きちんと払っていれば、誰もがもらえるはずの年金。老後の生活には欠かせないが、場合によっては「もっともらえるはずだった」なんてことも。受け取り漏れのないよう、賢い受給方法を知ろう。「9月の総裁選では、“安倍首相の3選”が有力視されています。今年4月には、財務省『財政制度等審議会財政制度分科会』で『厚生年金の支給開始年齢を65歳から68歳に引き上げる』という案が議論されました。すでに年金財政はカツカツですが、安倍首相が再選した場合、世論への影響を考えて、支給開始年齢の引き上げは“今年中”には実行しないでしょうね。しかし、こうした年金財政のなか、いつなにが起こるかわかりません。自分が受け取れる年金額は、自分の知識で守っていく必要があるんです」こう語るのは、年金制度に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。年金についての制度は把握できても、実際自分を取り巻く環境は大きく変わる可能性がある。夫との離婚や、死別、さらには親の介護による“家計難”を不安に感じている人も多いだろう。そこで加谷さんに、夫との死別における、主婦の賢い年金受給法を教えてもらった。【ケース:死別】受け取れるはずだった未受給の年金は必ず請求を!夫が70歳に繰り下げて年金を受け取るつもりだったのに、待機中の69歳で死亡してしまったとする。この場合、「65歳からもらえるはずだったぶんの年金を請求できる」と加谷さんは話す。「4年間分の夫の年金は『未支給年金』となりますので、妻が年金機構に申請すれば、さかのぼって受給することが可能です。さかのぼれるのは、年金受給日の翌月初日から起算して5年間。たとえば69歳10カ月で夫が亡くなった場合、あと2カ月で時効になってしまうケースも出てきますので、急がなければなりません。また、未支給年金を妻が受け取る場合は相続財産ではなく、一時所得となりますので、50万円を超える場合は確定申告が必要です。50万円を超える部分の2分の1の金額が、課税対象となります」
2018年08月23日きちんと払っていれば、誰もがもらえるはずの年金。老後の生活には欠かせないが、場合によっては「もっともらえるはずだった」なんてことも。受け取り漏れのないよう、賢い受給方法を知ろう。「9月の総裁選では、“安倍首相の3選”が有力視されています。今年4月には、財務省『財政制度等審議会財政制度分科会』で『厚生年金の支給開始年齢を65歳から68歳に引き上げる』という案が議論されました。すでに年金財政はカツカツですが、安倍首相が再選した場合、世論への影響を考えて、支給開始年齢の引き上げは“今年中”には実行しないでしょうね。しかし、こうした年金財政のなか、いつなにが起こるかわかりません。自分が受け取れる年金額は、自分の知識で守っていく必要があるんです」こう語るのは、年金制度に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。年金についての制度は把握できても、実際自分を取り巻く環境は大きく変わる可能性がある。夫の定年や、死別、さらには親の介護による“家計難”を不安に感じている人も多いだろう。そこで加谷さんとファイナンシャルプランナーの中村薫さんに、そのような「老後の不安ケース」ごとに、主婦の賢い年金受給法を教えてもらった。【ケース:夫の定年、再就職】“在職中の年金”、その減額のボーダーラインを把握しておこう!「年金の支給開始年齢に達していれば、再就職をしても年金は受け取ることができますが、一定以上の収入があった場合、年金受給額は減額されます」(加谷さん)夫が定年後の65歳でも、家計のために再雇用や再就職を選択する家庭も多いだろう。その場合、年金月額と給料を合わせて46万円を超えると、年金が減額されることに。「超えた分の2分の1が、年金支給額から減額されることになります。年金月額が25万円+再就職先からの給料が25万円だとすると計50万円ですので、4万円が超過分となり、2分の1の2万円が減額されることになります」(加谷さん)年金とは別に夫の収入を確保するためには、「46万円の壁」があるといってもいいだろう。【ケース:親の介護】介護費用を「前倒し受給」でまかなうのは×。数々の年金を失う場合も!「夫が定年、夫婦とも無職だが、老いた両親の介護により家計が苦しくなってくる人もいます。しかし、生活が苦しいとしても、『前倒し受給』はデメリットが大きいのであまりおススメしません。繰り上げると実際より前に65歳になったと仮定されますので、もしも65歳までのあいだに事故や病気などで障害を負っても、障害年金の請求もできなくなるんです」(中村さん)妻が前倒しで年金を受給していた場合、夫が死んだときに給付される遺族年金等も不利になることがある。ライフイベントごとで、「受け取れるはずだった年金」が受け取れなくなってしまうのはあまりにもったいない。賢く制度を利用して、“人生の危機”に備えよう。
2018年08月23日きちんと払っていれば、誰もがもらえるはずの年金。老後の生活には欠かせないが、場合によっては「もっともらえるはずだった」なんてことも。受け取り漏れのないよう、賢い受給方法を知ろう。「9月の総裁選では、“安倍首相の3選”が有力視されています。今年4月には、財務省『財政制度等審議会財政制度分科会』で『厚生年金の支給開始年齢を65歳から68歳に引き上げる』という案が議論されました。すでに年金財政はカツカツですが、安倍首相が再選した場合、世論への影響を考えて、支給開始年齢の引き上げは“今年中”には実行しないでしょうね。しかし、こうした年金財政のなか、いつなにが起こるかわかりません。自分が受け取れる年金額は、自分の知識で守っていく必要があるんです」こう話すのは、年金制度に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。年金についての制度は把握できても、実際自分を取り巻く環境は大きく変わる可能性がある。夫との離婚や、死別、さらには親の介護による“家計難”を不安に感じている人も多いだろう。そこでファイナンシャルプランナーの中村薫さんに、夫との離婚における、主婦の賢い年金受給法を教えてもらった。【ケース:離婚】「年金分割」はマスト!できれば自分の「厚生年金」を確保しよう25歳で結婚し、婚姻期間は25年間、その間の夫の平均年収が400万円だった場合について、中村さんが解説する。「貯蓄も、離婚時に折半する共有財産も多くないかもしれませんので、『年金分割』を考えるはずです。年金分割とは、婚姻期間の夫の全報酬から割り出される年金額の『最大2分の1』を妻が65歳から受け取れる制度です。このケースで試算しますと、年額27万円ほどが受け取れる額です。これに国民年金の年額約77万円を足しても、100万円ちょっとですので、これだけで暮らしていくのは難しいでしょうね」では、60歳になるまで待って離婚した場合、分割の額はどれだけ増えるのだろう?「夫の60歳までの10年間の平均年収が600万円だったとすると、年額約43万円になりますので、10年我慢して増えるのは年額15.6万円ほどです」まだまだ老後のための額としては心もとない……。そこで中村さんが提案するのが50歳で離婚してからの就職だ。「月収20万円、手取り14万円の会社に就職して60歳で退職した場合は、年額168万円以上の収入があります。さらに自身でも厚生年金を10年間納めることになりますから、65歳からの厚生年金受給額は年額約12万円。こちらのほうが前向きとも言えますね」就職によって得た厚生年金年額は12万円。10年間働いた年収の総額は約1,700万円になる。
2018年08月22日「9月の総裁選では、“安倍首相の3選”が有力視されています。今年4月には、財務省『財政制度等審議会財政制度分科会』で『厚生年金の支給開始年齢を65歳から68歳に引き上げる』という案が議論されました。すでに年金財政はカツカツですが、安倍首相が再選した場合、世論への影響を考えて、支給開始年齢の引き上げは“今年中”には実行しないでしょうね。しかし、こうした年金財政のなか、いつなにが起こるかわかりません。自分が受け取れる年金額は、自分の知識で守っていく必要があるんです」そう話すのは、年金制度に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。この支給年齢の引き上げに加えて、政府と財務省がもくろんでいるのは「支給年金の減額」だ。「これは、現役世代から徴収する年金収入や、国庫金からの年金財源としての支出の上限を固定してしまう『マクロ経済スライド』によるもの。収入が固定されてしまうと、当然、それぞれに給付される年金額は大幅に減ってしまうというわけです」年金減額も“待ったなし”の状態——この状況に、50代の主婦は不安を漏らす。「65歳になっても年金が減るなら、60歳になったときに前倒しでもらっちゃったほうがいいんじゃないかしら……?」厚生年金、国民年金の受給年齢を繰り上げた「前倒し」受給は果たして正しい手段なのか、加谷さんに解説してもらおう。「前倒しの場合は、支給額は減りますが、早く受給できる。反対に、後ろ倒しの場合は、額が増えますが、死亡するまでに受給できる年数は減るんです」加谷さんの試算をもとに、厚生年金、国民年金における、「60歳前倒し」と「70歳後ろ倒し」の場合の、死亡年齢(60〜100歳の範囲として)までの「生涯受給額」を折れ線グラフで表し比較してみた。真ん中を通る「現行65歳」の線を軸に比較すると、まず前倒しの場合は76歳時点で同額となり、以降は年ごとに減っていく。「後ろ倒し受給を選択したとすると、81歳まで生きれば、本来の65歳で受け取る額より多くもらえます。しかし、人はいつ自分が死ぬのかわからない、ということを念頭に置く必要があるでしょう」一方、「前倒しにもデメリットがある」と話すのは、ファイナンシャルプランナーの中村薫さんだ。「前倒し受給というのは、60歳から64歳までの段階で『65歳になった』と仮定されるものです。すると、60歳からの5年間は『国民年金の任意加入』の対象外となってしまうんです。なぜなら、65歳になってしまうと、この『任意加入』の制度は利用することができないからです」中村さんが語る「国民年金の任意加入」とは、納付期間10年間という受給資格を満たしていない場合と、納付期間が40年未満の場合に追加で加入できる制度。60歳以降も保険料の納付済期間を増やすことができ、老齢基礎年金の額が増える。この制度を利用できなくなるのだ。また前倒し受給には次のデメリットも。【1】夫が前倒し受給した場合、実際より前に65歳になったと仮定されるので、65歳までのあいだに事故や病気で障害を負っても、「障害年金」の請求ができなくなる(障害年金は障害の度合いによって支給額がかわる)。【2】夫が定年後の65歳で復職する場合、年金の支給停止期間中は厚生、国民どちらかの年金がもらえない。【3】妻が前倒し受給した場合、夫が自営業で死別した場合に支給される「寡婦年金」ももらえなくなる。前倒し、後ろ倒しそれぞれの受給方法はメリット、デメリットがはっきり存在しているので、しっかりと把握しておきたい。
