恐竜が大好きで、幼稚園から小学校低学年のころにかけて、いろいろな種類の恐竜について図鑑で調べて名前を覚えたり、恐竜のおもちゃを欲しがったりする子は意外と多いものです。恐竜に限らず、「熱中する」「ハマる」という体験は、一時的なブームとして終わるものではなく、この先のお子さんの学習姿勢を大きく左右するのだそう。今回は、恐竜好きなお子さんの「もっと知りたい」という探求心をくすぐり、「学び」へとつなげるコツについて紹介します。恐竜好きな少年がたどり着いた研究者への道NHKラジオで長い間子どもに親しまれている「夏休み子ども科学電話相談」という番組をご存じでしょうか。子どもたちの素朴な「なぜ?」に、各分野のプロフェッショナルがわかりやすく丁寧な解説で相談にのる人気番組です。この番組で「恐竜」のテーマを担当する北海道大学総合博物館・小林快次博士は、中学生のころ化石に出合ったのをきっかけに「恐竜博士」へと突き進んだのだそう。中学一年生で化石に出会って以来、毎日のように化石を採集する日々を過ごしました。大学でアメリカに留学し、日本人で初めて恐竜の博士号を取得。(引用元:NHK|夏休み子ども科学電話相談)もともと理科が好きだった小林先生は、中学で入った理科クラブのアンモナイトの化石採集で、周りの人がたくさん化石を見つけているのに自分だけは見つけられなかったのだそうです。あまりに悔しくて、その後何度も同じ場所へ足を運んで化石を掘り続けていたとき、先生から「石を割れば割るほど化石が見つかる可能性は上がる」と声をかけられ「スイッチ」が入ったと言います。その後、日本の大学へ入るものの1年でワイオミング大学地質地学物理学科へ留学、飛び級するほどの目覚ましい才能を開花し、日本で初めて恐竜の「博士号」を取得したという経歴の持ち主です。あまりに化石をよく見つけることから、研究仲間から「ファルコンズ・アイ(ハヤブサの目)」や「イーグルズ・アイ(鷲の目)」「ホークス・アイ(鷹の目)」といったニックネームを付けられたのだそう。現在も1年の5カ月ほどは、恐竜の化石を発掘するために世界中へフィールドワークに出かけ、恐竜の化石発掘の第一線で活躍されています。そんな小林先生の恐竜学者としての道のり、そして大発見をなしとげるようになった現在までのお話がたっぷりつまった本がこちら。ドキドキワクワクしながらページをめくってください。『ぼくは恐竜探検家!』小林快次(講談社)恐竜に「ハマる」経験は、小学校6年生の理科につながる興味をもって「ハマる」経験は、小林先生のようにそのまま将来の職業につながるような才能を開花することもありますし、普段の学習においても探求心を育むための大切な基礎を作ります。たとえば現在、小学校6年生の理科では「土地のつくりと変化」というテーマのもとに、土地は礫(れき)、砂、泥、火山灰、岩石からできる地層が積み重なってできていること、地層には化石が含まれていること、火山の噴火や地震によって土地が変化することなどを学びます。恐竜好きなお子さんは、博物館や子ども向けのイベント会場で開催されるような「化石発掘体験」に参加することも多いでしょう。そこで得た経験や知識は、小学校6年生の理科の授業で必ずいかせるはずです。「もっと知りたい!」そんな子どものためにできること4つ子どもの「恐竜が好き、もっと知りたい」という探求心をくすぐるには、昔ながらの本や博物館以外にデジタルコンテンツなども活用しましょう。ここでは、オススメの「図鑑」「デジタルコンテンツ」「博物館」「発掘作業」を紹介します。<図鑑>『DVD付 新版 恐竜 (小学館の図鑑 NEO)』監修・執筆/冨田幸光(学研プラス)恐竜図鑑のベストセラー。専門家の監修のもと細部まで表現されたイラストや世界中から集めた恐竜の写真、国内で発見された恐竜についての情報など充実した内容が評価されています。また、ドラえもんとのび太がナビゲートして、一緒に恐竜の世界を冒険するDVDも付録で収録されています。『DVD付恐竜 (学研の図鑑LIVE)』監修/真鍋真(学研プラス)1点ずつ細部までチェックされた実物に近づけたイラストは迫力満点。BBC(イギリス放送協会)「プラネットダイナソー」の映像がDVD、スマホ・タブレットで見ることができる3D・ARなど、「本物」にこだわった図鑑です。『こども百科 4・5・6歳のずかんえほん きょうりゅうの本 (えほん百科シリーズ)』監修/真鍋真(講談社)種類別に分けた恐竜をわかりやすいイラストで紹介しているのが特徴の絵本です。すべての文字がひらがなで、カタカタにもルビが振られているほか、巻末には内容をおさらいできるクイズやなぞなぞも掲載され、子どもが1人で開いて楽しめるように工夫されています。<デジタルコンテンツ>先に紹介した図鑑には映像がDVDで収録されているほか、専用サイトを開設している出版社もあります。また、NHKや海外のテレビ局が制作しているドキュメンタリー番組にも良質なコンテンツが充実しています。■【もっとNHKドキュメンタリー】「これが恐竜王国ニッポンだ!」・近年、日本各地で「むかわ竜」をはじめ、さまざまな恐竜の化石が見つかっている・“恐竜を愛する”専門家や化石愛好家たち発掘や生態の解明に挑む姿を追う・恐竜たちの姿を超リアルなCGで再現海の巨大は虫類「モササウルス」も!(引用元:もっとNHKドキュメンタリー|これが恐竜王国ニッポンだ!)■【BBC Earth Unplugged】Walking With DinosaursBBCワールドワイドが運営する自然ドキュメンタリーのオリジナルチャンネル『Earth Unplugged』。その中のひとつである「Walking With Dinosaurs」では、迫力ある恐竜たちの姿が楽しめます。最新技術を駆使したCG映像が魅力です。<博物館>世界三大恐竜博物館として知られる「福井県立恐竜博物館」をはじめとして、親子で楽しく学べる博物館は国内各地にあります。■福井県立恐竜博物館(福井県勝山市)■国立科学博物館(東京都台東区)■北九州市立いのちのたび博物館(福岡県北九州市)■群馬県立自然史博物館(群馬県富岡市)<発掘体験>化石の発掘体験は、上記に紹介したような博物館のほか、全国各地で夏休みに開催されるイベント型フィールドワークもあります。また、家庭で簡単に発掘体験ができるキットも販売されています。Geoworldの「恐竜発掘キット」は、ティラノサウルス、トリケラトプス、ステゴサウルス、プテラノドンなど子どもたちが大好きな恐竜がそろっている人気のアイテムです。***かつて男の子だったパパにとって、「恐竜」にロマンと懐かしさを感じる人も多いのではないでしょうか。お子さんが恐竜に興味をもったら「ここはパパの出番!」かもしれません。一緒に図鑑を開き、博物館へ足を運び、そして発掘作業を楽しんでみるのもいいですね。(参考)NHK|夏休み子ども科学電話相談Webナショジオ|小林快次恐竜化石フィールド日誌 第5回恐竜を研究する意味Webナショジオ|小林快次 恐竜化石フィールド日誌 第1回 恐竜化石は「歩いて探す」文部科学省|学習指導要領「生きる力」第2章各教科第4節理科小学館|小学館の図鑑NEO〔新版〕恐竜学研の図鑑LIVE|学研の図鑑 LIVE恐竜AllAbout|恐竜図鑑 人気おすすめ10選!2018年最新版もっとNHKドキュメンタリー|これが恐竜王国ニッポンだ!BBC Earth Unplugged |Walking With DinosaursNIKKEI STYLE|大迫力にワクワク恐竜を楽しめる施設、ベスト10
2019年05月05日予想していなかった妊娠にビックリ43歳の超高齢出産の思い出女優という仕事に邁進していた水野美紀さんが、俳優でイラストレーターの唐橋充さんと出会い、交際3ヵ月で電撃結婚したのは42歳のとき。翌年、43歳での高齢出産を経て、現在はもうすぐ2歳になるお子さんの子育ての真っ最中である。「結婚したときは、年齢的にも子どもができるとは思っていなかったので、まず妊娠できたことにビックリ。でも、分かったときは、すごく嬉しくって。高齢出産になるので、後から不安もいろいろ出てきたんですけど、病院では『最近は40代で産むのもふつうだから』とあっさり言われて拍子抜けしました。羊水検査とかも、ちょっと頭をよぎったけれど、結局せずに。ただ、体重管理だけは最後まで厳しく言われましたねぇ」妊娠中に体重が増えすぎると、母体にも赤ちゃんにもトラブルが起こるリスクが高くなる。特に、おなかが大きくなって活動量が減り、ぐっと太りやすくなる妊娠後期は要注意だ。「私は食べづわりだったので、最初の3~4ヵ月で一気に体重が増えちゃって。そこからはずーっと節制、節制の日々でした。妊娠後期はもう水を飲むだけで太っていくという感じだったんですが、水泳を始めたら体重増加がピタッと止まったんです。それで、後半はずっと週3でプールに行って、クロールでガンガンに泳いで、たくさん散歩して、食事は家で自炊していました。妊娠中、一番不安だったのは、母乳がちゃんと出るかどうか。母乳で育てると、赤ちゃんに免疫がつくというし、母乳がスムーズに出るための情報をいろいろ調べて。カレンデュラオイルを塗って、マッサージしたりしていましたね」今はさまざまな出産方法を選ぶことができる時代。水野さんの病院にも、水中出産など多くのバースプランがあり、水野さんは和室での出産を選択した。「高齢だし、周囲には無痛分娩をすすめられたんですけど、たまたま私が行った近所の産婦人科では無痛を扱っていなかったんです。和室出産を選んだ理由は、分娩台で仰向けになって足を固定されるよりも、陣痛がきたときに、和室のふとんの上で好きな体勢をとれたほうが楽なんじゃないかと思ったから。実際、和室での出産はすごくよかったです。最終的に陣痛が少しでも楽に感じられると気づいたのが四つん這いの姿勢だったので。和室の天井からは幅の広い長い布が輪になってぶら下がっていて、つらいときはその紐につかまって体重をかけると、痛みを逃がすことができました。産み紐の存在は、頼りになりましたね」出産時にはご主人も立ち会った。付き添いの家族もくつろげて、ゆったり過ごすことができるのも和室出産のメリットのひとつだ。「うちは旦那のほうが子どもをすごく欲しがっていて。旦那の両親にとっても初孫になるんです。だから、子どもが元気に生まれてきてくれたときは本当にホッとしました」産後2ヵ月で仕事に復帰したとき子育ての精神的な重圧に気づいた妊娠中の準備が万端だったおかげか、産後の体調はスムーズに回復。水野さんは出産後、2ヵ月で仕事に復帰した。「2ヵ月間、ほぼ外出もせずに家にこもって育児をしていて。久しぶりに仕事に出かけたときは、子どもと離れる不安もあったし、やっぱり相当緊張したんですよ。でも、子どもと2人きりでいると、自分でも気づかないうちに、ものすごいプレッシャーがかかっていたんですよね。それを実感したのが、迎えに来てくれたマネージャーの車に乗り込んだとき。あ、今は何もしなくていい、何も考えなくていいんだって、ほっとしたんです。仕事の現場に移動するだけの時間が、すっごく贅沢に思えました。出産してから初めて、本当にホッと一息ついたような気がして。“命を預かる” という子育ての緊張と重圧って、切れ目がないですよね。ずっとアイドリングしているような感じ。仕事は仕事で別の緊張感がありますけど、休憩時間もあったりするし、食事する時間も確保されているし、子育ての大変さに比べたら、むしろ楽に感じました」もちろん、乳幼児を育てながらの仕事は、物理的な制約が多い。たとえば、台詞を覚えるためにかけられる時間ひとつとっても、出産前と今とでは全然違う。「復帰したときの最初の仕事が舞台だったので、台詞はすべて録音して、子どもをあやしながら音を流して、耳から覚えるようにしました。あとは現場に移動する時間とか、待ち時間とか、そういうのりしろ的な時間にいろんなことを詰め込んでやるっていう生活スタイルになりましたね。今までより『仕事は現場ですべて終わらせよう!』って、切り替えて集中できるようになったというか。子どもができると、日常の細かいことをはじめ、家でのいろんなタスクが増えるじゃないですか。でもね、その増えた分を細々とやっていくと、そのつど、ちょっとした達成感が得られるんですよ。それがまた次の原動力になっていく。子育てと仕事が、いい感じに相乗効果をもたらしている気がしますね」“生活”が基盤にある上での仕事というスタンスに変わってきた女優として数多くのドラマや映画に出演するだけでなく、舞台をプロデュースしたり、エッセイを執筆したりと、ジャンルを超えて幅広い表現活動を続けている水野さん。母になったことで、仕事に対して何か意識の変化はあったのだろうか。「やっぱり、まず “生活” がドン!と基盤にあった上でのお仕事という感じになりました。一番大事なのがこの “生活” で、プラス仕事、っていうスタンスですかね。“生活” のためのお仕事でもあるわけですし。子育ても、本当におもしろいので。今、日々変化しているんですよね。はじめは人というより、子ザルみたいだったのに、だんだん人間になっていく感じ(笑)。親のことをよく見ていて、マネしたり、新しい言葉をどんどん覚えたり。ひとつひとつ、子どもに新しい発見をするたびに感動します。この間も、子どもが寝ているときに寝言で『か~し~て』って言っているのが、かわいくて、おもしろかった(笑)。どんな夢を見ているんだろう?誰に言っているのかな?って」お子さんにメロメロなご主人は「今のかわいい~状態から変わっちゃうのがヤダ」と、すくすく速い成長をさみしがる様子も見せるけれど、水野さんは「子どもと会話ができるようになる日が楽しみでしょうがない」と笑う。「最近は『あつい』、『いたい』、『おなかがすいた』、『のどがかわいた』とか、ちょっとずつ自分で主張できるようになってきたので、本当に安心です。赤ちゃんのときって、こっちから察してあげないと何も分からなかったから、何で泣いているんだろう?って、心配で心配で仕方がなかったんです。自己主張が強くなるイヤイヤ期って、大変だけれど、コミュニケーションが取れるようになる時期でもありますよね」水野さんと話していると、初めてのお子さんとは思えないほど、落ち着いて子育てしているという印象を受ける。この絶対的な安定感は、お子さんにとっても居心地がいいはず。「高齢出産でプラスになっているのはそこだと思います。なんか落ち着いて仕事と育児のバランスを取れるっていうか。20代はもうがむしゃらに仕事をやりたい時期だし、30歳になる頃は一番迷う時期でしたし……。20年以上続けてきた仕事だから、ペースをつかみやすいっていうのもありますね。台本を読んで、台詞を覚えるにしても、大体これくらい時間があれば、これくらいできるという経験値があるので。あと、自分がこれからキャリアアップしたい! とかではなく、純粋に子どもとの時間を楽しもうと思える。今まで人生の主役は自分だったのが、子ども主役に自然に入れ替わっている。そこを楽しめますね、何の不満も焦りもなく。子どもに対して、自分の時間を犠牲にするということが惜しみなくできるっていうか。でも、メリットばっかりじゃないですよ。もうちょっと早く産んでいたら、ぜったいに2人目を作っていたと思う。子育てがちょっと落ち着いてくると、やっぱり2人目ほしくなるなぁって。これは高齢出産のマイナスポイントではありますね(苦笑)」後編へつづくPROFILE水野美紀Miki Mizuno1974年、三重県出身。1987年にデビュー。以降、ドラマ『踊る大捜査線』シリーズをはじめ、映画、ドラマ、CMなどに数多く出演。最近では舞台の台本やエッセイの執筆を手がけるなど、活動の幅をますます広げている。2016年に俳優でイラストレーターの唐橋充さんと結婚、2017年に第1子を出産した。現在、AERA dot.にて、育児に奮闘する日々を綴ったエッセイ『子育て奮闘記「余力ゼロで生きてます」』を連載中(毎週木曜日更新)。最新出演作は、NHKドラマ10『ミストレス~女たちの秘密〜』(4月19日放送開始、毎週金曜22時~)、WOWOW連続ドラマW『坂の途中の家』(4月27日放送開始、毎週土曜22時~)。Photo:Nanako HidakaText:Keiko IshizukaConposition:Shiho Kodama
2019年05月03日今月の人Illustration:Hidemi Ito女優水野美紀さん1974年、三重県出身。1987年にデビュー。以降、ドラマ『踊る大捜査線』シリーズをはじめ、映画、ドラマ、CMなど数多くに出演。最近では舞台の台本やエッセイの執筆を手がけるなど、活動の幅をますます広げている。2016年に俳優でイラストレーターの唐橋充さんと結婚、2017年に第1子を出産した。現在、AERA dot.にて、育児に奮闘する日々を綴ったエッセイ『子育て奮闘記「余力ゼロで生きてます」』を連載中(毎週木曜日更新)。最新出演作は、NHKドラマ10『ミストレス~女たちの秘密〜』(4月19日放送開始、毎週金曜22時~)、WOWOW連続ドラマW『坂の途中の家』(4月27日放送開始、毎週土曜22時~)。人生で大切なことを優しく教えてくれる感動のファンタジー『100万回生きたねこ』作・絵:佐野洋子¥1400/講談社100万回も死んで、100万回も生きた猫がいました。これまでの飼い主は王様、船乗り、手品使い、泥棒、おばあさん、女の子……100万人のひとがその猫をかわいがり、猫が死んだとき泣きました。あるとき、猫は初めてノラ猫になりました。どんなめす猫も、猫のおよめさんになりたがりましたが、猫は相手にしませんでした。誰よりも自分が大好きだった猫は、やがて一匹の白く美しい猫に出会って――。愛と命の尊さを描く不朽の名作。「100万回も生まれ変わって、いろんな人生を生きてきた猫が主人公。この猫は自分のことが一番好きで、泣いたこともない。そもそも死ぬことが平気なんだから、怖いものなんて何もないんですよね。そんな彼が白い猫と出会ったことで、大きく変わっていくんです。猫が初めて声をあげて泣く場面は本当にせつなかったですね。大切な人と出会って、たった1回きりの人生を大事に生きることに意味があるんだよって、教えてくれるお話です」親になって初めて知った、自分よりも大事に思える存在がいるという感覚「子どもの頃に読んで夢中になった絵本って、大人になっても、ずーっと記憶に残っているものですよね」と語る女優の水野美紀さんは、自他ともに認める本好き。現在、1歳9ヵ月になるお子さんが、もう少し大きくなって、ストーリー性のある絵本を一緒に楽しめるようになる日を心待ちにしている。「大人になってから改めて読んで、グッときた絵本といえば『100万回生きたねこ』です。子どものときは、猫が生まれ変わるたびに、いろんな国で、いろんな人生を送るっていうところにすごくワクワクしていました。それでいて、悲しいお話だなぁっていうイメージがあって。それが今、私も結婚して、子どもが生まれて……この主人公の猫の気持ちがすごく分かるんですよ。自分よりも大事に思える存在がいる、っていう思いが実感として。小さな子は、この絵本をどのように読むんでしょうね。ワクワクしたり、悲しかったりするだけじゃなく、もしかしたら、お父さんとお母さんは、自身よりも、子どもである自分のことを大事に思ってくれているのかな……って何となく感じるのかもしれませんね」家の近くにあった絵本専門店で過ごしたキラキラした時間の思い出小学校5年生まで三重県四日市市に住んでいた水野さんが、今も懐かしく思い出すのが、当時の家の近くにあった、子どもの本専門店「メリーゴーランド」だ。絵本を中心に、さまざまなジャンルの子どもの本を扱っているほか、おもちゃや雑貨も販売している。「家から車で5分くらいの場所にあったので、親にしょっちゅう連れて行ってもらっていました。お店では、いろんな絵本を読んで、おもちゃで遊んで、気に入ったものがあったら買ってもらって。お店の内装もすごくおしゃれで、かわいかったなぁ。店内の雰囲気とか、たくさんの絵本がどんなふうに棚に並んでいたかとか、よく覚えていますもん」取材中、ネットで調べてみると、お店が現在も営業中であることが判明!ワークショップなどのイベントも定期的に開催されていて、水野さんが行っていた四日市市のお店のほかに、京都店がオープンしていることも分かった。「わー!今も営業しているなんて嬉しいです!今度は子どもを連れて、また行きたいですね。京都店だったら、京都で仕事があったときに行けるかな。私、小学生の頃、図書室の本を読破しちゃうくらい、めちゃくちゃ本が好きだったんですけど、私が本好きになったきっかけは、このお店と出会ったおかげだと思います。考えてみれば、本が好きっていうことは、物語の中の人物を演じる今の女優の仕事にもつながることですよね。そういう意味では、メリーゴーランドで絵本を読んでいた、あの至福の時間は、私にとって原体験といえるかもしれないです」絵本の世界で、いろんなことを疑似体験することで心が強くなる今、水野さんの自宅には、絵本がたくさんある。その多くは、お子さんのためというより、もともと絵本が好きだった水野さんとご主人がそれぞれ買い集めていたものだ。「主人はイラストレーターなので、仕事の資料として絵本を山ほど持っていたんですよね。子どもには絵本を毎日たくさん読んであげたいなぁと思っています。私のほうがやる気満々(笑)。たまに主人と役を割り振って読んでみるのもいいかなって(笑)。今、子どもが寝る前によく読み聞かせしているのは、出産後に主人の父からもらった『あかちゃんとあそぶ絵本』という全4冊の絵本セット。二つ折りになったページを開くと、夜が明けて、太陽が出るとか、子どもがアッと驚くようなしかけがあって楽しいです。うちの子はその中でも『あけてみたいな』という一冊が気に入っていますね」水野さん自身がそうであったように、絵本は、その子が将来、本好きになるきっかけにもなる。そして物語を読んで得たものは、決して空想の世界だけにとどまらない。「私は大人になったいまも、ファンタジーの要素がある話が好きなんです。それもやっぱり、子どもの頃に絵本にいっぱい触れていたことが影響しているのかもしれない。本の世界にひたって、いろんなことを疑似体験すると、何より心が強くなると思うんですよ。たとえば、童話の『青い鳥』を読めば、チルチルとミチルに自分を投影しながら、幸せの青い鳥を探すための冒険の旅に出て、最後は自分たちの部屋の鳥かごの中に青い羽を見つけることができる。主人公と一緒に大変な経験をした後に、感動と達成感が味わえるんです。そういうことの積み重ねって、きっと実生活にも反映されてくるはず。子どもながらに『大丈夫!チャレンジしてみよう!』っていう勇気が生まれると思います」【 水野美紀さん、これもオススメ 】思いやったり、ケンカしたり……リアルに描く“友達”という距離感『ふたりは ともだち』作:アーノルド・ローベル訳:三木卓¥950/文化出版局いつも友達の “がまくん” を思いやる心優しい “かえるくん” と、わがままいっぱいで甘えん坊だけど、放っておけない可愛らしさがある “かえるくん”。性格は全然違うけれど、一緒にいると、しっくりはまる凸凹コンビの日常。仲良しの “がまくん” と “かえるくん” を主人公にしたユーモラスな友情物語を5編収録。最後のお話「おてがみ」は小学生の教科書に採用されています。読み聞かせにもぴったりなローベルの傑作です。「単純明快な仲良しのお友達同士の話じゃないところが、おもしろいなぁと思います。ときにはケンカしたり、ちょっとすねてみたり、わがまま言ったりしながら、それでもずっと仲がいいお友達だという関係性が、何だかリアルに感じるんですよね。子どもながらに、相手の気持ちを思いやるって、どういうことなのかと考えさせられました。個人的には “がまくん” が水着を着た姿を恥ずかしがる『すいえい』のエピソードがかわいくて好き(笑)」カラフルで鮮やかな美しい絵の力ずっと眺めていたくなる世界観『はらぺこあおむし』作:エリック・カール訳:もりひさし¥1200/偕成社世界中で愛され続けている絵本作家エリック・カールの代表作。日曜日の朝、卵からかえった小さなあおむし。月曜日にはリンゴ、火曜日には梨……もりもり食べ続けて大きくなったあおむしは、やがてさなぎになり、何日も眠った後、最後は美しい蝶へと変身します。ページに穴の開いた仕掛け絵本で、まだ物語を理解できない赤ちゃんも穴に指を入れて楽しめるのが魅力。レギュラー版のほか、ボードブック、ミニ版などさまざまなタイプがあります。「エリック・カールの絵本は、絵のタッチがすごく素敵で、小さい頃からずっと覚えています。あおむしから蝶に成長するまでのストーリーだけでなく、食べるということもテーマのひとつ。はじめの頃はイチゴやオレンジといったフルーツを食べていたあおむしが、途中でケーキとかアイスとかサラミとか、ジャンクっぽい食べ物もいっぱい食べて。結局、おなかを壊しちゃうんだけれど、緑の葉っぱを食べて回復するという展開もいいんです(笑)」作ってみたいし、食べてみたい!大きな黄色いカステラのインパクト『ぐりとぐら』作:中川李枝子絵:大村百合子¥900/福音館書店お料理することと食べることが何より好きな野ねずみのぐりとぐらは、森で大きな卵を見つけました。目玉焼きにしようか、卵焼きにしようか考えたすえ、カステラを作ることにしました。でも、卵があまりにも大きくて運べません。そこでフライパンを持ってきて、その場で料理することにしました。カステラが焼けるにおいにつられて、森じゅうの動物たちも集まってきます……。子どもたちの人気者ぐりとぐらが初登場した記念すべき絵本。「『ぐりとぐら』といえば、大きなカステラですよね!おいしそう~って思わずにはいられないビジュアル・イメージ。お料理って、日常にある身近な題材なので、すごく親近感を持って楽しめるお話です。小さな子どもにとって、大きな卵を割るとか、大きなフライパンで大きなカステラを焼くとか、大きいものに取り組むのも、ワクワクするんですよね。どんな味だったんだろうなぁって想像しながら、お料理に興味を持った記憶があります」Illustration:Hidemi ItoText:Keiko IshizukaConposition:Shiho Kodama
