的能力障害と発達性協調運動障害の両方の診断が下ります。ADHDのある子どもがよくころんだり、物にぶつかったりしてしまうのは、ADHDによる注意散漫や衝動性に原因があるのか、それとも発達性協調運動障害によってなのかを注意深く観察する必要があります。子どもの運動に対する困難さ、不器用さは必ずしも、ADHDだけが原因、発達性協調運動障害だけが原因というわけではなく、両方が原因となっていることもあります。特にADHDの場合、発達性協調運動障害との併存確率は50%と非常に高いです。発達性協調運動障害とADHDは併存しやすいため、二つを併発している場合は、DAMP症候群(deficits in attention, motor control and preception/注意・運動制御認知における複合的障害)と呼ばれることもあります。発達性協調運動障害について相談できる機関出典 : 子どもの運動や動作の不器用さが気になったら、まず以下の3つのどれかに相談に行きましょう。市区町村ごとに設置された、地域の健康づくりの場です。保健師さんが常駐しており、子どもの発達に関する悩みの相談を受けてくれます。場合によっては医療機関や療育施設の紹介をしてくれます。子育て家庭の支援に特化している機関です。自治体運営や医療機関に委託運営されており、保健師さんまたは看護師さんが相談に乗ってくれます。中には、療育指導を実施している子育て支援センターもあるので、お近くのセンターに問い合わせてみてください。都道府県ごとに設置されており、児童福祉を専門とした機関です。医師、児童心理士、児童福祉士がおり、相談に乗ってもらえます。必要に応じて発達検査を行ってくれる場合もあります。また、全国共通児童相談所ダイアルがあり、189番にかけると、24時間365日いつでも児童福祉に関する相談を受けてくれます。発達障害者支援全般を行っている機関であり、都道府県・政令指定都市やその他法人によって運営されており全国に設置されています。お近くの発達障害者支援センターは以下のリンクより検索できます。発達障害情報・支援センター相談窓口情報ここでは、相談支援と発達支援を行っています。相談支援では子どもの相談はもちろん、その様子に応じて医療機関、療育機関の紹介、行政サービスの利用方法を紹介してくれます。発達支援では、医療機関、療育機関との連携を図りながら、家庭での療育方法のアドバイス、発達検査、発達状態に応じた療育計画の作成や具体的な助言をしてくれます。発達性協調運動障害への支援を受けられる機関出典 : 上記の相談先で紹介してもらった医療機関を受診しましょう。小児専門や発達障害専門の医療機関では療育も行っているところがあります。上記の相談先で紹介してもらった療育機関で療育を受けましょう。療育機関では子どもの成長や自立支援のための、医療、治療、育成、保育、教育を総合的に行っています。民間の療育機関は保険が適用されないため、各施設により費用は様々です。内容や療育に当たる方との相性もあるので、あらかじめ見学に行くことをおすすめします。発達性協調運動障害の支援・治療方法出典 : 作業療法は、作業(子どもの場合、主に遊び)などをして、複合的な動作をできるようにしていくものです。運動、日常生活、学習などの動作をスムーズに行えるようにするために、基本的な動作に加え、動きと動きの統合が必要な協調運動への支援を行います。発達性協調運動障害のある子どもは、一つ一つの行動の統合が苦手であることが分かっているので、作業療法は障害の改善に効果があるといわれています。東京小児療育病院みどり愛育園広義には高齢、障害などによって運動機能が低下した状態にある人々に対し、運動機能の維持・改善を目的に運動、温熱、電気、水、光線などの物理的手段を用いて行われる治療法です。特に運動による理学療法が発達性協調運動障害の改善に役立つとされています。別名運動療法ともいわれますが、理学療法に含まれない場合もあり、定義はあいまいです。理学療法士が行う運動を使った療育では、日常生活で必要な運動、行動を訓練し改善していきます。日本理学療法士協会家庭でもできること出典 : 家庭でもできることは多くあります。家庭で様々なサポートを行う場合は、まず、「こうするべき、こうあるべき」という先入観を捨て、子どもと一緒に楽しみながらやることが長続きの秘訣です。あくまで遊びの中で取り入れ、訓練、という位置づけにしないことも大切です。家庭で見られる困りごとの例としては、以下のような例が挙げられます。・手先がうまく使えていない・正しくお箸の使い方を何度も教えたけれど、なかなかお箸をうまく使いこなせない。・服のボタンをうまくはずしたり、かけたりすることができない。・文字を書くときに極端に筆圧が弱い、強い。上記のような困りごとに対して、考えられる不器用さの原因としては、・手の筋肉の動きをうまく制御できない・手元に注意が向いてない・手の動きと視覚の情報の連携が取れていないなどが挙げられます。これらを踏まえた上で、手で何かを握る経験や、握ったあとの状態を把握する機会を増やすことにより、手の筋肉に入れる力の制御を学ぶことができ、つまむ機能や握る機能が育っていきます。具体的に家庭で出来ることとしては、以下のような取り組みが考えられます。・ブランコやアスレチックで遊び、どのくらいの力で自分の体重を支えれれるようになるのかを学ぶ。・コイン遊びを通して、コインを握る、つまむ、入れるという動作を経験する。いろんな指でコインをつかむことで指の力の入れ加減を学ぶ。・粘土で遊び、粘土の形を変形させたり、細かい作業を行うことで、感覚の加減を学ぶ。ここで紹介した方法はあくまで一例であり、他にも様々な方法があります。また、家庭でできるこうした取り組みも、すぐに効果が表れるとは限りません。ゆっくり時間をかけて、楽しみながらやっていきましょう。 コラム粘土遊びは子どもの脳が活性化する!?楽しく創造力を伸ばす、3つの魅力とは?乳幼児期の感覚統合遊び発達障害の子の感覚遊び・運動遊び 感覚統合をいかし、適応力を育てよう1まとめ発達性協調運動障害は、一つ一つの運動を関連づけたり、統合することが困難な障害ですが、運動の得意不得意はどんな子どもにも見られるため、ただの「不器用な子」ですまされる場合も少なくありません。しかし、発達性協調運動障害のある子どもが見過ごされ、必要な支援を受けられないままでいると、その子どもが集団に適応することが困難になることもあります。たとえば、運動能力を中心とした遊びは、子どもたちの社会で周囲との関係を構築するために重要な役割を果たします。また授業での運動課題に取り組む場面では、その子ども自身の評価を著しく下げることがあるかもしれません。子どもが発達性協調運動障害かどうか心配な場合は、早めに相談機関に相談し、必要に応じて専門家の支援を受けながら、家庭でできる工夫を行っていきましょう。お子さんが楽しめるペースや方法で、出来ることを少しずつ増やしていけば、自信にもつながり、学校生活へも良い影響が出ることでしょう。
2016年07月27日●連載の目次は こちら から●発達障害についての基本的な知識を持っておくことで、当事者(母や子ども)は、随分と楽になる。それは私が実体験を通じて感じていることだ。けれども、知識があったとしても、やっぱり発達障害の子を育てるのは大変! 最終回の今回は、私のそんな心境を綴ってみます。■「発達障害」の子育ては疲れます発達障害についての特集記事を、さもわかったように書いている私。けれども、私自身、いまだに「発達障害の子を育てること」と完全に折り合いがつけられているわけではない。発達障害の子を育てるのは、普通の子育てより疲れる。それは、紛れもない事実だ。少し息子の調子が良いと、その事実を忘れてしまう。そして、普通の子のようなつもりで接していると、ある日ドカンと現実を突き付けられ奈落の底に突き落とされる。そんなことの繰り返しだ。 ■専門家と繋がろう子どもに親が「キレる」ことが多くなったら、そろそろ限界値。赤信号が点滅していると思い、早めに周囲にSOSを出すよう心がけている。私が頼りにしている方々は、今のところこんな感じだ。・家族・保育園の園長をしている友人(専門知識のある一般人)・司馬先生(専門知識のある医師)・小学校の担任の先生・小学校の特別支援学級(通級)の先生(専門知識のある教員)最初に相談する相手は、発達障害についての知識がある人のほうが良いと思う。たとえば、ママ友に愚痴を言ってガス抜きをするのは大切なことだが(私も、よくやっている)、それはあくまで、「ガス抜き」でしかない。「うちの子、発達障害かも!?」と気になっているのであれば、 しかるべき相談窓口 に、一度行ってみたほうが回り道をすることなく、適切な対応策に辿り着けるのではないかと思う。 ■1人で抱え込まないで!「周囲に助けを求められるかどうか?」は、発達障害の子育ての肝だと思う。繰り返すようだが、「発達障害」の子育ては疲れる。「キレイごと」では、どうにもならない現実の毎日がそこにはある。「もうイヤだ!」と思うことがあるのは、当たり前だ。そんなときは「良いママでなければ!」と一人で抱え込まず、周囲に助けを求めよう。私は、夫や長男に「ママを閉店します」と言い置いてプチ家出をしたり、小学校に行って、「最近、大変です」と状況を正直に話して、担任や通級の先生に支援を仰いだりしている。月1回の司馬先生の診察は、自分を客観視できる良い機会になっている。先日、保育園の園長をしている友人にSOSを出したところ、物言いのストレートな彼女からは、「(虐待だと)通報されない程度に、頑張れ!(笑)」と言われた。「すごい励まされ方だなぁ」と笑ってしまったが、しんどいときは、うんとハードルを下げて自分の生活を眺めてみることも効果がある。「頑張りすぎないようにしよう」。そう日々、自分に言い聞かせている。頑張りすぎて、母の心が不安定になるようでは、本末転倒。お母さんの一番大切な役割は、毎日、機嫌よく過ごすこと。そして、わが子をいつくしむことだと思うから。
