全国でもっとも高い青森県の乳がんの死亡率は、全国でもっとも低い山形県のおよそ2倍もあるという。地域差が生まれる理由を専門医に聞いた。理由を知ると、必要ながん対策も見えてきたーー。「一生のうちに2人に1人はがんになりますが、実はがんのかかりやすさや死亡率で各都道府県には顕著な差があります。この地域差を把握することで、自分が住む地域で当たり前になっている生活習慣を見直したり、がんに対する意識を高めたりすることが重要です」そう語るのは国立がん研究センター全国がん登録室の松田智大室長。’16年にがん患者の情報を各自治体が届け出をして、国が一元で管理する「全国がん登録」が始まって5年になる。「スタート当初は、届け出をする自治体でも、熱心な県とそうでない県があり、小規模な医療機関の数字の漏れもありました。しかし、年々、データの精度が増していて、最新のものは十分に信頼に足るデータとして、実態を捉えていると言っていいでしょう」(松田室長)6月には最新(’18年)の罹患率が報告されたばかり。そこで本誌は、「胃がん」「子宮がん」「すい臓がん」の10万人あたりのがんの死亡率と罹患率を、都道府県別にベスト5とワースト5を紹介。【胃がん】日々の食塩の摂取量が多いと罹患リスク高〈どんながん!?〉:ピロリ菌の感染、喫煙、高塩分食がリスクを高める。40歳以上で2年に1回の「胃部X線検査」を推奨。死亡者は年々減少傾向にある。塩分の摂取量が多いと、ピロリ菌が生息しやすい環境に。秋田県民の塩分摂取量は1日あたり10.6グラムで、全国平均の9.9グラムよりも多い。一方、検診受診率が高いわけでも、塩分摂取量が低いわけでもない沖縄県をはじめ九州地方は罹患率、死亡率とも抑えられ、最下位の秋田県の半分以下に。なにか別の要因があると考えられている。【子宮がん】ウイルスの感染と生活習慣が要因に〈どんながん!?〉:ヒトパピローマウイルスの感染が関連する子宮頸がん、エストロゲンのほか生活習慣が要因となる子宮体がんに分類される。検診は頸がんのみ。過去2年の子宮頸がん検診の受診率(’19年、20歳以上)は41.8%と全国3位の沖縄県だが、子宮体がん、子宮頸がんともに罹患率が高く、全国ワースト1の死亡率につながっている。四国・九州地方は、以前から婦人科系のがんの罹患率が高いことが示されている。文化や生活習慣などが深く関係していると考えられている。【すい臓がん】男女差は少ない。糖尿病と関係か〈どんながん!?〉:症状が出にくく早期発見が困難。血縁に罹患者がいること、糖尿病、喫煙などはリスクを高める。検診はないので、気になる場合は医療機関へ。がんの罹患数は、男性が女性の2〜3倍ほど多いが、すい臓がんは男女にさほど差がないのが特徴。地域性はさほど見られないが、鳥取県や山形県は発見から治療・回復までの医療ネットワークが充実。すい臓がんと関連が深い糖尿病患者が全国1位の香川県、糖尿病による死亡率がワースト1の青森県は死にやすい県となっている。「罹患率は生活習慣や環境などが反映されます。一方、死亡率はそれに加え、病院へのアクセスのしやすさ、住民の健康に対する意識の高さ、検診で早期発見できているかどうか、再検査の受診率、診断から治療に至る医療体制などで差がつく可能性があります」順位に一喜一憂することなく、データから読み解く傾向と対策をしっかり心がけよう。
2021年07月28日全国でもっとも高い青森県の乳がんの死亡率は、全国でもっとも低い山形県のおよそ2倍もあるという。地域差が生まれる理由を専門医に聞いた。理由を知ると、必要ながん対策も見えてきたーー。「一生のうちに2人に1人はがんになりますが、実はがんのかかりやすさや死亡率で各都道府県には顕著な差があります。この地域差を把握することで、自分が住む地域で当たり前になっている生活習慣を見直したり、がんに対する意識を高めたりすることが重要です」そう語るのは国立がん研究センター全国がん登録室の松田智大室長。’16年にがん患者の情報を各自治体が届け出をして、国が一元で管理する「全国がん登録」が始まって5年になる。「スタート当初は、届け出をする自治体でも、熱心な県とそうでない県があり、小規模な医療機関の数字の漏れもありました。しかし、年々、データの精度が増していて、最新のものは十分に信頼に足るデータとして、実態を捉えていると言っていいでしょう」(松田室長)6月には最新(’18年)の罹患率が報告されたばかり。そこで本誌は、「乳がん」「大腸がん」「肺がん」の10万人あたりのがんの死亡率と罹患率を、都道府県別にベスト5とワースト5を紹介。【乳がん】晩婚、晩産が罹患率の高さの要因に〈どんながん!?〉:閉経後の肥満、女性ホルモン「エストロゲン」に長期間さらされることでリスクを高める。40歳以上で2年に1回の検査が推奨。東京都や神奈川県の罹患率が高いのは、女性の社会進出が進み、晩婚、晩産のライフスタイルが影響か。死亡率が最悪の青森県と最小の山形県では2倍近くのひらきが。早期発見のカギを握る乳がん検診の受診率(40〜69歳、過去2年)は青森県45.6%に対し、山形県61.0%。罹患後の医療機関へのアクセスの悪さも影響の可能性が。【大腸がん】食生活が大きく影響。医療アクセスも大事〈どんながん!?〉:女性の死者数がもっとも多いがん。40歳以上で2年に1度「便潜血検査」と精密検査「内視鏡検査」を推奨。5年生存率は70%と高い。食生活の欧米化により微増傾向に。喫煙、飲酒、肥満でリスクが上がり、女性では赤身肉、加工肉も影響の可能性が。“死ににくい県”の岡山県と“死にやすい県”の岩手県の検診受診率はほぼ同じ。交通基盤と医療機関が充実している岡山県と、内陸と太平洋側に山脈がある岩手県で、病院へのアクセスに差があることが原因か。【肺がん】喫煙率と罹患率に明確な関係が〈どんながん!?〉:気管支や肺胞の細胞ががん化。喫煙が最大リスクだが女性ホルモンの「エストロゲン」が要因の肺腺がんも。5年生存率が低く、早期発見がカギ。罹患率、死亡率ともに最悪の北海道は、女性の喫煙率でも14%と全国いちばんの高さ。死亡率ワースト3に入った青森県(11.2%)、大阪府(10.4%)も喫煙率が高い。死亡率が低いベスト5はすべて喫煙率が全国平均以下。石川県の罹患率は高いが、死亡率は4位の低さ。検診の受診率45.7%(’19年)と高いことが影響か。「罹患率は生活習慣や環境などが反映されます。一方、死亡率はそれに加え、病院へのアクセスのしやすさ、住民の健康に対する意識の高さ、検診で早期発見できているかどうか、再検査の受診率、診断から治療に至る医療体制などで差がつく可能性があります」順位に一喜一憂することなく、データから読み解く傾向と対策をしっかり心がけよう。
2021年07月28日「一生のうちに2人に1人はがんになりますが、実はがんのかかりやすさや死亡率で各都道府県には顕著な差があります。この地域差を把握することで、自分が住む地域で当たり前になっている生活習慣を見直したり、がんに対する意識を高めたりすることが重要です」そう語るのは国立がん研究センター全国がん登録室の松田智大室長。’16年にがん患者の情報を各自治体が届け出をして、国が一元で管理する「全国がん登録」が始まって5年になる。「スタート当初は、届け出をする自治体でも、熱心な県とそうでない県があり、小規模な医療機関の数字の漏れもありました。しかし、年々、データの精度が増していて、最新のものは十分に信頼に足るデータとして、実態を捉えていると言っていいでしょう」(松田室長)【女性に多いがん】〈全がん〉罹患数:42万9,900人/死者数:15万8,900人(1)乳がん罹患数:9万2,300人/死者数:1万5,500人(2)大腸がん罹患数:6万8,600人/死者数:2万5,200人(3)肺がん罹患数:4万3,100人/死者数:2万2,300人(4)胃がん罹患数:4万1,800人/死者数:1万5,200人(5)子宮がん罹患数:2万8,200人/死者数:7,000人(6)すい臓がん罹患数:2万0,700人/死者数:1万8,400人※国立がん研究センター「がん罹患数予測」(2020年)と「がん死亡数予測」(2020年)より本誌作成。6月には最新(’18年)の罹患率が報告されたばかり。そこで本誌は、女性に多い6つのがんの10万人あたりのがんの死亡率と罹患率を、都道府県別にベスト5とワースト5を紹介。「罹患率は生活習慣や環境などが反映されます。一方、死亡率はそれに加え、病院へのアクセスのしやすさ、住民の健康に対する意識の高さ、検診で早期発見できているかどうか、再検査の受診率、診断から治療に至る医療体制などで差がつく可能性があります」全部位で女性が“死ににくい県”の1位となったのは滋賀県。「平均寿命も全国トップクラスの滋賀県は亡くなる方が少ないだけではなく、罹患率も9位の低さで、かかりにくい県でもあります。女性の喫煙率が全国2番目に低く、生活習慣の影響はあるようです。がん検診の受診率は全国平均レベルですが、医療機関が充実した京都府にも近く、罹患後にも手厚い治療が受けやすいという理由があるのかもしれません」罹患率がもっとも低かった愛知県は、喫煙率は全国平均以下で、塩分摂取量もかなり低い。さらに県民の99%が、がん診療連携拠点病院まで30分以内にアクセスできるという。一方、罹患率がもっとも高い北海道は、女性の喫煙率が全国一の高さで、さまざまながんの発症リスクを高めているようだ。がんで亡くなりやすいワースト1の青森県。乳がん、すい臓がんで全国最下位となっている。「がん検診の受診率は全国でも平均的か部位によってはそれ以上ですが、喫煙率が全国ワースト2位です。塩分の摂取量も多く、生活習慣の影響で罹患率も高くなっていると考えられます。医療の技術は全国的に差がないといわれていますから、医療機関へのアクセスの悪さ、さらに病院嫌いで症状がないと受診しない傾向にある県民性が発見を遅らせてしまうのでしょう」
2021年07月28日■前回のあらすじ妊娠中、仕事が思うようにできず常に焦りを感じていました。そしてフリーランスの宿命か入院中でも仕事のことで頭がいっぱいになっていました。■妊娠中によく聞くワード「お腹の張り」嫌な予感がしました。当時、妊娠7ヶ月の終わり頃。この頃から、出産までこれに翻弄されっぱなしになります…。■お腹の張りが気になり、先生に相談してみると■ノンストレステストの結果は…まさかの急遽入院…!?※本記事はあくまで筆者の体験談であり、症状を説明したり、医学的・科学的な根拠を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は医師にご相談ください。次回に続く(全57話)「出産の記録〜低酸素性虚血性脳症の娘と私」連載は12時更新!
