【『恋せぬふたり』感想 第1話】寂しくない人生と我慢はそもそも天秤か・ネタバレあり
は、仕事熱心でコミュニケーションの能力も高い。
両親と既婚の妹、家族との関係も概ね良好だが、恋愛感情を持てない、わからないという一点ゆえに、まるで単語の半分を聞き取れない外国語の中で暮らしているような不安とともに生きている。
その点を周囲に説明する言葉を持たないことが、彼女の内面の恐れと不安をさらに増大させている。
※写真はイメージ
仕事で親身になった異性の後輩から恋愛感情を持たれたことで仕事の信頼関係が破綻し、家族から未婚を腫れ物扱いされることに疲れて、友人と予定していたルームシェアは友人の恋愛優先の決断で流れてしまう。
疲弊した咲子の前に現れるのが、もう一人の主人公、高橋羽(たかはしさとる高橋一生)である。
羽には自分の恋愛・性的指向に自認があり、表現できる言葉と意思がある。しかし同時に他者に対する不信感や深い諦念を抱え込んで生きているように見える。
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物怖じのない咲子が、羽に恋愛感情抜きの家族として一緒に暮らさないかと無鉄砲に提案するところで初回は終わる。
作中で咲子を少しずつ削りとっていく、周囲との軋轢(あつれき)と受ける痛みがひりひりしてリアルだ。