視聴率も絶好調で、脚本家・北川悦吏子自らアクティブに投稿されているSNS効果も相まって、大いに盛り上がりを見せている朝ドラ『半分、青い。』。「恋は盲目」とはよく言ったもので、鈴愛(永野芽郁)と涼次(間宮祥太朗)は出会って速攻で恋に落ち、トントン拍子で結婚に至りました。当然のことながら、結婚してからいろんなものが見えてきて、いまや課題は山積み状態。結婚生活が障がい物競走と化しています。本作では、すいも甘いもいろんな夫婦像が描かれていて、結婚における幸せの価値観について、あらためて考えさせられます。■人生崖っぷちの結婚はリスク!?同じ日に産まれ、青春時代をともに過ごし、ある時期まで密につながっていた鈴愛と幼なじみの律(佐藤健)。彼の結婚の一報が入ったのは、鈴愛が漫画家として追い詰められているときでした。人生崖っぷち状態の鈴愛にとって律の結婚は、今世紀最大のディープインパクトだったに違いありません。そんななか鈴愛は、100円ショップの短期バイトで入ってきた涼次(間宮祥太朗)と恋に落ちます。もはや恋のブレーキが効くはずもなく、鈴愛は、涼次のバックグラウンドをなにも知らないまま見切り発車した感じでゴールインし、かなりリスキーな結婚生活が幕を開けました。甘い新婚生活を送ろうとしていた鈴愛でしたが、ふたを開けてみたら、涼次が探してきた新居が彼の叔母・藤村三姉妹の家の離れで、しかもボロ家だったり、引っ越し資金を涼次が勝手に使い込んでしまったりと、ある意味、結婚の落とし穴が多数仕掛けられていました。もともと何ごとにおいても見通しが甘い鈴愛ですが、人生において重要な選択である結婚についても「やってまった」感が否めません。よく「非常時の恋愛は長続きしない」と言われますが、はたして鈴愛はどうやってトラップを乗り越えていくのでしょうか? ■結婚にみる幸せの価値観の多様性人は何をもって幸せと見なすのか? 『半分、青い。』に登場する人々を見ていると、それぞれが求める幸せの価値観の違いが興味深いです。誰もが人生の岐路で、自分が良いと思う選択をしているはずですが、そこに見いだす価値観は十人十色です。裕福ではない、けれど幸せな家庭を築き上げた鈴愛の両親・晴(松雪泰子)と宇太郎(滝藤賢一)。もともと持病で子どもが難しいと言われていた晴ですが、2人の子どもを授かり、いまやたくましくも良き母となりました。この晴のエピソードは、北川悦吏子自身の体験がベースになっているという声もよく聞きますが、非常に共感度の高いキャラクターとなりました。また、夢に破れ、結婚に安定を求めた鈴愛の親友・裕子(清野菜名)や、結婚せずに漫画家の道を極めた秋風羽織(豊川悦司)の人生観も興味深いです。秋風はもともと人間嫌いで仕事一筋でしたが、気がつけば職場で疑似家族を作っていました。弟子である裕子を送り出すときは親代わりを務め、鈴愛の女としての幸せを考える親心も知らず知らずのうちに身につけていました。また、裕子は結婚してから主婦としての幸せを手に入れ、ずっと疎遠だった親との関係性も、子どもを産んでから改善されたようです。鈴愛のしっかり者の弟・草太(上村海成)は姉の結婚観について「姉ちゃんは安定よりも夢を選んだんやと思う」と冷静に語っていましたが、鈴愛はまさに裕子とは真逆の選択をします。でも、考えてみれば、「夢に邁進(まいしん)していく」という鈴愛の生き方がぶれてない証拠なのかなと。■鈴愛と律は将来的に結ばれるのか?鈴愛が結婚式のメッセージビデオを観た時、親しい人々からの祝福のメッセージに感動しつつ、そこに「一番おめでとうと言ってほしい人」である律が参加していないことに気づき、しばし寂しさを覚えます。これには、ずっと鈴愛と律を見守ってきた朝ドラ視聴者の胸はキュンと痛んだのではないでしょうか。鈴愛は涼次を愛しているけれど、やはり律とともに重ねた年月には勝てないのでしょうか? また、律においても、妻となったより子(石橋静河)との関係性がそこまでしっくり来てない印象を受けるので、今後の展開が気になるところです。余談ですが、鈴愛と律が産まれたのは7月7日の七夕ですが、近所のスーパーで飾られていた今年の笹に「鈴愛と律が結婚できますように」という短冊を見つけました。自分のことではなく、ドラマの登場人物の幸せを祈った短冊を目にし、『半分、青い。』のお茶の間の浸透度をあらためて実感した次第です。今後、鈴愛の結婚生活がどう転んでいくのかは、神のみぞ知る、いや北川悦吏子のみぞ知るというところですが、鈴愛には持ち前のガッツで、常にひたむきに生きていってほしいものです。また、鈴愛と律の人生は再び深く交わっていくことは間違いないので、期待したいですね!NHK連続テレビドラマ小説『半分、青い。』(月~土)午前8時~8時15分
2018年07月24日笑福亭鶴瓶とゲストがステキな家族を求めて日本各地を巡る“ぶっつけ本番”旅番組「鶴瓶の家族に乾杯」。7月2日(月)今夜は、現在放送中の「半分、青い。」でヒロイン・楡野鈴愛を演じている女優の永野芽郁が登場、長崎県雲仙市を歩く。今回永野さんと鶴瓶さんは雲仙の港町の路地を散策、美容室で話を聞くとそこの店主は永野さん演じる鈴愛にとても共感することがあるという。さらに友達とケンカをしたばかりの小学生に出会った2人に鶴瓶さんは「自分が先に謝るように」と諭し、昼食に長崎名物のチャンポンを食べるといよいよ別行動をとる2人。永野さんは同世代の若者を探すのだが、なかなか人に出会えない。一方の鶴瓶さんはホテルを経営する3世代家族に出会う。2人の雲仙旅に注目!買い物中にスカウトされ映画で子役デビューした永野さん。「ニコ☆プチ」「nicola」「Seventeen」とティーン誌のモデルを続け10代を中心に圧倒的な知名度を誇る。女優としても『るろうに剣心』や大河ドラマ「八重の桜」などに出演、実績を重ねていくなかで2015年『俺物語!!』でヒロイン・大和凜子役に抜擢され一躍注目を浴びると、翌年には月9「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」「こえ恋」などに出演、さらに「真田丸」で再び大河出演。2017年に入ると3月公開の『ひるなかの流星』で主演を飾り、その翌月には『PARKS パークス』とヒロイン・白鳥美美子を演じた『帝一の國』が公開。5月には『ピーチガール』と3か月連続で出演作が公開。さらに夏には窪田正孝、間宮祥太朗、葉山奨之らと共演した「僕たちがやりました」も大きな話題を呼ぶなか、秋には再び映画『ミックス。』の公開と勢いに乗る永野さんが、この春からヒロインを演じているのが、現在放送中の連続テレビ小説「半分、青い。」。同作は北川悦吏子が脚本を手掛け、永野さんのほか、佐藤健、松雪泰子、滝藤賢一、中村雅俊、豊川悦司、井川遥、清野菜名、志尊淳、中村倫也、古畑星夏、斎藤工ら多彩かつ豪華な俳優陣が出演。岐阜と東京を舞台に、ちょっとうかつだけれど失敗を恐れないヒロイン・鈴愛(永野さん)が、高度成長期の終わりから現代までを七転び八起きで駆け抜け、やがて一大発明を成し遂げるまでを描く。連続テレビ小説「半分、青い。」はNHKにて放送中。「鶴瓶の家族に乾杯」は7月2日(月)今夜19:30~NHK総合で放送。(笠緒)
2018年07月02日深く澄んだブルーに、軽やかな口あたり。「これがビール?」と驚いてしまうのが、〔いわて蔵ビール〕で造られている、青いシャンパンビア《サムシングブルー》です。グラスに注ぐとどこかミステリアスで、思わず見入ってしまうフォトジェニックな魅力をもっています。古くからの言い伝え「サムシングフォー」のひとつであるサムシングブルーにちなんで、結婚のお祝いにもおすすめですよ。〔いわて蔵ビール〕にて醸造されるシャンパンビア《サムシングブルー》美しくミステリアスなビール《サムシングブルー》、その醸造元は、岩手県一関にある「いわて蔵ビール」。今から10年ほど前より、ブライダルでの利用をメインとして造られたものなのだそう。「サムシングブルー」とは、ヨーロッパに古くから伝わるおまじない「サムシングフォー」のうちのひとつ。花嫁が幸せになれる4つのアイテムとして、なにかひとつ古いもの(SomethingOld)、なにかひとつ新しいもの(SomethingNew)、なにかひとつ借りたもの(SomethingBorrowed)、そして、なにかひとつ青いもの(SomethingBlue)がある……という言い伝えによるものです。そんな「サムシングブルー」の言い伝えにちなんで、結婚のお祝いやプレゼントとしてよろこばれている、青いシャンパンビア。もちろんお祝い以外でも、美しいブルーは日常から離れたスペシャルな気分にさせてくれるもの。手みやげや、ご自宅用として特別な日に開けるのもおすすめです。1本から購入可能。ギフトボックスの内側には「サムシングブルー」の言い伝えブライダル用というと、引き出物やパーティ用にたくさんの本数でなければいけないのでは?と思いがちですが、《サムシングブルー》の注文は1本から可能です。こちらは2本入りのギフトボックス。青と白を基調とした箱を開けると、「サムシングブルー」の言い伝えが綴られています。ラベルは絵本作家の松村雅子先生のデザイン。青のボトルは、目にも美しくおしゃれです。すっきりとした飲み口は、まるでシャンパンのような軽やかさグラスに注いでみると、深い澄んだブルー。この色素は着色料ではなく、天然の色素を使用しているのだそう。《サムシングブルー》を飲むなら、グラスはフルートグラスなど、その美しさが引き立つグラスを選んでみてくださいね。容量は1本330ml、2人でフルートグラスで飲むのにぴったりの量です。《サムシングブルー》はビール本来の醸造方法でつくられており、まぎれもなく味はビール。ただ、その飲み口はまるでシャンパンのような軽やかさで、後から苦さがふわっと表れます。どっしりとしたモルトの存在感を感じるビールというよりは、軽やかな風味を楽しむビールといえるでしょう。アルコール度数は3%と軽めですので、お酒が苦手な方もチャレンジしやすいですよ。フォトジェニックな演出に、乾杯用に♪〔いわて蔵ビール〕の《サムシングブルー》は特別な気分にさせてくれる珍しいビール。活用シーンとしては、やはり日常使いというよりも、ギフトやお土産、特別な日の食卓でいただきたいものです。美しい青はとてもフォトジェニックですので、これからの季節の、おしゃれなテーブルコーディネートにもぴったり。特別な日の演出にご活用ください!〔いわて蔵ビール〕の《サムシングブルー》の詳細はこちら!●ライター下川尚子
2018年06月21日今週6月18日(月)から放送されている連続テレビ小説「半分、青い。」第12週のサブタイトルは、「結婚したい!」。この度、突然の結婚を決断する新人漫画家・ユーコ役を務めた清野菜名のウエディングドレス姿が公開された。「半分、青い。」は、脚本家・北川悦吏子のオリジナル作品で、永野芽郁演じるヒロイン・鈴愛(すずめ)が高度経済成長期の終わりから現代までを七転び八起きで駆け抜け、やがて一大発明を成し遂げるまでを描いた物語。東京で、カリスマ漫画家である師匠・秋風羽織(豊川悦司)のもと、念願の漫画家デビューを果たし、連載をスタートした鈴愛(永野さん)とユーコ(清野さん)。しかし、第70回・6月21日(木)の放送で、連載打ち切りを告げられ荒れた生活を送るユーコとそれを心配する鈴愛は、激しい口論の中でお互いの本心があふれ出し、ユーコは漫画をやめて結婚することを決断する。■清野菜名「言葉では追いつけない感情があふれて」そして6月22日(金)の放送では、結婚を機に、秋風のオフィス・ティンカーベルを旅立つユーコのウェディングドレス姿とそれを見守る鈴愛と秋風のシーンが描かれるという。鈴愛のライバルであり、盟友となったユーコこと小宮裕子役を務める清野さんは、「ウェディングドレスを着て、オフィス・ティンカーベルからお嫁に行くシーンは、『もうここには戻って来れないんだ…』という悲しい気持ちもありましたが、尊敬する秋風先生と大好きな鈴愛のあったかい空気感に包まれて、言葉では追いつけない感情があふれて、自然と涙が出てきました」とコメント。「2人がとても素敵な表情で送り出してくれたので、ユーコにとって一生忘れられない特別な日となりました」と、本シーンを語っている。■6月22日(金)放送・第71回あらすじユーコが結婚してオフィス・ティンカーベルを去る日を迎えた。ここで思春期を過ごし、漫画に打ち込んできたユーコを、秋風や菱本(井川遥)は娘を送り出す気持ちで見送る。鈴愛はユーコが使っていた漫画道具を引き取り、秋風のもとでがんばろうと気持ちを新たにする。一方、そのころ岐阜では、晴(松雪泰子)や和子(原田知世)らが、貴美香(余貴美子)の還暦パーティーを開催しようと盛り上がる。連続テレビ小説「半分、青い。」はNHK総合で月~土曜午前8時~8時15分、午後0時45分~1時の放送。BSプレミアムで月~土曜午前7時30分~7時45分と午後11時30分~11時45分の放送。土曜の午前9時30分~11時には1週間分をまとめて放送中。(text:cinemacafe.net)
2018年06月21日エミリーテンプルキュート(Emily Temple cute)から「青い鳥シリーズ」が、2018年6月15日(金)よりエミリーテンプルキュート フロム 原宿、新宿マルイアネックス店、公式オンラインショップにて発売される。エミリーテンプルキュートの「青い鳥シリーズ」は、ヴィンテージマーケットで見つけたティーセットとバードケージ(鳥かご)を描いたシリーズ。クラシカルな世界を自由に飛び回る青い鳥がポイントとなっている。登場するのは、ノースリーブドレスや丸襟のハーフスリーブドレスなど。どちらも共にウエスト周りにリボンでアクセントを施し、ホワイトの繊細なレースの胸元や腰回りにあしらって、可愛らしい雰囲気に仕上げた。また、ドレスと合わせてコーディネートしたいアクセサリーも発売。レースで青い鳥を描きゴールドのフレームにあしらったコサージュクリップ、ピンクのストーンで愛らしい目を表現した、レースの片耳ピアスなどが登場する。【詳細】エミリーテンプルキュート「青い鳥シリーズ」発売日:2018年6月15日(金)取り扱い店舗:エミリーテンプルキュート フロム 原宿、新宿マルイアネックス店、公式オンラインショップ<アイテム例>・青い鳥ノースリーブOP26,800円+税・青い鳥 OP28,800円+税・鳥かごネックレス8,800円+税・青い鳥レースコサージュクリップ5,200円+税・青い鳥レース片耳ピアス3,800円+税・3リボンパフカーデ13,000円+税【問い合わせ先】エミリーテンプルキュートフロム 原宿 TEL:03-6434-7633新宿マルイアネックス店 TEL:03-6457-4558
2018年06月17日お酒の席や電車のなかで、男性の隣に座ることがあると思います。隣に座ると相手の顔は見づらいもの。でも男性は、確実に女性を意識しています。さて、いったいどこに注目しているのか?“隣に座った女子の意識するポイント”について、男性たちに聞いてみました!文・塚田牧夫声「合コンとかにたまに参加するんですけど、最初は向かい合って座るじゃないですか? あれ、苦手なんですよね……。どうしても向かいの女の子と目が合うし、緊張する。隣に座ったほうが落ち着きますね。そのとき、特に相手の声をよく聞きます。気持ちに余裕のある子だな、とか、元気がいいなとか、声を聞くとなんとなく分かりますね」ゲンタ(仮名)/29歳正面に座るよりも、隣に座ったほうが声は耳に届きやすい。話し声や話し方には、性格もよく現れますから、女性を選別するいい材料になりそうですね。手「電車なんかで、隣の席に女性が座るじゃないですか。意識してるわけじゃないけど、気付くと手を見てますね。手を見るとだいたいの年齢とかも分かるし。ネイルとかキレイに手入れしている女性はいいな~と思うし、派手なネイルしてると会社勤めの人じゃないのかな~なんて思います」ナオル(仮名)/32歳手だったら、視線を動かさなくても自然と視界に入ってきますからね。手も、年齢が出やすく、普段の生活スタイルなども分かるので、ケアを怠ってはいけないところでしょう。香り「隣に女性が座ると、密かに鼻で空気を吸い込んでニオイを嗅いでいます。女性特有の甘い香りがたまりません。特に、髪から漂うシャンプーの香りのような、自然なものが好きですね。隣に居れば嗅ぎ放題なので、幸せなひとときが過ごせます」テルミ(仮名)/31歳隣に座れば、香りも鼻に届きやすい。匂いフェチの方は、自然と欲求が満たせます。でも、香水などの人工的な香りはイマイチ受け付けない……という男性は多いです。距離「飲み会とかで隣に座ったとき、やけに距離が近い女子っていますよね。カラダが触れるぐらい近付いてくる人にはドキッとします。肩なんかが当たってると、もうそこばっかり気になってしまう。話なんか頭に入ってきません。気があるのかな……なんて考えを巡らしています」カズトシ(仮名)/27歳隣に座るときの、相手との距離は気になるもの。物理的な距離は、心の距離でもありますからね。男性は心のなかで密かに測りながら、出方を窺っています。“男が隣に座った女子の意識するポイント”をご紹介しました。気になっている男性、好みのタイプの男性などの隣に座るときは、以上のような点に気を配るといいでしょう。傍らから、うま~く気持ちを引き寄せてください。(C) Eugenio Marongiu / Shutterstock(C) Ditty_about_summer / Shutterstock(C) ASDF_MEDIA / Shutterstock(C) MAD_Production / Shutterstock
