10月5日のマイナンバー制度の施行以来、マイナンバーがニュースになることが増えてきました。そうしたなかで、家電量販店にマイナンバー対応の給与計算パッケージソフトやシュレッターが揃えられたマイナンバーコーナーが設置、マイナンバー商戦が本格化してきたことを告げる報道がありました。大手ITベンダーなどがマイナンバー管理システムを、リリース前の早い時期から売り込んできたのに対し、中小企業などで利用されることの多い給与計算パッケージソフトなどは年末調整にも対応しており、マイナンバー対応のバージョンアップ版リリースが間近になって、ようやく本格的な売り込みにはいってきたようです。マイナンバー対応が遅れているといわれる中小企業では、そうしたコーナーに足を運び、そのまま給与計算パッケージソフトなどを購入する、または現状利用している給与計算パッケージソフトをバージョンアップすることでマイナンバー対応に備えることが多くなると考えられます。ここから制度がつづく限り管理していかなければいけないマイナンバーについては、システム選びはきちんと選択の軸を設けたうえで行いたいものです。今回は中小企業向けにも出揃ってきたマイナンバー対応のシステムについて、システムの選択によって、安全管理措置などマイナンバー対応の運用がどのように変わってくるのか、その点に焦点をあててみていきましょう。○店頭販売の給与計算パッケージソフトバージョンアップでマイナンバー管理に対応現在、家電量販店のソフトウェアコーナーでは、給与計算パッケージソフトを前面にならべ、「今購入すればマイナンバー対応版に無償バージョンアップ」とのうたい文句で販売促進がはかられています。実際にこれらのソフトウェアのマイナンバー対応版のリリースは10月末から11月にかけてとなっているため、デモンストレーションが行われているわけでもなく、家電量販店のソフトウェアコーナーでのマイナンバー商戦が本格化するのは、まだ先のことになると考えられます。これらパソコン用給与計算パッケージソフトのマイナンバー対応ですが、以下のような機能が追加され、基本的に製品による大きな差異はみられません。・あらかじめ給与計算ソフトウェアに登録されている従業員および扶養親族のマイナンバーを入力・登録できる機能・マイナンバー取扱担当者の登録、担当者のみマイナンバーの登録・編集・閲覧などが行えるようなアクセス制御・登録されたマイナンバーデータの暗号化・源泉徴収票等へのマイナンバーの印刷・マイナンバーに対する操作などのアクセスログこうした機能で、マイナンバー対応は十分といえるのでしょうか。○マイナンバー対応に給与計算パッケージソフトを利用する場合の課題収集は紙ベースが基本受け渡し・保管には十分な注意が必要これらのソフトウェアでは、事業所内に設置されたパソコンにマイナンバー取扱担当者が従業員などのマイナンバーを入力することが基本となっているため、マイナンバー取り扱いの入口であり、一番手間のかかるマイナンバーの収集や本人確認は、システム外で行う作業ということになります。そのため、マイナンバーの収集は基本的に紙で行うことになりますが、収集用に従業員本人および扶養親族のマイナンバー記入用紙をサプライ品として販売しているベンダーもあります。この場合は、マイナンバーが記載された用紙と本人確認のための通知カードのコピーなども一緒に収集することになり、これらの紙資料を従業員から企業への受け渡す際や、マイナンバー入力まで保管しておく際に、紛失や漏えいに備えた安全管理措置をきちんと講じる必要があります。なお、マイナンバーのCSVデータの一括取り込みなどの機能が用意されているソフトウェアもありますが、この機能を利用するには、従業員がパソコンなどでマイナンバーを入力し、そのデータをCSVに出力して企業に受け渡す必要があり、ここでも紛失や漏えいに備えた安全管理措置をきちんと講じる必要があります。提出も紙ベースが基本必要なマイナンバー対応の支払調書に未対応のものも・・次次にマイナンバー取り扱いの出口である源泉徴収票など法定調書や給与支払報告書の提出については、電子のまま税務署や市町村に送信できる電子申告・申請まで対応したソフトウェアは少なく、電子申告・申請に未対応のソフトウェアでは紙に印刷して提出することが基本となります。ここでも、持ち運ぶ際に紛失や漏えいに備えた安全管理措置をきちんと講じる必要があります。特に、給与支払報告書は従業員の居住する市町村が複数にわたり、これらの市町村への提出を郵送で行ってきた企業が多いと思われますが、今後郵送する場合は、安全のために簡易書留にするなど従来よりも手間や費用がかかることになります。また、源泉徴収票を添付して提出する「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」では、多くの中小企業が源泉徴収票のほかに「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」や「不動産の使用料等の支払調書」なども作成、添付して提出しています。これらの支払調書でも支払先が個人の場合は、支払先からマイナンバーを収集しマイナンバーを記載した支払調書を作成する必要がありますが、そもそも、給与計算パッケージソフトではこれらの支払調書に対応していないものもあります。そうしたソフトウェアを使用している場合は、中小企業が税の分野でマイナンバーの記載を義務づけられるすべての帳票にシステムでは対応できないことになり、紙の支払調書に手書きして提出することになります。そして、これらの支払調書に記載するマイナンバーは、紙で収集後、紙で保管するしかなく、収集から保管、利用、提出とすべて紙で行うことになります。そのため、これらのソフトウェアを使用する場合は、源泉徴収票に記載する従業員などのマイナンバーはパソコンで電子データとして管理し、支払調書に記載する支払先のマイナンバーは紙で管理することとなり、マイナンバー対応としては二重に負荷のかかる中途半端な対応と言わざるをえません。マイナンバーの保管は事業所内のパソコンでパソコン利用状況に応じた安全管理措置が必要給与計算パッケージソフトでは、基本的に事業所内のパソコンにマイナンバーを保管することになります。そのパソコンがいろんな業務で利用されている場合は、マイナンバー取扱担当者以外の従業員もパソコンを操作することになります。本来であれば、マイナンバーを保管し給与計算や年末調整に利用するパソコンは、担当者以外の従業員が立ち入ることができない場所に設置し、担当者のみしか操作できないようにするのがベストです。それが難しい場合は、担当者しかマイナンバーにアクセスできない機能を使って、担当者以外の従業員がマイナンバーを閲覧などできないようにすることです。このような利用方法でマイナンバーを利用して源泉徴収票などの書類を作成する作業を行う場合は、・画面を覗き見できないようにパソコンを配置しなおす・画面を開きっぱなしにしたまま席を立たない・担当者のアクセス制御のためのID・パスワードは本人が厳格に管理する・マイナンバーいりの書類を印刷する場合はプリンタから印刷されたらすぐに回収する・パソコンの盗難防止のためセキュリティワイヤで固定するなどの措置をとるようにすべきです。また、給与計算パッケージソフトを利用する場合、先に見たようにマイナンバーが記載された紙の書類も取り扱うことになりますので、それらの書類は常に書棚などに施錠保管し、鍵の管理も厳重におこなう必要があります。以上みてきたように、中小企業の多くが利用する給与計算パッケージソフトでは、収集、利用、提出、保管といったマイナンバーの取り扱いプロセスのすべてにおいて、電子データおよび紙の書類に対して安全管理措置を講じた取り扱いが必要となります。中小企業がこれらのソフトウェア利用でマイナンバー取り扱いの負荷を軽減できればよいのですが、実際にはそれ相応の負荷がかかってくることは避けられません。次回は、システム選びの選択肢として、マイナンバー管理に特化したシステムを検討していきます。著者略歴中尾健一(なかおけんいち)アカウンティング・サース・ジャパン株式会社取締役1982年、日本デジタル研究所 (JDL) 入社。30年以上にわたって日本の会計事務所のコンピュータ化をソフトウェアの観点から支えてきた。2009年、税理士向けクラウド税務・会計・給与システム「A-SaaS(エーサース)」を企画・開発・運営するアカウンティング・サース・ジャパンに創業メンバーとして参画、取締役に就任。マイナンバーエバンジェリストとして、マイナンバー制度が中小企業に与える影響を解説する。
2015年10月26日10月5日のマイナンバー制度施行に伴い、政府のマイナンバー関連のホームページが改定され、あたらしい情報が出てきています。前回みましたマイナンバーの通知時期についても、政府広報オンラインの「社会保障・税番号制度<マイナンバー>特集サイト」が更新され、「10月20日頃から概ね11月中にあなたにもマイナンバーが通知されます」と掲載されています。また、個人番号カード総合サイトでは、通知カードの郵便局への差出し状況も全国の市区町村別に確認できるサイトを設け、各市区町村がいつ郵便局へ通知カードの簡易書留を差し出したかわかるようになっています。そして、「差出日から概ね7日から20日程度でお届けできる見込みです」としています。この原稿を書いている10月9日現在、この差出し状況の確認サイトには、差出日が掲載されている市区町村はいまだ一つもありませんが、順調に通知カードの発送準備が進めば、この記事が掲載される頃には、差出日が掲載されている市区町村が増えていると思われます。いずれにしても、当面はこの通知カードの発送や受け取りをめぐる話題が多くなってくるものと想定されますが、マイナンバーの利用開始は平成28年1月からと間近に迫っています。その一方で、まだ準備ができていない中小企業も多いことが報道されています。「何をすれば良いか分からない」という理由で準備が進んでいないとすると、より具体的に何をすれば良いかを確認することから始める必要があります。○チェックリストで準備しなければならないことを確認する政府が広報してきた事業者向けの解説も当初の頃にくらべると、よりシンプルにまとめられたものが増えてきました。先にとりあげた政府広報オンラインの「社会保障・税番号制度<マイナンバー>特集サイト」の「事業者のみなさまへ」というサイトでは、「どんな準備が必要なの?」というコーナーに、「まずは対象業務を洗い出した上で、組織体制やマイナンバーの利用開始までのスケジュールを検討し、対応方法を決定してください」として「6つの導入チェックポイント」が掲載されています。これを確認しながら、今からでも始められるマイナンバー対策について考えていきましょう。○担当者を決めるまず、最初のチェックポイントは「マイナンバーを取り扱う担当者を決めましょう」です。人事担当などがいない小規模な企業では、給与計算を担当している従業員を担当者にすることを考えてみてください。それでもマイナンバー取扱担当者に適切な人材がいない場合は、社長自らがマイナンバー取扱責任者兼担当者になるしかありません。まずは、決めることです。○マイナンバーを収集する次のチェックポイントは、「マイナンバーを従業員から取得する際は、利用目的を伝え、番号の確認と身元の確認をしましょう」です。ここでは、年内に収集することを前提に考えてみます。2つのステップで考えましょう。まず、従業員へ本人および扶養親族のマイナンバーの提供を求める案内文を作成し、そこに利用目的を明記しておきましょう。中小企業など事業者が従業員などのマイナンバーを記載しなければならない提出書類は、源泉所得税に関する書類と、社会保障-社会保険関連の書類ということになりますので、利用目的は“「源泉徴収票等作成事務」、「雇用保険届出事務」、「健康保険・厚生年金保険届出事務」の諸手続きのため”というような内容を明示することになります。そして、次のステップとして、従業員からマイナンバーを取得するさいに、番号の確認と身元の確認をすることになります。まず、どのような書面でマイナンバーを取得するのか、そして何で番号確認や身元確認を行うのかを明確にしましょう。従業員からマイナンバーの提供を受けるその場で電子データとして入力できる環境があれば、別な書面にマイナンバーを記入してもらうのではなく、番号確認のため通知カードのコピーを提示してもらい、それを確認して入力すれば、むだにマイナンバー記載の書類を増やす必要はなくなります。この方法を取る場合は、扶養親族の通知カードのコピーも用意してもらえば、扶養親族も含めてより正確なマイナンバーの入力・確認が行えることになります。では、身元確認はどうするのか、採用時に番号法で定めるような身元確認(運転免許証のような顔写真付きの証明書などによる確認)が行われていれば、マイナンバー取得時に身元確認書類の提示は不要ということになっています(国税庁「国税分野における番号法に基づく本人確認方法」例6参照)。身元確認までおこなう必要があるかどうか、採用時にどこまでの確認をしていたかを確かめた上で、身元確認書類まで提示をもとめるのかどうかを決めましょう。こうしたことを確認したら、利用目的とあわせて、どのような方法でマイナンバーを提供してもらうのかも、マイナンバーの提供を求める案内文に盛り込んでおきましょう。○マイナンバーの適切な管理次のチェックポイントは「適切に管理しよう!」ということで、3つのチェックポイントが掲げられています。マイナンバーが記載された書類は、カギがかかる棚や引き出しに保管しましょうこれについては特にコメントはありません。