厚生労働省は、ひきこもりに理解がある地域社会の実現を目指し10月よりTOKYO MX「ひきこもりボイスTV」を制作放送(全6回)し、「ひきこもりVOICE STATION全国キャラバン」を6ブロック(埼玉、長崎、京都、福島、島根、石川)で開催して参りました。※当事者や支援者の方々とパネルディスカッションや、ワークショップを実施した全国キャラバンでは、ひきこもりの当事者、支援者、また一般の方のリアル参加も多くあり、悩みや期待など様々な意見が交わされていました。※ボイスTVはYouTubeにてアーカイブ配信中 今回は、その集大成として、2月10日(土)に、「ひきこもりVOICE STATIONフェス」を東京・渋谷ヒカリエホールにて開催いたします。各地域で当事者、支援者の方々と議論してきた“より生きやすい社会にするため”についての「生の声」をご紹介しながら改めて、今回のキャンペーンの目的である“ひきこもり状態にある方やその家族が孤立することなく、地域社会に住む一人ひとりがひきこもりに関する理解を深め、相談しやすい環境づくり”になるよう、ひきこもり経験のあるタレントさんや、ひきこもり支援者、そして有識者の方々を迎えてディスカッションいたします。また、フェス終了後は「ひきこもり相談会」を実施予定です。※15歳から64歳のひきこもり当事者は、全国で推計146万人とされ、4年前と比較して女性の割合も増えてきました。「相談しても解決できないと思うから誰にも相談したくない」という当事者も多数います。今や、ひきこもりは誰にでも起こりうること。他人事ではありません。【内容】リアル参加・オンライン参加可能 第1部は高橋みなみさん、宮本亞門さん、ゆうたろうさんが出演1部は、TOKYO MX「ひきこもりボイスTV」とのコラボ企画。タレントの高橋みなみさんをパーソナリティに、演出家の宮本亞門さん、俳優・モデル ゆうたろうさんなど、ひきこもり経験があり、その経験を踏まえた情報を積極的に発信している方々をゲストに迎え、当事者の思いを伝えることで多くの人にひきこもりへの理解を促していきます。2部は、「生きづらさの発信」から「誰もが生きやすい社会について考える」をテーマにしたパネルディスカッションを実施。モデレーターにジャーナリスト浜田敬子さん(元AERA編集長)、パネリストに臨床心理士/公認心理師のみたらし加奈さんをはじめ支援者などを迎え、会場参加者、視聴者にもコメントで参加していただきながら、ひきこもり経験者や有識者などと、“生きづらさの発信”について語り合います。フェス終了後は、ひきこもりに関する悩みや不安を抱えるご本人・家族を対象に『ひきこもり相談会』を開催。ひきこもり経験者や支援者が相談に応じます。■「ひきこもりVOICE STATIONフェス」 開催概要日時 : 2024年2月10日(土)13:00~16:20(開場 12:30)ひきこもり相談会 16:30-19:40会場 : (1) 渋谷ヒカリエホール (東京都渋谷区渋谷2丁目21-1)(2) オンライン(YouTube Live にて配信)視聴URL: ▲公式HP 二次元コード画像参加費:無料定員 :リアル会場100名(申込み先着順)内容 :13:00-オープニング13:10-14:40 第1部 “146万人の「ひきこもり当事者」の思いをシェアし、ひきこもりへの理解を進める”ひきこもり経験のある著名人らによるトークセッション14:55-16:15 第2部 “みんなが生きやすい社会についてひきこもり経験者・支援者とともに深堀する”パネルディスカッション16:15-16:20クロージング16:30-19:40ひきこもり相談会 (50組限定/約20人の相談員対応)支援者、ひきこもり経験者、家族会などが担当します。話したい団体を選択可能。(対面とオンライン/電話相談、1組30分/60分から選択、予約制 ※空きがある場合は当日相談も可)主催 :厚生労働省詳細/お申し込み(公式ホームページ): 【出演者】第1部:パーソナリティー高橋みなみさん/タレント第1部 パーソナリティ 高橋みなみさん1991年4月8日生まれ。東京都出身。2005年にAKB48第1期メンバーとして活動開始。2012年、48グループ初代総監督に就任。2016年、AKB48を卒業。卒業後はテレビやラジオを中心に幅広くマルチに活躍中。本事業に3年間携わり、今年度も『ひきこもりボイスTV』パーソナリティを務めていただきました。コメンテーターにひきこもり経験のある支援者や著名人、ひきこもり当事者・経験者にVOICE隊として参加いただき、全6回放送。“(1)当事者としてのリアルな声を届けながら、全国の視聴者に「ひとりじゃない」という安心感を伝えられる存在、(2)全国の当事者・家族に寄り添い、勇気や希望を感じてもらい、そっと背中を押すことのできる存在を番組作りの目標に、視聴者代表として、ひきこもりについての理解を深めながらメッセージを発信してきました”ゲストコメンテーター宮本亞門さん/演出家第1部 ゲストコメンテーター 宮本亞門さん1958年東京・銀座生まれ。2004年には東洋人初の演出家としてオンブロードウェイにて「太平洋序曲」を上演し、同作はトニー賞4部門にノミネート。ミュージカル、ストレートプレイ、オペラ、歌舞伎などジャンルを問わず幅広く作品を手掛ける。高校時代にひきこもり経験あり。“僕はひきこもり経験者です。正直とても辛かった!だけどあの経験があったから良かったと今は大声で言えます。今の教育システムの日本では、ひきこもりは自分自身と向き合うための、とっても大切な心のブレーキを踏む時間です。それを卑下したりせず、ひきこもり仲間を知ってヒントを出し合い、明るい未来を話しましょう。”ゲストコメンテーターゆうたろうさん/俳優・モデル第1部 ゲストコメンテーター ゆうたろうさん1998年、広島県生まれ。俳優・モデル・ショップ店員。2016年ショップ店員から“かわいすぎる美少年”として芸能界デビュー。2018年『3D彼女 リアルガール』で映画初出演を果たし、以降ドラマ・映画・舞台に多数出演しその存在感を放つ。主な出演作:映画『かぐや様は告らせたい』、ドラマ『シャーロック』(CX)、『来世ではちゃんとします』(TX)、『明日、私は誰かのカノジョ』(MBS)、『Followers』(Netflix)など。“中学で不登校、ひきこもりを経験。10代の頃は無駄な時間と思っていたけれど、その経験があったからこそ、自分を見つめ直す時間ができ、今の自分の生き場所を見つけることができ、大切な時間だったのかと感じています。”ゲストコメンテーター宮武将大さん/一般社団法人hito.toco/一般社団法人toki-line 代表理事香川県生まれ。小学6年生の時に不登校になり、そのまま20歳までひきこもり生活を送る。家族の関わりと働くことがきっかけとなり社会復帰。人との出会いや、つながりを通して心のリハビリが行われていく。働く傍ら自助グループや支援活動を経て、2016年に法人設立。人と社会を心でつなぐ活動を目指し、ひきこもりや不登校、障害等を対象とした相談支援、家族会、就労支援などに取り組む。第2部:モデレーター浜田敬子さん/ジャーナリスト第2部 モデレーター 浜田敬子さん1989年に朝日新聞社に入社。AERA編集部、副編集長などを経て、2014年からAERA編集長。2017年に朝日新聞社を退社後、経済オンラインメディアBusiness Insiderの日本版を統括編集長として立ち上げる。2020年末に退任し、フリーランスのジャーナリストに。2022年8月に一般社団法人デジタル・ジャーナリスト育成機構を設立。2022年度ソーシャルジャーナリスト賞受賞。「羽鳥慎一モーニングショー」「サンデーモーニング」「news23」のコメンテーターや、ダイバーシティなどについての講演多数。著書に『働く女子と罪悪感』『男性中心企業の終焉』『いいね!ボタンを押す前に』(共著)。パネリスト荻野亮太さん/NPO法人こおりやま子ども若者ネットワーク 理事/児童指導員(放課後等デイサービス職員)福島県郡山市出身。対人関係のつまずきから高校時代は一時期不登校に。大学は中退、約3年間引きこもる。その後医療やNPOの支援を受け徐々に社会参加できるようになり、再度大学へ進学。今度は4年間通い卒業。現在は児童福祉の現場で療育・発達支援に従事。また、地域の支援者仲間と勉強会やイベントの企画に携わる。趣味のアカペラの活動では地域のイベントのステージで歌っている。パネリスト能登大次さん/NPO法人山村エンタープライズ 代表理事1974年仙台生まれ。東京で雑貨類のデザイナー「能登夫妻」を営むも、311をきっかけに岡山に移住。2012年美作市地域おこし協力隊に就任し、仲間たちとともに「山村シェアハウス」をオープン。2015年NPO法人山村エンタープライズを設立し、翌年、若者支援に特化した「人おこしシェアハウス」を開設。現在は、法人代表理事&人おこし事業の事務局長として、さまざまな事情を抱えて全国から集まった若者たちと切磋琢磨の日々をエンジョイしている。パネリストみたらし加奈さん/臨床心理士/公認心理師第2部 パネリスト みたらし加奈さん1993年東京都生まれ。大学院卒業後、総合病院の精神科に勤務。専門家と共に性被害や性的同意に関する情報発信をおこなうNPO法人『mimosas(ミモザ)』の代表副理事も務めている。現在は、国際心理支援協会に勤務しながら、メディアにも出演し、SNSを通して精神疾患の認知を広める活動を行っている。著書に『マインドトークあなたと私の心の話』、『テイラー声をさがす物語』。ひきこもりVOICE STATION 全国キャラバン 昨年の開催風景「ひきこもりVOICE STATIONフェス」 昨年度の様子※アーカイブにてご覧いただけます( )※【内閣府調査ひきこもりの実態】2023年3月31日公表 より・2022年11月全国の10歳から69歳計3万人にアンケート調査を実施。1万3,769人から回答。・【調査定義】:自室または自宅から出ない、近所のコンビニエンスストアなどや趣味の用事などだけは外出するといった状態が6カ月以上。・【年齢層別】:15歳~39歳の若者層では、7年前に公表された調査の1.57%から2.05%に増加40歳から64歳の中高年層では、4年前に公表された調査の1.45%から2.02%に増加・【男:女の比率】:4年前に公表された調査では男性が75%以上(40歳~64歳)今回の調査では、女性が52.3%と半数を上回る(40歳~64歳)15歳~39歳も女性が45.1%・【どのような人や場所なら相談したいと思うか?】「誰にも相談したくない」22.9%(15歳から39歳)23.3%(40歳から64歳)・【その理由】:「相談しても解決できないと思うから」50%以上(15歳から64歳)■東京メトロ渋谷駅に、ひきこもりの当事者やご家族の声を巨大ポスターで掲出!『146万人のボイスプロジェクト』2月5日(月)~2月11日(日)ひきこもり当事者は全国で推計146万人。当事者の声を広く伝えることで、ひきこもりへの誤解や偏見をなくしていくことを目指し、ひきこもり当事者、経験者、そしてご家族から募集をした声を巨大なポスターにして東京メトロ渋谷駅地下通路に掲出するキャンペーンを2月5日(月)から2月11日(日)まで実施します。ひきこもるきっかけや、いまの暮らしの様子、家族への思い、日々の暮らしの中で大変なことや辛いこと。救いになった出来事や出会いなど、本キャンペーンで募集したひきこもり当事者、経験者、ご家族のボイス声のひとつひとつを吹き出しで紹介し、それが集まり、「#ひきこもりは誰にでもどの家族にも」という一つのメッセージを作り出します。掲出イメージ 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年01月25日15歳から64歳のひきこもり当事者は、全国で推計146万人とされ、4年前と比較して女性の割合も増えてきました。「相談しても解決できないと思うから誰にも相談したくない」という当事者も多数います。今や、ひきこもりは誰にでも起こりうること。他人事ではありません。厚生労働省は、ひきこもりに理解がある地域社会の実現を目指し「ひきこもりボイスTV」を10月7日(土)から全6回放送し、「ひきこもりVOICE STATION全国キャラバン」を10月14日(土)から全国6ブロックにて開催いたします。このキャンペーンの目的は、ひきこもり状態にある方やその家族が孤立することなく、地域社会においてひきこもりに関する理解を深め、相談しやすい環境づくりを促進していくことです。◆「ひきこもりボイスTV」ひきこもりボイスTVパーソナリティ 高橋みなみ『ひきこもりボイスTV』は、ひきこもり当事者の「声」や地域での支援事例を紹介していくことで、ひきこもり当事者への世間の誤解や偏見を解消し、誰もが生きやすい社会について考えていく番組です。パーソナリティは、今年で3年目の『高橋みなみ』さんを迎え、コメンテーターに、ひきこもり経験のある支援者や著名人、そして、ひきこもり当事者・経験者をVOICE隊として参加いただき、シリーズ全6回の放送予定です。★当事者としてのリアルな声を届けながら、全国の視聴者に「ひとりじゃない」という安心感を伝えられる存在★全国の当事者・家族に寄り添い、勇気や希望を感じてもらい、そっと背中を押すことのできる存在上記の番組作りを目指し、高橋みなみさんは、視聴者代表として、ひきこもりについての理解を深めながらメッセージを発信していきます。◆『ひきこもりボイスTV』概要●TOKYO MX 10月7日(土)より、毎月 第1・第2土曜日 16:00~16:30(全6回)●YouTube配信 TOKYO MX放送終了後に配信◆「ひきこもりVOICE STATION全国キャラバン」ひきこもりVOICE STATION全国キャラバン「ひきこもりVOICE STATION全国キャラバン」では、第1部で、ひきこもりに関する理解の促進や支援体制の整備などに取り組まれている当事者、家族、支援者、行政担当者などを迎えたパネルディスカッションを実施します。第2部では、具体的な事例をもとにパネラーを交えたワークショップを実施し、地域で行われている活動を、地域に住む関心層や学生などが自分の立場で関われることを議論し、誰もが生きやすい地域にしていくために各人が一歩を踏み出す状態を目指します。キックオフとなる「ひきこもりVOICE STATION 全国キャラバンin 埼玉」(10月14日開催)では、元ひきこもり当事者、埼玉を中心に活動する家族会代表や支援者らが、『8050問題から考える、生きづらさを感じた時に誰もが孤立しない社会とは』のパネルディスカッションを行います。■参加申込方法会場定員 各会場50~100名(申込先着順)「ひきこもりVOICE STATION 全国キャラバン」お申し込みフォームにアクセスし、必要事項を入力の上お申し込み。URL: <スケジュール>●関東・甲信越ブロック 10月14日(土)会場 :TOIRO さいたまスーパーアリーナ <STUDIO 1・2>埼玉県さいたま市中央区新都心8番地(JRさいたま新都心駅 徒歩3分)テーマ:8050問題から考える、生きづらさを感じた時に誰もが孤立しない社会とは●九州・沖縄ブロック 10月22日(日)会場 :出島メッセ長崎 <会議室103>長崎県長崎市尾上町5-1(JR長崎駅直結)テーマ:『当事者が自ら考え、自ら動くとき』~当事者主体の発信と、周囲の支えを考える●近畿ブロック 10月28日(土)会場:QUESTION <Creative Commons>京都府京都市中京区河原町通御池下る下丸屋町390-2(京都市営地下鉄 京都市役所前駅 徒歩1分)●北海道・東北ブロック 11月18日(土)会場:郡山商工会議所 <中ホールA>福島県郡山市清水台1-3-8(JR郡山駅西口 徒歩約8分)●中国・四国ブロック 11月26日(日)会場:山陰中央テレビ <大会議室>島根県松江市向島町140-1(JR松江駅 徒歩約8分)●東海・北陸ブロック 12月9日(土)会場:石川県地場産業振興センター <第12研修室>石川県金沢市鞍月2丁目1番地(JR金沢駅金沢港口(西口)バス約20分)<開催概要>開催時間 : 13:00~16:00(開場12:30)入場料 : 無料イベント形式 : 1部 リアル参加&オンラインのハイブリッド、2部 リアルのみ主催 : 厚生労働省運営 : ひきこもりVOICE STATIONキャンペーン事務局TEL : 03-6205-4560(平日 10:00~18:00)公式ホームページ: <昨年度の様子>昨年度の様子昨年度の様子2※【内閣府調査ひきこもりの実態】2023年3月31日公表 ※参考資料抜粋 ・2022年11月全国の10歳から69歳計3万人にアンケート調査を実施。1万3769人から回答。・【調査定義】:自室または自宅から出ない、近所のコンビニエンスストアなどや趣味の用事などだけは外出するといった状態が6カ月以上。・【年齢層別】:15歳~39歳の若者層では、7年前に公表された調査の1.57%から2.05%に増加40歳から64歳の中高年層では、4年前に公表された調査の1.45%から2.02%に増加・【男:女の比率】:4年前に公表された調査では男性が75%以上(40歳~64歳)今回の調査では、女性が52.3%と半数を上回る(40歳~64歳)15歳~39歳も女性が45.1%・【どのような人や場所なら相談したいと思うか?】「誰にも相談したくない」22.9%(15歳~39歳)23.3%(40歳~64歳)・【その理由】:「相談しても解決できないと思うから」50%以上(15歳~64歳) 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年10月05日40~69歳のひきこもりの実態内閣府が全国の10歳~39歳の男女20,000人、および40~69歳の男女10,000人を対象に実施した「こども・若者の意識と生活に関する調査 (令和4年度)」というものがあります。このうち、ひきこもりの状況に関する項目から、40~69歳を対象にした調査結果に着目してご紹介します。✅「男性・独身・親と同居」というイメージを覆す!?若年層のひきこもりの実態とは【内閣府調査】調査におけるひきこもりの定義今回の調査ではひきこもりを「準ひきこもり」と「狭義のひきこもり」に分けており、これら2つを合わせたものを「広義のひきこもり」と定義しています。<準ひきこもり>✅普段は家にいるが、自分の趣味に関する用事のときだけ外出する。<狭義のひきこもり>✅普段は家にいるが、近所のコンビニなどには出かける。✅自室からは出るが、家からは出ない。✅自室からほとんど出ない。※上記のような状態になって6ヶ月以上、かつ、病気などを理由としない高齢になるほど多い傾向「広義のひきこもり群」に該当する人を性別で見てみると男性が59.4%、女性が40.6%でした。年齢で見てみると、最も多いのが「65歳~69歳」で44.5%を占めています。次いで「60歳~64歳」20.0%、「55歳~59歳」12.9%。高齢になる方が割合が高くなっていることがわかります。「65歳~69歳」で特に割合が高くなっているのは、定年退職後に周囲の人や社会との繋がりが希薄となり、徐々に家から出る機会が少なくなってしまうといったケースが含まれるからかもしれません。✅強迫性障害という消えない不安に支配されて…3人の子どもを持つ作者が描くノンフィクション子育て漫画「配偶者あり」は50%強次に「広義のひきこもり群」に含まれる人の婚姻状況を見てみると、「配偶者あり」が53.5%、「未婚」が27.1%、「配偶者と離別(離婚)」が9.3%などとなっています。一方、「広義のひきこもり群以外」、つまり、ひきこもりではない人の回答をみると、「配偶者あり」が73.6%、「未婚」が13.2%、「離婚」が9.2%。したがって「広義のひきこもり群」の人の方が、結婚している割合が低いことがわかります。また、同居者の有無については、「当人の配偶者」が52.3%、「当人の子」が25.2%、「同居している人はいない」が25.8%でした。「年金」で生計を立てている人が56.8%では、生活状況はどのようになっているのでしょうか。「主に生計を支えている人」は誰かという質問に対し、「自分自身」(54.8%)が最も多く、次いで「当人の配偶者」(29.7%)という結果でした。この結果を不思議に思う人もいるかもしれません。しかし、次に見る「主に生計を支えている人の主な収入源」の回答結果で疑問が解消するでしょう。最も多い回答は「年金」で56.8%を占め、「就労、事業による収入」は21.9%でした。自分で生計を立てているという人の中には、定年退職後にひきこもりとなったため、自身の年金などで生活費を賄うことができているケースなどもあるのでしょう。「暮らし向き」を聞いた設問では、「中の下」を回答した人が最も多く34.8%でした。次いで「中の中」(33.5%)、「下」(25.2%)となっています。このうち、ひきこもりでない人の回答と開きが大きかったのは「下」です。ひきこもりでない人で「下」と回答したのは7.6%なので、17ポイント以上の差が表れています。「広義のひきこもり群」に該当する人の方が自身の暮らし向きをより厳しく感じているといえるでしょう。専業主婦・主夫は18.1%現在の仕事を尋ねた設問では、「無職(仕事を探していない)」が59.4%で最も多いですが、次いで「専業主婦・主夫」も18.1%と2割近くに及んでいます。ひきこもりになる背景にはさまざまな事情が考えられるため一概には言えませんが、結婚して専業主婦・主夫になった人が、何かのきっかけでひきこもりとなったケースもあるのかもしれません。なお、就業経験の有無については「現在は就業していないが、過去に就業経験がある」と回答した人が90.3%に上っています。まとめ40~69歳のひきこもりの状況を見てみると、高齢者になるほど、ひきこもりの割合が多く、年金生活の人も少なくないことがわかりました。そのなかには、定年までは働いて退職後にひきこもりとなったケースなどもあるでしょう。また、半数以上が結婚しており、専業主婦・主夫のひきこもりも一定数いるようです。若い頃にひきこもりとなり、独身のまま親元で年を取っていくというケースばかりでなく、独立や結婚を経て中年以降にひきこもりとなるケースもあると考えられます。自分の親や自分自身、配偶者がひきこもりにならないとも限りません。多くの人が関心を寄せて考えることが大切でしょう。(マイナビ子育て編集部)※画像はイメージです調査概要■こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年版)調査地域:全国調査対象:①令和4年4月1日現在、10歳~39歳の男女 20,000 人②令和4年4月1日現在、40歳~69歳の男女 10,000 人調査時期:令和4年11月10日から25日まで有効回答数:10~14歳:1,52015~39歳:7,03540~69歳:5,214<関連記事>✅若者の4人に1人が性暴力の被害にあっているというデータ、最初に被害を受けた年齢では小学生も15%に上る✅ある特徴をもつ女性は「年収100万円未満」の割合がどの年代も最多に、その特徴とは?✅孤独死の3割は発見まで15日以上!?発見原因で「異臭」よりも多かったのは?
