医療従事者への先行接種がスタートした新型コロナウイルスワクチン。効果への期待と同時に、副反応を懸念する声もあるが、専門家の女性たちはどう見ているのだろう。緊急アンケートを実施した――。米国・ファイザー社製の新型コロナウイルスワクチンは、2月12日の第1便、2月21日の第2便に続き、3月1日に第3便の到着が予定されている。「感染者数の拡大はピーク時よりは抑えられているものの、まだまだ予断を許さない状況が続いています。新型コロナウイルスの特効薬がない状況で、期待されているのがワクチンです」(医療関係者)世界では欧米諸国を皮切りにすでにワクチン接種が始まっており、国内でも2月17日からワクチンの接種が開始された。第1弾のワクチンは安全性調査に参加する医療従事者に先行接種を行い、次いで診療に関わる医療従事者、65歳以上の高齢者……と進めるのが政府の方針で、一般の人へのワクチン供給は夏以降になるとみられている。日本で承認の申請がなされているワクチンは2種類。米国のファイザー社のほか、英国アストラゼネカ社が2月に厚生労働省に申請を提出している。ワクチンに関する最大の関心事がその安全性、副反応だ。今回のワクチンでは、アナフィラキシー(急性アレルギー反応)が主な副反応として挙げられているが、そのほかにも倦怠感や発熱、体の痛みなどが報告されている。欧米で行われているワクチン接種のデータには、ファイザー社製のワクチンで接種後に起こったアナフィラキシーは100万回に5件、アストラゼネカ社製では10万回に1~2件という統計がある。副反応の7割は接種後15分以内に起こるという報告があるため、副反応に対する態勢を整えておけば、深刻な事態を防ぐことができると考えられている。ワクチンについては、予防のために一刻も早く受けたいという肯定派と、年齢や抱えている疾患などの理由からしばらくは様子を見たいという慎重派の人とがいる。実際に現場での診察に当たっている医師はどう考えているのだろう。今回本誌では、女医の先生方に《新型コロナウイルスワクチンを接種しますか?》というアンケートを実施した。日々接している医療現場の状況から寄せられた声は、とても貴重なものばかりだ。さっそく結果についてみていこう。回答を寄せてくれた23人のうち、《接種する》と答えた医師が20人、《見送る》が3人となった。《接種する》といった肯定派のコメントでもっとも目立ったのは、《医療従事者という立場にいるから》という意見だった。《多くの患者さんに接種することを考慮すると、自分がワクチンを接種して抗体を持ち、患者さんへの感染源にならないようにすることは、医者として必要なこと》(中山晴美先生、麻酔科・ペインクリニック)《複数の高齢者施設と関わりがあり、自分が感染して施設に持ち込むことは避けねばならない》(岩井裕子先生、外科・消化器外科)《現時点ではこのウイルスに対してワクチン以外に有効な治療薬はなく、この仕事をする限り、打たないという選択肢はない》(渡邊千寿子先生、耳鼻咽喉科)このように、医療現場で感染を広げないためにワクチンを接種するといった意見が多く見られた。■ビッグデータの協力になるためにも受けるまずは自分が見本となって、打つ姿勢を見せたいというコメントも複数寄せられた。《ワクチンを打つことで感染しづらくなるのと、症状がひどくならない可能性が上がるのでメリットのほうが大きいと考えているが、医療従事者としてまず先に打つことが、一般の方への安心にもつながると考えている》(廣瀬能華先生、美容皮膚科)《現段階ではほかに手段がなく、医療従事者としてまず自分が接種してから患者にすすめるべきだと考えている》(おおたわ史絵先生、総合内科専門医)個人的な視点だけでなく、社会的観点による意見も散見された。《ワクチン接種することで集団免疫を獲得しないと新型コロナウイルスの蔓延は終わらない》(竹内聡美先生、呼吸器内科)《新型コロナウイルスによって社会活動が制限されている現在、しない理由がない》(濱木珠恵先生、内科・血液内科)《未知のワクチンだが、副作用が出るなら(自分が打って)その情報を公開する義務がある》(前出・渡邊先生)《ビッグデータの協力になる》(井上留美子先生、整形外科)肯定派のスタンスで、副反応について触れられたコメントを見ていくと、次のような意見が。《ワクチンによる死亡はなく、新型コロナウイルスの死亡率が多い》(本田まりこ先生、皮膚科)《すでに海外で報告されている副反応、アナフィラキシーショックの確率は小さく、治療可能だと考える。接種しないリスクのほうが大きい》(山口トキコ先生、肛門科)《有効性が高いデータが出ているし、副反応も許容範囲》(板根みち子先生、循環器内科)このように、接種に対する前向きな意見が多いが、今回のワクチンで議論になる理由の一つに、製法がある。新型コロナウイルスワクチンは、これまでにない遺伝子を使った方法で作られたワクチンなのだ。世界ですでに接種されているファイザー社製とモデルナ社製のワクチンはmRNAワクチン、アストラゼネカ社のワクチンはウイルスベクターワクチンと呼ばれる“遺伝子ワクチン”だ。総合内科専門医のおおたわ史絵先生は次のように説明する。「従来のワクチンは、ウイルスの抗原の一部分に近いものを弱毒化させて体内に入れる『弱毒性ワクチン』や『不活化ワクチン』ですが、今回のコロナワクチンは、ウイルスに対する抗体を作るための核酸を体内に入れ、それが体内でDNAやRNA遺伝子を複製させるというまったく新しい作り方をとっています。そのため、長期的な副反応などが未知数という側面があるのも事実です。新しいものに対して不安を抱くのは、人間として当然のことでしょう」医療法人康梓会Y’sサイエンスクリニック広尾の日比野佐和子先生も、人々が不安になることを理解しつつ、ワクチン研究が“現在進行形”であることを強調する。「これまでのワクチン開発とは異なり、史上最大規模の財政的・人的資源の投入がごく短期間で行われているのが今回のワクチン開発の特徴です。つまり、副反応を含めたワクチンのデータもものすごい勢いで蓄積されていますから、さまざまなことが見えてくるスピードも別格なのです」ただし、海外でもワクチンの接種が始まったのは、ほんの1~2カ月前のこと。まだまだ未知である副反応に対する不安は、先生たちの反応からもうかがえる。《コロナ感染が流行しているなか、乳がん発生も減少せず続いている。医療者として、がん治療をきちんと行うためにも、ワクチンの短長期的な影響について不安がないとはいえないが、打つ》(土井卓子先生、乳腺専門医)《短期間で開発され、長期的なリスクについては不明なワクチン接種にまったく不安がないわけではないが、幸い自分には特に強いアレルギーがない(ため打つ)》(亀井倫子先生、ペインクリニック内科)一方、ワクチン接種を《見送る》と答えた慎重派の先生たちからは次のような意見があった。《新型コロナはインフルエンザよりもはるかに死亡率、罹患率が低い疾患。しかもほとんどの人が感染しても無症状。国民全員がワクチンを受ける必要性があるのか疑問》(小林有希先生、内科)《ワクチンを打つことによるベネフィット(利益)とリスク(不利益)を天秤にかけて十分に検討する必要がある》(正木稔子先生、耳鼻咽喉科専門医)《従来のワクチンの製法とは異なる遺伝子型ワクチンで、副反応がわかっていないという段階で使用を開始するのは危険。ワクチンを打つ前に必ず副反応を調べる必要がある》(星子尚美先生、内科)いずれも、今回のワクチンが異例の状況下で、短期間で開発されたことに対する懸念だ。■詳細な情報提供が十分にできないと悩む医師も「医師がワクチンに関して基本知識として知っているのは、生ワクチンと不活化ワクチンで、新型コロナウイルスのワクチンはどちらにも属していません。そのため、詳細な情報提供が十分にされていないのが現状です。何かが起こる可能性や、何が起こるのか、その程度や割合など、何も知らされていない状態で接種するのには同意できません」(正木先生)通常、ワクチンの開発には長い年月がかかる。しかし、新型コロナウイルスのワクチンは、その過程がわずか1年足らず、異例のスピードで認可されている。「『ワクチンファクトブック』(米国研究製薬工業協会が発行しているワクチンの手引書)によると、ワクチンは治験を含め、開発に10年程度かかるものです。特に治験は安全性の確認作業で、通常、最も時間がかかる部分ですが、新型コロナウイルスのワクチンは、発見から1年たたずに治験まで済んでいるといいます。mRNAワクチン、DNAワクチンは人類に初めて使用するものなのに、この程度の治験で実施に踏み切ってよいのでしょうか」(正木先生)検証期間については、次のような意見も寄せられた。《これは、人類初の“遺伝子組み換えワクチン”で、通常なら数年~10年以上及ぶべき検証期間を省いた、安全性のまったく確認されていないワクチン。飛びつかなければならないほどの切迫性はまったくない》(前出・小林先生)医療現場の専門家ですら、肯定的な意見と慎重な意見が出るコロナワクチン。親や子ども、また持病のある家族がワクチンを打つか打たないか、家庭内で意見が分かれることもあるだろう。そうした不安の声に、前出のおおたわ先生は次のようにアドバイスする。「中高年になると、糖尿病や高血圧など生活習慣病を抱える方が増えます。これはすなわち、新型コロナウイルスにかかったときの重症化のリスクが上がるということです。それも加味したうえで、ご自分がワクチンを接種するかどうかをよく考えていただきたいと思います」かかりつけの医師に相談する人もいるだろうが、“100%効果的で安全だ”と断言することはどんな医師にもできないとおおたわ先生は話す。未知のウイルスとの戦いが一日も早く落ち着き、日常が戻ってくることを願うばかりだ。「女性自身」2021年3月2日号 掲載
2021年03月01日「高齢者はたとえばインフルエンザワクチンを接種しても、予防効果が一般的な成人と比べて低いといわれています。理由は、加齢とともに免疫細胞が弱まっているから。そのため、抗体を作る力が落ちてしまっているのです。新型コロナのワクチンでも同じです。免疫細胞が弱ったままだと、ウイルスに対抗する強い抗体を作ることができません。しっかりとワクチンの効果を出すためにも、今から免疫力を高めておくことが重要といえるでしょう」こう語るのは国産ワクチン開発の第一人者でもある、大阪大学大学院の森下竜一寄付講座教授だ。2月17日から国内でも新型コロナウイルスのワクチン接種が始まった。まずは医療従事者から接種が始まり、4月からは65歳以上の高齢者が対象となる。そんななか、森下教授は「ワクチンの効果を高めるためにも、高齢な方々は特に今のうちから免疫力を高めておくべき」だと訴えたいという。そもそも、免疫力とは何なのか。教授はこう解説する。「簡単に言うと、体内にある免疫細胞たちの力です。免疫には自然免疫と獲得免疫があります。自然免疫には、NK細胞などと呼ばれるものがあります。ウイルスが侵入するとすぐ食べにきてくれる、警察のような存在です。いっぽうで獲得免疫には、ヘルパーT細胞などがあります。こちらは一度体内に入ってきたウイルスを覚え、抗体を作って攻撃してくれます。しかし先ほど申し上げたとおり、体を守ってくれる免疫細胞たちは年齢とともに弱まっていきます。そうして、体の免疫力も落ちてしまうんです」■免疫力は40歳でピーク時の半分ほどに実は、免疫力のピークは18歳前後。働き盛りの40歳でも、免疫力はピーク時の半分ほどになっているというのだ。厚労省が発表した昨年7月時点での新型コロナウイルスによる年齢別死亡率を見ても、60代から急激に高くなっている。ワクチンの効果を高めるためにも、重要な免疫力。それを高めるカギは、「ミトコンドリアを活性化させること」だという。森下教授が続ける。「ミトコンドリアとはいわば、細胞の中にあるエンジン。細胞を動かす原動力です。ヒトは、およそ37兆個の細胞でできています。その細胞に必要なエネルギーの90%以上を、ミトコンドリアが作り出しています。さらに、免疫反応全体のバランスをとる司令塔でもあります。ですからミトコンドリアを活性化させると、細胞が元気になります。そして免疫力アップにつながるというわけです」では、ミトコンドリアを活性化させるにはどうすればいいのだろうか。教授は7つのポイントを語ってくれた。「まず1つ目は、運動をすることです。体を動かすことで、細胞が活性化されます。ただ、やりすぎは禁物。細胞を活性化させるためには、適度な運動であることが重要です。軽いジョギングや20分程度の散歩、家でできる簡単なエクササイズなどで十分です。2つ目は、十分な睡眠をとること。7~8時間くらいが理想です。そして3つ目は、体を温めること。細胞を活性化させる体温は、36度前後といわれています。ただ筋肉量が落ちると体温も下がるので、高齢者は低くなりがち。なのでたとえば湯船につかったり白湯を飲んだりしていると、基礎体温が上がります。毎朝検温する習慣もつけましょう」■笑うことは、非常にいいことさらに、食事の重要性についてもこう指摘する。「4つ目は、食生活の見直しです。体を作るのは、なんといっても食事。できるだけ、バランスのよい食事を心がけるようにしましょう。栄養面はもちろん、食べすぎないようにも注意してください。そして5つ目は、コエンザイムQ10を取ること。ミトコンドリアが細胞のエンジンなら、コエンザイムQ10は細胞のエンジンオイル。ミトコンドリアの機能をスムーズにしてくれます。イワシや豚肉や牛肉、ブロッコリーやオリーブ油などに多く含まれています。ただ食事から摂取できる量は限られているので、サプリメントを取り入れてもよいでしょう」また意外にも、精神面の影響が大きいようだ。森下教授は次のように明かす。「6つ目は、笑うことです。細菌に感染した細胞を死滅させる、NK細胞というものがあります。それが笑うことで活性化され、免疫力アップにつながるという報告があるのです。また、セロトニンという心の安定を保つホルモンも分泌されます。だから笑うことは、非常にいいことなんです。そして最後の7つ目は、ストレスをためないことです。慢性的なストレスは体や心の疲労につながり、不眠を引き起こします。そうした悪循環に陥り、どんどん免疫力が落ちてしまうのです。最近は“コロナうつ”も増えているといいますからね。ワクチンの効果を高める意味でも、精神的に安定できる生活を心がけましょう」■接種の直前に頑張っても難しいちなみに、免疫力は季節の変わり目に低下しやすいという。「冬より夏場のほうが、要注意といわれています。夏バテで体力も落ち込みがちですからね。ワクチン接種の時期とかぶる方は、いっそう気をつけてください」そして最後に、森下教授はこう結ぶ。「高齢者は新型コロナウイルスにかかった場合のリスクも高いので、順番がきたらワクチンを打ったほうがいいと思います。ただし免疫力を高めておかないと十分な効果が出ない可能性もあると、理解しておくべきです。ワクチンを接種する直前に頑張ったところで、すぐに免疫力をアップさせるのは難しい。だから接種前の今こそ、体作りを始めましょう」いざ接種するときに慌てないためにも、早めの準備が重要といえそうだ。「女性自身」2021年3月9日号 掲載