このとおりにしてください。そして、誰でもがそのカギを使用できるようでは意味がありませんので、責任者や担当者しかカギを使用できないようにきちんと管理することが大事です。ウィルス対策ソフトを最新版にするなど、セキュリティ対策を行いましょうこれはパソコンなどを使用してマイナンバーを管理する場合のセキュリティ対策についての話ですが、ウィルス対策ソフトを導入し常に最新版にアップデートすることは当然のことです。では、これだけで良いのでしょうか。ガイドラインで物理的安全管理措置や技術的安全管理措置として事業者向けに示されてきた指針がチェックポイントとしては記載されていません。最低限のこととして、物理的安全管理措置として画面などを覗き見されないようにパソコンを配置することや、技術的安全管理措置として責任者や担当者しかマイナンバーにアクセスできないようにすることは、「適切な管理」のためには必要なことですので、このチェックリストに加えて準備していきましょう。退職や契約終了で従業員のマイナンバーが必要なくなったら確実に廃棄しましょう「適切な管理」ということでは、必要がなくなったマイナンバーを確実に廃棄することは大事なポイントではありますが、今取り急ぎ利用開始を前にして、マイナンバーを取り扱うための準備を進めなければならない中小企業にとっては、優先度の低いチェックポイントといっても良いでしょう。現時点では、マイナンバー管理のシステムを選択するさいに、マイナンバーの削除・廃棄の機能が備わっていることを確認すること、また利用開始後は必要がなくなったマイナンバーをすみやかに削除するような運用をおこなうことを確認しておけばよいでしょう。○マイナンバー制度を理解するそして、6つめのチェックポイントは「理解しよう!」ということで、「従業員にマイナンバー制度周知のための研修や勉強会を行いましょう」ということが掲げられています。中小企業でスムーズにマイナンバーの取り扱いをおこなうためには、責任者や担当者だけでなく従業員全員がマイナンバー制度を理解しておくことは大事なことです。制度を理解するため研修や勉強会をおこなう場合は、以前にも紹介しましたが、「政府インターネットテレビ」の「マイナンバー 社会保障・税番号制度(事業者向け編)」(約20分)および「マイナンバー 社会保障・税番号制度(個人向け編)」(約15分)が、制度の内容を簡潔にまとめられていて教育ツールとして利用できますので、これらを視聴されることをお勧めします。政府広報オンラインの「社会保障・税番号制度<マイナンバー>特集サイト」の「6つの導入チェックポイント」をベースに、今から準備するために行わなければならないことを整理してみました。では、具体的なマイナンバーへの対応方法として、求められる安全管理措置を満たすために、どのようなシステムを選択し、どのような管理を行えば良いのでしょうか?次回は、中小企業向けのマイナンバー管理のシステムに焦点をあてて具体的な対応方法を考えてみます。著者略歴中尾健一(なかおけんいち)アカウンティング・サース・ジャパン株式会社取締役1982年、日本デジタル研究所 (JDL) 入社。30年以上にわたって日本の会計事務所のコンピュータ化をソフトウェアの観点から支えてきた。2009年、税理士向けクラウド税務・会計・給与システム「A-SaaS(エーサース)」を企画・開発・運営するアカウンティング・サース・ジャパンに創業メンバーとして参画、取締役に就任。マイナンバーエバンジェリストとして、マイナンバー制度が中小企業に与える影響を解説する。
2015年10月19日IDC Japanは14日、国内の企業における、企業向けモビリティソリューション導入/検討状況を調査し、その問題点および導入ポイントについて分析した結果を発表した。これによると、タブレットの導入率が高い企業で「高い導入効果が出た」と回答する企業が多いことが判明した。モビリティソリューションに対する投資を主導する部署は、本社部門や経営者管理部門が35.0%と最も多く、次いでIT部門が25.1%となった。この結果に対し、同社はPCなどの一般的な機器導入は、IT部門が主導することが多いが、モビリティソリューションは企業内における新たな市場分野であり、本社部門や経営/管理部門を中心に運用ルールを定めながら導入することが求められるためと分析している。モビリティソリューションの導入目的としては、50.1%の企業が「生産性の向上」と回答。しかしながら、「販売や売上額の増加」は約23%、「カスタマーサービスの改善」は約12%と低い回答率となり、「工数/業務効率改善」を細分化した目標の項目も同様に低い回答率にとどまっており、導入にあたっての具体的な目標設定がされている企業が少ないことが明らかになった。モビリティソリューション導入した企業の同ソリューション投資に対する評価は、約57%の企業が「会社上層部の期待に添っている」と回答。また、タブレットとスマートフォンの社内導入率と評価を分析すると、それぞれの機器の導入率が40%を超える企業では、タブレット導入企業の「上層部の期待に添っている」とする回答率がスマートフォンよりも高い傾向となった。この結果については、モバイル機器の社内導入率が上昇することで、業務アプリケーションなどへの展開が進み、より大画面のタブレットで導入効果が出やすくなっているためとしている。IDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの浅野浩寿氏は、「モビリティソリューションでは効果測定が十分にされないために、継続的な導入が進みにくい傾向が見られる。効果測定が十分にされていない1つの理由は、導入段階で導入目的を十分に細分化できていないことにあると考えられる」と分析結果を述べている。
2015年10月16日ノークリサーチは10月15日、2015年の国内中堅・中小市場における「会計管理システム」の利用実態とユーザ評価に関する調査結果を発表した。調査対象は日本全国・全業種の500億円未満の中堅・中小企業で、「情報システムの導入や運用/管理の作業を担当している」か「情報システムに関する製品/サービスの選定または決裁の権限を有している」社員。調査期間は2015年7月、有効回答数は1,300社。調査の結果、導入済み製品・サービスのベンダー別シェアを導入企業の年商規模別に見ると、年商5億円以上10億円未満と10億円以上20億円未満の隣接する区分で、大きく異なっていることがわかった。会計管理システムの導入社数シェアやニーズを把握する際は、年商規模の違いを意識することが特に重要となると同社は指摘する。会計管理システムの諸機能のうち、「一部の仕訳作業を自動化できる」および「銀行口座の取引データを自動的に取り込める」に関して評価・満足度を導入形態別に見ると、クラウド形態に限らず、パッケージにおいても利用・評価されている。このことから、「パッケージか、クラウドか」といった導入形態の選択と「自動仕訳」や「銀行口座データ取り込み」といった機能は切り分けて考える必要があると同社は分析する。クラウド形態であることと直接関係しない一部の機能を利用したいがために、本来は自社内設置が適しているユーザー企業がクラウド形態を無理に選択してしまう、あるいはその逆の状況は好ましくないとした上で、会計管理システムを開発・販売するベンダーや販社/SIerには、「導入形態に起因するメリット」と「導入形態と直接関係しない機能のアピール」を適切に切り分けた訴求を行うことが求められると同社は指摘する。
2015年10月16日ESSPRIDEは9日、「相手に喜ばれるノベルティ、お歳暮」に関する調査の結果を発表した。対象は、300名未満の中小企業に勤める社員・経営者・役員の20~59歳の600名。期間は、9月25日~28日。○会社の営業活動に販促品、66.8%が「活用していない」「会社の営業活動に販促品やノベルティを使っているか」を聞いたところ、66.8%で「活用していない」が最多となった。次いで、「活用している」(20.3%)、「わからない」(12.8%)となった。会社で販促品やノベルティを「活用している」と回答した人に、どのようなシーンで活用しているかを聞くと、46.7%で「展示会・フォーラム」が最多に。次いで、「取引先への挨拶」(41.0%)、「新規営業」(34.4%)が上位に挙がった。販促品やノベルティの効果が出ていると思うか聞くと、最多は「出ていると思う」(54.9%)だった。次いで、「出ていないと思う」(35.2%)、「わからない」(9.8%)と続いた。どのような販促品やノベルティを活用したことがあるかを聞いたところ、1位は「ボールペン」(63.1%)となった。次いで、2位は「カレンダー」(43.4%)、3位「メモパッド・ふせん」(40.2%)だった。他の企業から販促品やノベルティをもらう立場で、最初にもらった販促品やノベルティでその会社のイメージが決まることがあると思うか聞いた。男女別の結果をみると、男性では、「あると思う」の割合が37.8%であるのに対し、女性では52.7%という結果となった。「あると思う」と回答した人に、どのような印象を持ったかを聞いた。1位は「面白い会社だと思った」。以降、2位は「クリエイティブな会社だと思った」(21.8%)、3位は「チャレンジ精神のある会社だと思った」(17.5%)だった。「つまらないと思った販促品・ノベルティ」を聞いたところ、「うちわ」(46.5%)が1位となった。続いて、2位は「ボールペン」(23.5%)、3位は「カレンダー」(21.0%)が上位に挙がった。
2015年10月15日ノークリサーチは10月13日、2015年の国内中堅・中小市場における「ERP」の利用実態とユーザー評価に関する調査の分析結果を発表した。調査対象は、日本全国/全業種の年商500億円未満の中堅・中小企業で、「情報システムの導入や運用/管理の作業を担当している」か「情報システムに関する製品/サービスの選定または決裁の権限を有している」従業員。調査実施時期は2015年7月、有効回答件数は1300社。導入済みのERP製品/サービス(複数回答可)の社数シェアを集計し、その結果を前回調査(2014年7月実施分)と今回調査(2015年7月実施分)とで比較したもののうち社数シェア上位8つの製品/サービスを抜粋してプロットした結果、中堅・中小企業のERP市場は安定または停滞していると判断したくなるが、実際にはERPを提供する側が入れ替えや刷新に取り組む余地はまだ十分あると、同社は分析している。累積の導入社数シェアは同程度であっても、「最近導入したユーザー企業が多い製品/サービス」と「導入年が古く、継続的に利用しているユーザー企業が多い製品/サービス」とでは取るべき戦略に違いがあるとし、シェア上位製品/サービスからのリプレースを図ろうとするERPベンダーや販社/SIerにとっても、ターゲットとなる製品/サービスがどのような状況になっているのかを把握することは極めて重要だと同社は述べている。また、「導入社数シェア」という場合、「累積導入社数シェア」を確認するレベルで済ませてしまいがちだが、実際にはさまざまな観点での現状把握が重要となってくるとし、「年商」「業種」「所在地」などの情報だけでなく、「導入年」による導入社数シェアの変化を見ることが大切だと結論づけている。さらに、製品/サービスごとの「導入経緯」と、それらにひもづいた「今後の機能ニーズ」の把握も重要になるとしている。
2015年10月14日ノークリサーチは10月8日、同社が実施した、中堅・中小企業でのIT関連用語に対して持つ印象や認知に関する調査結果を公表した。本調査は、日本全国/全業種の500億円未満の中堅・中小企業で「情報システムの導入や運用/管理の作業を担当している」か「情報システムに関する製品/サービスの選定または決裁の権限を有している」社員を対象として、2015年7月に調査したもの。有効回答件数は1300社。IT活用は常に進歩し、新しい技術やソリューションが次々と登場している。それらをユーザー企業に伝える際には新しいIT関連用語が用いられることも多いが、用語の認知が非常に低かったり、ユーザー企業にとって印象の良くないものだったとすると、逆効果となる恐れがあるとし、ユーザー企業が主要なIT関連用語をどれくらい認知しており、どのような印象を持っているのかを知ることは今後の提案活動において非常に重要となるという考えから、同社はさまざまなIT関連用語の認知度や印象を質問、その結果を年商別/業種別/所在地別などといった複数の観点から集計した。これによると、「企業の業務システムにおいて一般消費者(コンシューマ)向けの製品/サービスを利用すること」を意味する、「コンシューマライゼーション」という言葉は、半数近くにのぼる41.5%が「全く知らない」と回答していることから、「一般消費者向けのわかりやすいユーザーインターフェースを用いている」という主旨を訴求したい場合にはこの用語のみに頼らずに、具体的な説明を付加しておくことが重要となると同社は述べている。次に、「IT活用によって従来の慣習(場所、時間、連絡手段など)に束縛されない業務の進め方を創出しようとする取り組み」を指す「ワークスタイル改革」という言葉については、最近注目を集めている用語だが、実際には以前から用いられてきたにも関わらず「全く知らない」28.1%という結果だった。ユーザー企業は何らかの具体的なIT商材と紐づける形で用語を認知することが少なくないため、指し示すIT商材が限定されるほかの用語と比べて、該当するIT活用分野が広いこの用語はユーザー企業に記憶されにくくなると考えられるという。また、この用語には、少子高齢化による労働人口減少などの社会的背景もあることを踏まえて、「自社の製品/サービスがユーザー企業に求められる変化をどのように支援できるのか?」を具体的に示すことが重要となると、同社では考察している。「企業が何らかの業務またはその一部を不特定多数から公募した個人に対して単発的に委託すること」を示す「クラウドソーシング」は、比較的新しい用語ではあるが、「全く知らない」の回答は15.9%とやや低い。さらに、「コスト削減に寄与するIT活用分野と捉えている」の回答割合が31.2%にも達していることから、中堅・中小企業において「個人に委託することで得られるコストメリット」への期待感が存在すると考えられるとしている。ただし、実際に中堅・中小企業と対話する中ではクラウドソーシングでの「クラウド=crowd」とクラウドコンピューティングの「クラウド=cloud」を混同しているケースも散見され、この用語を正しく認知している実際の割合はもう少し低い可能性があると、同社は見解を述べた。
