友人夫婦を襲った大規模な水害。家や店舗が浸水し、憔悴(しょうすい)し切ってしまったご主人にさまざまな不調が出るように。それらの不調は病院に通って対処できていましたが、なぜか耳鳴りだけが良くなりません。それどころか、日に日に悪化していくのです……。原因がわからず不安になる中、病院を転々とする夫婦。行きついた診断は、意外すぎる内容だったのです。被災後、謎の耳鳴りがし始める…これは、私の友人が38歳のときの話です。友人が住んでいた地域を大雨が襲い、大規模な水害が起こりました。夫婦で美容室を営んでいた友人でしたが、水害により持ち家と店舗が浸水。友人はもちろんですが、それ以上に一家の大黒柱であった10歳年上のご主人が憔悴し切ってしまったようです。水害後、ご主人に徐々に不調が出始めました。最初はめまいがするようになり、そのうち過呼吸症候群(不安や緊張などが原因で呼吸過多になり、めまいや頭痛、手の指先や口の周りのしびれ、呼吸困難、失神などの症状を起こすこと)になることも増え、夜中や接客中にまで症状が出てしまうように……。友人はその都度、ご主人を病院に連れて行っていました。しかし、友人も疲れ切ってしまい、ご主人に入院を勧めたようです。地元の総合病院で、自律神経失調症(自律神経のバランスが乱れることでさまざまな症状を来すこと)と高血圧症と診断されたご主人。そのまま入院することになりました。久しぶりにしっかり休めたようで、入院生活はとても快適だったそう。血圧は下がり、症状も治まって1カ月で退院することに。その後も、たまに症状をぶり返すも、病院で数日入院すれば治まる、というのを繰り返していたある日。ご主人に耳鳴りの症状が現れます。水害後、ささいな変化にも敏感になっていたご主人は、すぐにいつもの病院へ。しかし、「耳鳴りは耳鼻科に行ってください。ここには耳鼻科医がいないので」と、断られてしまいました。「いつもの病院に行けば治る」と思っていたご主人。「早く原因を知りたい。治療してもらいたい」という焦りが、隣にいた友人にも伝わってきたそうです。病院をたらい回しに。ついには占いまですぐに耳鼻科に行った友人夫婦。検査してもらいましたが異常は見つからず、耳鼻科の先生から勧められた心療内科へ行くことに。そこでも特に異常はないと診断され、ご主人はさらにイライラを増していったそう。次は「脳神経外科に行く」と言い張り、自らお願いしてMRIまで撮ってもらい、すみずみまで検査してもらったそうです。しかし、やはり異常はありませんでした。「ならば医学的な原因ではないのかもしれない!」とご主人に言われて、友人夫婦が向かったのは占い師。しかし、背中をポンっとたたかれて終わったそう。結局、耳鳴りの原因も、改善策もわからないまま数カ月。その間もひどくなっていく耳鳴りに焦っている様子のご主人に、友人はなんと声をかけていいのかわからないでいました。「こんなに調べたのに、原因もわからずひどくなるなんて……」途方に暮れていた矢先、知人からある病院を勧められました。意外すぎた原因とは有名な先生がいるというその病院は、整形外科と内科の病院でした。友人夫婦は、わらにもすがる思いで先生を訪ねました。先生は、ご主人のお薬手帳や今までの検査結果、通院歴など詳しく見てくださったそう。その上で、下された診断は意外なものでした。「これだけの検査をした結果を見ても、各科の先生も言っていたように異常はないでしょう。ではなぜ耳鳴りが悪化するのか、それは薬の飲み過ぎが原因かもしれません」先生の発言に驚いた夫婦。先生から告げられた内容は、「たくさんの種類の薬を服用することは、副作用を起こすリスクを上げる」ということでした。ご主人は行く先々で薬を処方されており、気付いたら8種類以上服用していました。「一度服用をやめてみましょう」という先生に、「では、どうして耳鳴りが始まったのですか!?」と聞いたご主人。先生から「最初の耳鳴りは今と比べてそんなにひどいものでしたか?」と問いかけられハッとします。先生は続けて「薬の飲み過ぎも原因として上げられますが、それ以上に、無理をし過ぎたことが原因だと思います。ストレスや疲労などで耳鳴りが起こることは十分に考えられるので」と言いました。