【ママからのご相談】数か月前から夫がスマホを肌身離さず持ち歩くようになり、帰宅時間も遅くなり始め、怪しいと感じていたところ、友人から「偶然見つけてしまった」と夫と若い女性がビジネスホテルから二人で出てくる場面の写真が送られてきました。そこで夫を問い詰めましたが、夫は「浮気なんかしていない。ホテルへは打ち合わせのために入っただけだ」と言い張るのです。スマホを確認したところ、「今日楽しかった♡ありがとう♡♡」「また2人でご飯に行こうね♡」などと仲が良さげな内容は残っていたのですが、決定的な内容はありませんでした。私は不倫だと思うので夫とは離婚して慰謝料をもらいたいと思っていますが、証拠がこれだけでは難しいのでしょうか?●A. 裁判で証拠として使えますが、それだけでは弱いかもしれませんご相談ありがとうございます。アディーレ法律事務所弁護士の正木裕美です。夫に女性の影が見え隠れしても、決定的な証拠がないと言い逃れされてしまうので、難しいですよね。今回は、離婚して慰謝料をもらいたいとのことで心が固まっておられるようですが、同じような悩みで対応を迷っている方も、今後のためにどうしておくべきか知っておくのはプラスかもしれませんね。まず、そもそも法律での不倫は『不貞行為 』といい、簡単にいうと、配偶者以外の異性と自分の意思で性的関係を持つことを意味しています。ですので、裁判で不貞行為と認めてもらうには、食事やデート、キスだけでは足りず、性的関係があったとズバリ分かる証拠か、その可能性が極めて高いと思われる証拠が必要です。今回は、不貞行為を証明する証拠についてご説明します。なお、不貞行為は離婚原因の1つとはされているのですが、裁判では不貞行為があった=必ず離婚が認められる、というわけではありません。それぞれの夫婦や家族の状況に照らし、夫婦関係修復の可能性があれば離婚が認められなかったり、逆に、ハッキリ不貞が原因とはいえなくとも、いろいろな婚姻を継続しがたい重大な事由があり、夫婦関係が冷め切って修復できない と判断されたりすると離婚が認められることもありますので、詳しくは個別のご相談をオススメします。●裁判で証拠として使えるものってどんなもの?さて、裁判ではこれを出せば不貞行為を認めます、と法律で定めているわけではありません。今回送られてきた写真や女性とのやりとりのメール、手紙、レシート等の物証のほか、人の証言も証拠になり、あらゆるものに証拠になる可能性があります。ズバリ性的関係を写した写真があったり、現場を押さえることができたりするのはあまり多くはありませんから、通常は、一般的に「関係を持っているよね 」と考えることができるいくつもの証拠を提出して、不貞行為を証明することになります。●ホテルから出てくる写真は有力な証拠になる!?たとえば、ラブホテルは関係を持つために行くことが多い場所で、仕事をしに行く場所ではないのが通常です。ラブホテルへの出入りの写真やレシートなどに日時が記録されていると、滞在時間が関係を持つに十分な時間だったとすれば、通常は不貞行為があったと認められる可能性が高い証拠の一つといえます。今回のようにビジネスホテルから出てくる写真があったからといって、滞在時間が不明ですし、客室には入らずに喫茶店や打合せスペースで打合せをすることは考えられますから、ラブホテルより性的関係を持ったとは言いにくく、それだけで有力な証拠とは言いにくいでしょう。ですので、夫はその日休みで仕事がなかった、会社が近くわざわざホテルに行く必要性がなかったのに何度もホテルに行っている、女性が仕事関係者ではない、2人で宿泊や旅行をしたレシート等がある、同じ女性と他の場所で通常の仕事以外の時間に何度も会っている写真やメールがある、などさまざまな証拠が必要になるでしょう。●怪しいメールのやり取りは?女性とのデートをうかがわせるメールのやりとりは、これだけでは友人かもしれない女性と食事をしたことしかわかりません。夫婦間で”他の異性と二人きりで食事も浮気”と決まりがあったとしても、法律上は異性の友人と食事をしていても不貞行為ではない 以上、これだけでは証拠としては有力とはいえません。他の疑わしいと思われるメールのやりとりや写真、手紙等があり、何度も仕事ではない時間にこの女性とホテルに行っている、何度も自宅に出入りしている等と証明できるのであれば、不貞行為と認められる可能性は高くなりますので、他の証拠も集めることが大切ですね。●まとめ着信履歴やメール、SNS等のやりとりがあると不倫の証拠になると思われがちなのですが、必ずしもそうだとは限りません。しかし、一つひとつの証拠としては強くない証拠だとしても、いくつもの証拠を合わせる ことで、関係を持っていたと証明できる可能性は十分にあります。不貞行為に限らず、大切だと思っていた証拠が裁判では大きな意味を持たず、一方意外な証拠が重要だったということもあります。その時点では証拠が足りなくても、どういう証拠を集めるかという観点でのお話もできると思いますので、証拠になるかならないかの自己判断はせず、関係するものをまとめて持って、まずは弁護士に相談されるといいと思います。●ライター/正木裕美(アディーレ法律事務所:愛知県弁護士会所属)●モデル/藤沢リキヤ、福永桃子
2016年11月27日*画像はイメージです:今や3組に1組が離婚するといわれるほど離婚は身近なものですが、離婚後にトラブルが起こるケースが少なくありません。中でも多いのが養育費や慰謝料などの金銭問題です。特に子の養育費や面会交流に関しては、離婚時に取り決めを行っているケースが6割ほどに留まり、後にトラブルとなることがあります。離婚時にはどのような項目について取り決める必要があるのでしょうか?和田金法律事務所の渡邉寛弁護士にうかがいました。*取材協力弁護士:渡邊寛(和田金法律事務所代表。2004年弁護士登録。個人事案は子どもいじめ事件から相続争いまで、企業事案は少額の債権回収から渉外買収案件まで、あらゆる案件に携わる。) ■離婚時に特に決めておくべきこと4選(1)子の親権者(2)子の養育費(3)財産分与(4)慰謝料「夫婦間の話合いで離婚する協議離婚の際、子がいる場合は、親権者を決めて離婚届に記載しないと届けが受理されません。そのため、離婚するために法的に必須な合意事項は、離婚することと未成年の子の親権者ということになります。他に、子の養育費、財産分与、慰謝料になります。やはりお金が絡むことはトラブルになりやすいです。」(渡邉寛弁護士)これらを決めるにあたっては、どのように話し合いを進めるべきでしょう?「トラブルになったり不満を感じたりしやすいのは、一方が優位に話を進めて本音を言えない場合や、離婚を急いだり知識がなかったりすることで不利な条件を受け入れてしまう場合などです。疑問や不安があれば、弁護士に相談されることをお勧めします。養育費、財産分与、慰謝料などは、標準的な算定方法や相場がありますし、疑問や不安が解消されれば必ずしも弁護士を代理人に立てないでもご本人で話し合いを進められることもあります。話し合いが難航している時に、親族や知人・友人等の第三者を話合いに立ち会わせることは、かえってこじらせることも多く、あまりお勧めしません。」(渡邉寛弁護士)専門的な見地からアドバイスや交渉をしてくれる弁護士に相談してみるのは、後々のトラブルを防ぐために有効でしょう。 ■取り決めを確かなものにするために取り決めをしても、相手に反故にされてしまうこともあります。これを防ぐためにしておくべきことは何でしょうか?「他の契約と同じで、離婚条件は、書面(離婚協議書)で明らかにしておくことが望ましいです。また、離婚後、義務者の側が財産分与や慰謝料の支払いを渋ることはよくあります。これらは離婚と同時に支払いを受けてしまうのが1番です。」(渡邉寛弁護士)なるほど、離婚時にすっきり支払いが終われば後腐れはありませんね。「養育費や財産分与・慰謝料の分割払いなど将来の支払いがある時は、離婚協議書は公証役場で公正証書にしておくのが効果的です。公正証書の大きなメリットとして、強制執行認諾文言の条項を入れておくと、不払い時に、裁判をせずに強制執行(銀行預金や給与債権の差押えなど)をすることができます。面会交流など非金銭的な条件は対象になりませんが、これももちろん、公正証書でも離婚協議書の内容として記載すべきです。」(渡邉寛弁護士)お互い冷静に話し合い支払い等を済ませた上で円満に離婚できればそれに越したことはありませんが、離婚という局面ではそうもいかない場合もあります。そんな時こそ、後々トラブルにならないよう知識と法的な備えが必要なのです。 *取材協力弁護士: 渡邊寛 (和田金法律事務所代表。2004年弁護士登録。東京築地を拠点に、M&A等の企業法務のほか、個人一般民事事件、刑事事件も扱う。)*取材・文:フリーライター 岡本まーこ(大学卒業後、様々なアルバイトを経てフリーライターに。裁判傍聴にハマり裁判所に通っていた経験がある。「法廷ライターまーこと裁判所へ行こう!」(エンターブレイン)、「法廷ライターまーこは見た!漫画裁判傍聴記」(かもがわ出版)。【画像】*sasaki106 / PIXTA(ピクスタ)
2016年11月27日11月18日、42歳の男性が、中学1年生の12歳の女の子にラブレターを渡したり、待ち伏せをしたりしたとして、ストーカー規制法違反の容疑で逮捕されました。警視庁の警告にも応じず待ち伏せ行為を繰り返しており逮捕に至りましたが、取り調べに対し、容疑を認めているとのことです。SNSといったインターネット上での嫌がらせを規制対象に入れたストーカー規制法改正案が今国会で成立する見通しとなっていますが、今回は皆さんにストーカー規制法ではそもそもそういった行為が規制されているのかなどについて解説していきたいと思います。*画像はイメージです:■ストーカーという言葉が一般的に知られるようになったのは「ストーカー」という言葉が日本で市民権を得たのは大体ここ20年くらいのことだろうと思いますが、皆さんもご存じのとおりストーカーから殺人事件まで発展ケースも見られるなど、軽く見られるものではありません。わが国では、1999(平成11)年に起きた桶川ストーカー殺人事件などをきっかけに、ストーカー行為を規制する法律(ストーカー行為等の規制等に関する法律。以下、「ストーカー規制法」といいます。)が翌2000(平成12)年に制定され、同年に施行されて今日に至っています。しかし、残念ながらその後もストーカーが殺人にまで至るケースも無くなっておらず、尊い命が犠牲になっています。 ■ストーカー規制法の内容は?ストーカー規制法の内容について、簡潔にご説明します。ストーカー規制法では、「つきまとい等」として下記のような8種類の行動を規制しています。①つきまとい、待ち伏せ等②行動監視している等と告げる等③面会等の要求④著しく粗野又は乱暴な暴行⑤無言電話、拒否されているにもかかわらず連続して電話、メール等⑥汚物、動物の死体等を送る等⑦名誉を害する事項を告げる等⑧性的羞恥心を害する事項を告げる等そして、その「つきまとい等」を反復することを「ストーカー行為」と規定しています。そして、ストーカー行為をした者については、6月以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられると規定されています。また、ストーカーの被害者が警察につきまとい等をされていることを申し出た場合、「警告」をしてもらうことができます。さらに、警告を受けたにもかかわらず、行為が止まらない場合、「禁止命令」を出してもらうことができます。その禁止命令に反してストーカー行為をした場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられると規定されています。 ■実際に会ったストーカーの被害を相談すると警察はどう動く?これまでに、ストーカー関連の相談を受けたことや、ストーカーで逮捕された事件を担当したことがありますが、警察から警告を受けたこともない状態で突然逮捕に至ったという例は個人的には経験したことはありません。警察にストーカー被害について相談に行くと、まずは良くて警告から始まります。パトロールの強化や被害者への防犯指導で終わるケースもあります。冒頭にご紹介した事件でも、警察署員から口頭で警告した(ストーカー規制法に規定されている「警告」なのかは明らかではありません)にもかかわらず、待ち伏せを行ったとして逮捕されたようです。 ストーカー規制法については、今国会において厳罰化等が進められているようですが、少し罰を重くしただけでは被害を防止することは難しいように思います。 *著者:弁護士 河野晃 (水田法律事務所。兵庫県姫路市にて活動をしており、弁護士生活6年目を迎える。敷居が低く気軽に相談できる弁護士を目指している。)【画像】*wavebreakmedia / PIXTA(ピクスタ)
