ミロク情報サービス(MJS)は、中小企業向けERPシステム「MJSLINK NX-I(エムジェイエスリンク エヌエックス・ワン)」の新オプションシステム「MJSLINK NX-I 財務大将BI(ビジネスインテリジェンス)」を開発し、7月1日より販売することを発表した。新システムは、中小企業の財務・会計に特化したBI。同社の中小企業向けERPシステム「MJSLINK NX-I 財務大将」と一体型のオプションシステムとなっているため、分析用データの抽出、取り込み、データ加工の必要なく、リアルタイムな分析を可能としている。また、集計値の元となった集計前のデータを表示させて原因を探るなど、集計結果から気になる箇所を自在にドリルダウン・ドリルスルーできるという特徴も持っている。価格は30万円~(税別)となっており、別途システム導入支援料、データベース料、保守サービス料が必要となる。
2015年06月24日○「個人番号関係事務実施者」とは?前回は、マイナンバー制度とはどのような制度なのか、その概要と今後のスケジュールを整理してみてきました。マイナンバー制度のなかで中小企業は「個人番号関係事務実施者」という役割をおうことになります。今回は「個人番号関係事務」とはどのような事務なのか、それを行う「個人番号関係事務実施者」に求められる役割などをみていきます。○個人番号関係事務実施者とはマイナンバー制度では、1人でも従業員を雇用している事業者であれば、自分以外のマイナンバーを取り扱うことになります。特定個人情報保護委員会の「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」(以下「ガイドライン」)では、従業員を有する事業者、中小企業が、他人のマイナンバーを取り扱うことを、個人番号関係事務と呼んでいます。具体的には、従業員などのマイナンバーを源泉徴収票や健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届などの書類に記載して、行政機関や健康保険組合などに提出する事務が、個人番号関係事務に該当します。そして、この事務を行う事業者や担当者および事業者の委託を受けて個人番号関係事務を行うものを、個人番号関係事務実施者と呼んでいます。小規模な事業者であっても、法で定められた社会保障や税などの手続きで、従業員などのマイナンバーを取り扱うことになりますので、すべての中小企業が個人番号関係事務実施者となります。小規模な事業者は、個人情報保護法で定める義務の対象外ですが、番号法で定められる義務は規模にかかわらず、すべての中小企業に適用されることになります。○個人番号関係事務を適正に実施するために知っておくべきこと個人番号関係事務を適正に実施するためには、番号法や「ガイドライン」で示されている「してはならないこと」「しなければならないこと」をきちんと確認しておくことです。この回では、「してはならないこと」を中心に知っておくべきことを整理してみましょう。○マイナンバーの利用制限マイナンバーの利用範囲は、法律に規定された社会保障、税および災害対策に関する事務に限定されています。一般の中小企業の場合は、社会保障および税の分野に限定されていると考えれば良いでしょう。個人情報保護法では本人の同意があれば、他の用途に個人情報を利用することができましたが、マイナンバーはたとえ本人の同意があっても、社会保障および税の事務以外で利用することはできません。たとえば、社員番号にマイナンバーを流用することはできません。○マイナンバーの提供の求めの制限、収集制限利用に制限がありますので、従業員などにマイナンバーの提供を求め、収集する場合も、社会保障および税の事務を利用目的とする範囲でしか、提供を求めることおよび収集することはできません。前項の例のように、社員管理のためにマイナンバーの提供を求め、収集することはできません。○マイナンバーの提供制限中小企業がマイナンバーを提供できるのは、社会保障および税に関する事務のために従業員などのマイナンバーを行政機関や健康保険組合などに提供する場合に限られます。たとえば、系列会社間で従業員が出向などで移動した場合に、系列会社間でマイナンバーを提供することはできません。この場合、出向先の会社は改めて本人にマイナンバーの提供を求め、収集しなければなりません。○マイナンバーの保管(廃棄)制限マイナンバーは社会保障および税に関する事務を処理するために収集、保管するわけですから、それらの事務を行う必要がある場合に限り、保管し続けることができます。継続的な雇用契約がある場合、従業員などから収集したマイナンバーを源泉徴収や健康保険・厚生年金保険などの関連事務で翌年以降も継続的に利用することが予定されますので、継続的に保管することができます。ただし、講演や原稿などを依頼し、支払調書を作成するために、講演者や原稿の執筆者から提供を受けたマイナンバーは、翌年以降同じ講演者や執筆者に依頼する予定がない場合は、継続的に保管することはできません。こうしたケースでは、必要がなくなったマイナンバーをできるだけ速やかに廃棄しなければなりません。○番号法の罰則規定「ガイドライン」では、「しなければならない」および「してはならない」と記述されている事項について従わなかった場合、法令違反と判断される可能性があるとしています。法令違反と判断されると、罰則が科される可能性もでてきます。番号法では、個人情報保護法よりも罰則の種類が多く、法定刑も重くなっているので注意が必要です。番号法で規定されている罰則には、国の行政機関や地方公共団体の職員などを対象にしているものと、民間事業者や個人を対象としているものがあります。下の表は民間事業者や個人を対象としている罰則規定と対応する法定刑を整理したものです。(内閣官房よくある質問 (FAQ)より)この中でも最も重い法定刑のものは、個人番号利用事務、個人番号関係事務などに従事する者や従事していた者が、正当な理由なく、業務で取り扱う個人の秘密が記録された特定個人情報ファイル(※)を提供するケースで、4年以下の懲役または200万円以下の罰金となっています。また、前項で取り上げた制限事項を守らず特定個人情報保護委員会の命令を受け、それに違反したケースでも2年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。個人番号関係事務実施者となるすべての中小企業では、限られたリソースのなかでマイナンバーを取り扱うことになりますが、罰則の適用を受けるような事態を避けるためにも、マイナンバー制度への対応をしっかり準備していかなければなりません。特定個人情報ファイル:個人番号をその内容に含む個人情報ファイル(個人情報データベースなど)著者略歴中尾健一(なかおけんいち)アカウンティング・サース・ジャパン株式会社取締役1982年、日本デジタル研究所 (JDL) 入社。30年以上にわたって日本の会計事務所のコンピュータ化をソフトウェアの観点から支えてきた。2009年、税理士向けクラウド税務・会計・給与システム「A-SaaS(エーサース)」を企画・開発・運営するアカウンティング・サース・ジャパンに創業メンバーとして参画、取締役に就任。マイナンバーエバンジェリストとして、マイナンバー制度が中小企業に与える影響を解説する。
2015年06月22日イノベーティブな発想に基づくプロジェクトを、企業内でビジネスとして成立させるために必要なノウハウとは?イノベーションを起こそうとする企業が、真に大切にすべきこととは?こうしたテーマに特化したセミナーやワークショップ、人材交流会を開催するコミュニティ「Innovation Cafe」が注目を集めている。昨年7月には「業務改革」(vol.0)、今年2月には「事業開発」(vol.1)をテーマにシンポジウムを開催し、数多くの参加者を集めたことからも、このコミュニティに対する期待の大きさ、ニーズの高さが伺える。そして2015年7月15日に秋葉原コンベンションホールにて、「技術開発」をテーマとしたシンポジウム(vol.2)が開催される(お申し込みはこちら)。今回は、これに先立ち、同Cafeの実行委員たちに、コミュニティ起ち上げの経緯や活動の目的などを聞いた。○なぜ今、イノベーションが必要なのか取材当日集まっていただいたのは、大成建設、大成ロテックを経て、現在はビジネスプロセス・コンサルィングなどを行う株式会社オランの代表、木内里美氏、CAC-社会起業家研究ネットワークの代表で、ソーシャルイノベーションに関する著書もある服部篤子氏、そしてITソリューションで企業の情報活用を支援するウイングアーク1st株式会社の奥田哲史氏と平田寛美氏の4人。ウイングアーク1stは、同Cafeのスポンサーであり、事務局の役割も担っている。同Cafe発案の原点は日本の将来に対する危機感だと、発起人の一人、木内氏は語る。「今後日本の高齢化はいっそう進み、20年後には急激に国力が劣化します。その時にも日本が今と同じような力を持ちつづけるには、イノベーションを起こして海外へ発信し、ビジネスにしていかなければなりません」そして、かつての仕事仲間である田辺 要平氏(大成建設)や、データサイエンティストとしても有名な河本 薫氏(大阪ガス)らと、イノベーター支援のための具体的な活動を模索し始めた。これが同Cafe誕生へとつながっていく。○異端・異才ならではの発想と、企業内の壁「イノベーションを起こせるのは、“異端児”です。だから“異端児ネットワーク”をつくり、その多様性の中から得た気づきを、イノベーションにつなげてもらえるような環境を用意したいと考えました。ただ異端児的な人材は、自分がやろうとしていることに対する熱意も知識もある反面、企業という組織の中にある政治を利用することが苦手で、想いを達成することができないことが多いものです」(木内氏)型破りな人材が、既存の事業とかけ離れた分野で何かを始めようとしても、予算取りや上層部の説得という壁にぶつかったり、社内で敬遠されたりするようになるのは、想像に難くない。ウイングアーク1stがスポンサーとなることを決めた理由の一つも、そこにあった。新しいビジネスを起こそうとしている同社のユーザーが、社内の壁を前に行き詰まっているケースをしばしば目にしていたのだ。「個人やチームが持つイノベーションへの熱い想いを、なんとか支援したい、当社製品のユーザー様に限らず、日本企業のイノベーションをしっかり支えていきたいと考え、事務局も引き受けることにしました」(奥田氏)「同Cafeでは企業内の個人やチームが、企業のリソースを上手く使いながらイノベーションを実現していく方法にフォーカスをあてることにしました。その方が効果も大きなものになりえるからです」(平田氏)○それぞれの想いが結実して生まれたInnovation Cafe企業内イノベーションの成功事例をコミュ二ティで役立てていきたいとの考えから、平田氏は、服部氏に参加をオファーする。