一緒に聞いていた友人は納得した半面、ご主人がかたくなに病気だと思い込んでいたことに気付いたそうです。「各病院の先生はさまざまな視点から、症状を軽減するのに効果的な薬を処方してくださいました。しかし、薬に頼らずに治すほうが近道となるケースもあります。今はとにかく、精神をリラックスさせることを心がけてください」と先生から告げられ、診察は終わりました。意外な診断結果に拍子抜けした友人夫婦でしたが、先生の説明はとてもふに落ちたそう。その後、先生に言われたとおり、薬をやめて精神を落ち着かせることに努めたご主人。音楽を聴いたり、温泉に入ったり、休む時間を作るように心がけ、徐々に症状は改善。いつの間にか、あれだけ悩んでいた耳鳴りは治っていたようです。まとめ友人夫婦にとって、衝撃の大きかった今回の出来事。当時のことを振り返ると、「大事なのは病名を付けることではなく、症状を治すことにある」ということに、なぜ気付かなかったのか? と思ったそうです。この話を聞いて、私も病院に行くことや診断をもらうことが目的になっているときがあるように感じました。大切なのは専門家の指示に従いつつ、自分も自分の体と向き合い現状を知ること。そして、治療や薬にすべてを任せるのではなく、自分でもできることを考えて健康的な生活を心がけることが重要だと思いました。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/高島雅之先生(たかしま耳鼻咽喉科院長)日本耳鼻咽喉科学会専門医、日本睡眠学会専門医。金沢医科大学医学部卒業。金沢医科大学耳鼻咽喉科で講師を務めたのち、2007年に開院。「病気の状態や経過について可能な範囲でわかりやすく説明する」ことをモットーに地域医療に従事。「宇都宮スリープセンター」を併設し睡眠医療にも携わる。テレビやラジオなどメディアでも、いろいろなジャンルにおいて医療情報を発信。著書に『専門医が教える鼻と睡眠の深い関係鼻スッキリで夜ぐっすり』(クロスメディア・パブリッシング)があり、Amazonのカテゴリー7つで1位を獲得。イラスト/サトウユカ著者/Erindaパートナーと二人暮らしをしながら、幸せになるべく日々奮闘しているパンダ大好きアラサー。バセドウ病持ちで、旅行と音楽と食べることが趣味。
2024年03月24日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「静岡水害と災害報道」です。自治体の連携と報道の重要性を再確認した一件。9月23~24日、台風15号の影響で静岡県は記録的な大雨に襲われました。川の氾濫、土砂災害により、静岡市清水区の水道を供給する川の取水口が破損し、区の8割にあたる約6万3000世帯で断水し、1週間経っても半数程度しか復旧がなされませんでした。静岡の災害に関しては報道量も少なく、自衛隊の派遣も遅れました。被害は10月17日時点で、死者3名。全壊、半壊、一部損壊、床上浸水、床下浸水合わせて8448棟です。SNS上では「なぜこの被害をメディアは伝えてくれないのか」という不満が相次ぎました。投稿された映像や画像を見ると、町全体が水に浸かり、大規模な土砂災害が起きており、山間部では孤立した集落も生まれていました。時期がちょうど安倍元総理の国葬と重なったため、さまざまな憶測や不信感を招き、静岡県が自衛隊派遣要請を行ったのが災害発生から2日後だったということにも不満の声が膨らみました。マスコミは、各地の災害を都道府県の発表で知り取材に動きます。今回の件は、実は静岡市と静岡県の連携がうまくいっておらず、掛川市などは被害状況がすぐにあがりましたが、静岡市のみ翌日の夕方まで、被害が県に知らされていませんでした。報道も自衛隊派遣も、それが原因で初動が遅れてしまったのです。報道のないなか、SNSを利用している人は、被害状況や給水などの情報を入手できましたが、そうでなければ、何が起きているのか、どういう支援が得られるのかもわからない状況が続いていました。これから報道は、自治体の発表と市民発信の両方を使い、いち早く伝えることが必要になるでしょう。