2017年7月19日 21:15
女子トイレで聞いた「悲しい現実」|12星座連載小説#121~水瓶座10話~
今回は、二人だけのネットビジネス立ち上げに「乾杯!」だ。
「ねぇ、レナ。私たち二人だと規模は小さいけど、キチンとターゲットを絞ってやっていけば、イイ線行くと思うの」
『おうよ! 好美と一緒なら、何だってできるわ! アホ社長をギャフンと言わしてやる!』
「そうだ、そうだ~!」
好美と将来の夢を語り合う。
理不尽なうちの会社の社長の顔が浮かんだ。よくも私の案を潰して、さらには外部の人たちの顔にも泥を塗ってくれたわね。
きっと、営業の三橋はあれこれ奔走して平謝りしていることだろう。売れる・売れないを判断する“先見の明”ってのも大事かもしんないけど、人の心を無視したやり方で上手くいくとは思えないね。
『明日にでも、退職届を出してくるよ。
ただ……』
「ただ?」
『届けを出してから三ヶ月経つまでは辞められないから、その間準備をしながら通うよ、一応』
「へぇ~、レナにしては殊勝な心がけだこと」
好美が私の二の腕をツンツンつつく。
『もう! 私だってちゃあんと社会人やってます!』
残っているプロジェクトの引き継ぎと……三橋のことも心配だ。貯蓄もそこそこあるし、お金にはそう困りゃしないけど、ハードを構築するのはちと時間がかかるしな……。