出会った女性がネタの源という横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、夏も温かいものを飲む健康的な女性、「ぽかぽかしている女」になりきり。冷えないための行動はおばあちゃんが見本!このあいだ、おばあちゃんに「なっちゃんの手は、いつも冷たいね」と言われて、“えっ!”と思ったことがありました。たしかに私のおばあちゃんは体温が高く、マッサージや指圧に行った時は施術をする人に「温かいですね」と褒められています。血液の検査を受けると、80代なのに「40代くらい」という結果だし、ここ数年、風邪をひいている姿を見たことがありません。しかも、カッカしているというよりも、ぽかぽかしていて触れると気持ちがいいし、自分だけではなく人も温めてくれる。そんな女性って、すごくいいなと思ったんです。おばあちゃんを見ていると、ちゃんと服を着込んだり、腹巻きをして体をしっかりと温めているし、夏でも温かい飲み物を飲んでいます。へそを出したファッションをしたり、かき氷を食べる姿は見たことがありません(笑)。モデルさんが氷抜きのドリンクを飲んだりするのは、“いつかぽかぽかしたおばあちゃんになるための準備だったんだな…”とさえ思えてきます!それに、毎日、しっかりと歩いているし、畑仕事をしていたりと体も動かしている。おばあちゃんから健康法を学ぶと間違いないなと思わずにいられません。まずは、簡単な柔軟体操を取り入れたり、手や足の指先をマッサージして、体をきちんと温めてみる。靴下をはいて寝るのも、冷えを防止できそうです。また、おばあちゃんを見ていると、血液によさそうな食材を取り入れているので、真似してみるのはどうでしょうか。血液がサラサラになるタマネギを食べたり、脂っこいものを減らしたり。ファストフードばかりを食べているおばあちゃんは多くないはずです(笑)。身近なおばあちゃんを参考にして、冷えない体を手に入れましょう~!よこさわ・なつこ芸人。『バイキング』(フジテレビ系)や『王様のブランチ』(TBS系)など、数多くのバラエティ番組にレギュラー出演している。著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。※『anan』2019年6月19日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2019年06月13日古今東西の英雄や武将、芸術家など著名人たち923人の死にざまを、淡々と綴った山田風太郎の大著『人間臨終図巻』。長く読み継がれてきた稀代の奇書を、さらに楽しむためのマンガが登場。それが、サメマチオさんの『追読人間臨終図巻』だ。「原作本との出合いは中学2年のとき。高校生のいとこの文化祭のバザーで、衝動買いしたんです」タイトルから、偉人たちの伝記を恭しくまとめたものだろうと想像していたサメさんは一読して面食らう。「“臨終”とあるから、厳粛に人の死を取り扱った、もの寂しげな語り口かと思いきや、誰がどう死んだかの描かれ方があまりにさらりとしていたので、期待をちゃぶ台返しされたような気分でした(笑)。でも、死は重いもの、というのがそもそもステレオタイプな見方だったのかもしれない。いい意味での軽さに、目が啓かされたところがありました」サメさんの死生観にも大きく影響した作品をマンガにするに当たっては、迷いもあったという。「原作の魅力は、風太郎節ともいうべき文章の面白さが大きいんですね。マンガ化するのにヘタに言葉を抜粋したら、その世界観が壊れてしまう。再構築するためのコンセプトが何か必要だろうと思いました」それを考えながら、生年の時系列で人物を並べ直しているうちに、紀元前から昭和まで、時代ごとにくくるスタイルを思いつく。「原作は没年齢でカテゴライズしているので、若くして活躍した人と晩成型とでは歴史に名を残す位置にひらきが出ます。年代順に並べたことで意外な発見も多かった。たとえば伊藤博文と沖田総司は3歳しか年が違わないんですよね。そうやって歴史的評価を併せ、年代順に組み替えてみると、本編の面白さとは違った“追読”の意味が出てくるなと。そうした副読本的な意識で描いているので、人物や事件の歴史的背景など原作にはない情報も入れています。追読版では原作とは異なる読後感になるだろうと思いましたが、それはそれ。私のマンガをきっかけに、原作に返ってほしいという気持ちがあるので」山田風太郎の遺稿などを参考に、裏話なども織り込むつもりだったが、「風太郎先生はボツ原稿や資料のメモ書きをほぼ遺していなかった。