2018年05月30日北川悦吏子脚本の朝ドラ『半分、青い。』が、視聴率的に20%前後をマーク。SNSでも盛り上がりをみせています。左耳の失聴というハンデを抱えながらも、明るく生きていくヒロイン楡野鈴愛(永野芽郁)。今週はついに漫画家になるという夢を追いかけ、上京することになりました。祖父のコネで農協への就職が決まっていたのに、それを蹴って、憧れの漫画家・秋風羽織(豊川悦司)のもとで修業することを選んだ鈴愛。それに一番猛反対したのは、母・晴(松雪泰子)でした。■子どもが夢をもつことを喜ぶ? 寂しい?頑固に東京行きを主張する鈴愛を、なにがなんでも止めようとした晴ですが、娘の強い意思を確認したあと、自分を納得させ、その後は娘を応援しようと決意します。「鈴愛の夢は、お母ちゃんの夢や。娘が夢を持つことはうれしい」と涙ながらに言う晴。でも、「子どもの巣立ち=親離れ」でもあるので、寂しい気持ちを抑えることができません。晴は泣きながら言います。「お母ちゃんは寂しくてたまらん。あんたはもう18かもしれんけど、お母ちゃんの中には、3つのあんたも5つのあんたも13歳のあんたも全部いる。もう大人やと言われても…」たしかに親にとって子どもはいつまでも子どもであり、そばに置いておきたいのが母心。このエピソードに呼応するように、鈴愛はある夜「怖い夢を見た」と、少女時代のように、母親の布団に潜り込んでいきます。そして母に「ごめんね」とようやく素直に言えた鈴愛。晴は「泣いてない」と言いながらも涙・涙。母親の寂しさを誰よりもわかっている鈴愛は、母の背中が小さくなっていることを感じたようでした。■優秀な子どもをもつ親にも葛藤がある昔からいわば神童だった、佐藤健演じる律。鈴愛が困ったときは、いつも助け船を出してくれたり、さりげないフォローもしてくれた、大切な友だちです。そんな律が、よりにもよって、大切なセンター試験を、うっかりミスによって受けられなくなるという珍事が発生。原因は、律の家に来た鈴愛が、律と同じクリアファイルを間違えて持ち帰ってしまったため(じつはカメの仕業だったことがあとで判明)。そこに律の受験票が入っていたようで…。視聴者的には「そんなものがなくても再発行してくれるのでは?」とツッコミたくなるが、そこは抜け目のない北川脚本。律の父・弥一(谷原章介)をとおして「律がそのことに気づかないはずがない」と指摘させる。「プライドがチョモランマより高い」と言われる律が、そのことを承知で受験に行かなかったのではないかと、弥一は推測。彼は親として、息子が“できる子ならではのプレッシャー”を抱えていたことを理解していたよう。「律は心の奥底でどこかホッとしたのではないかと。僕は心底ホッとした」と穏やかな口調で言います。律に京大を受けさせたかった母・和子(原田知世)も今回の一件は納得済みの様子。晴が悲しいとき、つねに笑顔を見せ、妻をいたわってきた晴の夫・宇太郎(滝藤賢一)もすばらしいが、弥一もじつにいい夫でした。■舞台は東京へ! カリスマあふれるトヨエツに期待いよいよ舞台は、岐阜から東京へ。豊川悦司演じる秋風羽織先生に、鈴愛は振り回されそうな予感! トヨエツは、北川悦吏子脚本の『愛していると言ってくれ』のシリアス路線とは打って変わり、カリスマ性あふれる変人漫画家役をおちゃめに演じている。鈴愛を上京させたきっかけは、イベントのときに鈴愛が差し入れた五平餅が気に入ったから、という流れになっていたが、はたして本当にそうなのか!? 鈴愛は、漫画家になるという夢に邁進(まいしん)していけるのか? そしてその夢を応援する律や家族は、今後彼女の発するSOSにどう応えていくのか? 律と鈴愛の関係性がどう変化していくのかも気になるところです。NHK連続テレビドラマ小説『半分、青い。』(月~土)午前8時~8時15分
2018年05月12日笑福亭鶴瓶がゲストとステキな家族を求めて日本中を巡る“ぶっつけ本番”の旅番組「鶴瓶の家族に乾杯」。その4月9日(月)放送回に、この4月から放送が開始された連続テレビ小説「半分、青い。」に出演中の俳優、佐藤健がゲスト出演する。2007年「仮面ライダー電王」で注目を集めると、インパクトのあるドレッドヘアで体当たりした「ROOKIES」や「ブラッディ・マンデイ」、榮倉奈々、向井理、鈴木亮平といったいま第一線で活躍するメンバーが集結した「メイちゃんの執事」などのドラマに立て続けに出演。2010年には「龍馬伝」で大河ドラマ出演を果たし、映画『BECK』が大ヒット。「Q10」の主演などで一気にその知名度を高めた佐藤さん。その後も『るろうに剣心』シリーズに『バクマン。』『8年越しの花嫁』など幅広い役柄に挑み、「天皇の料理番」では代役なしで料理シーンをこなすなど演技派としても評価されるように。木梨憲武と共演した『いぬやしき』の公開も控えるなかでの朝ドラ出演ということで、ここに来て改めて各方面から熱い視線が注がれている。今回は鶴瓶さんと佐藤さんが「半分、青い。」の舞台になっている岐阜県の恵那市で“ぶっつけ本番旅”。旅の開始早々、地元にとても詳しい男性と出会った2人は街に「電信柱が1本もない」と聞き、それを確かめるべく歩き始める。一人旅となった佐藤は「半分、青い。」の撮影地となった商店街を訪問。お世話になった人々と再会、熱烈な歓迎を受けることに。その頃鶴瓶さんは岩村駅近くの料理店で出会った家族と話したあと、酒蔵へ向かう…。今夜はどんな旅が繰り広げられるのか!?お楽しみに。4月から放送が開始された連続テレビ小説第98作「半分、青い。」は脚本家・北川悦吏子のオリジナル作品。永野芽郁演じるヒロイン・鈴愛(すずめ)が、故郷である岐阜と東京を舞台に、高度経済成長期の終わりから現代までを七転び八起きで駆け抜け、やがて一大発明を成し遂げるまでを描いた物語。佐藤さんは鈴愛の幼なじみ萩尾律を演じている。今週は放送2週目となり、1980年、小学3年生になった鈴愛の左耳に異変が起き始める…というストーリーが展開する。連続テレビ小説「半分、青い。」はNHK総合で月~土曜午前8時~8時15分、午後0時45分~1時の放送。BSプレミアムでは月~土曜午前7時30分~7時45分と午後11時30分~11時45分の放送。土曜の午前9時30分~11時には1週間分をまとめてオンエア。「鶴瓶の家族に乾杯」は4月9日(月)19時30分~NHK総合で放送。(笠緒)
2018年04月09日目が疲れた日に飲みたい青の食べるお茶今回紹介する華やかな青の食べるお茶は、バタフライピーというハーブティーを使います。バタフライピーに豊富に含まれているアントシアニンは目の疲労感緩和も期待できます。今回はドライフルーツを入れて、味も見た目も華やかに仕上げましょう。カフェインレスなので夜のリラックスタイムにもおすすめです。ドライフルーツの選び方も要チェックまず、熱湯150mlとバタフライピーティーのティーバッグ1杯分、お好みのドライフルーツを大さじ2程度用意します。バタフライピーティーはできるだけティーバッグのタイプを選ぶと、計量する手間が省けるのでおすすめです。ドライフルーツの選び方も大切なポイント。今回選んだレーズンやイチジクには不足しがちなカルシウムや鉄分、豊富な食物繊維が含まれていて、クランベリーは抗酸化力が強い果物といわれています。マンゴーにもビタミンや食物繊維が含まれており、どのドライフルーツも女性に嬉しい栄養素ばかりです。ドライフルーツの下準備からスタート栄養素の充実したドライフルーツを選んだら下準備からスタート。ドライフルーツを小さく刻んでいきます。その際、レーズンは刻む必要はありません。オイルコーティングされている場合は必ず湯通ししてください。湯通しが終わったらそのままティーカップに入れます。つい先に茶葉を入れてしまいがちですが、ハーブの青色がキレイに出るよう茶葉は最後に入れるのがポイントです。バタフライピーの美しさを堪能最後に今回の主役、バタフライピーの茶葉を入れたら、ゆっくりとお湯を注ぎます。軽くひと混ぜしたら、3分蒸らします。少しずつ青色になっていく様子が美しく、目が離せません。3分経ったら茶葉を抜いて、よく混ぜます。見た目の美しさを堪能したら、温かいうちにバタフライピーのさっぱりとした味わいを楽しむのがおすすめです。ドライフルーツのほどよい甘味がさらに心を落ち着かせてくれます。見た目も味も美しいバタフライピーの茶葉を使った、青の食べるお茶。シンプルなハーブティーも良いですが、ドライフルーツを入れるというひと手間かけたハーブティーなら、リラックスタイムがより贅沢なひとときとなるのでおすすめです。今回はレーズンとイチジク、クランベリー、マンゴーの4種類を使いましたが、バタフライピーティーはブルーベリーやカシスなど、ベリー類との相性も良い茶葉です。好みのドライフルーツとブレンドしてあなたらしいアレンジを楽しんでみてください。監修/Niki・B・Shun
2018年04月05日NHK連続テレビ小説『わろてんか』からバトンを受けとり、永野芽郁主演による新ドラマ『半分、青い。』がいよいよ4月2日(月)スタートします。脚本を手がけるのは『ロングバケーション』や『ビューティフルライフ』などで知られる恋愛ドラマの名手・北川悦吏子。朝ドラを手がけるのは初で、オリジナル脚本となります。ヒロインは、母親のおなかのなかにいるころから描かれるという驚きのはじまり。もしかしたら子どもの誕生から成長までママのように見守る展開となるのかもしれません。そこで放送が始まる前に、『半分、青い。』の見どころをチェックしながら、タイトルに隠された意味を考えてみたいと思います。■主題歌は星野源! あらすじをチェック舞台は、永野芽郁演じるヒロイン楡野鈴愛(にれの・すずめ)の故郷となる岐阜と東京。ちょっぴりうかつだけど、失敗を恐れない鈴愛が、高度成長期の終わりから現代までを七転び八起きで駆け抜け、やがて一大発明を成し遂げるまでの物語となっています。大阪万博の翌年である1971(昭和46)年に、楡野宇太郎(滝藤賢一)と妻・晴(松雪泰子)の間に生まれたのが鈴愛。幼少期は、毎日野山を駆け回る元気な子でしたが、小学生のときに、病気で片耳を失聴してしまいます。そんなハンディキャップを抱えつつ、鈴愛は、漫画家になる夢へとまい進していきます。数々のドジや失敗をやらかしても、ハンデを背負っていても、いろんな人に支えられながら、前向きに生きていくひたむきなヒロイン、鈴愛。まさに朝からパワーをもらえそうなドラマとなりそうです。さらに、主題歌「アイデア」を担当するのは、いまやアーティストとしても俳優としても絶大な人気を誇る星野源とくれば百人力。星野がNHKドラマに楽曲提供をするのも初となりますが、1日の始まりとなる朝にぴったりなアップテンポの楽曲に仕上がっているそうです!■ヒロイン永野芽郁の最大の武器とは?『半分、青い。』の第1週完成試写会に登壇した北川悦吏子が、胎児のシーンから描くことについて、最初は反対されたと明かしていました。「一週間やるつもりだったけど、お願いだから3日にしてくれと言われて」と笑いながら言っていましたが、実際には2日間で描かれるそうです。斬新なのは、その胎児に永野が声を当てたという点。もちろん、心の声という設定ですが、永野は「監督から“赤ん坊っぽく”と言われてけっこう悩みました」とのこと。かなりチャレンジングな試みだけに、仕上がりを見るのが待ち遠しいです。永野芽郁は、人気コミックの映画化『ひるなかの流星』や『帝一の國』、窪田正孝主演のドラマ『僕たちがやりました』などでヒロインを務めてきましたが、しっくりと物語になじむ演技力と、清涼飲料水のようなさわやかな笑顔が魅力です。余談ですが、『ひるなかの流星』で演じた役柄も“すずめ”で、名は体を表すという言葉どおり、すずめのような愛嬌(あいきょう)と愛くるしさが彼女の最大の武器です。■「子どもを自立させる」ための母の向き合いかた本作の前半では、「障がいをもつ子どもをどう自立させるか?」というのがサブテーマになりそうな予感。左耳を失聴してしまう鈴愛は、雨音が片側しか聞こえないことをおもしろがるようなポジティブであかるい性格の女の子。そして、それを支えるのはやはり母親なのではないでしょうか。松雪泰子演じる母親・晴は、怒ると怖い肝っ玉母ちゃんですが、じつは涙もろくてお人よし。子育ても一生懸命やるタイプだからこそ、鈴愛に障がいを負わせてしまったことに、とてもショックを受けたことでしょう。母親としてどこか後ろめたさを感じ、娘を心配しすぎるがゆえについつい言いすぎてしまう。ハンデがあるからこそ、鈴愛にはきちんと自立した人間になってほしい。子どもを育てるときに、だれもが感じる過保護と過干渉の葛藤に、晴がどう向き合っていくのか。そしてそんな母の下で、子どもはどのように愛情を受け取り、ハンデを乗り越えていくのか、とても気になるところです。一方、滝藤賢一ふんする父・宇太郎は、“朝ドラあるある”の優柔不断で能天気なダメおやじキャラ。何かとヘマをやらかしてしまう鈴愛は、父親の血を引いている!? 晴によく怒られている宇太郎ですが、夫婦仲は安泰のよう。母と娘がぶつかったときも、宇太郎が良い感じでクッションとなるようで、意外と包容力を持ち合わせた父親のようです。子育てはまさに夫婦二人三脚。この2人のバランスこそが子どもに与える影響の大きな要となってくる予感がします。■佐藤健、豊川悦司のイケメン枠に、ブレイク候補が追加か朝ドラといえば、目の保養となるイケメン枠は不可欠な存在。明るくて朗らかだけど、壁にぶち当たってばかりの鈴愛は、王道の“ほっとけない系ヒロイン”。ということは、頼もしい助っ人は不可欠となります。今回の相手役は、マストイケメンかつ実力派俳優、佐藤健です。佐藤が演じるのは、鈴愛の幼なじみ・萩尾律役ですが、意外にも彼は朝ドラ初登板です。律は、鈴愛と同じ日に同じ病院で生まれた幼なじみで、お互いのことをだれよりも理解しあっているという役どころ。しかも容姿端麗、成績優秀というクールな知性派ながら、繊細さを兼ね備えているというおいしすぎるキャラクター。この時点で設定勝ち、キャスティング勝ちなので、いまから心がざわつきます。さらに、ダンディなイケメン枠として、豊川悦司がスタンバイ。演じるのは、鈴愛の師となる少女漫画家・秋風羽織役。トヨエツといえば、北川脚本のドラマ『愛していると言ってくれ』で、聴覚障がい者の画家を演じ、女性陣をメロメロとさせたほどの手腕の持ち主。鈴愛は、片耳だけの聴覚障がいですが、もしかしたら永野がトヨエツに役作りでのアドバイスなんかを求めたりしたのかも!? 想像するだけでもニンマリしてしまいます。さらに秋風自身はどうやら相当偏屈な男のようで、2人がどんなふうに火花をちらしていくのかドキドキします。また、朝ドラでチェックすべきは、青田買いのイケメン兄弟枠。今回、鈴愛の1つ違いの弟・楡野草太役に投入されたのは、朝ドラ初出演のフレッシュな若手俳優・上村海成。草太は、思い立ったら即行動の姉とは対照的で、石橋をたたいて渡る慎重なタイプ。楡野家のなかではだれよりも冷静な判断が下せ、しかも勘がよくて気が利くというモテ男。彼は永野と同じ「nicola」のモデル出身で、ルックスは太鼓判が押されたブレイク候補生!■タイトルに隠された意味とは?雨上がりの青空を見て「半分、青い。」とつぶやくヒロイン鈴愛。この言葉は、片耳の障がいを抱えながらも後ろ向きにならず、明るくものごとをとらえて生きようとする、鈴愛のたくましさの表れでもあるのでしょう。また、そうあってほしいという願いもこめられているのではないかと。もしかしたら愚痴が言いたくなる日でも、雨の朝でも、「半分、青い。」と思えれば、気持ちを切り替えられそうな気がします。いまくじけている人、つらいことがある人への「今日も一日がんばろう」というエールとなるかもしれませんね。『半分、青い。』4月2日(月)放送開始NHK総合(月~土)午前8時~8時15分公式サイト:
