最近、新聞やテレビなどの報道で「教育虐待」が取り上げられ、特に中学受験をする子供の話として、注目を集めています。しかし、どの年齢の子供にも起きる可能性があるとも言われています。筆者も子供を中学受験させた経験者ですが、「教育虐待をしていたかも」という方の話を元に「教育虐待」について考えてみました。■ 教育虐待って一体どういうこと?makaron* / PIXTA(ピクスタ)最近は中学受験が盛んで「塾以外で過度に両親のいずれかが勉強を押し付ける」現象が起きています。これが「教育虐待」になりやすいとも言われています。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)また、中学受験に関する本も多く出版されていて、中でも「親の力が9割」という内容の本が多く出ていますが、「親がリードしなければ、子供の将来はダメになる」と誤解してしまう親もいるのでしょう。今回、ご近所に住んでいた方で「中学受験」がらみで離婚にまで発展した母親と連絡を取ることができ、実際にあった「教育虐待」について話を聞きました。■ 教育虐待は母親がしてしまうケースもあるNOV / PIXTA(ピクスタ)夫婦共働きで母親はウェブデザイナーとして在宅で仕事をしていて、父親は会社員というご家庭でした。近くに引越したのを機に仲良くさせていただいたのですが、子供3人全員を将来中学受験させるという方針のご家庭で、お付き合いに少し困りました。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)子供3人が全員とも幼稚園年長時から地元の小さな塾に通い、スイミングや習字、体操、空手と塾以外にもたくさんの習い事をしていました。筆者の子供とスイミングスクールが一緒で同じ時間帯に授業があり、しきりに「中学受験」について話をしてくるので、少し距離をおいた時期もあります。■ その家庭で起きた教育虐待の連鎖あんみつ姫 / PIXTA(ピクスタ)その後、年齢順に有名中学受験専門塾に通わせるようになり、会うたびに「有名校に3人とも通わせる」と話していました。ひとり目の子は中学受験をしましたが、全て不合格で地元の公立中学に通わせました。ふたり目の子は、上の子の様子を反面教師にしたのか、母親の目を気にしながらも、塾で上位クラスにいるように勉強をしていました。しかし、少しでも順位が下がれば、母親が「どうしてできないの!」と怒鳴り、必要以上にドリルをするようにしました。Graphs / PIXTA(ピクスタ)ふたり目の子供は、母親も満足する超難関校に合格し、その他の学校にも合格したのですが、母親が一番気に入った学校へ入学しました。一番下の子で、ついに問題が起きました。ふたり目の子と同じ学校への受験を考えて、中学受験の準備に入りました。成績は一時よかったものの、成績が落ち始めました。過度に独自のドリルをさせたり「なぜできないの!」としつこく説教したり勉強を強いるようになりました。父親が止めても、父親に「私にまかせて!」と怒鳴るようになったといいます。さらに成績が落ちることにもつながったのです。■ ついに子供の体に異変が…OrangeMoon / PIXTA(ピクスタ)ある日、母親が子供たちを起こしにいくと、一番下の子が激しい腹痛を起こしていて、慌てて病院に連れていきました。検査の結果、特に異常はなく、医師から「何か学校や習い事でつらそうにしているとかありますか?」と聞かれたそうです。母親は黙っていましたが、父親から「実は妻が子供に中学受験の勉強をきつくさせていた」と話し、医師から注意を受けることになりました。親から教育虐待を受けると、場合によっては「助けて!」という心の叫びとして、体の症状として出てくることもあるようです。医師からは強く「教育で子供を追いつめてどうするの?」とお叱りも受けたとか。その子供は「塾は嫌い。ママもパパも嫌い。勉強はいや」と泣きながら訴えて、母親は「教育で虐待をしていた」と気づき、父親も止めなかった自分を責め、中学受験をやめる決心をしました。このことで夫婦間の溝が生まれて離婚されたのですが、「自分の学歴コンプレックスから子供を苦しめた」と話していました。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)その母親が「こういう傾向の人が教育虐待をしやすいのでは」話してくれました。1.両親のどちらかに学歴コンプレックスがある2.父親もしくは母親の卒業校に通わせたいという強い希望がある3.共働きで金銭的余裕があるので、教育に力を入れたい4.両親ともに高学歴すべての家庭に当てはまるとはいいきれませんが、父親が教育虐待をしているケースも多いと教えてくれました。■ まとめmaroke / PIXTA(ピクスタ)最近は早期教育が盛んですが、教育虐待の始まりになっている可能性も少なくありません。高校や大学への進学後も、教育虐待によって心の傷を負っている子もいるようです。「子供には苦労させたくない」という考えの家庭は多く、教育方針が厳しい家庭は見かけます。しかし、ひとつ間違えると、家庭崩壊へ繋がります。親が歩んだ人生と、子供の歩む人生は違います。「子供が自分で将来を決めて進む」ということを大切にしながら、子供と接していきたいものです。
2019年07月30日最近、「ユーチューバー」や「インスタグラマー」など、一昔前までは耳にしなかった新しい職業が続々と誕生しています。イマドキの小学生の将来の夢は、どんなふうに変化しているのでしょうか。株式会社クラレが行った小学6年生の「将来就きたい職業」と、親が思う「就いてほしい職業」の調査結果をご紹介します!■ 「就きたい職業」はどう変わった?注目のランキング結果!2019年3月に小学校を卒業した子どもを対象に、「将来就きたい職業」を尋ねた結果がこちら。男の子は1位が「スポーツ選手」(18.0%)、2位が「研究者」(7.2%)、3位が「医師」(5.2%)。女の子は1位が「教員」(6.9%)、2位が「保育士」(6.7%)、3位が「看護師」(6.4%)でした。MakiEni / PIXTA(ピクスタ)ぱっと見ると、やはり子どもらしい回答結果だなあという気もします。しかし、よく見ていくと、最近の世の中の動きを子どもが敏感に感じ取っている様子が浮かび上がってきました。さて、一体それはどういう点なのでしょうか。男の子と女の子、それぞれについて詳しくみていきましょう!■ 男の子の1位には最新の職業が含まれている!男の子の方で注目したいのは、1位のスポーツ選手の競技内容です。「サッカー選手」や「野球選手」など、定番の職業が多く票を獲得する中で、今年初めて「eスポーツ選手」に票が入りました。eスポーツの正式名称は「エレクトロニック・スポーツ」。オンラインなどで複数の人と一緒に行う対戦型スポーツゲームのことです。あんころもち / PIXTA(ピクスタ)国内でもプロリーグが発足し、10月には全国初の都道府県対抗eスポーツ大会が開催される予定で、まさにこれからどんどん注目度が上がる職業です。また、4位には「ゲームクリエイター」(4.7%)、5位には「エンジニア」(4.7%)もランクイン。6位の「大工・職人」(3.9%)は、ブロックを積み上げて仮想空間を設計・建築するゲームが発売された影響からか、昨年度の16位から大幅に人気がアップ。このことから、IT系の職業への注目度の高さが伺えます。■ 女の子のランキングは大変動。その理由はあのニュース!女の子のランキングでは、定番ともいえる人気の職業がずらりと並んでいます。しかし、実は9位の「医師」(3.8%)は昨年度1位だった職業です。Mugimaki / PIXTA(ピクスタ)人気が急降下した理由は、おそらく、2018年に発覚した医学部の不正入試問題でしょう。複数の医学部で、女子に不利な条件で入試が行われていたことが明らかになり、大きな社会問題となりました。受験生はもちろん、将来医師を志していた小学生の女の子にとっても、きっと大きなショックだったことでしょう。この騒動を受け、受験方法を見直した一部の医学部では、今年、女子の合格率が男子を上回ったところもあったそうです。今後、すべての大学で公平な入試が行われることを願ってやみません。■ 保護者が「就いてほしい」職業とは?新しい職業の登場や、時代の流れに、保護者はどんな思いなのでしょうか。親が子どもに就いて欲しい職業のランキングがこちら。男の子は1位が「公務員」(13.1%)、2位が「会社員」(8.1%)、3位が「研究者」(7.3%)となりました。女の子は1位が「看護師」(12.5%)、2位が「医療関係」(7.5%)、3位が「薬剤師」(7.2%)でした。男の子には“安定した職業”を求める声が強く、また、女の子には子育てをしながら働き続けられる“専門職”が上位を占め、どちらも親心が反映される結果となりました。8×10 / PIXTA(ピクスタ)技術の発展が目覚ましい今、新しい職業の開拓や、起業のチャンスもこれまで以上に恵まれた環境となっていくかもしれません。ニュースや新聞で世の中の動きをチェックしながら、親子で将来の夢について語り合うのも良さそうですね!【参考】小学6年生の「将来就きたい職業」男の子1位「スポーツ選手」~競技に“eスポーツ”が初登場女の子1位「教員」~「医師」は順位落とす
2019年07月15日およそ半年間。ふり返って見るとあっという間でしたが、とにかく濃厚な半年間でした。家庭の事情とはいえ、塾にほぼ通わず自宅での学習のみで受験を突破する…。なかなか無謀な選択だったと思います。ここまでの記事にも書いた通り、塾に行かなかった分かなりの苦労をしました。悔しい思いも歯がゆい思いもしました。…僕も長女も、そして嫁さんも次女も家族全員をも巻き込んで負の感情の連鎖が家中を巡った時もありました。でも、様々な試行錯誤をしながらそれらを無事に乗り越え…受験もどうにか突破することができました。困難を乗り越えるたびに長女は成長していっているなぁと、親ながらに思うこともしばしば。そんな中、僕のそばを離れてひとり強く歩んでいく長女の姿を何度も目にしました。それこそ小さな頃は気が弱く、人一倍泣き虫だった長女。何かと目が離せなかったので、どちらかというと我が家は子どもとの距離が近い育児…過剰育児とも言える状況だったかもしれません。しかし…そんなすぐに泣いていた長女の姿はもうありません。12才。もう子どもの時間よりも、大人になっていく時間の方が増えていく年ごろ。ここまでかなり寄り添った育児・教育をしてきましたが、そろそろ距離を置きながら成長を見守る時が来たのかもしれません。寂しくないか?と、聞かれたらそれはもちろん寂しいです。だけど…これからは…。これからは少しづつ、僕の支えがなくても自分で考えて行動出来るようになって行くのだと思います。きっとこうやって子どもは親離れして独り立ちしていくんですよね。その姿をこうやって見送るのは寂しいけれど…寂しいけれど!親としてしっかりと見守ろうと!!娘がこうやって親離れをするように、僕も子離れしていかないと!!!…と。そういった関わり方にシフトしていかないとなあと思いました。まぁ…危ういと思った時はいつでも表に出戻りますけどね( ̄ー ̄)距離感を絶えず気にしながら関わっていこうと思います。(実は中学受験はまだ序盤、本当に大変だったのは入学してからだったのです(笑))それでは、長女さんお疲れさまでした。そして、ここまでこの中学受験シリーズを読んで下さった皆様ありがとうございました!次回は一旦統括を挟み、その後新シリーズのお話を掲載する予定です。そちらのお話もまたどうぞ宜しくお願い致します!!
2019年07月10日受験生のいるご家庭は、塾の夏期講習についてそろそろ考え始める時期。どこの塾が自分の子にとってべストなのか、選ぶ基準が分からなくて悩みますよね。元塾講師が教える塾の選び方から、トラブル回避のための塾との付き合い方など、参考になる記事を3本まとめてご紹介します!■ 元塾講師が伝える「塾選びで重視したいこと」3つKazpon / PIXTA(ピクスタ)一口に塾と言っても、個別指導や集団指導、担任制、教科担当制など、指導方法はさまざま。また、教材の内容や月謝も、塾や進度別のクラスによって変わります。こちらの記事では、元塾講師としての経験を踏まえて、「塾選びで重視したいこと」をお伝えしています。月謝が高いから良い塾というわけではない。注意したい月謝・加算のからくり。オススメは教科担当制。コマ担当制はあまりオススメではない理由とは?「友だちと一緒の塾が良い」で塾を決めると後悔する!いくつもの塾の中から「ココにしよう!」と入塾を決めるまでは、情報収集や比較検討でヘトヘトになります。塾選びで大切にしたいポイントをしっかり持っておくと、ぶれない塾選びができそうです。元塾講師の意見をぜひ参考にしてみてくださいね。詳しくは記事をチェック!塾選びの基準は「自分の理想と見合うかどうか」、教科担当制がいい理由■ 夏期講習は何を学ぶの?受講は本当に必要?maroke / PIXTA(ピクスタ)受験は夏で差がつくなどとよく言われます。そんなこともあってか、塾に行っていなくても夏期講習だけは行ったというケースも多いようです。いろいろな話を耳にすると「何が何でも夏期講習に行かなくちゃ!」と気持ちが焦りますが、驚くのはその料金の高さです。夏季講習の相場は10~20万円くらい。これよりもっと高い塾もあります。また、夏期講習に加えて夏季合宿を行っている塾もあり、合宿に参加するとさらに10万円くらい上乗せで必要になります。ですが、ちょっと冷静になってみると、夏期講習の内容は復習がほとんどなので、自宅学習でも対応できます。高い料金を払って夏期講習に行ったところで、それだけの費用対効果が得られるかは疑問。夏期講習の内容が本当に我が子のためになるのか、個別で考えてみることも大切なのかもしれません。詳しくは記事をチェック!2人の子どもを私立中学に進学させて分かった!夏期講習は「受けない」選択肢もアリ■ 塾でトラブルに巻き込まれたらどう対処する?ocsa / PIXTA(ピクスタ)もし塾で子どもがトラブルに巻き込まれたら、どんなふうに対処すればいいのでしょうか。特に小学校低学年は、塾での出来事を親に上手に伝えられなかったり、我慢してトラブルを隠したりすることもあります。トラブルを最小限に食い止めるためには、なんといっても早期発見が大切。「今日はどうだった?」と話をしてコミュニケーションを取ったり、子どもの表情をよく観察したりすることで、異変が起こったときに早く気付くことができます。こちらの記事では、塾での子ども同士のトラブルを発端に、塾講師の指導拒否までへと発展した体験談が綴られています。塾で子どもの心を傷つけるようなことが起こっては、学習意欲にも影響しかねません。何かあったときいち早く親が気づいて動けるように、常に注意を払っていきたいものです。詳しくは記事をチェック!娘が塾でトラブルの対象に。早期発見だからできた決断で解決
2019年06月30日お子さんが1人生まれたご家庭では、もう1人子どもを考えるケースもあると思います。実際のご相談でも、「経済的に2人目はいつ産むといいですか?」とご質問をいただくこともあります。 子育てのしやすさや体調、お仕事の状況などから、適切な年齢差もそれぞれあると思います。今回は、マネープランの観点から1歳差~5歳差までの年齢差の主なメリット・デメリットをお伝えします。 1歳差の主なメリット・デメリットメリット①受験などの行事が重複しない②育児用品や衣料品を2人目に使いやすい③市区町村からの就園奨励補助金が加算されやすい④きょうだいが、同じ幼稚園・保育園の場合、割引を受けられる可能性がある デメリット受験などの行事が2年連続になり、学用品の購入や入試の費用も連続する 2歳差のおもなメリット・デメリットメリット①市区町村からの就園奨励補助金が加算されやすい②きょうだいと同じ幼稚園・保育園の場合、割引を受けられる可能性がある デメリット受験などの行事は重複しないが、上の子の受験時期と下の子の入学時期(例:中学3年と中学1年)が重なる 3歳差のおもなメリット・デメリットメリット①市区町村からの就園奨励補助金が加算されやすい②きょうだいが同じ幼稚園・保育園の場合、割引を受けられる可能性がある デメリット受験などの行事が重複する(例:高校3年と中学3年)ため、学費等の負担が集中しやすい 4~5歳差のおもなメリット・デメリットメリット幼稚園3年間や大学4年間の時期が重複しない デメリット①教育費を支払う期間が長くなる②育児用品や衣料品を買い替えることが多い いずれのケースにしても、かかる費用に大きな差ができるというよりは、子育て期間は短くなるものの、教育費を重複して支払う期間がある状況と、子育て期間は長いものの教育費を分散させる状況のどちらがいいかを決めることになります。 実際にお子さんが生まれてから社会人になるまでの20年~25年程度の収支について表にまとめると、どの時期に多くのお金がかかるかわかりやすくなります。そのため、2人目のお子さんを考えられている場合には、表をまとめて家計全般や教育費の推移を把握するといいでしょう。 監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2019年06月30日近年、習い事に通っている子どもが増えています。その割合は、8歳で9割近くに至るのだそう。皆さんの中にも、お子さんに習い事をさせたり、今後通わせることを検討したりしている方は多いかもしれません。では、習い事に期待できる効果とは何でしょう?知識や能力が身につくことだけでしょうか?今回は、習い事のもつ「本当の効果」をお伝えします。習い事、「なんとなく」通わせてませんか?習い事は、大きく分けて3つのジャンルに分けることができます。学習塾・英会話・公文などの「学習系」、水泳・サッカー・体操などの「スポーツ系」、ピアノ・習字・プログラミングなどの「芸術・技能系」です。多くの場合、親が子どもに習い事をさせる目的は、ジャンルごとに大きく異なります。たとえば、「学習系」なら受験のため、「スポーツ系」なら体力をつけるため、「芸術・技能系」なら情操教育のため、といった目的が考えられますよね。また、「サッカーをやらせたい」「ピアノが弾ける子に育てたい」など、習う内容そのものが目的になることも少なくありません。一方で、ジャンルを問わず、特別な目的がない状態で習い事を始める家庭もあります。たとえば、「自分が昔やっていたから」「子どもの友だちが通っているから」といった事情が考えられるでしょう。もちろん、それらも習い事を始める立派なきっかけのひとつ。しかし、習い事には、じつはジャンルを問わず期待できる本当の効果があるのです。目的を持たずに「なんとなく」習い事をさせている方は、習い事の醍醐味を知らないままかもしれません。では、具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか。習い事の本当の効果とは・多様性を知ることができるウェブサイト「中学受験情報局『かしこい塾の使い方』」主任相談員の小川大介さんは、習い事が子どもに与えるよい影響のひとつが「多様性を知れること」だと言います。習い事は、保育園や幼稚園、学校などでは出会う機会のない異世代の人たちや、価値観の異なるさまざまな人たちと一緒に物事に取り組むチャンスが多いのです。習い事には子どもの成長に好影響を与えることがいくつも含まれています。ひとつは「多様性を知る」こと。世代や価値観が異なるさまざまな人に交じって、学校の先生とはちがう先生と習い事に取り組む。子どもは、これまで知らなかった世界を知ることになります。(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|“後伸び”する子としない子の違い。成長後に学力が急伸する幼少期の過ごし方)多様性を知り、受け入れることは、グローバル化が進む現代を生きる子どもたちにとって欠かせない経験です。それが早期にできるとすれば、非常に価値のあることと言えるでしょう。・自分の成長を実感することができる小川さんはもうひとつ、「成長感覚をつかめる」ことを習い事のメリットとして挙げます。もうひとつが、自らの「成長感覚をつかむ」ということ。習い事は、やったらやっただけ成果が見えるようにできています。スイミングでも書道でも、はじめたからには「○級になりたい、○段になりたい」というふうに思うものでしょう。そのために、教室以外でも練習をするようにもなります。そして、努力を続けることで技能が身についていき、目標を達成したという成功体験を得る。これが、自分が成長していく感覚や挑戦意欲を育ててくれるのです。(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|“後伸び”する子としない子の違い。成長後に学力が急伸する幼少期の過ごし方)目標を掲げ、練習に励み、結果を出す。そういった一連の経験により、子どもは自分の成長を感じることができるのです。こうした経験は、次なる挑戦に対する意欲を大きく高めてくれます。そして、その新たな挑戦が、さらなる成長へとつながっていくのです。・「やり抜く力」を身につけることができる教育ジャーナリストのおおたとしまささんが習い事の意義として掲げるのは、『やり抜く力』を育ててくれることです。習い事とは、子ども自身が求めるものをすることによって、夢中になり、達成し、挫折を味わい、そして壁を乗り越えることで、「やり抜く力」を育ててくれるものであり、なんらかのスキルを得るのは副次的な成果です(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「教育虐待」のやっかいな実態。今の子どもには “決定的に足りない” 時間がある)「やり抜く力」とは、自分でやりたいと言ったことを最後まで頑張る力を指します。別名は「GRIT」(Guts=度胸、Resilience=復元力、Initiative=自発性、Tenacity=執念の4つの頭文字をとった言葉)。成功者に共通する要素として、今注目されている言葉です。・語彙力を上げることができる子どもの思考の発達や乳幼児期の親子の関わりを専門研究分野とする、十文字学園女子大学教授の大宮明子さんは、「習い事をしている子どもは語彙力が高い」と主張します。習い事は多様な人たちと出会えるだけでなく、コミュニケーションが取れるからです。今、語彙力は国語だけでなく全教科に必要な力として注目されています。言葉を知らなければ、教科書の内容を理解したり、試験の問題文を読んだりすることができないからです。また、言葉を知り、文章を読みこなすことは、AI時代を生き残っていくために必要な力とも言われています。そのなかでも、わたしが注目しているのが語彙力です。わたしも携わったある研究では、なんらかの習い事をしている子どもは、一切習い事をしていない子どもより語彙力が高いという結果が出ました。大好きな習い事をしていれば、先生や同じ教室に通う友だちとも積極的に話すことになります。そのコミュニケーションによって、語彙力が伸びたのだと推測できます。(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「親の言葉遣い」に見る、成績優秀な子が育つヒント。語彙力が伸びる会話の特徴)楽しく続けて、醍醐味を味わおうこのように、習い事に期待できる効果は次の2つに分けられます。・人とのコミュニケーションにより得られるもの(=多様性を知ることができる、語彙力が上がる)・本人が努力し続けることにより得られるもの(=自分の成長を実感する、やり抜く力を身につける)注意したい点は、いずれも習い事を始めたからといって、必ず得られるものではないということです。先生や、一緒に習う仲間たちと積極的に接して関係性を築いていくのには、ある程度時間がかかります。また、本人が目標設定をし、それを達成すべく努力するのにも、ある程度の期間が必要です。つまり、習い事の醍醐味を味わうには、本人が前向きな気持ちでその習い事を継続できなくてはなりません。親にできることは、それをバックアップしてあげることです。たとえば、親自身も習い事に来ている人たちと積極的にコミュニケーションを取ったり、子どもが頑張っているところを褒めてあげたりすることが大切です。「あれもこれも」とたくさんの習い事をさせたり、嫌がる子どもを無理矢理通わせたりしては、習い事のもつ本当の効果は享受できません。習い事は、本人が心から楽しめて、自信を持って続けられるものであるべきなのです。***今、子どもに習い事をさせようか迷っている方は、習い事にどんなことを期待しているのかを、あらためて考えてみてください。それが本当に叶えられそうかどうか、叶えるためのバックアップができるかどうか見極めることで、子どもにとってよい判断が導けるのではないでしょうか。(参考)StudyHackerこどもまなび☆ラボ|“後伸び”する子としない子の違い。成長後に学力が急伸する幼少期の過ごし方StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「教育虐待」のやっかいな実態。今の子どもには “決定的に足りない” 時間があるStudyHackerこどもまなび☆ラボ|「親の言葉遣い」に見る、成績優秀な子が育つヒント。語彙力が伸びる会話の特徴StudyHackerこどもまなび☆ラボ|成功者に共通するGRIT。「やり抜く力」をぐんぐん伸ばす、4つの家庭習慣PR TIMES|『子どもの習い事に関するアンケート調査』を実施株式会社バンダイ|「習い事に関する意識調査」結果mataiku|子供の習い事は本当に必要?専門家に聞く習い事の重要性と、親の心構え。ニュースイッチ|AI時代を生き残る術「教科書などの文章を読む力をまず身につけるべき」
