レストランジャーナリスト・犬養裕美子さんの「今日、どこで何、食べる?」。今回ご紹介するのは、『Buvette(ブヴェット)』のコック オ ヴァンとアスパラガスとキャロットラペです。アスパラガスもにんじんも、鶏の赤ワイン煮込みも、お皿いっぱいに盛り付けられて登場する。大きな皿のはじっこにちょこんと飾った流行りのフレンチスタイルとは真逆。でも、それこそが女性オーナーシェフのジョディ・ウィリアムズさんの狙いなのだ。「伝統的なフランス料理を小さな皿に凝縮させ、テーブルいっぱいに並べて、家族や友人とシェアして楽しんでほしい」と言う。彼女はアメリカ西海岸出身。28歳でNYに移り、高級レストランで修業を重ねた。その後6年間イタリアで仕事をして、パリ、日本をまわって再びNYへ。数店のイタリアンでシェフを務めた後、’10年に独立を果たす。そんな彼女の店はまたたくまに話題になり、’13年はパリにも出店した。そして3号店がここ「東京ミッドタウン日比谷」の中だった。アスパラガスには軽くホイップしたマヨネーズを。にんじんにはコリアンダーやクミンが香る。鶏の赤ワイン煮込みはコクがあってもしつこくない。まだまだメニューの数は少ないけれど、そのどれもが、どこか懐かしさを感じさせる料理ばかり。アンティークをあしらったインテリアの中で、平日は朝8時から夜11時30分までいつでも食事ができる。この周辺で働いていたら、一日中ここに入り浸ってしまいそう!アスパラガス ムースリーヌ¥1,200、キャロットラペ・ピスタチオ コリアンダー・レモン¥1,200、コック オ ヴァン(ディナーのみ)¥1,800。Buvette(ブヴェット)東京都千代田区有楽町1-1-2東京ミッドタウン日比谷1FTEL:03・6273・31938:00~23:30(22:30LO)土・日・祝日9:00~23:30(22:30LO)無休いぬかい・ゆみこレストランジャーナリスト。東京を中心に、国内外の食文化、レストラン事情をレポート。※『anan』2018年4月25日号より。写真・清水奈緒取材、文・犬養裕美子(by anan編集部)
2018年04月23日フードライター・平野紗季子さんの「MY STANDARD GOURMET」。今回は『Quindi(クィンディ)』のランチプレートです。マースのシャルキュトリー、井さんのジャージー牛のリエット、グラツィアーノのヴィネガーでマリネした愛媛の鯛……。代々木上原『クィンディ』のメニューには、使用する素材の生産者の名前が丁寧に記されている。それは商品に付加価値をつけるためのお飾りではなく、自分たちが生産者と生活者をつなぐ“メディアとしてのレストラン”でありたいという意思表示のように思える。「だからスーパーマーケットを併設しています」と、オーナーの塩原弘太さん。食べて気に入った食材や調味料は併設ショップで購入することができるのだ。商品はそのどれもが、塩原さんたちが実際に出会い、信頼している作り手たちのもの。しょっつるなどの魚醤を扱うのも、受け継がなければ失われてしまう日本の食を紹介する場所でありたいという思いがあってこそ。志は高いが、その一方で間口は広く、「家族でも気兼ねなく行けるような店でありたい」と言う。元々、塩原さんもシェフの安藤曜磁さんもファインダイニングの世界で活躍してきた人たち。そんな彼らが子供も歓迎する全方位型の店を始めたのには理由がある。「上はいくらでもあるんです。ただ食文化を俯瞰したとき、ベースとなる日常の食の場が足りないと思った」。日常に本物を根付かせる。そんな強い想いを持ったレストランだけが作れる未来、その前向きな予感が、『クィンディ』には満ちている。ランチプレート¥1,800。MARSのシャルキュトリー、井さんのジャージー牛のリエット、Grazianoのヴィネガーでマリネした愛媛の鯛、春のサラダ、自家製の発酵バター、コンフィチュール、天然酵母のパン。“Quindi”はイタリア語の接続詞。食と社会をつなぐ接続詞として、食の未来を描くレストラン、いや、運動体となっていくのかもしれない。東京都渋谷区上原2‐48‐12東洋代々木上原コーポ101TEL:03・6407・0703ランチ11:30~13:30LOディナー18:00~22:00LOショップ11:00~23:00水曜休ひらの・さきこ1991年生まれ。フードライター。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)。※『anan』2018年4月18日号より。写真・清水奈緒取材、文・平野紗季子(by anan編集部)
2018年04月12日スイーツライター・chicoさんの「お菓子な宝物」。今回は『ル・ショコラ・アラン・デュカス 東京工房』のマカロン・フランボワーズ、マンディアン オ・レ ミューズリーです。近頃パリの名店上陸の熱いニュースが相次ぐ東京に、いよいよフランス料理の巨匠、アラン・デュカスさんの『ル・ショコラ・アラン・デュカス』がやってきた!焙煎士でショコラティエのニコラさんと共にバスティーユにビーン・トゥ・バーの工房を構えたのは5年前のこと。“素材を厳選し本来の味と香りを引き出す”デュカスさんの料理哲学はショコラでも同じで、チョコレート作りは自ら産地でカカオ豆を選び、買い付けることから。豆の状態や気候に合わせて焙煎し、個性息づくチョコレートが丹念に作られる。東京でショコラティエを任されたのは、『ベージュ アラン・デュカス東京』で長年シェフ・パティシエを務めたジュリアンさん。27種の自家製クーベルチュールを使うお菓子やデザートは、パリも羨むここだけの喜び。マカロンでも「しっかりショコラを感じてほしい」と、ペルー産のカカオ100%チョコレートを生地に混ぜこみ、中のフランボワーズガナッシュはベリーに寄り添うフルーティなマダガスカル産カカオのミルクチョコ。わっと溢れるカカオ感は濃密ながら軽い果実味で、大ぶりなのにするする食べてしまう。工房にぐるりと囲まれたガラス張りのサロンで頬張ると、カカオの活気にどっぷり包まれるようだった。ル・ショコラ・アラン・デュカス東京工房東京都中央区日本橋本町1-1-1TEL:03・3516・351111:00~20:00不定休写真右・直径6cmほどもあるマカロン・フランボワーズ(各¥800、イートインのみ)。左・ナッツやフルーツのザクザクも楽しいマンディアンオ・レミューズリー(各¥2,400)はじめ、タブレットは26種。ほかボンボンショコラや焼き菓子、デザートも。木やレンガ、ガラスが印象的なクラフトマンシップ漂う店内は広々460平方メートル。チコスイーツライター。大人気のガイド本『東京の本当においしいスイーツ探し』(ギャップ・ジャパン)シリーズ監修。※『anan』2018年4月11日号より。写真・清水奈緒スタイリスト・中根美和子取材、文・chico
2018年04月04日ギフトコンシェルジュの真野知子さんがおすすめするギフトをご紹介。今回は『鳥かど』のお弁当です。オープンして1年も経たないうちに予約困難な焼き鳥の人気店になった『鳥かど』。暖簾の先の凛とした雰囲気の店では、コの字型のカウンター越しにご主人の小野田幸平さんが迎えてくれる。その味を堪能できるのは予約の取れた勝ち組だけだったけれど、待ちわびていたお弁当のサービスが始まりました!受け取ったお弁当は包みの佇まいにも気品があって、それだけでも期待に心が弾む。蓋を開けると、まず目に飛び込んでくるのは、色合いと具材の収まりの品の良さ。黄色が鮮やかなたまごそぼろ。それにインゲンの緑が映える。椎茸は出汁の効いた煮物。繊細な味付けでこれが染み入る味わい。箸休めにちょうどよい、ぽってりとしたクリーム色の名物・ポテトサラダはマッシュポテトのようになめらかな舌触りだ。メインの焼き鳥は、かしわ・つくね・ぼんじりの3種。まずはそのままで一つずつ。かしわ(モモ)は弾力のある柔らかさ、つくねは軟骨の食感がたっぷり楽しめて、ぼんじりは脂の甘味。薬味の山椒をパッと振りかければ、ガラリと風味を変えて味わえる。焼き鳥の下に隠れているのは、敷き詰められたご飯と粗挽きの鶏そぼろ。しっかり味付けされていて冷めてもおいしい。あ~なんたる口福なひととき。お弁当も争奪戦を覚悟して!¥2,500、容器代¥100。前日までの予約で、受け取りは18:30以降に。鳥かど東京都目黒区目黒2‐8‐7鈴木ビル B1TEL:03・6417・996718:00~24:00日曜休仕入れや予約状況により販売個数を限定する場合があるので、まずは問い合わせを。まの・ともこギフトコンシェルジュ。手土産など日常的なギフトからハレの日まで多彩なシーンに合わせたギフトをセレクト。※『anan』2018年4月4日号より。写真・清水奈緒スタイリスト・中根美和子文・真野知子(by anan編集部)
