子どもから大人まで、高い人気を誇るキャラクターのひとつといえば、個性豊かな“謎の生物”ミニオン。『怪盗グルー』シリーズなどでも大活躍を見せてきましたが、最新作『ミニオンズ フィーバー』では、さらなるハチャメチャぶりが話題となっています。そこで、ミニオンの大ファンだというこちらの方々にお話をうかがってきました。市村正親さん & 尾野真千子さん【映画、ときどき私】 vol. 500今回、日本語吹替版のキャストとして、シリーズ初参戦を果たした市村さんと尾野さん。劇中ではグルーが敬愛する悪党のワイルド・ナックルズを市村さん、そして悪党チームの新リーダーとして君臨するベル・ボトムを尾野さんが演じています。そこで、初対面で感じたお互いの印象や意外な事実、そしておふたりの生きがいなどについて語っていただきました。―本シリーズには、おふたり一緒のタイミングで初参加となりましたが、実際に会われてみていかがでしたか?市村さん実は、さっき初めてお会いしたんですが、こんなにおもしろい方だとは思わなかったですね。尾野さん申し訳ございません(笑)。市村さんこれまでの作品ではシリアスな役も多かったので、そういう印象を持っていましたが、これからは違った目で見てしまいそうですね。「すましているけど、本当はそうじゃないだろ?」と(笑)。尾野さんあははは!でも、そう思われても仕方ないですよね。市村さんただ、新しい魅力を発見できてうれしかったです。やっぱり人は見た目だけではわからないものですから。尾野さん私はテレビや舞台などでいろいろと拝見させていただいていたので、初めてというよりも、すでに知り合いのような気分だったというか(笑)。あと、オーラがすごいので、もっとお顔が大きいと思っていました。市村さんあははは!尾野さん正直で本当にごめんなさい。でも、実際にお会いすると、思っていたよりもお顔が小さくていらっしゃるので、やっぱり俳優さんとして魅せる力をお持ちの方なんだというのを実感しました。お会いできてよかったです。人間らしい部分のある悪役を演じるのが好き―本作でおふたりが演じられたのは、世界で最も名高いヴィランチームの一員ですが、悪役を演じるのはお好きですか?市村さん僕は舞台で悪役系の役を演じることが多いんですよ。ただ、母が生きていたときに、「いくら主役でも人を殺すような役はやらないでほしい」と言われていたので、とことん悪い役というのは嫌ですね。実際、僕が演じるキャラクターはどれも人間らしい部分を持っているタイプなので、そういう悪役は好きです。だから、今回のワイルド・ナックルズもよかったですが、尾野さんのベル・ボトムは本当に悪い奴ですよね。地でやってるんじゃないかな?尾野さん(笑)。でも、私は悪役をやりたいと思っていました。そのほうが、やりがいがあるんだろうなと考えていたので。とはいえ、いざやってみると、普通の人のほうがやりがいあることに気がつくんですけど、やっぱり憧れてしまうところはありました。なので、今回できたことはすごくうれしかったです。いろんな人からたくさんのことをもっと吸収したい―市村さんは「ワイルド・ナックルズはグルーが憧れる悪党だけど、自分は憧れられる俳優でいたい」とコメントされていますが、すでにおふたりは多くの方に憧れられる存在ではないかと。おふたりにとって“いい俳優の条件”のようなものはありますか?市村さんシンプルに言えば、自分の仕事や役を好きでいられるかどうかじゃないでしょうか。好きだからこそ、掘り下げていけるものですからね。僕自身も、いろんなものに興味や関心を示し、好奇心を強く持つことを意識しています。あと、ちょっとキザなことを言いますが、人間が好きなこともいい役者である条件なんじゃないかな。尾野さん私はまだまだ先輩方に憧れている立場なので、自分が先輩と呼ばれることにもなじみがないくらい。日々、いろんなジャンルの方からもっとたくさんの情報を得たいと思っていますし、いまはまだそれを吸収している段階です。なので、私がいい俳優について話すのはおこがましいというか、考えたこともなかったかもしれないですね。―ちなみに、おふたりが憧れていた方はいますか?市村さん僕が昔から好きなのは、アル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロ、ダスティン・ホフマン。日本の俳優さんでいえば、いろんな名作に出演されていた滝沢修さんを学生のころから見ていました。若い頃は、好きな俳優さんのニュアンスを何となく真似したくなることもありましたね。尾野さん私は、いまでも各現場に憧れの人がいます。特に、その現場で輝いている人は素晴らしいなと思うので、作品ごとにどんどん増えていて、数えたらきりがないのではないかなと。それはお年を召した方だけではなく、子役でもすごいなと感じたら憧れます。ほかにも、最初はどちらかというと苦手という印象があった人でさえ、現場で一緒になって大好きになることもあるほどです。そういう意味では、今回市村さんにお会いしてから、「どんなことを考えているらっしゃるんだろう」と気になっています。カラオケが歌えない理由とは?―ちなみに、いま市村さんに聞いてみたいことはありますか?尾野さんまずは、声の出し方をどうされているのかは学びたいですね。市村さん尾野さんはすごくいい声していると思いますよ。声が響くような口の形というか、そういう体形を持っていますから。尾野さん自覚はないですが、そうなんですか?市村さんちなみに、歌は歌いますか?尾野さんいえ、カラオケ程度です。市村さんカラオケが歌えれば十分ですよ!僕なんて、カラオケで歌えませんから。尾野さんどういうことですか?市村さんミュージカルで歌を歌うときは、しっかりと稽古をして、役や歌詞の内容を掘り下げてから歌いますが、カラオケって行ったらすぐに歌わないといけないですよね?それができないので、カラオケのときは蚊の鳴くような小さな声で歌ってるんですよ(笑)尾野さんえー!それはびっくりです。市村さん練習していないとダメというか、他人の歌のような気がしてしまうんでしょうね。ミュージカルだと、自分の役の歌だと思えるから歌えるんですが、カラオケでは情けないくらい声も小さくて音程も悪いんですよ……。尾野さん勝手な想像で、カラオケでも完璧だと思っていました。僕にとって、歌は歌ではなくて叫び―おそらく誰もがそうイメージしていると思うので、かなり意外です。市村さん僕にとっては、歌は歌じゃないというか、その人の叫びや恋の切なさだったり、そういうものなんだと思います。だから、舞台で自分の声に酔って歌っているような俳優を見ると、後ろから「こら!」とツッコミたくなりますよ(笑)。尾野さん本当におもしろいお話ですね。ずっと聞いていたいです!市村さん『キンキーブーツ』で三浦春馬くんを見たときには、「あんな歌を歌える人がいるなんて」と驚きましたし、すごいなと思いました。尾野さんも絶対にできますよ!尾野さんいやー、怖いです。でも、乞うご期待ください(笑)。―ぜひ楽しみに待っております。本作のミニオンたちといえば、最強最悪のボスに仕えることが生きがいですが、いまおふたりにとっての生きがいといえば?市村さん僕は10歳と14歳の子どもたちですね。もう、完全に彼らが僕のボスですよ!嫌われないように一生懸命仕えています(笑)。尾野さんあははは!私は、夫が生きがいかもしれないですね。仕事をしていても「この人のためにがんばりたい」と支えになりますし、「この人のために生きていたい」と思うこともあるので、いまは自分の心も生活もとても充実しています。こんなふうに、一緒にいて同じ気持ちをわかち合おうとしてくれる存在はいままでいなかったので、夫がいい生きがいになっていますね。結局はがんばることしかできないと感じている―素敵なお話をありがとうございました。それでは最後に、人生の先輩でもあるおふたりから、ananweb読者に向けてメッセージをお願いします。尾野さん駆け出しの頃、私は「がんばれ」という言葉が嫌いでした。というのも、「こんなにがんばっているのにまだがんばらなきゃいけないの?」とか「何をがんばればいいのかわからない」と思っていたからです。でも、日々いろんなことを達成したとしても、また次に向かっていかないといけないわけで……。結局は、がんばることしかできないのではないかと考えるようになりました。なかには「がんばれ」という言葉に心を痛める方もいらっしゃるかもしれないですが、振り返ってみると、私自身は「がんばってね」と言われて励まされてきたことが多かったんじゃないかなと。私なんかが言ってもいいのかわかりませんが、それでも私はみなさんに「がんばれ」という言葉を送りたいなと思います。市村さん僕からは「楽しめ!」ということを伝えたいですね。舞台の場合、海外から来た演出家と仕事をすると、「稽古場では苦しめ」と言われますが、初日になると「楽しめ」と言うわけですよ。僕たちがエンジョイしていないと、観客もエンジョイできないからと。そんなふうに、苦しんだり、がんばったりすることがあっても、最終的に楽しめる方向にいければいいんじゃないかなと思っています。自分なりの表現をできるようになることが楽しい―ちなみに、市村さんほどのキャリアをお持ちでも、稽古は苦しいものでしょうか。市村さんそうですね。特に、新作はセリフを覚えるのが大変だし、その意味を探って表現するまでには時間がかかりますから。でも、僕はセリフを覚えるのが大好きなんですよ。尾野さんそうなんですか!?すごいですね。市村さんシェイクスピアみたいな長いセリフでも大好きなので、台本が残り2、3ページくらいになってくると、逆に寂しくなってきて覚えたくなくなっちゃうくらい(笑)。セリフが自分のカラダに入ってきて、自分なりの表現ができるようになると楽しいので、その作業が一番好きというか、そのためにこの仕事をしているんじゃないかな。尾野さん本当に、市村さんからは楽しんでるのが伝わってきて素敵だと思います。インタビューを終えてみて……。初対面直後とは思えないほど、ぴったりと息の合ったやりとりを繰り広げていた市村さんと尾野さん。笑いはもちろんのこと、驚きと学びも詰まった取材となりました。周りを元気にするパワフルなおふたりをこれからも見習っていきたいです。すべてはここから始まった!今回も予測不能な展開で大騒動を巻き起こし、かわいさもおもしろさも大フィーバーのミニオンたち。大切な仲間たちの絆にジーンとするなか、ついに明かされるミニオンと怪盗グルーの始まりの物語となる“最大の謎”もお見逃しなく!写真・北尾渉(市村正親、尾野真千子)取材、文・志村昌美ストーリー1970年代、ミニオンたちはミニボスとして崇拝する11歳の少年グルーのもとで日々悪事を働いていた。そんななか、世界で最も名高いヴィランチームの「ヴィシャス・シックス」では、伝説の悪党であるワイルド・ナックルズがリーダーから追放され、新リーダーとしてベル・ボトムが君臨することに。そんなある日、グルーが何者かにさらわれてしまい、ミニオンのケビン、スチュアート、ボブは、ミニボス救出のため奔走。その過程で起きた事件をきっかけに、カンフーの達人マスター・チャウと出会い、弟子入りする。それこそが、その先で待ち受ける厳しい道の始まりだったのだ……。大騒ぎの予告編はこちら!作品情報『ミニオンズ フィーバー』7月15日(金)公開配給:東宝東和©2021 Universal Pictures and Illumination Entertainment. All Rights Reserved.写真・北尾渉(市村正親、尾野真千子)
2022年07月13日音楽、才能、愛、裏切り、そして夢――。今、新たなオリジナルミュージカルが誕生しようとしている。都内スタジオで行われたミュージカル『スワンキング』の通し稽古。初日まで約2週間となったこの日、稽古場を見学する機会を得た。キャスト、スタッフともに全員不織布マスクを着用しての稽古だったが、そんな状況を軽々と飛び越えるカンパニーの熱量と劇世界の広がりに、胸の高まりが収まらない時間となった。舞台は19世紀のバイエルン王国。“狂王”とも呼ばれたルートヴィヒ二世と“天才”作曲家・ワーグナーとの関係を軸に、激動の時代を生きた人々の物語が紡がれる。白鳥王ことルートヴィヒ二世を演じる橋本良亮。立ち姿の美しさと全身からにじみ出る気品、その凛々しい佇まいで場をけん引する姿が頼もしい。音楽を愛し、芸術で諸国を平和に導こうとするも国民には理解されず、次第に孤独に苛まれる姿が胸に迫った。天才的な音楽家・ワーグナー役の別所哲也。天賦の才を宿す芸術家でありながら、プライベートでは欠落の多い人物を人間臭く、チャーミングに演じる。クセの強さと輝く才能とを手品のように切り替え見せるさまは流石のひとこと。この2人を取り巻くキャラクターも非常に魅力的だ。偉大な作曲家・リストの娘で夫を持つ身でありながら、ワーグナーのもとへ走って彼を支え、次第にプロデュースすらしていくコージマ(梅田彩佳)、敬愛するワーグナーに妻を奪われ苦悩する指揮者のビューロー(渡辺大輔)、その優しさゆえに心がむしばまれていくルートヴィヒ二世の弟・オットー(今江大地)、宰相として冷静な視点を持ち国王を支えるルッツ(牧田哲也)。さらに『スワンキング』にはミュージカルラバーに馴染み深い人物も登場する。その筆頭が夢咲ねね演じるエリザベート(シシィ)だ。じつはシシィ、史実でもルートヴィヒ二世にとっては姉のような存在で、この作品では特に冒頭とラストで重要な役割を果たす。シシィの妹・ソフィや母・ルドヴィカも作中に存在するので、ミュージカル『エリザベート』と同時代の物語という視点でも楽しめそうである。日本のオリジナルミュージカルのアキレス腱が音楽ともいわれるが、本作『スワンキング』においてそのロジックは通用しない。これまでおもに三谷幸喜と組み『ショーガール』や『日本の歴史』といった作品を成功させてきた荻野清子の楽曲は壮大かつ繊細で、一瞬のうちに私たちを19世紀のバイエルンへと連れ去ってくれる。歌詞は脚本と演出を手掛けるG2が担っており、非常に自然で面映ゆさを感じさせない。この日の稽古場ではピアノ演奏のみだったオリジナル楽曲が生のオーケストラで奏でられ、手練れの俳優たちが歌うさまを想像するだけで心が劇場へと飛んで行くようだ。通し稽古を取材して、本作のテーマのひとつが“夢”だと感じた。ワーグナーは荘厳なオペラを自身が願った劇場で上演する“夢”を叶えるが、彼の1番の理解者、信奉者と自負するルートヴィヒ二世の“夢”は潰える。芸術を愛し、音楽の力を信じたスワンキングの“夢”が白い衣とともに湖の奥へと消える姿はとても美しく、そしてせつない。彼は最後にどんな“夢”を見たのだろう。『スワンキング』は史実を基に脚本や楽曲が書き下ろされた完全オリジナルミュージカルだ。日本のオリジナルミュージカルに先入観がある人や、どこか気恥ずかしさを感じる人にこそ、この作品の世界観を体感してほしい。初演の客席にいたことを、後できっと自慢できるはずだから。美しき白鳥王と不完全な天才が織りなす物語の幕がもうじき上がる。新たなオリジナルミュージカルの扉が開くその時が楽しみでならない。取材・文=上村由紀子(演劇ライター)