2023年07月01日15~39歳のひきこもりの実態内閣府が全国の10歳~39歳の男女20,000人、および40~69歳の男女10,000人を対象に実施した「こども・若者の意識と生活に関する調査 (令和4年度)」というものがあります。このうち本記事では、15~39歳を対象にしたひきこもりに関する状況等の調査結果に着目してご紹介します。✅中高年のひきこもり、65~69歳が約45%!4人に1人が独居という生活実態も明らかに調査における「ひきこもり」の定義今回の調査ではひきこもりを「準ひきこもり」と「狭義のひきこもり」に分けており、これら2つを合わせたものを「広義のひきこもり」と定義しています。<準ひきこもり>✅普段は家にいるが、自分の趣味に関する用事のときだけ外出する。<狭義のひきこもり>✅普段は家にいるが、近所のコンビニなどには出かける。✅自室からは出るが、家からは出ない。✅自室からほとんど出ない。※上記のような状態になって6ヶ月以上、かつ、病気などを理由としない15~39歳のひきこもり、男性53.5%・女性45.1%「広義のひきこもり群」に該当した15~39歳の人の性別をみると、男性が53.5%、女性が45.1%、その他(どちらともいえない・わからない・答えたくない)が1.4%となっており、若干、男性の方が多い結果でした。また、年齢では「25歳~29歳」が23.6%と最も多く、次いで「15歳~19歳」21.5%、「35歳~39歳」20.8%、「20~24歳」18.1%、「30~34歳」16.0%となっています。30代の前半は比較的低い値ですが、この結果を見ると、特にどこかの年代で突出している、といったことはないようです。✅相手の父親が小学生の息子を恫喝! 何この人、怖い…本当にあった学校トラブル15~39歳のひきこもり、8割以上が未婚次に、広義のひきこもり群に該当する婚姻状況を見てみると、若年層が含まれることもあって、「未婚」が81.9%とほとんどを占めました。ただし、この数字は、「広義のひきこもり群以外」、つまり、ひきこもりでない人で未婚の割合が60.1%であるのと比べると、20ポイント以上の開きがあります。広義のひきこもり群に該当する人の方が、それ以外の人より未婚の割合が多いといえます。15~39歳のひきこもり、暮らし向きは「中の中」以下に集中「主に生計を支えている人」は、父(43.1%)、母(22.2%)、当人の配偶者(15.3%)という結果でした。また、「主に生計を支えている人の主な収入源」は「就労、事業による収入」が76.4%で最も高い結果でしたが、なかには「年金」と回答した人も7.6%見られました。高齢の親がひきこもりの子の生活を支えているといった家庭もあることが想像されます。さらに、「暮らし向き」に関する回答を見ると、「中の中」を回答した人が最も多く47.9%、次いで「中の下」(25.0%)、「下」(16.7%)という結果でした。反対に「中の上」は9.0%、「上」は0.7%と低い値となっています。一方、「広義のひきこもり群以外」の回答では、「中の下」と回答したのは19.6%、「下」と回答したのは5.6%と、いずれも「広義のひきこもり群」よりも低く、反対に「中の上」は20.4%と、「広義のひきこもり群」よりもかなり高い結果でした。このことから、「広義のひきこもり群」に該当する人の方が、自分の暮らし向きを世間一般より低く感じている人が多いといえるでしょう。✅娘がヒドいオムツかぶれで号泣。オムツがタポタポでも放置しっぱなし……SNSにのめりこみ堕ちていくママの話15~39歳のひきこもり、専業主婦・主夫も12.5%「現在の仕事」については、「無職(仕事を探している)」が29.9%、「無職(仕事を探していない)が24.3%、「学生・生徒(予備校生などを含む)」が22.9%をそれぞれ占めました。また、「専業主婦・主夫」も12.5%でした。なお、「広義のひきこもり群以外」における「専業主婦・主夫」の割合は4.7%となっています。これまで見てきたように、15~39歳で「広義のひきこもり群」にあたる人は未婚が大半であり、親の収入の元で暮らしているケースが多いことが考えられますが、結婚して配偶者と暮らしているケースも一定数、存在することがわかります。まとめひきこもりの実態は、当事者や関係者でないと見えにくいものですが、今回ご紹介した調査から、少し具体的にイメージしやすくなった人もいるかもしれません。15~39歳を対象にした調査なので、親がひきこもりの子を支えているケースが多いといえますが、夫婦のいずれかがひきこもりであるケースもあるようです。また、暮らし向きが一般よりも低いと感じる割合も少なくありませんでした。昨今、多くの家庭が物価高などの影響を家計に受けていますが、ひきこもりの人やその家族も例外ではないでしょう。ひきこもりを家庭内の問題とせず、社会の関心事としてもっと広く認識され、多様で柔軟な支援体制が整うことが大切だと考えられます。(マイナビ子育て編集部)※画像はイメージです調査概要■こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年版)調査地域:全国調査対象:①令和4年4月1日現在、10歳~39歳の男女 20,000 人②令和4年4月1日現在、40歳~69歳の男女 10,000 人調査時期:令和4年11月10日から25日まで有効回答数:10~14歳:1,52015~39歳:7,03540~69歳:5,214<関連記事>✅若者の4人に1人が性暴力の被害にあっているというデータ、最初に被害を受けた年齢では小学生も15%に上る✅ある特徴をもつ女性は「年収100万円未満」の割合がどの年代も最多に、その特徴とは?✅孤独死の3割は発見まで15日以上!?発見原因で「異臭」よりも多かったのは?
2023年06月03日「皆さん、こんにちはー。今日は、よく来てくださいました。ただいまから『ひきこもり女子会』、始めたいと思いまーす」都心の貸し会議室。午後の陽光が大きな窓から差し込み、清潔感あふれる部屋の雰囲気そのままに、女性は明るい声で、硬い表情の参加者たちに語りかけていた。今年3月末、内閣府はひきこもりに関する調査(’22年実施)の結果を発表。それによれば、15〜64歳でひきこもり状態にある人は、全国で推計146万人にのぼるという。なかでも、40歳以上の中高年では女性が半数超の52.3%を占めていたことが注目を集めていた。「ようやく、実態に追いついた数字が出てきたように思います」こう話すのは、「一般社団法人ひきこもりUX会議(以下、UX会議)」の代表理事・林恭子さん(56)。貸し会議室で参加者に優しく語りかけた、あの人だ。「『ひきこもり』という言葉が広く知られるようになって20年以上。その間、困難を抱える当事者に向けて、自治体などによる、さまざまな支援策が講じられてもきました。ですが『ひきこもり=若い男性』というイメージが根強く、実態に即していない支援も少なくなかったように感じています」’19年発表(’18年実施)の調査では、ひきこもり状態にある中高年女性の割合は23.4%。それが4年で倍増したわけだが、林さんは「いまになって急増したわけではない」と話す。「コロナ禍を経て、男女を問わず当事者は増えているとは思います。とくに、女性はコロナ禍で困難な状況に追い込まれた人が大勢いますから。ただ、今回の調査結果は、これまでクローズアップされてこなかった、ひきこもり状態にある女性の存在が、可視化されてきた結果ではないかと考えています」職に就かず家にいても問題と見なされない「家事手伝い」「主婦」という肩書があるのも、女性のひきこもりを見えにくいものにしてきた。さらに、林さんは「社会の変化」についても指摘する。「『働いてこそ一人前』と、かつては男性のほうが社会からの重圧に強くさらされ、生きづらさを感じていた人も多かったように思います。それが昨今は、女性も『活躍』を強く期待され、『生産性』を問われるように。現代社会で、女性のひきこもりが男性と同等数いたとしても、不思議ではありません」林さんたちUX会議は、存在が見えにくい女性当事者たちの声を拾い上げたい、彼女たちの心安らげる居場所を作りたいと思案。7年ほど前から、冒頭で紹介した「ひきこもりUX女子会」と銘打った会を、全国各地で約190回も開催してきた。そこには10〜60代の幅広い世代の女性たちが、これまで延べ5千人も参加している。「女子会で出会う当事者と話していると、本当にしんどそう。よき娘、よき妻、よき母に加え、よき社会人であることを求められ、一つでも欠ければ『自分はダメだ』と卑下し、ひきこもり状態に陥る一因にもなってしまっている」こう話す林さん自身も、ひきこもりの当事者だった。16歳で不登校になり、そこから断続的に20年間、「出口の見えないまっ暗な闇の中で、もがき続けるしかなかった」■最近の「ひきこもり女子会」には、本当に40代~50代の参加者が多い。一時は自殺を考えるまでに追い詰められた林さんだったが、同じくひきこもりの当事者の会に参加したことで、「自分だけじゃないんだ」と救われた気がしたという。’02年、林さんはアルバイトで生計を立て実家を出ることを決意できるまでに。このとき、林さん36歳。不登校になったあの日から、じつに20年の歳月が流れていた。「やがて、さまざまな当事者たちとの出会いのなかで、もっと当事者の声を届けたい、そんな思いに駆られるようになりました」林さんは’12年から、自ら率先して当事者活動を開始。そして’14年には、自分と同じ当事者、経験者らとともに当事者団体「ひきこもりUX会議」を立ち上げた。「UX」とは「Unique eXperience=固有の体験」という意味だ。活動の柱は当事者の声を届けること。そこには、当事者不在のままニーズに合致しない支援が形作られ、無駄に時間だけが過ぎてしまったという焦燥感にも似た思いがあった。なかでも注目していたのが女性当事者だ。長年、「ひきこもり=若い男性」という間違ったイメージが定着してしまった結果、彼女らへの支援が圧倒的に不足していると実感していた。また、仮に支援はあっても、男性がいる場に怖くて足を運べないDVや性被害を経験した女性当事者も少なくない。「そこで、女性だけが集まる場を設ければ、女性当事者がもっと来やすくなるのではと考えました」 ’02年。第1回の「ひきこもりUX女子会」が開催された。「最近の女子会には、本当に40代、50代の参加者が多いんです。時には、50代がいちばん多いこともある。これまで、見過ごされてきた中高年女性の当事者たちです」なかには「自死寸前だった」と語る50代女性もいた。また「50年生きてきて、初めて自分の話を聞いてもらえた」と涙を流す人も。「お二方とも『女子会の存在を知り救われた』『勇気を出して今日、来て本当によかった』と言ってくれました。これは、中高年の方に限ったことではありませんが、女子会に参加された当事者の多くは、表情が激変するんです。見ている私たちも感動するぐらい、来たときの硬い表情とは別人のような、明るい顔になって帰っていく」■当事者の持っている優しさ、エネルギーを生かせる社会になってほしいと願うひきこもり女子会の開催を重ねるなかで、驚かされたのが、参加する主婦の多さだった。「予想以上でした。’19年からは自治体と連携し『ひきこもりママ会』も開催しています。これまで11回開き、延べ参加人数は61人。ニーズは確実にあると思います」取材の最後に、改めていまの夢を尋ねると、「UX会議など当事者活動は続けていきたい。それはなにも、誰かを助けたいからじゃなくて。私自身がいまも、この社会に息苦しさを感じているから。自分のためにも、隙間を作りたいんです」そして、こう言葉を続けた。「ひきこもり=弱くてダメな人、役に立たない人と思われがちですけど、彼らの持ってるものを測る物差しが社会の側にないだけだと思うんです。当事者の多くは、本当に優しくて繊細で。その半面、エネルギーの大きい人も多い。そのエネルギーで自分を責めるから、ひきこもりになってしまう気がします。彼ら、彼女らの持っている優しさ、エネルギーを生かせる社会になってほしいと思っています。ま、簡単ではないとは思うし、私が生きているうちは無理かなとも思いますけど。そのための活動は最後まで続けたい。死ぬ瞬間まで『こうあってほしいんです!』って、電話一本、することはできますから」自分ばかり責めてしまうがためのひきこもり。だが気づいてほしい、仲間がいることに。そして、あなたが自分を好きになることが、“闇”から一歩踏み出すきっかけとなることを。【後編】20年間ひきこもりだった経験から「ひきこもり女子会」を主催する林恭子さん“原因”となった母との「和解」へ続く
2023年05月21日【前編】「ひきこもり女子会」主催・林恭子さん もっと「自分にYES」を!から続く’66年、林恭子さん(56)は東京・練馬で3人姉妹の長女として生まれた。保険会社勤務の父は転勤族で、林さんは物心つくころから、各地を転々としながら育てられた。「幼いころの私は、いわゆる『いい子』だったと思います。『どこの学校に転校しても授業についていけるように』と、母の言いつけを守り、勉強も懸命に頑張りました。もちろん学校も家でも口答えなんて、一切したことがありません」’73年、神奈川県で小学校に入学し、5年生のときに福井県に転校。’79年、広島県で中学校に入学し、翌’80年、中学2年からは香川県に。管理教育全盛の時代。転校続きの林さんは目まぐるしく変わる環境、学校ごとに違う校則に適応しようと腐心した。なかには平気で体罰を振るう教師もいた。いつしか、彼女は教育現場の理不尽さにクラスの誰より敏感になっていく。「ある学校では教師が生徒を手下のように扱い、気に入らないと足蹴にして。また、ある学校では、女子は三つ編みでも長い髪は許されず、顎のラインで切るよう命じられた。反抗こそしませんでしたが、その理由を『どうして?』と先生に聞いても『校則だから』としか答えてもらえない。私はずっと違和感を抱き続けていました」中学卒業後、母に勧められるがまま進学校に。その高校では、それまで以上に徹底した管理教育にさらされることに。すると……。「16歳、2年生のゴールデンウイーク明けでした。朝、体が重くて頭痛に微熱も。それで、その日は学校を休んだんです。それが、ひきこもりの始まりでした」そもそも、ひきこもりとは、どういう人や状態を指すのか。厚生労働省の定義では《様々な要因の結果として社会的参加(就学、就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則的には6ヵ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態を指す現象概念(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)》とされている。いっぽう、’15年実施の内閣府の調査では、ひきこもり状態の人の9割が、趣味の用事やコンビニに出かけるという実態も報告されている。心身の不調や家族関係、不登校など、さまざまな原因から人はひきこもり状態に陥るとされる。林さんの場合は、異変は体に現れた。「最初に欠席した日から体調は急激に悪化。頭痛、微熱に、吐き気、めまい、胃痛、不眠、それに、ひどい肩こり、あらゆる身体症状が出て、学校に行けなくなりました」検査入院もしたが原因はわからずじまい。その年の夏には、突如、過呼吸の発作を起こし救急車で病院に担ぎ込まれたこともあった。1年間休学した後、福岡県に転居。現地の高校に編入、復学を果たすも、わずか1日で中退。通信制の高校に編入し、’86年になんとか卒業。その年、また父の転勤に伴い家族で帰京し、林さんも東京の大学に進むのだが、「いまも暮らしている都内の実家から大学へは、電車を乗り継ぎ片道約2時間も。朝夕のラッシュは体調のすぐれない私にはまさに殺人的で、入学から1カ月後には通えなくなってしまって」結局、大学も中退せざるをえなかった。「未来を失ってしまった」と絶望した。「大学に行かないなら働きなさい」と母に諭され、体調不良を押してアルバイトに出たことも。しかし、半日外出すれば3日寝込む、そんな毎日だった。不安で夜は眠れず、昼夜は完全に逆転。家にいる間は風呂にも入らず、歯ブラシも重くて持てない。このころ、林さんの中では「生きづらさの原因は、母との関係にあるのでは」という疑念が浮かび上がってくる。母の口癖は「私の言うことを聞いていれば間違いない」。その言葉に、抵抗も、意見することもできず「いい子」でい続けた。意に沿わない高校に進んだ結果、不登校にもなったのだ。「精神的に支配されていたように思います。思えば、私は幼いころから将来の希望とか、夢を持ったことがなかった。母から言われたことに従うだけ、それが私でした」そんな「いい子」は20代になり、今度は「母のゴミ箱」になった。そして、27歳。林さんは「万策尽きてしまった」と感じていた。「不登校になって11年、私なりにこのままじゃいけないと足搔いてきたつもりです。図書館の本はすべてと言っていいほど読みましたし、病院にも長年通い、服薬にカウンセリングも。それでも、誰も私をすくい上げてくれなかった。それまで、死んでもいいとは思っても、死にたいとは思わなかった。でも、もうこんな、なんの役にも立たないダメな人間が生きていける場所は世界のどこにもないんだろうな、そう思ったんです。もう、死ぬしかないんだろうなって」■自分と同じ経験者、当事者と出会えたことで「ひとりじゃないんだ」と実感林さんを踏みとどまらせたのは、精神科の8人目の担当医・I医師。「もう、生きるのを終わりにしようと思っています」そう告白すると、彼は「やってみるといいですね」と応じた。「先生は、そう言ったあとに『でも』と続けました。『本当のあなたは、あなたの奥のほうに眠っているだろうから、そのあなたまでいなくなるのは残念ですね』と」淡々と告げるI医師の言葉を、林さんは静かに受け止めたという。