ことばの教室ってどんなところ?出典 : 小学校や中学校には、子どものさまざまな障害や困難に合わせた支援を行う、通級指導教室や特別支援学級が設置されています。「ことばの教室」とは、そのなかでも言語に障害のある子ども向けに設置された、通級指導教室と特別支援学級の通称です。また、ことばの教室は、「言語障害通級指導教室」、「言語障害特別支援学級」と呼称されたり、地域によっては「ことばときこえの教室」と呼ばれ、言語障害の支援と聴覚障害の支援が両方受けられる場所もあります。それは、言語を獲得し、言葉を発するのに聴覚(きこえ)が重要な役割をはたすためです。どちらか片方に障害があると、もう片方にも問題が生じる場合も多く、言葉を発することと聴覚に対する困りごとを同時に支援していく必要があります。通級指導教室や特別支援学級として設置されていることばの教室では、言語障害のある子どもへの支援を行っています。例えば言葉のおくれ、吃音(きつおん)などの話し言葉におけるリズムや声を出すための器官に障害がある構音障害に対して支援が行われます。また、障害の改善以外にも言葉に関する教科(例えば、国語、英語、音楽、算数、数学)の指導も行っています。通級指導教室とは、おおむね通常の学級の授業についていけるが、通常の学級の中で一部、特別な支援を必要とする子どもを対象に設置されている少人数教室です。通級指導教室に通う子どもは通常の学級に籍を置き、学習したり、給食を食べたりと通常学級でほとんどの時間を過ごします。そして、週に数時間、障害に合わせた個別の支援を受けるために通級指導教室へ通います。Upload By 発達障害のキホン一方、特別支援学級とは心身に障害があったり、発達に遅れがあったり、より手厚い指導・支援をより多くの時間必要とする子どもを対象に設置されている少人数学級です。特別支援学級へ通学する場合は、籍は特別支援学級に置きます。そして、体育や生活、道徳、課外活動をはじめ、一部の授業を通常学級の子どもと一緒に受けることが通例です。Upload By 発達障害のキホンどんな子どもがことばの教室に通うの?出典 : 言語障害のある子どもがことばの教室へ通います。言語障害と一口にいってもさまざまな種類があります。ここでは医学的言語障害ではなく、ことばの教室が対象としている言語障害について説明していきます。言語障害とは、話すため・言葉の発声のために必要な一連の動きに障害があることを言います。例えば、人は話す時にまず、頭の中で話す内容を考え、文章にします。次に音を出すための筋肉に脳から信号が出され肺による空気量の調節や声帯筋が運動し音がでます。次に音を声として発する鼻や口、舌の動きが調節され声となります。声は耳の聴覚によって感じられ、そして脳で言葉を言葉として理解します。言葉を話し、人とコミュニケーションをとるためには上記のような発声に関わる機能だけでなく、思考や社会性の発達、心理的問題や自己観の形成も深く関わってきます。そのため、言語障害は話すことに必要な器官の障害というだけでなく、話すことまた聞くことに問題がある障害を指します。ことばの教室は、言語障害のある子どもを対象にしていますが、通級指導教室と特別支援学級で、その対象が少し違います。ではどのように違うのでしょう。参考書籍:ピーター・B.デニシュ (著), エリオット・N.ピンソン (著)『話しことばの科学―その物理学と生物学』東京大学出版会/刊通級指導教室のことばの教室も、特別支援学級のことばの教室も以下のような子どもが対象となります。1. 唇の断裂(口蓋裂)や、音を発声させる器官(構音器官)のまひなどによる機能的障害のある子ども例) 声が鼻にかかったり、鼻に抜けてしまう。”さかな”の発音が”たかな”になってしまうようにサ行やカ行がうまく発音できないなど。2.b吃音などの話し言葉におけるリズム障害のある子ども例) ”きんぎょ”を”き、ききんぎょ”と言葉を繰り返してしまったり、”き...んぎょ”など言葉が詰まってしまうなど。3. 話す、聞くなど言語機能の基礎的事項に発達の遅れがあり、言葉の順序や表現に偏りのある子ども4. その他に上記のような障害に当てはまる子ども5. 言語障害の原因が上記でなく、他に原因がある子ども■「通級指導教室」のことばの教室に通う場合通級指導教室へ通う子どもは、多くの時間を通常の学級で過ごします。つまり、通常級に籍をおきながら、支援が必要な課題(ある特定の困りごとや、その困りごとから来る学習上の問題)だけを改善するために通級指導教室へ通い、そのほかの授業や活動は通常の学級で行います。そのため、通常の学級での集団行動や教員からの指示の聞き取りがある程度できる子どもに向いているでしょう。■「特別支援教室」のことばの教室に通う場合特別支援学級へ通う子どもは、逆に大半の時間を少人数の特別支援学級で過ごします。通級指導教室に通う子どもは一部の困りごとに対して支援を受けますが、特別支援学級に通う子どもは、困りごとへの支援に加え、国語や算数、社会などさまざまな教科の授業をうけます。特別支援学級に通うのは、通級指導教室に通う子どもに比べて、個別の支援の必要性が比較的大きい子どもです。また、通常の学級が1クラス35~40人に対し、特別支援学級は8人と少人数の編成です。ですので、落ち着いた環境で心理的な安定を保ちながら指導を受けたい子どもに向いているでしょう。ことばの教室で受けられる支援は?出典 : ことばの教室ではさまざまな支援や教育を受けることができます。通級指導教室と特別支援学級で共通した支援もあれば、異なる支援もあります。それらの点について詳しく説明していきます。通級指導教室や特別支援学級では、個別指導計画と個別の教育支援計画を作成してもらうことができます。個別指導計画とは、子ども一人ひとりの困りごとや障害に合わせ、各教科の学習や、集団行動・生活の指導目標や指導内容・方法を示した計画です。この指導計画に基づき、さまざまな教員・関係者が共有し連絡を取り合いながら指導・支援が行われます。具体的には、担任の教員を中心に保護者や、特別支援教育コーディネーター、専門家といったさまざまな人が、子どもの障害の状態や課題、優先事項などを話し合い作成します。一方、個別の教育支援計画は、個別指導計画より長期的な視点に立ち、学校のみならず、家庭や余暇活動も含めて、具体的な支援の計画を示した計画書です。医療、教育、または福祉、就職などさまざまな機関に引き継がれ、一貫した支援が受けられるようになります。通級指導教室では、子ども一人ひとりの言語に関する困りごとを改善するための支援が受けられます。一方、特別支援教室では、言語に関する困りごとの改善とともに、言語障害を考慮しながら各教科の授業を手厚く行います。具体的にどんな支援かご説明していきます。■通級指導教室では?通級指導教室では、学習の遅れや補充をするのではなく、子ども一人ひとりの困りごとに合わせた教育や指導が行われています。言語障害があるために学習が進まない場合には、学習指導も行われます。例えば次のような指導が行われます。・発音に誤りのある子ども正しい発音を身につける練習、音を聞き分ける練習、唇や舌の動きをよくする練習、コミュニケーションの力を育てる指導などが行われます。・吃音のある子ども吃音について正しく理解する学習、吃音の友達と出会ったり、気持ちを話し合ったりする学習(グループ指導)、発達・認知面の力を育てる指導、コミュニケーションの力を育てる指導などが行われます。・言語発達遅滞のある子ども子どもの実態に合った教材を使って言語理解・表出する力を育てる指導、発達の評価、コミュニケーションの力を育てる指導などが行われます。国立特別支援教育総合研究所■特別支援学級では?特別支援学級では、通常学級で過ごす交流学級という時間もありますが、特別支援学級に通う子どもは多くの時間を特別支援学級で学びます。子ども一人ひとりの困りごとに合わせた指導・支援はもちろんのこと、各教科の学習についても指導や支援が行われます。たとえば、国語や算数ではどのような支援が受けられるのでしょうか。・国語読むことに対する支援として、言葉の意味や概念の理解を深めるために絵や写真を使いながら話したり、動作を実際にやってみて説明したりします。また、辞書を活用し、意味を調べ自分でまとめた辞書を作ったりすることもあります。聞くことに対する支援では、話す内容についてそのポイントや重要な部分をあらかじめ説明し、子どもが聞き取るべき部分がわかるようにします。書くことや話すことに対しての支援は、教員との会話のなかで実際に子どもが体験したことを口頭で文章化したり、作った文章をさらに書き起こしてみたりするなどの練習が行われます。・算数文章題などを解くとき、文章の内容や意図を理解することが難しい場合があります。そのような場合は、単語の意味を確かめたり、図や絵を通して理解を促していきます。また、類似の問題に繰り返し取り組んだり、逆に類似の問題を作ってみることで理解をより深めていきます。ことばの教室のクラス編成はどうなっているの?出典 : ■通級指導教室通級指導教室ではほとんどの場合一対一で指導が行われます。ですが集団の中での困りごとやコミュニケーションでの困りごとがある場合は集団で行われることがあります。■特別支援学級特別支援学級ではクラス定員は8人までと決まっています。ですので少人数学級で授業を受けられます。