2018年08月22日老後の生活と聞くと、まずイメージするのが「定年」、そして「年金」。現在の定年は65歳とされていますが、65歳を超えても現役で働いていらっしゃる方は珍しくありません。一方で引退後の暮らしを支える「年金制度」は、予測できない将来のリスクを社会全体で整え、生活を保障していくものであるとされています。しかし、その仕組みの複雑さから自分がいつから、いくら貰えるのか、分からない人も多いというのが現実。皆さんはこの引退年齢と年金についてどう捉えているのでしょうか?働く主婦にそれらの意識について聞いてみました。freeangle / PIXTA(ピクスタ)■ 理想の引退年齢は30%が65歳以上!まさに生涯現役社会の到来!?働く主婦層を対象にした「引退年齢と年金」のアンケートによると、自身の理想の引退年齢は、65歳以上が30.1%とトップ。cba / PIXTA(ピクスタ)次いで、70歳以上が27.7%。全回答者の平均は68.4歳という結果となりました。驚くことに80歳以上を理想の引退年齢と回答された方は10%に上り、高齢になっても働きたいとするポジティブな考え方が印象的です。■ 70歳以降の「年金受給開始年齢の選択可能案」に40%が反対!自身の理想の引退年齢について、全体的に“長く働きたい”という傾向がみられました。しかし、政府が検討している「年金受給開始年齢を70歳以降でも選択可能」という案について賛成か、反対かについての回答を見てみると……。反対派が40%にのぼり、賛成、分からないと回答した人はは3割という結果に。Rina / PIXTA(ピクスタ)反対派の理由としては定年年齢と支給受給年齢が同時でないと意味がない何歳まで生きられるか分からないなどが挙げられます。nonpii / PIXTA(ピクスタ)逆に賛成派・分からないと回答人たちは、昔の70歳より今の人は若いそうしないと年金制度が維持できない受給開始年齢が選択性であれば問題ない元気でいれば賛成、病気になれば反対生活の状況によって決めるべきという回答が挙がりました。自身の引退年齢の理想はポジティブな姿勢が感じられる反面、受給開始年齢については回答の内容から年金ついての不安が感じられる。ここに、大きなギャップが生じていることが分かります。■ 老後の蓄えを知るには、年金の見込額を確かめることが大事!ahirun / PIXTA(ピクスタ)なるべく長く働きたいが、高齢者が働く環境は整っているかが分からない。将来自分がどれくらい長生きできるのか分からないため、受給開始の年齢はいつがベストなのか今現在は不明。しかし、少子化が進む現在、年金制度を支える人口はこれからも減少していくのは事実です。ahirun / PIXTA(ピクスタ)老後の備えについての考え方は人それぞれですが、まずは生活基盤となる年金をいくら受け取ることができるか、見込額を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。例えば、『日本年金機構』の「ねんきんネット」であれば現在の仕事状況や、今後の働き方なとの試算条件に回答すると、見込み額の把握が可能となります。ねんきんネット以外にも見込み額のシミュレーションなどはインターネットで可能です。見込額を把握することは、将来の幸せを考えるきっかけの1つになると言えるのではないでしょうか。いかがでしたか?筆者も高齢になっても、働き口があるのであれば少しでも働いていたい派です。高齢になっても働きたいと考える人が多い現代、この状況をプラスに捉え、近い将来高齢者が働くことができる場所や環境が整うことを期待したいですね。【しゅふJOB総研調べ】【参考】※<年金もらうなら65歳?68歳?70歳?>働く主婦に『引退年齢と年金』に関するアンケート/理想の引退年齢:平均値68.4歳※公的年金制度の概要-厚生労働省※年金見込額試算-日本年金機構
2018年05月16日「今回の財政制度分科会で議論された『年金支給65歳→68歳引き上げ』案は、“日本の年金財政はカツカツだ”ということを、言い表しているようなものなんです」 こう語るのは、国の財政事情に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。 4月11日、財務省の「財政制度等審議会財政制度分科会」で議論されたのは、「厚生年金支給開始年齢を、現行の『65歳』から『68歳』へと引き上げる」という案だった。 しかし19日、この案を財務省とともに練っている厚生労働省は「68歳への引き上げを見送る」という見解を発表したと報道されたが……。 「あくまで厚生労働省の独自見解。年金財政が逼迫しているという事実は変わりありません。もとより財務省が先導する事案ですので、引き上げの方針を打ち出した財務省の方針にも注目しなければなりません」(加谷さん) このタイミングで“厚生年金の受給年齢引き上げ”が議論されているのはどうしてなのだろうか。 「度重なる問題で窮地に立たされている安倍政権は、3期目に突入した場合、約束していた『’19年10月の消費増税10%』を凍結させる可能性があります。そのうえ首相は、自身の政治課題としていた『’20年度の国の税制健全化』という目標を事実上、取り下げてしまいました。財務省としては、それによる財政の悪化を恐れて、いま出してきたんでしょう」 もし、支給開始がほんとうに引き上げられたら……。いずれ来るものならば、その対策はしておかなければならないはず。そこで、知っておきたい「年金対策術」を考えてみたい。 【1】「年金納め忘れ」していないか確認を! 「転職活動をしていたり、年金手続きをいい加減に行っていた“ブラック企業”に勤めていたりすると年金を納め忘れている可能性があります」(加谷さん) しっかりと自分が年金を納め続けているか、それを確認できるのが自宅に届く「ねんきん定期便」だ。ファイナンシャルプランナーで「元気が出るお金の相談所」所長の安田まゆみさんが解説する。 「国民年金も厚生年金も、加入記録や年金の見込み額が記載されたはがき『ねんきん定期便』が毎年の誕生月に日本年金機構から送られてきます。誤配送されていて何年も届いていなかった方で、じつは納め漏れがあったというケースもありますから、毎年キチンと受け取っているかは確認しましょう」 この「ねんきん定期便」、見方がわからなければ年金機構に電話すると教えてくれるが、「時間があれば年金機構の窓口を訪ねるのがいい」と安田さんは話す。 「もし納め漏れがあった場合、5年間さかのぼって納められる後納制度がありますが、今年の9月いっぱいで打ち切られてしまいます。でも、それまでに全部納めようとすると多額になってしまう場合もありますね。そんな場合には、60歳から70歳までも納められる『国民年金の任意加入制度』があります。これも年金機構に問い合わせてみるといいでしょう」 年金の納付状態は、年金機構のホームページ「ねんきんネット」でも確認することができる。利用するには年金手帳に記載されている「基礎年金番号」が必要なので、年金手帳も定期便といっしょにわかりやすい場所に保管しておこう。 【2】「前倒し」「後ろ倒し」受給は使うべき? 現行では、支給開始年齢は65歳。しかし、60歳から前倒して受給できることが可能だ。「早く年金が欲しい!」と手を出してしまいそうになるが……。 「たとえば60歳から受給すると、65歳から受け取れる額の30%減となってしまいます。そして、その減額率は亡くなるまで変わらないんです。逆に、1年後ろ倒しするごとに、受給できる比率は上がっていきます。でも、どんどん年を重ねていくわけですから、亡くなってしまう日が確実に近づいていく。受給前に死亡してしまえば、年金は受給額ゼロなんです。この制度は、特別な事情がない限り、手を出す必要はないでしょうね」(加谷さん) 【3】やはり「生涯労働」は考えておこう 「年金受給引き上げも含め、安倍政権が“一億総活躍社会”を掲げてもくろんでいるのは、国民の『生涯労働』だというのは明白です。高齢者の雇用としては、介護、接客、サービス業、メンテナンスなどの軽作業を伴う労働などが考えられます。元気な限り働き続けることは考えておくべきでしょう」(加谷さん) 【4】いまや資産運用は「マスト」です! 安田さんは、老後の資産難への対策として「投資はマスト」と語る。 「投資などの資産運用は、バリバリ働ける50歳ごろまでには始めたほうがいいですね。月5万円貯金できるとすれば、そのうち1万円をiDECO(個人型確定拠出年金)のような、所得控除の対象となるものや、つみたてNISA(非課税の小額投資)など、毎月コツコツと分散投資できるものから始めるのがいいと思います。65歳までの15年も続けていれば、そのときどきで投資資産の増減はあるにしても、長期による積立投資で資産全体が増える可能性は大いにあります。しかし、投資はキチンと勉強してから。いろんな金融機関で勉強会が開かれていますが、いつのまにか高い商品を買わされてしまうという例もあります。金融機関がついていないNPO『確定拠出年金教育協会』などの団体の運営サイトをのぞいてみることから始めるのもいいでしょう」 理不尽な国策でも、自分の身は自分で守らなければいけない時代。しっかりと対策を立てて損はないだろう。
2018年05月04日「『超高齢社会』といわれて久しい日本。厚生年金や国民年金の徴収分だけではすでに、65歳以上の受給者への支給額を賄えなくなってきています。今回の財政制度分科会で議論された『年金支給65歳→68歳引き上げ』案は、“日本の年金財政はカツカツだ”ということを、言い表しているようなものなんです」 国の財政事情に詳しい経済評論家の加谷珪一さんは、こう話す。 4月11日、財務省の「財政制度等審議会財政制度分科会」で議論されたのは、「厚生年金支給開始年齢を、現行の『65歳』から『68歳』へと引き上げる」という案だった。 しかし19日、この案を財務省とともに練っている厚生労働省は「68歳への引き上げを見送る」という見解を発表したと報道されたが……。 「あくまで厚生労働省の独自見解。年金財政が逼迫しているという事実は変わりありません。もとより財務省が先導する事案ですので、引き上げの方針を打ち出した財務省の方針にも注目しなければなりません」(加谷さん・以下同) このタイミングで“厚生年金の受給年齢引き上げ”が議論されているのはどうしてなのだろうか。 「度重なる問題で窮地に立たされている安倍政権は、3期目に突入した場合、約束していた『’19年10月の消費増税10%』を凍結させる可能性があります。そのうえ首相は、自身の政治課題としていた『’20年度の国の税制健全化』という目標を事実上、取り下げてしまいました。財務省としては、それによる財政の悪化を恐れて、いま出してきたんでしょう。財務省もいまそれどころではないはずですが……」 森友学園の文書改ざん問題、福田事務次官の女性記者へのセクハラ問題……問題を起こしているのは財務省のほうなのに、なぜ、こうも国民が苦しい思いをしなければならないのかーー。 加谷さんは、財務省が描く「年金削減構想」について説明する。 「国民から徴収している保険料が年間およそ33兆円、国が支出する分が12兆円、計45兆円が年間で用意できる保険料です。しかし、いま年金支給に必要な財源は50兆円なので、5兆円足りない計算なんです」 そもそも、国が’04年より導入したシステムに問題があると加谷さんは説く。 「’04年以降、年金財政のシステムは現役世代が納められる額や、国庫金からの支出の『上限を固定する』という考えです。ですから、高齢者の人口が増えれば、年金給付額を大幅に減らすことが念頭にあったんです。分科会では、3年引き上げによるメリットとして、『高齢就労の促進』を挙げています。しかし、いまの日本は『人手不足』で、高齢者も就労意欲が高いのはもともと。取ってつけた口実のようにもみえますね」 さらに、目前の’25年には団塊の世代が75歳を迎えることもあり、給付に必要な総額が増大するのは確実なのだ。 「もしも今回は先送りしたとしても、近い将来、支給年齢の引き上げと年金減額は必ずやってくるに違いないと思います。最悪のシナリオは覚悟しておいたほうが賢明でしょう」