2016年11月27日友人や恋人、近親者など親しい関係の中でお金の貸し借りをしたことがある人も多いのではないでしょうか。トラブルなく円滑に返済が終了すればいいですが、トラブルに陥ったり、少額だからと返済を諦めてしまったりした方もいるのではないでしょうか。また、「言った」「言わない」と口論になることも多いかと思いますが、借用書などを作成せず口約束だけで金銭の貸し借りをした場合、これは法的に有効な「契約」となるのでしょうか?そこで、今回は口約束は「契約」とみなされるのか、和田金法律事務所の渡邊寛弁護士に伺いました。*取材協力弁護士:渡邊寛(和田金法律事務所代表。2004年弁護士登録。個人事案は子どもいじめ事件から相続争いまで、企業事案は少額の債権回収から渉外買収案件まで、あらゆる案件に携わる。) Q.口約束でお金を貸していたが、これは契約として法的に有効?(1)有効(2)無効*画像はイメージです:(1)有効契約とは、当事者間における何らかの申込みと承諾の合意です。申込みが承諾された時点で法的に契約は成立します。借金の場合でも、借用書を作らず口約束だけだったとしても契約は成立し、返済義務と請求権が発生します。もしこの口約束通りに返済が行われなかった場合は、借用書がなくても請求することが可能です。ただし、裁判で貸金の請求が認められるためには、少なくとも、返す約束をしたこととお金を渡しことの2つを貸した側で証明する必要があります。借り主が認めればいいのですが、借用書がないと借り主が「お金は受け取っていない」「お金は受け取ったけれどもらったものだ」などと主張した場合、請求が難しくなります。口約束は法的には有効な契約ですが、その契約を証明することが難しいものです。返済方法や期日などの契約内容があいまいだったり、貸し主と借り主で違うことを考えていたりもします。契約内容について取り決め借用書を作成するほうが無難といえます。 *取材協力弁護士: 渡邊寛 (和田金法律事務所代表。2004年弁護士登録。東京築地を拠点に、M&A等の企業法務のほか、個人一般民事事件、刑事事件も扱う。)*取材・文:フリーライター 岡本まーこ(大学卒業後、様々なアルバイトを経てフリーライターに。裁判傍聴にハマり裁判所に通っていた経験がある。「法廷ライターまーこと裁判所へ行こう!」(エンターブレイン)、「法廷ライターまーこは見た!漫画裁判傍聴記」(かもがわ出版)。)【画像】*bee / PIXTA(ピクスタ)
2016年11月27日今年5月、東京都小金井市のライブハウスで起きた、コンサート出演予定の女性がファンを名乗る男性に刃物で刺されたという事件をご記憶の方も多いと思います。この男性は、上記犯行に及ぶ前にTwitter等を用いて繰り返し被害女性にメッセージを送っており、被害女性は武蔵野警察署に相談をしていました。ですが、同署は、「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(ストーカー規制法)で対象とされているのは「電子メールを送信すること」(同法2条1項5号)であるため、同法の規制対象にはならないという認識だったようです。このような事件があったこともあり、現在、ストーカー規制法が改正の流れに向かっています。11月18日には、参議院本会議において全会一致で可決され、衆議院に送付されました。実際、どのような改正が行われようとしているのでしょうか、その背景とともに解説していきます。*画像はイメージです:■現行のストーカー規制法はどうなっている?ストーカー行為等の規制等に関する法律では,以下のとおり「電子メールを送信すること」が規制対象となっており、SNSを利用したメッセージ送信等は対象となっていません。第2条1この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。(中略)五 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールを送信すること。(中略)2この法律において「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等(前項第一号から第四号までに掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復してすることをいう。しかしながら、SNSサービスによるメッセージ送信もストーカー規制法の対象とすべきであることは、平成26年8月に「ストーカー行為等の規制等の在り方に関する有識者検討会 」が作成・公表した「ストーカー行為等の規制等の在り方に関する報告書」において、「SNSが普及し、ストーカー行為に用いられる実態があるが、例えば、拒まれたにも関わらずSNS上で執拗にメッセージ等を送りつけたりするなどの行為について、規制がないために対応が困難であった事例も認められる。」との認識が示されています。これは、「SNSは広く一般に普及し、特に現在の若者等にとって生活に不可欠なツールとなっており、今後、SNSを利用したつきまとい行為は一層の増加が見込まれること、そして電子メールの連続送信が既に規制されていることとのバランスも考えれば、SNSを用いたメッセージの送信についても、速やかに法律による規制対象とするべきである。」との指摘を反映させたものだと考えられます。 ■現行のストーカー規制法の問題点をどう改正?そして今般、小金井市における上記のような事件の発生によって、現行のストーカー規制法では「SNSを利用したメッセージ送信」への対応が困難であること、また、その問題性が改めて明らかになったことから、議員立法によりストーカー規制法の改正案が国会に提出され、今月18日、参議院本会議において全会一致で可決され、衆議院に送付されました。改正案では、以下のように電子メール以外の電子的手段による行為も規制対象とされています。ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律案より第1条1(略)2前項第五号の「電子メールの送信等」とは、次の各号のいずれかに掲げる行為 (電話をかけること及びファクシミリ装置を用いて送信することを除く。) をいう。一電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信(略)の送信を行うこと。二前号に掲げるもののほか、特定の個人がその入力する情報を電気通信を利用して第三者に閲覧させることに付随して、その第三者が当該個人に対し情報を伝達することができる機能が提供されるものの当該機能を利用する行為をすること。例えば、「一」号はLINEやTwitterのダイレクトメッセージ等が該当し、「二」号はブログのコメント欄等が該当することになります。この改正によって、電子メール以外の方法による行為についても規制対象となり、小金井市で起きた事件のような場合でも警察による対応が可能となるため、つきまといの被害に悩む人にとっては心強いといえるでしょう。 ■刑罰法規は劇薬!言論の自由を奪わない運用になるのか?ただし、ストーカ規制法に限らず、刑罰法規というのは一種の「劇薬」ですから、適切な運用がなされないと市民の行動・行為を必要以上に制限してしまうことにもなります。今回の改正に即して言えば、ストーカー規制法の対象となるのは「拒まれたにもかかわらず、連続して」電子メールの送信等を行った場合ですが、「連続して」という文言をそのまま機械的に解釈・適用すれば、例えば、「もう書かないでください」と言われた後に、ブログのコメント欄に2回書込みをすれば規制対象となります(もちろん、前提として「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」などの要件を満たしている必要がありますが)。もとより、事件の発生を未然に防ぐことが最優先であるのは論をまちませんが、他方で、法の適切な運用にも留意する必要があるのではないかと思います。 *著者:弁護士 櫻町直樹(パロス法律事務所。弁護士として仕事をしていく上でのモットーとしているのは、英国の経済学者アルフレッド・マーシャルが語った、「冷静な思考力(頭脳)を持ち、しかし温かい心を兼ね備えて(cool heads but warm hearts)」です。ブログ「ネットイージス.com」)【参考】女性アイドル刺傷、容疑者「プレゼント返され憤慨した」(朝日新聞H28.5.22付記事など)【元アイドル刺傷】ストーカー規制法はSNS対象外、「警察は対策怠った」と紀藤正樹弁護士(ハフィントンポストH28.5.23付記事など)「世界的にSNS上のつきまといもストーカー」だがストーカー規制法では「SNS」は対象外…(産経ニュースH28.5.25付記事)ストーカー規制法改正案が成立の見通し TwitterなどSNS、ブログも対象に(ハフィントンポストH28.11.18付記事など)【画像】イメージです*naka / PIXTA(ピクスタ)
2016年11月26日ソフトバンク株式会社が提供する『かざして募金』というサービスに関し、インターネット上では、同社ユーザーから「寄付した覚えがないのに知らない間に寄付していた。」などとの不満の声が上がっていたようです。ユーザーからは、『かざして募金』のスクリーンショット画像とともに、 ①指紋や暗証番号による認証なく募金できてしまうこと②誤タップを招くUIの上、2~3タップで募金できてしまい、しかもキャンセルができないこと③デフォルトで「毎月寄付する」のチェックボックスにチェックが入っており、気づかなければ毎月継続して募金(課金)されてしまうこと の3点が問題として提起されていました。さて、上記①から③は法的に問題がないか、関連する法律とともに以下解説したいと思います。 ■特定商取引法による規制対象となるか特定商取引法の適用対象となる契約は売買契約(権利販売契約)及び役務提供契約です。法律上、募金は、贈与契約、委任契約、信託契約のいずれかに該当し、特定商取引法による規制対象となる契約ではないため、上記①から③は特定商取引法上の規制対象ではありません。 ■電子消費者契約法による規制対象となるか電子消費者契約法にいう「電子消費者契約」とは、「消費者と事業者との間で電磁的方法により電子計算機の映像面を介して締結される契約であって、事業者又はその委託を受けた者が当該映像面に表示する手続に従って消費者がその使用する電子計算機を用いて送信することによってその申込み又はその承諾の意思表示を行うもの」です。…つまり、ユーザーとソフトバンク株式会社または募金先とのインターネット上の契約は「電子消費者契約」に当たります。 そして、募金するつもりがないのに誤タップにより募金をしてしまった場合は、ユーザーがちょっと注意すれば当該キーをタップすることにより募金の申込みをしてしまうことに気づけたときであっても、原則として、誤タップによる募金は無効になります(電子消費者契約法3条本文、同条1号、民法95条ただし書)。ここで「原則として」と言ったのは、電子消費者契約法3条ただし書において、画面上に消費者からの申込み若しくは承諾の意思確認を求める措置を講じた場合には、事業者のほうで、消費者がちょっと注意すれば当該キーをタップすることにより募金の申込みをすることに気づけたはずだと立証することにより、募金は有効として扱われるからです。 今回問題になっているアップロードされたスクリーンショットの画像を見ると、画面上には、「規約に同意して毎月継続して○○円寄付します。」との表示があり、当該画面で「はい」のキーをタップすると募金が完了するようになっています。そうすると、電子消費者契約法3条ただし書が適用され、ソフトバンク株式会社が任意に返金等の措置を講じない場合には、ユーザーにおいて誤タップによる募金の無効を主張して返金等を求めることはできない可能性が高いでしょう。 したがって、上記①から③のUIや仕様には問題があるとしても、実際に電子消費者契約法に基づいて返金を求めることはかなり難しいという結論になります。(通常であれば、返金を求めることは難しいですが、今回の件は「返金は出来ないが、翌月の電話料金から割引する」という形で落ち着いたようです。) ■現行法上は問題がないとしてもヨーロッパでは、ユーザーに誤操作をさせ、ユーザーを騙すことを目的とするUIである「ダークパターン」の一部が違法とされています。日本の現行法では「ダークパターン」を直接規制する法律はありませんが、少なくとも上記の③はヨーロッパでは違法な「ダークパターン」の1つである「Forced Continuity(強制的な継続)」に当たります。今後の法改正によって消費者と事業者間の契約に関して事業者側に消費者の誤解を招かないようなUIとすることが義務付けられるかもしれませんが、それまでの間は、面倒でもスマートフォンを利用する際には画面が遷移するごとに画面上の表示を確かめる必要があるでしょうね。 *著者:弁護士 木川雅博 (星野法律事務所。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣味は料理、ランニング。)【画像】* freeangle / PIXTA(ピクスタ)