ことばの教室にはいろいろな人が関わっています出典 : ことばの教室では、通級指導教室や特別支援学級の教員だけでなく、保護者、医療スタッフなどさまざまな人が子どもの教育、指導、支援に関わっています。通級指導教室でも特別支援学級でも、必要に応じて、口腔外科医、言語聴覚士、歯科衛生士などの専門家から正しい発音の基礎となる口腔の状態について助言を受けることができます。一方で、保護者や教員は、通級指導教室と特別支援学級では子どもとの関わり方が少し違います。保護者通級指導教室の場合、多くは保護者が付き添いをし、時には一緒に授業に参加することもあります。一方、特別支援学級の場合は、保護者が希望しない限り一緒に授業を受けたりすることはありません。しかし、通級指導学級も特別支援学級もお住まいの学区以外の学校へ行く場合は保護者の送り迎えが必要となります。教員通級指導教室の場合、担任の教員と指導の教員が異なるため、連絡ノート交換、指導報告等を通して、子どもへの共通理解を図ってゆきます。一方、特別支援学級では担任の教員が指導を行う場合が多いので一貫した支援が受けられます。ことばの教室にはどうやって入るの?出典 : 未就学児で来年度からことばの教室を検討している場合未就学児で来年度からことばの教室を検討している場合、就学相談に行く必要があります。就学相談とは、通級指導教室や特別支援学級を含めた特別支援教育を受けるためにお住まいの教育委員会と話し合いの場をもうけ、子どもにとって最適の学びの場を考える機会です。一般的に就学相談は早い地域で幼稚園・保育園の年長の春から、遅くとも秋ごろには始まります。就学相談については、お住まいの教育委員会の窓口まで問い合わせてみましょう。就学していて言語障害が気になり、ことばの教室を検討している場合まずは担任の教員に相談してみましょう。そこから教育相談をすすめられたり、特別支援教育コーディネーターを紹介してもらったりします。そして、一般的にはことばの教室の指導員の方などと面談をし通学の必要性が検討されます。まとめ出典 : ことばの教室では言語障害のある子どものサポートをしています。言語障害といってもさまざまな困りごとや課題を抱える子どもがいます。通級指導教室と特別支援学級の特徴をとらえながら、子ども一人ひとりにあった学びの場を考えてみましょう。
2016年12月15日ADHD長男の授業参観へ!算数の時間をのぞいてみると…出典 : 先日、小学校の授業参観がありました。長男が通っている学校は教室を1日中開放していて、好きなときに好きなだけ見てくださいという“見放題スタイル”。本当は無限の体力を持つADHDの長男が本領発揮していそうな体育を見たかったのですが、その日は体育がありませんでした。代わりに長男が大好きな3時間目の算数の時間を覗いてみると…ときどき外を眺めつつ先生の話も聞き、たまに姿勢を直されながらもきちんと席に着き、上の空になりながらもノートを取って、ワンテンポ遅れつつも挙手して発表もして…まるで小学生!(小学生なんですけどね笑)あぁ、すばらしい!頑張っている!私はとても感動し、授業が終わったあと長男を褒め、帰ろうとしました。すると長男が、「おかあさん!また5じかんめもきてほしいなー。ぼく、5じかんめがいちばんテンションあがるんだもん!」とお願いをしてきたのです。へー、そうか。テンションあがるってことは、張り切る授業なんだね!よし、じゃあ5時間目もまた来ようじゃないか。ということで、一旦帰って、また5時間目も学校に来たのです。「いちばんテンションがあがる!」という5時間目。どれどれ、その様子を見てみましょうかねUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナ何度も副担任の先生に起こされたものの、起きるのは一瞬で、結局授業のラスト10分はこっくりこっくり夢の世界へ行っていたようです。おーい、テンショーンどこいったー!!帰宅後、長男に「5時間目、テンションあがるって言わなかった?」と聞いたら、「あぁ、もうすぐかえれるー!とおもってテンションあがっちゃうんだよねー!」との答え。授業内容、全く関係なかった!(笑)
2016年12月03日今も昔も、“算数”に苦しんでいる子どもは多いようです。小学生の苦手科目ランキングでは、常に首位をキープしている算数。自分は嫌いだったけれど、わが子には算数好きになってほしい……と願っているママやパパもいることでしょう。子どもを算数好きにするためには、小学校入学の早い段階でつまづかせないことが重要です。特に多くの1年生たちにとって、最初の壁となるのが“繰り上がり・繰り下がり”の計算です。ここでついていけなくなってしまうと、あっというまに授業が苦痛になってしまいます。でも、大丈夫。就学前にあるポイントさえおさえておけば、この壁もストレスなくクリアすることができるのです。今回は宇治美知子さんの『算数が好きになる教え方』、親野智可等さんの『親が子どもに教える「算数力」』の両著を参考に、子どもが算数好きになるとっておきの遊び“10の補数ゲーム”をご紹介しましょう!●繰り上がり計算に必須、“10の補数”についての知識“補数”とは、「ある数に加えると、あらかじめ定めた一定数になるような数」のこと。今回のテーマである“10の補数”を例に取れば、“7”に対して“3”、“9”に対しては“1”となります。では、“2”に対しては何でしょうか?そう、“8”が正解ですね。この“10の補数”が瞬時に頭に思い浮かぶか否か。それが、繰り上がり・繰り下がりの計算のスピードを決定づける重大な要素 となるのです。●繰り上がりの計算には“10のまとまり”をつくることが必要不可欠ここからは、具体的な例を出して説明していきましょう。「8+6」という繰り上がりの足し算があったとします。小学1年生はこれを解くとき、どのように考えを進めていくのか、ご存じですか?まず、この問題を見たときに彼は、「答えが10以上になる」ということに気づきます。次に、そういった場合は「まず10のまとまりを作るのだ 」ということ、「そのために小さいほうの数を分解するのだ」ということを思い出します。8と6を見比べると、小さいのは“6”。10のまとまりを作るために彼は、“8”のことを思い浮かべながら6を“2”と“4”に分解します。次に、8と2を足して10にし、そこに残った4を足して14、と答えを出します。これが、1年生がたどる一連の過程です。繰り下がりの引き算でも同様に、10の補数を使って計算します。●“10の補数”が瞬時に思いつけば、すぐに答えを導き出せるこの過程の中で、子どもにとって最も難しいのはどこでしょうか?「8のことを思い浮かべながら、6を2と4に分解する」というところです。子どもは頭のなかで、いくつもの数字を操作しなければなりません。このとき、8に対しては2が補数であると瞬時に思いつくかどうかが計算のスピードを左右します。補数がすぐにわからない子は、頭の中で順番に数を数えたり、指を使ったりして考えなければなりません。そうこうしているうちに、一連の過程の中でいま何をやっているのかが分からなくなってしまうのです。小さなつまづきは積み重なると、大きな苦手意識となってしまいます。そしてやがて算数嫌いへと発展してしまうのです。1年生の最初の壁を問題なくクリアするためにも、就学前に10の補数をマスターしておくことが重要 といえるでしょう。●すぐにできる! 「10の補数ゲーム」のやりかた補数がぱっと頭に思い浮かぶようになるためには、反復練習が最も効果的です。けれど、机に向かって計算ドリルをやらせたり、意味もわからないまま暗唱させたりするのは得策とはいえません。就学前なら、遊び感覚で取り組める“10の補数ゲーム”が一番いいでしょう。まず、ママと子どもが向かい合い「10の補数ゲーム」と声をかけます。そして、ママが「2」と言ったら「8」、「4」と言ったら「6」といったように、子どもに補数を答えさせていくのです。ただし、焦りは禁物。目に見える「1個、2個」という実際の数から、「1、2」という概念上の数字をイメージできるようになるには、ある程度の時間がかかります。最初は実際に数えられるものを使いながら練習し、子どもの理解をゆっくり待ってあげるのがポイント です。慣れていないうちは指を使いながら数えてもOKです。また、まずは“5の補数ゲーム”でルールを理解させるのもオススメ。片手で数えられるので、子どもにとっても敷居が低く簡単に始められます。お菓子を用意して「あと何個もらえば10個になるかな?」と言ってみるなど、子どもが好きなものをうまく取り入れるのも手です。電車好きな子には車輛のカードを作り、「10両編成になるにはあと何両あればいいかな?」のように問いかけてもいいですね。----------いかがでしたか?楽しみながら算数の基本をマスターすることができる“10の補数ゲーム”。就学前、ちょうど5歳位の子どもたちの知的好奇心を刺激するにはピッタリの遊びです。お風呂の中や、乗り物での移動中などにぜひ試してみてくださいね。【参考文献】・『算数が好きになる教え方』宇治美知子・著・『親が子どもに教える「算数力」』親野智可等・著●文/パピマミ編集部
