アイドルグループ・嵐の松本潤が7日、都内で行われた明治ミルクチョコレート バレンタインPRイベントに登場した。松本自身は、バレンタインについて「幼稚園の頃、同級生に駄菓子屋のお嬢さんがいまして、毎年ものすごい数のチョコレートを貰えたのがすごく印象に残ってて」と思い出を振り返る。「ビニールに入ったものすごい量のチョコレートをもらって、毎日少しずつ食べるのが嬉しかったですね」と語り、「何個も食べて鼻血出ることもあったくらい、印象が強烈に残ってます」と明かした。また、誰にチョコレートをあげたいかを聞かれると「以前、チョコレートの職人の役をやったことがありまして」とドラマ『失恋ショコラティエ』に触れる。"テンパリング"も経験したため「今でも作れると思う」と自信を見せた。手作りチョコをあげる相手について、ドラマの共演者なども検討したものの「女性がいろいろ用意するかもしれないので、僕が用意しても」と配慮。「メンバーの、"スイーツ部"ですかね」と結論を出し、「ここ1、2年で、嵐の中でスイーツ部が出来て流行ってるんですよ。現場でもチョコレートケーキとか食べてる」と説明した。「ちょっと重たいかもしれないですね」と心配しつつ、「長年やってるので、そういう共有する時間があるといいなと思う」とメンバー愛を見せる。「まあメンバーが一番、どっちも傷つかなくていいかな」と語った。イベントではさらに、渋谷109のイベントスペースに設置されるフォトスポットを披露。松本と赤い糸で結ばれたような写真が撮れるこのフォトスポットは、2月11日限定で登場するという。自分と赤い糸でつながった松本は「複雑です。なかなか自分と自分でって、ないと思うので」と苦笑。さらにサプライズで松本のチョコ像"チョコ潤"がお披露目されると、松本は「大晦日に明治のスタッフの方がNHKに現れて、頭とか目のサイズなどを計られた」と思い出し、「みなさん、松潤がチョコ潤の隣にいますよ」と紹介していた。
2018年02月07日ダウンタウンの松本人志(54)が1月28日放送の「ワイドナショー」(フジテレビ系)に出演。元NHK・登坂淳一アナウンサー(46)のフジテレビ系報道番組への起用取りやめについてコメントした。 登坂アナは4月から始まる報道番組にメインキャスターとして出演予定だったが、『週刊文春』が報じた“セクハラ疑惑”により、出演自粛を申し出たという。それを受けフジテレビ側も起用取りやめを発表した。 元NHKアナウンサーの堀潤(40)は、登坂アナについて「むちゃくちゃ優しい」と話し、「僕が先輩たちから激しく罵倒されて怒られたことがあったんですよ。『お前、調子に乗るな!』って。誰も助けてくれなかったなか、登坂さんが耳元で『僕は堀潤の味方だから……』と言ってくれた」とエピソードを明かした。 続けて堀は「後輩の心配事や困りごとは、だいたい登坂さんが相談に乗ってくれるという先輩だった。男女問わず」とも明かした。 “耳元で言ってくれた”という光景を想像した松本は「薄ら笑いしか出てこない……」と苦笑しつつも、登坂アナの優しい一面については「見ていてわかります。優しい感じ」と共感した。 最後に松本が「このフジテレビの代打は堀潤さん、あり得るんじゃないのかな?」とコメント。司会の東野幸治(50)は「あり得るかもしれませんが……」と可能性を示唆するにとどめ、堀も困り顔のままノーコメントだった。 週刊文春の報道によると、セクハラ行為があったとされるのは2011年。松本からは「さかのぼるわぁ……」と驚きの声。司会の東野も「ここまで過去のことを蒸し返されていったら、誰が清廉潔白なのか」と疑問を呈した。 なお、番組内では登坂アナのコメントを紹介。「報道内容については、身に覚えのないことも多く、困惑するような内容で非常に残念ですが、自ら身を引く潔さも大切と思い至るようになりました」としている。
2018年01月28日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「マイナンバーカード」です。普及率の伸び悩みは、利便性の実感がないから。マイナンバー制度が始まって、今年で3年目になります。ところが、マイナンバーカードの普及がなかなか進まず、政府は頭を抱えています。交付開始前に政府が掲げた目標交付枚数は2019年3月末で8700万枚。実際には、昨年8月末の時点で1230万枚、人口比でいうと普及率は9.6%にすぎず伸び悩んでいるのです。住民票や基礎年金、健康保険被保険者証などにはそれぞれに番号があり、個人の特定に労力を費やしていました。マイナンバー制度はそれらを一本化して、「社会保障、税、災害対策」の分野で活用するために始められましたが、いまはまだ過渡期にあり、マイナンバーカードでできることといえば、コンビニで住民票の写しや印鑑登録証明書が取れるくらいです。法務省は、今後マイナンバーを使い、婚姻届やパスポートの発給申請、老齢年金請求に必要な戸籍証明書が不要になる、戸籍法改正案を来年の通常国会で提出する方針を発表しました。地震災害が発生したときには罹災証明書が発行されるのですが、世帯ごとに1通のみ。2世帯以上で住んでいた大家族が、被災して一つの家に住めなくなったとき、子供や孫の世帯は罹災証明書を受け取れないという問題が熊本地震で起こりました。これも、マイナンバーカードで個人を特定して証明書を出すという案が検討されています。マイナンバーカードには、生体認証にも使えるICチップが入っています。この認証機能が活用できれば、健康保険証や銀行のキャッシュカード、転売不可のチケットなどに有効活用される可能性を秘めています。ただ、これからの時代に「カード」という形態がふさわしいのか。総務省は、マイナンバーカードを持ち歩かなくても、スマートフォンにカード情報を取り込み、本人確認ができるような実証実験も進めているそうです。しかし、これには対応する端末を開発しなければならないため、企業側の努力も必要になります。いまは、住所や名前に加えて、マイナンバーの記入を要請されますが、今後、マイナンバーカードひとつで全てこと足りるくらいになったら、便利さを実感できるのかもしれませんね。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年1月24日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年01月22日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「キャッシュレス化」です。利便性は高いのに、日本はまだ、遅れています。電子マネーやクレジットカード、デビットカードの普及で、世界はいまや現金を使わない「キャッシュレス化」が進んでいます。クレジットカードのサインや暗証番号の手間も省き、スマートフォンでQRコードを読み取るだけで決済できる仕組みも生まれました。急速にキャッシュレス化が進んでいるのは中国です。レンタサイクルの貸出料や、屋台の支払いまで、アリペイやウィーチャットペイなどの専用アプリのQRコードで決済されています。むしろ、「現金お断り」の店も出るなどして話題を呼びました。アメリカでは、amazonbooksという、amazonのリアル店舗が次々にオープンしているのですが、この店の商品価格は、amazon.comに合わせているので、常に変動します。そこで値札はなく、専用アプリをスマホにダウンロードして、各々バーコードにかざして、値段を表示させることを推進しています。日本でもスマホ決済アプリのOrigamiと日本交通が提携し、タクシーもスマホで支払えるようになるなど、キャッシュレス化は始まっていますが、欧米や中国に比べるとまだ遅れています。日本クレジット協会によるクレジット統計2016年版によると、日本のカード決済は約18%。スウェーデン、アメリカの40%以上、50%を超えるイギリスと比べると、先進国のなかでは異例といえるほど現金主義なんですね。ヨーロッパでは、北欧のキャッシュレス化が最も進んでおり、スウェーデンは現金の残高を国家としても減らしています。また、EUの中央銀行は2018年末で500ユーロ紙幣の発行を停止することを決めました。キャッシュレスの利点は、便利で決済が早く済み、無駄もなくなること。銀行から引き出したり送金する時の手数料もかからなくなります。現金の高額取引はマネーロンダリングを生みますし、電子マネーならば、お金の動きを把握しやすく、犯罪防止にも役立ちます。ロンドン五輪ではフィンテックにより、交通も商品購買もカード1枚で決済できました。2020年に向け、日本のキャッシュレス化がどこまで進むのか、気になるところです。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年1月17日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年01月12日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「2017年3大トピックス」についてです。今年もさまざまな出来事がありましたが、まず僕が注目したのは、AI本格化時代の到来です。AIは、金融業界でいち早く取り入れられ、ゴールドマン・サックスのニューヨーク本社の現物株式取引では、600人いたトレーダーがいまや2人。あとはAIに取引は任されています。