そのあっさり加減は、さすが人間臨終図巻の著者の面目躍如ですね(笑)」『追読人間臨終図巻』I写真資料なども駆使し、歴史的人物の顔は似せるように意識。文芸誌『読楽』に現在も連載中で、923人の完結までに15年を要するという大プロジェクトだ。徳間書店1500円©サメマチオ/徳間書店サメマチオマンガ家。2010年、第1回ネクスト大賞を受賞した『マチキネマ』で鮮烈デビュー。近著に、OLのはつみが、仕事で得た臨時収入で、プチ贅沢体験をする『はつみ道楽』(宙出版)※『anan』2019年6月19日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2019年06月12日栗本薫名義で主に小説を、中島梓名義では評論やエッセイなどを手がけ、生涯で400冊以上の著作を発表した。2019年はそんな彼女の没後10年、彼女の代表作にして世界最長の物語『グイン・サーガ』(正篇130巻、外伝22巻、著者の逝去により未完)誕生から40年という節目に当たる。その偉業や素顔を知れる2冊『世界でいちばん不幸で、いちばん幸福な少女』と『栗本薫と中島梓世界最長の物語を書いた人』が立て続けに刊行された。夫であり、元担当編集者で、天狼プロダクション代表。彼女の最大の理解者だった今岡清さんは、「ほかに類がないといえば、中島梓という人ほど類のない人はいないと思います」と振り返る。「1時間に400字詰め20枚の原稿を書き、ときには長編1冊を1週間足らずで仕上げました。それもSF、ファンタジー、ミステリー、時代小説、ハードボイルド、評論などジャンルも多岐にわたります。音楽に手を染めてからは、ミュージカルの挿入歌を含めれば恐らく400曲は作曲もしていたと思います。それだけを見れば希有な才能に恵まれた成功者に見えることでしょう。ところが、日常生活は精神的な葛藤にさいなまれ続けて、それから脱するために苦闘しているという人でもありました。成功者の評伝ではなく、私の奥さん、中島梓/栗本薫がこんな人であったという思い出を綴った本です」尽きない泉のような才能を持ちながら、日常生活では繊細すぎ、また摂食障害などに苦しんだ女性を、心から愛していたことが伝わってくる。里中高志さんは大学1年で『グイン・サーガ』に出合い、傾倒したそう。熱意で出版許可にこぎつけ、3年の月日をかけて取材、執筆した。「家族、同級生、元恋人、編集者、舞台関係者……各人の知る彼女の姿は、みな少しずつ違っています。その証言の数々と、膨大な著作からの引用を積み重ねるのは、広大な浜辺の砂から神殿を作っていくような、果てのない作業でした」なかでも、常に自分の居場所探しをしていたような孤独感を持ち続けたことに触れていたのは印象的だ。「これだけの時間を費やしても、まだまだ私が迫れなかった彼女の内なる宇宙があったかもしれませんが、それでも、いまの私にできた精一杯です。アンアンを読む若い女性たちにも、自らの夢を全力で追い求め、こんなにも濃密な人生を送った人がいたことを知ってほしいと思います。現実よりも美しい世界が、人々の想像の中に存在するのでは……。彼女はいつまでも、そんな夢見がちなすべての人たちの味方なのですから」ファンはもちろん、彼女を知らなかった人も、きっと夢中になるはず。敬愛する妻を見守り続けた夫からの長いラブレター。『世界でいちばん不幸で、いちばん幸福な少女』今岡 清共に暮らし始めたころから死別するまで、主に結婚生活について綴ったエッセイ。彼女の心の中の赤ちゃんを拾い上げ、ふたりで育てたような結婚だったと綴っている。早川書房1500円著者の生涯を知りたいならまずはこちらがおすすめ。『栗本薫と中島梓世界最長の物語を書いた人』里中高志幼少期から最晩年までを、時代の変遷とともに追う。母親に対する複雑な思いが創作や人生にどう影響したかなど知られざる一面に驚き、作品を読む目も変わるかも。早川書房1900円くりもと・かおる/なかじま・あずさ本名は今岡純代。1953年生まれ、東京都出身。早稲田大学卒業後、執筆活動に入る。他の代表作に『魔界水滸伝』(正伝20巻、外伝4巻)、ミステリー作品「伊集院大介」シリーズなど。2009年死去。※『anan』2019年6月12日号より。写真・中島慶子取材、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2019年06月11日デビュー作『どうにかなりそう』で、思春期の不器用な恋や性を大胆かつ繊細に描き、大きな反響を呼んだ岡藤真依さん。最新作の『少女のスカートはよくゆれる』でも官能的な世界観はそのままに、少女たちの抱える悩みや戸惑いにより深く入り込むような内容になっている。