50年代のハリウッド黄金期を舞台に、ジョージ・クルーニー演じる世界的大スターが撮影中に誘拐された事件を描く、ジョエル&イーサン・コーエン兄弟の最新作『ヘイル、シーザー!』。このほど4月26日に36歳となるチャニング・テイタムの誕生日に合わせ、彼が美声を披露する劇中ミュージカルシーンの一部が解禁となった。歴史スペクタクル超大作『ヘイル、シーザー!』の撮影中に、主演俳優であり世界的大スターのウィットロック(ジョージ・クルーニー)誘拐事件が発生!“スタジオの何でも屋”(ジョシュ・ブローリン)は、お色気たっぷりの若手女優(スカーレット・ヨハンソン)や演技がド下手なカウボーイ俳優(アルデン・エーレンライク)など、撮影中の個性あふれるスターたちを巻き込み、プレスの双子姉妹(ティルダ・スウィントンの二役)の目をくぐり抜け、事件解決に挑むのだが…。アカデミー賞監督のコーエン兄弟と超豪華スターの華やかな競演が話題を呼んでいる本作。爽やかな笑顔とセクシーな肉体美で世界の女性を虜にしているチャニングが演じるのは、みんなの憧れのミュージカル・スター、バード・ガーニーだ。『コーチ・カーター』(’05)でスクリーンデビューして以来、アクション、青春、ラブストーリー、コメディとジャンルを問わない幅広い映画に出演し、大きな人気を獲得してきたチャニング。2012年には「ピープル」誌が選ぶ「最もセクシーな男性」にも選出され、昨年にはクエンティン・タランティーノ最新作『ヘイトフル・エイト』の重要な役どころに抜擢されるなど、人気と実力の両方を兼ね備えた俳優として大活躍中。出世作となった『ステップ・アップ』でのストリートダンスや、『マジック・マイク』シリーズで見せたストリップダンスで踊れる俳優としても有名だが、本作では色気のある歌声も披露。歌って踊れる俳優であることも、証明してみせている。今回公開された映像は、ミュージカル映画の撮影中、海兵姿に扮したバード役のチャニングが見事な歌を披露する場面。航海を前にした海兵になりきり、いったん海に出てしまえば女性との出会いがなくなることを切々と歌い上げている。その美声とセクシーな仕草は、ファン垂涎といえそうだ。本作のオファーがあった際は二つ返事で引き受けたというチャニング。「脚本には3文ぐらいしか書いてなかったんだ。6~7分のダンスと歌だよ。いままで映画で歌ったこともなかった。でも、よほどの大バカモノでなければ、コーエン兄弟からオファーがあったら当然誰でも『イエス』って言うだろう?」と、念願のコーエン兄弟作品出演であったことを明かしている。さらに、自身が演じるバードについて、「彼は歌とダンスが好きなんだよ。ミュージカルスターというものが本業なんだ。いろんなこともやっているけれど、これが彼の特技で、全てはここから始まっている」と生粋のエンターテイナーであることを力説する。本作では、映像の歌のほかにも、タップダンスにも初挑戦。約3か月の猛特訓を経て、『雨に唄えば』のジーン・ケリーを彷彿とさせる華麗なタップダンスを披露しているというから、期待していて。『ヘイル、シーザー!』は5月13日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年04月26日ブルース・ダーン、アンソニー・マイケル・ホール、ショーン・アスティンらが、シェイクスピアの『The Lear』に出演することがわかった。シェイクスピアの『リア王』を現代に置き換え、コメディとして映画化するものだ。監督、脚本は、カール・ベッサイ。撮影はロサンゼルスで行われる。その他の情報ダーンが演じる主人公は、建築家として成功したダヴェンポート・リア。4人の子供とうまくいっていないリアは、引退を前にし、パーソナルアシスタントと再婚すると発表する。欲と嫉妬にまみれた子供たちは、自分の得になるようにと、さまざまな策略を練り始める。ダーンの最新作は、クエンティン・タランティーノの『ヘイトフル・エイト』。最近はインディーズ映画『Borderland』『American Dresser』などを撮り終えている。文:猿渡由紀
2016年04月21日『エターナル・サンシャイン』『脳内ニューヨーク』など奇想天外なアイデアでヒット作を生み出すチャーリー・カウフマンが手掛け、第88回アカデミー賞にノミネートされるなど賞レースで話題を呼んだストップモーションアニメ『アノマリサ』。このほど、世界中で絶賛された本作のBlu-ray&DVD が6月3日(金)よりリリースされることが決定した。カスタマー・サービスの分野でモティベーション・スピーカーとして名声を築き、本も出版しているマイケル・ストーン。しかし、彼自身は人生に何の刺激も感じられずにいた。長いこと、誰の声であっても全て同じ声に聞こえていたマイケルは、ある日、リサという女性と出会う。彼は、唯一聞こえた“別の声”の彼女と特別な一夜を過ごすのだが…。本作は、映画界の鬼才チャーリー・カウフマンが挑む、R15指定の異色の長編ストップモーションアニメ。製作にあたっては、Kickstarter.comのクラウドファンドを通して資金が集められ、200,000ドル目標のところ、2倍の406,237ドルの予算を獲得し、多くの期待と注目の中、2015年にアメリカで公開された。公開後は米「Rolling Stone」誌が太鼓判を押したほか、数多くのメディアが2015年のベスト10に入ると評価。「Time out London」「The Times」「The Telegraph」「The Guardian」などで★5つを獲得する絶賛を受け、第88回アカデミー賞「長編アニメーション部門」ノミネートをはじめ、幾多の映画賞で受賞やノミネートを果たしている。劇中すべての登場人物は3人の声優のみで演じられており、主人公マイケルの声を務めるのは、『ハリー・ポッター』シリーズのルーピン先生や『博士と彼女のセオリー』に出演した英国俳優デヴィッド・シューリス。ヒロイン・リサの声はクエンティン・タランティーノ監督作『ヘイトフル・エイト』で本年度アカデミー賞「助演女優賞」にノミネートされたジェニファー・ジェイソン・リーが担当、トーンを抑えながらも心情を表現する、見事な声の演技で魅せている。また、マイケルとリサ以外の声はすべて『脳内ニューヨーク』のトム・ヌーナンが務めている。さらに、日本語吹き替え版ではマイケル役を内田直哉、リサ役を玉川砂記子、そのほかの声を星野充昭と人気声優が集結。日本では、3月18日(金)~21日(月・祝)に開催された「東京アニメアワードフェスティバル2016」でも招待作品として上映された。パッケージの特典映像には、カウフマンがストップモーションアニメという手法を使って描き出した舞台裏や、「ミニチュアの世界」「音楽について」などが収録され、独特の世界観がたっぷりと楽しめるようになっている。『アノマリサ』Blu-ray&DVDは6月3日(金)よりリリース、同日DVDレンタル開始。(text:cinemacafe.net)
2016年03月22日花沢健吾の原作を『図書館戦争』『GANTZ』シリーズの佐藤信介が映画化した『アイアムアヒーロー』が、「ファンタスポルト‐第36回ポルト国際映画祭」にて「観客賞」と「オリエンタルエキスプレス 特別賞」のW受賞を果たした。鈴木英雄35歳。職業は漫画家アシスタント。彼女とは破局寸前。そんな平凡な毎日が、ある日突然、終わりを告げる。徹夜仕事を終えアパートに戻った英雄の目に映ったのは、彼女の異形の姿だった。一瞬にして現実の世界は崩壊し、姿を変えて行く。原因不明の感染によって理性を失い、人を襲う謎の生命体“ZQN(ゾキュン)”で街は溢れ、日本中はパニックに陥る。標高の高い場所では感染しないという情報を頼りに富士山に向かう英雄。その道中で出会った女子高生・比呂美と元看護師・藪と共に生き残りをかえた極限のサバイバルが始まる――。2009年にビッグコミックスピリッツ(小学館)にて連載が開始され、累計600万部を超える大ベストセラーを記録した人気漫画を、大泉洋、有村架純、長澤まさみら豪華キャストで映画化する本作。本作が出品された「ファンタスポルト‐第36回ポルト国際映画祭」は、1981年より開催され、SF、ホラー、スリラー、サスペンスといったジャンルに定評があり、シッチェス・カタロニア国際映画祭(スペイン)、ブリュッセル・ファンタスティック国際映画祭(ベルギー)と並んで世界三大ファンタスティック映画祭の一つとして知られている。本作は、去る3月1日(現地時間)にポルトガル第二の都市ポルトにて開催された同映画祭のコンペティション部門にて上映され、主演の大泉さん、佐藤監督、原作の花沢氏が舞台挨拶を行い、観客から熱狂的な賞賛を浴びた。そして3月5日に行われた記者会見にて、コンペティション部門に出品された作品を対象とした各賞が発表。本作は、「観客賞」と優れたアジア映画に贈られる「オリエンタルエキスプレス 特別賞」の受賞を果たした。尚、本作は昨年10月に行われた第48回シッチェス・カタロニア国際映画祭でも「観客賞」と「最優秀特殊効果賞」のW受賞を果たしており、今回の発表で世界のファンタスティック映画祭で4冠を達成したことになる。同映画祭のディレクターであるベアトリス・パシェコ・ペレイラは、本作について「演出も演技もシナリオのクオリティも高く、コメディの要素との掛け合わせについてもオリジナリティが高い、ということがコンペティションへの選定理由のひとつです。良い映画というのは、いいストーリーといい演出がかみあっているものです。普通の人がスーパーヒーローになり、『アイアムアヒーロー』というタイトル通りにクライマックスに向け、うまく作られている。観客が主人公になったような気分で観ることができる作品だと思います。極私的な感想で言うとクエンティン・タランティーノ作品以上の衝撃でした」と絶賛のコメントをしている。また、主演の大泉さんについては「大泉洋さんのことは、宮崎駿のアニメーションに声優として出演しているので、知っていました。“普通の人”を演技することは、非常に難しい。その上で、普段と違った状況に出くわすという役柄です。時間軸の中で、演技にゆるやかな変化をつけていました。プロフェッショナルで芯のある役者だと思います」と同じく賛辞を送っていた。また、本作は今月3月29日(火)から行われるブリュッセル・ファンタスティック国際映画祭への出品も既に決まっており、ポルトガルにて大泉さんも意気込みを語っていた「世界三大ファンタスティック映画祭制覇」へ王手がかかるかたちとなった。『アイアムアヒーロー』は4月23日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年03月07日クエンティン・タランティーノ監督が自身初の本格密室ミステリーを完成させ、音楽を担当した御年87歳の巨匠エンニオ・モリコーネに初のアカデミー賞「作曲賞」をもたらした『ヘイトフル・エイト』。このほど、雪山のロッジに足止めされたワケあり&クセ者8人の中で、紅一点ながらナショナル・ボード・オブ・レビュー「助演女優賞」を受賞、またゴールデン・グローブ賞に続きアカデミー賞「助演女優賞」にもノミネートされたジェニファー・ジェイソン・リーの特別映像が解禁。サミュエル・L・ジャクソンらタランティーノ常連組も大絶賛を贈る、ヘイトフル(憎しみに満ちた)な怪演ぶりに迫った。サミュエル・L・ジャクソンをはじめ、カート・ラッセル、ウォルトン・ゴギンス、ジェームス・パークスなど、タランティーノ作品には欠かせない常連スターたちが勢揃いした本作。