意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「パラリンピック」です。***いよいよ8月5日より、リオデジャネイロオリンピックが開催されますね。南米で初めての五輪。僕は実はリオパラリンピックにも注目しているんです。パラリンピックのルーツは、1948年。イギリスの、第二次世界大戦で脊髄を負傷した傷痍軍人のリハビリ施設で始まった、車椅子患者によるアーチェリー大会だといわれています。第1回パラリンピックは、1960年にローマで開催されました。かつては福祉政策の一環のように思われていたところがあったと思いますが、義手や義足のテクノロジーの進化もあり、いまやもう別モノ。障害があるにもかかわらず、ものすごい速さで走る、高く跳ぶ、絶妙なバランスでカヌーを漕ぐなど、まさに「超人」の技を次々に見せてくれる感動の場になっています。人によっては健常者よりも速いタイムを叩き出しているケースも。パラリンピックの盛り上がりは年々増しており、ロンドンパラリンピックは史上最大規模、164の国と地域から、4310人の選手が出場しました。開会式にはコールドプレイがライブをするなど、盛大なパフォーマンスが繰り広げられました。開会式の模様はインターネット配信で中継され、770万人が視聴したそうです。もう、オリンピックと対等な扱いですよね。広告宣伝対象としても注目されています。パラリンピックを支援していると企業イメージもアップしますし、そこには大きな市場が広がっています。ただ、パラリンピック選手はエージェントに所属していない選手も少なくなく、個人で動いてる場合が多いので、いきなり巨大資本が動き始めて戸惑うところもあるようです。ただのブームに終わらず、リオパラリンピックが成功して、2020年の東京パラリンピックまでつないでいきたいですね。車椅子バスケや車椅子ラグビー、ブラインドサッカーなどは、健常者も車椅子に乗れば、目隠しをすれば、参加できます。将来、同じ土俵で戦いあう、ユニバーサルデザインを描けたらよいなと思います。リオパラリンピックは9月7日~18日。スカパー!とNHKの地上波で放映されますので、ぜひチェックしてみてくださいね。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年8月3日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年08月02日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「ふるさと納税」です。***ふるさと納税とは、好きな自治体に寄付をする制度です。寄付をすると、その額から2000円を引いた額が、所得税と住民税から控除されます。日本は東京が中心となり、大都市ばかりに人もお金も集まってしまっています。地方にお金が回るようにと、ふるさと納税制度は2008年に公布されました。寄付した人には地方の特産品などのお礼の品が送られます。理念は素晴らしいのですが、年々、自治体ごとの寄付金獲得競争が加速、返礼品がエスカレートして豪華になってきてしまいました。自治体の方でも返礼品が重荷になったり、返礼で受け取った金券を転売する寄付者が出てくるなど、本末転倒な事例も。公布から8年たち、そろそろ制度の見直しが必要なのかもしれません。また、ふるさと納税を使って、高額所得者が高額の寄付をし、寄付額がほとんど還付される、節税対策に使われていることを問題視する人もいます。いわば、日本のタックスヘイブンです。ただ、都市と地方の格差は広がる一方。地方は財源を得るのが本当に大変です。ですから、たとえタックスヘイブンになったとしても、地方にお金が回るのは良いことなんじゃないかと思います。最近では被災地にふるさと納税する人も増えていますね。熊本への寄付金も増えて、復興に役立っています。問題は、寄付をする側の姿勢ですね。ただの節税対策や、返礼品目当てのショッピングモールになってしまうのは残念。集まった寄付金の使い道は各自治体で公開していますので、寄付をしたら、ぜひチェックしてください。また、一度その土地に足を運んで、実際に見てきてほしいですね。都市部はどうしても消費が中心。地方が生産を支えています。農業、林業、水産業の「生産者を守る」という意識で地方を応援していきたいですね。実際に生産の現場の大変さを知ると、無駄な消費をしなくなります。日本はレストランでもコンビニでもたくさん食品を捨てていて、食品ロスが多いんです。過剰な消費から生まれる社会問題は少なくありません。生産と消費、都市と地方のいいバランスを目指していきたいですね。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年7月20日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年07月17日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「参議院選挙」です。***皆さんは「三権分立」を覚えていますか?法律は立法権を持つ国会で作られ、法律に基づいて政治を行う内閣は行政権を、法律に基づいて裁判する司法権は裁判所にあります。これらは暴走しないように互いに監視し合う、ということになっていますが、実際は行政府と立法府が一本化しているよう。内閣が望む法案が、成熟した討議のなされないまま、数の論理で決まることが多い印象があります。国会答弁の数は与党が1割、野党が9割と割合が決まっていますから、これには反論する野党側の責任も少なくありません。大統領と上院下院が対等に、緊張感を持って存在し、常に意見を戦い合わせているアメリカとは大きく違いますね。日本の場合、総理大臣や各大臣は、立法府(国会)で議席を多く取った党内から選ばれます。また、「党議拘束」といって、党員は政党の方針に従わねばならないという規則があります。自分が所属する政党と違う意見に票を入れると、体制に逆らったと罰せられたり、党の公認を得られなくなったり、除名処分になることも。そのため、全体が数の多い与党の意見に流れることが構造的に起きてしまうんですね。国会には衆議院と参議院があって、衆議院で可決された法案を、参議院で再討議します。参議院は衆議院のように途中で解散することなく、任期は6年。半期ごとに半分の議員が選挙で選ばれます。衆議院とは別の角度からじっくり法案に取り組むことが求められています。しかし、党議拘束は参議院にもかかりますから、残念ながら、衆議院との役割の違いがあまり見えてきません。選挙前には国民が喜ぶような聞こえの良い法案が掲げられたり、結局、「選挙に勝つための政治になっていないか?」という疑問も拭えず、国民の政治離れが進んでしまいました。7月10日は参議院議員通常選挙の投票日です。代表演説やマニフェストをチェックして、ぜひ政策の中身で政治家を選んでください。日本は、お上の決定に民が従う歴史が長かったものですから、政治を政治家にまかせる慣習が染みついています。でも今、当事者意識を持って、政治家に働きかける積極性が求められているんです。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年7月13日号より。
2016年07月11日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「新幹線」です。***今年の3月に北海道新幹線が開業。東京-新函館北斗間が、4時間2分で行けるようになりました。日本に初めて新幹線が走ったのは、1964年、東京-新大阪間でした。新幹線は踏切なしに高速で走るため、専用のレールが必要で、建設には莫大な費用がかかります。'64年の東海道新幹線の総工事費は当時のお金で3800億円。東京オリンピックの開催に合わせて、東名高速道路とともに建設が進められ、世界銀行が8000万ドル貸し付けてくれました。これらは日本の戦後の復興の象徴だったんです。1973年には「整備新幹線」として、北海道、東北、北陸、九州(鹿児島ルートと長崎ルート)の5つの路線を通す計画が立てられました。でも、まだ全ては完成していません。速い列車がそれほど必要なのか?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、新幹線建設による経済効果は大きいんですね。やはり人とモノの移動が活発になると経済も活性化します。新幹線が開通する前、東京-大阪間は特急列車で6時間50分かかりました。それが4時間で移動できるように。この時短によって年間2500億円の効果があったといわれています。ちなみにGDPは1973年に100兆円を超え、現在は500兆円規模なので、経済規模は40年で5倍に増えました。昨年、金沢まで北陸新幹線が開通しましたが、日本政策投資銀行の試算によると、首都圏から石川県への人の流入数は観光で3割増し。ビジネスで27.8%増。消費など直接的な経済効果は、年間61億円。ビジネスで20億円。二次的な波及効果を含めると124億円にのぼるそうです。日本の新幹線は、脱線や衝突を防ぐ技術に優れていて、50年間ほぼ無事故。地震検知警報システムも完備され、安全面は保証済みです。ただ、導入コストが高いので、インドへの輸出は決まりましたが、アメリカやインドネシアへの輸出はかないませんでした。