意識することは少ないかもしれないけれど、私たちは常になんらかのかたちで「熱」の恩恵を受けているものです。そこで、ぜひ読んでおきたいのが、きょうご紹介する『暮らしを支える「熱」の科学 ヒートテックやチルド冷蔵、ヒートパイプを生んだ熱の技術を総まとめ!』(梶川武信著、SBクリエイティブ)。エネルギーの専門家である著者が、さまざまな分野や領域で「縁の下の力持ち」として大切な役割を果たす熱についての疑問を解き明かした書籍です。きょうはそのなかから、さらに数字に関連する項目を抜き出してみましょう。■1:水は0℃以下でも凍らないことがある?ご存知のとおり、通常の冷却方法によれば水は0℃で氷に変わります。なぜなら水にとっては、それがいちばん安定する状態だから。ところが、0℃以下でも凍らない状態がまれにあるというのですから驚きです。この現象が起こるのは、0℃以下であっても水分子の集まりが一時的に安定した状態にとどまっているから(準安定状態)。この状態を「過冷却」というそうです。ただし過冷却は強固なものではないので、過冷却水に外部から振動などの物理的な刺激を与えると、すぐに本来の安定状態である氷に移行することに。■2:熱を100%仕事に変えられるの?電気自動車やハイブリッド車のように、電気をモーターで動力にかえると、効率は100%近くに。理論上は、100%変換が可能。それに対し、熱を電気や機械など他のエネルギーに変換するときは、理論値でも100%は望めないのだとか。これが、他のエネルギーと決定的に違う点です。水力発電は、高所にある水のエネルギー(位置エネルギー)を利用します。高所に貯められた水を海抜0mにある水車に向けて落下させると、水の位置エネルギーを水車の回転に100%変えることができるわけです。一方、蒸気発電では熱の強さ(温度)が水力発電での高さに相当するのだそうです。■3:鉛筆の芯は3550℃なければ加工できない?太陽の光球は6000~8000Kもの高温ですが、身のまわりにはこれに近い温度でなければ加工できない製品がいろいろあるとか。たとえばそのひとつが、シャープペンシルや鉛筆の芯。これは450年ほど前に発見された黒鉛(グラファイト)を加工したもので、融点は3550℃。そのほか、ダイヤモンドに近い輝きを持ち、装飾品によく使われるキュービックジルコニアをつくるためにも3000℃近い温度が必要。また、照明器具に使われているタングステンも、融点は3407℃だといいます。■4:5000℃の熱をつくるには?5000℃付近の温度を実現するためには、石油や天然ガスなどの化石燃料を燃やす、電気ヒーターを付ける、などでは力不足。それではせいぜい2000℃くらいにしかならないそうです。プラズマの性質を利用するアーク放電という特別な方法によって、ようやく可能になるのだとか。他にも、熱に関する身近なネタがぎっしり。やや専門的で難解な部分もありますが、それでも充分に楽しみがいのある内容だと思います。(文/印南敦史)【参考】※梶川武信(2015)『暮らしを支える「熱」の科学 ヒートテックやチルド冷蔵、ヒートパイプを生んだ熱の技術を総まとめ!』SBクリエイティブ
2015年07月09日『賢い人のシンプル節約術』(リチャード・テンプラー著、花塚恵訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)のテーマは「節約」。しかし、根底に根ざしているのは以下のような考え方です。節約をはじめるということは、みじめな人生がはじまるということではない。むしろ、やっていくうちにどんどん楽しくなってくる。(「はじめに」より)節約にはネガティブなイメージもなくはないだけに、このメッセージは気持ちを目向きにしてくれるのではないでしょうか?1章「賢い節約の基本25のルール」から、お金に関して大切ないくつかのことを引き出してみましょう。■1:大きなお札を持ち歩く最後に千円札を崩したのがいつだったか、思い出せる人は少ないはず。けれど、一万円札を崩した日のことなら、おぼえている人もいるでしょう。正確な日時や場所こそ思い出せないにしても、大きなお札を使うときの方が印象に残るはずだから。そこで著者は、銀行からお金を引き出すときは、両替えせずにすべて一万円札でもらうようにしようと提案しています。理由は簡単。額面の大きな紙幣の方が、使うとき慎重になるためです。崩したくないという心理が働くうえに、なににお金を使うかも意識するようになる。「本当に買う必要があるかどうか」が頭をよぎれば、それは出費を抑えることにつながるというわけです。■2:お金を借りないお金を借りなければ、借金地獄に陥ることもありません。そもそも親や祖父母が生きた昔は、「お金が足りないなら買わない」が基本であったはず。ところがいまは、銀行がクレジットカードをばらまき、借金を誘う広告が蔓延。ただし、世のなかが変わったからといって、商売に乗せられる必要はないわけです。「けっこうです」と断ればよく、借金をしてまで買う必要はないということ。借金をしないと心に決めれば、出費を抑えるようになり、借金にかかる利息や手数料で損をすることもなくなります。■3:現金は必要な分だけ持ち歩く正しくは「必要な現金以外は持ち歩かない」。持っていなければ使えないからです。(1)普段から、必要最低限の現金だけ、銀行から引き出すことにする(2)大きな買いものをするときは、予算を決め、その金額だけ銀行から引き出す(3)買いものに出かけるのは、お金を引き出した翌日以降にする(4)買いもの当日は、キャッシュカードを持って出かけないこのように、方法は簡単。■4:クレジットカードは偽物のお金だと意識する成長すると、銀行口座を開設するもの。そして自活できるほど稼げるようになると、クレジットカードを取得し、「ようやく一人前になった」と実感したりします。しかし、そもそもクレジットカードは「本物のお金」ではなく、つまりクレジットカードでの買いものは“大人の買いもの”とはいえないと著者は指摘しています。いわば、本物のふりをした偽物のお金。クレジットカードで支払うお金は、実際には存在しないお金だということ。だからこそ著者は、大人のお金、本物のお金だけを使うべきだと主張しています。(文/印南敦史)【参考】※リチャード・テンプラー(2015)『賢い人のシンプル節約術』ディスカヴァー・トゥエンティワン
2015年07月08日きょうは七夕。ということで、『あっと驚く科学の数字 最新宇宙論から生命の不思議まで』(数から科学を読む研究会著、講談社)から天の川に関するエピソードをご紹介したいと思います。■意外に古い“天の川”の起源とは天を流れる川に見立てられてきた天の川ですが、そのかたちが科学的に説明されたのは、なんと18世紀後半のことだといいます。全天683の領域の星の数を観測し、星の空間分布を導き出したのは、天王星の発見者として知られるウィリアム・ハーシェル。その結果として得られたのが有名な「ハーシェルの宇宙モデル」で、扁平な凸レンズのなかの地球から見ると、レンズの縁の方向へ無数の星が重なって地球を取り巻き、川のように見えたというわけです。このハーシェルの宇宙モデルが、「天の川銀河」モデル。ちなみに星は宇宙空間で群れをつくっており、その集団を「銀河」と呼びます。それらと区別するため、天の川銀河は特に「銀河系」と呼ばれているのだそうです。ただ、当時はまだ星の距離を測る方法が確立されていなかったため、ハーシェルは宇宙モデルの大きさを正確に決めることはできませんでした。遠方の星の距離を測れるようになったのは20世紀以降で、今日では天の川銀河の直径は約10万光年と計算されているとか。■正確な数を導き出しにくい理由ちなみに天の川銀河の質量(太陽系軌道より内側)は、太陽の質量の1000億倍。この質量をもとにして概算された天の川銀河の星の数は、約1000億個。ただしこれは太陽の質量を天の川銀河の平均的な星、つまり自らのエネルギーで輝く恒星の典型的な質量と仮定して得られたもので、正確な値は不明。観測技術が進歩した現代でも、天の川銀河の星の総数を数えることができないからなのだそうです。そのうえ、天の川銀河の総質量には、光では見えない未知の物質(ダークマター)の質量も含まれているため、なおさら正確な数を導き出すのは困難。そのぶんだけ星の数が少なくなるかもしれないし、太陽より質量の小さな星が多ければ、星の数はもっと増えることになるわけです。■天の川銀河の星の驚くべき総数では、実際に観測されている天の川銀河の星の数はどのくらいあるのでしょうか?大西洋・カナリア諸島にあるラ・パルマ天文台の口径2.5メートルにおよぶ「アイザック・ニュートン望遠鏡」で10年をかけて観測したところ、天の川銀河には20等級より明るい恒星2億1900万個が記録されたのだそうです。とはいえ、それが最終的な答えだというわけではないようです。渦状腕を持つ渦巻銀河に分類されている天の川銀河の、正確なかたちはまだわかっていないから。つまりその姿を、天の川銀河の外から見ることができないのです。全体像を知るためには、銀河内の多くの星の位置、距離、運動を測定し、天の川銀河の地図をつくる必要があるのだといいます。美しく神秘的なイメージのある天の川ですが、実は多くの謎に包まれているのですね。(文/印南敦史)【参考】※数から科学を読む研究会(2015)『あっと驚く科学の数字 最新宇宙論から生命の不思議まで』講談社
2015年07月07日『その「油」をかえなさい!』(内海聡著、あさ出版)は、テーマを油に絞り、基本から知られざるエピソードまでを解説した書籍。きょうはそのなかから、植物性油脂についての記述を引き出してみたいと思います。■「植物性だから健康的」は大間違い?植物性油脂についての大前提として、著者は「植物性油脂は健康的」というのは、現代になって広まった大欺瞞だと断定しています。また、最近よくいわれるとおり、自然な動物性油脂であるバターに対し、マーガリンは分子構造をねじ曲げられたトランス脂肪酸が含まれているもの。健康的であるはずがありません。■オメガ6とオメガ3のバランスが重要!そして植物性油脂についていえば、まず考えたいのはオメガ6とオメガ3のバランスだそう。脂肪酸は細胞膜の材料になりますが、脂肪酸のかたちのままでは細胞膜をつくることは不可能。細胞膜を形成しているのは、リン酸と脂肪酸が結合した、水にも油にも親和性の高いリン脂質という物質。つまり脂肪酸は、リン酸と結合して初めて細胞膜を形成できるわけです。オメガ6とオメガ3のバランスが重要だというのは、いいかえれば、「バランスよくリン酸と結合することで、健康な細胞をつくれる」ということ。注目したいのは、オメガ6が炎症を促進する一方、オメガ3は炎症を抑制するという点。両者は拮抗する作用を持っており、どちらもからだには必要なのです。オメガ6が多すぎれば、リン脂質はオメガ6優位になって炎症が起こりやすい細胞膜がつくられることに、しかしそこにオメガ3が適度に含まれれば、炎症を抑制できる細胞がつくられるわけです。一方、オメガ6が足りなければ、人体はウイルスや菌と戦えなくなり、オメガ3が足りなければ、細胞は炎症だらけになって機能不全に陥ることに。片方の作用だけが促進されすぎてはいけないということです。だからバランスが重要なのですが、問題は、現代人はたいていオメガ6をとりすぎているという事実。それがアトピーや花粉症などのアレルギー疾患や、さまざまな臓器の炎症やガンなど、数々の病気を引き起こすのだそうです。■意識的に摂取量を1対1の割合を目指す既存の栄養学でもオメガ6とオメガ3のバランスの重要性は指摘されており、いまは摂取量を1対1程度にまで下げた方がいいとする栄養学者も増えてきたとか。現代人がオメガ6をとりすぎているなら、意識的に1対1の割合を目指す必要がありそうです。では、足りなくなりがちなオメガ3は、どのような油脂に含まれるのでしょうか?代表的なのは、えごま油。他にはアマニ油、クルミ油、シソ油、ヘンプシードオイル(麻実油)、インカインチ(グリーンナッツ)の油などにも、オメガ3のα-リノレン酸が多く含まれるといいます。なじみのないものが多いですが、しかし入手は可能で、気の利いたスーパーで探せば見つかるといいます。意識してオメガ3をとるようにするためにも、探すことを面倒がらないこと。つまり大切なのは、主体的に考え、本当に健康にいいものを自分で探し出そうと努力する姿勢や意識。著者はこの項を、そうまとめています。(文/印南敦史)【参考】※内海聡(2015)『その「油」をかえなさい!』あさ出版
