「いつの間にかGoToが悪いことになってきちゃった」こう発言したのは菅義偉首相(72)。これは11日にニコニコ生放送で行われた「菅義偉総理が国民の質問に答える生放送」でのことだ。同番組で、爆発的に感染者が増え続けている新型コロナウイルスについて「これ以上の感染拡大は何としても避けなければいけない」と意気込みを見せた菅首相。しかし、肝煎り政策でもある“GoToキャンペーン”の一時停止については、「考えていない」と否定する姿勢を見せた。その上で、「移動では感染しないという提言もいただいていた」と付言し、冒頭のように本音を吐露していた。11月下旬に感染者が急増している大阪市と札幌市などがGoToトラベルキャンペーンから除外されたものの、感染者は増すばかり。政府の新型コロナ感染症対策分科会も“GoToキャンペーン”の一時停止を提言するなか、見直す素振りさえ見せない菅首相の発言にはSNS上で非難が集中した。《GoTo一時停止考えてないってなんなん???》《GoToが悪者なのではなく適切に判断できない総理が悪いのです》さらに、菅首相は同番組でさらなる舌禍を招いていた。それは番組冒頭でのこと。司会者から視聴者へのメッセージを求められた菅首相は、はにかみながらこう語った。「みなさん、こんにちは。ガースーです」国会答弁や会見でも淡々と発言する菅首相だけに、普段のイメージとは違う面を見せたいという狙いが伺い知れる。しかし、医療体制がひっ迫し、日本中が第3波の恐怖におびえているこの状況下。同番組が放送された一時間前には分科会の尾身会長が会見でさらなる対策を政府に求めていた。そんなタイミングでの“視聴者サービス”には批判が殺到する事態に。《ここまで行くとさすがに無神経の極みとしか言いようがない》《よくもここまで国民の気持ちを知らずに逆なでできると呆れる》《厳しい現状を訴える尾身会長の会見と同時刻に、菅首相が「ニコ生」で「ガースーです」とかやってたの本当に酷いね…》
2020年12月12日12月4日午後6時、総理就任以来、頑なに記者会見を拒んできた菅義偉首相(71)がついに記者会見を開いた。これまでは“合同インタビュー”や官邸内でのぶら下がり質問などには対応してきたが、記者クラブに所属する記者から事前に伝えられていた質問に答えるのがほとんどで、答えたくない質問は無視することも多かった。新型コロナの感染拡大が止まらないなか、就任会見から約3カ月経ってようやく行われた記者会見に、多くの人が注目したが、ツイッター上ではこんな落胆の声が。《官僚のペーパーを棒読みしている。総理の本意や決意が伺い知れない》《え?菅総理お帰り?もう終わり??》「国民の命と暮らしを守ると言いながら、コロナによる自殺者数が急増しているのに、なぜ国民の前でこれまで語らなかったのか?」とか「二階俊博幹事長が全国旅行業協会の会長を務めているから、自民党は旅行業業界を優遇しているのではないか?」などの厳しい質問も出たが、菅首相は「官房長官が会見を開いている」とか「旅行業界が地域経済を支えている」とお茶を濁すだけ。出席者が多いことを理由に質問は1人1問と限定されており、質問者もそれ以上の追及をすることはなかった。その後のスケジュールを理由に、会見はわずか50分で打ち切られたが、記者たちから特に非難の声があがることもなく……。会見を見た人からはこんなツイートが。《昨日の渡部に質問したぐらい菅総理にも質問しろっ!》《渡部さんの記者会見に集まった芸能レポーターをそっくり官邸に連れて行って、あの熱意で菅さんに迫ってほしい》アンジャッシュ・渡部建(48)の謝罪会見は1時間40分にわたった。会見に参加した記者たちは、“質問に答えていない”とか“事実を語っていない”などと渡部を厳しく追求。渡部は脂汗を流しながら、言葉を絞り出していた。一方、菅首相は会見中、しばしば手元の原稿に目を落としており、あらかじめある程度の質問は記者から伝わっていたとみられる。もちろん、菅首相は謝罪会見を開いているわけではないけど……。《渡部が不倫をしようが人が死ぬことはないけれど、コロナ禍で死者が出続けている。なんで、渡部はあれだけ厳しく追及できたのに、菅首相のことは追及しないんでしょうか。どっちの問題の方が大切?》
2020年12月05日コロナから日常を取り戻すために、もっとも期待されているのがワクチンの開発。米国では12月中には接種が始まるという。日本にはいつ入ってくるの?最新事情を聞いたーー。「ファイザー が12月にも米国で承認されれば、年内は流行が深刻な米国と欧州に優先的に供給されるでしょう。海外で良好なデータが得られれば、年明け早々にでも日本国内での手続きが進むと思います」そう語るのは、米国国立研究機関の病理専門医・峰宗太郎さん。日本に供給される予定のワクチンは、米国の製薬会社であるファイザーとモデルナ、英国のアストラゼネカのワクチンで、3社から合計1億4,000万人ぶんを調達する予定だ。現在、日本国内ではファイザー、アストラゼネカが、第3相試験まである治験の第1、2相試験中、モデルナは準備段階だ。「今回は緊急性も要しているので、日本国内の治験は簡略化されるでしょう。新型コロナ治療薬として、抗ウイルス薬のレムデシビルがスピード承認されたように、海外の治験データが参考にされることになるはず。最短であれば、1月後半から2月前半くらいに承認されるのではないかと予想します。2月初めくらいから、まずは医療従事者や重症化リスクのある高齢者から摂取開始されるのではないでしょうか。ワクチン接種は公費負担される見通しなので、無料となる予定です」菅義偉首相(71)は「来年前半に国民全員の数量を確保」と語った。五輪前の6月ごろには国民に行き渡る見通しだ。ただ、注意したいのは接種開始となっても、直ちに日常が戻るわけではないということ。「接種者はある程度自由な行動が可能になると思われますが、未接種者はしっかりと感染対策をしなければなりません。日々の感染対策を行いながら、ワクチンによって地固めをしていくイメージです」また、開発されて間もないために、抗体がどれほど長く維持できるかも未知数だという。「1年に1回の接種なのか、数年に1回なのか、数カ月に1回接種する必要があるのかは、今後の経緯を見る必要があります」安全面、有効性を見ても、ワクチンがコロナ禍終息への希望の光であることは間違いない。しかし、現在の“第3波”はワクチンなしに乗り切らなくてはならない。「重症者数の推移を見ると、医療崩壊が現実的になってきました。個々の徹底した感染対策が求められます」「女性自身」2020年12月15日号 掲載
2020年12月03日「女性皇族の婚姻などによる皇族数の減少等については、皇族方のご年齢からしても、先延ばしすることはできない重要な課題だと認識しています」11月24日、加藤勝信官房長官(65)は定例会見でこう明言した。女性皇族が結婚によって皇籍を離れた場合、「皇女」の尊称を贈り、公務への協力を委嘱する新制度の創設を政府が検討していることが判明した。女性皇族の結婚による相次ぐ皇籍離脱や現役の皇族の高齢化で、皇室活動の担い手の不足は深刻な問題になっている。女系天皇の容認につながる可能性があるとして“男系維持派”からの反発が強い「女性宮家」の創設ではなく、民間人のまま一代限りの「皇女」とすることでこの問題を先送りしようという政権の意図がみえる。皇女は“特別職の国家公務員”となり、公務に参加することになるという。だが、この報道には、ツイッター上でこんなツッコミが。《「皇女は特別職の国家公務員」だとすると、総合的俯瞰的な観点から突然政府が任命拒否したりできるのかな?》《皇女を特別職公務員にするということは学術会議会員の例にならうと、内閣総理大臣の考え一つで任免が可能になるということかね》日本学術会議の会員も“特別職の国家公務員”。会員は学術会議の推薦に基づいて内閣総理大臣が任命することが日本学術会議法で定められている。同法は任命拒否を想定しておらず、総理大臣による任命はあくまでも形式的な任命というのが、中曽根康弘元首相(故人)をはじめ、過去の政府がとってきた立場だった。しかし、菅義偉首相(71)はこう強弁した。「憲法第15条第1項は公務員の選定は国民固有の権利と規定している。(国民を代表している内閣総理大臣は)日本学術会議の会員についても必ず推薦の通りに任命しなければならないわけではない」公務員の選定罷免権が国民にあると定めた憲法15条を根拠に、菅首相は6人の候補者の任命拒否を正当化した。だが、なぜこの6人だったかという理由については「総合的、俯瞰的な観点」などとしか言わず、詳細な説明は“個別の人事に関わること”を理由に拒んできた。全国紙政治部記者が解説する。「憲法15条はあくまでも公務員の選定罷免権が“国民”にあると定めたもので、“総理”にあると定めているわけではない。総理大臣といえども、国民の代表者である国会議員で組織される国会で定められた法律や、国会で確認された法解釈に反して任命権を行使することができるはずはありません。それを無視すれば、それこそ憲法15条に違反することになる。しかし、菅首相は与党・自民党の圧倒的な議席数を背景に、過去の法解釈を無視して任命拒否を正当化しているのです」《皇女は特別公務員。特別公務員になれば日本学術会議会員と同じように、政権の介入になる》《ついに皇族まで直接支配する意向を示してきているわけですか》ツイッター上では「皇女」創設検討のニュースを見て、こんな懸念を漏らす人も多い。確かに、“任命拒否”も可能な実質的な任命権を時の政権が握ることになれば、皇籍離脱後の身分を懸念する女性皇族やその親族の皇族に対して、政権の影響力が増すことも考えられる。前出の政治部記者はこう指摘する。「菅首相は憲法15条を根拠に、国民の代表者である内閣総理大臣は任命権を行使できるはずだとして、学術会議の会員の任命拒否を行いました。『皇女』も国家公務員になるとすれば、総理大臣によるのか、その他の国務大臣によるのか、内閣によるのかはわかりませんが、任命が行われなければなりません。菅首相のロジックでいえば、その任命権は、皇籍離脱した女性皇族であればだれでも自動的に任命されるような形式的なものではなく、“任命拒否”も可能である内実を伴った任命権でなければなりません。そうではなくては学術会議会員に関しての主張と矛盾することになります」だが、実際に“任命拒否”のようなことが行われる可能性は低いと続ける。「国民の反発も大きいでしょうから、任命拒否のようなことが行われることは考えづらい。実際には本人が辞退でもしない限り、皇籍離脱した女性皇族が自動的に皇女に任命されるような運用が行われることになると思います。ただ、国会で『皇女は任命拒否できるのかどうか?』と聞かれた場合、菅首相はどう答えるのでしょうか。『できる』と答えれば保守派から“不敬”と批判されるでしょう。『できない』と答えれば、学術会議の件との整合性を問われることになってしまいます。任命拒否もできないような形式的な任命権は憲法15条を根拠にダメだというのが菅首相の主張ですから。いずれにせよ、このような懸念は菅首相が自ら招いたことですから、ちゃんと答える必要がありますね」小室圭さんとの結婚が取りざたされる眞子さまも「皇女」の候補者のおひとり。まさか、“任命拒否”なんてことはないと思うが……。
2020年11月25日新型コロナウィルス感染拡大の第3波が懸念されるなか、菅義偉首相(71)は11月21日に「Go Toキャンペーン」の運用を見直す考えを示した。「Go Toトラベル」では、感染拡大地域を目的地とする旅行の新規予約を一時停止に。「Go Toイート」では、プレミアム付き食事券の新規発行やポイント利用の一時停止するなど都道府県知事に求めている。しかし具体的な期間やキャンセル料といった事柄については、これから定めていくという。「分科会から強いメッセージを受け、政府が対応に動いたのは11月20日の夜。キャンペーン開始前に、万が一の対策が立てられていなかったことが露呈しました。さらにどの都道府県を対象除外にするかどうかは、各知事の判断任せ。知事会も『丸投げしないで』と困惑しています」(全国紙記者)そんななか、松本人志(57)や“ひろゆき”こと西村博之氏(44)による「おひとり様」の提案が注目を集めている。「Go Toイート」について政府は、「原則4人以下」での飲食を要請。また東京都の小池百合子知事(68)は、会食時の対策として「少人数」「小声」「小一時間」「小皿」「小まめ」の“5つの小”を呼びかけた。どちらも複数人で食事することが前提となっている。ひろゆき氏は21日放送の『NewsBAR橋下』(ABEMA)で、「Go Toイート」について「予約1人で取れればいいと思うんですよね」とコメント。「要は2人とか3人とか、複数になるから飲み会とかで騒ぐわけで」と説明し、「全員1人客にすればすごい静かだと思うんですよね」と述べた。松本も22日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ系)で、「ずっと言い続けるんですが、おひとり様をやれ!って言ってるんですよ」と強調。「1人ならしゃべらないから大丈夫だし。家でご飯食べてるのと一緒ですからね」とし、「でもちゃんとレストランなりにお金を落としていくわけやから」と経済面でのメリットも主張した。ネットでは賛同の声が広がっている。《松ちゃんもひろゆき氏も言ってるけどGoTo関連はお一人様を優遇して!》《そうだと思う。経済を止めるわけには行かないし、感染を広げるわけにも行かない。個人で充分に予防して、意識しながら行動するしか無いよね》《大賛成です!コロナ対策と経済両方を考えるなら当然ですよ。もういい加減「お一人様イコール寂しそう」という概念は変えないと》果たして、国民の声は届くのだろうか。