2018年04月02日慶び、捧げる縁起食祝いの席に欠かせない食べものといえば、赤飯と並び、鯛も知られる。“めで鯛”という語呂合わせもさることながら、腐りにくく、崩れにくい立派な姿形も好まれたという。紅白のほか、黄色い食べものも福を呼ぶ縁起物。【紅白:物事を清める色合わせ】白は清浄、赤は邪気を祓うとされる。その2つの色を組み合わせることで、物事を清めるという願いが込められている。梅をかたどり、縁起を重ねて。井上蒲鉾店梅花はんぺん10枚(紅白各5枚)¥1,560昭和6年から続く、神奈川県鎌倉市に本店を置くかまぼこ専門店の看板商品。かまぼこの生地で作られる梅花をかたどったはんぺんは、一般的なそれとは異なる食感とコシを持つ。●神奈川県鎌倉市由比ガ浜1‐12‐7TEL:0467・22・11338:30~18:00水曜休【赤飯:赤米に見立て供えたのがはじまり】日本人が古代から食べていたのは赤米といわれ、その古にならい、もち米に小豆やササゲを入れ、赤く炊いた。小豆や赤い色は邪気を祓うとされる。福茶屋赤飯六角折巾着袋付き¥799(税込み)東京・白金に和菓子屋として創業して50余年。赤飯のおいしさが評判を呼び、いつしか主役に。千葉県産ヒメノモチで炊くコシのある赤飯は、大納言小豆か備中ダルマササゲかを選べる。●東京都港区白金台4‐7‐4TEL:03・3441・16279:00~18:00不定休【甘茶:釈迦の故事に因んだ縁起茶】釈迦の誕生を祝う行事で、釈迦像にかけられ、ふるまわれるのが、このお茶。釈迦誕生の際、9頭の龍が天から注いだという清浄の水に見立てている。日本茶専門店IPPUKU九戸村(くのへむら)あま茶50g¥910日本茶専門店がセレクトする、岩手県北部の九戸村の無農薬無化学肥料の甘茶。ガクアジサイに似た花をつける木の葉で、砂糖の200倍という自然の甘みの豊かさに驚かされる。●静岡県掛川市領家965‐2info@aramahoshi.jp【いなり寿司:稲荷神社に供えるごちそう】お稲荷様の使いであるキツネの好物が、油揚げ。そこから油揚げに酢飯を詰めたいなり寿司が、稲荷神社にお供えされるようになり、縁起物となった。おつな寿司いなりずし8個¥960~明治8年に生まれた茶屋を大評判にしたのが、油揚げを返して包んだいなり寿司。煮汁がよく染みた揚げには、刻み柚子が爽やかに香るシャリ。●東京都港区六本木7‐14‐4‐1FTEL:03・3401・9953持ち帰り10:00~21:00(土曜~20:30、日曜~13:00)不定休広田千悦子さん日本の行事・歳時記研究家。築80年の日本家屋にて、凛とした和装で「しつらい教室」を開催するほか、文筆家として著書も多数。近著に『鳩居堂の歳時記』がある。※『anan』2018年4月4日号より。写真・清水奈緒スタイリスト・荻野玲子取材、文・齋藤優子(by anan編集部)
2018年03月30日勝ちを呼ぶ戦国武将が戦いに向かう出陣の儀式で、勝利を願って口にしたのは、アワビと栗と昆布。“勝男武士”の字をあてたかつお節も、強い武士を思わせるとして、戦の縁起物だったという。粘り強い戦いを願う納豆は、近年のもの。【蓮根】“ん=運”がつくとして、正月料理に欠かせない蓮根。ぽつぽつと開いた穴から先が見えるその形が、見通しの良さに通じると、勝利を願う縁起物ともされた。元祖 森からし蓮根からし蓮根1本¥1,080(税込み)~からし蓮根は、和辛子を混ぜた麦味噌を、蓮根に詰めて揚げた熊本の郷土食。同店初代が、体の弱い殿様に献上したのがはじまりで、以後400年近く、その味を継承。●熊本県熊本市中央区新町2‐12‐32TEL:096・351・0001【栗】栄養価の高い栗は、もともと縁起物。さらに干して臼で搗(か)ち、鬼皮と渋皮を除いた“搗ち栗”に、“勝ち栗”の字を当て、戦に欠かせないものとした。比沙家京やきぐり500g¥2,000自然の味と無添加無着色にこだわった専門店の焼き栗。じっくり蒸し上げた日本栗は、殻がほろっとはずれ、焼き芋を思わせるようなやわらかな食感と甘さ。●京都府京都市東山区清水2‐255TEL:0120・689・890大願成就(たいがんじょうじゅ)蛤が有名だが、同じ二枚貝であるアサリやシジミも、恋愛成就を願う縁起物。また、学問の神様・菅原道真がその花を好んだことから、梅や梅干しは学問成就。実を結ぶという意味合いから、蓮や桃の実も成就を願う食べもの。【蛤】平安時代から伝わる遊び、貝合わせに使われてきた蛤は、縁結びの代表格。対になった貝殻でないとぴたりと合わないことから、男女和合の象徴といわれる。遠忠商店(えんちゅうしょうてん)江戸前でぃ!(はまぐりの佃煮)60g¥1,600大正2年創業の佃煮屋が手がけるオーガニック商店から。選び抜いた調味料で釜焚きした千葉県富津沖で獲れた希少な蛤の佃煮は、小ぶりながら、貝そのものの味が濃厚。●東京都中央区日本橋蛎殻町1‐30‐10TEL:03・6661・6021【餅】皆で力を合わせて杵でつき、主食の米が強く結びついた餅は、成就の象徴。正月の鏡餅にはじまり、年中行事には欠かせない。黒豆入りで、さらに縁起良く。穂寿庵丹波黒豆餅6切れ350g¥972(税込み)昔ながらの杵つき餅のおいしさにこだわる餅専門店の、丹波篠山産黒豆入り切り餅。宮城県産の特別栽培米とアルカリイオン水でついた餅はコシが強く、米の味がしっかりする。●東京都大田区南六郷2‐19‐4TEL:03・3739・4520邪気祓(じゃきばら)い香りのあるもの、赤い色をしたものは、古くから邪気を祓うとされてきた。体に取り入れるだけでなく、魔除けとして家に飾る風習も残る。“お腹の砂おろし”といわれ、体の中をきれいにするこんにゃくも、邪気を祓うもの。【よもぎ】お灸のもぐさをはじめ、太古の昔から薬草として使われてきたよもぎは、生命力があり、邪気を祓う香りも強い。団子や餅など、行事菓子にも欠かせない。半兵衛麩よもぎ麩130g¥440京都で300年以上続く麩と湯葉の専門店による、国産よもぎを練り込んだ生麩。よもぎが爽やかに香るもちもちとした麩は、きなこをまぶしておやつにも。●京都府京都市東山区問屋町通五条下ル上人町433TEL:0120・49・0008【五穀】五穀は、主食である穀物をさす。生きるうえでもっとも大切な主食。これを蒔き、その力を借りて邪気を祓い、場を清める風習は、海外にも見られるという。五穀屋五穀せんべい山むすび2種10枚入り¥1,000日本の伝統素材、五穀と発酵をテーマにした静岡発の和菓子ブランドの代表作。玄米は醤油で、七福米は塩で味付けした山形せんべいは、五穀がほどけるような軽い食感。●松屋銀座店/東京都中央区銀座3‐6‐1‐B1TEL:0120・60・5678広田千悦子さん日本の行事・歳時記研究家。築80年の日本家屋にて、凛とした和装で「しつらい教室」を開催するほか、文筆家として著書も多数。近著に『鳩居堂の歳時記』がある。※『anan』2018年4月4日号より。写真・清水奈緒スタイリスト・荻野玲子取材、文・齋藤優子(by anan編集部)
2018年03月29日季節の移り変わりが細やかな日本には、年中行事が多く、それに因んだ食べものがたくさんある。そこには、気候風土が深く関わっていると、日本の行事やしきたりに詳しい広田千悦子さん。「国土が海に囲まれた日本は、人の力が及ばない自然災害にひんぱんに見舞われてきました。だからこそ、自分たちが大切にしている主食の穀物や季節のものを、折々に神様に供え、感謝してきたのだといわれています。そして、それを体に取り入れることで、次に生きる力としてきたんですね」元を辿れば、感謝や厄除けの意味合いが強かった供え物。その多くが、転じて縁起物としていまに伝わっているという。そして、そこにもまた、日本人ならではの感性を見て取ることができる。「語呂合わせで縁起を担いだ食べものがとても多い。遠く万葉集の時代から、言霊を信じ、言葉の音にも力があるとして、音に敏感に意味づけをしてきた日本人の考え方が出ていると思います」時代は進み、環境も、家族や地域の在り方も大きく変わったが、「食べものはいちばん触れる機会が多いもの。ただ、“習わしだから”ではなく、その謂われに思いを馳せながら、建設的に生活の中に取り入れてほしいと思います」盛運(せいうん)“う”で始まる、あるいは“ん”で終わる食べものは運がつく、とする語呂合わせは、正月料理でも知られるところ。姿形に由来するものも多く、頭から尾までつながった姿から、運が連なるとする尾頭つきの魚もそのひとつ。【鰻】頭に“う”がつく食べものは、運がつく。夏の土用の習慣は、江戸時代の学者・平賀源内が、丑の日に“う”のつく鰻を食べると精が出るとしたのが始まり。うなぎ藤田 白金台店蒲焼3分の2尾¥3,000明治25年、鰻の行商から始まった浜松に本店を置く専門店の蒲焼き。背開きにして素焼き。蒸してから、繰り返したれをつけて焼く関東風は、ふっくらとやわらか。●東京都港区白金台4‐19‐21‐3FTEL:03・6432・563611:30~14:00、17:00~21:00月曜休【昆布】昆布はその昔、“広布(ひろめ)”といった。末広がりを表すとして、運が広がるとされる。“よろこんぶ”という、“喜ぶ”との語呂合わせは後に生まれたもの。神宗(かんそう)塩昆布100g¥864(税込み)~海産物問屋として江戸・天明元年に創業。日本の伝統素材にこだわって作り続ける塩昆布は、北海道産の天然真昆布を使用。山椒の風味が効いた肉厚の昆布は、甘さが上品。●大阪府大阪市中央区高麗橋3‐4‐10TEL:06・6201・2700【そうめん】そうめんは、生地を細く長く延ばし、干して作る。その糸のように長く、長くつながった様子から、幸せが続きますようにと、さまざまな行事に使われる。五色そうめん株式会社森川手延五色そうめん色束別¥497(税込み)江戸・寛永年間に松山城下で創業。