2019年04月26日皆さんは、子どもがスマートフォンを使うことに関して賛成ですか?反対ですか?昨今、幼い子どもにスマートフォンを使わせる「スマホ育児」や「スマ放置」が問題になるなど、子どもにスマートフォンを与えることに関しては悪いイメージが先行していますよね。しかし、スマートフォンは必ずしも諸悪の根源というわけではありません。スマートフォンならではの特徴を生かして上手に付き合えば、子どもたちの学ぶ意欲をより高めるツールにもなります。では、日常生活において、最適な方法でスマートフォンを使うにはどうしたらいいのでしょうか。スマートフォンとの上手な付き合い方を考えてみましょう。「スマホ使うほど学力下がる」って本当?ニンテンドーDSソフト「脳トレ」シリーズの監修者であり、脳トレブームの立役者とも言える東北大学加齢医学研究所所長の川島隆太教授は、平成25年度仙台市標準学力検査および仙台市生活・学習状況調査とスマホの利用状況から、スマホの利用時間と学力に下記のような相関関係があることを警告しています。(画像引用元:仙台市|「学習意欲の科学的研究に関するプロジェクト」作成リーフレット 平成25年度版)このグラフから、携帯やスマホを使う時間が長ければ長いほど、数学の平均点が下がっていることは明らかですね。また、驚くべきことに「2時間以上勉強していながらスマホを4時間以上使っている子」の平均点が「30分未満しか勉強していないけれどスマホを使わない子」の平均点よりも低いという結果も出ています。せっかく勉強しても、スマホを使う時間が長ければ、勉強した時間がムダになってしまうといっても過言ではありません。この傾向は、数学のみならず理科、社会といった他の教科でも見られたのだそう。学力低下の原因は、スマホ利用で奪われる「あの時間」?実際のところ、スマホの利用と学力低下についての直接的な因果関係は明らかになっていません。しかし、学力低下の要因として大いに考えられるのは、スマホ利用によって生じる「睡眠不足」です。睡眠改善インストラクターで昭和西川専務取締役の西川ユカコ氏は、睡眠不足と学力低下の関連性について次のように指摘しています。学力の観点では、寝不足だと大脳の前頭連合野が打撃を受け、勉強する意欲や集中力が薄れ、論理的な思考もしにくくなるほか、記憶にも障害が出てきます。たとえば10時間の睡眠が必要な子どもが8時間しか眠らなかった場合、足りない睡眠時間は2時間です。「2時間の睡眠不足」は、お酒を飲んでほろ酔いの時と同じくらいの脳の働き(働かなさ)になるといわれています。(引用元:東洋経済ONLINE|「成績のよい子」は、だいたい何時に寝るのか)スマホで動画を観たり、ゲームをしている時間が長くなると、睡眠をとるべき時間が削られます。その結果、勉強への意欲や集中力の欠如のほか、論理的な思考ができなくなったり記憶にも支障が出るという弊害が起こるのです。スマホをどれだけ使うかではなく、どう使うか電車やバスといった公共の乗り物に乗っているときや待ち時間などには、騒いで周囲に迷惑をかけたりしないようスマホで静かにさせたいというのも本音ではないでしょうか。それでも、スマホによって何か悪影響があるかもしれないと思うと不安ですよね。子どもの脳の発達や学力向上は、スマホの使用時間がどれくらいかではなく、人とのやり取りがあるかどうかに関係があるという意見もあります。小児科医でお茶の水女子大学副学長の榊原洋一氏は以下のように話しています。「かつてテレビの視聴時間が長い子どもは、言葉の数が少ないという研究結果がありましたが、さらに詳しく研究すると、視聴時間が長くても家族の会話が多ければ言葉も多いという結果が出てきました。子どもの発育に重要なのは、テレビやスマホなどの視聴時間の長短よりも、生身の人間とのやり取りがあるかどうかです」(引用元:NHK生活情報ブログ|「スマホ育児」発育に影響は?)やむを得ずスマホを利用するときにも、使い方さえ気をつければ影響を少なくできるということです。スマホの動画やゲームで待ち時間を過ごすときなどは、子どもに与えっぱなしにすることなく、一緒に視聴したり話しかけたりしてみてはいかがでしょうか。また、学力低下と併せて気にしたいのは、スマホによる「視力低下」。国立成育医療研究センターで小児眼科を専門とする仁科幸子先生は、スマホを見る距離はテレビよりも近く、目にはその分の緊張が強いられるため疲れやすくなると指摘します。子どもの視力が低下しないよう、スマホを見せる際には以下のことに注意しましょう。・画面から30cm以上離れ、明るい場所で視聴する・連続で視聴する場合は30分を限度としタイマーで時間を計る・ベビーカーや車などの揺れている場所では見せない・親子できちんとルールを決め節度を持って使用させる***「スマホを長時間使っているから学力が低下する」という説を裏づける科学的な根拠は現在のところ明らかではありません。しかし、学習のための時間がスマホに奪われたり、ゲームや動画が気になって学習に集中できなかったりということが、学力低下につながる可能性は否定できません。目にも負担をかけすぎないようにお家でルールを決めて、上手な活用をサポートしてあげられるといいですね。(参考)毎日新聞|スマホ警告ポスター「使うほど学力下がります」日医作製日本小児科医会|スマホの時間 私は何を失うかPRESIDENT Online|“スマホが学力を破壊する”これだけの根拠東洋経済ONLINE|「成績のよい子」は、だいたい何時に寝るのかNHK生活情報ブログ|「スマホ育児」発育に影響は?子どもたちのインターネット利用について考える研究会|乳幼児とスマホ 保護者のためのセルフチェック
2019年04月23日4月14日、アメリカのベビー用品大手のフィッシャープライス社が販売するベビーベッド「ロックンプレイスリーパー」をリコールするというニュースが日本でも流れました。 フィッシャープライス社のベビーベッド「ロックンプレイスリーパー」って?フィッシャープライス社は1930年にアメリカで誕生し、乳幼児玩具部門では世界No.1の売り上げ、シェアを誇るといわれている会社です。 フィッシャープライス社の製品である「ロックンプレイスリーパー」は簡易的なベビーベッドのような製品で、赤ちゃんを寝かせるとゆらゆら揺れる機能があるそうです。組み立てが簡単で折りたたむこともでき、赤ちゃんを寝かせるシートも洗濯機で洗濯も可能などの特徴があり、日本でもネット通販などで流通していたようです。 リコールの原因は?米国消費者製品安全委員会(CPSC)によると、「ロックンプレイスリーパー」に寝ていた幼児が寝返りを打った際に事故が起き、2009年の発売以降、30人を超える幼児が死亡しているということです。そのため、フィッシャープライス社は4月12日に「ロックンプレイスリーパー」のリコールを発表しました。 フィッシャープライス社の発表を受け、日本でもリコールの報道がなされたほか、消費者庁や経済産業省で「ロックンプレイスリーパー」が手元にある人は直ちに使用を中止するよう、注意喚起をしています。 その使い方合ってる!?今回の死亡事故は、取扱説明書の使用方法に従わなかったことが原因にあるようです。「ロックンプレイスリーパー」の使用時期は、寝返りを打てるようになる前まで、また、使用する際には赤ちゃんを固定するベルトを使用することになっていたとのことです。 赤ちゃんが寝返りできるようになる時期の目安は、生後5〜6カ月ですから、明らかに「ロックンプレイスリーパー」の使用時期(寝返りを打てるようになる前まで)から外れていたことがわかります。たとえ赤ちゃんが寝返りを打てたとしても、固定ベルトを使用していれば防げていたかもしれません。また、寝返りができる赤ちゃんが窒息のため死亡した要因には、「ロックンプレイスリーパー」の赤ちゃんを寝かせる部分の素材が柔らかく、ハンモックのようになっていたため、寝返りがえり(うつぶせから仰向けの状態に戻ること)ができなかった可能性も高かったのではないでしょうか? 今回の事故に限らず、本来の使用方法から逸脱したことで起きてしまった事故は少なくありません。赤ちゃんに使用するものだからこそ、対象年齢や使用方法をきちんと守って使わないといけませんね。 ベビー用品は使用期間が短いものもあり、おさがりでもらったりやフリマサイトから購入するという方もいらっしゃるかもしれません。しかし、その際に取扱説明書がない……というケースもあります。その際には必ず販売元のHPで製品の取扱いについて確認することや安全基準を満たしたマークが付いている製品を選ぶことが大切です。 【出典】・NHK NEWS WEB・経済産業省 ニュースリリース 改めて確認! 赤ちゃんを寝かせるときの注意点赤ちゃんが眠っているときは大人も一緒に寝ていたり、他のことをしていたりして、赤ちゃんから目が離れてしまうことが多くなります。そのため、寝返りや吐き戻しによる窒息、ベビーベッドからの転落などの事故に赤ちゃんが合うことも少なくありません。今一度ここで赤ちゃんを寝かせるときの注意点を確認してみましょう。 赤ちゃんの窒息を予防するために1)うつぶせに寝かせない乳幼児突然死症候群(SIDS)は、うつぶせ寝によってリスクが高まるという報告があります。乳幼児突然死症候群(SIDS)は、、生後2カ月から6カ月に多く、稀に1歳以上で発症することがあるため、厚生労働省では医学上の理由でうつぶせ寝を勧められている場合以外は、1歳までは仰向けに寝かせるよう勧告しています。赤ちゃんのうつぶせ寝を避けるために、寝返り防止専用のクッションを使用したり赤ちゃんの左右に分厚い布団を敷き、赤ちゃんを仰向けに固定しておくというというのも1つの方法です。 2)ふかふかの寝具は使わないふかふかの寝具だと赤ちゃんの顔が埋もれてしまうおそれがあります。敷き布団やマットレスは、アイロン台と同じ程度の硬さのもの使いましょう。掛け布団は子ども用の軽いものにしましょう。 3)赤ちゃんの顔の近くに、口や鼻を覆ったり首に巻き付いてしまったりする物(枕、タオル、衣服、スタイ、 ぬいぐるみ、ひも状のものなど)は置かない小さい赤ちゃんは自分の顔にかかったものを払いのけることがまだできません。赤ちゃんの顔の周りに余計なものは置かないようにしましょう。また、掛け布団を顔の上まで掛けないように注意しましょう。 4)ベビーベッドとマットレスのすき間に注意赤ちゃんをベビーベッドに寝かせている場合、ベッドの柵とマットレスの間にすき間があいていると、すき間にちょうど顔がはさまって窒息してしまうことがあります。ベッドとマットレスのサイズはぴったり合っているものを選びましょう。 5)添い寝授乳をする際には、赤ちゃんを圧迫しないよう十分注意する赤ちゃんを寝かしつける際、添い寝授乳(添い乳)をおこなっているママもいらっしゃると思いますが、授乳しながらママもウトウトしてしまい、おっぱいやママの体で赤ちゃんを圧迫してしまうおそれもあります。赤ちゃんが寝入ったら必ずおっぱいを外すようにしましょう。 そのほか、赤ちゃんが転落してうつぶせになってしまう可能性もあります。大人用ベッドではなく、できるだけベビーベッドに寝かせ、転落しないように柵を常に上げておくようにしましょう。またソファでのお昼寝なども避けましょう。 【参考】ベビーカレンダー・赤ちゃんを寝かせるときの注意点・うつぶせ寝はいつごろから大丈夫?注意点とメリットデメリットについて 今回の「ロックンプレイスリーパー」のリコールの背景には、正しい使用期間や方法から逸脱したことによって死亡事故が起きていたということがありました。赤ちゃんの成長は目まぐるしく、昨日までできなかったことが急にできるようになることもあります。ちょっとした油断によって赤ちゃんが危険に晒されないように十分注意したいですね。
2019年04月18日「エデュテイメント」って知ってる?教育の分野でよく使われている言葉で、「学び」という意味の「エデュケーション」と、「娯楽」という意味の「エンターテインメント」を合わせた造語。あんふぁんでは今年度「学ぶって楽しい!エデュテイメント」をテーマに、学びと遊びの関係について考えていきます。入園、進級、おめでとうございます!幼稚園での毎日の中で、子どもたちは大きく成長します。それは、幼稚園での“遊び”が、成長のための“学び”につながっているから。遊びの大切さと、遊びを通して子どもたちがどう育っていくのか、聖心女子大学・教育学科教授の河邉貴子さんに聞きました。お話を聞いたのは聖心女子大学文学部教育学科教授河邉貴子さん東京都公立幼稚園で12 年間教諭として幼児教育に携わった経験を持つ。専門は幼児教育学。著書に『遊びを中心とした保育〜保育記録から読み解く「援助」と「展開」』(萌文書林)ほか。NHK Eテレ「すくすく子育て」でも活躍遊びを繰り返して発達に必要な経験を積み重ねる一見、ただ楽しく遊んでいるように見える幼稚園の日常。しかし、子どもにとってはすべてが大切な学びにつながっています。子どもは生まれながらにして外界の情報を取り込む力を持っています。面白いところに手を伸ばす、新しい刺激を追う…。手や足を動かして感じて、世の中を知る、それを“遊び”の中で体得していくのです。遊びの本質は、自分からやってみたいという気持ち、やっていて楽しいという感覚、やり遂げた達成感にあります。その中で、見通しを立てる力、最後までやり通す力など、さまざまな能力を獲得します。こうした感情や感覚は、大人に押し付けられたり、正解を先回りして教えられても身に付きません。「非認知能力」の重要性が問われていますが、これは幼少期の遊びの中で、興味を持ったものに夢中になり、試行錯誤することで養われます。「認知能力」が高まるには、「非認知能力」が大切との研究結果も出ています。幼児期の遊びが、子どもの自発性を育み、小学校に上がってからの学習への自発的な意欲につながっていくのです。Keyword非認知能力とは目標に向かって頑張る力や自己肯定感を持つといった自分に関する力や、他者への思いやりやコミュニケーション能力など、人間として生きていく上で大切な内面的な心の力のこと。対して、文字が読める、計算ができるなどIQで測れる力を「認知能力」といいます先生や友達との関わりの中で質の高い遊びに日本では初の幼稚園が開園した約140年前から、遊びを中心とした保育を行っていて、「幼稚園教育要領」でも「遊びは幼児にとって重要な学びである」と明記されています。幼稚園に入ると、子どもの世界は広がります。中でも大きく変わるのが「人との関わり」。はじめはひとりで遊んでいる子どもたちも、お友達に影響されて、興味の幅が広がります。もちろん、ケンカになることも多々ありますが、そんなときは、保育者がそれぞれの気持ちを代弁して、相手にも気持ちや意見があることを知ります。「仲よくしましょう」と言われてできるものではありません。ぶつかりあう経験を通して、人との関わり方を学んでいくのです。また、子どもたちを放任していると、同じことをずっと繰り返したり、遊びが停滞することがあります。そんなときは保育者が助言を与え、見守り寄り添うことで、ひとつの遊びがどんどん発展して膨らんでいき、「質の高い遊び」ができるようになるのです。幼児期の遊びで心も、体も、頭も育つ運動会や発表会などの行事を通して、子どもたちが成長した姿を実感することも多いでしょう。しかし大切なのは、当日の成果ではなく、そのプロセス。みんなでひとつのことをやり遂げる、人と一緒に頑張ることの楽しさを、子どもたちは学びます。当日うまくいかなかったとしても、それまでの頑張りをほめてあげてほしいですね。幼児期の遊びで、心も、体も、頭も育ちます。そして遊べば遊ぶほど、能動的な学び手となって成長するのです。幼児期に夢中になって遊んだ経験が、大人になっても持続的に幸せを感じる土台を作ると言われています。幼稚園でたくさん遊んで、どんどん成長していく子どもたちの毎日を、親は見守り、一緒に楽しんでください。読者ママアンケート「小学校に上がる前に幼稚園で身に付けてほしいことは?」(※上位3つを複数回答)1位自分の考えを人にちゃんと伝えることができる74.8%2位先生や親、友達の話をちゃんと聞くことができる51.2%3位最後まで諦めずにやり通すことができる40.2%※あんふぁんWebアンケート2019年1/9~2/5、有効回答数1296人河邊さんからのアドバイス小学校に入ると、子どもたちは人間関係をイチから作り上げる必要性があります。幼稚園時代は毎日を一緒に過ごす中で、お友達とも分かりあえる力が高まっていますが、それがすべてリセットされてしまうのです。その中で「自分の意見を言えること」「お友達や先生の意見を聞けること」が、新しい環境で自分の居場所を見つけるのに重要になってきます。その意味でもこの結果は、とてもいい願いですね。「小学生になったら人の話をちゃんと聞くんだよ」「自分の意見を言いなさい」と親や先生に言われたからといって、できることではありません。幼稚園時代に、人との関わりや遊びを通して、お友達の話を聞くと自分の意見も聞いてもらえることや、イヤなことをイヤと言う大切さなどを、体感することが必要なのです。幼稚園での“遊び”を通して、こんなに成長します!子どもたちは遊べば遊ぶほど、遊びの質がどんどん高まっていきます。幼稚園での遊びを通じて、どのように成長していくのか見てみましょう。◆年少ひとり遊びから始まり、同じことをする楽しさを知る始めは一人ひとりが好きなことをバラバラに遊びます。同じ動作をする他者を感じて楽しい気持ちになる「身体同調」という感覚がありますが、園の環境に慣れてくると、隣のお友達を見て、「楽しそう、やってみようかな」という気持ちが芽生えてきます。ままごとをしていたら、全員がお母さん役になっていても不都合を感じないのがこの時期です。◆年中役割を決めてお友達と一緒に楽しむ友達とのやり取りの経験を積むと、相手に気持ちがあることや、ケンカをしても言葉で解決できることが分かり、その都度、どうしたらいいかを考えられるようになってきます。ままごとをしていても役割分担を決めて一緒に遊べるように。仲良しの友達ができる反面、お互いの主張が対立してケンカになったりもします。◆年長ひとつの遊びを通して、どんどん世界が広がる見通しを立てて遊ぶことができるように。また、友達との関わりの中で、意見を出し合い、ひとつの遊びがどんどん発展したり、みんなで一緒にひとつのことを成し遂げる楽しさが分かるようになります。ままごとでも、見えない部分のシチュエーションを考えていたり、現実を取り入れたり、発想が豊かになり、遊びの世界がどんどん広がります。ママの心配事に答えますQ スマホの動画やゲームが好きでずっと遊んでいますが、遊びといえますか?A この時代に生きていると、スマホ・パソコンはそのうち絶対触れるものです。全てを否定するわけではないですが、遊びは実際の経験の中で楽しみを見つけていくもの。バーチャルで見ただけのことは遊びとはいえず、実は身に付いていないことも。園時代は、べちゃべちゃしたり、どろどろしたりといった、実際の手触りや感覚を大事にしてあげてほしいですね。バーチャルしか知らないと、寛容性が狭まる恐れもあります。見せるにしても時間を決めるなどのルールは必要です。Q 遊びに夢中で、ひらがなや数字に興味なし…、小学校へ行っても大丈夫?A 遊びの中で「看板に文字を書きたい」「お友達にお手紙を書きたい」など、興味を持ったときに教えてあげるのはOKですが、興味がない子に「“あ”を書いて」など無理やり教える必要はありません。また、字が汚いとか書き順が間違っているなど、子どものやる気を奪うようなことは幼稚園時代には言わないで。小学校に入るときに、自分の名前が読めて書けるくらいで十分です。遊びに夢中になれるのは素晴らしいこと!この時期に大切にしてほしいのは、習得ではなく、文字・数字に対しての豊かな経験。ママが本を読んでいる姿を見せたり、一緒に絵本を読んだりする体験を積んであげてください。Q ママにべったりで、幼稚園でママから離れてちゃんと遊べるか心配ですA 幼稚園に入ったのだから、しっかりさせなきゃと思うママもいるでしょうが、新しいところにすぐなじむ子もいれば、時間がかかる子もいます。自分の目で新しい環境をじっくり見て、安心できるところや、自分の居場所はどこかを子どもはしっかり考えています。見るだけで満足している場合もあります。ママは心配もあるでしょうが、「今日は何したの?」「今日はどうだった?」などと、矢継ぎ早に、問いただすようなことはしないで見守ってあげてください。一見何もしていないようでも、子どもたちはいろいろなことを学んでいますよ。ママも実感!幼稚園でわが子が成長したと感じたエピソード● 幼稚園の事を聞いてもいつも「分からん、知らん」と答えていましたが、最近になり、自分から「今日ね…」と話してくれるようになりました。言葉の発達、園生活でのいろんな感情、何よりも楽しんでいるからこそ少しずつ話してくれるようになったのかなーと思えてうれしくなります。(愛知県・年少ママ)● 作品展の制作で、あまりお友達や先生に意見を言う事のない息子が、初めて自分から意見を言い、それがみんなに好評価だったそう。それからは、何かあるたびに「こうした方が良いんじゃない?」とか「こうしたらどうかな?」と積極的に発言するようになりました。(愛知県・年少ママ)● 発表会で、年中までは声が小さくてセリフを聞き取れませんでしたが、年長では堂々と大きな声でセリフを話していて、その姿に成長を感じました。本人の自信になったようで、普段も積極性が出てきたと先生から聞きうれしくなりました。(青森県・年長ママ)● 友達と遊ぶ時、仲間と協力して大きな物を作ったり、新しいルールを決めてみたり。 大人との関係では築けないような、独創性や仲間意識が見られるようになりました。(東京都・年長ママ)● 縦割り保育で、上の学年の子たちから優しくしてもらったり、下の学年の子たちの面倒を見てあげたりすることを通して、自分の妹にも優しくいろいろ教えてあげたりできるようになってきました。(東京都・年中ママ)河邉さんからメッセージ子どもたちは幼稚園でプラスの体験、マイナスの体験を積んで育ちます友達との関わり、ダイナミックな遊び…、家でできないことをするのが幼稚園です。もちろん毎日、いろいろなことは起きるでしょう。まずは何事も、素晴らしい体験をしていると思って、園に委ねてください。子どもはプラスの体験だけでなく、マイナスの体験をして育っていきます。小さな失敗や挫折を乗り越えていくことが子どもを成長させるのです。ママが一緒に落ち込むと、その気持ちは子どもにも伝染します。共に悲しむのではなく、いい経験と前向きに捉えてみてください。入園当初はママも不安なことも多いでしょうが、気になることや心配事はどんどん先生に聞いたり相談してください。また、何かかができるようになることを焦ったり、周りと比べず、子どものできたことに目を向けてあげましょう。幼稚園で子どもたちは思いっきり遊んで、どんどん成長しますよ!イラスト/柴田ケイコ
2019年04月13日「眠育」という言葉はご存知ですか?いま、日本の教育現場において、「眠育」の重要性が叫ばれています。今回は眠育についての解説とともに、規則正しい睡眠が子どもにとってなぜ必要なのか、その理由をご紹介しましょう。睡眠の教育が、今こそ必要なワケとは?「眠育」とは、「睡眠教育」のことを指し、睡眠についての知識と正しい睡眠習慣を身につけることを言います。私たちは知育や体育、食育など、学校でさまざまな教育を受けていますが、睡眠についての授業を受けたことはあるでしょうか。「睡眠なんて単なる休息の時間だから……」と思ってはいませんか?睡眠は人生の3分の1の時間に相当し、もちろん単なる休息ではありません。睡眠は私たちの体を支えて守るという重要な役割を果たすとともに、睡眠中の潜在意識は心のケアも行なっているのです。つまり、眠育は「食育」と同じように、“生きていくために必要な教育”なのです。ところが世界的に見てみると、日本は全体的に睡眠時間が短くなってきていて、きちんと「眠ること」が、大人も子どももできていないのが現状。OECD(経済協力開発機構)が2014年に行った国際比較調査の中で、各国の15歳~64歳までの男女の睡眠時間を比較すると、最も長い南アフリカの9時間22分と比べ、日本人は睡眠時間が7時間43分と、1時間30分以上も短いという結果が出ています。さらに、世界の主要国29カ国の中では、日本は韓国に次いで二番目に睡眠時間が短いことが分かっています。この要因にはスマホやパソコンの普及によって、生活の夜型化が進んでいることが挙げられますが、もうひとつの大きな要因は、日本人の睡眠に対する意識の低さがあると言います。明治以来、教育は「五育」の思想に基づき行われてきました。五育とは体育・知育・才育・徳育そして食育をさしますが、これらはすべて、日中の活動時間になされるものです。睡眠領域については、第六番目の教育として「眠育」が存在すべきあり、老若男女を問わず、すべての世代に伝えられなければいけません。しかし、現在の日本の社会では眠育は全く不十分な状況で、医療関係者にさえ知識がなかったり、睡眠の重要性の認識が薄かったりすることは大問題です。(引用元:日本眠育普及協会|眠育とは)睡眠に対する意識が低く、睡眠時間を十分に取らないことは、心にも体にも影響を及ぼします。そのひとつとして大きな問題になっているのが、小中学校の不登校問題です。2017年度に行った調査によると、小中学校の不登校児童生徒は14万4031人にのぼり、前年度より1万人以上増えていることが分かりました。また、2014年に文部科学省が発表した実態調査では、不登校のきっかけの上位は1位が「友人との関係」、2位が「生活リズムの乱れ」、3位が「勉強が分からない」という結果が出ていて、不登校の原因に生活リズムの乱れが関係しているケースが非常に多いことが分かります。前述のように睡眠は心身のケアをする大事な時間ですから、睡眠時間が削られたり、睡眠の質が低下することは、生活リズムそのものに大きく影響を与えるのです。睡眠不足が子どもの心身に及ぼす影響とは?では、睡眠が足りていなかったり、睡眠のリズムが乱れることは、子どもの心身にどんな影響を与えるのでしょうか。睡眠不足は、成長の遅れや食欲不振・注意や集中力の低下・眠気・易疲労感などをもたらします。子どもの場合、眠気をうまく意識することができずに、イライラ・多動・衝動行為などとしてみられることも少なくありません。また睡眠不足は将来の肥満の危険因子になることも示されています。(引用元:厚生労働省e-ヘルスネット|睡眠不足や睡眠障害、子どもへの大きな影響)成長の遅れや原因不明の体調不良、集中力が続かないなど、体の不調や精神的な問題は、睡眠と切り離して考えがちですが、実は睡眠が大きく関係している場合も考えられます。もし、このように子どもの心身の不調で悩んでいるようなら、しっかりと睡眠が取れているかを一度見直してみることも必要です。たとえば、子どもの睡眠時無呼吸症候群、おねしょ(夜尿)、睡眠時遊行症、いびき、歯ぎしりなど、睡眠障害が原因で睡眠不足になっているケースもあります。その場合は、必要な医療機関に相談・治療することで、症状が改善することもあります。睡眠時の症状は本人では気づかないことですから、親御さんがその症状を見つけてあげ、適切な処置をしてあげることが大切です。また、学習面でも影響があります。健全な生活習慣のある子どもは、そうでない子どもよりも学習意欲が高く、体力・運動能力が高いことがさまざまな調査によって明らかになっています。具体的には、レム睡眠の際に脳内で記憶の整理・定着が行われるのですが、睡眠不足になると学習したことが脳内に定着せず、成績にも関係すると言われているのです。眠育の先進地域では、不登校が減少する成果も!日本では睡眠に関する意識が低く、眠育が遅れていると言われていますが、近年では大阪や兵庫などでは「眠育」がすでに導入されている地域もあります。たとえば堺市の三原台中学校区では、平成27年度から「眠育」をスタートさせました。校区の小中学生全員に睡眠の大切さを説明するリーフレットを配り、年に3回の授業も実施しています。授業では、いつ寝ているのかの「睡眠表」をつけさせ、睡眠の質や量を検討し、問題の多い子どもには、親も交えた面談も行っているようです。ある中学3年の女子生徒は10日出席しては10日休むことを繰り返していた。親が夜も働いており、夕食は午後11時、寝るのは日付が変わった後だったという。親も交えた面談の後、夕食を7時に食べて11時には寝られるようになり、その後は1日も休まず登校した。また、中学2年の男子生徒は連日午前2時ごろまで塾の宿題に取り組み、朝、親が起こすと暴れるように。面談後、塾をやめて夜十分に寝るようになり、家庭内暴力は消えたという。(引用元:SankeiBiz|睡眠の大切さを教える「眠育」って何?規則的な睡眠で不登校予防、家庭内暴力も収まる)このように「眠育」の先進地域では、3年間で不登校率は約37%減るなどの成果が出ています。そして29年度からは、堺市全体で眠育に取り組んでいるのです。家庭で実践したい、規則正しい睡眠のコツいくら学校で眠育が広がっても、実際に睡眠をとるのは各家庭でのこと。子ども自身が睡眠の大切さを知るとともに、親御さんの意識も変えることも必要です。まずは、子どもが快適に眠ることができる寝室の環境を整えたり、バランスの良い食事を用意したりするなど、親御さんが心がけることも必要です。また、質の良い睡眠を取るために、以下のようなことに気をつけましょう。<朝>・毎朝できるだけ同じ時間に起きるように習慣づけ、しっかり朝日を浴びる・朝食は必ずとり、炭水化物、たんぱく質、糖質などバランス良い食事をとる<昼>・しっかり体を動かす・食事はバランスよく、できるだけ同じ時間帯に食べる<夜>・眠る2時間前までに夕食は済ませる。夜は脂質が多いものはできるだけ避ける・眠る30分前にはテレビやスマホなどの画面を見るのは控える・できるだけ毎日、同じ時間に眠る・夜寝ている間は、電気は消す・寝室はこまめに掃除をして、寝具は清潔を保つこのように、睡眠の環境や食事、日中の過ごし方によって、睡眠の質をあげることができます。また、睡眠時間は幼児は10時間以上、小学校低学年は9〜10時間、小学校高学年は9時間、中学生は8時間以上を目安にし、午後7時から午前7時までの間で眠るようにしましょう。****眠りの仕事でもうひとつ大事なことは、「脳を育てる力」です。海馬と言う脳は、新しい知識を蓄えるために最も大事な脳で、唯一細胞分裂して大きくなります。そして、質の良い眠りをすることは、海馬の発育を助けると言われています。お子さんに良い教育を受けさせたいと願う親御さんがほとんどだと思いますが、質の良い睡眠をさせることも同じぐらい大切です。規則正しい睡眠とバランスのよい食事を毎日用意することは、親から子どもへの一番の贈り物ですよ。文/内田あり(参考)西川リビング|眠育公式サイト「キッズの眠育」SankeiBiz|睡眠の大切さを教える「眠育」って何?規則的な睡眠で不登校予防、家庭内暴力も収まるNHK|子どもたちの質の良い眠りが人生を豊かにする日本眠育普及協会|眠育とは日本睡眠科学研究所|日本国内の睡眠事情厚生労働省e-ヘルスネット|睡眠不足や睡眠障害、子どもへの大きな影響