2019年06月22日筆者の長女は、現在私立中高一貫校の中3年生です。中学受験専門塾に入るには、新小3(小2)の2月がちょうどよいといわれています。詳しい中学受験事情を知らなかったため、小1から小3の5月まで地元の小さなプリント学習塾に通わせていましたが、トラブルがあって退塾しました。その後、気持ちが落ち着いた小4から中学受験専門塾へ入塾。そのときのトラブルがどういったものだったのか、参考までにご紹介いたします。■ 新学期から起きた子どもの異変ocsa / PIXTA(ピクスタ)筆者は、小1から中学受験専門塾への通塾は早いと考えていました。そこで、小3までは「勉強のくせづけ」として地元の小さなプリント学習塾に入塾させました。お試し期間があったので、おおよその退出時間がわかりました。塾へ行った時間から逆算してお迎えに出ていたのですが、小3の4月から長女の表情に変化が起きました。少し泣きそうになりながらも、「何もないよ、ママ」と子どもはいうので、少し気になりながら、家へ帰る日が続きました。makaron* / PIXTA(ピクスタ)4月下旬に入り、手の甲が腫れ上がった痕や、消しゴムがないことに気が付き「塾で何かあったのではないか」と、塾に問い合わせをしました。責任者の先生からは「特に担当の先生から報告はないです」との回答でした。ところが、毎回教室から泣きながら出てくるので、長女から話を聞き出しました。■ いたずらを通り越した行為が…しげぱぱ / PIXTA(ピクスタ)長女から聞き出せたことは、1学年上の男子が入塾してから筆箱の中身をばらまかれた同じ子に学習中のプリントを取り上げられて、勉強ができなかった先生に見つからないように、手の甲をつねられたといういたずらを通り越した行為が行われていました。主人にも相談して、一度長女へのいたずらのことと、今後の対応を塾と話し合うことにしました。■ 責任者の先生と担当の先生に温度差が…Gallardo / PIXTA(ピクスタ)まず長女から聞いた内容を全て話しました。責任者の先生は、一生懸命謝って「該当の生徒とお母さんとは、後日話し合って対応を決める」と話してくれました。担当の先生は、軽く「すみません」の一言のみです。その後塾側は、相手の子どもや親を交えた面談はなく、塾へ通う日をずらすことで対応することになりました。結局、この子どもは退塾しています。一方で、「もう塾を切り替えようか」と考えていた矢先に、担当の先生が、長女への添削や指導を行わないようになりました。■ 話し合いをしたものの、退塾することにmuu / PIXTA(ピクスタ)話し合いを始めると、担当の先生は以前のいたずらについては「記憶にないです」の一点張りで、長女への指導を拒否したことは、「気に入らないからです」と驚く発言をしました。さすがに、責任者の先生も驚いていて、筆者と主人は「これでは安心してここへ子どもを預けられない」と、退塾の手続きをすぐ取ると伝え、その場で手続きをしました。後日、責任者の先生から連絡があり、事前研修での教育が甘かったことの詫びがありました。担当の先生はその後退職したそうです。また、特別にということで学費返金の申し出がありましたがお断りしました。それよりも、長女の心の傷にならないか、心配でなりませんでした。■ その後の長女の進路は…ryuukikou / PIXTA(ピクスタ)トラブル後、すぐ中学受験専門塾へとは考えず、しばらくは自宅でドリルをさせて、小4になる前に「そろそろ塾通いしてみる?」と聞いて、長女の反応を見ながら塾探しを始めました。塾選びは迷いましたが、筆者が高校受験で通っていた塾で中学受験対応をしていると知り、問い合わせて長女と一緒に面談と見学をしました。見学後の面談で、プリント学習塾でのトラブルのことを話して、「それなら2対1の個別指導コースはどうでしょう?」という提案があり、お試し授業を2回受けてから、通塾を始めました。校舎の責任者の先生や各教科の先生が、丁寧かつ非常に面倒見がよい方ばかりでしたので、安心して子供を預けることができました。YsPhoto / PIXTA(ピクスタ)その結果、中学受験をし、志望校に合格して、毎日元気に通学しています。家計から学費を捻出し、子供に勉強を教えてもらうために預けているのに、いたずらをしている生徒への注意を怠り、その後叱られた腹いせに長女の指導拒否をされたのは、今でも驚くばかりです。長女は、うっすらと記憶にはあるのですが、今では元気に学校に通っています。嫌な思いはしたけれど、その後、いい先生方に恵まれて無事合格したので、結果としてかたのかもしれません。
2019年06月19日遂に訪れてしまった中学受験の本番。勉強自体は正月前に一通り完結させていたので気持ちの余裕はありました。勉強方法を変更した時に決めた通り、お正月はしっかりと遊んで休息。そして正月明けに塾で最後の復習と面接の練習を終えて本番へ。(冬休み期間中の塾・短期集中講座は正月前後の8日間でした)当日は嫁さんが仕事で忙しかったので僕が学校までの送り迎えをしたのですが…長女さん、ド緊張。後に長女は語ります。「あの時は生きている心地がしなかった」と。まぁね、気持ちは分かります。だってせっかく今まで勉強してきたのに、ここで失敗するとその努力が水の泡になってしまうかもしれないですもんね。でもね。そうじゃないんです。中学受験を決めた最初の時に長女に伝えたように、試験の結果が全てではないと思うんです。何か目的を持って、その目的に向かった目標を掲げて一生懸命遂行することが大切だと。色々とありましたが、この半年間長女は一生懸命勉強をしました。きっと今まで生きてきた12年間で1番がむしゃらに行動したのではないでしょうか。その取り組みが大事だと思うんです。だから…例え試験に落ちたとしても誰も長女のことは責めません。一生懸命頑張ったことを知っているから。その頑張りがアナタのかけがえのない財産になると、そう思っているから。その上で…これまでの人生で初であろうこれほどまでの緊張をほぐす手助けをちょっとだけしておきました。せっかくだからアナタのありのままを面接に・作文に・適性検査にしっかりとぶつけておいで、と。そう応援する気持ちで背中を押してきました。そして、受験中の昼休み。長女の受ける中学校では、お昼休みは体育館で親と一緒に過ごすことが許されています。この日は九州でも雪の降る寒い1日。体育館の中心に置かれた大きなヒーターを取り囲むように座る様々な親子たち。午後からの練習をする親子・午前中の反省会をしている親子・ただ静かに黙々とご飯を食べる親子。その過ごし方はそれこそ十人十色です。僕たち親子は…このようなお話をしていました。何だかこの時の長女はすっきりとした顔をしていた気がしますね。そして、これまた人生で初なのですが大人用のフォーマルスーツを着て来ていたんですよね。その姿も相まってか、何だか凄く大人になったかのようにも見えました。そこから月日は流れ、数週間後。いよいよ合否が発表される日。僕は仕事中にも関わらず1日中ソワソワしていました。結果はインターネットでは発表されず、郵送されてきます。僕よりも一足先に帰宅する長女と嫁さんが結果を確認後、僕に連絡をしてくる手はず。そして…半年前に受験を考え、そこから塾に足を運び先生にヒントを貰った上で自宅学習を選んだ僕たち。想定よりもかなり厳しい現実を知り、様々な感情が飛び交ったわが家。一時は家庭崩壊の危機すらも訪れ大変なことになりました。中学受験を選択したことを後悔してしまった日もありました。もしも選ばなければもっと楽しい日々を長女に送らせてあげただろうに。もしも選ばなければ僕はこんなに怒らずに平穏な日々を過ごせていただろうに。でも…そこから何度か家族会議を行い、家庭はまた元の状態に戻っていきました。1つ厳しい壁を乗り越えるたびに、絆は深まっていった…そう思います。貴重な経験が出来たと思います。その結果、合格という新たな道へのスタートラインという切符を手にすることが出来た長女。よくやったなぁと思います。しかし。実はこの時僕は1つのけじめをつけようとしていました。それは。この半年間の長女との濃ゆい関わりの中で見つけた、親と子それぞれの成長の為のステップ。寂しいけれど、その時が来たようです。次回、長女の中学受験奮闘記編・最終回です!!
2019年06月19日ここぞというときに学力をぐんと伸ばす子。東大などの難関大学に合格する子。困難なときも自分で道を切り開いていける子。そういった子どもと、そうではない子どもの違いって、いったい何だと思いますか?その答えは “家庭”にありました。さっそく、詳しくご紹介しましょう。子どもの伸びしろは家庭環境で決まる?入塾テストがないにもかかわらず、中学受験の第一志望合格率が7割以上、大学受験では難関大への合格率が8割以上という進学塾 VAMOS(東京・吉祥寺)を主宰している富永雄輔氏は、受験コンサルタントとしてこれまで2,000人以上の親と接してきた経験から、次のように述べています。そもそも、「伸ばしやすい子」とはどういう子なのでしょう?それは、十分な「伸びしろ」が準備されている子です。「伸びしろ」とは、さらに成長する余地であり、可能性のこと。しっかりと「伸びしろ」をつくられた子どもは、きっかけさえ見つかれば、飛躍的に学力を伸ばしていきます。そして、その「伸びしろ」を育てるのはそれぞれのご家庭なのです。(引用元:富永雄輔(2017),『東大生を育てる親は家の中で何をしているのか?』, 文響社. )親の心がけ、幼少期からの家庭での習慣、休日の過ごし方、環境づくりなどが、子どもの「伸びる」「伸びない」に関係しているということ。なにげなく過ごしている家庭での日々が、じつはとても大切なのです。1. まず心がけたい「心休まるおだやかな家庭」「陰山メソッド」に代表される基礎学力の向上や、『徹底反復シリーズ』をはじめとする教材開発などで知られる教育者・陰山英男氏はこう述べています。私は教員時代に毎年何十件と行っていた家庭訪問で、子どもの性格と家庭の雰囲気の関係を考えるようになりました。そうして振り返っていきますと、やはりおだやかな心地よさが感じられる家庭のお子さんは成績がいい子が多く、また年齢相応のしっかりとした話し方のできるお子さんが多いということが改めて感じられたのです。(引用元:ベネッセ教育情報サイト|陰山英男氏に聞く!子どもの学力を伸ばす勉強法・習慣とは?)また、これまで多くの子どもや親たちに指導を行なってきた「花まる学習会」代表の高濱正伸氏も、「家族関係の良さが子どもの安心感の源泉」であり、「家族で心からくつろげて安心できる家である」ことが、伸びる子を育むうえでとても大切なことだと指摘しています。両親は共働き、子どもは習い事や塾で忙しい……今はそんな毎日を過ごすご家庭も多いのではないでしょうか。だからこそ、家の中では家族全員が心から落ち着ける空間、良好なコミュニケーションが取れる雰囲気を意識的につくっていくことが必要かもしれません。伸びる子のベースには、「家庭で得られる安心感」があることを忘れないようにしたいですね。2. 伸びる子の親の褒め方伸びる子の親の特長として、「褒め上手である」こともかなり大きなポイントのようです。たしかに、褒められることで子どもは自信がつき、自己肯定感を高められる――というのは、よく聞く話ですよね。ただし、褒めすぎは要注意だそう。というのも、伸びる子は常にもっともっと上に行きたいという上昇志向を持っているから。子どもを伸ばしたいなら、この “ハングリー精神” は不可欠なのだそうです。たとえば、算数で80点の壁をなかなか超えられなかった子どもがいるとしましょう。努力の甲斐あって、85点を取ることができたとしたら、どんな褒め言葉をかけてあげますか?目標よりさらに5点高い85点を取れたのだからおおいに褒めてもいいのですが、ある親御さんはこう言ったのだそうです。「よく頑張ったね。さあ、これで90点を目指す準備ができたじゃない!」これこそ、絶妙な褒め言葉。85点を取れたことはしっかり褒めていますが、その先にも目を向けさせるような言葉です。褒めるのはもちろん必要ですが、時に大事なのは、「それはまだゴールではない」と子どもに感じさせることなのです。ほかにも、伸びる子の親の傾向として、以下に挙げた行動が挙げられるようです。ぜひ参考にしたいですね。■「勉強(宿題)しなさい」と言わない■テストの結果、成績の上下に一喜一憂しない■家族の目の届く場所(リビングなど)で勉強させる■平日も休日も生活リズムを崩さない■家庭菜園をする■お手伝いをしっかり任せる■無駄なものを家におかない■収納のしつけをする■子どもと一緒に図書館、劇場、美術館、博物館、科学館などに行く3. こんな環境づくりでさらに伸びる子に家の中にちょっとした “仕掛け” をつくって、家族みんなで楽しむこと。これも、伸びる子が育つ家庭の特長です。ポイントは、“自然と視界にはいってくるもの” “手を伸ばしやすい場所にある”です。ただし、強制はせず、うまくいけば儲けものくらいの感覚で試してみてくださいね。■ファミリーライブラリーを作る伸びる子の特長のひとつとして、“読書好き” あるいは “多読だった時期がある” が挙げられるようです。読書が子どもに良い影響を与えるのは、もはや周知の事実ですよね。問題は、「どうやったら読書好きになるのか」ではないでしょうか。そこで試していただきたいのが、「ファミリーライブラリー」。ファミリーライブラリーとは、いつでも目に入るところ、手に取りやすい場所に、親自身が読みたい本、親が子どもに読んでほしい本、子ども自身が読みたい本などを棚などに並べておくこと。そのうち何冊かは、表紙を向けて並べておくのが効果的だとか。そうすることで、子どもの視覚に訴えやすく、瞬間的に手を伸ばすようになるのだそう。さらに、親もなにげなく本を手に取ることが増えるでしょう。親の読書する姿を日常的に子どもに見せることも、子どもを読書好きにさせると言われています。子どもと一緒に調べものができるように、本の近くに辞書や辞典、世界地図、地球儀を置くのもおすすめです。■覚えたいことを紙に書いて貼る四字熟語、歴史の年号、英単語、漢字……覚えなくてはいけないことが増えてきたら、紙に書いて「トイレの壁」や「冷蔵庫のドア」に貼っておきましょう。そうすることで、記憶に残りやすくなり、ひとつやふたつは無意識のうちに覚えてしまうものなのだとか。メディアで活躍中の山口真由さんも、著書『東大首席・ハーバード卒NY州弁護士と母が教える 合格習慣55』の中で、「何かを記憶として定着させたいとき、毎日、何度か必ず行く場所に貼っておくのが効果的」だと言っています。また、山口さんはもっと効果的な方法として、「覚えたことを親子の会話の中で声に出してアウトプットする」と書いています。ポイントはゲーム感覚で楽しむこと、だそうですよ。***どれも、ちょっとした親の心がけや工夫でできてしまうことばかりでしたね。でも、そんななにげない些細なことが、知らず知らずに子どもに大きく影響を与えることは間違いないようです。ぜひ幼少期から家庭で取り入れてみませんか。文/鈴木里映(参考)富永雄輔(2017),『東大生を育てる親は家の中で何をしているのか?』,文響社高濱正伸,相澤樹(2018),『あと伸びする子はこんな家で育つ』,大和書房ベネッセ教育情報サイト|陰山英男氏に聞く!子どもの学力を伸ばす勉強法・習慣とは?Business Journal|学力の高い子ども、親の習慣や家庭環境に「共通の傾向」…文科省調査で判明東洋経済ONLINE|「勉強しなさい!」が不要な子の”家庭内習慣”山口真由(2018),『東大首席・ハーバード卒NY州弁護士と母が教える 合格習慣55』,学研プラス
2019年06月15日子どもは十人十色と言われるように、それぞれに個性があります。また、成長段階やそのときの状況によって、心理状態も変わるものですよね。そんな子どもに合わせて、リビングや子ども部屋に変化をつけると、事態が好転することも。今回は二級建築士の筆者が、子どもの個性や状態に合わせた部屋の配色についてお伝えします。少し落ち着いた生活をしてほしいときには【青】「うちの子、寝るとき以外は少しもじっとしていられなくて…」という子どもにオススメなのは、気持ちを静め、心を落ち着かせてくれる“青”です。青は副交感神経に作用し、リラックス効果があります。子ども部屋ならラグや寝具、棚や小物などに、リビングであればカーテンもいいですね。これからの季節は涼しさももたらしてくれるでしょう。手軽に取り入れるのであれば、マルチカバーに青系の色を用いてソファーにかけたり、クッションに青色を用いるのもおすすめ。青色は食欲減退の効果があるため、青いテーブルクロスはダイエット中のママにはおすすめですが、育ち盛りの子どもには避けたほうが無難でしょう。環境の変化でナーバスに…背中を押してあげたいときには【オレンジ】何に対しても積極的な子がいる一方で、怖がりだったり人見知りだったり、あと一歩が踏み出せない子もたくさん。そんな子どもに取り入れてほしいのが、オレンジ色です。太陽をイメージさせるオレンジ色は、活力をもたらし、勇気を与えます。親しみやすいカラーであることから、人見知り改善にも。協調性を高めてくれるため、リビングに使用すると家族仲が深まるかもしれません。カーテンなど広範囲に取り入れると部屋全体の印象が明るくなりますし、子ども部屋の収納BOXなどに使うと、アクセントカラーとして目を引きそうです。洋服など身に着けるものにオレンジ色を用いてもいいですね。思春期でギスギス!? 穏やかさを求めるときは【ピンク】思春期に突入すると、親子間の関係もギスギスしがち。そんなときにはピンクを利用しましょう。ピンク色は心を穏やかにしてくれ、優しい気持ちをもたらす効果があります。リラックス効果もあるため、イライラした心にはぴったりのカラー。親子間に限らず、夫婦間をよくしたいときにも使用したい色です。リビングにピンク色の花を飾るなど、ちょっとしたインテリアに用いてみてください。子ども部屋となると、女の子であれば比較的取り入れやすい色だと思いますが、男の子の場合だとちょっと難易度が上がりますね。そんな時には、ピンク色と相性のいいネイビーを一緒に合わせることをオススメします。ネイビーとピンクの対のクッションを置いたり、ピンクの含まれたボーダーのラグを敷いたり。ピンクは上手に使うとぐっとオシャレに仕上がりますよ。目指せ合格!受験を視野に入れるなら【緑】緑は見る人への刺激が少なく、緊張感を緩和します。森林浴にリラックス効果があるように、緑は落ち着きや安心感を与え、疲労を軽減してくれる作用も。そんな緑は受験時期にオススメです。学習環境に取り入れると、落ち着いて勉強に取り組むことができるため集中力も増します。また、目の疲れを緩和させる働きもあるため、長時間学習するときにもベストな色でしょう。ぜひ観葉植物などで、緑を取り入れてみてくださいね。モノトーンが好きなんだけど…【白や黒】は?大人であればモノトーンが好きな人もいますが、黒は子どもにとって圧迫感のある色です。インテリアに用いるとおしゃれなのですが、不安感を強めたり、閉鎖的になる色なので、黒の多用は控えることをおすすめします。白も多用は禁物です。清潔感があり、落ち着きそうなイメージですが、光を反射する白はまぶしさを感じ、緊張感を高めるため精神的にも落ち着きません。部屋を明るくするのであれば、オフホワイトやベージュといった淡い色でまとめるといいでしょう。色は想像以上に心理状態に影響します。リビングや子ども部屋は長時間子どもがいる場所ですから、上手に配色してみてくださいね。<文・写真:ライター沖田かへ>