8代目が、椿神社の五色の糸から考案したというそうめんは、ゆでてなお色鮮やか。赤は梅肉、緑は抹茶、黄は卵、茶はそばで、色と風味づけ。●愛媛県東温市南方2283‐1TEL:089・966・5511無病息災(むびょうそくさい)健康や長寿を願う食べものは、故事に由来する申年の梅や鯖、鮭に限らず、いくつもある。くるんと曲がった姿形を腰の曲がったお年寄りの様子になぞらえて長寿を願う海老や、100年生きるとされるアワビもよく知られる。【鯖】生ものが貴重だった時代。盆と正月には、精が出る生魚を年配者に贈り、長寿を願ったという。西日本では鯖、東日本では鮭で、正月の新巻き鮭はその名残。棒寿司 朝日屋名物 鯖の棒寿司大¥3,000京都・石清水八幡宮の麓で100余年続く寿司屋の名物。三陸沖で獲れた脂がのった鯖は、酢飯に負けじと厚みがあり、その味を活かした締め加減は絶妙のひと言。●京都府八幡市八幡高坊11‐4TEL:075・981・3202【申年(さるどし)の梅】邪気を祓う赤、特に申年に漬けた梅干しは、無病息災を保つとされる。平安の昔、申年に疫病が流行るも、梅干しを食べた天皇が長寿を得たとの逸話に由来。紀州梅専門店 五代庵丙申年の梅 五福1粒かめ壺入¥3,240(税込み)和歌山の農園で、江戸後期より梅作りをしてきた梅干し専門店が、申年の梅で作った梅干し。塩だけで漬けた南高梅は皮がやわらかく、昔ながらの味。金粉付き。●和歌山県日高郡みなべ町東本庄836‐1TEL:0120・12・5310広田千悦子さん日本の行事・歳時記研究家。築80年の日本家屋にて、凛とした和装で「しつらい教室」を開催するほか、文筆家として著書も多数。近著に『鳩居堂の歳時記』がある。※『anan』2018年4月4日号より。写真・清水奈緒スタイリスト・荻野玲子取材、文・齋藤優子(by anan編集部)
2018年03月28日レストランジャーナリスト・犬養裕美子さんの「今日、どこで何、食べる?」。今回ご紹介するのは、『MAGICAMENTE(マジカメンテ)』の手打ちパスタです。手打ちパスタと薪火焼料理。2月22日に移転オープンした恵比寿『マジカメンテ』のコンセプトは人気のキーワードそのもの。でも、オーナーシェフの佐藤崇行氏が目指すのは、地味だけれど骨太な味を伝える食文化。「イタリア人が守ってきた手打ちパスタや郷土料理を紹介すること」だ。常時15~17種類もの手打ちパスタが用意され、それぞれシェフのイタリア現地での思い出が打ち込められている。春先のメニューの中でもそんな想いが最も入ったパスタは、リグーリア州の手打ちパスタで、クロゼッティと言って丸く抜いた生地にスタンプを押したもの。佐藤シェフはこのスタンプを作っている職人ピチェッティさんをわざわざ訪ねて教えを乞うたという。「このしっかりしたパスタに合うのは、安曇野放牧豚を煮込んだ濃厚なソース。サルディニアの友人が送ってくれるズッキーニとカルチョフィーなどの野菜は別に仕込みます」。いっしょに煮込むと脂を吸ってしまうが、ひと手間かけて別にするので、ソースがとてもあっさり仕上がっていて、一口で軽やかな春を感じる。「伝統的な手打ちパスタでも、時代の嗜好を考えればヘルシーに仕上げることも大切」。小さな村を旅しながら、イタリアの深い歴史を伝える。佐藤シェフの料理はイタリアから届く、新しい伝統料理なのだ。クロゼッティの安曇野放牧豚ラグーソース¥1,680。イタリア・サルディニア島から届くズッキーニとカルチョフィーのほろ苦さがアクセント。豚の甘みがにじみ出たソースを手打ちパスタで包んで味わう。MAGICAMENTE東京都渋谷区恵比寿3-41-9恵比寿台ハイツ1FTEL:03・6450・2210ディナー18:00~22:30(21:00LO)ランチ12:00~15:00(13:00LO 、土・日・水曜のみ)月曜休いぬかい・ゆみこレストランジャーナリスト。東京を中心に、国内外の食文化、レストラン事情をレポート。※『anan』2018年3月28日号より。写真・清水奈緒取材、文・犬養裕美子
2018年03月22日フードライター・平野紗季子さんの「MY STANDARD GOURMET」。今回は『Txiki Plakad(ティキ プラカ)のタパス料理です。橋の路地裏。古くて渋い小料理屋やお寿司屋が軒を連ねる一角に、突然、ブルーの窓枠がやけに鮮やかな店が現れる。「サンセバスチャンの海の青のイメージなんですよ」。そう店主の八谷玲美さんが言った。そこはスペインのタパス文化が楽しめるバル『ティキプラカ』。バスク語で“小さな皿”という意味を持つ店名の通り、メニューにはピンチョスやモンタディート(オープンサンド)などの小皿料理が並ぶ。ハイスツールのカウンターで構成された店内は、チャコリ(バスクの微発泡白ワイン)片手にさくっと飲むのにぴったり。といいつつ、しっかりごはんで煮込みやデザートまで楽しむこともできる。衝撃的なのはチョコレートとチョリソーのモンタディート。揚げ焼きに近い形でカリッと温められたバゲットに、イベリコ豚のチョリソー、カカオ70%のビターチョコレートが削られる。パンの熱でとろけるチョリソーの脂にカカオの香りと甘みが重なれば…それはもう魅惑の一口だ。「料理の構成素材は少なく。シンプルに素材を味わえながら、それでいて新しい発見がある一皿を目指しています」と八谷さん。料理人として10数年のキャリアを持つ彼女による確かな味わいのタパスたちがカラフルにテーブルを埋め尽くせば、否応なしに宴が始まる、ご機嫌すぎる一軒だ。Txiki Plaka東京都港区新橋2‐15‐1TEL:03・6206・112517:00~24:00(23:00LO)日曜休(翌月曜が祝日の場合は営業)左・小海老とチョリソー・リレッシュソース¥580、中・牛肉と深谷葱・マッシュルーム¥640、右・左上から時計回りに、卵とピキージョ・アンチョビ¥380、鯵のマリネと焼きナス・カリフラワー¥540、チョコレートとチョリソー¥380、ヒルダ¥340。*価格はすべて1ピースあたり。ひらの・さきこ1991年生まれ。フードライター。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)。※『anan』2018年3月14日号より。写真・清水奈緒取材、文・平野紗季子(by anan編集部)
2018年03月16日スイーツライター・chicoさんの「お菓子な宝物」。今回は『ARNAUD LARHER (アルノー・ラエール)広尾本店』のミルフォイユ キャラメル、カラカス、フロマージュ アグリュームです。『アルノー・ラエール』の路面店が日本に!このニュースにお菓子好きたちは色めき立った。これまで日本では限られた期間にチョコレートなどしか買えず、パリの店に通う日本人も少なくなかったのだ。これほどファンを惹きつけるのは唯一無二の美味しさゆえ。定番のエクレアやミルフィーユでさえひと味違う。「ミルフォイユ キャラメル」なら2種のキャラメルクリームとキャラメルシャンティを重ね、果てしなく味わい深い。ザクザクのパイは発酵バターのミルキーさと焼きの香ばしさに溢れている。「少し焼き加減が違えばこうならない。丁寧な仕事を繰り返して特別なものになるのです」とアルノーさん。「カラカス」もそう。シャンティ、ガナッシュ、プラリネとショコラ尽くしだが、パーツごとにクーベルチュールを細やかにブレンドして使い分け、ショコラの奥行きをどっぷり楽しませる。濃密ながら、プラリネやサブレの軽快な食感や心地よい塩気で、不思議なほどするする食べ進んでしまう。「私にとっては建築の感覚。全てを口にした時の食感と味、香りのハーモニーを見つけるのが仕事。だから毎日新作のアイデアは浮かぶけど、完成まで半年~1年かかるんです」。ひたむきな匠の味にこれからは広尾で会えるとは、なんという幸せ!ARNAUD LARHER(アルノー・ラエール) 広尾本店東京都渋谷区広尾5-19-9TEL:03・6455・786810:00~19:00 ※売り切れ次第終了不定休(4月以降は要問い合わせ)生菓子はパリとほぼ同じラインナップ。右から、ミルフォイユ キャラメル¥650、フロマージュ アグリューム¥630、カラカス¥690(すべて税込み)。「フロマージュ~」はムースとベイクド、2種のチーズケーキにきゅんと甘酸っぱいパッションフルーツと柑橘を重ねて、清々しく。チコスイーツライター。大人気のガイド本『東京の本当においしいスイーツ探し』(ギャップ・ジャパン)シリーズ監修。※『anan』2018年3月14日号より。写真・清水奈緒スタイリスト・中根美和子取材、文・chico(by anan編集部)