「今まで自分のマンガにメッセージ性を持たせるようなことは、あまり意識してこなかったんです。だけど今回は描き進めるうちに、私自身が昔許せなかったことや、目をつぶっていたことをあれこれ思い出して。あのときは何もわからなくて声を上げられなかったけど今なら言える、下手くそでもいいから伝えたいっていう強い欲求に駆られました」幼少期のトラウマで好きな人とセックスに踏み出せない女の子、脳性マヒで車椅子生活を送っているけれども普通に恋をしたい女の子、彼氏ができて“女の顔”になった親友にイラつく女の子…。登場する少女たちは心と体の成長がアンバランスで、自らの性を持て余している。「たとえば部屋からエッチな本が見つかって笑い話になるような男の子と違って、女の子の性はアンタッチャブルなところがあるじゃないですか。時期が来れば誰もが興味を持つことで、別に恥ずかしくも不自然でもないのに、女の子自身が罪悪感を抱いてしまうのはつらいですよね」障害者の恋や性というデリケートなテーマに挑戦しようと思ったのは、自らの無知による無意識の差別を正したかったからなのだとか。それは少女という存在に対して多くの人が抱きがちな幻想と、ある意味では同じなのかもしれない。しかし、悩んでいるのは少女だけではない。少女と呼ばれる時期が過ぎても女性であることから逃れられない絶望と希望を、岡藤さんは逃げずに描く。「心が発達していないうちから、性の対象に見られて嫌な思いをして、ようやく成熟した女性になったら『もう若くないから』と異性に無視されてしまう。結局大人になっても、自らの性を持て余している感じは変わらないのかもしれません」女として生まれたことを、いつか肯定できるように。彼女たちは傷つきながらも前を向いて生きていく。さまざまな悩みを抱えながら、自らの性と向き合う女性たちの短編集。少女マンガでさえもなかなか描かれない、思春期の少女の内面を繊細な筆致で描く。『少女のスカートはよくゆれる』さまざまな悩みを抱えながら、自らの性と向き合う女性たちの短編集。少女マンガでさえもなかなか描かれない、思春期の少女の内面を繊細な筆致で描く。太田出版1500円おかふじ・まいマンガ家、イラストレーター。思春期の少年少女の、未完成な性をモチーフにした作風で注目を集める。デビュー作『どうにかなりそう』(イースト・プレス)が発売中。©岡藤真依/太田出版※『anan』2019年6月12日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2019年06月08日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、過去の出来事に詳しい旅を楽しめる女になりきり。時代背景を知ることで、感動のレベルが変わる。今、もっと勉強しておけばよかったと思うのが歴史です。そもそも、歴史に詳しければカズレーザーさんみたいにクイズ番組などで活躍できたかもしれないのに…と、芸人としてやっておけばよかったとも思ったのですが、最近は旅行をした時にそう感じました。というのも、あまりにも知らなすぎて、京都に行った時は、「金閣寺を建てた人知ってる?」「足利の誰だっけ…」くらいの会話しかできない。新婚旅行でイタリアに行った時に、「こちらがメディチ家の~」と言われて、“世界史でやった気がする!”となったんですが、メディチ家が何なのかがわからず、「たしか、家族だった気がする…」としか言えなくて、すごく後悔したんです。学生時代には、“イタリアの歴史を覚えて何になるんだ。私は今を生きてるのに…!”とムカついていたけど、むしろ歴史こそが物事を考える時に役立つんじゃないかと後悔したし、学校では無駄なことは勉強しないんだと思いました。やっぱり、歴史的背景を知っていたほうが、“ここであんな事件が起こったんだ”と、より感動できますよね。メディチ家の長い渡り廊下も、“ここを通ってたんだ”と、もっとワクワクできたに違いありません。学生時代に歴史が得意だった人を思い出すと、興味を持って、ドラマの話を覚えるように勉強していた気がするんです。まずは、興味を持てるように、京都やペリーが来航した港など、歴史的な建造物や博物館を訪れてみて、突破口を開いてみるのがいいのではないでしょうか。大河ドラマや「大奥」のような作品を見るにも、時代背景がわかっていたほうが面白いはず。歴史は今を生きるのに必要なものだし、食わず嫌いで拒絶するのは、もったいないですよね。一歩、踏み出してみましょう~。よこさわ・なつこ芸人。『バイキング』(フジテレビ系)や『王様のブランチ』(TBS系)など、数多くのバラエティ番組にレギュラー出演している。