2018年05月03日「今回の財政制度分科会で議論された『年金支給65歳→68歳引き上げ』案は、“日本の年金財政はカツカツだ”ということを、言い表しているようなものなんです」 そう話すのは、国の財政事情に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。 4月11日、財務省の「財政制度等審議会財政制度分科会」で議論されたのは、「厚生年金支給開始年齢を、現行の『65歳』から『68歳』へと引き上げる」という案だった。 しかし19日、この案を財務省とともに練っている厚生労働省は「68歳への引き上げを見送る」という見解を発表したと報道されたが……。 「あくまで厚生労働省の独自見解。年金財政が逼迫しているという事実は変わりありません。もとより財務省が先導する事案ですので、引き上げの方針を打ち出した財務省の方針にも注目しなければなりません」(加谷さん・以下同) このタイミングで“厚生年金の受給年齢引き上げ”が議論されているのはどうしてなのだろうか。 「度重なる問題で窮地に立たされている安倍政権は、3期目に突入した場合、約束していた『’19年10月の消費増税10%』を凍結させる可能性があります。そのうえ首相は、自身の政治課題としていた『’20年度の国の税制健全化』という目標を事実上、取り下げてしまいました。財務省としては、それによる財政の悪化を恐れて、いま出してきたんでしょう」 もし、支給開始がほんとうに引き上げられたら……。加谷さんが、厚生年金だけでなく、国民年金や共済年金の受給年齢も引き上げられてしまった場合の“最悪のシナリオ”をシミュレーションしてくれた。 「夫が平均年収600万円のサラリーマンで、妻が専業主婦の場合、65歳から支給される老齢基礎年金(国民年金)は夫が月額6.4万円で、妻が5万円となります。これに会社の厚生年金の月額12万円が加わるので、現行の制度では夫婦の合計が月額23.4万円、年収280万円となります。ところが平均寿命の84歳まで、65歳から19年生きると仮定した場合、年金が減額されると、夫婦で月額7,000円ほど引き下げられる見込みです。さらに、現行より3年分受給できない“空白の3年間”がありますから、含めれば、月額4万4,000円もの減額となるんです」 もちろん、人は自分がいつ死ぬかわからないのだから、目安として「平均寿命84歳」としているが、そこまで生きたとしても、なんと月額4万円超もの減額とは、とても大きな“損失”だ。 「夫が公務員で妻が専業主婦の場合、年金が減額されると、夫婦で月額7,600円ほど引き下げられる見込みで、“空白の3年間”を含めれば、およそ月額4万7,600円もの減額となってしまいます。夫が自営業者で、妻が専業主婦の場合は夫婦で月額3,700円ほどの引き下げ。“空白の3年間”の分を含めれば、月額2万3,700円もの減額となってしまうんです」
2018年05月03日自分たち夫婦が年金をいくらもらえるか、あなたはご存知ですか?「共働きだから年金も2倍もらえる」「共働きで今は大変だけど、老後は夫婦で厚生年金がもらえるから大丈夫!」と考えているかたは、もしかしたら危険かもしれません。今回は、知らないと損する「共働き夫婦の年金のこと」についてご紹介します。 1. 共働き夫婦が得られる年金の平均金額平成28年度の厚生労働省の調査によると、老齢年金受給額の月額平均額は、男性が166,863円・女性が102,708円となっています。男女合計で月に269,571円支給されるということですね。ただし、妻が入社からずっと正社員で働いている場合や、子育て等で途中専業主婦やパートになった期間があり、契約社員や正社員として働いている場合等では、もらえる年金の金額も変わってくるので、一概には言えません。年金の仕組みをおさらい年金は日本在住で20歳以上60歳未満のすべての人が加入する「国民年金(基礎年金)」と、会社員や公務員が加入する「厚生年金」の2階建てとなっています。今回は「共働き夫婦の年金」のお話なので、主に厚生年金についてご紹介します。国民年金の保険料は全員定額。厚生年金の保険料は収入に対して定率となっており、ひとそれぞれ額が異なります。ちなみに厚生年金保険料には国民年金保険料が含まれています。年金はいつからもらえる?年金受給は基本的に65歳からですが、希望すれば60歳から65歳になるまでの間でも繰上げることが可能。ただし年金額が減額し、一生減額したままです。逆に66歳から70歳までの間で繰下げることも可能です。その場合は年金額が増額し、一生増額したままます。 2. 年金受給金額の試算のやりかた受給金額の試算方法についてご紹介します。65歳以上でもらう場合の計算式は「報酬比例年金額+経過的加算+加給年金額」。具体的には以下のとおりです。報酬比例年金額の求めかた(ア)平均標準報酬月額×生年月日に応じた率×平成15年3月までの被保険者期間の月数(イ)平均標準報酬額×生年月日に応じた率×平成15年4月以降の被保険者期間の月数(ア)+(イ)=報酬比例年金額※平均標準報酬月額=被保険者であった期間の給与の平均金額※平均標準報酬額=給与と賞与を合算した額の平均金額※生年月日に応じた率はこちら経過的加算の求めかた(平成30年4月現在)(ア)1,625円×生年月日に応じた率×厚生年金保険の被保険者月数(イ)779,300円×昭和36年4月以降で20歳以上60歳未満の厚生年金保険の被保険者月数/(加入可能年数×12)(ア)-(イ)=経過的加算加給年金額とは厚生年金保険の被保険者期間が20年以上あり、65歳到達時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)で、その方に生計を維持されている下記の配偶者または子がいるときに加算されます。そのためには届出が必要。・配偶者:224,300円・1人目、2人目の子:各224,300円・3人目以降の子:各74,800円※配偶者は65歳未満であること※配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間が20年※以上であるもの)を受けている場合は支給停止※子どもは18歳到達年度の末日までの間の子か、1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子であること※その他にも注意があるので詳しくはこちら 3. 実際に年金はいくらもらえるのかそれでは実際にいくらもらえるのか、3つのケースでざっくり試算してみたので、参考にしてみてください(あくまでざっくりです)。ケース1:年収500万の共働き夫婦30歳時点で平均年収500万円の共働き夫婦。夫の平均年収が350万円、妻が150万円。お互い60歳まで(38年間)この年収で働く予定の場合。夫:月額約125,000円妻:月額約90,000円計:月額約215,000円ケース2:妻に空白期間がある場合40歳の共働き夫婦で、夫が平均年収500万、妻が10年間専業主婦もしくは扶養内のパートだった。現在は平均年収200万。お互い60歳までこの年収で働く予定の場合。夫:月額約150,000円妻:月額約89,000円計:月額約239,000円ケース3:年収850万の共働き夫婦40歳の共働き夫婦で、夫が平均年収500万、妻が350万。お互いに60歳までこの年収で働く予定の場合。夫:月額約150,000円妻:月額約125,000円計:月額約275,000円※実際に試算したい・試算方法を見てもよくわからない場合は、「ねんきんネット」で試算できます。共働きの年金で損になるケース妻が専業主婦や扶養内パートの場合、妻の年金が月額64,941円(平成30年4月現在)しかもらえないので、共働きのほうがお得に感じますが、「配偶者加給年金」というものがあり、場合によっては共働きで損をしてしまうこともあります。もし妻が夫より年下の場合、妻が65歳になるまで配偶者加給年金として年間224,300万円がもらえます。昭和18年4月2日以後に生まれたかたは165,500円がプラスされ、年間計389,800円も夫の年金として受給できます。10歳差なら400万近くプラスに。しかし配偶者加給年金の条件として、夫の厚生年金加入歴が20年以上で、妻の加入歴が20年未満となっています。配偶者加給年金を受給したい歳の差夫婦の妻は、共働きを20年未満に抑える必要があります。 4. 老後の資金はいくら必要?共働き夫婦の老後に必要な資金についてご紹介します。老後に必要な生活費総務省統計局の「平成29年度家計調査報告世帯属性別の家計収支(二人以上の世帯)」によると、高齢夫婦無職世帯(世帯主平均年齢75.3)の1ヶ月の実収入と消費支出は以下の通りだそうです。1ヶ月の平均実収入:209,198円1ヶ月の平均消費支出(生活費等):235,477円1ヶ月の平均非消費支出(税金):28,240円つまり毎月、54,519円の赤字になっているということです。最低でも263,717円の支出を覚悟しておかないといけないみたいですね。老後に必要な貯金額それではいくら貯蓄が必要なのか。同い年の共働き夫婦だと仮定し、60歳で退職し65歳まで年金をもらわないとなると、その期間だけの必要貯蓄は、支出263,717円×12ヶ月×5年で15,823,020円。65歳から年金受給で90歳まで生きると仮定すれば、赤字54,519円×12ヶ月×25年で16,355,700円必要に。合計約3,200万円の貯蓄が必要になるということですね。また、生命保険文化センターの「平成28年度 生活保障に関する調査(速報版)」によると、「ゆとりある老後生活費」は月額34.9万円だそうです。平均消費支出(生活費等)が235,477円なので、ゆとりある生活を送るために113,523円が毎月必要となるということは、113,523円×12ヶ月×30年で40,868,280円。先ほどの最低でも必要な貯蓄額と合わせると、約7,300円という結果に。少子高齢化社会により、年金額が減っていくといわれています。年金受給中の赤字を覚悟して、最低でも3,000万円以上の貯金が必要みたいですね。 5. もしものことがあったときもしものことを考えるなんて……と思うかもしれませんが、その時突然何かあってからでは遅いため、一応知識だけは知っておくと安心ですよ。もしも1. 夫が死亡した場合年金はどうなる?18歳未満の子どもがいる場合、「遺族基礎年金」が受け取れます。また、「遺族厚生年金」も受け取れます(ただし、30歳未満の子のない妻は、5年間の有期給付)。夫の死亡時に妻が40歳以上65歳未満で、子どもがいない・子どもが18歳以上の場合は、妻が65歳になるまで「中高齢寡婦加算」が加算されます。もしも2. 妻が死亡した場合年金はどうなる?18歳未満の子どもがいる場合、「遺族基礎年金」が受け取れます。夫が55歳以上の場合は、60歳から「遺族厚生年金」が支給されます(夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も合わせて受給可能)。もしも3. 熟年離婚した夫婦の年金はどうなる?離婚後2年以内に手続きすることで、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を分割することができます。分割割合の上限は50%となっており、夫婦で話し合う必要があります。 共働き夫婦といっても、年金だけで老後のお金を賄うことは難しそうです。将来年金がどうなっているのかもわからない時代。60歳で退職した場合は、65歳になるまで貯金でやりくりするしかないため、最低でも60歳になるまでにはまとまった額の貯金が必要でしょう。老後資金を年金以外でも確保するためには、ファイナンシャルプランナーに相談してみて、資金計画をたててみると良いかもしれません。何歳にどのくらいのお金がかかる、どのくらい貯められる……など目安になります。また、個人型確定拠出年金(iDeCo)等、積み立てや投資信託などの運用で、自分で年金制度を作ってみるのも良いかもしれません。60歳以降に年金または一時金で受け取ることができ、節税もできます。老後のことはだれにも分かりませんが、「お金が必要」だということははっきりしているので、今から意識して老後資金を確保するようにしましょう。 参考:日本の公的年金は「2階建て」平成28年度厚生年金保険・国民年金事業の概況老齢年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)年金額の計算に用いる数値は行平均標準報酬月額総務省統計局ホームページ家計調査報告(家計収支編)―平成29年(2017年)平均速報結果の概要「平成28年度 生活保障に関する調査(速報版)」まとまる遺族厚生年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)離婚時の厚生年金の分割個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」とは?