2018年04月01日深田恭子&松山ケンイチ演じる五十嵐夫婦の妊活を中心に、多様な家族について描かれてきた『隣の家族は青く見える』。不妊治療についても丁寧に描くことで共感を得てきた物語が、いよいよ最終回を迎える。3月15日に放送された第9話では、奈々の妊娠から流産までが描かれ、涙する視聴者が続出。妊活をする五十嵐夫婦がぶち当たった壁、さらには奈々の心情の変化を追うことで、あらためて見えてきたものとは?■妊活は妻のため? 不妊治療で感じる夫婦の温度差第1話で「念のため」という気持ちで不妊治療専門クリニックを受診したにもかかわらず、早々に「不妊症」という言葉を告げられてしまった五十嵐夫婦。「子どもはいずれできる」と悠長に構える大器(松山)は治療に難色を示すが、年齢的なリミットも鑑みて奈々(深田)は前向きに治療(タイミング法)をスタートする。終わりの見えない治療の始まりではあるが、このときは“治療をすれば、きっと子どもはできる”という思いが強く、希望に満ちていた。とはいえ大器は、アルコールを控える奈々の横で平然とビールを飲んだり、精子に異常がなければ“ガッツポーズ”をしたり…。このような夫婦の温度差は、不妊治療をする際に大きく立ちはだかる壁ではなかろうか。本来、妊活は夫婦ともに同じ立場で行うものだが、命が宿るのは女性の体であるゆえ、夫は妻に「協力している」、一方の妻も「夫に協力してもらっている」という考え方に至ってしまいがち。このためどうしても女性が率先して治療を行うことで、その状況次第で落ち込んだり、考え込むことも少なくない。だが五十嵐家の妊活は、夫が不妊治療について“知ること”で、道が開けていく。大器は「知らないから怖い」という奈々の言葉に刺激を受けて自主学習し、良い精子を提供すると高らかに宣言。ここから、奈々と大器は足並みをそろえて妊活に取り組むこととなったのだ。■不妊ストレスが起こるとき…親プレッシャー、他人の幸せ子どもはいらないと考える人もいれば、子どもがほしくてもかなわない人もいる。人生には当たり前なんて存在しないのだが、結婚したら子どもができてあたり前と考えている人がまだまだ多いのが実情。なかでも妻にとって一番の脅威は、夫の母ではないだろうか。孫見たさに、義実家に行けばその話ばかり、あげくにはお守りやら健康食品やらを送りつける…。大器の母・聡子(高畑淳子)もまた悪意のない「孫はまだか」攻撃も凄烈だった。そして義妹の琴音(伊藤沙莉)の妊娠によって、奈々の「どうして私だけ…」という気持ちが募っていく。人の幸せを素直に喜ぶことができない感情は当然ともいえるが、「それで喜んでたら、お人よし通り越してバカだよ」と言う大器に、「だったらバカのほうがいい」とつぶやいた奈々。不妊治療の最中に起こる自分のマイナス感情を受け入れられない姿が印象的だった。第5話ではタイミング法から人工授精へステップアップするが、リセットを繰り返してしまう奈々。さらには琴音の出産に立ち会うという精神的に厳しい状況に置かれるが、「妊娠できないわけじゃなく、まだ妊娠していないだけ」と、自分の中の嫉妬心を乗り越えようとする。一方、奈々の不妊治療を知った聡子は自分の言動を猛省。自分の発言や態度を何度も謝る聡子だったが、おそらく自分の失態をすなおに謝ることができる人はほぼいない。何気ない一言が人を傷つけることもある。思いも寄らないことに悩んでいる人は意外と近くにいるのかもしれない。そして自分の気持ちを言葉に表せばわかってくれる人もいる。ドラマはそんな一言の大切さにも気づかせてくれた。■不妊治療と仕事を両立させことの厳しい現実不妊治療を始めるときに、女性にとって大きなネックとなるのが仕事。治療のスケジュール次第では仕事を休む必要が出てしまうが、会社に「不妊治療」をしていること自体を言い出すことができない。それは女性として恥ずかしさもあるし、病気の治療という必然性もないから。ダイビングスクールで働く奈々は、治療スケジュールの都合で急な休みが増え、「ヤル気がないならやめてもいい」とまで言われてしまう。体外受精へのステップアップを機に、職場に不妊治療の事実を伝えることになるのだが、不妊治療経験者の上司を除く同僚の目はとにかく冷たかった。“子どもがほしい”という気持ちは尊重されて然るべきなのに、働きながら子どもを産むこと、育てることは、どうしてこんなにも窮屈なのだろうか。かといって、子どもを産まなければ産まないで文句を言う人も出てくるのだから弱ってしまう。大器は「今日は人工授精終わってから出勤します」と言える世界を望んでいた。しかし、女性は不妊治療を理由に仕事を辞めざるを得ない状況に陥ることも珍しくない。奈々の同僚の態度から、そんな悲しい現実をひしひしと感じるのだった。■妻だけがつらい? 不妊治療で疲れていく夫の存在不妊治療は女性ばかりがつらくなるもの。そう思い込んでいる人も多いだろう。そのとき夫はどうなのだろうか。態度や言葉に表さないから、「妻だけ苦しんで、夫は何も考えていない」と思っていないだろうか。第7話では、大器がじつは精神的に追い込まれ、カウンセリングに通っていたことが明かされる。治療が長くなることで、気づけば奈々に腫れ物に触るかのごとく接するようになっていたのだ。不妊治療を「もうやめよう」という大器に対して、奈々は「諦めたくない」と本音でぶつかり合う。相手の気持ちを思うことも大切だが、やはり本心は伝えなければわからないもの。これによって、奈々と大器は夫婦の絆を再認識することとなり、晴れて迎えた体外受精で、ついに妊娠することになる。■幸せの光を一瞬で奪う、流産の残酷さマタニティマークをつけ、母子手帳をもらい、妊娠の喜びをかみしめていたのも束の間。奈々は腹痛で倒れ、そのまま流産してしまう。「一生子どもはできないかもしれない」という不安に駆られながら、「大器を父親にしてあげたい」という一心で頑張ってきた努力の賜が、一瞬にして奪い去られてしまう残酷さ。奈々の気持ちを思うと胸が締め付けられ、涙を流さずにはいられなかった。『隣の家族は青く見える』が一貫して描いてきたのは、多様性を認めることの大切さ。もちろん他人に対してだけでなく、自分自身に多様性を認めることで新たに生まれる幸せもあるのだが、自分のことだからこそ、やすやすと受け入れられないのが現実である。岐路に立たされた五十嵐夫婦は、どんな選択をし、どんな展開を迎えるのか…? どのようなカタチであれ、二人が“幸せ”だと思える結末を祈りたい。『隣の家族は青く見える』第10話は、3月22日夜10時から放送。木曜劇場『隣の家族は青く見える』ドラマ公式サイト:
2018年03月21日今までないリアルな妊活ドラマという触れ込みで始まった、フジテレビ系木曜10時の「隣の家族は青く見える」。 「生々しい」「リアル」という声があるいっぽうで、多くの不妊治療経験者からは「ピンとこない」などという意見が数多く上がっている。 ■ピンとこない理由1「周囲の人々のデリカシーがない」 妊活は経験した人にしかわからない精神的なつらさがつきもの。ゆえに不妊治療者や周囲の人々は、言動には慎重になっているはずだが……。 「私は今まで3つのクリニックに通いましたが、どの先生も『不妊症』という言葉を使わずに症状を説明してくれました。わかっていても、もし目の前で先生に言われたら、ショックだろうな」(20代女性) 1話で深田恭子さん演じる主人公の奈々にクリニックの医師が「検査するまでもなく不妊症です」と告げるシーンがある。 病院によってはズバリ現実を提示する医師もいるものの、この宣告に違和感を覚える方も多いようだ。 「マツケンよぉ、会社の同僚に不妊治療していることを喋らないでーーー」(30代女性) 松山ケンイチ(33)演じる夫・大器は時折、会社の後輩に夫婦の不妊治療について話している。だが同じ悩みを持つ友人や家族ならまだしも、若い後輩に他人に夫婦のデリケートなことを軽々しく話すのは妻にとって気持ちのいいものではないはず。 奈々が苦しいときに寄り添ったり「いつか俺たちの所にも絶対(赤ちゃん)来てくれる」と元気づけたりしていても、このディテールのおかげで大器がどこか軽薄に感じてしまうようだ。 ■ピンとこない理由2「主人公たちに本気さが感じられない」 「医師の指示でいちいち戸惑いすぎ。タイミング法だけで簡単にできると思うなよ」(40代女性) 一般にはなじみの薄い不妊治療をドラマで扱う性質上、奈々がどこか無知であったり医師の指示にいちいち戸惑ったりするのはドラマ的に仕方のないこと。しかし本気で妊活について学び、大きな決意をもって治療院の門を叩いた人たちからすると、軽い意識と感じてしまう部分もあるようだ。 「生理予定日3日過ぎて気づくなんて、本当に妊活してるの?」(30代女性) 3話で奈々が、「アレ(生理)もう3日も来てない!」と驚くシーンがある。 妊活中は生理日・排卵日に一喜一憂するもの。アプリなどでカウントダウンしながら、その日をドキドキして待っている人が多い。奈々も毎日基礎体温をつけているほどの妊活中のはずだが……??? ■ピンとこない理由3「成功が見えているから萎えてしまう」 不妊治療で一番つらいのは、先が見えないこと。そして頑張った人が頑張っただけ報われるものでもないことだ。 「挫折や苦悩がありつつも、最終的にめでたく授かるラストが見えてる」(40代女性) 「困難に見えるけど、実際はこんなすんなりいかないんだよなあ」(30代女性) 奈々夫婦は親の反対や夫婦間の意志の相違などはあるものの、双方特に問題なく治療が進んでいく。 それはそれで不妊症の厄介なところだが、治療を受ける夫婦の半数以上は検査や治療の過程で子宮筋腫や無精子症などの問題が発見されるという。また金銭上の困難などにぶつかり、回り道を余儀なくされているというのだ。 治療は順調に進んでも成功せず、別の新しい未来を選ぶことになった方も数多くいるとのこと。終わりの見えない中でもがいていた治療経験者からするとラストが想像できるスムーズなドラマ展開はどこか他人事に思え、歪んだ見方になってしまうのかもしれない。 ただ、直近放映の9話で奈々は初めての体外受精によって妊娠判定を得たものの初期流産という結果を迎えてしまっている。果たして多くの予想通りめでたく授かるのか、それとも別の未来が描かれるのか。最終回が見ものだ。 ■「不妊治療」扱う貴重なドラマ、今後に期待 とはいえ、このドラマの妊活手順(結婚1年で妊娠せず→病院行く→検査する→タイミング法→人工授精→体外受精)がわかりやすいストーリーや「クロミッド(排卵誘発剤)とは〜」「不妊治療の助成金は〜」などと医師や奈々の口から説明される不妊治療のあれこれは、非常に勉強になるとの声も。 世の中の大部分である『不妊治療は自分とは縁のないものだ』と思っている人たちにとって、それが身近に感じる大きなきっかけになっているだろう。 現に実年齢より若く見える深田恭子さんが不妊に悩んでいる役というのは、多くの視聴者に衝撃を与えているようだ。今回、実際に話を聞いた治療経験者たちも「このドラマで一番リアルだ」と口を揃えていた部分だった。 不妊は他人事ではないということ。たとえ経験者がピンと来なくとも「隣の家族は青く見える」は、これから多くの人々の不妊治療に対する考え方を変える役割も担っているのではないだろうか。 <小政りょう>
2018年03月19日深田恭子主演の木曜ドラマ『隣の家族は青く見える』。妊活中のカップルを中心に、さまざまな事情と問題を抱える4組のカップルが入り乱れる群像劇だ。すでに第7話まで放送が終わっているが、このドラマの面白いところは、なかなか問題が解決しない部分にある。ドラマの作り手たちが、安易に解決させない姿勢を貫いている、とでも言うべきだろうか。そのあたりがスカッとした結末を望んでいる視聴者と相容れず、視聴率の伸び悩みにつながっているのだろう。■母親は自己犠牲の塊?第6話は大器(松山ケンイチ)の母・聡子(高畑淳子)のこんな言葉で始まる。「母親っつーのはね、自己犠牲の塊なの」第6話は、「母親」がひとつのキーワードになっていた。聡子の言葉は、子育てに神経質になっている大器の妹、琴音(伊藤沙莉)に向けられたものだ。聡子の言葉を聞いて、もっともだと思う人も多いかもしれないが、「母親は自己犠牲が当たり前」という考え方自体は古いもの。このセリフを聞いて、先日話題になっていた絵本作家のぶみが作詞した歌「あたしおかあさんだから」を思い出した人もいるはずだ。「孫の顔も見ないで死ぬなんて、嫌ですからね。早く結婚してちょうだい」これはゲイであることをひた隠しにしている渉(眞島秀和)の母・ふみ(田島令子)の言葉。渉の隣には朔(北村匠海)がいたが、ふみは2人が付き合っているなんて知る由もない。ふみのこうした態度が、渉の煮え切らない態度を生み出しているのだろう。第7話に登場した深雪(真飛聖)の母親・百合恵(多岐川裕美)は、「あなたは受験に失敗したところから、人生狂ってしまったから」とさりげなく言い放つ。娘の受験に狂奔する深雪の態度は、間違いなく百合恵の影響によるものだ。古くて強い価値観が、キャタピラのようにメリメリと新しくてナイーブな価値観を踏み潰していく。母たちの言葉は「呪い」にも見える。新しい世代が自分の幸せを獲得するには、まず彼女たちの強い影響から脱する必要がある。「私もお父さんも、奈々ちゃんのこと大好きなのよ。奈々ちゃんが大器のお嫁さんになって、本当に良かったと思ってんの。だから、子どもができようが、できまいが、そんなことどうだっていいの。あんたたちが幸せで暮らしてれば、それでいいのよ」人工授精を続けて失敗して「妊活クライシス」に陥っている奈々(深田恭子)に向けた、聡子の言葉に救われた気になった人も多いだろう。しかし、聡子の言葉は根本の部分で勘違いがある。子どもが欲しいか、欲しくないかは、どこまで行っても奈々と大器の問題だからだ。第7話では、渉がついに母・ふみに対してゲイであることをカミングアウトする。衝撃を受けたふみは「お願いだから目を覚まして」と(口調は穏やかだが)激しい表現で詰め寄るが、渉はこう言う。「自分や、自分の好きな人を否定されることが、こんなにも悲しいことだなんて、今の今まで知らなかったよ」人にはそれぞれの価値観がある。ただ、孤立するのではなく、お互い干渉し合いながら、偏見を乗り越えて、それぞれの価値観を尊重していこう、というのがこのドラマのテーマだと思う。■ついに激突!夫たちVS妻たち第7話では、それぞれのカップルの不和が表面化した。大器は「妊活クライシス」に苦しむ奈々を見ていられなくなり、治療のステップアップを望む奈々に対して不妊治療そのものをやめるよう提案するが、そのギャップに2人は激しく衝突する(大器の浮気疑惑もあった)。亮司(平山浩行)の先妻の息子・亮太(和田庵)を受け入れたちひろ(高橋メアリージュン)だが、亮太を甘やかし続ける亮司に苦言を呈すると、「俺たち家族のことに口出さないでくれ!」と言われてしまう。深雪は夫・真一郎(野間口徹)の再就職を待ち望んでいたが、真一郎が選んだ仕事は学習補助のボランティアだった。激昂した深雪が「本気でそんな生活をしていくつもりなら、この家を出てからにして!」と叫ぶと真一郎も「出てけばいいんだろう!」と応じる。酒を酌み交わしながら愚痴をぶつけ合う男3人だが、それを聡子が「バカ亭主どもが!」と一喝する。これは聡子が正しい。彼らに必要なのは、妻と何歳までに何が欲しいか(必要か)を話し合い、ビジョンを共有することだ。たとえば、真一郎が教育支援の仕事にやりがいを見出したのは結構なことなのだが、深雪にとってはあまりにも一方的だ。第6話で亮太に対して言ったちひろの言葉、「もし何か不満があるなら言ってね。私、お母さんじゃないから、心で思ってることまで汲み取ってあげらんないからさ」は、いみじくもそれぞれの夫に対して当てはまる。「夫婦生活は長い会話である」というニーチェの言葉のとおりだ。夫も妻も、面倒でも疲れていても、お互い向き合って、あるいは同じ方向を見て、語り合い続けるべきなのだと思う。奈々から正直な気持ちを打ち明けられた大器の言葉のとおりだ。「やっぱりどんなにキツくても逃げないで、ふたりのことはふたりで話し合わないと、ダメなんだよな」第8話からはいよいよラストスパート。それぞれのカップルの行末を見守りたい。