服部氏は阪神淡路大震災をきっかけに市民の力、特にNPOの活動に着目し、社会起業家、ソーシャルイノベーションへとその研究の幅を拡げていった人物で、企業内イノベーターへの取材をまとめた『未来をつくる企業内イノベーターたち』(近代セールス社)の著者でもある。「今の社会には、政策と市民のニーズの間にギャップがあり、歪みが生じています。それを埋めるために多くのNPOが活動していますが、草の根運動では成果を上げるのに時間がかかってしまいます。だから企業がそうしたギャップ、つまり今目の前にある課題を、自らのビジネスにどう取り込んでいけるかを考えることが必要です。それこそがイノベーションとなり、社会的な成果につながるものとなるはずです」(服部氏)木内氏の抱く将来への危機感とは別の角度から、イノベーションの必要性を捉える服部氏だが、イノベーションを支援したいという想いは同じ。服部氏は実行委員となることを快諾する。こうして同Cafeの骨格ができあがった。○企業の内外からイノベーションを支援同Cafeでは、企業内イノベーションを実現させた(実現させつつある)人材を「バリスタ」としてシンポジウムに招き、その体験談からノウハウを学び取ってもらう他、バリスタたちが実践した人の巻き込み方、政治力の利用の仕方、新規ビジネスを定着させるためのノウハウなどを凝縮し、「イノベーターセオリー」として確立しようともしている。「最初の発想だけでなく、ビジネスとして定着するまで、全体をどうデザインしていくかがわかっていないと、実を取ることができません。そこを我々が『セオリー』にまとめ、ノベーションを起こすための手法として参加者と共有したいと考えています」(ウイング1st奥田氏)こうしたセオリーが必要となるのは、裏を返せば、企業内に新しい発想を評価できる人材がいないということの証でもある。「今の日本企業には、異端な人材の活かし方を知っている人が少ない。経営者も含めて、まず異端・異才を認知する力が必要です」(木内氏)そこで同Cafeでは、きちんとした評価のできる人材、個人を認められるリーダーの育成をも視野に入れつつ、同時に同Cafe自体がイノベーティブなプロジェクトを評価する役割をも担おうとしている。「成功した企業内イノベーターの場合、自社内よりも先に外部から評価されていることが多いですね。まず外部で認められ、何かの賞をとって、ようやく社に認められたという話は良く聞きます」(服部氏)「Innovation Cafeでは今まで表に出てきたことのないイノベーターを採り上げ、社外からその人の仕事の価値を認めることで、企業内イノベーションの支援につなげられればと考えています」(平田氏)○1500いいねを超えCafe Member同士の異業種交流もすすむ参加者や登録者はCafeMemberとされ、Member同士の業種をこえた交流も、同Cafeの大きな活動目的だ。立ち上げ当初から企業内の様々な部門から関心を集めており、Memberは今後ますます増えていくことが予測される。「企業の人は一人ひとりと喋っていると有能さを感じるのに、成果が出せていない人も多い。成果を出すためには、様々な人たちとコラボレーションし、知恵を出し合う場が必要です」(服部氏)「考え方が違う異業種の人から得られる影響は非常に大きいし、自分のヒントや力になります。そういう体験を広く味わってもらえるコミュニティにしたいですね」(木内氏)次回のシンポジウムは7月15日に開催される。イノベーションにつながる発想を持っている方、社命でイノベーションを起こすことを求められている方のみならず、イノベーティブな人材を育てる立場の方にも必見の内容となるだろう。「今は企業にも余裕がなくなってきて、本業に関係ないセミナーには参加できないという話も聞きますが、個としてその雰囲気を打ち破って、ぜひ参加していただきたい。それくらいでないと、社内の壁など打ち破れないでしょう」(木内氏)
2015年06月19日日立システムズは6月17日、中堅・中小規模企業向けに、日本マイクロソフトが提供するクラウドサービス「Microsoft Office 365(Office 365)」と自社のコンタクトセンターサービスを組み合わせた「Office 365まるごと運用支援サービス」を販売開始した。2018年度末までに累計200社の導入を目指す。同社は以前から、Office 365の導入支援、既存システムからの移行支援やActive Directoryとの連携、自社データセンターを利用したメールアーカイブなど、各種サービスを提供していたが、保守サポートに関しては日本マイクロソフトからの提供を受けていたという。今回、同社が日本マイクロソフトのクラウド・パートナー向けプログラム「マイクロソフト クラウド ソリューション プロバイダー プログラム」の認定を受け、自社でライセンスの販売と保守サポートを提供可能になったことから、新サービスを販売開始したとのこと。同サービスにより、中堅・中小規模企業におけるクラウドサービス利用時の課題解決を支援するとしている。同サービスと、導入支援サービスなど同社の既存サービスとの組み合わせにより、中堅・中小規模企業におけるOffice 365の検討段階から導入・移行、運用・保守、操作トレーニングから操作方法の問い合わせ対応まで、Office 365の導入・活用における各局面において、同社がワンストップでユーザー企業をサポートできるとのこと。さらに、コンタクトセンターサービスではIT製品のサポートに加えて、業務システムのヘルプデスク業務や受発注処理など、ユーザー企業の業務を支援するBPOサービスも提供可能としている。
2015年06月18日ミロク情報サービス(MJS)は6月15日、会計事務所や中堅・中小企業におけるマイナンバー制度(社会保障・税番号制度)への対応を支援するためとして、マイナンバー管理システムである「MJSマイナンバー」(オンプレミス版/クラウド版)を開発したと発表した。提供開始は2015年9月。価格は、オンプレミス版のスタンドアロン版が10万円(税別)から、クラウド版が月額2,000円(同)から。新システムは、マイナンバー情報を取得・保管・利用・廃棄する上において、セキュアな環境下での適正な取り扱いを支援するためのもの。税務システムや給与システムなどの業務システムとの連携により、税務申告書や源泉徴収票、支払調書などの帳票にマイナンバーを印字して出力することが可能になるという。また、同社の各種セキュリティ製品との組み合わせで、より高度なセキュリティ環境の構築を可能にするとしている。同システムは、オンプレミス版とクラウド版の2形態で提供。マイナンバーを自社で保管したくないユーザー企業はクラウド版を選択すると、アクセス認証とSSL暗号化通信によるセキュリティ環境のもとでマイナンバーを保管・運用できるという。オンプレミス版の税別価格は、スタンドアロン版が10万円から、LAN版が20万円から。別途ハードウェアや、導入支援サービス料およびソフト保守料が必要。クラウド版である「MJSマイナンバーCloud」の税別料金は、初期費用が3,000円、月額費用が1法人・従業員50人未満の場合で2,000円から。同システムには、マイナンバーの暗号化保存から各機能のアクセス権限管理、マイナンバーのアクセスログ管理、退職者などの削除アラート通知など、安全管理措置への対応を支援する各種機能が搭載されているとのこと。同社が提供する情報漏洩対策アプライアンスである「SOXBOX NX」やウイルス対策ソフト、ファイアウォール機器の利用により、より高度なセキュリティ環境を構築できるという。また、人事部門などのマイナンバー収集に関する負荷を軽減するため、従業員などが直接マイナンバーを入力・申請できる「マイナンバーのセルフエントリー機能」を、オプション・システムとして用意。さらに、同社の各種業務システムとの連携により、税務申告書や源泉徴収票、支払調書を始め、マイナンバーの印字が必要な各種帳票の出力が可能とのこと。マイナンバー関係の運用方針や取扱規定の策定などに関するコンサルティング・サービスや、マイナンバーの収集・管理などを受託する「マイナンバー登録・管理代行サービス(BPO)」も提供する予定だ。
2015年06月16日調査会社のIDC Japanが6月15日発表した調査結果によると、2015年の国内中堅・中小企業(従業員規模999人以下)のIT市場は、前年のPC更新需要の反動や業績が減速する企業の増加により対前年成長率-1.0%のマイナス成長となり、3兆7,368億円にとどまる見込みだ。2015年の同市場は、業績が減速する企業の増加に加えて、前年までのWindows XPのサポート終了に伴うPC更新需要の反動もあり、IT支出は減少傾向になっているという。一方、中堅企業や一部の中小企業には堅調な業績を維持している企業もあり、既存システムの刷新や新規システム開発などのIT支出を積極的に推進しているとのこと。2016年以降は多くの中堅・中小企業で業績が改善し、IT支出も回復すると同社は見込んでいる。また、既存システム刷新に加えてモビリティやクラウド、ビジネスアナリティクスを利用する戦略的な目的でのIT活用も増えると見ている。地域別に同市場を見ると、東京都を中心とした大都市圏とその他の地域で大きな差が生じているという。2015年も2014年に引き続き、多くの地域でIT支出はマイナス成長を予測しているが、東京都ではプラス成長を見込んでいる。また、2016年以降、関東地方(東京都を除く)、東京都、東海地方、近畿地方では堅調なIT支出となると同社は見込んでおり、情報システムへの展開も増えると見ている。その他の地域ではプラス成長に回復するが低い成長率となり、最低限のIT支出にとどまる企業が多いと予測する。地域によって中堅・中小企業のIT支出動向に差はあるが、同様にクラウドやモバイル、ソーシャル技術、ビッグデータといった「第3のプラットフォーム」ソリューションの利用状況も各地域で差が生じているという。同社のITスペンディング リサーチマネージャーの市村仁氏は、「ITベンダーは、地域によってソリューション戦略を適合させる必要があるが、特に『第3のプラットフォーム』を活用して効率的かつ効果的な提供を図ることが重要である」と分析している。