2015年07月06日大競争時代といえる現代において、企業は生き抜くためにさまざまな戦略を駆使して戦っています。「戦略」がとても重要だということです。きょうは、各企業の戦略を明かしている『強みを磨き、競争を勝ち抜く 企業戦略 (VISIONARY SEMINARS 4)』(鈴木貴博著、KADOKAWA/中経出版)から、「パナソニックはなぜ研究開発に5000億円も使うのか?」を見てみましょう。■パナソニックが研究開発費を惜しまない理由パナソニックは、日本の大企業のなかでも特に研究開発費が多い企業。毎年必ずトップ10の上位に入るほど、研究開発に多額のお金を使っているそうです。不況にもかかわらず、どんなに苦しいときでも5000億円もの投資資金を研究開発に計億的につぎ込むとは驚きです。そこには、どんな理由があるのでしょうか?ここでのキーワードは、「R&D」という考え方。R&Dとは「リサーチ・アンド・デベロップメント(Research and Development)」の略称で、「リサーチ」は、長期の未来に向けた研究を、「デベロップメント」は、比較的未来に発売される商品の開発をさしています。どちらも、将来のための投資というわけです。■研究開発費に関して「もったいない」は禁止企業は、長期的な優位性構築のために投資を行なうもの。いまの利益を生んでいる商品は、基本的には過去に投資があったからこそ存在するということです。つまりR&D投資をやめてしまうと、いまの利益にはつながるものの、長期的には会社を衰退させてしまうことになります。だからこそ、成功している大企業ほど多額の研究開発費を使っているのです。たとえばパナソニックだけでなく、トヨタも8000億円強、グーグルにいたっては1兆円を超える研究開発投資を行なっているのだとか。「いま儲かっている」「いま勢いがある」ことを武器として長期的な繁栄につなげるためには、思い切ってR&Dに投資をしていくことが重要だということ。「もったいない」と考えてはいけないのだそうです。■新しい基準のせいで産業界の大問題が勃発中ところがR&D戦略に関して、近い将来、重要な構造変化が起きるかもしれないと著者は指摘しています。現在の日本の会計基準では、研究開発費は発生したときにすべて費用として処理することが可能。節税にもつながるということで、各企業が積極的に投資をするという現象が起きているのだといいます。しかし、この会計基準に「IFRS」という新しい世界共通基準を入れようという動きがあるというのです。この新しい基準のなかでは、研究開発費のうちの開発費の部分を資産化しなければいけないのだとか。そうなると、どんな大企業であっても、従来の研究開発投資のやり方を続けられなくなるかもしれないということで、産業界の大問題になっているのだそうです。なお本書には、ほぼ同内容の講義動画を、PCやスマホで視聴できるサービスもついています。読むだけではなく多角的に利用できるので、コストパフォーマンスの高さも注目に値します。(文/印南敦史)【参考】※鈴木貴博(2015)『強みを磨き、競争を勝ち抜く 企業戦略 (VISIONARY SEMINARS 4)』KADOKAWA/中経出版
2015年07月05日きょうご紹介したいのは、『パワーナップ仮眠法』(坪田聡著、フォレスト出版)。“パワーナップ(power nap)”とは、アメリカ・コーネル大学の社会心理学者であるジェームス・マース氏が提唱した“昼の短時間仮眠”。早い話が昼寝をすることです。とはいえ、単なる昼寝とは違うようです。なにしろグーグル、アップル、マイクロソフトなどの世界的IT企業から、NASAや米国海兵隊などの国家レベルの組織までが導入し、実践しているというのですから。では、具体的にどんなものなのでしょうか? その方法を探ってみたいと思います。■パワーナップが成功するルール著者によれは、パワーナップ自体はとてもシンプル。とはいえ、正しく行うにはルールとステップがあるそうです。[ルール1]正午から午後3時までに行う[ルール2]眠る時間は15~20分[ルール3]カフェインを用意するルールはこの3つ。少し意外な気もしますが、各項目をチェックしてみましょう。[ルール1]正午から午後3時までに行うパワーナップは、昼の12時から午後3時までに行うこと。ビジネスパーソンなら、ランチの時間を利用すればいいわけです。なお夕方を過ぎて行うパワーナップをお勧めできないことには、明確な根拠が。仮眠は、夜の睡眠を先取りするもの。だから夕方以降の遅い時間に仮眠をとると、なかなか眠れなくなるなど、夜の睡眠に悪影響がでてしまうわけです。もし、夕方に睡魔に襲われたときは、10分未満の仮眠にとどめておくべき。[ルール2]眠る時間は15~20分パワーナップの睡眠時間は、15~20分。仮に時間をオーバーしたとしても、25分までにしておくこと。短すぎるならまだよいものの、眠すぎはいけないということです。30分以上寝てしまうと、スッキリ冴えるどころか、頭もからだもだるい状態に。中途半端に深い眠に入ってしまうため、寝起きが最悪な気分になるということです。また眠りすぎると、心筋梗塞になるリスクが高まり、他にも死亡リスクの関連性も指摘されているため、昼の長時間睡眠はお勧めできないというわけです。[ルール3]カフェインを用意するパワーナップを行ううえで効果的なのが、カフェインを摂ること。カフェインを摂らずに行う仮眠と、摂って行う仮眠では、脳の覚醒度に大きな差が出てくるといいます。当然ながら、もっとも簡単な摂取方法はコーヒーを飲むこと。コーヒーのカフェイン含有量は、100mlあたり約60グラム。ただし缶コーヒーでカフェインを摂るなら、ノンカフェインの商品ではないことを確認する必要が。カフェインが入っていなければ、期待する効果は得られないからです。またコーヒーが苦手なら、緑茶や紅茶でもかまわないそうです。カフェインを摂ったら、さっそく仮眠です。ここでのルールは2つ。まずは、横にならずに眠ること。そして、15~20分以内の仮眠にすること。仮眠をとる場所はどこでもよく、基本的には椅子ひとつあれば大丈夫。自分のお気に入りの場所であることがポイントです。■起きたら眠気を一気に断ち切る仮眠から目覚めたら、スッキリした状態になっているはず。でも完全に覚醒するためには、次のどれかをやって、仮眠後のパフォーマンスを上げるべきだといいます。(1)ストレッチをする(2)冷たい水で顔を洗う(3)日光を浴びるこれらを行うことで、頭がスッキリと冴え、午後の仕事のパフォーマンスがあがっていくというわけです。とてもシンプルですが、シンプルだからこそ効果があるのかも。効率的に動きたい人は、試してみるといいかもしれません。(文/印南敦史)【参考】※坪田聡(2015)『パワーナップ仮眠法』フォレスト出版
2015年07月04日『会社で落ちこぼれる人の口ぐせ 抜群に出世する人の口ぐせ』(吉田典史著、KADOKAWA/中経出版)の著者は、25年にわたって2,000人ものビジネスパーソンを取材してきたのだそうです。その結果として気づいたのは、勝者と敗者の分かれ目には、一定の法則があるということ。会社員が競争で負けるのは、自らの意識や考え方に原因があるという考え方です。■仕事ができない人とできる人の考え方では、組織内で落ちこぼれてしまう人には、どのような傾向があるのでしょうか?そのことについて著者は、「なぜ、ライバルに負けたのかと突き詰めて考えることをしない」と指摘しています。現実から逃避し、負けたことの検証ができないから、結果として問題点や課題を残すことになり、成功から遠ざかっていくというわけです。一方、抜群に出世する人は、ことばの大切さをわかっているのだそうです。特徴としては、人との距離をとるのがうまく、上司や同僚、取引先やお客様の心が晴れるように話すのだとか。だから、「この人と仕事をしたい」「この社員と取引をしよう」と思われるようになるということ。■すいすい出世する人がよく使う口ぐせとはいえ現実的に、上司が部下から信頼されることはなかなか難しいこと。それどころか、「いったよね?」「聞いてないぞ」などという口ぐせで部下を威嚇し、抑えつけてしまう上司も少なくありません。そういう人が成功できないのは、むしろ当然の話だといえますが……。しかし逆から考えると、「出世する人の口ぐせ」を見極められれば、下につく人間はやりやすくなるということにもなるはず。そこで本書から、「すいすいと出世する人の口ぐせ」をいくつか引き出してみましょう。(1)「君なら、大丈夫」出世する上司は、部下に「この仕事をするように」と命じるとき、ことばに気をつけているもの。そのひとつが、難易度の高い仕事をさせるときなどに使われる「君なら、大丈夫」というフレーズだそうです。自分がいわれたときのことを考えてみると、このことばに意識を高ぶらせる効果があることがわかると思います。(2)「ここまでやってくれるなんて、驚いた」これは、出世する管理職の代表的な口ぐせだとか。たとえば部下に仕事を任せ、その仕上がりを確認したあとなどに口にするわけです。仕上がりや成果物などを確認したうえで「ほめていることをアピールする」ことは、上司が部下に対し、「あなたのことをきちんと見ているよ」と知らしめることになるといいます。「見ている」「見てくれている」という双方の信頼関係が、一緒に仕事をするうえで大きな効果を発揮するようになるわけです。だから、これを口ぐせにできる上司の指導は、部下の心にジャスト・ミートするということ。(3)「たいしたものだ」「すごいよね!」「たいしたものだ」など、上司が部下を称えることばを口ぐせにしている上司は魅力的。聞く側の心が明るくなるから、部下もそのことばを投げかけてくれた上司にいい思いを持つわけです。このことについて著者は、「こういう徳が増えると、その人は守られていく」とも記しています。できる上司についていくことも、ビジネスパーソンにとって重要なこと。だからこそ、上司の人柄や考え方を見極めるために、本書を活用すべきかもしれません。(文/印南敦史)【参考】※吉田典史(2015)『会社で落ちこぼれる人の口ぐせ 抜群に出世する人の口ぐせ』KADOKAWA/中経出版