2022年06月08日ミュージカル『るろうに剣心京都編』に出演する、加藤清史郎さんのインタビューをお届けします。回転する客席をステージが360度取り囲む日本唯一の劇場・IHIステージアラウンド東京で、ミュージカル『るろうに剣心京都編』2年越しの幕が開く。「2年前、3年間のイギリス留学から帰国して、本格的に仕事に復帰するという久々のミュージカルがこの作品だったんです。それがコロナで中止になってしまって、出はなをくじかれた感覚になり、それなりに落ち込む時期もありました。でもこうして上演が決まり、むしろ以前より作品に対する想いが強まりました」加藤清史郎さんが演じるのは、主人公・緋村剣心と対立する瀬田宗次郎。幼少期の辛い記憶から喜怒哀楽の楽以外の感情が欠落した青年だ。「人気の高い作品で、ファンの多い役柄。外見よりももっと“宗次郎ってそうだよね”というところを目指したいです。そのために殺陣はもちろん、彼の背負う過去の悲惨さや、ある意味で感情を捨てたからこその強さをいかに表現していくかが課題です。頭だけで考えて演じようとすると、真似にしかならないと思っていて。僕は“宗次郎の中に生息する”という言い方をするのですが、ただ笑っているのではなく、どのセリフにどう楽しさを感じて何を考えているか…たとえば、微笑み具合ひとつとっても場面によって微調整が大事だと思いますから、ひとつずつ丁寧に読み解いていけたらと」原作漫画は、出演が決まってから読んだそうだけれど、今やすっかり“るろ剣”ファン。だからこそ「より宗次郎でありたいし、ファンとしてはそうやってキャラクターを考察するのも楽しいです」と語る。宝塚歌劇団の舞台でも本題材を舞台化した小池修一郎さんが脚本・演出を手がける。加藤さんは、留学前に出演したミュージカル『エリザベート』のほか、昨年にも小池さん演出の『ニュージーズ』に出演。「プロデューサーさんもおっしゃっていたのですが、小池先生は妥協を知らない演出家なんです。役者やスタッフさんからすると、初めて聞いたときは無茶だろうと思うような高いレベルのことを要求されるのですが、本番までには達成できるよう役者を成長させてしまう。しかも、見た目にも芸術性の高い演出をされるので、役者に立ち位置を指示するときに、舞台に0123…ってナンバリングされているのですが、『2.7辺りに立って』などとおっしゃるんです。そんな細かいところまで…と初めは思うのですが、完成を見るとどの席から観ても美しい舞台に仕上がっている。その小池先生が、この特殊な劇場でどう見せてくれるのか、るろ剣ファンとしてもミュージカルファンとしても楽しみです」『るろうに剣心京都編』かつて“人斬り抜刀斎”と恐れられた剣客・緋村剣心(小池)の元に、志々雄真実(黒羽)が国家転覆を謀っているという報せが届く。薫(井頭)らが止めるのも聞かず、剣心は京都に向かうが…。5月17日(火)~6月24日(金)豊洲・IHI ステージアラウンド東京原作/「るろうに剣心‐明治剣客浪漫譚‐」和月伸宏(集英社 ジャンプコミックス刊)脚本・演出/小池修一郎(宝塚歌劇団)出演/小池徹平、黒羽麻璃央、松下優也、加藤清史郎、岐洲匠、奥野壮、井頭愛海、鈴木梨央、伶美うらら、山口馬木也、加藤和樹ほか全席指定1万4500円ステージアラウンド専用ダイヤル TEL:0570・084・617(11:00~16:30)かとう・せいしろう2001年8月4日生まれ、神奈川県出身。1歳1か月から俳優として活躍。英国留学を経て帰国後も出演作多数。7月よりミュージカル『BE MORE CHILL』に出演。ストライプジャンプスーツ¥49,500ブーツ¥69,300(共にSHAREEF/Sian PR TEL:03・6662・5525)ニットベスト¥4,950(remer/Sian PR)アクセサリー、パール¥3,850シルバー¥5,500(共にLHME/Sian PR)※『anan』2022年5月18日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・金 順華(Sable et plage)ヘア&メイク・宮内宏明(M’s factory)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2022年05月15日ミュージカル『ボディガード』に出演する、新妻聖子さんにお話を伺いました。一昨年、大阪で初日の幕が開いてすぐコロナ禍の影響で、わずか5回の公演で中止となったミュージカル『ボディガード』。2年の時を経て、このたびようやく再上演が決まった。「私が出演できたのはわずか2回。状況は理解していましたけれどやり切れない想いがあり、本来迎えるはずの東京公演初日には涙が堰を切ったように溢れて、私はそんなにやりたかったんだなぁって思いました」じつは新妻さんの出産後のミュージカル本格復帰となるはずだった。「育児も舞台もどちらも諦めたくなくて、子供を寝かしつけてから歌詞やセリフを覚えて、振りを練習したりしていたんです。これまで常に悔いのない人生だと思ってきましたが、この公演をもう一度やり遂げるまでは死ねないと初めて思いました」原作映画でも印象的に使われたホイットニー・ヒューストンの「I Will Always Love You」は劇中でも披露される。「この作品は翻訳も素晴らしくて、ひと言ひと言、お客様が登場人物に感情移入できる言葉を、日本語の微妙な機微も加味しつつ選びながら、ホイットニーの原曲の持つR&Bのグルーヴ感もちゃんと活かせるようになっているんです。これまで自分のコンサートでも何度も歌っている楽曲でしたが、レイチェルとして生きながら歌っていると、これまでまったく感じたことのない感情が湧き上がってくる。他の楽曲も含め、この作品を通じて数々の名曲と出合い直すことができました。今再び作品と向き合うなかで、新たに表現したいことも泉のように溢れて溢れて…早く演じたくて仕方ない(笑)」先日のFNS歌謡祭でも、圧倒的な歌唱力とパワフルな歌声を披露してくれた新妻さん。「ずっと歌手志望でしたが、なかなかそこに繋がるご縁がなく、一度その夢を諦めかけた私を拾ってくれたのがミュージカル界でした。出合えていなかったら私は絶対に今ここにいないと思うので、一番感謝しているし帰ってくる場所でもある。この作品はミュージカルの中でもわかりやすく楽しめる作品ですし、新しくミュージカルに出合ってくださる方がひとりでも増えたら嬉しいです」ミュージカル『ボディガード』世界的に活躍する歌手で女優のレイチェル(柚希、新妻、May J.)の元に頻繁に届く脅迫状。彼女の身を案じ、ボディガード・フランク(大谷)が雇われるが…。1月21日(金)~31日(月)大阪・梅田芸術劇場メインホール2月8日(火)~19日(土)東京・東京国際フォーラム ホールC演出・振付/ジョシュア・ベルガッセ出演/柚希礼音、新妻聖子、May J.(トリプルキャスト)、大谷亮平ほかS席1万3500円A席9500円B席5500円ほか梅田芸術劇場・大阪 TEL:06・6377・3800東京 TEL:0570・077・039(共に10:00~18:00)にいづま・せいこ1980年10月8日生まれ、愛知県出身。『王様のブランチ』リポーターを経て2003年にミュージカル『レ・ミゼラブル』で注目される。近作に『王家の紋章』など。ブラウス¥47,300スカート¥53,900(共にエリザベッタ フランキ/エスケーシー TEL:06・6245・3171)※『anan』2022年1月26日号より。写真・土佐麻理子スタイリスト・小堂真里ヘア&メイク・丹羽寛和インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2022年01月25日人間と吸血種が共存する世界を舞台に、第1作から12年続いている「TRUMP」シリーズ。描かれる時代や場所、登場人物は違えど、緻密に構築された独自の世界観にハマる人が続出。その最新作となるミュージカル『ヴェラキッカ』は、ヴェラキッカという一族により紡がれるロマンティックコメディ。この一族のひとりとして出演する愛加あゆさんは、シリーズ出演3作目。声の出演なども含め携わった回数でいえば今回が5作目となる常連(!?)。耽美な世界観で描かれるコメディ!?「どう役を深めるかが課題です」「このシリーズ…というか末満健一さんが作・演出する世界が好きだなと思えるのは、美しいファンタジーの世界でありながら、生と死の両面を描き出すところなんです。世界にはいろんな人が生きていて、いろんな愛があって、それぞれの抱える想いがあって、それが複雑に絡み合っている。陰も描きながら、どこか幸せを探っていく視点が入っていて、響く部分がたくさんあるんです。私は普段から楽しいモードの人ですが、それでも苦しい瞬間もあります。自分自身を深掘りして奥底に本来持っている部分を引き出す作業が、この作品の場合は多いかもしれない」これまでゴシックな世界を描いてきたが、気になるのは今作に“コメディ”が謳われているところ。「末満さん自身も新たな挑戦だとおっしゃっている」と言うが、愛加さんの役はそこを担う役割なのだとか。「いま稽古場で、頭で考えるんじゃなくて思い切りやるように言われています。これまであまり役をキャラ付けしたりせず、気持ちを大事に演じてきたのですが、今回はそれだけではダメな気がするんです。ヴェラキッカ一族の中での自分の見え方のバランスも考えつつ、どう役を深めていったらいいかが課題ですね」見どころを伺うと、「末満さんの歌詞と和田俊輔さんの曲との相性が本当に素敵なんです」と笑顔で即答。「毎回、曲が届くたびにワクワクしたり、ゾッとしたり、本当に多彩なので楽しみにしてほしいです」宝塚在団中から情感溢れる演技に定評のあった愛加さん。退団後は、新たな役柄やジャンルに次々と挑戦し、奥行きを感じさせる俳優に。「ミュージカルが大好きなので、そこを軸にしていきたい気持ちはずっと変わらず持っています。ただ、宝塚時代とは全然違う役柄や、タイプの違う作品も多く、在団中に身につけた歌唱法では対応できないものも多い。日々鍛錬しつつ、新しいお客様との出会いをこれからも求めていけたらいいなと思っています」ミュージカル『ヴェラキッカ』ノラ(美弥)を当主に、彼女の遠い親戚であるシオン(松下)やその妹のジョー(愛加)らが共に暮らすヴェラキッカ一族の養子としてキャンディ(平野)がやってきて…。1月15日(土)~23日(日)東京・東京建物 Brillia HALL、2月2日(水)~6日(日)大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール作・演出/末満健一音楽/和田俊輔出演/美弥るりか、松下優也、古屋敬多(Lead)、愛加あゆ、大久保祥太郎、斎藤瑠希、西野誠、宮川浩、平野綾ほかS席1万1000円ほかワタナベエンターテインメント TEL:03・5410・1885(平日11:00~18:00)まなか・あゆ1987年10月18日生まれ、富山県出身。2012年より宝塚歌劇団雪組トップ娘役として活躍。’14年の退団後は、舞台のほかドラマ『中学聖日記』など映像作品にも出演。※『anan』2022年1月19日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2022年01月18日近年、映画やドラマなどで存在感を発揮している瀧内公美さん。画面を通していても、匂い立つような生々しさに思わず釘付けになってしまう。湿度を感じさせる女優だ。「毎シーン毎シーン予想外のことが起こるミュージカルになっています」「結構、私、飽き性なんです。人間を演じるという部分で飽きることはないんですが、表現方法の蓄積が足りなくて、前にもこんな役をやったと思ってしまったり。自分が停滞している気がして、自分を変えていきたい、これまでやったことのない表現に挑戦したいと思ったんです」その挑戦がなんと初ミュージカル。ミュージカル『INTO THE WOODS』は、魔女の呪いを解こうと森に入ったパン屋の夫婦が、シンデレラや赤ずきんら童話の登場人物と出会っていくというもの。瀧内さんは渡辺大知さんと共に、物語の軸を担うパン屋の夫婦を演じる。「旦那さんを振り回す役なんですけれど、大知さんが満面の笑みで受けてくださいます。楽しい舞台ではありますが、自分の中で初めてやることばかりで苦戦している状態です。その課題があるということを今は楽しめたらいいなって」なにせ舞台で歌うのは初めて。「歌は好きでしたけど、人前で歌うのはお酒を飲んでいるときくらい。スナックくらいでちょうどいいってずっと言われていたんですけど…」ミュージカル俳優やオペラ歌手など多彩な出自のキャストが揃うなか、演出の熊林弘高さんが物語の軸を担うパン屋の妻の役を瀧内さんにと熱望したのは、出演していた映画『火口のふたり』を観てのことだとか。「近いとしたら、本能のままに生きる部分なのかなと思います。もともと私、熊林さんが手がける女性の舞台がすごく好きなんです。内面に抱える溢れんばかりのパワー…おぞましさだったり、悲しみだったり、怒りだったり、そういう多面的な部分が表現されているんですよね。稽古では、説明的な芝居が嫌いだそうで、『音に呑まれないで、葛藤だったり心の機微を大切にしてください』と言われます。かと思うと、『ボディビルの大会だと思って』とか『ここはドラえもんでお願いします』と要求されたり。毎シーン毎シーン予想外のことが起こるので、普通のミュージカルではございませんということはお伝えしておきます(笑)」ミュージカル『INTO THE WOODS‐イントゥ・ザ・ウッズ‐』魔女(望海)の呪いを解くため森に入ったパン屋の夫婦(渡辺・瀧内)。そこで童話の登場人物たちと出会っていくなかで、ふたりは自らの心の内に抱えた不満や嫉妬などの感情と向き合うことになる。上演中~1月31日(月)日比谷・日生劇場作詞・作曲/スティーヴン・ソンドハイム脚本/ジェームズ・ラパイン演出/熊林弘高出演/望海風斗、古川琴音、瀧内公美、渡辺大知ほかS席1万3500円A席9000円ほか梅田芸術劇場(東京) TEL:0570・077・039大阪公演あり。たきうち・くみ1989年10月21日生まれ、富山県出身。主な出演作に映画『由宇子の天秤』『火口のふたり』など。3月の舞台『奇蹟miracle one‐way ticket』も控える。ワンピース¥15,950(GENE HEAVENS/ROSE BUD ルミネエスト新宿店 TEL:03・5368・2767)※『anan』2022年1月19日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2022年01月17日ミュージカル『蜘蛛女のキス』は、監獄で同房となった政治犯のバレンティンと映画を愛する同性愛者のモリーナが出会う。生き方も価値観も違い、当初は相容れなかったふたりだが、いつしか心を許すように。安蘭けいさんが演じるのは、モリーナの憧れの映画スターであるオーロラと、オーロラが演じる蜘蛛女だ。「幻想の中の役ながら、人間的なリアルな存在として見せていきたい」「この作品を初めて観たときは、救われない人たちの話という印象だったんです。でもいざ自分がやるとなって脚本を読んでいたら、バレンティンとモリーナの愛がすごく切なく迫ってきて。オーロラや蜘蛛女も、これまではモリーナの幻想の中での愛とか死の象徴的な存在としてとらえていたのが、彼女に寄り添って生きているような感じがしたんですね。今はもう少し人間的というか感情的なものも出して、リアルな存在として見せられたらと思っています」安蘭さんといえば、高い歌唱力を誇った元宝塚トップスターであり、演じるキャラクターの心情に丁寧に寄り添った的確な演技で、作品に厚みを持たせる芝居の人でもある。