2019年06月07日幼稚園受験はお子さまよりも親御さんのほうが緊張しがちです。面接では何を聞かれ、どんな対策をとればいいのかなど悩みは尽きません。この記事では、幼稚園の面接を成功させるために知っておきたい面接の質問、対策法を解説していきます。幼稚園の面接ではどんな質問をされて、それに対しどう答えれば良いのでしょうか?幼稚園で面接を行う目的から知って、受験の注意点を確認しておきましょう。幼稚園受験で面接を行う目的は?多くの幼稚園は願書を提出して受理されると、入園はほぼ確定されます。しかし、お受験の幼稚園となると面接や子供の実技が試されます。お受験の幼稚園では、幼稚園の理念と家庭の教育方針が一致するかどうかを確認するために試験を行います。幼稚園によって教育理念や特徴、施設が異なるため、入園する前に確認をするのです。面接や子供の実技を通して子供の個性を知り、幼稚園に子供が合っているかどうかがチェックされます。●幼稚園の面接はなぜ行われる?願書の書面上だけでは、子供の個性を把握することは難しいといえます。幼稚園側としては、面接で特別に何かを求めているのではなく、いつも通りの子供の様子を観察したいと考えています。そのため面接では子供に直接質問したり、一緒にお遊びをしたりするのです。●面接は幼稚園の合否に関係する?首都圏にある幼稚園受験の激戦区、小学校の附属幼稚園の場合は、面接により合否が分かれることがあります。そのため、お受験の幼稚園に入るならば面接対策などを行う必要性があるのです。一方で、地方の幼稚園で行う面接は、家庭の教育方針や子供の様子を知るために行われることがほとんどです。この場合は特に面接によって合否が分けられることはありませんので安心して大丈夫です。幼稚園受験の面接で聞かれることとは?お受験の幼稚園でも地方の幼稚園でも、質問の内容は大きくは変わりません。ここからは、幼稚園受験の面接で聞かれる内容を確認しましょう。●保護者の面接保護者によくされる質問は以下の通りです。・志望理由・通園の方法・子供の長所と短所・子供の好きな遊び・子供のおむつが外れているか・子供の好きな食べ物、嫌いな食べ物。・食物アレルギーはあるか・子供の出来ること、出来ないこと(着替え、トイレなど)・幼稚園に希望すること・家庭の教育方針・PTA活動・幼稚園行事への参加の可否・最近の社会情勢やニュースなどの時事問題主に、子供が幼稚園で安全に過ごすために必要なポイントを聞かれます。●子どもの面接子供によくされる質問は以下の通りです。・自分の名前、年齢・好きな遊び・好きな食べ物、嫌いな食べ物・今日は誰と一緒にここまで来たか・朝食の内容・幼稚園の名前・絵本を用いて「これはなに?」の質問・誕生日・親の名前当日に備えて、定番の質問は前もって練習しておきましょう。幼稚園受験の面接に臨む前にお受験幼稚園の面接に臨む前に、前もって準備しておきたいことがあります。幼稚園での面接は、願書に記載されたことをもとに面接が行われます。自分が願書に書いた文章をもう一度目を通して、どんなことを聞かれても正確に答えられるようにしておくと良いでしょう。子供は初めて行く場所では緊張して上手く話せなくなることがあるので、面接前に子供と一緒に幼稚園を訪問しておくと安心です。いつもは自分の名前や好きな食べ物などしっかり話すすることができても、初めて行った場所では緊張します。初めて会った人の前では人見知りをして、言葉が出てこなくなってしまうこともあります。しかし面接前から幼稚園に訪れておくと、面接当日は緊張感がなくなり、上手く受け答えすることができます。幼稚園によっては未就園児対象のイベントなどもあるので、それを利用して子供が面接で緊張しすぎないように工夫してあげることも大切です。●面接時の服装面接時の服装は清潔感のあるフォーマルな服装で行きましょう。母親は紺色、黒、ベージュなどベーシックカラーのスーツ、インナーは清潔感のある白のシャツ、ブラウスを選んでください。女の子の服装は白のブラウスに紺のチェック柄スカート、男の子は襟付きの白いシャツに紺色のズボンや半ズボンが適しています。●面接の練習幼稚園の面接では親子に特別なことを求めているのではなく、普段の様子を確認し、どんな家庭なのかを知るために行われます。そのため答えるのが難しい質問をされることはありませんが、定番の質問だけは答えられるように準備しておきましょう。当日は子供よりもお母さんの方が緊張してしまうと思いますので、お父さんに面接官になってもらい練習すると良いでしょう。●母子分離できるようにしておく幼稚園の面接では、お母さんと子供は別室でそれぞれ面接が行われます。子供がお母さんと離れるときに、怖くなって泣いてしまうケースがよくあります。初めての場所で、知らない大人が前にいるので泣いてしまうことは問題ありません。しかし、いつまで経っても泣き止まずに面接できなくなった場合は、家庭環境が過保護だと判断されてしまいます。日頃からいつもお母さんと一緒の子供は一人になった事がなく、別室へ移動となったときに泣いてしまうケースが多いです。日頃から一人にさせる機会を与えるようにして、自立させるように工夫しておくことも大切です。子供部屋で一人で遊ばせる、寝るときは一人にするなど自発的に動けるように日頃から意識すると良いでしょう。幼稚園受験の面接中に気をつけるべきこといつもはおしゃべりが大好きで、家の中でお話をする子供でも、幼稚園受験になるとピタリと静かになってしまい、面接で答えられなくなってしまうケースがあります。名前を聞かれるぐらいなら大丈夫だろうと親は思っていても、初めて会う大人の前では人見知りをしてしまうかもしれません。面接の練習は、知らない大人が担当したり、場所を変えて面接対策をしたりするのも一つの方法です。子供の定番の質問は、絵本や動物の絵が書かれたカードを見せて「これは何?」と聞かれます。犬のことを「ワンワン」、猫のことを「にゃんにゃん」と教えていると、そのまま答えてしまうこともあるので、前もって直しておきましょう。幼稚園受験の面接まとめ初めての幼稚園の面接はとても緊張しますが、聞かれることは決まっているので、しっかり対策をしておけば自信を持って臨むことができます。お子様は初めて行った場所は緊張します。しかし前もって何度か訪れておけば慣れることができ、本番で力を発揮することができます。面接対策はお父さんや友人に協力をしてもらって、当日はスムーズに答えられるように準備をしておきましょう。●ライター/高須 亮
2019年06月03日小学生の塾通いには中学受験のためにというイメージがあるかもしれません。しかし実際は学校の授業を補習する目的の塾もあります。また、塾に通うことによって学習習慣をつけることを狙っている場合もあります。この記事では、これから小学生の子供を塾に通わせるべきか悩んでいる方に向けて、塾のメリット、そしてデメリットをも隠さずに解説していきます。小学生の段階で子供を塾に通わせたほうがよいのか悩んでいる方に向けて、塾に通わせるメリットとデメリット、小学生の塾の選び方をご紹介します。小学生の子供を塾に通わせるメリット小学生の子供を塾に通わせるメリットは中学受験対策の他にも、小学校の苦手科目を克服させたり、学習意欲を向上させるといったものがあります。小学生のうちから勉強に取り込む学習の習慣がついていると、今後の試験勉強や自宅での学習にも多く役立ちます。●勉強する習慣が身につく小学生が塾に通う最も大きなメリットと言えば、勉強する習慣がつくことです。子供たちは家では、テレビやスマートフォン、ゲームなど、勉強以外の他の事に興味がいってしまいがちです。子供に勉強の習慣を付けさせて、集中力を身につけるだけでも大変なことなのです。塾で勉強する習慣がついていれば、試験前にはしっかり勉強をするようになり 、自主的に学習するようになります。小学生のうちから決まった時間に勉強に集中する習慣が身につくと、今後の試験対策や中学校・高校生にも大きく役立ちます。●勉強の楽しさが身につく小学生が塾に行くメリットにはさらに、勉強の楽しさが身につくことが挙げられます。小学校の勉強は、学年が上がるにつれて勉強の難易度が徐々にアップします。どんな小学生も、得意科目もあれば苦手科目も出てくるでしょう。学年が上がる程、学校の勉強について行き宿題をするのが大変になるので、勉強を「心から楽しい」と思える余裕がなくなります。苦手な科目や分からない問題があると、「勉強が辛い」「めんどくさい」と思うようになり、勉強をしなくなる子供が増えてきます。しかし塾に通うと勉強ができるようになり、勉強に対し肯定的な気持ちを持てるようになります。●中学受験の情報を得られる中学受験の詳しいデータや情報を得られることも大きなメリットです。中学受験対策の学習塾では、近年の中学受験に関する詳しい情報を持ち合わせています。小学校ではなかなか頻繁に相談できないことも、学習塾の室長には気になる時にいつでも相談できるでしょう。●子供が受験を意識する塾は中学受験を予定されている方に役立つのはもちろん、子供が中学受験に興味を持つきっかけを作ってもくれます。塾に通い始めた頃は中学受験を意識していなくても、勉強に楽しさを見出すようになれば、より高みを目指して自主的に中学受験を目指しだす子供も出てきます。小学生の子供を塾に通わせるデメリット小学校の子供を塾に通わせるのは、メリットだけではありません。デメリットも押さえた上で、学習塾通いを決めることが大切です。●自由な時間が減る塾通いをはじめればそのぶん自由な時間が減ります。塾通いが原因で睡眠時間が短くなると体にも悪影響を及ぼすので、無理に通わせるのは逆効果です。●費用がかかる塾は費用がかかるというのもデメリットの一つです。科目数、指導方法(個別指導・集団指導)など塾のスタイルによっても相場が変わりますが、一般的に塾の月謝は高額です。水泳やピアノと言った習い事と比べると、夏期講習や模擬試験など、月謝以外の金額も多くかかります。●無理やり通わせるとストレスになる塾通いを無理強いすれば子供にとってそれがストレスになり、やがて塾どころか勉強自体へ嫌悪感を持つようになってしまいます。本人のやる気がなくなってしまっては、周りがどれだけ勧めても逆効果にしかなりません。小学生から塾に通わせる必要はある?小学生は塾で勉強させる必要があるのだろうかと疑問に思う親も多いでしょう。最終的には、小学生から塾に通うかどうかは子供本人の気持ち、または状況によって変わります。●自分の子供に塾が必要か見極める学習塾と一口に言っても、中学受験対策のほか、補習自由を目的にしたところもあります。自分の子供はどちらに適しているのか見極めることも必要です。●塾通いが必要なケース中学受験を考えているけど学校のテストが芳しくない場合は、塾通いが必要でしょう。難関中学や公立の中高一貫への進学を検討している場合は、入試対策に沿った授業を行う大手進学塾がおすすめです。●授業についていけていない中学受験はしないけれども、小学校の授業についていけていない、苦手科目が多い、学習する習慣がついていない場合は、補習塾がオススメです。苦手科目を克服して学校のテストで点が取れるようになると、自宅でも自分で進んで勉強するようになります。●中学受験に関する情報が少ない中学受験に関する情報集めは自分だけでは難しいと言えます。しかし学習塾では志望校の入試傾向やデータを知り尽くしており、対策法を指導してくれます。●自宅学習だけでは不安学習塾では勉強に取り組む習慣が身につくため、家ではなかなか学習できない、集中できない子供は塾に通うと良いでしょう。●無理して塾に通わせる必要はない特に中学受験を考えておらず、学校のテストも点数が取れているなら、無理して塾に通わせる必要はありません。学校の授業をしっかり理解していて、宿題などを自主学習もできているといえるでしょう。小学生の塾の選び方自分の子供には学習塾が必要だと判断した場合は、どんな基準で塾選びをすれば良いでしょうか?早速ポイントをチェックしてみましょう。●通いやすさ本人が楽しく通い続けられるかどうか、塾の方針と会っているかどうか確かめることが大切です。補習目的なのに中学受験用の塾を選んでしまうと、宿題が多いことにストレスを感じ、だんだんと塾に行きたくなくなるでしょう。子供本人が楽しく前向きに通える塾を選ぶことが大事です。●子供の学力中学受験の目標であっても、学習塾と子供の学力が合ってなければ意味がありません。学習塾によっては補習をしながら受験を目指すところもあります。子供の学力に合わせた塾を選びましょう。●講師学習塾の講師は大学生のアルバイトが多く、突然辞めてしまうというケースもよくあります。子供が慣れてきた頃に先生が変わり、ストレスになることもあるので、塾の講師の特徴をよく検討することが大切です。小学生の塾のメリットまとめ塾は中学受験を考えている人だけでなく、小学校の授業についていけない、集中力が無いといった子供も役に立ちます。小学生のうちから勉強に集中する習慣をつけることは、その後の学習に大きなメリットとなるはずです。上手に塾を選べばメリットを多く享受できますので、一度塾通いを検討してみるのもよいかもしれません。。●ライター/高須 亮
2019年05月30日さて、塾で先生に教えて貰ったことをヒントに自宅学習を行っていくことになりました。前回の塾でのやり取りがお盆前後。そして今回のお話は9月頃だったと思います。長女の受ける中学校で対策を練らないといけない内容は、筆記の適性検査・作文・面接。面接は塾の冬季短期コース(正月前後の8日間)に全て任せるとして、自宅では適性検査と作文の練習を行っていきます。まずは作文の特訓。が…しかし。これがまぁ想像をかなり超える勢いで酷い。内容は途中で不自然にぶっ飛んで繋がりがよく分からないし、そもそも一行の中に同じ単語が入りすぎ。つまり読んでいてクドイ、非常に読みにくいのです。そして適性検査も…間違いまくり(ノД`)当時の学校での授業とは遥かにかけ離れた内容なので形式に慣れないといけないのですが…それ以前の問題でしたね。いくら慣れていない形式とはいえ、正解率が…まさかの半分以下。こ…これはちょっと流石にヤバいのではないでしょうか(-_-;)勿体ないケアレスミスも多いし、とにかくとても合格をできるような次元ではないのは僕から見ても明らかでした。こうなるとついガミガミと言ってしまうんですよね。勉強して・確認して・結果を見てガミガミ。やる気のない態度・怒った後の反応の悪さを見てガミガミ。そんな日が続いていきました。僕と長女それぞれの負の感情。それは次第に家全体を包み込むようになり、そして…遂に嫁さんが口を開きました。しかし、それに対して僕が反論し空気は益々悪くなるばかり。この時は家中がピリピリとしていましたね。夕食時に主に勉強を見ていたので食事がとにかく不味く…自宅学習ではこんな事に苦戦していました。とにかく言えることは…舐めてた、自宅学習!!やはり塾は凄いです。整った環境・教える側の整った意識と精神力・学ぶ側のやる気を引き出す力。高いお金がかかるだけのことはあります。でも我が家の状況を考えて家での学習を選んだのは僕。このままではいけないのです。このままでは…確実に家庭は崩壊してしまう。この時の僕は相当気持ち的にきつかったですが、きっと長女はそれ以上だったでしょう。そして嫁さんも次女も。この負の連鎖、不協和音のスパイラルを断ち切らねば…!!父、ここからちょっともがきます。つづく。
2019年05月22日10連休も終わり、子どもを持つお母さんにとって、学習環境は気になるところですよね。教育系の雑誌などでは「リビング学習」についてよく特集として取り上げられるので、実際に成績アップに繋がるのか気になることでしょう。実際「リビング学習」は効果があるのでしょうか?我が家の中学受験から入学以降まで、リビング学習から子ども部屋学習へと試して考えさせられたことなどについてご紹介します。■ リビング学習のメリット・デメリットとは?マハロ / PIXTA(ピクスタ)「リビング学習は親の目が行き届きやすい」という話を聞いたことがある方は多いでしょう。朝日新聞出版『AERA with Kids』(2017年春号)の調査では、リビング学習をしている家庭は、調査数全体の8割という結果が出ています。「リビング学習をしている子どもは、東大へ行く子が多い」という特集を組んだ雑誌や書籍なども出ていて、マイホーム購入時に学習コーナーを作るご家庭も多いようです。attimo_hygge39 / PIXTA(ピクスタ)筆者の家でも、小学校入学時からリビング学習を始めていました。ただ、専用の学習コーナーは作らず、ダイニングテーブルでさせていました。「いつもそばにお母さんがいる。誰かがいる」という安心感が生まれます。家でも学校でも、話し声や生活音はいつもつきまといます。実際、生活音がよく出るリビングで勉強させることで集中力が身につくというメリットはあると思います。デメリットとしては、家事で忙しい時に声をかけられるとつい叱りつけて、学習意欲を失わせてしまうこと。pu- / PIXTA(ピクスタ)筆者宅では、小2のときにかけ算がなかなか覚えられず、家事で忙しい時につい叱ったことから、一時期、かなりの勉強嫌いになってしまいました。また片付けについても、いくら親が工夫しても大事な学校からのプリントを紛失することが多々あったので、子どもに合った学習環境を作ることを考えました。■ 小学校中学年〜卒業までは悩みながら環境を変えていたKana Design Image / PIXTA(ピクスタ)筆者の子どもについては、地元の公立中学校の環境の悪さから、中学受験に備えて小4のときに中学受験から高校受験まで扱う塾に入塾しました。専門塾に入ってから、小5の後半から帰宅時間が午後10時半となり、学校と塾の宿題や受験勉強をリビングでしていました。子ども自身が、自室では寝てしまうことと、成績不振について不安になったことがその理由です。帰宅が遅い主人の食事と重なり、テレビをつけてしまうので、家族で学習環境を話し合うことにしました。■ リビング学習についての子どもの意見Ushico / PIXTA(ピクスタ)子どもからの意見としては、1.塾から帰ってからは、疲れているのでリビングで勉強したい2.リビングで勉強すると気持ちが落ち着くけれど、テレビはつけない3.片付けをしない自分が悪いけれど、自分にやりやすい方法がわからないという3点でした。個別指導コースの塾と全く同じ環境にはできないけれど、家でできる環境作りと片付けについては、相談の上で決めました。ORA / PIXTA(ピクスタ)筆者の子どものリビング学習は、1.リビングのテーブルが一番落ち着くので、使わせる2.卓上スタンドを必ず用意する3.外部の様子を見えなくするために、辞書で囲いを作る4.生活音はある程度拾うけれど、集中のためにイヤホンを使うといった点について子ども自身が工夫して、中学受験のための勉強を続けて合格しました。■ 中学受験勉強時の、机の様子は?以下は中学受験勉強時の、机の様子です。キッチンからは、このように子どもの勉強の様子が見え、辞書でテレビは見えません。今も防音と集中力対策で使っているのが、このイヤホンです。塾の教材類やその日勉強に使うものは、前日にリュックに入れ、大切な書類などは100均のクリアボックスを使い、渡し忘れを防ぎました。リュックにしたのは、自室とダイニングに持ち運びしやすくするためです。テレビについては、寝室にもテレビがあったので、そちらで見るよう主人にも協力してもらいました。■ 中学受験終了後の学習は?環境を整えてから、不安定だった成績は落ち着きました。中学受験を乗り越えても、リビング学習は続きましたが、中1後半からは自室での学習に切り替わりました。ICT教育導入校で、学校で購入したiPad proに送られる宿題をこなすこと、特に英語の音声聞き取りのために静かな環境が必要だったからです。塾通いも検討しましたが、帰宅時間や部活を考えて、通信教育で勉強中です。最近の通信教育では、iPadは必須アイテムです。今では基本は自室学習で、苦手な数学だけは、主人の帰宅を待って分からない問題を教えてもらっています。■ 年齢に応じてリビング学習から卒業することも大切ひろこ / PIXTA(ピクスタ)親が子どもの勉強の様子について、気になる気持ちは理解できます。ですが、子どもの年齢とともに勉強スタイルも変化します。いずれは子どもが自分で学習方法を決めることになるので、いつか必要なくなるかもしれない学習コーナーは、お母さんの小さな書斎などにリフォームすることも視野に入れておくと良いかもしれません。【参考】※ 朝日新聞出版『AERA with Kids』(2017年春号)※ 朝日新聞出版『AERA with Kids』 (2018年春号)
2019年05月08日さて、塾での面談当日になりました。僕が塾に足を踏み入れるのは高校生の頃以来。昔は当たり前に通っていたのに、今回は親としてその場所に足を踏み入れる。何だか不思議な感じですね。長女は少し緊張気味。僕も初対面の方とお話をするのは割と苦手なので緊張しますが…親がしっかりとしないとですからね、思い切って塾のドアを開きます。建物内に入ると教室に通され、担当の先生と僕はお話をすることに。その間に長女は実際の試験(ここでは適性検査と言います)の過去問を解くことになりました。ところが…長女の顔、曇る(;・∀・)僕も横から問題を見ましたが、予想を遥かに超える難しさ。普段から長女の宿題の確認をしているので、今の6年生がおよそどのような勉強をしているのかは把握していたんですけどね。日常の小学校生活ではまず見ないような問題がズラリ。でまぁ、なんでそのような問題なのかというと…受験の際に受ける適正検査では、日頃の勉強を更に応用して発展させたような問題になるらしいのです。通常学校では国語・算数・理科・社会とそれぞれ分かれて授業が行われ、テストも教科ごとに出題されます。しかしこの学校の適性テストでは教科の垣根を超えて、複数の教科が交わったかのような問題が出題されるとの事。(しかもこの方式は近い未来に高校試験でも活用されるようになるそうで、それにもビックリ。)1つの問いが1つの教科にとらわれていない…初見では結構焦りますね、これは。ただ、先生がここで気になる一言を。この問題を、スラスラ…!?………。こういうお話しを待っていた…!!前回の記事にも書きましたが、塾って想像以上にお高いです。我が家には正直厳しすぎる金額!!しかし、先生のこの発言に今後の活路を見いだせた気がしました。そして僕はこの後先生にあれこれと聞きだすのですが。。。最終的に主任クラスの先生も出てきて討論をする展開になってしまいました(;^ω^)…決して誰かが悲しんだり悔んだりするような内容にはなっていませんけどね。中々前代未聞だったようですが(笑)その模様は次回です!!