2016年11月26日秋の行楽シーズン、もしくは年末年始の休暇に向け、ホテルや交通機関の予約の際にネット予約を利用する人も多いでしょう。同時にトラブルの件数も増加しています。国民生活センターでも今年9月1日に「インターネットで予約した旅行に関するトラブルにご注意」として注意喚起を促していますが、調査報告ではネット予約に関するトラブルは2015年度時点で、5年前の約2倍にまで増加しているそうです。そこで、以下のような質問に関して、法的にはどういった解釈ができるのでしょうか?Q.ネット予約で代金を振り込んでもチケットが届かない場合、法的に返金は可能?*画像はイメージです:.可能(ただし、実際に返金されるかは、微妙なケースも)契約とは、約束事です。この場合であれば、ホテルやそこにいくまでの交通機関の手配やチケットに対して、お金を払うという約束があるのが通常です。よって、代金を支払ったのに、相手方から期日までにチケットなどの約束されたものが来ないとなれば、相手は当初の約束を破っています。これを民法上は、債務不履行といい、契約自体を解除することができるので、支払った代金を返せと請求することができます。ただし、このような業者は、違法業者でお金を振り込んだら、連絡がつかなくなるケースが多々あります。ですので実際に返してもらえるのかは、不透明と言わざるえません。そうなると、返金してもらうには、裁判をするしかないのですが、相手が行方をくらましている場合には、回収できないこともあります。 *著者:弁護士 中野 秀俊(グローウィル国際法律事務所。弁護士になる前、システム開発・インターネット輸入事業を起業・経営。IT・経営・法律に熟知していることから、IT・インターネット企業の法律問題に特化した弁護士として活動している。ブログ「IT・インターネット法律ブログ」) 【画像】イメージです*T2 / PIXTA(ピクスタ)
2016年11月26日彼氏や彼女が浮気をした場合、怒りを覚えたり悲しんだりする方が多いと思います。実際に結婚をしていて、婚姻関係にある場合は、配偶者に慰謝料を請求できることは一般的に知られているかと思いますが、果たして、婚姻関係にない、ただの恋人が浮気をしていた場合は、慰謝料を請求できるのでしょうか?浮気した恋人から慰謝料がもらえるのか、和田金法律事務所の渡邊寛弁護士に伺いました。*取材協力弁護士:渡邊寛(和田金法律事務所代表。2004年弁護士登録。個人事案は子どもいじめ事件から相続争いまで、企業事案は少額の債権回収から渉外買収案件まで、あらゆる案件に携わる。) Q.恋人が浮気していた場合、慰謝料請求はできる?(1)できる(2)できない*画像はイメージです:(2)できないまず、夫婦における不貞行為が慰謝料請求の対象となるのは、夫婦間に法律上の貞操義務があるからです。配偶者の不貞という不法行為に対して、慰謝料を請求することができるのです。しかしながら、「交際」は法律上の契約ではないため、自由恋愛には貞操義務が生じません。つまり浮気は不法行為に当たらないのです。だからいくら恋人に肉体関係を含む浮気をされても、慰謝料を請求することはできません。ただし、婚約していたり長く同棲していて実質的に夫婦同然の内縁関係であったりした場合は、法律上貞操義務が認められます。その場合は恋人への慰謝料請求が認められる可能性があります。 *取材協力弁護士: 渡邊寛 (和田金法律事務所代表。2004年弁護士登録。東京築地を拠点に、M&A等の企業法務のほか、個人一般民事事件、刑事事件も扱う。)*取材・文:フリーライター 岡本まーこ(大学卒業後、様々なアルバイトを経てフリーライターに。裁判傍聴にハマり裁判所に通っていた経験がある。「法廷ライターまーこと裁判所へ行こう!」(エンターブレイン)、「法廷ライターまーこは見た!漫画裁判傍聴記」(かもがわ出版)。)【画像】*ankomando / Shutterstcok
2016年11月25日*画像はイメージです:損害保険ジャパン日本興亜(SJNK)など3社が、『ネット炎上対策パッケージ』の提供を2016年12月1日から提供することが、11月16日に発表されました。ニュースリリースによると、24時間365日体制の「Webリスクモニタリング」サービスの利用を基本とし、万一、炎上等が発生した場合は「ネット炎上対応サービス」、「緊急時マスコミ対応支援サービス」を提供するとともに、緊急対応のための費用の90%を補償するというもののようです。このサービスに対しては、「意地でも炎上させたくなる」といったネットの声もあるようですが、実際のところどうなのでしょうか。炎上対策に関する基礎的な考えを含めて解説したいと思います。 ■炎上の予防は難しい炎上は、「これはひどい」といった感想・感情を抱いた際に発生していることが通常です。そのため、「そのような感想や感情を抱かせないような行動を取ればよい」と抽象的には言えるわけですが、不意な事故、従業員による勝手な行動など、企業としていくら注意をしていても不可避的に発生してしまう不祥事などがあります。また、広告など意図的に人の記憶に残るようにするため、“ギリギリ”を狙うこともあるでしょうが、世論はこれを“やり過ぎだ”と評価してしまうこともあります。このように、様々な要因により炎上が発生するようになっており、実際上、炎上を“予防”することは難しく、もはや炎上は企業として不可避的な状況になっています。 ■炎上対応の基本は「初期消火」炎上に対応するためには、いかに初期消火ができるかが重要です。そのためには、炎上を火種の時点で把握し対応できる必要があるわけですが、そのためにはネットを常に監視することが必要不可欠です。そして、実際に起きてしまった炎上トラブルについては、情報発信の方法に注意を要するほか、リリース作成、想定問答集の作成、場合によって記者会見の設定などが必要になってきます。『ネット炎上対策パッケージ』の内容はこの辺りの基本を押さえたサービスになっているようです。その意味で、このサービスの導入は、一つの安心材料にすることができると言えると思います。 *著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)【画像】イメージです*farmer / PIXTA(ピクスタ)
2016年11月25日DVの相談件数も年々増えてきており、内閣府男女共同参画局が平成28年9月16日に公開した、「配偶者暴力相談支援センター」への相談件数は年間で10万件を超えています。DVと言えば、男性から女性に対して振るわれる暴力を思い浮かべる人が多いかと思いますが、女性から男性に対して行われる暴力も決して少なくありません。この、女性から男性に対して行われるDVを逆DVとでも呼ぶのでしょうか。今回は、その逆DVの被害にあった際にするべきことについてご紹介したいと思います。*画像はイメージです:■夫のDV被害特有の問題点夫がDV被害者の場合、妻のDV被害に比べて、被害が明らかになりにくいという問題があります。もちろん、妻が被害を受けている場合も、他人に相談できずひとりで問題を抱え込むケースは少なくありません。しかし、近年は女性に関しては公的な支援が浸透してきたこともあり、そのような機関や周囲の人たちに相談をする女性も増えてきたようです。これに対して夫の側は、おそらく、そもそも女性である妻から暴力を受けているという事態を、男性として恥ととらえる傾向が強いといえるでしょう。また、「家庭も満足に仕切れない男がろくに仕事などできるわけがない」などと見られる可能性もあり、勤務先での立場が悪くなると考える傾向も強いようです。そのため、周囲に相談できず、被害に耐え忍ぶケースが非常に多いといえます。写真や録音などの証拠が残っているケースも極めて少ないため、夫のDV被害は明らかになりにくいといえます。また、これらの問題をクリアして調停や訴訟で離婚の手続をとることが可能な場合でも、夫と妻の間の経済格差から慰謝料を妻からとることが難しいといった問題があります。養育費や財産分与をするとなると、被害者は夫であるにもかかわらず、離婚によって妻の側が経済的に得をするケースも少なくありません。離婚に至っても、夫の側には不公平感が残る結果になってしまうのです。 ■DVを受けたらすべき対策やはり、一般的には、夫の場合、「女である妻から一方的に暴力を受けている」という主張について、疑いを持たれやすいことは否定できません。ですから、暴力を受けて怪我をした場合には、必ずその状況を写真にとっておく、キレ始めた妻の状況などを明らかにするために、途中からでもいいので可能な限り録音する、暴力を受けたら、そのことを日記やメモにしてリアルタイムで残しておく、病院にいて診断書をとっておく、など、マメに客観的な証拠を残しておくことが重要ではないかと思います。そして、離婚の手続については弁護士に、身辺の安全を確保するためには警察や公的な相談機関などに相談することが必要です。慰謝料をもらえなくても、実質的に慰謝料相当分を考慮した条件で離婚する(例えば財産分与を調整する)ことも、状況次第で可能になることもあります。 ■恥ずかしがらずに相談することが第一歩男性のDV被害を幅広く救済するためには、被害を受けている男性ひとりひとりがその被害を申告・相談することが第一歩となります。被害男性の声がもっと広がれば、男性のDV被害は恥ずかしいことではなく、被害を受けたことを前提とした条件で離婚することも徐々に可能になっていくのではないかと思います。 *この記事は2015年9月に公開されたものを再編集したものです。*著者:弁護士 寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)【画像】*けいぞう / PIXTA(ピクスタ)【参考】内閣府男女共同参画局-配偶者からの暴力に関するデータ
2016年11月24日人気フリマアプリの『メルカリ』で、「『パズドラ』や『ポケモンGO』などの人気ゲームのアカウントが売買されている」と、ネット上で話題になっています。従来、メルカリでは「物品でない」電子データについては、出品は禁止をしていました。しかし、現在は、利用規約を改正し、ゲームアカウントを含む電子データも出品可能としています。このような、フリマアプリを使って実際のお金でゲームアカウントを売買することは、法的に問題ないのでしょうか?*画像はイメージです:■リアルマネートレード(RMT)には当たるが…人気ゲームのアカウントやアイテムを実際のお金で売買する行為は「リアルマネートレード」と言われ、ゲーム会社の利用規約などでは、通常禁止をされています。今回も、ゲームアカウントを実際のお金で売買しているので、リアルマネートレードには該当します。では、メルカリに法的責任はあるのでしょうか? ■リアルマネートレード自体を規律する法律はない!しかし…実は、日本では、リアルマネートレード(RMT)自体を規定する法律がありません。そのため、実際にリアルマネートレード(RMT)が行われた場合に、ゲーム事業者がどのような対応をするのかは、悩ましい問題です。ここでは、下記2点の観点から問題を見ていきましょう。・「メルカリとゲーム会社」との関係・「メルカリと利用者」との関係 「メルカリとゲーム会社」との関係ではゲーム会社は、ゲームアカウントの売買を利用規約で禁止をしているのが通常です。しかし、利用規約は、ゲーム会社と利用者との間の契約です。ゲーム会社とメルカリとの間を規定するものではないので、ゲーム会社の利用規約がメルカリを拘束力することはできません。よって、ゲーム会社としては、利用規約違反として、メルカリ側に法的請求をすることはできないのです。ただ、このようなアカウント売買で、ゲーム自体の適切な運営が妨げられ、事業者の業務が妨害されたといった事情がある場合には、民法上の不法行為が成立する可能性があります。 「メルカリとメルカリ利用者」との関係ではメルカリでゲームアカウントを購入した利用者が、当該ゲームにおいて、ゲーム事業者から利用停止などの制裁措置を受けた場合に、メルカリ側に損害賠償を請求することはできるのでしょうか?この点、メルカリでゲームアカウントを購入した利用者は、自らの判断で、当該ゲーム会社の利用規約に違反する行為をしています。そうすると、ゲーム会社からアカウントの停止、利用停止をされても、想定の範囲内といえます。このような場合に、利用者がメルカリに損害賠償を請求することは難しいでしょう。ただし、上記のように、リアルマネートレード(RMT)は、ゲーム会社の利用規約に違反するので、利用者が売買したアカウント等が、ゲーム会社において、無効化・解約される可能性が高いです。そうすると、メルカリとメルカリ利用者との間で、トラブルに発展することも考えられます。リアルマネートレード(RMT)問題は、まだまだ議論の余地がありそうです。 *著者:弁護士 中野 秀俊(グローウィル国際法律事務所。弁護士になる前、システム開発・インターネット輸入事業を起業・経営。IT・経営・法律に熟知していることから、IT・インターネット企業の法律問題に特化した弁護士として活動している。ブログ「IT・インターネット法律ブログ」)【参考記事】「メルカリ」のゲームアカウント売買解禁が10代に与える影響【画像】イメージです*ふじよ / PIXTA(ピクスタ)