安倍総理は2020年までにGDP600兆円を目指しています。クリアするためにも重要な産業です。今後も新幹線が延びて利用者が増え、日本経済の活性化につながると良いですね。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年7月6日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年07月04日お笑いコンビ・さまぁ~ずがこのほど、東京・フジテレビ湾岸スタジオで、8日(21:00~22:52)に放送される同局系バラエティ番組『さまぁ~ずの神ギ問SP』(レギュラーは毎週金曜24:55~25:25)の収録後に取材に応じ、進行を務める宮司愛海アナウンサーに「エースを狙ってる感」「私しか今いないでしょ感」が漂っていると話した。ネット検索や本を読んでも答えのない絶妙な疑問を"神ギ問"と認定し、独自の取材で解き明かしていくという同番組。宮司アナは入社1年目からこの番組を担当しているが、三村マサカズは「まだ2年目なんですけど、エースを狙ってる感をひしひしと感じます」と評し、大竹一樹も「私しか今いないでしょっている感じがある」と、大物感をが伝わってくることを語った。これに対し、宮司アナは「(そんな感じは)出してないです(笑)」と苦笑いで否定。それでも三村は「朝(『めざましテレビ』)は諸先輩方が見てるからちょっと縛られてるけど、(深夜の本番組は)開放してるよね」、大竹も「この番組は適当にやってる感じが…」と畳み掛けた。三村によると、本来はさまぁ~ず側が女子アナを下ネタでいじるという流れがあるにもかかわらず「宮司から振ってくる」そうで、大竹は「"猛獣"と呼んでます」と明かした。昨年10月にスタートし、今年3月に初のプライム帯特番が放送され、4月からレギュラーの放送時間が30分繰り上がり、今回のゴールデン特番と順調にステップアップしている同番組。疑問の検証には相当な労力がかけられており、三村は「今のテレビの中では、かなり時間をかけて作っているというのが、良い評価として出てるのを信じたい」と願いを語った。これを受け、宮司アナも「面白いことをやっていこうという雰囲気がVTRから伝わってくるので、こちらも頑張らなきゃいけないという、相互の頑張っていこうという感じが、番組の進化につながっているんじゃないかと思います」と見解を述べたが、さまぁ~ずの2人は「頭良い回答…」と、やはり宮司アナのエース感を再確認していた。今回の特番では、「缶詰の賞味期限ってどうやって決めているの?」「『友情出演』…自分で『友情で出ます』っていうの?」「早炊きとノーマル炊き炊きあがりはどう違うの?」「飛行機のファーストクラスって差額分の価値はあるの?」「なんでバスガイドはシートベルトしなくていいの?」「ビルってどうやってつくってるの?」「テーマパークの閉園後 どこかに隠れてたらバレるの?」という7つの"神ギ問"を検証。ゲストに山崎賢人、浅尾美和、堀潤を迎える。大竹は、番組のクオリティの高さがまだ世間に伝わっていないことを嘆き、「本当にこの番組があることに気づいてほしいですね」と力説。他の2人も同意してうなずいていた。
2016年07月01日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「18歳からの選挙権」です。***公職選挙法が一部改正され、70年ぶりに選挙権の年齢が引き下げられました。いよいよ、満18歳から投票できるようになります。少子化が進むなか、未来を担う若い世代が政治に参画できるようになるというのは、喜ばしいことですね。ただ、今年18歳、19歳になる人の数は約240万人で、有権者全体の2%にすぎません。ですから、これを機に政策がいきなり若い人向けにシフトするということはないでしょう。10代の有権者が生まれるということは、政党にしてみれば新たな支持者を囲い込めるチャンス。高校生や大学生を対象にボランティアを募ったり青年部を作るなど、どの政党も積極的にアプローチをかけています。世界的に見ると、191か国・地域のうち9割以上の国で、選挙権の年齢を18歳以上にしています。日本の有権者の年齢が20歳以上だったのは、成人年齢が20歳だからです。選挙年齢の引き下げは、国民投票の年齢が満18歳以上に定められたことがきっかけになっていますが、政府は将来的に、日本の成人年齢を18歳にすることも検討中。そうなれば、少年法も改正されますし、国民年金保険料を納める義務も18歳から課せられます。少子高齢化対策として、国は、働ける人、税金を払える成人の数を増やしたいんですね。18歳選挙は夏の参議院議員選挙から始まります。本番を前に「模擬選挙」を実施している学校もあります。議題に合わせて、生徒同士で議論を戦わせ、多角的な視点から、どこに投票するか考えをまとめる力を養うというもの。日本人はディベート下手ですよね。自分の意見が否定されると人格まで否定されたように感じて、人間関係に支障が出てきたり。感情と切り離して議論することは大切です。皆さんも、今日のランチをどこにするかというような身近なテーマでも、お友達とディベートをしてみてはいかがでしょう?汚職問題などを機に政治不信が募り、若者の政治離れに拍車がかかって、今、20代30代の投票率の低さが問題になっています。10代の政治参加に刺激されて、20代30代の政治意識が高まることも期待されているんです。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年6月29日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年06月26日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「待機児童」です。***条件を満たし、入所申請をしているにもかかわらず、保育所に入れない「待機児童」の数は2015年4月の段階で約4万5000人。キャンセル待ちの多さに諦めて、最初から申請していない家庭もあるので、潜在的な待機児童数を含めるとその数はもっと多くなるでしょう。待機児童問題は、保育所の数を増やすだけでは解決にはなりません。というのも、保育士さんの数が足りないんですね。保育士の資格を持ちながら現場を離れた「潜在保育士」の数は全国で約80万人。離職した大きな理由は、賃金の低さと言われています。保育士の賃金は、35歳平均で月額21.9万円。全産業の平均は33.3万円ですから、かなり下回っています。安倍総理は4月に一億総活躍社会の一環として、保育士の賃金を2%、月額約6000円アップを宣言。潜在保育士をなんとか呼び戻そうと対策を立てています。保育所が足りないのは、近隣の反対により建てられないというケースもあります。「子供の声がうるさい」といったクレームも聞きますが、それだけではなく、道が狭くて、子供の送り迎えの車や自転車が来ると住民の移動ができないという切実な理由も。街づくりやインフラ面から抜本的に変えなければいけません。また、保育所開設の規制緩和も必要でしょうね。企業内に保育施設がもっと開設できれば助かりますよね。待機児童問題は、すぐには解決しないでしょう。これから就職や転職を考えている方は、育児休業のあるなしだけでなく、バリエーションをチェックしてみてください。1年フルに休めなくても、時短で働ける時期を長く取れる方がありがたい場合もあります。今から約100年前に母性保護論争が起きました。女性解放運動家の平塚らいてうは「子供を産み育てることは国のためでもあるから、国が保護するべき」と主張。対して歌人の与謝野晶子は「女性は男性にも国にもよりかかるべきじゃない。自立して稼ぎなさい」と意見しました。子育てのお金は、国か個人、どちらが出すべきなのか。子供は誰のものなのか?100年前の論争の答えはまだ出ていないんです。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年6月22日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年06月19日19日に最終回を迎えるTBS系ドラマ『99.9-刑事専門弁護士-』(毎週日曜21:00~)の公式ツイッターで、主演を務める嵐・松本潤の人柄が伝わるエピソードが明かされ、話題を呼んでいる。公式ツイッターでは、「今日の潤様」と題して、頻繁に松本の撮影現場での様子を紹介。この日は、「明日撮影するクライマックスシーンの台詞について、どうするのがベストか、この1週間ずっとやり取りを重ねているのですが、先ほど『はい、これ』と一枚の紙を渡された。これまでやり取りして、手書きでたくさん書き込んだ台本を、PCで全部打ち直して台本形式にしたものだった」というエピソードを明かした。続けて、「『いろいろ考えて書き直したんだけど、手書きのものを見せるのも失礼かなと思って』とのこと」と説明。「誰よりも忙しく、誰よりも寝ていないのに、スタッフに対してさえこの気遣いをしてしまう、気遣いができるところが、松本潤である所以なんだなと、改めて思いました」とつづり、「うちの座長は素敵な人です」とたたえた。この投稿に、「さすが潤様」「やっぱり潤様ステキすぎ!!」「潤くんの人柄がにじみ出る素敵なエピソード」「涙が止まりません」「感動で涙が溢れます」「座長素敵すぎます…涙出てきた…」とファンは感動。また、「座長とスタッフさんがたくさん考えて作った最終回、すっごい楽しみです!!」「そんな考え抜いた最終回は正座してみないと!!」「どんなラストになるかワクワクしてます」と最終回への期待の声や、「ぜひセカンドシーズンを!」という声も寄せられている。(C)TBS