2019年04月23日小5なのに、もう中学校のことを考えるの?娘が小学5年生の秋のことです。その頃娘は、通常学級に在籍していましたが、主治医から「小学校卒業後の進路についてどう考えているか」と問われたのです。Upload By 荒木まち子それまでわが家では、毎年度末に「来年は通常学級にするか?特別支援級にするか?」ということを、本人も含めた家族で話し合って決めていました。そのため、主治医からこの話をされた当初は「まだ小5なのに、今から中学校のことを考えるなんて早すぎるのでは?」と思ったのです。でも…よく考えてみると、すぐに「決める」というのではなく、早いうちから「調べて」「考えておく」ことは、娘の将来の選択肢を広げる上で確かに大切なことかもしれないと思うようになりました。発達障害の子どもの進路は「分からないこと」だらけ!この出来事をきっかけに、発達障害がある娘の進路についてあれこれ考えてみました。すると、たくさんの疑問が浮かんできたのです。・中学校から特別支援学級に入級すると、特別支援学校高等部しか選べないの?・知的・身体障害がない場合、中学で特別支援学級に通っていても、特別支援学校高等部には入れないの?・特別支援学級に在籍していても公立高校を受験できるの?(内申書はどうなるの?)・地元の中学校に進学しない場合、その他の選択肢は、私立中学やフリースクールになるの?・高校ではなくフリースクールに進学する場合、高校卒業資格は取れる?取れない学校もあるの?・高校卒業後の進路ってどうなるんだろう?考えれば考えるほど、疑問は増していきます。そして小学校卒業後に通う中学校を決めることは、その先の高校や、さらに先の進路にも影響してくるのだということに気づきました。娘がこれからどう成長していくのかはまだイメージできないけれど、とりあえずどうなっても対応できるように、たくさん情報を集めよう。そして選ぶのは子ども自身だとしても、親がある程度は情報整理しておくようにしよう。私は、そう考えるようになったのです。いざ、情報収集スタート!当時娘は小学校の通常学級に在籍していたため、障害のある子どもに配慮された中学や高校の情報は入手することが難しく、自分たちで積極的に調べて探すしかありませんでした。そこで、娘の学習支援とSST(ソーシャルスキル・トレーニング)をしてくれていた家庭教師の先生に、中学や高校について尋ねてみたところ、さまざまな資料を持ってきてくださいました。そして、私が思っていた以上に多様な学校があることを知ったのです。例えば、通信制高校は学校教育法により「高等学校」と定められているので、一定の条件を満たせば高校卒業資格を取得することができます。でも似た名前の「通信制サポート校」は、通信制高校に通う生徒に対して勉強や精神面での支援を行っているので、通信制サポート校で勉強したとしても、高校卒業資格を取得することはできません。東京都の例だと、小・中学校で不登校になったり、高校を中退したりした子どもを受け入れる総合学科・定時制の「チャレンジスクール」や、小・中学校で十分能力を発揮できなかった生徒が、社会生活を送る上で必要な基礎的・基本的学力を身に付ける「エンカレッジスクール」という取り組みもあります。「え?通う日数を選べるの?」「受験に内申書が不要の学校もあるんだ」「芸術に特化した学校?」「そういえば、こっちの学校はテレビ番組で見たことがあるかも」資料を読みながら、私は自分の知識の無さを改めて感じました。こうした取り組みをしている学校は首都圏に多く、わが家からは距離的に厳しいケースもしばしばありましたが、それでも障害のある子どもにもさまざまな可能性や選択肢がいろいろあることを知り、驚いたのです。参考:これまで設置してきた多様なタイプの学校|東京都教育委員会資料やネットの情報では分からないこともあるこうした学校で、障害がある子どもにどのような配慮や支援をしているのか、具体的な内容を知りたいと思い、ネットのクチコミなども調べてみました。でも、ネットには「偏差値は〇〇」「芸能人の△△が通っている」「設備が充実している」「制服がかわいい」といった表面的な情報しかなく、私が本当に知りたかった情報を得ることはできませんでした。その学校が自分の子に合うかどうかは、やはり直接学校見学や説明会に行って、自分の目で確かめるしかない。そう感じた私は、早すぎるかもしれないと思いつつも、少しずつ学校見学をスタートすることにしたのです。次回コラムでは、実際に学校見学をして感じたことや、私たち親子が大切にした視点などについて紹介したいと思います。
2019年04月22日今からおよそ2年前。わが家は大きな決断をしようとしていました。あの決断が結果的に良かったのかどうか、それは今でも分かりません。あの時我が家はぶつかり合い…そして絆を深めました。今回のお話は2017年春、小学6年生の長女が中学受験に挑む物語です。複数回に分けて書きます。宜しければ最後までお付き合い下さい。お受験は突然に~長女の中学受験奮闘記1~2017年5月。嫁さんの一言でそれは突然始まりました。どうにも長女は5年生の後半位から勉強のコツを掴んだらしく、テストで程良い結果を残すようになったんですよね。まぁ本当に程良くなのですが。で、長女の将来の夢もぼんやりとですが本人の頭に浮かんでいる様子なので、じゃあせっかくだからとある中学校の受験をしてみる?という話に。嫁さんからこの話をされる前に、僕の頭の中にも一応”中学受験”の文字はあったんです。でもいざ真剣に考えてみると…ちょっと戸惑ってしまいますよね。まぁでも1番大切なのは本人の意思ですからね。このような長女の人生において大切なポイントとなりかねない出来事を親だけで決める訳にはいかないというのが僕たちの考え。中学受験がどのような事か・その学校は通常とはどう違うのか・仮に合格出来たらどういった事になるのか…そういった話を1つずつ丁寧に説明し、長女にゆっくりと考えてもらう事にしました。長女の返答は…割と即答でした(;゚Д゚)もしも合格した場合、今の同級生とは殆ど離れ離れになること。宿題も増えて勉強量が跳ね上がる説明なんかもしたんですけどね。仲の良い友達とは学校が違っても別に遊べるし、勉強もどうせしないといけないから問題ないそうです。この潔さはホント凄い…長女さんこういう部分はポジティブなんですよね。※因みに宿題量の件で中学1年生の間に色々なことがありましたが、それはまたいずれ…(笑)このような感じで受験はあっさりと確定。数日後小学校の担任にその旨を説明し、中学校の説明会に参加したりして書類関係の準備を済ませました。そして月日が流れ、時は夏休み前。受験に臨む前に塾に行かせようと考えていたのですが…これまた塾代がたっかい!!夏休み期間中のお受験対策短期プラン、4日間で1万円を超え。その後の通常のプランは高すぎて目をそむけてしまったので値段を覚えていません^^;これは共働きでどうにか頑張っている我が家の財力では簡単に出せる額ではないのです。当時スイミングにも通っていたので、それと併用して塾にも行くなんて到底ムリ……ムリ?いや、あった。これを奇策と言うのか、それとも裏技と言うのか。どちらか分かりませんが、我が家に出来る唯一の方法がありました。それを実現するべく、ここから塾に関しては全て僕が引き受けることになります。そしてここから…僕と長女の、そして我が家の濃ゆい濃ゆい半年間が始まっていくのでした。つづく。
2019年04月10日いわゆる知能指数と呼ばれる「IQ」という言葉は誰でも知っていますが、それに対して、「EQ」というものがあります。これは「Emotional Intelligence Quotient」の略で、日本語では「心の知能指数」と訳される概念のこと。このEQの重要性を提唱し、『子どもの未来が輝く「EQ力」』(プレジデント社)を上梓したEQWELチャイルドアカデミーの主席研究員・浦谷裕樹先生に、あらためてEQとはどんなものかを教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/榎本壮三(インタビューカットのみ)幼児教育の有無でその後の人生に現れた大きなちがいかつては社会で活躍して幸せであるためには、IQが大切だとされていました。でも、どんなにIQが高くて高学歴を手にしていても社会で活躍していない人、ハッピーではない人も少なくなかった。本当に重要なものはIQではないのではないか?――。そんな疑問を持つ人たちが現れたわけです。2000年にノーベル経済学賞を受賞した、シカゴ大学のジェームズ・ヘックマンという経済学博士もその疑問を持ったひとり。博士は、米国ミシガン州の貧困地域で、2年間の幼児教育を受ける60名のグループと、そうではない60名のグループを追跡調査しました。その幼児教育とは、幼稚園に通いながら、先生が週に1回の家庭訪問をするというもの。家庭訪問では、子どもへの接し方などについて親御さんに事こまかくアドバイスをしました。すると、幼児教育を受けたグループは、そうではないグループに比べて、将来的に学力、学歴、年収、持ち家率が高くて、生活保護受給率、犯罪率が低いという結果が出た。ほんの2年間の幼児教育によってその後の人生に大きな差が現れたことで、幼児教育の重要性に注目が集まることとなったのです。幼児教育によってもたらされたちがいこそ「EQ」そこで、みなさんも関心が高まると思います。幼児教育によって、子どもたちにどんな変化が起きたのか、と。ジェームズ・ヘックマン博士の研究では、幼児教育によってたしかにIQも上がったこともわかりました。ただ、それは一時的なものに過ぎなかった。幼児教育が終わったそのあと、両グループとも同じ教育を受けはじめると、8歳の時点ではIQにはほとんど差がなくなったのです。そして、両グループに大きなちがいが出たものこそ、EQだったのです。EQとは、一般的になりつつある言葉だと「非認知能力」と呼ばれるものにあたります。知能テストで測定できるIQに対して、これといった測定法がない「心の力」です。具体的には、自己肯定感、忍耐力、協調性、やり抜く力、自制心、共感力、リーダーシップ、誠実さ、創造性、コミュニケーション能力など、さまざまな要素があります。ひっくるめていえば、「人間力」といっていいでしょう。そして、これらの力が高いほど学力が高くなることもわかりました。ある研究によって、IQが高いからといってEQが高くなるとは限らないが、EQが高ければIQはさらに高くなるということがわかったのです。ただ、そんなことは研究するまでもなく想像できますよね。自己肯定感が高くて、忍耐力ややり抜く力、自制心があれば、勉強だってできるようになる。学力をはじめ、人間としてのさまざまな力を伸ばしていく「土台」にあたるのがEQなのです。「EQ」への注目度が高まっている背景いま、このEQ、非認知能力が日本でも大きな注目を集めるようになってきました。書店の教育関連書籍のコーナーに行くと、「非認知能力」という言葉はいくらでも見つけることができます。それには、幼児教育ブームも大きな要因となっているでしょう。いまや、幼児教育は「する・しない」ではなく、「するのがあたりまえ」「どんな幼児教育をするか」というところに移ってきています。そこで、EQ、非認知能力を伸ばす教育というものが注目されているわけです。また、2020年からはじまる教育改革もEQが注目を集めることとなった要因のひとつでしょう。新たな学習指導要領では、学力の3要素として、幼児の場合は「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」、そして「学びに向かう力・人間性」を掲げています。3つ目の要素である「学びに向かう力・人間性」は、新たな大学入学共通テストの出題指針としては「主体性・多様性・協働性」という表現になっています。これら3つ目の要素は、結局のところ、EQといっていいものでしょう。さらにEQの注目度が高まっている背景としては、時代の潮流というものも大きいように感じます。かつての大学入試は「富士山型」といえました。日本なら東大、世界ならオックスフォード大やハーバード大というひとつの「頂点」に向かうことが最良とされてきたのです。でも、現在は、「頂点」がいくつもある「八ヶ岳型」に変わりつつあるといえるでしょう。大学側は「うちの大学ではこういうことを教えるから、こういう学生がほしい」とそれぞれ異なる特徴を打ち出す。受験生も「こういうことを学びたいからこの大学に行きたい」と考える。価値観が多様化し、大学側、受験生側の双方が「マッチング」を重視するようになってきたのです。そこで、「自分はなにをしたいのか」「どんな能力を伸ばしていくべきなのか」といったことがわからなければ自分に合った大学を見つけることができず、その先の人生を充実させることも難しくなるでしょう。そして、そういった自分を見つめる力、自分を客観視する力もEQに含まれるものなのです。『子どもの未来が輝く「EQ力」』浦谷裕樹 著/プレジデント社(2018)■ EQWELチャイルドアカデミー・浦谷裕樹先生 インタビュー一覧第1回:幼児教育ブームのなかで今注目の「EQ、非認知能力」って何のこと?第2回:「頭の力」には「心の力」こそ必要。EQが高いと優秀な子に育つ納得の理由(※近日公開)第3回:父親流の「厳しい愛情」が子どものEQを伸ばす。人間性と学力を高める親のかかわり方(※近日公開)第4回:お説教は「○分以内」で。子どものEQを高める“叱り方の正解”とは(※近日公開)【プロフィール】浦谷裕樹(うらたに・ひろき)1972年7月31日生まれ、東京都出身。EQWELチャイルドアカデミー・新未来教育科学研究所主席研究員。工学博士、理学博士。京都大学理学部卒業、京都大学大学院理学研究科修士課程修了。高校時代に「人間の可能性はどこまで伸ばせるのか」との問いを抱き、学生時代より古今東西の能力アップ法を研究開始。現在は「楽しく、わかりやすく、ためになる」をモットーに全国で講演活動中。とくに参加型のトレーニングやワークを盛り込んだセミナーを得意とする。著書に『メンタルウェルネストレーニングのすすめ』(エコー出版)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年04月03日「有名大学に入学し、有名企業に就職すれば一生安泰」という時代は過去のものとなりました。いまの子どもたちは、親には想像もできない「新たな時代」を生き抜いていかなければなりません。そのためには、これまでの「学力」とはちがう力も必要となることでしょう。それには「3つの力」があると、育児や教育に関する執筆活動の他、各種メディアで活躍する教育ジャーナリストのおおたとしまささんは語ります。「3つの力」とはどんなもので、また、どうすれば伸ばすことができるのでしょうか。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)「やり抜く力」がIQの差を飛び越えさせるこれから長い人生を歩んでいくいまの子どもたちが身につけておくべき力――。教育ジャーナリストという立ち場上、わたしもよく聞かれることです。これには次の3つの力があると考えています。【1】そこそこの知力と体力【2】やり抜く力【3】自分とはちがう能力を持つ人たちとチームになる力ちょっとあいまいないい方になりますが、ひとつは「そこそこの知力と体力」です。さすがに人並みの知力と体力がなければ、人生において成功を収めることはそう簡単ではありません。でも、人並みでいいのです。偏差値50を切っていても、ボリュームゾーンに入っていれば十分。子どもなら、人とコミュニケーションが取れて、落ちこぼれじゃない学力があって、友だちと一緒に遊べる体力があればいい。もうひとつは、「やり抜く力」。最近、アメリカのある心理学者が「GRIT(グリット)」という呼び名で提唱しているのも「やり抜く力」です。これは、「Guts(度胸)」「Resilience(復元力)」「Initiative(自発性)」「Tenacity(執念)」の頭文字を取ったもの。これを日本では「やり抜く力」と訳しています。このGRITをめぐって、「IQが高いよりGRITが高いほうが人生で成功している割合が高い」という研究結果が出ています。その「成功」とはなにかという疑問もあるのですが、おそらくは「社会のなかで一定の成果を出している」ということでしょう。たしかに、IQは体力ほど大きな差を生むようには思えません。普通の人間は「超人ハルク」にけんかを挑んでも勝てませんが、努力次第ではIQがはるかに高い人より大きな成功を収めることもできるでしょう。その努力の要になるものこそ、自分が定めた目標に向かって諦めない、「やり抜く力」です。個性があるゆえに個人の力は限られているこれらふたつは個人の力です。加えて、これからの時代には、「自分とはちがう能力を持つ人たちとチームになる力」も求められるとわたしは考えています。たとえば、すごく頭の回転が速くてぱっとものごとを決めてしまう人が、慎重で「いやいや、ちょっと待って」とじっくりものごとを考えられる人とチームになることにも大いに意味があるでしょう。いままでは個人の力を高めていけば生き残れる時代でした。誰もが個人の力を高めて世のなかで勝ち組になろうとしていたのです。でも、これからはちがいます。孤立する人間にとっては厳しい時代になるでしょう。個人個人が持っている能力は、それぞれに個性があるがゆえに限られています。どれだけ個人の力を高めても、できることはたかが知れたものでしょう。そう考えれば、自分にはない力を持っている誰かとチームにならなければなりません。さまざまな力を持った人間が集まったチームの一員となって、あらゆる課題に対応できるかどうか――。それこそが、今後の世界で伸びていく、自身の能力を存分に発揮するためのキーとなるのではないでしょうか。習い事をする意味は挫折を乗り越えることでは、子どもがこれら3つの力を伸ばすにはどうすればいいか。「そこそこの知力と体力」に関しては、きちんと学校に通っていれば問題ありません。義務教育とは、まさに「そこそこの知力と体力」を身につけさせるものですからね。残りのふたつに関しては、本来、親御さん自身がその力の使い方を実生活のなかで見せてあげることがいちばんです。でも、仕事で「やり抜く力」や「チームになる力」をどんなに発揮している人も、会社勤めをしていれば、その姿を子どもに見せることは難しいかもしれません。そういった場合、子どもの「やり抜く力」を伸ばすためには、なんといっても習い事が効果的です。習い事の種類は問いません。重要なのは、「親がやらせたい」ものではなく、「子どもがやりたい」ものにすること。この場合の習い事の目的は、「やり抜く力」を伸ばすことであって、「子どもになにかのスキルを身につけさせること」ではないからです。自分がやりたい習い事なら、子どもは夢中になって取り組むでしょう。だから、はじめた当初はすぐに成果が出る。けれど、レベルが上がってくれば、そのうち壁にぶつかります。「もうやめたいな……」という気持ちも出てくるでしょう。でも、そのネガティブな気持ちを乗り越えたときに、それまでとはちがう新たな達成感を得ることができます。夢中、達成、挫折、そして乗り越える――。この一連の経験こそが子どもの「やり抜く力」を育ててくれるものであり、習い事をする意味でもあるのです。また、「チームになる力」を伸ばしてあげたいのなら、学校や塾以外の人間が集まる集団に子どもを入れることが効果的でしょう。たとえば、夏休みにいわゆる「子どもキャンプ」に参加させる。そうすると、年齢や出身、文化もちがう見ず知らずの子どもやその親たちと過ごすことになります。同じ学校や塾に通っているという「前提」を共有していない人間とともに活動することが、「チームになる力」を伸ばしてくれると期待していいと思います。『中学受験「必笑法」』おおたとしまさ 著/中央公論新社(2018)■ 教育ジャーナリスト・おおたとしまささん インタビュー一覧第1回:過当競争極まれり。難関中学への“逆転入学”が子どもに弊害をもたらしている第2回:「間に合わせの学力」では人生厳しい。「本質的な学力」を伸ばす“1日10分”の学び第3回:学力は人並程度あればいい。「新たな時代」を生き抜くためには“3つの力”が必要だ第4回:「教育虐待」のやっかいな実態。今の子どもには“決定的に足りない”時間がある(※近日公開)【プロフィール】おおたとしまさ1973年10月14日生まれ、東京都出身。教育ジャーナリスト。麻布中学校・高等学校卒業、東京外国外大学英米語学科中退、上智大学外国語学部英語学科卒業。株式会社リクルートを経て独立し、数々の育児誌、教育誌の編集に関わる。