ライブ配信アプリ「17LIVE」アプリ内イベント「関西コレクションステージ出演権争奪戦」で選ばれた15名のライバーが4日、モデルの村田倫子、前田希美とともに、京セラドーム大阪で行われたファッションエンターテイメント「EXIA Presents KANSAI COLLECTION 2022 AUTUMN & WINTER」内の「17LIVE スペシャルステージ」に出演した。17LIVEでは、17LIVE×KANSAI COLLECTIONコラボレーション企画第3弾として、「EXIA Presents KANSAI COLLECTION 2022 AUTUMN & WINTER」への出場権をかけたアプリ内イベント「関西コレクションステージ出演権争奪戦」を、6月1日から2週間にわたって実施。そして、約500名の参加ライバーの中からアプリ内のレベル別に開催されたイベントを勝ち抜いた 10名と、オーディションによって選ばれた5名を合わせた計15名のライバーが「EXIA Presents KANSAI COLLECTION 2022 AUTUMN & WINTER」の「17LIVE スペシャルステージに出演した。当日は、ライバー15名と、モデルやタレントとして活動をする村田倫子、前田希美を加えた計17 名が、約10分間にわたってステージ上で華麗にウォーキングを披露。今回実施した「17LIVE スペシャルステージ」はディズニーウェディングドレスとのコラボステージとなっており、それぞれ、村田がシンデレラ、前田が白雪姫をモチーフにしたドレスを着用して登場した。また、ライバーの15名もアリエル、ベル、ジャスミン、ラプンツェル、プー、マリー、ミニー、ミッキー、デイジー、ドナルド、チップ、デールなど、ディズニーの人気キャラクターをモチーフにしたドレスを着用しステージを華やかに演出した。
2022年08月14日村田沙耶香さんが海外の文芸誌などからの依頼を受けて書いた短編やエッセイを中心に、まとめられた本書『信仰』。表題作の「信仰」は、自分にとって信じたいものを意識的/無意識的に肯定してしまう、人間の危うさやままならなさを描いた、意欲作だ。「その人にとっては、価値があるものを大切に生きているだけなのに、これはよくてこれは怪しいと他人を勝手にジャッジしたりする。その人を勧誘していま幸せにしてあげている何かに対して、こちらが正しいんだからと強引に自分の側に引き込もうとするのって暴力的だなと。依頼された当時、私自身が考えていたことをテーマにしました」元同級生の石毛から強引にお茶に誘われ、〈マルチか宗教か(略)これはきっと勧誘だ〉と直感した〈私〉こと永岡ミキ。ところが石毛の目的はさらに怪しく、かつてネットワークビジネスに関わっていた斉川さんを巻き込んで、カルトビジネスを始めようというものだった。鼻で笑っていたミキだが、友人のアサミたちや斉川とのやりとり、妹の言葉を受けて、〈原価〉にこだわりすぎる自分の価値観が揺らぎ始める。「私自身、なんで小説なんか書くのと聞かれたら、時給にしたらひどいかもしれず、好きだから以外の理由がないんです(笑)。信じているものの果てにカルトがあるとしたら、どこにでもカルトの要素はある。ミキは割にリアリストなので、書く前は信頼できる語り手かなと思ってたんですが…。わからない感じをわからないままに書いた気がします」そのほか、生き延びるために生存率を上げる努力の意味を問う「生存」、均一な事象や価値観が蔓延し切った世界に住む少年の物語「カルチャーショック」、村田さんの支えだった〈イマジナリー宇宙人〉について書いた「彼らの惑星へ帰っていくこと」など、現実を意外な角度から突き崩し固定観念の歪さを可視化する短編と、小説のようにも読めるエッセイが並ぶ。ラストを飾るのは、美術展の図録のために書き下ろしたという「最後の展覧会」。「同時代の著名な美術コレクターである2人の男性。生前は出会ったことのなかった彼らが、宇宙人Kとロボットとして出会ったら…という設定で自由に書かせてもらいました」芸術と永遠とを讃える祈りのような、珠玉の一編だ。『信仰』「気持ちよさという罪」は、押しつけられる個性や多様性の大切さをめぐる欺瞞や居心地の悪さにも触れていく。舌鋒鋭いエッセイも必読だ。文藝春秋1320円むらた・さやか1979年、千葉県生まれ。2003年「授乳」で群像新人文学賞優秀作、’16年「コンビニ人間」で芥川賞に輝くなど受賞作多数。海外に翻訳されている作品も多く、世界各国で注目を集めている。※『anan』2022年8月10日号より。写真・土佐麻理子(村田さん)中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2022年08月09日タレントの村田倫子、前田希美が4日、京セラドーム大阪で開催された「EXIA Presents KANSAI COLLECTION 2022 AUTUMN & WINTER」に出演した。村田と前田はディズニープリンセスをイメージしたウエディングドレス姿に身を包み、華やかなショーを展開。約500人以上が参加した「17LIVEライバーオーディション」を勝ち抜いた人気ライバーたちと共にランウェイを飾った。村田はシンデレラ風のウエディングドレスで頭にはティアラを思わせるキラキラの髪飾り。前田は腕の部分の膨らみが特徴的な白雪姫風ウエディングドレスを着用。色はリンゴのように真っ赤で、リンゴのような丸いイヤリングも添えていた。「KANSAI COLLECTION」(関西コレクション)は、2011年2月に大阪で誕生したファッションとエンターテインメントのイベント。23回目となる今回は、「meet new japan culture」をテーマとし、変わりゆく文化や美しき良き伝統などを発信する。撮影:蔦野裕
2022年08月04日モデルでタレントの村田倫子(29)、前田希美(29)が4日、京セラドーム大阪で行われた『EXIA Presents KANSAI COLLECTION 2022 AUTUMN & WINTER』(関コレ)に登場。ディズニー・プリンセスをイメージしたウェディングドレス姿でランウェイを歩いた。「17LIVEスペシャルステージ」で、村田は『シンデレラ』をイメージした水色ドレス、前田は『白雪姫』を彷彿させる赤色ドレスに身をまとった。デコルテや肩、背中があらわになり、艶っぽい笑みを振りまいた。村田は「女の子の夢が詰まったすてきなステージだった」と振り返り、シンデレラのドレスに「ハッピーです」と満足げ。前田も「りんご飴を食べて、白雪姫になったつまりで歩かせていただいた」と喜んだ。「17LIVE」で行われた「関西コレクションステージ出演権争奪戦」などを勝ち抜いたライバー15名も競演。カラフルなウェディングドレス姿で次々と登場し、ステージを華やかに彩った。
2022年08月04日俳優の泉ピン子(74)、村田雄浩(62)が3日、東京・池袋のあうるすぽっとで行われた『朗読劇泉ピン子の「すぐ死ぬんだから」』の公開ゲネプロ&取材会に参加した。2人での朗読劇について、ピン子は「私1人だったんだけど、やる自信がないから口説いたの」とニヤリ。口説き方はというと「姉ちゃんの最後の死ぬ前のお願い聞いてくれる、雄?」だったそうで、ピン子は「そういう脅し方をしました」と豪快に笑う。村田は「そんなこと言われたら、断れるわけないじゃないですか!」とボヤきながら「電話切る最後には『断わんなよ』って言ってました」と暴露し、笑わせていた。ただ、村田自身も「一緒にやりたかった」と思っていたそうで、それができたことに笑顔。10年ほど前から語っていた夢だそうで、ピン子も「実現するんですね」としみじみと口にしていた。本作は、内館牧子のベストセラー作品を、笹部博司が上演台本・演出を手掛ける形で上演。78歳の忍ハナは、60代までは身の回りをかまわなかった。だが、ある日、実年齢より上に見られて目が覚める。「人は中身より外見を磨かねば」と。仲のいい夫と経営してきた酒屋は息子夫婦に譲るが、夫が倒れたことから、思いがけない裏を知ることになる…。朗読劇『すぐ死ぬんだから』は、東京・あうるすぽっと公演(8月4日~14日)を皮切りに、富山・オーバードホール(17日・18日)、福岡・久留米シティプラザ(27日)、熊本城ホール(28日)、鹿児島・宝山ホール(29日)、大阪・箕面市立文化芸術劇場(9月9日)、愛知・ウインクあいち(10日)、神奈川・相模女子大学グリーンホール(10月6日)、兵庫・小野市うるおい交流館エクラ(15日)、栃木・小山市立文化センター(22日)、東京・亀有リリオホール(11月2日)、山口・山口情報芸術センター(27日)など全国各地をめぐる。
2022年08月03日パペットを用いたアニメーション作家として活躍する村田朋泰の個展『Small Landscape』が、4月9日(土)よりGALLERY MoMo Ryogokuにて開催される。2000年、東京藝術大学の卒業制作作品『睡蓮の人』が、2002 年の第5 回文化庁メディア芸術祭にてアニメーション部門最優秀賞を受賞。同年、Mr.Children「HERO」のプロモーションビデオを手がけたことにより、一躍注目を集めた村田。2006年には目黒区美術館で、2008年には平塚市美術館で個展を開催し、現在はNHK子供向け番組プチプチアニメ「森のレシオ」を制作するなど、幅広い層から支持されるアニメーション作家として活躍している。同展では、2011年の東日本大震災と福島の原発事故を契機に、生と死に関する記憶の旅をテーマにした、シリーズ4 1/2作目となる映像作品の制作様子を「祈りのリハーサル」として公開する。このシリーズは、日本列島の起源及びアイデンティティを探る、叙事詩的映像作品を5つの物語で構成。第1作目となる『翁舞 / 木ノ花ノ咲クヤ森』は福島の原発事故を、第2作目の『天地』は活断層でできた日本列島をテーマにし、第3作目となる『松が枝を結び』は震災をテーマにしている。シリーズ4 1/2作目は、古事記の一節カグツチ神話をベースに、縄文時代を背景として制作中。今まで1/7スケールで制作していたパペットやセットを、1960年代にミニチュア制作で用いられていた1/50スケールに変更。今までと違うスケールで撮影することで、神話が持つ抽象的な感覚を忠実に描けるのではないかと考え、「ミニチュアのミニチュア」での撮影を試みる。また、ギャラリーに定点カメラを設置し、村田の最新作の撮影の様子をギャラリーだけでなく、YouTubeでも生配信。普段、見ることのできない制作の裏側や、制作のプロセスを覗き見ることができる。村田朋泰『Small Landscape』【開催概要】村田朋泰『Small Landscape』会期:2022年4月7日(土)~5月9日(土)会場:GALLERY MoMo Ryogoku時間:11 : 00~19 : 00休廊日:日月祝ギャラリーHP:
2022年03月31日お笑いコンビ・とろサーモンの村田秀亮(42)が14日、所属する吉本興業を通じて、結婚したことを発表した。16日にオンラインイベント「祝!村田秀亮!緊急結婚記者会見」を行う。同イベントでは、とろサーモンと親交の深い人気芸人達が記者となり、様々な質問を切り込む。視聴者からのコメントによる質問にも答えるという。出演は、とろサーモン、中川家・剛、次長課長・河本、ダイアン・ユースケ、中山功太、ゆったり感・江凸崎、尼神インター・渚、オッパショ石・広田ほか。村田は「この度、わたくしみたいな者が結婚させていただく事となりました。その報告も兼ねまして記者会見をさせていただく事となりました。一生に一度の結婚記者会見、もしお時間がありましたら、皆様に見届けて頂きたいと思っております。宜しくお願いいたします」とメッセージ。相方の久保田かずのぶは「結婚はまるで牢獄である。独身は生涯自由という誰もいない牢獄である。ほぼ同じだな何も変わらない。でもみんな嬉しいだろ。ハッピーバレンタイン!」と毒舌を交えて祝福した。
2022年02月14日女優の神田沙也加さんが18日に急死したことを受け、元夫で俳優の村田充が19日、自身のツイッターで追悼した。村田は「ご逝去の報に接し、共に過ごした時間に感謝し、心から哀悼の意を捧げます。彼女の歌声は、まるで天使のようでした」とつづった。神田さんと村田は2017年に結婚し、2019年12月に離婚を発表。神田さんは「結婚以来、子供のことについてずっと話し合ってまいりましたが、折り合う答えを見つけることが出来ませんでした。何度も歩み寄りを試みましたが、わたしは生きてきた環境の中で持った考えを変えられず、彼を幸せにすることが出来ないと思いました。その結果、別々の人生を歩むという結論に至りました」と理由を説明していた。神田さんは18日21時40分に急死。19日、所属事務所の公式サイトで「これまで神田沙也加を支えてくださった皆様にご報告させていただきます。2021年12月18日午後9時40分、神田沙也加(享年35歳)が急逝いたしました」と発表された。「詳しい状況は現在調査中」としている。悩んでいる方の相談窓口があります。下記の公式サイトをご覧ください。・電話:よりそいホットライン・SNS:生きづらびっと・いのちと暮らしの相談ナビ(相談窓口検索サイト)
2021年12月19日12月29日にさいたまスーパーアリーナで行われる、ボクシング・WBA世界ミドル級スーパー王者の村田諒太とIBF世界ミドル級王者のゲンナジー・ゴロフキンとの「世界ミドル級王座統一戦」が、Amazon Prime Videoにて独占ライブ配信される。Amazon Prime Videoでは同試合を皮切りに、『Prime Video presents Live Boxing』と題して、世界トップレベルのボクシングイベントを継続的に開催し、配信を行う。第1回のメインプログラムは、「世界ミドル級王座統一戦」。アテネ五輪で銀メダル、2010年には世界タイトルを獲得し、19回連続防衛という記録を打ち立てたレジェンド・“GGG”ことゴロフキンと、ロンドン五輪ミドル級で金メダル、プロ転向わずか4年で世界王座に上り詰め、日本人初の金メダリストで世界王者という快挙を成し遂げた村田が激突する。メインプログラムのほかにも豪華なカードが用意されており、後日順次発表される。