2021年07月15日妊娠中、お腹の中で胎児がある程度大きくなると、エコー検査で性別を判別できるようになります。出産後の準備のために、妊婦検診の際に性別を担当医にたずねる妊婦さんは多いでしょう。小学5年生と小学2年生の姉妹を育てる、吉田いらこ(@irakoir)さんは、妊婦検診での出来事を漫画化。その内容に、反響が寄せられています。赤ちゃんの性別の話妊娠5か月の検診で、医師に性別をたずねた吉田さん。すると、医師はなぜか暗い反応をして…。赤ちゃんの性別の話本当に色々な事情があるんだろうなと思った pic.twitter.com/0oILmxv7Yb — 吉田いらこ/大阪おでこ姉妹 (@irakoir) June 12, 2021 「まだ中絶可能な時期なので、伝えられない」医師はそう話し、いろいろな事情から性別を簡単に伝えられないことを明かしました。エコー検査で性別を予想できても、出産後に違っていたというケースもあるでしょう。また、胎児が望む性別でなかった際、妊婦や周囲の人が精神的に不安定になってしまうことがあるのかもしれません。読者からはさまざまな意見や体験談が寄せられました。・娘を産んだ病院は確認してくれましたが、過去に予想していた性別と違かったことがあったらしく「確定ではない」と念押しされました。・私の通った産院は、産み分けの相談もしている病院だからか、かなり早い段階で教えてくれました。・性別を教えてもらうか悩んでたら、医者がエコーを見ながらいきなり「これおちんちんですね!」とネタバレしてきた。病院の方針によって、妊婦への性別の伝え方は異なるようですね。吉田さんの担当医は「教えられない」といいつつも、「付いてません」と分かりやすすぎるヒントをくれたのでした。性別を気にせず、シンプルに命の誕生を喜べることが理想ですが、状況によって配慮を必要とする場合があるのでしょう。[文・構成/grape編集部]
2021年06月14日《前立腺がん、去勢抵抗性前立腺がんステージ4って言うとね、もう横綱ですよ。だけど強くはない、強くはない…後がないんだ》5月12日、前立腺がんを治療するため、オーストラリアに渡ったことを自身の公式YouTubeチャンネルで明かした、西郷輝彦(74)。「西郷さんは’11年に前立腺がんの全摘手術を受けました。’17年に再発して以降、11回もの放射線や抗がん剤などの治療を続けてきました」(スポーツ紙記者)だが、ここにきてPSA(前立腺特異抗原)という腫瘍マーカーの数値が急上昇し、主治医と相談した結果、シドニーで最先端治療を受ける決断をしたと明かす西郷。《願いはただひとつ。なんとかもう少しだけ好きな仕事をさせてほしい》と悲痛な表情で訴えていた。彼が渡豪してまで選択した最先端治療とは、どんなものなのか。前立腺がんに詳しい宇都宮セントラルクリニックの佐藤俊彦理事は言う。「現在、前立腺がんは男性が罹患するがんの第1位です。西郷さんのケースでいう最先端治療は、ルテチウム-177PSMA-617と呼ばれる新規標的放射線療法です。日本ではまだ未承認なので海外で受けなければなりません。簡単に説明すると、前立腺がんによって出てくる特殊なタンパク質のPSMAに放射性物質のルテチウムを結合させることで、PSMAを発現している細胞=がん細胞だけを狙い撃ちすることができる治療法なのです。静脈に薬剤を注射します。がん細胞に集まった薬剤が体内で放射線を出すことによって治療する内用療法です。画像診断によって、リアルにがんの状態を診ることができるのです」■滞在費も合わせた治療費は総額1000万円!この治療法のメリットは?「点滴で薬剤を投与するだけなので、体への負担が少なく、体力のない患者にも比較的受けやすい療法といえます」デメリットは、まず高額なこと。「2カ月に1回の治療を4セット行う場合、1回当たり約150万円ですから、治療費だけで約600万円かかります。これに現地の滞在費なども足されていきますね」西郷は家族総出で約4カ月間、シドニーに滞在予定だという。「滞在費を合わせて1千万円以上はかかるでしょう」(医療関係者)副作用が出ることもあるという。「唾液が出なくなる唾液腺障害が出てくることもあります。健常な唾液腺も照射されてしまうことが原因です」(前出・佐藤理事)とはいえ、海外ではポピュラーな治療法になりつつあるという、この最新治療法。西郷はYouTubeでこう宣言している。《まだやりたいことがたくさんあるんだよ。最先端治療というからには治るんだろうなと思う。とにかく挑戦してみなきゃわからんのよ!》治療が功を奏し、西郷が元気な姿で帰国する日を待ちたい――。「女性自身」2021年6月1日号 掲載
2021年05月21日家族にも誰にも相談できる相手がいない。親しかった人から連絡が来なくなる……。がんを生きぬいた後も、リハビリも満足にできず、孤独を抱えるがん経験者は実は多いのだ。がん患者やがんサバイバー(がん経験者)のためのリハビリや運動、健康管理などを学べる一般社団法人・キャンサーフィットネスの代表理事広瀬眞奈美さん(58)もそうだった。だが今は、NY発のがん患者向けフィットネスの指導をすることで、同じ悩みを持ったがん経験者に笑顔と希望の輪を広げている。「私は、術前はステージ2の診断でしたが、手術後、リンパ節の生検で転移がわかり、ステージ3の状態でした。全部、取ったと言われましたが、いろいろ考えちゃって」乳がんで乳房を切除した胸は、入院中に鏡で見たが、そのショックよりも、術後の痛みとまひがいつ消えるのかで頭はいっぱいだった。「ステージ3と聞いて、どん底に落ち込んでいたので、胸を見てもことさら大きなショックはないけれど、人には話せないし、主人も息子も男性ですから、話せなくて。そこで第一の孤独があったんです。がん研の窓ガラス越しに外の世界を眺めると『私はもうこっち側の人間で、向こう側には戻れない』という気分でした」友人たちが盛り上がるアンチエイジングの話も、冷めた思いで聞いていた。「生き続けられるか否かに苛まれていた私には、なんでそんなレベルの話をしているんだろう、としか思えなくて。それに、がんになった瞬間、それまで近くにいると思っていた人の幾人かから連絡が来なくなりました」他人の心変わりの早さに大いに戸惑い、落胆もした。「退院して家に帰ると、手術前とは変わってしまった自分が強調されます。体が疲れ、まひが残って、やりたいことができない。私だけが日常生活についていけない。一生、この生活なの?と思って」手術後の運動はよいと、アメリカの文献で読んでいたが、スポーツクラブはがんを理由に入会を断られ、運動教室も見つからない。とにかく体を動かしたくて、皇居1周、5キロを40分かけて走り、水泳も始めたが、思うように体が動かせなかった。「整形外科でリハビリをと思ったのですが、そこでも断られてしまって。精神的に苦しくなって、適応障害になってしまった……」語る広瀬さんから、笑顔が消えた。雑誌で、NY発のがん患者のリハビリエクササイズ「Moving for Life」(以下MFL)を見かけたのは、そのころだ。「がん患者さんが笑いながら、踊る写真が載っていて。すごく希望になりました。さっそくエアロビクス(以下、エアロ)に通い、続けながら、抗がん剤治療に通い、さらに勉強もしないと不安で。抗がん剤で髪はないけど、頭にバンダナを巻いて、スポーツインストラクター養成の専門学校に通いました」09年4月から11月まで抗がん剤治療。12月から翌年1月まで、放射線治療。その後、ホルモン療法も受けたが、並行して、広瀬さんは専門学校に通い続けている。「週2回の座学、週3回はエアロ、筋トレ、水泳などの実技でした。体調が悪いとき、エアロで目まいがしたので、休憩させてもらおうとしたら、女性講師が厳しい人で『がんだからって、甘えるんじゃない。だったらやめたほうがいい』と。もう、ものすごく悔しくて」それからは、負けるもんかと気持ちが張って、やりぬけた。「おかげで運動の力を実感し、自信にもなりました」日本の資格を取得すると、12年に渡米する。MFLのインストラクターになるためだ。13年、3度目の渡米でMFL試験に合格し、14年にキャンサーフィットネスを開設する。その下準備は、すでに着々と進んでいた。「がんに罹患したときから、ブログを始めたんですが、そこで乳がんの人の運動教室の参加者を募集したら10人も集まったんですね。しだいに、卵巣がんや胃がんの方も来て、あらゆるがんの人の教室にしたいと思い始めていたんです」がん患者の会は、全国にあまたあるが、運動することで、がんを克服しようという広瀬さんの理念は、日本では特異なものだ。「がん患者の会って、暗いんですね。涙を流してつらい話をし、聞く。それで同じ思いを共有できる人には効果があると思いますが、私には向かなかった。それなら明るく、涙を見せず、体を動かすほうが私向きだと思ったんです」キャンサーフィットネスの利用者は全国で現在200人ほど。リハビリやがん専門医、理学療法士、栄養士の協力を仰ぎながら、さまざまな教室を開いている。心のケアや運動だけでなく、リンパ浮腫や体重超過の人のための対策クラスもあり、なんとチアダンスのクラスまであった。「16年ごろから始めたんですが、参加者が思いがけず増えたので、チアチームを作ったんですよ」好きなクラスに参加して、楽しみながら、がんと生きる方法を習得したメンバーの表情は、みんな明るく、生き生きと輝いていた。「女性自身」2021年5月25日号掲載
2021年05月17日がんは治療への不安もさることながら、心配なのはお金。実は自治体などからの支援制度は、かなり充実しているのだ。日本人の2人に1人ががんになる時代、損しないために正しい知識を持って申請を忘れずにーー!「がんを告知されたとき、これからどんなに大変な治療が待っているのか不安になりますが、その次に治療費をどう工面しようかといったお金の悩みも押し寄せてきます。ですが、実はがんになるともらえる、戻ってくるお金があるのです」こう話すのは10年前に乳がんを告知され、手術を経てその後寛解、『がんを生きぬくお金と仕事の相談室』(河出書房新社)の著書がある辻本由香さんだ。「私ががんで治療を受けたとき、知り合ったがん患者さんは、治療費を工面するためパートに出たり、仕事を辞めざるをえなかったりとお金のことで四苦八苦している方があまりに多かった。いろいろな自治体や健康保険組合などからの支援があることが、全然知られていなかったのです」制度を知らず、金銭的な理由で治療を諦める人も目の当たりにしたという辻本さんは、必要な情報を届けられないかと考え、闘病が一段落したとき、ファイナンシャルプランナーとして開業を決意。がんに罹患した人の、その後のライフプランの相談・設計を専門としている。「治療が長引くとお金の悩みが深くなります。そんなとき、制度を知っていると、心配事が軽減できます。こうしたお金は、自分から請求の手続きをしないともらえません。日本人の2人に1人ががんになる時代。ぜひ情報を知っておいてほしいと思います」そこで、辻本さんにがんになったら知っておくべき制度のなかから「小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業」「医療用ウィッグや乳房補整下着などの助成」を解説してもらった。■小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業〈請求先〉各都道府県庁AYA世代には、15〜39歳のがん患者があてはまる。「がんの治療には、少なからず不妊のリスクがあります。卵子凍結など、妊娠する機能を残す医療は、がん治療の途中や、終えてからでは、できないこともあります。後悔しないようこんな制度もあることを覚えておきましょう。凍結費用は費用もかかり、がんの治療にもお金がかかるため、妊娠を諦める人も多いので、この制度ができたのは画期的ですね」(辻本さん・以下同)主治医はどうしてもがん治療優先に考えるので、「私もこの制度を利用したい!」と、患者さんが声を上げることも意義があると、辻本さんは言う。■医療用ウィッグや乳房補整下着などの助成〈請求先〉各都道府県庁「ニーズの高まりから近年始まった制度です。乳がんの術後はふだんの下着ではなく、肌にやさしい素材のものや検査に適した前開きのデザインのものが便利ですが、費用がかかります。ウィッグも精巧で人にわからないものは値段もそれなりにします。どちらも健康保険外で買い求めるため、負担がかかり、諦める人も多かったのです。自治体によって金額も異なり、そもそも補助があったりなかったりですので、各自治体の窓口に問い合わせてみてください。今後、ぜひ広がってほしい制度です」がん治療でつらいときもあると思うが、合間に手続きをして、お金の悩みから解放されよう。「女性自身」2021年4月27日号 掲載
2021年05月02日がんは治療への不安もさることながら、心配なのはお金。実は自治体などからの支援制度は、かなり充実しているのだ。日本人の2人に1人ががんになる時代、損しないために正しい知識を持って申請を忘れずにーー!「がんを告知されたとき、これからどんなに大変な治療が待っているのか不安になりますが、その次に治療費をどう工面しようかといったお金の悩みも押し寄せてきます。ですが、実はがんになるともらえる、戻ってくるお金があるのです」こう話すのは10年前に乳がんを告知され、手術を経てその後寛解、『がんを生きぬくお金と仕事の相談室』(河出書房新社)の著書がある辻本由香さんだ。「私ががんで治療を受けたとき、知り合ったがん患者さんは、治療費を工面するためパートに出たり、仕事を辞めざるをえなかったりとお金のことで四苦八苦している方があまりに多かった。いろいろな自治体や健康保険組合などからの支援があることが、全然知られていなかったのです」制度を知らず、金銭的な理由で治療を諦める人も目の当たりにしたという辻本さんは、必要な情報を届けられないかと考え、闘病が一段落したとき、ファイナンシャルプランナーとして開業を決意。がんに罹患した人の、その後のライフプランの相談・設計を専門としている。「治療が長引くとお金の悩みが深くなります。そんなとき、制度を知っていると、心配事が軽減できます。こうしたお金は、自分から請求の手続きをしないともらえません。日本人の2人に1人ががんになる時代。ぜひ情報を知っておいてほしいと思います」そこで、辻本さんにがんになったら知っておくべき制度のなかから「生活福祉資金貸付制度」「傷病手当金」を解説してもらった。■生活福祉資金貸付制度〈請求先〉市区町村社会福祉協議会または都道府県社会福祉協議会「がんで仕事を退職するなどで、生活が困窮した場合、お金を借りることができます。がんに限りません。コロナ禍のご時世ですから、この制度はぜひ知っておいてほしいです」(辻本さん・以下同)■傷病手当金〈請求先〉全国健康保険組合、協会けんぽ、共済組合などこの制度を使うには、公務員であることや会社員など健康保険に加入していることが前提。「休職中に給料が支払われなくなったときにカバーされる制度なのですが、企業側からすると面倒なのか、とりあえず『有休を先に使い切ってから申請したら?』といわれるケースも多いのです」企業によっては、社会保険料の企業負担を払いたくないため、支給申請書を作成するのを嫌がり、有休の取得をすすめる場合があるのだという。「そんなときは、労働組合に相談する。もしくは、社会保険労務士に傷病手当金の申請代行をお願いすることも検討しましょう。また、最長1年6カ月にわたり支払われますが、申請ベースで支払日もバラバラですから、2カ月に1回など定期的にもらえるよう調整したほうがお金の管理はしやすくなります」ちなみに、がんで離職することになってしまったとしても、在職中にかかった病気の治療は、会社で入っている健康保険で任意継続が可能だ。「会社の総務部で健康保険を担当している人が、そこまで親切に教えてはくれず、会社を退職するとき、保険も切れてしまうという場合は多いです。再就職の予定がないのなら、国民健康保険に入り直すよりも、会社で入っていた健康保険を継続していたほうが、高額療養費制度の多数回該当を引き継げるなど有利なこともあるんですよ」がん治療でつらいときもあると思うが、合間に手続きをして、お金の悩みから解放されよう。「女性自身」2021年4月27日号 掲載
