数ある感染症の中でも、おう吐や下痢など複数の重い症状に苦しめられるノロウイルス。寒さも厳しくなってくるこれからの季節、注意しなければならないウイルスの1つだ。感染予防への意識を高めるためにも、今回はノロウイルスに感染したことのあるマイナビニュース会員300人に具体的な症状や、症状が続いた期間について聞いてみた。感染中につらかったときのエピソードもあわせてご紹介する。Q.ノロウイルスにかかったときの症状を教えてください(複数回答可)1位: 下痢(69.0%)2位: おう吐(68.3%)3位: 吐き気(67.0%)4位: 腹痛(40.3%)5位: 発熱(27.0%)6位: 頭痛(12.0%)7位: 筋肉痛(4.7%)Q.ノロウイルスの症状が続いた期間を教えてください1位: 2日以上~4日未満(41.0%)2位: 1日以上~2日未満(31.7%)3位: 4日以上~1週間未満(14.7%)4位: 1日未満(9.3%)5位: 1週間以上(3.3%)Q.ノロウイルスに感染し、つらかったときのエピソードを具体的に教えてください■トイレから離れられない・「トイレと友達だと言えるくらいずっとトイレにいた」(33歳女性/建設・土木/技術職)・「下痢が止まらず、ずっとトイレにいて、そこで寝ていた」(33歳男性/電機/技術職)・「下痢とおう吐が止まらなくてトイレに張り付きっぱなしだった。両方のにおいでさらに吐き気が増した」(28歳女性/ソフトウエア/技術職)■水分が十分にとれない・「脱水状態になり倒れた」(32歳女性/金融・証券/事務系専門職)・「下痢が続いて脱水症になりかけたこと。身体からどんどん水分が抜けていくのが分かった」(24歳女性/食品・飲料/専門職)■家族で感染・「下痢が止まらないのと、おう吐がひどいなか、同じ症状の子どもの看病をしなくてはならなかったこと」(36歳女性/団体・公益法人・官公庁/技術職)・「子どものノロウイルスが家族全員にうつってしまい、みんなトイレの順番待ち。つらいのに子どもが吐きまくるから、洗濯物がたまるし、乾かない地獄になりました」(38歳女性/情報・IT/事務系専門職)■旅行中に発症・「台湾でウイルスにかかった。ずっとトイレとベッドの往復。せっかくの旅行が台無しだった」(28歳女性/ホテル・旅行・アミューズメント/販売職・サービス系)・「旅行中で電車の中でもよおすなど最低でした」(30歳男性/運輸・倉庫/技術職)■複数の症状を発症・「おう吐しながら下痢をしていた」(37歳女性/商社・卸/事務系専門職)・「下痢と吐き気が同時に来て、どちらを優先するか悩んだ」(30歳女性/機械・精密機器/事務系専門職)■その他・「デートした次の日からかかったので彼氏にうつしたのではないかと自分の体以上に心配でつらかった」(34歳女性/その他/その他)・「1人暮らしの時だったので非常につらかったです。ご飯が食べられないし動けなかったので本当に死ぬかと思いました」(39歳/食品・飲料/販売職・サービス系)・「ブラック企業勤務だったので症状があったが休めず会社に行き失神しそうになった。帰り道の駅で失神し救急車で運ばれた」(31歳男性/機械・精密機器/事務系専門職)■総評具体的な症状については、6割以上の人が「下痢」「おう吐」「吐き気」を訴えた。ほかにも、約4割が「腹痛」と回答。少数ではあるが、頭痛や筋肉痛をあげる人もいた。症状が続いた期間としては、「2日以上~4日未満」と答えた人が最も多かった一方で、「4日以上~1週間未満」(14.7%)、「1週間以上」(3.3%)など、長期間苦しめられた人も少なからずみられた。さらに、ノロウイルスに感染してつらかったことについて自由回答で答えてもらったところ、「トイレから離れられない」という内容の回答が目立った。「胃の中に何もなくなっても吐き気が止まらずトイレから離れられなかった」(25歳女性/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)など、離れられない事情から症状の重さがうかがい知れる結果となった。また、「家族全員でおう吐下痢の症状があり、きつかった」(31歳女性/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)という回答があった一方、1人暮らしで症状に対処する大変さを訴える人もいた。これらのエピソードに加えて、やはり多かったのが「症状自体のつらさ」に関する回答だ。複数の症状が同時に発症したり、これらの症状が派生して痔(じ)や脱水症状になったりする人もいた。厚生労働省によれば、現在ノロウイルスに効果のある抗ウイルス剤はなく、発症した場合、水分と栄養の補給を十分に行って回復を待つしかないとのこと。脱水症状がひどい場合には病院で輸液を行うなどの治療が必要になるという。苦しい症状に悩まされることのないよう、手洗いや食品の加熱処理などを徹底し、事前の予防をぜひとも徹底してほしい※写真と本文は関係ありません調査時期: 2015年11月6日~11月13日調査対象: マイナビニュース会員調査数: 男性122名 女性178名 合計300名調査方法: インターネットログイン式アンケート
2015年11月17日マカフィーは11月9日、Gate.Wormファイル感染ウイルスの最新バージョンに関する情報をセキュリティブログで公開した。Gate.Wormに感染した場合、正規コードに制御を戻せなくなる仕様で、特定のアプリケーションが起動しなくなり、マルウェアコードのみが実行される。このバージョンは2013年の「Obfuscated-FBU!hb」による寄生型ウイルスの変種と類似しているが、作者は別の人物。新しいコードは以前のコードに似ているが、機能がかなり減らされているという。マルウェアの目的は、SecurityGate.ruグループがテストサンプルとして作成したものと推測している。セキュリティブログによると、マルウェアがコンピューターに侵入して感染させるまでの挙動は以下の通り。まず、IsDebuggerPresent Windows APIを呼び出して、プロセスがデバッグ中かどうかを確認する。マルウェアの作者はこの機能を使用して、デバッグによって"悪質なバイナリ"の分析を防止する。チェックの結果がtrueの場合、マルウェアは実行を終了する。次にマルウェアはコンソールウィンドウを開き、「SAFEMODE: This WORM is designed only to test…with respect SafetyGate.ru.」 というメッセージを表示する。GetCurrentDirectoryAを使用して現在のディレクトリを取得し、そこに含まれるすべてのファイルを列挙する。そのために、マルウェアはFindFirstFileA and FindNextFileAを使用してファイル名配列を作成する。現在のフォルダ内の全ファイルを配列に追加したら、マルウェアはマルウェアファイルのファイルサイズを計算し、マルウェアサンプル全体をクリーンファイルの冒頭に挿入してコンピューターに感染する。感染後は、MZ構造がマルウェア本体に置き換えられ、元のファイルは単なるオーバーレイデータとして存在するようになるため、感染したクリーンファイルを実行できなくなる。さらに、感染ファイルに以下のような形式のシグネチャを追加する。感染ルーチンは現在のフォルダ内のすべてのサンプルに対して繰り返し実行され、プロセスが終わると、マルウェアはSleep APIを呼び出して10秒間実行を停止する。その後、コンソールウィンドウを閉じてマルウェアプロセスを終了する。最後は、感染したすべてのサンプルに以下のようなアイコンが表示される。オーバーレイに複数のオリジナルサンプルが含まれた感染サンプルも存在する。感染ファイルはすでに感染していたファイルが含まれることがあるため、このような状況が発生する。新しいクリーンファイルがこのサンプルに感染すると、新たに感染したファイルには過去に感染していたファイル(複数の場合もある)とマルウェアコード、新しいシグネチャが含まれる。ポータブルな実行可能ファイルだけではなく、あらゆる種類のファイルがこのマルウェアに感染する。このようにして、ホストコンピュータの現在のフォルダ内の大半のファイルがウイルスに感染してしまう。通常、ユーザーはファイルをダウンロードフォルダ、ドキュメントフォルダ、デスクトップフォルダにダウンロードするが、フォルダによって影響度が違う。マルウェアにはネットワーク機能がなく、外付けドライブを感染させることはできない。被害者が直接ダウンロードして実行するか、感染したサンプルを外付けドライブに手動でコピーし、別なシステムで実行する以外、このマルウェアをまん延させることはできないという。
2015年11月11日国立感染症研究所は11月10日、10月26~11月1日の期間中の感染症発生動向調査を公開した。同調査により、2015年の1週間あたりの「RSウイルス感染症」の患者が、同期間中に最多だったことが明らかになった。RSウイルス感染症は、RSウイルスによって引き起こされる呼吸器の感染症で、飛沫(ひまつ)感染と接触感染によって感染する。潜伏期間は2~8日で、典型的には4~6日とされている。症状はさまざまで、風邪のように発熱や鼻水などを伴うときもあれば、重度の場合は肺炎や気管支炎になるケースもある。同研究所は、生後1歳までに半数以上の子どもが、同2歳までにほぼ100%の子どもがRSウイルスに初感染するとしている。ただ、生後数週間~数カ月間程度の乳児が初めて感染した場合は、重篤な症状が出る可能性が高まるとされている。全国約3,000カ所の定点医療機関から10月26~11月1日(第44週)の期間中に報告があった全国の感染者数は4,740人。第40週に2,643人で2,000人を超えてから右肩上がりに感染者が増加し、第43週(10月19~25日)に4,118人で今年になって初めて4,000人を突破。そして第44週にその感染者数をさらに上回る数値を記録した。直近5年間の同時期の感染者数を見ると、1,945人(2011年)、3,092人(2012年)、4,195人(2013年)、3,423人(2014年)と推移していることから、今年の感染者が多いことがうかがえる。第44週において、都道府県別での感染者が最も多かったのは北海道(364人)だった。以下、東京都(357人)、大阪府(351人)、福島県(237人)、宮城県(224人)と続き、2015年の累積感染者も6万人を超えた。東京都だけで見ると、感染者は第41週から398人、363人、384人、357人となっており、300人台の高水準を維持している。この現状を受けて、東京都感染症情報センターはRSウイルス感染症に関して、「定点当たり報告数は、過去5年平均より高い値で推移している」と警鐘を鳴らしている。感染は全国的な拡大を見せており、Twitter上でもRSウイルスはインフルエンザより厄介だと嘆く声や、小児がいる家庭に注意を呼びかける声などがあがっている。※写真と本文は関係ありません
