「貯金だけでは、お金の悩みが解決できない」というのは、ファイナンシャルプランナーの横山光昭(よこやまみつあき)さん。苦しい家計を再生させることを得意とするファイナンシャルプランナーで、これまで1万人以上の家計を「再生」させる中で、「無理のない範囲で投資を学んで貯蓄スピードを上げてきた人たち」をたくさん見てきました。■投資は「手間をかけない」方が成功する横山さんはいいます。「プロの投資家でない限り、投資を成功させるうえで、『あまり手間をかけすぎない』ということは、とても重要だと思っています」 とくに3000円投資生活の場合は、「バランス型の投資信託」を選び、積立の設定をしたら、あとは基本的にほったらかしに。バランス型の投資信託は、プロのファンドマネージャーが、経済状況や社会の動きを見て運用してくれています。気が向いたときだけ、証券会社から定期的に送られてくる取引報告書に目を通せばOKです。では、複数のインデックスファンドを購入した場合は、どうでしょうか? 投資の本やWEBサイトを見ると、よく「複数のインデックスファンドを買った場合は、リバランスが必要である」と書かれています。リバランスというのは、「資産全体のバランスの見直し」のことです。 「私はリバランスも、とくに必要ないのではないかと考えています」(横山さん)毎月積み立てていく場合、価格が安いときも高いときも設定した金額の分だけ買っているため、いずれバランスは平均化されていきます。そのため、へたにいじらなくても、勝手にリバランスされていくというイメージです。横山さん自身、そのようにしていて、十分にバランスがとれているそうです。■横山さんが経験した「苦い経験」そんな横山さんも、じつは過去にいろいろと苦い経験をしています。かつて日本の個別株に投資したときのこと。株価は刻々とかわります。横山さんは、自分が買った株の値動きが気になって仕方なく、株式市場が開いている昼間、仕事の合間を見ては、株価の値動きをチェックするようになりました。それはどんどんエスカレート。ついには株価チェックの合間に仕事をするようになってしまったそうです。まさに本末転倒。当然、仕事は手につきません。ところが。それだけ熱心に取り組んでいたのにもかかわらず、あるとき、横山さんが選んだ銘柄が、市場全体の下落に引きずられ、一気に値下がり。「あんなに時間と労力を割いたのに」「一生懸命分析し、市場がどうなろうとダメージを受けないよう、手を打っていたつもりなのに」と、大きなショックを受けたとか。 ■投資は時間をかけても100%うまくいくとは限らない投資は、手間をかけたからといって、100%うまくいくとは限りません。ひんぱんに売買を繰り返せば、その分手数料もかかります。「一時的な値上がりや値下がりに一喜一憂するのは、時間とエネルギーのムダです」(横山さん)。投資を経験したことがある人のなかには疲れ果て、投資に嫌気がさしてしまったことがあるかもしれませんね。「投資は本来、長期的な視野に立ち、『お金に勝手に増えてもらう』くらいの気持ちで取り組むべきものだと、私は思います」(横山さん) 商品を購入し、「20年間は続ける」「50万円になるまでは続ける」など、おおまかな目標を立てたら、あとはほったらかしにしましょう。それくらいの方が、「ママとしての心の健康」には良さそうです。実際に、投資を始めて気持ちが揺れたときには、この記事のことを思い出して欲しいと思います。この記事を書いている私自身、「投資をする中で、気持ちがとても揺れた」という体験をしたことがあります。デビュー戦で買った投資信託の配当金の額は、同じ額を1年間ネット銀行に預けた時の利率の約3倍でした。そう気がついたあと、株式相場がガクンと落ちて「チャンスだ」と感じた自分自身に驚きました。なぜなら投資は、それまで「私にとってはすごくがんらなければできないこと」という存在だったのに、欲がムクっと起きてがぜんヤル気になっていたから。そう「投資生活を始める」ということは、そんな、「気持ちの揺れ」を体験するということでもあります。次回は、「投資に欲が出てきたら注意! それ本当に“お得”ですか?」です。■今回取材にご協力いただいた横山光昭さんの著書 『はじめての人のための3000円投資生活』 (横山光昭著/アスコム刊 ¥1,100(税別)
2017年09月01日「将来が不安」「いつもお金の悩みがある」、誰でもが持っているお金の不安。だからこそ貯金に励み、節約の毎日をがんばって送っている人も多いことでしょう。それでも「貯金だけでは、お金の悩みが解決できない」というのは、ファイナンシャルプランナーの横山光昭(よこやまみつあき)さん。リバウンドの少ない家計再生の実現を得意とするファイナンシャルプランナーで、これまで1万人以上の家計を「再生」してきました。そんな横山さんが「もうお金の不安はなくなります」と話すのは、毎月3000円からの「貯金感覚」の投資法です。■バランス型の投資信託の問題点とは横山さんがおすすめするのは、「毎月3000円、バランス型の投資信託を積立から始める」という、シンプルで明快な投資方法。ただ、バランス型の投資信託には、次のような側面があるのも事実です。●(インデックスファンドと比べ)手数料がやや高い●国内と外国、株式と債券などの資産バランスを自分で変えることができないもし、「手数料をできるだけ安く抑えたい」「バランス型の投資信託を買うだけではなく、もう1歩踏み込んだ投資をしたい」と考えているのであれば、横山さんは、こうおすすめしてくれました。「ぜひ、インデックスファンドを買ってみてください」。※「バランス型の投資信託」とは、日本の株式や債券、外国(先進国から新興国まで)の株式や債券などが、その名のとおり、バランスよくパッケージされた商品。これを1つ買うだけで、複数の銘柄に投資したことになります。■インデックスファンドって、何ですか?インデックスファンドも、これまで紹介してきた「投資信託」の商品の中のひとつ。インデックス(※)に連動するよう、投資先が機械的に決められるため、手間がかからない分、手数料が低めなのが特徴です。「最強の投資家」といわれるウォーレン・バフェット氏などは、「『非常に低コストなインデックスファンドに投資すれば、同時に投資を始めた90%の人よりも良い結果を得るだろう』とまで言っています」(横山さん) ※インデックスとは、市場の動向を示す指標や指数のこと横山さんがおすすめするインデックスファンドは、次の2本となります。●横山さんのおすすめのインデックスファンド出典: 『はじめての人のための3000円投資生活』 (横山光昭著/アスコム刊)より抜粋■横山さんが「積立」投資をおすすめする理由横山さんは、バランス型の投資信託やインデックスックスファンドをスポット(一括)ではなく、「積立」で買うようおすすめしています。「『積立』のメリットは、なんといっても、少額から始められる点にあります」(横山さん)。バランス型の投資信託やインデックスファンドをスポットで買う場合、価格はたいてい1万円前後。ですが、一部の証券会社では、100円単位から買うことができます。「積立は、一定額を毎月積立システムなので、『自動的にコツコツ、タイミングを意識することなく購入することができる』というメリットもあります」(横山さん)投資信託の価格は日々変動するため、スポット(一括)で買う場合は、ある程度タイミングを見極める必要があります。「少しでも安く買いたい」と思うあまり、なかなか最初の一歩を踏み出せない人もいるでしょう。その点、積立なら、毎月決まった額で買える分だけを購入することになるため、値動きを気にせず、思い立ったときに投資を始められるのです。■投資の「欠点」を知っておこうさて。ここまで「バランス型の投資信託」と「インデックスファンド」をおすすめしてきましたが、これらに盲点はないのでしょうか?「インデックスファンドは、市場と同じような動きをすることを目指して設定してあるので、良くも悪くも価格は市場の影響を確実に受けます」(横山さん)リーマンショック、最近では、中国ショックといった言葉を耳にしたことがあるでしょう。市場は不規則に暴落します。ですから、暴落が起これば、インデックスファンドは大きく値下がりします。債券が含まれるバランス型の投資信託であっても、基本的には同じです。もし、「そろそろ定年だから、運用資産を現金化しよう」と思う前後に暴落が起こったら…? もちろん、資産は大幅に目減りしてしまうことでしょう。その点が、インデックスファンドの最大のリスクです。ただし、過去の市場の動きを見てみると、たとえ暴落しても、やがて市場は回復し、暴落時の影響を吸収したうえで、右肩上がりの成長をしていることもわかります。「ざっくりとではありますが、暴落後、回復してくるまでの期間は、短くて3年、長くて10年ほど見ておく必要があります」(横山さん)逆に言えば、「運用するお金」というのは、「市場が回復するまで、手をつけずにおいておくことができるお金(いわば余裕資金)」であって、生活費やなけなしのお金で投資をしてはいけないということなのです。次回は、投資するお金は、こう用意する!この記事を書いている私自身、はじめて投資は、「インデックスファンド」でした。「実際に銘柄を購入してみる」とか「値動きを体感する」…。こればかりは、「習うより、慣れろ」だと実感しています。インデックスファンドは、洋服で例えるならば、「紺のカーディガン」。「無難だから、ひとつくらいもっておいても良い」というアイテムです。私の投資デビュー戦。じつは、なにも買えずに終えてしまったのです。理由は、パスワードエラーというなんとも情けない話。さらに株価をチェックしだしてしまうと、なかなか動くことができないでいました。しかしある日、気持ちが切り替わりました。「もういいじゃん。損とか得とか、いま、チマチマ考えていたって、意味ないよ。とにかく今日は買うぞ!」と。「投資をする」は、気持ち的ハードルが高いかもしれません。でも「怖くはありませんよ」と私からも付け加えさせていただきます。■今回取材にご協力いただいた横山光昭さんの著書 『はじめての人のための3000円投資生活』 (横山光昭著/アスコム刊 ¥1,100(税別)
2017年08月30日「私自身、これほど結果が出るとは思っていませんでした」と語るのは、ファイナンシャルプランナーの横山光昭(よこやまみつあき)さん。今回は、「横山式投資術」について、貯蓄と一緒に投資を始める方法を横山さんにうかがいます。横山光昭(よこやまみつあき)さん苦しい家計を再生させることを得意とするファイナンシャルプランナーで、これまで1万人以上の家計を「再生」させてきました。『年収200万円からの貯金生活宣言』シリーズの書籍で一躍有名に。■投資を始めるのは「強い家計」になってからどんなに充分な収入があっても、月末になるとお金がない人や貯金ができない人は、まずは家計自体を見直す必要があるでしょう。横山さんは、「家計自体を見直すためには、自分の「お金のステージ」を知ることが必要」と話します。<お金のステージとは>第1ステージ お金を管理する第2ステージ お金を学ぶ第3ステージ お金を活かす横山さんは、「お金をきちんと管理し、ムダな支出をおさえ、強い家計を作ることができてはじめて、無理なく貯金と投資を行うことができるのです」と話します。強い家計の作り方、お金のステージについては、今後の連載の中で詳しくお話させていただきます。家計での支出を管理して、まずは貯金をします。貯金によって「強い家計」になってきたなと感じてたら、貯金をしながら「投資」を視野にいれていくというのが、正しい順番です。連載1回目の今回は、「ムリのない範囲で投資を学ぶこと」。投資と聞くと、難しそうで、何となく損をしてしまうようなイメージもあります。本当に大丈夫なのでしょうか?■貯金だけでは、お金の悩みが解決できない「夫婦でしっかり節約しているのに、貯蓄が増えない」「収入は安定しているのに、お金が残らない」…。多かれ少なかれ、お金の悩みはだれにでもあるものです。でも、急に収入が増えることはないし、いつも「節約しなきゃ!」と思いながら生活するのも、しんどいですよね。横山さんが目指すのは、「お金とうまくつきあい、自分をコントロールできるようになってもらう」こと。じつは、横山さん自身、過去に借金に苦しんだことがあるそうです。それをきっかけに、ヨコヤマ式90日貯金プログラムを編み出しました。しかし貯金ができるようになったからといって、「お金に関する悩み」や「将来に対する不安」が完全に消えたとはいえないようなのです。「お金は順調に貯まっているけれど勤務先の業績が悪く、収入が減っている」「貯金だけで、豊かな老後を送ることができるだろうか」そんな声を聞くことも多く、「こうした悩みや不安は、貯金だけではなかなか解消できないのです」と、横山さんは言います。では、どうしたらいいのでしょうか? その答えとなるのが「3000円投資生活」なのです。■3000円投資は怖くない ところで、みなさんは、「投資」という言葉を聞いたとき、どのようなことを連想しますか? 「もうかるのは、ごく一部の人だけで、ほとんどの人は損をする」「しょっちゅう株価をチェックしたり、売買したり、いろいろと手間がかかる」おそらくこんなネガティブなイメージを持っている人も多いのではないでしょうか?もしかすると、みなさんが「投資」と聞いてイメージするものは、「投機」に近いのかもしれません。「『投資』というのは本来、もっと気長に取り組むべきものであり、気軽にできるものなのです」と、横山さん。そんな横山さんがおすすめする投資方法は、きわめてシンプルで、次の3つをするだけです。●横山さんのおすすめ投資方法1)証券口座を開く2)月々3000円でスタートする3)バランス型の投資信託を買う出典: 「はじめての人のための 3000円投資生活」 (横山光昭著/アスコム刊)より抜粋横山さんのおすすめ投資信託商品については、次回ご紹介します!■「月々3000円だけではお金が増えない」は大きな間違いここまで読んでも、おそらく「月々3000円の投資だけでは、たいしてお金は増えないのではないか」と思っている方も多いのではないでしょうか?横山さんのところに実際に相談にいらっしゃったA子さんの例を見てみましょう。A子さんが買ったのは、「バランス型の投資信託」。それを毎月、積立で購入していきます。次の表で注目すべきは、投資の「運用益」と、貯金の「利息」の違いです。貯金の「利息」が毎月1万円貯めていっても10年後に60円にしかならないのに対して、3000円を投資し続けた「運用益」は5万9224円になりました。A子さんの例を見ると、「投資をすることで、貯蓄スピードがあがる可能性がある」とも言えるのではないでしょうか。●月々1万円の貯金と3000円の投資を続けた場合貯金の金利は0.001%、投資の利回りは3%、1年複利・税引き前出典: 「はじめての人のための 3000円投資生活」 (横山光昭著/アスコム刊)より抜粋次回は、「貯蓄スピードをアップする! 挫折しない3つのポイント」です。■今回取材にご協力いただいた横山光昭さんの著書 『はじめての人のための3000円投資生活』 (横山光昭著/アスコム刊 ¥1,100(税別)
