介護保険は、年齢が40歳になると強制加入となる公的介護保険のほかに、生命保険会社が販売している民間介護保険があります。民間介護保険は、公的介護保険のように強制加入とはならず、あくまでも将来の介護や介護費用に対して心配な方が任意で加入する生命保険となりますが、やはり、メリットとデメリットがそれぞれあることも確かです。そこで本記事では、将来の介護や介護費用について心配な方をはじめ、民間介護保険への加入を検討している方を対象に、生命保険会社が取り扱う民間介護保険のメリットとデメリットを中心に基本的な部分から注意点まで幅広く紹介をしていきます。生命保険会社が取り扱う民間介護保険とは?生命保険会社が取り扱う民間介護保険は、介護保険に加入している方が、認知症や寝たきりになった場合などで介護サービスを利用した際に生じる自己負担額を保障することを目的とした生命保険になります。民間介護保険は、基本的に40歳から強制加入となる公的介護保険と連動している部分もあるものの、生命保険会社によって保障内容が大きく異なっている特徴があり、仮に、契約加入をする場合には、比較検討することが重要です。民間介護保険の保障は、生命保険会社によってどの程度違うのか民間介護保険は、生命保険会社によって保障内容が大きく異なっている特徴があることをお伝えしましたが、以下、参考情報をざっくり表にまとめて紹介します。なお、生命保険会社の公平性の観点から、保険会社名は公開せずにA社からD社としておりますので、あらかじめご了承ください。保険会社保険金の種類保険金が支払われる場合A社年金(分割)公的介護保険制度の要介護2以上になった場合に一生涯支払われるB社加入した商品によって、年金(分割)と一時金(一括)といった保険金の支払われ方が異なる公的介護保険制度の要支援2以上で保険金が支払われるC社年金(分割)と一時金(一括)の方法から選択が可能公的介護保険制度の要介護認定D社年金(分割)公的介護保険制度の要介護1以上になった場合に一生涯支払われるここでは4社を比較しておりますが、保険金の種類や保険金が支払われる場合がすべて異なっていることがわかります。当然のことながら、負担しなければならない保険料も保険会社によって異なりますので、民間介護保険の契約加入をする場合には、事前に保障内容や保険料を比較検討することが大切になります。併せて、民間介護保険の保険金が支払われる場合は、公的介護保険制度にある7段階の介護度合いと連動していることがほとんどであるため、これらの介護度合いがどのような状態を指すのか確認しておくことも大切です。公的介護保険と民間介護保険の違い本記事のメインである民間介護保険に加入するメリットとデメリットを知るためには、まずもって、公的介護保険と民間介護保険の違いについて、大まかにでも知っておく必要があります。介護保険の種類公的介護保険民間介護保険介護保険の加入義務あり(40歳から強制加入)なし(任意加入)給付方法現物給付(介護サービスを給付)現金給付(契約に応じた保険金)介護保険料お住まいの市区町村や収入(所得)によって、それぞれ異なる40歳から死亡するまで介護保険料を負担し続けていかなければならない契約年齢・性別・契約内容・生命保険会社によって、それぞれ異なる保険会社との契約によって、介護保険料の負担する期間を任意で選ぶことができる給付要件介護保険法に定められている7段階の介護度合いの内、いずれかの介護認定を受けている(年齢によって異なる)各生命保険会社が定めている約款によって異なる民間介護保険に加入するメリットとデメリットを知る上で、特にポイントとなる部分には、給付要件があげられ、最近の民間介護保険は、公的介護保険の要介護認定に連動した商品が増えています。これは、民間介護保険に加入するデメリットに大きく関係することになるほか、民間介護保険に加入する必要性についても大きく関係してくることになるため、細心の注意を払っておかなければなりません。民間介護保険に加入するメリットとデメリット民間介護保険に加入するメリット民間介護保険に加入するデメリット公的介護保険を利用した際に生じる介護サービスの自己負担額を補填することができる生命保険料控除が受けられるため、所得税や住民税の負担軽減効果がある将来の介護費用に対する備えを準備することができる公的介護保険とは別に生命保険会社に保険料の支払いをしなければならないため、経済的負担が重くなる保険金の支払いを受けるには、公的介護保険の要介護認定を受ける必要があるため、身体状態によって、保険金が必ず支払われるとは限らない公的介護保険の介護サービスにかかる費用は、原則として1割が自己負担額となるのですが、年齢が65歳以上で年金収入やその他の収入が多い場合は、自己負担額が2割や3割と重くなる仕組みになっています。もちろん、公的介護保険制度にある7つの介護度合いの内、介護度合いが重くなればなるほど、その自己負担金額が重くのしかかってくることは言うまでもありません。老後生活に欠かすことができない年金収入が少ない場合は、介護サービスにかかる自己負担額が1割であったとしても、その経済的な負担は重荷になることは明白であり、時として所帯を持っている子供に経済的な負担をかけてしまう懸念も否めません。このようなリスクヘッジができる効果が民間介護保険に加入する大きなメリットと言える一方で、民間介護保険は、保険金が必ず支払われるとは限らない大きなデメリットがあります。では、保険金が支払われる程度の要介護認定を受けている方は、いったいどのくらいいるのでしょう?介護保険のサービスは、どのくらいの方が利用しているのか単位(千人)厚生労働省平成28年度介護保険事業状況報告(年報)報告書の概要厚生労働省が公開している平成28年度介護保険事業状況報告(年報)によると、要介護認定を受けている第1号被保険者(65歳以上)および第2号被保険者(40歳から64歳)は、632万人(総数合計)いることが確認できます。ポイントになるのは、民間介護保険の多くは、要介護2以上の介護認定をされていることが保険金を支払うための条件としている保険会社が多いところにあり、これを見ていきますと、第1号被保険者(65歳以上)および第2号被保険者(40歳から64歳)は、330万人となっており、要介護認定を受けている方の約半数であることもわかります。(赤枠部分の合計)第2号被保険者(40歳から64歳)で要介護2以上の介護認定者に至っては、7.8万人と極めて少ないことも確認できます。つまり、民間介護保険に加入して実際に保険金を受け取るためには、ちょっと高めのハードルを越えていなければならないことも知っておく必要があり、併せて、働き盛りの現役時代に、民間介護保険の保険金を受け取れる可能性は低いことも少なからず理解しておく必要はあると言えるでしょう。まとめ民間介護保険は、将来の介護に対する備えとして有効な生命保険であることは確かです。その一方で、保険料負担が重くなることや必ずしも保険金を受け取ることができるわけではないといったデメリットも踏まえた時、この辺も加味した判断が個々に求められることになります。現実的に考えますと、65歳以上になってからの、もしもの介護の備えに対して、今から準備しておくといった考え方が最も自然だと思いますが、これから民間介護保険の加入を検討している方は、とにかく保障内容の比較検討を念入りにされるように心掛けることを強くおすすめします。
2018年12月10日介護保険は、年齢が40歳以上で、お住まいの市区町村に対して申請を行わなければ利用することができない制度になっており、年齢が、65歳以上と65歳未満によって、介護保険を利用するための条件に違いもあります。このようなことを踏まえますと、介護保険の申請を行うタイミングというのは、とても大切になってくると考えられ、それに合わせて、どのように対策をしていく必要があるのかといったポイントについても知っておくことが重要と言えます。そこで本記事では、介護保険の申請を行うタイミングをケース別に紹介し、併せて対策ポイントもわかりやすく伝えていきたいと思います。ケース別に考える介護保険の申請を行うタイミング介護保険は、誰でも利用できるものではないことを本記事の冒頭から何となくご理解いただけたと思いますが、そもそも、どのような場合が介護保険の申請を行うタイミングなのかわからない場合も多いと思われます。実際のところ、介護保険の申請を行うタイミングの良し悪しといったものはありませんが、以下のようなケースがあった場合には、速やかにお住まいの市区町村に対して介護保険の申請をされることをおすすめします。家族が突然倒れてしまった結果、身体に障害が残ってしまった場合脳梗塞などの脳血管疾患によって、命に別状はなかったものの、身体に障害が残ってしまった場合というのは、よく聞く話です。このような場合は、年齢が40歳以上の方であれば介護保険の申請をお住いの市区町村に対して行い、要介護認定を受けることによって介護保険を利用した介護サービスを受けることができます。対策ポイント身体の障害がどの程度のものなのかによって、対策の仕方が異なってくることが考えられますが、意思疎通が図れる場合は、本人の考えを尊重した介護サービスを利用するのが良いと思われます。たとえば、自宅で介護サービスを受ける訪問介護のほか、福祉用具の購入や貸与、住宅改修なども必要になると考えられることから、ケアマネジャーといった専門家のアドバイスを参考に介護保険や助成を利用されることが望ましいでしょう。また、特に注意が必要なポイントとして、介護保険は、高齢者のみが利用できるといったものではなく、具体的には、40歳から64歳の方で厚生労働省が指定している特定疾病にかかっている方であれば介護保険を利用することができます。なお、特定疾病には、末期がんや脳血管疾患も含まれており、詳しい病名につきましては、同サイト内で公開している以下の記事で紹介しております。高齢の親が一人暮らしで心配。遠方に住んでいて様子も見られない両親の内、いずれかがすでに亡くなっており、高齢の親が一人暮らしで心配だという方も多くおられると思います。また、遠方に住んでいて連絡を取ることはできても、定期的に様子も見られない場合ですと、心配になるのは当然のことだと思われます。このような状態に置かれている方であっても、介護保険を利用することで心配が緩和できる場合があります。対策ポイント介護保険は、実のところ、介護が必要になった時にだけ利用できるといったものではなく、手厚い介護が必要とならないようにするための介護予防として利用することもできます。ただし、このサービスを利用するためには、お住まいの市区町村から要介護認定を受けることが必要であるため、まずは、お住まいの市区町村や地域包括支援センターに相談されてみることをおすすめします。なお、高齢による衰弱や持病があったりする場合をはじめ、足腰が衰えて弱ってきているような場合であれば、要支援1や要支援2といった軽度の介護認定を受けることも十分に考えられます。認知症による物忘れがひどくなってきた場合高齢になりますと、物忘れがひどくなってくるのはごく自然のことではありますが、これが認知症という診断を医師から受けたことに伴い、意思疎通が図れない場合や徘徊など、日に日にひどくなるような場合でも介護保険を利用することができます。認知症による家族の介護は、常に目を離すことができないなどといった理由から、精神的な負担や肉体的負担は計り知れないものになってしまい、老々介護、介護うつやその他の病気に家族もかかってしまう負の連鎖も決して否めません。対策ポイント認知症による物忘れがひどく介護が必要な場合は、介護保険を利用して家族の負担を減らすことができることから、早めに介護保険を利用していくことが何よりも大切になると考えられます。在宅介護による訪問介護をはじめ、認知症対応型通所介護(デイサービス)など、認知症に対応した介護施設がありますので、それらの施設利用をすることで、家族全体のライフサイクルがうまく回っていくものと思われます。低収入や無年金の両親に介護が必要に。自分も低収入で介護資金に余裕がない両親が年金生活を開始している状態で介護が必要な身体になり、両親が低収入や無年金といった理由から介護にかかる費用を負担できないといった場合もあると思います。これに加えて、ご自身も低収入であったり、その他の理由から親の介護資金を負担する余裕がないといった場合も十分に考えられ、このような場合において、どのようにしていったら良いのか不安を抱える方も少なくありません。対策ポイント介護保険を利用する上で、お住まいの市区町村から要介護認定を受けることが必要ですが、低収入や無年金といった経済的な理由が原因で介護保険のサービスを利用できないといったことはありません。ただし、介護保険を利用したことによって生じる自己負担額は、原則として1割であることから、少なからず、経済的な負担から免れることは残念ながらできません。このような場合におきましては、低収入の方を対象にした軽減制度があるため、まずは、お住まいの市区町村に対して相談を行い、必要な申請を行うことが大切です。また、低金利でお金を借入することができる公的な救済制度として、生活福祉資金貸付制度があります。生活福祉資金貸付制度は、介護サービスなどにかかる必要な資金についてお金を借入できるほか、日常生活で一時的に必要なお金についても借入の対象であることから、低収入の方にとって非常に利便性の高いものとなっています。なお、相談窓口は、市区町村の社会福祉協議会になりますので、市区町村に対する軽減制度の相談と合わせて、社会福祉協議会に対して生活福祉資金貸付制度の相談を行ってみることが望ましいでしょう。参考:要介護認定を受けた場合における税金や年金の対策こちらは、すべての方があてはまるわけではありませんが、要介護認定を受けたことに伴い、介護保険を利用するようになりますと、税金や年金についての優遇制度を活用できる場合があります。ただし、これらの優遇制度というものは、原則として、ご自身で所定の機関へ申請をすることが条件となっている(税理士や社会保険労務士などの代理人を立てることも可能)ため、要は、優遇される制度があることを知っていなければ活用することができないことを意味します。介護に関係するもので、税金にかかるものには、障害者控除、医療費控除、住宅改修や住宅改修に伴うリフォームをしたことによる税額控除などがあります。年金につきましては、障害年金があげられ、いずれも適用条件を満たしていれば、申請や申告手続きによってお金の負担を軽減させられる効果が期待できます。気になる制度や該当しそうな制度がある場合には、まずは制度がどのようなものなのかを確認し、必要に応じて関係機関や専門家に尋ねてみることが望ましいでしょう。まとめ介護保険の申請を行うタイミングについて紹介させていただきましたが、介護保険を利用した介護が始まりますと、周りの家族にとっても時間的な拘束や経済的な負担も余儀なくされることが十分予測できます。このような時に、介護保険を活用しながら税や年金の制度も活用した対策を使える方と使えない方では大きな差が生じることも確かです。基本的には、申請や申告手続きが必要になるものばかりですので、介護保険を利用する状況に置かれた場合は、対策ポイントを参考に、早急な行動に移されることをおすすめします。
2018年12月08日在宅介護は、通常、自宅で高齢の両親や祖父母の介護をすることを指す場合が多いのですが、実際には、自宅で介護をするだけに限らず、介護施設へ通ったり、短期的に介護施設へ入所して介護サービスを受けるなど、その内容はさまざまです。一般に、家族が在宅介護に関わるきっかけとなるのが、やはり、近親者の高齢による虚弱や病気などが多くあげられますが、1人で介護を続けることは、介護に伴う離職をはじめ、介護うつや高齢者の虐待といった大きな問題も否めません。このような場合に、真っ先に考えたいのが介護保険の申請と利用になるのですが、本記事は、初めて介護に関わる家族の方を対象に、介護保険を使って在宅介護をするためのポイントを幅広く紹介していきます。初めて介護に関わる家族が知っておくべき介護保険制度の基本現在(平成30年)の介護保険制度は、年齢が40歳になりますと強制的に加入することになる仕組みになっておりますが、以下、簡単に介護保険制度の基本を紹介しておきます。介護保険を利用するためには、お住まいの市区町村に対して申請を行い、要介護認定という認定を受けなければならない要介護認定を受けた人は、原則として1割の自己負担で介護サービスや予防サービスを利用することができる介護保険には、居宅サービスや施設サービスなどさまざまな介護サービスがあり、利用することができる周りの家族が介護を必要となる身体状態になってしまいますと、経済的負担、精神的負担、肉体的負担などがエンドレスに付きまとってしまうことも十分予測できることから、介護保険制度を利用して、専門職の協力を得ながら生活をすることが大切になってきます。要介護認定の目安と自己負担額介護保険を利用するために、お住まいの市区町村から要介護認定を受けた場合、認定された介護度合い(全部で7段階)によって1ヶ月あたりの自己負担限度額が異なる特徴があります。介護度合い介護認定の目安支給限度基準額(自己負担額)要支援1社会的支援を要する状態日常生活上の基本動作については、ほぼ自分で行うことが可能であるが、現在の状態が悪化し、要介護状態にならないように支援が必要と見込まれる。1ヶ月あたり50,030円(自己負担額5,003円)要支援2社会的支援を要する状態要支援1の状態から、日常生活上の基本動作を行う能力がわずかに低下した状態。1ヶ月あたり104,730円(自己負担額10,473円)要介護1部分的な介護を要する状態①排泄や食事はだいたい1人でできる。②立ち上がりや歩行が不安定。③身だしなみや居室の掃除などの身の回りの動作に何らかの介助や見守りが必要。④問題行動や理解の低下がみられることがある。1ヶ月あたり166,920円(自己負担額16,692円)要介護2軽度の介護を要する状態①排泄や入浴などの動作に何らかの介助や見守りが必要。②立ち上がりや歩行に何らかの支えを必要とする。③身だしなみや居室の掃除などの身の回りの動作全般に何らかの介助や見守りが必要。④問題行動や理解の低下がみられることがある。1ヶ月あたり196,160円(自己負担額19,616円)要介護3中等度の介護を要する状態①排泄や入浴などの動作が1人でできない。②立ち上がりや歩行が自分1人ではできない。③身だしなみや居室の掃除などの身の回りの動作が自分1人ではできない。