2021年11月12日中田翔選手、村田諒太選手《中田翔選手。打席に立つだけで雰囲気の出る類稀な選手。世の中では罰を与えろとか言う輩もいるみたいだが、罰ばっかり与えて面白い人間を消すのはやめようよ》8月25日、自身のインスタグラムを更新したWBA世界ミドル級スーパーチャンピオンの村田諒太選手。日本ハムファイターズのチームメイトに暴力行為を働いたとして無期限の出場停止処分を受けるも、8月20日に読売ジャイアンツに電撃トレードされた中田翔選手を“擁護”するような内容だった。これに賛同する声もある一方で、《暴力は決して許されるものではない》《論点をすり替えて暴力を肯定する発言にはがっかり》《どんな優秀な人でも悪いことをしたら裁かれるのは当然》などと、多くを占めたのは否定的な意見。コメントに添えた写真も、同日の東京ドームの試合でバックネット裏から撮った中田選手だったことも手伝ってか、間も無く炎上することに。スポーツ紙野球担当記者は「日頃から、かわいがる後輩とじゃれ合ったり小突いたりすることは日常茶飯事」としながらも、「今回は口答えされて逆ギレした上に、相手が脳震盪(しんとう)を起こすほどの明らかに行き過ぎた暴力行為があったと。ボクシング選手で、尚且つ世界チャンプの村田選手ならば、どれだけ危険な行為であったかは容易に推測できると思うのですが……。SNSをはじめとしたネット上での誹謗中傷が問題視される昨今、行為に対して必要以上に叩かれるケースも見受けられますが、中田選手の場合は、もしも被害届が出されたら逮捕もあり得た一件。ちょっと口を挟んだだけならば軽率な意見だったのかも」■発言力ある“インフルエンサー”の顔現役ボクサーであると同時に、インスタはフォロワー数7.5万人と“インフルエンサー”としての顔を持ち、発言には大きな影響力がある村田選手。今年7月にもテレビ番組から出演オファーがあったことをフェイスブックで明かし、断った上で《全選手が死に物狂いで獲得した金メダルに順位をつけるのか…》と苦言を呈していた。「彼が“ダメ出し”した番組とは、7月20日放送の『1万2000人が選ぶ! 私が感動した金メダルはこれだ!』(テレビ朝日系)だったのですが、元は『オリンピック金メダリスト総選挙』というタイトルで、メダリストに順位をつけるランキング方式をとっていたよう。ところが、村田選手に追随して世論が動くとタイトルや内容も変更。インフルエンサーの影響力を大いに示したのです」(ニュースメディア編集者)その発信力を知ってか知らずか、中田選手の件で声を上げたものの逆に世論は「NO」を突きつけた、ということか。「今回は“私情”も絡んでしまったのでは?」とはスポーツジャーナリスト。どういうことか。「村田選手は大の野球好きで、今年10歳になる長男もプレーしているそう。親子で野球教室に通ったこともあり、たびたび球場にも訪れています。それこそ始球式も経験していますね」確かに、東京五輪の野球で金メダルを獲得した際には、テレビ画面の画像を添えて《野球最高》とインスタを更新している。そんな野球愛が先行してしまったのだろうか。「加えて中田翔選手との関係です」と前出のスポーツジャーナリストは続ける。「2人は以前、スポーツ番組で共演したことがあって、2017年12月には元世界チャンピオンの内山高志さんの引退記念パーティーにも招待されています。共にステージ上で鏡開きに参加しては、内山さんに勧められて3人で升酒を酌み交わしていました。それを機に2人は交流を深めていたのでは?」■「暴力反対」を訴えていた村田選手中田選手の暴力行為が発覚した8月11日、その3日後の14日に村田選手はインスタに意味深な投稿をしている。ジム内だろうか、上半身裸の村田選手がトレーナー男性からパンチを受けているような画像をアップして《暴力反対!!笑》と訴えていたのだ。暴力を振るった中田選手に寄り添った主張をした彼だけに、この投稿自体、“ダブルスタンダード”にも思えるが、立ち位置は一貫しているとも。「もちろん、村田選手の投稿は暴力とはかけ離れた仲間内の冗談で、むしろ互いに信頼関係が伺える楽しげな写真です。これは中田選手とチームメイトの間で起きた騒動を暗に伝えたものではないでしょうか。つまりは、冗談から始まった“日常”の延長にすぎない騒動だった、と。それこそ事の成り行きを本人から聞いたとも考えられますよ。とはいえ、いかなる理由があろうと暴力行為が許されないのは当然です。ただ、聞くところによると、被害を受けた選手も予想以上に事態が大きくなり過ぎたこと、そしてかわいがってもらっていた先輩を結果的に追い出してしまったことを気にしていると言います。村田選手の発言はそんな中田選手を助けたい一心だったのでしょうが、そもそもは会見を開いて事情と経緯なりを本人からいっさい説明させずに、出場停止の処罰を受けていた最中の中田選手を放出した日ハム球団の姿勢にも問題があるように思いますが」(前出・スポーツジャーナリスト)
2021年08月27日『コンビニ人間』(2016)で芥川賞を受賞した村田沙耶香と2名の現代美術作家との対話によって、 村田沙耶香の世界観を浮かび上がらせる展覧会『村田沙耶香のユートピア_ 〝正常〟の構造と暴力ダイアローグ デヴィッド・シュリグリー ≡ 金氏徹平』が、8月20日(金)より表参道・GYREにて開催される。村田は、『コンビニ人間』で、完璧なマニュアルによってコンビニエンスストアで働いているときだけ「世界の正常な部品」になったと安心することができる主人公の日常を、『消滅世界』(2015)では、人工授精で子どもを産むことが当たり前になった世界を描き、人が無意識に持つ常識や固定概念を覆してきた。独特のユーモアを込めた作品で知られるデイヴィッド・シュリグリー(イギリス)は、日常の場面を軽妙に描写したドローイングをはじめ、アニメーション、立体、写真などを制作。 多様な手法によって作品制作を行っており、国際的に高い評価を得ている。一方、金氏徹平は、『コンビニ人間』の書籍カバーに作品を提供。フィギュアや雑貨、あるいは日用品など、日常的なイメージを持つオブジェクトをコラージュした立体作品やインスタレーションなどで知られている。同展では、現代社会における未来観=「ユートピア」と「ディストピア」とは何かを問いかけ、さらに村田沙耶香の小説の中で言及されている、正常に潜む社会的暴力性や抑圧を浮かび上がらせていく。金氏徹平≪White Discharge (Built-up Objects) #48≫2019年Copyright Teppei Kaneuji. Courtesy of the artists and Blum & Poe, Los Angeles/New York/TokyoPhoto : 西村雄介David Shrigley≪untitled≫2020年Courtesy the artist and Yumiko Chiba Associates, Tokyo/ Stephen Friedman Gallery,London.Copyright David Shrigley.Photo : Todd-White Art Photograph村田沙耶香≪untitled≫1998年 学生時代の作品『村田沙耶香のユートピア_ 〝正常〟の構造と暴力ダイアローグ デヴィッド・シュリグリー ≡ 金氏徹平』会期:2021年8月20日(金)〜10月17日(日)会場:GYRE GALLERY時間:11:00~20:00公式サイト:
2021年08月05日芥川賞受賞作『コンビニ人間』などで知られる作家・村田沙耶香の世界観をテーマにした展覧会「村田沙耶香のユートピア_〝正常〟の構造と暴力 ダイアローグ デヴィッド・シュリグリー ≡ 金氏徹平」が、2021年8月20日(金)から10月17日(日)まで、東京・表参道のジャイル・ギャラリー(GYRE GALLERY)にて開催される。『コンビニ人間』村田沙耶香の世界観を現代美術で表現「村田沙耶香のユートピア_〝正常〟の構造と暴力 ダイアローグ デヴィッド・シュリグリー ≡ 金氏徹平」は、村田沙耶香の小説を軸に、現代美術作家のデヴィッド・シュリグリー、金氏徹平らの作品を通して、その世界観を紐解いていく展覧会。“正常”であることや“ユートピア”への問い村田沙耶香は、小説『コンビニ人間』において、完璧なマニュアルによってコンビニエンスストアで働いているときだけ「世界の正常な部品」になったと思える主人公の日常を描き、『消滅世界』では人工授精で子どもを産むことが当たり前になった世界を描写。また、『生命式』では“正常性は発狂の一種”という言葉が登場する。これらの作品では共通して、「正常とは何か?」という問いと、「正常」の概念に抑圧される人々の姿、そして“理想的な未来の社会像”ユートピアとはどのような世界なのかという仮定が、物語を通して表現されている。デヴィッド・シュリグリー、金氏徹平の作品を展示本展では、そんな村田沙耶香が紡ぐ独特な世界観とデヴィッド・シュリグリー、金氏徹平の作品とを共鳴させ、村田沙耶香が小説の中で描く「ユートピア/ディストピア」とは何なのか、また、「正常」に潜んでいる社会的暴力性や抑圧を浮き彫りにしていく。デヴィッド・シュリグリーは、日常の場面を軽妙に描写したドローイングをはじめ、アニメーション、立体、写真などを制作するアーティスト。一方、金氏徹平は『コンビニ人間』の書籍カバーにも作品提供したアーティストで、日常的なイメージを持つオブジェクトをコラージュした立体作品やインスタレーションの制作に加え、舞台美術も手がけている。尚、会場には、村田沙耶香自身が学生時代に制作した作品も登場する。【詳細】展覧会「村田沙耶香のユートピア_〝正常〟の構造と暴力 ダイアローグ デヴィッド・シュリグリー ≡ 金氏徹平」会期:2021年8月20日(金)~10月17日(日)会場:ジャイル・ギャラリー住所:東京都渋谷区神宮前5-10-1 ジャイル3FTEL:03-3498-6990入場料:無料
2021年07月23日「カレーときどき村田倫子」へようこそ。食べたいカレー屋さんを訪ね、自身でつらつらとカレーに対する想いを綴る、いわば趣味の延長線ともいえるこの企画。今回は、神泉のカレー屋さん〈カリカリスパイス〉を訪れました。何かに名前をつけるのが好きだ。〈idem〉で服を仕立てるときも、名前与えた瞬間、ぐっと色っぽく輝く現象は、なんというか出産に近い神聖な儀式である。本日訪れたのは、味噌汁のようにじんわり心に沁みるネーミングを持つカレーに出会える〈カリカリスパイス〉へ。ピンクのボブスタイルが愛らしい、店主の南原さん。彼女一人で、〈カリカリスパイス〉を切り盛りしている。以前は大阪で食品メーカーに勤務していた南原さん。誰かにご飯を振る舞うことが大好きな彼女は、OLの名札を引き換えに飲食店への夢を胸に抱き、この世界に飛び込んだ。「東京は、なんだか活気があってわくわくする…!」そんな直感と希望を胸に上京した彼女の足並みは勇ましい。上京後、憧れだった都内の有名イタリアンでバイトを始めた南原さん。都内トップクラスの技術を肌で感じるためにキッチン…ではなく、志望したのはサービス業。彼女はまずは基本の作法から学んだ。チャンスはふとしたところから、やってくる。ある日、上司から思いがけない提案が。「代官山で振る舞う間借りカレーに興味があるか?」…と。実はお店で営業後に自身のカレーをシェフ達に振る舞っていた南原さん。その味に納得した上司からの提案。二つ返事で代官山のイタリアンにて間借りカレーをはじめた。色々なご縁と偶然が重なり、何かに導かれるように彼女の前に現れる分岐点。そしてついに2019年12月、ここ神泉にて拠点を移し、自身の城を構えて独り立ちを果たした南原さん。彼女が目指すのは、日常に寄り添う一皿。本日のWeekly curryは「ほのかな酸味を味わうカレー」。もうすぐそこに、夏ですね。「ほのかな酸味を味わうカレー(2種あいがけ)」「オレンジジュース」のランチセット 1,300円彩り豊かな副菜は、水菜、赤キャベツと大根&ペパーミントのマリネ、りんごのライタ。管理栄養士の資格も持つ南原さん、カラフルなバランスの良い食材たちは視覚もカラダも癒してほぐす。まずは「レモンとレモングラスのチキンカレー」。きゅきゅきゅん。カラダが喜びの奇声を上げている。あ、美味しいの後に駆け抜けるレモンの香りと酸味。乾いたカラダにごぐごぐポカリが無抵抗に雪崩れ込んでくるあの感じ。ホロホロのチキンに、満足感のあるグレイビー。しっかり魅せてから、香りと酸味で遊びを。のびのびと心地よいセンスが詰まってる。お隣は「ハーブポークカレー」。ハーブの香りと、奥深い旨味。薬草とスパイスが入り混じって引き合って、ポークの旨味を引き立てる。親しみ安さの中に、知らない表情。南原さんのカレーは、まるでアート鑑賞のよう。どこを掬いとっても発見と驚きがある。名画は知っていても、実際に足を運んで目の当たりしたときの、あの言語化できない感動と共感。五感で感じる喜びを教えてくれる、そんな感じ。彼女の人生の経験とエッセンスが、ぎゅんと詰まったのが〈カリカリスパイス〉のカレー。OL時代、イタリアンでのバイト時代、間借りの経験…日々無駄なことなんて一つもない。毎日が何かの伏線を回収している。何かに想いを込める。名前をつけることはそうゆうこと。南原さんのカレーには、母が子に宿すおまじないのような、ぽかぽかと温かいものが通う。〈カリカリスパイス〉東京都渋谷区神泉町7-8 リラプレイス渋谷1F11:00〜L.O.14:30、17:30〜L.O.19:30※時短営業中日曜休(月曜日不定休)(photo:Kayo Sekiguchi)