2015年07月03日きょうご紹介したいのは、高野山開創1200年を記念して発行されたという『心を整える高野山のお経CDブック』(高野山一乗院著、アスコム)。平易でわかりやすい文章、そして大人気の寺院として知られる高野山一乗院の朝の勤行をそのまま収録したCDとによって、お経、そして高野山についての知識を無理なく身につけることができます。とはいえ、そもそもお経ってどんなものなのでしょうか?■お経を唱えることで心が安らぐ!お経は、古くから日本人に親しまれ、心を整えるために唱えられてきたもの。古くは戦国武将の真田幸村、近代であれば実業家の松下幸之助など多くの著名人も、心の安らぎを得るためにお経の力を借りていたのだといいます。しかし、そうなると、今度は高野山のことが気になってきます。■今年で開山1200年の高野山とは?和歌山県伊都郡高野町に位置し、今年で開山1200年を迎えた高野山は、日本人が古くから憧れ、心の拠り所を求めて訪れてきた場所。霊験あらたかな修行の地として知られており、悠久の神秘に出会える場所として人気のスポットです。訪れる人は、歴史の流れを感じさせる重厚な建造物、そして山深い自然が調和した荘厳で美しい景色に圧倒されるといいます。そして高野山では、いにしえの時代から変わることなく、独特な文化やしきたりが守られ、敬虔な生活が営まれています。そして、ここでお経が重要な意味を持つわけです。■毎朝必ず行われる「朝勤行」とは?お経は、修行のため、そしてお祈りのために毎日読まれているもの。そしてその象徴的なものが、高野山の寺院で毎日欠かさず行われている「朝勤行」なのだそうです。文字どおり、朝に行われるお経のこと。しかし、そうなると気になるのは、勤行の内容です。そこで、そのことについてご説明しましょう。高野山の朝勤行では、おもにお経を読んで、声明(しょうみょう)を唱えるのだといいます。声明とは、メロディーがついたお経のこと。お経だけだと抵抗もありますが、メロディーがついているなら親しみやすいかもしれませんね。厳しそうなイメージもありますが、朝勤行に参加すると、すがすがしい空気を感じ、お経の響きが心地よく感じられるのだとか。そして心が穏やかに整って、気分がリフレッシュする……というのですが、そんなに都合のいいことがあるのでしょうか?そう感じても無理はありませんが、つまりはそんな疑問を解消してくれるのが本書だということ。難しいことを考える必要はない。でも、お経が持つ力を、現代人のために役立てられないだろうかという思いからつくられたというわけです。■心を穏やかに整えてくれる深みが!しかも本書についているCDの最大の魅力は、高野山一乗院の本堂で、実際に収録されたものであるということ。レコーディングスタジオで録音されたものとは違い、歴史を背負った木造建築ならではの奥行きを実感できるのです。実際に聴いてみるとよくわかるのですが、お経だけでなく半鐘(鐘)の音も含め、耳に心地よいその音場には心を穏やかに整えてくれる深みがあります。お経と聞くだけで抵抗を感じてしまう方もいらっしゃるでしょう。ただし基本的には、聴いて、なにかを感じればいい。難しいことはなにも必要ない。そんなことを、本書と付属のCDは教えてくれると思います。(文/印南敦史)【参考】※高野山一乗院(2015)『心を整える高野山のお経CDブック』アスコム
2015年07月02日『仕事の速い人は150字で資料を作り3分でプレゼンする。 「計って」「数えて」「記録する」業務分析術』(坂口孝則著、幻冬舎)は、テレビでもおなじみのコンサルタントが、効率よく仕事を進めるためのメソッドを明かした書籍。「プレゼンやレポート」「文章」「交渉や人間関係」「スピーチや講演」とテーマ別に、それぞれ「計る」「数える」「記録する」という観点から解説しています。きょうはそのなかから、プレゼンテーション時にすぐ役立たせることができそうなポイントを、いくつかご紹介しましょう。■プレゼンシートの枚数は4の倍数がいいプレゼンテーションシートをつくるには、時間と手間がかかるもの。いかに効果的なものにするかについても、頭を悩ませなければなりません。しかし意外なのは、著者がプレゼンシートについて、「時間があれば、パワーポイントのページ数を4の倍数にしておこう」と主張している点です。ページ数など関係なさそうですが、これは聴衆に配る資料を印刷するときに有効なのだとか。なぜなら、昨今はコピー用紙削減のあおりから、2画面を1枚に印刷することが多いから。それどころか、両面コピーされることも少なくありません。つまりそんなとき、4の倍数で資料を作成しておけば、余白を残さずにピッタリ納めることができるということ。些細な配慮が大切なわけです。■プレゼンシート1枚あたりの説明時間なお、プレゼンシートを4の倍数にした場合、1枚あたりの説明時間は次のようになります。[30分の場合]・・・12枚(10枚+最後に補足資料、連絡先など)[60分の場合]・・・20枚[90分の場合]・・・32枚(30枚+同じく最後に補足資料、連絡先など)こうすれば、与えられた時間で何枚のスライドを用意すべきかが明確になるということ。ちなみに著者の知人の某コンサルタントは、会場に到着すると最初に、聴衆に配布されている資料を確認するのだそうです。上記のように、片側2面印刷の両面コピーの場合は、1枚に4面が印刷された状態。彼は講演の冒頭で資料を掲げ、「この1枚を10分で説明します」と宣言するのだとか。1画面を2.5分で説明するということです。つまり、そうすることによって、聴衆に自分のことを「時間を守るプレゼンターだ」と印象づけることが可能。また聴衆は、残り時間を直感的に理解できるわけです。そこまで緻密に考えるべきだということに驚かされますが、「道筋が明確に示されたプレゼンテーションほど聴きやすいものはない」と著者は記しています。■印刷してくれる人への指示を忘れずにとはいえ、せっかく4の倍数で資料を作成しても、表紙だけまるまる1枚で印刷されてしまい、台無しになったこともあるのだとか。そんなことにならないように、印刷してくれる人に事前に指示を出しておくなどの配慮は必要となるようです。このように、なかなか思いつかないようなことについても、微に入り細に入り解説してくれているところが本書の魅力。プレゼンテーションに関することのみならず、「文章」「交渉や人間関係」「スピーチや講演」についても、すぐに使えるアイデアやメソッド満載です。(文/印南敦史)【参考】※坂口孝則(2015)『仕事の速い人は150字で資料を作り3分でプレゼンする。』幻冬舎
2015年07月01日知っておいた方がいいとわかってはいても、なかなか人に聞けない……。たとえば経済学も、そう思わせるもののひとつではないでしょうか?そこでオススメしたいのが、『大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる』(井堀利宏著、KADOKAWA/中経出版)。文字どおり、難しいイメージのある経済学の概要を、短時間で学ぶことができる便利な書籍です。しかし、だとすれば、まずは基本を知らなければなりません。ということで、きょうは冒頭の「そもそも経済学とは何か」に焦点を当ててみたいと思います。■そもそも経済学とは?経済活動とは、「さまざまな人や組織(=経済主体。家計、企業、政府など)が市場でモノ(=財、サービス)やお金を交換し合う行動のこと。そしてこの経済活動を、ある仮説をもとにモデル化し、シンプルかつ理論的に説明しようとする学問が経済学。■正しく損得を計算する経済学が想定しているのは、「経済主体が経済的に合理的な行動をする」ということ。いかにも難しい表現ですが、つまりは「人は常に正しく損得を計算して行動するだろう」という考え方です。もちろん人間は、必ずしも常に経済的な動機だけで行動するわけではありません。が、世の中全体を長期的に観察していくと、多くの経済活動は経済的な意味での“合理的な行動”を想定することで説明がつくのだそうです。■いちばん安い買いものをでは、合理的な行動とはなんなのでしょうか?これを正しく定義すると、「ある経済的な目的を達成するために、与えられた制約のなかでもっとも望ましい行為を選択する行動(=最適化行動)」ということになるのだそうです。たとえば、スーパーが2軒並んでいたとします。その片方のお店が1本100円でニンジンを売っているのに、もう片方のお店が1本50円で売っていたとしたら、誰だって50円の方を買うはず。■買いもの時の望ましい選択しかし、100円のスーパーが目に前にあって、50円のスーパーが車で1時間もかかる遠いところにあったら、遠出をしてまで50円のニンジンを買う人はまずいません。このように、普段のなにげない買いものひとつとっても、私たちは自分の使える時間やガソリン代などのお金の制約のなかで、もっとも安い買いものをするという“望ましい選択”をしているということ。■主体的な意思決定が大事そして経済学の重要なポイントは、「人々が自分の意思で自分にとって望ましいと思う経済行動をする」と考えるということ。誰かから強制されて無理やりモノを買わされたり、自分の仕事をなににするかを無理やり周りに決められたりするのではなく、主体的な意思決定をしていると考えているわけです。このように本書では、経済学をわかりやすく説明してくれています。読んでみれば、口に出せなかった疑問を解消できるかもしれません。(文/印南敦史)【参考】※井堀利宏(2015)『大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる』KADOKAWA/中経出版
2015年06月30日『数学女子 智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。』(深沢真太郎著、日本実業出版社)は、ストーリー形式になった、少しばかりユニークな書籍です。主役は、経験と直感だけで仕事をする“文系男子”である営業職リーダー(以下:木村)と、コンサルティング会社から転職して営業部に配属された、数字に強い“数学女子”。つまり、まったくタイプの異なるふたりです。しかも数学女子は、木村に対して“数的思考”を指導しようとします。だから当然のことながら、そこには対立が生まれてしまうことに。数学女子はあまりにも隙がないだけに、読んでいると「もし本当にこんな女性が近くにいたら、ストレスがたまるだろうな~」と感じさせもします。とはいえ、その主張は、なかなか理にかなってもいるのです。■“数会話”で物事を具体的に考えられる!いい例が、数字アレルギーを克服するための手段である“数会話”についての考え方です。数会話とはその名のとおり、どんな会話でも必ず数字を入れること。そして数学女子は、「今後しばらく私との会話には必ず“数字”を入れてください」と、数会話することを木村に要求してきます。たとえばふたりが勤務しているアパレルメーカーは表参道にお店を構えているのですが、あるとき木村はそのお店に数学女子を同行させます。すると、「これから表参道店に売り場チェックに行くけど、ついてきて」という木村に対し、「数字が入っていませんけど」と数学女子。確実にイラッとくる展開ですが、「表参道店って、どんなお店ですか?」「訪問の目的を数字で教えてください」という問いに答えながら、木村はあることに気づきます。「店舗別売り上げは前月ナンバー1、ブランド『WIXY』の売上の約20%を占めている」「訪問の目的は、春アウターの売上を3月よりも1.2倍にするため」このように会話に数字を使うためには、嫌でも具体的にものごとを考えることになるということ。いわば、具体性がなく曖昧な状態では、数字は絶対に使えないものだというわけです。■“数会話”でビジネスに必要な数字に気付くそしてその晩、数学女子についての愚痴を話す木村に対して、年上の彼女が気になることをいいます。「結局ビジネスってヒト・モノ・カネが動くことじゃない?それって突き詰めていくと、けっこうほとんどのことが数字で表現できるのかもしれない……なんて、まだよくわからないけど」ここに、“数会話”の意味があるということ。しかも、そういったことを難しい表現によってではなく、会話を中心としたストーリー仕立てで解説しているところが本書のポイント。堅苦しく考える必要もなく、数字や数学の意義を理解することができるはずです。(文/印南敦史)【参考】※深沢真太郎(2015)『数学女子 智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。』日本実業出版社