2018年03月08日ギフトコンシェルジュの真野知子さんがおすすめするギフトをご紹介。今回は『OLIVIERS&CO(オリヴィエアンドコー)』のトリュフオイルです。日本初となるショップがオープンしたフランスの最高級オリーブオイルブランド『オリヴィエアンドコー』。店内には日本限定ボトルをはじめ厳選されたオリーブオイル、フルーツビネガーにバルサミコ酢など、オリジナリティ溢れる豊富なラインナップがそろい、テイスティングが気軽にできるのも魅力。珍しいフランス産のオリーブオイルも目を引いたけれど、私が惹かれたのは、この黒トリュフと白トリュフのアロマティックオイル。コロンとしたボトルのかわいさにまず一目惚れ。50mlという試しやすいサイズ感がちょうどよいし、ボックスが素敵なのも、ギフトとしてポイントが高い。コルクを抜くと、トリュフ独特の香りが、ふわぁ~っと辺りに一気に広がる。ガツンと嗅覚にアピールしてくるのは、濃いフレーバーを持つ黒トリュフのオイル。控えめながらも高貴な香りは白トリュフのオイル。まずバゲットにつけてオイルそのものの風味を試したあとは、香りを引き立たせる卵メニューに使うのがおすすめ。オムレツには“白トリュフ”で芳醇な味わいを醸し出し、卵かけごはんには、醤油とともに“黒トリュフ”を足せば、味に深みがぐっと増す。パスタやリゾットも数滴でパッと手軽に風味豊かなひと皿に大変身。香りの余韻も楽しめる。右から、アロマティックオリーブオイル 白トリュフ、アロマティックオリーブオイル 黒トリュフ 各50ml¥1,800フランスのトップオリーブオイルソムリエであるエリック・ヴェルディエ氏が香りの専門家とともに15年以上かけて開発した。OLIVIERS&CO GINZA東京都中央区銀座1-3-3G1ビル1FTEL:03・6263・295111:00~21:00(20:30LO)無休1月オープン。店内にはイートインスペースも10 席あって、ランチやお茶も楽しめる。まの・ともこギフトコンシェルジュ。金沢の金箔メーカー、箔一の婚礼ライン「HAKUICHI Wedding」を監修。※『anan』2018年3月7日号より。写真・清水奈緒スタイリスト・中根美和子文・真野知子
2018年03月04日レストランジャーナリスト・犬養裕美子さんの「今日、どこで何、食べる?」。今回ご紹介するのは、『ほ志の』のフォアグラ料理です。ここ数年ですっかりスペシャリティコーヒーやクラフトビールの店が増えた下町、清澄白河。昨年11月にオープンした『ほ志の』は、地元生まれの星野直人シェフが、実家の寿司店をフレンチ割烹に衣替えしてスタート。すでに満員御礼の日が続いている。メニューを見ればその理由がすぐわかる。チーズやハーブ、香辛料を取り入れたフレンチ仕様の料理の数々。そのほとんどが千円以下というリーズナブルな下町価格だ。しかも“フォアグラ 大根 チーズ クスクス”850円、“名物ふわふわオムレツ フォアグラの鰹節”800円などフォアグラメニューが前菜、メイン、土鍋ご飯にまでズラリとラインナップ。これは都内のフレンチレストランで腕を磨き、ダイニングや居酒屋のメニュー開発の経験もある星野シェフの秘密作戦!「フォアグラの店と思ってもらえれば」と言うほどの徹底ぶりだ。写真の“フォアグラどら焼き”はバターのように消えていく舌触りのテリーヌ、キュートな甘酸っぱさの苺、コクのある黒糖を混ぜた生地とのバランスが絶妙。また、“鯵とフォアグラの炊き込みご飯”もフォアグラが適度なコクを生み出している。素材のハンガリー産フォアグラはフレンチでも使う良質なものと遜色ない。この春、フォアグラデビューしたい人、ここに集合!フォアグラどら焼き¥780(写真右)、鯵とフォアグラの炊き込みご飯¥1,400(左上)。フォアグラに合う、ワイン酵母で仕込んだ日本酒「ARROZ」90ml ¥800(左下)。ほ志の東京都江東区白河1‐4‐13TEL:03・6458・882018:00~翌2:00(1:00LO)日曜のみ18:00~24:00(23:00LO)不定休いぬかい・ゆみこレストランジャーナリスト。東京を中心に、国内外の食文化、レストラン事情をレポート。※『anan』2018年2月28日号より。写真・清水奈緒取材、文・犬養裕美子(by anan編集部)
2018年02月26日手軽に部屋のイメージを変えたいときに、ぜひ注目してほしいのが、大判のファブリック。カーテンやテーブルクロス、ベッドリネンなどを1枚投入するだけで、新鮮な風が吹いてくる。オンラインで今すぐ買えるアイテムで、気分が上がる春の模様替え、はじめてみませんか?お気に入りのファブリックに囲まれて過ごす時間は、何よりのリラックスタイム。なかでも部屋の大きな面積を覆う布ものは、手軽に部屋の空気をリフレッシュできる、インテリアの重要アイテム。「布使いを覚えると、部屋の印象はぐんと変わります。ひとつの用途だけを考えて選ぶと使える範囲が限られてしまうので、マルチカバーや多目的布がおすすめです。カーテンにしようか、テーブルクロスにしようかと楽しみが広がりますし、ベッドやソファにかけるだけでも、違った雰囲気に。1枚でいろいろな使い方ができるので、重宝するはずです」と、スタイリストの野崎未菜美さん。「今季は洋服の流行と同じく、刺繍使いやパッチワークなど、手仕事を感じさせる少し甘めなテキスタイルが人気です」複数のオンラインショップを巡って、いろいろな柄を見比べながら、衣替え感覚で春のインテリアコーディネートを楽しんでみて。Francfrancのマニリオ クッションカバーマルチ(椅子の上の花柄のクッション)Francfranc幾何学模様の花モチーフが華やかなクッションカバー。密度の高いマルチカラーの刺繍糸の光沢が上質な印象。ひとつあるだけで、ソファスペースにメリハリが生まれる。45×45cm¥4,500CORAL&TUSKのクッション(椅子の上のオレンジ色のクッション)H.P.F, MALL(H.P.DECO)春らしい鮮やかなバーミリオンカラーがポイント。リネン100%の繊細でさらりとした手触りに、刺繍で描かれたのは砂漠で生きる動物や植物。シンプルながらも個性的。40×30cm¥16,000CALICO:the ART of INDIANVILLAGE FABRICSのサリーパッチワーク多目的布(カーテン)CALICOインドの伝統的なコットンサリーを繋ぎ合わせた多目的布。赤い織り模様がアクセント。カーテンクリップで留めれば窓辺にもぴったり。ホワイト×レッド。他にホワイトも。150×220cm¥26,000椅子にかけたスロー(112×150cm)¥15,000(COOVATEL:050・3562・9039)床のボルスタークッション(W80×H38cm)¥19,000(INJIRI/H.P.DECOTEL:03・3406・0313)ピンクのボール¥60,000(Llane Alexis/PlaymountainTEL:03・5775・6747)あけびかご¥66,000(和島常男/QUICOTEL:03・5464・0912)野崎未菜美さんスタイリスト。アシスタントを経て独立。ナチュラルテイストに一さじのガーリーエッセンスを加えるスタイリングに定評がある。※『anan』2018年2月28日号より。写真・清水奈緒スタイリスト・野崎未菜美文・薮内加奈
2018年02月26日毎日使うものだからこそこだわりたいのが、暮らしの道具や日用品。スタイリストの田中美和子さんが実際に使っているお墨付きの中から、オンラインで買えるアイテムをピックアップしました。ここに登場する道具は、田中さんが実際に使っている、あるいは使ったことがあるものが多い。「使い心地が最高だったり、心を緩ませてくれたり。ポイントはそれぞれですが、私の中でいまベストだと思うものを集めました。便利か、というとそうでないものもある。たとえば、木製の台所用品は、手入れに手間がかかります。けれど使っていて心地よく、大切にしたくなる。そういうものがあると、キッチンに立つたびに嬉しい気分になれますよね。“気持ちを込めて使いたくなるかどうか”も、もの選びの基準になります」ものを買う時は、必ずお店で手に取って選びたい、と田中さん。でも、オンラインショッピングにもメリットを感じている。「何かを手に入れる時は、本当に必要かどうか考えたうえで買いたい。ネットショップを使えば、お店で感触を確かめて、一度家に帰り、じっくり考えてから買うことができる。考える時間は、いい買い物につながると思いますよ」田中さんのおすすめアイテムを購入サイトとともにご紹介します。1.ケメックスのガラスハンドルコーヒーメーカーブランディング・コーヒーアメリカの代表的コーヒーメーカー。着想源はフラスコ。「コーヒーを淹れるたび、実験しているような楽しい気分に」(田中美和子さん)。6カップ用。約φ13.5×H21cm¥11,2002.タカヒロのコーヒードリップポット 雫タカヒロ「心のコーヒーの師から『誰でもおいしくコーヒーを淹れることができるドリップポット』と聞いて購入。湯を細~く注ぐことができます」。ステンレス製で直火可。0.9L¥18,0003.デクサスの鍋敷き南海通商「五徳の形で鍋敷きを作るユーモアに惹かれ、購入しました。シャレが効いていて、好きなんです」。シリコン製で耐熱温度は240℃なので、食器洗浄乾燥機にも使える。¥1,2004.開化堂のブリキ珈琲缶開化堂「つなぎ目に合わせると、蓋がすーっと閉まっていく時の心地よさは、慌ただしい日常の中の、ほんのすこしの静かな時間。見とれてしまいます」。300g。スプーン付き。¥19,5005.ババグーリの南部鉄器のケトルヨーガンレール昔ながらの技法の鉄瓶は、仕上げに漆を使用し、使うほどに味わい深く。「ずっしりとした重みに安心感を覚えます。鉄瓶の湯で淹れるお茶は、丸みがあって優しい」。1.6L¥90,0006.ザッセンハウスのミルブラジリアブラックブランディング・コーヒーハンドルを回す時に軸がぶれずしっかりとした作りで、均一な大きさに豆を挽ける。耐久性の高い臼刃を使用。「コーヒー豆を挽いて20年。今も毎日よく働いています」。¥10,800田中美和子さんスタイリスト。ファッションのみならず、インテリア、日用品など、生活に関わるもの全般のスタイリングを手掛ける。※『anan』2018年2月28日号より。写真・清水奈緒スタイリスト・田中美和子取材、文・間宮寧子撮影協力・AWABEES
