高等教育無償化の一環として、来年より施行される大学無償化法。金銭面で大学進学をあきらめていた人も、このニュースを聞いて、進学への希望が見えてきたのではないでしょうか?ぜひ支援を申し込みたい、という方もいらっしゃるでしょうね。でも、今年高校3年生で来年大学へ進学する場合、手続きはもう手遅れなのではないでしょうか。また、どうやって申請したらいいのかよくわかりませんよね?そこで、この記事では応募時期についてや、支援の対象となる条件、また申請方法について解説していきます。ただし、まだ制度が始まったばかりですので、まだはっきりとはわからない部分もあります。その部分に関しては「まだ未定」などと明示してまいります。ぜひ最後までご覧ください。申し込みはいつからいつまで?応募時期についてまずはじめに、この法律で支援を受けるためには、そもそもどういうタイミングで申し込めばいいのでしょうか?高校3年生が適用を受けようと思ったら、いつまでに応募をしなければいけないのか、気になるところですね。ということで、以下で応募をする期間について見て行くことにいたします。高校3年生の場合ということで、まずは気になる高校3年生の申し込みのタイミングについて述べていきます。大変残念な話ですが、2019年に高校3年生の方の2020年大学入学時に関する申込については、すでに終了しています。「なんだ、もう間に合わないのか」とがっかりするかもしれませんが、まだあきらめてはいけません。大学入学後にも申し込みのチャンスがありますので、そこで応募しましょう。なお、今高校2年生以下の方、またはその保護者の方のために、今年のスケジュールを参考までに下記に示しておきます。7月頃申請9月20日対象となる大学等が公表12月頃結果通知4月支援開始ただし、これは今年の場合ですので、来年以降変わるかもしれません。応募時期については、高校等に確認して最新情報を入手しておきましょう。高卒認定試験合格者等の場合高校に通わずに、高卒認定試験に合格した方も、この制度の対象になります。ただし、こちらについても今年度の応募は終了していますが、進学後の申し込みは可能です。なので、支援を受けたい場合には、進学先の学校の奨学金担当窓口に問い合わせてみましょう。浪人生の場合大学受験に失敗して浪人生をしている場合、これ以上親に迷惑をかけたくないのでこの制度を使ってみたいですよね。ただ、浪人をした場合でも応募できるのかどうか不安です。高校とも縁が切れているので(特に地方から都会に出て下宿しながら浪人している場合)、くわしい情報も入ってきませんしね。実は、2浪までなら支援を受けることができます。「浪人は2浪まで」というのが国の方針のようです。ただ、浪人中に余計なことに気をつかうことはおすすめできません。また、一生懸命調べて申し込んでも肝心の大学に落ちてしまったら本末転倒です。ここは、進学後に手続きをするのが無難でしょう。大学生の場合ということで、今大学に通っている在学生の方でも支援を受けることが可能です。ただし、申込スケジュールについては、まだ始まったばかりということもあり、あまり公式に明確な情報は出ていません。「各学校にお問い合わせください」というのが答えのようです。なので、興味のある人は、学校側に連絡を取ってみましょう。対象となる条件とは?大学無償化法にもとづいて行われる様々な金銭的援助は、2019年の消費税増税の分があてがわれることになっています。なので、無尽蔵ではありません。申し込んできた人は誰でも恩恵が受けられる、ということにはならないわけです。したがって、そこには一定の制限がかけられています。以下では、そのあたりのことついて説明していきます。年収と資産に関する制限についてまずは、所得制限と資産制限が設けられていて、お金のある家庭の子供はこの制度を受けられないようになっています。所得に関する制限については、年収にかかる住民税が基準になっています。その中で、基準が3つに分けられていて、住民税100円未満:全額支援住民税100円~25,600円未満:2/3支援住民税25,600円~52,300円未満:1/3支援となっています。詳しくは、日本学生支援機構「奨学資金シミュレーター」を参照願います。また、資産に関する制限については、下記の通りとなっています。収入のある人が家庭に2人いる場合:2,000万円以下収入のある人が家庭に1人いる場合:1,250万円以下成績や意欲に関する条件についてまた、支援を受ける本人の成績や学習に対する意欲で、制限が設けられています。まあ成績はともかく、意欲なんてどうやって判定するのかと思ってしまいますよね?どうやら、下記のようになっているようです。高校3年生:評定平均3.5以上で、進路指導等で学習意欲が見られる者、または3.5未満の場合はレポートや面談で学習意欲が見られる者大学1年生:高校の評定平均3.5以上かつ学習計画書で学習意欲を判断、または入学試験の成績が入学者の1/2以上、高卒認定試験の合格者で学習計画書で学習意欲を判断大学2~4年生:成績のGPAが1/2以上かつ標準単位数以上の単位取得、学習計画書で学習意欲を判断これをみると、今後まだまだ変更の可能性がありそうですね。高校3年生なんて、成績は結局関係なくて、教師の匙加減一つで判断されそうです。まあ、高校の成績は、あまりあてになりません。3年にもなると、受験勉強に重きを置いて、それ以外は手を抜いたりしますしね。ただ、中身はどうあれ、このように基準を設定しておくのは意味がありそうです。私が大学に入学した時、同級生で奨学金をもらっている人がいたのですが、「奨学金がもらえる」と自慢げに吹聴して、毎日授業にも出ず、ゲームセンターに入り浸っていました。あのような人を出してはいけません。国籍や在留資格に関する制限についてまた、日本人の収める税金で援助を行うわけですから、外国からこのお金をもらうために大学に入学するような人は困るわけです。ということで、国籍などについても条件がつけられています。日本国籍を持っている人永住者等このようになっています。支援が打ち切りになる場合とは?ただし、一旦支援がもらえることになっても、のちの状況で打ち切りになってしまうことがあります。まず、高校時代は学習意欲があり援助が決定されたが、大学進学後意欲がみられなくなった場合があります。または、退学や停学、取得単位が不足している場合。あるいは大学で取得した成績の評価が低い場合もあります。要するに、真面目に勉強していない学生は援助しない、ということですね。先に述べた、奨学金をもらっていた同級生ですが、留年してしまいました。その後お金に困っているようでしたので、「奨学金はどうした?」と聞くと「止められた」とのことでした。自業自得かもしれません。どうやって申請するの?申請方法についてこれまで述べてきた様々な制限について理解をした上で、「それらはクリアしている。どうしても申請して援助を受けたい」と考えている方もいらっしゃるでしょう。そうした方のために、具体的な申請のやり方について説明していきます。ただし、今後色々と変更がありえます。なので、現状では高校や大学などの学校に問い合わせをするのが一番確実といえます。[adsense_middle]高校3年生の申請の流れこれにつきましては、先ほどスケジュールのところで今年の例をおおまかに紹介しておきました。申請の流れとしては下記のようになります。ただ、何度も述べている通り、最新情報は学校などに問い合わせることをおすすめします。大学在学生の申請方法続いて、在学生の場合です。まだまだ変わるかもしれませんので、参考にご覧ください。授業料等の減免と奨学金という支援がある先ほどから支援と申し上げてきましたが、具体的にはどのような援助があるのでしょうか?それは、「授業料等の免除」と「奨学金」という2つの柱によって構成されています。まず、授業料への援助は、そもそも大学に入学するための学費というハードルを下げることにあります。また、奨学金は、大学入学後の生活を助けるためのものです。この2つを助けてもらえるのであれば、学生生活がかなり楽になりますね。国公立と私立で支援内容に差がある?そうはいっても、国公立と私立とでは学費にかなりの差があります。なので、支援金額も私立の方が多くなっています。これは、私立の方が得、というわけではありません。事実、入学金は国公立はこの援助でほぼ無料になりますが、私立では全額カバーはできません。出費に見合った援助、ということになります。まとめ:大学無償化法の手続きについて大学無償化法の手続きについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?大学無償化法による支援の申し込み時期や申請方法については、自分で判断してあきらめる前に学校等に問い合わせてみることが大事です。ただし、援助を受けるには条件があることも忘れないようにしましょう。あなたや、あなたのお子さんが希望通り進学できることを願っております。
2019年12月14日皆さま、ごきげんいかがですか。男の墓場プロダクションの劔樹人と申します。普段はマンガを描いたり、バンドをやったり、ハロー!プロジェクトの応援をしたりしながら、家のことや育児を主に担当する主夫として生活しています。今回は、わが娘の教育にまつわるエピソードです。■2歳でひらがなをマスター!? 友人の子どもに衝撃!今年の夏のある日、大学の友人の家に娘と遊びに行って驚いたことがある。その家には、うちの子より月齢が2ヶ月下の同じ2歳の子がいるのだが、字が好きらしく、もうすっかりひらがなをマスターしていたのである。普段、発達の速さをよその子と比べるような子育てをまったくしてこなかった私だが、文字がわかることは単純に世界が広がることでもある。これはいいなと思ってしまった。しかし、その子の父親は、私の当時の友人界隈(かいわい)の中でもとびっきりの賢さで、今は東京大学で准教授か何かをやっている人物だ。そんな友人の子どもなのだから、普通に天才幼児なのかもしれない…。 ■私が始めた教育とは…いろいろ調べたところ、ひらがなを覚えるのは4~5歳が多いようだ。それ以前は、子どもは文字をそういう形としてしか認識しないため、興味を持たないと難しいというのが、いま教育者のなかで言われている考え方らしい。なので、無理はせず、とりあえずお風呂に50音表を貼ってみた。自分の名前や、お友達の名前、娘の好きなものの名前などから文字を教えていくと…少しずつだが覚えてゆくではないか。もちろん形で認識しているので、字によって好みがある。しかし、文字に興味があることはわかった。■ひらがなで世界が広がったわが子。しかし…楽しそうに字を見る姿から、世界が広がる楽しさが伝わる。これはいくつになっても同じことだ。ちなみに、早い段階で文字を覚えさせても、その後の発達にとくに影響しないという話も本で読んだ。うちの子はたまたま文字が楽しくて覚えただけだが、その「楽しさ」は大切にしたい。これからも、この子には学ぶ楽しさを感じられる教育ができたらいい、と思ったのだった。ただ、文字を覚えて世界が広がったことで、いつもの道が罠(わな)だらけになってしまったのも事実なのである。
2019年12月03日プログラミング教育の必修化はいつから?小学校のプログラミング教育は、2020年4月から「全面実施」となります。一部の学校ではすでに取り入れられていましたが、2020年からは文部科学省の新学習指導要領にしたがい、すべての小学校で取り入れられることとなるのです。中学校では現行の学習指導要領でも簡単なプログラミング教育は必修でしたが、2021年からはさらに本格的なプログラミング教育が始まることが決まりました。技術・家庭科(技術分野)においてプログラミングに関する内容を充実させることが決定しています。プログラミング教育が本格化することで、今後は高校入試でもプログラミングに関する問題が出ることが予想されています。知っていた?プログラミング教育、これは勘違い!「プログラミング」という科目が新設されるわけではない「国語」や「算数」などのように「プログラミング」という科目が新設されるわけではありません。現在の各教科の中に、情報技術を活用した学習が組み込まれます。【新学習指導要領の例示】・算数(5年生)プログラミングを通して正多角形をかく・理科(6年生)電気の性質を利用した道具をプログラミングを通して学習する他にも「情報化の進展と生活や社会の変化」「情報技術をいかした生産や人の手によるものづくり」などを全学年を通して総合的に学んでいくことになります。各教科とは別に、実際にプログラミングを体験してプログラミングの楽しさや達成感を味わう学習も始まります。学ぶのは専門的なスキルではなく「考え方」プログラミング教育では、専門的なプログラミング言語の習得を目指すわけではありません。今後のIT社会に必要な「プログラミング的思考」を身につけるのが目的です。プログラミング的思考とは、自分が「こうしたい」という動きを実現させるために、どういう動きの組み合わせが必要で、それらに対応した記号をどのように組み合わせていくかを論理的に考えることを指します。プログラミング的思考を学ぶ過程で、子どもたちは自然とプログラミング言語を覚えたり、プログラミングのスキルを身につけたりしていくことになります。実際の学習事例は?具体的にはどのような授業が始まるのでしょうか。ここでは新学習指導要領に例示された内容を見ていきます。【算数】プログラミングを通じて正三角形をかく【目的】コンピューターで正三角形をかく【学習の流れ】・コンピューターには正三角形をかくという命令は入っていないため、コンピューターに用意されている命令を組み合わせて、正三角形をかく必要がある・紙で作図するときの手順をパソコンで命令する・コンピューターに用意されている命令「長さ○cm 進む(線を引く)」「左に○度曲がる」などを組み合わせていく・順番に命令を組み合わせていくなかで修正、改善・正三角形ができたら「正三角形をかく」プログラムが完成正三角形をかくプログラミングの例としては、「ペンを下ろす」→【「長さ100進む」「左に120度曲がる」】を3回繰り返すなどが考えられます。このような授業によって、図形に関する数学的な知識を活用しながら試行錯誤するプログラミング的思考が身についていきます。【音楽】リズムやパターンを組み合わせて音楽をつくる【目的】リズム・パターンを組み合わせて音楽をつくる【学習の流れ】・プログラミング言語、創作用ソフトなどを用いる・教師が用意しておいた「ドンドン」「ドンドコ」「ドドンコ」といったリズムやパターンを実際に表現する・リズムやパターンを組み合わせていって、まとまりを意識した音楽をつくる・つくった音楽を実際に自分たちで演奏するつくった音楽を聴くなかで「これは意図した音楽ではない」「もっときれいな音楽を作りたい」という意見が出てきます。これが、問題を発見する・解決するといった「プログラムの変更」にあたります。音楽表現を高めると同時に、プログラミング的思考をみがくことができる学習です。プログラミング的思考を身につけよう現代の子どもたちが大人になるころには、IT化によって働き方が大きく変わるといわれています。小さいときからコンピューターを理解し活用する力を身につけることは、将来の可能性を大きく広げてくれるでしょう。プログラミングに詳しいママやパパもいれば、「プログラミングを教えることなんて自分にはできない」と不安に感じるママやパパもいるでしょう。しかし、小学校での必修化のメインはあくまでも「プログラミング的思考を学ぶこと」。プログラミング言語などの専門的なスキルの習得が目的ではないことがポイントです。必修化に向けて準備しておきたい場合は、プログラミング教室や子ども向けのプログラミング教材の利用を検討してみても良いですね。子どもと一緒に未知の分野に挑戦する姿勢で、親子で楽しんでみてはいかがでしょうか。
2019年11月26日ベビーカレンダーをご覧のみなさま、こんにちは。高齢育児中のイラストレーター、やましたともこでございます。 ちょっと遅れてしまいましたが、いよいよ10月から幼児教育・保育の無償化が始まりましたね。わが家では次女のKTが認可保育園の5歳児なので無償化の対象なのですが、残念ながら手放しに「無償化=0円だ!いぇ〜い!」とはならないことが判明してしまいました……。 今までは、(A)大阪市に保育料(一部の副食代含)(B)保育園に給食の主食代や絵本代などと、2箇所に保育関係の費用を支払っていましたが、無償化に伴い(A)の大阪市に支払う保育料が無料になりました。いえ〜い!ありがとうございます〜!! が……保育料が無料になった代わりに、今までは補助が出ていた「給食の副食代」が有料になり(B)の保育園に支払う費用が月々4,500円増えました。 ちなみにこの給食の副食代、残念ながら次女KTの園では「保育料<給食の副食代」という方程式が当てはまる家庭が多いことが判明!保育料は収入によって違っていたのですが、給食の副食代はリッチでセレブなご家庭でも、わが家のようなギリギリな家庭でも全員一緒です。 つまり〜!!次女KTの通ってる園では、収入が少なければ少ないほど今回の無償化によるダメージは大きかったのであ〜ります。パピーちゃん(←保育料の支払い担当)残念〜!!もともと通う園や住む場所によって様々な違いがある幼児教育……この無償化についても、世間の認識とは違い支払いが逆に多くなってしまった家庭、ほんまに少なくなって助かってる家庭、色々あるんだろうなと思います。実際、同じマンションに住む幼稚園に息子(5歳)がいる友だちはトータルでは支出が若干減ったと言ってました。 あなたの園はどうですか?無償化意外にトリッキ〜 イラストレーターやましたともこの「脱力系ゆる育児日記」は、毎週2回お届けしています! 著者:イラストレーター やましたともこ高知県生まれ大阪市在住。お固い系の商社で働いた後に大胆転職。グラフィックデザイナーを経てイラストレーターに。おんなこどもをメインターゲットにヤングでゆるめなイラスト描いてます。HP:「やましたともこのホームペー痔」
2019年10月23日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「幼児教育・保育の無償化」です。無償化が先か全入化が先か。親が働ける環境を。10月より消費税が10%となり、増えた税収は、未来への投資として、「幼児教育・保育の無償化」が始まることになりました。対象になるのは、すべての3~5歳児と、住民税非課税世帯の0~2歳児。認可外の保育施設やベビーシッターもこれに含まれます。歓迎すべきことですが、いくつか問題もあります。まず、保育所などに入っていない子供たちは対象外。都市部ではまだ、待機児童問題が根強くあり、入園を諦めていた家庭が、無償になるのならと、新たに申請が増える可能性があります。そのため、無償化よりも、全員が入園できるように、待機児童問題を先に解決するべきではないかという声もあがっています。ただ、全入化のために保育所の数を増やす、というのも容易にはいきません。なぜなら、今後子供の数は減っていきます。保育所を新設したものの、利用者が減り、将来、保育所が余ってしまう心配もあるからです。保育所設置の規制を緩和して、会社のなかに保育所を置く、「企業主導型保育」を増やす案もあります。しかし、満員電車に小さな子供を連れて通勤できるものでしょうか?最も不安視されているのは保育の質です。保育士の数は慢性的に不足しており、待遇もよくありません。数が足りていないと、保育士1人当たりの面倒をみる子供の数が多くなり、安心して預けることができません。これだけ働き方改革、一億総活躍が謳われるのであれば、安心して子供を預けられるよう、保育士の待遇や保育環境の改善をしっかりやらないといけないのではと問題提起もされています。長期的な計画になりますが、雇用の流動性を高めて、在宅ワークやワークシェアリングをもっと進め、働きながら、家で子供も育てられるようにする、というのも一つの解決策になるのかもしれません。子育ては日本の将来に関わる問題です。自分に子供がいる、いないにかかわらず、社会全体で子供を育てるという姿勢は必要だと思います。無理して保育所などに預けなくても、必死に働かなくても、安心して子供を産める、子育てだけはできる、そんな国であってほしいと思います。堀潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げる。9月、3つ目の新会社「わたしをことばにする研究所」を設立。※『anan』2019年10月9日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年10月07日子どもの習い事は低年齢化し、2~3歳から幼児教室に通う子もいるようです。幼児教育がどのようなものか知らないという人も多いでしょう。そこで、幼児教育の目的や注目される理由、始める時期について紹介します。おすすめの習い事もチェックしましょう。幼児教育はいつから始める?子どもが幼稚園に入る頃になると、周りで幼児教室に通い出す子が増えてくるでしょう。わが子も幼児教育を始めた方がよいのかと焦ってしまいますよね。まずは幼児教育を始める時期について押さえましょう。そもそもの目的幼児教育とは、『幼児の成長に合わせた遊びを通して、楽しみながら一人一人の個性を伸ばしていく教育のこと』です。幼児教育にはさまざまな種類がありますが、遊びを通して『感情』『言葉』『協調性』という人格形成の基礎を養います。『遊びながら』『無理強いをさせない』のがポイントです。遊びからたくさんの刺激を受けることで得意なことを増やし、学ぶ意欲を育みます。探求心や好奇心を育てることで思考力も高くなり、小学校入学後も授業をきちんと理解できるようになるでしょう。