著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。※『anan』2019年6月12日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2019年06月06日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「Brexit(ブレグジット)」です。「Brexit」とは、「Britain」と「Exit」を組み合わせた造語で、「イギリスのEU離脱」を指します。イギリスでは2016年6月の国民投票によってEUからの離脱が決まりました。しかし、EUに提示する具体的な離脱協定案がイギリス国内の議会で承認されず、混迷を極めています。当初の離脱期限は今年の3月でしたが、イギリス政府は2度にわたり、期限延長を申し出て、最大で今年の10月まで延期されることになりました。EU圏内から出るということは、欧州諸国に対して再び国境を作るということです。外国のモノには関税がかかります。これまで企業はEU圏内から優秀な人材を自由に雇えていましたが、ビザが必要になります。「Hard Brexit(合意なき離脱)」といい、条件が整わないまま離脱期限を迎えると、イギリスへの飛行機の乗り入れができなくなる事態も起こりえます。Brexitを受け、いま様々な外国企業がイギリスから撤退を表明しています。日本企業では、ホンダは2021年中にイギリス工場を閉鎖。日産はSUVの次期モデル生産計画を撤回。イギリス工場での高級ブランド車の生産も今年半ばに終了することに。トヨタは合意なき離脱の場合は撤退するとイギリス政府に伝えています。ソニーやパナソニックは欧州拠点をイギリスからオランダへ、みずほ証券や大和証券はドイツに構えることにしました。EU離脱を訴えた人々の中心は白人の貧困層。「移民のせいで、自分たちの仕事は奪われ、生活が苦しくなった。イギリス国内ですべてをまかなえば再び豊かな生活を取り戻せる」という主張です。しかし、現実にはイギリス経済は世界と切り離せない状態にありました。EU離脱が決まり、外国企業が撤退し、働き口はますます減少。モノは高くなり、この先、イギリス経済が落ち込むことは必至。国の財政が困窮すれば、貧困層を支える余力も失います。これは日本の未来像でもあります。ケアをしなければいけない国民の声に耳を傾けず、目先の利益追求を求めると、国民の不満の矛先は外国人に。しかし、どの国も、自国だけですべてまかなえる時代ではないのです。堀潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年6月12日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年06月05日自分の性が突如、変わってしまう。そんな究極の変化に向き合う主人公の心理をていねいに追っていく日暮キノコさんの『個人差ありマス』。とにかく先が気になるコミックだ。「こうした性転換モノは10代のラブコメ的な世界ではあるけれど、30代既婚の社会人が主人公のは見たことないぞ、好きなエロも織り込めるぞ、と気づきました(笑)。せっかくの週刊誌連載なので、頭で難しく考える前にやってみようと」100均チェーンの商品企画部で働く磯森晶と、2歳年上の妻・苑子は、結婚5年目ですでにどこか冷めた関係。それを寂しく思っていた晶は、ある晩、九死に一生を得る。同時に世界でもめずらしい〈異性化体質〉であることが判明。苑子のサポートで、化粧や下着など不慣れな「女性の日常」を始めるが、晶自身は、女ふたりで再出発することとなった結婚生活にも心が揺れていて…。ところが2巻では、さらに仰天の出来事が!夫婦という共同体に、セックスや子作りなど性の問題が、ますます複雑に立ちはだかる。ちなみに、LGBTをめぐる空気は実社会でも変わりつつあるものの、なおデリケートな問題。だが本書では、とても温かく描かれている。「性的マイノリティについて問題提起しようと始めたわけではなく、あくまでエンタメとして楽しんでもらえれば。理解があっても当事者の気持ちを完全に体現することはできないので、LGBTの方々と実際にお話しさせていただき、どういう表現なら失礼に当たらないかなど腐心しています。前向きな物語にしていきたいと思っています」その取材や、描くことを通してなお強くなった思いがある。「私自身、可愛い女の子とお食事して楽しくお話ししたいな、という気持ちもあるんですね。