2015年11月10日国立感染症研究所は11月2日、10月19~25日の期間中の感染症発生動向調査を公開した。同調査により、同期間中のインフルエンザの患者が全国で500人近くであることが判明した。インフルエンザは「のどの痛み」「せき」などの風邪のような症状に加え、「38度以上の発熱」「頭痛」「関節痛」「筋肉痛」などの症状も伴う。日本では例年12月から3月頃にかけて流行が見られ、一度流行が始まると短期間に多くの人へと感染する点が特徴だ。全国5,000カ所の定点医療機関から10月19~25日(第43週)の期間中に報告があった全国の感染者数は498人。第40週に212人を数えてから319人(第41週)、370人(第42週)と推移しており、わずかずつではあるが増加傾向にある。第43週に都道府県別での感染者が最も多かったのは神奈川県(68人)。以下、愛知県(66人)、沖縄県(51人)、東京都(49人)、福岡県(40人)と続く。第42週で報告が多かったのは愛知県、沖縄県、千葉県、東京都、広島県となっており、愛知県と沖縄県、東京都での患者の多さが比較的目立っている。インフルエンザの定点報告数も増加している。第40週は0.04だったが、そこから0.06、0.08と増えていき、第43週には0.1となった。「流行開始」の指標となる数値「1.00」の10分の1ではあるが、そろそろ注意が必要となってくることがうかがえる。なお昨シーズンにおいては、同研究所が昨年12月5日に定点報告数が「1.00」を上回ったことを明らかにしている。インフルエンザは、せきやくしゃみなどによる飛沫(ひまつ)感染が主な感染経路となる。予防策としてはワクチン接種のほか、マスク着用や手洗い、うがいなどがある。※写真と本文は関係ありません
2015年11月04日ファイザーはこのほど、「長寿社会ニッポンにおける感染症の潜在リスクと最新対策」と題したセミナーを東京都内で開催。慶応義塾大学医学部 感染症学教室の岩田敏教授が登壇し、ワクチンによる感染症対策などについて講演した。○2025年の医療費は50兆円以上?医学雑誌「Lancet」にて最近発表された研究によると、日本人の健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されずに生活できる期間)は73.4歳(2013年時点)で世界でもトップだという。定年後の人生を積極的に楽しむアクティブシニアが増えてきていることが伺える一方で、超高齢社会に伴う医療費も問題になっている。厚生労働省の試算などによると、2008年時点で34.8兆円だった国民医療費は2025年には52.3兆円まで膨らむと見込まれており、そのうち老人医療費は24.1兆円を占めるとされている。そのため、岩田教授は「超高齢社会における医療費の問題や健康寿命を鑑みると、感染症予防と予防接種の果たす役割が大きいのではないか」と提唱する。感染症を予防する手段の代表例としては、ワクチン接種があげられる。VPD(Vaccine Preventable Diseases: ワクチンで予防できる疾患)は、成人では「インフルエンザ」「肺炎球菌による感染症」「破傷風」などが、小児ではこれらに加え、「結核」「ポリオ」「水痘」「ロタウイルス」などがある。岩田教授は「ワクチンというと『子供が中心』と考えがち。もちろん子供に対してワクチンを打つのはとても大事ですが、大人にも必要なワクチンがあるんです」と力を込めるが、実際は成人の予防接種への意識は高くない現状が伺える。○成人のワクチン接種率は4割同社が7月28日から8月7日にかけて、各都道府県に住む60歳以上の男女150人(合計7,050人)を対象に行った調査によると、成人してからワクチンを接種した経験がある人は2,998人と全体の4割ほどにとどまっていた。そのうち、最も多かったのはインフルエンザワクチン(2,302人)で、その次に多かったのが肺炎球菌感染症(肺炎)ワクチン(1,501人)だった。最多となるインフルエンザワクチンですら、全体の32%ほどしか接種していないこととなり、予防接種への関心率の低さが浮き彫りとなっている。ワクチン接種率の低さの原因として「感染を100%防げない」をあげる人も少なくないだろう。ただ、重症化を防いだり、死亡リスクを低減させたりするなど、一定の臨床効果は示されている。例えば、インフルエンザワクチン接種率と学級閉鎖日数の相関を見ると、ワクチン接種率が高いほど学級閉鎖日数が少ないなどの結果も得られており、「一定の接種率を確保すると、学校などでの集団生活の中でインフルエンザが流行するというのは、ある程度抑えられます」。ただ、今年は従来よりも対応ウイルスの種類を増やしたワクチンに切り替えられている。これまではA型2種とB型1種だったが、新たにB型をもう1種増やして4種類に対応するように変更。そのため、ワクチン接種費用が高くなる傾向が見られている。岩田教授はワクチン接種に係る料金値上がりに伴う接種率の低下も懸念しつつも、「接種が重要」との見解を示した。○インフル流行時は肺炎球菌のワクチンもインフルエンザ以上に接種率が低い肺炎球菌に関しても、岩田教授はその重要性を指摘している。免疫機能が未発達の5歳未満や機能が低下してくる高齢者(65歳以上)が肺炎球菌による感染症になりやすい。日常生活で発症する肺炎である「市中肺炎」に罹患(りかん)すると死亡リスクが上昇するなど、日常生活に多大な影響を及ぼすことがわかっている。市中肺炎の入院患者の原因微生物を見ると、肺炎球菌が全体の4分の1を占めたという報告があるほか、インフルエンザ流行時に検出された肺炎の原因となった細菌は肺炎球菌が多いというデータもある。「インフルエンザが流行したときは肺炎球菌を起こしやすくなるので、インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンを一緒に受けておいたほうが予防としてはいいということになります」。肺炎球菌ワクチンの定期接種は2014年10月から開始されており、2018年度までは該当する年度に65歳、70歳、75歳などのように「5歳の倍数となる高齢者」などが対象となっている。また、乳幼児や高齢者だけではなく、喫煙者や糖尿病、心疾患、呼吸器疾患などを患っている人も肺炎球菌感染症のリスクが高くなる。来る11月12日は「世界肺炎デー」。これを機に、肺炎球菌について詳しく知ろうとしてみるのもいいだろう。○医療従事者と患者間で予防接種の会話増を最後に岩田教授はワクチンが導入・普及されて日本では確実に病気の数が減ってきているとしたうえで、その接種率を高く保ち続けることが大切になってくると指摘。そのために、「医療関係者と患者さんの間で予防接種に関する会話が多くなることが重要」だとした。これからインフルエンザが本格的に流行する時期になる。岩田教授によると、健康な成人におけるインフルエンザワクチンの有効性は約7割だという。1回あたりの接種金額が500円~1,000円ほど値上がりしている病院もあるようだが、ワクチンを接種して自分の体を賢く守るよう、努めるに越したことはないと言えそうだ。
2015年11月02日朝晩が寒くなり、乾燥が気になってきました。これから冬にかけて流行してくる感染症として、インフルエンザやノロウイルスなどがあります。東京都感染症情報センターによると、すでにインフルエンザとみられる症状で学級閉鎖になった都内の小学校もあるとのことで、これからの季節、流行が心配されます。また、ひどい吐き気や下痢といった、つらい症状を引き起こす、ノロウイルス。家族間で感染しやすく、肉体的ダメージが多いこともあり、私のママ友の間でも「子どもにかかってほしくない感染症」で上位にランクインしています。免疫力の弱い小さいお子さんを持つママは、特に心配ですよね。そんな感染症の予防法はというと、まずは「手洗い・うがい」です。しかし、ちゃんとした手洗い・うがいってできていますか?親指も忘れずに! 正しい手洗いの方法まずは正しい手洗いの仕方から。1.水で簡単に汚れを落とした後、石けんをつけます。2.泡立てた石けんで、手のひら・手の甲・指の間を洗います。3.次は爪を洗いましょう。手のひらに爪を立てるようにしてこすり洗います。ここで、ポイント! 手のひらのしわや溝の部分にこすりつけ、汚れをかき落とすようにすると、さらに効果的です。4.忘れがちなのが、親指です。特に、親指と人差し指の間には汚れやばい菌がたまりやすいので、しっかり汚れを落としましょう。親指を握るようにして洗うときれいになります。指しゃぶりなどが多い小さなお子さんは、特に気をつけて洗ってあげてくださいね。5.最後に手首まで洗っておしまい。水で流しましょう。 実はこのようにしっかり洗おうとすると20~30秒くらいかかります。お子さんが飽きてしまわないように、横についてあげて、一緒に歌を歌いながら洗うと、時間が経つのも早くておすすめですよ! たとえば「チューリップ」の歌の1番を歌うと、20秒ちょっとかかります。そのほか、幼稚園や保育園では、正しい手洗いを歌で教えているところもあります。楽しく歌うことで、正しい手洗いが習慣になるといいですね。小さな子供は「ぶくぶくぺっ」の練習から、正しいうがいの方法まずは、口をゆすぎます。そして口の中をきれいにしてからうがいをするのが、正しい方法です。小さいお子さんも、まずは「クチュクチュうがい」から始めてみましょう。水を口に含んで、「ぶくぶくぺっ」の練習です。それに慣れてきたら、水を口に含んだまま顔を少し上に向けて「あー」と声を出す練習をしてみましょう。これで「ガラガラうがい」ができるようになります。横で数を数えてあげたりすると、「何秒できた!」という達成感があってお子さんも嬉しいかもしれませんね。感染症を防ぐには、とにかく「手洗い・うがい」が大切です。しっかりした手洗い・うがいでこれからの季節を元気に過ごしましょう。(あい)
2015年11月01日国立感染症研究所は10月20日、10月5~11日の期間中の感染症発生動向調査を公開した。同調査により、RSウイルスが原因の「RSウイルス感染症」の患者が、昨年末からこれまでに全国で5万人を超えたことが判明した。RSウイルス感染症は、RSウイルスによって引き起こされる呼吸器の感染症。同研究所によると、生後1歳までに半数以上の子どもが、同2歳までにほぼ100%の子どもがRSウイルスに初感染するという。感染経路は飛沫(ひまつ)感染と接触感染。症状はさまざまで、風邪のように発熱や鼻水などを伴ったり、重度の場合は肺炎や気管支炎になったりすることもある。だが、生後数週間~数カ月間程度の乳児が初めて感染した場合は、重篤な症状が出る可能性が高まるとされている。全国約3,000カ所の定点医療機関から10月5~11日(第41週)の期間中に報告があった全国の感染者数は3,696人。第39週の1,997人、第40週の2,643人と比較してみると、患者が急増していることが伺える。都道府県別での感染者が最も多いのは東京都(398人)。東京都は第39週に209人だったが、第40週に303人、そして今回398人と2週間で倍増している。東京都に次いで多かったのは大阪府(266人)で、以下に神奈川県(187人)、北海道(159人)、埼玉(158人)と続いている。逆に患者が少ないのは沖縄県(4人)、山梨県(6人)、和歌山県(10人)、茨城県(16人)などとなっている。全国のRSウイルス感染症患者の累積数は、第41週の数値を合算して5万2,756人となり、昨年よりも早く5万人を突破した。全国的な感染が拡大していることを受け、Twitter上では「RSウイルスっての流行ってるから3歳未満の子が居る人気を付けてくださいね」「今回RSウイルス、インフルエンザより厄介なことがよーくわかった」「ジリジリとRSウィルスがやってきたか」などの声があがっている(すべて原文)。※写真と本文は関係ありません