2018年03月08日コーポラティブハウスに住む、事情を抱えた4家族を描く『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)。物語が進むに連れて、登場人物たちが育ってきた環境も徐々に明らかになってきた。第1話から強烈なインパクトを放ち続ける大器(松山ケンイチ)の母・聡子(高畑淳子)をはじめ、奈々(深田恭子)の母、渉(眞島秀和)の母、そして3月1日に放送された第7話には深雪(真飛聖)の母が登場。そんな母親たちに注目すると、子どもに「幸せな人生を送ってほしい」と願う気持ちは同じでも、一歩間違うとその思いは子どもを苦しめる毒になると気がつかされる。それでは私たちはどう子どもに接していけばいいのか、ドラマから読み取れる育児のヒントを探ってみたい。■母としての自分を顧みることができますか?ドラマの名物キャラクターともいえる大器の母・聡子は、嫁の奈々も大切に思う、心優しき肝っ玉母ちゃん。悪気なく「孫が見たい」と大器と奈々に伝え続けてきたが、夫婦が不妊治療に取り組んでいると知り、自分の言動を猛省する。第6話で「子供なんて産みたくなかったよ!」と本音を吐く実娘に「あんたが言った言葉は、どれだけ残酷で、無神経で、ひどい言葉か。謝りなさい!」と声を荒げてビンタする姿は、母親としてのやりきれなさと、奈々への思いやりに満ちていた。そして、なかなか子どもができないことを謝る奈々に対し「奈々ちゃんがお嫁さんになってくれて本当によかったと思ってるの。だから、子どもができようができまいが、そんなことどうでもいいの。あんたたちが幸せに暮らしてくれてるならそれでいいのよ。もう、私たちのためにがんばって作ろうなんて思わなくていいからね」と涙を流して訴える姿も印象的だった。第7話では、聡子夫婦が経営する焼き鳥店に大器、真一郎(野間口徹)、亮司(平山浩行)が訪れる。はじめは「愚痴のひとつも言いたいときはありますよねぇ」と笑顔だった聡子だが、男たちのちっぽけなプライド話を耳にすると、「バカなこと言ってないで、帰って女房の手伝いでもしなさいよ。バカ亭主どもが!」と一喝。子どもたちを叱咤激励しながらも、母親としての自分を顧みることも忘れない聡子は、どんなときも愛にあふれている。■「母の思い=子どもの思い」は毒親寸前か!?初登場となった深雪の母・百合恵(多岐川裕美)は、経済安定第一主義。お金の無心に行った深雪を、夫が「一流商社にお勤めなら、お金の苦労だけはしなくてすむ」と制し、娘の心を慮る様子はない。だれに対しても自分の意見を主張してきた深雪だが、母親に対しては事情が違うようだ。おそらく深雪は、幼いころから母親の前では自己を抑えて生きてきたのだろう。「あなたは受験に失敗したところから、人生狂ってしまったから」という母親の言葉から、深雪がこれほどまでに娘の中学受験に固執する理由が表面化。つらかった自分の過去と同じ道を娘に歩ませたくないという母としての願望が垣間見えた。もしかすると、深雪は母を憎んでいるのかもしれない。だが、やるせないのは、実娘に対して同じように自分の気持ちを押し付けている現状に気づいてないこと。ダンスの練習に励む娘の優香は、いまだ母親に自分の本心を言えずにいる。今後、深雪が母親としての自分の在り方と向き合うときは来るのだろうか。■“普通”な幸せは、子どもの幸せなのか?渉の母・ふみ(田島令子)は、“普通”であることを重んじる母。それを知る渉は「カミングアウトしないのが親孝行」と、自分が同性愛者であることを隠し続けてきた。だが第7話で、母が壁に飾られた“誓約書”に気づいてしまったことをキッカケに、急きょカミングアウト。そこで母から出たのは「私の何がいけなかったのかしら」という言葉だった。第4話で、不妊治療の話を聞いた奈々の母も「ごめんね。普通に妊娠できる体に産んであげられなくて」と話しており、子どもに何かあれば自分自身を責めてしまうのは母親として必然なのかもしれない。もちろん、息子の突然すぎる告白をすぐに受け入れられる母親はそうそういないだろうが、渉には朔(北村匠海)という最愛の人がいて、幸せに暮らしている。そんな息子の幸せを受け入れることができず、自分を責めてしまうのはあまりに切ない。母親は子どもがいくつになっても母親で、子どもには自分自身が思い描く“幸せな暮らし”をしてほしいと願うもの。そこにあてはまらない幸せを“普通じゃない”と否定してしまうのはナンセンスだが、何の疑いもなく息子の結婚を望み続けたふみの気持ちを思えば、現状を受け入れられないというのも理解できる。■子の“幸せ”を願う、母としての在り方とは一方、母になることを願わずに母(の立ち位置)になってしまったちひろ(高橋メアリージュン)は、心を開かない亮司の息子・亮太に「何か不満があるなら言ってね。私、お母さんじゃないから、心で思っていることまでくみ取ってあげらんないからさ」と話しかけてみたり、子どもが欲しいものを与えるだけの亮司に、「亮太くんに嫌われたくないから必死に機嫌を取っているだけ」とNOを突きつけたり、母親とは少し違った立場から正論をぶつける。そして、娘の成績が下がっているのは亮太のせいだと決めつける深雪に対しては「うちの亮太のせいで、成績が下がったっていう証拠はあるのか」と反論。なんだかんだ言いながら、いざという時に子どもを守るちひろの姿にはグッときた。母親の願いは“子どもが幸せに暮らすこと”であって、自分が思い込んでいる“幸せのカタチに当てはめること”ではない。大切なのは、子どもを一個人として尊重し、信頼し合うような関係をいかにして築くか。“子ども”というものを客観的に捉えるちひろの考え方には、親子の関わりについての大きなヒントが詰まっているように思えた。予告では、主治医から「妊娠してますよ」と告げられる奈々の様子も映し出され、早くも「無事に生まれて欲しい」と願う声が続出中の『隣の家族は青く見える』。第8話は、3月8日夜10時から放送。木曜劇場『隣の家族は青く見える』ドラマ公式サイト:
2018年03月07日深田恭子、松山ケンイチ主演の木曜ドラマ『隣の家族は青く見える』。子どもが欲しくて不妊治療を進める夫婦を中心に、さまざまな価値観を持つ人々の姿を描く。先日放送された第6話から物語は後半に突入したが、ここで簡単にストーリーをおさらいしておこう。共有スペースを持つコーポラティブハウスに住んでいるのは、次の4組のカップル(家族)だ。■さまざまな価値観を持つ人たち深田恭子、松山ケンイチ主演の木曜ドラマ『隣の家族は青く見える』。子どもが欲しくて不妊治療を進める夫婦を中心に、さまざまな価値観を持つ人々の姿を描く。今週放送の第6話から物語は後半に突入するが、その前に簡単にストーリーをおさらいしておこう。共有スペースを持つコーポラティブハウスに住んでいるのは、次の4組のカップル(家族)だ。まず、家の購入を機に子作りを始めた、五十嵐奈々(深田恭子)と大器(松山ケンイチ)の夫婦。不妊治療を進める奈々に対して、大器は「子作り意識し始めてから全然楽しくなくなったんだよなぁ」などと世の女性たちを敵にまわすようなことを言っていたのだが、持ち前の素直さと奈々への深い愛情によって、大器も不妊治療についての知識をつけていく。次に、「子どもを作らない」と宣言していた川村亮司(平山浩行)と杉崎ちひろ(高橋メアリージュン)のカップル。彼らは入籍間近だったが、実はバツイチだった亮司には子どもがいた。元妻が急死してしまったことで、亮司は子どもを引き取ることを決意するが、ちひろは亮司の決断を受け入れられない。結局、ちひろは亮司と分かれて家を出ることになる。広瀬渉(眞島秀和)と青木朔(北村匠海)は男性同士のカップル。渉は周囲にゲイであることをひた隠しにしていたが、奔放な朔はキスしているところを奈々に見られても一向に気にしない。ところが、部屋に「同性愛者」「ゲイカップル」という張り紙が貼られてしまう。最後は、商社マンの小宮山真一郎(野間口徹)と専業主婦の小宮山深雪(真飛聖)、2人の娘の優香(安藤美優)と萌香(古川凛)という家族だ。一見、何不自由ないように見えるが、真一郎は失業しており、深雪は真一郎に冷たく当たる。また、深雪は「女は子どもを産んでこそ一人前だもの」という強固な価値観を持ち、それを無遠慮に他人に押し付ける。また、自分たちの生活を幸せそうに装うインスタグラム中毒でもある。■偏見を乗り越えるために先週放送された第5話までを見て明らかになってきたのは、この作品は“偏見”をいかにして乗り越えるべきなのかを描いているドラマだということだ。偏見をなくすためのドラマではない。偏見は間違いなく、ある。渉と朔のゲイカップルへの偏見だけではない。第4話で奈々は実母から「子どもは自然に任せるのが良いに決まっている」という不妊治療に関する偏見を持たれている。また、深雪はさまざまな偏見を周囲にふりまいている。偏見を乗り越えるヒントは、主要登場人物3人の態度にある。まず、奈々の優しさと前向きさ。奈々は誰にでも優しい。自然に妊娠した大器の妹・琴音(伊藤沙莉)のことを素直に祝福できないと涙を流したこともあったが、夫婦でいたわりあうことで前を向くことができた。次に、大器の素直さ。先にも触れたように、けっして不妊治療に対して乗り気ではなかったが、妻の姿を見て自分も知識を吸収して前のめりになっていく。また、それまでの自分の認識が誤っているとわかれば、素直に認めて頭を下げる。そして、朔の多様性を認める姿勢だ。第2話では、ちひろと深雪がそれぞれの考え方をぶつけ合って争う様子を見て、彼はそれを面白がっていた。さまざまな価値観を隠して穏便に生きるのではなく、ぶつかり合ったほうが新しい何かが生まれる可能性があると感じているのだ。第4話では心無い張り紙に対して、朔は児童文学「泣いた赤鬼」をもじった手紙を貼る。朔は自分たちに偏見を持っている人たちでさえも受け入れようとした。ゲイであることを隠す渉に対しては「じゃあなんでこんな家で暮らしてんの?誰にも知られたくないなら、山にこもってひっそり暮らせばいいじゃん」と言う。彼らがコーポラティブハウスは、それぞれ住んでいる世帯がお互いに干渉しなければいけない住宅だ。そこには偏見があり、摩擦もある。コーポラティブハウスと彼らを取り巻く人々は、偏見が渦巻く世間の縮図だ。しかし、それぞれが殻に閉じこもって相手を攻撃するのではなく、具体的にコミュニケーションをかわし、交流を深めることで偏見や差別、悪意を乗り越えることができるのではないかと、このドラマは語りかけている。大きな話をすれば、これは国境が意味をなさなくなった現代の世界の話でもある。それぞれの国の人たちがお互いの偏見をどうやって乗り越えていくのか――?と。これからドラマは後半に突入する。彼らがどのように偏見を乗り越え、自分たちの幸せを掴んでいくのか、じっくりと見届けたい。あ、堅苦しいドラマではないので、気軽に見ましょう!妊活についてもかなり詳しくなりますよ。
2018年02月23日2月15日、『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)第5話が放送された。いままでも、かなり気になる存在ではあった小宮山深雪(真飛聖)だが、ついに夫・真一郎(野間口徹)と“子育て”を巡って口論が勃発。深田恭子&松山ケンイチ演じる五十嵐夫婦との対比も明瞭で、“夫婦の教訓”がヒシヒシと伝わる物語だった。■「幸せな家庭」を演じ続けるワンオペ育児の闇どんな人でも隣の芝生は青く見えるもの。しかしその感情が顕著なのが小宮山深雪だろう。SNSをとおして自分が幸せであることを周囲にアピールしまくる専業主婦。しかし実際にはコーポラティブハウスを購入して早々、商社マンとして働いていた夫が失業。周囲はもちろん子どもにもバレないようにと、「幸せな家庭」を必死で演じているのだった。第5話では、なんと“リア充代行サービス”まで利用していることが発覚。“夫の失業”という、深雪にとってはあってはならない状況が長引くことで、彼女の虚栄心がよりヒートアップしているようだ。あまりに強すぎる嫉妬心から、浮世離れした母親かと思われた深雪だったが、「自分がやらなきゃ」と気負い過ぎた結果、ここまで追い込まれてしまったというワンオペ育児のリアルな闇がチラリ…。もちろん、子どもを持つことが正しいと思っていたり、同性愛者を批判したりする心理は理解できない。だが、だれにも弱さを見せずにひとりで戦い続けてきた深雪を思うと、「じつは私も深雪予備軍かも」という恐ろしさと、ゆがんだ愛情への切なさが込み上げるのだった。■こじれた夫婦に必要なのは夫の一念発起!?しかし、悩んできたのは妻ばかりではない。夫・真一郎は、出張ばかりの仕事にも励んできたが、「家族と一緒に過ごす時間がほしい」と退職。けれども深雪の理解は得られず、再就職が決まるまでいままでどおりの時間に家を出て、夜遅く帰るように強要されている。長女・優香がダンスの練習に励んでいることを知った真一郎は、オーディションのため塾に遅刻した娘が深雪に詰め寄られる姿を見て、「俺が連れ出したんだ」とウソをつく。娘を思っての行動だが、その後、深雪から浴びせられたのは「このまま出てってほしいくらいよ」という辛辣(しんらつ)な言葉だった…。真一郎が中学受験は娘の意思なのかと問えば、「将来を考えれば、中学受験は最善の策」だと返され、「10歳の子どもにも意思はあると俺は思う」と言えば、「この10年、私ひとりに子育てさせておいて、よくそんなえらそうなことが言えるわね」と深雪に一蹴されてしまう。だが、よくよく考えて見れば、「子どもと一緒にいたいと願う夫」、「子育てを自分ひとりでがんばってきたと嘆く妻」。両者が欲しているものは同じであり、ただただ、ボタンの掛け違いがあるだけ。大黒柱の失業はたしかにマイナスなことかもしれないが、それによって得た幸せもある。それなのに深雪は「暇になったからって急に口出さないで」と、その幸せに気づくことができないでいるのだ。朔(北村匠海)が「違う環境で育った人間同士が心を通わせるなんて、そもそも無理なことしてるんだから、恋愛関係が続くこと自体奇跡なんだよ」と話していたが、本当にそうだ。夫婦であっても、心を通わせ続けるのは奇跡。一度できてしまった感情のズレを取り戻すのは難しいが、ここから小宮山夫婦がどう歩み寄っていくのか。そこには、夫の一念発起が必要なのかもしれない。■不妊治療に前向きな社会、夫になるためには一方、五十嵐家の夫・大器は「そこまでしなくても」と考えてきた不妊治療への考え方が大きく変わっていた。後輩に対する「“今日は精子とってから出勤しまーす”とか、“今日は人工授精終わってから出勤しまーす”とか言える社会であるべきだと思うんだよ。助けが必要なときはお互いさまって感覚が、もう少しあってもいいと思うんだ」という言葉には、胸が熱くなった視聴者も多いはず。突然のふんどし姿には笑ってしまったが、そんな大器の言動はどれも妻である奈々を思うからこそ。もちろん、自分自身にも子どもがほしいという気持ちもあるが、何より奈々の願いをかなえてあげたいという気持ちが強いのだろう。妻の負担を少しでも減らすためにも、つらさを一緒に背負おうとする大器の夫としての在り方には頭が下がる。互いを認め合い、同じ方向を向いて歩みを進める五十嵐夫婦。そして、互いの本音を共有できずに、心が離れかけている小宮山夫婦。「あなたはどちらの道を選びたい?」と聞かれれば、答えは簡単。それを実現するためには、深雪のように夫にばかりに何もかもを求めていてはいけない。大器に感謝の心を抱き続ける奈々のように、妻も夫の気持ちに気付き、寄り添うことが必要なのだ。真一郎が優香を連れ回したことに対して「昔あんなことがあったのに、誘拐みたいなことするなんて…」と深雪がこぼした小宮山家の過去、そして、朔が渉(眞島秀和)の家に転がり込んだ理由は一体何なのか…?さらに、子ども嫌いを宣言してきたちひろ(高橋メアリージュン)が、亮司(平山浩行)の息子・亮太との生活を通じてどんな変化を見せるのかも気になるところ。物語が折り返しを迎え、ますますおもしろくなってきた『隣の家族は青く見える』。第6話は2月22日夜10時から放送。木曜劇場『隣の家族は青く見える』ドラマ公式サイト:
2018年02月21日深田恭子、松山ケンイチ主演のドラマ『隣の家族は青く見える』。さまざまな価値観を持つ4組のカップルを描く群像劇だ。第3話のサブタイトルは「夫婦の絆!!妻の涙と夫のあふれる想い!!」。物語のメインになったのは、亮司(平山浩行)とちひろ(高橋メアリージュン)の「子どもを作らないカップル」だった。■「父親としての責任」と「婚約者としての責任」亮司はちひろに隠れて、別れた妻の息子、亮太(和田庵)に会いに行っていた。亮太の母親が急死してしまったからだ。亮太の祖母は年老いて、子どもを育てることができない。亮司は亮太を引き取って育てることを決意する。そんな中、亮司が亮太と一緒にいるところを、ちひろが目撃してしまった。ちひろに自分から切り出し、真実を包み隠さず話そうとする亮司。だが、「子どもはいらない」と宣言しているちひろは話している途中、亮司から離れて背を向けてしまう。物理的な距離が、心の距離だ。「おれとしては、亮太を引き取って、この家で暮らしたいと思ってる。だから、もしちひろが嫌なら……」「嫌なら何?引き取るのやめる?それとも、私と別れる?」「亮太を引き取らないっていう選択肢はない。父親としての責任があるから」「婚約者としての責任は?」亮司の言っていることは当たり前のことだ。父親として、生まれた子どもを放っておくわけにはいかない。それは父親として、人間としての義務である。ちひろは「ふたりでしたいことして、死ぬまで一緒に生きていこうって言ったよね!」と迫るが、子どもが苦しんでいるのを放っておいて「したいことをして」生きていけるとしたら、それは鈍感すぎる。結局、亮司はちひろとの別れを決意する。結婚式を解約すると明るく言うちひろにも声をかけない。かける言葉がないのだろう。■亮司とちひろは何が違ったのか?亮司はちひろの価値観を大事にしていた。彼はちひろの考えを無理に自分に都合のいいようにねじ曲げようとしていない。ちひろを「説得」して、妻と息子、両方を手に入れようとする男もいるかもしれないが、亮司はそうはしなかった。実は、ここに悲劇のもとと言ってもいい考え方の差がある。どうやら、ちひろは亮司を「同じ価値観の持ち主」だと考えていた節がある。しかし、亮司は「お互いの価値観を大事にする人」だった。だから、ちひろの価値観を尊重し、事情が変われば、ちひろとの別れを選ぶ。「愛されてなかったことだよね」と話すちひろに、隣人の奈々(深田恭子)は「愛してるからじゃないかな?」と語りかける。「だって、ちひろさんが子どもを持ちたくないってこと、川村さんは誰よりも理解しているんでしょう。ちひろさんのことを思うからこそ、別れを選んだんじゃないかな。好きな人に無理させることほど、辛いことってないと思うから」夫(となるはずだった人)の愛を知ったのに、別れざるを得ないのは辛いことだ。このドラマには「誰でも子どもを持つのが当たり前」「女は子どもを産んで育てるのが当たり前」「子どもは引き取って育てるのが当たり前」などという、これまで社会を覆ってきた無神経な「当たり前」がない。だけど、だからといってすべてがハッピーになるとは限らない。ときには、こんな痛みを伴うことだってある。とはいえ、物語はこれで終わるわけではない。亮司とちひろ、そして亮太が今後どうなるのかに注目したい。■不妊治療とお金の問題一方、子どもが欲しいのになかなか妊娠できない奈々と大器(松山ケンイチ)の夫婦は、不妊治療を継続中だ。これまでかかった不妊治療費を計算している奈々。不妊治療費は家計を圧迫していた。東京都は不妊治療に対する助成金を始めているが、奈々の年齢がネックになって助成金を受け取ることができなかった。「これが体外受精や顕微授精ならもっと大変だよ。1回につき、最低でも4~50万はかかるらしいから」これは事実。体外受精や顕微授精は特殊技術料金などがかさみ、一回でも大変な額になる。ただし、治療費に「成功報酬型」を取り入れている「新橋夢クリニック」のようなクリニックもある。また、「体外受精による妊娠率は、29歳以下で75%、30~34歳で65.5%、35~39歳で46.5%、40歳以上で14.3%」というデータもある(後藤レディースクリニックによる数字。「男性も女性も知っておくべき「妊活」の正しい知識」より)。近年は年齢が若い夫婦にも最初から体外受精や顕微授精を薦めるクリニックも増えているという。不妊治療を考えている方は、助成金ともども、いろいろ調べてみてほしい。それにしても、この夫婦は本当に愛らしい。今回注目したいのは大器の行動だ。声がかかると、大器はすぐに自分の仕事を中断して奈々のもとへ行き、一緒に数字を見るのだが、これってなかなかできないこと。仕事について、妻のアイデアを喜んで取り入れるところ、部下の前で堂々と妻へのスイーツのお土産を選ぶところも素敵。大器は良い夫だなぁ、と思う。奈々と親しくしていたゲイの朔(北村匠海)への嫉妬も、ほのぼのとしたタッチで描かれていた。大器の妹・琴音(伊藤沙莉)の胎動を素直に喜べなかったと涙を流す奈々を、おおらかに受け止める大器。これからも支え合って前に進んでいってもらいたい。素直に応援したい夫婦だ。なお、奈々と大器が訪れていた「御胎内神社」は静岡県御殿場市にある有名な安産・子宝のパワースポット。敷地内には露天風呂もある温泉も!興味のある方はぜひ。温泉、いいなぁ。
2018年02月13日深田恭子&松山ケンイチ演じる五十嵐夫婦の不妊治療を主軸に、コーポラティブハウス『PUZZEAL』で暮らす4組の家族について描く『隣の家族は青く見える』。第3話で初めて五十嵐家に入ったちひろ(高橋メアリージュン)が、家のデザインが「全然違う!」と興奮気味に話していたが、そもそもコーポラティブハウスって? メリット・デメリットは? 『隣の家族は青く見える』の美術セットの秘密に迫りつつ、住宅購入のヒントを探っていきたい。■コーポラティブハウスとは?コーポラティブハウスとは、住宅購入を希望する人たちが組合を結成し、土地の取得から建物の発注までを自分たちで行う集合住宅のこと。一般的なマンションと違い、入居者が住まいを自由に設計できるのが特長だ。第3話で渉(眞島秀和)と朔(北村匠海)のキスを奈々が目撃するというハプニングは、エントランスを抜けたところにある中庭で発生。これは『PUZZEAL』の住人が自由に行き来できる共有スペースで、このような空間についても入居者が意見交換をしながら造り上げていく。ちなみにコーポラティブハウスは、住宅購入を決めてから入居まで2年程度の期間を要するそう。すぐに入居できないことはデメリットとも言えるが、設計段階からこだわって作ることを考えれば妥当だろう。■ティファニーブルーを取り入れた遊び心いっぱいの家先述の通り、コーポラティブハウス最大のメリットは、家庭ごとに自由にデザイン設計できること。奈々(深田)とちひろが「同じ建物とは思えない」「さすがコーポラティブハウス!」という会話を繰り広げていたように、ドラマに登場する4家族もそれぞれ家のテイストがまったく異なる。たとえば、スキューバダイビングのインストラクターとして働く奈々と、おもちゃ会社に勤める大器が暮らす五十嵐家は、遊び心があふれる空間。ドラマのテーマカラーである“ティファニーブルー”を取り入れながら、マリンっぽさも随所にちりばめられている。「奈々と大器はオシャレではないけれど、2人の好きなものを合わせたら偶然オシャレに見えた」という感覚を意識して造られた住まいは、妊活をテーマに掲げているため、あえてリビングの奥の見える位置にベッドを配置。部屋のいたるところに友人らからのメッセージなどが飾られており、「人に好かれる2人」らしいスペースに仕上がっている。■大人っぽい空間の“THE オシャレ”な家子どもを持つつもりのない川村家は、スタイリストとネイリストのカップルということもあり、ダークカラーを貴重としたシックなデザイン。とにかくオシャレなものを詰め込んでいるため、若干バブリーな雰囲気も…。シルエットの見えるシャワールームや、広々としたベッドなど、大人の男女が暮らすエロティックな様子もプラス。ちひろのスペースもしっかりと確保。だが、物語は亮司(平山浩行)の息子と一緒に暮らす(!?)というまさかの展開へ。この大人っぽい空間に、どのように子育て要素を取り入れていくのかにも注目したい。■デザイン性を重視したオシャレな空間が広がる家一方、建築士である渉が暮らす広瀬家は、いまどきでスタイリッシュな印象。全体的にグレートーンでまとめ、棚や段差を多く作るなどデザイン性を重視。“男の一人暮らし”を目的としていたため、もちろんベッドもシングルサイズ。実際に見るとかなり狭いが、ここに朔ちゃんと2人で寝ているのか…!建築士らしく、棚にはデザイン本などがズラリ。ボタン一つで磨りガラスに変わる窓や、アイランドキッチンを取り入れるなど、洗練されたオシャレな空間になっている。■ママと子どもの暮らしやすさが最優先の家子どもが2人いる小宮山家は、もっとも“普通のマンション”。すべて妻・深雪(真飛聖)が主導権を握ってデザインしたことを意識して作られており、ママと子どもの暮らしやすさが最優先。子どもの成長を追った写真の数々やSNS映えする花を飾るなど、“幸せな家族をアピールする家庭”をわかりやすく表現している。部屋の中で一番使いやすく、広いスペースにキッチンを配置。ところどころに貼られた「やることリスト」や「手書きレシピ」などのメモも深雪らしい。こんな風に、コーポラティブハウスは住人の好みに応じてまったく違う家にすることが可能。間取り、壁、キッチンやバスルームなどの設備まで、すべて自由に選ぶことができるので、集合住宅でありながら、注文住宅の良さも味わうことができるのだ。■コーポラティブハウスの利点と難点ドラマの美術セットをデザインした宮川卓也さんは、数多くのコーポラティブハウスに足を運んで『PUZZEAL』を造り上げた。ただし、既存のコーポラティブハウスに囚われるのではなく、ドアを開けるだけで会話がはじまるような“ストーリーの作りやすさ”と“画面に映ったときのおもしろさ”を意識し、それをコーポラティブハウスのフォーマットに当てはめていったのだとか。宮川さんが感じたコーポラティブハウスのメリットは、やはり戸建てのような感覚で住まいを作れること。さらに、設計の段階から顔を合わせるので、入居者同士の連帯感が生まれるのも魅力だという。ただしこれは一転してデメリットにもなりうる。もし深雪のようにあれこれ詮索してくるタイプの入居者がいると、そういったわずらわしさが苦手な人にはいろいろと面倒なことも起こる可能性も…。とはいえ、通常のマンションと同程度の距離感に保つこともできるそうで、コーポラティブハウスの全部が全部、お餅つきやバーベキューをするわけではないというので、ご安心を!■子育て世代にはメリットがいっぱい!『PUZZEAL』の住人は、子どもが欲しくてもできない五十嵐家、子どもは作る予定のない川村家、同性カップルの広瀬家、夫が失業中の小宮山家と、見事に家庭事情がバラバラ。それゆえ、深雪とちひろが口論になったり、奈々と朔の仲の良さに大器が嫉妬したりもする。だが、同じように子育て世帯同士であれば、ちょっとしたときに子どもを預かるなどの助け合いもできるし、近年では希薄になっている“古き良きご近所付き合い”もできる。さらに、親世帯と同じコーポラティブハウスに入居すれば、適度に距離を置きながら、必要に応じて顔を合わせることができて便利だろう。ほかに、マンションなどの場合は土地、建築費などの価格が不透明であるのに対して、ゼロから造り上げるコーポラティブハウスはどこにいくら掛かったのかがわかりやすい。あらかじめ入居者が決定しているため、モデルルームや広告費などに費用が掛からないのもメリットだ。■マイホームの選択肢のひとつにデザイン、価格の透明化といったメリットがある一方で、入居者同士の距離感が難しいといったデメリットもあるコーポラティブハウス。マイホームに求める条件によって捉え方はさまざまだが、今後、住宅購入における選択肢のひとつになりそうだ。朔は渉との同性愛を五十嵐夫婦に明かし、奈々とちひろは不妊治療と婚約解消について互いに打ち明けるなど、入居者同士の良好な関係も見え始めた『隣の家族は青く見える』。人工受精を進められた五十嵐夫婦のもとに、奈々の母が訪れるなど波乱の展開を迎える第4話は、2月8日夜10時から放送。木曜劇場『隣の家族は青く見える』ドラマ公式サイト:
2018年02月07日深田恭子、松山ケンイチ主演の木曜ドラマ『隣の家族は青く見える』。深田、松山の夫婦をはじめとした、コーポラティブハウスに集う4つの世帯のそれぞれの悩みや価値観の相違を描く。まっすぐなストーリーがあるわけではなく、深田、松山の夫婦の不妊治療を中心に、それぞれのお話がクロスする群像劇だ。だから気軽に見られる反面、ネットやSNSでの議論をそのまま聞かされている気分にもなる。■「他人の生活に踏み込むなっつーの」まず、明らかになっている4つのカップル(家族)がそれぞれ抱えている問題(秘密)を整理してみよう。五十嵐奈々(深田恭子)と五十嵐大器(松山ケンイチ)はラブラブ(死語)の夫婦だが、子どもができないため、不妊治療を開始したばかり。川村亮司(平山浩行)と杉崎ちひろ(高橋メアリージュン)は入籍していないカップル。ちひろは子ども嫌いを公言している(でも、結婚はしたい)。一方、亮司はちひろに内緒で前妻との子・亮太(和田庵)に会いに行っている。広瀬渉(眞島秀和)と青木朔(北村匠海)は男性同士のカップル。渉は自分がゲイだということをひた隠しにしており、奔放な朔に頭を痛めている。小宮山真一郎(野間口徹)と小宮山深雪(真飛聖)はふたりの娘を持つ幸せな家族。しかし、多忙すぎる会社を早期退職してしまった真一郎は、深雪から冷たい目で見られている。誰だって、人に知られたくない悩みをひとつやふたつぐらい持っているもの。しかし、彼らが住んでいるコーポラティブハウスは境界線が非常に薄く、それぞれが関わりながらコミュニティを形成していくことになる。「隣の芝生は青く見えるっていうけど、ホントそれ。他人の生活に踏み込むなっつーの」とは、コラボCMに登場するちひろのセリフだが、そうはいかないのがコーポラティブハウスなのだ。そして、それは視聴者にとっても他人事ではない。■「次はできるよ。大丈夫」の罪「今日、夜もタイミングとりたいです」「え~~」不妊治療を始めたものの、奈々と大器の意識にはかなり差がある。タイミングとは、不妊治療の一種である「タイミング法」のこと。排卵日、あるいは排卵日の前後に性交を行うことで妊娠の確率を上げる、多くの妊活カップルが最初に行う方法だ。しかし、それでも奈々は妊娠しない。「次はできるよ。大丈夫、大丈夫」と気楽な大器。しかし、この言葉、妻にとっては嬉しくないらしい。むしろプレッシャーになる。そういえば、1話で精液検査を行って問題なかったと判明したときにガッツポーズをしていたが、あれも妻にプレッシャーをかける仕草だと思う。もちろん、喜んでしまう気持ちもわからないわけではないのだが。また、大器は日にちを指定されて性交することに、あからさまに嫌気がさしている模様。1話では精液検査について先進的な考えを披露していた部下の矢野(須賀健太)も、大器に理解を示しているようだ。「男はそういうところ、繊細ですからね。でも、奥さんも難しく考えすぎずに、今までどおり楽しんだらいいと思いますけど」「そうそれ!子作り意識しはじめてから、ぜんぜん楽しくなくなったんだよなぁ」楽しみながらできるほど、不妊治療は生易しいものではない。実際、奈々は体に負担がかかる子宮卵管造影検査をこなしている。不妊治療に関する男女の意識の溝は深い。■このドラマは『スカッとジャパン』ではない亮司が息子の亮太に会いに行っていたのは、別れた妻が急死したからだ。妻の老母は体調が不安定で小学生の息子の面倒みきれない。亮司はいつか亮太を引き取りたいと考えていた。しかし、子ども嫌いのちひろが、亮司が亮太と一緒にいるところを目撃してしまう。ショックを受けたちひろがコーポラティブハウスに帰ってくると、各ファミリーが揃ってバーベキューの真っ最中。ここで深雪のデリカシーレスな発言が火を噴く。「おふたりとも、そろそろ真剣に子作りしたほうがいいと思うのよねぇ。どんなに見た目年齢が若くても、子宮や卵巣は若作りできないじゃない?」かつてアーティストの倖田來未はラジオで「35歳を過ぎると羊水が腐る」と発言して大バッシングを受けたことがある。