映画『ビューティフル・ボーイ』が、2019年4月12日(金)に公開される。ドラッグ依存症からの再生を描いた実話『ビューティフル・ボーイ』は、長年のドラッグ依存を克服し、現在は人気ドラマ「13の理由」の脚本家として活躍する人物の半生を描いた実話に基づく物語。製作はブラッド・ピットが代表を務め、『ムーンライト』や『それでも夜は明ける』などを手掛けたプランBエンターテインメント。ブラッド本人もプロデュースを手掛ける。ティモシー・シャラメ出演ドラッグ依存症に苦しむ息子・ニックを演じるのは、『君の名前で僕を呼んで』で注目を集めたティモシー・シャラメ。『君の名前で僕を呼んで』は、アカデミー賞脚本賞受賞、主要4部門にノミネートしたが、『ビューティフル・ボーイ』では、オスカー賞レースのキックオフといわれるハリウッド映画賞でティモシーが助演男優賞を受賞。また第76回ゴールデングローブ賞においては、助演男優賞にノミネートされており、今後の賞レースに期待が募る。日本公開に先んじて、2018年10月映画『ビューティフル・ボーイ』のプレミアがBFI ロンドン映画祭にて行われた。主演のティモシー・シャラメは、アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)の花柄スーツを着用し、アレキサンダー・マックイーン2018-19年秋冬コレクションからセレクトしたVネックTシャツとチェルシーブーツを合わせて登場した。監督はフェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲンまた、ニックの父・デヴィッド役は、『フォックスキャッチャー』にも出演したスティーヴ・カレルが演じる。また、監督は、『オーバー・ザ・ブルースカイ』のフェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン、脚本は、『LION/ライオン ~25年目のただいま~』のルーク・デイヴィスが手掛ける。場面写真のポストカードが付いたムビチケカード発売公開に先立ち、2019年1月18日(金)より本作のムビチケカードが発売。特典として、ティモシー・シャラメの場面写真2枚と、本作で父・デヴィッドが大切に持ち歩いていた写真をイメージしたセピア加工の本国ビジュアルのポストカード3枚がセットとなる。あらすじ成績優秀でスポーツ万能、将来を期待されていた学生ニックは、ふとしたきっかけで手を出したドラッグに次第にのめり込んでいく。更生施設を抜け出したり、再発を繰り返すニックを、大きな愛と献身で見守り包み込む父親デヴィッド。何度裏切られても、息子を信じ続けることができたのは、すべてをこえて愛している存在だから。父デヴィッドと、ドラッグ依存症だった息子ニックがそれぞれの視点で書いた2冊のベストセラーノンフィクションを原作とした実話に基づく愛と再生の物語。詳細映画『ビューティフル・ボーイ』公開時期:2019年4月12日(金) TOHO シネマズシャンテ他にて全国公開監督:フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン脚本:ルーク・デイヴィス出演:スティーヴ・カレル、ティモシー・シャラメ製作:PLAN B■ムビチケカード発売日:2019年1月18日(金)価格:1,500円内容:オリジナルポストカード3枚セット(場面写真2枚+本国ビジュアル風1枚)※Aパターン・Bパターン場面写真違いの2種類※パターンは選択不可※場面写真のポストカードは全4種類※取り扱い映画館などの詳細は、映画公式サイトにて
2018年10月25日『君の名前で僕を呼んで』で世界中の映画ファンを魅了した、いま最もホットな若手俳優ティモシー・シャラメが出演する最新作『Beautiful Boy』(原題)の日本公開が2019年4月に決定。ブラッド・ピットがプロデューサーに名を連ねている。本作は、長年のドラッグ依存を克服し、現在は人気ドラマ「13の理由」の脚本家として活躍するニック・シェフの半生を描いた実話に基づく物語。ニックと、彼の父デヴィッドがそれぞれの視点で書いた2冊のノンフィクションを原作に、8年間の間に13回の依存症再発、7度の入院を経て更生にいたるまでを描き出す。依存症に苦しむ息子とその家族との愛と再生を描く本作で、ドラッグ依存と闘ったニックの青年時代を演じるのは、『君の名前で僕を呼んで』の鮮烈な演技で第90回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされ、映画界だけでなくファッション界においても、いま最もホットな男ティモシー・シャラメ。その父親を『フォックス・キャッチャー』『リトル・ミス・サンシャイン』のスティーヴ・カレルが演じる。また、製作はブラッド・ピットが代表を務め、『ムーンライト』『それでも夜は明ける』などアカデミー賞受賞作を続々送り出している「プランBエンターテインメント」。ブラッド本人がプロデュースを手掛けている。現地時間10月12日(金)にアメリカ公開を迎えると、館アベレージ($5万5,359)が公開週末1位&配給元アマゾン・スタジオ最大のヒットスタートを記録。本国のメディアや評論家からはアカデミー賞主演、助演でのWノミネートが有力視されており、賞レースのキックオフといわれるハリウッド映画賞でティモシーが助演男優賞を受賞することが11日に発表されている。本国批評の声「この役でティモシーは、アカデミー受賞式でオスカー像を手にするだろう」―BBC「スティーヴとティモシーがオスカーにダブルノミネートするのは確実だろう」―THE HOLLYWOOD REPORTER「同世代の俳優の中でティモシーがダントツであることがこの映画で証明される」―Los Angeles Times「この役でティモシーが、アカデミー賞レースに帰ってくる」― ROLLING STONE「『君の名前で僕を呼んで』の時のようなエモーショナルな演技で、観客をまたも魅了する」―VOGUE『Beautiful Boy』(原題)は2019年4月、TOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2018年10月22日1999年に俳優デビューして以来、テレビ、舞台、映画と幅広いメディアで注目を集める実力派俳優・山田孝之。10月20日に誕生日を迎え35歳となる山田さんは、この秋、俳優のみならず本格的にプロデューサーとしても活躍している。海外でもジョージ・クルーニー、リース・ウェザースプーン、ブラッド・ピットほか多くのハリウッドスターがプロデューサーとして手腕を発揮しているが、山田さんは日本のブラピとなるのか?今回は製作・俳優二足のワラジを履く山田孝之に迫ってみる。イケメン若手俳優としてデビュー今年で芸歴19年となる山田さん。俳優デビューは1999年に放映された、朝基まさしのコミックを原作とする土曜ドラマ「サイコメトラーEIJI 2」。主演はTOKIOの松岡昌宏が務め、山田さんは渋谷の街を守る自警団「城北レーベル」のメンバーとして登場。不良グループの一員という役柄ながら、まだあどけなさの残る16歳の少年だった。その後、一世を風靡したNHK朝の連続テレビ小説「ちゅらさん」シリーズでヒロインの弟役、ドラマ初主演作「WATER BOYS」でシンクロ同好会のリーダー役を好演。そしてセカチューブームの一端を担ったドラマ版「世界の中心で、愛をさけぶ」で主人公の朔太郎を演じ、第42回ザテレビジョンドラマアカデミー賞(主演男優賞)受賞の快挙に。一方映画では、ジブリアニメ『猫の恩返し』(2002年)で “猫の国の王子”ルーン役を務め声優デビュー。続く日米合作映画『ジェニファ 涙石の恋』(2003年)では、原案者でありヒロインも演じたジェニファー・ホームズとW主演を飾っている。デビュー当時の山田さんは、キリッとした眉毛とキラキラ輝く大きな瞳が印象的なイケメン少年。女性たちの熱い視線を浴びながら、爽やかな青春ドラマやラブロマンスを初々しく演じる若手俳優のひとりだったのだ。転機となった『クローズZERO』そんな折、ネット掲示板“2ちゃんねる”の書き込みから産まれた純愛ストーリー『電車男』(2005年)が公開される。この作品で長髪&メガネのもっさりとした秋葉系オタク青年を演じた山田さんは、それまでの美形イメージを払拭して役者としての新たな顔を披露する。そして転機となったのは鬼才・三池崇史監督がメガホンをとった『クローズZERO』(2007年)。小栗旬扮する転校生と壮絶なテッペン争いを繰り広げる不良軍団のリーダー役をアグレッシブに演じて高く評価された山田さんは、それ以降、アクション&バイオレンスへの出演比率を高めていく。当たり役は、主人公である闇金業者・丑嶋馨を体現した『闇金ウシジマくん』シリーズ。ドラマでも扮した丑嶋役をハードに演じる一方で、福田雄一監督作のコメディ『大洗にも星はふるなり』(2009年)で勘違いナルシストに扮し、さらに異色ラブファンタジー『ミロクローゼ』(2011年)では、愛する女性を探して次元をさすらう3部構成の主人公を1人で演じたことも。アクション、コメディ、ファンタジー、時代劇、ラブロマンス~と、どの分野でも主役を張れるジャンルバスターとして、20代後半から着々と実力と実績を蓄えていった山田さん。『闇金ウシジマくん Part2』(2014年)の公開前に行われたシネマカフェのインタビューでは、「ある程度キャリアを積んで実力やコネクションを身に着けた上で、自分たちから動き出したり、待っているだけでなく割と早い段階から作品に携わることができるようになったのは楽しいですね」と、作品へのスタンスを明かすなど、将来のプロデューサーとしての活躍を予感させるコメントもしている。新たな邦画の在り方を提示した『映画 山田孝之3D』最近の山田さんは、いかに作品製作を楽しむかを模索している印象を受ける。その実験的試みの1つが、テレビ東京の深夜枠で放映された「山田孝之の東京都北区赤羽」と「山田孝之のカンヌ映画祭」だろう。この2作品では、ノンフィクションの体裁で作られたモキュメンタリードラマとして山田さんに密着。「北区赤羽での自分探し」や「カンヌ国際映画祭を目指す」など、その時々に山田さんが抱えている様々な想いと、予測不能の出来事をユーモア交えて映し出している。監督を務めた松江哲明&山下敦弘両氏による演出と、リアルな山田さんとの境界線が曖昧になる面白さ。加えて適度なユルさがクセになる不思議な味わいの作品だ。その松江&山下監督コンビが放つ『映画山田孝之3D』(2017年)では、ドラマで果たせなかった「カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞する」という野望を継承。山田さんの幼少期や思春期、家族環境を題材に、人間・山田孝之を浮き彫りにするドキュメンタリーとしてカンヌに正式応募するまでを描いている。内容的にも独立した1本の映画で、言わばドラマへのアンサーを盛り込む手法にびっくり。ドラマと映画連動の新たな在り方の1つを提示した意欲作ではないかと思う。6年越しの企画が結実、最新作『ハード・コア』これまで作品作りを通じて世間を挑発してきた山田さん。そんな彼が盟友・山下敦史監督とタッグを組んだ最新出演映画が『ハード・コア』(11月23日公開)。作・狩撫麻礼、画・いましろたかしによる伝説的コミック「ハード・コア 平成地獄ブラザーズ」を完全映画化。信念を貫くあまり孤立する主人公が、謎のロボットに出会ったことで日常を一変させる人生活劇だ。本作で、純粋すぎて世の中に馴染めないアウトローの主人公・権藤右近を体当たりで演じた山田さんは、プロデューサーとしてもクレジットされている。実は山田さんと山下監督が本作の原作について話をしたのは、2人が初めて組んだオムニバス映画『BUNGO ささやかな欲望』(2012年)の一編「握った手」の製作時。山田さんからアプローチを受けた山下監督が企画を軌道に乗せ、6年越しで映画化にこぎつけたのだという。また今回、右近とは真逆のエリートで頭脳明晰の弟・左近を佐藤健、右近の友人・牛山を荒川良々が演じている。このキャスティングは山田さんと山下監督の強い意向が反映されているとのことで、彼らのアンサンブルにも注目してみて欲しい。今年山田さんは人気コミックの実写化『聖☆おにいさん』の製作総指揮、続く『ハード・コア』で出演・プロデューサーを兼務。そして来年公開される阿部進之介主演作『デイアンドナイト』(2019年1月26日)では、ついに自身の出演一切ナシのプロデューサー・山田として映画製作に携わる。予算調達から脚本会議、キャスティングまでこなす裏方に徹しているという『デイアンドナイト』は、ただいま鋭意製作中。人間の善悪に鋭く切り込んだというこの作品、山田さんのプロデューサーとしての手腕に乞う、ご期待だ!(text:足立美由紀)(text:Miyuki Adachi)■関連作品:デイアンドナイト 2019年1月26日より全国にて公開 ※1月19日秋田県先行公開©「デイアンドナイト」製作委員会ハード・コア 2018年11月23日より全国にて公開©2018「ハード・コア」製作委員会
2018年10月20日2013年に公開された『ワールド・ウォーZ』の続編が、いよいよ撮影に向けて動き出しているようだ。1作目をプロデュースし、続編も製作するデデ・ガードナーとジェレミー・クライナーが、「Variety」誌に明かした。2人は今年、ティモシー・シャラメとスティーヴ・カレルが出演する『Beautiful Boy』(原題)をプロデュース。この作品のレッドカーペットで、『ワールド・ウォーZ 2』(仮題)について情報を提供したのだった。ガードナーによれば、主演のブラッド・ピットは前作より続投。昨年、監督候補に挙がっていたデヴィッド・フィンチャーがメガホンをとることを認めた。脚本は、製作には至らなかったが、以前フィンチャー監督とドラマ「Utopia」(原題)で組んだ経験のあるデニス・ケリー。クライナーは「彼は素晴らしい脚本家だよ。脚本はまだ完成していないけれど、彼はいい仕事をしているし、期待できるものになると思う」と自信を見せた。撮影は2019年の6月にスタートするとのこと。今年いっぱいはフィンチャー監督がNetflix作品の「マインドハンター」シーズン2を撮影中のため、そのスケジュールに合わせるとみられる。(Hiromi Kaku)