④いくつかの問題行動や理解の低下がみられることがある。1ヶ月あたり269,310円(自己負担額26,931円)要介護4重度の介護を要する状態①排泄や入浴などの動作がほとんど1人でできず、介助が必要。②立ち上がりや歩行が自分1人ではできない。③身だしなみや居室の掃除などの身の回りの動作が1人でできず、介助が必要。④多くの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある1ヶ月あたり308,060円(自己負担額30,806円)要介護5最重度の介護を要する状態①意思の伝達が困難。②生活の全般について全面的介助が必要。③多くの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある。1ヶ月あたり360,650円(自己負担額36,065円)1ヶ月の自己負担限度額は、お住まいの地域によって単価が変わり、東京23区や首都圏、政令指定都市などは、介護の単価が高めになっています。在宅介護を無理なく続けていくための4つのサービス介護保険を使って在宅介護を無理なく続けていくためには、在宅介護には、どのようなサービスがあるのかを詳しく知り、自分たちにあった工夫をしていくことがとても大切になります。そこで、ここでは在宅介護を無理なく続けていくための方法として、以下、4つのサービスをそれぞれ個別に紹介していきます。①在宅介護を続けるために訪問サービスを利用する介護保険の訪問サービスは、在宅介護をする上で最も基本的な介護サービスにあたり、家事などを手伝ってもらう生活援助、食事や入浴などの介助を受ける身体介護、病院への通院に対する通院等乗降介助の3つのサービスがあります。訪問サービスは、非常にサービスが多岐に渡りますが、以下、介護サービスをまとめて紹介しておきます。訪問サービスの種類サービス内容訪問介護ホームヘルパーや介護福祉士が自宅へ訪問して介護サービスを行う生活援助:食事の準備・洗濯・掃除・衣服の整理・ベッドメイク・日用品の買い物など身体介護:服薬の介助・食事、入浴、排せつの介助・衣服の着脱・おむつ交換・外出・通院の付き添いなど通院等乗降介助:乗車や降車の介助・通院先での受診手続きなど訪問看護看護師などが自宅へ訪問し、医療サービスを行う血圧測定・注射・服薬管理・リハビリテーション・清潔指導など訪問入浴介護介護職員や看護職員が自宅へ訪問し、入浴車や持ち込んだ浴槽で入浴介助を行う訪問リハビリテーション理学療法士が自宅へ訪問し、自宅でリハビリテーションを行う訪問サービスを利用することによって、高齢者の見守りとしての効果が期待できるほか、他の人との交流につながるため、孤立の予防に効果が期待できます。②在宅介護を続けるために通所サービスを利用する通所サービスとは、介護サービスの内容は先に紹介した訪問サービスと大きな違いはありませんが、自宅ではなく、施設に通う通所介護(デイサービス)や通所リハビリテーション(デイケア)のことを言います。通所サービスを利用するおもなメリットは、以下の通りです。通所施設で知り合った方との交流が図れ、生きがいや元気につながる通所サービスの間、家族は介護から解放される認知症の方に対応した施設もあるため安心通所介護は、介護をする家族にとって自分の時間を作ることができるため、先に紹介した訪問サービスと合わせて通所サービスを利用される方も多くおられます。そのため、自分たちのライフプランや時間を考慮した介護サービスの利用の仕方や工夫が大切になってくると言えます。③在宅介護を続けるために短期入所サービスを利用する短期入所(ショートステイ)サービスは、介護を必要とする方が一時的に施設に入所して介護サービスを受けるものになります。ここで言う一時的というのは、おおむね1週間程度ですが、この間、介護に追われる家族としては、介護から解放されることになるため、介護疲れが深刻になった場合や介護者が入院した場合などは、利用を検討されるのも良いでしょう。ただし、短所入所サービスを利用する場合には、施設に入所する本人の意思を尊重した判断が必要であるほか、認知症を患っている方は、認知症が進んでしまう恐れがある点も視野に入れた工夫が必要となってきます。④介護支援にかかる助成サービスを利用する介護保険を利用した介護サービスが必要になる場合、車いすや歩行器などの福祉用具が必要となる場合が多くなるほか、自宅を改修する、住宅改修やリフォームをする方も少なくないと思われます。このような場合において、福祉用具の貸与や住宅改修に対して助成があったり、リフォームをすることで税優遇が受けられたりもしますので、これらの活用予定がある場合は、ケアマネジャーなどの専門家をはじめ、FPや税理士などの専門家のアドバイスを取り入れるようにしたいものです。まとめ介護が必要な家族がいる場合は、介護保険を使って在宅介護をするところから始まることと思われますが、在宅介護の介護サービスの利用の仕方や工夫によって、周りの家族の負担が大きく変わることは確かです。介護が一度始まりますと、基本的に介護者が亡くなるまで続くエンドレスとなるのが通常であることを踏まえますと、それに向けた事前準備や介護の基本的な知識を持っておくことも大切だと言えます。特に、お金の面につきましては、毎日の生活に直接影響を与えることになるため、介護する側、介護される側の双方が危機意識を持った準備をしておくことが極めて重要になると言い切れます。
2018年12月07日介護サービスを受けるための入り口にあたる手続きが、要介護認定の申請です。必要な介護サービスをスムーズに受けるために、要介護認定の申請方法を学びましょう。認定結果に疑問を感じたときに役立つ「不服申し立て」、状況と認定内容にギャップが生じたときの「区分変更」の手続きについてもまとめたので、ぜひ参考にしてください。要介護認定の申請から認定まで要介護認定を受けるためには、住んでいる市区町村の福祉担当窓口などで、申請を行う必要があります。申請は、認定を受ける本人のほか、家族や親族、法廷代理人、本人から委任を受けた代理人なども行うことが可能です。また、郵送によって申請を行う方法もあります。申請後は次のような流れで要介護度の判定が行われます。認定調査/主治医意見書作成要介護認定の申請をすると、まずは訪問調査員による、現在の心身の状態の調査が行われます。また、同時に市区町村から主治医に「主治医意見書」の作成が依頼されます。1次判定訪問調査や主治医意見書の内容を元に、コンピューターによって要介護度の判定が行われます。2次判定保健、医療、福祉の専門家などによる「介護認定審査会」で、1次判定の結果をもとに調査の特記事項などを総合的に判断し、要介護度を決定します。要介護度の区分は【非該当(自立)・要支援1~2・要介護1~5】の8段階です。認定結果の通知申請から原則30日以内に結果が通知されます。要介護認定の申請が必要な人要介護認定の申請が必要なのは、次のいずれかに当てはまる人です。65歳以上(介護保険第1号被保険者)の人のうち、寝たきりや認知症などで介護が必要、または日常生活に支援が必要な状態。介護保険の介護予防サービスや介護サービスの利用を希望している。40歳から64歳までの人(介護保険第2号被保険者)のうち、「特定疾病※」が原因で介護を必要とする、または日常生活に支援が必要な状態。介護保険の介護予防サービスや介護サービスの利用を希望している。※特定疾病:がん末期・関節リウマチ・筋萎縮性側索硬化症・後縦靭帯骨化症・骨折を伴う骨粗鬆症・初老期における認知症・進行性核上性麻痺、大脳基底核変性症及びパーキンソン病・脊髄小脳変性症・脊柱管狭窄症・早老症・多系統萎縮症・糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症・脳血管疾患・閉塞性動脈硬化症・慢性閉塞性肺疾患・両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症申請時に必要なもの要介護認定を申請するときには、次のようなものを用意する必要があります。申請書(窓口でもらえるほかダウンロードも可能です)介護保険被保険者証(40~64歳の人は医療保険証)印鑑個人番号(マイナンバー)確認書類本人確認書類委任状(代理人が申請する場合)など申請時に必要なものは、申請をする人や、申請先の市区町村によって異なるため、事前にホームページなどでチェックするか、窓口に問い合わせておくとよいでしょう。 認定結果に納得できない場合はどうすればいい?要介護認定の申請をした結果、通知された認定内容に疑問や不満がある場合には、まずは市区町村の担当窓口に相談しましょう。担当窓口に相談しても不服が残る場合には、「不服申し立て」という手続きをとることになります。「不服申し立て」とは?「不服申し立て」とは、市区町村が決定した要介護認定の内容に不服がある場合に、審査を請求できる制度です。申請先:都道府県に設置された「介護保険審査会」申請期限:決定内容を知ってから3ヶ月以内審査請求を受けた介護保険審査会は、請求者や市町村の主張の吟味や再調査を実施。そのうえで、保健、医療、福祉、法律等に関する学識経験者などが合議を行い、法令や条例に照らしながら、決定内容に不当性、違法性がないか審査します。審査の結果、審査を請求した人の主張が認められた場合には、介護保険審査会によって市区町村が決定した内容の一部または全部が取り消されます。審査の結果を受けた市区町村は、改めて要介護認定の判定をやりなおすことになります。やりなおしの結果新たに決定された要介護認定は、当初(不服申し立て前)に要介護認定の申請をした日付から有効です。審査の結果を市区町村の決定に問題がないと判断された場合、審査の請求は棄却されます。 有効期間内に状態が変化した場合はどうすればいい?認定調査のときと比べて心身の状態が悪くなったなど、要介護の度合いが変わったと感じる場合には、要介護度の区分を変更する手続きが必要です。考えられる方法は2つあります。1つは改めて要介護認定の申請をして、要介護度の判定をやり直してもらう方法。もう1つは、要介護状態の「区分変更」を申請する方法です。区分変更の申請方法区分変更の申請は、区分変更申請書を記入して、市区町村の担当窓口で行います。申請のために必要なものは、新規に要介護認定を申請する場合と同じです。介護保険被保険者証印鑑個人番号(マイナンバー)確認書類本人確認書類ただし、市区町村により異なるため、事前に確認しておきましょう。区分変更を申請した結果、申請した内容で認定する場合には、認定結果が本人に通知されます。申請内容が却下された場合には、却下した旨が通知されることになります。変更が認定された場合、有効期間は申請日から原則6ヶ月(状態などにより3~12ヶ月)です。区分変更を申請する際の注意点区分変更を申請するときには、次のようなことに注意しましょう。(1)却下される場合もある次のようなケースでは、区分変更の申請が却下されます。元の状態区分から変更がないと判定された場合非該当と判定された場合状態の重度化を理由とする申請で要介護→要支援と判定された状態の軽度化を申請理由とする申請で要支援→要介護と判定された(2)区分が下がる場合もある次のようなケースでは、状態の重度化を理由に申請したにもかかわらず区分が下がってしまいます。状態の重度化を理由とする申請で、要介護の区分がより軽度と判定された。(3)更新申請受付期間中の変更申請は扱いが異なる更新申請期間(有効期間満了日の60日前から有効期間満了日)に変更申請をした場合、通常は却下されるケースでも新たな判定内容で認定される場合があります(自治体により運用が異なる)。 手続き方法を知って要介護認定関係の申請をスムーズに必要な介護サービスを早期に受けるためには、要介護認定をスムーズにクリアする必要があります。基本的な手続きの方法をチェックして、必要品などの下準備をしっかりとしておきましょう。「不服申し立て」や「区分変更」の制度も知っておくと、認定の内容が不適切だと感じたときにもすぐに手続きができますよ。介護保険制度を上手に利用して、介護の負担軽減に役立ててください。 参考:認定を受けるには、どうしたらいいの?要介護認定の申請について/羽曳野市介護保険制度とは – 福岡県庁ホームページ要介護認定に係る制度の概要|厚生労働省要介護(要支援)認定申請 – 三条市苦情や不服申し立て窓口|流山市介護認定の申請新潟県:認定処分の変更を希望される方へ審査請求の一般的な流れ神戸市:認定結果について不服の場合(審査請求の手続き)要介護認定の有効期間と更新・区分変更 – 松阪市ホームページ更新・区分変更の手続き | 申請・手続き | 介護保険 | 保険・年金 | くらしの情報 | 倶知安町神戸市:変更申請についての注意事項
2018年11月25日家族が介護や介助が必要な場合、介護サービスを利用するために、要介護申請をして認定を受けているというケースは多いでしょう。介護保険制度による補助があれば、安心して家族のケアができますね。そこで忘れてはいけないのは、要介護認定は「更新」が必要だということです。うっかり更新を忘れて認定が無効になってしまった!ということがないよう、更新申請の時期や手続きの方法をチェックしておきましょう。要介護認定の更新期間は期間満了の60日前から1度受けた要介護認定(要支援認定)は有効期間が満了になると効力を失ってしまうため、認定を受け続けるためにはそのつど更新を申請する必要があります。要介護認定の更新ができる期間は、有効期間満了日の60日前から、有効期間満了日までです。ただし、できるだけ有効期間満了日の30日前までに行うのが望ましいとされ、介護保険被保険者証にもその旨が記載されています。更新した要介護認定はいつから有効?要介護認定の更新をした場合、新たな要介護認定が効力をもつのは、前回認定分の有効期間満了日翌日からです。更新の申請をしたタイミングによっては、結果の通知が有効期間満了日よりも後になることがあります。しかしその場合も、更新した要介護認定は有効期間満了日の翌日までさかのぼって有効となります。また、更新にあたって要介護度が上がる・下がる、または非該当に変更された場合も、新たな要介護度が適用されるのは、前回認定の有効期限満了日翌日からです。要介護認定の有効期間は?要介護認定の有効期間は、初回認定や区分変更の場合は原則6ヶ月(状態により3~12ヶ月)です。更新認定の場合は基本的に初回よりも有効期間が長く、原則として12ヶ月です。介護認定審査会の意見などによって調整が必要と認められた場合には、3ヶ月~最大で36ヶ月までの間で設定されます。必要なければ「更新しない」という選択もできる要介護認定の更新をしないまま有効期間が過ぎてしまうと、介護サービスを受ける際の補助金が下りず、全額自己負担することになってしまいます。しかし、介護サービスを受けておらず受ける予定もない場合には、要介護認定の更新手続きをとらなくても、すぐに支障が出ることはないでしょう。次のような事項に当てはまらない場合には、更新を見送って、必要になったときに再度要介護認定の申請をしても構いません。介護サービスを利用している(ホームヘルパーなど)福祉用具をレンタルしている介護施設などに入所している介護サービスの開始を予定している施設の入所待ちをしている介護保険以外の福祉サービスを利用している(紙おむつ支給など) 要介護認定の更新申請の方法要介護認定の更新申請手続きは、基本的に新規申請の際と同じ方法で行います。必要な書類などを揃えて、住んでいる市区町村の、福祉担当窓口などで手続きしましょう。ただし、介護サービスを利用中の場合は、本人や家族の代わりに利用している施設などが申請書の提出などを行う場合もあります。更新の時期には、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。更新申請に必要なもの要介護認定の更新申請には、次のようなものが必要です。申請書(窓口でもらえるほか、ダウンロードもできます)主治医意見書を依頼する医療機関などの名称・住所・担当医師名、または記入済の主治医意見書介護保険被保険者証(40~64歳は健康保険被保険者証も必要)印鑑個人番号カード本人確認書類など必要なものは手続きする市区町村によって異なるため、事前にホームページなどで確認をしておくと安心です。要介護認定の更新申請から認定までの流れ要介護認定の更新時には、原則として初回申請時と同じように調査と判定を行い、要介護度を決定します。ただし、平成30年4月より制度の一部が改正され、「1次判定結果と更新前の要介護度が同じ」などいくつかの条件を満たしていれば、2次判定を簡素化してもよいことになりました。そのため、自治体によっては2次判定を簡素化して実施している場合もあります。申請から通知までのおおよその流れは次のとおりです。①申請→②認定調査員による訪問調査・主治医意見書→③コンピューターによる1次判定→④介護認定審査会による2次判定→⑤認定通知要介護認定の更新申請から認定結果の通知までは、1ヶ月以内が原則です。1ヶ月を超えてしまう場合には、遅延の理由や認定までの見込み期間などが通知されます。 本人が更新申請できない場合の手続き方法本人が要介護認定の更新申請を行えない場合には、原則として家族・親族が申請を行うことになります。また、本人や家族が窓口に出向くことが難しい場合には、郵送での申請もできます。そのほか、成年後見人などの法廷代理人や本人が委任した代理人による代理申請、本人が契約している介護施設などによる提出代行も可能です。誰が窓口に行くかによって必要なものが異なるため、確認しておきましょう。法定代理人による申請法廷代理人が更新申請を行う場合、申請書、介護保険被保険者証に加えて次のようなものが必要です。戸籍謄本登記事項証明書申請者の身元確認書類など市区町村によって求められる書類が異なるため、確認したうえで手続きしましょう。代理人による申請代理人が更新申請をする場合には、申請書、介護保険被保険者証のほかに次のようなものを用意します。委任状(書式が用意されている自治体もあります)代理人の身元確認書類など市区町村により必要書類などが異なるため、事前に必ず確認してください。介護施設等による提出代行本人が作成した申請書類を介護施設の職員などが代行して提出する場合、当該施設の職員証などが必要です。また、市区町村によっては誰でも「使者」として提出を代行できる場合もあります。使者が提出を行う場合は、窓口で書類の訂正などを行うことができないため、注意しましょう。また、申請者本人の身元確認書類などを求められる場合があります。あらかじめ確認し、準備しておきましょう。 要介護認定は“更新が必要”を覚えておこう介護保険制度は、介護が必要になったときに必要な介護サービスを受けることができる便利な制度です。しかし、要介護認定の更新をうっかり忘れてしまうと、1度無事に受けられた認定が無効になり、自己負担が重くなるため注意しましょう。要介護認定の更新期間は“有効期限満了の60日前から”と忘れずに覚えておいて、手続きする人を決めるなど、スムーズに手続きできるように備えてくださいね。 参考:要介護認定の有効期間と更新・区分変更 – 松阪市ホームページ要介護認定の更新申請(認定有効期間満了による更新)はどのように行えばよいのですか。[要介護認定]認定の有効期間|船橋市公式ホームページ平成30年11月末で要介護・要支援認定の有効期間が終了する方へ|江東区要介護認定の申請要介護認定‐認定を更新する|船橋市公式ホームページ要介護・要支援認定の申請 | 柏市役所申請から認定までの流れ|東京都北区要介護認定(更新申請)のしかた|宝塚市公式ホームページ平成 30 年4月1日以降の要介護認定制度等について – 横浜市要介護・要支援認定の申請について(更新申請)|江東区要介護・要支援認定 – 宮崎市要介護(支援)認定の申請手続きについて | 井原市