2021年05月02日がんは治療への不安もさることながら、心配なのはお金。実は自治体などからの支援制度は、かなり充実しているのだ。日本人の2人に1人ががんになる時代、損しないために正しい知識を持って申請を忘れずにーー!「がんを告知されたとき、これからどんなに大変な治療が待っているのか不安になりますが、その次に治療費をどう工面しようかといったお金の悩みも押し寄せてきます。ですが、実はがんになるともらえる、戻ってくるお金があるのです」こう話すのは10年前に乳がんを告知され、手術を経てその後寛解、『がんを生きぬくお金と仕事の相談室』(河出書房新社)の著書がある辻本由香さんだ。「私ががんで治療を受けたとき、知り合ったがん患者さんは、治療費を工面するためパートに出たり、仕事を辞めざるをえなかったりとお金のことで四苦八苦している方があまりに多かった。いろいろな自治体や健康保険組合などからの支援があることが、全然知られていなかったのです」制度を知らず、金銭的な理由で治療を諦める人も目の当たりにしたという辻本さんは、必要な情報を届けられないかと考え、闘病が一段落したとき、ファイナンシャルプランナーとして開業を決意。がんに罹患した人の、その後のライフプランの相談・設計を専門としている。「治療が長引くとお金の悩みが深くなります。そんなとき、制度を知っていると、心配事が軽減できます。こうしたお金は、自分から請求の手続きをしないともらえません。日本人の2人に1人ががんになる時代。ぜひ情報を知っておいてほしいと思います」そこで、辻本さんにがんになったら知っておくべき制度のなかから「障害年金」を解説してもらった。■障害年金〈請求先〉日本年金機構年金は高齢になってから受け取れるだけではない。体に障害を負った場合にもらえる「障害年金」がある。まずは年金の未払いのないことが前提となるが、がんになった人も、がん後遺症で生活に支障があると認められると、障害年金の適用となる可能性が高い。「たとえば、喉頭全摘出で声が出せない、人工肛門を造設、新膀胱を造設した場合は、ほぼ障害年金が受給できます」(辻本さん・以下同)また、働いていると障害年金を申請できないと勘違いしている人もいるが、それは可能。だが、辻本さんによるといちばんの難関は、主治医に申請書を書いてもらうことであるという。「主治医が制度を知らない、また申請書は記入が複雑なので、主治医がなかなか取り掛かってくれない場合も。私の相談者で半年待たされたというケースがあります。できる限り迅速に手続きをしたほうがよいので、かかっている病院の相談員や障害年金に詳しい社会保険労務士に、あらかじめ記入方法を聞いておく。それを主治医に示すことで、スムーズに進むと思います」そのほか、自営で、がんになったため年金や健康保険の支払いが厳しいと悩んでいる人は、「減免」という手続きもあるので、まずは自治体の窓口で相談することをおすすめする。「すでに治療費が払えず、キャッシングなど多額の負債を抱えた人には、弁護士や司法書士が無料で相談にのってくれる『法テラス』を紹介することもあります」がん治療でつらいときもあると思うが、合間に手続きをして、お金の悩みから解放されよう。「女性自身」2021年4月27日号 掲載
2021年05月02日2021年3月26日に、膀胱がんのステージ1であることを公表したお笑いコンビ『サンドウィッチマン』の伊達みきおさん。腫瘍はすべて手術によって切除され、経過を見ているところだといいます。伊達みきお、膀胱がんを公表手術によりすべて切除し、経過観察伊達さんが、膀胱がんを公表するとネット上には多くの応援の言葉が寄せられました。その声は伊達さんにも届いていたようで、感謝の言葉をつづっています。本当に沢山のコメントをありがとうございましたm(__)m僕が入院して手術した報告が、こんなにもおおごとになるなんて思っておらず…。自分自身、驚きました。。ロケをしていても、町行く方々から『復帰おめでとう!』って声を掛けて頂いたり(笑)恐縮します本当に。サンドウィッチマン 伊達みきおオフィシャルブログーより引用バラエティ番組で共演しているアイドルグループ『Kis-My-Ft2』からは、伊達さんを心配して大量の野菜をもらったと明かしました。また、長年吸っていたタバコを止めることを決意。愛煙家として、約30年吸ってきたタバコも、ドクターから言われた事もあり…小倉智昭さんからもメールで忠告頂いた事もあり、ブログのコメントにも多数あり…色々と考えた結果。。大好きなタバコをやめる方向で進んでいます。間違いなく、確実に進んでいます。どうやらタバコに含まれるタールが僕の身体には合わないみたいで…。サンドウィッチマン 伊達みきおオフィシャルブログーより引用多い時は1日2箱以上吸っていた時もあったといいます。しかし、入院してから「タバコを吸いたい」と思わなくなったのだとか。伊達さんは、「膀胱がんは、特に再発が多いらしいです」とし、再発すると多方面に迷惑をかけてしまうことから、ストレスにならない程度にタバコを控えたいと想いをつづりました。ブログを読んだ人たちからは、禁煙を応援する声や体調を心配するコメントが寄せられています。・私も、今禁煙をしているところです。無理せず頑張りましょう。・お身体を大切にしてくださいね!長生きしてほしいです。・早期発見ができてよかったですね。ずっと応援しています。がんが再発せず、伊達さんが健康でいられることを祈るばかりですね。[文・構成/grape編集部]
2021年03月31日この漫画は書籍『がんの記事を書いてきた私が乳がんに!? 育児があるのにがんもきた』(原作・藍原育子/漫画・内野こめこ)の内容から一部を掲載していきます(全8話)。■前回のあらすじ全摘・乳房再建をするため転院。年明けに新しい病院で手術してもらえることが決まりました。ママ友も仕事関係の人も、自分が「がん」であると知ったらどう思うのだろうか…。不安やプレッシャーに苛まれ辛い日々が続きます。次回へ続く 『がんの記事を書いてきた私が乳がんに!? 育児があるのにがんもきた』 原作・藍原育子/漫画・内野こめこ(KADOKAWA)¥1,320(税込) 健康系記事を書くライターが乳がんに罹患。婦人科系の病気について多数の記事を取材・執筆してきたが、いざ自分が患者になってみるとまったく違う世界が待っていた。その戸惑いと苦しみ、そして家族と共に元の生活を再生していく姿を、包み隠さず明らかにした一冊。乳がんは退院すれば終わりではなく、患者とその家族にとっては「退院こそが始まり」、育児・仕事・闘病、戦いつづけた 5年間の軌跡を、患者本人の原作&内野こめこさんの作画でコミックエッセイ化した注目の書籍。
2021年03月06日健康診断や検診は病院で受けるもの、と思っていませんか?じつは自宅でも病院並みの検査ができるキットがあるのです。忙しくても受診しやすい“自宅検診”で、コロナも大病も、どちらも防ごうーー!「新型コロナウイルスの感染への不安から、がん検診の受診率が激減しています。日本対がん協会によると、がん検診の受診率が、’20年4月は前年比で15%、5月は8%にまで減り、通年で3~4割減になる見通しです。また、生活習慣病などを予防する健康診断でも、受診者数が3割以上減っていることが明らかに。来年か再来年には、がんで亡くなったり生活習慣病を患ったりする人が急増する可能性があります」そう語るのは、医療経済ジャーナリストの室井一辰さん。受診控えが進む中、自宅で血液や尿などを採取して検査機関に送付、後日検査結果を受け取る“遠隔検診”に注目が集まっているという。「感染リスクが気になり、健康診断を受けられない、という人にとっては、遠隔検診は価値があると思います」ここ2~3年、忙しくてがん検診や健康診断を受けていないという人はもちろん、さまざまな病気のリスクが上がる50歳以上の人や、血縁者に遺伝性の病気(乳がん、肺がん、すい臓がん、糖尿病、脂質代謝異常症、くも膜下出血や動脈瘤)の患者がいる人、喫煙や飲酒、肥満、睡眠不足など、生活習慣において不安要素がある人は遠隔検診を活用するメリットがありそうだ。そこで、税別で1万円以内の自宅でできる検診を探してみた。■線虫がん検査「N-NOSE」(株)HIROTSUバイオサイエンス/9,800円すぐれた嗅覚を持つ「線虫」が、がん患者の尿に含まれるにおいに近づく性質を活用。15種類のがんについて、罹患(りかん)しているかどうかを検査できる。感度は86.3%。尿検体を東京と福岡の拠点に持参する。■血液検査「おうちでドック生活習慣病」ハルメク・ベンチャーズ(株)/7,500円超微量の血液から動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病の可能性があるかどうかを検査できる。医師の解説(電話、15分1回)、看護師の健康相談チャット、医師紹介などのアフターサービスが無料でついてくる。■喀痰細胞診検査「肺がん検査」(株)セルメスタ/4,250円痰の中に異型細胞があるかどうかを検査することで、エックス線に写らない早期の肺門部がんを調べることができる。約11日後に結果が届き、検査結果についての問い合わせができるサービスもある。■血液検査「自宅でできる郵送検診申込セット」日本医学(株)/2,000円食事の影響を受けないグリコヘモグロビンの量で、糖尿病の可能性があるかどうかを検査できる。薬局やネット通販で郵送検診申込セットを購入後、検診キットが到着。検査物到着後7~10日ほどで結果が届く。■「睡眠時無呼吸症候群スクリーニング検査」(一財)運輸・交通SAS対策支援センター/4,760円(機器送料+代引き手数料は除く)動脈血酸素飽和度と脈拍数を測定する機器(レンタル)により、睡眠時無呼吸症候群の可能性を検査できる。睡眠時のデータを総合判断し、約2~3週間後に結果が届く。要検査の場合は医師による紹介状が同封される。がんや心臓病、脳卒中につながることもある生活習慣病を、早期発見するための自宅検診キットが「おうちでドック生活習慣病」。「『おうちでドック』では、自宅に送られてきた専用キットで微量の血液を採取し返送。2~3週間後には、高血圧や脂質代謝異常、動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病のリスクをチェックできます」「おうちでドック生活習慣病」を展開するハルメク・ベンチャーズの松尾尚英さんによるとコロナの影響を受けてか、前年同時期に比べ2.5倍の検査申し込みがあったという。「医師の結果解説や看護師との健康相談チャット、病院紹介のアフターフォローがついているのが特徴です。ご本人以外での利用も多く、配偶者へのプレゼントや同僚への昇進祝いとしてお申し込みいただくケースも少なくありません」閉経後の女性に発症しやすいといわれる、睡眠時無呼吸症候群(以下SAS)も自宅で検査をすることができる。「SASは、睡眠中に無呼吸を繰り返すことでさまざまな合併症を引き起こす病気です。睡眠不足による眠気や集中力低下だけでなく、低酸素状態に陥ることで心臓や血管にダメージを与え、高血圧や心臓病、糖尿病、脳卒中などの原因となります。近ごろ日中に強い眠気がある、夜中に何度も目が覚める、さらに起床時に頭痛がある、などの症状がある人は、検査を受けることをおすすめします」そう語るのは、「睡眠時無呼吸症候群スクリーニング検査」を運営している運輸・交通SAS対策支援センターの田口陽一さん。この検査では、自宅に届く検査機器「パルスオキシメーター」を睡眠時に装着し、動脈血酸素飽和度と脈拍を測定。機器返却後2~3週間で、SAS傾向を6段階で評価する検査結果が届く。「検査結果を受けて初めて、呼吸が止まっていることを自覚する方が多いです。SASが疑われた方には、専門医のもとでより詳しい睡眠状態が検査できるよう、紹介状も同封しています」これら以外にも、インターネット上には多くの遠隔検診キットが存在する。ただし「玉石混交なので利用するときは注意が必要」と前出の室井さんは語る。「大切なことは検査結果を過信しないこと。遠隔検診に限らず、どんな検査でも、受ければ100%安心というものはありません。また、遠隔検診はあくまで、病院で行う検診や人間ドックの“入門編”だと認識したほうがいいでしょう。なかには高額なものもありますが、そこまで払うべきかというと、考えものです」コロナがなければ早期発見できたのにーー。そう後悔しないために大切なのは、“自分の健康は自分で守る”という意識かもしれない。「女性自身」2021年1月19日・26日合併号 掲載