2018年04月24日「公的年金の受け取り開始年齢について、70歳を超えてからも可能とする案を、政府が検討しているようです。現行の制度では、年金は原則65歳からの支給です。しかし、前倒しして60歳から受け取ることも、最長で70歳からに遅らせることもできます」 そう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。65歳より早くもらうのが「繰り上げ」で、1カ月早めるごとに、年金は0.5%減額される。反対に、65歳より遅くもらうのが『繰り下げ』で、1カ月遅らせるごとに0.7%上乗せになる。荻原さんが解説してくれた。 「今、政府が検討しているのは、受給開始が70歳を超えても可能となるよう、選択の幅を広げることです。しかし受け取る側としては、受給を遅らせると、もらえない期間が長くなる一方、上乗せ分で得するために、より長生きしなければなりません。ある意味では、自分の寿命をめぐっての“賭け”ですから、特典である上乗せ率を今より引き上げないと、繰り下げを選ぶ人は少ないでしょう」(荻原さん・以下同) 政府も、70歳を超えた年齢での受給を選択した場合、上乗せ率を引き上げる方針だ。ただし、まだ具体的な年齢は決まっていない。 「仮に75歳とし、上乗せ率を引き上げた場合を考えてみましょう。65~70歳は現行どおりの上乗せ率0.7%で、70~75歳の上乗せ率を0.8%に引き上げたとします(パターンA)。すると、75歳からに繰り下げた場合の年金は90%アップ。65歳からの受給で、月額10万円とした場合、75歳からに繰り下げると、月19万円になる計算です」 パターンAの場合、長生きすると得になり、早く亡くなると損になる「損益分岐点」は86.1歳。これを超えて長生きすると得になる。 「ただし、特に男性で86.1歳より長生きする自信のある方は、どれくらいいるでしょうか。パターンAを選ぶ方は少ないと思われます。ではさらに、上乗せ率を上げてみましょう。65~70歳までは同じ0.7%で、70~75歳を0.9%とします(パターンB)。この場合、75歳からの年金は96%アップです。ただ私は、そもそも75歳からを選択する人は、あまり多くないのではと思います」 高齢となっても健康上の問題がなく、日常生活を制限なく過ごせる期間を「健康寿命」という。男性が71.19歳で女性が74.21歳(’13年・厚生労働省)だ。 「つまり、受給年齢75歳とは、男女とも健康寿命を超えてから。たとえ多めに年金をもらっても、楽しく使えないのでは、意味が薄れてしまうのではないでしょうか。しかし、年金財政の悪化を食い止めたい政府としては、受給開始年齢自体を、現行の65歳から67、68歳へと引き上げたい思惑があるのでしょう。今回の選択制の検討は、その布石ではないかと思います。今後の政府の動きには、ますます注意が必要です」
2018年02月02日「公的年金の受け取り開始年齢について、70歳を超えてからも可能とする案を、政府が検討しているようです。現行の制度では、年金は原則65歳からの支給です。しかし、前倒しして60歳から受け取ることも、最長で70歳からに遅らせることもできます」 そう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。65歳より早くもらうのが「繰り上げ」で、1カ月早めるごとに、年金は0.5%減額される。反対に、65歳より遅くもらうのが『繰り下げ』で、1カ月遅らせるごとに0.7%上乗せになる。荻原さんが解説してくれた。 「たとえば、現行制度で70歳からの受給に繰り下げたとします。すると、65歳から70歳の5年間は年金がもらえませんが、70歳からの受給額は、上乗せ0.7%×60カ月(5年)=42%アップになります。このように受給開始を繰り下げた場合、上乗せ金額と、もらえない期間の金額を比べて、何歳まで生きれば特になるのか、試算してみましょう」(荻原さん・以下同) Pさんの年金は、原則どおり65歳からの受給で、月額10万円とする。これを70歳からに繰り下げると、5年分の10万円×60カ月=600万円はもらえない。だが、70歳以降は10万円×42%=4万2,000円が上乗せされ、毎月14万2,000円を受け取れる」 「もらえなかった600万円を、上乗せ分で回収するには、600万円÷4万2,000円=142.9カ月=11.9年かかります。つまり70歳からの受給に繰り下げた場合、Pさんは81.9歳より長く生きると得、早く亡くなると損になります。この損得の分かれ目を『損益分岐点』といいます」 現在、平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳(厚生労働省)だ。 「これを参考に、先ほどの損益分岐点と、自分の健康状態から「私なら損益分岐点より長生きできるはず!」と思える方が、繰り下げを選ぶことになります」
2018年02月02日「今後、年金の受給開始を70歳に引き上げることが予想されます。一人あたりの医療や介護費は年々増加しています。国を頼りにすることはできないのかもしれません。シニアの生活防衛を考えると、働くことは最善の手段でしょう」 こう語るのは、ファイナンシャルプランナーの八ツ井慶子さん。医療や介護費などの負担増の結果、手取り収入はここ数年、減り続けている。老後のための貯蓄もままならない状況で、いまや死ぬまで働くことが求められているようだ……。 「そんな時代には働くことを前向きに考えることが大切です。シニアには時間がたっぷりあります。女性の平均寿命は87歳。60歳から25年以上の時間を余暇だけで持て余してしまわないでしょうか。働くことで“幸福度”が上がるという研究データもあります。そもそも人間には周りに認められたい、どこかに属していたいという願望があるのです。自分の幸せのためにも、60歳を過ぎてからも、働くことを積極的に考えてみては」 老後の資金に不安を抱える人は少なくない。そんな人も働くことで心配は軽減していくと八ツ井さん。 「老後の資金がいくら必要かよく問われますが、いくら足りないかと考えて不安を感じるよりも、働けるうちはしっかり仕事をして、生活費や老後資金を稼ぐほうが前向きになれます。長く働くことで、完全にリタイアしたあとの生活がラクになります」 年金がもらえる年齢が後ろ倒しになることも予想されるし、さまざまな負担増があることを見越すと月8万円は稼いだほうが安心できると考えられているという。 肝心の求人だが、60歳以上の女性に関しては、先行きは明るいようだ。 「団塊世代が定年退職し、働く現場は人手不足。仕事が円滑に回らないなか、シニアの求人が増えています。とくにコンビニ、ファストフード、飲食店などのサービス業は、シニア女性の“仕事力”が求められているのです」 そう話すのは、シニアライフアドバイザーの松本すみこさんだ。 「お金を稼げるだけでなく社会に出て人と接することで元気になるし、さまざまな刺激があるので認知症にもなりにくくなる。第二の人生として生きがいを見つけている人も多い。シニアの男性の場合はプライドが邪魔をして“こんな仕事できるか”と選びすぎてなかなか就職できなかったり、コミュニケーションが取れずに、職場で苦労したりすることもあります。その点、女性の場合は、柔軟で協調性もあるので、60歳以降の女性が活躍できる職場は増えているのです」
2017年12月20日年金の支給額が引き下げられるなかで、老後を支える役割が増している退職金。ところが、退職金の平均支給額が、大企業の場合、10年間で500万円以上も減少している。『退職金貧乏』(祥伝社新書)の著者で、久留米大学の塚崎公義教授が解説する。 「バブル崩壊後、不況に陥っていた20年ほど前に、日本の会社の体質が大きく変わりました。それまで“従業員の共同体”だった会社が、欧米のように“株主のもの”というグローバルスタンダードになっていったのです。つまり会社の利益は従業員へ分配されるより、株主への配当が重視されるようになった。結果として、従業員の長期雇用や、退職後の生計を支える目的で、当たり前のように定着していた退職金制度も、その額も、見直されるようになりました」(塚崎教授) グローバル化により、勤続年数で給料が上がっていく賃金制度が見直され、成果主義が導入された。退職金についても、その成果主義が浸透しているという。老後の暮らしを大きく左右する退職金。その受け取り方は会社によっても違うがーー。 「“まとめて一時金としてもらう”“分割して年金方式で受け取る”“一時金と年金の併用でもらう”の3通りから選べることが多いので、どのようにして受け取ると有利なのか知っておきましょう」 こう語るのは、ファイナンシャルプランナーで「生活設計塾クルー」の取締役・深田晶恵さん。退職金2,000万円を《一時金》とした場合と、2%で運用される《年金》として10年間で受け取る場合では、どんな違いがあるのだろう?退職金2,000万円を《一時金》で受け取り、64歳まで再雇用により働き、65歳から公的年金を受け取った場合と、退職金2,000万円を期間10年の《年金(運用利率2%)》で受け取り、64歳まで再雇用により働き、65歳から公的年金を受け取った場合を試算した深田さんが解説する。 「税金を引く前の額面収入では《年金》のほうが多いのですが、所得税や住民税、国民健康保険料や介護保険料も高くなります。《一時金》だと、この場合、非課税枠の範囲内で、所得税と住民税はかかりません。結果、手取り収入では130万円も、《一時金》で受け取るほうがお得ということになります」(深田さん) 試算はあくまで一例で、企業年金の運用率、年金額、住んでいる自治体の社会保険料率によって変わってくる。 「それでも、社会保険料が多くの自治体で毎年のように引き上げられている現状、《年金》の額が多くなるほど、税金と社会保険料の負担が重くなり、《一時金》のほうが有利になる傾向です」(深田さん) そして深田さんは、退職金を受け取った夫を見守る妻にアドバイスを送る。 「《一時金》にした場合、無駄遣いには注意が必要です。多額の出費をしてしまい、老後資金を大きく減らしてしまう人が少なくありません。定年後の旅行、子どもの結婚資金や住宅購入資金の援助などは、老後の生活に影響がない程度にしましょう。一方、《年金》には定期的な安定収入になるというメリットがあります。しかし、終身年金でない場合、70歳ないしは75歳で公的年金だけになり、その後、年収収支が大幅に赤字になることも。会社が運用する『確定給付年金』の場合は、その会社の業績によって《年金》が減額されることもあるので注意が必要です」(深田さん) さらに深田さんが続ける。 「退職金を使って、住宅ローンの残りを返済してしまおうと考える人も多いですよね。でも、たとえば退職金が2,000万円なのに、住宅ローンの残高1,700万円を一括返済してしまうと、老後資金は300万円しか残りません。一方で、団体信用生命保険に加入していることで“死ねばローンもゼロ。慌てて返済しなくても……”と考える人もいますが、死亡する時期は誰にもわかりません。“長生きリスク”に備えるためにも、退職金の使い方は家族でよく話し合って決めるのがいいでしょう」(深田さん)
2017年11月16日再び“消えた年金”が明るみに出た。今回、問題となっているのは「振替加算」といわれるもの。支給漏れの96パーセントが元公務員の妻で、10万6千人にものぼる。まずは聞き慣れない「振替加算」について、厚生省担当記者が説明してくれた。 「現在、65歳から老齢厚生年金の支給が始まりますが、そのときに生計を維持されている年下の妻(65歳未満)がいる場合、夫の年金に『加給年金』が上乗せされます。企業でいうところの家族手当のようなイメージです」 支給額は年額にして25万~38万円(月額約2~3万円)ほど。独身者よりも妻帯者を優遇するための制度だという。 「ところがこの加給年金は、妻が年金受給資格を得る65歳になると消滅します。それに代わり、新たに支給される妻の基礎年金に、加給年金よりも減額された毎月6千~1万9千円程度がプラスされます。これが『振替加算』という制度です。一時期、メディアで“熟年離婚するなら65歳を越えてから”と報じられたのは、この制度のためです」 今回“消えた”のは、加給年金が消滅後、「振替加算」に移行されず、正しく支給されていなかったケース。年金に詳しいフィナンシャルプランナーはこのように注意を呼びかける。 「公務員の共済年金を管理する共済組合と、基礎年金を管理する年金機構の情報共有がうまく行われていなかったのが、公務員の配偶者に不払いが集中した理由です。夫が貰う共済年金から妻の加給年金が消えても、妻が貰う基礎年金に振替加算が正しく反映されていなかったのです」 厚生労働省によると、未払い額の平均は一人当たり約56万円。最高額は約590万円にも上るという。 「退職公務員の妻の8人に1人に未払いが生じています。独身時代に妻が会社員や公務員であっても、勤務期間が20年未満であれば振替加算の対象者です。まずは年金受給時に一度だけ発送される『年金決定通知書』がお手元にある人は、裏面をチェックしてください。自分は対象のはずなのに、《加算額》の欄に、振替加算の金額の記載がなければ、未払いかもしれません」(前出・フィナンシャルプランナー) さらに前出の記者によると、 「支給漏れの人のうち、約4千人がすでに亡くなっていることも判明しています。三親等内で同一生計の遺族は、未払い分を受け取る事ができるので、遺族の方も確認をしてください」 日本年金機構は専用電話を設置し、個別対応するとともに、対象者に通知し、11月中旬までに支給する予定だ。信頼こそが年金制度を支えるのだ。