「登場したときに観客に強烈なインパクトを残せたらとは思っているんですけれど、最近、お母さんとか奥さんばかり演じていたので…。出てくるだけで観客がのけぞるくらいのオーラとか迫力とか…カリスマ的な何かが欲しいですね。演出や照明、セットなども含め、独特な世界観を作り出せたらな、と思っています」『CHICAGO』などを手がけた名ソングライターコンビによる美しくドラマティックな楽曲も魅力。「何度も転調したり臨時記号が多かったり、この作品に取り組もうとする人に戦いを挑むというか挑戦的な感じがするんですね。蜘蛛女なら男性でも低いくらいのキーに合わせられていたりして。でもそこを歌うことで凄みが出るし、こちらの想像力が広がって気持ちも高揚するんです」しかし、「ただ気持ちよく歌うだけならカラオケでいい」とも語る。「やっぱり“伝えたい”という思いがあるんですよね。歌は好きだけれど、私はそこに役の気持ちだったり、歌に込められた物語を伝えたいと思う。ストレートプレイの中で表現するような繊細な心情の動きをミュージカルの舞台へも持っていきたいというのが私のスタンスなんです」今年、芸能生活30周年を迎え、あらためて今、「俳優という仕事が、自分の天職だと感じている」そう。「演じている瞬間が本当に幸せなんです。劇場の空間が好きだし、一番自分でいられる場所なんですよね」ミュージカル『蜘蛛女のキス』映画を愛する同性愛者のモリーナ(石丸)は、刑務所の獄房で社会主義運動の政治犯・バレンティン(相葉・村井/Wキャスト)と出会う。当初は反発し合っていたふたりだが、いつしか心を通わせていき…。11月26日(金)~12月12日(日)池袋・東京芸術劇場 プレイハウス脚本/テレンス・マクナリー(マヌエル・プイグの小説に基づく)音楽/ジョン・カンダー歌詞/フレッド・エブ演出/日澤雄介(劇団チョコレートケーキ)出演/石丸幹二、安蘭けい、相葉裕樹・村井良大(Wキャスト)ほかSS席1万5000円S席1万3500円サイドシート9000円ほかホリプロチケットセンター TEL:03・3490・4949(平日11:00~18:00)大阪公演あり。あらん・けい滋賀県出身。2006年より’09年まで星組トップスターとして活躍。近作にミュージカル『ジェイミー』、舞台『Oslo オスロ』など。最新アルバム『AVANCE』も好評発売中。※『anan』2021年12月1日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2021年11月30日岡幸二郎ミュージカル・コンサート2021『ベスト・オブ・ミュージカル』が2021年12月10日(金) に大田区民ホール・アプリコ大ホール(東京都大田区)にて上演されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 ⼤剛)にて11月24日(水)より発売開始です。カンフェティで11月24日(水)19:00よりチケット発売開始 公式ホームページ ■曲目《オペラ座の怪人》より「All I Ask of You(A.L ウェバー)」《ウエスト・サイド物語》より「Tonight(L.バーンスタイン)」他※曲目は変更になる場合もございます。予め、ご了承ください。■ 出演者岡幸二郎ゲスト:幸田浩子OKA Special Ensemble岡幸二郎(ミュージカル俳優、プロデューサー)福岡県出身。大学では中国語を専攻。後に劇団四季にシーズンメンバーとして参加。1994年『レ・ミゼラブル』のアンジョルラス役をオーディションで射止め、その華やかな風貌と圧倒的な歌唱力で一躍ミュージカルスターへと躍進した。2003年からは同作品でジャベール役を演じ、17年にわたり『レ・ミゼラブル』に参加した。ミュージカルの他、ストレイトプレイやTV(NHK大河ドラマ『義経』他)、ラジオ、フルオーケストラからライブハウスまでのコンサート、トークショーなども精力的に行う。CDはソロアルバムとして、『Love Collection』『The Prayer』『Best of Musical』をリリース。また、ミス・サイゴンを機に『ミス・サイゴン基金』を立ち上げ、ボランティア活動にも熱を注ぐ。九州大谷短期大学客員教授。幸田 浩子(ソプラノ)東京藝術大学首席卒業。同大学院、文化庁オペラ研修所を経て渡伊。数々の国際コンクールで上位入賞後、ローマ歌劇場、シュトゥットガルト州立劇場等で活躍し、名門ウィーン・フォルクスオーパーと専属契約。帰国後は、新国立劇場『ホフマン物語』『鹿鳴館』、びわ湖ホール『リゴレット』、二期会『魔笛』『ばらの騎士』『清教徒』等多数出演。全国各地でのリサイタル、オーケストラコンサートに加え、NHK-FM「気ままにクラシック」のパーソナリティや、BSフジ「レシピ・アン」でのMC等多彩な活動を展開。2018年にはCDデビュー10周年を記念し「ARIA花から花へ~オペラ・アリア名曲集」を、2020年には「このみち~日本のうたⅡ~」をリリース。第14回五島記念文化賞オペラ新人賞、第38回エクソンモービル音楽賞洋楽部門奨励賞受賞。第3代クルーズアンバサダー(クルーズ振興大使)。2021年11月二期会『こうもり』ロザリンデ、2022年1月びわ湖ホール『竹取物語』かぐや姫で主演予定。二期会会員。■ タイムテーブル2021年12月10日(金)17:30開場18:30開演■ チケット料金全席指定SS席8,500円S席7,500円A席6,000円B席4,500円C席3,000円※未就学児入場不可 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2021年11月24日ミュージカル「『オープニングナイト』~桜咲高校ミュージカル部~」が2021年10月29日(金)、新国立劇場(東京都渋谷区)で開幕した。今年7月に初演された本作だが、早くも再演されることになった。舞台は、超エリート進学校。熱血高校教師テッペイ(横山だいすけ)は、新入生を迎える準備をしていた。入学していたマイト(武藤潤)は、小さい頃の夢だった「ミュージカル俳優になること」を学校で実現するために、ミュージカル部を作ろうと、親友のヒロキ(杢代和人)とともに部員集めに奔走。親に自分の夢を打ち明けられないオウタ(大倉空人)、妹を溺愛する不良のユージ(瑛)、食いしん坊のタロウ(中谷優心)、いじめられっ子のソースケ(村上貴亮)と、個性豊かなメンバーが集まるが、学問至上主義の校長(湖月わたる)は、創部に大反対してーー。本作は、基本のストーリーはそのままに、男性キャスト中心の〈Team Blue〉と、女性キャスト中心の〈Team Red〉の2チームで上演される。初日を前に行われた〈Team Blue〉のゲネプロ(総通し舞台稽古)を見た。入部の動機はさまざまだが、「ミュージカルをやりたい」という一心で突き進む高校生たちの姿が、とにかく眩しい。今年7月の初演時は、歌もダンスも芝居もまだまだ伸びしろがあると個人的には見たが、この4ヶ月間、きっちりと練習をしてきたのだろう、〈Team Blue〉のメンバーたちは全体的な技術力と表現力が飛躍的に向上していた。横山だいすけをはじめ、湖月わたるや福井貴一ら、大人キャストが実に頼もしく、作品をしっかりと支えている。楽曲も振付も誤魔化がきかない高難度のものが多く、脚本と演出と振付を担当した岸本功喜、作曲・音楽監督の小島良太の「一切妥協はしない」というこだわりが見えた。上演時間は約2時間30分(休憩15分含む)。公演は11月7日(日)まで。そのほかの出演者は、三倉佳奈、野々村真ら。〈Team Red〉は星名美怜(私立恵比寿中学)、河村花、小泉遥香(超ときめき♡宣伝部)、前田悠雅(劇団4ドル50セント)、浅井七海(AKB48)、杏ジュリア(超ときめき♡宣伝部)が出演する。取材・文:五月女菜穂
2021年11月02日相葉裕樹が「今までやったミュージカルのなかで一番難しい」と言うミュージカル『蜘蛛女のキス』。ベストセラー小説をミュージカル化し、1993年にはトニー賞などを多数受賞した。「楽曲はかっこいいけれど難解で、かなり歌いこまないといけない。半音での変化が多いし、フォルテでポンと歌うところもあればとても繊細にファルセットを使うところもあって、レンジ(音域)が広い。また、ほぼ2人で物語が進むので、歌や言葉で引っ張っていかないと濁る。新たな挑戦です。目の前に大きい壁がきたぞとかなり緊張しています」。刑務所の獄房で同室となった同性愛者のモリーナ(石丸幹二)と青年革命家バレンティン(相葉裕樹/村井良大)はお互いを理解できず激しく対立するが、その関係は少しずつ変化していく。映画版も見た相葉は「心を開いていくグラデーションが緩やかに進んでいく」ことに注目した。「感情をむき出しに喋るけれど、ただの怒りではなく鬱屈としたなにかがある。「殺されるんだろう」という覚悟もあると思うし、感情がぐちゃぐちゃな大変な役」。だからこそ稽古で動いてみないとわからない。「実際に動くと感覚が変わるので、肉体を動かして、言葉を口から発して、どう感じるかを大切にしたい」。モリーナ役の石丸とは、2016年ミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』で共演した。「とても優しい方です。その時は、楽屋でコーヒーをいただいたりもしました。今回は迷惑をかけると思うのですが、できることはなんでもやります!体当たりすることでしか作れない作品だと思うので、たくさん苦しんでもがきます。」。Wキャストの村井良大とは10年前の『戦国鍋』以来だ。「このタイミングで、ミュージカルでWキャストなのは不思議な感覚。良大は飄々として、動じたところは見たことがない。僕とはまったく違うので、カラーが変わるでしょうね。信頼できる仲間だからこそ切磋琢磨したい」と信頼を寄せる。「観る方によって印象が変わる作品です。すっきりする人もいればしない人もいるはず。バレンティンに対して「最低」と思う人もいるでしょう。でも誰が悪いわけでもなくて、愛や信念が交錯している。みんな、責められる?と思います。でも僕自身、これからの稽古で感じ方も変化していくんでしょうね。歌もせりふもたっぷりありますので、丁寧にしっかり構築したい」上演は11月26日(金)~12月12日(日)、東京芸術劇場プレイハウスにて。取材・河野桃子
2021年10月11日19世紀末のロンドンで実際に起きた、娼婦たちを標的にした連続猟奇殺人事件。いわゆる“切り裂きジャック”をモチーフに、韓国で大ヒットしたミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』。事件を追う刑事のアンダーソン(加藤和樹・松下優也/Wキャスト)の元に、犯人の情報を提供してくるアメリカ人外科医のダニエル。物語の軸を担うダニエルを演じるのが、近年ミュージカルを中心に活躍する木村達成さんと、ハリー・ポッターの吹き替えなど声優としても人気の小野賢章さん。小野賢章:これまでミュージカル歴はそんなにないんですけれど、お話をいただいて、ダニエルという役にすごくやり甲斐を感じたんですよね。木村達成:僕も同じです。ダニエルに限らず、アンダーソンやモンロー…魅力的な登場人物が多くて、面白い作品だなと思いました。小野:ただダニエルは、些細なことで気持ちが大きく動く役なので、そこについていけるような気持ちの持ち方が難しくて、稽古しながら苦労しているところ。でも、歌詞ではとんでもないことを言っていながらも、メロディと言葉の運びで歌っていて気持ちいい瞬間はあって。すごく辛い場面でも…いや、辛いか(笑)。木村:(笑)。あとこの作品は、すごく時間の変化が多いんだよね。7年前に遡ったと思ったら1か月前に飛んだり、いろんな時間を行き来しながら話が展開していくので、そこを演じ分けていくのが難しい。小野:ただでさえ複雑な役だから、一瞬も気を抜けないというか。ただ、彼の行動ってすべて真面目さとまっすぐな愛ゆえのものではあって…。木村:ダニエルを演じる上での課題は“ピュア”だと思う。まさに賢章くんがすっごい素直なお芝居をするから、見てて正直、羨ましいよ。小野:僕は、稽古場で達成が先に演じてくれていて、そこに助けられているなって思ってるよ。そこまで舞台経験が多くない自分としては、それを見て、じゃあこうしてみようって考えられるからありがたくて。木村:じつは、今回みたいに日本初演で、作品にまだ色付けもされていないっていう状況が楽しくて仕方ないんだよね。これまで出演したミュージカルはすでに立ち位置や動きが決まっているものが多かったから、どう動いてもいいよって言われるのがモチベーションにもなってて。小野:まだそこを楽しめるまでには至ってないな…。木村:僕はミュージカルに挑戦させていただくようになって、以前より自分を解放できるようになった気がしていて…。だからどんなにキツくても、なにクソって頑張れるし。小野:もともとお芝居がすごく好きで、声優に限らずいろいろ経験したくて、今こうして舞台をやらせていただいているんだけど、役を演じるという意味では同じなんだなと思ってる。ただ、見せ方が違うから…。木村:悩んだり迷ったりしたら、演出の白井(晃)さんに聞けばいいよ。小野:白井さんとは今回が初だけど、本当に稽古が好きな方なんだろうなって感じだよね。あと、ここは魅せる場面、ここは芝居をきちんと見せる場面っていうバランス感覚が、とても優れた方なんだろうなと思う。木村:あと奥行きや立体感を見せたりする空間の使い方も素晴らしいんだよね。この芝居がこういう捉え方だから、こう空間を使ったほうが面白くなるよって具体的に演出してくださる。さらに稽古が進めばもっと面白くなるはずだし、僕も白井さんの想像の上を行くお芝居をして「それいいですね」と言われたいなと。小野:この作品は、些細な引き金が大きな悲劇を生む物語。もしかしたら自分も…って思ってもらえるようなリアルを追求していけたら。木村:探偵になった気持ちで、事件の行方に集中してほしいよね。きむら・たつなり(写真右)1993年12月8日生まれ、東京都出身。’12年にデビュー。近年は『プロデューサーズ』などの大作ミュージカルにも出演しているほか、大河ドラマ『青天を衝け』など映像作品でも活躍している。ニット¥135,300トラウザーズ¥78,100シューズ¥89,100(以上Ermenegildo Zegna/ゼニア カスタマーサービス TEL:03・5114・5300)おの・けんしょう(写真左)1989年10月5日生まれ、福岡県出身。子役を経て、映画『ハリー・ポッター』シリーズでハリー・ポッターの日本語吹き替えを担当。現在、声優のほか、歌手、舞台や映像で俳優としても活動。ニット¥49,500(COOHEM/YONETOMI SENI TEL:023・664・8166)シューズ¥78,100(JOSEPH CHEANEY/BRITISH MADE 銀座店 TEL:03・6263・9955)ミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』“ジャック・ザ・リッパー”と呼ばれる殺人鬼を追う刑事のアンダーソン(加藤/松下)。彼の前に現れた外科医・ダニエル(木村/小野)が「犯人を知っている」と告発したことから、警察はおとり捜査を計画するが…。9月9日(木)~29日(水)日比谷・日生劇場作曲/Vaso Patejdl作詞/Eduard Krecmar脚本/Ivan Hejna演出/白井晃出演/木村達成・小野賢章(Wキャスト)、加藤和樹・松下優也(Wキャスト)、加藤和樹・堂珍嘉邦(Wキャスト)、May’n、エリアンナ、田代万里生ほかS席1万3500円A席9000円B席4500円ほかホリプロチケットセンター TEL:03・3490・4949大阪公演あり※『anan』2021年9月15日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・部坂尚吾(江東衣裳)ヘア&メイク・齊藤沙織(木村さん)齋藤将志(小野さん)取材、文・望月リサ撮影協力・KITEN TOKYO(by anan編集部)