2017年08月28日「政府が期待するように投資をする人が増えないためか、あの手この手の投資商品が登場します。なかには初心者向けのものもあります」 こう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。「貯蓄から投資へ」といわれ始めたのは、’00年前半。それから15年ほどたったが、今も、投資は伸び悩んでいる。投資を敬遠する人たちも多いが、理由の1つは「元本割れがイヤだから」ではないだろうか。そんな中、初心者に向けた「元本防衛型」ともいえる新しい投資信託の販売受付けが開始。荻原さんが解説してくれた。 「三井住友銀行の『あんしんスイッチ』も初心者向けの1つです。今月3日から販売受付けが始まりました。大きな特徴は『プロテクトライン』を設けたことです。投資信託が元本保証ではないので、買った時点より値下がりすることもあります。そこであんしんスイッチは当初の基準価格(投資信託の値段)・1万円に対して、9,000円をプロテクトラインと設定しています。値下がりして9,000円を下回ったときは、即時売却されます。つまり、損が一定以上、膨らまないので、安心だというのです」 また、値上がり基準価格が1万600円になったら、プロテクトラインは1万円に。さらに1万1,111円以上になると、最高額を更新するたび、プロテクトラインは最高額の90%に上昇する。 「いったん上がったプロテクトラインは下がりません。ですから、基準価格がある程度、上昇すると『元本保証』状態になることもあるでしょう。そのため『元本防衛型』といわれることもあります。実際には、手数料がかかり、100万円を投資すると90万円になる可能性もあります。注意してください。プロテクトラインを導入した仕組みは、実は、むずかしいものではありません。投資する人が『損はいくらまで』『○円より下がったら売る』と自分で決めて、実行するのと同じだからです。とはいえ、人間は迷いが生じ、タイミングを逸することがありますが、先のあんしんスイッチは、コンピュータによる自動売却なのでプロテクトラインは必ず守られます」 しかし、自動売却がよくないケースも。 「たとえば1万円で買った投資信託が値上がりして、1万5,000円になったとします。プロテクトラインは、その90%、1万3,500円まで上昇します。その後、値下がりし1万3,000円になったら、プロテクトラインを下回ったということで、自動的に売却されます。でも、元々は1万円で買った投資信託です。まだ3,000円の儲けがありますから、売らずに様子見を続けたほうが得だと考える方も多いのではないでしょうか。こういった投資信託は、値動きをチェックする暇もないほど忙しく、大きく損はしたくない方には向いているかもしれません。ですが、根本的には、誰でもできる防衛策を、システム化しただけです」
2017年07月13日【ママからのご相談】最近、投資に興味津々のママです。というのも、今のパパのお給料だけだと正直きついですし、自分が自由にできるお金も少しは欲しいです。ただ、実は独身時代に株に貯蓄をつぎ込み、大きく減らしてしまったというトラウマがあります。 今回こそはそのようなことがないよう、しっかり勉強しようかと思っているのですが、いったいどうやって始めたらよいのかわかりません。また、投資をするのにいくらくらいお金があればよいのかも含めて、教えてください。目次 元本保証がない“投資”について理解しよう“投資”と“投機”の違いは?まずはわが家のお金を仕分けることから投資に回せるお金は?まとめ●A. 元本保証がない“投資”について理解しようこんにちは。ファイナンシャルプランナーの小澤美奈子です。ご相談をしていただき、ありがとうございます。投資といえども商品はいろいろあり、代表的なものとしては株式 、債券 、投資信託 、外貨 などが挙げられます。これらの商品は基本的に元本保証がなく、増える可能性がある一方で、減らしてしまうことも考えられる ため、以下でご紹介する3つのポイントをしっかり押さえてからはじめるようにしましょう。●“投資”と“投機”の違いは?“投資”と“投機”という言葉を聞いたことはありますか?おそらく“投機”と聞くと、一攫千金を狙ったギャンブル的要素の強いお金儲けをイメージすることでしょう。対する“投資”ですが、一般的には中長期的な計画 を立てて、着実にお金を育てることを意味すると言われています。これらの違いは理解していたとしても、つい夢中になるあまり“投資”を目指していたはずが“投機”になってしまうこともあるもの。そうならないためには、自分の運用方針をしっかり定めて、長期的な目標を立てた上で投資を行うことが重要です。●まずはわが家のお金を仕分けることから投資をはじめる際、いくらのお金を準備すればよいのかを考える前に、わが家の家計では、現在いくらくらい投資に回せるお金があるのかを把握することが大切です。具体的には、手持ち資金を次の3つに分けることから始めるとよいでしょう。●(1)生活費として使うお金いざというときのために、月の生活費の約3~6か月分 のお金を確保しておくことが目安だと言われています。●(2)使う目的のあるお金たとえば教育資金や住宅資金など、向こう10年間に使う目的のあるお金 については、守るお金として確保しておきましょう。●(3)使う目的のないお金つまり(1)にも(2)にも該当しないお金です。この金額がいくらあるか洗い出して、把握しておきましょう。●投資に回せるお金は?さて、上記で仕分けたお金のうち、投資に回せるお金は何番目でしょうか?言わなくてもおわかりかもしれませんね。答えは、(3)の「使う目的のないお金」です。つまり投資は余裕資金ではじめる 、ということを忘れないようにしましょう。●まとめ投資をはじめるにあたっては、“投資”と“投機”の違いをしっかり理解し、家計の中で“守るべきお金”と“攻めて増やすお金”を仕分けることが、とても重要です。次の回では、投資に関するリスクとの付き合い方などをご紹介しますので、これからも参考にしてみてくださいね。【参考リンク】・知るぽると | 金融広報中央委員会()●ライター/小澤美奈子(ファイナンシャルプランナー)●モデル/前田彩(桃花ちゃん)
2016年10月01日正社員としての終身雇用がもはや当たり前でなくなり、職場でいくらがんばっても稼げる給料の上限が見えてしまっている現在、不動産投資にトライする人が年々増加しています。民泊ブームや、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに合わせた不動産ブームも、これに拍車をかけている模様。「不動産投資」のキーワードで検索すると、「不動産オーナーになれば、不労所得が得られて老後は安泰ですよ」という業者の決まり文句がたくさん出てきます。しかし不動産投資で成功する人がいる一方、失敗する人も後を絶ちません。いったい、なにが成否を分けるのでしょうか?そのポイントは、これまでの心理状況にあります。■1:自分で勉強せず営業マンの話を鵜呑みにしてしまうパターン&背景不動産投資は普通、必要資金が株や投資信託など他の投資にくらべて高額になります。では、投資する人がみな、きちんと時間をかけて下調べをし、冷静に投資戦略を練りに練っているかというと、実はそうでもありません。むしろ勉強をあまりせず、不動産業者のいいなりになってしまう人が多いのです。日常の食料品や消耗品などの少額の買い物ではあちこちの店を渡り歩き、値段や内容を比較してから買うのに、不動産という大きな買い物になった途端、思考がフリーズして不動産業者のいうことが情報のすべてと思いこんでしまいます。「この物件は空室リスクがほとんどありません」「この物件を逃したらもう他はありません」という不動産業者の甘い言葉に引きずられて投資物件を購入した結果、赤字や借金を抱えて失敗してしまう……。そんなタイプには、「幼少期、親や他人のいうことを鵜呑みにし、自ら冒険をあまりしてこなかった」ような真面目な人が目立ちます。でも冒険する場合は自力で状況を調べ、対策を練ることが必要。そういった習慣がないために、営業マンの言葉を信じてしまうのです。また、不動産業者の顔色をうかがってしまう人もこのタイプ。「なんかアヤシイ」「本当かな」と思っても、押しの強い営業マンに不機嫌な顔をされるのが怖くて聞けないのです。■2:新築物件を建てて損をしてしまうパターン&背景新築物件をイチから建てることを業者から勧められる場合も、最終的には損をします。なぜなら、基本的に新築物件は販促のための人件費やパンフレット費用などのコストが上乗せされているため、中古にくらべて価格が高くなるのです。また、悪質な不動産業者の場合、「これだとコストが安く済みますよ」と安い部材を購入させ、入居希望者が集まらなさそうな安っぽいアパートを建てさせることも。それでも不動産業者には管理料と建築費用が入るので、泣くのは大家だけなのです。さらに、売却を念頭に置いた場合、新築物件は必ず損をします。新築物件は、購入した時点で20%価値が下落するからです。また、売却する場合には「物件の契約価格の3%+6万円」を不動産業者に払わなくてはなりません。収入ダウンや老後のことを考えて不動産投資をはじめるケースが一般的ですが、相続の場面になったとき、お荷物となった物件を売却するのもよくある話。つまり、投資用物件として新築を購入するのは、最初から「負け」の勝負をするようなものなのです。長期的に運用することが前提ならば、需要と供給のバランスで価格が決まる中古物件に投資すべきです。しかし、なぜこんなことが起こるのでしょうか?先述の「これまで親や他人のいいなりになってきた」こともありますが、「イメージや見た目に弱い」「新しいものがとにかく好き」な場合もまた多いのです。普段から見栄を張ってしまうタイプ、ブランドイメージで買い物をしてしまうタイプは、その買い物が合理的かどうかをチェックしないため、ムダにお金を払ってしまう傾向にあるということ。■3:資金計画がないor無理な返済計画を立ててしまうパターン&背景不動産投資をする場合、資金を銀行から借りて不動産賃貸収入から返済をしていくのが一般的なパターンです。実は、不動産投資の最大のリスクはこのローンなのですが、ここで思わぬ痛手を被る人が少なくありません。例えば、短すぎる返済期間で無理な返済計画を立ててしまう、「物件の購入価格=総コスト」と思いこみ、購入後にかかってくる税金やメンテナンス費用などを考慮していないなどがあります。しかし、いちばんまずいのが、「住宅ローンの感覚で不動産投資のローンを組んでしまう」ケースです。住宅ローンの金利は大抵0.8~2%ですが、不動産投資ローンはそれよりずっと高く、最低2%はかかります。また、不動産を登記する際の費用も、居住用住宅を購入する場合の3倍ほどかかります。つまり投資の場合の不動産購入は、通常の住宅ローンとはまったく別物と考えなくてはならないのです。なぜ、このようなことが起きるのでしょうか?予測が甘い、不測の事態に備えないなど理由はいろいろありますが、総じて「最悪の事態を考えたくない」「いいことしか考えたくない」という無意識が働いているためだといえます。実は、奥底には「失敗したらどうしよう」という不安が強く渦巻いているのですが、その不安と向き合うとダメな自分を目にして居場所を失うような感覚に陥るため、あえて考えないようにしているのです。*この他、「契約書を細部までしっかりチェックしない」「借り上げ保証や家賃保証に過度に期待する」「空室リスクを予測していない」などが不動産投資の失敗として挙げられます。いずれも根底にあるのは、「自分の内側にある不安と向き合うのを怖れている」「自分の目や手や足を使って、情報を自ら集め、可能な限り投資のリスクを見極めようとしない」という点です。不動産投資は、株式や投資信託にくらべてはるかにリスキーな投資です。この投資の失敗ひとつのために、一家離散や貧困といった不幸な事態に陥りかねません。不確定要素の高い不動産投資においては、まず自分の力で徹底的にリスクを洗い出し、投資のメリットとデメリットを比較して判断することが必要です。つまり「大人としての責任と覚悟と決断」が求められるのです。「難しいから」「大丈夫だといわれたから」であいまいにするのではなく、ぜひ「それは本当かな?」をクセにして、自分の責任で投資の判断を行うようにしてください。(文/税理士・鈴木まゆ子)