2020年11月23日「コロナ不況のダメージはこれからが本番。長期戦を強いられることが予想されます」そう話すのはファイナンシャルプランナーの丸山晴美さん。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、経済は緊急事態宣言下で壊滅的な打撃を受けたという。「夏のボーナスは、まだ通常どおり支給する会社が多かったと思います。また、特別定額給付金などで救われた家計もあったでしょう。しかし、冬のボーナスは大幅カットやゼロという会社が増え、さらに残業代カットや雇い止め、早期退職勧告などが横行し、これからしばらく、家計はかなり厳しい状態が続くと思います」(丸山さん・以下同)こうした危機的状況のなかでは、家計の柔軟な管理が大切だと丸山さんは言う。「収入が減ったら、そのぶん何かを削らねばなりません。何を削るのか優先順位を考え、決めたことを実行する行動力が必要です」何を削るのかーー。家庭ごとに事情はあるだろうが、一般的には「固定費から」が鉄則だという。固定費とは、おおよそ金額が決まっている定期的な支出のこと。代表的な固定費は、住宅ローンや家賃などの住居費、生命保険などの保険料、そして、スマホ代などの通信費が挙げられる。なかでも通信費の伸びは大きい。固定電話を持たない若い世代が増えたためか、固定電話代は減少傾向なのに、移動電話と書かれた携帯電話は右肩上がりを続けている(総務省「情報通信白書」)。固定電話を維持する読者世代には、データ以上に重くのしかかるものがあるのではないだろうか。「家計の節約というと、食費や光熱費などに目を向けがちですが、毎日ガマンが必要な“身を削る節約”はなかなか続きません。固定費ならば、一度契約を見直す手間さえ惜しまなければ、あとは努力やガマンは不要。特に通信費は、携帯会社を換えても、品質や使い勝手は大きく変わりません。使い方はそのまま、契約を変えるだけで、コストダウンの効果がずっと続きます。10円、20円の節約より効果が見えやすいのです」【「通信費」を見直すことによる家計へのメリット】(1)一度見直せば、あとは努力もガマンも不要!(2)定期的に支払う費用なので、節約効果が長く続く!(3)10円、20円を削るより、大きな金額が節約できる!いっぽうで、政府も通信費の引き下げに力を注いでいる。菅義偉首相は以前から通信費引き下げの必要性について言及しており、10月27日には総務省が携帯電話料金の値下げに向けた具体的な行動計画を発表した。一部では、菅首相とソフトバンク孫正義会長との確執もささやかれるが、ソフトバンクは10月13日、政府の要請に沿った形で、20〜30GBで月5,000円以下のプラン導入を検討していることがわかった。現在の他社プランより3割安い料金設定だ。NTTドコモやKDDI(au)も追随して、年内にも動きがあるかもしれない。「値下げになるなら、このまま待っていればいいのでは?」と思う読者もいるかもしれない。しかし、先のプランでは読者世代の値下げにはつながらないことが多い。というのも、20〜30GBは大容量で、ユーチューブなどの動画を頻繁に見る人向けのプランだからだ。加えて、通信プランは見直されても、端末代は高止まりのまま。通信費全体が値下げになるのかは疑問が残る。これまでも政府の要請に従う“官製値下げ”は何度かあったが、「通信費が下がった」実感を持てたことは少ないのではないだろうか。「やはり、格安スマホへの乗り換えも含めた通信費の“テコ入れ”が必要だと思います」格安スマホとは、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクの「大手キャリア」から通信網を借りて運営している通信事業者を指す。自前で通信設備を作るコストがかからず、販売のための店舗もほとんど持たないので人件費なども抑えられ、大手キャリアより通信料が安い。MMD研究所によると、大手キャリアの平均利用料が月8,023円に対し、格安スマホは月2,889円だ(’19年12月)。大手キャリアとして格安スマホの料金の差は、月5,000円以上にものぼる。家計を救うために取り組みたい固定費の見直し。なかでも効果が得やすい、スマホにかかる費用の再点検を。「女性自身」2020年11月17日号 掲載
2020年11月19日「菅義偉首相が進める経済政策の根底には『地方銀行も企業も、怠けているところは強制的にでも変えなければいけない』という考えがあるようです。携帯電話各社に『料金値下げ』を要請したのがいい例で『地銀の再編』もその一環です。全国101行の地方銀行は近い将来、半減するかもしれません」こう話すのは、国の経済政策に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。菅首相は、9月の自民党総裁選出馬の段階で「地方の銀行について、将来的には数が多すぎる……再編もひとつの選択肢になる」と発言している。「今後人口が激減する日本は、30年後の’50年に1億人に。つまり2,000万人減る見込みです。すると各地方の人口は都市部に集まっていき、地銀は融資先が激減し経営していけなくなる。小泉政権で、竹中平蔵総務大臣の下、総務副大臣を務めた菅さんは、構造改革路線を復活させるもくろみでしょう」加谷さんによれば「現在の101行から50行程度まで統合する必要がある」というのが専門家の見通しだそうだ。仮に自分が口座を持っている地銀が他行と統合した場合、ふだん利用している支店やATMがなくなることもあるかもしれない。また、地域密着の地銀ならではの、さまざまな相談に乗ってくれる“街の銀行員さん”もいなくなってしまうかもしれない。万が一、破綻すれば、自分が預けていたお金の一部が返ってこないという事態もありえるかも。はたして、どの銀行が統廃合の可能性が高いのか、加谷さんに解説してもらった。「銀行は預金者から集めたお金=金融資産を融資などで運用して利益を得ています。今回は各行の『総資産』に対して、本業などの利益=『コア業務純益』がどれだけ出せているのかを示す数値『コア業務純益率』のワースト1~101を算出しました。全行の平均値は『0.25%』です。各道府県内で複数の地銀が営業している場合、このコア業務純益率が低い地銀ほど消滅してしまう可能性が高いんです」【ワースト1】島根銀行(本店所在地・島根県松江市)/グループ・SBI総資産(百万円)=439,279コア業務純益(百万円)=-446総資産コア業務純益率=-0.102%【ワースト2】長崎銀行(本店所在地・長崎県長崎市)/グループ・西日本FH総資産(百万円)=285,913コア業務純益(百万円)=-41総資産コア業務純益率=-0.014%【ワースト3】福邦銀行(本店所在地・福井県福井市)/グループ・Fプロジェクト総資産(百万円)=444,141コア業務純益(百万円)=217総資産コア業務純益率=-0.049%【ワースト4】筑波銀行(本店所在地・茨城県つくば市)総資産(百万円)=2,381,813コア業務純益(百万円)=2,017総資産コア業務純益率=-0.085%【ワースト5】みちのく銀行(本店所在地・青森県青森市)総資産(百万円)=2,166,390コア業務純益(百万円)=1,882総資産コア業務純益率=-0.087%まず、ワースト1位(以下、ワースト順)の島根銀行、2位の長崎銀行の「コア業務純益率」を見てみると、マイナス表記となっていることがわかるだろう。「これは本業の『融資と手数料』の利益に対して、行員の給与など人件費、およびATMはじめシステム費などの『経費』が上回ってしまっている状態。『融資先が少なくなってしまった』のか、もうからない『低金利で貸している』のか、あるいはその両方といえます」島根銀行のある島根県にはランキング94位の山陰合同銀行がある。収益がよい順からみれば8位にあたる同行は「県内シェア約6割の優良行」だという。対して島根銀行のシェアは1割ほど。「借り手が山陰合同銀行のほうに行くなかで、銀行規模が小さく、より低金利ではもうけが出ません。さらにこの情勢のなか、’17年に本店ビルを約60億円かけて新築。その見通しの甘さも心配です」2位の長崎銀行がある長崎県では、県内上位2行が10月に合併して「十八親和銀行」(23位)としてスタートしたばかり。「水をあけられている長崎銀行は、59位の西日本シティ銀行(福岡県)のグループに入っていることが安心材料ですが、いずれグループ内で統合される恐れもあります」3位の福邦銀行がある福井県は、構図がやや複雑だ。「福井県では福井銀行(9位)がトップを走ってきましたが、同じ北陸で富山県トップの北陸銀行(62位)も、北陸3県に範囲を広げて“地域ブロック銀行”として営業展開しています。さらに、この北陸銀行は北海道銀行(77位)と、『ほくほくフィナンシャルグループ』として資本提携・経営統合し、福井県内で福井銀行に追随してきました。ひとりだけ“置いてけぼり”となった福邦銀行は、福井銀行との提携契約『Fプロジェクト』を本年度より始動しましたが、事実上、規模の小さい福邦銀行が吸収合併される色合いが強いと思われます」5位のみちのく銀行と11位の青森銀行は、統合協議に向けて動きだしたと報じられていたが……。「統合すれば大きな勢力になりますが、今のところ両行は統合について否定しています」これら、ワースト上位行に共通することとは何だろう?「100万人都市などの巨大都市がない県で、トップ争いから外れている地銀はかなり経営が厳しい傾向にありますね」地銀再編は時代の流れ。菅首相の誕生で、その流れはさらに加速するとみられる。いざというときに焦らないため、“あなたの地銀”の状態を知り、備えをしておこう。「女性自身」2020年11月17日号 掲載
2020年11月05日「地方の銀行について、将来的には数が多すぎる」。菅首相のそんな言葉で現実味を帯びた地銀の再編。はたして、どう備えるべきなのかーー。「菅義偉首相が進める経済政策の根底には『地方銀行も企業も、怠けているところは強制的にでも変えなければいけない』という考えがあるようです。携帯電話各社に『料金値下げ』を要請したのがいい例で『地銀の再編』もその一環です。全国101行の地方銀行は近い将来、半減するかもしれません」こう話すのは、国の経済政策に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。菅首相は、9月の自民党総裁選出馬の段階で「地方の銀行について、将来的には数が多すぎる……再編もひとつの選択肢になる」と発言している。「今後人口が激減する日本は、30年後の’50年に1億人に。つまり2,000万人減る見込みです。すると各地方の人口は都市部に集まっていき、地銀は融資先が激減し経営していけなくなる。小泉政権で、竹中平蔵総務大臣の下、総務副大臣を務めた菅さんは、構造改革路線を復活させるもくろみでしょう」加谷さんによれば「現在の101行から50行程度まで統合する必要がある」というのが専門家の見通しだそうだ。仮に自分が口座を持っている地銀が他行と統合した場合、ふだん利用している支店やATMがなくなることもあるかもしれない。地銀も生き残りをかけて、さまざまなグループを形成している。島根銀行をはじめ、筑邦銀行(福岡県)、福島銀行、清水銀行(静岡県)は、ネット金融大手「SBIホールディングス」(以下、SBI)と資本業務提携などをしているのだが……。「“第4のメガバンク構想”をうたうSBIは、体力のない地銀に対し全国規模で地域をまたいで出資しています。しかし、最大の狙いは『地銀の救済』ではなく、自社の投資信託などの商品を売る窓口として、各銀行から手数料収入を得ることでしょう」一方、提携する各行にとってのメリットとは……。「まず、当面の収益確保ができるということ。SBI出資で収益を拡大できれば、今後10~15年は持つでしょう。しかし『地銀再編』の根本は、人口減少と商圏縮小です。将来的には合併など、生き残る対策が必要になるでしょう」ところでSBIは今年5月、大東銀行(福島県)の筆頭株主となったことがわかった。さらに東和銀行(群馬県)との提携を協議中と10月23日に発表。「群馬県では群馬銀行のシェアが圧倒的で、隣県から足利銀行(栃木県)も進出してきた。東和銀行は、収益力のあるいまのうちに、今後を考えて提携に踏み切ったのだと思われます」“生き残る地銀”の特徴はなんだろうか。「首都圏や関西圏、中京圏、北海道なら札幌、東北は宮城県、九州は福岡県、西日本では広島県など、大都市を有する地域の地銀はやはり強いですね。経営状態がよい地銀のトップはスルガ銀行です。’18年に不正融資事件が発覚しましたが、全国の不動産融資を対象にするビジネスモデルが確立されているため、すぐに業績が悪化することはないかと思われます」スルガ銀行以外は横浜銀行、千葉銀行と「都心に近く商圏も大きい」地銀が。