2015年06月29日タイトルからもわかるとおり、『よのなかを変える技術: 14歳からのソーシャルデザイン入門』(今一生著、河出書房新社)のメインターゲットは10代の少年少女。しかし著者がここでテーマにしている“ソーシャルデザイン”が、選挙や政治家に頼らず、民間で苦しみを解決していく新しい仕組みづくりであるなら、そこには世代を超えた価値があるはずです。きょうはそのなかから、ちょっとした行動が社会を変えるという事実を紹介したコラム「9歳の小学生でも、多額の寄付を集められる」に焦点を当ててみたいと思います。■イギリスの9歳の女の子の決断2012年、イギリス・スコットランド地方の公立小学校に通っていたマーサ・ペインという当時9歳の女の子が、学校給食を写真に撮ってブログで公開しました。なぜなら、1食あたり2ポンド(約250円)の給食は粗末で、とても満腹になれる量ではなかったから。そこでこの子は、現実を多くの人に知ってもらおうと思ったわけです。すると、ブログを見た多くの人たちがツイッターで拡散したことから、イギリスのみならず世界中で話題になり、新聞にも掲載されることになりました。ところが校長先生から、「給食の写真を取ることは禁じる」といわれてしまったのだとか。■校長先生に世界中から反発が!しかし、そもそもマーサさんがブログを始めたのは、「開発途上国の子どもたちに食糧を支援している慈善団体の募金集めに協力したい」という思いがあったから。つまり給食の写真をブログに載せられなくなると、募金も集まらなくなるわけです。そこで、そのことを嘆く記事を書いたところ、校長の命令に対して多くの批判が寄せられることに。そんなこともあり、学校側もマーサさんの主張を認めざるを得なくなったのだそうです。そして結果的に、マーサさんが目標としていた7,000ポンド(約85万円)をはるかに超え、募金額はなんと12万6,701ポンド(約1,700万円)も集まることに。マーサさんはこれを慈善団体に寄付し、アフリカのマラウイに学校給食の調理場が建設されることになったのだそうです。■やり方次第で常識は変えられるこのエピソードは、学校という小さな組織で起こっているおかしな命令も、やり方次第で覆せるという事実を証明しています。もちろんこのケースは策略的なものではなく偶然だったわけですが、そうにしても、納得できないことをネット上で公開すれば、社会という大きな枠組みのなかで共感者を得ることができるということ。このことについて著者は、「イギリスの9歳の少女でも実現できたことが日本人の中学生にできない理由はない」と記しています。が、それは同時に、大人についてもいえることではないでしょうか。(文/印南敦史)【参考】※今一生(2015)『よのなかを変える技術: 14歳からのソーシャルデザイン入門』河出書房新社
2015年06月28日1,000円以下から数万円まで、ワインの価格は千差万別。けれど、ソムリエ並みの知識なんて持っている人の方が少ないわけです。つまり普通の人には、どの価格帯のものがいいのかなんて、わからなくて当然だということ。だからこそ、「ワインは飲みたいけど、選び方がわからない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?そこでご紹介したいのが、『男と女のワイン術』(伊藤博之、柴田さなえ著、日本経済新聞出版社)。銀座の人気店『わいん厨房たるたる』のオーナーソムリエが、家飲みワインのお勧め品から、ラベル買いで失敗しないヒントまでを明かした一冊です。そのなかから、スーパーやコンビニでワインを選ぶ際のポイントを抜き出してみましょう。■約10万種のワインを試飲著者はこれまでに、約10万種のワインを試飲してきたのだそうです。しかも試飲したものは10点を満点とし、「価格対品質」に見合ったものと、傑出した品質の銘柄のみに点数をつけているのだといいます。その結果、興味深いデータが見えてきたのだとか。それは、ワインのクオリティ(味わい)にもっとも差が出るのは、1,000~3,000円という価格帯のものだということ。■3,000円ならハズレなし!また、店を訪れるお客さんに聞いてみると、平日に飲むデイリーワインの相場は1,000円前後で、週末に飲む“ご褒美ワイン”が1,500~2,000円前後だったといいます。また、軽い手みやげには3,000円、お祝いなどの贈答用には5,000円といったところなようです。そして著者の調査でも、たしかに3,000円前後の価格帯には、特徴があって多くの人がおいしいと感じるワインが多いのだといいます。好みは別としても、極端なハズレがなくなるということ。■コンビニのおすすめワインでも、スーパーやコンビニにたくさんのワインが並んでいても、どうやって選んだらいいのかはわからないもの。そんなときにおすすめなのが、次のとおり。まず白ワインは、若いヴィンテージのものが狙い目。ワインのラベルには、必ず“2014”などの西暦が書かれていますが、これをヴィンテージと呼ぶのだそうです。そして、年号がいちばん最近のものがいいのだとか。次に赤ワインは、フランス・ボルドー産のものを。ラベルに“Bordeaux”と書かれているので、すぐわかるはず。■コンビニでは買えないワインただ、スーパーやコンビニでは買えないワインもあるようです。いい例が、きりっと辛口の白ワイン。さらには酸味のしっかりした辛口白ワインも、1,000円前後で買うことはほぼ不可能だそうです。そして、味わいが濃く、渋味のしっかりした赤ワインも1,000円前後では買えないとか。でも、果実味がしっかりとした濃い味わいのワインなら大丈夫。極論をいえば、1,000円前後の赤ワインはほとんどが飲みやすい味わいだといいます。事実、スーパーやコンビニで買ったワインが、いまいち辛口ではない、もっと渋味がほしいと思った方も多いのではないでしょうか?きょうは土曜日。もしかしたら本書は、「この週末にワインを楽しみたい」という方の手助けをしてくれるかもしれません。(文/印南敦史)【参考】※伊藤博之・柴田さなえ(2015)『男と女のワイン術』日本経済新聞出版社
2015年06月27日「子どもがやる気にならなくて困っている」というお母さんにぜひ読んでいただきたいのが、きょうご紹介する『いまどきの子のやる気に火をつけるメンタルトレーニング』(飯山晄朗著、秀和システム)。運動部のメンタルコーチを務めた実績を持ち、過去には名門私立高校野球部を半年で復活させて6年振りの甲子園へ導いたという著者が、経験を軸として子どもをやる気にさせる方法を紹介しているわけです。ちなみに子どもだけでなく、ビジネスのシーンにも役立つメソッド満載。第3章「不満ばかり口にする子に使命感を与える6つの言い方」を見てみましょう。■1:「自分のために」ではなく「誰かのためにがんばれ」自分のためにがんばるのも悪くはないけれど、それだけだと限界が訪れるもの。辛くなったときに燃え尽きやすくなってしまうということです。しかし「自分のため」だけではなく、「自分以外の誰かのため」にがんばっている子は、自分が辛いときにも粘れるものだといいます。でも喜ばせたい人を決めれば、明確にイメージを描けるそうです。■2:「諦めるな」ではなく「お前はエースだ」人は自分を「エースだ」と思えばエースに育ち、「そこそこのレベルだ」と思えばそこそこのレベルで成長を止めてしまうもの。だからこそ、自分を過小評価している子には、正当な評価を自覚させることが大切。■3:「変えるとしたらなにができる?」と聞くチームがギクシャクしているとき、「いまどんな状態?」と聞いても表面上だけ取り繕った答えが返ってくるだけ。でも「もし、いまのチームの状態をもっとよくするとしたら、自分にはなにができる?」と聞いてみる。つまり、自ら動き出すきっかけをつくってあげることが大切。■4:「なぜやるんだと思う?」と聞く「なぜ仕事をやるのか?」と聞いたとき、「やれといわれたから」と答える子は少なくないもの。しかしそれでは、なにをやっても吸収できず、成長することも困難。そういう相手に仕事を与える際には、「なぜ、この仕事をするのか」という意味を自分で見つけられるようにサポートしてあげるべき。■5:「君がやる理由は?」と聞く上に立つ人間は、「責任を持ってやれ!」と責任を押しつけがち。でも責任感を強調しすぎると、重圧に耐え切れず、「自分には無理」と自信をなくす子も多いとか。しかし「君がやる理由は?」と聞き、「この仕事は自分だからできる」「自分がやるべき」という使命感に気づかせることができれば、積極性が引き出されるもの。■6:「恩返しをしたい人は?」と聞く感謝しない状態が続くと、心は「感謝できない状態」になってしまうもの。なのに「感謝の気持ちを持て」といっても伝わらなくて当然。心を感謝できる状態に戻してあげるためには、「恩返しをしたい人は?」と聞いて、感謝するきっかけをつくってあげることが有効。たしかにこのようなアプローチを意識すれば、相手が子どもであれ大人であれ、やる気を引き出すことができそうです。(文/印南敦史)【参考】※飯山晄朗(2015)『いまどきの子のやる気に火をつけるメンタルトレーニング』秀和システム
2015年06月26日人間誰しも、忘れたいことはあるもの。嫌なことはきれいに忘れ、前を向いて進んでいきたいものです。とはいえ現実的に、忘れることはそれほど楽ではありません。そこで、忘れるための方法を多角的に捉えているのが、『忘れたいことを忘れる練習』(植西聰著、フォレスト出版)。第1章「忘れてはいけないこと、忘れていいこと」から、要点を引き出してみたいと思います。■いい思い出は人生の励みになる!著者によれば、いい思い出をいつまでも大切に心のなかにしまっておくことは、幸せに生きていくためのコツのひとつ。いい思い出はこれからの人生を歩んでいく励みになるので、いつまでも記憶にとどめておいた方がいいということです。ただし、楽しいことばかりではないのが人生。悔しいこと、心が傷つくこと、落ち込むことなども少なくないだけに、嫌な思い出はできるだけ早く忘れることが大切だというわけです。■いい思い出は嫌な思い出を消し去るつまり、いい思い出はいつまでもおぼえておき、嫌な思い出はできるだけ早く記憶から消し去ってしまう。それは、幸せに生きていくために大切なこと。もしも嫌な思い出が頭に浮かんできたら、意識していい思い出を記憶に蘇らせてみる。そうすれば、いい思い出が、嫌な思い出を消し去ってくれるといいます。■がんばった経験は忘れないでおこうつまり、人にはおぼえておくべきことと、忘れた方がいいことがあるということ。そしてひとつの経験のなかにも、そのふたつの要素があるそうです。「一生懸命がんばったのに、いい結果が出なかった」というのがいい例。こういう場合には、「一生懸命打ち込んだ」という過程をいつまでも記憶にとどめておくことが大切だということ。それは、これからの人生を生きるための勇気になり、生きる力を与えてくれる記憶に変化すると著者。■思いがけない結果は忘れ去ればいいしかし、「うまくいかなかった」「失敗した」「裏切られた」などの結果は、いつまでもおぼえておく必要なし。なぜなら、失敗した経験をいつまでも忘れられないでいると、結局は「自分はダメな人間だ。どんなにがんばっても成功できない」と落ち込んでいくだけだから。いい換えれば、自分を最良の状態に置くために、経験をコントロールするということでしょうか。だから、「これだけ私はがんばった」という過程での経験は記憶として取っておいていいということ。しかし、うまくいかなかった結果の経験は忘れ去る方がいいということです。そう考えることを習慣にできれば、たしかに気持ちは楽になりそうです。(文/印南敦史)【参考】※植西聰(2015)『忘れたいことを忘れる練習』フォレスト出版