2016年11月24日「あなたのご主人、他にも不倫相手いるわよ」不倫が発覚しただけでもショックなのに、他にも不倫相手がいると知ったらどれほどの衝撃なのでしょうか。不倫の際は慰謝料が争点になることが多いですが、今回は、他にも不倫相手がいた場合は慰謝料の減額要素になるかについてご説明したいと思います。 ■他にも不倫相手がいるとの反論不倫相手に対して慰謝料請求をした場合、「A(配偶者)には、自分の他にも不貞相手がいる。自分はそのうちの一人にすぎない。」などと弁解をしてくることがあります。では、こうした事実は、慰謝料の減額要素となるのでしょうか。この点、自分以外にも婚姻共同生活を破壊するような行為を行っている人物がいるので、婚姻関係が悪化した原因は、その不倫相手だけではないとも考えられます。そうすると、慰謝料の減額要素と考えてもよさそうです。こうした事実を減額要素として考慮したと思われる裁判例もあります(東京地判平成25年4月17日「A(配偶者)は、数年の間に、被告との関係を含め、複数回、女性と不貞関係になっていた。」)。他方で、慰謝料の減額要素とはならないと判断する裁判例もあります(東京地判平成15年11月6日「▲(もう一人の不貞相手)の行為は、本件婚姻関係の破綻をもたらしたA(配偶者)の行為を、原告に対する一連の不法行為と見るとき(被告とAと▲との間には当然ながら意思の連絡はないし、原告の主観面にも明白となったのは、Aと被告との不倫行為発覚後であるが)、客観的にはその一部といえるから、Aを介して、被告の行為とも共同不法行為の関係にあるものということができる。」、ここで出てくる“共同不法行為”とは、要するに、複数の不倫相手が一緒に(協力して)婚姻関係を破壊するような行為を行ったということです。そして、通常、この“共同不法行為”が成立するためには、意思の連絡(2人の間で、一緒にこういうことをしようと意思疎通を図ること)が必要と考えられておりますので、それがない、こうしたケース(不倫相手同士では通常意思連絡などないでしょう。)で“共同不法行為”を認めるのは相当特殊です。これはおそらく、“そのような弁解を認め、慰謝料を減額させるべきではない”、という価値判断に基づいたものだと思いますが、その法律構成には疑問がないとはいえません。裁判所においても、この点は見解が定まっていないようですので、減額要素となるのか、ならないのかは判然としないのが正直なところです。 *著者:弁護士 伊倉吉宣(伊倉綜合法律事務所。離婚・男女問題をはじめ、労働トラブルや交通事故問題など幅広く取り扱う。運営メディアに、「弁護士監修による不倫・浮気の専門サイト」、「未払い残業代無料請求ガイド」がある。)【画像】イメージです*Anchiy / Shutterstock
2016年11月23日2015年6月に施行された自転車に関する道路交通法の改正以降、自転車の運転に関する取り締まりが強化されている中、先日とあるインターネット上で、「原付バイク(原動機付自転車)の運転者が、並走する自転車の後部を足で押して走らせる行為は違法になるのでしょうか」といった質問がされていました。自転車が原付バイクと同じ速度で走ることになりますし、原付バイクと自転車とが並走することになりますので、直感的に危険な行為だと思うでしょう。それでは、実際に何らかの法に触れる行為なのでしょうか?今回は、この行為の法的問題について解説します。*画像はイメージです:■原付バイクと自転車の双方の運転者が「安全運転義務違反」になる道路交通法70条では、「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。」と定めています。上記の「車両等」には自転車も含まれているため、原付バイクの運転者が並走する自転車の後部を足で押して走らせた場合、自転車は原付バイクと同じ速度で走ることになります。そうすると、自転車は適切にハンドルやブレーキを操作することができずに他人に危害を加えるおそれが高いですから、安全運転義務(安全操作義務や安全速度運転義務)違反になるでしょう。原付バイクが法定速度である30キロメートルで走行していたとしても、自転車は原付バイクと並走する形で後ろから足や手で押されているわけですから、自転車の運転者に操作・制動を適切に行うことを期待できず、同じく安全運転義務違反になると考えられます。同じく、原付バイクの運転者も、片足や片手を自転車の後部に乗せて自転車と並走することによって、とっさに適切な操作・制動を行うことができないといえますので、安全運転義務違反となるでしょう。つまり、「車両等の運転者は…道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。」と定められているように、速度の問題だけでなくこのような行為自体が取締りの対象になるということです。 ■運転者にはどんな罰則になる?安全運転義務違反の場合、原付バイクの運転者は運転免許の点数が2点引かれた上、6,000円の反則金が科されることになり得るほか、道交法違反として刑罰が科されることもあります。また、自転車の運転者についても、安全運転義務違反で事故を起こせば安全講習の対象や道交法違反による刑罰の対象にもなりますので注意が必要です。過去には原付バイクの運転者が足や手で自転車を押していたために自転車が踏切で止まれず、自転車の運転者が列車と衝突して死亡してしまったという事故もありました。原付バイクで自転車を押す行為は、安全運転義務違反にとどまらず、人を死傷させる危険性が高いので、遊び感覚で行うことは避けるようにしましょう。 *この記事は2015年12月に掲載されたものを再編集しています。*著者:弁護士 木川雅博 (星野法律事務所。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣味は料理、ランニング。)【画像】イメージです* amz camera / PIXTA(ピクスタ)【関連記事】*多発する高齢者の自動車事故…弁護士が語る「道交法」の高齢者対策に潜む矛盾点*87歳が運転する軽トラが児童を死傷…増加する認知症高齢者の事故が抱える法的問題とは*「ポケGO運転」死亡事故に全国初の実刑判決…「ながらスマホ」の今後を弁護士が解説*自転車をターゲットにした当たり屋が存在!?彼らから身を守るための法的対策法を伝授*もしも交通違反をしたのに反則金も呼出状も無視し続けたら、どんな罪が待っている?
2016年11月23日居酒屋に行くと、まずはビールで乾杯、そして「お通し」(関西方面では「突き出し」)をツマミに飲み食いをする方も多いのではないでしょうか。お酒は入店後すぐに提供できますが、料理の提供は少し待ってもらうことになる…。そこで、その間をつなぐための心遣いとして「お通し」を出すことが、日本独自の商習慣として定着していったといわれています。最近では訪日外国人が増加している影響から、この商習慣に驚く海外の方も多いようです。そんな「お通し」の料金は大体300~500円かかるのが一般的で、中には1,000円を超えるものもあるそうです。そもそも、頼んでもいないのに出てきたものに対して料金を払う必要はあるのでしょうか?ネットを中心によく議論されているこのテーマですが、今回は、注文をしないのに出てきた「お通し」の代金が発生する法的な根拠はどこにあるのか、また、お客は「お通し」の提供を断ることはできるのかについて説明したいと思います。*画像はイメージです:■契約の成立には「申込みと承諾」が必要民法上、契約が成立するためには、「申込みと承諾」が必要となります。この点、居酒屋などの飲食店では、お客がお酒や食べ物の注文(申込み)をして、店側がそれを承諾することによって、お店がお客に飲食物を提供する、という内容の契約が成立することになります。 ■申込みがない「お通し」はどうか?それでは、お客による申込みがない「お通し」についても、お店との間に契約が成立するのでしょうか。まず、入店時の説明や看板等で、「お通し」の注文が義務付けられている場合には、入店と同時にお通しについて注文があったことになるので、「お通し」についての具体的な注文はなくても、契約が成立することになります。そのため、お客としては、注文していないのだから料金を支払わない、ということはできません。 ■「お通し」について店側の事前の説明がない場合はどうか?「お通し」について店側による事前の説明がない場合には、お通しについての客側の申込みというものが存在しませんので、契約が成立しません。そのため、お客としては、「お通し」が出てきた際は、事前に説明を受けておらず、注文もしていないという理由で、「お通し」の提供を拒否することができます。 ■すでに「お通し」を食べてしまった場合はどうか?「お通し」をすでに食べてしまった場合には、お客としては、店側による「お通し」の提供を承諾したことになり、契約は成立していますので、“代金を返せ”ということはできません。そのため、もし「お通し」の代金を支払いたくないという場合には、事前に「お通し」の提供を拒否することが必要です。 *この記事は2014年9月に掲載されたものを再編集しています。*著者:弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)【画像】イメージです*Graphs / PIXTA(ピクスタ)
2016年11月22日11月22日は「いい夫婦の日」ですが、世間では離婚のニュースの方が関心を集めているようです。11月20日、フジテレビの秋元優里アナウンサーが、同局系列の番組『ワイドナショー』に出演。夫である同局の生田竜聖アナウンサーとの関係について、別居状態であること、および離婚協議中であることを明かし話題となっています。好きな人と一緒になる、つまり結婚して夫婦になるのは簡単ですが、このニュースの例のように、結婚生活において相手が嫌になったからといって簡単に離婚できるわけではありません。*画像はイメージです:まず、結婚しようとする男女に結婚の意思があって、役所に婚姻届(証人2人の署名捺印が必要)を提出しさえすれば、法律上有効に結婚することができます。離婚しようとする場合も、離婚について双方合意のうえであれば、役所に離婚届(証人2人の署名捺印が必要)を提出すれば、有効に離婚することができます。これだけで済めばよいのですが、なかなかスムーズに離婚できないことも多々あります。 ■離婚がスムーズにできない法的な理由とは?夫婦の一方が離婚を求めても、他方がそれを拒否した場合には、法律上の離婚事由(不貞行為やDV等)が認められない限り、離婚をすることはできません。そして、法律上の離婚事由があるかどうかは、客観的証拠によって立証されなければなりません。法律上の離婚事由が認められる場合であっても、離婚にあたっては、財産分与や養育費について決めなければなりません。もし、当事者間で合意できない場合には、最終的には、審判や判決によって決定されることなります。また、夫婦の間に未成年の子どもがいる場合、どちらが親権者となるのかについて揉める可能性があり、当事者間で合意できない場合には、やはり、最終的には、審判によって一方が親権者と指定されることになります。さらに、不貞行為やDVがある場合には、慰謝料支払いの有無についても揉める可能性があります。 以上のように、相手が離婚を拒否した場合には、法律上の離婚事由がない限り離婚することはできず、離婚事由がある場合であっても、財産分与や養育費、未成年の子どもの親権、慰謝料等で揉める可能性があるのです。 *この記事は2015年2月に掲載されたものを再編集しています。*著者:弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)【画像】イメージです*Yoshi / PIXTA(ピクスタ)