「山陰合同銀行(島根県)は「地域の圧倒的ナンバーワン」を目指していますが、この『同地域1位』という立ち位置が守れれば、高収益となる傾向があります。また、阿波銀行(徳島県)は近接する岡山県や関西圏、首都圏にも進出し、顧客との関係をつくってきました」逆に「地域密着」を貫いて好成績なのが佐賀共栄銀行だ。「昔なじみの顧客に、ひたすら頭を下げて、『安い金利ではお貸しできませんが、最後までお付き合いします』という営業スタイルで、地元の信頼を得てきました」減っていくであろう地方銀行。われわれはどのように備えればいいのだろうか。そこで、加谷さんが「預金を守る5つの準備」を教えてくれた。【1】支店の消滅、紙の通帳の有料化に備え、ネットバンキングを始める【2】よく行くコンビニやスーパーなどの系列の銀行の口座開設を検討する【3】預金は1,000万円までとし、それを超えるぶんは低リスクの金融商品で運用する【4】外貨預金はリスクを理解したうえで行う【5】「手数料貧乏」に陥らないために、銀行口座は目的別に数行に絞る「再編や合併では、基本的に預金は保護されますので安心してください」しかし、場合によっては最寄りのATMや支店がなくなってしまうこともある。その場合に備えて、ネットバンキングを始めたり、ATMの手数料がかからないようにふだん行くコンビニやスーパーの系列の銀行(セブン銀行やイオン銀行)での口座開設を検討するのも選択肢だ。そして、破綻という万が一に備えるには……。「預金1,000万円を超えるぶんは、破綻の場合、ペイオフの保護の対象外です。仮に1,400万円の預金額があるなら、400万円ぶんは投資信託などのリスクの低い金融商品に充てるのが得策でしょう。また、外貨預金もペイオフの保護の対象外となりますので、もし銀行に外貨建てを勧められたときは、『ペイオフ対象外』であることを忘れないようにしましょう」不安に駆られて銀行口座を持ちすぎるのはよくない。「通帳が有料化されたり、ネットバンキング以外では手数料が発生したりして『手数料貧乏』になりかねません。目的別に数行に絞りましょう」「女性自身」2020年11月17日号 掲載
2020年11月05日映画『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』(10月16日公開)の勢いが止まらない。11月1日までの興行収入は157億9,936万5,450円、動員数が観客動員1,189万1,254人を記録した。歴代興行収入ランキングは、『アバター』(2009年、約156億円)を超え、歴代10位にランクイン。その人気は国会にも。11月2日に行われた衆院予算委員会に臨んだ菅義偉首相(71)。質問に立った立憲民主党の江田憲司代表代行(64)から冒頭こんな言葉を投げかけられた。「私不肖・江田憲司が政界に身を置いているきっかけを作っていただいたのも菅総理ということで、今は政治的立場は異にしますが、感慨深いものがございます。まさか、こんな日がこようとは、大変失礼ながら想像もしませんでしたけれども……。それはいちばん総理がお思いなんじゃないでしょうか。いかがでしょうか?」元通産官僚の江田議員は、菅首相の勧めもあって自由民主党から出馬した過去がある。こういった経緯を知る議員たちからは笑い声が。指名を受けて、壇上に立った菅総理はこう返す。「江田さんですから私も、“全集中の呼吸”で答弁させていただきます」力強くそう語った菅総理。議場の反応をうかがうように一拍おいたが、あまり笑い声は起きず……。「いや、今こうして……」とそのまま話し始めた。やはり平均年齢54歳前後といわれる国会議員たちには、「鬼滅」の技名でたとえられても、ピンとこなかったようだ。だが、ツイッターではさまざまな反応が。《全集中の呼吸ができるってことは菅さんは死ぬほど鍛えたってこと すごい人やでえ》《菅総理「全集中の呼吸で答弁させていただきます」、予算委員会「しーん」。無事議事録に掲載へ》《菅さんが「全集中」するのは逃げる事にだろう?》江田議員とのやり取りで微笑ましかったシーンはここまで。この後、日本学術会議問題などについて厳しく追及され、菅首相は答弁を加藤勝信官房長官(64)に譲ることも。“全集中の呼吸”はできていた?
2020年11月02日『日本経済新聞』が10月28日に小泉進次郎環境相(39)のインタビュー記事「国立公園で再生エネ発電促進環境相、規制緩和の方針」を掲載した。ネットでは瞬く間に批判が殺到。菅義偉首相(71)が「2050年温室ガス実質ゼロ」を宣言したが、その実現に向けていきなり“最後の聖域”に手を付けようとしているのだから驚きしかない。同記事で、進次郎氏は“国立公園内で再生可能エネルギーの発電所の設置を促す規制緩和をする”と表明。公園内は地熱や太陽光、風力を利用しやすいためだという。21年の通常国会で関連法の改正を含めて取り組むとしている。《全国34の国立公園の敷地の多くは発電所の新設を制限している。一部で認めるが、資源エネルギー庁の報告書などは規制で整備できない場合があると指摘していた。小泉氏は「いい案件があっても保護一辺倒で活用が進まない例もあり得る。保護と利活用の両立へ発想を転換する」と話した》(『日本経済新聞』10月28日)これにはツイッター上で、「日経の誤報では?」と進次郎氏を擁護するような怪情報が流れるほど、にわかには信じがたい報道だったということ。しかし、本人は自身のブログに当該記事のリンクを張って「ぜひ読んでみてください」としているので、自信を持ってこの説を唱えている。もちろん誤報などではない。そもそも、国立公園の「目的と役割」は、環境省のホームページによると下記の通り。<国立公園は、次の世代も、私たちと同じ感動を味わい楽しむことができるように、すぐれた自然を守り、後世に伝えていくところです。そのために、国が指定し、保護し、管理する、役割を担っています>「大原則として、国立公園を管理することによって、自然環境、動植物の生態系、歴史文化の保護・保全をしなければいけないということ。それなのに、国立公園を所轄する環境省のトップが『開発推進だ』と言っているのだから、なんともアベコベな話で…」(全国紙記者)進次郎氏の今回の発言にネットでは、《「環境保護のために環境を破壊する!」やな!》《こいつ何大臣だったっけ》《エネルギーを求めるのは経産省の仕事で、環境省の仕事は自然や国土を守ること》《なぜ環境相が聖域をぶっ壊しにいっているのか》さらに、保全生態学の第一人者である国立環境研究所気候変動適応センター室長の西廣淳氏もツイッターで「軽率すぎる」と発言。他にも複数の専門家が否定的なコメントを発信している。実は、進次郎氏は9月末に北海道の国立公園を視察してブログに掲載している。蒸気を噴出していていかにも地熱発電ができそうな「硫黄山」の写真と共に、「阿寒摩周国立公園」内の「湯川」という温泉が流れる川について下記のようなことを書いている。<もう一つ改めて感じたことは、その土地の魅力は地元の人だけでは分からないし活かしきれないという事。(中略)もっと「川湯」という存在自体を活かす方法があるのではないか?と、大きな可能性を感じました。硫黄山にも行きましたが、その迫力と魅力は想像以上で、唯一無二のものでした。本当に行って良かったです>そんな視察で短絡的に「国立公園に発電所作れば環境問題解決!」なんて思ったとすれば、“セクシー”さのカケラも見当たらないのだが…。
2020年10月30日菅内閣が発足し、少子化対策の目玉として「不妊治療への助成拡大」を掲げています。現在、不妊治療のうち、公的な医療保険の対象となっているのは、タイミング法や排卵誘発法など、ごく一部。体外受精や顕微受精といった高度な不妊治療は、高額な治療費の一部を条件付きで国と地方で助成する制度がありますが、公的な医療保険の対象外となっています。子どもを持つことを希望する人たちにとって、重い費用負担の軽減につながる、支援の拡充は朗報と言えます。 不妊治療の種類って?そもそも、不妊治療にはどんなものがあるのでしょう? ●タイミング法(保険適用)超音波検査や尿検査などにより、排卵日を予測して性行為のタイミングを合わせる方法 ●排卵誘発法(保険適用)薬によって卵巣を刺激し、排卵を起こさせる方法 ●人工授精(保険適用外)採取した精液から精子を取り出し、排卵の時期に合わせて細いチューブで子宮内に注入することで妊娠を試みる方法 ●生殖補助医療(保険適用外)体外受精と顕微授精がある。体外受精は、培養器内で人為的に卵巣から取り出した卵子と精子を混ぜ合わせ、受精前に女性の卵管に戻す方法(GIFT)と人為的に卵巣から取り出した卵子と精子を培養器の中で受精させ、培養したあと順調に発育した良好な胚を子宮に戻す方法(IVF-ET)がある。顕微授精は人為的に卵巣から取り出した卵子の中に精子を顕微鏡下で注入して授精させ、受精卵を培養したあと順調に発育した良好な胚を子宮に戻す方法。(ICSI-ET) 下に行くほど高度な治療法となっており、選択した治療法で妊娠が得られない場合には、必要に応じて高度な治療へステップアップしていきます。 高度な不妊治療ほど費用も高額に。半数以上の人が100万円越え不妊治療にかかる費用は高度な治療になるにつれ高額となっています。2018年にNPO 法人 Fine(ファイン)が実施した「不妊治療と経済的負担に関するアンケート2018」では、体外受精の1周期あたりの平均費用は30万~50万未満と回答した人(44%)が最も多かったのですが、50万円以上と回答した人(43%)と拮抗。50万円以上と回答した人は2010年の調査と比較して約2.5倍に増加しています。また、顕微授精についても50万以上と回答した人は2010年と比べて約2倍と、治療費が高額化しています。 出典:NPO法人Fine()「不妊治療と経済的負担に関するアンケート 2018」より さらに治療費の総額が100万円を超えていると回答した人は半数以上、最も多い回答は100万~200万円未満(24.1%)となりました。これも、近年は300万~500万未満、500万円未満と回答した人の割合が増えつつあります。出典:NPO法人Fine()「不妊治療と経済的負担に関するアンケート 2018」より なお、国は不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、不妊治療に要する費用の一部を助成しています。給付の内容は以下の通り。 ・対象者(1) 特定不妊治療以外の治療法によっては妊娠の見込みがないか、又は極めて少ないと医師に診断された法律上の婚姻をしている夫婦 (2)治療期間の初日における妻の年齢が43歳未満である夫婦 ・対象となる治療体外受精及び顕微授精(以下「特定不妊治療」といいます) ・給付の内容(1) 特定不妊治療に要した費用に対して、1回の治療につき15万円(凍結胚移植(採卵を伴わないもの)等については7.5万円)まで助成する。 通算助成回数は、初めて助成を受けた際の治療期間の初日における妻の年齢が40歳未満であるときは6回(40歳以上であるときは通算3回)まで。ただし、平成25年度以前から本事業による特定不妊治療の助成を受けている夫婦で、平成27年度までに通算5年間助成を受けている場合には助成しない。(2) (1)のうち初回の治療に限り30万円まで助成。(凍結胚移植(採卵を伴わないもの)等は除く) (3) 特定不妊治療のうち精子を精巣又は精巣上体から採取するための手術をおこなった場合は、(1)及び(2)のほか、1回の治療につき15万円まで助成。(凍結杯移植(採卵を伴わないもの)は除く) (4)(3)のうち初回の治療に限り30万円まで助成。 所得制限 730万円(夫婦合算の所得ベース)※厚生労働省HPより引用 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今年4月、日本生殖医学会より日本で新型コロナウイルス感染の急速な拡大の危険性がなくなるまで、あるいは妊婦さんが使用できる予防薬や治療薬が開発されるまでを目安として、不妊治療の延期を選択肢として患者さんに提示するよう推奨する旨の声明が出されました。その声明を受け、厚生労働省は新型コロナウイルス感染防止の観点から一定期間治療を延期した場合、時限的に、 年齢要件を緩和する方針を発表しています。 ①対象者について療期間初日の妻の年齢「43歳未満」↓「44歳未満」 ②通算助成回数について初回助成時の治療期間初日の妻の年齢「40歳未満」の場合は通算6回まで(40歳以上43歳未満の場合は通算3回まで)助成 ↓「41歳未満」の場合は通算6回まで(41歳以上44歳未満の場合は通算3回まで)助成 NPO 法人 Fine(ファイン)が実施した「不妊治療と経済的負担に関するアンケート2018」では、助成を申請していないと回答した人が約6割に上り、申請しない理由は「所得制限を超えるから」が最も割合が高く41%(体外受精・顕微授精の経験がある人では約 65%)、次いで「受けている不妊治療が助成の対象ではないから」が 34%という結果となっています。 近年の助成延べ件数は14万~16万件となっていますが、平成27年度をピークに微減しています(表参照)。 出典:厚生労働省「不妊に悩む夫婦への支援について」より 菅政権の不妊治療拡充では保険適用・助成拡大を目指すそこで、厚生労働省では、今年9月に体外受精などの不妊治療を受ける夫婦への助成金の増額を求める方針を盛り込んだ2021年予算の概算要求をまとめました。そして、10月8日に行われた公明党の検討チームの初会合で、日本産婦人科学会に登録する600余りの医療機関などを対象におこなっている不妊治療の実施件数や費用に関する実態調査について、来月中に結果をまとめたいという考えを示しています。また、9月29日に行われた田村憲久厚生労働相の記者会見では、政府が調整する不妊治療の助成制度拡充の対象について「事実婚も含めて検討する」と表明しています。さらに、10月26日のNHK番組に出演した際には不妊治療の保険適用について男性も対象にするかという質問に対して「そうしたい」と述べ、「(適用までに)少し時間はかかる」「それまでの間は支援策を大幅に拡充したい」と説明しています。 2019年には1年間の出生者数が86万人台と過去最少となり、「86万ショック」と呼ばれました。少子化の原因として、未婚化、晩婚化だけでなく、有配偶出生率の低下も指摘されています。政府は今年5月に少子化社会対策大綱を改訂。希望出生率1.8を目指して、結婚前、結婚、妊娠、出産、子育て等、総合的な対策を打ち出しました。それを発展させる形で菅政権では、少子化対策の目玉として、不妊治療の保険適用・助成拡大を目指しています。 まとめ不妊治療の経済的な負担は大きく、現在の助成対象は限定的であるため、菅政権が掲げた不妊治療の保険適用と助成拡大は、少子化に歯止めをかける起爆剤となる可能性があります。次回は不妊治療のリアルについて、当事者のインタビューなどを交えて紹介します。