2018年11月23日介護サービスを受けるときに必要となる、「要介護認定」の申請。きちんと状況に適した判定をしてもらえるかどうか心配になる方も多いでしょう。そこでここでは、要介護認定にかかる期間や判定の基準について解説。認知症など特定疾患の場合の特例についてもまとめました。要介護認定の内容を知って、認定を受ける際の不安軽減に役立ててください。要介護認定の申請から認定までの一般的な流れ要介護認定を申請してから実際に認定された内容が通知されるまでは、一般的に次のような流れで調査・判定が行われます。申請住んでいる市区町村の担当窓口で要介護認定(要支援認定)の申請を行います。認定調査員による訪問調査/主治医意見書市区町村などの認定調査員が自宅や入居している介護施設などを訪問して、現況の調査を行います。また、市区町村から主治医(主治医がいない場合は市区町村の指定医)に依頼が行き、主治医の見解を記した「主治医意見書」が発行されます。一次判定調査結果や主治医意見書の内容をもとに、コンピューターによる一次判定が行われます。二次判定一次判定の結果と主治医意見書をもとに、保健・医療・福祉の学識経験者などが構成する「介護認定審査会」が二次判定を行います。認定通知二次判定により認定された結果が申請者に通知されます。要介護認定の有効期間要介護認定の有効期間は次のとおりです。新規、区分変更申請の場合:原則6ヶ月(状態により3~12ヶ月)更新申請の場合:原則12ヶ月(状態により3~36ヶ月)認定の効力は、新規申請・区分変更申請の場合、申請日にさかのぼって発生します。また、月途中で申請した場合は、申請月+6ヶ月間が有効期間となります。更新申請の場合は、効力の発生は前回の有効期限満了日翌日からです。要介護の認定を継続して受け続けたい場合は、有効期間満了までに更新申請を行う必要があります。更新申請ができるのは、期間満了の60日前から満了日までの期間です。また、状態の変化があったなどの理由で要介護認定の区分を変更したい場合は、有効期間途中でも要介護認定の区分変更申請ができます。申請から認定までにかかる期間要介護認定を申請してから認定の通知が行われるまでは、原則として30日以内です。もしも何らかの理由で30日以内の通知ができない場合は、遅延している理由と認定までにかかると予想される期間が、申請者に通知されます。認定が遅れるケースのひとつが、主治医意見書の発行に時間がかかる場合です。意見書の作成のために改めて診察が必要な場合や、一定回数の診察や検査を受ける必要がある場合などには、主治医意見書の作成に1ヶ月以上かかることもあります。早期の認定を望む場合には、医療機関にあらかじめ、主治医意見書の作成について確認をとっておくとよいでしょう。 要介護認定における要介護・要支援状態区分要介護認定における状態区分は大きく「自立(非該当)」「要支援」「要介護」の3つです。さらに、各区分のなかでも状態によって細かく分けられ、【自立(非該当)|要支援1・2|要介護1・2・3・4・5】の8段階で認定されることになります。このうち、何らかの給付が受けられるのは【要支援1・2|要介護1・2・3・4・5】の7つの区分です。要介護・要支援の違いは?「要介護」と「要支援」は、日常生活において介護を必要とする度合いの大きさによって決まります。具体的な判定の目安は次のとおりです。要介護:継続して、常に介護を必要とする状態。介護給付または予防給付が利用可能要支援:介護が必要な状態の軽減や悪化の防止が必要であり、日常生活を営むのに支障があると見込まれる状態。予防給付が利用可能各区分の状態のめやす要介護、要支援の各区分ごとに、状態のめやすをまとめました。※めやすであり、実際には詳細な審査をもって判定されます。【要支援1】基本的に日常生活はできるものの、入浴など一部に介助が必要なものがある状態。【要支援2】立ち上がり・歩行が不安定、排泄や入浴の一部で介助を必要とする。ただし、適切なサービスを利用することで要介護状態への移行が防げる可能性がある状態。【要介護1】立ち上がり・歩行が不安定。また、排泄や入浴などの一部で介助を必要とする状態。【要介護2】自力で起き上がることが困難。また、排泄や入浴の一部または全てで介助を必要とする状態。【要介護3】自力で起き上がったり寝返りを打つことができない。また、排泄や入浴、着替えなどで全介助を必要とする状態。【要介護4】排泄や入浴、着替えなど日常生活の多くに全面的な介助が必要な状態。【要介護5】日常生活の全般で全面的な介助が必要な状態。 要介護度の判定基準要介護度の判断の基準となるのは、「どのような介護サービスをどの程度必要とするか」です。そのため、病気などの進行度合いと要介護度は、比例しない場合もあることを覚えておきましょう。例:認知症を発症したが、寝たきりであったため徘徊などが起こらず、介護の手間が大きく変化しない場合。要介護認定でどの区分に認定されるかによって給付金の金額が上下するため、不公平が生じないように全国一律の客観的な判定基準が設けられています。訪問調査・主治医意見書では「日常生活自立度」を指標にする認定調査員による訪問調査や、主治医意見書で判定の指標となるのが「日常生活自立度」です。日常生活自立度の判定基準は障害高齢者、認知症高齢者に分けて設定されています。判定基準の具体的な内容は、次のとおりです。《障害高齢者の日常生活自立度》【ランクJ:生活自立】何らかの障害などがあるものの、日常生活はほぼ自立していて、ひとりで外出する。1.交通機関などを利用して外出する。2.近所なら外出する。【ランクA:準寝たきり】室内での生活はほぼ自立しているものの、外出には介助をともなう。1.介助をともなって外出し、日中はベッドから離れて生活することが多い2.外出はあまりせず、日中も寝たり起きたりの生活【ランクB:寝たきり】屋内での生活では何らかの介助が必要。日中も主にベッド上で生活するものの、座っていることができる。1.車いすに移乗して、食事や排泄時はベッドから離れる2.介助されて車いすに移乗する【ランクC:寝たきり】1日中ベッドの上で過ごし、排泄や食事、着替えに介助が必要。1.自力で寝返りする2.自力では寝返りしない《認知症高齢者の日常生活自立度》【ランク1】何らかの認知症があるものの、日常生活はほぼ自立している。【ランク2】日常生活に支障をきたす症状や行動、意思疎通の困難さが多少あるが、誰かが注意していれば自立が可能。2a.家庭外で支障が見られる2b.家庭内でも支障が見られる【ランク3】日常生活に支障をきたす症状・行動や意思疎通の困難さがあり、介護が必要。3a.日中を中心に支障がみられる3b.夜間を中心に支障がみられる【ランク4】日常生活に支障をきたす症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁にみられ、介護が常に必要。【ランクM】重い精神症状や周辺症状、重篤な身体疾患などが見られ、専門医療が必要。 一次判定では「1分間タイムスタディ・データ」を用いる一次判定では、コンピュータシステムを用いて訪問調査などの内容から高齢者を分類し、心身の状況が最も近い高齢者のデータと照らして要介護認定等基準時間を推計。結果をもとに要支援1~要介護5のどこにあたるかを判定します。このときに用いられるのは「1分間タイムスタディ・データ」と呼ばれる調査データです。《1分間タイムスタディ・データとは》介護老人福祉施設や介護療養型医療施設等に入所・入院している3,500人の高齢者を対象に、48時間の間にどのような介護サービスがどれくらいの時間行われたかを調査したデータ。二次判定では、介護認定審査会が一次判定の結果に加えて特記事項や主治医意見書などの個別の内容を総合的に判断し、最終的な要介護度が決定されます。 認知症など特定疾病の場合の要介護認定要介護認定は、基本的には65歳以上の高齢者について介護サービスの必要度を判定するものです。しかし、次の2点を満たす場合には、40歳以上65歳未満(介護保険第2号被保険者)も要介護認定を受けることができます。「特定疾病」と呼ばれる病気にかかっている特定疾病により要介護・要支援状態が6ヶ月以上続くことが予想される特定疾病とは、以下の16種類の病気を指します。がん(末期)関節リウマチ筋萎縮性側索硬化症後縦靱帯骨化症骨折を伴う骨粗鬆症初老期における認知症進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病脊髄小脳変性症脊柱管狭窄症早老症多系統萎縮症糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症脳血管疾患閉塞性動脈硬化症慢性閉塞性肺疾患両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症 要介護認定の判定基準や所要期間を知って無理のない介護を自分自身や家族が介護や支援が必要になったとき、金銭やサービスの補助を受けて負担を軽減するのはとても大切なことです。要介護認定が客観的な基準のもとで公平に行われるものだと分かっていると、申請したときにも安心感がありますね。ぜひ、要介護認定の流れや判定の基準を知識として知っておいてください。 参考:サービス利用までの流れ | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」要介護認定の有効期間と更新・区分変更 – 松阪市ホームページ認定申請日の取扱い/美作市ホームページ[要介護認定]申請から結果通知までの流れ|船橋市公式ホームページ要介護認定は申請してから認定までどれくらい期間がかかりますか。主治医意見書の作成にはどのくらいの期間がかかりますか。|船橋市公式ホームページ要介護度別の状態像の目安堺市要介護認定はどのように行われるか|厚生労働省・介護保険法(◆平成09年12月17日法律第123号)要介護認定に係る制度の概要|厚生労働省認知症高齢者の日常生活自立度・要介護認定における「認定調査票記入の手引き」、「主治医意見書記入の手引き」及び「特定疾病にかかる診断基準」について(◆平成21年09月30日老老発第930002号)認定を受けるには、どうしたらいいの?特定疾病の選定基準の考え方|厚生労働省介護保険制度について – 厚生労働省
2018年11月22日目標であり、ライバルであり、反面教師であり――。さまざまな親子のカタチがあるけれど、自分の人生は“母から自立できたとき”に始まります。そんな母と娘の関係について話を聞きました。題して「“母”が歩いた道、私が歩く道」。自らを“父親っ子”という西村知美さん(47)は、実母の綾子さん(74)との間に長い確執があったと打ち明ける。「うちの母は、ずっと共働きで事務の仕事をしていて、家庭にいる時間が少なかったせいもあり、私は幼いころからコミュニケーションを取れずに反発していました」中学時代のこと、激しい言い争いになり、母に平手打ちされた。とっさに言い返す西村さん。「私は、あなたみたいな母親には絶対にならない!」もっとひどい仕打ちがかえってくると構えていたが、意外にも母は冷静な表情でつぶやいた。「今、言った言葉を覚えておいて。将来、同じことを、あなたも自分の子どもから言われるから」14歳のとき、母との関係はぎくしゃくとしたまま、姉が応募した「第1回ミス・モモコクラブ」オーディションでグランプリに輝き、単身で山口から上京。26歳で、元タレントの西尾拓美さん(51)と結婚。2度の流産と不妊治療を乗り越えて長女の咲々さん(15)を出産したのは32歳。「結婚も事後報告でしたが、妊娠となると、わからないことだらけで不安でした。まわりに聞くと、みんな、『自分の母親に頼った』と言う。このときばかりは背に腹は代えられずの思いで、悩んだ末に母に電話するんです。おずおずと『来てくれない?』と言うと、思いのほか、あっさり『いいわよ』と、当たり前のように上京してきたんです」出産をはさんで、2カ月間を共に過ごすことになったが、「戸惑うというより、新鮮でしたね。だって、母と2人きりで2カ月も過ごすなんて、三十数年間の人生で初めてでしたから」。ここで、母の素顔にふれる。「母は、子育て経験者として余裕で手ほどきしてくれるのかと思ってたら、赤ちゃんの具合が少し悪かったりすると、私と一緒にオロオロして『病院に電話しなきゃ』って。食事も、料理もは相変わらず上手じゃないんですが(笑)、母なりに工夫して産後の私に栄養のあるおかずを作ってくれたり。そんな姿を見ていて、ああ、うちのお母さんは、表現するのが下手なだけで、いつも一生懸命なんだと初めて気付くんですね」自分も親となり、かつての母親の気持ちを知ったことで、いつしか確執も消えていたと話す。それ以降は、いままでの疎遠が嘘のように、母親に頼み事をしているという。「私が泊りがけのロケなどがあるときは、母に山口から上京してもらって、娘の面倒を見てもらっています」これには、’00年にホームヘルパー2級の資格を取得していた西村さんならではの考えもある。「何でも手を差し伸べることは、けっして高齢の方のためにならないんですね。できる範囲で頼み事をするのは、生きる糧になりますし、親孝行にもなる。母自身、孫の世話は楽しそうですし」昨年には、母が内臓と血管の、父の省吾さん(81)が胃の大手術を経験する家族の危機もあった。「母も父も、なんとか無事に乗り越えました。ふだんは実家で姉が同居して面倒を見てくれています。私は、ようやく母親との関係を修復できて、気をつけていることがあります。それは、思いを言葉やカタチにするということです」西村さん自身、あれだけ母親に反発していたせいで、自分は嫌われていると思い込んでいた。「でも、違ったんですね。今年の夏、テレビの企画で実家の断捨離をしたとき、母が私のアイドル時代からのスクラップをしていたことを知って涙が止まりませんでした。当時、私は知ろうともしなかったし、母も言わなかった。親子だから、言わなくても『目と目で通じ合う』というのは幻想です。ですから今は、母が上京してくれたときには、必ず感謝の手紙を渡したり、ふだんからメールや電話を心がけています」そして、この学びは、自身の子育てにも生かされている。「今、娘がまさに私が実家を離れたときと同じ年ごろなんです。そう、思い出しましたよ~、あの母の平手打ちのときの言葉(笑)。ですから、娘には、『うちは何でも口に出して言うようにしようね』とふだんから話しています」今、その娘さんも一緒に、できる限り多く両親との家族旅行を楽しんでいるのにも理由がある。「親孝行は、“いつか”ではなく“今するもの”と思います。共に過ごすことで増える思い出こそが家族の宝物なんですね」失われていた母親との時間を取り戻そうとするのに遅すぎることはない事実を、西村さん母娘が教えてくれる。
2018年11月16日二世帯住宅には分離型と融合(共用)型がありますが、親世帯のどちらかが亡くなり、残された親も介護が必要となったら、融合型のほうが暮らしやすいようです。共用部が多い融合型の二世帯住宅における介護しやすい空間づくりについて紹介します。■ リビングの隣に母の自立した空間を配置親世帯の父のほうが亡くなり、残された母と子世帯とが暮らす二世帯住宅の例を考えてみましょう。千和 / PIXTA(ピクスタ)介護が必要といっても、ある程度のことは自分でできる軽度の認知症を発症し、デイサービスにも通う母とその息子夫婦というケースです。1階は共用のLDKと共用の浴室、そしてリビングの隣に母の部屋を、2階は子世帯の寝室と孫の個室を配置しています。maruco / PIXTA(ピクスタ)母の部屋には、トイレ、洗面所、洗濯室、納戸を設け、庭に面したところを縁側とし、洗濯物の干場にします。miya227 / PIXTA(ピクスタ)洗濯や掃除はこれまで毎日のように行ってきた母に、できるだけ自分の身の回りのことはひとりでやってもらうような環境としています。■ 「引き戸」を使ってゆるやかに閉じる母の部屋はリビングの隣にあることで、話し声や物音が伝わってきて人の気配が感じられるようになります。一緒に過ごしたいと思えばすぐに行けるし、休みたいと思えばすぐに部屋に戻ることができます。両方の間仕切りには引き戸を採用しています。pu- / PIXTA(ピクスタ)引き戸は開き戸に比べて、急に開いても人にぶつかることもなく、余計なスペースも必要ないので気軽に開け閉めできるのが特徴です。病気などで寝込んでしまっても、少しだけ隙間を開けておくと、母の呼ぶ声や行動がわかりやすくなります。完全に閉じるのではなく、ゆるやかに閉じることで人の気配が伝わるようになり、母のほうも不安なく過ごせるのです。■ 高齢者のための配慮と工夫母の部屋とリビングの床はできるだけ近い色調にしています。freeangle / PIXTA(ピクスタ)視力が衰えると、床の色が急に濃くなると、そこが段差だと勘違いしてしまうからです。ダイニングテーブルの定位置は母の部屋に近い位置にしています。リビングには母がくつろげるソファがあり、テレビを観ながら傾眠することもよくあります。リビングの外には庭があり、ソファに座ってゆっくり外を眺めています。polkadot / PIXTA(ピクスタ)キッチンは調理しながら母を見守ることができるよう、対面式キッチンにしています。■ 将来の「車椅子」利用も考慮しておくこともしリビングと母の部屋が少し離れた距離にある場合、歩きやすい幅や車椅子が直角に曲がるための有効開口は廊下・入口ともに80㎝以上となり、幅の広い建具にしておく必要があります。kou / PIXTA(ピクスタ)廊下を歩くということになれば手すりを設置することも想定し、あらかじめ下地を施しておくと良いでしょう。ヨシヒロ / PIXTA(ピクスタ)高齢になると人との付き合いも煩わしくなり、ひとりで過ごすことが多くなります。そのため家族が集まるリビング・ダイニングと母の部屋との距離は近いほうが良いように思われます。その場合、子世帯との距離を考え、孤立しない場所と閉じ込めない工夫が必要です。リビングや浴室など共有できるよう工夫し、空間を完全に分離せず、ほどよい世帯間の距離を保つことが大切だと考えられます。