一般的には3歳から5歳幼児教育を始めるのは、3~5歳が一般的です。人間の脳の基礎は、5歳までにほとんど完成してしまうといわれています。この時期までに、たくさんの物事に興味を持ち、好きなことに夢中になる体験をしておくことが大切です。ドキドキ・ワクワクといった体験を通して、創造力や集中力を持続させる脳の基礎ができあがります。また、『ゴールデンエイジ』という言葉を聞いたことがあるでしょう。子どもの運動能力が著しく発達する時期のことで、4~8歳までが『プレ・ゴールデンエイジ』、9~12歳までが『ゴールデンエイジ』、13~15歳までが『ポストゴールデンエイジ』と呼ばれています。『プレ・ゴールデンエイジ』期には約80%の神経系が発達するため、さまざまな動きを経験して脳を刺激することが大切なのです。子どもが楽しいと思える頃がベスト幼児教育を始めるのは、子どもが楽しくできそうだなと思ったタイミングがベストでしょう。早い方がよいのかというと、そうとも言い切れません。子どもが小さいうちは、習い事をさせるのも親主導です。親が頑張って習い事をさせても、子どもが関心を示さなければ意味がありません。子どもが興味を持って楽しんで幼児教育に取り組めることが大切です。早期教育とは違うの?幼児教育と早期教育、似ている言葉ですがそれぞれ目的が違います。早期教育はどのようなことをいうのでしょうか。詳しく見ていきます。早期教育の目的早期教育とは、『未就学の子どもを対象に算数・読み書き・英語・音楽などの専門的な教育を行うこと』を指します。保護者の方針で行われる性格が強いのが特徴です。市販の教材やカリキュラムを活用してIQを重視した能力の開発をメインに行い、『優秀な人材育成』を目指します。得意分野や記憶力を伸ばし、早くから子どもの才能を引き出すことができるのがメリットです。乳幼児期に必要な遊びや運動などを取り入れることもありますが、『豊かな人間性の形成』を目的とした幼児教育とは違うものと考えられるでしょう。親も一緒に楽しむことが大切早期教育に熱心になるあまり、親の考えや期待を子どもに押し付けないようにしましょう。子どもと一緒に親も楽しむ気持ちを持つことが大切です。脳の能力が高い幼少期のうちにたくさんの刺激を与えることで、子どものIQ向上や才能の開花が期待できます。しかし、親がのめり込みすぎると、レッスンが親同士の競争の場になりかねません。また、早期教育を子どもに無理に押し付けることで親への信頼感が損なわれてしまうでしょう。この時期に築かれた親子の信頼感は、子どもが社会性・協調性を身に付けていく土台となります。子どもの様子を確かめながら、親子で楽しむことを優先にするとよいでしょう。おすすめの習い事・種類今は0~6歳までの子どもの半数以上が習い事をしている時代です。数え切れないほどの種類の習い事がありますが、その中からおすすめの習い事を種類別に紹介します。体づくりにつながる 水泳運動系の中でも特に人気なのが水泳です。0歳から始めることができて運動神経や心肺機能が鍛えられます。全身を使って泳ぐため、しっかりと体力が付いてくることでしょう。また、小さい頃から水に慣れておくと、幼稚園や小学校に上がっても水泳の授業で困らないこともメリットでしょう。水に抵抗を感じないことで自信を持ち、泳ぎの上達にもつながります。一般のプールのように親が一緒に水の中に入らなくてよいのも人気の理由の1つでしょう。早く始めた方が有利? 英語2020年には小学校での英語教育が必修になるため、早い時期から英語を学ばせた方がよいと考える家庭が増えています。乳幼児期は音や言葉に対する感受性が高い時期です。小さい頃から英語に親しむことで、英語を聞き取れる『英語耳』になったり、正確な発音ができるようになったりするという効果が期待できます。また、同じ教室に友達ができて、協調性やコミュニケーション能力も身に付きやすくなります。英語に抵抗を感じる前にレッスンに通うと、歌や遊びを通して英語を楽しいと思うようになり、自然と身に付いていくでしょう。考える力を付ける 幼児教室幼児教室には『IQを高める教室』『幼稚園や小学校受験対策の教室』とさまざまなタイプがあります。どちらも目指しているのは『自分で考えられる子』にすることです。脳の神経細胞は6歳までに約90%が完成するといわれています。この時期にしっかり考える力の素地をつくることで、『自分で考える力=思考力』が身に付くのです。きちっとした勉強ではなく遊びを取り入れた学習内容なので、子どもも楽しみながら通えるでしょう。また、同じクラスのママと話すことで、育児の悩みや疑問が解消するきっかけになりますよ。幼児教育を始める上での注意点「子どもの可能性を広げてあげたい」と、幼児教育を検討している家庭も多いでしょう。幼児教育を始めるときに気を付けたいポイントを紹介します。楽しむことが重要、無理をさせない幼児教育を始めるときには、子どもに無理強いをしないことが必要です。まだ自分で意思決定ができない幼児期は、親が主導してさまざまなことを決めることになります。子どものためを思って教室に通わせても、子どもが無関心であれば意味がありません。我慢することが多いとストレスとなり、心身の発達に影響を及ぼすだけでなく、学力低下につながりやすくなります。周りが順調にやっているからと焦らず、興味を持たなければいったん辞めさせてみるのも手です。子どもの様子を見て決めるようにしましょう。体験レッスンに参加してみるのもおすすめです。ほかの子と比べないわが子とほかの子を比べないことも大切です。幼児教室に通っていると、つい同じクラスの子と比較してしまうこともあるでしょう。自分の子どもが周りよりも遅れていれば焦りを感じてしまうかもしれません。しかし、子どもの成長や能力は一人一人違います。最初はゆっくりでも途中で追いつく子もいれば、別の分野では誰にも負けないという子もいます。子どもが楽しめるのが1番と考え、ゆったりした気持ちでいろいろなことに挑戦しましょう。子どもはとても敏感です。親の焦りや期待を感じ取って、習い事を嫌がるようになる可能性がありますよ。効果的な教育で子どもの未来を開いて子どもはたくさんの可能性を秘めています。わが子の才能を伸ばしてあげたいと思うのは当たり前の親心でしょう。幼児教育を受けることで可能性が広がり、人間性も豊かになります。楽しく習い事に通うためには、子どもの気持ちを受け止めてあげることが必要です。子どもをしっかりサポートして、やりたいと思う気持ちを育んであげましょう。
2019年09月26日2019年10月から実施予定の『幼児教育無償化』について、制度の基本的な概要や対象年齢・施設ごとに詳しく解説します。幼児教育無償化はいつから始まるの?『幼児教育無償化』について気になっている人も多いのではないでしょうか?注目度の高いこの制度について、基本的な点からチェックしていきましょう。2019年10月から幼児教育無償化の開始は『2019年10月』を予定しています。幼児教育無償化の政策そのものは2017年に閣議決定されてから、幾度となく議論が交わされてきたものです。実際に耳にするようになったのは最近のように感じますが、長い年月をかけて実現に向けて動いてきた制度なんですね。制度の概要幼児教育無償化の主な概要は以下にまとめられます。幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する3歳から5歳の全ての子供たちの利用料が無償化されます。0歳から2歳児の子供たちの利用料については、住民税非課税世帯を対象として無償化されます。幼稚園、保育所、認定こども園に加え、地域型保育(小規模保育、家庭的保育、居宅訪問型保育、事業所内保育)、企業主導型保育事業(標準的な利用料)も同様に無償化の対象とされます。出典: 幼児教育の無償化に関する住民・事業者向け説明資料 一口に『幼児教育無償化』といっても、0〜5歳の子どもの全員が『完全無償』になるということではありません。年齢や対象施設によっては家庭からの出費がある場合がありますが、いずれのケースにおいても現時点でかかっている利用料からは軽減される可能性が高いでしょう。新法案の目的注目度の高い新制度である『幼児教育無償化』の実施目的は、主に2点で構成されています。人格形成の基礎となる幼児教育の重要性少子化対策を含む家計への負担軽減日本では経済格差による貧富差が進み、幼児全員が平等に教育を受けづらくなっていることが現状です。また、少子化が加速している現状を改善していくために設けられた制度ともいえるでしょう。子どもを育てていく上ではなくてはならない『教育費』を国が負担・助成することで、日本の未来につなげていく新法案です。対象となる条件について『幼児教育無償化』は、子ども全員の利用料が完全無償となる制度ではありません。対象となる子どもの年齢や施設などの条件によって、助成額が異なります。どのような条件があるか、詳しくチェックしていきましょう。主な対象は3歳から5歳児『幼児教育無償化』の主な対象となるのは『3~5歳まで』の子どもです。0~2歳までの子どもについても対象となりますが、『住民税非課税の世帯のみ』利用料が軽減されます。保育の必要性があることが大前提『幼児教育無償化』は、ただ待っているだけで全員が恩恵を受けられるという制度ではありません。この制度を受ける大前提として、家庭ごとに各自治体から『保育の必要性』を認めてもらう必要があります。『保育の必要性』の主な認定条件となる項目は以下です。家庭環境親権者の就労状況など『家庭環境』とは、父母がそろっているか、母子または父子家庭かといった家族構成です。また、親権者の年収や就労状況も、『保育の必要性』の判断項目として設けられています。また、『保育の必要性』は認められたとしても『認可施設』での幼児教育が認められるかは別であることも留意しておきましょう。理想としては幼児全員が完全無償の対象となることですが、その未来には遠いことが現状です。自分の家庭がどのケースとなるかは、自治体ごとの判断になります。施設ごとによる助成の違い『幼児教育無償化』は、子どもの年齢によって助成内容が異なると思われている人も多いかもしれませんが、子どもの年齢に加えて『施設』によっても内容が異なります。施設ごとの助成の違いをチェックしてみましょう。認可保育園・認定こども園の場合続いて、国が定めた基準を満たした園のみが対象となる『認可保育園』および、各都道府県で認定された幼稚園・保育園の機能を併せ持つ『認定こども園』での助成金を紹介します。認可保育園:無償認定こども園:無償『認可保育園』と『認定こども園』は、子どもの年齢が3~5歳までであれば『無償』となります。ただし、各市町村や自治体によって細かな規定が異なり、詳細が全て確定しているという段階ではありません。上記に当てはまる場合でも保護者会などで事前確認はしっかりと行いましょう。幼稚園・預かり保育の場合幼稚園では教育費(25,700円)と預かり保育費用(11,300円)を合わせて月額37,000円を上限に助成が受けられます。バス送迎などの費用は対象外となります。預かり保育費用は、11,300円を上限に認可外保育施設やベビーシッターなども対象となります。私立幼稚園の場合は?幼児教育無償化制度には『私立幼稚園』も含まれます。しかし、私立の場合は幼稚園や保育園が独自に利用料を設定していることから、この制度を受けて利用料の増幅が見込まれる園もあるため注意しましょう。『私立幼稚園』での上限額は以下です。認可私立幼稚園:37,000円認可外幼稚園(無認可幼稚園)については制度の条件が複雑であり、場合によっては制度の対象外となる場合があります。各幼稚園や保育園では、新制度に向けた保護者説明会が設けられていることが多いため、具体的な条件や基準について気になる人は、担当者に判断を仰ぎましょう。無償化の対象外になる物とは幼児教育無償化制度は、幼稚園や保育園にかかる利用料の全額が無償となるものではなく、あくまでも利用料の『一部』が助成されることがポイントです。どのようなものが無償化の対象外となるのでしょうか?入園料・給食費などは基本的に実費『幼児教育無償化』が適応されるものは、主に『教育費』です。そのため、『教育費』以外の幼稚園や保育園でかかる『入園料』や『給食費』などは実費となり、すべての利用料を国が負担するものではないことを覚えておきましょう。幼稚園・保育園で年間にかかる費用を計算した際に、確かに『教育費』が大きな割合を占めますが、入園料や給食費以外にも『学校外活動費』なども発生することが多いようです。『幼児教育無償化』という名前であるため、全額無償のように聞こえてしまいますが、『一部の費用を負担してくれる』という認識の方がよいでしょう。各種学校や夫婦どちらかが専業の場合幼児教育無償化制度は、3~5歳までの年齢の子どもであれば全員助成金が出るのではなく、家庭状況などの条件に当てはまった人のみに適応されます。そのため、その条件に当てはまらない場合には、幼児教育無償化制度の『対象外』となってしまうため、事前の確認が大切です。特に注意が必要なケースを以下からチェックしてみましょう。認可外幼稚園・保育園私立幼稚園夫婦いずれかが専業どの項目も、「制度が受けられない!」ということに直結するわけではありませんが、やや条件が複雑化してしまうことが現状です。自分の家庭が対象となるか、所属している幼稚園では対象になるのかどうかについては、各幼稚園や自治体でしっかりと確認しましょう。幼児教育無償化の疑問点さまざまな観点から『幼児教育無償化』について紹介しましたが、疑問が残る人もいるのではないでしょうか?疑問が生まれやすいポイントに絞って、幼児無償化制度について解説します。0歳から2歳までの対象世帯『幼児教育無償化』の主な対象となる子どもの年齢は『3~5歳まで』です。そのため、テレビやインターネットから集める情報も3~5歳までの子どもを持つ家庭に向けた内容になっているものが多く、不安に思われているかもしれません。『0~2歳まで』の世帯については、条件を満たせば『幼児教育無償化』の対象となります。ただし、0歳から2歳までの子どもについては『住民税非課税』の世帯が対象となるため、制度を受けられる子ども・世帯の数はあまり多くはないことが予想されます。住民税非課税世帯であることが前提となりますが、そのほかの条件や詳細が気になる人は、まずは各自治体に問い合わせてみましょう。6歳以上は年齢より年長で決まる制度にまつわるさまざまな資料に、必ず記載されてあることは『対象年齢は3~5歳までであること』という点です。「子どもの誕生日によっては6歳である場合、制度が受けられないのかな…?」と不安に思われるかもしれませんが、6歳以上の場合は子どものクラスが『年長』か否かで判断されるため安心しましょう。分かりやすくするために『3~5歳』としていますが、早生まれなどももちろん加味した上で制度は適応されます。無償化の財源は増税による税収から幼児教育無償化制度が始まる2019年10月は、消費税が10%に上げられるタイミングでもあることを知っている人も多いのではないでしょうか。実際に、その財源となるのは『増税による税収』です。子どもを持つ家庭にはとてもうれしい制度の『幼児教育無償化』ですが、時を同じくして別の部分からお金が出ることも改めて理解しておきましょう。事前に条件を把握しておこう『幼児教育無償化』は、非常に注目度の高い政策です。ただし、『無償化』という名前が付いていますが、幼稚園や保育園でかかる費用が全額無償になるということではありません。また、子どもの年齢や施設によって、条件が細かく分かれるため、条件をしっかりと確認しておくことが大切です。
2019年09月26日幼い子どもへの英語教育には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。それぞれ詳しい内容をチェックして、子どもが自然と英語に親しめる環境作りのヒントにしましょう。英語を上手に学べる具体的な方法も紹介します!幼児に英語教育をするメリット幼児向けの習い事の中でも、近年特に人気を集めているのが『英語』です。しかし、幼児に英語を学ばせる理由について、明快な答えを持っている人はそう多くありません。まずは、幼児に英語教育をするメリットから詳しく確認していきましょう!発音が上手にできるようになる『臨界期』という言葉を聞いたことはありますか?これは『人間の脳において、ある特定の能力を習得できる限界のタイミング』のことで、言語分野においては7歳ごろがこの臨界期にあたるといわれています。つまり、『臨界期仮説』によれば、人がある言葉を習得するには7歳までにその言語に触れ、耳を慣らす必要があるということです。多くの日本人は、英語の『L』と『R』の音を聞き分けられないといわれています。しかし、臨界期を迎えるまでに英語に親しんだ子どもは、この『L』と『R』の聞き分けもごく自然に行えるのです。コミュニケーションとしての英語を身に付けてほしいと願うのであれば、臨界期前の幼児の時期から英語に触れさせることが重要といえるでしょう。幼児期はスムーズに学びやすいタイミング『スムーズに学べる』というのも、幼児に英語教育をするメリットの1つです。幼児期の子どもには、学ぶことに対して「イヤなこと」「つまらないこと」という固定概念がありません。新しいことを吸収するのが大好きで、何でも積極的に取り組んでくれるでしょう。全く同じことを学ぶとしても、ワクワクした気持ちで取り組むのと、イヤイヤ取り組むのとではその成果は大きく変わります。どんなことにも前向きに取り組める幼児期は、英語教育を始めるタイミングといえるでしょう。多様性を身に付けることにもなる英語を学ぶメリットには、『多様性が身に付く』というものもあります。人が外国語を学ぶとき、学んでいるのは『言葉』だけではありません。自覚のあるなしにかかわらず、その言葉のバックグラウンドである文化や歴史・概念についても同時に学んでいるものです。世界の人口およそ70億人の内、1/4にあたる17.5億人が話す英語は、世界で1番話されている言葉として知られています。そんな英語を幼児期から身に付けることは、多様性を受け入れ、グローバルな視野を持つ人物になるための大切なステップといえるでしょう。反対にデメリットもある?幼児期からの英語教育については、いくつかデメリットも指摘されています。客観的な視点で是非を判断するためにも、その詳しい内容をしっかりと確認しておきましょう!英語と日本語が混ざってしまうことも幼児期からの英語教育のデメリットに、『英語と日本語が混ざってしまう』というものがあります。これは、母国語である日本語がまだおぼつかない段階で英語学習をスタートすることにより、日本語能力の発達に悪影響を及ぼしてしまうという考え方によるものです。この度合いが深刻な場合、日本語と英語どちらもが中途半端な習熟度になってしまいます。日常会話に問題はないものの、込み入った話はどちらの言語でも上手にできないといった事態を招くこともあるでしょう。幼児期から英語を学ばせるからこそ、母国語である日本語についてもしっかり身に付けさせてあげたいものですね!英語が嫌いになってしまう恐れがある英語教育に対する親の思い入れが深ければ深いほど、起こってしまいがちなのが『英語が嫌いになってしまう』という事態です。相手が誰であれ、『強制されること』に抵抗を感じるのは自然なことです。ましてやそれが小さな子どもであれば、徹底的に拒否反応を起こしてしまい、英語そのものを嫌いになってしまうでしょう。英語を身に付けてほしいと思えばこそ、「どちらでもよいんだよ」というゆとりある親の姿勢が大切なのかもしれませんね。上手に学んでもらう方法は?子どもが上手に英語を学ぶ方法にはどのようなものがあるのでしょうか。おすすめの方法を2つ紹介します!自宅で教材から学ぶより教室がおすすめ子どもに効率的に英語を身に付けてほしいと願うなら、自宅学習よりも、先生がいる『教室』を選ぶのがおすすめです。英語というのは、本来『教科』ではなく『言葉』です。自然な形で身に付けるには、テキストに向き合うよりも、生身の先生との生きたコミュニケーションが効果的なのはいうまでもありません。言葉としての英語を身に付けるなら、ネイティブの先生との自然な会話が体験できる教室でのレッスンを選びましょう!動画やDVDなど英語を聞く機会を子どもを英会話教室に通わせたいと思っても、適当な教室や先生が見つからないこともあるでしょう。また、レッスンに通ってはいるものの、自宅でも英語に触れられるようにしたいという人もいるはずです。そんなときは、『動画やDVD』といった方法で英語に親しむ機会を増やしましょう。『目』と『耳』を同時に刺激することで、より効果的&楽しく子どもの英語力を高められますよ!商品名: アニメDVD 一番やさしい親子英会話価格: ¥1,728(税込) アニメDVD 一番やさしい親子英会話 詳細はこちら 商品名: 【0-7歳】Goomies ENGLISH FOR KIDS 幼児英語 DVD グーミーズ価格: ¥3,888(税込) Goomies ENGLISH FOR KIDS 幼児英語 DVD 詳細はこちら 子どもの成長に合わせた教育を「子どもに英語を習わせたいけれど、どんな方法を選べばよいのか分からない…」そんな悩みを持つ人は少なくありません。幼児期からの英語教育には、『発音が上手になる』『スムーズに学べる』などのメリットがありますが、その一方で、『英語と日本語が混ざってしまう』『英語が嫌いになってしまう恐れがある』といったデメリットも指摘されています。子どもに英語教育をさせるのであれば、これらのメリット・デメリットをしっかりと理解して、子どもの成長や個性に合わせた方法を選ぶのがおすすめです。国際化が進むこれからの時代を生きる子どものために、『英語が使いこなせる』というかけがえのない財産をプレゼントしてあげましょう!