2015年10月09日東日本電信電話(NTT東日本)、西日本電信電話(NTT西日本)、東京海上日動火災保険(東京海上日動)は10月2日、中小企業のマイナンバー対応に向けたセキュリティー対策に関するアライアンスを組むことを発表した。通信サービス会社の提供するセキュリティー対策サービスと損害保険会社の提供する情報セキュリティー保険の連携による、マイナンバー対応支援に向けた取り組みは、国内初の事例だとしている。中小企業のマイナンバー対応が不十分な状況のなか、高度なセキュリティー対策サービス、クラウドサービスを持ち、豊富な導入実績・ノウハウを有するNTT東日本・NTT西日本と、情報セキュリティーに関わる損害賠償責任保険を提供する東京海上日動が、双方のサービスレベルを高く評価し、アライアンスを組むことで、マイナンバー対応支援に向けた取り組みの開始に至ったという。各社の役割としては、NTT東西では、セキュリティー対策サービスを提供し、情報セキュリティー保険の要望があった際に、東京海上日動(代理店含む)を紹介。東京海上日動では、情報セキュリティー保険「サイバーリスク保険」を提供し、NTT東西のセキュリティー対策の要望があった際に、NTT東西のセキュリティー対策サービスを紹介する。今後は、マイナンバー開始に伴うセキュリティー対策の必要性を広め、充実したセキュリティー対策に拡充することを目的として、双方のマイナンバー対応サービスを双方の顧客へ展開していくとしている。また、各社は各セキュリティーサービスの機能拡充や新サービスの開発も行っていく構えだ。運用開始は10月7日からとなっている。
2015年10月02日富士通マーケティングは10月1日、中堅中小企業の最適な情報システム環境を実現するというクラウド・マネージド・サービスである「FUJITSU Cloud AZCLOUD IaaS Type-K (フジツウ クラウド アズクラウドイアース タイプケイ)」のトライアル提供を開始した。提供開始は12月1日。新サービスは、富士通が提供する「FUJITSU Cloud Service K5(フジツウ クラウドサービス ケイファイブ)」のIaaS基盤に、中堅・中小のユーザー企業がすぐに利用できるよう、導入支援・ネットワーク回線・運用支援・Q&A対応・運用監視のサービスを提供するもので、ユーザー企業の要望に合わせて自由に選択できるというカスタマイズ型のマネージド・サービス。富士通グループの社内システムを同クラウド基盤へ移行し、TCO削減など全体最適化に向けた取り組みに加え、SE、パッケージ開発、ソフトウェア開発、研究所などの現場部門での利用も進めているという。これらの社内実践による知見の蓄積により、安心・安全・信頼を証明する基盤として品質を担保し、ユーザー企業のシステムでの利用へと繋げていくとしている。クラウドOSはオープン技術を採用し、純国産の富士通製プラットフォームを低価格で提供するとのこと。同サービスは多様化するユーザー企業の要望に応じ、トライアル環境やシステム稼働前のコンシェルジュ機能の提供およびアプリケーションに対するサービスなど、カスタマイズ型のマネージド・サービスを月額定額制で提供する。サービス・メニューは、「クラウド検討支援メニュー」と「運用サービスメニュー」の2種類。クラウド検討支援メニューは、ユーザー企業の要望に応じた最適な環境を利用可能な、システム稼働前のコンシェルジュ機能などのメニューを用意するもの。運用サービスメニューは、ユーザー企業の環境に最適な運用サービス・メニューを用意するもの。いずれも2015年12月に提供予定。
2015年10月02日●いよいよマイナンバーの通知が開始いよいよマイナンバーの通知が今月開始される。来年1月からの利用開始を見据えて、各社からマイナンバーに対応したソリューションが展開されている。マネーフォワードでも、マイナンバーの収集・管理・廃棄が行えるクラウド型マイナンバー管理システム「MFクラウドマイナンバー」の正式版をリリースした。リリース開始となった9月30日に、同社はマイナンバー勉強会を開催。ほはばの代表税理士である前田興二氏を交えて、中小企業における現在のマイナンバー制度対応に関する状況などが伝えられた。本記事では、この勉強会の模様をお届けする。○マイナンバー制度のおさらいマイナンバーとは、住民票を有する全ての人に一人一つ付与される12桁の番号である。社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一の人の情報であることを確認するために活用されることになる。漏えいした場合を除き、一度指定されたマイナンバーは生涯変わらない。このマイナンバー制度によって、各省庁間の情報連携による行政の効率化、添付書類の削減など行政手続きを簡素化し国民の利便性を向上、補助金の受給や公租公課において公平・公正な社会の実現といった政府の狙いがある。マイナンバーは、10月5日時点で住民票に記載されている住民に指定され、10月中旬から11月にかけて順次、市区町村から住民票の住所に簡易書留で郵送される予定となっている。さまざまな場面で必要となってくるマイナンバーだが、利用に関して段階的なスケジュールが組まれている。来年の1月から必要となってくる対応としては、中途退職者の源泉徴収票・雇用保険関連への記載となっている。健康保険や厚生年金保険、2017年1月末までに提出する源泉徴収票、確定申告への記載は、2017年からの実施予定となっている。「マイナンバー制度が大きく騒がれている理由の一つ」とマネーフォワード 社長室長の山田一也氏が指摘するのが、マイナンバーの不適切な取り扱いに対する罰則だ。例えば、正当な理由なく、業務で取り扱う個人の秘密が記録された特定個人情報ファイルを提供した場合は、4年以下の懲役または200万円以下の罰金(併科されることもある)とされている。山田氏は、「5,000件未満の個人情報の取り扱いであれば、個人情報保護法からは除外されていたが、マイナンバー制度では1件でもマイナンバーを扱っている事業者は罰則の対象となる。中小企業にとってはこれまでよりも、情報漏えいに対するリスク管理が必要となってくる」と説明した。また、万が一漏えいしてしまった際の企業のリスクとして、山田氏は「派遣業界のリスクが高い」と指摘した。「一般企業と比較して、派遣業界で漏えいが発覚してしまうと、企業に対する不安感から登録するスタッフが減り、人材を確保しにくくなるという懸念点がある。業界によってはマイナンバー制度を"事業リスク"として認識しなければいけない」(山田氏)マイナンバーを企業内で取り扱うにあたっては、主に「取得」「利用・提供」「保管・破棄」の3つの業務が生じる。まず取得に関しては、従業員に対して取得の利用目的(源泉徴収票の作成など)を伝えて、提出を求める必要がある。あわせて、本人確認のための書類も用意してもらう必要がある。企業の担当者は、運転免許証やパスポートなどによる身元確認と、番号確認の両方を行わなければならない。また、国民年金第3号被保険者関係届もマイナンバーを記載する必要のある書類のため、企業は従業員の扶養者の情報も必要となってくる。利用・提供に関しては、税・社会保障に関する手続き書類に、従業員などのマイナンバーを記載した後、企業の担当者は役所に提出する流れとなる。企業は、収集したマイナンバーを、社員番号や顧客管理番号として使用するなど、目的外で利用することは禁じられているので、注意が必要だ。マイナンバーは、業務に必要な期間や法律によって保管が義務付けられている期間は、安全に保管する必要がある。事業者に求められる安全管理措置として、組織体制の整備など「組織的安全管理措置」、取扱担当者の監督・教育など「人的安全管理措置」、機器や電子媒体などの盗難防止など「物理的安全管理措置」、アクセス制御など「技術的安全管理措置」の4つがガイドラインで定められている。マイナンバーの必要がなくなった際には、速やかに破棄しなければならない。山田氏は、「当面は紙やエクセルで管理するという方が多いが、破棄することを考えると、収集の段階からシステムで管理しておかないと、破棄のタイミングでわからなくなりがちだ。最終的に破棄することを見据えて準備しておく必要がある」と指摘した。●マイナンバー制度導入による、中小企業のリスク○マイナンバー制度対応、企業によってばらつきがあと2カ月でマイナンバーの利用が開始されるわけだが、中小企業では実際、どの程度対応が進んでいるのだろうか? ほはば 代表税理士の前田興二氏は次のように説明した。「マイナンバー制度へ対応できている企業は、1割もいないのではないだろうか。まだ、マイナンバー制度がどういった内容で、いつ番号の通知があり、1月に申請することでマイナンバーカードが取得できるという流れを経営者に周知してもらう段階だ」前田氏によると、マイナンバー制度への対応に関する積極性は、企業によって偏りがあるという。「派遣企業やIT企業など、従業員規模が一定数以上で若い世代の環境では、システム導入のニーズがあるが、鉄工所のおじさんなどは恐らくシステムを操作することが難しいだろう。ペーパーによる管理が主流となってくるはずだ。また、中小企業では売上を伸ばすことと資金繰りが優先事項のため、システムやアプリを導入するために費用を捻出することが難しいのが実情」(前田氏)また、マイナンバー制度に対するマイナスイメージを持っている人も多いという。ほとんど利用されることのなかった住民基本台帳ネットワークの件もあり、今回も利用されない制度になるのではと懸念を持たれていることからも、マイナンバー制度への対応が優先度を低くさせている一因でもあると、前田氏は分析している。では、マイナンバー制度が導入されることによって、厳しい状況となる業種は出てくるのだろうか?「クラブなど飲酒店の従業員は副業として働いている人が多いため、マイナンバー制度によって情報が紐付けされてしまうと、本業の会社に発覚してしまう可能性がある。こうしたリスクから、2~3年先には従業員全員がやめてしまう可能性まであると、クラブの経営者は危惧している。また、理美容関係も経営を逼迫させることになるだろう。中小企業では、社会保険に加入していない企業も多い。人件費がコストの半分を占める理美容業界で、社会保険の加入をしなければいけなくなると、従業員の社会保険料を支払うことができないところも出てくるだろう」(前田氏)このように、中小企業ではさまざまなリスクが浮かび上がっている。●自分で自分のマイナンバーを入力できる「MFクラウドマイナンバー」○マネーフォワードのマイナンバー制度対応サービスマネーフォワードからリリースされた「MFクラウドマイナンバー」は、中小企業、個人事業主向けのマイナンバー管理システム。収集から廃棄まで全てクラウド上で完結しているため、管理負担を削減することができるというもの。また、事業者からマイナンバーの管理を受託する税理士・社会保険労務士も利用できるサービスだという。同サービスの特長として、従業員やその扶養家族、取引先、株主などからのマイナンバー収集をスマートフォンやPCで行うことができる点が挙げられる。自分で自分のマイナンバーを入力し、提出することができるというわけだ。収集したデータは、暗号化や二段階認証によるアクセス管理のもと、クラウド上に保管される。二段階認証方式でのログインは、同社によるとMFシリーズでは「MFクラウドマイナンバー」のみで実装されている機能だという。価格は初期費用は無料、従業員数などに応じて月額980円(税別)~で提供される。10月2日からは、ソースネクストとの提携により、同サービスのパッケージ版を全国の主要家電量販店、オンラインストアおよびソースネクスト運営のオンラインストア「ソースネクストeSHOP」で販売も開始する予定となっている。このパッケージ版は1年分の利用権となっており、従業員・従業員以外の対象者(扶養家族は除く)がそれぞれ10名(合計最大20名)まで登録可能な「Max 10プラン」では、9,800円(税別)で販売される。***来年からマイナンバー制度は実際にどう運用されていくのか、企業も税理士も見えない状況に不安を抱えている。少なからず、リスクが伴う制度であることは間違いないため、軽視せずにきちんと対応を進めていく必要があるだろう。