発生翌日に清水区に入り、取材をしたところ、飲料水は比較的入手できたけれど、トイレを流したり、体を拭くなど、生活用水が圧倒的に足りず、給水があっても何に溜めて運べばいいのかとても困ったと話していました。静岡県は地震や富士山噴火に備えて防災訓練を徹底しています。それでも当事者になると戸惑うことが多くあったと言います。災害対策には平時からの綿密な準備と、各所連携する仕組みの必要性にあらためて気付かされます。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年11月16日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年11月12日大雨やゲリラ豪雨が懸念される季節がやってきた。地球温暖化の影響か、豪雨や洪水などの水害が近年相次いでいる。はたして、どのように備えるべきか。「家を購入する際は各自治体で公表しているハザードマップなどを見て検討すべきです」そう語るのは、YouTube「そなえるTV」を運営する、備え・防災アドバイザーの高荷智也さん。「地震の予知と違い、水害の被害予想はかなり正確です。これまでの『想定外の雨量』による被害状況を見ても、ハザードマップの予想とほぼ一致しています」ハザードマップはインターネットで簡単に確認することができる。「ハザードマップ」と検索すると、「ハザードマップポータルサイト」の検索結果が出てくるので、自宅の住所を入力。大雨や台風時のリスクを調べたい場合は「洪水」「土砂災害」「高潮」をクリックすれば、地図上でリスクのある場所が色を変わって表示される。すでに住んでいる場合が”リスクエリア”だった場合はどうすればいいのか。「ハザードマップでは、浸水エリアや深さも表示されるので、避難場所へ行くのか、浸水の及ばない自宅の2階、3階に避難するのか、水害の際の避難方針を立てること。浸水域を通らずに避難場所へ行くルートも確認しておきましょう」避難用のリュックサックやバッグは用意しておきたい。「モバイルバッテリーや懐中電灯、手袋、ラジオ、ホイッスル、着替えとタオル、 最小限の水など、最低限、必要なものはリュックサックに入れます。一方“あったら便利”と思われる、各種生活用品、数日分の水や食料、エアマットや寝袋、耳栓などはボストンバッグやキャリーバッグに。被災状況により、リュックだけ持ち出したり、両方持ち出しても途中でボストンバッグを捨てて避難することも想定しましょう」避難のタイミングも迷いどころ。「警戒レベル4の避難指示が出ても、避難行動に移せない人も多い。“大丈夫だろう”という思いがあるためです。しかし、水深50cmとなると移動困難になります。避難指示はしっかり守る、小さな子供がいたり、高齢者、またペットがいて移動に時間がかかる人は、前段階の警戒レベル3で避難するよう心がけましょう」自宅の浸水リスクを知ったうえで、適切な準備を忘れずに。
2022年06月23日一見マンションは水害と無縁に思われがちですが、2019年10月に関東を襲った大型台風の際に武蔵小杉のタワマンが浸水被害に遭い電気もエレベーターも停止してしまったことは記憶にも新しいのではないでしょうか。マンションの水害対策が万全でないとインフラに問題が生じて被災してしまう可能性があるため、有事に備えて管理組合がしっかりと対策をとる必要があります。ホームインスペクション(住宅診断)、マンション管理組合向けコンサルティングを行う “不動産の達人株式会社さくら事務所”(東京都渋谷区/社長:大西倫加)は、マンションを水害から守るためのサービス「マンション水害リスクカルテ」の新たなオプションサービスとして、マンションの構造や設備に精通した専門家が現地へ出向き、管理組合のご担当者様と一緒に建物のすみずみまでまわって、どこに・どんな水害対策を施すべきか診断を行うサービスを開始いたしました。新たなオプションサービスが誕生したきっかけ水害コンサルを受託しているマンションで、「設計時には把握できていなかった浸水経路があった」といったケースや、反対に、実際に現地を見るとさほど対策の必要性が高くはないことが判明したケースがありました。