2021年02月23日新型コロナウイルスワクチン接種の日本の対応新型コロナウイルス感染症の対策として、日本でも2月中旬からワクチン接種を開始する方向で調整が進んでいます。最初は医療に従事する方々が対象となり、次いで高齢者や基礎疾患を有する方への接種が行われる方針です。それ以外の方への接種時期は現在検討されています。日本で供給が開始されるワクチンは「mRNAワクチン」と呼ばれるものです。半年という短い期間で開発されたため、国内外の臨床試験等で効果や安全性の確認が行われています。ワクチンの接種費用は全額公費でまかなわれ、希望する人は無料で接種することができます。予防接種により健康被害が生じ、治療が必要になったり障害が残ったりした場合は、予防接種健康被害救済制度による救済が受けられます(※1)。コロナワクチン接種の日本産婦人科感染症学会の発表妊婦の摂取を優先するかどうか妊婦さんへの接種時期は、厚生労働省により検討が進められています。接種に先駆け令和3年1月27日に、日本産婦人科感染症学会と日本産科婦人科学会から妊婦さんと妊娠を希望する⽅に向けた提言が発表されました(※2)。提言ではワクチンの特徴や接種に対する考え方がまとめられているので、接種を検討する際の参考にしてみましょう。妊婦さんはワクチンを接種できる?新型コロナウイルス感染症のワクチンは、臨床試験の対象から妊婦さんを除外しているため、妊婦さんに対する安全性・有効性は明らかになっていません。現時点では、妊婦であることが新型コロナウイルス感染症の重症化リスクになるかということもまだ不透明な状況とされています。そのため、妊婦のワクチン接種順位については、国内外の科学的知見を踏まえて検討していくようです。(※2)妊婦さんのコロナワクチン接種の見解妊婦さんのコロナワクチンの接種はどのように考えられているのでしょうか。ここでは、日本産婦人科感染症学会および日本産科婦人科学会が発表した「COVID-19 ワクチン接種を考慮する妊婦さんならびに妊娠を希望する⽅へ」(※3)から学会の見解や正しい情報についてまとめます。胎児への安全性は確立されていないmRNAはその特性から人体に長期的な影響が残るものではないと考えられていますが、研究はまだ途上であり中・長期的な安全性は認められていません。どういった副反応が出るのか、胎児や出生児に将来的な影響が残るのかなど、今後の経過を見ていく必要があります。ワクチン接種対象から除外しない感染が拡大している現状や妊婦さんの重症化リスクを踏まえ、⽇本産婦⼈科感染症学会および⽇本産科婦⼈科学会の提言では、ワクチン接種対象から妊婦さんを除外しないとしています。ただし、接種には医師による十分な説明と妊婦さんの同意があること、接種後は体調に変化がないか30分間その場で待機し、経過観察を行うことが求められています。器官形成期は接種を避ける妊娠12週までは胎児の器官形成期にあたります。提言によると、この時期はワクチンの接種を避けることが望ましいとされています。母児管理ができる施設で行うこと接種による体調変化が起こった場合、母児を適切に管理できるよう、妊婦さんは産婦⼈科施設などにて接種を受けることや、接種前と接種後にエコー検査などで胎児の心拍を確認することが提言されています。医療従事者や持病がある妊婦さんは接種を考慮医療に従事する妊婦さんや肥満や糖尿病などの基礎疾患を合併している妊婦さんは、通常よりも感染や重症化のリスクが高くなります。そのため、ワクチンの効果がリスクを上回るかどうかを考慮して接種を行うか検討する必要があります。パートナーや家族は家庭内感染を防ぐ新型コロナウイルス感染症は、感染経路のひとつに家庭内感染があげられます。新型コロナウイルスに限ったことではありませんが、パートナーや家族はワクチンを含めた感染症対策を進め、妊婦さんへの感染を予防することが大切です。妊娠を希望する人は妊娠前に接種をmRNAワクチンは生ワクチンではないため、接種後に長期間の避妊の必要はありません。とはいえ、現在接種が進められているワクチンは2回接種となる見込みで、1回目と2回目は3週間の間隔をあけることが推奨されています。お腹の赤ちゃんの器官形成期の接種を避けるためにも、妊娠を希望する人は妊娠前に接種を受けることが望ましいとされています。専門家によって妊婦の接種は除外とされることも妊婦さんのワクチン接種に対しては十分な知見が得られていないことから、WHOをはじめ各国で見解が分かれているようです。また、厚生労働省が発行する「新型コロナウイルスワクチンの接種順位等について」(※2)には、有効性・安全性ともに、小児・妊婦・高齢者のデータが少なく不明点が多いとされています。そのため、妊婦さんに関しては接種を推奨する対象から除外する方向との考えもあるようです。新型コロナウイルスワクチンについてのデータやニュースは日々更新されているため、最新の情報を確認するようにすることが大切といえるでしょう。心配なことは医師に相談しよう新型コロナウイルスが流行している世の中で、妊婦さんや小さな子どもを持つママやパパは不安な日々を過ごしているでしょう。妊娠中の重症化リスクについてもまだ明確なデータが少ないことから、今後の専門家の見解などにも注目が高まります。新型コロナウイルス感染症は、感染のリスクよりもワクチンで得られる効果のほうが大きいと期待されていますが、妊婦さんの接種にあたっては安全性を考慮した検討が進められています。妊婦さんのワクチン接種に関して、最新の情報を確認して医師とよく相談するようにしましょう。※この記事は2021年2月時点の情報をもとに作成しています。
2021年02月18日冬は風邪が流行する季節。しかし、わが家では風邪でもインフルエンザでもない3種類の感染症にかかってしまいました。冬のいろいろな感染症が流行する時期にかかると、病気の判別が難しいものです。わが家が冬にかかった感染症体験を予防も含めてお伝えします。 娘2人が突発性発疹! 熱が下がると発疹!わが家の娘2人ともが、たまたま冬に突発性発疹にかかりました。ちょうどインフルエンザの流行期と重なり、症状としても高熱が3日ほど出るという状態でとても似ていました。1人目のときは焦って発熱後2日目の朝に病院へ行き、インフルエンザは陰性だったものの何の病気かわからず、かつ病院でもインフルエンザの罹患者が多かったので院内感染も心配でした。熱が下がって発疹が出てから突発性発疹だとわかって安心できましたが、発疹による不機嫌さに閉口しました。 夫が溶連菌感染症に! 子どもにも感染!夫が「のどが痛くて高熱で調子が悪い」と言って、病院で診てもらうと溶連菌感染症でした。高熱が続くことからインフルエンザの検査を受けに行ったのですが、のどが腫れて耳が痛いということから念のために医師が検査をし、原因が判明しました。その後、私も子どもたちも調子が悪くなり、念のため病院に見てもらうと同じ溶連菌感染症でした。抗生物質を2週間ほど飲み続けなければならず、完治するまでが長くて大変だったのを覚えています。 家族全員が胃腸炎! 感染症の予防法は?ウイルス性胃腸炎は2月ごろにかかりました。子どもたちが最初にかかり、その後夫や私もかかってしまいました。下痢・嘔吐で体力の消耗も激しく、大人もつらかったです。そして、家事や育児などを手伝いに来てくれた祖母にまで感染が広がってしまい、申し訳なく思いました。原因はおむつ処理後の手洗いや、おむつ替えの場所や替え方に問題があったかなと思っています。途中から、子どもたちのおなかの調子が悪そうなときは手洗いを徹底したり、自分も予防のために使い捨てのゴム手袋をするようになりました。そして、感染防止のためにおむつ処理はゴム手袋で、飲食などの際は必ずしっかり手洗いして消毒をするようになりました。そのおかげか、その後は特に大きな感染症にかからず過ごせています。 これらの感染症に家族でかかった結果、予防としてはいずれの感染症もまずはウィルスや菌を体内に取り込まないようにすることが大切だと感じました。わが家では飛沫感染する病気の場合は、感染した人もしていない人もマスクをして、できるだけ別の部屋で生活するようにしています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKO著者:小川かなえ2歳の双子姉妹の母。東京郊外在住。元保育士、不妊治療を経て妊娠出産。子連れハイキングやキャンプなどアウトドアも再開。現在は親子の森のようちえんを運営し、地域や自然とともに子育てをしている。
2021年02月05日「今年に入ってからも医療現場は“薬品不足”に直面することがありました。ケースによって原因は異なるのですが、いまもコロナ禍が薬品の供給に悪影響を及ぼし続けているのです」そう語るのは東京都内にある大学病院の薬剤部関係者。本誌は1月5日発売号で、コロナ禍の薬品流通への影響について記事を掲載している。取材の結果、昨年末の時点で一部の月経困難症治療薬、抗生物質製剤、認知症治療薬などが出荷調整をしていたり、販売数量を制限していたりするという事実が判明した。しかし’21年になってからも、その傾向は続いていたのだ。「1月下旬、共和薬品工業が医療関係者に『バルサルタン錠』『アムバロ配合錠』の出荷調整を伝えています。いずれも高血圧治療薬として処方されている製品です。新型コロナの流行によるインド国内のロックダウンなどで、原薬の納入が遅延したためと報じられています」(医療ジャーナリスト)共和薬品工業の広報担当者によれば、「一時期は、生産国から原薬が全く入手できなかったのですが、現地でも再び生産が開始され、徐々に入ってくるようになりました。まだ入荷が遅れ気味という状態で、(海外からの薬品流通が)100%という状態に回復するためには、まだ時間がかかる、と考えています。いま服用いただいている患者さんの手元に届けられるぐらいの在庫はあります。しかし、たとえばほかの会社さんが出荷調整されたことで、当社に新たにご注文いただいても受けられる状況ではなく、その点を発信しました」現在も海外からの薬品供給は“微妙な状況”にあるようだ。公益社団法人日本薬剤師会の担当者もこう語る。「今年に入ってからも、供給の不具合で、納品ができなくなっている薬品があるようです。コロナ禍の影響と考えられますが、たとえば原薬の原産地がインドだとしても、加工のためにほかの国も経由することがあり、どこかの地点で輸送が滞ってしまうこともあるのです」■想定外の需要の急増で、患者に回らないケースも新型コロナ変異株も世界中で確認されており、一気に物流が止まってしまう危険性も否定はできない。この流通の問題以外にもコロナ禍の薬品不足の原因として指摘されている問題があるという。それは“思わぬ需要の急増”だ。前回の取材で、ある薬剤師は、こう指摘していた。「吸入薬のオルベスコ(一般名はシクレソニド吸入剤)のように、“コロナに有効”という情報が流れたことで、一部の医療機関が在庫を保持してしまい、本来使用していた、ぜん息の患者さんのもとに回らなくなってしまったというケースもあります」この点について、東京都内で薬局を経営する別の薬剤師Aさんにも聞いた。「昨年にコロナ治療薬候補として話題になったオルベスコは、引き続き品薄で入手できない状況が続いています。同じような理由で疥癬(皮膚病の一種)の薬である『ストロメクトール(一般名・イベルメクチン)』も一時的に品薄になりました。同様に『カモスタットメシル酸塩』も入手困難です」昨年9月、北里大学病院で軽症から中等症の新型コロナウイルス感染症を対象に、ストロメクトールの医師主導治験を開始すると発表されたのだ。需要が高まっているとはいえ製薬会社も苦慮しているようだ。ストロメクトールを扱っているマルホ株式会社の広報担当者は、本誌に対し次のように回答している。《昨年来より「ストロメクトール錠」の需要が急増したことから、現在、適応を有する「疥癬」や「腸管糞線虫症」の患者さんに、欠品を避け、適切にお届けするために、予防的措置として出荷調整を行っています。コロナ禍という、特殊な状況下での切実な声に対して、お応えできないことを心苦しく感じていますが、販売会社としましては、すでに適応症を有する皆さん(疥癬、腸管糞線中症)への供給を維持するため、現在は適応外である新型コロナウイルス感染症の使用に関して、出荷調整をせざるを得ない状況になっております》沢井製薬が出荷調整に踏み切ったカモスタットについて前出の医療ジャーナリストは、 「ジェネリック医薬品で、先発医薬品のフオイパンがコロナ治療薬候補として臨床試験されていることもあり、需要が急増しました。すでに“コロナ予防薬”として服用している医師たちもいると聞いています」■インフルエンザワクチンが一時的に不足した病院もカモスタットについては、昨年夏に東京都内の病院がこんな告知をHPに掲載していたこともある。《新型コロナウイルス感染症に対する予防、初期治療薬として期待が集まり、東京大学などが研究をすすめている「カモスタットメシル」を入荷いたしました。もとは慢性膵炎や手術後の逆流性食道炎にお悩みの方のお薬なので、保険診療ではなく自費診療での処方となります。このお薬を本当に必要とされている方々の余剰分がクリニックに入荷してきますので数に限りがあります》「今後も“コロナに効果がある”と話題になった薬品が、入手しづらくなるという現象が起こる可能性は高いです」(前出・医療ジャーナリスト)需要と供給の微妙なバランスのうえに成り立っている薬品供給。そのバランスを崩しているのが、“コロナへの不安”なのか。前出の大学病院薬剤部関係者は言う。「最近もインフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンが一時的に不足したことがありました。抗がん剤治療を受けると、免疫機能が低下することがあります。そこで患者さんには事前に、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンを接種することを推奨しています。しかし今冬は、コロナとインフルエンザの同時感染を避けるため、また肺炎予防の意識も高まったため、例年より両方のワクチンを接種する方が増えたのです。そのために抗がん剤治療を受ける患者さんの分のワクチンが足りなくなったこともあったのです。コロナ禍では例年とは異なるニーズも発生し、ワクチンばかりではなく、薬品が不足することもあります。しかし代替薬もありますので慌てないことが大切です」また前出の公益社団法人日本薬剤師会の担当者も、「ジェネリックもありますし、現状では、患者さんへ薬は行き届いていると認識しています」持病薬や常備薬が一時的に消えてしまっても、医師や薬剤師と冷静に相談していくことが必要なのだ。「女性自身」2021年2月16日号 掲載