心理カウンセラーの資格、中学高校の教員免許を持っており、私立小学校での教員経験もある。現在は、育児、教育、夫婦のパートナーシップ等に関する書籍やコラム執筆、講演活動などで幅広く活躍する。著書は『受験と進学の新常識 いま変わりつつある12の現実』(新潮社)、『名門校とは何か? 人生を変える学舎の条件』(朝日新聞出版)、『ルポ塾歴社会 日本のエリート教育を牛耳る「鉄緑会」と「サピックス」の正体』(幻冬舎)など50冊を超える。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月13日「学力」とは、「教育を通じて獲得した力」です。一般的には、「どれだけ勉強ができるかを示す力」といっていいでしょう。文科省がおこなっている学力調査などは、まさにその意味で使われているものです。しかし、育児や教育に関する執筆活動の他、各種メディアで活躍する教育ジャーナリストのおおたとしまささんは、「『本質的な学力』とは『どう生きていくか』を考える力」だと語ります。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)勉強をし過ぎる子どもと全然しない子どもいま、小学生を見ていて問題に感じるのは、勉強をする子どもとそうではない子どもの差が開き過ぎているということです。これは中学受験に付随する問題でもあります。いまの中学受験は競争が過酷ですから、受験をするとなるとすごく勉強をしなければなりません。一方、中学受験をしないと決めた子どもは、逆に勉強を全然しなくなる傾向にあるように感じます。人間形成のためか、あるいはいわゆる後伸びする力を養うためか、「子どもの頃にはできるだけ遊んだほうがいい」という意見もあります。でも、その遊びがただゲームをするだけだったり、スマホをいじるばかりだったりというものであれば問題でしょう。もちろんずば抜けて勉強ができる必要はありませんし、教科書を丸暗記するような必要もない。でも、教科書に書かれていることを筋道立てて理解し、小学校で得るべき基礎学力を身につけておかなければ、その子どもの後々の人生は厳しいものになるはずです。それこそ、中学受験はしなくても、高校受験や大学受験の場面で壁にぶつかることになるでしょう。基礎学力や学びの姿勢がなければ、そういうときに手にしようとするのは「付け焼き刃の学力」でしかないのです。つまり、高校入試や大学入試という目的をクリアするためだけの「間に合わせの学力」です。もちろん、それで目的を達成できれば問題はないかもしれません。ただ、付け焼き刃の学力だけしかない場合と、それとは異なる「本質的な学力」を身につけている場合では、その後の人生は大きく変わってくるはずです。「教養」が世界での自分の生かし方を示すでは、「本質的な学力」とはどんなものでしょうか。それは、ふたつの要素にわけられるとわたしは考えています。ひとつは「教養」。もうひとつは、「学び続ける力」です。教養とは、「さまざまな学問の観点から世のなかを見る目を養うこと」です。ここではひとつの卵を例にしましょう。家庭科の観点からなら、卵を使ってどんな料理がつくれるのかという見方になる。栄養学の観点なら、黄身にはビタミンが多くて白身にはタンパク質が多いといった見方になるでしょう。理科なら、この卵がニワトリのものなのか別の生き物のものなのかを見分けるための方法を考える。社会科なら卵の値段が決まった理由を考えるかもしれないし、数学なら卵の容積を求めたり、殻が描く放物線を数式で表す方法を考えたりするかもしれません。ひとつの卵というものも、いろいろな学問の観点、角度から光を当てることによってその本質が立体的に見えてきます。「教養を得る」ということは、そういうふうにさまざまな視点に立つことで、ものごとをより正確に捉えられるようになることなのです。そうして教養を得ると、自分が置かれている世界を正確に把握し、そのなかで自分をどういうふうに生かしていくのかと考えられるようになっていきます。つまり、自分が「どう生きていくのか」を判断できるようになるのです。これは「学ぶ意味」でもあり、もはや付け焼き刃の学力とはまったく別のものですよね。そして、教養が身についていれば、日常のなかで、「あ、こういうことも学ばないといけないな」と新たな課題を次々に見つけることもできるはずです。そういう意味では、「学び続ける力」も教養に含まれると考えることもできるかもしれません。抽象的思考を高めるのは幼いときの「具体的体験」子どもに本質的な学力、つまり教養を身につけさせたいのであれば、幼い頃から「具体的な体験」をできるだけたくさんさせることが重要です。11歳くらいまでは、人間は抽象的な思考を苦手としています。だから、小学生のうちは「りんごがいくつでみかんがいくつ、合わせていくつでしょう?」というふうに、目に見えるもの、手で触れられるものを使って学びます。でも、中学生以降になると、抽象的思考ができるようになる。「x」や「y」という概念上の数字を使って表す方程式を理解するようになります。抽象的思考では、りんごやみかんのような具体物を使いません。でも、頭のなかでは抽象的なものを具体物と同じように操作しています。そして、小さい頃に具体物に触れた体験が豊かであればあるほど、抽象的思考がより得意になるのです。そのために、小さい子どもにはできるだけさまざまな体験をさせてあげてほしいと思います。また、高校受験や大学受験を見越した実利的な面からわたしの意見を述べると、やはり小学校の低学年のうちに学習習慣を身につけさせておくべきです。先にお伝えした、「学び続ける力」にも通じるものですが、受験で成果を出すにも、結局は「自ら学ぶ」姿勢が必要だからです。そのためには、学校で出される宿題以外に、ほんの少しでもいいから別の勉強をすることを子どもの習慣に組み込んでみてください。内容は本当になんでもOKです。市販のドリルをやってもいいし、新聞を読んで気になった記事に対する感想を書くということでも、虫が好きな子どもなら自分で虫図鑑をつくるというプロジェクト型のものでもいいでしょう。そして、それらをやる時間は本当に短くてもいい。1日に10分の「自ら学ぶ」習慣がついていれば、その10分を30分や1時間に伸ばすことができます。でも、ゼロを1にすることはものすごく大変です。自ら学ぶ習慣がないまま大人になると、その後の人生が充実したものでなくなる可能性が高いことは、簡単に想像できますよね。『中学受験「必笑法」』おおたとしまさ 著/中央公論新社(2018)■ 教育ジャーナリスト・おおたとしまささん インタビュー一覧第1回:過当競争極まれり。難関中学への“逆転入学”が子どもに弊害をもたらしている第2回:「間に合わせの学力」では人生厳しい。「本質的な学力」を伸ばす“1日10分”の学び第3回:学力は人並程度あればいい。「新たな時代」を生き抜くためには“3つの力”が必要だ(※近日公開)第4回:「教育虐待」のやっかいな実態。今の子どもには“決定的に足りない”時間がある(※近日公開)【プロフィール】おおたとしまさ1973年10月14日生まれ、東京都出身。教育ジャーナリスト。麻布中学校・高等学校卒業、東京外国外大学英米語学科中退、上智大学外国語学部英語学科卒業。株式会社リクルートを経て独立し、数々の育児誌、教育誌の編集に関わる。心理カウンセラーの資格、中学高校の教員免許を持っており、私立小学校での教員経験もある。現在は、育児、教育、夫婦のパートナーシップ等に関する書籍やコラム執筆、講演活動などで幅広く活躍する。著書は『受験と進学の新常識 いま変わりつつある12の現実』(新潮社)、『名門校とは何か? 人生を変える学舎の条件』(朝日新聞出版)、『ルポ塾歴社会 日本のエリート教育を牛耳る「鉄緑会」と「サピックス」の正体』(幻冬舎)など50冊を超える。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月12日これまでの価値観や人生モデルが崩壊し、「考える力」が求められるとされる昨今、中学入試においてもいわゆる「思考型入試」が導入されるケースが増えつつあります。それにより、中堅以下の学校、そして難関校においても変化が起きているそうです。育児や教育に関する執筆活動の他、各種メディアで活躍する教育ジャーナリストのおおたとしまささんにお話を聞きました。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)オーソドックスだった開成中が出した変化球問題いま、中学入試は過渡期にあります。その象徴のひとつが、教育界でいうところの「開成ショック」。2018年2月、開成中が国語の問題として出したのは、かいつまむと以下のようなものでした。「ふたつの支店でおこなったカニ弁当の販売について、それぞれの支店の売れ行きを示したグラフを基に、ひとりの社員を評価する部長に対し、その意見を否定する社長の考えを読み取る」という内容です。問いは、「社長は、部長の報告のどの表現に、客観性が欠けたものを感じたのでしょうか。二つ探し出し、なるべく短い字数で書きぬきなさい」というものでした。この問題の模範解答や採点基準を見たわけではないのではっきりとはいえませんが、おそらくはディベートに求められるような力を試したのではないでしょうか。ディベートには自分の意見と関係なく、賛否双方の立ち場から論理を組み立てる力が必要とされます。これは、それこそ「思考型」と呼ばれるタイプの問題といえるでしょう。これまで割とオーソドックスな問題を出してきた開成中が、こういった「変化球」の問題を出したことで、「2020年にはじまる大学入試改革を先取りしているのではないか」と大きなトピックになったわけです。首都圏では「適性検査型入試」が激増ただ、わたしは単純にそうだとは思いません。大学入試改革に合わせたわけではなく、「世のなかが求める学力観」に合わせた変化なのだと思います。いま、世のなかが求める学力とは、大きくは3つだと見ていいでしょう。【1】相手のいわんとしていることを正確に読み取る「読解力」【2】知識の量に関係なく考えられる力、いわゆる「論理的思考力」【3】自分の考えをアウトプットする「表現力」教育界では、知識を詰め込むのではなく、この3つのサイクルを鍛えることにもっと力を入れないとならないといわれています。そういう背景もあってか、大学入試改革との関係はさておき、「思考型入試」を含む「適性検査型入試」が激増していることはたしかです。これは、ある教科の試験で思考力を問う問題が出題されるというものではなく、いわゆる4教科型とはちがう試験によって合否を判定する入試のこと。入試をおこなう首都圏の中学は約300ありますが、いま、なんとその半数近くの学校が適性検査型入試を導入しています。もちろん、定員の全員をその入試で取るわけではありません。300人の定員があれば、たとえば250人は従来の4教科型、50人は適性検査型の試験で入学させるという具合です。適性検査型入試がもたらした中堅校でのシナジー適性検査型入試全盛といえるいま、中堅以下の学校では面白い変化が見られます。そういう学校に、「通常の4教科型入試では難関校に入れないから」という理由で入学した場合、当然、「自分は勉強ができない」という劣等感を抱えることになります。一方、適性検査型入試で「君にはこういういいところがあるよ!」と評価されて入学した子どもは自己肯定感が高い状態にある。そうすると、いわゆる学力なら同じ偏差値帯にある子どもでも、自己肯定感のちがいによってその後の学力の伸びに差が出てくることもあるのです。しかも、そういう子どもは、知識量では難関校に進む子どもにかなわないかもしれませんが、思考力や応用力、創造力という面では遜色ない、あるいは凌駕しているという場合もあるでしょう。すると、中堅以下の学校にそれぞれちがう良さを持った多様なタイプの子どもたちが集うこととなり、相乗効果、いわゆるシナジーを生むことにもつながるのです。こうして、その学校における学びの質は上がっていきます。そういう学校では、「多様な人間との協働」という、いまの子どもたちに求められるといわれる生き方そのものを学んでいるともいえるのではないでしょうか。中学受験の過当競争に「異議あり!」一方、難関校には別の変化が起きています。それは、塾によるものです。現在の塾の入試対策カリキュラムはものすごく研ぎ澄まされていて、指示通りにこなせば誰でも難関校に入学できるようになってきています。いわば、某トレーニングジムのようなもので、とにかく指示通りに大量の課題をこなせば、ガリガリだった人間がマッチョになって、もともと体力があった人間を負かすようなことが起きているのです。かつての中学入試では、そのような逆転現象はなかなか起きるものではありませんでした。難関校には、いわゆる地頭がいい子どもが順当に入っていたのです。ところが、いまは、以前なら入学できなかったような子どもも入ってくる。そうすると、教師は「いままではこんなに手がかかる子どもは入ってこなかった……」と感じながら、たくさんの小テストをやらせたり宿題を出したりと、手取り足取り教えないとなりません。これは、「逆転入学」した子どもにとっても、決して幸せな状況ではないはずです。本来、難関校というのは自由な校風の学校が多いものです。「1伝えれば10わかる」という生徒がほとんどのため、教師も無駄な宿題なんて出しませんし、「あとは自分でやっておいてね」といえる。子どもたちは、その自由を謳歌します。でも、入学したはいいが、周囲に置いていかれないように必死に勉強することになれば、その自由を味わうどころではありませんよね。そもそも、そういう子どもが難関校に入学するためには、過酷な筋力トレーニングのように、小学生としては考えられないほどの努力をしなければなりません。いまの中学受験は「過当競争、極まれり」という状態なのです。もちろん、「頑張れば難関校に入学できる」ことに「夢がある」といういい方もできるかもしれません。ただ、無理をさせるのはいかがなものでしょうか?もっとそれぞれの子どもにフィットした学校、楽しい学校生活があるとわたしは思うのです。勝ち負けではなくて、子どもが最後に笑える中学受験のやり方というものを考える必要があるのかもしれません。『中学受験「必笑法」』おおたとしまさ 著/中央公論新社(2018)■ 教育ジャーナリスト・おおたとしまささん インタビュー一覧第1回:過当競争極まれり。難関中学への“逆転入学”が子どもに弊害をもたらしている第2回:「間に合わせの学力」では人生厳しい。「本質的な学力」を伸ばす“1日10分”の学び(※近日公開)第3回:学力は人並程度あればいい。「新たな時代」を生き抜くためには“3つの力”が必要だ(※近日公開)第4回:「教育虐待」のやっかいな実態。今の子どもには“決定的に足りない”時間がある(※近日公開)【プロフィール】おおたとしまさ1973年10月14日生まれ、東京都出身。教育ジャーナリスト。麻布中学校・高等学校卒業、東京外国外大学英米語学科中退、上智大学外国語学部英語学科卒業。株式会社リクルートを経て独立し、数々の育児誌、教育誌の編集に関わる。心理カウンセラーの資格、中学高校の教員免許を持っており、私立小学校での教員経験もある。現在は、育児、教育、夫婦のパートナーシップ等に関する書籍やコラム執筆、講演活動などで幅広く活躍する。著書は『受験と進学の新常識 いま変わりつつある12の現実』(新潮社)、『名門校とは何か? 人生を変える学舎の条件』(朝日新聞出版)、『ルポ塾歴社会 日本のエリート教育を牛耳る「鉄緑会」と「サピックス」の正体』(幻冬舎)など50冊を超える。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月11日子どものなかには、中学年の頃までは勉強ができたのに高学年になったら成績が下がってしまう、逆に中学年まではぱっとしなかったのに高学年になったら一気に成績が上がる、いわゆる「後伸び」をする子どももいます。両者にはどんなちがいがあるのでしょうか。ウェブサイト「中学受験情報局『かしこい塾の使い方』」主任相談員の小川大介さんは、「幼い頃の熱中体験」に鍵があるといいます。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)後伸びする子、そうじゃない子のちがいとは?「幼いときになにかに熱中した経験」があるかどうか――。これが後伸びする子どもとそうなない子どものちがいだとわたしは考えています。後伸びする子どもは、エネルギーにあふれています。体力だけでなく、好奇心や自分の世界を深めていく心のエネルギーも強い。そのエネルギーを生み出すのは、幼いときに好きなことを好きなだけやった経験です。夢中になって遊び続けてパタンと寝てしまうような子どもっていますよね?布団にもたどり着けずに電池が切れたように寝てしまうような(笑)。それは、自分の興味が向いているものに体力と心の限界まで熱中していたということ。つまり、そういう子どもは、なにかを「やりたい」と思ったときに瞬時に動けて限界まで集中し続ける力を持てているということなのです。その「なにか」が勉強になったとしたらどうでしょうか。体と心の強いエネルギーを勉強に向けるわけですから、成績が伸びていくのは当然のことです。つまり、後伸びする子どもにしたければ、幼い頃には好きなことを好きなだけやらせてあげる必要があります。幼い子どもが好きなことというと、たいていは「遊び」になるでしょう。それでいいのです。「なにをするか」ではなく、「なにかに熱中すること」が重要なのですからね。「遊び」と「勉強」をわけて考える必要はないそして、そもそも「遊び」と「勉強」をわけて考える必要もありません。むかしから定番の積み木など「知育玩具」と呼ばれるおもちゃがあるように、程度のちがいこそあれ、勉強には遊びの要素があり、遊びにも勉強の要素があるものだからです。そういった勉強の要素を含む遊びを、わたしは『1日3分! 頭がよくなる子どもとの遊びかた』(大和書房)という本にまとめました。掲載している58種類のなかから、いくつかおすすめのものを紹介しておきましょう。【頭が良くなる遊び】(1)折り紙グシャグシャ遊び親子それぞれが好きな色の折り紙を選び、まず手でグシャグシャと丸めます。それを開いて、折り目がかたちづくる○△□といったかたちを見つけて、ペンでなぞりましょう。そのうち、子どもが乗り物や動物のかたちを発見することもあるかもしれない。図形のかたちをとらえ、想像力を育むことにもなる遊びです。(2)ひたすら直線並べ遊び積み木をひとつの入れ物に入れておき、「○○ちゃんのところからテレビまで積み木いくつかな?」などと声をかけ直線で積み木を並べさせます。自分の手でひとつずつ並べるため、ごく自然に長さや広さを体感することになります。最後は、積み木を一緒に数えながら片づければ、数の学習にもなりますね。(3)言葉パズル遊び50音が書かれている「あいうえおカード」を使って、相手がつくった言葉から抜いた1字を使った言葉をつくるという遊びです。たとえば、子どもが「あひる」とカードを並べたら、親がそのなかから「ひ」を抜いて「ひまわり」とする。今度は子どもが「ひまわり」から1字を抜いて好きな言葉をつくるという要領。どの1字を使うかを考え、それが含まれる言葉を思い浮かべることは、幼い子どもにとってはかなりの知的作業です。わざと子どもがまだ知らない言葉をつくって、それを教えるということもできますね。習い事が成長する感覚、挑戦意欲を育てる子どもが熱中することというと、習い事も挙げられます。習い事には子どもの成長に好影響を与えることがいくつも含まれています。ひとつは「多様性を知る」こと。世代や価値観が異なるさまざまな人に交じって、学校の先生とはちがう先生と習い事に取り組む。子どもは、これまで知らなかった世界を知ることになります。もうひとつが、自らの「成長感覚をつかむ」ということ。習い事は、やったらやっただけ成果が見えるようにできています。スイミングでも書道でも、はじめたからには「○級になりたい、○段になりたい」というふうに思うものでしょう。そのために、教室以外でも練習をするようにもなります。そして、努力を続けることで技能が身についていき、目標を達成したという成功体験を得る。これが、自分が成長していく感覚や挑戦意欲を育ててくれるのです。もちろん、「熱中すること」が重要ですから、習い事も世間一般にいいと言われているものではなく、子どもが興味を示すものでなければなりません。とはいえ、習い事をはじめてもすぐに「もうやめたい」といったり「今度はあれがやりたい」と興味の方向が変わったりする飽きっぽい子どもがいるのも確かです。