2018年10月11日青春ドラマを彩ってきた端正な顔立ちのイケメン俳優にとって、いかにして守備範囲を広げ、演技派俳優にシフトしていくかというのはいつの時代も大きな課題だ。俳優・吉沢悠にとってもしかりで、40歳となる今、新境地を開拓すべくいろんな役にトライし続けている。そんな彼が3年ぶりに出演する舞台が、白井晃×長塚圭史のタッグによる『華氏451度』(9月28日~10月14日)だ。レイ・ブラッドベリのディストピア小説を舞台化した本作で、彼が演じるのは、主人公のガイ・モンターグ役。徹底した思想管理体制にある近未来では、本の所持が禁止されていて、彼の仕事は、本が発見された場合に出動し、本を焼却するという管理機関「ファイアマン」だ。ところがある日、彼は1人の女性・クラリス(美波)と出会ったことで、反体制側に回って戦うことになる。吉沢は、役へのアプローチを徹底的に行うという真摯な役者だが、20代で一度、芸能活動を休止し、改名して再び活動を開始したという経歴も興味深い。40歳となる今年、彼はどういう方向へ進もうとしているのか? 単独インタビューに答えてもらった。○30代の焦りと40代を迎える心境――3年ぶりの舞台となりますが、舞台の魅力はどういう点でしょうか?舞台はライブだから、一歩間違えば大変なことになります。台詞が飛んだらどうしよう、とか。そういう点が僕は面白いと思いますね。また、白井さんとお話した時も思ったのですが、場面転換をすること自体が、楽しみなのかなと。映像みたいに編集できないから、同じ人間がすぐあとに、違う精神状態を演じないといけない。役者の技量が問われますが、そこも舞台ならではのことかなと。また、本番はもとより、稽古場の楽しみも関わってくるのではないかと。本番に向けての過程が見られるので、そこに感動します。白井さんは「生みの苦しみ」ともおっしゃられていましたし、自分も同じような苦しみもありますが、そういう点も含めて舞台が好きなのかもしれないです。――8月30日で40歳になる節目の年ですが、年齢は意識していますか?最近は意識しなくなってきました。周りから「男は40から」とか言われますが、僕自身は30代中盤の頃の方が、40代に対して焦りや期待感がありました。今は、いざ自分が40代に突入するにあたり、期待よりも逆に楽しさの方が上回っています。――30代の焦りとはどういうものでしたか?30代前半というか、ついこの間まで「なんとかしなきゃ」という焦りや迷いがずっとありました。たとえるなら、走っている電車のなかで無駄に走っているみたいな。走っても仕方ないのに「早く目的地につかないと」と必死な感じでした。基本的には怒られるのが嫌だし、失敗をしたくないタイプなんです。でも、今は「そうなったらそうなったでしょうがない」と少しずつ思えてきた次第です。○活動休止&改名で俳優としてリセット――これまでの俳優人生を振り返った時、2005年の活動休止や改名したことは、大きな転機でしたか?いろんな思いがあり、一度立ち止まりましたが、そこから改めて「俳優をやりたい」とリセットできたことで、自分が想像したものとは違う現実になったような気がします。もちろんあの時、リセットしたこと自体は、自分では後悔してないし、いい時間だったなとは思っています。ただ、その後、30代になって、リセットした分、歩みが遅くなっているのかなと思い始めて。自分自身が手にしたかった現実になっていないのかなと思った時期がありました。――そのあと、自身のキャリアをどう進めていったのですか?環境の変化が自分自身、よくわかっていなかったのかもしれない。この10年でチャンネルもインターネットのサイトも増え、フィールドが広がりました。俳優でいえば、舞台の人が映像に出演し、映像の人が舞台に出演したり、また、お笑いの人も映像に出演したり、俳優もバラエティに出演したりと、演者たちもいろんなフィールドへ行けるようになりました。ただ、僕自身は性質的にオタクや職人とか、そっち寄りの人間なので、フレキシブルな時代でやっていくとしたら、アップデートをしていかないと生き残っていけないと思っています。――吉沢さんは、30代でどうアップデートしていくかを考えていたということでしょうか?そうですね。アップデートの仕方がわからず、ただあがいていた感じです。世の中のニーズに合わせるというのは聞こえがよくないけど、自分自身が表現者としてどう成立させるべきなのかがわからなかったのかもしれない。僕は結婚していて家庭を持っているので、仕事として俳優をやっているという一面もあります。クレバーに考えざるを得ない瞬間もありますが、それが根底に来ると結果として残っていけないんだろうなと。上澄みとしてそういう計算があったとしても、根底には表現者や俳優として、曲げられないものを持っていたい。そうすれば、今後もこの仕事を続けていける可能性はあるのかなと。だから、一つ一つ出会う作品にはちゃんと向き合い、決して流しちゃいけないとも思っています。○幅広い役への挑戦と40代の抱負――近年、いろんな難しい役にもトライされていますが、そのへんは意識されて作品を選んでいますか?オファーしていただく作品も変化してきましたし、会社の方針も変わったんです。費用対効果の大きい作品だけではなく「こういう作品もやっていいんだ!」という作品が少しずつ増えてきました。実は僕自身が一瞬混乱していて「なぜ、この作品をやっていいんですか?」と聞くと「30代でそういう役をやっておかないと、40代でいろんなことかできなくなるし、俳優として固まってしまう。30代は、やれるタイミングでいろいろな役をやったほうがいい」ということでした。――実際に今、手応えは感じてらっしゃいますか?30代で結果が残せたかどうかはわからないけど、そういう積み重ねがいろいろとありました。僕自身もその作品と縁があるのなら、怖がって背を向けてしまうのはどうなんだろうと思っていたので、今までやってきて良かったなとは思いました。事務所からは「マネージャーも俳優も、結局はオートクチュールだから、それぞれが違わないとおかしい。ドレスを作る時、袖や襟の形、色をどうするのかは、人によって違うのが当たり前だよね」ということで。当人としては、常に不安だったりはします。今までやってきた作品に対して「俺はすごいことをやっている」とは思ったことがないから、逆に「もっと積み上げていかないと」という思いが強すぎて。でも、仕事は運と縁とタイミングだからと。今後も少し怖いけど、一歩踏み込めば手の届くところにあるものには挑戦し続けていきたい。そうすれば、俳優として、僕が考えられないところへ行けるのではないかと。そういう40代を過ごしていきたいです。■プロフィール吉沢悠(よしざわ・ひさし)1978年8月30日生まれ、東京都出身。映画、ドラマ、舞台など幅広く活躍中。2002 年『ラヴ・レターズ』で初舞台を踏み、以降数多くの舞台に出演。主な舞台出演作は、『オーデュボンの祈り』(11)、『宝塚BOYS』(13)、『TAKE FIVE』(15)など。また、主演映画『ライフ・オン・ザ・ロングボード2nd Wave』が2019年公開予定。■著者プロフィール山崎伸子フリーライター、時々編集者、毎日呑兵衛。エリア情報誌、映画雑誌、映画サイトの編集者を経てフリーに。映画やドラマのインタビューやコラムを中心に執筆。好きな映画と座右の銘は『ライフ・イズ・ビューティフル』、好きな俳優はブラッド・ピット。好きな監督は、クリストファー・ノーラン、ウディ・アレン、岩井俊二、宮崎駿、黒沢清、中村義洋。ドラマは朝ドラと大河をマスト視聴
2018年08月29日トム・クルーズ主演の人気スパイアクション映画第6弾『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(公開中)で、トム演じるイーサン・ハントの前に立ちはだかる敏腕CIAエージェント、オーガスト・ウォーカー役の日本語吹替版声優を務めたDAIGOにインタビュー。タレントを声優に迎えるのはシリーズ史上初ということで、熱い視線を浴びている。今回のイーサン・ハントは、捕まった仲間の命と引き替えに、奪還したプルトニウムを再び敵に引き渡してしまう。イーサン率いるIMFの仲間たちは、新しくチームに入ったウォーカー(ヘンリー・カヴィル)と共に、同時核爆発を未然に防ぐべく、新たなミッションに挑む。DAIGOといえば、ロックミュージシャンでありつつ、バラエティ番組やドラマ、映画など、幅広いフィールドで活躍。アフレコはテレビアニメ『カードファイト!! ヴァンガード』シリーズをはじめ、『ウォンテッド』(08)や『きかんしゃトーマス 探せ!!謎の海賊船と失われた宝物』(16)などでも吹替版を担当してきたが、今回は世界的な人気を誇る『ミッション:インポッシブル』最新作で、しかも物語のキーマンとなるウォーカー役ということで、かなりハードルが高いミッションとなった。――ウォーカー役のオファーが入った時、最初は戸惑いを覚えたそうですね。オファーをいただいたのはとても光栄でしたが、正直「僕でいいのかな?」と思いました。『ミッション:インポッシブル』シリーズは世界的にはもちろん、日本でも新作を待ちわびている方が多い人気作なので、「僕がちゃんと任務を全うできるのかな?」と心配になりました。ただ、今回「声優で初のタレント起用」ということで、僕がやらなければ誰かがやるってことなので、ぜひ自分がやらせていただきたいと。『ミッション:インポッシブル』の最新作にこういう形で携われるなんて、僕の人生のなかでも本当にエキサイティングな時間になると思いました。――トム・クルーズのアクションに対するプロ意識についてどう思われましたか?不可能なことをやり続けて可能にしている! 毎作、自分たちの想像を遥かに超える命懸けのスタントをご自身でやられていて、本当にすごすぎます。だからこそ何十年も世界的なスターでい続けられるんだろうなと。年もとらないし、ずっと永遠に生き続ける人なのかと思うくらい、すべてにおいてすごいと思います。――ウォーカー役にはどのようにアプローチしていきましたか?ウォーカーはすごくクールでガタイも良く、身体能力もすさまじい役柄なので、自分もそういうワイルドなイメージをもって挑んだつもりです。なるべくクールに演じられるよう、自分の声を限界まで低くして臨みました。もちろんやりすぎると「作っている」となっちゃうので、自然な範囲で出る声の一番低いところを目指したつもりです。――声だけで勝負するアフレコと普通の芝居とでアプローチの仕方は違いますか?全然違います。僕は歌もやっていますが、声優という仕事は別のジャンルです。僕にとってはエンターテインメントの仕事のなかでもトップクラスで難しい。“VD”です。ベリー・ディフィカルト。とても難しいです。――タレントが日本語吹替版を担当すると、賛否両論がつきまといますが、DAIGOさんはその重圧についてどう立ち向かっているのですか?プレッシャーは今も感じ続けています。僕は過去に日本語吹替版の声優をやっていて、様々なご意見があることも感じていますが、そういうなかで改めてこういう作品にチャレンジできるってことは、僕にとって運命なのかなとも思いました。僕もこのシリーズが大好きだからこそ、オファーをいただいたからにはちゃんと全力でやりきりたい。それはどんな仕事においても、僕のモットーです。『ミッション~』の吹替えなんて、自分でやりたいと言ってできることじゃないですから。僕にオファーしてくださったこと自体がありがたいと思っています。――ちなみに、プレッシャーには強いタイプでしょうか?僕はすごくニーズに応えたいタイプです。ニーズがあれば、普段の力では出せない力が出てくることが確かにあります。もしかしてプレッシャーみたいなものをパワーに変えていけるのかもしれません。今回、自分のなかでやれることはやったので、あとは観てくださる方がどう思ってくださるか。楽しんでもらえる作品になっていたらうれしいです。――このあと、人気コミックの映画化作品『ニセコイ』も待機中ですが、俳優活動への意欲も増してきていますか?正直、増しています。表現という意味では、歌も映画もドラマもバラエティも、ジャンルは違うけど、エンターテインメントでの表現なので。いろいろな表現のお仕事をしていくと、経験したことは絶対に歌の仕事にも返ってくるので。もちろん自分が歌手だからやるという意味ではなくて、呼んでいただいた時はジャンルという枠を取っ払い、真摯に向き合うことが大事だと思っています。いろんなお仕事をさせていただき、相乗効果で表現の幅が広がるのはいいことなんじゃないかと。ただ、役者や声優はオファーをいただいてこそできる仕事なので、また、良いお仕事をいただけるよう、お芝居も頑張っていきたいです。■プロフィールDAIGO1978年4月8日、東京都出身。シンガーソングライター、俳優、声優、タレントで、ロックバンドBREAKERZのヴォーカル。バラエティ番組やドラマ、映画、舞台などで幅広く活躍。映画の近作は『嘘を愛する女』、『ニセコイ』(2018年12月21日公開)。■著者プロフィール山崎伸子フリーライター、時々編集者、毎日呑兵衛。エリア情報誌、映画雑誌、映画サイトの編集者を経てフリーに。映画やドラマのインタビューやコラムを中心に執筆。好きな映画と座右の銘は『ライフ・イズ・ビューティフル』、好きな俳優はブラッド・ピット。好きな監督は、クリストファー・ノーラン、ウディ・アレン、岩井俊二、宮崎駿、黒沢清、中村義洋。ドラマは朝ドラと大河をマスト視聴