2015年10月20日国立感染症研究所は9月24日、9月7~9月13日の期間中の感染症発生動向調査を公開。同調査により、RSウイルスが原因の「RSウイルス感染症」の患者が前週に比べ、約1.3倍に増加していることが判明した。RSウイルスによって引き起こされる呼吸器の感染症であるRSウイルス感染症は、生涯にわたって何度も感染と発病を繰り返す。ただ、同研究所は生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の子どもがRSウイルスの初感染を受けるとしている。飛沫(ひまつ)感染と接触感染がRSウイルスの感染経路となる。風邪のように発熱や鼻水などを伴ったり、重度の場合は肺炎や気管支炎になったりと症状はさまざまだ。しかし、生後数週間~数カ月間程度の乳児が初めて感染した場合は、重篤な症状が出る可能性が高まるとされている。全国約3,000カ所の小児科から9月7~9月13日(第37週)の期間中に集まった感染報告数は、2,652。前週(第36週)の2,083からおよそ3割、さらにその前の週(第35週)の1,683からおよそ6割増加している計算になる。感染者が多い5地域は福岡県(304人)、東京都(247人)、大阪府(162人)、宮崎県(125人)、広島県(123人)となっている。東京都だけで見ると、第35週(106人)に初めて100人を超え、172人(第36週)、247人(第37週)と直近3週間で約2.3倍に増えている。逆に第37週の感染者が少ない地域は、群馬県(1人)、山梨県(1人)、富山県(2人)など。RSウイルス感染症は例年、冬場に報告数のピークが見られるが、2011年以降は7月から報告数の増加傾向がみられている。今年の第37週までの累積報告数は4万1,360で、昨年同時期(3万2,495人)に比べ、約1.3倍となっている。
2015年09月25日国立感染症研究所は9月15日、8月31~9月6日の期間中の感染症発生動向調査を公開。同調査により、RSウイルスが原因による「RSウイルス感染症」の患者が、前週に比べて約1.2倍に増加していることが明らかになった。RSウイルス感染症は、RSウイルスによって引き起こされる呼吸器の感染症。生涯にわたって何度も感染と発病を繰り返すが、同研究所によると、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の子どもがRSウイルスの初感染を受けるという。症状は、発熱や鼻水などの風邪に似たようなものから、重度の場合は肺炎や気管支炎までとさまざまだ。ただ、生後数週間~数カ月間程度の乳児が初めて感染した場合は、重篤な症状が出る可能性が高まるとされている。全国約3,000カ所の小児科から8月31~9月6日(第36週)の期間中に集まった感染報告数は、2,083。その前の週の1,683から1.2倍以上に増加している。特に多い地域としては、福岡県(295人)を筆頭に、東京都(172人)、大阪府(108人)、広島県(101人)で感染者が100人を超えている。東京都だけで見ると、35人(第33週)、68人(第34週)、106人(第35週)、172人(第36週)と推移しており、3週間前に比べて約5倍となっている。RSウイルス感染症は例年、冬場に報告数のピークが見られる。だが、2011年以降は7月から報告数の増加傾向がみられている。厚生労働省によると、2014年の報告数は第30週から徐々に増加傾向となり、第34週から第37週にかけて急速に増えたという。今年も第34週から1,119人、1,689人、2,083人と着実に増加しており、昨年と似た傾向となっている。RSウイルスの感染経路は飛沫(ひまつ)感染と接触感染。そのため、「マスク着用」「子どものおもちゃなどのアルコール消毒」「手洗い」などが予防策となる。全国的に患者が増えていることもあり、Twitter上では「乳幼児の咳には要注意」「RSウイルス、流行の兆しね」「次はRSウイルスが流行っているのか」といった不安や戸惑いのコメントがみられる(すべて原文)。※写真と本文は関係ありません
2015年09月16日東京都感染症情報センターは9月2日、都内のデング熱報告数の推移などを明らかにした。蚊を媒介して感染するデング熱は、デングウイルスを原因とする急性の熱性感染症。主な症状として発熱や頭痛、筋肉痛、皮膚の発疹などがある。症状は1週間程度で回復するが、ごくまれに感染者が死亡するケースもある。昨年は8月中旬頃から東京都をはじめとする関東圏で、70年ぶりとなるデング熱の国内感染者が続出。8月末から厚生労働省が感染者数の公表に追われ、最終的な国内感染者は160人を数えた。昨年9月4日にデングウイルスを保有している蚊が東京都の代々木公園で確認されたことなどもあり、同公園や国立オリンピック記念青少年総合センター、新宿御苑などの施設が閉鎖された時期もあった。今年は国内感染者がいまだ報告されていない一方、海外での感染者は増えている。8月30日時点での東京都における感染報告数は53人。2011年以降の推移と比べると、国内感染者が続出した2014年を除けば2番目に報告数が多かった2012年と、今年8月時点の数値がほぼ等しくなっている。このまま増えていけば、2012年や2013年の報告数を上回る可能性もある。厚生労働省が「海外の流行地で感染し帰国した症例が近年では毎年200名前後」見られるとしているように、元来、デング熱は主に東南アジアや南アジア、中南米などで感染者が多く報告されている。実際、同センターも「推定感染地域別報告数」を公表しているが、今年の東京都の感染者数の大半がインドネシアやフィリピン、タイなどで感染したと見ている。今後もこれらの地域に渡航する際は、注意が必要といえそうだ。なお、世界保健機関の西太平洋地域事務所によると、今年のマレーシアのデング熱の感染者は8月15日時点で約7万6,000人となっており、昨年同時期に比べて3割近く増加している。ベトナムは8月16日時点で感染者が2万5,000人近く報告されており、昨年同時期に比べて5割以上も多くなっている。同じくフィリピンもやや増加傾向にあるとのこと。一方で、中国は7月の感染者数は過去3年と似たような傾向にあり、オーストラリアの感染者数も昨年とほぼ同様となっている。※画像はすべて東京都感染症情報センター提供
2015年09月03日ギネスブックに「人類史上最も感染者の多い感染症」として登録された病気があります。それは「歯周病」。「命に関わるような病気でもない」と軽く考えるのは禁物。自覚症状のない歯周病は、気づいたときには抜歯しかすべがなかったということも多くあるのです。歯周病の現状と予防法などについて、歯科衛生士の土屋和子先生(スマイル・ケア代表)にお聞きしました。あなたも感染している!?歯周病――歯周病は「感染症」なのですか。土屋先生:歯周病の元となる歯周病菌は、最初は感染によって人の口内に入り込みます。虫歯菌と同様、親子間の接触で感染したり、成人になってからも唾液を介して、キスなどで感染することもあります。いったん感染すると口の中の歯周病菌を完全になくすことはできません。ですから、ほとんどの人が感染しているといっても過言ではないでしょう。――親子間で感染するということは、若い人でも歯周病になる可能性があるのでしょうか。土屋先生:実は、歯周病菌は赤ちゃんが生まれるときに通る産道でも見つかっています。それくらい小さな頃から私たちの間で蔓延しているのです。子どものうちは影響を受けにくいのですが、遺伝的要素が高いと、早い人では乳歯の段階から歯周病が出ることもあります。歯科の予防医療が進んでいるアメリカやヨーロッパでは、15~18歳ごろから歯周病に気をつけるよう指導されています。「若いから歯周病にはならない」と思っていてはいけません。ほうっておくと怖い!歯周病――歯周病の症状について教えてください。土屋先生:歯周病菌の働きによって歯茎が炎症を起こし、やがて歯を支える骨にまで進行していきます。骨の組織が破壊されると、最終的には抜歯をしなければならない状態になります。気をつけなければならないのは、歯周病は初期の自覚症状がまったくないということです。歯茎が腫れている、歯が動く、噛むと違和感がある……、そのような状態になったときは、すでに手遅れのことが多いのです。――歯周病を、初期のうちに自分で発見する方法はないのでしょうか。土屋先生:「歯周病かな?」と思う以前に、口内に少しでも気になることがあればすぐに歯科を訪れた方がよいでしょう。中高年になると抜歯を経験される方も増えてきますが、ご自分が抜歯をした原因を覚えていない人が少なくありません。実際、歯周病が原因で抜歯をする方はとても多いのです。歯周病が骨まで進んでしまった場合、元の状態にするのは多くの場合不可能です。歯周病を防ぐには?――歯磨きをきちんとしていれば防げますか?土屋先生:日々のケアももちろん重要ですが、それだけで歯周病を防ぐことは不可能です。検診も含めて定期的に歯科に通い、歯根周囲のプラーク(歯垢)や歯石を除去することがなにより重要です。プラークや歯石のもとは細菌で、まさに歯周病の病原ですが、これらは歯科で専門的な処置をしなければ除去することはできません。これを放置しておくのは、歯周病を育てているようなものです。歯が丈夫な人は、「自分は虫歯がないから歯周病にもなっていないだろう」と思うかもしれませんが、これも危険です。虫歯がないために歯医者に通う習慣がなく、歯周病の発見が遅れてしまうというケースも多くあります。唾液ケアが大事――定期的な歯科検診が最重要ということですね。ほかに、自分で予防のためにできることはありますか?土屋先生:唾液が少ない状態になると歯周病のリスクが高まるので、気をつけた方がよいですね。唾液は歯や粘膜を保護し、抗菌作用によって歯周病菌が増殖しないようコントロールしてくれます。いまはパソコン画面の見すぎなどによるドライアイが流行していますが、実はドライアイの人はドライマウスの疑いがあります。唾液が少ない人はとても増えてきています。――唾液を増やす方法はあるのですか?土屋先生:唾液は、口の中の唾液腺を刺激することによって多く分泌されますから、まずは食事のときによく噛んで食べましょう。一口あたり30回くらい噛むのが理想です。また、ガムを噛むなどもおすすめです。そして、口呼吸の人が最近増えていますが、口の中の乾燥の原因となりますから、鼻呼吸を習慣付けるとよいでしょう。――口腔衛生の管理には、さまざまな視点が必要なのですね。土屋先生:菌の暴走を抑えるという点では、全身の健康管理も重要です。睡眠をしっかりとる、バランスのよい食事をする、ストレスをためすぎないなどに留意してください。ふだん元気な人が体調を崩したときに、歯周病も急に進行してしまうことがあります。「歯科は、虫歯ができたり歯の調子が悪くなったりしたら診てもらうところ」と思っている人がまだ多いかもしれません。しかし、予防をしっかりして虫歯や歯周病にならないようにすることが、長い目で見て体への負担も経済的な負担も小さくすむものです。歯に関する悩みや疑問があったら、どんなことでも歯科医師や衛生士に相談してみてください。<プロフィール>株式会社スマイル・ケア代表土屋和子先生【出身】兵庫県神戸市【経歴】1977年 歯科衛生士ライセンス取得1982年~ 日本におけるフリーランスプロフェッショナルハイジニスト第1号数多くの歯科医院、病院、施設にて勤務現在まで、約350名の歯科医師、約1,400回の講演に関わる2007年 株式会社スマイル・ケア設立2011年 全米NLP協会公認トレーナーライセンス取得2012年 LABプロファイル®公認トレーナーライセンス取得2014年 日本歯科医療人育成協会設立理事デンタルNLP®・ぺリオマネージメント®主宰現在 Dr.土屋賢司・Dr.植松厚夫・Dr.北原信也のオフィス勤務