2019年04月09日入園・入学、進級などで環境が大きく変わるこの時期。新しい出会いにワクワクする反面、不安や心配を抱えて心が不安定になることもあるでしょう。大人であれば、長年の経験からうまく気持ちを切り替えたり、ストレスを溜めないように気をつけたりすることもできます。しかし、まだ幼い子どもたちは、たとえストレスを抱えていても対処法がわからずに溜め込んでしまうことが多いのです。子どもだからといってストレスを感じにくいわけではありません。今回は、もし我が子がストレスを感じて不安定になってしまったらどう対処すべきか、考えていきましょう。どんなときに子どもはストレスを感じる?「入園なら親と、入学なら幼稚園の先生や仲の良かったお友だちと離れますよね。つまり、新生活は、子どもにとって安心できる人がいない環境なのです。これが不安とストレスを生む大きな要因です」そう語るのは、大阪市の谷町こどもセンターで所長を務める臨床心理士の日下紀子さんです。さらに環境が変わってしばらくしても、子どもは先生や同級生など周りの人が安心できる存在かどうかを無意識に探っているそう。そしてそのような心理状態が毎日続くことが、さらなるストレスを生み出しているらしいのです。せめてゴールデンウィークの時期までは、子どもの様子を注意深く観察する必要がありそうですね。それ以外には、子どもにとってどのようなことがストレスポイントになるのでしょうか。日下さんは「入園と入学ではストレスの原因が微妙に異なる」といいます。■入園によって引き起こされるストレスまず、おもちゃや遊具をたくさんの子どもと分け合うことがストレスになります。それまでは全部 “自分のもの” だったのが “みんなのもの” に変わるため、戸惑いを覚える子どもが多いのです。また、おもちゃを取り合うとき、フォローしてくれる親がそばにいません。先生との信頼関係がまだできていない入園直後の時期などは、悲しい気持ちを誰に伝えればいいかわからなくて不安になるのです。■入学によって引き起こされるストレス長い時間じっと椅子に座って授業を聞かなくてはならないことがストレスになります。また、周りと自分を比べ始める年齢なので、「お友だちはできているのに自分はできない」と、勉強や体育での成績を比べて落ち込む子も。そして、親の不安な気持ちも少なからず影響しているといいます。子どもが幼稚園や小学校に馴染めないでいると、「私の育て方が間違っていたのかな」と自分自身を責めてしまう保護者の方も多いのではないでしょうか。それが強いストレスとなり子どもが敏感に感じ取ってしまうと、子ども自身のストレスにもつながるというわけです。ストレスに対して必要以上に不安を感じたり、ネガティブな思考にとらわれたりすると、ますます悪循環にはまっていくため注意が必要です。ストレスが引き起こす心と身体のトラブルストレスを感じることで、子どもの心と身体にはどのような変化が表れるのでしょうか。■ストレスによって表れるSOSのサイン<心の変化>・イライラしやすくなる・怒りっぽくなる・急に落ち込む・感情の起伏が激しくなる<身体の変化>・食欲がなくなる・便秘、下痢・熱が出る・寝つきが悪くなる・朝起きられなくなる洗足ストレスコーピング・サポートオフィスの伊藤絵美先生は、「大人に比べて子どものストレス反応は『身体化』『行動化』しやすい」と述べています。身体化とは、「お腹が痛い」「眠れない」「おしっこがしたくなる」などの状態を指します。低学年くらいまでの子どもは言語化する能力が未熟なため、身体的な不調として表に出やすくなるのです。行動化とは、「動物をいじめる」「妹や弟をいじめる」「ものに当たる」「友だちに手を出す」といった様子を指します。低学年~中学年くらいでは、自分よりも弱いものに苛立ちをぶつける傾向があります。いずれも意識的ではなく、心のモヤモヤを表面化して自分なりにバランスを取ろうとしているため、親がただ言い聞かせるだけでは根本的な解決にはつながりません。「お腹が痛い」には要注意!子どものストレス反応としてもっとも多いのが「お腹が痛い」と訴えることです。もちろん病気の可能性も否定できないので、まずは医師の診察が第一。そして医学的に明確な問題が確定できなかった場合に、ストレスに由来するものかもしれないと考えましょう。腸内の免疫の働きに詳しい理化学研究所の大野博司氏は、「新しい環境の変化へのストレス、また食べ慣れた家庭での食事から給食に切り替わるような変化で腹痛を引き起こすことがある」といいます。慣れない環境での生活が続き、ストレスが溜まることや食事がこれまでと変わることで、胃酸の分泌が増えて粘膜を傷つけたり、腸内細菌のバランスが崩れたりすることがあるらしいのです。その結果、一時的な腹痛や下痢を引き起こしますが、身体が環境に適応していくと治るケースが多いようです。とはいえ、「小さな子どもでもストレスがお腹に影響する」ということは肝に銘じておきましょう。NPO法人「子育てひろばほわほわ」の顧問・永瀬春美さんは、「慣れない新生活に加えて、『不安な気持ちを表現できないこと』が重なって腹痛の症状ができることもあります」と述べています。ここで見直すべきは親子の日常でのやり取りです。普段から「ちょっとしたことでグズグズ言わないの」「平気平気、そんなの大したことじゃないでしょう」と言ってしまいがちなら要注意!一見良い対応にも思えますが、子どもは自分の気持ちが否定されたと感じます。そして、このような経験の積み重ねが、感情を素直に表現できなくしてしまうことにつながるのです。つまり、新生活の不安にそのジレンマが加わって、腹痛を引き起こすというわけです。子どもが「お腹が痛い」と訴えるようなら「不安だよね」「何に困っているの?」と、子どもの目線に立って不安な気持ちに寄り添ってあげましょう。子どものストレスに親はどう対処する?では実際に、我が子がストレスを感じていると知ったとき、親としてどのように対処すればよいのでしょうか。ストレスマネジメントの第一人者である教育心理カウンセラーの田中純先生は、「日頃の親子関係が重要」といいます。些細なことでも親子であれこれ語り合う習慣ができていれば、子どもの心の変化を敏感に感じ取ることができます。また、家庭は子どもにとって心から安心できる場所でなければなりません。親に話すことで気持ちがスーッと楽になると子ども自身が気づくことで、親子の関係はさらに風通しの良いものとなります。そのうえで具体的な対処法を見ていきましょう。■「そんなの大したことじゃないよ」「他の子だって同じような経験をしてるよ」はNG!悩みの重さは人それぞれであり、他の人と比べるのは良い解決法ではありません。「あなたにしかわからない辛さがあるよね」と、その問題が子どもにとってどれだけ重大なのかを理解してあげましょう。また、我が子自身の成長を認め、「今できていること」に焦点を当てて褒めてあげると自信につながります。■話すことを強要するのはNG!無理やり聞き出そうとすると恐怖心を煽ります。「今でなくてもいいから話したくなったらいつでも話してね」と、いつでも寄り添う準備ができていることを知らせましょう。安心感を与えます。■子どもの代わりに親が問題を解決してしまうのはNG!子ども自身の力で立ち直るきっかけを奪ってしまうと、「何かあればお母さんに解決してもらえばいいや」と甘えるようになります。余計なお節介はせずに、自分から行動してやり抜くことを待ちましょう。田中先生が提唱するストレスマネジメント術 “ゴジラはリスさ” を覚えておくと、いざというときに落ち着いて対処できますよ。「ゴ」合理的に考える「ジ」自分のことは自分でする「ラ」ライフスタイルを改善する「は」発散・表現する・楽しむ「リ」リラックスする「ス」スキルを磨く「さ」サポートを確保・活用するまずは親自身が落ち着き、子どもにとって安心できる“居場所”となってあげることが重要です。そしてあまり感情的にならず、おおらかな気持ちで受け止めてあげましょう。***親が子どものためを思ってストレスの元を排除しても、根本的な問題は解決しません。集団生活は自分の思い通りにならないことばかり。一つひとつの問題を乗り越えてこそ、生きるうえで欠かせない能力を育みます。親としてできるのは、ストレスを和らげるようサポートしてあげることなのです。(参考)いこーよ|新生活こそ要注意!子どものストレス原因&親の対処法さぽナビ|子どものストレス対処法(1)NHK生活情報ブログ|おなか痛いをわかってほしい低学年保護者のための情報誌『キッズレーダー』(2019 春),日能研.
2019年04月03日うさぎの大人気キャラクターのひとつ、ミッフィー。その愛すべき “うさこちゃん” を生み出したのは、オランダのグラフィックデザイナーであり絵本作家でもあるディック・ブルーナです。こどもから大人までを魅了し続ける絵本の数々には、彼のこだわりと深い想いが詰まっています。可愛いだけではない、子どもたちにたくさんの気づきをくれるディック・ブルーナの世界をご紹介します。ディック・ブルーナってどんな人?ブルーナは1927年にオランダ、ユトレヒトで生まれ、両親の豊かな愛に恵まれて育ちました。子どもの頃から絵を描くことが大好きで、父親が出版社経営だったこともあり常に本に囲まれた環境のなか、レンブラントやゴッホの画集に特に衝撃を受けたそうです。第二次世界大戦中に疎開した際は生活が大変ながらも、思う存分絵を描くことに没頭、充実した日々を過ごしました。父親の会社経営は継ぎませんでしたが、その出版社で年間100冊以上の装丁や宣伝用ポスターのデザインをこなすなど、グラフィックデザイナーとして成功を納めます。26歳で初めてのオリジナル絵本を出版。2017年に89歳で亡くなるまで120冊以上の絵本を自身のアトリエで全てひとりで描き続けました。ブルーナのこだわり「シンプルであること」ブルーナのいちばんのこだわりは、「シンプルであること」。それはフランスの画家マティスから大きな影響を受けたどり着いた、揺るぎない彼のこだわりなのです。「子どもたちには、いろいろ知ってもらいたいし、多くのものを感じてもらいたい」けれど、押しつけるのは好きではないし、教えるという視点に立つことも嫌います。なぜなら、「子どもたちが自分のイマジネーションを使って、自然に吸収していくのがいちばんの学び方だと思うから」(引用:講談社編集(2018),『ディック・ブルーナのすべて 改訂版』, 講談社.)そして、絵本に現れる彼のこだわりが次の3つです。【線は手描き】ブルーナは定規などを使わず手描きにこだわりました。そこには「絵本を通じて温かい気持ちを届けたい」という創作の原点が込められています。手描きならではの少し “震える線” はブルーナの “心臓の鼓動”、そして彼の個性なのです。【厳選ブルーナカラーで表現する世界】色には特にこだわりがありました。白と黒以外に使う色は6色のみ。茶色とグレーは動物を描くために必要に迫られて加えた2色で、思い入れがあるのは「赤」「黄」「青」「緑」の4色です。それぞれ独自の色味を作り上げるまでに2年も費やしたのだそう。絵本の中では、ミッフィーの気持ちを表したり、場所の使い分けに活用されています。赤:ブルーナの赤はオレンジ寄りの穏やかな色味。嬉しい、幸せな気持ちを表現する色として多用され、ミッフィーも大好きな色です。黄:親しみやすさや温かさを表しています。家の中の場面にもよく使われています。「赤と緑があたたかいのは、黄色が入っているから」とブルーナにとっても特別な色だったようです。緑:ブルーナ曰く「伝えたいことを伝えるために必要な色」。屋外の場面でよく使われます。青:怖さ、寒さ、悲しさ、不安を描くときに使われています。どれも主張の強い色ながら、お互いを引き立てあい、優しく馴染むカラーバランスで、色を見ただけでミッフィーの絵本だとわかるオリジナリティがあります。色の意味を教えなくても、きっと子どもたちはその色から多くを感じ取ることでしょう。【12場面構成】ブルーナの絵本は基本的に12場面で描かれています。それは “子どもの集中力の限界は10分” なので、その間に読みきれるようにという配慮なのです。ミッフィーが教えてくれることブルーナが生み出したミッフィーは、庭にいた小さな白うさぎのお話を息子さんにしたことから始まりました。それが今や世界50カ国以上で出版され、今でも世界中の人たちに愛され続けています。ギリギリまでシンプルに仕立てたイラストに込められた想いはミッフィーを通して子どもたちに語りかけられます。何気ない日常がテーマ家族で海に出かけてあまりに楽しくて遊び疲れてしまう、お気に入りのぬいぐるみをなくして悲しくなってしまう、家族にお誕生日をお祝いしてもらって嬉しかった、など誰でも体験する日常が描かれているので、自分とリンクして物語に共感できます。全てがハッピーエンド僕の作る絵本はみな、ハッピーエンドになるんです。なぜなら読み終えたときに心に残るあたたかさこそ、小さな子どもたちを強くするに違いないからです。(引用:講談社編集(2018),『ディック・ブルーナのすべて 改訂版』, 講談社.)ブルーナはたとえお話の中で悲しいことが起こっても、「物事には常に先があり、どんなときにも人生には続きがある」ということを子どもたちに伝えたかったのです。ハッピーエンドは「辛いことがあっても希望を忘れないで」というブルーナのメッセージでもあるのです。キャラクターは常に正面を向いているちょっと不自然に思える場面でもミッフィーはいつも正面を向いています。それは、嬉しいときも悲しいときも子どもたちとまっすぐ向き合っていたいというブルーナの深い愛が込められています。子どもたちは、ミッフィーを通してイマジネーションを羽ばたかせ、いろいろなまなびを自然に感じとります。そして大人になってもそのあたたかな感情が心の片隅に残るからこそ、彼の絵本は長い間愛され続けているのでしょうね。ディック・ブルーナ絵本、厳選3冊日本で出版された63冊の中からお子さまにオススメの3冊をご紹介します。『うさこちゃんのだいすきなおばあちゃん』(福音館書店)ディック・ブルーナ/文・絵松岡享子/訳絵本としてはチャレンジングな ”身近な人の死” をテーマにしています。大好きなおばあちゃんがある日亡くなってしまい、葬儀や家族が悲しむ様子が静かに語られます。その後、うさこちゃんはおばあちゃんが好きだったお花を持ってお墓参りに行き、おばあちゃんに話しかけます。最後はほっこりとした気持ちでお話は終わります。“死” を子どもに教えることはとても難しいですが、悲しい事実を率直に伝え、その後のあり方を示すことで、子どもたちは自然に少しずつ “人間の一生” を受け入れていくのでしょう。こんな悲しいテーマをシンプルに描いても、読み終わった後に温かな感情を残すブルーナはやはり素晴らしいと思わずにはいられません。『うさこちゃんびじゅつかんへいく』(福音館書店)ディック・ブルーナ/文・絵松岡享子/訳子どもの美術館デビューのとき読むのにぴったりの1冊です。うさこちゃんが抽象画や彫刻などいろいろなアートを見て素直な感想をいうのですが、知識より何より、「自分が感じて楽しむことが大切」というブルーナの想いが伝わってきます。はじめての美術館鑑賞後、うさこちゃんは「大きくなったら画家になるの」と言いましたが、子どもそれぞれの感想が楽しみですね。『うさこちゃんのゆめ』(福音館書店)ディック・ブルーナ/作文章のない、イラストのみの絵本です。うさこちゃんと、うさこちゃんそっくりな茶色のうさぎさんが雲にのって遊んでいるような場面のみが綴られていて、子どもたちの想像力を発揮するのにぴったり!一緒にストーリーを考えて楽しんでみてください。ディック・ブルーナ作品に会いにいこう!折しも、2019年4月20日からベルナール・ビュフェ美術館(静岡県長泉町クレマチスの丘)で「美術館に行こう!ディック・ブルーナに学ぶモダンアートの楽しみ方」が開催されます。『うさこちゃん、びじゅつかんへいく』の内容に沿って、ベルナール・ビュフェの作品を見られるような趣向が凝らされていて、ブルーナの制作方法を体験できるコーナーもあるようで、楽しそうですね。施設内には「ビュフェこども美術館」も併設されているので、お子さん連れでも安心して楽しめます。自然とアートに触れにぜひ足を運ばれてみてはいかがでしょうか。<ベルナール・ビュフェ美術館>「美術館に行こう!ディック・ブルーナに学ぶモダンアートの楽しみ方」会期:2019年4月20日(土)〜9月29日(日)開館時間:入館は閉館の30分前まで1・11・12月 10:00〜16:302・3・9・10月 10:00〜17:004・5・6・7・8月 10:00〜18:00休館日:水曜日(祝日の場合はその翌日)・年末年始入館料:大人 1000円(900円)/高・大学生 500円(400円)/中学生以下 無料※学生の方は学生証等をご提示ください※障害者手帳ご持参の方は半額になります※( )内は20名様以上の団体割引料金です☆7月10日はベルナール・ビュフェの生誕記念日につき無料でご入館いただけます(参考)講談社編集(2018),『ディック・ブルーナのすべて 改訂版』, 講談社.ディック・ブルーナ文・絵/松岡享子訳(2008), 『うさこちゃんのだいすきなおばあちゃん』,福音館書店.ディック・ブルーナ文・絵/松岡享子訳(2008), 『うさこちゃん、びじゅつかんへいく』,福音館書店.ディック・ブルーナ作(2010), 『うさこちゃんのゆめ』,福音館書店.福音館書店|うさこちゃんdickbruna.jp 日本のミッフィー情報サイトウィキペディア|ディック・ブルーナNHK|2017年4月26日(水)“ミッフィー”に魅せられてベルナール・ビュフェ美術館
2019年03月28日【ニュース】4/2は国連が定める「世界自閉症啓発デー」!東京と大阪でシンポジウム開催Upload By 発達ナビニュース毎年4月2日は国連が定める世界自閉症啓発デー。世界中で自閉症を知ってもらう・理解してもらうためにさまざまなイベントがあります。今回は、東京・大阪で行われるシンポジウム、各地のランドマークで行われるライトアップやイベントを紹介します。地域、TVの中、暮らしの中といった切り口から「輝く人・照らす人」をテーマに、広く「自閉症」について理解を深める内容になっています。発達ナビで記事の監修なども行っている臨床心理士で鳥取大学大学院教授の井上雅彦先生もご登壇されます。自閉症について、共に暮らしやすい社会について考えるきっかけとして足を運んでみてはいかがでしょうか。【日時】2019年4月6日(土) 10:00〜16:30【場所】全社協・灘尾ホール(東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル)【定員】250名(事前予約必要)【参加費】無料【内容】総合司会 国沢真弓(一般社団法人発達障がいファミリーサポート Marble)<午前の部>・開会式・シンポジウム①「地域を照らす人」司会: 西牧謙吾、田中尚樹登壇者: 秀島敏行(佐賀市長)、染谷絹代(島田市長)、高橋陽子(神奈川県中小企業家同友会 ダンウェイ株式会社代表取締役社長)・東京タワー啓発イベントのビデオ上映<午後の部>・シンポジウム②「TVの中で輝く人・照らす人」司会: 小林洋志、加藤永歳登壇者: 齋藤真貴(NHK制作局 生活・食料番組 「あさイチ」チーフ・プロデューサー)長岡学(セサミワークショップ ヴァイス・プレジデント エクゼクティブプロデューサー兼日本代表)、井上雅彦(鳥取大学 大学院医学系研究科臨床心理学講座 教授)・シンポジウム③「暮らしの中で輝く人・照らす人」司会: 加藤潔、上江昇一登壇者: 嶋田知詠子(特定非営利活動法人障がい児者ライフサポートたんぽぽの会 理事長)、松尾浩久(特定非営利活動法人HEROES理事長)【申込み】締め切り 2019年3月18日(月)登録フォーム・FAXにて申し込みが必要です。【問い合わせ】一般社団法人日本自閉症協会電話: 03-3545-3380FAX: 03-3545-3381メール: asj@autism.or.jp*世界自閉症啓発デー日本実行委員会〈公式サイト〉へ遷移します世界自閉症啓発デー2019・啓発イベント | 世界自閉症啓発デー日本実行委員会〈公式サイト〉Upload By 発達ナビニュース教育現場の先生の経験に基づく関わり方を知り、専門的な医師の知見による特性の理解を深める内容です。当事者の方の困りごとや特性、関わり方をわかりやすく扱うため、幅広い方々におすすめです。【日時】2019年4月5日(金) 14:00〜16:30(開場13:30)【場所】大阪府立男女共同参画・青少年センター「ドーンセンター」7Fホール (大阪市中央区大手前1丁目3-49)【定員】定員500名(事前予約必要)【参加費】無料【内容】<第一部>「子どものやる気を引き出す子育て・関わり方を考える~一人一人の特性をとらえよう~」登壇者: 山田充(廿日市市教育委員会 特別支援教育アドバイザー・堺市教育委員会 特別支援教育アドバイザー)<第二部>「発達障がい(発達症)の現在(いま)」登壇者: 十一元三(京都大学大学院医学研究科 教授)【申込み】締め切り 3月28日(木)※申し込みが定員に達した場合には申し込みを締め切ります。登録フォームにて申し込みが必要です。※インターネットで申し込みができない場合はFAX・メールでの申し込みも可能です。【問い合わせ】府民お問合せセンター「ピピッとライン」電話: 06-6910-8001大阪府福祉部障がい福祉室地域生活支援課発達障がい児者支援グループFAX: 06-6944-2237メール: chiikiseikatsu@sbox.pref.osaka.lg.jp*大阪府のページに遷移します発達障がい講演会「世界自閉症啓発デー in OSAKA2019」を開催します! | 大阪府ライトアップや展示など、関連イベントも各地で盛んに!(東京・大阪・京都)世界自閉症啓発デーには全国各所がテーマカラーの「青」に染まります。ライトアップに加えて日中のイベントもチェックしてみてください!Upload By 発達ナビニュース【日時】2019年4月2日(火)日没(午後6時30分頃)より午後11時まで※大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)は午後9時半、天保山大観覧車は午後10時まで【会場】・大阪城天守閣・大阪府咲洲庁舎・大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)・通天閣・天保山大観覧車・万博記念公園太陽の塔(50音順)【主催】大阪自閉スペクトラム症協会、大阪府、大阪市【共催】日本発達障害ネットワーク大阪【協力】塩野義製薬株式会社Upload By 発達ナビニュース<イベント>【日時】4月2日(火)18:15〜19:30【場所】京都駅ビル駅前広場(ホテルグランヴィア前)【内容】16:30〜18:30京都市障害者相談員(発達)による相談コーナー写真(フォトプロップス)コーナー18:15〜19:30京都女子大学チアリーディング部GALAXIE京都府自閉症協会青年成人部ダンスサークル「Kirala」音楽サークル「The BEAT(We Love Music!)」京都府立桃山高等学校吹奏楽部<ライトアップ>【日程】4月2日(火)【場所】・京都タワー(2日、3日両日ライトアップ)・福知山城・中丹東保健所・二条城西南隅櫓・京都府庁・丹後王国「食のみやこ」(3月31日にライトアップ)Upload By 発達ナビニュース【日時】2019年4月2日(火) 13:00〜18:30【場所】東京タワー広場・特設ステージ(東京都港区芝公園4丁目2-8)【内容】13:00~17:00各種イベント18:15~18:30厚生労働省主催啓発イベントUpload By 発達ナビニュース板橋区にある放課後等デイサービス、ドリームボックスときわ台が手がける作品展です。自閉症啓発デーのテーマカラーである青を用いて子ども達がつくった巨大な竜が展示されています!他にも先着50名でハーバリウムやせっけんづくりの体験コーナーもあり、親子で楽しめるイベントになっています。【日時】2019年3月23日(土)11:00〜16:00【場所】常盤台地域センター レクリエーションホール第一(板橋区常盤台4-14-1 教育科学館)【参加費】入場無料、体験コーナーのみ有料(100円)【内容】<展示>①日々の制作②利用児童21名、保護者(両親、兄弟、祖父母)54名、利用児童が通う小中学校の担任の先生8校15名、職員10名の総勢100名が書いた「百福」③青い巨大な竜④子どもたちの手形で作成した花火<体験コーナー>ハーバリウムとグリセリンソープづくり【申し込み】不要【問い合わせ】ドリームボックスときわ台TEL 03-6789-1260【イベント】生きづらいけど生きのびたい!「発達ハック」コンテスト(東京)Upload By 発達ナビニュース『私たちは生きづらさを抱えている』著者・姫野桂さん、OMgray事務局代表・オムさん、発達障害バー「The BRATs」代表・光武克さん、発達ナビ編集長・鈴木悠平がゲスト審査員のコンテストイベントです。発達障害の人たちが実践している、日常のお困りごとを楽にするちょっとした工夫・ライフハックをコンテスト形式で紹介します。事前にツイッターで「#発達ハック」のハッシュタグとともにライフハックを募集しています!参加者と一体となった雰囲気のなか、気軽に楽しくためになる時間が過ごせます。【日時】2019年3月31日(日) 開演 13:00(開場 12:00)【場所】LOFT9 Shibuya (東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 1F)【参加費】前売: 1,700円 / 当日: 2,200円(税込・要1オーダー500円以上)【内容】発達障害のライフハックを事前に公募し、ゲスト審査員がコンテスト形式で紹介します。また、私の「やっちまった」エピソードや質疑応答の時間などもあります。<ゲスト審査員>姫野桂(ライター/『私たちは生きづらさを抱えている』など著者)オム(OMgray事務局長)光武克(発達障害バー「The BRATs」代表)鈴木悠平(「LITALICO発達ナビ」編集長)生きづらいけど生きのびたい! 「発達ハック」コンテスト | LOFT9 Shibuya*イープラスのページに遷移します【ニュース】介護者と二人三脚、自閉症・知的障害のある人たちの一人暮らしとは。ドキュメンタリー映画『道草』上映中!Upload By 発達ナビニュース自閉症・重度の知的障害のある人たちはどのような生活を送っているのでしょう。少しずつ暮らしの場が広がりつつある昨今ですが、入所施設や病院、親元で過ごす方がほとんどです。そんな中、介護者と二人三脚をしながら一人暮らしをしている方もいます。暮らしのリアルな様子がつまったドキュメンタリー映画です。各地で公開が始まっており、これから上映される地域もあります。お近くの地域の上映日をご確認ください!【公開日】2019年2月23日(土)から全国順次公開【上映地域】北海道・東京・横浜・名古屋・大阪ほか【作品データ】監督・撮影・編集: 宍戸大裕音楽: 末森樹、永原元音響構成・整音: 米山靖宣伝・配給: 映画「道草」上映委員会2018年/95分/16:9/カラー/日本映画『道草』公式サイト