2018年08月21日俳優・吉沢悠が面白い。主演映画『エキストランド』(17)では悪徳プロデューサー役と、“正統派イケメン俳優”の枠から脱することを恐れず、攻めの姿勢を見せている。この秋は白井晃×長塚圭史のタッグによる舞台『華氏451度』(9月28日~10月14日)の主演を務める。原作は、フランソワ・トリュフォーによって映画化もされたレイ・ブラッドベリの同名SF小説。舞台は徹底した思想管理体制にあり、本の所持が禁止された近未来。もしも本が発見された場合は「ファイアマン」が出動して本を焼却し、所有者は逮捕される。吉沢が演じるのは、ファイアマンのガイ・モンターグ役だが、1人の女性・クラリス(美波)と出会ったことで、運命が動き出す。吉沢は、白井からガイ・モンターグ役のオファーを受けた時「なぜ、自分に声をかけてくれたのか?」と、興味をそそられたとか。近年、チャレンジングな役柄が続く吉沢を直撃し、本作にどう向き合ったのかを聞いてみた。○“不確かなもの”への興味から出演決意!?――本作のストーリーについて、どんな印象を持ちましたか?最初に戯曲を読んだ時は「これ、どうやってやるの?」という怖さの方が勝っていました。長塚さんが書いた台本が「さあ、これをどうします、あなたたち?」と問いかけているような書き方をされていたので。そこから改めて原作を読んでいきました。――原作を読んだ時、どういう感想を持ったのですか?1953年に書かれた小説ですが、今の時代でも共感できる内容だなと。いろんなものが便利になっていくと同時に、人と人とのコミュニケーションのとり方や、繋がり方がどんどん形を変えていっている点が現代と似ているかなと。何十年も前に書かれた作品とは思えないほど、原作の力を感じました。――ガイ・モンターグ役のどういう点に戸惑われたのですか?「この役は自分にぴったり」という感じの役ではないのではと思い、不思議な気がしたんです。僕は、性格的に不確かなものに対して手を触れたくないタイプ。でも、30代くらいから、そういうものに触れて、受け入れることが、俳優としての魅力につながるんじゃないかと思い始めたんです。だから、逆に不確かなものに惹かれたというか、そこが今回やりたいと思った一番の理由かもしれないです。――白井晃さんとは、オファーを受けた際にどんなやりとりがあったのですか?白井さんは以前から「吉沢悠のなかに孤独が見える」と思われていたらしいです。また「そういう寂しさや枯渇したものをもっている人は、演劇で面白いものを生み出す可能性をもっている」ということで、そこに興味をもってくださったみたいです。――白井さんとは、以前から交流があったのですか?白井さんとは、役者さんとして違う現場でお会いしたり、白井さんの舞台を観てご挨拶に行ったりしたことはありましたが、どういう方なのかを知れるくらいにしっかりとご一緒したことはないです。ただ、僕自身も「白井さんとは相性が良さそう」と感覚的に思っていたところがあったので、「やっぱり白井さんもわかってくれていたんだ」とは思いました。言葉で説明しづらい感覚ですね。また、白井さんの舞台を経験したことがある知人からも「絶対にやった方がいい」と背中を押されたので、今回飛び込むことにしました。○主人公との共通点“再スタート”――ガイ・モンターグは有能なファイアマンでしたが、クラリスとの交流を経て、今の社会に疑問を抱き始めます。本作は「個を回復する自己回復の物語」となっているそうですが、吉沢さんご自身も、20代で一度芸能活動を休止され、改名もされて、リセットされたあとで再スタートをされていますね。確かにそこは、ガイ・モンターグに似ている部分かもしれない。人生において「ここは絶対に目を反らしてはいけない時」があると思うのですが、僕にもありました。20代であのままの流れでやっていったとしても、それはそれでなんとなくやっていけたかもしれないですが、あの当時の僕にそれはできませんでした。――芸能活動を休止された時はどんな思いを感じられていたのでしょうか?僕は今、作品作りについては、その場その場で作り上げていく作業、すなわち“生産”だと思っています。でも、あの当時の僕は、関わっている作品に対して“消費”だと思っていました。自分の持っているものを全部持っていかれるような感じがしていて。だから、その頃は「もうこれ以上、自分にはないから、ないものをやれと言われても、台詞を上っ面だけで言ってしまう感じになってしまう」という変な脅迫観念を覚えていたんです。俳優として、頭でっかちになっていたのかもしれない。今なら「そんなに難しく考えなくていいから」と思えますが、当時は「そこに目を背けてはいけない」と思っていました。――まさに、ガイ・モンターグ自身も、自分が抱いた疑問に向き合い、その後、ある行動に出ていきますね。クラリスが「私はこういうふうに世の中を見ています」と語った言葉が、きっと彼に響いたんでしょう。彼のなかで、何かがひっかかったと思いますが、僕はそういうことを感じ取れる彼の感性が好きで、そこは「ああ、すごくわかる」と共感しました。ただ、彼と僕が違うのは、彼は全社会を敵に回し、法律を犯してまでも、自分が気になったことを追い求めた点です。そこはすごいなと思いました。――今年は40歳という節目の年ですが、今後の抱負について聞かせてください。今回、こうやって本当に素敵なスタッフさんやキャスト陣と出会えていること自体がうれしいです。だから、この人たちと一緒にいる時間を、目の前に起こっていることをちゃんと受け止めていける自分でいたいなと思っています。■プロフィール吉沢悠(よしざわ・ひさし)1978年8月30日生まれ、東京都出身。映画、ドラマ、舞台など幅広く活躍中。2002 年『ラヴ・レターズ』で初舞台を踏み、以降数多くの舞台に出演。主な舞台出演作は、『オーデュボンの祈り』(11)、『宝塚 BOYS』(13)『TAKE FIVE』(15)など。また、8月15日にNHK総合で放送されるミステリースペシャル『満願』第2夜「夜警」(22:00~)に出演。主演映画『ライフ・オン・ザ・ロングボード2nd Wave』が2019年公開予定。■著者プロフィール山崎伸子フリーライター、時々編集者、毎日呑兵衛。エリア情報誌、映画雑誌、映画サイトの編集者を経てフリーに。映画やドラマのインタビューやコラムを中心に執筆。好きな映画と座右の銘は『ライフ・イズ・ビューティフル』、好きな俳優はブラッド・ピット。好きな監督は、クリストファー・ノーラン、ウディ・アレン、岩井俊二、宮崎駿、黒沢清、中村義洋。ドラマは朝ドラと大河をマスト視聴
2018年08月14日前作『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(15)に続き、シリーズ第6弾『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(公開中)を手掛けたクリストファー・マッカリー監督に単独インタビュー。毎回違う監督がメガホンをとることで、それぞれの個性を発揮してきた『ミッション:インポッシブル』シリーズだが、マッカリー監督が初めて2度目のメガホンをとった。監督、脚本家としてのスキルや情熱は、主演でプロデューサーでもあるトム・クルーズのお墨付きだ。実際にマッカリー監督は、トムの主演映画『アウトロー』(12)の監督をはじめ、プロデューサーや脚本家としてトムと9回もタッグを組んできた。本作でのイーサン・ハント(トム・クルーズ)は、捕まった仲間の命と引き替えに、奪還したプルトニウムを再び敵に引き渡してしまう。イーサンとIMFチームは、敏腕エージェントのウォーカー(ヘンリー・カヴィル)と共に、3都市における同時核爆発を未然に防ぐべく、新たなミッションに挑む。毎回トムによる命知らずのアクションに目を見張るが、本作の危険度&スリルは、ケタ外れだ。トムの骨折したシーンがそのまま使われた決死の“ビルジャンプ”や特殊なパラシュートを使うヘイロー・ジャンプ、パリ・凱旋門前をバイクで爆走したり、2000時間の飛行訓練をした後、トム自らヘリコプターを操縦したりと、正直なところ正気の沙汰とは思えないレベルのチャレンジだ。インタビューでは、マッカリー監督にトムとの仰天撮影裏話をはじめ、興味深い監督のバックグラウンドや、脚本を手掛けた出世作『ユージュアル・サスペクツ』(95)の秘話まで話が及んだ。――再び『ミッション・インポッシブル』シリーズのメガホンをとることになり、まさに“自己ベスト更新”を余儀なくされたと思いますが、どんな点を心がけて監督をされましたか?2回目の監督に挑めたのは、きっと僕がクレイジーだから(笑)。シリーズのファンは、毎回、違う監督が演出することを期待しているから、僕も前作とは全く違う演出でいこうと決めた。だから編集者を除き、スタッフは全員替えたんだ。こんなにスケールの大きい作品を撮ったことがない撮影スタッフもいたけど、僕は本作を通常のアクション映画じゃないスタイルで撮りたかったからちょうど良かった。その分、いろんなディスカッションをして撮ったから、時には衝突することもあったよ。――アクションはどれも素晴らしいですが、特にヘイロージャンプのシーンが圧巻でした! IMAXレンズをスカイダイビングで使ったのは初めての試みだったそうですね。使ったのは一番小さなデジタルカメラだ。IMAXカメラは大きすぎるので、フレームだけを使ったんだが、まるで1ショットのように撮るというのが最大の難関だった。スカイダイビング中のトムの顔を、ずっと入れたかったので、トムがダイブする時、カメラマンは後ろ向きに落ちていかないといけなかった。とても難しい撮影だったよ。――トム・クルーズは、この撮影で100回以上もトライしたそうですね。そうなんだ。ちょうど夕陽が落ちた直後を狙いたかったので、毎日1回3分間しか撮るチャンスがなかった。少し遅すぎると暗すぎるし、早すぎると明るすぎる。しかも複雑なショットだったから大変だった。また、撮り終わってからもビジュアルエフェクトをかけたので、実は一番お金がかかったシーンでもあるよ。――これまで「ミッション:インポッシブル」を「ミッション:ポッシブル」に変え続けてきたトム。まさにトム自身がイーサン・ハントなのではないかと思ってしまいますが、監督はトムをどんなふうに見ていますか?トムとイーサン・ハントとの大きな違いが1つだけある。イーサンはやむを得ずミッションに取り組んでいるけど、トムはいつだってやりたくてやっている。彼は仕事が大好きなんだ。だから時々トムに「イーサン・ハントは恐怖心をもってミッションに挑んでいるよ」と念を押すこともある。そのくらいトムは楽しんでやっているから。――ちなみに、トムは毎回、1つ間違えば命取りとなる危険なアクションにトライしています。愚問かもしれませんが、監督として「これは危ないからやめよう」と、トムを止めることは可能でしょうか?ううーん……(大きくため息)。きっとトムを止めることなんて誰にもできないよ(苦笑)。今回、ヘリコプターのシークエンスもかなり危険度が高い撮影で、全員が固唾をのんで挑んだけど、本当に何も起きなくて良かった。そしたら、ビルからビルへとジャンプするシーンで事故が起きてしまった。あれは、ずっと走って1回だけジャンプするという、他と比べるとそこまで難しいアクションではないと思っていたから、その油断が落とし穴になってしまった。――監督は、高校卒業後、大学に行かずに5年間旅をしたり、探偵事務所で働いたりされたとか。その人生経験が今の仕事に生かされているのでしょうか?探偵事務所ではなく、警備会社で警備員をやっていただけさ。特別ドラマチックなことも起きない退屈な仕事で、僕は映画館の警備もやっていた。当時住んでいたのは、ドラッグが蔓延しているような街で、映画館でトラブルやケンカが起きないように見張るのが僕の仕事だった。ただ、今振り返ると、その仕事をしていたことが、後々になってとても良かったと思っている。――映画館の警備員の仕事が、今の仕事とどう結びついたのですか?僕は映画館の一番後ろに立って、観客の反応をずっと観ていたんだ。観客は映画を観ながら、意見を交わしたり、反応したりするでしょ。警備員として働いた4年間で、人がどんなふうに映画を観るのか、また、どういうところに反応するのかということを無意識に学んでいったんだと思う。観客は頭が良くて、なかでも本当に賢い観客は、物語の落ちを読んでしまう。その観客がポロリとネタバレをしてしまった時なんて最悪だよ(笑)。だから、監督は観客よりも賢くなければいけない。でも、ストーリー自体は誰もがついてこられるような作りにしなければいけないと痛感させられた。それを踏まえて書いたのが『ユージュアル・サスペクツ』の脚本だ。――なるほど、『ユージュアル・サスペクツ』は、予断を許さない展開が見事なサスペンス映画でした。監督したブライアン・シンガーとは、トム・クルーズ主演映画『ワルキューレ』(08)をはじめ、何作も組まれていますね。ブライアン・シンガーは僕の幼なじみで、小学校からの付き合いなんだ。彼とはずっと一緒に映画作りをしてきたよ。ブライアン・シンガーが大学で4年間映画作りを学んでいた頃、僕は映画館で“映画の見方”を勉強していたということだ。今、僕がトムと仕事ができているのも、過去の積み重ねがあったからだと思うと、実に感慨深いよ。■プロフィールクリストファー・マッカリー1968年6月12日、アメリカ生まれ。脚本家、プロデューサー、映画監督。『ユージュアル・サスペクツ』(95)で第68回アカデミー賞脚本賞他、数多くの賞を受賞。脚本と監督を務めた作品は『誘拐犯』(00)や『アウトロー』(12)、『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(15)。トム・クルーズの出演作では、『ワルキューレ』(08)や『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(14)、『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』(17)などの脚本を手掛けている■著者プロフィール山崎伸子フリーライター、時々編集者、毎日呑兵衛。エリア情報誌、映画雑誌、映画サイトの編集者を経てフリーに。映画やドラマのインタビューやコラムを中心に執筆。好きな映画と座右の銘は『ライフ・イズ・ビューティフル』、好きな俳優はブラッド・ピット。好きな監督は、クリストファー・ノーラン、ウディ・アレン、岩井俊二、宮崎駿、黒沢清、中村義洋。ドラマは朝ドラと大河をマスト視聴(C)2018 Paramount Pictures. All rights reserved.