2018年02月25日「よかったときも悪かったときも、認めてくれたことを感謝したいと思っています」 2月19日、金メダル獲得後の会見で小平奈緒(31)は家族へ伝えたいことを問われこう答えた。今大会、500mで金メダル、1,000mで銀メダルに輝いた小平の母・光子さん(62)はこう語る。 「平昌に一緒に応援にきてくださった方々は、本当に喜んで頂いて、とてもありがたかったです。ただ、私にとっては、五輪でもどんな大会でも一緒。奈緒が楽しそうにスケートをしている姿をみているだけでいいんです。それは小さいときから同じです」 平昌の観客席から日の丸を身にまとう娘を観ても、光子さんが思い出すのは、ヨチヨチ歩きでスケート靴を履いて滑っていたあの日の姿だ。長野県茅野市に生まれた小平がスケートと出逢ったのは3歳のときだった。 「5歳と4歳年上のふたりの姉が小学校のスケートクラブに入ったんです。幼い奈緒を家に置いておくわけにもいかず、一緒にスケート場に連れて行ったら、ひとりで勝手に遊んでいました」 中学校では、学校でのスケート部の練習のあとに、車で1時間ほど離れた「宮田スケートクラブ」でも滑っていたという。そんな娘を光子さんは支え続けた。 「スケートクラブまでの片道50キロほどを毎日送迎していました。練習を終えて家に帰るのはいつも夜11時ごろ。それでも奈緒は、一度も弱音を吐いたことがありません。私も氷の上にいるのが楽しくて仕方がない奈緒を見ているのが楽しかった」 純粋なまでにスケートを愛する小平は高校卒業後、国立の信州大学教育学部に進学。 「大学卒業するとき、山梨県にあるスケートの強豪チームから誘いがあって、ずいぶん悩んでいましたが、長野県にとどまることを選びました。就職先がなくて、ようやく今も所属する『相澤病院』に決まるまでは、ニートになる覚悟も……」(光子さん) バンクーバー、ソチと2度の五輪出場を果たしたが、個人でのメダルには届かなかった。スポーツ紙記者が語る。 「小平が一気に世界のトップになれたのは、14年からのスケート大国のオランダでの“武者修行”が大きい。大好きな長野を離れ、食事や文化が全く異なるオランダの独り暮らしで、精神的な強さを身につけたのです」 母に支えられて追い続けたメダルを31歳でつかんだ小平。次なる夢は何なのか。光子さんはこう語る。 「(過去に教員になるという夢も語っていたが)教員免許はもっていますが、その時々で夢は変わっていっているのでしょう。将来的にはこうなりたいとか、今の時点ではそういう話はしていませんね。(結婚についても)前から“恋人はスケート”と言っていましたが、今もぶれていないようです。五輪のメダルは通過点とも話していますから、もう少し、氷の上で楽しむ姿を私に見せてくれるのかも」 ぶかぶかのスケート靴を履いていた時と同じ気持ちでーー。母は愛娘の活躍を見守り続ける。
2018年02月21日フードライター・平野紗季子さんの「MY STANDARD GOURMET」。今回は『TACOS Shop(タコスショップ)』のメキシカンタコスです。バインミーブームの次はタコスが来る。それもアメリカンタコスじゃなくて本場のメキシカンタコスだ。なんて無責任なことを言いたくなるのは吉祥寺の『タコス ショップ』と鮮烈な出合いを果たしたから。去年の冬、ハモニカ横丁の一角にオープンしたその店は、スタンディングのタコス屋だ。ふらっと入ってさくっと食べて。魅力的なバリエーションのタコスをお寿司感覚で、ナチュラルワインや燗酒と一緒に楽しめてしまう。味の要は一枚一枚手焼きするトルティーヤ。モサッと好きにはたまらない独特の食感と、マサ粉(とうもろこし粉)ならではの滋味深い香りが口いっぱいに広がって、ひゅーっとメキシコの風が吹く。店主の近藤輝太郎さんは、「なんとなくずっと気になっていた」タコスカルチャーを、現地オアハカで体験してますます惚れ込んでしまった人。「僕はナポリピザの店もやっていて、異国のソウルフードが好きなんです。現地では軽食的存在で、街のいたるところに屋台があり、昼夜問わず食べられる。そういう風景が魅力的で」。メニューはクラシックなもつ煮から白子ひじきなどの創作系まで幅広い。それぞれの味にあった新鮮なサルサソースをかけて、パクチーを散らし、ライムをギューッと搾れば「何をのせてもタコスになる」。自由なフォーマットに、気軽で奥深いおいしさ。南米ソウルフードの熱に今、浮かされている。ホルモンと白いんげん豆の煮込み¥300(奥)と、白子とひじき¥600(手前)。自家製サルサソースも数種類あり、メニューによって使い分ける。いくらでもギューッと搾ってOKな卓上ライムは、現地スタイル。東京都武蔵野市吉祥寺本町1-1-5TELなし17:00~26:00(土・日・祝日は13:00~)※営業時間は変更の可能性あり不定休営業情報はインスタグラム(@tacosshopk)を確認。ひらの・さきこ1991年生まれ。フードライター。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)。※『anan』2018年2月21日号より。写真・清水奈緒取材、文・平野紗季子(by anan編集部)
2018年02月14日スイーツライターのchicoさんがおすすめするスイーツをご紹介。今回は『PORT SINCERE(ポール・サンセール)』のレンヌです。青い海に三方を囲まれたフランス、ブルターニュ。このお菓子にはブルターニュの美しい街の名がついている。「レンヌには特に思い入れがあるんです」。そう話す細越誠シェフはレンヌの名店『ル・ダニエル』などで修業。フランスでの4年間の大半をその地で過ごした。ブルターニュの海の恵み「ゲランドの塩」といえば世界のシェフ御用達。塩を生かしたバターやキャラメルも名物。細越シェフは塩キャラメルとショコラのケーキに、大切な場所への思いをのせる。艶やかな一片を口にしたら途端に広がる、グラサージュのキャラメルの味わい。さらにミルクチョコムースとビターなショコラブリュレの豊かなカカオ感、ヘーゼルナッツの香ばしさが押し寄せる。そこに穏やかな塩気を連れてじわじわやってくる旨味の濃密なこと!それはとろり溢れる塩キャラメルソースの仕業で、ゲランドの塩が旨味の要に違いないけど、それだけじゃない。「通常のキャラメルでは砂糖を焦がしてから最後に入れる生クリームを、最初から砂糖と煮詰めるんです」。それって日本の生キャラメルに通ずる手法。クリームがぎゅっと凝縮したキャラメルは、乳味が濃く練乳みたいで優しくて。レンヌの思い出は、日本の私たちにもどこか懐かしい味だった。PORT SINCERE東京都港区芝浦3-13-9TEL:03・6809・658111:00~19:00不定休塩キャラメルとショコラ、ヘーゼルナッツがこっくりとろける、レンヌ¥537。底のヘーゼルナッツのダックワーズは、ローストした皮付きナッツを使い、さらに粗く砕いたものものせて焼いていて、たまらなく香ばしい!チコスイーツライター。大人気のガイド本『東京の本当においしいスイーツ探し』(ギャップ・ジャパン)シリーズ監修。※『anan』2018年2月14日号より。写真・清水奈緒スタイリスト・中根美和子取材、文・chico(by anan編集部)
2018年02月09日ギフトコンシェルジュ・真野知子さんの「おいしいギフト」。今回ご紹介するのは、『おむすび 百千(ももち)』の47都道府県ふる里おむすびです。東京駅構内の京葉ストリートにリニューアルオープンした『おむすび 百千』は、47都道府県のご当地メニューを取り入れたおむすび専門店。たとえば北海道なら「じゃがバター」、栃木県は「揚げ餃子」、広島県の「広島菜」、長崎県は「豚の角煮」などなど。さらにベーシックな定番メニューもあって、ショーケースの中は目移りしてしまうほど。子供も大人も迷いに迷って選びぬく、そんな楽しさもある。中でもひときわ存在感を放っていたのは、愛知県の「えび天むす」。見て、このそびえ立つえび天!まるで名古屋城のシャチホコ?そんな圧巻のルックス。口に運ぼうとして、しばし眺める。いったいどこから食べ始めよう…ガブッとシッポから?それとも…と悩んだり(笑)。京葉ストリート店限定は、山形県の「牛沢米沢牛」。米沢牛のそぼろが詰め込まれたおむすびの上部には、コマ切れの米沢牛がのせられていて、甘辛いタレが絡まって、ご飯に合う~。お米は特Aランクの長野県飯山産みゆき(コシヒカリ)「幻の米」を使用。冷めても甘みがあるのが特徴で、海苔は九州有明産の最高級海苔。それらすべてが手作り製法でふっくら&やわらかく握られている。あなたのふる里の懐かしい味が、きっと見つかるはず。左から、広島菜¥230、京葉ストリート店限定の牛沢米沢牛¥290、1番人気のえび天むす¥290。背の高いえび天むすは専用ボックスもある。おむすび 百千 京葉ストリート店東京都千代田区丸の内1-9-1JR東京駅構内1F京葉ストリートTEL:03・6268・05188:00~22:00無休JR品川駅構内などにも店舗がある。「千葉県の『めざし』もえび天に負けじとそびえたっていて、ある種のエンターテインメント性を感じます」と真野さん。まの・ともこギフトコンシェルジュ。金沢の金箔メーカー、箔一の婚礼ライン「HAKUICHI Wedding」を監修。※『anan』2018年2月7日号より。写真・清水奈緒スタイリスト・中根美和子文・真野知子(by anan編集部)