2015年06月25日『校長先生、企業を救う4つの学校を再生し、3つの会社のV字回復に貢献した敏腕校長が教える組織再生術』(長野雅弘著、日本実業出版社)の著者は、聖徳大学附属取手聖徳女子中学校・高等学校校長。聖徳大学児童学部教授。4つの学校を再建した独自のメソッドを持ち、その組織再建術が一般企業からも注目されていることで有名です。事実、校長先生でありながら、3つの企業のV時回復に貢献した実績を持っているのですから驚き。つまり本書では、ビジネスの現場にも行かせるそのメソッドを明かしているわけです。■ベクトルを共有することの意義組織において大切な要素のひとつとして、著者は“ベクトルの共有”を挙げています。個々人の意識は違っていたとしても、学校であれ企業であれ、それが組織である以上は同じ意識や考え方をもとにして進んでいく必要があるということ。当たり前のことではあるけれども、組織内に身を置いているとつい忘れてしまいがちなことでもあります。そこで著者は組織を再建する場合、まずはヒアリングシートをもとに個人面談をして全員の気持ちを聞くのだそうです。そして得られた結果は、社員全員が集まる会議の場で公表するのだとか。■長野式ビジュアル4分割法の活用ならば、この時点で意見が割れそうですが、きちんとヒアリングができていれば、リーダーの考えと社員の意見との間に激しい齟齬は生まれないものなのだといいます。おおよその方向性は、おのずとかたまっていくということ。そして会議では、そうして固まった方向性を明示。もちろんベクトルを共有するためですが、ここで著者はユニークな方法を採用しています。独自の『長野式ビジュアル4分割法』によって、ベクトルを可視化するわけです。やり方はとても簡単。ホワイトボードを4分割し、マトリックスをつくる各人の意見に合致するゾーンに磁石を置いていく同じベクトル方向の人たちの磁石は同じ領域に集中するため、全員の意見を可視化できる。意識を共有できるのです。■共有する意識を理解しやすくなる“上下は積極的/消極的”、“左右は改革/保守”などのマトリックスをつくり、各意見を4面のどこかに振り分けるだけ。全員の傾向を可視化すると、共有する意識を理解しやすくなるということ。そして全員に安心感が生まれるため、風通しがよくなるというわけです。こんなにシンプルなことでも、組織内の空気はよくなるもの。成功体験に基づいているものであるだけに、人間関係がうまくいっていない会社やチームは、応用してみる価値がありそうです。実は私も、編集・構成でお手伝いさせていただいています。興味をお持ちになったら、ぜひ手にとってみてください。(文/印南敦史)【参考】※長野雅弘(2015)『校長先生、企業を救う4つの学校を再生し、3つの会社のV字回復に貢献した敏腕校長が教える組織再生術』日本実業出版社
2015年06月24日「入ってきただけで部屋がパッと明るくなる人もいれば、逆にシラケたムードになる人もいる。その違いはどこにあるのだろう?」『人の心を一瞬でつかむ方法―人を惹きつけて離さない「強さ」と「温かさ」の心理学』(ジョン・ネフィンジャー、マシュー・コフート著、熊谷小百合訳、あさ出版)は、上記の疑問を解くことを発端として生まれた書籍。その結果として、「人が第三者に評価されるときは常に二つの観点——『強さ』と『温かさ』からはかられている」という結論に達したのだそうです。つまり本書には、このふたつをよいバランスで発揮するための方法が記されているということ。PART2「人はみな、『見た目』と固定観念に縛られる」から、「女性のための三つの戦略」を引き出してみましょう。■成功を収めている女性のスタンス成功を収めている女性は、社会的偏見を見事に克服しているもの。しかしその道のりは、決して平坦ではないと著者はいいます。重要なのは、「どうすれば強さを発揮できるか」ではなく、どうすれば強さを発揮し、かつ、温かさを失わないでいられるか。女性が強さを見せつけると反感を買ってしまいがちなので、「強さ」と「温かさ」の微妙なバランスをうまくコントロールする必要があるということ。そして、次の3つがその「戦略」。■女性が意識するといい3つの戦略(1)「怒り」ではなく、「毅然とした態度」を示す。怒りは通常、女性にとってマイナスに働くものだと著者はいいます。なぜなら怒りをあらわにしてしまうと、イメージだけで全てを判断される危険性があるから。そこで、怒りを爆発させるのではなく、冷静に不同意を示し、感情をコントロールできていることをはっきりとアピールすればよいということ。温かさを失うことなく、かつ、しっかりと異議を唱えることができれば、それに越したことはないといいます。(2)「仲間への思い」を示す状況によっては、女性が怒りをあらわにしても反感を買わない場合があるという研究結果もあるのだそうです。たとえば、愛する人に危害が加えられているのを見て、女性が怒りを隠さなかったとしても、それに反感を抱く人はいません。女性がチームや家族のために「強さ」を発揮しているとき、その「強さ」は「温かさの表現」と見なされるということ。「強さ」が「献身性」と結びついている場合には、「強い女性」も認められるということです。(3)「温かさ」のボリュームを大幅にアップする女性は通常、「温かみはあるが弱々しい」とされているというのが著者の見解。したがって、女性が「強さ」を発揮したい場合、「温かさ」のボリュームを下げれば、シーソー現象によって「強さ」が引き立つということ。しかし、できる女性は「強さ」と「温かさ」のどちらもフルに発揮しているものなのだとか。「強さ」を示せばまわりから一目置かれ、「温かさ」を示せば、「強い女」に対する反感を和らげることができるわけです。これはほんの一例ですが、「強さ」と「温かさ」に焦点を絞った考え方は、どれもが新鮮で説得力に満ちています。コミュニケーションで悩んでいるなら、手に取ってみてはいかがでしょうか?(文/印南敦史)【参考】※ジョン・ネフィンジャー&マシュー・コフート(2015)『人の心を一瞬でつかむ方法―人を惹きつけて離さない「強さ」と「温かさ」の心理学』あさ出版
2015年06月23日きょうご紹介したいのは、人生をよりよくするための考え方を説いた『人生の99%は思い込み―――支配された人生から脱却するための心理学』(鈴木敏昭著、ダイヤモンド社)。著者は、「思い込み」について20年以上研究してきたという心理学者。そのベースになっているのは、「社会の“常識”も自分自身の“性格”も、この世の99%は思い込みでできている」という考え方です。だからこそ思い込みを上手に利用し、より快適に生きようと提案しているわけです。第2章「人生脚本は多くの『思い込み』でできている」から、「思い込みを生み出す『認知バイアス』に気をつけろ」を見てみましょう。■“認知バイアス”とは?思い込みは、あらゆる“認知バイアス”によってつくられるもの。人間である以上、心に偏りが生まれるのは仕方がないけれども、どういう認知バイアスがあるのかを把握しておくことは大切だといいます。そこでここでは、主となる4つのバイアスを紹介しています。■主な認知バイアス4つ(1)決めつけ思考「スキーマ」という心理学用語は、心の枠組みを意味するもの。著者がそのことに触れているのは、世の中が偏見に満ちているから。たとえば、髪を金髪に染め、派手なメイクをし、派手は服を着ている女性が子どもを連れて歩いている姿を見て「ヤンママだ」「ちゃんと子育てをしていなそう」などと決めつけてしまいがちなのがその一例。こうしたレッテル貼りは、無意識のうちにやっているもの。レッテルを貼った方が、楽に理解しやすいからだといいます。(2)欲望男性が、肌を露出して歩く女性に見とれてしまうのは、それが本能だから。異性に対する欲望という思い込みが、見とれるという行為を生むのだそうです。欲望というのは、根源的なある種のバイアスだという考え方。「本能の赴くままに」という表現には、考える前に行動しているようなイメージがありますが、実際にはこうしたバイアスが作用しているというわけです。(3)感情うれしい、楽しい、苦しい、怖いといった感情もストレスを生むもの。感情によって、認知の仕方は変わるということです。他人の成功を見たとき、自分の調子がよければ「おめでとう!」と素直に喜べます。しかし、不調のときは嫉妬してしまう。このようなことを“気分一致効果”というのだそうです。気分がいいときはいい情報を、よくないときは悪い情報ばかりを集めてしまい、ものごとのとらえ方が気分によって変化する現象のこと。(4)自己意識「私って●●じゃないですか」と自己評価する人がいます。心理学では、自己評価など自分自身に意識を向けて認識することを“自己意識”と呼ぶそうです。自己意識が高い人は、常に自分のしたことを反省したり、自分を理解しようとしたりしているもの。さらに、周囲にどう思われているのかも気になる。周りの評価が気になるということで、女性が髪型やファッションに気をつかうのも、他者評価を気にしているからだとか。そしてそれも、「女性はファッションにこだわる男が好きに違いない」という思い込みが発端になっているのだそうです。こうした認知バイアスが思い込みを生み出し、増強させていくのだというわけです。偏りを完全になくして世界を見ることは不可能ですが、こうしたバイアスがかかっていることに意識的になるだけでも、冷静になれるものだといいます。(文/印南敦史)【参考】※鈴木敏昭(2015)『人生の99%は思い込み―――支配された人生から脱却するための心理学』ダイヤモンド社