2019年09月21日2019年10月には消費税増税と合わせて、幼児教育・保育の無償化が始まります。この制度とポイント、家計についての考え方についてお伝えします。 1.3歳~5歳のすべての子どもの利用料が無料に2019年10月実施の幼児教育・保育の無償化についての主な内容は以下のとおりです。①対象者:3歳から5歳までのすべての子ども、0歳から2歳までの住民税非課税世帯の子ども②対象施設:幼稚園、保育所、認定こども園、待機児童で保育の必要性のある場合は認証保育施設やベビーシッターも含む認可外保育施設等③無償化の対象となる費用:利用料、保育料(幼稚園は月額上限25,700円、幼稚園の預かり保育は月額上限11,300円)(認可外保育施設は市区町村認定の上、3歳から5歳までの子どもは月額上限37,000円、0歳から2歳までの住民税非課税世帯の子どもは月額上限42,000円)④無償化の対象とならない費用:保護者から実費で徴収する費用(通園送迎費、食材料費、行事費など) ※年収360万円未満世帯相当の子どもと第3子については副食費が免除される場合があります。 2.手続きの必要性の有無について該当者はすでに手続きを済まされている方も多いと思いますが、手続きが必要な場合と不要な場合があります。施設や状況により異なりますので、どれに当てはまるか不明な場合は、保育園・幼稚園などの施設かお住まいの市区町村に確認しましょう。 無償化給付を受けるための事前申請が必要な場合は、①私学助成を受けている幼稚園、②幼稚園での預かり保育、③認可外保育施設、④一時預かり事業、⑤病児保育事業、⑥ファミリー・サポート・センター事業などを利用するときとなります。 3.無償化となった保育料は有効に活用しよう無償化になった保育料を上限である月額37,000円とした場合、今年から適用されるお子さんは2年半で111万円(37,000円×30か月)、来年以降適用されるお子さんは3年間で133.2万円(37,000円×36カ月)の支出減となります。 家計が赤字であれば穴埋めが必要ですが、黒字であればこの浮いた金額を有効に活用すれば将来のライフプランにプラスになります。お子さんの将来の教育費用のために貯めたり、住宅ローン等の繰上返済に充てたり、自動車やリフォーム等の大きな支出の費用の準備に備えたりと活用を検討してみましょう。保育料を払ったつもりで別の口座などに移すなどして、普段使いの口座とは別に管理できれば、浮いた保育料をなんとなく使ってしまうことを防げます。 幼児教育無償化については、始まったばかりで今後は条件や手続き方法等が変わる可能性があります。お子さんを預けている施設からの案内だけでなく、お住まいの市区町村の広報やホームページ等も確認するようにしましょう。また、無償化された保育料は有効に活用できるようご家族で検討されると良いとでしょう。 監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2019年09月13日2020年の教育改革で、子ども達の教育環境が大きく変わります。その中で、子どもたちが求められるものの1つが英語力。「聞く」「読む」「書く」「話す」の4技能を身につけ、それらを使って表現する力が重視されます。そんな中で、未来の教育を考える新しい選択肢として注目されているのが「バイリンガル幼児園※1」です。「バイリンガル幼児園ってどんなところ?」と、3歳のせなちゃんとママが「Kids Duo International(KDI)」の体験説明会に参加してみました!■いるだけで楽しい! 子どもゴコロをわしづかみの園内訪れたのは、青葉台園舎。東急田園都市線青葉台駅から徒歩約5分の立地にあります。スタイリッシュな建物とロゴがどことなく海外の学校のような雰囲気。階段を上がると待っているのは、明るい青空模様の天井と大きな木のオブジェ。その周りには「BAKERY」「DEPARTMENT STORE」「CLINIC」とかわいらしいお店や施設が並ぶ職業体験コーナー(ラーニングステーション)があり、まるでテーマパークのようです。ここは職業体験を通して、子ども達の将来の選択肢を広げる目的を持っているスペースであり、その体験を通して両親への感謝の気持ちが芽生えるきっかけ作りの場所となっています。初めての場所にまだちょっと緊張していたせなちゃんもこのスペースを見て目を輝かせます。■楽しんでいるうちに英語を習得! 英語レッスンを体験「頭がやわらかく、外国の方をこわがるような先入観を持たないうちに英語や外国の方に触れる機会を持ちたい」というのもせなちゃんママがKDIに興味を持った理由の一つ。言葉の習得には2000時間必要と言われているそうだけど、2歳からKDIに通うとその2倍に近い3800時間以上英語に触れる時間があるという説明にも興味深く聞き入ります。英語を「勉強する」のではなく、絵本の読み聞かせを聞いたり、歌を歌ったり、工作をしたりと、ネイティブやバイリンガルの先生の英語に日常的に触れることで、英語を習得していけることです。この日は、年少を受け持つMaddi先生による英語のミニレッスンを体験しました。その内容は歌や絵本の読み聞かせ、クイズなど盛りだくさん。大型絵本やスクリーンを使用して子どもが楽しく受けられるように工夫されており、「お勉強」という感じはありません。外国の方には今まであまり接したことがなく最初はちょっと緊張気味だったせなちゃんも、明るく優しいMaddi先生に少しずつ表情もやわらぎます。「What is this? 」という質問にも「Apple!」と元気に答えてママもビックリ。「まだ心がやわらかいうちに外国の方と触れあうことのよさを実感しました」とせなちゃんママ。レッスンの終わりには、先生と笑顔でハイタッチ。毎日これだけ外国の方と英語で触れ合えたら、これからのグローバル時代も乗りきれそう。実際KDIに通わせている保護者の中には「園外で躊躇なく外国の方に英語で話しかけるわが子の姿に驚いた」という経験をする方も少なくないそう。「英語が話せるようになるのはいいけれど、日本語は大丈夫?」という心配も出てきそうですが、そこは「バイリンガル幼児園」。英語に浸る時間もたくさんあるけれど、もちろん知能教育の時間など日本語だけの時間もあり、日本語や日本文化も大切にし、二言語を伸ばす「バイリンガル」教育を目指しています。 カリキュラムの詳細はこちら! ■英語だけじゃない! 忍者遊びで運動能力も小学校3年生程度を目指す!?KDIは英語教育だけでなく、運動指導、知能教育にも力を入れているというから驚きます。やみくもに体力や筋力を鍛えるのではなく、「幼児期の神経の発達を考慮した、脳の成長にも、運動能力の発達にも考慮したプログラム」を科学的な研究に基づいて実施しています。説明会ではためしに、グーとパーにした手を交互に入れかえる動作をみんなでしながら、「幼児期に発達させたい、体をコントロールする能力」を実体験しました。Ninja遊びも、幼児期に必要な運動を科学的に分析して作られたカリキュラムで、卒園時に小学校3年生程度の運動能力を身につけることを目標としているものだそうです。年に1回、園児1人1人の動作を動画撮影し、それを解析してフィードバックしてくれる、というのも子どもの成長を具体的に把握できてうれしいサービスです。この日は、園のお友だちがやっているクラスを見学しました。「科学的なカリキュラム」というとなんだか難しそうに聞こえるけれど、実際に見てみるとみんな遊び感覚で、英語のクラスと同様、子どもたちは「楽しく遊んでいる」うちに習得していくようです。■知能教育も充実! 脳の黄金期にしっかり刺激日本語で行われる知能教育は、脳が急激に成長する幼児期に脳の様々な部分を刺激し、活性化させることで、脳の器を拡げることを目的としています。ノートに書く勉強が中心ではなく、有名私立小学校などでも使われているパターンブロックなどで手指を動かし、遊びながら楽しんで算数好きを育てるのが特徴のようです。年中、年長のときにはIQテストの幼児期版を実施し、得意な分野とまだ経験が少なく今後伸ばすべき分野を1人1人にフィードバックしてくれるのも、わが子の強み、弱みを理解でき、心強いサービスですね。■子どもたちが大好きな職業体験が園でできる!子どもたちに大人気なのが、パン工房、デパート、工房、クリニックが並んだラーニングステーション。働くことの楽しさや大変さを経験し、社会の仕組みを学ぶ場所だそうですが、本格的な内装と、かわいい衣装は職業体験テーマパーク顔負けです。せなちゃんも体験コーナーには興味津々。のぞいていると、その場にいた優しい先生が特別にちょっとだけ体験させてくれました。体験させてもらったのは、工房でのレーシングカーのおもちゃの組み立て作業。カラフルな海外製のレーシングカーを先生の説明を聞きながら組み立てます。おもちゃの電動ドリルでネジをしめる作業が楽しく、夢中になって最後まで組み立てました。■子どもたちの笑顔と積極的なコミュニケーションが印象的園の様子を見て回った後、最後にせなちゃんママに感想を聞きました。「今、体操を習っていて、英語も習わせたいなと考えています。そう考えると、習い事に通わなくても英語、運動、知能教育を通園させるだけで受けられるのは魅力的ですね。送迎バスがあり、5時まで預かってくれるのは、働いているママは助かる方が多いかなと思います。小学校受験の対策もしてもらえるのもいいですね」「何より、2歳からの子どもがいるのに、泣いたりぐずったりしている子がいなくて、本当にみんな楽しそうだったのに驚きました。園長先生を始め、先生方も皆さん熱心で、子どもをたくさんほめたり励ましたりしていて、手厚い印象も受けました。日頃から自主的な子どもに育ってほしいと思っているので、『自分らしく幸せに生きる力、自分力をつける』という理念もいいなと思います」未来に生き抜く力が身につくKids Duo International。幼稚園でもなく、保育園でもなく、新たな幼児教育の選択肢として気になったら、ぜひ説明会に行ってみてください。 説明会の予約はこちらから! ※1:保育園と同じ保育時間、幼稚園以上のカリキュラムを提供する園※一部特別に体験させて頂いたプログラムがあります。PR:Kids Duo International
2019年09月06日2020年にプログラミング教育が必修化されることをご存知でしたか?小学校から高等学校までプログラミング教育が必修化され、プログラミング的思考能力を身に付けるための授業が始まるのです。しかし、今までに学ぶ必要がなかったことを学び始めるため、戸惑う人もいるでしょう。プログラミング教育の必要性に疑問を持つ人も少なくないと思います。その疑問を解消するためにも、この記事ではプログラミング教育にスポットを当てて解説していきます。プログラミング教育をする背景、目的や事前に準備するべきことをお伝えしていくので、もう一度確認しておきましょう。目次 1 プログラミング教育が必修化されるのはなぜ?その目的とは?2 プログラミング教育が必修になった背景3 プログラミング教育を必修にする目的3.1 プログラミング的思考とは?3.2 プログラミング的思考を身につけるメリット4 プログラミング教育の必修化に向けて親が準備すべきこと4.1 学習環境の整備4.2 ITに慣れさせる・理解しておく5 まとめプログラミング教育が必修化されるのはなぜ?その目的とは?小学校から高等学校の学生指導要領に、2020年からプログラミング教育が必修化されます。プログラミング教育が必修化するといっても、プログラミング言語を学ぶわけではありません。情報を正しく取り扱ったり、機械を取り扱うための基礎的な考え方を身に付けたりと、情報活用能力や言語能力などのプログラミング的思考を身に付けるための授業です。そのため、プログラミング教育は「プログラミング」という教科が新たに加わるわけではなく、理科や数学の教科に組み込まれます。プログラミング教育が必修になる背景には、あらゆる機械が現代社会に欠かせなくなってきたことが挙げられます。たとえば、パソコンやスマートフォンなどが身近にあるため、インターネットやSNSで検索すれば誰でも大量の情報を入手できるでしょう。しかし、大量の情報があったとしても、それを誰もが正しく取り扱えるわけではありません。もしかしたら、間違った情報によって取り返しのつかない事態に陥る可能性もあるのです。また、今後は農業や工場だけではなく、さまざまな職種の作業が自動化されていると考えられています。今まで以上に機械を使用する場面が増えるため、さまざまな機械を取り扱える技術力が必要になるでしょう。全自動洗濯機やロボット掃除機など家事においても自動化されていくので、専業主婦でもさまざまな機械を取り扱える技術力が求められます。特に子育ては多くの情報の中から正しい情報を取捨選択する必要があるため、子育てをするのなら情報を扱える能力は必要不可欠です。パソコンやスマートフォンの普及や仕事の自動化などによって、全国民において情報を取捨選択して正しく使える能力や機械を操作できる言語能力が必要不可欠になってきます。プログラミング教育は、今後必要不可欠になる情報や機械の取り扱う技術などの基礎的な能力を全国民が身につけてもらうために施行されようとしているのです。プログラミング教育が必修になった背景プログラミング教育が必修になった背景には、先ほど述べたようにあらゆる機械が現代社会に欠かせなくなってきたことが挙げられます。情報の取捨選択はもちろん、手に入れた情報を正しく使う力が必要になってきました。これらの能力がないと、犯罪行為に巻き込まれる可能性もあるため、国民1人ひとりが正しい情報活用能力が必要になるのです。また、第4次産業革命に適応できる人材の育成も、プログラミング教育を必修化する背景のひとつです。第4次産業革命では人工知能の進化に伴い、人工知能が様々な判断を下したり物の動きがインターネットによって最適化されたりすることが想定されています。これは世界的に見てもとても大きな流れで、今後20年以内には半数近くの仕事が自動化されると予想されているほどです。加えて、今後来るIT産業の波に、国内の人材が不足するであろうと経済産業省が発表しました。2020年には36.9万人が、2030年には78.9万人ものIT人材が不足するそうです。現状の教育ではこれら第4次産業革命に適応できる国内の人材が限られているため、情報活用能力や機械を取り扱える能力の基礎的な部分を学校で身に付けて将来活躍してもらうためにも、プログラミング教育が施行され始めます。このように、第4次産業革命が来る未来には、現状の教育指導要領の内容では不足しています。プログラミング教育は、第4次産業革命でも通用する人材を育成するためにも必要な教育内容と考えられているのです。プログラミング教育を必修にする目的プログラミング教育で学ぶ目的は、プログラミング言語を習得することではありません。プログラミング言語にはトレンドがあり、将来役に立たない知識に変わる可能性があるためです。そのため、プログラミング教育では「プログラミング的思考」を身に付けることを目的としています。以下ではプログラミング的思考にスポットを当てて解説していくので、参考になれば幸いです。●プログラミング的思考とは?文部科学省では、プログラミング的思考を以下のように説明しています。**********自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力引用元:文部科学省**********少し分かりにくい文章と感じるかもしれません。特に「記号」というワードによってさらに難しく感じさせられるので、「記号」について簡単に解説してきます。記号とは、プログラミング言語における「配列」という概念です。「配列」は数字や文字列を格納するための変数のことで、値を入れる箱と考えるとイメージしやすいでしょう。そしてこの「配列」という概念は、身近なことでも取り入れられています。具体的には、たとえば料理のレシピ。料理のレシピでは、以下のように記述されているのが一般的です。A.酒(小さじ1)A.醤油(大さじ1)A.みりん(小さじ1)1.鶏肉を一口大に切る2.1とAを火にかけ、水気がなくなるまで煮るこのとき、格納する箱は1とAです。1には「一口大に切った鶏肉」が格納されていて、Aには「酒」「醤油」「みりん」が格納されています。このようなX=○○といった関係が、プログラミング的思考で説明されてた「記号」です。この記号を用いて、「自分が行いたい一連の活動をどう最適化するのかを論理的に考える力」がプログラミング的思考なのです。●プログラミング的思考を身につけるメリットプログラミング的思考を身に付けることにより、時代に左右されないプログラミングを扱う上で普遍的な思考能力を手に入れられると考えられています。いつの時代でも使える思考能力なので、革新的な技術が開発されたとしても、適応できる可能性が十分にあるのです。しかし中には、そもそもプログラミング的思考を身に付けずに、プログラミング言語の習得を目指すべきだと考える人もいるでしょう。たしかにプログラミング的思考よりも、プログラミング言語を習得したほうが即戦力にはなるかもしれません。ですが、現在の技術は凄まじいスピードで進化しています。幼少期に学んだプログラミング言語が、将来役に立たなくなる可能性も十分考えられるのです。せっかくプログラミング言語を習得したのに将来使えなくなっていては元も子もありません。そのため、まずはいつの時代でも使えるプログラミング的思考を身に付けて、その後にプログラミング言語やその他のスキルを身に付けるほうが良いと考えられています。プログラミング教育の必修化に向けて親が準備すべきこと2020年から、プログラミング教育が必修化していきます。では、プログラミング教育の必修化に伴い、親は準備するべきことはあるのでしょうか。以下では、プログラミング教育の必修化に向けて親が準備するべきことをお伝えしていきます。プログラミング教育の必修化はもう目前なので、早めに準備をしていきましょう。●学習環境の整備まずは学習環境の整備をしていきましょう。子どもがパソコンのような機器に興味を持ち、プログラミング的思考を自主的に身に付けるようにするのが狙いです。学習環境を整えるためにも、最低限のスペックを持つパソコンやタブレットを準備しましょう。古くてスペックが低い場合は、買い換えることも視野に入れることをおすすめします。●ITに慣れさせる・理解しておくITに関する知識が0からでは、学校の授業で学んでもなかなか身に付けられません。すんなりとITの知識を身に付けられるようにするためにも、あらかじめITに慣れさせたり理解させたりすることが重要です。たとえば、子どもがパソコンに触れる機会を増やす、あなたがプログラミングを理解して子供に教えるなどをすることで、ITが子どもにとって身近な存在になります。身近な存在のことは知識として身に付けやすいので、効率良くプログラミング的思考を身につけられるでしょう。もし、あなた自身で教えることが困難なら、子供向けのプログラミングスクールに通うわせることを検討しても良いかもしれません。まとめプログラミング教育は、「プログラミング的思考」を身に付けるための教育です。トレンドがあるプログラミング言語のような知識や技術とは異なり、どんな時代でも普遍的に使える能力なので、技術が進歩した将来でも役に立つと考えられています。特に、今後は人工知能の進化によって新たな技術が続出するでしょう。その結果、多くの職業が自動化して異なる仕事が増加するようになることが予想されています。そんな世の中でも適応できる大人に成長するように、プログラミング教育に向けて学習環境の整備をしたりITに慣れさせたりしていきましょう。●ライター/高須 亮