2018年08月11日シリーズ最新作『オーシャンズ8』の公開を記念して、8月11日(土)のフジテレビ系「土曜プレミアム」では、ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、ジュリア・ロバーツ、マット・デイモンら豪華キャストが共演した映画『オーシャンズ11』を放送する。4年の刑期を終え仮釈放されたカリスマ窃盗犯ダニー・オーシャンは、すでに次なる標的を決めていた。それは、ホテル王ベネディクトが経営するラスベガスの3大カジノ“ベラージオ”“ミラージュ”“MGMグランド”の巨大地下金庫に眠る総額1億5,000万ドル。計画遂行のためにオーシャンは自らの右腕にして親友のラスティ・ライアンをはじめとする10人のスペシャリストをスカウト、11人の史上最強犯罪ドリームチームがここに誕生した…という物語。ダニー・オーシャン役を「ER緊急救命室」など数々の作品で知られる名優ジョージ・クルーニーが演じるほか、ラスティ・ライアン役には『セブン』『フューリー』などのブラッド・ピット、テス・オーシャン役で『プリティ・ウーマン』などのジュリア・ロバーツ、テリー・ベネディクト役で『ゴッドファーザー PART III』『パッセンジャー』などのアンディ・ガルシア、ライナス・コールドウェル役で『ボーン・アイデンティティー』シリーズのマット・デイモン、バシャー・ター役で『ホテル・ルワンダ』『アイアンマン2』のドン・チードルといったキャストが名を連ねる。豪華キャストによる目が離せないスリリングな展開をお楽しみに。また本シリーズの最新作となる『オーシャンズ8』も8月10日(金)より全国にて公開。今度はサンドラ・ブロック、ケイト・ブランシェット、ミンディ・カリング、サラ・ポールソン、オークワフィナ、リアーナ、ヘレナ・ボナム=カーターら全て女性で構成された“オーシャンズ”が、アン・ハサウェイ演じるハリウッドの大女優がファッションの祭典で身につける1億5,000万ドルもの超激レア宝石をターゲットに、前代未聞の計画を実施する…という展開。『オーシャンズ11』は8月11日(土)21時~フジテレビ系「土曜プレミアム」で放送。(笠緒)■関連作品:オーシャンズ8 2018年8月10日より全国にて公開© 2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLCオーシャンズ11 2002年2月2日より公開
2018年08月11日2016年11月に離婚を申請したものの、いまだ決着がつかないアンジェリーナ・ジョリー&ブラッド・ピット。8月7日(現地時間)、アンジーがこの件で新たな動きを見せた。離婚を申請して以来、ブラピが「十分な養育費を払っていない」と主張した書類を提出。支払いを要求する構えだという。アンジーの代理人は「ETonline」に、アンジーは「それぞれの次の人生のために離婚を成立させてクリアにしたい。自分とブラピが子どもたちの親であることを再び自覚し、責任を持つため」にこうした訴えを起こしていると語った。ところが、関係者たちはアンジーの行動はブラピへの「復讐にすぎない」と考えているようだ。6月、裁判所はアンジーに対し、「ブラッドと子どもたちがもっと一緒に過ごせるように努力しなさい」という旨の指示を出し、従わない場合は主な親権をアンジーからブラピに移すと注意した。自分が優位に立っていたと思っていたアンジーは、ブラピをコントロールすることができなくなり、不満なのだとか…。「アンジーは(実際は)お金を必要としていないし、(裁判所に訴えるという)大げさな行動を取らなくたってブラッドは養育費の相談になんて簡単に応じると思いますよ。だけど、これがアンジーの物事への対処の仕方なのです」。裁判所に提出された書類には、年内に離婚を成立させるべく双方の弁護士がやり取りを進めていると書かれている。(Hiromi Kaku)
2018年08月08日ピクサー・アニメーション・スタジオ最新作『インクレディブル・ファミリー』(8月1日公開)は、前作『Mr.インクレディブル』(04)をさらにパワーアップさせた最強の続編となった。Mr.インクレディブルこと、パパのボブ役の声優を続投した三浦友和にインタビューし、ボブと自身のイクメンぶりについて語ってもらった。Mr.インクレディブルたちヒーロー一家は、正義のために戦ってきたが、戦闘で街を破壊してしまったことで、活動を禁止されてしまう。そんななか、ヒーロー復活を懸けた任務を命じられたのは、ボブではなく、建物を壊す心配がない妻のヘレンだった。ボブは仕方なく、ヘレンから子どもたちの世話を頼まれ、イクメンとして大奮闘していく。日本版では、ボブ役の三浦をはじめ、ママ・ヘレン役の黒木瞳、長女ヴァイオレット役の綾瀬はるかも続投した。○演じたボブのイクメンぶり――またMr.インクレディブルことボブ役をオファーされた時の感想から聞かせてください。すごくうれしかったです。もしかして別の人がやるのかな?と思っていたら、同じメンバーで続投できたので。今回は、より“ファミリー”を描く映画となっていましたが、本当に面白かったです。――ピクサーの作品は、どれも前作を上回るようなクオリティの作品になるのは、なぜだと思いますか?取り組み方が素晴らしいと思います。よく「2匹目、3匹目のドジョウを狙う」というけど、「ヒットしたからもう1本作る」とか、「スケールが小さくなっても絶対に客が入るからやっちゃおう」とか、そういう考え方ではなく「前作よりもいいものを作らないとお客さんに申し訳ない」というスタンスで作っているところです。だから続編の方がさらに膨らみ、面白いものになるのではないかと。――今回、ボブ役を演じてみて、彼のイクメンぶりはいかがでしたか?前作ではそういうエピソードが全くなかったのですが、今回はイクメンパートが多くて、その分、ボブの台詞量が多くなっていました。前作のアフレコは確か3日間くらいで終わった気がしたけど、今回のスケジュールは1週間もとってありましたが納得です。最初に、女房(ヘレン)が活躍する話だと聞いていたから、そんなにボブの台詞はないと思っていたけど、ちょっと予想外の分量でした(苦笑)。――活動禁止令が出たあとで、街を救うミッションを任されたのは妻のヘレンでした。その時、内心ショックを受けながらも、妻を明るく送り出すボブが健気でした。まあ、強がりなんだけどね(笑)。「育児なんて簡単だよ」と言いながら、実際にやってみるとこんなに大変なことだったのかと思い知らされる。家事全般含めて、奥さんの大変さが初めてわかるんです。○実生活でもイクメンだった!――三浦さんにも祐太朗さんと貴大さんという息子さんがいらっしゃいます。三浦さんは、お子さんがまだ小さかった頃、イクメンでしたか?実はけっこうやっていました。女房が料理をする時は、横に並んで手伝ったりするし、洗い物もたまにはします。まだ子どもが小さかった30代の頃は仕事があまりなくて、けっこう暇だったので、すごくイクメンでした。――では、ボブより三浦さんの方がイクメンだったのですね。僕は何年もイクメンをやっていました。お風呂に入れたり、オムツ替えはもちろん、離乳食を作ったりもしていました。世間的には何もしないタイプだと思われているかもしれないけど、子育てはけっこう参加したほうです。今回のボブはジャック・ジャックに振り回されるので、昔のことを思い出しながら演じました。――ボブとヘレンは、お互いに助け合う素敵な夫婦だと思いました。ヘレンも外に出ていながら家庭のことやだんなのことを気にしていますよね。ああいう気持ちもすごくよくわかります。子育ては本当に大変なので、僕に限らずみんなそう思うと思いますよ。○2人の息子との親子関係――ティーンエイジャーのヴァイオレットとパパとの関係性も実にリアルでした。三浦さんは、父親と娘の関係性についてどう思われましたか?僕は娘がいないので「娘がいたらこんな感じかな?」と思って、そこはちょっと興味深かったです。でも、実際には娘がお父さんに恋愛相談をすることってあまりないんじゃないかと思いますが。うちは姉がいるけど、姉が親父に何かを相談している姿なんて見たことがなかったし。やっぱり相談するとしたらお母さんにするんじゃないですか。――三浦さんは息子さんから相談ごとをされたりしますか?自分が振り返ってもそうですが、男は親に相談なんてしないですよ。決定した時は言うけど、それまでは口にしないし、全部事後報告です。自分の時もそうだったから、親は大変だったんじゃないかなと。今、親になってそのことを思い知らされています。――三浦さんも事後報告派だったということですね?はい。だから今思えば、親に対して悪いことをしたなと思っています。自分が芸能界に入る時も、最初に「テレビでのデビューが決まったよ」とだけ言いに行きましたし、結婚する時も、本当にギリギリまで言わなかったんです。僕は18歳で家を出て、何年も家に帰らなかった時期もあったから、男はだいたいそういうものだなと思っています。もちろん、いろいろなタイプの子がいるとは思いますが、うちの子もそういう感じなので、まあいいのかなと。――そんなふうにおおらかに構えてらっしゃったから、息子さんたちはそれぞれの道を力強く歩むことができたんじゃないですか?いや、おおらかというよりは「そういうもんだよな」という諦めに近いです(苦笑)。次男坊(三浦貴大)なんて、最近全然会ってないけど、まあいいかと。○子供の才能とDNA――今回、ボブが一番手こずっていたのが、末っ子ジャック・ジャックの子守です。ボブはだんだん疲弊していきますが、そのへんも共感できましたか?うちは、あんなすごい力を持った子どもじゃなかったですが、気持ちはよくわかりました。でも、子どもは大人が忘れているようなパワーを間違いなく持っていると思います。僕も親として、子どもの能力を伸ばせられればいいなと思いながら子育てをしてきました。――三浦さんの息子さんたちはすでにひとり立ちされて、それぞれの才能を発揮されていますね。息子たちは、歌い手と俳優になったけど、僕は親として反対することはもちろんできなかったし、する必要もないと思っていました。彼らが本当に向いてないと思ったら、前もって言ったかもしれないですけど。例えば、ものすごく足が遅いのに「オリンピックに出たい」と言われたら「それは無理だな」と思うじゃないですか。でも、そうじゃなかったら、好きな道へ進んでいいんじゃないかと。――三浦さんも若き頃、音楽の道を志していらしたし、今は俳優として活躍されています。息子さんたちも素晴らしいDNAを引き継がれているのではないかと。自分がいいとか悪いとかではなくて、DNAというものはきっと関係すると思います。のちのちどうなるかはわからないけど、向き不向きはきっとあるのではないかと。それは、世襲制度の歌舞伎役者さんたち一家を見ていても思いますが、やっぱり見ていてDNAが濃いなあと思います。○幸せな家庭を作り上げる秘訣――ボブたち一家も三浦さんたち一家も、とてもいいファミリーだと思います。幸せな家庭を作り上げる秘訣は、どんなところでしょうか?秘訣というのは特にはないのですが、簡単に言えば「人と比べないこと」かなと思っています。他の家族や夫婦と自分のところを比べて、良いことを学ぶのならいいけど、劣等感やひがみ、そねみ、嫉妬などが出ると、ろくなことにならない。自分たちは自分たちでしかないよねと、思うことが大切なのかなと。もちろん、なかなかそうはいかなくて、今はいろんな情報が入ってくるし、隣の芝生は真っ青に見えるけど、そういうことは気にしない。「自分は自分」と思うことが一番いいのかなと思っています。■プロフィール三浦友和(みうら・ともかず)1952年1月28日生まれ、山梨県甲州市出身の俳優。70年代に二枚目俳優として活躍し、後に妻となる山口百恵と共演した主演映画やドラマを次々とヒットさせる。主な出演映画に『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズ、『沈まぬ太陽』(09) 『アウトレイジ』(10)、『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』(11)、『葛城事件』(16)など■著者プロフィール山崎伸子フリーライター、時々編集者、毎日呑兵衛。エリア情報誌、映画雑誌、映画サイトの編集者を経てフリーに。映画やドラマのインタビューやコラムを中心に執筆。好きな映画と座右の銘は『ライフ・イズ・ビューティフル』、好きな俳優はブラッド・ピット。好きな監督は、クリストファー・ノーラン、ウディ・アレン、岩井俊二、宮崎駿、黒沢清、中村義洋。ドラマは朝ドラと大河をマスト視聴(C)2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
2018年08月08日多くの人の支持を集めることが人気のバロメーターである一方、常に評価の目にさらされる宿命にあるのが著名人たち。それぞれの職業観の中で、どのような言葉を支えにして苦境を切り抜けているのか。連載「わたしの金言」は、著名人たちが心の拠り所としている言葉を聞く。第9回は、監督、演出家、脚本家、俳優と多方面で異彩を放つ松居大悟氏。監督として9作目となる映画『君が君で君だ』(公開中)では、池松壮亮が尾崎豊に、満島真之介がブラッド・ピットに、大倉孝二が坂本龍馬になりきった男を演じ、自分の名前すら捨てた3人の生き様を超純愛エンターテイメントへと昇華させた。そんな松居氏にとっての金言は、7作目となる映画監督作『アズミ・ハルコは行方不明』で主演に起用した蒼井優の言葉。取材時に彼女が語ったことが、今でも心に残っているという。蒼井優と一緒に取材を受けている時、彼女の言葉が今でも残っています。ライターさんから、「松居大悟監督に何かアドバイスするとしたら?」と聞かれて、彼女はこう言いました。「とにかく、スタートラインに立って最初に歩き出した時の気持ちを持ち続けている人だと思います。それをずっと持ち続けてほしい。飛距離なんて、歩き続けていたらいくらでも伸びるから。伸ばそうとしないで、とにかく最初の気持ちを大事にし続けてほしい」色んなものを見てきたからこその意見。僕も初期衝動だったり、最初に作ろうと思った気持ちとかを忘れかけて迷走してダメになったりすることもあるので、その言葉は今でも深く胸の中に残っています。いくらの予算があるとか、キャストが誰とか、どんな原作でやるのかとか。実は、そんなことってどうでも良いんですよね。僕にとっての集大成ともいえる『君が君で君だ』は、そこを意識した作品です。一体どういうことなのか。確かめたい人は見てください。自分にとっての「金言」、実はもう1つあるんですが……うーん……。こういうところで言うと狙っているように思われてしまうので……胸の中に大切にしまっておきます。僕の中では終わってないので。片付けるみたいな感じになるのが、すごくイヤなんです。■プロフィール松居大悟1985年11月2日生まれ。福岡県出身。慶應義塾大学在学中に劇団ゴジゲンを結成。2009年の『ふたつのスピカ』(NHK)でドラマ脚本家デビュー。最近では、大ヒットシリーズ『バイプレイヤーズ』(テレビ東京系・17~18)を手がけた。2012年に映画監督デビュー作となる『アフロ田中』が公開された。以降は、『男子高校生の日常』(13)、『自分の事ばかりで情けなくなるよ』(13)、『スイートプールサイド』(14)、『ワンダフルワールドエンド』(15)、『私たちのハァハァ』(15)、『アズミ・ハルコは行方不明』(16)、『アイスと雨音』(18)。放送中のフジテレビ系『グッド・ドクター』(毎週木曜22:00~)では俳優として出演、J-WAVE『JUMP OVER』(毎週日曜23:00~)ではナビゲーターを務めている。