2015年06月22日タイトルは読者を限定しているような印象がありますが、『経営者のためのウェブブランディングの教科書』(佐野彰彦著、幻冬舎)に書かれていることは、ウェブブランディングに関わる一般のビジネスパーソンでも応用できそうです。なにしろ著者はこれまで、ウェブ制作会社の代表権アートディレクターとして、10年間で約250サイトを世に送り出してきたという人物。書かれていることが実践的なのです。きょうはそのなかから、「企画の生み出し方」について書かれた部分を引き出してみたいと思います。■コンテンツ企画の最強メソッド“3S6G法”コンテンツはウェブサイトのクオリティを決定するものですが、著者はここで、ブランド戦略型ウェブサイトを構築するためのメソッド“3S6G法(サンエスロクジー法)”を紹介しています。これは3 Step 6 Grouping法の略で、ウェブブランディングにおいて、最も重要なコンテンツ企画の具体的なワークフロー。コンテンツ企画とは、“ウェブサイトに掲載する内容そのものを計画する”ことです。■コンテンツの種をつくる“3つのステップ”3つのステップで“コンテンツの種”を創出し、その種を6つのグループに分類してコンテンツ化することで、クオリティの高いウェブサイトをつくることができるというもの。では、企画を生み出す3つのステップとは、どのようなものでしょうか?[ステップ1]ターゲットの心理を先読みする大切なのは、どんなことを知りたいのか、どんなことに興味があるのか、どんなことを不安に感じているのか、どんなことで喜びを感じるのか、さまざまな角度からターゲットの心理を先読みすること。先読みとは、お客様が自分でも気づいていない欲求や、心理を先回りして考えていくこと。現状よりも深く、言葉に表れてこないニーズを汲み取ることで、他社よりも抜きん出ることができるというわけです。[ステップ2]与えるべき結論を設定する次にすべきは、先読みしたターゲットの心理に対し、企業として「このように思ってほしい」「このようなことを知ってほしい」という結論を設定すること。たとえば魚沼産コシヒカリの生産者であれば、「いちばんおいしいお米のブランドはなんだろう」という顧客心理に対し、「それは魚沼産コシヒカリである」という結論を紐づけるということ。単純な作業のように思えますが、“ターゲットの心理”と“与えるべき結論”のペアをできるだけたくさん作成しておくことが重要だといいます。[ステップ3]ステップ1とステップ2をつなぎ合わせるアイデアや演出方法を考える3つ目は、ステップ1とステップ2の間にあるギャップをどう埋めていくかのアイデアや演出方法を考えるステップ。[ステップ1]ターゲットの心理→「いちばんおいしいお米はなにか?」[ステップ2]与えるべき結論→「それは、魚沼産コシヒカリである」[ステップ3]つなぎ合わせるアイデア→「魚沼産コシヒカリと他のブランド米の食べ比べ」このように、3つのステップで1組の“コンテンツの種”を生むことができるのです。著者はこれをコンテンツセットと呼んでいるそうです。ウェブブランディングに役立つ考え方がわかりやすく解説されているので、読んでみればヒントがつかめるかもしれません。(文/印南敦史)【参考】※佐野彰彦(2015)『経営者のためのウェブブランディングの教科書』幻冬舎
2015年06月21日きょうご紹介したいのは、お茶の開発・製造販売を行なっているロイヤルブルーティージャパン株式会社・代表取締役社長による『わが社のお茶が1本30万円でも売れる理由――ロイヤルブルーティー成功の秘密』(吉本桂子著、祥伝社)。しかしお茶の会社といっても、同社はちょっと違います。なにしろ、2014年2月に発売開始した『MASA Super premium』というお茶は、本体価格が30万円もするというのですから。それでも、天皇皇后両陛下ご臨席の植樹祭、APEC(アジア太平洋経済協力)横浜、アウン・サン・スー・チー氏来日時の晩餐会などの振る舞い茶に採用され、多くの顧客から支持されているのだとか。ならばそこには、ビジネスに関する重要ななにかが隠されていそうです。第4章「ロイヤルブルーティー式『真善美』ビジネス」にヒントを探してみましょう。■心得1:「採算度外視」もときには必要高級ブランドが利益を度外視して第一級品のオートクチュール(一点ものの高級品)をつくるのは、ブランドビジネスの商品戦略の基本。つまり利益が出ないオートクチュールをあえてつくるのは、それが結果的にブランドの価値を高めるから。ロイヤルブルーティーが1本30万円の高額フラッグシップボトルである『MASA Super premium』をつくったのも、高級ブランドとして認知されるため。飛ぶように売れる商品ではないとわかっていたものの、ブランドイメージを決定づけてくれるからこそ、採算度外視でつくる意味があったというわけです。■心得2:正しい商品を正しく売る先日ご紹介した『カリスマ添乗員が教える 人を虜(とりこ)にする極意』の著者と同じく、本書の著者も、目指すのは「三方よし」だと主張しています。近江商人に根づく、「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」という考え方。生産者に正しくお金が行きわたり、製造者も利益を得られる。そして消費者も適正価格で買えて、お茶業界も復活する。それこそが企業理念であり、「まさに真善美(認識上の真、倫理上の善、審美上の美。人間の理想としての普遍妥当な価値の意)の世界」だとしています。■心得3:社長の仕事は「人・もの・金を取捨選択」著者によれば、理想的な社長は、人・もの・金を取捨選択するタイプ。成功している企業経営者にも、このタイプが多いといいます。つまり、集めた人・もの・金から有用なもの、必要なものを取捨選択し、会社の品質管理をするのが社長の仕事だということ。■心得4:期待を裏切らないロイヤルブルーティーのサイトはシンプルなのですが、それもブランド戦略のひとつなのだと著者。どんなにサイトがかっこよくても、中身が伴っていないとお客様を裏切ることになる。それを避けるため、等身大のサイトしかつくらないようにしているということです。ブランドビジネスは、顧客の期待に応えなければならないからこそ、そこは譲れないといいます。重要なのは、これらの考え方が決して特別ではないということ。つまり業種に関わらない基本であり、だからこそさまざまなビジネスに応用できるというわけです。(文/印南敦史)【参考】※吉本桂子(2015)『わが社のお茶が1本30万円でも売れる理由――ロイヤルブルーティー成功の秘密』祥伝社
2015年06月20日『ウソをつく化粧品』(小澤貴子著、フォレスト出版)の著者は、祖父の代から続く東京美容科学研究所所長として、正しい美容科学の普及に努めている人物。しかし本書ではそんな立場から、化粧品の宣伝文句はウソだらけだと主張しています。そもそも「オーガニックだから安心」ということ自体がウソだというのですが、だとすればなにを基準にすればいいのでしょうか?きょうは、肌を守るためにおぼえておきたいことに焦点を当ててみます。■肌のためになる化粧品を自分で選ぶ美白化粧品や保湿化粧品、オーガニック化粧品が人気を集めていますが、これらに頼らなくとも、“正しい手当”をすることで美肌を実感できるのだとか。特に乾燥肌や、加齢が原因のくすみなどは、1~2ヶ月かければ改善できるといいます。■美肌を手に入れる“3つのポイント”そして、美肌を手に入れるためのポイントは次の3つ。(1)“強い浸透剤が入った化粧品”を避け、皮膚のバリア機能を強くする(2)肌のバリア機能が弱まるときに使用するメイク落としは、“水で洗い流せるもの”を使わない(3)健康なバリア機能のある肌に戻ったら、“適度な刺激”を肌に与える■傷んだ肌を回復させる“5段階法”こう聞くと肌の弱い人は不安を感じるかもしれませんが、そこでご紹介したいのが、傷んだ肌を回復させるための“5段階法”。第1段階:朝と夜に水だけで洗顔し、大丈夫であればぬるま湯で洗う。そうして、皮膚がヒリヒリしなくなるのを待つ。第2段階:それから徐々に、洗顔後に水で薄めた酸性化粧水をつける。第3段階:次は薄めずに酸性化粧水をつける。第4段階:ここまでで刺激を感じなくなったら初めて石けんを使い、その後、酸性化粧水をつける。夜は界面活性剤を含まない無水タイプのコールドクリームを手のひらで温めて伸ばしてから顔につけ、熱すぎない蒸しタオルでふき取る。それから石けんで洗顔し、酸性化粧水をつける。第5段階:ここではじめてクリームをつけ、メイクをする。こうして段階を踏んで、肌の健康を取り戻そうということ。しかし慌てず、それぞれのステップに4~6日はかけるようにし、肌が弱い人は特に第1段階にしっかり時間をかけることが大切だといいます。また、いまの段階がダメだと感じたら、必ず1つ前のステップに戻ることがポイント。■5ステップでバリア機能が回復!この5ステップを経ると、肌のバリア機能は戻ってくるそうです。そしてそれを実感したら、続けることが大切。ただし肌が元に戻ったからといって、バリア機能を壊す化粧品に戻らないように注意が必要。専門的な事情が明かされているだけにビックリすることもたくさん書かれていますが、肌を守るために読んでおいて損はないと思います。(文/印南敦史)【参考】※小澤貴子(2015)『ウソをつく化粧品』フォレスト出版
2015年06月19日『美人は「食べて」綺麗になる。~この栄養素があなたをつくる~』(木下あおい著、大和書房)の著者は、インナービューティープランナー、管理栄養士として、女性が内側から美しくなるための食事を発信している人物。運営するダイエット専門料理教室『bejou』では、綺麗に痩せる生徒が続出しているのだとか。そして本書では、栄養素の観点から「太らない食べ方」についてさらに詳しく解説しているわけです。多くの働く女性にとって重要な問題について解説している、「22時以降のごはんでも太らないコツ」を見てみましょう。■食事はなるべく夜22時までに!残業などで日常的に帰宅が遅くなってしまう人も、決して少なくはないでしょう。しかし最近の研究では、夜22時~午前2時までの間に体内で脂肪が蓄積していくことがわかっているのだそうです。つまり、なるべく夜22時までには食事をすませておく方がよいということ。とはいえ食べずに寝ると、空腹で眠れないこともあるはず。眠れずイライラが高まると、ダイエットへのモチベーションも下がります。■食べてもOKな食材を知っておくそこで著者がオススメしているのは、夜22時以降でも「これなら食べても大丈夫」という食材を知っておくこと。まずおすすめしているのは、血糖値を急上昇させないきのこや海藻、コンニャク。あるいは腸の吸収力をセーブしたり、免疫力をアップさせたりする納豆やメカブ、オクラなどのネバネバ食品もいいそうです。■夜は手軽な“袋クッキング”がいいそして、これらの食材を調理するのが面倒だという人のために、ここでは3分でできる“袋クッキング”が紹介されています。たとえばサニーレタス、青菜、スプラウト、サラダ菜など好みの野菜をポリ袋にイン。葉が大きいものはちぎるだけでよく、どれも入れるだけでいいので、包丁を使う必要もないそうです。そこに、水で戻したワカメと豆腐を入れ、味つけの塩麹と黒酢を少々。あとは袋ごともむだけで、簡単で、しかも美容効果抜群のボリューミーな一品が完成するというわけです。これだけでも充分においしいのですが、さらにコクのある味を楽しみたいなら、アボカドやするゴマを入れるのもいいとか。■遅くなった夜にはスープがベターまた著者は、遅くなった夜にはスープを食べるようにしているといいます。舞茸や椎茸、のりやコンニャク、青菜やモヤシなど、包丁を使わずに食べられる食材を洗ってちぎって水と一緒に鍋に入れ、味噌で味つけするだけ。こうしてできたスープは、野菜の出汁がしっかり味わえるのがポイント。つくりすぎても、すりおろしたニンニクと豆乳を足して洋風シチューにするなど、バリエーションが楽しめるそうです。他にもさまざまな角度から綺麗になるための解説がなされているため、きっと役に立つと思います。(文/印南敦史)【参考】※木下あおい(2015)『美人は「食べて」綺麗になる。~この栄養素があなたをつくる~』大和書房