そういう子どもは、同じように飽きっぽく見えても、その原因は異なる場合があります。赤ちゃんのように瞬間的に別のものに興味が向かってしまう、こらえ性がない本来の意味での飽きっぽさなら、「もう1回頑張ってみようか」と、やはり我慢することを教える必要があります。単に「うちの子は好奇心旺盛だから」で片づけると、成長能力がまったくないまま大きくなってしまう可能性があるからです。もうひとつのケースは、単純に「ビビり」だというもの。面白そうと思って教室に行ってみたものの、先にはじめているまわりの子は自分より上手だった。そこで弱気になって、「やっぱりやめる」と逃れようとしているのなら、そこは親が励ましてあげるべきでしょう。もちろん、家でも子どもと一緒に練習をする。そうして練習すれば、確実に上達するという事実を教えてあげればいいのです。いずれにせよ、飽きっぽく見える子どもの裏になにが潜んでいるのかを見定めてあげて、熱中体験、成功体験をきちんとつくってあげることが大切です。『1日3分! 頭がよくなる子どもとの遊びかた』小川大介 著/大和書房(2017)■ 中学受験のプロ・小川大介さん インタビュー一覧第1回:“国語嫌い”になりやすい子どものタイプと、親がやりがちな間違った教育法第2回:“リビング学習でかしこくなる”は勘違い。東大生がリビングで勉強する本当の理由第3回:子どもは勝手にかしこく育つ。“自ら学ぶ力”を伸ばす辞書・地図・図鑑の活用法第4回:“後伸び”する子としない子の違い。成長後に学力が急伸する幼少期の過ごし方【プロフィール】小川大介(おがわ・だいすけ)1973年生まれ、大阪府出身。ウェブサイト「中学受験情報局『かしこい塾の使い方』」主任相談員。プロ家庭教師集団「名門指導会」副代表。京都大学法学部卒業。関西最大手の進学塾の看板講師として活躍後、個別指導教室「SS-1」を創設。教科指導スキルに、声かけメソッド、逆算思考、習慣化指導を組み合わせ、短期間での成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。家庭をひとつのチームと見立てておこなう独自のカウンセリングは実施数5000回を超え、高い精度でクライアントを成功へ導いている。受験学習はもとより、幼年期からの子どもの能力の伸ばし方、親子関係の築き方といった子ども教育分野でも定評がある。著書に『1日3分! 頭がよくなる子どもとの遊びかた』(大和書房)、『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』(すばる舎)、『親子で学べる! カピバラさんドリル 小学社会47都道府県』(かんき出版)など多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月08日「どうしたら子どもがかしこくなってくれるのだろう――」。この、答えがありそうで実際には答えのない問いに苦心されている親はとても多いかもしれません。しかし、ウェブサイト「中学受験情報局『かしこい塾の使い方』」主任相談員の小川大介さんは、「子どもは勝手にかしこくなる」と語ります。大切なポイントは、そうなるための家庭環境をつくること。その家庭環境づくりに欠かせない「三種の神器」ともいえるものが、「辞書」「地図」「図鑑」だといいます。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)辞書は「言葉の置き換えの練習帳」「子どもにかしこくなってほしい」と考えると、つい「とにかくたくさん勉強をさせる」という発想になり、問題集や参考書などの教材を買い与えたくなります。でも、いわゆる学習教材とはちがった効果によって子どもをかしこくさせる3つのツールがあります。その3つとは、「辞書」「地図」「図鑑」。それぞれが子どもになにをもたらすかについて、順に説明していきます。【辞書】辞書はいうまでもなく言葉の意味を、「定義」したもの。辞書を引くとき、子どもは「この言葉は厳密にはどういう意味なんだろう?」と考えています。その意識は「論理的思考力」に直結するのです。「だいたいこんな感じ」と内容をふわっと理解するだけでは、論理的思考力は伸びません。論理的思考力を育むには「定義」という観点が重要なのです。また、国語のテストなどで「◯◯をわかりやすく説明してください」という問題がありますよね。「説明する」とは、簡単にいえば「別の言葉に置き換える」ことを意味します。辞書はそれこそ置き換え作業されたものが記されているものです。それに触れることで、言葉の置き換え作業や、他人にものごとを説明する能力が伸びる。辞書は、「言葉の置き換えの練習帳」なのです。地図から「神の視点」を得る。図鑑は「何度も読み解けるメディア」【地図】「地図」が伸ばしてくれるのは「客観的思考力」です。地図は俯瞰視点で描かれています。本来であれば、地上にいる人間には見られない世界(視点)ですよね。いわば、上から見下ろす「神の視点」を得ることで、第三者的な視点、客観的思考力が育まれます。また、地図に触れることは縮尺と距離を体感することでもある。いま自分がいて広く感じられるこの場所も、地図上で見ればほんの小さなものだと知る。算数に例えるなら、「割合と比」の勉強をしていることに他なりませんよね。【図鑑】図鑑の効果は、テレビなど映像メディアと比較するとわかりやすいかもしれませんね。映像にはたくさんの情報が含まれています。それをすべて文字情報に置き換えると膨大な量になってしまう。だから、図鑑は「いかに情報を削ぎ落とすか」という観点でつくられています。なぜなら、重要な要素をはっきりさせるためです。図鑑の多くが写真ではなくイラストを使っていることも同じ理由です。単純化し、注目するべきポイントを浮かび上がらせているわけです。その特徴によって、図鑑は「何度も読み解けるメディア」になっています。膨大な情報を含む映像を見た場合、「なんとなく知った気」になって終わり。一方で図鑑の場合は、あるときは掲載されている動物の生息地が気になって地球儀で調べたり、あるときは異なる動物の共通点に気づいたりと、自分の気づきによって見るポイントが変わるのです。それこそ、「自ら学ぶ」という姿勢を育むものといえるでしょう。親自身が子どもにとっての「第一の環境」このように、「辞書」「地図」「図鑑」は、子どものさまざまな力を伸ばすために有用なツールです。とはいえ、「今日から図鑑を見なさい」と子どもに押しつけたところで、親御さんの思惑どおりに興味を示すということは少ないでしょう。よく引き合いに出される話ですが、水を飲みたいと思っていない子ヤギを水場に引きずって行ったところで水を飲むことはありません。でも、喉が渇いたときに水場を教えてあげれば自分で勝手に水を飲みに行く。その原理は子どもの勉強にも通じます。子どもは「自分で勝手に育つように、かしこくなるようにできている」のです。親がやるべきことは、子どもが「水が飲みたい」と思ったときのために「水」を用意しておくことではないでしょうか。辞書や地図、図鑑を用意しておくのです。それらを置くのは勉強部屋とは限りません。リビングでもダイニングでも、子どもが手に取りやすい場所に置いておきましょう。子どもに無理やり読ませたり、「一緒に読もう」と頑張ったりする必要はまったくありません。辞書や地図、図鑑に「子どもがいかに自然に出会うか」という発想で、子どもにとっての家庭環境をつくることが大切です。子どもが日常生活のなかでふとなにか気になることに遭遇した。家に辞書や地図、図鑑が身近にあるから使ってみた――そういうシチュエーションをなるべく多く発生させれば、子どもの「自ら学ぶ力」を育てることにつながるのです。そして、「三種の神器」を置くこと以外に、もうひとつ大切なことがあります。それは、「親自身が第一の環境」だという認識を持つことです。親がいつも楽しそうにしているだけで、子どもがかしこくなる可能性は高まるのです。親がいつも楽しそうにしていて家族の仲が良ければ、子どもは人としゃべったり、人の話を聞いたりすることが楽しいことだと思うようになります。勉強でも仕事でも、多くの人の話を素直に聞ける人間が伸びていきますよね。人と心地良くつながれることは、それだけで能力を発揮する土台となるのです。そして、親が楽しく毎日を過ごすには、親が自分自身を好きになること。それが、子どもをかしこくする家庭環境づくりのスタートです。『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』小川大介 著/すばる舎(2016)■ 中学受験のプロ・小川大介さん インタビュー一覧第1回:“国語嫌い”になりやすい子どものタイプと、親がやりがちな間違った教育法第2回:“リビング学習でかしこくなる”は勘違い。東大生がリビングで勉強する本当の理由第3回:子どもは勝手にかしこく育つ。“自ら学ぶ力”を伸ばす辞書・地図・図鑑の活用法第4回:“後伸び”する子としない子の違い。成長後に学力が急伸する幼少期の過ごし方(※近日公開)【プロフィール】小川大介(おがわ・だいすけ)1973年生まれ、大阪府出身。ウェブサイト「中学受験情報局『かしこい塾の使い方』」主任相談員。プロ家庭教師集団「名門指導会」副代表。京都大学法学部卒業。関西最大手の進学塾の看板講師として活躍後、個別指導教室「SS-1」を創設。教科指導スキルに、声かけメソッド、逆算思考、習慣化指導を組み合わせ、短期間での成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。家庭をひとつのチームと見立てておこなう独自のカウンセリングは実施数5000回を超え、高い精度でクライアントを成功へ導いている。受験学習はもとより、幼年期からの子どもの能力の伸ばし方、親子関係の築き方といった子ども教育分野でも定評がある。著書に『1日3分! 頭がよくなる子どもとの遊びかた』(大和書房)、『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』(すばる舎)、『親子で学べる! カピバラさんドリル 小学社会47都道府県』(かんき出版)など多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月06日「これからの子どもには『考える力』が必要だ」という言葉をここ数年よく目にするようになりました。しかし、その「考える力」とはどういうものなのでしょうか。お話を聞いたのは、ウェブサイト「中学受験情報局『かしこい塾の使い方』」主任相談員の小川大介さん。小川さんによると、「『考える力』とは明白なる『技術』」なのだとか。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)「考える」と「悩む」はまったく別のもの「考える力」とひとことでいっても、人によって定義はばらばらです。いま、大学入試改革に伴っていわれている「考える力」とは、「自分なりの価値観を明確にして社会との関係づくりをしていける力」。いわば、自己決定力のことです。わたし個人としては、これを「考える力」と呼ぶのはちがうように感じています。では、わたしが定義する「考える力」とはなにか――。それは、事象を正確にとらえて分析し、課題を設定する。そして、情報など自分が使えるあらゆるものを組み合わせることでなんらかの変化を生み出していく。その一連のプロセスを進めていける力こそが、「考える力」なのだと思います。はっきりお伝えしておきたいのは、「考える」と「悩む」はまったく別のものだということ。なにかを目の前にして「うーん」とうなって止まってしまう。これは、「考える」ではなく、ただ悩んで苦しんでいるだけです。なぜそこで悩んで苦しむかというと、先に述べた一連のプロセスを経ていないからです。なにが課題なのかを見つけようとしないままに、「答えらしきもの」が浮かんでくることを追い求めているだけ。だから、もやもやとして苦しいわけです。ものごとを明確にすることには、いまなにが起きているのかを見る、情報を集めるというステップ、あるいは、時系列に並べ直す、重要度を整理するといったファクターがある。そして、そういうものを割りつけていきながら、ものごとを徐々に分解しまとめていく必要があります。つまり、「考える」とは明白なる「技術」なのです。親子の会話で子どもの「考える力」を伸ばすでは、どのようにその技術を身につけさせればいいのでしょうか。ここでは、家庭での親子の会話でできることを紹介します。たとえば、ヨーロッパの難民問題のニュースを親子で見たとします。子どもに「これってなに?どういうこと?」と聞かれた。そこでただ教えてしまっては、子どもは考えるプロセスを身につけることはできません。かといって、いきなり「どう思う?」と聞いても、まだ考えていないのですから、自分なりの答えは返ってこないでしょう。そうではなく、順を追って問いかけるのです。まずは「難民って知ってる?」と問いかけ、知らないのなら一緒に調べてみる。そして、「なにが起きているのか」という現状を一緒に確認します。難民にはどんな事情があり、なぜヨーロッパの人たちは怒っているのか、ニュースのコメンテーターはどう解説したかといったことです。次に、「もし自分が難民の側だったらどう思う?」「逆にヨーロッパの人だったら?」と、立ち場を変えて想像させてみます。こうしてようやく、「じゃ、あなたはどう思う?」「どうしたらいい?」という問いかけの段階に至ることができ、「もっとよく話し合ったらいい」といった子どもなりの答えにたどり着かせることができるわけです。もしかしたら、結局「わからない」という答えが返ってくるかもしれません。でも、そこに至るまでの問いかけによって、考えることに必要なプロセスを経ているのですから、子どもにとっては「考えるトレーニング」になっているのです。一様に国語の勉強を押しつけるのはよくないいまの例で、まず難民という言葉を調べるとお伝えしました。考えるという行為は言葉を使ってするものですから、考えるためには考えるべきことに関連する言葉の意味を知っている必要があります。つまり、「考える力」を伸ばすためには、国語力が重要なキーワードとなります。とはいえ、幼い子どもに一様に国語の勉強を押しつけるのは間違いです。というのも、子どものタイプによって言葉にあまり関心を示さない、「言葉に反応したくない」という時期があるからです。それは、一般的に小学校1~2年生の頃に表れます。比較的女の子に多いのが、いろいろな言葉を覚えることが好きなタイプ。一方で男の子に多いのは、「同じ内容を表せるならどの言葉でもいい」と考えるタイプです。前者はものごとが定まっていくことですっきりしたいタイプで、言葉を知ってものごとがはっきり見えてくることで安心できるということ。すると、自然にコミュニケーション力も上がるので、その子どもにとっては単語力の重要性がさらに増していくことになります。後者は、いわば「算数タイプ」。言葉にあまり反応しない代わりに数字に強い、算数が得意な傾向があります。数字というのは抽象化されたものですよね。みかんが3個でも本が3冊でも、同じ3です。算数が得意な子どもは、ものごとをまとめていく抽象化能力に長けているのです。そして同時に、表現の広がりに対して関心を示さないということでもあります。さらに、「言葉も数字もまどろっこしい、直接見たい」「わからないことはとりあえずやってみたい」と考える、「体感タイプ」といえるタイプの子どももいます。算数タイプ、体感タイプの子どもに無理やり国語の勉強を押しつけると、確実に国語が嫌いになってしまいます。もちろん、コミュニケーション力はどんなタイプの子どもにも必要なものです。「言葉に反応したくない時期」を過ぎる9歳くらいになれば、タイプを問わずコミュニケーションに必要な国語力を伸ばしてあげないといけません。とはいえ、大前提としては、それぞれのタイプや成長段階を踏まえてその教育をする必要があります。まず親が国語力の4要素を知るでは、子どもの国語力をアップさせるためにはどうすればいいのでしょうか。やみくもに問題集をこなせばいいわけではないし、たくさんの本をただ読めばいいわけでもありません。重要なのは、国語力というものがどのように成り立っているかを親が知ることです。国語力は4つの要素にわけられます。「語彙力」がベースにあり、その上に「読む力」「解く力」「答える力」があるという構成です。ひとつのテーマを与えられたときに、それに関連する情報をどれだけ頭のなかに広げられるか。それが「語彙力」。「読む力」は「内容を理解し要約する力」。「解く力」は「情報を分析する力」です。随筆や小説を扱う場合なら、登場人物の立ち場や心情を理解する「共感する力」も「解く力」に含まれるでしょう。そして、「答える力」はいわゆる「表現力」です。「答える力」は、2段階にわけられます。自分のなかにあるものをなんらかの言葉にいったん置く第1段階。表現する相手を想定してさらに言葉を置き換えていくという第2段階です。国語力にはこういう要素があることをまず親御さんが理解することが大切です。というのも、国語が苦手な子どもがどこでつまずいているのかを知らなければ対処できないからです。そもそも言葉を知らないのなら、意味を調べることを教えないとならない。言葉を知っていて読むこともできているのにテストの点数が悪いのなら、「解く力」が足りないと考え、どのように問題をとらえたか、どう思ってその答えにしたのかを子どもに聞いて、「解く力」をつけてあげなければなりません。どの段階でつまずいていて、その原因がどこにあるのか。子どもと一緒に分析して対処してほしいと思います。『親も子もハッピーになる最強の子育て』小川大介 著/ウェッジ(2018)■ 中学受験のプロ・小川大介さん インタビュー一覧第1回:“国語嫌い”になりやすい子どものタイプと、親がやりがちな間違った教育法第2回:“リビング学習でかしこくなる”は勘違い。東大生がリビングで勉強する本当の理由(※近日公開)第3回:子どもは勝手にかしこく育つ。“自ら学ぶ力”を伸ばす辞書・地図・図鑑の活用法(※近日公開)第4回:“後伸び”する子としない子の違い。成長後に学力が急伸する幼少期の過ごし方(※近日公開)【プロフィール】小川大介(おがわ・だいすけ)1973年生まれ、大阪府出身。ウェブサイト「中学受験情報局『かしこい塾の使い方』」主任相談員。プロ家庭教師集団「名門指導会」副代表。京都大学法学部卒業。関西最大手の進学塾の看板講師として活躍後、個別指導教室「SS-1」を創設。教科指導スキルに、声かけメソッド、逆算思考、習慣化指導を組み合わせ、短期間での成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。家庭をひとつのチームと見立てておこなう独自のカウンセリングは実施数5000回を超え、高い精度でクライアントを成功へ導いている。受験学習はもとより、幼年期からの子どもの能力の伸ばし方、親子関係の築き方といった子ども教育分野でも定評がある。著書に『1日3分! 頭がよくなる子どもとの遊びかた』(大和書房)、『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』(すばる舎)、『親子で学べる! カピバラさんドリル 小学社会47都道府県』(かんき出版)など多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月04日「漢字のテスト」が苦手だった息子息子リュウ太は、小学校低学年の頃から漢字のテストが大の苦手です。Upload By かなしろにゃんこ。前日に書き取りをした漢字でも、テストになるとなかなか思い出せず、「自分はどうして漢字を覚えていられないんだろう?」「みんなのように記憶できないのはなんでだろう?」と、悩んでいるようでした。中学生になってから「漢字が苦手な理由」が判明!そんな息子が、中学3年生になった時のこと。受験勉強をしていても国語と英語がアウトな感じで、「暗記ものはダメだ…」とあきらめていました。そんな中、息子が「漢字の勉強についての思い」を打ち明けてくれたのです。Upload By かなしろにゃんこ。「自分は小学生の時から、漢字を正しく記憶することが難しかった。漢字を間違えて覚えてしまったり、熟語の問題では漢字の形やイメージがちっとも浮かばなかったりした」という息子。そして、こりゃダメだ!と思い、国語がキライになっていたというのです。そういえば、当時…Upload By かなしろにゃんこ。息子のノートやドリルは、9分の1が真っ白でした。