「いま思えば、『やめなさい』などと軽々に否定されなかったのはありがたかった。ただ、そのときは、そうは言われても、死ぬのをやめようとまでは思えなくて。またベッドに潜っては『山中でひっそり死ねば、誰にも迷惑をかけないかな』とか、そんなことを悶々と考え続けていました」それから数週間。変わらずひきこもり続けた林さんの脳裏に、不意に、映像が浮かんだという。「自分のつま先と、その先に二つの道が見えたんです。一つは『生』に、もう一方は『死』につながっていて。なぜか私のつま先は少しだけ『生』のほうを向いていたんです」林さんは「これってなに?」と考え込んだ。そして、ある答えに行き着いた。「頭では『死ぬしかない』と考えていたけど、私の体は『生きよう』としているのかな、これがI先生の言った本当の私かな、と。それで思ったんです。人はいつか必ず死ぬんだから、それまでは社会の最底辺で、役に立たない人間のままでいいから、生きてみようって」この瞬間、林さんのひきこもり生活はまっ暗闇の中、“底を打って”いたのかもしれない。そしてもう一つ、I医師同様に、林さんの力になってくれた存在がある。それは、自分と同じ当事者たちだ。それは’97年。林さんはある新聞記事に目を奪われた。「朝日新聞の『人と生きたい─引きこもる若者たち』という連載でした。そこで私は、初めて『ひきこもり』という言葉を知りました。私はひきこもりなんだと、自分の状態に名前が付いたことで初めて、かすかな光が見えた気がしたのを覚えています」居ても立ってもいられず、林さんは、記事を執筆した記者に手紙を出した。すると後日、その記事をまとめた本の出版記念イベントに誘ってもらえた。思い切って参加してみると、そこには、林さんと同じようなひきこもり当事者や、その家族の姿があった。「『せっかくだから、皆さんで家族会やグループを作っては』と促され、思い切って隣にいた同世代の女性に声をかけました。すると、彼女も当事者で、しかも家も近所とわかり一緒に帰りました」 その女性から「ひきこもりについて考える会」という対話交流の会のことを教えられ、’99年11月に初参加。以後、当事者等の集いに足を運ぶようになっていく。「こうして、ようやく自分と同じような経験者、当事者と出会えたことで『私はひとりじゃなかったんだ』と思えるように。I先生との出会い、それにこの『ひとりじゃない』という思い、この2つが両輪となって人生がやっと動きだした、そんな気がします。もしかしたら、社会の隙間だったら、私も生きていけるかもしれない、そう思えるようになったんです」林さんは’12年から、自ら率先して当事者活動を開始。そして’14年には、自分と同じ当事者、経験者らとともに当事者団体「ひきこもりUX会議」を立ち上げた。「UX」とは「Unique eXperience=固有の体験」という意味だ。活動の柱は当事者の声を届けること。そこには、当事者不在のままニーズに合致しない支援が形作られ、無駄に時間だけが過ぎてしまったという焦燥感にも似た思いがあった。林さんたちUX会議は、存在が見えにくい女性当事者たちの声を拾い上げたい、彼女たちの心安らげる居場所を作りたいと思案。7年ほど前から、冒頭で紹介した「ひきこもりUX女子会」と銘打った会を、全国各地で約190回も開催してきた。そこには10〜60代の幅広い世代の女性たちが、これまで延べ5千人も参加している。「そこで、女性だけが集まる場を設ければ、女性当事者がもっと来やすくなるのではと考えました」’02年。第1回の「ひきこもりUX女子会」が開催された。ひきこもり女子会の開催を重ねるなかで、驚かされたのが、参加する主婦の多さだった。「予想以上でした。’19年からは自治体と連携し『ひきこもりママ会』も開催しています。これまで11回開き、延べ参加人数は61人。ニーズは確実にあると思います」こう話す林さんは3年前から、自らのひきこもりの“原因”となった母・博子さん(仮名・84)と、再び同居している。「父が他界し、実家を手放す話が出て。ならば一緒に暮らそうかと。それだけなんです。妹たちからは『お姉ちゃん、本当に大丈夫?』って心配されました(苦笑)」今回の取材は、母娘が暮らす自宅で行った。博子さんは娘がひきこもりになったことを「青天のへきれきだった」と苦笑いを浮かべた。「『なんで?どうして?』って、もう『?』ばっかりでした」子供時代の娘のことを「努力家だった」と博子さんは評する。「すごい頑張る子だったから、こちらもつい、ハッパをかけたくなってしまった。それに、産んだ以上は完璧に育てたいと肩に力が入りすぎていたと思います。それも、子供のためを思って、よかれと思ってしてきたことですが、マイナスに作用してしまってたんですね」林さんは一昨年、出版した自著の中で、母との確執を赤裸々につづった。記者が博子さんに「よく出版を許しましたね?」と問うと「許すも許さないも、事実ですから」。さらりと答えた母に林さんが「鬼婆みたいって思ったんでしょ」と笑顔でツッコミを入れた。「最初はね『これじゃ私、まるで鬼婆みたいじゃない』とも思いましたよ。でもね、客観的に当時を振り返ることができて、『ああ、そうだったんだな』って、気づきもありました」ひきこもっていた20〜30代。生きづらさの原因が母にあると知った林さんは、たまりにたまった怒りを夜ごと、博子さんにぶつけていた。博子さんが振り返る。「夜、もう寝ようという時間に、何時間も突っかかってくるんです。私は仕事もしていたので『いいかげんにして』と言うと『娘と仕事、どっちが大事なの!』となる。でも、私も本気でぶつかりました。ぶつかり合うことで毎回一つ、気づきがあるんです。娘の思いやつらさがほんの少しずつ、わかるようになった。でもね、もっと賢い親だったら、もっと早くわかってあげられたんじゃないかと思う。そうすれば、この人のいちばん多感な時期を、楽しいはずの時代を潰さずに済んだんじゃないか、もっと早く復活させてあげられたんじゃないかとね。それは本当に、ごめんなさいね、という気持ちです」頭を下げた母を黙って見つめていた娘。やがて、あるエピソードを紹介した。それは、林さんの甥、博子さんにとっては孫のこと。「中学校を不登校になっていたんです。ところがその子、おばあちゃんである母のところに連日、通ってきてた。昔の母なら『ダメじゃないの!』なんて、追い詰めていたと思うけど。黙ってご飯作って食べさせて、甥っ子の話を聞いてあげて。彼にとって、ここが大事な居場所になっていたと思うし、そういう安らぎの場を提供できるようになった母には、正直びっくりしました」
2023年05月21日「ひきこもり」というと、学生をはじめ若い人たちの話だと思われがちであるが、中高年の男性の間で「ひきこもり」の人が増えている――。そんな実態が、内閣府が3月31日に公表した「こども・若者の意識と生活に関する調査」から浮かび上がった。全国の10歳から69歳の3万人を対象にアンケートを実施し、その回答に基づいて、15〜64歳のひきこもり状態の人は全国に146万人いると推計された。「ひきこもりの人は『自分はひきこもりの状態です』と自らは言いません。深刻な状態の人ほどアンケートなどに答えたがらないので、そうした立場の人も反映されると、146万人の倍の数になってもけっしておかしくないでしょう」そう語るのは、ジャーナリストで「ひきこもり」の当事者や家族などで作る「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」の池上正樹副理事長。厚生労働省の定義などを参考にすると、「ひきこもり」とは「自宅にひきこもって学校や仕事に行かず、家族以外との親密な対人関係がない状態が6カ月以上続いている状態」を指す。今回の調査では「ふだんは家にいるが、近所のコンビニや自分の趣味に関する用事のときだけ外出する」という人も含まれている。「家族会の調査でも、ひきこもる人の8割以上は外に出ています。ただし、コンビニやスーパーへの買い物や、図書館や散歩に出かけても人との交流を避ける、そもそも人が怖いので人とかかわらないようにしている、などのように他人に心を閉ざしている状態なのです」(池上副理事長)今回の調査で40〜69歳の人の結果に注目してみると、既婚者が多く、「配偶者あり」と答えた人が53.5%と半数を超えている。調査の質問項目の一つ、「現在の外出状況になった理由」の回答でもっとも多かったのは「退職」(44.5%)だった。「家族がいても、家の中で邪魔者扱いされて居場所を失う中高年の姿が目に浮かびます。会社生活がすべてだった人は、退職後の喪失感が大きいため『新たな一歩』が踏み出せないケースが多いのです。会社員時代に時間がなくてできなかった趣味や習い事を通じて人との交流をもってほしいところですが、コロナ禍や物価高騰もあって、お金がかけられないという背景が影響している面もあるのでしょう」(池上副理事長)ひきこもりを看過できないのは、病気をはじめとしたトラブルにつながるリスクがあるためだ。「自分がひきこもりだと気がつかないうちに、うつなどの心の病いにつながることが多く、アルコール依存、家庭内暴力などに発展することも考えられます。なるべく早い段階で発見し、相談や治療にあたることが大切です」そう指摘するのは、九州大学大学院の加藤隆弘准教授(精神病態医学)。加藤准教授は、同大学病院でひきこもり専門の外来を担当している。「私たちのひきこもり専門外来でも、患者さんの約7割に精神疾患がありました。ひきこもりの人は『自分はひきこもりではない』と、SOSを発信できずに頑張りすぎてしまい、心の病いにかかってしまうことも。心の病いを治療したことで、ひきこもり状態から抜け出した人もいます」(加藤准教授)早期発見のために、九州大学大学院医学研究院では、直近1カ月間のひきこもり度を自分自身で評価できる「ひきこもり度評価ツール(HQ-25M)」を開発した。「あくまでもひとつの目安ですが、40点を超えるとひきこもりのリスクは高いといえます。40点よりも下だから大丈夫、というわけではなく、たとえば20点以上であれば『予備群』として、どの部分に点数が多かったのか着目して、本人や家族が対策を講じるようにしてもらいたいです」(加藤准教授)ひきこもりの相談先には、都道府県、県庁所在都市、指定都市等の「ひきこもり地域支援センター」や市区町村のひきこもり担当窓口、KHJ全国ひきこもり家族会連合会のような家族会などがある。前出の池上副理事長は「ひきこもりは遠い世界の問題ではなく、自分や家族も直面しうる事柄だと受け止めてほしい」と話す。私の夫に限って……という過信は禁物。不安があれば自分たちで背負いこみすぎず、専門機関へ相談することが大切だ。
2023年04月14日「ひきこもり」の相談先、支援、脱出方法やニートとの違いなどよくある質問を整理しましたひきこもりとは「社会との交流をほとんどしないで家庭に6ヶ月以上の長期間ひきこもっている状態のこと」と定義されています。今回は・ひきこもりの相談先・当事者や家族への支援・ひきこもりの脱出ステップや家族がひきこもりの場合の対処法・ひきこもりとニートの違いなど、ひきこもりについてよくある質問をまとめてみました。Q.わが子のひきこもりに悩んでいます。どこに相談をすればいいですか?A.ひきこもりの相談先は主に「公的な相談機関」「医療機関」に分かれます。家庭内暴力などに困っている場合には家族内での解決が困難な場合もありますので、まずはこれらの機関に相談することをおすすめします。ひきこもりが長期化すると、「ひきこもりは家族の問題」「できるだけ他人に知られたくない」「一度相談に行ったが十分な対応が得られなかった」「相談にいっても解決しない」など家族で問題を抱え込んでしまうことが多くなります。日本社会に根強い「世間の目を気にする」「家のことは家族で解決する」という文化が、背景にあると考えられますが、そういった家族の気持ちが一層本人を追い詰めてしまうこともあります。また、ひきこもりはときに家庭内暴力や家族内での対立を生む場合もあります。誰にも言えずに家族だけで解決しようとすると、長期化することで周りの家族にとっても大きな精神的なストレスになります。特に暴力については、早期の相談が大切です。ひきこもりの支援は長期になることもあります。その場合もあきらめず相談機関につながり続けていただくことで、複数の支援機関がネットワーク的に連携しながら見守り、タイミングを待つこともできます。ご家族や本人が相談機関につながり続けることが解決に向けて重要なポイントになります。地域の相談支援を行っている機関をご紹介します。電話での相談を行っている場合もありますので、まずは問い合わせてみるとよいでしょう。ひきこもり地域支援センター…ひきこもりに特化した専門的な第一次相談窓口としての機能を有するのが「ひきこもり地域支援センター」です。センターには社会福祉士、精神保健福祉士、心理士(公認心理師・臨床心理士)などがひきこもり支援コーディネーターとして配置されます。相談支援や訪問支援を早期に行うことで、適切な支援につながることを目的にした施設です。参考:ひきこもり対策推進事業|厚生労働省参考:全国ひきこもり地域支援センター設置状況|厚生労働省精神保健福祉センター…精神保健福祉全般にわたる相談を行っています。こころの健康についての相談、精神科医療についての相談などとともに、ひきこもりなど思春期・青年期問題の相談も可能です。電話や面接で相談できますが、事前の予約が必要なこともあるのでホームページなどで確認しましょう。参考:全国の精神保健福祉センター一覧保健所…地域の保健所でひきこもりの相談支援を行っている場合があります。電話相談、面談による相談があり、保健師、医師、精神保健福祉士などの専門職が対応してくれます。また、相談者の要望によっては、保健師に家を訪問して相談してくれる場合もあります。参考:保健所管轄区域案内|厚生労働省そのほか、児童相談所、福祉事務所、発達障害者支援センターなどの福祉機関などに相談してもよいでしょう。こころの問題や身体症状が強く出ている場合など、精神科、心療内科、小児科などの医療機関に相談しましょう。心理カウンセリングを行っているところもあります。本人が受診を拒む場合や外出できないときには、まずは家族の相談を受け入れてくれる医療機関を探すとよいでしょう。ひきこもり状態の1~2割に家庭内暴力が伴うことがあると言われています。本人への遠慮や周りへの相談のしにくさからから容認してしまったり、第三者の介入を避けたくなることもあるかもしれませんが、密室化してしまうことが最も解決を困難にします。家庭内暴力への対処は「開示・通報・避難」を基本とします。家族だからこそ対処が難しい場合がありますので、ひきこもり地域支援センターなどの専門機関に相談することもおすすめします。就学年齢にある子どもの場合、ひきこもりになるきっかけとして、不登校との関連があると考えられています。不登校で、自宅以外の場所での活動がないまま6ヶ月以上家から出ない状況が続くと、ひきこもりへと移行する場合があります。もしひきこもり状態が生じた場合は、一人ひとりに合った対応をすることが重要になってきます。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンQ.ひきこもり当事者や家族へは、どんな支援がありますか?A.ひきこもりの段階で支援は変わります。その状況により「家族支援」「個人療法」「集団療法」「社会復帰に向けた就労支援」などさまざまな支援の形があります。ひきこもり支援のゴールとは、ひきこもり状態を抜け出し社会参加ができるようになることです。目標とする社会参加とは、働くことであったり、家の外に親密な対人関係を持つことだったり、居場所をつくることだったり、さまざまです。ひきこもりの段階で支援は変わります。その過程は人によって異なりますが、「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」で紹介されているような支援ステップを踏むことが多いようです。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンひきこもりの支援は多くの場合、家族の相談からスタートします。ひきこもりの支援が始まるこの時期、まずは相談に来た家族への支援や、本人がどのような状況にあり、どのような支援が必要かのアセスメントが行われます。家族の面談や、訪問支援などを通して、必要な支援を探り、関係機関との連携などが行われます。まずは家族が相談機関に定期的に相談を続けることが第一歩となります。当事者本人が支援を受けられる状態になると、個人的な心の支援が始まります。本人が相談に行ったり、本人への訪問支援を受け入れたり、精神科などでの治療やカウンセリングを受けたりといった段階です。具体的な個人療法についてはケースや技法によってさまざまですが、当事者の抱える罪悪感や孤立感によりそい、支援を受けようと動き出した本人の気持ちを支えることを基本とします。次のステップはグループでの活動です。精神保健機関や医療機関での集団精神療法やデイ・ケアなどの利用、フリースクールやフリ―スペースなどで家族以外の人と接します。ひきこもりの当事者の中には同世代の人とのコミュニケーションが苦手な人もいます。まずは同じ悩みを持つひきこもりの人と接することがよいトレーニングになることもあります。また、これらの場が居場所として機能します。グループでの活動をするうち、就労したい・外出して活動したいという気持ちが芽生える場合があります。そのような場合には就労支援などの社会参加にむけた支援が始まります。就労支援としてはハローワークをはじめ、地域若者サポートステーション、ジョブカフェ、ヤングワークプラザ、学生職業総合支援センター、職業訓練校などが挙げられます。