2015年10月02日東京都はCO2排出量削減に向け、事業者が所有する情報システム等を、都と特定非営利活動法人日本データセンター協会とが協定に基づき認定する、省エネ性能に優れたクラウド型データセンターに移行することを条件に、その経費の一部を助成する事業を開始すると発表した。事業年度は平成27、28年度で、予算は6.75億円。予算額に達した時点で受付終了する。助成対象者は、都内に中小規模事業所を所有または使用する中小企業者等で、申請時までに、該当年度分の地球温暖化対策報告書を提出していることが条件。助成対象事業は、都内中小規模事業所の情報システム等を、省エネ性能の高いデータセンターで稼働するクラウドサービスに移行するもので、移行作業費、物品、サービス費が対象。助成率は、環境配慮型データセンターを利用する場合は3分の1(上限 1,500万円)、環境にやさしいデータセンターを利用する場合は6分の1(上限 750万円)。なお、東京都は、10月29日と10月30日の2日間、14時00分~16時00分までこの事業に関する募集説明会を開催する。詳細、申し込みは東京都のWebを参照。
2015年09月25日シスコシステムズは9月16日、同社の中小企業向け戦略を発表。100名以下の中小企業に特化した新製品ブランド「Cisco Start」を発表した。「Cisco Start」は国内の中小企業向けの日本独自のブランドだ。同社 専務執行役員 コーポレート事業統括 中島シハブ氏によれば、中小企業には、人材不足、ITの活用、セキュリティにおいて課題があるという。そして同氏は「この課題に対してはITの活用が必要で、ITによって生産性を上げ、コストダウン等をはかり中小企業の可能性を最大化することが必要だ。そのためには基盤となるネットワークに簡易性、高機能、安全性の整備が重要だ」と、新ブランドを立ち上げた背景を説明した。そこでシスコでは、今回、中小企業に最適化した「Cisco Start」という新ブランドをつくり、中小企業に快適で安全なネットワークソリューションを提供するという。100名以下の中小企業をターゲットにした理由として、シスコシステムズ 執行役員 マーケティング本部長 鎌田道子氏は、このセグメントをターゲットにした製品がこれまで同社になかった点を挙げ、「Cisco Startを100名以下にするというコンセプトは今後も変更する予定はない」と明言。「Cisco Start」のラインナップを拡大し、ターゲットをSMB市場に広げることはしないという。「Cisco Start」の第一弾として、同社は同日、ギガビット対応VPNルーター「Cisco 841M Jシリーズ」を発表。このルータはCisco IOSを搭載し、拠点接続、VLAN制御等基本機能を実装している。また、指定時間や挿入に合せて自動でUSBにメモリバックアップ、VPNの切断・障害時に管理者へメール通知する機能のほか、セキュリティクラウドサービスとの連携、クラウドサービスとの連携により不適切なWebサイトへの接続遮断などができる。「Cisco 841M Advanced Security モデル C841M-4X-JSEC/K9」のNTT-Xの販売価格は39,800円となっている(9月16日現在)。また、年内には無線LAN製品も提供する予定だという。中島氏によれば、「Cisco Start」には製品戦略と販売支援体制という2つの柱があるという。製品戦略としては、日本の要求にコミット、リーズナブルな価格設定のほか、アプリの可視化、自動化、セキュリティ管理機能などを含む充実の機能群を提供することを行うという。一方、販売支援体制としては、シスコによるサポートの強化、パートナー&ディストリビュータとの連携強化、新たなチャネルとしてEコマースでの包括的な販売サポート体制を整える。シスコによるサポートの強化では、UIの日本語対応のほか、日本語サポート窓口の設置やユーザーコミュニティの設立を行う。パートナー&ディストリビュータとの連携強化では、ダイワボウの全面協力により全国をカバーする包括敵な販売・サポート体制を整える。そして、Eコマース対応ではNTT-Xによる販売を開始し、中小企業が販売しやすい購入ルートを構築する。今後、NTT-X以外のECサイトでの販売も検討中だという。米シスコシステムズ バイスプレジデント エンタープライズ インフラストラクチャ&ソリューションズ ジェフ・リード氏は、「Cisco Start」について、「Cisco Startは、中小企業、とくに日本市場に注力するために開発したもので、シンプルで導入しやすく、セキュアにした。企業はシスコの伝統的な機能を利用して、シスコのパワーを活用してほしい。中小企業にはシスコの製品を活用できる可能性があり、それを実現するのがCisco Startだ。日本市場には大きなチャンスがあり、中小企業には事業を改善するチャンスがある。われわれは日本にコミットする」と述べた。また、鎌田氏は「Cisco Start」のマーケティング戦略について、「Cisco Startはすべての要求に応えるライアナップをそろえたトータルブランドだ。情報はすべてオンラインで提供する。これまでシスコ製品は機能は充実しているが、価格が高く、サポート体制に課題があった。そのため、今回、専用ブランドサイトを立ち上げ、パートナーのコミュニティサイトティサイトとも連携し、みなさまに情報が伝わることを検討している」と語った。販売パートナーとして登壇した、ダイワボウ情報システム 取締役 販売推進本部長 兼 販売推進4部長 兼 東京支社長 松本裕之氏は、「ダイワボウではモバイルデバイスの普及を強化しているが、それにはセキュアなネットワーク構築がテーマになる。シスコの製品は信頼性があり、安心していける商品だ。Cisco Startは小規模向けの強力な武器になる」と述べ、「Cisco 841M Jシリーズ」の1年間の販売目標として、15,000台を掲げた。
2015年09月16日全国の中小企業及び個人事業者のうち、マイナンバーへの対応や準備が完了しているのは1.3%に過ぎない実態が、ソリマチの調査で浮かび上がった。同調査は、ソリマチが全国の中小企業・個人事業者に対して2015年8月下旬から9月上旬にかけて実施したインターネット調査であり、有効回答数は1540人だった。現時点で同制度への対応・準備状況を尋ねると、「完了している」と回答した企業は1.3%にとどまり、「取り組んでいる」「始めたばかり」との回答も計19%に過ぎなかった。一方、まだ行動していない企業が全体の約80%に上り、うち「情報収集・計画中」が30%、「まだ何も着手していない」が50%だった。対応状況を従業員数別に見たところ、「まだ何も着手していない」との回答は従業員が30人までの会社規模では38%であるのに対して、30人を超える会社では20%程度に下がり、何らかの調査をして関心が高い表れだという。実際に行動に移している会社の割合を見ると、従業員が300人までは40%(取り組んでいる(22%)+始めたばかり(18%))に留まっているのに対し、300人を超える会社の場合には85%(取り組んでいる(71%)+始めたばかり(14%))に達している。着手していない企業からは、「妻を専業従業者としている段階なので対策は必要ないと思っている」「中小零細企業はどうしたらいいのかわからない」「当社の従業員数で特別な対策が必要なのか」といった回答があった。マイナンバー制度は全ての事業主が対象になり、個人商店をはじめとした個人事業者の場合でもアルバイトやパート社員を雇っているケースは多いため、結果として源泉徴収などの届け出の際に従業員・扶養親族のマイナンバーを記載する必要があると同社は指摘した上で、全ての事業主に影響があるため注意しなければならないとしている。マイナンバー制度の認知度を見ると、マイナンバーという言葉を知らないとの回答はほとんど無かった一方、「詳細まで知っている」との回答は8%に過ぎない。多くの人は制度の理解が進んでおらず、何を行えばよいか分からない状態だと同社は推測する。マイナンバーの通知カード送付については89%が「知っている」と回答しているものの、残りの11%は「知らない」と回答しており、準備時間が残りわずかだということさえも一部では認識していない状況。コメントからも「開始時期がいったいいつになるのか」「スケジュールが全くわからない」との回答や不安の声が挙がった。マイナンバー制度への対応内容を尋ねると、「特に予定していない」(35%)が最多だった。準備を進めている会社では、「セキュリティの強化」(25%)、「給与システムの改修」(24%)、「マイナンバーに関する社員教育の実施」(21%)の順だった。セキュリティの強化を予定している回答者からは、「クライアントへの周知徹底がかなり大変そう。セキュリティの取り扱いに不安がある」というコメントがあった。また、給与システムの改修を予定する回答者からは、「マイナンバー導入後、年末調整・社会保険手続きの負担をどの程度抑えられるか、給与システムの改修にかかってくる」というメーカーへの期待が挙がった。マイナンバーに関する社員教育の実施状況では、「十分行き届いている」と「現在実施しているところ」が合わせて全体の13%にとどまり、過半数は準備すらしていないのが実情だ。回答者からは「総務側の人間が十分に理解していないため、社員教育をどう進めていったらいいかわからない」「社員の扶養家族の分の収集に、社員が納得するかが心配」といったコメントがあったという。マイナンバー制度に対する役割を尋ねると、個人事業者や社長などの「責任者」(46%)と総務・経理・営業担当などの「担当者」(42%)が回答者のほとんどを占めた。その他、税理士・社労士・事務所職員など「受託者」が少数あった。担当者からのコメントには、「経営者の認識レベル(が低いこと)が悩み」「上から指示がない」「会社がまだ対応に本腰を入れていないこと」といった、社内の意識の低さを挙げるものがあった。マイナンバー制度への対応に費やす概算予算を尋ねたところ、「わからない」「0円」という回答が多い一方で、具体的な金額で最も多かったのは「3万円未満」(6%)だった。制度対応にかける平均額が少ない理由として、コメントからは「将来的に保険料率が下がることはないのか」「企業側にメリットを感じない」「面倒だなと感じて、対応が後回しになる」といった、制度対応へのメリットを見出せていないことも同社は要因だと推定する。中には、「セミナーに参加したりしているが、どれも大企業向けのような感じを受ける。50人程度の会社も同じように整備しようと思うと費用が大きいと感じる」「セキュリティ、マイナンバー管理用サーバに費用が掛かりすぎる」という、中小企業には対応への経費負担が大きいという意見もあり、切実な課題となっていることが分かる。従業員が多い大企業ではマイナンバー対策パッケージやアウトソーシングなどを導入し、業務を委託する会社が多い一方、中小企業では給与計算ソフトなどを利用して自社でマイナンバーの収集・保管・破棄を行うケースがほとんどとなっており、メーカーの対応に頼っているというコメントも多く見受けられた。中小企業にとっては、利用中の給与計算システムの対応だけではなくマイナンバー情報にも期待している部分が多く、対応製品の提供に加えてセミナー開催などを望んでいることが改めて分かった。
2015年09月16日ミロク情報サービスは9月15日、中堅・中小企業を対象に、従業員とその扶養家族などのマイナンバーの収集・登録・保管・廃棄まで、一連の業務を代行する「MJSマイナンバーBPO」サービスを10月より提供開始すると発表した。同サービスでは、マイナンバーを収集する方法として、「郵送による収集」「スマートデバイスを活用した収集」の2つの方法が用意しているため、企業のポリシーや収集対象となる従業員などの状況に合わせて選択できる。郵送による収集は、普通郵便以外に、簡易書留やレターパックにも対応する。データ保管時の漏洩対策として、マイナンバー収集対象者の個人情報と、実際に収集したマイナンバーのデータを分離して管理するため、個人情報とマイナンバーがひもづいた情報は保管せず、住所などのマイナンバー収集対象者の個人情報は、マイナンバーを収集した後速やかに削除する。物理的なセキュリティ対策としては、データおよび原紙の保管をセキュリティ区画で行い、物理的な監視や入室制限のほか、端末においても強固なポリシー運用を行う。そのほか、同社が提供している中堅・中小企業向けのERPシステム「Galileopt NX-Ⅰ」「MJSLINK NX-Ⅰ」との連携が可能であり、同ERPシステムではマイナンバーのデータを保持せず、マイナンバーBPO側のデータにアクセスして、税務申告書や源泉徴収票、支払調書などにマイナンバーを印字して出力することができる。価格は、初期費用が10万円から、収集が1番号当たり400円、保管が1番号当たり600円(年間)となっている(いずれも税別)。
