【『初恋の悪魔』感想7話】ひとさじの想い出を抱いて・ネタバレあり
見ていて薄ら寒くなるのは、容疑者の彼女にとっては無実になるかどうかの重要なアリバイを、容疑者の知人や店員が自分たちの不都合(未成年への飲酒を容認したという)を隠蔽するために迷わず黙殺する部分である。
それを小鳥は「罪と罰が釣り合わないでしょ。嫌われるとは恐ろしかね」とあきれたように呟く。
自分たちの価値観では好ましくない人間にも同じように生身の人生があって、その人生が軽いはずなどないのに、とても容易く人はそれを失念する。
そんな社会の薄情さと、効率よく治安を保とうする権力が同調するとき、滑り落ちるように冤罪が起きて本当の犯人は見逃される。
事件はドラマの中のことだけれども、私たちはその無責任さを薄めたものを日々どこかしらで見ている。
そんな社会の『凡庸な悪』を、坂元裕二はそっと極上のエンターテイメントに差し込んでくる。
今回、悠日は星砂の小さな仕草ひとつから、恋人だった星砂を諦めきれない想いがあふれ出て、激しい言葉でもう1人の星砂の存在を否定してしまう。その身体から出て行ってほしいと詰め寄ってしまう。
それは、かつて婚約者からオープンマリッジ(他に恋愛関係を持ってもいい婚姻関係)