2021年02月05日こんにちは。東京衛生病院小児科の保田典子です。私生活では7歳、5歳、4歳の子育て中です。インフルエンザの流行期の今、「インフルエンザ脳症」について知っておいていただきたいことをお話したいと思います。 忘れられない「インフルエンザ脳症」の思い出私は元々小児科医なのもあって、ワクチンはきちんと打つ派でしたが、以前体験したエピソードから、さらにワクチンの大切さを思い知った出来事があります。 それは、2歳の女の子で、インフルエンザ脳症になってしまった症例でした。インフルエンザ脳症になる前は飛んで跳ねて駆けまわっていたであろうその子は、病室で鼻からチューブを入れて栄養をとっていました。担当ではなかったため、その後、その子がどうなったか詳しいことはわからないのですが、その姿が衝撃的で、インフルエンザ脳症の恐ろしさを痛感したのでした。 インフルエンザ脳症についてインフルエンザ脳症は、日本では毎年60〜100人くらいが発症しています。多くは小児ですが、大人でも発症しています。インフルエンザの流行にともなって、インフルエンザ脳症の発症も増えます。 インフルエンザ脳症の症状インフルエンザ脳症の症状は、発熱、意識障害がメインで、その他にけいれん、異常行動、嘔吐などがあります。0〜4歳ではけいれんが多く、5〜19歳では頭痛や嘔吐、成人では髄膜炎様症状になることが多いようです。死亡率が高いインフルエンザ合併症で、死亡率30%、後遺症率25%と言われています。 よく10歳以上で問題となりやすい異常行動ですが、どの年齢にも起こりえます。10歳以上だと行動力があるので、家から飛び降りたりできてしまう分、結果として痛ましい結果になることがあるため、注意を呼びかけられています。そして、異常行動とインフルエンザ脳症は区別しきれないのが実情で、異常行動が出たからといって必ずしもインフルエンザ脳症であるというわけではありません。 インフルエンザ脳症の異常行動、意識障害は一過性(1時間以内)ではなく、長く続くとされています。短時間の意識障害などは心配いらないことが多いのですが、再発して脳症となることもあるので、解熱するまでは気を抜かないで観察してあげることが重要です。 インフルエンザによる意識障害や異常行動は? この他にも、明らかにいつものお子さんと違うおかしい症状が出るので、見ればすぐにわかると思います。 異常行動を見たらインフルエンザ自体は脳に影響を及ぼすことが多いので、インフルエンザ脳症ではなくても異常行動がでるお子さんはたくさんいます。30分くらいでおさまってしまう異常行動は様子を見ていても大丈夫ですが、不安であれば病院に相談してみましょう。#8000や救急外来をしている病院に電話相談をしてみることもできます。 看病のコツとしては、一般的な風邪の看病と同じで大丈夫ですが、①異常行動が続かないか②けいれんをしていないか③脱水症状を起こしていないかに気をつけましょう。 解熱剤や熱性けいれんの予防をしているお子さんは、予防薬などを使って大丈夫です(逆に、けいれん予防をしている子はしっかり予防薬を使いましょう)。 異常行動の対策、どうすればいい?厚生労働省から、インフルエンザにかかったときの具体的な対策法が発表されています。 ◆原則 ※これまでにも注意喚起を行っている内容抗インフルエンザウイルス薬の種類や服用の有無によらず、インフルエンザと診断され治療が開始された後、少なくとも2日間は、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮することを原則とする旨の説明に加え、次の注意喚起の例が考えられます。 ◆小児・未成年者が住居外に飛び出ないための追加の対策(例)(1) 高層階の住居においては、例えば、・ 玄関及び全ての窓の施錠を確実に行うこと(内鍵、補助錠がある場合はその活用を含む。)、・ ベランダに面していない部屋で療養を行わせること、・窓に格子のある部屋がある場合はその部屋で療養を行わせること、等、小児・未成年者が容易に住居外に飛び出ない保護対策を講じることを医療関係者から患者及び保護者に説明すること (2) 一戸建てに住んでいる場合は、例えば、(1)の内容のほか、出来る限り1階で療養を行わせること インフルエンザ脳症とインフルエンザワクチンインフルエンザワクチンは、接種しても発症してしまうことがあることから、あえて接種しないという方もいます。集団接種があった時期(1960〜70年代)よりも現在、ワクチンの接種率は下がっています。そのため、インフルエンザ脳症で死亡する小児や、インフルエンザにより死亡する高齢者が増えたというデータがあります。 多くのインフルエンザ脳症に関する論文を見てみると、インフルエンザ脳症になった症例で、インフルエンザワクチンを接種していた例はほとんどありませんでした。これが「インフルエンザワクチンを接種しよう!」と、いつも思っている理由です。 インフルエンザのワクチンは生後6カ月から接種でき、インフルエンザ脳症など重症の合併症の予防としてとても効果的です。インフルエンザ脳症になる確率は高くはありませんが、もしかしたら、自分の子がインフルエンザ脳症になってなってしまうかもしれない。確率は関係ないと思うからです。 死亡率30%、後遺症率25%と言われるインフルエンザ脳症。みなさんもどうか、お子さんにインフルエンザ脳症にならせないためにも、まずはインフルエンザワクチンをしっかりと接種し、お子さんを守ってあげてくださいね。 監修者・著者:医師 東京衛生アドベンチスト病院 小児科医師 保田典子 先生2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。2021年春、高円寺こどもクリニック(仮称)開設予定。
2021年02月04日「できる限り2月下旬の(医療従事者を対象とした)接種開始を目指して準備したい」1月22日の会見で、新型コロナウイルスのワクチンについて語った河野太郎“ワクチン担当相”。日本で真っ先に接種が始まるのは、米ファイザー社と独ビオンテック社が共同開発したワクチンだが、1月中旬には、世界の医療関係者が注目した報道があった。「ノルウェーで両社のワクチンを接種した約4万2千人のうち33人が、発熱や吐き気などの副反応を示し、接種後数日以内に亡くなったと報じられました。大半は80歳以上の高齢者だったそうです」(医療ジャーナリスト)ファイザー株式会社の広報担当者は、本誌の取材に対し、次のような見解を示した。《(亡くなった方の)ご冥福をお祈りするとともに、ご家族の皆様にお見舞いを申し上げます。ノルウェー当局は老人ホームの入居者等に対するワクチンの接種を優先していますが、その多くは非常に高齢で基礎疾患を有しており、中には終末期の方もいます。ノルウェー医薬品局は、医学的にリスクの高い人に対する本剤の接種と死亡の関連性は完全には否定できないものの、ワクチン接種との直接的な因果関係を示すエビデンスは得られていないと表明しています。今回の件を受けて、ノルウェー保健局は重度のフレイル患者(例えば、Clinical Frailty Scale 8以上)、および終末期患者に対するワクチン接種のガイダンスを改訂し、ワクチン接種によって得られるベネフィットとリスクを慎重に評価するよう求めています。》■「追跡調査の期間が足りない」と指摘する専門家もこの件について、日本の専門家はどう見ているのだろうか。大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授の宮坂昌之さんは、「ノルウェーは日本と同じように高齢者が多い国ですし、その状況は今後も注視すべきだと思います。しかし、いっぽうで“ワクチン接種は危険なのではないか”というイメージだけが独り歩きしてしまうことを心配しています。ファイザーや米国のモデルナが開発したのは“mRNAワクチン”という種類のものです。ファイザーのワクチンは有効性が95%、モデルナは約94%と、非常に優秀です」だが軽重はともかくとして、あらゆるワクチンに“副反応”はつきものだという。「基本的には打った部分が腫れる、接種後に発熱する、関節痛のような痛みが生じる、といった症状です」(『ワクチン診療入門』の著書もある、ナビタスクリニック川崎の医師・谷本哲也さん)新潟大学名誉教授の岡田正彦さんはこう語る。「mRNAワクチンには、たんぱく質などを安定化させるポリエチレングリコール(PEG)が使用されていることが判明しています。“PEGによるアレルギー反応は不明”という論文もあり、その点について私は懸念を抱いています」PEGについて、前出の宮坂さんは、「薬品や化粧品などにも添加されている物質ですが、調査によればPEGによりアレルギー反応を引き起こされる人も多いのです。だから医師仲間の間では、『ワクチン接種後に、PEGによるアナフィラキシー(アレルギーの原因物質が体内に入ることによって、一つの臓器にとどまらず複数の臓器に強い症状が現れる過剰反応)が発生する可能性もあるのでは』という話はしていました。しかし幸い、アナフィラキシーに関して言えば、注射後の15?30分で反応が出ますので、医療機関の付近にいれば救命措置をとることもできます」“ワクチン反対派ではない”という岡田さんだが、接種後すぐに判明する副反応よりも、将来の不安を感じているという。「特に英国のアストラゼネカが開発したウイルスベクターワクチンで、すでに日本で治験が始まっています。人工合成したDNA遺伝子そのものを、無毒化したアデノウイルス(風邪のウイルスの一種)に組み込んで注射します。いままで人類が経験したことのない新型ワクチンですので、本来であれば、発がん性の有無などを確認するために、5年以上は追跡調査すべきだったと思います。長期的な安全が証明されていないわけですから、私自身は打つことを考えていません」『AERA』(1月25日号)には医療関係者1726人への調査結果も掲載されている。『ワクチンを接種しますか』という設問に対しては、「する」が31.4%、「種類による」が27.3%、「しない」が11.8%、「わからない」が29.5%と、意見も割れているようだ。■「若い人も高齢者も副反応は同じ」今回取材した専門家たちに、“接種を控えるべき条件”について聞いてみた。「ワクチン接種によりコロナ感染を防ぐというメリットと、接種による副反応というデメリットのバランスを、個別に判断していくことが必要となります。その際に、一つの尺度となるのが、“病気の重篤度”です。たとえば、高齢で、認知症のために寝たきりのような状態の方であれば、ワクチンの副反応が出たときに、体に致命的な影響が及ぶ可能性もあるでしょう。また心臓が弱っている方の場合、ワクチン接種で高熱を発することで、さらに心臓への負担がかかり、亡くなってしまうというケースもあるかもしれません」(谷本さん)現在は、医療従事者についで、高齢者が優先的に接種できるという方針が示されている。1月25日に厚生労働省は、65歳以上の高齢者への接種券を3月中旬以降に発送するといったスケジュールを明らかにした。だが、岡田さんは違和感を覚えているという。「ワクチンを製造している会社の論文を読むと、若い人も高齢者も副反応は同じ、とありますが、たとえばインフルエンザワクチンも私の経験では高齢者のほうが副反応は強いです」また、深刻なアレルギーを持つ人も注意が必要だという。「イギリスでは医薬品や食品、あるいはワクチンに対して重大なアレルギー反応が現れたことのある人には接種しないように呼びかけています」(宮坂さん)「アナフィラキシーを起こしたことがある方は避けたほうがいいと考えています」(谷本さん)最後に宮坂さんは、こんなアドバイスをしてくれた。「一般の人に接種の順番が回ってくるまで、あと数カ月は必要になるでしょう。その間に、世界のワクチンに関するデータは積み上がっていきます。そのデータを見て、自分は打つべきかどうか最終的に判断してはどうでしょうか」自分や家族の身を守るために、感染状況だけではなく、ワクチンの影響にまつわるニュースも注視していく必要があるのだ。「女性自身」2021年2月9日号 掲載