2020年10月29日2020年10月24日放送の情報番組『胸いっぱいサミット!』(関西テレビ系)では、菅義偉首相が掲げる不妊治療の保険適用拡大について特集しました。その際『デヴィ夫人』こと、タレントのデヴィ・スカルノさんの発言が物議をかもしています。不妊治療に関する話題の中で、デヴィ夫人は「不妊症の一番の理由は堕胎」と持論を展開しました。日本の女性たちに『掻爬(そうは)』をさせないことが一番いい。不妊になる一番の理由は、妊娠して「子供を産みたくない」っていって。『掻爬』のことなんていう?堕胎?堕胎する。あれを絶対に禁止すればいいんですよ。みなさん知らないけれど、不妊になるのはあの堕胎が原因です。『掻爬』といって、子宮の中を掻くわけですよ。だから、先生によっては傷を付けちゃう、子宮内に。そうすると絶対に着床しないんですよ。胸いっぱいサミット!ーより引用『掻爬』とは、人工妊娠中絶のために子宮内の胎児を体外に出す手術のこと。日本性教育協会によると、日本で行われている人工妊娠中絶は『掻爬法』のほか、金属の吸引器具やプラスチックの注射器型の簡易器具を使って手動で吸引する『吸引法』などの子宮内容除去術によって行われています。一方で、海外では、多くの国で薬を用いた人工妊娠中絶がスタンダードとなっているそうです。世界保健機関(WHO)は、『掻爬法』は子宮内膜を傷つけたり、子宮の壁に穴が開くなどのリスクがあり、「安全でない」「時代遅れの手法」として、直ちに薬による中絶など、ほかの方法に切り替えるよう勧告しています。しかし、日本では未だに中絶のための薬が認可されていません。こういった背景があったため、デヴィ夫人は「『掻爬』が不妊の原因」と発言してしまったのかもしれません。しかし、一般社団法人日本生殖医学会によると、女性の不妊症には排卵因子、卵管因子、子宮因子など、さまざまな原因があるそうです。中には原因が分からず、苦しい思いをしながら治療を続けている人もいます。デヴィ夫人、自身のブログで発言を謝罪同月28日、デヴィ夫人は自身のブログで、一連の発言について謝罪文を掲載しました。去る 10月24日に放送された 関西テレビ「胸いっぱいサミット」における 私の発言によって、不妊治療に当たっている方々、中絶せざるをえなかった方々等を 心ならずも傷づけてしまったり、不快な思いをさせてしまったことは残念であり 大変申し訳なく思っております。私は カソリック教徒だったため、中絶によってその方自身、または 周りの方々が 生涯取り返しのつかない後悔に 陥ってほしくないという 強い思いからの発言でした。言葉と表現が足りず、一方的な発言が先行した結果こうした事態を招いたこととなり、 深く反省しております。デヴィ夫人のオフィシャルブログーより引用一連の騒動についてネットからはさまざまな声が上がっています。・不妊治療を5年行い、ようやく双子を授かりました。こういった偏見がなくなってほしい。・番組での発言は許せないけど、「人工中絶によって人生を台なしにしてほしくない」という気持ちは分かります。・人工中絶に対する偏見が残っているのは、日本で未だに薬を用いた中絶などが進んでいないこともあると思う。もっと進んでほしい。もしかしたら、デヴィ夫人が番組で発言したように、不妊治療に対して偏見を持っていた人もいるかもしれません。デヴィ夫人の発言をきっかけに、不妊治療に対する正しい知識が多くの人に広まることを願います。[文・構成/grape編集部]
2020年10月28日「眞子さまにとって、20代最後の1年となりますが、小室圭さんとの結婚に向けて展望が見えているとはいえません」そう語るのは皇室担当記者。秋篠宮家の長女・眞子さまは10月23日に29歳の誕生日を迎えられた。「小室さんとの出会いから、すでに8年以上もの歳月が経過しています。眞子さまにとって小室さんは、20代のほぼすべてを捧げてきたお相手。ほかの男性との結婚は、もはや選択肢として考えられない状態になってしまったといえます」一方で、小室家が抱える金銭トラブルにも進展は見られない。「アメリカで小室さんは猛勉強に励んでいるようですが、むしろ自分の夢ばかりを追いかけ、やるべきことを放置している印象です。内親王の結婚相手として、小室さんを認めていいのか――。宮内庁、そして皇族方からもそういった声は絶えないのです。眞子さまの周囲には、結婚を応援する声は“ゼロ”といっても過言ではありません」(前出・皇室担当記者)そんな中で眞子さまは、秋篠宮ご夫妻、佳子さまとご一緒に公の場にお出ましになった。10月17日、中曽根康弘元総理の内閣・自民党合同葬儀である。開催費に9,600万円もの国費が使われたこと、文科省が国立大学に弔意の表明を求めたことなどが物議を醸しているこの合同葬儀。葬儀委員長は菅義偉首相が務めていた。「たしかに過去の首相経験者の合同葬儀にも皇族方が出席されてきましたが、今年はコロナ禍のさなか。ご公務もリモートで行うなどの対策をしているなかで、政治色の拭えない合同葬儀は優先して出席すべき催しだったのでしょうか」(宮内庁関係者)眞子さまがお生まれになったのは中曽根氏が首相の座から退いた4年後。それにもかかわらず眞子さまが中曽根元首相の合同葬儀に参列された裏には、何らかの事情があるのではないかと語るのは、皇室ジャーナリスト。「眞子さまはもうすでに、小室さんとの結婚式を見据えて動きだされているのではないでしょうか」秋篠宮さまは以前から眞子さまに、結婚について『何らかの説明』を国民にするよう求めている。「11月の立皇嗣の礼が終われば、眞子さまは改めて“結婚宣言”をなさるはずです。つまり、小室圭さんと結婚したいという意思は決して変わることはないと明言するということです。そうなれば、眞子さまのお気持ちを『できる限り尊重したい』とおっしゃっている紀子さまも、これ以上お二人の結婚を阻止することは難しくなります。ただ、仮に秋篠宮ご夫妻を説得して結婚にこぎつけても、国民の反発は必至。そこで眞子さまは、菅首相に頼ることを思いつかれたのではないでしょうか」皇族の結婚式では、首相が祝辞を述べる慣例となっている。黒田清子さんの結婚式では小泉純一郎元首相、高円宮家の典子さん、絢子さんの結婚式では安倍晋三元首相が祝辞を述べている。「菅首相は就任直後、報道各社の世論調査で7割前後の支持率を獲得しています。強権的な政治手法に批判は絶えませんが、新元号を発表した“令和おじさん”に親しみを持つ国民が多いのも事実です。まずは婚約決定の際に好意的なコメントを出してもらい、さらに披露宴で皇族以外では主賓格となる菅首相の祝賀スピーチが実現し、結婚に“お墨付き”がもらえれば、国民の反対の声も鎮まるのではないか――。眞子さまはそうお考えになっているのかもしれません」そんな眞子さまにとってただ一人の“援軍”と呼べる存在が、中曽根元首相の合同葬儀にも一緒に参列された佳子さまだ。佳子さまは10月10日、「国際ガールズメッセ」のプレイベントにオンラインで参加し、次のようなメッセージを送られた。「今後、ジェンダー平等が達成され、誰もが人生の選択肢を増やすことができ、自らの可能性を最大限生かしていけますように、そしてそれが当たり前の社会になりますようにと願っております」前出の宮内庁関係者は佳子さまのスピーチを、次のように評価する。「女性天皇が認められていないように、皇室は決して男女平等とはいえません。皇室の一員という立場で社会のジェンダー平等を訴えられたことは、勇気ある発言だと思います。これまでの皇族は穏やかな表現を用いることが多かったですが、ストレートにご自身の考えを伝える、佳子さまらしいスピーチだと感じました」佳子さまは以前、眞子さまの結婚について賛同するコメントを残されていた。「個人の自己決定権を重視するメッセージは、佳子さまが昨年、眞子さまの結婚について『姉の一個人としての希望がかなう形になってほしいと思っています』と述べられたことと重なります。やはり佳子さまは、眞子さまの結婚を強く応援されているのでしょう」(前出・宮内庁関係者)「女性自身」2020年11月3日号 掲載
2020年10月23日10月17日、秋篠宮ご夫妻と眞子さま、佳子さまが、中曽根康弘元総理の内閣・自民党合同葬儀にそろってお出ましになった。この合同葬儀には、さらに常陸宮さま、三笠宮家の信子さま、高円宮家の久子さま、承子さまも参列されたのだが、宮内庁関係者は次のように語る。「これほど多くの皇族方が参列されたことには、いささか驚いています。たしかに過去の首相経験者の合同葬儀にも皇族方が出席されてきました。今回も主催者から各皇族方に案内があり、個別に判断されたようです。しかし、これまで新型コロナの感染拡大を防ぐために皇族方は外出を伴う公務を控えてこられましたし、美智子さまは宮内庁病院以外にはいっさい外出されていないほどです。政治色の拭えない合同葬儀が優先して出席すべき催しとは思えません。とくに秋篠宮家は、未成年の悠仁さま以外の“家族総出”で参列されなくてもよかったのではないでしょうか」この合同葬儀自体も、招待客が当初の4,000人から1,400人まで6割以上も削減されている。また、開催費に9,600万円もの国費が使われたこと、文科省が国立大学に弔意の表明を求めたことなどが物議を醸していた。葬儀委員長は菅義偉首相だ。「秋篠宮ご夫妻としては、菅政権との関係構築を図りたい思惑もあるのではないでしょうか。政府は年内にも、安定的な皇位継承についての議論に着手する予定です。そこでは女性天皇の是非についても議題に上ります。悠仁さまが天皇に即位できるかどうかは、菅首相にかかっているともいえる状況です」(前出・皇室担当記者)菅首相は最近、皇位継承問題について注目すべき発言をしている。10月13日に自民党の保守系グループ「日本の尊厳と国益を護る会」と会談し、「男系による継承が古来、絶えることなく続いてきた重みを踏まえる」との考えは「いささかも変わっていない」と述べたのだ。ただ、菅首相は’05年には新聞のアンケートに女性天皇賛成との回答を寄せている。また’19年10月には皇族数の減少について「先延ばしにできない重要な課題」と述べていた。現在の“男系継承”の限界を認識していたはずだが……。歴史学者で静岡福祉大学名誉教授の小田部雄次さんは、菅首相の発言について、次のように分析する。「11月8日の立皇嗣の礼を前にこうした男系優先の発言をしたのは、安倍政権の路線を継承することで、総理としての自己保身を図るためにも見えます。自民党内には二階氏、河野氏、石破氏など、女性天皇や女系天皇容認の容認論を唱えている人物もいます。一方で男系維持を求める勢力は危機感を持っており、首相は彼らにも配慮する姿勢を見せる必要があったのでしょう」「女性自身」2020年11月3日号 掲載