2019年08月22日編集部:学研キッズネット編集部新しい学習指導要領の改訂により、デジタル教育が大きく注目されています。私たち親は、こどもたちにどんな教育を心がけるべきでしょうか。学研でSTEAM教育の事業化に携わっている佐久裕昭さんにお伺いしました。STEAM教育が注目されている理由——佐久さんはSTEAM教育の事業化に携わっているそうですね。あらためてお伺いしたいのですが、STEAM教育が注目されているのはどうしてですか?「STEAM」とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Arts(芸術・感性)、Mathematics(数学)のそれぞれの単語の頭文字をとった造語です。もともとは、アメリカが科学技術分野の人材育成に力を入れる中で出てきた「STEM」という教育のキーワードがあり、そこに世界的に有名なデザイナーであるジョン・前田氏が「Arts」を加えた「STEAM」を提唱しました。私が言うまでもありませんが、昨今では特にITの分野が著しく発展していると思いますよ。ITの進化にともなって社会が大きく変化する世の中になっていますから、それに対応できる総合的な知とイノベーティブな感性を持った人材の育成が必要だと言われているのです。小学校でのプログラミング教育が必修に~親はどうすればいい?——2020年からは小学校でのプログラミング教育が必修となりますね。子どもたちが 「ITとは何か?」ということに興味を持つきっかけとして最適なのではないでしょうか。コンピューターに命令するということが、どのようなことであるかを知ることで、ITがどのような仕組みで動いているかを理解できると思います。またプログラミング教育には、論理的な思考方法が身につくという側面もあります。AIやIoTなど今後ますますIT化する社会に対応し、さらに日本発のイノベーションを起こせるような児童を育てるための教育が始まろうとしているのです。——IT機器というと、スマホ、タブレット、パソコンなどありますが、その違いを聞かれたら親はなんと答えればいいでしょうか。ハードウェア的にはキーボードがあるかないかという違いかなと思います。最近はスマホやタブレットにキーボードをつけることも一般的になっていますから、それほど大きな差はなくなっているような気がしますね。機能という面ではほとんど違いがないのではないでしょうか。ただ、決定的に違うのは「使われ方」だと思います。パソコンがサービスを作り、スマホやタブレットはそのサービスを使うための道具。つまり、今の社会における生産のためのツールはパソコンで、スマホやタブレットはそれを受け取るためのツールという認識になるのではないでしょうか。パソコンの重要性——子どもがスマホやタブレットではなく、パソコンを使う必要性や利点というのはありますか?先ほども言いましたが、現代社会においては生産の大元のツールはパソコンです。そのため、教育の現場でも、子ども達が使用するデジタル機器はパソコンを推奨したいと考えられているんです。新学習指導要領でも子どもたちのタイピングスキルを伸ばしたいと言われていて、小学校に導入する端末の要件として、キーボード機能を有している必要があるんです。今後は大学入試にもCBT方式(Computer Based Testingの略。コンピューターを利用した試験方式を指す)のテストを導入していく予定があるそうなので、パソコンの重要性はますます上がっていくと思います。ただし、スマホやタブレットが重要でないということでは決してありません。個人的にはスマホやタブレットに日常的に触れている子どもの方が、これからのデジタル社会に馴染んでインパクトのあるイノベーションを起こせるんじゃないかと思っているくらいです。こどもを有害な情報から守る——こどもがデジタル機器に触れる際に注意しておくことは?インターネットからITに触れ始める子どもが多いと思いますので、ペアレンタルコントロールはするべきでしょうね。ネットは便利な反面、子供にとって有害なコンテンツが溢れています。また勝手にネットショッピングをしたり、ゲームに課金したりしてしまう危険性もあります。まずは子どもにそう言った危険をしっかり説明して、リスクをつまびらかにし、共有することが大切です。最初は必ず親と一緒に使うようにするとか、自分の部屋ではなくリビングでしか使わせない、ブロッキング機能を使うなど各家庭の対処方法を見つけて可能なかたちで実践するべきだと思います。VRにAR~新しい技術に対する親の心構え——VRや AIなど新しい技術がどんどん登場していくデジタルの世界。親の心構えはどうあるべきでしょうか?私は、これからの社会はITを使わない進化の方向性はないと考えています。それくらい、デジタル技術が現代社会にもたらしたものは大きいのではないでしょうか。コンピューターが現代社会のシステムを支えていると考えても過言ではありませんし、今後さらにそうなっていくと思います。そんな中で大切なのは、大人が怖がらずに子どもをデジタル機器に触れさせることです。大人は自分が子供の頃になかった技術を否定しがちです。テレビだって昔は子どもに観せると有害と言われていましたし、ゲームも子どもへの悪影響ばかり指摘されました。現代ではスマホやタブレットがそれに当たる存在となっています。子どもに使わせないメリットより、使わないままで将来的に受けてしまうデメリットの方が大きいのではないでしょうか。子どもの好奇心を止めずに、どんどんやらせてあげてほしいと思います。まずは親子で一緒に楽しむことから——最後に親子で楽しめるパソコンの活用術を教えてください。大人が普段使っているサービスを一緒に楽しむことから始めてみてはどうでしょうか。「エクセル」や「ワード」といった仕事で使用しているソフトで夏休みの予定表を作ったり、「パワーポイント」で自由研究のレポートを作成したりと、大人が普段行っているパソコンの使い方を一緒に体験させるだけでも、好奇心が湧いてくると思います。おすすめしたいのは、一緒にプログラミングして何かを作ってみることです。残念ながら、できあがる作品は大人よりも子どもの方が間違いなくいいものになると思いますよ(笑)(学研キッズネット編集部)今年のお子さんの夏休みの「自由研究」は、パソコンを使わせてまとめ作りにチャレンジさせてみてはいかがでしょうか。豪華賞品がもらえる「パソコン×自由研究」コンテストも開催中!学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと)『学研キッズネット』は、1996年にオープンした小・中学生のためのWebメディアです。学研の子ども向け書籍や雑誌の編集ノウハウを活かし、子どもたちが安全に楽しめるサイトとして運営しています。子どもたちのしあわせのために、家族のしあわせのために、有益な情報やサービスをお届けできるよう、いつも精一杯がんばっています。すくすく伸びる子どもたちのために
2019年08月14日こんにちは、離乳食インストラクターの中田 馨です。1歳~1歳6カ月ごろ(離乳食完了期)も後半になり、そろそろ幼児食に差しかかるママからこんな質問を受けたことがあります。「幼児食ってどんな食事のことを言うの?」「毎食、子どもが飽きない食事を作るにはどうすればいいの?」今日はそんなママの疑問に答えます! 幼児食とはいつの時期のこと?幼児食というのは、その名のとおり「幼児が食べる食事」です。 「幼児」とひとことで言っても幅が広く、目安は1歳6カ月~5歳児まで。つまり離乳食が終わってから、小学校に上がるまでの期間です。幼児食は離乳食の延長線上の食事。これまで離乳食を食べていた赤ちゃんです。離乳食が終わったからと言って、いきなり大人と同じ食事を食べるわけではありません。 なぜ、大人の食事と分けて考えるの?子どもの内臓機能や身体機能はまだ未発達です。大人の食事は味が濃かったり、噛みちぎりにくい食べ物ものもあります。なので、子どもの発達に合わせた食事を引き続き与えたほうがいいのです。 幼児食に移行するタイミング離乳食から幼児食に移行するタイミングは、月齢でいうと1歳6カ月ごろが目安。形のある食べ物を噛んで飲み込んでいることがポイント。幼児食になったからと言って急に味付けや調理方法を変えるのではなく、離乳食を少しずつ少しずつ段階を上げていくと思ってください。 飽きない幼児食づくりの方法・大人と同じ献立でOK子ども用に特別作るのではなく、大人のメニューを取り分けたものでOK。味付けは1/2くらいを目安にしましょう。 ・彩りを意識する「赤白黄緑黒」この5色を意識して食材を組み合わせてみてください。彩り豊かになりますよ 。盛り付けを意識するときには、かわいく盛り付けるのもいいですね。凝ったことをしなくてもOK。星形の型でにんじんをくりぬいて添えるだけでもかわいいですよ。 ・いろいろな食材にチャレンジしてみる私もそうですが、いつも買う食材って似通ってしまいます。でも、お店を見渡してみると、食材はさまざまあります。子どもも大人もいろいろな食材にチャレンジして楽しんでみるのもいいですね。 食事づくりは毎日続くものです。ストレスにならない程度に肩の力を抜きつつ取り組んでみてくださいね! 著者:保育士 一般社団法人 離乳食インストラクター協会 代表理事 中田家庭保育所施設長 中田馨0~2歳対象の家庭保育所で低年齢児を20年以上保育する。息子が食べないことがきっかけで離乳食に興味を持ち、離乳食インストラクター協会を設立。現在は、保育士のやわらかい目線での離乳食の進め方、和の離乳食の作り方の講座で、ママから保育士、栄養士まで幅広く指導。離乳食インストラクターの養成をしている。「中田馨 和の離乳食レシピ blog」では3000以上の離乳食レシピを掲載中。
2019年07月23日編集部:学研キッズネット編集部2020年教育改革まであと1年を切り、多くの小学校でプログラミング教育がスタートしています。小学校だけでなく、今後は中学校、高校でもプログラミング教育が必修・拡充化され、大学入試にもプログラミングなどの情報科目の導入が検討されています。まずは今後の教育改革への理解を深め、早めの準備を検討してみてはいかがでしょうか?教育改革はこう進む90秒でわかる今後の教育改革ムービーパソコン学習、関心はあるけどお子さんに使わせるのはやっぱり不安…?お子さんがパソコンを使うことに不安を感じられる親御さまがいらっしゃるのも事実。有害サイト、課金、パソコンばかりで外で遊ばなくなる…確かにそんな話を聞いたら消極的になってしまうかもしれません。でも、その不安もかんたんな設定でクリアできます。パソコンから広がるお子さんの可能性に、安心して期待できる環境をつくってはいかがでしょうか?その不安、「ファミリー機能」で解決できます。「ファミリー機能」の安心ポイント【ポイント01】フィルタリング機能で有害サイトへのアクセスを制限できます「ファミリー機能」の「フィルタリング機能」を使えば、お子さまが有害なサイトにアクセスするのを防ぐことができます。また制限のレベルやコンテンツのカテゴリー別に制限をかけるなど、より細かな設定も可能です。【ポイント02】使えるアプリとゲームを制限できます「ファミリー機能」を使えば、アプリやゲームへのアクセスを制限したり、特定のアプリやゲームの利用を禁止することができます。またクレジットカード番号の入力の際に暗証番号を設定しておけば、不用意にお子さまが課金できなくなります。【ポイント03】パソコンの使用時間を制限できますお子さまがバーチャルの世界で時間を費やしすぎないように、使用時間を制限することができます。方法は2つ。パソコンを使用できる時間帯を設定する方法と、パソコンを1日何時間まで使用できるかを決める最大時間数を設定する方法です。たとえば平日は1日2時間までに制限し、週末はもっと長く使えるようにすることも可能です。今年の夏休みの自由研究で、パソコンにチャレンジしませんか?タイピング、プログラミングなど、パソコン学習にもいろいろとありますが、今年はパソコンを使った自由研究にチャレンジするのはいかがでしょうか?学研キッズネットの自由研究プロジェクトなら、豊富なテーマの中から自分の研究したいテーマが選べ、自由研究に必要な要素が予めデザインされたテンプレートを使えば、簡単にきれいな作品が作れます。夏休み限定で、「パソコンでつくる自由研究コンテスト」も実施していますので、この機会に是非ご参加ください!学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと)『学研キッズネット』は、1996年にオープンした小・中学生のためのWebメディアです。学研の子ども向け書籍や雑誌の編集ノウハウを活かし、子どもたちが安全に楽しめるサイトとして運営しています。子どもたちのしあわせのために、家族のしあわせのために、有益な情報やサービスをお届けできるよう、いつも精一杯がんばっています。すくすく伸びる子どもたちのために
2019年07月19日大切にしているのは“学び合い、支え合える”場所出典 : 「支援の仕事は未経験だが、いつか挑戦してみたい」「発達が気になるわが子を育ててきたが、その経験を活かした仕事に就きたい」など、就労支援や発達支援に興味を持ったことがある方もいるかもしれません。発達ナビの姉妹サイト「LITALICOキャリア」がサポートしているのは、障害福祉・児童福祉分野で働く支援者のみなさんです。肩の力を抜いてもっと“自分らしく働くって?”を考えられる場所、困難がある人へ向けて、より良い支援についての意見交換ができる場所…。「これからの福祉と教育」をテーマに学び合い、語り合える場所、それが「LITALICOキャリアCafe」のコンセプトです。支援者の役割を再発見するー「LITALICOキャリアcafe」出典 : 「LITALICOキャリアcafe」では、ここでしか聞けないセミナーや自分のことを棚卸しするワークショップ、また同じような思いを抱える支援者同士で交流できる場を定期的に開催していきます。第1回となる「LITALICOキャリアcafe」のテーマは“支援者の役割を再発見”です。12年の支援経験を持つゲストを招き、その経験談と学びを深めるワークショップを行います。また参加者同士の交流の場も設けているので、ざっくばらんな情報交換も可能です!●3年以上の支援経験があり「実現したい支援のかたち」をしっかり言語化したい●サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者をしているが、今の役割に課題やモヤモヤを感じている●支援経験を経て、サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者を目指したいと考えている●支援職としての自分のこれからのキャリアを見直したい「LITALICOキャリアcafe」vol.1の開催概要出典 : ・トークセッション「12年間の支援経験から形づくられた自分の実現したい“支援のカタチ”」・ワークショップ自分なりの「児発管サビ管の役割」を捉え直すワークショップ登壇:恒吉 麻実子さん(LITALICOワークス HRグループ)プロフィール:社会福祉士。児童相談所で勤務後、2007年より障害者の就労支援を専門に、現場での支援を8年、その後は大学院で臨床心理学を学びながら、スタッフの向け・サービス管理責任者向けの研修の設計や実施、ケースのスーパーバイズの業務に従事して4年目に入る。現在はLITALICOワークス博多でサービス管理責任者も務める。参加者同士でざっくばらんに情報交換をしていただける交流の場となります。飲み物などをご用意する予定です。日程:7月21日(日)13:00~15:30(開場:12:45)対象・参加条件:・サービス管理責任者、児童発達支援管理責任者として働いている方・今後、サービス管理責任者の就任、児童発達支援管理責任者を考えている方・3年以上の支援経験がある方会場:株式会社LITALICO 中目黒本社〒153-0051東京都目黒区上目黒2-1-1中目黒GTタワー16F東京メトロ日比谷線・東急東横線「中目黒駅」東口より徒歩1分案内マップ:参加費:1,000円※領収書が必要な方は当日発行いたします。持ち物:特になし服装:自由です。リラックスした服装でお越しください。そのひとりの幸せと、自分自身の喜びを出典 : 支援する「人」の想いで、関わる人の可能性がひろがる。そして、支援する「人」が幸せでいることが、関わる人の幸せにつながる。だから私たちは、この業界で支援する「人」を増やし、思いがあって多様な経験のある人に、この業界に関わり続けてほしいと思っています。みなさんがもっと自分らしく働ける場所や、困難のあるひとへのサポートが自分自身の幸せにつながる場所を見つけるきっかけに、「LITALICOキャリアcafe」がなれればと思います。
2019年07月05日教育先進国として名高いフィンランド。そのメソッドが優れていることは世界的に有名ですが、実際にどのような教育や政策が実施されているかご存じですか?日本で行なわれている教育との差は、いったい何なのでしょうか?今回は、日本とフィンランドの教育を徹底比較していきましょう。フィンランドの学校教育フィンランドの教育が世界から注目されるようになったのは、1968年に行なわれた大々的な教育改革がきっかけでした。この改革により、フィンランドは「持てる資源のほとんどを教育に投資する」「男女、家族の背景、財力は関係なく、万人に教育の機会を与える」という方針のもと、1972年には初等学校・中等学校を総合学校として統合し、義務教育をこれまでの6年から9年に延長します。この総合学校とは、日本の小学校と中学校にあたるものです。9学年全てが同じ校舎で学ぶ場合と、1~6学年と7~9学年の校舎が分かれている場合があります。総合学校を卒業した後、子どもの約半数は普通高校に進み、大学または応用化学大学への進学を目指します。それ以外の子どもは職業高校へ進み、実際の現場や学校などで職業訓練を受け、職業資格、上級職業資格、専門職業資格という3段階の資格を取得するのだそう。いずれの学校も、卒業までに2~4年かかります。待機児童問題とは無縁なフィンランド日本ではここ数年、保育園不足や待機児童問題が深刻化しています。厚生労働省の調査によると、平成29年度の待機児童数は全国で26,081人。前年比2,528人の増加でした。一方、フィンランドでは保育が必要な全ての子どもに保育施設を24時間確保することが各自治体に義務づけられており、違反した場合は罰則があります。そして、親の就労状況に関係なく、0歳から保育園(日本の保育園・幼稚園に相当)を利用することができるのです。また、総合学校での初等教育が始まる前の1年間は、保育園もしくは学校内でのプレスクール(就学前教育)に通って社会性を育てることが義務教育に含まれています。フィンランドと日本の教育比較日本とフィンランドには、幼児教育や義務教育のシステム以外にも、さまざまな違いがあります。・教育費日本では、認可保育園の場合は保護者の収入に応じた保育料がかかり、高校や大学では学費などの負担があります。しかしフィンランドでは、プレスクールから大学・大学院まで無料で通うことが可能です。総合学校では、教科書や給食も無料。高校では、教科書代の負担はありますが、給食は無料です。家庭の経済状況にかかわらず、学びたい子どもはしっかり学べるという体制が整っているのです。昨今日本で増えている、大学卒業後の奨学金返済が生活を圧迫しているという問題も、フィンランドであれば起こることがなさそうですね。・読書量フィンランドの読書量は世界1位。図書館の数はもちろん、図書館を利用しにくい地域を巡回する移動式図書館の数も多く、国民が図書館利用に熱心であることで知られています。昨今読書離れが指摘されている日本とは対照的ですね。ところで、「読書量が算数の成績を左右する」ことはご存知ですか?「読書量の多い人は国語の成績が良い」というイメージを抱いている方は多いかもしれませんが、「読書量が多いほど算数の偏差値が高い」という研究結果も出ているのです。2016年から2017年にかけてベネッセが行なった調査によると、読書量の多いグループと全く読書をしないグループとでは、読書量の多いグループのほうが全ての科目において成績が良く、中でも算数の偏差値において最も大きな差が開いたのだそう。フィンランドが教育先進国として成績を残している理由には、読書量も関係しているかもしれませんね。・授業や休みの日数フィンランドの年間授業日数は190日程度で、日本よりも40日程度少なくなっています。加えて、夏休みが2ヶ月。さらに、小学生のうちは宿題やテストもほとんどなく、塾もないので、学習時間そのものが他の国と比べて短い傾向にあります。小学生のうちから塾に通うことが当たり前になっている場合も多い日本からすると「そんなに休んで、勉強は大丈夫なの?」と不安になってしまいそうですが、逆に遊びと勉強の切り替えがしっかりとできるようになり、限られた時間で集中して学習に取り組むようになるのです。