2019年03月15日子どもが幼少期のうちからつけておきたいのが、「伝える力」です。相手に自分の意思をしっかりと伝えることができれば、良好な人間関係を築いたり、精神的に安定したりすることにつながるでしょう。そのためには、親が子どもとの関わり方やコミュニケーションを工夫する必要があります。今回は、伝える力の重要性や、子どもに伝える力を身につけさせるためのコツについて紹介していきましょう。「あれ食べたい」が友だちに伝わらない理由日常生活の中では、自分の意思を相手に伝える場面がたくさんあります。例えば、食べたいものや欲しいものを親にリクエストするとき、友だちと遊ぶ約束をしたいとき、先生に忘れ物をしたことを報告するとき。自分の意思を伝える相手が親や祖父母などの身近な存在であれば、「この前テレビで見た、あれが食べたい!」といった断片的な伝え方をしても、ある程度は真意を汲み取ってもらえることも多いでしょう。しかし、友だちや先生に同じような伝え方をしても、相手の理解を得られない可能性が高いのではないでしょうか。もし子どもが友だちに「明日、公園で遊ぼうね!」と伝えたとしても、その友だちは「何時に、どの公園で遊ぶんだろう?」と不明点が残り、結局遊べなかったり、親同士で改めて連絡を取ったりすることになります。自分の意思を伝えるためには、相手が必要とする情報が何なのか、どんな言い方をすれば正確に伝わるのかを理解することが前提にあるのです。気持ちをうまく伝えられないから「相手を叩く」伝える力が乏しい場合、自分の意思がうまく伝わらないことにイライラしたり、イライラが暴力などに変わったりすることもあります。小さな子どもが自分のおもちゃを他の子どもにとられたとき、相手を叩いたりしてしまったり噛んでしまったりすることがあります。これは「とらないでほしい」という気持ちをうまく伝えられないから。伝える力があれば、「とらないでほしい」と言葉にできるため、こうした状況にも落ち着いて対処することができるようになります。また、伝える力があれば、非行などのネガティブな誘いがあっても、しっかり断ることができます。大人の中にも、断るという行為が苦手であることから不本意な状況に陥る人が少なからずいますよね。そのような人には伝える力が十分に備わっていないことが多いのです。伝える力は、トラブル回避に役立ち、ひいては自分自身を守ることにもつながります。伝える力を養うためのコツ子どもの伝える力は、家庭内でのコミュニケーションを工夫して伸ばすことが可能です。子どもが自分の意見をしっかり伝えられるように、また余計なトラブルを避けるためにも、以下の点を意識してみましょう。■子どもの感情を言葉にしてあげる子どもは語彙力が乏しいため、自分の気持ちをうまく言葉にできないことも多いです。そんなときは、子どもの様子や話の内容から「それは〇〇っていう気持ちだと思うよ」と感情を言葉にしてあげましょう。他の子どもにおもちゃをとられてイライラしているようだったら「おもちゃをとられて『悔しい』って思ったんだよね」などと子どもの気持ちを汲み取ってあげるのです。そうすることで、子どもは「悔しい」という感情がどんなものなのかを理解し、言葉として伝えられるようになっていきます。■「そのとき、どう思ったの?」と聞く何かを伝えたいときには、まず「自分がどう思っているか」がベースになります。そのため、子どもに自分がどう思っているかを意識させる習慣を作ることが大切です。「どう思ったの?」と聞いても、最初は「嫌だった」「楽しかった」といった簡単な答えしか返ってこないかもしれません。しかし、感情を言葉にすることに慣れていけば、「くやしかった」「もっと頑張りたいと思った」などの表現ができるようになっていきます。また、自分の意思と向き合う習慣を付けることは感情のコントロールにもつながります。■5W1Hに沿って質問をする5W1Hとは、Who(誰が)When(いつ)、Where(どこで)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)を表す言葉です。何かを伝えたいときにこれらの項目を意識すると、伝えたいことがより明確になります。子どもは断片的な情報のみで何かを伝えようとしたときは、これらに沿った質問をして伝えたいことの全体像を共有するようにしましょう。また、親が子どもに何かを伝えるときも、「明日の朝、公園に砂遊びをしに行こう。ちょっと遠い公園だから自転車で行こうか」など、5W1Hに則って話すようにすれば、徐々に子どもが真似するようになることも期待できます。■「断ること」「断られること」はネガティブなことではないと伝える伝える力が弱い人の特徴として「断ること・断られることを恐れてしまう」というものがあります。その場合、何かを伝える前に「こんなことを言って断られたらどうしよう、嫌われたらどうしよう」「断って相手を傷つけたらどうしよう」と不安になってしまい、最終的に自分の本意ではない状況に巻き込まれたり、我慢を強いられたりします。そうならないためには、断ることや断られることに対して、親自身がポジティブに捉えることが大切です。例えば、子どもに何かを断られた際には「自分の意見を言ってくれてありがとう」と言い、子どもの頼みを断る際にはその理由をしっかりと説明しつつ、「来週ならできるよ!」などの具体的な妥協案を出しましょう。***子どもの伝える力を養うことができれば、友だち付き合いがうまくいくようになるだけでなく、親子のコミュニケーションも取りやすくなります。将来、子どもが社会に出た後にも必ず必要となる力なので、積極的に伸ばしていきましょう。文/田口るい(参考)ベネッセ教育情報サイト|自分の気持ちを相手に伝える力を育てよう[ソーシャルスキル]東洋経済オンライン|家庭内の会話で、国語力を上げる2つの方法学研キッズネット|子どもの伝える力を育てる2つのチャレンジNHKエデュケーショナルすくコム|子どもの気持ちを知るヒント「思いを『言葉』で伝えさせる」ecomam|人に頼むことは、相手への信頼を伝えること
2019年03月04日お子さんは毎日、テレビを見ていますか?テレビ視聴は、年齢を問わず、家族みんなが楽しめるものです。しかし親としては、「うちの子どもはテレビを見すぎなのではないか?」「テレビ番組の内容によっては悪影響があったりするのではないか」などと心配してしまうこともあるでしょう。でも、テレビ視聴は子どもにとってプラスの要素もたくさんあるようです。そこで今回は、テレビ視聴と学びの関係を解説しながら、ためになる番組をいくつか紹介します。テレビ視聴で興味を持つきっかけにする!昔から学校現場でも教育番組を活用してきたように、テレビというメディアは、実は教育的な側面を持っています。また近年では電子黒板が導入されたり、パソコンを活用して教材として映像を使用することも多くなっていますね。映像を使うメリットは、言葉や画像では伝えづらいことでも、現代の子どもたちの頭にスッと入り、より学習効果も高いことが挙げられます。学校でも活用されているような教育番組であれば、安心して視聴させているご家庭も多いことでしょう。しかし、エンターテイメント性の高い番組はどうでしょうか?もしかしたら、お子さんが率先して見たがるのは、むしろこのような番組かもしれませんね。であれば、番組視聴を知識の入り口やきっかけにしてみるのはどうでしょうか?エンターテインメント性の高い番組の中にも、学習につなげられるものがあります。テレビ番組は、視聴者に興味や関心を持たせることがとても得意です。例えば、旅行番組を見て「行ってみたい」と思ったことは誰にでもあるでしょうし、ちょっとした雑学の紹介などでも楽しんで知識を得られる工夫が凝らされています。(引用元:ベネッセ 教育情報サイト|テレビ番組は学習の素材の宝庫だった!学習への意欲を高める活用方法とは)番組を見て終わりではなく、そこから学習に広げられるように、親がちょっとした働きかけをするのがいいようです。たとえば、クイズ番組であれば、親子でどちらが先に正解するか競い合ってみたり、旅行番組に出てきた外国の場所を地球儀で調べてみたり、子どもが興味を示した場所に実際に出かけてみたり、テレビに登場した生き物を水族館や動物園などに行って見てみたり……。時には、テレビ番組で出てきた話題について親子でディスカッションをしてみるのもいいでしょう。直接知識が身につく内容でなくても、興味を持ったり、知りたい、行ってみたいと思うきっかけになることが重要なのです。親子で一緒に楽しみを共有することも大事!実際に子どもがいる家庭では、どのような番組が多くみられているのでしょう。小学生以下を対象とした2017年の調査「Kids/ex」によると、子どもが親と一緒に見る番組の1位は『世界の果てまでイッテQ!』、2位『ザ!鉄腕!DASH!!』、3位『サザエさん』、4位『ドラえもん』、5『ちびまる子ちゃん』と、バラエティーやアニメが上位にのぼっています。とくに1位と2位のバラエティー番組は、タレントが海外や日本国内のさまざまな情報を紹介したり、いろいろな課題にチャレンジする番組内容で、親子で楽しむのにぴったりです。このような国内外の情報や課題に取り組む内容のバラエティーが選ばれているのは、親が子どもと一緒にテレビを見るとき、ただ会話が弾むだけでなく、知的好奇心や情操を養うことを期待している表れでもあるでしょう。(引用元:電通報|親子で見ているのはどんな番組?ファミリー視聴が大切なわけ)※太字は編集部で施したまた、先ほどの調査結果では、保護者の6割近くが「子どもの好きな番組を一緒に楽しみたい」「子どもが親の好きな番組を気に入る」と回答していることからも、親側も子どもとテレビを視聴することを望んでいて、それがコミュニケーションのひとつにもなっているようです。一緒に楽しむなかで、子どもが今どんなことに興味があるのかを知ることにもつながるでしょう。子ども向けの教育番組は、どうしても子どもだけでの視聴になりがちです。しかし、親子で楽しめる番組であれば、番組を視聴する時間を共有した後に、そこから何か学習につながる行動にも移しやすいのもメリットのひとつですね。子どもの意欲や興味につながる番組3選具体的には、どんなテレビ番組が子どもの学ぶ意欲や興味につながりやすいのでしょうか。今回は、おすすめのテレビ番組を3つピックアップしてみました。<おすすめ1>〇5歳児にもわかりやすく説明できるかな!?【チコちゃんに叱られる】NHK総合 毎週金曜午後7時57分|再放送毎週土曜午前8時15分「歩いていると靴に小石が入るのはなぜ?」や「コタツでウトウトするのはなぜ?」など、身近なのに考えたことがない疑問を楽しい検証実験で解決!生意気だけど憎めない、チコちゃんのキャラクターも人気。<おすすめ2>〇各界のスペシャリストがわかりやすく解説!【世界一受けたい授業】日本テレビ 毎週土曜午後7時56分国語、数学、科学、保健体育などの教科ごとに名物講師が登場し、目からウロコな授業を展開。米村でんじろう先生の迫力満点の実験授業や、滝川洋二先生の名探偵コナンと謎解きができる授業など、親子で楽しめる内容が満載。<おすすめ3>〇生きものたちの迫力映像や感動物語が見もの!【ダーウィンが来た! 生きもの新伝説】NHK総合 毎週日曜午後7時30分|再放送毎週火曜午前4時2分日本に生息する身近な生き物から、世界各地の秘境で暮らす珍獣まで、放送ごとにある生き物を深掘りし、人間が知られざるドラマを発掘。最新機材を駆使して撮影された映像には、普段見ることがない生き物の様子が映し出されている。このような番組を見ることは、興味を持つきっかけ作り以外にも学びの効果があります。例えばクイズ番組や謎解き系の番組であれば、考える力を高めたり、実験や検証系の番組であれば、普段の生活の中でも疑問に思ったことを追求したり、確かめてみることが大切ということを自然と学べますね。***子どものテレビ視聴には、時間やテレビ番組の内容など、親がある程度制限をすることは必要です。しかし、1日の終わりに親子でテレビを見ながら思いきり笑ったり、視聴内容についての話をするひとときは、親にとっても子どもにとってもかけがえのない時間でもあります。その中で興味を持ったこと、疑問に思ったこと、初めて知ったことを、親子で次のアクションにつなげてみてください。その興味や意欲こそが、テレビ視聴で得られる“学び”なのかもしれません。文/内田あり(参考)ベネッセ教育情報サイト|テレビ番組は学習の素材の宝庫だった!学習への意欲を高める活用方法とは電通報|親子で見ているのはどんな番組?ファミリー視聴が大切なわけベネッセ教育情報サイト|子どもにテレビを見せることのメリットとは?子育てに取り入れるポイントもご紹介!NHK総合|チコちゃんに叱られる日本テレビ|世界一受けたい授業NHK総合|ダーウィンが来た! 生きもの新伝説
2019年03月02日子どもにはたくさんの経験を通して心も体も成長してほしい。そう考えている親御さんも多いことでしょう。しかし、子どもたちがこれからするであろうたくさんの経験のなかには、うまくいかないことやできないこと、失敗なども数多くあるはず。こうした困難に向き合うには、子どものメンタルは強いに越したことはありません。今回は、子どもにとって「メンタルが強い」とはどんな状態のことをいうのか、メンタルが強いとどんな利点があるかを考えてみます。また、メンタルが強い子どもは、普段どのようなことを習慣にしているのかも紹介します。逆境や困難に適応する「レジリエンス」メジャーリーグで活躍するイチロー選手、サッカー日本代表の長友佑都選手、フィギュアスケートの羽生結弦選手など、スポーツ選手が逆境を跳ね返して活躍する姿には、彼らの強靭なメンタルを感じます。メンタルの強さは超一流のスポーツ選手だけでなく、子どもたちにも必要となってきます。なぜならば、この先、子どもたちにはさまざまな逆境や困難が立ちはだかり、それを乗り越えていかなければならないからです。メンタルの強さというと、「負けず嫌いな性格」や「苦手なこと立ち向かう勇気」、「泣きたい気持ちを堪える我慢」のような強気な心と思われがちです。しかし子どもたちに必要なのは、もっとしなやかで折れない心なのです。最近注目されている「レジリエンス」をご存じでしょうか。レジリエンスは、ストレスのかかった状態に耐え、ほかの誰かに心ない言葉を投げられても傷つかず、トラブルに臨機応変に対応できるような生きのびる力です。レジリエンスは、勉強、スポーツ、人間関係、仕事などで、私たちの心が「折れない」ようにしてくれる心の筋肉のようなもので、誰もが持っているのだそうです。「レジリエンス」が高い人の特徴3つ海外では、レジリエンスについてすでに40年近く研究されています。欧米の学校では、子どもたちに心の強さを教える「レジリエンス教育」を取り入れているところも2,000校にのぼり、国内でもレジリエンスを育成しようという動きが学校や会社で広まってきています。国内でレジリエンスを活用した人材育成に携わっている久世浩司さんは、レジリエンスが高い人の特徴として、「回復力」「弾力性」「適応力」の3つが備わっているといい、それぞれについて次のように述べています。・「回復力」困難に直面しても、すぐに元の状態に戻ることができる、心のしなやかさをもっています。柔軟な心理は、レジリエンスの高さの証です。・「弾力性」これは、予想外のショックやストレスなどがあっても、弾力性をもって耐えることができる精神を表します。人から批判され、嫌なことを言われても、心の傷とならずに守ることができます。・「適応力」予期せぬ変化に抵抗するのではなく、それを受け入れて合理的に対応することができる思考をもっています。(引用元:久世浩司著(2015), 『マンガでやさしくわかるレジリエンス』, 日本能率協会マネジメントセンター.)※太字処理は編集部で施したこの3つの特徴は、特別な能力として一部の人にだけに備わっているものではなく、誰にでもあるものです。そして、レジリエンスは心身の疲労によって衰えることもありますし、反対に大人になってからでもトレーニングで十分に高められるといわれています。メンタルは強くできる!レジリエンスを鍛える4つの習慣お子さんのメンタルを強くするには、日頃の考え方や行動を変えてあげることが重要です。今回は、心理学者のアルバート・バンデューラ博士が提唱した「自己肯定感」を高める4つの要因にフォーカスした、レジリエンスを鍛える方法をご紹介します。【習慣1:成功体験を積みかさねる】小さな成功体験が「やればできる」の大きな原動力になります。例えば、「漢字テストで100点を取る!」という目標を立てたら、まずは出題範囲をいくつかに分けて、小分けにした範囲でパーフェクトを目指します。縄跳びで100回跳べるようにするには、いきなり100回達成にチャレンジするのではなく、まず10回、20回と小刻みに目標を立てて、クリアしていきます。【習慣2:お手本を見せる】私たちの脳には、誰かが上手にやっているのを近くで見ることで「自分にもできそうだ」と共鳴する運動神経細胞「ミラーニューロン」があります。スポーツでもピアノでも、「自分にもできる」と思えるようになるきっかけはお手本を見ること。ぜひ、プロのパフォーマンスを実際に見せてあげましょう。また、動画を見せることでも十分な効果があります。コンサートDVDを活用したり、日本代表選手のプレーをテレビ観戦したり、積極的に取り入れてみてください。【習慣3:プロセスを励まし、褒める】家族や先生からの「あなたならできると思うよ」という言葉は、子どもの背中を押してあげる効果があります。このとき、できるかできないかを重視した励ましではなく、到達できたところまでのプロセスを励まし、褒めることが大切です。プロセスで励まされた子どもは、「自分は前と比べてここまでできるようになった」と振り返ることができるようになり、やればできるという気持ちに自信がつきます。【習慣4:前向きな気分で盛り上げる】グループ学習やチームスポーツでは、ポジティブな気分や感情が自己効力感をアップさせます。「ドンマイ」「次は成功するよ」「1勝したらお祝いしよう!」と盛り上げることで、子どもは「もしかしたら、やればできるのかもしれないぞ!?」と考えることができます。本人に自信がないようなときでも、「〇〇君ならきっとできるよ!」と子どもを信じて言い続けましょう。どの方法も、最初から子どもひとりでできるものではなく、家族や先生など周りの大人のサポートが必要となります。しかし、考え方の習慣化が定着すれば「やればできる」の自己効力感は高まりますし、それが「回復力」「弾力性」「適応力」を備えたメンタルの強さにつながります。***この習慣は、大人も取り入れることが可能。自己効力感がアップし、レジリエンスを高めることができます。メンタルを強くしたいと思っている親御さんは、お子さんと一緒に取り入れてみてはいかがでしょうか。(参考)久世浩司著(2014),『なぜ、一流の人はハードワークでも心が疲れないのか?』, SBクリエイティブ.久世浩司著(2015), 『マンガでやさしくわかるレジリエンス』, 日本能率協会マネジメントセンター.ジェシカ・ジョエル・アレキサンダー・イーべン・ディシング・サンダール著、鹿田昌美訳(2017),『デンマークの親は子どもを褒めない 世界一幸せな国が実践する「折れない」子どもの育て方』, 集英社.NHK クローズアップ現代+|“折れない心”の育て方~「レジリエンス」を知っていますか?~Z会さぽナビ|特集 折れない心を育てる(1)
2019年02月26日息子が通うのは、のびのび系でお勉強が一切ない幼稚園。本格的なお勉強は小学校からでいいかなとママの私がのんびり構えていました。けれど、同じ年中クラスの友達がひらがなとカタカナをスラスラと書くのを見て、ひらがなとカタカナくらいは、そろそろ教えておいた方がいいのかも…と、自宅で教えてみることにしました。ドリルをやってみるもののすぐに挫折…さっそく、本屋で一番簡単なひらがなのドリルを購入してやらせてみたのですが、今まで勉強というものをしたことがない息子。鉛筆の持ち方も筆圧も安定しないので、ひらがな以前に書くこと自体が上手にできない状態。息子が嫌がりあっという間に挫折してしまいました。子どもは、楽しいとすぐ覚える!それなら、まずは読み方を教えようと、簡単な絵本を一緒に読みながら読み方を教えてみることに。すると、読むことの楽しさを覚え、あっという間にひらがなとカタカナをマスターしてしまいました。興味を持つと子どもって早い!息子が特に興味を持ち、役に立った絵本は以下の3冊でした。・「あっちゃんあがつく―たべものあいうえお」原案:みねよう、作:さいとうしのぶリーブル子どもが知っていそうな食べ物をあいうえお順に51個紹介している絵本。幼稚園にも置いてあるので子どももなじみがあったようでした。どの食べ物もおいしそうだし、擬人化された食べ物の様子をみて、アレコレ話すだけでも楽しい1冊です。作者さいとうしのぶさんの作品「しりとりしましょ!―たべものあいうえお」も、食べ物のしりとりが続く絵本なので、あわせて読むと喜んでいました。・「ノラネコぐんだん おすしやさん」作:工藤ノリコ白泉社大人気絵本の「ノラネコぐんだん」シリーズ。現在絵本は6冊発売されています。息子は、毎度毎度悪だくみを働くノラネコぐんだんに共感を覚えるのか、しつこいほど読み返しています。「ニャーニャー」や「ドッカーン」など、いつも登場するおなじみのフレーズがあるほか、あいうえお別にたくさんの言葉を紹介している「ノラネコぐんだん あいうえお」や、「ノラネコぐんだん かるた」なども発売されており、息子はこれでカタカナを覚えたと言っても過言ではないほど。作者に足を向けて寝れないほど感謝している絵本です。・「おしりたんてい いせきからのSOS」作・絵:トロルポプラ社NHKの人気アニメ「おしりたんてい」シリーズ。息子も大好きで、毎週食い入るように見ています。絵本のストーリーは少し長めなのですが、絵の中に隠れているおしりを探すページなどがあり、子どもが飽きない工夫がされているので、長い話に挑戦したい時に便利でした。文字が多く絵が少ないシリーズも刊行されているので、小学校になっても楽しめそうです。ひらがなとカタカナを覚えて変わったことひらがなとカタカナをすっかり読めるようになった息子は、本を自分で読んで理解できる楽しさに気づいたようで、ひとりで絵本を読む時間が増えました。また、幼稚園でもかるたで遊ぶグループに混ざったりするようになり、遊びの幅も広がったようです。自宅でも家族でかるたをして遊ぶことが増えました。さらに、しりとりにすっかりハマってしまい、ヒマさえあれば「しりとりをしよう!」と言うので、知っている言葉もとても増えました。そして、読み方をマスターしたことで、嫌がっていたドリルも自ら取り組むように。勉強に関しては息子が興味を持った時にやらせればと思っていましたが、ひらがなとカタカナを覚えたことで絵本を自ら楽しむ息子の姿を見ると、ときには親からやらせてみるのも必要なのかもと、親としても勉強になりました。小学校になって、息子の宿題も見てあげなければいけないことを考えると、やる気を引き出す方法などを、今のうちに探っておくのもいいのかもと考えています。<文・写真:フリーランスライター芳賀千歳>