2021年01月20日「新型コロナウイルスの感染への不安から、がん検診の受診率が激減しています。日本対がん協会によると、がん検診の受診率が、’20年4月は前年比で15%、5月は8%にまで減り、通年で3~4割減になる見通しです。また、生活習慣病などを予防する健康診断でも、受診者数が3割以上減っていることが明らかに。来年か再来年には、がんで亡くなったり生活習慣病を患ったりする人が急増する可能性があります」そう語るのは、医療経済ジャーナリストの室井一辰さん。受診控えが進む中、自宅で血液や尿などを採取して検査機関に送付、後日検査結果を受け取る“遠隔検診”に注目が集まっているという。「感染リスクが気になり、健康診断を受けられない、という人にとっては、遠隔検診は価値があると思います」ここ2~3年、忙しくてがん検診や健康診断を受けていないという人はもちろん、さまざまな病気のリスクが上がる50歳以上の人や、血縁者に遺伝性の病気(乳がん、肺がん、すい臓がん、糖尿病、脂質代謝異常症、くも膜下出血や動脈瘤)の患者がいる人、喫煙や飲酒、肥満、睡眠不足など、生活習慣において不安要素がある人は遠隔検診を活用するメリットがありそうだ。線虫がん検査「N-NOSE」(価格9,800円・税別)なら、病院に行かずにがん検査が可能。「線虫がん検査は、“がん患者の尿に集まり、健康な人の尿からは逃げる”という線虫の性質を利用した検査です。胃がんや乳がん、大腸がんなど15種類のがんに反応し、基礎研究における精度はステージ0、1の早期がんを含めても、86.3%でした。’20年1月に事業をスタートしましたが、病院でのがん検診を受けられなかった方から『助かった』というお声をいただいています」そう語るのは、「N-NOSE」を展開するHIROTSUバイオサイエンスの広報・永溝はるかさん。「線虫は、既存の検査では検知できないがんのかすかなにおいにも反応します。そのため、通常のがん検診を受けていても、念のために、と追加で線虫がん検査を受ける方もいらっしゃいます」検査では、自宅に届く専用容器に採尿。冷凍状態で(常温状態なら採取後4時間以内に)、東京と福岡にある専用ステーションへ持参すると、約6週間程度で検査結果が届くという。「1月下旬には、大阪にもステーションを開設予定です。将来的にはがん種の特定を目指していますが、現状ではがんのリスクを調べる検査。がんの早期発見から治療へつなげる『がんの一次スクリーニング検査』として活用していただきたいです」「女性自身」2021年1月19日・26日合併号 掲載
2021年01月20日この記事では、妊娠を希望し、婦人科検診を受けたときに病気が見つかった先輩ママの体験談をお伝えします。 当時、36歳で未婚だった私。結婚・妊娠に焦りはあったものの、婦人科検診もほとんど受けていませんでした。 婦人科検診で病気が見つかったそんななか、お付き合いしている方とそろそろ結婚という話になり、婦人科検診を受けることに。すると卵巣嚢腫、そして、子宮筋腫がボコボコあり、一刻も早く手術することになりました。 そして、どうにか無事に手術も終わり、結婚して子どもができればと思っていたのですが、なかなか妊娠できませんでした。 検査を受け、妊活をスタート!ようやく不妊治療も視野に入れ、病院に通い始めたのが39歳のときでした。当時の私はまったく知識がなく、体外受精などをおこなえばすぐに妊娠するだろうと思っていました。しかし、ようやく自分自身の置かれている状況がわかってきて、どうしてもっと早く病院に行っておかなかったんだろうと後悔に打ちひしがれていました。 夫婦それぞれ検査を受け、幸い問題はなかったため、タイミング法から始めました。しかし、そんな簡単には妊娠できず……。 気分転換に近場の旅行へそんななか、自分の年齢もタイムリミットが近づいているので、次のステップへと進む話がありました。そのとき、大した大きさではないものの、子宮筋腫を取ったほうがいいという話があり、腹腔鏡手術をして取ることにしました。 その後、次のステップに進む前に夫婦で気分転換に近場の旅行に行くことになり、その月は不妊治療をお休みして1カ月後に再開することになりました。 自然妊娠できてよかったところが、その気分転換がよかったのか、手術がよかったのか、その後まもなく自然妊娠することができました。妊娠したのは40歳、出産は41歳のときでしたが、高齢でも自然妊娠できたことが本当にうれしく、感謝しています。 不妊治療中は、終わりが見えなくて本当につらかったですが、もっと若いときにちゃんと病院に行って体を診てもらっていたら、もう少し苦労しなくていいこともあったのではないかと思います。 また、出産のトラブルの可能性も増えたり、40歳に入ってからの高齢出産はリスクがあることを知り、早めに病院へ行っておけばよかった、と感じました。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラスト/塩り監修/助産師REIKO著者:高橋えみ1児の母親。育休中。
2020年12月01日がん検診を受診する人が激減している。「日本対がん協会」によると、地方自治体のがん検診での受診件数は、国内でコロナ感染が拡大した今年3月に前年比の64%まで落ち込むと、4月には前年比16%、5月には8%と激減した。常磐病院(福島県)の乳腺外科医の尾崎章彦さんが語る。「東日本大震災のとき、独自に調査しましたが、福島県では症状を自覚していながら病院に1年以上行かなかったケースが、震災前は4.1%でしたが、震災後には18.6%と、約4.5倍も増えました。こうした“受診控え”は、今回のコロナ禍においても実感します。なかには、非常に進行の早いがんもあるので、注意が必要です」そこで専門医等に取材し、下半身で疑われるがんの代表的な自覚症状を作成した(※医師への取材をもとに本誌が作成。がんによって、ここにない症状が出ることもあります。症状が出なくてもがんになることもあるので、必ず定期的な検診を受けましょう。また、ここに出る症状が別の病気によるものであることもありますので、必ず医師の判断を仰いでください)。【お腹】□ みぞおちの痛み、違和感、不快感=胃がん□ 食欲不振=胃がん□ 腹痛=大腸がん、子宮頸がん、子宮体がん【お尻と性器】□ 便が細くなる=大腸がん□ 便の表面に赤、または赤黒い血が付着している=大腸がん□ タール状の黒い便が出る=胃がん□ 不正出血=子宮頸がん、子宮体がん□ 水のような透明なおりものが出る=子宮体がん□ 月経が長引いたり、月経前後の出血が少量だったり、多量である=子宮体がん□ おりもののなかに血が混じっている=子宮頸がん□ 排便・排尿の違和感=子宮頸がん□ 性交後に出血がある=子宮頸がん【その他】□ ダイエットしていないのに、体重が半年~1年で5%落ちる=胃がん、食道がんもちろん症状があるからといって、即がんというわけではないが……。「少しでも不安な症状があれば、医療機関で受診すべきです」(尾崎さん)前出の日本対がん協会の調査で、受診率が低かった胃がん(5月の前年同月比5.9%)、大腸がん(同6.8%)に関しても、各医師からアドバイスをもらった。【胃がん】「胃がんは腹部の不調を引き起こすことがあります。お腹の不調が長引いたら、必ず検査しましょう。自治体で違いがありますが、50歳以上で胃カメラ検査、もしくはバリウム検査を2年に1回受けるよう、呼び掛けられています。胃がんの原因となるピロリ菌は、40代、50代の3~4割が保菌者といわれていますが、除菌しておけば、胃がんのリスクがかなり下げられる。ただし、除菌後も自治体による検診なども利用して、胃カメラ検査を年に1回受けましょう」(マールクリニック横須賀・水野靖大さん)【大腸がん】「便の異常のほかに、貧血なども大腸がんの症状です。年に1度の便潜血検査をしない人も多いですが、前がん状態であるポリープの7~8割がわかります。陽性になった場合、大腸内視鏡検査をすることになります」ここで紹介した症状がある人は迷わず病院へ行こう。そして、いちばんは症状の出ていないがんも発見できるがん検診を受けること。コロナ禍であっても、がん検診は不要不急の外出ではないのだ。「女性自身」2020年11月17日号 掲載
2020年11月05日「病院に行ってコロナになるのが怖いから」。そんな理由でがん検診を控える人が増えている。だが、医師はこんな警鐘をーー。がん検診を受診する人が激減している。「日本対がん協会」によると、地方自治体のがん検診での受診件数は、国内でコロナ感染が拡大した今年3月に前年比の64%まで落ち込むと、4月には前年比16%、5月には8%と激減した。常磐病院(福島県)の乳腺外科医の尾崎章彦さんが語る。「東日本大震災のとき、独自に調査しましたが、福島県では症状を自覚していながら病院に1年以上行かなかったケースが、震災前は4.1%でしたが、震災後には18.6%と、約4.5倍も増えました。こうした“受診控え”は、今回のコロナ禍においても実感します。なかには、非常に進行の早いがんもあるので、注意が必要です」そこで専門医等に取材し、上半身で疑われるがんの代表的な自覚症状を作成した(※医師への取材をもとに本誌が作成。がんによって、ここにない症状が出ることもあります。症状が出なくてもがんになることもあるので、必ず定期的な検診を受けましょう。また、ここに出る症状が別の病気によるものであることもありますので、必ず医師の判断を仰いでください)。【頭】□ これまでなかった急な頭痛がある=脳腫瘍□ これまでとは位置や痛み方の違う頭痛がある=脳腫瘍□ 言葉が理解しにくい=脳腫瘍□ 急に始まったふらつき、息切れ、顔が白くなるなどの貧血症状=大腸がん、胃がん、子宮体がん【目】□ 片目だけ見えづらい=脳腫瘍□ 部分的な視野の欠損がある=脳腫瘍【口】□ 言葉が出にくい=脳腫瘍□ 舌に、なかなか治らないしこりやただれがある=舌がん【のど】□ たんに血が混じる=肺がん□ 息切れがする=肺がん□ 2週間以上続くせき症状=肺がん□ 声のかすれ=食道がん□ 食べ物が食道でつかえる、しみる=食道がん【胸】□ 胸のつかえや痛み、違和感が生じる=食道がん□ 動悸、胸痛、息苦しさが続く=肺がん【手足】□ 片方の手(足)に力が入りにくい=脳腫瘍□ ふらふらとして、真っすぐ歩けない=脳腫瘍【乳房】□ 胸にしこりがある=乳がん□ 脇の下にしこりがある=乳がん□ 乳首の色が変わる、ただれる=乳がん□ 左右の胸の形が対称的でなくなる=乳がん□ 胸の皮膚があつぼったくなったり、赤くなる=乳がん□ 乳頭から透明、赤、もしくは黒っぽい分泌液が出る=乳がんもちろん症状があるからといって、即がんというわけではないが……。「少しでも不安な症状があれば、医療機関で受診すべき。たとえば乳がんの場合は、胸のしこりをセルフチェックできます。ただ、症状に気づいたときには進行しているケースも少なくない。触診では見つからない病変もあるので、40歳以上の人は2年に1度、マンモグラフィー検査を受けることをおすすめします」(尾崎さん)前出の日本対がん協会の調査で、受診率が低かった肺がん(5月の前年同月比5.8%)に関しても、日本医科大学附属病院呼吸器内科・久保田馨さんからアドバイスをもらった。「肺がん患者は若年層ではまれですが、50代から増加が著しくなり、患者数のピークは70代前半です。せきや息切れが続く場合は、必ず受診してください。検査は胸部単純X線検査が一般的ですが、発見が難しい場合もあり、必要に応じて胸部CT検査を行います。検診においても、CT検査はX線と比べて、見逃しのリスクが低く、肺がんによる死亡率も20%低くなると報告されています。禁煙や受動喫煙防止とともに、定期検診や早めの受診が有効です」ここで紹介した症状がある人は迷わず病院へ行こう。そして、いちばんは症状の出ていないがんも発見できるがん検診を受けること。コロナ禍であっても、がん検診は不要不急の外出ではないのだ。「女性自身」2020年11月17日号 掲載
2020年11月05日生理痛がひどいときもあったのに、これまで、生理について、あまり深く考えてこなかった私。そんな私が、婦人科検診を受けたことで、生理や婦人科受診、そして妊娠ということについて、いろいろと考えるようになったという体験談です。 生理になんとなく症状はあったけれど、気にしてなかった私私はこれまで、生理について、あまり深く考えて過ごしてきませんでした。 確かに思い返すと、生理痛がひどかったり、夜中に布団を汚してしまうほど経血が漏れたりということもありましたが、それらはたいてい生理が遅れたとき。「生理が遅れたから、生理痛があるんだなぁ」くらいにしか思わず、気にしていませんでした。 初めての子宮がん検診。そこで判明したのは…そんな私が28歳のときです。初めて子宮がん検診を受けることになりました。 結果は、子宮に「ポリープの疑いあり」という診断。私はその診断結果を見ても、ポリープが何なのかすら、わかりませんでした。しかし、ネットで検索してみると、ポリープがあることで妊娠しづらいかもしれないとのこと……。 当時ちょうど、そろそろ妊娠を…と考えていたため気になり、私は初めて婦人科を受診することにしました。 婦人科、そして大学病院への受診へその婦人科では、まずはタイミング法を指導されました。しかし、数回試したものの、妊娠することはできませんでした。そして医師に「もしかしたら、ポリープが原因かもしれないね。詳しく診てもらったほうがいいかもしれない」と、大学病院を紹介されました。 そこで、私は大学病院の婦人科へ。そこでの判断も「ポリープがあるようだ」というものでした。 結局、私は、手術を受けることになりました。手術の結果、「ポリープではなく、子宮筋腫があった」とのことでしたが、「きれいに取りきりったよ」と言われました。 驚いたのは、子宮筋腫の手術後です。なんと、私は生理痛がほとんどなくなったのです。また、経血量も減り、経血が漏れることもなくなりました。 生理というのはなかなか人と比べたりすることが難しいので、自分の状態がどうか、というのも判断しづらいものです。でも、生理が変化したり、気になったりすることがあれば、婦人科に行った方がいいということを、このことで感じました。 ちなみにその後、念願がかない、現在妊娠中です! 監修/助産師REIKO-----文/カレンダーたみぃさん
