2022年2月21日 12:23
【 『ファイトソング』感想6話】どんな人生でも持っていけるもの・ネタバレあり
弱さを見せずに一人の力で生きていこうと決めている。
しかし、丁寧に見ていくと、花枝は『硬い』のであって、必ずしも『強い』のではないのだと分かってくる。
病気と手術のことを打ち明ければ、周囲が支えてくれることは分かっている。
でも打ち明けられないのは、打ち明けたあとで関係が変容してしまうのが怖いからだ。この先、ハンデを抱えて誰かの助けが必要であり続ける人生に、覚悟が出来ないからだ。
今回、花枝は幼なじみの夏川慎吾(菊池風磨)から「俺は花枝のことを愛し続ける。守り続けるって決めてんの」と告げられて、そっと抱きしめられているのだが(これがもう本当に胸が詰まるような美しいシーンである)動揺はほとんどしない。
わずかな困惑とともにうつむくだけだ。
その表情に、「ああ既に分かっているんだなあ、慎吾の真剣な気持ちも、おそらく慎吾を好きな凜(藤原さくら)の気持ちも分かっていて、気づかないふりで花枝はかろうじて現状のバランスを取っているんだな」と思う。
大切すぎるものだから、僅かでも変容するのが怖いのだ。
それは養護施設の施設長で、花枝たちの母親のような存在の直美(稲森いずみ)と、直美をそっと見守る理髪店の迫(戸次重幸)