2019年02月12日「頭がいいのに、空気が読めない」「高学歴なのに、なかなか就職先が決まらない」——そんな大人が周りにいませんか?もしかしたら彼らは、IQが高くてもEQが低いのかもしれません。EQとは、IQと並び能力を示す指標のひとつで、「心の知能指数」とも呼ばれているものです。そんなEQの育成には、幼少期の親の「愛」が不可欠といわれています。では、親はどんなことを心がければいいのでしょうか。EQとは何か、なぜ「愛」が必要なのかを踏まえ、ご紹介していきたいと思います。学びのモチベーションを左右するEQEQは比較的新しい概念で、注目度は高いものの、その定義はまだはっきりしていません。現時点で、EQ研究者が提唱していることは、EQの高い人は自分の感情を上手にコントロールできるということです。EQの高い人は、「明るい」「嬉しい」「楽しい」「意欲」「安らぎ」「やる気」といった、前向きかつ積極的な感情を生み出すことができるといわれています。それらの感情は、前向きな思考、前向きな行動を引き起こすことにつながります。例えば、仕事で失敗してしまったとき、「次はこうしよう」と改善策を考えたり、「もう1回やってみよう」とチャレンジしたりできるのがこのタイプ。逆に、「もうだめだ」とすぐに諦めたり、「こんな仕事を任せるほうが悪い」と他人のせいにしたりしてしまう人は、EQが低いのかもしれません。こうしたことは、子どもにも当てはまります。テストで実力が発揮できなかったとき、「次は頑張ろう」と思えるか、「もう嫌だ」となってしまうか……。EQの高さにより、その後の学びに対するモチベーションが180度変わる可能性があるのです。EQ向上のポイントは「幼少期」と「親」EQは、「非認知能力」のひとつといわれています。非認知能力とは、IQなどの数値化できる能力ではなく、内面的な能力のことです。今、こうした能力が日本で注目されており、2018年4月施行の学習指導要領では、資質・能力の3つの柱のひとつ、「学びに向かう力・人間性等」に位置づけられています。では、いつどうすれば健やかな非認知能力を身につけられるのでしょうか。教育経済学の研究者ジェームズ・ヘックマンさんは、幼少期が勝負だといいます。ヘックマンさんの主張は大きく2つです。ひとつは、子どもの教育に国が公共政策としてお金を使うなら、就学前の乳幼児期がとても効果的だということ。もうひとつは、幼少期に非認知的な能力を身につけておくことが、大人になってからの幸せや経済的な安定につながるということです。(引用元:すくコム NHKエデュケーショナル|世界で注目される非認知的能力って?)非認知能力の育成には、親の接し方が大きく影響するといわれてます。具体的には、親は何をすればいいのでしょうか。教育学・育児学を専門とする白梅学園大学学長の汐見稔幸さんは、「無条件の愛を与えてあげること」といいます。無条件で愛されている、いつだって助けてくれるという基本的な信頼感と安心感を育てることです。(中略)この安心感と、親に見守られてやりたいことをやる中で、非認知能力の基礎ができていきます。(引用元:はぐくむ|1~3歳が大事!「非認知能力」が未来を生き抜く子供たちに必要です!)つまり、自分の子どものEQを高めたいと思うなら、まずは幼少期からたっぷり愛情を伝え、「信頼感」と「安心感」という土台を築かなければならないのです。EQを高める親の愛情表現2つ「もちろん、子どものことは愛している。でも、どうやって愛情表現をしたらいいかわからない」という親御さんもいるでしょう。意識せずとも自然に愛情を伝えられる人は、決して多くはありません。そこで、簡単にできて子どもに伝わりやすい愛情表現の方法を2つご紹介します。■言葉で伝える親から子どもへの愛情は、「わざわざ口に出して言わなくても伝わっている」と思われがちです。しかし、子ども本人からすれば、本当に愛されているのか、疑問に思ったり不安になったりすることもあります。親が忙しそうに夕食の準備をしているとき、「ママはなんだか僕の話を聞いていないみたい。もう僕のことを好きじゃないのかな……」と考えてしまうなど、子どもの心はとても繊細なのです。ですから、日常的に言葉で伝える習慣を身につけておくとよいでしょう。例えば、朝起きたときに、「今日も大好きだよ」と言うようにしたり、親子愛をテーマにした絵本を読み聞かせながら、「ママも○○ちゃんのことをとても大切に思っているよ」と言ってみたり。日々の何気ないひとときに、さりげなく言うくせをつけるといいのではないでしょうか。子どもの年齢によっては、照れくさそうにするかもしれません。でも内心はとても嬉しいのです。子どもにしっかり伝わるように、愛情は「言葉」でたくさん伝えてあげてください。■スキンシップをはかるスキンシップは、愛情を伝える重要な一手段です。親であれば、子どもが小さい頃から、意識せずとも抱っこしたり、ほっぺにキスしたりしてきたかと思います。ただ、子どもの成長とともに、その機会が減ってきているという方もいるかもしれません。なかには、子どもが嫌がることもあるでしょう。その場合は、無理にベタベタする必要はありません。スキンシップにはさまざまなやり方があります。例えば、「遊びながらコショコショくすぐってみる」「褒めるときに頭を撫でる」「嬉しいことがあったらハイタッチをする」「おでこに触れて熱を測る」などといったさりげない行動も、スキンシップのひとつです。また、子どもと話をするとき、意識的に手を握ることで心を通わせることもできます。「△△って言われたお友だちはどんな気持ちになったかな?〇〇ちゃんがそう言われたらどんな気持ちがすると思う?」など、大切なことを子どもに言い聞かせるときは手を握ってみましょう。また、子どもから話を聞き出したいときも、しっかり手を握って話を聞いてみてください。言いにくいことであっても、少しずつ話してくれるかもしれませんよ。***子どもに自分の気持ちを伝えたり、子どもを思いきり抱きしめたり——親から子どもへ愛情表現することで、子どもだけでなく親自身も癒されたり、安心したりできるはずです。であれば、EQを高めるという目的がなくとも、日常的に行なっていきたいと思いませんか?そうして積み重ねられた親の愛情は、結果的に子どものEQを高め、前向きで豊かな人生につなげられるのではないでしょうか。(参考)高山直著(2003),『EQ こころの鍛え方』,東洋経済新報社.すくコム NHKエデュケーショナル|世界で注目される非認知的能力って?はぐくむ|1~3歳が大事!「非認知能力」が未来を生き抜く子供たちに必要です!All About暮らし|育て直しは何歳からでもできる効果的に伝わる子どもの愛し方絵本ナビ|親の愛情表現は子どもを世界一しあわせにする!『パパと ママの たからもの』PHPファミリー|親子のスキンシップが、かしこい脳をつくる!
2019年02月05日前回『世界で叫ばれるメディアリテラシーの重要性――デジタル社会に振り回されないために』という記事では、「メディアリテラシー」について詳しくご紹介し、習得のためには子どもの頃からトレーニングを始めることがとても大切だとお伝えしました。今回は、日本国内でのメディアリテラシー教育について詳しくみていきます。日本でのメディアリテラシー教育総務省は、子ども向けのページでメディアリテラシーについて次のように定義しています。◎メディアリテラシーとは次の3つを構成要素とする、複合的な能力のこと。メディアを主体に読み解く能力。メディアにアクセスし、活用する能力。メディアを通じコミュニケーションする能力。特に情報の読み手との相互作用的(インタラクティブ)コミュニケーション能力。(引用元:総務省|こども向けページ)現在、学習指導要領に「メディアリテラシー」という言葉は使われていません。しかし、総合学習や美術、技術・家庭科などの授業で、情報やメディアの扱い方についての学習はすでに行われています。ただ、それが十分に活かされているかどうかについては未知数です。しかしNHKが、BBC(英国放送協会)やYLE(フィンランド公共放送協会)と同じように情報発信側からメディアリテラシーについての取り組みを積極的に行っており、提供されているツールを実際の授業に生かしている教師の方もいらっしゃいます。その内容について、次に詳しくご紹介します。メディアリテラシー教育におすすめのツール国もメディアリテラシー教育の重要性を認識していて、総務省が家庭や学校向けのサービスを提供しています。それも含めて、役立つツールをご紹介します。■総務省『子ども向けページ』「テレビの見方を学ぼう」というテーマで、ニュース製作の過程をアニメ仕立てで見せるツールと、“映像不思議シュミレーター”で番組制作の際行われる作業(カメラアングルや編集、音楽など)をわかりやすく解説するツールが提供されています。どちらもネット上で子ども自身が操作して体感できるようになっており、また「プロからのひとこと」で詳しい説明も見られるようになっているので、楽しみながら学ぶことができます。『先生・保護者向けページ』貸出教材が紹介されています。小学校低学年、高学年、中学生、高校教師向けのカテゴリー別にそれぞれに合った教材を見ることができます。たとえば、小学生低学年向けメディアリテラシー教育入門教材「うっきうきテレビたんけん」の「テレビのウソ?ホント?」では、テレビ番組(アニメ・ドラマ・ニュース)の空想と現実について、暴力面も含めて考えさせられる内容となっています。■NHK for schoolNHKでは放送・メディアに関する調査・研究を継続的に行っており、その動向や結果を月刊誌「放送研究と調査」で発表しています。その中でもメディアリテラシーについてはたびたび取り上げられ、子どもへの教育促進にも役立てられているようです。NHKデジタル教材である“NHK for school”でも番組を配信、家庭や学校で使えるツールを提供していて、メディアリテラシーをメインに扱った番組が2つあります。どちらも実際のプロの話や時事問題、使い方に要注意なSNSをとりあげるなど、実用性の高い内容になっています。過去の回も含めて全てがネット配信されていますので、いつでも見たいものを選んで見られるのも便利ですね。『メディアのめ』池上彰さんのわかりやすい解説でメディアについて詳しく知ることができます。オープニングの動画では、サッカー選手のある一瞬をとらえた写真を例にとり、切り取った写真では「ダンスをしているように見える」けれど、全体の写真を見てみると「シュートを必死で防ごうとしているところ」だということを、実際の写真を使って説明しています。たしかに、本当は緊迫している写真なのに、一部分を切り取ってしまうことで、なぜかユーモラスな写真に見えてしまう……まさにメディアリテラシー教育ですね。「切り取り」の力、おそるべしです。『メディアタイムズ』高杉真宙さん、芦田愛菜さんなどが出演するドラマ仕立てで、メディアについて様々な角度から見て興味を誘われる内容になっています。大阪市立本田小学校では、調理実習後の盛り付けコンテスト用の撮影写真で「写真加工はありなのか?」の問題をクラスみんなで考えるために、メディアタイムズの「写真は‘ありのまま’を伝えてる?」を視聴したそうです。そしてその後、先生は番組を活用したメリットを3つ挙げています。・身近な話題を考えることで必要感を持って学べる・番組を通して客観的に論じあえるためスムーズな話し合いができる・番組が2つの選択肢を提示して終わる形をとっているため、その後の議論につなげやすい。学習効果についてとてもよく考えられた番組構成はさすがですね。■『窓を広げて考えよう体験!メディアリテラシー』(かもがわ出版)元TBS報道キャスターで白鴎大客員教授の下村健一さんによる「しかけ絵本」で、メディアリテラシーを学ぶ絵本としておすすめです。絵本の随所に“窓”がくり抜かれていて、窓から見える“一部”の絵とページをめくって見た全体の絵を比べることで、実際のメディア(情報)の受け止め方をよく理解することができる仕組みになっていて秀逸。たとえばあるページでは、窓からのぞく人々は全員マスクをしていますが、全体像を見てみると、それがほんの一部の人に過ぎないことがわかります。このように“体験”できることで、切り取るパーツにより情報が操作できることを学ぶのです。難しいことを言わなくても、子ども心を惹きつける可愛い絵と仕掛けで自然と学べるのが最大の魅力の本です。どれも家庭で気軽に試すことができますので、遊び感覚で始めてみてはいかがでしょうか。***メディアリテラシー教育には、発信する側と学校や親の協働が不可欠です。メディアについて詳しく知ることで、ニュースの見方が変わってきます。見方が変わると、情報の受け方も能動的になってきます。メディアは、テレビやネットから入るものだけではありません。何気無い友人との会話や、街の広告など身の回りにあふれているため、常に考える習慣を身につけることはとても大切です。世界には様々な境遇の人がいて、皆それぞれの考えを持ち、物事に対する感じ方も様々。そのことを知り、グローバルな視点を広げるためにも、メディアリテラシー教育の必要性は日本でもこれからますます高まっていきそうです。(参考)総務省|放送分野におけるメディアリテラシー東洋経済 ONLINE|子どもが間違った報道に踊らされないために 出す側の理屈と受けての注意を絵本で学ぶNHK for School|メディアタイムズNHK for School|メディアのめNHK for School|対話で育むメディア・リテラシー〜「メディアタイムズ」を活用して〜
2019年02月02日道徳の授業が教科化されるなど、学校や社会で子どもたちの「心の教育」に力を入れるなか、思考力と対話する力を育てるもっとも効果的な方法として、『こども哲学』が注目されていることをご存知ですか?これからの時代、求められる能力は思考力とコミュニケーション能力ーー。よく耳にする言葉ですね。しかし問題は、「どうやってその能力を育てるの?」ということです。『こども哲学』はみんなが自由に自分の考えを話し、人の意見に耳を傾け、積極的に議論して「自分で考える力」と「自己表現」が身につく対話活動です。そのメソッドは、親子の会話にも取り入れることができるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。道徳の教科化で「哲学対話」=「こども哲学」にも注目集まるまず、“哲学”と聞いて何を思い浮かべますか?「難解」「変わり者の学問」「実社会では役に立たない」「成績に結びつかない」……、このように、わたしたちの日常とはあまり縁がないように感じている方も多いのではないでしょうか。たしかに、大学で専門的に学ぶいわゆる“学問としての哲学”には、そのようなイメージがありますね。しかし、ここでご紹介する『こども哲学』は、哲学対話と呼ばれる対話活動を意味します。それは決して難しいことではなく、いくつかのシンプルなルールを守っていれば、「どんな発言もOK」といった自由なものです。最近では、有名小学校や私立中学校・高等学校で教科として導入されたり、国際バカロレアのプログラムにある「哲学」との関連性で語られたりと、教育プログラムとしての側面にもスポットがあたっています。また、2018年度から教科化された道徳の教科書にも哲学対話が紹介されるなど、「心の教育」を重視し始めたここ日本でも注目が集まっているのです。『こども哲学』の歴史は意外にも古く、1920年代にドイツで萌芽し、アメリカの哲学者であるマシュー・リップマンによって1970年代に大きく躍進しました。その後世界各地に広まり、さまざまな教育機関で実践されるようになりましたが、ここまで広く知れ渡るようになったのは、ある映画がきっかけであると言われています。それは、フランスのドキュメント映画『ちいさな哲学者たち』(2011年公開)です。舞台はフランスのある幼稚園。3歳~5歳の子どもたちと哲学対話を行った2年間の記録を集約したこの映画は、「こども哲学」の真髄とも言える要素がふんだんに詰まっています。「愛とは何か」「賢いとはどういうことか」「どういう状態を自由と呼ぶか」、さらに貧富の差や人種問題に関係する問いを子どもたちが話し合うのですが、びっくりするほど世界を鋭く観察し、物事について深く考えている子どもたちの対話の様子は、観客を大変驚かせたといいます。「こども哲学」は大人も変える!哲学・哲学教育を専門とする立教大学の河野哲也教授は、「『こども哲学』では、哲学的なテーマについて子ども同士で対話をすることで、他人と合理的に議論する力、自分自身で自律的に考える力を養うことができます」と述べています。議論といっても、哲学対話はただの意見交換とは違います。子どもたちが同じテーマについて異なった意見を関連づけて対話を広げて深めていくことが目的です。普段の授業では、子どもたちは唯一の正解を求められますが、この『こども哲学』では自分の考えを素直に述べることが求められるのです。ここで、実際にどのようなことがテーマになるか、例を挙げていきましょう。河野教授が監修を務めたNHK Eテレの子ども向け哲学番組『Q〜こどものための哲学』では、次のような「子どものギモン」をテーマにしていました。・ふつうってどういうこと?・なんで勉強しなきゃいけないの?・なんでお母さんはいつも怒るの?・カッコイイってどういうこと?普段お子さんから「ねえねえ、これってどういうこと?」と聞かれるような内容ばかりですね。ここで「お母さん忙しいから、あとでお父さんに聞いて」と子どものギモンに向き合うことを避けてしまっては、思考力と対話力は身につきません。それはお子さんだけではなく、親御さんも同じです。逗子で「こども哲学教室」を主宰し、親子で哲学対話することをテーマにした『自信をもてる子が育つこども哲学ー“考える力”を自然に引き出す』(ワニブックス)の著者である川辺洋平氏は、「『こども哲学』は親子の相互理解を深めます」と述べています。なぜなら、哲学対話を通して、子どもは物事を深く考える思考力が身につき、親は子どもの発言や考えていることを理解できるようになるからです。子どもの思考力と対話力を引き出すだけではなく、親にとっても子どもとの関係性を見つめ直すよいきっかけになる「哲学対話」。ご家庭でも取り入れてみたいと思いませんか?子どもたちと哲学対話をするときの注意点川辺氏が代表を務めるこども哲学教室・アーダコーダでは、子どもたちと哲学対話をするにあたって、次のようなルールを決めています。・ひとが話しているときはきく・自分が考えているときは待つ・自分の思ったことを言う・ひとの嫌がることはしない・何も言わなくてもいいこうしたルールを守ることで、「ちゃんと聞いてもらえる」「ゆっくり考えても待ってもらえる」「何を言っても怒られない」「ひどいことをされない」「何も言わなくても怒られない」という安心感を得ることができ、考えることの楽しさを感じられるようになります。河野教授も、哲学対話でもっとも気をつけなければならないことは「セイフティ=安心」であると述べます。セイフティとは、自分の意見を言うことに躊躇を覚えずにすむ状態のこと。子ども同士が哲学対話をするときにも、その場にいる進行役としての大人は、子どもたちが自由に発言し、気楽に質問や反論ができる雰囲気を作り出すことを心がけなくてはなりません。グループで対話をする場合、基本的には丸い円になって座ります。それは、お互いの顔が見え、誰が何を言っているかがわかる「相互理解」や「安心感」を与えるという理由からです。全員がリラックスした状態であることが好ましいので、必ずしも円であることにこだわる必要はないでしょう。自分の意見を堂々と言える子もいれば、緊張したり恥ずかしかったりしてなかなか発言できない子もいるかもしれません。そんなときは「コミュニティボール」(毛糸を巻きつけてボールにしたもの)を使い、ボールを手にした人が発言し、次に発言する人にそのボールを渡す、という方法を取り入れましょう。「ボールを持っているから話してもいいんだ」「あの子がボールを持っているから黙ってちゃんと聞こう」という意識をもつことが大切なのです。哲学対話では、ディベートのように相手を言い負かすのではなく、いろいろな考えを認めることを重視します。そして、対話を深めるためにも「みんな考えが違って面白いね」で終わらず、相手の意見でわからないところがあれば「どうして?どんなときにそう思うの?」など、どんどん質問しましょう。最終的にひとつの結論が出る必要はありません。30分なら30分と時間を決めて、終わりの時間になったら終了とします。親子でやってみよう!家庭でできる哲学対話ここまでは、グループで行う哲学対話の方法や概念についてお伝えしてきました。ここからは、家庭でも簡単にできる哲学対話についてご説明します。まず、『こども哲学』の入り口は“受け止めること”です。子どもが言っていること、やっていることの奥にある、本当に伝えようとしていることは何かな?どうしてその表現になったのかな?ということに、保護者が思いを巡らせましょう。■テーマを決めようテーマはなんでも構いません。できれば子ども自身に決めさせるといいでしょう。最初は「友だち」「学校」「勉強」など、子どもにとって身近なテーマがいいかもしれませんね。(例)・友だちは必要?・優しさってどういうこと?・なぜ学校へ行かなきゃいけないの?■対話してみよう大人は「正しい答え」や「立派な答え」を考えてしまいますが、答えを出すことが目的ではありません。思考力と対話力を伸ばすためには、子どもの発言をさらに広げることを心がけましょう。(例)親:「誰にでも優しくしなきゃいけないと思う?」子:「もちろん!」親:「でも世の中には悪い人もいるよね。悪い人にも同じように優しくするべきかな?」子:「うーん、悪い人には優しくしなくてもいいかな」親:「じゃあその悪い人が本当に困っていたらどうする?」子:「その人が本当に反省していたら助けてあげる」このように、子どもからどのような発言が飛び出すかはわかりません。しかし、どんな答えが返ってきても決して否定しないでください。まずは受け止めて、どんどん対話を深めていきましょう。***哲学対話は、今すぐにでも始められるとても簡単なコミュニケーションです。子どもは意外と物事をしっかりと考えているものです。対話を進めていくうちに、「本当はこんな風に考えていたの!?」と驚かされることになるでしょう。ぜひ親子で挑戦してみてくださいね。(参考)川辺洋平(2018年),『自信をもてる子が育つこども哲学』,ワニブックス.河野哲也(2018年),『じぶんで考え 自分で話せる こどもを育てる哲学レッスン』,河出書房新社.NHK for School|Q ~こどものための哲学特定非営利活動法人 こども哲学 おとな哲学 アーダコーダSHINGA FARM|子どもの学びのコト|「こども哲学」川辺洋平氏×伸芽会 飯田先生のスペシャル対談!「『こども哲学』ってなに? 幼児のうちから身につけたい“力”とは」
2019年02月01日「メディアリテラシー」という言葉を聞いたことがありますか?情報の洪水の中に生きている私たち。溢れる情報の中から、自分にとって有益なものを正しく選び取ることができる能力は、人生においてとても重要なことです。子どもの頃からその術を知り、訓練していくことが、いま求められています。子どものお手本になるべく知っておきたい「メディアリテラシー」についてみていきましょう。メディアリテラシーとは『日本大百科全書:ニッポニカ』によると、メディアリテラシーは以下のように定義されています。新聞やテレビなどの内容をきちんと読みとりマスメディアの本質や影響について幅広い知識を身につけ、批判的な見方を養い、メディアそのものを創造できる能力のこと。(引用:コトバンク|メディアリテラシー)多くの情報を評価し、識別し、選択するための能力と言えます。日々、テレビや新聞、ネットニュースなどでたくさんのニュースが配信されていますが、まずはそれらが “全て” ではないことを知ることが大事でしょう。何気なく入ってくる情報をやり過ごしてしまいがちな忙しい日々ですが、これからはますます必要となってきそうな能力です。なぜ「メディアリテラシー」を学ぶ必要があるのか近頃は“フェイクニュース”も氾濫しているため、知りたい、知る必要があることなどについて、時には受け身ではなく、自分で情報を収集し、総合評価できるようになることが特に重要です。子どもへのメディアリテラシー教育の普及に尽力されている、元TBS報道キャスターの下村健一氏は次のようにおっしゃっています。「フェイクニュースかどうか調べるためのファクトチェックのサイトの信用性まで疑われる今、結局メディアを信じられなくなり、自分の気にいる偏った情報だけを信じてしまうようになると、社会の分断は進むばかり。最初に得た情報以外の他の情報も受け止められるキャパシティーを残しておくためにも、情報の受け取り方を子どもの頃から身にしみこませるように学んでおかないと手遅れになります。」情報に踊らされないために、偏った情報で偏見を持った人にならないために、そしてダイバーシティの世界で生きていくために、メディアリテラシーを身につけなければいけないのですね。またメディアリテラシーを学ぶことは、子どもの視野を広げることにもつながっていくでしょう。メディアリテラシー教育の現状実際に世界では、子どもへの教育はどのようになっているのでしょうか。いくつかの例をご紹介します。【イギリス】イギリスでは国営放送BBCの取り組みが注目されています。2002年に「CBBC(6~13歳向け)」と「CBeebies(幼児・親向け)」の放送を開始した当初から、インターネットを安全に使うための方法を楽しく説明する、親向けにもアドバイスを提供するなどの試みを行っています。また、学校の授業の一環として活用できるようなビデオ製作や編集のためのツールを教師用指導ガイダンスとともにウェブサイト上で提供するなどした取り組みは非常に評価されています。そのほかにも1972年に放送開始した「Newsround」という子ども向けニュース番組も、子どものメディア学習支援を意識した内容を充実させてメディアリテラシー教育に貢献しています。【フィンランド】フィンランドはメディアリテラシー教育に関してとても熱心な国で、初等・中等教育のカリキュラムに「メディアスキルとコミュニケーション」というテーマで組み込まれ、社会、国語、アートなどの授業の中で実践されています。メディアのプロや専門教師が授業をするなど、取り組みが進んでいます。また、フィンランド公共放送協会(YLE)は、家庭と学校の両方向けの「Mediakompassi(メディアコンパス)」というプロジェクトを2000年半ばに立ち上げ、テレビ、ウェブサイト、イベントなど多方面からメディアリテラシー教育にアプローチ。テレビ番組は学年層別に5番組を展開して、目指すのは、「メディアへの理解」「メディアスキルの上達」「メディア制作の経験」です。サイトにも年齢別に映像を含めた多様な情報が提供されており、家庭での学習に活用されています。13〜18歳を対象にした最終的な段階では、プライバシーの保護やメディア所有の集中化の問題、情報の背後にあるメッセージやメディアリテラシーの習得自体についてなど、かなり難しい切り込んだ内容になっていて本格的です。その他にもスウェーデンでは1980年代からすでに学校教育にメディアリテラシー教育が取り入れられていますし、アメリカでは2000年にアメリカ教育省と全米芸術基金がアメリカで初めてのメディアリテラシー教育助成金制度を開始し、成果を挙げています。メディアリテラシーの重要性は世界中で認知されていると言ってもいいでしょう。***こうしてみてくると、メディアリテラシー教育にはまず「メディアそのものを知る」ことが大事なのがわかります。ニュースは単に事実を伝えているだけなのではなく、裏に意図が潜んでいる場合があります。それを汲み取れる思考回路形成のために、子どもの頃からのトレーニングが有効なのですね。次回は日本の取り組みについてご紹介します。(参考)コトバンク|メディアリテラシー東洋経済 ONLINE|子どもが間違った報道に踊らされないために 出す側の理屈と受けての注意を絵本で学ぶNHK放送文化研究所|「メディア・リテラシー教育をめぐるヨーロッパの最新動向小林俊哉(2017),「アメリカにおけるメディアリテラシー(3)—2000年から2000年代中葉までー」,新島学園短期大学紀要 第37号 1頁-17頁.