2021年01月29日"■前回のあらすじわが子のせいでクラス中インフルエンザが流行ったと言われてしまい…。楽しいはずの参観が思いもよらない形になってしまい、私は打ちひしがれていました。気まずそうにしているママ友の加奈子さんの姿を見て、より虚しい気持ちにもなりました。大知が楽しそうならそれでいい、そう思うことで動揺する気持ちを隠そうとしていました。すると一人の男の子が突然私に話しかけて来たのです。クラスのお友達がみんなで大知を歓迎してくれたのです。それはまさに、私が思い描いていた景色でした。そして、担任の先生が保護者に向けて、決定的な一言を言ってくれたのです。今回、子どもが最初に風邪にかかり責められる立場になったことで、とても悲しい思いをしました。みんなで病気の予防に気を付けるのはもちろんですが、息子の大知には体調を悪くしたり、感染症にかかった人の気持ちを考えられる優しい人になって欲しいなと思います。そして家庭内でも親が不安に思ったりストレスを抱えたとしても、相手を傷つけたり貶めたりするような言葉は使わないようにしなきゃと心に誓いました。人として大切にしなければならないことを、子どもに教えられることがあるんだなと思った出来事でした。ちなみに、加奈子さんだけは保育参観が終わったあと謝ってきてくれたので、今でも仲良しです。涼子さんと他のママ友とはその時から一定の距離を保ったお付き合いをしています。※この漫画は実話をべースにしたフィクションです原案・ウーマンエキサイト編集部/脚本・ まるこ /イラスト・ ぺぷり 【同じテーマの連載はこちら】 その人って本当にママ友ですか? この連載の全話を見る >>
2020年12月16日■前回のあらすじママ友にわが子からインフルエンザを移されたと陰口を言われ…。喜びの登園から一転、地獄に突き落とされた私。担任の先生にも謝り…先生に言われたことで安心した私は、仲の良かった加奈子さんに声をかけたのですが…。そして涼子さんは、さらに私を追い打ちをかけるようにたたみかけてきたのです。私は、加奈子さんや他のママ友が誰もフォローをしてくれないことに打ちのめされました。特に加奈子さんとは良い関係を築けていると思っていたので、ショックも大きく…。ママ友の関係はこんな簡単に崩れるんだと思い知りました。みんな、わが子が可愛いからなのかもしれませんが、先生以外、誰一人として声もかけてくれない状況…。しかし、この時ある園児の一言が私を救ってくれることになろうとは思ってもいませんでした。次回に続く!※この漫画は実話をべースにしたフィクションです原案・ウーマンエキサイト編集部/脚本・ まるこ /イラスト・ ぺぷり 【同じテーマの連載はこちら】 その人って本当にママ友ですか? この連載の全話を見る >>
2020年12月15日12月に入り、風邪やインフルエンザが気になるようになりました。今年はさらに新型コロナウィルスもあり、免疫力への関心が高まっています。そこで、呼吸器内科のスペシャリストである池袋大谷クリニックの大谷義夫院長に免疫力のために何をしたらいいのかを聞きました。写真は少年サッカーのイメージ■これからの季節、まずインフルエンザの予防接種を医師である大谷先生は、たくさんの患者さんのために毎日診察にあたっています。そのため、自らが風邪をひいて診療ができなくなっては困ると、様々な体調管理を行っています。特に今年は風邪やインフルエンザに加え、新型コロナウィルの感染予防対策を取った生活をする必要がありますよね。読者の皆さん、お子さんたちに向けたアドバイスをいただきました。これからの時期、どうしても増える風邪やインフルエンザの予防についてお伺いすると、大谷先生は「インフルエンザの予防接種が基本のき」と答えます。例年と異なり、今年は発熱すると新型コロナウィルスを疑い、PCR検査となることもあります。そうすると、風邪やインフルエンザであっても、かかりつけの医者に診てもらえないこともあります。完全に予防することは難しいものですが、体調管理に注意して、かかっても重症化しないよう気を付けることはできます。そのため、まずはインフルエンザのリスクを減らすために予防接種をしておくとよいのだそうです。■免疫力とはそもそもどんな機能なのかマスク、手洗い、消毒に加え、入ってきてしまったウィルスを退治するために免疫を高めることが不可欠です。風邪やインフルエンザ予防でもよく聞かれる「免疫力」とは、ウィルスなどの病原体の侵入や増殖を防ぐ力のことで、じつは身長や体重のように明確に測定できるものではないそうです。この免疫力が下がることで病気が重症化しやすくなるので、体調管理のためには生活習慣などに注意して免疫を維持することが大事なのです。■免疫力をアップするには好きなことを楽しくすることがいい免疫力をアップ、維持するに必要なのはまず睡眠です。大人の睡眠では7時間睡眠に比べて、6時間を切ると風邪の引きやすさが4.2倍になるそうで、先生もそれについて書かれた論文を読んでから睡眠を6時間以上取ることを厳守されているそうです。必要な睡眠時間には個人差もあるので明確な基準や根拠はないのですが、目安として小学生年代は9~11時間程度の睡眠をとる事が推奨されていることが多いようです。さらに15分~30分のお昼寝をすると午後のパフォーマンスを上げることができます。寝ることができなければ、目をつむって脳を休めるだけでもOKだそうです。次に大切なのは食事。3食きちんと食べる事が大事です。どうしてもご飯や麺などの摂取が多くなりがちですが、炭水化物に偏ることなく、たんぱく質もしっかりと摂取してください。バランス良く食べることが大事で、炭水化物を避けるのも良くありません。ヨーグルトなど乳酸菌を摂って腸内環境を整えることも、免疫力アップが期待できる方法のひとつだそうです。そして適度な運動と、ストレスをためないこと。適度な運動の量は、人それぞれです。普段から運動をしている方にとっては15~20分のジョギングは適度な運動かもしれませんが、全く運動習慣がない方にとっては負荷が大きく適度とは言えないので、注意してください。ストレスをためないためには、好きなことをするのが一番。「楽しむことでさまざまな免疫細胞値が上がることがわかっています」と大谷先生。■免疫力キープのための4つのポイント・睡眠をしっかりとる・バランスの取れた食事・適度な運動・ストレスをためないサッカーが大好きな子どもたちにとっては、サッカーをするのが一番のストレス解消かもしれませんが、激しい運動をすると免疫力が下がることも確認されているので、サッカーの後はバランスのいい食事をして、たっぷりと睡眠をとるようにして、冬場の体調管理に努めましょう。後編では呼吸器の専門家でもある大谷院長に、喘息についてお話を伺いましたのでお楽しみに。大谷義夫(おおたに・よしお)医学博士、池袋大谷クリニック院長東京医科歯科大学第一内科、呼吸器科、睡眠制御学講座において21年にわたり内科疾患、呼吸器疾患、アレルギー疾患、睡眠医療に従事。2005年に東京医科歯科大学呼吸器内科医局長に就任。2009年に東京医科歯科大学呼吸器内科兼睡眠制御学講座准教授就任。呼吸器内科の専門医として2009年に呼吸器とアレルギー領域の診療に特化した池袋大谷クリニックを開院。「絶対に休めない医師がやっている最強の体調管理」「疲れやすい、痩せにくいは呼吸が原因だった」など著書多数。テレビなどのメディアでも呼吸器内科の専門家として医学的知見からアドバイスを送っている。(取材・文:前田陽子)
2020年12月15日ウーマンエキサイトの皆さま、こんにちは! 前回 、娘たちのインフルエンザワクチンの2回目を予約しようとしたところ、「今季分は受付終了」との答えが返ってきました。▼前回のお話 予約激戦!? インフルエンザワクチンの予約が取れなくて焦った話(前編)【ムスメちゃんとオコメちゃん 第94話】 いや、完全に甘くみてました…、リサーチ不足でした。焦って電話するも、すでに受付終了している病院がほとんど。小児科以外の病院は、通院している人限定や、大人のみというところも多かったです。そりゃそうだ…。姉に助けを求めて、穴場の病院を発見! なんとか娘たちの分を確保できました。あぁよかった!その間もずっとぶつぶつ言って落ち込んでいた娘たちでしたが、あと1回、何とか頑張ってもらおうと思います!ちなみに、私もその後無事、違う病院で接種できたのですが、私はなぜか「予防接種を受けた年に限ってインフルエンザにかかる」という法則(ジンクス?)を持っているので、今年は必ず回避して、ジンクスを断ち切りたい! 決意でこの冬を乗り切りたいと思っています! 皆さまもどうかお大事に!!
2020年12月12日コロナのワクチンに大きな期待が寄せられる中、開発競争の舞台裏を描くドキュメンタリーが進行していることがわかった。タイトルは『Race for the Vaccine』。製作するのはCNNフィルムズとBBC。監督は、元ウィルス学者でフィルムメーカーのイギリス人キャサリン・ゲールと、医療ジャーナリストでフィルムメーカーのアメリカ人ケイレブ・ヘラーマンが共同で行う。ナレーションは、CNNの医療コレスポンダントで医師のサンジェイ・グプタが担当する。来年春、アメリカではCNN、イギリスではBBC Twoが放映する予定。文=猿渡由紀
2020年12月11日ウーマンエキサイト読者の皆さま、こんにちは。暖かい秋だなぁと思っていたら急に寒さが厳しくなったりして、なんだかんだ冬になったことを実感しております。さて、冬といえば風邪やインフルエンザがはやる季節。わが家にはワクチンを打ってもなぜか毎年のようにインフルエンザにかかってしまう長女ムスメがいるので、重症化しないためにもワクチン接種が必須だと思っているのですが…。(ちなみに次女オコメは感染せず毎回陰性。不思議です)かかりつけ医は、予防接種類は全て専用の予約サイトを使っての予約方法でして…。まぁ予想通り、ちょっと大変でした。でも電話で戦うよりは楽かもしれないですね。(余談ですが、接種履歴や各子供たちの、現在予約可能な予防接種の一覧も見られたりします。便利な時代になりました…)娘たち…というか、長女ムスメは予防接種の予定を聞いてしまうと、いくら先でももうずっと気になってしまう性格で。これまでもなるべく前日または当日に伝えるようにしていたのですが、今回は速攻バレてしまいました。もうそこからは本当、毎日のようにため息をついていて…、いや~ごめん!(でもちょっとは忘れてもいいと思うよ!?)母、やらかしました。続きます。
2020年12月05日コロナから日常を取り戻すために、もっとも期待されているのがワクチンの開発。米国では12月中には接種が始まるという。日本にはいつ入ってくるの?最新事情を聞いたーー。「ファイザー が12月にも米国で承認されれば、年内は流行が深刻な米国と欧州に優先的に供給されるでしょう。海外で良好なデータが得られれば、年明け早々にでも日本国内での手続きが進むと思います」そう語るのは、米国国立研究機関の病理専門医・峰宗太郎さん。日本に供給される予定のワクチンは、米国の製薬会社であるファイザーとモデルナ、英国のアストラゼネカのワクチンで、3社から合計1億4,000万人ぶんを調達する予定だ。現在、日本国内ではファイザー、アストラゼネカが、第3相試験まである治験の第1、2相試験中、モデルナは準備段階だ。「今回は緊急性も要しているので、日本国内の治験は簡略化されるでしょう。新型コロナ治療薬として、抗ウイルス薬のレムデシビルがスピード承認されたように、海外の治験データが参考にされることになるはず。最短であれば、1月後半から2月前半くらいに承認されるのではないかと予想します。2月初めくらいから、まずは医療従事者や重症化リスクのある高齢者から摂取開始されるのではないでしょうか。ワクチン接種は公費負担される見通しなので、無料となる予定です」菅義偉首相(71)は「来年前半に国民全員の数量を確保」と語った。五輪前の6月ごろには国民に行き渡る見通しだ。ただ、注意したいのは接種開始となっても、直ちに日常が戻るわけではないということ。「接種者はある程度自由な行動が可能になると思われますが、未接種者はしっかりと感染対策をしなければなりません。日々の感染対策を行いながら、ワクチンによって地固めをしていくイメージです」また、開発されて間もないために、抗体がどれほど長く維持できるかも未知数だという。「1年に1回の接種なのか、数年に1回なのか、数カ月に1回接種する必要があるのかは、今後の経緯を見る必要があります」安全面、有効性を見ても、ワクチンがコロナ禍終息への希望の光であることは間違いない。しかし、現在の“第3波”はワクチンなしに乗り切らなくてはならない。「重症者数の推移を見ると、医療崩壊が現実的になってきました。個々の徹底した感染対策が求められます」「女性自身」2020年12月15日号 掲載