2021年07月02日「カレーときどき村田倫子」へようこそ。食べたいカレー屋さんを訪ね、自身でつらつらとカレーに対する想いを綴る、いわば趣味の延長線ともいえるこの企画。今回は、新宿のカレー屋さん〈CHIKYU MASALA(チキュウ マサラ)〉を訪れました。旅に出ること。日常から一歩抜け出したそれは、出会いの数だけ発見がある。普段では取りこぼしていた大事なものに気づき、みるみるうちに凝り固まっていた自分が解れて、新たなエネルギーに満たされていく。私によって、旅とはそうゆうものである。コロナ下で、少し疎遠になってしまった旅。でもね、そんな枯渇を満たしてくれる素敵なカレーに出会ってしまったのよ。新宿三丁目から歩いてすぐにある、発見のオアシス〈CHIKYU MASALA〉。“旅するカレー”をテーマに紡ぐカレーは、自由で、のびのびとしていて、そして驚きに満ちている。カウンター越しに活気良く出迎えてくれたのは、ブランドディレクターのエディーさん。ビー玉みたいに美しく、少年のように好奇心に満ちた瞳。この人は人生を面白がっている…会った瞬間に感じ、楽しい予感。エディーさんの本業はカメラマン。若い頃から世界を旅して、フィルターを覗く日々。楽しい出会いと、好奇心に抗うことなく、様々なことにトライしてきた。アメリカ、ヨーロッパ、中東…様々な国を訪れ、文化に触れ、サンタモニカでは、8年ほどフレンチのキッチンで鍋を振るったそう。店内のグラフィックデザインも、エディーさんが手がけたもの。本当に何足の草鞋を履いているのか…?掘り出したらキリがないほど多彩な〈CHIKYU MASALA〉の主人。そんな経験を生かし、楽しそうを動力に紡がれたカレーは、もう驚きと感動に満ち溢れていた。「SPECIAL COMBO CURRY」1,300円色彩に富んだ、華やかなプレート。お店の定番となるあいがけカレー「SPECIAL COMBO CURRY」。新作に切り替わったばかりだというお品書きは、「レバノン風キーマとコルカタのスパイシーチキンカレー」。表面の美しさだけではなく、このプレートには隠された仕掛けが…。パインナッツとバラの花弁、パプリカーパウダーでおめかしされたキーマカレー。この下には中近東での親しまれているフムス(ひよこ豆)のペースト、そして絶妙な火加減で焦がし、旨味を凝集させた焼きナスのペーストが潜んでおり、実は3層で構成されている。口に含むと言語化できない立体的な旨味が広がり、新たなおいしさに圧倒される。因数分解できないおいしいの波に、「なんじゃこりゃ〜幸せだ〜」と衝撃に溺れていく。お隣のチキンカレーも一筋縄ではいきませんよ!“コルカタ”地方、“ムンバイ”に次ぐインド第二の人口を誇る大都会の波長をベースに抽出されたカレー。ユダヤ、ペルシャ、中国など様々な要素が溶け込んだコルタカ文化と同様に、このカレーにも多角的なスパイスが使用されている。しっかりと旨味と甘味を感じるグレイビーに、ワイルドな骨つきチキン。フルーツと八角の甘い香りが最後に心地よい余韻を与える。カレーだけでも楽しいけれど、周りを彩るビーツとさつまいものディップ、ギリシャヨーグルト。タイの青パパイヤのサラダ“ソムタム”から着想を得たアチャール、日本の漬物ベースの副菜、ライスの山にちょこんとのったプリザーブドレモン(塩レモンのアチャール)。この子たちが混ざることによって、メインがより引き立てられ、華やかになる。愉快な情報量が満載の「SPECIAL COMBO CURRY」。これだけでも大満足だが、〈CHIKYU MASALA〉では週替わりのカレーも用意されている。訪れたこの日は「ムガールチキンカレー」。「ムガールチキンカレー」1,000円ヒンドゥー、ペルシャ、中央アジアの文化が混じり、美食が花開いたムガル宮廷の厨房。このチキンカレーにもそのハイブリットで甘美なスパイス使いが受け継がれている。アロマティックなガラムマサラとヨーグルトでタンドールマリネしたチキン、クリーミーなナッツソースにうっとりのカレー。どの子も違う表情を纏う〈CHIKYU MASALA〉のカレー達。ここのカレーたちはエディーさんが培った旅での出会いが、彼のフィルターを通して再構築された尊い作品なのである。この感覚は、アートに触れ、心が揺さぶられる、あの感覚に似ている。だからこそ楽しくてたまらない。いま私は東京にいるけれど、ここで感じたものは確かに異国の風だった。好奇心に満ちた知らないそれは、おいしいを通してしっかりと胃袋と心を満たす。久々に旅に出れた私の心身。「chai」(350円)もおすすめ!カレーを注文した方には、食後にミニチャイのサービスも。あぁ、カレーって本当におもしろいなぁ。〈CHIKYU MASALA〉東京都新宿区新宿3-11-12 207(夜は会員制Bar 800)火〜土11:30〜L.O.16:00月、日、祝日休お弁当の宅配も相談可能!詳しくはインスタグラムをご確認ください。(photo:Kayo Sekiguchi)
2021年05月07日「カレーときどき村田倫子」へようこそ。食べたいカレー屋さんを訪ね、自身でつらつらとカレーに対する想いを綴る、いわば趣味の延長線ともいえるこの企画。今回は、中野のカレー屋さん〈カレー独歩ちゃん〉を訪れました。遊び心をもって日々を紡ぎたい。それは私の人生のモットーであり、自分をご機嫌にする一番のスパイスだ。本日訪れたのは、そんな私の心をぎゅっと鷲掴みにした衝撃的な一皿。同じ温度を帯びた愉快なオーナーが紡ぐ、その日限りのとっておきのカレー。ん?ここはカレー屋さん?ピンクに染まった壁、アンティークの家具、天井に咲くドライフラワー。魅惑的な骨董屋さんに迷い込んだようなどきどきが漂う店内。城主である独歩ちゃんの好きのエッセンスが集まった、宝箱のようなお店だ。秩父の山奥で生活を営んでいたという独歩ちゃん。そこで出会った食と生命の恵みに心を打たれ、圧倒されたという。「余すことなく食材を楽しむ。山の生活で出会った食への姿勢に背中を押されました」。そのときの経験が引き金となり、元々興味のあったハーブやスパイスの知識、出会う人のご縁に誘われ、何かに導かれるようにカレーを振る舞うことを決めたという。カレーに対しては更地の状態。だからこそ、遊び心のある試行錯誤を繰り返し、〈カレー独歩ちゃん〉のカレーが仕上がった。「カレーは日替わりです。その日の食材の顔ぶれや状態、そして今日訪れるお客さんの顔を思い浮かべて、楽しみながら作っていくんです。その日のお客さんの表情をみてから、当日に少しアレンジを加えることもあります」。DJがフロアの空気を敏感に読み取って自由自在に音をミックスさせるように、独歩ちゃんのカレーには、いつだって余白と好奇心がある。「今日は倫子さんを思い浮かべてカレーを考えました」。わ…そんなうれしい。なんだか恋文を渡されたようにどきどきしちゃう。それは、どんな内容なんだろう?「カレー3種合がけ」1,500円花々が咲くガーデンのようなカレー。カレーの配置、副菜のバランス。お皿というキャンバスに彩られたカレーの景色。あまりの美しさに思わずため息が溢れる。メインとなる3種のカレー。そこにいきいきと混在する副菜のブーケたち。“むかご、押麦、ヤーコン、紫芋、ふきのとう、辛いココナッツ、赤玉玉葱、芽キャベツ、菊芋、青長大根、親指ほうれん草、しめじのなめ茸、カスメリティー”。文字で並べただけでも相当愉快な顔ぶれ。野草が主役の「なずな出汁の野草カレー」。“ギシギシ、ユキノシタ、カラスノエンドウ、スイバ、オヤブジラミ、タネツケバナ”。山梨の〈つちころび〉さんから仕入れた新鮮な野草等。一口含んであっと声が出る。勝手にほっこりな味を想像していたけれど、野草が隠し持った個々の旨味の牙が、せーので味覚を刺激する。咀嚼するうちに、大きなコア層のおいしいに着地して、まあるい余韻を舌先に残すから不思議。なにこれ、すごいおいしい。サブかと思っていたら、胸を張ってメインじゃない?たけのこ芋、ココナッツカレー。「里芋からほっくり感を少し引いて、より食感を楽しめる芋です」。その言葉が本当にぴったりの知ってるようで新しいお芋。そしてその良さを引き出す、とろける優しさのココナッツカレー。不意に鼻を心地よく抜けるスパイスと辛味に、はっとする。ただの優しいやつじゃない。楽しいの種が、細やかに仕込まれている。うーん、ずるいです。「今日はお肉のカレーが入っていますが、ない日の方が多いかも知れません」。ミートなしで、こんなにしっかりとしたコアを持つカレーが手札にいるならば、その提供方針には納得だ。でもね、ポークの打撃に私は驚いた。天然の青色“バタフライピー”で染められた押し麦に囲まれた、花開く大地に隠れる「マイクロリーフのポークキーマ」。ギュン。本当にこの形容がぴったりなほど味覚に塊となって押し寄せる旨味の波。山全体の鼓動がドクンどくんを脈打つ感じ。ハーブやスパイスが、豚肉に魔法をかけた。スパイス誘う山の恵みに、開いてく私の感覚。あぁ、生きてる。食べるって心底楽しい。そんな3種の個性豊かなカレーを、愉快な副菜たちに混ぜて、味わう。あ、また違う表情になった。お皿の上で絵の具を混ぜて自分だけの色を作る、そんな余興ににんまりしちゃう。自然の恵みを、全身で受け止める感覚。大地の味に加味されたスパイスの風とユーモラスなアイディアの魔法。それらによって、ぐんと奥行きが増して、知らない味覚の扉が開かれる。誰かの言い回しではなく、独歩ちゃんオリジナルの言葉で語られる。そして、それがビリビリと伝わってくる。気持ちいい、楽しい、おいしい。“食べる”を通して、作り手と紡ぐ会話。メッセージをじっくりと咀嚼する自分だけの時間。「食べている人の喜んでいる顔が見たい。僕が料理をする理由はそれだけです」。キラキラした瞳で楽しそうに話す独歩ちゃん。〈カレー独歩ちゃん〉=独りでカレーを知らない人間が歩いていく、とある料理人の愉快な道草。“食べてくれる人”が、その未知な道のりの頂であり、次の一皿の大事なエネルギーなのだ。うん、すっかりばっちり骨抜きです。この出会いは私にとっても心に残る日。こんな素敵な食体験をご馳走さまでした。〈カレー独歩ちゃん〉東京都中野区中野3-48-1411:00~L.O.14:30不定休※営業日は、インスタグラムやTwitterで随時お知らせします。(photo:Kayo Sekiguchi)
2021年03月05日立憲民主党の蓮舫議員(53)の長男であり、アイドルグループ「VOYZ BOY」で活動中の村田琳(23)。2月3日に配信したYouTubeでの発言が注目を集めている。緊急事態宣言下のなか、“すごく気になったこと”として「こんな状況下にもかかわらず、政治家の方々はなんで揚げ足取り大会をやっているのかなということです」と疑問を呈した村田。続けて「今本当に考えなければいけないことは、少しでも多くの国民が困っていることに耳を傾け、それを改善していくべきだ」と、私見を述べた。また1月27日の参院予算委員会を見て、「与党も野党もコロナの改善の話ではなく、今年行われる選挙で頭がいっぱいなんだな」と感じたという。穏やかな口調ではあったが、「国難という状況において、国民のことより自分のことや党のことを優先で考えている人がいるのであれば、国会議員を、政治家をやめるべきだと思います」と痛烈に批判した。「同日の参院予算委員会では、蓮舫氏が菅義偉首相(72)に新型コロナ対策をめぐる発信力について詰問する一幕がありました。菅首相が陳謝するも、蓮舫氏は『そんな答弁だから伝わらないんですよ』などと糾弾。さすがに菅首相も『少々失礼じゃないでしょうか』と反論しました。蓮舫氏の一連の発言は“行き過ぎた批判”として、テレビやメディアなどでも大々的に取り上げられました。結局、蓮舫氏は翌日にTwitterで陳謝。村田さんの批判は、『まさに正論』や『蓮舫さんのことでは?』といった声が上がっています」(スポーツ紙記者)そんな村田が個人のYouTubeチャンネルを開設したのは、参院予算委員会のあった同日だった。国会中継で蓮舫氏の質疑と思われる音声をバックに流し、「僕は今まで、母の知名度で様々なメディアの方に取り上げていただきました」と切り出したのだ。続けて、「そこでの発言・インタビューは母の知名度を傷つけないことだけを考え、自分の意思もなく母のフィルターを通してメディアに出演してきました」とカミングアウト。いっぽうで、“自分自身にスポットライトが当たるように”とアイドル活動を続けているという村田。だがその思惑とは反対に、いざ取材となれば母親の話題になることに触れ「世の中の認識は変わらなかった」と胸中を明かしている。そして「もう今日で母親のことを気にして生きるのは止めたいと思います」「これからは政治にも向き合おうと思います。仮に母と意見が食い違ったとしても自分の意見は曲げないつもりです」などと“親離れ宣言”をしていた。“母と自分は別物である”と意思を露わにした村田。そんな彼を応援する声が広がっている。《重圧に耐え続けてきたんですね。これからはその重圧と闘う覚悟。立派です》《政治家やってるならまだしも違う職種で頑張ってるんだから親と子は切り離して全く別として評価されるべきだと思う》《今までのご苦労、沢山のお気遣い、重い気苦労がどれだけあったかお察しします。あなたはあなた、自由に生きてください!》
2021年02月04日“南インド料理”はスパイス好きがその魅力にはまっていると話題。そこで今回は南インド料理が味わえる都内のインド料理店をご紹介します。食べればその魅力にハマること間違いなしです。1.行列を絶やさない不動の人気店!南インドの美食を新発見〈Dhaba India〉/京橋カレーを作る時に使う7種のスパイスは全てインドから取り寄せたもの。調理に入る前にこの銀の器に移される。油で熱さずとも刺激的な香りを放っていた。言わずと知れた大銀座のカレーの名店といえばこちら、南インド料理の〈ダバ・インディア〉だ。今のようにあらゆるところでミールスが食べられるようになるずっと前の2003年にこの地にオープン。以来、全国にインド料理店が急増してからも行列を絶やさない不動の人気店として知られてきた。その秘密はどこにあるのか。「ブルーシティ」と呼ばれるマハラジャの街ジョドプールをイメージした青の壁が印象的な店内へ入ると、奥にある厨房で働くキビキビとしたインド人スタッフたちの姿が目に入る。彼らをまとめるシェフは、プラタバン・チェラムさんだ。まずはバナナの葉の上で混ぜて食べるミールスから高温の鉄板で焼き上げるドーサは、本場の味「料理に使っているスパイスはインドから仕入れたものです。一応、手順を記したレシピは共有していますが、スパイスの分量は感覚的なもの。それでも味がブレないのは、私たちの経験からくるものでしょうか。うまく説明ができません(笑)」バナナの葉の上に、全6種類のカレーが並び、目にも鮮やかだ。「混ぜて食べて、味の調和を楽しんでください。本当は手で食べた方がおいしいですよ!」とチェラムさん。〈Dhaba India〉「食堂」を意味する店名の通り、街の食堂としての機能を大切にしているため、ランチタイムは予約不可。夜はドーサを含むセットも。東京都中央区八重洲2-7-903-3272-716011:15〜15:00(14:30LO)、17:30〜22:30(21:30LO)、土日祝11:30〜15:00(14:30LO)、17:00〜22:00(21:00LO)無休60席/禁煙(Hanako1188号掲載/photo:Kazumasa Harada text:Maki Kakimoto)2.インドの五ツ星ホテルのシェフによる料理で南インドへひとっ飛び!〈DAKSHIN〉/八重洲ここはインド?と錯覚するほどランチタイムには近隣のオフィスで働くインド系ビジネスマンでにぎわう。使用されているのはすべてハラルミート。アーユルヴェーダに基づいた健康食。