2019年01月27日お正月はフレッシュな気分で、普段は忙しい家族が一緒に過ごせる大切な季節です。神聖な1年の始まりに感性を共有すべく、家族皆で美術館に足を運んでみてはいかがでしょうか。意外かもしれませんが、お正月期間にも開いている美術館は多いのです。今回は、家族でアートを楽しむ技とおすすめ美術館をご紹介します。年明けに、ぜひ家族で美術館に行ってみてくださいね!美術館を楽しむための4つのコツ美術館は、普段から行き慣れていないと、どうしても敷居が高いイメージですよね。でも海外の美術館はそんなことはありません。ロンドンでは美術館や博物館は基本的に入館無料ですし、ニューヨークでも市民や子ども向けに色々なサービスを提供していて、皆さん気軽に利用されています。ですから日本でも気負うことはないのです!親子でおもいきり美術館を楽しめる4つのコツをご紹介しましょう。【1. 下調べをする】観に行く展覧会の概要をざっくり調べていきましょう。自由すぎると、何を観ていいのか漠然としすぎて戸惑ってしまうかもしれません。そこで、イマジネーションのベースになるテーマや、作者についての情報を少しだけ入れて行くことをオススメします。注意すべきは、詳しく調べすぎないこと。知識は時に、発想の自由を奪ってしまいます。【2. 自分なりのテーマを決めていく】「自分のベスト5を選ぶ」「部屋に飾りたいアートは?」「それぞれの絵に自分でタイトルをつけてみる」などなど。「今回のテーマ」を家族で決めて行くと、アートを見る視点も変わって楽しめます。「えー!あの絵を部屋に飾るの!?」なんて、鑑賞後に会話も盛り上がりそうですね。【3. 自分の視点と感性で自由にみる】「鑑賞する」ということは、「作者が誰で、どんな背景で作品を作ったかを把握し、その意図を正しく受け止めること」ではありません。「そうすべき」と思ってしまうと堅苦しくなってしまいます。鑑賞法に決まりはありません。自分の感性で作品から受けたイメージを膨らませて想像を飛ばしたり、何かを連想したり、自分との共通点を見出したり、自由な感性で作品を受けとめてみてください。【4. 美術館で非日常感覚を味わう】“美術館に行く” ということは、“展覧会を観る” ということだけに止まりません。特に最近の美術館は建築そのものにこだわりを持っていて、カフェやミュージアムショップ、子供のための施設も充実しています。さっき見た作品について語り合ったり、腹ごしらえをしたり、お土産を買ったり、鑑賞の前後も美術館を味わい尽くしましょう!毎回全てのコツを実行する必要はありません。その時々でいろいろな楽しみ方を発見してみて下さいね。◎金沢21世紀美術館美術館がより楽しくなるツール楽しみ方はわかったけれど、子どもが美術館に興味を持っていない場合や、そもそも美術館がどんな場所かを理解していない場合はどうしたらよいのでしょう。そこで、美術館に行く前に見ておくとより鑑賞が楽しくなる番組や絵本をご紹介します。アートへの子どもの興味をひきつけてくれること間違いないしです。<テレビ>■NHK「びじゅチューン」(Eテレ水曜午後7:50)歌とアニメで“世界のびじゅつ”を紹介する番組です。おもしろいのは、作詞・作曲・アニメ制作・歌の全てを担当しているアーティスト・井上涼さんが繰り出す、豊かで突飛なイマジネーション広がるアートの世界観!作者の意図とは別に自由な発想で各アートのオリジナルストーリーを表現しているのです。キャッチーな歌詞と耳に残るリズミカルな音楽。「そんな時は鳥獣戯画ジム♪」「富士御神火文黒黄羅紗陣羽織♪怒ってる…噴火してる…♪」など、歌詞は子どもには少し難しいかもしれませんが、理解できなくても子どもたちの心をがっちり掴んでしまうほどのオリジナリティ。一度見たら親子できっとハマってしまいます。例えば『ムンクの叫びラーメン(作詞・作曲/井上涼)』を見て、展覧会でホンモノの作品を見たら……ちょっとクスッと笑ってしまうかも。その後作品に興味を持って、「実際はどういう作品なんだろう?」と調べる子もいるでしょう。アートは自由に楽しんでいいんだということが分かれば、美術鑑賞の導入としても大成功です。鑑賞後に家族で“オリジナルびじゅチューン遊び”として、それぞれがどう思ったかを披露しあうのも楽しそうですね。テレビ放映以外にもNHK公式サイトで見られる動画もありますので、ぜひ一度チェックしてみてください。<絵本>絵本を読んで楽しく美術館デビュー。子どもたちを美術館へ誘う、魅力的な絵本たちです!『ババールの美術館』(評論社)作・絵:ロラン・ド・ブリュノフ訳:せな あいこぞうのババールが使わなくなった駅舎に美術館をオープン。たくさんの美術品を見に街の大人や子どもがやってきます。有名絵画の登場人物は全部ぞうになっていて可愛らしさに子どもたちも引きこまれるでしょう。テーマごとに美術品の説明も簡単にされていてアート入門書としても良いものです。美術にはルールはない、だからなにを感じても自由であると、絵本の中でババールは話していました。『ひらめき美術館』(小学館あーとぶっく)結城昌子著自由に楽しめる美術館が本に閉じ込められたような絵本です。「ひらめき美術館」の「展示室」では有名なアート作品を一堂に介して観ることができます。しかも面白くて興味をそそる解説付き。「みんなが参加する部屋」では、ピカソのつもりで絵を描いてみたり、ミロのヴィーナスの腕を想像してみるなど、自由な発想を楽しみます。「みんなの展覧会」の部屋には、皆の作品が発表されていて、同じ作品を観ても感じとることはそれぞれ違うんだということが良くわかります。アートに対して心を軽くしてくれる工夫いっぱいの、親子で楽しめる絵本です。親子で利用しやすいおすすめ美術館家族で美術館に行く心の準備が整ったら、次は実際に美術館へ!年始や連休などの休日にも利用しやすい美術館をご紹介します。●東京都美術館上野にある美術館が参加する「ミュージアムスタートあいうえの」をはじめとして、子どもやファミリー向けサービスが充実しています。休館日も基本的には月2回で、年始も1月2日から開館。しかも小学生は無料で観られる展覧会がほとんどです。毎月第3土曜・日曜は「家族ふれあいの日」で、対象の展覧会のチケットが保護者も半額となります。●森美術館年中無休で、年末年始もオープンしています。ドラえもんやモダンアートなど子どもの興味をそそり、想像力を働かせて楽しめそうな企画が多いのは、美術館の理念「あらゆる年齢、地域、国々の人びとに開かれた美術館であることを目指している」からなのでしょう。●大塚国際美術館徳島県鳴門市にあるこの美術館の素晴らしさは、ヴァチカンに行かずして「システィーナ礼拝堂」を鑑賞できることです。そのほかにも1000点以上に及ぶ西洋の名画が全て陶板で再現されている陶板名画美術館で、その完成度の高さは、ローマ法王庁からの聖シルベストロ騎士団長勲章授与やピカソのご子息からの賛辞などでも証明されています。年始も元旦からオープンしていますのでお正月に神聖な気持ちで名画を家族で堪能するのもいいですね。●金沢21世紀美術館石川県金沢市にあり、2004年の開館以来全国から人が集まる人気の美術館です。コンセプトに「“まちの広場”としての市民参画交流型美術館」「子どもたちとともに成長する美術館」とあるように、建築も「まちに開かれた公園のような美術館」です。ガラスが多用された開放感、どこからでも人が入れるような多方向性円形デザインは数々の受賞歴に輝くSANAA(妹島和世氏+西沢立衛氏)によるもの。オブジェが点在する広い芝生の庭、デザインチェアが置かれたガラス張りの回廊のようなスペース、アートライブラリーなど無料で利用できるエリアも充実しています。週末にはキッズスタジオでワークショップなども開催。お正月は2日からオープンしています。***昔に比べると、アートも多様化して、より親しみやすいものになってきたような気がします。それも美術館の様々な取り組みや関係者の方々の努力の成果なのでしょう。アートが引き出す子どもたちの自由な感性と可能性は、彼らの世界を広げてくれるにちがいありません。これからますます美術館が身近な場所になってきそうですね。(参考)東京都美術館森美術館金沢21世紀美術館大塚国際美術館びじゅチューンEhonNaviStyle|親子で美術館に行こう!はじめてのアート鑑賞を応援する絵本藤田令伊(2015), 『芸術がわからなくても美術館がすごく楽しくなる本』, 秀和システム.ロラン・ド・ブリュノフ作 せな あいこ訳(2005), 『ババールの美術館』, 評論社.結城昌子著(1996), 『ひらめき美術館 第1館』, 小学館あーとぶっく.結城昌子著(1996), 『ひらめき美術館 第2館』, 小学館あーとぶっく.結城昌子著(2002), 『ひらめき美術館 第3館』, 小学館あーとぶっく.
2018年12月29日「本選びのプロ」がとっておきの情報を教えてくれる連載『まなびの本棚』第3回です。寒さが本格的になり、子どもたちも家にこもる時間が増えてきたのではないでしょうか。家で過ごす時間が増えたら読書を習慣づけるチャンスです!これまで時間がなくて読めなかった本や、時間があるときに読もうと思っていた少し難しい本に挑戦することで、子どもが自分自身と向き合うきっかけになります。この連載では、日販図書館選書センターで選ばれた本のランキング、そして選書のプロ・コンシェルジュによるコラムをご紹介します。きっと子どもの本選びのお役に立つはずです。選書センターについて、詳しくはこちらをお読みください→図書館司書や教育関係者が足繁く通う『日販図書館選書センター』って知ってる?2018年人気図書ランキング1位鳥獣戯画を読みとく五味文彦 監修岩崎書店2位学校プールのヤゴのなぞ星輝行少年写真新聞社3位失敗図鑑いろは出版編著いろは出版4位鉱物・宝石のひみつ松原聰岩崎書店5位辞書びきえほんもののはじまり陰山英男ひかりのくに(※2018年4月1日~11月30日累計)近ごろは空前の図鑑ブームですが、中でも3位にランクインした『失敗図鑑』は、立派な偉人たちの失敗を知ることで元気と勇気をもらえると評判です。しかも、ココ・シャネルやベーブ・ルース、徳川慶喜といった歴史上の人物だけではなく、いきものや発明品にまつわる失敗など、計320個ものさまざまなエピソードがつまっているので、読み応えも抜群!子どもが壁にぶつかったとき、失敗をして落ち込んだとき、親御さんからの励ましの言葉にプラスして、この図鑑をめくってみましょう。きっと「この失敗は成功するために必要なんだ!」と前に進む力になるはずです。コンシェルコラム"本選びのプロ"選書センターコンシェルジュのおすすめの本あの有名な物語が裁判のテーマに。視点を変えると昔話の印象がガラリと変わる!非現実的な昔話を法律の観点から読み解く……というこれまでにない斬新なテーマで、子どもたちだけではなく大人たちの間でも話題になったNHK Eテレの番組『昔話法廷』。今回は、この番組を本にしたシリーズの第2弾をご紹介します。たとえば『3匹のこぶた』では、オオカミは最後に鍋で煮込まれてしまいますよね。しかしこの法廷では、それは子ぶたたちの計画的犯行ではないかと疑われてしまうのです。果たして子ぶたたちは殺人罪に問われてしまうのか?それとも正当防衛で無罪になるのか?視点の面白さもさることながら、「なぜオオカミが入るほどの鍋があったのか」という鋭い指摘に、これまでまったく意識せずに読んでいた昔話の中に潜んでいる「謎」や「気づき」がどんどん明らかになっていきます。「もしかして……」と、大人でも考えさせられる内容なので、親子で一緒に読んだあとに意見を出し合ってみてもいいかもしれませんね。子どもたちが裁判員裁判について考えるきっかけになる図書としてもおすすめです。『昔話法廷 Season2』オカモト 國ヒコ金の星社
2018年12月29日現在、白梅学園大学子ども学部の教授として、子ども教育のプロフェッショナル養成に携わる増田修治先生。その名を教育界に広めたのは、小学校の教員だった時代にはじめた「ユーモア詩」というものでした。その独特の試みは、2002年にはNHK『にんげんドキュメント 詩が躍る教室』で取り上げられ、大きな反響を呼びました。「ユーモア詩」とは一体どんなもので、子どもたちにどういう影響をもたらすものなのでしょうか。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹(ESS)写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)学校にこそ「笑い」が必要みなさんは、学校とはどういうものだと考えていますか?教師も子どもも真面目で一生懸命に勉強をするべき場所――そんなふうに思っていないでしょうか。教師を長くやっていると、教師こそそのように思い込み、「学校はこうあるべきだ」「子どもはこうあるべきだ」という考えにとらわれてしまいがちです。かつてのわたしもまた、そういう教師になってしまっていました。でも、その思い込みを完全に打ち破ってくれたのが「ユーモア詩」だったのです。じつは、これは偶然に発見したもの。わたしがある小学校で4年生の担任をしていた頃、ひとりの男の子が書いた詩を学級通信に載せたのです。それは、「おなら」という詩でした。おなら国広伸正(4年)だれだっておならは出る。大きい音のおならを出す人もいれば小さい音のおならを出す人もいる。なぜ、音の大きさが違うのだろう。きっとおしりの穴の大きさが違うんだ。わたしはこの詩を見たとき、正直、「ばかじゃないのか」「くだらないことを書いて」と思いました(笑)。でも、事前に「どんな内容でも学級通信に載せる」と約束していたため、載せないわけにはいかない。そして、どうなったかというと……この詩を見た子どもたちは15分も笑い転げているんです。じつはこの頃、わたしのクラスは子ども同士の関係があまりうまくいっていませんでした。でも、この詩でみんなが笑い転げている。なかには、「マヨネーズの星型の部分をお尻にはめたらどうなるのか」なんてばかなことを言う子どももいました(笑)。そのとき、気づいたわけです。「子どもたちは笑ってつながりたいんだ」「学校にこそ笑いが必要なんだ」と。子どもはうんちやおしっこ、おならの話が大好きですよね。その子どもたちの「面白い」「楽しい」という感覚に教師が近づかなかったら、彼らといい関係が築けるわけがありません。そうして、はじめたのがユーモア詩でした。ルールはありません。なにをどう書いてもいい。そして、そのうち、ユーモア詩がびっくりするような出来事も引き起こしました。そのきっかけとなったのが、この詩です。弟ってすごい?並木勝也(4年)こないだ弟が外を走っていました。弟が「ぼく、すごいのできるよ!」と言いました。弟は走りながらぼうしやクツもぬぎました。そしてクツ下もぬげてズボンもぬげました。それから弟はぼくに「まっ、お前じゃできねーな。」と言いました。そんなのやりたくねーよ!これを見て、わたしは並木君に「面白い、見てみたい」と言いました。並木君の弟は当時、年長さん。服を全部脱いで裸になって「すごいでしょ?」と自慢げに言う彼を、わたしは「すごいね、たいしたものだね」と褒めまくりました。その2週間後、並木君が「弟が技に磨きをかけたから、また見てほしいそうです」と(笑)。もちろん、見に行きましたよ。今度は服を全部脱ぐまでの時間が大幅に短縮されていた。わたしは「もう名人芸だね」と大絶賛しました。じつは、並木君の弟は、保育園ではちょっと問題がある子どもでした。ところが、小学校に入学したらきちんと座って真面目に授業を受けている。「僕は小学校の増田先生に褒められた、できるはずだ」と思ったそうなんです。そうして、6年生になったらなんと児童会長になっちゃった。わたしは、ただ裸になることが早いと褒めただけ。それなのに、子どもにとってはそれが自信になる。どんなにばかばかしいことでもいいんですよ。「いいよね、面白いよね」と言ってあげることが、その子どもを認めてあげることになる。大人は、子どもがいわゆる「いいこと」をしたときにだけ褒めますよね。そうすると、子どもはその「枠」のなかにしかいられなくなる。自己肯定というのは、「いいこと」のようなプラスのことだけに働くものではいけません。マイナスのことも含めて、「あなたはそのままでいいよ」と言ってあげなければ、本当の自己肯定感は育たないのです。子どもの本音を知り観察眼や表現力を伸ばすユーモア詩が影響を与えるのは、子どもだけに限りません。親同士、親子の関係も変えていきます。たとえば、この詩もそういうきっかけになりました。ボディービルダー長川翼(3年)この前テレビで、ボディービルダーの大会をやっていた。さっそくぼくとお兄ちゃんは、服をぬいでパンツ1枚になり、ボディービルダーのまねをした。それを見ていた父ちゃんは、「それじゃダメダメ!」と言いながら、けつにパンツをくいこませて歩いていた。おかしくておかしくてみんなで大笑いした。でもこれで終わるわけがない。最悪なのは母ちゃんだ。とても人に見せられないパンツ1枚のかっこうで、ボディービルダーのまねをしていた。あれでも一応女なんだろうなー。すごい家族ですよね。でも、内容が内容だけに、掲載前にお母さんに掲載の許可をもらいにいったんです。すると、「先生、うちはもう確認はいりません、あきらめました」と。このあとの長川君の言葉の輝きといったらなかったですね(笑)。そして、あるとき、父兄にユーモア詩の感想を寄せてもらったのです。すると、なんと7人ものお母さんが長川君の詩に言及しているではありませんか。「わたしは長川君のお母さんを尊敬しています、あんなことを書かれたらわたしなら生きていけない……」と(笑)。こうして、親同士のつながりも深まることにもなりました。さらには、お父さんと子どもの関係も変わった。共働き家庭が増えているとはいえ、仕事に忙しいお父さんはどうしても子育てはお母さんにまかせがちです。たまに子どもに学校の話を聞くにしても、「どうだ?頑張っているか?しっかり勉強しているか?」というような内容になってしまう。もちろん、子どもからすれば面白くありません。でも、ユーモア詩を目にすれば変わる。「●●君って面白いな、どんな子なの?」「ところで、おまえはどんなことを書いているの?」と、お父さんが子どもの友だち関係を知り、親子のコミュニケーションをしっかり取れるようにもなるのです。もちろん、「ちゃんとしたもの」を書こうとしなくていい自由な表現のなかで、言葉による表現力も格段に上がっていきます。わたしは作文の指導なんてしませんでしたが、作文の全国コンクールで優秀賞を取る子どもも出てきたくらいです。ユーモア詩は、家庭ですぐにでもできるものです。ここにあるような詩を例に見せて、子どもに自由に書かせればいいだけ。ただ、「なにを書かれても絶対に怒らない」と約束してあげることがルールになる。普段の会話ではなかなか出てこない子どもの本音を知り、観察眼や表現力を伸ばすことにもつながるはずです。『遊びにつなぐ! 場面から読み取る子どもの発達』増田修治 著/中央法規出版(2018)■ 子ども教育のエキスパート・増田修治先生 インタビュー一覧第1回:クイズで育む!?子どもの「人生を決める」非認知能力の伸ばし方第2回:非認知能力が高い子どもは、「認知能力」も伸びていく。ではその逆は――?第3回:子どもの自己表現力を伸ばし、自己肯定感を高める「親子コミュニケーション」第4回:“おなら”に“裸”、なにを書いてもOK!?「ユーモア詩」が伸ばす子どもの力【プロフィール】増田修治(ますだ・しゅうじ)1958年3月8日生まれ、埼玉県出身。1980年、埼玉大学教育学部卒業後、小学校教諭として埼玉県朝霞市内の小学校に勤務。「ユーモア詩」に取り組み、子どもたちのコミュニケーション能力の向上を図るとともに、楽しい学級づくり、保護者とのコミュニケーションづくりをおこなう。2002年にはNHK『にんげんドキュメント 詩が躍る教室』が放映され反響を呼んだ。2008年3月末で小学校教諭を退職し、同年4月より白梅学園大学准教授。現在は同大学子ども学部子ども学科教授。『小1プロブレム対策のための活動ハンドブック』(日本標準)、『「いじめ・自殺事件」の深層を考える—岩手県矢巾町『いじめ・自殺』を中心として—』(本の泉社)、『先生! 今日の授業楽しかった!—多忙感を吹き飛ばす、マネジメントの視点—』(日本標準)など教育関連の著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2018年12月04日あまり好ましくないとされる、日本人の国民性として挙げられるもののひとつが「コミュニケーション能力の低さ」です。人前でのスピーチなどは大人でも苦手だという人も多いのではないでしょうか。しかし、そういう「自己表現」の力が役立つのは、なにもスピーチやプレゼンテーションの場だけではありません。子ども教育のプロフェッショナル養成に携わる増田修治先生は、「自己表現力が子どもの『自立』にも関わる」と語ります。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹(ESS)写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)「自立」とは自己表現により周囲に助けてもらうこと日本人は、「表現力に乏しい」と評価をされることが多い民族です。これには、もともとの国民性も影響していると見ることができますが、教育によるところも大きいはず。いまの日本の教育は、「自己表現力」も含めてさまざまな「自己〜」が育ちにくいものなのです。たとえば「自己肯定感」もそのひとつかもしれません。日本人の自己肯定感の強さは先進国で最低という調査結果が出ています。いくつかの理由がありますが、子どもたちに「なんでもしっかりできる子がいい子」だというプレッシャーがかかっていることも要因のひとつ。親も含めて、多くの大人が暗黙のうちにそういう評価基準を持っていませんか?そうすると、少しでも失敗すると、子どもは「自分はいい子じゃない」と思ってしまう。これでは、自己肯定感が弱くなるのも当然ですよね。でも、「なんでもしっかりできる子」はどこかで無理をしているものです。それに、そういうしっかりした子どもであっても、ずっと壁にぶつからないで生きていけるということはあり得ません。どんな人間であっても、人生のどこかで大きな壁にぶつかるものです。でも、そのときに「どうすべきか」という手段を知らなかったらどうでしょうか?立ち上がって再び力強く人生を歩みだすということが難しくなるでしょう。大事なことは、「なんでもしっかりできる子」に育てることではありません。壁にぶつかってもいいけれど、そのときに大切となるのは、きちんと「自己分析」ができること。勉強中にどうしてもわからないことがあったとしましょう。そのとき、自分の力を測り、区分けし、「ここまではできるけれど、ここからがわからないから教えてほしい」と周囲に助けを求められるかどうか。そこが重要になる。大人だって、ひとりで生きているわけではありませんよね。誰もがいろいろな人に助けてもらって生きている。「自立」するということは、人の力を借りないことではなく、むしろ、「うまく人に助けてもらう」ことなのです。そして、そのときに必要とされるのは、自分の置かれた状況を自分の言葉で語って助けを求める、それこそ「自己表現力」ではないでしょうか。話を聞いてもらった経験が多い子どもだけが、話を聞ける子どもになるその自己表現力を伸ばしてあげるためにも、子どものもっとも身近にいる大人である親が子どもとしっかりコミュニケーションを取るべきです。きちんとコミュンケーションが取れるということは、その時点で良好な関係ができていることでもあり、親子間の「応答性」が育っているということになる。ひとりがしゃべって、もうひとりはずっと黙って聞いている。こんなものはコミュニケーションでもなんでもありません。コミュニケーションとは、相互が話して聞く、応答を指すもの。その応答によって互いを知り、感情を共有したりするなかで、子どもの自己表現力が養われていきます。でも、残念ながら、それができていない親御さんも目立ちます。ここで、わたしがスーパーで目撃した出来事を紹介しましょう。お母さんが、「今日は好きなアイスクリームを食べていいから、決めておいてね」と言って、アイスクリームボックスの前に子どもを置いていきました。子どもはブツブツとなにやらひとりごとを呟いています。ちょっとだけ耳を傾けてみると、「どうしようかな、バニラにしようかな、チョコにしようかな」と悩んでいるようです。しばらくして、「よし、バニラにしよう」と言った。決まったのかと思いきや、今度は「コーンにしようかな、カップにしようかな」とまた悩んでいる(笑)。そして、「カップはけっこう食べているからコーンにしようかな」「コーンにしてチョコをトッピングすれば両方食べられるな」なんてことを言っているところに、お母さんが買い物を終えて戻ってきた。すると、お母さんが言いました。「なにやっているの!まだ決まらないの?じゃ、これでいいでしょ」と。そんなことでは、いままで子どもが悩みながら考えていたことが一瞬でパーです。子どもの頭がいちばん働いているのは、悩んで考えているとき。親は子どもとしっかりコミュニケーションを取って、その考える時間を保証してあげる必要がある。それが、自分の考えをしっかり表現する力のみならず、「自己選択」して生きているという実感を子どもに持たせることになり、ひいては、自己肯定感を育むことにもなるのです。親はよく「ちゃんと先生の話を聞きなさい」と言いますよね。でも、親が子どもの話を聞いていなかったら、話を聞ける子どもにはなりません。話を聞いてもらった経験が多い子どもだけが、話を聞ける子どもになるのです。小さい子どもは「あれなに?」「これなに?」と親にいっぱい話しかけると思います。