・PISAテストの結果フィンランドは、経済協力開発機構(OECD)が3年に1回、世界各国の15歳の子どもを対象に実施している「国際学習到達度調査(PISA)」で常に上位となっていましたが、2016年には数学の結果が12位と順位を落としています。一方で日本の数学の成績は5位でした。しかし、フィンランドではこの結果を受けても教育制度の改革をする予定はないそうです。その理由は、フィンランドの教育指針は生徒の勉強時間を多くすること“ではなく”、「学校を楽しくおもしろい場所にすること」だから。順位という数字に一喜一憂することなく、教育の本当の目的をしっかりと見定めているのです。・地域の子育て支援日本では、ワーキングマザーや、子どもがいる共働き家庭に対する理解や支援が、まだまだ充分ではありませんよね。一方、フィンランドのヘルシンキ市には、「レイッキプイスト」という日本の学童保育と子育て支援センターを併せたような施設があります。ここでは、おやつ代のみという格安の料金で放課後の学童保育を利用できるほか、夏休み期間は子どもに無料で昼食を提供するサービスを行なっているそう。このように、社会全体で子育てをする文化があり、子育てと仕事が両立できる体制が整っているのです。フィンランド式教育のメリット日本に比べて授業時間が少なく、休暇を十分に取っているフィンランドの教育ですが、さまざまなメリットがあります。一般財団法人基礎力財団理事長の陰山英男氏いわく、勉強は短時間で済ませたほうが学力が上がるのだそう。小学校高学年では、2時間程度をピークに、3時間、4時間と学習時間が増えるにつれて成績が落ちていったという結果が出ていると言います。反対に、学習時間が短ければ、そのぶん集中して学習することができるようになり、脳が鍛えられていくのだそう。「○分だけ」と時間を決めて行なうことで、毎日続けやすくなる効果もあるため、勉強の習慣も身につきやすくなります。また、自由時間がきちんと確保されていることから、自分の得意分野を見つけたり個性や能力を伸ばしたりする機会につながり、子どもの自己肯定感を伸ばすきっかけになるのも利点です。幼少期から習い事や塾などの教育に熱心になるケースが多い日本ですが、たまにはフィンランドのように、「遊ぶ時間を十分確保して、限られた時間で集中して勉強する」ことを実践してはいかがでしょうか。***フィンランドと日本の教育には、それぞれ優れた面があります。子どもの性格や生活環境に合わせて、適宜使い分けてみるのもいいかもしれませんね。文/田口るい(参考)Compathy Magazine|日本も後に続け!世界一の学力を誇るフィンランドの教育とは?こどもまなび☆ラボ|「フィンランド教育」の特徴とは?「教育費無料」にとどまらない、教育大国のシステムホンシェルジュ|ゆとり教育風のフィンランド教育?特徴と課題、日本の教育との違いに迫るクーリエ・ジャポン|子供を高い私学に入れるのはカネの無駄?「PISA」の結果を各国メディアはこう報じた東洋経済オンライン|フィンランドのワーママに「罪悪感」などない厚生労働省|「保育所等関連状況取りまとめ(平成 29 年4月1日)」カレントアウェアネス・ポータル|フィンランドの公共図書HugKum|小1は15分、小2は30分。勉強は短時間で済ませるほうが、学力が上がる!【隂山英男の家で伸ばす! 子どもの学力】こどもまなび☆ラボ|読書量が算数の成績を左右する!?子どもの学力を上げるために「1日数分」からできること影山ラボ|子どもは無限に育つ
2019年06月22日ICT教育とは、簡単に言うと「デジタル機器(タブレットやパソコン)を使った教育」のことを指しますが、そのメリットや注意点を正しく理解しているでしょうか。ICT教育は、国もその重要性を認識し、ガイドラインが策定されています。そのため、今後多くの学校でICT教育が取り入れられると予想されているのです。この記事では、ICT教育の代表的なメリットや、ICT教育を受ける際に注意しておきたいことも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。そもそもICT教育とは?そもそもICT教育とは、インターネット、パソコンやタブレットを利用した教育のことです。「ICT」は、「Information and Communication Technology」の頭文字をとった言葉で、「情報通信技術」という意味で、現在非常に注目されています。ICT教育では生徒1人ひとりに端末を配布し、紙ではなくデジタルを媒体とした授業を行います。事前に作成したデータや動画を用いて授業を行うため、紙を使った授業ではできなかった五感を刺激する授業が可能です。特に、紙では伝えづらかった英会話や図形問題では、理解を深めるのに役立つでしょう。今後は情報通信技術が益々重要になっていくことが考えられているので、総務省や文部科学省もガイドラインを策定するほど重要でありと認識されています。しかし、現在はすべての学校でICT教育を受けられるわけではありません。子どもにICT教育を受けさせたいのであれば、ICT教育を導入している学校を探す必要があります。ICT教育のメリットとは?ICT教育のメリットには、代表的なものに以下の3つがあります。授業が分かりやすくなる効率的に授業の準備ができるデジタル機器が身近な存在になるひとつずつ解説していきます。●授業が分かりやすくなるICT教育を導入することにより、インターネット環境や映像を使うことで授業が理解しやすくなります。具体的な例を挙げると英会話がイメージしやすいのではないでしょうか。英語の授業は、英語が話せない日本人教師が教えています。そのため、ネイティブな発音による授業が難しく、文法ばかりの授業で英会話が身につきにくい環境です。しかし、ICT教育を取り入れることで、インターネットを通じてネイティブに話せる講師が授業を受け持てるため、子ども達は日頃からネイティブな英語に慣れ親しめます。幼いころからこの環境が整っていれば英会話が身近なものになり、今以上に実用的な英語力が身につくことに期待ができるのです。他にも、アニメーションを使った授業を行えば、図形を立体的に認識する手伝いができたり、歴史に興味を持ちやすくなったりすることに期待できます。また、端末を使った授業なので、何度も同じ授業を見直せるため、自習がしやすくなり理解度の向上にも役立つでしょう。ICT教育を取り入れれば、再生するだけで教師の授業を何度でも受けられます。興味が持ちやすく分かりやすい授業を受けることが可能なので、子ども達の理解度を高められる可能性があるのです。●効率的に授業の準備ができるこちらは教員側のメリットになりますが、ICT教育を取り入れることで効率的に授業の準備ができるため、教師の負担を軽減することができます。というのも、紙が媒体の授業を行う場合はプリントを作ったり、1人ひとりのテストの採点を教師が行ったりする必要がありました。授業の準備やテストの採点は教師への負担が大きく、退職する理由のひとつでもあったのです。しかし、ICT教育ならデジタル機器を使った授業になるので、授業の準備はデータの必要な箇所の修正や追加で済みます。小テストのような頻繁なテストもデジタル化することで、準備が簡単になるだけではなく、採点の時間を大幅に削られるようにもなるでしょう。その結果、ICT教育は残業や休日での仕事を減らせるので、教師の負担を大きく軽減させることができます。●デジタル機器が身近な存在になる日本に限らず、世界的にパソコンやスマートフォンなどのデジタル機器が身近な存在になりつつあります。一昔前まで、パソコンやスマートフォンを持っている人は多くありませんでしたが、現在は仕事や大学でも使用する場面が増えたため、デジタル機器を取り扱えるスキルが必須になってきています。このような流れからも、パソコンやスマートフォンが使えなくては、社会に出てから戦力になりづらくなってきています。そのため、これからの子ども達は今までの授業と同時に、デジタル機器の取り扱いについても理解することが必要と言えるのです。ICT教育を導入することで幼いころからデジタル機器の扱いに慣れさせることができるため、デジタル機器の導入による授業の効率化に加え取り扱いも学ぶことができるため一石二鳥です。さらに、デジタル機器は非常に高価なので、家庭の収入差によるデジタル機器を取り扱う機会に差がありましたが、ICT教育を受けることによりすべての子ども達が平等にデジタル機器を身近な存在にできるようになるのもメリットの一つです。仕事の自動化やビッグデータの取り扱いなど、今後益々デジタル機器を使った仕事が増えていくことが考えられており、ICT教育はそんな状況になっても対応できるような教育が期待できるのです。ICT教育の注意点生徒の理解度を深めたり教師の負担を軽減させたりと、ICT教育には大きなメリットがあります。しかし、ICT教育は大きなメリットと同時に、注意したほうが良いこともあるのです。ICT教育で注意しておきたいことは、主に以下の3つです。時代とともにトレンドが変化するVDT症候群になる可能性がある想像力が低下する可能性もある子どもにICT教育を受けさせたいのならば、情報収集してよく注意しておきましょう。●時代とともにトレンドが変化するデジタル機器や情報通信技術というものは、進化が非常に早いです。つい最近出たデジタル機器や技術でも、数年後には古くて誰も使わなくなっている可能性があります。せっかく学校で習得したことや慣れた端末がトレンドではなくなり、将来役に立たない知識や技術になるかもしれません。そのため、ICT教育を受ける際はトレンド色の強い知識や技術だけではなく、ワードやエクセルなど凡庸性が高い教育も受けることをおすすめします。●VDT症候群になる可能性があるデジタル機器を使いすぎると、VDT症候群になる可能性があります。VDT症候群とは、パソコンやスマートフォンのディスプレイやキーボードの使いすぎで、肉体的・精神的に疲労をすることで起こる症状です。VDT症候群には、以下のような症状が確認されています。眼球……ドライアイ、視力低下、頭痛体……肩こり、腰痛、手のしびれ精神……イライラ、耳鳴り、頭痛VDT症候群を予防するためには、連続作業時間を60分以内にして定期的に休憩をするようにしてください。また、正しい姿勢で作業することも重要です。ICT教育を取り入れる場合は、自然とパソコンやスマートフォント接触する時間が増加しますので、子どもがVDT症候群にならないように常に注意してあげましょう。●想像力が低下する可能性もあるICT教育では、視覚から得られる情報量が非常に多くなります。調べれば解決してしまうため自分で考える機会が減ってしまい、その結果想像力が低下するかもしれないと考えられているのです。もし、ICT教育を取り入れるのなら、五感を使う教育をしたり、自分で考える時間を作ったりと、子どもの想像力を向上させる工夫をする必要があるでしょう。モバイル機器を禁止する時間を設けたり、親子で会話するときは調べることを禁止したり、子どもが想像力を働かせられる環境を整えることをおすすめします。まとめICT教育は学習効率を上げられるため、子どもには大きなメリットがあります。また、世界的にモバイル機器の取り扱いスキルや情報通信技術は必須スキルとなっていくことが予想されているので、社会に出てから苦労しないようにぜひとも取り入れておきたい教育方法です。しかし、ICT教育には気をつけなければいけないことが多々あります。もし子どもにICT教育を受けさせるのならばデメリットに関して把握しておき、ICT教育によるデメリットを最小限にする努力が必要になるでしょう。●ライター/高須 亮
2019年06月06日先行き不透明なこの時代、子どもの将来に不安を感じる親が、わが子になるべくたくさんの教育をほどこそうとする風潮があります。ですが中には、子どもが大きな負担を強いられているようなケースや、課題をさぼったり期待通りの成果を出さない時に、つい強く叱りすぎてしまったり、時には罰を与えてしまったり…。そんな話を聞くことも決して少なくはありません。どこまでが教育で、どこからが虐待なのか? 何が親をそこまで駆り立ててしまうのか?『追いつめる親』『習い事狂騒曲』の著者であり、教育ジャーナリストのおおたとしまささんにインタビュー。第2回は、「教育」と「虐待」の境目についておうかがいします。お話をうかがったのは… おおたとしまささん教育ジャーナリスト。麻布中高卒業、東京外国語大学中退、上智大学卒業後、リクルートにて雑誌編集。独立後、多数の育児・教育関連媒体の編集・企画に関わる。学校や塾などの教育現場を丹念に取材し、斬新な切り口で考察する筆致に定評がある。しつけから中学受験、夫婦関係までをテーマに、講演・メディア出演も多数。中高教育の資格、カウンセラーの資格。小学校教育の経験もある。『ルポ塾歴社会』『名門校とは何か?』『受験と進学の新常識』『中学受験「必笑法」』など著書は50冊以上。 『追いつめる親「あなたのため」は呪いの言葉』 の改訂版が2019年7月に出版予定。■教育と虐待、その境い目の見極め方法――明確な線引きは難しいと思うのですが、「教育的指導」と「虐待」の境目をきちんと知っておきたいです。おおたとしまささん(以下、おおたさん):概念的な線引きとしては、「子どもの人権を尊重しているか」というところです。子どもを親の所有物ではなく、自分と同じひとりの人間だと思うことができているかどうか、それが「教育的指導」と「虐待」の境目だと思います。――具体的な目安はありますか?おおたさん:例えば、1日5時間勉強させても全然平気な子もいるのですが、普通の子にさせたら大抵はつぶれてしまいます。それと同じで、負荷はその子にとっての相対的なものである、ということがまず大前提です。そして、その相対的な負荷が子どもの受忍限度を超えていることに気づくには、なんらかの負荷(勉強や習い事など)をかけた後の子どもの表情を見ればわかると思います。例えば、勉強が終わった後、「つらかったけどやっと終わったぜー!」というふうに晴ればれとした明るい表情になっているのか。それとも宿題が終わった後も「また明日もあるのか…」というふうに全然表情が輝かないのか。それが、ひとつの判断材料になると思います。負荷が終わった後にショボンとしているようでしたら、それは明らかに「これ以上やったらマズイ」というサインです。■「どうしてできないの?」「約束したでしょう?」2つの言葉が子どもを追いつめる――教育熱心すぎる親がやってしまいがちなNG対応はありますか? おおたさん:2つのパターンがあります。1つは、「どうしてできないの?」という言い方。そう言われても、わからないものはわからないのだからどうしようもないですよね。追いつめられれば追いつめられるほど、子どもの頭は真っ白になってしまいますし、「こんな問題ができないあなたはバカ」という含意が子どもを直撃します。――確かに…。ですが、親がつい言ってしまいがちな言葉です…。おおたさん:もう1つは「約束」です。例えば、テストで悪い点を取ると、教育熱心な親御さんは「どうしてこうなったのか?」「これからどうするか?」と冷静に原因と対策について話します。そして、「じゃあ具体的にどうするんだ?」と問いつめます。ヘビににらまれたカエル状態の子どもは、「これからはゲームの時間を減らして毎日勉強する」などと言わざるを得ません。ほとんど誘導尋問なのですが、こうして子どもは約束させられるわけです。でも、約束した時は本気でも、人間はそんなに強くありませんし、ましてや子どもです。ですが、約束が破られた時、「やるって約束したのに! 約束を破ったのか!」と親は理論武装して責め、子どもは言い逃れができず、追いつめられてしまうのです。――身に覚えがあるような…(苦笑)。おおたさん:実は、むやみに怒鳴ったりたたいたりする親御さんは少数で。最近の多くの親御さんは、こうして子どもを叱るに十分な理由をみつけてから、その正論を振りかざして、子どもを追いつめるのです。でも、たとえ、そこに正論があったとしても、相手を傷つけすぎて良いわけがないのです。親がやるべきことは、どうしたら子どもが悪かったと理解してくれるのか、次から改善してくれるのかを考えること。なのに、目的が自分のネガティブな感情を全部吐き出して、子どもにぶつけることに変わってしまっているのです。■体罰は愛ではない! 指導者としての未熟さが原因――「時には、ビシッと親の力を見せつけてやらないとなめられる」という厳しい親の意見も耳にしますが、どう思われますか?おおたさん:家庭において、親は絶対的な強者で子どもは弱者です。親という圧倒的に強い立場を利用して、逃げ場がない子どもを追い込むのは、穴に落ちた犬に石を投げるような卑怯(ひきょう)なことだと思いますけどね。以前、北海道で、親がしつけと称して山中に7歳の子どもを置き去りにした事件(※)がありましたよね? 当時も「親の行為はしつけか、虐待か?」と話題になりましたが、山中に幼い子どもを置いていくなどということがしつけのわけがない。あれは命に関わるような暴力的な行為で、たとえどんな理由があっても絶対にやってはいけないのです。――当時、「似たようなことをやってしまったことがある」という親御さんも少なくなかったですよね。おおたさん:中には、しつけと称して、愛があればたたいていいと体罰を容認する人もいますが、私は、体罰を生むのは愛ではなく、指導者としての未熟さだと思っています。言葉や態度による罵倒も同じです。スパルタ的な指導で子どもが伸びるという人もいますが、罰による成長は一時的なものであり、本質的な成長にはなりません。人は変えられる(外的動機づけ)のではなく、自ら変わる(内的動機づけ)のですから。 ■子どもの言動にイラッ「どうしても怒りが抑えられない時は?」――でも、親も未熟で、怒りの感情が抑えられない時もあります。そんな時はどうしたらよいのでしょう?おおたさん:ひとつ提案があります。子どもの言動にイラッとしてしまった時は、「今、自分は溺れかけているんだ」と考えてみてください。溺れている時、あなたはまず何をしますか? まず、口を閉じますよね? 次に、ジタバタするのをやめますよね? そうやって溺れた時と同じようにふるまったうえで、自分の感じていることをただ言葉にするのではなく、どうやったら子どもが前向きな気持ちで、自らの行動を改めようと思えるようになるか、翻訳するひと手間を考えましょう。いい翻訳が思いつかない時は、そのまま口を閉じていることが最善の策であることも少なくありません。――すでにやってしまった(手を出してしまったり暴言を吐いてしまったり)場合、親はどうやってリカバリーしたらいいのでしょう?おおたさん:間違いに気づいた瞬間から、親子関係をどうつくっていくのか、どんな親になりたいのか、それを考えればいいと思います。大切なことは、起きてしまったことを否定するのではなく、それを糧にするにはどうしたらいいかを考えること。望ましくないことが生じてしまった時、それを今後の糧にすることができるかどうかが、その人の強さだと思います。親も強くならなければいけないし、子どもにもその強さを学んでもらわなければならない。親も子どもも成長しています。親子関係も修復可能です。取り返しがつかないなんてことはないのですから。友人や仕事関係の相手にはきちんと配慮できるのに、わが子となると遠慮なく追いつめてしまう。子どもなら許されると思ってしまう。そこには、どんなに傷つけても結局、子どもは親以外には頼れない、という親のおごりや甘えがあるのかもしれません。でも、おおたさんが言うように、「たとえ、正論だとして相手を傷つけすぎて良いわけがない」のです。怒りが抑えられない時は、せめて「口を閉じる」こと。心に留めておきたいと思いました。次回は、おおたさんが考える「これからの時代に必要な力」についてうかがいます。※2016年、北海道の山中で、親が子どもをしつけのために車から降ろし、置き去りにした事件。7日後、子どもは無事発見された。取材・文/まちとこ出版社N