2018年11月06日介護でストレスをためないよう、楽しいイベントを暮らしの中に取り入れてみてはいかがでしょうか。たとえば、友人や兄弟を家に招いて、ちょっとしたパーティーを開いてみるのも良いでしょう。今回は認知症の妻のために、パーティーをしている夫のエピソードをご紹介します。■ 妻のためにパーティーを開催する夫!その理由とは?認知症の妻(70代)のために友人を呼んでパーティーを行っている男性(70代)がいます。A_Team / PIXTA(ピクスタ)彼が言うには「妻は口がきけないけど、人が大勢いると嬉しそうな表情をする」とのこと。仕事一筋の男性ですが、奥様のためにパーティーをやってみようと決心したのは、奥様がアルツハイマーを発症して2、3年後のことでした。仕事一辺倒で子どももいないので、奥様のことを長い間ひとりぼっちにしていたことが病気の原因だと思い、定年後は介護に専念しているそうです。■ 大勢集まれば自然と賑やかになり、介護者の気分転換になる!誕生日に集まるのは奥様の兄弟や友人が多く、みんなで料理をつくったり、お部屋を飾ったり、自然と賑やかになります。パーティーは奥様の好きな料理ばかり。お酒も医師の許可を得て少しだけいただきます。nonpii / PIXTA(ピクスタ)大勢で集うこともあれば、少人数で誕生日を祝うこともあり、その中でいろいろな工夫をして楽しんでいます。介護施設などでは季節の催事や誕生日によくパーティーをやっていますが、自宅でもちょっとしたパーティーやお祝いをやってみると、介護者の気分転換となるに違いありません。■ 部屋やテーブルを飾ってパーティーの演出も楽しむ誕生日は特別な日ですので、できるだけお部屋を飾り付け、主役をお祝いしましょう。テーブルコーディネートも合わせて行えば素敵な空間になること請け合いです。oksix / PIXTA(ピクスタ)たとえばテーブルにはいつもと違うテーブルクロスを敷いてみるのもいいでしょう。食器の色を統一すると、お洒落なお店のような印象となります。■ 風船やステッカーを使うと楽しさアップ色とりどりの風船を天井や壁面、テーブルの上などに飾ると子どもに返ったようで楽しさ倍増です。xiangtao / PIXTA(ピクスタ)風船は100均で販売しているもので十分です。100均にはパーティーグッズがたくさん揃っていますので、ぜひ利用してみましょう。また、大きめのHappyBirthdayなどと書かれたウォールステッカーで壁面を飾り付けるとイベント感がよりりアップします。■ 「介護する側」がパーティーを楽しむこと!それが一番大切パーティーの目的は介護する人がリフレッシュすることです。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)介護に没頭すると何で自分だけがこんなことを……と暗い気持ちになることもあります。そうした感情を蓄積させないためにも、リフレッシュできる時間はどこかで取るようにしてみましょう。料理やテーブルコーディネート、ディスプレイ、さらにはサプライズなど、人を楽しませることで自分も幸せだと思える人であれば、最高のリフレッシュとなるはずです。
2018年10月31日現在の法律では40歳以上の人はみな介護保険への加入が義務付けられていますが、介護保険に入っていれば誰でもすぐに介護保険が適用されるというわけではありません。介護保険を適用して介護サービスを受けるためには、まず自治体の審査を通過して要介護認定や要支援認定を受ける必要があります。身近な人が実際に要介護状態になってから慌てないよう、要介護認定に関する知識を早めにつけておきましょう。 要介護認定を受けるために必要なこと平成27年4月現在の要介護(要支援)認定者数は約608万人、平成26年度の要介護認定新規申請件数は約187万件となっています。要介護認定者数は年々増加しており、特に近年は比較的軽度の認定者数が大きく増えています。要介護認定されれば介護保険が適用されますが、このことは国の負担増加にもつながります。そのため申請すれば誰でも認定されるわけではなく、まずは日常的な介護や生活支援が必要かどうか審査を受けなければなりません。 そもそも要介護認定とはある人が寝たきり・認知症などで常に介護が必要な状態であると判断されると、要介護認定がされて介護サービスに介護保険を適用できるようになります。また、介護がなくても生活できるが身の回りの世話などに支援が必要と判断された場合は、要支援認定がされて公的介護保険サービスを受けることができます。要介護(要支援)認定は介護保険給付額と深く関わるため、認定基準は全国で統一されています。ひとくちに要介護状態といっても、どのような介護がどれくらい必要かはその人によって異なります。そのため申請後に審査を行い、本人が要介護状態にあると認められれば認定がおります。要介護認定基準は必要な介護内容に応じて5段階に、要支援認定は2段階に分類されています。新しく介護が必要になった場合は新規申請を行い、以降は定期的に更新申請を行います。病状が変化して必要な介護の内容が変わったら、区分変更申請を行います。 要介護認定はどのように行われる?認定を客観的かつ公平に行うため、コンピュータの判定や専門家の話し合いなどによって2段階の審査が行われます。病気の重さと要介護度の高さは、必ずしも一致するとは限りません。例えば頻繁に徘徊して介護者の負担が大きかった認知症患者が寝たきりになった場合、病状は進んでいるものの介護にかかる手間はそれほど増えないと見なされて要介護度が変わらない場合があります。 要介護認定を受けるメリット・デメリット要介護認定を受けると、次のようなメリット・デメリットが生まれます。メリット要介護認定されると要介護度に応じて介護保険が適用され、以下のような介護サービスを受けることができます。居宅サービス…自宅にいながら受けられる介護サービス。訪問介護や通所介護(デイサービスなど)、ショートステイ、福祉用具レンタルサービスなども居宅サービスに含まれる。施設サービス…本人が介護施設に長期滞在して介護を受ける。介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)・介護老人保健施設などが施設サービスに相当する。地域密着型サービス…住み慣れた環境で、地域の人と交流しながら受けられる介護サービス。地域密着型の小規模なグループホームや24時間対応可能な定期巡回サービス、認知症の高齢者に特化したケアなど、さまざまなサービスがある。要支援認定された場合も要介護認定より金額は低いものの介護保険が適用され、上記の介護サービスのうち要支援認定者向けのサービスを受けることができます。自立(非該当)と判定された場合は介護保険が適用されませんが、地域の保健福祉サービスなどを使うことは可能です。地域のサービスを使うことで、要介護・要支援状態になるリスクを下げるのに役立ちます。 デメリット本人が認知症だったり介護にマイナスイメージを持っていたりすると、要介護認定を受けることを嫌がるケースがあります。もし要介護認定を受けても、本人が介護を受けることに納得していなければ思わぬトラブルに発展するかもしれません。家族が説得してもどうしても聞き入れてもらえなければ、本人のことをよく知っているケアマネジャーなどに相談してみましょう。区分変更によるデメリットとして、同じ介護サービスでも要介護度が高いと利用料が高くなりやすいことが挙げられます。いくら要介護度が高くても介護保険適用額には限りがあり、上限額を超えた分は自己負担となってしまいます。そのため、区分変更すること自己負担が増えるケースもあります。 要介護認定の流れ要介護認定を受けたい場合は、まずお住まいの自治体窓口に申請書を提出します。窓口に行くときは、介護保険被保険者証(65歳未満の人は健康保険被保険者証)・マイナンバーカード(なければマイナンバー通知書と顔写真入り身分証明証)も持参しましょう。本人が申請書を提出できない場合は家族が代理で申請しますが、家族の都合がつかなければケアマネジャーなどに申請を依頼することもできます。申請から認定結果の通知までにかかる日数は、およそ30日前後です。介護認定には有効期限があり、期限が切れると介護保険を使えなくなります。更新する場合は、期限が切れる前に早めに申請しましょう。心身の状況調査(認定調査)申請が済むと自治体の職員や委託を受けたケアマネジャーなどが調査員として自宅を訪問し、本人の心身の状況や家庭環境などを確認します。調査員は概況(現在利用しているサービスの状況、家庭環境、病気、既往症など)と以下に紹介する全74項目の基本調査項目、さらに本人の具体的な状況を記録するための特記事項などをチェックします。【基本調査項目のおもな内容】身体機能・起居動作(立つ・座る・寝返りなどの日常動作、視力・聴力の程度など)生活機能(食事、排泄、着替え、外出など)認知機能(意思伝達、自分の名前や生年月日が言えるか、短期記憶の程度など)認知症に伴う精神・行動障害(情緒不安定や物とられ妄想、昼夜逆転などの有無)社会生活への適応(服薬管理、金銭管理、集団生活、買い物など)過去14日間に受けた特別な治療(点滴管理・透析など)主治医による意見書介護の必要性を医学的観点から判断するため、本人の状態をよく知る主治医に意見書を書いてもらいます。申請書に記入した主治医に自治体から直接意見書の作成依頼が届くので、申請者側から主治医に対して作成を依頼する必要はありません。主治医がいない場合は、自治体や地域包括支援センターなどで紹介された医師の診察を受ける必要があります。その際は事前に意見書を書いてもらいたい旨を医師に伝え、指示に従いましょう。コンピュータ判定(一次判定)心身の状況調査と主治医による意見書をもとに、コンピュータで一次判定を行います。一次判定では介護認定に必要な基準時間を計算し、現状維持・改善できる可能性の高さを評価します。一次判定ソフトでは認定調査項目ごとに選択肢を設けて対象者を分類していき、対象者にどれだけ介護が必要かを判定します。例えば食事の摂取に介助が必要だが嚥下は可能、生活機能はやや低下しているが認知機能はある程度保たれている場合は、食事に45.4分の介護を要すると判定されます。このように介護に要する時間を項目ごとに算出し、それらの合計によって要介護度を大まかに決定します。介護認定審査会による審査(二次判定)一次判定の結果と訪問調査票の特記事項、そして主治医による意見書の内容をもとに、医療・福祉・保健の学識経験者によって二次判定が行われます。二次判定で最終的な要介護度が決定され、申請者に通知されます。 要介護認定の結果に納得できない場合調査員や主治医が、必ずしも申請者が希望する通りに審査・診断してくれるとは限りません。また、調査訪問の日にたまたま本人の調子が良くいつもよりしっかり受け答えできることもあります。そのため、希望通りの要介護認定がされない場合があります。認定結果に納得できない場合は、自治体の介護保険審査会に対して審査請求をすることができます。審査請求が正当と認められれば認定が取り消されるので、その後改めて介護申請を行います。通知を受け取った翌日から数えて60日以内に審査請求書を作成し、必要書類を添えて提出しましょう。審査請求の他に、区分変更申請によって改めて審査・判定してもらう方法もあります。区分変更申請は本来認定の有効期間中に病状が変化した場合に行いますが、認定結果に納得できないという理由で区分申請する人も多いようです。 介護認定を受ける際の心構え介護保険を利用して介護サービスを受けるためには、まず要介護認定や要支援認定を受けなければなりません。訪問調査や一次審査・二次審査の結果介護が必要であると認められれば、状況に応じて要介護認定を受けられます。訪問調査には介護を受ける本人だけでなく必ず家族が立ち会い、普段の様子をありのままに伝えましょう。本人がひとりで調査員に対応すると、思い込みやプライドなどによって事実と異なる発言をすることがあります。もし気になることや困っていることがあれば、遠慮しないでなるべく具体的に調査員に伝えましょう。 参考:厚生労働省 「要介護認定の仕組みと手順」「要介護認定に係る制度の概要」「要介護認定はどのように行われるか」東京都福祉保健局「介護保険に関する審査請求(不服申立て)のご案内」
2018年10月29日「父のモットーは“楽しくなければ嫌”ということ。車いすを選ぶにしても『どんなのがある?』と好奇心旺盛で、展示場で目を輝かせている。介護生活でも私たち家族は常に、どうすれば父を楽しませられるかを考えていました」こう語るのは、映画エッセイストの永千絵さん(59)。千絵さんは昭和を代表するマルチタレント・永六輔さんの長女。約10年にわたる笑いと涙の介護の日々を『父「永六輔」を看取る』(宝島社)にもつづっている。妹はフリーアナウンサー・永麻理さん(57)だ。介護に関する最初の課題は、“病院嫌い、薬嫌いの六輔さんをどうなだめるか”だった。’02年に母・昌子さんが逝去して以来、一人暮らしをしていた六輔さん。大嫌いな薬の服用をすすめるため、千絵さんは実家へ日参した。ところが……。「子ども用の(服用のための)ゼリーを粉薬にかけても、上のゼリーだけすくって食べて、薬は残っていたり。こんなに嫌がる父に、無理やり飲ませるのは……と、いつも葛藤していました」また、待つことが嫌いな六輔さんのため、自宅近くのクリニックへの通院では、朝一番に駆けつけて受付けを済ませた。その後、「すぐに父を呼んで来ます」と、2番目に並ぶ患者さんにも聞こえるように言い、走って迎えに行って受診させたという。「仕事のこと、孫のことなど、おかしなネタを仕入れておいて、家でも待合室でも父を楽しませることに、さんざん頭を使いました」そんな、誰よりも個性的な父と対話した千絵さんが、“がんこな親”をなだめる介護術を教えてくれた。■どうやったら楽しくなる?千絵さんがため息をついたり、疲れた顔を見せたら、「楽しくないのなら、お帰りください!」というのが六輔さんのスタンス。六輔さんは楽しいかどうかが重要なので、「じゃあ、どうしたら楽しくなれる?」と問いかけるなど、常に「上を向いて」をこころがけていたという。■おいしいおそばを食べに付き合ってよ!六輔さんの診察が終わると目当てのそば店へ直行したという千絵さん。「闘病中、父は何カ所もの病院を受診したのですが、たまたまそばの名店が必ず近くにあることが幸いでした。そば好きの父に、『おそばを食べるついでに病院で受診しようよ』と。楽しい雰囲気作りが大事だと思います」■私も安心だし、孝雄くんもきっと安心できるよ!紙パンツをはくか否かを議論したとき。六輔さんは、常に「あなたが大変にならないように」と、家族に負担をかけたくないというポリシーの人。「『私も、孝雄(六輔さんの本名)くんも、お互いに安心な方法だよ』と伝えることで、『試すくらいは』と、それほどこだわらずにすんだと思います」
2018年10月27日介護をしている人にストレス解消法を聞くと、日記を書くことと答える人がいます。日記でストレス解消?と不思議に思うかもしれませんが、思いのほか効果があるようです。■ 「日記」は誰かにグチをこぼすのと同じ効果ムシャクシャした気持ちを誰かにグチったり、声に出してスッキリすることはよくあります。大声でバカヤローと叫べば、かなりのスッキリ感が味わえます。しかし、介護で溜まったストレスを自宅で叫んで発散などすれば、近所迷惑どころか、虐待と勘違いされ通報されかねません。そんなとき、日記を書くとスッキリするという人がいます。utah_51 / PIXTA(ピクスタ)日記をつけることがストレス発散につながるというのは、おそらく友達にグチを聞いてもらうのと同じように、溜まったものを外に出す効果があるからだと思われます。■ 日記に日頃のストレスを遠慮なく吐き出す!polkadot / PIXTA(ピクスタ)日頃のストレスを日記に吐き出す。バカ、クソババアなど、日記にしてみればいい迷惑でしょうが、ここは遠慮してはいけません。あ、ちょっと言い過ぎたかなと思うくらい書いてみましょう。そして、書いてスッキリしたところで、日記を読み返してみましょう。今日ムシャクシャしたのは別の要件と介護が重なってしまい、母の行動が障害になったからだわ。でもそれは母のせいじゃないか…などと、反省する余裕が生まれればしめたものです。そのように思えれば、次からは違った対応ができるかもしれません。日記は書くときもそうですが、読み返したときに何で怒ったのか冷静に分析できるところに意味があるのです。■ 「ブログ」は他人が見るから本音は書きづらい日記よりブログのほうがいいという人もいるでしょうが、ブログは誰かに見てもらうことを意識するため、本音は控えめに書いてしまいがちです。EKAKI / PIXTA(ピクスタ)そのためストレス発散にはならないでしょう。「いいね!」をもらえて気分爽快というは別の話です。他人が見るのだから、文章としておかしくないかとか、誤字脱字はないかと気になっていては新たなストレスとなってしまいます。■ 日記を書くと左脳が働き始めて落ち着きを取り戻す実は手書きでは主に左脳が、パソコン作業では右脳が働いているといわれているんです。Ushico / PIXTA(ピクスタ)左脳は読み書き、話す、計算、分析、論理的思考などを担い、右脳は図形や映像の認識、イメージの記憶、直感・ひらめきなどを担当します。日記を書くと、落ち着きを取り戻し、論理的に考えられるのは左脳のおかげというわけです。自分の行為を振り返り、整理して分析するという作業を、日記を書くことで左脳が自然にしてくれているのです。■ 日記を見るとそのときの介護の状況が思い起こせる手書きの文字にはそのときの感情がこもっています。NOV / PIXTA(ピクスタ)かなり乱れていたり、整っていたりと、当時の心情や介護の状況を思い起こすことができます。あのときの自分はそんなことに怒っていたのか、と少し恥ずかしい気持ちになることもあるでしょう。■ 要チェック!メモや日記を保存するアイテムも誰にも見られたくない日記ですが、溜まってきても思い切って捨てることができず、保管場所に困ることがあります。そんな人にオススメなものが、紙に書いた文字や図柄をデジタル化してくれるアイテム。これを使ってデータを保存しておくと、スマホでも確認できて、増えすぎた手帳を整理するのに便利です。Mills / PIXTA(ピクスタ)メモやレシピ、子どもの落書きなど、用途はいろいろありそうですので、ぜひ試してみてください。【参考】※手書きの魅力脳への効力※公益財団法人 日本医療機能評価機構脳のつくりとはたらき