2015年09月16日サービス産業生産性協議会は9月11日に、サービス産業の人材育成の一環として、中小サービス企業の次世代を担う経営人材を、優良企業での実地体験型研修を通じて鍛える「大人の武者修行」(社会人インターン事業)の実施にあたって、同事業の補助金説明会およびシンポジウムを開催した。経済産業省の調査によると、日本のサービス産業は国内総生産(GDP)の約7割を占め、その規模は拡大傾向にあるという。しかし、就業者1人あたりのGDPは、製造業では近年増加しているものの、サービス産業では減少している。さらに、サービス産業での就業者数も減少傾向にある。このような課題に対して、サービス産業生産性協議会では、サービス産業の"生産性向上"を目指し、サービス産業を支える企業の99%にあたるという中小企業を対象に、人材育成の取り組みとして、「大人の武者修行」を経済産業省の支援の下、昨年より実施している。サービス産業生産性協議会 部長の野沢清氏は、「経営者の講演やコンサルタントの座学などはよくある研修だが、一定期間よその機関に行って一緒に働きながら学ぶ機会は、転職でもしなければできないようなことだ。また、優れたサービスを提供する企業のバックヤードの仕組みは中に入ってみないとわからないもの。この取り組みを通じて、参加者には優良企業のDNAを持ち帰って、自社で生かしてもらいたい」と述べた。本事業は、すでに申し込みを受け付けている。研修期間は最低2週間から可能となっており、研修費・交通費・滞在費の3分の2は補助されるという。研修費は1名あたり月額9万円となっており、このうち6万円は補助されることになる。研修の受け入れ先となる企業は、「ハイ・サービス日本300選」や「日本経営品質賞」「おもてなし経営企業選」で受賞・選定されている優良企業となっている。9月11日時点で、90社が受け入れ企業として表明している。応募締切は12月21日となっている。くわしくは、「大人の武者修行」のWEBサイトを確認してもらいたい。○「日本でいちばん大切にしたい会社」の坂本教授が語る、"優良企業"とは?説明会当日は、「大人の武者修行」の事業説明以外に、「日本でいちばん大切にしたい会社」の著者であり、中小企業の人材育成の権威である法政大学の坂本光司教授による、優良企業の条件についての講演や、昨年の「大人の武者修行」で受け入れ先となったハロー・トーキョー、実際に就業した体験者からのプレゼンテーションが行われた。坂本教授は、「『日本でいちばん大切にしたい会社』大賞」という表彰制度をつくり、優良企業の選定を行っている。この表彰制度では、応募時点で条件が設けられ、その条件を全て満たしてている企業でないと、そもそも応募することができない。その条件として、坂本教授は次の5つを挙げた。過去5年以上、人員整理(リストラ・退職勧奨)をしていないこと過去5年以上、外注企業・仕入先企業などに対して一方的なコストダウンを行っていないこといつでも、どこでも、お客さまのことを考えていること過去5年以上、法定雇用率以上の障がい者雇用を行っていること過去5年以上、黒字経営であること「罪のない社員の首を切るような会社は優良企業だとは思えない。また、仕入先をいじめ、コストカットするような会社も、優良企業として認められない。会社の目的は会社に関係する人を幸せにすることだ。企業の業績や成長発展は結果現象であり、人を大切にしている会社が滅びた歴史はない。社員をコストとして捉えるようになった会社がダメになる」(坂本教授)「『日本でいちばん大切にしたい会社』大賞」では、この応募条件を満たした上で、さらに審査が行われる。しかし、この応募条件を満たすことができる企業は多くはないのではないだろうか? 優良企業への第一歩は、これらの条件を満たすことができるような健全な意識を持つことから始まるのだろう。昨年の「大人の武者修行」で受け入れ企業として登壇したハロー・トーキョーは、今年も受け入れ企業として表明している。同社はかつて、スポンサー出資の下10人で会社を設立し、急成長を遂げたが、経営が追いつかず、民事再生となった過去を持つ。現在は両備グループの傘下に入り、外国企業向けに特化したタクシーサービスを展開している。タクシー業界の中ではシェアが小さいものの、「ほかのタクシー会社がやらないことをやってきた」と同社の営業管理本部長 高橋浩一氏は説明した。設立から現在に至る同社の歴史から、高橋氏は本事業の参加者に対して、「会社が倒れた時のこと、そして起き上がる時のことを、学んでもらえれば」とメッセージを送った。昨年の「大人の武者修行」参加者としては、ネッツトヨタ栃木の総務・人財開発室 増渕勲氏が登壇した。増渕氏は、ビルメンテナンス業を営む四国管財で研修に参加、現在は社内の風土改革プロジェクトを担当するなど、研修で体験したことを仕事で活かしているという。増渕氏は四国管財での研修を通して、「個人と企業、また個人間の関係をより強固なものにするのは、自己責任だと感じた。四国管財では新人スタッフが作業をミスした際に、先輩社員は『自分が教える際に専門用語を使わず説明できていなかったせいかもしれない』『自分は教えるだけで、相手がどこまで理解できたのかを、確認しなかったせいかもしれない』など従業員個人に失敗の責任を帰属させずに、自分に帰属させる考え方を持っていた。主語を自分にして考えていることが印象的だった」とエピソードを語った。
2015年09月15日ソウルドアウトは9月9日、中国越境ECへの参入を目指す企業を対象に、低コスト・低リスクで挑戦できるサービスの提供を開始した。同サービスは、同社の親会社となるオプトホールディングが「京東全球購」との公式パートナー契約を締結し、日本におけるクライアント企業の誘致やサービス運営などの関連業務を京東全球購より授権したことによる。京東集団は、中国のECモールで第2位の規模を持ち、2014年の流通総額が2,602億元(約5.2兆円)、2015年上半期の流通総額が2,023億元(約4兆円)にのぼる。その京東集団の傘下で、海外法人向けのECモールであるJD.com International Limited(以下、京東全球購)は2015年6月に日本館をオープンし、日本企業の誘致にも力を入れているという。今回の新サービスにより、出店企業は、「出品商品の選定」や「契約締結」「商品情報の送付」「日本倉庫への発送」を担う必要があるが、中国への発送や翻訳業務などソウルドアウトが代行。出店費用となる保証金や決済手数料、広告宣伝費などを同社が一括して請け負うことで、最小限に抑えることができる。なお、同サービスは主に、地方・中小企業への提供をメインとしており、中小・ベンチャー企業の支援に特化するソウルドアウトが担うに至ったという。同社は今後、ECモールへの単独出店支援や、天喜日本生活専営店の運営など幅広いサービスの提供していく考えだ。
2015年09月10日ボルテックスは9月2日、全国の中小企業の経営者(役員を含む)を対象に、経営課題やその対策などに関するインターネット調査を実施し、その結果を発表した。本調査は、8月7~9日に、全国の中小企業の経営者(役員含む)400人(男性:373人/女性:27人)に対して、インターネットによるアンケート調査で行われたもの。会社経営における自社の課題に関しては、全体の61.8%の人が「売上の(利益)拡大」と回答。それに続く回答は多かった順に「人材の育成(33.3%)」「コストの削減(32.3%)」「労働力の確保(27.5%)」「後継者の育成(24.3%)」「資金繰り(21.3%)」「設備の老朽化(17.0%)」など。全体の20.3%の経営者は、「特に課題はない」と回答した。昨年と比較した会社の売上状況に関しては、昨年対比増が27.0%、昨年対比減が26.0%。半数に近い4 7.0%は「変わらない」と回答。本業以外の収入源を持っているかについては、今回の調査では、全体の27.3%の経営者が、本業以外の収入源を持っていると回答。売上状況が昨年対比増の会社と減の会社を比較したところ、売上が増加している会社は32.4%が、売上が減少している会社は19.2%が、本業以外の収益源を持っていると回答。その差13.2ポイントと、大きな開きが見られた。中小企業の明暗には、本業以外の収益源の有無が大きく影響しているようだとボルテックスは見解を述べた。本業以外の収益源を持っていると答えた経営者にその内容を聞いた結果は、「株式の売買・保有(54.1%)」「不動産投資(30.3%)」「保険(30.3%)」が上位3つの回答となった。
2015年09月03日マイナンバーの送付開始がせまるなか、マイナンバー制度に対応し、大手ITベンダーから給与などのパッケージソフトにいたるまで、様々なシステムが発表されています。中小企業で従来から給与システムを利用している場合、多くは同じベンダーの給与システムのマイナンバー対応のバージョンアップを待ち、その内容に応じてマイナンバーを管理するように予定されているのではないかと思われます。はたしてその対応で、安全なマイナンバー対策ができるのか、マイナンバー対策を契機にIT活用を見直す視点で、マイナンバー管理のシステムを見ていきましょう。○給与系のパッケージソフトのマイナンバー対策システムパソコンにインストールして使用するタイプの給与ソフトのマイナンバー対策からみていきましょう。このタイプでは、給与データなどもパソコン本体に登録されます(または所内LANシステムを構築している場合はサーバーに登録されます)。これらのソフトウェアのマイナンバー対応では、以下のような対応が標準的なレベルとなっています。・従業員情報とは別にマイナンバー専用のデータベースが用意される・マイナンバーの登録・編集権限などを設定したID・パスワードで担当者以外がマイナンバーへアクセスできないようにコントロールする・登録・編集権限が設定された担当者が従業員および扶養親族のマイナンバーを入力・登録する・登録されたマイナンバーはデータベース上で暗号化され管理される・源泉徴収票など個人番号欄が設けられた帳票を印刷するさいに、指定により必要な箇所にマイナンバーをセットして印刷できる・登録されたマイナンバーの登録・編集・削除、利用などの履歴が閲覧できる安全管理措置の視点でこれらの機能をみていくと、権限設定したID・パスワードによるアクセスコントロールやマイナンバーデータの暗号化などは技術的安全管理措置に該当する機能となります。また、履歴を残し閲覧できる機能は組織的安全管理措置に該当する機能となります。また、マイナンバーの収集・本人確認から保管、利用・提出というプロセスで上記の機能を整理してみましょう。・マイナンバーの収集マイナンバーの収集はシステム外の作業となり、通知カードなど書面を登録・編集権限が設定された担当者が収集し、その担当者がマイナンバーを入力・登録するフローが一般的です。なお、複数の拠点をもつ企業を考慮して、支店でExcelなどに入力されたマイナンバーを取り込む機能がサポートされているものもあります。・収集時の本人確認マイナンバー収集時の本人確認は、ほとんどのシステムでシステム外の作業として担当者が対応することになっています。・マイナンバーの保管入力・登録されたマイナンバーは、事業所内のパソコンまたはサーバーに保管されます。そのため、パソコンまたはサーバーに保管されたマイナンバーを守るために、ガイドラインにそった物理的安全管理措置、技術的安全管理措置を講じる必要があります。・マイナンバーの利用マイナンバーの記載が必要な書類(源泉徴収票など)を作成する業務を権限がない人は行えないようにするか、または権限のない人がそれらの業務を行う場合はマイナンバーを表示されないように制御されます。・マイナンバーの提出源泉徴収票を提出する際に紙に必要なマイナンバーも印刷して書面で税務署などに提出することしかできないソフトがある一方で、電子申告・申請まで対応しているソフトもありますので、提出時の漏えいリスクを軽減するためにも、電子申告・申請まで対応しているソフトを利用したいものです。○クラウドで提供される給与ソフトのマイナンバー対策クラウドで提供される給与ソフトの場合、前項で見たパソコンにインストールして使用するタイプの給与ソフトの標準的な対応は満たした上で、収集・本人確認や保管の機能に大きな差異がでてきます。・マイナンバーの収集クラウドの場合、マイナンバー専用のデータベースが用意されることはパッケージソフトと同様ですが、クラウド上で一元管理されることから、アクセスが許される人は、インターネットさえつながれば、どこからでも入力できることになります。また、入力機能に対応するデバイスもパソコンだけではなくスマートフォンやタプレットにも対応していますので、これらの特徴を活かして、従業員が本人および扶養親族のマイナンバーを入力できる仕組みを提供できます。担当者の負担を軽減できますし、本人確認書類の受け渡しなども不要になりますので、漏えいリスクも軽減できます。また、複数の拠点がある場合にも、支店からでも直接クラウド上のマイナンバー専用のデータベースへ直接入力ができ本社と共有できますので、拠点間でのExcelなどに入力されたマイナンバーデータの受け渡しも不要となります。・収集時の本人確認従業員が本人および扶養親族のマイナンバーを入力する際、担当者が本人確認資料(通知カード+運転免許証など)の提示をもとめ確認すれば良いわけですが、入力されたマイナンバーの正確さを担保するために、本人確認資料(通知カード+運転免許証など)を画像データとして取り込む機能をもつものもあります。この機能を活かせば、従業員が自宅でスマートフォンなどから入力し、その後担当者がPC上で本人確認を行うこともできます。収集から実際の利用まで時間がある場合、利用・提出時に再度番号確認を行うことも容易にできますので、できればこうした機能を利用したいものです。・マイナンバーの保管入力・登録されたマイナンバーは、クラウド上のマイナンバー専用のデータベースに暗号化されて保管されます。基本的には、事業所内のパソコンやサーバーには、マイナンバーが登録されることはありませんので、事業所内のパソコンやサーバーからマイナンバーが漏えいするリスクは限りなくゼロになります。また、ガイドラインが求める物理的安全管理措置も最低限の対応を行えば良いことになります。ただし、源泉徴収票などマイナンバーを記載する帳票を作成する作業時などに、一時的にでもパソコン内にマイナンバーが残るような機能がある場合は、そこにリスクが存在することになりますので、この点は要チェックのポイントとなります。今回は、事業所内のパソコンなどで管理するオンプレミス(自社運用)のシステムとクラウドで提供されるシステムの比較を見てみました。次回以降は、収集、利用・提出、保管・廃棄といったマイナンバー取り扱いの各プロセスで、オンプレミスvsクラウドの機能の違いが業務運用にどのような影響を与えていくのか、詳しくみていきます。著者略歴・中尾健一(なかおけんいち)アカウンティング・サース・ジャパン株式会社取締役1982年、日本デジタル研究所 (JDL) 入社。30年以上にわたって日本の会計事務所のコンピュータ化をソフトウェアの観点から支えてきた。2009年、税理士向けクラウド税務・会計・給与システム「A-SaaS(エーサース)」を企画・開発・運営するアカウンティング・サース・ジャパンに創業メンバーとして参画、取締役に就任。マイナンバーエバンジェリストとして、マイナンバー制度が中小企業に与える影響を解説する。