そのとき、きちんと話を聞いて「あれはこうだよ」と丁寧に答えてあげる。すると、そのコミュニケーションのなかで、子どもは「話を聞いてもらえることが心地良いこと」だとわかってくる。だからこそ、「人の話もちゃんと聞こう」という人間に育つのです。また、そういう子どもでなければ、学力だって伸びていきません。小学校で授業をきちんと聞けない子どもは、大半が周囲からこぼれてしまうものですからね。そして、きちんと話を聞く姿勢は、学力を伸ばすだけにとどまらない。多くの人の言葉に耳を傾けるのですから、当然、人間性も同時に育っていくのです。『遊びにつなぐ! 場面から読み取る子どもの発達』増田修治 著/中央法規出版(2018)■ 子ども教育のエキスパート・増田修治先生 インタビュー一覧第1回:クイズで育む!?子どもの「人生を決める」非認知能力の伸ばし方第2回:非認知能力が高い子どもは、「認知能力」も伸びていく。ではその逆は――?第3回:子どもの自己表現力を伸ばし、自己肯定感を高める「親子コミュニケーション」第4回:“おなら”に“裸”、なにを書いてもOK!?「ユーモア詩」が伸ばす子どもの力(※近日公開)【プロフィール】増田修治(ますだ・しゅうじ)1958年3月8日生まれ、埼玉県出身。1980年、埼玉大学教育学部卒業後、小学校教諭として埼玉県朝霞市内の小学校に勤務。「ユーモア詩」に取り組み、子どもたちのコミュニケーション能力の向上を図るとともに、楽しい学級づくり、保護者とのコミュニケーションづくりをおこなう。2002年にはNHK『にんげんドキュメント 詩が躍る教室』が放映され反響を呼んだ。2008年3月末で小学校教諭を退職し、同年4月より白梅学園大学准教授。現在は同大学子ども学部子ども学科教授。『小1プロブレム対策のための活動ハンドブック』(日本標準)、『「いじめ・自殺事件」の深層を考える—岩手県矢巾町『いじめ・自殺』を中心として—』(本の泉社)、『先生! 今日の授業楽しかった!—多忙感を吹き飛ばす、マネジメントの視点—』(日本標準)など教育関連の著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2018年12月03日これからの子どもたちに必要とされるのは、テストだけでは測ることができない力――「非認知能力」だとされています。もちろん、将来の夢を子どもが叶えるためには、いわゆる学力である「認知能力」も必要でしょう。ただ、子ども教育のプロフェッショナル育成に携わる増田修治先生は、「認知能力を育むためにも非認知能力が重要」だと語ります。まずは、現在の教育現場が直面する問題から語ってもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹(ESS)写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)日本の教育が抱える「見えない貧困」問題いま、日本の教育は「貧困」という大きな問題に直面しています。「世帯収入が高いほどその家庭の子どもの学力も高い」という調査結果は、ニュースなどを通して耳にしたことがある人も多いことでしょう。貧困にはふたつの種類があります。ひとつは「絶対的貧困」で、もうひとつが「相対的貧困」。絶対的貧困にあたるのは世帯年収が約60~70万円を下回る世帯。月収が5万円以下で、食べものや着るものにも困るほどです。一方の相対的貧困は、世帯年収が120万円ほどの世帯。この相対的貧困は「見えない貧困」ともいわれていて、わたしは大きな問題だととらえています。この世帯の子どもは、食べものは食べているし衣服に困るほどではない。つまり、見た目は普通なのです。でも、その世帯の子どもたちは、さまざまな機会を奪われている。どんな機会かといえば、サッカーをしたくてもサッカーシューズは買ってもらえないし、バレエを習いたくても月謝を払ってもらえない。当然、学習塾に行くこともできません。この相対的貧困にあたる世帯の割合が、いまの日本ではどんどん増加しているとされています。「子ども食堂」というものを聞いたことはありますよね。貧困世帯の子どもたちを集めて食事を与え、同時に勉強も見てあげるという社会活動です。そこに来る子どもたちは、やはり学力が低い傾向にある。貧困世帯の子どもは、先にお伝えしたように学習塾には通えません。となると、自分で勉強しなければならない。でも、学習教材など自分で勉強できる環境が整っているわけでもないわけです。となると、その子どもにとって勉強できる唯一の場所は学校です。ところが、子ども食堂に来る子どもたちのなんと約8割が学級崩壊を経験しているというではありませんか。学級崩壊したクラスでは、まともに授業を受けることができません。そういう子どもたちは、勉強する機会を完全に奪われているのです。逆に、学級崩壊によって勉強する場所がないから、子ども食堂に通っているとも言えます。非認知能力の育成に欠かせない、子どもの声に耳を傾ける姿勢では、貧困家庭に育つと学力を伸ばすことができないのかというと、そうではありません。貧困世帯の子どもにも、貧困ではない世帯の子どもと遜色ない学力を持つ子どもたちがいます。彼らの共通点はなにかというと、「非認知能力が高い」ことです。非認知能力には、「朝ごはんを毎日食べる」といった生活習慣、「毎日の勉強時間の目安を決めている」といった学習習慣、あるいは、つらいことや困ったことがあったときに学校の先生に相談できるなどのコミュニケーション能力といったものも含まれます。これらは、一般的には貧困ではない世帯の子どものほうがしっかりと身につけている傾向にあるのですが、貧困世帯に育ちながら学力が高い子どもも、こういった基本的な習慣、非認知能力を身につけているのです。これがなにを表しているかというと、「非認知能力が認知能力を発達させる」ということです。2000年にノーベル経済学賞を受賞した経済学者、ジェームズ・ヘックマンらは、40年にわたる長期追跡調査の分析により、「非認知能力がその後の認知能力の発達を促し、その逆は確認できない」と結論づけました。非認知能力が高い子どもはテストの点数もあがるが、テストの点数がいいからといってその子どもの非認知能力が伸びるわけではないのです。となると、今後の乳幼児教育や小学校教育は大きく変わっていく必要があります。いつまでもテストで高得点を取ることだけが素晴らしいと評価する教育では駄目なのです。もちろん、これは学校などの教育現場だけの問題ではありません。家庭教育も、「非認知能力を伸ばす」ことを意識しておこなうべきでしょう。とはいえ、身構えるような必要はありません。大事なのは、「子どもの話をきちんと聞く」こと。教育に熱心な親ほど、子どもの言うことに耳を貸さず、「これが子どものためになるんだ」と勉強や習い事を押し付ける傾向にあります。それでは、まったくの逆効果。まずは、「なにかやりたいことある?」と子どもに聞いて一緒に考えること。そのなかで、互いに折り合いをつけていくべきでしょう。宿題ひとつ取っても、「●時になったから宿題をやりなさい」では駄目。「何時になったら宿題に取り掛かれる?」と子どもに聞いてください。そうして決めた時間は、親が決めたものではありませんよね?これはつまり、子どもに選択権を渡しているということ。そうすれば、親からすれば「あなたが決めたことでしょう?」と言えるし、子どもからすれば「自分で決めたのだからやらなくちゃ」と、自発性や意欲、責任感を養うことにもなる。多くの親は、その過程を省いてしまっているように感じます。そうではなくて、親と子どもそれぞれが納得する「一致点」をつくるコミュニケーションをたくさん取ってください。そういったことが、子どもの非認知能力を育んでいくのですから。『遊びにつなぐ! 場面から読み取る子どもの発達』増田修治 著/中央法規出版(2018)■ 子ども教育のエキスパート・増田修治先生 インタビュー一覧第1回:クイズで育む!?子どもの「人生を決める」非認知能力の伸ばし方第2回:非認知能力が高い子どもは、「認知能力」も伸びていく。ではその逆は――?第3回:子どもの自己表現力を伸ばし、自己肯定感を高める「親子コミュニケーション」(※近日公開)第4回:“おなら”に“裸”、なにを書いてもOK!?「ユーモア詩」が伸ばす子どもの力(※近日公開)【プロフィール】増田修治(ますだ・しゅうじ)1958年3月8日生まれ、埼玉県出身。1980年、埼玉大学教育学部卒業後、小学校教諭として埼玉県朝霞市内の小学校に勤務。「ユーモア詩」に取り組み、子どもたちのコミュニケーション能力の向上を図るとともに、楽しい学級づくり、保護者とのコミュニケーションづくりをおこなう。2002年にはNHK『にんげんドキュメント 詩が躍る教室』が放映され反響を呼んだ。2008年3月末で小学校教諭を退職し、同年4月より白梅学園大学准教授。現在は同大学子ども学部子ども学科教授。『小1プロブレム対策のための活動ハンドブック』(日本標準)、『「いじめ・自殺事件」の深層を考える—岩手県矢巾町『いじめ・自殺』を中心として—』(本の泉社)、『先生! 今日の授業楽しかった!—多忙感を吹き飛ばす、マネジメントの視点—』(日本標準)など教育関連の著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2018年12月02日テストで測ることができる力を「認知能力」、テストで測ることができない力を「非認知能力」と呼ぶことは見聞きしたことがあるかもしれません。でも、非認知能力が具体的にどういうものか、なかなか明確にイメージしにくいのも事実。それがどんなもので、なぜいま必要とされるのか――。教えてくれたのは、子ども教育のプロフェッショナルを養成している白梅学園大学の増田修治先生です。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹(ESS)写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)非認知能力とは能動的な心情を自分のなかにつくり出せる力「非認知能力」がどういうものかを知ってもらうため、まずは次のクイズに挑戦してみてください。Q:次の野菜や果物は水に浮くか、沈むか。1.ピーマン2.キュウリ3.ナス4.バナナ5.リンゴ6.ニンジン7.ジャガイモこれは、わたしが4歳児に出したクイズです。水槽を用意して1から順に、実際に答えを確かめながら進めました。ピーマンは……水に浮きますよね。4歳児も多くが正解しました。ところが、次のキュウリは子どもたちの答えがけっこうわかれた。正解は次のナスも含めて浮く。大人であれば、料理中にこれらを洗うときに水に浮かぶ様子を見たことがある人も多いでしょう。それでは次のバナナとリンゴは?このふたつも浮くんですね。では、子どもたちはニンジンについてはどう答えたでしょうか。それは「浮く」でした。なぜそう思うのかと聞いたら「これまでの全部が浮くから」と。子どもたちはちゃんと考えているんです。これまでの正解を聞いて、「野菜や果物は水に浮く」と考えたわけです。でも、答えは「沈む」なんですよね(笑)。それでは、最後のジャガイモはどうでしょう?答えは……「沈む」です。「野菜や果物は水に浮く」という仮説は正しくありませんでした。でも、別の仮説が浮かんできませんか?そう、基本的に地下にあるものは水に沈んで、地上にあるものは浮くのです。そして、このクイズの後、子どもたちは家に帰ってお風呂にいろんな野菜や果物を浮かべてみた。これが、簡単に言えば非認知能力です。このクイズで、なにが浮く浮かないといった知識を教えようとしたわけではありません。子どもたちはクイズをとおして、自分の頭でうんと考えた。そして、「面白い」だとか「やってみよう」「調べてみよう」という気持ちになった。こういう能動的な心情を、自分のなかでつくり出せる力――それが非認知能力なのです。AIの発達が進むこれからに求められる非認知能力いま、この非認知能力が「子どもたちの人生を決める」とも言われています。というのも、時代が大きな曲がり角にきているからです。これからは人工知能、いわゆるAIが社会を大きく変えていきます。そして、そのAIをどういう方向で使っていくかを考えられる人間が必要とされる。AIの時代になるからこそ、これまでとちがった角度からものを見ることができる、あるいは新しいものや発想を生み出せる力が求められるのです。それこそ、テストでは測ることができない、非認知能力そのものでしょう。また、オックスフォード大学の研究によると、「AIの発達によって今後10年で現在の約47%の仕事が自動化する」との試算が出ています。たとえばですが、バーテンダーの仕事は77%の確率でなくなるとか。他にもスポーツの審判員やレジ係、データ入力係、集金人などもなくなる仕事だとされています。これは遠い未来の話ではありません。現在進行形ではじまっているものです。いま、「スマートガスメーター」の導入が全国で進んでいることをご存じですか?これは、ガスの使用量を無線通信回線で把握するというメーター。つまり、これまで検針員がやっていた仕事がなくなるということです。なくならない仕事は、教師や保育士など人間相手の仕事、それからデザイナーといった創造性が必要な仕事などに限られてきます。単純な仕事は基本的にどんどんなくなるので、これからは自ら仕事を生み出すような人間になっていかないとならない。それがいいかどうかはともかく、そうならざるを得ないのです。それこそ、他人とどう接するか、どういう新しい発想を持って創造性を発揮するかといったことは、なかなか点数にできるものではありません。それらはまさに、非認知能力だということです。重要性を増している幼少期における非認知能力を伸ばす教育ここで4歳の子どもを対象におこなわれた「マシュマロ・テスト」と呼ばれる実験をご紹介しましょう。その内容は、子どもにマシュマロをひとつ渡して「食べずに15分待てばもうひとつマシュマロをあげるよ」と告げるというもの。すると、2個目をもらえるまで我慢できる子どもと、我慢できずに食べてしまう子どもにわかれた。この実験でわかるのは、「自制心」が育っているかどうかということ。自制心も重要な非認知能力です。そして、実験はこれで終わりではありません。その後の追跡調査により、2個目をもらえるまで我慢できる自制心がある子どもは、少年期には学力が高くて誘惑に強い、青年期には教育水準が高くて肥満率が低い傾向にあることがわかりました。一方、我慢できずに1個目のマシュマロを食べてしまった子どもは、対照的に学力が低い、肥満率が高いといった結果が出たのです。【マシュマロ・テストの追跡調査結果】これは、4歳時点における自制心という非認知能力の有無が、その後の人生を大きく変えたということに他なりません。まだ幼い4歳でのちがいとなると、「非認知能力の優劣は遺伝的に決まっているのか」という疑問を持った人もいるでしょう。でも、そうではありません。「幼少期における教育」の重要性が高いということです。そして、今後は非認知能力を伸ばすための教育がより重要となるとわたしは考えています。このマシュマロ・テストで2個目をもらえるまで我慢できた子どもというのは、「先を見通して考える」ことができたということ。言い換えれば、ものと時間などの「つながり」が見えているということです。ところが、いまはそういった「つながり」がどんどん見えなくなっている、あらゆるものが「ブラックボックス化」している時代なのです。たとえば、自動車もそう。むかしの自動車はいまのものより構造がはるかに単純で、整備士にはなにがどうなって自動車が動くということがすべて見えていた。でも、数多くの複雑な電子部品が使われているいまの自動車だとそうはいきません。整備士にも理解できていない部分が多く、調子が悪い部分を基盤ごと取り替えるということになる。こういうことがあらゆるものにおいて起きているため、「つながり」というものが見えにくくなっているのです。読者のなかに、子どものころに時計やいろいろなものを分解してもとに戻すのが好きだったという人はいませんか?わたしがそうで、たいてい部品が余っちゃって捨てることになっていましたけどね……(笑)。ただ、それは子どもにとって大切なことなのです。非認知能力なんてものが知られていなかったむかしは、そういうふうに自然に「つながり」を知って非認知能力を伸ばす環境にありました。ところがいまはそうではない。だからこそ、意図的に非認知能力を伸ばすよう働きかけをしていく必要があるのです。『遊びにつなぐ! 場面から読み取る子どもの発達』増田修治 著/中央法規出版(2018)■ 子ども教育のエキスパート・増田修治先生 インタビュー一覧第1回:クイズで育む!?子どもの「人生を決める」非認知能力の伸ばし方第2回:非認知能力が高い子どもは、「認知能力」も伸びていく。ではその逆は――?(※近日公開)第3回:子どもの自己表現力を伸ばし、自己肯定感を高める「親子コミュニケーション」(※近日公開)第4回:“おなら”に“裸”、なにを書いてもOK!?「ユーモア詩」が伸ばす子どもの力(※近日公開)【プロフィール】増田修治(ますだ・しゅうじ)1958年3月8日生まれ、埼玉県出身。1980年、埼玉大学教育学部卒業後、小学校教諭として埼玉県朝霞市内の小学校に勤務。「ユーモア詩」に取り組み、子どもたちのコミュニケーション能力の向上を図るとともに、楽しい学級づくり、保護者とのコミュニケーションづくりをおこなう。2002年にはNHK『にんげんドキュメント 詩が躍る教室』が放映され反響を呼んだ。2008年3月末で小学校教諭を退職し、同年4月より白梅学園大学准教授。現在は同大学子ども学部子ども学科教授。『小1プロブレム対策のための活動ハンドブック』(日本標準)、『「いじめ・自殺事件」の深層を考える—岩手県矢巾町『いじめ・自殺』を中心として—』(本の泉社)、『先生! 今日の授業楽しかった!—多忙感を吹き飛ばす、マネジメントの視点—』(日本標準)など教育関連の著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2018年12月01日「発達障害とは何か」 を考えるスペシャル番組ここ数年、発達障害について取り上げるテレビや書籍、ネットニュースなどが増えました。LITALICO発達ナビのユーザーの中にも、認知度が上がってきたと感じている人もいるでしょう。ですが、当事者が身近にいない人にとっては、発達障害という言葉を聞いたことがあっても「発達障害とは実際のところどういうものか?」よくわからないのかもしれません。NHKでは11月から「発達障害って何だろう」をテーマにしたキャンペーンを行っています。今まで関心のなかった人にも届くよう、さまざまな角度で発達障害について取り上げています。約20の発達障害に関連する番組が集中的に放送される中で、24日(土)には「発達障害って何だろうスペシャル」が放送されます。出演者は各界で活躍する発達障害の当事者Upload By 発達ナビニュース出演者は各界で活躍する発達障害の当事者の皆さん。エッセイストの小島慶子さんは、今年、軽度のADHD(注意欠如・多動症)があると診断されました。落語家の柳家花緑さんは、子どもの頃から読み書きに苦手があり、40歳を過ぎてからLD(学習障害)の特性を指摘されました。11月からスタートした2分アニメシリーズ「ふつうってなんだろう?」でも自身の経験を紹介してくれています。『透明なゆりかご』などの作品で知られる漫画家の沖田×華(ばっか)さんは、小学生のころにLDとADHD、中学生のころにアスペルガー症候群(現・自閉スペクトラム症)の診断を受けました。日常生活での経験を漫画で描いています。それぞれのプライベートに密着し、自身の「苦手」とどう向き合い、どう折り合いをつけているのか、たっぷり語っていただきます。また、LITALICO発達ナビでもコラムを執筆している吉川徹先生も出演されます!「周囲の人は何ができるのか」工夫を紹介する発達障害は外見からは見えにくく、周りから理解されづらいと言われています。発達障害の特性から、周囲の人と軋轢を感じ、困りごとを抱えてしまうこともあります。発達障害のある人自身、自分の特性を理解してソーシャルスキルトレーニングをしたり、トラブルにならないよう困りごとを減らす対処法を行ったりしている人もいます。また、本人の努力だけでは解決しない時、環境調整をしたり、周りの人のサポートを受けることで、うまくいく場合があると言われています。ですが、実際に何ができるのか、どうしたらサポートできるのか、周囲の人にとってはよくわからず、戸惑うこともあるでしょう。番組では発達障害のある人を多く雇用している企業の工夫もご紹介します。「周囲の人は何ができるのか」を考えるためのヒントがあるかもしれません。一緒に考えることで、サポートの輪が広がるUpload By 発達ナビニューステレビ番組は広く多くの人に届けることのできるメディアです。発達障害は自分とは遠い、関わりのないことだと感じている人にも、見てもらいやすいと言えるでしょう。また、映像で、当事者の方のリアルなケースを紹介することで、イメージしやすく理解を助けてくれるはずです。発達障害のある人がどんな風に暮らし、どんなことに悩んでいるのかを知る良い機会として、多くの方が、「発達障害って何だろうスペシャル」を見たならば。学校のママ友、電車でたまたま乗り合わせた乗客同士、よく行く商店街のお店の人…。地域で暮らしている多くの人たちが、発達障害について知っていたら、当事者にとっても心強いのではないでしょうか?発達障害のある人や、周りで暮らす人がどうしたら生きやすくなるのか、できることは何か。ぜひ、周りの人と番組を見て、一緒に考え、対話するきっかけにしませんか。・「発達障害って何だろうスペシャル」(NHK総合)2018年11月24日(土)21:00~21:49・出演者【司会】千原ジュニア、南沢奈央、塚原愛アナウンサー【ゲスト】小島慶子、柳家花緑、沖田×華【専門家】吉川徹発達障害って何だろうスペシャル【キャンペーン】発達障害って何だろう
2018年11月22日「発達障害って何だろう」。テーマは、発達障害を多くの人に知ってもらうことUpload By 発達ナビニュースーーNHKでは、昨年から継続的に、発達障害について取り上げています。今回のキャンペーンでは、11月中旬を中心に、さらにたくさんの番組が放送されると伺いましたが、どんな番組がありますか?NHK 齋藤真貴さん(以下齋藤さん):「今回は、11月の中旬から、約20の番組を集中して放送します。NHKラジオ第一の「すっぴん!」や、「所さん!大変ですよ」「今夜も生でさだまさし」など、バラエティ豊かな番組で、発達障害を取り上げていきます。」ーー特集番組や「あさイチ」や「ハートネットTV」などで今までも発達障害について取り上げてきたNHK。今回のキャンペーンであえて「発達障害って何だろう」をテーマとして選んだ理由は?齋藤さん:「改めて原点からスタートしようと考えました。まず、多くの人に、『発達障害とはどんなものなのか』を知識として知っていただきたいということ。そして、知ったうえで、『発達障害って何だろう』ということを考えるきっかけになれば…という思いです。」ーーLITALICO発達ナビのユーザーさんは当事者や、家族、支援者が多いのですが、発達障害を取り上げる番組があると、たくさんの方が視聴し、感想をタイムラインにあげている実感があります。齋藤さん:「これまで発達障害に関する番組を放送すると、当事者の方々やご家族から大きな反響をいただくこともあり、大変ありがたいと思っています。しかし、当事者の方の「生きづらさ」を軽減するためには、「あまり発達障害を知らない」という周囲の人に、いかに理解をしてもらうかが大切です。そこで、今回は、普段、発達障害に関心がないという人にも、幅広く知っていただくことに挑戦したいと考えました。そうした人に、いろいろなタッチポイントを作って、何らかの形で「発達障害」に触れていただき、考えるきっかけになれば…。キャンペーンのテーマでもある「発達障害って何だろう」と考える過程に、意味があると思っています。そのために、あえて今回は一般の当事者だけでなく、エッセイストの小島慶子さんや、落語家の柳家花緑さんなど、多くの著名人に番組に参加していただいています。そういった方々の力も借りて、より多くの人たちに、繰り返しでも地道に発達障害について伝えることが重要だと考えています。」テレビ番組は、まだよく知らない、関心がない周りの人の認知度をあげて、一緒に暮らしていくために何が必要かを考えるための接点となりやすいと言えます。確かに発達障害のある方の困りごとは、本人の努力では解決しないことも多い。周りの人が知らないことで、軋轢が起きているケースもあるのではないでしょうか?困っている人を街中や職場、学校で見かけたとき「テレビで見たあの特性で困っているのかもしれない」と思い当たることができれば、どうしたらよいか、その糸口になるかもしれません。そしてそんな人が社会に増えることは、発達障害のある人にとって支えとなる場合もありますね。キャンペーンの見どころは?Upload By 発達ナビニュース番組は、キャンペーンに参加する各番組の制作チームが企画しているとのこと。キャンペーン事務局でも企画の相談を受けたり、情報を紹介したりしますが、それぞれの番組らしい切り取り方も楽しみの一つです。テレビ番組を集中的に編成することで、幅広い視聴者に出会っていただける可能性が高くなります。ひとつの番組だけでなく、様々な角度から「発達障害について」知るチャンスは貴重です。齋藤さん:「このキャンペーンは、一時的なものではなく、息の長い取り組みを目指しています。11月に集中的に番組を放送するのは、言ってみればキャンペーンのスタートをお知らせする「号令」のようなものです。その後も、例えば、2分アニメシリーズ「ふつうってなんだろう?」などは、スポット的に放送されるので、いろいろな曜日、時間帯で目にするかもしれませんね。インターネットやイベントなどでも、NHKの番組や取り組みに触れていただき、それをきっかけに、みなさん一人ひとりが、発達障害について考えていく、というようなキャンペーンにできたらいいなと。これからも多面的にキャンペーンを展開していきたいと思っています。」発達障害は外見からはわかりにくいと言われています。特に、関心や接点のない人の理解を得ることは簡単ではありません。そんな時、テレビ番組で多様な角度から発達障害について映像で伝えてくれたなら…「発達障害とは何だろう」その言葉は、きっと多くの人の考えるきっかけとなってくれるのではないでしょうか。キャンペーンの概要Upload By 発達ナビニュース24日の特番「発達障害って何だろうスペシャル」を始め、さまざまなラインナップで番組が放映されます。番組放送日時はリンクからご覧ください。Upload By 発達ナビニュース放送予定・ハッシュタグで感想をつぶやこうツイッターのハッシュタグ「#発達障害って何だろう」も展開しています。Twitterをご利用の方は、ハッシュタグ「#発達障害って何だろう」でぜひ感想をご投稿ください。・発達障害の情報を集めた特設ページも開設発達障害の情報を集めたウェブサイトも展開しています。発達障害の基礎的な情報や、当事者から集めた困りごとの対処法「困りごとのトリセツ」を紹介。その他関連番組の放送予定や番組内容の詳細についても情報を掲載しています。【キャンペーン】発達障害ってなんだろう(1)「発達障害って何?」Upload By 発達ナビニュース「困りごとのトリセツ」キャンペーンや関連番組の詳細は今後も随時決定していくとのこと。最新情報は上記ウェブサイトに更新されます!どうぞお楽しみに!画像提供:NHK