2016年06月30日2015年7月からスタートした「普通のママでもできる投資」もいよいよ最終回となりました。その間、マーケットは乱高下し、「マイナス金利政策導入」という初めての体験もありましたね。日銀のマイナス金利導入決定で、預貯金の金利は低下。長期金利もマイナスになった影響で、住宅ローン金利が下がったり、「一時払い終身」など一部の貯蓄型の生命保険が販売停止になったり、保険料が上がったりしました。そんな中、老後資金など長い時間をかけてゆっくりお金を増やすためには、株式や投資信託など「リスク資産」への投資をするべきだという記事がよく目につくようになりました。■「貯蓄から投資へ」のスローガンは正しかったのか「サラリーマン1万人アンケート」など、退職・投資教育に関する研究やレポートで情報発信し、投資啓蒙活動を行っているフィデリティ退職・投資教育研究所の所長 野尻哲史さんが行った調査結果が非常に興味深いものでしたのでご紹介したいと思います。・ フィデリティ リタイアメント情報サイト 「貯蓄から投資へ」の動きを加速すべきとの議論は90年代から進められた。しかし、日本の個人金融資産構成比は全く変わってはいない。預貯金の構成比は、米国14.7%に対して、日本51.9%。株式と投資信託を合わせた比率は、日本が16.1%に対し、米国は31.4%。さらに、日本の個人金融資産はほとんど増えていない。米英が過去27年間に5~6倍になっているのに対し、日本はわずか2倍。株式・投信の資産残高は、1.26倍にとどまる。ちなみに米国は11.5倍、英国は4.5倍の伸び出典:『日米英の個人金融資産の動きとその背景〜弱みをチャンスに DCとNISAの拡大が鍵』 フィデリティ退職・投資教育研究所の所長 野尻哲史氏より つまり、日本は、ここ20年ほど、貯蓄も投資もほとんど増えていないという結果でした。野尻さんは、「『貯蓄から投資へ』というのは、貯蓄を取り崩して投資へ回すと理解されて、『貯蓄をリスクにさらす』という印象が強かったのでは。しかし、本来はそうではなく、貯蓄もしながら投資もする。両方を増やしていくべき。老後難民にならないため、今の収入の一部を将来のための投資に振り向けることが大切なのです」とおっしゃっていました。「『貯蓄から投資へ』というのは手段であり、目的は、個人資産を殖やすこと。そのためには、DC(確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)を利用する」ということです。今後、両制度の一層の拡充を期待したいものです。高齢化の進展で老後資金の重要性はますます大きくなります。老後資産をふやすために、超低金利の預貯金ばかりでは難しいでしょう。 ぜひ、みなさんも、「普通のママでもできる投資」を参考に、株式や投資信託などのリスク資産をDCやNISA口座を活用して、個人資産を殖やしていきましょう。■無リスク資産はどうすればいい?超低金利下でも、一定の利益を確保することができるのは、「個人向け国債」でしょう。 Vol.10 で、個人が買える国債をご紹介しましたが、現在、「新窓販国債」はマイナス金利で販売を停止しています。「個人向け国債」は買うことができます。固定3年、固定5年、変動10年がありますが、おすすめは「個人向け国債10年変動金利型」です。最低金利が0.05%(税引後0.0398425%)まで低下しましたが、銀行預金の定期金利の0.01%と比べると高く、また変動金利なので、今後、国債の利回りが上がれば、連動して金利も上がります。金利は半年ごとに見直されます。購入後1年経過すれば、2回分の利子相当額を支払えば解約できますが、今後、金利が高くなるようなら、ペナルティの2回分の金利も大きくなります。途中換金しなくてよいように、10年間使う予定のないお金で買いましょう。逆に言えば、当面使う予定のないお金は、銀行預金にしておかないで、国債で運用したほうがよいということです。■普通のママでもできる投資まとめ 当面必要なお金(半年〜1年間の生活費)や4、5年以内に必要な教育費などは預貯金で持っておくどんな資産にいくら配分するかアセットアロケーションを決める具体的に運用する商品を選ぶDC、NISAを優先し、どこで運用するかを決める 詳しくは、Vol.15の「 資産運用をスタートするプロセスのおさらい 」をご覧ください。運用をスタートしたら、年に1~2度、資産の状況を確認してください。自分の決めたポートフォリオから、配分が大きく変化しているようなら、「リバランス」を行います。積立金額を調整するなどして、調整していきましょう。配分比率を維持することが大切です。皆さんが、このコラムをきっかけに、自分の未来のお金について考え、「なんとかなる」ではなく、「なんとかしよう」と一歩を踏み出してくださることを願っています。1年間、おつき合いくださり、本当にありがとございました。
2016年06月20日この連載で、「 投資初心者におすすめの金融商品 」として紹介してきた少額投資費課税制度(NISA)は、毎年元本120万円まで、株や投資信託に投資をして得た売却益や配当に税金がかからない=非課税の制度です。では、非課税期間が終わった後は、どうすればよいのでしょう。■NISAの非課税期間終了した後にとる3つの方法120万円をNISAで投資して、5年後140万円になった場合を見てみましょう。このときにとる方法は3つあります。(1)140万円を換金する20万円の利益に対して税金はかかりません。(2)140万円のうち、120万円を新たな非課税投資枠に移管(ロールオーバー)し、残りは課税口座に移すか、換金する非課税期間は5年間ですが、5年を過ぎて、また新たな非課税投資枠に移管すれば、そのまま投資が続けられます。たとえば、2016年の非課税投資枠は、2020年に非課税期間が終了します。しかし、翌2021年に設けられる非課税投資枠に120万円まで移管することが可能です。(3)140万円を課税口座へ移管する非課税期間終了後、課税口座(特定・一般)へ移管することができます。その時点での分配金や譲渡益等は非課税ですが、移管後は移管時の時価を基に税額が計算され、課税対象となります。なお、移管後の損益は、課税口座(特定・一般)内での損益通算が可能になります。たとえば、保有するAの一般口座で100万円の利益が出ていて、Bの一般口座で80万円の損が出ている場合、損益通算した利益20万円が課税対象です。逆に損益通算後に損が出ている場合は、翌年以降3年間にわたって損を繰り越すこともできます。いずれも確定申告が必要です。 ■ジュニアNISAの場合は?非課税期間終了後は、NISAと同じで3つの選択肢がありますが、2つ目に紹介した方法「120万円を新たな非課税投資枠に移管(ロールオーバー)し、残りは課税口座に移すか、換金する」については注意が必要です。ジュニアNISA口座の開設者(=子ども)が、 20 歳になる年の1月1日を迎えた時点で、そのジュニアNISA口座を開設している証券会社に、 当人の成人NISA口座が自動的に開設されます。そして、ジュニアNISAで保有している上場株式や投資信託は、成人NISA口座に移管(ロールオーバー)されることになります(ただし、手続きが必要)。また、ジュニアNISA口座の開設者が20 歳に達した後は、原則として本人が運用指図を行うというルールがあることもお忘れなく。 さて、2015年7月から連載を続けてきました「普通のママでもできる投資」ですが、次回で最終回になります。次回は、マイナス金利導入下での運用をどう考えればよいのかについてお話しします。
2016年05月31日『銀行員が教える 一生困らないお金の増やし方』(長岐隆弘、高市 亮著、総合法令出版)は、メガバンク行員経験を持つ不動産鑑定士/不動産投資プロデューサーと、メーカーに技術者として勤務したのちに独立した不動産投資家による共著。「銀行にお金を預けることの意味が大きく揺らぎはじめているなか、ただ漠然と貯金しているだけでは、とっさの事態に備えることは不可能。そこで、いますぐ行動を起こす必要がある」という考え方に基づき、一生お金に困らない生活力を身につけることを提案しているのです。■「お金に働いてもらう」という発想「一生お金に困らないなんて、ありえない」と感じる方がいても不思議はないかもしれません。しかし著者によれば、それは決してありえないことではないようです。彼ら自身が、そうした生活を送っているのがなによりの証拠。その根底にあるのは「自分で働くのではなく、お金に働いてもらう」という発想。つまりは投資によって、給料以外の安定収入を得ようという考え方です。しかもそれは、自己資金がまったくなくても始めることができるというのです。そんなコンセプトを軸に、お金を着実に増やすためのさまざまな方法を明かした本書から、きょうは不動産投資の魅力をピックアップしてみたいと思います。■不動産オーナーは銀行から借金するおそらく、「不動産投資はお金持ちのすること」だというイメージが一般的でしょう。つまり、「ビジネスで成功した人が、稼いだお金で不動産を購入している」というふうに思われているわけです。しかし意外なことに、不動産オーナーは実際には自分のお金を使ってはいないと著者はいうのです。何故なら1億円の不動産を買うとき、多くのオーナーは銀行から1億円の借金をするから。利回りが5%程度あれば、その借金は単純計算で20年あれば返済可能だということです。1億円×5%=500万円1億円÷500万円=20年※実際には税金の支払いなどが必要つまりこれまでは、お金持ちの人たちだけがこのことを知っていて、自分のお金を使わず、さらにどんどん資産を増やしていたということ。ところがサラリーマン大家の裾野が広がっていくにつれ、「自分のお金を使わずに不動産投資ができる」という情報がブログやSNSなどを通じて世間一般にも知れわたっていくことに。著者の分析によれば、これが最近の不動産投資熱の大きな原因のひとつなのだということ。■銀行が全額融資してくれるのが魅力家賃収入がローン返済額に見合っていて、なおかつ不動産の評価が高ければ、銀行は全額融資(フルローン)をしてくれるのだといいます。そしてこれこそが、あらゆる投資のなかで不動産投資だけが持っている最大の魅力。現在それほど自己資金のない人が不動産を購入するためには、不動産の購入資金を全額借り入れることができる、不動産投資ならではのこのメリットを使わない手はないということ。いいかえれば、全額融資可能な物件を見つけさえすれば、自分のお金をまったく使わなくても手に入れることができるわけです。■不動産の管理を自分でする必要ないとはいえ、もしそんな物件を手にすることができたとしても、管理などに手間がかかりそうです。しかし、それも心配ないのだとか。簡単なことで、購入したあとも、管理などは管理会社に外注できるからだというのです。つまり、自分で動く手間をとことん少なくすることができるということです。いってみれば、重要なのは、そういった仕組みを「知っているかどうか」だけ。さらにいえば、そのような物件の見極め方を学ぶ、あるいは、見極められる人を味方につける。たったそれだけでいいということです。もし「株式投資をやりたい」といっても、そのための資金を貸してくれる銀行はありません。FXにしても、証拠金によるレバレッジがあるとはいえ、基本的には同じこと。しかし不動産投資は、株やFXのような高度なセンスが求められる投資とは異なり、端的にいえば「誰にでもできる」投資なのです。つまり、あとは「やるかやらないか」だけ。だからこそ、強いのは「明確な理由のある人たち」だと著者はいいます。そして、「やりたい理由」を持っている人たちは、確実に一歩を踏み出し、成果を上げているということです。*まだまだ実感できないかもしれませんが、「納得するしかない」というほど説得力に満ちた根拠が、本書にはぎっしりと詰まっています。お金に困らない将来をつかむために、読んでおくだけの価値はありそうです。(文/作家、書評家・印南敦史) 【参考】※長岐隆弘、高市亮(2016)『銀行員が教える 一生困らないお金の増やし方』総合法令出版
2016年05月30日第20回 で、「積立投資」というものをご紹介しました。積立投資とは、毎月、決まった日に、決まった金額が引き落とされて、決まった投資信託を買い付けていく投資スタイルです。最初に「しくみ」さえつくっておけば、自動的に投資が続けられますので、大きなお金を用意しなくてもすぐに始められます。なかなか一歩を踏み出せないあなたも、スモールスタートであればできそうですね。■「積立投資」のメリットとはこれまで何度か、「投資は分散が基本」ということをお話ししてきました。「 卵は1つのカゴに盛るな 」ということわざを覚えていますか? 投資対象は分散しなさいということですね。投資対象の分散には、投資先のほかに、投資する時期、つまり「時間」の分散もあります。一度に買わないで、毎月、一定額ずつ「積立投資」をしていくのです。これを長く続けることによって「複利の効果」が得られます。(参考: 第16回「営業マン任せはNG! 儲かる投資信託を選ぶためのポイント」 )複利と単利の差は、下記のように一目瞭然です。たとえば、100万円を年利10%で運用すると、単利だと毎年10万円ずつ増える計算になりますが、複利だと…ご覧のように、複利は時間の経過とともに効果が大きくなるのです。たとえば、月に3万円ずつ(年間36万円)を3%で20年間積立投資していくと、いくらになると思いますか?計算上は、967万3,200円になります。もちろん、現実には3%ずつ確実に上がり続ける投資信託などなく、基準価額は上がったり下がったりしながら資産残高を増やしていきます。このような投資の方法を「ドルコスト平均法」と言います。●ドルコスト平均法基準価額の変動に関係なく、一定の金額を定期的に積立投資していく手法です。「ドル」という名前がついていますが、外貨投資だけに当てはまるものではありません。一定額を積み立てていくこの方法だと、価格が安いときには多めに買えて、価格が高いときには、買える数が少なくなります。これを長く続けることで、結果的に平均の購入コストを安くできるのです。 「安いときに買って、高く売る」というのが投資のセオリーですから、安い時期を当てられれば儲かります。しかし、私たちが安値を当てるのは無理ですよね。振り返って高値づかみだったということも少なくないでしょう。そういう意味で、時間を分散するということは、リスクを減らせるということです。株価が乱高下しながら長期で上向いていく場合、積立投資は効果が得られやすいと言われます。そして、ネット証券などの販売会社で運用する場合、「積立投資」という投資スタイルを選択しておけば、毎月自動で買付をしてくれるので、手間がかかりません。まさにこのスタイルで運用するのが、前回お話しした「確定拠出年金制度(DC)」です。 DCは、原則60歳までお金を引き出せませんが、それは逆に言えば、老後のための資金としてゆっくり運用していくことができるということです。一方、NISAは、いつでも引き出すことができます。住宅ローンの頭金や子どもの大学の入学金など、必要な時期が決まっているお金を増やしていくとよいでしょう。なお、DCとNISAの運用は、自分の資産全体の中で考えることが大切です。DC口座の中で、NISA口座の中でそれぞれ分散する必要はありません。■NISAとDCを上手に運用するには、株や債券など分散して長期投資をDCやNISAでは、株や投資信託などのリスク資産を運用するとよいでしょう。世界の株価は、長期では経済拡大に連動して上昇してきました。資本主義が続く限り、人間の経済活動が続く限り、これからも経済は拡大していくでしょう。ですから、目先の株価の上下を気にすることなく、ゆっくり資産を殖やしていきましょう。毎月数万円を運用する場合、まず、DCに加入できる人は、その枠をいっぱい使って外国株式のインデックスファンドを買う残りをNISAで日本株式のインデックスファンドを買う というようにします。まだ余裕がある場合は、通常の課税口座で運用しましょう。これが、DCとNISAの上手な運用方法と言えます。次回は、NISAの非課税期間が終ったらどうするかについてお話します。