2015年08月31日スターティアは8月25日、従業員数300名以下の中堅中小企業に勤務し、人事総務・経理を担当する20歳から59歳までの経営者・役員、会社員に対して実施した「マイナンバー制度への意識調査第2弾」の結果を発表した。第1弾の調査(2015年6月1から6月3日実施)で中堅中小企業(従業員数300名以下)に勤務する情報システム担当者に対し、マイナンバー制度への対応準備を進めているかと質問したところ6%にとどまったが、今回の調査で人事総務・経理を担当しているユーザーに同様の質問をしたところ、2倍以上の15.7%となった。職務が異なるため一概には比較できないが、6月時点で「情報収集段階」だった企業が8月に入り、本腰を上げて対応の策定に取り掛かったと、同社では見ている。マイナンバー制度への対応策定をまだ行っていないと回答したユーザーに対し、いつまでに対応策を決める予定かと質問したところ、「わからない」と答えた企業は62.2%に及んだ。今年10月にマイナンバーが通知され、来年1月から運用が開始されるが、通知される前(本年9月)までに対応策定を決めると答えたのは10.4%、運用前(来年1月)までに策定を決める企業は18.4%、現段階でマイナンバー制度への対応策定を行っていない企業は、運用が開始してから対応に取り掛かる割合のほうが多いことがわかった。また、マイナンバーへの対応で困っていることを質問したところ、「必要な対策内容が不明確」(38.2%)が最も多く、これ「業務量の増加」「社内に詳しい担当者がいない」が続いた。そのほか、マイナンバー制度への対応策定を行っていると回答したユーザーに具体的な施策を聞いたところ、4割を超えたのが「人事・会計などのパッケージソフトウェアを新規導入、または更新」「マイナンバー専用収集・保管システムの導入」「マイナンバーに関する社員教育の実施」だった。
2015年08月25日日経BPコンサルティングは21日、2020年に向けたワークスタイルとIT活用に関する調査の結果を発表した。期間は、7月6日~7日。対象は、大企業、中堅・中小企業、および公共系組織の社内情報システムに携わる636名。○ワークスタイル改革を支援するIT企業、日本MSが1位「ワークスタイル改革を支援する代表的なIT企業」について聞き、4段階で評価してもらい、100点満点でスコア化した。1位は56.9点で「日本マイクロソフト」だった。次いで、2位は「グーグル」(56.6点)、3位は「NTTコミュニケーションズ」(53.2点)となった。「ワークスタイル改革に今後影響を及ぼすもの」を尋ねたところ、41.8%で「経営環境・事業環境の変化」が1位となった。次いで、「女性の活用」(31.8%)、「ITの急速な進展」(30.5%)が上位となった。また、企業がワークスタイル改革に取り組んでいる中で期待しているプラス効果を質問した。結果、最多は49.8%で「業務効率の向上」だった。以降、「従業員の労働時間の短縮」(40.9%)、「移動途中などのすき間時間の活用」(30.5%)となった。
2015年08月24日マイナンバー対策でより高いセキュリティ対策を講じるためには、紙ベースでの取り扱いは極力避け、電子データで取り扱うことがベターな選択となります。中小企業は、大規模な企業に比べてIT活用が遅れていることは事実ですが、マイナンバー制度の進展に伴い、紙ベースのアナログな社会から本格的なIT社会へと移行が進んでいくことを想定すると、マイナンバー対策を契機にできるかぎり効果的なIT活用を進めていくことが中小企業にとって避けられない課題となってきます。○中小企業のIT化の現状中小企業白書や情報通信白書など政府の発行する統計資料では、もはや「パソコンの導入率」といった統計は見られなくなっています(平成20年の中小企業白書に「パソコンの装備状況」として「小規模な企業の一部では、パソコンが装備されていない」としてグラフが掲載されていますが、それ以降同様の統計は見られなくなっています)。最近の政府の統計資料、平成26年版の情報通信白書では「ICT(Information and Communication Technology)の導入率推移」として、「インターネット利用」、「インターネット接続(光回線)」、「社外からの企業通信網への接続環境」、「クラウドの利用率」に着目しています。そのうち、「インターネット利用」では、企業のインターネット利用は平成19年には99%に達し、平成25年末では99.9%とほぼ全企業で導入されているとしています(図1)。これらのことから、中小企業でもほんの一部を除けば、パソコンもインターネットも導入され、なんらかの業務に活用されているのが現状といえます。図2は、2014年版の中小企業白書で、ITの普及に伴う市場や経営環境の変化の内容をどう捉えているかをグラフで示したものです。企業でのインターネット利用が99.9%に届き、個人レベルでもスマートフォンなどの普及によるインターネットの利用の拡大など、ITの普及はひと昔前に比べると格段に進んでいます。そんななかで、中小企業も”業務スピードの要求増大”や”同業他社との競争激化”に、いかにITを有効に活用していくかが課題となってきていることがみてとれます。また、この図2ではほとんどの項目で大企業が中規模企業、小規模企業にくらべてポイントが高いなか、”特段の変化はない”の項目では、小規模企業のポイントが高い結果となっています。小規模な企業で経営者も高齢な場合は、ITリテラシーも低いことが想定されますが、そのためにIT普及による変化から縁遠く、その変化も感じられないとすると、そうした企業は今後淘汰されていくリスクが高いと言えるのではないでしょうか。マイナンバー制度が社会的な基盤として機能する社会では本格的なIT社会として、これまでの紙ベースのやりとりが電子データでのやりとりに切り替わるなど、大きな変化が予想されます。マイナンバー対策を考える上でも、よりITを有効に活用することは、中小企業にとって大きな課題となります。○マイナンバー対策とIT活用漏えいなどのリスクを徹底して軽減するマイナンバー対策を考える上で、ポイントになるのは、マイナンバーの取り扱いを紙で運用することは極力避けること、そしてペーパーレスな運用を可能とするIT活用を考えることになってきます。たとえば、マイナンバーの収集、利用・提出といったプロセスで、従業員などから企業へ、企業から行政機関へと紙でマイナンバーが受け渡されるとなると、漏えいや紛失などのリスクは当然高まります。また源泉所得税や社会保障の手続きを税理士や社会保険労務士へ委託している場合は、企業と行政機関の間に税理士や社会保険労務士がはいり、プロセスが増える分、紙でのマイナンバーの受け渡しは、よりリスクが高まることになります。企業での収集の現場でマイナンバーを電子データとして入力し、そのままインターネットを活用してオンラインで受け渡すことができれば、リスクを軽減することができます。この例は、収集から入力までのシーンで見たものですが、マイナンバーを取り扱うすべてのプロセスで、どのようにITを活用することが、リスク軽減に有効なのかをまず検討する必要があります。○マイナンバー対策で現状のIT活用を見直す中小企業で年末調整まで行っているケースでは、その多くがパソコンに給与計算から年末調整までのパッケージソフトをいれて利用しているのではないでしょうか。それぞれのパッケージソフトによりマイナンバー対応の内容も異なってきますが、多くは、パソコンやサーバにマイナンバーを登録するデータベースを用意し、そこに入力・管理する形態となっています。そして、マイナンバーのデータベースへのアクセスをマイナンバーの取扱責任者または担当者に限定する機能を付加し、取扱責任者または担当者が従業員などから収集した本人および扶養親族のマイナンバーを入力する仕組みとなっています。では、マイナンバーの収集から入力まではどのような運用にするのでしょうか。提出書類以外に、マイナンバーの記載された紙資料を作成すると、それだけで安全管理の負荷が増大します。マイナンバー収集時には本人確認が必要となりますので、できれば本人確認で番号確認のために提示される通知カードから入力する運用ができれば、別にマイナンバーの記載された紙資料は必要なくなります。また、入力された番号が正しいことを担保するために、通知カードのコピーを保管する場合も、紙で残すのではなく画像データとして電子的に管理したいものです。そして、源泉徴収票など法定調書を税務署へ、給与支払報告書を市町村に提出する場合は、電子的に申請できる仕組みはすでに整っていますので、電子申請で提出をすることで、紙で提出する場合の手間やリスクを軽減したいところです。使用しているパッケージソフトでそこまで対応しているか、対応していないのであれば、パッケージソフトの見直しも考える、そして、事業所内のパソコンやサーバにマイナンバーを保管することのリスクを、IT活用でどのようにすれば軽減できるのかということも見直す場合の課題にしていきたいところです。厳しい罰則規定が設けられたマイナンバー制度で、中小企業がより安全・安心にマイナンバーの運用を行なっていくためのIT活用について、次回以降、ITベンダーなどのマイナンバー対応を見ていきながら、ベストの対応を考えていきます。著者略歴中尾健一(なかおけんいち)アカウンティング・サース・ジャパン株式会社取締役1982年、日本デジタル研究所 (JDL) 入社。30年以上にわたって日本の会計事務所のコンピュータ化をソフトウェアの観点から支えてきた。2009年、税理士向けクラウド税務・会計・給与システム「A-SaaS(エーサース)」を企画・開発・運営するアカウンティング・サース・ジャパンに創業メンバーとして参画、取締役に就任。マイナンバーエバンジェリストとして、マイナンバー制度が中小企業に与える影響を解説する。
2015年08月24日前回までは、よりセキュアな取り扱いが求められるマイナンバー(個人番号)について、中小企業が担わなければならない役割や、マイナンバーの取り扱いに際して必要となる準備などを詳細にみてきました。今回は、この連載の最終回として、マイナンバー制度のもう一つの番号である法人番号についてみていくとともに、マイナンバー制度の将来像と中小企業への影響を考えてみます。○法人番号はどのように使われるのかマイナンバー制度ともよばれる社会保障・税番号制度では、どうしてもマイナンバー=個人番号に焦点があてられた記事が多くなりがちですが、この番号制度では法人に対しても番号があらたに付番されることになっています。この法人番号は、国の機関、地方公共団体、会社法その他の法令の規定により設立登記した法人などに、国税庁が付番する13桁の番号です。法人番号も平成27年10月以降、書面により各法人に国税庁長官より通知されます。中小企業などの場合は、登記されている本店または主たる事務所の所在地に通知されることになります。マイナンバーは特定個人情報として様々な安全管理措置のもと取り扱わなければなりませんが、法人番号はインターネット(法人番号公表サイト)を通じて公表されることが予定されており、その取り扱いは大きく異なっています。国税庁が開設する法人番号公表サイトでは、法人情報として番号・名称・所在地が公開され、検索機能やデータダウンロード機能、Web-API機能(システムから法人情報直接取得するためのインターフェースの提供)などが提供される予定です。こうして法人番号が公開されることにより、「わかる」・・・法人番号により企業等法人の名称・所在地がわかる「つながる」・・・法人番号を軸に企業等法人がつながる「ひろがる」・・・法人番号を活用したあらたなサービスがひろがることが期待されています。法人番号がふられることで中小企業にとってどのような影響があるのか、現状の情報では計りかねるところがあります。社会保障や税の分野で、法人名などの記載が必要となる書類では法人番号の記載が求められるようになりますが、行政機関での法人番号を利用した情報連携がはかられていけば、これらの行政手続における届出・申請などの簡素化などのメリットも見えてくると考えられます。一方、民間で法人番号の活用がどのように進み、その結果中小企業にどのような影響がでてくるのかは、実際の運用が始まってみないとわからないというのが正直なところです。○マイナンバー制度の将来像マイナポータル政府が示すマイナンバー制度実施の流れ(※)では、平成29年1月から個人ごとのポータルサイト「マイナポータル」が運用開始することとなっています。この「マイナポータル」では、自分のマイナンバーをいつ誰が何のために行政機関などに提供したのかなどの情報が確認できる機能が提供される予定です。