2020年12月03日コロナから日常を取り戻すために、もっとも期待されているのがワクチンの開発。米国では12月中には接種が始まるという。その有効性は?日本にはいつ入ってくるの?最新事情を聞いたーー。「米国製薬大手ファイザーが、FDA(米国食品医薬品局)に新型コロナワクチンの緊急承認申請を提出しました。順調にいけば、12月中に米国で接種が開始される見通し。これで良好なデータが示されれば、来年の東京五輪までに日本でワクチンが行き渡る可能性が高くなります」期待を込めて語るのは、米国国立研究機関の病理専門医・峰宗太郎さんだ。ただ、通常10年かかるといわれるワクチン開発が、わずか1年弱で承認されるとなれば、安全性が気になるところ。まずは日本に供給される予定の3つのワクチンの仕組みから、峰さんに解説してもらおう。米国の製薬会社であるファイザーとモデルナが採用したのはmRNAワクチン。「従来型のワクチンは、ウイルスの毒性を弱めた生ワクチン、“死んだ”ウイルスを利用した、不活化ワクチンなどを注射し、体内に抗体を作るという仕組みです。一方、mRNAワクチンは新型コロナウイルスの一部のゲノム情報を持った化学物質のみを注射して、体内で抗体を作り、本物のウイルスがやってきたときに戦ってくれるという仕組み。これまで、一部の研究分野でしか存在しなかった、新タイプのワクチンです」そのため、開発当初から安全性に関して不安視する専門家も多くいた。峰さんもその一人だった。「しかし両社で行われた4万人の治験者の中で、死亡者は1人も出ませんでした。副反応も軽い発熱、頭痛、倦怠感が主体で、従来のインフルエンザワクチンなどと大差ありません」一方、英国のアストラゼネカが採用したのはウイルスベクターワクチンだ。「まったく別のウイルスに、新型コロナウイルスのゲノム情報を埋め込み、体内で抗体を獲得するタイプです。ウイルスそのものを体内に入れるので、強く副反応が出ることが懸念されていましたが、治験データを見る限り、副反応はファイザーとモデルナのものと変わらず、現段階では大きな問題は見つかっておりません。個人的な感想ですが、どちらのタイプも、安全性は高いと考えています。もちろん、接種が開始されれば、大規模なデータを注視しなければなりません」安全性の次に気になるのは、その効果だ。「ワクチンの効果は有効率で表します。たとえばワクチンを打たない場合、100人中10人が発症するとします。一方、ワクチンを接種した100人だと1人しか発症しなかった。この場合、90%発症が減ったので、ワクチンの有効率は90%ということになります。ファイザー、モデルナのワクチンは有効率が約95%で、アストラゼネカは70〜90%と報告されています。インフルエンザワクチンが30〜60%なので、極めて高い有効性を示しています。また、ファイザー、モデルナの試験では、ワクチン投与群では重症者がいないことも確認されました。つまり、ワクチンを接種していれば、仮に感染をしても、重症化を抑制する効果があるのではないかと考えられているのです」数量に関しても、従来型のワクチンと異なり、合成が簡単で大量生産できるという。政府はファイザー、モデルナ、アストラゼネカの3社から合計1億4,000万人ぶんのワクチンを調達する予定だ。3社のワクチンとも2回接種しなければならない。ファイザーは1回目から3週間、モデルナは1回目から1カ月後に2回目を摂取することになるという。「女性自身」2020年12月15日号 掲載
2020年12月03日新型コロナとインフルエンザの同時流行が懸念されている今年の冬は、例年以上にインフルエンザの感染予防が重要になってきます。今回は今シーズンのインフルエンザ予防に関してお話しします。 今年は新型コロナとインフルエンザの同時流行のおそれあり新型コロナとインフルエンザ感染症は、どちらも呼吸器感染症です。症状の程度には個人差がありますが、発熱・咳・息切れまたは呼吸困難・頭痛など似たような症状が出るため、症状だけでは鑑別が難しいとされています。 そのため、これから流行の時期を迎えるインフルエンザと、新型コロナの同時流行に対する警戒感が医療現場でも高まっており、感染対策の強化と検査等の医療体制の備えが進められています。 妊婦さんや乳幼児、そのご家族は予防接種を!インフルエンザの予防といえば、予防接種を思い浮かべる方も多いかもしれません。今年のインフルエンザの予防接種に関しては、厚生労働省から重症化リスクの高い65歳以上の方を優先するよう要請がありましたが、10月26日からは誰でも予防接種を受けることができるようになりました。 インフルエンザに感染した場合、妊婦さんや乳幼児は重症化のリスクがあると言われています。インフルエンザの予防接種は「任意接種」ですが、インフルエンザの感染、万が一感染した場合の重症化を避けるためにも、厚生労働省では妊婦さんや乳幼児は早めに予防接種を受けるようすすめています。 新型コロナの影響がインフルエンザにも!?厚生労働省によると、インフルエンザの発生報告数は昨年の同時期に比べて大きく減少しています。これは新型コロナウイルスの感染拡大に伴なう感染対策がとられたことが影響している可能性があるとのこと。とはいえ、インフルエンザの流行期は11月〜12月ごろのため、引き続き注意が必要です。 感染予防のためには、やはり手洗いと手指衛生の徹底、マスクの着用が基本です。そのほか、3密空間を避けること、換気を図ること、体調が悪いときは医療機関に相談し指示を仰ぐことなど今までおこなってきた感染対策が重要になってきます。 日々増減を繰り返し、一向に収束の兆しの見えない新型コロナの感染。その一方で経済を回すためにさまざまなGo Toキャンペーンがおこなわれ、今の状況に慣れてきている人も多いかもしれません。しかし、これからどんどん寒くなっていくと新型コロナやインフルエンザの感染リスクは高まりますし、それ以外の感染症も増える時期になります。今一度、気を引き締めて感染対策に努めていきましょう。 監修者・著者:助産師 REIKO医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2020年10月29日これから寒い季節を迎えるにあたって、インフルエンザの感染も流行期を迎えます。今年は新型コロナウイルスの影響もあり、インフルエンザの予防は例年より重要性を増しています。今回は、今年の予防接種のスケジュールと助成についてお伝えします。 2020年は例年とスケジュールが変わる厚生労働省の発表によりますと、2020年のインフルエンザワクチンは過去5年間で最大量(約6300万人分)の供給を予定しているとのことです。 今年は新型コロナウイルスの影響もあり、原則として10月1日~10月25日までは、定期予防接種対象者である65歳以上の方(心臓、腎臓、呼吸器機能不全の60~64歳までの方を含む)を優先として予防接種をおこないます。10月26日以降にその他の方(特に妊婦さんや生後6カ月~小学校2年生までの乳幼児・児童)の予防接種をおこなうよう、厚生労働省は協力を要請しています。 しかし、実際は病院・クリニックごとの判断やワクチンの供給状況にもよります。すでにインフルエンザ予防接種の受付・予約をしているところも多く、すでに初期の予約が終わっている病院・クリニックもあるようです。また、クリニックによっては新規の受付はせず、一度は来院した人(診察券を発行されている人)に限定しているところもありました。インフルエンザワクチンが十分な効果を維持する期間は、接種後2週間程度~5カ月程度と考えられていますので、予防接種を希望される方は、早めに確認・予約をおすすめします。 インフルエンザ予防接種の補助についてインフルエンザの予防接種は治療行為でないため、健康保険の適用にはならず、病院・クリニックごとに費用が変わります。多くの場合、1回あたり3000~5000円であることがほとんどです。これを家族の人数分となると、それなりの出費となりますが、補助を受けられるケースもありますので、すべての方に当てはまるものではありませんが、主な助成についてお伝えしてまいります。 1.健康保険組合からの補助加入している健康保険組合(健康保険証に記載のある保険者または交付者)によっては、インフルエンザ予防接種の補助を行っているところがあります。対象者の範囲が被保険者(勤務している本人)限定のところと被扶養者(被保険者の扶養家族)まで対象にしているところ、金額も被保険者・被扶養者が同一の場合と被保険者と被扶養者で異なるところなどありますので、まずは、加入している健康保険組合のホームページや会報などを確認しましょう。 2.自治体からの助成一部の自治体では、乳幼児を中心としたインフルエンザ予防接種の助成をおこなっています。例を挙げますと、世田谷区では1~15歳のお子さんがインフルエンザ予防接種を受けた場合、接種1回あたり1000円の助成が受けられます。また、神戸市では1~12歳のお子さんがインフルエンザ予防接種を受けた場合には接種1回あたり2000円の助成が受けられます。すべての自治体で行っているわけではないので、お住まいの自治体のホームページや広報紙を確認しましょう。 3.その他一部のポイントサイトや、福利厚生のカフェテリアプランでインフルエンザ予防接種の割引や補助を受けることができます。加入しているポイントサイトや福利厚生のサイトを確認することをおすすめします。 なお、確定申告の医療費控除の対象に、インフルエンザ予防接種は該当しません。治療・診療に該当しないことが理由です。医療費控除の計算に含めてしまうと、後日修正を求められる可能性がありますので、注意しましょう。 監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2020年10月21日提供:株式会社 明治コロナ禍が起きた今年、以前より「家族の健康」に気をつけるようになったパパやママは多いかと思います。これから冬にかけては、インフルエンザなど感染症も流行する季節。「予防対策をしなければ」と感じている方は少なくないのでは?インフルエンザの予防接種にも、例年より関心が高まっている!?この傾向を裏付ける、最新の調査結果も出ています。それによれば、「今年はインフルエンザの予防接種を受けたい」と回答した人は、全体の7割。「去年受けていないけれども、今年は受ける」という人は、約41% にも上りました。(参照:2020年9月、明治による調査)。その理由のトップ3は、以下のとおり。第1位:インフルエンザを発症したくないから第2位:子どもにうつしたくないから第3位:新型コロナウイルスとの同時流行に備えたいからコロナ禍との同時流行を警戒する声は、やはりランクインしていますね。特に20歳代女性では「子どもにうつしたくないから」が第1位、30歳代男性では「配偶者/パートナーから強く言われているから」という回答も第3位にランクイン。在宅勤務や外出自粛で家にいる時間が増えている今、「子どものためにもしっかり予防接種をして備えておきたい」という思いが反映された結果となりました。併せて「配偶者/パートナーにインフルエンザの予防接種を受けて欲しいと思う理由」について尋ねた項目では、「子どもにうつしてほしくないから」が第1位。「コロナとの同時罹患」や「重症化」の心配、「家庭内感染」を危惧している人が多い傾向が読み取れます。感染症の流行に備えるには「乳酸菌」の摂取が有効!確かに、家族がひとりインフルエンザにかかると、次々とうつって”看病連鎖”となり、全員が治るまで大変な状況になりますよね……。とはいえ、予防接種をしても罹患してしまう可能性がゼロでないのは、皆さんもご存知のとおり。せっかく受けた予防接種の効果をできるだけ最大化させるには、「Lactobacillus bulgarucus OLL1073R-1(以下、乳酸菌1073R-1株)」の摂取が有効と言われていることをご存知でしょうか?乳酸菌1073R-1株を使用したドリンクヨーグルトを飲用することで、インフルエンザワクチンの効果に影響があるかを確かめた研究結果をご紹介します。健康な25〜59歳の男女62名が、インフルエンザワクチン接種の3週間前から、毎日112mlのドリンクヨーグルトの継続飲用を開始。プラセボ飲料(未発酵の酸性乳飲料)を飲用した方と比べ、乳酸菌1073R-1株を使用したドリンクヨーグルトを毎日飲用した場合、インフルエンザA型H1N1型、B型のワクチン株の抗体について高い抗体価を記録。乳酸菌1073R-1株が、“抗体価をより高めるための物質”として働いている可能性が高いことがわかった。(2013年-2014年、明治による調査)。 つまり、インフルエンザワクチンの効果をより高めるには、乳酸菌1073R-1株を継続的に摂取することで良い効果が得られるかもしれない、というわけです。詳しい試験概要についてはこちら:乳酸菌1073R-1株で、「風邪疾患のリスク」も軽減できるかも!?山形県舟形町に住む70〜80歳の健康な57名と、佐賀県有田町に住む、60歳以上の健康な高齢者85名を対象にして乳酸菌の免疫システムへの働きを調べました。対象者を乳酸菌1073R-1株を使用したヨーグルトを1日90グラム食べるチームと、牛乳を1日100ミリリットル飲むチームに分け、比較したところ、どちらの地域でも、乳酸菌1073R-1株を使用したヨーグルトを食べたチームの方が、有意に風邪罹患リスクの低減を確認できたのです。詳しい試験概要についてはこちら:ワクチン接種と乳酸菌で、今冬も家族みんな健康に! コロナウィルスとインフルエンザのダブル流行が囁かれている2020年の冬。これまでになく感染症対策をしておきたいと思われているご家族も多いと思います。インフルエンザワクチンの接種と乳酸菌の摂取で、家族みんなの健康が維持できるといいですね! 乳酸菌研究の詳細はこちらから! テキスト:外山ゆひら イラスト:ホリカン提供:株式会社 明治編集・運営:エキサイト株式会社(記事に関する問合せ: womanpr@excite.jp)
2020年10月20日新型コロナの陰に埋もれがちだが、インフルエンザのシーズンもすぐそこまで来ている。まだ流行の兆しは見られていないが、10月1日からインフルエンザ予防のワクチン接種が全国で開始。各地で予約が殺到しているという。「厚労省は高齢者や基礎疾患保有者、妊婦などに10月1日から接種を行い、それ以外の人は26日以降にするよう呼びかけています。しかし、新型コロナとの同時流行を懸念した人々が病院に詰めかけているといいます。岐阜県のあるクリニックでは開始初日に4時間で今季の枠800人分の予約がすべて埋まってしまったそうです」(医療ジャーナリスト)自身のクリニックでインフルの予防接種も行っている前出・筋野院長は危機感を語る。「今年、日本が用意したインフルエンザワクチンは6千300万人分だけなんです。例年だと約5千万人分ほどで、今年は増やしたもののそれでも総人口の半分。この状況ではいずれ不足するのは目に見えています」ワクチン争奪戦に敗れる人が続出することが予想されるなか、本誌は“3つの裏技”を入手した。筋野先生は言う。「“大きな病院に予防接種を打ちに行くなんて”と思っている人は多いので、大病院でたまに余っていることもあります。新規だと難しいかもしれませんが、ふだんから通院している人は、念のため打ってもらえないか聞いてみるのもいいでしょう」“穴場”は小児科だという。「13歳未満は2回打ちますし、子供と一緒に受ける親もいるので、小児科のほうがワクチンの本数が多いと思います。近所のクリニックが予約でいっぱいであれば、小児科へ問い合わせてみるのもいいかもしれません」(前出・筋野先生)とはいえ、子供がいなかったり、すでに大きく成長しているのに、大人が一人で小児科に行ってもいいものだろうか……。「普通の風邪のような症状などであれば小児科でも大人を受け入れていますから、基本的に大人だけでも受けられます。ただ、持病のある人は、必ず主治医か、かかりつけ医に予防接種しても問題ないか確認してください」(前出・筋野院長)大病院、小児科にもワクチンがない場合でもあきらめてはいけないというのはある内科開業医。「予防接種を予約していても、ほかの病院に行ったついでに接種してしまう人が案外いるんです。そういう人のワクチンが余ることがあるので、かかりつけ以外の病院にも電話で問い合わせてみることをお勧めします。余っているワクチンは必ずあるということです」“めげない心”がワクチン争奪戦を左右する鍵かも!?「女性自身」2020年10月27日号 掲載