2019年05月29日先行き不透明なこの時代、子どもの将来に不安を感じる親が、わが子になるべくたくさんの教育をほどこそうとする風潮があります。著者の周囲でも、幼児期から塾に通ったり、毎日が習い事で埋まっているという話はざらです。もちろん、子どもが楽しんでいるなら良いのですが、中には、大きな負担を強いられているようなケースも見受けられます。さらに、子どもが宿題や習い事の練習をさぼったり、成績がふるわなかった時、つい強く叱りすぎてしまったり、時には罰を与えてしまったり…。そんな話を聞くことも、決して少なくはありません。そんな時に知ったのが、「教育虐待」という言葉でした。教育虐待とは、「子どもの受忍限度を超えて勉強させること」、「親の所得格差が子どもの学習権に大きく影響する」状態も教育虐待とされています。もし、上記の話に少しでも引っかかる方がいたら、一度立ち止まって考えてほしい。そんな思いで、『追いつめる親』『習い事狂騒曲』の著者であり、教育ジャーナリストのおおたとしまささんにお話をうかがってきました。著書には、驚くような悲惨な教育虐待のケースも紹介されていますが、それは決してひとごとではありません。本書を読んでいくと、この問題が親個人の問題ではないこと、そして程度の差こそあれ、親であれば誰もが陥る危険性があることがよくわかります。どこまでが教育で、どこからが虐待なのか? 何が親をそこまで駆り立ててしまうのでしょうか?お話をうかがったのは… おおたとしまささん教育ジャーナリスト。麻布中高卒業、東京外国語大学中退、上智大学卒業後、リクルートにて雑誌編集。独立後、多数の育児・教育関連媒体の編集・企画に関わる。学校や塾などの教育現場を丹念に取材し、斬新な切り口で考察する筆致に定評がある。しつけから中学受験、夫婦関係までをテーマに、講演・メディア出演も多数。中高教育の資格、カウンセラーの資格。小学校教育の経験もある。『ルポ塾歴社会』『名門校とは何か?』『受験と進学の新常識』『中学受験「必笑法」』など著書は50冊以上。 『追いつめる親「あなたのため」は呪いの言葉』 の改訂版が2019年7月に出版予定。■「子どもをスーパーマンに」求め過ぎる親たちおおたとしまささん(以下、おおたさん):教育熱心な親が子どもを追い詰めてしまうのは、今にはじまったことではありません。教育虐待という言葉ができる前の1970年代から、教育虐待に関する事件は起きています。ただ、昨今の教育虐待の状況は、以前とは少し変わってきたところがあると感じています。――どこらへんが変わってきているのでしょうか?おおたさん:高度経済成長期はテストで良い点がとれる子を育て、「高学歴」というパッケージ商品さえ手にすれば、それで親は満足でした。いい大学にさえ入れば、そこから先の将来は良い会社に入って終身雇用というレールができていたからです。ですが昨今、高学歴はもう役に立たないと言われるようになりました。とはいえ、学歴が要らなくなったというわけではなく、高学歴があることはもう大前提。それプラス、スポーツも音楽もといった、ほかのオプションもできなくてはいけないという、まるでスーパーマンのような人間を育てなければならないという、ある種の暴走が社会にはびこっているように感じます。それを真に受けてしまった親御さんが、幼児期からいろいろな習い事をさせたり、何かの役に立ちそうなスキルを身に着けさせたりと、躍起になっている傾向があります。――求められるハードルがどんどん上がっているのですね。おおたさん:子どもの特技や強みを伸ばすための習い事ならまだ良いのですが、例えば、英語やプログラミングの場合は、将来の職業スキルとして、幼児期からやらせているわけですよね? 「このスキルを身につけておかないと、将来仕事に就けない」というふうに。そういう面が目立ってきているように感じます。■「教育」とは何? 「人材育成」との混同が引き起こす虐待――子どもの将来に対する、親の不安が押しつけられてしまっているのでしょうか?おおたさん:現在の教育虐待の構造の前提として、教育そのものがビジネスの原理に汚染されている、というところがあります。そもそも、教育とビジネスというのは、全く違う力学として働くものですが、経済至上主義的な現在の価値観で、教育がビジネス的な論理に当てはめて語られるようになってしまったのです。――具体的に、どういうことなのでしょう?おおたさん:「教育」と「人材育成」がごっちゃになっているのですよ。そもそも教育とは、子どもの持つ能力を、その子らしく最大化して自己実現し、かつ、余った力を社会に還元してより良い社会を作ること。つまり、「教育はまずその子ありき」なのです。一方で、人材育成というのは、なんらかの目的に合致した人を育てることです。例えば、「わが社にはプログラムができる人材が必要」というふうに。つまり、「人材は目的ありき」なのです。本来「教育」とは、「どうしたらこの子が輝けるよう育つのだろう?」と、その子を見て考えるべきものなのに、その子を見ずに「これからの時代はこんな人材が求められているから、そういう人材にするためにどうしたらいいのか?」と、型にはめていく発想になってしまっているわけです。■子どもだけではない「追いつめられる親」――時代に求められる「型」に、親が子どもをはめようと躍起になってしまう。その焦りや不安が教育虐待の引き金になっていくのですね?おおたさん:それ以外にも、親が脅迫概念にかられる背景がもうひとつあります。それは、「子どものできは親次第」という社会的通念があることです。例えば、東大に子どもを合格させた親がメディアでチヤホヤされるなど。子育てにおける成功事例は、その子、その親、その関係性があったうえで、その場限りのものでしかないのに、たまたまうまくいった例をあたかも親の手柄のようにいう風潮がおかしいのです。逆に、子どもがひきこもりやニートになってしまった親が「自分の子育てが間違っていたのではないか?」と自分を責めてしまったり、周囲から非難されたり…。本来、親の関わり方と子どもの人生の在り方とは、直線的因果律(結果が生じるには、ある特定された原因が存在するという考え方)で結びつけることはできないのですが。これは、マスメディアの責任も大きいと思います。――確かに、核家族で子育てしていると、子どもの責任が全部親の肩にかかってくるような、そんなプレッシャーは感じます。おおたさん:現代の子育てでは親の責任が大きすぎて、親の方に力が入りすぎているのかもしれません。親こそが、すでに追い詰められているのかもしれません。だとすれば、教育虐待は単なる親の人格的な問題として片づけることはできないのです。「教育」と「人材育成」は似て非なるもの。「本来の意味での教育が、虐待に直結することはありえず、教育虐待のように見えるものの本質は、『人材育成虐待』なのではないか?」とおおさたんは言います。自分が子どもにしているのは、本当に教育なのか? それとも、人材育成なのか? 非常に考えさせられるお話でした。 次回 は、「教育」と「虐待」の境い目についておうかがいします。取材・文/まちとこ出版社N
2019年05月28日今月10日、教育の無償化に関する2つの法案が成立した。幼児教育の無償化が「改正子ども・子育て支援法」、大学などの無償化が「大学等修学支援法」だ。実際には、幼児教育が今年10月から、大学などは来年4月から無償化が始まる。「改正子ども・子育て支援法」について、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。幼児教育無償化の対象は、全世帯の3~5歳児と住民税非課税世帯の0~2歳児、合わせて約300万人。認可保育園や認定こども園などの保育料が無償になります。認可外の保育施設でも、3~5歳児は月3万7,000円まで、0~2歳児は住民税非課税世帯に限り月4万2,000円まで補助されます。保育料の無償化は、子育て世代にはありがたいことでしょう。ですが、「無償なら預けたい」という方が増えると、預けて働かないと暮らしていけない切迫した家庭にしわ寄せがいくかもしれません。というのも保育園不足が解決していないからです。保育園を探す“保活”は激化し、預け先がないために働けないという方もいます。私は女性が安心して働くために、保育園の整備が何より大切だと考えています。預けられない方がいるのに、預けられた方の保育料を無償化すると不公平を助長する、本末転倒といわざるをえません。そもそも保育料は、子どもが幼いほど、世帯年収が上がるほど、高く設定されています。国の上限基準によると、3歳以上の保育料は生活保護世帯の0円、住民税非課税世帯の月6,000円から徐々に上がって、最高は月10万1,000円です。今回の無償化でもっとも大きな恩恵を受けるのは、高い保育料を払っている高所得の世帯なのです。さらに、保育士の待遇が改善されず、保育士不足や保育の質の問題も棚上げされたまま。国は、幼児教育を本気で改善するつもりがあるのかと疑いたくなります。
2019年05月24日今月10日、教育の無償化に関する2つの法案が成立した。幼児教育の無償化が「改正子ども・子育て支援法」、大学などの無償化が「大学等修学支援法」だ。実際には、幼児教育が今年10月から、大学などは来年4月から無償化が始まる。「大学等修学支援法」について、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。大学など高等教育の無償化には、国の姿勢に疑問があります。世帯年収約270万円未満の住民税非課税世帯と、年収約380万円まで世帯の学生、合わせて約75万人が対象(両親・本人・中学生の4人家族を想定)。住民税非課税世帯なら、授業料が国立大学で年約54万円、私立大学で年約70万円が減免され、返済不要の給付型奨学金も支給されるという施策です。もちろん、低所得層への進学支援は重要ですが、今回の無償化はあまりにも限定的です。中間層の親も大学費用には苦労していて、学生の2人に1人が何らかの奨学金を受けています(’18年・日本学生支援機構)。その返済に苦しむ方も多いなか、ごく一部を対象にした支援で無償化とは、看板倒れといわれても仕方ないでしょう。私は、国公立大学の授業料を今の半額にするべきだと考えています。そのうえで、低所得世帯向けの給付型奨学金などを拡充すれば、どんな家庭でも、教育費の負担が軽減されるでしょう。少子化対策にも有効だと思います。2つの無償化は、次の選挙で、現政権の成果だとアピールすることがねらいではないでしょうか。
2019年05月24日5月10日、参議院で子ども・子育て支援法の一部を改正する法案が可決・成立し、10月1日から幼児教育・保育が無償化されることが決定しました。子育て世帯にはとてもうれしいニュースですね。ところで、10月1日からは幼児教育・保育の無償化だけでなく、私たちの暮らしに関わる色々な制度が変わることをご存知でしょうか?そこで今回は、幼児教育・保育の無償化を含め、10月1日から変わるものの中で、特に子育て世帯に影響しそうなもの3つについてお話しします。■ 1.幼児教育・保育の無償化tkc-taka / PIXTA(ピクスタ)まず、0歳児から2歳児までの子どもたちの、認可保育所、認定こども園、幼稚園などの利用料については、「住民税非課税世帯」を対象に無償化されます。3歳から5歳までの子どもたちについては、「収入に関わらずすべての世帯を対象」に、認可保育所、認定こども園、幼稚園(ただし専業主婦[夫]世帯は月25,700円を上限)の利用料が無償化となります。さらに幼稚園の預かり保育や、認定外保育園、ベビーシッターなどについても一定の要件のもと無償化(上限有)されます。ただし、実費として徴収されている費用(通園の送迎費、給食などの食料費、行事費、制服代など)は、無償化の対象外となりますのでご注意ください。■ 2.消費税の軽減税率制度Naoaki / PIXTA(ピクスタ)10月1日からの消費増税に伴い、消費税の軽減税率制度が導入されます。軽減税率制度とは「酒類・外食を除く飲食料品」と「週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)」を対象に、税率が10%ではなく現行と同じ8%に軽減されるという制度です。少し分かりにくく、一部ではあまり評判のよくないこの制度ですが、何かとお金がかかる子育て世帯にとっては家計のやりくりに「賢く」利用したいところです。では、飲食料品について軽減税率が適用されるのはどんな場合なのか例を挙げてみましょう。1. スーパー、コンビニなどで購入する食品(生鮮、加工品問わず)、飲料(酒類除く)ocsa / PIXTA(ピクスタ)軽減税率が適用されるのは肉・野菜・魚などの生鮮食品に限られません。例えば惣菜やお弁当、菓子類など、人の飲用又は食用に供されるすべての飲食物が対象となります(酒類、医薬品、医薬部外品等を除く)。2. 料理のテイクアウトや宅配Job Design Photography / PIXTA(ピクスタ)飲食店から料理をテイクアウトする場合や、料理等を宅配してもらう場合(ピザの宅配や出前など)も軽減税率の適用があります。ただし、ケータリングは飲食物の販売(譲渡)だけではなく、食事の配膳・提供が一体となったサービス(役務の提供)とみなされ、軽減税率が適用されません。3. おもちゃ付きのお菓子など、食品と食品以外のセット販売あすか / PIXTA(ピクスタ)おもちゃ付きのお菓子や、マグカップと紅茶のセット販売など、食品と食品以外がセットで販売されている商品等を「一体資産」といいます。このような場合、セットになっている食品の価格が、セット販売価格(税抜1万円以下に限る)に対する割合の2/3以上であればセット商品全体に軽減税率が適用されます。分かりやすい例でいえば、おもちゃ付きのお菓子価格が300円だとした場合、そのうちお菓子価格が200円以上であれば軽減税率が適用されますが、逆におもちゃ価格が100円以上なら標準税率の10%が課税されることになります。■ 3.住宅ローン減税の控除期間延長(10%課税の場合)もとくん / PIXTA(ピクスタ)これまで住宅ローン減税の控除期間は10年でしたが、10月1日以降にこの制度を利用する場合は控除期間が13年まで延長されます。ただし、この制度は利用できる期間が限定されていることに注意が必要です。この控除を受けるためには、2019年10月1日から2020年12月31日までの間にマイホームを購入(引渡しをうけること)し、入居をしなければなりません。また、この期間に入居したとしても消費税の経過措置(税率8%)を受けた場合や、取引対象が非課税(売主が個人等)の場合には、この措置が受けられませんのでご注意ください!花火 / PIXTA(ピクスタ)今回ご紹介した以外にも「自動車税の引き下げ」や、「中小の小売店で商品をキャッシュレスで購入する際のポイント還元」なども始まる予定となっています。何かと出費が多い子育て世帯ですが、さまざまな「新制度を上手に活用」すれば、家計の負担を少しでも減らすことができるかもしれません。参考※参議院「子ども・子育て支援法改正案を議決」※国税庁「消費税の軽減税率制度の実施」※国土交通省「住宅ローン減税」
2019年05月20日教育といえば「何かを教える」というイメージが強いですよね。しかし最近では「教えない」教育が重視されています。今回は、教えない教育がもたらすメリットや、家庭でもできる教えない教育について紹介しましょう。詰め込み教育から「教えない」教育へこれまでの教育は、試験や受験に役立つ知識をただひたすら詰め込む形が主流でした。教科書の内容を暗記したり、計算問題をひたすら反復練習したりして知識を蓄えることこそが、正しい勉強方法だと考えていらっしゃった親御さん方も多いのではないでしょうか。しかし、時代は変化しました。今やロボットやAIが人間の代わりに仕事や作業をすることが当たり前になりつつあります。その結果、これからを生きる子どもたちに必要なのは、知識を詰め込むことではなく、物事をより柔軟に、かつ自主的に考える力を身に付けることに変わってきているのです。こうした力を育てるためには、かつての教育とは真逆ともいえる「教えない」教育が有効だとされています。教えない教育がもたらすメリット教えない教育とは、子どもに何も教えずにただ放置することではありません。学びの基礎となる部分をしっかり教えたり、安全な環境を整えたりした上で、その先を子ども自身に考えさせることに重点を置いた教育です。結果として、子どもには以下のようなメリットがあります。・思考力が身につく教えない教育は、言い方を変えれば「子どもに考えさせる教育」です。「どうしたらこれが達成できるのか」「どうしたら前よりもうまくできるのか」などと考えることで、思考力がどんどん身についていきます。・自分の意見を言えるようになる教えない教育では、自分の中の考えをまとめて実行したり、相手にわかりやすく伝えたりすることが必須です。その結果、子どもは、自分の意見を言うことに慣れていき、やがてプレゼンテーション能力が向上していくことも期待されています。・問題解決能力が伸びる子どもが自分なりに試行錯誤することで、納得のいく答えを導き出したり、自分の本意とは違う結果を受け入れたりする場面が、教えない教育ではたくさん存在します。そうした経験をした子どもは、問題にぶち当たった時にも諦めたりせず、どうすれば解決できるのかをしっかりと考えることができるのです。・知的好奇心が伸びる教えない教育を行うと、子どもは新しい発見にたくさん出会います。その結果、自分で考えることの楽しさや、気づくことの喜びを知っていくようになり、知的好奇心がどんどん伸びていきます。子どもが「学びたい」と思える環境づくりのコツ教えない教育を通して、子どもが自ら「学びたい」と思えるようにするために、以下に取り組んでみましょう。・子どもが集中している時は見守る子どもが何かに集中している時間は、まさに「自ら学んでいる」状態です。そんな時はついつい「すごいじゃん!」「ママ(パパ)にも見せて!」などと声をかけたくなりますが、その気持ちをぐっとこらえて見守るようにしましょう。教えない教育では、子どもが行なっていることに親がやたらと手出しをするのではなく、子どもが安心して集中できる環境を整えてあげることこそが重要とされています。・自然の中で遊ばせる自然には、木の香りや太陽の光、土の感触や鳥の鳴き声など、五感への刺激が溢れています。脳科学分野の権威である小泉英明氏は、自然がもたらすさまざまな刺激についてこう述べています。「光、音、様々な形や色、感触――自然は、意図しない刺激に満ちています。一方、人間が与える教育は、意識上の言語で作られたもの。良い教育をしているつもりでも知らず知らずのうちに意識下への刺激がカットされて、刺激が狭められてしまう危険性があるのです」(引用元:日経DUAL|“教えない”早期教育を脳科学者らが勧める理由)さらに小泉氏は、意欲ややる気にかかわっている脳の内側を鍛えるためには、ひらがなや数字を教えるといった知育的な学びよりも、まずは自然に触れることが大切だとおっしゃっています。子どもと自然がいっぱいの公園などで遊ぶのはもちろん、キャンプや農作業体験をするのも、教えない教育の一環として有効です。・子どもの質問にすぐ答えを出さない子どもに「どうしてこれはこうなるの?」と質問されたら、「それはこうだからだよ」と答えを教えて説明する親は多いでしょう。しかし、それでは子どもの考える機会を奪うことにつながる場合もあります。そのため、子どもに質問されたら「どうしてだと思う?」と質問返しをして、子どもなりの考えを引き出しましょう。そうして自分の考えを言えたら「しっかり考えたんだね」と褒めてあげるのがコツです。そんなやりとりを通して、子どもは考えることの楽しさを覚えていきます。***昨今では、低年齢から塾や習い事をする子どもも多く、親はつい「うちの子にも何かさせなければ……」と焦りがちです。しかし、何かを教えたり与えたりする教育だけでなく、あえて教えない教育も、子どもの成長を促すことを知っておきたいですね。文/田口るい(参考)プレジデントオンライン|ペラペラな親ほど早期英語教育に“冷淡”日経DUAL|“教えない”早期教育を脳科学者らが勧める理由プレジデントオンライン|自ら机に向かう子の親が欠かさない習慣日経ビジネス|先生が「教えない」ほうが学力は伸びるぎゅってweb|一生モノの「集中力」は子どものときにベネッセ教育情報サイト|どうなる?大学入学共通テスト小学生のうちから「考える」習慣づけが大切に!?Study Hackerこどもまなび☆ラボ|2020年度から「大学入学共通テスト」がスタート!親が今からやっておくべきことは?