具体的に就労を検討するのであれば、一般のアルバイトのほか、就労継続支援(A型・B型)(※)などの福祉サービスも利用できます。就労継続支援は、一般企業で働くことは難しいものの、一定の支援があれば継続して働くことができる方に働く場を提供するサービスです。体調や特性に理解のある職場スタッフのサポートの下で働くことができ、賃金をもらいながら人間関係も構築することができます。ネットを利用した在宅就業なども最近では増えてきています。また、いずれ一般企業への就労を目指したい場合には就労移行支援という福祉サービスも用意されています。ビジネスマナーやコミュニケーショントレーニングといった働くための基礎知識や能力を身につける職業訓練、職場探しや就職活動の支援など、就労移行支援事業所に通うことで、就職まで一貫してサポートしてくれるサービスです。※就労継続支援(A型・B型)や就労移行支援は障害者総合支援法に基づくサービスですが、障害者手帳がなくても利用できる場合があります。まずは市区町村の障害福祉窓口に相談に行ってみてください。参考:LITALICO仕事ナビ全国の就労移行支援事業所Upload By マンガで分かる発達障害のキホンQ.ひきこもりから脱出するステップは?家族がひきこもりになったときの対処法A.家族がひきこもりになった場合には、まずは本人の気持ちを理解する、その次に安心して過ごせる環境を作る、など段階を踏んでサポートすることがよいと言われています。また、家族もストレスをため込まないように息抜きなどをすることも重要です。親や家族は誤解しやすいのですが、本人は「怠けたいから」「働きたくないから」ひきこもっているのではありません。むしろ「ひきこもりをやめたいのにできない」と悩み、家族に対しても申し訳なさや引け目を感じています。そうした気持ちを理解することが大切です。ゲームをずっとしている、散らかった部屋で昼夜逆転の生活をしているといった状況は、家族にとっては不安を感じ、注意してやめさせたくなるかもしれません。ですが「家から出す」ために無理やり学校や職場に連れ出したりすることは、逆効果になることがあります。本人にとって、家の中での家族とのつながりさえなくなると、社会とのつながりが完全に断絶されることになるのです。家族との対立や口論などが続くと、家族とさえ話せない孤立した状況を生み出します。昼夜逆転の生活も、家族と顔を合わせたくないという理由から引き起こされる場合もあります。まずは家を居心地の良い、安全に過ごすことができる環境にすることが、初期の段階での重要なサポートとなります。自分の身の回りのこと以外に家族のためのなんらかの役割を担ってもらう、例えばペットの世話、プランターの水やり、玄関の掃除など家庭内で決められた仕事をこなし、それを家族が認めていくことで本人の自己肯定感や家族のコミュニケーションの改善に役立ちます。ひきこもりの原因は親や家族のせいではありません。ですが、「世間の目」が気になる家族の方も少なくないでしょう。家族の方の中には自分を責め、子どもがひきこもり状態の場合は「子どもがひきこもっているのに…」と自分の楽しみや外出を控える方もいるようです。また、親子が家に閉じこもり、子どもが保護者に頼り切ることで「共依存」という依存関係に陥ることもあります。そのような事態を避けるためにも相談機関に相談したり、家族自身がストレスをため込まないように息抜きをしたりしましょう。本人に社会との接点を持つモデルを見せるためにも、家族で閉じこもらないことが重要です。成人している方の場合、相談機関の受診・診断を経て、精神疾患や発達障害などがあれば、障害年金を受給できる可能性があります。年金の受給によって家族の負担が減るだけではなく、本人が家族に小遣いをねだる場合の葛藤やトラブルも減らすことができると考えられます。お小遣いを渡すと際限なく要求するのではないか、特に大人の場合、ギャンブルなどにつぎ込むのではないかと心配する家族の方もいるかもしれません。お小遣いを渡す場合、事前にルールを決めることも重要です。お小遣いは、十分に与えるということに関して、家庭の状況や本人が何に使うかによって額は変わります。またルールを決めたあとは、お小遣いの使途については本人に任せ、家族は口出ししないことも大切です。お小遣いをねだられる場合、家族としてはなかなか受け入れがたい状況かもしれません。ですが、お店に行って買い物をすることも社会参加の一つです。お金を使う機会を持つことは、外とのつながりを保つためにも重要です。お金のことで暴力などが起こってしまう場合は、抱え込まずに早めに相談機関に連絡、相談をしていくことが大切です。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンQ.ひきこもりとニートの違いとは?A.ひきこもりは、社会的参加(就学、就労、家庭外での交遊など)を回避し、6ヶ月以上にわたって家庭内にとどまっている状態を指しますが、ニートは社会的参加はあるものの、働いていない(働く意思がない、働けない事情がある)状態を指します。厚生労働省は、ニートの定義を以下としています。ニートとは15~34歳の非労働力(仕事をしていない、また失業者として求職活動をしていない者)のうち、主に通学でも、主に家事でもない独身者引用:ニートの状態にある若年者の実態及び 支援策に関する調査研究 報告書|厚生労働省高校進学率が非常に高い日本では、高校在学年齢でのニートの状態にある若者は少ないですが、高校卒業以降では、若いほどニート状態になりやすい傾向があると言われています。「ご家族が相談にいくこと」がひきこもりの解決への第一歩になります「ひきこもりは家族の問題」「できるだけ他人に知られたくない」「一度相談に行ったが十分な対応が得られなかった」「相談に行っても解決しない」など家庭で抱え込むことで、長期化したり、状況の悪化につながる場合もあります。家庭内だけで解決しようとせず、早期に専門機関などへ相談しましょう。周りの支援を受けながら、ひきこもりを抜け出す方法を一緒に考えていきましょう。イラスト/taekoコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月26日ひきこもりとは?ひきこもりとは、長い期間社会活動に参加せず、自宅などに閉じこもり続ける状態像を示す言葉です。厚生労働省より公表されている「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」では、原則的には6ヶ月以上にわたっておおむね家庭にとどまり続けている場合としてひきこもりの定義がなされています。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンひきこもりに至った理由や要因は人によってさまざまですが、上記のガイドラインによる定義では、統合失調症などの精神疾患によって家にこもっている状態とは区別されています。ただし実際には確定診断がなされる前の統合失調症などの精神疾患や発達障害がある人が含まれている可能性もあると考えられています。ひきこもりによって社会参加の回避が長期化すると、社会生活への復帰のハードルも高くなってしまいます。ご両親だけでなくご本人も大きな不安を抱えている場合もあります。しかし、社会の偏見や無理解、近所の目や、家族内の意見相違があることも少なくないといわれています。そのため支援を受けられずに家庭内で解決しようとするあまり、状況がさらに長期化し解決が難しくなる場合があるのです。平成25(2013)年の15~34歳(若年層)を対象にした調査によると、日本には推計でほとんど家からでないひきこもり状態にある人が約23.6万人、自分の用事のときだけ外出する準ひきこもり状態の人が約46.0万人、合わせて約69.6万人もの人が広義のひきこもり状態にあるそうです。平成30(2018)年には満40歳から満64歳(中高年層)を対象にした調査が行われ、ひきこもりの推計数は61.3万人であることが分かりました。若年層と中高年層を合わせると約115万人がひきこもりの状況であると推測されます。この事態を受け、厚生労働省をはじめ、行政もひきこもりへの支援を推進しています。Upload By マンガで分かる発達障害のキホン参考:『ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン』|厚生労働省参考:平成26年版子ども・若者白書(全体版)|内閣府Upload By マンガで分かる発達障害のキホンひきこもりの原因単純に本人の性格や甘え、子育てのせいと結びつけられがちですが、ひきこもりのきっかけや要因はさまざまです。『平成26年版子ども・若者白書(全体版)』による調査では、病気や仕事・学業でのつまずきがきっかけとして多いことが分かります。Upload By マンガで分かる発達障害のキホン子どもは成長するに従い、自立とスキルを求められるようになります。他者と折り合いをつけ、円滑にコミュニケーションをとることや、勉強や将来に向けての進学・就職に成功することなど。それらのさまざまなプレッシャーのなかで、外=社会での居場所を失い外に出られなくなった場合、家の中にひきこもらざるを得なくなってしまうことがあるのです。つまり、誰でもひきこもりになる可能性はあるということです。きっかけとして多いのは、いじめや人間関係がうまくいかないこと、成績の低下や受験・就職活動の失敗などの経験が挙げられますが、きっかけがよく分からない場合も少なくありません。一つの原因だけでなく、複数の要因が複雑に関係しているケースもみられます。不登校が長期化してひきこもりになることもあります。最近は、背景に発達障害が関係していることもあるという報告もあります。参考:令和元年版子供・若者白書(概要版) > 特集2長期化するひきこもりの実態|内閣府ASD(自閉スペクトラム症)を背景とする場合、他者の意図や会話を理解したり、状況をくみ取ることが苦手なために、違和感や被害感など抱きやすく、社会参加や他者と関わることに対する不安や恐怖を感じてしまうことがあります。また生活習慣を変えることや、予期せぬ事態に直面することへの抵抗感が強いことも関連して、ひきこもりが長期化する場合があることが分かっています。家族としては、どうしても「なぜひきこもりになったのか」が気になり、突き止めたくなるでしょう。ですが、「どうしてひきこもりになったのか」「何のせいでひきこもっているのか」と原因探しをすることは、ひきこもり状態の解決にはあまり意味がないかもしれません。ひきこもりの解決のためには「なった要因」よりも「ひきこもり状態からどうたら抜け出せるのか」を考え、支援する必要があるといわれています。ひきこもりと精神疾患の関係は?定義上ではひきこもりは精神疾患が原因ではありません。ですが、ひきこもり状態の中には、精神疾患と何らかの関連がある場合も考えられます。この場合、いくらひきこもりを脱しようと頑張っても、根本にある精神疾患の治療や支援をしないと、解決できないことがあります。そこで、ひきこもり状態の裏になんらかの精神疾患や障害が隠れていないかどうか注意することが非常に重要です。精神疾患とひきこもり状態の関係にはいくつかのパターンが考えられます。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンひきこもりの人の中には、精神疾患の症状のために家から出られないのに、そのことに気づかず、見過ごされている状態の人も少なからずいるのではないかと考えられています。つまり、『精神疾患からひきこもり状態をひき起こしているが未診断』という状態です。不安障害や統合失調症、双極性障害、うつ病などの症状とひきこもりとの関連が指摘されています。精神疾患の診断がある場合、それ自体の治療が必要な場合もあります。これらの症状がある場合は早めに精神科の受診を検討しましょう。なかでも統合失調症は鑑別が難しい精神疾患です。統合失調症の陰性症状は、エネルギーが下がった状態で起こる症状です。主な症状としては、うつ状態になることと、感情の起伏が少なくなることの2つがあります。陰性症状が進むにつれてほかの人とのコミュニケーションが難しくなり、ひきこもり状態になることがあります。この状態を単なるひきこもりと誤解されてしまうことがあります。統合失調症の主な症状としては、幻覚や妄想、幻聴なども挙げられます。これらの様子が見られる際には、精神科の受診をおすすめします。ただし、引きこもり状態でも妄想などがあらわれる場合もありますので、統合失調症かどうかは医師による慎重な判断が必要です。参考:知ることからはじめようみんなのメンタルヘルス|厚生労働強迫性障害とは、強い「不安」や「こだわり」によって日常に支障が出る病気です。自分でもささいなことだと分かっていても何度も確認を繰り返し、日常生活に支障が出てきてしまいます。例えば「戸締まりを何度も確認してしまう」「不潔に思い、手を何回も過剰に洗ってしまう」などです。世界保健機関(World Health Organization:WHO)の報告では、生活上の機能障害をひきおこす10大疾患の一つにあげられています。もともとの強迫性障害が原因で外出などが困難になり、ひきこもりにつながる場合もあります。例えば「自分は酷いことを周りの人にしてしまうかもしれない」などの強い思い込み(強迫観念)により外出が困難になる場合などです。また、ひきこもり状態から強迫性障害が生じる場合があります。強迫性障害には薬物療法と認知行動療法などの併用が回復には有効だといわれています。参考:強迫性障害|みんなのメンタルヘルス(厚生労働省)参考:「ひきこもり」対応ガイドライン(最終版)の作成・通知について|厚生労働省精神疾患の症状から、人間関係のトラブルや強いストレスをひき起こし、二次的な障害としてひきこもり状態になる場合もあります。近年、発達障害とひきこもりの因果関係が指摘されることが多くあります。発達障害のある人が特性を理解されないまま不適切な環境にいることで、環境との不適応を起こし、二次障害としてひきこもり状態になる場合が少なくないのです。ASD(自閉スペクトラム症)のある人はコミュニケーションの困難のため思春期以降、複雑化する学校生活や人間関係などがうまくいかず、ひきこもり状態になる場合があります。また感覚過敏がある場合も多いため、学校生活でのさまざまな音やにおい、刺激などへの対応に困難を感じ、次第に登校しにくくなることがひきこもり状態につながることもあります。ADHD(注意欠如・多動症)のある人も、不注意や衝動性といった特性が社会適応を困難にしたり、叱責を受けてしまうことで自己肯定感が低くなってしまうことが、引きこもりにつながることがあるといわれています。また、LD(学習障害/限局性学習症)のある人は、学習でのつまずきによって学校に行きたくないと感じてしまったり、自己肯定感の低下を引き起こすことでひきこもりにつながる場合があります。発達障害の根本的な治療法は現代の医学では確立していませんが、周りの理解や環境調整、スキルトレーニングなどによって困りごとが軽減するといわれています。それらの適切な対応をすることで、二次障害としてのひきこもり状態になることを予防したり、ひきこもり状態から早期に抜け出せるようにすることができるかもしれません。また、ひきこもりの状態にある人の中にも、その背景に発達障害が隠れていることに気がついていない人も一定数いると考えられます。発達障害がある場合、さまざまな社会的支援が受けられる場合もあります。幼少期の生育歴などに発達障害に該当する様子がなかったかなど、一度専門機関に相談してみるとよいでしょう。参考:ひきこもりと発達障害|星野仁彦長期間にわたるひきこもり状態や孤立から、しばしば二次障害的に精神疾患の症状が出現することもあります。ひきこもり状態にある人のなかには、引きこもりをやめたいのにやめられなかったり、家族とぶつかったり、近所の人の目を気にしたりなど、「ひきこもっていること」そのものに対して強いストレスを感じている場合があります。これらが心身に影響を及ぼし、対人恐怖症状や強迫症状、被害念慮(妄想)、うつ状態などがあらわることがあり、しばしばそれらがひきこもりから抜け出すことをより困難にすることがあります。しかし、家庭の中だけで解決することは難しいことが多いため、早期に専門機関に相談することが重要です。参考:第1章ひきこもりの心理状態への理解と対応 斎藤環(爽風会佐々木病院診療部長)|内閣府イラスト/taekoコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月25日いま、ひきこもり当事者は、全国で約100万人と言われています。厚生労働省では、ひきこもり状態にある方やその家族が孤立することなく、地域社会においてひきこもりに関する理解を深め、相談しやすい環境づくりを促進していくことを目的に、ひきこもりに理解がある地域社会の実現を目指した「ひきこもりVOICE STATION全国キャラバン」を令和4年10月22日(土)の東京開催を皮切りに、12月にかけて全国6ブロックに分けてハイブリッド形式で開催することになりました。(参考資料参照)ひきこもりVOICE STATIONロゴ第1回目の開催は関東・甲信越ブロックで、会場は区民全世帯を対象にひきこもりに関する大規模な実数調査を実施した、東京都江戸川区で開催します。江戸川区では調査をきっかけに行政とのつながりや当事者のニーズを確認し、具体的な支援内容を説明したパンフレットの作成や戸別訪問などを進め、地域社会全体でひきこもりについて考えていく機運を高めた活動に取り組んでいます。