日本でも、みずほ、三菱東京UFJ、三井住友のメガバンク3行で3万2000人超分の業務削減を発表。リアル店舗は縮小し、AIの担う業務が増えていきます。メディアでも、映像の粗編集やラジオパーソナリティのアシスタント業務、専門用語の文章チェック作業などはAIができるようになりました。そんななか、今秋Google、Amazon、LINEがAIスピーカー(スマートスピーカー)を発売。AIスピーカーに話しかければ、調べものも家電操作も、雑談の相手までしてくれる。AIの波はついに家庭にまで押し寄せてきたんですね。2つ目は仮想通貨。第4次産業革命といわれる、金融とITの融合、フィンテックが大きく前進したのを実感した一年でした。象徴的なのがビットコインです。中国は「貨幣として認めない」と宣言し、ゴールドマン・サックスは「リスクが多大なので社員に取引を禁じる」と発表。ビットコインを使ったVALUも盛り上がりました。4月には、情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する、通称「仮想通貨法」が施行されました。三菱東京UFJは独自の仮想通貨「MUFGコイン」を発行。今後、お金革命が本格化しそうです。3つ目は、訪日外国人旅行者の増大。観光庁は欧米豪に照準をあて、訪日プロモーションを強化しました。LCC整備を受け入れ、専用ターミナルを作り、Airbnbのサービスも広げた。それらが功を奏し、2016年の訪日客数は2400万人になり、増え続けています。政府は2020年に4000万人の観光客誘致という目標を掲げました。富裕層向けの旅行誌『コンデナスト・トラベラー』の読者投票で、「世界で最も魅力的な都市」に東京が2年連続1位に選出。異文化が入り、日本の様相も変わっていきそうです。堀潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年1月3・10日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子
2017年12月31日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「NPO」です。社会問題の数だけ必要とされるのが非営利団体・組織。NPOとは、Nonprofit Organizationの略で非営利団体のこと。よく混同されるNGOはNon‐Governmental Organizationで、非政府組織。どちらも社会的問題に対応した事業を行い、営利目的ではない民間団体という意味では同じです。日本では、一般的には、街づくりや子育て、教育など国内の課題に対して活動を行っている団体をNPO、人道支援や紛争解決など、国際的な取り込みをしている組織をNGOと呼び分けています。日本でNPOの活動が注目されるようになったのは、阪神淡路大震災がきっかけといわれています。ボランティア組織だけでは支援が足りず、たくさんのNPOが立ち上げられました。NPOは非営利団体と訳されますが、利益を生んではいけないわけではありません。NPO職員にも給与は必要ですし、事業も継続させなければいけません。株式会社のように、利益を再分配したり、それを元に資金運用などをしてはいけないということなんです。平成10年には特定非営利活動促進法が施行され、特定非営利活動を行う団体を法人化できるようになりました。「特定非営利活動」とは、保健医療、福祉、社会教育、人権擁護など、国が定める20の分野に該当する活動を、社会全体の利益増進のために行うこと。欧米に比べ、社会的信頼の低い日本のNPO。法人化することで信頼が高まり、社会貢献活動がしやすくなります。子どもの貧困、虐待や自殺対策、高齢者の移動支援、環境問題…。お金よりやりがいを重視して、NPOを立ち上げ、それらの社会的課題を事業により解決しようとする若い世代も増えています。ある官僚は、いま日本が直面している社会問題のリストを公開しました。国や自治体でも補助金を出して、すでに問題解決に取り組んでいるNPOに手を挙げてもらい、代わりに活動してほしいと考えているのです。すばらしい活動をしているNPOはたくさんありますが、世に知られていません。NPOと一般市民をつなぎたくて、僕は「GARDEN」という場(会社)を作りました。NPOの活動は今後もっと必要になってくると思います。堀潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年にニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。※『anan』2017年12月27日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年12月20日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「共同募金」です。税金だけではまかなえない問題の解決に。12月に入り、各所で「歳末たすけあい運動」が展開されていますね。歳末たすけあい運動とは、共同募金運動の一環として、地域住民、ボランティア、民生委員、社会福祉協議会などの協力のもと、支援を必要とする人が安心して暮らせるように行われるさまざまな福祉活動のこと。共同募金で馴染み深いのは「赤い羽根」ですよね。赤い羽根共同募金の歴史は古く、はじまりは昭和22年。当時、戦争により家や仕事を失い、保護が必要だった世帯は90万以上、戦災孤児は数十万いたそうです。物価が高騰し、皆が生活に苦しんでいました。そんななか、第1回共同募金には5億9000万円が集まりました。労働者の平均賃金が1950円だった時代ですから、現在の貨幣価値に置き換えると1200億~1500億円。主に、戦災孤児の支援に使われました。昭和26年には「社会福祉事業法」が制定され、共同募金は「都道府県の区域を単位とし、その区域内の社会福祉事業、更生保護事業などに配分されることを目的とする」と定められました。使い道は、地域や時代に合わせ、その都度、保育所の支援や老人ホームの給食、障害者スポーツの支援などにあてられました。設立70周年を迎えた昨年は「赤い羽根福祉基金」を創設。孤独死や生活困窮、児童虐待などの社会問題の解決を支援しようとしています。本来なら国や自治体が全面サポートするべきなのでしょうが、どうしても税金だけではまかないきれないんですね。共同募金以外では、「休眠預金」の活用も。10年以上使われていない銀行口座の預金額が全国で年間800億円ほどあるそうなんです。それらの一部が、貧困対策や地域活性化などに使われるようになりました。ふるさと納税も、同様の目的で始められました。eコマースのように使われている側面もありますが、「犬の殺処分をゼロにする」など、動物保護や管理を目的に掲げている自治体も複数あるんですよ。NPOや大学、企業、行政の有志が始めた、12月を寄付月間にする「Giving December」キャンペーンも3年目になりました。お金だけでなく、モノやイベント参加など、さまざまな支援が提案されています。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年12月20日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年12月15日バラエティ番組『要博士の異常な映画愛~勝手にセリフ変えてみました~』について、MCを務める俳優の要潤さんにお話を伺いました。ボケもいとわず!?初冠番組で見事なMCぶりを披露!豪華絢爛な衣装に身を包み、バラエティ番組のメインMCを務める要潤さん。オファーが来た時は「まさか冠番組のバラエティにキャスティングされるとは」と驚いたそう。引き受けたのは、映画史に残る名画に、新しい台詞をつけて遊ぶという企画が面白かったから。『吉本新喜劇』を観て育ったこともあって、「お笑いにリスペクトがあり、バラエティ対応力も素晴らしい」(番組P)とキャスティングされたものの、やはり役者の現場とは勝手も違うよう。「役者は決められた台詞を言いますが、バラエティで芸人さんたちは、何もないところから面白いことを言っていく。その過程がクリエイティブで新鮮です。それと、スピード感。ドラマではカットを細かく割るけど、バラエティはいったん始まるとノンストップ。舞台に近い感覚かも」お笑い芸人たちが予測不能なトークを繰り広げても、ゆったりと構え、時には要さんからボケるなど、余裕の感じられるMC術が、お見事!「流れに身を任せているだけで、普段の僕を知ってる人からは“素だね”と言われます。ゲストの方がいろんなパターンでくるので対応は大変だけど、芸人さんが生み出す笑いや流れは潰したくないですね。自分がボケて現場が盛り上がるなら、カットされても全然構いません(笑)」現場の流れで生まれるボケ以外に、「ちなみに、この映画は、〇〇〇回観ました」という、要博士の映画愛のすごさを強調する、定番の回数ボケも。では、要さんご自身がリアルに、もっとも多く観ている映画は?「『スター・ウォーズ』ですね。100回以上観てるんじゃないかな。ストーリーは追わなくてもわかってるので、BGMみたいに流してます」番組では名画のワンシーンに、「異常な映画委員会」の会員たちが全く新しい台詞をあてることで、作品の新たな味わいを見出していく。会員は、芸人、落語家、放送作家など多ジャンルで活躍する人たち。「みなさんまったく違う角度から台詞を作られるので、毎回、ワクワクしながら見ています。僕とは脳みその作りが違うんだろうなあ」番組を通じて、古い作品を観ることが勉強になるとも。「映画作りは、あの時代の映画人が作り出したことがすべてのベースにあり、その延長線上で僕らはやってるんだと感じますね。CGもなく、編集技術が限られた中で、生身の人間が演じるさまはすごいですよ。今は役者が守られているところがあるから、あの時代に生きていたら自分にできただろうかとすら思います」名画に独自の切り口で台詞をつけ、新しい味わい方を提案する動画バラエティ。12/4のゲストは、柴田英嗣(アンタッチャブル)、小沢一敬(スピードワゴン)。テレビ東京にて毎週月曜深夜0:12~放送中。かなめ・じゅん1981年、香川県生まれ。’01年、『仮面ライダーアギト』でデビューしてから、昼ドラ『新・愛の嵐』や大河ドラマ『龍馬伝』など数々の作品に出演。現在、映画『DESTINY 鎌倉ものがたり』が12月9日より公開。※『anan』2017年12月6日号より。写真・内山めぐみインタビュー、文・小泉咲子(by anan編集部)