2021年09月12日『アラジン』などディズニー映画の音楽を手がけた、ハワード・アシュマンとアラン・メンケンが世に送り出したミュージカル『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』。昨年、惜しくも途中で公演が中止となった今作の再演が決定!主人公・シーモアが恋するオードリーを演じるのは、昨年、乃木坂46を卒業した井上小百合さん。並々ならぬ思い入れと熱い思いを持って挑んでいる。女性にとっての幸せについて考えさせられる作品です。「昨年、乃木坂46を卒業する時に、けじめとして一つの舞台作品をやりたいという思いがあり、出合ったのが今作でした。本当は千穐楽に卒業する予定で…。だから、再演が決まった時は、素直に嬉しかったです。ミュージカルはこれまでに出ていたストレートプレイとは違い、喋るトーンのまま歌に入っていくところが難しい。前の公演の映像を見て、もっと過剰に表現しないと伝わらない部分があるとわかり、反省もしました。ただ、できないことに向き合うほうが燃えるタイプ。自分の殻を破るためにも必要な作品だと思うし、他の舞台で経験を積んだ分、ワンランク上のオードリーをお見せできたら。声をしっかり出せるように、体の使い方を変えたり、肺の周りにある筋肉を鍛えたりもしています」演じるオードリーの第一印象は「キュートな女の子」。でも、演技を重ねるにつれ変化していったという。「だんだんと彼女の中にある強みと弱みが見えてきたし、この作品が生まれてから現代まで変わらずにある、女性の社会進出の難しさや、その中での生き方をすごく考えている人だとわかりました。“女性と男性の幸せってなんだろう”というところが見えてくる作品だと思います」W主演をつとめる鈴木拡樹さん、三浦宏規さんに刺激を受けることも。「三浦さんは陰の努力家で、稽古場では飄々としているのにセリフを全部入れてきているし、歌の練習量がものすごい。鈴木さんは、稽古場で誰よりも真剣に共演者の動きを観察したりと探究心が強い。そんな二人を見ると身が引き締まります」俳優の仕事に邁進する今が、「楽しくて仕方ない」と井上さん。「私の演技を見て心が動いたり、辛いことを忘れて楽しんでいただけたという声を聞くと、自分が生きる意味はこれだと思えるんです。だから今、本当に夢みたいです」『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』8月26日(木)~9月11日(土)日比谷・シアタークリエ脚本・歌詞/ハワード・アシュマン音楽/アラン・メンケン翻訳・訳詞・演出/上田一豪出演/鈴木拡樹/三浦宏規、妃海風/井上小百合(共にWキャスト)、阿部裕、石井一孝、デーモン閣下(声の出演)ほか全席指定1万1500円東宝テレザーブ TEL:03・3201・7777花屋で働く冴えないシーモアは、「オードリーII」と名付けた奇妙な植物と出合い、人生が大きく好転する。でも、オードリーIIには恐ろしい秘密が隠されていて…。いのうえ・さゆり1994年12月14日生まれ。埼玉県出身。乃木坂46を卒業した後、『DISTANCE‐TOUR‐』『カチカチ山』『ID』などの舞台作品に出演。公式YouTubeチャンネルも人気。※『anan』2021年9月1日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・重信 綾(by anan編集部)
2021年08月30日サンリオの人気キャラクターが登場するアトラクション型ミュージカル Sanrio Kawaiiミュージカル『From Hello Kitty』の後期公演が2021年8月24日よりIHI ステージアラウンド東京にて開幕する。7月26日から開幕が予定されていた前期公演は、新型コロナウイルスの感染状況などから中止になってしまった。青年/いちごの王さま役(トリプリキャスト)の高崎翔太は「一生懸命稽古をしてきたのに、公演が中止になってしまう経験は何度かあるのですが、やはり慣れないですね」と正直な気持ちを明かしつつ、「後期公演は開催できるということが希望に思える。前期公演ができなかった分、さらに高みを目指して、お客様に自信をもって作品をお届けできたら、意味のある時間になるかなと思います」。今まであまり語られてこなかったハローキティの誕生物語を巨大スクリーンを使って、ダイナミックに表現する本作。なかよくハート役(ダブルキャスト)の橋本汰斗は「普段サンリオのキャラクターに触れている人たちでも、そのキャラクターたちがどう誕生したかを知る機会はなかなかないと思います。戦争という悲しい体験から、世界中の人たちがなかよくするためには、どうしたらよいだろうという思いから、あんなにキラキラしてかわいいキャラクターが生まれた。それはすごいエナジーが必要だったはず。今の苦しい状況とも重なるところもあるので、みなさんの日々の活力になったら」と見どころを語る。ハローキティはもちろん、シナモロールやマイメロディなど人気サンリオキャラクターが一堂に会するのも嬉しい。青年/いちごの王さま役の宮城紘大が好きなキャラクターはポムポムプリン。「シルエットもお尻の穴も、ポムプリダンスという踊りも、全部かわいい」。舞台上以外でもキャラクターと接する機会があるといい「出番を袖で待っている姿とか、めっちゃかわいいです」。最後に観客へのメッセージを尋ねると、おもいやりハート役(ダブルキャスト)の岩城直弥は「コロナ禍で気分が落ち込みやすい時期だと思うし、暗くなりがちなんですけど、そんなときだからこそ、“かわいい”をお届けして、少しでも幸せな気持ちになってもらえたらいいなと思います」と話した。後期公演では、ゆりやんレトリィバァや森三中など、よしもとの芸人たちが日替わりで「おわらいハート」として登場することも発表されている。ぜひ「ミラクルハートライト」を持参して、全力で観劇を楽しもう。取材・文:五月女菜穂
2021年08月20日劇団四季によるミュージカル『オペラ座の怪人』。その制作に携わるプロフェッショナルに密着します。ここでは、“衣裳”の制作スタッフに注目!俳優が自身の役に没入できるよう衣裳でサポート。ミュージカル『オペラ座の怪人』が日本に上陸して30年以上。長く愛され、何度もロングランされている作品だけに、衣裳も丁寧なメンテナンスが必須とされる。「主役の怪人のマントは初演時のものが今も使われています。俳優が大切に扱ってくれているおかげもありますが、重要なのは日々のメンテナンス。クリーニングは月に2回専門業者に依頼。男性のワイシャツなどは、俳優にも手伝ってもらいながら終演後に劇場の洗濯機で洗っています」ドレスの装飾のビーズが一つ取れただけでも、舞台の機構に挟まり故障や事故に繋がる可能性が。そのため公演の前後の時間はつねに補強や修繕に充てているそう。また本番中、常時舞台袖にスタンバイし、俳優の早替えの手伝いを行うのも衣裳さんのお仕事。「畳み方にも着替えやすい工夫があります。ドレスはドーナツ型に畳んでおき、中心に俳優が入るだけで着られるようになっていたり。大人数が同時に着替える場面では、俳優同士で着せつけてもらう場合も。着替えの段取りを覚えてもらうよう、開幕前に早替え稽古というのもしています」当然、傷めば新調することも。「新調する時は、デザインを変えず今までより高いクオリティのものを目指しています。俳優が芝居により集中できるよう、スカートに入っている針金をカーボンに替え軽量化したり、裏地を通気性のあるメッシュ素材にしたり。ただ、重量感が出ないと見た目が安っぽくなることもあるので、そのバランス感が重要なんですが」本作の衣裳チーフに就いてから、あらためて19世紀のヨーロッパの服飾史を学んだという村上さん。「調べると、いかに史実に忠実なデザインかわかります。とくにカルロッタ(オペラ座のプリマドンナ)には当時の最新ファッションが取り入れられている。そこに彼女のプライドの高さやおしゃれに敏感な性格が表れているんです」今の仕事に就いたのは、幼い頃の観劇体験が根底にある。「過去の自分のように、私も新たな一歩を踏み出す誰かの手助けになれていたらいいなと思います」ロングラン公演に対応できるよう、劇団四季ならではの工夫も。ロングラン公演を行っているため、劇団四季では一つの役を複数の俳優が演じている。そのため、一つの衣裳を複数キャストが着回せるよう複数のホックを付け、いろんな体型に対応。写真のピンクとブルーのドレスは、「マスカレード」の場面のクリスティーヌのもの。衣裳部屋にあるミシンは必ず糸がかけてあり、不測の事態が起きた時すぐに縫えるようにしている。【本番!】写真・荒井 健作品で使用される衣裳の数々。なかには重さが約7kgもあるドレスも。衣裳デザイン画。日本初演時、この絵を元に衣裳が製作された。衣裳部屋は床山部屋の並び。劇団四季 ミュージカル『オペラ座の怪人』19世紀半ばのパリ。オペラ座に隠れ住む怪人(=ファントム)と、彼がその才能を見初めた歌姫クリスティーヌをめぐる壮大なラブストーリー。現在、清水建設ミュージカルシアター JR東日本四季劇場[秋]にて上演中。2022年1月10日千秋楽。写真・阿部章仁村上佳穗さん劇団四季 舞台美術部 衣裳所属『オペラ座の怪人』衣裳チーフ。幼い頃に舞台衣裳の仕事に憧れ、服飾の学校へ進学。在学中から小劇場の衣裳を手がけ、卒業後に専門学校を経て現職。入団8年目。※『anan』2021年8月11日‐18日合併号より。写真・小笠原真紀取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2021年08月13日私たちを魅了するエンタメの世界。そこには、それを作り上げている多くの功労者たちがいます。ここでは、表舞台を支える“床山”のお仕事をご紹介!その人らしさを感じるビジュアルをヘアメイクで構築。床山とは、いわゆるヘアメイクを担当する部門。ミュージカル『オペラ座の怪人』は、19世紀のパリ・オペラ座を舞台にしているうえ、劇中劇もあるため、劇団四季のなかでもとくにカツラの使用数が多い演目なのだとか。「すべてというわけにはいかないですが、ものによっては毎日メンテナンスするものもありますし、週に1度、日付を決めて手を入れているものもあります。基本的にメインで使用するカツラはこちらでチェックも行っていますが、本番中に髪型が崩れたものなどがあれば、俳優から自己申告してもらったりもします」当時の流行の髪型にかなり忠実に作られているため、なかには髪の毛ひと束ごと細かくねじって巻き留めていたり、細かく編み込まれている複雑で手の込んだ髪型も。「『オペラ座~』の現場に就いたばかりの時には、構造を把握するためいったんすべて解体しながら写真を撮り、一から作り直してみることをしていました。それでもうまくいかなければ先輩に聞きますが、基本は見て学ぶ、ですね」ロングラン公演の多い劇団四季では、一つの役に複数の俳優がキャスティングされている。そのためメインの役に関しては、演じ手の頭に合わせたカツラを用意。「大事なのは、客席から舞台を見た時に、その役のイメージに合っているかどうか。同じカツラでも、俳優の目鼻の位置や顔の形、身長や体型によってだいぶ印象が変わります。ですのでフィッティングしてみて、大きさだけでなく、部分ごとにボリュームを変えたり、もみあげの長さを調整したり、人によっては毛を植えたり抜いたりすることもあるんです」実際に俳優がそれを着けて舞台に立ち、本番の照明が当たって見えた時のビジュアルが、自分の頭の中で思い描いたキャラクターイメージとぴったり合った時が、やりがいを感じる瞬間と山田さん。「生身の俳優が目の前で演じ、歌っている時の熱量や息遣い。そこに照明や小道具、装置…すべてが一つになった総合芸術。それを五感で余さず感じ取れるのが生の舞台の魅力だと思っています」様々な道具を使い分けながらカツラをメンテナンス。現在、公演を担当している床山さんは4人。終演後、必要なカツラを床山部屋に集め、1人につき1日約4体程度のメンテナンスを担当。コテで髪を巻き直したり、場合によっては一からセットし直す場合も。ここに写っているのは、劇中劇「ハンニバル」のカルロッタのカツラ。山田さんは怪人のメイクも担当しており、そこで使用するアイテムも毎日メンテナンスしている。【本番!】写真・佐藤アキラ髪飾りを付けるカツラは、飾りのインパクトに負けないようボリューム感など何度も調整するとか。カールの太さにより様々なコテを使い分ける。写真は3つともヒゲ用。床山部屋はステージの裏に。劇団四季 ミュージカル『オペラ座の怪人』19世紀半ばのパリ。オペラ座に隠れ住む怪人(=ファントム)と、彼がその才能を見初めた歌姫クリスティーヌをめぐる壮大なラブストーリー。現在、清水建設ミュージカルシアター JR東日本四季劇場[秋]にて上演中。2022年1月10日千秋楽。写真・阿部章仁山田梨香子さん劇団四季 舞台美術部 床山所属『オペラ座の怪人』床山チーフ。小学生時代に特殊メイクに興味を持ち、美容学校を経て劇団四季へ。入団当初は『ライオンキング』を担当。現在、入団3年目。※『anan』2021年8月11日‐18日合併号より。写真・小笠原真紀取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2021年08月12日人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。今月のゲストは日本のミュージカル界のトップスター、前田美波里さん。第4回は「魅力的な先輩になるには」のお話です。自分をさらけ出すことが、人生を導く。バレエの道に誘ってくださった先生をはじめ、大勢の素敵な師や先輩との出会いによって、私は今の場所に導かれました。改めて、いい出会いがたくさんあったな、と思います。どうしたらそういう出会いに恵まれるか…。一つ思うのは、“自分”を見せなければ、他者は何も言ってくれない、ということです。日本では小学校のときから、同じような服を着て、同じような言動をして、目立たないように、目立たないようにと育てられるでしょう?しかも、ちょっとでも飛び出ると叩かれる。だから大人になってからも、自分を出さない人が多い。でもそれでは、あなたを誰かに見つけてもらうことはできませんよね。まずは“人と同じ”をやめて、自分を出しましょう。出る杭は打たれるかもしれないけれど、それを恐れている間に、人生はあっという間に終わってしまいます。叩かれてみたらいいじゃないですか。20代、30代の失敗なんて怖くないわよ(笑)。“何も言わせない”先輩になってはダメ。ブロードウェイから来た演出家は、年齢にかかわらず、ダメな役者は木っ端微塵に叩きます(笑)。でもだからこそ、役者は考えるし、努力をする。でも日本の演出家は、ある程度の年齢になった演者に厳しいことを言わない人が多い。でもそれって、先輩側が知らず知らずのうちに、“言わせない態度”をとってることが多いんです。なので私は、「僕のお母さんと美波里さん、同じ年です」と言われたりすると、先回りして「じゃあ、お母さんに言うみたいに、私にしっかり注意してね」と言ってしまいます。若い世代に対して、壁を作ってはダメ。上の世代だけでなく、若い人たちからも導いてもらえる人でいたいです。もしかしたら読者さんの中には、ジャニーズの俳優さんたちの舞台で、私を見たことがある人がいるかもしれませんよね。共演者も、演出家も、若い人たちとご一緒するのはとても刺激的。年下のみなさんには、「ビバちゃん」って呼んでいただいています(笑)。まえだ・びばり俳優。1948年生まれ、神奈川県出身。’64年、ミュージカルで初舞台。以来数々の舞台で活躍。今年11月、帝国劇場にてミュージカル『マイ・フェア・レディ』に出演予定。ジレ¥41,800(DUEdeux TEL:03・6228・2131)ワンピース¥146,300(ロッコラーニ/ステラ TEL:03・5408・5171)ピアス¥38,500(ウノアエレシルバーコレクション/ウノアエレ ジャパン TEL:0120・009・488)サンダル¥19,800(卑弥呼 TEL:03・5485・3711)リングは本人私物※『anan』2021年8月4日号より。写真・小川朋央スタイリスト・松田綾子(オフィス・ドゥーエ)ヘア&メイク・矢野トシコ(SASHU)(by anan編集部)