2016年06月15日実業家の堀江貴文氏(43)と元衆院議員でタレントの東国原英夫(58)が、13日深夜に放送されたTBS系バラエティ番組『そろそろここら辺で話しといた方がいい話』(24:10~25:25)で共演。SNS上で長期にわたって繰り広げた口論について、それぞれの思いをぶつけ合った。事の発端は、テレビ番組で堀江氏が前大阪市長の橋下徹に「大阪都構想は本を出していれば成功していたかもしれない」と発言したこと。東国原がツイッターで異論を唱え、その後もツイートを続けたところ、堀江氏は「まだグダグダ言ってんですか笑。バラエティ番組の企画ごときに」とコメント。ここから2人はヒートアップし、東国原「『バラエティごときに』とか言ってる人間(バカ)もいますが…」、堀江氏「てめーが勝手に絡んできたんだろ」、東国原「『てめー』って誰の事だ? どうでもいいけど、てめー、言葉にはちょっと気を付けろや」などとSNS上で言い争った。東国原は「グダグダ僕がツイートしていたというのは違う。堀江君のフォロワーが、(堀江氏が)なぜこういう発言をしたのか質問してくるわけ。それについて丁寧に説明していた」と話し、「『ごときに』って言われたら…相手をディスってるでしょ! それで『どういうことだ』って言ったら、堀江君が『てめーが勝手に…』って」と説明。「『てめー』って何だって思うでしょ!?」と主張すると、加藤浩次も「思います」とうなずいた。堀江氏は、加藤に「『てめー』とか『ごとき』とか使わなきゃいいでしょ。相手が嫌な気持ちになるって想像できますよね?」と言われると、「『てめー』はそう思います」と認め、「それに関しては申し訳ない」と謝罪。東国原は、「てめー」発言はすでに謝ってもらっていたことを明かした上で、「『ごとき』は彼にとって人をバカにする言葉じゃないって。おかしくない!?」と疑問を投げかけると、堀江氏は「SNSはいろんな価値観がある人がやっている。それを言い出したらあたりさわりのないことしか言えなくなる」との考えを示した。「ごとき」については、そのほかの出演者の意見もさまざま。教育評論家の"尾木ママ"こと尾木直樹氏は「ごときはマズイわ」と反対。キングコングの西野亮廣は「全然賛成。『ごとき』っていう言葉を使ったからこれだけ広まって、みんなが考えるきっかけになった」と言い、フリージャーナリストの堀潤氏も「賛成。一番やっちゃいけないのは、こんなこと言ったらよくないかなと思って自粛する空気の方が怖い」と語った。
2016年06月14日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する、雑誌『anan』で連載中の「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「タックスヘイブン」についてです。***タックスヘイブンとは日本語で「租税回避地」。税金を免除、またはとても低い税率にして、海外資本を獲得している国や地域のことを指します。ヨーロッパの小国、モナコ公国やサンマリノ共和国、カリブ海の英領ヴァージン諸島やケイマン諸島などが有名です。それらの国や地域が税率を下げるのは、もともと産業や鉱物資源がなく、税金をとる先がないからなんですね。海外企業を誘致できれば、雇用が生まれ、富裕層が集まれば消費が活発になり、その地域の利益につながります。企業にとってみれば、世界に展開するのに、本拠地をタックスヘイブンに登記し、収益を集約できれば、国によって税率が異なることを気にせず、円滑に取引が進められます。必ずしも誰しもが税金逃れのために使っているわけではないんです。ただ、麻薬や人身売買、テロ、政治家の汚職などのマネーロンダリング(資金洗浄。口座を転々とさせて、資金の出所を不明確にする)の温床になりやすいのも事実。北朝鮮やロシアなど、欧米諸国から経済制裁を受けている国のお金のやり取りに使われているともいわれています。4月に「パナマ文書」がニュースになりました。パナマの法律事務所から、タックスヘイブンを利用する企業の、過去40年分の膨大なデータが流出。それによると、約21万の企業の関係者リストのなかに、プーチンや習近平、アイスランドの首相など、国の要人も含まれていました。文書はドイツの新聞社と国際調査報道ジャーナリスト連合に送られ、現在詳しく調べている最中ですが、リストのデータベースは誰でも見られるよう5月にネット上で公開されました。タックスヘイブンに集められた企業の税逃れ額は、約500兆円あるとか。それらが国税として支払われれば、社会保障に使えますよね。日本では早い時期からタックスヘイブン対策税制を設け、法人税率20%以下の国に登記している会社は、国税庁に届け出ることになっており、国内の子会社から、相応の税がとられています。世界の格差問題につながるテーマ。今後、各国がどう対策をとるのか、要注目です。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年6月15日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年06月14日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する、雑誌『anan』で連載中の「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「重力波」についてです。***今年2月、全米科学財団と国際研究チームは、重力波天文台「LIGO(ライゴ)」が、世界で初めて、重力波の観測に成功したと発表しました。各新聞の一面を飾ったので、印象深く覚えている方も多いでしょう。そのくらい、歴史的な快挙なんですね。質量のあるものが動くとき、「時空の歪み」がさざ波のように伝わる現象、この波が重力波なのですが、歪みの伸び縮みはとても微細。太陽と地球ほど離れた距離で水素原子1個ぶんほどと、気が遠くなる小ささなので、塵や振動によっても観測は制限されてしまいます。ですから、実際に検出するのは不可能だろうと言われてきました。それがこのたび、地球から13億光年離れた場所で、2つのブラックホールが衝突、合体したことにより、大きな歪みが生じて初めて観測ができたのです。ブラックホールが合体した瞬間は、太陽の全質量の3倍くらいのエネルギーが放出されたのだとか。どれだけ大きなものだったか、想像を超えますね。重力波は、1916年にアインシュタインが一般相対性理論でその存在を予言していました。ですから、100年かかって、アインシュタインの宿題を解いたようなものなんですね。この成功は宇宙の解明に大きく貢献するでしょう。重力波はあらゆるものを貫通し、何を通過してもほとんど影響を受けないのだそうです。これまで光や電磁波で調べていた宇宙も、重力波を使えるようになれば、もっと深く正確に調査することができます。ブラックホールの解明や、宇宙の起源、ビッグバンの謎を解き明かすこともできるようになるだろうと言われています。ちなみに電磁波の存在が理論的に証明されたのは1864年。1888年にハインリヒ・ヘルツさんによって、放射する電磁波の観測が可能になりました。周波数を示す単位「ヘルツ」は彼の名前に因んでいます。その後、電磁波が通信や医療、電子レンジなどで家庭でも使われるようになったのが約100年後。重力波も今から100年後には身近になっているかもしれませんね。ドラえもんが生まれたのが2112年。その頃には「どこでもドア」も実現可能になっているのかも?◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年6月8日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年06月07日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する、雑誌『anan』で連載中の「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「サミット」についてです。***5月26~27日に第42回先進国首脳会議、いわゆる「伊勢志摩サミット」が開かれます。日本で開催されるのはこれで6度目。サミットが始まったのは1975年でした。’70年代はオイルショックが起こり、世界経済が不安定になりました。そこで当時のフランスのジスカール・デスタン大統領の声がけのもと、先進国の首脳が集まり、世界経済や国際情勢の問題に対して、協調して政策を打ち出す話し合いの場として始まったのがサミットです。参加国はフランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、イタリア、日本。その後、カナダ、民主化されたロシアも’98年から参加し、G8(Group of eight)と呼ばれていました。ところが、ウクライナ問題にロシアが介入したことから、西欧諸国と対立。