ジェニファーが演じるデイジー・ドメルグは、1万ドルもの賞金をかけられた重罪犯の女で、賞金稼ぎのジョン・ルース(ラッセル)に絞首刑にされるべく捕らわれの身。鎖につながれていながら、余計な言葉を発したり横柄な態度をとるため、その度ルースに殴られて顔は痣だらけだ。にも関わらず、常に不敵な笑みを浮かべているデイジーを演じたジェニファーに対し、百戦錬磨のタランティーノ組は「間近で名演を見られるのはうれしいね。彼女はデイジーそのものだ」(ラッセル)、「目を疑うほどの演技で人を圧倒する。彼女の芝居を見ると、全員が“今のを観たか?”と言い合うほどだ」(ゴギンス)、「荒っぽい役だが、喜劇的でもある。間の取り方も最高だ」(ティム・ロス)と大絶賛。「デイジーを演じる姿を見たら驚くよ。“強烈”の一言だ」と、キーパーソンを演じたチャニング・テイタムも語っている。そんなデイジーのキャラクターについて、ジェニファーは「デイジーは怖いもの知らずよ。ある意味、動物的な面もある」と説明。また、ジャクソンも「ゆがんだ性格の人物だ。頭のイカれたサイコパスだと思うかもしれないが、マリリン・マンソン的な人格を内に秘めているんだ」と分析する。ジェニファーは、今回タランティーノの作品に初参加することについて「私にとって、ものすごく興奮する出来事だったわ。だって私はクエンティンの映画がとても好きだし、彼のような人は他にいないもの。彼の作ったセリフを話せて、彼に監督してもらえるなんて信じられないわ」とその熱い想いを吐露。さらに、「彼は本当に俳優を理解している監督で、そばで見ているとよく分かるけど、本当にすばらしいの。1人の俳優から見て、言葉で表現できないわ。つまり彼にはそう、情熱がある。彼は心から俳優を愛していて、信じがたいほど熱心よ。自分はとても自由で守られているという気持ちにさせてくれるわ」と、その人柄や仕事に対する姿勢を称える。さらに、「この映画には実は高価だということをまったく感じさせない。これは70mmフィルムの映画で、ものすごく予算がかかっている作品なの。それだけ大きな作品なんだけど、彼が監督をしていると、そういったプレッシャーをまったく感じなくて済むのよ」と思いを込めてふり返った。そんな強烈なキャラを怪演するジェイソン・リーの姿を、こちらから確かめてみて。『ヘイトフル・エイト』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2016年03月05日クエンティン・タランティーノ監督の最新作『ヘイトフル・エイト』が公開されている。本作は雪に閉ざされた密室で起こる8人のキャラクターの壮絶な駆け引きを描いた作品だが、『キル・ビルVol.1』以来、久々に種田陽平がプロダクション・デザインを手がけている。密室に8人の俳優が詰め込まれ、デジタルよりも遥かに大きな70ミリカメラを使った撮影が行われたが、監督のリクエストは「セットは少し小さくしてくれ」だったいう。その真意は? 種田に話を聞いた。その他の画像日本だけでなく世界で活躍する種田は、これまでに様々な監督とタッグを組んでおり、タランティーノ作品は『キル・ビル』以来、約12年ぶりになるが「クエンティンの場合は、オーセンティックではあるんだけど、一般的な映画以上に、美術と俳優、カメラとの絡みが執拗なまでに細かい」のが特徴だという。「たとえば、(映画の前半に登場する)駅馬車のステップの“しなり具合”だったり、ドアノブの“まわり具合”だったり、俳優が小道具を使い倒すので、クエンティンが自分で持ってみて、座ってみて、芝居がしにくいと変更が入ったりします。それに彼はとにかくクローズアップが好きなので、ちょっとした違和感があるとリクエストがあるし、予想外の注文が来たりするんです」現在、多くの映画監督は撮影現場でカメラの隣ではなく、撮影されたものと同じ映像が見られるモニターの前にいることが多いが、タランティーノ監督は現在もカメラの隣で俳優の演技を見守る。さらに撮影現場には、ウルトラ・パナビジョン70という巨大で、シネマスコープよりも横長(1対2.76)の映像を描き出せるカメラが導入された。「最初に『70ミリのためにセットを少し大きくしようか?』と提案したら、クエンティンから『役者のためにセットは少し小さくしてくれ』と言われたので、70ミリのために特別、大げさなことをしたということはないんです。クエンティンから言われたのは、“インテリアが役者を包み込んでいるようなセット”。映像から考えると、もう少し広くしたほうが70ミリには映えるかなってなるんですけど、完成した映画はカットごとにムードが出ている。それはコンピュータとかCGを通して出てくる感覚とは違うんですよね」さらに横に長いフレームがスクリーンいっぱいに広がることで、“最後までひとつ空間に見えない”ほどの多様性のあるカットの積み重ねが可能になっているという。「この画面比率は、室内を撮るにはそんなに適していないんですよね。というのも、普通に撮っただけでも、広く見えてしまうんです。結果として狭く作ったセットがちゃんと広く見えるし、同じセットの中でも見るたびに違う場所に目が行くんですよ。フォーカスとライティングで、それまで気づかなかったものが見えたり、最後まで飽きることなくひとつのセットにつきあってもらえる。この映画はできるだけ大きな画面で、シネコンでも大きなスクリーンで上映されている間に観てほしいですね」『ヘイトフル・エイト』公開中
2016年03月01日「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 2016」が全ての日程を終え、2月29日(月)に閉幕した。今年も多くの俳優、映画関係者が訪れ映画祭を大いに盛り上げ、また、コンペティション部門、招待作品の上映でも意外なドラマが…!1990年に始まり、その後、夕張市の財政破綻のあおりを受け一度は中断するも、2007年には有志による「ゆうばり応援映画祭」が開催され、2008年より復活。今年で通算26回目、復活後では9回目の開催となった。オープニングを飾ったのは岡田准一主演の『エヴェレスト 神々の山嶺』という、ゆうばりにぴったりの雪山ムービー!平山秀幸監督が舞台挨拶に登壇したが、過去に2度にわたって同映画祭で審査員を務めた経験がある平山監督の凱旋に温かい拍手と声援に包まれた。映画祭ゲストでは、「ニューウェーブアワード」で勝地涼&杉咲花が来場。また『セーラー服と機関銃 -卒業-』で映画初主演を飾った橋本環奈のゆうばり初参戦に、上映日は会場前に朝から長蛇の列が!このほか、現在放送中の月9ドラマ「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」で注目を浴びている森川葵が、主演映画『ドロメ』を携えて、同じく小関裕太と共に来場。また『ドクムシ』に出演する村井良大、秋山真太郎(劇団EXILE)など、人気の俳優陣が夕張の地を訪れ、多くの若いファンが会場に足を運んでいた。ゆうばりのコンペティション部門は新人発掘の色合いが濃く、これまでもクエンティン・タランティーノ、入江悠、山下敦弘などが同映画祭から巣立っていったが、今年も多彩な才能が集結!グランプリ受賞の『孤高の遠吠』(小林勇貴監督)は、監督が地元の友人の身に起きた事件をベースに、不良の世界に巻き込まれていく少年たちの姿を描いており、俳優として地元の本物の不良たちを起用している。審査員講評で「犯罪的」と言われるように過激な描写を含め、生々しく“反抗者”たちの姿を切り取った。また、審査員特別賞受賞の『脱脱脱脱17』の松本花奈監督は18歳の現役高校生!授賞式の壇上では感激のあまり涙を見せた。さらに翌日の「さよならビュッフェ」で発表された観客投票による「ゆうばりファンタランド大賞」も受賞!本作はもちろん、この恐るべき才能が今後、どのような軌跡を辿っていくのか楽しみだ。そして、授賞式後にさらに会場をわかせたのが、今年のゆうばり最大の問題作と言えるかもしれないキム・ギドク監督の最新作『STOP』。福島の原発事故に遭遇した夫婦のその後をフィクションを交えつつ描いているが、かなり過激な描写が含まれており、熱烈なファンが多いキム・ギドク作品といえども果たして今後、日本で公開できるのか…?急遽、夕張を訪れたギドク監督は、上映後の質疑応答にも登場したが、「原発の問題は日本だけではなく地球全体の問題」と語り、本作に込めた思いや製作過程での苦労を語った。監督は、これまで本作を日本の主要ないくつかの映画祭に出品しようと試みるも通らなかったと明かし、同作の上映に踏み切ったゆうばり映画祭の“勇気”に感謝。映画祭の塩田時敏プログラミング・ディレクターは「ゆうばりにタブーはない!」と言い切ったが、こうした問題作を躊躇なく受け入れるところはまさに同映画祭ならではと言える。また、劇場公開前にひと足早く、招待作品として話題の映画を鑑賞できるのは映画祭ならではの魅力だが、今年は特に、タイムリーかつ話題の作品が多数上映!毎年、映画祭最終日(5日目)は米アカデミー賞の授賞式と重なり、さよならビュッフェの会場やプレスルームでも「○○が獲った!」「▲▲が3部門目!」といった情報が飛び交うが、今年は『ルーム』、『ブルックリン』、『レヴェナント:蘇えりし者』という作品賞をはじめ、主要部門に多数ノミネートされている超話題作が連日上映され、会場は多くの観客で埋まった。『ルーム』のブリー・ラーソンは主演女優賞を獲得!『レヴェナント』でアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督が昨年の『バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』に続き2年連続の監督賞に輝き、そして、レオナルド・ディカプリオが悲願の主演男優賞受賞を果たした。『レヴェナント』が日本の観客のために上映されるのは、このゆうばりが初めてであり、おそらくこの貴重な機会に鑑賞した夕張の人々もレオの受賞を喜んでいるだろう!オープニングの『エヴェレスト』同様に雪の中でのシーンの連続の映画であり、様々な点で同映画祭のクロージングにぴったりの映画となった。「さよならビュッフェ」が終わると、ゲスト、東京から来た報道陣はバスで空港へ。市民の人々やボランティアスタッフが黄色いハンカチを振ってバスを見送るという恒例の光景が繰り広げられた。【受賞一覧】■オフシアター コンペティション部門グランプリ:『孤高の遠吠』(小林勇貴監督)審査員特別賞:『脱脱脱脱17』(松本花奈監督)北海道知事賞:『親切ですね』(ソ・ジェイク監督)シネガー・アワード:『バイバイ、おっぱい』(鋤崎智哉監督)スカパー!映画チャンネル賞:『親切ですね』(ソ・ジェイク監督)スペシャルメンション:『いろんなにおいのワカモノだ』(伊藤祥監督)■インターナショナル・ショートフィルム・コンペティション部門グランプリ:『かたすみの鱗』(石谷恵監督)審査員特別賞:『イカロスと息子』(眞田康平監督)優秀芸術賞:『フォトグラファー』(ユ・ジェヒョン監督)/『ジョニー・エクスプレス』(ウ・キョンミン監督)/『New』(有馬將太監督)■ゆうばりファンタランド大賞大賞:『脱脱脱脱17』(松本花奈監督)イベント賞:『セーラー服と機関銃 -卒業-』市民賞:フールジャパン鉄ドン人物賞:ジェシー・リー(『レヴェナント 蘇りし者』配給の20世紀FOX映画日本代表)(text:cinemacafe.net)