2015年06月16日○マイナンバー制度はすべての中小企業に影響がありますTVCMなどでも紹介されているマイナンバー制度。個人レベルではさまざまな利便性がもたらされると案内されています。また、今国会では、マイナンバーの民間利用を進める法案が審議され、2018年からの開始を見すえた報道も増えてきました。その一方で、マイナンバー制度が中小企業にどのような影響をおよぼすかについては、まだまだ周知されているとはいえない状況です。いろいろな機関から発表されている事業者のマイナンバー制度対応についての調査からは、大企業はすでに準備を始めている様子がうかがえますが、中小企業については、マイナンバー制度への理解も含めて、これからといった現状が見て取れますマイナンバー制度は、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(以下「番号法」 2013年(平成25年)5月31日公布)により成立した制度です。法律名にあるとおり、行政手続においてマイナンバー、すなわち個人を識別するための番号(以下、個人番号)を利用することになるわけですが、事業者がどのように関わることになるかの理解が進んでいないため、中小企業では、準備が進んでいないのではないでしょうか。今年末から使用することになる「平成28年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の、現時点で国税庁から公表されている書式(図1)では、給与所得者であるサラリーマンなどの従業員本人はもちろん、扶養親族の各氏名欄に個人番号を記入する欄が追加される予定です。この書類を集めることになる中小企業では、法律で規定されたルールを守って雇用者の個人番号を取り扱う必要があります。つまり、個人情報保護法では、扱う個人情報の数により規制の対象とならなかった中小企業でも、マイナンバー制度では「番号法」など関係法令の規制を受けることになるわけです。特に個人番号を含む個人情報は、漏洩などについて厳しい罰則も設けられており、中小企業でもルールをきちんと理解して対応を準備していく必要があります。○どの業務で個人番号の取り扱いが必要になるのか?マイナンバー制度は「社会保障・税番号制度」とも呼ばれ、中小企業で社会保障や税に係る業務を行うシーンで、従業員ひとりひとりに割り振られた個人番号を取り扱うことになります。具体的に個人番号の取り扱いが必要となる業務は、主に以下となります。○マイナンバー制度に対応するためにどのような準備が必要となるのか?これらの個人番号が記載されることになる書類の作成・提出は2016年(平成28年)1月からになっています。また、住民票を有する個人に2015年10月5日より市区町村より個人番号の通知カードが送付されます。個人番号の送付開始まで、もう半年を切っていますが、今からでも準備は遅くありません。まずは、前項であげた業務で、実際に個人番号を取り扱う業務や特定個人情報の範囲を明確にし、個人番号を取り扱う業務にあたる事務取扱担当者および責任者を決めることです。そのうえで、特定個人情報保護委員会(*)が公表している、「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」を参考に必要な準備をしていくことになります。主な項目をあげると以下のようになります。1.基本方針の策定従業員に制度を周知させるためにも策定することが重要とされています2.取扱規定等の策定特定個人情報の適正な取扱を確保するために策定します。前項であげた業務について、すでに業務マニュアルなどがある場合は、特定個人情報の取り扱いを明確化した項目を加えて作成することも考えられます。3.組織的安全管理措置担当者・責任者の明確化などの組織体制の整備や、取扱規定に基づく運用、取扱状況が分かる記録を作成・保存するなどの措置。4.人的安全管理措置取扱担当者に対する必要かつ適切な監督や、適切な教育を行うことなどの措置。5.物理的安全管理措置特定個人情報を取り扱う業務を行う区域、特定個人情報ファイルを扱う情報システムを管理する管理区域と特定個人情報を取り扱う事務を実施する取扱区域を明確にし、管理区域に対しては入退室管理、取扱区域に対しては間仕切り等の安全管理を行うなどの措置。6.技術的安全管理措置担当者や責任者のみが特定個人情報ファイルにアクセスできるように限定するアクセス制御を行うなどの措置。以上の項目を準備していくことになるわけですが、より詳しい内容については次回以降でみていきます。(*)特定個人情報保護委員会は、個人番号その他の特定個人情報の有用性に配慮しつつ、その適正な取扱いを確保するために必要な措置を講ずることを任務とする内閣府外局の第三者機関です。著者略歴中尾健一(なかおけんいち)アカウンティング・サース・ジャパン株式会社取締役1982年、日本デジタル研究所 (JDL) 入社。30年以上にわたって日本の会計事務所のコンピュータ化をソフトウェアの観点から支えてきた。2009年、税理士向けクラウド税務・会計・給与システム「A-SaaS(エーサース)」を企画・開発・運営するアカウンティング・サース・ジャパンに創業メンバーとして参画、取締役に就任。マイナンバーエバンジェリストとして、マイナンバー制度が中小企業に与える影響を解説する。
2015年06月08日大塚商会は6月1日、中堅・中小企業の事業継続計画(BCP)や災害対策(DR)のための「たよれーる Azureサイトリカバリーサービス」の提供を開始した。価格は初期費用15万円、月額14,900円(いずれも税別)。「たよれーる Azureサイトリカバリーサービス」は、仮想マシンの複製(レプリケーション)、有事の際の切り替え(フェールオーバー)、復旧後の切り戻し(フェールバック)を運用代行する。サービス利用に必要な各種作業は全て大塚商会が行う。同サービスでは、日本マイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Azure」を利用することで、初期投資額や運用コストを抑えている。顧客の仮想マシンをMicrosoft Azure上に常時複製し、確実に複製されているかを大塚商会の監視センターで監視。災害などの影響で顧客が通常使用しているサーバ(複製元)が停止した場合は、顧客から同社コールセンターへの連絡によって複製されている仮想マシンへの切り替え作業を実施するため、遅延なく事業を継続できる。また、認証サービスにより、複製されている仮想マシンへ安全に接続できる。複製元サーバの復旧後の切り戻し作業も同社エンジニアが行う。
2015年06月02日三菱東京UFJ銀行と日本政策金融公庫中小企業事業は27日、革新的な技術の事業化を通じ、次世代の基幹産業化を目指す中小・ベンチャー企業等の成長・発展を支援するため、業務連携に関する覚書(以下同覚書)を締結した。同業務連携を通じ、中小企業への情報提供や、依頼に基づく当該企業の相互紹介、支援ノウハウに関する双方間での情報交換を行うという。両者が有する強みを活かすことによって、ベンチャー企業の資金調達ニーズに対する支援について相互に連携し、新産業に挑戦する企業の成長促進、日本経済の活性化に努めていくとしている。なお、三菱東京UFJ銀行では、2月に中長期的な次世代基幹産業の支援を目的に、グループ会社の三菱UFJキャピタルとの戦略チーム「産業デザインオフィス」を立ち上げた。「産業デザインオフィス」では、将来の基幹産業を担い得る革新的な技術シーズに対し、事業化支援やグローバル産業化支援等、本邦金融機関最大級というネットワークを活かした金融・事業両面での各種支援を展開しているという。日本政策金融公庫中小企業事業では、政府系金融機関として全国の中小企業者の新規事業展開に対する支援を行っており、4月には地域のベンチャー企業等の支援を一層強化するため、東京に「東日本新事業・ベンチャー支援センター」、大阪に「西日本新事業・ベンチャー支援センター」を新設・増員し、その取り組みを強化しているという。同覚書の趣旨に鑑み、それぞれが連携・協力することで意義があると考えられる事項については、上記取り組みに限らず、幅広い協力関係の構築を目指していくとしている。
2015年05月28日ブレインハーツは5月21日、SMB(中堅、中小企業)向け売上管理クラウドサービス「ウランバ!」とCloud Paymentが提供する継続請求管理システム「経理のミカタ」との連携機能「経理のミカタ連携オプション」の提供を開始すると発表した。「ウランバ!」は、「Salesforce Sales Cloud」のアドオン・アプリケーションで、日々の見積、請求業務から売上の状態を自動集計し、年間予算計画との比較をリアルタイムに社内共有できるクラウドサービス。売上の推移をリアルタイムに可視化し、売上目標値に対して実行すべきアクションをタイムリーに判断することを可能にする。また、粗利を意識したグラフィック見積機能により、売上目標の推移だけでなく利益を意識した商談を社内に浸透させることもできるという。そのほか、見積電子捺印機能、請求/入金漏れメールなどの、営業業務をサポートする機能が各種用意されている。「経理のミカタ」は、請求、集金の自動化でコストを削減する、請求管理クラウドサービス。毎月請求が発生する取引先に対して、請求・集金・消込・未収催促が全自動ででき、毎月のルーティンワークを解消できるという。今回のオプションを利用して、「Salesforce Sales Cloud」「ウランバ!」「経理のミカタ」を連携することによって、見積、請求から回収業務に至る一連作業の効率化と業務改善が期待できる。また、「Salesforce Sales Cloud」で管理する顧客情報が利用できるため、「経理のミカタ」においては顧客情報の一元管理も可能となる。今回の連携には、CSVファイルを用いているが、次期バージョンでは、オンライン連携機能も提供予定としている。「ウランバ!」の価格は、1組織あたり初期費用が30万円、月額契約料が25,000円で、30日間の無料トライアルも用意されている。「経理のミカタ連携オプション」は、月額契約料5,000円となる。なお、Salesforceと「経理のミカタ」の利用費用は別途必要になる。