名前が付くほどの感情ではないけれど、男や女である前に『ひとりの人間じゃん』と思うし惹かれる相手に性別って関係ない。性別でくくって話されると逆に『一緒くたにしないで』と反発したくなることもあります。それくらい性は多種多様だし、個人差あります、なんじゃないかと思うんです」『個人差ありマス※』2脳出血から奇跡的に生還した32歳の磯森晶は、体が〈異性化〉してしまったことにとまどう。そのとき妻で作家の苑子は…。『モーニング』で連載中。講談社610円※マスはに斜線ひぐらし・きのこ神奈川県出身。別冊フレンド新人まんが大賞の佳作を受賞し、2005年にデビュー。少女誌で活躍した後、青年誌での初連載『喰う寝るふたり 住むふたり』が話題に。※『anan』2019年6月5日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2019年06月01日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「令和の時代」です。空気は変わっても、社会を変えるのは私たち自身の力で。元号が「令和」に変わり、約1か月がたちました。新しい元号発表のとき、予想以上に、気持ちが前に突き動かされるのを感じました。平成から令和に変わるときも、世間は年末年始のような盛り上がりでした。改元とともに、ガラリと空気が変わる。これが1300年以上続けられた元号の力なのだとあらためて思います。日本で最初に元号が定められたのは、645年の大化です。以降247回、改元されてきました。そもそも元号は、中国で、その国を治める権力の象徴として使われはじめ、中国の覇権拡張とともに、朝鮮半島や東南アジアの国々に広がりました。日本でも南北朝時代には、南朝と北朝が正統性の証としてそれぞれの元号を用いたことがあります。また、社会の空気を変えるために、災害や飢饉、良いことが続いたときにも改元してきました。明治維新以降は、一世一元。ひとりの天皇につきひとつの元号を用いることになりました。過去に一番長く使われた元号は「昭和」の64年。敗戦の折には、改元論や元号廃止論が起きました。ところが朝鮮戦争が勃発し、議論は立ち消え。昭和54年に初めて、元号についてのルールが法制度化されました。平成から令和への変化も、ほとんどの民間企業では西暦が使われているので、生活の実務には影響はなかったようですが、人々の気持ちをつなぐキーワードにはなっていると思います。令和になり、これから私たちはどういう時代を作っていくべきか?昭和は国民が政府の暴走を防げず、戦争を引き起こしてしまいました。平成は、経済成長一辺倒で、「人」を切り捨てていってしまいました。オウムなど凶悪な事件を生んだのも、個々人の居場所を失わせた社会背景があります。平成最後の統一地方選挙。女性議員が多く誕生したのは良いことですが、投票率は過去最低が相次ぎ、選挙が成り立たない無投票の自治体も多数ありました。「自分たちが社会を作る」という意識はまだ薄いです。時代が変われば自然と景気が良くなるという幻想は、改革に失敗した平成で打ち砕かれました。昭和や平成で積み残した課題を、令和でこそ取り戻したいですね。堀潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年6月5日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年05月29日定額支払いで物を購入したり、利用したりできる“サブスクリプション”。「普通に買うよりお得」といわれるけれど、どうお得なの?そんな疑問を持つモデルの柴田ひかりさんが、サブスクに詳しい、電通デジタル デジタルトランスフォーメーション部門 サービスマーケティング事業部長・安田裕美子さんに教えてもらいます!安田:柴田さんは、何かサブスクって使ってますか?柴田:正直サブスクが何か、いまいちわかっていないのですが、思い当たるのは、〈Apple Music〉と、あと〈乗換案内〉というアプリのプレミアサービスに、毎月いくらか支払っています。安田:その2つは典型的なサブスクのサービスですね。日本では2015年に、映画などのサブスクサービスの〈Netflix〉と、洋服借り放題サービスの〈エアークローゼット〉が始まったことが、ブレイクのきっかけだと思います。柴田:え!〈Netflix〉もサブスクなんですか?安田:はい。〈Hulu〉も〈Amazon Prime〉なんかもそうですね。柴田:私それ全部使ってます。安田:“ある期間ごとに定額で払う”ことで、“そのサービスを利用できる”というのは、サブスクなんですよ。