2015年08月19日国立感染症研究所はこのほど、最近の感染症の発生状況をまとめた「感染症発生動向調査」を公表し、手足口病の感染者が増加していることを明らかにした。手足口病はエンテロウイルスやコクサッキーウイルスを原因とする病気で、手や足、口内などを中心に水疱(すいほう)を伴った発疹が出ることが特徴。37~38度の発熱や喉の痛み、食欲の低下などの症状が出る。乳幼児に発症例が多く、潜伏期間は3~6日間、症状は2~4日間ほど続くとされている。国立感染症研究所によると、全国約3,000カ所の小児科定点医療機関から報告される患者数は、2014年第44週以降は過去5年間の平均と比較して多い状態が続いていた。2015年に入ると第23週(6月1~7日)頃から急増。第29週(7月13~19日)には、定点当たり報告数が10.16となり、全国での患者数が3万1,920人となった。この数値は、過去10年間で最も報告数が多かった2011年第28週の定点当たり報告数11.0(報告数3万4,216)に次いで多いという。地域別にみると、最近は東日本での患者数が増えているという。定点当たり報告数の上位10位に入る東日本の都道県数は、第26週(6月22~28日)が3県、第28週(7月6~12日)が4県、第29週(7月13~19日)が7都県と増加している。第31週(7月27~8月2日)の手足口病の定点当たり報告数は10.26で、前週(9.38)より1近く増加。都道府県別では、宮崎(19・61)、新潟(19・59)、宮城(18・73)、山形(18・67人)が同期間中の上位となっている。なお、東京都は14.09、大阪府は11.26と比較的高い数値となっている。
2015年08月12日関西福祉大学の勝田吉彰研究室はこのほど、感染症とメンタルヘルスについてまとめた「パンデミック症候群~国境を越える処方箋~」(著者: 勝田 吉彰)を出版した。同書の著者は、外務省医務官として24か国で海外医療の世界を経験した渡航医学の専門家。著者は2003年のSARS流行渦中の北京で大使館医務官として対応にあたり、社会のパニック状態への対処を経験してきた。同書ではその経験から、今後日本に「耳慣れない感染症」が入ってきたときに何を伝え、何を知ってもらう必要があるのかを的確に記している。また、医学系の書籍は著者の専門により、分野別に分かれているのが一般的だが、同書は「感染症」「メンタルヘルス」「海外医療事情」を1冊で網羅した。致死率の高いエボラ出血熱や、蚊によって媒介されるデング熱など、これから日本に入り脅威となる病気や、海外進出にあたって注意が必要な感染症とメンタルヘルスに加えて、途上国の医療事情やアンテナの張り方まで1冊にまとめている。海外に行く際に気をつけたい情報についても記載。今後、国境を越える人に向け、海外旅行や出張の際に備えておきたい病気の知識、海外勤務で自分の身を守るための情報も掲載した。価格は972円(税込)。
2015年08月07日東京都福祉保健局はこのほど、海外旅行における感染症の注意点などをまとめた「海外旅行者・帰国者のための感染症予防ガイド」を同局のホームページにて公開した。エボラ出血熱をはじめとする国内未確認症例を含め、海外にはさまざまな感染症が存在する。そこで、海外旅行者が増えると見込まれる夏休みシーズンを前に、海外旅行における感染症の注意点などをコンパクトにまとめたガイドを東京都が作成した。「海外旅行者・帰国者のための感染症予防ガイド」には、感染症予防のポイントや帰国後の健康状態をチェックできる独自の体調管理シートなど、すぐに活用できる情報が一目でわかるようになっている。例えば、旅行前に行う準備として、旅行先の感染症情報の収集方法や、必要な予防接種と受けられる医療機関の探し方が記されている。旅行中に気をつけるポイントとしては、「手洗いが基本」「生水や氷、カットフルーツ、サラダに用心すべき」「はだしでの水遊びは禁物」などが挙げられている。また、海外旅行から帰国した後に「発熱」「下痢」「皮膚の異常」などの症状が出た場合、どのような状態が続けば医療機関を受診すべきかもまとめられている。同ガイドは7月17日より、都内のパスポートセンター4カ所(有楽町、新宿、池袋、立川)において、無償で配布する予定。なお、東京都福祉保健局のホームページからも自由にダウンロード可能となっている。
2015年07月13日夏は、熱中症や夏バテで体調を崩しがち。でも、それだけでなく感染症にも注意が必要だというのをご存知ですか?感染症と言えば、インフルエンザなど冬のイメージ。ところが、夏に流行る感染症もあるので油断は禁物です。そこで今回は、医師の佐藤留美先生に夏に気をつけるべき感染症について聞いてみました。「夏にとくに注意したいのは、子どもがかかる感染症。咽頭結膜熱(プール熱)、手足口病、ヘルパンギーナなどがあります」佐藤先生は7歳の男の子のママ。あまりなじみのない病名が挙げられましたが、これらは珍しいものではなく、子どもを持つママは知っておいたほうがいいものだそう。「どの病気も高熱が出るのが共通する症状です。さらに、咽頭結膜熱(プール熱)では、ノドや目が充血したり、ヘルパンギーナではノドの奥の扁桃に小さいプツプツができて腫れたりします。手足口病は手や足、口の周りに水泡ができたりもします」咽頭結膜熱(プール熱)は、だいたい3~5日ぐらいで熱も下がり、症状は落ち着くと言いますが、手足口病やヘルパンギーナといった病気の原因となるウイルスは、夏から秋にかけて流行します。エンテロウイルス、エコーウイルス、コクサッキーウイルスといった聞きなれない名称ですが、実はこのウイルスは、こういった手足口病やヘルパンギーナといった病気を引き起こすのではなく、髄膜炎を引き起こすウイルスなのです。さらに、エンテロウイルスは「便」として排出されて、口の中に発疹ができるので、非常に痛がり水分が取れず脱水症状になる可能性も。そのため、熱が下がらなかったり、頭痛や嘔気・嘔吐などの症状があるときは、早めに医師の診察を受けられてください。「髄膜炎を合併したりすると、即入院して、安静、点滴などの治療が必要」とのことなので、怖いですね。夏の感染症や夏風邪にかからないために大切なのは、冬と同様予防をすることです。ただし、インフルエンザのようなワクチンはないそう。そこで、佐藤先生は、「手洗い、うがいは冬のイメージですが、夏も大切です」と言い、ご自身が実行するのはもちろん、息子さんにも徹底されているとか。さらに、「睡眠や栄養を十分にとり、抵抗力をつけることや、二酸化塩素を主成分とする除菌剤など除菌グッズを使って、手やよく手の触れる所などの除菌、空間除菌をすることが大切」とアドバイスをいただきました。これらは子どもがかかる感染症ですが、実は子どもから大人に感染することもあるので、大人も注意が必要だそう。また、感染すると大人のほうが重症化するケースが多いそうなので、特に気をつけたいですね。まだ子どもがいなくても、甥っこや姪っこ、女友達の子どもなど、小さな子どもに接する機会は意外にあるものです。そんなときは、手洗いやうがいなどを意識的にして、注意を払いましょう。冬は、ウイルス対策をして、インフルエンザなどの感染症を予防している人は多いはず。けれども、夏でも感染症に注意する必要があるというのは、いつかママになる日のためにも知っておきたいですね。もちろん、手洗い、うがい、空間などの除菌といった予防対策についても、今からしっかり覚えて、意識的に実行しておきましょう。<佐藤 留美先生プロフィール>2002年医師免許取得、2012年医学博士号(甲)取得。現在は、呼吸器内科にて常勤医。日本内科学会認定内科医、日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会呼吸器専門医、インフェクションコントロールドクター、「日本感染症学会感染症専門医、日本化学療法学会化学療法認定医・指導医、日本結核病学会抗酸菌認定医・指導医、肺がんCT検診認定医」。Doctors Meにて、女性の健康や美容などについての記事を執筆中。二酸化塩素を使用した除菌剤「クレベリン」製品ページは こちら
2015年06月15日春はあたたかいので感染症の流行する季節ではない……。そんなふうに思っている人も多いかもしれません。でも、女性はとくに気をつけたい病気「風しん」は、5月が流行のピークを迎えることが多いのだそうです。“女性はとくに”と書いたのは、妊娠したときに風しんにかかっていると、おなかの中の赤ちゃんに影響を及ぼすことがあるから。耳が聞こえなくなったり、重い心臓病になってしまったりする「先天性風しん症候群」を発症する恐れがあるからです。発症してしまった場合、完治する手立ては今のところありません。だから、予防接種をきちんと受けて、体の中に抗体をつくることが大事なのです。と、ここで「あれ、私はワクチン接種してるのかな?」と思った人もいるのでは?そんな人は、下記の関連リンクでチェック。この中の表を見れば、自分がどの時期に予防接種を受けた可能性があるかわかります。これをもとに、ご両親に聞いたり、ご自身の母子手帳を見たりして、ぜひ確認してみてください。今の子どもたちや24歳くらいまでの人は、風しんワクチンを2回接種した世代ですが、25歳以上の人たちは、1回接種。シロタ産婦人科名誉院長の久保隆彦医師によれば、1回接種の人たちは、2回接種の人たちよりも抗体が弱く、もう一度接種したほうがいい場合もあるとのこと。「両親に聞いても覚えてなかった」「母子手帳が見つからなかった」などという人も含めて、これらの人たちは抗体検査を受けるとよいでしょう。妊娠を希望する女性なら無料で受けられるので、おすすめです。最後にもう一つ。男性は妊娠する生き物ではありませんが、風しんに感染し、それを女性にうつしてしまう可能性はもっています。中でも、36歳以上の男性は定期接種のなかった世代なので、より注意が必要です。自治体によっては、男性の抗体検査が無料の場合も。パートナーと先天性風しん症候群の話をして、一緒に抗体検査を受けるとよいでしょう。将来の赤ちゃんのために、みんなができること……。自分事として考えていきたいですね。◇「風しん」予防は社会、職場全体の問題風しんワクチンの接種はなぜ大切? Vol.2(妊娠出産インフォ)