2018年02月04日歌手の中島美嘉(34)と夫でバレーボールの北京五輪日本代表の清水邦広(31)が2日に離婚したことが3日、わかった。清水が自身のツイッターを更新し、中島との連名で報告した。「この度、私たちは2月2日に離婚届けを提出しましたのでご報告させていただきます」と報告し、「2人でしっかり話し合いを続けてきた結果、別々の道という選択肢がお互いの将来のために最善であると考えました」と説明。「東京と大阪でのそれぞれの生活が多く家族としての時間を作ることが難しかったですが、これまで一緒に過ごした時間はかけがえのないものですし、感謝しています。今後もお互いに夢を追いかけ、お互いの人生を応援していきたいと思います」とつづり、「皆様これからもよろしくお願い致します」と呼びかけた。2人は、中島がバレーボールの試合を見て一目ぼれしたことをきっかけに2011年夏頃に交際を開始し、2014年に結婚した。
2018年02月03日レストランジャーナリスト・犬養裕美子さんの「今日、どこで何、食べる?」。今回ご紹介するのは、『Ode(オード)』のグレー2018年冬です。この料理を見た時のインパクトは鮮烈だった。グレーの皿にグレーの料理!グレーの色は何の素材から?と考えても、すぐにはわからない。「青魚の頭と骨と、アンチョビなどをミキサーにかけると灰色になります。これに竹炭を少し加えて色を調整して、泡立てた卵白を合わせて焼くと、サクサクしたグレーのメレンゲができるんです」昨年秋に独立して、センスある店づくりと料理でたちまち話題をさらった『オード』の生井祐介シェフ。なかでもこの料理は、初めてのゲストには必ず出される。「何か印象的な青魚の前菜をと考えていたんですが、偶然この形に仕上がった。とても評判がよくて」。メレンゲの色とアイデアも面白いが、その下にはさまざまなアイテムが折り重なっている。ローストしたレモンのクリームを敷き、ローズマリーの花と牛肉、ローズマリーの香りでスモークをかけたイワシ、黒ニンニクのマヨネーズ、フヌイユのサラダ、ポワローのピクルス、そしてメレンゲ…。どの部分をすくうかによって、味わいも香りも異なる。さわやかな酸味、青っぽいハーブの香り、コクのある牛肉、香ばしい青魚。旨味が凝縮したメレンゲのはかなげな食感もエレガント。身も心もグレーに染まる気がして、斬新です!メレンゲの下にはイワシ、牛肉、フヌイユのサラダが隠れている。ランチのコース¥6,000、ディナー¥13,000の中の前菜として、季節ごとに青魚を替えて登場する。東京都渋谷区広尾5‐1‐32 ST広尾2FTEL:03・6447・7480ランチ12:00~13:00LO 、ディナー18:00~21:00LO日・祝日休いぬかい・ゆみこレストランジャーナリスト。東京を中心に、国内外の食文化、レストラン事情をレポート。※『anan』2018年1月31日号より。写真・清水奈緒取材、文・犬養裕美子(by anan編集部)
2018年01月30日フードライター・平野紗季子さんの「MY STANDARD GOURMET」。今回は『M.Santa(エム サンタ)』の全粒粉ミートパイ「黒毛和牛のパテ」です。パイの実から高級フレンチのパイ包み焼まで。パイと名のつく食べ物は押しなべて人を幸せにするものだけど、『エム サンタ』のパイはちょっと特別だ。「ひとつのものを徹底的に追究したいんです」と、ご店主の三田真穂さん。数々の名パティスリーで経験を積んだ彼女がオープンさせたのは、パイの専門店だった。ミートパイに、アップルパイに、ミルフィーユ。小さな店内には様々なパイがずらりと並び、焼きたての豊かな香りが立ち込める。かじればわかるのは圧倒的なパイのクオリティ。「とにかく店で粉を挽きたかったんです」と言う全粒粉のパイ生地は、香ばしさの彩度が違う。鮮やかに広がるその香りは、発酵バターのコクと連れ立って豊かな味わいを醸し出すが、それでいて重たさは皆無。その妙は、繊細な温度管理で丁寧かつ迅速に仕上げる技術ゆえ。もちろん素晴らしいパイ生地には素晴らしい具材が伴走。ミートパイ「黒毛和牛のパテ」など、その本格の味わいにひれ伏したくなる。黒毛和牛を100%使用した逸品は、肉の旨味が直球で飛び込んでくるのだ。「素材の力を引き出すために、シンプルな味わいを追求しています。だからうちのアップルパイにはシナモンはいれません。その方がりんごの香りを楽しめる」。パイの持つ幸福なイメージに甘んじず、自分を信じて美味しさの核心をまっすぐに射ぬき続ける人が、そこにいる。ひらの・さきこ1991年生まれ。フードライター。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)。M.Santa東京都世田谷区玉川2-1-16TEL:03・5797・915310:00~18:00月曜(祝日の場合は翌火曜)、第1火曜休イートインあり。三田さんのご実家であるsantaふぁーむの黒毛和牛を100%使用した信頼と極上のミートパイ「黒毛和牛のパテ」¥650(手前)。国産りんごが華やかに香るアップルパイ「ポム」¥480(奥右)、じゃがいものグラタンをこんがり焼き上げた「ドフィノワ」¥350(奥左)など、食事からスイーツまで様々なパイが並ぶ。※『anan』2018年1月24日号より。写真・清水奈緒取材、文・平野紗季子(by anan編集部)
2018年01月21日いつの世も私たちを魅了してやまない媚薬のようなお菓子、チョコレート。今回は、詩人・最果タヒさんに自分用のとっておきと贈り物にしたいひと品を、たっぷりのチョコレート愛とともに披露してもらいました。本能?刺激を求めて?チョコ愛は謎に包まれて。チョコレートほど「どうして好きなのかわからない」食べ物もない。いつの間にか好きになっていたし、いつの間にか欠かせない存在となっていた。カカオが刺激物と聞いて、妙に納得もしてしまった。私より、私の身体が、本能的な部分が、チョコレートを愛しているのだろうなと思う。けれど、私は本能だけで生きているわけでもないから、できればそうした刺激以外でも、私に何か強い印象を残してくれるチョコを求めている。どうして好きなのだろう、といつまでも疑問に思うのはなんだか虚しく、一瞬の刺激だけではなく、もっと文脈を持ったチョコレートの楽しみ方をしたい。それは、とても矛盾しているのだけれど、意外であって王道の、複雑であって単純にも飲み込めるチョコレート。私にはそれが理想です。『テオブロマ』の「アントニオ」は、バジルの香りのするチョコレート。申し訳程度の「…バジル」ではなく、極めてそれは「バジル!」で、けれどどこまでもチョコレートでもある。むしろバジルの存在が強烈であるため、チョコレートの刺激的な要素が際立ち、より濃いチョコレートを食べた気がするんだ。ミュゼ・ドゥ・ショコラテオブロマアントニオ1粒¥290土屋公二シェフを代表するショコラのひとつ。他のボンボンとのセットでオンラインでも購入可能。●渋谷本店/東京都渋谷区富ヶ谷1-14-9グリーンコアL渋谷1FTEL:03・5790・2181また、私にとって『ジャン=ポール・エヴァン』はもはやアイドル的存在で、チョコレートのまさしく真ん中(それは決してベーシックという意味ではなくて、これぞと誰もがイメージする理想という意味)だと思う。特に「サフィル」は誰が食べても新鮮に美味しいと思えるチョコだと思います。ジャン=ポール・エヴァンサフィル¥314薄焼き生地にアーモンドとヘーゼルナッツを合わせ、ミルクチョコレートでコーティング。他のボンボンとのセットで、オンラインでも購入可能。●伊勢丹新宿本店/東京都新宿区新宿3-14-1伊勢丹新宿本店B1TEL:03・3352・1111(代)さいはて・たひ1986年生まれ。中原中也賞・現代詩花椿賞などを受賞。詩集『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(リトル・モア)が、石井裕也監督により映画化された。その他エッセイ集、小説など著書多数。※『anan』2018年1月17日号より。写真・清水奈緒スタイリスト・堀江直子文・最果タヒ(by anan編集部)