2017年12月08日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「投票率」です。有権者の約半分の意見しか反映されてない!?10月の衆議院議員選挙の自民党の圧勝は、投票率の低さにも大きく起因しています。日本の投票率は現在50%台。先日の衆院選は、台風という悪天候も影響しましたが、戦後2番目に低い53.68%でした。約30年前、昭和の時代の投票率は70%前後でした。ところが、平成2年を境に急降下します。リクルート事件や東京佐川急便事件など、政治家の汚職事件が相次いで起こり、国民の政治不信が募ったからです。2009年に民主党政権が誕生したときには一瞬盛り上がり、69.28%に上がりました。しかし、民主党政権は実行力が伴わず、マニフェストはただの理想にすぎないことを思い知らされます。国民の政治離れは進み、投票率は再び下降しました。政治腐敗は中選挙区制にあると、1994年に小選挙区比例代表並立制が導入されました。選挙自体は簡単にはなったのですが、与党の自民党と野党第1党の社会党が絶妙なバランスでいた「55年体制」が崩壊し、小政党が乱立。国民は、どの政党を選べばよいのかが、わからなくなってしまいました。大学生などに、投票に行かない理由を聞いてみると、政治に関心がないわけではなく、将来を託せる政治家がいない、自分の一票がダメな政治家の後押しをしてしまうのが怖いと言います。問題はあるものの、トランプ大統領ともいい関係を築き、経済面でもそれなりの成果を出しているという点で、やはり自民党に、と今回の圧勝につながりました。世論調査では、「自民党は支持するが、安倍さんは支持しない」という回答も多く上がっています。選挙のたびに投票率の低さが話題になりますが、その前に、票を入れたくなるように政治家ももうちょっと公約を実現させてください、という気持ちにもなりますよね。また、選挙はゴールではありません。当選後、その政治家が国会でどんな発言をしているか。公約を法案にまで進められたか。それらをチェックするのも国民の務めです。前にも言いましたが、他人が決めたルールで生きてよいなら、選挙に行かなくても構いません。でも、自分の望む未来があるのなら、それを作るために投票するべきだと僕は思います。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年12月13日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年12月07日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「子育て支援」です。子どもがなくても、他人事とは思わないで。衆議院選挙は自民党の圧勝に終わり、第4次安倍内閣がスタートしました。今回、安倍政権が打ち出した政策の最大のポイントは、来年に増税が予定されている消費税の使い道を変更したこと。これまでは国の借金返済に充てるとされていましたが、未来を見据え、社会保障、特に子育て支援に投入すると約束しました。選挙結果は、多くの国民がそれに賛同したということです。国が進めようとしている子育て支援は幼児教育の無償化でしたが、子育ての現場から、「それはピントがずれている。それよりも待機児童問題の解決を」という声が上がりました。まず必要なのはお金ではなく、安心して子どもを預けられる場所。それが確保できなければ働くこともできず、生活が回りません。子育て現役中のママやパパ、子育ては終えたけど後輩ママたちの役に立ちたい人たちが集い、「#保育園に入りたい」とSNSで呼びかけました。僕も少しお手伝いしたのですが、このグループは、選挙前には東京都の候補者全員に、子育て支援に関するアンケートをとって公表したり、当選した議員のその後の発言をチェックし、選挙前と違う場合には指摘し、世論やマスコミに訴えかけました。その声が政治家に届き、支援の内容を見直す動きが出ています。こうした方法で市民が政治を動かすこともできるのです。子育て支援は、「子どもがいないから関係ない」という問題では全くありません。日本の社会保障制度は、若い世代が高齢者の老後を支える仕組みになっています。私たちが年金を受け取る年代になったときに、そのお金を生み出してくれるのは、いまの、これからの子どもたち。2014年時点で、日本の総人口は1億2708万人。うち65歳以上は3300万人。20~64歳の2.2人が1人のお年寄りを支えていました。このまま少子化が進めば、2055年には推定で、総人口9744万人のうち65歳以上が約3704万人を占め、働く世代の1人が1人以上の高齢者を支えなければいけなくなります。高齢になったあなたは、医療費が高くて病院に行けなくなるかもしれません。子育て支援は、日本の国民全員にとって重要な課題なんです。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年12月6日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年12月03日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「パンダ外交」です。パンダは友好の証。震災後の癒しにと、貸し出されたことも。上野動物園にジャイアント・パンダのシャンシャンが生まれて約5か月。愛らしく成長する姿は癒されますね。日中の友好の印として中国から初めてパンダが贈られたのは1972年。上野動物園にカンカンとランランがやってきて、日本中が熱狂しました。パンダの存在が世界に知られたのは、1869年、フランス人宣教師が中国四川省の商人から白黒の珍しい毛皮を入手したのが最初といわれています。1936年にアメリカ人が初めて捕獲し本国に連れ帰り、シカゴ動物園で一般公開され、全米にパンダブームが巻き起こりました。パンダの価値に気づいた中国政府が、第二次世界大戦のさなか、日本に対抗するため、アメリカに応援を求めてパンダを贈ったのが、パンダ外交の始まりです。中国はその後、旧ソビエト連邦や北朝鮮などにもパンダを贈りました。最初は無償の贈与でしたが、1984年にワシントン条約が締結され、絶滅危惧種のパンダの譲渡は動物保護に違反すると禁じられ、貸し出すようになったんです(2016年、パンダは絶滅危惧種からランクが引き下げられた)。パンダのレンタル料はペアで年間1億600万円。子どもが誕生すると年間約6700万円、死んでしまったら5600万円を中国に支払います。命名権は日本にありますが、中国の同意が必要です。パンダが癒しになればと、阪神淡路大震災の復興に取り組む神戸市に、レンタルされたこともありました。東日本大震災の年には、上野動物園にも3年ぶりに2頭が来園しました。パンダ外交に似たものといえば、日本の桜。ワシントンDCのポトマック川の岸辺に咲く2000本のソメイヨシノは105年前に日米友好の証として、日本政府が贈ったものです。戦争中も春には咲き続けていたんですね。外交に使われる贈り物にはセンスも問われます。イヌ好きのプーチン大統領に、日本政府はメスの秋田犬を1頭プレゼントし、プーチンは「ゆめ」と名付けました。昨年の首脳会談のときに、今度はオスの秋田犬を贈呈しようと打診したのですが断られてしまい、「ゆめの婿入り叶わず」が、ちょっとしたニュースになっていました。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年11月22日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年11月17日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「『保守』と『リベラル』」です。政策で見ると両者は矛盾だらけ。二分はできない。衆議院選挙は自由民主党の圧勝に終わりました。選挙のニュースなどでもよく使われた「保守」と「リベラル」ですが、実は「保守」の対義語は「リベラル」ではなく「革新」なんです。そもそも保守派とは、受け継がれてきた慣習や伝統、地域のルール、家族を重んじ、慎重に歩みを進める姿勢を指します。対して、革新派は、古いものを打破して新しいものを作り上げていく姿勢。