2018年10月22日安藤和津(70)も介護うつにーー。10月18日、都内で著書「“介護後”うつ」の発売を記念した記者会見を開催した安藤。同著では介護疲れやそれ以降の“うつ”について告白。スポーツ紙によると「感情から手足がもがれた感覚で生きなければいけないことが本当につらかった」と振り返ったという。「介護うつは今や、芸能界でも話題です。布川敏和(53)さんの元妻・つちやかおりさん(54)は、お兄さんが介護うつになっていたことを明かしています。ご両親の介護に疲れたお兄さんは一時、アルコールに依存。しかしお父様が亡くなられたのをキッカケに、お母様をグループホームへ入れたそうです。それによってお兄さんへの負担が減ったようです」(芸能関係者)松平健(64)は10年に元妻・松本友里さん(享年42)を亡くした際、マスコミ各所に宛てたコメントを発表。松本さんが母の介護や出産で体調を崩していたと発表し、こう説明していた。「パニック障害・不眠症・うつ状態を引き起こし、この3年間はいろんな病院にかかりましたが、結局、心通じ合う医師とはめぐり合うことができませんでした」そして「私の力不足と悔やんでおります」とコメントしていた松平。「私が居ながら亡き母の穴を埋めきれず、愛する母のもとへ旅立たせてしまったこと、今はただただ残念な気持ちでいっぱいでございます」と切なる気持ちをにじませていた。「欽ちゃんファミリーでおなじみの清水由貴子さん(享年49)は、09年に介護うつの末に亡くなっています。明るくまっすぐな性格の清水さんはお母様の介護にも積極的でした。しかしある時期から落ち込んだり、涙を落とすように。心配した妹さんが3人での旅行を計画していた矢先に、清水さんは自ら命を絶ってしまったからいました」(芸能関係者)介護する側に完璧さを求めないこと、そして1人で抱え込まないための環境づくりが重要といえそうだ。
2018年10月21日いまの自分の何かを変えたい。人生を自分が望んでいるものに軌道修正したい。そう願う人にとって大事なのは、そのためには次に自分が何をすればいいのかを知ることと、“ワクワクして生きる”など人生の大切なメッセージを伝え続けている双子の姉妹、あーす・じぷしーの二人。「人には誰でも、たとえば、出会うべき人や、やるべき仕事など自分が望んでいることがプランされている人生があります。でも多くは、習慣や現実に縛られて違う選択ばかりしていたり、何かを変えたいと思っていてもそれに気付いていなかったりします。今回紹介する3つのワークは、その何かを変えるために必要な、“次の行動”を見つけるためのワークです」まずは1週間、毎日“ワクワク実験”と“ピースフルタイム”、2つのワークを続ける。そして1週間後に3つ目のワーク、“もしも話”をやってみよう。「最初に1週間、2つのワークをするのは、どれが本当の自分の心のシグナルなのか、逆にどれが反発や抵抗で、エゴが騒ぎだして逃げるためにしている行動かなど、自分の心の内側の感覚を開くためです。ワクワク実験はその本音を見極める実践練習で、ピースフルタイムは心の声と向き合うための時間。頭で考えた思考に惑わされず、自分の内面を見ることができるようになってから、3つ目のワーク、もしも話をすることで、本当の声に近いものが出てきます」ここで出てきた本来の望みが、次にするべき行動の一つで、最初の小さな第一歩。内面が緩んで自分と向き合えるようになる前に、もしも話をすると、単に現状と逆の選択や反発、現実逃避になることが多いので、1週間で変化が感じられなかったら、ワーク1とワーク2をもう少し繰り返してみて。「また、あなたが次にするべき行動は、実は、あなた自身の“ギフト”に気付くことでもあるんです。ギフトとは、元々自分が持って生まれたもの、授かったもの。自分の本来の使命や、やるべきことでもあり、ギフトを使って行動することが幸せに繋がるんですね」3つのワークをご紹介します!【1】選択の視点を変える“ワクワク実験”をしてみる。この1週間は、何事もすべて、ときめいたり、心がワクワクすることだけを選ぶ。「選択するときに自分に尋ねてみて。本当に食べたいのは何?本当にしたい?行きたい?どっちがワクワクする?と。いつもこっちだからと自分を誘導するのではなく、ワクワクすることだけを選んでいい“ご褒美期間”だと思ってやると、うまくいきます。ときめかない誘いは、この1週間はワクワク実験だから断ってもいい、と考えて。そうすると自分だけに与えられたラッキーやシンクロをキャッチしだして、どんどん感覚的に、そして大胆になっていきます。本当にやりたいことを思い出します。思考や習慣が変われば行動も変わり、現実も変わっていくはず」【2】自分の心にタッチする時間“ピースフルタイム”を持つ!意識をすべて自分に向ける。自分を大切にする。自分の心に触れる。そんな時間を1日5分でいいから作る。「お風呂にゆっくり浸かる。静かな公園を散歩する…。自分に合ったやり方で大丈夫。他人のことも仕事のことも何も考えず、自分に集中しよう!という贅沢な時間です。瞑想にトライするなら、自分の中に世界でいちばん静かな場所を作ってみて。〝沈黙?を作る、サイレントの時間を持つことで、思考の声や他の雑念に惑わされなくなる。そして、物事がクリアに考えられるようになったり、本音の声がわかってきたりします。頭や思考がうるさいとわからなかった、“コーリング”という自分だけに届く啓示や、直感に気付きやすくなります」【3】「もしも、人生が自由だったら…」を思い描いてみよう!もしも全部自由だったら、私はこれがしたい。この仕事をしてなかったら、会社を辞められたら、旅に出られたら、一人暮らしだったら…。“もしも?”の条件つきで、自分が本当にやりたいことを考えたり、言ったり、書き留めたりしてみる。「いままでできなかったのはどうして?自分を縛っているものは何?無理だと思っていたり、変えられないと感じていて直面している問題や、抱えているストレスを思い浮かべるのがポイントです。それが“もしもなくなれば?”と書くことで、見えてくる景色があります」このもしも話の中に、本来の人生が含まれていることが多い。「でも、あまり考えすぎないで。もしもだから書いてみよう、もしもが守ってくれてるから書いちゃったくらいの気持ちで。だから、実際は仕事を辞めるつもりはなくてもいい。もしも辞めたら、もしも彼や夫と別れたら、何をしたいか…。書き出してみたら、案外それは別れなくてもできると気付いたり、逆に、仕事を辞めるつもりはなかったのに辞めた方がいいと、心境の変化が起きたりします」あーす・じぷしーさん1987年生まれの双子の姉妹。妹のまほは、音や人などに色を感じる共感覚を、姉のなほは、言葉や感覚でメッセージを受け取る力を持つ。全国で講演、トークライブなどを行っている。※『anan』2018年10月17日号より。イラスト・maho(あーす・じぷしー)(by anan編集部)
2018年10月14日親の介護は長男の嫁がやるもの、という考えの方がまだまだ多いようですが、中には兄弟全員で分担し、親を介護しているケースもあります。ちょっと変わっているけど、兄弟全員で介護したことによる思わぬメリットも生まれた一つの事例をご紹介しましょう。■ 母を日替わりで介護する「当番制」の提案とある主婦Nさんは、実母の介護を兄嫁だけに頼っていたところ、あまりの負担に耐えかね、とうとう兄嫁は実家に帰ってしまいました。仕事が忙しい兄はほとんど介護ができず、Nさんに相談しました。Nさんには兄のほかに三人の姉妹がいます。そこでNさんは、きょうだい全員にある提案をしました。HBS / PIXTA(ピクスタ)それは、みんなが当番で母を看るというものでした。しかも自給500円のアルバイト料を払うとのこと。その費用は母の蓄えから支払われるという驚きの提案でした。■ 大反対した三人の姉妹を兄が説得ところがこれに怒ったのが三人の姉妹でした。「実の母を介護するのに金を取るなんて酷い、親不孝もいいところ」「子が親を看るのは当たり前、お金なんていらない」など。それを救ったのは兄でした。兄は介護がどれほど大変か、介護をする奥さんを見ていて知っていたのです。だから懸命に姉妹を説得しました。マハロ / PIXTA(ピクスタ)夜から朝までは自分が介護するから、その他の時間にサポートをお願いしたいと、より具体的な提案もしました。さらに、母のお金は年金しかなく、兄が補充するとも言ってくれました。そして、なんとか姉妹を説得したのです。こうして、いよいよ「有償当番制」がスタートすることになりました。■ こんなにいいことが!当番制にしたメリット4つ当番制というのは、月曜日から日曜日まで、起床から入床までの時間を誰と過ごすか決めること。休日は担当者の家に泊まりに行くこともあります。なるべく平等になるよう、1か月間で回数を調整し、急用などで抜けても誰かがカバーできるようにしました。NOV / PIXTA(ピクスタ)まさに介護施設のシフトを思わせる連携が始まったのです。実際にやってみると、思わぬメリットがありました。それが以下の4つです。兄嫁が実家から帰ってきたこと。兄嫁の負担が軽くなり表情が明るくなったみんなに仕事意識が芽生え、不平等感がなくなったちょっとしたお小遣いができた兄弟が頻繁に顔を会わせ、話をするようになったFast&Slow / PIXTA(ピクスタ)■ できないと言う前に、まず一人ひとりができることを考える介護を分担して行うことは簡単なことではないでしょう。仕事や育児など、兄弟姉妹それぞれの事情があります。まずは、それぞれのできること、できないことを出し合い、ノートなどに書き留めていきましょう。MasayaIshimoto / PIXTA(ピクスタ)できないというのではなく、こういう条件ならできる、となるべくできることを書き出すようにします。費用については、母の貯蓄から出すことが難しい場合、みんなで一旦出資して、そこから支払うようにしてもいいでしょう。介護に参加できない場合は、費用を多めに負担するといったことも考えられます。■ お金を払うことで、介護の価値を知り、介護者を敬う意味がわかる当番制ではなくても、介護をしてくれた人に対してお金を払うことは決して悪いことではありません。Greyscale / PIXTA(ピクスタ)無償でやってもらうと何となく気が引け、やるほうも自分を抑えてやっている滅私奉公的な気持ちが強いように思います。お金を支払うというのは、その行為を必要で正当な仕事として認めた代価です。支払う人が大いに助かっていると認めている証なのです。お金を受け取ることで負い目や恩着せがましい感情は解消されるものと考えられます。これは介護に限らず、家事や育児でも言えることかもしれません。仕事としてどれくらいの価値があるのか、意識するだけでも当事者を敬うことにつながるでしょう。■ 地域でも応用できる「有償当番制の介護」Tanpopo / PIXTA(ピクスタ)こうした有償の当番制という仕組みは、少しアレンジすれば地域でも応用できる可能性があります。一人の高齢者を近所の方が手分けして介護し、家族や自治体がその報酬を支払うなど、方法はいろいろあると思われます。介護は一人でやれば辛いけれど、みんなでやれば楽しいことに変わるかもしれません。楽しいことを共有するよりも、苦しいことを分かち合うほうが、より強い絆で結ばれるのではないでしょうか。
2018年10月11日介護をするうえでトイレの問題は最も優先すべきことでしょう。高齢になるとトイレの回数も増えてきますので、介護が楽になるか嫌になるかを左右するほど影響力の大きい問題です。そこで今回は、介護が楽になるトイレづくりのポイントをご紹介します。■ 認知症高齢者が夜中にひとりでトイレに行く危険性夜中に起きてトイレに行くと、眠気や動作の問題でふらつきや転倒の可能性が高くなります。IYO / PIXTA(ピクスタ)認知症高齢者の場合、足腰が弱くなり、視力も落ちているうえ、どこにトイレがあるのかわからないという、トリプルパンチの状態です。トイレの位置がわからないといのは、家の中における各空間の位置関係がわからなくなるという認知症の症状の表れです。いわゆる見当識障害というもので、季節、曜日、住んでいる場所、年齢など、自分を取り巻いている現状が理解できないのです。■ トイレまでの通路は明るく歩きやすい環境に!トイレ問題は寝室からトイレまでの通路と、トイレそのものに配慮する必要があります。深夜に目覚めた高齢者は、トイレに行こうと廊下に出ますが、廊下の照明スイッチが遠いと暗い中を歩くことになります。stockcamerawork / PIXTA(ピクスタ)センサー付きの照明にするか、せめてフットライトは設置したいところです。たむらあ / PIXTA(ピクスタ)人は明るい所から暗い所へ移動したとき、一瞬、視力が奪われ見えなくなります。若い人は10~30秒ほどで見えるようになりますが、高齢者は1~2分もかかります。また、高齢者は光源の輝度が高すぎるとまぶしく感じますので、明るくしすぎないように注意しましょう。寝室では顔の真上に照明を設置しないようにしてください。■ トイレとわかるように張り紙や看板などを設置認知症高齢者はトイレがどこかわからなくなり、あちこち捜し歩くことがあります。できればトイレと書いた用紙をドアに張ったり、看板を取り付けたりして、トイレだとわかるようにしましょう。ThefotosoloNo1 / PIXTA(ピクスタ)トイレのドアは外開きだと、出るときに人とぶつかる可能性があり危険です。できれば横にスライドする3枚引戸タイプがオススメです。Graphs / PIXTA(ピクスタ)ドアは使用中であることがわかるように、部分的にガラスがはめ込まれ、中の明かりが外から見えるタイプにすると良いでしょう。トイレのドアを開けたとき、自動で照明が点くようすると、スイッチを探す必要がなくなります。■ トイレ内は車椅子と介護者が入れる広さにトイレの中は車椅子と介護者(介護をする人)が入れて、さらに中で車椅子が回転できる広さがベスト。hap / PIXTA(ピクスタ)トイレの中には手洗いのできる小さな洗面と、オムツなどが置ける収納棚があると便利です。下着や衣服などの汚れはスロップシンクという専用の洗面台を利用するととても助かります。くまちゃん / PIXTA(ピクスタ)掃除用具や靴、マットなどの汚れ物も手洗いすることができます。■ 将来の介護のために新築時できること将来、親の居室を介護しやすくすることを考え、あらかじめトイレ・洗面準備配管を施しておくこともできます。hap / PIXTA(ピクスタ)必要なときに最小限の工事でトイレ・洗面付きの居室に改修でき、特に車椅子などを使うような頃に重宝すると思われます。ポータブルトイレという方法もありますが、抵抗があるという人もいるでしょう。ちゃんとしたトイレが居室にあれば遠慮なく用が足せ、気持ちよく過ごせます。介護生活が長引くと介護者のストレスが溜まり、心身ともに疲れてしまいます。トイレの問題は早めに対策をすることで、要介護者と介護者がともに辛さから解放され、在宅介護が楽になる大きな一歩となるでしょう。