2015年05月22日○中小企業にも保護措置が求められるいよいよスタートが来年1月に迫ったマイナンバー制度。企業が個人番号(マイナンバー)を扱うことになる業務としては、従業員における所得税の源泉徴収、住民税の特別徴収、社会保険料の支払い、税務署に提出する法定調書の作成などが想定される。このまったく新しい制度に対してどう対応すればいいのかわからず不安な気持を抱える経営者や担当者も多いと思われる。ここで一度改めて、マイナンバーの性質を知り、その取扱いについて整理したい。まずマイナンバーの性質についておさらいしていこう。マイナンバーを含む個人情報は「特定個人情報」に位置づけられるが、これには従来の個人情報保護法だけでなく、より厳しい保護措置を求める番号法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)も適用されることになる。ここが1つのポイントだ。従来であれば、特定の情報を有しない企業の場合、特別な安全管理措置は義務付けられていなかった。しかし番号法ではすべての企業に対して特定個人情報の安全管理措置が求められるため、コストや人的リソースの乏しい中小企業であっても何かしらの対策をとらなければならなくなる。もし、対策を怠り特定個人情報が漏えいしてしまった際には、意図的に漏えいした人物はもちろんのこと、適切な安全管理措置をとっていなかった企業側にも罰則が適用されてしまうことから、ことさらマイナンバー対応を心配する風潮が強くなっていると言える。漏えいさせられた個人や業務委託先などから、企業に対し賠償請求が行われるといったことも想定されるので無理もないだろう。「当然ながら特定個人情報が漏えいしてしまうと、企業の信用問題にも大きく関わってきます。その被害の大きさは、罰金や賠償金などの額だけでは到底表せないものとなるでしょう。しかしながら、事前に特定個人情報を正しく取り扱えるようにするための適切な対策を施しておくことで、そうしたリスクを大幅に低減することができるという事実をぜひ知っていただきたいです」と指摘するのは、世界約150カ国のユーザーに支持されている、総合セキュリティベンダー ソフォスのセールスエンジニアリング部 セールスエンジニア 東方優和氏だ。では、マイナンバー制度の開始に向けて企業が安全・安心を得ることができるような対策とは、どのようなものだろうか──。最初に必要なのは、特定個人情報を含めた機密情報を扱うにあたって、社内ルールを決めておくことだという。この情報を見る必要があるのは、“どの部門”の“どの役職”だから、それ以外からは閲覧禁止にするといったように、業務の実態に合わせて情報の取扱いについてのルールを決める必要がある。「ルールを決めるというのは簡単そうに見えて実は大変な作業です。社内の情報の整理からルール作成まで、1~2ヶ月は平気でかかってしまうでしょう。特に小さな企業では、1人ですべてをやらなければいけないケースもあると思います。そのような場合には、もう1人担当者を設けたり、専門家からアドバイスを受けたりするといいのではないでしょうか」(東方氏)また、ルールを決める際には、情報、つまりファイルの置き場所も決めておかなければいけない。機密情報の場合、クライアントPCやUSBメモリーに保存するなどというのは論外と言っていい。そこで、“ファイルサーバーの所定のフォルダに保存し、ローカルやUSBメモリーには置かない”といったルールを決める必要がある。その上で、このルールが有効となるような技術的な対策を施すようにしたい。「技術的な仕組みをつくる際には、運用をある程度まで自動化できることを目指すといいでしょう。例えばアクティブディレクトリを使うのであれば、社員の異動に合わせてファイルやフォルダへのアクセス権限も自動的に変わるといった仕組みが有効です。最初は手間がかかるかもしれませんが、手間を避けてばかりだと、本番での運用の時に混乱が生じてしまいがちです。少ないスタッフで回していかなければならない組織がほとんどだと思いますので、長い目で見てなるべく運用負荷が少なく安全が保てるように考えるといいのではないでしょうか」(東方氏)○包括的なアプローチで機密情報の保護を特定個人情報はもちろん、企業のすべての情報漏えい対策では、万が一機密情報が外部に持ちだされてしまった場合でも、情報が漏えいしないようにすることが肝となる。そのための対策として、守るべきファイルには暗号化を施し、鍵の管理を適切に行うことが一般化しつつある。ただし、社員が情報を扱う際にいちいち暗号化をしていたのでは、セキュリティ上も効率上も大きな問題となってしまうだろう。そこで、決められたファイルやフォルダは自動的に暗号化されるようなソリューションを導入することで、社員が誤操作やストレスを感じることなく日々の業務をこなせるようにしたい。そうしたことが可能となるのが、ソフォスが提供する包括的なデータ暗号化ソリューション「SafeGuard Enterprise(以下、SafeGuard)」だ。SafeGuardはファイルサーバーからノートPC、モバイルデバイス、クラウドストレージにいたるまで、さまざまなOSやデバイス上のデータを自動的に暗号化するのである。「SafeGuardは、HDDやUSBメモリーなどストレージデバイスをまるごと暗号化したり、ファイルやフォルダ単位での暗号化の双方に対応しています。今回のマイナンバー対応においては、特定個人情報の含まれるファイルをきめ細かく暗号化指定でき、また、ファイルサーバーやクラウドストレージ上のファイルにも対応している、ファイル・フォルダ単位の暗号化が適しているでしょう」と、東方氏はアドバイスする。さらにソフォスでは、外部からの不正アクセスを防ぐためのUTMや、エンドポイントのセキュリティを守るアンチウイルス、外部デバイスへのコピーを防止するソリューションなど、あらゆるタイプのセキュリティ製品を包括的に提供している。そのため、ネットワークとエンドポイント、そして暗号化のすべてを統合した情報漏えい/セキュリティ対策を、一気通貫で行うことが可能なのである。最後に東方氏は、こう力説する。「一社ですべてのレイヤを包括できるのは当社以外にはないと自負しております。脅威が複雑・高度化するなか、エンドポイントとネットワークの両方で防御を行うことは必須となりつつあると言っていいでしょう。マイナンバーへの対応を機に、自社の情報漏えい・セキュリティ対策のあり方を見なおして、包括的なアプローチを取り入れてみてはいかがでしょうか」
2015年05月22日企業業績の改善や株主還元の強化から、5月の決算発表時に、増配を発表する企業が目立ちました。また、配当金について、利益の一定額を配当に回す政策を打ち出す企業も散見されました。今回は、日本企業の配当政策について調べてみました。○配当金と配当政策投資家(株主)は、投資先企業の株価の上昇という形で投資の成果を受け取ることが期待できるほか、投資先の企業が稼いだ利益から配当金という形で受け取ることができます。株価上昇の大きな原動力は企業業績の向上であり、そのため、設備投資や事業拡大などの投資が必要であることから、企業が稼いだ利益を、配当に回すのか、投資に回すのかは重要な問題と言えます。そのため、企業が稼いだ利益の割り振り(利益処分)は、企業の経営方針を決める最高の会議である、株主総会の重要な議題の一つとなっています。こうした利益処分の考え方は、配当政策と呼ばれ、日本企業はこれまで、安定した金額を継続して支払う配当政策を採ることが一般的でした。安定配当を配当政策に掲げる場合、企業は配当金額を減らすこと(減配)に抵抗感があり、増配に対して慎重な姿勢を取ることから、配当金額は低く抑えられる傾向となり、年間配当金額を株価で除した配当利回りは、相対的に低くなっていました。1990年代後半、株価が低迷する中、株式投資において配当金が注目され、海外投資家などからの強い要求もあって、安定した低い水準の配当金ではなく、例え変動したとしても、企業業績に見合った配当金を求める声が徐々に高まりました。ステップアップ安定配当の政策下では、高業績などにより配当金を増やす場合でも、増額する部分を「特別配当」、「記念配当」と称して追加的に支払う形式にし、将来、元の水準に戻した場合に、減配と見られるのを避けるようなことが行なわれていました。○配当性向配当性向とは、その決算期の企業の最終利益に対する配当金の割合を示すものであり、その期の配当金をその期の最終利益で除して算出します。日本企業の配当性向は30%程度と言われており、40%~50%程度といわれる欧米企業に比べると低い水準にあります。なお、利益を配当に回すか投資に振り向けるかは、企業の成長段階や経営スタイルなどによって変わるものであり、配当性向の水準だけで企業の優劣を決めることには注意が必要です。足元で、日本企業は「稼ぐ力」を強く求められるようになっており、ROE(自己資本利益率)の向上や、その先にある株主還元の強化が大きな課題となっています。すでに導入されたスチュワードシップ・コードや、6月から適用予定のコーポレートガバナンス・コードなどにより、これまで利益を蓄えて着実な経営に留まっていた企業は、蓄えた資金を、更なる成長のための投資や、配当や自社株買いなどの株主還元に、振り向けることが求められつつあります。このような流れを受けて、2015年の配当総額は初めて10兆円を上回る見通しとなるなど、増配を発表する企業が目立ちました。また、決算発表時に、配当政策として配当性向の採用を掲げる企業が散見され、そうした政策転換を行なった企業の株価が上昇するケースも見られました。現状では、ROEの向上に注目が集まっていますが、投資家として配当利回りや投資収益を考えた場合、配当の源泉は企業の利益であることから、新たな市場拡大や利益率改善などによるROA(総資産利益率)の向上を通じてROEを引き上げるという、まさに「稼ぐ力」の強化が望まれる時代に変化しつつあると考えられます。ステップアップ配当総額は6年連続で増えています。配当性向は配当額を最終利益で除して算出しますが、配当額に自社株買いを加えた額を最終利益で除して算出する「総還元性向」も注目を集めつつあります。(2015年5月21日 日興アセットマネジメント作成)●日興アセットマネジメントが提供する、投資信託・投資・経済の専門用語をテーマで学べる「語句よみ」からの転載です。→「語句よみ」※1 当資料は、日興アセットマネジメントが経済一般・関連用語についてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料ではありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。※2 投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。
2015年05月21日ノークリサーチは、2015年中堅・中小企業におけるPC関連の投資規模と今後の投資意向に関する調査の分析結果を発表した。この調査は、全国の農業/林業/狩猟業/漁業/鉱業を除く、年商5億円以上~500億円である国内民間企業の、企業経営もしくはITの導入/選定/運用作業に関わる職責者を対象に、2015年1月~4月に実施されたもの。有効回答件数は771社。調査結果からは、PC更新サイクルが徐々に長期化しており、今後、Windows 10やスマートデバイスの影響も検討が必要となることがわかった。PC関連投資規模の平均成長率(2014年~2019年)は0.86%となっており、ほかの投資分野と比べて低い値だという。その大きな要因の1つがWindows XPが長期間にわたって使い続けられたことなどに起因するPC更新サイクルの長期化が挙げられている。今夏~秋にリリースが予定されているWindows 10ではリリース後の1年間、Windows 7/8.xを対象とする無償アップグレードがSA契約の範囲内で提供される予定だ。また、Windows 10における機能強化などは「バージョンアップ」とは異なる「サービス形態」で提供される予定。中堅・中小企業においてもWindowsはPC向けOSの大半を占めるため、Windows 10の発売によってPC更新サイクルにも大きな影響を与える可能性が考えられる。また、年商30~50億円の企業ではPC更新にやや消極的で、企業規模と投資意向は必ずしも比例しないことも明らかとなった。なお、同調査で「PC関連」とされるものは、従来存在するPCハードウェアを導入する形態だけではなく、仮想化したサーバ上で複数のPC環境を動作させる「仮想PC型(VDI)」や、サーバ上のアプリケーションを複数ユーザーで共有する「共有サービス型」、各PCを遠隔操作する「1to1型リモートアクセス」、仮想PC型VDIをSaaS形態で利用する「DaaS」の利用形態も含めて算出されている。長期化するPC更新サイクルへの対策を講じるためにはPC販売にとどまらない視点の拡大が重要となってくるとも述べられている。