2016年03月01日新しい春の始まり、4月1日といえば、もちろんエイプリルフール。毎年、映画界でも必ず何かしらの公然“ウソ”企画が催され、盛り上がりを見せているが、今年はこの日を前に、“ウソ”が鍵となる映画が続々と登場。家族が繰り広げるドタバタ群像劇や密室ミステリー、さらには法廷サスペンスまで、目の肥えた映画ファンからカップル、もちろんおひとりさまも楽しめる、この春の“ウソ”映画に迫った。●晩餐会のメインディッシュは“ウソ”!?『クーパー家の晩餐会』(公開中)1年に1度、クリスマスに集まるクーパー家。秘伝のレシピによるご馳走が並ぶ晩餐会に、それぞれが持ち寄ったのは色とりどりの“ウソ”!? ダイアン・キートンとジョン・グッドマン演じるクーパー夫婦は、翌日に離婚することを家族みんなに隠している。また、オリヴィア・ワイルド演じる娘エレノアはニセの恋人を連れていこうとしているし、エド・ヘルムズ演じる息子のハンクは家族にリストラを言い出せない。しかし、予期せぬハプニングから、みんなのウソが次々とバレていくことに。果たして、最悪のディナーの最高に美味しい結末とは――?監督を『I am Sam アイ・アム・サム』のジェシー・ネルソン監督が務めており、ほかにもマリサ・トメイ、アマンダ・セイフライドほか人気俳優やアカデミー賞受賞の実力派ら超豪華キャストを迎え、愛とユーモアに満ちた感動作に仕上がっている。●“ウソつき”8人の密室ミステリー!『ヘイトフル・エイト』(公開中)猛吹雪のロッジに閉じ込められた、境遇も職業もバラバラの8人。そんな中で起こる殺人事件。わかっているのは、全員が“ウソ”をついているということだけ。犯人は?動機は?8人の本当の関係とは?ブラックな笑いと過剰なアクション満載の一夜が幕を開ける――。『イングロリアス・バスターズ』『ジャンゴ 繋がれざる者』などで映画愛に満ちたバイオレンス・アクションの世界を究め、世界の映画祭で数々の栄冠を奪取してきたクエンティン・タランティーノ監督が第8作目に仕掛けたのは、初の密室ミステリー。初監督作『レザボア・ドックス』を彷彿とさせながら、さらなる進化を遂げ、タランティーノ史上最高傑作との呼び声も。サミュエル・L・ジャクソンら“常連組”やアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたジェニファー・ジェイソン・リーら、キャスト陣の怪演にも注目。●法廷のキアヌは“ウソ”を見破れるか?『砂上の法廷』(3月25日公開)ある大物弁護士が殺害された。容疑者として逮捕されたのは、17歳の息子。開廷された裁判では、被告の母でもある被害者の妻ら証言台に立つ誰もが“ウソ”をついていた。果たして、弁護を引き受けた敏腕弁護士のラムゼイはこの絶対不利な状況で、真実に辿り着けるのか――?続編も製作中の『ジョン・ウィック』でアクション俳優として“完全復活”を遂げた、みんな大好きキアヌ・リーブスの最新作は、法廷サスペンス!キアヌが正義の敏腕弁護士に扮し、被告の母親役をレニー・ゼルウィガーが熱演する本作の裁判は、94分、観客が騙され続けるという…。あなたは、彼らの“ウソ”を見抜けるか!?その先に待っている、まさかの真実を見逃さないで。(text:cinemacafe.net)
2016年02月28日人気ドラマ「ブラックリスト」の出演者、ライアン・エッゴールドが昨年12月に来日。前編に続き、インタビューの模様をお届けします。FBI捜査官のヒロイン、リズの理解ある夫として登場しながら、徐々に裏の顔を見せ始めるトム・キーン。エピソードが進むにつれてリズの運命が激変していくように、トムを取り巻く状況も刻一刻と変化していきます。それに伴い、かつては幸せな夫婦だった2人の関係も当然のことながら変化。ある時は疑念の中で互いの腹を探り合い、またある時は決裂し、敵対関係と言えるほど険悪に。しかしながら、互いへの愛は消せないようで、リズはトムとの縁を断ち切ることができず、トムはリズのピンチに何としても駆けつける献身ぶり。シーズン3を迎えたいまも、2人の愛が物語をロマンティックにしています。「僕もリズとトムの関係は本当にロマンティックだと思う。素晴らしいよね。2人にとっては、世界で唯一心が開ける相手がお互いだけなんだ。それを彼らは誰よりもよく分かっているのだと思うよ。リズを大切に思っているのはレッドも同じだけど、彼の場合はリズを常にリードして操っているから少し事情が違う。その点、リズとトムは、お互いがお互いのライフラインになっているんだ。彼らの置かれている状況はカオスそのものだけど、いつかは一緒に幸せになれる日が来ればいいね」。トムのリズに対する密かな献身も非常にロマンティックですが、演じるライアンもロマンティックな考え。そんな彼の心中を知ってか、視聴者の反応もだいぶ変わってきたそうです。「最近は、僕ら2人の仲を応援してくれる視聴者が多いみたいだね。街を歩いていても、『がんばって!』なんて優しい言葉をかけてもらえるようになったよ。以前はリズを投げ飛ばしたりしていたから、だいぶ非難されていたんだけどな…。最近のトムは心を開き、人間らしい弱さを見せ、リズへの愛を口にしたりもしているから、それが視聴者の方々に優しくしてもらえる理由かもしれないね(笑)」。ちなみに、ライアン自身にもワイルドでミステリアスでカッコいいトム・キーンのような面があるのかと訊くと、即答で「ノー」。「残念ながら、僕自身はトムほどエキサイティングな男じゃないんだ」と続けます。「シーズン1の最初の頃、学校の先生を装っていた時の彼の方が、僕自身には近いかな。トムの方が僕よりスパイとして有能なのは確かだね。誠意があるのは僕の方だけど…。でも、最近の彼からは誠意も感じられるから、いい勝負なのかな?とは言え、彼はやっぱりスパイだからね。人を欺き、操るのがすごく上手いんだ。そういうことは、僕は絶対にしないね」。最後に、俳優ライアン・エッゴールドについても少しだけ語っていただきました。「これからも多面的でダイナミックな役を演じていきたい。尊敬する俳優は山ほどいるけど、今ぱっと思い浮かんだのはマーク・ラファロかな。一緒に仕事したい監督もたくさんいるよ。デヴィッド・O・ラッセルに、ポール・トーマス・アンダーソンに、クエンティン・タランティーノに…、あと30人は挙げられる(笑)。あと、俳優になった以上、いつかは舞台でハムレットを演じたい。大変だと思うけど、挑戦してみたいんだ」。「ブラックリスト シーズン3」は海外ドラマ専門チャンネル スーパー!ドラマTVにて毎週火曜よる22時~(二カ国語版)、毎週火曜深夜0時~(字幕版)放送中。「まだ間に合う!ブラックリスト シーズン3」3月26日(土)第1~5話を一気にキャッチアップ放送。第6話~10話は4月放送予定。(text:Hikaru Watanabe)
2016年02月28日「世界で一番、楽しい映画祭」をキャッチコピーに掲げる「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016」が2月25日(木)に開幕!オープニングセレモニーに勝地涼、杉咲花、オープニング作品『エヴェレスト 神々の山嶺』の平山秀幸監督らが登壇した。1990年に始まり、クエンティン・タランティーノをはじめ、多くの才能ある映画監督を発掘するも、2006年に夕張市の財政破綻で開催が中止。その後、有志による「ゆうばり応援映画祭」(’07)を経て復活し、今年で通算26回目の開催となる。昨年までメイン会場として使用されていた旧市民会館の「アディーレ会館」が、老朽化のため使用不可能となり、今年から学校の校舎を改築し、現在は宿泊所として使用されている「合宿の宿ひまわり」を利用。バスケットボールのゴールが残っており、かつての体育館の建物をメイン会場として使用する稀有な国際映画祭となっている。目覚ましい活躍を遂げ、今後、さらなる“新たな波”を起こすことが期待される映画人に贈られる「ニューウェーブアワード」では勝地涼が男優部門、女優部門には杉咲花、そしてクリエイター部門に『ビリギャル』のヒットが記憶に新しい土井裕泰監督を選出した。勝地さんは2010年以来の夕張再訪となるが「以前参加したとき、温かく迎えていただいたことをいまでも覚えていて、今日も、空港からの道中、みなさんが手を振ってくださり、『おかえり』と声を掛けていただき感動しました!このような形で帰ってこられて嬉しいです」と喜びを語る。歓迎の市民の中に、今年出品される『セーラー服と機関銃 -卒業-』に合わせて、セーラー服を着用し、機関銃を持ったおばあちゃんを見つけたそうで「本当に、映画が好きな人たちの街なんだなと思いました」とニッコリ。そして「今年で30歳になりますが、節目の年で賞をいただき、身が引き締まる思いです。これからも新しい波を起こし、自分にしかできない芝居を見つけていけたらと思います」とさらなる飛躍を誓った。杉咲さんは昨年の「日経トレンディ」の「2015年の顔」に選出され、ドラマ「学校のカイダン」、映画『トイレのピエタ』、『劇場版MOZU』など、期待にたがわぬ存在感を見せつけ、今年は朝ドラ「とと姉ちゃん」への出演も控える。杉崎さんは尖ったトロフィーを受け取ると「かわいいトロフィーですね」とニッコリ。「ここに向かってきている時、寒い中、みなさんが待っていてくださり、手を振ってくださって嬉しかったです。私が関わらせていただいた作品をみなさんに観ていただけたら嬉しいです」と呼びかけた。土井監督は、最近ではドラマ版「コウノドリ」の演出を手掛けるなどTV、映画で活躍。「いままでで最年長のニューウェーブかと」とおどけつつ「ドラマの演出は20年以上、映画を始めて10年ちょっとになりますが、映画は僕にとって特別な存在であり、永遠の憧れ。ゆうばり映画祭は、映画を愛している人たちが作っている映画祭であり、そこで評価されることは光栄です。新たな波を起こせるように精進したいです」と受賞の喜びをかみしめていた。また、岡田准一主演でヒマラヤの標高5200メートルの地点での撮影した『エヴェレスト 神々の山嶺』をオープニング作品として携え、約10年ぶりに夕張の地を踏んだ平山監督は「バスから降りて『おかえり』と声を掛けていただいた方の中に顔見知りがいっぱいいました」としみじみ。「10年ぶり、それも新作を持って帰ってこられて嬉しいです」と顔をほころばせた。過酷な自然の中で、岡田さん、阿部寛らの雄姿をヒマラヤでカメラに収めたが、平山監督は「最初に岡田さん、阿部さんと話をした時『ほっといてくれ』『かまわないでください』と言われたんです。山の上に行くと自分のことは全て自分でやらないといけない。手がかからない俳優さんたちでした」と振り返る。迫力の映像については「スタントを使っておりません!全カット本人がやってます!」とこれから映画を鑑賞する観客を前にその出来栄えについて自信をのぞかせていた。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭は2月29日(月)まで公開。(text:cinemacafe.net)