2014年に参加停止となり、現在はG7に戻っています。議題のメインは経済問題ですが、他にも安全保障や環境に関することなども話し合われます。議長国は1年間議長を務め、その間に各専門分野の関連会議がいくつも開かれるんです。つい先月も広島でG7の外相会合があり、テロ対策や中東情勢、北朝鮮情勢、核軍縮について話し合いがなされましたよね。他にも、新潟で農業大臣会合、仙台で財務大臣・中央銀行総裁会議などが開かれます。サミットの会期に合わせて、民間のNPO、NGOの関連会議も開催されるので、開催地には世界中から人が集まり、注目されるようになります。由緒ある日本文化を伝えようと、伊勢神宮のあるこの地が選ばれました。サミットで取り上げられるテーマを見れば、いま世界でどんなことが問題になっているのかがわかります。ただ、最近はアジアやアフリカの経済力も上がってきて、先進国だけの問題ではなくなってきました。新興国11か国を含めたG20の方が、G7より影響力を持ってきているとも言われています。いずれにせよ、原油価格の下落、エネルギー問題、中国経済の問題、マネー・ロンダリングなど、世界経済が大きく揺れ動いている今、日本がどんなふうにイニシアティブをとるのか、注意してみておきましょう。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年5月25日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年05月22日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する、雑誌『anan』で連載中の「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「一億総活躍社会」についてです。***去年の10月に第3次安倍改造内閣が発足したときに内閣は「一億総活躍社会」というプランを掲げました。安倍政権の経済目標の一番大きい規模のものって、何だかわかりますか?それは2020年までに日本のGDPを600兆円に引き上げるというものです。現在、日本のGDPは500兆円前後。‘80年代の後半に400兆円の大台を突破し、約15年かけてやっと500兆円になりました。バブル期を含んだ成長ですから、今から4年で約100兆円を上げるというのは、簡単ではない数字なんですね。GDPを上げるには方法は2つ。移民に積極的に働いてもらうか、国内に眠っている労働力を掘り起こすか。安倍さんは保守派ですから、移民の受け入れにはあまり積極的ではありません。そこで、女性やお年寄り、障害のある方、難病の方などでも、働ける人を総動員して、国の経済成長を促したいと考えているんです。バブル崩壊後、リーマンショックの起きた2008年頃までは、働きたくても働き口がない、という状況でした。けれども今、日本は人手不足です。サービス産業、製造業、介護や医療の現場で働き手を求めています。「一億総活躍社会」は言い換えてみれば「一億総労働社会」。少子高齢化で、働く年代の人口が減っているのに歯止めをかけたいんですね。今後は定年も延び、年金の受給開始年齢も引き上げられるでしょう。ただ、見方を変えれば悪いことばかりではありません。家庭、地域、職場で個性を生かした多様な働き方を社会全体で支援する。男性女性、障害のあるなし、年齢に関係なく、皆がいきいきと働ける社会を目指すということ。これから日本の労働環境が大きく変わるのかもしれませんね。政府は緊急政策として、「希望出生率を1.8」「介護離職ゼロ」を掲げ、保育や介護のサービスの拡大を目指しています。今、日本では、働いても生活が楽にならないという貧困の問題がありますね。一億総動員はするものの、市場原理にのまれて、ただ安い賃金で働かされ、ちっとも暮らしが豊かにならない、というふうにならないことを祈りたいですね。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年5月18日より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年05月15日元NHKアナウンサーでジャーナリストの堀潤氏(38)が、15日に放送されたフジテレビ系トーク番組『ワイドナショー』(毎週日曜10:00~10:55)にゲスト出演し、週刊誌『週刊新潮』で報じられた"DV離婚"報道を否定した。堀氏は、DVと不倫が原因で離婚したとする報道を否定した上で、昨年に協議離婚が成立していることから「ただただ、悲しかった」「係争中でもないのに」と落胆。相手の代理人とも良好に話し合いが進んだと言い、「僕は反論するところはきっちり反論したし、向こうから提示された条件もきちんと『わかりました』と言いました」と主張した。松本人志(52)から「ヤフーニュースで見た時に『要潤であってくれ!』と思った」、タレントの千秋(44)から「ニュース見た時に『ああ、やりそう』と思った」「全部聞いても真っ白とは思えない」などとイジられ苦笑いの堀氏。報道後にある人物から"ハグ"のLINEスタンプが届き、送り主の名を「乙武さんから」と明かして、松本を「それをオチに持っていくかね……」とあきれさせた。『ワイドナB面』(毎週日曜10:55~)では、再び堀氏の話題に。松本は「どうなることかと思った」と堀氏のゲスト出演に不安を抱いていたことを伝え、「元気そうでよかった」と安堵。一方で松本にとっての疑問が、恒例となっていた収録前の楽屋あいさつがこの日はなかったこと。堀氏は「松本さんの楽屋にあいさつに行くと『これ言わないでください』とか事前に言いたくなってしまうから」と説明し、「放送がはじまったらもう、まなの……まな板の鯉」と大事なところを噛んでしまい、松本から「まな板も言えなくなっちゃって……」と同情されて、スタジオは爆笑に包まれた。
2016年05月15日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する、雑誌『anan』で連載中の「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「憲法改正」についてです。***5月3日は憲法記念日。今、戦後70年続いた日本国憲法が変わるかもしれない、大きな転機が訪れています。自民党は結成当初から、「自分たちの手で憲法を作る」というのを理念に掲げてきました。憲法改正は安倍総理のおじいさん、故・岸信介元総理の悲願でもありました。安倍さんがことさら積極的になっているのも、今がチャンスという部分もあるんです。まず、株価を上げたり、失業率を低下させたりと、安倍政権は、一定の成果を上げてきたと自負しています。来年には消費税増税という問題が控えていますし、’18年には安倍さんの自民党総裁任期が切れます。また、夏の参議院選挙に向けて野党4党が協力し合って与党と闘おうとしていますが、実は改憲問題については4党の意見が一致していません。憲法改正を争点に掲げることで野党間がバラバラになる可能性もあるんです。改憲といっても、誰がどのように変えるかが問題ですよね。自民党のHPには、改憲草案がアップされていますから、ぜひチェックしてみてください。安倍総理が強く必要性を主張しているのが、緊急事態の条項を加えること。災害やテロに対処するため、非常時に議会を延長したり凍結させる権限を総理大臣が持つというものです。これは、総理に大きな権限を集中させることになりますから、使い方を間違えると大変なことになりかねませんね。また、改憲には衆・参両院それぞれ3分の2の賛成と国民投票による承認が必要ですが、これを3分の2から過半数に引き下げる改憲案を打ち出しています。与党の議員数が多ければ、過半数はすぐに集まります。単なる手続きの変更と簡単に考えてはいけません。国民投票では、ポスターやCM制作に制限がありません。ですから、お金を多く費やす人の意見が強く打ち出される可能性があります。そんな中で私たちは冷静に判断できるのか?改憲問題は有権者の肩に大きくかかっています。現憲法に問題があるのかどうか。自民党の改憲草案をどう思うか。一人一人が考えて選挙で示すことです。憲法は国家を縛る大切なもの。「こんなはずじゃなかった!」と後悔しないためにも、考えることが重要ですね。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年5月4日-11日合併号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年05月09日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「電力自由化」です。***4月より電気の小売りが全面自由化しました。これまでは東京電力や関西電力など地域の決まった電力会社からしか電気を買えませんでしたが、家庭でも自由に選べるようになったのです。電気は3つのシステムを経て、私たち消費者に届けられます。まずは「発電部門」。水力、火力、風力、原子力、太陽光、地熱などを使って電気を作る部門です。2つ目は「送配電部門」。電線をつなげたり電柱を作ったり、発電所の電気を消費者に届けるまでを担います。3つ目は「小売り部門」。料金設定などを行い、実際に売買をする部門です。