2016年11月21日*画像はイメージです:不倫が発覚した際に争点になることが多いのが「慰謝料」。今回は、不倫をしている夫が不倫相手に対して多額のプレゼントをしたり、多額の食事をおごったりしていた場合、妻が請求できる慰謝料の金額は上がるのかどうかご説明したいと思います。 ■不倫相手が得た経済的利益は慰謝料の増額要素になると考えられる「愛人関係」とか「妾関係」という言葉からイメージされる典型例は、自分が女性、配偶者が男性、不倫相手が女性という場合だと思いますが、このように不倫相手が女性のケースでは、男性からお金をもらったり、プレゼントをもらったり、家を買って(借りて)もらったりと何かしらの経済的利益を得ていることが少なくありません。では、こうした事情は、慰謝料の増額要素となるのでしょうか。この点、法律上、夫が稼いできた給料でも夫婦の財産となりますので、そのお金が不倫相手に使われる、というのは本来夫婦で使えるはずのお金が減っているため、妻にとってマイナスなことであるのは間違いないでしょう。とはいえ、その不倫相手のために使ったお金がそのまま損害となるわけではありません。しかし、損害に直接繋がるものではないにしても、こうした事実(不倫相手が経済的利益を得ていたこと)は、原告の精神的苦痛を増大させるものであるとして、慰謝料の増額要素となると考えられております。 ■実際にはどのような判例があるのか裁判所もそのような事実がある場合には、慰謝料の増額要素として考慮しているようです(東京地判平成21年6月10日「本件では、Aが、被告との交際中に総額1,000万円程度の支出をしていることが認められるが、仮にこれが夫婦財産を減少させる行為であり、原告の財産分与額に影響を与えることがあるとしても、その経済的不利益自体が、ただちに本件不貞行為に基づく損害といえるものではない。ただし、被告は、Aが自己と交際する中で多額の金員を支出していることを十分認識しながら交際を続けており、そのことにより、原告がさらなる精神的苦痛を被ったことも否定し得ない。その意味においては、上記事情についても、原告の慰謝料額を算定する際の一事情として考慮されるべきである。」)。 結論としては、不倫をしている夫が不倫相手に対して多額のプレゼントをしたり、多額の食事をおごったりしていた場合、妻からの請求できる慰謝料の金額は、基本的に上がると考えて良いでしょう。ただし、個々の事情で判断される部分ですので、詳細は専門の弁護士のご相談いただければ幸いです。 *著者:弁護士 伊倉吉宣(伊倉綜合法律事務所。離婚・男女問題をはじめ、労働トラブルや交通事故問題など幅広く取り扱う。運営メディアに、「弁護士監修による不倫・浮気の専門サイト」、「未払い残業代無料請求ガイド」がある。)【画像】イメージです*w/b / PIXTA(ピクスタ)
2016年11月20日間もなくやってくる11月22日は「いい夫婦の日」ですね。日本の夫婦の皆さん仲が良く「いい夫婦」であれば、こんなに良いことはありませんが、悲しいことに、この仕事をしていると、夫婦円満とはなんと難しいことか、という想いが日に日に強くなっていきます。夫婦間のトラブルにも様々なものがあり、なかなかタイプ別に見ることは難しいと言わざるを得ません。ですが、あえて分類してみると、性格の不一致やお金のトラブルが多いように感じます。今回は、性格の不一致、お金のトラブルを夫婦間で生じないようにさせるためにどんなことが必要か、考えたいと思います。*画像はイメージです:■「夫婦といえども他人」という自覚を持つ性格の不一致の中でも特に多いのが、一方が他方のすることが気に入らなくて、ことあるごとに口汚く罵ったり、いちいち細かいことに口を出したりして、言われている方が限界を超えてしまうというケースです。罵っている方は、自分が相手の嫌がることをしているということに、離婚を切り出されるまで全く気付かない、あるいは、切り出されても、切り出した方が悪いと考えることが往々にしてあります。こういう問題は、結婚したことによって、一方が、“相手と自分が全く同じ価値観を共有したような錯覚に陥ってしまう”、あるいは“何でも自分の思い通りになって当たり前と勘違いする”ことによって生じることが多いのではないかと思います。また、言われる方も、波風を立たせるのが嫌で、言われるがままになってしまうため、相手をつけあがらせてしまうということもあります。夫婦と言えども元は赤の他人。そうそう自分の思うとおりになるわけではありません。夫婦はお互いにこのような自覚を持つことが必要でしょう。また、言われる側は、嫌だと思ったら、都度、自分の気持ちを相手に冷静に伝えるということも必要ではないかと思います。 ■お金の管理方法を結婚時に決めておく結婚後のお金のトラブルも、例えば単なる金銭感覚の違いから、一方に明らかな浪費癖があるケースまで、実に様々です。また、よくありがちなのが、夫が給料の管理を妻に任せていた結果、自分の預金をすっからかんにされて知らない口座に移されていたというものです。先ほどの性格の問題もそうですが、金銭感覚も人によって様々で夫婦とて一致するとは限りません。ですので、夫婦間のお金の管理方法は、結婚時にきちんと決めておくこと、子が生まれた時など節目節目に話し合うことが必要でしょう。例えば、生活費は、お互いに月いくらずつ出してどの口座に入れておくか、貯蓄用の口座はどうするのか、ということです。他人行儀に思えるかもしれませんが、本来であれば、書面にしておくのが一番いいのではないかと思います。 ここまで書いておいてなんですが、夫婦間のトラブルを防ぐ決定的な秘訣はないというのが私の感想です。もしそんなものがあるのでしたら、この世から離婚などというものはなくなっていることでしょう。机上のアドバイスではどうにもならない問題があるからこそ、夫婦と言えるのかもしれません。 *著者:弁護士 寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)【画像】イメージです*xiangtao / PIXTA(ピクスタ)
2016年11月20日*画像はイメージです: ■札束の部分は紙です。 千葉県議会では、AEDの活用促進に向けた条例が可決され、来年の4月から施行されることとなりました。この条例ではAEDを使用して救助を行ったにもかかわらず、訴訟を起こされた場合に費用を貸し付ける制度を盛り込んでいます。「責任を問われたくない」と思っている県民の不安を解消するのが狙いで、AEDの利用をいかに促進するかが課題となっているようです。では、実際に訴訟を起こされた場合、どれほどの金額を負担することになるのでしょうか。一般化して解説してみたいと思います。 ■訴訟費用とは?訴訟費用とは、訴訟について裁判所や紛争の当事者が支出した費用のうちで、民事訴訟費用等に関する法律で、これが民事訴訟等の費用ですと認められているものをいいます。訴訟費用については、原則として、訴訟で負けた者が負担することになります。そうはいっても、訴訟の結果が出るまでの間にも訴訟費用は必要となり出さなければ裁判を進めてもらえませんので、それまではいったん当事者の一方が支払い、訴訟の結果が出た後に負けた者から取り立てることになります。 ■訴訟費用に含まれるもの訴訟費用には、大きく分けて(1)裁判所の行為に必要な裁判費用と(2)当事者の行為に必要な当事者費用があります。 ・(1)裁判所の行為に必要な裁判費用裁判所の行為に必要な裁判費用としては、裁判所の審理・判断(判決・決定・命令・審判)といった行為についての手数料、書類の送達費用、公告に必要な費用、証拠調べに必要な費用等が含まれます。裁判所の審理・判断といった行為についての手数料ですが、例えば500万円の訴訟を起こすような場合、3万円の収入印紙を購入して訴状に貼り付ける必要があります。書類の送達費用ですが、東京地方裁判所で原告1名・被告1名の訴訟を起こす場合、とりあえず6,000円分の郵券か現金を裁判所に予納する必要があります。証人の日当については、1日当たり8,200円以内で裁判所が定める額になります。 ・(2)当事者の行為に必要な当事者費用当事者の行為に必要な当事者費用としては、書類の作成にかかった費用、当事者の旅費・日当・宿泊料等が含まれます。当事者の日当については証人の日当と同様に算定されます。なお、弁護士費用は訴訟費用に含まれません。訴訟は本人でも起こすことができ、訴訟するのに必ずしも弁護士を立てる必要がないからです。 ■弁護士費用について以上のように弁護士費用は訴訟費用に含まれないわけですが、医療過誤訴訟や建築関係訴訟や交通事故訴訟等の普通の人では扱いきれない訴訟の場合、弁護士費用も損害として請求することによって一部認められることがあります。また、弁護士費用について、平成16年4月1日にそれまで弁護士費用の目安とされていた旧日本弁護士連合会報酬等基準が廃止されましたので、依頼する弁護士によって弁護士費用が大きく変わることがあります。 *この記事は2015年1月の記事を再編集したものです。*著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)【画像】イメージです*Graphs / PIXTA(ピクスタ)
2016年11月19日*画像はイメージです:現在、ドライブレコーダー(通称ドラレコ)を搭載している運転者の方も多いと思います。交通事故においては、交差点の出合い頭事故で双方が自車側の青信号を主張する場合などのように、事故態様について被害者と加害者の言い分が食い違う場合が少なくありません。このような場合、今までは警察官作成の実況見分調書や目撃者の証言などが重要な証拠とされていましたが、最終的には水掛け論になってしまうこともありました。しかし、ドライブレコーダーがあれば、その映像から信号機の色や一時停止の有無などがわかることになるため、有力な反論の証拠となります。また、最近のドライブレコーダーは画像解像度も高く、事故態様だけでなく道路状況等についても鮮明に記録できますし、警察もドライブレコーダーの搭載を推奨しています。交通事故に巻き込まれないのが一番ですが、不幸にも事故に遭ってしまった場合、こうした映像が非常に役立ちます。 ■ドラレコが裁判時の時間・費用の節約につながる上記のように、事故態様について争いがあり、裁判になった場合、当事者双方は、何度も口頭弁論期日や弁論準備手続期日を重ね、裁判官を説得するために、主張・立証を繰り返すことになります。その際、期日を重ねることから解決までの時間がかかってしまうことはもちろん、第三者の調査会社に事故態様に関する調査を依頼した場合、費用も大きく膨らんでしまいます。ところが、ドライブレコーダーの映像が証拠として提出された場合、(映像の内容にもよりますが)事故態様について客観的かつ明確に認識することができるため、それ以上、主張・立証を繰り返す必要がなくなります。このように、ドライブレコーダーの映像があることにより、立証が容易になるのみならず、時間と費用の節約にもつながることが考えられます。裁判官も、タクシー等の営業車が当事者の場合、まずドライブレコーダーの有無を確認していることからすると、ドライブレコーダーの映像を非常に重要視しているということができるでしょう。 ■ドラレコは「当たり屋」「車上荒らし」対策としても有効ドライブレコーダーを搭載していない人の多くは、「自分は事故を起こさない」と考えているかもしれません。しかし、たとえ自分が交通法規を遵守し、安全運転を行っていたとしても、相手の不注意や、無謀な運転によって、事故に巻き込まれてしまうもらい事故も考えられます。このとき、相手が難癖を付けてきてなかなか被害賠償に応じてくれない場合、こちらがいくら正しい主張をしていても、それを立証できなければ裁判では勝つことはできません。この点、ドライブレコーダーを搭載していれば、自分の主張に沿った事実を明確に立証できため、泣き寝入りをしてしまう事態を防いでくれます。また、ドライブレコーダーは、偶発的な事故だけではなく、わざと車に接触して慰謝料を請求する「当たり屋」への対策としても非常に効果があります。また、走行中以外でも映像を記録しておけるタイプもあるため、車上荒らしや当て逃げ、いたずらなどの防止、被害に遭った場合の証拠としても利用可能です。このように、ドライブレコーダーは、自動車を運転するすべての人にとって有用なものであることは明らかであり、今後、必要不可欠な存在になっていくことでしょう。事故はいつ、誰の身に降りかかるか分かりません。万が一の時のためにドライブレコーダーの導入を選択肢に加えてみてもよいのではないでしょうか。 *著者:弁護士 鈴木翔太(鈴木法律事務所。東京弁護士会所属。①依頼者の立場に立って考える、②難解な法律問題をわかりやすく説明する、③迅速に対応し、随時報告をすることを基本に据えている。)【画像】イメージです*Sisacorn / Shutterstock
