2017年7月19日 21:15
女子トイレで聞いた「悲しい現実」|12星座連載小説#121~水瓶座10話~
ついでに用も足しとくか……そう思って、ドアを開けて便座にしゃがんだ時、女子社員の話し声が聞こえてきた。
「ねぇ、聞いた? 新規ゲームアプリがダメになったって話」
「うん、聞いた。あの、コンテンツ部の中野さんが担当してたやつでしょ?」
「そうそう。お気の毒さまだったわよねぇ……社長の思いつきで」
「うん、でさ、そのアプリの引き継ぎなんだけど……」
―――息を飲む。
「今年、新卒で入ってきた若い女の子が抜擢されたんだって……」
唇を噛み締める。
「中野さん、社長の好みじゃないからねぇ……若くてフレッシュな子の方がお好みなんでしょ」
「あはは……ひっど~い」
ダンッ!
声が遠ざかるのを確認して、私は思い切り目の前のドアを蹴飛ばす―――。
【今回の主役】
中野怜奈 水瓶座26歳 IT開発事業部
個性的で変わり者、我が道を行くタイプ。協調性に欠けているが、時代の先を読む“先見の明”があるため、社内での評価は高い。
女子向けアプリ会社『キュートキッチュ』の新作指揮を任される。アイディアウーマンであるが、縛られることを嫌う一匹狼。後輩の三橋奈美は良い相談役。実はバイセクシュアルの性向があり、出会い系アフィリエイトで知り合った池谷好美と同棲している。