2018年08月01日●池松壮亮の言葉に「救われた」漫画や小説をもとに実写化される「原作モノ」が全盛の中、「絶対に観客の心をつかむ」という揺るぎのない気概でオリジナル映画に挑む人々を取材する連載「オリジナル映画の担い手たち」。第4回は、監督として9作目となる映画『君が君で君だ』(公開中)を手がけた松居大悟監督の、オリジナル映画への熱き情熱に迫る。同作では、池松壮亮が尾崎豊に、満島真之介がブラッド・ピットに、大倉孝二が坂本龍馬になりきった男を演じ、自分の名前すら捨てた3人の生き様を超純愛エンターテイメントとして描く。彼らは一人の女性に心を寄せ、密かに写真を撮ったり、彼女と同じ時間に同じものを食べたり、狭いアパートの一室から彼女の様子を見守っていた。しかし、そんなある日、彼女への借金の取り立てが突如彼らの前に現れ、3人の歯車が狂い出す。松居監督が長年温め続けてきたという本作。完全オリジナルラブストーリーとして1つの答えを導き出したが、「集大成」と語る本作を撮り終えた今、映画監督としては新たなステップを踏もうとしていた。○業界内で敬遠されがちなオリジナル脚本――本作は完全オリジナル脚本です。やはり、映画化までの道のりは大変でしたか?オリジナル作品は、自分のヤル気でグイグイ進めようとしても、できないことが多いです。この企画を考えたのは7年ほど前。東映ビデオさんと電通さんが英断してくださったおかげでギリギリ成立しましたが、それまでは何社も断られました。制作会社さんに呼ばれる時に、「何かありますか?」と言われたら真っ先にこれを出していたんですけど、「オリジナルなんですね」と興味を持ってくれない人ばかりでした。『君が君で君だ』は、本当にずっとやりたかった作品です。監督作としては9作目。局側の意向などでオリジナルを担当することはありましたが、持ち込んで映画化できた作品はこれが初めてになります。2011年に舞台をやって、そこで観に来た方が数年後に映画に携わっていたこともあって勧めてくれて。「仲間が一人いる」というのはすごく心強くて、踏み切れました。――やっぱり、「オリジナル」というだけで敬遠されるものなんですか?そうですね。あとは共感性が求められますし、内容よりもキャストイメージの方が重視されます。でも、映画で共感は重要ではないと思っています。共感を求めるなら、テレビドラマを観てほしい。ドラマで主人公と同じような感情になったり、SNSで盛り上がったり。視聴者間で共有するのは良いことだと思うんですけど、映画館でみんなが同じ感情になる必要は僕はないと思います。今回に限らず、映画においては常に考えていることです。――確かに、今作の試写では賛否いろいろな意見があったと聞いています。批判は落ち込みますけどね。すべての声を忘れないようにしてるんですが……。――池松壮亮さんが完成披露の舞台あいさつでおっしゃっていましたが、上海映画祭で「こんな映画公開できない!」と言われたのは本当なんですか?はい、役人の方から。僕らにというより、上海映画祭のプログラマーに向けた言葉です。でも一人だと落ち込むんですけど、『君だ』チームってそれを面白がってくれるんですよね。池松君が舞台挨拶でそういうことを言ってくれたおかげで、僕もちょっとだけ救われました(笑)。○日本映画で描かれてきた「恋愛」への違和感――映画で描かれる「恋愛」と比べると異色ですが、これも1つの恋愛観だと感じました。日本映画における恋愛や愛情の描き方は腑に落ちないところがあって。思いを伝えて、両想いになるということがもちろん正しいんですが、それが「すばらしいこと」の方に行けば行くほど、「思いを伝えられない人」を無視しているような……映画として光を当ててないのがすごくイヤだなと。描くものが価値があって、描かないものが価値がない。そういう流れが、僕はあまり好きじゃない。だから、批判があっても作りたいと思ったし、少しでも興味を持ってくれた人の心に残り続けたらいいなと。「こんなものダメだ!」と言った人はそのあと考えなくなるだろうから、そんな方々を相手にしている場合じゃないなと思います。――作品における「恋愛」の描き方、恋愛観は学生時代にもヒントがあると思いますが、どのような青春だったんですか?中高男子校の進学校に通っていたのですが、当時は周りの学校からナメられていました。カツアゲもされまくるし(笑)。女子高生にも「キモイ」と言われることがあって、存在否定されているような中高時代でした。大学で上京しますが、そこは逆に華やかすぎて馴染めず、演劇サークルはみんな声小さくて猫背だったので、居心地いいなと思ってそこに入りました。大学時代はすごく楽しかったですよ。●「ストーカー映画だ!」と批判する人に伝えたいこと――舞台をはじめ作品づくりの柱、根底にあるのはやはり恋や恋愛なんですか?20代前半ぐらいは自己愛が半端じゃなかった。誰のことも信じられないし、自分のコンプレックスとか苦しいことをいかに掘り下げて描くことばかりやっていて、他が見えてなかった。それの究極の形が今回の映画なんですけど、20代後半からは割とどうでもよくなってきて、最近ではみんなで作ることの方がいいなと思いはじめています。――それは年齢的な変化なんですかね。20代の頃には見えていなかった景色が見えてきて、人と作るってこういうことなんだと思ったときにすごく有機的になりました。「作ることは楽しい。だから作りたい」という原点を思い出したんですよね。なぜ、苦しむことが正しいと思ってたんだろう……。きっと「何者か」になりたすぎて、耳をふさぎ続けていた。そして、自分に自信がないから、追い込むことで自分を保つしかなかった。今ではそう思います。――何よりも劇中での池松壮亮さん、満島真之介さん、大倉孝二さんのやりとりがすごく熱量があって楽しそうでした。現場は熱くてつらかったですけど(笑)。殺伐としていましたが、生産的ではありました。これを思いついて脚本を書いていた当時と、撮っていた去年で違う。去年撮っていた時と、公開を迎えた今もメンタルがだいぶ違っています。――現時点のメンタルで、今作はどのような位置づけですか?自分にとってのすごくマイノリティな部分とか、光の当たらない人たちをとにかく真剣に見つけて、描こうとしているという意味で、「なんか優しいな」と思います。今の僕にはできない。今は……こんなニッチなことをせずに、普通にみんなが共感できるような作品を作りたいとも思います(笑)。――映画づくりのスタンスはそうやって変化していくものなんですね!たぶん、自分にとって集大成だったからだと思います。これで自分を貫いて、その後に『バイプレイヤーズ』をやって、それですごく肩の力が抜けました。あのドラマで、考え方が180度変わった。たくさんの人に愛される作品はすばらしいことだと今は思います。○ブログで伝えたかった「心無い人の言葉」「大切な言葉」――2018年7月3日に投稿されたブログには、「作ることは覚悟のいることで、いつまでたっても、心無い人の言葉によって、大切な言葉を忘れそうになってしまいます」とつづられていました。「心無い人の言葉」とは、具体的にどのような事柄ですか?「レッテルを貼る人」です。1800円払ってくれていたら別にいいんですよ。僕がそっちに支配されてしまうのが損だなと思います。僕は、こういう作品がないと生きていけない人がいると信じている。少なくとも自分がそうだったので。そういう人がいるなかで、「こんなのストーカー映画だ!」と頭ごなしに否定して、「思いが伝えられない苦しみ」を感じたことがないような人、デリカシーのない人に邪魔されるのがすごく……邪魔ですね。でも、1800円払ってくれているんだったら、全然いいです。試写とかで言われると腹立つんですよ(笑)。――なるほど(笑)。一方で、「大切な言葉」というのは?高校生が、「わからないですけど、3回泣きました」と伝えてくれたことがあって。きっとその子にとっては、何かが変わったんだと思います。僕は言葉にできない感情、言語化されてない感情を作品にしたい。まだ発明されてない言葉は人間的で、そういった感情は生きていてすごくすばらしいと思います。たぶん、高校生や中学生はまだいろんな言葉を持ってないから、よりそういう状態になりがちで。そういう人と出会うと、福岡にいた頃に演劇だったりとか、ミニシアター系を見ていた時の感情を思い出すんです。明日もがんばろう。そうやって前向きな気持ちになるから。でも、そういう方々のお言葉を本当に忘れそうになるんですよね。――そういう意味でも、本作は「集大成」だと。ものづくりの第一期みたいな位置づけです。次は……まだ分からないです。自分の中で何か生まれたら、またいろいろな人に相談してみたいと思います。問い合わせいただくこともあるんですけど、基本的には今は……どうすればいいのか分かんなくなっちゃって。一生やめちゃいけないとは思ってます。でも、この作品までずっと何かをやって走り続けてきたので、ちょっと一回落ち着こうと。だから、次の作品はすごく大きな意味を持っていると思います。■プロフィール松居大悟1985年11月2日生まれ。福岡県出身。慶應義塾大学在学中に劇団ゴジゲンを結成。2009年の『ふたつのスピカ』(NHK)でドラマ脚本家デビュー。最近では、大ヒットシリーズ『バイプレイヤーズ』(テレビ東京系・17~18)を手がけた。2012年に映画監督デビュー作となる『アフロ田中』が公開された。以降は、『男子高校生の日常』(13)、『自分の事ばかりで情けなくなるよ』(13)、『スイートプールサイド』(14)、『ワンダフルワールドエンド』(15)、『私たちのハァハァ』(15)、『アズミ・ハルコは行方不明』(16)、『アイスと雨音』(18)。放送中のフジテレビ系『グッド・ドクター』(毎週木曜22:00~)では俳優として出演、J-WAVE「JUMP OVER」(毎週日曜23:00~)ではナビゲーターを務めている。(C)2018「君が君で君だ」製作委員会
2018年07月26日スティーヴン・スピルバーグ監督作『ジュラシック・パーク』(95)の誕生から25周年を迎えた今、シリーズ最新作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(公開中)は、さらなる高みを目指す。重責のバトンを受け取ったのは、『怪物はささやく』(16)などの才気あふれるスペイン人監督J・A・バヨナだ。高級リゾート地イスラ・ヌブラル島のテーマパーク「ジュラシック・ワールド」の恐竜たち解き放たれてから3年、島に残った恐竜たちはジャングルの中でたくましく生き延びていた。島の休火山が再び活動し始めた時、オーウェン(クリス・プラット)とクレア(ブライス・ダラス・ハワード)は、恐竜たちを救い出そうとする!行き過ぎた科学技術に警鐘を鳴らす社会性を折り込みながらも、友情のドラマをしっかりと織り込んだ冒険活劇に心躍る本作。恐竜たちのバリエーションも豊かで、まさに血湧き肉躍る映像美に大興奮。クリス・プラットら人気スターの続投はもちろん、イアン・マルコム博士役のジェフ・ゴールドブラムの再登場にファンが歓喜するなか、スタッフ陣も製作総指揮スティーヴン・スピルバーグ、『ジュラシック・ワールド』(15)の監督だったコリン・トレボロウの製作・脚本と、泣く子も黙る豪華な布陣で放つ本作。最強チームの指揮官を見事に務め上げたJ・A・バヨナ監督を直撃した。――プロデューサーのコリン・トレボロウとは密にやりとりをされたそうですが、どのようにコラボレートしていったのですか?最初に脚本をもらった時、それを読み込んで分析し、どこを一番重要視するか、また、作品のトーンについて話し合ったんだ。後半はノアの方舟のようなイメージで考え、具体的にアイデアを出したよ。いろんな選択肢を考え、そこからディスカッションしていった感じだ。いわば2人の監督が共に手を携えて作ったような映画になったと思う。――本作では、これまでにないほど、アニマトロニクスの恐竜を使われたそうですが、その狙いについて聞かせてください。僕の作品である『怪物はささやく』で、動く大木をアニマトロニクスで表現した時、いろいろなことを学べたので、今回はその教訓を活かそうと思った。僕はできるだけ本物のセットのなかでアニマトロニクスの恐竜を使って撮影し、そこでできないものをCGで補っていくのが一番だと考えた。それを実行したまでだ。――実際に目の前にいる恐竜と共演することで、クリス・プラットたち役者の演技も変わりましたか?そうだね。やはり質感、質量だけではなく、恐竜の魂を感じられることが大きかったと思う。役者たちが実際に恐竜に触れたり、目を合わせたりできるから、彼らの演技も必然的にリアルになる。本編では、アニマトロニクスとCGのシーンが混ざり合っているけど、見ても区別がつかないような仕上がりを目指したんだ。――恐竜に襲われ、必死に逃げる人々。ギリギリ助かったと油断したあとに、バクッとやられてしまう。サスペンスとユーモアのさじ加減やテンポ感などが最高でした。本作はファミリー映画なので、コメディの要素は常に必要だと思っていた。サスペンスでとことん怖がらせるにしても、要所要所で笑える部分がないと安心して観られないからね。そこは意識して入れ込んでいったよ。――前作で最も恐れられていたインドミナス・レックスをさらに上回るハイブリッド種「インドラプトル」が最強のヴィランとなっていました。姿を見せない恐怖の描かれ方が秀逸でしたね。そこは今回、恐竜の見せ方で挑戦したポイントだよ。インドミナス・レックスが巨体で怖さを出すのに比べ、インドラプトルは見えないことで神秘的な恐怖を押し出したいと思った。つまり暗闇のなかで動く恐ろしさだ。子どもが何を怖れるかというと、恐竜の全体像というよりも、チラっと見える目や歯などの一部分や影だったりするでしょ。そこを効果的に出すことによって恐怖感を煽っていく。つまり、大きいから怖いのではなく、わからないから怖いんだ。――フォトジェニックなシーンもたくさんありました。なかでも月をバックにインドラプトルのシルエットが浮かび上がるシーンが印象深かったです。物語を語る上で、各ショットの効果は常に考えているよ。あのシーンは編集をしている段階で思いついたんだ。不気味な屋敷の上に月が出ていて、城のような建物にお姫様、モンスターがいる。これはまさにおとぎ話のような美しいシーンになると思い、月をバックにしたシーンを挿入したんだ。――今回、初めてハリウッドのメジャースタジオによる超大作を手掛けてみて、いかがでしたか?ハリウッドではいつも新しい才能や隠れた才能を探していると思う。アメリカは移民の国だし、昨今はいろんな国の人たちが活躍しているし、ハリウッドで活躍するスペイン人監督も増えていると思う。僕自身も今回オファーをしてもらえたことは本当にラッキーだったし、うれしかったよ。ただ、僕は本国スペインで映画を撮ることを誇りに思っているから、これからはハリウッドと母国の両方で映画を手掛けていきたいと思っている。■プロフィールJ・A・バヨナスペイン・バルセロナ出身の映画監督。監督デビュー作『永遠のこどもたち』(07)が2007年のカンヌ国際映画祭でワールド・プレミア上映され、本国で公開時に歴代興行収入2位をマークし、ゴヤ賞で新人監督賞を含む7部門を受賞。監督第2作目『インポッシブル』(12)ではゴヤ賞で監督賞を含む5部門を受賞、ガウディ賞でも同じく監督賞を含む6部門で賞を獲得。近作『怪物はささやく』(16)でもゴヤ賞で監督賞を含む9部門を受賞、ガウディ賞では8部門を受賞した実力派監督■著者プロフィール山崎伸子フリーライター、時々編集者、毎日呑兵衛。エリア情報誌、映画雑誌、映画サイトの編集者を経てフリーに。映画やドラマのインタビューやコラムを中心に執筆。好きな映画と座右の銘は『ライフ・イズ・ビューティフル』、好きな俳優はブラッド・ピット。好きな監督は、クリストファー・ノーラン、ウディ・アレン、岩井俊二、宮崎駿、黒沢清、中村義洋。ドラマは朝ドラと大河をマスト視聴Photo:Kazuhiko Okuno(C)Universal PicturesGiles Keyte
2018年07月16日ベストセラー小説や少女漫画、少年漫画の人気作が相次いで映画化されている日本映画界。そんな中、第71回カンヌ国際映画祭にてパルムドールを受賞した『万引き家族』は是枝裕和監督の集大成ともいえるオリジナル脚本であり、映画ランキングで3週連続1位を獲得、興収は30億円を突破する大ヒットとなっている。また、毎年、新世代クリエイターを世に送り出す「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2018」にて観客賞にあたる「ゆうばりファンタランド大賞」を受賞したホラーコメディ『カメラを止めるな!』は、劇場公開されるや、連日満席が続いているという。かつて同賞を受賞した松居大悟監督の渾身の最新作『君が君で君だ』をはじめ、これからの猛暑を前に、日本映画のオリジナル作品がいまヒートアップを続けている!■現在公開中!監督の熱い思いが観客に伝播する2作品6月9日(土)より公開されている『榎田貿易堂』は、『虹色デイズ』が公開される飯塚健監督と、バイプレイヤー・渋川清彦の同郷タッグによるヒューマン・コメディ。「扱う品はゴミ以外。何でも来い」を信条にした群馬県渋川市にある開業4年目のリサイクルショップ・榎田貿易堂は、高校卒業後に上京したもののパッとせず、39歳で故郷に戻ってきた榎田洋二郎(渋川さん)が開いた店。ここに集う人間模様をユーモラスに映し出し、それぞれの再出発を描写、人生の悩みをシュールな笑いで包み、話題を呼んでいる。6月23日(土)より公開中の『カメラを止めるな!』は、新人監督・上田慎一郎のもと無名俳優により製作されたスーパーエンターテインメント作。斬新な構造と緻密な脚本、そしてキャスト・スタッフの熱い魂のこもった渾身の37分間におよぶ“ワンカット・ゾンビサバイバル”により、連日満席となっている。■人気俳優が参加!異色の恋愛物語も熱いこの2作のように、立て続けに監督の熱い思いが込められた作品が劇場を盛り上げている中、7月7日(土)からは新たなオリジナル作品が公開される。松居大悟監督が「最後の意地を込めた」と発言し、主演の池松壮亮が「やばい人たちのテラスハウス」と表現する『君が君で君だ』。「尾崎豊」や「ブラッド・ピット」、「坂本龍馬」という、好きな女の子(キム・コッピ)の好きな男になりきり、10年間見守り続けた男たち(池松さん&満島真之介&大倉孝二)を描いた、異常か純情か判断しかねる愛を描いた衝撃の完全オリジナルラブストーリー。“2人が付き合う、付き合わないといっただけではない愛のあり方もある”という持論をユーモラスかつ、熱烈な表現で描き、完成披露試写会などでは「心が八つ裂きにされそう」「この感情は言葉でうまく説明できないが、すごい」と評され、観客たちに衝撃と熱を伝播させている!いずれも独特の視点を持つ作品ばかり。それぞれに込められた熱を、劇場で確かめてみて。『君が君で君だ』は7月7日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:君が君で君だ 2018年7⽉7⽇より全国にて公開ⓒ2018「君が君で君だ」製作委員会