これまでは、3つの部門全てを地域の電力会社が担っていました。発電部門はすでに新規参入が許されていましたが、小売り部門がこの4月から自由化されたのです。電力自由化は、ヨーロッパなどではすでに普通に行われていること。規制緩和の一環で、国の負担を減らし、市場競争を促して、経済が活性化することを見込んで進められました。約7兆円の市場が生まれるといわれています。私たちは、何もしなければ、これまで通り既存の電力会社と契約することになりますが、新しい会社に乗り換えることもできます。CMなどで目にするように、東京ガスやau、エネオスなど様々な企業が「電気売ります」と名乗りを上げていますね。契約を新規参入の会社に換えても、「送配電部門」は変わらず地域の電力会社が行いますので、大きな工事の必要はありません。また、万一、契約先が倒産したら、送配電部門が代わりの小売会社と契約しますので、いきなり電気が止まるという心配もありません。ただ、もともと電気は薄利多売。これまでは原油が高騰しても、電気代にすぐ響かないよう、国が値上げ額が妥当かどうか審査してきました。しかし、今後はどうなるかわかりませんね。各社、様々な料金プラン、提携会社のサービスを謳っています。実際、動きだしてみないと、どの会社が良いか決めかねる部分はあると思います。様子を見て、選んでもいいんじゃないでしょうか。これからは「私は原子力発電に反対だから、原発を使わない会社にする」なんて選択もできるんですよ。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年4月27日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年04月26日未来型図書館を備えたパブリックスペース「COMMON EBISU」が、2016年4月15日(金)恵比寿ガーデンプレイスにオープンする。未来型図書館「感想文庫」とは、読み終わった本を寄贈することができるスペース。寄贈者は本に感想を書くことで、次の読者にそのメッセージがつながり‟本が人と人をつなぐ”役割を担っていく。ここでは、誰もがゆっくり読書ができ、本を借りることができる。また本棚に設置されいるアナログレコードも自由に視聴することが可能。「タウンミーティング」の場やワークショップ・トークショーの場としても機能していく予定だ。4月20日(水)には、コピーライターの阿部広太郎と恵比寿新聞編集長の高橋賢次をゲストに招き、キックオフイベントを開催。また、4月27日(水)には、ジャーナリストの堀潤と学ぶ月に一回のワークショップ「伝える人になろう講座」も行われる。【詳細】COMMON EBISUオープン日:2016年4月15日(金)住所:東京都渋谷区恵比寿4丁目20番 恵比寿ガーデンプレイス地下一階グラススクエア会費:無料■「感想文庫」キックオフイベント「第0回目本は人をつなぐ」開催日:4月20日(水) 19:00~21:00会場:COMMON EBISU入場料:無料(予約の必要なし)ゲスト:阿部広太郎(コピーライター)、高橋賢次(恵比寿新聞編集長)■ジャーナリスト堀潤と学ぶ「伝える人になろう講座」開催日:4月27日(水) 19:00~21:00会場:COMMON EBISU入場料;無料(受講制30名 全5回講座)※受講予約はinfo@ebisufan.comへ。ゲスト:堀潤(8bit news)、高橋賢次(恵比寿新聞編集長)
2016年04月15日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「ジカ熱」です。***昨年秋から中南米で流行しているジカ熱がニュースになっていますね。正式名称は「ジカウイルス感染症」。蚊に刺されることにより感染します。死に至る病気ではないのですが、妊婦が感染した場合、小頭症の子供が生まれるリスクが高いと問題視されています。実際、ブラジルのリオデジャネイロでは、小頭症の子供の出生率が通常の約20倍まで増えてしまいました。妊婦は蚊に刺されないよう、また妊娠中はジカ熱の発症している地域への渡航を控えるようにと、国連のWHO(世界保健機関)は勧告しています。これまでもデング熱や新型インフルエンザなど、毎年何かしら感染症がニュースになりましたね。新種の感染症が発見されるたびに、WHOは徹底して調査をし、封じ込め作戦を懸命にしています。急激に広がる感染症に共通しているのは実は、「初期症状が軽い」ということ。ジカ熱も最初は発熱、発疹、結膜炎、関節痛、倦怠感に頭痛など、「風邪かな?」と油断してしまうような症状なんですね。日本国内での感染はまだありませんが、帰国後の発症は、今年ブラジルから帰国した高校生と主婦が、過去には2014年にも3件確認されています。当時は情報が今ほど流れていませんし、たまたま医師の判断で国立感染症研究所に精密検査を依頼して発見できました。でも、正しく診断されずに見逃されたケースがないとも限りません。感染症が国内に入ってこないように、水際作戦として、空港にサーモグラフィーを置いたり、感染症の流行る地域から帰国した人に症状が見つかれば隔離します。でも、基本は自己申請なので、流入を完璧に食い止めるのは難しい。ですから、ウィルス性の感染症のニュースを見たら、自分で身を守るしかありません。初期症状がどんなものか、まず厚生労働省や国立感染症研究所のHPでチェックしましょう。病院でも「感染症ではないですか?」と自分から医師に質問するといいですね。ジカ熱はまだワクチンや特効薬がありません。蚊には刺されないようにすること。長袖を着用したり、蚊が発生しそうな水場を整理しておくなど、できる予防をしておくのも大事ですね。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年4月6日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年04月04日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する、雑誌『anan』で連載中の「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「原発再稼働」についてです。***政府が原子力発電所を稼働させたい理由について今回は解説しましょう。まず第一は、日本に資源がないということ。日本は過去に外交に失敗し、石油の供給を海外から絶たれるという経済封鎖をされて、戦争に突入した苦い経験があります。なので、エネルギーを輸入に頼るリスクをよくわかっているんですね。原発は、ウランを手に入れれば国内でエネルギーを作れる。しかも、使用済みの核燃料を再処理し、再びエネルギーとして半永久的に使える技術を開発しました。原発事故が起こらなければ日本は、原子力の平和利用の最先端をいくはずだったんです。2つ目の理由は、COP21の回で取り上げましたが、世界的なCO2の削減義務化です。原子力はCO2を排出しないで済むエネルギーです。現段階では、太陽光や風力発電などの自然エネルギーですべての電力をまかなえるほど、技術も制度も追いついていません。原発事故の後、54ある原発がすべてストップして、日本のCO2の排出量は増えてしまいました。原発を動かせたら、削減ノルマをこなせるんだけど…という歯がゆい状態なんですね。3つ目は国際事情。実は安全性が高く、核のゴミの排出も減らす「次世代型原発」の開発が世界中で進められています。ロシアや中国では2020年には商業化という話も。日本は2014年にフランスと協定を結び、次世代型原発の研究施設として「もんじゅ」を使うことを約束しました。この開発競争、もしも欧米諸国がロシアや中国に負けると、安全保障面でも不安が生じます。核物質を管理しているというのは、その気になれば核爆弾を作ることができるということ。外交上の抑止力にも実はなっているんです。政府は原子力をメインに使うのではなく、エネルギーのベースとして最低限確保したい考え。とはいえ、安全面の不安は拭えません。火山活動が活発な今、活断層の上の原発は大丈夫なのか。福島原発以外にも「もんじゅ」や浜岡原発などで過去にトラブルが隠蔽されていました。電力会社、管理行政への不信感もありますね。原発は持っている地域だけでなく国全体の問題。夏の選挙でも注視したい課題です。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年3月30日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年03月29日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会の時間」。今回のテーマは「ブラック企業」。***ブラック企業とは、労働基準法に明らかに違反している会社のことを言います。残業の未払いや過重労働の末、不当に解雇されるとか、労災隠しなどなど。ただ実際には、たとえサービス残業が多くても、その分ボーナスの上乗せや、休日の優遇などのフォローがあったり、将来のキャリアアップにつながる場合は、働き手はブラック企業とは考えませんよね。問題なのは、そういうフォローが何もなく、働き手の未来を潰してしまうような企業です。最近はSNSなどの発達で、ブラック企業問題が明るみに出るようになりました。