2016年05月23日『サザエさんの「花沢不動産」はなぜ潰れないのか?現役不動産屋が教える仕事とカネの裏事情』(齋藤智明著、宝島社)とはユニークなタイトルです。花沢不動産といえば、アニメ『サザエさん』にも頻繁に登場する磯野家のご近所。娘の花子はカツオの小学校のクラスメートで、「アハハ!」という豪快な笑い声と「磯野くーーん!」と呼ぶダミ声が印象的な女の子。将来はカツオと結婚して花沢不動産を継ぐという夢を持っています。花沢不動産もたびたび登場しますが、たしかにいつも店内にお客はゼロ。それなのに、社長で花子の父・金太郎はカツオにお寿司やうなぎをご馳走するなど、むしろ羽振りがよさそう。こうした“お客がいないのに潰れない”不動産屋、身近でもけっこう目にしますよね。そんな不動産屋あるあるについて、自らも不動産会社で働く著者が著したのが本書。そのなかから、タイトルにもなっている“客のいない花沢不動産の羽振りがいい不思議”の項に注目してみましょう。■花沢不動産のメイン業務は「賃貸管理」著者によれば、不動産会社にはデベロッパーとも呼ばれる「開発型」や不動産の有効活用に関する提案を行う「コンサル型」など、12もの業態があるそう。各社、このうちいくつかの業務を行い利益をあげるわけですが、花沢不動産の場合、「賃貸仲介型」と、大家さんから賃貸物件をあずかり管理する「賃貸管理型」の業務をメインに行っているようだ、と著者。「賃貸仲介型」は、文字通り賃貸物件を探している人々に物件を仲介し、仲介手数料を得る業態。窓にはびっしりと広告が貼られ、わたしたちが部屋を借りようと思ったときに訪ねる場所です。しかし、花沢不動産には、そんなお客さんがいたことはありませんよね。そこで重要になってくるのが「賃貸管理型」業務です。■賃貸管理型は縁の下の力持ち的な存在!「賃貸管理型」は、大家さんから直接物件の管理を任され、庭や建物の共用部分を定期的に掃除したり、家賃を集めたり、事故やクレームの対応をしたりと日々の建物の管理をします。部屋を借りようと思って名前の通った不動産会社の店舗を訪ねると、営業マンが適当な物件をみつくろい、その場で電話をかけて「○○アパートの××号室は案内可能ですか?」と確認しますが、その相手こそ、この賃貸管理型不動産屋。花沢不動産のような賃貸管理型の不動産屋は、そうした内見に備え、普段から空き物件を訪ねて換気をしたり、室内のほこりをきれいに掃除したりとメンテナンスを怠りません。隠れた苦労が多い賃貸管理型の不動産会社は、まさに縁の下の力持ちといえそうです。■花沢不動産のお客さんは地域の大家さん借り手が部屋を気に入れば契約成立。ここからやっと、賃貸管理型不動産会社のもうけが発生します。まず契約時。借り手は物件を仲介した不動産会社に仲介手数料を支払いますが、物件管理型の不動産会社は大家さんから仲介手数料を受け取ります。さらに、物件を管理すると定期的な収入が見込めます。まず、家賃の集金代行手数料。相場は家賃の3~5%で、かりに5%とすると家賃10万円×0.05=5,000円。部屋数100室、家賃平均10万円の物件を管理すれば、これだけで毎月50万円の収入になります。このほか、入居者から鍵交換手数料、保証会社をつければ保証委託契約の手数料、火災保険加入手数料などなど。2年ごとに訪れる賃貸契約の更新時手数料は、貸し手と借り手双方からダブルで受け取っているのだそう。花沢不動産の主なお客さんは、地域の大家さんたちだったのです。店内にお客がいなくても経営が安定しているのは、大家さんたちをしっかりとつなぎ止めているからなんですね。*このほか本書では、なかなか知ることのできない不動産業界の裏事情がたっぷり紹介されています。興味深いのは、良心的な不動産会社を見分ける方法。たとえば、賃貸物件を借りたときに支払う「賃貸仲介手数料」、“仲介手数料1ヶ月分”という表示を見かけますが、じつは規定額は家賃の0.5ヶ月分で、利用者の承諾があれば1ヶ月分まで受け取れるというルールなのだといいます。つまり、知らないうちに必要以上の金額を支払っている可能性があるのです。逆に“仲介手数料0円”の場合も、礼金を2ヶ月分としてその半額を大家さんから受け取るケースがあるとか。いずれにしても、良心的な対応を期待できる会社ではありません。雑学としてだけでなく、実用的な知識も満載。物件を借りたり買ったりする前にも読んでおきたい1冊です。(文/よりみちこ) 【参考】※齋藤智明(2016)『サザエさんの「花沢不動産」はなぜ潰れないのか?現役不動産屋が教える仕事とカネの裏事情』宝島社
2016年04月03日みなさんは不動産投資に興味はありますか?興味がある人のなかには、アパートやマンションの大家さんになって賃料をもらいたい賃料収入派、あるいは購入価格より相場が値上がりしたタイミングで売りたい売却派もいらっしゃるでしょう。または、興味があっても、難しくてなかなか手が出せないという人も……。そこで今回は、キャピタル・アドバイザリー株式会社不動産投資部長で、累計1,000億円以上の投資実績を有する和田一人さんの著書『儲かる不動産投資の教科書 買うべき物件、買ってはいけない物件』(扶桑社)をピックアップ。不動産投資のビギナーにもわかりやすく書かれている本書のなかから、不動産投資で儲けるための8つのルールをご紹介したいと思います。■1:物件を安く買おうと思ってはいけない物件を安く買うことは、不動産投資における成功の必須条件ではないようです。著者は「安く手に入れることに固執している人は、失敗しそうな物件ばかり選んでしまっている気がしてならない」といいます。特に素人の場合は、一度の過ちが致命傷となりかねません。なにより認識しておきたいのは、「利回りが高い=物件が安い」という図式にはなっていないということだとか。特に物件を選ぶ際は、「ローン返済額+運用費用<現況利回りで賃料収入」の条件を満たすものに的を絞ることが基本であるようです。■2:世のなかの不動産は2種類しかない不動産は自宅用・投資用に関わらず、二種類に分類できるそうです。それは(1)「資産の再現性」がある不動産と、(2)「資産の再現性」がない不動産。「資産の再現性」とは「末代まで延々と繰り返し、稼ぎ続けてくれる」ことを意味しています。建物が古くなり、取り壊して新たに立てなおすとき、どうやっても採算が合わなくなる土地が存在するのです。そんな収益性が失われてしまう物件は「資産の再現性」がない不動産であり、トランプのババのような存在。引いて持ち続けてしまったら、ゲームオーバーになってしまうのです。■3:資産の再現性が高い不動産を選ぶ「資産の再現性」がある不動産とは、「購入してそこに新築の建物を建てても採算が合う土地」。「資産の再現性」があるか否かは、建物を新築した場合の利回りを計算して、その利回りで買う人がいるかどうかを検証することでわかるようです。時間が経過すればするほど、限りなく土地のコストがゼロに近づいていくのが「資産の再現性が高い不動産」といえるそうです。■4:賃料単価から資産の再現性を測る地方になればなるほど、賃料単価(賃料(共益費込み)÷貸床面積(坪))が安くなって、賃料収入に対して諸費用が占める割合も高くなるそう。地方の鉄筋コンクリートマンションでは費用が40~50%近くを占めているケースも多いとのこと。著者は、地方の物件の「賃料単価」の低さは見過ごすべきでないといいます。■5:赤字で売却しても損しないこともある「完済まで20~25年くらいのローンを組んで不動産に投資し、それから10年くらいが経過すると“バラ色”の状況が訪れるケースがある」と著者。それは、売却価格は薄価より低いけれど「ローン残高+自己資金」よりも高いというバランスになった場合です。数式だと、「薄価>売却価格>ローン残高+自己資金」となります。買った金額よりも安く売ると損をしているように感じてしまいそうですが、そんなことはないそう。会計上は赤字に陥っていても、実際のお金の出入りの収支は黒字になるというのです。つまり、出て行くお金(ローン残高+自己資金)よりも入ってくるお金(売却価格)のほうが多く、手元にお金が残るのですが、薄価よりも安い転売価格で処分できると会計上は赤字になるので税金も納めなくて済むのです。■6:フルローンはリスクが大きいので避ける「自己資金ゼロからの不動産投資!」などのキャッチコピーで物件の勧誘をする業者は少なくないのですが、それだけリスクも高いということを知っておかないと大変。計算していくと満足できるレベルの黒字を確保するのは難しく、明らかにマイナスが発生する状況となりそうです。空室率によっては、本業の収入から回すか、貯蓄を切り崩すなどの手を打たないと、ローンの返済が難しくなる場合があるでしょう。本来のフルローンは資金的にかなり余裕のある人が活用すべきもの。■7:「苦しくなったら転売すれば……」は甘い!不動産に限らず、あらゆる相対取引に共通することですが、「売却する際にはそれを買う側がどう捉えるか、というポイントから条件面を吟味するべき」と著者。売り手が好条件を思っていても、買い手のほうはそうは思わない場合もあるそうです。「欲を出さず、トントンで売れればよし」と思っても、購入時の諸経費や売却時の仲介手数料などの負担が数百万にも上るのです。プラスマイナスゼロさえ、簡単に叶わないかもしれません。■8:築20年前後の鉄筋コンクリート物件は危ない築20年前後の物件はよく売り物物件として出回っていますが、これは売主が売りたくなる時期だから。この時期には大規模修繕工事が必要になってくるので、その費用を負担するより売ったほうがいいと判断しているもののようです。決して軽視できない出費なので、きちんとした備えがなければ、追加でローンを借りるなどの必要も生じてくる問題だそうです。注意しておきましょう。*その他、不動産投資する場合は買った後にトラブルにならないように、事前に自分の目でチェックしておかなければならないそうです。たとえば隣地との境界線、外観や屋根の様子、道路と間口の幅や、図面と現状の相違、嫌悪施設(墓場など)の有無など。難しい不動産投資ですが、成功すれば「経済、時間、安心」の3つを叶えることができるそう。今後、不動産投資を考えている人には、まさに教科書のような本。ぜひ参考にしてほしいと思います。(文/齊藤カオリ) 【参考】※和田一人(2016)『儲かる不動産投資の教科書 買うべき物件、買ってはいけない物件』扶桑社
2016年04月02日『OLが考えたお金を増やすたった一つの方法』(松川佑依子著、扶桑社)は、株式投資について解説した本。一見、数ある投資ノウハウ本のように感じますが、そのアプローチはとてもユニーク。女性の視点から株式投資をすることの利点に気づかせてくれるのです。著者の松川佑依子さん自身、資産運用会社で働くOLでありながらタレントとしても活躍するというユニークな経歴の持ち主。業務で資産運用を行い、「入社から約3年、会社に損はさせていません」という株式投資のプロであると同時に、25歳のイマドキ女子の感覚もしっかりと持ち合わせています。その著者が約3年の投資経験のなかで気づいた「株(株式投資)って女性の強みが生かせるんじゃないかな?」というひらめきが、本書のベース。ここでは本書から、投資する企業を選ぶときに役立つ女子目線について見ていきます。■女性向けの製品を知っている強み著者は、「株選びはやっぱり女性のほうが有利」といいます。女性向けの製品やサービスを売っている企業もたくさんあるのに、株式投資をするのは圧倒的に男性が多いから、というのがその理由。女性にとって身近な製品の使い勝手や人気を把握できるのは、女性の強みです。たとえば、カメラのフイルムなどを作る富士フイルムが株式上場していることを知っている男性は多いと思います。しかし、アスタリフトという化粧品がいまファンを増やしていて、そのアスタリフトをつくっている会社が富士フイルムであることは、男性にはなかなか気づけないもの。それが、女性であれば「アスタリフトの人気が高まっている→アスタリフトをつくっているのは富士フイルム→富士フイルムの業績や経営状況を確認してみよう」と連想ができるというのです。■実は街歩きを楽しむことも大切!街歩きのなかにも、株式投資のヒントが詰まっていると著者はいいます。都市部でいえば、たとえば新しい商業施設がオープンしたとき。繁華街に新しい施設をオープンすれば、さぞ株価は上がっていくだろうと予想できますが、著者はここで「自分で感じた体験も大切」とくぎをさしています。実際に自分の足で訪ねてみて「なんか想像と違うな」「惹かれないな」と思ったら、いくら短期的に株価が上昇していても安心して持ち続けることはできません。さらに、ショッピングをしながら歩いていると、行列のできるオシャレなお店を目にすることがあります。普段から女友だちとお茶をしたりウインドーショッピングしたりと街歩きを楽しんでいる女性は、こうしたトレンドにも気づきやすいのです。著者のおススメは、流行っているお店や、サービスがほかとはちょっと違っていて人気の出そうなお店を見かけたら「連想」をしてみること。しかも、連想にはいくつかのパターンが考えられるそう。たとえば行列のできる人気パンケーキ屋を見つけた場合。(1)人気のパンケーキ店→その経営母体が上場企業かどうか。(2)パンケーキの原料は小麦粉→製粉会社や製菓会社の業績に影響があるかもしれない。(3)パンケーキが流行った→次はどんなスイーツが流行るだろうか。といった連想ができるというわけです。たしかに、(1)はごく一般的なアプローチですが、(2)や(3)には女性の視点が生かせます。女性は口コミやSNS、雑誌、テレビの情報番組などで流行の移り変わりをキャッチしやすいといえますし、普段から料理をしていれば食材にまで連想を働かせることも可能だからです。■お気に入りカフェで四季報めくり本書では、こうした女性目線を生かした銘柄選びだけでなく、とっつきにくい専門用語、実際に株を買うまでの流れもわかりやすく解説されています。なかでも、「会社四季報」をめくるシチュエーションがイマドキ女子っぽくて印象的。会社四季報とは、日本の株式市場に上場している約4,000企業すべての情報が詰まった本。3か月に1度発行されており、企業の所在地や事業内容、財務情報や過去5年分の業績、記者による業績予想などが収録されています。株式投資をする上で必要な数字を確認することができる必携書ですが、かなり分厚くて見た目もややハード。とても若い女性がめくるようなイメージはないのですが、著者はこの2,000ページもある会社四季報を、お気に入りカフェでリラックスして目を通しているというのです。*株式投資への入り口は人それぞれ。お気に入りブランドでも、好きなレストランやコンビニ菓子でもいいのです。とくに女性にとって、入り口が自分の生活圏内にあるということはとても重要です。身近な商品をきっかけに、株式投資の広くて深い世界に進んでいく、本書がその水先案内人の役割を果たしてくれるでしょう。(文/よりみちこ) 【参考】※松川佑依子(2016)『OLが考えたお金を増やすたった一つの方法』扶桑社