ただこの辺りのデジタルサービスはサブスクが話題になる前からあり、無意識に使っている人のほうが多いかもしれませんね。柴田さんが使っている〈Apple Music〉もそうなんですが、幅広いコンテンツをリーズナブルな価格で楽しめる、というところは、サブスクの長所の一つだと思います。雑誌の〈dマガジン〉なんかもそうですね。柴田:〈Netflix〉は、800円で映像作品がいくらでも見られて、すごいなぁって思います。安田:しかも最近はオリジナルコンテンツも充実してきているので、そういう意味で、ますますお得だと思います。ちなみにエンタメ系のサブスクは、デジタル配信でのサービスなので、企業側もサブスクにしやすかったのですが、そのスタイルは、洋服やバッグ、家具などにも広がっていまして…。柴田:お洋服だと、〈メチャカリ〉とか、CMをよく見ます。安田:そうそう。あとバッグの定額利用の〈ラクサス〉とかもありますね。それは私も使っているのですが、毎月定額を払うことで、自分のものにはなりませんが、好きなアイテムを着たり、持ったり、使ったりできる。身軽に暮らせるというメリットもあります。柴田:これ、レンタル期間が決まっていたりするんですか?安田:サービスによって異なりますが、基本的には好きな期間借り続けられるところが多いですね。でも洋服もバッグも、買ったとしても5年10年ずーっとお気に入りのものって、少なくないですか?柴田:そうですね…。売っちゃったりもしますし…。安田:ですよね。でもそんなに高い値段で売れなかったりもするじゃないですか。そうすると、好きなものをいろいろ試せるほうが、お得かなって思うんです。その中で、好きなものに出合ったら、買えばいいわけですし。柴田:長い目で見ると、確かにお得かも…。あと正直私たちの世代は、素敵なものは使いたくても、所有欲ってあんまりなくて。そういうものを買うのにお金を使うなら、旅行とか、美味しいものを食べるとか、経験にお金を使いたいって気持ちが強いかもしれません。安田:サブスクって、まさにそういう世代に合うサービスな気がします。事実、18歳~20代の人たちに行った調査では、比較的高所得で好奇心旺盛な人たちがサブスクをよく利用している、という結果が出たんですよ。柴田:興味深い結果ですね。安田:あと、これはほとんどのサービスに言えるのですが、企業側からすると、サブスクは“売って終了”ではなく、顧客にサービスを使い続けてもらうビジネスモデルなんです。企業側は、使い続けてもらうことで顧客の利用状況のデータが蓄積されるので、AIを使いそのデータを分析でき、それによってお客さん一人一人に合った商品が提供できる、というサービスも。そのきめ細かさは現代のサブスクの特徴ですね。例えば@コスメがやっている〈BLOOMBOX〉というビューティアイテムの定額購入サービスがあるんですが、肌の悩みなどを登録できるので、それに合わせたアイテムを入れてくれたりも。そういうパーソナルなサービスは、これからどんどん増えてくると思います。ちなみに定額購入サービスも最近活発化していて、厳選された美味しいフードを定期的にお届け、みたいなものも人気です。柴田:わぁいいなぁ!食べるのが好きなので、すごく気になる!安田:いずれも定額より高いバリューの品揃えなのは当たり前で、さらにその道のプロが選んだ商品であるところも価値ですよね。自分で探す手間なく、最新だったり、厳選された品が届くというのも、最近のサブスクの特徴です。柴田:でも、一つ一つのサービスはそんなに高くないので、ついついあれこれ申し込んじゃって、結果、結構な出費に…ってことになりかねない気もします…。上手に使いこなすコツってありますか?安田:当たり前のことですが、申し込みのときには規約をちゃんと読むこと。例えばサービススタートが月頭の場合は、月半ばに申し込むと損をする、といったことがありますからね。それから、定期的に見直す日を作るのもいいと思います。月末でも月初でもいいですが、今使っているサービスは、自分に新しい何かをもたらしてくれているか、または本当に使いこなしているかを確認する日を作る。サブスクはどれもやめるのも再開も簡単ですから、必要ないなと思ったら一回やめてみる。定期的に冷静に判断することは大事だと思います。柴田:私まさにそれです。1つ、全然見ていない映像サービスがあるんですが、面倒くさくて解約してない…(笑)。見直します!やすた・ゆみこ(写真右)1998年電通入社、2016年より電通デジタル。大手企業を中心にマーケティングコミュニケーション戦略構築・実施に従事。現在はプロデューサーとして活躍。サブスクリプションサービスに詳しく、セミナー・寄稿実績多数。しばた・ひかり(写真左)1997年生まれ、神奈川県出身。様々なファッション誌や広告、イベントで活躍中。フォトグラファーとしての一面もあり、写真展なども開催。クリエイターとしても活動中。インスタグラムは@rkhtbs※『anan』2019年5月29日号より。写真・中島慶子取材、文・河野友紀(by anan編集部)