2018年01月17日スイーツライターのchicoさんがおススメのギフトをご紹介。今回は『廚(くりや)otona くろぎ』のくろぎサンドです。なんて品の良い佇まいのホットサンドだろう。独特なフォルムは見覚えがあった。和食の名店『くろぎ』のロゴマークだ。そう、これは昨年11月オープンのカフェ&バー『廚 otona くろぎ』で早くも評判を呼んでいる、その名も「くろぎサンド」。フィリングをパンに挟んだら、型を使い練り切りの要領でグイッと抜くのも、和菓子店もやっているこちららしい。そもそも焼くとカリッとする水分量のパンを特注しているが、このやり方で抜くと、空気が押し出されてさらにクリスピーに感じられる。香ばしく焼かれたパンからとろりと溢れる餡バターや抹茶クリームチーズもまたひと味違った。柔らかな甘さにほのかな塩気が心地よく、独特の旨味がじんわり舌に染み渡るよう。ヒミツは餡に醤油(抹茶餡には塩)が入っていること。「和食のさしすせそ」がちゃんと息づく甘味は、甘じょっぱさが後を引き、コーヒーを片手に朝食がわりやおやつにいただくのはもちろん、お酒のアテにするのもいい。なにしろお店は朝7時から深夜2時までずっとやっていて、猿田彦珈琲とコラボした和菓子に合うコーヒー「絹ゆらぎ」から、珍しい焼酎や日本酒まで完備。一日中いつだって焼きたてのホットサンドが、ゆるりとしたひと時を運んでくれる。カリ、ふわ、まったりの軽い口どけと、甘じょっぱさがクセになる、くろぎサンド(右・餡バター、左・抹茶クリームチーズ)各¥600。イートインは2個セットで¥1,100。廚 otona くろぎ東京都台東区上野3‐24‐6パルコヤ上野1FTEL:03・6284・27967:00~翌2:00無休(施設に準ずる)チコスイーツライター。大人気のガイド本『東京の本当においしいスイーツ探し』(ギャップ・ジャパン)シリーズ監修。※『anan』2018年1月17日号より。写真・清水奈緒スタイリスト・中根美和子取材、文・chico(by anan編集部)
2018年01月13日今回、スイーツライター・chicoさんが紹介してくれるのは、いつの世も私たちを魅了してやまない媚薬のようなお菓子、チョコレート。自分用のとっておきと贈り物にしたいひと品を、たっぷりのチョコレート愛とともに披露してもらいました。創造性が詰まった小宇宙。胸躍るひと粒を楽しみに。スイーツ専門のライターとして仕事を始めたばかりの頃。チョコレートとはかくも香り高く、深い味わいに満ちたものなのかと衝撃を受けたのが、『ラ・メゾン・デュ・ショコラ』のチョコレートでした。とりわけ印象深く、今でも大好きなのが、ロシェ。香ばしいナッツと濃厚なプラリネ。パリッ、カリッ、まったり、の食感の取り合わせに、ほのかな塩気と甘み。絶妙なバランスとはこういうことだと、口にするたびに思います。ボンボンのロシェも好きですが、直径4cmはあろうかという「ブシェ ロシェ」は、テンションの上がるとっておき。ひときわ仕事を頑張ったときに、ミルクと一緒にいただきます。ラ・メゾン・デュ・ショコラブシェ ロシェ レ¥575通常のボンボンの4~5倍の大きさ。ほかにダークチョコレートを使ったブシェ ロシェノアールも。●丸の内店/東京都千代田区丸の内3-4-1新国際ビル1FTEL:03・3201・6006秋冬の新作発表時期に毎年楽しみにしているもののひとつが、小山進シェフのボックス。とくに「エスコヤマ インターナショナルチョコレートアワード」は、京都に生まれ、本物の和の食材に触れて育った小山シェフならではの、斬新なおいしさに満ちています。新作も、濃厚な堅豆腐の味噌漬けの燻製や柚子酒などの和素材とチョコレートの、緻密に計算されたマリアージュ。この驚きを体験してほしくて、贈り物にしたくなるのです。チョコレートは、こうしてワインのように繊細な味わいの違いを楽しめるものですが、一方で誰もが子どもの頃から親しんできた身近なお菓子でもあります。懐が深く、あらゆる人を笑顔にできる。それが、チョコレートの最大の魅力だと思います。パティシエ エス コヤマSUSUMU KOYAMAʼS CREATION INTERNATIONAL CHOCOLATE AWARDS2017¥1,620国際的なチョコレートコンクールで高評価を受けたボンボンから、「味噌漬けスモーク豆腐」「柚子酒」「カシス畑の1日」「プーアル茶」の4粒をセットに。オンラインでも購入可能。●兵庫県三田市ゆりのき台5-32-1TEL:079・564・3192チコ各ジャンルのお菓子に精通。本誌連載「Food news」で「chicoのお菓子な宝物」を担当するなど女性誌を中心に活躍。共著に『東京最高のパティスリー』(ぴあ)。※『anan』2018年1月17日号より。写真・清水奈緒スタイリスト・堀江直子文・新田草子(by anan編集部)
2018年01月11日媚薬のようなお菓子、チョコレート。食べても贈っても、幸せを運んでくれる“とっておき”を、ライター・トミヤマユキコさんに紹介していただきました。高級だけれどさりげない。甘く小さな幸福のタネ。お腹がいっぱいになるわけではないのに、たったひと粒で幸せになれる。チョコレートの魅力は、その「ひと口あたりの幸福含有量の高さ」にあると思います。この小さな幸福を求め、チョコレートに関してだけは己にちょっとした贅沢を許しています。普段も何かしらバッグに入れているのですが、ポータブルなチョコで好みのものがなかなか見つかりませんでした。けれどあるとき、紀ノ国屋で『ゴディバ』の「パールミルク」を発見。小さな缶入りで持ち運びやすいうえに高級感があって、なんといってもベルギーの名ブランド『ゴディバ』ですから味は間違いなし。これは理想的!とすぐに購入し、それから定番に。ひと粒が小さいので食べる量をコントロールしやすいし、容器がミントタブレットサイズなので、仕事先で食べてもおやつだとばれにくい点も気に入っています(笑)。ゴディバパールミルク¥723(税込み)ベルギーを代表するチョコレートブランド。口に含むとさらりと溶ける真珠のような粒状のチョコレートは、ほかにダーク、ミントなど全4種。全国に約290ある店舗のほか、オンラインで購入可能。●ゴディバジャパンTEL:0120・116811贈り物には、珍しいチョコレートや、1店舗しかないお店のものを選ぶことが多いです。『クラフトチョコレートワークス』は散歩中にたまたま見つけた、ビーントゥバーの専門店。もはやカウンセリングといえるほど接客が丁寧で、初めて訪れたときも、お酒好きの私にぴったりの一枚を選んでくれました。以来よく利用していて、贈る相手にどんなチョコレートが合うか相談することも。一枚一枚に物語があり、包装も素敵。男女を問わず差し上げやすいお菓子です。クラフトチョコレートワークスエクストラカカオ¥1,400(税込み)ローストしたナッツを思わせる香りとほのかな甘みが特徴の、カカオ分85%のチョコレートバー。このほか常時10数種類のバーが揃い、いずれもオンラインでも購入可能。●東京都世田谷区池尻2-7-4TEL:03・5787・6528トミヤマユキコさん早稲田大学文化構想学部助教として、少女マンガ研究を中心としたサブカルチャー関連の講義を行う。著書に『パンケーキ・ノート おいしいパンケーキ案内100』(リトル・モア)ほか。※『anan』2018年1月17日号より。写真・清水奈緒スタイリスト・堀江直子文・新田草子(by anan編集部)
2018年01月11日食べてうれしい、贈って幸せ。あの人が愛するチョコレート。今回は、文筆家・甲斐みのりさんに、オススメの2つのチョコとともに、溢れんばかりの“チョコ愛”を語っていただきました。ひいきにしたいのは、すべてがチャーミングな一箱。台所の一角に、チョコレート用の籠がある。板チョコ、球体、動物型、宝石のようなもの。そのときどきで種類は違うけれど、ほぼ空になったことがない。仕事に出る前にのぞき込み、“今日はこれ”と、ポケットに差し入れる。私のお腹は隙間が余すほどあるのか、人前でよくグーと鳴る。それをどうにか治めるため、チョコレートを持ち歩くようになった。道を歩きながら。信号待ちや駅のホームで。行儀が悪いことを気にして人に見られぬよう、こっそりと口へ運ぶ。そうして何事もない顔で、甘い塊を少しずつ溶かす。張り詰めた緊張を和らげてくれるのもチョコレート。もう何年も仕事の相棒で、頼もしい縁の下の力持ち。日頃ひっそり付き合う分、家の中では堂々と。時間をかけて目と舌で味わう。チョコレート選びの基準は複数あり、その一つが愛らしい箱。箱がいいと味もいい。手をかけ仕上げた我が子を、見目好く飾り送り出すのも職人愛。6種のチョコレートが“おうちBOX”に入った、鎌倉『ショコラテ ロミ・ユニ』の「おやつチョコ」は、自分用のとっておき。甘さも酸味もほろ苦さも身体中に染み渡り、見慣れた景色が麗らかに色づく。ショコラテ ロミ・ユニオランジェット¥790シトロネット¥790おうちBOX入りはこの2種のほか、「コロコロ」など全6種。4箱入り、6箱入りのセットも。『ロミ・ユニ コンフィチュール』『メゾンロミ・ユニ』でも販売。3月下旬まで。オンラインでも購入可能。●神奈川県鎌倉市西御門2-1-14TEL:0467・38・7071大切な人への贈り物に選びたいのは、ホワイトとミルクのチョコクリームが可憐に結びつく冷菓、夙川『エルベラン』の「生チョコふたつ」。コロンとまるく優しい気持ちを、うっとりするほどなめらかな口溶けに託して。エルベラン生チョコふたつ「金のはちみつ」 5個との10個入りセットで¥1,150(税込み)フランス・ヴァローナ社のチョコレートを生クリームで練り上げた、口溶けの良い2色のクリームをボール状に。オンラインでは、タスマニア産のはちみつを使ったお菓子「金のはちみつ」とのセットで購入可能。冷凍商品。●兵庫県西宮市相生町7-12TEL:0120・440・380かい・みのり旅や散歩、お菓子、雑貨と暮らしなどをテーマに、書籍や雑誌で執筆。歌手・声優の中島愛さんとの共著『音楽が教えてくれたこと』(ミルブックス)が、今月末に発刊予定。※『anan』2018年1月17日号より。写真・清水奈緒スタイリスト・堀江直子文・甲斐みのり(by anan編集部)