2016年02月26日●「業界の慣習」を超えた再タッグ映画を作っているのは誰だろうか。役者を除けば真っ先に思い浮かぶのは監督だが、監督だけで映画が作れるわけではない。プロデューサー、脚本家、音楽家、照明に録音、編集と、多くのスタッフが関わって一本の作品を作り上げている。中でも美術監督は映画の舞台となる空間を作り上げる責任者であり、監督の思い描く世界を再現する重要なポジション。監督にとって自分の作品の美術監督を誰に依頼するのかは、映画の成否に関わる一大事なのだ。そんな美術監督として、ハリウッドを代表する監督であるクエンティン・タランティーノ氏の最新作『ヘイトフル・エイト』(2月27日公開)に参加するのが種田陽平氏だ。過去には『キル・ビル Vol.1』の美術監督も担当しており、コンビを組むのは今作が二度目となる。『ヘイトフル・エイト』はタランティーノ監督初となる密室ミステリー。舞台は吹雪のロッジ、登場人物は足止めを食らったワケありの8人の男女。そこで起きる殺人事件から、物語は思いもよらぬ方向に展開していく。ストーリーは閉ざされたロッジのみで展開されるため、狭いワンルームが本作の世界のすべてといっても過言ではない。同作の世界そのものともいえるロッジを作り上げたのが種田氏である。『キル・ビル』以来となるタランティーノ×種田コンビはいかにして実現したのか。そして種田氏は『ヘイトフル・エイト』の世界をどのように構築していったのか。種田氏に制作の舞台裏を聞いた。――タランティーノ監督とお仕事をされるのは『キル・ビル』以来ですよね。今回、どのような形で依頼がきたのですか?種田:話がきたのは2014年の8月だったかな。『ヘイトフル・エイト』のプロデューサーから電話があったんです。クエンティンが今作の美術監督を僕に頼みたいと言っていると。普通はメールで話がくるんですが、電話でしたね。スケジュールを確認して、OKしました。ちょうど『思い出のマーニー』が終わったところだったのでいいタイミングだったんです。ただ、クエンティンが僕に頼みたいと希望しても、そう簡単にはいかなくて。というのも、ハリウッドは基本的にコンペ方式で美術監督を決めるからなんですよ。――えっ、監督本人が指名しているのに、それでもコンペをするんですか?種田:そうなんです。特に僕のような海外の人間が美術監督――プロダクトデザイナーとして入ることはさまざまな制限があるんです。ハリウッドメジャーには業界団体であるユニオンがあって、基本的によそ者が入り込んで美術監督をすることはできないんですよ。――『キル・ビル』のときは?種田:あれはノンユニオンの映画でしたから。それに撮影場所が中国や日本だったから大丈夫だったみたいです。アメリカだとダメだったでしょうね。ただ、それでもクレジットにユニオン以外の人間の名前が入ると、プロデューサーがユニオンに呼び出されて事情を説明しないといけないみたいですよ。――そんな裏話があったとは……。種田:だから、監督が「この人とやりたい」と言っても、ユニオンだとコンペ方式になるので、プロデューサーが何人か用意するんですね。ところがタランティーノ監督の場合はちょっと違って、ぜんぶ彼が決めるんです。プロデューサーの権限はなくて、ぜんぶタランティーノ監督が決める(笑)。――タランティーノ監督のイメージ通りです(笑)。種田:だから僕に声をかけてもらったときも、一応面接はするから、台本を読んでイメージ画を描いて持ってきてほしいと言われました。その台本がまた難しかった。というのは今回、セリフも多いし、登場人物の位置関係が難しいんですね。しかも、タランティーノ監督は台本にものすごく書き込むんですよ。たとえばオープニングで雪の中に立っているキリスト像がありましたが、あれも「いわゆるヒッピー的なキリストの顔立ちではなく、エイデンシュタインの『イワン雷帝』のような出で立ちをした、北欧彫刻のような、この場にふさわしくない像」とか書いているんです。――こ、細かいですね。もう監督の頭の中に出来上がっているんですね。種田:そう。それで面接に備えて、いくつかイメージ画を描いて持っていったんですが、監督はほとんど見ず、「おまえと一緒にやりたかったんだよ!」みたいな話に終始しました(笑)。――(笑)。コンペ方式にしたけど、監督の中では決まっていたんでしょうね。種田:僕に決まったと連絡が来たのは9月に入ってからだった。そして、ロケ地は標高3000mくらいの場所で、12月から撮影を開始したいと監督は希望していた。11月にはもう雪が降りだすだろうし、撮影前に高地にロッジが建ってないといけないでしょう。これはやばいとなって、決まったと同時にロケハンに行ったんです。●タランティーノ監督の"規格外"な画づくりの仕掛け――厳しいスケジュールですね。タランティーノ監督の頭にあるロッジをどのようにして具現化していったのですか?種田:その話をするにはまず、今回の作品の特徴からお話した方がいいですね。『ヘイトフル・エイト』は70mmフィルムで撮影された映画です。――通常の映画で使われる35mmフィルムに比べて、ワイドかつ高画質なフィルムですね。種田:そう。それからピントの合う範囲が狭くて、たとえば人物の目にピントを合わせると、すぐ後ろはもうボケてしまうという特徴もあります。だからフォーカスするのが大変で、ベテランのフォーカスマンがやっています。日本だとフォーカスマンって新人の仕事なんですけどね。――レンズもすごいですよね。種田:あの『ベン・ハー』で使われたレンズを使っていますからね。一つ10kgくらいある(笑)。それも一つじゃなくて、シーンによっていろいろ使い分けているんです。――ピントが浅い70mmフィルムで、しかもレンズもいろいろ、ですか。種田:そうなると、どうなるか。『ヘイトフル・エイト』の物語は15m四方くらいの小さな部屋で展開するのですが、ワンルームなのに部屋の全貌が観客に見えにくくなるんです。何しろレンズの焦点距離が変わるので、遠近感がどんどん変わる。あるカットでは暖炉から扉までが遠く見えるのに、あるカットでは近く感じたりします。――しかもピントが浅いから、人物の背景がよくわからない。種田:映画中盤でシチューを食べるシーンなんか、「えっ、テーブルがあったの!?」って驚くんじゃないですか(笑)。ピアノもそう。最初からあるんだけど、観客が画面に観るものはどんどん変わる。70mmフィルムじゃないとこうはならなかったでしょうね。もちろんクエンティンは意図的にそうしています。そうでないと、いくらシナリオがうまくできていても、美術が面白いセットをつくっても、お客さんはこの密室劇に30分くらいで飽きてしまうでしょう。――言われてみれば納得です。種田:それから光の当て方――撮影監督によるライティングもワンカットごとに相当工夫されていた。これはタランティーノ監督というより、アメリカの考え方なんですが。――というと?種田:日本やアジアの映画はカットのつながりを重視します。だからカットが変わっても光が当たる方向が変わることを嫌う。その結果、全体的に光を当てることが多いんです。――強い影がなくて、まんべんなく明るい状況ですね。種田:ところがアメリカでは、役者と背景を切り離すために逆光でライトを当てることが多い。たとえば黒い服で背景がグレーだと溶けこんでしまうから、背中側からライトを当てることで輪郭を際立たせたりする。――逆光で写真を撮ると髪の毛の輪郭がふわっと明るくなるのと同じですね。種田:ところが、全カットそれをやるわけにはいかないから、日本の場合は光を回すんですね。――アメリカではあまりライティングのつながりを気にしないんですね。種田:……と、そういった日本とは異なる撮影事情をふまえてセットを造る必要があるんです。――おもしろいですね。たとえばどんなところに気をつけたのでしょうか。種田:たとえば入口付近の天井を見てほしいのですが、この天井をスリット状にしているんです。実際に丸太を組んで、その上に天窓を作りました。こうすると光が通るので、入り口に立った俳優の頭上から光が射すんです。――先ほどの逆光と同じで俳優が浮かび上がるわけですね。種田:この天井は取り外せるようになっていて、上にものを置くことができるという設定にしました。それから、扉や壁にわざと隙間を作りました。――えっ、実際の雪山で撮影しているのに?種田:ロッジは隙間だらけじゃないと、と監督がこだわったんです。一応、暖炉はあるけど寒くて、登場人物の吐く息は白くならないとだめなんだというのが監督の要求だった。雪も吹き込んでいたでしょう。――す、すごいこだわりですね……。さすがタランティーノ監督。種田:でも夜のシーンはね、さすがに無理なんですよ。雪山で撮影するのは。――凍え死んでしまいそうですね。種田:そこでハリウッドのスタジオにまったく同じセットを用意したんです。――夜のシーンを撮影するためだけに?種田:そうです。雪山は寒いけど、ハリウッドは暖かいんですよ。冬とはいえ、気温が30℃くらいある日もある。その中で、役者は猛吹雪の零下の世界にいるという演技をしないといけない。――俳優の演技力が問われますね。種田:それがですね、クエンティンが言うには「そういう今風の撮り方に迎合していると役者の本気が出てこない」と(笑)。暖かいところでやっても寒がる芝居にはならないと言うんです。それで、セットを建てたステージをぎんぎんに冷やしてね。大きなトラックを6台用意して、それに巨大な冷凍装置を載せ、スタジオを-5℃まで冷やしたんです。しかも、一度冷凍装置を止めてしまうと気温が戻ってしまって、なかなか冷えなくなるから、24時間フル稼働で動かすんですよ。撮影期間が2カ月くらいだったので、その間ずっとかけっぱなし。もう、めちゃくちゃお金がかかるんです(笑)。――やることが桁違いですね……。そういう現場に撮影期間、ずっとついてらっしゃるんですか?種田:いや、ずっとはつかないですね。日本だと撮影現場にいることが多いんですが、アメリカだと次の撮影の準備をすることが多いです。雪山でクエンティンが撮っているならハリウッドのスタジオで準備をしているし、逆もある。雪が降ることも計算に入れて、翌日の撮影で雪の量がちょうどよくなるように現場を作ったり。――現場が二つあると大変ですね。種田:呼び出されることもあるんですけどね。クエンティンが「(ロッジの)柱を外す!」って言い出して、大丈夫なのかってことで呼ばれたり。しょっちゅう問題は起きます。――システムがぜんぜん違いますね。種田:良い悪いじゃなくて、国によってさまざまなんですね。ハリウッドとニューヨークでも違うし、ロンドンとドイツ、イタリアでもまた違う。――『ヘイトフル・エイト』はまさにタランティーノ監督ならではのこだわりがつめ込まれた映画なんですね。種田さんが作り上げたロッジの細部にまで注目して観てほしいです。本日はありがとうございました。
2016年02月26日デミアン・ビチルが、リドリー・スコット監督の『Alien: Covenant(エイリアン:カバナント』に出演することがわかった。2012年の『プロメテウス』の続編で、ノオミ・ラパス、マイケル・ファスベンダー、ダニー・マクブライドらが出演する。ビチルの役柄は、わかっていない。撮影はオーストラリアで行われる予定。北米公開は2017年10月6日。その他の情報ビチルの最新作は、現在北米公開中のクエンティン・タランティーノ監督作『ヘイトフル・エイト』。スコット監督の最新作は、オスカーに作品部門、主演男優部門ほか7部門でノミネートされている『オデッセイ』。『オデッセイ』はこれまでに全世界で6億2000万ドルを売り上げており、スコット監督のキャリアで最高のヒット作となっている。文:猿渡由紀