当日は池上正樹氏(KHJ全国ひきこもり家族会連合会理事)をモデレーターに、林恭子氏(当事者、ひきこもりUX会議代表)、時田良枝氏(polyphony代表理事)、斉藤猛氏(江戸川区長)を迎えパネルディスカッションを実施します。また、誰もが生きやすい地域にしていくために、具体的な事例をもとにアンバサダーを交えたワークショップを実施し、議論を通じて地域の活動などを理解し、偏見等の解消に向けた取り組みの実現を目指します。なお、ワークショップで取りまとめた意見は、それぞれの開催地のアンバサダーを通じて来年(令和5年)2月に開催予定の全国シンポジウムの席で発表します。【「ひきこもりVOICE STATION全国キャラバンin TOKYO(江戸川区)」開催概要】開催日時:令和4年10月22日(土)13:00~16:00開催会場:KOITTO TERRACE(東京都江戸川区南小岩7-24-20 FIRSTA1 1階)参加方法:会場参加30名(申込先着のみ)/オンライン参加200名対象者 :地域に暮らすひきこもりに関心がある一般住民、ひきこもり地域支援センター職員、自治体職員、社会福祉施設、民間団体等の支援者実施内容:・パネルディスカッション(会場参加+オンライン参加のハイブリッド形式)・ワークショップ(会場参加のみ)■タイムスケジュール(予定)12:30 開場13:00 開会13:05~14:25 パネルディスカッション「ひきこもりから考える、生きやすい社会ってどんなもの?」・モデレーター 池上正樹氏(KHJ全国ひきこもり家族会連合会理事)・パネラー 林恭子氏(一般社団法人ひきこもりUX会議代表)時田良枝氏(一般社団法人polyphony代表理事)斉藤猛氏(江戸川区長)当日参加者からの質問に対する回答・討議14:25~14:35 休憩14:35~15:55 ワークショップ「明日からできる、誰も生きやすい地域づくりへのヒント」会場参加者を4~5人×最大6グループに分けて開催。地域住民に対しひきこもりに関する正しい知識を広め、どのようにして理解を促すかなどについてグループごとに討論を行い、整理した内容を2~3グループで共有して発表。16:00 閉会斉藤猛氏■参加申込方法「ひきこもりVOICE STATION全国キャラバン」申込フォームにアクセスし、必要事項を入力の上お申し込みください。会場参加は先着申込制となります。申込URL 【参考資料】■ひきこもりVOICE STATION全国キャラバン開催の目的現在、ひきこもりの当事者は全国に100万人以上いるといわれています、そのうち9割の人が生きづらさを抱えています。ひきこもりは誰しもが起こりうることです。ひきこもり状態にある方やその家族が孤立してしまうことがないよう、地域においてひきこもりへの理解を深め、誰もが生きやすい地域づくりを考えるきっかけとして全国キャラバンを実施することになりました。今年度は全国を6ブロックに分け、6都市(札幌、東京、松阪、神戸、高松、那覇)で開催します。それぞれの地域で活動するひきこもり経験者や家族、支援者にアンバサダーになっていただき、地域の実情を踏まえた企画を設計して、地域内におけるひきこもりの誤解や偏見解消のきっかけを作っていきます。そして、将来的にはアンバサダーの方を中心に地域内でひきこもり支援の輪が広がっていくことを目指していきます。【今年度(令和4年度)の開催地一覧】[パネルディスカッションテーマ]ひきこもりから考える、生きやすい社会ってどんなもの?開催日 :令和4年10月22日(土)開催地 :東京都江戸川区(関東・甲信越ブロック)開催会場:KOITTO TERRACE(江戸川区南小岩)[パネルディスカッションテーマ]経済的・社会的・文化的困窮とひきこもりの関係、多様な社会参画のカタチを考える。開催日 :令和4年10月30日(日)開催地 :沖縄県那覇市(九州・沖縄ブロック)開催会場:沖縄県総合福祉センター(那覇市首里石嶺町)[パネルディスカッションテーマ]親と子の向き合い方を考える。ひきこもり100万人時代、地域に暮らす私たちが抱える生きづらさとは。開催日 :令和4年11月12日(土)開催地 :三重県松阪市(東海・北陸ブロック)開催会場:嬉野ふるさと会館 多目的ホール(仮)(松阪市嬉野権現前町)[パネルディスカッションテーマ]生きづらさとはたらくを考える。ケアとしての社会参加のカタチ。開催日 :令和4年11月20日(日)開催地 :香川県高松市(中国・四国ブロック)開催会場:WeBase高松(高松市瓦町)[パネルディスカッションテーマ]家からつながる、まちでつながる。新しい社会参加とは?~オンラインやクラウドファンディングを活用した交流機会や仕事づくりから~開催日 :令和4年11月27日(日)開催地 :兵庫県神戸市(近畿ブロック)開催会場:KIITO(神戸市中央区)[パネルディスカッションテーマ]地域格差を埋めていく、ひきこもり循環型共生社会の実現を考える。開催日 :令和4年12月4日(日)開催地 :北海道札幌市(北海道・東北ブロック)開催会場:アスティ45内 ACU-A 1206(札幌市中央区)【ひきこもりVOICE STATIONとは】ひきこもり状態にある方は、地域や社会との関係性が希薄である状況で、対人関係や自己表現等に対する難しさから、将来への不安や自己喪失感、自己否定感を抱いている場合が少なくありません。そのため、支援に対しては本人の複雑な状況や心情等に寄り添うとともに、社会において存在するひきこもりへの誤解や偏見、思い込みを正しい方向に導いていく普及啓発を進めていくことが大切です。本事業ではひきこもりに対する適切な理解の輪を広げ、当事者が支援や相談に行きやすい地域社会を実現することを目的としています。ひきこもりは甘えによるものではなく、誰しもがなりうるものであること、年齢や男女に関係なく起こりうるものであることを知ってもらうため、当事者の声を集め、一過性ではなくしっかりと継続していく姿勢を示す事業として、私たちは「ひきこもりVOICE STATION」というプラットフォームを作りました。当事者、家族、誰もが生きやすい地域づくりを目指して、これからも情報発信を続けていきます。ひきこもりの原因やきっかけ生きづらさを感じたことがあるか生きづらさの軽減、改善の理由※統計資料はいずれも「ひきこもり白書2021」から引用<読者からのお問い合わせ先>ひきこもりに関する広報事業 事務局TEL:03-6441-6574(平日9:30~17:30) 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年09月21日株式会社ファミリータイズ代表の鈴木 理子は、不登校・ひきこもり・摂食障がいなどのお子さまをお持ちの親御さんに、心の持ち方やコミュニケーション法をお伝えする「家族に笑顔を取り戻す~KET理子塾」の6期受講生を2022年9月1日から募集開始いたします。「家族に笑顔を取り戻す~KET理子塾」 講座風景(1)【提供の背景】現在、不登校の数は19万人と言われていますが、予備軍の子どもを入れると33万人とも言われます。子どもが不登校になると、親は子どもを叱咤激励してなんとか学校に戻そうとしますが、逆効果なことがほとんどです。社会問題にもなっている、子どもの不登校、ひきこもり、摂食障がいなどの子どもに表れる問題は、親が心の持ち方を見直し、子どもとのコミュニケーション法を変えていくことで良くなります。今回、私どもは、「家族に笑顔を取り戻す~KET理子塾」を通じて、蓄積されたノウハウをもとにお子さまの心の問題を理解し、動き出すエネルギーが貯まるような関わり方を学べる講座の受講生募集を開始いたしました。1期~5期まで約100名の修了生の90%以上が「楽になった」「家族に笑顔が戻った」「人生が変わった」などの感想とともにお子さんが動き出したと報告がありました。脳のトリセツと言われるNLP(実践心理学)のトレーナーである講師、鈴木 理子は自身の子どもが不登校経験者であり、それを克服した経験を持ちます。豊富な心理学の知識やコミュニケーションの講師として15年間で約延べ2万人をサポートしてきた経験、月間100時間近くの個人セッションや講座を行なって得たこと、著書「不登校は子どもからのメッセージ」(ごきげんビジネス出版)にまとめたことなどから、効果があると実感したことを講座に反映させています。【「家族に笑顔を取り戻す~KET理子塾」のサービス概要】<特長>従来、不登校など子どもに表れる問題は、本人に対する治療やカウンセリングが必要だと思われていましたが、本講座は母親が対象です。母親が学び、実践するだけで様々なことが改善されます。国家資格のカウンセリング、コーチング、NLP(実践心理学)などの確かな知識はもちろんのこと、講師自身が子どもの不登校を克服させ、親子関係を格段に良くした母親目線の経験や、セッション、講座を多数行なって効果があると実感した要素が詰まっています。また、期間中LINEでの相談無制限、グループセッションなどのサポートが万全で、効果が高いと評判です。<価格(税込)>詳細はお問合せください<詳細・申込> <講師プロフィール>鈴木 理子(すずき りこ)。慶應義塾大学文学部卒業。日本航空株式会社に国際線客室乗務員として8年間勤務。5年間の海外生活を経て、企業研修講師として独立。15年で延べ約2万人をサポート。三女が中学3年生で不登校になり、親子のコミュニケーションを徹底的に見直すことで、三女は元気になり、希望の大学に合格して学生生活を謳歌している。この経験をアメブロに書くとたちまち上位表示されるようになり、読者から個人セッションをしてほしいと頼まれるようになる。現在は月間約100時間のセッションと講座で、悩める多くの母親をサポートしている。母親としての経験者視点、国家資格の確かなカウンセリング、コーチング技術、実践心理学の知識などを、研修で培った論理的で分かりやすい解説に加え、セラピーも取り入れたセッション、講座は受講生の満足度が非常に高い。プロフィール■会社概要名称 : 株式会社ファミリータイズ代表者 : 鈴木 理子所在地 : 〒223-0055 神奈川県横浜市港北区設立 : 2022年7月事業内容: 人材教育URL : 【本サービスに関するお客様からのお問い合わせ先】株式会社ファミリータイズTel:050-5372-4973 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年08月25日「ひきこもり解決のゴールは外に出て働くことではなく、楽しくできる仕事を見つけることです」。ひきこもりの人たちも無限の可能性を秘めている、と生活経済ジャーナリストは語るーー。「自らも娘の不登校を経験した母親として何か力になれることはないかと思い、不登校訪問専門員の資格を得て、さまざまな人たちと面談してきました。能力はじゅうぶんにあるのに、“自分はひきこもりなんだから、どうせ無理”と働くことをあきらめてしまうのはもったいない。じつは、ひきこもりの状態から適職を探し当て、成功している例はたくさんあるのです」そう語るのは生活経済ジャーナリストの柏木理佳さん。男女や年齢層を問わず、さまざまな世界で活躍する“元ひきこもり”の人たちへの取材をもとにした『ひきこもりは“金の卵”』(日経プレミアシリーズ)を出版した。ひきこもりは、けっして人ごとではない、と柏木さん。「内閣府が行った調査によると、半年以上ひきこもり生活を続けている人は15〜39歳で推計54万人、40〜64歳で推計61万人と報告されています。つまり、子ども世代だけでなく、親世代もひきこもりになる可能性がある。しかも、その半数以上が、7年以上ひきこもり生活を続けているといいます」柏木さん自身も、小学生の娘の不登校、ひきこもりと向き合ってきた。「4歳で吃音がはじまり、心療内科でもなかなか改善せず、学校も嫌いなまま。ひきこもりは母親の過干渉が指摘されているため、自分を責めたりもしました」柏木さんは学術書を読みあさり、一日中抱きしめたり、あえて外に出し、塾や体操教室に通わせたりするなど、さまざまな方法を試し、失敗も経験した。「コロナ禍ではありますが、娘は休みながらも通学できるようになりました。試行錯誤を重ねて感じたのは、答えは一つではないということ。大人のひきこもりについても同じことが言えると思います。その人に合った生きがいを見つけるには、さまざまな職種や働き方のヒントを得ることが大事なのです」自宅にいながら仕事を見つけ、年収500万円のサラリーマンと遜色ない収入を得ることも不可能ではない、と柏木さんは語る。それでは実際に、柏木さんが見てきた事例を見ていこう。【1】企業の調査に答え、少額でも“収入ゲット”の積み重ねを「60歳のAさん(女性)は、ひきこもりの息子さんに『せめて光熱費だけでも出しなさい』と話したそうです。すると息子さんは家のパソコンを使って、ポイント還元や図書券などがもらえる企業アンケートに挑戦しはじめました」生活パターンや趣味、嗜好を企業に教えるだけで収入になるというケースだ。「簡易なアンケートに答えるだけなら、多くの収入は見込めませんが、その積み重ねが“自分でも稼いでいる”という自信になります」もっと深く商品開発に携わることで、多くの収入を得ることもできるという。「試食会や商品に関すること細かなヒアリングなどを実施し、消費者の意見をもとに開発されたヒット商品も多くあります。そのような企業の商品開発に参加すれば、半日で5,000円ほどの日当をもらえるケースも。現在は在宅でできるものも多いです」【2】パソコンを使って情報発信。月収40万円を超えた例も大学卒業後に就職した企業を1年以内に退職し、起業した会社も大損害。以後ひきこもりが続いたBさん(27歳・男性)。「このまま何もしないで生きていくわけにはいかないと、自分の気持ち、失敗談などをつづったブログを立ち上げると、徐々に応援の書き込みが増えていきました」数カ月すると、月間のアクセス数は200万を超えるように。Bさんは月40万円ほどの広告収入を得られる、人気ブロガーになった。「出社する必要もないため、自分の居心地がよい環境で、好きなことを書くことがそのまま収入に直結しているのもプラスに働いていると思います」大学卒業後に就職した企業をすぐに辞め、3年ほどひきこもったCさん(45歳・男性)も、同じような体験をしている。「ブログは同じ価値観の人たちが集まりやすいのか、共感のコメントが多数寄せられると、自己肯定感と自信が強まるようです。Cさんはブロガー以外にもWEBライターとして活躍し、20万円以上稼ぐ月もあるそうです」【3】在宅での動画がバズりナレーターの道に好きな分野が芸能活動に関わるものであっても、今はリモートで仕事を見つけることができる。「Dさん(40歳・女性)はかつて、人との関わりが得意でなく、ひきこもりがちに。ひとりの時間では、好きなアニメのキャラクターの声をまねていました」趣味が高じて、自分の描いたイラストに声を当て込みYouTubeにアップしてみると《声がカワイイ》《本を朗読してほしい》と投稿が寄せられ、ナレーションの仕事を始めることにーー。「YouTubeでの動画が話題を呼ぶと、広告収入なども含めて年収1,000万円にもなる、というケースは少なくありません。また、声優やダンサーなどの職種は、オンライン上で生徒を取り、レッスンを行うことも可能でしょう。1回のレッスン料として2,000〜3,000円を収入として得ることができます」いずれのケースも、自分のペースで社会に参加し、収入を得ることができている。柏木さんは最後に、“ひきこもりは決して悪ではない”と語る。「ひきこもりを解決するゴールは、必ずしも外に出て働くことではありません。彼らが自分にできる仕事で、楽しく暮らせることがゴールなんです」ITが発達したいま、ひきこもりを救う活躍の場所はたくさんあるのだ。「女性自身」2020年11月10日号 掲載
2020年10月29日松山ケンイチが主演をつとめ、NHKスペシャル班の膨大な取材の蓄積を基に、ひきこもり当事者の声をドラマで描いた「こもりびと」の放送が決定した。主人公は、10年以上に渡ってひきこもり生活を送る倉田雅夫(松山ケンイチ)。重いストレスを抱え、働けなくなったことがきっかけだった。厳格な父・一夫(武田鉄矢)は元教師で地元でも尊敬を集める存在だが、雅夫の存在を世間から隠し、息子に介入することも諦めていた。しかし、自らの余命宣告を機に、最後にもう一度息子と向き合うことに。一方の雅夫は、閉ざされた部屋の中で人知れず、ひきこもりから抜け出す道を必死で探っていた――。松山さんは本作について、「ひきこもりの特性上関係のない人達が作り上げた像がそのまま認識されているような気がします。切り捨てても良い存在。自分達には関係の無い人種。でももし、ひきこもりの人がいなかったら誰が思いやりや優しさよりも効率ばかり求める社会にNOと言えるのかなと少しだけですが当事者に触れてみて感じました」と語る。「ステレオタイプのひきこもりからこの作品を通して少しでもその印象が変化していく事に期待していますし、各々の捨ててしまったもの、忘れてしまったものを振り返る機会になって頂けたらと思っています」と作品が及ぼす力に期待を込めている。そのほかのキャストには、北香那、迫田孝也、根岸季衣ら。挿入歌には「ザ・ブルーハーツ」の楽曲が起用される。NHKスペシャル ドラマ「こもりびと」は11月22日(日)21時~NHK総合テレビにて放送。(text:cinemacafe.net)