2020年10月23日不妊治療を選択する夫婦は、年々増加している。厚生労働省の統計によると、夫婦5.5組に1組が何かしらの不妊治療を経験。体外受精で生まれた子どもの数も増加しており、’18年には過去最多の5万6,979人となった(日本産科婦人科学会)。同年の総出生数は91万8,400人で、16人に1人が体外受精で生まれた計算になる。そんななか、菅義偉首相は2年後をめどに、不妊治療を保険適用の対象にする方針を明言した。妊活相談サービス「ファミワン」の不妊症看護認定看護師の西岡有可さんは現状をこう説明する。「現在、不妊治療のほとんどは保険適用されない自由診療。1回数十万円という治療費がかかることもあり、不妊に悩む夫婦の大きな負担となっています。助成金制度もありますが、所得や年齢などの制限があるため使える人は限定的。貯金を取り崩したり、親の援助を受けていたりする夫婦が大半です」不妊治療は保険適用の範囲が狭く、高額な治療費がかかる。妊娠までに何年も治療して、“家が建つ”ほどお金を使うケースも。保険適用化は子どもを望む多くの夫婦にとってうれしい改定だろう。西岡さんのところには、「これまでのような治療が受けられるのか」「保険適用されるまで治療を待ったほうがよいのか」などの相談が増えているという。「体外受精は医療の技術差が大きいだけに、どの病院でも同じレベルの治療が行われるようになるのを期待する声はあります。しかし、2年後の保険適用を期待して治療を先延ばしにするよりは、少しでも妊娠の可能性が高いうちから治療に取り組んだほうがいいでしょう」一方、日本産婦人科医会の宮崎亮一郎常務理事は「喜んでばかりもいられない」と懸念する。「現在、保険診療と自由診療を同時に行うこと(混合診療)は認められていません。保険診療で認められる治療は画一的なもの。自由診療なら可能な、一人ひとりに合った治療法を選ぶということはできなくなり、これまでより出生率が下がる可能性があります」「女性自身」2020年11月3日号 掲載
2020年10月22日高額な治療費がかかる不妊治療。保険適用化は一見喜ばしく思えるが、実施にあたっての課題は山積みだ。見過ごせない懸念を、現場の専門医に聞いたーー。不妊治療を選択する夫婦は、年々増加している。厚生労働省の統計によると、夫婦5.5組に1組が何かしらの不妊治療を経験。体外受精で生まれた子どもの数も増加しており、’18年には過去最多の5万6,979人となった(日本産科婦人科学会)。同年の総出生数は91万8,400人で、16人に1人が体外受精で生まれた計算になる。そんななか、菅義偉首相は2年後をめどに、不妊治療を保険適用の対象にする方針を明言した。不妊治療は保険適用の範囲が狭く、高額な治療費がかかる。妊娠までに何年も治療して、“家が建つ”ほどお金を使うケースも。保険適用化は子どもを望む多くの夫婦にとってうれしい改定だろう。だが、年間5,000件以上の体外受精を行っている浅田レディースクリニックの浅田義正先生は、問題点をこう話す。「保険診療によって患者さんの費用負担が軽くなるのは喜ばしく、私も大賛成です。しかし“体外受精は一律でこの点数(金額)”と決められたらどうなるでしょうか。体外受精にも施設ごとにいろいろな方法があり、結果もピンキリ。それを一律何点、とすることは、高級料亭でも屋台でも、食事は1回いくらと決めるようなものです。そうすると、飲食店はおいしいもの、良質なものを提供するのではなく、その料金に合わせた料理をつくるようになります。クリニックにおいても、1回の治療の売り上げが同じなら、治療数を多く、原価を安くすることが利益につながる。その結果として、手間や費用をかけない“手抜き治療”が横行し、妊娠率の低い治療を繰り返し行い、何度も通わせるクリニックが増える可能性は否めません」保険適用によって、母体に危険な負担を強いることになるのだ。現在不妊治療に使われている薬剤が使えなくなってしまう可能性もあるそう。「あまり知られていないのですが、治療に使える薬剤にも制限がかかるかもしれません。保険適用になれば、体外受精で使用する培養液や機材などの適応認可も必要となります。そのための治験には莫大な費用と時間が必要です。すると、現在使用されている薬剤の適応認可が下りない、遅れるということも考えられ、保険適用範囲で治療している期間は使いたい薬剤が使用できなくなる可能性も出てきます。その結果、今までどおりの治療が受けられなくなる場合も」人材不足の問題も今以上に深刻になるという。「培養室は不妊治療の根幹ですが、胚培養士を育てる公的な育成機関はほとんど機能しておらず、院内で育てる必要があります。クリニックの収入は治療費しかないので、その教育費用は患者さんからいただく治療費から捻出することになります。しかし、その育成費用などを考慮しない点数設定をされてしまうと、スキルのある人材を育てる資金がなくなり、クリニックのレベルが大きく下がりかねません」保険診療では結果が出る治療が受けられないとなれば、結局、患者は自由診療での治療に頼らざるをえなくなる。だからといって、どのクリニックがよいのかなどの情報を得るのは、ますます難しくなるという。「保険制度の原則は“日本全国どの施設でも、同一料金で、同一レベルの治療ができる”。そのため、どこの病院がよい、悪いという情報は逆に出てこなくなります。たとえば、現在保険適用されている病気の治療について、医療機関ごとの成績が開示されているでしょうか?」国際生殖補助医療監視委員会が’16年に作成したレポートによると、日本における体外受精の実施数は世界1位。しかし、体外受精による出産率(1回の採卵あたり)は世界最低レベルだ。浅田先生はその理由を「効率の悪い体外受精が繰り返し行われているため」と説明する。「体外受精で妊娠に至る受精卵を得るには、35歳まででも平均14〜15個の卵子が必要です。そのため、海外ではホルモン剤を使用して1度の採卵で多数の卵子をとる方法が一般的。しかし、日本ではホルモン剤を使用せず、1度の採卵で卵子を1〜2個だけとる自然周期採卵が多く行われています。採卵は月1度しかできないので、15個集めるには1年以上かけて、何回も採卵をする必要が。この治療法なら医師の知識や技術、経験が浅くてもできるため、不慣れな医師を雇っても多数の患者さんを受け入れられる。だから今も多く行われているのです。こうした経営効率を重視した治療が保険適用の基準となることで、結果につながらない体外受精が増えるのではないかという点も、危惧しています」イギリスの国立医療技術評価機構(NICE)のガイドラインでは、《自然周期採卵はメリットがないので勧めてはいけない》と明記してある。「結果につながる治療に対して公的資金を投入するべきではないでしょうか。混合診療も視野に、同一料金で同一レベルの医療が受けられ、さらに高度な最新治療は患者さんの選択によって自由診療で受けられるようになるなど、保険と自費の線引きがうまくできればよいのですが……」不妊治療の保険適用、手放しでは喜べなさそうだ。「女性自身」2020年11月3日号 掲載
2020年10月22日「『首相動静』によれば、10月14日・15日と、2日連続で新原浩朗氏は菅義偉首相と対面しています。実は新原氏の名前が『首相動静』に記載されるのは、ほぼ50日ぶりのことで、菅政権が発足してから初めてのことなのです」そう語るのは、全国紙の政治部記者。女優・菊池桃子(52)が経済産業省の経済産業政策局長・新原浩朗氏(61)との結婚を発表してから、もうすぐ1年。だが2人にとって、この1年間の日々は実に目まぐるしいものだっただろう。「菊池は現在、NHK連続テレビ小説『エール』で主人公の母・古山まさ役を演じています。『エール』はコロナ禍により、一時期は収録中断を余儀なくされました。また今年6月には、アイドル時代から30年間所属した事務所からの独立を発表して話題を集めました」(芸能関係者)“将来の事務次官候補”とも報じられていた新原氏は、日本経済の回復策を模索し、多忙な日々を過ごすことになった。政治ジャーナリストの有馬晴海さんは次のように語る。「安倍政権では、経済産業省出身の今井尚哉首相補佐官のグループが政権の中枢で活躍していました。新原氏もそのグループの一員で、多いときには週に何度も官邸で安倍首相に面会していました。しかし9月16日に安倍首相が辞任すると、彼らは政権中枢から遠のくことになったのです」前述のように「首相動静」からも新原氏の名前は消えていた。また“経産官邸官僚の末路”“経産官僚に冬の予感”といった見出しの記事も目立つようになったのだ。前出の芸能関係者は言う。「“左遷”された夫が心配だったのでしょう。《明るくいよう。前進しよう。》(9月18日付)など、9月ごろの菊池のブログには自分や誰かを鼓舞するようなメッセージが目立っていました」9月19日、20日には《パワーをお裾分け》といった見出しで静岡県の湧玉池や山梨県の忍野八海の写真を掲載している。いずれも富士山にゆかりのある“霊池”で、有名なパワースポットだ。「ブログでは“去年の写真”と説明されていますが、もしかしたら鉄道旅行が趣味だという新原氏と訪れた思い出の場所でもあるのかもしれませんね」(前出・芸能関係者)菊池から夫への励ましはブログを通じてのものばかりではない。新原氏の実家は埼玉県内にあるが、近所の住人はこう語る。「先月(※9月)、新原さんと菊池さんが2人でこちらにお見えになりました。いまは介護施設にいる新原さんのご両親のお見舞いにいった帰りだったようです。『今後ともよろしくお願いします』と、桐箱に入った果物をいただきましたが、本当に仲がよさそうでほほえましかったですね」復活の兆しが見えているという新原氏だが、その陰には、老親を気遣ってくれ、元気を出してほしいと“パワスポ写真メッセージ”も送ってくれる新妻の“エール”があったのだ。「女性自身」2020年11月3日号 掲載
2020年10月22日「同性愛者を法律で守れば足立区は滅んでしまう」と発言をした足立区議・白石正輝議員(78・自民党)。10月20日に陳謝したものの、議事録から発言を削除するよう要請した。その行動が、再び非難されている。白石議員は先月25日に開かれた足立区議会の定例会で、少子化について言及。その際、LGBTに言い触れ「レズとゲイについてだけは、もし足立区に完全に広がってしまったら足立区民がいなくなってしまう」「法律で守られているじゃないかなんていうような話になったんでは、足立区は滅んでしまう」と持論を展開した。白石議員の発言が報じられると、「同性愛差別だ」との声が相次いだ。またTwitterでは「♯私たちはここにいる」というハッシュタグのもと、《何も滅ばせないし、幸せの形がもっと増えて欲しいな》《絶対に滅ばない。なんなら新しい世界を作ってく》と「同性愛で足立区が滅びる」発言への反論が集まっている。そんななかで今月20日、白石議員は区議会本会議に登場した。各メディアによると「差別的な発言と受け止められる表現があり、不快な思いをした方、傷つけた全ての皆様に対しておわび申し上げる」と陳謝。そして白石議員の要望があり、問題となった発言が議事録から削除されることになったという。「白石議員の所属する自民党といえば、安倍政権下で行われた『桜を見る会』に関する公文書の改ざんや廃棄を行っていたとして非難されていました。また野党の追及が始まった途端、議員らは公式サイトやブログから『桜を見る会』の関連個所を削除。さらに菅義偉首相(71)も自身の著作を改訂するにあたり、公文書の重要性を訴える箇所を削除しています。都合の悪いことをすぐ“なかったこと”にするため、『自民党は歴史を軽視している』との揶揄もあります」(全国紙記者)白石議員の削除要請に、ネットでは「自民党らしい」と呆れる声が上がっている。《他者を攻撃し煽るためにはどんな暴言もしてよくて都合悪くなったら記録を削除、というのが自民党の党是なんだな》《都合が悪ければ無かったことにしてはいおしまい。自民党の十八番ですね》《終始一貫した自民しぐさ》また、削除を許可した区議会に対しても《議会ぐるみでなかったことにするのか》《あくまで議事録として残すべし。足立区議会は発言を無かったことにしてはいけない》《議事録から発言ホイホイ消しちゃうような議会の方が余程足立区滅ぼしそうだがな》と厳しい声が相次いでいる。