2018年10月07日親と同居しようと思っている人の中には、二世帯住宅を建てる人が多くいます。それらの人たちには、やがて介護という現実と向き合うことになります。では、介護者とどのようにして家に住めばいいのでしょうか?そこで、気になる介護がしやす住まい「介護住宅」についてご紹介します。■ 同居の最も多い理由は「親の老後が心配だから」日本人の平均寿命が90歳に迫りそうな昨今ですが、すべての人の老後が明るいわけではありません。なぜなら、2025年には65歳以上の人の5人に1人は認知症を発症するという現実が立ちはだかっているからです。つまり、今は大丈夫でも10年後、介護している可能性は高いということです。親と別々に暮らしていた息子や娘が、再び親との同居を考える理由として最も多いのが、「親の老後が心配だから」というもの。Ushico / PIXTA(ピクスタ)特に片親だけになってしまった場合、同居の可能性はより高くなります。ちなみに、父一人または母一人という片親比率について旭化成ホームズが調べたところ、50代・60代では2割ほどですが、80代になると8割にも達します。また、親子同居経験者に限ると、じつに7割以上が介護を経験しているという調査結果もあります。■ 介護がしやすい「共用型」二世帯住宅親世帯と子世帯が同居となった場合、二世帯住宅を新築するという人も多くいます。二世帯住宅には独立型と共用型があります。独立型はキッチン、浴室、玄関などすべてが親世帯と子世帯とで別々になっている住宅です。千和 / PIXTA(ピクスタ)親世帯が元気なうちは互いのプライバシーが保ちやすい独立型がよいかもしれません。一方の共用型は、基本的な生活空間を共用し、サブキッチンやサブリビングなどのサブ空間を設けた住宅です。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)3階建住宅では、2階に共有のLDKをつくり、1階に親世帯、3階に子世帯の居室をつくることがよくあります。2階で互いに交流するよう、メインとサブの空間を使い分けています。老親の介護に向いているのは、共有部分が多い共用型二世帯住宅でしょう。共用型は食事を一緒にとったり、リビングでくつろいだりと親を常に見守りながら生活することができます。■ 「娘夫婦同居」と「息子夫婦同居」の違いは何?同じ同居でも娘夫婦と息子夫婦とでは親子関係がかなり違ってきます。息子夫婦同居の場合、嫁姑問題に配慮して独立型にすることが多いようです。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)娘夫婦の場合もそれなりに互いの立場を考えなければならないでしょう。息子夫婦同居の特徴として、親は子世帯のところへあまり行かないという傾向があります。これは、お嫁さんへの気遣いの表れでもあります。いざ介護することになっても親は自分たちだけで介護することが考えられますので、一人だけで介護しないよう、協力しあうことを心がけましょう。■ 主介護者の負担を軽くするルールづくり認知症を発症すると実の親子でも仲が悪くなったり、介護放棄したりするなど、これまでの関係が悪化することがあります。意外にも血縁関係のない夫や妻のほうが介護しやすいこともあるでしょう。認知症の初期には親も元気なのでよく動き、いろいろな問題を起こしやすいので、見守りや付き添いで主介護者は心身ともに疲れます。freeangle / PIXTA(ピクスタ)家族みんなが協力できるところは分担し、主介護者の負担を軽くするようルールを作ることも大切です。家事や見守りは子どもでもできる部分はたくさんあります。つむぎ / PIXTA(ピクスタ)介護で家族が一つにまとまるチャンスであると考えれば、協力は得られると思われます。■ 移動のスムーズさがカギ!介護がしやすい加齢配慮の二世帯住宅現在の住宅は家族の成長に合わせて、間仕切りや空間が変化しやすいよう設計されていることが多いといわれます。同じように、二世帯住宅を新築する場合、加齢による体力の変化にスムーズに応じられる住まいであることが重要です。介護で最も問題なのは移動で、想定すべきルートは3つあります。トイレへの移動リビングへの移動外への移動トイレの中では車椅子が回転できる広さを得るため、洗面と間仕切りを設けないワンルームにするなどの工夫が必要です。shizuka / PIXTA(ピクスタ)リビングは家族との団らんを楽しむ場であり、できるだけ一緒に過ごせるよう通行しやすいルートにします。外出のルートは、デイサービスや病院のほかに買い物や行楽に出かけやすいよう、玄関、階段、玄関アプローチに配慮が必要です。YNS / PIXTA(ピクスタ)これらのルートについては、車椅子でも通れる幅であることが大切です。段差や障害物をなくして、スムーズに通れるようにしておきましょう。介護住宅について、まだまだ個々の家庭で対処している状況ですが、親との同居やリフォームを考えている方は、ぜひ参考にしてください。【参考】※旭化成ホームズ 二世帯住宅研究所二世帯同居・この10年※旭化成ホームズ 二世帯住宅研究所親子同居スタイル・多様化の実態
2018年10月05日親の高齢に伴い、同居の話が出てくることがあります。なかには「親と同居したくない」と思う家族もいるでしょう。同居は、経済的な援助や親と子どもを同時に見守ることができるため、メリットがないわけではありません。メリットを活かしつつ、デメリットとなる部分を回避できるように同居前に話し合いを持つことが必要不可欠です。■ 同居を始めた2家族の体験談体験談1Aさん(当時34歳)宅は、夫(当時39歳)と子ども4人の6人家族です。家を建てたことで、ご主人が両親と同居したいと言ってきました。建てた家は二世帯ではないため、Aさんは嫌でしたが、ご主人の強い希望もあり、高齢の義両親と同居することになりました。生活習慣全般が違うため、相当苦労したそうです。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)Aさんは、「話し合いの場を夫とも義両親とも持てば良かった。救いは子ども達が手伝ってくれることと、義両親が子ども達をかわいがってくれることですね」しかし、その2年後介護が必要となりダブルケアをすることになったそうです。体験談2これは筆者宅の話です。筆者は、結婚前から義両親と同居したいと夫から言われていました。Aさんのことを聞いていましたので、最初は夫と、その後で義両親を交えて話し合いをしました。生活習慣の違いがあることはわかっていましたので、生活のこと・家事分担・生活費の負担について主に話し合ったのを覚えています。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)特に介護のことは「お世話ができないので、介護が必要になったら、専門の人にお願いしたいと考えています」と伝えました。義母からは、「お互いの生活がありますから、干渉のし過ぎには注意します。でも、困ったことがあったら協力してほしい。介護のこともわかりました」と言われました。それから15年、大きないざこざもなく生活できています。■ 話し合いは「夫婦のみ」「両親を交えて」の最低2回はするべき!私の経験上、「夫婦のみ」「両親を交えて」の2回は最低でも必要です。夫婦である程度、同居する際の決まり事などを最初に話し合います。shimi / PIXTA(ピクスタ)なるべく、同居を希望する側が、お願いする側と条件を一致させておくようにしましょう。両親を交えて話し合いをする際もお互いの条件をしっかり言い合うことが大切です。Taka / PIXTA(ピクスタ)そうしないと、どちらかが後になって「聞いてない」なんてことになり、揉め事に発展する可能性が出てきます。特に、生活し始めたときに共用となる部分についての利用状況は、良く話し合うようにした方がいいです。■ 同居前に話し合っておく大切なポイント夫婦間では本音で話し合いますが、次のポイントは必ず話題に出して答えを出すようにします。金銭面の負担両親の生活パターン介護になった際のこと(主に女性側にのしかかってくるものですので必須です)これらをメインに話し合いましょう。Rina / PIXTA(ピクスタ)両親を交えての話し合いの際は、以下のことを話題に出しましょう。金銭面のどこを負担し合うか(家屋の保険・水道光熱費・食費など)家事分担(夕食の準備を頼めるか、洗濯物は別で洗うかなど)介護関係(妻側がお世話をできるか、ディサービスなどを利用したいのかなど)お互いのやり方に口を出さないことなどです。bino / PIXTA(ピクスタ)介護は今すぐに必要になるものではありません。そのため、「今そんなことを言わなくても……」と言われることもあります。しかし、同居するとほとんどの場合、負担は家族にのしかかってきます。前述で紹介しました体験談のAさんの例もありますから、最初に話をしておくことは大切です。そして、一緒に住み出すと、家事育児に口出し(干渉)をすることがほとんどです。これが原因でいざこざが起こります。そうならないためにも最初に言っておくことは大切です。maroke / PIXTA(ピクスタ)いかがでしたか。同居を始めると、価値観の違いや食生活など、さまざまな違いが出てきます。話し合ったとしても、小さいことは生活を始めないとわからないこともあります。そこから少しずつすり合わせていくものですが、基本的な部分だけはしっかり話し合っておきましょう。
2018年09月27日親を介護していて、つい怒鳴ったり叱ったりすることがあります。怒りはなかなか抑えづらいもので、抑えれば抑えるほどつい言ってしまいます。自分でいかに感情を制御できるかが、介護で苦しまないためのコツでもあります。そんなときは我慢するのではく、あきらめることをオススメします。今回は介護者の怒りを抑えるために考えるべきことをご紹介いたします。■ 同じ行動を繰り返す親につい怒ってしまう原因は?認知症の親が問題行動をとったとき、つい怒って大声を出すことがあります。認知症ONLINEが行ったアンケートによると、介護家族の約8割が虐待しそうになったと回答しています。Fine Graphics / PIXTA(ピクスタ)例えば、仏壇の供え物を食べたり、トイレの水で手を洗ったり、鼻をかんだティッシュをポケットに入れたり、あるいは家にいるのに「はやく家に帰りたい」と言ったときなどです。Graphs / PIXTA(ピクスタ)最初はそうした行動に戸惑いますが、何度もやられると感情が乱れて怒りへと変わります。本当は怒りたくない、だけど反射的に暴言が出てしまう。そして、後悔する……。こうしたことの繰り返しに自分を責め、次は我慢しようと思います。しかし、問題行動を見た瞬間、どうしても怒鳴ってしまいます。■ 怒るより“あきらめた”ほうがお互いにラク!そこで提案したいのが、どれか一つだけ諦めてみること。ocsa / PIXTA(ピクスタ)親の問題行動の中で一つだけ選び、今日は怒らないことにしよう、と決めてしまうのです。そう強く決意すると、不思議と冷静でいられます。どちらかというと諦めに近い心境ですが、怒らないでやり過ごすことができます。例えば、鼻をかんだティッシュをポケットに入れても、見て見ぬ振りをすること。freeangle / PIXTA(ピクスタ)やがて時間が経ってから、「ポケットのティッシュ、捨てたほうがいいよ」と言います。すると、え、何これ?と言って、親はティッシュを捨ててくれるはずです。■ 問題行動にも、本人には本人なりの理由がある実はこうした問題行動にも理由があります。鼻をかんだティッシュをポケットに入れるのは、ティッシュがもったいないから。SoutaBank / PIXTA(ピクスタ)ティッシュなどがない時代に育ち、紙を大切に使うという意識が働いているのかもしれません。すべての問題行動になんらかの理由があると思えば、少しは感情的にならずに済みます。これは子育てにもいえることでしょう。■ 怒っても変わらないなら、こちらの考え方を変える目をそむける、諦める、といったことは一般の人にはほめられたものではないでしょう。しかし、介護ではよくあることです。自分が感情を荒げなければ相手も落ち着いています。怒っても何も変わりません。相手が変わらないのなら、こちらが変わるしかありません。まずは自分が何に対して怒るのかを知ること。それを一つずつ潰していくようにあきらめていくことが、怒らないコツだと思います。SAMURAI / PIXTA(ピクスタ)まあ、いいか。少しぐらい汚くたって死にはしないわ。そう思えば、気持ちは楽になり、今まで怒ってきたことがバカバカしく思えてくるのではないでしょうか。いい意味で、あきらめる選択は介護において有効だといえます。【参考】※認知症ONLINE認知症の介護家族の約8割が「虐待」しそうになった経験が「ある」。調査データ発表
2018年09月26日在宅介護では暴言や暴力が絶えないともいわれています。このいわゆる虐待は大きな問題でもあります。認知症の人に接するうえで最も大切なことは何か。このような悲劇を招かないために、一度立ち止まって考えてみる必要がありそうです。■ 最も暴力に発展しやすいのは子が親を介護するケース!?平成27年度、家族や親族による虐待数は15,976件でした。これは前年と比べて237件増えています。sakai / PIXTA(ピクスタ)介護者と要介護者の関係を大きく分けると、子が親を介護、妻が夫を介護、夫が妻を介護、妻が姑を介護、という4つのケースがあります。この中で最も感情を乱しやすいのは、子が親を介護するケースです。また認知症の人は感情のコントロールがうまくできないため、何かと怒ったり頑固になったりします。しかも言うことを聞かないうえ、暴言や暴力までふるうこともあります。その結果、介護者がストレスを抱え、今度は介護者による虐待が始まることも少なくありません。■ 虐待で最も多い!息子が親に対して行う暴力平成27年度の虐待事例15,976件のうち、息子が全体の40.3パーセント(7,099件)を占めています。Ushico / PIXTA(ピクスタ)以下、夫の21.0パーセント(3,703件)、娘の16.5パーセント(2,906件)の順に続いています。では、なぜ息子の暴力が多いのか。それは、もともと力の差があるうえ、身内という遠慮のない関係が災いし、暴力をふるいやすいのではないかと思われます。■ 在宅介護で虐待が起こる最大理由はストレス!息子や娘は、自分を育ててくれた親をいつまでも気丈で尊大な人と思いたいものです。しかし、幼児のようにわがままや身勝手な振る舞いをする親に、我慢できなくなり、つい手を挙げてしまうのではないでしょうか。厚生労働省の調査によると、在宅介護で虐待が起こる最大の理由は「介護疲れ・介護ストレス」とのこと。shimi / PIXTA(ピクスタ)徘徊や異常行動を起こす親に振り回されると、疲れ、ストレスが溜まり、やがて冷静に対処することができず、大声で怒鳴ったり、手が出たりします。■ 病に対する理解不足は悲劇を生む根源同じ質問を一日に何十回もされると、多くの人は冷静さを失うでしょう。でも、それが認知症なのです。言ったこと、聞いたことをすぐに忘れる病が認知症なのに、性格が悪いとか頭がおかしいとか、本気で思ってしまう人もいます。shimi / PIXTA(ピクスタ)認知症で最も悲しいことは、こうした誤解による関係性の崩壊です。では、どうすればいいのでしょうか?最大の防止策は、認知症を理解することです。多くの介護者が認知症を理解しないまま介護をしていると考えられます。介護方法は知っていても、病気についての理解がないため基本的な接し方ができない人が多いのです。これは悲劇の根源でもあります。認知症の人は病人である前に人なのです。汚い言葉には汚い言葉で返します。優しい言葉には優しい言葉で返します。■ 認知症を理解し受け入れる寛容さが大切認知症は治らない病気、認知症になったら家庭は崩壊する、などの言葉が独り歩きし、誤解を信じ込んでいる人はたくさんいます。認知症を理解することは相手を理解することであり、それによって憎まない・怒らないにつながります。しげぱぱ / PIXTA(ピクスタ)病を憎んで人を憎まず。難しいことかもしれませんが、病気を理解し真正面から受け入れる寛容さが私たちには必要なのだと思います。【参考】※イリーゼ高齢者虐待を防止するには?介護現場の実態と今後の解決策※厚生労働省医療経済研究機構「家庭内における高齢者虐待に関する調査」概要※厚生労働省平成27年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果
2018年09月18日親や夫の介護が必要になったら、何をどうすればいいの?そんな悩みを抱いている人は少なくないでしょう。60代~80代の親を持つ人にとって、介護はいつ訪れてもおかしくない問題です。ここでは、多くの人が最初に出会う「デイサービス」と「ケアマネージャー」についてご紹介します。■ 介護保険サービスを利用するには要介護認定から親や夫、妻が認知症かなと思ったら、まずは病院で診察してもらいます。SoutaBank / PIXTA(ピクスタ)その結果、認知症と診断されたら役所やに出向いて要介護認定の申請をしましょう。ISO8000 / PIXTA(ピクスタ)要介護認定は介護保険制度を利用するベースとなりまので、必ず申請しましょう。camera_papa / PIXTA(ピクスタ)申請後、調査員が自宅に来て聞き取りや観察を行い、1か月ほどで認定結果を伝えてくれます。要介護1~5、または要支援1、2に認定されて始めて、さまざまな介護保険サービスが利用できるようになります。■ 最初に出会うのは、介護の専門家・ケアマネージャー要介護1~5に認定されると地域包括支援センターで、「デイサービス(通所介護支援)」を紹介してくれます。デイサービスは親を昼間だけ預かって、食事や運動などを提供する施設です。tkc-taka / PIXTA(ピクスタ)送迎もしてくれますので、決められた時間に自宅で待っていればよく、介護の負担は軽くなります。デイサービスに入るためには、まず地域包括支援センターで要介護者に適したデイサービスを選び面談します。面談の相手はデイサービスに所属するケアマネージャーです。しげぱぱ / PIXTA(ピクスタ)正式には介護支援専門員と呼ばれ、要介護認定を受けた人が適切な介護サービスを受けられるよう支援する専門家です。ケアマネージャーは要介護者や家族と話し合い、デイサービスでのケア内容、運動、食事、レクリエーションなどのケアプランを作成します。介護のスペシャリストなので、何でも気軽に相談できる強い味方です。■ 「デイサービス」は最もポピュラーな介護保険サービス「デイサービス」は認知症でも比較的軽度の要介護者に多く利用されている日帰りタイプの介護施設です。デイサービスでは自宅で安心して暮らし続けていけるよう、生活支援(食事や入浴を提供)や機能訓練を行っています。Ushico / PIXTA(ピクスタ)また、ラジオ体操や歩行訓練などで体を動かしたり、レクリエーションやイベントに参加したりします。Greyscale / PIXTA(ピクスタ)疲れた時は何もせずゆっくり休み、仮眠もできます。でも、宿泊はできません。介護保険制度では要介護度の程度によって、介護サービスを利用できる回数が決められています。要介護1、2の方は週に1、2回しか利用できないことがありますので注意してください。■ 一人ひとりに対応する「小規模多機能型デイサービス」デイサービスには、「小規模多機能型デイサービス」という日帰りと宿泊の両方ができる事業所もあります。IYO / PIXTA(ピクスタ)通常のデイサービスでは、施設が計画したスケジュールに沿って過ごしますが、小規模多機能型では朝から晩まで滞在する人や食事のみ、入浴のみの数時間だけ利用する人など、利用者ごとに対応してくれます。日中は通常のデイサービスと同じように過ごし、夜は同じ施設で宿泊する。そして、翌日はデイサービスで再び過ごす。昼も夜も施設やスタッフが慣れ親しんでいるというのも、利用者にとっては安心できる点といえるでしょう。数日間の宿泊も可能で、これによって家族の負担がかなり軽減できると考えられます。■ 介護保険サービスの料金は月にどれくらいかかる?要介護認定で1~5に認定されれば、デイサービスのほかにも、ショートステイ(短期宿泊)、ホームヘルパー(家事や介護を支援してくれる人)、訪問入浴サービスなどが利用できます。hap / PIXTA(ピクスタ)要介護や要支援に認定されると、こうしたサービスが1~3割の自己負担で利用できます。重度の要介護(要支援1が最も低く、要介護5が最も高い)ほど利用限度額は大きくなります。限度額を超えてしまうと、超過した金額は全額自己負担となりますので注意しましょう。ちなみに保険で適用される限度額は、最も高い要介護5で約36万円/月、自己負担は約3万6000円/月です。最も低い要介護1で約5万円/月、要介護2で約10万円/月、自己負担はそれぞれ約5,000円/月、約1万円/月です。5万円、10万円でデイサービスに何回通えるか、ケアマネージャーなどとよく相談してください。■ ケアマネージャーやデイサービスは変更も可能さまざまな介護保険サービスを使うことで介護する側の負担を減らすことができます。どんなサービスを利用するかは、ケアマネージャーと家族が話し合って決めます。しげぱぱ / PIXTA(ピクスタ)ケアマネージャーは介護のことなら何でも相談できる頼もしい専門家です。今後の在宅介護で重要な協力者となりますので、良好な関係を保つようにしましょう。しかし、どうしても相性が合わないケアマネージャーもいますので、その場合は別の人に変えてもらうことも可能です。デイサービスは見学もできますので、いろいろな施設を見てから決めるほうが良いでしょう。