2020年10月04日がん患者を理解する緩和ケア医でさえ、患者になって初めて気づく苦しみがあった。昨夏の取材でそう語った大橋さんに、今年も、がん患者としての思いを聞くことができたーー。「先日、激しい腹痛で人生初の救急搬送を経験したんです。どうも、一昨年のがんで胃を摘出したことが、影響しているようで。体調が悪くなっていると感じる一方、肝臓に転移したがんの影が薄くなっている箇所もあって。毎日が一進一退の繰り返し、という感じです」こう話すのは、10万人に1人の希少がん・ジスト患者で、愛知県JA厚生連 海南病院の緩和ケア医の大橋洋平さん(56)だ。「今でも週4日、午前中だけですが“専属秘書”(妻のあかねさん)に車で送り迎えしてもらって、緩和ケア希望者への予約面談外来をしています。がん治療にはお金がかかりますから、できる限り働かないと(笑)。でも何より、がん患者の私が面談することで、共感してくれる患者さんやそのご家族がいますし、私自身も生きる力をもらえるんです。ヨメさんや息子は『無理しないで』と思っているはずですが、わがまま放題に“患者風”を吹かせて、しぶとく生きています」こうした生き方をつづった著書『緩和ケア医が、がんになって』に続き、9月18日『がんを生きる緩和ケア医が答える命の質問58』(ともに双葉社)が出版される。「前著を呼んで、前向きに生きられるようになった、という子宮がん患者さんの声に背中を押されて、勤務先の病院や講演後のアンケート等で寄せられたがんに関する質問に、本を通じてお答えしました」がん患者や家族のために、何かメッセージを残したいーー。そんな思いから、本誌の質問にも一般論ではなく、医師で患者、そして父で夫でもある大橋さんの“がん患者としての本音”をぶつけてくれた。【Q1】抗がん剤治療中の夫が、「こんなにつらいなら死にたい」と訴えます。治療を続けないとダメですか?【A】治療の副作用と、生活と生命のバランスをみて本人に判断させてこの旦那さまが望まれていることは「つらさをとるために死にたい」ではなく「つらさをとって生きたい」ということだと思います。食事ができなくなるほど、抗がん剤の副作用がひどい患者さんの中には「治療をやめて、楽になった」と喜ぶ人もいますから、それも一つの選択肢でしょう。私も毎日服用する抗がん剤は通常の半分しか飲んでいないのに、お尻の粘膜がただれて、トイレの温水洗浄のたびにヒリヒリします。口角も切れてしまい、「おー」は言えるけど、痛くて大きく口を開く「あー」は言えません。でも、つらいながらも、こうやって話すことも笑うこともできる。私の副作用は、今のところ生活や生命を脅かすレベルではないのです。だから、治療を続けられているのだと思います。もし、私が治療をやめる決断を迫られるときがきても、それは家族にやめるよう説得されるのではなく、自分で決めさせてほしいです。自分の命ですから。【Q2】がんになって、穏やかになった友人がいます。いったい何があったのでしょう?【A】私も感謝の気持ちが強くなり、「今、必要とされること」を優先するように医師という仕事において、以前は効率やルールを重視していました。だから、数カ月待ちの緩和ケア病棟にすぐ入院したいと直談判に来た患者さんご家族を、看護師が帰してしまったときも、「それでいい」と考えていました。でも、自分ががん患者となってあのときを振り返ると、どうにか時間を作って話だけでも聞いてあげられなかったのかと、後悔の念で胸が締め付けられます。だから今は、急な相談でも、可能な限り対応するようになりました。がんが発覚した人の多くは、一度は“もうダメかも”と、身近に死を意識するものです。がんになるまではそんな状況になったら“競馬の単勝に100万円注ぎ込もう!”と考えていました。けれど、いざ“命は有限”だと痛感すると、そんなことより、ただただ生きられることに感謝しよう、“今”を大切にしようと考えていたんです。それは、人間が持っているいい面なのではないでしょうか。【Q3】がんを治療中の夫。どうやって生きる希望を持ってもらえばよいでしょうか?【A】大きな夢より、小さな目標を持ってはどうでしょうか“夢”はずいぶん遠くにあって、時間をかけてかなえるイメージがあります。残念ながら、がん発覚から1年たたないうちに転移した私には、そのような夢は持てません。でも、人間は希望を失うと生きにくい。だから、何カ月も先ではなく、もっと簡単に実現できる“目標”を持つようになりました。私は車が好きなので、老後、日本全国を気ままにドライブするのが夢でした。でも今は、住まいのある三重県内を、ヨメさんと半日旅行どころか、4分の1日旅行をするので精いっぱい。けれどそのおかげで、元気なころのように高速道路をとばしていたら気づかなかった、小道の草花の美しさにも気づくことができました。小さな目標をかなえていくことで、一日一日を大切に生きることができるのではないでしょうか。この取材も、発売日までは生きるぞ!という目標になっています。【Q4】死ぬのは怖くないですか?【A】死の瞬間は怖いものではない。死後には次の世界が待っていると考えています死生観は100人いれば、100通りあります。私自身「まったく怖くない」とは言い切れませんが、32年間、医師としてさまざまな臨終に立ち会ってきて、死の“瞬間”は眠るようなもので、決して怖いものではないと感じています。とはいえ、死後について考えるようになったのはジストになってからです。今では人間は死んでも、無になるのではなく、なにがしかの世界にいくと考えています。ちなみに、私が死んでも、家族には長生きして私の見られなかった世界を見てもらいたい。あの世で話を聞かせてもらうのです。がんは2人に1人が罹る病いといわれている。自分はもちろん、家族や友人がなってもおかしくはない。そんなとき、“しぶとく”生きる大橋さんの言葉は、われわれががんと付き合って生きていく際のヒントになるはずだ。「女性自身」2020年9月22日 掲載
2020年09月11日いつかは受けるものだとわかっているけど、まだいいかと思いがちな乳がん検診。どんな人が、どんなときに必要なの?自分でもチェックしたほうがいいって本当?検診デビューの前に予習しておくと安心です。9人に1人がかかる、実は身近な病気。早期発見で治るからこそ検診がいちばん大切。私たち女性がかかる可能性の高いがんといえば乳がん。割合にすると、がんを患った女性のうち、約2割が乳がんに罹患している(2014年の全国がん罹患モニタリング集計より)。「年々増加傾向にあり、最新の統計によれば、日本人女性の9人に1人が生涯のあいだに乳がんを発症するというデータも」こう話すのは、個人診療の乳がん検診にも対応している乳腺専門医の尹玲花先生。乳がんは、乳房の中にある乳腺に発生する悪性腫瘍。比較的進行がゆっくりなので、早期に発見できれば治る確率が高くなる。となると、なんといっても検診が頼みの綱だ。乳がんや検診についての基本的な知識は、もはや知っていて当然、現代女性に必須の常識といえそう。まだ検診を受けたことがない人も、実はよくわからないまま受けてきた人も、正しくアップデートしていこう。若いときに検査をしても発見されない家族歴がなければ30歳までは検査不要!若いうちはマンモグラフィなどの検診を受けなくていい、という噂は本当だろうか?「はい。一般的には30歳までは検診の必要がありません。理由としては、そもそも発症リスクが低いこと、乳腺が発達しているためマンモグラフィでがんを見つけにくいこと、若い人ほど放射線による被曝の影響を受けやすいことなどがあります」もちろん例外もある。母、姉妹、祖母、おば、従姉妹で乳がんにかかった人が1人でもいる=家族歴がある場合は、20代であっても検診を受け始めよう。「遺伝性乳癌卵巣癌症候群という遺伝子の異常によって、乳がんになりやすい体質の人が日本にも一定数いることがわかってきました。該当する人は、一生のうちに乳がんを経験する可能性が約80%あるといわれるので、もし家族歴があれば、若くてもぜひ受診してください」費用は受ける方法によって変わる。若いうちに受けるなら個人検診の一択。費用が安いのは自治体が行う住民検診や会社での職域検診。住民検診は40歳以上の女性が2年に一回受けられるもので、職域検診も、会社によって異なるが原則40歳以上が対象。つまり、20~30代は個人検診を受けることになる。個人検診は費用がかかる分、気になる症状について個別に専門医に相談しつつ診察してもらえるのがメリット。マンモグラフィと超音波、触診というすべての検査を1日で受けられ、その場で結果がわかるのもうれしい。すでに何らかの自覚症状がある場合は個別に受診しよう。住民検診市区町村が行う検診。40歳以上の症状のない女性が、2年に一度マンモグラフィ検査を受診できる。自治体ごとに費用や期間などが異なるので、自分の住んでいる市区町村のHPなどで確認しよう。無料~3000円ほどと費用面のメリットはあるが、超音波検査は受けられないので注意。職域検診事業者(会社)が行う検診。健康診断の一つとして、40歳以上の女性が原則として2年に一度受診できる。マンモグラフィ、超音波検査の両方を受けられる会社もあれば、どちらか一方を選ぶ会社も。オプションとして費用の一部を自己負担する場合など、充実度はまちまち。個人検診自分で施設を選んで受診する検診。健康保険が使えないため費用は全額自己負担になり、マンモグラフィと超音波検査のどちらか一方で5000~1万円弱。両方では1万円台が目安。年齢やタイミングにかかわらず受診でき、気になる症状があれば専門医に個別に相談できる。尹 玲花先生乳腺専門クリニック「mammaria tsukiji」院長。聖路加国際病院で10年にわたり乳腺診療に携わり、クリニックを開業。※『anan』2020年9月16日号より。イラスト・中根ゆたか取材、文・黒澤 彩(by anan編集部)
2020年09月09日夏が旬の枝豆ととうもろこしがごろっとはいった「夏野菜がんも」。ふわふわのがんもどきですが、枝豆ととうもろこし、きくらげの食感がよいアクセントとなります。添えるのはカレー塩。旬の夏野菜の甘みが引き立つシンプルな味付けなので、食欲が落ちていてもぺろりと食べられます。彩りがきれいで、食卓も華やぎますね。がんもどきは冷めても美味しいですが、揚げたては格別です。揚げ物が苦手な方にもぜひ挑戦していただきたい一品です!■夏野菜がんも調理時間 30分 1人分 238Kcal<材料 2人分> 枝豆 1/3袋(1袋250g入り) トウモロコシ(生) 1/2本 キクラゲ 3g 木綿豆腐 1/2丁 片栗粉 大さじ2 塩 小さじ1/3 塩 小さじ1 カレー粉 小さじ1/4揚げ油 適量<下準備> ・枝豆はサッと水洗いして分量外の塩をもみ込み、煮たった熱湯に塩ごと加え、再び煮たったら3~4分ゆでてザルに上げ、粗熱が取れたら豆を取り出す。・トウモロコシは外皮をむいて水洗いし、包丁で実を削ぎ落とす。・キクラゲは水で柔らかくもどし、固い部分を切り落として細切りにする。・木綿豆腐はキッチンペーパーに包み、10分程置く。・<カレー塩>の材料を混ぜ合わせる。・揚げ油を170℃に予熱し始める。<作り方>1、ボウルに木綿豆腐を入れて手で混ぜ、その他の<タネ>の材料も加えて混ぜ合わせ、6等分にして丸める。手に分量外のサラダ油をぬると扱いやすいです。2、170℃の揚げ油でカラッと揚げて器に盛り、<カレー塩>を添える。余ったら煮物にしても良いですね。E・レシピで作り方をもう一度チェック↓
2020年08月05日テレビなどに出演する人たちは見知らぬ人からファンレターや、時には苦情などあらゆるメッセージを受け取ります。そんな視聴者からのメールで命を救われたといってもいい、幸運な女性がいます。アメリア・フロリダ州のテレビ局『WFLA』のニュース番組でリポーターを務めるヴィクトリア・プライスさんは、いつものように番組に出演した後、視聴者から1通のメールを受け取りました。こんにちは。ちょうどあなたのニュースレポートを見て、首のしこりのようなものが心配になったんです。どうか甲状腺の検査を受けてください。あなたの首を見て、自分自身のことを思い出したんです。私の場合はがんでした。お体に気を付けて。@WFLAVictoriaーより引用(和訳)これが視聴者が見た番組のスクリーンショット。右側に映っている女性がヴィクトリアさんです。Hi! I agree, not the easiest to see. It’s not super obvious unless you know what to look for. This screenshot shows it a bit better. I’m still learning but doc explained that the tumor is in the middle of my thyroid, pushing the glands up and out, hence the subtle protrusion. pic.twitter.com/NFeoRVcUdz — victoria price (@WFLAVictoria) July 24, 2020 視聴者からのメールでがんを発見ヴィクトリアさんはこのメールを受け取った後、病院で検査を受けました。すると結果は、視聴者の女性と同じ、甲状腺がんだったのです。A bit of ~personal news~ to share. Turns out, I have cancer. And I owe it to one of our wonderful @WFLA viewers for bringing it to my attention. I’ll be off work for a bit after tomorrow, but I’ll see y’all soon pic.twitter.com/UMsoj2SjtM — victoria price (@WFLAVictoria) July 23, 2020 甲状腺にできたがんは少し広がっていたため、腫瘍とリンパ節の切除手術を行うことになりました。ヴィクトリアさんはすでに手術を終え、回復中であることをツイッターで報告しています。popsicles are officially my new best friend. pic.twitter.com/t0nmcws1ae — victoria price (@WFLAVictoria) July 27, 2020 毎日多忙な日々を過ごしていたヴィクトリアさんは今回の視聴者からのメールをもらうまで、甲状腺のしこりにはまったく気付かず、自覚症状もなかったのだそう。彼女はメールをくれた視聴者に感謝の思いをつづっています。パンデミックが始まって以来、私はジャーナリストとして常に全力を注いでいました。このもっとも重要な健康問題について報道しながら、自分自身の健康にはもっとも無関心になっていました。視聴者からのあのメールを受け取っていなかったら、私は絶対に医師に電話をすることはなく、がんは広がり続けていたでしょう。考えても恐ろしいです。私はメールをくれた女性に一生感謝します。まったく見ず知らずのその女性は、わざわざ知らせてくれる義務はないのに、そうしてくれたのです。今、世界は困難な状況です。どうかあなた自身のお体を大事にしてください。そしてお互いに気遣い合いましょう@WFLAVictoriaーより引用(和訳)現在療養中のヴィクトリアさんのもとには同じ病気を経験した人やファンからたくさんの励ましが寄せられています。忙しい日々を過ごしていると、健康に気を使うことが後回しになってしまうこともあるでしょう。だからこそもし身近な誰かに対して何かが気になった場合は、さりげなく伝えることで病気の早期発見につながることもあるはずです。ヴィクトリアさんのいうとおり、自分自身はもちろん、誰もがお互いに他者の健康も気遣うことが大切ですね。[文・構成/grape編集部]