2020年10月21日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「菅内閣誕生」です。なぜ改革が必要か、目的と理由の情報公開も求む。安倍総理が病気を理由に退陣。9月16日、自民党の菅義偉総裁が、第99代内閣総理大臣に指名され、菅内閣が発足しました。就任の記者会見ではデジタル化強化のために新しくデジタル庁を創設することや、少子化対策として不妊治療の保険適用を実施したいと発言しました。安倍政権の流れを汲み、継承していくのは安全保障政策や自衛隊のあり方、憲法改正など。菅さんは外交経験は少ないため、ロシアのプーチン大統領など、前総理がこれまでに積み上げてきた信頼関係を生かし、体調が回復し次第、安倍さんが外交特使として派遣されるのではないかと注目が集まっています。特にいまは、アメリカと中国が牽制し合っている最中なので、前任者に託すというのは、いい対策なのではないかと思います。一方、内政に関して菅内閣は、積極的に改革を行おうとしています。安倍さんとの大きな違いは、菅さんは世襲政治家ではなく無派閥ということ。会見でも「行政の縦割り、既得権益、悪しき前例主義を打ち破り、規制改革を全力で進める」と断言していました。前政権では、成長戦略が道半ばで終わってしまったので、これからは民間の参入を積極的に打ち出すことになりそうです。政府内でもベンチャー企業が活躍できるかもしれないという期待は、企業家の間に高まっています。また、官邸人事は強化されるでしょう。内閣の方針に沿う人は重用するけれど、抵抗する人は容赦なく切るという傾向は今後も続きそうです。9月には「日本学術会議」が推薦した候補者のうち6名の任命を見送りました。その理由が不明だという声が上がりましたが、明確な説明はなされていません。パンケーキ好きなど、柔らかいイメージのメディアプロパガンダも効いて、就任時には74%と高い支持率を集めました。しかし、改革により、特定の産業や企業、一部の富裕層や企業家にのみ利益がもたらされ、弱者が切り捨てられることになってはいけません。「誰にとっての改革なのか」ということは見失わないでほしいと思います。また、なぜ改革が必要なのか、目的と理由に関するしっかりとした情報公開はぜひ求めたいところです。ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。監督2作目となる映画『わたしは分断を許さない』が公開中。※『anan』2020年10月28日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2020年10月21日国内の科学者を代表する機関である日本学術会議が推薦した新会員候補のうち、6人を菅義偉首相が任命しなかった問題が波紋を広げている。日本学術会議の「会員」を務め、現在も「連携会員」である上野千鶴子さん(72)はこの問題をどう考えているのか。「今回の任命拒否問題には、怒り心頭というよりも、学問の自由が脅かされることに強い危機感を持っています。これまで日本学術会議は、政権に対して耳の痛いことを言ってきましたから、“潰したい”という意図があるのだと思います」今回、任命拒否された6人は、安倍政権下で安全保障関連法や“共謀罪”に反対の立場をとった学者たちだ。以前から政府の意に反する学者は排除しようという動きはあったと上野さんは語る。「たとえば、自民党の杉田水脈議員は『慰安婦問題は捏造だ』と主張して、研究する学者たちを攻撃しました。さらに、ジェンダー研究など自分が敵視している研究に対して、『科研費(予算)を助成することは問題だ』と繰り返し発言。要は政権の方針に反するような研究はするなと考えているのです」2018年に杉田議員はツイッターでこんなツイートをしている。《国益に反する研究は自費でお願いいたします。学問の自由は大事ですが、我々の税金を反日活動に使われることに納得いかない。そんな国民の声を受け止めてください》中傷を受けた4人の学者が原告になって杉田議員を提訴、こんな内容の声明を出した。<杉田議員は、私たちに対して「反日」というレッテルを多用し、さらには「国益を損ねる」研究に科研費を助成することは問題であると繰り返しています。自らの偏った価値観から「国益」とは何かを決め付けること自体問題ですが、その上にそれを理由に学問研究に干渉・介入することは、学問の自由を保障する民主主義国家において許されません>杉田議員は性暴力被害を訴えたジャーナリストの伊藤詩織さんを「女として落ち度がある」「仕事が欲しいという目的で…男性のベッドに半裸で潜り込むような事をする女性」などと中傷し、今年8月に伊藤さんからも提訴されている。さらに9月には自民党の部会で、女性に対する性暴力に関連して「女性はいくらでもうそをつける」と発言し、党内からも批判を受けた。このように杉田議員は“性暴力に抗議の声を挙げる女性”を一貫して攻撃し続けてきたのだ。また、LGBTのカップルを「子どもを作らない、つまり『生産性』がない」と主張したこともある。上野さんはこんな危惧をしている。「私が活動してきた日本学術会議のジェンダー関連分科会では、刑法改正への提言で性犯罪の成否に“同意の有無”を加えることや、性的マイノリティの権利保障などを提言してきました。万が一、杉田議員が総理大臣や官房長官になったらどうでしょう。彼女のような人物が、人事に介入してくることになったら、ジェンダー研究者も学術会議から放逐されるでしょう」今回のような学問に対する政治の不当介入を見過ごし前例としてしまえば、ある学問分野を敵視する政治家が人事権を握ったときに、歯止めがきかなくなるおそれがあるのだ。政府が日本学術会議を敵視する理由のひとつに「軍事研究」の問題があると上野さんは指摘する。日本学術会議は“戦争を目的とした科学研究”には協力しないという方針を70年間貫いてきた。一方、政府は2015年に、“防衛装備品”の開発に役立つような研究に研究費を出す「安全保障技術研究推進制度」を創設した。「政府の意に反する研究をしている者には予算もポストも与えないようにする一方で、このような研究にはお金を出していく。こうして、政府の望む方向に研究者を誘導していくのでしょう。学問への政治介入は、今後さらに露骨になっていくはずです」上野さんはこの問題が学者だけの問題ではないと、警鐘を鳴らす。「たとえば、家父長制という言葉、ジェンダーという言葉、ドメスティックバイオレンス、セクシュアルハラスメント……。これらは学問を通して日本語に定着していった言葉です」これらの言葉が、それまで“あたり前”とされていた女性への差別や暴力を可視化した。「私たちジェンダー研究者は、調査し、研究し、データをまとめて、有無を言わさぬ形で社会を説得してきました。学問によって社会を変えてきたんです」男女平等だけではなく、言論の自由も、民主主義の発展にも、学問は大きな役割を果たしてきた。しかし、学問の自由が阻害されることによって、そうした流れが停滞したり、場合によっては後退してしまうことになりかねない。「この問題を見過ごすと、あなたの自由がなくなり、言いたいことが言える社会ではなくなるかもしれない。決して対岸の火事だと思わないでください」そう力強く語った上野さん。学問は政権のためではなく、私たちのために存在するのだ。【PROFILE】上野千鶴子社会学者。東京大学名誉教授、認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。女性学、ジェンダー研究のパイオニアであり、指導的な理論家のひとり。近年は高齢者の介護とケアも研究テーマとしている。「女性自身」2020年11月3日号 掲載
2020年10月21日「今回の任命拒否問題には、怒り心頭というよりも、学問の自由が脅かされることに強い危機感を持っています。これまで日本学術会議は、政権に対して耳の痛いことを言ってきましたから、“潰したい”という意図があるのだと思います」こう語るのは、2005年〜2014年までの9年間、日本学術会議の「会員」を務め、現在も「連携会員」である上野千鶴子さん(72)だ。国内の科学者を代表する機関である日本学術会議が推薦した新会員候補のうち、6人を菅義偉首相が任命しなかった問題が波紋を広げている。10月14日、自由民主党は日本学術会議のあり方を検討するプロジェクトチームの初会合を開催した。問題の核心である任命拒否については議論せず、民営化を含めた組織改革について話し合った。これには「論点ずらし」という声が……。そもそも日本学術会議とは、政府から独立した「国の特別機関」。行政や国民の生活に科学を反映させる役割を担っていて、会員の任期は6年となっている。だが、推薦方式の改革直後に選ばれた、上野さんを含む20期(2005年〜)のメンバーのみ、例外的に9年の任期を務めている。「私もジェンダー研究の専門家として、さまざまな提言や報告の取りまとめに関わってきました」上野さんが関わってきた日本学術会議のジェンダー関連分科会では、選択的夫婦別姓や男女共同参画社会に向けた民法改正、性暴力を防ぐための刑法改正についてなど、2003年から現在までに、さまざまな提言や報告、要望などを19本も発表してきた。「学者の提言ですから、出典もデータも学術論文並みの精緻さで、ものすごく手間をかけて作成されたものばかりです。しかし、提言や報告がどのように生かされるかは、時の政権次第です」日本学術会議が出す提言や要望には強制力はない。受け入れるかどうかは政治の選択だ。「たとえば、学術会議は選択的夫婦別姓を含む民法改正への提言を発出しました。選択的夫婦別姓は、民主党政権で福島瑞穂さんが男女共同参画担当大臣になったときに実現できるのではないかという機運が高まりました。これは法律を変えたら済む話で、予算措置は0円ですから、やる気さえあればすぐにできるんです。しかし、福島さんは普天間基地移設問題で、閣内不一致で政権を離脱しました。結局、今に至るまで選択的夫婦別姓は実現していません」一方、日本学術会議が行った要望や提言が社会に大きく変える例もある。近年では、たばこ規制に関するものが象徴的な例だという。たとえば2008年3月、職場や公共機関での分煙、たばこの販売方法の規制などを盛り込んだ「脱タバコ社会の実現に向けて」という「要望」を日本学術会議は政府に提出した。「要望」は「政府及び関係機関等に実現を望む意思表示」として「勧告」よりも強い位置づけになっている。「発がん性リスクや医療費コストなど、さまざまなデータを積み上げて根拠にした完璧な“要望”でした。もちろん、喫煙者の多い政治家側からは抵抗もありましたが、明確なエビデンスで示されれば、文句のつけようもない。日本学術会議が過去に行ってきたもののなかでも、もっとも影響力があったもののひとつでしょう」日本学術会議の要望は法律や政策に取り入れられ、現在の分煙社会ができあがった。こうして、非喫煙者や未成年者は大きな恩恵を受けたのだ。一方で、上野さんが会員になった2005年ごろにはすでに、政府は日本学術会議を敬遠するような傾向があったという。政府が日本学術会議に対して、学問的な見地にからの「答申」を求める「諮問」は2007年を最後に長らく行われていない。「審議会方式といって、御用学者を集めて政府が望むとおりに結論を出させて、“議論を尽くした”としてしまうようなやり方のほうが都合がいいんでしょう。われわれは政府の望む通りの結論を出すとは限りませんから」今回の問題が報じられて以降、政権に近い“有識者”や与党議員は、日本学術会議のことを「学者の利権団体」「ここで働くと年金を貰える」と喧伝してきたが、実態は大きく異なる。「日本学術会議の会員は委員会に出席すると、手当が出ます。会長で28,800円、副会長で26,400円、部長級で22,300円、一般の会員で19,600円となっています。これは1日あたりの金額で、たとえ1日に複数の会議に出席したとしても増額されることはありません」(日本学術会議の事務局の担当者)手当が発生するのは、事務局が承認した「委員会」に出席した場合のみで、会員が自主的に集った研究会や、提言作成のために行う調査や研究などに対しては、手当が発生することはない。「私が会員のとき、日本学術会議から支払われる手当は会議に出席した月に限り2万円以下でした。交通費は実費支給されますが、予算不足から辞退を求められることもありました。提言を作成する仕事は、ほとんどボランティアと言っていい」現在も予算はひっ迫していて、手当や交通費の辞退を求められるという状況は続いているという。過去には、学術における男女共同参画の実態調査のために大量の統計調査を実施しなければならないことがあったが、日本学術会議から出た予算はゼロ。科研費の研究と抱き合わせたり、自分の大学の研究費から捻出したりして苦労したという。担当した研究者への報酬はなく、みなボランティアで報告書をまとめた。もちろん、日本学術会議で働いたからといって、年金が出るということもない。「こうして膨大な時間を要してまとめたものは、すべて分科会、研究会の名前で提出されますから、自分の業績リストに載せることができません。つまり、出世を考えるなら、自分の研究論文を出した方がいい。多くの会員は、お金ではなく“使命感”で仕事をしています。批判的な意見をおっしゃる方々は、会員になられた学者たちが、どのような仕事をされているのかをご存じないのでしょう」守旧的な団体と思われがちだが、日本学術会議は時代の変化にも柔軟に対応してきた。「2005年に会員の選抜方式を、学会が会員を推薦する方式から、会員が会員を推薦する方式に変えました。その結果、女性会員の比率は6.2%から20%にまで急増しました。現在の女性会員の比率は30%を超えています」日本学術会議について、「年金が貰える」などのほかにも、「中国が国外の研究者を招致する『千人計画』に協力している」や「反日的な研究をさせている」などの噂が広められた。どれも根拠のないデマだということが判明しているが、なかには自民党の議員が広めたものもある。実態を知ろうともせず、デマに踊らされるような人たちが、日本学術会議という政府から独立した機関に介入しようとしていることに、上野さんは強い危機感を抱いている。【PROFILE】上野千鶴子社会学者。東京大学名誉教授、認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。女性学、ジェンダー研究のパイオニアであり、指導的な理論家のひとり。近年は高齢者の介護とケアも研究テーマとしている。「女性自身」2020年11月3日号 掲載