2018年11月20日今までの障害を扱う番組とは違う!?「u&i」の企画に共感して監修委員に2018年にNHK Eテレで始まった「u&i」。私は民間企業にて障害児者支援をする立場から、多様性をテーマにした教育番組の監修委員を担当しています。「u&i」は感覚過敏や身体障害、発達性協調運動障害、そして今週は学習障害をテーマに、生きづらさを感じている人と周りの人の気持ちを対話しながら探る番組です。Upload By 野口あきな「多様性を大切にする社会づくりのための番組を本気でつくるんだな」それがu&iの企画について、NHKのディレクターさんにお話をお伺いした時に思った印象です。この10年間、実際の就労支援や教育現場において多くの「障害のある人」と日常的に関わる中で、社会の側にある「差別」や「偏見」というものに何度も何度もぶつかってきました。それをなくすためには、障害のある人を取り巻く社会環境の変革していく必要がある。障害のある人に日々接する機会がない人、これまで出会ったことのない一般の人に障害を広く知る機会を提供するためには、メディアの存在が重要であることは言うまでもないでしょう。一方、これまで「障害」に関する番組やメディアは、「障害のある人も頑張っている」「理解をして助けてあげよう、応援しよう」といった趣旨のようなものが多かったように思います。それに対し私自身、嫌悪感を持つことも少なくありませんでした。「障害のある人は困っているから、理解して助けよう」的なメッセージの番組だったら嫌だな、と思っていたのですが、企画を聞くとu&iは私がこれまで目にした番組とは趣旨が異なることがわかりました。多様性やちがいを大切にする社会は、綺麗なことばかりではない。その難しさに真正面から向き合い、それもそれを子どもに伝えるための番組を本気でつくるつもりだ、と思い、その気概に感激し私も監修委員としてかかわることになりました。「障害」について描くことの難しさUpload By 野口あきなメディアはその時代の人が持っている「障害者像」を反映しているように思います。あるいは、逆にメディアが時代の「障害者像」をつくっているという見方もあります。いずれにしても、多くの人が目にするメディアで「障害」が扱われる時、その番組の趣旨や描き方により、誰かが深く傷ついたり誤解を招いたりする可能性が大きくあります。例えばコメディアンのステラ・ヤングさんは健常者の感動を呼ぶために障害者をメディアに取り上げる風潮を批判し、「自分たちを『感動ポルノ』として消費しないで」と社会に投げかけました。たとえメディアをつくっている側としては、差別や偏見をなくそうという趣旨でいたとしても、日常的に障害のある人と接することのない人がその番組を見ることで、障害者像を固定化してしまったり、視聴者の感動を誘うような描き方が誰かを傷つけたりします。一言で「障害者」と言っても、実際には一人ひとり本当に異なります。例えば、車いすにのっている、同じ診断名の身体障害のある人でも、身体的な障害の状況は異なり、そして当然その人の持っている価値観や思い、感じている困難さは異なります。しかし、これまで身体障害のある人に出会ったことのない人がテレビでとある身体障害のある人を見て、その人しか知らなかったら、「すべての身体障害のある人はこういう生活をしている」と過度な一般化をしてしまう可能性があります。目に見えづらく、かつ本当に一人ひとりによって異なる「発達障害」についてあつかうことは、偏見をなくしたり必要な支援につながったりするよりも、「あの人も発達障害じゃない?」などと逆に新たな偏見を生んだり助長したりしてしまう可能性もあります。「障害」は描き方によって、それは「その場限りの感動ストーリー」で終わってしまったり、固定的なイメージをつくってしまったりします。そうなってしまうと差別・偏見をなくすような、多様性を大切にするような意識改革や行動変容にはつながりづらい。メディアに「障害」を描くことにはこのような難しさがあります。私は、それによって傷つく当事者がたくさんいる可能性を認識した上でメディアでの発信をしていかなければならない、と強く思っています。そんな中、u&iは絶妙なバランスで「障害」や「ちがい」を描いています。以下は私が思っているu&iのこだわりポイントです。「障害名」ではなくそのひとりが困っている状況とその理由にフォーカスUpload By 野口あきなu&iには、ユウとアイという登場人物が出てきます。アイはユウとの関わりや困難な状況に悩んでいます。例えば第1回の「授業に集中したいのに…(感じ方のちがい)」では、ユウの落ち着かない授業中の様子が気になり、授業に集中できないことにアイは悩んでいます。夢の世界に住むサルの妖精、シッチャカ・メッチャカと共にユウのこころの内を聞くことができる「ココロの電話」で、ユウがなぜ困っているか?を聞いてみると、ユウには画鋲がものすごく光って見えたり、太陽の光がまぶしすぎると感じることで、授業中落ち着きがなくなってしまうことが分かります。教室にいる落ち着きのない子。学校でよくある場面です。実際にはこのような状況が起きたとき、「この子は発達障害だから落ち着きがない」とその子にラベルを付けて、その子の障害を原因においてしまいがちです。そして、そのようにその子の障害に原因を置いてしまうと、具体的な解決策につながりづらくなってしまいます。しかし、u&iには障害名は出てきませんし、その子を「〇〇障害」とラベルを付けることはしません。そのため、障害名にフォーカスされず、アイとユウが実際に困っている状況、そしてその理由にフォーカスが置かれます。このような描き方により、「発達障害=〇〇」のような過度な一般化はされません。そして、アイとユウの悩んでいる状況とその理由が具体的に提示されることで、どのような工夫をしたら困らなくなるか?の具体的な解決策を考えることができます。ユウとアイは「ちがう」けど「同じ」u&iでは、ユウとアイにはちがいがあるけれど、かけ離れた存在ではないことを描いています。たとえば、第1回では、アイが悩みの解決策を考えているとき、人間の子どもに詳しいジローはかせが出てきて、「感じ方は人それぞれ」であることを「同じカレーを辛いと感じる人も甘いと感じる人もいる」と自分にも当てはまる身近な例で伝えています。ここでもし「障害」の言葉を使って説明をしたり、自分とはかけ離れた例で伝えてしまうと、あまりにもかけ離れた存在であるという印象を持つでしょう。感じ方は一人ひとり違う。そしてそれぞれ苦手なことも得意なこともある。お互いのちがいを知ることで、お互いにきもちよく過ごすことができる。「普通の人」と「普通じゃない人」がいるのではなく、だれもがちがっていて、なおかつ同じ存在であるというメッセージがちりばめられています。ユウとアイは対等で、流動的な関係性Upload By 野口あきな社会の中には障害のある人は「助けてあげるべき存在」と思っている人はすくなくないでしょう。私はそのような番組や学校の授業に非常に違和感を持っています。「助けてあげるべき存在」という考え方そのものが障害のある人を下に見ているからです。みなさんがもし街中で困っている障害のある人に出会ったとき、「助けよう」と思うと思います。それは、「困っているから」助けるのでしょうか。もしくは「障害があるから」助けるのでしょうか。たとえば障害のない、困っている人がいたらどうしますか。私は、困っているその人に障害があってもなくても助けたい、と思います。そして自分が困っていたら誰かに助けてもらいたい、と思います。私はこれまで多くの障害のある人に助けられてきました。u&iはアイとユウの対等な関係性を描いています。状況によってアイがユウを助け、ユウがアイを助ける。ユウがアイを困らせることも、アイがユウを困らせることもある。どちらかが「助ける側」、どちらかが「助けられる側」という固定的な関係性ではなく、状況によって、流動的で対等な関係性を描いています。解決策を考え続けることこそが一番大切な解決方法Upload By 野口あきなu&iの特徴的なところは、「このように接したほうが良い」や「こうするのが正しい」のように、断定的に解決方法を提示しないことです。シッチャカ・メッチャカとの会話の中で解決方法はたくさん提案されますが、「唯一の正しい答え」は提示されません。障害のある人もない人も、当然一人ひとり違う思いや考えを持っています。そしてそのときの状況や相手によって望んでいることは異なります。そのため、相手が困っているときに勝手に解決方法を決めつけてしまうのは失礼です。困っている理由も解決策も一人ひとり違う。それを前提としたとき、唯一の解決方法は、どうすればいいか、共に考え続けることではないでしょうか。キャラクターが生み出すコミカルさと親しみやすさUpload By 野口あきな「障害」や「ちがい」による困難さについてのトピックや番組は、どうしても「感動」や「重い」雰囲気に描かれがちですが、u&iでは非常にカジュアルに描かれています。冒頭からシッチャカ・メッチャカがユーモアを交えた会話をしており、見ている側はくすっと笑ってしまいます。コミカルな会話の中にさりげなく「ふつうって何?」のような本質的な問いが出てきたりします。「夢の世界」という設定や、シッチャカ・メッチャカやジローはかせの存在が、親しみやすさを感じさせているのでしょう。そして、声優をきゃりーぱみゅぱみゅさん、伊野尾慧さんがしてくださることにより、これまでこのようなテーマに触れることのなかったたくさんの方たちが見てくださっています。さいごにu&iは大人が見ても感じることがたくさんあります。そして、子どもたちには、大人の考えや感想に邪魔されずに見てほしいです。その上で、感じたことを対等にお話してもらえると嬉しいです。私は本当はこのような番組がなくても、日常的に多様なちがいと接し、知ることのできる機会がある社会をつくりたいです。そして、テレビにも映画にも障害のある人が特別ではなくふつうに出演していることが当たり前の社会にしたいです。そのために自分ができることを、u&iの監修を通じて考え続けたいと思います。【放送】Eテレ 毎週水曜 午前9:00~9:10(全10話)【声の出演】伊野尾慧(Hey! Say! JUMP)、きゃりーぱみゅぱみゅ、笹野高史【脚本】西田征史(朝の連続テレビ小説「とと姉ちゃん」などで知られる人気作家)【音楽】サキタハヂメ(Eテレ「シャキーン!」をはじめ、ドラマ、CM、舞台などで活躍)毎週水曜日の放送後はインターネットの「NHK for School」でも配信されます。下記リンクをご参照ください。 | NHK for School第4回サブタイトル「なんで覚えられないの?」(放送日:2018年11月21日、28日)テーマは「読み書きの苦手」。知的に問題がないにも関わらず、文字を読んだり書いたりすることに苦手を抱える子どもは少なくないが、努力が足りないと勘違いされることも。アイは学芸会の劇で、ユウがセリフを覚えないことにいらだっていた。だが、ユウの特性や努力などを知り、一緒に苦手を克服する手立てや、ユウの得意なことをどう活かすかを考えていく。
2018年11月19日真空管電圧計の製造からスタートして日本を代表するAVメーカーに成長。現在はAVやゲームのハードウェア製造にとどまらず、音楽、映画、金融など多種多様な事業を展開するソニー。その、世界に誇る巨大企業は科学教育発展のための助成財団を運営しています。その助成財団「ソニー教育財団」が設立された経緯、その主な活動内容について公益財団法人ソニー教育財団理事長・高野瀬一晃さんにお話を聞きました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹(ESS)写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)ソニー創業時から教育振興の重要性を説いた創業者・井深大現在のソニー教育財団という名称になったのは2011年からですが、その大本となる教育助成活動がはじまったのは1946年の創業から13年後の1959年のこと。じつは、ソニーの創業者である井深大は、創業時の『設立趣意書』のなかですでに教育振興の重要性を説いているのです。当時、まずはじめたのは「ソニー小学校理科教育振興資金」というものでした。とはいえ、教育の助成をするにも会社の資金に余裕がないとできるものではありません。ソニーの経営が軌道に乗ることとなった大きなきっかけは、トランジスタラジオ、それからテープレコーダーのヒットでした。当初のテープレコーダーは軍が使っていたような大型のものです。それを小型化し、コンシューマー向けのものを開発した。最初の主なお客は裁判所でした。裁判記録をつくるため、速記に代わってテープレコーダーが採用されたのです。ただ、裁判所といってもそんなにたくさんあるわけではありませんよね。では、次の大きなお客はというと、これが学校だった。1950年から1960年ごろにかけては、NHKが学校向けの教育放送をスタートし、学校では映像や音の活用が加速化するなど「視聴覚教育」が盛んになった時期です。わたしが中高生の頃にもLL教室などにテープレコーダーはありましたが、当時はもっと幅広い使われ方をしたようですね。こうして、学校がテープレコーダーを導入してくれたおかげで、ソニーは大きな利益を得ることができました。そして、その利益をどうしたか。井深大は「学校から頂いた利益は学校に還元しよう」と考えたのです。画像提供:ソニー教育財団こうしてはじまったのが「ソニー小学校理科教育振興資金」でした。現在も「ソニーの教育助成論文」として続いています。これは、小中学校の理科の先生から理科教育論文を募り、優秀な論文を執筆した学校に助成金やソニー製品を贈呈するというもの。論文の内容は、たとえば「てこの原理をこういうオリジナルの手法で教えている」というような授業内容についてのもの、あるいは「いま授業で抱えているこういう問題を解決するために今後はこんなことを試してみたい」といったPDCAサイクルのような、先生方が日常的におこなっているアイデアや工夫についてのものです。子どもたちではなく学校、先生に助成金を贈るということには、明白な理由があります。テープレコーダーが大きな利益をもたらしてくれたとはいえ、資金は限られていました。そういう状況において、どうすればより多くの子どもたちの教育を支援できるでしょうか。答えは、「先生を支援すること」です。50人の子どもではなく、50人の子どもを教えている50人の先生たちに資金を使う。そうすれば、2500人の子どもたちの教育に資金が有効活用できます。こうして、学校の先生たちを支援するというかたちとなったのです。子どもの「科学する心」の芽生えを大人にも共有してほしい当初、小中学校を対象にはじまったこの活動も、現在では幼稚園、保育所、認定こども園にまでその対象を広げています。幼稚園等から募集するのは「『科学する心』を育む保育実践」をテーマとした論文です。「科学する心」とは、わたしたちは7つの項目で定義づけていますが、ここではかいつまんで説明しましょう。幼い子どもにとって身近な生きもののひとつに、ダンゴムシがいます。はじめてダンゴムシに触れ、どんどん集める子どももいれば、なかには半分に折って殺してしまうような子どももいるでしょう。でも、そういうことを子どもがしなくなるためには、大人が「殺しちゃ駄目」と言うのではなく、子ども自身が実感として「命の大切さ」を感じる必要がある。植物学とか動物学といったものだけではなく、道徳に近いようなものも含めて理科をとらえる心――それを、わたしたちは「科学する心」だと定義づけています。そして、子どもの「科学する心」が芽生える瞬間をぜひ大人も共有してほしいのです。そのためにはじめたのが、『「科学する心」を見つけようフォトコンテスト』です。これは、子どもが探求し感動した姿をとらえた写真を募集するというもので、2018年でもう12年目になりました。じつは、カメラを通して見ると、普段は気づかなかった子どもの表情に気づくこともあるものです。自然など周囲のものに触れて、子どもは「これってなんだろう?」「不思議だなあ」といった豊かな表情を見せてくれます。それは、まさに知的好奇心の表れです。幼児の頃には、たとえば九九のようないわゆる勉強をすることよりも、興味を持ったものにぐっとのめり込む、遊び込むことが、のちのちの学習能力を高めることになると思うのです。知能指数などでは測れない集中力や興味関心の強さといった非認知能力が、引いては認知能力を高めていくのではないでしょうか。そのためにも、子どもが周囲のものに興味を持つ瞬間、「科学する心」の芽生えの瞬間を、ぜひ親御さんもしっかりと見つめてあげてください。■ ソニー教育財団理事長・高野瀬一晃さん インタビュー一覧第1回:ソニーが“子ども投資”を59年間も続ける深い理由第2回:世界のソニーが手がける「プログラミング教育サポート」(※近日公開)第3回:卒業生400人、みんな理系じゃないから面白い。ソニーの凄すぎる自然教室の全貌(※近日公開)第4回:日本人教員がビックリするのも納得。豪州が取り組むSTEAM(スチーム)教育の凄さ(※近日公開)【プロフィール】高野瀬一晃(たかのせ・かずあき)1954年1月18日生まれ、東京都出身。早稲田大学教育学部卒業。1990年、ソニー株式会社入社。資材調達のエキスパートとして1993年からドイツ、ハンガリー、フランス、スウェーデンなどヨーロッパ各国に赴任。2005年に本社へ復帰し、DI事業本部、テレビ事業本部の資材部門部門長、調達本部本部長、調達担当役員(SVP)などを歴任し、2015年に定年退職。その後、公益財団法人ソニー教育財団理事長を務める。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2018年11月18日専門家・プロ:牧野直子味覚の秋に、ぜひ食べてほしいのが、きのこの炊き込みごはん。きのこ類はたくさんの種類がありますが、「香りまつたけ、味しめじ」というように、それぞれのきのこの香りや風味、食感が違います。そのため、何種類かミックスして使うとよいと言われます。今回は味のよい「しめじ」を選びました。「しめじ」をはじめ、きのこ類は低エネルギーで食物繊維が多いのが特長。食物繊維は野菜だけでは補いきれないので、毎日食べてほしい食材です。手軽にきのこ類をとるには、冷凍しておくのがおすすめ。「しめじ」や「まいたけ」はほぐし、「しいたけ」は薄切りにして、冷凍用保存袋に平たくのばして空気を抜いて、冷凍します。使うときは、必要な分だけ折ってとりだし、みそ汁やスープに加えれば簡単に食べられます。今回のように炊き込みごはんにする場合は、凍ったまま炒めてOKです。もうひとつおすすめしたい秋の味覚は栗。栗は皮をむく作業が大変だという人は、市販されている「むき栗」を使うと便利です。皮つきを使う場合は、栗を45度くらいのぬるま湯に15分ほどつけます。皮が柔らかくなったら、栗のおしり(つやがない方)を実が少し切れる程度切り落とし、包丁か素手で、切り落とした部分から外の鬼皮(硬い皮)をつまむようにはがしていくとらくにむけます。むいた栗は黒く変色しないように水につけましょう。栗もきのこと同様で食物繊維が豊富。そのほか、若返りのビタミンと言われるビタミンEや糖質の代謝を円滑にするビタミンB1、またビタミンCも含まれます。この炊き込みごはんは、炒めた鶏肉のほどよい油脂のおかげで、冷めてもごはんが固くならないので、お弁当にもぴったり!栄養まとめ(きのこ・栗)きのこ類と栗は食物繊維が豊富。低カロリーなきのこで食物繊維を補うよう、毎日食べるのがおすすめ。栗には、若返りのビタミンと言われるビタミンEや糖質の代謝を円滑にするビタミンB1が含まれている。きのこと栗と鶏の炊き込みごはん1人分292kcal 塩分0.8g材料(6人分)米2合だし汁2カップしめじ小1パックむき栗100g鶏もも肉小1枚植物油小さじ1しょうゆ・みりん各大さじ1塩小さじ1/4小ねぎ1本作り方1)米は洗ってざるにあげておく。しめじは、石づきを切り落としてほぐす。鶏もも肉は1cm角に切る。小ねぎは、小口切りにする。2)フライパンに油を熱し、鶏もも肉を炒めて、白っぽくなったら、しめじ、むき栗を加え、さっと炒め、油がまわったら、しょうゆ、みりん、塩を加えて炒める。3)炊飯器に米、だし汁を入れ、1)をまんべんなく広げてのせて炊く。4)全体を混ぜて器に盛り、小ねぎをのせる。牧野直子(まきのなおこ)管理栄養士、料理研究家、㈲スタジオ食(くう)代表。大学在学中から栄養指導や教育活動に関わる。メディア(雑誌、書籍、テレビほか)をはじめ、料理教室、講演会、病院や保健センター等で幅広く活動。わかりやすく、実践しやすい指導をモットーに、生活習慣病や肥満の予防・改善のための食生活指導や栄養指導に携わるほか、健康によく、簡単で、おいしい料理の提案を行っている。著書に「元気塾弁」(女子栄養大学出版部)、「病気にならない新・野菜を食べる健康法」(マガジンハウス)、「2歳からのごはんBOOK」(NHK出版)、「ひと目でわかる料理の手習い帖」(池田書店)など。
2018年11月16日発達障害の感じ方の違いや生きづらさを、2分間で伝えるアニメUpload By 発達ナビ編集部2018年11月にNHKで放映がスタートした2分アニメシリーズ「ふつうってなんだろう?」。毎回当事者が登場し、自身の体験を元に発達障害のある人の感覚の違いやそこから起きる軋轢について、アニメーションで伝える番組です。NHKでは11月中旬から「発達障害キャンペーン」が始まりました。このアニメーションはそのキャンペーンの一つとして11日からスタート。総合テレビとEテレで随時放送予定です。発達障害のある人の困りごとをアニメで表現番組では、特性からの困りごとや生きづらさを抱えながら、前向きに生きる発達障害当事者が自分にとっての「ふつう」とは何かを語ります。その一人が落語家の柳家花緑さん。11日から始まった第1回では、文字を読むのが苦手という花緑さんが、学校での勉強は苦手だったけれど、耳から覚えた噺を語る落語家になった今、子どもたちに伝えたいこととは…?Upload By 発達ナビ編集部また普段の生活でも外出先で、さまざまな刺激を感じてしまうというフミヤさん。「ほかの人と感覚が違う」感覚過敏などの特性で悩んできました。一体、フミヤさんはどんな風に刺激を感じているのか、アニメーションならではの映像と音で描きます。アニメを制作するのは新進気鋭のクリエイターたち。毎回違う作風も、発達障害のある人の多様な世界を表現するのにぴったりです。Upload By 発達ナビ編集部「ふつうってなんだろう?」から始まるUpload By 発達ナビ編集部発達障害のある人の感じ方や行動は、定型発達の人とは違うこともあります。同じ発達障害のある人でも、その特性によって一人ひとり、多様で独特な感じ方をしています。そのことで、生きづらさを感じることもあるでしょう。ですが、違うことで生まれる摩擦を描くこのアニメシリーズを見ることで、「私にとっての「ふつう」は、誰かの「ふつう」とは違うかもしれない。」そんな風にも思えてきます。そして感じ方に「ふつう」も優劣もない、あるのは一人ひとりの違いだけ…。もしその違いから軋轢が生まれるとしたら、それを知った私たちには何かできることはあるのでしょうか?多様な人の感じ方やその人の困りごとを2分間という短い映像で見せてくれる「ふつうってなんだろう?」。発達障害のある人の、一人ひとりの声から、違いのバリエーションや困っていることも人それぞれと知ることもできます。ぜひ多様な世界の見方を、アニメーションを通じて、家族や周りの人と覗いて見てください。総合テレビとEテレで随時放送予定。番組詳細は以下のリンクからご確認ください。2分アニメシリーズ「ふつうってなんだろう?」NHK健康ch
2018年11月16日こどもと見つけた小さな発見日誌
育児に遅れと混乱が生じてる !!
ムスメちゃんとオコメちゃん