2016年11月21日みなさんは学生時代、算数や数学は得意でしたか?株式会社バンダイが小学1年生~中学3年生の子どもを持つ親を対象に行った調査によると、小中学生の好きな教科・苦手な教科の第1位はどちらも「算数・数学」であることがわかりました。男女別で見てみると、男子は好きな教科として算数・数学を挙げている割合が多く、女子は苦手意識が強いという傾向がうかがえます。子どものころから数字が苦手だと思ってしまうと、大人になってもなかなかその意識は変えられません。しかし一見複雑な問題も、根気よく解いていると答えが見えてくることがあります。今回は、1~9までの数字を使った足し算の問題をお届けします。「数字は苦手!」とあきらめず、チャレンジしてみましょう!■記号に入る数字を見つけるクイズ・問題編では、さっそく問題です。下記の式が成り立つとき、それぞれの記号には何の数字が入るでしょうか?1~9までの数字を使って、式を成立させてください。○+○+△+△+□=△+△+△+△+△=☆+□=○+○+□+□目標は1分以内です!集中して、考えてみてください。■記号に入る数字を見つけるクイズ・解答編みなさん、答えはわかりましたか?頭がこんがらがってしまった人のために、ここでひとつヒントを出しましょう。このままの式に数字を当てはめるのは難しいので、式を「□=??」のように整理してみてください。3つの式を作ることができると、答えが見えてきますよ。……ヒントはいかがでしたか?学生時代を思い出すような問題ですね。では、ここから解説を見ていきましょう。「○+○+△+△+□」「△+△+△+△+△」「☆+□」「○+○+□+□」はすべてイコールなので、まず「○+○+△+△+□」と「○+○+□+□」で、両辺にある○+○と□を消します。これで「△+△=□」という式ができあがります。次は、これを使って別の式の□を△+△に置き換えます。「○+○+△+△+□=△+△+△+△+△」の左辺にある□を△+△に置き換えると、「○+○+△+△+△+△=△+△+△+△+△」となりますね。そして両辺にある「△+△+△+△」を消すと、「○+○=△」という式になります。また、「△+△+△+△+△=☆+□」に「△+△=□」を代入すると、右辺の□が△+△に置き換わります。すると「△+△+△+△+△=☆+△+△」となるので、両辺の「△+△」を消して「△+△+△=☆」になります。ここで、できあがった3つの式を並べてみます。「○+○=△」「△+△=□」「△+△+△=☆」このように並べて見ると数字の小さい順に○、△、□、☆となるのがわかります。ここに、当てはまる数字を入れていきましょう。使える数字は1~9。一番大きい☆が9だとすると、△は3になりますが「○+○=△」が成り立ちません。次に☆に当てはまるのは、数字の6。すると、△=2になり、○=1で成り立ちます。自ずと□=4になるでしょう。最後に、ここで出てきた○=1、△=2、□=4、☆=6を改めて問題の式に当てはめてみましょう。○+○+△+△+□=△+△+△+△+△=☆+□=○+○+□+□1+1+2+2+4=2+2+2+2+2=6+4=1+1+4+4これで見事、式が完成しました!*これは、かなり難しかったのではないでしょうか。1分以内に解けた人は、かなりの計算力、超計算力の持ち主と言えるでしょう。『すべてがFになる』の西之園萌絵クラスです!わからなかった人も、解説を見てひとつひとつ答えがクリアになっていくと気持ちよく感じたのではないでしょうか。こうしたクイズを楽しむことができれば、次第に数字への苦手意識も克服できるはずですよ。(文/平野鞠) 【参考】※快活脳!思考の罠と脳の基礎知識※老年若脳※IQ脳.net【クイズ】※北村良子・・・パズル・クイズ作家。書籍の他、企業、新聞、TV番組、雑誌等向けに作成。著書は『大人のIQパズル』(彩図社)『60歳からのボケないための思い出しパズル』(永岡書店)他。お問い合わせはフォームからお願いします。
2016年10月05日子育てをしている人なら、一度は「モンテッソーリ教育」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。イギリスのジョージ王子がモンテッソーリの保育園に入園したことでも話題になりました。そもそもモンテッソーリ教育とは、イタリアの女性医師が創始した教育メソッドで、子どもの自主性を大切にし、子どもが本来持っている力を引き出すというもの。この教育法は欧米だけではなく、日本を含むアジア諸国でも多く導入されています。『ふじようちえんのひみつ』(加藤積一著、小学館)の、ふじようちえん(東京都立川市)も、1972年からモンテッソーリ教育を取り入れている幼稚園です。今回は本書の中から、モンテッソーリ教育の5つの基本をご紹介します。■1:本物の道具を使う「日常生活の練習」モンテッソーリ教育で出発点になるのが日常生活の練習。着替え、靴を履く、並べる、そろえる……など日常生活の基本動作を思い通りにできるようにします。ふじようちえんでは、子どもサイズの本物のアイロンや洗濯機、ほうき、包丁などを用意して実際に使わせているそう。針や糸を使うこともあります。そして、これらの活動は遊びではなく「お仕事」と呼んでいます。成長に合ったお仕事に対して子どもたちはすごい集中力と意欲で取り組むのだそうです。保護者から見ると「ケガをしないか」と心配になるお仕事ですが、先生がきちんと伝えれば子どもも危険な使い方はしません。■2:五感を洗練させる「感覚教育」五感をフルに働かせることで、情報を脳に取り入れることができると考えられています。色や形、大きさ、長さ、重さなどに関心を持ち、並べたり比べたりするなかで五感を洗練させていくのです。普段の生活では、一つの感覚に集中する機会はあまりありません。食べながら話す、音楽を聴きながら本を読むなど様々な刺激を同時に受けています。そのためモンテッソーリの「感覚教育」では、重さの印象、形の印象、色の印象など、あえて一つ一つの感覚に意識を集中させて五感に訴えかけていきます。■3:身近なもので理解する「言語教育」子ども達は日常生活を送るなかで、自然に文字への興味を持っていくものです。例えば、看板などに書いてある文字を見て「あれなあに?」と親に聞いてくるようになるのは文字に興味を持っている証拠です。ふじようちえんの年少組では文字のゴム印を押したり、紙やすりでできた文字を指先でなぞったりするなどで文字に触れています。年長組になると劇発表会のセリフを文字で見て覚えます。劇を演じるなかで、ストーリーと言葉が結びついてはじめて「読めた」ということになるのです。これを繰り返すことで、知識がどんどん増えていくでしょう。■4:数の概念を体感する「算数教育」算数といってもいきなり計算をするのではなく、数の概念を体で感じることが大切です。たとえば「錐形棒」というものは、0から9までの数字が書かれた箱にその数の棒を入れていきます。実際にその本数の棒を手にすることで数量を手のひらで感じることができます。また1本1本の棒を輪ゴムで束ねてみると、個々のものが集まって数を表していることを体感することができます。■5:五感を使って四季を感じる「文化教育」ふじようちえんで行っている文化教育のひとつは五感を使って季節を感じるということです。たとえば園の畑では、春はイチゴ、夏はトウモロコシ、冬は大根などの収穫を行うことができます。また田植えの見学や稲刈りをはじめ、お米ができるまでの工程を実際に見たり触ったり、実際にできたお米を味わったりすることで本当のお米の味を感じます。こうして1年中にたくさんの体験をすることで、先人たちの知恵なども理解することができるのです。*ふじようちえんは、佐藤可士和氏がディレクションしたユニークな形の園舎や、本書の著者である園長先生の型破りな教育方針で世界から注目されている幼稚園。伸び伸びと育つ園児たちの生活の様子から、子育てのヒントを見つけることができるのではないでしょうか。(文/平野鞠) 【参考】※加藤積一(2016)『ふじようちえんのひみつ』小学館
2016年09月18日株式会社バンダイが行った意識調査で、小学生・中学生ともに、好きな教科と苦手な教科の両方で算数と数学が1位になりました。具体的には、小学生の好きな教科は「算数」がトップで30.7%、2位の「図画工作」は27.3%で、苦手な教科は「特にない」の34.7%を除くと、「算数」が23.7%、「国語」が23.5%に。中学生の好きな教科が「数学」25.3%、「社会」18.7%となり、苦手な教科は「数学」27.0%、「国語」19.7%という結果でした。算数・数学が苦手な人が多いのは、「問題文が日常から離れていて、わかりづらいから」という意見もあります。実際、それはインターネット上でも疑問を抱かれており、奇妙な算数の問題をネタにした“たかし君”というツイートが話題になっているほどです。もともと、たかし君は算数の問題によく出てくる名前。しかし、Twitterではもはや算数の問題とはいえない、たかし君ツイートで大喜利が行われています。以下から、一部のたかし君ツイートをご紹介しましょう。■たかし君の奇想天外なツイートの数々【算数】たかしくんは90円のリンゴ5個と、40円のみかん9個を買いました。それから300円のバナナ、1500円のメロン、10000円の完熟マンゴー、なんだって、いくつだって買えました。それでもなお満たされることのなかったたかしくんの心の隙間の面積を求めなさい。— 算数のたかし君 (@sansu_takashi) 2016年8月30日裕福は虚しさを生むのです……。