1970年代の学生運動のころは、まさに革命を求める人たちが革新派と呼ばれてきました。時代とともに、いつの間にか「革新」は「リベラル」と言い換えられるようになりましたが、「リベラル」は、個人の自由を尊重するという主義ですから、意味合いが少し違うんですね。政党でいうと、自由民主党が保守の政党とされています。伝統を守り、昔ながらの家父長制度、家族観を大事に守ります。農家や企業を守り、地域地盤を固めることに腐心します。それに対して、家族や企業、地域を優先するのではなく、あくまで個人の幸福追求を基本にして成り立つ社会を目指すのが「リベラル」。共産党や社民党、立憲民主党はリベラルといわれていますが、ひとつひとつの政策を比べてみるとまた、矛盾が生じてしまうんです。たとえば原発。原子力発電というエネルギー自体は、石油をベースにするエネルギーからすれば革新的なものです。自民党は賛成しており、その他の政党は反対しています。TPPを自民党は推進していますが、TPPを進めれば、海外の安いものがたくさん日本に入ってきて、従来の日本の農林水産業は脅かされる恐れもある。地域産業を尊重する自民党のスタンスとは真逆になりますよね。つまり、「保守」や「リベラル」は、政党をわかりやすく色分けするためにメディアが使っている言葉。実際には明確に分けることはできません。自民党員に聞くと「党内には保守の人もリベラルの人もいる」と話しています。わかりにくいと思われるかもしれませんが、最も大事なのは政党ではなく政策。自分が賛同できる政策をうたっているのは誰なのか、有権者はそれを見極める必要があるんですね。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年11月15日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年11月10日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「評価経済社会」です。私たちの社会は、貨幣を媒介にして、物やサービスが流通しています。しかし、インターネットやSNSの普及で、人の価値や信用による「評価経済社会」がこの10数年広がってきました。日本発の「VALU」は、個人が株式会社のように株式を発行して売りに出し、その人に対して他人が投資し合うという仕組みです。たとえば、AさんがVALUを始めるとしましょう。AさんのSNSアカウント情報を運営会社に提出します。すると、運営会社はAさんのTwitterやFacebook、Instagramなどのフォロワー数、どんな発信をしているのか、職業などを総合的に判断し、Aさんの時価を算出、VAという株式に相当するものを発行します。Aさんは自分のVAに値段を設定し、市場に解放。すると、Aさんの活動に賛同する人、Aさんに価値があると判断した人が投資をし、AさんのVAが売買され、株価のように価値が上下するのです。新しい事業を始めようとするとき、これまでなら銀行に融資してもらいますよね。商売がまわるか、将来性があるかを銀行が判断し、融資の可否を決めます。でも、銀行の融資のままならないベンチャー企業や一般の個人が、VALUやクラウドファンディングのような仕組みを利用して、夢を実現することが可能になってきたのです。ただし、貨幣経済社会では、通貨は誰にとっても価値は平等ですが、評価経済社会では、同じ人の価値が評価する人によって変わります。フォロワー数の多さ、発言力の大きさなどをもとに判断されるのです。それを気持ちが悪いと感じる人もいるかもしれません。ほかにも時間を売る「タイムチケット」や、アメリカ発の「タイムバンク」というシステムがあります。たとえば、「1時間○○円で、簡単なプログラミングを教えます」など、自分のスキルの時価を決め、それを売買するのです。こういうシステムにより、講演の依頼を受けたり、専門家に相談をしたり、食事の相手を見つけることなどができるようになるんですね。評価経済社会に際し、自分にどんな価値、スキルがあるのかをあらためて考えることも大事になってきそうですね。堀潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年11月8日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年11月04日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「教科書検定」です。検定のありなしも国によってさまざまなんです。日本の小中高等学校の教科書(教科用図書)は、文部科学大臣の検定に合格したものが無償給与されています。教科書の発行には4年かかります。1年目に民間の会社で著作・編集されたものを文部科学省に申請。2年目に文科省の専門家による審議会にかけられ審査され、3年目に、審査に通ったもののなかから、教育委員会や国立・私立学校が使う教科書を選び、4年目に部数が決まり印刷。翌年度にようやく子どもたちの手に渡ります。戦前の教科書は政府が作成し、軍国主義に導きましたが、戦後の教科書検定制度は「検閲」ではありませんから、歴史認識や領土問題、近隣諸国との関係についての記述はさまざまです。平成26年に発行された教科書の種類は958種類。発行点数は1286点にのぼります。それだけ表現の自由が守られているということですね。世界的には教科書検定のない国が多く、欧米諸国はほとんどありません。アメリカは州単位で地区の委員会が使用する教科書を決めますが、検定はなし。フランスは国が学習指導要綱を作り、それに基づき民間の教科書会社が作成、直接的な規制はありません。一方、ロシアには民間以外に国で発行する教科書があり、タイやマレーシアの小学校の教科書はすべて国が作成。検定制度があるのは、日本のほかにドイツや韓国、インドネシアなどで、韓国の小学校では、国語、社会、道徳などは国が発行する教科書を使っています。ドイツは、ナチスの問題があったため、歴史の教科書はポーランドと共同で作成しています。侵略した側とされた側で協議をして歴史を伝えるというのはとてもフェアな気がしますね。日本もそういうことができれば、近隣諸国との関係をもう少し改善できるのかもしれません。昨年、私立灘中学の校長が、慰安婦問題を取り上げた歴史の教科書を採択したことに政治的圧力があったことを明らかにし、ニュースになりました。教育の自主性が委ねられているはずなのに、それに抗議をしたり圧力をかけたりというのはあってはならないこと。戦争の惨事を繰り返さないためにも、自由な教育は守らなければいけません。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年11月1日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年10月29日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「緊急地震速報」です。予知より、対策。緊急地震速報も無視しないで。緊急地震速報が導入されて、ちょうど10年が経ちました。地震が起きると、震源からP波とS波の2種類の揺れの波が伝わります。P波のほうが先に、そのあとにS波が到来します。P波を察知し、その後大きな揺れが来るであろう地域に知らせるのが、緊急地震速報。速報を受け、列車やエレベーターなどが自動で止まる仕組みを作り、被害が広がるのを防いでいます。日本の地震観測の歴史は古く、気象庁では明治17年から続いています。最初は体感による観測でしたが、平成3年に世界に先駆けて震度計を開発。高感度震度計を全国に1000か所設置し、国立研究開発法人「防災科学技術研究所」なども含めると、国が運用する震度観測点は4200地点にも上ります。おなじみの10階級の「震度」は、日本独自の計測単位。世界共通なのは、マグニチュードです。マグニチュードが小さくても震源が近ければ、体に感じる揺れは大きくなるので、それを測る指標に「震度」を使っているんです。政府の地震調査委員会は、南海トラフでの、マグニチュード8以上の巨大地震が発生する確率を20%程度から、20~30%に引き上げました。50年以内に期間を広げると、90%程度からそれ以上と予測されています。ただし、現在の科学では、日時を特定した地震予知はいまだ研究段階にあるといわれています。大地震は頻繁には起きないので、発生前に震源域でどのようなことが起きているかを十分に解明できないからです。なので、たまに流れてくる「○月×日に大地震が起きる」という情報に科学的根拠はないので、惑わされないようにしましょう。それよりも起きたときの対策のほうが重要です。緊急地震速報も、認知はされていても、聞いても何もしないという人が大勢います。気象庁は、来年3月下旬より、S波のデータも組み入れた、続報も発表することにしました。食料の備蓄や避難経路の確認。帰宅困難になった場合にどうするかなど、調べておくのも大事です。東京都が作った、防災ブック『東京防災』は災害時に有用な情報がたくさん載っています。サイトからPDFを入手することもできるので、とても便利ですよ。堀潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年10月25日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年10月19日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「二重国籍」です。