牛丼チェーンの『すき家』のように、それをきっかけに労働環境が改善されたケースもあります。『すき家』では、深夜に「ワンオペ(ワンオペレーション)」という、たった一人で仕入れから調理、接客までを行うシステムを導入し、24時間営業の店舗を広く展開しました。しかし、長時間トイレにも行けず、明らかな過重労働。深夜には強盗に入られるトラブルも多発。従業員のSNSでの悲鳴が世に広まり、株主らの忠告を受け、『すき家』はいくつかの店舗を閉め、深夜営業も制限しました。もしもあなたが、不当に過重労働を強いられている、労働基準法に大きく反していると思われたら、一人で抱え込まずに誰かに相談してください。会社内部の通報窓口も企業側にたっていて、あてにならない場合もないとは言い切れないので、第三者機関に相談することをお勧めします。会社に労働組合がない人のためのユニオンや、「派遣ユニオン」など正社員でない人のためのユニオンもあります。今は「ブラック企業大賞」が毎年発表されていますし、厚生労働省も長時間労働など、年に3回以上勧告をした大企業の名前は公表すると発表しました。企業もいきすぎると自分の首を絞めかねません。とはいえ、人件費を抑えて利益をあげようとするのが企業の常…。もしも、割に合わないと思うならば、心身を壊してしまう前に他を探したほうがよいでしょう。自分の将来につながるかどうか考えてみてください。幸い、今は人手不足。今いるところが全てではないはずです。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年3月23日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年03月21日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「フィランソロピー」です。***フィランソロピーとは、個人や企業による貢献活動や寄付活動などを指します。古代ギリシャ語の「フィロス=愛」と「アントロポス=人類」から成り立った言葉で、「博愛」や「慈愛」と訳されてきました。キリスト教的な言葉に聞こえるかもしれませんが、宗教に関なく、実際に困っている人が世の中に増えている今こそ、やらねばならないことだと思います。日本は寄付の文化が欧米に比べると遅れているといわれています。寄付白書によると、2014年の日本、アメリカ、イギリスの個人の年間寄付総額は、アメリカが27兆3504億円で名目GDPの1.5%を占めており、イギリスは1兆8100億円で0.6%、日本は7409億円で0.2%でした。日本は少子高齢化が進み、格差が開いて子どもの6人に1人が貧困状態。サラリーマンの平均年収は450万円ですが、半分に満たない200万円以下で生活をし、その中で子どもを育てているシングルマザーの家庭が増えています。国や行政だけではとてもフォローしきれないんですね。もっと寄付に関心を集め、行動につながるようにと、12月を「寄付月間GIVING December」にする働きかけが、昨年、NPOや行政、企業からスタートしました。それに合わせ、マイクロソフト創業者で、ビル&メリンダ・ゲイツ財団代表のビル・ゲイツさんが来日。ゲイツさんは、財団を通して、世界で病気や貧困に苦しむ人たちを支援しています。格差が広がる中、富めるものが責任を持って、貧しい者に経済の再分配をしなければいけないという考えなんです。寄付はどのように使われるかわからないと懸念する人もいますが、JAPANGIVINGのサイトでは、NPOやチャレンジを応援する形で寄付ができます。iPS細胞の山中伸弥教授はこれを使って大阪マラソンに出場し研究費の寄付を募り、僕も年末に24時間100kmウォークに挑戦して、国境なき医師団への寄付を集めることができました。社会問題解決に関わる認定NPOに寄付をすると税金も優遇されます。間もなく3.11から5年。改めて寄付について考えてみませんか?◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※ 『anan』2016年3月16日号より。
2016年03月13日連続ドラマ史上初の刑事専門弁護士の巻き起こす痛快逆転劇を描くドラマ「99.9-刑事専門弁護士-」。本作で、自身初の日曜劇場主演を務める「嵐」の松本潤の代表作「花より男子」が、この度、「春休み!!特別編集版」として放送決定!毎放送後には、「99.9-刑事専門弁護士-」の特別映像に加え、キャスト陣に直撃する現場レポートが放送されるという。探偵役や料理人役、御曹司役など様々な役どころを演じてきた松本さんが、自らが納得するまでとことん追及する超型破りな若手弁護士・深山大翔役を演じる本作。共演者には、深山とひょんなことからチームを組むことになる弁護士・佐田篤弘役の香川照之と、佐田同様に深山とチームを組むことになる立花彩乃役の榮倉奈々、そのほか「相棒」シリーズの岸部一徳、「龍馬伝」「平清盛」の青木崇高、多方面で活躍する奥田瑛二、片桐仁、マギー、渡辺真起子ら豪華俳優陣が名を連ねる。この度、初弁護士役に挑戦することで注目を集める松本さんの代表作ドラマのひとつ「花より男子」&「花より男子2(リターンズ)」が、「春休み!!特別編集版」として放送されることが決定。「花より男子」は、少女漫画誌「マーガレット」(講談社)にて連載された神尾葉子氏による人気コミック。超お金持ち名門高校に通う主人公の貧乏少女が、学園を牛耳る御曹司4人組「F4」とぶつかり合い、様々なトラブルに巻き込まれながらも、持ち前の明るさと雑草魂でたくましく生きていく姿が描かれた痛快青春ラブストーリーだ。2005年、松本さんをはじめ、いまや大河ドラマ「花燃ゆ」で主演を務め上げる井上真央や小栗旬、松田翔太、阿部力ら若手俳優たちを迎えて実写化ドラマ化。シーズン2、劇場版まで制作され人気を博した。今回の特別編集版では、2005年10月期放送「花より男子」を、3月12日(土)14時~、13日(日)15時~、19日(土)15時~、20日(日)15時~の4回に渡り放送。2007年1月期放送「花より男子2(リターンズ)」を、4月2日(土)16時~、3日(日)16時~、9日(土)14時~、16日(土)16時~、17日(日)14時~の5回に渡り放送される。また、放送の最後には、4月17日(日)21時からスタートする日曜劇場「99.9-刑事専門弁護士-」の特別映像や、主演・松本さんが共演者たちに直撃する現場レポートを、放送日ごとに異なるバリエーションで放送することも決定。名作ドラマと、期待度MAXの最新ドラマの特別映像を一気に堪能できることになりそうだ。日曜劇場「99.9-刑事専門弁護士-」は4月17日(日)21時よりTBS系にて放送。「『花より男子』春休み!!特別編集版」は3月12日(土)から4月17日(日)まで、土・日曜の午後帯にて放送。(text:cinemacafe.net)
2016年03月10日堀北真希を主演に迎え、檀れい、知英らが出演のドラマ「ヒガンバナ~警視庁捜査七課~」。ドラマも終盤に差し掛かった本作だが、先日主演の堀北さん、檀さん、DAIGOらが無事クランクアップを迎えたことが明らかとなった。政府の女性登用の機運に乗って、女性犯罪者及び女性被害者対策を目的に設置された非公式の課・警視庁捜査七課。メンバーは、外見は美しいが男性刑事たちを出し抜く一癖も二癖もある女たち。彼女たちは、美しくもその根に猛毒を持つ花“ヒガンバナ”と揶揄される。物語はこの捜査七課を舞台に繰り広げられる――。本作は、昨年10月に金曜ロードSHOW!特別ドラマ企画にて放送していた「ヒガンバナ~女たちの犯罪ファイル~」が新たに連続ドラマ化されたもの。主人公の刑事・来宮渚役の堀北さんをはじめ、檀さん、知英さん、高梨臨、YOUらが続投。さらに渚の過去のカギを握るキーマンとしてDAIGOさんが出演している。ドラマも終盤に入り、残すところあと2話となった本作。撮影現場では、クランクアップとなる定食屋「さくら」でのシーンが撮影されていた。先にアップしていた一課係長・黒田役の木本武宏も現場に駆けつけ、監督やプロデューサーから俳優陣に花束が贈呈された。キャストたちは無事終了した撮影に、喜びもひとしおの様子。定食屋「さくら」のさくらさん役・大島蓉子は「(出演は)一回くらいかな?と思っていたら、最後まで出させていただいて、もう二度と会えないようなすごい人ばっかり!ありがとうございました。もしPART2があったらよろしくおねがいします」と話し、捜査一課長・北条光佑役の平山浩行は「途中でキャラクターが変わってしまったんですけれども、おかげでこのように楽しくできました。ありがとうございました」と振り返った。また渚の過去を握る謎のフリージャーナリストから、最後はなぜか定食屋「さくら」の従業員になっていた菊池謙人役のDAIGOさんは「本当に7年ぶりの連ドラで素敵なみなさんと共演させていただいてほんとこの素敵な作品に携わることができて。わかりやすく言うとIYって感じですよね!」とお決まりのDAIGO語で感想を述べると、木本さんから「IYってなに?」とすかさずツッコミが。DAIGOさんは「生(I)きてて よ(Y)かった!」と満面の笑みでこたえた。さらに渚とは衝突しながらも最高のバディとなった峰岸雪乃役の檀さんは「11月20日からのインで今日まで本当に長丁場みなさんお疲れ様でした。臨ちゃんと知英ちゃん、YOUさんはあと1日撮影が残っていて、花束持ってないのは悲しいんですが…冬のドラマの撮影ということでみなさん体力的にもすごく大変で辛かったと思います」とインフルエンザにより、YOUさんが撮影に参加することができず残念そうな様子もみせていた。最後に、壮絶な過去とシンクロという特殊能力を抱え、事件解決へ強い使命感を持つ渚役を演じきった主演の堀北さんが「年が明けてからは特に本当にあっという間でした。スタッフのみなさんの大きな愛情に包まれて最後まで頑張れたと思います。ありがとうございました!」とその場を締めて終了した。残りわずかとなった本作だが、物語はいよいよ衝撃のクライマックスへ突入していく…。“ヒガンバナ”たちの活躍は、最後まで見逃せない。「ヒガンバナ~警視庁捜査七課~」は毎週水曜日22時~日本テレビにて放送。(cinemacafe.net)