2020年07月31日「標準治療を敬遠する人は多い。しかし標準治療こそ最善のがん療法なのです」。がん治療の権威はそう語る。まったくアテにならない治療に飛びつく前に、ご一読をーー。「免疫細胞療法やビタミンC療法といった自由診療での療法、そして健康食品やサプリメントによる民間療法……。これらの療法には、がんを縮小させたり延命効果を示したりする効果はありません。ところが日本では、医師さえも、民間療法や自由診療を“効果抜群”とうたっている人がいるのです。そのような“トンデモ療法”を選択してしまい、適切な治療のタイミングを逃す患者さんが後を絶ちません」そう語るのは、日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授の勝俣範之さんだ。抗がん剤治療のパイオニアとして知られる勝俣さんは、“トンデモ療法”を信じたため、治療が手遅れになってしまった患者を多く見てきたという。「がんの治療法を、インターネットでやみくもに検索することは、そういった被害に遭うリスクを高めることにもなります。とくに日本では、標準治療を否定して、特定の商品を薦めるような怪しいウェブサイトが上位に表示されるケースが多い。私が5種類のがんを検索し、それぞれ上位20のウェブサイトを調べたところ、信頼できるサイトは1割しかありませんでした」(勝俣さん・以下同)がん治療についての情報はたくさんあるが、効果が期待できる正しい情報とそうでない情報が混在している。これを見分けることができれば、誰も騙されないことはわかりきっているのだが……。「がんと診断されれば、誰でも大きなショックを受け冷静さを失ってしまいます。ゆえに、まったく治療効果がない“トンデモ療法”に飛びつきやすいのです。“自分は大丈夫だろう”と思い込んでいる、教育レベルや収入が高い人ほどこの傾向が見られます」そこで、“トンデモ療法”を見分けるポイントを勝俣さんに解説してもらった。■保険が利かない、高額な治療法を勧めている「まず言っておきたいのは、がんと診断されたら“標準治療”を受けることが最善だということ。これは3大治療といわれる『手術』『放射線治療』『抗がん剤治療』のいずれかです。標準治療は、世界中で最も効果が確認されている最高の治療法だからこそ、保険適用によりコストが抑えられているのです。いっぽう、自由診療は有効性が証明されていない不確かな治療法がほとんどであることが問題です」“○○療法は保険適用外の自由診療となりますので、治療費は自費負担です”という文言が載っていたら注意。「一般的に自由診療や民間療法は標準治療より高額ですが、“料金が高いほどよい治療が受けられる”というのは問題です」■「どのがんにも効きます」とうたっている「がんの3大治療は、世界中で使われている治療法ですが、どれか1つの治療法がすべてのがんに効くというわけではありません」例を挙げると、放射線治療は前立腺がんにはよく効くが、胃がんにはあまり効き目がないと勝俣さんは語る。「抗がん剤治療でも、1つの薬がすべてのがんをやっつけることはありません。がんといっても、それぞれ性質が違います。すべてのがんに効く治療法など、“ありえない”のです」がんは、2人に1人がなる病気。“トンデモ療法”によってかえってがんが進行し、手遅れになることは人ごとでない、と勝俣さん。「抗がん剤治療は、いまだに『効かない』『体がボロボロになる』という誤った情報を信じて、拒否する人が少なくありません。それでみすみす命を失っている人も、たくさんいるのです」「女性自身」2020年7月7日号 掲載
2020年07月01日「免疫細胞療法やビタミンC療法といった自由診療での療法、そして健康食品やサプリメントによる民間療法……。これらの療法には、がんを縮小させたり延命効果を示したりする効果はありません。ところが日本では、医師さえも、民間療法や自由診療を“効果抜群”とうたっている人がいるのです。そのような“トンデモ療法”を選択してしまい、適切な治療のタイミングを逃す患者さんが後を絶ちません」そう語るのは、日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授の勝俣範之さんだ。抗がん剤治療のパイオニアとして知られる勝俣さんは、“トンデモ療法”を信じたため、治療が手遅れになってしまった患者を多く見てきたという。「がんの治療法を、インターネットでやみくもに検索することは、そういった被害に遭うリスクを高めることにもなります。とくに日本では、標準治療を否定して、特定の商品を薦めるような怪しいウェブサイトが上位に表示されるケースが多い。私が5種類のがんを検索し、それぞれ上位20のウェブサイトを調べたところ、信頼できるサイトは1割しかありませんでした」(勝俣さん・以下同)がん治療についての情報はたくさんあるが、効果が期待できる正しい情報とそうでない情報が混在している。これを見分けることができれば、誰も騙されないことはわかりきっているのだが……。「がんと診断されれば、誰でも大きなショックを受け冷静さを失ってしまいます。ゆえに、まったく治療効果がない“トンデモ療法”に飛びつきやすいのです。“自分は大丈夫だろう”と思い込んでいる、教育レベルや収入が高い人ほどこの傾向が見られます」そこで、“トンデモ療法”を見分けるポイントを勝俣さんに解説してもらった。■「免疫力でがんをやっつける」と説明している「何か特定の食品を食べたり行動したりすると、がんを倒せるほど免疫力が上がるという事実は確認されていません。たしかに免疫細胞は、がんを倒すのに重要な働きをします。しかし、食事療法やサプリメントなどについていくつかの研究はありますが、治療効果を示した結果は存在しません。食事やサプリメントでの免疫効果というのは、がんを倒すほどのものではないということです」■経験談や少数の治療実績を強調している「余命2年と宣告されたのに、この治療で5年生きることができた」「私は○○免疫療法で治った」……そのような経験談や実績が大きく載っているがん治療のウェブサイトを見たことがあるだろう。「経験談や、少数例の治療成績による効果を強調する情報……この信頼度は、医学的に言えば“最低レベル”と言ってよいでしょう。少数例のデータでは、真に治療効果を証明できません。『○○というサプリメントを飲んだら、がんがよくなった』という体験談があったとします。しかし、その真の効果は、そのサプリメントを飲まなかった場合と、飲んだ場合と多数の人数で比べないとわからないのです」■細胞実験レベルのデータだけでは信用できない「培養したがん細胞に有効成分をかけたら、がん細胞が死にました!」という文句を信頼する患者は多いようだが、「これだけでは、人間に効果があるかどうかわからない」と勝俣さん。「細胞・動物実験で効果を示した治療薬が人間での臨床試験で有効性が示され、実用化にいたるのは、3パーセントくらいと言われています。細胞実験のデータで効果があっても、実際の患者さんにがん治療としての効果を示す確率はとても低いのです」■「予防に効果あり=治療に効果がある」と説明している「がんの予防効果が証明された○○を、定期的に摂取するだけでがんが寛解したという例も!」と宣伝する商品についても、勝俣さんはこう指摘する。「がんリスクを下げる『予防』とがんを治す『治療』はまったく別もの。不良少年を生まないように環境を整えることと、不良少年の集まりである“ギャング”を壊滅させることは、全然違いますよね。予防効果があるからといって治療に効果があるとは限りません」“トンデモ療法”の特徴をしっかりと把握して、がんと闘うための正しい情報を身に付けよう。「女性自身」2020年7月7日号 掲載
2020年07月01日お笑いコンビ『ペナルティ』でボケを担当しているワッキーさんが、2020年6月7日にTwitterを更新。「新型コロナウイルス感染症で世間が混乱している中、私ごとで申し訳ありません」と前置きした上で、自身が中咽頭(ちゅういんとう)がんであることを明かしました。投稿によると、ワッキーさんはステージ1であり、同月8日から入院をすることになったそうです。世間様が大変な時期に自分の事ですいません。先月、自分の喉に癌がみつかり、中咽頭癌のステージ1と先生から伝えられました。そして明日6月8日から治療のため約2ヵ月間入院することになりました。また皆さまの前に元気な姿をお見せできるよう全力で頑張ってきます!ペナルティワッキー— ペナルティ ワッキー (@wakitayasuhito) June 7, 2020 中咽頭とは、口を大きく開いた時に見えるのどの部分を指します。日本赤十字社によると、中咽頭がん患者の男女比は男性が多く、好発年齢は50~60代とのことです。また、飲酒や喫煙も原因の1つとされています。『ヒゲグリア』や『芝刈り機』、『半分マン』などのネタで多くの人に笑顔を与えてきたワッキーさん。発表に対し、多くのファンから「復活を待ってます」「応援してます」といった声援が寄せられました。1日も早い回復をお祈りいたします。[文・構成/grape編集部]
2020年06月07日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「がんゲノム医療」です。莫大ながん組織のゲノムを解析。今後の治療に期待。「ゲノム」とはDNAをはじめとする、遺伝子情報の全体のことを指します。遺伝子情報を個別に検証し、その特徴を明らかにすることで、体質や病状に合わせた、より効果的、効率的な治療や診断を行うのが「ゲノム医療」です。がんは、遺伝子の変異や異常が蓄積することによって起こる病気。日本で最も多い死亡原因であり、日本人の2人に1人は生涯のうちにがんにかかるといわれています。国際的な共同研究グループ「国際がんゲノムコンソーシアム」の調べによると、がん患者の数は世界的に増え続けており、2012年には800万人の方ががんで亡くなり、1400万人が新たにがん患者として診断を受けていました。このままいくと2050年には年間で1750万人ががんで死亡し、2700万人が新しい患者となると推定されており、がんに対する対策は急務なのです。日本からは国立がん研究センターや理化学研究所、東京大学などが参加している国際がんゲノムコンソーシアム。このたび37か国1300人を超えるがん研究者が協力し、38種類約2800例のがん組織のゲノム解析に成功しました。スーパーコンピューターを使い、4600万個以上のゲノムの変異や異常を調べ、特徴を明らかにしたのです。解析されたデータは公開され、世界中のがん研究者が活用できるようになります。日本では全国に、がんゲノム医療中核拠点病院、がんゲノム医療拠点病院、がんゲノム医療連携病院を指定し、全国どこでもがんゲノム医療を受けられる体制づくりを進めています。一般にがん治療では、標準治療という科学的根拠に基づいて推奨される治療がなされます。具体的には手術、化学療法(抗がん剤治療)、放射線治療です。がん遺伝子検査によって、その人の特徴的な異常を調べることで、治療法の選択に役立つ場合があります。たとえば、抗がん剤の投与の検討や、標準治療のないがん、標準治療が終わった患者さんに対して、合う薬物療法を調べるために有効とされています。症例の少ない希少がんに関しては、まだデータが不足していますが、がんゲノム医療の発展は、将来のがん治療に期待が持てそうです。ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『わたしは分断を許さない』(監督・撮影・編集・ナレーション)公開中。※『anan』2020年5月13日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2020年05月09日がん医療の進歩に伴い、がん保険の保障内容も新しい商品が出るたびに変わってきています。すでにがん保険に加入していても、その保障内容が現在の治療事情に合っていなければ、いざというときに役に立ちません。そこで今回はがん保険選びの重要ポイントをお伝えし、そのポイントに合った具体的なおすすめ商品をランキングにしました。がん保険を比較する時に押さえるポイントとは?がん保険はがんによる経済的なダメージを補填するのが目的です。具体的な商品を比較する前に、今がん保険にどのような保障が求められるのかを知っておきましょう。現在のがん治療事情はどうなっている?では、今日のがんの治療事情はどのようになっているのでしょうか。以前のがん治療は手術中心だっただいたい1990年以前のがんの治療の中心は、がんを切除する手術でした。当時は開腹や開胸による大変な手術が主だったため、大きな傷跡が残ったり、術後の回復にも時間がかかるのが普通でした。そのため、入院期間が長くなる傾向がありました。手術中心から3つの治療の組み合わせへ現在のがん治療には、主に「手術」「放射線治療」「抗がん剤治療」の3つがあります。がんの種類や進行度に応じて、これらの治療を組み合わせた個々の患者に合った治療が選ばれます。がんの手術も開腹・開胸から、腹腔鏡手術などの身体に負担がかからず、術後の回復が早い方法が選ばれるようになりました。入院は最小限、通院で長期に治療3つの治療のうち、「放射線治療」「抗がん剤治療」については通院による治療が普通になってきています。治療は長期化する傾向がありますが、それに伴い働きながらの治療も増えてきました。がんに罹ると何にどのようにお金がかかるのか?次に、がんに罹った場合、どのようなことにお金がかかるのかを確認していきましょう。