2015年06月18日私たちのなかには、私たちの知らない不思議な力が隠れている。そう主張しているのは、『人をうごかすふしぎな力』(こばりひさ著、サンクチュアリ出版)の著者。言い換えれば、人間同士のコミュニケーションにおいては、潜在意識が大きく影響しているということです。そしてその力は、「ある動作をすること」「ある言葉を使うこと」によって表れるのだそうです。また、そのふしぎな力には、まわりの人たちとよい関係をつくっていくためのヒントがたくさん詰まっているのだとか。その一例として、「宣誓実行の術一歩目マスター」を引き出してみたいと思います。これは作業に取りかかる前に、3つの誓いを立ててみる手段だといいます。■脳のスイッチが入る“3つのおまじない”最初の一歩を踏み出そうというとき、気持ちを後押ししてくれるおまじないがあると著者は記しています。それは、「新鮮な気持ちでやる」「ていねいにやる」「力を込めてやる」の3つ。ポイントは、この3つの気持ちをしっかりと意識し、ことばに出すこと。そうすることによって、ひみつの脳にスイッチが入るのだそうです。そしてその結果、この3つのことばをひとつに集約した「第一歩目を大事にする」というキーワードが有効になるというわけ。■一歩踏み出してみるだけでうまくいくさて、「第一歩目を大事にする」と言葉に出したら、次は実際にからだを使って一歩を踏み出してみる段階だそうです。たとえば朝、会社に出かけるとき、玄関のドアを開けて外に出る第一歩目。きょう会った初めての同僚に「おはよう」と声をかける第一歩目。パソコンを立ち上げたとき、初めてキーに触れる第一歩目などなど。すると、それらすべての行動が、新鮮な気持ちで、ていねいに、力を込めてできるようになっていくのだと著者。そして、そこから続く一日が、“大変な壁”にさえぎられることなく、スムーズに気持ちよく進んでいくのだそうです。本書には、たったそれだけのことで仕事のクオリティも上がると書かれていますが、たしかにそういう基本的なことが大切なのかもしれません。他にも、ちょっとしたことにより、“潜在意識で惹かれ合う状態”をつくり出すためのシンプルなアイデアが詰まっています。アクションを起こすことによって潜在意識を反応させるという考え方が根底にあるだけあり、その術を説明したイラストも豊富です。リラックスして読めるので、ぜひ手にとってみてください。(文/印南敦史)【参考】※こばりひさ(2015)『人をうごかすふしぎな力』サンクチュアリ出版
2015年06月17日『人生ドラクエ化マニュアル』(JUNZO著、ワニブックス)の冒頭には、次のような一節があります。「『人生ドラクエ化マニュアル』は、あなたの人生をドラクエのような、血湧き肉躍る冒険ゲームに変えてしまう、非常に危険な書物である。」危険かどうかは別としても、つまりは不安をワクワクドキドキに変換できるようになれば、人生を楽しめるようになるというポジティブ思考です。第4章「人生のゲームルール~ルールを味方につけ、ゲームを楽しめ!~」から、「1009回ダメでも1010回目で当たりを引けばOK」に焦点を当ててみましょう。■人間世界のほとんどが偶然!人間世界のほとんどが、偶然に決められるもの。たとえば現実世界で偶然に支配されているものとして、著者は以下を例に挙げています。・自分の誕生日時(ゲームスタート日時)・死亡日時(ゲームオーバー日時)・属性(性別、容姿、能力、性格、嗜好、出生国、名前)・他のプレイヤーとの出会い(親、兄弟、友だち、恋人、結婚相手、上司、部下など)・発生イベント(常に偶然生成される。事前シナリオなし)また、敵との戦闘の際も偶然の要素が大きく関わるといいます。■いい目が出るまで降ればよいそして、これらのうち、何度もサイコロを振って変更可能なのが、“他のプレイヤーとの出会い”、“発生イベント”、“敵との戦闘”。でも、サイコロはいい目が出るまで何度でも振れるのに、実際には振りもしないで、あるいは数回しか振っていないにもかかわらず、「自分には運がない」とぼやく人も多いとか。そこで活用したいのが、“無限回サイコロ振ってOKルール”です。変更可のものは、当たりが出るまで何回でもサイコロを振ってもOK。そしてこのルールの活用法は、次のとおり。・“自分の誕生日時”、“死亡日時”、“属性”は、いくら考えたところで変えられないもの。だから、これらには意識を向けない。・思いついたことは、片っぱしからなんでもとりあえずやってみる(サイコロを振って、振って、振りまくる)・一か八かのかけに何度でも挑戦する。■1,010回目でチャンスをゲットこの考え方に基づいて成功したのが、ケンタッキーフライドチキンで有名なカーネル・サンダース氏だといいます。彼が事業に失敗した62歳のとき、おいしいフライドチキンにレシピだけをもとに再スタートしたのは有名な話。つまり、そのとき彼は無限回サイコロ振ってOKルールにのっとり、1,009社に対してフライドチキンのレシピを売るフランチャイズの話を持ちかけたわけです。どこも耳を貸してくれなかったけれども、1,010社目が話に食いつき、それがケンタッキーフライドチキンのフランチャイズ展開につながった。つまり、もし1,009社目でサイコロを振るのをやめていたら、いまのケンタッキーフライドチキンはなかったことになるということです。このようにとてもユニークな内容ですが、だからこそ共感できる部分も多いのではないかと思います。(文/印南敦史)【参考】※JUNZO(2015)『人生ドラクエ化マニュアル』ワニブックス
2015年06月16日『カリスマ添乗員が教える 人を虜(とりこ)にする極意』(平田進也著、KADOKAWA/中経出版)の著者は、サラリーマンでありながら、約2万人のファンクラブを持つという日本旅行のカリスマ添乗員。もともと引っ込み思案で口数が少なく、人前に出ると極端に緊張してしまうタイプだったそうですが、そうでありながら、この10年ほどの間に短時間で相手の心をつかめるようにもなったのだとか。そんな著者が冒頭で強調しているのは、本質的な人の心のつかみ方は業種や年代、シチュエーションを問わないということ。別ないい方をするなら、人の心は誰にでもつかめるというわけです。きょうはその考え方のなかから、「『三方よし』で思考する」という項目をクローズアップしてみたいと思います。■“三方よし”の考え方とは?著者は、「机の上に答えはない」ということを、読者に知っておいてほしいのだと記しています。他人に向かって発信しなければ、なにも起こらない。つまり、つながる力が大切だということ。そして、ここで重要な意味を持つのが、著者も大好きだという近江商人の考え方“三方よし”。(1)売り手よし、(2)買い手よし、(3)世間よしということで、その思想の根底にあるのは、「人のためになにかをしよう」という精神だそうです。■よい循環をもたらすものこうした気持ちを持っている限り、幸せは無限に循環し、広がっていくといいます。なぜなら、そうしていれば、誰も損をしないから。そして、そんななか、よい循環に厚みをもたらすのが、他業界、他業種とのつながり。著者が携わっている旅行企画という仕事の根底には、常にこの考えがあるといいます。■著者の旅行が売れる理由つまり、そこで先に触れた「机の上に答えはない」という考えが意味を持つというわけです。著者の旅行が売れるのも、「机の上に答えを求めず、どうすれば『三方よし』に近づけるかを、外の人たちと考えているから」。そしてその考え方は、旅行業界に限らず、どんな世界でも同じなのだと著者は主張しています。“つながれる力”を持っている人の方が、そうでない人よりも、独創的で、人を感動させられるアイデアにたどり着けるということ。著者の旅行が売れているのも、いろいろな方のおかげで力を得て、それを発信したからだというわけです。その、いろいろな方のひとりとして著者を応援しているのが、アナウンサーの宮根誠司さん。本文中にも登場するので、宮根ファンにとっても楽しめる内容だといえるかもしれません。(文/印南敦史)【参考】※平田進也(2015)『カリスマ添乗員が教える 人を虜(とりこ)にする極意』KADOKAWA/中経出版
2015年06月15日献立を考えたりするのは、なかなか面倒なこと。そして、その際の考えるは、結果的に毎日の時間と労力をムダにしている。そう主張するのは、『考えない台所』(高木ゑみ著、サンクチュアリ出版)の著者。「正しいルールを知って、効率的に台所しごとをこなすための本」だという説明のとおり、本書には準備や調理、収納・片づけ、道具など、多岐にわたるルールが掲載されています。「調理編」から、すぐに役立ちそうな「朝ごはんのルール」を見てみましょう。■毎日の朝ごはんが大切な理由起床時は血糖値が下がった状態なので、脳もエネルギー不足。なにも食べずにいると、体温低下、集中力欠如、作業能率低下を招くそうです。だからこそ、朝ごはんを食べることは大切。朝ごはんがその日のコンディションをつくるといっても過言ではないそうです。そしてポイントは、以下の「朝ごはんタイム、4つのルール」を守ること。■朝ごはんタイム4つのルール(1)「朝のお供セット」をつくる「お供セット」とは、朝ごはんに欠かせないアイテムを集めたセット。100円ショップなどで買える取っ手つきストッカーに、毎朝の食事に出すものを入れておくだけ。取っ手つきだと1回で取り出せるので、あれこれ探す手間がなくなるわけです。たとえ「白米派」「洋食派」など家族の朝食の好みがバラバラだったとしても、こうすれば毎朝、「これとあれと……」と考える時間をなくすことが可能に。(2)すてきなお皿やカップを使う特別な日のために棚の奥にしまってあるすてきな食器こそ、朝ごはんに登場させるべき。ふだん使いに昇格させてあげれば、ちょっとした特別感を味わえて、食事の準備もウキウキするものだといいます。納豆などもパックのままではなく、お気に入りの器に移し替えれば、食事の時間がさらに楽しくなるはず。(3)トレイやおぼんを使う各自の朝食はそれぞれ、トレイやおぼんに乗せて定食風にセット。そうすれば、食べ終わったら自分の食器をおぼんのまま台所に下げてもらえるというわけです。飲みものをこぼしたりしても、おぼんを拭くくらいで済むので、後片づけが楽。食卓とシンクを行き来する必要なく、1回ですむので心地よいそうです。しかも手ごろなトレイやおぼんは、100円ショップでたくさん売られているので便利。(4)夜の10分を利用する夜の10分が、朝の30分を生み出す。著者はそう記しています。就寝前に食材と器をおぼんの上にセット。コーヒーやお茶も、湯を注いだらすぐに飲める状態にしておき、果物は変色しないものだけカットしておく。そうすれば、翌朝はお湯を沸かしてお茶やコーヒーに注いだり、パンを焼いたり、シリアルを器に入れるだけ。戦争状態になりがちな朝の時間を、効率的に動かせるわけです。このように、すぐに活用できる簡単なアイデアが満載。ページをめくってみれば、きっと役立つ情報に出会えるはずです。(文/印南敦史)【参考】※高木ゑみ(2015)『考えない台所』サンクチュアリ出版