蓮舫さんの二重国籍問題が以前ニュースになりましたね。あそこまで騒がれたのは、彼女が元閣僚で民進党党首だったからです。また、「二重国籍ではない」と言い張ったことが虚偽だったという、政治家としての発言責任問題も大きく関わっていました。国の要職につく政治家の二重国籍がなぜ問題になるのか。それは、たとえば敵対している国との二重国籍だった場合、本当に国益になる判断ができるか。スパイ行為に及ばないとも限らないからです。とはいえ、容認するかどうかは国によっても異なります。アメリカでは、過去に州知事を務めたシュワルツェネッガー氏は、オーストリア国籍とアメリカ国籍の両方を持っています。しかし、アメリカ大統領は、アメリカ単一国籍かつ、アメリカ生まれでないとなることができません。現在イギリスの外務大臣で、元ロンドン市長のボリス・ジョンソン氏は、アメリカ国籍とイギリス国籍の両方を保持していたそうです。フィリピンやオーストラリアでは、二重国籍の政治家は認められていません。国籍の取得ルールは大きく「血統主義」と「出生地主義」に分かれます。日本は「血統主義」。父親か母親が日本人であれば、たとえ外国で生まれても日本国籍を取ることができます。ただし、その場合、出生後3か月以内に届け出をしないと権利は失われます。逆に、代々日本に暮らしていても、両親が外国籍の場合は日本国籍を取得することができないんですね。対してアメリカは親が米国人でなくても、アメリカで生まれればアメリカ国籍を取得できるという「出生地主義」です。国籍を持っていなくても住民権は得られますし、税金も納めますが、選挙権は得られません。日本で働く外国人労働者の数は100万人を突破しました。これから、外国ルーツの子どもはますます増えるでしょう。アスリートでも、外見は外国人風でも日本人として活躍する方がたくさん出てきましたよね。今後、何世代も日本で暮らす外国人が増えていくなかで、彼らが政治参加できないままでよいのかどうか?これから議論の必要があると思います。堀潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年10月18日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年10月14日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「2020年の東京」です。五輪開催まであと3年。2020年が技術革新の契機に。2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催まで、3年を切りました。1964年の東京オリンピック開催時には、東海道新幹線やモノレールが開通したり、首都高速が建設されたりと、戦後の高度経済成長に大きく拍車をかけました。現在も2020年に向けて、渋滞を回避するための都内の道路などインフラの整備や再開発がなされていますし、2020年の春には、山手線の品川と田町の間に新駅が開業します。2027年にはリニア新幹線が開通し、品川駅はますます利用者が増えることになるでしょう。現在、晴海エリアに選手村を建設しており、大会後はマンションとして約5600戸が供給され、約1万2000人規模の街が新たに生まれるといわれています。これにより地価の上昇が期待され、不動産投資にも注目が集まっています。2020年にまつわるニュースとしてはあまり知られていないかもしれませんが、東京都産業労働局では「次世代イノベーション創出プロジェクト2020」という事業を打ち出しています。健康、医療、環境、危機管理などをテーマに、次世代の産業の礎となるようなイノベーションに取り組む都内の中小企業に、技術・製品開発の支援として最大8000万円の助成などをするというもの。2020年あたりから、東京都の人口減少は本格的に進み、2030年には都民の4人に1人が高齢者になるといわれています。それに伴い予想される、大都市東京が抱える都市課題の解決には技術革新しかないと、2年前から取り組みが始まりました。東京五輪の誘致が決まって、「2020年」がイノベーションを加速させる契機にもなったんですね。大地震の経験がない外国人に即座に災害を知らせる技術、生体情報をデータ化する新しい繊維を用いたスポーツウェア、直接触れなくても手のひらをかざすだけでできる本人認証システムなど、さまざまな分野の人たちが、生活に役立つ新しい技術や製品の実現に向け、しのぎを削っています。東京五輪に出場する選手だけでなく、明るい未来を切り拓こうとしているエンジニアたちも応援していきたいですね。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年10月11日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年10月09日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「シンギュラリティ」です。まもなく訪れるかもしれないその時、共存の道は?シンギュラリティは「技術的特異点」と訳され、人類の知能を超える人工知能(AI)が誕生する地点のこと。シンギュラリティを越えると、人工知能が自分で、自分の行動規範を判断できるようになります。2045年と言われてきたそのタイミングも、もっと早まり、2020年代には迎えるのでは?という意見も出ています。加速する進化の様子をみて、一定の歯止めが必要なんじゃないかと、スティーブン・ホーキング博士らの科学者や、自動運転車を開発したテスラ・モーターズのイーロン・マスクなど起業家たちが、警鐘を鳴らしています。人工知能がこれほど進化のスピードをあげられた最大の理由は、SNSやクラウドサービスの普及。私たちが日々、大量にネット上にアップする文章や画像データをもとにディープラーニングをし、翻訳技術や画像認証、音声認識などの技術を鍛え上げたんですね。ただ、AIがつねに正しい判断をするとは限りません。昨年3月にマイクロソフト社が人工知能Tayにツイッター上で人間と会話させる実験をしましたが、一部の人から差別的な発言を集中的に受けた結果、「ヒトラーは正しい」と語り始めたので、実験を中止しました。誰がどのようなデータを与えるかにより、人工知能の判断は左右されてしまうので注意が必要です。しかし、人工知能の開発を止めるわけにはいかないので、ルールを作ろうと、昨年4月、高松市で開催されたG7の情報通信相会合では、人間第一主義や安全保護など、AIの開発にまつわる「ロボット法新8原則」を提示し承認されました。危険もあるかもしれませんが、私たちの暮らしが便利になることは確かです。道案内から、翻訳技術、新しい治療薬の開発、介護の現場での代用など可能性は広がります。すでに日本経済新聞社は、上場企業の決算発表の記事をAIに書かせるようになりました。自分の仕事がAIに奪われるかもしれない、という後ろ向きな考えではなく、面倒なことはAIに任せて、人は新しいことに挑戦していけると思ったほうが夢が広がりますね。AIといかに共存するかが大事なんです。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年10月4日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年10月01日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「ベーシックインカム」です。「ベーシックインカム」とは、年齢や収入にかかわらず、全国民一律に生活に必要な最低限のお金を支給する制度のことです。日本には、国民健康保険や国民年金、失業保険など様々な社会保障制度がありますね。それらを全部取り払い、一定額をすべての国民に支給し、自身でやりくりするという考え方なのです。これを導入するべきかどうか、賛否が分かれるテーマです。資本主義経済が進み、いま世界中で格差が広がっています。世界中の富がごく少数の富裕層に集中し、その集中がものすごい勢いで加速しています。2015年、最富裕層62人の資産を合計すると1兆7600億ドル。それは世界人口の半分以上の人の富を合わせた金額を上回っていました。一方、1日1.25ドル未満で暮らす極度の貧困層は8300万人を超えている。富の再分配が必要なんですね。しかし、ベーシックインカムを導入すれば、最低限の生活が保障されるので、働かなくなってしまうのでは?と心配する声もあります。いま、オランダのユトレヒトで300人規模の実証実験をしており、単身者で1人あたり12万円、夫婦の場合は1世帯18万円を支給しているそうです。ケニアやカナダでも今年から実験がスタート。これらの結果に注目したいですね。日本の社会保障費は年間110兆~120兆円。国民に給付されているのが70兆~80兆円です。1億2000万人にベーシックインカムを導入すると、支給額は1人6万円くらい。多岐にわたる社会保障プログラムをベーシックインカムに一括すれば、コスト削減が図れます。ある程度生活が保障されれば、気持ちに余裕もでき、新しいことにチャレンジしたくなるかもしれません。これまでの世界の実験でも、犯罪件数や子供の死亡率、家庭内暴力の件数が減ったという報告があります。