深雪の言っていることは、それほど変わらない。カッチーンと来たちひろは、真正面から反論する。「子ども作んないと、なんかマズいんですか?小宮山さんの言うことを聞いてると、子どもを作らない女は価値がないみたいだから」「そんなこと言ってないわよ。女性はその存在だけで十分に価値があると思ってる。だけど、その価値を最大限に使って社会に貢献しないと、もったいないじゃない」言ってたよ!先週「女は子どもを産んでこそ一人前だもの」「子ども欲しい、っていうのは女性共通の願いよ」って言ってたよ!深雪の発言に怒りが爆発するちひろ。しかし、彼女の攻撃の矛先は、深雪の娘たちにも向く。「私は子どもなんか嫌いだし、母親になんか絶対なりたくない!」。子どもは大人の怒鳴り合いには敏感に反応する。おまけにその矛先が向けられるなんて、本当に可哀想だ。「自分のものさしだけで、他人を測るなっつってんだよ!」というちひろの啖呵は正論だが、視聴者はスッキリしない。このドラマは『スカッとジャパン』にはなってくれない。その場を収めようとしたのは、奈々だ。「子どもがいる人もいない人も、働いている人も働いていない人も、いろんな人がいていいじゃないですか。どうしてみんな同じじゃないといけないんですか?みんな違ってていいじゃないですか」彼らの様子を面白がっているのは朔だ。さまざまな価値観を隠してお互いが穏便に生きるのではなく、ぶつかり合ったほうが新しい何かが生まれる可能性がある。ゲイの朔は、そのことを察知しているのだろう。そして、渉と朔がキスしているところを奈々が目撃してしまう!コーポラティブハウスって、本当に秘密が守れないんだね……。■お互いに何も干渉しないのがベストなの?『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』も手がけた中谷まゆみの脚本は、とてもわかりやすい反面、ちょっとストレートすぎる部分がある。議論の材料になるドラマだが、ちょっと視聴者は疲れるかもしれない。朔はこんなことを言っていた。「きれいなものをきれいって言うのは、すごくいいことだと思いますけど。でも今って、いいことも悪いことも、言っちゃいけないって風潮があって。息苦しくないですか?」お互いの生き方や価値観を大切にするには、お互いに何も干渉せずに黙っているのがベストなんだろうか?そうではないんじゃないかというのが、朔の考え方だ。自分の思ったことを正直に言い、それが相手を傷つけたなら素直に謝る。摩擦が起こったら、なぜ摩擦が起こったかを考え、解決に導く。このドラマは、そんなことをさりげなく訴えているような気がする。また、物語の途中には、大器が開発したおもちゃで子どもが怪我をするというエピソードが挿入される。幸いなことにたいした怪我ではなかったが、孫におもちゃを買い与えた祖母は辛い気持ちになっているだろうと想像して落ち込む大器。このエピソードが示しているのは、「よかれと思って」やったことが裏目に出てしまうという悲しさと、それでも「よかれと思って」という気持ちは悪いものではない、ということなんじゃないだろうか。深雪がお節介でちひろたちに配ったマフィンはたいそう美味しかったという。
2018年02月01日北アフリカに位置しながらも、ヨーロッパやイスラム教の影響を受け独自の世界を形成するモロッコ。今回はSNS映えの極みとも言えるカラフルさの真骨頂、猫の集う青い町「シャウエン」を訪れた。 人間は、広い世界のほんの一部で生きている。全てを知ることはできない。世界のどこかには、自分の知らない何かを熱狂的に愛してる人がいる。研究する人がいる。そんな人が集まると、小さなブームになる。誰かの世界を、少しだけ覗いてみちゃおう。それが「うさこの覗いた世界」なのだ……! モロッコと言われてもあまりイメージが湧かない人も多いかもしれないが、実は女子人気の高い場所である。急遽モロッコに行くことになり周囲に報告すると、女子たちから次から次へと「羨ましい!」「行きたかった!」「今度行く!」という声が上がった。片道丸一日かかる遠距離にも関わらず、この人気の高さ。その理由はおそらくモロッコのカラフルさと表情の豊かさにある。砂漠、雪山、荒野、いろんな姿を見せる自然。そして、いろんな文化の間で生まれてきたオリジナルの世界だ。 今回訪れた町「シャウエン」は、モロッコの文化的中心地であるフェズからバスで4時間の場所にある。フェズーシャウエンは人気がある路線のため夕方発のチケットしか取れず、着いた頃にはすっかり夜10時を回っていた。 しかしバスターミナルの駅舎から青い。観光地とは往々にして現地に行くと「こんなものか〜」とガッカリすることも多いが、これは「青い町」として名が折れることがなさそうな期待感に胸が膨らむ。ひとまずタクシーに乗り込み、ご飯を食べるために散策するがとにかく猫が多い。 古い町には猫が棲むと言う。自由気ままに暮らす猫たちに惹かれ、ついつい写真を撮ってしまう。 さらにはわんこまで現れた。動物たちがのんびり暮らしている姿は、何とも風情がある。思わずぱしゃぱしゃ撮りたくなってしまう現代人、どうしても歩くのに時間がかかってしまうのがここシャウエンの罠だ。 複雑なせいで迷子になりやすいこの地で、ようやくレストランに辿り着いた。ゆったりご飯を食べていると思わず来客がある。猫だ。 すごい狙われてる。 しっかり横を陣取られ、気を抜けば手まで出してくる。ご飯を取られる危機感。これは戦争だ。総勢6匹ほどの猫たちに囲まれながら、気の休まらない食事を楽しんだ。 朝になると、夜のミステリアスな世界とはまた違う、ポップな町が現れた。 青い理由は「虫除けになるから」「神聖な色だから」と諸説あるものの、今となってはもはや分かっておらず、伝統だけが残っている。 町中で塗料が売られている。塗り立ての箇所もあるので、油断すると手や服が粉で真っ青になることも。気が付けばわたしの鼻は真っ青になっていた。 そこらかしこに布や服を売る商人もいる。 もちろん昼間だって猫は自由。 小さい町ゆえに人々の距離が近く、「おう元気か!」などと声を掛け合い過ごす。 わたしは15歳のイケメン少年が切り盛りする店で、地元の老人たちも着る民族衣装「ジュラバ」を購入。 これはもう……異世界の住民なのでは……?遠い北アフリカ・モロッコの片隅にある青い町で、魔法使いのような服を着ているなんて、あまりに非日常すぎて楽しくなってくる。町の人たちも嫌がることなく、「ジュラバ!ナイスジュラバ!」と話しかけてくれる。異世界暮らしも悪くない。 丘の上にまでのぼって、シャウエンを眺めてみた。 上から見ても青い……!下山しようとすると、新しい仲間に出会った。 猿。モロッコの少年は猿に植物の種をあげながら、自分でもポリポリ食べる。自然界のフレンズ感がすごい。 モロッコの青い町「シャウエン」。日本女子がトキめく町が、北アフリカにある。 モロッコの青い町『シャウエン』 モロッコの北東部フェズのバスターミナルから北西部シャウエンのバスターミナルまで、公営長距離バス(CTM)で75ディルハム(約900円)、バスで荷物を預けるのに追加料金で5ディルハム(約60円)
2018年01月31日1月25日、『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)第2話が放送された。深田恭子&松山ケンイチ演じる五十嵐夫婦の不妊治療がスタートし、経験者からは共感の声がネットにも上がり始めた。さらにはちひろ(高橋メアリージュン)と深雪(真飛聖)の「子どもを持つor持たない論争」など、女性には気になるテーマが盛りだくさんとなっている。物語に引き込まれる一方で、自分の価値観を他人に押し付ける深雪の痛々しい姿に「はたして自分自身はどうだろうか」と、思わずハッとするのだった。■「子どもを持つvs持たないバトル」が勃発!「マクロビ(マクロビオティック)でグルフリ(グルテンフリー)だから~」と手作りスイーツを奈々(深田)やちひろにお裾分けする深雪は、自分の考えがすべて正しいと思い込んでいる専業主婦。しかもその考えを、他人にまで強要するから厄介だ。第2話では、その深雪とちひろのバトルが勃発する。女性は、子どもを産んで社会に貢献しなければもったいないという深雪。一方ちひろは「働いてるってだけで十分社会貢献してるのに、他人の尻ぬぐい(産休中の女性の穴埋め)までしてるんだから、文句言われる筋合いないと思いますけど!」と応戦する。子育てする女性が、産休制度を利用するのはあたり前の“権利”だという深雪に対して、子どもを持つ、持たないも“権利”であって“義務”じゃないと訴えるちひろ。たしかに、どんな人にも選択の権利があり、選ぶ道に正解、不正解はない。ちひろのセリフに「自分のものさしだけで他人を測るな」という言葉があったが、まさにそのとおりだ。■兼業、専業、時短。どうして周りと比べてしまうのだが、産休を取る女性は女性で悩みがないわけではない。同僚に迷惑をかけてしまうという気持ちや、育休後の不安もある。復帰して時短勤務をはじめても、後ろめたさや申し訳なさがついて回る。子どもの急病のとき、どうしても休まなければいけないこともある。子育てしているからといって、「あたり前の権利」と正面きって主張できる女性ばかりではない。むしろ、そんな存在はかなり希有だろう。子どもを持つ、持たないは自由。にも関わらず、どちらを選んでも生きづらさを感じる世の中には嫌気がさしてしまいそうになる。子どもを持たずにバリバリ働いてもいい、育休をとってもいい、時短勤務をしてもいい、専業主婦でもいい。それなのに、どうしても周りと自分を比べてしまうのか。「どうしてみんな同じじゃないといけないんですか。みんな違っててもいいじゃないですか」と仲裁に入った奈々の言葉のように、“自分とは違う周囲を認める”ことが大切。そして、“周囲とは違う自分を認める”こともまた大切…。あたり前なのになかなか受け入れることのできないこの課題が、ドラマの大きなテーマとなるのだろう。■失業夫、責められて然るべき…?女性たちが悩みを抱える一方で、男性だってそれぞれに悩みを抱えていた。深雪の夫・真一郎(野間口徹)は、海外赴任ばかりの仕事がイヤになり、家族と一緒に過ごしたいとの思いから早期退職に踏み切った。だが、深雪にそんな思いは1ミリたりとも届かず、「失業保険なんて商社時代の給料の半分以下なんだから。早く再就職してよね」と責め立てられる。ただただ真一郎が不憫(ふびん)に思えてくるのだが、あらためて考えて見ると、家を買った直後に相談なしに仕事を辞めたという事実は大問題な気が…。何より「家族といたい」という理由で仕事を辞めると聞いて、深雪がそれを受け入れると思っていたことに驚いてしまう。それなら、条件に合う再就職先を見つけてから退職すべき。どうしてこんな単純な失敗をおかしてしまうのか、男って本当にわかってないのね、と思った女性も多いのでは。とはいえ、夫のピンチを助けるのは妻の役目。物語を観ている限り、深雪はお菓子作りやSNSに力を入れるなど、時間に余裕がありそう。それでも彼女の中に、「自分が働く」という選択肢は一切無い。おそらくそれは、彼女の思い描く幸せのカタチとは違っているからだ。自分のものさしを他人に押し付ける深雪は、自分自身のこともまた、1本のものさしでしか測ることができない。「夫はよい会社で働き、妻は育児をするべき」。そんな風に凝り固まった頭は、今後ほぐれることはあるのだろうか。■松山ケンイチ、不妊治療の苦悩とは真一郎にはうらやましがられていた大器(松山)だが、本心は「子作りを意識してから全然楽しくなくなった」と調子が狂っていた。スタミナ料理が並び、栄養ドリンクを飲まされ、「タイミングを取りたいです」と業務連絡のように届くメッセージ。つい先日まで「子どもは自然とできるもの」と思い込んでいた大器にとって、この状況を受け入れがたいのもよくわかる。そして奈々も、そんな大器の心情に気づいていた。不妊治療は“がんばれば必ず成果が出るもの”ではない。しかも、必ず相手がいなくては成立しない。自分一人ががんばれば結果につながるものと違い、体はもちろん、互いに精神的な負担が大きくなって当然だ。自分の考えを相手に押し付けてしまうことの不合理さ。それに気づいている奈々と、まったく気づかない深雪は対照的。頭では奈々のようでありたいと願うが、実際の自分はどうだろうか。ドラマを観て、ふとそんなことを考えてしまうのだった。奈々が渉(眞島秀和)と朔(北村匠海)のキスを目撃するという衝撃シーンで幕を閉じ、ますます展開が気になる『隣の家族は青く見える』。五十嵐夫婦が最後のタイミング法に挑む第3話は、2月1日夜10時から放送。木曜劇場『隣の家族は青く見える』ドラマ公式サイト:
2018年01月31日ドラマ「隣の家族は青く見える」で、妊活に励む妻を演じる女優・深田恭子の好演が話題だ。不妊治療という極めてデリケートな問題に切り込みながらも、トーンが決して重くならないのは、深田さん自身のふわりとした魅力が大きなカギとなっているように感じる。■作品を支える深田恭子の“癒し力”とは?子どもがほしい夫婦の奈々(深田さん)と大器(松山ケンイチ)の2人を中心に、それぞれに悩みを抱えた家族たちの葛藤と成長を描く本ドラマ。深田さん演じる奈々は、なかなか子どもができないことに不安を抱える35歳の女性だ。ものすごくいい人だけれど、「不妊治療!? 大丈夫でしょ!」とのんきに構えている夫、孫がほしいと口にしてしまう姑、周囲ではどんどん子どもが生まれているのに、置いていかれているような焦燥感…。1話から同世代の女性にとってはドキリとするほどリアルな描写が満載だ。さらには通い始めた不妊治療クリニックでの医師とのやりとり、治療の難しさも描かれるなど、近しい人でも避けがちな話題にしっかりと向き合おうとしている本ドラマ。実年齢も35歳である深田さんが等身大の女性を演じることで、共感度も倍増。深刻な問題をきちんと提起しているが、軽やかなエンターテインメントとして楽しめるのがうれしい。視聴後には、奈々が夫を好きでたまらないことや、夫とともに悩みを乗り越えようとする一生懸命な姿が心に残り、ほっこりできる内容となっているのだ。そう、とにかく奈々がかわいい。奈々と深田さんの持つピュアな魅力が見事に重なったからこそ、ふわりとした“癒し力”として結実しているのだろう。■“ほんわか”と“大胆さ”…神がかった共存が醸す魅力作品群をふり返ってみても、ほんわか&ふわりとした役柄を演じさせたら、ナンバーワンとも思えるのが深田さんだ。2005年のドラマ「富豪刑事」で演じた神戸美和子役は、世間知らずで天然系のお嬢様。おっとりとした雰囲気が深田さんのイメージとぴったりで、彼女の当たり役となった。そして2016年のドラマ「ダメな私に恋してください」のドSな元上司に恋するダメ女役も、同じく天然系の役どころ。その愛らしさにキュン死した人も多いことだろう。また、大胆さとセクシーさも深田さんの持ち味。大胆さという意味では、16歳にして一躍脚光を浴びることとなった1998年のドラマ「神様、もう少しだけ」の熱演は、いまでも鮮烈な印象を残す。たった一度だけのつもりだった援助交際のためにHIVに感染してしまった女子高生を演じた深田さん。援助交際やHIVを取り上げたセンセーショナルな作品だったが、深田さんが体現した一途さと情熱的な愛が多くの反響を呼び、大ヒットを記録した。2009年の映画『ヤッターマン』のセクシーなドロンジョ姿も忘れがたい。近年はインスタグラムでもセクシーボディを披露しており、ファンを喜ばせている。“ほんわか&ふわり”としていつつ、“大胆でセクシー”。このギャップがたまらなく刺激的なのが深田さんだが、それが嫌味にならないのがまた、すごいところ。つねに内面からピュアな魅力を放ち、男女問わずに支持を集めている。しかしながら「隣の家族は青く見える」で必要となるのは、ギャップではなくリアル。本ドラマのヒット祈願では「妊活を行う女性を演じますが、自分自身は本当に母親になりたいのか、なりたくないのか、撮影の合間につねに考えていますが、答えは出ていません」と語るなど、彼女自身、女性としての生き方を考えるきっかけをもらっている様子。持ち前の“癒し力”を発揮するとともに、大人の女性のリアルをどのように演じきってくれるのか。とても楽しみだ。(text&photo:Orie Narita)