放射線・抗がん剤治療などの治療費放射線はあまり長期になりませんが、抗がん剤治療は数ヶ月単位に渡ることもあります。治療費が月に10万円以上の自己負担になることも多く、高額療養費制度を利用できたとしても家計を圧迫するようになります。再発・転移した場合の治療費がんは「死に至る」病気でなくなった反面、再発や転移が起こりやすくなっています。その場合、治療も長期化しやすく、積み重なる治療費の負担が重くなってきます。先進医療の治療費がんの先進医療には、重粒子線治療、陽子線治療などがあります。筆者の住む地域には重粒子線治療が受けられる病院があり、決して手の届かない治療ではありません。しかし、健康保険は適用されないため、全額自己負担となります。ちなみに、重粒子線治療は約300万円かかります。働けないことによる収入減少がんの治療が長引くと、治療のために仕事を休んだり、体調が優れずに仕事を休むことが多くなったりと、仕事への影響が大きくなります。思うように働けないことによる収入減少と治療費の負担が重なると、ますます経済的に苦しくなります。いざというときに役立つがん保険の選び方[adsense_middle]がん保険の選び方のポイントこれまでに述べたがんとお金の事情を踏まえ、どのようながん保険を選んだらいいのか考えてみましょう。筆者が考えるチェックポイントは以下の通りです。診断給付金などの一時金が何度でも受け取れる治療給付金が何度でも受け取れる終身保障で保険料も上がらない女性は上皮内新生物の保障があったほうがいい診断給付金などの一時金が何度でも受け取れる治療が長引くと、治療費だけでなく収入減による生活費の補填なども必要になってきます。また、民間療法や自由診療を選択するケースもあるでしょう。使い道が自由なまとまったお金が受け取れる診断給付金などの一時金は、複数回出るものでなければなりません。治療給付金が何度でも受け取れる抗がん剤やホルモン剤による治療は1回ずつの費用負担はそれほどでなくても、度重なると大きな重しになります。再発や転移を繰り返すような場合、一時金だけでなく都度(治療を受けた月ごと)受け取れる給付金もあったほうが安心です。そして、その給付金が何度でも受け取れることが望ましいです。終身保障で保険料も上がらないがんの罹患リスクは60歳以降になると一気に高くなります。高齢になれば身体に負担のかかる治療は選ばなくなるかもしれませんが、医療の進歩で素晴らしい治療法が生み出されるかもしれません。つまり、がん保険は一生涯必要ということです。また、年金生活者になってから保険料が上がっていくのも不安なものです。がん保険は終身保障で、保険料の上がらないものを選びましょう。なお、保険会社も運用難の今、がん保険に貯蓄性を求めるのは合理的ではありません。保険料の安い掛け捨てを選び、貯蓄は別の方法を考えましょう。女性は上皮内新生物の保障があったほうがいい上皮内新生物とは、がんの中でも上皮内にとどまっているもののことです。この段階では転移のリスクがほぼないため、軽微な治療で済むことがほとんどです。そのため、がん保険の商品ごとに、上皮内新生物の保障には悪性新生物とは別の条件が付くことが多いです。ただし、女性の乳がんや子宮がんは切除や摘出手術をし、その後、抗がん剤治療などが続く場合があります。ですから、女性は上皮内新生物の保障内容には注意していただきたいと思います。例えば、上皮内新生物での保険料払込免除などは必要ないとしても、診断給付金などの一時金は悪性新生物と同内容の保障が望ましいです。おすすめのがん保険ランキングと評判・口コミ今回は、保険の比較サイトなどで人気の商品を分析し、筆者独自の視点で厳選したがん保険をランキング化しました。それでは、具体的なおすすめのがん保険ランキングを発表します。ランキングとともに診断給付金などの一時金の支払条件を比較できるようにしました。以下、それぞれのがん保険についての詳細を解説していきます。[adsense_middle]【第1位】FWD富士生命「新がんベスト・ゴールドα」最高300万円の診断給付金が設定可能2回目以降の診断給付金が入院しなくても通院だけで給付される2回目以降の診断給付金を割り増しできる特則あり治療給付金の回数が無制限「保険料の払込免除」が特約でなく最初から付いている治療費からがんによる収入減にも対応できる、頼れるがん保険FWD富士生命の「新がんベスト・ゴールドα」は、常にがん保険ランキング上位に選ばれる人気商品です。主契約の診断給付金が最大300万円まで設定可能です。それだけでなく、2回目以降の診断給付金を割り増しできる特則は他社にはないユニークなものです。これらは、がんの闘病が長引いた場合、治療費以外に収入減でより多くの保障が必要になることから生まれたものです。長年がん保険のトップランナーとして、がん患者が必要とする保障を知り抜いた保険会社ならではの頼もしいオプションだといえます。保険料が高くなりますが、傷病手当のない個人事業主などは検討に値する特則です。2回目以降の診断給付金は通院治療でも受け取ることができ、入院を支払い要件にしている他社が多い中、加入者ファーストといえる好条件です。オプションの抗がん剤給付金・放射線給付金が何回でも支払われるので、一時金と組み合わせて長期の治療を安心して受けられます。女性がんの特約が付けられる点も見逃せません。「新がんベスト・ゴールドα」の評判・口コミそれでは、「新がんベスト・ゴールドα」の口コミについてネットから拾った主なものを見ていきましょう。保険料と保障内容のバランスが良い診断給付金、治療給付金ともに何回でも受け取れるのは安心診断給付金だけでも契約できる保険料払込免除が自動付帯されている不要な特約がない給付が遅い保険会社がなんとなく不安保険料と保障内容のバランスが良い良い評価として多かったものに「保険料と保障内容のバランスが良い」があります。診断給付金を中心とした手厚い保障内容でも保険料はそれほど高くない、つまりコストパフォーマンスが良いということです。診断給付金、治療給付金ともに何回でも受け取れるのは安心診断給付金受給の2回目以降の要件である「通院」は、「治療が続いていれば支払います」と同じ意味といえます。また、治療給付金の支払回数も無制限なので、安心して治療を受けることができます。診断給付金だけでも契約できる/不要な特約がないシンプルに「診断給付金だけで契約したい」という声は意外に多く聞かれます。基本的な保障がセットになった商品では、不要な保障まで付いてしまい、保険料も高くなりがちです。がん保険のキモである診断給付金だけで契約するというやり方は、人によってはとても合理的だといえます。保険料払込免除が自動付帯されている悪性新生物に限りますが、保険料払込免除が自動付帯されていて、しかも保険料は高くないのは高評価になりました。給付が遅い悪いほうの評判としては保険会社の「給付が遅い」という、いささか気になる内容がありました。「支払わない」わけではありませんが、ぜひとも保険会社に改善してほしい点です。保険会社がなんとなく不安AIG富士生命からFWD富士生命に変わり、何となく不安という声もありました。FWD富士生命は2017年12月12日付でフィッチ・レーティングス・ジャパン株式会社より、保険会社財務格付「BBB+」(支払い能力が良好)を取得しています。保険会社の経営の健全性を示す指標の一つであるソルベンシー・マージン比率は2018年度決算では1029.7%と、十分な支払い能力を有していることを示しています。これら情報がFWD富士生命の将来にわたる経営状況を約束するものではありませんが、一つの目安としていただけたらと思います。【第2位】朝日生命「スマイルセブンSuper」一時金が年に1回を限度に何回でも支払われる(他社は2年に1回払いが多い)一時金の支払条件が緩く、受け取りやすい最高500万円の一時金が取り扱い可能がんだけでなく7大疾病が保障対象悪性新生物と上皮内新生物が同額保障がんの治療が続いていれば、年1回何度でも一時金を受け取れる保険「スマイルセブンSuper」は、がんをはじめとする7大疾病で所定の状態となってしまった場合に、まとまった一時金を受け取ることができる保険です。基本保障は7大疾病一時金のみです。その一時金の受取りが年に1回で、2回目以降もがんと診断されていれば受け取ることができます。また、一時金は最高500万円まで掛けることができます。がんに罹っても毎年200万円以上の一時金が受け取れたら、治療費だけでなく、がんによる収入減にも備えることができます。また、一時金を500万円にできたら、自由診療の免疫療法などにも活用できるのではないでしょうか。「新がんベスト・ゴールドα」より弱い部分は、主にオプションのがん治療給付金に支給限度があることです。「スマイルセブンSuper」の評判・口コミそれでは、「スマイルセブンSuper」の口コミについて主なものを見ていきましょう。2回目以降の一時金の支払条件が緩いがん以外の6疾病の保障もあり、範囲が広い一時金が何度でも受け取れるので安心保険料が安い保険会社の体力がやや不安取扱店が少ない2回目以降の一時金の支払条件が緩い一時金の支払回数が年に1回、何度でも受け取れるだけでなく、2回目以降の支払条件に「入院」などが付かないことは、とにかく高く評価されています。がん以外の6疾病の保障もあり、範囲が広いもともと7種類の疾病の保険だったため、保障対象ががん以外の6疾病と広く、がん以外の疾病の一時金も何度でも受け取れます。一時金が何度でも受け取れるので安心一時金が何度でも受け取れるため、がんの治療が長びいても安心という声が多く聞かれました。保険料が安い保障内容のわりに保険料が安いという評価も多く見られました。保険会社の体力がやや不安朝日生命の財務状況などがなんとなく不安という声もありました。2018年の朝日生命のソルベンシー・マージン比率は861.1%となっており、十分な支払余力を有しています。この情報が朝日生命の将来にわたる経営状況を約束するものではありませんが、一つの目安としていただけたらと思います。取扱店が少ない「スマイルセブンSuper」は朝日生命の直販では取り扱っていません。また、インターネットでのお申し込みは可能ですが、付けられるオプションに制限があるため、お勧めしません。大手保険代理店もしくは一部の銀行などで取り扱っています。【第3位】三井住友海上あいおい生命「&LIFE ガン保険スマート」診断給付金が年に1回を限度に何度でも受け取れる(他社は2年に1回払いが多い)診断給付金を200万円にできる対象となる期間中の通院が5年間保障される悪性新生物と上皮内新生物が同額保障一時金が手厚く、男性の保険料が割安ながん保険第3位は、2018年9月に販売がスタートした三井住友海上あいおい生命の「&LIFE ガン保険スマート」です。1番の魅力は診断給付金の受取りが年に1回であることです。診断給付金を増額できるところにも注目しています。がんに罹っても毎年200万円の一時金が受け取れたら、治療費だけでなく、がんによる収入減にも備えることができるのではないでしょうか。「&LIFE ガン保険スマート」のメリットはかなり強力ですが、「新がんベスト・ゴールドα」「スマイルセブンSuper」に比べると若干弱い部分もあります。まずは、基本保障が入院給付金と手術給付金のため、それらが不要でも外すことができず、結果として保険料が高くなってしまう点です。もう1つは抗ガン剤治療給付金に120月の限度があること、さらに保険料払込免除がないことです。また、診断給付金の2回目以降の受取り条件に入院が付くことも、上記2商品に対して見劣りします。「&LIFE ガン保険スマート」の評判・口コミそれでは、「&LIFE ガン保険スマート」の口コミについて主なものを見ていきましょう。特に男性の保険料が割安上皮内新生物と悪性新生物が同額保障なのが良い短期払いができる保険料払込免除がない特に男性の保険料が割安実際に割安かどうかは別として、口コミでは保険料が割安という声が多いです。実際に、男性の保険料には割安感があるようです。上皮内新生物と悪性新生物が同額保障なのが良い上皮内新生物と悪性新生物が同額保障であるに越したことはありません。上皮内新生物でも治療が長期になる可能性がある女性にはうれしい特色です。短期払いができる保険料の払込は終身払いだけでなく、60歳払込済みも選択できます。保険料は高くなりますが、現役中に払込が完了するので、年金生活になってからが楽です。保険料払込免除がない保険料払込免除はありませんので、もし、がんになって給付を受けるようになっても保険料は払い続けなくてはなりません。がん保険人気ランキングに関するまとめ医療の進歩でがんは死に至る病気ではなくなってきています。反面、治療が長びきやすく、治療費だけでなく収入減少への対策も必要になってきています。そのために一番役立つのはがん保険の診断給付金などの一時金です。今回のランキングでは、一時金の保障内容が充実したがん保険を厳選しました。皆さまのがん保険選びの参考にしていただければ幸いです。
2020年05月08日まだ妊娠前、職場の健康診断の項目にあった子宮頚がん検査を初めて受けました。当時私は23歳でしたが、結果は「クラス3b。精密検査を受けてください」という結果。とても不安を覚えました。そして精密検査を受け、手術をした私の体験談をお伝えします。 精密検査の内容婦人科で精密検査を受ける際に、子宮頸部の細胞を3カ所採取して検査に出すという説明と、少し痛みが生じることを伝えられました。そして内診台に乗り細胞を採取するとき、パチンパチンパチンッという音と共に少しの痛みを感じました。 ガーセで止血をしたので、そのガーゼを取る処置をしてもらうために翌日も病院に行きましたが、私の場合は細胞を採取した当日も翌日も検査後の痛みはまったくありませんでした。 1週間後の検査結果は…結果は「高度異形成」という、放っておくと癌になる恐れがある細胞があったということでした。医師からは、子宮頸部の細胞をレーザーで焼く日帰りのリープ手術か、子宮頸部を円錐状に切り取る円錐切除術どちらかを選択肢として与えられ、双方のメリットとデメリットを聞き医師と相談することに。 異形成がある部分を完全に取り除くには円錐切除術が良いとのこと。しかし円錐切除術によって子宮頚管が短くなるので、今後妊娠したときは赤ちゃんを支えるために子宮口を縛る必要があるということでした。 迷いましたが、レーザー手術後に経過をみてから、その後に円錐切除術をするという選択もありかなと思い、レーザー手術に決めました。 手術を受けてその後の生活は…「リープ手術は体に負担が少なく1時間ほどで終わる」と伝えられましたが、不安でいっぱい……。いざ始まるとさらに緊張する私に、医師と看護師さんがやさしく声をかけてくださり安心することができました。 手術は麻酔をしなくても痛みを感じることはなく、なんだか少し熱いなぁ……という感覚と焦げたようなにおいが。やがて手術は終わり、術後の生活は普段となんら変わりなく過ごすことができました。その後の検査結果も良好で、4度の出産を経験。現在も年に1度の検査を受けていますが、すべて結果は良好です。 妊娠・出産を経験すると、産婦人科の内診台や分娩台に乗ることにも慣れてきますが、当時の私は独身で婦人科とも縁がなかっため、行くだけで勇気のいることでした。さらに異常があるなんて考えてもおらず、思わしくない結果が出ると頭が真っ白になり、悪いことばかりを考えて泣いてしまう日もありました。しかし術後に経過が良好になったときは、子宮頸がん検査を受けて本当によかったと心から思いました。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 著者:高橋四葉四児の母。自然分娩二回、帝王切開二回を経験。現在子育てに奮闘しながら自身の体験をもとにした記事を執筆中。