2016年02月24日タレントの矢口真里、お笑いコンビの品川庄司が21日、都内で行われた、映画『ヘイトフル・エイト』の公開直前イベントに出席した。27日から全国公開する本作は、クエンティン・タランティーノ監督による密室ミステリー作品。"嫌われ者"を意味するタイトルにちなんでキャスティングされた3人は、お揃いのTシャツ姿で登場。「地位も名声もないのに、嫌われて割りに合わない」と不満顔の品川祐は、「大きい事件も起こしてないのに、ずっと嫌われてる。僕が地球を救っても、『救世主面しやがって!』と言われると思う」とこぼしていた。一方、「私は事件があったから、"嫌われ者"を自負しております!」と意気揚々とイベントに挑んだ矢口は、「順調に嫌われてるけど、強くなって精神を鍛えられた。今日も"嫌われ者"として呼ばれて、芸能界ってすごい」と飄々とした表情。「すれ違う世間の人たちは優しい。ただ、ネットでは……。バラエティー番組ではちょっとリップサービスをしないとテレビ局が喜ばないので、視聴者の方は温かい目で見て欲しい。鋼の心で頑張ります!」と気丈に意気込んでいた。過去、不倫騒動で離婚後、芸能活動を休止した矢口。イベント終了後の取材で、現在、不倫騒動の渦中にあるタレント・ベッキーの話題になると、「今悩んでいるすべての方に」と前置きしながら、「人生は一度きり。何かを乗り越えれば強くなるので、諦めずに突っ走ってほしい」とエール。また、妊娠や出産の明るい話題になると、「ハロプロのラッシュがすごい。幸せになるメンバーがいてうれしい」と祝福しつつ、「私の中ではまだ早いかな。品川さんに『太った?』って言われたけど、妊娠ではございません!」と自身の再婚&子作り宣言は出なかった。
2016年02月22日矢口真里と「品川庄司」が2月21日(日)、クエンティン・タランティーノ監督最新作『ヘイトフル・エイト』の試写会に“ヘイトフル(=クセモノ・嫌われ者)”代表として登壇した。品川さんは元々、タランティーノの大ファンということで、作品について「自分自身のこれまでの作品に対するオマージュというか、『レザボア・ドッグス』のようなところや『イングロリアス・バスターズ』っぽいところもあり、『ジャンゴ繋がれざる者』のような話でもあり、タランティーノの必殺技が詰まってます!」と熱弁をふるう。庄司さんは極寒の中での撮影について「タランティーノのこだわりで、スタジオ撮影に入っても、温度を下げて白い息を吐かせていたらしい」と得意げに語るが、品川さんから「さっき、出てくる前に聞いたばかりの情報じゃねーか!あたかも自分で調べたように…すごいな、お前」と突っ込まれ苦笑。矢口さんは8人の登場人物の中の紅一点のジェニファー・ジェイソン・リーに触れ「普通のチヤホヤされる紅一点とは真逆!ハンパなく凄まじいです。タランティーノのは男女差別なく、容赦なくいってて…」と語るが、ここでもすかさず品川さんから「それもさっき聞いたばかりの情報じゃん!すごいね…」と突っ込まれ、慌てて「本当にそう思ってたんです!」と強弁し“嫌われ女”の片鱗をうかがわせた…。自らの嫌われっぷりについて、矢口さんは「自負しております」と堂々としたもので「順調に嫌われています。その中で精神的に鍛えられて強くなってます」とも。一時期の騒動を振り返り、映画に絡めて「賞金首くらいの感じで、記者に追われて『あいつの首を獲ったれ!』というくらいの感じで家を囲まれた」と語った。また「世間の方は、すれ違っても優しくて、変な目に遭ったことは一度もない」と語る一方で、「ネットは私の発言にすぐバーッとなるので、事務所からも『気を付けろ』と言われてます。バラエティ番組が多いので、どうしてもリップサービスをしないと局の人も喜ばないので…」と盛り上げるためにリップサービスをするほど嫌われてしまうという、“嫌われタレント”の苦悩を垣間見せた。「ネットを見ると、私はとっぽんぎの高級風俗店で働いていたらしいです(苦笑)」とインターネット上で好き勝手に拡散されるデマについても言及した。年明け以降、様々な芸能ニュースが夜を騒がせ、様々な芸能人が“嫌われ者”として槍玉にあげられているが、矢口さんは“先輩”として「大変な時を過ごしてる方も、人生は何か乗り越えたときに強くなるので、そのまま突っ走って!」とエールを送っていた。『ヘイトフル・エイト』は2月27日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年02月21日クエンティン・タランティーノ監督初の本格密室ミステリーとなる長編第8作『ヘイトフル・エイト』。このほど、愛あふれる“映画オタク”として知られるタランティーノ監督が、全米公開時にも話題を呼んだ70ミリフィルムでの撮影について、その思いを明かしてくれた。舞台は、南北戦争直後のある山の上のロッジ。登場人物は吹雪で足止めを食らい、一夜をともにすることになったワケありの7人の男と1人の女。そこで起こる殺人事件。ぶつかり合う“嘘”と“嘘”、やがて浮かび上がる予想外の“真相”。雪の密室に閉じ込められたクセ者8人のうち、生き残るのはいったい誰!?オープニングからすべての会話と視線、何気ない身振りに巧妙かつ緻密な伏線が仕掛けられ、タランティーノ印のブラックな笑いと過剰なアクションがかつてない密室ミステリーを彩る本作。先日の第73回ゴールデン・グローブ賞では、巨匠エンニオ・モリコーネが「作曲賞」を受賞。第88回アカデミー賞では、怪演を見せるタランティーノ作品初参加のジェニファー・ジェイソン・リーの「助演女優賞」ほか「作曲賞」「撮影賞」(ロバート・リチャードソン)にノミネートされている。現在の映画界は、デジタルの台頭で伝統的なフィルムでの映画撮影は廃れつつある。その状況を憂いたタランティーノは、2014年、映画会社やクリストファー・ノーラン、J・J・エイブラムスらと協力して、老舗フィルムメーカー、コダックがフィルムを製造し続けられるよう救済に乗り出した。そのコダックの全面協力によって実現を果たしたのが、本作なのだ。全米公開時にも、昔ながらのワイドスクリーンで投射する70ミリフィルムでの限定公開は話題となった。なぜ、70ミリにこだわるのか?タランティーノは、「寒々とした雪の風景や、ロケーションの美しさを表現するには70ミリが最適だ」と語る。「僕は処女作『レザボア・ドッグス』のときから分かっていた。あの映画は終始、倉庫の中で展開するにも関わらずシネマスコープだったので、みんなに言われたものだ。『倉庫の中で撮影するのに、君は処女作をシネマスコープで撮影しているのか?』とね。こういう大きなフォーマットは、さらなる親密さをもたらしてくれると、僕は信じている。クローズアップで大きく映し出されると、その映画のキャラクターの内面に侵入できる感じがするんだよ」と持論を熱弁。続けて、「映画では、『アクション!』の掛け声で、撮影現場に特別な魔法が訪れる。『カット!』と叫んでテープが止まるまでね。それは聖なる時間、特別な時間だ。人々は手を止めて撮影を見守る。そこにお金と時間がつぎこまれる。フィルムがカメラを通過して映像を刻み込む。誰もそれが当然だとは思っていない。特別な経験だよ」とその思いを明かしている。そんな特別な想いを抱いているのは俳優陣も同じだったようで、本作で、元騎兵隊の少佐で賞金稼ぎのマーキス・ウォーレンを演じるサミュエル・L・ジャクソンは、70ミリフィルムでの撮影は「観客を映画の美しさやそのスケールの虜にするためのとても効果的な要素への力強いオマージュだ。それはハリウッドをかつての巨大なステージへと戻すものだ。ある意味ではこの映画自体に壮大な景色という要素があるわけだし、ここで細かく描かれているディテールにはすっかり心を奪われるよ」と語り、その出来に太鼓判を押している。日本では残念ながら70ミリ上映は“物理的な理由”から実現される予定はないものの、スクリーンではタランティーノがこだわりぬいた映像を、70ミリフィルムと同じワイドな画角で堪能できるという。『ヘイトフル・エイト』は2月27日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年02月09日バイオレンス・アクションの世界を究め、アカデミー賞など数々の栄冠を奪取してきたクエンティン・タランティーノ監督が、長編第8作目にして初の密室ミステリーに挑戦した『ヘイトフル・エイト』。既に解禁されている日本版の予告映像に継ぎ、新たにタランティーノ監督自身が、特別出演する“本当の”予告映像がこのほど到着した。舞台は山の上のロッジ、登場人物は吹雪でロッジに足止めを食らい、一夜をともにすることとなったワケありの7人の男と1人の女。そこで起こる密室殺人。一体誰が、何の目的で?吹雪が作り出す密室で、疑心暗鬼で張り詰めた緊張をほぐすため、またお互いを探り合うため、他愛のない会話をかわす面々。やがてそれぞれの素性がすこしずつ明らかになり、偶然集まったかに見えた彼らの過去が繋がり始めた。そこで再び、予想を超えた出来事が――。『イングロリアス・バスターズ』『ジャンゴ 繋がれざる者』などを手がけたタランティーノ監督が贈る全世界待望の最新作。本作は「第73回ゴールデン・グローブ賞」の作曲賞を受賞。さらには「第88回アカデミー賞」では、助演女優賞、作曲賞、撮影賞にノミネートされ、各界から注目を集めている。本作で、ヘイトフル(=憎しみに満ちた)なクセ者8人を演じるのは、常に強烈な印象を観客に与えるサミュエル・L・ジャクソンをはじめ、カート・ラッセル、ウォルトン・ゴギンス、ジェームス・パークス、ティム・ロス、ゾーイ・ベルといったタランティーノ作品には欠かせない常連スター達が勢ぞろい。そして今回タランティーノ作品初参加となり、紅一点、アカデミー賞にノミネートのジェニファー・ジェイソン・リーと、デミアン・ビチルの2人を加えて、それぞれに危険で憎しみに満ちた役柄を好演している。今回解禁された予告編は、タランティーノ作品定番のバイオレンス描写を匂わせ、映像の最後には監督自身が、「これは、俺の最高傑作だ!」「だろ?」と念押し気味に特別出演する映像だ。監督のこだわりが詰まった初の密室ミステリーに期待膨らむそんな予告編となっている。密室劇のアイデアについてタランティーノ監督は、「8人のキャラクターが口々にいろいろ言うんだが、彼らが自分について語ること、自分が何者で、どこから来て、何をしているのかということは、何一つ、額面どおり受け取ることができない。これがアイデアの出発点になった」と明かした。また本作に登場するキャラクターについて「彼らは信用できない人々。これは重要な点だが、彼らの中に『ジャンゴ 繋がれざる者』の主人公のようなヒーローはいないし、中心となるモラルもない。誰もがモラルの面では多かれ少なかれ疑わしいんだ。そんな人物たちを同じ部屋に閉じ込める。その点では『レザボア・ドックス』と代わり映えしない感じだが、アプローチの仕方が違うんだ。キャラクターを同じ部屋に閉じ込め、外は猛吹雪で閉ざす。モンスター映画のモンスターのように、逃げ出そうとすれば食べられてしまう。そんな状況で彼らは一喜一憂し、猜疑心と被害妄想を募らせていくんだ。最後はスクリーンを通して観客に襲い掛かるだろうと思った」と過去作を例に出し、熱く解説している。サミュエル演じる賞金稼ぎのマーキスが「犯人が分かるかな?」と問うように、かつてない謎解きを見破ることはできるのか!?『ヘイトフル・エイト』は2月27日(土)より全国にて公開。(cinemacafe.net)
2016年02月08日光明興業は2月6日より、同社が運営する謎解き脱出カフェ「時解 TokiToki~eScape cafe~(トキトキエスケープカフェ)」(大阪府大阪市中央区道頓堀)にて、新シナリオによる脱出ゲーム「THE HATEFUL8 ~鎖されたロッジからの脱出~」を開始する。同作品は、謎解き脱出を体験をできるカフェ「時解 TokiToki~eScape cafe~」にて過去4回開催した『映画タイアップシリーズ』の新作。今回は、クエンティン・タランティーノ監督の映画『ヘイトフルエイト』(2月27日上映開始)とタイアップした。映画と同じ雪山のロッジに閉じ込められた設定で、参加者(1ゲーム最大6人)が制限時間30分以内の脱出を目指すものとなる。随所に映画のエッセンスを盛り込んだシナリオに挑戦することにより、映画の世界観を体験できるという。また、タイアップ記念企画として、脱出達成者には映画鑑賞券(30人60組)もしくは公式パンフレット(20人)が当たる抽選に参加可能となる。参加料金は、前売り1,500円・当日1,800円(税込)。なお、初心者でも楽しめる難易度設定となっている。営業時間は12時~21時で、定休日は月・火曜日(祝日の場合は営業)となる。なお、大阪府では、SCRAPによるリアル脱出ゲームの常設店舗「アジトオブスクラップ」も2店舗を展開している。「アジトオブスクラップ心斎橋OPA」では『名探偵コナン』とのコラボレーションプログラムを公演。「アジトオブスクラップ大阪ナゾビル」では「なにわ探偵シリーズ」などに参加できる。