2015年05月20日エヌジェーケーは5月19日、中堅・中小企業向けBIツール「DataNature Smart」の新バージョンとして、集計表のデザイン性や利便性の向上を追求したという「同ver.3」を発表した。価格(税別)は、「ver.3 基本セット」が250万円から、「ver.3 Personal 基本パッケージ」が7万8,000円から。販売開始は6月16日。新バージョンは、従来製品より高速化したオンメモリ処理機能(64bit環境で選択可能、Personal版は非対応)を搭載するとともに、点在していた集計レイアウトの設定項目を集約するなど、全37項目にわたる機能改良を行ったという。操作性のさらなる追求に加え、視認性や集計表のデザイン性にも配慮し、コストパフォーマンスの高い製品になったとしている。利便性/デザイン性に関しては、まず、集計レイアウトに関する設定を1画面に集約し、設定結果を確認しながら編集可能にした。階層展開の表示方法を行/列項目それぞれ6パターンから選択可能にし、合計欄や集計項目の配置も含め、最大144パターンの集計レイアウトを設定パネルで変更できる。クライアント・ツールでデータ抽出を行う際に変数情報を指定可能であり、必要なデータだけを抽出できる。処理速度の向上に関しては、データ抽出でのネイティブ・ドライバの利用が可能になり、処理速度がODBC接続と比較して約4倍向上したという。またオンメモリ処理機能により、CSVデータ読み込みの時間が従来と比較して約3.7倍向上したとのこと。その他、レコード・データに対して数値項目や日付項目を使って条件を設定し、例えばサンプル品で単価が0円の物を除いて集計するなど、集計データの絞り込みが可能となった。また、Webレポートの画面デザインを整理し、操作性や視認性を向上。ラインナップは、「ver.3 基本セット」が250万円から(税別、以下同様)、廉価版の「ver.3 Basic」が80万円から。DataNature Smartの保守契約ユーザーは、無償でバージョンアップ可能。「ver.3 Personal 基本パッケージ」は7万8,000円から。またRDBからのデータ抽出ツールが7万8,000円から。
2015年05月20日アイルは5月18日、中小企業に特化したIT資産管理・稼働管理クラウドサービス「アラジンライブモニタ」の提供を開始した。企業の情報漏えい問題や2016年1月からのマイナンバー制度(社会保障・税番号制度)施行により、企業において情報管理やセキュリティ対策の二ーズが高まる中、同社では中小企業でも導入しやすいように、シンプルな機能で低コストのIT資産管理・稼働管理クラウドサービスを提供する。主な特徴として、必要最低限の機能に絞り月額利用料がクライアントパソコン5台で2,500円(税別)というコストの低さや、コールセンターや遠隔操作によるサポート体制、操作ログ管理機能やアラート機能による情報漏えい対策が挙げられている。機能面では、パソコンごとのOSの更新状況やリソース稼働状況などの把握が可能で、印刷履歴やログオン/オフ履歴、外部記憶デバイス接続情報を自動収集できる。さらに、ハードウェアの機種名や使用者名、ソフトウェアの使用数といった情報を管理し、パソコン以外にもプリンタや複合機などのネットワークに接続された機器情報を自動収集する。料金は、月額(税別)5台 2,500円/10台 4,000円/20台 7,000円/50台 16,000円(※別途、別途初期費用が必要)となっている。
2015年05月19日企業の経営支援サービスなどを通じて企業の成長と課題解決を支援している株式会社 大塚商会は、慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科との共同研究から中堅・中小企業における新事業創出支援プログラムを開発・提供している。そのプログラムの基礎となるのは「イノベーティブ思考法」という考え方だ。2015年4月23日、東京・大塚商会本社で開催されたプレセッション「中堅・中小企業に求められる新規事業創出とその考え方」では、大塚商会で経営支援を担当する 清水 詠氏と、慶應義塾大学大学院 特任講師富田 欣和氏から、中堅・中小企業における新規事業創出の必要性と、それを実現するために有効とされる「イノベーティブ思考法」が、講演とワークショップによって紹介された。○事業を「小さく始める」ための環境は、整っている現在の成熟・複雑化した社会環境の中で成長していくためには、「今の顧客」の声を聴くだけではなく、「将来の顧客」の声を洞察し、これまでにない新たな価値を創造する ―― つまり、市場の"不確実性"をチャンスと捉え、新しい土俵を自ら創り、そこでビジネスを展開していく必要性がある、と清水氏は語る。新規事業の創出に成功すれば、既存事業以外の収益源となって経営が安定するとともに、組織の活性化や人材育成も期待でき、結果、企業の持続的な成長につながる。これまで中堅・中小企業では限られた経営資源が足かせとなり、新規事業の創出を拒んできたが、ここにきて「クラウドソーシングによる専門家への業務委託」、「DDM(Direct Digital Manufacturing)による金型・組立無しでの最終製品の製造」、「クラウドファンディングによる柔軟な資金調達」、「オープンイノベーションによる他企業・研究機関とのアイディア・技術面での連携」など、ビジネス創出の初期の段階から小さく試しながら新しいことに挑戦できる環境が整ってきている。中堅・中小企業が、"俊敏性"や"意思決定スピードの速さ"といった本来の強みを活かすことで新規事業を創出し、イノベーションを巻き起こすチャンスは拡大していると言える。従来「イノベーション」は、「革新・刷新」のように訳されてきたが、富田氏は、関西学院大学教授の玉田 俊平太氏が提唱する「創新普及」の方が的確だと言う。「新しいものをつくって普及させるというライフサイクル全部を"イノベーション"と捉えるべきで、これこそが新規事業と呼べるものです」と言う。しかし一体、どうすれば、収益につながる新規事業を起ち上げられるのだろうか?○まず何を、どう考えるのか?イノベーションは最初から狙って生みだせるものではないが、これまでとは違う「本当に世の中に受け入れられる価値」、「多くの人が欲しいと思う価値」を生み出すために、アイディアや結論よりももう少し抽象度の高い「インサイト(気づき)」を媒介としながら、イノベーティブに思考し続ける強い意識を持つことが重要である、と富田氏は言う。面白いアイディアが育つ前に事業性を評価することで尖ったアイディアが丸くならないために、最も重点的に取り組まなければならないのはコンセプト段階での"価値探索"とその"深堀り"であることを忘れてはいけない。では一体何を、どうやって考えればよいのか?その解となるのが、"システム思考"と"デザイン思考"とを掛け合わせた「イノベーティブ思考法」だ。"システム思考"は端的に言えば、全体を俯瞰し、そこにある構成要素と、そのつながりを考える、ということ。一方"デザイン思考"は、分析的に物事を考えるのではなく、人間らしさを意識した創造的な考え方だ。自由な心で対象を観察し、そこから得られる気づきを活かすこと、多様な人材を巻き込んで協創(協働でのアイディア発想)すること、そしてプロトタイプをつくって、それにユーザーが共感してくれているかを確認すること、この3つの柱となる。○アイディア自体よりも、「なぜそれが面白いのか」に気づくことが重要「イノベーティブ思考法」に基づき面白いソリューションを考える方法として、富田氏は簡単な図式を使って紹介した。まず、新規事業を打ち出そうと考える領域にあるすべての解の空間の中に、既存の答えの空間が内包されているとする。そしてブレーンストーミングなどで、既存のものであれ、そうでないものであれ、大量のアイディアを出すことで既存の答えを越えていく。次に、それぞれのアイディアがどんな意味を持つか、なぜ面白いのかを検討し、親和性の高いものをグルーピングしていく。この段階で既存の答えの空間を構造的に捉えることができるため、その外側にある「意味」「面白さ」をすくい上げて「インサイト(気づき)」を獲得し、その面白いと思った新たな領域でまたアイディアを創出する(既存の枠を認識した上でその外側に出て、具現化する)…この繰り返しで、コンセプトを固めていくのだ。自由な発想に基づくデザイン思考で出た数々のアイディアを、システム思考で俯瞰しながら構造化させ、そのつながりを考えることで、進むべき方向性を決め、正しい価値を見極めていく。○「イノベーティブ思考法」を実体験富田氏のセッション後半では、「イノベーティブ思考法」を体験するためのミニワークショップが行われた。テーマは「新しい"コミュニケーションツール"の切り口を考える」。二人一組になった参加者に、「FAX」「スカイプ」「スピーチ」「スマートフォン」「手話」「のろし」など、30枚ほどのコミュニケーションにまつわるカードと、1枚の大きな紙が配られた。紙に縦横の軸を持つ2×2のマトリクスをつくり、参加者が自由に考えた複数の軸を何度も組み合わせながらカードがどこに位置するのか、二人で議論しながら配置していくことで、思いもしなかった「インサイト(気づき)」をみつける、というアクティビティだ。参加者たちがしばらく作業をしたところで、富田氏から「まさかアナログ・デジタル、私的・公的のような軸にしていませんよね?」との指摘があると、会場からは苦笑めいたどよめきが起こった。「これまでにないものを生みだそうとするなら、これまでにないような軸の組み合わせをつくらなければいけません」。将来、新規事業を生み出すためには、自由でイノベーティブな発想をしなければならないことを再認識した参加者たちは、改めて軸の特性を検討し直し、作業を進めた。「自分たちしか気づいていない軸を探してください。軸決め(問題提起)がイノベーティブなら、結果もイノベーティブなものになります」アクティビティ終了後、富田氏は、それぞれがつくりあげたマトリクスを前にする参加者たちに言った。「どうしてそういう配置になるのか、という問いかけからインサイト(気づき)につながります。次はそれをプロトタイプなどで確かめてみれば、もしかすると新しい価値発見の第一歩になるかもしれません。