2020年10月21日菅義偉首相(71)の著作「政治家の覚悟」の改訂版が10月20日に発売された。しかし、「政府があらゆる記録を克明に残すのは当然」との記述があった章などを削除しており、その改訂を疑問視する声が上がっている。各メディアによると、12年3月に刊行された同著で菅首相は旧民主党政権が東日本大震災時に議事録を残していなかったことを批判。「政府があらゆる記録を克明に残すのは当然で、議事録は最も基本的な資料です。その作成を怠ったことは国民への背信行為」などと記述していたが、改訂版では削除されているという。菅首相は、同年1月にも同様の内容をブログにつづっている。「議事録も作成しない『誤った政治主導』」というタイトルの記事で、単行本同様に旧民主党政権を批判。そして「東日本大震災に対応するために立ち上げた多くの会議で議事録が作られていないというずさんな実態が、次々と明らかになりました」とし、こうつづっている。「公文書の作成は、政党の主義主張とは全く関係のない、国家運営の基本です」「民主党政権のが自らの失敗を隠そうとしたと疑われるのは当然です」(原文ママ)「政策決定過程の多くは非公開で議事録も作成されず、『密室政治』となっています」先ごろの安倍政権下では、“国民への背信行為”が続いていた。コロナウイルス対策での専門家会議の議事録を作成していないことが判明し、さらにモリカケ問題や「桜を見る会」を筆頭に公文書の改ざんや廃棄までも発覚している。そんななかで今年1月、官房長官だった菅首相は公文書のずさんな運用について「担当者の対応意識が少なかったのではないか」と発言している。かつては、公文書管理の重要性を説いていた菅首相だったがーー。ネットでは、厳しい声が上がっている。《自著さえも削除改ざんしてるの草》《自分が主張したことですら責任を取れない》《自分の歴史まで改ざんするとは……》《自著でも改竄・隠蔽をやるんだな。徹底している》ブログのタイトルは「意志あれば道あり」。そして、著作のタイトルは「政治家の覚悟」。今回の“改訂”にも、菅首相の意志や覚悟が反映されているのだろうか。
2020年10月20日「これを『ウィズコロナ時代の新しい働き方の選択肢』といえば聞こえはいいでしょうが、れっきとした『リストラプラン』。つまり、体のいい“肩たたき”手段のひとつといえるんです」企業の経営事情に詳しい経済評論家の加谷珪一さんが、こう話す。みずほフィナンシャルグループ(以下、みずほFG)は10月7日、希望する社員が「週休3〜4日」で働ける新制度を12月から導入することを発表した。土、日以外の毎週決まった曜日を「休日」にできる働き方で、「週休3〜4日制」を採用するのはメガバンクで実質、初めてだという。社員約4万5,000人から募る希望者のメリットを「資格取得や大学、各種スクールの就学などで知識やスキルを磨ける」とするが……。「一見、働き方改革、コロナ禍のテレワーク促進など、社会情勢を反映したようにみえますが、本音は膨らみすぎた人件費の削減、つまり『中高年をメインターゲットにした給与カット』であることは明白です」(加谷さん)各銀行は事務作業のAI(人工知能)化が進み、少子化による人口減で利用者は減り、業務自体が縮小される流れであるという。「メガバンクは海外展開を進め、国内の運営スリム化が急務ですが、規模が巨大な『みずほFG』は整備が追いつかず余剰人員の見直しをせざるをえないんです」同社の希望者は、「週休3日」となれば、基本給が現状の「80%」に、「週休4日」ともなると「60%」まで減ることになる。「他行もこの動きに追随する可能性が高く、’21年度初頭あたりから導入するかもしれません。さらに、この流れは他業種にも波及していくでしょう」たとえば、菅義偉首相が「料金の引き下げ」を要求している携帯電話各社などはその筆頭だという。9月末、NTTがドコモを完全子会社化すると発表したが、携帯業界も少子化で急激に国内市場が狭まり、利用者の奪い合いに。「ドコモは全国のドコモショップの出店数を減らす流れです。するとドコモから請け負ってショップを営業する下請け会社はリストラの対象となります。大企業がグループを一本化、スリム化することはリストラの第一歩になり、取引のある中小企業に影響していくんです」さらに、東京オリンピック特需が一段落した建設業や、自動車販売業など多業種にわたって影響は必至だという。「今回の流れで親会社がリストラを始めると、そこから仕事を受注している下請けの中小企業は値引きを要求されるでしょう。結果的に中小企業も、社員の給与カットや人員削減をしなければ、生き残れなくなる。国内の多くの業種の会社員に影響が出ることは避けられません」「女性自身」2020年10月27日号 掲載
2020年10月16日お笑いコンビ・ロザンの宇治原史規と菅広文が7日、YouTube公式チャンネル「ロザンの楽屋」に出演。「できない人に限って○○を言わない」と題した動画内で、“仕事ができない人”の特徴を語った。「タクシーって全部の仕事の集大成やなっていう感覚があって。いわゆる仕事ができる人、仕事ができない人が分かりやすいし、色んなことが集約されてるなっていう感覚があるんですけど」と話し始めた菅。“仕事ができない人”は、「道が分からないということじゃなくて、道が分からないことを言わない人」だと言うと、宇治原も、「同感です。すごく分かります」とうなずいた。菅は、乗客からすると、「道が分かってるのか分からないのかが、分からない。道が分かってないなら、言ってもらった方が助かる」が、「道が分からないことは言いたくない」と“仕事ができない人”の特徴を説明。「やっぱりどの仕事でも初めてってあるやんか。他の仕事でも、よく分かってない状態のときに、『僕、分からないんです』って言ってくれた方が教えられるやん」と、どんな仕事にも通じることだと熱弁した。ただ、「分からない」と正直に言った場合も、「怒る人がおる」とポツリ。「俺ハッキリ言うわ。20代を振り返ると怒ってた」と自省すると、宇治原は、「何の職種にしたって、お客さん側は『ちょっと分からないです』って表明されることに対して、できるだけ怒らないようにしようっていうのがひとつ。あと、職業をされる側は、怒る人もおるけどそこで委縮せずに、分からないことは分からないと伝えていきましょうっていう」と話していた。
2020年10月10日《最高権力者の説明であっても、分からないことは分からないと問い詰めるのがジャーナリストではないか。総合的、俯瞰的と言われて意味が分かった人は、日本に何人いるのだろう》ツイッター上でそう指摘したのは、法政大学教授の山口二郎氏だ。菅義偉首相(71)が日本学術会議の会員候補だった学者6人の任命を見送った問題で、政府側が乱発しているのが「総合的、俯瞰的(ふかんてき)」という表現だ。「総合的、俯瞰的活動を確保する観点から判断をした」10月5日に行われた“グループインタビュー”で、菅首相は6人の任命を行わなかった理由をこう説明した。このインタビュー中、菅首相は「総合的、俯瞰的」という言葉を5回にわたって繰り返した。加藤勝信官房長官(64)も定例会見で毎日のように「総合的、俯瞰的」という表現を使っているほか、10月7日の衆議院内閣委員会の質疑では三ッ林裕巳内閣府副大臣(65)ら政府側の答弁者が数十回にわたって乱発している。だが、この言葉がいったい何を意味するのかわからないという声が、ツイッター上で相次いでいる。格闘家の高田延彦氏(58)はこうツイート。《菅氏の総合的、俯瞰的に判断て、この説明じゃサッパリ分からないなー。》ほかにもツイッター上ではこんな声が。《「総合的、俯瞰的な活動を確保する観点から判断した」。抽象的で全く何の説明にもなっていない》《「総合的、俯瞰的」という具体性全くゼロで一切の判断根拠が不明の説明。説明責任をごまかしているだけ》■明確な意味があった「総合的、俯瞰的」10月2日の会見で、加藤官房長官は「総合的、俯瞰的」という表現は「総合科学技術会議の意見具申」に由来していると説明した。中央省庁改革の流れで、2003年2月に総合科学技術会議が出した「日本学術会議の在り方について」という具申書にこの表現はみえる。<日本学術会議は、新しい学術研究の動向に柔軟に対応し、また、科学の観点から今日の社会的課題の解決に向けて提言したり、社会とのコミュニケーション活動を行うことが期待されていることに応えるため、総合的、俯瞰的な観点から活動することが求められている>ここでいう「総合的」と「俯瞰的」の意味は、別の箇所を読めば理解できる。<人文・社会科学を含む総合的な視点><科学者コミュニティの総体を代表して俯瞰的な観点>日本学術会議は、一つの学問分野にとらわれない、さまざまな分野を含む“総合的”な観点と、個別の学会ではなく科学者全体を代表するような“俯瞰的”な観点から活動しなければならないということが、具申書で言われているのだ。つまり、「総合的、俯瞰的な観点」とは日本学術会議が活動する上で求められる学問的な姿勢ということになる。そして、そうした活動を実現するために、<日本学術会議は科学者コミュニティの総体を代表し、個別学協会の利害から自立した科学者の組織とならねばならず、在来の学問体系や諸学問分野の勢力図から離れて組織が構成され、メンバーも選出されるべき>とされている。■任命拒否の6人は“非常識な学者”?菅首相が「総合的、俯瞰的活動を確保する観点から」6人の任命を見送ったということは、この6人がこうした観点からの活動を阻害する存在であると首相が評価したということになる。たとえば、一つの学問分野に拘泥するあまりに他分野からの意見を妨げたり、特定の学会の利害しか考えないような学者ということなのだろうか。だが6人の経歴や過去の発言内容を見る限り、到底そのような“非常識な学者”であるようには思えない。また、日本学術会議の会員は「優れた研究又は業績」を有していることが条件となっている。首相による会員の任命が、日本学術会議の推薦に基づかなくてはならないとされているのは、「会員候補者が優れた研究又は業績がある科学者であり、会員としてふさわしいかどうかを適切に判断しうるのは、日本学術会議であること」(2018年内閣府文書)が理由とされてきた。つまり、候補者を学問的に評価する能力は、首相にはなく、日本学術会議にあるという立場を政府も取ってきたのだ。にもかかわらず、日本学術会議が優れた科学者であり会員としてふさわしいと判断した6人の候補者を、首相が一方的に学術会議の「総合的、俯瞰的な観点」を損なうような、科学者としての資質に欠けた人物であると評価することは許されるのか。そもそも首相はそのような“学問的な判断”を下す能力や権限を有しているのか。疑問は尽きない。■6人にある唯一の共通点政府が乱発する「総合的、俯瞰的」という言葉。政府側は詳細な説明を避けるための“便利な言葉”として使っているように見える。首相は個別の人事の詳細については明かせないというが、過去にしっかりと意味が定義づけられた言葉である以上、どのような人物が会員になると日本学術会議の「総合的、俯瞰的活動」が妨げられるのかを、今後のためにも明確にする必要があるだろう。少なくとも任命を拒否された6人の学者にそのような共通点は見られない。唯一、見られる共通点は、過去に安倍政権の政策を批判したことがあるということだけである。
2020年10月08日《自民党女性局長代理を拝命しました。吉川ゆうみ局長をしっかり支えていけるように、鈴木貴子局長代理と共に力を合わせて頑張ってまいります》10月7日、こうインスタグラムで報告したのは自民党の今井絵理子参院議員(37)。新たに局長に就任した吉川ゆうみ参院議員(47)をサポートすると、意気込みを表明した。菅義偉内閣が発足後の9月30日、参議院国会対策委員会副委員長に就任したことも報告していた今井氏。インスタグラムで《最年少であり、女性は私だけですが先輩議員のご指導の下、精一杯頑張ります》と意欲をのぞかせていた。今井氏は16年の参院選の比例区で、30万票以上を獲得して当選。当選1回ながらも19年には、“若手の登竜門”といわれる内閣府政務官に大抜擢。だが先月の安倍内閣解散に伴い、その任期は約1年で終えた。「今井氏が就いた政務官とは、省内の特定の政策や企画をサポートする役割。彼女は防災や女性活躍などを担当しました。副大臣の下にあたる役職で、官僚として最高階級である事務次官よりも高い立場です。ですが副大臣のように大臣不在時に代行するような権限はなく、若手議員が勉強のために就く役職だともいわれています」(社会部記者)新内閣が発足するやいなや、新たな役職が次々と与えられる今井氏。世間からは《実績は?》《功績とやらが見えてこない…》など、疑問の声が広がっている。いっぽう17年7月、橋本健元神戸市議との不倫疑惑が報じられた今井氏。いまだ不倫騒動でのイメージダウンは、払拭し切れていないという。「当時、今井氏の『一線は超えていない』といった釈明は物議を醸しました。その後、既婚者だった橋本氏は妻と離婚。さらに彼は政務活動費の架空請求が判明し、詐欺罪で起訴されました。今井氏は不倫を否定したものの、ブログで交際宣言。その後も淡々と活動を続けていますが、イメージ回復には至ってないようです」(前出・社会部記者)不祥事が発覚後、イメージを回復できるほどの大きな成果はあったのだろうか。「今井氏の活動は、講演会や意見交換会、応援演説が主のようです。得意の手話を生かした会話や通訳は、好評だといいます。ただ防災担当の政務官だった彼女は、昨年9月に台風15号で甚大な被害にあった千葉県内を視察。災害対策や危機管理を考える立場であるにもかかわらず、台風被害から1週間以上経っての到着でした。そして『現場の声を聞くのは大事だと思った』とコメントし、その発言の軽さに現地の住民も呆れ顔だったといいます。政務官1年目として、まだ勉強中の段階だったのでしょう」(前出・社会部記者)前政権で官房長官だった菅義偉氏(71)は、今井氏の政務官への起用について「適材適所の対応」と説明していた。果たして今回の人事も「適材適所」だったのだろうか。