2016年07月17日●連載の目次は こちら から●発達障害についての基本的な知識を持っておくことで、当事者(母や子ども)は、随分と楽になる。それは私が実体験を通じて感じていることだ。今回は、私が質問されて答えに困った「発達障害の診断」について、軽度の発達障害クリニックの院長である、司馬理英子先生にお話を伺った。■診断はレッテルを貼るのではなく、対処法を知るため私は息子を支援学級に通わせていたので、ママ友から子育ての相談を受けることがある。そのときに、よく聞かれることは、「発達障害の診断を受ける必要ってあるの?」ということだ。発達障害は病気ではなく、「脳の発達のかたより」。そうだとすれば、「診断は本当に必要なのか?」と思ったり、「わが子に、発達障害のレッテルなんて貼りたくない」と思ったりするのは当然のことだと思う。「診断は子どもにレッテルを貼るためのものではなく、それによってどんなことで困っているのかを教えてくれるものです」(司馬先生)診断は、いわば大きな方向つけ。「これから何をするのか?」「どんな対処方法があるのか?」を考え始めるスタート地点の指標のようなものだ。もちろん、わが子を育てる作戦(司馬先生は、よく“作戦”という言葉を使われる)を立てるのに、診断を受けるだけでは充分ではない。 ただ、ADHDといってもどんなタイプなのか、その子の能力のどんなところにどう影響しているのか、それらがわかればわかるほど作戦(対策)は立てやすくなる。また診断することによって、子どもが専門家から的確なアドバイスを受けられるほか、親が本や勉強会などから、ピンポイントで情報を得ることもできるようにもなる。■診断を受けるための一般的な経路「発達障害かどうかが気になるのだけれど、誰にどんなふうに相談すればよいかわからない」これも、よく相談される内容だ。一般的には、まずは学校の担任の先生に相談するのが良いだろう。学校には、週に1~2回ほど来て、子どもや保護者の相談に乗ってくれるスクールカウンセラーという職種の人もいる。また、自治体の教育相談所や教育センターなどで、相談業務を行なっていることもある。最近では、発達障害の診断や治療の経験がある小児科の先生も増えているので、かかりつけの医院の先生に相談してみてもよいだろう。■大切なのは、早く気づいて二次障害を防ぐこと私が相談を受けたときに必ず言っていることは、「発達障害の子を育てるのは、すごく大変だし、一緒に生活するのはしんどいよね。でも、発達障害の子を育てる上で、一番大切なのは、二次障害を防ぐことだと私は思っている。診断を受けることで、子どもの特徴に早く気づければ、必要とする支援がわかり、より二次障害を防ぎやすくなると思うよ」ということ。二次障害とは、発達障害に対する対応が十分に行われないために、二次的に起こる問題のことだ。たとえば、学校に行くのをイヤがったり、学校に行けなくなったり、うつ状態になって元気がなくなったり、親にひどく反抗したりというのが二次障害だ。発達障害の子は何かにつけて叱られることが多く、「ぼく(私)はダメなんだ…」というように自尊心が低下しがち。いったん二次障害が起きると、もともとの発達障害そのものへの対応以上に、扱いが難しいこともよくあると言われている。次回は、最終回。「発達障害の子育ては疲れます」です。
2016年07月17日●連載の目次は こちら から●ひとことで「発達障害」と言っても、その状態はさまざま。基本的な知識を持っておくことで、当事者(母や子ども)は、随分と楽になる。今回はさまざまな発達障害について、軽度の発達障害クリニックの院長である、司馬理英子先生にお話を伺った。「 発達障害って、何? 」で、発達障害には、おもに以下の3つがあるとお伝えした。今回はその内容を、もう少し詳しく見ていこう 1.不注意・多動性・衝動性が目立つ 「ADHD(注意欠如・多動性障害)」2.人との関わりが難しい「アスペルガー症候群」など「自閉症スペクトラム障害」3.特定の領域の学習がうまくいかない「LD(学習障害)」「発達障害のわが子」と向き合う本(司馬理英子/大和出版) ■ADHD(注意欠如・多動性障害)とは?不注意・多動性・衝動性を特徴とする。たとえば、忘れっぽくて集中力が乏しく、宿題などをしているときに気が散りやすい。落ち着きがなく、いつもそわそわしていて、順番を待てずなんでも我先にとやりたい。こんなふうに、年齢に応じた「注意力や行動・衝動などのコントロール」がうまくできない。そのため、毎日の生活習慣や学校での活動を行うのに苦労をする。■「アスペルガー症候群」など「自閉症スペクトラム障害」とは?「アスペルガー症候群」を含む「自閉症スペクトラム障害」の特徴はおもに「人との関わりの困難さ」にある。言葉やしぐさなどコミュニケーションをする力にかたよりがあり、興味を持つ範囲が狭く、興味のない活動には取り組めない。こうしたこだわりの強さがあるため、毎日の生活がスムーズに進まないこともある。「広汎性発達障害」や「自閉症」も「自閉症スペクトラム障害」に含まれ、なかでも言葉の遅れが見られないものは「アスペルガー症候群」と呼ばれている。 ■LD(学習障害)とは?LDでは特定の学習能力の困難さが見られる。全体的な知的発達に遅れがないのに、特定の学習能力での遅れが、小学校の低学年では1年程度、高学年では2年程度見られる場合に診断される。文章を読むことが困難な状態を「読字(どくじ)障害」、鏡文字が多く見られ、漢字や作文などを書くことに関する遅れを「書字(しょじ)障害」、計算または文章問題など算数の学力がほかの科目に比べて低い場合「算数障害」と言いわれる発達障害は決してまれなものではなく、多くの子どもにみられる。ADHDは5%、アスペルガー症候群などの自閉症スペクトラム障害の子どもは1~2%、LD(学習障害)は10%程度いると言われている。わが子に、こういった傾向を感じるとしたら、まずは本などから子どもへの対応の仕方を学んでみるのも一手だ。たとえば、『「発達障害のわが子」と向き合う本』(司馬理英子/大和出版)は、「ADHDの子どもの特徴」「ADHDの子育てのヒント」「アスペルガー症候群の子どもの特徴」「アスペルガー症候群の子どもの子育てのヒント」と、こどもの傾向別に説明と対処法の項目が分かれており、とても読みやすい。本などから得た情報で、少しでも子育てが楽になったら、ハッピーなことだと思う。また、本を読むことが、子どもへの支援を次の段階に深めるキッカケになるかもしれない。<次回は、「発達障害の診断を受けることは必要?」です。>
2016年07月17日●連載の目次は こちら から●正しい自己認識を持つこと。つまり、発達障害についての基本的な知識を持っておくことで、当事者(母や子ども)は、随分と楽になる。それは私が実体験を通じて感じていることだ。そこで、「発達障害って、何?」という基本的な疑問について、軽度の発達障害クリニックの院長である、司馬理英子先生にお話を伺った。■発達障害は「しつけ」や「育て方」が悪いわけではないほかの子に比べ、手のかかるわが子。「やっぱり、私の育て方が悪いのかしら?」と思ってしまうママもいるだろう。「夫に『子どもを甘やかすからだ』と言われる」「忙しくて充分にかまってあげられないからかな?」など、子育てがうまくいかないと、ママは自分を責めがちだ。けれども、「発達障害は、しつけの問題ではありません。多くの場合、生まれつきのものです」と、司馬先生は言う。生まれつきといっても、もちろん、生まれてすぐわかるわけではない。たとえばADHDなら幼稚園や保育園くらいまでは「活発で元気な子」という印象で、小学校に入り、生活の中心が勉強になってくると特徴が目立つ。また、アスペルガー症候群の場合は、赤ちゃんの頃から手がかかる子もいるが、「ちょっと違和感があるな」くらいの子も多い。だからこそ、難しいのだと思う。なぜなら、早い段階から障害に気づければ、親の側も「そういうものだ」と思い、ある意味、納得して育てられる。けれども、「ちょっと変わっているかな?」くらいだと、子どもの問題なのか、親側(しつけ)の問題なのか? というあたりで、ママがひとりで問題を抱え込み、グルグルと悩んでいることも多いからだ。■発達障害は病気ではない 前回 でも話したとおり、「発達障害とは、脳の発達のかたより」だ。発達障害の子どもは、すべての能力に問題があるわけではなく、“特定のある部分の発達だけ”がほかの子どもに比べて遅れている。「発達障害は、病気というわけではありません。脳の発達にかたよりがあったとしても一生がそれで決まってしまうというものでもありません」(司馬先生) ■わが子の特徴に気づいて、必要なサポートをする一般的な発達をとげている子ども(定型発達の子ども)に比べて、ある能力の発達のかたよりが目立っていて、そのために子どもが「生きづらさ」を抱えている場合、学校や家庭での状況、発育歴などのさまざまな情報を元に、発達障害かどうか?を見てみよう。たとえば、「忘れ物」。ADHDの子によく見られる忘れ物は、どの子も多少あるものだが、毎日いくつも忘れものをしていれば、そのために困ることがたくさん出てくる。個性といって片付けてしまうには困難さが際立っている場合、発達障害の診断がつけられる。「発達のかたよりに気づき、早く対処することによって、日常において困ることをずいぶんと減らすことができます」(司馬先生)発達のかたよりは、裏を返せば長所となる場合も少なくない。かたよりに早く気がつけば、子どものいい部分を生かしたり、得意な分野をしっかり伸ばしたりすることに、親子でエネルギーを使うことができる。「だからこそ、早めにわが子の特徴に気づいて、必要としているサポートをしていくことが大切なのです」(司馬先生)次回は、「発達障害のさまざまな種類」を少し詳しくみていこう。