2018年07月07日クエンティン・タランティーノ監督映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が、2019年8月30日(金)に公開。カルト指導者チャールズ・マンソンによる女優殺害事件を題材に『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のストーリーの舞台となるのは、1969年のハリウッド。ピッピ―カルチャー、TVの影響で映画が力を失った時代を背景に、実際に起こったチャールズ・マンソンとその信者による女優シャロン・テート殺害事件を題材に繰り広げられるという。チャールズ・マンソンとは、1960年代末から1970年代のはじめにかけ、“マンソン・ファミリー”の名で知られる生活共同体を率いていたカルト指導者。映画監督ロマン・ポランスキーの妻で妊娠中だった女優のシャロン・テートら5人の無差別殺害は、マンソンの信者たちによる、狂気と残忍性を象徴する事件として知られている。世界の映画祭で快挙!タランティーノ自身が実際に育った当時のハリウッド、そしていまや失われてしまったハリウッドを、郷愁とリスペクトを込めて描いたのが『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。タランティーノはこの脚本を練るために、5年の歳月を費やしたという。第77回ゴールデン・グローブ賞においては、脚本賞と助演男優賞(ブラッド・ピット)、作品賞(コメディ/ミュージカル部門)を受賞。第92回アカデミー賞においては、 助演男優賞(ブラッド・ピット)、美術賞(バーバラ・リン)に輝いた。タランティーノ×ディカプリオ×ブラッド・ピットタランティーノにとって2015年の『ヘイトフル・エイト』から実に4年ぶりの新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。『ジャンゴ 繋がれざる者』(2012)でタランティーノ監督作初出演を果たしたレオナルド・ディカプリオと、同じく『イングロリアス・バスターズ』(2009年)で同監督作初主演を果たしたブラッド・ピットの共演という豪華タッグが大きな話題を呼んでいる。リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)1950年代にはTVスターとして西部劇に出演していたのの、現在は仕事も減り、ちょっと落ち目の俳優。今では意に反して悪役キャラを演じている。文化や世界が変わっている変化の中で、映画スターに転身したいと思いつつ焦る日々を送っている。そんなある日、リックの隣にロマン・ポランスキー監督と女優シャロン・テート夫妻が越してくる。クリフ・ブース(ブラッド・ピット)長年リックのスタントマンを担当&親友でもある。変化し続けるハリウッドで生き抜くことに疲れながらもリックとは対照的で、自分らしさはしっかりと持っている。トレーラーハウスで愛犬ランディとともに暮らしている。ちなみに、ランディを演じた”俳優犬”の雌犬ブランディは、カンヌ国際映画祭開催にあわせて発表される“パルム・ドッグ” を受賞。タランティーノもその演技を絶賛している。シャロン・テート(マーゴット・ロビー)1969年当時絶頂の人気を誇っていた女優シャロン・テート。夫のロマン・ポランスキーは、ポーランド出身の映画監督で『ローズマリーの赤ちゃん』などの作品により、時代の寵児と呼ばれていた。後に『チャイナタウン』『戦場のピアニスト 』などの名作を残す。演じるマーゴット・ロビーは、『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』で2018年のアカデミー賞主演女優賞にノミネート。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』では初のタランティーノ映画のミューズに抜擢。タランティーノ作品常連の豪華顔ぶれもそのほか、豪華共演陣にも要注目。50年以上のキャリアを誇るアカデミー賞俳優アル・パチーノ、ブルース・ダーンらハリウッドの重鎮、天才子役から実力派女優へと成長したダコタ・ファニングらに加え、ジェームズ・マースデン、ルーク・ペリー、ティム・ロス、マイケル・マドセン、カート・ラッセルといったタランティーノ作品ではおなじみの面々も顔を揃えている。古き良きハリウッドを表現したセットも注目60年という50年間も前の時代を描いた『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。タランティーノ監督は、時を逆に回して、現在住んでいるハリウッドという街を、CGやスタジオを使わず、さらには、ビジネスも普通に行われている人通りのある場所を美術や衣装などを駆使して再現している。タランティーノ史上最高のヒット全米公開されると批評家、観客ともに絶賛。4035万ドル(約4300億円)というタランティーノ史上最高のヒットとなった。映画を10作撮ったら監督を引退する」と言ってたタランティーノ。その順番で言うと、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は「最後から2番目の監督作」ということになるが、かなり出来に満足しているようで「この作品で最後にする」という発言まで出た。ストーリーリック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)は人気のピークを過ぎたTV俳優。映画スター転身の道を目指し焦る日々が続いてい た。そんなリックを支えるクリフ・ブース(ブラッド・ピット)は彼に雇われた付き人でスタントマン、そして親友でもある。目まぐるしく変 化するハリウッドで生き抜くことに精神をすり減らしているリックとは対照的に、いつも自分らしさを失わないクリフ。パーフェクトな友情で結ばれた二人だったが、時代は大きな転換期を迎えようとしていた。そんなある日、リックの隣に時代の寵児ロマン・ポランスキー監督と新進の女優シャロン・テート(マーゴット・ロビー)夫妻が越してくる。今まさに最高の輝きを放つ二人。この明暗こそハリウッド。リックは再び俳優としての光明を求め、イタリアでマカロニ・ウエスタン映画に出演する決意をするが―。そして、1969年8月9日-それぞれの人生を巻き込み映画史を塗り替える事件は起こる。作品情報映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』原題:Once Upon a Time in Hollywood日本公開:2019年8月30日(金)製作・脚本・監督:クエンティン・タランティーノ出演:レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピット、アル・パチーノ、マーゴット・ロビー、ブルース・ダーン、ダコタ・ファニング、ジェームズ・マースデン、ルーク・ペリー、ティム・ロス、マイケル・マドセン、カート・ラッセル、エミール・ハーシュ、ティモシー・オリファント、ダミアン・ルイス配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2018年07月01日2019年下半期に公開予定のクエンティン・タランティーノ監督の最新映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(原題)から、待望の初画像が公開された。本作は、タランティーノ監督の9作目の長編監督作。『ジャンゴ 繋がれざる者』(’12)でタランティーノ監督作初出演を果たしたレオナルド・ディカプリオと、『イングロリアス・バスターズ』(’09)で同監督作初主演を果たしたブラッド・ピット、この2大スターの豪華顔合わせが注目を集めている話題作だ。今回公開された画像は、まさに世界が待ち望んでいた2ショット!主演のディカプリオが、LA時間26日(日本時間27日)に自身のInstagramで公開した。物語は1969年のハリウッドを舞台に、実際に起こったチャールズ・マンソンによる女優のシャロン・テート殺害事件を題材に描いたもので、到着した画像では、2人は作中の衣装であると思われる60年代風のファッションに身を包んでいる。また、ディカプリオが新作画像をInstagramに上げるのは極めて稀で、早くも170万を超える「いいね!」を獲得している。豪華スター2人の共演で話題の本作だが、そのほかの共演陣も実に豪華な顔ぶれ!50年以上のキャリアを誇るアカデミー賞俳優アル・パチーノや『ブギーナイツ』などで知られる大ベテランのバート・レイノルズ、『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』で本年度アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたマーゴット・ロビーはじめ、ダコタ・ファニング、ジェームズ・マースデン、ルーク・ペリーほか、ティム・ロス、マイケル・マドセン、カート・ラッセルなど“常連組”も参加している。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(原題)は2019年下半期、全国にて公開予定(全米公開は2019年8月9日)。(cinemacafe.net)
2018年06月28日7月7日公開の映画『君が君で君だ』の完成披露試写会が26日、東京・新宿バルト9で行われ、池松壮亮、満島真之介、大倉孝二、高杉真宙、向井理、YOU、松居大悟監督が出席した。松居大悟監督のオリジナル作品となる本作は、好きな女の子の好きな人になりきって、自分を捨て去り、10年間彼女を見守ってきた3人の男たちの愛の結末を描いたもの。劇中では主演の池松壮亮が日本の伝説のロックシンガー・尾崎豊になりきる役柄で、世界中の誰もが知るハリウッドの名俳優ブラッド・ピットになりきったのが満島真之介、さらに大倉孝二が日本の歴史を大きく変えた人物の坂本龍馬になりきり、ヒロインには韓国人女優キム・コッピが務めている。試写会前には舞台あいさつが行われ、池松らキャスト陣と松居監督が登壇。先日行われた上海国際映画祭で上映された本作だが、池松が「偉い人から帰り際に『こんな映画上映するな!』と文句を言われたみたいで、日本でも打ち切りにならないか心配ですね」と笑いを誘い、池松と同映画祭を訪れた松居監督は「ちょっと変態が過ぎると言われて(笑)」とエピソードを明かした。また、本作について池松は「すごく乱暴で破天荒で狂っていて、純粋な映画になったと思います。人生において一生懸命になったり愛する人がいるというか、そういう変化を望んでいる人に見ていただきたいと個人的には思っています」とアピールし、「狂った純愛映画です。ヤバイ人たちのテラスハウスみたいな映画ですね(笑)」と独特な表現で本作を紹介した。純愛がテーマの本作にからめ、小学生の頃に好きな女の子のリコーダーを舐めたいという衝動に駆られる男の子の話題となり、そういう経験があったのかという問いに、池松、高杉、向井は「なかった」と答えたが、満島は「僕は2本ですね。(満島が好きだった)その娘がリコーダーを変えたんですよ。同じ人のを2本ですから、一途な男です」と明かして会場は大盛り上がり。満島の回答に思いを巡らせた大倉は「俺は舐めたことないと思ったけど、だんだんあったかもと思えてきました(笑)」と曖昧な過去の記憶を覆していた。映画『君が君で君だ』は、7月7日より全国公開。
2018年06月26日現在、イギリスで『Maleficent 2』(原題)を撮影中のアンジェリーナ・ジョリー。撮影で不在となる今夏、元夫ブラッド・ピットがロサンゼルスで6人の子どもたちと過ごすことを許可したと報道され、親権問題における立場の強さを見せつけた。しかし、そのアンジーが親権を失いそうな窮地に立たされているという。「The Blast」誌によれば、2人の離婚を担当する判事がアンジーがブラピと子どもたちの面会やコンタクトを「制限しすぎている」とし、「父親を遠ざけるような環境だと子どもたちのためにならない。このままの状態が続くなら、(アンジーと)子どもたちが過ごせる時間を短縮し、主な親権を(ブラピに)移すことになる」と忠告。判事は手始めにブラピにアンジーの監視や許可なしに、子どもたちと自由にスマホで電話やメールを送り合う許可を与えた。そのほか、判事はブラッドと子どもたちに、この夏の面会スケジュールを指示。児童心理学者が立ち合うことを条件に、ロンドンで6月8日から17日の間、長男のマドックスくんを除く未成年の子どもたち5人と1日4時間、さらに6月27日から7月1日は1日当たり10時間、そして7月8日から14日までは4時間会える…と実に細かい。その後、7月21日から29日はブラピが待ちに待った“お泊り会”の実現へ。ロサンゼルスのブラピ宅に子どもたちを呼び寄せることができる。16歳のマドックスくんは、面会時間などは自身の選択にゆだねられているそうだ。(Hiromi Kaku)
2018年06月13日2016年に離婚を申請したものの、依然として親権争いを繰り広げていたブラッド・ピット&アンジェリーナ・ジョリー。現在、6人の子どもたちとともに暮らしているのはアンジーの方で、ブラッドはアンジーに許可をもらわなければ子どもたちに会えないという。その状態にやきもきしていたブラッドだが、今夏、親子の時間を満喫できることになり、大喜びだそうだ。「In Touch」誌によれば、アンジーは8月までイギリスで『Maleficent 2』(原題)の撮影に専念する予定。ロンドン郊外に子どもたちと暮らすための家を確保したとのことだが、これにブラッドが激怒。アンジーはブラッドとの親権争いがこれ以上こじれるのを避けるため、同作の撮影期間中は子どもたちとブラッドがL.A.で過ごすことを許したそうだ。ブラッドはすでにL.A.の自宅のプールを掃除したり、スケートボードや自転車のレーンを整備したりと、大切な夏に向けて着々と準備を進めている。仕事がその時間を邪魔することがないよう、L.A.で撮影を行うクエンティン・タランティーノ監督の『Once Upon a Time in Hollywood』(原題)に出演するなどしてスケジュール調整もバッチリだ。(Hiromi Kaku)
2018年06月04日ティモシー・シャラメ主演のNetflixオリジナル映画『The King』(原題)に、ロバート・パティンソンとリリー=ローズ・デップが加わることになった。6月1日(現地時間)からイギリスで撮影が始まるという『The King』(原題)は、ウィリアム・シェークスピアの「ヘンリー四世」「ヘンリー五世」をベースとして描かれる映画だ。ティモシーは若きハル王子ことヘンリー五世、やんちゃなハル王子を真の王へと導くフォルスタッフをジョエル・エドガートン、ヘンリー四世をベン・メンデルソーンが演じる。ジョエルは監督のデヴィッド・ミショッドと一緒に本作の脚本も手掛けている。そして、新たにキャストに加わるロバートはフランスの王太子、リリーはフランスのカトリーヌ王女を演じるようだ。ともにオーストラリア出身のジョエルとデヴィッドは、いままでにも共同で脚本を執筆しており、『奪還者』(’14)にはロバートが出演したことも。さらにデヴィッドが監督・脚本を担当した『アニマル・キングダム』(’10)にはベンが主演している。ジョエルとデヴィッドは、デヴィッドの作品をこれまで多数プロデュースしてきたリズ・ワッツと共同で本作のプロデューサーも務め、“デヴィッド・ファミリー”の色が強い作品になりそうだ。さらに、ブラッド・ピットも自身の製作会社「プランB」を通してプロデューサーとして参加している。『The King』(原題)は2019年に配信予定。(Hiromi Kaku)