そして、平成29年7月には、政府機関と地方公共団体等も含めた情報連携がスタートし、そこに民間企業等も連携することで、暮らしがもっと便利になるようなワンストップサービスができるように構想されています。(※)政府公報 リーフレット「いよいよマイナンバー制度が始まります」より平成27年6月19日の日本経済新聞朝刊一面に、「医療費控除 領収書不要に」という記事が掲載されました。この記事では、医療費控除の申告をする場合に必要となる医療費の領収書がマイナンバーの個人用サイト(マイナポータル)にネット上で通知されることにより、電子申告する際には領収書の内容入力も不要となるとしています。この記事にあるようなことが実現するためには、健康保険組合が保有している医療費の情報とマイナンバーが結びつく必要があります。こうした構想を推進している政府の「IT総合戦略本部」が公表しているマイナンバー関連の今後の活用についての検討資料を見ると、マイナンバー(個人番号)カードによるワンカード化ということが構想されています。その一環として、マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにすることが検討されており、その実現がベースとなって、日本経済新聞の記事にあるような「医療費控除」の話も現実のものになります。また、保険会社などからは保険料の支払証明書などもマイナポータルへ電子交付されるような構想もあり、さらに民間企業をまきこんで様々な書類の電子交付が実現しマイナポータルへ集約されていくとなると、現状のような年末調整業務はマイナポータルに交付されるデータで電子的に完結するような社会になっていく可能性もあります。法人向けにも個人向けのマイナポータルのような、法人番号をキーとした同様のサービスを提供する構想も考えられているようですマイナンバー制度は、「行政の効率化」、「国民の利便性向上」、「公平・公正な社会の実現」を目指し、社会的基盤(インフラ)となることが期待されている制度です。そして、マイナンバー制度がインフラとして機能する社会は、上記でみてきたマイナポータルに代表されるような、インターネット以前の紙ベースで情報が行き交うアナログ社会から、電子データで情報がやりとりされるIT社会への大きな変革ともいえます。○紙から電子中心の本格IT社会への対応こそが中小企業の課題マイナンバー制度が中小企業に与える影響をみてきたこのシリーズでは、前回まで直近で必要となるマイナンバーへの対応を中心にみてきました。正直なところ、「負担ばかりが増えて・・・」というのが、当面の対応を考えたときの、中小企業や中小企業から委託されてマイナンバーを取り扱う税理士・社会保険労務士の方々の感想ではないでしょうか。しかし、前項のようにマイナンバー制度の将来像まで見とおして考えると、紙から電子データが主となる本格的なIT社会の到来を見すえた対応を、中小企業も課題として見据えておく必要があります。これから行うマイナンバーへの対応も、そこに向かう第一歩として、先進のITを上手に活用して、より安全な対応とすることが大事です。前回、税理士事務所などにマイナンバーの取り扱いを委託する場合の、より安全な対応としてクラウドシステムの活用を検討しました。中小企業および中小企業の委託を受けてマイナンバーを取り扱う税理士事務所などの方々には、マイナンバー対応はもちろん自らの主業務に、こうした先進のITを積極的に取り入れていくことでマイナンバー制度の将来に備えていくことをご提案いたします。著者略歴中尾健一(なかおけんいち)アカウンティング・サース・ジャパン株式会社取締役1982年、日本デジタル研究所 (JDL) 入社。30年以上にわたって日本の会計事務所のコンピュータ化をソフトウェアの観点から支えてきた。2009年、税理士向けクラウド税務・会計・給与システム「A-SaaS(エーサース)」を企画・開発・運営するアカウンティング・サース・ジャパンに創業メンバーとして参画、取締役に就任。マイナンバーエバンジェリストとして、マイナンバー制度が中小企業に与える影響を解説する。
2015年08月03日サービス産業生産性協議会は7月29日に、サービス産業の人材育成の一環として、中小サービス企業の経営人材を対象に、優良企業での実地体験型研修を通じて鍛える「大人の武者修行」(社会人インターン事業)の募集を開始した。本事業は、経済産業省の平成27年度「小規模事業者等人材・支援人材育成事業」(中小サービス業中核人材の育成支援事業)で採択を受けた事業で、2014年に続き2回目の実施となる。「大人の武者修行」は、中小サービス企業の次世代を担う経営人材を、優良企業の職場に送り、実地体験を通じて事業ノウハウを習得、自社に持ち帰ることでサービス産業全体の底上げを図ることを狙いとした、社会人インターンシップとなっている。受け入れ先企業は、同協議会による「ハイ・サービス日本300選」や「おもてなし経営企業選」などで受賞、選定された優良企業・団体約100社だという。応募者と受け入れ先企業の希望に応じて同協議会がマッチングを行い、8月末頃より随時実施していく予定となっている。期間は最短2週間から(2015年8月末~2016年2月末までの期間で実施)。研修費は、送り出し企業の負担は、1名1カ月あたり3万円(税別)となっている。なお、1カ月に満たない場合は、日割りで計算される。交通費と滞在費は、派遣に係る実費の3分の1の負担となり、3分の2は補助される。募集期間は2015年12月21日までとなっている。くわしくは、「大人の武者修行」のサイトを確認してもらいたい。
2015年07月29日前回は、マイナンバーの保管から利用までのシーンで求められる安全管理措置と、そのために何をしなければならないのかをみてきました。ここまでは、中小企業が源泉徴収票の作成など年末調整業務や社会保障関連の書類作成を行うことを前提に、準備しなければならないことなどを見てきましたが、多くの中小企業では、これらの業務を税理士や社会保険労務士に委託しているのが実際です。今回は、マイナンバーの取り扱いを税理士事務所などに委託する場合の注意点や相互の役割分担により安全に運用するためのポイントなどをみていきます。○マイナンバー 委託についてのルール中小企業がマイナンバーの取り扱いを税理士事務所などに委託する場合、中小企業は委託先となる税理士事務所において、安全管理措置などが講じられるよう必要かつ適切な監督を行う必要があります。「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」(特定個人情報保護委員会 以下「ガイドライン」)では、この「必要かつ適切な監督」について以下の3つをあげています。委託先の適切な選定委託先の選定にあたって、事業者自らが果たすべき安全管理措置と同等の措置が講じられているかどうか、あらかじめ確認しなければなりません。安全管理措置に関する委託契約の締結契約内容として、秘密保持義務やマイナンバーを含む特定個人情報の目的外利用の禁止、再委託する場合の条件、漏えいなどが発生した場合の委託先の責任などを盛り込んだ契約を結ぶ必要があります。委託先における特定個人情報の取扱状況の把握委託した特定個人情報が、安全管理措置のもと委託契約にそって適切に取り扱われているか、その状況を把握できるようにする必要があります。○委託する場合は税理士事務所などにまず相談することから始める「ガイドライン」が示す委託についてのルールは上記のとおりですが、実際に従来から年末調整などを税理士事務所に委託している多くの中小企業では、そのまま同じ税理士事務所に従業員などのマイナンバーの取り扱いも委託することになると考えられます。税理士の方々の集まりである日本税理士会連合会では、このマイナンバー制度、特にマイナンバーの取り扱いについて早くから問題意識をもって取り組み、「税理士のためのマイナンバー対応ガイドブック」を発行、全税理士に発送するとともに、研修会等を通して、マイナンバー制度への理解を促し、税理士が中小企業からの委託を受けるための対応準備への取り組みを早めに進められるように活動されています。年末調整だけでなく所得税など個人の税務関連でもマイナンバーを取り扱うことになる税理士事務所では、大量のマイナンバーを取り扱うことになりますので、事務所での対応準備に加えて、顧問先である中小企業に対してもどのような準備をすれば良いのかなど、すでに案内を始めている事務所も多いようです。従来から企業として法人税などの税務代理をお願いし、年末調整も依頼している場合、経理指導や税務についてのアドバイスを税理士事務所から受ける立場の中小企業が、マイナンバーの取り扱いについては税理士事務所を監督する立場となるわけですが、実際にどのようにすれば良いのか、顧問の税理士事務所に相談することからまず始めましょう。○現実的な役割分担を決める年末調整業務を税理士事務所に委託する場合を例に、中小企業と税理士事務所でどのように役割を分担することになるのか考えてみましょう。マイナンバーの取り扱いでは、収集・保管(廃棄)・利用といったプロセスを経て、最終的に番号法で決められた利用目的にそくしてマイナンバーを記載した源泉徴収票などを行政機関に提出することになります。従来税理士事務所が、年末調整業務において、中小企業の従業員や扶養親族の情報をパソコンなどに登録し、1年分の給与所得などを入力して源泉徴収票などを作成し税務署に提出するまでの業務を請け負っているとすると、マイナンバーの保管(廃棄)・利用・提供というプロセスは、税理士事務所が中小企業の委託をうけて行うことになります。では、従業員から本人および扶養親族のマイナンバーを収集するというプロセスは、どちらが行うことにすべきでしょうか?収集に際して必須となる本人確認において、継続的な雇用関係にあり人違いでないことを企業の取扱事務担当者または責任者が確認すれば身元確認書類は不要とされていますので、従業員に身元確認書類を用意させる手間を省くためにも、中小企業側で収集を行うほうが良いと考えられます。○役割分担に応じた準備と考慮すべき安全管理措置収集は中小企業で、保管(廃棄)・利用・提供は税理士事務所でと役割分担した場合、中小企業側ではどのような準備をしていけばよいでしょうか?従業員からの収集にあたっての準備の詳細は、連載第5回の「従業員からの個人番号の収集」で見たとおりですが、従業員への案内の方法や利用目的として明示する内容については、あらためて税理士事務所と相談しておくのがよいでしょう。その上で、収集方法や収集した従業員のマイナンバーの受け渡し方法を税理士事務所と相談して決めましょう。例えば、収集時に表計算ソフトなどを利用して電子データとして登録する場合は、USBメモリーなどで受け渡す方法などが考えられます。この場合、税理士事務所に渡したあと、中小企業側ではマイナンバーの利用用途がないのであれば、税理士事務所できちんと保管されていることを確認し、一旦登録した従業員のマイナンバーは破棄してしまえば、保管に関する安全管理措置までは必要ないことになります。書面で収集する場合、従業員から「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」にマイナンバーを記載して提出させる方法をとることになりますが、コピーを税理士事務所に渡し、原本は中小企業で保管しなければなりませんので、施錠できる書庫などに保管するなどの安全管理措置は必要となります。いずれの方法をとる場合でも、受け渡しに際してマイナンバーを持ち出す際のリスクを軽減するために安全管理措置を講じる必要はあります。以上のような受け渡し方法は、税理士事務所が利用しているシステムに依存して決まってくると考えられます。税理士事務所の多くは、事務所内のバソコンやサーバーにデータを保管するシステムを利用しており、そのために、上記のような方法で顧問先である中小企業が収集しても、受け渡す際の安全管理措置や、税理士事務所でのデータの取り込みまたはデータ入力で、税理士事務所にも大きな負荷がかかってきます。では、クラウドのシステムを利用している税理士事務所の場合は、中小企業でのマイナンバーの収集方法やデータの受け渡し方法はどのようになってくるのでしょうか?もともとクラウドシステムの大きな特徴は、税理士事務所と顧問先中小企業でデータをリアルタイムで共有できることです。この特徴を活かせば、中小企業でマイナンバーを収集時に、インターネットにつないだパソコンで従業員本人または取扱事務担当者がクラウド上のマイナンバー用のデータベースに入力、保存すれば、クラウド上で保管され、それはそのまま税理士事務所に共有される仕組みが提供できます。税理士事務所では、共有されたマイナンバーを利用して源泉徴収票などを作成、電子申告までそのままスムーズにできれば、手元でマイナンバーを管理することなく、申告まで完了できます。このようなクラウドであれば、受け渡し時の安全管理措置は不要となりますし、中小企業、税理士事務所とも事務所内にマイナンバーを保管することもありませんので、その部分での安全管理措置も大幅に軽減できます。また、クラウドシステムで利用されるデータセンターはセキュリティ対策にさまざまな施策を施しており、中小企業や税理士事務所に比べれば格段に高いセキュリティが保たれています。中小企業が税理士事務所にマイナンバーの取り扱いを委託する場合、「委託先の適切な選定」のために、中小企業と税理士事務所の連携でどれだけマイナンバーの安全な管理ができるのかという視点で、税理士事務所がマイナンバーの取り扱いに利用しようとするシステムについても確認しておくことは、大事なポイントとなります。著者略歴中尾健一(なかおけんいち)アカウンティング・サース・ジャパン株式会社取締役1982年、日本デジタル研究所 (JDL) 入社。30年以上にわたって日本の会計事務所のコンピュータ化をソフトウェアの観点から支えてきた。2009年、税理士向けクラウド税務・会計・給与システム「A-SaaS(エーサース)」を企画・開発・運営するアカウンティング・サース・ジャパンに創業メンバーとして参画、取締役に就任。マイナンバーエバンジェリストとして、マイナンバー制度が中小企業に与える影響を解説する。