2015年05月27日東北大学は5月25日、1970年代以前によく見られ、一旦は収まっていた感染症「レプトスピローシス(ワイル病)」が近年、東北地方で再発生していると発表した。同成果は東北大学災害科学国際研究所 災害医学研究部門・災害感染症学分野の研究グループによるもので、5月1日付けの「Tohoku Journal of Experimental Medicine」に掲載された。レプトスピローシスは、古くから存在する人獣共通感染症で、重症型はワイル病として知られる。重症化すると急性腎不全、肝不全、脳症などを起こし、死に至る場合もある。感染源はラットなど動物の尿で、それがヒトに経皮感染すると考えられている。世界では年間30万~50万人の患者が存在し、洪水などで増加することが報告されており、2009年にはマニラの洪水のあとに大流行したとされる。日本では1970年代以前に宮城県でよく見られたが、その後農業の機械化や衛生面の改善により患者数は減少した。近年では2008年に秋田県で1例報告されるに留まっていたが、2012~2014年の間に4例の感染報告がされた。中には、ネズミに噛まれて発症した例があったという。東北大学は、今回の発病と災害は直接の因果関係がないとしつつも、災害時に被災者が自然界に近い生活を強いられるため「東北地方にお住まいの方々は、災害時、このような疾患が起こりうるとの知識を持っておくことが大切です。また、医療関係者も、発熱疾患を診た際は、この疾患の可能性を考えることが大事です」とコメントしている。
2015年05月25日今年もそろそろ“熱中症”に注意が必要な季節になってきた。総務省消防庁のまとめによると、2010年以降、6月~9月にかけて熱中症で救急搬送された人の数は、2013年の5万8,729人を筆頭に、毎年4万5,000人から5万5,000人前後で推移している。2014年は若干低くなったものの、約4万人が救急搬送されている。○熱中症の原因は?そもそも熱中症とは、高温の環境下で体内の水分や、ナトリウムやマグネシウムといったミネラルのバランスが崩れたり、体内の調整機能が低下するなどにより発症する障害の総称。最悪の場合には死に至る可能性もあり、体温調節機能が未発達な乳幼児や、体温調節や発汗機能が低下している高齢者は特に注意が必要とされる。熱中症が起こる主原因は、体内のミネラル分の不足。夏場は、気温とともに体温も上昇することから、人間の身体では発汗と血液を皮膚に集めることで、体外に熱を放出して体温を下げようとする機能が働く。しかし、その際に汗に含まれるミネラルが大量に失われてしまうことから、体は体内のミネラルの濃度を一定に保つために水分を減らすように働くため、血液量が減り、血液による脳への酸素供給が不十分となった結果、めまいやふらつきを引き起こすのだ。ミネラルは人間の体内では生成できない成分。それゆえ、飲食に補給する必要がある。水分だけでなく、ミネラル不足を補うために、スポーツ飲料が飲まれることが多いが、乳幼児から高齢者まで年齢を問わず誰でも手軽にミネラル補給ができる飲み物として、「ミネラル入りむぎ茶」を勧めるのは漢方専門医でノザキクリニック院長の野崎 豊先生だ。「体内で発生した熱は、血液によって皮膚に集めることで、その熱を体外に放出して血液の温度を下げて、体内に戻していくことで、体内の熱を下げます。そのため、水分やミネラルが不足していて、血液がドロドロ状態になると、血液の流れが悪いため、皮膚に血液を集めることができずに熱を放出しづらくなり、熱が体内にこもり熱中症にかかってしまいます。そのため、熱中症対策には、“血液さらさら効果”のあるミネラル入りむぎ茶を飲むことオススメします」と野崎先生。ほか、「血液がドロドロしていると、血液中にかたまりができてしまうこともあり、このかたまりが血管壁を傷つけたり、血管を詰まらせたりすると全身の器官や臓器の機能低下を招いて心筋梗塞や脳梗塞などの症状を発症させる恐れもありますので、"血液さらさら効果"は、それらの予防にも効果的だと言えるでしょう」と付け加えた。○ミネラル入りむぎ茶の知られざる効果ミネラル入りむぎ茶の“血液さらさら効果"は、2003の「第11回日本ヘモレオロジー学会」で、伊藤園、赤穂化成、ノザキクリニックの共同研究成果として発表されている。健常な男性22~23人がミネラル入りむぎ茶と2種類の一般的なむぎ茶を飲んだ後に、一定量の血液が流れる時間を測定すると、ミネラル入りむぎ茶が最も血液流動性が高い結果が示されたとのことだ。また、野崎先生によると、ミネラル入りむぎ茶には“体温下降効果”もあるという。健常な男性4人がミネラル入りむぎ茶とミネラルウォーターを飲用する前と飲用30分後の体温変化をサーモトレーサー(赤外線熱画像カメラ)で測定する実験では、ミネラル入りむぎ茶を飲んだ被験者の腹部・胸部の体温は1.7℃下がったが、ミネラルウォーターを飲んだ被験者の体温は逆に0.6℃上昇するという結果が得られたそうだ。「人は体内で発生した熱を血液によって皮膚に集めることで、その熱を体外に放出するほかに、汗の蒸発により体の熱を奪うことで体温を下げています。しかし、湿度が75%を超すと、汗は蒸発することができなくなります。すると、ダラダラと汗が出るだけで熱を奪うことができず脱水状態となり、熱中症につながります。でも、体温下降効果のあるミネラル入りむぎ茶は、体の余分な熱を奪い、体の内部体温を低下させるので、熱中症対策に効果的と言えます。日本の夏は湿度が高いため熱中症になりやすい環境。ミネラル入りむぎ茶は、刺激物であるカフェインも含まず、お子様から高齢者、冷え性の方、妊婦の方にも安心な飲料です」と野崎先生は説明する。また、熱中症対策にはミネラルの定期的な補給が必須とのこと。野崎先生は「ミネラルの補給は、血液内に吸収されたときにしか効果がありません。一時にまとめて補給を行うよりも少しずつ毎日継続的に飲むことが大切です。意外に知られていないことですが、熱中症は発生した当日の水分不足から起こるのではなく、数日前からの水分とミネラル不足が原因で発生するのです。ですから、常日頃から十分なミネラルの補給を心がけてほしいと思います」と話し、熱中症への耐性獲得には2~3カ月ほど掛かることを付け加えたうえで、日常的なミネラルの補給の必要性を強調した。毎日飲むという点でも、お茶は飽きが来づらい現実的な飲み物。熱中症対策として、今年の夏はミネラル入りむぎ茶を常用しておきたい。
2015年05月13日デング熱をはじめとした蚊媒介感染症についての情報を発信するため、このほど「みんなで防ごう! デング熱プロジェクト」が発足した。ウェブサイトもオープンし、対策法や最新情報について情報を公開している。2014年8月、約70年ぶりに日本国内でデング熱感染者が確認された。デング熱は蚊が媒介するウイルス感染症で、感染すると潜伏期間を経た後に発熱や激しい頭痛、関節痛などの症状が出る。日本では2014年10月31日時点で感染者数は160人と報告されていたが、世界的に見ても、最近の数十年間でデング熱にかかる患者数が増加している。同プロジェクトは、デング熱をはじめとした蚊媒介感染症および害虫リスクへの予防意識を高め、虫よけ活動をサポートすることなどを目的に立ち上げたもの。ウェブサイトでは、デング熱など蚊媒介感染症に関する正しい知識や対策、最新情報を掲載している。4月中旬からは、蚊や害虫専門家の嘉糠洋陸教授(東京慈恵医科大学)や、皮膚科医の馬場直子先生などによるデング熱対策や、虫よけの必要性に関するコラムも掲載予定とのこと。早期からの対策の重要性や具体的な対策法について啓発を行っていく。そのほか、マダニなど蚊以外の害虫リスクも掲載する。
2015年04月14日電気化学工業は3月31日、グループ会社であるデンカ生研が北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターの高田礼人 教授と共同で、エボラウイルス迅速診断薬を開発したと発表した。同診断薬は、デンカ生研が製造・販売している感染症迅速診断キット「クイックナビ」シリーズのプラットフォームをベースとし、血清を検体とした測定を実施する。米国の施設で実施された試験では、約15分でエボラウイルス感染の有無を判定することができた。「クイックナビ」シリーズが採用するイムノクロマト法は特別な器具や装置を必要としないため、簡便かつ迅速な検査が可能。そのため、今回開発されたエボラウイルス診断薬は電源が十分でない地域での活用が期待される。
2015年04月01日「最近おりものが多い」「下腹部が痛む」といった症状を感じたことはあるだろうか。実はこれらの症状はSTD(性病・性感染症)のサインかもしれないのだ。今回は、女性には自覚症状が無い場合も多い「性器クラミジア感染症」と「淋菌感染症」の症状や予防法、治療方法などについて、STDの郵送検査キットを販売するアルバコーポレーションの萬田和志社長に話を伺ったので紹介しよう。○クラミジアに感染すると、HIV感染リスクも増加萬田社長によると、「いつもよりおりものが多い」「下腹部の痛み」などの症状から疑われるSTDには、「性器クラミジア感染症」と「淋菌感染症」があるという。性器クラミジア感染症「クラミジアトラコマティス」という病原体を原因とする病気で、単に「クラミジア」と呼ばれることもある。感染者との粘膜同士の接触や精液、腟分泌液を介して感染するため、セックスやオーラルセックス、アナルセックスなど、あらゆる性行為で感染の可能性がある。またクラミジアに感染していると、粘膜が炎症を起こした状態になり、抵抗力が落ちてHIV(エイズの原因ウイルス)に感染する可能性が3~5倍も高くなるとされている。淋菌感染症「淋菌」を原因とする病気で、「淋病」とも言われる。感染経路は性器クラミジア感染症と同様で、あらゆる性行為で感染の可能性がある。特に近年では、オーラルセックスで咽頭(のど)に感染する例が多くなっている。■症状女性の場合は、「おりものの増加」「不正出血」「下腹部の痛み」「性交時の痛み」などが主な症状。オーラルセックスで咽頭(のど)に感染すると、「のどの腫れ、痛み」「発熱」などが起こることがある。どちらも子宮頸管へ感染して子宮頸管炎を起こす。感染が広がって、骨盤内にまで炎症が広がることもある。女性の場合は、これらの感染症に感染しても症状を感じないことが多い。気づかないまま放置すると、「卵管炎」を起こし、子宮外妊娠や不妊症などの原因にもなるため、注意が必要だ。「女性の不妊症のうち、『卵管』に原因があることが30~40%と最も多く、そのうちクラミジア感染が原因となっているのが60%以上と言われています。症状からは感染に気づきにくいため、不妊で受診して初めてクラミジア感染がわかるという例もあるようです。