2016年07月16日●連載の目次は こちら から●正しい自己認識を持つこと。つまり、発達障害についての基本的な知識を持っておくことで、当事者(母や子ども)は、随分と楽になる。それは私が実体験を通じて感じていることだ。そこで「発達障害って、何?」という基本的な疑問について、軽度の発達障害専門クリニックの院長である、司馬理英子先生にお話を伺った。■発達障害は、いわば「発達のかたより」育てにくいわが子。私の気にし過ぎかもしれないけれど、ちょっと心配。ママ友に相談すると「うちもそうよ。大丈夫」なんて言われて、「そうかな?」と安堵する。けれども、また別の日には、「これって、やっぱり普通じゃないよな」と思う。「でも、これはこの子の個性で、私の我慢が足りないのかもしれない」。そんな無限のループを、頭の血管が擦り切れるほど何年もグルグルと考え続けていた私。そうした状況にあった私に、司馬先生の発達障害の説明は、非常に腑に落ちるものだった。まず、発達障害の定義だが、「発達障害とは、いわば“発達のかたより”です。最近の考え方としては、全体的な知能の発達には問題がなく、以下のような特徴がある子どもを発達障害としています」(司馬先生)1.不注意・多動性・衝動性が目立つ 「ADHD(注意欠如・多動性障害)」2.人との関わりが難しい「アスペルガー症候群」など「自閉症スペクトラム障害」3.特定の領域の学習がうまくいかない「LD(学習障害)」「発達障害のわが子」と向き合う本(司馬理英子/大和出版) 発達「障害」と書くと、「障害」という言葉から重々しい感じがするが、症状の度合いは重いものから、「診断名をつけるほどではないけれど、特徴が見られる」という軽いものまで幅がある。 ■「発達障害の特徴があるかもしれない」という見方をしてみるママたちがいちばん気になるのは「うちの子が発達障害なのかどうか?」ということかもしれない。けれども、発達障害であったとしても、なかったとしても、子育てがうまくいかないのであれば、子どもの特徴を把握し、ちょっとした工夫をすることで、日々の生活は随分と楽になる。つまり、「もしかしたら発達障害の特徴があるかもしれない」という見方をしてみるのだ。■子どもの特徴に合わせた丁寧な関わり方司馬先生が教えてくださった「発達障害の子育て法」は、子どもの気持ちを尊重し、子どもの特徴に合わせた、子どもへの、より丁寧な関わり方だ。発達障害のない子どもは、さほど手をかけなくても自力で成長していけるが、それでも関わり方を丁寧にしてやることに越したことはない。つまり、子どもが発達障害でなくても、ちょっと似た部分はあるけれど診断されるほどではないというレベルでも、発達障害であっても、同じように使っていける子育て法なのだ。「発達障害かもしれないと怖がってばかりいないで、その子の特徴を見極め、その子に合わせたオーダーメイドの子育てしてみては?」というのが、司馬先生からの提案なのである。<次回は、「発達障害は、“しつけ”の問題なの!?」です。>
2016年07月16日●連載の目次は こちら から●息子を、発達障害専門クリニックである司馬クリニックで診てもらうことにした私。クリニックを受診するための問診票を書いて、診断日当日を迎えた。診察を受けて、いよいよ診断を「宣告」されると思っていたが…。■診断を受けたときの様子(私の場合)軽度の発達障害専門クリニックである司馬クリニックで、わが家は以下のような流れで診断を受けた。(クリニックによって違いがあると思うので、参考程度に)・臨床心理士の親への聞き取り:約30分・子どもの認知力検査:約1時間~1時間半・医師と子どもの面談、診察(親が同席):約20分・親への話:約30分すべての診察が終わって、親への話の時に、司馬先生は、こんなふうにおっしゃった。「湧太くんをフォローする方法は、いろいろありますよ。クリニックに通って、少しその方法をお勉強してみますか?」いよいよ診断名を宣告されると思っていた私は拍子抜けして、思わず聞いた。「あの、先生、うちの子は発達障害なんでしょうか?」「まぁ、そういうことではありますね」と、サラリと先生はおっしゃった。■診断は、対処法を知るためのもの後になって、司馬先生に聞いてみたことがある。「最初の診断時、先生は私が聞かなければ診断名をおっしゃいませんでしたよね? あれはなぜですか?」と。先生曰く、「診断名を親御さんにお伝えするかどうかは、ケースバイケース」なのだそうだ。発達障害をフォローする方法論は、かなり確立されている。診断があることで「これから何をするのか?」「どんな方法があるのか?」が見えてきやすくなる。司馬先生は言う。「診断名をお伝えするということは、たとえるならば、“ここにいけば、便利な道具がたくさん売っているよ”という○○商店というお店屋さんの名前を紹介するような感じです」けれども、診断がついた(お店の名前を教えてもらった)ということに、とてもショックを受けるお母さんも、もちろんたくさんいる。「いろいろなお母さんがいらっしゃいますから、とくに診断名をお伝えしないのが私のスタイルなんですよ」と、先生は優しく教えてくれた。 ■いちばん最初に抱いた感情は「安堵」私自身は、診断を受けてどう思ったか? それを思い出そうとすると、ある情景が思い浮かぶ。それは、診察(診断)を受ける日の朝の景色だ。司馬クリニックは、ビルの4階にある。4階分の階段を上るので、私はちょっと息切れしていた。階段を上り切って、クリニックの扉が見えた。季節柄だったのだろうか、クリニックのドアが少し、風が入るような感じで開いていた。もし、あのとき、クリニックのドアがピッチリ閉じていたら、私は扉を開く気力があっただろうか? 多分、そんな気力はなかったと思う。深い森の淵にひとりでいるような、そんな心細さがあった。「できうる限りの方法で、湧太をフォローしたい」という気持ちは芽生えていたものの、それは余りにも頼りなく柔らかい“芽”でしかなかった。 それでも、私は自分から息子の診断名を聞くことを選んだ。「思わず聞いてしまった」という方が正しかったのかもしれない。私が息子の診断を聞いたときの気持ちを、的確に表現している文章があったので、引用しておこう。人間は、大人も子どもも、自分自身の欠陥について知ると、なぜか安心する。なぜなら、生まれて初めて、自分が学校や上司などの欲求に対応できずに苦しんでいた理由と、その問題を克服するにはどうすればよいかがわかるからだ。彼らは自分を許せるようになり、(中略)自分を罪人視しなくなった。正しい自己認識は開放であり、許しなのだ。メル・レヴィーン・著/『ひとり ひとり こころを 育てる』より 正しい自己認識は開放であり、許し。まさに、そんな感じだった。ずっと、ずっと、「どうして、(この子の子育ては)上手にいかないのだろう?」と思っていた理由がわかったとき、一番、最初に感じた感情は「ああ、だから、そうだったんだ」という安堵感だった。この経験を通じて、私は正しい自己認識を持っておくこと。つまり、発達障害についての基本的な知識を持っておくことは、当事者(母や子ども)の気持ちを落ち着かせるためにとても重要だと思うようになった。次回以降は、司馬先生の協力を得て「発達障害の基礎知識」について書いてみる。