2019年05月17日赤ちゃんとの毎日がもっとラクに、もっと楽しくなる。ベビーカレンダーは、そんな毎日を応援するコラムを絶賛連載中! 今回は、保育士・離乳食インストラクターの中田さんからメッセージです。 こんにちは。離乳食インストラクターの中田馨です。上の子がいると、離乳食と幼児食の両方を作らなければいけない時期があります。私も、娘の離乳食がスタートしたとき、息子はまだ4歳。いかにカンタンにおいしく、短時間で家族全員の食事を作るかを考えて調理していました。 今日は、幼児食と離乳食の両方をラクに作れるコツを話します。 食材は下の子が食べられるものを選ぶメニューを決めるときに、下の子が食べられる食材を選びましょう。例えば、5~6カ月ごろ(離乳食初期)の赤ちゃんがいる場合は、1~2品は5~6カ月ごろ(離乳食初期)の赤ちゃんが食べられる食材中心に考えます。 食材が決まったら、幼児食からのとりわけ離乳食を作りましょう。 【どの時期にも共通する食材選びの3つのポイント】・主食(おかゆ、麺など)があること・豆腐、魚、肉などがあること・野菜があること 幼児食からのとりわけ離乳食の方法では、具体的に幼児食から5~6カ月ごろ(離乳食初期)の離乳食を取り分けるにはどうすればいいかをお伝えします。 【メニュー例】・ご飯・みそ汁(豆腐、にんじん、たまねぎ)⇒離乳食に取り分ける・かぼちゃの煮物(かぼちゃ)⇒離乳食に取り分ける・唐揚げ⇒幼児食のみ・ブロッコリーのサラダ⇒取り分けられる食材だが今回は幼児食のみ こうして、離乳食期に食べられる食材を幼児食メニューから取り分けるのです。 幼児食からのとりわけ離乳食のポイント赤ちゃんが食べられない食材を入れることと味つけは最終工程にします。例えば、肉じゃがを5~6カ月ごろ(離乳食初期)の離乳食用に取り分ける場合は下記のようにします。 【1】牛肉は2cm幅に切る。じゃがいも、にんじんは一口大に切る。たまねぎは縦半分に切り繊維に沿って1cm幅に切る。 【2】鍋に昆布だし、じゃがいも、にんじん、玉ねぎを入れ沸かし、やわらかくなるまで弱火~中火で煮る。⇒ここで、5~6カ月ごろ(離乳食初期)の離乳食用に取り分ける。裏ごしして煮汁でなめらかにして完成。 【3】牛肉と調味料(しょう油、きび砂糖)を入れ、味がしみこむまで煮る。 肉じゃがの場合、5~6カ月ごろ(離乳食初期)に食べられるのは、じゃがいも、にんじん、玉ねぎのみなので、それ以外の牛肉、調味料は取り分けたあとに入れるのです。 大人は幼児食と同じものを食べる手順2つを見ていて「あれ?これって大人にも使えるのでは?」と気づいた人もいるのではないでしょうか? もちろん、大人のメニューも同じ手順で作ることができます。とはいえ、離乳食・幼児食・大人の食事の3種類を作るとなると毎日大変です。だからこそ私は、3〜4歳のお子さんに大人と同じものを食べさせるのではなく、大人が幼児食と同じものを食べることをおすすめします。 最初は「薄い」と感じるかもしれませんが、徐々にだしと食材そのものの風味や味がおいしく感じられるようになります。離乳食や幼児食を通して、普段の私たちの味つけや調理方法の見直しにもなります。また、数年後に赤ちゃんが幼児食を食べるようになったときも、メニューを大きく変えることなく、家族みんなが同じメニューを食べられます。 毎日の食事作りを少しでもカンタンに作れると、ママもラクになりますよね。取り入れられるところからでもいいので、ぜひチャレンジしてみてくださいね! 著者:保育士 一般社団法人 離乳食インストラクター協会 代表理事 中田家庭保育所施設長 中田馨0~2歳対象の家庭保育所で低年齢児を20年以上保育する。息子が食べないことがきっかけで離乳食に興味を持ち、離乳食インストラクター協会を設立。現在は、保育士のやわらかい目線での離乳食の進め方、和の離乳食の作り方の講座で、ママから保育士、栄養士まで幅広く指導。離乳食インストラクターの養成をしている。「中田馨 和の離乳食レシピ blog」では3000以上の離乳食レシピを掲載中。
2019年05月07日教育熱心な親御さんのなかには、「プレイフル・ラーニング」という言葉を耳にしたことがある人も多いかもしれません。いわゆる詰め込み型教育の対極にあるものとして、「遊びながら学ぶ」というイメージを持っているのではないでしょうか。でも、ちょっとだけ、そのとらえ方のニュアンスがちがうようです。では、そもそもプレイフル・ラーニングとはなにか。そして、家庭教育に生かすための方法にはどんなものがあるのかを、発達心理学と認知心理学の専門家である十文字学園女子大学の大宮明子先生に教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)楽しんでいるなかに学びがあるプレイフル・ラーニングとは、同志社女子大学の上田信行先生が提唱された概念で、一般には2000年代前半頃から認知度が高まってきました。「プレイ」という言葉から、「遊びながら学ぶ」教育手法だと思われがちですが、プレイフル・ラーニングの根底にあるのは「楽しんでいるなかに、そもそも学びがある」という考え方です。「楽しんでいるとき」ですから、いわゆる「遊び」でない場合もあります。ただ、子どもの場合、楽しんでいるときにしていることというと、基本的には遊びが多いですよね。ですから、必然的に子どもにとっては遊びから学ぶことが多くなるのです。親御さんに意識しておいてほしいのは、大人と子どもの学び方はまったくちがうということ。決定的なちがいは、「目的や目標があるかどうか」という点です。大人が学ぶときには、ほとんどの場合はなにかのスキルを身につけたいといった目的や目標がありますよね。そして、その目的や目標を達成するために本を読んだり講座を受けたりするわけです。大人は、「学ぶこと」とはそういうものだと思っています。でも、子どもの場合は多くの学びがある遊びをするにも、なにかを学びたいといった目的や目標を持っていません。ただ楽しくお人形さんごっこをやっていたら、いつの間にか自分の着替えもできるようになった。これも立派な学びですが、その子は「着替えができるようになりたい」と思っていたわけではないのです。子どもの学び方は、あらかじめほしい結果があるのではなく、楽しく遊んでいたら、結果としてなにかを学んでいたというかたちだと思っていいでしょう。好きなことを追求していた難関突破経験者幼いときのプレイフル・ラーニングは、将来的には学力を大きく伸ばすことにもつながります。以前、先の上田先生、お茶の水女子大学の内田伸子先生とわたしの3人でおこなった研究を紹介しましょう。その研究では、東大や京大といった難関大学合格者、あるいは司法試験や医師試験の合格者という「難関突破経験者」とその親にウェブ調査をおこないました。調査内容は、幼児期になにをしていたことが難関突破につながったか、ということです。結果は、見事にプレイフル・ラーニングでした。普通、そういうエリートと呼ばれる人たちなら、小さいときから塾に通って先取り学習をするなど一生懸命に勉強していたのではないかと考えるのが自然です。でも、実際にはそうではなかった。彼らが幼いときになにをしていたかというと、それぞれが好きなことをとことんやり続けた。そして親は、子どもが好きなことに一緒に取り組むなどして、子どもを応援していたのです。たとえば、ある人は虫が大好きでひたすら網を持って虫取りばかりしていたそうです。他には、とことんサッカーをしていた、野球をしていたという人もいます。いわゆるお勉強からは程遠いことをしていた人たちばかりでした。それがなぜ知的なレベルの学習にもつながったのか?その部分にはみなさんも関心があるでしょう。その答えは、その人たちが幼いときにやっていたことは、親に強制されたものではなく、自分が好きなことだったということ。そして、親がそれを止めることなくやり続けさせた。そうして、持続力や集中力が身についたのだろうと推測できます。また、好きなことを通じて、彼らは自分なりに学びに向かうための方略を身につけていきました。虫好きの子どもなら、知らない虫を捕まえてくれば自分で図鑑を開いて調べる。そして、単にバラバラの知識を頭に入れるのではなく、「この虫とこの虫はここが似ているから、きっとこういう似た場所にいるのだろう」というふうにも考えたりもする。つまり、自ら学ぶ姿勢を身につけ、さらには自分で得た知識を体系立てる、構造化するということも、小学校に入る前からしていたというわけです。そんな学びの姿勢がある子どもの興味の対象が教科になったとしたらどうでしょうか?学力が一気に伸びることは明白ではありませんか。ものを過剰に買い与えることも要注意!大切なことは、子どもにとっては遊びのなかに学びがあるからといって、「はい、これで遊びなさい!」と強制してもなんの意味もないということ。子ども自身が「やりたいと思うこと」を思う存分やらせてあげることがポイントです。すると、「なるべく選択肢が多いほうがいいだろう」と考えて、いろいろなものを買い与えようとする親御さんもいるようです。しかし、その考えは要注意。大人にとっては珍しくもなんともないものでも、子どもにとっては「これ、なんだろう?」と思うものが家のなかにはあふれているものです。それこそ、単なるテレビのリモコンだって、幼い子どもにとっては興味の対象になるのです。それなのに、お店で少しでも子どもが興味を示したからと、あれやこれやと買い与えると、子ども部屋はものであふれかえります。すると、ものがあり過ぎるためにものが風景の一部になり、子どもはどこに注意を向けていいのかわからなくなり、かえってものに対して興味を示したり集中したりすることができなくなるのです。意識的にものを与えなくても、子どもは子どもなりに周囲のものに必ず興味を示します。そして、その興味を邪魔することなく、子どもの行動、遊びを見守ることを心がけてください。『幼児期からの論理的思考の発達過程に関する研究』大宮明子 著/風間書房(2013)■ 十文字学園女子大学教授・大宮明子先生 インタビュー一覧第1回:東大・京大・司法試験・医師試験の合格者たちが、幼児期に共通してやっていたこと第2回:「ママがやって」と言われたら黄色信号。子どもの考える力を奪う親のNGワード(※近日公開)第3回:「親の言葉遣い」に見る、成績優秀な子が育つヒント。語彙力が伸びる会話の特徴(※近日公開)第4回:絵本の目的は学びにあらず。子どもの興味の芽を摘む、読み聞かせ後の「最悪の質問」(※近日公開)【プロフィール】大宮明子(おおみや・あきこ)6月5日生まれ、東京都出身。十文字学園女子大学人間生活学部幼児教育学科教授。1988年、中央大学法学部法律学科卒業。1997年、お茶の水女子大学教育学部教育学科心理学専攻3年次編入学。2001年、お茶の水女子大学大学院人間文化研究科発達社会科学専攻博士前期課程修了。2008年、お茶の水女子大学大学院人間文化研究科人間発達科学専攻博士後期課程修了。人文科学博士。発達心理学、認知心理学、とくに子どもの思考の発達、乳幼児期の親子の関わりを専門研究分野とする。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年05月07日「将来、子どもが英語を話せるようにするためにはどうしたらよいですか?」これは私が幼児の英語教育に携わってから、一番よく聞かれる質問です。2020年度に全国の小学校で英語教育が必修化することを受け、英語教育を重視するママが増えています。そんな教育熱心なママたちからの質問の中には「あれ?」と感じてしまうものも。今回は私の経験も含めながら、みなさんが勘違いしているかもしれない英語教育のいろいろをQ&A形式で紹介したいと思います。Q. 英語耳・英語脳は6歳までしか育たないの?A. 幼児期(1~6歳)は「聞く」と「話す」がとても得意な時期です。そして、リスニング能力については、やはり早い時期から英語を始めた子どものほうが発音が良いと感じます。でも、6歳を過ぎても英語耳、英語脳を育てることは可能です。私の経験の範囲内ですが、年齢に関わらず、良い耳を持つ人は日本語にない"R"と"L"の聞き取りもできますし、聞き取りができれば、その音を自分で作り出すこともできます。英語と日本語は周波数が違う、音節が違うから聞き取りづらいなどと言われますが、大人になってから環境や勉強法で克服し、ネィティブ並みの発音を身につけている人が私の周りにはたくさんいます。Q. 英語に興味がないわが子。英語を学ばせるのはムリ?A. 子どもが英語に興味がないと悲しんでいる人は、まず自分が英語に興味があるかを考えてみましょう。私が英語を学ぶ上で一番大切だと思うのは、子どもだけでなく、大人も一緒にやってみること。一番効果的なのは、で以前にお伝えした、子どもが好きな遊びを英語で大人が一緒にやることです。でも、それが難しい場合は、自分が好きな海外アーティストの曲を子どもに聴かせたり、海外旅行に行ったときのエピソードを話してあげるだけでも大丈夫。家庭で身近に英語の存在を感じられる環境が子どもの言語感覚を養います。Q. 日本人の親が英語を教えるのはよくないの?A. 発音を重視される保護者にはネィティブの先生とのレッスンをおすすめしています。しかし、「英語を嫌いにならない子ども」を育てたいのであれば、日本人のママやパパが英語を教えることに私は大賛成です。幼少期から英語に触れておけば、子どもが成長してやる気になった時にぐんと伸びます。そのためにはやはり子ども本人が楽しめる形を大人が一緒になって作り上げることが一番。幼少期は「大好きなママやパパ」と一緒に「遊びながら学ぶ」ことが、子どもの心も育てます。Q. お金をかけているのにちっとも上達しない!A. レッスンに通わせているのに、英語が身についていない!」という相談もよく受けます。そのような相談に限って「レッスンにさえ通わせていれば大丈夫」と家庭でのサポートがない場合がほとんど。週に1度、1時間程度のレッスンに通わせているだけでは英語は身につきません。家庭で習い事と連動している教材のCDを聴かせ、DVDを見せるのは大切な親の役目。子どもと一緒にCDを聴いて、DVD鑑賞ができればなおよしです。私が教えているクラスの子どもたちも家庭でのサポートのあるなしで、あきらかに習熟度に違いが見られます。英語教育は年齢があがると、子どもの努力も親の努力もより必要になりますが、幼児期に種まきをしておくと、この努力が軽減されます。「大人も一緒に楽しむ」をキーワードにこの春から親子で英語を楽しんでみませんか。<文・写真:フリーランス記者稲井華子>
2019年04月15日「エデュテイメント」って知ってる?教育の分野でよく使われている言葉で、「学び」という意味の「エデュケーション」と、「娯楽」という意味の「エンターテインメント」を合わせた造語。あんふぁんでは今年度「学ぶって楽しい!エデュテイメント」をテーマに、学びと遊びの関係について考えていきます。入園、進級、おめでとうございます!幼稚園での毎日の中で、子どもたちは大きく成長します。それは、幼稚園での“遊び”が、成長のための“学び”につながっているから。遊びの大切さと、遊びを通して子どもたちがどう育っていくのか、聖心女子大学・教育学科教授の河邉貴子さんに聞きました。お話を聞いたのは聖心女子大学文学部教育学科教授河邉貴子さん東京都公立幼稚園で12 年間教諭として幼児教育に携わった経験を持つ。専門は幼児教育学。著書に『遊びを中心とした保育〜保育記録から読み解く「援助」と「展開」』(萌文書林)ほか。NHK Eテレ「すくすく子育て」でも活躍遊びを繰り返して発達に必要な経験を積み重ねる一見、ただ楽しく遊んでいるように見える幼稚園の日常。しかし、子どもにとってはすべてが大切な学びにつながっています。子どもは生まれながらにして外界の情報を取り込む力を持っています。面白いところに手を伸ばす、新しい刺激を追う…。手や足を動かして感じて、世の中を知る、それを“遊び”の中で体得していくのです。遊びの本質は、自分からやってみたいという気持ち、やっていて楽しいという感覚、やり遂げた達成感にあります。その中で、見通しを立てる力、最後までやり通す力など、さまざまな能力を獲得します。こうした感情や感覚は、大人に押し付けられたり、正解を先回りして教えられても身に付きません。「非認知能力」の重要性が問われていますが、これは幼少期の遊びの中で、興味を持ったものに夢中になり、試行錯誤することで養われます。「認知能力」が高まるには、「非認知能力」が大切との研究結果も出ています。幼児期の遊びが、子どもの自発性を育み、小学校に上がってからの学習への自発的な意欲につながっていくのです。Keyword非認知能力とは目標に向かって頑張る力や自己肯定感を持つといった自分に関する力や、他者への思いやりやコミュニケーション能力など、人間として生きていく上で大切な内面的な心の力のこと。対して、文字が読める、計算ができるなどIQで測れる力を「認知能力」といいます先生や友達との関わりの中で質の高い遊びに日本では初の幼稚園が開園した約140年前から、遊びを中心とした保育を行っていて、「幼稚園教育要領」でも「遊びは幼児にとって重要な学びである」と明記されています。幼稚園に入ると、子どもの世界は広がります。中でも大きく変わるのが「人との関わり」。はじめはひとりで遊んでいる子どもたちも、お友達に影響されて、興味の幅が広がります。もちろん、ケンカになることも多々ありますが、そんなときは、保育者がそれぞれの気持ちを代弁して、相手にも気持ちや意見があることを知ります。「仲よくしましょう」と言われてできるものではありません。ぶつかりあう経験を通して、人との関わり方を学んでいくのです。また、子どもたちを放任していると、同じことをずっと繰り返したり、遊びが停滞することがあります。そんなときは保育者が助言を与え、見守り寄り添うことで、ひとつの遊びがどんどん発展して膨らんでいき、「質の高い遊び」ができるようになるのです。幼児期の遊びで心も、体も、頭も育つ運動会や発表会などの行事を通して、子どもたちが成長した姿を実感することも多いでしょう。しかし大切なのは、当日の成果ではなく、そのプロセス。みんなでひとつのことをやり遂げる、人と一緒に頑張ることの楽しさを、子どもたちは学びます。当日うまくいかなかったとしても、それまでの頑張りをほめてあげてほしいですね。幼児期の遊びで、心も、体も、頭も育ちます。そして遊べば遊ぶほど、能動的な学び手となって成長するのです。幼児期に夢中になって遊んだ経験が、大人になっても持続的に幸せを感じる土台を作ると言われています。幼稚園でたくさん遊んで、どんどん成長していく子どもたちの毎日を、親は見守り、一緒に楽しんでください。読者ママアンケート「小学校に上がる前に幼稚園で身に付けてほしいことは?」(※上位3つを複数回答)1位自分の考えを人にちゃんと伝えることができる74.8%2位先生や親、友達の話をちゃんと聞くことができる51.2%3位最後まで諦めずにやり通すことができる40.2%※あんふぁんWebアンケート2019年1/9~2/5、有効回答数1296人河邊さんからのアドバイス小学校に入ると、子どもたちは人間関係をイチから作り上げる必要性があります。幼稚園時代は毎日を一緒に過ごす中で、お友達とも分かりあえる力が高まっていますが、それがすべてリセットされてしまうのです。その中で「自分の意見を言えること」「お友達や先生の意見を聞けること」が、新しい環境で自分の居場所を見つけるのに重要になってきます。その意味でもこの結果は、とてもいい願いですね。「小学生になったら人の話をちゃんと聞くんだよ」「自分の意見を言いなさい」と親や先生に言われたからといって、できることではありません。幼稚園時代に、人との関わりや遊びを通して、お友達の話を聞くと自分の意見も聞いてもらえることや、イヤなことをイヤと言う大切さなどを、体感することが必要なのです。幼稚園での“遊び”を通して、こんなに成長します!子どもたちは遊べば遊ぶほど、遊びの質がどんどん高まっていきます。幼稚園での遊びを通じて、どのように成長していくのか見てみましょう。◆年少ひとり遊びから始まり、同じことをする楽しさを知る始めは一人ひとりが好きなことをバラバラに遊びます。同じ動作をする他者を感じて楽しい気持ちになる「身体同調」という感覚がありますが、園の環境に慣れてくると、隣のお友達を見て、「楽しそう、やってみようかな」という気持ちが芽生えてきます。ままごとをしていたら、全員がお母さん役になっていても不都合を感じないのがこの時期です。◆年中役割を決めてお友達と一緒に楽しむ友達とのやり取りの経験を積むと、相手に気持ちがあることや、ケンカをしても言葉で解決できることが分かり、その都度、どうしたらいいかを考えられるようになってきます。ままごとをしていても役割分担を決めて一緒に遊べるように。仲良しの友達ができる反面、お互いの主張が対立してケンカになったりもします。◆年長ひとつの遊びを通して、どんどん世界が広がる見通しを立てて遊ぶことができるように。また、友達との関わりの中で、意見を出し合い、ひとつの遊びがどんどん発展したり、みんなで一緒にひとつのことを成し遂げる楽しさが分かるようになります。ままごとでも、見えない部分のシチュエーションを考えていたり、現実を取り入れたり、発想が豊かになり、遊びの世界がどんどん広がります。ママの心配事に答えますQ スマホの動画やゲームが好きでずっと遊んでいますが、遊びといえますか?A この時代に生きていると、スマホ・パソコンはそのうち絶対触れるものです。全てを否定するわけではないですが、遊びは実際の経験の中で楽しみを見つけていくもの。バーチャルで見ただけのことは遊びとはいえず、実は身に付いていないことも。園時代は、べちゃべちゃしたり、どろどろしたりといった、実際の手触りや感覚を大事にしてあげてほしいですね。バーチャルしか知らないと、寛容性が狭まる恐れもあります。見せるにしても時間を決めるなどのルールは必要です。Q 遊びに夢中で、ひらがなや数字に興味なし…、小学校へ行っても大丈夫?A 遊びの中で「看板に文字を書きたい」「お友達にお手紙を書きたい」など、興味を持ったときに教えてあげるのはOKですが、興味がない子に「“あ”を書いて」など無理やり教える必要はありません。また、字が汚いとか書き順が間違っているなど、子どものやる気を奪うようなことは幼稚園時代には言わないで。小学校に入るときに、自分の名前が読めて書けるくらいで十分です。遊びに夢中になれるのは素晴らしいこと!この時期に大切にしてほしいのは、習得ではなく、文字・数字に対しての豊かな経験。ママが本を読んでいる姿を見せたり、一緒に絵本を読んだりする体験を積んであげてください。Q ママにべったりで、幼稚園でママから離れてちゃんと遊べるか心配ですA 幼稚園に入ったのだから、しっかりさせなきゃと思うママもいるでしょうが、新しいところにすぐなじむ子もいれば、時間がかかる子もいます。自分の目で新しい環境をじっくり見て、安心できるところや、自分の居場所はどこかを子どもはしっかり考えています。見るだけで満足している場合もあります。ママは心配もあるでしょうが、「今日は何したの?」「今日はどうだった?」などと、矢継ぎ早に、問いただすようなことはしないで見守ってあげてください。一見何もしていないようでも、子どもたちはいろいろなことを学んでいますよ。ママも実感!幼稚園でわが子が成長したと感じたエピソード● 幼稚園の事を聞いてもいつも「分からん、知らん」と答えていましたが、最近になり、自分から「今日ね…」と話してくれるようになりました。言葉の発達、園生活でのいろんな感情、何よりも楽しんでいるからこそ少しずつ話してくれるようになったのかなーと思えてうれしくなります。(愛知県・年少ママ)● 作品展の制作で、あまりお友達や先生に意見を言う事のない息子が、初めて自分から意見を言い、それがみんなに好評価だったそう。それからは、何かあるたびに「こうした方が良いんじゃない?」とか「こうしたらどうかな?」と積極的に発言するようになりました。(愛知県・年少ママ)● 発表会で、年中までは声が小さくてセリフを聞き取れませんでしたが、年長では堂々と大きな声でセリフを話していて、その姿に成長を感じました。本人の自信になったようで、普段も積極性が出てきたと先生から聞きうれしくなりました。(青森県・年長ママ)● 友達と遊ぶ時、仲間と協力して大きな物を作ったり、新しいルールを決めてみたり。 大人との関係では築けないような、独創性や仲間意識が見られるようになりました。(東京都・年長ママ)● 縦割り保育で、上の学年の子たちから優しくしてもらったり、下の学年の子たちの面倒を見てあげたりすることを通して、自分の妹にも優しくいろいろ教えてあげたりできるようになってきました。(東京都・年中ママ)河邉さんからメッセージ子どもたちは幼稚園でプラスの体験、マイナスの体験を積んで育ちます友達との関わり、ダイナミックな遊び…、家でできないことをするのが幼稚園です。もちろん毎日、いろいろなことは起きるでしょう。まずは何事も、素晴らしい体験をしていると思って、園に委ねてください。子どもはプラスの体験だけでなく、マイナスの体験をして育っていきます。小さな失敗や挫折を乗り越えていくことが子どもを成長させるのです。ママが一緒に落ち込むと、その気持ちは子どもにも伝染します。共に悲しむのではなく、いい経験と前向きに捉えてみてください。入園当初はママも不安なことも多いでしょうが、気になることや心配事はどんどん先生に聞いたり相談してください。また、何かかができるようになることを焦ったり、周りと比べず、子どものできたことに目を向けてあげましょう。幼稚園で子どもたちは思いっきり遊んで、どんどん成長しますよ!イラスト/柴田ケイコ