2017年09月21日「’84年から年金記録はコンピューターで管理されるようになりましたが、’51年4月以前の厚生年金記録の一部は紙の台帳に記されたままで、統合されていなかった。さらにコンピューターにデータを移行する際に多くの入力ミスがあり、今も見つからない年金は約2,000万件もあります。あなたにも、もらえる年金があるかもしれないのです」 そう語るのは、年金コンサルタントで社会保険労務士の柴田友都さん。「年金探偵」と呼ばれ、これまでに5,000件もの“消えた年金”を捜しあてたという。 「もらえる可能性が高いのは、会社員の夫が亡くなった場合の遺族厚生年金です。これは夫が他界したあとでも、納付記録が見つかればさかのぼって受け取ることができます。亡くなった夫が『柴田式年金チェックリスト』に当てはまるかをチェックしてください。とくに夫が戦時中に軍需工場に勤めていた、または戦前から民間会社で働いていたという人に、見つかるケースが多いですね。納付者が父親でも、妻である母が遺族厚生年金を受け取っていない場合は、子が受け取ることもできます」(柴田さん・以下同) 遺族厚生年金の受給資格は、夫の基礎年金と厚生年金を合わせた納付期間が300カ月以上あること。戦争前後に会社勤めをして支払っていた厚生年金の記録が失われたことで、この300カ月に満たなくなっているケースが多いという。つまり、この納付記録を発見できれば、受給資格を得られるのだ。 『柴田式年金チェックリスト』は次の通り。亡くなった夫または両親が次に当てはまる場合は取り返せるチャンスあり! □戦時中に軍事工場、挺身隊、陸軍造幣廠、海軍工廠などに勤めたことがある。□戦前から戦後、民間会社に勤めたことがある。□配給品を扱う商店、組合に勤めたことがある。□米軍キャンプで働いたことがある。□昭和34年1月以前に農業会(現・農協)に勤めたことがある。□転職が多かった。□公務員になる前後に民間会社に勤めたことがある。□勤めていた会社が倒産、閉鎖、合併、社名変更したことがある。□パート、アルバイト、夏や冬だけの期間労働者として働いたことがある。□家族や親せきが経営する合資、合名、有限、株式会社で働いたことがある。□自営業を始める前に会社に勤めたことがある。□夜間学校に通いながら会社に勤めたことがある。□日本年金機構から「あなたのものと思われる年金記録があります」という通知をもらったが、そのままになっている。 リストを詳しく見てみよう。亡くなった夫や両親が転職を繰り返していた、パートやアルバイト、夏や冬だけの職場で働いたことがあるなどの場合は、年金記録が見つかる可能性がある。 「かつては年金記録が見つかっても、直近の5年分しか受け取れませんでしたが、’07年7月に年金時効特例法ができてから、それ以前の年金もさかのぼって受給できるようになっています」 “消えた年金”を捜すには、まず最寄りの年金事務所に行き「加入期間が抜けている部分」を確認する。次に請求漏れになっている年金記録を尋ねる、という手順だ。 しかし、年金事務所、市区町村役場の国民年金課に相談に行っても年金記録が見つからず、たらい回しにされるケースも多い。そんな苦い経験がある人でも、もし「柴田式年金チェックリスト」に両親や夫が当てはまるなら、諦めず自分に相談してほしいと柴田さんは言う。 「’07年に大きな問題となった“消えた年金”5,000万件のうち、まだ2,000万件が該当者不明のままです。そして、年金事務所に『記録がない』『もらえない』と言われた方の年金を、私はこれまでに約5,000件も見つけています。諦めていた人の年金も、見つけられるかもしれませんよ」
2017年09月14日低年金で暮らす高齢者やその家族に、8月1日からスタートした「10年短縮年金」は、まさに朗報だ。今までゼロだった老齢基礎年金が、少しでも受け取れる可能性が出てきたのだから!制度変更に伴い、10月からは新たに約64万人が年金を受け取れるという。これまで国民年金を受け取るためには25年以上の納付期間が必要だったが、8月以降、それが10年に短縮されるのだ。 国民年金の受給額は保険料を納めた期間によって異なる。20歳から60歳まで40年間納付した人は、満額の年間78万円受け取れる。保険料を10年間納めただけだと、受け取る年金額は満額の4分の1程度、約19万5,000円しか受け取れないことになるが、たとえ約月1万6,000円だとしても、ないよりあったほうがずっとありがたい。 対象者には「大切な書類です」と書かれたA4サイズの黄色い封筒が、日本年金機構から届く。しかし、なかには待てど暮らせど、手元に来ない人も……。 「納付期間が10年以上の人は無条件に年金を受け取れますが、黄色い封筒が届かなくても『10年短縮年金』に該当する人はいるので、あきらめてはいけません!」 こうアドバイスするのは、“年金博士”こと、社会保険労務士でブレインコンサルティングオフィス代表の北村庄吾さん。 「’86年3月以前に会社員の妻だった期間がある人、’91年3月以前に学生だった期間がある人などは、年金が受け取れる可能性があるのです」(北村さん・以下同) 日本の年金は、’61年に国民年金制度がスタートしてから、時代のニーズに応じて制度を変えてきた。’85年の制度改正で「第3号被保険者制度」がつくられ、これまで任意加入だった会社員の妻も’86年4月から強制的に加入することになった(保険料の負担は課せられず、夫の勤め先の保険に加入できる仕組み)。 さらには、’86年3月以前の国民年金は任意加入だったので、会社員の妻であれば、この期間は年金の受け取りに必要な「受給資格期間」としてカウントされることになった。同じく、’91年3月以前は、20歳以上の学生も任意加入だったので社会人になるまでの期間を「受給資格期間」に含めることができる。 「つまり、任意加入の期間は、保険料を納めていなくても、年金を受け取るために必要な『受給資格期間』として含まれるようになったのです。その期間のことを『カラ期間』(合算対象期間)といい、今回10年短縮年金に該当しなかった方でも、カラ期間をプラスすることで、受給に必要な『10年』をクリアできます。日本年金機構はカラ期間までは把握していませんので、今回黄色い封筒が届かなかった人も、会社員の妻だった期間などがあれば、年金を受け取れる可能性が出てくるのです」 また、「黄色い封筒」が届かない人で、次に当てはまる人は、すぐに年金事務所に確認しよう。 【1】日本年金機構に住所移転お届を出していない 引っ越しや施設への入所などで住民票を移した場合、日本年金機構にも届け出を出してあるかを確認しよう。 【2】カラ期間(合算対象期間)がある 特に’86年3月以前に会社員の妻だった人は、この期間を年金の受け取りに必要な期間にカウントできるので要確認だ。 【3】転職を繰り返していた かつて、年金記録が手動打ち込みだったため、職場を転々としていた人は、移った先での加入が反映されていないこともありうるという。 「年金については無頓着な人が多いので、高齢の親御さんに代わって、お子さんが年金事務所で確認されることをお勧めします」
2017年08月04日「今年8月から『10年短縮年金』が始まります。これまで、公的年金を受給するには25年以上の納付期間が必要でしたが、8月以降は10年に短縮されます。昨年11月に改正法が制定されました。実際に、年金が受給できるのは9月分からで、入金は10月です。対象者の約74万人には、順次、手続き書類が郵送されています。受給には、年金事務所などでの手続きが必要ですから、早めに済ませましょう」 こう話すのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。これまで年金をもらえなかった人でも、要件を満たせば年金を受け取れるようになる、10年短縮年金。ただし、「国の思惑は、年金問題の解消とはまた別のところにある」と荻原さんは言う。そこで荻原さんが、10年短縮年金を解説してくれた。 「国民年金の受給額は、年金保険料を納めた期間によります。40年間保険料を納めた人は、現在、満額の月約6万5,000円を受け取っています。これに対し、納付期間が10年の方は、満額の4分の1、月約1万6,000円の受給となります。存命中はずっと受給できますから、まったくないよりはいいでしょうか。もちろん、納付期間が15年、20年などと長い方は、納付した期間に応じて年金額が増えます。さらに、厚生年金に加入していれば、その分、上乗せされます」 反対に、納付期間内に免除や猶予があった人は、もっと少額になることも。加えて、納付期間が10年に満たない人でも、未納分の後納や免除分の追納など、今からでも納付期間を増やして受給できる方法が見つかる場合もあるので、年金事務所に相談を。 「今回の年金改正は一部で『無年金対策法』と呼ばれてきました。まさに今、“無年金”が問題になっています。昨年末時点で、国民年金の納付率は61.5%(厚生労働省)。約4割の未納者には、“無年金予備軍”も含まれるでしょう。また将来、『118万人が無年金になる』との推測もあります(’08年・厚生労働省)。無年金で老後資金が尽きると、生活保護を受給するしかないケースも多いと思います」 現在、生活保護を受けているのは約164世帯だが、その半数以上は高齢世帯だ(’17年2月・厚生労働省)。 「政府は、多少なりとも年金を支給することで、生活保護の増加に歯止めをかけたいのでしょう。というのも、生活保護にかかる国の予算は’16年度で約3兆8,000億円と大きいものだからです。財政が厳しいなか、支出を抑えたい気持ちはわかりますが、切り詰めるべき予算は、ほかにあるのではないでしょうか。生活保護費は、命や生活に直結するお金ですから、むちゃな締め付けを見逃してはいけないと思います」 年金財政の逼迫を受け、これまで(1)年金保険料の引き上げ、(2)受け取る年金額の引き下げ、(3)社会保険加入者の増員、(4)支給年齢の引き上げなどの対策が取られてきた。 「先週、自民党は、年金支給を遅らせて受給額を増やす『繰り下げ』を、現行の70歳までから、71歳以降も可能にするよう提言しました。また、今年初めには、日本老年学会が、現在『65歳以降』とする高齢者の定義を、75歳以上とするよう求めたことも話題になりました。外堀から埋めて、年金の支給年齢を現行の65歳から67歳、あるいは68歳へと引き上げたい、という政府の思惑が見え隠れしています」
2017年05月26日「最近、『トンチン年金』と呼ばれる新しい年金保険が登場しています。考案したイタリアのトンティ氏にちなんで、こう名付けられています。トンチン年金とは、契約時に決めた支給開始年齢を超えて存命の場合に保険金が受け取れ、長生きするほど多くの保険金が得られる年金です。反対に、支給開始年齢までに亡くなると、払い込んだ保険料より少ない金額しか受け取れません。残った保険料は、長生きした方の年金支払いに回し、加入者全体の保険金をやり繰りする仕組みです」 そう話すのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。今、日本の平均寿命は女性が87.05歳、男性が80.79歳。女性の2人に1人、男性の4人に1人は90歳まで生きる時代(’15年・厚生労働省)。いっぽう、老後の生活費は公的年金だけでまかなえない人が多く、『長生きしたら貯金が底をつくかも……』と不安になる人も。そこで、荻原さんが「トンチン年金」について解説してくれた。 「こうした『長生きリスク』を解消しようと、トンチン年金の考え方を活用して設計されたのが、日本生命の『GranAge(グランエイジ)』や、第一生命の『ながいき物語』です。たとえば、50歳女性が『ながいき物語』(10年保証期間付終身年金)に加入、70歳まで保険料を月3万円支払い、70歳から年金を受け取る契約をしたとします。この場合、20年分の保険料総額は720万円です。いっぽう、受け取る年金は毎年30万4,300円なので、94歳になれば払い込んだ保険料の元が取れます。95歳以降は長生きするほど得になり、100歳まで生きると、払った保険料の1.3倍を受け取れるというのがポイントです」 ただし、70歳までに亡くなったり、中途解約した場合は、支払った保険料の70%以下しか戻ってこない。保険料を70歳まで払い続けられるか、よく検討を。荻原さんは、“トンチン性”を高め、長生きリスクに備えることは公的年金でも可能だと語る。 「公的年金は65歳からの受給ですが、受給開始を66歳以降に『繰り下げ』ると、1カ月につき0.7%受給額が上乗せされます。最長の70歳まで繰り下げると、42%の上乗せになります。公的年金の受給額が年200万円の方が、70歳からの受給とした場合、年金額は年284万円になります。しかし、本来受け取れるはずの70歳までの年金5年分、1,000万円は受け取れません。どちらが得かを計算すると、82歳以上の長生きだと70歳からの受給に繰り下げると得になり、82歳までに亡くなる場合は通常どおり65歳からの受給が得です。また、公的年会は66歳以降なら月単位で繰り下げを終了し、受給を始めることも可能です。寿命は予測できませんが、65歳を過ぎても年金に頼らずに生活できる方は、考えてみてもいいと思います」