たかしくんは今日で25歳になりました。たかしくんの現在の心境を答えよ。なお年齢=彼女居ない暦である。 — 算数のたかし君 (@sansu_takashi) 2016年8月24日きっとお母さんが祝ってくれます(それも逆に悲しい)。【算数】たかしくんが時速15kmで歩いていると、一個85円のりんごが時速80kmで飛んできて運悪くたかしくんの後頭部を直撃、たかしくんはそのまま気を失いました。その後、たかしくんの姿を見たものはいない。— 算数のたかし君 (@sansu_takashi) 2016年8月24日ネクストコナンズヒント→「リンゴ」【問題】お母さん「お前は最後に殺すと約束したな?」たかしくん「そ、そうだ、お母さん、助けて…」お母さん「あれは嘘だ」たかしくん「うわぁぁぁぁぁぁ…」さて、たかしくんは時速何km/sで落下したでしょうか? — 算数のたかし君 (@sansu_takashi) 2016年8月25日地面「こいよたかし。速度なんて関係ねぇ」【算数】たかしくんは1個60円のりんごを片手で握りつぶしました。たかしくんの握力は何kgだと考えられますか。— 算数のたかし君 (@sansu_takashi) 2016年8月27日リンゴをつぶすために必要な握力は80kgらしいです。【法律】たかしくんは仕事で疲れ果てて最終電車で寝過ごしてしまい終着駅で駅員に起こされました。駅からたかしくんの自宅までは3kmあります。そこで、たかしくんは道端に捨てられていた自転車に乗り自宅へ向かっていたところ警察官に捕まってしまいました。この場合のたかしくんの罪状を答えよ。— 算数のたかし君 (@sansu_takashi) 2016年8月29日窃盗・ダメ・ゼッタイ【数学の問題】時速200kmで飛ぶことのできるたかしくんが家から出ました。その後、30分後にたかし君がお弁当を忘れている事に気づき、お母さんがたかし君を時速320kmで追いかけました。この親子の種族を答えなさい。— 算数のたかし君 (@sansu_takashi) 2016年8月30日A.サイヤ人■たかし君で算数アレルギー克服できる算数・数学は子どもによって得意不得意が分かれる教科ですが、かといって苦手なままにしておきてもいい教科ではありません。高校生になれば数学の難易度は上がりますし、高校・大学受験では重要な教科のひとつ。なにより、数学を学ぶことで論理的な思考も鍛えられるともいわれています。また、数字の世界にハマれたらゲーム感覚で楽しむことができる魅力も秘めています。そんな算数・数学を好きになってもらうにはどうしたらいいのでしょう?冒頭で紹介した株式会社バンダイの調査では、同時に「先生になってほしい有名人・キャラクター」のアンケートも行われました。小中学生総合1位は林修先生、2位はドラえもん、3位は嵐の櫻井翔さんという結果。小学生の1位がドラえもん・2位は林先生。中学生の1位は林先生、2位は櫻井さんという結果で、林先生の人気が伺えます。同調査によると、小学生では「親しみやすい・おもしろい」中学生では「わかりやすく教えてくれそう」という点を重視しているようです。算数・数学は問題が日常から乖離しており、どう役に立つのかわかりづらく、そのためにおもしろみを感じられないため、苦手になりやすいのかもしれません。逆にいえば、おもしろく・わかりやすく教えることができれば、算数好きの子どもは増えるはずです。たかし君の問題のおもしろさに、算数的なわかりやすさが加われば解決してしまうのですね。*算数が苦手といっても、おもしろいなにかがあれば自然と好きになれるもの。たかし君ツイートはさすがに極端すぎますが、子どもには楽しく勉強してほしいですね。(文/堀江くらは) 【参考】※「小中学生の勉強に関する意識調査」 結果-株式会社バンダイ※算数のたかし君
2016年09月01日わが子の可能性をできるだけ広げてあげたいと思うのが、親心。「でも、わたしも算数は苦手だったし、うちの子にもあんまり期待できないわ……」なんて、最初からあきらめてしまっているママはいませんか?それは大きな勘違い。子どもが暗算や計算を上手に早くできるかどうかは、先天的なものとはまったく関連がないことが最新の脳科学研究で明らかになっています。それどころか、小さいころから「数」を意識した生活を送ることで、子どもの社会性や思いやりといった情緒面の発達も促すことができるというのです。『小学校前にみるみる算数力がつく15の習慣』(久保田カヨ子・久保田競共著、ダイヤモンド社)から、算数力が子どもの発達によい影響を与える理由、そして算数力を伸ばすトレーニング4つをチェックしてみましょう!■数字を教材にすることで「脳」が育つ本書は、脳科学に基づいた独自の育児法が人気の“カヨ子ばあちゃん”こと久保田カヨ子さん、夫で脳科学の権威・久保田競さんの共著。数の概念を扱う力=算数力が脳に与える影響が、最新の脳科学研究に基づいて解説されています。「数字」を扱うことで鍛えられるのは、脳の前頭前野と呼ばれる部分。しかし本書によれば、この前頭前野がよく働くことのメリットは、単に「計算ができるようになる」「算数の成績がよくなる」ことだけにとどまりません。社会性をもったひとりの人間としてバランスよく成長するために、おおいに役立つことがたくさんあるのです。■前頭前野を鍛えてバランスよい人間に前頭前野の働きには、具体的にどんなものがあるのでしょうか。たとえばなにかの作業をする際に、その方法や時間配分を考え、ダンドリよくする能力。おおまかな塊からおよその量の見当をつける「概算」も前頭前野の領域です。寿司職人が手の感覚で正確にシャリの量をつかみ取ることができるのは、この働きによるもの。子ども同士の場面でも、たとえばおやつをみんなで分けるときなどに活きてきます。さらに、美しいものを見て感動する感性が育ちます。脳科学の実験では、優れた数学者が数式や数の配列を見て美しいと感じているとき、前頭前野の前の内側部分が働いていることが判明しました。そして、これは普通の人が美しい芸術作品を見たり、美人の顔を見たりした時に働く場所だったのです。前頭前野がよく働くと社会性が生まれ、人づきあいがうまくなります。相手の気持ちもわかるようになり、情緒や思いやりも生まれます。ひいては就職や結婚もうまくいったり、健康で長生きする傾向もあったりすることが、最新の脳科学研究で裏づけられています。■算数力アップする4つのトレーニングこのように、「算数力」のアップはひいては人間としての成長も大きく促してくれます。本書で紹介する「算数力アップのトレーニング」のなかから、1~3歳ごろから取り入れられる4つのエッセンスを抜き出してみましょう。(1)できるだけ両手を使う手先を使うことは、脳の発達に大きな影響を与えます。1~3歳頃は、利き手を意識せず両手両足を同じように動かすことが重要。両手が十分に使えるようになったあとで、おのずと「使いやすい手」が決まってきます。使いやすい手が決まっている場合も、反対の手をしっかりと使うよう意識してあげましょう。(2)「時計の針」を意識した言葉がけ幼児には、目で見た情報が伝わりやすいもの。リビングなどにアナログ時計を置き、「針がここまできたら、お片付けね」などと語りかけて時間感覚を身につけさせましょう。「もう3時だから、おやつね」「2時から1時間も寝ていたね」など、数字を入れて言葉をかけてあげると、さらに効果的です。(3)「タイマー遊び」で時間感覚を磨く秒針のあるアナログ時計を使い、1分間「アーーー」と声を出し続ける遊びです。日常にあるもっとも身近な数字は「時間」です。1分の長さを体感することで、時間というもの自体の意味をつかむ手助けになります。息が続かなくても大丈夫。「ちょっとお休みして、また声を出してね」と声がけし、親子で楽しく声出し遊びをしてみましょう。(4)ひとケタのたし算・ひき算の「お経式暗算法」ひとケタ同士、答えもひとケタのたし算、ひき算をお経のように唱えるトレーニング。暗算をくりかえすと、神経細胞のつながり(シナプス)ができて関連細胞の数も増え、前頭前野がよく働きます。本書には、おふろに貼ってたのしめる「お経式暗算法」ミラクルシートがついていて、すぐに取り入れることができるのも、うれしいですね。*脳のトレーニングは早いほどいい、ということも、脳の研究から明らかになっています。脳は外からのはたらきかけによって刺激を受け、神経細胞の間にシナプスというつながりができていきます。この刺激への反応がもっとも活発になるのが1~3歳ごろなのです。本書には、すぐに取り入れられる「算数力アップ」の習慣が数多く登場します。すべて著者ご夫婦、競さんの視点から見た脳科学的根拠と、カヨ子ばあちゃんの子育て経験、育児メソッドに裏付けられたもの。わが子の可能性を大きく広げてあげるためにも、手に取ってみたい1冊です。(文/よりみちこ) 【参考】※久保田カヨ子・久保田競(2016)『小学校前にみるみる算数力がつく15の習慣』ダイヤモンド社