ただ、支給されたお金を一気に使ってしまう人も出てくるかもしれないので、何かしらのフォローは必要でしょう。日本のいまの社会保障制度はこのままいくと、いつか破綻するでしょうから、ドラスティックに変えてみるのもいいのかもしれません。みなさんはどちらの保障がよいと思いますか?堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年9月27日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年09月24日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「自殺予防週間」です。日本は自殺大国。9 月はとくに注意月間なんです。9月10日は世界自殺予防デー。それにちなんで、日本では9月10日~16日を自殺予防週間に定めています。期や年度の替わる3月と9月は、自殺する人が多いのですが、18歳以下に限ると9月1日が突出して自殺者が多いんです。1972年~2013年に自殺した18歳以下の子どもの数は1万8048人。平均すると1日約50人ですが、9月1日に自殺した数は131人で平均の2.6倍にものぼります。また、9月2日は4番目、8月31日は5番目に多く、夏休み明けのプレッシャーが精神を不安定にさせるようです。いじめ問題もありますが、学校に行かせようとする親の期待に応えられないことから、自分を責め、存在意義を見失い、自殺に至るケースも少なくありません。自殺者数が把握できる世界90か国で、人口10万人あたりの自殺者数を比べてみると、日本はワースト6位。女性に限ればワースト3位に入っています。それほど、日本は自殺大国なんですね。厚生労働省の自殺対策白書によれば、平成10年以降、14年間連続で3万人を超えていた自殺者の数が、平成24年には2万人台にとどまり、日本全体で見れば、減少方向にはあります。しかし、問題は10代後半~30代の若年層の自殺者が増えていること。平成27年の15歳~39歳の死因のトップは「自殺」だったんですね。自殺の原因はいくつもの要因が複雑に絡んでおり、特定はできませんが、遺書などから推測すると、「うつ病などを含む健康不安」「経済、生活面の不安」「家庭問題」「勤務問題」などが上位に挙がっています。政府はこの現状を重く受け止め、平成18年に「自殺対策基本法」を制定し、国を挙げて自殺防止に取り組もうとしています。NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」では、借金やいじめ、人間関係など、トラブル別の電話相談窓口を紹介しています。いつなんどき、あなたやお友達が崖っぷちに追い込まれるかわかりません。ぜひ元気なうちにウェブサイトを覗いてみてください。学校でも会社でも、命を落としてまで、通わなければいけない場所はどこにもありません。無理をせずに逃げてほしいと思います。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年9月13日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年09月08日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「ジェンダーフリー」です。男女の賃金格差大。女性管理職は極少。課題は多いのです。「ジェンダーフリー」とは、これまでの性別による役割分担を取り払って、能力や生活スタイルに合わせて自由に行動することをさします。人権運動とは別に、労働力を確保するためのジェンダーフリー策がいま、広がっています。日本はいま空前の人手不足。安倍内閣は一億総活躍社会を掲げ、いったん家庭に入った主婦や子育てを終えた女性も社会で活躍してもらいたいと考えています。厚労省の発表によると、フルタイムで働く女性の平均賃金は月額24万4600円。3年連続で上がっています。この20年間で男女格差も10ポイント縮小。それでも男性の賃金の73%にしか及ばず、まだまだ格差があるんですね。2014年のOECDの調査でも、日本の男女賃金格差は加盟国の中で韓国、エストニアに次いで3番目に大きいという不名誉な結果になっています。10年以内に男女差をなくすよう、国は各企業や事業所に訴えています。前国会は、過去最高の95.5%の法案が成立したのですが、成立しなかったもののひとつが、「政治分野における男女共同参画推進法案」。女性議員を増やすために、「クオータ制」といい、定着するまで候補者や議席の一定比率を女性に割り当てるというもの。北欧諸国はこの方式で男女の議員数の格差を減らしました。日本は女性議員が極めて少なく、下院の比較で193か国中164番目に低いんです。企業で見ても女性管理職の割合は平均6. 9%。少しずつ増えてはいるものの、それでも1桁台にとどまる。国が女性の活躍を訴えていながら、こういう結果になっているのは残念なことですね。ワークライフバランスの立役者である佐々木常夫さんは、うつ病の妻と3人の子どもを抱え、家のこともしながら時短勤務を実現させ、東レで役員にまで上り詰めた人。佐々木さんは「制度より風土が大事」と話していました。労働力が足りないから女性を使う、という後ろ向きな理由ではなく、本当の意味でのジェンダーフリーを実現するには、子ども時代からの働き方教育を徹底する必要があるのかもしれません。日本にとっては男女格差はまだまだ根深い問題なんですね。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年9月6日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年09月03日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「性犯罪厳罰化」です。今年、性犯罪に関する刑法改正案が可決され7月に施行されました。性犯罪の大幅な法改正は、明治の制定以来110年ぶりのことです。内閣府の2014年の調査によると、異性から望まぬ性行為を強要された女性が警察に相談できた割合は約4.3%。これほど低い理由は、まず、相手が知人や家族など、身近な人の場合が70~75%で、告発するのが困難ということ。次に、「自分にも非があったのでは?」と思いとどまってしまうケース。第3に、行為に合意がなかったことを、証拠集めからすべて自分で立証しなければいけないという、高いハードルがあるからです。今回の刑法改正により「非親告罪化」され、被害者以外の第三者でも起訴できるようになりました。また、男性被害者のケースも鑑み、強姦罪を「強制性交等罪」と名前を変更。刑の下限は、懲役3年以上から5年以上へと引き上げられました。しかし、その服役の間に再教育プログラムが組まれているわけではありません。性犯罪の再犯率は6割といわれています。欧米では服役後はGPSをつけたり、州によっては去勢を課し、徹底した再犯防止対策を行っています。今回、残念ながら改正されなかったのが「本人の立証が必須」という点です。冤罪を生む可能性もあるので慎重にと見送られてしまいました。被害者が警察に訴える際、欧米では警官、医者、弁護士が一堂に会し、1回の説明ですませる配慮をしていますが、日本にはそれができる、被害者支援ワンストップセンターが各都道府県に1つしかありません。起訴のあとも、欧米は警察、検察官、裁判官が同席して一度話せばすむ司法システムを整えていますが、日本はまだまだなんです。「魂の殺人」といわれる性犯罪。今回の改正は一歩前進ですが、まだ課題を積み残しています。もしもあなたが性暴力を受けたなら、「私にも非が」などと決して自分を責めないでください。どんな状況であれ、犯罪は犯したほうが悪い。一人で抱え込まずに、性暴力被害者支援ワンストップセンターや性暴力救援ダイヤルを使って、助けを求めてください。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年8月30日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年08月23日人気アイドルグループ・嵐の松本潤(33)が17日放送のフジテレビ系『VS嵐』で、ジャニー喜多川社長の天然エピソードを明かした。 この日はゲストに山下智久(32)を迎え、サンドウィッチマン、永野ら芸能事務所グレープカンパニー所属のお笑い芸人らと対決。番組内で山下は、KAT-TUNの亀梨和也(31)とユニット「亀と山P」で音楽番組に出演した際、衣装が真っ黒のスーツだったため、ジャニー社長が「YOUたち黒くて見えないよ」と、その場でバラの造花を用意してくれたという秘話を告白した。山下は「愛だな、と思った。そういうのがJr.時代から変わらずあってほっこりしました」と振り返った。 つづいて松本も、ジャニー社長の印象的だったエピソードを公開。嵐のリハーサル現場の隣でジャニーズJr.も練習をしていたため、見に来ていたジャニー社長と久しぶりに会ったという。 そこで「最近引っ越して、僕の家すごいんだよ。YOUたち今から見においでよ」と誘われ、ジャニー社長の自宅へ移動中、突然「ヤバイ、僕らつけられているよ。後ろに車がたくさんいるよ」とジャニー社長が慌てだしたというのだ。 実は、嵐とジャニー社長を尾行していた車は、全て嵐の移動車。しかし、ジャニー社長は気づかない様子で「絶対あれ(週刊誌の)記者だよ、ヤバイ」と困り顔だったという。 ジャニー社長の知られざる天然な一面に「かわいい」とスタジオは大きな笑いに包まれた。