2017年05月24日「13年間も続いた年金保険料の段階的引き上げですが、やっと今年で終わります。国民年金は当初予定の1万6,900円、厚生年金は保険料率18.3%で固定。つまり、これ以上は上げないと法律に明記されています」 そう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。また、’18年度からは年金額の改定ルールが変わる。昨年12月に成立した“年金カット法”によるもので、変更点は2つ。1つ目は「マクロ経済スライド」の強化だ。 「マクロ経済スライドとは、支え手である現役世代の減少と受給世代の寿命の伸びを加味して、物価が上がったときに年金額の上昇幅を抑えるものです。ただ、逆に物価が下がった場合に発動すると年金受給額は減ってしまうため、実際に実施されたのは’15年度だけです。来年度からは、物価下落時には減額分をためておき、物価が上がった年にまとめて年金の上昇分から差し引くことになります」(荻原さん・以下同) 2つ目は「物価・賃金スライド」の見直し。 「現行では、物価も現役世代の賃金も下がった場合、物価に合わせて年金額が決まります。しかし’21年度以降は、年金額は賃金の動きに合わせます。たとえ物価が上がっても賃金が減ると、年金は減額されるのです。もう年金は増えない時代になったといえるでしょう」 年金財政のひっ迫が叫ばれてから、政府は主に4つの策、『年金保険料の引き上げ』、『年金カット法などによる年金額の抑制』、『年収106万円以上のパートを社会保険に加入させるなど支え手を増やすこと』、『支給年齢の引き上げ』を講じてきた。 最近は、国民年金未納者への徴収も強化されている。強制徴収の対象は、’14年度には年所得400万円以上で13カ月以上の未納者だったが、’16年度には年所得350万円以上で7カ月以上の未納者になり、さらに今年度からは、年所得300万円以上で13カ月以上の未納者へと広げる方針だ。 「こうした性急な取り立て強化にもかかわらず、『これ以上保険料を上げない』という説明は、たいへん疑わしいものです。いずれ支給年齢の引き上げも議論されるでしょう」 それほど年金資金が苦しいなら、「年金資金をもっと大切に扱ってほしいものです。積立金をリスクの大きな株で運用するなどもってのほか」と荻原さん。 「ですが、すでに株式市場は多大な年金資金が流入しています。これをやめると、日本株の大暴落につながる恐れもあり、年金の株運用は残念ながら引き返せません。年金そのものは、破綻することはないでしょう。ただ、安心できる老後を約束してはくれません。現在の年金額は、現役世代の賃金の約60%です。政府は安定的な年金制度を継続するために、50%水準を目指していますが、今の30〜40代の方の年金は40%程度になるかもしれません」 ’18年度の年金保険料は今年度より150円引き上げられる。物価下落、デフレの影響だ。 「ならば現金第一、コツコツ貯金に励みましょう。私たちは自助努力で、老後資金を作るしかありません」
2017年04月13日*画像はイメージです:先日、孫が年金支給日を狙って祖父の家に勝手に上がり込み、パチンコ代をせびるのが常態化。孫ということで大目に見ていた祖父が「おまえは孫じゃない」と拒否したところ殺害されてしまう事件がありました。年金額は年々減っていますが、それでも現在の高齢者は、若者が将来もらうよりもはるかに高額の年金を受け取っています。生活が安定しない非正規雇用や無職の若年世代からすれば、近く、もしくは同居する年金生活者の財布はあてになる定期収入というわけです。しかし、祖父・祖母が家族に対して年金を好意的に贈与したり貸したりしていない場合、高齢者が生活に困窮してしまいます。その場合、家族でも訴えて年金せびりを強制的にやめさせることはできるのでしょうか?銀座ウィザード法律事務所の小野智彦弁護士にお訊きしました。「まずは、弁護士に相談し、内容証明で止めるよう警告するのが大切かと思います。また、認知症だったりする場合には、成年後見人を付けることを検討されると良いかと思います」(小野弁護士)成年後見人というのは、認知症、知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な人に変わって不動産や預金管理、その他の契約を結ぶ代理人を、本人、配偶者、四親等内の親族、検察官の申し立てにより家庭裁判所で決定するものです。この後見人がきっちりお金を管理することで、せびりを防ごうというわけです。 ■恫喝すれば恐喝、勝手に持っていけば窃盗に!成年後見人をつけていない状況で暴力的に恫喝したり、留守や、認知症をいいことに身内が勝手にお金を保っていってしまった場合、どんな刑事罰になるのでしょう?「恫喝の場合は恐喝罪、認知症を良いことに勝手に持っていく場合は窃盗罪になります」(小野弁護士)しかし、相手が家族となると、ことはそう簡単ではないようです。「基本的に、配偶者、直系血族又は同居の親族との間でこれらの罪を犯した場合は、刑が免除されることになっています(刑法244条1項)」(小野弁護士)なんということでしょう!家族の間でも金銭せびりや巻き上げが常態化、悪質化していれば罪に問われてもおかしくないように思えますが、家族間の問題として罰することができないなんて。小野弁護士によれば、実際、このようなケースで親族間で裁判になるケースは少ないそうです。 ■老人にたかる家族には自衛策をとるほかない「この問題は今に始まったことではありません。刑法上も特に処罰されるわけでもないので、自衛するしかありません。おじいちゃん、おばあちゃんの財産は、その親族がしっかりと管理するか、認知症だったりした場合には、法的に成年後見人を付けてもらうなどした方がよろしいかと思います」(小野弁護士)加えて家族会議でしっかり話し合ってことを明らかにし、このようなことを二度としないよう誓わせる、見張らせることも必要でしょう。とはいえ、ろくに働きもせず、いい年して祖父や父に金をせびりにくるような怠惰な性格は、そう簡単に治るとも思えません。そのあげくの殺人事件だったわけです。こうなるとさすがに逮捕されます。また、暴力で傷を負ったりすれば話は別です。暴力を用いて金を持ち逃げすれば、立派な強盗罪です!躊躇せず、警察を呼びましょう。 *取材協力弁護士:小野智彦(銀座ウィザード法律事務所代表。手品、フルート演奏、手相鑑定、カメラ等と多趣味。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする)*取材・文:梅田勝司(千葉県出身。10年以上に渡った業界新聞、男性誌の編集を経て独立。以後、フリーのライター・編集者として活躍中。コンテンツ全般、IT系、社会情勢など、興味の赴く対象ならなんでも本の作成、ライティングを行う。Twitterアカウントはこちら)【画像】イメージです*和尚 / PIXTA(ピクスタ)
2017年04月07日「個人年金保険は、20年、30年かけて積み立て、60歳以降に受け取るという老後のための商品です。以前、予定利率の高かったときに加入した人はせっかく積み立ててきた“お宝保険”のため解約は勧められません。ただ、低金利の現在は、新規加入者は減っています」 そう話すのは、ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さん。個人年金保険はまず、「定期」と「終身」の2種類に大きくわけることができる。 「定期の場合、積み立てたお金を10年、20年という決まった期間、年金として受け取るもの。定期は固定と変額に分かれており、固定は元本が保証されているタイプです。変額は外資系の生保が力を入れています。『積極的な運用によって大きな利益を出すこともある』とスマートな説明を受けて加入を決める人がいますが、結果的に利回りが低い商品も少なくなく、元本割れするリスクも。しっかり検討する必要があります」(風呂内さん) そこで、生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんが、大手生保の「定期」型の個人年金保険(固定)をシミュレーションしてくれた。 「40歳から65歳まで月2万円を25歳払い込んだ場合、65歳から月5万円あまり(年間67万円)を年金として受け取ることができます。年金受給期間は10年という定期です、満期の74歳で払込み金額に対して112%の年金を受け取れる計算になります。ただし、75歳以降は受け取れません」(柏木さん) 一方、終身の個人年金保険は、生きている限り、ずっと年金を受け取れるメリットがあるが、月額保険料はヘビー。“元を取る”には時間がかかるデメリットも。 「大手生保の終身型の個人年金保険ですが、50歳女性が20年間、月々5万9,000円を支払った場合、70歳以降に受け取ることができるお金は年額60万円です。90歳まで生きて返戻率が85.2%、元が取れるのは95歳くらいになってようやく、100歳まで生きれば返戻率120%と、得をすることになります」(風呂内さん) かつてのように“30年積み立てたら、払った金額の150%が戻ってくる”という商品は、もはや売り止めになっているのだ。低利率であるなら、むしろ個人年金保険よりも優先すべき商品があるというのは、ファイナンシャルプランナーの加藤梨里さんだ。 「今年から専業主婦も加入できるようになった、個人型確定拠出年金です。同じ積み立てなら、より大きなメリットがあります」(加藤さん) 個人型確定拠出年金とは、公的年金に上乗せする年金のこと。国の制度の一つだが、生保や銀行で口座開設をして行う。 「パート主婦含む専業主婦の掛金の上限額は、月2万3,000円、年間27万6,000円までです。大きなメリットは、その全額が所得控除されることですね」(加藤さん) 年収130万円の場合、年間27万6,000円を確定拠出年金で積み立てることにより、その年の所得税と住民税2つ合わせて約4万1,000円お得になる計算だ。 「一方、生保の個人年金保険は年間4万円の所得控除しか受けられません」(加藤さん) さらに運用益に対して、通常の株式投資や預金金利では利益の20.315%が課税されるが、確定拠出年金で得られた利益は非課税。 「ただし、年金目的なので60歳まで引き出せないため要注意です」(加藤さん) 公的年金すら財政難で将来の不安を抱えている。老後のお金は、自分でしっかり貯めていこう。
2017年03月22日フリーアナウンサーの加藤綾子が、国民年金基金連合会の新CMに出演することが7日、明らかになった。あす8日から全国で放送される。加藤が出演するのは、個人型確定拠出年金「iDeCo」のCM。撮影スタッフたちと定食屋で昼食をとっている中、加藤が「老後のお金、不安ですよね」と心配顔で打ち明けると、突然iDeCoのキャラクターであるシロイルカが登場し、iDeCoの特長をプレゼンするという内容だ。撮影は先月、都内にある実際の定食屋で行われ、加藤は「よろしくお願いします!」と現場に入ると、テーブルを囲む架空のテレビ番組スタッフとすぐに打ち解けた。当然シロイルカはその場にいなかったが、加藤は掛け合いの演技を見事にこなし、予定を大幅に上回るスピードで撮影を終えた。