2016年08月27日『伝説の算数教室の授業』(宮本哲也著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者が経営する「宮本算数教室」への入塾方法は、「無試験先着順」。にもかかわらず、毎年、生徒の大半が開成、麻布、栄光、筑駒、駒東、桜蔭、フェリスなど首都圏の最難関校に進学するという実績を叩き出しているのだそうです。本書は、小3~小6、中学受験直前までの授業の実況中継に加え、これまで明かされることのなかった問題を含め、実際に同教室で使われているパズル、テスト問題を全種類網羅したもの。2006年の『超強育論』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を再編集して刊行した『宮本算数教室の授業』(同)に、『超強育論』の理論編から一部抜粋したものを加え、再々編集したのだそうです。では著者は、算数を教えることについてどう考えているのでしょうか?「はじめに」から、基本的な考え方を確認してみましょう。■子どもが算数を学ぶ目的はなにか著者は本書の冒頭で、「子どもに算数をやらせる目的はなんでしょうか?」と読者に問いかけています。もしも「いい中学に入れるため」と答えたとしたら、残念ながら0点なのだとか。なぜなら算数をやる目的はただひとつ、「賢くなるため」だからだというのです。では、なんのために賢くなるのでしょうか?それは「よりよく生きるため」。これは、「自分に合った生き方を見つける」ここといいかえることもできるそうです。当然ながら、自分に合った生き方は本人にしか決めることができません(著者は、親がかわりに決めるなどもってのほかだと主張してもいます)。だとすれば、そのために必要なのは「情報を取捨選択する力」と「条件を整理する能力」。そしてこの2つの能力は、算数によって高めることができるというのです。そして著者は、これ以外の目的を持つべきではないともいいます。中学受験の成功など、ささやかな副産物にすぎないもの。なのに、そちらにばかり気を取られて本質を見失うと、間違った方向に進んでしまいかねないから。■大切なのはやはりバランスである人生は二者択一の連続。「どっちに進むべきか?」という岐路に立ったとき、後悔しないためにはあらゆる情報を集め、優先順位を決めることが必要です。いうまでもなく自分にとって優先順位の低いものから消していくことになるわけですが、そうすればおのずと方向は決まるということ。このことを踏まえたうえで著者は、「私の授業の目的は子どもを賢くすることにあります」と断言しています。たとえばピアノの国際的なコンクールで入賞するためには、実績のある先生について、ひたすら練習をする以外にありません。水泳でオリンピックに出て優勝するためにも、実績のあるコーチのもとで、ひたすら練習する以外に方法はないでしょう。しかしどちらも、やればやるほど上達するというわけでもありません。大切なのは、健康であることと、自分の意思で練習に臨むこと、そのふたつのバランス。■算数のできる子はどんな子なのかこの考え方を算数に当てはめてみた場合、練習は計算練習ということになります。では、「算数のできる子」とは「計算が速い」「難しい問題をすらすら解く」子どもでしょうか? それは違うと著者。大切なのは、「どれくらい深く考えられるようになるか」だというのです。計算は正確でありさえすれば、それほどスピードは必要ないそうです。また、本当に難しい問題は、誰がやってもすらすらとは解けないもの。70ページの「究極の数理パズル」など、誰がやっても10分以内に解くことなど不可能なわけです。もちろん繰り返し練習すれば速く解けるようにはなるでしょうが、初見では無理。■大切なのは計算の速さではない!そして重要なのは、すらすら解ける問題を解いているだけでは、学力は向上しないということ。著者が教室で、できる子を見ていて感じるのは「集中力の高さと考える深さ」だそうです。そういう子は、いったん問題を解きはじめると決して顔を上げず、ノートの上で問題と壮絶な戦いを繰り広げるというのです。しかも、答えを出したとしても、そこで終わらないのだとか。むしろ勝負は、答えを出してから。つまり、自分が出した答えに誤りがないかどうか、あらゆる方法を駆使して確認するのです。これが、「大切なのは計算の速さではなく、考える深さ」ということの意味。■自分なりの価値観を持つのが大切事実、最近の中学入試算数では、レベルの高い学校ほど問題数が少ない傾向にあるそうです。だから速さなど必要なく、粘り強く問題に取り組み、時間がある限りひたすら見なおしをする。計算の速さは有効な武器にはならず、無理にスピードを上げようとすると、雑になるだけだということです。「算数の上達=賢くなる」。そして賢くなることとは、計算が速くなることではないという考え方。ましてや算数の点数が上がることでもなく、レベルの高い中学の入試問題が解けることでもなく、そういう中学に受かることでもないといいます。大切なのは、ものを考えることができるようになること。つまり、自分なりの価値観(=判断力)を持てるようになることが大切だというわけです。*こうした考え方に基づいた本書には、説得力のある考え方がぎっしりと詰まっています。「たし算パズル」「お楽しみテスト」「思考力アップ問題」「推理パズル」「ラストスパート問題」など、掲載されている問題もオリジナリティ豊か。子どものいる方であれば、一度、手に取ってみる価値はあると思います。(文/作家、書評家・印南敦史) 【参考】※宮本哲也(2016)『伝説の算数教室の授業』ディスカヴァー・トゥエンティワン
2016年08月24日アメリカ合衆国在住教育関係のITベンチャーでプログラマーとして働く編集部:まずは現在のお仕事からお聞きしてもいいですか?上杉:職種はプログラマー、アメリカで学校関係者が使うシステムを作っています。アメリカの授業って日本と少し違って、先生たちは授業準備のときにプリントや教科書だけでなく、自分の学校に合ったITアプリを探す場合も多いんですね。例えば「この1時間の授業をどう作ろうか」と考えたときに、20分講義、20分グループワーク、最後は20分でデジタル教材で学ぶ、とか。ほら、マインクラフトを使って算数を学ぶのが面白かったりしませんか?編集部:え、そうなんですか?マインクラフトってあのオンラインゲームの?いま、日本の子どもたちにもすごい人気ですよね。上杉:そうそう、それです。そうやって学校の先生が、授業に合ったツールを選ぶんです。先生たちがツールを探す際に使うシステムを、僕は作っています。編集部:どうして現在のお仕事に?上杉:キッカケは偶然ではあるんですけど、僕は中学生のときにアメリカに引っ越してきてからはずっとこっちで育ちました。漠然と、シリコンバレー(AppleをはじめITベンチャー企業の聖地と言われるアメリカの地域)で働きたいなという気持ちがあったので、大学生のときにAppleやFacebookでインターンをして、新卒でシリコンバレーのベンチャーに就職しました。そこから色々とご縁あって今に至ります。算数は得意だったけど、図工はバカにされた記憶しかない(笑)編集部:プログラマーとして働くようになったのは、昔からそういう分野に興味があったんですか?上杉:…しいて言えば、昔からものづくりは好きだったような気がします。ものづくりと言うよりも、ゲーム性のあるものを攻略して、自分で作る事ですね。編集部:例えば…上杉:うーん、あ、小6の夏休みに、自分でRPGを作った事がありました。(RPG:ロールプレイングゲーム)その頃はまだプログラミングが出来なかったので、サイコロを2つ使って出る目の確率を計算しながらゲームを設計していきました。ゲームのストーリーはもう忘れてしまったけど、システムはポケモンに近かった気がします。当時からプログラミングできればよかったんですけどね…出典 : 編集部:確率って、中学の数学で習いますよね?それを小6から?上杉:算数は昔から出来るほうで、低学年のときには中学受験の参考書を読んでいました。教科書が簡単だったから…まぁ友達があまりいなかったので、結果的に自分でゲームを作るとかインドアな遊びにはまっちゃったんですよね(笑)編集部:そうでしたか。上杉:でも得意なのは算数だけで、他は大体苦手でした。国語、体育、図工…暗記系はほとんど出来なかったですね。図工なんか、馬鹿にされた記憶しかないです(笑)編集部: なんだか意外です。上杉:小学校ではクラスに馴染めずいじめられていて、中学から引っ越したアメリカでは英語が喋れずにずっとクラスから浮いていました。勉強も得意不得意の差が激しくて、成績は芳しくありませんでした。いつだって「子どもなりの主張」にきちんと耳を貸してくれた母がいた編集部:親御さんは、学力の差に何ておっしゃっていたんですか?上杉:とくに色々言わなかったですね。でも、僕の興味を遮るような事はなくて、むしろ没頭できる状況をつくる手助けをしてくれたと思います。たとえば、僕はゲームをするよりも攻略本を読んで「ゲームの仕組みを知る」のが好きでした。なので、1つのゲームにつき何種類もの攻略本を欲しがっていました。それを「こないだ買ったでしょ」「全部同じでしょ」なんて言わずに買ってくれました。子どもなりにそれぞれの攻略本が欲しい理由があるってことを、ちゃんと理解してくれたんですよね。そんな風に自分の主張を聞き入れてくれた親には感謝しています。振り返れば、こうやって友達とは遊ばず、1人遊びが好きだったのは失敗を恐れていたからかもしれません。人と比べなければ失敗もなにもありませんしね。自分だけなら、成功するまで続けられるから。そんな上杉さんが「人生の転機」と語る大学時代について、詳しくお話をうかがっていきます。