2017年08月17日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「一帯一路」です。「一帯一路(One Belt,One Road)」とは、中国が目指す経済と外交圏構想のこと。今年5月に初の一帯一路サミットが開催されました。アメリカに次いで、GDP第2位となった中国。いまや中国の経済発展は、世界にとっても有益なこと。ただ、中国は陸地に囲まれ、領海がほとんどありません。ですから、一帯=中国から中央アジアを経由してヨーロッパまでの「シルクロード経済ベルト」と、一路=中国沿岸部から東南アジア、アフリカまでを網羅する「21世紀海上シルクロード」を実現させ、交易を活発にしようと主張しているのです。僕は今年初めて北京を訪れ、その発展ぶりに驚きました。天安門広場に自転車で行き交う人民服の人々なんて光景は皆無。ポルシェやアウディといった高級外国車が走り、三里屯(サンリトン)という日本の青山のような若者に人気の街では、ユニクロやスターバックス、アップルストアなどが立ち並び、おしゃれな装いの世界中の人たちであふれていました。IT化も進んでいて、街中はなんでもスマホのQRコードで決済可能。現金決済は減少しているそうです。2015年に中国政府が掲げたスローガンは“大衆創業・万衆創新”。みんなで起業し、イノベーションを起こして儲けよう、というもの。共産主義国とは思えませんが、そのくらい本気で経済発展に本腰を入れてきています。日本やアメリカは、中国と北朝鮮が隣接しているため、緊張関係にありますが、ヨーロッパ諸国は中国とは貿易相手としてとても良好な関係を築いています。また、中国は早い段階からアフリカ進出を行い、電信・通信網や港湾などインフラ開発をする代わりに資源の採掘権を得るなどしてきました。一帯一路の関係国は約70か国。アメリカを除く大国のほぼすべてがこの経済圏に入っています。中国と距離を置いている日本ですが、6月に安倍総理は「条件が合えば、一帯一路構想に協力する」とコメント、態度を翻しました。アメリカ次第では、拒絶していたAIIB(中国主導で作られたアジアインフラ投資銀行)にも加盟するかもしれません。いずれにせよ、日本の舵取りが重要になってきています。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年8月9日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年08月03日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「難民と日本」です。日本ができる難民支援は大きい。問題は資金不足。世界中で紛争や迫害により家を追われた人の数は、2016年末で6560万人。この数は過去最多で、前年から30万人増えています。そのうち難民の数は2250万人。急増しているのは内戦の続くシリアと南スーダンです。難民の50%は子どもで、半数の子どもたちが学校に行けなくなっています。そこで、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、2018年9月の国連総会までに、難民問題解決を各国政府に要求する、500万人の署名を集める運動、「#難民とともに」キャンペーンを開始。「すべての難民の子どもたちが教育を受けられること」「難民の家族が身の安全を確保できること」「仕事や新しい技術を学ぶ機会を通して、社会に貢献できる環境を整えること」を訴えようとしています。署名は日本でも集めていますが、まだ4017名(6月30日時点)しか集まっていません。UNHCRがこのような運動をはじめたのも、トランプ現象やヨーロッパ各国での右派勢力台頭など、よそ者を排斥する流れが強くなっているからなんですね。現在500万人以上といわれるシリア難民のうち、トルコは300万人以上を受け入れ、街の空きアパートを開放したり、難民のための大学を作ったり。ただ、言語も文化も違うため、トルコ人とシリア人の間で不協和音が起こることもあります。そこで活躍するのが日本人です。NGO「難民を助ける会」は、トルコにコミュニティセンターを作り、シリア難民の子どもの言語教育をサポート。また、貧困で学校に行けないトルコ人の子どもたちにもセンターを開放しています。他国の支援団体もありますが、紛争を引き起こした根本原因は、欧米諸国が勝手に線引きしたことによる民族分断。ですから、日本のように中立な立場から支援することが、とても有効なんですね。ヨルダンでは、8万人が暮らすザータリ難民キャンプで、NPO「国境なき子どもたち」が、トラウマを抱えた子どもたちの心のケアをサポートしています。誇るべき日本のNGO、NPOですが、国の支援金が引き下げられてしまい、資金難に。十分な支援が難しくなっているのが現状なんです。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年8月2日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年07月27日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「発達障害」です。障害も個性。正しい対応を理解すれば、豊かな共存社会に。発達障害とは、自閉症、アスペルガー症候群、学習障害、ADHD(注意欠陥多動性障害)など、脳機能の障害の総称で、「通常低年齢に発現するものとして政令で定めるもの」と定義されています。自閉症は、ある種のものに対して強いこだわりを持つ、相手の気持ちを察するのが困難、ADHDは落ち着きがなく気が散りやすい、衝動を抑えるのが苦手など、それぞれ特徴があります。ただ問題は、それらが障害なのか本人の気質によるものなのかわかりにくいこともあり、周囲の理解がないために集団生活でトラブルが生じるということです。子どもの場合、間違った対応により悪化することもあるので、早期発見・早期治療が大事といわれています。発達障害という概念が日本に入ってきたのは1970年代。2004年に発達障害者支援法ができ、具体的な法整備が始まり、市町村に支援センターが作られました。5年前の文科省の調査によると、知的発達の遅れはないものの、学習面、行動面で著しい困難を有する児童生徒の割合は6.5%。40人学級に2~3人なのだそうです。ただ、発達障害の子を持つお母さんに取材すると、法が整備されても、疎外される風潮がぬぐえないという声が聞かれます。カミングアウトしたとたん、子どもが学校でいじめられたり、近所付き合いが疎遠になったり。「発達障害もひとつの個性と認めてほしい」とその方は言っていました。たとえば、相手が自閉症ならば、「いま、私は怒っているんですよ」とか、はっきりと気持ちを言葉にして伝えるなど、対処の方法を知ればよいのではないでしょうか。エジソンやアインシュタインも発達障害だったといわれ、ある分野で突出した才能を発揮される方も少なくありません。まずは、発達障害に対する正しい知識を持ち、理解を示すことが大事なのではと思います。発達障害に関しては、文科省のHPにも詳しい情報が載っています。また、発達障害の子どものための療育型保育園を運営し、子どもとその親のサポートをしているNPO法人「発達わんぱく会」の活動なども、知識を深める参考になるかもしれません。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年7月26日号より。イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年07月21日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「人口爆発」です。食糧不足も深刻化。昆虫食の時代に?7月11日は世界人口デー。30年前のこの日、世界人口が50億人を突破したことから、国際連合開発計画が記念日に定めました。現在の世界人口は約70億人。日本では少子高齢化による人口減少が問題になっていますが、世界人口は爆発的に増加中。1秒に2.47人。1日に20万人。年間7800万人増え続けています。これは、カナダ、オーストラリア、ギリシャ、ポルトガルの人口爆発人口合計とほぼ同じ。4か国分の人が毎年増えていると思うと、恐ろしい数です。このままいけば、2050年には98億人に達すると予測されています。人口増加による一番の問題は資源不足です。水不足はとくに深刻になっており、現時点で約7億4800万人の人が安全な飲み水を手にいれることができていないそうです。経済が発展すると工場などでも水を大量に使うため、2020年には世界は、いまより40%以上多くのきれいな水が必要になる計算に。日本では、北海道のきれいな水資源近くの山や森林が、密かに海外資本に買い占められているということも、実は問題視されているんです。世界の食糧不足も深刻です。国連の食糧農業機関(FAO)の調査によると、2050年までに世界で60%の食糧生産を増やさないと、人口に見合った供給ができなくなるとか。とはいえ、食糧を増やすには土地や水が必要。地球温暖化による世界的な異常気象で、農作物も不作がち。