2020年05月03日「がんには検診が有効ながんとそうでないがんがあります。ですから、検診して早期発見しさえすればよいということでもないのですが、日本の医療はいつまでも『早期発見・早期治療』をスローガンに掲げています。実はこの概念は世界の基準から見ても30年以上遅れているのです」日本医科大学武蔵小杉病院・腫瘍内科の勝俣範之医師はこう話す。検診が有効ながんか無効ながんかを決めるのはがんの進行度合いによるという。「がんの種類というのはがんが成長するスピードによります。『急速がん』は定期的に検診をしていても、成長が早くて見つかりにくいがんです。『毎年検診していたのに見落とされた』という場合は、このタイプのがんでしょう。急速がんには、急性白血病などの血液腫瘍や一部の固形がん(胚細胞性腫瘍、炎症性乳がん、すい臓がんなど)があります」(勝俣先生・以下同)検診をしても見つからないことが多いため、急速がんは検診が有効とは言えないという。「一方、『超のんびりがん』は、進行するスピードが10年単位と非常にゆっくりとしたペースで成長するタイプ。『進行しないがん』は、がんがそれ以上大きくならないか、あるいは死滅していくタイプで、いわば、これは治療しなくていいがんと言えます。前立腺がん、甲状腺がん、乳がん(一部)などがあります」超のんびりがんや進行しないがんの場合、治療しなくてもがんが大きくならないか、大きくなったとしても、患者はそれ以外の原因・理由で死を迎える。これも検診には適さないというのだ。「このがんのタイプのうち、のんびりがんは、放置しておくと1年から数年で大きくなって死に至るタイプで、唯一、定期的な検診の恩恵を受けるタイプです。しかし、残念ながら、現状では検診でがんが発見された時点で、それがどのタイプなのかは、誰にも分りません。部位でも特定することもできません。ですが、検診でがんの疑いが出ると、精密検査を受けることになり、がんと判明すると治療に入ります。非進行性のがん(超のんびりがんや進行しないがん)であっても同じです。そして、非進行性のがんであったとしたら、本来なら不必要な検査や治療とも言えるわけで、結果的に、過剰診断、過剰治療(過剰な診断や治療)を受けていることになるのです」では、検診は無効なのだろうか。「コクラン共同計画というイギリスの医学情報組織が発表したデータがあります。乳がん検診を受けた6,000人と受けなかった6,000人を13年間追跡調査したのです。最終的に検診で乳がんが見つかり、乳がんで死亡した人は11人、一方、検診をせず乳がんで死亡した人の数は14人でした。その差は3人で、検診により乳がんが発見された100人のうち、乳がん死亡を免れる確率は3人=3%となっています。さらに検診を受けた人たちのうち約1割が偽陽性で再検査を受け、乳がんが発見された人の3割が過剰診断・過剰治療を受けたとあります」偽陽性とは、「がんの疑いあり」とされて、精密検査を受けるが、最終的にがんではない場合をいう。がんと診断されると手術や本格的な治療に突入するが、偽陽性の段階ですでに肉体的、精神的に大きな負担をもたらすことは容易に推察できる。実は、がんの早期発見と関連して使われる「5年生存率」にも数字のトリックが隠されていると、勝俣先生は指摘する。「たとえば、50歳でがんが発生し、70歳で死亡した2人で比べてみましょう。Aさんは検診を受けておらず、67歳で診断され、3年後の70歳で死亡します。この場合、Aさんの5年生存率は0%です。一方のBさんは、63歳のときに検診をしてがんが見つかりました。治療をしましたが、7年後の70歳で死亡しました。しかし、Bさんは発見後5年以上生きたので5年生存率は100%です」ここで鍵となるのは、2人とも同じ時期にがんが発生していて、長期間無症状だったということ。「症状が出たときに治療をしたAさんに対して、Bさんは無症状時の検診でがんが判明したため、死亡までの期間が5年以上となりました。2人とも同じ時期にがんが発生し、同じ年で亡くなりますが、どのタイミングで見つかったかだけで0%か100%になるのです」数字のトリックはもうひとつあるという。「たとえば、症状が出て初めてがん診断される人の5年生存率が50%というデータがあるとします。検診を受けない場合は50%のままですが、検診を受けた場合は、検診で非進行性のがん(超のんびりがん、進行しないがん)の人数も加わると、母数が増えて5年生存率は、たとえば80%になったりします。非進行がんは、もともと生存率が高いので、5年後もほぼ全員が生存しているからです。つまり、底上げをすることで、全体の生存率が上がり、早期発見・早期治療が正しいという論調ができあがるのです。“5年生存率が伸びる”という説には、この2つのバイアスがかかっていることがあるため、検診群と非検診群とを比較した前向き研究をして、全体の死亡率まで低下するかどうかを見極めることが大切なのです」緩和ケアを行う萬田診療所の萬田緑平院長は高齢者へのがん検診はかわいそうと嘆く。「日本の医療の方針は『死なないように生きる』です。平均余命が5年、10年の人に検診してがんを見つけて、体力を落として認知症になるまで生きさせるより、健康寿命を延ばしてあげるほうがご本人のためにもよいのではないでしょうか。高齢者は糖尿病などの基礎疾患もあるので、手術リスクも大きいですし。70代や80代では、がんになってもならなくても、残された人生は限られています。果たして抗がん剤を使って体を痛めつける治療をすべきなのか、ということを考えるべきだと思います」過剰診断、過剰治療が多発する背景に、医療機関のビジネスの側面も否めないが、専門性を追求するあまり、患者の部位しか診ない、という日本の医療体制にも原因があるのだという。「日本で推奨されているがん検診を40代から毎年受け続けていたら、ほぼ全員が再検査・治療などで年間1カ月くらい入院しなくてはならなくなるでしょう。それくらい専門家は自分の専門分野の死亡率を下げたい。死因の押し付け合いです」(萬田先生)勝俣先生は、最後にこう加える。「すべてのがんに検診が有効なのではなく、検診が有効ながんは一部で、検診には、メリット、デメリットがあることを理解したうえで、受けることが大切です」「女性自身」2020年3月24・31日合併号 掲載
2020年03月19日がんは怖い病気。だから、検診をして早期発見・早期治療をすれば、治って長生きできるーー。これが多くの人が考えることだろう。ところが、必ずしもこの説が正しいわけでもないようだ。「がんには検診が有効ながんとそうでないがんがあります。ですから、検診して早期発見しさえすればよいということでもないのですが、日本の医療はいつまでも『早期発見・早期治療』をスローガンに掲げています。実はこの概念は世界の基準から見ても30年以上遅れているのです」日本医科大学武蔵小杉病院・腫瘍内科の勝俣範之医師はこう話す。検診が有効ながんか無効ながんかを決めるのはがんの進行度合いによるという。「がんの種類というのはがんが成長するスピードによります。『急速がん』は定期的に検診をしていても、成長が早くて見つかりにくいがんです。『毎年検診していたのに見落とされた』という場合は、このタイプのがんでしょう。急速がんには、急性白血病などの血液腫瘍や一部の固形がん(胚細胞性腫瘍、炎症性乳がん、すい臓がんなど)があります」(勝俣先生・以下同)検診をしても見つからないことが多いため、急速がんは検診が有効とは言えないという。「一方、『超のんびりがん』は、進行するスピードが10年単位と非常にゆっくりとしたペースで成長するタイプ。『進行しないがん』は、がんがそれ以上大きくならないか、あるいは死滅していくタイプで、いわば、これは治療しなくていいがんと言えます。前立腺がん、甲状腺がん、乳がん(一部)などがあります」超のんびりがんや進行しないがんの場合、治療しなくてもがんが大きくならないか、大きくなったとしても、患者はそれ以外の原因・理由で死を迎える。これも検診には適さないというのだ。「このがんのタイプのうち、のんびりがんは、放置しておくと1年から数年で大きくなって死に至るタイプで、唯一、定期的な検診の恩恵を受けるタイプです。しかし、残念ながら、現状では検診でがんが発見された時点で、それがどのタイプなのかは、誰にも分りません。部位でも特定することもできません。ですが、検診でがんの疑いが出ると、精密検査を受けることになり、がんと判明すると治療に入ります。非進行性のがん(超のんびりがんや進行しないがん)であっても同じです。そして、非進行性のがんであったとしたら、本来なら不必要な検査や治療とも言えるわけで、結果的に、過剰診断、過剰治療(過剰な診断や治療)を受けていることになるのです」日本には検診の種類にも問題があるという。次のように、現在、日本では、胃がん、大腸がん、肺がん、子宮頸がん、乳がんの5つのがん検診が国によって推奨されている。一見して、日本と米国での推奨度が異なるのがわかるだろう。【胃がん】日本での対象者:50歳以上男女<検診の方法>胃X線検査:日本の推奨グレード・B/米国(USPSTF)の推奨グレード・対象外胃内視鏡検査:日本の推奨グレード・B/米国(USPSTF)の推奨グレード・対象外ヘリコバクターピロリ抗体:日本の推奨グレード・I/米国(USPSTF)の推奨グレード・対象外【大腸がん】日本でも対象者:40歳以上男女¥<検診の方法>便潜血検査:日本の推奨グレード・A/米国(USPSTF)の推奨グレード・A(50〜75歳)S字結腸内内視検査:日本の推奨グレード・C/米国(USPSTF)の推奨グレード・A(50〜75歳)全大腸内視鏡検査:日本の推奨グレード・C/米国(USPSTF)の推奨グレード・A(50〜75歳)注腸X線検査:日本の推奨グレード・C/米国(USPSTF)の推奨グレード・対象外【肺がん】日本での対象者:40歳以上男女<検診の方法>非高危険群に胸部X線検査、および高危険群に胸部X線検査と喀痰細胞診:日本の推奨グレード・B/米国(USPSTF)の推奨グレード・D低線量CT:日本の推奨グレード・I/米国(USPSTF)の推奨グレード・B(55〜80歳高危険群)【子宮頸がん】日本での対象者:40歳以上女<検診の方法>細胞診(従来法):日本の推奨グレード・B/米国(USPSTF)の推奨グレード・A(21〜65歳)細胞診(液状検査法):日本の推奨グレード・B/米国(USPSTF)の推奨グレード・A(21〜65歳)HPV検査を含む方法:日本の推奨グレード・I/米国(USPSTF)の推奨グレード・I(30〜65歳)【乳がん】<検診の方法>マンモグラフィー(日本での対象者:40〜74歳):日本の推奨グレード・B/米国(USPSTF)の推奨グレード・B(50〜74歳)マンモグラフィー±視触診(日本での対象者:40〜64歳):日本の推奨グレード・B/米国(USPSTF)の推奨グレード・対象外マンモグラフィー±視触診(日本での対象者:40歳未満):日本の推奨グレード・I/米国(USPSTF)の推奨グレード・C(50歳未満)視触診(日本での対象者:全年齢):日本の推奨グレード・I/米国(USPSTF)の推奨グレード・D超音波検査(日本での対象者:全年齢):日本の推奨グレード・I/米国(USPSTF)の推奨グレード・対象外「米国では、Aは推奨するレベル、Bは合格ライン。CやDは禁止レベルです。Iはエビデンス不十分、それ以外は対象外。日本ではA、Bは推奨レベルですが、Cは『利益が不利益とほぼ同等』とし、住民検診などの対策型では推奨していません。Iはエビデンス不十分(人間ドックなどの任意型検診では個人の判断による)」日本と米国で共に推奨レベルAなのは唯一、大腸がんの便潜血検査だけだが、海外では50〜75歳で行うのに対し、日本では40歳以上と年齢制限が異なる。子宮頸がんも21〜65歳の細胞診は推奨レベルが米国ではA、日本ではBと異なる。乳がん検診のマンモグラフィーは日本も米国も推奨レベルBだが、日本では米国より10年開始が早い。そして、米国で推奨されていないのに日本では実施されている検査のほうが多い。胃がん検査は米国ではどれも推奨されておらず、大腸がんの注腸X線検査も対象外。乳がん検診も50歳以上のマンモグラフィー以外は推奨されていない。「米国ではA、B以外の検査対象のがんは、検診しなくてもいいがんとみなされているのです」これほど米国で異なるデータが開示されても、日本では変わらず定期的ながん検診で、若い年齢のうちから推奨しているのだ。では、検診が勧められる最たる理由の死亡率について。国立がん研究センターがん対策情報センターのデータによれば、乳がん検診の受診率が上がるにつれて、上皮内がんも含む乳がんの発見率も上がっている。「“早期発見が治療につながる”のなら、早期発見で死亡率は下がるはずなのに、実際は緩やかに上がっています。発見率が上がっているのは、超のんびりがんや進行しないがんの発見が増えているからで、死亡率は減っていないのです。同様の海外の報告は、甲状腺がん、前立腺がんでもされています」「女性自身」2020年3月24・31日合併号 掲載
2020年03月19日