インドの五ツ星ホテルのシェフだったアヤナール料理長による薬膳料理はさらりとしてヘルシーだ。日本人スタッフ1名をのぞいてキッチンもホールもインド出身。ベジタリアンやハラルに対応しているため、インド人の顧客が集まる。東京駅周辺にはITや医療関連、自動車産業などインド人が活躍する企業が多い。諸説あるが、接待の場となっていることも南インド料理の名店が八重洲・京橋エリアに集中している理由の一つだそう。カレー2種にサンバル、ラッサムなどの定番のスープがついたバスマティライス・ミールズ 1,500円。薄焼きのドーサは専門の職人が手際よく焼き上げる。今ではカレーやスープを皿の上で混ぜ、好みの味に調える南インドの定食、ミールスも定着した。〈DAKSHIN〉北と比較し、さらりとしたカレーが主流の南インド料理を提供。東京都中央区八重洲2-5-12 プレリービルB103-6225-264011:00~14:30LO、17:30~22:00LO(土日祝~21:00LO)無休65席/禁煙(Hanako特別編集『East Area of Tokyo Station Magazine』掲載/photo : Junko Yokoyama text : Noriko Maniwa)(Hanako特別編集『East Area of Tokyo Station Magazine』掲載/photo : Junko Yokoyama text : Noriko Maniwa)3.魚料理を幅広くそろえる南インド料理店〈Bangera’s Kitchen〉/銀座オーナーのバンゲラ・プラシャント・ノナッヤさん。8月に支店を神保町に開いた。〈バンゲラズキッチン〉は、スパイス歴3年の私のお気に入りのお店です。2018年1月にオープンしてまもなく食事に来て、あっという間に虜に!南インド料理は、毎日食べても飽きないくらい大好きですね。何よりはまったのがミールス。ご飯、味噌汁、惣菜、漬物がセットの和定食に通じるスタイルで、食べていてしっくりくる。同店のフィッシュターリは、豊洲市場で仕入れる魚のカレーやフライ、海老のふりかけまでひと皿にのっています。それぞれで食べてもおいしいけど、ライスと混ぜ合わせて味を作る楽しさは、日本にはない食べ方ですよね。こだわりフィッシュターリ 1,700円(各税込)。メニューはすべてディナーから。マンガロールビリヤニ 鯛 3,229円。バンゲラズオリジナルスパイスカクテル 1,069円。インドラムベースでジンジャーなどを使用。おいしいスパイス料理の噂を耳にすると地方へも出向きますが、銀座のインド料理店はまだビギナー。脳内リサーチだけは進めていて、南インド系のお店が多いので興味津々。魚料理を幅広くそろえる〈バンゲラズキッチン〉のように、ビリヤニに特化した〈カーン・ケバブ・ビリヤニ〉も、注目している一軒です。銀座で一番歴史があるインド料理店の〈ナイルレストラン〉は、実はまだ行ったことがなくて……。まずは、大半のお客さんがオーダーするという、名物の「ムルギーランチ」デビューに、出かけてみようかな。Navigator…村田倫子/モデル、ハナコラボメンバー。モデル界きってのカレーマニア。カレー店を巡るweb企画「カレーときどき村田倫子」をHanako.tokyoで連載中。〈Bangera’s Kitchen〉東京都中央区銀座西2-2 銀座インズ2 2F03-3561-551611:00~22:30LO(ディナーは17:00~)※平日17:00までと土日祝14:40~17:00はセットのみ無休28席/禁煙(Hanako1177号掲載/photo : MEGUMI, Kayo Sekiguchi text : Yumiko Ikeda)【お知らせ】Hanako.tokyoでは基本的に本体価格を掲載しておりますが、2019年10月1日の消費税率改定以前に取材・掲載した記事にある(税込)表記の金額については、旧税率での掲載となっております。ご了承下さい。
2021年01月20日「カレーときどき村田倫子」へようこそ。食べたいカレー屋さんを訪ね、自身でつらつらとカレーに対する想いを綴る、いわば趣味の延長線ともいえるこの企画。今回は、要町のカレー屋さん〈curry Punje(カリープンジェ)〉を訪れました。みなさま、あけましておめでとうございます。新たな年の幕開け、いかがお過ごしでしょうか?2021年のはじまりを祝して、ハレノヒに私からのプレゼント。あなたの味覚にはじめての驚きと感動を…。開ける前から、いやいや開けてなおびっくり、そんなカレーを今回はお届けします(ハードル上げまくり)。池袋から少し歩いて、閑静な住宅街へ。ふと目に留まる黄色い壁に、青い扉が浮かび上がる一軒家。そう、ここが今回のお目当て〈curry Punje〉。ここは、食べたことのない魅惑のカレーに出会えると噂の新進気鋭なカレー店。さて、どんな顔ぶれが揃っているのかしら?「キーマ&スープ」、「ヨーグルトマトンとザクロ」、「香草とゴマ」、「ナッツのダールとヨーグルトミント」、「ビリヤニ風ポロウ」…。名前から興味深々なラインナップ。この定番カレーたちが月替わりに、または季節の移ろいに合わせて提供される。料理が好きで、よく友人を集めてはカレーを振舞っていたというオーナの中野さん。信頼するハラペコ同士達から背中を押され、その延長線上に今のお店がある。スパイスカレーに虜になった最初のきっかけは、食品メーカーに勤めていたお姉さんから送られてきたとあるスパイスキット。この出会いが中野さんの扉をあけた。家族の輪から紡がれる縁と新たな道、とても素敵なお話ね。「ここでしか食べられないカレーを届けたい」。そんな信念を抱きながら紡がれるカレーは、驚きとユーモアと感動に溢れている。「香草とゴマ」1,200円。本日のお品書きは「香草とゴマ」。色々とりどりの副菜が装飾され、香草色に染まった一皿。まるで深緑の帽子を被ったような彼は、なんだか不思議な空気を纏う。ほうれん草、春菊、パクチー、セロリの葉、カスリメティ…様々な香草達をくつくつ煮込んだ"ゴルメサブジ"というイランの料理。そこにゴマのペーストを合わせたプンジェ流のペルシャの風。香り高い風味と味わいをぎゅっとしっかり詰め込まれた香草グレイビー。そこにずしんと、確かなボディーブローで旨みをプッシュする胡麻のコク。ただそこにいるだけで存在感の強い胡麻。そんな彼が前に出過ぎず、香草のためのさりげない引き立て役に立ち回っているところが特に好き。そうゆう人が1番モテるのよね。プンジェのカレーが面白いのはここから。さて、この副菜達がこれからはじまる召喚魔術の秘密。豆やスパイスを炒って粉にしたインドのふりかけチャマンディポディ笹掻きのごぼうと厚削りの鰹節青唐辛子のアチャールさつまいものココナッツチャトニまぜて加えて、旨味の層を重ねて、食べて。この一皿でまた再び調理が行われている…そんな感じ。そして忘れちゃいけない、スープさん。ヨーグルトとイエロームングダルを煮込んだライタに近いスープ。くるりとひとかけ。酸味と甘味が、味をまあるく整えて、またほら新しい味覚よこんにちは(魔法みたい)。海外旅行が好きで、そこで食べた味の印象や異国の料理の写真を見ながらインスピレーションを沸かせるという中野さん。特に中東料理は、見栄えから美しく面白く、好奇心を掻き立てるという。このカレーのスパイスとなる、ペルシャ料理の要素もここから沸いて捉えて形となった。料理人であり、アーティスト。なんてクリエイティブな切り口だろう。「ビリヤニ風ポロウ」。今回特別に用意していただいた「ビリヤニ風ポロウ」。知らない、こんなビリヤニ、わたし知らないよ…?焦茶色の表皮、周りに取り巻くミステリアスな副菜たち。謎のサーカス団に迷い込んだような、わくわくした高鳴りに、思わず頬が赤く染まる。インパクトの強い焦茶のそれは、おこげ。実はペルシャ料理はおこげに強い執着があり、大事な調理の要素だそう。なんだかわたしって日本人と似てますね(おこげ大好きわたし)。カリカリに香ばしく焦げたおこげ。まあるい楕円はポテト、その下にはナッツ、ドライフルーツ、カレーのグレイビーが計算されて仕込まれている。旨みが巧妙にミルフィーユされた、プンジェの発明ビリヤニ。熱量高めのナイスボディだ。この旨味の層だけでも大満足なのに、周りの副菜たちが混ざることによって美味しいと驚きに拍車がかかる。あぁ、とてもいい。楽しい。クリエイティブで遊び心に飛んでいて、戯けているように魅せながら、パンチはしっかり正面に当ててくる。もうすっかりロックアウト。ずるいよ、こんなの知らないもん。何にも例えようのない。これは発明であり、わたしたちにとってかけがえのない出会いである。食体験を通して、好奇心がむくりと芽生える。カレーってやっぱり素敵な料理。飽きることはない無限な一皿。今年も存分にわたしを骨抜きにしておくれ。だいすきです。〈curry Punje〉東京都豊島区池袋3丁目21-1311:30〜14:30月〜水曜休(photo:Kayo Sekiguchi)
2021年01月01日「カレーときどき村田倫子」へようこそ。食べたいカレー屋さんを訪ね、自身でつらつらとカレーに対する想いを綴る、いわば趣味の延長線ともいえるこの企画。今回は、高円寺のカレー屋さん〈スパイスカレー MANTRA〉を訪れました。私は高円寺が大好きだ。この連載がはじまって、早4年。カレーを求めて一番多く足を運んだ場所かもしれない。カルチャーと自由に溢れる高円寺には、類は友を呼ぶのか、枠に囚われないのびのびとしたカレーが多い気がする。さて、今回の目的はそんなラブな場所で(しかも駅近)悠々自適に店を構える〈スパイスカレー MANTRA〉。元々、料理人だった森野さん。実は前職ではイタリアンをメインに鍋をふるっていた。そんな中、大好きなカレーとの出会いをきっかけに、スパイスの可能性にときめいた森野さん。去年、ここ高円寺にて新たな一歩を踏み出した。他ジャンルの経験と、確かな技術をカレーに落とし込むと、どんなクリエイティブが生まれるのか?色彩、バランス、カトラリー。視覚の時点でダダ漏れのセンスの良さ。料理人の覚悟と情熱を食べる前から感じる。まず驚くのは副菜の数の多さ。「ブロッコリーのアンチョビマリネ」、「シルクスウィートの冷製」、「ビーツのフムス」、「ゴボウのナムル」、「にんじんのオレンジラペ」、「桃みたいなトマト」、「うずらの卵のバルサミコピクルス」、「ピザ生地で揚げパン」。ずらりと並ぶ、洒落たネーミング達。背伸びした店に行くと、聞き慣れないニュアンスの品書きに困惑。そして映え映えな一皿がきて、結局?が?のまま口から胃に通ることが多いけれど(私の経験値の低さよ)、MANTRAのお洒落副菜達は、一度口にすると?が!!!に変わる。目にして、喉を通って、より納得する食材達。例えばこのコンポートされた「桃みたいなトマト」なんて、本当にピーチみたいなトマトなのだ。ビギナーも気負うことなく楽しめる優しさとおいしさよ。「イタリアンの要素はあまり意識していない」と本人はおっしゃっていたが、染み付いた経験値は、ふとしたことろで表現の顔をあらわにする。定番の「チキンカレー」。あぁ、なんだろう、この安心感のあるおいしさは?日本人が好きな、欧風ベースのあの親しみ深さをどこかに匂わせながら、それでいて新しい味覚を、刺激する絶妙さ。小麦粉は使わない、ルゥではないスパイスカレーなのに、どこか懐かしさを纏う。トマトの酸味と甘味、そして7時間もかけて丁寧に煮込まれた玉ねぎは、愛でられた分、深い深い甘みと格別な旨味に変わる。野菜達から滲み出る素材のスペックが、MANTRAのカレーの確固たる柱となり、その大黒柱にスパイスとセンスが肉付きし、自由にのびのび弾ける。ナンではなく、ピザ生地であげたスティック状の揚げパンが添えられているのも、すごく愉快。カレーにディップ、お口にゴー。この流れが最高すぎるので、欲を言えば盛り合わせでいただきたい。ライスにお行儀よくのったキーマ。豚と牛をこだわりの配合で粗挽きにしたがっつりミートはワイルドに私を待ち構えている。トッピングで追加した炙りチーズは、そんな荒々しい旨味をがっしりマイルドに包容して、更なる旨味のステージへ。ここMANTRAのキーマの立役者は、カレーの上に降り積もるスパイス達。提供する直前にテンパリングされた香り高いホールスパイスが、爽やかな香り、ジャリリと楽しい食感を醸す。このひと手間がたまらないアクセントとなる。チキンカレーの向こう岸には、月替わりで顔ぶれが変わるおすすめカレー。本日は今が旬のカキを使用したカレーだ。定番はお肉が主軸なのでここでは旬に合わせたシーフード系のカレーが多いそう。少し前は秋鮭や、ホタテ。さて、カキはどのような使用に?スプーンで一掬い。たったそれだけで、お口の中は海や香りで幸せが溢れる。魚介でとった濃厚な出汁をベースに織りなす自慢のスープ。そこに泳ぐぷりぷりのカキ。山も海も、どちらも楽しめる欲張りなワンプレートね。日本の家庭のカレー、イタリアンの旨味、そしてスパイス。ほっと肩の力が親しみやすさを備えながら、様々な要素のいいとこどり。実に魅惑的でハイブリッドなカレーだ。イントロからテンションが高めのメロディ、そこからサビにもう一段転調してさらにヒートアップ。右肩上がりに楽しませてくれる、MANTRAのカレー。これはまた、高円寺で新しいオアシスを見つけてしまった。巡回が忙しくなるぞ…。〈スパイスカレー MANTRA〉東京都杉並区高円寺南4-49-111:30〜15:00、17:00〜22:00月曜休(photo:Kayo Sekiguchi)