さらに精緻な計画を立てるためにも、現サービスの遠隔によるレポーティングサービスのみではなく、場合によっては実際に現場へ出張して、管理組合とともに現地を確認しながら調査することが必要であると考え、本オプションが誕生しました。管理組合向けの「水害リスク診断ツアー」この新オプションサービスのポイントとは?①マンション構造に精通した専門家が現地へ出向いて、建物等を調査します。②専門家が、管理組合の方と一緒にマンションのすみずみを見てまわり、対策必要箇所等をお教えします。③専門家がその場で丁寧にご説明するため、管理組合の方にも予備知識をつけていただけます。「マンション水害リスクカルテ」とは水害リスクを災害の専門家がピンポイントで確認し、ハザードマップで見落とす水害リスクに加えて、水害の他に懸念すべき災害はないかチェックを行い、マンションの専門家が具体的な水害対策と概算費用を診断し、カルテにまとめます。理事会や防災委員会、管理会社の方に時間をとっていただくことなく、適切なリスク評価と具体的な水害対策と概算費用がわかるので、このカルテをそのまま区分所有者の方への説明資料としてご利用していただくことができます。サービス詳細▶︎ 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2021年12月23日天皇皇后両陛下は8月20日、水の防災についての国際会議をオンライン聴講された。コロナ禍における各国の水害対策などが話し合われた会議は2時間半にわたって英語で行われ、両陛下はメモをとるなど熱心に話を聞かれた。天皇陛下は会議の終了後に「大変意義のある会議でした。世界各国が手を携えてこの困難を乗り越えてほしい」と述べられたという。「水問題」といえば、天皇陛下のライフワーク。6月にも水問題の研究者である廣木謙三政策研究大学院教授を赤坂御所に招き、手洗いの有用性や水害発生時の影響など、新型コロナと世界の水問題について説明を受けられていた。このときは、天皇陛下単独でのご進講だった。しかし今回、天皇陛下と雅子さまはご一緒にオンライン会議を聴講された。「コロナ禍により、避難や救出活動における感染拡大防止といった、新たな課題が生まれています。国民の暮らしに密接に関わる問題として、コロナ禍における水害問題についてお二人で取り組まれたいという強い思いがあったのではないでしょうか」(皇室担当記者)7月上旬に熊本県を中心に発生した集中豪雨について、心を痛めていらっしゃったという両陛下。7月20日には宮内庁の池田次長が「新型コロナウィルス対策のため災害対応も難しさを増している中で、日夜努力している関係者のご労苦に対し、おねぎらいのお気持ちをお持ちでいらっしゃいます」と、両陛下のご心情を伝えている。天皇陛下は国際会議での講演で、地球温暖化による水害の多発に警鐘を鳴らし続けてこられた。今年2月の誕生日会見でも《防災・減災の重要性を考えていく上で、「水」問題への取組で得られる知見も大切にいかしていきたいと思います》と述べられていた。また雅子さまも昨年12月の誕生日に際しての文書で《近年、日本のみならず、世界各地でも水害や山火事などの自然災害が多く発生しており、地球温暖化や気候変動などの問題が現実のこととなりつつあることが案じられます》と綴られていた。天皇陛下は’19年4月に刊行された著書『水運史から世界の水へ』に《私の水に対する関心に、いつも理解と協力をしてくれている妻の雅子にも感謝の気持ちを伝えたいと思います》と記されている。「水問題」について、雅子さまも以前から関心を持ち、陛下をサポートされてきたのだ。コロナ禍によりますます重大な課題となる水害対策。両陛下は「水問題」についての知見を生かした取り組みを続けられることだろう。