2020年10月21日「自分の子どもが不登校で……、と電話相談を受けて家庭訪問をすると、お子さんだけでなく、40代以降のお母さんもひきこもり、というケースをよく目にします。ご本人は自覚していませんし、専業主婦という立場上、問題が表面化することもありません。いわば、“かくれひきこもり”なんです」そう話すのは不登校やひきこもりの自立支援を行う団体、関東自立就労支援センターの平岩健さん。内閣府は今年3月、中高年(40〜64歳)のひきこもりを調査。全国に男女合わせて約61万人おり、女性は約14万人と推計した。「内閣府の試算のなかには、さっきお話しした“かくれひきこもり”の主婦はカウントされていませんから、もっと多くなるのでは」実際に内閣府の調査では、専業主婦は無職の人と比べ、ひきこもりとみなされにくい。また、一部の自治体の調査では、ひきこもりの定義で、“専業主婦を除く”としている場合も。そこで今回、中高年女性(40〜64歳)のひきこもりを取材。すると、さまざまな理由でひきこもりになることがわかってきた。■介護のストレスで人に会うのがイヤに内閣府の調査ではひきこもりの原因に「介護・看護」を挙げた人はいないが、実際は介護もひきこもりのきっかけになりうる。静岡県在住の木田英代さん(仮名・64)は、いまから15年前、49歳のときに、夫(当時50歳)が若年性アルツハイマーを発症。同時期に、75歳の義母も認知症になり、ダブル介護を余儀なくされた。「夫は自宅で介護、義母は近くのグループホームに預けて、週に数回、身の回りの世話をしに行っていました。夫は長男で、親から遺産を相続していたので、夫の兄妹から『あんたが全部面倒見てね』と、義母の介護をすべて押し付けられて……」木田さんは公務員だったが、ダブル介護と仕事の両立をあきらめ、50歳で介護離職する。「丸7年間ダブル介護しましたが、体力の限界を感じて、’12年に夫をグループホームに預けたんです。同時期に、義母も看取りました。私も少し肩の荷が下りて、それから3年ほどはよかったんです」しかし、’16年、施設の職員の不注意で、夫がベッドから転落し、大腿骨を骨折してしまった。「施設はちゃんと謝ってくれず、原因も究明してくれない。夫を別のグループホームに替えてやりたかったけど、ほかの施設に空きはなくて。かといって、自宅で夫を1人で介護する余裕もない。どうすることもできず、なんだかもう、情けなくなってしまって……」木田さんはこれがきっかけで人間不信になり、ひきこもるように。「それまで、地域の『認知症家族の会』に参加して、同じ悩みを持つ家族の方の相談にものっていたんですが、行けなくなりました。とにかく人に会うのがイヤで、だんだん入院していた夫の面会にも行けなくなってしまった」そんな自分を責めてしまい、さらに状態は悪化。「買い物にも行けず、食事を作るのも面倒。何か口に入れないと、と思ってやっとの思いで作っても、食べ物も喉を通らない。そういう状態が1年ほど続きました」そんななか、昨年10月、木田さんを心配した「認知症家族の会」のメンバーから誘われて、ある講演会に出かけた木田さん。「出かけるのはおっくうだったけど、年をとってもハツラツとしている方の話を聞いたら、私もまだまだやれる、という気になって」その後、木田さんのひきこもり傾向は緩和されていったという。「介護をきっかけにひきこもってしまう方は少なくありません。介護を終えて燃え尽きたとか、介護離職をしたものの介護が終わっても再就職ができないとか。また、親を施設に預けた罪悪感から、ひきこもる方もいます」そう指摘するのは、女性のうつやひきこもりに詳しいメンタルアップマネージャの大野萌子さん。「子どもが就職や結婚で手が離れると、愛情を注いでいた対象がなくなったことでとてつもない寂しさに襲われ、これが引き金となり、うつや、ひきこもりになる方がいます。これを、ひなが巣立った後の巣の状態にたとえて、“空の巣症候群”と呼んでいますが、介護していた親が亡くなったり、施設に預けたあとになったりすることもあるんです。家にこもることが悪いわけではないですが、ひきこもり、塞ぎがちになることで、うつにつながることもあるので、注意は必要です」大野さんは、ひきこもりを長期化させないためのコツをこうアドバイスしてくれた。「市や区の行政の窓口には、市民相談窓口が設置されていますし、各地域には、ひきこもりの家族会などもあります。ちょっとした悩みでも、早めに相談することが長期化を防ぐカギです」ひきこもり、塞ぎがちになるきっかけはさまざま。まずは頼れる人に、気軽に相談することを心に留めておきたい。
2019年10月16日「自分の子どもが不登校で……、と電話相談を受けて家庭訪問をすると、お子さんだけでなく、40代以降のお母さんもひきこもり、というケースをよく目にします。ご本人は自覚していませんし、専業主婦という立場上、問題が表面化することもありません。いわば、“かくれひきこもり”なんです」そう話すのは不登校やひきこもりの自立支援を行う団体、関東自立就労支援センターの平岩健さん。内閣府は今年3月、中高年(40〜64歳)のひきこもりを調査。全国に男女合わせて約61万人おり、女性は約14万人と推計した。「内閣府の試算のなかには、さっきお話しした“かくれひきこもり”の主婦はカウントされていませんから、もっと多くなるのでは」実際に内閣府の調査では、専業主婦は無職の人と比べ、ひきこもりとみなされにくい。また、一部の自治体の調査では、ひきこもりの定義で、“専業主婦を除く”としている場合も。そこで今回、中高年女性(40〜64歳)のひきこもりを取材。すると、さまざまな理由でひきこもりになることがわかってきた。■過去のいじめが原因でひきこもり繰り返す「ひきこもりに悩む女性からの相談件数は、倍増どころじゃありません。うちでは週3回、電話相談を実施していますが、川崎の事件前は年に1件あるかないか。しかし、事件後は、日に1〜2件は必ずかかってきます」そう話すのは、ひきこもりの家族会「楽の会リーラ」を運営する事務局長の市川乙允さん。川崎の事件とは今年5月、川崎市で起きたひきこもりがちだった51歳男性による無差別殺傷事件だ。「ひきこもっているせいで周囲から危ない人と思われる、自分も今後どうなるか心配など、不安を感じて電話してこられるのです」電話相談では、とくに子どものころにいじめを受けた人からのひきこもり相談が多いという。「45歳で専業主婦のSさんは、中1でいじめに遭って不登校になってから、3年間ずっとひきこもりでした。なんとか大学まで卒業しましたが、就職した会社でパワハラに遭い、再び1年ほど自宅にひきこもるようになったそうです」その後、バイト程度ならできるまでに回復。しかし、仕事で人間関係のトラブルなどに遭い、過去にいじめに遭った体験がよみがえると、どうしても1〜2カ月、ひきこもってしまったという。「そうなると、就労したくても短期でパートを繰り返すしかありません。とくに独身の女性は、頼れるのは親だけ。親が亡くなったらどうやって生活すればいいのか、不安を抱えている方もいます」Sさんは25歳で結婚。いまは中学生のお子さんもいるという。「ふだんは、掃除や買い物、子どもの世話など難なくこなせるそうですが、調子が悪くなると、買い物に行くのもつらくなり自室にひきこもることがあるようです。調子が悪くなるきっかけは、夫が家のことに無関心とか、子どもが言うことを聞かないなど、ちょっとしたことが引き金のようです」Sさんの場合、1〜2日で回復するときもあるが、過呼吸の発作や、手洗いを何度もしてしまう強迫神経症の症状が出て、1カ月程度ひきこもることもあるという。厚生労働省が定めた“ひきこもり”の定義は、仕事や学校に行かず、家族以外の人と交流をほとんどせずに6カ月以上続けてひきこもっている状態をいう。しかし、Sさんのように、ひきこもり期間が6カ月に満たないひきこもりを繰り返す人もいるのだ。「14万人なんて氷山の一角でしょう。主婦のひきこもりの原因や症状は十人十色。誰もが引きこもりになる可能性があります」女性のうつやひきこもりに詳しいメンタルアップマネージャの大野萌子さんは、ひきこもりを長期化させないためのコツをこう話す。「市や区の行政の窓口には、市民相談窓口が設置されていますし、各地域には、ひきこもりの家族会などもあります。ちょっとした悩みでも、早めに相談することが長期化を防ぐカギです」ひきこもり、塞ぎがちになるきっかけはさまざま。まずは頼れる人に、気軽に相談することを心に留めておきたい。
2019年10月16日「自分の子どもが不登校で……、と電話相談を受けて家庭訪問をすると、お子さんだけでなく、40代以降のお母さんもひきこもり、というケースをよく目にします。ご本人は自覚していませんし、専業主婦という立場上、問題が表面化することもありません。いわば、“かくれひきこもり”なんです」そう話すのは不登校やひきこもりの自立支援を行う団体、関東自立就労支援センターの平岩健さん。内閣府は今年3月、中高年(40〜64歳)のひきこもりを調査。全国に男女合わせて約61万人おり、女性は約14万人と推計した。「内閣府の試算のなかには、さっきお話しした“かくれひきこもり”の主婦はカウントされていませんから、もっと多くなるのでは」実際に内閣府の調査では、専業主婦は無職の人と比べ、ひきこもりとみなされにくい。また、一部の自治体の調査では、ひきこもりの定義で、“専業主婦を除く”としている場合も。そこで今回、中高年女性(40〜64歳)のひきこもりを取材。すると、さまざまな理由でひきこもりになることがわかってきた。■ひきこもった子どもに寄り添い自分も……前出の平岩さんが目にしたケースはこうだ(個人情報秘匿のため、相談内容を一部変更して紹介)。「前に、お子さんのひきこもりの相談を受けたBさんは47歳の専業主婦。以前は、小学校の先生をされていましたが、中1だった娘がひきこもりになったとき、『自分が仕事ばかりで、娘をほったらかしにしていたのでは』と思い、教師を辞めて、お子さんに寄り添うことにしたそうです」しかし、仕事を辞めても子どものひきこもりに変化はなかった。「寄り添っても、子どものひきこもりは改善しないし、職は失うしで、自信をなくされたんでしょうね。Bさんは次第に、『先生になるため努力してきたのに、自分の人生はなんだったのか』と、塞ぎこむようになったそうです」さらに、「あそこの子はひきこもりだ」という近所の目も気になり、外出も避けるように。現在は、週に1度、クルマで家から離れたスーパーに食材を買いに出かける程度だという。「10年以上、母子でひきこもっている家庭も少なくありません。仕事を辞めると、人と接する機会は急になくなる。さらに、子どものひきこもりを知られたくないので、外で友人に会うことも、ましてや家に呼ぶこともない。結果、社会と断絶してしまうのです」女性のうつやひきこもりに詳しいメンタルアップマネージャの大野萌子さんは、ひきこもりを長期化させないためのコツをこう話す。「市や区の行政の窓口には、市民相談窓口が設置されていますし、各地域には、ひきこもりの家族会などもあります。ちょっとした悩みでも、早めに相談することが長期化を防ぐカギです」ひきこもり、塞ぎがちになるきっかけはさまざま。まずは頼れる人に、気軽に相談することを心に留めておきたい。
2019年10月16日基本コミュ障&ちょっと頑張るひきこもりを自称するシンガーソングライター、ナナヲアカリ。ダメダメな自分へのイライラをぶつけた曲は、アッパーなエネルギーが渦巻いていてとてもキャッチー。7曲入りプチアルバム『DAMELEON』のテーマは“ナナヲアカリの七変化”だ。“ナナヲアカリ”自身をエンターテインメント化したい。「集団の中での『あの子変わったよね』って言葉って、ネガティブな意味合いを持つこともあると思うんです。そういう空気があるから、変わることに勇気がいることになるのかなって。でも私自身は東京に来てから、変わることは怖くなくて楽しいって思えるようになってきたので、そんな気持ちを曲に乗せました」最近になって一番変わったことは前向きになれたこと。それが『DAMELEON』にも反映されている。「自分自身がそうなので、楽曲の主人公たちもやっぱり何かを抱えています。それでも、前を向くようになったのが、大成長を遂げた部分な気がしてます(笑)。自分で作詞作曲を手がけた『イエスマンイズデッド』とかは、今までだったら社会のヘイトを言い散らかして終わってたんだろうけど、自分に勇気を与える曲になった。東京に来てたくさんの人に出会ったことが大きいと思ってます。いろんな価値観に触れて、いろんな生き方ってすごく素敵だなって思えたんです。グジグジしてる時間が長すぎました(笑)」’17年には舞台『Fate/Grand Order THE STAGE』で主役級の役を務めるなど活動の幅は広がっている。「様々な経験をさせてもらうなかで、表現すること全般が好きだと感じてます。自分が一番伝えられるのは音楽なんですけど、いろんなものを盗みたいし、実現させたいって気持ちが年々強まってる(笑)。舞台での葛藤も財産になってますね」今後やりたいことについて聞くと、ひときわ目を輝かせて、次々とビジョンを語ってくれた。「幕を立てて、映画みたいに凝ったライブをやりたい。自分も演出に携わって、ひとつの作品のようなライブを作ってみたいって気持ちもあります。ナナヲアカリのライブは総合エンターテインメントって思えるライブをいつか作りたい。ナナヲアカリ自身をエンターテインメント化する。あぁ、大きく出てしまった(笑)」プチアルバム『DAMELEON』【期間生産限定盤 詰め込みすぎちゃいまみた盤】¥7,700【初回生産限定盤 ライブいっぱい盤】¥3,600【通常盤 じっくりご静聴盤】¥2,100(Sony Music)2016年、ニコニコ動画で発表した「ハッピーになりたい」が話題になり注目を集める。’18年、TVアニメ『ハッピーシュガーライフ』の主題歌に起用され、メジャーデビュー。※『anan』2019年10月16日号より。写真・岡本 俊(まきうらオフィス)取材、文・小松香里(by anan編集部)
2019年10月15日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「8050問題」です。100万人以上の人がひきこもりになっている時代。ひきこもり状態が長期化し、50代のひきこもりの子供を80代前後の親が養い続ける事態が起きています。子供だけでなく、高齢になり、精神的・経済的に限界を迎えた親も孤立。これを称したのが「8050問題」です。5月に起きた川崎市登戸通り魔事件や、元官僚がひきこもりの息子を刺殺した練馬の事件をきっかけに、世間で広く注目されるようになりました。ひきこもりの定義は「自宅にひきこもり、社会参加をしない状態が6か月以上持続し、精神障がいが、その第一の原因とは考えにくいもの」です。ひきこもりは、2000年代から継続的に調査されていたのですが、調査対象が15~34歳だったため、若年層の問題のように捉えられていました。しかし、近年の調査で、中高年層のひきこもりの実態が明るみになり、2019年3月時点で、40~64歳の中高年のひきこもり人口は61万3000人。若年層も合わせると日本には100万人以上のひきこもりがいる計算になります。親が健在なうちは、50代の子供も働かなくても、実家暮らしで生活は成り立ちますが、将来、親が他界したあとが問題です。ひきこもりの支援団体の中には、「精神の問題だ」と、恫喝して強制的に外に連れ出し、立ち直らせようとするところもあります。しかし、そのやり方は当人の尊厳を傷つけますし、間違った行為だと思います。いまの社会慣習の枠に無理やり当てはめることは正しい解決法とは思えません。もう一つ大きな問題は、5月の事件もそうですが、報道で「加害者はひきこもりでした」「8050問題です」と言われることで、ひきこもりが犯罪者の予備軍かのようなレッテルを貼られてしまうことです。そのことが余計に、ひきこもりやその家族を孤立化させ、問題を深刻化させてしまいます。家から出なくても、オンライン上で仕事をしたり、社会活動に参加できるかもしれません。また、定義からすれば、職場になじめず退職し、半年ほど実家で休養するうちに働く気力がなくなり家にこもった状態にある人も、「ひきこもり」になります。本人の自覚がなくても、多くの人がひきこもりになり得る時代になってきているんです。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年9月25日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年09月20日「私自身、小学2年生から不登校になり、中学校はほぼ通っていません。リストカットをしたこともある、ひきこもりの経験者です。生きづらさを抱える女性に交流できる場所を提供したいと『ひきこもりUX女子会』(以下・UX女子会)を始めました」 そう語るのは、UX女子会・主宰の恩田夏絵さん(31)。UX女子会は、’16年6月〜’17年7月で計20回開催され、のべ700人もの女性が参加した、ひきこもりの自助会だ。UXとは、「ユーザーエクスペリエンス」の略。ユーザーであるひきこもり当事者が自分の体験を生かして発信することで、ニーズに合った支援を行うという理念を表している。 ’16年に内閣府が発表した調査結果によれば、全国のひきこもり人口は54万1000人。そのなかで男性は63.3%、女性は36.7%と、男性が圧倒的に多い結果が出た。しかし、この結果は対象年齢が15〜39歳で、主婦や家事手伝いは対象外になっている。実はこの調査には計上されていない、女性のひきこもりが数多く存在しているといわれているのだ。 「これまで、ひきこもりの自助会は参加者の9割が男性で、女性が本音で交流できる居心地のよい場所ではありませんでした。特にひきこもりの女性は、父親や学生時代の教師との関係にトラウマがあるなど、男性恐怖症の人も多いのです」(恩田さん) そうした経緯があり、UX女子会は“男子禁制”に。同じ経験をした女性が安心して集まり、ゆっくり語り合える場所を目指しているという。会の基本構成は、第1部が主宰メンバーの体験談、第2部が交流会。第2部はひきこもりを含む生きづらさを感じている当事者しか参加できない。10月初旬に東京・表参道で行われた会の第1部に、本誌女性記者が密着した。 14時、UX女子会がスタート。81人もの人が集まり、会場は満席。この日の第1部は、主宰メンバーの林恭子さんが出演したDVDの観賞会だ。林さんが高校時代からひきこもりになった経緯や、トラウマとなっていた母娘関係について語る映像が流された。 「私たちの体験談を聞いてもらうのは、同じ経験をした者同士なのだと改めて認識してもらいたいから。第2部で皆さんが話をしやすくする狙いもあります」(恩田さん) 休憩を挟み、第2部の交流会に突入したが、取材はNG。ここでは「親子関係」「働く」「自立」などのテーマを4〜5人グループで話し合う。話したくない人は無理をせず、聞いているだけでもOKだ。交流会が終わり、参加者に声をかけてみた。 2人の子どもを持つ朋美さん(48歳・仮名)は専業主婦。10年以上、ほぼひきこもり生活をしていたそう。 「ずっと1人で鬱々としていたけど、本当は自分以外の人の話も聞きたいし、私も話したかった。この会の存在を知ったのは2カ月以上前。行こうとしてはやめるのを4回繰り返し、勇気を振り絞って、今回やっと参加できました」(朋美さん) 会に参加するための体力をつけようと、自宅から少し離れたところまで自転車で行くなどの準備をしていたと、恥ずかしそうに明かしてくれた。恩田さんは、朋美さんのような参加者も多いのだと語る。 「常時、精神的につらくてしんどいと思っている人ばかりです。参加しても大丈夫か、きちんと交流できるか、浮かないか、そもそも電車に乗れるかなど、何度も葛藤を繰り返して、やっとの思いで来てくれる方がほとんどなんです」(恩田さん) 女性は共感性が高いため、自分の思いを他者と分け合うと、気持ちが軽くなる人も多いと、恩田さんは言う。 「主宰者の私たち自身も、人との出会いのありがたさを実感しています。自分の思いを表現して理解してもらい、相手の反応により他者を理解する。そうしてゆっくりと回復していけると信じています」(恩田さん) 本音で語れる仲間との出会いが、ひきこもりの女性たちに勇気を与えているーー。