2016年11月19日タレントの三船美佳さんと離婚したミュージシャンの高橋ジョージさんが11月8日のツイートが話題となっています。ツイートによると、高橋さんは娘さんと2年半も会っていないとのこと。通常、仮に別居していたとしても、親である以上、面会交流権が認められます。ここでいう面会交流とは、文字通りの面会、会って話す、遊ぶなどのほか、手紙のやり取りをする、電話で話をする、最近だとスカイプなどで顔を見ながら話をするといった方法も含まれます。どういった経緯で高橋さんと娘さんが会っていないのは定かではありませんが、2年半も会っていないということで、髙橋さんの面会交流権が侵害されているのではないか、疑問に思っている方もいらっしゃると思いますので、解説していきたいと思います。*画像はイメージです:■高橋さんの面会交流権は侵害されているのか?高橋さんが仮に実際に実の娘さんと2年半以上会っていないとしても、その他の方法で面会交流が出来ているのであれば、面会交流権が完全に侵害されているとはいえないということになります。高橋さんと三船さんは今年の3月に離婚が成立しているようですので、通常の場合、面会交流にやり方などについてもある程度具体的に決まっていると思います。一説には、年に数回、三船さんが娘さんの写真を高橋さんへ送るという方法で落ち着いたという報道を見たことがありますが、定かではありません。しかし、高橋さんが上記のようなツイートをしていることから、実際に会ってよいという内容が条件にはなっていないのだろうと推測できます。仮に、離婚時の条件として、高橋さんと娘さんを会わせるということになっているにもかかわらず、三船さんが意図的に会わせていないということであれば、三船さんは高橋さんの面会交流権を侵害しているということになりますので、違法なことをしているということになります。 ■裁判所が面会を認めないケースもあるたとえ、親と子を一定の条件で会わせるということが面会の条件となっている場合でも、通常は、「子どもの福祉に反しない限り」とか、「子どもの福祉に反しない方法で」といった文言がつきます。つまり、面会をさせることが子どもの健やかな成長にとって害になるような場合は、面会を取りやめるよう配慮すべきという考え方です。言うまでもなく、面会交流は親だけのためのものではなく、子どものための権利でもあるのです。以上のことから、親がいくら面会を求めても、“裁判所が面会を認めない”というケースも稀にあります。典型的な例でいえば、子を虐待していた親が面会を望むケースです。また、子どもといっても自分の意思もはっきりしている年齢の場合、子どもの意向も尊重される傾向にあります。よく離婚のケースで、夫婦がお互いにいがみ合っている場合、子を監護している親が相手方に「子どもに会わせたくない」ということがあります。しかし、子どもは親の所有物ではありません。ですので、相手が憎いとか、嫌がらせをしたいという理由で子どもを会わせようとしない親御さんは個人的には感心しません。子どもを親に会わせるということと、自分の感情とは別ですので、「子どもの福祉」に反しない限り、出来るだけ面会を認めてあげることが、子どもの健やかな成長につながるものと僕は考えています。 *著者:弁護士 河野晃 (水田法律事務所。兵庫県姫路市にて活動をしており、弁護士生活6年目を迎える。敷居が低く気軽に相談できる弁護士を目指している。)【画像】イメージです*わたなべりょう / PIXTA(ピクスタ)
2016年11月18日*画像はイメージです:不倫トラブルの際に争点となることが多いのが、“慰謝料について”です。慰謝料の額を決める際には様々な要素を考慮して決定するのですが、どのような要素があると不貞行為による慰謝料が高くなったり、低くなったりするのでしょうか。今回は“婚姻期間の長短”は慰謝料にどのような影響を与えるのか説明していきたいと思います。 ■婚姻期間の長さによって慰謝料は増減するの?婚姻期間の長さは慰謝料の算定・考慮要素になるのでしょうか。一般的に、婚姻期間が短いと慰謝料の減額要素になり、婚姻期間が長いと慰謝料の増額要素になると言われています。すなわち、結婚後すぐに不倫(不貞)されるケースよりも、長年連れ添った妻・夫に裏切られるケースの方が、慰謝料は大きくなるということです。この点、結婚してすぐ、というのは愛情も一番大きいでしょうし、その幸せな時期に裏切られるというのは、それはそれで相当な精神的ショックを受けるものであることは間違いありません。ですが、不倫(不貞)の場合の保護法益は「婚姻共同生活の維持という権利又は法的保護に値する権利」であると考えられているようですので、それを前提とすると、婚姻期間が長い場合にはその長年平穏に過ごしてきた家庭を壊されるわけで、権利侵害の度合いが大きい(精神的苦痛が大きい=慰謝料の増額要素)、という理解になるのだと思われます。 ■婚姻期間が短い・長いって具体的にどれくらいの期間?そして、具体的には、婚姻期間が3年以下の場合には「短い」と判断され、慰謝料の減額要素とされることが多いようです(東京地判平成20年10月3日「本件不貞行為が開始された当時、原告とAの婚姻関係が約2年半程度にすぎなかった」、東京地方裁判所平成21年3月27日(3年)、東京地判平成23年2月24日(1年9カ月))。他方で、婚姻期間が15年を超える様な場合には、「長い」と判断され、慰謝料の増額要素とされることが多いようです(東京地判平成16年2月19日「Aとの約19年に及ぶ婚姻関係の破綻を余儀なくされた原告の精神的苦痛は想像に難くない」、東京地判平成24年3月29日(15年)、東京地判平成19年10月17日(20年))。 以上、いくつかのケースをご紹介しましたが、婚姻期間の長短という点については、婚姻期間が長い場合の方がその権利侵害の度合いが大きいとして、慰謝料の増額要素となる点にも注目です。また、婚姻期間が短いほど愛情も大きいために、慰謝料が高くなると考えている方もいらっしゃいますが、こちらは誤解されがちですので、注意が必要です。他にも慰謝料の算定の基礎とすべき項目が多々ありますので、気になることがございましたら、専門の弁護士に相談されることをおすすめ致します。 *著者:弁護士 伊倉吉宣(伊倉綜合法律事務所。離婚・男女問題をはじめ、労働トラブルや交通事故問題など幅広く取り扱う。運営メディアに、「弁護士監修による不倫・浮気の専門サイト」、「未払い残業代無料請求ガイド」がある。)【画像】イメージです* aslysun / Shutterstock
2016年11月18日経団連が定める今年度の新卒採用のスケジュールは、採用情報の公開が3月で、選考の開始時期は6月と、選考の開始時期が前年よりも2カ月前倒しになりました。一方で、経団連が1,300社を超える会員企業に対して、今年度の新卒採用に関するアンケート(※)を調査を行ったところ、就活の解禁時期について「守られていない」との回答が9割近くに上ったことが分かりました。新卒採用では、先にも述べた就活の解禁時期の問題など様々の問題がありますが、今回は内定辞退について着目したいと思います。複数内定をもらった学生の内定辞退をめぐる企業のトラブルも続出しているようです。学生が内定辞退を人事担当者に伝えたら、「水をかけられた」「土下座をさせられた」「他社に行くと言ったら、“その会社はうちと関係があるから圧力を掛けられるんだぞ”と脅された」などといった、にわかには信じがたいケースもあるようです。こうした内定辞退に対する企業の対応に問題がないか検討してみます。*画像はイメージです:■内定辞退に対する企業の対応の問題点について結論から言えば、こうした人事担当者の行為は、犯罪行為(暴行、脅迫、強要、名誉毀損、侮辱等)や民法上の不法行為にあたる可能性があり、その場合、人事担当者は刑事上ないし民事上の責任を負うことになります。犯罪にあたる場合、人事担当者は処罰される可能性があります。不法行為にあたる場合、人事担当者は民事上の損害賠償責任を負うことになります(民法709条)。人事担当者を使用している企業も使用者としての責任を負うことがあります(民法715条1項)。 ■内定と内定辞退の自由についてこれに対し、人事担当者や企業としては、学生の内定辞退に対して腹が立ったからだと言ってみても正当化されません。内定は、将来の一定日(例えば4月1日)から働いてもらう旨の企業から求職者に宛てた労働契約を成立させる旨の通知です。内定辞退は、内定をもらった労働者(求職者)が一方的に行う労働契約の解約になります。労働者は、2週間の予告期間をおけば労働契約を解約できますので(民法627条1項)、内定辞退についても2週間の予告期間をおけば自由に解約できるのが原則です。したがって、人事担当者や企業は、内定を辞退されたことを理由に犯罪行為や不法行為を正当化することはできないわけです。 ■対処法・解決策企業や人事担当者としては、内定を辞退されたとしても犯罪行為や不法行為になるような対応をすべきではありません。学生の方は、企業や人事担当者に迷惑を掛けないよう、入社するかどうか迷っているのであれば内定をもらう前に内定を辞退する可能性がある旨伝えておくべきであったと思います。内定をもらえなくなるかもしれませんが、学生の方も、これから社会人になる以上、相手方との信頼関係を裏切らないよう行動すべきなわけです。仮に内定辞退によって既にトラブルが生じてしまい自身で解決できない状況になってしまった場合、とりあえず大学の就職相談窓口や弁護士に相談してみてください。 *この記事は2014年6月の記事を再編集したものです。*著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)【参考】※2016年度新卒採用に関するアンケート調査結果の概要実施期間2016年7月5日~8月22日開示日2016年11月15日【画像】イメージです*cba / PIXTA(ピクスタ)
2016年11月18日高齢の運転者による自動車事故が相次いでいます。10月28日には神奈川県横浜市で87歳の男性が運転する軽トラが、小学生の集団登校の列に突っ込んむ事故が発生。11月12日には東京都立川市の病院の駐車場でも、83歳の女性が運転する乗用車が男女2人を死亡させる事故が起きました。認知症の検査義務や、免許証自主返納の際に各自治体で企業や団体からの特典をつけたりといった施策もスタートしていますが、なかなか効果はあげられていないのが現状のようです。そこで、現在の「道路交通法」が抱えている問題点を振り替えるとともに、来年3月に施行が予定されている改正内容のポイントを解説したいと思います。*画像はイメージです:.「道路交通法」の本来の目的とは道路交通法は、道路での危険を防止し、交通が安全かつスムーズになるようにし、道路での交通が原因となるトラブルを防止するために定められている法律です。高齢の運転者が自動車を運転することによって生じる危険を防止するためのルールもこの道路交通法で定められおり、高齢運転者による痛ましい事件が世間で起き続けているためか、年を追うごとに厳しく改正されています。 2.現行の高齢運転者対策の問題点現行の高齢運転者対策は、75歳以上の高齢運転者について、運転免許の更新の際に認知機能検査を行って、認知機能の程度に応じて2時間30分の高齢者講習を受けてもらうというものです。現行法ですと、認知機能検査の結果、仮に認知症の恐れありと判断されても、信号無視などの一定の違反行為をしない限り、医師の診断を受けさせられることもないし、免許が取り消されたり停止されることもなく運転できることになります。また、認知機能検査は運転免許更新時だけですので、次回免許を更新する時まで3年間位何事もなければ運転できることになります。 3.近く強化が予定されている高齢運転者対策来年、平成29年3月12日から改正道路交通法が施行されますが、以下の点で高齢運転者対策が強化されています。①認知機能検査の実施時期免許更新時だけでなく、信号無視や逆走といった一定の交通違反を犯した場合についても実施されることになりました(臨時認知機能検査)。認知機能の低下が伺われるような事情がある場合にも検査を実施することによって、高齢運転者の認知機能の低下を早期に発見し、認知機能低下による事故を未然に防ぐためです。②認知症の恐れがある高齢者は医師の診断書の提出が義務化認知機能検査の結果、認知症の恐れがありとされた高齢者は、臨時適性検査を受けるか医師の診断書を提出しなければならず、医師の診断で認知症と判断された場合、免許が取り消されたり停止されたりすることになりました。これは、認知症の高齢者を早期に発見し、認知症の高齢者による事故を未然に防ぐためです。これまでは認知症の恐れがあるだけでは医師の診断が義務付られているわけではありませんでした。③高齢者講習の内容を充実免許更新の際の高齢者講習について、認知症の恐れがある高齢者や認知機能が低下している恐れがある高齢者には個別指導1時間を加えた計3時間の高齢者講習(高度化講習)を実施し、認知機能が低下している恐れのない高齢者については計2時間の高齢者講習(合理化講習)を実施することになりました。高齢者講習の合理化になります。認知症の恐れがある人や認知機能の低下の恐れがある人への個別指導を行うことによって、事故を未然に防ぐためです。 以上のように、来年さらに高齢運転者対策が強化されるわけですが、これでも高齢運転者による事故が完全に防げるとも思えません。今後、高齢者が増えていくことを考えると、高齢者の運転の自由に対する不当な制約にならないように配慮する必要はありますが、抜本的な対策を早期に実施して欲しいところです。 *著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)【画像】イメージです*Graphs / PIXTA(ピクスタ)