2018年01月31日深田恭子、松山ケンイチ主演のドラマ『隣の家族は青く見える』がスタートした。フカキョンと松ケンは妊活に励む若い夫婦役を演じる。妊活をテーマにしたドラマが始まると聞いたとき、反射的に「難しいドラマだな……」と思った。筆者もかつて妊活を経験している。妊活というか、ひらたく言えば不妊治療だ。夫婦の妊活をテーマにしたドラマを作るとき、妊娠の成功(出産)をゴールにすると、登場人物たちはハッピーエンドで終わるが、同時に観ている多くの妊娠・出産がかなわなかった人たちが傷ついてしまうおそれがある。妊娠できなかった、というゴールになると、それはそれで悲しい。それだけデリケートなテーマなのだ。そのあたりをどうするんだろう……と思いながら第1話を視聴してみた。■いろいろな事情のある4組のカップル登場人物は、主に4組の夫婦(カップル)。まず、スキューバダイビングインストラクターの五十嵐菜々(深田恭子)と玩具メーカー勤務の大器(松山ケンイチ)の夫婦。結婚5年目。お互いに子どもが欲しいと思っているが、子宝には恵まれていない。次に、バツイチのスタイリスト、川村亮司(平山浩行)とネイリストの杉崎ちひろ(高橋メアリージュン)。彼らはまだ結婚していない。そして、ちひろは一生子どもを持つ気がない。三組目が一級建築士の広瀬渉(眞島秀和)と渉の恋人のバーテンダー、青木朔(北村匠海)。彼らはゲイカップルだ。広瀬は自分がゲイであることを周囲に頑なに隠している。そして最後が、商社マンの小宮山真一郎(野間口徹)と専業主婦の深雪(真飛聖)夫婦。彼らにはふたりの娘がいるが、真一郎は失業してしまう。この4組のカップルがお話の舞台となるコーポラティブハウスを作ろうとするところから物語が始まる。このドラマは、彼ら4組がそれぞれのカップルが抱える問題や、お互いの価値観の違いに直面するシーンを通して、それぞれの幸せをつかむ様子を描く。妊活だけのドラマではなかったのだ。筆者の勘違いだった。コーポラティブハウスとは、さまざまな家族が自分たちの意見を出し合いながらデザイナーとともに作り上げる集合住宅のこと。共有スペースもあり、第1話のサブタイトルでは「ひとつ屋根の下」と表現が使われていた。それだけ密接な関係になるというわけだ。どうでもいい話だが、コーポラティブハウスはオシャレさを追求するあまり、外付けの急な階段がついている建物が多く、この前みたいな雪の日はすごく危なかったりする。■「女は子どもを産んでこそ一人前」!?「みなさんもいずれはお子さん作られるでしょうし!ね!」「お仕事お忙しいのはわかるけど、子どもは絶対作ったほうがいいわよ!」「あら、いろいろな考え方があっても、子ども欲しい、っていうのは女性共通の願いよ」「女は子どもを産んでこそ一人前だもの。ねぇ~?」「少しでも少子化に歯止め、かけなきゃね!」目を剥いてマシンガンのようにまくしたてる深雪。夫・真一郎の制止も聞かずに話し続ける。この発言のヤバさはDRESSを読んでいるみなさんならよくおわかりだと思う。サクラ先生なら「それは違うと思います」と言うだろうし、四宮先生なら「何言ってんだ、お前」と突っ込んでくれるだろう。まるでどこかの田舎のおっさんのような発言と価値観だが、これがこれからコーポラティブハウスに入ろうとするアーバンな40代女性によるものだったりする。こういうことを悪意なくカジュアルに言ってしまう人は、どこにでもいるということなのだろう。もちろん「悪意なく」というところもヤバイ。離れた場所で放たれる「あーっ、ムカつくーっ!」というちひろの怒りはよくわかる。パートナーの亮司はちひろの怒りを「見かけによらず常識的なところ、好きだよ」と鷹揚に受け止めて、話を重くしない。だが、しっかりと「常識的」と言っている。深雪の発言が非常識なことぐらい、誰だって承知なのだ。似たようなことを言う人が、もうひとりいる。大器の母・聡子(高畑淳子)だ。聡子はうれしそうにこう話しかける。「あっちのほうも、そろそろ、ねぇ?」「子作りに決まってるでしょ!」聡子に釘を刺すのは、大器の妹・琴音(伊藤沙莉)だ。「言っとくけど、それ、セクハラだからね!」「女の人に結婚してるの?とか、子どもいるの?って聞くのですら、デリカシーがないって思われちゃう時代なんだから、気をつけたほうがいいよ」ときっちり言ってくれる。「何がセクハラよ!息子夫婦に孫が見たいって言って何が悪いのよ?」と抵抗する聡子には、こうトドメを刺す。「それ、お兄たちにセックスしろ、って言ってるのと同じだから!」脚本の中谷まゆみは、近年では『ラスト・シンデレラ』『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』などでヒットを飛ばした人。『校閲ガール』などを見ると、戯画化されたキャラクターを使ってわかりやすくメッセージを伝える人という印象がある。ハートフルなエンターテイメント作品が得意で、深刻なシーンの後には小さな笑いを挿入する。デリケートなテーマをどう料理するか、注目だ。■リアルな不妊治療の描写さて、子作りを始めて1年経った菜々と大器の夫婦だが、妊娠の兆候は見られなかった。菜々は病院で診てもらおうとするが、大器は「子どもは授かりもの」と否定的だ。菜々は35歳、大器は32歳。菜々は妊娠の年齢的なリミットを感じていた。一緒に検査を受けるよう誘う菜々に、あからさまに嫌な顔で応える大器。それでも精液検査を受けることに同意した大器に、会社の部下・矢野朋也(須賀健太)はサラッと自分も受けたことを告げる。「主任、もしかして原因の大半は女性にあると思ってないですよね?」丁寧に不妊のシステムを説明する朋也。「不妊治療だっていまだに根強い偏見とかありますからね。あ、僕はそれを無知から来ていると思ってます。無知こそいらぬ偏見や差別を生むんですよ」うーん、偉いぞ、朋也。このドラマ、安心して観ていられる。まぁ、安心してばかりもいられないのだが。菜々と大器が訪れた不妊治療のクリニックの描写はリアルだ。クリニックに来ているのは、ほとんど女性だけで男性はほとんどいない。そしてものすごく混んでいる。クリニックによっては朝7時から行列ができる。採精室も筆者が入った部屋そのまんま(もうちょっと広かった)。診察の結果、「その気になればいつでもできるなんて考えは、ものすごく甘い考えだったんじゃないかって」と落ち込む菜々。だけど、思い出話に花を咲かせ、一緒に料理を作ることで気分を取り戻す。それぞれのカップルが抱える問題がテンポ良く描かれたが、それぞれにちゃんと救いとなる幸せな部分も描いている。シリアスな問題を扱うからといって、シリアスなムード一辺倒になることもない。むしろ、明るく、楽しく、問題点を見つめて、それぞれの幸せを探そうよ、と呼びかけているようだ。第2話は今夜10時から。
2018年01月25日「スキューバダイビングに初挑戦しました。水泳と違って泳ごうとしちゃいけないことを知り驚きましたが、水のなかは気持ちよかったです」 こう語るのは、新ドラマ『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系・木曜22時~)で、ダイビングのインストラクター役として披露したウエットスーツ姿が美しすぎると話題をよんでいる深田恭子(35)。 『隣の家族は青く見える』は、近年注目されている“コーポラティブハウス(複数の家族が共同して建てる集合住宅)”を舞台に、さまざまな価値観を持つ家族がそれぞれの幸せを探し出すヒューマンドラマ。 深田演じる主人公の五十嵐奈々は、家の購入を機に夫の大器(松山ケンイチ)と妊活に立ち向かう等身大のヒロインだ。 「奈々は、物事を前向きに捉えることができる女性で、人に誠実だし、精神的にも大人だし、正直、演じていても共感できないくらい素敵なんです(笑)。妊活については初めて知ることばかりでしたが、丁寧に演じたいと思います」(深田・以下同) タイトルにちなみ、“隣の芝生は青く見える”ということは? 「私って、何を見てもうらやましくなってしまうタイプで。“いいなあ”が口癖なんです。今日は、セットのなかを自由に動き回る子役さんたちを見て、『子どもっていいなあ』としみじみと思いました(笑)」
2018年01月25日1月18日、『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)第1話が放送された。描かれたのは、深田恭子と松山ケンイチが演じる五十嵐夫妻をはじめ、コーポラティブハウスに住む4組の家族。妊活という繊細なテーマに挑んだ革新的なドラマが、私たちにもたらすものとは?■知っているようで知らない“不妊症”の定義主人公は、スキューバダイビングのインストラクターをしている五十嵐奈々(深田)。おもちゃメーカーに勤める夫・大器(松山)と1年3ヶ月前から子作りを始めるも、なかなか妊娠に至らず、夫婦で不妊治療専門クリニックを訪れることになる。そこで映し出されたのは、座るイスがないほどに混雑した待合室。基礎体温表を確認するやいなや「検査するまでもなく不妊症と言えます」と理路整然と説明する医師。大器が「ネットカフェみたい」と表現した採精室やそんな大器に対して淡々と注意説明を行う看護師など、不妊治療をしたことのない人にとって初めて触れる世界が広がっていた。調べてみると、日本産科婦人科学会が定める不妊症の定義は「妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しない」こと。そしてその一定期間の目安は2015年に2年から1年へと変更されたという。「妊娠は奇跡」といった言葉もよく耳にするだけに、筆者は「1年」という期間の短さに正直驚き、自分の無知さにがく然とした。と同時に、専門クリニックの混雑や「6組に1組は不妊治療をしている」という奈々の話には、納得するしかないのだった。■不妊の原因は妻にある!? 夫の誤まりだらけの認識義母からの「孫の顔が見たい」攻撃が日に日に強みを増していくなか、「念のため」という気持ちでクリニックに出向いたはずが、「不妊症」という現実を突きつけられてしまった奈々。医師からは、「不妊治療を行うことについて、ご夫婦ともに納得されていますか?」と、これから始まる治療への覚悟まで問われてしまう。にもかかわらず帰宅後、奈々が控えると告げたビールを悪気なく飲み干す大器は、「そこまでしなくても」と不妊治療に対して消極的。さらに大器は「不妊の原因は妻にあるもの」と思い込んでいたり、「子どもはそのうちできる」と楽観的に捉えていたりと、日本人男性に多い“誤った認識”を次々と露呈。「だからぁ…」とツッコみたくなる女性は大勢いるはずだが、それが男性のリアルだろう。一方、「私もう35だよ」と話していた奈々のように、女性には年齢的なリミットもあり「そんな悠長なことは言っていられない」と考えるケースが多い。妊活をする上で大きな課題となるのが、このような夫婦の温度差であり、そこをどう歩み寄っていくかが、このドラマの見どころのひとつ。そして、クリニックシーンで描かれる具体的な治療法の説明はもちろん、「こういう人っているよね…」と思わず共感してしまう大器の成長を通すことで、妊活がより身近に感じられる物語となりそうだ。■隣の家族は、幸せに見える?五十嵐夫婦の他にも、ドラマには広瀬渉(眞島秀和)と青木朔(北村匠海)の同性カップル、夫・真一郎(野間口徹)が失業するも妻・深雪(真飛聖)がそれをひた隠しにする小宮山夫婦、子どもは作らないと決めている杉崎ちひろ(高橋メアリージュン)と訳ありバツイチの川村亮司(平山浩行)カップルなど、さまざまな事情を抱えた家族たちが登場する。タイトルの語源となっている「隣の芝は青い」は、“他人のものはよく見えるもの”といった意味のことわざであることは言うまでもなく、五十嵐夫婦は子どものいる小宮山夫婦に憧れ、深雪は華やかな生活を送るちひろを嫉み、自分が同性愛者であることを隠そうとしない朔は、家の外でも仲むつまじい五十嵐夫婦をうらやましく思っているのかもしれない。けれども、どんなに隣の芝生が青く見えても、なかに飛び込んでみれば悩みや繕いだらけかもしれないし、周囲から見れば、自分の家族が青々と豊かな芝生に見えるもの。他人が輝いて見えて当然の世の中で、どのように自分なりの幸せを見つけていくか。自分の幸せとは一体なんなのか。妊活といったテーマを追う一方で、ドラマはそんなことも問いかけていくのだろう。ちなみに本作は、中谷まゆみ氏によるオリジナル脚本。中谷氏は過去に『ラスト シンデレラ』『ディア・シスター』(ともにフジテレビ系)、『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』(日本テレビ系)といった作品で、外見だけではない女性の美しさや強さを描いてきただけに、今後、奈々をはじめとする登場人物たちがどう輝いていくのかにも注目したい。いよいよ五十嵐夫婦の不妊治療開始となる『隣の家族は青く見える』第2話は、1月25日夜10時から放送。木曜劇場『隣の家族は青く見える』ドラマ公式サイト: <参考サイト>日本産科婦人科学会: 公式HP
2018年01月24日深田恭子と松山ケンイチが妊活に励む夫婦役を、北村匠海と眞島秀和が“同性カップル”を演じる「隣の家族は青く見える」が1月18日から放送開始。北村さんと眞島さんのキスシーンにSNSが騒然とするなか、社会問題に向き合う姿勢への評価の声も上がっている。本作は「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」「ラスト・シンデレラ」「ディア・シスター」などを手がけてきた脚本家・中谷まゆみ氏によるオリジナルストーリー。さまざまな家族が自分たちの意見を出し合いながら作り上げる集合住宅“コーポラティブハウス”に暮らす各家族の葛藤と成長をハートフルに描くヒューマンドラマとなっている。“子どもが欲しいカップル”を深田さんと松山さんが、“子どもが欲しくない女性とバツイチ男性のカップル”を平山浩行と高橋メアリージュンが、“虚栄心の強い専業主婦と失業夫カップル”を真飛聖と野間口徹が、そして“同性カップル”を北村さんと眞島さんがそれぞれ演じる。1話では北村さん演じる青木朔と眞島さん演じる広瀬渉の“ラブストーリー”と、深田さんと松山さん演じる五十嵐夫婦の“妊活”に視聴者の視線が注目した模様。北村さんと眞島さんのカップルには「最高に可愛い」「キャスティングしてくれた方、ありがとうございます」「スピンオフで見てみたい」などの声が殺到。特に北村さんには「若くして新境地ですごい」「こんなかわいい匠海くんが毎週見れるなんてしあわせー」といったツイートも数多く寄せられているほか、「表情がゲイとして描かれやすい「女の模倣」ではなく完全に純粋な「恋する人間」の香りしてる」とその演技を賞賛する投稿も。今作で北村さんを知ったという視聴者からの「めっちゃ可愛い!思って調べたら、北村匠海ってゆう人やった」というツイートもあり、今作で一気に北村さんの俳優としての認知度が上がったのは間違いなさそうだ。また深田さんと松山さん演じる五十嵐夫婦に対しても「不妊治療ってこんなに大変なんだね」というツイートが多数寄せられており、「現代の身近な問題が盛りだくさんで良い内容だった」「現代の日本の社会的問題を全部総括した感じ」などといった声も数多く見られた。次回の2話では朔(北村さん)が奈々(深田さん)と親しくなったことで、自分達の関係に気付かれるのを恐れた渉(眞島さん)と朔の仲に溝が生まれるほか、亮司(平山さん)の息子も登場するなど各家族の事情がさらに描かれていくようだ。現代社会が向き合っている“多様性”にまつわる様々な問題と正面切って向き合った感のある本作。「様々な問題を抱えた登場人物たちがどのような形で幸せを体現していくのか見届けたくなった」というツイートが象徴するように、多くの視聴者が自らを取り巻く環境と重ね合わせながら、物語の行く末を見守っているようだ。「隣の家族は青く見える」は毎週木曜日22時~フジテレビにて放送中。(笠緒)