2016年07月15日●連載の目次は こちら から●「就学相談のお知らせ」に書いてある電話番号(市役所の教育支援課)に電話をして、市の発達相談の窓口である教育支援センターに電話をした私。支援センターで検査をし、結果と今後のサポートについて聞いたが、何となく心もとない。そこで、軽度の発達障害を専門とするクリニックである、司馬クリニックを受診することにした。■診断結果を知りたい!教育支援センターで検査を受けて、検査結果と、湧太に対してのサポートの方法はわかった。けれども、私が知りたかったのは、「湧太が発達障害かどうか?」という「診断」だということに、自分で気がついた。教育支援センターで得られる検査結果だけでは、当時の私には心もとなかったし、支援センターは医療機関ではないので「診断」ができないのも知っていた。このあたりになってくると、表現は変かもしれないが「毒を食らわば、皿まで」という気分になっていた。「この状態が何なのか知りたい。知ったうえで、私ができうる限りの方法で湧太をフォローしたい」という気持ちが芽生えていた。そこで、教育支援センターの方に、軽度の発達障害の専門クリニックである司馬クリニックを紹介してもらったのだ。■「特別支援学級(通級)」と「発達クリニック」ここで「特別支援学級(通級)」と「発達クリニック」について、少し触れておきたい。特別支援学級の保護者会で、そこにいるママ友から、よく「発達クリニックに通っているの? どうして?」「発達クリニックに通って、何をしているの?」といったことを聞かれた。そのとき、私が思ったのは「子どもが特別支援学級に通っているからといって、発達クリニックを受診している家庭というのは、意外と少ないんだな」ということ。私は最初から発達クリニック受診まで突き進んだが、そうでないママたちもたくさんいる。「就学相談のお知らせ」に電話をすると、「発達障害の専門病院に行くのを勧められるのではないか?」と思っている人もいるかもしれない。でも、支援学級に通う子でも、必ずしも発達クリニックを受診しているわけではない。このことを知っていると、「就学相談のお知らせ」に電話をする心のハードルは、少し下がるのではないか? と思う。話を、私のクリニック受診に戻そう。 ■発達クリニックの診断の流れ(私の場合)司馬クリニックを受診するためには、診察の前に14ページにも及ぶ問診表を書いた。診断のためには、小さい頃からの発達の様子、学校での適応などを詳しく知る必要があるからだ。その資料を事前に送った上で、当日は下記のような感じで検査が進んだ。クリニックによって違いはあるだろうから、「こういった流れもあるんだな」という参考程度にして欲しい。・臨床心理士の親への聞き取り:約30分・子どもの認知力検査:約1時間~1時間半・医師と子どもの面談、診察(親が同席):約20分・親への話:約30分 <次回、「息子が発達障害の診断を受けたとき」に続きます。>
2016年07月15日「発達障害の原因分子の発見」という研究成果発表が話題に出典 : 月5日、大阪大学が「神経発達障害群の染色体重複による発症の機序を解明-注意欠如・多動症などの神経発達障害の新治療法に光-」というプレスリリースを発表し、日経新聞をはじめとしたメディア各社が報じました。ADHDや知的能力障害、自閉症スペクトラムといった発達障害は、特定の染色体が重複して存在すると引き起こされるということを、大阪大学の山下俊英先生(分子神経科学)のチームがマウス実験で突き止め、7月5日付で英科学誌「Molecular Psychiatry」に発表したニュースです。出典 : 記事を読むだけでは専門性が強く、理解が難しい部分があります。そこで、今回の研究を実施した先生方にインタビューを行い、その内容をわかりやすく解説していただきました。お話をしてくださったのは、今回の発見をした研究チームの、大阪大学大学院医学系研究科分子神経科学教授兼大阪大学大学院生命機能研究科教授の山下俊英先生と、 兵庫医科大学解剖学講座神経科学部門准教授の藤谷昌司先生です。この記事では、お二人のお話を交えながら、今回の研究発見の背景や内容、今後どのように実用化されていくのかなど、噛み砕いてお伝えしていきます。発達障害の原因について、わかった事は?出典 : 今までの研究成果では、発達障害が染色体の一部分の重複により生じることがわかっており、その領域が「16番染色体の16p13.11領域」だということまでは特定されていました。ですが、詳細なメカニズムまでは解明されていませんでした。今回の山下先生・藤谷先生の研究では、マウス実験を通じてそこから大きく3つの発見がありました。①16番染色体の16p13.11領域の中に、マイクロRNA484が存在する。②16p13.11が重複することで、マイクロRNA484が増加する。③マイクロRNA484が増加すると、脳機能の発達に異常をきたす。(発達障害を引き起こしうる)発達障害の原因分子の1つである、マイクロRNA484が発見され、さらに、マイクロRNA484が要因となる発達障害の発症メカニズムが解明された、というのが今回の研究成果です。具体的な研究方法は、公共のデータベースより得られた患者情報を元に、染色体の重複部位の中の遺伝子に着目し、それらの遺伝子の発現・働きをマウスの脳内で明らかにしました。さらに、BACトランスジェニックという方法を用いて、ヒトの染色体の重複部位をマウスゲノムに組み込み観察し、神経新生異常と発達障害の症状を確認するというものです。Upload By 発達障害のキホン発達障害の発症メカニズムとは?出典 : 領域が重複することで、16p13.11領域の中にあるマイクロRNA484が増加します。すると、プロカドヘリン19蛋白(たんぱく)の機能を過度に減らしたり弱めたりしてしまい、プロカドヘリン19蛋白のバランスが崩れます。プロカドヘリン19蛋白は脳の発達に重要な役割をはたしており、そのバランスが崩れることで、異常な神経回路が構築されてしまいます。その結果、神経発達障害が発症するのです。山下先生、藤谷先生は、この一連の流れ、つまり、発症メカニズムを解明し、その過程でマイクロRNA484が原因分子であると発見したのです。Upload By 発達障害のキホンマウス実験による研究成果、人間への応用可能性は?出典 : 今回発表された研究成果は、マウスを使った実験に基づくものでしたが、人間にも同様の発症メカニズムがあると言えるのでしょうか。この質問に対する山下先生、藤谷先生のご回答ですが、①ヒトの遺伝情報を元に研究している。②ヒトの遺伝子をマウスに入れて異常がおこるか確認している。ということから、人の発達障害に対しても応用可能性が高いと考えることができるとのことです。発達障害の原因解明、気になる今後の治療法開発は?出典 : 発達障害の要因分子マイクロRNA484と発症メカニズムを解明した今回の研究ですが、原因解明は今後の治療方法開発にどの程度貢献するのでしょうか。山下先生・藤谷先生は以下のように答えてくださいました。「発達障害という病態に関わる分子はおそらくたくさんあります。それらの分子が、どのように働いて、脳の機能異常をきたすのかということを理解しなければなりません。本研究成果は、ほんの小さなピースです。膨大な数の小さなピースを組み合わせていくことで、発達障害の全貌が少しずつ明らかになり、治療開発の戦略が生まれてくるのではないかと考えます。」今回の研究成果は一つの原因分子とメカニズムの発見となりましたが、すぐに発達障害の治療に役立つというわけではないようです。しかしながら、こうした小さな発見の積み重ねが、医学のレベルを進歩させ、やがては新たな治療法の開発につながっていくと期待されます。今後の研究の展望について出典 : お二方とも、発達障害の治療に役立つであろう研究を今後も実施していく方針のようです。山下先生は、発達障害に関連する様々な分子に着目し、それらの機能を明らかにし、動物モデルで神経回路の構築と症状を検査していくという方法で、発達障害とは何かという問いに答えていくための基礎研究を進めていくご予定です。藤谷先生は、兵庫医科大学の准教授として、今後は、患者さんのiPS細胞から作った脳細胞を作成し、神経の分化異常に作用する薬剤を探索しようと計画しています。そして、発達障害のモデル動物を用いて薬剤の効果を確かめるといった研究を進めるご予定です。また、山下先生、藤谷先生から発達ナビ読者のみなさんへのメッセージもいただきました。「発達障害は、現在の神経科学の最も重要なトピックスの一つとして、急速に研究が発展しています。それらの中から、治療開発に役立つ研究が、一日も早く出てくることを祈念しています。」編集部としても、今後の先生方の研究に注目していきたいと思います。大阪大学 大学院医学系研究科/生命機能研究家 分子神経科学神経発達障害群の染色体重複による発症の機序を解明|大阪大学ADHDなどの原因、特定遺伝子の重複阪大解明|日経新聞 電子版 chromosome 16p13.11 microduplication causes hyperactivity through dysregulation of miR-484/protocadherin-19 signaling|Molecular Psychiatry