2015年07月27日NECとNECプラットフォームズは7月24日、中小規模事業所向けオフィス・コミュニケーション・ゲートウェイ「UNIVERGE Aspire UX (ユニバージュ アスパイア ユーエックス)」の機能強化を発表した。新製品の想定システム価格は60万3,600円(税別)から、出荷開始は8月5日。新製品は、WebRTC(Real-Time Communication)技術によりGoogle Chromeで利用できるビデオ通話機能に対応。また、ユニファイド・コミュニケーション(UC)機能を利用可能なデスクトップ・コミュニケータ「UC100」で電話帳との連携を強化した他、ギガビット高速通信に対応した内蔵ルータをオプションとして利用可能になった。これらにより、一般的な通話利用に加えてUC機能を取り入れたい中小規模事業所向けのエントリー・システムとして、ユーザーのニーズに合わせた最適なソリューション選択が可能になるとしている。ブラウザによるビデオ通話では、従来のビデオ会議専用端末とは異なり標準化された規格であるWebRTC技術を採用しており、最大4者までのビデオ通話を実現するという。専用サーバやクライアント・アプリケーションを必要としないため、低コストで容易に、企業内コミュニケーションの活性化を図ることが可能になるとしている。UC100は、連絡先の相手がどのような状況にあるかを示すプレゼンス表示やチャット、メール連携機能など、専用サーバを設置しなくてもUC機能が利用可能なデスクトップコミュニケータ。今回発表した機能強化により、UNIVERGE Aspire UXの主装置に登録した最大1万件の電話帳と連携が可能となり、利用者自身が電話帳に登録しなくても、電話帳検索やワンクリック発信が可能になるという。また、高速通信に対応するルータ・ユニットを搭載すると、光回線などギガビット対応のIP回線サービスの利用が可能になるとのこと。さらに、保守作業における「かんたん設定」機能を強化し、Web管理画面からのネットワーク構築やIP電話サービスの選択をより簡素化したという。これにより、従来は多くの時間を必要としていた設定作業工数を短縮できるとしている。「IP5D-RTU-B1 ルータユニット」の価格は7万8,000円(税別)、出荷開始は9月9日。
2015年07月27日経済産業省は7月13日、中小・中堅企業の成長を後押しするため、企業が飛躍するカギとなった中小・中堅企業の成功・失敗に関する具体的な事例を約200社分とりまとめたWebサイト「ミエル☆ヒント」を開設した。誰でも閲覧できる。「ミエル☆ヒント-成功のカギ・ワナ-」では、中小・中堅企業の成功事例や失敗事例を整理・分析し、「飛躍のカギ」と「陥りやすいワナ」としてとりまとめており、中小・中堅企業が、飛躍のきっかけをつかむためのヒントを探すことができる。このbサイトは今後も随時アップデートしていく予定だという。
2015年07月14日カスペルスキーは7月7日、小規模企業が重大なサイバー脅威から資産を守る方法を同社のブログ「Kaspersky Daily」で解説した。ブログによると、多くの小規模企業はセキュリティコストを抑える傾向にあるため、セキュリティ上の不備が多いと指摘している。同社の調査では、サイバー攻撃のうち最大31%が従業員数250名未満の企業を標的とすることがわかっている。サイバー攻撃を受けるのは大企業ばかりではなく、小規模企業もしっかりとした対策が必要になっている。一般的な対策としてはセキュリティ製品を使う、保護が必要な重要データを把握するなどある。さらに、同社は小規模企業に実践してほしい対策を3つ紹介している。1つ目は、経営者は、サイバー攻撃、マルウェア、フィッシング、悪意あるサイトなどについての知識を得て、具体的なセキュリティ対策を学習することだという。サイバー犯罪者が攻撃するとき、最初から重要データが保管される端末ではなく、従業員が日常的に使っている端末を狙うケースが多い。攻撃者は、罠を張り巡らせて社員が誤ってマルウェアを端末内にインストールするように誘導させる。罠に引っかかった端末があれば、それを起点として同じネットワーク内のさまざまな端末を次々と攻撃する。経営者は、自社の企業を守る立場であるため、同時にサイバー攻撃への具体的な対策を講じる立場でもある。セキュリティ対策への費用を捻出したり、従業員へのトレーニングを行う必要がある。2つ目は、強力なパスワードやパスワードマネージャーを使用すること。今でも「123456」や「password」をパスワードにするケースが多い。そういった解読されやすい脆弱なパスワードが使われていることを同社は「犯罪者の思うツボ」とし危惧している。パスワードの安全性を上げるには、パスワードの文字列を複雑にするしかない。数字や英字だけの覚えやすいパスワードを作るのではなく、記号と数字、辞書に載っていない単語を含ませるなどしてパスワード作りをする必要があるとしている。最後は、重要度の高いデータを一番安全な方法で保存すること。これまでの傾向から、サイバー犯罪者は大規模・小規模の企業問わず、興味のあるデータがあれば攻撃を仕掛けてくる。サイバー犯罪者が興味の持ちそう情報には、しっかりとした保護対策をしておく。重要なデータは、ネットワークに繋がっていないストレージに保存し、自社のインフラ全体は小規模企業向けのセキュリティ製品で保護するようにと呼び掛けている。
2015年07月08日NTTデータは7月6日、マイナンバー制度に対応する中小企業や会計事務所向けのソリューション「データ管理の達人」を発表した。価格は、Professional Editionのダウンロード版で1利用拠点あたり年間4万9,800円(税別)。販売開始は11月下旬。新ソリューションは、現在約1万3,000のユーザーが利用しているという税務申告書作成ソフト「達人シリーズ」の新ラインナップ。主な機能として、マイナンバーを含めた税務業務に必要なマスターデータ(基本情報)の管理・収集機能や達人シリーズおよび他社ソフトウェアとのデータ連携機能、データ・セキュリティの統合管理機能を備えており、達人シリーズのユーザーがマイナンバー法で求められている安全管理措置に対応しながら、安全かつ正確に税務業務を行うことができるとしている。同ソリューションのマスターデータ管理機能のうちマスターデータの登録/保管機能は、各種業務ソフトウェアの基本情報として必要となるデータを、簡単に登録して保管できるという。保管には「達人Cubeセンター」を利用し、データに強度な暗号化を施すことで、高いセキュリティ性を確保するとしている。マスターデータの収集等の機能では、マイナンバーを含むマスターデータの収集機能と、データの正確性を容易に参照・チェックできるとのこと。特に収集機能では、従業員や扶養家族の基本情報を、マイナンバー制度で求められる適切な管理に準拠しつつ事務所にいながら安全に収集可能になるという。既存の達人シリーズなどとのデータ連携機能では、同ソリューションが管理するマスターデータを、既存の達人シリーズなどの業務ソフトや給与計算など他社ソフトと安全かつ効率的に連携する仕組みを提供するとしている。この機能により、二重登録等の作業負荷を大幅に軽減できるとのこと。マイナンバー法では安全管理措置の1つとして、個人番号を取り扱う利用者を厳格に定め、アクセス制御を行うことを求めている。同ソリューションの業務ソフトウェア・データ管理機能のうちセキュリティ管理機能では、達人シリーズで作成した業務データに対して、利用者ごとの管理権限やアクセス可能範囲の詳細な設定が可能。またアクセスログ取得により、いつ・誰が・どのデータへアクセスしたかを監査できるという。また、データ管理機能では、達人シリーズで作成した業務データを統合的に管理可能であり、業務データに関する複製・外部へのエクスポート・インポートなどが可能とのこと。データベース管理では、達人シリーズで作成した業務データの保管用データベースを統合的に管理可能であり、データベースに関するバックアップ/リストア/コピー/ペーストが可能。同社は今後、既存の達人シリーズの暗号化強化やアクセス制御などマイナンバーに対応した機能強化や電子申告の新ラインナップ商品の追加、パソコン環境での情報拡散を監視するサービスの提供など、中小企業や会計事務所が迅速にマイナンバーの安全管理措置に対応した環境の整備が行えるソリューションを提供していく予定とのことだ。
2015年07月07日NECは7月3日、ICTシステムのマイナンバー対応を検討する中堅・中小企業向けに、既存の人事・給与システムのセキュリティを短期間で強化する「マイナンバー安心セット」を発売すると発表した。マイナンバーを含む個人情報は、「特定個人情報」として従来の個人情報以上に企業での厳格な取り扱い義務が課せられるが、「特定個人情報」を安全に管理するには、システム改修や多岐にわたるセキュリティツールを組み合わせるなどの対応が必要となる。中堅・中小企業では、ノウハウやシステム運用管理者の不足により、こうした対応を行ううえで多大な費用と時間が必要になるとして、同社は、短期間でのセキュリティ強化を実現する新製品で、この課題にこたえる。「マイナンバー安心セット」は、PCにログオンできる人を限定し、なりすましを防止する「顔認証ログオンセット」、データベースを監視して「いつ誰がアクセスしたか」を追跡できる「アクセスログ監視セット」、ハードディスクの暗号化とデータ消去ソフトウェアにより格納データの漏洩を防止する「データ暗号化セット」から構成される。「顔認証ログオンセット」は、ビジネスPC「VersaProシリーズ」「Mateシリーズ」、顔認証でPCログオンする専用ソフトウェア、データの持ち出し制御、盗難防止機器などをセットで提供し、これによりPCログオン時から離席時、ログアウトまで常時セキュリティを確保し「なりすまし」による不正利用を防止する。価格は34万2000円から(税別)。「アクセスログ監視セット」では、IAサーバ「Express5800シリーズ」とデータベースのアクセスログを監視する専用ソフトウェアをセットで提供し、これにより複雑なデータベースログを容易に監視、取得可能となり、人事・給与システムのデータベースに直接アクセスされた場合でも、迅速な原因究明ができる。価格は81万7600円から(税別)。「データ暗号化セット」では、ユニファイドストレージ「iStorageMシリーズ」と暗号化ディスク、ディスク内のデータを完全消去できる専用ソフトウェアをセットで提供し、これにより、万が一ディスクが持ち出された場合でも、データの読み取りを防止する。価格は99万8000円から(税別)。あわせて、独立系ソフトウェア開発会社(以下、ISV)との協業を推進する「パートナーズISVビジネスセンター」を新設し、中堅・中小企業に対し、セキュリティ強化をはじめとするソリューションを拡充していくことも発表された。その第1弾として、オービックビジネスコンサルタント(主力製品:奉行シリーズ)と、ピー・シー・エー(主力製品:PCA Xシリーズ)と連携する。
2015年07月04日東京商工会議所は6月24日、中小企業の景況感をより正確に把握することを目的に、「東商けいきょう集計(中小企業の景況感に関する調査)2015年4~6月期」を実施し、その結果を発表した。調査期間は、5月21日から6月1日、対象は東京23区の中小企業2,424社。調査はFAXおよび聴き取りで行い、回答数は878社(回答率36.2%)。「業況DI(前年同期比)」は、前期と比べ8.1ポイント改善し、▲0.7と調査開始以来の最高水準だという。前年同期は増税後の反動減があったこともあり、今回大幅な改善につなだったのではないかとみている。業種別では、小売業は依然マイナス圏ながら、121ポイント改善し▲15.2となったほか、サービス業が11.4ポイント改善し5期ぶりにプラス圏に回復するなど、高水準を保つ建設業を除く全業種(製造・卸売・小売・サービス)で改善。なお、来期の見通し(前年同期比)は、今期と比べ0.4ポイント増とほぼ横ばいを見込んでいる。「売上DI(前年同期比・全業種)」は、前期と比べ12.7ポイント改善し3.9と5期ぶりにプラス圏となり、全業種で改善が見られた。業種別では、訪日外国人客の増加などにより、小売業は20.2ポイント改善し▲11.4、サービス業でも14.8ポイント改善し11.2となった。来期の見通し(前年同期比・全業種)は、今期と比べ2.5ポイント改善し6.4を見込んでいる。「採算DI(今期水準、「黒字」と回答した企業/「赤字」と回答した企業の割合・全業種)」は、前期から3.5ポイント改善し19.1となった。円安による原材料価格上昇には引き続き苦しむものの、在庫圧縮やコスト削減などにより利益率の向上に取り組み、13期連続黒字超を維持。業種別では、製造業が4.4ポイント改善し21.3となり、建設業を除く全業種(製造・卸売・小売・サービス)で改善した。「資金繰りDI(前年同期比・全業種)」は、前期と比べ6.5ポイント改善し▲2.5となった。
2015年06月25日