2017年03月07日30代がもらえる年金で老後は大丈夫? 毎月いくら足りない? 年老いた自分を養うには マネー業界大トピック発動! 知っている人だけトクする制度 節税力がスゴい! 確定拠出年金の3つの「おトク」大公開 専業主婦はメリットあるの? 確定拠出年金を始める3つのポイント の続きです。「30代から考え始める『自分年金』」特集も、今回は最終回。それでは現実的に確定拠出年金に加入しようと思う人はどれくらいいるのか、率直なところをフィナンシャル・プランナーで「 確定拠出年金相談ねっと 」代表の山中伸枝さんに質問してみた。投資デビューをするなら個人型確定拠出年金で本特集の冒頭で、「『老後のためのお金』を考えるとき、(現役時代の)収入が多い・少ないよりも、計画を立てて準備していないことが命取りになります。」と書いた。私自身は、この「計画を立てて、準備をすること」の中に、「投資をすること」はマストだと思っている。なぜなら月額7万円(「 毎月いくら足りない? 年老いた自分を養うとは【30代から考える「自分年金」 第2回】 」)という金額は、貯蓄だけではためることはとても難しいからだ。だからこそ、投資が必要だと考えている。そのうえで、私自身が、ひとつだけ提案できることといえば、「投資を始めるのであれば、個人型確定拠出年金から手をつけたら良いのでは?」という思いだ。なぜ、投資デビューに個人型確定拠出年金?1.個人型確定拠出年金は選びやすい個人型確定拠出年金としてラインアップされている投資商品は、多くて10数本(金融機関によって違う)。普通の投資信託だけでも5、000本あるといわれているほかの投資商品より、目移りせずに選びやすい。2.販売手数料が原則無料個人型確定拠出年金として扱っている商品は、販売手数料が原則無料だ。同じ証券会社の投資商品が販売手数料3%だとしても、個人型確定拠出年金は販売手数料が無料となる。3運用手数料が安く設定されている投資信託の運用手数料である「信託報酬」も、比較的安く設定されている商品が多い。つまり、投資コストを低く抑えることができるのだ。すぐさま始める人は100人に2人それでも個人型確定拠出年金への気持ち的なハードルは、すごく高いのではないだろうか? 今回、特集を担当してみたものの、「やっぱり、よくわからない」。これが2016年現在の多くの人の感覚だろう。山中さんは言う。「個人型確定拠出年金についてお話をして、『じゃあ始めよう!』とすぐさま思う人は、100人に2人くらいですね。」少し、ホッとした。いや、かなりホッとした。1対1の対面で伝えても、そのくらいのヒット数なのか、と。山中さんは、個人型確定拠出年金への加入をためらうお客様にこんなふうに伝えることもあると言う。「大丈夫ですよ。今日、決められないのであれば、今日はそういうタイミングなんだと思います。そのかわり、どこかのタイミングで、『やっぱり、やってみようかな』と思ったら、また、いらしてくださいね」すこしとっぴな例えかもしれないが、個人型確定拠出年金を始めるための気持ち的な階段が10段あるとしたら、本特集は、その1段になれば良い。また、何かのキッカケで1段あがる、次は3段あがる…。堂々巡りも意味があるし、なにも無駄にはならないのだ。出遅れを心配する必要はない個人型確定拠出年金について、出遅れを心配する必要はまだない。「現段階(2016年11月取材時)では、商品構成が発表されていない金融機関もあります。まだ、まだ、これから商品のラインナップなどには動きがあるでしょう」。(山中さん)ちなみに、個人型確定拠出年金は「投資」商品だけ扱っている訳ではない。「投資」商品以外のもの、たとえば、「預貯金」や「年金保険」などもある。2017年1月1日から、個人型確定拠出年金の加入資格者が拡大し、『だれでも』加入できるようになった。この事実を知り、「個人向け確定拠出年金には、どんな商品があるのだろうか?」と、商品のラインアップについて、興味を持ってみる。そんなところから、「自分年金」づくりを始めてみてはどうだろうか?※この記事は2016年11月の取材を基づいて書いています。■今回取材にご協力いただいた山中伸枝さんの著書 ど素人が始めるiDeCoの本 (山中伸枝/翔泳社 本体1,500円+税)
2016年12月20日30代がもらえる年金で老後は大丈夫? 毎月いくら足りない? 年老いた自分を養うには マネー業界大トピック発動! 知っている人だけトクする制度 節税力がスゴい! 確定拠出年金の3つの「おトク」大公開 の続きです。前回までに「確定拠出年金」が節税効果が高いことを説明したが、実際に始めるためにはどうすればいいのか? ファイナンシャル・プランナーで「 確定拠出年金相談ねっと 」代表の山中伸枝さんにお話を聞いた。ポイント1 個人型確定拠出年金の対象者と限度額2017年1月1日から、個人型確定拠出年金の加入資格者が拡大し、『だれでも』加入できるようになる。。だからもちろん専業主婦も加入できるようになったわけだが、正直なところ、専業主婦にはそれほどメリットはない。なぜなら確定拠出年金のメリットは前回話したように、所得控除にある。しかし所得がない専業主婦の場合、夫の所得からの掛け金控除は受けられない。こういった家庭の場合は、専業主婦が確定拠出年金に加入するよりは、夫の確定拠出年金の枠を広げた方が世帯としての税金は安くなる。税金が安くなるからといって、確定拠出年金はいくらでもかけることができるわけではない。「対象者」によって、積立できる金額が異なってくるのだ。積み立てる掛け金は毎年4月~翌年3月までの間に、1回だけ変更ができる●個人型確定拠出年金の対象者と限度額掛け金は、月額5,000円以上 1,000円単位※1 企業年金の種類によって違ってくる※2 国民年金基金、付加保険料と合わせて6万8000円が限度ポイント2 個人型確定拠出年金を始める場合の流れ個人型確定拠出年金を始める場合の流れはを簡単に説明する。<事前に確認するポイント>・選択する金融機関(運営管理機関)によって用意されている金融商品が違う金融機関選ぶ際には、商品のラインアップをチェックしよう。・投資信託の信託報酬など、手数料をチェック長期に渡っての運用となるので、手数料の違いがのちのち大きく響いてくる。<確定拠出年金を始めるときの流れ> ポイント3 原則60歳まで引きだせない確定拠出年金は、節税というメリットがあり、良いことづくめのようにみえる。ではデメリットはないのだろうか。最大のデメリットとしては、原則として60歳まで引きだせないということだ。「原則」と書いたが、ほとんど引きだせないと思っておいた方が良い。過去には東日本大震災のときでさえも、かなり限定された場合だけしか引き出しに応じなかったという事例がある。ただしこれをデメリットととらえるか、メリットととらえるか…、これこそが老後プランを考える上での分岐点となるかもしれない。なぜなら確定拠出年金は、引き出しが厳格に制限されているからこそ、「老後資金を確実にためる方法」といえるのだ。加入期間中に自己破産になっても確定拠出年金の資産は差し押さえの対象とならないほど、特権的な扱いを持っている。だからこそ確定拠出年金とは、これらのことを心して、ためていくお金だということ覚えておきたい。※この記事は2016年11月の取材を基づいて書いています。■今回取材にご協力いただいた山中伸枝さんの著書 ど素人が始めるiDeCoの本 (山中伸枝/翔泳社 本体1,500円+税)
2016年12月19日30代がもらえる年金で老後は大丈夫? 毎月いくら足りない? 年老いた自分を養うには マネー業界大トピック発動! 知っている人だけトクする制度 の続きです。知っている人だけがトクをする「確定拠出年金」という制度。「どうしてトクをするのか?」を「 確定拠出年金相談ねっと 」代表の山中伸枝さんに聞いた。■国が用意した老後資金貯蓄方法確定拠出年金とは、税制優遇を受けた国の「老後資金専用貯蓄制度」である。つまり、確定拠出年金とは、国が用意してくれている老後資金の貯蓄方法で、それを使うメリットは、税金が安くなることだ。では、どんなときに、どれくらいの税金が安くなるのだろう? これこそが確定拠出年金の「肝」である。■おトク1 個人年金より上! 所得控除のすごさひとつめのメリットは、積立時の掛け金が全額所得控除となる点。これは、すごく大きい。なぜなら所得税というものは、収入に課せられるわけではなく、そこから必要経緯、医療保険を引いた額に課税される。その控除できる中に、確定拠出年金も入ってくる。所得控除の額が大きければ、税金で引かれる金額が小さくなる。ようするに、節税になるわけだ。節税できる具体的な金額をイメージしたい場合は、「 個人型確定拠出年金ナビ 」でザックリとした計算ができる。節税できる「老後資金の積立て」という意味では、生命保険会社の個人年金保険がメジャーだ。しかし確定拠出年金とこの金融商品を比べても、差は歴然としている。仮に毎月2万円を1年間24万円積立てしたとして、次の試算表のように、節税メリットは、圧倒的に確定拠出年金の方が上だ。●個人年金保険と確定拠出年金の節税メリット比較<年収500万円で所得税率10%、住民税率10%で試算>※控除額:税金を計算する金額から差し引いてもらえる金額のこと。控除額が大きいほど、税金は安くなる。出典:『こう変わった確定拠出年金』(山中伸枝/株式会社 税経)より抜粋■おトク2 元本保証商品も! 運用益も自分のものふたつめのメリットは、運用益(※)が非課税となる点。投資などを行ったときに得られた利益にも税金はかかってくる。そもそも、いま、運用益にかかる税金は何%かご存じだろうか? 答えは、20%! たとえば10万円の運用益が出たとしたら、2万円が税金として差し引かれてしまう。けれども非課税であれば、この2万円が、まるまる自分のものとなる。運用益が非課税となる制度として、「NISA(少額投資非課税制度)」もある。NISAとの違いを表にまとめると、次のようになる。確定拠出年金だと、元本確保型の商品も非課税の対象になる点がポイント。投資にアレルギーがあるという人でも元本保証の商品であれば、「とりあえず、預貯金を確定拠出年金で始めてみる」だけでも、節税効果という「実」は受け取ることができるのだ。※運用益 : 資産の運用によって得られた収益のこと。たとえば預貯金に金利が100円ついた場合、運用益は100円。このうちの20%が税金で差し引かれる計算。2037年までは復興増税が加算され20.315%となっている。●NISA(少額投資非課税制度)と確定拠出年金の違い比較出典:『こう変わった確定拠出年金』(山中伸枝/株式会社 税経)より抜粋■おトク3 年金は受取時に税金が!でも確定拠出年金は控除みっつめのメリットは、確定拠出年金を受け取るときにある。あまりに未来すぎて、イメージが沸かないと思うが、実際に受け取るときには、これの効果が実感できるはず。そもそも、年金は支給額をまるまるもらえると思っている人も多いようだが、じつは年金も収入なので、所得税が発生し源泉徴収される。確定拠出年金は60歳時点で10年以上の加入期間があれば、60歳から70歳までの10年間で、好きなときに引き出すことができる。受け取りかたの選択肢は次の3つ。それぞれにメリットがある。●確定拠出年金の受け取りかた出典:『こう変わった確定拠出年金』(山中伸枝/株式会社 税経)より抜粋長々と解説したが、要するに、下記だけは覚えておいて欲しい。確定拠出年金をすると、節税ができる「老後資金なら、しのごの言わずに、まずは確定拠出年金から始めましょう」(山中さん)次回は、確定拠出年金制度の「ポイント」3つを解説!※この記事は2016年11月の取材を基づいて書いています。■今回取材にご協力いただいた山中伸枝さんの著書 ど素人が始めるiDeCoの本 (山中伸枝/翔泳社 本体1,500円+税)
2016年12月18日30代がもらえる年金で老後は大丈夫? 毎月いくら足りない? 年老いた自分を養うには の続きです。老後資金を考えるのなら、「確定拠出年金」がキーワードとなる。引き続き、ファイナンシャル・プランナーで「 確定拠出年金相談ねっと 」代表の山中伸枝さんは、「マネー業界大トピックが起こる!」と話す。■確定拠出年金という言葉を知っている?そもそも、「確定拠出年金」という言葉は、ご存じだろうか?じつは、わが家自体は、数年前から夫が会社の確定拠出年金制度に入っている。夫の会社が確定拠出年金を導入したとき、妻である私は、「何か難しそう…」と、夫がもらってきた書類一式を放置していた。そんなあるとき、私が参加したファイナンシャル・プランナー向けの確定拠出年金の勉強会で、もっとも具体的に切りこんで質問していたのが、今回取材させていただいた山中さんだ。「いま、確定拠出年金が注目されているのは、2017年1月1日から、個人型確定拠出年金の加入資格者が拡大し、『だれでも』加入できるようになったからです」と、このことがマネー業界の大トピックであると、山中さんは話す。ひと口に確定拠出年金といっても、「企業型」と「個人型」がある。これまで確定拠出年金に入ることができたのは、「会社が制度を導入したから」自動的に入っていた「企業型」の加入者だ。しかし2017年1月からは、「個人型」の確定拠出年金に加入できる人の範囲が広がるのだ。■確定拠出年金のメリットって?「だれでも個人型確定拠出年金の加入できるようになったことが、そんなに大トピックなの?」と、多くの人は素朴な疑問が沸くことだろう。最大のメリットは、確定拠出年金に加入すると、節税ができるけれども、「節税!? それが、そんなに良いことなの」と、思う人も多いだろう。■節税とは、根にある「実」!? 「『金利』はわかるけれど、『節税』はわからないという方は多いみたいですね。たとえるならば、『金利』は木に花が咲いて実がなるイメージ。『節税』は、お芋みたいに土を掘ってみないとわからないものなんです」(山中さん)実がなる(お金が殖える)という意味では、「金利」も「節税」も両方とも同じ。けれども、目に見える形で殖えないので、主婦にとって節税は遠い話になりがちだ。「でも、節税の方が、じつは確実なんですよ。市場の動向によっては、金利(木の上になっている実)は、嵐がくれば落ちてしまうこともあります。けれども節税(木の下にある実)は、大丈夫。この目に見えない部分を意識していくことは、お金を殖やす上で、とても大切なことなんです」(山中さん)。貯蓄をしようと考えたときに、節約やら収入を殖やすなどは考えるのに、税金を節約することは抜け落ちがち。でもじつは、節税というものをしっかり考えていくことも、老後の準備をする上では、とても大切なことだ。次回は、節税というメリットがある確定拠出年金制度の「おトク」3つを解説!※この記事は2016年11月の取材を基づいて書いています。■今回取材にご協力いただいた山中伸枝さんの著書 ど素人が始めるiDeCoの本 (山中伸枝/翔泳社 本体1,500円+税)