2018年01月19日北村匠海の主演映画『君の膵臓をたべたい』が大ヒット。今期のドラマ『隣の家族は青く見える』でも難易度の高い同性愛者役に初挑戦するなど、若手トップ俳優に大躍進中の今、思うこととは?実際の僕は、控えめ中の控えめです(笑)。俳優としてだけでなく、ダンスロックバンドDISH//のボーカル兼ギターとしての顔も持つ北村匠海さん。演技も音楽もできて、超イケメン。とくれば、まさに向かうところ敵なしのモテ男。でもその素顔は意外にも、「人見知りで、女の子と話すのも苦手」…。そんなギャップが、同世代の女子はもちろん、アンアン世代の心までキュンキュンさせまくり、今、理想の年下男子として人気沸騰中なのです!――北村さん、ついに20歳になったんですね。北村:そうなんです。10代の頃と何も変わらないですけどね。――記念すべき20歳の誕生日は何をして過ごされたんですか?北村:佐野岳くんと佐藤寛太くんとごはんを食べました。普段から仲いいんですよ。20歳の誕生日に寛太くんから、「まさかとは思うけど、今日予定ないわけないよね?」って連絡がきたので、「とくにないんだよね」って(笑)。そしたら「え、マジかよ!」って急遽集まってくれたのがこの二人です。――誕生日の予定、本当に何もなかったんですか?北村:まじでなかったんです。周りの友達も忙しそうだったので、一人で過ごそうかなって思っていたくらいで。二人とも驚いてましたけどね。「お前、まじで一緒に過ごす人いねぇんだな」って(笑)。――心境の変化もとくになく?北村:ないですね。変に意気込もうとも思ってないですし、全然変わらないです。小学校3年生からこのお仕事をしているので、昔から変に達観してしまっている部分があるんですよね。いい意味でも悪い意味でも。同世代より、大人と話しているときのほうが妙にしっくりくるってことも少なくないです。――昨年は主演映画『君の膵臓をたべたい』も大ヒットして、知名度も人気も俳優としての評価もぐっと高まったような気がします。北村:自分自身のスタンスはまったく変わってないんですけど、わかりやすいところで言うと、インスタグラムのフォロワー数が増えるとか、そういう変化はありました。7万人くらい増えたんですよ。もともと10万人くらいだったのが、ある日気づけば17万人くらいになっていて。なんだこれは…!って、さすがにびっくりしました。あと、街中で家族連れのお父さんやお母さんから声をかけていただく機会も増えたんです。今までは学生の方が多かったんですけど。幅広い層の方に知っていただけていると思うと素直に嬉しいです。――新ドラマ『隣の家族は青く見える』では、同性愛者の青木朔役を演じられていますよね。オファーがきたとき、ワクワクしたんじゃないですか?北村:ワクワクしましたね。これまでは自分の幅の中で演じられる役がわりと多かったんですけど、今回はすごく新しい挑戦というか、楽しみがいのある役で。朔の気持ちもよくわかるんです。僕も気のおけない年上の男友達には子犬のように可愛がってもらっているので。――でも朔は、眞島秀和さん演じる恋人の広瀬渉に自分からグイグイいきますよね?そこは北村さんご自身と真逆なのではないかと。北村:そうですね。そこは180度違います。実際の僕は控えめ中の控えめなので(笑)。朔は言ってしまえば、面倒くさい相手。「一緒に暮らさないっていうなら今すぐ別れる」みたいなセリフだったり、自分でもこいつ面倒くさいなって思います(笑)。でも面倒くさいことがネガティブなわけじゃなくて、そこが渉にだけ見せられる朔の弱い部分のような気がしていて。――北村さん自身は、“面倒くさい彼女”を受け入れられますか?北村:大丈夫です。というか僕はきっと、女性の尻に敷かれるタイプだと思うので。「一緒に暮らさないなら今すぐ別れる」って言われたら、たぶんどうにもできなくて「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと一回待とう」みたいな感じになっちゃう気がする(笑)。そこで男らしく強いことは言えないですね。もしかしたら僕は人間的に、渉に近いのかもしれません。――以前もインタビューで、グイグイきてくれる女の子のほうがいいっておっしゃってましたもんね。北村:そうですね。自分からはいけないぶん、喋り続けてくれるくらいのほうがちょうどよくて。それに僕が相づち打ってるくらいのほうが収まりいいと思います(笑)。きたむら・たくみ1997年11月3日生まれ。東京都出身。俳優、ダンスロックバンドDISH//のボーカル兼ギター。小学校3年生のときにスカウトされ、芸能界入り。2008年公開の『DIVE!!』で映画初出演を飾る。現在公開中の映画『勝手にふるえてろ』に出演しているほか、今年は映画『OVER DRIVE』の公開も控えている。シャツ¥27,000パンツ¥25,000(共にヨータトキ/アドナストTEL:03・5456・5821)その他はスタイリスト私物※『anan』2018年1月24日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・鴇田晋哉ヘア&メイク・佐鳥麻子インタビュー、文・菅野綾子(by anan編集部)
2018年01月17日1月18日(木)にスタートする木曜劇場『隣の家族は青く見える』(フジテレビ)で、妊活という壁にぶち当たる夫を演じる松山ケンイチさん。自身の結婚観、家庭観について率直に語ってくれました。■松山ケンイチ、妊活での夫の関わり合いとは?――今回のドラマの役柄を教えてください 僕の演じる大器は、妻の奈々(深田恭子)に対する愛情を忘れない人。妊娠しないことで落ち込んだり悩んだりする菜々に対し、夫としてどう接していけばいいのか。難しいけれど、どんなときも妻に対する愛情は絶対に持っていたいなと思います。たとえば、奈々が落ち込んでいるときは大器が引き上げてあげる。逆に大器がへこんでいるときは奈々が…というように、そのときで役割が変わるのが夫婦なのかもしれませんね。そうして2人で妊活に向き合い、ちゃんと同じところにいられればいい。両方ともへこんでしまったりすると大変ですが…。家庭というものは夫婦のどちらかががんばりすぎてしまったら失敗で、ふたりで生活していくうちに、うまくでき上がっていくものではないかと思います。――妊活する夫婦を演じる今の心境はいかがでしょうか? 僕には、経験はないことのですが、だからといって関わりのないことではないですよね。もしかしたら、自分もそういう問題を抱えることになるのかもしれない。ドラマでは、役柄をとおしてちゃんと妊活に向き合い、それが新しい形に見えればいいと思います。そして、実際に妊活されている人たちの背中を後押しするようなものを表現したいですね。■松山ケンイチの考える夫婦の形とは――松山さんは、理想のパートナーシップとはどんな形だと思われますか? 夫婦の関係でいえば、触れ合いを忘れないなど、ちゃんとコミュニケーションが取れていることが大切。そもそも結婚するときは、夫婦として一生続いていくと思いながら結婚しているわけだから、そこはちゃんと続くように努力しなければならない。それがお互いにできる関係が理想かなと思います。妊活する夫婦もひとつの形だけれど、ちがった形の幸せがあることも忘れてはいけない。『子供ができるイコール幸せ』というのは単純すぎるでしょう。このドラマにはいろんなパートナーシップの組み合わせが出てくるので、さまざまな形の幸せがあるということを表現できればと思っています。――松山さんにとって大器とはどんな男性なのでしょうか? 僕自身は妊活をしなかったんですが、子どもが3人います。だからそのままの感覚で大器を演じたらダメだと思うので、『妊活するとしたら…』と想像しました。ただ、大器という役を演じるのも、現実の家庭生活と通じるものがあるんです。夫であること、父親であることも、ある意味、一生をかけて役作りをしていくようなものでしょう。その役作りは現実でもやらなきゃいけないし、一回したら終わりではなくて、止まらずにずっと続けなくてはと思いますね。――松山さんが、家庭生活で大事にしていることを教えてください 仕事にかまけて家族とのコミュニケーションを怠ってしまうことが一番残念だと思います。どんなに仕事がうまくいっても、何のために働いているのかがわかっていなければ、本当の幸せには届かない。それは僕自身の課題でもありますね。■子どもを持つか持たないか、妊活する夫婦とは結婚したら夫婦で話し合わなければならないことはたくさんあります。その中でも、「子どもを持つか持たないか」はもっとも重要なテーマ。新しい連続ドラマ『隣の家族は青く見える』で深田恭子さんと松山ケンイチさんが演じるのは、住宅を購入し、いざ子供を作ろうと思ったら、なかなか授からずに“妊活”を始める30代の夫婦です。そんな夫婦の機微をリアルに描くこのドラマ。夫の大器(だいき)を演じる松山ケンイチさんは、ご存じのとおり既婚者で3児のパパ。その境遇はこの役柄とは正反対なのですが、インタビューで語ってくれた言葉から、現役のイクメンパパであり、誠実な夫であることが伝わってきます。どんな夫婦にも他人からはわからない事情がいくつも隠されています。そのなかでも「妊活」で悩んでいる人たちは多くいるでしょう。松山さんは、「夫婦は触れ合いを大切にするべき」、「父親とは一生をかけて役作りしていくもの」などの名言を聞かせてくれました。30代に入ったばかりでこれだけ家庭人としての自覚ある発言ができる男性もなかなかいませんよね。まさに理想の夫でありパパ! そんな松山さんが演じるリアルな夫の姿、楽しみです。木曜劇場『隣の家族は青く見える』1月18日 木曜スタート よる10時ドラマ公式サイト:
2018年01月17日女優の深田恭子が1月10日(水)、東京・水天宮で、主演ドラマ「隣の家族は青く見える」のヒット祈願を松山ケンイチ、高畑淳子と共に行った。深田さんは今年、年女で本厄となる年齢を迎えるが「体も変化していく時期なので、自分の年齢にあった健康管理をしっかりしていきたい」と抱負を語っていた。■セクシーランジェリートークに苦笑い!?本作は、コーポラティブハウス(入居希望者が組合を結成し、土地取得から建設業者の手配までを行う集合住宅)に住む、個性的な家族たちが、それぞれの幸せな形を模索していく姿を描く。深田さんと松山さんは、妊活を行っている五十嵐夫婦を演じる。妊活を行う夫婦にちなみ、子宝・縁結びの神さまとして知られる「水天宮」でヒット祈願を行った深田さんは「自分の実年齢にあっている役柄ですが、私は結婚もしていなくて、あまり妊活をしている方と触れる機会もこれまでありませんでした。だから、ご結婚してお子さんもいる松山さんといろいろな話をしながら夫婦の関係を作っています」と役作りについて語る。そんな深田さんに松山さんは「夫婦役ということで、コミュニケーションをとって距離を縮めようと思って現場に入りました。あるとき、深田さんがセクシーな格好で出てくるシーンがあったので、妊活ということがテーマの作品だったので、盛り上げるつもりで『セクシーな下着って、セクシーだなと思って買うんですか?』って聞いたら、気まずい雰囲気になってしまったんです。だから今年は上品にいこうと思っています」とアプローチ方法を失敗したエピソードを語る。深田さんは松山さんの発言に「確かに困りました」と胸の内を明かしたが、「それでも(盛り上げるつもりで)『私のセクシーなランジェリーシーンはどうでしたか?』と松山さんに聞いたんです。そうしたら、『前のシーンのTシャツにデニムの方が好き』って言われてしまって…」と苦笑いを浮かべていた。■本当に母親になりたいのか、なりたくないのか…ドラマのヒットと撮影の無事を祈ったという深田さんは「妊活を行う女性を演じますが、自分自身は本当に母親になりたいのか、なりたくないのか、撮影の合間、つねに考えていますが、答えは出ていません」と語ると「この作品のなかにも、いろいろな選択肢があるので、みた人がなにかを考えるきっかけになってくれたらと思っています」と作品をアピール。松山さんも「自分の幸せってなんだろうと考える僕ら世代の人間には、響くドラマだと思います」とテーマに自信をみせると「深田さんは独身で、僕は子どもがいます。当然、価値観のギャップはあるのですが、そういった部分を足して割ったら、新しいものの見方ができるのかなと思って撮影に臨んでいます」と意気込みを語っていた。木曜劇場「隣の家族は青く見える」は、1月18日(木)22時よりフジテレビ系にて放送。(text:cinemacafe.net)
2018年01月10日インターネットの住人に言われてしまったことby josealbafotosもう数年前のことなので言いますが、私がまだ芸術や文学などの硬めの話題以外には、あまりインターネット上で触れないようにしていた頃。たまにはいいかと思い、珍しく大々的に、自分の恋愛観をブログに書いてみたことがありました。突っ込みどころが多い内容ではあったので、方々からいろいろなご意見をいただいてしまったところまでは良かったのですが、その中に少々、気になるコメントが混ざっていまして。私が普段は言及しない恋愛の話に手を出した理由をその人なりに解釈したのか、「こいつは人生で初めて彼氏ができたもんだから浮かれてるんだ」と、見ず知らずのインターネットの住人に言われてしまったのです。当時も今も、私の恋愛に対する考え方には未熟な面があるとは思います。が、少なくともその数年前の時点では、私にはお付き合いして5年以上経つパートナーがいたので、決して「人生で初めて彼氏ができた」わけではありませんでした。なのでそのときは、「人は見えていない部分を自分が嚙み砕きやすいように補って解釈するんだなあ」と、妙な感慨にふけってしまいました。私自身も、ずっと男性だと思い込んでいたTwitterアカウントが実は女性だった……なんてことはザラにあります。「こういう発言をする人は、こういうタイプにちがいない」という早合点は多かれ少なかれ誰でもやってしまうことですが、それがどんな対象であれ、24時間365日付き添っているわけではないのだから、見えていない部分があるのは当たり前。「自分には見えていない部分がある」ということに、常に自覚的でありたいなあとそのとき思いました(なかなか難しいけれど)。隣の芝生はいつだって青い……という私の話は脇に置いておいて、「(主に好きな人の前で)素直になれない」という声を、女性の間でよく聞きます。本当は好きな人に甘えてみたいけどガラじゃないからできないとか、上手く本音が言えないとか、めんどくさい女だと思われるのが嫌だから不満を吐き出せないとか。そして、好きな人の前で屈託なく笑うことができて、素直に甘えられて、相手を手のひらで転がしながら自分のペースに巻きこんでいく力を持っている隣の女性を、「私も、あの子みたいにできたらいいのになあ」っていつも羨ましく思っている。「女性の間で」と他人事のように言いましたが、もちろん私自身も、そうやって羨ましがることはあります。だけど、そんなふうに思ってしまったとき、私はいつもあの数年前の出来事を思い出すんです。私たちには、見えない部分を勝手に脳内で補ってしまうどうしようもない癖がある。「あの子はいつも上手くいっている」と決めつけて、都合よく羨ましがって、落ち込んでいる。だけど、実際に近くにいる知人友人と話してみたり、いろいろな女性が書くエッセイやブログなんかを読んでみると、いつも素直で明るくて、好きな人に上手に甘えられて、常に屈託のない笑顔を振りまくことができている女性なんて、この世に絶対に1人もいないです。「かわいげがなくて素直になれない」のは、たぶんみんな一緒みんな多かれ少なかれ、「私はかわいげがないなあ」って思っているし、「素直になれないなあ」って思っている。相田みつをみたいになってしまいますが、だって、人間だもの! いつも本音を言うことができて、素直で可愛くいられる女性なんて、幻想の中にしかいないんじゃないでしょうか。常にかわいくて屈託のないように見えるあの子だって、それを24時間365日やれているはずがない。私たちに見えているのは、彼女の薄っぺらい表面だけです。世の中は、素敵な女性や才能を持った人であふれ返っています。彼ら/彼女らを羨ましく思うことも、嫉妬してしまうことも、減らすことは可能でも、完全になくすことはできないのでしょう。だけど、彼ら/彼女らが陰でどんな努力をしているか、どんな涙を流しているかを知りもしないで、「いいなあ、私にはできない」と指を咥えたままでいるのは、実はすごくずるいことなのかもしれない。「あの人の中には、今の私には見えていない部分がある」。難しいけど、仕事や恋愛で誰かを羨ましく思ってしまったとき、これだけは覚えておきたいと私は思うのです。Text/チェコ好き前回記事<目覚めよ本能。「自意識過剰」を手放せば、心の重荷がちょっと減る>もチェック!究極のミニマリスト・稲垣えみ子著『寂しい生活』を読んで感じた、「自分を手放す」ことの必要性。
2017年11月30日