予防できなかった性行為があるなら、症状を感じていなくても検査を受けることが大切です」。○抗生剤で治療し、必ず再検査を性器クラミジア感染症は発症まで1~3週間、淋菌感染症は2~7日ほどが一般的とされている。どちらも検査自体は、感染した可能性があった日から2~3日経っていれば可能。もし感染が認められたら1~7日間、抗生剤で治療する。性器クラミジア感染症では服薬、淋菌感染症では筋肉注射や静脈注射などを行う。また、正しく服用しないと不完全治癒の可能性もあるので、治療後に再度検査を受け完治を確認することが好ましい。性器クラミジア感染症の場合は、治療終了後から3~4週間後、淋菌感染症の場合は、治療後3日以降に再検査するのがベストだ。「特に淋菌感染症は、抗生剤が効かない耐性菌の問題もありますので、医師の指示に従って治療を受け、完全に治すことが大切です。オーラルセックスで咽頭(のど)に感染しても、症状を感じることは少なく、気づかないままパートナーへの感染源になることもあるようです。オーラルセックス時にも、必ずコンドームを使用してください」。女性は自覚症状が無いことが多いので、少しでも違和感を覚えたら、まず検査してみることが大切だ。いきなりの検査に抵抗を感じる場合は、自分で検査できるキットを使うという選択肢もある。写真と本文は関係ありません取材協力: アルバコーポレーションSTD(性病・性感染症)の不安を感じながらも対面での検査を受けにくいと感じている人のために、匿名で検査ができる郵送検査キット「STDチェッカー」による検査サービスを提供。運営サイト「STD研究所」を通して、STDについての正しい情報を発信し、STDにまつわるさまざまな不安や悩みの解決を目指す。
2015年03月24日日常生活の中でふと、自分のおりものの臭いが気になり、その形状もあわ状だったとしたら、STD(性病・性感染症)の一つである「腟トリコモナス症」に感染している可能性が考えられる。放置すると不妊症や早産、流産の危険性もある腟トリコモナス症とはどのような病気なのだろうか。「腟トリコモナス症」の症状や予防法、治療方法などについて、STDの郵送検査キットを販売するアルバコーポレーションの萬田和志社長に話を伺った。○あわ状・悪臭の強いおりものが特徴萬田社長によると、「泡状で悪臭の強いおりもの」といった症状から疑われるSTDには「腟トリコモナス症」があるという。「トリコモナス」が感染することによって起こる病気だ。腟トリコモナス症「トリコモナス」が感染しておこる病気であり、トリコモナスとは、ゾウリムシなどの肉眼では見分けることができない「原虫」の一種。主に性行為によって感染するが、下着やタオル、便器、浴槽などによって感染する場合もある。そのため、幼児など性行為の経験がない人にも感染の可能性がある。■症状女性の場合は「あわ状のおりものの増加」が挙げられ、このおりものには「強い悪臭」がある。また、外陰部や腟に「強いかゆみ」を伴い、痛む場合もあるという。病名に「腟」と入っているが、腟以外にも「子宮頚管」「膀胱」「尿道」などにも感染する可能性がある。ただし、症状のない感染者が20~50%ほどいるとも言われている。治療せずに放っておくと、炎症が卵管にまで進み、「不妊症」や「早産」「流産」などを招く可能性もあるので、少しでも気になる症状があれば検査しておきたい。「『腟トリコモナス症』というだけあって、男性の感染例は多くありません。男性の場合は尿道からの感染が考えられますが、排尿によって洗い流されることも多く、感染が成立しにくいと考えられています。意外に思われるかもしれませんが、こういった物理的な対策が、トリコモナスに限らず様々なSTDに対して有効です」。○症状が治まっても月経後の再検査がベター感染する可能性があった日から2~3日経っていれば検査可能で、腟からの分泌物で検査を行なう。症状がないと腟トリコモナスを検出できない場合もあるので、症状が現れたら速やかに検査するのがよい。もし腟トリコモナス症と診断された場合は、10日間ほど薬を服用して治療し、腟錠を使用する場合もある。治ったことを確認するには、症状が治まったこと、腟トリコモナスが消失したことを確認する必要がある。ただし、残った腟トリコモナスが月経血の中で増殖することが考えられるため、次の月経後にもう一度確認することが望ましいとされる。性行為による感染を防ぐには、コンドームが有効。ただし、浴場やトイレなど性行為以外でも感染してしまう可能性があるので、不衛生な場所やタオルの共有などは避けたい。腟トリコモナス症は、女性にとって不妊や流産などの原因になりうる。それだけに、感染してしまったら早期発見・治療でしっかりと治しておきたい。「腟トリコモナス症は、古くから知られるポピュラーな性感染症の一つです。しかし現在では、中高年層に若干の感染者がみられるものの、感染者数はかなり少なくなっています。衛生状態が今ほどよくなかった時代の性行為では、感染することも多かったのではないでしょうか。メジャーなSTDではありませんが、性行為でなくても感染の可能性がある、つまり他の性感染症よりも感染力が強いという側面もありますので、清潔にするよう心がけることが大切です」。写真と本文は関係ありません取材協力: アルバコーポレーションSTD(性病・性感染症)の不安を感じながらも対面での検査を受けにくいと感じている人のために、匿名で検査ができる郵送検査キット「STDチェッカー」による検査サービスを提供。運営サイト「STD研究所」を通して、STDについての正しい情報を発信し、STDにまつわるさまざまな不安や悩みの解決を目指す。
2015年03月01日東洋新薬はこのほど、同社商品「サポート乳酸菌 YM」にロタウイルス感染による下痢発症抑制作用が確認されたことを発表した。ロタウイルスによる感染性胃腸炎は、年末から徐々に患者数が増加し、春先にピークを迎えるとのこと。ロタウイルスは、感染力が非常に強いため感染予防は極めて難しく、5歳までに世界中のほぼすべての小児が感染し、胃腸炎を発症するとされている。日本でも感染者数は非常に多く、小児感染症における重要な病原体の一つだという。一方でサポート乳酸菌とは、「阿波晩茶(あわばんちゃ)」から単離された乳酸菌のこと。抗ウイルス作用をもつ「サポート乳酸菌 YM(Lactobacillus pentosus)」と、抗アレルギー作用をもつ「サポート乳酸菌 FG(Lactobacillus plantarum)」がある。阿波晩茶は茶葉を微生物によって発酵させた"後発酵茶"と呼ばれるお茶で、中国のプーアル茶はその一つである。日本国内では阿波晩茶(徳島県)のほか、「富山黒茶(とやまくろちゃ)」(富山県)、「碁石茶(ごいしちゃ)」(高知県)、「石槌黒茶(いしづちくろちゃ)」(愛媛県)があり、限られた地域で古くから伝わる伝統的なお茶だという。「近年、後発酵茶による血糖値抑制作用、肝機能の向上など機能性食品としての一面が注目されています」と同社。同社の実験では、母マウスに「サポート乳酸菌 YM」を出産6週間前から摂取させ、その子マウスにロタウイルスを感染させた時の下痢発症率を調べた。その結果、予防接種をしていない「ロタウイルス非免役群」の場合、「サポート乳酸菌 YM」摂取群の下痢発症率は非摂取群より約40%以上減少した。同様に、予防接種をしている「ロタウイルス免役群」の場合も、「サポート乳酸菌 YM」摂取群の下痢発症率は非摂取群の約10分の1以下に下がっている。これらのことから、「サポート乳酸菌 YM」にはウイルス性の下痢の発症を抑制する抗ウイルス作用があることがいえるという。
2015年02月17日リンジー・ローハンがめずらしいウィルスに感染し、ロンドンで一時入院した。リンジーは昨年末、休暇で訪れていたボラボラ島で蚊を媒介にするチクングニア熱ウイルスに感染、発熱や関節痛、疲労感に苦しんだという。潜伏期間は2日から2週間程度で、リンジーも休暇中から体調を崩し、インスタグラムにジェットスキーを楽しむ自分の画像を投稿して「チクングニアに感染する前」とキャプションをつけていた。リンジーはその後も「病気になるなんてつまらない」「ゆったりした休暇がウイルスに台無しにされるなんて、お断りよ」などとつぶやき、ボラボラ島からロサンゼルスに向かったが、ロンドンに戻った時点で高熱と関節痛を訴え、21日(現地時間)、キング・エドワード7世病院に入院した。その後、熱が下がってリンジーは退院したが、母のディナさんがロンドンに向かっているという。(text:Yuki Tominaga)
2015年01月23日受験シーズンを目前に控えた12月、「新習慣『家族うがい』でインフルエンザから受験生を守る」をテーマとしたプレスセミナーが、国際感染症センター トラベルクリニック医長の金川修造先生と、坪田塾代表取締役塾長の坪田信貴氏を登壇者に迎え、JPタワー ホール&カンファレス(東京・千代田区)にて開催された。2014年は、12月初旬の時点で各地自体などがインフルエンザ流行シーズンの始まりを報告しており、対策の実施を呼びかけている。特に、受験生がいる家庭では最もかかりたくない時期であり、効果的なインフルエンザ対策の情報が求められているはずだ。インフルエンザの主な対策には、「ワクチンの接種」「手洗いの徹底」「マスクの着用」「うがいの習慣化」という4つを行うことが理想的とされているが、本セミナーでは意識が低下している「うがい」に着目し、より効果的な実施方法として「家族うがい」の効果や重要性が解説された。○受験生の体調管理を家族でサポートするための「家族うがい」坪田信貴氏のセミナーは、「合格に導く家族のサポート -試験直前のメンタル、体調、生活管理とは-」と題し、過去に坪田氏が対応した受験生やその家族の事例を交えた講演が行われた。例えば、母親だけが受験に協力的であり、あまり関心を持っていなかった父親が、受験前になって今までの方針とは異なることを言い出すと、何を信じて良いか分からなくなって失敗するケースがあるようだ。講演では、勉強方針や睡眠時間、志望校などで両親や家族間で意見が食い違ったために、悩みを抱え込んでしまった受験生の話などが紹介された。逆に、入塾の際の面談は母親と生徒の2人で来るパターンが多い中、両親が揃って受験生と一緒に面談に来た場合では、志望校にほぼ100%の確率で合格しているという。家族で意見を統一させることは体調管理においても重要で、今回のテーマである「うがい」に関しても、両親が揃って必要だと考え、家族全員で実施することが望ましい。うがいに関して無関心であったり不必要と考える家族がいると、受験生も本当に必要なのか分からなくなってしまうのだ。これは、うがいに限らずマスクの着用や睡眠時の加湿、受験に向けた生活リズムの調整などにも言えることで、実際に効果があるのかを疑ったりせずに、家族全員が協力して実践することが大切とのこと。これからの受験シーズンに向けて、気温や湿度が下がって感染症にかかりやすい気候が続く。特にセンター試験の日は雪が降ることが多く、坪田氏が受け持った生徒の中でも、当日になって体調を崩してしまって受験に失敗したケースは珍しくない。