2015年06月14日『ネット広告&通販の第一人者が明かす100%確実に売上がアップする最強の仕組み』(加藤公一レオ著、ダイヤモンド社)の著者は、一貫してネットビジネスを軸としたダイレクトマーケティングに従事してきたという人物。現在は株式会社 売れるネット広告社代表取締役として、やずや、味の素、エーザイ、花王、サンスター、日清食品、ハウス食品、森永乳業、山田養蜂場、ライオン、ロート製薬など大手通販から中小通販まで、企業数を絞った限定コンサルティングを行なっているのだそうです。つまり本書は、そんな経験をもとに、ネット広告で費用対効果と売上を100%確実に上げるノウハウを明かしているわけです。■ポイントは“儲かる仕組み”!ネット通販の世界で売れる決め手は、ずばりネット広告。ただし、ネット広告をやる前に、まずは“儲かる仕組み”をつくることが重要。仕組みができてこそ、広告が生きてくるという考え方です。■儲かる決め手は“3高ルール”では、儲かる仕組みとはなんでしょう?それは、ネットで効率を劇的に上げ、売上を最大化すること。具体的には、次の3つのルールに沿ったプロセスを継続的に行なうことだといいます。(1)高いレスポンス高いレスポンスとは、つまり広告を通じて、多くの見込み客を効率よく集めるということ。他社と比較検討される前に、無料モニター(サンプル・お試し)などを通じて、商品を購入する可能性が高い見込み客リストを入手してしまおうという手法です。(2)高い引上次の段階は、そうして得た見込み客の多くを、実際に注文してくれる既存客へと引き上げること。見込み客は、面倒な申し込みフォームを記入してくれた潜在顧客。そこでメールで「本商品を申し込みませんか?」と徹底的にフォローし、高い確率で商品を購入してくれる既存客に引き上げるわけです。(3)高いリピートネットに限らず、どんな商売においても、売上を最大化するためにも重要なのは高いリピートを実現すること。そこで既存客に何度もリピートしてもらい、固定客にするのがこの最終部分。実際にネットで成功している通販会社は、顧客に何度もリピートしてもらうのだとか。つまり継続的に購入してもらう固定客を増やすことにより、広告費を回収し、膨大な利益を生み出しているということ。すべての基本といえるこの3高ルールからはじまって、以後もネット広告の活用法が克明に明かされています。ネットビジネスに携わる方にとっては、とても参考になる内容だと思います。(文/印南敦史)【参考】※加藤公一レオ(2015)『ネット広告&通販の第一人者が明かす100%確実に売上がアップする最強の仕組み』ダイヤモンド社
2015年06月13日当たり前のように使っていた英語は、外国人には通じない和製英語だったということはよくある話。でも、そこにツッコミを入れられたりしたら恥ずかしいですよね。そこでチェックしたいのが、異色の“山形弁タレント”としておなじみのダニエル・カールさんが、数々のカタカナ英語を紹介した『そのカタカナ英語、外国人には通じません』(ダニエル・カール著、フォレスト出版)。住居、日用品、雑貨などを取り上げた「生活編」から、付き合い、仕事、オフィスに焦点を当てた「人編」まで、さまざまなシーンごとに「外国人には通じない英語」を紹介しています。美容、ファッション関連のことばが並んだ「スタイル編」を見てみましょう。■1:スリーサイズ → ×measurements → ◯バスト・ウェスト・ヒップのサイズを“スリーサイズ”といいますが、英語の場合はmeasure「~を測る」の名詞形を使ってmeasurementというそうです。ウェストのサイズなら、waist measurementというわけ。自分の「スリーサイズ」は、me measurementsとおぼえるといいそうです。(例)Can you take the measurements for my dress?「ドレス用にスリーサイズを測ってくれませんか?」■2:フリーサイズ → ×one-size-fits-all → ◯自由なサイズだからフリーサイズというのは、あくまで日本的な発想。英語では“誰でも着られるサイズ”ということで、one-size-fits-allと表現するのが正解。ちなみにfitは、「サイズがぴったり合う」という意味の動詞です。(例)If you don’t know her exact size, just buy that one-size-fits-all top.「彼女のちゃんとしたサイズを知らないなら、あのフリーサイズのトップスにしときなよ。」■3:ワンピース → ×dress → ◯ワンピースは英語のone-pieceからきたことば。でも英語のone-pieceは形容詞で、「上と下の衣服がひとつになっている」という意味。ワンピースを含め、女性用の水着やレーシングスーツなどにも使う表現です。日本語でいうワンピースは、英語ではdress。正確にはone-piece dressですが、dressで充分に通じるそうです。(例)The lady with then blue dress is my friend.「青いワンピースを着ている女性は、私の友だちですよ。」■4:ノースリーブ → ×sleeveless → ◯sleeve(袖)がないからNoで否定してノースリーブとは、やや乱暴なカタカナ英語。しかし英語では、なにかがないことは“-less”であわらすもの。つまり袖なしはsleeveless。(例)Some people wear sleeveless shirts during the summer.「夏に、ノースリーブのシャツを着る人もいる。」このように、取り上げられているのは、どこかで聞いたものばかり。だから親しみやすく、また説明もシンプルなので、空いた時間にサッと読むこともできます。外国の人と話す機会がある人には、特にオススメです。(文/印南敦史)【参考】※ダニエル・カール(2015)『そのカタカナ英語、外国人には通じません』フォレスト出版
2015年06月12日「本を読むのに時間がかかる」とお悩みの方は、決して少なくないはず。そこでオススメしたいのが、『頭の回転が速くなる 速読×記憶術トレーニング』(川村明宏、川村真矢著、日本実業出版社)です。まず驚かされるのは、眼筋の運動法から記憶力持続強化まで、速読を身につけるためにトレーニング法が徹底的に考え尽くされていること。内容を理解する以前に、速く読む方法を重要視しているのです。だからこそ、コツをテクニカルに身につけられるというわけ。速脳研究会という団体を設立し、30年以上にわたって“速憶・記憶術”を研究してきたという著者の経歴にも、充分納得できます。究極の速読術だという「ブロック読み」から、「縦書き1行10文字で読む」を見てみましょう。なお、実際のトレーニングは、本書に掲載されている「トレーニング文」を利用しながら進められます。ただし、これはすべての基本だともいえそうで、注目に値します。■縦書きは1行10文字で読む縦書き1行10文字の文章を速読するためには、1行10文字を一度にすべて視野に入れ、視野をそのまま右から左へ移動させながら、音読や擬似音読(心のなかでの音読)をせずに文章を見ていくことが大切。最初から文章の意味を理解しようとせず、まずは素早く10文字ごとのブロックを見ていくことからスタートするのだといいます。■速読のためのトレーニング[1]1行10文字のトレーニング文を超高速で見ていく(10秒)3段組のトレーニング文を、上段、中段、下段の順に素早く見ていく。ポイントは、トレーニング文の最後まで行くこと。「内容を読んでやろう」という意識が強く働くと、ペースダウンするので注意が必要。内容に気をとられて減速した場合は、再度、10秒間で勢いよく見ることが重要だそうです。[2]1行10文字のトレーニング文を超高速の半速で見ていく(10秒間)今度は、スピードを半分に。その際、見ていくだけで勝手に飛び込んでくることばがあれば、読み取ってもOK。ただし、そのためにスピードを無理に落とさないこと。[3]もう一度、[1][2]のトレーニングを行う[4]トレーニング文の内容を理解できる最速のスピードで見ていく(10秒間)スピードをもう少し落とし、文章の内容が理解できるかできないか、ギリギリのスピードで見ていく。■従来の習慣から抜け出し方他にも「縦(横)書き1行10字を2、3行のブロックで読む」「縦(横)書き1行15字を2、3行のブロックで読む」「縦(横)書き1行20字を2、3行のブロックで読む」など、緻密に分けられた解説が掲載されています。しかしすべてのポイントは、文章をこれまでにように端から1文字ずつ順番に読んでいくという習慣から抜け出すことのようです。特徴的なのは、どれも簡単で、すぐに取り組めること。このトレーニングを通じてコツさえ身につければ、たしかに速読が得意になるかもしれません。(文/印南敦史)【参考】※川村明宏・川村真矢(2015)『頭の回転が速くなる 速読×記憶術トレーニング』日本実業出版社
2015年06月11日“アメリカンドリーム”ということばがありますが、その典型といえるのが、『#GIRLBOSS(ガールボス) 万引きやゴミあさりをしていたギャルがたった8年で100億円企業を作り上げた話』(ソフィア・アモルーソ著、阿部寿美代訳)の著者。なにしろ、ゴミ箱をあさっていた生活から、年商1億ドルの企業経営者になったのですから。とはいえ、そのプロセスは計画的なものではなく、基本的には成り行き任せ。だからこそ、逆におもしろみを感じさせてくれるのです。■「暇だったから」立ち上げたサイトが大ヒット!まずは、16歳のときにはうつ病でADDと診断され、ハイスクールに通うことをやめる決心をしたこと。ここから、いろいろ歯車が狂い始めます。さらに翌年には、両親の離婚をきっかけとして家を出て自活。西海岸をヒッチハイクして歩き回り、ゴミ箱あさりとケチな盗みの日々を続けたのだそうです。そんな彼女が22歳で就職したのは、ヘルニアになり、医療保険に入る必要に迫られたため。しかし、やる気があったわけではありませんから暇で仕方なかったのだとか。そこで暇をつぶすためにインターネットで遊んでいるうち、『ナスティ・ギャル・ヴィンテージ』というイーベイストアを立ち上げて古着の販売を開始することになったのです。すると、意外にもこれが大ヒット。しかも、その規模は多くの人の想像をはるかに超えたものでした。驚くべきことに、スタートから8年後の2014年には、従業員は350人に。年商1億ドルを超えるインターネット・ショップ『ナスティ・ギャル』の創立者兼CEO(最高経営責任者)、クリエイティブ・ディレクターになったというのです。ロサンゼルスには5万平方フィートのオフィスを構え、他にもケンタッキーに配送センターと倉庫を構えているのだといいます。■よくいるCEOと違って自分らしさ重視するタイプこれだけ聞くと、「自分には関係のない、一握りの成功者の話」だとしか思えないかもしれません。また、ある意味でそれは間違いではないでしょう。しかし本書を読んでいて感じるのは、著者がよくいるCEOタイプの人間とはまったく異なっているということです。普通であることに価値を置かず、「他人とは違う成功への道を探したい」という思いが人一倍強いのです。いいかえれば、「自分が自分であること」に重心を置いている。だからこそ、誰にでも当てはまる部分が随所にあるわけです。■年商1億ドルのギャルCEOからの3つのアドバイスそんな著者は読者に対し、「アドバイスが3つあります」と記しています。それは、(1)大人になってしまわないこと。(2)退屈な人間にならないこと。(3)男の言うことは気にしないこと。この発言からも、なにかを感じることができる人は多いのではないでしょうか?アメリカンドリームだけれど、決して遠い話ではない。読んでみれば、そう実感できることでしょう。(文/印南敦史)【参考】※ソフィア・アモルーソ(2015)『#GIRLBOSS(ガールボス) 万引きやゴミあさりをしていたギャルがたった8年で100億円企業を作り上げた話』CCDメディアハウス
2015年06月10日