【『VIVANT』感想 最終話】堺雅人と二宮和也、二人の息子たちの鮮やかな交錯
その鮮やかな交錯は、柔和な笑顔の奥に毅然とした覚悟を秘めた堺雅人と、頑なな孤独の中に繊細な愛情を秘めた二宮和也、二人の緻密な演技があってこそ描きだせたものだと思う。
今作では、親しみの持てる容姿や表情が可愛らしくも頼りがいのある相棒・ドラムを演じた富栄ドラムや、登場時は憎々しい敵でありながら、次第にそのコワモテぶりが素敵に見えてくる警察官チンギスを演じたバルサラハガバ・バトボルドといった新しい魅力的な俳優を見られたことも大きな楽しみの一つになった。
とりわけチンギスは、少年漫画の熱血ライバルのように、その兄貴然とした魅力に筆者も含め多くの視聴者が魅了された。
まだまだ世界には、沢山の『格好いい』があるのだと思うと、それだけでも楽しい。
物語は、乃木がノゴーン・ベキと彼に付き従うバトラカ(林泰文)、ピヨ(吉原光夫)の三人を銃で撃ち、ベキの死を弟のノコルに報告し、そして乃木が薫(二階堂ふみ)とジャミーン(ナンディン・エルデネ・ホンゴルズラ)の元に帰ってくるところで終わる。
ただし、乃木からノコルに伝えられた、「徳のある人物は報いられる」という意味深な書経の一節、そして「花を手向けるのはもう少し先」