2016年07月15日「うちの子って本当に手がかかって大変!」ママをやっていれば、そう思うことは多々ある。でも、そんな気持ちが続くと「これって普通なのかな? それとも普通じゃないのかな? もしかしたら、うちの子、発達障害かも!?」そんなふうに心配になることがあるかもしれない。■「通級で良い先生に出会えて良かった!」自身の経験から語る発達障害わが家には、小学校6年生の双子の男の子がいる。双子のうちの1人、湧太(仮名)は、幼稚園の年長の秋、「広汎性発達障害」の診断を受け、小学校1年生~2年生の間、特別支援学級(通級。以下「支援学級」)に通っていた。今は通常学級のみの在籍で、楽しそうに毎日学校に通っている。そんな今、思うのは、「早い段階で、専門知識のある先生に出会えて良かった!」ということ。本気でそう思っているので、今回は自分の経験から、子どもの発達障害についてお話ししたいと思う。■「就学相談のお知らせ」がすべての始まり湧太が幼稚園の年長だった年の6月あたり。「就学相談のお知らせ」という紙が幼稚園のお便りに交じっていた。その紙を見たときに私自身、なぜだかとても引っかかった。ほかのプリントと一緒に捨てるのがためらわれ、幼稚園関係の保存用ファイルにとっておくことにした。その後、幼稚園関係の書類を探すたびに、目に入る「就学相談のお知らせ」。ここに電話してみたら、ずっと胸にモヤモヤしている「何か」の解決になるのだろうか? でも、電話をするのは怖い…。「就学相談のお知らせ」を目にするたびに、気持ちは行ったり来たりして揺れた。 ■わが子はマイペースでかんしゃく持ちその書類が気になったのは、湧太がマイペースで癇癪(かんしゃく)持ちだったからだ。幼稚園では周囲への関心が薄く、集団行動をすると、とんちんかんな動きをすることが多いと保育士さんから指摘を受けていた。輪の中に入るのが嫌いで、幼稚園に登園すると1人で絵本を読んでいることが多いので、友達はほとんどいない。そのくせ家庭では、気に入らないことがあると地団駄を踏んで大泣きし、母や兄弟が辟易(へきえき)して折れるまで我を押し通す。そんな湧太を育てることに、当時の私は疲れ切っていた。■お泊り保育で集団の輪を乱す湧太が年長時の7月、幼稚園でお泊り保育があった。園をあげての行事なので、担任以外の先生とも生活を共にしたようだった。翌朝、お迎えに行くと、副園長先生から、こんな言葉をかけられた。「湧太くん、ビックリしたわ。すごく大変ね。お母さん、彼は気をつけてあげないと学校に入ったら大変よ」■ネットで発達障害を調べてみる「やっぱり、そうか……」。長男を育てたときとは違う湧太の子育てには、ずっと不安があった。幼稚園の担任の先生にも何度か「湧太、大丈夫でしょうか? 何か、違和感があるんです。しかるべき機関に相談に行ったほうがよいでしょうか?」と相談はしていた。けれども、ベテラン保育士のその先生は、「お母さん、考えすぎよ。大丈夫、もう少し大きくなれば落ち着くわよ」と、いつも笑って受け流してくれていた。「ベテラン保育士さんが、そう言うんだもの。大丈夫」。ずっと、そうやって自分に言い聞かせていた。今から思えば、もっと早くに自分で調べることもできたと思うが、調べることが怖かった。「もしそうだったら、どうしよう」と思ったからだ。<次回に続く>
2016年07月14日【ママからのご相談】3歳の息子が他の子に比べて落ち着きがなく、ママ友に「発達障害も考えてみたら?」と言われました。発達障害と簡単に言っても一体具体的にはどのようなものがあるのでしょうか?●A. 小児科医師に聞いた3つの代表的な発達障害をご紹介します。こんにちは。ご相談ありがとうございます。ママライターのmomoです。たしかに発達障害といえども、実際どんなもの?というところがありますよね。今回は小児科医師に発達障害の具体的な特徴について聞いてみましたので、ご紹介します。●発達障害の主な種類3つ●(1)広汎性発達障害一般的に『自閉症』や『アスペルガー症候群』といわれるものが広汎性発達障害です。小児科の医師によると、具体的な特徴としては、・人と上手につきあうことができない・コミュニケーションをとりにくい・強いこだわりを持っている・歩き方や走り方などの動作がぎこちないなどが挙げられるそうです。これらの特徴が3歳くらいまでに現れる ことが多いとのこと。3歳くらいだと判断が難しいところですが、不安に思うことがあったら医師や専門家に相談してみましょう。●(2)注意欠陥多動性障害(AD/HD)自分の欲求など、コントロールをすることが難しくそれが行動に現れることで問題視される障害です。医師によると具体的な特徴は、・ひとつのことに集中することができない・落ち着きがなく、じっとしていることができない(多動性)・突発的な行動をとることが多い(衝動性)などが挙げられるそうです。周りの子に比べて落ち着きがなかったり、幼稚園などでいつもクラスから飛び出してしまったりなど、思い当たることがある場合は相談してみましょう。●(3)学習障害(LD)知的な遅れはない ので一見気づかれにくいのですが、幼稚園や小学校に入ると発覚しやすいのが学習障害です。医師によると具体的には、・聞くことが苦手・話すことが苦手・読むことが苦手・書くことが苦手・計算することが苦手などが挙げられるそうです。学習や日々の生活に困難を感じることが多く、周囲の人が早めに気づいて支援してあげることが大切です。----------発達障害は誰かの努力が足りず起きるものではなく、誰のせいでもありません。周囲の人が障害を理解して支えてあげることが大切です。少しでも自分の子に不安に思うことがあれば、医師や専門の人に相談してみましょう。●ライター/momo(ママライター、元モデル)
2016年05月07日【ママからのご相談】長男(10歳)の担任から発達障害を疑っているようなことを言われました。授業についていけていないなど、気になる部分がさまざまあるようです。障害と疑われるほど、うちの子は他と違うのかと不安です。今はただどうしたらいいか分からず悩んでいる状態です。●A. 発達検査を受けることで悩みを軽減させることができます。こんにちは。メンタル関連を中心に書いているメンタルケア心理士の桜井涼です。ご相談ありがとうございます。相談者様が不安になってしまうお気持ちはよくわかります。“障害”という言葉がつくものに関しては、たいていの人が「普通じゃない」と反応してしまいますよね。どうすればいいのかと不安になってしまうのも、親としてお子さんを大切に思っているからなのです。しかし、悩んでいるだけでは解決になりませんから、検査を受けることをおすすめします。●悩む前に発達検査を!こういった問題は、デリケートでショックも大きいものですから、いろいろ考え込んでしまいますよね。でも、悩んでいても解決にはならないと相談者様が一番良くおわかりだと思います。発達障害は、判断するための明確な線引きがありません 。決めるのは、発達障害の基準となる症状がどのくらい強く出ているかというところになります。相談者様にとっても、「うちの子は大丈夫」と思う気持ちと「もしかして……」と思う気持ちが入り乱れ、とても心に負担を感じていることと思います。親と子、両方を気持ちを楽にして、今後どのようにすればいいかの指針となるものがあると、気持ちの楽さがまったく違ってきます。そのため、発達検査を受けることをおすすめします。相談者様は、担任からお話があったということですので、自治体で発達検査を受けることができると思います。●発達検査は、子どもの二次障害や心の負担を軽くする検査を受けること自体、拒否をしてしまう方がいるのは確かです。「障害ではない!」という気持ちが強く表れてしまうのは親として当然でしょう。しかし、認めたくないという気持ちから、子どもに無理をさせてしまいがちになる こともあります。・勉強など本人が苦手としていることを無理にさせてしまう・できないことを叱って、がんばらせようとする・子どもの行動や気持ちを否定しまいがちになる親がこのような行動を取ることで、子どもはどんどん心を壊していきます。子どもも「がんばらなきゃダメだ」という気持ちで最初はがんばります。でも、親に言われたり先生に言われたりして自分が生きている価値のない子どもだと考えるようになります。その結果、精神不安になってしまうことや、うつ病を発症してしまうことがあります。最悪な場合、自殺を考えてしまうこともあるのです。このような心の状態が極端に低下してしまうことを二次障害 といい、発達障害より危険視されています。このような状態にならないように子どもを支えていくことが非常に大切です。●親も家族だけでがんばらない発達障害のような問題は、なかなか他人に相談できないことが多いです。しかし、家族内だけで話すだけでは今後どうすればよいかなどのことを含め、話が先に進まないという現状があると認識しています。相談者様にはできるだけ、ご家族だけでなく学校カウンセラーや自治体の相談窓口などを活用して知識を得て、心の内を聞いてもらうことをしていただきたいと考えています。誰にも相談できない状況は、子どもにプレッシャーを与えることにもつながります。ですから、家族だけでがんばらないで、専門家に頼ることも大切なのです 。----------発達障害であるかどうかを調べずに悩むのは苦しいことです。親も子も気持ちの部分で安定するために、まずは検査を受けていただきたいと思います。早くわかれば早い段階で対処することが可能です。そして、心配事を減らすことにもなります。こういった問題の場合は、親も子も心から楽になることが必要です。ご相談ありがとうございました。【参考文献】・『ストレスから子どもを守る本』富田富士也・著●ライター/桜井涼(フリーライター)
2016年05月04日ヲタママだっていーじゃない!