インサイトは、ソリューションを生み出すための新しい視点や方向性を与えてくれます。2×2というシステマティックな枠組みの中で、デザイン思考によって自由に考えれば、単なる分析でもインスピレーションでもないところから、皆さんにとって自信のあるユニークなインサイトにつながり、結果、新しいソリューションが生まれてくるのです」○体験して、はじめて分かる、新規事業創出のポイント約3時間にわたる講演とワークショップを終えた参加者からは、「このセッションの考え方を弊社の幹部社員に研修にも入れたい。特に2×2によるインサイト抽出は効果的」「意識をしているだけではなく、実際に手をうごかしてみることが何より難しく何より大切だと改めて感じた」などの感想が寄せられた。大塚商会では、今後も新規事業創出のヒントになるワークショップを実施していくという。6月には、4日間にわたってアイディアの創出から製品化、プロトタイピングなどを体験できる、より踏み込んだワークショップも予定されている。自社の現在や将来に危機感を持つ方々のみならず、新たな思考法・発想法に興味を抱かれた方は、この機会に参加してみてはいかがだろうか。6 月開催ワークショップの詳細は以下の通り・タイトル:新規事業創出支援プログラム 体験型ワークショップ「独創的な製品・サービスを生み出すイノベーティブ思考法」・開催日時:2015年6月 5日(金)9:30~17:30 (懇親会 ~19:30予定)2015年6月12日(金)9:30~17:302015年6月19日(金)9:30~17:302015年7月 3日(金)9:30~17:30 (懇親会 ~19:30予定)・参加費:80,000円 (税別)・開催会場:株式会社大塚商会 本社ビル 3F 東京都千代田区飯田橋2-18-4・主催:株式会社大塚商会詳細はこちらから
2015年05月19日ユーザーローカルは5月12日、ビジネスSNS「LinkedIn」の人気企業ランキングを集計し、その結果を発表した。同ランキングは、「それぞれの企業アカウントを、何人のユーザーがフォローしているか」をもとに順位付けしたもの。これによると、最も人気のある日本企業は日産自動車で、フォロワー数は25万8,611人となった。また、同社は、「LinkedIn人気企業ランキング」のサイトを公開し、同結果のほか、登録社員数のランキングや日別のフォロワー数推移グラフを掲載している。これらのデータは、ユーザーローカルが提供するソーシャルメディア解析ツール「Social Insight」にて、さらに詳しく分析することが可能だ。
2015年05月12日ライオンはこのほど、IT企業に勤める20歳代女性を対象とした「ライフスタイル」に関する調査の結果を公表した。同調査は、IT企業(ヤフー、アイスタイル、フリークアウト)に勤める20歳代女性を対象に、今年3月にインターネットを通じて実施。59名から有効回答を得た。○新社会人女子のお手本? 若手女子社員のライフスタイルとは「職場生活の満足度」について聞いたところ、76.5%が満足していると回答した。その理由は「人間関係に恵まれている(79.5%)」が最も多く、以下、「職場環境が整っている(59%)」「仕事が自分に合っている(51.3%)」が続いた。また、将来結婚を考えている人(84.3%)に聞いたところ、9割以上が「結婚後も仕事を続けたい」と回答した。「仕事上で日頃から心掛けていること」を聞くと「コミュニケーションを大切にしている」が78.4%と最も多かった。フリーコメントによると、その秘訣は「デジタルツールに頼らない」「誰に対しても笑顔で接する」フラットコミュニケーションにあることが伺えた。「職場に限らず、日々の生活の中で充実感を得られるのはどのような時か」を聞いたところ、「友人や仲間といる時(59.1%)」に次いで「仕事に打ち込んでいる時(54.6%)」「趣味に打ち込んでいる時(54.6%)」が上位に挙げられた。「週末にしていること」を聞いた。その結果「掃除・洗濯(87.2%)」が最も多く、次いで「休息・寝だめ(74.5%)」となった。それに対し「もっとやりたいと思っていること」では「勉強(57.5%)」が最も多く挙げられた。健康のために日頃から何かしらに取り組んでいる人を対象に「健康のためにしていること」を聞いた。トップ3は「栄養のバランスを考えて食事をする」「野菜をたくさん食べる」「睡眠をしっかりとる」となった。また、「美容のためにしていること」のトップ3では、「スキンケアを怠らない」「野菜をたくさん食べる」「睡眠をしっかりとる」が入った。
2015年05月09日6月より、企業のあるべき行動を記した「コーポレートガバナンス・コード」が導入されることとなり、市場でも注目が集まっています。日本の企業や株価にどのような影響を与えるか、今回はコーポレートガバナンス・コードと資本効率について調べてみました。○コーポレートガバナンス・コードコーポレートガバナンス(企業統治)とは、透明性が高く、迅速な意思決定を行なうための仕組みを意味します。企業が株主から経営を託された者として、また、顧客や従業員などの関係者に対する責任を果たすことをめざし、取るべき行動原則を記した「コーポレートガバナンス・コード」は、そうした仕組みを強化するために、6月1日より導入されることとなりました。同コードでは、OECD(経済協力開発機構)のコーポレートガバナンス原則や、英国のコーポレートガバナンス・コードなどをベースに、東京証券取引所(東証)と金融庁が原案を策定しました。そこには、株主が議決権などの権利を適切に行使できるような環境整備や、経営の透明性を高めるために経営戦略や財務情報などの適切な情報開示を行なうことに加え、企業価値の向上をめざし株主総会以外でも経営陣と株主が対話を行なう体制を整える、といった原則が定められています。東証は、こうした内容を適用した上場規則を同じく6月1日より施行することで、日本の上場企業に同コードの実施を求める予定です。また、実施しない場合はその理由を説明することが求められ、さらに、その説明をしない企業には、東証による社名の公表や、改善報告書の提出などの措置がとられます。同コードは政府の成長戦略の一環として位置付けられており、グローバル競争に打ち勝つための「攻め」の経営判断を後押しする仕組みとして、日本企業の持続的な成長、そして「稼ぐ力」の向上を促すことをねらいとしています。同じく持続的な企業成長を促すという主旨で「スチュワードシップ・コード」が昨年に導入されました。これは、機関投資家が顧客から預かった資金を適切に管理・運用する責任を果たすための「株主」側の行動原則です。「企業」側の行動原則であるコーポレートガバナンス・コードとともに、「企業価値を向上させるための車の両輪」として、日本企業の「稼ぐ力」の向上に寄与することが期待されます。ステップアップ同コードでは、独立した社外取締役を2名以上選任するべきとしています。外部の立場にある社外取締役が株主の視点に立って経営を監視することで、日本企業の収益力や国際競争力の向上につながることが期待されています。○資本効率コーポレートガバナンス・コードで焦点となっているのが、資本効率です。資本効率とは、企業が株式発行などにより調達した資本をどれだけ効率的に活用して利益を上げているかを示すものです。資本効率の指標として代表的なものが、株主が投資したお金(自己資本)を使ってどれだけ効率的に利益を上げているかを示すROE(自己資本利益率)です。近年の日本では、長らく続いた景気低迷を受け、財務の安定を優先して手元資金を積み上げたり、設備投資を控えたことなどから、収益率が低下し、ROEが欧米企業などと比較して低い傾向にありました。同コードでは、外部の声を経営に反映し易くさせることで手元資金の活用が進むと期待されているほか、政府も「グローバル水準のROEの達成」をコーポレートガバナンスの強化の目安の一つとしています。こうした取り組みを受け、ROEを経営目標に設定したり、増配や自社株買いといった株主還元によって資本効率を高める動きがみられるなど、日本企業にも既に変化が現れ始めています。足元では、こうした日本企業の変革の兆しがROEを重視する海外投資家を中心に市場で好感され、日本株式の上昇に寄与しました。6月よりコーポレートガバナンス・コードが適用されることで、日本企業の資本効率改善へ向けた「変革」が更に拡がることが期待されています。ステップアップ最近では、日本の機関投資家の議決権行使の判断基準にROEが用いられるようになり、ROEが一定以下の場合、トップ人事に反対するなど、「物言う株主」としての動きが拡がりつつあります。ROE向上へ向けた動きは企業だけでなく、株主側にも拡がっているようです。(2015年5月7日 日興アセットマネジメント作成)●日興アセットマネジメントが提供する、投資信託・投資・経済の専門用語をテーマで学べる「語句よみ」からの転載です。→「語句よみ」※1 当資料は、日興アセットマネジメントが経済一般・関連用語についてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料ではありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。※2 投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。
2015年05月07日オープントーンは5月1日に、中小企業の業務のIT化をサポートする「IT助っ人」サービスの提供を開始した。同サービスは、「社内にIT技術者がいない」「担当者が忙しくて対応できない」といった状況の企業向けに、同社のエンジニアが1日~1週間の範囲で業務改善のためのITサービスの導入やツール作成などを実施するサービスとなっている。同サービスの料金体系は、作業工数による従量制となる。1日あたり(8時間分)の費用が45,000円で、毎月継続契約の場合は20%割引される。1週間分の工数までが作業量の上限となっている。同社に依頼が可能な作業例として、下記が挙げられている。手作業で同じような資料をたくさん作成している。ツールを作成して作業効率を向上させたい。Excelの数式や集計、マクロの機能を使用して日次・月次などいろいろな出力を自動化したい。検討中のクラウドサービスで導入シミュレーションしたいので、初期設定をお願いしたい。新しいソフトウェアを購入したので、業務フローに沿った電子マニュアルを作成したい。