2016年08月15日息子の得意を伸ばそうと選んだはずだけど…Upload By GreenDaysみんなと同じやり方をしても、なかなか思い通りにいかないのが、発達障害児の子育て。しかし、1つでもその子に合ったやり方が見つかると、大きく成長することがあります。自閉症の息子は来年小学生。身体が弱く苦手な事も多いため、自己肯定感が下がってしまう機会も多いのですが、何か1つでも自信を持ってできる事を見つけてあげたくて、息子の好きな算数を公文でやらせてみることにしました。公文を始めた当初は、楽しそうでサクサクと進んでいたのですが、計算が繰り上がりに差し掛かると、途端に進みが遅くなり、1枚のプリントに数10分かかるように。1問解くたびに「ママ、これで合ってる?」と聞くようになり、「1枚終わったら丸つけをするから」「間違ってもいいから、自分できちんと考えなさい」と何度話しても、1問ずつ答え合わせをしないと次に進めなくなっていきました。「息子の得意なこと」が、つまづきの原因だった?出典 : なぜこんなに不安に思うのだろう?間違えるのが嫌だから?どこにつまづいているのか疑問に思い、発達検査の結果を見直してみると…WISC検査の結果から、息子は複雑な思考が苦手ということがわかりました。しかし、それを補うように右脳に発達していて、見たものを丸ごと記憶する能力は秀でています。この検査結果を見直してから気づいたのですが、実は息子は、苦手な部分を補うべく、計算問題の答えを丸暗記していたのです。だから1桁+2桁になると、パターンが多すぎて暗記しきれず、1問解くたびに「(自分の暗記は)合っているか?」を確認していたのですね。息子は、暗記力が強かったから算数が得意に見えただけで、自分で考えて答えを出してはいなかったのです。「道具を使うのが好き」が大きなヒントに出典 : 「息子が暗記に頼らずに、自分で考える力を身に付けるにはどうしたらよいのだろう?」そう考えた私は、目で覚えるのが得意な息子が概念を理解しやすいようにと、ブロックを使って一緒に計算したり、紙に書いてみたりして試行錯誤を繰り返しました。しかし息子は、なかなか「答えを暗記する」方法から脱することができません…思い悩んでいた私に解決のヒントを与えてくれたのは、なんと姪っ子でした。二人で算盤(そろばん)の話をしていたときのことです。「私は道具を使って何かをするのが好きなの!紙と鉛筆だけでお勉強するより、ずっと楽しい!」という姪っ子の言葉を聞いてハッとしました。そうです、息子も「道具を使うのが好き」なのです。iPadやパソコンの操作が好きで、そこからあっという間に、いろんな知識を吸収していきます。それはきっと「自分がこの操作をすれば、瞬時に必ず同じ反応が返ってくる」という安心感が大きいのでしょう。ならば、算数も道具を使えばいい。自分が数字を入れて正しく操作すれば、必ずいつも同じ答えを返してくれる。そんなそろばんは、息子にぴったりだと思いました。息子に合った方法が見つかったとたん…出典 : 今まで何かを計算する時は、目を斜め上に向け、記憶の中から正解のカードを引き出そうとしていた息子でしたが、そろばん教室に通い始めて1ヶ月で、大きく変化しました。そこにそろばんが無くとも、人さし指と親指を使って宙で玉を動かし、1人で正しい答えを導き出せるようになったのです!おまけにたし算だけではなく、ひき算も出来るようになりました。公文を続け、あのまま1問ずつ暗記を頑張らせていたら、ここまで算数を好きにならなかったかもしれません。正しく玉を動かせば、正しい答えが返ってくる。「自分で計算ができる!」ということが、たくさんの自信を息子に与えてくれていることを、日々実感しています。そろばんに出会えて本当に良かったと思います。親は親、子は子。息子本人に合った方法を見つけられるように出典 : 今回の出来事を通して、人は誰しも得意なことや苦手なことが違うということを改めて痛感しました。実は私も幼い頃に、そろばん教室に何年も通っていたのですが、頭にそろばんを思い描くことができなかった経験もあり、息子の習い事の候補からは、完全にそろばんを除外していました。親は親、子は子。頭ではわかっていたつもりですが、本人の持つ特性によって、合うものは1人ひとり違うんですよね。息子に合った方法を見つけるのは、とても大変です。でも、そのことをよく頭に置いて、これからもいろいろな方法を探っていきたいと思います。
2016年08月11日学校の教科で子どもに嫌われがちなのは、やっぱり算数・数学。人材サービス会社の「アデコ」が昨年秋に小中学生1,000人に行ったアンケートでは24.9%が、「学研教育総合研究所」が2013年に小学生1,200人に実施したアンケートでは22.9%が、「嫌いな教科」に算数・数学を挙げています。つまり算数・数学は「嫌いな教科」1位の常連なのです。「うちの子は算数嫌いだけど、私も嫌いだったし仕方ないわ……」、そんなママの声が聞こえてきそうです。でも、あきらめるのは早いかもしれません。じつは前述した2調査ともに、「好きな教科」でも「算数・数学」が1位に輝いているのです。どうやら算数・数学は、子どもたちを魅了する力をちゃんと持っているよう。ならば、その魅力を子どもに伝えてあげたいですよね。そこで、「でも、自分も数学が嫌いだったし……」というパパやママにおすすめしたいのが『算数・数学はアートだ! ワクワクする問題を子どもたちに』(ポール・ロックハート著、吉田新一郎訳、新評論)です。■学校の数学はつまらなくて内容のないモノ!本書を書いたのは、ひとりのアメリカ人数学教師。しかも、大学で数学を研究する教授という充実したキャリアをなげうって、小学~高校で教える道を選んだという異色の経歴の持ち主です。そんな著者は、「本当の意味での数学」はすでに失われ、いま行われている算数・数学の指導法は「つまらなくて内容のない、形だけのもの」だと批判します。その批判が、じつに痛快!たとえば、こんな問題があります。「7年前、マリアはあなたの年齢の2倍よりも2歳上でした。あなたが今X歳だとすると、マリアは何歳でしょうか?」いかにもテストに出てきそうな問題ですが、著者は「ある人に対してこれほど複雑な情報を持っているのに、実際の年齢を知らないなんていうことがあり得るでしょうか?それに、そんな不自然で意味のない質問をすることなどありません!」と痛烈なツッコミを浴びせます。さらには著者を代弁するキャラクター・サルヴィアチ氏が登場し、こんなふうに算数・数学をこき下ろしているのです。「学校で学ぶとされている『実用的な算数・数学』をいったいどれだけの人が使っていますか?あなたは、大工さんたちが仕事で三角法を本当に使っていると思っていますか?何人の大人が、分数の割り算や二次方程式の解き方を覚えていると思いますか?」■数学の喜びを体験すると世界が輝いて見えるでは、著者のいう「本当の意味での数学」とはどんなものでしょう?本書は、「パート1・嘆き」と「パート2・喜び」の2部構成。「パート1」で、現在の算数・数学教育がいかにつまらないかを語り尽くし、「パート2」ではいよいよ「数学の魅力」が披露されます。一例として、「奇数を足すと」の項を見てみましょう。著者はまず、「奇数を小さいものから順番に足してみよう」と読者を誘います。1+3=41+3+5=91+3+5+7=161+3+5+7+9=25すると出てきた答えは4、9、16、25。これはそれぞれ2、3、4、5の平方数(2乗)です。つまり、1から順に奇数を足していくとその答えは「足した数字の個数の2乗」になるということに気づきます。著者のいう「本当の数学」はここから。この法則がいつまでも続くのか、なぜ奇数を足すと「足した数字の個数の2乗」になるのかを証明することです。そして試行錯誤の結果、著者は1枚のイラストでそれを証明することに成功します。どうでしょう、5×5の正方形の中には、ちゃんと1、3、5、7、9が入っています。この図は、奇数を足すと「足した数字の個数の2乗」になるという法則が“パターン”になっていて、いつまでも続くものであることを証明しています。このパターンを見つけた瞬間、著者は「突然、息がつけず心臓が止まりそうな瞬間に雲間が晴れて、はっきりと見ることができ」「神の啓示ともいえる感覚」を味わいます。これが、数学の「喜び」だということ。■数学は気晴らしなので役に立たなくてOK!本書は当初、「パート1・嘆き」の部分だけの小冊子としてつくられました。それが数学関係者の間で評判になり、「パート2」を加えて出版されたのです。著者は、「算数・数学は役に立たないものでかまわない」といいます。数学は人類の楽しみのために存在していて、日々の生活における“気晴らし”であり、“ゲーム”であり、“冒険”だから。数学が苦手な人ほど陥りがちだった「こんなことを勉強して、なんの役に立つの?」という疑問は、これで氷解します。役に立たなくていい。ただ楽しめばいい。そうすれば、数学を「好き」と思えるようになると著者は訴えます。もちろん、数学が科学の発展に果たす役割は小さくはありません。ですが、それは、まず子ども時代に数学を楽しんだ結果から生まれる副産物であるべきなのです。本書によって、パパやママの数学に対するイメージが変われば、子どもの将来もまったく違ったものになってくるかもしれません。そんな期待を持たせてくれる一冊です。(文/よりみちこ) 【参考】※ポール・ロックハート(2016)『算数・数学はアートだ! ワクワクする問題を子どもたちに』新評論※小学生の日常生活に関する調査(2013年3月調査)―学研教育総合研究所※全国の小中学生の子を持つ父母1,000人とその子ども1,000人を対象にした調査―アデコ株式会社