2016年03月21日2014年から導入された個人向けの少額投資非課税制度、通称:NISA(ニーサ)をご存じでしょうか。テレビコマーシャルなども盛んに行われていたので、名前を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?NISA最大の特徴は、120万円までの利益が非課税なことNISAは、今年(2016年)から年120万円を上限に(2015年までは年100万円でしたが、上限額が拡大されました)、累計600万円まで、上場株式や株式投資信託などの配当金や分配金、譲渡益が、最長5年間、非課税になるという制度です。現在のところ、この制度は平成35年まで10年間存続することになっています。NISAは、20歳以上で、日本に住んでいる人ならだれでも利用することができます。今年からは、0歳~19歳までが利用できるジュニアNISA制度もスタートしました。ジュニアNISAについては次回お話しします。 前回 お話ししましたが、通常、金融商品の運用益には20.315%の税金がかかりますが、NISA口座で運用すれば非課税になります。ただし、NISA口座で新たに購入した運用商品が対象です。既に持っている運用商品は、対象にはなりません。NISA口座は、銀行や証券会社で開設することができますが、金融機関によって投資できる商品が異なります。NISA専用口座を開いて、ラインアップの中から自分で投資商品を選択するのですが、銀行には、上場株式やETF(※)という上場型投資信託がありませんので、開設するなら証券会社の方がおススメです。(※)上場投資信託。「Exchange Traded Funds」の頭文字をとり、ETFと呼ばれている。東証第1部の全銘柄の動きを反映した株価指数=TOPIXに値動きが連動しているため、ETFを保有することで、TOPIX全体に投資を行っているのとほぼ同じ効果が得られる金融商品。NISAで覚えておきたい4つの注意点注意点は、4つあります。・その1:1人1口座開設できるのは1人につき1口座で、一度開設すると、その年度は金融機関を変えることはできません。1年ごとに金融機関を変えることができます。・その2:非課税枠の未使用分を翌年に繰り越すことはできない非課税枠の120万円の未使用分を翌年に繰り越すことはできません。たとえば、120万円のうち、今年100万円しか使わなかったとしても、残りの20万円を来年に繰り越して、来年の非課税枠を140万円にすることはできません。・その3:売却した分の非課税枠は再利用できないたとえば、NISA口座で60万円分の株式投資信託を運用していたとします。年の途中で、30万円分を売却したとしても、その後に利用できるのは、残りの60万円です。売却分の30万円の枠は再利用することはできません。・その4:損が出ても損益通算できない通常、損が出ると、利益の出ているほかの口座と損益通算や損失の繰越控除ができますが、NISA口座ではできません。政府広報オンラインにもNISAのことが詳しく説明されています。・ 新しい投資優遇制度「NISA(ニーサ)」がスタート!将来に向けた資産形成を考えるきっかけに:政府広報オンライン 次回は、ジュニアNISAについてお話しします。
2016年03月21日ミック経済研究所は3月15日、「2016年度従業員規模別・業種別IT投資動向調査310社」のレポートを発表した。製造・流通・サービス業の2016年度IT投資総額は前年度比2.5%増の11兆6516億円、増加要因はシステム更新がトップとなった。同調査は国内経済が中国経済の成長減速から景気の不透明感が高まり、財政出動の限界も見え、2016年度の見通しが立てにくい状況を受け、各企業の2016年度予算計画、IT投資計画を立てる参考指標とするため実施。調査対象は製造(建設含む)、流通(卸、小売、他)、サービス業の情報システム部門で、金融・証券・保険、自治体・公共、学校、医療は除いた。従業員規模別・業種別の2016年度IT投資計画・増減分布は、2016年度の計画では「増加」が19.7%、「横這い」が66.8%、「減少」が13.5%。横這いが最も多いが、増加と減少を比較すると増加の方が多く、事業に前向きな姿勢が伺える。さらに、増加を選択した61社の中では伸率20%以上のウエイトが62.3%と多く、全体でも12.3%を占める。一部の企業においては事業拡大に舵を切り、IT投資を急増させる計画であるという。従業員規模別では従業員1000人以上規模の「増加」が52.0%を占める。大手企業は利益剰余金が豊富で、2016年度のIT投資は相当に期待できると予測している。また、従業員1000人以上規模のIT総額は国内全体の半分以上を占めており、国内全体のIT投資動向を牽引していく見通しだ。業種別では、各業種ともに「横這い」が65~70%未満。ただし、「増加」と「減少」の比率を比較すると、従業員規模別ではすべての規模で「増加」が多かったが、業種別は流通業のみ「減少」の方が多い。2015年度の流通業は、やや増加傾向を示していたが、2016年度はやや厳しいと想定される。従業員規模別・業種別の2016年度IT投資増加要因は、「システム更新」が62.3%を占めて最も多く、リーマンショック以降、ITシステムへの投資を先送りしてきた企業が多かったが、2015年度からシステム更新にIT投資が向かい、2016年度より本格化すると推測。そのほか、マイナンバー対応が遅れていた中小企業を中心に「内部統制・セキュリティ強化」が13.1%と続く。また次いで「事業拡大」が9.8%と既存ビジネスの売上拡大、新規事業立ち上げと前向きな要因が増えている。従業員規模別に見ると、従業員300~999人規模の中堅企業と同100~299人規模の中小企業でシステム更新が前者66.7%、後者63.6%と多く、全体平均を押し上げている。2016年度の計画は、全体的には横這いが多い中堅・中小企業であるが、2016年度から抑制していたシステム更新に投資が向かいはじめたと同研究所は推測している。
2016年03月16日アジレント・テクノロジー(アジレント)はこのほど、米Lasergenに対し8000万ドルの投資を行うと発表した。Lasergenは次世代シーケンシング技術を有する新興バイオテクノロジー企業で、テキサス州ヒューストンンに本社を置く。アジレントは今回の投資により、Lasergenの株式のうち48%を取得することになる。また、2018年3月2日までに、追加で1億5000万ドルを投資し、残りの株式を取得するオプションも有している。両社は今後Lasergenのシーケンシングケミストリーである「Lightning Terminators」をベースに、臨床アプリケーション向けの次世代シーケンシングソリューションワークフローを開発していく。Lighting Terminatorsは、現在商用化されているほかの技術と比較して、ゲノムシーケンシングを高速化、高精度化、低価格化できる可能性があると考えられている。
2016年03月14日宮城県仙台市に本店を置く七十七銀行は3月9日、投資信託を購入した個人顧客向けに「<七十七>投資信託キャンペーン~お申込手数料、半分お返ししますよ~」を開始した。期間は3月31日まで。○投資信託を100万円以上購入した個人が対象キャンペーンの内容は、七十七銀行で投資信託を累計100万円以上購入した個人顧客を対象に、投資信託申込手数料(消費税込)の50%をキャッシュバックするというもの。通常の申込手数料は買い付け金額に対し最大3.24%(税込)。投資信託は、東北地区の同行全営業店(一部の出張所を除く)及び札幌支店で取り扱っている。キャンペーンは自動エントリーのため申し込みは不要、キャッシュバック分は4月下旬に口座に振り込み予定。ただし、既に実施されている「<七十七>運用スタート!! Wキャンペーン」でキャッシュバックの対象となる手数料は対象外となる。
2016年03月11日前回 、「分配金」についてお話ししました。「分配金」には、「普通分配金」と「元本払戻金」(かつては「特別分配金」と言われていました)の2種類がありましたね。「普通分配金」は、運用収益から分配されますが、「元本払戻金」は、自分が投資した元本の一部が払い戻されたものです。ですから、「普通分配金」には、運用益の20.315%が源泉徴収されますが、「元本払戻金」は、もうけではないので、課税されません。分配金の受け取り方は2タイプ、どちらがお得?投資信託を購入した場合、「分配金」の受け取り方には一般的に、・そのまま現金で受け取る(分配コース)・支払われた分配金で同じ投資信託を追加して買い付けて行く(再投資コース)という2つの方法があって、選択することができます。税金は、どちらの方法でも同じようにかかります(ただし、「NISA口座」は、一定額までは非課税です。NISA口座についてはまた改めてお話しますね)。では、どちらの方法がより、お金を増やすのに向いているのでしょうか。皆さんは、「複利」という言葉を聞いたことがありますか?複利は、よく「雪玉」にたとえられます。小さい雪玉は、ひと転がししてもあまり雪はつきません。でも、雪球が大きくなると、ひと転がししたとき、たくさんの雪がつきます。転がしていくにつれ、雪玉はますます大きくなっていきますね?複利は、利息がつくと、その利息も含めた元利合計(元本と利息を合わせたもの)を新たな元本として利息がつくのです。利息が利息を生むというわけです。たとえば、毎月、3万円ずつ(年間36万円)、年利3%(!)の利子のつく定期預金というものがもしあると仮定して、それに20年間預け入れたらどうなると思いますか?複利で増えて、なんと967万3,200円になります!(ただし、計算方法によって多少違いがでてきます) 複利は、時間の経過とともに効果が大きくなるのです。ちなみに、「借金が雪だるま式にふくらむ」という言い方をするのも、複利でどんどん利息が増えてしまうということです。お金を増やしたいなら、分配金は「再投資コース」を選択するのが正解さて、冒頭で紹介した2タイプの分配金の受け取り方のうち、「分配金再投資コース」にした場合を考えてみましょう。仮に分配金が100円だとすれば、ここからまず税金20円が差し引かれて、残りの80円で同じファンドを買い付けていくことになります。たとえば、100万円を期待リターン4%で10年間運用した場合、再投資をして複利で運用すれば、148万244円になります。しかし、分配金を受け取ると(分配コース)、単利で運用することになりますので、増えるのは、元本100万円に対し、4%×10年間=40万円です。10年後は140万円です。8万244円の差がつくのです!運用する期間が長くなれば、複利効果で、差はさらに大きく拡がります。つまり、お金を増やすには、増えた分を分配金で受け取らず、再投資すること、すなわち、複利で長く運用することが大切なのです。このコラムを読んでくださっている読者のみなさんには、まだまだ長い時間があります。ぜひ、「毎月分配型」ではなく、「年1回決算型」など決算回数の少ないファンドを選び、ゆっくりお金を育てていきましょう。(岩城みずほ)