2018年09月09日2025年には、人口のボリュームゾーンである団塊の世代が75歳以上となり、全人口の5人に1人が後期高齢者という2020年代。当然、認知症患者も激増。「介護離職」や「介護難民」はますます増加すると予想される。5人に1人にまで増える後期高齢者、それは50代後半に差し掛かった多くの人にとって自分の親にあたる。現在の平均寿命が男性81.09歳、女性87.26歳であることを考えれば、2020年代には多くの人が親の介護、看取りを経験するだろう。物心両面の備えが、まさに待ったなしになるのだ。そこで、とし生活設計の取締役で、1級ファイナンシャル・プランニング技能士の大野高志さんと、キャリアカウンセラーの小島貴子さんに、いまの50代が2020年を乗り切るための方法を教えてもらった。■「生身の人」から得られる情報にアクセス!「100年人生の後半戦を楽しむためには、新しい世界を広げることが大切。これまでママ友とばかり付き合っていたなら、ぜひバリキャリの友人とも情報交換をしてみて。結局、人間というのはテレビやウェブではなく、生身の人間からの情報がいちばん刺激になるもの。昔の級友や同僚が、きっと『まだ見ぬ世界』を教えてくれる貴重な存在になるはず!」(小島さん)■親のエンディングノートを作成しておくべし「親が元気なうちに本人の意思をエンディングノートに記しましょう。このとき、関係者全員がその内容を了解することと、各自の分担は何か、ある種『契約的な考え方』が重要です。その作業が『自分のとき』について考えるきっかけにもなります」(小島さん)■平均介護期間のための資金、216万円を確保せよ「まずは親が公的な介護を受けられるだけの資金確保が急務です。あくまで現行制度の話ですが、介護サービスの自己負担額は利用限度額内なら原則1割。地域差はありますが、もっとも重度な要介護5だと限度額が約36万円なので、月の負担額は3万6,000円程度になります。現在、平均的な介護期間は約5年といわれていますので、216万円(=3万6,000円×12カ月×5年)程度は確保しておきたいですね」(大野さん)■相続から発生する問題を最小限に食い止めよ「裁判所の統計によると、遺産相続の訴訟件数の3割は遺産総額1,000万円以下。相続争いは資産家だけの問題に限りません。公正証書遺言を作成しておくと安心です。資産の総額にもよりますが、公証役場にて数万円から作成可能です。また実家の家屋も、親御さん亡き後の処分方法を決めておきましょう。2代空いたら空き家まっしぐらです」(大野さん)年老いた親が通る道は、いつか自分も通る道。親の「最期」としっかり向き合うことで「自分の老後」を考えるきっかけにしよう。
2018年09月09日付き合っている彼が帰省するさいに「一緒に来る?」「両親に会う?」など言ってくれたら、本気で付き合っている感じがして嬉しいですよね。結婚にも近づいている感じがあると思います。親に会わせる、会わせない、で彼の本気度が測れるのでしょうか。そして、その差はなんなのでしょうか。まとめてみました!■■ポイントは彼の親子関係「親に紹介できるかどうか」は彼女がどんな人かよりも親がどんな人かによって影響されます。どんなに自分が素敵だと思っている彼女であっても、「息子の彼女と会いたくない」と思っている両親であれば紹介しづらいもの。「結婚を考えているわけでもない、いずれ別れる可能性が高い彼女と会ってもどういう関わり方をしていいか分からないから気まずいだけ。結婚が決まった相手だけ連れてきて欲しい」とドライな考え方をする人も一定数いるからです。また、恥ずかしいから親と恋愛の話なんて絶対にしたくないというタイプの人も少なくありません。だから、「紹介してくれない」から彼が本気ではないとは限らないのです。彼が「元カノを一人も親に紹介したことがない」という過去の事実があるのであれば、紹介されなくても何も問題ないでしょう。■■友達に紹介するのと親に紹介するのはハードルの高さが違う「彼女にベタぼれで自慢したい」という感覚を持っている場合は、友達にどんどん紹介しようとするでしょう。ただ、友達に会わせるのと親に会わせるのでは難易度が全く違います。それは、友達が交際を反対するケースは少なくても、親が反対する可能性は十分あるからです。親に会わせるのであれば、「親が気に入りそうな彼女かどうか」という点も含めて気にするので、例えば「離婚歴あり」「学歴が合わない」など、親が反対しそうな条件の彼女だと安易には紹介できないなと考えます。でも、時間をかけて親を説得しようと思っていることがわかるならそれは悪いことではありません。■■他の彼女は紹介してきたのに会わせてくれない場合過去の彼女も誰一人として親に紹介してきていないのであれば、彼のご両親はちょっと面倒で気難しい人たちなのか、あるいは恋愛の話題をするような家庭ではないのかもしれません。でも、過去の彼女は紹介してきたのに自分だけはされないというのでれば問題です。将来を考えたときに親が反対しそうな条件があるわけでもないのに彼が紹介を避けるのであれば、別れを考えている、将来が見えないと思っている可能性が高いでしょう。■■彼女の親に会いたがらない場合自分の親に会わせるよりも、彼女の親に会うほうが男性はプレッシャーが大きいものです。なので、彼の気持ちを測りたいのであれば「今度うちの親と一緒にご飯食べようよ」などと話を振って反応を見てみてください。そこで頑なに嫌がったり、避けようとするなら本気で付き合おうと思っていない可能性が高いです。■■おわりに結局のところ、「親に紹介する」というのは彼の意思だけではありません。招く側になる親側の対応がメインになるので、彼と親の関係性のほうが大きく影響します。ですから、「彼の親に紹介してくれるかどうか」よりも「自分の親と会うことを避けたがらないか」のほうが、誠実度が分かりやすいですよ。(上岡史奈/ライター)(ハウコレ編集部)
2018年09月09日親を介護するのは長男の嫁の努め。このような固定観念にしばられ、 “いい嫁”になろうとひとりで舅・姑の介護に勤しむ人は少なくないようです。その結果、奥さんが体調を崩し入院することもあります。あるいは「介護うつ」になる人もいます。そうならないために、介護に対して妻がどのように向き合えばいいのかご紹介します。■ 昔の日本では親の介護は嫁がするのが常識だった?一昔前の嫁たちは、舅・姑の親の介護に明け暮れている人が多かったと思います。bee / PIXTA(ピクスタ)しかも、夫は仕事があるため介護は妻にまかせっきりで、夫の兄弟も口は出しても手は貸さないのが常でした。現在はこれほどではないにしても、介護という重荷をひとりで背負っている介護者はたくさんいます。こうした状況が続くと、ストレスが溜まって精神的に追い詰められます。それが原因で「介護うつ」になる人も多いようです。では、そうならないためには、どうすればいいのか。答えは、「いい嫁」をやめること!ひとりで何もかも抱え込むことをやめること!具体的な方法を6つご紹介します。■ 1.身内に「役割の分業化」を提案する夫やその兄妹たちに、できるだけ介護に協力してほしいと伝え、役割の分担を持ちかけてみましょう。ただし、彼らが直接介護してくれることは難しいでしょう。xiangtao / PIXTA(ピクスタ)そのため、彼らができることを提案することが肝要です。たとえば、炊事、洗濯、掃除、買物、見守りなど、手伝えることはたくさんあります。目を離した隙に家を出て徘徊する認知症老人は多くいますので、買い物に行っている間だけでも、親を見ていてくれる人がいれば安心です。Ushico / PIXTA(ピクスタ)見守りは介護の中でも長い時間を占めますので、頼める人を確保しておいて損はありません。■ 2.子どもが手伝えることはどんどんやらせる夫が無理なら子どもに頼みましょう。子どもだって中学生にもなれば、お年寄りの話し相手くらいはできるはずです。Greyscale / PIXTA(ピクスタ)認知症という病を肌で感じ、どのように接するとよいかなども分かり、生きた教育の場になります。思いやりのある大人に育ってほしいと願うなら、介護に協力してもらうことで大きな効果が期待できます。子どもに介護させるのはかわいそう、などという人もいますが、お年寄りを直接介護するのではなく、「介護者である祖母を助ける」ということです。それによって少しでも介護がしやすくなれば、子どもも介護に参加していることになると考えられます。介護や認知症の教育がまだまだ遅れている現状において、家庭での経験はとても貴重といえます。■ 3.身内がだめなら「介護ヘルパー」など外部に協力者を求める身内の協力が無理なら、介護ヘルパーに協力を要請することもできます。kou / PIXTA(ピクスタ)現在は介護保険制度によってヘルパーも低料金で利用できるようです。昼間はデイサービスに親を預けることができます。用事がある時や外出時など、一時的に介護ヘルパーにお願いすることも考えておきましょう。ヘルパーは見守り、食事づくりや食事介助、掃除、洗濯、買い物などいろいろな依頼が可能です。amadank / PIXTA(ピクスタ)時間単位で価格が設定されているので、無理のない範囲でお願いすると良いでしょう。■ 4.負担が大きくなったら施設に入所させることも誰も介護に協力してくれず、ひとりで24時間がんばるしかない状況は異常です。最悪の場合、双方が共倒れになるか、介護放棄、介護離婚といった事態に陥ることも考えられます。介護は嫁がするものと思い込んでいる男性は、いつか痛い目にあうと思っていたほうがいいでしょう。誰の協力も得られないようなら、介護施設への入所も考えておくべきです。Greyscale / PIXTA(ピクスタ)価格的には「特別養護老人ホーム(特養)」や「グループホーム」が手頃です。kunio / PIXTA(ピクスタ)すでに定員を満たして空きがない施設も多く、予約だけでもしておくことをオススメします。■ 5.親と同居する前に、必ず夫婦で介護について話し合うこうした問題は親と同居する前に、夫婦でよく話し合っておくことが大切です。shimi / PIXTA(ピクスタ)親が認知症になって自宅で介護が必要になった場合、家族の誰が中心になって介護し、誰がどの程度協力してくれるのか。たとえば休日は妻に代わって夫が介護する、子どもは買い物や掃除を手伝う、徘徊して事故にあっても誰かを責めたりしない、など。本来なら家長である夫が率先して話し合う問題だと思われます。■ 6.一番大切なのは、些細なことでも介護をひとりで抱え込まないこと介護や認知症を経験している人はたくさんいます。同時に情報もインターネットや新聞、雑誌などで簡単に得ることができます。naorock / PIXTA(ピクスタ)行動すれば助けてくれる人や組織、制度は必ず見つかるでしょう。最後にもう一度言います。大切なのは、介護をひとりで抱え込まないことです!どんな些細なことでもです!KY / PIXTA(ピクスタ)できるだけ協力者を確保して自分の負担を軽くし、介護者も要介護者も快適に過ごせるよう心掛けましょう。
2018年09月02日「子育ては子どもが成長していく喜びが段階的にありますが、介護は出口が見えません。ダブルケアになって介護を続けていると、そういう不安が大きいと思います」こう語るのは、一般社団法人ダブルケアサポートの理事を務める植木美子さん(46)。「ダブルケア」とは、介護と子育てを同時に行っている状態を指す言葉だ。近年の晩婚化にともなう出産年齢の高齢化で、子育てをしている最中に、自分や夫の両親の介護に直面する女性が増えている。植木さんも息子が2歳だった34歳のとき、義母と義父の介護が始まったダブルケア経験者だ。7月に発表された「ダブルケアに関する調査2018」(ソニー生命調べ)では、子どもを持つ50代女性のダブルケア経験率は41.1%。さらに4.7%が近い将来直面する見込みだと答えている。介護と子育ての両立は精神的、肉体的負担だけではなく、経済的な負担も大きい。ダブルケアについて経済的側面からアドバイスしているソニー生命保険のライフプランナー・和知俊行さん(30)が話す。「要介護2で在宅介護の場合、およそ年間80万円ほどかかるといわれています。それ以外にも介護に関わる交通費や家族の諸経費などを考えると、だいたいの費用は月々10万円ぐらいと見ておいたほうがいい。ここに子どもの教育費が重なることになるんです」子どもの大学進学が重なれば、年間360万円がかかるケースもあるという。迫りくる危機に備えて、今すぐやるべき対策は?「まず、親が元気なうちに、親やきょうだいたちと話し合うことがいちばん重要です。介護になった場合にどうするか。親の退職金、年金、貯金がいくらあるかを把握し、そのお金をどのように使い、誰がメインで介護をするかなど、親族間で共通認識を持つことです。それから地域包括支援センターなどの相談窓口の連絡先を調べておくこと。そして自分たちも、必要なお金をできるだけためておくことです」和知さんは、今後必要なお金を把握しておくために、“家族年表”を作ることを勧めている。「何年後に子どもが高校や大学に入学するか。夫の定年時に、子どもや両親は何歳か……、家族全員のライフプランを年表に書き込む。これで、どの時期にどれぐらいお金が必要かを認識できるので、マネープランが立てやすくなります」ダブルケアに直面した際、当面安心できる貯金額の目安としては、介護される親と自分のものを足して1,000万〜1,500万円ほどだという。これくらいあれば、経済的な不安はかなり減る。「貯金額や親の年金額が不安な場合、親が健康な間に、民間の介護保険(終身介護保障保険)に加入してもらうという手もあります。契約内容や加入年齢にもよりますが、月5,000円〜1万円超の掛け捨てで、要介護2以上と認定されれば、初年度に120万円、以降は毎月60万円が支払われる商品があります。要介護2以上の状態が続けば保障は一生涯続き、保険料の納付も不要になります」(和知さん)一時的にお金を借りようとする家庭もあるかもしれないが……。「介護ローンの金利は一般的に奨学金の金利よりも高くなっています。ダブルケアで、どうしてもお金を借りなければならない状態になったときは、金利の低い奨学金を借りる方が得です」じつは和知さんも10歳のころ、両親が自宅で祖母の世話をするダブルケアの状態になった。「介護が始まってから、旅行や外食に行く機会が一気に減ってしまい、さみしい思いをしました。そういう思いをさせないためには、子どもにしっかりと家庭の状況を伝えて理解させたうえで、ときどき介護をデイケアなどの外部に任せて、子どものためだけの時間を作ってください。時間のメリハリが大切です」前出の植木さんも同意する。「介護はできるだけ介護サービスを利用することで負担を減らし、子育てをしっかりやることが大事」
2018年08月29日介護の悩みは尽きることはありません。身近に相談できる人がいると安心して介護が続けられますが、相談できない介護者もいます。認知症やアルツハイマーというだけで他人に打ち明けられず、つい閉口してしまうからです。そんな介護者について考えてみました。■ 男性介護者は要注意!真面目な人ほど相談できず孤独に陥る認知症の親を介護することになれば、食事や入浴、薬、下着、オムツ、排便と、いろいろな問題に直面します。その結果、介護者のストレスは溜まるいっぽうです。真面目な人ほど精神的に追い詰められ、精神系の病に見舞われることもあります。NOBU / PIXTA(ピクスタ)介護中はストレスが溜まり続け、いくらストレス解消とばかりに遊びに出かけても、家に帰ればまたイライラ。特に男性介護者は自分で悩みを抱え込み、他人に相談できない人が多いようです。男性は人に相談するより、自分で何とかしようとする傾向が強く、家に閉じこもってしまいがちです。つい暴力をふるってしまうのも女性より男性介護者のほうが多いとも言われています。■ 介護者の羞恥心とプライドが介護の邪魔をする!?人にあまり相談したり助けを求めない介護者は、認知症の親を人目にさらすのが恥ずかしいと思っているからでしょう。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)しかし、認知症や介護は今や500万~600万人という人が関わっていて、恥ずかしいというレベルはもう過去の話です。恥ずかしいと思っている人は、認知症の知識が少なく、世間とズレているといってもいいでしょう。一方、自分の介護がうまくいっていると思い込んで、他者の援助を好まない頑固な人もいます。一言でいうなら、プライドでしょうか。これもまた知識や情報を持たず、社会との交流を避けている感があります。車いすに認知症の親を乗せて買い物や行楽に出かける娘や息子はたくさんいます。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)まずは自分の気持ちと行動を少しずつ外に向けていくことから始めてはいかがでしょうか。■ 同じ悩みを抱える「介護者仲間の会」に参加するのも一つの手段そんなストレスまみれの介護者でも、唯一心を開ける場があります。それは、同じ悩みを持つ人が集う「介護者の会」です。xiangtao / PIXTA(ピクスタ)会員たちは自分と同じような経験をし、悩みを抱えていることが多く、それだけで救われる思いがします。介護者として仲間意識が芽生え、やがてアドバイスをしたり、受けたりするようになります。そこでは誰も虐待は良くない、とは言いません。そんなきれいごとでは済まないことぐらい、十分に承知しているからです。解決法を見つけることができなくても、会員たちは自分の話をちゃんと受け止めてくれ、経験を通してアドバイスをしてくれます。■ 困ったら、すぐに介護の専門家と話をしてみることが大切!介護者にとって最も大切なことは、いろいろなことを相談できる人がいるということです。実の兄弟や友人、あるいは近所のおばさんでもいいでしょう。できれば介護経験者であれば、より安心です。たとえば介護のプロ。ケアマネージャーや介護士などの専門家は、数多くの介護者、要介護者と接してきています。しげぱぱ / PIXTA(ピクスタ)相談者としては理想的です。これらの専門家とは市役所の介護課などで紹介してもらうといいでしょう。■ 常に介護される親の気持ちを考えてみるもしも自分が介護される側に立った場合、娘や息子にそこまで必死で介護してほしいと思うでしょうか。プラナ / PIXTA(ピクスタ)親としては、申し訳ないという気持ちで一杯かもしれません。親の本音はおそらく、独りで頑張らないでほしいということだと思います。自分のせいで子どもが苦しんでいるのを見て平然としていられる親などいないでしょう。そう考えれば、早く病院で診断してもらい、医師専門家の意見を聞いてみるべきです。■ 誰かに相談したくなったら、いろいろな会に参加する専門家は敷居が高いと思ったら、介護者の会に参加(見学だけでも可能)して、話がしやすい相手を見つけておしゃべりしてみましょう。みんなの話を聞いているだけでも勉強になります。「介護者の会」には男性だけの「オヤジの会」などもあり、介護に悩んだらぜひ一度、足を運んでほしいところです。全国の役所や社会福祉協議会などで紹介してくれます。Renoir / PIXTA(ピクスタ)かかりつけの医院でも、どこの病院にどのような専門医がいるか教えてくれることがよくあります。SoutaBank / PIXTA(ピクスタ)それでもだめならインターネットで探してみましょう。介護、相談といったキーワードで相談できる専門家がたくさん出てきます。とにかく、介護では自分一人で抱え込まないことが、一番大事です。抱え込んでしまうと、介護をする方もされる方もダウンしてしまいます。ぜひ、皆さんも参考してみてください。【参考】※認知症ねっと第33回家族による虐待 ~男性介護者の場合~※厚生労働省平成28年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果