2021年08月01日人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。今月のゲストは俳優の前田美波里さん。第3回は、素敵な40代を迎える術を伺います。30歳を前に、人生の岐路が訪れた…。29歳で芸能界に復帰。でも所詮私は“踊りが好き”なだけで実力もない。そんな夢ばかり見ていた私に、当時作家の有吉佐和子さんが、自作のミュージカルに出ないかと声をかけてくださったんですが、そのとき言われたのが、「歌や踊りの前に人間を言葉でちゃんと演じられなかったら、ミュージカルなんて成り立たない。あなた、女優になる気はあるの?」ということ。ハンマーで殴られたような気持ちになりましたね。同時期、劇団四季のオーディションに参加したときには、演出家の浅利慶太さんから「あなたは素材があっても、女優の基礎がない」とも。今振り返ると、あの頃が私のターニングポイントだった。夫と別れ子どもも手放した私には、舞台しかなかったし、それが生きる道だと心に決めたのね。そこからは、本当に必死に勉強しました。結局劇団四季には入団しなかったんですが、『コーラスライン』で役をもらい、8年間客演させてもらったのは、いい経験でした。いい40代のために、今は切磋琢磨して!今振り返ると、20代は、自分が何をしたいか、どう生きていきたいかを模索する時期だったんだと思います。人生の目標が見つかったら、30代はそれをものにするために、がむしゃらに頑張る。そのためには良いライバルと競い合うことも大事だし、でも一方で、もしかしたら「あの人より優れたものを身に付けたい」と思うがあまり、自分を見失ったことも、きっとあったと思います。でも40代はもう競い合う時代じゃない。40代になったら、自分に自信を持って生きることを学ぶべき。前田美波里に似ている人はいるかもしれないけれど、生い立ちから、生きてきた道まで同じ人はいない。それを知り、自分に自信を持つ。その先の人生に必要なのは、その自信なんです。ananの読者の人は、20代と30代が多いわよね?その時期にしっかり切磋琢磨しておけば、いい40代を迎えられると思いますよ。頑張ってくださいね!まえだ・びばり俳優。1948年生まれ、神奈川県出身。’64年、ミュージカルで初舞台。以来数々のミュージカルや舞台で活躍。来年8月、ミュージカル『ピピン』の再演が決定した。ジレ¥41,800(DUEdeux TEL:03・6228・2131)ワンピース¥146,300(ロッコラーニ/ステラ TEL:03・5408・5171)ピアス¥38,500(ウノアエレ シルバーコレクション/ウノアエレ ジャパン TEL:0120・009・488)サンダル¥19,800(卑弥呼 TEL:03・5485・3711)リングは本人私物※『anan』2021年7月28日号より。写真・小川朋央スタイリスト・松田綾子(オフィス・ドゥーエ)ヘア&メイク・矢野トシコ(SASHU)(by anan編集部)
2021年07月25日人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。今月のゲストは日本のミュージカル界のトップスター、前田美波里さん。第2回は「57年前のミュージカルは、分業制だった?!」。10代前半までバレリーナを夢見ていた私でしたが、ひょんなことから母の知り合いが私のマネージャーになり、なぜか「芸術座で上演するミュージカルのオーディションを受けてみませんか?」と言われ、受けることに。ずっと使っているバレエの稽古着に、マネージャーが買ってきた網タイツ、それから履いたこともないハイヒールで、わけも分からず、バレエのポーズを8つ披露したら、なぜか1位で通ってしまったんですよ…。それで出演したのが、日本で2作目のミュージカルだった、『ノー・ストリングス』。それが私の初舞台。当時の日本には、ミュージカル文化なんて皆無ですから、歌って踊って芝居もできる役者がいなかったんですよ。だからなんと、歌う役者、踊る役者、ポーズを決める役者がそれぞれいて、いわば分業制だったの。私も、舞台に歩き、ポーズを決め、引っ込む。それで終わり(笑)。今考えると、なんとも不思議なミュージカルだったと思います。なんと20歳で結婚。決断した理由は…。初舞台後、私は18歳で資生堂のポスターのモデルに抜擢され、それがとても話題になりました。ただ、当時の状況は私にとってはつらい経験で。あまり興味のない映画に出させられたり、私がハーフであることを今まで言われたことがないような言葉で記事にされたり…。それでもう芸能界がイヤになり、知人に紹介されたマイク眞木さんと、20歳で結婚し、仕事、やめちゃったんです。確かに早いですよね、20歳の結婚。でも私には、嫌な世界から逃げる方法がそれしかなかったし、二人とも片親だったので、お互い早く温かい家庭を作りたかったんだと思います。結婚後、二人でアメリカを旅しようと、出国しました。でもそこからも波瀾万丈で…(笑)。お金を盗まれ、彼と二人、歌を歌って日銭を稼いだこともありました。そしてモダンバレエのクラスに通ったことで、踊る喜びが蘇った。その後帰国し、離婚。舞台への思いを再認識し、前田美波里の第二章が始まりました。まえだ・びばり俳優。1948年生まれ、神奈川県出身。’64年、ミュージカルで初舞台。以来数々のミュージカルや舞台で活躍。来年8月、ミュージカル『ピピン』の再演が決定した。ジレ¥41,800(DUEdeux TEL:03・6228・2131)ワンピース¥146,300(ロッコラーニ/ステラ TEL:03・5408・5171)ピアス¥38,500(ウノアエレシルバーコレクション/ウノアエレ ジャパン TEL:0120・009・488)リングは本人私物※『anan』2021年7月21日号より。写真・小川朋央スタイリスト・松田綾子(オフィス・ドゥーエ)ヘア&メイク・矢野トシコ(SASHU)(by anan編集部)
2021年07月18日人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。今月のゲストは日本のミュージカル界のトップスター、前田美波里さん。第1回は「舞台で喝采を浴びることが何よりも好きです」。舞台で喝采を浴びることが何よりも好きです。私が一番お伝えしたいことを、最初に言ってしまいますね。私は、舞台に魅入られてしまった、そんな人間なんです。舞台に立ち、お客様と同じ空気を吸う中で、皆さんを“非日常の世界”にお連れする。そして最後に喝采をいただく。それが何よりも好き。それがあるだけで、私は幸せなんです。“前田美波里”としては1人の人生しか生きられませんが、この仕事をしていると、たくさんの女性の人生を生きることができる。台本に描かれたその人の人生に自分を重ね合わせ、想像を膨らませながら1つの役を作り上げていく。その作業が、何よりも気持ちがいいし、居心地がいい。結婚より男より、何より私は舞台が好きなんです。人間としてはもしかしたら失格者かもしれない。でも72歳まで夢だった仕事ができているわけだから役者としては失格者ではないんじゃないかな、と思ってます。そこまで夢中になれるものを持てて、本当に幸せです。バレエとの出合いが、私を踊りへ導いた。体で表現する喜びを知ったのは、小学生で習ったクラシックバレエでした。良く言えば活発、悪く言えば落ち着きのない子どもだった私でしたが、ある日ハーフの友達に誘われて行ったバレエ教室の見学で、ひと目で夢中に。何度も見に行くうちに「やってみる?」と声をかけてもらい、お稽古着や靴を借りて踊ったら楽しくて楽しくて…。でもうちは裕福ではなかったので、母に言ってもやらせてくれるわけもなく。そうしたらなんと先生が母を説得してくれ、通えることになったんです。そこからは、雨の日も雪の日も、欠かさず通いました。踊ること、それを見てもらうことがとにかく嬉しかった。アメリカと日本のハーフだった私はその頃、嫌な目に遭うこともありましたが、先生の“頑張っている子を評価する”という平等な精神に惹かれたのも、理由だったかもしれません。あのとき先生が私の母を説得してくれなかったら、私は今、舞台に立っていないと思いますね。まえだ・びばり俳優。1948年生まれ、神奈川県出身。’64年、ミュージカルで初舞台。以来数々のミュージカルや舞台で活躍。来年8月、ミュージカル『ピピン』の再演が決定した。ジレ¥41,800(DUE deux TEL:03・6228・2131)ワンピース¥146,300(ロッコラーニ/ステラ TEL:03・5408・5171)ピアス¥38,500(ウノアエレ シルバーコレクション/ウノアエレ ジャパン TEL:0120・009・488)サンダル¥19,800(卑弥呼 TEL:03・5485・3711)リングは本人私物※『anan』2021年7月14日号より。写真・小川朋央スタイリスト・松田綾子(オフィス・ドゥーエ)ヘア&メイク・矢野トシコ(SASHU)(by anan編集部)
2021年07月11日ミュージカルといえば、美しい旋律に乗せて愛や生の悦びを歌い上げるイメージ。しかし今回の舞台を企画した古田新太さんの感性を通ると、まったく違うものになるよう。なんとミュージカル『衛生』~リズム&バキューム~は“汚いミュージカルをやろう”が発端。物語の軸になるのは糞尿の汲み取り業を営む家族。その彼らが軽やかに悪行を重ねていく物語というからすごい。尾上右近さんに話を聞いた。“汚いミュージカル”に意欲満々。「周りの期待を裏切っていきたい」「いまって、コンプライアンスの網目がどんどん小さくなっている時代ですよね。エンターテインメントの中でタブーを描くには、たぐい稀なる技術とセンスを持った者じゃないと容易にすり抜けられなくなっている。古田さんは、それを舞台という場所でとことんやりたいとおっしゃっていて、僕自身も以前からそこに踏み込んでみたいと思っていたので、願ったり叶ったりでした」と話すのは、古田さんと共に主演に名を連ねる歌舞伎俳優の尾上右近さん。「そもそも歌舞伎自体がアングラだったり、グロテスクな題材とかタブーに触れたりしているんでね」と、涼しげな顔を見せる。「人って怖いもの見たさというか、どこかに悪に惹かれる気持ちがある。この作品にはこれでもかっていうくらい悪者ばかりが登場するんですけれど、その悪者たちがごもっともなことを言ったりするんですよ。じゃあなぜ悪がダメなのか。そういうことを考えさせられたりもするはず。光と影とか陰と陽とか、ふたつでひとつを構成する要素は多くあるけれど、どっちも知らないとその大切さってわからないと思いますし」先月右近さんが歌舞伎座で演じた『三人吉三』に代表されるように、歌舞伎も悪役が主役の演目は数多い。「悪役は真っ当な役以上に役者の人間としてのパワーとか迫力が必要とされるんですよね。目の奥までしっかり悪に染まらないとカッコよくならないし、説得力もない。変な話、誠心誠意やらないと難しいんです」しかも今回は、歌ありダンスありのミュージカル仕立て。いきものがかりの水野良樹さんらによる楽曲は「ブラックミュージックが基調となっている」そう。「そもそも華やかなミュージカルを予想されている方はいないと思いますけれど、それでも想像を軽々と超えた感じになっていると思いますよ」右近さん自身、子役時代から身を置く歌舞伎はもとより、家業である日本の古典音楽・清元、さらに現代劇やミュージカル、テレビのバラエティと、さまざまな分野を軽やかに行き来している印象。しかし本人は「毎回テンパっていて、首の皮一枚で繋がってる感覚」とか。飄々と見えるが、「首の皮がだんだん厚くなってるだけです」と苦笑する。「新しい歌舞伎座ができた頃から、肩書より個人の力が大事だという思いが強くなりました。僕はまだまだ立場的に歌舞伎役者として踏襲、継承するものがないし、ある意味好きにやってもいいんだと思ったとき、ヒリヒリした状況に身を置く方が自分には合っている気がして(笑)。この作品もですけれど、周りの期待や想像を裏切っていきたいんです」『衛生』~リズム&バキューム~社長の良夫(古田)と息子の大(右近)が営む、し尿汲み取り業者「諸星衛生」は、金のためなら殺人も厭わないという経営方針でのし上がってきた。そんななか従業員の麻子(咲妃)が大との間に子供を授かり…。7月9日(金)~25日(日)TBS赤坂ACTシアター脚本・演出/福原充則出演/古田新太、尾上右近、咲妃みゆ、石田明(NON STYLE)、村上航、佐藤真弓、ともさかりえ、六角精児ほかS席1万3500円A席1万円キョードー東京 TEL:0570・550・799大阪、福岡公演あり。おのえ・うこん1992年5月28日生まれ、東京都出身。歌舞伎俳優。清元栄寿太夫の名で歌舞伎の伴奏音楽の唄方としても舞台に立つ。昨年には『ジャージー・ボーイズ・コンサート』にも出演。カットソー¥14,300(KURO/KURO GINZA TEL:03・6274・6257)ブルゾン¥19,800(TOWN CRAFT/C.E.L STORE TEL:03・6459・3932)パンツ¥31,900(CULLUNI/SianPR TEL:03・6662・5525)※『anan』2021年7月7日号より。写真・中島慶子スタイリスト・三島和也(Tatanca)ヘア&メイク・白石義人インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2021年07月06日ミュージカル「『オープニングナイト』〜桜咲高校ミュージカル部〜」が2021年7月2日(金)、日本青年館ホール(東京都新宿区)で開幕した。舞台は、超エリート進学校。熱血高校教師テッペイ(横山だいすけ)は、新入生を迎える準備をしていた。入学していたマイト(武藤潤)は、小さい頃の夢だった「ミュージカル俳優になること」を学校で実現するために、ミュージカル部を作ろうと、親友のヒロキ(杢代和人)とともに部員集めに奔走。親に自分の夢を打ち明けられないオウタ(大倉空人)、妹のサラ(渡邉心結)を溺愛する不良のユージ(瑛)、食いしん坊のタロウ(中谷優心)、いじめられっ子のソースケ(村上貴亮)と、個性豊かなメンバーが集まるが、学問至上主義の校長(湖月わたる)は、創部に大反対してーー。本作は、基本のストーリーはそのままに、男性キャスト中心の〈Team Blue〉と、女性キャスト中心の〈Team Red〉の2チームで上演される。初日を前に行われた〈Team Blue〉のゲネプロ(総通し舞台稽古)を見た。入部の動機はさまざまだが、「ミュージカルをやりたい」という一心で突き進む高校生たちの姿が、とにかく眩しい。歌もダンスも芝居もまだまだ伸びしろがあると個人的には見たが、その等身大のパフォーマンスが、青春真っ只中にあるというある種のリアリティを感じさせたし、周囲の大人キャストががっちりサポートをしている。楽曲も振付も誤魔化がきかない高難度のものが多く、脚本と演出を担当した岸本功喜、作曲・音楽監督の小島良太の「一切妥協はしない」というこだわりが垣間見える。主演を務める横山だいすけは「先生という仕事にとても魅力を感じていましたし、舞台を通して表現できるのは、また一つ夢をかなえることができた気持ちです。学生時代、実際に教育実習で先生を経験したことがあるので、その時の経験を演技に反映していけたらいいなと思います」と役への思いを語る。その上で、「このコロナ禍で人との距離感をどうしても遠く感じてしまう昨今ですが、『オープニングナイト』を通して、先生・生徒の枠を超えた友情や団結をお届けできるよう励みたいと思います」とコメントした。上演時間は約2時間30分(休憩15分含む)。そのほかの出演者は、三倉佳奈、福井貴一、野々村真ら。〈Team Blue〉の公演は7月5日(月)まで。〈Team Red〉は7月8日(木)〜11日(日)で、星名美怜(私立恵比寿中学)、河村花、小泉遥香(超ときめき♡宣伝部)、前田悠雅(劇団4ドル50セント)、竹内夢、杏ジュリア(超ときめき♡宣伝部)が出演する。取材・文:五月女菜穂