2018年06月01日今月13日、長女ザハラ、次男パックスと「A Bathing Ape」でショッピングするアンジェリーナ・ジョリー写真:The Mega Agency/アフロ アンジェリーナ・ジョリーがブラッド・ピットとの離婚を申請してから早2年。離婚は未だ正式に成立していない。原因は6人の子どもたちの親権をめぐる争いだ。関係者はE!NEWSの取材に対し、最近の2人の動向についてこう語っている。 「アンジェリーナはロンドンで数カ月にわたる映画撮影を控えているのですが、6人の子ども全員を連れて行って撮影期間中手元に置きたがっているんです。でも、ブラッドはこれに大反対。彼は夏にロサンゼルスで撮影の予定があるので、通常の面会スケジュールに従って子どもたちに会うことを望んでいます」 横やりを入れられた形となったジョリーは激怒し、ピットも妻の身勝手な行動に不愉快な思いをしているという。ちなみに、ロンドンで撮影されるのは『マレフィセント』の続編だそう。
2018年05月28日ピーターラビットが、元気いっぱいにスクリーンを飛び跳ねる。世界中から愛されてきたビアトリクス・ポターの名作絵本を実写映画化した『ピーターラビット』(公開中)は、期待を裏切らない快作に仕上がった。手掛けたのは、『ANNIE/アニー』(14)のウィル・グラック監督だ。舞台は2017年に世界遺産に登録されたイギリスの湖水地方。木の下で楽しく暮らすウサギのピーターたちは、マグレガー爺さん(サム・ニール)の庭に忍び込み、野菜を採ってくる毎日だ。うっかり見つかっても、隣に住むビア(ローズ・バーン)が助けてくれる。ところがある日、大の動物嫌いで潔癖症のマグレガー(ドーナル・グリーソン)がやってきて、彼らの生活は一変する。愛嬌たっぷりのピーターたちを作り出したのは、オーストラリアのCGI集団アニマル・ロジック社。ピーターたちは、鼻をピクピクさせたり、耳で感情表現をしたりと、リアルなウサギの生態を踏まえつつも、実に愛らしいキャラクターとなった。来日したウィル・グラック監督にインタビューを敢行。小さい頃から日本とアメリカを行き来していたという監督は、合計8年くらい日本に住んでおり、上智大学にも1年間在籍していたとか。そこで本作の制作秘話や、日本のコメディ文化について話を聞いてみた。○実写映画化でのこだわりとキャラクター作り――実写映画『ピーターラビット』を手がけるにあたり、どんなことを意識しながら作りましたか?世界的な名作絵本を手掛けたビアトリクス・ポターのことは、すごくリスペクトしているので、まずは彼女が観て納得するような映画にする、ということを目標に置いた。だから、彼女の著作権を管理している会社には、脚本からデザイン、コスチューム、ロケーションなど、すべてを確認してもらい、一緒に映画を作り上げていった。また、イギリスの湖水地方を保護する団体ナショナル・トラストとも連携してやっていったよ。――ピーターは、ウサギとしてのモフモフ感や生態をきちんと押さえつつ、ユニークなキャラクターに仕上がっています。こだわったのはどういうポイントですか?ポイントは目だね。ピーターの表情がわかるように、正面から両目が見えるようなキャラクターにした。あまりやりすぎると人間みたいになってしまうから、いろいろと試行錯誤し、あの完成形に至った。ただし走っている時の動きは、本物のウサギそのものに見えるようにしたよ。――ヒロイン、ビア役のローズ・バーンとは、『ANNIE/アニー』でもご一緒されていますね。ローズは友人でもある。僕は映画を撮る時、できるだけ、友人や大好きな人たちと仕事をしたいと思っている。今回のビア役は脚本段階でローズをあてがきしたけど、本当に彼女にぴったりの役だと思った。――ビアとピーターが、おでこを寄せ合ってコミュニケーションを取る姿が最高に愛らしかったです。あのシーンでのローズは、何もない状態で想像力を膨らませてやってくれたけど、非常に感情を込めるのは難しかったと思う。――ピーターのおとうさんがパイにされて出てくるなど、かなりブラックな描写もあって驚きました。あのシーンは原作にあるから入れたけど、そういうダークな部分も敢えて入れようと思った。やはりペットではなく、自然界に生きる動物だから、そういったことも起こりうるわけで。原作では、マクレガーがナイフとフォークを持っているシーンがあるけど、それはやりすぎだと思って描かなかったよ。――本作はハリウッドのコメディというよりは、ウィットに富んだイギリス仕立てのコメディという印象を受けました。そこは意識して作られましたか?原作絵本は、特にイギリスやオーストラリアで愛されているから、俳優や声優陣、スタッフはすべてイギリス人やオーストラリア人にしたんだ。できるだけイギリス的な映画にしたかったし、英語もイギリスのアクセントが欲しかったので、現場にいたアメリカ人は僕だけだった。実際、彼らは原作をリスペクトし、心から楽しんでやってくれたよ。○マクレガー役ドーナル・グリーソンの芸達者ぶり――トーマス・マグレガー役のドーナル・グリーソンのハジケぶりが最高でした。マクレガー役のキャスティングはすごく難しかった。いわゆる悪役だけど、ビアと恋をするというロマンティックなパートもある。また、みんなから同情される面がありつつも、憎まれなければいけないし、なおかつ面白くなければいけない。ドーナルは、それらのすべをクリアし、絶妙なバランスを取ってくれた。――特に、ピーターとマクレガーが畑でバトルを繰り広げるシーンは迫力がありました。あのシーンについては『バンビ』(42)よりも『プライベート・ライアン』(98)を目指して撮ったそうですね。そうなんだ。ウサギの視点から見れば、あのやりとりは殺されるかもしれないという生死を分ける戦いなんだ。ある意味、戦争なので、すごく危険な状態だということをきっちり見せようと思った。――あのバトルシーンでも、ドーナル・グリーソンの芸達者ぶりに驚かされました。あれは5日間かかって撮ったよ。パペットを使ったり、ブルーのスーツを着た人間が代役で入ったり、棒を使ったり、何もなかったりと、いろいろなパターンで撮影した。今回ローズやドーナルは動物たちと絡むシーンがかなり多かったので、肉体的にも精神的にも大変だったと思う。2人とも見事にやってくれたけどね。○抜群のコメディセンスに影響を与えた作品――監督は抜群のコメディセンスを持っていますが、どういう作品から影響を受けたのですか?とにかく笑えるものが好きだよ。(『ホーム・アローン』シリーズなどの脚本家でプロデューサー)ジョン・ヒューズの映画とかはよく観たね。また、僕は日本に住んでいたから、とんねるずのバラエティ番組や『笑っていいとも!』など、いろんな番組の影響も受けているんじゃないかな。当時は、ケント・デリカットやケント・ギルバートなどもよく出ていたよね。――日本映画も観ていましたか?『男はつらいよ』や、(伊丹十三監督の)『タンポポ』(85)などを観たりしていた。ビートたけしはコメディアンとしてとても面白いと思うけど、北野武監督として映画も撮られているからすごいよね。今は時代が変わって、Netflixなどで世界各国の映画がいつでも観られる環境にあるし、もはや映画において国籍などは関係ないよね。――すでに『ピーターラビット』続編の話題が出ていて、今からとても楽しみです。続編の脚本はまだ書いてないけど、そろそろ始動する予定だ。もちろんすごくプレッシャーはある。とはいえまずは、『ピーターラビット』を観てほしい。とにかく湖水地方の景色が美しいし、動物たちが可愛いし、ロマンスもあるので、大いに期待して。■プロフィールウィル・グラック1993年、アメリカ出身の監督、脚本家、プロデューサー。『俺たちチアリーダー』(09)で長編映画監督デビュー。主な監督作に『小悪魔はなぜモテる?!』(10)、『ステイ・フレンズ』(11)、『ANNIE/アニー』(14)。現在『ピーターラビット』の続編を準備中■著者プロフィール山崎伸子フリーライター、時々編集者、毎日呑兵衛。エリア情報誌、映画雑誌、映画サイトの編集者を経てフリーに。映画やドラマのインタビューやコラムを中心に執筆。好きな映画と座右の銘は『ライフ・イズ・ビューティフル』、好きな俳優はブラッド・ピット。好きな監督は、クリストファー・ノーラン、ウディ・アレン、岩井俊二、宮崎駿、黒沢清、中村義洋。ドラマは朝ドラと大河をマスト視聴
2018年05月22日主演作のカンヌ受賞で海外進出を果たした。 世界三大映画祭の1つである「第71回カンヌ国際映画祭」の授賞式が20日(日本時間)に行われ、コンペティション部門に正式出品されていた是枝裕和監督(55)の「万引き家族」(6月8日公開)が最高賞となるパルムドールを受賞した。 是枝監督はカンヌに5作品目の出品で初の戴冠。そして日本人がパルムドールに輝いたのは、97年に故今村昌平監督の「うなぎ」が受賞して以来21年ぶりとなった。 「是枝監督作品では04年の『誰も知らない』で、柳楽優弥さんが史上最年少の最優秀男優賞を受賞。13年には福山雅治主演の『そして父になる』で審査員賞を受賞していました。すでにカンヌでは名の知られた存在で、今作は家族をテーマにした作品にこだわった是枝監督が構想10年をかけた集大成ともいわれる作品です」(映画業界関係者) 21年前のパルムドール作品「うなぎ」に主演したのは、今やすっかり日本を代表する俳優の1人となっている役所広司(62)。役所は同作をきっかけに、俳優として大きく飛躍を遂げたという。 「役所さんは96年の主演作『Shall we ダンス?』で映画賞を総なめにし、すでに日本を代表する俳優として知られています。そして『うなぎ』でその名を世界にとどろかせたことをきっかけに、05年公開の米映画『SAYURI』でハリウッド進出。07年公開の『バベル』では、ハリウッドの大スター、ブラッド・ピットと共演しました」(芸能記者) 「万引き家族」でW主演をつとめたのは、リリー・フランキー(54)と安藤サクラ(32)。そう遠くないうちに、2人にも海外作品のオファーが届きそうだ。
2018年05月20日マーベル・スタジオ10周年記念映画という鳴り物入りの映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(4月27日公開)は、とてつもない映画に仕上がっていた!「過去作品の集大成」と噂されていた本作だが、マーベルファンはまさかの展開に驚愕するに違いない。そんな話題作のキャンペーンで来日した“トムホ”ことトム・ホランドを直撃。ピーター・パーカーこと初々しい高校生スパイダーマン役で人気を博すトムホは、ネタバレ要注意の箝口令が敷かれた中で、見どころを語ってくれた。本作では、満を持して最強最悪のラスボス、サノス(ジョシュ・ブローリン)とアベンジャーズたちの壮絶なバトルが繰り広げられる。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』や『ドクター・ストレンジ』チームという頼もしい加勢も実に喜ばしいところだ。トムホの注目ポイントは、前作から続いて描かれる、ピーター・パーカーとアイアンマンことトニー・スタークとの師弟関係だ。また、取材前に披露されたフッテージ映像では、ここぞという場面で新しいスパイダーマンスーツをまとうシーンが実にクールだったので必見。○前作からのスパイダーマンの進化――アンソニー・ルッソ監督とともにファンミーティングに参加されましたが、最後にサプライズでMCからマイクをもらい、日本のファンへのメッセージをくれましたね。あれはとてもうれしかったです。日本のみなさんに「ありがとう」と伝えたくて、とっさにマイクを握ってしまった。僕たち役者の仕事はファンの方なしではなりたたない仕事なので、僕たちへの愛と応援に対して、感謝の心をその場で伝えたくなったんだ。――今回演じたピーター・パーカーは、前作と比べてどのように進化していますか?今回のピーター・パーカーの面白い点は、彼がかなり成長しているのに、トニー・スタークの方が、そのことに対して心の準備ができていないところだ。だからピーターはトニーにかなりの疑問を呈しているし、前の映画と比べて少し生意気になっているかもしれない。トニーは彼のことをとても可愛がっているけどね。――トニー・スタークとピーター・パーカーの師弟関係は、ロバート・ダウニーJr.とあなたの関係性ともリンクしているような気がします。その関係性は役柄に反映されていますか?もちろんそうだよ。僕たち2人はとてもいい関係を構築できていると思う。僕は本当に彼のことを心から尊敬しているから、初めて直接お会いした時はすごく緊張したよ。でも、ロバートはすごく心の広い人で、僕を心地よくさせてくれた。とはいえ、スクリーン上の2人の関係性と少し違うところもあるよ。だって、僕はピーター・パーカーのように彼をイラッとさせることはしないと思うから(笑)。○超クールな新スパイダーマンスーツが登場――今回、新しいスパイダーマンスーツをまとうシーンにしびれました。あの展開がわかった時はどう思いましたか?僕が『スパイダーマン:ホームカミング』(17)を撮影中に、プロデューサーのケヴィ・ファイギが来てくれて「今度、また『アベンジャーズ』に出ることになるよ」と言われたんだ。その時は圧倒されてびっくりしたよ。また、ケヴィ・ファイギからスパイダーマンが今後どうなるかについても聞かせてもらい、新しいスーツを着ることも教えてもらったよ。もちろんCGだから実際に着て撮影したわけではないけど、本当に着ることができたらどんなにいいだろうかと思う。実際にフッテージ映像を見てその仕上がりにすごい!と感激した。だって撮影中はしょぼいウエアを着ていただけだから(苦笑)。――製作総指揮でコミックの生みの親、スタン・リーのカメオ出演も毎回話題になっています。彼との交流はありましたか?スタン・リーはとても素敵な素晴らしい人だし、すごく面白い人でもある。彼が作り上げてきたのは革新的なもので、長年にわたりいろんな人の人生に影響を与えてきたと思う。いわば誰もなしえないことをやってきた方だ。カメオ出演も毎回喜んでやってくださっていること自体がありがたいと思う。僕はスパイダーマンを演じる時、一番心配していたのは、彼に満足してもらえるか、納得してもらえるかということだった。だから『スパイダーマン:ホームカミング』のレッドカーペットでお会いして、彼が僕の演技をすごく喜んでくれた時「自分としてやるべきことができていたんだ」と、すごく達成感を感じることができたよ。○『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』との絡みも――今回『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のピーター・クイル演じるクリス・プラットとの共演を楽しまれたそうですね。具体的なシーンは話せないと思いますが、オフショットではどんな交流が合ったのですか?クリスとはすごく仲良くさせてもらったよ。2人ともマーベルの世界をすごく楽しんだ。クリスがちょうど『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(7月13日公開)の追加撮影でロンドンに来ていた時も一緒に飲みに行って、そこでいろいろと話をしたんだ。本当にいい人だし、とても楽しい人だよ。――おそらくシリーズ最大のバトルシーンが見られる本作ですが、実際に参加してみていかがでしたか?いろいろとパーツに分けて撮影しているので、僕たちは全貌を知ることができないから、いつも後になって「すごい激闘シーンを撮っていたんだ!」と驚くよ。マーベル・スタジオ以上にアクションを上手くやれるところはないんじゃないかとまで思ってしまう。ナンセンスになりがちなものを納得する形で描くことができるから。僕としては、自分が真っ先に観たいと思える作品に出演できていること自体がすごいことだと思っている。だって、ロバートたちのようなすごい面子の方々と同じポスターに自分が載っていること自体に感動しているよ。○葛藤するヒーローたちの魅力――本作をはじめ、マーベル・スタジオ一連の作品群は、決して完璧ではない“葛藤するヒーロー像”を打ち出してきました。欠点やコンプレックスを抱えているヒーローだからこそ、愛する人や仲間たちがいるから強くなれると、今回もしみじみ実感しました。あなたはその点についてどう思いますか?僕もヒーローのそういう側面を見せることはとても重要だと思っている。ヒーローは確かに世の中の人が憧れる存在だけど、僕は完璧な人に対して憧れをもつのは決して健全なことではないとも思っている。欠陥があり、悩みや不安、問題を抱えているのは、誰しも当たり前のことだから。実際、ヒーローたちがクレイジーな状況のなかで希望をもって戦っていく姿に惹かれるよ。――あなた自身は、コンプレックスなどはありますか?もちろん僕だってコンプレックスはあるけど、僕自身は今、こんなに素晴らしい仕事につけていて、素晴らしい友人や家族に囲まれている。そう考えれば、自分の問題なんて無視して、自分は幸せだと思うようにしているよ。■プロフィールトム・ホランド1996年6月1日、イギリス・ロンドン生まれの俳優。父親はコメディアンで作家のドミニク・ホランド。2008年、ミュージカル「ビリー・エリオット」で舞台デビュー。『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(16)でスパイダーマンの姿を初披露し、『スパイダーマン:ホームカミング』(17)で主演を務めた。近作は『レジェンド』(17)、『ザ・カーレント・ウォー』(17)など。■著者プロフィール山崎伸子フリーライター、時々編集者、毎日呑兵衛。エリア情報誌、映画雑誌、映画サイトの編集者を経てフリーに。映画やドラマのインタビューやコラムを中心に執筆。好きな映画と座右の銘は『ライフ・イズ・ビューティフル』、好きな俳優はブラッド・ピット。好きな監督は、クリストファー・ノーラン、ウディ・アレン、岩井俊二、宮崎駿、黒沢清、中村義洋。ドラマは朝ドラと大河をマスト視聴(C)Marvel Studios 2018