2020年12月04日「カレーときどき村田倫子」へようこそ。食べたいカレー屋さんを訪ね、自身でつらつらとカレーに対する想いを綴る、いわば趣味の延長線ともいえるこの企画。今回は、祐天寺のお店〈Curry&Spice HANAKO 〉を訪れました。祐天寺の駅を降りてすぐ。黄色の暖簾と、漂う香ばしいスパイスの香りが目印の〈Curry&Spice HANAKO 〉。「好きなこと、やりたいことに正直に、真っ直ぐに駆け抜けてきました。経験とご縁の重なりが今の私です」。マスク越しでも伝わる、チャーミングな笑顔が印象的な店長のハナコさん。元々薬膳に興味があり、薬膳を通して出会い、虜になったスパイス。そしてたどり着いた先は、スパイスを軸に構成され表現の媒体となる“スパイスカレー“だった。知れば知るほど、カレーの魅惑と奥深さに惚れ込み、独学でカレーつくりをはじめたハナコさん。それだけでは飽き足らず、自身の表現の幅を求めてカレーの聖地下北沢にて、惚れ込んだカレー店のキッチンに立つ。カレーにどっぷり浸り、想いを育てる時間を丸一年。日々、カレースキルを更新しつつ、そこでの出会いやご縁を紡いでいるうちにたどり着いたのが、ここ〈Curry&Spice HANAKO 〉。好きを動力に、まっすぐに走り抜けてきたハナコさん。そんなカレーは、ご本人の鏡のように華々しく、あたたかなパワーが宿る。「3種盛りカレー」1,400円、「スパイシー半熟ゆで卵」150円、「揚げバナナ」100円絵画のように、一皿に咲き乱れるカレー。どうしようもなく鼻腔をするぐるスパイスの香り。バランスよく注がれたカレー。愛らしいデコレーションのような「小松菜のココナッツ和え」、「ビーツ色に染めたキャベツ」、「ターメリックで漬け込んだ玉ねぎ」。カラフルな副菜たちが色彩を放つ。かわいらしい見かけとは裏腹に、カレー自体の存在感は圧倒的。「一皿で、様々な味を堪能できるあいがけがおすすめですが、〈Curry&Spice HANAKO 〉のカレーは、それぞれのカレーが個々でも主役になれるようにつくっています」。レンズ豆と季節の芋をポタージュ状になるまで煮込んだ、優しく縁取る「お豆とお芋のきいろカレー」。ほっこりと肩の力が落ちるマイルドさの中に、くっきり残る旨みのバランスが絶妙。素材自体の旨みと甘みを軸に、ぼやけない優しさはごはんも進む。鋭角に、スパイスの魅力を切り取る「ハーブ香るマトンキーマ」。マトンが織りなすヤンチャなコクの深み、キリリと立ち昇るスパイスの香り。ブラックペッパーが、さらなる旨みの深みを誘って、ライムリーフの心地よい爽快感がお行儀よし。もうこりゃごはんのお供オブお供。猛々しさと上品さが混在する魅惑のキーマだ。「スパイシー半熟ゆで卵」と絡めれば、さらにワンランク上の魅力へ。本日の日替わりカレーは、エビの出汁をベースに、魚介の恵みがぎゅとぎゅっとつまった「ココナッツのエビカレー」。ココナッツミルクの甘みとコク。ぷっちんとお口で跳ねるエビ。おいしいの層が繊細にミルフィーユされて、口内でそれが自由に弾ける様は、もう幸せでくらくらする。トッピングした、ココナッツパウダーをまぶして揚げた「揚げバナナ」はハナコさん一押し。カレーの塩気、バナナとココナッツの甘味。珍しいコラボも“甘ショッパイ“の黄金比にばちんとはまって、驚くほど互換性がよい。〈Curry&Spice HANAKO 〉のカレーは視覚、味覚、嗅覚をくすぐる、立体的で体験型のアート。見て、香って、食べて、何層にも楽しみを提供してくれる。作り手の想い、人柄、カレーへの敬意と愛。こうゆうものは嘘がつけないし、一度口にすれば真意をもって伝わるんだなぁと。なんだかパワーもらった、そんなカレー。好きなことを表現する、そんな魅力と奥行きに酔いしれた時間。〈Curry&Spice HANAKO 〉(photo:Kayo Sekiguchi)
2020年11月06日肌寒い季節がやってきました。そんな時にはスパイスの効いたカレーを食べに行きませんか?今回はモデル界きってのカレー好き・村田倫子さんの連載「カレーときどき村田倫子」より、下北沢エリアで行きたいカレー屋をピックアップ。1.〈Curry Spice Gelateria KALPASI〉/下北沢「カレー3種」1,380円「ジェラートW(「焦がしマスタードシードココナッツ」×「スパイスルイボスティー」)」530円〈Curry Spice Gelateria KALPASI〉。2号店となるここでは、なんとも素敵なおもてなしオプションが加わった。〈カルパシ〉本店のコース料理の最後に君臨し、フィナーレに衝撃を走らせる“スパイスジェラート“を四六時中楽しめるのだ。予約なし、ジェラート堪能し放題、下北にオアシスができたぞ…。カレーは3種。この日は「クートゥー」、「タマリンドチキン」、「ポークキーマ」。「クートゥー」をベースに2〜3種の盛り合わせができる。〈カルパシ〉本店はコース仕立てだが、2号店ではワンプレートで気軽にカレーを楽しめ、ジェラートのみでの利用も可能。若年層が多い下北沢ならではの、柔軟度の高い形態である。〈Curry Spice Gelateria KALPASI〉東京都世田谷区北沢2-12-2 サウスウェーブ下北沢1F11:30〜19:00L.O.(カレーのイートイン&テイクアウト)11:30〜19:00L.O.(ジェラートのイートイン)木曜休(photo:Kayo Sekiguchi)2.〈mjrkari〉/下北沢「マジョラムカレー。」この時点で、魅惑的な要素がたっぷり。んんん、魔女?!カレー…?名前だけで、まだ見ぬ一皿への妄想が掻き立てられる。訪れたのは下北沢にある〈Bar cajica〉。色とりどりのプレート。愛らしいトッピング。頭の先からつま先まで、具体化された感性が抜かりなく光っている。昔から料理が好きで、料理人の母の姿をみながら育ってきたマジョラムさん。カレーを振る舞う以前は、おばんざいを中心としたメニューを出していたそう。一つのジャンルに囚われない柔軟な視野と、スパイスを掛け合わせて生み出されたのがマジョラムカレー。「つくる」というより「表現する」という言葉が彼女にはぴったりだ。〈mjrkari〉東京都世田谷区代沢2-29-1 MART下北沢Ⅱ 2階03-6805-5590毎週月曜17:00〜24:003.〈ADDA〉/世田谷代田「ADDAプレート」1,200円スパイスカレーの発祥地「大阪」でカレーマニアを唸らせた人気店のカレーが、東京カルチャーの真ん中「下北沢エリア」で食べられるようになったってよ。(万歳)!!〈ADDA〉。ベンガル語で“集う場所“という意味をもつ、願いと祈りが込められた素敵な名前。もうすでに多くの人が、〈ADDA〉の引力に誘われカレーを食べに集っている。〈ADDA〉は大阪の人気店〈デッカオ〉と〈ボタ〉がコラボレーションした革新的な店舗だ。大阪を訪れた際に“食べたいリスト上位“のカレーを一箇所で…!?ましては大阪に足を運ばずとも都内で楽しめるなんて、考案した人は天才だと思う。褐色に並み立つチキンカレー、淡黄色のターメリックライスの上で花開く赤玉ねぎのアチャール、ダル、ナスのモージュ、水菜の和え物、ポルサンボル、本日のカレーであるマトンキーマ。色彩のパレットの様な美しいカレーだ。〈ADDA〉東京都世田谷区代田2-36-14 BONUS TRACK内11:30~L.O.16:00(売り切れ次第終了)月曜休※営業時間・定休日などは、ツイッター、インスタグラムで随時お知らせします。(photo:Kayo Sekiguchi)
2020年10月29日「カレーときどき村田倫子」へようこそ。食べたいカレー屋さんを訪ね、自身でつらつらとカレーに対する想いを綴る、いわば趣味の延長線ともいえるこの企画。今回は、福富町のカレー屋さん〈丸祇羅(まるまさら)〉を訪れました。季節の変わり目が、なんだか覚束ないのは私だけかしら。特に今年は、夏の暑さが長く尾を引いたり、急に冷え込んだり、コロコロと忙しない気候に十分振り回されている。あぁ、みるみる減っていく私のHP。こんなときは、スパイスが秘める回復呪文を浴びに行こう。いつもとは反対側の電車に乗り、降り立つのは関内。実はカレー屋さんが多い、横浜の激戦区である。駅から歩いて少し、心地よい緑道から少し外れた小道に、本日の癒しのカレースポットがひっそりと息を潜めている。〈丸祇羅〉。今年の春から始まった、新しい憩いの場。古民家のような木の温もりを感じる店内。広い窓から柔やかに漏れる光、透ける植物の緑。リリリリ…と優しく耳に触る鈴虫の鳴き声。まるで職人の工房に訪れたかのような空間だ。「本日の丸祇羅」1,200円、トッピング「スパイス味玉」100円。ここでは、日替わりでカレーのワンプレートが楽しめる。本日のお品書きは、「ゴーヤ、ポルサンボル、モロヘイヤとカシューナッツチャトニ、松葉のチキンカリー、カモミールティーのキーマ、パリップ、タイムと紫キャベツ、人参グリンピース、春菊、トッピングにスパイス味玉」。鮮やかで愉快なプレート。視覚から胸がときめく。スリランカのスパイス「ツナパパ」が香り立つチキンカリー。松葉のパウダーが素材の旨味を引き立てる敏腕な裏方。優しく包容力のある味わいと、後から駆け抜けるスパイスの爽快感のまにまに揺れて心地よい。バスマティライスの向かい、左上に盛られたキーマはキリリと鋭角な辛味が気持ちいい。肉の旨味をしっかり感じるマスキュリンな立ち振る舞いだ。「黒酢のポークカリー」300円。トッピングとして追加オーダできる、「黒酢のポークカリー」。トマトの酸味とギュギュっと詰まったポークの旨味が混じって溶ける、この絶妙なバランスがたまらない。各々のスペック確認は完了。さて、ここからがショータイム。ライスの上に花開く色とりどりの副菜、そしてカレーたちを思い思いに混ぜ合わせる。優しい、強い、甘い、辛い…様々な要素が掛け合わされて、炸裂する味覚の化学反応。この瞬間がカレーの真骨頂、わたしだけの一口に酔いしれる瞬間である。スリランカや南インドを彷彿とさせるスパイスの予感を孕むカレーや副菜。でも何か違う余白と遊び心がひょっこり現れて、味覚を楽しくかき乱す。この絶妙な加減はなんだろう?「あ、適当です」。ちょっぴりぶっきらぼうに言い放つオーナーの六反さん。面をくらう私。だって、どう紐解いても適当で表現できる味ではないから。「はじめに着地させたい味のイメージを決めるんです。そこに合う素材やスパイスを選んで、理想像に向けて仕上げていきます。今は掴んできましたが、ここに至るまで7回は挫折しそうになりましたよ」。“適当“というのは、試行錯誤を重ねて編み出した六反さん独自の方程式の答えが“丸祇羅”だから。鍋を振るうたびに更新される彼の感覚と経験が、今日を紡ぐカレー。説明書はなし。彼はアーティストなのだ。いや、職人なのかもしれない。いいなと思った。カレーってやっぱり自由だ。つくる人の“想い“を体現するフード。私たちはこの愛がこもった作品を存分に愛で、味わい、体内に吸収できる。なんて贅沢なのだろう。食べ終わった私は、すっかり元気を取り戻していた。おいしいカレー、スパイスの魔力、そして作り手のクリエイティブスピリット。全てをまるっと受け止めて、じんわりとカラダが火照っている。やっぱりカレーは私のパワーフードだ。そう再確認した、〈丸祇羅〉での昼下がり。〈丸祇羅〉神奈川県横浜市中区福富町仲通4-2 一和ビル3F11:30〜15:00(売り切れ次第終了)日曜休※営業時間・定休日などは、インスタグラムで随時お知らせします。10月9日(金)には、待望の2号店〈King Roti〉がオープン!よりマニアックなカレーやタコスが楽しめます。詳しくはこちら。(photo:Kayo Sekiguchi)
2020年10月02日「カレーときどき村田倫子」へようこそ。食べたいカレー屋さんを訪ね、自身でつらつらとカレーに対する想いを綴る、いわば趣味の延長線ともいえるこの企画。今回は、下北沢のカレー屋さん〈Curry Spice Gelateria KALPASI〉を訪れました。〈Kalpasi(カルパシ)〉。経堂にある、カレー好きから熱烈なラブコールが集まる人気店。変幻自在のコースメニュー、訪れるたびにスパイスの魅力にはっとする魅惑の場。完全予約制、しかしその予約が中々取れない…。行動能力が鈍く、気分屋の私は「食べたい!」と思った日には時すでにおそし…と振られることも多々(自業自得)。しかし、そんな怠惰な私に朗報が入った。「予約を取らずとも食べられる〈カルパシ〉2号店ができたよ」。炎天下の8月上旬、半ばスキップの浮かれた足取りで下北沢を歩く。そう、このカレー激戦区の下北沢に恋焦がれる〈カルパシ〉のDNAが宿ったのだ。〈Curry Spice Gelateria KALPASI〉。2号店となるここでは、なんとも素敵なおもてなしオプションが加わった。〈カルパシ〉本店のコース料理の最後に君臨し、フィナーレに衝撃を走らせる“スパイスジェラート“を四六時中楽しめるのだ。予約なし、ジェラート堪能し放題、下北にオアシスができたぞ…。紫ベースの店内、スパイスのシャンデリア、鼻を抜けるおいしい香り。高揚感で全身をビリビリさせながら、食券にて本日のお目当てをいただく権利を購入。カレーは3種。この日は「クートゥー」、「タマリンドチキン」、「ポークキーマ」。「クートゥー」をベースに2〜3種の盛り合わせができる。〈カルパシ〉本店はコース仕立てだが、2号店ではワンプレートで気軽にカレーを楽しめ、ジェラートのみでの利用も可能。若年層が多い下北沢ならではの、柔軟度の高い形態である。「カレー3種」1,380円黒米で、テーマカラーの紫色に染まったバスマティライス。頂にちょこんとのったレモンのピクルス。波たち香るカレーに、「赤玉ねぎのアチャール」、「チャナマサラ」、「ゴーヤのアチャール」、「ポリヤル」…麓に咲く副菜たち。〈カルパシ〉が醸すスパイスの香り。香りはずるい、思い出の発火材だ。幾分か前に本店で味わった〈カルパシ〉の味、想いが脳内にどどどと流れ込み、いま目の前に確かにある〈カルパシ〉の期待感に既に酔う。まずは、ベースとなる南インド料理の「クートゥー」。「合わせる」という意味を持つこの1皿。本日は、「豆、大根、ほうれん草」。野菜から染みたやさしい甘味、一息ついた隙間に、優しく寄り添うスパイスの香り。慣れ親しんだお味噌汁を飲んだあの無防備な安堵感にほっと肩の力が抜ける。シャバっとしたタマリンドチキンは、トマトとタマリンドの酸味がなんとも絶妙…。ごくごくいけちゃう!で有名な〈ポカリスエット〉が甘味と塩分の黄金比ならば、このカレーは酸味の女王。夏バテ気味のカラダが嬉々としてこの来客を喜んでいる。大皿で豪快に喉に流し込みたい欲求を抑えるのがやっとだ…。(もっと食べたい)鋭角な切れ味を持つ「ポークキーマ」。ぎゅぎゅっと旨味が詰め込まれた挽肉、少し間を置いてぷちんと弾けるスパイスの香り。ピリリとシャープに駆け抜ける爽快感のある辛味…。念密に私を待ち受けるスパイスの仕掛け達。まんまと翻弄され、歓喜する。こんなトラップなら、進んではまって溺れてしまいたい。さて、まだまだここからがショータイム。カレーと副菜達を混ぜ合わせると、魅惑の魔法。個々のカレーのスペックが引き立ち、補い、味覚の化学反応が起きる。これは何度カレーを食べてもはっとする瞬間。毎回違う角度から私を激してくるから、そりゃ一生あなたに飽きないわけだわ。〈カルパシ〉の味の余韻にひたひたの私。しかし、幕を閉じるのはまだ早い。もう1つの主役、「スパイスジェラート」の出番が待っている。フレーバは8種。旬や仕入れによって顔ぶれも変わる。「ジェラートW(「焦がしマスタードシードココナッツ」×「スパイスルイボスティー」)」530円定番人気の「焦がしマスタードシードココナッツ」×「スパイスルイボスティー」。さっぱりとしたココナッツと、ビターに弾けるマスタードシードの掛け合い。いつもと違うココナッツの色気を垣間みた瞬間。優しい甘味のルイボスティーは、その奥底にひっそり潜むシナモン、グローブ、カルダモンの香りにどきりとする。スパイスとジェラートを掛け合わせると、どうもこう色っぽくなるのが何故だろう。「ジェラートW(「カルダモングレープフルーツ」×「ブルーチーズローストクミンシード」)」530円店員さんおすすめ、一捻りある組み合わせは「カルダモングレープフルーツ」×「ブルーチーズローストクミンシード」。濃厚なブルーチーズの旨味。そこに寄り添って食感と香りを相乗させるクミンシード。どちらも攻撃力のあるフレーバーだが、相打ちになるどころか、手を繋いで笑顔で迫ってくる。ナッツ入りのスイーツに”クミンシード”は対等にマウントを取れるのではないか?この新感覚は病みつきの予感。「ジェラートW(「カルダモン」×「グレープフルーツ」)」530円さて、衝撃作はまだまだ。香りの女王「カルダモン」と「グレープフルーツ」のタッグはすごかった。〈カルパシ〉さん仲介の下、この2方は秘密の平和条約を結んだらしい。どうしたらこんな旨味と香りの極地のバランスを保った着地なるのか言語化できないほどおいしい。こんなジェラート初めてよ(すっかり骨抜き)。あぁ、恋い焦がれた恋人に久々にあったようなキラリとした感覚とどっと押し寄せる余韻。会わない間に蓄積された「期待」のハードルをひょいっと超えてくる魅力に、私の目はすっかりハートマーク。何度あっても新しい発見を見せてくれる〈カルパシ〉。ずっと好きでいていいですか?〈Curry Spice Gelateria KALPASI〉東京都世田谷区北沢2-12-2 サウスウェーブ下北沢1F11:30〜19:00L.O.(カレーのイートイン&テイクアウト)11:30〜19:00L.O.(ジェラートのイートイン)木曜休(photo:Kayo Sekiguchi)