2020年10月08日2020年9月29日、産油国であるクウェートのサバーハ・アル・アハマド・アル・ジャービル・アル・サバーハ首長(以下、サバーハ首長)が、治療先のアメリカで逝去。91歳でした。SNS上ではサバーハ首長と日本のつながりが話題となり、驚きと感謝の声が上がっています。復興援助として原油を無償提供してくれたクウェート訃報を受けて、菅義偉首相は談話を発表。哀悼の意とともに、次の事柄に対して深い感謝を表しています。サバーハ首長殿下は、2012年の国賓としての訪日を始め、首長御就任前も含め計7回訪日され、2011年の東日本大震災を始め、我が国で大規模災害が発生した際には、寛大で温かい支援の手を我が国に差し伸べるなど、我が国との関係強化に格別な配慮を払われてきました。首相官邸ーより引用『日本クウェイト協会』によると、2011年3月11日に発生した東日本大震災に際し、サバーハ首長は復興援助として原油500万バレルを日本に無償提供するよう指示したとのこと。日本の石油元売り会社が原油を受け入れ、その代金相当額である400億円を日本赤十字社に送金。ウェートからの復興支援金となったそうです。さらに、訪日した際にも追加支援を行っていました。また、2012年3月、クウェート国元首のサバーハ首長が国賓として訪日された際には、追加支援として、福島県小名浜市にあるアクアマリンふくしまに300万ドル(約2億4千万円)、被災地に200万ドル(約1億6千万円)が寄贈されました。(当時1ドル=約80円)日本赤十字社に寄せられた海外からの義捐金は、約1,002億円(2014年8月29日現在)といいますから、そのうちの4割をクウェートが一国で寄贈したということなり、支援の大きさに驚かされます。日本クウェイト協会ーより引用日本赤十字社に寄せられた、海外からの義捐金の4割もの寄贈を行っていたクウェート。ネット上は、改めて感謝を述べる言葉であふれています。・今初めて知りました…。謹んでご冥福をお祈りいたします。・多大なご支援に感謝いたしたします。・東日本大震災の際のご恩は、この先もずっと忘れません。訃報後、茂木敏充外務大臣は訪問先のクウェートで弔問。また、河野太郎行政改革大臣など複数の政治家が、東京にあるクウェート大使館を訪問しています。クウェートのサバハ・アハマド・ジャビル・サバハ首長のご逝去を悼み、大使館に記帳に伺いました。 pic.twitter.com/yfjPP0nftl — 河野太郎 (@konotarogomame) October 1, 2020 サバーハ首長の決断に、どれほどの日本人が救われたことでしょう。クウェートへの感謝の想いを忘れずにいたいですね。[文・構成/grape編集部]
2020年10月07日史上空前の超低金利が続く日本。今年4月には大手銀行の定期預金金利が0.01%から、0.002%に引き下げられた。そんななか、安倍晋三前首相の政策継承を掲げて、菅義偉新内閣が発足。ちまたでは「アベノミクス終焉で金利が上がる」なんてウワサも流れるが、本当に金利は上がるのか、そして家計にはどんな影響が及ぶのかーー。そこで「お金の知識は必ずその人を守ってくれる」と話す元国税局職員のライター・小林義崇さんに、家計防衛に欠かせない“金利の基本”を教えてもらった。【Q1】大手銀行の預金金利が同じなのはなぜ?「銀行は元々、お金をたくさん集め、そのお金に利子をつけて貸すことで利益を得ていました。だから、他行より高い預金金利をつけて、たくさんお金を集めたいと思うのが本来の姿です。ただ、集めたお金は銀行独自で保管しておらず、日本銀行(日銀)に預けています。となると、日銀が設定する金利の影響を受けて、銀行預金の金利が決まります。日銀の金利はどの銀行にも同じなので、結果として銀行の預金金利はどこも横並びになりがちなのです」【Q2】ネット銀行はどうして金利が高いの?「日銀の金利は同じなのですが、ネット銀行は店舗を構えず、従業員も少ないので人件費も安い。こうしたコストが低いため、大手銀行より預金金利を多少高くすることができるのです」【Q3】アベノミクスの「異次元の金融緩和」ってなに?「日銀が市中にあるお金の量を大幅に増やした施策です。出回るお金の量が増えると、企業などがお金を借りやすくなるため金利は下がり、逆にお金の量が減ると借りにくくなって金利は上がります。’13年4月、日銀の黒田東彦総裁が『お金の量を2倍に増やして社会にお金を回し、2年で物価を2%上げる』と宣言しました。結果、株価は上がりましたが、物価は上がらず。そのため景気がよくなった実感は少なかったのです」【Q4】「マイナス金利」ってどういう状態のこと?「銀行が日銀にお金を預けると、金利が付きます。これは私たちの銀行預金と同様です。ですが、’16年1月以降、日銀は銀行のお金を預かる際、預金の一部の金利をマイナスにしました。預けたら金利が付くのではなく、逆に金利分を徴収されるのです。日銀にお金を預けると損なので、銀行が手元のお金を積極的に貸し出し、社会にお金が回るようにするのを狙ってのことでした」銀行預金もマイナスになるの?「いいえ、マイナス金利は日銀と銀行間のこと。私たちの銀行預金がマイナス金利にはなりません」【Q5】菅新政権発足で金利は上がるの?「『金利が上がる』という専門家もいるようですが、私は現状維持だと考えます。金利は景気がよくなると上がるものですが、これから急に景気がよくなる兆しは残念ながらありません。また、物価が暴走的に上がる『ハイパーインフレ』が、日本で起こるとも考えづらい。超低金利の状態は続くと思います」【Q6】東京五輪開催後に金利はどうなるの?「オリンピック後は景気が悪くなるとよく言われます。景気が悪化すると金利は下がるのが常ですが、今の金利はこれ以上、下がりようのない状態です。そのため、大きくは変わらないでしょう」連日流れる金融関係のニュース。家計を守る一助にするために、その仕組みについて基本は押さえておこう!「女性自身」2020年10月13日号 掲載
2020年10月05日連日ニュースで耳にするものの、きちんと説明するのが意外と難しいのが「金利」の話。家計を守るための知識として、いまさら聞けない基本をおさらいしておこうーー。史上空前の超低金利が続く日本。今年4月には大手銀行の定期預金金利が0.01%から、0.002%に引き下げられた。そんななか、安倍晋三前首相の政策継承を掲げて、菅義偉新内閣が発足。ちまたでは「アベノミクス終焉で金利が上がる」なんてウワサも流れるが、本当に金利は上がるのか、そして家計にはどんな影響が及ぶのか……。そこで「お金の知識は必ずその人を守ってくれる」と話す元国税局職員のライター・小林義崇さんに、家計防衛に欠かせない“金利の基本”を教えてもらった。【Q1】そもそも「金利」ってなに?「金利とは、利子や利息のことです。住宅ローンなどお金を借りるときの金利は、低いほうが助かりますよね。借りる立場からすると、超低金利はありがたい金利といえます」(小林さん・以下同)超低金利はよくないのでは?「反対に、貸す立場、つまり銀行に預けるときなどは、超低金利は利息がほとんどゼロに近い、悪い金利です。金利の善しあしは、立場によって変わるものなのです」【Q2】金利が上下すると生活への影響は?「金利が低いと、私たちは住宅ローンをはじめお金が借りやすくなります。ただし、コロナ禍で収入が減った人もいるので、金利だけで判断できない部分もあります。同時に、超低金利下では、銀行に預けてお金を増やす、ということは極めて難しくなります。バブル期にあった利率が8%の定期預金なら、元本を約9年で倍にできましたが、今の0.002%だと倍になるまでじつに3万6,000年かかります。そのうえ手数料などを払ったら、元本が目減りすることもしばしば。銀行はもはや“金庫”でしかありません。お金を増やすには別の手段が必要でしょう」【Q3】住宅ローンは固定と変動どちらを選ぶべき?「住宅ローンの金利は今、全期間固定で1%前後。変動なら0.5%が中心です。3,000万円を35年ローンで借りた場合の総返済額は、固定と変動で約300万円違います。3年前はおおよそ変動が1%、固定が3%だったので、同じ借入額だと約1,300万円の差がありました。固定金利が下がって変動金利に近づいているので、総返済額の差も縮まっています。このように単純比較すると、変動金利は総返済額が少なくいい金利なのですが、『変動金利がこのままずっと変わらない』ことはありえません。景気などに合わせて、変動金利は上がることがあり、固定金利よりも高くなる可能性もゼロではありません」それでは、35年もの長期ローンを考えると、固定金利が安心?「ただし今後、金利が多少上下することはあっても、急に大きく上がるとは思えません。今は変動金利を選ぶのが正解でしょう」【Q4】「ゼロ金利」ってどういうこと?「日本銀行(日銀)は、銀行を相手にお金の貸し借りを行う銀行の元締です。その日銀が、銀行にお金を貸す金利を’99年から限りなくゼロに近づけたのがゼロ金利政策です。私たちの預金金利がゼロ、という意味ではありません」なぜ、そんな施策が必要なのか?「銀行が日銀からゼロ金利でお金を借りれば、一般の企業や人々にも低金利で貸せるようになるからです。社会全体がお金を借りやすくなって、お金が回る。そうして景気を上げようという施策でした」連日流れる金融関係のニュース。家計を守る一助にするために、その仕組みについて基本は押さえておこう!「女性自身」2020年10月13日号 掲載
2020年10月05日7年8カ月も続いた安倍政権。それを継ぐ菅政権も高い支持率でスタートした。9月10日の代表選で、新生・立憲民主党の新リーダーに選出された枝野幸男代表(56)。衆参合わせて150人の国会議員が所属する野党第一党だが、もう一つの選択肢になりえるのか?新代表に、経済ジャーナリストの荻原博子さん(66)が切り込んだーー。荻原「ちょうど枝野さんが党代表になった同じタイミングで、菅(義偉)さんが自民党の総裁になりました。驚いたのが、まだ何もしていないのに、菅内閣の発足時の支持率が史上3番目という人気の高さだったことです」枝野「政治の世界にはご祝儀相場という言葉がありますし、7年8カ月も続いた安倍政権が終わり、国民のなかには変化を求めるニーズがあったのでしょうね」荻原「菅さんは、いったいどんな方なのでしょうか?」枝野「有権者に共感してもらうことが政治家の本来の仕事ですが、それ以外にも国会や政治の舞台裏で、いろんな腹の探り合いがあります。そんな駆け引きにおいて、菅さんは天才です。その調整力を国民のために使ってくれたらいいのですが……」荻原「日本をけん引することになった菅首相ですが、集団就職で上京して、夜学で学んで、首相に上り詰めた苦労人というイメージが広まりました。そこに共感している人がけっこう多いのが人気の背景のようです。でも、実像はだいぶ違うと指摘されていますよね※。ご本人が否定しないから定着してしまって……」枝野「イメージ戦略は政治家には大事なことですが、心象と実像のズレが大きいほど、国民からすぐに見透かされてしまうものです。本来の姿と違うイメージになってしまった菅さんは、これから苦労されるんじゃないかな」荻原「菅さんとしては、人気があるうちに解散総選挙に持ち込んで、一気に票を取り込んでしまおうと考えてもおかしくないですね」枝野「解散総選挙の可能性がもっとも高いのは今年12月だと考えています」荻原「支持率で大きく差をつけられている与党とどう戦うのか気になります。争点は何ですか?」枝野「社会のあり方そのものが、本当の争点になると思っています。菅さんは、目指している社会を『自助・共助・公助』と、最初に自助という言葉を持ってきました。まずは、自分でがんばってくれと。私たちが目指すのは『支え合う社会』です。『自助努力の社会』と『支え合いの社会』、どちらを選択しますか、ということです」荻原「『じじょ』と言われても、ピンとこない。要は『国は助けない』ということですよね(笑)。新型コロナウイルスの猛威によって、自分の力ではどうにもならない状況の人もいるなかで、自己責任でと言われても……」枝野「菅さんは、二世でも世襲でもないから、政治の世界で苦労してきたことは間違いありません。でも、努力して成功した人は、自己責任で上り詰めているので、自分の力ではうまくいかなかった人への共感度が低いことがある。いまや世の中全体の多数派になっている『勝ち組』でない人、切り捨てられた側に寄り添う視点は足りない気がします」※実家は裕福な農家だったことや農業大学校への進学が嫌で上京したことなどが報じられている。また法政大学の夜間部ではなく、第一部(昼間)の出身。「女性自身」2020年10月13日号 掲載
2020年10月01日