2020年10月15日「気軽に専門家に質問ができて、さらに返信も早い」とママから日々感謝の声が寄せられているベビーカレンダーの人気コンテンツ【助産師に相談】の掲示板。そのなかから特に注目をあつめた質問の内容を一部抜粋してご紹介します。今回は赤ちゃんのインフルエンザの予防接種に関するご相談です。 Q.赤ちゃんもインフルエンザの予防接種は受けられる?生後7カ月の娘を育てています。今は、新型コロナウイルスで大変な時期ですが、これから寒くなるとインフルエンザが流行ってきます。赤ちゃんもインフルエンザの予防接種は受けられるのでしょうか? また、受けられるのあれば受けたほうがいいですか? 高杉絵理助産師からの回答これから冬になるとインフルエンザの心配も出てきますよね。原則的にインフルエンザワクチンの接種対象者は生後6カ月以上とされているので、質問者さんのお子さんは対象にはなってきます。日本で使われているワクチンは、まだ一度もインフルエンザにかかったことのない赤ちゃんに対しては免疫をつける力が弱く、実際に接種してもかかってしまうことがかなり多いようです。これは、ワクチンの問題であったり、赤ちゃんの免疫反応がまだ弱いことも理由の1つです。しかし、20〜25%程度の効果があると言われていて、一度接種しておくと、翌年にワクチンを接種したときに免疫ができやすくなるということもわかっているようです。なので、保育園などに通っている赤ちゃんは接種しておくのがいいと思います。また、小さな赤ちゃんのインフルエンザは、ほとんどの場合が家族から感染するので、赤ちゃんを守るためには、まずはご家族のみなさんがワクチン接種を受け、インフルエンザにかからないようにしておくことが大切かと思います。※参考:ベビーカレンダー「助産師に相談」コーナー※診断や具体的な治療については医師の指示にしたがってください インフルエンザ、「予防」がとても大切!インフルエンザは冬を中心に日本全国で流行する感染症です。毎年、本当にたくさんの人がかかりますし、まわりを見てみても「インフルエンザになっちゃった」と話つつ、今は元気で過ごしている人ばかりだとは思います。 ですが、インフルエンザには怖い合併症があります。一番怖いのは「インフルエンザ脳症」です。オーストラリアの研究(Pediatric Active Enhanced Surveillanceネットワーク) では、インフルエンザ脳症になるのはまれではあるが、かかってしまうと半数に障害が残るというデータがあります。また、脳症にかかった子でワクチンを接種していた子はいませんでした。他にも、肺炎、中耳炎などの合併症があり、「他の人もかかっているから、かかってもきちんと治る」というワケではなく、予防がとても大事です。 インフルエンザワクチンは効くの?インフルエンザワクチンは「接種してもインフルエンザになってしまう」と、あえて接種しない人も見かけます。確かに、インフルエンザワクチンは毎年有効性に差があり、かつ接種しても絶対にかからないことを保障してくれるものではありません。ですが、脳症の例にもあるように、重症の合併症の予防としてとても重要です。権威ある医学史『NEJM(ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン)』という雑誌でも、「昔日本で行われていたインフルエンザワクチン集団接種は、インフルエンザの死亡を明らかに減らしていた」と報告されていて、「ひとりでも多くの人が接種することで、周りにまでインフルエンザに対して予防ができる」ということもわかっています。 接種のしかた(1)生後6カ月以上3歳未満の方 1回0.25mL 2回接種(2)3歳以上13歳未満の方 1回0.5mL 2回接種(3)13歳以上の方 1回0.5mL 1回接種生後6カ月から8歳までは2回接種、12歳までは2回接種推奨です。生後6カ月から3歳未満は、1回につき大人の半分量を接種します。10月ごろに1回目を接種し、4週間以上あけて2回目を接種しましょう。 日本では、集団保育(保育園など)に行っている子は、生後6カ月から推奨。行っていない子は1歳から推奨、そして、0歳の赤ちゃんがいるご家庭は、家族がしっかり予防しましょう、と推奨されています。※参考:ニュース(ママネタ)「インフルエンザ予防接種を今すぐした方が良い理由【3児ママ小児科医直伝】」【著者:医師 保田典子 先生 小児科 | 医療法人アドベンチスト会東京衛生病院 小児科医師】
2020年10月01日まだまだ日本全国で感染者が増え続けている新型コロナウイルス。各地で重症者も増加するなか、待望されているのがワクチンだ。WHOによると、新型コロナウイルスに対するワクチンの候補は170品目以上あり、うち30以上が臨床試験に入っている。日本では、厚生労働省が8月7日に「英国のアストラゼネカ社が開発中のワクチンについて、1億2,000万回ぶん供給を受けることに基本合意した」と発表。早ければ、来年’21年初頭から、日本でも接種が開始されるというが……。「日本国内での治験を十分に行わず承認に踏み切った場合、重篤な副反応が問題になるケースも考えられます。アストラゼネカ社が開発中の『アデノウイルスベクターワクチン』は、“多少副反応が強くても、効果を重視する”というコンセプトワクチン。実際、公開されている治験結果を見ると、高い割合で副反応が出ているのです」そう警鐘を鳴らすのは、ナビタスクリニック川崎の医師で、『ワクチン診療入門』(金芳堂)の著書もある谷本哲也さん。拙速なワクチンの承認には、つねに安全性の問題がつきまとう。ロシアでは、国立研究所が「スプートニクV」という新型コロナへのワクチンを開発した。しかし、最終段階の臨床試験が終了して効果が証明されるのを待たず、接種を開始すると政府が発表。世界の専門家はワクチンの接種が、ウイルスの有害な変異を促す恐れがあると警告している。日本国内で採用される予定の「アデノウイルスベクターワクチン」についても、西村経済再生担当相が8月22日、《ワクチンの安全性、有効性は不明ですが、国民に必要なワクチン確保に全力を挙げる》とツイッターに投稿。これに対し、《国民相手に実験するつもり?》《“不明”ってどういうこと?》という声が寄せられているのだ。従来に比べ開発が早く、現在主流となっている“遺伝子組み換えワクチン”について、国立遺伝学研究所の教授・川上浩一さんはこう解説する。「遺伝子組み換え技術というのは従来のワクチンでも使われていました。従来のワクチンはウイルスの一部であるタンパク質を所定の製造工場で生み出し、それを人間に接種することで免疫を獲得するという仕組みです。しかし、アデノウイルスベクターワクチンは、人間の体自身をウイルスが持つタンパク質の製造工場に変えてしまうのです」同ワクチンが働く仕組みを、もう少しかみくだいて説明してもらおう。■アストラゼネカ社が開発「アデノウイルスベクターワクチン」の仕組み【1】新型コロナウイルスの表面にある「突起」(スパイク)のタンパク質から遺伝子を採取する。【2】チンパンジーから一般的な風邪のウイルス(アデノウイルス)の遺伝子を採取し、ヒトの体内で増殖しないように無害化する。【3】1で採取した遺伝子を再配列し、2のアデノウイルスに組み込むことでワクチンが完成する。このワクチンがヒトの細胞に入り込むと、抗体やT細胞などの免疫抗体が生成される。新型コロナウイルスに遭遇すると、抗体やキラーT細胞が召集されウイルスに取り付いて撃退する。「新型コロナウイルスが持つタンパク質の遺伝子を、『アデノウイルス』というチンパンジーの風邪のウイルスに組み込みます。それを人間に接種することで細胞内に取り込まれ、そこで新型コロナウイルスのタンパク質が作られるようになります。それによって、免疫を獲得しようという狙いがあるのです」(川上さん)大阪府の吉村洋文知事が治験に積極的になっているバイオベンチャー企業・アンジェス社と大阪大学が共同で開発中の「DNAワクチン」のほか、すでに日本が6,000万人分の供給を受けることで基本合意した米ファイザー社の「mRNAワクチン」なども、同じ遺伝子組み換えワクチンにあたる。川上さんは「短期間の治験で、億を超える数の人間に打つことは“壮大な遺伝子組み換え実験”に相当する」と警鐘を鳴らす。川上さんがとくに危惧するのは、一度人体に入ったウイルスやDNAが“どんな挙動を示すかわからない”という点だ。「アデノウイルスベクターワクチンとDNAワクチンは、遺伝物質であるDNAが私たちの細胞に取り込まれます。以前、難病患者に対して行われていた『レトロウイルスベクター』を用いた遺伝子治療では、白血病を高頻度で引き起こし、レトロウイルスベクターは使用されなくなったという事例がありました」川上さんは「可能性は低い」としながらも、アデノウイルスベクターの挙動によっては、がんやその他疾患のリスクもぬぐいきれないと話す。「今回のワクチンのように億単位の人が接種した場合、何が起こるかわかりません。人間の生殖細胞に入り込む可能性もまったくゼロとは言い切れない。そうなれば、次世代に引き継がれて生物の歴史に影響を与えてしまいます。ワクチンの安全性が高まるまで、まずは検査を拡大し、感染者を隔離することで感染拡大を止めるべきではないでしょうか」アストラゼネカ日本本社(大阪府)は本誌に対して「生殖細胞にウイルスベクターが侵入したりする懸念はないと考えている」と答えたが、“ゼロ”と言い切れないかぎり、そこにリスクはつきものだーー。「女性自身」2020年9月15日 掲載
2020年09月03日辞意表明の会見時、「冬の到来を見据えたコロナ対策を決定した」と語った安倍首相。全国民ぶんのワクチンを確保するとも報道されたが、専門家からは安全面を懸念する声がーー。まだまだ日本全国で感染者が増え続けている新型コロナウイルス。各地で重症者も増加するなか、待望されているのがワクチンだ。WHOによると、新型コロナウイルスに対するワクチンの候補は170品目以上あり、うち30以上が臨床試験に入っている。日本では、厚生労働省が8月7日に「英国のアストラゼネカ社が開発中のワクチンについて、1億2,000万回ぶん供給を受けることに基本合意した」と発表。早ければ、来年’21年初頭から、日本でも接種が開始されるというが……。「日本国内での治験を十分に行わず承認に踏み切った場合、重篤な副反応が問題になるケースも考えられます。アストラゼネカ社が開発中の『アデノウイルスベクターワクチン』は、“多少副反応が強くても、効果を重視する”というコンセプトワクチン。実際、公開されている治験結果を見ると、高い割合で副反応が出ているのです」そう警鐘を鳴らすのは、ナビタスクリニック川崎の医師で、『ワクチン診療入門』(金芳堂)の著書もある谷本哲也さん。拙速なワクチンの承認には、つねに安全性の問題がつきまとう。ロシアでは、国立研究所が「スプートニクV」という新型コロナへのワクチンを開発した。しかし、最終段階の臨床試験が終了して効果が証明されるのを待たず、接種を開始すると政府が発表。世界の専門家はワクチンの接種が、ウイルスの有害な変異を促す恐れがあると警告している。日本国内で採用される予定の「アデノウイルスベクターワクチン」についても、西村経済再生担当相が8月22日、《ワクチンの安全性、有効性は不明ですが、国民に必要なワクチン確保に全力を挙げる》とツイッターに投稿。これに対し、《国民相手に実験するつもり?》《“不明”ってどういうこと?》という声が寄せられているのだ。谷本さんによると、アデノウイルスベクターワクチンは、従来とはまったく異なるという。「従来のワクチンは、ウイルスの活性を奪って成分にする“不活化ワクチン”などが主流でした。いっぽうアストラゼネカ社が開発したワクチンは、最新のバイオテクノロジーを駆使し、遺伝子を操作したウイルスを成分に用いています。新型コロナについては、各社も新たな方法で遺伝子ワクチン開発に精を出している。ひとくちにワクチンといっても、従来型と遺伝子ワクチンは、ウーロン茶とコーラくらい大きな成分のちがいがあるんです」谷本さんはアデノウイルスベクターワクチンについて、「理論上安全とされているが、新しいワクチンなだけに未知数な部分が大きい」と語る。開発を急ぐあまり、本来の治験期間をかなり短縮しているという。「ワクチンは、接種してから約1週間以内でおもな副反応が生じますが、長期的な副反応もゼロではありません。ですから、治験では接種後も1年くらいかけて副反応に関するデータを集め確認するのが一般的なんです」アデノウイルスベクターワクチンは、短期的な副反応でさえ強く出ている。「公開されている論文を読むと、軽度から中程度の頭痛や発熱、筋肉痛、倦怠感などを訴える治験者が多数いる。こうした副反応を軽減するため、アセトアミノフェン(パラセタモール)という鎮痛剤を4,000ミリグラム(1日に投与できる最大量)も同時に投与しています。私もこの鎮痛剤を処方することがありますが、せいぜい3分の1の量を使う程度。欧米は、新型コロナの罹患率や死亡率が高いので、副反応が強くても効果を優先して治験を行っているのでしょう」厚労省は同ワクチンについて、海外で承認が下りれば国内での治験を省略できる“特例承認”も検討している。そうなると、日本での治験が行われない可能性も……。「たとえ欧米で重篤な副反応が出ていなくても、人種や体質の違いがある以上、国内でも数千人規模の治験は行うべきです。年齢層や基礎疾患の有無によっても副反応は異なる場合があります」とくに重篤な副反応が懸念されるのは、高齢者だという。新型コロナに罹患すると重症化しやすい高齢者ほど、ワクチンが必要に思われるのだが……。「いちばん心配されるのは『抗体依存性感染増強(ADE)』という事例です。これは、ワクチン接種によって得られた免疫が過剰に反応し、罹患したときにかえって重症化してしまうというケース。最悪の場合、死につながることさえあるのです」蚊が媒介する「デング熱」のワクチン接種プログラムを行っていたフィリピンでは、このADEによる感染の重症化が多発した疑いが強まり、ワクチンの認可が取り消された。アデノウイルスベクターワクチンにおけるADEの懸念について、本誌がアストラゼネカ日本本社(大阪府)に回答を求めたところ、「感染動物モデル(第1段階)において、ADEの兆候は認められていない」という返答が。「とはいえ、ワクチン開発は第1から第3段階まで、接種する量や回数、対象年齢などを変えて、早くても4〜5年、長い場合は10年以上かけて治験を行うのがふつう。デング熱ワクチンのように製造販売後に初めて重篤な副反応がわかるケースもあります。最終段階まで観察しても何が起こるかわからないからこそ、治験は慎重に進めるべきなのです」(谷本さん)取り返しがつかないことにならないよう、政府には慎重な見極めを求めたいところだ。「女性自身」2020年9月15日 掲載