2018年04月28日映画『君が君で君だ』(7月7日公開)に出演する、高杉真宙の場面写真が25日、公開された。同作は好きな女の子の好きな人になりきって、自分を捨て去り、 10年間彼女を見守ってきた3人の男たちの愛の結末を描いた恋愛譚。池松壮亮が「尾崎豊」になりきる男、満島真之介が「ブラッド・ピット」になりきる男、大倉孝二が「坂本龍馬」になりきる男を演じ、韓国人女優キム・コッピがヒロインを務める。高杉が演じるのは、ソンのダメ彼氏・宗太役。借金を肩代わりさせるなどひどい仕打ちで、借金取りコンビ(YOU、向井理)には媚びへつらいながら、ソンには冷たく接する。高杉史上、最悪最低の男に成り下がり、池松、満島、大倉たちとの衝撃の競演を見せた。今回公開された場面写真では、髭を生やして胸ぐらをつかまれるなど、今までの爽やかな二枚目イメージとは真逆の"クズ彼氏"っぷりをうかがわせた。○高杉真宙コメント『君が君で君だ』で僕が演じる宗太は、自分の借金を彼女に押し付けて返済してもらっている ヒモ男です。 宗太は仕事もせずにフラフラしているような男。劇中で「クズ」と呼ばれたり するようなダメ人間なので、今回は髭を生やして髪を無造作にあげてだらしない感じを出しました。髭を生やす役自体初めてですし、やっとビジュアルを見て頂ける時がきた! という感じです。今後もこういう役に挑戦できたらなぁと思います。松居監督の作品はいくつか観させて頂いているんですが独特な雰囲気の中に美しさがあり、いつかご一緒したいと思っていましたので、このお話を頂いたときは監督のオリジナル作品に出演できるのが嬉しくて。そして「尾崎豊、ブラッドピッド、坂本龍馬」が出てくる物語というのに衝撃を受けました。そして自分にこんな役をやらせて頂けるとは思っていなかったのでびっくりしました。キャストの皆さんは素晴らしい役者さんばかり、お会いするのもほとんど初めての方ばかりで、とにかく緊張した中で演技をしたのを覚えています。その中で、自分のできる限りの返しを出来ていたらいいなと思います。この作品は、はちゃめちゃですが愛の物語だと思います。⻘春も感じますし 「楽しそうだなぁ」って思うところもあります! 宗太は軽いお調子者なのでそんな僕の演技にもぜひ注目して頂けたらと思います。(C)2018「君が君で君だ」製作委員会
2018年04月25日映画界の生けるレジェンド、スティーブン・スピルバーグが、世界中で大旋風を巻き起こしている監督最新作『レディ・プレイヤー1』(4月20日公開)を携えて日本に降臨! 『宇宙戦争』(05)以来13年ぶりの来日を果たしたスピルバーグ監督が、インタビューで日本への愛を語ってくれた。これまで『A.I.』(01)や『マイノリティ・リポート』(02)など、最新テクノロジーの脅威をエンターテインメントに落とし込み、警鐘を鳴らしてきたスピルバーグ監督。今回は観る者がVR(バーチャル・リアリティー)ワールドを体感できる、規格外の映画を打ち出した。ゴーグルをつけ、自分の夢を叶えられる場所“オアシス”へ逃避する若者たち。彼らが天才創設者の遺言に仕掛けられた3つの謎と、56兆円という莫大な財産を巡る世界規模の争奪戦にトライする。本作はすでに、アメリカ、フランス、スペイン、中国など各国でメガヒットを記録している。○三船敏郎をアバターに起用した理由――森崎ウィン演じるダイトウのアバター・トシロウが三船敏郎さんという点が面白かったです。三船さんはスピルバーグ監督の『1941』(79)にも出演されていますが、今回アバターに起用された理由を聞かせてください。アメリカの観客にとって、三船敏郎といえば黒澤明監督、黒澤明監督といえば三船敏郎なんだ。僕はお二人の映画では『蜘蛛巣城』(57)が大好きだよ。三船さんが1977年にLAに来た時、僕の監督する『1941』にぜひ出てほしいとオファーして、出てもらったよ。そういう交友関係があったので、今回は息子さんに許可を得て、アバターとして出演してもらうことになったんだ。○スピルバーグ監督のお宝が劇中に!?――VRのゴーグルをつけてないのに臨場感たっぷりの映像が楽しめました。何か観客を魅了させるトリックを使ったのですか?ものすごい褒め言葉だね。トリックはないけど、あるとしたらストーリーが良かったことじゃないかな。また、アバターが実写の人間と同じくらいリアルなところがいいんじゃないかと。本作は今まで手掛けてきた中では技術的に一番複雑な映画で、制作に3年もかかってしまった。僕の監督作の中では一番時間を掛けたのが『未知との遭遇』(77)で、本作は2番目に長くかかった映画となった。アーネスト・クラインの原作はもちろん、ザック・ネンの脚本も素晴らしかった。僕は3年間、ずっとザックと話し合ってきた。今回は僕と同じくらい想像力に長けた人たちと組んで、オアシスのイメージを伝える手伝いをしてもらったよ。観客に、バーチャルワールドにいるような感覚を味わってほしかったから。――VRの中でお宝を探していきますが、監督ご自身がこの映画に隠したお宝映像はあるのでしょうか?あるよ。今は言えないけど、僕とすごく親密なものを発見できるんじゃないかな。ILMが特殊効果をやってくれたんだけど、彼らが僕を驚かせるためにイースターエッグをいろんなところへ入れてくれたんだ。ある時、エフェクトの作業中にグレムリンが走っていく姿を見つけたよ(笑)。それは一瞬の出来事だった。どうやらそれは僕へのサプライズで、本当は見つけちゃいけなかったけど、驚かされちゃったよ。○最新テクノロジーへの危機感――スピルバーグ監督は、これまで最新テクノロジーをテーマに、それがもたらす夢と共に脅威も描いてきました。今、現実世界において未来に期待しているテクノロジーと、危惧しているテクノロジーについて教えてください。『ジュラシック・パーク』(93)などは、まさに最新テクノロジーがあったからこそできた映画だ。僕が少し恐れているのは、ロボット工学における感覚をもつロボットかな。AIがどんどん発達しているから、人間より賢いものを作ってしまうとコントロールできなくなるから怖いよね。また、サイボーグのように体をいじり、機械を組み込んだりすることも恐ろしい。ただ、30年後、50年後を考えると、当然そういうサイボーグ的なものが生産されていくと思う。また、僕が今一番恐れているのがスマートフォンなんだ。要するに人間が目と目を向き合って話す機会をなくしてしまっている。本作のVRでは、アバター同士が目を見て会話をしているから、ずっとスマホを見て下を向いている状況よりはまだマシなんじゃないかと思う。○宮崎駿監督にシンパシー――童心を忘れないために、何か心がけていることはありますか?それは自分がそういう人間だからだと思う。童心は捨てようと思っても、捨てられない。朝起きる時も夜寝る時も、僕はそういう心をもったままなんだ。でも、この業界にいて、いろんな物語を語れることは、非常にラッキーだとも思う。――スピルバーグ監督は、普段、どういうものからイマジネーションを受けているのですか?僕は常日頃から空想の世界にいる。そのことは家族に聞けばわかると思うよ。よく子どもに「今、どこにいたの?」と聞かれるから(笑)。数年前、スタジオジブリにおじゃまして、宮崎駿監督にお会いした時、彼にとてもシンパシーを感じた。きっと彼も自分と同じようにいつも空想しているんじゃないかと思ったよ。○『レディプレ』で伝えたいメッセージ――本作は80年代のカルチャーへの愛が詰まった作品になっています。監督にとって80年代は、映画監督としてどういう時代だったと思いますか?80年代はイノセンスの時代だった。レーガン大統領がいて、経済もまあまあ良くて、仕事もあって、文化がすべてコントロールされていた。映画、ファッション、テレビにもイノセントな要素があった。原作者アーネスト・クラインが本作の舞台を2045年に設定しているけど、描かれている文化は80年代のものだ。現実の世界はすごくディストピアになっているけど、オアシスは私たちが戻りたい80年代になっている。私が『E.T.』(82)を撮ったのも80年代で、本作は映画史上、最も大ヒットした映画になった。でももし、今の2018年にあの映画をあのまま作ったとしても、あそこまでヒットしないと思う。80年代だから受けたけど、今の時代はシニカルだからきっと受けないと思う。ただ、僕が本作を手掛けたのは、そういうシニシズムを打ち破るような映画を作りたかったからなんだ。自分が子どもに戻れるような作品を作りたかったよ。――この映画でいちばん伝えたいメッセージはどんなものですか?これまでの映画なら「こういうメッセージだよ」と伝えられたんだけど、この映画に関してはメッセージがありすぎる。だから、観客には自分のメッセージを自分で見つけてほしいと思う。テーマの1つとして言えるのはチームワークの大切さだ。1人でいろいろとやるよりも、5人の友だちと一緒に解決する方がいい。そういうことをこの映画は言いたいんだと思う。■プロフィールスティーブン・スピルバーグ1946年12月18日、アメリカ出身。映画監督でプロデューサー。『JAWS/ジョーズ』(75)、『E.T.』(82)、「インディ・ジョーンズ」シリーズ(81, 84, 89, 08)、『ジュラシック・パーク』(93)など、数々の大ヒット作を手がける。『シンドラーのリスト』(93)で、アカデミー賞最優秀監督賞と最優秀作品賞をW受賞、『プライベート・ライアン』(98)で、最優秀監督賞を受賞。近作は『ブリッジ・オブ・スパイ』(15)、『BFG: ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』(16)、『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』(17)。今後『インディ・ジョーンズ5』が待機中■著者プロフィール山崎伸子フリーライター、時々編集者、毎日呑兵衛。エリア情報誌、映画雑誌、映画サイトの編集者を経てフリーに。映画やドラマのインタビューやコラムを中心に執筆。好きな映画と座右の銘は『ライフ・イズ・ビューティフル』、好きな俳優はブラッド・ピット。好きな監督は、クリストファー・ノーラン、ウディ・アレン、岩井俊二、宮崎駿、黒沢清、中村義洋。ドラマは朝ドラと大河をマスト視聴(C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTSRESERVED
2018年04月21日俳優のブラッド・ピット(54)は、アンジェリーナ・ジョリー(42)とは破局したものの、現在幸せな生活を謳歌しているそうだ。ブラッドは10年に及ぶ交際と2年間の結婚生活を経て、アンジェリーナとの関係を2016年9月に終止符を打ち、当初は悲しみに暮れるも今ようやく幸せを取り戻したのだという。ブラッド・ピット(C)BANG Media International関係者はピープル誌に「破局は彼にとって、とても悲しく衝撃的なことでしたが、自身を労わることを再開したのです。今はより幸せそうですよ」と語った。最近、ブラッドは破局して以来、カジュアルなデートを楽しんでいると報じられてきたが、前述の関係者はまだ特別な相手は見つかっていないとも念を押し、「デートをするにも時間がかかり、やっと成就したのです。しかし誰か特別な人がいるわけではありませんよ」と続けた。その証言とは裏腹に、ブラッドは名門マサチューセッツ工科大学の教授で建築家でもあるオックスマンと親密になっているとも先日報じられており、別の関係者は「ブラッドは彼女のとりこです。相性も抜群なんです」「すぐにロマンティックな関係になりました。詮索好きな世間の目から逃れようと務めています」と語っていた。(C)BANG Media International
2018年04月14日ブラッド・ピットがアメリカの名門校マサチューセッツ工科大学(MIT)の教授ネリ・オックスマンに夢中のようだ。ネリは、黒髪に分厚めの唇、妖艶な雰囲気を醸し出し、どことなくブラピの元妻アンジェリーナ・ジョリーに似ていると話題の美女で、奇しくも年もアンジーと同じ42歳。グラミー賞を獲得したことのある作曲家オスバルド・ゴリホフとの結婚歴はあるがすでに離婚している。ブラピとネリは昨年MITの建築関係のプロジェクトを通して出会い、友情を温めてきた。どちらも建築に対する情熱を持った者同士、意気投合。友情から恋愛にと発展し、「The Sun」紙はすでに交際歴半年とも報じている。元妻アンジーはこの報道に対しおもしろくない様子だ。「HollywoodLife.com」によれば、アンジーはネリが「とてつもなく高い知性」を持つ「MITの教授」であることにジェラシーを感じているらしい。「ハリウッドのほかの女優と付き合ってくれたほうがよっぽどマシだと思っているようです」と関係者は語る。さらに、自分と容姿が似ていると報じられているのも「不愉快なこと」の1つだとか…。ブラピとアンジーは2016年に破局し離婚手続きを進めてきたが、ようやくこの数週間以内にその手続きが完了するという。(Hiromi Kaku)
2018年04月12日ドラマ「賭ケグルイ」でのヘタレ男子っぷりも話題となった俳優・高杉真宙が、池松壮亮主演純愛エンターテインメント『君が君で君だ』に出演することが決定。高杉さん史上、最悪最低の男を熱演するという。本作は池松さんが尾崎豊、満島真之介がブラッド・ピット、大倉孝二が坂本龍馬になりきって、自分を捨て去り、10年間彼女を見守ってきた3人の男たちの愛の結末を描いた恋愛譚。今回新たに本作に出演することが明らかになったのは、『散歩する侵略者』で毎日映画コンクールの新人賞を受賞し、「セトウツミ」「賭ケグルイ」『プリンシパル~恋する私はヒロインですか?~』など近年メインキャストでの出演作が続く高杉さん。今後も、『世界でいちばん長い写真』『虹色デイズ』『ギャングース』と主演映画の公開を控え、また劇団☆新感線の舞台「メタルマクベス」、劇場版アニメ『君の膵臓をたべたい』への出演も発表されるなど、その勢いは増す一方だ。今作では、キム・コッピ演じるヒロイン・ソンの“ダメ彼氏”宗太役を演じる。彼は、ソンの献身的な愛情を受けるも、借金を肩代わりさせ、YOUと向井理の借金取りコンビには媚びへつらいながら、ソンには冷たく接するひどい男。ソンの好きな伝説の男たちになりきって生きる3人の男たちは、ソンと宗太の成り行きを身を潜めて見つめ続けているが、ある日借金取りに見つかってしまい、大いなる騒動へと発展していくのだ。果たして、爽やかイケメン俳優の高杉さんはどんなクズな彼氏を演じるのだろう?『君が君で君だ』は7月7日(土)より全国にて公開。(cinemacafe.net)
2018年04月02日