2022年7月10日 06:00
高田馬場名物立ち食いそば屋が閉店に 女性店主供する天玉そばの味染みて
「バブルの最中、周辺に新たにオープンしていたおしゃれなお店が、やっと顔見知りになったと思ったら、バブル崩壊後には途端に姿を消したり。同業者の立ち食いそば屋もきのこのようにニョキニョキ出てきたと思ったら、バブル後になくなるのも本当に早かった」
そばの価格も、天ぷらそばを例に取ると、創業時の180円から390円、現在の470円と、物価上昇につれて少しずつ値段も上がってきた。だが、ワンコインで満腹になれる立ち食いそばは、今でも庶民の強い味方だ。
以前は忙しくなる時間も読めましたけど、最近は出社時間も自由だったり在宅勤務も多いようで、店のピークもなくなりました。
BIG BOX前の広場がコロナ禍で閑散としたのは、70年近い馬場での暮らしのなかで初めて目にした異様な光景でした」
吉田屋に、区画整理の話が出たのも、同じころだった。
「実は、もう何十年も前から話はあったんです。具体的になったのが、2年ほど前から。以前と違ったのは、周囲のお店が軒並み閉店していったこと。
まわりでは裁判なんて話も出ましたが、私は争い事はしたくなかった。だって、父が大好きな場所だったから」
とはいえ、けっして簡単に閉店を決めたわけではない。