ムスメちゃんとオコメちゃん
猫の手貸して~育児絵日記~
双子を妊娠したことがわかり、不安でいっぱいだったときのこと。周囲の人からの声に、メンタルが大きく左右されました。 双子を妊娠したと報告すると…「いま妊娠していて、双子なんだ」と伝えると、多くの人から「これから大変だねー」「忙しくなるねー」と言われました。あまりに言われるので、さらに不安が募っていき……。妊娠したことをあまり喜べない日が続きました。 ですが、「双子ちゃんは育てられる親を選んで、あなたのところにきたんだよ!」という親友の言葉に感動。そこからポジティブになれました! ◇ ◇ ◇ 妊娠中は不安を感じることも多く、周囲からの言葉に一喜一憂してしまうのもわかります。メンタルの不調は見逃しがちですが、つらい状態が続く場合は早めにかかりつけ医に相談するのがおすすめです。 イラスト/さくら著者:山本 花
2024年05月20日巨大室内遊園地の運営を行うユーエスマート株式会社(所在地:三重県伊勢市、代表取締役社長:小山 毅志)は、室内遊び場『キッズランドUS 和歌山店』(所在地:〒640-8433 和歌山県和歌山市中野31-1 パームシティ和歌山店1F)を2024年5月25日(土)にリニューアルオープンいたします。キッズランドUS 和歌山店リニューアルオープン!キッズランドUS公式サイト: キッズランドUS紹介動画 : ■キッズランドUS親子で夢中になるユニークでスペシャルな遊び場キッズランドUSは、家族で楽しく遊び、くつろぎ、そしてかけがえのない家族の思い出を残せる室内遊び場です。 遊び放題プランや短時間プラン等、おトクに気軽にご利用いただけます。受付後の出入り自由、飲食持ち込み自由、保護者様(お父さんお母さん)の交代も自由です。暑い日も寒い日も雨の日も花粉が辛い時期でも天気を気にせずゆっくり遊べる全天候型屋内遊園地。幼児、小学生のお子様もパパもママも家族みんなで楽しいキッズパークです。受付後の出入り自由!保護者交代OK!■リニューアルポイントスーパージャングルジムやエアースライダーなどの人気遊具に加え、セルフ写真館・公園コーナーなどのユニークでスペシャルな新コーナーを導入し、楽しさがよりパワーアップいたしました。また、入場後は設置ゲーム機やお子様に人気の乗り物が、何度でもフリープレイでお遊びいただけます。リニューアルポイント※画像はイメージです。設置遊具は店舗により異なる場合がございます。■ユニークでスペシャルな新コーナーのご紹介【セルフ写真館】追加料金なし!スマホひとつのみで気軽にご利用いただけるセルフ写真館では、選り取り見取りの衣装の中から好きな衣装をご着用いただき、本格的な撮影ブースにて記念撮影をお楽しみいただけます。セルフ写真館【公園コーナー】梅雨の時期でも天候を気にせずアクティブに遊べる公園コーナーでは、お子様が大好きなブランコやすべり台、トランポリンなどの公園でお馴染みの遊具を室内でお楽しみいただけます。公園コーナー【ボールプール】カラフルなボールプールの海の中で、ふわふわなエア遊具での遊びを楽しめるコーナーが新登場!また、人気のエアースライダーもリニューアルいたしました。カラフルなボールプールエアースライダーがリニューアル■『キッズランドUS』名物の人気コーナー【スーパージャングルジム】二階建てのとっても大きいジャングルジムの中に、カラフルなボールプール、すべり台、トンネルなど、ワクワクする遊具が詰め込まれたキッズランドUS名物の大人気アスレチックです。大人気スーパージャングルジム【乗り物コーナー】お子様に大人気の乗り物が何周でもフリープレイでお楽しみいただけます。可愛らしい手漕ぎ列車が新登場いたしました。乗り物コーナー【カラオケコーナー】追加料金なしでご利用いただけるカラオケコーナーを完備!ご家族皆さんでカラオケをお楽しみいただけます。カラオケも楽しめる【くつろぎコーナー】飲食持込自由のくつろぎスペースでは、お昼ごはんやおやつタイム等、ピクニック気分でゆったり憩いのひとときをお過ごしいただけます。飲食持込自由のくつろぎスペース【キッズランドUS公式サイト・公式SNS】公式サイト : 公式Instagram : 公式X(旧Twitter): 名称 : キッズランドUS 和歌山店所在地 : 〒640-8433 和歌山県和歌山市中野31-1 パームシティ和歌山店1Fオープン日: 2024年5月25日(土)URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年05月20日4年前に結婚のためフランスに移住した私。夫同士が幼なじみで、近所に住んでいるあるママ友は、移住当初からよくしてくれていました。しかし、キャラも違い言葉の壁もあって、どう付き合えば良いか悩んでいたところ、1年半ほど音信不通に。偶然会ってもあいさつ程度でほぼ交流がありません。そんな中、共通の知り合いの結婚式に呼ばれた私。なんと、披露宴でママ友と同じテーブルになってしまったのです……!やさしくしてくれるママ友移住当初、私はフランス語もできない上に家族も知り合いもいなくて、近所に住んでいる夫同士が幼なじみのママ友が唯一頼れる存在でした。移住してすぐ妊娠し、育児に何を買って揃えたらいいのかわからなかったとき、そのママ友はすぐに自宅にある使用していない育児用品一式を、私に持ってきてくれたのです。 そのやさしさはとても助かったのですが、もともと見た目もキャラも違う上、言葉もわからなくて、私自身はどうやって彼女と仲良くなればいいのか悩んでいました。 さらに距離ができる私とママ友そんな中、私が苦手だと感じていることが彼女に伝わったのか、会う機会がだんだん減っていき、気づけば音信不通に。しかしある日、私の住んでいる地域のお祭りで、ばったり彼女に出会ってしまったのです。 でも、彼女とはあいさつ程度で、彼女の夫と少し話したぐらい。再度「やっぱり苦手だな。彼女も私を避けている」と感じ、もうあんまり会いたくないとさえ感じました。その後もあるイベントで顔を合わせたけれど、私も彼女もお互い話そうとはしませんでした。 気づけば意気投合それから数カ月後、彼女一家も来る予定の知り合いの結婚式に、私は家族で参加しました。その披露宴でまさかの同じテーブルに! 私はなんだか気まずさもあって「最悪!」と、つい思ってしまいました。 しかし、実際披露宴が始まってお酒が入るとなんとなくお互い会話をし始め、気づけば子育ての中での夫への不満で意気投合! 2人で大盛り上がりしたのです。それから、ようやくお互いの壁がなくなり、今では近所に住む仲良しのママ友の1人となりました。 苦手意識のせいで、音信不通になっていたママ友と私。私のフランス語が上達したことと、顔を合わせてゆっくり会話をする機会がもてたことで、お互いを理解し合うことができました。結婚式のおかげで大事なママ友が1人増えて、よかったなと思っています。著者:岩見 エリ2人の男児の母。看護師歴12年、フランスで出産し子育て中。
2024年05月20日家族内で情報を共有するために、家族のグループLINEを作って連絡を取り合っているという方も多いのではないでしょうか。予定を確認したり、買い物などの頼みごとをしたり、とても便利なグループLINEですが、家族ならではの珍エピソードも。今回ご紹介するのは、父の退職祝いという一大イベントでのできごと。長年働いてきたお父さんにサプライズのプレゼントをしようと企てたお母さんでしたが…。お母さんなりに「これはいいサプライズプレゼントかも!」と張り切って送ったLINEが、まさかお父さんも見ている家族のグループLINEだったという。お母さんのおっちょこちょいぶりに、家族全員が沈黙した瞬間ですね。でも、お父さんにとって不要なプレゼントだということが事前にわかって、結果的によかったかもしれませんね。しかし家族LINEでハプニングが起きるときって、なぜか母がやらかすことが多いような気がするのは気のせいでしょうか…。みなさんの中でも家族のグループLINEで、ほっこりするエピソードやおもしろエピソードがあればぜひ教えてください。イラスト/ 最上うみみ ※このお話は実話を元に編集しています。あなたの「愛すべき家族」のエピソード募集中!当たり前のように一緒に暮らしてるけど、この常識ってわが家の家族だけ? 小さい子どもって奇想天外なことするから面白い! ついクスッと笑ってしまうけど、私の自慢の家族。そんな読者から投稿された「愛すべき家族」のエピソードを4コマ漫画でご紹介。ぜひあなたもエピソードを投稿してみませんか?記事下の読者アンケートより投稿してください。