2016年03月07日●サービス誕生の背景にある、不動産市場の課題テクノロジーの力によって不動産業界に革新的な変化をもたらそうという「リアルエステート・テック(不動産テック)」という言葉が、金融業界で盛り上がる「フィンテック(金融テック)」と並んで昨年から話題になるようになってきた。不動産テックとは、これまで不動産会社が管理してきた中古物件の様々な情報をオープン化し、インターネットを通じて一般消費者が自身の物件価値の把握や売買のために有効活用することができるようにしようという動きで、今回取材したヤフーとソニー不動産が共同で運営する「おうちダイレクト」をはじめ、不動産情報サイトのHOME’Sが開始した「PRICE MAP」、求人サービスで知られるリブセンスが開始した「イエシル」など、既に様々なサービスが生まれている。こうした不動産テックは従来の不動産取引にあるどのような課題を解決し、何を目指しているのか。不動産の個人売買プラットフォーム「おうちダイレクト」をソニー不動産と共同で運営する、ヤフー 不動産本部で「Yahoo!不動産」のサービスマネージャーを務める山口隆志氏に話を伺った。2015年11月にサービスインした「おうちダイレクト」は、マンション所有者が自分自身で物件価格を決定して売り出し、購入検討者と直接対話しながら物件を売却することができるサービスだ。売買交渉のサポートや重要事項説明、売買契約や引き渡し時の手続きといった法令で定められている不動産取引業務は、ソニー不動産がサポートするという。そして、マンション所有者が自分の物件価値を把握するために、過去の売買履歴を基にしたビッグデータと、ソニーとソニー不動産が共同開発した機械学習ソリューションによって、物件の資産価値を独自のアルゴリズムで推定する「不動産価格推定エンジン」を提供している。実際に売り出すことができるマンションは現在のところ東京都23区内に限られているが、不動産価格推定エンジンのデータベースの量は既に1都3県の約5万棟のマンションに及ぶ。山口氏は、このサービスを生み出した背景について、現在の不動産市場が抱える課題を挙げている。それは、“一度購入した新築物件に一生住み続ける”というライフスタイルそのものに対する疑問だ。「本来であれば、子どもの成長などライフスタイルの変化に合わせて住み替えていくという選択肢があってもいいはず。しかし、日本では自分の所有する不動産をどのように活用していくのかという点に対するリテラシーが少ないのが現状だ」と山口氏は説明する。実際に、日本の住宅流通戸数に占める中古物件の割合は、約14.7%。これは、米国と比べると8分の1程度と非常に少ない数字だ。「日本では人口が減少し、空き家が増加しているのにも関わらず、その住戸活用が米国に比べて進んでいない。都市部における新築マンション建設が土地の枯渇などを背景に限界に達しようとしている中で、このままの状況では不動産市場そのものが減速してしまうという懸念がある」(山口氏)ではなぜ、私たちは購入したマンションを手放すことができないのか。最も大きなネックは、住み替えに掛かる膨大なコストだ。例えば、売却するために必要な手数料や税金などは、100万円以上掛かる場合があり、それに住宅ローンの残債、新居への引越し費用を加えると、コストは三重構造になる。加えて、不動産会社の査定に基づく肝心の物件売却価格は、提示されても情報不足のためにその良し悪しを判断することができず、結果的にこうしたコストを吸収できない場合が多い。山口氏によると、「おうちダイレクト」はこうした不動産売却時にマンション所有者が感じる不透明感や、コストファットになる構造をテクノロジーによって解決しようと生み出されたのだという。「もちろん、普通の人は複雑な手続きを代行してくれる不動産会社へ売却することが当たり前だろう。しかし、私たちは従来の方法での売却に(コスト負担などの点で)抵抗があった消費者に新しい選択肢を提供することによって、不動産売買のマーケット全体が拡大し、中古物件の市場そのものが活性化するのではないかと考えている。売買プロセスを見直し、ユーザー自身がDIY的に売却することができる環境を作ることで、売却する人にとっては住み替えるコストの最適化が期待できる。そうすれば、“住み替えたいけれど、動けない”という人々が動き出すのではないか」(山口氏)しかし、山口氏はこの個人が不動産物件を売却するというスタイルは、従来の不動産業界のエコシステムを駆逐する存在にはならないとしている。あくまでも、これまでどおり“住み続けるか”、“高いコストを掛けて住み替えるか”という2択の間で沈黙していた潜在顧客を呼び覚ますための、有力な“第3の選択肢”を生み出すことを目的としているという。「このサービスが、従来の不動産売買に取って代わりメジャーな存在になるとは考えていない。しかし、大きな選択肢のひとつになるのではないかと考えている」(山口氏)●反響は大きいものの、物件数の増加には啓蒙・啓発が課題このような考えを背景にスタートした「おうちダイレクト」だが、その滑り出しはスロースタートだ。サービス開始時は売り出せる物件の対象地域が都内6区に限られていたという事情があるものの、実際に公開されている売却物件数は十分とは言えない。この点について、山口氏は「多いか少ないかと言われたら、もう少し頑張らなくてはいけない数字。満足はしていない。しかし、自分の所有物件の価値を検索する機能の利用者は昨年12月時点で目標を達成しており、問合せも多い。潜在顧客の取り込みには成功しているのではないか」と評価する。なお、今後掲載する予定の審査中物件も控えているという。それでは、今後どのような戦略で物件数や利用者を増やしていくのか。1月14日に開始した売り出し物件の対象エリア拡大に加え、“自分自身で所有している不動産を売却する”という考え方そのものの啓蒙・啓発、そして実際の手続きのサポートが課題だという。山口氏によると、昨年12月と今年1月にはマンション売却を検討している人を対象にしたセミナーを実施。従来の売却方法と個人売却がどのように違うのか、実際にどのようにサービスを活用するのかなどについて説明を行い、質疑応答や個別相談も実施したのだという。「“自分で物件を売るとはどういうことか”という点の理解を深めてもらい、サービスに対するハードルを下げていきたい」(山口氏)また、これまでは不動産会社に任せていた物件広告の制作、書類の用意、売却時のリフォームやクリーニングなどをサポートするようなサービスも検討しているとのこと。そして、現在は1都3県に限定している不動産価格推定エンジンのデータベース量の拡大にも意欲的だ。「目指しているのは、世の中の全ての不動産情報をオープン化すること。自分の住宅の価値がどのような要素で決まっているのかを米国並みにクリアにすることで、不動産取引の透明性を確保したい。また、自分の住宅に対する投資(リフォームや修繕など)を物件価値に反映できるようにすることで、投資対効果を明確にしたい」(山口氏)。○社会の課題に対して、ひとつの選択肢を提示したいこのように、ヤフーとソニー不動産が物件の個人売買に本気で乗り出し、他社も様々なサービスを生み出して不動産テックを盛り上げている背景には、「2020年までに中古住宅流通市場やリフォーム市場を倍増させる」という国の政策がある。山口氏も、新築マンションの着工件数が減少していることなどを踏まえて、「中古住宅市場が活性化するポテンシャルは十分にある」と語り、今後も「おうちダイレクト」のサービス拡充に取り組んでいきたい考えだ。「市場における勝者になるつもりはない。社会の課題に対してひとつの選択肢を提示するという意識で取り組んでいる。今後も、従来の不動産取引に対する疑問を解決するような挑戦は、様々な企業から生まれてくる。テクノロジー業界だけでなく不動産業界からも色々なチャレンジを生み出されれば、消費者の選択肢は更に増えるのではないか」(山口氏)そして、物件の個人売買が不動産所有者にとって有力な選択肢となるために、同社ではユーザーの声を踏まえて、物件の歴史や地域の情報を網羅したデータベースの網羅性の確保などサービスの改善に取り組み、売買事例を増やしていきたい考えだ。「まずは利便性を追求し、個人売買に対する不安を解消していくことによって、サービスに対する門戸を広げていきたい。キャズムを超えるまでは、サービス開発に徹底的に投資をして、本気で取り組む。数年後には、個人が物件を売却する“個売”が不動産所有者にとって有力な選択肢となる時代を生み出していきたい」(山口氏)
2016年02月09日『今すぐ妻に不動産投資をさせなさい』(菅原久美子著、KADOKAWA)の著者は、秋田で生活する主婦であると同時に、ソプラノ歌手、そして株式会社の代表として全国で講演活動をしているという人物。そのちょっと変わった経歴から、お金持ちなんだろうと思われることもあるといいますが、それは違うのだとか。収入が安定しないソプラノ歌手としての活動を続けながら、なんとかして定期的に収入を得ることができないかと思考錯誤した結果なのだそうです。そして、そんな流れのなかで知ったのが、本書で明らかにしている不動産投資だということ。きょうはそのなかから、第3章「奥さん名義で物件を持つ」に焦点をあててみたいと思います。■副業禁止の会社では不動産投資NG会社から得る収入とは別の収入を得たいと考えるサラリーマンは少なくないはず。だからこそ、不動産投資に注目が集まっているという側面もあるでしょう。しかし注意しなければならないのは、就業規定で副業が禁止されている会社では、不動産投資をすることができないという事実。「大きな会社ならバレない」という考え方も、著者によれば甘い認識のようです。■不動産投資「5棟10室の壁」とは不動産投資の場合、「5棟10室の壁」と呼ばれる制限があるそうです。家を貸す場合の棟数が5棟以上、あるいはアパートやマンションなど、部屋を貸す場合の客数が10室以上である場合は、事業として不動産賃貸業を行っているとみなされるのだということ。事業規模になると税制面も変わりますし、副業禁止規定のある会社の場合、規定に触れてしまうわけです。だからこそ不動産投資をはじめる前に、自分の会社は副業を禁止していないか確認する必要があるのです。■副業禁止でも不動産投資をする方法では会社が就業規則で副業を禁止していた場合、サラリーマンは不動産投資を諦めなければならないのでしょうか? ルールを破らずに不動産投資を行う方法はないのでしょうか?この問いについて、著者は決定的な答えを明らかにしています。それは、家庭のなかに、不動産投資ができる人がもうひとりいるということ。いうまでもなく奥さんです。たとえば著者の場合はご主人が地方公務員で、母親から譲り受けた1棟のアパートを持っているのだそうです。しかし公務員ですから、当然ながら副業は禁止されています。また、戸数を増やしたいと考えていたといいますが、そのアパート以外に物件を買おうとすれば、それは事業規模になってしまうことになります。当時検討していたのは、2・3・4棟目にあたる3棟一括アパートだったそうです。戸数が18室もあるので、その時点で「5棟10室の壁」はとっくに越えていることになるのです。つまりご主人の名義で不動産を増やすわけにはいかなかったため、次の物件を買うため、妻である著者の名義で購入することになったというわけです。このように、もしご主人の会社が副業禁止だったとしても、あるいは不動産投資自体を禁止していたとしても、奥さんがするぶんにはなんの問題もないということ。たとえ規模が大きくなって「5棟10室の壁」を越えてしまったとしても、会社になにかをいわれる心配はないというのです。そこで著者は、いずれ物件を増やしていきたいのなら、最初から奥さん名義で不動産投資をはじめたほうが賢明だと主張しています。■無収入主婦が融資を受けられる理由ところで奥さんが物件購入すれば「5棟10室の壁」越えられるとはいえ、奥さんが融資を受けられなければスタートラインには立てません。しかし、そもそも主婦である著者はその時点で、銀行家からの融資は受けられないはず。でも、だからといって不動産を諦める必要はなし。なぜなら、ここでサラリーマンであるご主人にバトンタッチすればいいから。奥さんが銀行融資を受けるには、ご主人がサラリーマンであることが重要。大抵のサラリーマンは、安定した収入があることで銀行から評価を受けることができるということ。つまりこうすれば、無収入の主婦でも融資を受けることができるというわけです。*本書には他にも、主婦が不動産投資を成功させるためのメソッドが数多く紹介されています。なにより著者の経験を軸としたものなので、説得力も抜群。収入を増やしたい方は、ぜひ手にとってみてください。(文/書評家・印南敦史)【参考】※菅原久美子(2015)『今すぐ妻に不動産投資をさせなさい』KADOKAWA
2016年02月04日投資信託協会は27日、投資信託に関するアンケート調査結果を発表した。調査期間は2015年9月10日~29日、対象は20歳以上の男女で有効回答数は1,523件。○投資信託保有率は35.2%「投資信託の保有状況」を尋ねたところ、「現在持っている」は35.2%、「以前持っていたが今は持っていない」は13.0%、「今まで持ったことがない」は51.1%だった。年代別にみると、保有率が最も高いのは70代以上で54.4%、最も低いのは30代以下で19.3%だった。年収別では「年収100万円~300万円未満」が最多の38.9%、「年収100万円未満」が28.7%となった。「保有している投資信託の種類」を尋ねたところ、最も保有率が高いのは「株式投資信託」(63.1%)、ついで「外国で作られた投資信託」(29.3%)、「公社債投資信託」(28.0%)、「不動産投信」(17.7%)、「ETF」(7.3%)となった。「投資信託購入の際の運用会社の重視点」については「運用力」が43.4%で最多。以下「資本力」(25.5%)、「知名度」(25.3%)、「運用体制」(16.7%)だった。○投資信託のメリット・デメリットは?「他の金融商品と比較して投資信託に特に魅力を感じる点」では「定期的に分配金が受け取れる」が17.8%で1位。以下「専門知識がなくても投資できる」(16.9%)、「比較的高い利回りが期待できる」(12.1%)が続いた。一方、「不満を感じる点」の1位は「元本保証がない」(33.1%)。2位は「手数料が高い」(17.6%)、3位は「仕組みや運用実績がわかりにくい」(10.4%)だった。「投資信託の償還・売却で得た資金の流出先」の1位は「預貯金に回した」(32.6%)。2位は「生活資金に回した」(24.0%)、3位は「他の投資信託を購入した」(20.7%)、4位は「株式・債券を購入した」(17.7%)、5位は「売却・償還したことはない」(13.9%)となった。