2020年09月04日モデル界きってのカレー好きとして知られている村田倫子さんが山手線沿いの都内主要エリアでみつけた隠れ家カレー店をご紹介します。月に1店食べたいカレー屋さんを訪ね、自身でつらつらとカレーに対する想いを綴る、いわば趣味の延長線ともいえる連載『カレーときどき村田倫子』よりお届け。【渋谷】「レトロ可愛い」からのギャップ萌え!渋谷〈カレーショップ初恋〉のスパイスカレーに舌鼓。本日のお目当て〈カレーショップ初恋〉。昭和感漂う看板は、まるでスナックのようだ。本当にここはカレー屋なのか?戸惑いながら階段を降りると、スパイスの香りが漂ってきてほっと安心する。カレーは、「初恋チキンカレー」、「パクチーシュリンプ」、「スパイスラムキーマ」、「薬膳ベジタブル」、「日替わりスペシャル」の5種類。これらは一種からはもちもん、二種、三種のあいがけもオーダできる。ご飯の量(大・中・小)は無料で変更でき、具材トッピングもカスタム可能。食べる側の「欲張りたい」の気持ちを細やかにカバーしてくれている。スパイスに対する情熱と遊び心が表現された一皿、お店に散りばめられたチャーミングな仕掛け。色んな角度から私たちを楽しませてくれる〈カレーショップ初恋〉。ここは渋谷にできた小さなエンターテイメント空間だ。また、元気と好奇心を味わいに、紫の看板を潜ろう。〈カレーショップ初恋〉東京都渋谷区道玄坂1-17-11 ミナミビルB1F03-6416-9503平日11:30〜15:00、18:00〜24:00土日祝休(photo:Kayo Sekiguchi)【中目黒】バイブスが高まるカレー!?ハイセンスな空間で食べるカレー〈VIBES CURRY〉はいかが?中目黒川沿いのお洒落通り、存在感のある看板が目印の〈VIBES CURRY〉。クラブシーンではVJとしてお馴染みのビジュアルデザインチーム「REALROCKDESIGN」が中目黒で営むセンスの溢れる空間だ。昼間は、「バイブスカレー」として間借りスタイルで営業している。「Weekly Curry」独学で編み出したというカレーは、定番三種と週変わりの「Weekly Curry」の全4種構成。盛り付けは、「一種がけ」、「二種がけ」、欲張りさんは「三種がけ」も選択できる。もちろん、三種でお願いします!魚のあらと野菜を炊いたフィッシュベースのスープに、フィッシュフレークの大群が泳ぐ「Mix Fish Curry」。ピリリとスパイシーな辛みに、タマリンドの甘酸っぱい酸味が溶け合い、シャープな切れ味に漂う慈悲深さ。週替わりの「Weekly Curry」。この日は、海のエキスがぎゅっとつまったカキカレー。贅沢にごろっと転がりぷりっと弾ける身、牡蠣の旨味がぎゅっと詰まったルゥ。常連さんからもかなり好評だと言う。これは良いタイミングに来れた…。シーズンそして、店主の気分よって様々な表情を楽しめるのがウィークリーカレーの醍醐味。BKさんの、自由に、真剣に、今日を紡いできた姿勢こそが、バイブスの極地なのだろう。彼のフィーリングにあわせ、進化を続ける一皿は、今後も目が離せない。〈VIBES CURRY〉東京都目黒区青葉台1-16-19 サクラガーデンE103-6455-3729月火木金12:00〜16:00(photo:Kayo Sekiguchi)【池袋】花に囲まれながら味わう池袋〈HANABAR〉の「イエローカレー」。夫婦がこだわる空間と味わいを求めて。生活と趣味を大事にしていた2人。ある日、知り合いから「東京に一間空いたから、何かやってみない?」と声がかかり、はじまったのがこの〈HANABAR〉。「特別に強い目標や欲があって、ここを始めたわけではないんです。好きなことをしていたら、自然とこの場所にいました」。視覚は奥さま、味覚は油井さん。2人の好きと得意が抽出されて具現化した場所。味わえる料理も、2人のこだわりが咲きほこる。ランチ時に味わえる「イエローカレー」950円カレーに咲くパンジー。こんなおめかしをしたカレーは、はじめまして。口に運ぶ前から、胸がきゅーんと愛らしい気持ちになる。味の核となるココナッツクリームとミルクは、メニュー開発のために訪れたタイで、現地の料理人から「ココナッツミルクはこれじゃないと…」とレコメンドされたもの。上品なコクと甘みは、確かなる本場からの便り。この「イエローカレー」の開発も、タイで色々と食べ歩き、スパイスを仕入れ、試行錯誤の結果仕上がったもの。視覚、味覚ともにディテールまで飾りつけられたカレーは、〈HANABAR〉が始まってから今日まで、多くのお客さんに愛されている。取材中、「彼女の好きなことは僕も好きなんです」と自然にこぼした油井さん。そのとき、私のハートは「きゅいん」と音を立てて、猛烈にクラッシュ。こんなに居心地がいいのは、この夫婦間に流れる優しい空気が正体ね。視覚、味覚、そして温度感。ふんだんに癒しの要素がある一間。大変ご馳走さまでした。〈HANABAR〉東京都豊島区西池袋3-30-6 磯野ビル1F03-6874-5459[月〜金]11:30〜15:00(L.O.14:30)、18:00〜24:00(L.O.23:30)[土日祝]11:30〜17:00(L.O.16:30)、18:00〜24:00(L.O.23:30)不定休※店内ではドライフラワーアーティストである奥様の作品も購入可能。詳しくはこちらから。(photo:Kayo Sekiguchi)カレーに対する想いを綴ります!『カレーときどき村田倫子』モデル界きってのカレー好きとして知られている村田倫子が、月に1店食べたいカレー屋さんを訪ね、自身でつらつらとカレーに対する想いを綴る、いわば趣味の延長線ともいえる連載。 今一番食べたいカレーを求めて、そして、今一番会いたい人を訪ねて。さあ、はりきって、スプーンと筆を手に取ります。 (第1金曜更新)連載一覧ページはこちらから。
2020年08月30日「カレーときどき村田倫子」へようこそ。食べたいカレー屋さんを訪ね、自身でつらつらとカレーに対する想いを綴る、いわば趣味の延長線ともいえるこの企画。今回は、世田谷代田のカレー屋さん〈ADDA〉を訪れました。あなたは欲張りですか?1日約3回しかチャンスがない、貴重なご飯の時間。美味しいものを一度に食べられたら、どんなに幸せか…。まだ少しおぼつかない世の中。外食の時間はより注意深く選びたい。さて、そんなあなたと私に朗報です。スパイスカレーの発祥地「大阪」でカレーマニアを唸らせた人気店のカレーが、東京カルチャーの真ん中「下北沢エリア」で食べられるようになったってよ。(万歳)!!向かった先は今年の4月1日、新たなスタイルの商店街として生まれた〈BONUS TRACK〉。センス溢れるお店が軒を連ねる中、本日のお目当てが。〈ADDA〉。ベンガル語で“集う場所“という意味をもつ、願いと祈りが込められた素敵な名前。もうすでに多くの人が、〈ADDA〉の引力に誘われカレーを食べに集っている。〈ADDA〉は大阪の人気店〈デッカオ〉と〈ボタ〉がコラボレーションした革新的な店舗だ。大阪を訪れた際に“食べたいリスト上位“のカレーを一箇所で…!?ましては大阪に足を運ばずとも都内で楽しめるなんて、考案した人は天才だと思う。店主の笹原さん。実は彼もスパイスの魅力に誘われ、この場所に集った1人。「僕は実はサラリーマンだったんです。それがタイミングとご縁が重なって…今こうして大好きなカレーのために鍋を振るっています」。昔からバックパッカーで世界を旅したり、カレーも好物だったという笹原さん。スリランカに訪れて本場のスリランカカレーを口にしたとき、彼のカレーに対する価値観はガラリと崩れ、猛烈にアップデートされた。スパイスカレーの魅力と可能性にいよいよ気づいてしまったのだ。パンドラの箱を開けてしまった笹原さん。大阪転勤時代にスリランカカレーが美味しいと定評のある〈デッカオ〉へ通い詰めた。オーナーと夜な夜なカレーへの熱い思いや、自分の将来の展望を語りあっているうちに「じゃあ、ウチで面白いことをやろう」と…カレーの世界へと誘いの声がかかる。そこから笹原さんのスパイス香る2ndライフが幕を開ける。人の人生の舵をも取るカレー。やっぱり魅惑な食べ物です。(そんな私もこの連載を始めてかれこれ4年なので、この魔力は痛いほどわかる)この2店舗の夢のコラボ出店は、〈ボタ〉、〈デッカオ〉のオーナ同士が、お互いの家族で旅行に行くほど親密な関係性だからこそ叶った。両者の得意な要素を抽出し、バランスよく練り合わせて配合し、絶対的な信頼の土台から生まれたのが〈ADDA〉のカレーだ。チキンカレーとダルカレーがベースの「ADDAプレート」。そこにプラスして週替わりの「本日のカレー」から好きな味を選択できる。「ADDAプレート」1,200円褐色に並み立つチキンカレー、淡黄色のターメリックライスの上で花開く赤玉ねぎのアチャール、ダル、ナスのモージュ、水菜の和え物、ポルサンボル、本日のカレーであるマトンキーマ。色彩のパレットの様な美しいカレーだ。〈デッカオ〉のDNAをそっくり受け継いだチキンカレー。柔らかな出汁の香り、ミルクの優しい甘さ、スパイスの豊潤な奥行きが、そこには凝集されていた。〈デッカオ〉オーナーの奥様のお母さんがスリランカ人。ここ日本でも祖国の味を娘や孫に振る舞いたい…と考案したレシピを軸にした愛のあるチキンカレー。ココナッツミルクではなく牛乳をベースに使用するなど、スリランカの要素の中に、どこか懐かしくて愛しい記憶のカケラが散りばめられた癒しの味だ。インドベースのマトンキーマは〈ボタ〉のDNAを受け継いでいる。マトンの旨味が1番引き立ち、いきいきと弾ける絶妙なスパイスを配合。ギュギュギュと凝縮された旨味がお口で沸点に達して弾ける様は、もはや快感。さて、この個々でも完璧なカレー達や副菜は「パレットよろしく」と、気の向くままに混ぜ合わせ、自分色をつくって楽しむのがスリランカカレーの醍醐味である。旨味、香り、食感が層になって重なりほどけて、味覚の無限の可能性が解き放たれる。一口一口、その瞬間が新たな味覚の発掘。あぁ、カレーって何て楽しいのだろう。個人的に本日衝撃を受けたのが「ナスのモージュ」。副菜という立ち位置に置かれているが、もう主役を喰ってしまうかの様な勢いで、美味しいの刃を剥いてくる。大阪の〈デッカオ〉でも常連さんから「ナスのモージュ丼」を作ってくれと懇願されるほどの人気っぷり。いや、今まで「モージュ」はノーマークだった私も、今日ですっかり骨抜きにされてしまったよ。(もう恋しい)混ぜて、運んで、目尻を下げて…。このパレットには同じ一口は存在しない。どこを切り取っても新鮮な発見が埋まっている。〈デッカオ〉と〈ボタ〉の要素が溶け合い、素敵な化学反応を巻き起こした「ADDAプレート」。こんな欲張りプレートを都内で味わえるのはやっぱり贅沢。素敵すぎる一石二鳥にすっかりご機嫌だ。また、すぐ欲張りたい…。〈ADDA〉東京都世田谷区代田2-36-14 BONUS TRACK内11:30~L.O.16:00(売り切れ次第終了)月曜休※営業時間・定休日などは、ツイッター、インスタグラムで随時お知らせします。(photo:Kayo Sekiguchi)