漢字が苦手でできないとなると、ヤル気も起こらず…。「どうせ覚えられないなら、努力してもムダだ」と思ったり、「ボクは字がうまく書けないから、書くことが苦痛だ」と思ったりして、落ち込んでしまうんだそうです。1年間でノート1冊を使い切らないくらいのやらなさでした。トホホ~(涙)だけど…数字のイメージはすぐに浮かんでくる!息子は国語はまるっきしダメでしたが、計算は得意でした。それは、数字がくっついたり、減ったり、増えたりするという「数のイメージ」ができるからなのだそうです。Upload By かなしろにゃんこ。どんなイメージなのか私には分かりませんが、毎朝テレビの時計表示の数字を見ると、勝手に計算してしまうのだそうです。それは自分でも止められなくて、ご飯を食べながら箸休め的に画面を見ただけでも、そこに数字があると計算を始めてしまうんだとか。看板やチラシなどを見た時も、目に入ったものの中に数字が並んでいるとつい足し算や掛け算をやってしまうので、たまにやりすぎて疲れることもあるそうです。計算は得意なのに、暗記が苦手なのはどうしてだろう?しかし、計算だけで高校受験がうまくいくこともないため、息子は暗記ものの勉強ができないことに悩んでいました。発達障害の告知をしていたので、息子自身「これもADHDの特性なんだろうか?」と思っていたようです。でも…息子は「発達障害だからという理由だけで、暗記が苦手」なのでしょうか?もちろん、発達障害の特性ゆえできないこともあったでしょう。でも、きっとそれだけではない…。特性によって、いろんな困りごとや、できないことが積み重なり、いつか息子は「きっとできない」と自信を失ってしまっていた。そしてそれゆえ、努力することもせずあきらめてしまっていた。だから、覚えることができないのではないか…。私には、そう思えたのです。息子には、早く結果を出したくて、功を焦ってしまう特性があります。うまくいかないことがあると「はい、次!」となってしまい、あきらめるのが早い。うまくスタートできるものにだけ集中してエネルギーを使うので、この特性が「本当は、頑張れば暗記できる」という可能性を遠ざけてしまっていたように思います。「みんなも勉強している!」息子がようやく気付いたことそこで、私は息子にこんなことを伝えてみました。Upload By かなしろにゃんこ。熟語も本当にいっぱいあって覚えるのは一苦労だけれど、予習復習やくり返し学習の積み重ねによって習得していくもの。だから簡単に覚える人なんていないし、みんなくり返し学習をして、何度も確認しながら進んでいるんだよという話をしました。すると息子は「え?みんなそんなに勉強してるの?」と驚いていました。どうも、自分以外の人は記憶力がいいから、書き取りを1日やった程度で覚えられているんだと思っていたようです。そして「みんなもそれなりに大変な思いをして暗記してるのか!オレもやればできるかな?」と気が付いたようでした。今年、息子は国家試験に挑戦中!Upload By かなしろにゃんこ。万年怠け者の息子は、どの程度やれば「努力」になるのかが分からないようでしたが、その後「本当に努力が必要な場面」に遭遇しました。高校時代の赤点回避のための勉強と、今年受ける整備士の国家試験です。今まさに国家試験の受験勉強中な息子は、二十歳になった今も「みんなみたいにスラスラ覚えられないんだよ!クソー!」と弱音を吐いています。グチグチ言う性格は相変わらず…(笑)。それでも、試験対策の特別授業を受けながら毎日少しずつ勉強して、点数が上がってきているようです。「暗記が苦手な子は時間をかけて進めていくか、コツコツが苦手だから一気に詰め込みで試験に挑むか…しかないよね」と、私も励ましています。これ、一応私なりの応援なんです(笑)。期待しすぎてプレッシャーにならないように、少し突き放して影で応援することにしています。
2019年02月18日小学校に入学したら、学習の進みに合わせて辞書が必要になります。かつては紙の辞書を使うのが主流でしたが、最近は小学生から電子辞書を使うご家庭も多くなってきているようです。でも、紙の辞書と電子辞書を比べてみて、子どもにとってどちらの学習効果が高いのでしょうか。それぞれのメリットとデメリットをご紹介します。親世代に馴染みのある紙の辞書か、最新機能の電子辞書か!?学生の頃、一冊の辞書をボロボロになるまで使ったという経験はありませんか?お子さんが小学校に上がり、そろそろ辞書が必要かなというときに、まずは紙の辞書を購入するご家庭がほとんどでしょう。しかし最近では、中学受験で推奨されていることもあり、小学生から電子辞書を使うお子さんも増えてきています。CASIOが2015年に行なった調査によると、電子辞書を使っている子どもの70%以上が小学4年生~中学1年の間に使い始めているという結果が出ています。中学受験を始めるタイミングか、入学祝いなどのタイミングで購入して使い始めるというご家庭も多いのかもしれません。しかし、親御さんの中では、電子辞書に頼りすぎてしまうのを懸念する方もいるよう。そこで、紙の辞書と電子辞書のメリットとデメリットを比べてみましょう。紙の辞書は引く過程の中でも学び、使いこむ達成感も!国語辞典、漢和辞典、英和辞典、和英辞典など、子どもにとって必要な辞書は、学年が進むにつれて増えていきます。学校の授業でも辞書の引き方を学びますし、子どもに最初に買い与える辞書は、やはり紙の辞書が最適です。家庭学習をしていて、子どもが「〇〇ってどういう意味?」と質問してきたときも、親がすぐに意味を教えてしまうのではなく、「国語辞典で調べてみたら?」という声掛けをして、辞書を引かせる習慣をつけることも大切です。本棚にある紙の辞書であれば、サッと取り出してサクッと調べられるなど、手軽に引くのに便利ですね。また、ご両親世代にも馴染みがあるというのもメリットのひとつです。ネットで引いて意味を見つけることは、「他人の持っている情報を見せてもらった」ことと同じです。でも、紙の辞書ならば、情報と情報を結びつけて、自分のものにする力もつけてくれます。紙の辞書を繰り返し使うことによって、探す過程で間違ったり、思わぬ発見をしたり、行ったり戻ったりしながら、知識を自分のものにすることができます。(引用元:ベネッセ 教育情報サイト|中学生の英語辞書選び。紙の辞書と電子辞書の違い)太字は編集部にて施した電子辞書はボタンひとつで目的の単語に行き着くのに対し、紙の辞書はパラパラとページをめくって、行ったり来たりしながら、やっと目的の言葉にたどり着きます。その時間は一見無駄なように思えますが、そのように探す過程こそが、自分のものにするために必要なのです。そのほうが、より記憶にも残りやすいとも言われています。また、紙の辞書の場合、パッと開いたときに、自分が調べたい単語のほかにも、綴りが似た単語が前後にあるので、あわせて覚えることもできます。一度調べた言葉を蛍光ペンで印をつけたり、書き込みをしたり、付箋を貼ったり……。紙の辞書であれば足跡を残すことで達成感が感じられるでしょう。その積み重ねも決して無駄にはなりませんね。<紙の辞書>■メリット・辞書を引く手順をすることで、単語や意味を覚えやすい・機械のように壊れることがないので、長持ちする・使いこんでいく達成感がある・ラインを引いたりと直接書き込みができる・価格が電子辞書に比べて安い■デメリット・かさばるので持ち運びに不便・単語を引くのに時間がかかる・音声利用ができないので、発音などが確認できない辞書を引くだけじゃない、プラスアルファな機能も充実一方で、スマホやタブレットが身近にある子どもたちにとって、電子辞書は見た目にも魅力的。直感的に操作ができて、画面やボタンを押せば知りたい言葉や漢字、英単語が一瞬で出てくるので、遊び感覚で辞書を引くことができます。紙の辞書を引くのとは違い、時間をかけずに意味を知ることができるので、勉強時間が貴重になってくる受験時期には最適です。さらに、タブレットの操作などに慣れているお子さんであれば、電子辞書の操作もすぐに覚えることができるでしょう。また、「辞書で単語を引くのが面倒……」というお子さんでも、電子辞書なら喜んで使ってくれる場合もあります。「もっといろいろ調べてみたい!」というように、調べることへの意欲を持続できる、という点でも優れているでしょう。電子辞書のメリットは、たくさんの辞書を一つにまとめ、串刺し検索できること。いろいろな解釈を一度に学べるほか、紙の辞書とは違い、英語などの発音まで確認できる。また、英検などの問題集や図鑑も入っているのにコンパクトで軽く、子どもでも気軽に持ち運びができる。(引用元:日経トレンディネット|新学期、子どものための電子辞書の選び方英語が重要)電子辞書の最大の魅力は、ひとつの機器に複数の辞書が搭載されていること。国語辞典に漢和辞典、英和辞典など、何冊も持ち歩く必要はありません。また、英語学習でも活用できるのも魅力のひとつ。音声機能があるので、紙の辞書ではできない発音の確認などもできるのです。小学校で英語の授業が必須科目になったこともあり、これからますます取り入れるご家庭も増えてくるでしょう。ただし、選び方や与え方には注意点も。電子辞書は小学生低学年・小学生高学年・中学生など年代に合わせてラインナップが揃っているので、年齢に適したものを選ぶようにしましょう。さらに、電子辞書は2万円〜3万円ほどと高額なので、取り扱い方をきちんと伝えて、大切に使わせることも重要です。<電子辞書>■メリット・コンパクトで持ち運びが便利・いろいろな辞書が入っている・ボタンひとつで辞書を引くことができる・発音などが確認できる・子どもが楽しみながら辞書を引くことができる■デメリット・機械なので壊れることもあり、寿命がある・価格が高い・対象の年代があるので、将来的に買い換える必要がある***まずは、紙の辞書を買い与えて基本的な辞書の引き方を学んでから、子どもの性格や年齢に合わせて電子辞書を選んであげるのもいいでしょう。地道に辞書を引いて学習できる子もいれば、電子辞書で辞書を引く楽しさを実感する子もいます。どちらが子どもに適しているかは、そのご家庭の考え方や環境、そして子どもの性格によっても変わってきます。まずは、必要な時期に必要なアイテムを揃えてあげるのが、親としてできること。それぞれのメリット・デメリットを踏まえて、辞書選びをしてみてくださいね。文/内田あり(参考)日経トレンディネット|新学期、子どものための電子辞書の選び方英語が重要CASIO EX-wordベネッセ 教育情報サイト|中学生の英語辞書選び。紙の辞書と電子辞書の違い早稲田ウィークリー|なぜ「電子辞書」より「紙の辞書」なのか?
2019年02月04日1月下旬になると、センター試験のニュースが流れたり、スーパーでは願掛けパッケージのお菓子が並ぶようになったり、受験シーズンの到来を感じますよね。お子さんが受験生というご家庭は、インフルエンザ対策や、模試の結果に一喜一憂するなど落ち着かない日々を送っていることと思います。ところで、お子さんの成績が上がったり、志望校に合格したりなどのタイミングでお子さんへ“ご褒美”をあげたことはありますか?ご褒美の条件や内容など、他の家庭がどうされているかちょっと気になりますよね。今回は、”成績アップのご褒美”についてのお話です。■ 成績アップでご褒美をあげている家庭は6割以上「家庭教師・比較くらべ〜る」を運営する「株式会社ベーシック」が、小学生から高校生のお子様を持つ保護者323人を対象に実施した調査によると、保護者の64.4%が、成績アップの場合ご褒美をあげていると回答しています。また、ご褒美をあげていると回答した保護者に、「テストで学年○位以内に入ったら○○を買ってあげる」など、”ご褒美の約束”をしているかを尋ねたところ……、なんと、75.1%が「約束をする」と回答しているんです。ご褒美の約束をする理由は、以下のような理由があがりました。ご褒美が勉強のモチベーションを上げるきっかけになる子どもの勉強を応援している姿勢を示すため親子のコミュニケーションの機会を増やすため本来であれば子ども自身が目標を設定し、それを突破して欲しいというのが親の願いではあります。「ご褒美もらえなくてもいいや!」と子どもが諦めてしまうこともあるかもしれません。しかし子どものやる気には、自分が学生だった頃と同じように”波”があります。やる気維持のために、ご褒美の約束が少しでも効いてくれるのであれば、その約束をしても損はなしと感じます。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)■ ご褒美にかける金額が5,000円未満という家庭が約50%多くの親が肯定的な、”成績アップのご褒美”。AK / PIXTA(ピクスタ)金額やご褒美の内容など、皆さんがどうされているのか見ていきましょう。ご褒美の金額は、「5,000円未満」(48.0%)がトップ。よっちゃん必撮仕事人 / PIXTA(ピクスタ)次いで「5,000円以上〜10,000円未満」(31.1%)、「10,000円以上〜30,000円未満」(13.8%)という結果となりました。気になるご褒美の内容は……、「ゲーム」(20.0%)がトップ。しん / PIXTA(ピクスタ)現金(お小遣い)、スマートフォンなどが上位に挙がる一方で、テーマパークへのお出かけや旅行など家族と一緒のご褒美など微笑ましいものもありました。小野真志 / PIXTA(ピクスタ)高額なものでは「海外留学」や「100,000円以上のお小遣い」までもあり、ご褒美の内容は子どもが欲しいものであったり、子どものためになる経験をプレゼントするなど各家庭によって様々のようです。いかがでしたか?子どもを物で釣るのってどうなの?と悩んでしまう保護者の方もいらっしゃるかとは思いますが、調査結果から多くの保護者が子どもに「ご褒美」をあげていることが分かりました。自分が学生の頃を思い出すと、ご褒美をもらうことは勿論やる気アップに繋がりましたし、効果的であると思います。しかし母親が夜食を作ってくれたり、志望校について一緒に考えてくれたりなどそういったサポートが一番やる気につながった気がします。ご褒美と保護者の影のサポートで、お子さんがここぞという時に結果を出せるようになるといいですね。YsPhoto / PIXTA(ピクスタ)【参考】※いよいよ受験シーズン到来!頑張る子どもに成績アップのご褒美をあげる?あげない? 保護者300名に「成績アップのご褒美」に関する意識調査を実施-PR TIMES
2019年01月21日2020年度に大きく変わる「大学入試共通テスト」では、知識の詰め込みだけではなく、思考力や判断力が問われるようになります。このような力を養うためには、机の前での「The 勉強」では身につきません。実は、日常生活の中の新しい経験や楽しい体験こそ、思考力や判断力が自然と身につけられるチャンスなのです。そこで今回は、その具体的な方法をご紹介します。日常や非日常の体験の中でこそ記憶に残る!子どもの考える力は、無限の可能性を秘めていると言われています。しかし、小さな子どもの思考力を引き出すには、親の手助けが必要です。なかでも日常生活と勉強をリンクさせる方法が、もっとも有効なようです。意識的に、日常生活に学校で学んだことを応用させることで、学習内容をより定着させることもでき、さらに思考力や判断力、さらには応用力も養うことができるのです。そこで実践したいのが、買い物やスケジュール管理、お出かけの計画などの経験や体験。大人にとっては当たり前のことでも、子どもにとっては初体験のことばかり。初体験というのは、子どもにとってすべてが学びであり、その経験から大切なことをどんどん吸収していきます。子どもは自分の体験で得た知識はそう簡単には忘れません。理科・社会は私たちの生活と関わる教科なので、日常生活の中でも様々な体験ができますが、いつもと違う場所でいつもと違う体験をするほうがより記憶に残ります(引用元:日経DUAL|中学受験にも生きる!冬のおでかけ学習【社会編】)子ども主体で考え、判断させる実例集それでは、実際にどんな方法があるのか実例をご紹介します。子どもの年齢や、学校で習っている学習内容に合わせて、どんなことに挑戦できるかをご両親が判断してみてください。■決まった金額内で買い物をする足し算や引き算、掛け算などを学校で勉強し始めたら、子どもに買い物を頼んでみましょう。慣れるまでは一緒に買い物に出かけて、後ろから見守ってあげるのでもいいですね。500円や1000円など、あらかじめ予算を決めておいて、その予算を越えないように買い物をするよう伝えます。余ったお金でお菓子を買っていいよとご褒美をあげれば、足し算と引き算を使って、いくらのお菓子が買えるのかを一生懸命計算するでしょう。ほかにも、一緒に買い物へ行って会計をする時に、お釣りの小銭が少なくなるように考えさせると、思考力が身につきます。小さなお子さんであれば、100円を渡して駄菓子を自分で計算させながら買うのもいいですね。<この体験で身につく力>思考力判断力計算力■お出かけの目的地や交通手段を考える親子でのお出かけは、子どもにとって新しい経験がいっぱい。いつもは親が決めてしまう休日のお出かけ先を、たまには子どもに決めさせてみましょう。子ども主導で計画を立て、家族で出かけてみることもよい経験です。ガイドブックやインターネットを見ながら、目的地を決めましょう。そのときに、日帰りでも行ける場所なのかを地図で確認しながら決めるといいですね。地図を学習している時期であれば、学習内で勉強した地名などを絡ませて、行き先を決めるのもおすすめです。行き先を決めたら、そこまでの交通機関を一緒に考えてみましょう。地図上で目的地を見ながら、電車で行きやすい場所なのか、駅からは徒歩なのかバスなのか、車で行く方が便利なのか、ご両親がアドバイスしながら経路を考えてみます。このような経験を通じて、子どもは自ら考える力や、交通手段などを比較して決定する判断力を養うことができます。また、実際にその場所に行ってみると、計画通りにいかないことも出てくるでしょう。その時に、どうして上手くいかなかったのか、どうすれば上手くできるのかをもう一度考えてみると、そこで応用力も育まれます。そして、地図を見ながら目的地までも、ぜひ子ども主体で動いてみましょう。親にとっても新しい発見があり、親子で新鮮な体験になるはずです。<この体験で身につく力>思考力判断力応用力地図を読む力■お出かけ先でのスケジュール管理時計が読めるようになったら、日常的な声掛けで、「○時に家を出るけど、あと何分ぐらいある?」などと、クイズ感覚で問いかけてみることで日常生活と勉強を“リンク”!子どもの「判断力」「応用力」「計算力」を鍛えるよい方法ですね。そして、日常生活の中で時間の管理がある程度できるようになったら、お出かけ先でのスケジュールを子どもに組み立てさせてみてはいかがでしょうか。一日のスケジュール表を紙に書いて、「○時にここに着くには、何時に出ればいいかな?」「お昼には何分ぐらい時間を取ろうか?」など、最初はご両親と一緒にスケジュールを組み立ててみましょう。慣れてきたら、自分で考えさせてみて、ご両親が無理のないスケジュールになっているかを確認してみるのもいいかもしれません。そして実際に現地へ行ってみて、スケジュール通りに回れたのか、回れなければどこで時間がかかったか、時間が足りなかったのかなどを、一緒に話し合ってみるのもおすすめです。子どもはその体験をもとに、次回は時間の管理を工夫することができるでしょう。時間の配分を予測したり、改善したりすることができるようになると、日常生活や学校生活の時間の使い方も上手にできるようになるでしょう。<この体験で身につく力>思考力判断力時計を読む力時間の使い方臨機応変に動く力3つのアプローチを親が意識しておく!買い物やお出かけの計画などを、ただ経験させるのではなく、以下のようなことを親御さんが意識しておくのがより効果的なようです。【「考える」とは】「自分の言葉で語れること(What)」「疑問に思うこと(Why)」「手段や方法を思いつくこと(How)」のいずれかのことをしているときに、「考えている」という状態になると考えます。通常の教育では、「これは何?」「どこ?」「いつ?」「どっち?」が多く、このようなインプットばかりのアプローチでは、考えるという行為は起こりにくいのです。(引用元:東洋経済ONLINE|「考える力がない子」を変える3つの問いかけ)意識しておきたいのが、この3つのアプローチです。集団で行う学校での学習では、自分の言葉で伝えたり、じっくり時間をかけて手段や方法を考える機会が少ないのが現状。しかし日常での経験の中であれば、その機会は親御さん次第でたくさん与えることができるのです。〇自分の言葉で語れること(What)〇疑問に思うこと(Why)〇手段や方法を思いつくこと(How)買い物やお出かけなどをきっかけに、自分の言葉でどうしたいかを人に伝えられたり、そこで疑問に思うことを言葉にしたり、手段や方法を考えたりという経験をたくさんさせて、自然と考える力を身につけさせましょう。***知識をインプットするような机の上の勉強だけではなく、日常の中の経験と学習内容をリンクさせることで、自らの力で考え、判断する力が自然と身につきます。これが親子での楽しい体験であれば、子どもは「またやってみたい!」「もっと何かしてみたい!」という意欲にもつながります。たっぷり時間が取れる長期休みなどに、ぜひ親子で実践してみてくださいね。文/内田あり(参考)ベネッセ教育情報サイト|親子で過ごす時間が子供の学習能力を底上げする!日経DUAL|中学受験にも生きる!冬のおでかけ学習【社会編】東洋経済ONLINE|「考える力がない子」を変える3つの問いかけ