2020年09月03日世界中で日夜、研究開発が続けられている新型コロナウイルスへのワクチン。日本も来年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、安倍晋三首相は開発が順調に進んでいることをアピールしていた。実際、日本での新型コロナのワクチン開発の状況はどうなっているのか。「いま最も注目されているのが、DNAワクチンです。これは、弱毒化したウイルスなどを使うワクチンとは異なり、ウイルスの遺伝子情報を体内に注入して、抗体を作らせようというもの。英米などで開発しているワクチンにくらべて安全性が高く、製造のスピードも断然速いといいます」(医療関係者)このDNAワクチンの開発に実際に携わるなど、日本のワクチン開発の最前線にいるのが、大阪大学大学院の臨床遺伝子治療学・森下竜一寄附講座教授だ。取材を申し込むと、「ADEのリスクについて、僕に聞きますか?」と苦笑いしつつも、真摯に応じてくれた。そもそも、ワクチンとは発症や重症化を予防するために投与する、弱毒化または無毒化した抗原のこと。あらかじめ投与して病原体に対する抗体を獲得しておき病原体が侵入してきても感染あるいは重症化を抑えられるという仕組み。しかし、本来はウイルスから体を守るはずの抗体が逆に細胞への感染を促進し、重症化を引き起こしてしまう現象がADE(抗体依存性感染増強)だ。「ADEというのは、どのワクチンでも起こるリスクはあります。デング熱のワクチンでは後に重症化することがわかり、使えなくなりました。ただし、実際に開発されたワクチンではほかにあまりそういった事例はありません。今回の新型コロナワクチン開発においてもADEの懸念はあります。厚労省も含め、ワクチン開発している研究者は、みんな気にしています。ADEのリスクは事前にはわからないのです。動物実験段階ではワクチンを打った動物を新型コロナウイルスに感染させますが、そもそも動物での感染モデルでは、大きな症状がないので重症化するかどうか確認できないかもしれません。少なくとも、従来行われたDNAワクチンの臨床試験ではADEが懸念されるデータは今のところないです」次のステップとなる人間への臨床試験はワクチン投与だけで、実際に感染させる実験は困難だ。「つまり、ワクチンが開発できても、投与した人が自然に感染するまで、ADEが起きるかどうかわからないということです。ADEのリスクは0.0何%といわれていますが、新型コロナの場合、高齢者や基礎疾患を持つなどハイリスクの人の致死率は10%を超えます。どちらのリスクを選択するか。危険性を十分認識したうえで、接種する人のリスクを検討する必要があると思います」現在、森下教授らが開発中のDNAワクチンはADE以外の安全性は既存の医薬品としての実績もあり、「基本的には安全性に関する問題は少ないと思います」と語る。「しかし、開発が成功しても早くて来春です。東京五輪までワクチンを国民全員が接種することは難しいと思います。到底、数が足りません。ですから、個人的にはハイリスクの人にまずは接種すればいいと思っています。たとえば、クラスターの起きやすい介護施設や医療現場で使えばいいのではと思っています。最終的には国が判断する話ではありますが……。今後、海外から人を受け入れ始め、大流行が起きたら医療崩壊のリスクもある。だからこそ、それまでに一つの選択肢としてワクチンは用意しておかなければいけません。そのため、本来ベストにするには3年ほしいですが、それでは遅いので、ベストに近いベターにしようと努力しています」現在、開発状況は「7合目」だという。東京五輪に向けワクチン開発を急ぐあまり、国民の安全を置き去りにしてはいけない――。「女性自身」2020年7月7日号 掲載
2020年06月25日「早ければ年末には接種できるようになるかもしれない」安倍首相は6月14日、米国・モデルナ社や英国・アストラゼネカ社と新型コロナウイルスのワクチンの交渉中と高らかに語った。「安倍首相はワクチンの開発が順調に進んでいると認識して、18日に予定どおり、移動自粛の全面解除を表明しました」(全国紙記者)だが、東京の感染者数は連日40人を超えるなど、コロナウイルスの脅威は全く収まっていない。「ウイルスは人が運んでいるものなので、人の往来が増えればまた流行するでしょう。本当に東京五輪を開催するなら、世界中から人が日本に来ます。それを受け入れるためには集団免疫が重要。その鍵がワクチンなのですが、このワクチンに重大なリスクがあることはあまり知られていません」そう語るのは、『人類対新型ウイルス私たちはこうしてコロナに勝つ』(朝日新書)の日本語版補遺を執筆した、科学・医療ジャーナリストの塚崎朝子さんだ。「各国がワクチン開発に急ピッチで取り組んでいますが、実は抗体依存性感染増強(以下、ADE)という現象が重大な問題となる可能性もあります」そもそも、ワクチンとは発症や重症化を予防するために投与する、弱毒化または無毒化した抗原のこと。あらかじめ投与して病原体に対する抗体を獲得しておき病原体が侵入してきても感染あるいは重症化を抑えられるという仕組みだ。「しかし、本来はウイルスから体を守るはずの抗体が逆に細胞への感染を促進し、重症化を引き起こしてしまう現象がADEなのです。同じコロナウイルスが病原体のSARSやMERSでは、ワクチンの動物実験でADEが確認され、ワクチン開発は断念されました。ワクチンを打ったにもかかわらず、ウイルスに感染して、より重症化するということが起きたのです」ADEのメカニズムはまだ不明だが、今回の新型コロナウイルスのワクチンの実用化に向けても、ADEが懸念されているという。「通常、ワクチンの開発には何年もかけて効果と安全性の検証を行います。今回のワクチンは世界中で臨床試験に入っており、信じられないスピードです。日本でもいろいろハードルを下げ短期決戦で挑んでいますが、安全性の担保とのせめぎ合いでもあります」また、病気の治療薬とは違って、ワクチンは“健康な人”に打つ点も十分に考慮されるべきポイントだという。「今後、新型コロナワクチンが開発されれば、高齢者や基礎疾患のある人から投与が始まるでしょう。効果的で安全なワクチンならいいのですが、有害なワクチンを使ってかえって健康を害するということだけは避けなくてはなりません」ADEを引き起こすなど、ワクチン接種で重症化という副反応が生じる恐れがあるのだ。東京五輪に向けワクチン開発を急ぐあまり、国民の安全を置き去りにしてはいけない。「女性自身」2020年7月7日号 掲載
2020年06月25日例年、5月のゴールデンウイーク(大型連休)は実家に帰省する人が多くいますが、2020年4月現在新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)が流行していることから帰省を悩んでいる人がいるといいます。政府は移動を伴う帰省の自粛を求めていますが、「自家用車ならいいだろう」と思っている人も多いようです。ブログなどで、育児に関する情報を発信している、ワーキングマザーのみみたぶタレ代(@MimitabuTareyo)は、正月の帰省によって起きたインフルエンザの家族間感染のエピソードをTwitterに投稿。帰省することによって家族に感染が広がっていく怖さを説きました。【漫画】大型連休に帰省先の実家で家族間感染が起きてしまった話(3-4/4)※GWではなく正月・新型コロナウイルスではなくインフルエンザの家族の感染ですまだコロナが流行る前のことでした。情報が混沌とする今日この頃ですが、この経験を教訓に、周囲や家族の身を守る行動を心がけます。 pic.twitter.com/yLhST9xXgF — みみたぶタレ代@ワーママ育児漫画 (@MimitabuTareyo) 2020年4月19日 投稿者さんは、帰省前にマスクをしたり予防注射をしたり対策はしていたもののインフルエンザに感染。家族の7割にあたる5人にインフルエンザをうつしてしまいました。さらに、実家のある地域ではウワサが瞬く間に広がってしまったというのです。投稿者さんは、自分の帰省がきっかけで家族の誰かが重症化してしまったり、介護施設に広げてしまったりするのが怖いと説明。漫画を読んだ人たちからも、帰省によって広がる感染に恐怖を抱いていました。・帰省にいろいろな理由はあると思うけど、コロナウイルスが流行している間はやめたほうがいい。・同じ経験をしたことがある。自分は大丈夫だと思っている人に読んでもらいたい!・帰省したい気持ちは分かるけど、明日は我が身。帰省する人の中には「直接会って顔を見せたい」「田植えを手伝いたい」など、実際に帰省しなければできないこともあるでしょう。ですが、大切な人を守るためにも「自分は関係ない」と思わず、ゴールデンウイークは自宅で過ごし、コロナウイルスが落ち着いたらまたゆっくり帰省して家族の時間を過ごしていたいですね。投稿者さんは、ブログでも子育てやワークライフバランスに関する数多くの作品を公開しています。気になる人はチェックしてみてください。とある共働き夫婦のワークライフバランス戦記[文・構成/grape編集部]
2020年04月28日定期予防接種の1つであるHibワクチン。ワクチンに添付されている注射器の針にサビが発生し、製造販売会社が1月28日以降、出荷を一時見合わせていたため、ワクチン不足となっていました。2月25日、厚生労働省はサビが発生した原因の調査結果と今後の見通しについて公表しました。 サビの原因は?製造販売業者は、調査等の結果、注射器の製造などに問題は認められず、今回のできごとは複数の要因が重なることにより偶発的に発生したものと結論づけました。これをふまえ、製造販売会社は出荷前の検査を強化するとしています。 また、厚生労働省は製造販売業者に対し、抜本的な解決に向けて必要な対応をおこなうよう指導したとのことです。そして自治体に対して、Hibワクチンを取り扱う際は引き続き目視などで異常がないか注意深く確認すること、サビが発生したものの使用を避けるよう、関係団体や医療機関に周知するよう伝えています。 ワクチン不足はどうなった!?今回の調査を受けて、ワクチンの供給不足は解消されるとのこと。3月は 57.1 万本の供給を予定しており、2019 年の実績(28.5万本)と比較しても、今後、十分な量のワクチンが供給される見込みだそうです。 万が一、サビが発生した注射針を使用した場合の影響については、局所的な炎症性反応(注射したところが赤くなる、痛みが生じる、熱を持つ)などが生じる可能性は否定できないものの、全身性又は重篤な健康影響が生じる可能性は低いとしており、今のところ、健康被害の報告はないとのことです。 今回不足したHibワクチンは、Hib 感染症に対して日本国内で承認されている唯一の予防接種ワクチンです。ワクチン不足の影響を受けて予定通りに予防接種ができなかった……という方もいらっしゃるでしょう。スケージュール通りに予防接種ができなかった場合でも、定期接種が可能な期間であれば、引き続き定期接種としての接種が可能とのこと。今後の予防接種のスケージュールはかかりつけの小児科医に相談しましょう。ワクチン不足が解消されて一安心ですね。 ■参考:厚生労働省「乾燥ヘモフィルス b 型ワクチン(破傷風トキソイド結合体)(販売名:アクト ヒブ)の供給遅延の解消について」 監修者・著者:助産師 REIKO医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2020年03月03日こんにちは。東京衛生病院小児科の保田典子です。私生活では7歳、5歳、4歳の子育て中です。インフルエンザの流行期の今、「インフルエンザ脳症」について知っておいていただきたいことをお話したいと思います。 忘れられない「インフルエンザ脳症」の思い出私は元々小児科医なのもあって、ワクチンはきちんと打つ派でしたが、以前体験したエピソードから、さらにワクチンの大切さを思い知った出来事があります。それは、2歳の女の子で、インフルエンザ脳症になってしまった症例でした。インフルエンザ脳症になる前は飛んで跳ねて駆けまわっていたであろうその子は、病室で鼻からチューブを入れて栄養をとっていました。