2019年04月13日近年、子どもを取り巻くお金の環境が大きく変わったことで、学校教育でも間もなく「お金の教育」がはじまります。日本はようやく国としてマネー教育に本腰を入れることになったのです。では、海外のマネー教育とはどんなものなのでしょうか。マネー教育の第一人者である横浜国立大学名誉教授の西村隆男先生にお話を聞きました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)いまの日本にもマネー教育はあるが……間もなく実施される新学習指導要領による公教育には、いわゆるマネー教育が組み込まれることになりました。とはいえ、現在も学校においてマネー教育がまったくされていないわけではありません。ひとつは日本銀行が組織している金融広報中央委員会によるもの。金融広報中央委員会のかつての名称は貯蓄増強中央委員会。もともとは、戦後間もない頃に、国民に貯蓄を奨励し、お金を財政と企業融資に使って日本の産業拡大を図るための組織でした。「貯蓄は美徳だ」と国民を教育していたわけです。現在も傘下の組織が各都道府県にあります。主な活動は、小学校、中学校、高校向けのマネー教育の教材をつくること。それから、金融・金銭教育研究校を指定して、「かしこい消費者になり、かしこい買い物をする」という教育をおこなっています。子どもの頃に通っていた学校が、「子ども銀行」の活動をしていたという方もいるかもしれません。それも金融広報中央委員会によるマネー教育の一環です。もうひとつは最近のものです。2012年に消費者教育推進法という法律が制定されました。これは、自分のためだけではなく、「世のなかのためにもいい買い物をしよう」という教育をおこなうための法律です。「世のなかのためのいい買い物」とは、たとえば持続可能な社会をつくるために環境にいいものを買う、あるいは人権のことも考えてフェアトレード商品を買うといったものですね。この法律により、現行の学習指導要領でも家庭科や社会科の学習内容に「消費者教育」という名称でマネー教育が盛り込まれています。たとえば、小学3年生なら、社会科の勉強として商店街や小売店のお金の流れやそこで働く人の視点を学ぶ。これも広い意味ではマネー教育といえます。欧米の教育は「生き方教育」とはいえ、授業時間全体からすれば日本のマネー教育はごく限られたものです。では、海外のマネー教育はどうなのかというと、特に欧米では日本よりもはるかに進んでいるといっていいでしょう。そのちがいは、教育そのもののとらえ方によるところが大きいと感じています。日本の中央集権的な教育の目的は、健全な勤労者を育てて経済のパイを大きくしようとするもの。いわばエリート養成のための「知識注入型教育」が中心です。一方、もともと子どもに自立心や権利意識を持たせることを重視する欧米の教育は「生き方教育」といえます。そのため、特に北欧の教育では、手に職を持たせるという意味もあってか、「ものづくり」を重視する。それどころか、小学4年生になると自分で仕事をつくって生活していくための「起業家精神」を教える授業もあるほどです。そういう教育ですから、当然、マネー教育にも力を入れています。スウェーデンでは子どもたちに生活設計をさせる授業があります。収入がいくらで家賃がいくらで、毎月いくら貯金できるとか、利息が○%だから年末には預金がいくらになるというふうに生活設計をさせる。しかも、面白いことにこれが算数の授業なのです。フィンランドでは図工の時間に広告をつくるという授業を視察しました。図工の授業とはいえ、ただのアートでは終わりません。子どもたちは「これなら商品が売れるだろう」と考えた文言を広告に入れる。売り手がどのように買い手を誘導しようするのか、マーケティング戦略を学ぶわけです。さらに、今度は消費者サイドに立ってそういう戦略に乗せられないための方法を学んでいました。求められる「実生活に根ざした教育」アメリカのマネー教育もわたしのなかでは強く印象に残っています。わたしがアメリカでマネー教育の視察をしたのは1987年頃。少し古い話になりますが、逆にいえばアメリカでは少なくとも30年以上も前から積極的にマネー教育がおこなわれていたということになる。さて、肝心の授業内容です。当時のアメリカは小切手社会でした。すると、小学生が小切手を切る授業を受けていたのです。子どもが「$100」と小切手に書いたら、先生は「それじゃ、駄目だ」という。ただ「$100」と書いたのでは、線を書き足されて「$400」にされるかもしれないし、0をふたつ加えて「$10000」に書き換えられるかもしれませんよね。不正防止のために「$100と書いたら、その下に『one hundred dollars』と書きなさい」と指導するのです。完全に実用的な内容でした。また、高校生になると、中古車ディーラーで車を買うシミュレーションをおこなう授業もありました。走行距離や事故歴、燃費など、車を買うときになにをチェックするべきかを教える。それこそかしこい消費者になるための教育をしているわけです。これは「コンシューマーエコノミクス(消費者経済学)」という教科の授業でした。独立教科でマネー教育をするアメリカ、さまざまな教科で横断的にマネー教育をするヨーロッパというちがいはありますが、学校でリアル経済を教える点では共通しています。そうして、子どもを社会のなかで自立した人間に育てることこそが教育だという思考があるのでしょう。二次関数や因数分解、微分積分を学んで数学の面白さに目覚めた子どもが数学者やエンジニアを目指す――そんな教育もたしかに大事なものでしょう。でも、日本の教育にももっと実生活に直結する内容が必要とされているのかもしれません。『子どもにおこづかいをあげよう!』藍ひろ子 著・西村隆男 監修/主婦の友社(2014)■ 横浜国立大学名誉教授・西村隆男先生 インタビュー一覧第1回:「子どもにお金はまだ早い」ではなぜダメなのか。マネー教育不足はこんなにも危険だ第2回:遅れが著しい日本の「マネー教育」。日本の子どもは“社会のなかで自立”できるのか?第3回:「会議・交渉・契約書」で自己肯定感が育つ。子どもをぐんと伸ばす“おこづかい”のあげ方(※近日公開)【プロフィール】西村隆男(にしむら・たかお)1951年生まれ、東京都出身。横浜国立大学名誉教授。経済学博士。高校教諭を経て、横浜国立大学教育学部で25年教壇に立つ。研究テーマは金融教育、消費者教育、パーソナルファイナンス(家計財務管理)など。金融広報中央委員会委員、金融経済教育推進会議委員、前日本消費者教育学会会長。著書に『消費者教育学の地平』(慶應義塾大学出版会)、『社会人なら知っておきたい金融リテラシー』(祥伝社)、『子どもとマスターする46の金の知識』(合同出版)など。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月29日日本という国で育つ子どもたちが、学校教育を受けはじめるのは誰もが小学生になってから。でも、生きていくうえで欠かせない「お金の教育」に関しては、はじまる時期もその内容も各家庭の方針によってまちまちです。正解がないだけに、マネー教育に関して悩んでいるという親御さんも少なくないでしょう。アドバイスをしてくれたのは、マネー教育の第一人者である横浜国立大学名誉教授の西村隆男先生です。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)ようやく動きはじめた日本のマネー教育これまでの日本には「マネー教育」というものは存在しなかったというと、やや語弊があるかもしれませんが、あたらずといえども遠からずという状況でした。それは、日本人の国民性によるものでしょう。古くは日本ではお金は不浄のものと考えられ、家庭の話題に上げない、子どもは口を出すべきではないものとされてきました。お金に対してそういう感覚を持たされ育てられたのがいまの親世代です。ところが、ここ数十年でお金をめぐる状況は一変しました。最近ではキャッシュレス決済が急激に拡大しています。小学生でもスマホを手にしているいま、塾に行くにも「Suica」「ICOCA」などの電子マネーを使って電車に乗る。コンビニでちょっとしたお菓子や飲み物を買うにも電子マネーで支払う。子どもが使うお金を親がコントロールするためです。また、わたしのような60代くらいの世代だと、クレジットカードにはまだ若干の抵抗感があるもの。つい「借金」と考え、罪悪感があるわけです。でも、いまの親世代にとって、クレジットカードはひとつの決済ツールに過ぎません。借金だとは考えず、スーパーで500円の買い物をするにもクレジットカードを使います。こうして、子どもだけではなく、親世代にも現金が見えにくくなっているのです。もちろん、利便性という点ではほんの20年あまりの間に飛躍的に進化したと見ることができるでしょう。でも、まともにマネー教育を受けてこなかった世代が親になっているわけですから、その利便性の裏には子どもに対する大きな危険も潜んでいます。かつては「金融商品」なんて言葉は存在しませんでした。「株取引をしている」などというと、ギャンブル的な意味合いをもってさげすまれるような印象すら持たれたものです。ところが、ネット証券が広まって「金融商品」という言葉が一般的になり、最近では仮想通貨なんてものも出てきた。「マネーゲーム」という言葉も使われるほどです。それこそ、現金が見えにくくなっている時代に育った子どもがゲーム感覚でマネーゲームに走るようになったらどうするのか――。こうしてようやく日本でも、国策としてマネー教育を進めていこうとする動きが出てきたわけです。マネー教育開始は早ければ早いほどいいしかも、子どもたちがお金をめぐる問題に巻き込まれる危険性はこれからさらに拡大することも考えられます。その要因は成年年齢の引き下げです。明治時代から約120年にもわたって20歳だった成年年齢は、2022年4月から18歳に引き下げられます。18歳になれば高校生であっても自由に契約をすることができる、クレジットカードをつくることもできる時代になるのです。それを受けて、新しい学習指導要領は、高校卒業までに子どもたちに契約意識を持たせる内容になっています。ただ、新学習指導要領に基づく教育がはじまるのは小学校で2020年から。中学校では2021年、高校では2022年からです。高校を卒業してすぐに成人となる2019年度の高校1年生からは前倒しでその教育かおこなわれることになっていますが、それでもやはり遅すぎるように感じるのです。マネー教育をはじめるのは早ければ早いほうがいい――。それがわたしの考えです。それこそ、小学校でマネー教育がはじまる前から家庭ではじめておくべきでしょう。ものの価値もわからない、自分で買い物をした経験もないのに、小学校で売買契約の基礎を教えるといっても難しいというものです。しかも、幼い子どもにマネー教育をするにも現金を使うべきですね。実際に小銭を持って、10円玉10個が100円玉と交換できるものだということを感じたり、あるいは自分で買い物をして支払う金額を間違ったりする経験によって、お金がどういうものかを実感できるようになるからです。実体験としてお金を使ってみないとわからないこともあるはずです。学校でマネー教育をはじめるといっても、教室でシミュレーションするのではピンとこないこともあるでしょう。「魚が切り身のかたちで泳いでいると思っている子どもがいる」という笑い話がありますが、マネー教育も内容次第ではそれに近いことも起こり得るはずです。マネー教育不足が引き起こすさまざまな問題仮にマネー教育をまったく受けないまま大人になると、さまざまな問題に見舞われることが考えられます。何枚もクレジットカードをつくって多重債務を抱えて破産するというのもそのひとつかもしれません。また、現在、大きな問題として取り上げられるのが「奨学金破産」です。連帯保証人になっていた親が病気になるなどして、親が破産するというケースも見られます。まして少子高齢化がますます進むこれからは、老後の生活をイメージして個人でも年金をつくらないといけない時代になる。いま、大企業で必ず導入しているのが確定拠出年金です。個人型だろうと企業型だろうと、その企業に就職すれば必ず加入することになる。大学を卒業した途端に資産運用について選択を迫られることになるのです。どの投資信託にするのか、元本保証の預金にするのか、それとも別の選択肢にするのか……。それぞれがどういうものか理解できなければ、自分の将来を自分で決められないことになってしまいます。あるいは、振り込め詐欺の片棒を担ぐようなことにもなりかねません。「簡単に稼げる」といった犯罪の誘いに乗ってしまうのは、地道に稼いだお金を有効に使うとか、ある程度節約した生活をして計画的にお金をためるといった長期スパンでお金のことを考える姿勢が身についていないからです。公教育でマネー教育がはじまるのはこれから。その教育に臨む姿勢をつくってあげるのは家庭に他なりません。そのために大切だとわたしが考えているのが、「お手伝いの対価としておこづかいをあげる」ということ。責任を持って手伝いという自分の仕事(役割分担)をしてはじめてお金を得る。その経験を幼い頃からさせるのです。「まだ子どもだから」とお金に関する話を子どもに対してシャットアウトしてはいけません。むしろ、子どもだからこそ、きちんと導いてお金に触れさせてあげるべきです。そうでないとお金に対する正しい意識が育たず、将来、自立できない人間になってしまうことを親御さんには意識してほしいと思います。『子どもにおこづかいをあげよう!』藍ひろ子 著・西村隆男 監修/主婦の友社(2014)■ 横浜国立大学名誉教授・西村隆男先生 インタビュー一覧第1回:「子どもにお金はまだ早い」ではなぜダメなのか。マネー教育不足はこんなにも危険だ第2回:遅れが著しい日本の「マネー教育」。日本の子どもは“社会のなかで自立”できるのか?(※近日公開)第3回:「会議・交渉・契約書」で自己肯定感が育つ。子どもをぐんと伸ばす“おこづかい”のあげ方(※近日公開)【プロフィール】西村隆男(にしむら・たかお)1951年生まれ、東京都出身。横浜国立大学名誉教授。経済学博士。高校教諭を経て、横浜国立大学教育学部で25年教壇に立つ。研究テーマは金融教育、消費者教育、パーソナルファイナンス(家計財務管理)など。金融広報中央委員会委員、金融経済教育推進会議委員、前日本消費者教育学会会長。著書に『消費者教育学の地平』(慶應義塾大学出版会)、『社会人なら知っておきたい金融リテラシー』(祥伝社)、『子どもとマスターする46の金の知識』(合同出版)など。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月28日ベストセラー書籍 『お母さん! 学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』 の著者、のじまなみさんにインタビュー。性教育アドバイザーでもあるのじまさんは「セックスを伝えることは最大の防犯になる」と断言しています。最大のタブーを親子間で共有することは、後々のコミュニケーションにも役立つはず。子育ては長期間に及ぶものなので、リスク管理は欠かせません。第二回目の記事では「具体的な性教育の仕方」をお伝えしましたが、なかなかハードルは高いけれど、それでもトライするメリットが多大にあるということはおわかりいただけたのではないでしょうか。そして今回は、「性教育によってもたらされるもの」についてです。のじまなみ さん性教育アドバイザー。「とにかく明るい性教育【パンツの教室】協会」理事長。防衛医科大学高等看護学校卒業後、看護師として泌尿器科に勤務。自身にも三人の娘がおり「子供達が危険な性の情報に簡単にアクセスできる世界にいる」ことに危機感を抱き、2016年「とにかく明るい性教育【パンツの教室】アカデミー」を設立し、その後協会を立ち上げ、国内外のお母さんたちに性教育を伝えるべく、日々飛び回っている。 とにかく明るい性教育 パンツの教室協会 のじまなみ ブログ ■性教育は最大の防犯教育である「セックスは素晴らしいもの。でも不用意な妊娠を防ぐためには、避妊の方法も同時に伝えなければいけません」とのじまさん。男女関係なく、性被害は起こりますが、妊娠については、男の子側と女の子側と受けるダメージは違ってきます。前回の記事でもお伝えしましたが、なぜ不用意にセックスをしてはいけないのか、若いうちに妊娠するとどうなるのか、と言うことも含めて包み隠さず話すことが大切です。セックスに対して興味を持つのはごく当たり前のこと。「興味本位ではなくて、セックスの先に伝えたいことを考えるといいと思います。性教育は子どもの笑顔と未来を守るものであり、恥ずかしいことではない、とお母さんが自身に言い聞かせながら、やってみてください」のじまさんによると、性教育を受けている子はセックスの初体験の年齢が上がるというデータもあるそうです。聞けば聞くほどに重要性を持つ性教育ですが、ここで素朴な疑問をもう1つ、のじまさんにお聞きしました。―― これまではお母さんが行うことを基本としてお話が進んできましたが、では、お父さんは性教育にどのように関わってもらえばよいのでしょうか?「ここまでお話ししてきたことからもお分かりいただけるように、性教育は“待ったなし”です。私自身は父親に性教育を受けましたが、基本的にはお母さんが取り組んだほうが良いと思っています。なぜなら、それが一番の近道だからです。繰り返しますが、性教育は“待ったなし”です。いつ我が子が性トラブルに巻き込まれるか分からないのです。 これまで私は4,000人のお母さんに性教育の手ほどきをしてきましたが、親からきちんと性の話を受けたことがあるのはたった4人、つまり全体の0.1%です。お父さんはそれ以上に性教育を受けてきていません。今のお父さんたちは『いずれ知るだろう』というスタンスで、内心子どもを心配していても言えることがない。お母さん自身が、性教育のハードルを乗り越えることに加えて、お父さんの意識まで変えようとするのは、正直言ってなかなかしんどいです。つまり“時間がかかるの”です。まずはお母さんから性教育をはじめれば、自然と家庭内で性教育に対する前向きな意識が育っていくでしょう。もちろん、お父さんが積極的に性教育に関わるのに越したことはありません。でも、最初は“参加してくれたらラッキー”くらいに構えているとよいかもしれませんね」なるほどの意見! 過剰に期待せずに、でんと構えてもらい、夫婦として基本的な考えを合致しておけば、子どもも安心ですね。ちなみに、すでに独自で性教育している方で、今回お聞きしたお話のようにできていなかったと言う方もいらっしゃると思いますが「心配はありません」と、のじまさん。「マイナスの性教育をしてしまった場合は、2倍の性教育をして肯定してあげることです。何しろ自己肯定感を育てることが大切です」自己肯定感を育むということは、子育てにおいては肝となるべきこと。「性」だけを切り抜かず、子育て全体の中のひとつとして捉えて見てはどうでしょうか。■性トラブルは身近にゴロゴロ転がっている!性教育については、ちょっと怖い話も伺いました。「これまでは知らない人からの危険を回避する、というお話でしたが、実は知っている人からの性トラブルも多いという現実があります」。これはなかなかに怖い話。身近な人間からの性トラブルは、子ども自身、母親に話すことを躊躇してしまいそうですが、日頃からなんでも話せる関係性を作っておけば回避できそう。子どもにとって、味方なのだ、ということを常に伝えておくことで安心させるといいのかもしれません。また、ネットが発達した最近では、ライン婚やSNS婚なども増えてきているのだそう。人と人との可能性、出会いも広がりましたが、気軽に人間関係も繋がれるということは、リスクもその分強まったことにもなります。危険はあちこちに転がっているということ。決してそれは、他人事ではないのです。母親として未然にトラブルを防ぐこと。性教育は必須の教育なのだということがわかるでしょう。■アイデンティティーの強要社会性教育の話の延長で、のじまさんが現代の「子育て」の変化について実感していることも話してくれました。「ここまでは子どもへの話でしたが、デジタル時代になって生きづらくなったのは大人も同じ。SNSが広がったことで、得られる情報は増えたけれど、余計な情報も知ることになりました。そのことによって、人は無理やり『アイデンティティ』を持たないといけなくなった。それは子育て中のお母さんにとってマイナスになることもあります」支持されるのは、“素敵なお母さん”。おしゃれなファッションをして、スタイリッシュな家具に囲まれ、家事も上手で、教育にも熱心。比べてはいけない、と思いつつ自分と比べてしまうのが人間の心理というもの。このような必要性が問われる情報が、母親自身の自己肯定感をも奪ってしまう、とのじまさんは指摘しています。筆者も育児と仕事の両立で悩んで挫折した経験があるのですが、その頃はまだそんなにSNSを使ってない時代でした。あの時にSNSがあったらと思うと正直、ゾッとすることもあります。「気にしない」「私は私!」と強い自分を持つこと。そのままの自分を認めてあげること。子どもを大切にできるのは、自分を大切にすることができるお母さんなのではないでしょうか。そういう意味でも、性教育から「自己肯定感」を育むことは、お母さんにとっても得るものはとても大きい。■お母さん同士で共感する時代へ!性について、セックス、生理、命が生まれること。今回ののじまさんのお話は、どれをとっても心を掴まれる事柄ばかり。堂々と性教育していきたいものです。確かに、性教育をすぐにしようと思っても、いくつものハードルがあり、なかなか手がけられないというお母さんもいるかもしれません。日々、性教育の他にたくさんやらなければならないことがあり、なんでもお母さんへ負担がのしかかってしまっている現実はありますが、こういう時こそ、お母さん同士で繋がり、必要なことをシェアしてみてはどうでしょうか。タブーなことからは見て見ぬ振りをして、踏み込まなかった時代から、タブーを打ち破り、共感しあう時代へ。今こそ、お母さんの意識改革の時なのかもしれません。
2019年03月25日