2016年02月05日早々に続編製作が決まったスタイリッシュ・アクション『ジョン・ウィック』で“復活”といわれたキアヌ・リーブスが、今度は一転、真実を追究する正義の弁護士に扮する法廷ミステリー『砂上の法廷』(原題:『THE WHOLE TRUTH』)が3月より日本公開されることが決定、そのポスタービジュアルが到着した。巨額の資産を持つ大物弁護士が自宅で殺害された。容疑者として逮捕されたのは、17歳になるその息子。拘留後、完全黙秘を続ける少年の弁護を引き受けたのは、敏腕弁護士ラムゼイ(キアヌ・リーブス)。何も語ろうとしない被告人の少年をよそに、裁判では多くの証人が彼の有罪を裏付ける証言を繰り広げていく。しかし、証言のわずかなほころびから、証人たちの“嘘”を見破るラムゼイ。有罪確定に見えた裁判の流れが変わり始めた矢先、少年がついに沈黙を破り、衝撃の告白を始める。彼が語る言葉は、果たして真実なのか?そして、事件には真犯人が存在するのか――?キアヌが近年出演が続くアクション映画とはがらりと雰囲気を変え、落ち着いた中にも静かな闘志を燃やす弁護士を熱演する本作。被告人の少年の母親を演じるのは、『シカゴ』などで高い評価を得て、『ブリジット・ジョーンズ』シリーズの最新作『Bridget Jones’s Baby』(原題)も控えているレニー・ゼルウィガー。被害者の妻であり、被告人の親という複雑な立場を少し影のあるミステリアスさで演じ切る。また、被告の少年役は、J.J.エイブラムス×スティーヴン・スピルバーグの『SUPER 8/スーパーエイト』やニック・ロビンソン共演『キングス・オブ・サマー』などのガブリエル・バッソが務めている。監督は、サンダンス映画祭でグランプリを受賞し、第81回アカデミー賞にもノミネートされた『フローズン・リバー』のコートニー・ハント。その斬新さと完成度の高さであのクエンティン・タランティーノを唸らせた前作に続き、今回は法廷を舞台に常識を覆す新たな衝撃作を生み出している。ラスト11分ですべてが覆るという、至極の法廷ミステリーを楽しみにしていて。『砂上の法廷』は3月、TOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2016年02月01日米BOX OFFICE MOJOは1月1日~1月3日の全米週末興業成績を発表した。3週連続『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』がトップ。公開から2週間での累計興行収入が7億4,026万5,583ドルとなり、歴代1位の『アバター』(2009年)の7億6050万ドルに迫り、次週にも記録を塗り替える勢いを見せている。2位も前週に引き続き『Daddy’s Home(原題)』。驚異的なヒットを続ける1位に圧倒されて印象は薄いものの、2週間での累計興収は9,368万4,495ドルと1億ドルを目前に控える。3位はクエンティン・タランティーノ監督最新作の『ヘイトフル・エイト』が前週10位から急浮上。吹雪で立ち往生した8人の男女が居合わせた雪山のロッジで密室殺人事件が発生。嘘つきだらけの8人が探り合いを繰り広げるミステリー。タランティーノ作品常連のサミュエル・L・ジャクソンをはじめ、カート・ラッセル、ジェニファー・ジェイソン・リーらが出演している。4位『Sisters(原題)』、5位『Alvin and the Chipmunks: The Road Chip(原題)』は前週と変わらず。前週3位の『Joy(原題)』は6位に転落した他、『マネー・ショート 華麗なる大逆転』も6位から7位、『Concussion (2015) (原題)』も7位から8位へと以下の作品もワンランクずつ順位を落とした。
2016年01月05日最新作『ヘイトフル・エイト』が控えるクエンティン・タランティーノ監督が、「とにかく恐い! こんな設定のホラーは観たことがない!」と太鼓判を押し、ホラー映画としては異例ともいえるほど映画祭で受賞&ノミネートを繰り返した『イット・フォローズ』が、1月8日(金)よりついに日本にも上陸。実は、本作でヒロインを務め、2016年公開の『インディペンデンス・デイ』続編にも大抜擢された新星女優マイカ・モンローには、“もう一つの顔”があることが分かった。19歳のジェイ(マイカ・モンロー)はある男と一夜をともにするが、その後、男が豹変。縛り付けられたジェイは「“それ”に殺される前に誰かにうつせ」と命令される。ゆっくりと歩いてくる“それ”はうつされたものにだけにだけ見えるという。“それ”はゆっくりと歩いて近づいてくる。“それ”は人にうつすことができ、うつした相手が死んだら自分に戻ってくる。“それ”は他の人には見えない。そして、“それ”に捕まれば、必ず死が待っている。果たしてジェイは、いつ、どこで現れるか分からない“それ”の恐怖から逃げきることができるのか…。本作は、タランティーノ監督からの大絶賛をはじめ、辛口で知られる全米映画批評家サイト「Rotten Tomatoes」では驚異の96%フレッシュをキープし続けたという本作。一度うつされたら死ぬまでずっと憑いてくる、という“それ”と恐怖の対峙をする主人公を演じるのは、アダム・ウィンガード監督作『ザ・ゲスト』で脚光を浴びた新鋭のマイカ・モンロー。オリジナリティあふれる斬新な作品でメガホンをとるのは、これが長編2本目となる新進気鋭デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督だ。“アンノウン”スリラー『ザ・ゲスト』では、謎の訪問者(ダン・スティーヴンス)によって悲劇に巻き込まれていく一家の長女アナを演じ、ウェイトレス姿で逃げ惑う可愛らしい姿に目を奪われた観客も多かったことだろう。そんなマイカは、実は女優として活動するほかに、もう一つの顔としてプロのカイトボーティングの選手として活躍している。大きな専用カイト(凧)で風を受けながら、水上をボードに乗って走るというこの競技で、彼女は2009年から国際大会に出場しており、2012年のレッド・ブル国際ビッグエアスタイル選手権では2位を獲得するほどの腕前!女優業だけでなく、スポーツ選手としても活躍中なのだ。そんな彼女を主演に大抜擢した理由を、ミッチェル監督は、「この役のセリフを読んだ彼女が素晴らしかった。彼女には僕が脚本に描いたものをはるかに超える“脆さ”があった」と評している。次回作には、約 20年ぶりとなる大ヒット作の続編でリアム・ヘムズワースが主人公を務める『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』(原題)のヒロインに大抜擢されたマイカ。今回、初解禁となった劇中写真でも、大きな瞳で鏡を見つめる目ヂカラの強い彼女と、見えない何かに怯える弱い彼女の二面性を見事に表現しており、抜群の演技力を兼ね備えた彼女に要注目だ。『イット・フォローズ』は2016年1月8日(金)TOHOシネマズ六本木ほか全国公開。(text:cinemacafe.net)
2016年01月03日先日、12月21日(現地時間)にハリウッド殿堂入りを果たしたことでも話題を集める、クエンティン・タランティーノ監督の長編8作目となる『ヘイトフル・エイト』。タランティーノ監督も自ら「自身最高傑作」と語る本作から、待望の本予告編映像が解禁となった。雪嵐のなか、山の上のロッジに閉じ込められた、ヘイトフル(憎しみに満ちた)なクセ者8人。やがて、そこで起こる密室殺人。いったい誰が、何の目的で?吹雪が作り出す密室に漂う張り詰めた緊張をほぐすため、またお互いを探り合うため、他愛のない会話をかわす面々。やがて、それぞれの素性がすこしずつ明らかになり、偶然集まったように見えた彼らの過去が繋がり始める――。先日発表された本年度ゴールデン・グローブ賞では「脚本賞」「助演女優賞」「作曲賞」の3部門にノミネート。すでに同賞「脚本賞」を2度手にしているタランティーノ監督が、史上2人目となる3度目の栄冠を手にするのか…。またナショナル・ボード・オブ・レビューで「助演女優賞」を受賞するなど、タランティーノ作品には初参加ながらも、その怪演ぶりで強烈な存在感を放つジェニファー・ジェイソン・リーの受賞にも注目が集まっている。音楽を手がけるのは、『ニュー・シネマ・パラダイス』『海の上のピアニスト』などで知られ、タランティーノ監督が敬愛する巨匠エンニオ・モリコーネだ。タランティーノ組常連のサミュエル・L・ジャクソンをはじめ、カート・ラッセル、ティム・ロスら、8人のクセ者たちが順に登場していく今回の予告編。ロッキー山脈の雄大な自然が広がるコロラド州テルユライドに、舞台となるロッジを実際に建て、まさに手つかずの雪山の中で撮影は行われたという。さらに、ロサンゼルスでのセット撮影でも、テルユライドの空気感をそのまま再現するため、スタジオ内の温度をなんとマイナス2度に設定。これはタランティーノ監督の意向だったといい、予告映像に映るキャストたちの白い息や寒さにこわばった動き方はまさに本物。そんなタランティーノ監督のこだわりが詰まった、密室の会話劇&ミステリーに、ますます期待が膨らむ映像となっている。『ヘイトフル・エイト』は2016年2月27日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年12月25日クエンティン・タランティーノ監督が21日、ハリウッドの殿堂入りを果たしカリフォルニア州ハリウッドでその名誉を受け取った。『パルプ・フィクション』『ジャンゴ 繋がれざる者』でおなじみのタランティーノ監督への授与式には、長年の友人であり何度も作品でコラボしているサミュエル・L・ジャクソンをはじめとした最新作『ザ・ヘイトフル・エイト』の出演者らも応援に駆けつけていた。タランティーノ監督は現代のポップカルチャーに多大な影響を与えた人物としてたたえられており、最新作『ザ・ヘイトフル・エイト』はその中でも最も情熱を注いで作られた作品のようで、以前バラエティ誌のインタビューの中で「この作品は南北戦争後の余波を描いた作品なんだ。程度の差はあれどすべてのキャラクターたちが戦争の生存者だったり、滅びた社会の生き残りだったりするんだよ」「世界滅亡後の映画のようなところもあるんだけど、(『マッドマックス』シリーズのような)オーストラリアの奥地のお話ではなく、すべてのシーンが氷や雪で埋め尽くされた荒地なんだ。世界の終末を生き延びた人たちはみんなもう存在しない社会からやってきた人たちで、彼らはみんな世界の終末をお互いのせいにし合っているんだよ」と語っていた。(C)BANG Media International