2016年01月28日不動産投資に関する書籍は多く、しかしその多くはメリットばかりを強調する傾向にあります。でも現実的にはリスクも大きいものであるだけに、石橋はしっかり叩いて渡りたいところ。そこでおすすめしたいのが、『失敗事例に学ぶ! 「不動産投資」成功の教科書』(ふどうさんぽ著、御井屋蒼大監修、日本実業出版社)です。著者の「ふどうさんぽ」とは、不動産投資家を目指す、あるいはすでに不動産を所有しているメンバーと、不動産投資に関する情報交換をするサークル。メンバーは1,000人を超え、中心メンバーは億を超える資産を持つ経験値の高い人達ばかりなのだとか。つまり本書では、豊富な経験に基づいた、さまざまな失敗事例が紹介されているわけです。しかし、それらを理解するためには、まず基本を知ることが重要。そこで、不動産投資の基本をおさらいしてみましょう。■「利益を得られる物件」を購入するべし不動産投資は、「購入して、保有(運用・管理)して、売却する」という3つの基礎構造によって成り立っているもの。購入手順はマイホームを買うときと同じで、物件を探してもらい、それに見合った物件が見つかれば紹介を受け、気に入れば購入、となります。しかし、ここで重要なのは「利益を得られる物件を購入しなければならない」ということ。「利益を得られる物件」を自分でイメージでき、具体的に条件を書き出すことができなければ、不動産仲介業者に自分の希望を伝えることは不可能。また購入時に銀行から融資を受けることも考えると、「利益が得られて、融資が受けられる」物件であることが必須となるわけです。たとえば相場で5,000万円の物件を、誤って6,000万円で買ってしまったとします。この物件で年間100万円のキャッシュフローが得られるとすると、10年間に1,000万円のプラスとなります。しかし10年間でローンの残高が4,000万円まで減ったものの、売却したら経年変化もあって3,000万円でしか売れなかったとなれば、キャッシュフローのプラス分1,000万円とキャピタルロスのマイナス分1,000万円で、差し引きトントンになってしまうことになります。もちろんオーナーは10年にわたり、不動産投資家としてきちんと働いてきたはず。ところが、最初に相場より高い物件を買ってしまったため、その労働すべてがチャラになってしまうということ。でもトントンならまだマシで、マイナスになってしまうこともあるのだとか。そんな場合は10年間タダ働きだったということになるだけでなく、「働いてお金をロスする」という意味不明の結果になってしまうのです。■必ず相場よりも安い物件を購入するべしこの例からもわかるように、「相場より高く買う」という失敗は、絶対に避けなければいけないと著者は強調しています。大切なのは、まず購入時に正確な相場を学び、必ず相場より安く、無理なら相場と同等の金額で購入すること。そしてそのためには、誠実で信頼できる不動産仲介業者から紹介してもらうべきだといいます。■物件の「売却額」も自分で算定するべしまた売却の際にも不動産仲介業者に協力してもらいますが、キャピタルゲインをいくら得られるかを計算し、売却額を自分で算定することが必要。相場を知るのはもちろんのこと、ローン残高を考えて、「これより下回ったらトータルでいくらの損になるのか」を知らなければならないということ。また、売買のタイミングも自分で知るべき。建物が劣化して使えなくなってから売るのか、使えなくなった建物を壊して土地だけ売るのか、減価償却が終わったタイミングで売るのかなどによって、利益が変わるのです。こうしたことをすべて考えたうえで、「どのような条件で手放したいか」を伝え、それに見合った広告を出してもらい、買い手を紹介されて売却となるわけです。そして購入時の金額と売却するときの差益がプラスであればキャピタルゲインとなり、マイナスならキャピタルロスとなるということ。もちろん世間の経済状況にも左右されるでしょうが、しっかり勉強し、必要ならコンサルティングなどプロのアドバイスに耳を傾けることが大切。そうすれば、好景気でも安く購入することや、不況でも利益を出して売却することが可能だと著者はいいます。*こうした基本をベースに、以後の章では数多くの失敗事例が具体的に紹介されています。「不動産屋さんと会話がかみあわなかった」というようなコミュニケーションの問題から、「部屋のなかで孤独死が発生してしまった」というようなシリアスな話までさまざま。不動産投資に関心があるなら、手にとってみればきっと役に立つ内容だと思います。(文/書評家・印南敦史)【参考】※ふどうさんぽ(2015)『失敗事例に学ぶ! 「不動産投資」成功の教科書』日本実業出版社
2016年01月27日半導体市場調査会社の米IC Insightsは1月20日(米国時間)、2015年世界半導体企業研究開発(R&D)投資総額および投資額ランキングトップ10社(表1)を発表した。世界半導体産業全体では、2015年のR&D投資総額は前年比0.5%増加し、564億ドルに達し、史上最高額を記録した。しかし、成長率は過去10年の平均値である4%より低かった。2015年前半の半導体市場は好調だったが、後半に入ってから急に減速したことや、前例の無いM&Aの連鎖などがR&D投資総額の伸びを抑えたようだ。表1にリストアップした上位10社に限ればR&D投資額は2%成長している。上位10社のR&D投資額総額は、その他のすべての半導体企業のR&D投資総額を超えており、投資額の大きさがきわだつ。2015年世界半導体売上総額は、前述した通り、下半期に入り急ブレーキがかかってしまったため前年比1%減少となった模様だが、R&D投資額は0.5%増加したので、R&D/売上高比率は2014年の15.8%から2015年は16%へわずかながら上昇した。この16%という数字は2000年以降の半導体産業の平均R&D/売上高比率(過去15年間の平均)と同じである。○Intelだけで、業界全体のR&D総額の22%も消費R&D投資額トップは、売上高でも断トツでトップに君臨する米Intelであり、2015年にR&Dに121億ドル超(1兆4500億円)と他社とは桁違いの巨額投資しており、半導体産業界のR&D総額の実に22%をにあたる額を1社だけで消費していることになる。同社の売上高に占めるR&D費の割合は24%であり、売上高の1/4もの費用をR&Dに投資していることになる。MPUの微細化に伴い、IntelのR&D費は高騰しているため、R&D/売上高比率は毎年上昇を続けている。1995年には9.3%、2000年で16.0%、2005年で14.5%、2010年で16.4%、という具合に上昇し続けてきているが、最近はPC不振やモバイル向けビジネスの赤字で売り上げの伸びが止まっているため、2015年には上述のとおり24.0%にも達している。Intelの2015年のR&D費は、前年比5%増加したが、2010年以来の伸び13%、2001年以来の伸び8%より低かった。R&D投資額トップ5社(Intel、Qualcomm、Samsung Electronics、Broadcom、TSMC)の順位は2014年と変わらないが、6位以下は大幅にいれかわった。昨年7位だったMicron Technologyが6位に上がり、変わりに6位だった東芝がランクを1つ落とした。同社は日本企業で唯一トップ10に留まっている。なお、東芝のR&D費は前年比11%減少となっているが、これは米ドル基準の値であり、日本円基準では、1%程度増加した。MediaTekは2014年の9位から順位を1つ上げ、12位だったSK Hynixは、2015年前半のDRAM好調を受けて2015年は9位に上昇した。一方、STMicroとNvidiaはランクを1つずつ落としてそれぞれ10位、11位となった。○ファウンドリやメモリメーカーのR&D/売上高率は7~8%程度IC Insightsの発表では触れてはいないが、Qualcomm、Broadcom、MediaTekといったアプリケーション・プロセッサなどロジック製品中心のファブレスのR&D費用は、売り上げの2割を超えているのに対して、ファウンドリ(製造受託)であるTSMCやメモリ製造中心のSamsungやSK HynixのR&D費用は7~8%程度に留まっている点が注目される。欧米ではファブレス同志のM&Aが次々起こっているが、高騰するR&D費用を互いに分担する狙いがある。日本ではIDM(垂直統合企業)が巨額な設備投資に耐えられずに次々とファブライトやファブレスにシフトしてきているが、人材リストラや経費削減ばかりしていては生き残れない。上位の海外ファブレス(やIntel)が他社に大幅に差異化できる新製品を開発するため、売り上げの2割超のR&D費を投じている点に留意すべきだろう。IC Insightsは、今年2016年のR&D投資総額は、前年比4%増の589億ドル、2020年には763億ドルに達すると予測している。2015~2020年の年平均成長率を6.7%と見ている。R&D/売上高比率は、16.2%(2011~2015)から16.4%(2016~2020)に増加すると予測している。
2016年01月25日日本で購入できる投資信託は約5,800本(2015年10月末時点)もあるそうです。莫大な数のファンドの中から、どうやって選べばいいのか、困ってしまいますね。でも大丈夫。選ぶ際のポイントをお話ししましょう。運用手法で分けると2つに分類できるファンドマネジャーという投資信託の運用担当者がどのように運用しているのか、その運用スタイルから眺めると、この莫大な数のファンドも大きく2つに分類することができます。(もちろん、ファンドをどのように運用していくのか、その運用方針を決めるのは、ファンドマネジャーだけの権限ではなく、経済環境の分析や企業のリサーチなどで情報を得て、運用会議を経て決められます。)投資信託の運用スタイルは、アクティブ運用とインデックス運用(パッシブ運用ともいいます)に分けることができます。アクティブ運用とはざっくり言うと、アクティブ運用というのは、市場よりも高いリスクをとって、市場以上のリターンをあげることを目的にするものです。投資信託の運用には、指標(ベンチマーク)が設けられます。たとえば、日本株式を組み入れたファンドなら、「日経平均株価」や「TOPIX(東証株価指数)」などの指標(インデックス)がベンチマークとなります。アクティブファンドというのは、一般的にはこのベンチマークを上回るリターンを目指して運用するものです。ベンチマークを平均点と考えるなら、平均点以上の成績を目指すものなのですね。そういう意味では、運用者の手腕に託されているというわけです。インデックス運用とは一方、インデックス運用というのは、市場の動きと同じような動きでよいと考える運用です。市場が良い時は同じように上昇し、悪ければベンチマークと同じくらいのリターンで良いとするものです。インデックス運用は、市場並みのリスクをとって市場並みのリターンをなるべく安いコストで実現しようという考え方です。インデックスかアクティブかインデックスがよいか、アクティブがよいのかについては、よく議論されるポイントです。それぞれの運用スタイルを知って、市場平均を上回る運用を目指すアクティブファンドのほうがいい!と思った人も多いかもしれません。しかし、ちゃんと目標を上回った実績を出せているかと言うと、なかなかそううまくはいかないようです。過去の実績を見ると、アクティブファンドの平均パフォーマンスは、インデックスファンドのそれを下回っているという現実もなるのです。なぜでしょう。それは、アクティブファンドには大きなコストがかかるためです。コスト以上の運用成績を上げればいいじゃないと思うかもしれませんが、毎年毎年長く勝ち続けるのは至難の業なのでしょう。中には、よい成績を上げているアクティブファンドもありますので、結果的に、お金を十分増やせたということももちろんあります。また、インデックスファンドの中にもベンチマークと乖離(かいり)してしまうものもありますので、どちらが良い、悪いということではないのです。大切なのは、それぞれの特性を知り、きちんと使い分けることです。長期で保有し、老後資金などのためにゆっくりお金を増やしていきたい場合は、やはり、コストの安いインデックスファンドを選ぶのがいいでしょう。その上で、余裕があれば、運用方針やコストなど、自分で納得した上で、アクティブファンドを買ってみるとよいでしょう。次回は、どんなインデックスファンドを選べばいいのかをお話します。(岩城みずほ)
2016年01月25日投資に回せるお金が少額の場合、投資信託を利用するのがいいでしょう。投資信託とは、簡単に言うと、たくさんの個人投資家(受益者)から集めたお金をまとまった資金にして、ファンドマネジャーと言う専門の人が運用するものです。今回は投資信託のしくみを、もう少し詳しく解説していきましょう。 前回 、「投資信託というのは、大きな袋の中に、たくさんの会社の株式が入っているイメージです」とお話ししました。ファンドマネジャーは、たくさんの銘柄に分散投資をして、利益が出たら、リターンを皆で分けます。投資信託のメリット専門家が運用してくれるので、「今、株価がどうなっているか」とか、「どこの会社が儲かりそうか」などを調べたりする必要がありません。少額から投資ができることも大きなメリットでしょう。個別銘柄に投資をする場合、数十万円の資金が必要ですし、相当大きなお金がないと買えない銘柄もたくさんあります。でも、投資信託なら、1万円でさまざまな銘柄に分散投資をすることができるのです。そう、投資信託なら、分散投資が簡単にできるのですね。ネット証券なら、500円から積立投資ができます。積立投資というのは、給料から毎月決まった日に決まった金額で、決まった投資信託をコツコツ買い増していくことです。積立預金(貯金)や財形などをしたことがある人も多いと思いますが、同じようなイメージです。資金の安全性も確保されているもう1つ、投資信託には、個人投資家の資産が守られるという安全性が確保されているという特徴があります。投資信託は、・証券会社や銀行など投資信託を販売する金融機関・ファンドを運用する投資信託会社(委託者)・資金を保管、管理する信託銀行(受託者)に分かれています(中には、投資信託会社自身が販売する「直販」と呼ばれる会社もあります)。役割が3つに分かれているので(分別管理といいます)、万一、銀行や証券会社が倒産したとしても、個人投資家の資産は安全に守られるのです。投資信託の値段と手数料投資信託の価格は、「基準価額(きじゅんかがく)」といいます。運用の状況は公開されていますし、今、いくらになっているのかもわかります。非上場の投資信託の場合、ファンドに組み入れられている株式などの時価総額を受益権口数で割って、一口当たりの価格=「基準価額」が算出されます。購入、解約(換金)はいつでもできますが、当然ながら、元本や利回りは保証されていませんし、保有には手数料がかかります。手数料は、商品によって違うので、注意が必要です。手数料は、販売手数料、信託報酬、信託報酬留保額の3つがあります。販売手数料というのは、スポーツクラブの入会金のように、購入時に一度だけかかります。販売会社に支払うものです。商品や販売会社によって違っていて、とても高いものもあれば、無料(販売手数料のかからないもの。ノー・ロードといいます)のものもあります。たとえば、3%の販売手数料のかかる投資信託を、購入手数料込みで100万円分の買った場合、販売手数料が差し引かれ、97万円からの運用スタートとなるわけですから、販売手数料のかからない、ノー・ロードの商品を選ぶほうがよいわけです。信託報酬(運用管理費用)というのは、スポーツクラブの毎月の会費のようなもので、投資信託を保有している間、ずっとかかる手数料です。毎日、ファンドの信託財産から差し引かれます。たとえば、信託報酬が年1%だとすると、その365分の1ずつ差し引かれていきます。こちらも商品よって高いもの安いものまで、さまざまです。ファンドによってかかる「信託財産留保額」は(かからないものもあります)、解約する人が支払うコストです。解約金を受け取るためには、ファンドに組み入れている株式などを一部売却しなければなりません。そのとき発生する手数料が、ファンドにとどまる人の負担にならないように支払うものです。コストを下げることは最終的なリターンをあげる上で大切です。たとえば、3%のリターンを上げても、手数料が2%もかかっていたら、実質リターンは1%にしかなりません。コストは小さいほうがいいのです。手数料の安い商品を選ぶことがリターンを上げるコツなのです。次回は、コストに大きな差を生む、投資信託の運用方法についてお話しします。(岩城みずほ)