受験生を持つ家庭では、うがいが大切であることを家族全員が認識・実践する「家族うがい」を習慣化してほしいと語った。○インフルエンザ対策にうがいは有効なのか?金川修造先生のセミナーでは、感染症対策としてのうがいの効果、家族でのうがいの重要性、うがい薬に含まれている成分「ポビドンヨード」の効果などに関する講演が行われた。インフルエンザは、エジプトのミイラから検出されたほど大昔から存在し、1930年代にはウイルスも発見されているが、未だに抑え切ることができない感染症だ。感染力が強くて一気に広がることが最も問題であり、完全に制圧できる方法が見つかっていない以上、感染を最小限に食い止めることを考えなければならないという。インフルエンザの感染は、咳やくしゃみなどで飛ぶ飛沫や、その飛沫が付いた物を触った手を経由して体内に取り込む経路が多い。そのため、マスクや手洗いは有効な予防手段と認められているが、うがいの効果は懐疑的な見方をされることもある。しかし金川先生は、感染の拡大を防ぐために良いと思われることはできるだけ行うことが大切であり、うがいもそのひとつであるという。うがいの効果は、口内に入ったインフルエンザウイルスやそのほかの細菌やウイルスなどを、完全ではないにしろ洗い流すことができること、口内や喉の乾燥によって感染しやすい病気のリスクを減らせることが挙げられる。さらに、「ポビドンヨード」などのうがい薬を使うことで殺菌効果や整菌効果も期待できるため、口腔衛生の観点からも注目されているのだ。学生がインフルエンザに感染する場合は、学校か家庭のどちらかが感染経路となることが多く、家庭では行動範囲の広い社会人(親や兄弟)がウイルスを持ち込む可能性が高い。そのため家庭においては、学生本人はもちろん、社会人を含む家族全員で「家族うがい」を行って、口から飛ぶ飛沫中のウイルスを減らすことが大切とのこと。さらに、ウイルスや細菌を抑える力が強いうがい薬「ポビドンヨード」のうがい薬を使用すれば、飛沫中のウイルスの不活性化や減少が期待できるという。最後に、こうした予防策はダイエットと同じように継続することが効果を高めることになるため、家族全員が予防意識を持ち続けてほしいと語っていた。
2014年12月18日トイレで用を足しているときに、ふと違和感を覚えるほどの痛みに襲われたことはないだろうか。もしその状況が続くようならば、それはSTD(性病・性感染症)に感染している可能性がある。では、STDの中でも具体的にどのような感染症が疑われるのだろうか。STDの郵送検査キットを販売するアルバコーポレーションの萬田和志社長に話を伺った。○疑われるSTDの特徴をチェック萬田社長によると、「排尿時の痛みや違和感」では、「性器クラミジア感染症」「淋菌感染症」「非クラミジア性非淋菌性尿道炎」の3つのSTDが可能性として浮上してくるという。各感染症の特徴を具体的に見ていこう。性器クラミジア感染症「クラミジアトラコマティス」という病原体により感染する同感染症は、日本で最も感染者数が多いSTDで、その感染者数は100万人以上とされている。粘膜同士の接触や精液・腟分泌液を介して感染するため、あらゆる性行為で感染の可能性がある。■症状男性では「尿道からのうみ」「尿道のかゆみや不快感」「軽い排尿痛」「精巣上体の腫れ」「軽い発熱や痛み」などが主な症状として出る。「特に10~20代女性の間で感染が広がっています。感染に気づかないままパートナーに広げてしまうことも考えられるため、注意が必要です」と萬田社長は警鐘を鳴らす。淋菌感染症「淋菌」が病原菌の感染症で、クラミジアと同様にあらゆる性行為により感染する。■症状男性の場合は「激しい排尿痛」を感じやすく、「尿道からのうみ」の量も多いので感染に気づかず放置されるケースは少ない。「最近では、オーラルセックスで咽頭(のど)から性器へ感染するケースが増えています。まだ広く知られていませんが、オーラルセックス時にもコンドーム等での予防を心がけてください」。非クラミジア性非淋菌性尿道炎クラミジア・淋菌以外の病原菌が原因で起こる尿道炎。原因は、細菌のマイコプラズマやウレアプラズマなど複数あると言われており、あらゆる性行為で感染する。■症状感染すると、男性は「尿道からのうみ」「軽い排尿痛」「尿道のかゆみや不快感」などを感じる場合がある。○疑わしいときは、必ず放置しないこと「排尿時の違和感」に関連したSTDは、主にこれらの3つである。もしも今回紹介したような症状が実際に出ていたり、最近自分の中で不安に思うような行為があったりしたら、そのまま放置せずに必ず適切な処置を取ることが大切だ。病気の進行やパートナーへの感染を防ぐためにも、なるべく早く医療機関を受診して、きちんと医師の診断をあおぐようにしよう。また、「不安だけど、はっきりした症状もないし病院はちょっと……」という人は、自分でできる検査キットを郵送で受け取るサービスなどもある。まずはそういったサービスを利用してみるのも一つの手だろう。写真と本文は関係ありません取材協力: アルバコーポレーションSTD(性病・性感染症)の不安を感じながらも対面での検査を受けにくいと感じている人のために、匿名で検査ができる郵送検査キット「STDチェッカー」による検査サービスを提供。運営サイト「STD研究所」を通して、STDについての正しい情報を発信し、STDにまつわるさまざまな不安や悩みの解決を目指す。
2014年12月17日STDという言葉を聞いたことはあるだろうか。「Sexually Transmitted Diseases」の頭文字で、性病・性感染症のことを意味する。代表的なものに「クラミジア」「淋病」「梅毒」といった感染症があり、それらを耳にしたことがある人もいるだろう。また、「HIV感染症 / エイズ」もSTDに含まれる。STDの怖いところは、自身の健康を損ねるだけでなく、パートナーや家族にまで感染させてしまう可能性があることだ。では、感染を防ぐためにはどうしたらよいのだろうか。STDの郵送検査キットを販売するアルバコーポレーションの萬田和志社長に、STDの基礎知識や予防策について解説してもらった。○「自分は大丈夫」という認識は危ないSTDは、感染している人との性行為により感染する。病原菌を含む精液や腟(ちつ)分泌液、血液などが、相手の口や性器の粘膜、皮膚などに接触することで感染が起こるという。近年は、カップルや夫婦間でもSTDが広がっているため、萬田社長は「誰にでも起こりうる病気です」と警鐘を鳴らす。「一昔前までは、『性病・性感染症』というと、風俗街の病気というイメージでとらえられていましたが、今では10~20代の若い人たちの間でも広がっています。HIV感染症 / エイズについては、若い人だけでなく中高年男性でも増加していますし、昔の性病といったイメージのある梅毒も、近年の増加が報告されています」。もしも、「自分は特定の相手としかセックスをしていないから大丈夫」という認識を持っていたらそれは間違いだ。過去のパートナーがSTDに感染していた可能性もあるし、その「特定の相手」が過去に複数の相手とセックスをしていれば、当然感染のリスクは出てくる。STDは、誰もがしっかりと向き合うべき病気なのだ。○STDは不妊症の原因にもなりかねない実際にSTDは私たちにどのような悪影響を及ぼすのだろうか。萬田社長は、主に以下の4点があると話す。■自覚症状が出にくいものもあり、気づかないうちに病気が進行したり、パートナーに感染させたりすることがある■男女ともに不妊症の原因にもつながる■出産時に子どもに感染することもある■HIV(エイズの原因ウイルス)に感染しやすくなる可能性も「性感染症の中には、症状を感じにくいものがあります。症状がなくても感染していればパートナーにうつす可能性がありますし、気づかないまま病気が進行し、男女ともに不妊症の原因になる場合もあります。感染に気づかないまま出産にいたると、子どもへうつってしまうこともあります。子どもに感染すると肺炎や失明の原因になったり、死にいたったりすることもあります。妊婦検診をきちんと受けて、STDが見つかった場合は、対応について先生としっかり相談してください」。また、萬田社長は「何らかの性感染症にかかっていると、HIVに感染する可能性が高くなると言われています」という。これは、粘膜が炎症を起こした状態になり、抵抗力が落ちやすくなることが原因とされている。例えばクラミジアに感染していると、HIVに感染する可能性は3~5倍にもなると言われているそうだ。○大切なのは「STEADY」と「SAFER」STDから身を守る最大の防御方法は、セックスをしないことだ。だが、セックスはパートナーとの愛を確かめ合うための大切な手段。ずっとしないというわけにもいかない。それではどうすればよいのか。キーワードとなるのは、「STEADY」と「SAFER」の2つのS。すなわち、相手を限定(STEADY)し、より安全な(SAFER)セックスを心がけるということだ。「コンドームを使用することで、HIV感染症 / エイズなど多くのSTDを予防することができます。セックスの最初から最後まで正しく使用することが大切です。最近はオーラルセックスが一般的になってきていますが、クラミジアや淋菌などの病原菌が、オーラルセックスで咽頭(のど)にも感染するということはほとんど知られていません。オーラルセックス時にもコンドーム等で予防を心がけてください」。コンドーム以外の予防法としては、セックスの前後にシャワーやトイレをすませることや、寝具を清潔にするといったことも大切なポイントとなってくると萬田社長は解説。自身の体やベッド・布団周りをきれいにしておくことが大切だ。○早期発見・早期治療が大切萬田社長は、STDの大半は治療すればしっかりと治ると話す。反面、すり傷や切り傷と違い、自然に治ることはない。STDは早期発見、早期治療が大切だ。万一、「排尿時に痛みがある」「性器周辺がはれている」など、STDが疑わしい症状が出てしまったら、自身はもちろん、パートナーにも早期の受診をお勧めする。男性は泌尿器科など、女性は婦人科などで相談できる。STDは、飛沫(ひまつ)感染するインフルエンザなどと異なり、セックスという"濃密な接触"以外では通常感染しない。正しい知識と予防法を知ることで、安全な性生活を送ってほしい。取材協力: アルバコーポレーションSTD(性病・性感染症)の不安を感じながらも対面での検査を受けにくいと感じている人のために、匿名で検査ができる郵送検査キット「STDチェッカー」による検査サービスを提供。運営サイト「STD研究所」を通して、STDについての正しい情報を発信し、STDにまつわるさまざまな不安や悩みの解決を目指す。