2016年06月28日【ママからのご相談】小2男子と幼稚園年中の女の子のママです。お兄ちゃんは小学校入学で算数に苦労してまだ苦手意識を持っているようです。もっと小学校入学前にいろいろ習わせればよかったと悔やんでいます。年長になる娘には小学校入学前に算数の基礎力を養わせたいと思います。何かよい方法はありますか?●A. まずは楽しくお手伝いをさせてみましょう! 暮らしのなかに算数を好きになるヒントがあります。こんにちは、遊びと学びの専門家大根はじめです。算数はわが家の娘も苦戦しました。算数の数字に対する興味や基礎が大事だなと実感しました。算数のセンスは実は日常のお手伝いで身につけることができます。日常のお手伝いを算数学習の機会に変えるコツをお伝えします。●お片づけで集合の感覚を身につけましょう宇治美知子氏の著書『算数が楽しくなる、できる子になる!算数が好きになる教え方』では、数学の「集合」の考え方の基本を学ぶのにお片づけ を勧めています。お片づけで例えば色鉛筆を集める、色鉛筆を赤のボックスに紙を青のボックスに入れると「集合」の考え方の基礎となる“仲間集め” と“分類” を経験的に覚えることができます。お部屋もきれいになり一石二鳥ですね。お手伝いをすると家庭を思いやる気持ちが育ったり責任感を持つようになるという山口県教育委員会の調査結果もあります。まず遊んだ後のお片づけに取り組むことからはじめてみてはどうでしょうか?●料理で測る力、分数の基礎を養う子どもがお料理に興味を示したら、思い切って一緒に楽しくやってみましょう。『算数が楽しくなる、できる子になる!算数が好きになる教え方』でもホットケーキを作ることがお勧めされています。材料を用意する、計量カップを使って牛乳を量ることで数字と分量の関係を、出来上がったホットケーキを切るときに半分は2分の1……その半分は4分の1など分数の関係を理解する下地になります 。また、料理は段取りを学び達成感を味わうのにもよい体験になるでしょう。●お買い物で金銭感覚と数字の感覚を磨く買い物にも積極的に連れて行き、リアルなお金のやりとりを通じたモノの価値 や数字感覚 を身につけるとよいでしょう。100円均一の商品は“1つ=100円”なので数えやすくわかりやすいのでおすすめです。100円×買った個数が消費税を抜いた金額となるので、数と金額が結びつきやすく具体的に数字を理解する手助けになります。----------いかがでしたか?日常のあらゆる場面が学びにつながります、まずは一緒に簡単なお手伝いからはじめてみてはどうでしょうか?【参考文献】・『算数が楽しくなる、できる子になる!算数が好きになる教え方』宇治美知子・著【参考リンク】・「家庭でのお手伝い」に関するアンケート結果 | 山口県教育委員会(PDF)()●ライター/大根はじめ(マンガ家)
2016年04月13日【ママからのご相談】小学校1年生の母親です。将来は、御三家と呼ばれている中学の受験を考えています。その学校の先輩ママに伺ったところ「一にも二にも算数能力を上げること」と教えてもらいました。 なんでも算数センスの良い子が圧倒的に合格するとのこと。小学生低学年で算数センスをつける方法を教えてください。●A. 算数センス=読解力を磨きましょう。こんにちは。ライターのakiです。確かに難関校の中学受験では算数で難問を出すところが多く、数学的センスを問われるところが多いです。“計算が早い”、“正確に解ける”とはちょっと別の論理的思考力というのでしょうか。そのような能力が確かに問われます。では、そのような算数センスはどのように養われるのでしょうか?実は意外に思われるかもしれませんが、国語能力、つまり読解力を養うことがその近道となりそうなのです。●数学は文系の科目。国語力を徹底的につける著名な数学者が口をそろえて言うのが「数学は文系である」 。数学は理系科目ではありますが、実は文系のような国語力が必要だということなのです。算数の文章題をイメージしてみてください。決まりごとを見つけ出す、条件を整理する、推論する。これらは、確かに国語の論理力が文字の代わりに数字で問われているに過ぎません。もちろん計算力がなければ算数はできませんが、こういった読み取り能力こそが何よりも第一に大事なのです。お茶の水大学教授の数学者、藤原正彦先生も『一にも二にも国語、その次に算数』を学習するよう言っています。その国語についても「読むが20、書くが5、話すと聞くがそれぞれ1」と言っています。つまり、徹底した国語力をつけることが算数センスを伸ばす秘訣 なのです。文章題が苦手なお子さんは、とにかく活字を読ませて(ゲームの攻略本でもマンガでもいいのです)、自分で活字を読むことに慣れさせることから始めてもいいかもしれません。●日常生活の中で時間の概念を学ばせるたとえば中学入試に頻出の問題で速度の問題があります。これを得意にさせるためには、まず時間の概念をしっかり学ばせることが大切だそうです。アナログの時計で「今家を出るのが3時半、帰ってくるのが5時。遊べるのはどれぐらいの時間?」などと日常生活の中で時間について考えさせる機会をたくさん作る のです。時間や時刻を読むのに自信が持てないと、速さを学ぶ段階でつまずいてしまう子が多いそうです。そのため、根気よくご家庭で、時間をしっかり読めるよう指導して学ばせていくことが大切なのです。●幾何学的センスは図形遊びを思う存分させることで身につけるたとえば積み木遊びや砂場遊びなど、形を作ったり積み上げていく遊びから形や図形を子どもたちは学んでいきます。レゴや立体ブロック、ジグゾーパズル、アイロンビーズやアクセサリー作りなども然りです。とにかくこれらを気の済むまで遊ばせる、作らせることが一番なのです。できなければ親が手伝うのではなく、見本を見せて自力でやらせることがいいそうです。子どもの視線で“物の形の面白さ ”を学ばせることで、違和感なく図形の問題を平面・立体共に考える(想像できる)力が養えるそうなのです。----------以上です。算数センスを身につけさせるには、問題集をたくさん解かせるだけでなく、日常の中で親が協力できることもたくさんあります。まずは、子どもの読解土台を作ってあげると、おのずと算数センスが身につくルートが生まれてきます。ぜひ、親子で一緒に楽しみながら実践してみてください。【参考文献】・『子どもが伸びる魔法のしつけ』谷かおる・著●ライター/aki(中高英語教員)
2016年04月08日【ママからのご相談】今年の春から小学生になる息子がいます。算数が得意になってほしくて、今から足し算を家で教えています。指を使って計算をするのですが、10以上の繰り上がりの計算になるとわけが分からなくなるようです。どうやって教えればいいのでしょうか?また、指で計算をする癖はやめさせたほうがいいのでしょうか?あまりにものみ込みが遅くてイライラしてしまいます。●A. お子さんが自分のペースで“算数好き”になることが大切!こんにちは。ライターのakiです。『たかが足し算、されど足し算』、大人にとっては非常に簡単な計算も、小学生1年生前の幼児にとっては難しく感じられます。私が以前教えていた学習塾で行ったアンケートによれば、『算数が得意なってほしい』と願う親御さんは95%もいるとのことでした。確かに、中学受験や高校受験でも算数や数学のウェイトはとても大きく、この科目を制すれば合格を制すと言っても過言ではありません。そういう意味でも、早い段階からお子様の算数フォローはしておきたいところですよね。では、実際に“算数好き”になってもらうために、そしてスムーズに勉強をしてもらうためにはどうすればいいのでしょうか。●子どもに自信をつけさせるまずは、算数を好きにさせることが大切です。子どもの計算が遅かったり、なかなか数の概念をのみ込んでくれないとお母様がイライラしてしまう気持ちもわかりますが、ここはぐっとこらえてください。算数嫌いになっては元も子もないです。最初は、「間違ってもいいよ」と安心させることも大事です。実際に間違えても、それを責めて子どもに恥をかかせないことです。大切なのはできるようになったら、どんなに小さなことでも褒めてどんどん成功体験を植え付けてあげる ことです。それが、伸びしろにつながっていくのです。今は気長にみてあげてください。●指計算をしても最初はOK指で計算をする癖をつけてはいけない。そんな声もありますが、別に指で計算をすることは、悪いことではありません。その理由として、片手は5までなので5をひとかたまりの数量として考えることができ数の区切りがいいこと。そして、視覚を利用することで計算しやすくなり正解が増える ということが挙げられます。これらは、成功体験につながるので良い影響を及ぼします。そう考えると、最初は好きなだけ指計算をさせてあげるのもひとつの戦略になります。それに心配しなくても、そのうち指で計算しなくなるものなのです。●繰り上がりの計算は体を使って考える繰り上がり計算の教え方や考え方はいろいろありますが、ここでは『算数力は「あたま計算」でグングン伸びる!』