2022年2月21日 12:23
【 『ファイトソング』感想6話】どんな人生でも持っていけるもの・ネタバレあり
も同様だ。
いつも名言めいたことを言いたがる迫が、本当に直美が泣いているときには、ただ見守るだけで何も言わない。この二人もまた、今のお互いの距離が大切すぎて身動きがとれないのだろうと思う。
若い世代の片思いの物語に時折挟まる大人の純愛も、粋で素敵なのである。仮に花枝が失聴してからも、幼なじみの二人や、生まれ育った養護施設との縁や愛情は続いていくはずだ。それでも他の誰かと作る『思い出』は必要なのかと問い直せば、それはやはり必要なのだろう。
それはきっと、花枝が一度、交通事故で死の淵を覗いたところから繋がっている。
この先どんな人生になっても、死の間際まで自分が望んで持って行けるものは何なのか。
それは楽しかった思い出や、好きな本や、好きな映画や、好きな歌だ。
この先どんな境遇で生きることになったとしても、自分が手放そうと思うまでは誰からも奪われないもの。
花枝は、そんな『財産』を得られるだろうか。そして春樹はそんな財産になる歌をもう一度作れるだろうか。
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[文・構成/grape編集部]
かな
Twitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。
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