2015年05月01日東京理科大学は4月27日、同校の葛飾キャンパス内に、中小企業の航空宇宙産業への参入を支援することを目的とした「トライポロジーセンター」を設立し、5月より運用を開始すると発表した。トライポロジーとは、固体の摩擦・摩耗・潤滑を取り扱う工学分野のことで、ハードディスク、ピストンリング、トランスミッション、ブレーキなどさまざまな製品に活用されている。新センターはこのトライポロジーをコア技術とする研究の拠点として開設された。同センターの目玉は3D SYSTEMS製の金属3Dプリンタ「ProX300」だ。「ProX300」は高精度レーザー焼結方式を採用しており、最大造形サイズは25×25×30cmで、最薄で150μmの板材が造形可能だ。同装置を納入したキヤノンマーケティングジャパンの担当者によれば、日本ではまだ数台しか導入されていないとのこと。そのほか、3次元形状測定装置、分子間相互作用解析装置などさまざまな先端機器・装置を導入。センター長に着任した東京理科大学工学部機械工学科の佐々木信也 教授は「装置もさることながら、本学で蓄えた知識を現場の皆さんへ供給していく事も役割の1つ」と語り、装置を活用しながら企業と協力していく姿勢を強調した。大学側がこうした姿勢を示す一方で、企業側が「大学に自分たちの課題を持ち込むなんて…」と躊躇する場合もあるという。佐々木教授が「重要なのは、地元の中小企業はじめ日本の産業界に役立てること。技術者の方々や、現場でのトラブルで困っている人たちとわいわい話すことのできる拠点としたい」と語ったように、同センターを中心に産学の連携が活発化しものづくり現場でのイノベーションにつながっていくことが期待される。
2015年04月28日エネルギア・コミュニケーションズは4月23日に、中小企業・個人事業者向けサービスとして「メガ・エッグ ビジネス」を5月15日から開始することを発表した。同サービスは、インターネット接続サービスの「メガ・エッグ ビジネス 光ネット」と、IP電話サービスの「メガ・エッグ 光電話」、ホスティングサービスの3つのサービス構成となる。「メガ・エッグ ビジネス 光ネット」は、光回線とプロバイダ、セキュリティサービス(マカフィーまたはウイルスバスター)がセットとなった、最大速度が上りも下りも1Gbpsのインターネット接続サービスである。料金は、プロバイダ料込みで動的IPアドレス利用3年契約で月額4,600円~となっている。新規加入時は2年間毎月500円の割引、さらに1回目の更新(3年後)を加入時に予約すると、最初の3年間は毎月300円の割引となる。オプションで24時間365日の故障対応サービスも用意されている。IPアドレスは、動的と固定(IP1、IP8、IP16)の4つのプランがラインナップされている。「メガ・エッグ 光電話」は、「メガ・エッグ ビジネス 光ネット」を利用した、最大2回線まで対応可能なIP電話サービスでオプションとなる。月額基本使用料が2回線の場合は500円(1回線は無料)、メガ・エッグの光電話同士なら通話料が無料となる。また使用している電話番号はそのまま継続できる。ホスティングサービスでは、インターネット上でホームページやメール環境などが利用できる。スタンダードプランとWebサーバプランは、無料で独自ドメインの取得が可能、さらにバックアップサービスを無料で利用(10GB/1世代)できる。「メガ・エッグ ビジネス」の提供エリアは広島県・岡山県から開始し、順次拡大していくという。料金はすべて税別となる。
2015年04月24日カスペルスキーは4月22日、小規模企業のセキュリティニーズについて同社のブログ「Kaspersky Daily」で解説している。悪質な犯罪者からサイバー攻撃を受けるのは、大企業ばかりではない。資金とデータが集まる企業は、いつ攻撃を受けてもおかしくないという。カスペルスキーは、企業のセキュリティ確保の第一歩が「自社にあるものを見渡すこと」だと説明している。「使っているハードウェアとソフトウェアは何か」「どのような問題が起こり得るのか」「どんな種類の保護が必要なのか」などを確認することで、どういったセキュリティ対策が必要なのかが浮き彫りになるのだという。少企業のセキュリティ対策におけるポイントは以下の通り。○バックアップ企業にとって最優先のセキュリティ対策は、PC内の重要なデータを外付けメディアなどにバックアップすることだという。ハードウェアの故障や、マルウェアへの感染によって重要なファイルを開けなくなる可能性があるからだ。驚くことに、カスペルスキーでは最新のアンチマルウェア製品を使うより、データのバックアップのほうが重要だと述べている。○パスワードパスワード管理も重要なセキュリティ対策だ。企業内のユーザーは、PCやサーバー、クラウドサービスなどの複数のログインパスワードをすべて覚えなければならない。サービスごとに異なるパスワードをすべて覚えるのは大変だ。カスペルスキーでは、パスワード管理ツールの利用をお勧めしている。管理ツールを使うことで、ユーザーが覚えるのは管理ツール用のパスワードのみとなり、管理ツールのパスワードでさまざまなサービスにログインできる。例えば、「パスワードマネージャー」の場合は、Webサイトへのログインに利用するための解読不能なパスワードを、いくつでも生成できる。IDとパスワードは暗号化された状態で保存されるため、ハッカーが会社のネットワークに侵入したとしても、Sony Picturesのように公開されることはないという。○電子決済サイバー犯罪者の多くは、銀行との電子決済を狙っており被害額も年を追うごとに拡大している。電子決済の保護の強化は急務となっている。銀行側は、決済サービスへの強力なセキュリティ対策を施しているが、だからといって企業側が対策を放棄していいわけではない。安全な電子決済の利用には、電子決済保護ソリューションの導入が懸命。PCマルウェアであれ、モバイルマルウェアであれ、決済データを盗取しようとする攻撃をブロックできるという。
2015年04月22日クラウド型ビジネス支援サービスを提供するスマイルワークスは、中小企業向けのマイナンバー対策サイトをオープンした。このサイトでは、弁護士・税理士・社労士による実務上の対策の解説や、総務・経理・人事担当者300名へのマイナンバー対策に関するアンケート結果などの調査結果も順次掲載していくという。専門家の解説では、牛島総合法律事務所の影島 広泰弁護士をはじめ、税理士、社労士など専門家それぞれの視点から見たマイナンバー対策に関するコラムを掲載。また、マイナンバー対策実務に関するご質問を受け付け、回答する。
2015年04月21日台湾のNASベンダーであるSynologyは4月14日に、中小企業向けに拡張性に優れた、5ベイ NAS サーバー「DiskStation DS1515」を発表した。DS1515は、フェイルオーバーとリンクアグリゲーションを備え、クアッドコア プロセッサと4つのLAN ポートが搭載されている。Windows環境でRAID 5構成の場合、書き込み速度が421MB/秒、読み取り速度が403MB/秒という性能を発揮するという。また、ハードウェア暗号化エンジンにより、最大読み取り速度が296MB/秒、書き込み速度が150MB/秒という高速暗号化データ転送も可能としている。Amazonでの販売予定価格は92,800円(HDDは別売)となっている。また、「Synology High Availability」に対応しており、ネットワークが突然切断してもサービスを続行できるように十分な冗長性が備わっており、クラスター化したサーバーの間でスムーズな移行が可能だという。さらに、SSD読み書きキャッシュ サポートにより、スループットが向上されると同時に、ギガバイトあたりのコストも抑えることができる。中小企業向けに、企業の成長スピードに合わせて拡張できるように設計された DS1515は、2台のDX513拡張ユニットを設置することで、最大で15台のドライブにスケールアップできるという。NASデバイス用最新オペレーティングシステム「DiskStation Manager(DSM)」上で作動する。互換性のあるドライブ タイプは下記のとおり。3.5インチ SATA III / SATA II HDD2.5インチ SATA III / SATA II HDD2.5インチ SATA III / SATA II SSD
2015年04月16日大塚商会は、4月23日に同社本社ビル(千代田区飯田橋)において、同社の経営支援サービス「新規事業創出支援プログラム」のプレセッション「中堅・中小企業に求められる新規事業創出とその考え方」を開催する。同社はこれまで、経営支援サービスなどを通じて、クライアントの成長と課題解決を支援しており、その中で特に要望が多く寄せられた「中堅・中小企業が持続的な成長を目指すための新規事業を創出するプロセス」について、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科と共同研究に取り組んできた。その研究結果を踏まえ、同社が創業以来培ってきたノウハウを生かしながらクライアントが新規事業の創出を目指すプログラムとして独自に開発したのが「新規事業創出支援プログラム」である。同プログラムの一環として行われる今回のプレセッションは、社会や顧客も気づいていない本質的価値の探索から新たな製品やサービスへと展開するために生み出された思考法「イノベーティブ思考法」の紹介を通じて、その有効性や可能性について理解を深めることが目的のセミナーとなる。当日は、同社のトータルソリューショングループ TSM支援課による思考法の概要説明や、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科特任講師の富田欣和氏によるミニレクチャーも実施される予定だ。同セミナーの詳細は以下の通り・タイトル:新規事業創出支援プログラム プレセッション「中堅・中小企業に求められる新規事業創出とその考え方」・開催日時:2015年4月23日(木) 14:00~17:30 (受付開始 13:30~)・参加費:無料 (事前予約制)・開催会場:株式会社大塚商会 本社ビル 3F 302会議室 東京都千代田区飯田橋2-18-4・主催:株式会社大塚商会
2015年04月13日法政大学大学院 中小企業研究所とエヌエヌ生命保険は、中堅・中小企業を対象とした「事業承継に関する調査」を実施した。調査期間は2014年7月15日~8月12日。同調査は、全国に所在する従業員数が10名以上1,000名未満の中堅・中小企業の代表取締役後継者727名を対象に実施した。まず、後継者について尋ねたところ、7割強が「常に考えている」「時々考えている」と回答した。一方、後継者の人選を「まだ考えていない」という回答は4割弱だった。後継者を意識しはじめた年について聞くと、最も多かった回答は「50歳~59歳」(44.5%)だった。しかし、実際に後継者に経営権をバトンタッチする予定の社長年齢をみると、「60歳~69歳」(27.0%)が最も多く、次いで「60~64歳」(23.2%)となっている。後継者の人選に関して指名意向を尋ねると、「ふさわしい人物なら誰でもよい」(43.7%)が最も多かった。次いで「子供」(36.5%)、「親族以外の役員・社員」(21.0%)となっている。後継者の人選は親族に頼らない「脱親族」の傾向があるようだ。後継者バトンタッチに向けた課題について聞いたところ、最も多かったのは「経営者の経営能力向上」(36.8%)となった。次いで「後継者の人間力向上」(33.1%)、「後継者が未定(有力者が不在)」(32.9%)だった。バトンタッチ時の重要事項に関しては、「従業員のために会社を存続させる」が64.6%で最も多くなっている。後継者バトンタッチの課題に対し、成功のポイントについて聞くと「後継者が明確な経営理念・戦略をもつ」が56.4%で最も多かった。「社内・社外の人間とよく交流を持つ」(48.2%)、「後継者に事業承継に強い意欲を持たせる」(38.2%)という回答も多かった。