2017年11月03日木村ナオヒロさんに聞いた、発達ナビユーザーにおすすめしたい本!木村ナオヒロさんは、ひきこもり当事者・関係者にとっての情報発信の場、『ひきこもり新聞』の編集長として活動しています。『ひきこもり新聞』は、「ひきこもり当事者による、当事者のためのメディア」として、社会に届きにくいひきこもり当事者の声を発信し、「全てのひきこもり系」が安心していられる世界の実現を目指しています。ひきこもり新聞web版木村さん自身、ひきこもりだった経験があり、ひきこもりに対する理解と適切な支援情報を提供するために、現在さまざまな活動をされています。10月に行われた、木村さんの当時の主治医である、精神科医・斎藤環先生との対談イベントも大盛況のうちに終わりました。そんな木村さんに、「読んでよかった!」とおすすめできる本を教えていただきました。『「社会的うつ病」の治し方―人間関係をどう見直すか 』「ひきこもり対策がうつ病にも効果的だったという内容です。孤独でうつ傾向な人に読んでいただければと思います。」(木村ナオヒロさん)木村さんの主治医であり、ひきこもり支援を専門とされる斎藤環先生が、新しいうつ病治療・対策に関して書かれた本書。「軽症なのに、動けない…」「怠けるつもりはないのに、動けない…」そんなうつ病当事者に向けて、今まで治療方法として多く導入されてきた休養や服薬ではなく、「人間関係」に注目した新しい支援を紹介しています。『星の王子さま』「いつまでも心に残る物語です。子供の時に読みたかった本です。」(木村ナオヒロさん)木村さんが、子どもに読んでほしい本としておすすめする本が、不朽の名作『星の王子さま』。「大切なものは、目に見えないんだよ」など心にしんみりと届く言葉、優しくて可愛らしい挿絵に癒され、魅了された方も多いと思います。『星の王子さま』は、様々な出版社から刊行されています。手に入りやすい文庫本のほか、子ども向けの児童書や絵本などもあります。まだ幼くて長い活字を読むのが難しい、たくさんの文を読むことが苦手なお子さんには、そのお子さんの年齢や特性に合わせて、『星の王子さま』に触れてみるのもよいですね。『NHK「100分de名著」ブックス サン=テグジュペリ 星の王子さま』「星の王子様を読んだことがある人でも、もう一度この解説本と一緒に読むと新しい感動があると思います。」(木村ナオヒロさん)続いて、子育てに疲れた時・悩んだ時に読んでほしい本として木村さんが挙げてくれたのは、先ほどご紹介した『星の王子さま』の解説本。NHKで放送されている、「100分de名著」という番組から生まれた解説本です。「『星の王子さま』読んでみたいけど1冊読む時間がなかなかとれない…」「子どものころ読んでそれっきりだったけど、大人になった今、改めて星の王子さまの世界を理解しながら読み直したい!」そんな方にはぴったりの1冊です。この機会に、星の王子さまの新たな発見や奥深さを感じてみてはいかがでしょうか。『ライフ・レッスン』「死を受け入れた人々のメッセージが心を揺さぶります。名も無き人々の言葉に真実が宿っていました。一番好きな本です。」(木村ナオヒロさん)最後に、木村さんの座右の書として教えてもらった本書。精神科医で、終末期医療の先駆者であるエリザベス・キューブラー・ロスさんによって、「人生の最後で捉えた生と死の事実」「生と死から見た、人生における15のレッスン」が紹介されています。木村ナオヒロさんプロフィールUpload By 発達ナビ編集部木村ナオヒロ(きむらなおひろ)『ひきこもり新聞』編集長。元ひきこもり。暴力的支援団体を好意的に取り上げたマスコミに疑問を持ち『ひきこもり新聞』を創刊。ひきこもりに対する理解と適切な支援情報を提供するために活動している。主治医は斎藤環教授。ひきこもり新聞web版
2017年11月02日9/27追記:このイベントは定員に達したため募集を締め切らせていただきました。たくさんのご応募ありがとうございました。精神科医と元当事者、それぞれの立場から語る、ひきこもり支援のあり方元ひきこもり当事者で、現在は「ひきこもり新聞」の編集長として活動する木村ナオヒロさん、そして、木村さんの主治医であり、引きこもり支援を長年続けられている精神科医の斎藤環先生による対談イベントを開催します。北欧発祥の「オープンダイアローグ」の実践を通したひきこもり支援の事例を紹介しながら、支援者・元当事者それぞれの視点から、ひきこもり支援のあり方を考えます。10月11日(水) 19:00から、中目黒の株式会社LITALICO本社にて開催(参加費1000円)。・お子さんやご家族、身近な人が引きこもり状態にあり、どのように向き合えば良いか悩んでおられる方・その他、引きこもり支援の現状や方法について関心があり、学んでいきたい方ぜひご参加ください。Upload By 鈴木悠平(発達ナビ編集長)斎藤環1961年、岩手県生まれ。1990年、筑波大学医学専門学群環境生態学卒業。医学博士。爽風会佐々木病院精神科診療部長(1987年より勤務)を経て、2013年より筑波大学医学医療系社会精神保健学教授。また,青少年健康センターで「実践的ひきこもり講座」ならびに「ひきこもり家族会」を主宰。専門は思春期・青年期の精神病理、および病跡学。著書に 『文脈病(青土社)』『社会的ひきこもり(PHP研究所)』『ひきこもり救出マニュアル(PHP研究所)』『ひきこもり文化論(紀伊國屋書店)」『生き延びるためのラカン(バジリコ)」『ひきこもりはなぜ『治る』のか?(中央法規出版)』, 『ひきこもりのライフプラン』(共著: 畠中雅子, 岩波書店), 『オープンダイアローグとは何か』(医学書院)Upload By 鈴木悠平(発達ナビ編集長)木村ナオヒロひきこもり新聞編集長。元ひきこもり。暴力的支援団体を好意的に取り上げたマスコミに疑問を持ちひきこもり新聞を創刊。ひきこもりに対する理解と適切な支援情報を提供するために活動している。主治医は斎藤環教授。10/11(水)対談イベント詳細Upload By 鈴木悠平(発達ナビ編集長)開催日時: 10月11日(水) 19:00~20:30(18:30~受付)定員:50名参加費:1000円(※参加確定後、Peatixというイベント管理システムにて事前にお支払していただきます。)対象:お子さんやご家族、身近な人が引きこもり状態にあり、どのように向き合えば良いか悩んでおられる方その他、引きこもり支援の現状や方法について関心があり、学んでいきたい方会場:株式会社LITALICOセミナールーム〒153-0051東京都目黒区上目黒2-1-1中目黒GTタワー16階アクセス:東急東横線「中目黒駅」より徒歩1分お申し込み締め切り:10月10日(火)17:00まで主催:株式会社LITALICOLITALICO発達ナビ編集部18:30 受付開始19:00 開会のご挨拶19:10 斎藤環先生プレゼンテーション19:20 木村ナオヒロ編集長プレゼンテーション19:30 斎藤環さん・木村ナオヒロさん対談(モデレーター: 発達ナビ編集長・鈴木悠平)20:10 参加者同士でのグループによるリフレクション、講師への質疑応答20:30 閉会のご挨拶イベントご参加希望の方は、以下のフォームの必要事項を埋めて送信してください。9/27追記:このイベントは定員に達したため募集を締め切らせていただきました。たくさんのご応募ありがとうございました。イベントの様子は、LITALICO発達ナビ会員限定で、youtubeでのライブ中継・録画配信をいたします。遠方にお住まいの方、ご都合がつかず参加できない方で観覧をご希望の方は、イベント当日までに発達ナビ会員へのご登録をお願いします。
2017年09月25日ひきこもりとは出典 : ひきこもりとは、学校や仕事などに行かず、家族以外の人との交流をほとんどしないで家庭に長期間ひきこもっている状態のことを指します。平成22年に厚生労働省により公表された「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」では、原則的には6ヶ月以上にわたっておおむね家庭にとどまり続けている場合としてひきこもりの定義がなされています。ひきこもりに至った理由や要因は人によって様々ですが、上記のガイドラインによる定義では、統合失調症などの精神疾患によって家にこもっている状態とは区別されています。ただし実際には確定診断がなされる前の統合失調症のある人などが含まれている可能性もあると考えられています。ひきこもりによって社会参加の回避が長期化すると、社会生活への復帰のハードルも高くなってしまいます。本人自身や家族が大きな不安を抱えている場合も少なくありません。しかし、近所の目や家族内での偏見や無理解が少なくないという現状もあります。そのため支援を受けずに家庭内で解決しようとするあまり、状況がさらに長期化し解決が難しくなってしまうことがあるのです。現在、日本には推計でほとんど家からでないひきこもり状態にある人が約23.6万人、自分の用事の時だけ外出する準ひきこもりの人が約46.0万人、合わせて約69.6万人もの人が広義のひきこもり状態にあると言われています。この事態を受け、厚生労働省をはじめ、行政もひきこもりへの支援を推進しています。出典:『ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン』p.6出典: 平成26年版子ども・若者白書(全体版)子どものひきこもりは不登校と関連が深い出典 : 就学年齢にある子どもの場合、ひきこもりになるきっかけとして、学校に行かない不登校との関連があると考えられます。不登校は子どもにとっての社会的活動である学校生活や交友関係と関連する学校という環境からの回避行動と考えることができます。不登校で、自宅以外の場所での活動がないまま6ヶ月以上家から出ない状況が続くと、ひきこもりへと移行してしまう場合があります。そして一度ひきこもりの状態になると、不登校も長期化する場合が少なくありません。つまり子どもの頃にひきこもり状態になると、その間に学校で教育を受ける機会を失ってしまったり、居場所を失ってしまったり、進学・就職するハードルが高くなってしまうこともあります。そのため、不登校からひきこもりへと進行しないようにし、もしひきこもりになってしまった場合もできるだけ早く解決することが重要になってきます。大人のひきこもりは長期化に伴う高齢化が問題に出典 : 平成28年9月に内閣府が発表した「若者の生活に関する調査報告書」によると、ひきこもり状態になったのは20~24歳の頃と答えた人が34.7%ともっとも多く、ひきこもりがいまや子どもだけでなく、大人の問題でもあることは明白です。大人のひきこもりの場合、学校でのつまづきなどをきっかけに子どもの頃からひきこもりが続いている人もいれば、就職や仕事で社会になじめず成人後にひきこもり状態になった人もいます。就労や就学しない若者を指すニートという言葉もあります。ひきこもりのなかにはニートの人もいますが、ひきこもりとニートは厳密には違います。現在、ひきこもりの高齢化・長期化が問題視されています。ひきこもり状態が長期化した結果、35歳以上のひきこもりが増加していると言われています。先ほどの調査報告書は16~35歳以上を対象にしたものですが、5年以上ひきこもり状態が継続している人が46.9%と非常に高い割合を示しています。長期化している場合、それだけ社会復帰も難しくなります。また、子どもが35歳以上となると、その親も60歳を超えていることも予想され、金銭面・精神面でひきこもりを支える家族の高齢化も問題となってきます。自分が亡くなった後のひきこもりの子どもに関して不安を感じる親も少なくありません。出典:若者の生活に関する調査報告書ひきこもりの原因出典 : ひきこもりのきっかけや要因は様々です。本人の性格や甘え、子育てのせいと結び付けられがちですが、それらは決定的な物ではなく、単純にそれだけが原因でひきこもりが生じるわけではありません。『平成26年版子ども・若者白書(全体版)』による調査では、病気や仕事・学業でのつまずきがきっかけとして多いことがわかります。Upload By 発達障害のキホン出典:平成26年版子供・若者白書子どもは成長するに従い、自立とスキルを求められるようになります。他者と折り合いをつけ、円滑にコミュニケーションをとること。勉強や将来に向けての進学・就職に成功すること。様々なプレッシャーのなかで、外=社会での居場所を失い外に出られなくなった場合、家の中にひきこもらざるを得なくなってしまうのです。つまり、どの子どもでも、ひきこもりになる可能性はあるということです。きっかけとして多いのは、いじめや人間関係がうまくいかないこと、成績の低下や受験・就職活動の失敗などの様々な挫折経験が挙げられますが、きっかけがよくわからない場合も少なくありません。一つの原因だけでなく、複数の要因が複雑に関係しているケースも考えられます。不登校が長期化してひきこもりになることもあります。最近は、背景に発達障害が関係していることもあるという報告もあります。家族としては、どうしても「なぜひきこもりになったのか」が気になり、突き止めたくなるでしょう。ですが、「どうしてひきこもりになったのか」「何のせいでひきこもっているのか」と原因探しをすることは、ひきこもり状態の解決にはあまり意味がないかもしれません。ひきこもりの解決のためには「なった要因」よりも「ひきこもり状態からどうして抜けだせないのか」を考え、支援する必要があるのです。ひきこもりと精神疾患の関係は?出典 : 定義上ではひきこもりは精神疾患の症状ではない場合のことを指しています。ですが、ひきこもり状態の中には、精神疾患と何らかの関連がある場合も考えられます。この場合、いくらひきこもりを脱しようと頑張っても、根本にある精神疾患や障害の治療や支援をしないと、解決できないことがあります。そこで、ひきこもり状態の裏になんらかの精神疾患や障害が隠れていないかどうか注意することが非常に重要です。精神疾患とひきこもり状態の関係には以下の3つのパターンが考えられます。ひきこもりの人の中には、精神疾患の症状のために家から出られないのに、そのことに気づかず、見過ごされている状態の人が0ではないと考えられています。つまり、精神疾患からひきこもり状態を引き起こしているが未診断という状態です。不安障害や統合失調症、双極性障害、うつ病などは症状としてひきこもり状態を伴いやすい精神疾患です。これらはひきこもりと対処法が全く異なります。また治療が必要な場合もあるので注意が必要です。単なる「ひきこもり」と誤解しているうちに疾患が進行しないよう、早期に精神科に相談する必要があります。なかでも統合失調症は鑑別が難しい精神疾患です。統合失調症の陰性症状は、エネルギーが下がった状態で起こる症状です。主な症状としては、うつ状態になることと、感情の起伏が少なくなることの2つがあります。陰性症状が進むにつれて他の人とのコミュニケーションが難しくなり、ひきこもり症状が生じることがあります。この状態を単なるひきこもりと誤解されてしまうことがあります。統合失調症の主な症状としては、幻覚や妄想、幻聴なども挙げられます。これらの様子が見られる際には、精神科の受診をおすすめします。ただし、ひきこもり状態でも妄想などが現れる場合もありますので、統合失調症かどうかは医師による慎重な判断が必要です。統合失調症の治療には一般的に、薬物治療を併用しながら心理社会的療法(リハビリテーション)が行われます。参考書籍:斎藤環・畠中雅子/著『ひきこもりのライフプラン』(2012年岩波書店/刊)精神疾患の症状から、人間関係のトラブルや強いストレスを引き起こし、二次的な障害としてひきこもり状態になる場合もあります。