2019年05月26日アニメシリーズ「世界名作劇場」が好き、と聞いて納得した。時代や国がまったく異なる物語なのに、どこか懐かしい気持ちになるのも、そのことと関係あるのかもしれない。小さな世界を優しさという花で満たした子どもたち。「『アルプスの少女ハイジ』や『フランダースの犬』みたいに少年少女の日常が見えてくるような物語を、自分でも描いてみたかったんです」小日向まるこさんが新作『アルティストは花を踏まない』で舞台に選んだのは、第二次世界大戦前のフランスの小さな町。ひとつの大きな戦争が終わったあとに生まれ、さらに大きな戦争が起こることをまだ知らない少年少女たちの暮らしが、オムニバス形式で生き生きと描かれていく。「子どもたちが当たり前のように働いていた時代でもあるのですが、具体的な職業名があってもなくても、誰かのために小さな何かができる人のことをアルティスト(芸術家)と呼びたいと思いました」たとえばモモという少年は、職を失った父や、閉鎖に追い込まれたボウリング場の支配人のことを、得意な歌などで励ます。孤児院で育ち、郵便配達をしている少女リルは、処分するしかない差出人不明の手紙を、とある方法で救い出す。子どもらしい発想から生まれる、ささやかで純粋な優しさと、それを受け取る人たちに起こる変化を丁寧に描いた物語は、まるで一本の映画を観たあとのような味わい深い余韻を残す。「映画っぽい雰囲気というのは、実はかなり意識していて、背景を細かく描き込んだり、人物の立ち位置や光の当たる方向などもすべて決めているんです。音やにおいがしそうなくらい、すべてを絵で表現したい!と意気込んで描きました」心の声を表すモノローグや、説明的なナレーションは一切入れず、セリフも削れるところは1文字でも削るという徹底ぶり。さらにいうと、画材や画法を数話ごとに変えて、見せ方にこだわっている。「初めての雑誌連載だったこともあり、錚々たる先生方の作品に埋もれないよう、工夫した結果でした」試行錯誤を通して目指したのは、自身がマンガや映像作品からもらった元気や勇気を、物語を通して誰かに与えること。小日向さんもまた、現代のアルティストなのだろう。「大きな感動っていうのはそこまで目標にしていなくて、読んでくれた人の気分が少しでも上向いたり、背中を撫でてもらえたような感覚になったらいいなと思っています。小さな一歩が踏み出せるよう、その一歩をとても大切に描いたつもりです」『アルティストは花を踏まない』「やがて悲劇を迎える時代」に生まれた少年少女の友情や成長を、温かな眼差しと高い画力で描く。優しさに影を落とす差別や分断など、現代に通じるテーマも。小学館770円こひなた・まるこマンガ家。「もの」にまつわる物語を綴ったフルカラー短編集『ぼくの忘れ物』が電子書籍にて発売中。『ビッグコミック』で連載された本作が紙媒体デビューとなる。※『anan』2019年5月29日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2019年05月25日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「留学生失踪」です。留学生を経営難の私大の水増し要員にしてよいのか?東京福祉大学では、昨年度だけで約700人の留学生が所在不明となり、この3年間で不明者はおよそ1400人に上ることがわかり、問題になりました。正規の留学生には定員があり、試験に合格することが必須です。ところが同大学では2016年度から「研究生」という枠組みで募集、3年間に留学生の定員の約6倍、5700人が入学していました。なかには日本語が全くできない学生も。これにより学費収益は12億円増加。収益を上げるために、受け入れを拡大していた可能性があり、文科省で調査を進めています。少子化により、厳しい経営状態に追いやられている私立学校は増えています。日本私立学校振興・共済事業団によると、大学・短大を運営する660法人の17%・112法人が経営困難な状態であることが判明。そのうち21法人は経営改善をしないと2019年度末までに破綻する恐れが出てきています。