2021年07月05日名門進学校を舞台に、ミュージカル部の設立を目指す生徒と教師の奮闘を描いたミュージカル『「オープニングナイト」~桜咲高校ミュージカル部~』が、7月2日(金)より東京・日本青年館ホールで上演となる。本作は、劇団四季出身でミュージカル「魔女の宅急便」などを手掛けたことでも知られる岸本功喜が脚本・演出・振付を担当する完全オリジナル作で、同演目を〈team Blue〉〈team Red〉の2チームがそれぞれ上演するというこれまでにない取り組みも話題だ。横山だいすけ、三倉佳奈、福井貴一、野々村真、湖月わたるが演じる個性豊かな教師陣は共通で登場し、〈team Blue〉は、ダンス・ボーカル・グループの『原因は自分にある。』から、武藤潤、杢代和人、大倉空人の3人と、瑛、中谷優心、村上貴亮が出演、〈team Red〉は、私立恵比寿中学の星名美怜、超ときめき♡宣伝部の小泉遥香と杏ジュリア、透明感のある雰囲気で現在売り出し中の河村花、NHK『おとうさんといっしょ』の竹内夢に加えて、前田悠雅が名を連ねる。ミュージカル俳優を夢見る主人公と、ひょんなことから顧問を引き受けることになった熱血教師を軸に、癖のある生徒たちと、創部を反対する校長との対立を経て、ミュージカル部は舞台初日=オープニングナイトを迎えることが出来るのか…。今回は、稽古が佳境に入る前の6月中旬の稽古場を取材した。ミュージカル『「オープニングナイト」~桜咲高校ミュージカル部~』稽古より、ミオ先生役の三倉佳奈取材はそれぞれ別の日に行われたが、取り組んでいるシーンはほぼ同じ。生徒6人とアンサンブル・キャストによる歌の稽古がメインで、主人公のマイト/マイを中心に、ミュージカルの上演に向けて、それぞれの生徒の個性を生かして役割を分担し、学校全体を巻き込んでいくという重要なパートだ。■team Blue〈team Blue〉の稽古は、今回ミュージカル初挑戦となる『原因は自分にある。』武藤・杢代・大倉が瑛、中谷、村上の3人と共に、いろいろと試しながら演出の岸本が肉付けをしていく。主人公のマイトをきっかけに進んでいく物語だけに、彼を演じる武藤はマイトをムードメーカーでみんなから愛されるキャラクターへと作り上げている印象だ。一方、マイトを支えるしっかり者の親友・ヒロキを演じる杢代は、自身の役割を理解しながら動きを何度も確認、自分の夢を打ち明けられないオウタ役の大倉は、全体の流れを見ながら的確に意見を出す。妹を溺愛する不良学生のユージに扮する瑛は、場面によりコミカルさを加え、ダンス力抜群という役どころの村上は、劇中で見せるキレのある動きが華やか、計算高い食いしん坊のタロウを演じる中谷は具体的な提案をしながら進めていく。6人のわちゃわちゃした感じを活かしつつ、役者の動きを見ながら振付をしていく岸本は、この稽古を通じて演出の方向性を定めつつあるようだ。また、この日の〈team Blue〉は、校長(湖月わたる)が創部を反対していた理由を語り、熱血教師のテッペイ先生(横山だいすけ)と生徒たちのいる前でとある先生の過去が明かされるという、芝居パートの稽古もあり、シリアスとコミカルを見事に演じ分ける校長役の湖月、横山扮するテッペイ先生の慕う生徒たちとのやりとりも楽しく、全体を通じてどのようなものになるのか、期待が高まる1日となった。ミュージカル『「オープニングナイト」~桜咲高校ミュージカル部~』稽古より、テッペイ先生役の横山だいすけ■team Red前述のとおり、場面やキャラクターの設定は同じながら、〈team Red〉の稽古は〈team Blue〉とは異なる輝きを放っていた。主人公のマイを演じる星名が持つ華やかでカリスマ性のある魅力と、まるでライブを行っているかのような力強いパフォーマンスは見る者の視線を釘付けにする。彼女を支える親友のヒロミ役の河村は、ニコニコとしながら場の雰囲気を作り上げ、思いを告げることができないレイコに扮する小泉は、クールで内なるものを秘めているという役どころをとらえつつ、しっかりとリアクションもしていく。妹を溺愛する不良学生ランを演じる前田は、誰よりもパワフルで粋なランを常に意識しながら稽古に挑んでおり、ダンスが上手なエリカ役の杏はしなやかに両手を広げながら、軽快に踊る姿が美しい。それぞれの個性が随所に溢れ、生き生きとしたカンパニーとなっているのだろう。岸本から「6人はクリエイトするほうなので、他の生徒や先生を巻き込んでいく役柄だから」という言葉で、アンサンブルとは異なる動きで引っ張っていこうとそれぞれの表情が変わったのもまた印象的な一幕だった。役者から湧き出るものを演出に落とし込んでいくという岸本が、彼女たちからどんな刺激を受けてこのシーンを仕上げていくのかも注目したい。同じ脚本であっても、キャストが異なれば別のものになる。〈team Blue〉〈team Red〉の違いを楽しむのもこの『「オープニングナイト」~桜咲高校ミュージカル部~』の魅力の一つだ。ミュージカル『「オープニングナイト」~桜咲高校ミュージカル部~』稽古より、校長役の湖月わたる〈オープニングナイト〉に向けて駆け抜けていく大切な場面の稽古で、アンサンブルも含めて登場人物が多いため、実際に出演者の動きを見ながら、岸本が演出と振付のイメージを膨らませていく。目標に向かって一致団結していく生徒役メイン・キャストの6人の姿と、最高の〈オープニングナイト〉を迎えるために奮闘する劇中のキャラクターたちの思いが重なり、圧倒的な熱量を持って取り組んでいる。教師のキャストやアンサンブルは同じながらも、〈team Blue〉〈team Red〉で演出やとらえ方は異なるだろうし、互いに切磋琢磨しながら、素晴らしい〈オープニングナイト〉をそれぞれが迎えることだろう。キャストコメント■横山だいすけコメント日々の稽古の中で沢山の発見があります。生徒役、先生役みんなとにかくアツい! それぞれの想いが交錯する中でオープニングナイトらしい最後を迎える時、全てが繋がる んです!!…と、ついネタバレしそうになるのですが、色んな伏線があるので、どのシーンも見逃さ ないように観てほしいです!先日稽古を観ながら涙してしまうことがありました。それくらい温かくハッピーになれる 舞台です!ぜひ会場でこの温かさに触れてみてください!■三倉佳奈コメント数日遅れで稽古に参加しましたが、初日に見た皆さんの歌とダンスが圧巻で!気合いスイッチが入りました。カンパニー全員でシーンを積み重ね作り上げていく面白さを噛み締め日々稽古しています。ミオ先生はだいすけさん演じるテッペイ先生とのシーンが多いのですが、キュンとしていただけたら。笑2人の空気感や関係性の変化を是非楽しみに観ていただきたいです。ミュージカルの魅力が120%詰まった作品。沢山の皆さんに届きますように!■湖月わたるコメント今、稽古場で何度も目の当たりにしているのが、眩しすぎる瞬間です。生徒も教師も青春ど真ん中!爆発するエネルギー、葛藤、気づき。ミュージカルだからこそ、劇場という特別な空間だからこそ、伝えられるものがあると確信しています!私は厳格な校長として、彼らの前に大きく立ちはだかりたいと思います!私達の熱い思いを込めたメッセージ、是非受け取ってください。劇場で心よりお待ちしております!!公演概要ミュージカル「オープニングナイト」〜桜咲高校ミュージカル部〜●出演者横山 だいすけ三倉 佳奈福井 貴一野々村 真<team Blue>武藤潤(原因は自分にある。)、杢代 和人(原因は自分にある。)、大倉 空人(原因は自分にある。)瑛(あきら)、中谷 優心、村上 貴亮<team Red>星名 美怜(私立恵比寿中学)、河村 花、小泉 遥香(超ときめき♡宣伝部)前田 悠雅(劇団4ドル50セント)、竹内 夢、杏 ジュリア(超ときめき♡宣伝部)渡邉 心結湖月 わたる 他●スタッフ脚本・演出・振付:岸本功喜作曲・音楽監督:小島良太●公式HP: ●公式Twitter: @OpeningNight_m()●日程<teamBlue>2021年7月2日(金)~7月5日(月)全6公演<teamRed>2021年7月8日(木)~7月11日(日)全6公演※未就学児入場不可●会場:日本青年館ホール●主催:ABCテレビ/アークスインターナショナル/ABCフロンティア/サンライズプロモーション東京●お問い合わせ:サンライズプロモーション東京0570-00-3337(平日12:00~15:00)●チケット一般発売:6月19日(土)10:00~チケット料金:特典付きチケット 12,000円、一般チケット 9,000円(全席指定)<特典内容>・公式パンフレット・オリジナルトートバッグ・特製クリアファイル・ブロマイドセット(3枚1セット:キャスト衣装グループショット)企画制作:アークスインターナショナル/ABCテレビ本公演は、政府および上演地の都道府県が定める新型コロナウイルス感染対策の方針に従って、公演の準備を行っております。最新の情報は公式サイト にてご確認ください。
2021年06月28日岡宮来夢さんのミュージカルデビューは、一昨年のミュージカル『刀剣乱舞』~葵咲本紀~。舞台2作目でありながら、観客の視線を一身に集めパフォーマンスする時の堂々たる姿と目を惹きつける華、そして低音でまっすぐクリアに伸びる歌声に驚かされた。伸びやかな歌声と存在感で、この夏ついに帝国劇場に進出。「もともと上京前から、歌は歌うのも聴くのも、ライブ映像を観るのも好きでした。ただ、そこを武器にしていきたいと思うようになったのは、ミュージカル『刀剣乱舞』(以下、刀ミュ)に出演し始めてから。いろんな方から歌を褒めていただくことが多くて、ミュージカルはお芝居だけでなく歌も歌えていいなと思うようになりました」『葵咲本紀』の初日、カーテンコールで目の前の観客から拍手や歓声を受けて、「全身がビリビリするのを感じた」というほどの大きな感動を得た。「僕が参加した時はすでに刀ミュが人気シリーズだったこともあって、稽古から熱のこもった厳しい指導をいただいていました。そのなかで周りは先輩がたばかりで、僕としては初日でお客さんからどんな反応をもらえるか、自分が認めてもらえるかが不安でドキドキでした。でも、公演が終わった時の拍手で、ここまでやってきたことが無駄じゃなかったんだって」昨年にはシェイクスピアの『ハムレット』をミュージカル化し、5人の男性キャストのみで全役を演じる『5 Guys Shakespeare Act1:[HAMLET]』に主演。颯爽とした舞台姿と安定した歌声、復讐に狂っていくハムレットの、疾走していく一途な熱情を見事に表現した。「歌の数がすごく多いうえ、叫ぶし怒鳴るし、喉が大変で、正直、精神的にも体力的にも苦しかったです。あの作品はシェイクスピアのセリフを歌にしているので、普通に歌ってしまうと役が抜けてしまう。音楽にのせながら、どう感情を出していくかめちゃくちゃ考えたのを覚えています」そう言ってから、「いまやったら、もっと違う表現ができるのかなと思うんですけれど」と続けた。というのは、今年出演したミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』で、歌での表現を追求してきた先輩たちと共演したことと無縁ではないよう。「歌で何かを伝えるって、すごく繊細で難しくて、本当に奥が深いんだって、中川晃教さんや花村想太くんとご一緒して、あらためて実感したんですよね。これは想太くんが教えてくれたんですが、優しいフレーズを歌う時には、あったかい息を吐くために、息を吸うスピードを変えるといいって。そんなこと考えたことがなかったけれど、それで生まれる表現があると知って、すごいなと。アッキー(中川)さんの歌を舞台袖で聴いていると、歌っているんだけれど、まるでしゃべっているようで、ミュージカルって突然歌いだすわけじゃなくて、感情が昂って言葉がメロディにのるんだということが自然に感じられる。歌の世界で生きている方から直接教われる機会があって、本当に僕は恵まれているなと思います」世界的に有名な漫画『PEANUTS』をミュージカル化したこの作品で、岡宮さんが演じたのは、秀才だけど毛布が手放せないライナス。「稚拙な面と哲学的な面の両方があって、そのアンバランスさが面白いキャラクターですよね。有名なキャラクターだけに、ファンの方からしたらライナスはそうじゃないと言われるかもしれないけれど、それでも僕のライナスはこうですって提示できるのは楽しいし、やりがいを感じます。何より、23 歳の僕が6歳とかの子供を演じられるんだから、舞台って面白いなと。ただ、最近役作りで内股でペタペタ歩いていたら、私生活でもそれが出てきちゃって恥ずかしいんですけど(笑)」この先に控えるのは、ミュージカル『王家の紋章』。この作品で日本ミュージカルの殿堂・帝国劇場に初進出。オファーがあった時、「わぁ~マジかぁ~って思いました」と茶目っ気たっぷりに素直な想いを語ってくれた。「いつか立ちたいとは思っていたし、ファンの方がたの前でも口にしてきた目標でしたが、こんなに早く実現するとはです。ルカは、前山剛久さんとWキャストになりますが、演じる人によって同じ役でも個体差が出るのが演劇の面白さでもありますよね。ハムレットを演じた時、あるべき形というものはなくて、いろんな形があっていいんだって感じて…。