近年、発達障害とひきこもりの因果関係が指摘されることが多くあります。発達障害のある人が特性を理解されないまま不適切な環境にいることで、環境との不適応を起こし、二次障害としてひきこもり状態になってしまう場合が少なくないのです。広汎性発達障害・自閉症スペクトラムのある人はコミュニケーションの困難を感じることがあります。そのため思春期以降、複雑化する学校生活や人間関係などがうまくいかず、ひきこもり状態になってしまう場合があります。ADHDのある人も、不注意や衝動性といった特性が社会適応を困難にしたり、叱責を受けて自己肯定感が低くなってしまうことが、ひきこもりにつながりやすいと言われています。また、学習障害(LD)のある人は、学習でのつまずきが学校への忌避感や自己肯定感の低下を引き起こし、ひきこもりやすくなると言われています。発達障害の根本的な治療法は現代の医学では確立していませんが、周りの理解や環境調整、スキルトレーニングなどによって困りごとが軽減すると言われています。それらの適切な対応をすることで、二次障害としてのひきこもりを起こさないようにしたり、ひきこもり状態から早期に抜け出せるようにすることが重要です。また、ひきこもりの人の中にも、その背景に発達障害が隠れていることに気がついていない人も一定数いると考えられます。発達障害である場合、様々な社会的支援が受けられる場合もあります。幼少期の生育歴などに発達障害に該当する様子がなかったかなど、一度専門機関に相談してみるとよいでしょう。参考:ひきこもりと発達障害|星野仁彦参考書籍:村尾泰弘/編『ひきこもる若者たち』(2005年,至文堂/刊)長期間にわたるひきこもり状態や孤立から、しばしば二次障害的に精神疾患の症状が出現することもあります。ひきこもり状態にある人のなかには、ひきこもりをやめたいのにやめられなかったり、家族とぶつかったり、近所の人の目を気にしたりなど、「ひきこもっていること」そのものに対して強いストレスを感じている場合があります。これらが心身に悪い影響を及ぼし、対人恐怖症状や強迫症状、被害念慮(妄想)、うつ状態などがあらわることがあり、しばしばそれらがひきこもりから抜け出すことをより困難にします。また家庭内暴力などの問題行動を引き起こすこともあります。これらの症状は、何らかの理由でひきこもり状態を脱すると急速に快方に向かうとも言われています。参考書籍:斎藤環/著『ひきこもり救出マニュアル』(2002年PHP/刊)ひきこもりはずっと続くの?出典 : 近年ひきこもりの高齢化が問題化しています。社会との接点がないまま長期化し、なかなかひきこもりから抜け出せずに、つらい思いをしている当事者や家族もいます。そのため、ひとたび子どもがひきこもりになると、「親である私たちが亡くなったらこの子はどうするんだろう」「このままひきこもりがなおらないのではないか」と心配してしまうのも無理はありません。ですが、本人は、ひきこもりを何とかしたいと考えている場合が多いのです。現在、社会復帰に向けた様々なサポートもあります。子どもに対する対処法を知ったり、専門家による支援を活用することで、ひきこもりから抜け出せる可能性も高くなります。これから、ひきこもり状態になった場合の相談先や支援方法について詳しくご紹介します。ひきこもりを脱するために何ができるのか、考えてみましょう。ひきこもりは家庭内で抱えこまず専門家に相談を出典 : ひきこもりが長期化し、こじらせてしまう一因には、「引きこもりは家族の問題」「できるだけ他人に知られたくない」と家族で問題を抱え込むことがあります。日本社会に根強い「世間の目を気にする」「家のことは家族で解決する」という文化が、背景にあると考えられますが、そういった家族の気持ちが一層本人を家から出にくくしてしまうことがあるようです。また、ひきこもりは時に家庭内暴力や家族内での対立を生んだりします。誰にも言えずに家族だけで解決しようとすると、周りの家族にとっても大きな精神的なストレスになります。そんな時に頼りになるのが、専門家や支援団体などの相談支援です。地域の相談支援を行っている機関をご紹介します。電話での相談を行っている場合もありますので、まずは問い合わせてみるとよいでしょう。・ひきこもり地域支援センター…ひきこもりに特化した専門的な第一次相談窓口としての機能を有するのが「ひきこもり地域支援センター」です。センターには社会福祉士、精神保健福祉士、臨床心理士などがひきこもり支援コーディネーターとして配置されます。相談支援や訪問支援を早期に行うことで、適切な支援につながることを目的にした施設です。参考:ひきこもり対策推進事業|厚生労働省全国ひきこもり地域支援センター設置状況・精神保健福祉センター…精神保健福祉全般にわたる相談をおこなっています。こころの健康についての相談、精神科医療についての相談などとともに、ひきこもりなど思春期・青年期問題の相談も可能です。電話や面接で相談できますが、事前の予約が必要なこともあるのでホームページなどで確認しましょう。全国の精神保健福祉センター一覧・保健所…地域の保健所でひきこもりの相談支援を行っている場合があります。電話相談、面談による相談があり、保健師、医師、精神保健福祉士などの専門職が対応してくれます。また、相談者の要望によっては、保健師に家を訪問して相談してくれる場合もあります。保健所一覧その他、児童相談所、福祉事務所、発達障害者支援センターなどの福祉機関などに相談してもよいでしょう。家族会や当事者会では同じ悩みを持つ方と出会い、相談できます。相談会やイベントなども多数行っています。ひきこもりの支援を行う特定非営利組織(NPO)などもあり、電話相談を行っているところもあります。全国ひきこもり家族会連合会ひきこもり電話相談引きこもりを支援する民間業者などもありますが、高額な費用がかかったり、無理に家から出させるなどの不適切な扱いをされたり、近年トラブルも増えています。利用する場合は慎重に、契約前に事前に見学するなどして活動内容をチェックし、閉鎖的な環境でないか、信頼できるかなどしっかり確認するようにしましょう。こころの問題や身体症状が強く出ている場合など、精神科、心療内科、小児科などの医療機関に相談しましょう。心理カウンセリングを行っているところもあります。本人が受診を拒む場合や外出できないときには、まずは家族の相談を受け入れてくれる医療機関もあります。ひきこもりの人と家族が受けられる支援出典 : ひきこもり支援のゴールとは、ひきこもり状態を抜け出し社会参加ができるようになることです。目標とする社会参加とは、働くことであったり、家の外に親密な対人関係を持つことだったり、居場所を作ることだったり、様々です。ひきこもりの段階で支援は変わります。その過程は人によってことなりますが、「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」で紹介されているような支援ステップを踏むことが多いようです。Upload By 発達障害のキホン「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」|厚生労働省ひきこもりの支援は多くの場合、家族の相談からスタートします。ひきこもりの支援が始まるこの時期、まずは相談に来た家族への支援や、本人がどのような状況にあり、どのような支援が必要かのアセスメントが行われます。・家族支援家族の面談や、訪問支援などを通して、必要な支援を探り、関係機関との連携などが行われます。まずは家族が相談機関に定期的に相談を続けることが第一歩となります。・個人療法当事者本人が支援を受けられる状態になると、個人的な心の支援がはじまります。本人が相談に行ったり、本人への訪問支援を受け入れたり、精神科などでの治療やカウンセリングを受けたりといった段階です。具体的な個人療法についてはケースや技法によって様々ですが、当事者の抱える罪悪感や孤立感によりそい、支援を受けようと動き出した本人の気持ちを支えることを基本とします。・集団療法次のステップはグループでの活動です。精神保健機関や医療機関での集団精神療法やデイ・ケアなどの利用、フリースクールやフリ―スペースなどで家族以外の人と接します。ひきこもりの当事者の中には同世代の人とのコミュニケーションが苦手な人もいます。まずは同じ悩みを持つひきこもりの人と接することがよいトレーニングになることもあります。また、これらの場が居場所として機能します。・社会復帰に向けた就労支援グループでの活動をするうち、就労したい・外出して活動したいという気持ちが芽生える場合があります。そのような場合には就労支援などの社会参加にむけた支援が始まります。就労支援としてはハローワークをはじめ、地域若者サポートステーション、ジョブカフェ、ヤングワークプラザ、学生職業総合支援センター、職業訓練校などが挙げられます。家族がひきこもりになったときの対処法出典 : 家族がひきこもり状態になった時、どのように接し、サポートすればよいのでしょうか?・本人がどのような気持ちかを理解する親や家族は誤解しやすいのですが、本人は「怠けたいから」「働きたくないから」ひきこもっているのではありません。むしろ「ひきこもりをやめたいのにできない」と悩み、家族に対しても申し訳なさや引け目を感じています。・本人が安心してひきこもれる環境をつくるゲームをずっとしている、散らかった部屋で昼夜逆転の生活をしているといった子どもの「だらしない生活」の様子は、親からすると不愉快で、注意してやめさせたい状況です。ですが「家から出す」ために叱りつけたり無理やり学校や職場に連れ出したりすることは、逆効果になることがあります。本人にとって、家の中での家族とのつながりさえなくなると、社会とのつながりが完全に断絶されることになるのです。家族との対立や口論などが続くと、家族とさえ話せない孤立した状況を生み出します。昼夜逆転の生活も、家族と顔を合わせたくないという理由から引き起こされる場合もあります。まずは家を居心地の良い、安全にひきこもれる環境にすることが、ひきこもりの初期の段階では重要なサポートとなります。「家が居心地がよすぎると、いっそうひきこもるのではないか」と家族は不安になりますが、本人は十分に苦しみ、抜け出したいと葛藤しています。家族はそれ以上のストレスを与えないようにし、信頼関係をもって支えるようにしたいものです。・金銭面での支え方お小遣いを要求する場合も、家族としてはなかなか受け入れがたい状況かもしれません。ですが、お店に行って買い物をすることも社会参加の一つです。子どもがお金を使う機会を持たせることは、外とのつながりを保つためにも重要です。お小遣いを渡すと際限なく要求するのではないか、特に大人の場合、ギャンブルなどにつぎ込むのではないかと心配する親御さんもいます。お小遣いを渡す場合、以下のようにルールを決めることが重要です。・お小遣いは、十分に与える・金額は必ず、一定にする・その額については、本人と相談して決める斎藤環/著『ひきこもり救出マニュアル』(2002年,PHP研究所/刊)p.372より引用また、お小遣いの使途については、本人に任せ、家族は口出ししないようにします。・ストレスを抱えこまないひきこもりの原因は親や家族のせいではありません。ですが、なんとか解決したいと奔走したり、子育ての仕方が悪かったのではと悩んだり、ひきこもりは家族にとって大きなストレスとなります。また「世間の目」が気になる親御さんも少なくないでしょう。特にお母さんは自分を責め、「子どもがひきこもっているのに…」と自分の楽しみや外出を控える方もいるようです。また、親子が家に閉じこもり、子どもが親に頼り切ることで「共依存」という依存関係に陥ることもあります。そのような事態を避けるためにも相談機関に相談したり、家族自身がストレスをため込まないように息抜きをしたりしましょう。本人に社会との接点を持つモデルをみせるためにも、家族で閉じこもらないことが重要です。・家庭内暴力への対応ひきこもり状態の1~2割に家庭内暴力が伴うことがあると言われています。家族の場合、本人への遠慮や表ざたにしたくないことから容認したり、第三者の介入を拒んだりしてしまいがちですが、密室化してしまうことが最も解決を困難にします。家庭内暴力への対処は「開示・通報・避難」を基本とします。まず、家族が暴力を絶対に許さない姿勢を示します。そして「暴力が起きたらおさまるまで家族は家を出る」「暴力が起きたら警察に通報する」と予告します。実際に暴力が起きたら、脅しで終わらないように毅然とした態度で宣言通りにすることが重要です。家族が避難する場合、本人が「見捨てられた」と感じないように、暴力が起きていないうちに避難しない、避難したら外から電話などで連絡する、タイミングを見て一時帰宅をするなどの対処をするとよいでしょう。家族だけでの対処が難しい場合がありますので、専門家に相談することもおすすめします。出典:斎藤環・畠中雅子/著『ひきこもりのライフプラン』(2012年,岩波書店/刊)まとめ出典 : 家族が突然ひきこもりになったら、驚き、なんとかして解決したいと思うのは自然なことかもしれません。家族の気持ちとして、一日中家にいる本人に対して怠けている、甘えていると感じたり、叱咤激励して家から出すことを考えたりすることもあるでしょう。しかし、ひきこもりをしている本人は心の中に強い葛藤を抱えています。不安や焦燥、絶望を感じ非常につらい状況にいることに思いを馳せることが重要です。ひとたびひきこもり状態が長引くと、つらい精神症状が生じる、生活の自立が難しくなるなど、さらに問題が現れることがあります。また、周りの家族もストレスや本人を支える負担が大きくなってしまいます。そのような事態を避けるためにも、ぜひ、早期に専門機関などへ相談しましょう。多くのひきこもりのケースの解決は家族の相談から始まります。家庭内で抱えこまず、周りの支援を受けながら、ひきこもりを抜け出す方法を一緒に考えていきましょう。
2017年07月31日1日中部屋の中で布団を被りながらインターネットにゲーム三昧、家族とも関わることなく、ドアの前に置かれた食事をひっそりと摂取する・・・。「ひきこもり」といえばこのようなイメージが強いのではないでしょうか。一方で、普通に学校や仕事に行き、滞りなく社会生活を送っているように見えるのに、他人と関係を深めることを回避したがる「心理的ひきこもり」に陥る若者もいるそうなのです。彼らは一体どんな症状や原因を抱えているのでしょうか。もしかしたら、現代人の抱える根本的な闇かもしれない「心理的ひきこもり」。心当たりのある人も、自分とは無関係と思っている人もぜひチェックしてみてください。■「心理的ひきこもり」の症状とは?「心理的ひきこもり」の症状を抱えている若者は、普通に学校や仕事に行くものの、他人と関わることを極力避け、一人でいることは前述した通り。人とコミュニケーションを取ることは避けるのに、それでも外に出ていくのは人の視線や評価に対して過度に敏感だから、と言えます。つまり「家族や社会からの目が気になるから外に出るけど、人が怖いから関わりたくない」といった状態です。また、常に孤独というわけでもなく、一見普通に人と会話を楽しんでいるように見えても、深くかかわり合うことは回避し、特定の親しい仲間を作らないというパターンもあります。そのため、「あの人ってなんか壁を感じる…」と違和感を覚えられ、結果、周囲から浮いてしまいがちな存在に。この場合だと、「一匹狼」や「内向的」な性格と本人すら区別がつきづらく、「自分はダメな人間だ…」「社会不適合者だ…」と悩んでしまうのだとか。休日も人と遊ぶことはないので、一人で思い詰めてしまう時間は十分。そして更に殻に閉じこもってしまうという、悪循環が生じるのです。■「心理的ひきこもり」の原因「心理的ひきこもり」に陥ってしまう原因は人によって多種多様。しかし、家族友人やとのこじれによって人に対して恐怖感を抱き、信用できなくなってしまったなど、何らかの「過去」に囚われてしまっている所が共通点と言えます。傷つけられたことにより、人を恐れてしまう症状を改善するのは、その後に人を心から信頼する経験を通過してこそ。しかし「心理的ひきこもり」に陥ってしまう人は、その機会が得られなかったのでしょう。更に、インターネットを通じてあらゆる人の意見を見ることのできるこの時代。常に周囲に人がいるかのような錯覚を起こし、孤独を感じないため、一人でいることに限界を感じないことも。また、ネット上では「人間に不信感を抱いた」エピソードがゴロゴロ転がっているため、「やっぱり人と関わってもいいことがない」と、頭で決めつけてしまうのです。やはり情報過多のこの時代が、無関係とは言えないのかもしれません。■シンプルな改善方法とは完全に社会とも遮断された「社会的ひきこもり」とは違い、外の世界と関わりを持っているため、本人の心持ち次第で改善は比較的容易です。しかしその「本人の心持ち」を変えることこそが、孤独に悩んでいる人にとっては難しいこと。何せ周囲に理解してくれ、解決に導いてくれる存在がいないのですから。そうなるとやはり、カウンセリングに頼ることが一番の近道になります。また、趣味関係で友達を作ってみるのもよいでしょう。何もいきなりテニスをしろとは言いません。インドア系でも、愛好仲間は必ずいるはず。共通の話題で盛り上がることができれば、「心理的ひきこもり」の人にとっては希薄な、自己肯定感が得られるようになるでしょう。もしかしたらあなたの隣にもいるかもしれない「心理的ひきこもり」の若者。「コミュ障」などと簡単な言葉で片づけられてしまいがちですが、もしかしたら深い心の傷を負っている可能性が。なんだか浮いてる人がいたのなら、勇気をもって彼らに話しかけることで、少しは救えるのかもしれませんね。
2016年02月19日