著書・原暁介さん開発のユニークな『あたま計算』の方法を紹介したいと思います。「あたま計算」とは、区切りのいい単位のときに自分で頭を軽くぽんと触ってその単位を記憶をさせる方法です。簡単にいえば、『10』のときに『10を頭の中に入れたよ』と頭を触るのです。具体例で説明します。【例題「4+7」繰り上がりの足し算の場合】(1)小さい方の数4を指でつくります。(2)大きい方の数7の次の数「8」を声に出して数えると同時に指をひとつ折り始めます。(3)続いて、次の数「9」を声に出すと同時に指をまたひとつ折ります。(4)「10」になったところで指を折り、同時に頭をかるくぽんと触り、「10を頭の中に入れたよ」と言います。(5)残った指の数「1」に、頭の中の「10」を足して答え「11」を出します。わざわざ、「10」のタイミングで頭を触らなくても……と思われるかもしれませんが、「頭をぽん」と触る動作を行うことで記憶は子どもには強く意識され、保留した数を忘れない 効果があるそうです。そして、繰り上がった「10」の単位のイメージがスッと頭に入るそうです。大人のほうが難しく感じたり、ピンとこないかもしれませんが、繰り上げのイメージがわかないお子さんほどこの方法は効くそうです。私も実際に、幼稚園の年長グループに教えてみたところ確かにほとんどのお子さんがすぐに理解をされました。イメージをインプットしやすい、というのもありますが、体を使いながらなんだか楽しそうなことをする。という雰囲気も良いのかもしれません。----------以上です。小学校入学前に、勉強面でいろいろと心配されることも多いかと思います。でも、まずは全てを完璧にこなそうと思わずに、お子さんのペースで算数を、「楽しいものだ」と思わせてあげることが大切かもしれません。どうぞご参考になさってください。【参考文献】・『算数力は「あたま計算」でグングン伸びる!』原暁介・著●ライター/aki(中高英語教員)
2016年03月06日朝晩の気温も下がり、湯船の温かさが恋しくなってくる季節。そんな時期には、お風呂タイムを利用してお子さんと算数遊びを楽しんでみてはいかがでしょう?みなさんも幼いころ、湯船につかりながら「1から100まで数を数えた」「九九をおぼえた」なんてことをした記憶がきっとあるはず。そんなことからもわかるとおり、お風呂は算数に役立つ知識が養える場所なのです。■水遊びしながら計算力アップ!100円ショップなどで売られているコップや器での水遊びで、底面積や高さの知識を身につけることができます。500ミリペットボトルに水を入れたり移したりして、容積や体積の感覚をつかんだり、一緒に湯船につかって水があふれる感覚や理由を考えたりするのです。この「水があふれる」という感覚が意外に大切。よく数学で、「満水の容器に物を入れて水をあふれさせる」問題がありますよね。しかし、そもそも「水があふれる」という意味が理解できない子が少なくないのです。シャワーだけで済ませるのももちろんよいのですが、親子で一緒に湯船につかってあふれるお湯をぜひ楽しんでみてください。■篠崎家のお風呂での勉強事情ちなみに我が家では、幼稚園の年長のころから小学校低学年ごろまで、お風呂のなかで簡単な算数の問題をつくって解きあうのがブームでした。たとえば「はなこちゃんはチョコレートを4個持っていました。お友達のゆみちゃんのお母さんが5個チョコレートをくれました。はなこちゃんはチョコレートを何個持っているでしょうか?」というような、ごくごく簡単な問題です。このとき、登場人物を実在の人にするのがポイント。たとえば主人公は自分のお子さんで、他に仲よしのお友達や家族、先生など、シュチエーションが浮かぶようにすると、子どもはノリノリです。問題も少しずつ、引き算やかけ算が入るように高度化していけば、知らないうちに応用問題への抵抗感がなくなります。慣れてきたらお子さんに問題をつくってもらうと、さらにGOOD!たまに解けない滅茶苦茶な問題も飛び出しますが、それもまたよしです。お風呂では紙に書けないので、想像力も働きます。ぜひお風呂タイムを有効に使って、親子で算数コミュニケーションを楽しんでみてください。(文/幼児さんすうインストラクター・篠崎菜穂子)
2015年10月05日中学受験をした人はご存じでしょうが、入試に出てくる算数の問題は激難(ゲキムズ)です。小学校では代数を教えないため、それ抜きで解答しなければならないからです。うなされそうな算数の問題をご紹介します。小学校の算数は、中学以降の数学より難しいのではないでしょうか(笑)。みなさんが、もうすっかり忘れてしまったであろう算数のイヤ~な問題です。■イヤな文章題の代表「つるかめ算」●例題鶴と亀が合わせて14匹います。足の数は合わせて40本です。鶴は何羽、亀は何匹でしょう?小学校の算数の文章題の「嫌なヤツ」と言えばこれです(笑)。「何匹でもいいじゃんか!」と思わずつっこんでしまいそうです。鶴をx、亀をyとして方程式で解けばすぐできるんですが、小学校なのでそれはできません。さあ、あなたは解き方を覚えていますか?●解き方足の本数の差に注目します。14匹全部が鶴だと仮定すると、14羽 ×2本 = 28本で、足の数は28本のはずです。しかし、足の数は40本です。40 - 28 = 12本。12本多いのは、その分亀がいるからですから、亀と鶴の足の本数の差(2本)でその多い分を割ってやれば、亀の頭数が出るはずです。ですから、14羽 ×2本 = 28本40本 - 28本 = 12本12本 ÷ (4本 - 2本) = 6匹亀は6匹14匹 - 6匹 = 8羽鶴は8羽検算しましょう。6匹 × 4本 = 24本8羽 × 2本 = 16本24本 + 16本 = 40本 合ってますね。鶴は8羽。亀は6匹。これが解答です。●挑戦してみよう! つるかめ算の応用問題ある小学校の6年生87人が小テストを受けました。1番は3点、2番は2点の2問あり、全員が少なくとも1問は解けました。また、全員の合計得点は314点で、2番だけが正解の者は13人いました。1番だけが正解な者は何人いましたか?甲南中学で実際に出題された問題です。こうなってくるともう算数というよりクイズ、推理ゲームみたいですが、あなたは解けますか?■トンチに近いかもよ「消去算」●例題鉛筆3本と消しゴム2個を買うと190円です。鉛筆5本と消しゴム3個を買うと300円です。鉛筆、消しゴムはそれぞれいくらですか?ますますクイズみたいな問題です。つるかめ算に似ていますが、こっちの方が簡単かもしれません。●解き方消去算の場合、わからない片方のパラメーターを消してしまうことを考えます。鉛筆3本+消しゴム2個=190円ですから、これを3倍します。すると鉛筆9本+消しゴム6個=570円、鉛筆5本+消しゴム3個=300円ですから、これを2倍します。すると、鉛筆10本+消しゴム6個=600円になります。鉛筆9本 + 消しゴム6個=570円鉛筆10本 + 消しゴム6個=600円消しゴムを同数にすることで、鉛筆だけの金額を算出できるようになります。すると600円-570円で、鉛筆1本の金額が30円だとわかります。鉛筆30円×3本 + 消しゴム2個 = 190円ですから、消しゴム2個で100円。つまり、消しゴム1個は50円。鉛筆1本は30円。消しゴム1個は50円。が解答です。■人はとにかく歩く「旅人算」●例題Aさんは毎分80mで歩きます。Bさんは毎分60mで歩きます。周囲3kmの池の同じ場所で背を向け、同時に反対方向に歩き出したとすると2人は何分後に出会いますか?小数点第2位まで有効とします。●解き方1分間にAさんが80m、Bさんが60m進むので、合計1分間に140mだけ2人の距離は詰まります。池の周囲は3km。つまり2人の距離は3,000mあるので、これが毎分140m詰まって、何分後に0になるかを求めればいいわけです。3,000m ÷ (80m + 60m) = 21.428分。小数点第2位まで有効なので四捨五入して、解答は21.43分後。■川を上ったり下ったり「流水算」●例題静水での速さが毎時15kmに船は、毎時4kmの速さで流れている川を、毎時何kmの速さで上り、毎時何kmの速さで下るでしょうか?面倒くさいでしょ(笑)?上流に向かう時は川の流れに逆らって、下流に向かう時は川の流れが加わるのが問題です。解けますか?●解き方川の流れに逆らって上流に向かう時は、15km - 4kmで毎時12km。川の流れの加わる下流に向かう時は、15km + 4kmで毎時19km。これが正解です。ではこれを応用して次の問題です。●挑戦してみよう! ややこしい流水算の応用問題15km離れている、川の上流にA地点、下流にB地点があります。B地点からA地点に船を漕(こ)いで向かう時は5時間、A地点からB地点に船を漕(こ)いで向かう時は3時間かかります。この人が静水で船を漕(こ)いだ場合は毎時何km、川の流れは毎時何kmですか。さて例題を踏まえての問題です。解けますか?方程式を使っちゃダメですよ!旅人算の応用である時計問題(長針と短針が重なるのは何時何分ですかみたいなヤツ)など、ほかにもイヤ~な算数問題は多数あります。小学生のころを思い出してイヤな気持ちになっていただけましたでしょうか(笑)?「挑戦してみよう!」の解答はあえて掲載しません。ぜひ自力で解いてみてください!(高橋モータース@dcp)
2012年12月02日