2016年01月11日前回 、「長期的なパフォーマンスは、株式と債券にどのくらいずつ投資をするかによって決まるので、資産配分(アセットアロケーション)がとても重要です」とお話ししました。投資において大切なのは資産配分と聞くと、「え? 何を買うかのほうが大切ではないの?」と思われるかもしれません。でも、実はそうなんです。つまり、銀行や証券会社で、「この商品がおススメですよ」と言われても、即座に買ってはいけないということです。もしかしたら、あなたの対応をしてくれた人は、あなたにとってよい商品を勧めてくれたかもしれませんが、おそらくは、その人(銀行や証券会社)がもっとも売りたいものを勧めていると考えるのが妥当ではないでしょうか?商品を選ぶ前に、まず、株式にどのくらい、債券にどのくらい投資をするか決めます。商品を選ぶのはそれからです。「トータルで上がればOK」と考えるのが投資の鉄則さて、リスクとリターンについてもう少し考えてみましょう。株式の比率が高いとリターンも高くなりますが、リスクも高くなります。損失を被った時のことを想定しておくことが大切なのです。少し難しくなりますが、投資ではリスク、つまりリターンの変動幅を「標準偏差(ひょうじゅんへんさ)」というもので表します。標準偏差というのは、「平均値から上下にどのくらいバラつきがあるか」を示すものです。リターン5%の商品は、毎年必ずリターン5%が得られるわけではなく、−15%まで下がるかもしれないし、+25%くらい上がるかもしれないということです。上がったり下がったりしながら、平均で5%のリターンになるということです。単に銘柄をバラして買うだけでは、真の分散投資にならない投資初心者の皆さんは、株式市場や債券市場に近い動きをする金融商品を選ぶのがよいでしょう。株式や債券は市場価格に応じて上がったり下がったりします。それはつまり、すでに十分にリスクが分散されているものだということです。分散投資には、リターンを高めてリスクを下げる効果があります。そして、分散投資において大切なのは「値動きの違うものを組み合わせて持つこと」です。これによりリスクを軽減できるというお話も 前回 しました。では今回は「値動きの違う組み合わせ」について、株式を例にして具体的に考えてみましょう。たとえば、平成27年4月から「 子ども・子育て支援新制度 」がスタートしました。これは、「量」と「質」の両面から子育てを社会全体で支えるというものです。それならば、民間の保育やベビー・子ども用品など、いわゆる子育てに関連する会社が儲かりそう…と、あなたは思うかもしれません。こども服を作る会社、幼児教育の会社、民間保育の会社など、子どもに関係する会社の株をいくつか買いました。そう、あなたは「分散」して株式を買ったわけです。さて、でもこれって、本当に「分散」になっているのでしょうか?結論から言うと、これは十分に分散しているとは言えません。よく分散の好例としてたとえられるのは、「傘を作る会社とサングラスを作る会社」の関係です。晴れの多い年はサングラスがよく売れ、雨の多い日は傘がよく売れます。このように、一方がプラスに動く時、もう一方がマイナスになるというように、値動きが反対の物を選ぶとよい、というわけです。つまり、特定の分野に偏らず、関連性の低い業種や銘柄を選ぶ。これが正しい「分散」であり、運用の基本なのです。少額からでも効率よく分散投資ができる投資信託でも、そんなにきれいに値動きが反対になるものってあるでしょうか?見つけるのは、なかなか難しいですよね。じゃあ、いろんな会社の株をたくさんもてばいいじゃない!と、思いますが、現実問題、多くの株式を持つのも大変です。そこで、おススメしたいのは、少額からでも効率よく分散投資ができる「投資信託」です。「ファンド」とも言います。投資信託というのは、大きな袋の中にたくさんの会社の株式が入っているイメージです。もちろん、中身に何が入っているのかはわかります。そして、中身の種類もさまざまです。たとえば、世界中の株式に投資をするもの、日本の上場企業すべてに投資するもの、世界のさまざまな国の債券が入っているもの、あるいは、株式と債券の両方が入っているものなど、たくさんあります。今、日本で購入できる投資信託は5,000本以上(2015年5月末時点)あるそうです。え? そんなにたくさんの中から、投資信託をどう選べばいいの?またもや難問ですね。でもご安心ください。このコラムを読んでいただければ、選び方もご理解いただけると思います。次回は、投資信託のしくみについてお話します。(岩城みずほ)
2015年12月22日多国間不動産トランザクション事業及び多国間不動産ブロックチェーン事業を展開する世界は8日、仮想通貨ビットコインを活用した不動産決済支援サービスを開始したと発表した。サービス提供の第一弾として2015年12月6日、香港人投資家が日本の不動産を決済する際、世界の決済支援サービスを利用したという(※同社調べ)。サービス提供第一弾では、日本デジタルマネー協会の協力のもと、ビットコイン取引所である「coincheck」を運営するレジュプレスと、同じくビットコイン取引所「Pegapay」を運営するヴァロンの2社を選定し、決済が行われたとしている。ビットコインを活用した決済は土日祝日でも着金確認ができ、手数料数円と、「従来の海外送金と比較して圧倒的なコストダウンが可能になる」(世界)。ビットコインはブロックチェーンの高度なセキュリティ技術が活用され、取引の際にカード番号や個人情報を入力する必要がない。また決済コストが安価で、土日祝祭日でも着金確認が可能といったメリットがある。世界によると、2014年9月末時点の投資額は330億円以上となっているという。2014年6月、世界最大オンライン旅行会社がホテル予約でビットコインの利用を開始。同年7月には大手コンピューター会社が公式ホームページを通じた自社製品の販売で、ビットコインによる決済受け付けを開始するなど、「世界的な商業流通量はまだ小規模であるものの、実際に製品やサービスの支払いに使用されている」(世界)。世界は、2012年1月設立。資本金4,500万円。2015年ジグソーなどを引受先とする第三者割当増資を実施。多国間不動産トランザクション事業及び多国間不動産ブロックチェーンサービス事業を展開。世界が運営する中国・香港・台湾投資家向け不動産情報サービスの利用者は50,000人以上(2015年12月時点)。2014年販売支援実績額は約10億円。2015年3月に台湾最大の金融ポータルcnYESと業務提携し、台湾人をはじめとした中華圏100万人以上へ不動産情報を提供している。世界は今後、不動産のクロスボーダー取引活発化と仮想通貨普及の流れに合わせ、「中華圏の投資家に向け同サービスを拡充、拡大していく」としている。
2015年12月08日Vol.9 、 vol.10 と債券についてお話ししました。株式などに比べると、債券の収益性は高くないので、お金を増やしていくためには、債券だけ持っていたのでは、十分な成果があげられないかもしれません。資産を増やしていくためには、株式など収益性の高い資産に投資をすることが必要です。でも、株式だけに投資をすると値動きが大きくなってしまうので、安定した資産運用をするのは難しくなります。なるべく安定した資産運用していくためには、株式や債券に「分散投資」をする必要があります。卵は1つのカゴに盛るな基本的に、株式と債券の値動きはこのようになります。投資には、「卵は1つのカゴに盛るな(※)」という有名なことわざがありますが、値動きが反対のものを組み合わせると、リスク(振れ幅)を小さくすることができるのです。(※)卵を1つのカゴに盛ると、そのカゴを落とした時、全部の卵が割れてしまうかもしれないが、複数のカゴに分けて卵を盛っておけば、そのリスクが防げるということから転じて、投資の際も複数の商品に投資を行い、リスクを分散させたほうがよいということ。分散投資先にはどんなものがある?分散して投資をする先の資産クラスは、伝統的に、(1)国内株式 (2)外国株式 (3)国内債券 (4)外国債券 に分けられます。各資産クラスのリスクとリターンの関係は、次のようなイメージになります。債券のブレ幅(リスク) < 株式のブレ幅(リスク)国内資産のブレ幅(リスク) < 海外資産のブレ幅(リスク)資産クラスの組み合わせは?では、安定資産である債券とリスク性資産である株式などをどのように組み合わせればよいのでしょうか。たとえば、20~30代の若い人は、もし、リーマンショックのような損失が生じることがあったとしても、その損失をリカバリーできる時間がこの先、まだ十分あります。ですから、リスク性資産の比率をより高くして運用してもよいと考えられます。もちろん、年齢だけではなく、家族構成、働き方、ほかの資産をどのくらい持っているか、また、自分がどのくらいの損失にたえられるかなど、合わせて考える必要がありますが。そして、一般的には、年齢が上がるにつれ、安定資産の比率を高めていくべきと考えます。運用できる時間が限られているためです。さて、資産運用をしようと思った時、まずは銀行や証券会社に相談に行こうと思う人がいます。でも、それは正しい行動ではありません。商品を選ぶよりも先に、資産配分を決めることです。国内の株式、外国の株式、国内外の債券など、資産ごとにどう資金を配分するか、何をどのくらいずつ保有するかを決めます。これをアセット・アロケーションといいます。これまでの研究結果では、この配分こそが長期的にはパフォーマンスにもっとも影響するといわれています。自分は、株式をどのくらい、債券をどのくらいもつか、その比率を決めることが大切なのです。次回は、分散についてさらにお話しします。(岩城みずほ)
2015年12月07日イオン銀行はこのたび、インターネットを活用した投資信託に関するサービスとして、投資信託と定期預金を組み合わせた商品「しっかり運用セットNEO(WEB版)」および、インターネットサイト内で顧客の投資スタイルに沿った投資信託の商品構成(ポートフォリオ)を提案するサービス「らくらく分散投資ナビ」の取扱いを開始した。○最大年7%という定期預金金利のメリットを享受できるイオン銀行は、インストアブランチ(イオンショッピングセンター内に設置する有人店舗)において、イオンのショッピングセンターへ来店する顧客の幅広い資産運用ニーズに応え、資産の形成を手伝うため、原則、365日年中無休、毎日10時から19時まで、専門スタッフが資産運用に関するさまざまな相談を受けている。資産運用の相談においては、投資信託と定期預金を組み合わせることで資産の分散化を図りながら、組み合わせの割合により最も高い金利で年7%という定期預金金利のメリットを享受できる「しっかり運用セットNEO」が好評だという。イオン銀行によると「『しっかり運用セットNEO』については、これまでインストアブランチに限定して取扱いをしていたが、家の近くにインストアブランチがない顧客や、忙しく時間に余裕のない顧客はインストアブランチに行くことができないため、インターネットで取扱いを開始してほしいという要望があり、この声に応えるため、『しっかり運用セットNEO』のインターネットでの取扱いを開始することにした。投資信託は、インストアブランチでは初心者の方でもわかりやすいような厳選した25銘柄が対象で、WEBでは160超の銘柄が対象」としている。また、どのような投資信託の銘柄に投資してよいのかわからないがインストアブランチに相談に行くことが難しい顧客から、自分に合った銘柄を教えてほしいといの声があり、これに応えるため、顧客に合った投資信託の商品構成(ポートフォリオ)を提案する「らくらく分散投資ナビ」導入することにしたとしている。○しっかり運用セットNEO(WEB版)の特徴投資信託と定期預金をセットで申し込むと、組み合わせの割合により、定期預金(3か月もの)の金利を最大年7%に定期預金とセットする投資信託商品は160銘柄超の投資信託より選択可能(インストアブランチでは25銘柄より選定)金利の適用期間は2016年3月31日まで(継続する場合がある)。○らくらく分散投資ナビの特徴イオン銀行インターネットサイト内で、顧客の投資スタイルや考えを入力すると、同行が取り扱う投資信託240銘柄から、顧客に合った投資信託ポートフォリオを自動的に提案所要時間は5分程度
2015年12月04日サラリーマン投資家が2015年冬のボーナスで最も金額が大きい使い途では、投資用ローンの繰り上げ返済が最多だった。日本財託が11月26日に発表した「2015年冬のボーナスに関する調査結果」による。同調査は、投資用中古ワンルームを所有して不動産投資を実践している同社のオーナー85人(男性65人、女性20人、平均年齢51歳)に対して、11月3日に実施したアンケートに基づく。冬のボーナスで最も金額が大きい用途を尋ねると、「投資用ローンの繰り上げ返済」が34.5%で最多だった。「投資用物件購入の資金」(10.9%)と合わせると、半数近くが投資関係の用途を挙げている。なお、「自宅のローン返済」は1.8%に過ぎなかった。一般サラリーマンのボーナスの用途では貯金や生活費の補填が上位に挙がるといい、サラリーマン投資家は「自宅よりも、家賃収入を生んでくれる投資用マンションにお金を使う」という意識が高いと同社は見る。自宅の住宅ローンを完済しても収入は生まれないが、投資用ローンを完済すれば家賃収入を丸ごと使うことができると同社は指摘する。その上で、毎月の家賃収入は自宅の住宅ローンの繰り上げに回すことができるし、新たな物件の購入資金としての利用も可能という。また、自宅の住宅ローンは住宅ローン控除が受けられるため、10年間は借りていた方がよいと考える人も多いようだと同社は推測している。
2015年11月27日