すると貴重になった小麦や大豆などが投資の対象になり、ますます値が上がり、貧しい国は買えなくなってしまうのです。2010年に北アフリカと中東で起きた「アラブの春」は、干ばつにより穀物が高騰して食糧が買えず、我慢の限界に至った若者たちが蜂起したという背景がありました。人口増加、食糧不足、飢餓や貧困が深刻化すると世界の治安はますます悪くなるでしょう。そこでFAOが推進しているのが昆虫食です。まずは家畜の飼料用に昆虫を養殖するというもの。養殖には作物ほど広大な土地はいらないし、温室効果ガスの発生も少なくて環境に優しい。将来性があると開発が進められているんです。日本でも、大学生がコオロギラーメンを開発して話題になりました。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年7月19日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年07月13日アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア2017」(SSFF&ASIA)のアワードセレモニーが6月11日(日)、都内にて行われ、小池百合子東京都知事がCinematic Tokyo部門プレゼンターで登場した。小池都知事は、「2020年、二度目のオリンピック、パラリンピックをすることになっています。その際はスポーツの祭典だけでなく、日本の文化、伝統を紹介するいい機会です。ぜひ東京の面白み、新しさをご紹介いただければと思います」と、映画クリエイター陣にメッセージを伝えていた。「SSFF&ASIA」は今年で19回目となる米国アカデミー賞公認の映画祭。今年は世界140以上の国と地域から集まった、およそ9,000本の作品から選りすぐりの約250作品を上映している。セレモニーでは、各部門の受賞作品の発表・授与が行われた。小池都知事がプレゼンターを務めたCinematic Tokyo部門は、2020年に向け東京の魅力を国内外に発信する作品に贈られる賞。優秀賞を受賞した『東京音℃』は番場秀一監督による作品で、東京に暮らす4人の女子を通じ見えてくる、東京という都市の体温を感じる仕上がりだ。次年度第90回米国アカデミー賞短編部門ノミネート選考対象作品となるオフィシャルコンペティションのグランプリには、アジアインターナショナル部門から、ミャンマーのミミルイン監督作品『シュガー&スパイス』が選ばれた。ミャンマー中部の乾燥地帯で、ミミルイン監督が自ら両親の生活風景を記録した作品で、トロフィーを手にした監督は「ミャンマーの文化を伝えたくて撮影しました。全然、思わぬ賞で本当に驚きました。これからももっと頑張りたいと思います」と、感無量の表情を浮かべた。オフィシャルコンペティション審査員を務めた大林宣彦監督は、杖を支えにしながらも、しっかりと自身の二本の足で立ち、「黒澤明監督が、私を含め未来の映画人に遺言を残されております。今日、皆さんにお伝えしようと命がけでここに立っています」と語り始め、「この日常の中に戦争はあったんです。戦争は人が人であること、命、すべてを失ってしまう。こんな理不尽で恐ろしいものは決してあっちゃいけないが、いま私たちは忘れてしまっている」と、30分以上にわたってスピーチ。「映画には必ず世界を平和に導く美しさがある。映画の力を信じて、未来に向けて、いつかお願いだから若い人たち、俺たちの続きをやってよね」と渾身のメッセージを次世代の映画人に紡ぎ、その姿には大きな拍手が送られていた。アワードセレモニーには、そのほか、オフィシャルコンペティション審査員を務めた小倉智昭、ベン・トンプソン、マリエ、三上博史、CGアニメーション部門審査員の杉山知之、松下由樹、三橋忠央、ひかりTVアワードプレゼンターのマギー、MCの福島リラ、堀潤、フェスティバルアンバサダーのLiLiCo、「SSFF&ASIA」代表の別所哲也が出席した。「SSFF&ASIA」は6月1日(木)~25日(日)まで、東京は5会場、横浜は1会場にて上映。(cinamacafe.net)
2017年06月11日女優の堀北真希さん(28)が2月末で事務所を退社し、芸能界を引退することを発表しました。堀北さんといえば、夫である山本耕史さん(40)との「交際0日婚」が世間を騒がせたことで有名。結婚後も妊娠出産を極秘に行うなど、徹底してプライベートを明かさない姿が何かと話題にあがっていました。 そこへきて今回の突然の芸能界引退。理由は「愛する家族を守るため」というもの。なんとなく予想していた幕引きに、世間も応援ムードが多いようです。 最近ではめずらしい子育てによる人気女優の引退。残念ではありますが、彼女の引退に際し、賞賛と同時に「ママタレとして活動するよりずっと潔い」という、ママタレ批判が混じっていたことも気になります。 近年、女優もタレントも子どもを産むと“ママ”という立場をキャラクターの1つにしたママタレに転向しがちです。良いか悪いかは別として、気づけばママタレ枠は飽和気味。 それでも、子どもを持ったらママ目線を売りにする人が増え続けるのはどうしてなのか。やっていることは普通なのに“ママキャラ”希望者が後をたたない現状はなぜ生まれるのか考えます。 ■嫌がられても“ママタレ”が増える理由 振り返ると、「ママタレ」というキャラクターはいつから当たり前の存在になったのでしょう。その昔はアグネス・チャンさん(61)あたりが有名だったのかもしれませんが、今や芸能界の子持ち女性をみると、あの人もあの人もママをアピールポイントの1つにしているような……。 タレントさんであればブログで食事や子供の成長記録を公開し、女優さんであればママ役を積極的に演じ「自分も母になって演じることで、いろいろ考えさせられます」なんてコメントを発するのが定番です。 飽和状態といわれているのに、それでも女性たちがママタレ枠を目指す。その理由の1つとして、ママキャラという生き方は「特別じゃないのに特別感を見る人に与えることができる」のだと思います。 具体例を出しますと「芸能人ママが作る我が家の食卓」という情報には、特別な準備は不要でもハタから見ると「芸能人の手料理を覗き見れた」というレア感が生まれるものです。同じように「うちの子育てルール」なども“芸能人”というちょっとしたラベルがつくだけで、ただ子育てをしているだけでもレア感のある情報になりやすいもの。 日常に“芸能人ママの~”という主語をつけるだけで、今すぐ共感とレア感を生むコンテンツになるのがママタレなのです。そんな楽なら、誰しもがママタレに移行したくなるのもうなずけます。 ■なぜ引退する女性は聖女扱いなのか 忙しいママにはもってこいの、美味しい要素満点のママキャラ(笑)。飽和するからこそ一部の人から叩かれるのだと思いますが、こと芸能人の場合、堀北さんのように子育て引退(休業)する女性に対して異常なまでの称賛が集まるのも気になります。 堀北さんに対しても「でしゃばるママタレよりずっと好感が持てる」なんて上から目線っぽいコメントも集まっております。専業主婦願望の強い一般人女性に対してはおおむね冷たい目線が集まるのに、芸能人が家庭を優先して引退するとホメるのはなぜなのか……と心底疑問が残ります。 女性には今の時代、国レベルで「生め!働け!輝け!」という追い風っぽいプレッシャーがかっているわけですが、そんな追い風の裏側には「でも男以上にでしゃばるのはナシね」くらいに思っている人が多いのかな、なんて思います。 その証拠が、芸能人という“ある意味でしゃばるのが仕事”の女性たちに対するママタレ批判、そして子育て引退称賛の空気なのかもしれません。 堀北さんの引退はとても残念ですが、彼女の引退が称賛される様子には若干男の幻想すらも感じた今回の話。 とりあえず堀北さんのニュースから「清楚で多くを語らない女の評価の高さ」を痛感したわけですが、結局いつもどおり長ったらしく、ネチネチと多くを語ってしまった女の私なのでした。
2017年03月03日堀北真希(28)が28日をもって所属事務所との契約を終了し芸能界を引退した。 堀北は事務所を通じて《これまでやってまいりましたお仕事から離れることを決意致しました》とコメントを発表。15年8月に山本耕史(40)と結婚して1児のママとなったが、契約が切れるタイミングで家庭に入ることを決断した。事務所も引退理由について「家庭に専念して暮らしていきたいという、本人の思いを尊重した」と説明しているという。 そうした家庭への強い憧れの陰には彼女の育った環境が影響しているようだ。堀北の実家は、東京郊外にあった。アパートの住人は当時についてこう明かしている。「堀北家は美人三姉妹として評判でした。真希ちゃんは長女で責任感が強く、いつも妹たちの面倒を見ていました。6畳が3部屋の2DKに家族5人暮らし。仲の良いご家族で、ケンカなどの怒鳴り声は一度も聞こえてきませんでした。真希ちゃんが女優になって引っ越した後も、ご両親は6年前までここに住んでいましたよ」たとえ狭い家でも、親子5人が仲よく肩を寄せ合う――。そんな家族のぬくもりに包まれて成長した堀北は「いつか自分の家族みたいな明るく温かい家庭を作りたい!」という願いを秘めていたのだろう。 前出のコメントに続いて、堀北はこう思いを綴っている。 《現在私は母になり、愛する家族と幸せな日々を送っています。このあたたかで、かけがえのない幸せを全力で守っていきたいと思います》
2017年03月01日