2016年11月17日11月18日よりオンライン動画サービス・Huluで日米同時配信するドラマ『代償』(全6話 毎週金曜配信 ※初回のみ第1~2話同時配信)の完成披露試写会&舞台あいさつが16日、東京・六本木ヒルズのTOHOシネマズ 六本木ヒルズで行われ、主演の小栗旬、高橋努が出席した。伊岡瞬の同名小説を連続ドラマ化した本作は、主演の小栗旬が病んだ弁護士役に扮してサイコパスに挑むクライム・サスペンス。悪を弄ぶ友人(高橋努)によって人生と精神を破壊された弁護士・奥山(小栗)が、自らを不幸のどん底へと追い詰めたサイコパスを社会から葬り、過去と決着するために危険な賭けに出る。この日は一般客を招いての完成披露試写会と舞台あいさつが行われ、試写会前には珍しく報道陣の取材に応じた小栗。心境の変化を問うも「特には(笑)。久しぶりだな~という感じです。囲み会見は得意じゃないので(笑)」とし、「できればもうやりたくないです(笑)」と苦手意識を露わにした。ドラマの話題となり、初めて演じた弁護士役を「勉強させてもらうことがいっぱいありましたが、特別こんなことをしたというのはパっと浮かびません」と自然体を強調し、劇中で演じた弱々しいキャラクターに「新たな自分かは分かりませんが、ぜひ見ていただきたいと思います」とアピールした。その小栗は妻・山田優との間に来年第二子誕生も控えているが、「特に変わらないです。なってみないと分からないことなので」と平然とし、「最近は自宅ではセリフを覚えません。移動中に読むぐらいですね」と家庭には仕事を持ち込まないという。そんな小栗とかつて一緒に住んでいたという高橋は「僕の部屋を作ってくれと言っているんですけど、全然作ってくれないんです」と嘆くと、小栗が「次に何かあった時はぜひ!」と約束して高橋を喜ばせていた。ドラマ『代償』は、11月18日よりHuluで配信スタート。
2016年11月17日今、若い世代を中心に、いわゆる「出会い系サイト」ではなく、TwitterやLINEなどの「コミュニティサイト(交流サイト)」などを利用し、「性的行為なし」を条件にデートのみ(金銭の受け渡しはあり)を行う、いわゆる「デート援交」が社会問題化しています。「パパ活」や「レンタル彼女」とも言われ、食事やカラオケ、買い物に付き合うだけで、デート代として金銭の受け渡しが成立することから、未成年の少女たちがアルバイト感覚で気軽に手を出してしまうケースが多いようです。また、性犯罪へと発展してしまう場合もあることから、警察もネット上での監視を強化しているようです。今回は、この「デート援交」の法的問題点について解説したいと思います。*画像はイメージです:■性行為がなくても違法となるケースもまず、性的行為の対価として金銭の受渡しをすることは、「売春防止法」で禁止されています。しかし、性的行為のない単なるデートの対価として金銭の受渡しをすることは、売春防止法では禁止されていません。ただ、性的行為まで行かなくても、単なるデートを超えて、女性に性的なサービスあるいはそれに近い行為を事業として行わせている場合には、許可なく風俗営業を営んでいるとして、サービスの事業主は「風俗営業法」に違反する可能性があります。また、上記サービスの提供者が未成年である場合には、サービスの提供を受けた人は「労働基準法(危険有害業務への就業制限)」や「青少年保護条例」に違反する可能性があります。 ■現実的には取り締まりは難しいもっとも、身体的な接触がない単なるデートだけの場合は、たとえ相手が未成年であっても現行法で取り締まることは難しいです。それがコミュニティサイトを利用した個人間でのやり取りとなると尚更です。ただ、デートする女性の側からみると、カラオケボックスの個室や車の中で相手の男性と二人きりになるという場合もあるかもしれません。二人きりの空間では、性行為がないという条件でも、相手の男性から何をされるか分からないという危険が大いにあります。違法性の有無に関係なく、自身の身の危険を避けるためにも、このような行為には足を踏み入れないようにしてほしいものです。もちろん、男性サイドとしても大人としてのモラルはきちんと守ってください。 *著者:弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)【画像】イメージです*Graphs / PIXTA(ピクスタ)
2016年11月16日小栗旬主演でネット配信サービス「Hulu」オリジナルで配信される連続ドラマ「代償」の完成披露試写会が11月16日(水)に開催。小栗さんと、共演の高橋努が舞台挨拶に登場し、映画にちなんで自らの“サイコパス度”について診断を行なった。伊岡瞬の同名小説を原作に、『クローズZERO』シリーズなどで共演経験のある小栗さんと高橋さんが、因縁を抱えた弁護士の男とサイコパスの殺人犯を演じる本作。弁護士の圭輔のもとに、かつて自らを不幸のどん底に突き落としたサイコパスの強盗殺人容疑者・達也から依頼が舞い込む。自らの過去に決着をつけるべく、圭輔は戦うことを決意するが…。初の弁護士役となった小栗さん。これまでのイメージを覆すような弱々しく、精神を病んだ経験を持つ“史上最弱”と形容される男を演じている。これから作品を鑑賞する観客を前に「追い詰められていきますので楽しんで」とニッコリ。一方、小栗さんを追い詰めるサイコパスを演じた高橋さんは「追い詰めます」と不敵な笑み。2人は、普段から飲みに行く仲だが、以前、若い頃には「ずっと一緒に住んでいた時期があった」(高橋さん)とのこと。今回、久々にガッチリと共演するということで高橋さんは「顔合わせのときは照れ臭かったです。普段の小栗ばかり見てるので。『スターが入ってきた!』って感じで、狭い部屋にせんべい布団で2人して寝てたあの日々とは違うんだなぁ…と思いました」としみじみと語っていた。この日は、心理カウンセラーを迎えて、2人のサイコパス度をチェック。「人をコントロールするのが得意?」「好きになった女の子の人数は多い?」「2人の間でどちらが聞き役でどちらが話役?」「撮影の待ち時間はどう過ごす?」といった質問に答えていくが、やはりというべきか…?小栗さんにはサイコパスの気質が備わっているとのこと。ちなみに、「サイコパス」というと、どうしても本作のような殺人鬼や冷酷非道な悪人を思い浮かべてしまうが、カウンセラーの先生によると「魅力的で、成功者が多く、アメリカでは25人に一人がそうだと言われている」とのこと。本作撮影前に、資料などでサイコパスについて、調べたという小栗さんは「絶対当てはまんない!」と語っていたが、各質問との合致率の高さに苦笑…。「確かに人を振り回すところはある」「人の話を全く聞かない。酒が入るとしゃべりたがる」「退屈が嫌い」など“自覚症状”とも言える傾向を自ら口にしていた。またこの日、舞台挨拶を前に、小栗さんは報道陣との質疑応――いわゆる“囲み取材”に参加したが、小栗さんの囲み取材が行われるのはかなり異例。本作が日米同時配信されるということについて「たぶん、(アメリカ人は)あまり見ないでしょ」とストレートに発言。先日、妻の山田優が第二子の妊娠を発表し、来年には二児のパパになる点についても質問が飛んだが「特に変わらないですね。なってみないとわかんない」とマイペースな回答。こうした囲み取材に関しても「(本来は)やりたくないです(苦笑)」と最後まで本音トークだった。「代償」はHuluにて11月18日(金)より配信開始(全6話)。(text:cinemacafe.net)
2016年11月16日さて、先日のアメリカ大統領選挙では、事前の予想を覆してドナルド・トランプ氏がヒラリー・クリントン氏を破り、アメリカ合衆国次期大統領に選出されました。そのドナルド・トランプ氏の妻であるメラニア・トランプ氏が、結婚前に性的サービスに従事していたかのような虚偽の報道がされたとして、英国の新聞社等に対し1億5000万ドル(約155億円)の損害賠償を求める訴訟を今年9月に提起していることはご存知でしょうか。*画像はイメージです:日本における名誉毀損訴訟からすると、想像を絶するとんでもない金額ですね。日本では、(データをとった訳ではないので感覚的なものですが)だいたい50万円から100万円くらいとなるケースが多いと思います。著名人が、発行部数の多い週刊誌等で名誉を毀損された場合等には高額となることもありますが、それでも300万円から500万円といったところでしょうか(なお、名誉毀損の裁判例が多数収録され、損害賠償がどの程度認められているかを確認できる書籍として、例えば、西口元・小賀野晶一・眞田範行編著「名誉毀損の慰謝料算定」(学陽書房2015/10)があります)。ところで、アメリカにおいては、(特に「公人」の場合)日本とは違った枠組みで名誉毀損の成否が判断されています。どう違っているかを簡単に言えば、日本の場合は「表現が真実であること」等を、表現を行った者が証明しなければならないのに対して、アメリカの場合は、「表現が虚偽であること」等を被害者(表現の対象とされた者)が証明しなければならないのです。以下、詳しくみてみましょう。■日本の場合、特に公人では「真実か否か」が重視まず日本の場合は、不特定多数が認識し得る状態で「社会的評価を低下させるに足る表現」がなされれば、それで名誉毀損が成立します。ただし、表現内容が「公共の利害に関する事実であること」、「専ら公益を図る目的であったこと」、「真実であること(または真実であると信じたことについて相当の理由があること)」を、表現を行った者が証明できたときは、違法性(または責任)が阻却され、損害賠償責任は生じません。なお、表現の対象が「公務員」や「公選による公務員の候補者」である場合には、上記要件のうち「真実であること(または真実であると信じたことについて相当の理由があること)」を証明すれば、損害賠償責任を免れるとされています。これは、公務員等に関する報道・表現は、民主政治の健全な運営にとって重要な価値を有することから、名誉毀損が成立する場合を狭くすることによって、報道・表現が萎縮したり、その結果、「知る権利」が妨げられたり、といったことを防ぐためです。【参考】刑法230条の21前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。2前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。3前条第1項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。以上のとおり、日本においては、表現内容が真実であること(または真実であると信じたことに相当の理由があること)を、表現者が主張立証しなければなりません。 ■アメリカの場合は「悪意」を持っているかが重要一方、アメリカの場合です事情が日本とは異なり、過去の判例では以下のように説明されています。「『ニューヨーク・タイムズ社対サリバン事件』で連邦最高裁判所は、公人の場合、報道された情報が虚偽であるという理由だけでは名誉毀損訴訟は成立しない、との判決を下し、米国の名誉毀損法を根本から変えることとなった。最高裁判所はさらに、報道記者や編集者が「現実の悪意」をもって行動し、「それが虚偽かどうか、まったく意に介さずに」情報を報道したということも、原告側が証明しなければならない、と裁定した。」(アメリカンセンターJAPANウェブサイト「米国政府の概要 – 連邦最高裁判所による画期的判決ニューヨーク・タイムズ社対サリバン事件(1964年)」)つまり、アメリカにおいては、表現された内容が虚偽(反真実)であること、それが「現実の悪意」をもってなされたことを、被害者の方が主張立証しなければならないのです。そして、少し専門的になりますが、ある事柄について裁判の当事者(原告・被告)双方が主張立証を尽くしても、「その事柄の存否(真偽)が不明」という状態になったときには、その事柄を証明しなければならない方の不利に判断される、すなわち、「その事柄は存在しない」という結論になります。 ■日本の方が被害者にとって有利にしたがって、日本では表現者が「表現内容が真実であること」(やその他の要件)を証明しなければならず、「真実かどうか分からない」という状態になった場合には、「真実ではない」ということになり、表現者が損害賠償責任を負うことになります。一方、アメリカでは、被害者が「表現内容が虚偽(反真実である)こと」、「「現実の悪意」をもってなされたこと」を証明する必要があり、「表現内容が虚偽(反真実)であるかどうか分からない」、「「現実の悪意」をもってなされたかどうか分からない」という状態になった場合は、被害者の損害賠償請求は認められない、ということになります。どちらの判断枠組みが被害者にとって有利(逆に言えば、表現者にとって不利)かといえば、日本のほうであることは明らかですね。 ■「表現の自由」を推し進めるにはところで、「真実」であることの立証には、ときとして困難が伴うことがあります(例えば、報道の場合は「取材源の秘匿」が要請されますが、その要請を守ることは、一方で、真実性の立証を十分にすることができないという事態を招くことになるでしょう)。そのため、上述のとおり、真実であるとの立証ができなかった場合でも、「真実と信じたことに相当の理由がある」との立証ができれば、名誉毀損は成立しないとすることによって、表現の自由(の保障)とのバランスをとっているといえましょう。また、公務員等に関する表現について一定の配慮(真実性(真実相当性)のみ立証すればよい)がされていることも、表現の自由への配慮にした結果、といえます。そして、アメリカの例に倣ってさらに一歩進め、証明責任を転換する(「虚偽であること」を被害者が証明しなければならないとする)ことも、検討の余地があるのではないかと思います。 *著者:弁護士 櫻町直樹(パロス法律事務所。弁護士として仕事をしていく上でのモットーとしているのは、英国の経済学者アルフレッド・マーシャルが語った、「冷静な思考力(頭脳)を持ち、しかし温かい心を兼ね備えて(cool heads but warm hearts)」です。ブログ「ネットイージス.com」)【参考】産経フォト2016.9.2付「トランプ夫人が英紙を提訴名誉毀損で155億円要求」【画像】イメージです*Debby Wong / Shutterstock