2016年03月09日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「人工知能(AI)」です。***人間の知能的な働き、学習、推測、判断などをコンピューターが行う人工知能。身近なところでは、googleやFacebook、iOSのSiriなどで、次の行動を予測し、興味のありそうな情報をあげて提案するというのは、AIの技術によるものです。コンピューターが大容量を計算できるようになったため、過去のデータを蓄積し、それを瞬時に計算・分析。データ量が多いほど、より正確な予測が可能になります。私たちがGoogleやFBを無料で使えるのも、代わりに、検索結果や写真などの大量の情報をAIに与えて、より賢くなるよう、トレーニングし続けているからなんですね。株取引でも、プロの投資家が儲け続けられるのは、株の値動きをAIが判断して、的確な売り買いをしているからなんですよ。人工知能の発達は予想以上に早く、「人工知能が人を追い抜いて、支配する世界が来るかもしれない」とスティーブン・ホーキング博士は警鐘を鳴らしています。ビル・ゲイツさんも昨年取材した時に「医療、医薬品の開発には極めて有効に働くだろう。でも、労働部門では多くの仕事が失われることになるので、対策をしないと取り返しがつかなくなる」と話していました。オックスフォード大学でAIを研究するマイケル・A・オズボーン准教授は、702の業種について将来どれだけ自動化されるかを調べたんです。すると10~20年の間に、アメリカの総雇用者の47%が自動化されるリスクがあると、衝撃的な発表をしました。今後、電話オペレーターや保険の審査、レジ、ホテルの受付、薬を処方するなどの簡単な医療サービスはとって代わられるでしょう。介護の現場でも、感情に左右される人間よりも、献身的に働くAI搭載のロボットの方がよいという説があります。また、過去の判例を分析すれば弁護士や検事もAI化が可能に。軍事ロボットも開発されていますし、今後はAIを使う側の倫理観が問われますね。将来、機械に仕事を奪われる不安に怯えるのではなく、じゃあ、人にしかできないことは何だろう?と考えることが、新しい価値を生むチャンスになるかもしれません。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年3月9日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子
2016年03月02日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「GDP」です。* **この連載でも頻繁に出てくるGDP。正式名称は「Gross Domestic Product」で、国内総生産と訳されます。国内で、一定期間内に新たに生み出された商品やサービスの付加価値の合計を指し、経済成長を測る指標になります。りんご農園にたとえると、初年度の収穫が50個だった。翌年、ビニールハウスを作り100個に増やした。するとGDPは2倍ということ。収穫の半分をジャムにして、りんごのまま売るより利益をさらに上げたら、その分GDPに反映されます。何の工夫もせずに同じ個数しか収穫できなかった場合は、経済成長ゼロとなるのです。GDPには名目GDPと実質GDPがあり、物価の変動を反映させたものが実質GDP。GDPが2期連続して下がると、景気後退と判定されます。現在、世界のGDP1位はアメリカ。2位が中国、日本は3位。日本はずっとベスト3に入る経済大国でした。ただし、これは国全体の話。日本の1人当たりの名目GDPは、3万6000ドルで前年比6%減少。1996年には主要国中3位でしたが、2000年代から下がり続けて現在20位。上位にはルクセンブルクやノルウェー、スイスが入っています。資源を持っていたり、金融サービスに長けていると上位に入りやすい。ちなみにアメリカは7位。シェールガスを持っていますし、莫大な利益を生む新しい金融商品も開発しています。政府が規制緩和をして、新しい産業が生まれやすくしていることも功を奏していますね。対して日本は、開発できる資源には限りがあり、広い意味でのサービス業が中心です。デフレだと、サービス業全体が安価競争になり、懸命に働いても得られる利益が少ない。また、GDPはドル計算なので、円安も不利になっています。国の経済成長を促すには、個々の変革も大切です。あなたは前年に比べ、新しい付加価値を生む何かをしましたか?収入の一部を使って英会話学校に行くことが、転職時に役立って高いお給料をもらえようになるかもしれません。投資信託を始めるでも何でもいいんです。未来のための自己投資が、経済の成長につながるかもしれません。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年3月2日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年02月27日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「COP21」です。* **昨年、パリにてCOP21(国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議)が開かれ、地球温暖化対策として「世界の平均気温上昇を2度未満に抑える」という目標を掲げることに、初めて世界中の国・地域すべてが全会一致で合意しました。COP(Conference of the Parties)とは国連会議の一つで、1995年にベルリンで第1回が開催。環境問題は、‘92年の地球サミットの頃から取りざたされるようになっていました。海面上昇や熱波、大きなハリケーンがたびたび起き、それらを引き起こす大きな要因はCO2の大量発生と判明。そこで、「気候変動枠組み条約」という国際ルールを作り、‘97年のCOP3(京都議定書)で、CO2を含む温室効果ガスの削減を義務付けたのです。しかし、環境汚染を引き起こしたのは先進国。後進国にしてみれば、開発途上で負荷をかけられるのは不公平と、なかなか両者の足並みが揃いませんでした。非協力的だった代表が中国です。しかし、この10年の間に急速な経済発展を遂げ、開発による大気汚染が深刻な問題に。北京の腫瘍研究所によると、中国では年間312万人がガンにかかり、過去30年の間に肺ガンの死亡率が4倍増。このまま放っておけば国力を脅かしかねない!開発が進むと同時に起こる環境汚染の問題は後進国にも起き始めました。しかし、CO2削減には費用がかかります。そこでCOP21では、環境対応策の基金を作り、先進国が後進国に資金を出すような仕組みが作られました。合意に至ったもう一つの理由に、環境改善がビジネスになったというのもあります。「排出権ビジネス」として、CO2排出削減の目標値を決め、企業間で目標に対しての過不足分が売買できるようになりました。また、環境対策をしていると企業の価値を上げ、投資の対象になりやすい。積極的な対策が利益に結びつくようになったんです。環境改善は個人レベルでもできるんですよ。たとえばレストランで食べきれなかった料理を持ち帰るのも立派なCO2削減。食物廃棄に使うエネルギーを抑えられます。皆で、できることからやっていきましょう。◇ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年2月24日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年02月22日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「遺伝子ビジネス」です。* **遺伝子分野の研究が進んで、遺伝子情報の解析が安価でできるようになりました。自分の唾液を専門業者に送って、遺伝子情報を調べることで、「太りやすい」とか「ガンになりやすい」など、その人の体質がわかるんです。カラダの未来の状態がある程度は予測できるようになってきています。遺伝子検査といえば、昨年はアンジェリーナ・ジョリーさんの勇気ある行動が話題になりましたね。近しい家族を何人もガンで亡くしていたアンジェリーナさんは、自身の遺伝子を検査した。すると、乳ガン、卵巣ガンになるリスクが高いと診断され、発症する前に両方の乳房、卵巣を切除したんです。