だから自分なりのルカをお見せできたらと思っています」この世界に足を踏み入れた時に願っていたのは、「僕を観て幸せになってくれる人がいたらいいな」という想い。その根本はいまも変わらない。「地元にいた時は、ミュージカルって観たことがなかったし、あまり身近に感じたことはなかったんです。でも観ると、経験したことのないような非日常が広がっていて、人に優しくしようとか、こんなふうに生きようとか、自分の中に何かしら残るものがあるんですよね。歌もお芝居も上手な方がたが素敵な世界を届けてくれるので、ぜひそれを体験してほしいですね」おかみや・くるむ1998年4月23日生まれ、長野県出身。ミュージカル『刀剣乱舞』の鶴丸国永役で注目を集める。6月に開幕予定の舞台『「BANANA FISH」The Stage -前編-』に出演。ヒッタイト王国のスパイ・ルカを演じるミュージカル『王家の紋章』は8月5日より帝国劇場で上演予定。公式YouTube・岡宮来夢も好評。Tシャツ¥27,500ベスト¥53,900(共にSISE TEL:03・6277・2147)シャツ¥44,000(ANEI TEL:03・6908・0620)パンツ¥30,800(CULLNI/Sian PR TEL:03・6662・5525)シューズ¥42,900(NEEDLES/ネペンテス TEL:03・3400・7227)※『anan』2021年6月2日号より。写真・来家祐介(aosora)スタイリスト・ホカリキュウヘア&メイク・瀬戸口清香(S-SIZE)取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2021年05月31日ミュージカルデビューは昨年の『デスノート THE MUSICAL』。以降、この1年半で『RENT』や『マリー・アントワネット』、そして上演中のミュージカル『ロミオ&ジュリエット』ではタイトルロールのロミオ役に抜擢されるなど、またたく間にその存在を印象づけた甲斐翔真さん。真っ向から役に飛び込み、エネルギッシュな歌声で魅了。「僕は運がよかったんだと思います。ほとんどの作品が、ちょうどキャストが大きく入れ替わるタイミングでオーディションがおこなわれたので…」控えめにそう言うが、すべてオーディションで自身が掴んだ役だ。それまで『仮面ライダー』シリーズを筆頭に映像作品で活躍していた甲斐さんをミュージカルの世界に引き込んだのは、韓国で観た『ジキル&ハイド』だそう。「プライベートで韓国に旅行した時に、事務所の人から『ミュージカルも観てきたら?』と言われて何気なく観たのが『笑う男』という作品だったんですね。とてつもなく面白くて衝撃を受けて、そこから韓国に行くたびにいろんな作品を観ていたなかで『ジキル&ハイド』を観た時に圧倒されて…。その後、もう一回韓国に行って1日で昼夜2回観劇して、自分も絶対にミュージカルをやりたいとなりました」その同じ作曲家のフランク・ワイルドホーンによる『デスノート~』が初舞台というのも運命的だ。しかし、当初は喜びより苦しさが勝っていたそう。「そもそも舞台自体が未知の領域すぎて、稽古って何?みたいなところからの出発でした。だからといって演出の栗山(民也)さんは僕を新人扱いせずに、高度なことを要求してこられる。求められるハードルが高く、その域まで到達しなくてはいけないのが苦しくて。でも本番が始まったら緊張を忘れるほど楽しかったです」それほど心を掴んだのは、一挙手一投足に返ってくる観客の生の反応。「ここまで積み上げてきたものがお客様に届いて、拍手が起こることがシンプルに嬉しかったんです。自分たちが発したもので人の心が動いたと感じられた時に、幸せだなって思いました」その本番が毎日のように、そして何度も経験できることが「嬉しい」とも。「うまくいったと思う瞬間はあっても、全体的にうまくできたことはないんです。でも、何回も本番があって理想を追い求められるのはありがたい。昨日の自分を超えたいんです。もともとスポーツをやっていて、負けず嫌い精神が身についているからなのかも」ミュージカル『RENT』で演じたのは、恋人がHIV陽性になったことを苦に命を絶った過去から引きこもり、厭世的に生きるロジャー。その彼が感情を爆発させる場面での、やるせなさや哀しみ、行き場のない怒りや虚しさを抱えた心の叫びは強く胸を打った。「ずっと溜め込んできた感情を抑えて抑えて一気にはじける。そこの起伏はすごく意識していました。歌ってはいるんだけれど、歌っていると思っちゃいけなくて、脳と気持ちをリンクさせながら発した言葉に、メロディがついていく感じというか。歌詞は言葉で、メロディはしゃべる時のイントネーションみたいなものだと思うんです」その甲斐さんが、「甲斐翔真という人は“ミュージカルの人”なんだと印象づけてくれた作品」だと話すのが、今年頭のミュージカル『マリー・アントワネット』だ。数々の大作ミュージカルの第一線で活躍するキャストの中で堂々たる舞台姿で注目を集めた。「フルオーケストラで歌うグランドミュージカルは初めてで、同じ歌でも、これまでとはすべてが違いました。歌唱指導の方につきっきりで反復練習を重ねて、基本から歌を改革しました。発声もですし、声の響かせ方から息の流れも全然違う。こういう“ザ・ミュージカル”という作品では、まずは美しい旋律を声で作り上げていくことが求められるんです。そしてさらに、そのなかに心情をきちんと入れていく必要があります。しかも、貴族の役だったので立ち居振る舞いも普段通りではいけなくて。そうしていく中で、自分の出したことがない声が見つかったり、まだまだいろんな可能性があるんだなと感じられた気がしました」音楽で綴っていく舞台だからこそ、演じることを大事にしている。「ただただ綺麗に歌うようなことだけはしたくないんです」と熱を込める。「人って一面的じゃないから、歌も一方向じゃないと思っています。たとえば、今回演じるロミオも、ただただ優しいだけの甘い青年じゃないですよね。どこかに憤りみたいなものも持っていて、本当に大切な友人が目の前で刺された瞬間、理性をなくして、衝動的に相手を刺してしまう激しさがある。でも一方で、すぐに言い訳したり気の小さいところもあって人間らしい。そういう多面的な部分をちゃんとロミオの中に作っていきたいし、歌の中でも表現していけるとも思っています」そしていつかは、憧れのあの作品に。「ミュージカル『ジキル&ハイド』が好きすぎて、自分の中でこの場面はこう表現したいっていうのがあるくらい(笑)。いつかやれたらいいですね」かい・しょうま1997年11月14日生まれ、東京都出身。ドラマ『仮面ライダーエグゼイド』で注目され、映画『君は月夜に光り輝く』など数々の作品に出演。今年、出演映画『偶然と想像』がベルリン国際映画祭コンペティション部門で銀熊賞を受賞。ロミオを演じるミュージカル『ロミオ&ジュリエット』は現在上演中。シャツ¥30,800カーディガン¥49,500パンツ¥36,300シューズ¥66,000(以上ファセッタズム TEL:03・6434・9893)※『anan』2021年6月2日号より。写真・来家祐介(aosora)スタイリスト・吉本知嗣ヘア&メイク・MIZUHO(vitamins)取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2021年05月30日ミュージカル『刀剣乱舞』(以下、刀ミュ)で、実体のない幽霊すら斬るという伝説が残る刀剣男士・にっかり青江を演じている荒木宏文さん。なんとこのたび「にっかり青江 単騎出陣」で、2年かけ全国47都道府県を回るという挑戦に出る。しかも、荒木さん自ら提案したこと。役をより深めるため、2年をかけ日本全国を巡る旅へ。「『三百年の子守唄』という作品で、’17年と’19年で計120公演以上をにっかり青江を演じてきましたが、この役をちゃんと理解するにはそれじゃ全然足りないなと感じたんです。何百年も歴史のある刀剣で、鍛刀されてから刀剣男士として顕現するまでにどんな時代を過ごしてどんな景色を見てきたのか、全然想像しきれていないし、それを勉強するにしても時間が足りない。この役を理解して演じるところにまでたどり着ける気がしないし、ゴールが見えない。そんな想いを(脚本の)伊藤栄之進さんに伝えたのがきっかけです」これまでさまざまな役を演じており、2.5次元作品では、キャラクター再現度の高さに定評があるが、「どの役もたどり着けたと思ったことはない」のだそう。それでもにっかり青江は群を抜いて「絶望的だった」。そして「焦っていた」とも。「1作限りの作品なら、どこかで割り切れていたとは思うんです。でもこれからもシリーズが続いていくことは予想できて。次にまた呼んでいただける可能性があるんだとしたら、もっとすごいものを見せなきゃって思うし、届かないまでも、突き詰めるならば徹底的にやりたいと思ったんです」そんな荒木さんの熱意を受けて公演が実現することに。脚本・演出を手がけるのは前述の伊藤さん。「これまでは、刀剣男士の元主の歴史にフィーチャーした作品が多かったと思うんです。でも今回は刀ミュのにっかり青江の目線で、ここまでの間に見てきた景色について掘り下げていく話になると思います。僕が作品を通じて追求したい役作りもそこにあるし、日本巡業でにっかり青江を知らない方や、演劇にあまり触れてこなかった方が観ても面白いと思っていただける気がして」旅が完全に終わるのは来年秋。「作品のなかでにっかり青江は刀剣男士として成長しますが、僕自身が成長するのはその後。やりきった時に、役者としてスキルアップし、人間として成長して、にっかり青江として深まっていたいですね」ミュージカル『刀剣乱舞』にっかり青江 単騎出陣今回、振付・ステージングを手がけるのは、俳優で振付師としても活躍している福澤侑さん。「エンターテインメントに対する考え方や芸術に関する感性が自分と近く、やろうとしていることを理解してくれている人です」。4月27日(火)北海道・函館市民会館 大ホールを皮切りに、5月14日(金)・15日(土)大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティほか。’21年春・秋、’22年春・秋の計4回に分けて日本全国にて上演。原案/「刀剣乱舞-ONLINE-」より(DMM GAMES/Nitroplus)脚本・演出/伊藤栄之進振付・ステージング/福澤侑(REX)出演/荒木宏文ほか全席指定8800円ネルケプランニング©ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会あらき・ひろふみ1983年6月14日生まれ、兵庫県出身。最近のおもな出演作に、ドラマ『KING OF DANCE』、『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stageなどがある。※『anan』2021年4月28日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・中村美保ヘア&メイク・小林純子インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2021年04月25日Broadway Musical『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』に出演する、阪本奨悟さんのインタビューをお届けします。いま、世界が最も注目する劇作家で作曲家でもあるリン=マニュエル・ミランダ。『イン・ザ・ハイツ』は、リンを一躍スターダムにのし上げた出世作であり、ヒップホップやラテン音楽を使い、ミュージカル界に大きな影響を及ぼした作品だ。「ラップやラテンのリズムとセリフとがキレイに繋がって続いていて、気持ちいい作品なんです。僕も初挑戦のジャンルだし、観た方もきっと新鮮なんじゃないかなと思います」そう話すのは、シンガーソングライターで、ミュージカル『刀剣乱舞』などで俳優としても活動する阪本さん。自身の音楽性とは違うジャンルゆえ、「いま稽古場でDef TechのMicroさんを見ながらグルーヴ感を勉強している」最中。「Microさんのラップは言葉ひとつひとつが全部リズムになっていて、聴いていても楽しいんです。ただビートを刻むだけじゃなく、+αで自分のリズムをのせてみたり、時に敢えて外してみたり。そこがとても演劇的な表現に繋がる気がしていて。今まで僕があまり掘り下げてこなかったジャンルの楽曲ですが、だからこそ新しい扉を開かせてもらっているような気持ちです」NYで移民たちが暮らすワシントンハイツを舞台に、雑貨店を営むウスナビら移民たちの姿を描いた群像劇。阪本さんが演じるのは、ウスナビの従弟で共に店を手伝うソニー。「ソニーは生意気で憎たらしい口はきくけれど、ウスナビのことが大好きな可愛い弟キャラです。そんな彼の愛あふれるところをちゃんと伝えられたらいいなと思っています。ペルーで生まれ育った共演者のエリック・フクサキさんの話を聞くと、ここで描かれているようなラテン系の人たちと僕らでは、人と人とのコミュニケーションのとり方も、恋愛のアプローチの仕方も全然違うんだそうです。今の日本人的な価値観を一回リセットして、ラテンの人たちの生き方や考え方をインプットした上で、演じたいと思っています」阪本さんにとっては、これが初めての海外ミュージカル作品への挑戦。「この作品に出てくる移民の人たちと同じように、僕も今を抜け出して、大きな夢を掴みたいと思って上京したひとり。今の自分に満足して、何もせずに現状維持でいるのは嫌なんです。いま27歳。うかうかしていたらあっという間に30ですよね。時代に置いていかれないよう、いろんな現場でいい刺激を受け、自分がやるべきことは何かを見つけたいです」『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』プレビュー公演・3月27日(土)~28日(日)鎌倉芸術館 大ホール東京公演・4月17日(土)~28日(水)TBS赤坂ACTシアター原案・作詞・作曲/リン=マニュエル・ミランダ脚本/キアラ・アレグリア・ウデス演出・振付/TETSUHARU出演/Micro/平間壮一(Wキャスト)、林翔太/東啓介(Wキャスト)、田村芽実、石田ニコル、阪本奨悟、エリアンナ、青野紗穂、エリック・フクサキ、山野光、戸井勝海、未来優希、田中利花ほかS席1万2000円ほか(税込み)公演事務局(平日10:00~18:00)information2@pia.co.jp大阪、名古屋公演ありさかもと・しょうご1993年6月13日生まれ、兵庫県出身。昨年リリースした2ndアルバム『=+』が現在好評発売中。俳優としては、ミュージカル『刀剣乱舞』堀川国広役で高い人気を誇る。ジャケット¥57,000(アンバー/スタジオ ファブワーク TEL:03・6438・9575)ニット¥48,000(チルドレン オブ ザ ディスコーダンス/スタジオ ファブワーク)Tシャツ¥12,000(ジョン メイソン スミス/ヘムト PR TEL:03・6721・0882)※『anan』2021年3月31日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・森田晃嘉ヘア&メイク・永瀬多壱(VANITES)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2021年03月29日暴漢に襲われ殺されたサムが、恋人のモリーに命の危険が迫っていることを知り、ゴーストのまま現世にとどまり彼女を守るため奔走する。