2020年08月25日前回 、防災の新常識をクイズ形式で網羅した 『ぼくらの災害サバイバルBOOK』 (主婦の友社)で、災害時の対応を確認した私と小5の息子。意外にも、私が常識と思っていることを息子が知らず、息子が知っていて当たり前のことを私が間違えていたりと、世代ギャップを痛感した結果になりました。そこで、「へー、なるほど!」「今の子どもはこれを知らないんだ…」といった秀逸なクイズをここでご紹介したいと思います。■防災新常識クイズ1:大雨で避難するときにはくくつは?A.雨だからやっぱり長ぐつB.はきなれたスニーカー答えは、B。雨のときは長ぐつ、と思いがちですが、避難するほどの大雨のときはNGだそう。長ぐつはいったん水が入ったら、重くて歩けなくなってしまうからです。はきなれたスニーカー、それも物に引っかからないようにひもなしのほうがベターです。■防災新常識クイズ2:公衆電話の基本的な使い方で正しいのはどっち?A.お金を入れた後に受話器を上げてダイヤルする。B.受話器を上げてからお金を入れてダイヤルする。答えは、B。この問題、なんと高校生の娘もわかりませんでした(驚愕!)。生まれた時から携帯電話が存在する子どもたち世代。災害時には携帯より公衆電話のほうが通じるという知識はあっても、そもそも公衆電話の使い方を知らないというのは盲点でした。また、十円玉と百円玉は使えるけれど、ほかの硬貨や紙幣は使えないこと、おつりが出てくることもあることなども教えておきたいですね。■防災新常識クイズ3:避難所に避難することに。かわいがっていたペットはどうする?A.家族の一員なので連れていく。B.避難所の様子がわからないからエサをあたえておいていく。答えは、A。阪神淡路大震災や東日本大震災のような大規模災害で、避難生活が長期にわたる場合、ペットをどうするかというのは頭を悩ませるところですよね。避難所でほかの人に迷惑をかけるかもしれないと、連れていくことに躊躇(ちゅうちょ)する人もいるでしょう。でも、家にペットを残したまま避難すると、気になってまた家に戻り二次災害にあってしまうリスクもあります。あとから危険な被災地へ戻るよりは、できることなら一緒にペットも避難所へ連れていきましょう。そのためには、あらかじめ近くの避難所でペットの受け入れが可能か調べ、ペットの避難グッズも用意しておくことが肝心です。親子で「なるほど!」と思った防災の新常識クイズを3つご紹介しました。実はこの『ぼくらの災害サバイバルBOOK』は、主婦の友社の読者ネットアンケートクラブを利用して、多くのリアルな声を盛り込んで作られたそう。だからこそ、避難訓練や防災学習では知ることのできない内容が盛り込まれているのだと納得でした。自分や家族の防災知識の“穴”を探るべく、災害サバイバルクイズにぜひとも挑戦してみてください。参考図書: 『ぼくらの災害サバイバルBOOK』 (主婦の友社)たびたび大きな地震が起こる日本列島。地震だけでなく、近年は台風やゲリラ豪雨による河川の反濫やがけ崩れなど、以前に比べて天災による被害が増えているように感じ、「わが家の地域にも…」と不安に思う人も多いのではないでしょうか。不安なのは、子どもだって同じ! 本書は大地震、台風や雷・土砂崩れなどの水害に関し、子ども向けに、ビジュアルを使ったクイズ形式で「災害時にすべきこと」をわかりやすく解説。怖いながらも「自分の身を守りたい」「ぼくが家族を救いたい! 」と思う子どもたちの気持ちに寄り添い、「サバイバル」をキーワードに、有事に役立つ知識・知恵を楽しみながらつけていきます。
2019年04月30日地震に津波、大雨と、毎年のように災害に襲われる日本。だからこそ、日頃から万が一に備え、各家庭で準備をしていると思います。学校や園でも、災害時にはどう行動するか、ふだんから何に気を付けるかなどを、訓練や授業を通して学ぶ機会が多いので、子どもたちも大人以上に知識があってびっくりすることも。でも、もしもの時には、予想がつかないことが起こるもの。それが、子どもひとりのときだったら…学んだ通りに行動できるでしょうか?…想像するだけでママパパはゾッとしますよね。そこで、被災したときにどう行動すればいいのか、とっさの判断が身についているかどうか、 『ぼくらの災害サバイバルBOOK』 (主婦の友社)で、小5の息子と一緒にシミュレーションしてみました。すると、意外なことが判明したのです…。■いきなり母、反省…知識はあってもやっていないこと国がかかげる防災減災対策で「自助・共助・公助」というのをご存じですか?