2020年08月07日実は、銀座はカレー激戦区!どこがおすすめ?どんなカレーを楽しめるの?カレーをこよなく愛するモデル・村田倫子さんが銀座のおすすめカレーを教えてくれました。1.カレー好き必食の人気店が銀座に!〈スパイシーカリーハウス 半月〉「チキンカレー」880円トッピング「サバエッグサラダ」150円2020年の春にオープンした2号店。1号店は西新宿で店を構えており、すでにカレー好きの間では話題の人気店だ。ミントグリーンを基調とした店内、光が柔らかく差し込む窓際のテーブル席、スパイスの香りを鼻腔に惜しみなく取り込めるカウンター。ピリッっと背筋が伸びる銀座のど真ん中、不思議と肩の力が抜けるお店。不動のレギュラー「チキンカレー」。ターコイズブルーのお皿に、浮かび上がる黄色の半月。欠けた月を抱き抱える、褐色のチキンカレー。野菜の甘味とスパイスの鋭角な芳香を纏ったグレイビーソース。異国の空気を纏いながら、日本人の舌先に優しく馴染む絶妙なスパイス配合は、妙に懐かしさと親近感を醸す。「サバ」に目がない(大好物)な私が、即決でトッピング追加した「サバエッグサラダ」。サバの旨味、玉ねぎの甘味、卵とフライドオニオンのコク、スパイス…黄金比で固められたサバの新形態。これだけでも、ご飯とお酒がのめそうな完成度。看板娘のチキンカレーと、混ぜ合わせたらそりゃもう…禁断の錬金術ね。〈スパイシーカリーハウス 半月 2号店〉東京都中央区銀座6-4-15 銀座数寄屋橋ビル1F03-3573-300111:00〜16:00不定休(photo:Kayo Sekiguchi)2.洗練された空間で食べる上品なカレー。銀座の真ん中に突如現れた〈Mrs.Dada〉「シュリンプカレー」「チキンカレー」ここでは、定番の「チキン」「シュリンプ」「ラム」の3種類のカレーに加え、週替わりカレーが用意されており、計4種の味を楽しむことができる。ベースから調理方法を変えているので、それぞれのカレーは全くの別物。〈Mrs.Dada〉の生みの親である、オーナーの大川原さん。彼は、とあるお店でインド人がふるまうチキンカレーを食べたとき、はじめて本当の意味でカレーという食べ物に焦点があった。「あぁ、カレーって本当に美味しいな。」自分がうけたこのシンプルな衝撃と事実。我々の国民であるカレー。近くに寄り添っていたはずなのに、知ってるようで知らなかった。久々の地元の同窓会、学生の頃はなんとも思わなかった幼馴染に、ふとドキドキ…、淡い恋心を抱いてしまう瞬間。近すぎて気づけないことってあるよね…これぞ灯台下暗し。〈Mrs.Dada〉のカレーは、洗練された貴婦人のような只住まい。白ベースのルゥに優雅に浮かぶシュリンプ、黄色く色づいたライスに咲き乱れるパパドのブーケ。あぁ、美しい。視覚からの魅力的な情報は、より一層興味を引き立てる。あぁ、美しい。視覚からの魅力的な情報は、より一層興味を引き立てる。そして一口。玉ねぎの甘みがふわりと広がり、ココナッツミルクがさらに優しく抱え込む。一呼吸おいて、すっーと鼻を通るスパイスの香りと辛味。濃密な余韻とスパイスが、ちょうどよく重なり、この絶妙な塩梅がたまらない。どこか遠い国、晴れやかに着飾った貴族達がいただくカレーはこんな味なのかも。オーナーおすすめのチキンは、シャバッとしたルゥにごろごろとチキンが贅沢に転がっている。皿の淵に波立つ褐色色のオイルの層をみると、ごくりと喉が鳴る。ぎゅんとつまった旨味にシャープな辛味。トマトの甘みと酸味が舌先を優しくタッチする。甘みが際立つシュリンプカレーとは全く違うアプローチだ。優雅なカレーにご満悦。お腹もほくほく満たされてきた。〈Mrs.Dada〉東京都中央区銀座1-14-10 松濤ビルB1F03-6875-275311:00〜17:00 日曜休(photo:Kayo Sekiguchi)3.大好きな南インド料理店がひしめき合う魅力〈Bangera’s Kitchen〉こだわりフィッシュターリ 1,700円(各税込)。メニューはすべてディナーから。マンガロールビリヤニ 鯛 3,229円。バンゲラズオリジナルスパイスカクテル 1,069円。インドラムベースでジンジャーなどを使用。〈バンゲラズキッチン〉は、スパイス歴3年の私のお気に入りのお店です。2018年1月にオープンしてまもなく食事に来て、あっという間に虜に!南インド料理は、毎日食べても飽きないくらい大好きですね。何よりはまったのがミールス。ご飯、味噌汁、惣菜、漬物がセットの和定食に通じるスタイルで、食べていてしっくりくる。同店のフィッシュターリは、豊洲市場で仕入れる魚のカレーやフライ、海老のふりかけまでひと皿にのっています。それぞれで食べてもおいしいけど、ライスと混ぜ合わせて味を作る楽しさは、日本にはない食べ方ですよね。おいしいスパイス料理の噂を耳にすると地方へも出向きますが、銀座のインド料理店はまだビギナー。脳内リサーチだけは進めていて、南インド系のお店が多いので興味津々。魚料理を幅広くそろえる〈バンゲラズキッチン〉のように、ビリヤニに特化した〈カーン・ケバブ・ビリヤニ〉も、注目している一軒です。銀座で一番歴史があるインド料理店の〈ナイルレストラン〉は、実はまだ行ったことがなくて……。まずは、大半のお客さんがオーダーするという、名物の「ムルギーランチ」デビューに、出かけてみようかな。〈Bangera’s Kitchen〉東京都中央区銀座西2-2 銀座インズ2 2F03-3561-551611:00~22:30LO(ディナーは17:00~)※平日17:00までと土日祝14:40~17:00はセットのみ無休28席/禁煙(Hanako1177号掲載/photo : MEGUMI, Kayo Sekiguchi text : Yumiko Ikeda)
2020年07月23日「カレーときどき村田倫子」へようこそ。食べたいカレー屋さんを訪ね、自身でつらつらとカレーに対する想いを綴る、いわば趣味の延長線ともいえるこの企画。今回は、銀座のカレー屋さん〈スパイシーカリーハウス 半月〉を訪れました。もうそろそろ、私のスパイスゲージは枯渇寸前。拙い自作カレーでは、なんだか物足りなかった自粛期間。近頃はコロナへの対策を万全に、続々と店を開けるお店が増えてきた。あぁ、これでやっとスパイスが伸び伸びと踊り舞う、お店のカレーが食べれるわ!喜びと空腹に目を光らせながら、降り立ったのは銀座。駅から歩いて少し、シックなビルの合間に突如現れたミントグリーンの小さなお店。扉からは豊潤なスパイスの香り、入り口から魅惑のスパイスに誘われる。ここは本日のお目当て〈スパイシーカリーハウス 半月〉。実は、ここは今年の春にオープンした2号店。1号店は西新宿で店を構えており、すでにカレー好きの間では話題の人気店だ。新宿とは一味違う空気を孕む銀座の地で第二のスタートを切った半月。腹ペコの私を出迎えてくれたのは、笑顔が素敵なMegumiさん。ヨガ講師も務めるMegumiさんは、銀座店で華麗に鍋をもふるう。ミントグリーンを基調とした店内、光が柔らかく差し込む窓際のテーブル席、スパイスの香りを鼻腔に惜しみなく取り込めるカウンター。ピリッっと背筋が伸びる銀座のど真ん中、不思議と肩の力が抜けるお店。さて、何をいただこう。注文は小ぶりなサイズが愛らしい食券機にて。何故だかちょっぴりノスタルジーな気分になる食券システムは個人的にグッとくる。半月のメニューは至ってシンプル。新宿店でも核を担うレギュラー「チキンカレー」と日替わりの「限定カレー」。常にこの2つのみに絞り、その分この選ばれし精鋭への妥協は許さない。そしてみよ、この良心的すぎるお値段。大都会の真ん中で、この数字を笑顔で提供してくれる場所はなかなか貴重。まさにオアシスね。「チキンカレー」880円まずは、不動のレギュラー「チキンカレー」。ターコイズブルーのお皿に、浮かび上がる黄色の半月。欠けた月を抱き抱える、褐色のチキンカレー。野菜の甘味とスパイスの鋭角な芳香を纏ったグレイビーソース。異国の空気を纏いながら、日本人の舌先に優しく馴染む絶妙なスパイス配合は、妙に懐かしさと親近感を醸す。スプーンのタッチでほろりと崩れるフェミニンな身のこなしの大ぶりなチキンは、私の目尻を下げる。トッピング「サバエッグサラダ」150円「サバ」に目がない(大好物)な私が、即決でトッピング追加した「サバエッグサラダ」。サバの旨味、玉ねぎの甘味、卵とフライドオニオンのコク、スパイス…黄金比で固められたサバの新形態。これだけでも、ご飯とお酒がのめそうな完成度。看板娘のチキンカレーと、混ぜ合わせたらそりゃもう…禁断の錬金術ね。半月の魅力はまだまだ序の口。ここは新宿店で培った確固たるベースを軸に、より一層カレーという自由な表現を様々な角度から楽しむことができるアーティスティックな場所なのだ。銀座「半月」の遊び心を特に味わえるのは「限定カレー」とより魅力を引き立てるセンスが咲き乱れる盛り付け。その日の食材の顔ぶれによって、お皿へのメイクアップも都度考えられている。「二種盛りカレー」980円この連載にて、もっと皆さんに半月の魅力の幅を伝えたい…というわがままに答えていただき、本日は特別に限定二種盛りバージョン。色とりどりの副菜が花開くターメリックライスを境に、「黒ごまキーマ」と「グリーンカレー」が美しく並み立つ。うっとりする濃厚な黒ごまのコク、コリコリした蓮根の食感、後から追いかけてくる爽快なスパイスの香り。いつもよりちょっぴり妖艶なキーマの表情。タイの花が咲くエキゾチックなグリーンカレーは、爽やかなスパイスの香りが立ち昇る。気持ち良い辛みと、ココナッツのマイルドな掛け合いが癖になる。トッピング「スパイス玉子」100円密かに人気の「スパイス玉子」。お月様のような黄金色のそれは、カレーの風味により一層旨味の幅をもたせる。黄色の土手を崩して、混ぜて、それぞれを調和させるとまた新たな魅力の発見が…。はじめの一口から最後まで、飽きさせることなく私を楽しませる。あぁ、同じ店とは思えないほどカレーの振り幅が広い半月。不動のセンター(チキン)を軸に、伸び伸びと個性を発揮する限定フレーバー達。カレーはやはり無限の可能性を秘める魅惑なフードだと再確認した日。まだまだはじまったばかりの〈スパイシーカリーハウス 半月〉の銀座での一歩。今後どのように羽を伸ばしていくのか楽しみだ。通っている美容室も近いので、またすぐにでも進化の過程を味わいに訪れよう。〈スパイシーカリーハウス 半月 2号店〉東京都中央区銀座6-4-15 銀座数寄屋橋ビル1F03-3573-300111:00〜16:00不定休(photo:Kayo Sekiguchi)
2020年07月03日木村綾子さんがさまざまな業界で活躍する「働く女性」に、今のその人に寄り添う本を処方していくこちらの連載。自粛期間を終え、久しぶりの対談となった今回のゲストは、ハナコでお馴染みの村田倫子さん。モデル業の傍ら、洋服をつくったり、執筆したりと、さまざまな職種を軽やかに行き来する彼女の姿勢に、木村さんも興味津々…!今回のゲストは、モデルの村田倫子さん。個性的なファッションセンスだけでなく、最近では “カルチャー色強め” のライフスタイルでも注目を集める村田さん。Hanako.tokyoでの連載コラム『カレーときどき村田倫子』では、自ら取材・執筆を担当し、溢れんばかりの “カレー愛” を炸裂させています。今年5月には念願だった自身のアパレルブランド『idem(イデム)』もスタートさせました。話題は、5月に立ち上げた『idem(イデム)』について。木村綾子さん(以下、木村)「はじめまして。…やっと会えましたね!(笑)実は、村田さんとの対談は4月初旬に予定していたんですが、タイミング悪く自粛期間に入ってしまい…。「二子玉川 蔦屋家電」に来られたのも、3ヶ月ぶりなんです。ここでお会いできるのをずっと待ってました!」村田倫子さん(以下、村田)「私もすごく楽しみにしていました!対談や撮影も、こうして復活できて良かったです…!」木村「お互いにこの数ヶ月は、これまでの価値観や経験則が覆される日々を過ごしてきたと思うんですよね。生活や仕事のスタイルも世界規模で大きく変わりつつあって。だから、4月に話せていたかもしれないことと、今日これから話すことはきっと全然違ってくるんだろうなとも思うんです」村田「はい!私にとってもこの数ヶ月は、いままで経験したことのないレベルの挑戦の日々でした」木村「自粛期間中、ご自身のブランドを立ち上げられたんですよね?」村田「そうなんです。『idem(イデム)』というブランドを立ち上げて、5月28日にはオンライン販売をスタートさせました」木村「東京都の緊急事態宣言が解除されたのが5月25日だから、解除を待望していた意気込みが日付からも伝わってきます」村田「企画自体は去年から動いていたんです。でも、新型コロナウイルスの影響もあって、春には「諦めるしかないのかなぁ…」ってところまで落ち込んじゃって…。でも、こんな状況だからこそ、みんなが少しでも明るい気持ちになるような洋服を届けようと気持ちを切り替えて、やっとその日を迎えました」木村「実際にスタートして、どうですか?「届ける」という意味ではモデルのお仕事で長くそれをしてきたと思うんですけど。そこに「作る」という工程が加わった今、洋服と向き合う姿勢は変わりました?」村田「すごく変わりました!今までは、自分が媒体になって「伝える」っていうのを意識してきたつもりだったんですけど、今では 「ものづくりをしてる」 って感じがすごくします!」木村「いつか自分のブランドをやりたいって気持ちは昔からあったんですか?」村田「はい。昔から自分自身を評価されることよりも、アイデアや、自分がいいなと思うモノを評価してもらえることの方が嬉しく感じることが多かったんです。だから今は自分でつくったお洋服に対して、何かしら反応をもらえるっていうのがすごく楽しいですね。ポジティブな反応もネガティブな反応も全部学びになってます」木村「自分が指揮を執る洋服作りの現場は、どういうものですか?既存のブランドとコラボするのとはやっぱり全然違います?」村田「違いますね。 企画から制作、撮影、流通、SNSの運用まで、チームで連携を取りながらやっているんですが、クリエイティブディレクターはブランドの顔にもなるので…。経験があって得意なジャンルもあれば、ゼロから勉強しなくちゃ分からないジャンルもあって…。特にコロナ禍での販売にオンラインシステムは必須なので、そのシステムの管理がめちゃくちゃ大変!(笑)」木村「そんなことまでされているんですね!」村田「しかも、ローンチ初日からシステムエラーでお客さんにご迷惑をかけてしまって。本当に心が痛いスタートでした…」木村「いままでなら、実際に来て見て着て、買ってもらえれば済んだことも、オンラインでフォローしなくちゃいけないですもんね」村田「オンラインで顔が見れない分、お客さんの声をできるだけすくいとるようにしてます。インスタなどに届くDMも、細かくチェックをしたり、『idem』に対する反応にはできるだけ真摯に答えたいと思ってます」木村「でも、その誠意ある対応ひとつひとつが、『idem』の信頼に繋がっていくんだと思います。『idem』は、“クリエイター”・村田倫子のブランドなんだって」村田「そうだといいんですが。おかげさまで、より一層気が引き締まりました」木村「ずっと気になってたんだけど、今日のそのワンピース、もしかして『idem』!?」村田「残念ながら、今日のは違うんです。実はまだ私の分が届いていなくて…」木村「自分のが最後なんですね(笑)そういうところにも村田さんの人間性がにじみ出てます」エピソードその1「ブランド名は本から引用しました」木村「ブランド名はどういう意味なんですか?」村田「『idem』って言葉は、原田マハさんの本からの引用なんです。『ロマンシエ』っていう小説に出てくる、リトグラフ(石版画)工房が「idem」っていう名前で。シャガールやミロなどのアーティストが集っているような場所なんですが、皆から愛されていて素敵だなと思って」木村「素敵ですね。