2015年12月23日クエンティン・タランティーノ監督の長編第8作目となる最新作『ヘイトフル・エイト』。早くもゴールデン・グローブ賞に堂々の3部門ノミネートされている本作だが、この度、クセもの8人が勢ぞろいしたポスタービジュアルが解禁された。舞台は山の上のロッジ、登場人物は吹雪でロッジに足止めを食らい、一夜をともにすることとなったワケありの7人の男と1人の女。そこで起こる密室殺人。一体誰が、何の目的で?吹雪が作り出す密室で、疑心暗鬼で張り詰めた緊張をほぐすため、またお互いを探り合うため、他愛のない会話をかわす面々。やがてそれぞれの素性がすこしずつ明らかになり、偶然集まったかに見えた彼らの過去が繋がり始めた。そこで再び、予想を超えた出来事が――。本作は、『イングロリアス・バスターズ』『ジャンゴ 繋がれざる者』などで映画愛に満ちたバイオレンス・アクションの世界を究め、アカデミー賞、カンヌ国際映画祭パルム・ドールなど数々の栄冠を奪取してきたタランティーノ監督が、初の密室ミステリーに挑戦。本作は「第73回ゴールデン・グローブ賞」の脚本賞、助演女優賞、作曲賞に早くもノミネート。オープニングから気を緩めることのできない、すべての会話と視線、何気ない身振りに仕掛けられた巧妙かつ緻密な伏線、タランティーノ印のブラックな笑いと過剰なアクション満載の、かつてない謎解きが隠されている。今回到着したビジュアルでは、サミュエル・L・ジャクソン演じる、切れ者の賞金稼ぎマーキス・ウォーレンを中心に、カート・ラッセル演じる、疑心暗鬼に固まるハングマンのジョン・ルース、ジェニファー・ジェイソン・リー演じる、1万ドルのお尋ね者デイジー・ドメルグ、ウォルトン・ゴギンス演じる、自称保安官クリス・マニックス、デミアン・ビチル演じる、愚直なメキシカンで使用人ボブ、ティム・ロス演じる、英国紳士の絞首刑執行人のオズワルド・モプレー、マイケル・マドセン演じる、無口なカウボーイのジョー・ゲージ、ブルース・ダーン演じる、黒人嫌いの老将軍サンディ・スミザーズらヘイトフル(=憎しみに満ちた)なクセ者8人が、舞台となる山の上のロッジの前に勢ぞろいしている。挑戦を突きつけるかのような挑発的な眼差しが印象的なポスタービジュアルとなっている。また本作は、サミュエル・L・ジャクソン、カートラッセルなど監督ゆかりのキャストが出演するなか、今回がタランティーノ作品初参加となるキャストが2人。「リベンジ」などに出演する紅一点のジェニファーと『明日を継ぐために』などに出演する“肉体美”で知られるイケメン俳優ビチル。この2人が加わり、どんな化学変化を起こすのかさらに注目を集める。脚本が公開前にリークされ一度は製作中止が発表されたり、全米では映像にこだわった昔ながらのワイドスクリーンにて投射する70mmフィルムでの限定公開を予定していたりと話題に事欠かない本作。また、既に2度のゴールデン・グローブ賞脚本賞を手にしているタランティーノ監督が、史上2人目となる3度目の栄冠を手にするのか。タランティーノ作品に初参加ながらもその怪演ぶりが話題になっているジェニファーの受賞にも注目だ。『ヘイトフル・エイト』は2016年2月27日(土)より全国にて公開。(cinemacafe.net)
2015年12月22日来年1月に決定する第73回ゴールデン・グローブ賞のノミネート発表が10日午前(現地時間)、ロサンゼルスのビヴァリー・ヒルトン・ホテルで発表になり、坂本龍一が『レヴェナント:蘇りし者』で作曲賞にノミネートされた。坂本さんは1987年の『ラスト・エンペラー』、1990年の『シェルタリング・スカイ』で同賞を受賞している。映画部門の候補は以下の通り。最優秀作品賞ドラマ部門『キャロル』『マッドマックス怒りのデス・ロード』『レヴェナント:蘇りし者』『Room』(原題)『スポットライト』(原題)ミュージカル・コメディ部門『マネー・ショート 華麗なる大逆転』『Joy』(原題)『オデッセイ』『Spy』(原題)『Trainwerck』(原題)最優秀男優賞ドラマ部門ブライアン・クランストン(Trumbo/原題)レオナルド・ディカプリオ(レヴェナント:蘇りし者)マイケル・ファスベンダー(スティーブ・ジョブズ)エディ・レッドメイン(リリーのすべて)ウィル・スミス(Concussion/原題)ミュージカル/コメディ部門クリスチャン・ベイル(マネー・ショート 華麗なる大逆転)スティーヴ・カレル(マネー・ショート 華麗なる大逆転)マット・デイモン(オデッセイ)アル・パチーノ(Dear ダニー 君へのうた)マーク・ラファロ(Infinitely Polar Bear/原題)最優秀女優賞ドラマ部門ケイト・ブランシェット(キャロル)ブリー・ラーソン(Room/原題)ルーニー・マーラ(キャロル)シアーシャ・ローナン(Brooklyn/原題)アリシア・ヴィカンダー(リリーのすべて)ミュージカル/コメディ部門ジェニファー・ローレンス(Joy/原題)メリッサ・マッカーシー(Spy/原題)エイミー・シュマー(Trainwreck/原題)マギー・スミス(The Lady in the Van/原題)リリー・トムリン(GRANDMA/原題)最優秀助演男優賞ポール・ダノ(ラブ&マーシー終わらないメロディー)イドリス・エルバ(ビースト・オブ・ノー・ネイション)マーク・ライランス(ブリッジ・オブ・スパイ)マイケル・シャノン(ドリーム ホーム99%を操る男たち)シルヴェスター・スタローン(クリード)最優秀助演女優賞ジェーン・フォンダ(Youth/原題)ジェニファー・ジェイソン・リー(ヘイトフル・エイト)ヘレン・ミレン(Trumbo/原題)アリシア・ヴィカンダー(Ex Machina)ケイト・ウィンスレット(スティーブ・ジョブズ)最優秀監督賞トッド・ヘインズ(キャロル)アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(レヴェナント:蘇りし者)トム・マッカーシー(スポットライト(原題))ジョージ・ミラー(マッドマックス 怒りのデス・ロード)リドリー・スコット(オデッセイ)最優秀脚本賞エマ・ドノヒュー(Room/原題)トム・マッカーシー、ジョシュ・シンガー(Spotlight/原題)チャールズ・ランドルフ、アダム・マッケイ(マネー・ショート 華麗なる大逆転)アーロン・ソーキン(スティーブ・ジョブズ)クエンティン・タランティーノ(ヘイトフル・エイト)最優秀アニメーション映画賞『Anomalisa』(原題)『アーロと少年』『インサイド・ヘッド』『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』『映画 ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~』最優秀外国語映画賞『The Brand New Testament』(フランス、ベルギー、リュクセンブルグ)『The Club』(チリ)『The Fence』(ドイツ、エストニア、フィンランド)『Mustang』(フランス)『サウルの息子』(ハンガリー)最優秀作曲賞カーター・バーウェル(キャロル)アレクサンダー・デスプラ(リリーのすべて)エンニオ・モリコーネ(ヘイトフル・エイト/原題)ダニエル・ペンバートン(スティーブ・ジョブズ)坂本龍一、アルヴァ・ノト(レヴェナント:蘇りし者)最優秀歌曲賞Love Me Like You Do(フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ)One Kind of Love(ラブ&マーシー終わらないメロディー)See You Again(ワイルド・スピード SKY MISSION)Simple Song #3(Youth/原題)Writing’s on the Wall(007 スペクター)ゴールデン・グローブ賞の結果発表は来年1月10日(現地時間)になる。(text:Yuki Tominaga)
2015年12月11日クエンティン・タランティーノ監督の新作映画『ヘイトフル・エイト』が来年2月27日(土)から日本公開されることが決定した。その他の写真映画ファンを熱狂させる作品を数々手がけてきたタランティーノ監督の8本目の長編映画は“密室ミステリー”だ。山の上のロッジにワケありの男7人と女1人が集まり、丁々発止のやりとりを繰り広げる。“QT組”の常連サミュエル・L・ジャクソン、ティム・ロス、マイケル・マドセンをはじめ、名優ブルース・ダーン、『デス・プルーフ』でスタントマン・マイクを演じたカート・ラッセル、ジェニファー・ジェイソン・リー、ウォルトン・ゴギンス、デミアン・ビチルが出演。映画の興奮と美しさ、迫力を追求して撮影は70ミリフィルムで行われており、新作もこれまで同様、タランティーノ監督の気合いと技と映画愛が凝縮された作品になりそうだ。『ヘイトフル・エイト』2月27日(土) 全国ロードショー
2015年12月03日鬼才クエンティン・タランティーノ監督の長編第8作目となる最新作『The Hateful Eight』の邦題が、『ヘイトフル・エイト』に決定。『ジャンゴ 繋がれざる者』や『パルプ・フィクション』のサミュエル・L・ジャクソンを始め、タランティーノ作品おなじみの面々が登場する密室ミステリーとして、2016年2月27日(土)より全国公開されることになった。舞台は、南北戦争後のワイオミング州、とある雪山。雪嵐の中、ロッジに閉じ込められたワケありの7人の男と1人の女。人種も境遇もバラバラの8人だったが、分かっているのは全員が“嘘”をついているということだけ。やがて、そこで起こる殺人事件。犯人は? そして動機は? 8人の本当の関係とは…?オープニングから、すべての会話と視線、何気ない身振りに、巧妙かつ緻密な伏線が仕掛けられているという本作。『ジャンゴ 繋がれざる者』に続く西部劇ながら、タランティーノ監督にとって初めての密室ミステリーとなった。一時は脚本が流出したことで製作が白紙となった本作だが、アメリカでは12月25日より一部劇場にて70ミリフィルムによる限定公開の後、2016年1月8日より一般公開となる。『イングロリアス・バスターズ』など数々の作品で、映画愛に満ちたバイオレンス・アクションの世界を究め、アカデミー賞やカンヌ国際映画祭パルム・ドールなどの栄冠を獲得してきたタランティーノ監督。サミュエル・L・ジャクソン、カート・ラッセル、ティム・ロス、マイケル・マドセン、ブルース・ダーンら監督ゆかりのキャストほか、初参加となる紅一点のジェニファー・ジェイソン・リー、さらに“肉体美”で知られるあのイケメン俳優までも登場し、タランティーノ印のブラックな笑いと過剰なアクション満載の謎解きへと誘う。ぶつかり合う“嘘”と“嘘”、やがて浮かび上がる予想外の“真相”。生き残るのは、いったい誰か!?引き続き、続報を楽しみにしていて。『ザ・ヘイトフル・エイト』は2016年2月27日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年12月03日ナショナル・ボード・オブ・レビューが今年の受賞者を発表した。最優秀作品に選ばれたのは『マッドマックス怒りのデス・ロード』。監督賞は『オデッセイ』のリドリー・スコット、主演男優賞は『オデッセイ』のマット・デイモン、助演男優賞は『クリードチャンプを継ぐ男』のシルヴェスター・スタローンで、アワードシーズンには珍しく、娯楽映画が目立った。その他の情報オスカーレースで健闘が予測されている『スポットライト』『キャロル』『ブルックリン(原題)』などは、いっさい食い込んでいない。やはりアワードで有力視されている『ルーム(原題)』からは、ブリー・ラーソンが主演女優賞、子役のジェイコブ・トレンブレーがブレイクスルー・パフォーマンス賞を受賞している。脚本賞は『ザ・ヘイトフル・エイト(原題)』のクエンティン・タランティーノ、脚色賞は『オデッセイ』のドリュー・ゴダード、最優秀アニメ賞は『インサイド・ヘッド』が受賞した。受賞ディナーは1月5日にニューヨークで行なわれる。『マッドマックス怒りのデス・ロード』ブルーレイ&DVDセット(2枚組/デジタルコピー付)3D&2Dブルーレイセット(2枚組/デジタルコピー付)ブルーレイ スチールブック仕様(1枚組/デジタルコピー付)マッドマックス アンソロジー ブルーレイセット(5枚組/デジタルコピー付)発売中発売・販売元:ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント文:猿渡由紀