これは、被災した場合には、自助(自分の身を守る)、共助(家族や周囲の人と助け合う)、公助(国や行政による救助・支援)の3助の連携が大切だとする考え方です。特に、東日本大震災など大規模災害のときには、行政機関自体が被災して機能しない場合もあるので、自助、共助がより重要になるわけです。そこで、自分の身を守るための知識を身に付けるべく、手にしたのは危機管理教育研究所代表の国崎信江さんが監修の『ぼくらの災害サバイバルBOOK』。楽しいイラストやマンガと共に全30問の「被災したとき、どうする?」クイズがあり、飽きっぽい小5長男でも挑戦してくれました。第1問は、「スマホから緊急地震速報が! 正しいのはどっち?」A.地震だ! とさけんで安全な場所へ移動する。B.テレビをつけて情報が本当か確認する。これは、2人ともAとこたえて正解。しかし、実際に自分はどう行動しているかというと…Bでした。長男の視線が痛い…。そうやって、あーだこーだと話し合いながら解答していくと…予想外の結果が出たのです。■ふだんの習慣が地震のときには命取り?息子が間違えた問題で印象的だったのは、「エレベーターの中で地震が! おすのはどのボタン?」でした。A.早く地上に降りたほうがいいので1階のボタンだけをおす。B.全部の階のボタンをおしてしまう。答えはB。エレベーターに閉じ込められる可能性があるので、すぐ降りるために、とりあえず全部の階のボタンをおすのが正解です。止まった階ですぐおりて、階段を使って外に脱出…というのは、大人ならわかるでしょう。でも、子どもはふだん「エレベーターのボタンは、降りる階しかおしちゃダメ!」と何度も言い聞かせられているため、全階のボタンをおすというのは躊躇(ちゅうちょ)があったようです。「地震のときは、エレベーターを使っちゃダメ」というのは知っていても、「乗っているときにグラッときたらどうする?」というところまでは、子どもと話していませんでした。実はこの書籍、主婦の友社の「読者ネットアンケートクラブ」を利用した多くのリアルな“声”も盛り込んでいるのです。■「昔の常識は、今の非常識?」知らなかった防災の新常識そして、大の大人で、子どもたちの命も守らなければいけない私が間違えたのは、「火災が起きたとき避難で正しいのは?」A.けむりに関係なく低い姿勢でにげる。B.けむりが出ないうちにふつうの姿勢でにげる。正解は、B。でも、これは言い訳をさせてください。私が子どもの頃、ウン十年前の避難訓練では、けむりは上にたまるから、なるべく低い姿勢で逃げるように、との指導があったのです。でも、今は少しけむりが見えているくらいなら、転ばないように気を付けつつダッシュで逃げるのが正解だそう。低い姿勢でモタモタしているうちに、黒いけむり(毒ガス)に巻かれてしまうのを防ぐためです。ただし、けむりがすでに充満してしまっていたら、低い姿勢で口をおさえて外に逃げるのが正解だそうです。こんなふうに、避難訓練では教えてくれないことや、今と昔では対処が変更されたこと、昔はなかったスマホやSNSを活用した防災方法などについて、クイズを通して知ることができました。防災に関して、子どもが何を知っていて、何を知らないかだけではなく、自分自身の知識のチェックという意味でも、とても役に立った『ぼくらの災害サバイバルBOOK』。次回は、この書籍の中の数あるクイズの中から、「これ、知ってる?」「なるほど、そうか!」というクイズを厳選してご紹介しましょう。参考図書: 『ぼくらの災害サバイバルBOOK』 (主婦の友社)たびたび大きな地震が起こる日本列島。地震だけでなく、近年は台風やゲリラ豪雨による河川の反濫やがけ崩れなど、以前に比べて天災による被害が増えているように感じ、「わが家の地域にも…」と不安に思う人も多いのではないでしょうか。不安なのは、子どもだって同じ! 本書は大地震、台風や雷・土砂崩れなどの水害に関し、子ども向けに、ビジュアルを使ったクイズ形式で「災害時にすべきこと」をわかりやすく解説。怖いながらも「自分の身を守りたい」「ぼくが家族を救いたい! 」と思う子どもたちの気持ちに寄り添い、「サバイバル」をキーワードに、有事に役立つ知識・知恵を楽しみながらつけていきます。