村田さんは本を読む人だって聞いていたので、きっと洋服づくりをしている時にも、インスピレーションを受けたりしているんだろうなって思っていました」村田「原田さんの作品は読む度に新しい気づきや学びを与えてくれるので昔から大好きなんです。ついこのあいだは『サロメ』を読みました」木村「原田さんの『サロメ』面白いですよね。この小説は、オスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』の英語版に挿絵を提供した画家オーブリー・ビアズリーの人生を追いながら美術史の謎にも迫ったいわゆる“創作”なんですが…。ワイルドの『サロメ』は読んだことありますか?」村田「まだないんです。でも原田さんの小説を読んで、原典も読んでみたいと思っていたところでした!」木村「戯曲『サロメ』は、多くの言語で翻訳や翻案がされていて、日本でも、古くは森鴎外が訳したり、三島由紀夫が演出したりしてるんですよ」村田「そんなにたくさんの人が!何から手にしたらいいのか迷っちゃいます」処方した本は…『サロメ(平野啓一郎)』光文社出版/2012年初版刊行「同じ作品も、違う目線から見てみると面白いよ」と木村さん。木村「現代に生きている女性の感覚に鋭敏な村田さんに読んでもらいたい翻訳版といえばこれ!平野啓一郎さんが訳した『サロメ』です」村田「え、そんな選び方があるの!?平野さんの『サロメ』のオススメ理由、聞いてもいいですか?」木村「まずは読みやすさ。古典だけど、現代の私たちが普段使ってる言葉で会話が重ねられているから、すっと入っていけるところ。でも、物語はきわめて原典に忠実だから、ワイルドの世界観を堪能できる。そしてなんと言っても平野訳『サロメ』の素晴らしいのは、主人公・王女サロメの描き方!少女的な愛らしさと残虐さ、純真ゆえの潔癖、それによって訪れる悲劇的な運命が、すごくしっくり来たんです」村田「翻訳する人が変わると、描かれ方も大きく変わってくるんですね」木村「原田さんの『サロメ』を通して、ビアズリーの描いたサロメの絵に妖艶な毒婦的な印象を持っているとしたら、平野訳とのギャップをいっそう楽しめるんじゃないかな」村田「いまのお話を聞きながら、私は洋服にも通じる部分があるなって思ってました。オーソドックスなカットソーでも、着る人が変われば雰囲気も変わるし、アレンジ次第で違う魅力が引き出されるから面白いんですよ。翻訳作品にもそんな楽しみ方があるんですね!」エピソードその2「クリエイティブの勉強がしたい」木村「『idem』のお洋服は、どうやって作り上げているんですか?」村田「イメージやコンセプトづくりは私が担当しています。パターンを引くことはまだできないので、デザイナーさんにどうにかこうにかニュアンスを伝えて。二人三脚でひとつずつカタチにしていってる感じです」木村「じゃあクリエイティブは、ほぼ二人で?」村田「そうなんです。WEBサイトとかInstagramの世界観、あとはモチーフや下げ札、梱包の箱なんかも自分たちで考えましたね。あ、ブランドのロゴは私の手書きです!」木村「いいですね!洋服作りもきっといろんなプロフェッショナルが集って一つのブランドを作っていると思うんですけど、本の世界でもそういうのを感じられるとしたらこれっていう一冊があります!」村田「あるんですかそんなのが…!最近、クリエイティブの勉強がしたいと思って『Pinterest(ピンタレスト)』でデザインばかり見ていたところなんです」処方した本は…『ブックデザイン365(松村大輔)』パイ インターナショナル出版/2020年初版刊行真剣な眼差しでページを覗き込む村田さん。木村「これは本の装丁を集めた図鑑みたいなつくりになってるんですけど、書籍の概要、用紙の情報やデザインコンセプト、編集者やデザイナーの名前など、一冊の本に携わった人とその思いが事細かく紹介されています」村田「すごい、こんな本があるんですね。いつまでも見ていたくなるような装丁が並んでいます…!」木村「本の顔を眺めるのって、すごく楽しいですよね。とくに単行本は、表紙だけでじゃなくて紙質や文字のフォント、組み方に至るまで、本当に細やかなこだわりを物語と一緒に味わえるのが最大の魅力だと思っているんです。でもそういう情報までは、本には明文化されていないから、こうしてまとめてくれるのは嬉しいですよね」村田「物語を読み終えてから、この本で改めて情報に当たることで、「あ、だからこういうデザインになったんだ」って思いを馳せるのも楽しそうです」木村「パラパラ見てるだけでも、「私、この人の作品ばかりに惹かれるな」っていうのが出てくるんじゃないかな」村田「「この本とこの本がこの人で繋がってる!」みたいな。屋台骨を支える人の仕事に触れられる本は、いまの私に必要な刺激です」エピソードその3「カレーにハマった理由」木村「私、村田さんのカレー連載が好きで、よく見ているんですけど。もう結構長く続いているんですよね?」村田「わ、嬉しいです!あの連載はHanako.tokyoの前から続いているので、実はもう4年目になります」木村「カレーって、メジャー故に難しいジャンルだと思うんですよ。水野仁輔さんやメタ・バラッツさんのカレーの表現方法みたいに、作ってもプロ、書いてもプロって人もいるし…。そういう人の中で、4年続けてこられた秘訣は何だと思いますか?」村田「私はお店の背景にフォーカスを向けることを意識的にやってます。大げさじゃなくて、カレーには作り手の人生が反映されてる気がしていて…。それがお皿に盛られて自分の目の前に提供されるまでの背景に思いを馳せて、いつも文章を綴っています」木村「確かにカレーって、その味の成り立ちに思いを馳せたくなりがちです(笑)。食のエッセイを書くうえでは、誰かの文章を参考にされたりしていますか? 」村田「実は、結構感覚的にやってきてしまったなという部分が大きくて。最近、表現の幅に限界を感じる瞬間が出てきてるんです」木村「ずっとカレーですもんね。「辛い」「深い」「マイルド」「スパイシー」あとは、うーん…、他にどんな形容詞があるだろう(笑)」村田「そうなんです。一皿一皿が私にとっては全然違う味なので、どうしたら読者に伝わるかなっていうのはいつも考えているんですが。もう少し違った見せ方や切り口が欲しいなっていう気持ちはありますね」木村「食エッセイは本当にたくさん出ているけど、名著とされているものから読んでみるのがいいかも」村田「芯があるものを読んでみたいです!」処方した本は…『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる(石井好子)』暮しの手帖社出版/1963年初版刊行木村「ここ見て。“フアグラ”って書いてある!」木村「この本は、初版が1963年だから、ベストセラー中のベストセラーですね。シャンソン歌手の石井好子さんが、フランス留学中、下宿先のマダムに作ってもらったオムレツの話から始まって、それを食べたときの風景や情景が、まるで匂い立つような表現で綴られているの」村田「私、タイトルから結構タイプです…!」木村「バターは“バタ”、オーブンは“天火”、フォアグラは“フアグラ”とかってレトロな表現もあるんだけど、まったく古びた印象を受けず、むしろ「いま使いたい!」って思っちゃう気品さえ伺えて。これって書き手のセンス故だよなぁ…って、読む度うっとりしちゃいます」村田「装丁もかわいいですね」木村「これは花森安治さんのデザインですね。文庫版と単行本、ちょうど両方あるけど、ここまで話してきた感じだと、村田さんには敢えて単行本をオススメします!」木村さんとの対談を終えて。対談後、「こうやって自分のことを知ってくれた上で、お勧めしてもらえるのはすごく嬉しい。どれも普段読まないジャンルばかりだったので尚更…!」と話してくれた村田さん。時間をかけて選んだ数冊を、大切そうに抱えながらレジに向かう姿が印象的でした。村田さんのお洋服への愛がいっぱいに詰まった『idem』の全貌はこちらから。ぜひ覗いてみてください~!idem ONLINE STORE
2020年07月01日“おうち時間”が増えたこの期間、みんなはどんな映画/ドラマ作品を見ているのか?“おうち時間”がもっと楽しくなるように、シネマカフェでは自宅での過ごし方や最近観た作品についてのアンケート取材を実施!今回はカレー好きとして知られるモデルの村田倫子さんに回答いただきました。――最近観た作品は何ですか?『アバウト・タイム 愛おしい時間について』は定期的に見たくなる、私のビタミンのような作品です。――おすすめポイントを教えてください。毎日何気なく過ごしている時間、自分の周りにいる家族、恋人、友人…。あたりまえな日常がぐっと愛しくなる、心温まる作品です。自分の大切な人に会いたくなります。――これから観たいと思っている作品は?『ミッドサマー』上映する前から注目していた作品。私はホラー要素が少し苦手なので、まだ勇気が出ず…。それでいて目が離せない、鑑賞前から魅惑的な作品です。――村田倫子さんのおうちの過ごし方を教えてください。料理に挑戦することです。食べることが趣味なので、食べたいものを家で実現するために色々と試行錯誤中…!今まではあまり自炊しなかったので、新鮮で楽しいです。最近はチャーシュをつくりました。――村田倫子さんの今後の活動について教えてください自身がディレクターをつとめるアパレルブランド「idem」がこの春にローンチしました。「日々の恋人」をテーマにした、日常に寄り添うお洋服です。オンラインサイトで展開してるので、ぜひ覗いてみてください。(text:cinemacafe.net)
2020年05月18日「カレーときどき村田倫子」へようこそ。食べたいカレー屋さんを訪ね、自身でつらつらとカレーに対する想いを綴る、いわば趣味の延長線ともいえるこの企画。今回は、渋谷のカレー屋さん〈カレーショップ初恋〉を訪れました。ビビットな紫に浮かぶレトロなフォント。本日のお目当て〈カレーショップ初恋〉。昭和感漂う看板は、まるでスナックのようだ。本当にここはカレー屋なのか?戸惑いながら階段を降りると、スパイスの香りが漂ってきてほっと安心する。ユニークな看板と名前が印象的な〈カレーショップ初恋〉。実は、ここは創業58年の歴史あるスナック〈千早〉の跡地。その敬意や背景を汲み取って、遊び心あるモチーフとなっている。…この流れからピンときた方は中々鋭い。そう、この店の名前は昭和は代表する村下孝蔵の大ヒット曲『初恋』から紐付いている。由来からユーモアが溢れるお店だ。(私は因みに曲サビでやっとピンときました笑)。店の風貌は昭和レトロだが、ここではスリランカや南インドをベースにした本格的なスパイスカレーが楽しめる。「レトロ可愛い」の第一印象からのギャップ…なかなか萌える。カレーは、「初恋チキンカレー」、「パクチーシュリンプ」、「スパイスラムキーマ」、「薬膳ベジタブル」、「日替わりスペシャル」の5種類。これらは一種からはもちもん、二種、三種のあいがけもオーダできる。ご飯の量(大・中・小)は無料で変更でき、具材トッピングもカスタム可能。食べる側の「欲張りたい」の気持ちを細やかにカバーしてくれている。多くの選択肢に悩んだ末、オーダしたのは…左から「初恋チキン」×「スパイスラムキーマ」二種あいがけ 1,200円、「日替わりカレー(鮭と泪と男と女)」300円「初恋チキン」×「スパイスラムキーマ」の二種あいがけと、やっぱり欲張りたくて小皿で追加した「日替わりカレー」。深緑のお皿と具材のコントラストが目を引く一皿。頂上にそびえ立つパパドのツノが可愛らしい。この日は北海道産の銀鮭とほうれん草の出汁カレーに仕上げた「鮭と泪と男と女」。ここでも演歌節は炸裂。ちゃかり“ダジャレ”になっているネーミングに思わず笑みが溢れる。〈初恋〉が紡ぐカレーの大きなテーマに「健康」がある。医食同源の考え方を軸に、化学調味料、人工添加物は使用せず、身体と心を気づかうカレー。スリランカ・インドの調理と思考をベースに、日本の食材と調理技法を自由な発想で取り入れた唯一無二の一皿だ。プレートには、セレクトしたカレーの他、季節の副菜(5種)、スパイス卵、ポルザンボルが付いている。ライスはなんと、ターメリック、グローブ、ローリエ、たっぷりのクミンと炊き上げた「クミンライス」。クミンちゃん推しの私は、この時点で香り高いライスにメロメロだ。はじめましてなのに、「どこかでお会いしましたか?」という感覚になるのは、「出汁」の仕業。私たちの味覚に染み込んだカルチャー「出汁」。実はスリランカにも出汁の文化があるため、我々日本人と親和性が高いのだ。ほろほろの鶏モモとシャバッとしたグレービーの「初恋チキン」は、しっかりと出汁の風味が綴じ込められている。味噌汁を最高の形でスパイスに出会わせたら、こんな感じなのかしら?ずずっとお皿ごと啜りたくなる、魅惑のカレー。あいがけした「スパイスラムキーマ」は、粗挽きラムの力強い旨味にガリっと弾ける強スパイスがガシッと味覚を抱擁してくる。オス全開!なのに、胸焼けしない爽やかさは、カルダモンの香りが上品に余韻を醸すから。絶妙なギャップにうっとりとしてしまう。魅惑的なカレー達を、ダルカレー、副菜達と混ぜ合わせれば、旨味の相乗効果が楽しめる。卓上に置いてある、「大根のウールガイ」とクミンライスの組み合わせが、個人的に推しコンボ。従来のビリヤニの「炊きすぎて固い」「具が少ない」…といった「ちょっとココが惜しいのだよな」というポイントに目をつけて、独自の調理で自由度を付加したのが「クラフトビリヤニ」。「コリコリ豚タン&ゴボウ」メニューはなんとほぼ日替わり…!お客さん想いの中々ストイックな構えだ。この日は「コリコリ豚タン&ゴボウ」。王道のマトンやチキンから、あえて脱線しての「豚タン」。コリッと楽しく弾ける豚タンに今が旬の「新ゴボウ」の豊かな食感と旨味が加わり、人生初めてのビリヤニの食体験。セットのダルカレーやライタ(ヨーグルトのソース)を混ぜ合わせるころによって、味変も楽しめる。「クラフト」という枕詞には「初恋」ならではの「自由」が反映されているのね。スパイスに対する情熱と遊び心が表現された一皿、お店に散りばめられたチャーミングな仕掛け。色んな角度から私たちを楽しませてくれる〈カレーショップ初恋〉。ここは渋谷にできた小さなエンターテイメント空間だ。また、元気と好奇心を味わいに、紫の看板を潜ろう。〈カレーショップ初恋〉東京都渋谷区道玄坂1-17-11 ミナミビルB1F03-6416-9503平日11:30〜15:00、18:00〜24:00土日祝休(photo:Kayo Sekiguchi)
2020年04月03日