2024年05月20日医療法人つぐお会 フジハラレディースクリニック(所在地:広島県広島市安佐南区、理事長・院長:藤原 紹生)は、開院18周年記念の周年祭「感謝祭」を2024年6月1日(土)に開催いたします。フジハラレディースクリニック18周年 感謝祭新型コロナウイルス感染症も落ち着き、あらためて安佐南区祇園の地で、生命の誕生に関わる仕事をさせていただいていること、出産されるお母さんや生まれてきてくれる赤ちゃん、クリニックをご活用いただいてる方々、すべてに「感謝」するイベントです。生命の誕生を歓び、生きていることを喜び、でも堅苦しくなく、子どもから大人まで楽しめる会になると思います。■「感謝祭」の詳細メインイベントは、「聞いて!笑って?私の出産自慢!」。当院で出産されたお母さんたちは、一回も痛い!とは言わずにニコニコ笑顔で出産されたり、赤ちゃんが生まれ出るところを自らスマホで撮影しながら出産される方も多いです。出産時の楽しいエピソードの披露は、これから出産される妊婦さんたちにワクワク感を与えてくれます。続いて、30分間の「安芸戦士メープルカイザーショー」。子どもたちは大喜びします。安芸戦士メイプルカイザーショー他には、三原市で有機農業をされている「organic farm GENTEN」さんのお米や野菜の販売、「森のべーぐる団」さんのベーグル販売、妊婦さんにもお子さんにもやさしい「P.BERRY」さんのカフェインレスコーヒーの販売、アロマスプレーのワークショップ、算命学プチ鑑定、ヨーヨー釣りなど、盛りだくさん。あっという間の3時間になると思います。森のべーぐる団organic farm GENTEN■イベント概要場所 :フジハラレディースクリニック 1階ロビー(広島市安佐南区祇園5-2-1)※駐車場100台 広島経済大学興動館の駐車場をご利用ください。日時 :2024年6月1日(土) 14:00-17:00入場料 :無料定員 :150名お申し込み:予約等は不要です。ご自由にご参加ください。■法人概要医療法人つぐお会 フジハラレディースクリニック代表者 : 理事長・院長 藤原 紹生所在地 : 〒731-0138 広島市安佐南区祇園5丁目2-1設立 : 平成25年9月20日事業内容: ・産婦人科診療所・妊娠・分娩・子宮がん検診・婦人科診療(乳がんを除く)URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年05月20日2024年4月生まれの女の子3,721名の名前を大調査! 4月生まれの女の子の名前で人気のよみランキングTOP10を紹介いたします。4月生まれの女の子の名付けでは、「さくら」「こはる」といった春らしい名前が人気でした。4月女の子よみランキングTOP104月のよみランキングTOP3は、1位「さくら」、2位「こはる」・「みお」と、春らしさを感じる名前「春ネーム」が独占しました。 桜を連想させる名前「サクラネーム」の代表格「さくら(人気の名前:咲良・さくら)」や「みお(人気の名前:美桜・未桜)」、春を連想させる「こはる(人気の名前:心春・心陽)」といった、季節感溢れるよみが人気を集めました。 レトロネームもトレンドまた、1位「さくら」、2位「こはる」、4位「つむぎ」などは、古風で日本的な雰囲気のあるとして、近年女の子の名付けで人気の「レトロネーム」 でもあります。 イマドキ感のある二音ネームも人気そして、よみランキングTOP10のうち、2位「みお」、5位「さな」・「えま」、7位「りお」、8位「めい」、9位「えな」の6つが2つの音から成る名前「二音ネーム」です。 「二音ネーム」は呼びやすく、イマドキな印象になります。 ぜひ名付けの参考にしてみてくださいね。 ※()内は主なよみを表記 <調査概要>調査対象:株式会社ベビーカレンダーが企画・運営している「ファーストプレゼント」「おぎゃー写真館」「ベビーカレンダー全員プレゼント」のサービスを利用された方調査期間:2024年4月1日(月)〜2024年4月25日(木)調査件数:3,721件(女の子)
2024年05月20日大学の卒業間際に、当時同じ学部の同級生であった彼と付き合い始めました。もうすぐ社会人になるし、結婚も意識しないといけないな……と思っていました。彼のことは付き合う前から素敵な人だなと思っていたのですが、付き合って2回目のデートのときに彼のある行動を見て感動!「この人と結婚したい!」と決意したきっかけを紹介します。 目の前で誰かが物を落としたら、私も拾って届けると思います。でも、彼は拾いに行くか少し躊躇するような距離に落ちていた物も、迷うことなく拾いに行ったのです。 そんな彼の行動を見て、「この人は誰に対しても思いやりを持てる人なんだ」と感じました。また、私は子どもへの憧れが当時から強かったため、「この人と結婚したら、彼の子どももきっと心のきれいな人に成長してくれるはず!」と思い、「彼と結婚したい!」と決意したのです。 彼とはその1年後に同棲を始め、付き合って3年で結婚しました。今でも彼は付き合ったころと変わらないやさしさを持っていて、あのときの自分の目は間違っていなかった! と確信しています。もうすぐ子どもも生まれる予定なので、彼の背中を見てすくすくと成長してくれたらいいなと思っています。 原案/佐藤瑠衣さん作画/村澤綾香 ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように! 著者・イラスト制作者:マンガ家・イラストレーター 村澤綾香
2024年05月20日療育を受けるきっかけになった1歳半健診今年6歳を迎えた長女のまゆみは、1歳半健診をきっかけに療育につながりました。健診を受ける際、これだけは聞こうと決めていたことがあります。Upload By にれまゆみの発達の遅れに気づいて以来、ずっと恐れてきた1歳半健診でしたが……ジタバタしきったと思えるところまでジタバタしたこともあり、「逃げられないのだから、何か成果を得て帰ろう」という気持ちになっていました。健診での問診中に心配事を伝えると、ありがたいことに発達相談をその日のうちに受けさせてもらえることになりました。そして心理士さんとの面談の結果、まゆみは「少し発達に心配のある子」として療育の申請をすることになったのです。しかし実は私、この時点では「とにかく療育につながろう」ということしか頭になく、多少調べてきたのは「自治体によっては3歳になるまで受けられなかったり、医師の診断書が必要」という療育を受けるための条件ばかり。市内にどういった施設があって、どういった内容のことをするのかはちっとも調べていなかったのでした。保健師さんによる聞き取り相談支援員の方との面談の前に、保健師さんによる聞き取りがありました。もう4年以上前のことなので詳しい内容は思い出せないのですが、ひとつハッキリと覚えているのは「公立の施設と民間の施設、どちらがいいですか?」と聞かれたことです。おそらく、保健師さんは「特色のある支援を希望しているか」という意味で尋ねたのだと思うのですが、当時の私はこの質問の意味を「経済面での希望を聞かれている」と勘違いしてしまい、勢いよく答えました。Upload By にれ公立よりも私立の学校のほうが学費がかかるというイメージをそのまま適用してしまい、あまり経済的に余裕のあるほうではないわが家は公立一択だと思い込んでしまったのです。実際には、公立・民間に関わらず所得に応じて定められている自己負担額で療育を受けられることになっているのですが……そのことを知ったのは後になってからでした。相談支援員さんとの面談数日後、自宅に相談支援員さんが来てくれました。当時、自宅外でまゆみを見ながら面談をするには数々のハードルがそびえ立っていたので、面談場所を発達支援センターと自宅の二択から選べる配慮がとてもありがたかったのを覚えています。相談支援員さんの話では、まゆみの年齢で通える公立の児童発達支援施設は市内に2ヶ所あるものの、1ヶ所は定員いっぱいのため自動的に「ひだまり児童園」(仮称)という施設になるということでした。私は「まずは療育につながることだ」と考えていたので、二つ返事でOKしました。あとは、日頃のまゆみの家での様子や1日のタイムスケジュール、療育を受けるにあたりどんな希望があるかなどの聞き取りでした。ひだまり児童園での面談契約のためには現地に赴く必要があったため、「療育って何をするんだろう。どんなところだろう……」と今更ながらドキドキしつつ、親子でひだまり児童園へ向かいました。見学と説明会を兼ねた内容の面談があり、実際に療育で使われている一室で施設長の先生とお話ししました。部屋にはボールやおままごとなどのおもちゃが置かれていて、先生はまゆみが遊ぶ様子を観察しながら「まゆみちゃん、赤が好きなんですね」「ボールを両手に掲げて歩きたいんですね」「こうしたい、というビジョンがしっかり彼女の中にありますね」など、「発達の遅れた子」としてではなく、まゆみ自身を見てくれているなと感じる言葉をたくさんかけてくれました。そして何より、「ああ、ここに通うことにして正解だな」と感じた出来事がありました。まゆみがおもちゃに飽きて部屋を出ようとしたので、思わず「コラ!勝手に出て行かないの」と捕まえようとした時、施設長の先生が「いいんですよ。うちは子どもファーストなので、好きにさせてあげてください」と笑ったのです。どこへ行っても居心地の悪さを感じて人目を気にしてばかりいた当時の私は、その言葉に「やっとまゆみの居場所を見つけてあげられたかもしれない」と思いました。