2019年04月29日活発化する前線の影響による記録的な豪雨により、西日本を中心として大変な被害が広がっており、筆者がこの記事を書き始めた時点では、西日本豪雨での死者が72人、安否不明が63人でした(7月20日現在、死者225人、行方不明13人)。自然災害はいつどこで発生するかわからないものですが、災害に遭いやすい場所と比較的安全な場所があることも事実です。自然災害から身を護るため、今回は先人たちが残してくれた「言伝え」について書いてみます。■ 神社は津波から逃れた!意外な内容の論文が話題に「スサノオを祀る神社は東日本大震災で津波の被害を逃れた」という論文が数年前にマスコミに取り上げられて話題になりました。naonao / PIXTA(ピクスタ)こちらは東工大の研究グループによるまじめな論文で、決してオカルトや超常現象を扱ったものではありません。東日本大震災発生時に大津波が襲来した宮城県沿岸部の神社を調べてみると、津波が押し寄せた境界上に、津波が川を上流へ遡上した場所では遡上範囲を縁取るように、多くの神社が位置していたといいます。スサノオノミコトを祀った神社の大半はたとえ海の近くに位置していても津波の被害を受けず、スサノオと関係の深い熊野信仰に基づく熊野神社もその多くが津波被害を逃れた場所に位置していました(一方でアマテラスを祀る神社や稲荷神社は多くが被災しています)。tomaya / PIXTA(ピクスタ)■ 古代の人々は自然災害に強い場所を知っていた神話によるとスサノオはアマテラスの弟で、乱暴者であったため天上界を追放されて出雲に向かい、そこでヤマタノオロチを斬ったとされています。ヤマタノオロチは出雲の国を流れる斐伊川をイメージしたものとされ、これを斬ったということは斐伊川の治水に成功したという事をあらわします。斐伊川maso11 / PIXTA(ピクスタ)つまりスサノオは水をコントロールする力を持った神だとされていたのです。スサノオノミコトnagi0406 / PIXTA(ピクスタ)水害や疫病に対する力をもったスサノオノミコトは非常時における神であり、伝統的地域社会において人々はスサノオを祀る神社を自然災害発生時に最も安全な場所に建てていたと論文では結論付けています。つまり古代の人々の間では、自然災害に遭いにくい場所が伝承されていたことになり、それにより神社の周囲に人々が集まり、何かあった場合は神社に避難したと考えてもおかしくありません。■ 地名に込められている過去の災害の歴史先人たちが残してくれた「言伝え」の一つに地名があります。筆者がかつて勤務していたマンション会社では新しい物件が販売開始になると必ずその地域の地名の由来を調べていましたが(プラスの時は営業で使った)、地名にはその地域の古代の姿を物語る要素が隠されているものです。「川」「池」「浜」といった水に関係する文字が使われていれば津波や洪水などの水害に遭ったことが考えられ、「蛇」「竜」「龍」などが使われている地名には過去に大規模な土砂災害が発生したと思われます。福井県・九頭竜川ひろゆき / PIXTA(ピクスタ)「鷹」は「滝」の意味を持ち、がけ崩れの恐れの強い場所とされています。長崎県長崎市鳴滝skipinof / PIXTA(ピクスタ)最近では行政主導による住居表示変更が相次ぎ、由緒ある地名が次々と消滅していますが、自分が住んでいる地域の過去の地名を調べてみることも大切かもしれません。■ 先人たちの「言伝え」が津波から街を救った我が国はこれまでの歴史において何度も自然災害を受けてきていて、その中で培われた先人たちの知恵が現在まではっきりと見える形で受け継がれている場所が数多くあります。岩手県宮古市姉吉地区はこれまで何度も津波の被害を受けてきた場所ですが、その記憶を風化させないため海抜約60mの山腹に石碑が建てられています。姉吉・大津浪記念碑animangel / PIXTA(ピクスタ)そこには「高き住居は児孫の和楽想え惨禍の大津浪此処より下に家を建てるな」と刻まれており、実際に石碑の下には1軒の家もありません。