担当ではなかったため、その後、その子がどうなったか詳しいことはわからないのですが、その姿が衝撃的で、インフルエンザ脳症の恐ろしさを痛感したのでした。 インフルエンザ脳症についてインフルエンザ脳症は、日本では毎年60〜100人くらいが発症しています。多くは小児ですが、大人でも発症しています。インフルエンザの流行にともなって、インフルエンザ脳症の発症も増えます。 インフルエンザ脳症の症状インフルエンザ脳症の症状は、発熱、意識障害がメインで、その他にけいれん、異常行動、嘔吐などがあります。0〜4歳ではけいれんが多く、5〜19歳では頭痛や嘔吐、成人では髄膜炎様症状になることが多いようです。死亡率が高いインフルエンザ合併症で、死亡率30%、後遺症率25%と言われています。よく10歳以上で問題となりやすい異常行動ですが、どの年齢にも起こりえます。10歳以上だと行動力があるので、家から飛び降りたりできてしまう分、結果として痛ましい結果になることがあるため、注意を呼びかけられています。そして、異常行動とインフルエンザ脳症は区別しきれないのが実情で、異常行動が出たからといって必ずしもインフルエンザ脳症であるというわけではありません。インフルエンザ脳症の異常行動、意識障害は一過性(1時間以内)ではなく、長く続くとされています。短時間の意識障害などは心配いらないことが多いのですが、再発して脳症となることもあるので、解熱するまでは気を抜かないで観察してあげることが重要です。 インフルエンザによる意識障害や異常行動は? この他にも、明らかにいつものお子さんと違うおかしい症状が出るので、見ればすぐにわかると思います。 異常行動を見たらインフルエンザ自体は脳に影響を及ぼすことが多いので、インフルエンザ脳症ではなくても異常行動がでるお子さんはたくさんいます。30分くらいでおさまってしまう異常行動は様子を見ていても大丈夫ですが、不安であれば病院に相談してみましょう。#8000や救急外来をしている病院に電話相談をしてみることもできます。看病のコツとしては、一般的な風邪の看病と同じで大丈夫ですが、①異常行動が続かないか②けいれんをしていないか③脱水症状を起こしていないかに気をつけましょう。 解熱剤や熱性けいれんの予防をしているお子さんは、予防薬などを使って大丈夫です(逆に、けいれん予防をしている子はしっかり予防薬を使いましょう)。 異常行動の対策、どうすればいい?厚生労働省から、インフルエンザにかかったときの具体的な対策法が発表されています。 ◆原則 ※これまでにも注意喚起を行っている内容抗インフルエンザウイルス薬の種類や服用の有無によらず、インフルエンザと診断され治療が開始された後、少なくとも2日間は、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮することを原則とする旨の説明に加え、次の注意喚起の例が考えられます。 ◆小児・未成年者が住居外に飛び出ないための追加の対策(例)(1) 高層階の住居においては、例えば、・ 玄関及び全ての窓の施錠を確実に行うこと(内鍵、補助錠がある場合はその活用を含む。)、・ ベランダに面していない部屋で療養を行わせること、・窓に格子のある部屋がある場合はその部屋で療養を行わせること、等、小児・未成年者が容易に住居外に飛び出ない保護対策を講じることを医療関係者から患者及び保護者に説明すること(2) 一戸建てに住んでいる場合は、例えば、(1)の内容のほか、出来る限り1階で療養を行わせること インフルエンザ脳症とインフルエンザワクチンインフルエンザワクチンは、接種しても発症してしまうことがあることから、あえて接種しないという方もいます。集団接種があった時期(1960〜70年代)よりも現在、ワクチンの接種率は下がっています。そのため、インフルエンザ脳症で死亡する小児や、インフルエンザにより死亡する高齢者が増えたというデータがあります。多くのインフルエンザ脳症に関する論文を見てみると、インフルエンザ脳症になった症例で、インフルエンザワクチンを接種していた例はほとんどありませんでした。これが「インフルエンザワクチンを接種しよう!」と、いつも思っている理由です。インフルエンザのワクチンは生後6カ月から接種でき、インフルエンザ脳症など重症の合併症の予防としてとても効果的です。インフルエンザ脳症になる確率は高くはありませんが、もしかしたら、自分の子がインフルエンザ脳症になってなってしまうかもしれない。確率は関係ないと思うからです。 死亡率30%、後遺症率25%と言われるインフルエンザ脳症。みなさんもどうか、お子さんにインフルエンザ脳症にならせないためにも、まずはインフルエンザワクチンをしっかりと接種し、お子さんを守ってあげてくださいね。 監修者・著者:医師 東京衛生アドベンチスト病院 小児科医師 保田典子 先生2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。2021年春、高円寺こどもクリニック(仮称)開設予定。
2020年02月24日冬は風邪が流行する季節。しかし、わが家では風邪でもインフルエンザでもない3種類の感染症にかかってしまいました。冬のいろいろな感染症が流行する時期にかかると、病気の判別が難しいものです。わが家が冬にかかった感染症体験を予防も含めてお伝えします。 娘2人が突発性発疹! 熱が下がると発疹!わが家の娘2人ともが、たまたま冬に突発性発疹にかかりました。ちょうどインフルエンザの流行期と重なり、症状としても高熱が3日ほど出るという状態でとても似ていました。1人目のときは焦って発熱後2日目の朝に病院へ行き、インフルエンザは陰性だったものの何の病気かわからず、かつ病院でもインフルエンザの罹患者が多かったので院内感染も心配でした。熱が下がって発疹が出てから突発性発疹だとわかって安心できましたが、発疹による不機嫌さに閉口しました。 夫が溶連菌感染症に! 子どもにも感染!夫が「のどが痛くて高熱で調子が悪い」と言って、病院で診てもらうと溶連菌感染症でした。高熱が続くことからインフルエンザの検査を受けに行ったのですが、のどが腫れて耳が痛いということから念のために医師が検査をし、原因が判明しました。その後、私も子どもたちも調子が悪くなり、念のため病院に見てもらうと同じ溶連菌感染症でした。抗生物質を2週間ほど飲み続けなければならず、完治するまでが長くて大変だったのを覚えています。 家族全員が胃腸炎! 感染症の予防法は?ウイルス性胃腸炎は2月ごろにかかりました。子どもたちが最初にかかり、その後夫や私もかかってしまいました。下痢・嘔吐で体力の消耗も激しく、大人もつらかったです。そして、家事や育児などを手伝いに来てくれた祖母にまで感染が広がってしまい、申し訳なく思いました。原因はおむつ処理後の手洗いや、おむつ替えの場所や替え方に問題があったかなと思っています。途中から、子どもたちのおなかの調子が悪そうなときは手洗いを徹底したり、自分も予防のために使い捨てのゴム手袋をするようになりました。そして、感染防止のためにおむつ処理はゴム手袋で、飲食などの際は必ずしっかり手洗いして消毒をするようになりました。そのおかげか、その後は特に大きな感染症にかからず過ごせています。 これらの感染症に家族でかかった結果、予防としてはいずれの感染症もまずはウィルスや菌を体内に取り込まないようにすることが大切だと感じました。わが家では飛沫感染する病気の場合は、感染した人もしていない人もマスクをして、できるだけ別の部屋で生活するようにしています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKO著者:小川かなえ2歳の双子姉妹の母。東京郊外在住。元保育士、不妊治療を経て妊娠出産。子連れハイキングやキャンプなどアウトドアも再開。現在は親子の森のようちえんを運営し、地域や自然とともに子育てをしている。
2020年02月22日赤ちゃんの予防接種は生後2カ月から実施可能になっていますが、さまざまな種類を複数回接種する必要があり、スケージュール管理に頭を悩ませるママもいらっしゃるかと思います。ですが、今、あるワクチンが不足しているという話をご存知でしょうか? 不足しているワクチンって?今回、ワクチン不足が問題になっているのは、Hib(ヒブ=インフルエンザ菌b型)による感染症を予防する「Hibワクチン」です。 Hibワクチンは定期予防接種の1つです。生後2カ月~5歳の誕生日前日まで接種でき、標準的なスケジュールでは、4~8週間隔で3回、3回目から7カ月~13カ月以上あけて4回目を接種します。この予防接種を受けることで、重篤なHib感染症にかかるリスクを95%以上減らすことができると報告されています。 Hib感染症とは?Hibはヒトからヒトに飛沫感染し、特に乳幼児で発生に注意が必要であると言われています。名称に「インフルエンザ」とついていますが、季節性のインフルエンザとは別のものです。 Hibに感染しても症状が出ない場合もありますが、肺炎、敗血症、髄膜炎、化膿性の関節炎などの重篤な病気を引き起こすことがあります。そして、これらを起こした子どものうち3~6%が亡くなり、特に髄膜炎の場合は、生存した子どもの20%に難聴などの後遺症を残すと言われています。 Hib感染症の予防接種は受けられないの?Hib感染症の予防接種に使われるワクチンが入った注射器の針にサビが発生し、製造販売会社が1月28日以降、出荷を一時見合わせているとのことです。現在、原因の調査中で、今月末までに製品の出荷を再開するか、製造販売会社と厚生労働省が判断するそうです。 また、厚生労働省は、ワクチンが不足しやむを得ない場合には、特に医師が必要と認める場合などを除き、可能な限り1回目および2回目の接種を優先することとしています。 新型コロナウイルスによる感染症が広がりつつあるなか、予防接種が受けられないとなると不安も増してしまうかもしれません。まずは、月末の報告を待つしかないという状況ですが、今後の情報に留意し、予防接種のスケジュールなどはかかりつけの小児科に相談しましょう。 監修者・著者:助産師 REIKO医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2020年02月18日「風疹や百日咳は子どもの病気だと思っていませんか。実は大人もかかるんです。原因は小さいころに打ったワクチンの効果が薄れることにあります」こう話すのは、医療ガバナンス研究所の理事長で内科医の上昌広さん。小学生のころ、はんこ注射などの予防接種を受けた覚えのある人は多いだろう。でも、大人になってもう一度接種した人は少ないのではないだろうか。「平均寿命がまだ短かった昭和の時代なら、子どものときだけでよかったかもしれませんが、長寿社会の現代では通用しません。年齢を重ねるごとに、帯状疱疹(水ぼうそう)や百日咳、破傷風の抗体は減少します。50代以降は感染症の種類によっては、予防接種を受けていない人もいて、より感染リスクは高い。だからこそ“大人の予防接種”が必要なのです」そこで上先生に、50代以上こそワクチンを接種して予防したい感染症を教えてもらった。■百日咳「読んで字のごとく、約3カ月間、咳が続きます。国立感染症研究所(感染研)によると、’16年に感染した2,835人のうち25%は20歳以上。3週間咳が続いている人の約2割は百日咳が関与しているという報告もあります」グローバル化した現代では海外からの持ち込みもあるという。「世界全体の患者数は年間1,600万人。感染力も強く、流行するリスクはつねにあります」ワクチンの効果は4〜12年で下がるといわれている。「米国では成人にも接種が推奨されています」■帯状疱疹原因となるウイルスに初感染すると、全身に発疹が出る水ぼうそうになります。成人は子どもよりも重症化しやすく、髄膜炎や肺炎などを引き起こすこともある」1度かかった大人は感染しないと思っている人は多いが……。「ウイルスはずっと神経に潜んでいて、体内の抗体が減ると、再び暴れだし、激しい痛みをともなう帯状疱疹を引き起こします。抗ウイルス薬で治療しますが、痛みを抑えるのは難しい」50代以上に多く、80歳までに3人に1人が経験するとされるが、ワクチンで予防できる。「米国では有効なワクチンが開発されて、接種希望者が急増。品薄状態にまでなっています」■ジフテリア「鼻や耳などから感染した細菌の毒素が全身に回ると、心筋炎を発症することがあります。毎年の罹患者数は多くないですが、死亡率は約10%と、感染すると命に関わります」年齢が上がると、ジフテリアに対する免疫力は下がりやすく、感染研の報告では40歳を境に、予防に十分な量の抗体を持つ人の割合を示す抗体保有率が低下する。「米国では破傷風と同様、10年に1度の予防接種を推奨しています。40〜50歳をめどに検討してみましょう」■風疹「大人が発症しても症状は軽いですが、妊婦が感染すると、胎児に障害を引き起こすことがある。空気感染で、保菌者が少し離れた部屋にいてもうつります」米国の研究では、定期接種を2回行った子どもでも、成人になる前にワクチンの効果が薄れることが報告されている。「日本では30〜40代を中心に予防接種を受けていない人や1回のみの人がいます。今からでも遅くはないので、まずは不足分の接種をしてはどうでしょうか」紹介した感染症の予防接種はすべて成人でも受けられる。しかし、費用は自己負担しなければならない。「米国では成人も保険適用でほとんどのワクチンを接種できますが、日本はまだ、そこまで制度が充実していません。ただ、たとえばインフルエンザと3種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風)ワクチンを同時に打っても負担額は1万円程度。これで重篤な感染症を予防できると考えれば、高すぎるものではありません」自分だけではなく、大切な家族への感染を防ぐためにも、予防接種を検討してみよう。「女性自身」2020年2月18日号 掲載
2020年02月06日