2016年11月16日もしもご自身や家族が突然の大病や大ケガに見舞われても焦らないために、ビジネスパーソンなら最低限知っておきたい制度についてご紹介します。昨日、国の来年度の予算編成について、医療保険では「高額療養費制度」について、70歳以上の人の優遇措置を見直す方針だと発表されましたが、そもそもこの「高額療養費制度」という言葉はご存じでしょうか。病気になり医療を受ける時、健康保険を使います。健康保険を使えば、医療費の7割は保険でまかなわれ、患者の自己負担は3割です。日常の医療であれば、それで終わりですが、大けがやあるいは大病を患い長期入院するような場合、多額の医療費を負担することになりかねません。仮に医療費の月額が100万円だとすれば、70万円は保険でまかなわれますが、自己負担は30万円にもなります。負担額が高額になると、それを支払うことが困難なケースも出てきます。そのような場合に、この「高額療養費制度」が役に立つのです。この制度について、自己負担額の還付方法から、事前申請方法、適用範囲という3点について解説したいと思います。*画像はイメージです:■自己負担した医療費を還付してもらう方法この制度を利用すると、30万円支払った医療費の内、年収に応じて差額が戻ります。例えば、年収500万円の人が月額30万円の医療費を支払った場合、21万円以上が戻ります。年収が少ない人はもっと戻ります。医療費を戻してもらう際には、領収証が必要ですから、必ずとっておいて下さい。そして、保険証に書かれている保険者に請求することになります。国保であれば市町村ですし、会社員であれば、会社が所属している保険組合です。この制度は年収に応じて戻る額が区分されています。その計算式は難しいのでここでは説明を省きます。詳細は、自分が加入している保険組合や市町村に聞いて下さい。申請期間は2年ですから、今から2年前の分も請求できます。領収証がなければ、医療機関に相談して領収証を再発行してもらえば良いです。以上は、一旦自己負担した医療費を戻す方法です。 ■高額医療費の事前申請方法「高額療養費制度」は事前に申請することもできます。事前に申請しておけば、年収500万円の人は、医療機関の窓口で9万円以上支払う必要がなくなります。「限度額適用認定証」という書類を自分が加入している保険組合や市町村からあらかじめもらっておけば、それを医療機関に示すだけで自己負担限度額以上の医療費を支払う必要はありません。「限度額適用認定証」の申請はいつでもできます。怪我をしたり大病を患う前でもできますので、それをもらっておけば、何かあった場合に慌てずにすみます。 ■「月額」の医療費に適用されることへの注意点この制度は、「月額」の医療費に適用されるものであることに注意が必要です。例えば、9月25日から10月5日まで入院して100万円かかったとしても、その100万円全てが適用されるものではありません。9月分の50万円と10月分の50万円と別々に適用されます。その結果、払戻額が減ったりする可能性もあります。もしかすると、9月分が80万円で10月分が20万円だと、20万円についてこの制度が適用されない場合もあります。入院日をあらかじめ決められるような場合は、なるべく月の初めに入院する方がお得です。 ■家族の医療費も合算して適用が可能また、この制度は家族で合算できます。例えば、父親が50万円、子供が50万円の場合は、合計100万円と合算して計算され、払い戻しを受けられます。この制度は、あくまでも健康保険が適用になる医療費に限られます。従って、差額ベット代、先進医療、入院中の生活費などには適用されません。そのような心配がある方は、民間の医療保険に入ることを検討したら良いです。 *著者:弁護士 星正秀(星法律事務所。離婚、相続などの家事事件や不動産、貸金などの一般的な民事事件を中心に、刑事事件や会社の顧問などもこなす。)【画像】イメージです*tomwang / PIXTA(ピクスタ)
2016年11月16日■ロボットサービスが活況!でも、もし予想外のトラブルが発生したら…これからはロボットの時代とよく言われます。ロボットは、個人の生活だけでなく、法人向けのロボットサービスも開始されるようになりました。11月8日にはオリックス・レンテックが、人間と同じような動きができる、「未来まどか」と名付けられた生活分野のコミュニケーションロボットの、法人向けレンタルサービスを開始すると発表しました。このようなロボットの登場で、ますます私たちの生活は便利になりますが、ロボットがシステムエラーなどで私たちが予期しない行動を起こした場合に、法的な責任はどうなるのでしょうか?例えば、水族館などの施設で、警備用ロボットが施設内を巡回していたとしましょう。そこにお客さんが通りかかったが、警備用ロボットがお客さんを認識できず、お客さんとぶつかってケガをしてしまったような場合、お客さんは、誰に対して、どのような請求をすることができるのか検証してみましょう!*画像はイメージです:■施設側には損害賠償請求ができない可能性もまず、お客さんとしては、水族館の施設を運営する者(会社)に対して、法的請求ができないかを考えると思います。これに対しては、施設運営者が、警備用ロボットを使っていたので、当然何らかの責任を負います。法律上は、民法上の不法行為に基づく損害賠償を請求することが考えられます。しかし、この請求をするには、一つ問題があります。民法上の不法行為が成立するためには、当該施設運営する者に、故意または過失(うっかり)があることが必要です。ロボットの場合は、まだまだ技術的に未完成が部分が多いです。当時の技術水準からして、誰にも予測できない原因不明の誤作動の場合がありえます。そうすると、当該施設運営者には、過失がないことになり、損害賠償を請求することができなくなってしまうのです。ロボットのような最先端技術がゆえに、被害者は、損害賠償を請求できなくなる可能性があるという結論になります。 ■ロボットメーカーに責任追及はできるのか?また、お客さんは、そのようなロボットを作ったメーカーに対して、責任追及したいと考えられるかもしれません。ここで、考えられるのが、製造物責任法です。この製造物責任法は、民法上の不法行為とは異なり、損害賠償が認められるのに、故意・過失の要件が必要ないとされています。つまり、被害者が優遇されているのです。もっとも、製造物責任法でもロボットの欠陥と損害との間に関連性があることを立証する必要があります。そもそも、ロボットの構造は複雑です。一般の方が、ロボットの欠陥自体を主張立証することは難しいのです。ロボット技術は、どんどん発展するもので、問題も多く起こる分野にも関わらず、被害者は損害賠償を請求できない可能性が生じてしまうのです。 ■ロボットの発展と規制、どう折り合いをつけるか?以上のように、我々の生活の中に、ロボットが導入されると、我々に予想だにしなかった影響が生じます。しかし、何でもかんでも規制という風にしてしまうと、ロボットの発展を阻害してしまいかねません。また、ロボット開発は海外との競争でもあるため、諸外国との間で後れを取る結果になっては、非常に問題です。どのようなルールを作っていくべきか、我々法律家だけでなく、ロボットにかかわる全ての人々が議論していくテーマであると思います。 *著者:弁護士 中野 秀俊(グローウィル国際法律事務所。弁護士になる前、システム開発・インターネット輸入事業を起業・経営。IT・経営・法律に熟知していることから、IT・インターネット企業の法律問題に特化した弁護士として活動している。ブログ「IT・インターネット法律ブログ」)【参考記事】オリックス・レンテック、アンドロイドロボット「未来まどか」をレンタル【画像】イメージです*koya979 / Shutterstock
2016年11月14日*画像はイメージです:どのような要素があると不貞行為による慰謝料が高くなったり、低くなったりするのか、と疑問に思ったことがある方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、誤解されている方が多い、“有名人やお金持ちが不倫をした場合、払わなければならない慰謝料も高額になるのか?”こちらに関して解説していきたいと思います。 ■慰謝料請求の金額算定における大前提不貞行為について不法行為が成立し、損害賠償請求(慰謝料請求)が認められるとして、その金額をどのように算定するのでしょうか。また、裁判などにおいては、どのような点が考慮されるのでしょうか。なお、ここで取り上げるのは、あくまで裁判となった場合(あるいは、それを見越して交渉をする場合)に考慮される要素ですので、当事者間で合意すれば、そうした要素に関係ない慰謝料額(例えば、有名人等であれば何も増額要素がないケースで数千万円、数億円等の慰謝料など)になることもあります。 ■当事者の社会的地位・収入・職業は慰謝料額に影響する?まず、不倫(不貞)を行った人が、社会的に地位がある人であったり、お金持ちである場合には慰謝料額が高額になったりするのでしょうか。この点は、よく誤解している人がいますが、結論から言えば、原則として、社会的地位や収入状況などは慰謝料の算定要素にはなりません。つまり、社会的地位があろうと収入が多かろうと、それだけで慰謝料が上がるということはまずありません。これは、よく芸能人などが高額の慰謝料(数億円、数千万円など)を払っていることから誤解されているのだと思いますが、それは当事者が大ごとにするのを避けるために任意で支払っているに過ぎず、仮に裁判になればそのような金額は認められません。実際、裁判所も、慰謝料の算定にあたって、こうした事情はまず考慮しておりません(東京地判平成23年12月28日「原告は、慰謝料額の算定において被告の現在の役職(社会的地位の高さ)や財力を考慮すべきであると主張するが、これらの被告の属性に関する一般的事情は、上記不法行為により原告に生じた精神的損害とは無関係であるから、慰謝料額の算定において考慮することはできない」)。 ■職業が慰謝料増額要素になる場合も…しかし、ごく稀に当事者の職業が慰謝料の増額要素とされることもあります。例えば、弁護士とその元依頼者との不倫(不貞)のケースにおいて判例では、「被告は、平成6年の離婚交渉後もA子に好意をもち、個人的にサポートするなど、その不満の相談にも乗っていたところ、A子の心が原告から離れていく過程で、親密な関係になっていったものと認められる。婚姻関係の破綻については原告自身の問題点もあるにせよ、被告は、ひとたびは原告の紹介で民事保全事件、訴訟事件を受任するなどしており、その信頼を裏切る行為といわざるを得ない。」などと考慮されています(東京地判平成19年2月27日)。これは、不倫(不貞)によって、原告の信頼を害する程度が、弁護士という職業であるがゆえに大きいということなのでしょう。このケース以外には、精神科医とその患者との不倫(不貞)のケース(東京地判平成13年8月30日)、弁護士とその元依頼者との不倫(不貞)のケース(東京地判平成19年2月27日)、プロ騎手・タレントのケース(東京地判平成21年10月21日)などがありますが、いずれにしても、不貞行為を行った側の職業や社会的地位が慰謝料算定の基礎とされることは極めて希であるといえます。 以上、いくつかのケースを交えてご紹介しましたが、当事者の社会的地位・収入・職業は一部の特殊なケースを除き、基本的には慰謝料の算定・考慮事情にはなりません。この点は、よく誤解されている方がいるので注意が必要です。他にも慰謝料の算定の基礎とすべき項目が多々ありますので、気になることがございましたら、専門の弁護士に相談されることをおすすめ致します。 *著者:弁護士 伊倉吉宣(伊倉綜合法律事務所。離婚・男女問題をはじめ、労働トラブルや交通事故問題など幅広く取り扱う。運営メディアに、「弁護士監修による不倫・浮気の専門サイト」、「未払い残業代無料請求ガイド」がある。)【画像】イメージです*bee / PIXTA(ピクスタ)
2016年11月13日