2015年04月13日日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は4月9日、中堅・中小企業向けのストレージ5製品を発売した。価格は、最も低価格の「HP StoreEasy 1450 Storage」が59万9,000円(税別)から。HP StoreEasy Storageの新製品は、「HP ProLiant Gen9」サーバを採用して60万円を切る価格から提供することにより、企業のファイル・ストレージの需要拡大を支援するとしている。生産性を高め業務遂行を保護するため、新製品は25倍高速のRAIDリビルドに対応するという。さらに、「StoreEasy Dashboard」の機能を強化してシステム容量が不足すると自動でアラートを発信し、ビジネスの成長に素早く対応できるよう支援する。価格は、HP StoreEasy 1450 Storageが59万9,000円から、同1650 Storageが84万円から、同1850 Storageが88万円から(いずれも税別)。HP StoreOnce Backupファミリーでは、主力製品「HP StoreOnce 6500 Backup」アプライアンスと同じ技術を元に設計したエントリー・レベルの新製品「HP StoreOnce 2900 Backup」を投入。同クラスの他社システムと比較し、2倍のバックアップ容量と30%優れたパフォーマンスを持つとしている。2Uラックスペースの省スペース型であり、小規模で導入して31.5TBまで使用可能な容量の拡大が可能。また「HP StoreOnce Recovery Manager Central」と互換性を備え、「HP 3PAR StoreServ Storage」アレイと連携し、ハイパーバイザー管理によるシンプルなデータ保護が可能とのこと。「HP StoreOnce Integrity Plus」セキュリティ機能やアプリケーション統合型バックアップ向けの「HP StoreOnce Catalyst」など、「HP StoreOnceファミリー」が提供するエンタープライズ・クラスのデータ・サービス全てをサポートするという。価格は260万円(税別)から。追加ハードウェアの購入が不要でソフトウェア定義型のバックアップ・アプライアンスである「HP StoreOnce Virtual Storage Appliance(VSA)」では、新たに50TBの大容量オプションとフル機能の1TB無償版の提供を開始する。同製品は、重複排除型ディスク・バックアップ機能に加え、VMware vSphereやMicrosoft Hyper-V、Linux KVMを実行する仮想サーバ上でアプリケーション・ベースの仮想マシンに対応する。50TB版であるHP StoreOnce VSA 50TB LTU(3年間)の価格は210万円(税別)から。1TB無償版の提供は5月1日から。
2015年04月10日内閣府が3月に発表した景気動向指数によれば、景気は「改善」している。しかしそれを実感している企業は、どのくらいあるだろうか。中小規模の製造業では、大手企業からの受注量自体は増えてきているものの、発注元から要請されるコスト削減や円安などが重なり、むしろ苦しさを感じているところも多いという。人海戦術で増産に対処すれば、当然、現場への負担は大きくなる。高品質なものづくりを続けていくために欠かせない人材育成・技術伝承は後回しになり、特定の「職人」に仕事が集中してしまうという話も、しばしば耳にする。金型製造に使用される放電加工機の製造で知られる株式会社牧野フライス製作所は、こうした課題の解決にもつながる新製品を開発し、2015年4月15~18日に開催されるINTERMOLD 2015(会場:東京ビッグサイト)にて展示・発表を行う。○現場の負荷軽減、技術伝承支援に貢献する「Hyper i」今回リリースされるのは、NC形彫り放電加工機の制御装置「Hyper i (ハイパーアイ)」と、その対応機。放電により金属を加工する放電加工機は、自動車のバンパーのような大型部品から、パソコンやスマートフォンのごく微細な部品に至るまで、あらゆる分野で金型製作に利用されている。「今、自動車業界が活況となってきています。機械部品だけでなく、ハイブリッドカーの電池、モーターや追突防止装置のカメラなど、電子・電気部品産業にも仕事が拡がり、放電加工機の需要も高まっています」(木戸氏)しかし機材だけを導入しても、すべての企業がすぐに活用できるというわけではない。放電加工機は予め組まれたプログラムによって、自動で金型を仕上げる装置だが、このプログラムづくりには、「職人技」が必要とされているからだ。例えば同社の旧来型制御装置には、用意された設定画面に数値を入力していくことでプログラムが自動生成されるソフトウェアが搭載されているが、いくつもの入力項目があるため、特に初心者にとっては操作に時間もかかる。結果として、習熟した工員のみが対応せざるを得ない。新たに人材を育成するとしても、その間は仕事が滞ってしまう。そこで生み出されたのが放電加工機の制御装置「Hyper i」だ。設定は簡単で、プログラムを意識しなくても望み通りの金型をつくることができる。2013年にワイヤー放電加工機用がリリースされると、現場ではその使いやすさが評判となった。経験の浅い工員にも扱えるため、導入後すぐに「稼ぐ」ことができると経営層にも喜ばれ、今回のNC形彫り放電加工機用「Hyper i」を待ち望んでいた企業も多いという。「専門の人が使うのだから多少分かりにくくてもいい、という考え方を変えて、マニュアルいらずの使いやすさを追求しました。9割を自動化しているので、慣れていない人でも水準以上のものは簡単につくれる。ベテランの方は、製品により磨きをかけるための残りの1割だけを習得すればよく、ご自身の負担も減り、人材育成にかける時間やコストを抑えることができます」(木戸氏)○コンセプトは3つの「i」 - 「Hyper i」の特長・機能では、3つの「i」という「Hyper i」の開発コンセプトに沿って、その特長や機能の一部をピックアップして紹介しよう。【intuitive(直感的)】●旧来は機能別に分けていた画面切り替え用タブメニューは、「プログラム」「段取り」「運転」と、仕事の流れに沿ったメニューになり、分かりやすく。●設定画面にはグラフィックを多用し、設定すべきポイントが一目で分かる。●22インチ、フルHDのタッチパネル式モニターは、スマートフォンやタブレット同様、ピンチ操作で自由に拡大・縮小ができる。【intelligent(インテリジェント)】●加工の深さや電極のサイズなど、必要最低限の設定を行えば、後は自動で最適な加工条件が算出され、プログラミングが完了する(もちろん詳細な設定を行うことも可能)。●加工が不安定な状況を検知すると、画面に改善案が提示される。提示内容に沿って、いくつかの手順を実施することで改善策を探ることができ、すぐに実行に移せる。この機能「E テックドクター」は、牧野フライス製作所のコールセンターが蓄積してきた電話サポートのノウハウを活かして開発された。安全の確保や技術伝承にもつながる機能だ。【interactive(インタラクティブ)】●異常が検知されてアラームが表示された時、従来ならマニュアルをめくって原因を探す必要があったが、「Hyper i」ではアラームの原因をピンポイントで画面に表示してくれる。●金型形状が複雑になればなるほど、使用する電極の種類も増えてくる。そうした中で発生しがちな電極の装着ミスをなくすため、画面上に使用すべき電極が3Dグラフィックで表示される。ヒューマンエラーを未然に防ぎ、無駄なコストと時間をかけずにすむ。○重要なのは新しいものを採り入れ、変化しつづけること使いやすさを徹底的に追求するために、日本の開発チームだけで仕様を決めていた、これまでの方針を見直し、シンガポール・アメリカ・ヨーロッパなど、同社が世界中に持つ拠点の現地スタッフと意見交換を行った。「機能を一目で分かるようにしたはずのアイコンも、国によっては分かりにくく映ってしまったり、ちょっとした配色で与える印象が違ったりと、グローバルな使いやすさを実現するには苦労もありました」(塩水氏)こうした新たな試みのもと、新たな操作方法や機能を盛り込んだ「Hyper i」を開発することは、同社にとって大きなチャレンジだったという。「先に進むためには常に新しいものを採り入れ、変化していくことが大切です。ぜひ、製造業に携わる多くの方に『Hyper i』の"新しさ"を体験していただき、前向きな変化へのきっかけにしていただければ嬉しく思います」(木戸氏)INTERMOLD 2015の牧野フライス製作所ブースでは、「Hyper i」に対応した放電加工機EDAF、EDNC各シリーズの新製品が展示される。「Hyper i」はその場でタッチ・アンド・トライできるので、その使い勝手をご自身で確かめてみてはいかがだろう。
2015年04月10日PTCジャパンは4月2日、中小規模製造業向けPLMソリューション「PTC PLM Cloud」を発表した。同ソリューションは、同社のPLMソリューションである「PTC Windchill」の機能を備える一方、中小企業のニーズに合わせたサブスクリプションホスティング環境によって、PLM導入を簡素化したもの。クラウド上でデータを共有することで、社内だけでなく、協力会社やサプライヤなど社外チームとの開発業務の改善が可能になる。また、セキュリティはISO 27001:2013に準拠しており、99.5%の可用性を提供する既存のPTC PLMホスティング環境を利用するなど、信頼性の高い開発環境が提供される。同社は「本ソリューションはマルチCADデータ管理、コラボレーションを含むフル機能を有する実質的なPLM製品です。極めて小規模な製造企業でも利用いただける、実証済の真のPLMを提供できることを非常に喜ばしく思います。システム管理に関する心配は不要であり、最も重要な事業に注力いただけます」とコメントしている。なお、同ソリューションの日本での提供時期は未定となっている。
2015年04月03日