2014年12月16日国立感染症研究所は12月5日、2014-2015年シーズンのインフルエンザの定点当たり報告数が、流行開始の指標となる数値「1.00」を上回ったことを明らかにした。同研究所によると、インフルエンザの定点当たり報告数は今年の42週目以降になって増加が続いており、第48週(11月24~30日)の定点当たり報告数は「1.90」(患者報告数は9,396)を記録。この48週目の数字をもって、全国的なインフルエンザ流行開始の指標である「1.00」を今シーズンで初めて上回ったという。都道府県別では、岩手県(10.52)が最も高い数値になっている。以下、福島県(6.41)、埼玉県(5.05)、神奈川県(4.04)、東京都(3.62)、千葉県(2.90)などが続き、比較的関東圏で高い数値が見られている。同研究所によると、12月3日の時点で全国の保健所地域において「大きな流行の発生・継続が疑われることを示す」という「警報」レベルを超えているのは、1県のみとのこと。また、「流行の発生前であれば今後4週間以内に大きな流行が発生する可能性があることを、流行発生後であればその流行がまだ終わっていない可能性がある」という「注意報」レベルを超えている地域は、東京都を含む1道1都1府4県だったという。なお、詳細は国立感染症研究所のホームページでも確認できる。写真と本文は関係ありません
2014年12月05日ヤンセンファーマは11月19日、HIV-1感染症治療薬 抗ウイルス化学療法剤「コムプレラ配合錠(一般名:リルピビリン塩酸塩/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩/エムトリシタビン配合錠)の日本における製造販売承認を取得したと発表した。同剤は、米ギリアド・サイエンシズにより開発された、リルピビリン塩酸塩、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩およびエムトリシタビンの3成分を含む配合錠で、世界60か国以上の国・地域で承認されている。日本においては、ヤンセンがHIV-1感染症治療薬の治療経験がない成人HIV-1感染患者およびHIV-1感染症治療薬の既治療患者(ウイルス学的抑制が得られており同剤へ切り替える場合)に対する治療薬として承認申請を行っていた。「コムプレラ配合錠」により、患者に新たな治療の選択肢が提供されると同時に、抗HIV治療ガイドライン(2014年3月版)で提唱されている抗レトロウイルス療法を1日1回1錠の服用で行うことができるため、患者の長期服薬における負担軽減につながることが期待される。同社は「HIV/AIDSに対して世界中で様々な取り組みがなされる中、ヤンセンでは引き続き、HIV領域において、患者に貢献すべく、さらなる取り組みを行っていく」とコメントしている。
2014年11月19日アッヴィは8月21日、2014年7月に実施した「保育施設に通う乳幼児の健康とRSウイルス感染症」に関するオンライン調査の結果を公表し、併せてRSウイルス感染症の現状などを紹介するメディアセミナーを開催した。RSウイルス感染症は、従来は秋から冬にかけて患者数が増加し、翌年の春までが流行期とされてきた。しかし、検査技術の進化もあるが、2009年以降の調査では徐々に夏の時期でも患者数が増加傾向になってきており、かつ感染患者の報告数も増加傾向が続いているという(2011年10月より1歳未満の乳児に、迅速診断キットの検査に保険が適用されるようになったことも大きいという)。主に乳幼児が感染し、米国の研究データであるが、1歳未満で罹患するとインフルエンザよりも死亡率が高いほか、月齢が低いほど重症化しやすく、年齢が上がっていくほど、その症状は軽くなるという病気だが、その認知度は意外に低い。今回、同社では全国の保育園に子供を預けている母親515名、保育園に子供を預けていない母親515名を対象にアンケートを実施し、その感染症に対する意識などを調査したが、その結果、約7割の母親がどういった感染症であるかを知らないという結果であったという。今回のアンケートの監修を担当した峯小児科医院の峯眞人 院長は、「RSウイルスに限らず、感染症に子供が一番感染しやすい場所は実は小児科の外来。来院する多くの子供が何らかの感染症を発症しているためで、うかつに子供を連れてくると、罹らないで良い病気をもらってしまうことになる」とするほか、その次にかかりやすい場所が保育園であり、「感染症の怖いところは、感染源の子供に症状がなくても、その病気をほかの子供にうつす可能性がある。特に、保育園という環境は、年齢の低い一定数の子供たちが、ある程度のまとまった時間、かつ、まとまった期間で生活しており、感染が広がりやすい」と説明する。それであれば、幼稚園も年齢の低い子供たちが沢山いるから、保育園と同じくらい感染症にかかりやすい環境か、というと、「登園している子供たちの年齢が保育園よりも上で、しかも大抵の場合、午後になれば家に帰るのが幼稚園。一方で保育園は0歳から預けられ、長ければ親が会社と保育園との送り迎えの時間まで含めれば10-12時間預けられているという場合もある。集団で生活する時間が長ければ長いほど感染する可能性も高まる」とする。また、最近の感染トレンドとなりつつあるのが「大規模ショッピングセンターなどにある子供の遊技場」であり、決して忘れてはいけないのが家庭内における感染だとする。また峯氏は重症化するリスク因子も存在することも指摘。例えば在胎期間35週以下の早産時や、気管支肺異形成症(BPD)、先天性心疾患(CHD)、免疫不全、ダウン症などの染色体異常などが基礎疾患としてあてはまるが、それ以外にも、兄弟がいたり、喫煙者がいたり、RSウイルス流行期前半に生まれたり、母乳保育期間が短かったりするとリスクは高まるとする。「後はなぜか、男の子の方が、ありとあらゆる病気に罹りやすい」という。さまざまなウイルスや細菌ごとに感染経路もまちまちだが、RSウイルスは接触感染と飛沫感染で広まる。飛沫感染はくしゃみや唾などでわかりやすいが、接触感染はおもちゃなどに付着した病原体を、次の子供が触って、そのまま手をなめたりするなどで生じる。こうした状況に対して、「集団生活で病気に罹らないことは不可能、ということを親は理解しておく必要性がある。感染症に罹る、ということを前提に、どういったことに気を付けよう、という子供の健康を意識してあげることが必要」としており、「良く、しょっちゅう病気にかかるウチの子は変なのでしょうか?、動物を飼っているのが悪いのでしょうか?、などと聞いてくる親御さんもおられますが、集団生活の中に子供を置くという、そのものが原因になっているので、そうした特定要因を原因にしてはいけない」と、病気に対する考え方の方向性を示す。また、「RSウイルス感染症もそうだが、感染症の中にはワクチンや治療薬がいまだに開発中だったりで、存在しないものも多数ある。だからこそ、予防接種ができるものに関しては、適切に予防接種を受けてもらい、そのリスクを減らしてもらいたいと思っているし、せめてそうした病気だけでも流行規模を小さくするという意識をもってもらいたい」とするほか、そうしたワクチンや治療薬がない病気に対しても、「正しいうがいと手洗い、咳エチケット」ができれば、リスクを軽減することも可能だとする。しかし、この手洗い、うがいという行為、意外と正しい方法は分かっているつもりでできていないことが多いという。以下に、日本外来小児科学会が発行しているリーフレットに記載されている「じょうずな手洗い」の手順を参考に記しておく。はじめに石鹸を水道水で泡立て、10数える間に良く手をすり合わせる親指の付け根や手首、全部の指の先っぽと爪の周りは、洗い残ししやすいので、しっかりと洗う洗った後は、水道水で手の全体をすすいで、石鹸のぬるぬるをきれいに流しきる乾いたハンカチやタオルでしっかり水をふき取るちなみに同リーフレットでは、石鹸を使って洗うのが難しい場合でも、手に付着している細菌やウイルスを減らすために、せめて流水での手洗いだけでも実行してほしいというコメントも記載されているほか、ヨードデンプン反応を使った、石鹸を使わないで手を拭いた場合にどうなるかの実験の手引きなども記載されていることを紹介しておく。一方のうがいについても、実は2種類あり、それをうまく組み合わせる必要があるということも意外と知られていない。1つは口の中の食べかすや細菌、ウイルスを洗い流す「ブクブクうがい」。もう1つは、喉の奥に着いている細菌やウイルスなどを洗い流す「ガラガラうがい」。「小さい子供だと、ガラガラうがいはできない場合が多いので、せめてブクブクうがいをしてもらって、親はしっかりとうがいをしてください」と峯先生は語る。こうした基本的な対策しかないRSウイルス感染症だが、保育の現場で、そうした感染症をリアルタイムで把握し、流行が始まる兆しなどを読み取り、対応を行っていくことを目的とした取り組みとして、「保育園サーベイランス」というシステムが2010年に国立感染症研究所 感染症疫学センターにより開発され、学校や保育所などに利用を促す動きが進められている。「医療機関の定点観測による患者数の推移データは、1週間に一度、その医療機関からデータをもらい、集計して発表されているもの。だから、そのデータは実はリアルタイムではなく、1週遅れのデータであり、感染症では、その情報は役に立たない」と語るのは、全国保育園保健師看護師連絡会の並木由美江 会長。「保育園サーベイランス」は無料でどこの保育園でも利用が可能であり、2014年5月20日の時点で全国で6352園の保育園で活用されているという。並木氏は同システムについて、「県単位や市区町村、園の単位でさまざまな感染症の状況を判断することができ、自分たちの身近な状況を把握することができるシステム」と説明し、まだ使用していない保育園などでも活用してもらいたいとした。また、並木氏は、保育者の病気に対する教育なども行っており、病気になってしまった子供の親にどういった報告の仕方をすると良いのか、といったことや、感染症などの疑いがある子供のおむつ換えの際の注意事項などを学べる教材の開発なども行っているという。その一方で「保護者も、集団生活の場は、何らかの病気に感染する場所であるということを理解してもらう必要がある」とし、保育者、保護者共だってできることをやっていくしかないとコメント。「子供がいつもの違う症状に気づいても、保護者はそう簡単に休めないのが実情。子育てを職場や地域で話せるようなコミュニティを作って行く必要がある」と、社会全体で子供を真の意味で育てる必要性を強調した。なお、峯氏、並木氏それぞれに、家庭内ではどう感染症と向き合うべきか、と尋ねたところ、「衛生習慣を子供たちと一緒に生活の中で根付かせ、常に清潔な環境を保つように心がけ、流行期が来た時に、より丁寧にするといった心構えが必要」というコメントをいただいたほか、次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤)やアルコールによる殺菌も効果があるため、「臭いの問題があるので、常に使う、というのは難しいと思いますが、子供が寝た後に、ドアノブなど、不特定多数の人間が接触する可能性が高い部分を消毒するなど、無理のない範囲で消毒するのが良いのではないか」とのことであった。また、熱があると、冷やして寝かしつける、というイメージがあるが、並木氏によると、「本人に動ける元気があるようであれば、室内で保冷剤を入れたバックなどを身につけさせつつ、遊ばせるなど、気持ちよく過ごせるようにしてあげても良い」とのことであった。
2014年08月28日