2019年01月15日子どもがいるとどうしても気になるのが、習い事の問題。小学校の勉強や部活ではできない体験をさせられますし、就学前にスポーツやアートに親しむことで、子どもの発達によい影響を与えたいと望む親御さんは多いことでしょう。とはいえ、「習い事なら何でもいい」と考えている人は、そういないのでは?最近は「東大生の多くが子どもの頃にやっていた習い事」が注目を浴びるなど、「脳の活性化」という観点で習い事を検討する保護者もいます。それに、「ほかの家庭ではどんな習い事をさせているんだろう?」と気になったり、勉強との兼ね合いも悩みどころです。そこで今回は、ちまたで人気の習い事と、習い事を選ぶ際のポイント、「StudyHacker こどもまなび☆ラボ」編集部オススメの習い事をご紹介します。お子さんの習い事を決める参考になれば幸いです。子どもの習い事人気ランキングベネッセ教育総合研究所は2017年3月、「3~18歳(高校3年生)の子どもを持つ母親」16,170名を対象に「第3回 学校外教育活動に関する調査」を行いました。その結果によると、就学前の子どもの多くがやっている習い事などの活動トップ10は以下のとおり。なお文字をクリックすると、「StudyHacker こどもまなび☆ラボ」の関連記事をお読みいただけます。幼児に人気の習い事などの活動ベスト10第1位 スイミング(23.0%)第2位 体操教室・運動遊び(15.5%)第3位 英会話・英語教室(10.5%)第4位 楽器の練習・レッスン(9.6%)第5位 音遊び/リズム遊び(音楽教室)(8.2%)第6位 リトミック(5.9%)第7位 サッカー/フットサル(4.5%)第8位 ダンス(3.3%)第9位 計算や漢字などのプリント教材教室(2.9%)第10位絵画/造形(2.5%)水泳が習い事として人気なのは有名ですが、小学校に上がる前の子でも5人に1人が習っているというのは驚きですね。スイミングが心身に与えるよい効果に期待を寄せる保護者が多いのかもしれません。英会話やプリントによる勉強をすでに始めている子が一定数いるというのも注目ポイントです。次に、小学生の習い事について見てみましょう。広告代理店の博報堂が2016年3月、「小学生の長子がいる母親」1,428名を対象に実施した「『子どもの習い事・身につけさせたいスキル』レポート」によると、多くの小学生がやっている習い事は以下のとおり。小学生に人気の習い事ベスト10第1位 水泳教室(31.1%)第2位 通信教育、宅配教材(29.3%)第3位 ピアノ、音楽教室(25.6%)第4位 そろばんなどの自習型学習塾(22.8%)第5位 野球やサッカー等の運動クラブ(20.9%)第6位 英語教室(20.4%)第7位 その他(13.7%)第8位 受験対策用の学習塾、教室(10.2%)第9位 水泳、ダンス以外の体育教室(9.5%)第10位ダンスなどのパフォーマンス教室(バレエ含む)(7.7%)水泳は相変わらず、圧倒的な人気です。そして、4人に1人が通信教育で勉強したり、音楽教室に通ったりしています。体や知能が発達したためか、就学前と比べて習い事にチャレンジする子が多いようです。習い事を選ぶポイントどの習い事が人気かは大体わかりましたが、こんなにも選択肢があると迷ってしまいますね。習い事を選ぶ際、どのような点を考慮して決めればよいのでしょう?ポータルサイト「goo」を運営するNTTレゾナントと読売新聞が2006年、3歳〜中学生の子どもを持つ1,026名を対象に実施した「子どもの習い事に関する調査」によると、保護者たちは以下のような理由で習い事(学習塾含む)をさせているようです。習い事をさせる理由ランキング第1位体力や運動能力の向上(46%)第2位子どもが自分で行きたいと言ったから(45%)第3位音楽や美術、書道など文化的な能力の向上(30%)第4位受験を目的としない学力向上(29%)第5位受験対策(15%)子どもの意欲を重視しつつ、やはり「子どもの能力を伸ばしてあげたい」と考えて習い事をさせる親が多いのですね。ひととおりの運動や文化的活動は幼稚園や学校でもできますが、その時間はごくわずか。体育がずっと苦手だったという人や、音楽の授業をまじめに受けても楽譜が読めるようにならなかったという経験を持つ大人は多いはず。学校以外で何か特別な活動に取り組ませ、得意分野を作ってあげたいと思いますよね。さて、多様な習い事のなかから「これをやらせよう!」と決めたとしても、考慮すべきことはまだあります。世のなか、特に都市部にはあまたのスイミングスクールやピアノ教室が展開しているからです。どの施設・団体で習わせればよいのでしょう?ベネッセ教育総合研究所が2009年3月、「3歳~17歳(高校2年生)の子どもを持つ母親」15,450名を対象に実施した「第1回 学校外教育活動に関する調査」の結果によると、親たちは以下のことを重視しているそうです。習い事選びで重視することランキング第1位子どもが楽しんでいる(94.3%)第2位費用が安い(61.2%)第3位家から近い(57.3%)第4位指導者が信頼できる(53.8%)第5位子どものレベルに合っている(49.2%)やはり、子どもが楽しんで活動できることがいちばんのようですね。また、第2位~第5位の要素は、習い事の続けやすさに関わっています。これらの要素がひとつでも欠けると、習い事を続けるのが物理的に難しくなったり、子どもの意欲が低下したりしかねません。検討している施設・団体が上記の要件を満たしているか確かめるため、いくつか体験授業を受けて比較してみるのがよいのではないでしょうか。習い事を選ぶ際に考慮するポイントは、人によって異なります。「StudyHacker こどもまなび☆ラボ」編集部が重視しているのは「脳の発達」という観点。子どもが小さいうちにさまざまな体験をさせると、脳の神経が刺激され、よりよく発達すると考えられています。脳の発達が大いに期待できる、オススメの習い事を3つ、ご紹介しましょう。おすすめの習い事1:そろばん日本人にとって定番の習い事、そろばん。地域にいくつか教室があるのではないでしょうか?そろばんは、右脳を刺激してくれる習い事として知られています。ふつう、私たちが計算をするときには論理的思考をつかさどる左脳を主に使いますが、NPO法人・国際総合研究機構の副理事長であり脳科学を専門とする河野貴美子氏によると、そろばんの有段者は暗算をする際、右脳を用いているのだとか。彼らの頭のなかではそろばんの珠(たま)が動いているので、イメージをつかさどる右脳が活発になっているそうです。右脳を活発にすると、記憶力や直感が磨かれると考えられています。ほかにも、そろばんには以下のようなメリットがあります。詳しくは「子どもにそろばんを習わせる5つのメリット。リーズナブルだけど脳への効果は抜群!」をご覧ください。●自信が養われる●集中力がつく●費用が安め●資格が取れるおすすめの習い事2:ピアノみんなが憧れる習い事・ピアノ。東大生の多くが習っていることでも知られるようになりましたね。一般社団法人・日本子ども音楽教育協会の理事長である滝澤香織氏によると、ピアノの演奏は右手と左手を同時に使うため、右脳と左脳の両方が活性化されるそう。これによって、右脳と左脳のあいだにある神経の束「脳梁」が太くなり、右脳・左脳間の伝達がスムーズになるそうです。また、精神医学を専門とするジェームズ・ハジアク教授(米バーモント大学)らの研究により、楽器を練習した子どもほど、集中力をつかさどる脳の部位が発達していることが明らかになりました。ピアノをはじめとした楽器を演奏するには、指先を精密に動かし、リズムを正確に刻み、楽譜を素早く読めなければいけません。多くのことを一度にこなさなければならないため、集中力がつきやすいのかもしれませんね。ピアノには以下のように、ほかにも多くのメリットがあります。詳しくは「ピアノは何歳から始めるべき?脳科学から徹底的に考えてみた。」をご覧ください。●音感が養える●外国語が得意になる●自己制御や問題解決能力など「人間指数(HQ)」が養えるおすすめの習い事3:スイミング子どもの習い事として人気ナンバーワンなのがスイミングです。最近は、ピアノと並んで多くの東大生が経験した習い事としても有名ですね。スイミングは体だけでなく、脳も鍛えると考えられています。特に育つとされているのが「空間認識能力」。方向や位置関係を正しく理解し、目の前にないものを頭のなかで再現できる力です。この能力が高いと、自動車を運転しやすくなったり、スポーツで活躍しやすくなったり、設計関連の仕事に就きやすくなったりします。心理学者のデイビッド・ルビンスキー氏によると、空間認識能力は「人間のなかで眠っている潜在能力のうち、最大の部分かもしれない」とのこと。創造力やイノベーションとも関係しているそうなので、スイミングを通して子どもの秘めた能力が開花するかもしれませんね。ほかにも、スイミングには以下のようなメリットがあります。詳しくは「東大生の幼少期の習い事の第1位は『スイミング』!そのメリットとは?」をご覧ください。●集中力がつく●風邪をひきにくくなる●全身の筋肉を鍛えられる●ケガをしにくい「子どもの習い事をやめさせたい」と思ったら子どもがやりたがったし、将来のためになれば……と思って始めた習い事。しかし、さまざまな事情により、「そろそろやめ時かな」と感じることがあるかもしれません。習い事をやめさせたいと思うのには、以下のような場合が該当するでしょう。-子どもの意欲がなくなり、練習しなくなった。-習い事よりも勉強に注力させたい。-月謝を払いつづけるのが厳しい。「子どもの意欲がなくなった(ように見える)」場合最初は楽しそうだったのに、今ではいやいや通っているみたい……。子どもがこんな様子だったら、まずは「最近、習い事はどう?」「今はどんなことをやっているの?」と話を聞いてみましょう。そしてもし、「先生が好きじゃない」「同じクラスに嫌な子がいる」のように環境に不満を持っていることがわかったら、別の教室を検討するか、大きなスクールであれば曜日・時間を変更してクラスを替えてみては。また、「今やっていることが難しすぎて、ついていけない」のであれば、先生と相談してみましょう。環境に不満があるわけではなく、「もう充分にやった」「ほかのことに時間を使いたい」と思っているのかもしれません。今の習い事について「次の目標はある?」「どれくらいまで上達したい?」と聞いてみて、あまりポジティブな答えが返ってこないのであれば、やめてしまってよいでしょう。「やめる」といってもけしてネガティブなことではなく、ひとつのことを終えて、次のことに挑戦するというだけの話です。友だちと遊んだり、別の趣味に熱中したりする時間が生まれて、それもまた素晴らしい経験となるでしょう。一方、楽器のように自宅での練習が求められるにもかかわらず、練習の意欲を失っている場合は、少し難しいです。練習したがらない理由が「その習い事に飽きた」というものであれば、やめてしまってもよいでしょう。しかし、習い事自体は好きなのに、地道な練習を面倒に感じてしまう時期はあるもの。練習しないからといってすぐにやめさせてしまうのは早計かもしれません。子どもを信じてしばらく様子をうかがってみましょう。その際、たとえば楽器の習い事なら「久しぶりに○○ちゃんの演奏聞きたいな」と促して、演奏が終わったら褒めたり、親子でコンサートに行ったりなどのアプローチをとってみてはいかがですか。「もっとうまくなりたい」と願う気持ちがよみがえるかもしれません。習い事より勉強を優先してほしい習い事をやめて、その分の時間を勉強に使ってほしい……。そう考える保護者は少なくないようです。上述したベネッセの「第3回 学校外教育活動に関する調査」によれば、「運動やスポーツをするよりももっと勉強してほしい」と考えている小学生の親は37.5%、「音楽や芸術の活動をするよりももっと勉強してほしい」だと45.2%でした。この割合は調査のたびに増えています。けれど、机での勉強では得られない経験ができるのが習い事ですから、できればやめさせたくないものです。「家でも学校でも全く勉強をせず、通知表の数字がひどい」といった極端な状況でなければ、習い事はぜひ続けるべきだといえます。子どもがなかなか勉強をせずに悩んでいる場合、「子供が勉強しないときの対策。イライラはNG、親子で勉強計画を立てよう!」を参考にしてみてください。子どもが勉強しないときに役立つ6つのアドバイスを掲載しています。金銭的に厳しい……最初の頃はなんとかなったけれど、今は習い事の費用を払うのが家計的に厳しい場合。弟・妹が生まれた、子どもの習い事が増えたなどの背景があるかと思います。子どもが続けたそうにしているのに、お金の都合でやめさせなければいけないのは辛いですよね。まずはできるだけ、習い事を続けられる方法を模索してみましょう。子どもが複数の習い事をしている場合、率直に家計の事情を伝え、最も続けたい習い事を1つに絞ってもらいます。「あれも、これもやりたい」と子どもは思うでしょうが、複数の物事を比較して決定するよい機会です。金銭教育だと思うことにしましょう。子どもの金銭感覚を養う方法については「『お金教育』は幼少期から。お金の大切さを知るための、最初の4ステップ」をご覧ください。習い事が1つでも、まだ厳しいという場合、今よりも安価に習える教室・団体を探してみるという手もあります。上に挙げた「第3回 学校外教育活動に関する調査」によると、小学生のスポーツ系の習い事に関して、「民間経営」の団体で習っている場合の平均費用は月に6,000円台でしたが、「地域ボランティア運営」だと2,000~3,000円台、「自治体・公益法人運営」だと3,000~4,000円台でした。習い事の教室を開いている団体の見つけやすさは地域によって異なりますが、諦めずにできるだけ安い運営母体を探してみましょう。***子どもの習い事について、悩みは尽きないかもしれません。「StudyHacker こどもまなび☆ラボ」は今後とも、習い事に関する知見を発信してまいります。(参考)ベネッセ教育総合研究所|第1回 学校外教育活動に関する調査 2009ベネッセ教育総合研究所|第3回 学校外教育活動に関する調査 2017(データブック)博報堂|【博報堂こそだて家族研究所】「子どもの習い事・身につけさせたいスキル」レポートNTTコム リサーチ|子どもの習い事に関する調査StudyHacker こどもまなび☆ラボ|子どもにそろばんを習わせる5つのメリット。リーズナブルだけど脳への効果は抜群!StudyHacker こどもまなび☆ラボ|ピアノは何歳から始めるべき?脳科学から徹底的に考えてみた。StudyHacker こどもまなび☆ラボ|東大生の幼少期の習い事の第1位は「スイミング」!そのメリットとは?StudyHacker こどもまなび☆ラボ|空間認識能力を鍛える楽しい方法。ゲームとおもちゃが意外と使える!
2019年01月04日2020年に日本の教育が大きく変わると言われています。学習指導要領の改訂と大学入試改革が行われます。変わるとは知っていても具体的にどんな風に変わるのか、意外と知らない方も多いのではないでしょうか。「うちの子はまだ小さいから早いな」と思う方もいるかもしれませんが、小学校の勉強がどう変わるのかを知って、早くから対策をすることは決して無駄にはなりません。まずは改革の概要をしっかり理解しましょう。1. 学習指導要領の大幅な改定学習指導要領とは、日本教育の大まかな指導目標です。都度見直されていますが、2020年には小・中・高校で全面的に見直されます。教科・科目面では、小学校3・4年生で「外国語活動」、5・6年生で「英語」教科化、高校では「公共」「歴史総合」「地理総合」「理数探求」などが新設されます。さらに学びの特徴として以下のようなものが導入されます。(1) アクティブラーニングの導入アクティブラーニングとは「主体的・対話的で深い学び」を示し、教科ではなく授業方法です。正解を先生が教える一方的な授業ではなく、解き方を班ごとに話し合ったり個々に意見を出し合ったり、という双方向、対話的な学びのスタイルを取ります。(2) プログラミング教育の実施小学校でプログラミングが必修化されます。プログラミング言語や技術を学ぶというよりは「プログラミング的思考」を学びます。プログラミング的思考とは、何か問題があるとき解決するための最適な方法を考え、予測し、それをトライ&エラーで解決することです。今までの、知識を詰め込みいかに覚えるかという教育から、覚えたことをどう使っていくかに重点が置かれていきます。解決力や、持っている知識をどう使うかが問われるようになります。2. 英語改革年々進むグローバル化に向けて、英語教育についても改革が行われます。使える英語力を目指し、学習開始年齢の前倒し・4技能(聞く、話す、読む、書く)の取得を求めての改革となります。・小学校3・4年生週1コマ程度の「外国語活動」年間35コマの授業聞く・話すことの言語活動・小学校5・6年生週2コマ程度の「英語」年間70コマの授業成績(数値による評定)がつく活字体の読み書き語順への気付き・中学生・高校生英語の授業は英語で行うことを基本とする高校では「論理・表現」の科目新設(スピーチ、プレゼンテーション、ディベート、ディスカッションなど)覚える単語数も、現状は中学で扱う英単語が1200程度ですが、小学校の間に600~700語学びます。現状の中学生レベルの半分以上を、小学校卒業までに学ぶということですね。そして英語についても、覚える授業から、コミュニケーションを重視とした内容に変わっていきます。より実践的な話す力が求められることになります。但し2020年に向けて既に任意で英語を取り入れる小学校も増えています。私の息子が通う小学校では、外国人講師を招いた外国語活動を隔週1回程度行っているようです。3. 大学入試も大きく変わる2020年の改革では、大学受験も大きく変わります。まだ幼稚園や小学校低学年だとピンとこないかもしれませんが、成長と共に関係してくる部分ですので今の内から理解しておきましょう。大きく変わるのはマークシート方式の「センター試験」が廃止となり、「大学入学共通テスト」に移行します。数学・国語で80~120字の記述があるなど、思考力・判断力・表現力も評価されます。英語についても、今までの「読む・書く」から「読む・書く・聞く・話す」を評価され、民間資格や検定試験も評価されます。活用できる資格・検定試験は「ケンブリッジ英語検定」「TOEFL」「TOEIC」「IELTS」「TEAP」「英検」「GTEC」で、高校3年生の4~12月に受検した2回までの結果が採用されます。今までの知識を詰め込む教育からどのように変わるのかお分かりいただけたでしょうか。ただ、思考・判断するためには当然知識が必要となります。知識があるのはあくまでスタートラインということになり、そこから考える・自分の意見を言う力が必要になってきます。それを試験やテストで発揮するためには、日頃からの勉強方法を少しずつ変えていく必要があるでしょう。大学受験を考えていない場合でも、こういった能力は将来社会で必ず必要となってきます。頭の柔らかい小学生の内から意識することで、無理なく少しずつ力がつくはずです。学校や塾の勉強も大切ですが、一番良いのは家庭でコミュニケーションを取っていくことです。是非会話の時間を多く持ち、子どもにたくさん質問を投げかけることを意識してみて下さい。教育改革に負けない地頭を作っていきましょう。
2018年12月21日あり子のワーママ奮闘記
PUKUTY(プクティ)只今育児奮闘中!
たんこんちは ボロボロゆかい