いま遺伝子検査サービスを提供する会社は、日本国内では代理店や窓口の数を含めると700以上あります。ただ、遺伝子を調べれば何でもわかるというわけではないのに、便乗して「音楽の才能がある」など、過剰広告が出回るような問題も。今後、トラブルを起こさないために、厚生労働省が遺伝子ビジネスの規制ルールを作ろうとしています。医療の分野では遺伝子研究はゲノム医療と呼ばれていますね。ゲノム(DNAのすべての遺伝情報のこと。染色体と遺伝子を合わせた言葉)を解析して、治療や予防に生かす研究や、特定の遺伝子にピンポイントで効く「ゲノム創薬」の開発も進められています。また、ゲノムを解析することで、たとえば成長を抑制する遺伝子を操作して、抑制を利かなくさせて、いくらでも大きくなる養殖の魚を作るということも可能になるんです。腐りにくいトマト、伝染病に強い豚なども研究されています。人間にとっては好都合ですが、はたして自然の生物をそこまで操作してよいものか?倫理観も問われますよね。中国では、遺伝子操作(ゲノム編集)を人間に行って、倫理問題になっています。治らない病気が治せるようになるのはいいことですが、遺伝子操作もどこまでなら許されるのか、線引きが難しいですね。そのうち、痛みを感じない兵士や、音楽を聴かせると思考停止になる人々が、知らないうちに作られる……!なんて恐ろしい未来が訪れないことを祈りましょう。◇ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年2月10日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年02月06日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「仮想通貨」です。***仮想通貨とは、現金を介さず、インターネット上で取引される通貨のこと。代表的なものはビットコインですね。日本ではビットコインを扱っていたマウントゴックスという取引所が不正を行ったため、悪いイメージがついてしまいましたが、ビットコインが悪いわけではありません。世界では「普通の通貨よりも信頼できる」と思われているところも。象徴的なのが昨年に経済破綻しかけたギリシャです。財産をギリシャ通貨で銀行に預けていたら、回収できなくなるんじゃないかと、資産家たちが次々にギリシャ通貨をビットコインに替えました。日本のように、戦争もなく国が安定していると想像もつかないかもしれませんが、経済が安定しない国では、お札が紙くず同然になる、というようなことも起きうるんですね。そんなとき、ネット上のビットコインに資産を替えておくと、全資産を失うような危険は回避できます。ただ、仮想通貨は実体がないので、データが消えてしまえばすべて失うのでは?とも考えますよね。ところが、ビットコインは、世界中に分散しているいくつものサーバーでデータを管理しているので、災害や戦争で万一どこかが破綻しても、ほかで必ずフォローできます。この相互管理システムを「ブロックチェーン」といいます。つまり、世界中で情報がすべてオープンな状態。誰がどのくらいビットコインを所有して、どんなふうに動かしたかが調べればすぐにわかります。ビットコインの扱いは国によって異なります。ドイツとシンガポールは容認、金融取引の一つとして課税対象にする案が出ています。中国、インド、タイでは禁止。アメリカとフランスは国家の信頼を揺るがすものとして警告を発してます。日本では、まだ通貨として認められてはいませんが、規制やルール作りをしようとしています。ビットコインのいいところはなんといっても直接決済ですね。銀行を介するような、高い手数料を取られることがありません。為替のように乱高下をするリスクはありますが、数千円が何千万円もの価値に変わることも。国の枠を超えて取引されて、国の経済状態に左右されないところが魅力的です。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年2月3日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年02月02日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「プーチン大統領」です。***ロシアの大統領、ウラジーミル・プーチン。上半身裸で乗馬をしたり、射撃をする写真が公開されたりして、個性的な政治家ですよね。実はプーチンさん、自己アピール活動がとても上手で、強い指導者というイメージづくりに余念がありません。政治家になる前はソ連の秘密警察KGBに所属。強い国家作りに熱意を燃やす、正義感の強い人だといわれています。前任のエリツィンから次期大統領の指名を受けたとき、国民は貧困に苦しんでおり、経済の回復が彼に課せられたテーマでした。そこで、天然ガスを海外に売る「資源外交」を積極的に行いました。ヨーロッパの国々はロシアの天然ガスにけっこう依存しているんです。2012年の統計でドイツは約40%、ポーランドは約60%、フィンランドは100%。商売上手なプーチンさんのおかげで、国民の暮らしは上向きになり、支持率も昨年10月の時点で9割とロシア国内でも大変な人気者です。日本との関係では北方領土の問題がありますね。プーチンさんは子供のころから柔道愛好家で親日派。日本といい関係を保ちビジネスを広げたいと考えています。天然ガスを供給するパイプラインを日本に作り、天然ガスを買うことを条件に北方領土返還の可能性も?いずれにせよ、返還交渉はプーチンさんの任期中に進めないと、延々決まらないだろうといわれています。ところがいま、ロシアは欧米諸国と政治的には対立しているんですね。溝を深めたきっかけのひとつは、一昨年のウクライナのクリミア独立問題。ロシアが軍事侵攻したことから、欧米はロシアに経済制裁をかけました。また、シリアをめぐり、独裁的なアサド政権を支援するロシア vs 反アサド派の欧米という対立も起きています。日本がロシアと親密になるとアメリカは警戒しますから、返還交渉も慎重に進めないといけません。そんななか、昨年11月にパリでテロが起こり、世界的にまずIS勢力を抑えないといけないということで合意。皮肉な話ですが、アメリカとロシアが共闘態勢にあるいまこそが交渉のチャンス。プーチン大統領の任期は残り2年。この間に北方領土返還が実現するとよいのですが。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年1月27日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年01月26日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する『anan』で連載の「堀 潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「爆買い」。中国人は日本の消費を促す大事なお客さん。でも依存は禁物だそうです。そのワケとは…。* **昨年の流行語大賞をとった「爆買い」。中国のお正月休みである春節など、長期休暇に中国人観光客が大勢日本を訪れ、ダンボール何箱分も、大量の商品を買う姿がたびたびニュースになりましたね。その様子をさす言葉としてすっかり定着しました。爆買いの背景には中国が豊かになったことがありますが、中国経済は決して急に伸びたのではありません。1970年代に鄧小平が推し進めた改革開放政策のひとつとして、海外の企業を誘致するようになりました。中国の場合、資本主義国のように自由に海外企業が参入できなかったので、中国との合弁会社が基本。当時はまだ中国の人件費は安く、自動車などの製造業や食品加工業などの多くの工場が建てられました。雇用も収益も増え、そうして、中国に富む人たちが増えていったんです。日本に来る中国人観光客も、昔は裕福な中国共産党の幹部でした。やがて、好景気になるにつれ、年収などによって制限されていた訪日ビザの発給に必要な条件が、日本政府によって緩和されて、上流階級の人々も訪れるようになります。最初は腕時計やカバン、電化製品を購入。最近では化粧品や紙おむつ、粉ミルクといった生活用品を大量に買っていっています。理由は、日本製品は品質がよく、安心して使えるから。一昨年に日本政府が免税対象を広げ、食品や化粧品が含まれるようになったことも影響しています。いま、外国人旅行客の日本での消費額はツアー代金を含め、約2兆6000億円。そのうち、4割強を中国人観光客が占めています。現在、日本はデフレ状態。消費がますます冷える一方なので、外国人観光客がたくさん消費してくれるのは企業にとってもありがたいこと。企業が儲かれば、賃金が上がる可能性も高くなります。ただ、中国経済の実態は不透明で、バブルがはじけたのではないかともいわれています。中国の爆買いに頼っていたら、日本の観光産業も共倒れになりかねません。なので、いまは次に爆買いをしてくれそうな人口の多いインドやインドネシア、ほかにミャンマー、ベトナムなど東南アジアの国々の観光客も呼び込もうとしています。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016 年1月20日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年01月17日