2018年01月10日猫好きにとってはブームであろうがなかろうが、猫は無条件に愛おしい存在。自分の飼い猫はもちろん、よその家の猫や野良猫でも、姿を見ればついカメラを向けてしまう…。そんな猫好きの心をくすぐる一冊が『猫の撮リセツ』。「猫は宇宙一かわいい」がもはや口癖というフォトグラファー、清水奈緒さん初の著書だ。「世の中にはさまざまな猫の本や写真集があるのに、猫の撮り方のおしゃれな実用書はない。あれば楽しいのに…とずっと思っていたんです」そんな長年の秘めた思いから生まれた本書のテーマは、“飾りたくなる猫の写真を撮ること”。「猫って姿もしぐさもすごく絵になるんです(笑)。だから、日々の記録やSNS用にスマホでラフに撮るだけじゃなく、せっかくならちゃんと撮って部屋に飾ってほしいなと」この本にはそのためのアイデアがぎっしり。雑誌や書籍でおしゃれな猫写真をたくさん撮ってきた清水さんのテクニックを、マニアックなまでに余すところなく紹介している。「飼い猫を撮るのは基本的には家の中。必ずしも好条件ばかりではありません。でも、おしゃれで片付いた空間じゃなくても、工夫次第でフォトジェニックな写真は撮れます。今回は実例を挙げていろんな提案をしていますが、まずトライしてみてほしいのが、高い場所にいる猫を下から見上げる構図。背景となる天井は白がほとんどですし、情報量を減らせるのですっきりと見せられます。あとは、ペンなどをゆっくり動かして目線をもらうワザもおすすめ。首を傾げたり、いい表情が撮れるはず」まさに猫を飼っている人はすぐに試したくなるアイデアが満載だが、ページをめくるごとに目に飛び込んでくるのは、思わずキュンとする猫たちの愛らしい姿や表情。猫を飼っていない人にとっても、写真集として十分楽しめる内容に。いや、むしろ愛猫とフォトセッションをするような幸せな暮らしを夢想して、身悶えすることになるかも!?しみず・なお写真家。京都市生まれ。同志社大学文学部英文科卒業。シカゴ美術学院で写真の基礎を学び、大阪で内池秀人氏に師事。現在は東京を拠点に雑誌、書籍等で活動。愛猫デコと暮らす。飾りたくなる猫写真を撮るテクニックを、かわいい実例写真とイラストとともに紹介。猫好きは必見の、おしゃれで使える一冊。エクスナレッジ1500円本書の写真から。2枚目・首傾げポーズはペンで興味をひきつつ撮影。3枚目・高い所が好きな猫の習性を生かして下から撮影。覗き込む顔にはドヤ感も。※『anan』2018年1月3・10日号より。写真・清水奈緒文・野尻和代(by anan編集部)
2018年01月04日ギフトコンシェルジュの真野知子さんがおすすめするギフトをご紹介。今回は『山壽杉本商店』のティーバッグです。2018年の干支は戌。こま犬のイラストと紅白カラーで、新年のめでたさ満載のこのルックス。まずはそこにひと目惚れ。かわいくないですか?お菓子が入ってそうな佇まいだけど、中身は日本茶。ティーバッグの持ち手が猫のシルエット型や力士に侍など、ユニークなデザインで人気の『山壽杉本商店』の、干支をパッケージモチーフに使用したシリーズ。左のお守り型と右のプチ缶は緑茶のギフト。手前は、正方形の袋3つを束にして紐で縛ったコンパクトな「ひと揃え」。そのパッケージには熨斗紙のように、こま犬柄の紙が袋の上から巻いてあり、いちいち丁寧なのだ。お茶の淹れ方の説明書まで付いている。袋を開けてみると、ティーバッグが1つだけ!なんという心の配りよう。そんないたれりつくせりの仕様に好感度がさらにアップする。こちらの茶葉は抹茶入りの玄米茶と丁寧に焙煎された緑茶、香ばしほうじ胡麻ほうじティーバッグがセットになっている。焙煎黒胡麻を加えられたほうじ茶は香り立つ味わいで、焙煎した黒胡麻に一番茶のみを使った浅炒り棒、浅炒りと深炒りの茶葉がブレンドされている。日本のお正月にはやっぱり日本らしいものがふさわしい。親戚や友人、職場の方へのお年賀や新年のご挨拶ギフトにいかが?奥左・戌年お年賀 お守り型ティーバッグ(7個入り)¥750奥右・プチ缶ティーバッグ(5個入り)¥750手前・茶ひと揃え(3個入り)¥620山壽杉本商店静岡県静岡市葵区錦町19 静岡県産の高級茶の一番茶をたっぷり詰め込んだティーバッグ。『東急ハンズ』新宿店4階ほかで取り扱い。まの・ともこギフトコンシェルジュ。金沢の金箔メーカー、箔一の婚礼ライン「HAKUICHI Wedding」を監修。※『anan』2018年1月3・10日号より。写真・清水奈緒スタイリスト・中根美和子文・真野知子
2017年12月31日レストランジャーナリスト・犬養裕美子さんの「今日、どこで何、食べる?」。今回は『l ’intemporel(ランタンポレル)』の鹿のロティ 杏のソースです。いよいよジビエ料理のシーズン到来。ジビエは今や特別な素材ではない。フレンチやイタリアンのレストランでは定番の季節メニュー。とはいえ、ジビエは扱いがなかなか難しい素材で、どこで、どんな方法で仕留められたのかを理解し料理する、スペシャリストとしての知識と技術、そして経験が重要になる。11月にオープンしたばかりの外苑前『ランタンポレル』の内藤和敏シェフは、長野県生まれのベテラン。蓼科高原にいたときはシーズンになると猟に同行していたので、今でもその季節には「気持ちがざわつく」という。「好きな組み合わせは、鹿と杏」。杏は信州ならではのフルーツだから、信州の野山を走る鹿は食べているはず。「ジビエはシンプルにロティ(フランス語で“ロースト”に相当)するのがいちばん。ソースはその動物が食べている木の実や果物を使うというのがセオリーだと思う」。見て、見て!鹿のヒレの清らかな肉質を。ナイフを入れるとスーッと切れて、ドリップもない。キノコとゴボウのつけ合わせからほんのりと立ち上る土の香り!杏、エシャロットをバターで炒めてたっぷりのブランデーで仕上げる甘いソースがよく合うこと。鹿のフィレがまた、赤身ならではのすっきりした後味。これぞジビエ・ド・ジャポネ。未体験の方、絶対に挑戦してみて!コースは選ぶ料理の値段の合計によって金額が異なる。肉料理はプラス¥3,500。この料理は3月いっぱいまで。注文の際は5日前までに予約を。l’intemporel東京都港区南青山4-9-3VIVRE AOYAMA 1FTEL:03・5413・5750ランチ12:00~15:00、ディナー18:00~23:00月曜休コースの値段は¥3,800から¥15,000。いぬかい・ゆみこレストランジャーナリスト。東京を中心に、国内外の食文化、レストラン事情をレポート。※『anan』2017年12月27日号より。写真・清水奈緒取材、文・犬養裕美子(by anan編集部)
2017年12月20日フードライター・平野紗季子さんの「MY STANDARD GOURMET」。今回は『si.si.Nibotan(シシニボタン)』のにぼたんです。「新しい御馳走の発見は人類の幸福にとって天体の発見以上のものである」というのはあまりに手垢のついたブリア・サヴァランの名言だが、それでもやはり新しい味とその発見者の存在は尊い。昨今、“熟成肉”という美味を世に知らしめた『カルネヤ』の高山いさ己シェフが新たに生みだしたのは、にぼしのパスタだ。にぼし×パスタ…と聞けば、一見おかんの創作料理的な危うさを感じてしまうが、そこはプロ中のプロ。高山氏ならではの技術と論理によって完璧な味となる。そんなにぼしパスタ=通称にぼたんの専門店『シシニボタン』が日本橋にオープンしたのは10月末。食券機とカウンターから成る空間こそ見慣れた街のパスタ屋だが、そこで現れるにぼたんはあまりにオリジナルだ。「にぼしは旨味の塊。チーズの感覚でパスタと和えたとき、これはいけると確信しました」と高山氏。にぼしフレークとバターが絡まり旨味が炸裂する太麺のパスタは、唯一無二の新しさと普遍的な美味しさを兼ね備えた最強の食べ物だ。更に特筆すべきは食べ終わりの軽やかさ。「ソースに柑橘を忍ばせています。にぼしの酸が分解されて、胃に重くならないんですよ」。あらゆる要因で胃にズシっとくるのがパスタランチの宿命だと思っていたのに、この後味はささやかな革命だ。にぼたんの登場以降、界隈企業の午後の生産性は軒並み上昇している。かもしれない。にぼたん(中)¥850。うずらの卵、岩海苔、赤タマネギ、それから燻製パプリカパウダー(高山氏いわく“万能パウダー”)をまとわせた低温調理の焼き豚らがパスタを賑やかす。卓上にオイルとともに置かれた煮干しのペペロンチーノ炒めは、料理が来るまでの間、スナック感覚でつまむこともできる。si.si.Nibotan東京都中央区日本橋小舟町4‐9TEL:なし10:30 ~15:30(土曜11:00~15:00)日・祝日休店舗情報はInstagram(@si.si.nibotan)参照。ひらの・さきこ1991年生まれ。フードライター。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)。※『anan』2017年12月20日号より。写真・清水奈緒取材、文・平野紗季子(by anan編集部)
2017年12月19日