2018年08月21日厚生労働省の平成28年度の調査によると65歳以上の者がいる世帯数は全世帯の48.4%。そのうち、要介護者がいる世帯の中で、介護する人の約6割は要介護者と「同居」しているといいます。”介護は突然始まる”とはよく聞きますが、家族を介護するにあたって生活はどのように変化するのでしょうか?今回は、「介護をする家族の生活」についてのお話です。■ 介護で生活はどのように変化する?介護・医療の情報サービスを提供する「株式会社エス・エム・エス」が介護にかかわる家族394名を対象に「介護をする家族の生活変化についての意識調査」を実施。介護を始めるにあたって、介護者は生活にどのような変化があったと感じているのでしょうか。変化の内容を見てみると、1位:時間82.3%、2位:仕事58.6%、3位:お金53.9%。4位以下は人間関係、健康、食事、趣味と続きます。筆者の母が祖母を介護していたときは、病院の送り迎えをはじめ、生活の世話、通常の家事までこなしていたため、プライベートな時間はほぼありませんでした。elise / PIXTA(ピクスタ)回答の詳細をみてみると、介護中心の生活は外出の機会が減り、人付き合いが減るという意見も。kou / PIXTA(ピクスタ)グラフから、介護に携わるということは”今までの自分の生活が制限される”ということが想像できます。■ 介護で「離職」を選択する人も意外に多い!調査で明るみになった、介護による生活の変化。介護は、時間だけでなく介護者の”働き方”にも変化を与えます。”介護離職の経験はない”との回答が約7割を占めるものの、”自分自身が介護離職した”という割合は25.5%。Road17 / PIXTA(ピクスタ)離職までいかなくとも、時短勤務に切り替え、雇用形態の変更、有休を使うなど、介護者は介護の時間確保のために仕事の時間をも減らすことが必要とされるようです。そして”働く時間”を削るとなると、心配になってくるのが”お金”の問題。働く時間が減る、もしくは離職となると収入が減り、介護の心配だけでなく自身の生活費にも大きな影響を及ぼします。介護離職した人・離職予定の人のデータを見てみると、介護者の生活費は”自分の貯金”、”家族(夫や子供の収入)”で賄う人が多く、親の年金や貯金に頼る割合よりも、自分たちの財布で生活していく傾向にあるよう。アメリ / PIXTA(ピクスタ)自身の貯金や家族の収入に頼っている実態から、今後介護者は経済的に困窮する可能性が懸念されるのです。■ 介護保険利用料の3割負担とは介護サービスの利用者増に伴い、2017年4月に「介護保険法改正案」が可決され、2018年8月から一部利用者の介護保険利用料が3割負担となったことはご存知ですか?これについて調査対象者の中で「知っている」と回答した人は約半数。「合計所得金額220万円以上」かつ、単身世帯なら「年金収入+その他の所得の合計が340万円以上の人」(単身者で年金収入のみの人の場合年間344万円以上)、二人以上世帯なら「年金収入+その他合計所得金額が463万円以上の人」が負担増の対象とされているこの制度。自己負担が3割負担の対象者は約12万人程度と試算されていて、介護保険を受給している人の3%程度といいます。CORA / PIXTA(ピクスタ)「お金がある高齢者には負担してもらった方が良い」という声が挙がる一方で、今回新たに高額介護サービスの年間の上限が新設された世帯も存在し、3割負担の対象者ではなくても負担増という動きについては不安を感じている人が多いのも事実。介護保険の自己負担が増えるのであれば介護保険の利用を控えようと考える人もおり、介護サービスを控えることは、介護する側される側の負担増や、疲労を進行させ、症状を悪化させる恐れもあります。プラナ / PIXTA(ピクスタ)政府は家族が疲弊しすぎないで、予算的にもやっていける範囲で介護を続けることを推奨していますが、急に介護が始まった家庭で、介護と私生活を上手に両立するというのはアンケートからも並大抵のことではないことが分かります。誰だって自分の大切な子どもや家族に迷惑はかけたくないはず。安心して介護を続けられるように、社会全体の仕組み作りが急務となっています。【参考】※【介護をする家族の生活についての意識調査】介護により生活や仕事の中で変化したこと1位「時間(82%)」介護保険、高収入者の自己負担3割の認知は半数にとどまる※平成 28 年 国民生活基礎調査の概況 – 厚生労働省※介護保険制度の見直しについて – 厚生労働省
2018年08月18日親は子どもに、どうしても期待してしまいます。親心で、しかたのない部分もあるでしょう。「わが子には、しあわせな人生を歩いていってほしい」、これは誰もが願うことですからね。ただ、問題なのは親の考えるしあわせと、子どもの思うしあわせが違う場合もある、ということなの。親子といえども別々の人格。能力や好み、考え方が違っていて当たり前なんですね。親はどうしても自分の信じる、しあわせの形に子どもを合わせたがります。親が勝手にレールを引いて、この道を行けば絶対にしあわせになれる、と子どもに押しつけてしまうのね。もちろん、子どもを導くのも親の役目。「この子のためになる」と思ったことを積極的にやらせてみるのはいいことです。いろいろなチャンスを与えてあげられるのは、素晴らしいことだと思うのよ。でも、その子が望まないことをムリにやらせるのは親のエゴでしかありません。子どもが興味をもっていることを見つけ、それを伸ばしてあげることが大切なのではないかしら。とくに、子どもが自分から「やりたい!」といったものは、なるべくやらせてあげてほしいわね。というのも、そこで親が口をはさんでやめさせてしまうと、子どもの意志や責任感を育てるチャンスをつぶしてしまうのね。物事を自分で決めたからには、最後までやり遂げなければならないし、自分の言葉に責任をもたなければいけません。親が認めたことだけをやる場合「自分がいい出したことじゃない」「やらされてる」という気分が抜けないため、どうしても甘い考えになりやすいのね。「途中でやめるのも仕方がない」とか「自分が選んだわけじゃないんだから」など、いくらでもイイワケができてしまうんです。 すると、最後までやり通す力や責任感も育ちにくくなる…。もちろん、危険が伴うようなことまで何でもかんでもやらせればいいというものではないけれど、子どもが自分から何かを始めたがったら、なるべく親は口をはさまないことが大事。意志と責任について学ぶ、絶好の機会ととらえましょう。また、意志の力と責任感をもつことの大切さがわかっていれば、自分で自分のしあわせを見つけられますからね。子どもたちは、いつまでも子どものままではありません。成長したら自分自身の足で生きていかなければならないんです。いつまでも親がレールを引き続けていくことはできないのよ。子ども自身が見つけたしあわせに沿って人生を歩いていけるのが一番なんじゃないかしら。しあわせの形は人それぞれ。自分で自分のしあわせを見つけていける力が、子どもにとって必要でしょう。 この先、仕事とどのように接していくべき? 現状の悩み/飛躍のとき
2018年06月22日「仕事も親の介護も両方こなさなければならないという家族にとって、『混合介護』は非常に有意義なサービスです。介護保険を使ったサービスと保険外のものを両方うまく組み合わせることで、在宅介護の負担はかなり軽減できるからです」 こう語るのは、All About介護ガイドの介護アドバイザー・横井孝治さん。混合介護サービスとは「介護保険の範囲内(保険内)で受けられる、自己負担1〜2割のサービス」と「介護保険の範囲外(保険外)、全額自己負担のサービス」の、2つを併用して行う介護サービスのこと。 厚生労働省は、「混合介護」の拡大に向け、現在“新ルール”を作成中で、今夏をメドに明確な方針をまとめて全国の自治体に通知する予定だ。 これにより、訪問介護で身体介護(排せつ、食事、清拭・入浴の介助など)のサービスを受けた後に、保険外サービスで家事援助(同居する家族の分の調理、洗濯、掃除、買い物など)が、そのまま続けて受けられるようになる。介護生活になるまで、利用者が一家の家事を担っていた家庭にとっては、非常にありがたいサービスと言える。 そして新ルールの“目玉”は、通所介護における保険外サービスだ。主な内容は次のとおり。 □緊急時における医療機関への受診や巡回健診□理美容サービス□予防接種□物販□買い物の代行サービス□個別の同行支援(付き添い) 「これまでのデイサービスででは、事業所に滞在中は、個人的な用事で利用者が外出することはできませんでした。しかし新ルールでは、保険外サービスを利用し、スタッフが同行し“○○に行きたい”といった要望に応えられるようになる予定。こういった個別のサービスの提供で、さらに利便性をよくしようという考え方です」(厚生労働省老健局) 介護保険は、調理、洗濯といった家事などのサービスは利用者本人だけが対象だ。訪問介護でスタッフが掃除できるのは利用者本人の部屋のみ。「ついでに家族の部屋も掃除してもらいたい」と思っても、保険内ではできないことになっている。 ところが、新しい保険外サービスでは、追加料金で“家事代行”の願いに応えてくれるという。 「ほかの家事をついでにやることは、介護スタッフにそれほど大きな負荷をかけるものではありません。たとえ有料であっても、介護負担がさらに軽減できると、歓迎する家庭も多いと思います。事業者側も介護報酬とは別に収益が入るので、混合介護サービスの利用者が増えれば、スタッフの給与アップにもつながる」(横井さん) 事業者間でサービス内容の競争が始まれば、質の高いサービスを安い料金で受けられる可能性もある。混合介護サービスは、利用者とその家族、そして介護事業者、介護スタッフなど、どちらにもメリットがある制度といえる。 いっぽうでマイナス要素も指摘されている。保険外サービスは全額自己負担なので、どうしても経済的負担は増える。つまり、お金がある人は大いに利用できるが、余裕がない人はただただ我慢……。いわゆる“サービス格差”が広がるという懸念があるのだ。 また、要介護者本人が保険外サービスを過度に利用することで、自立支援の妨げになるかもしれないともーー。 「介護保険をたくさん使ってもらったほうが、事業所は儲かる」と話すのは、都内で介護事業所を経営する男性だ。 「1割負担の利用者さんが1万円分の介護サービスを受ける場合、利用者さんの負担は1,000円。残りの9割は国から入る。仮に、保険外サービスの料金が1,000円だとしたら、事業所にはそのお金しか入らない。ヘルパーさんの時間給は同じなので、その1,000円が時給より少なければ、事業所はまったく儲からないわけです」 介護保険の収入を維持しながら保険外の収入を増やす必要がある。そこで、料金設定をどうするか。ヘルパーに支払う保険外サービスの報酬をどうするか。そしてサービス内容をどのように拡充し、ほかの事業所と差別化するか。混合介護サービスを提供していく側にとって、今後の課題となりそうだ。 だが、別の介護事業所で働くケアマネジャーは、大きな期待を寄せている。 「ヘルパーさんを募集してもなかなか集まらない。定着しないのが実情です。でも、身体介護の資格を持ったヘルパーさんだけでなく、掃除やゴミ出し、ペットの散歩、買い物などを担当するスタッフが、どんどん保険外サービスをやるようになれば、そういった仕事が新たなパート先として注目されるかもしれません」 横井さんに、この混合介護サービスを上手に使うコツを聞いてみた。 「最初に、どこまでが保険内で、どこからが保険外のサービスになるのかを把握しましょう。そして実際に利用する場合は、できるだけ同じ介護事業者にやってもらうほうが効率的です。ただし、事前に周辺地域の事業所をリサーチし、パンフレットなどで、そこがどのような保険外サービスを提供しているかを確認してみてください。サービスによっては、シルバー人材センターにお願いしたほうが、安くなるかもしれませんから」 もし今後、家族のために“介護離職”をしなければならないという状況になった場合も、ぜひこの混合介護サービスの利用を、検討してみてほしい。
2018年06月06日訪問介護で自宅に来てくれたヘルパーさんに“保険内ではできないこと”まで注文してしまう人がいるが、その願いは、やがてかなえられるようになるかもーー。 「仕事も親の介護も両方こなさなければならないという家族にとって、『混合介護』は非常に有意義なサービスです。介護保険を使ったサービスと保険外のものを両方うまく組み合わせることで、在宅介護の負担はかなり軽減できるからです」 こう語るのは、All About介護ガイドの介護アドバイザー・横井孝治さん。混合介護サービスとは「介護保険の範囲内(保険内)で受けられる、自己負担1〜2割のサービス」と「介護保険の範囲外(保険外)、全額自己負担のサービス」の、2つを併用して行う介護サービスのこと。 「『介護保険サービス』で受けられる身体介護と生活援助」と「全額自己負担『保険外サービス』」の主な内容(訪問介護)は次のとおり。 【「介護保険サービス」で受けられる身体介護と生活援助】〈身体介護〉□排せつ、食事、清拭・入浴の介助□就寝・起床、更衣の介助□身体整容、洗面□体位変換□通院、外出介助□自立支援のための見守り援助□専門的配慮をもって行う調理(流動食・糖尿食などの調理)〈生活援助〉□掃除、洗濯、ベッドメーク□衣類の整理・被服の補修□一般的な調理・配下膳□買い物・薬の受け取り ※訪問介護(保険内サービス)の特徴は、“要介護者本人だけを対象としたサービスである”ということ。そのため、同居家族の分の食事を作ったり、介護者以外の部屋の掃除をしたりすることは保険内ではできない 【全額自己負担「保険外サービス」】□同居する家族の分の調理、洗濯、買い物□利用者本人が使用する居室以外の掃除□庭の草むしりや花木の水やり□ペットの散歩や世話□家具の移動、電気器具の付け替え、修理□窓拭きや大掃除□配食サービスなど 厚生労働省は、「混合介護」の拡大に向け、現在“新ルール”を作成中で、今夏をメドに明確な方針をまとめて全国の自治体に通知する予定だ。 これにより、訪問介護で身体介護(排せつ、食事、清拭・入浴の介助など)のサービスを受けた後に、保険外サービスで家事援助(同居する家族の分の調理、洗濯、掃除、買い物など)が、そのまま続けて受けられるようになる。介護生活になるまで、利用者が一家の家事を担っていた家庭にとっては、非常にありがたいサービスと言える。 そして新ルールの“目玉”は、通所介護における保険外サービスだ。 「これまでのデイサービスででは、事業所に滞在中は、個人的な用事で利用者が外出することはできませんでした。しかし新ルールでは、保険外サービスを利用し、スタッフが同行し“○○に行きたい”といった要望に応えられるようになる予定。こういった個別のサービスの提供で、さらに利便性をよくしようという考え方です」(厚生労働省老健局) 通所介護で、すでに先行している例として“お泊まりデイサービス”がある。 「デイサービスまでは介護保険の範疇ですが、お泊まりになると、その分は自己負担になります。それでも施設には介護スタッフがいるので、家族も安心して休みを取れるわけです」(横井さん) これまでも、混合介護サービスは行われていたが、自治体によっては、運用について明確なルールがなく、「曖昧でわかりにくい」と現場を混乱させることが多かった。介護事業者もその煩雑さから、あまり積極的ではなかったという。 「保険外サービスにはさまざまな制限があるからです。たとえば、訪問介護で同じスタッフが同時に両サービスを提供できない。それぞれ時間を分けてスタッフは別にしなければならない。あるいは、保険内から保険外のサービスに移るときに、スタッフはエプロンや名札を付け替える必要があるなど、自治体によってルールもバラバラ。非効率的でもありました」(前出・老健局) 介護保険は、調理、洗濯といった家事などのサービスは利用者本人だけが対象だ。訪問介護でスタッフが掃除できるのは利用者本人の部屋のみ。「ついでに家族の部屋も掃除してもらいたい」と思っても、保険内ではできないことになっている。 ところが、新しい保険外サービスでは、追加料金で「同居する家族の分の調理、洗濯、買い物」から「ペットの散歩や世話」などの “家事代行”の願いに応えてくれるという。
2018年06月06日