大ヒットした同名映画を舞台化したミュージカル『GHOST』。2018年の日本初演に続き、再びモリーを演じる咲妃みゆさん。初演が宝塚歌劇団退団後1作目のミュージカルだったこともあり、「自分のなかでとても大切な作品」だと語る。「モリーとして、言葉や動作に酸素が行き届き始めた気がします」「何より、演出家のダレン・ヤップさんに巡り会えたことがとても大きかったです。それまで私は、舞台は苦労に苦労を重ねて成り立つものだと考えていたんです。でもダレンさんが『もっと心を解放して、ありのままの自分の自由な感情でやってごらん』と声をかけてくださいました。目の前の稽古を素直に楽しんでいいんだと思ったし、役者さん同士がリアルに向き合うなかで生まれる化学反応を信じていいんだということが、私にとっては新感覚でした」心を解放して舞台に臨むうち、自然とモリーの感情が見えてきたそう。「1幕のラストで、サムはまだこの世にいるかもしれない、と思うシーンがあります。その瞬間の、周りに何を言われようが止まらない一点集中の強い望みみたいなものが、大千秋楽前くらいに見えたんです。あと、一番最後にゴーストのサムを目視できるようになる瞬間があるんですが、実際、自分の視界にサムを演じる浦井さんの姿がだんだん見えてくるように感じられて、そこは何回演じていても涙が止まらなかったです」あれから2年半。「さまざまな舞台に立ち、いろんな方と共演させていただき、濃厚な時間を過ごし」てきた今、再び同作に向き合う。「私のなかで“芯の強い女性”の捉え方が変わってきました。以前は、エネルギー溢れる女性のイメージでしたけれど、今は、しなやかさこそ真の強さじゃないかというところに思い至って。モリーとして発する言葉や動作に酸素が行き届き始めた気がしています」ブロードウェイではイリュージョン的演出も話題だったけれど、日本版はドラマに重点を置いた演出に。「人の温かみが感じられる作品です。わずかでも観てくださった方の元気の源になればと思っています」ミュージカル『GHOST』銀行員のサム(浦井)は、恋人・モリー(咲妃/桜井)との道中、暴漢に襲われる。逃走する男を追うが取り逃がしてしまったサムがモリーの元に戻ると、血だらけで倒れる自分の姿があり…。3月5日(金)~23日(火)日比谷・シアタークリエ脚本/ブルース・ジョエル・ルービン音楽・歌詞/デイヴ・スチュワート&グレン・バラード演出/ダレン・ヤップ出演/浦井健治、咲妃みゆ/桜井玲香(Wキャスト)、水田航生、森公美子ほか全席指定1万2500円(税込み)東宝テレザーブ TEL:03・3201・7777愛知、大阪公演あり。さきひ・みゆ1991年3月16日生まれ、宮崎県出身。宝塚歌劇団雪組トップ娘役を務め、2017年退団。近作に映画『窮鼠はチーズの夢を見る』やミュージカル『NINE』などがある。※『anan』2021年3月10日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・本名和美インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2021年03月09日ヴァン クリーフ&アーペル(Van Cleef & Arpels)は、“バレエ”に着想を得た新作腕時計「レディ アーペル バレリーナ ミュージカル」を発売。“音楽が鳴る”ジュエリーウォッチ「レディ アーペル バレリーナ ミュージカル」は、オルゴール、カリヨンを内蔵した“音楽を奏でる”ジュエリーウォッチ。目からも耳からも、魅惑溢れるバレエの世界を楽しめる腕時計だ。文字盤には、実際の舞台の場面を立体的に表現した。細やかな彫刻、エングレービングによって中心に幕をセット。文字盤上部にはダイヤモンドを贅沢にあしらい、シャンデリアや豪華なカーテンを描き出している。また、パリ・オペラ座のトップダンサー“エトワール”へのオマージュとして、星モチーフもあしらわれている。幕が開くと音色が鳴る仕様に舞台の幕が開くとバレリーナが姿を現し、カリヨンとオルゴールの澄んだ音色が奏でられる仕組みになっている。繊細な幕の質感や、可憐なバレリーナの佇まい、優雅に連なるダイヤモンドの輝きなど、精巧な手仕事が光る仕上がりに注目だ。ジョージ・バランシンのバレエ「ジュエルズ」をイメージ全部で3種類展開される「レディ アーペル バレリーナ ミュージカル」は、振付家のジョージ・バランシンが手がけたバレエの演目「ジュエルズ」からインスパイア。1967年に初演された「ジュエルズ」は、ジョージ・バランシンがヴァン クリーフ&アーペルの宝石への情熱に共感したことから生み出された。全3幕から構成される「ジュエルズ」では、それぞれ1つの宝石と1人の作曲家をフィーチャー。第1幕「エメラルド」はガブリエル・フォーレ、第2幕「ルビー」はイーゴリ・ストラヴィンスキー、第3幕「ダイヤモンド」はピョートル・イリイチ・チャイコフスキーという構成になっている。「レディ アーペル バレリーナ ミュージカル」も「ジュエルズ」と同様に、エメラルド、ルビー、ダイヤモンドの3種を用意。カリヨン、オルゴールの音楽も、それぞれの演目に連動した旋律が奏でられる。尚、「レディ アーペル バレリーナ ミュージカル」が構想されたのは10年前。手巻き機械式ムーブメントと、幕が開き音楽の流れる「オンデマンド アニメーション」の開発には7年もの歳月が費やされた。時刻の表示は、メゾンの伝統を受け継いだレトログラード式の時間表示が採用されている。【詳細】ヴァン クリーフ&アーペル「レディ アーペル バレリーナ ミュージカル」種類:全3種・レディ アーペル バレリーナ ミュージカル エメラルド ウォッチ・レディ アーペル バレリーナ ミュージカル ルビー ウォッチ・レディ アーペル バレリーナ ミュージカル ダイヤモンド ウォッチ主な仕様:ダイヤモンドをセットした44.5㎜のホワイトゴールド製ケース、ダイヤモンドをセットしたホワイトゴールドのベゼル、彫刻を施したホワイトゴールドの文字盤、ダイヤモンド、ミニアチュール ペインティング、交換可能なアリゲーターストラップ、ダイヤモンドをセットした交換可能なホワイトゴールドのフォールディングバックル、レトログラード式の時間表示を搭載した手巻き機械式ムーブメント、オンデマンド ミュージカル アニメーション、54時間のパワーリザーブ、シリアルナンバー入り【問い合わせ先】ヴァン クリーフ&アーペル ル デスクTEL:0120-10-1906
2021年03月08日韓国発の人気ミュージカル『INTERVIEW』が、日本人キャストにより2021年3月より品川クラブeXにて上演されることが決定した。ミュージカル『INTERVIEW』は2016年5月に韓国で行われた2週間のトライアウト公演が大盛況となり、同年9月に京都で初演を実現。以降、韓国で2カ月のロングランに成功し、韓国ミュージカルアワードの最優秀新人演出賞を受賞し話題になった。その勢いは止まらず、2017年2月にはNYオフブロードウェイへと進出を果たし、米国キャストにて上演。日本では2017年3月に東京・大阪での公演を経て、2018年にも新たなキャストを加え東京で再び上演された。今までの日本公演は全て韓国人キャストによるもので、日本でも人気のK-POPアイドルのチャンソン(2PM)、エン(VIXX)、ユナク(超新星)、ソンジェ(超新星)らが出演。この度、日本人キャストで上演されるにあたり、ベストセラー作家であるユジン・キム役にはEXILEメンバーとして様々なエンタテインメントに挑戦し続けながら、現在は舞台や映画などでも幅広い活動を見せている松本利夫(EXILE)と、ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズやミュージカル『RENT』、『キャバレー』、そして『ザ・イリュージョニスト』など本場ブロードウェイの舞台にも多数出演している丘山晴己を迎えた。さらに、秘密を抱える推理小説作家志願生シンクレア役はゲーム『ディズニー ツイステッドワンダーランド』のルーク・ハント役のボイスキャストを務めるほか、舞台『黒子のバスケ』やミュージカル『刀剣乱舞』など人気作品のキャラクターを多く演じている糸川耀士郎と、仮面ライダーエグゼイド(九条貴利矢 / 仮面ライダーレーザー)をはじめ、映画やドラマで活躍中の小野塚勇人(劇団 EXILE)が演じる。謎の事故で亡くなった18歳の少女ジョアン役には、舞台「NARUTO-ナルト-」、ミュージカル『ラヴズ・レイバーズ・ロスト』やTVアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』にて主人公・高海千歌役を演じるなど、声優・女優として活躍中の伊波杏樹と、E-girlsのメンバー時代から、映画『HiGH&LOW THE MOVIE』や『イタズラな Kiss THE MOVIE〜ハイスクール編』などに出演し、女優として活躍の場を広げてきた山口乃々華。豪華な面々がダブルキャスト編成・回替わりでそれぞれの役を演じる。日本語版の脚本・演出を担当するのは、オペラ、ミュージカル、芝居、2.5次元舞台など様々な分野の舞台を手がけている田尾下哲。劇作家として翻訳、上演台本、翻案の他、オリジナル戯曲を海外で上演するなど、海外の作家達との共同作業のプロジェクトに参加し、ジャンルを超えた活動を続けている。音楽監督を務めるのは、作・編曲、演奏、指揮、音楽制作、歌唱指導、訳詞など様々な方面から舞台音楽に携わり、ブロードウェイミュージカル、オリジナルミュージカル、ミュージカルコンサートの音楽監督、キーボード・コンダクターを数多く手掛ける宮﨑誠。劇団四季、東宝ミュージカル、宝塚歌劇団、音楽座ミュージカル、ミュージカル座、明治座などにて、指揮 、作・編曲、演奏など幅広く活躍している。初の日本人キャストによるミュージカル『INTERVIEW〜お願い、誰か僕を助けて〜』は3月24 日(水)〜4月4日(日)まで、品川クラブeXにて上演。手に汗握る独創的なストーリーと、全20曲の美しい音楽が観る人の心を魅了する本作に期待してほしい。【公演概要】ミュージカル 『INTERVIEW〜お願い、誰か僕を助けて〜』公演日時:3月24日(水)〜4月4日(日)会場:品川クラブeX※ダブルキャストにより回替わりで上演いたします。※上演時間は約1時間40分(予定) 休憩なし原作 : チュ・ジョンファ / 作曲 : ホ・スヒョン日本語台詞 : 田尾下 哲 / 日本語訳詞 : 安田佑子演出:田尾下 哲 / 音楽監督 : 宮﨑 誠<出演者>※ダブルキャストTeam RED・ユジン・キム役 : 松本利夫(EXILE)・マット・シニア役 : 糸川耀士郎・ジョアン・シニア役 : 伊波杏樹Team BLUE・ユジン・キム役 : 丘山晴己・マット・シニア役 : 小野塚勇人(劇団EXILE)・ジョアン・シニア役 : 山口乃々華<料金>・プレミアムグッズ付き指定席 : 12,800 円(税別)※パンフレット+非売品オリジナルフォト(観劇日のTeamキャストの写真3枚セット)・指定席 : 9,800 円(税別)<チケット発売>・2月22日(月)より、ファンクラブ先行予約スタート・一般発売は3月15日(月)※詳細はホームページまで: 公式Twitter: 企画・制作:LDH JAPAN / 東京音協主催 : 『ミュージカル INTERVIEW』製作委員会
2021年02月12日舞台の上で映える、漫画から抜け出たような頭身の持ち主。そのノーブルな雰囲気もあって、『エリザベート』の黄泉の帝王・トートや、『黒執事』の悪魔で執事・セバスチャンといった、この世のものではない役柄もリアルな存在としてそこに具現化させてしまう古川雄大さん。「トートは、“死”という本能に訴えかけるような存在なので、官能的という言葉にぴったりな存在なのかもしれません。まさに色気の塊で、俺に酔いしれろと迫っていく。ご覧になった方が、あれを観てすごく惹かれるのはわかる気がします。ただ、トートの官能的な部分をどう出していったらいいか、まだ自分ではよくわかっていないんだと思います」と自己分析。しかしそれでも古川さんが演じると、どこか妖艶さを感じさせるのだから不思議だ。ちなみにご本人が色っぽさを感じる俳優は、目が印象的な人。「ちょっと見透かすじゃないですけれど…。ご本人はどこかミステリアスで、こちらはもっと知りたいと思わされる。少し何かを秘めたダークな感じというのかな」古川さんにもその要素を感じます、と伝えると「意識的にそれを醸し出せるようになれば、もっとガンガンいけるんですけれど…」と生真面目な一面をのぞかせた。「トートって、どこかナルシズムじゃないですけれど、俺に酔いしれろ、みたいなところがあるキャラクターだと思うんです。でも、意識的にやるのは自分に酔いしれているだけで、少し違うんじゃないかなと。僕は自分自身で音楽を作っていることもあって、どうしたら曲や歌詞が人の心に響くかを考えたりもします。でも、僕が音楽を聴いている時に、五感以上のものに触れる瞬間っていうのがあって、すごくハッピーな曲なのに泣けてくるみたいなことがあるんです。楽曲の中に何か作為的なものが見えてしまったら、たぶんそうなれないはずで…。両方のバランスをいい塩梅で表現できたら、その領域にたどり着けるのかな」官能を刺激する、古川雄大のこの役『エリザベート』2019年少女漫画から抜け出たような、妖艶で美しいトートに魅了される。ハプスブルク帝国最後の皇后・エリザベートと、彼女に魅了された黄泉の帝王“トート=死”との愛を、歴史になぞらえ描いた壮大なラブストーリー。古川さんは’12年に、エリザベートの息子・ルドルフ役で今作に初参加し、’19年にトート役に。この世のものとは思えない妖艶なトートは大きな話題に。写真提供:東宝演劇部『モーツァルト!』2018年不器用でピュアすぎるモーツァルトが痛々しく愛おしい。世界的音楽家、ヴォルフガング・モーツァルト。比類なき音楽の才能を持ちながら、遊び好きで人間的な一面を持つ彼の葛藤や、天才ゆえに家族や恋人にさえも理解されない苦悩や孤独を描き出す。’18年に初参加し、今回が2度目の主演。まっすぐにしか生きられない不器用なヴォルフガングの姿が切ない。4月8日から帝国劇場で上演。ヴォルフガングは山崎育三郎さんとのWキャスト。札幌、大阪公演も。写真提供:東宝演劇部ふるかわ・ゆうた1987年7月9日生まれ、長野県出身。2007年に俳優としてデビューし、翌年には音楽活動もスタート。数々のミュージカル作品のほか、近年は、連続テレビ小説『エール』ミュージックティーチャー・御手洗役など映像作品にも数々出演。コート¥453,000タートルネック¥120,000パンツ¥78,000(以上エルメネジルド ゼニア/ゼニア カスタマーサービス TEL:03・5114・5300)※『anan』2021年2月10日号より。写真・森山将人(TRIVAL)スタイリスト・森田晃嘉ヘア&メイク・カスヤユウスケ(addict_case)取材、文・望月リサ撮影協力・AWABEESBACKGROUNDS FACTORY(by anan編集部)
2021年02月09日