東日本大震災時で発生した大津波は石碑から50mの地点まで到達しましたが、集落は石碑の上にあったため津波による建物被害はなかったといいます。■ 科学だけじゃない!先人から聞いた過去を知れば、将来の災害も予測できるその地域の過去がわかれば、将来に起きることもある程度予想がつきます。将来発生するかもしれない自然災害から身を護るため、自分が住んでいる地域のことをよく調べてみてはいかがでしょうか。ここまで書いて再びNHKをつけてみると、西日本豪雨の犠牲者の方の人数が随分と変化していました。yuayua / PIXTA(ピクスタ)渇水も困りますが、豪雨も困ります。被災地の方々が一刻も早く日常の生活に戻ることができることを願ってやみません。
2018年07月22日凸版印刷は11月18日、自治体の水害ハザードマップと連動したバーチャル・リアリティ(VR)映像により、居住地域の被災状況を仮想体験できるという防災訓練支援サービス「VRscope for ハザード」を開発したと発表した。自治体の防災イベントや小中学校の防災教育用途として、2015年11月下旬から提供を開始する。VRscopeは、スマートフォンに配信した360度パノラマの動画や静止画コンテンツを、同社が独自開発したという専用のビュワーにセットして鑑賞すると、立体感・臨場感のあるVRコンテンツを提供するもの。今回発表したサービスは、VRを用いた防災情報の可視化を研究する愛知工科大学工学部情報メディア学科の板宮朋基准教授の協力のもとで開発した。津波や高潮、豪雨などが発生した際に想定される水害を、実際の映像に重ねて見ることが可能。居住地域が被災した状況を仮想体験することで水害の被害レベルを実感でき、避難所の確認や避難ルートの検討などを促進するとしている。具体的には、ハザードマップに配置した専用マーカーをスマートフォンで読み込むことで、各地点のVR映像を表示。自治体のイベント会場や学校の他、自宅でも仮想体験が可能なため、家庭での防災意識の向上を図ることができるという。同社が提供するARアプリケーションである「AReader(エアリーダー)」がVRscope用コンテンツに対応したことで、コンテンツごとに個別アプリケーションを制作する必要が無く、360度パノラマの動画や静止画コンテンツへのアクセスが可能としている。コンテンツは同社が管理・運営するクラウド・サーバから提供するため、従来必要だった専用アプリの開発や個別の配信環境の構築が不要であり、導入負荷を大きく削減できるとのことだ。価格は、基本料金が60万円/年(登録地点は20地点まで)、VRコンテンツ制作が約100万円から。同社は同サービスを含めてVRscopeを用いたソリューションを拡販し、2017年度に約10億円の売上を目指す。
2015年11月19日太陽光発電協会(JPEA)は9月11日、太陽光発電設備が水害によって被害を場合の対処に関する注意事項などをWebサイトを通じて公表した。水害によって被害を受けた太陽電池パネルに関しては、絶縁不良となっている可能性があり、接触すると感電する恐れがあるため、やむを得ず取り扱う必要がある場合は、ゴムの手袋や長靴を使用するなどの感電リスクの低減を行うことの必要性、ならび複数のパネルが接続活線状態であれば状況次第では、日射を受けて発電してしまい、高電圧/電流が発生する危険性があるため、周辺にロープを張るなど、不用意に近づけないような措置を講じることが必要としている。また、パワーコンディショナに関しては、浸水した場合、直流回路が短絡状態になる可能性があり、太陽電池パネルが活線状態の場合では、短絡電流が流れることで、ショートや発熱が生じる可能性があり、もしショートしている状態が見えるようであれば、販売施工業者などに連絡を行う必要があるとするほか、取扱いにおいては、感電対策を行った上での遮断器の解列が推奨されている。なお、被害への対処の実施については、50kW未満の施設の場合は販売施工事業者へ、50kW以上の施設の場合は選任されている電気主任技術者に連絡をしたうえで、対策をとってもらいたいとJPEAでは説明している。
2015年09月11日