2016年12月17日昨日12月6日、年金制度の新ルール化を盛り込んだ「年金制度改革関連法案」が参議院厚生労働委員会で審議入りしました。11月末、衆議院の本会議で賛成多数によって可決となっており、いよいよ大詰め段階に入っています。この法案は「現役世代の負担減・年金制度そのものの安定化に繋がる」という声もある一方、「現在もしくはこれから年金を受給する高齢者の年金減額に繋がる『年金カット法案』だ」という批判の声もあります。とはいえ、そもそも年金の金額というのはどのような仕組みで決まっているのでしょうか?また、どうしてこの法案は「年金カット法案」だとして批判を浴びているのでしょうか?Q.「年金カット法案」と言われている理由は?*画像はイメージです:.物価が上昇しても、賃金が下落すれば年金額が下がってしまうため現在の制度でも年金額は「賃金・物価」の影響を受けるため、実はこれらの増減によって年金額は毎年微妙に変動しています。ただ、今の制度では「特例措置」として、物価が上昇していても賃金が下がっている場合は、年金額は「減らさない」というものが採用されています。しかし、今回の改革法案ではこの特例措置を無くすようになっているため、物価上昇時に賃金が下がる場合、年金額も下がることになってしまうのです。その場合、当然年金生活者にとっては生活が厳しくなることが想定され、この部分が「年金カット法案だ」と言われる理由なのですね。一方、賃金の情勢はいわば年金制度の「財源(収入)」にあたるため、この部分を優先させることは、年金制度の継続性を重視した改正案だと見ることもできるのです。 *取材・文:ライター松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。【画像】イメージです*和尚 / PIXTA(ピクスタ)
2016年12月07日今、老後破産や老後貧乏、下流老人などが話題になっていて、老後どうなるのか、不安ですよね。それで、年金の受給額が気になっている女性は多いはず。私たちは、老後に年金をいくらぐらいもらえると考えておけばいいのでしょうか?これについて、平成16年に行われた年金の大改正で、国が試算した将来のシミュレーションがあります。難しそうだと思われるかもしれませんが、今回はこのシミュレーションを参考にもらえる年金の受給額を確認していきましょう。■払った金額より多く年金をもらえる?厚生労働省の「世代ごとの保険料負担額と年金給付額について」というシミュレーションの数字は、将来的な物価上昇を考慮して計算された物。よって、物価上昇を考慮していない()で囲まれた数字を見たほうがわかりやすいかもしれません。現在40歳の人は、このシミュレーション当時には29歳ですから、おおよそ30歳の時点での数字だと思えばいいでしょう。30歳(1975年生)の列を見てみると、厚生年金は6,700万円、国民年金は1,800万円が年金給付額となっています。また、厚生年金では2.7倍から2.4倍。国民年金では1.9倍から1.8倍、払った金額より多くもらえることになります。もちろんこれは、あくまでも、平均余命(その年齢からの平均寿命)生きた場合ですが……。■運用利回りが大きな問題になっている「じゃあ安心なのね?」という解釈は大きな間違い。なぜならこの国のシミュレーションには、大きな問題点がいつか指摘されているからです。すべて挙げるとキリがないのですが、もっとも大きな点を1つ挙げるなら、それは運用利回り(年何%で資産を運用できたかを表す数値)です。平成16年のシミュレーションの前提である年金積立金の平均運用利回りは、3.2%でした。この数字だけでも「本当に大丈夫?」と疑いたくなるのに、直近平成21年に開かれた年金制度を見直す国の会議(※財政検証・・・5年に一度年金財政を検証する会議)では、その運用利回りの前提が4.1%に引き上がっているのです。「さすがにこれは無理があるんじゃ……?」などと疑問が出ても不思議ではありません。年金制度をいまの給付水準のまま維持しようとするなら、この運用利回りがないと成り立たないということなのでしょう。逆にいえば、この運用利回りが出せないようであれば、いまの水準の年金を受取ることはできないということになってしまいます。ちなみにこの12年間の平均運用率を見てみると、平成13年度は-4.01%だった実質的な運用利回りが平成24年度には10.21%になっており、大きく変動していることがわかります。ただし、平成24年度はアベノミクス効果で株高になったため、10.21%という高い利回りになっていますが、平均すると1.54%。到底4.1%の数字には届きません。もちろん、「他の国にくらべて、日本の年金運用の実績は悪すぎる。運用方法を改善するべきだ」という意見もあるようですから、今後の数字がどうなってくるかはわかりません。未来は予測したとおりにはならないのですから。■利回りが変わらなかったら80%の額しかし、もしも現在の利回りがこの先も変わらないとするとどうでしょうか?あるシミュレーションでは、現在40歳で平均年収350万円の人が、65歳時点で受け取れる年金は毎月約105,000円になるともいわれています。逆にいえば、このぐらい年金額を下げないと、年金制度が維持できないということです。また、現時点と同じ金額を受け取るには、現在65歳からもらえる支給開始年齢を70歳まで引き上げないといけないという研究者もいます。現在130,000円もらえている年金が105,000円になるということは、おおよそ現在の80%の額しかもらえない計算になるのです。とはいえ、考え方を変えれば、「そうか、いまの80%程度は年金がもらえるんだ」ということにもなるはず。「年金がもらえない」ということと、「年金はいまの80%ぐらいはもらえる」という考え方は全然違います。悲観論で示されるこの金額をひとつの目印として、老後の生活の準備に入っていくのはいかがでしょうか?(文/ファイナンシャルプランナー・岡崎充輝) 【参考】※(世代ごとの保険料負担額と年金給付額について)年金制度における世代間の給付と負担の関係について-厚生労働省※岡崎充輝(2014)『知らないとヤバイシングルのためのお金の話』彩図社
2016年06月15日2016年、2017年と、主婦の年金に関する法律が改正されることをご存知ですか?たとえば、条件によってはこれまで「130万円の壁」といわれていたものが106万円に引き下げられることになっています。不利であるように思われるかもしれませんが、これは主婦が将来もらえる年金を増やすチャンスでもあるのです。そこで、節約アドバイザーのヨースケ城山さんに、主婦の老後資金づくりについて伺いました。■1:パート勤務でもOKな厚生年金に加入する実は今年、パートで働く人にとって朗報ともいえる法律が制定されました。2016年10月から、一定条件で働くパートタイム労働者でも厚生年金に加入できるようになるというものです。以下の3つの条件にすべて当てはまる人なら大丈夫ですので、チェックしてみましょう。(1)1週間の労働時間が20時間以上(2)月収88,000円(年収1,060,000円)以上(3)1年以上勤務見込みである(平成28年10月から適用の厚生年金保険法第12条による)今回の法律では、従業員が501人以上の企業に勤めている人のみが対象になっていますが、これらを満たしていれば、パート勤務の人でも厚生年金に加入できるようになります。その場合、毎月の給与から厚生年金が天引きされることになりますが、そのまま定年まで働けば、将来は正社員と同じく「厚生年金+国民年金」を受け取ることができます。ただし、第3号被保険者から第2号被保険者への変更となるため、夫の保険料だけだったこれまでとは違い、妻も社会保険料を支払わなければいけません。ですから、目先の手取りを優先するなら、「106万円の壁」を超えないように年収を調整するほうがよいでしょう。しかし、生涯での総支払額と受取額の収支を考えれば、厚生年金に加入しておくほうが有利になる可能性も高いので検討の余地はあります。■2:「繰り下げ受給」を使って年金の受取額アップする本来65歳から支給される年金は、66歳以降に繰り下げて受給することで、1ヶ月につき0.7%増額されます。この制度を上手に使えば、年金は増やすことが可能です。繰り下げができる最大月数は60ヶ月(5年)となっており、0.7%×60ヶ月で最大42%の増額が可能。ただし12ヶ月経過しないと繰り下げの受給権は発生しませんので、66歳以降に受給することが繰り下げの条件になります。この制度では、万が一繰り下げている期間中に年金が必要になった場合、途中で65歳にさかのぼって受給することも可能。その際は繰り下げの金額は適応されませんが、急にまとまったお金が必要になったときや、大病を患ってしまったときなど、申請すれば一時金として受け取ることができるのです。また、老齢基礎年金と老齢厚生年金の2つがある人の場合は個別に繰下げをすることもできるので、自分の経済状況に合わせて検討してみましょう。もし65歳になる時点で迷っている場合は、とりあえず繰り下げ受給を選択するというのもひとつの手といえます。ただし、条件によっては配偶者加給年金などの支給がなくなることもあるので注意してください。■3:「個人型確定拠出年金」で60歳から年金を受給する2017年1月1日からスタートする個人型の確定拠出年金は、これまで加入できなかった主婦や公務員にも対象が広がることになります。この確定拠出年金は、主婦こそ加入すべきです。確定拠出年金とは、公的年金に上乗せする手段となるもの。主婦が確定拠出年金に加入する場合は「個人型」となります。第3号被保険者である主婦の人は、公的年金については世帯主の拠出だけですが、確定拠出年金は自身で掛け金(限度額月額23,000円)を支払う必要があります。あまりうまみがないように感じられるかもしれませんが、おすすめできる理由は、この確定拠出年金は持ち運びができるという点です。いまは働いていない、もしくは扶養内で働いているパートタイムの主婦も、今後は扶養を外れて働く可能性があります。その際、個人型に加入していれば企業型の確定拠出年金に移換できるのです。反対に、企業型の確定拠出年金を行う会社に勤めていた妻が出産や子育てを機に退職した際は個人型に移換することもできます。つまり若いころから年金支給開始日まで継続して積み立てることができるシステムなのです。これは途切れないことが大切です。また、もうひとつの大事な理由は、支給開始年齢が60歳から選べること。何歳になっても働けるまで働こうと思っている方は多いと思いますが、60歳を過ぎると給料はやはり現役とくらべると下がるのが普通です。そんなとき少額でも60歳から年金が入ると、心の余裕が違います。確定拠出年金は5年、10年などの有期年金もありますので5年有期で考えて公的年金の支給開始年齢までつなぐということもできます。*年金については旦那さん任せという人もいるかもしれませんが、実は主婦でも年金を増やす方法はあるんですね。新しい制度を知って、いまのうちにしっかり備えておきましょう。(文/平野鞠) 【取材協力】※ヨースケ城山・・・節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナー、AFP、住宅ローンアドバイザー、年金アドバイザー。著書は『給料そのままで「月5万円」節約作戦!』(ごま書房新社)。本の内容は、『らくらく貯蓄術。住宅ローン地獄に落ちない為の家計防衛のススメ。』にもまとめられている。ブログ『節約アドバイザーヨースケ城山ブログ』では、節約だけではなく転職活動、著書、社労士、FPのことを配信中。
2016年06月14日質問:無職ですが遺族年金を受け取っている場合、告知書にはどう書けばよいですか?「年金生活者」に該当するので、「遺族年金受給」とご記入ください。遺族年金受給者は「年金生活者」に該当するので、「遺族年金受給」とご記入ください。例えば、「年金」とだけ記入した場合や、「年金受給者」欄にマルを付けただけの場合、「老齢年金」とみなされることがあるため、必ず「遺族年金」と記入する必要があります。ただし、保険会社によって取り扱いが異なるため、申込時によく確認してください。
2016年05月26日占いにすがる私は間違っていますか?
望まれて生まれてきたあなたへ
結婚3年目に夫婦の危機!?