2015年12月02日サンダンス映画祭で監督賞を受賞し、さらにクエンティン・タランティーノも“2013年ベスト映画10”に選出するなど、日本でも公開が待たれていた映画『午後3時の女たち』。アラフォー女性が自分自身を見つめていく様子がリアルかつ大胆に描かれていると絶賛されている話題作です。主婦のレイチェルは、エリートで優しい夫とかわいい一人息子と共に幸せな生活を送っているかのように見えていた。しかし、何か満たされない思いを抱え、徐々に女性としての魅力を失っていくことへの焦りを感じていたレイチェルは、心理カウンセラーのもとに通い、セックスレスを相談していたのだった。そして、ある日レイチェルは友人たちと遊びに行ったストリップクラブで、若く美しい魅力を放つストリッパーのマッケナと出会う。自分が失った若さと奔放さを持つマッケナに興味を持ち、どんどん惹きつけられるレイチェルは、住むところを失ったマッケナを自宅に招き、住まわせることにする。順調に思えた共同生活だったが、マッケナはただのストリッパーではなかったことがわかり、家族や友人との関係が予想外の方向へと向かってしまう。そして、レイチェルが失ってはじめて気がついた大切なものとは……?本作で監督デビューとなるのは、長年テレビの脚本や製作を手掛けてきた新鋭女性監督のジル・ソロウェイ。完璧な女性ばかりを求めるハリウッドにフラストレーションを感じていたという監督は、「ありのままの感情や、リアルな笑い、欠陥した人間らしさ、日常的な女性を描きたかった」と女性ならではの視点でこの作品を製作し、絶賛されています。そして、アラフォー女性の心境をリアルに演じたレイチェル役のキャスリン・ハーンと少女と大人の両方を合わせ持ち小悪魔的な魅力を見せるストリッパー役のジュノー・テンプルはどちらもハマり役で、その演技からは目が離せません。「いくつになっても女でいたい」という思いは、どんな女性でもいつかは抱えるであろう葛藤。そんな思いにとらわれるあまりに空回りし、痛々しいレイチェルの姿には、思わず共感してしまう女性も多いはずです。イベントデータ:『午後3時の女たち』公開表記:11月7日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷、ほか全国順次ロードショー配給:アット エンタテインメント©2013 AFTERNOON DELIGHT, LLC ALL RIGHTS RESERVED
2015年11月14日トップレスのジャケット写真でも話題となった「ナイト・タイム、マイ・タイム」のリリースや「サマーソニック2014」への参戦など、日本での音楽活動も浸透し始めているミュージシャンでモデルのスカイ・フェレイラ。このほど、ホラー映画界のカリスマ、イーライ・ロスの6年ぶりの監督作『グリーン・インフェルノ』に出演していることが分かった。全世界をトラウマの渦に巻き込んだホラー映画の金字塔『食人族』をモチーフにした『キャビン・フィーバー』で、鮮烈な監督デビューを果たし、容赦なき描写で観客を圧倒した『ホステル』でホラー界のカリスマとなったイーライ・ロス。近年は製作・出演に精力的で、クエンティン・タランティーノ監督『イングロリアス・バスターズ』や『ピラニア3D』、さらには『アフターショック』では主演を務めていた彼が、タランティーノ製作総指揮『ホステル2』から6年ぶりに監督を務めたのが、この残酷無慈悲な食人エンターテインメント。アマゾンの森林伐採の不正を暴くため、意識の高い学生たちは現地に乗り込んで中止運動を起こすも、政府に捕まり強制送還。不幸にも帰路の途中、飛行機が墜落、命からがら助けを求めるが、彼らを待っていたのは人間を喰らう人族だった…という衝撃の物語。主人公ジャスティンを務めるのは、イーライの妻でもある女優ロレンツァ・イッツォ。そして、そのルームメイト、ケイシー役を好演するのが、スカイ・フェレイラだ。劇中では、環境保護を訴える学生団体と一緒に森林に行こうとするジャスティンを心配し、引き止める友達思いの役柄。スカイとロレンツァは一見、タイプが真逆のような2人だが、実はスクリーン上だけではなく、プライベートでも大親友。この2人のことをイーライ監督は「ロレンツァは遠慮がちだが、スカイは明らかにロックスターだ。彼女は、ラリー・クラークやハーモニー・コリンの映画に出てくる人物のような強烈な個性がある。でも彼女を自身のタイプとは違う役に配役できて面白かったよ。彼女もまた素晴らしい女優だ」と手放しで絶賛する。「ナイト・タイム、マイ・タイム」を引っさげて「サマソニ」にも参加したスカイ・フェレイラは、女優としては『Putty Hill』(’10/未)でデビューし、本作が長編映画2作目。次作には、エヴァン・ピーターズ、ケヴィン・スペイシー出演の『Elvis&Nixon』(’16/未)、ニコラス・ケイジ主演『The Trust』(’16/未)と、着々と女優としての活動も広がりつつある。これから映画ファン、音楽ファンも要注目の1人となりそうだ。『グリーン・インフェルノ』は11月28日(土)新宿武蔵野館ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年10月31日当然のことながら、これまでとは違う。その違いこそが、新しさを生んでいる。ジェイソン・ステイサムからバトンを受け取り、シリーズ再始動作『トランスポーター イグニション』で天才運び屋フランク・マーティンを演じたエド・スクレインは、ストイックでスマートな役の魅力を保ちつつ、フレッシュでスウィートな“新フランク”を誕生させた。黒いスーツに身を包み、愛車のアウディS8を自在に操る2代目フランク。華麗なドライビングテクニックと格闘技術を持つ彼のキャラクターは、アクション・コーディネーターとの二人三脚で作り上げたものだとエドは言う。「クラヴマガ、カリ、ボクシング、キックボクシングを取り入れながら、フランクのスタイルを作っていったんだ。マーシャルアーツに挑戦するのは初めてだったし、とてもとても大変な作業だったよ(笑)。でも、フランクになるには、それが最も重要なプロセスだったんだ。普通は台詞を言いながら役の内面を模索するものだけど、フランクはアクションを通して感情を掘り下げられる役。肉体の動きと感情が密接にリンクしているからね」。そんな彼の物語の中で注目すべきは、愛する父親の存在。運び屋フランクの協力を何としても取りつけたい依頼者の美女3人が、父親を人質に取るところから話は展開していく。「今回の物語には、フランクの様々な面を見せる素晴らしいチャンスがあったと思う。彼の強みだけでなく弱みも見せられたからこそ、より深みのある人間像になったんじゃないかな。父親役のレイ・スティーブンソンとは実際にもすごく仲良くなったんだ。それはスクリーンを通しても感じてもらえると思うし、フランクと父親の場面は僕が最も好きなシーン。カメラの前以外でも、僕たちは一緒に過ごすことが多かったね。その時にどんな話をしたかは言えない!教えてもいいけど、原稿にはできないと思うよ(笑)。下らなくて、ダークで、子どもっぽいユーモアのこもった会話を交わしたんだ。しかも、僕の父もレイと仲良くなってね。オンスクリーンの父とオフスクリーンの父が僕にはいる感じかな」。父親の命を救うべく危険に身を投じる姿も格好いいが、やがて美女たちの抱える事情を知り、親身になっていくのもエド版フランクのスウィートなところ。ただし、「僕自身とは女性に対するアプローチの仕方が全然違う(笑)」そうだ。「女性たちを助けてあげようとする姿勢は尊敬に値するけど、フランクの生き方はちょっと危険過ぎるよ。3人の美女たちからは危険な香りがプンプンと漂っているわけだし…。僕がフランクにアドバイスをするなら、『素敵な女性を見つけて、仕事をやめて、安全運転をして、人と戦うのはやめて、子どもでも作りなよ』ってとこかな。でも、そうしたら話が終わっちゃうから、それはそれで困るよね」。ちなみに、出演ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」でも、エドは逞しい美女に理解を示す男を演じていたが…、「そこは僕の実人生に近いところだね(笑)」とのこと。「子どもの頃は母ガモについていく子ガモのようだったし、今はパートナーが僕を導いてくれる。仕事や人生の重要なポイントは自分でコントロールしたいと思うけど、家庭では決して(積極的に主導権を握る)アルファなタイプじゃないんだ。周りにいるダイナミックな女性たちに主導権を渡すことに全く抵抗はないんだよ」。柔らかな物腰、口調の穏やかさ、そして真摯な態度。そこからはエド自身の人柄に加え、映画に対する愛が見て取れる。主人公の宿敵を演じるマーベル映画『デッドプール』の公開を来年に控え、今後のキャリアにも注目が集まる中、「俳優だったらジャック・ニコルソン、スティーブ・ブシェミ、マッツ・ミケルセン、スティーブン・レイ。監督だったらシェーン・メドウズ、マイク・リー、マイク・ニューウェル、クエンティン・タランティーノ」と、仕事をしてみたい映画人の名前をポンポンと列挙。人生のベスト1映画を訊くと、「1本?困ったな…」と苦渋の表情を浮かべながらも、マチュー・カソヴィッツの『憎しみ』を挙げた。「僕は映画作りを心から愛している。完成した後の宣伝活動すらもね。僕はこうして日本に来られて幸せだし、皆さんとお話できるのが楽しくて仕方ないんだ。もちろん、一番好きなのは撮影現場だけどね。上手くいかない時に試行錯誤するのも含め、映画作りの現場が好き。よりよいものにする、シーンの真実を見つける、そして真実を伝えるために最善を尽くすことに魅力を感じている。フランクはストイックな男だからカメラの前以外でもシリアスな表情をキープしていたけど、心の中ではいつも笑顔だったよ(笑)」。「日本に来られて幸せ」という言葉は本音のようで、実は来日中、日本語でのツイートにもチャレンジしていたエド。日本を離れる際も、「こんなにも早く日本を去るのは悲しいのだけど…いつかまた会える日を思うとワクワクします。いつも心に日本を」と、心に染みるコメントを書き込んでいた。「本当は日本語が話せる…と言いたいところだけど、今はGoogle翻訳という素晴らしいアプリがあるから活用させてもらったよ(笑)。日本にいるのだから、日本語でツイートしなきゃね!今回はあまり長くいられないけど、すぐにでもまた戻って来たいな」。(/photo:Nahoko Suzuki)■関連作品:トランスポーター イグニション 2015年10月24日より新宿バルト9ほか全国にて公開(C) 2014 - EUROPACORP - TF1 FILMS PRODUCTION/Photo:BrunoCalvoトランスポーターイグニション 2015年10月24日より新宿バルト9ほか全国にて公開(C) 2014 - EUROPACORP - TF1 FILMS PRODUCTION/Photo:BrunoCalvo
2015年10月23日