Upload By にれそうして、施設の中を探検するまゆみの後ろを歩きながら面談の続きをしました。いま振り返っても、この時は素敵な体験をさせてもらったなと思います。まとめ以上、まゆみが児童発達支援施設に通所するまでのお話しでした。当時の私の場合、公立を選んだ時点で選択の余地はなく、希望というと「とにかく居場所がほしい」という願いだけでしたが……後々学んだことを含めて以下にまとめましたので、これから療育へ通うことを考えていらっしゃる方のお力になれましたら幸いです。Upload By にれひだまり児童園にはまゆみが3歳になる直前まで1年以上通わせていただきましたが、初めて通った児童発達支援施設がひだまり児童園で、ここの先生方に出会えて、本当に幸運だったなぁと思います。まゆみもひだまり児童園を気に入ってくれて、毎週楽しそうに通っていました。(ひだまり児童園に通う様子や卒業するきっかけになった出来事は私の著作で漫画にしておりますので、もしご興味のある方は是非ともチェックしてみてください♪)ちなみに、ひだまり児童園へ通い始めてから2ヶ月後、まゆみは私の希望で音楽療育にも通い始めました。次回はこちらのお話もさせていただければと思います。執筆/にれ(監修:新美先生より)児童発達支援につながるまでについて具体的に聞かせていただきありがとうございます。この年代ではまだお子さんの発達特性について気にし始めて間もないことが多く、福祉制度について知らないことが多いので、このような具体的なエピソードが聞けるとイメージが湧いて参考になりますね。児童発達支援は、主に小学校入学前の障害のあるお子さんが利用できる福祉サービスの一つです。利用の手順は市町村によって多少異なりますが、正式な診断名がなくても療育の必要性があると認められて、市町村から「受給者証」を発行してもらえると利用できます。コラムで紹介してもらっているように、公立と民間の施設があり、また親子で通うところ、保育園・幼稚園と同様に子どもだけが通えるところ、ふだんは保育園・幼稚園に通っている子が週に数回~月に数回、一定時間定期的に通うところなどさまざまです。集団療育、小集団療育、個別療育など形態もさまざまで、専門性の高さについてもまちまちです。また、児童発達支援は就学前までですが、同じ事業所内で放課後等デイサービスもやっているところもあり、就学後まで同じところで通う希望があればそういう観点も考慮するといいかもしれません。施設によって、かなりいろいろなカラーがあるので、候補になる施設を複数、見学に行ったり、できれば体験してみたりして、親子にあっていそうなところを見つけていけるといいですね。前の記事はこちらUpload By にれ(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年05月20日潔癖症の夫と2021年生まれの息子との間で翻弄されるアラサー母・たちさんが、家族との日常を描くエッセイマンガ。潔癖夫の楽しくも不思議な行動や、おもしろ育児エピソードをご紹介!ある日の朝ごはんに、ゆで卵を作ったたちさん。「白い卵と茶色い卵、どっちがいい?」そう息子に尋ねると、「ちゃいろいぽもご!!」と即答。目を輝かせながら「かーちゃんむいて!」とせがむのですが、このあと予想外の展開になって……!? 茶色いゆで卵にワクワク! 早速ママにむいてもらうと… 「むけたよ~」 たちさんが渡そうとしたのですが……。 「……ちがう。白いぽもごじゃない。茶色いぽもご」 「いやっ、卵はみんな殻をむくと白いんだよっ」 「ちがう」 「かーちゃんがたべちゃったぁぁぁーーー」 たちさんの説明を全力で否定した後、全力で泣き始めてしまったのでした。 息子くんは卵の殻と同じ、茶色い卵が出てくると思ったのでしょう。確かにこれはなんて説明すればいいのか難しいですね。目を輝かせて期待していただけに、息子くんの落胆ぶりがなんとも切ないです……。 著者:マンガ家・イラストレーター たち
2024年05月20日チヒロさんは、夫の貴大と3歳の娘リコと暮らす専業主婦。新規分譲のマンションに引っ越し、仲の良いママ友もたくさんできて楽しい毎日を送っていました。そんなある日、夫の上司一家が引っ越してきます。上司一家も3人家族で娘同士も同い年なので、いい関係が築けるだろうと思っていました。しかし、この上司の妻がクセのある人物。チヒロさんはだんだんとトラブルに巻き込まれていってしまいます。2ヶ月たつと本性が…上司の妻・ナツミさんは当初、人当たりもよくすぐに仲良くなることができました。しかし2カ月がたったころから、徐々に本性が見えてきたのです。 ナツミさんは、思ったことをズケズケと相手に言ってしまいます。 例えば、ノザキさんというママ友に「もっと年齢が上だと思ってた!」「もっとオシャレしないと旦那さんに愛想つかされちゃうよ」などと失礼なことを平気でいうのです。 このときはチヒロさんが必死に「ノザキさんはシンプルな服装が好きなだけでセンスある」「スタイル良くてうらやましい」とフォローしますが、ナツミさんは悪びれもせず、今度は「チヒロって旦那さんとそっくりでゴマすりがうまい」などとチヒロさんを揶揄してきました。 「ママ友」というのは、たまたま同時期に「ママ」という共通項のみで知り合った友人なので、これまでの人生では出会わなかったタイプの人と出会うこともありますよね。そのため、相手の発言にびっくりしてしまったという経験もあるのではないでしょうか。みなさんはこのようなときに、どのように立ち回っていますか?著者:マンガ家・イラストレーター ネギマヨ
2024年05月19日2019年10月生まれの双子の娘さんのパパ、ぷにぱぱ(@punitama777)さんの子育てエピソードをご紹介! 今回は「ワンオペ育児」をテーマに、ぷにぱぱさんが双子の娘さんたちと過ごす、何気ない日常のエピソードをお届けします。ある日のこと。前もって娘にお片付けをしておくように伝えていたものの、全然片付けていなかったので、声を掛けたぷにぱぱさん。すると、娘が弁解を始めるのですが……? 「全然片付いてないよ?」パパが指摘すると、娘は…? 「あのね、ちがうのっ。ちゃんと理由があるのっ。聞いてくれる?」 「理由?いいよ。ちゃんと聞いてあげるよ」 そういうと、弁解を始めた娘。 「さっきね、片付けようと思ってたのっ」 「でもね、悪い妖精さんがやってきて、魔法をかけられて、掃除できなかったのっ」 「悪い妖精さんが現れたんじゃしょうがねぇっ」 娘の思いもよらない発想に、ぷにぱぱさんは思わず許してしまったのでした。 ちゃんと「片付けようと思ったの」とアピールしながらも、片付けられなかった要因として"悪い妖精さん"のことを話し始めたはづちゃん。想像力豊かな発想すぎて、ぷにぱぱさんが思わず許してしまったのも頷けるなと思いました(笑)。著者:マンガ家・イラストレーター ぷにぱぱ
2024年05月19日かおりさんが娘・こはるを出産後、夫・いちろうはすぐに育休に入る予定でした。しかし、いちろうの手違いで先延ばしになり、かおりさんはその間ワンオペ育児をすることに。育休に入ったいちろうは、かおりさんからの信頼を挽回すべく“イクメン”になろうとしますが……。かおりさんはいちろうが3日間で育児ができる人間にならなければ実家に帰ると告げ、スパルタ指導を開始しました。いちろうは余裕ぶっていましたが、初日から育児の大変さに圧倒されてヘトヘト。しかし翌日、いちろうがこはるを抱っこして散歩へいくと、近所の人に「イクメン」だと褒められます。かおりさんはいちろうが褒められることに納得いきませんが、当の本人はドヤ顔なのでした。 公園のパパ友との出会い私が買い物にいっている間、育児用ミルクの作り方すら知らない夫はピンチを迎えていました。そこで、近くにいた子どものお世話をバリバリこなすパパに声をかけることにしたようです。 いちろうが声をかけたパパは、こはるの月齢を聞くと育児用ミルクの作り方を手慣れた様子で教えてくれました。名前を聞くと、佐山さんとのこと。いちろうは子ども2人を連れて完璧に育児をこなす佐山さんに感動し、「イクメンの師匠」として極意を教えてほしいと頼み込みます。 いちろうの熱意に根負けした佐山さんは、日ごろかから意識しているのは「妻の気持ちに寄り添うこと」だと話しました。いちろうは佐山さんの言葉に衝撃が走り、すぐに調子に乗ってしまう自分に反省。 これからはかおりさんの気持ちに寄り添おうと意気込むいちろうに、買い物を終えたかおりさんは「何かあった?」とうれしさより不安が勝るのでした。 公園で出会った真のイクメン佐山さんに、妻に寄り添うことが大切だと教わったいちろうさん。育児用ミルクの作り方を聞いたり、向上心のある質問をしたりと、いちろうさんなりに頑張っていますね。ただ、本人も自覚しているように、調子に乗ってしまうことがたまにキズ……。せっかく佐山さんにもらったアドバイスを大切に、これからはかおりさんに寄り添った言動ができるといいですね。著者:マンガ家・イラストレーター くまお
2024年05月19日