昨年から、18歳人口が減少期に入っており、経営環境の悪化が懸念されています。これに対し留学生の数はうなぎ上り。日本学生支援機構によると、2018年5月時点で大学院、大学・短大、専門学校、日本語学校などの留学生は29万8980人。10年前と比べ約2.5倍に膨らんでいます。東京福祉大学の研究生枠は、日本に出稼ぎに来たい外国人にとって、簡単に受け入れてもらえる受け皿になっていたともいえます。ここまで極端でなくても、ほかの私学でも似たケースはあり得ると思います。最初は学ぶつもりで日本に来た留学生も、学費と生活費を稼ぐためにアルバイトに明け暮れ、そのうちに勉強する意欲を失い、学費も支払えなくなり、失踪してしまう。もしかしたら、人手不足のコンビニを支えているのは、こういう学生たちなのかもしれません。しかし、単に労働力のみを求めるのではなく、外国人の若者たちをどのように教育し、コミュニティの一員として機能してもらうかを真剣に考えなければなりません。政府はいま、大学教育の無償化を掲げていますが、経営能力もなく外国人で水増ししているような学校まで無償化となると、大学行政も根本から考え直す必要があると思います。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年5月29日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年05月24日「ずっと女の一代記を書いてみたかったんです。一人の人ではなく、立場の違う3人の人生について書きたいなと思っていました」窪美澄さんの話題の新作『トリニティ』は、1960年代に創刊された新雑誌編集部で出会う、3人の女性の人生を濃密に描く長編。50年前、出版社で出会った3人。生き方を模索した女性たちの物語。「女性が生まれ育ちに関係なく、才能があれば働いていける時代の始まりが、‘60年代くらいからという気がします」ただ、物語は現代から始まる。就職したが挫折した奈帆という若い女性が、祖母の知人で元ライターの登紀子から来し方を聞く。売れっ子だった登紀子、新雑誌の表紙挿画に大抜擢されたイラストレーターの妙子、編集部で雑務を担当したのち結婚退社した鈴子。出版社で出会った3人の人生がひもとかれていく。「登紀子や妙子は当時活躍された実在の方と重なる部分もありますが、小説に書いた人生は私の創作です。鈴子はフィクションの人物で、女性は24歳までに結婚しろという風潮があった時代、専業主婦を選んだ人も登場させたかったんです」鈴子が順調に家庭を築く一方、登紀子や妙子は忙殺されながらも仕事や恋や結婚、出産の何を選び優先するかという問題に直面する。「妙子は全部手に入れたがる自分に罪悪感を抱いている。今の女性はそうした罪悪感は薄いかもしれませんが、周りを見ると35歳前後で出産する女性が多くて。ある程度仕事ができるようになるまで子育てする気になれない状況があると思う。自分の人生自分で選んでいるつもりでも、時代ごとの社会的な要因に左右されているなと感じます」印象的なのはデモの場面。騒乱にまみれ、3人は男性たちへの不満を叫ぶ。「女を馬鹿にするな!」と。「編集者に“ここは女性たちの祝祭の夜にしてください”と言われて。私自身、今まで男性に馬鹿にされたといっぱい思い出して、かさぶたをめくられる気持ちでした(苦笑)」登紀子たちの苦悩は、今もあまり変わらないのかもしれない。でも、「彼女たちは、その後の女性たちが生きていく線路を少し敷いたと思う。奈帆という現代の女性を登場させたのは、そのバトンは繋がっていくんだ、と書きたかったからです」バトンはあなたにも渡されている。『トリニティ』 ‘60年代に出版社で出会った鈴子、登紀子、妙子の3人。仕事、恋、結婚、子育て―欲しいものを求めてあがき、生き抜いた彼女たちの人生とは。新潮社1700円くぼ・みすみ1965年生まれ。‘09年「ミクマリ」で女による女のためのR-18文学賞大賞受賞。‘11年『ふがいない僕は空を見た』で山本周五郎賞、‘12年『晴天の迷いクジラ』で山田風太郎賞受賞。※『anan』2019年5月29日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2019年05月23日出会った女性がネタの源という横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、コミュ力の高い駆け引きに長けた「ポイントをうまく使える女」になりきり。ポイントを貯める場所と使うタイミングを見極めて。いろいろなポイントカードを持っているのですが、貯めたポイントの使い方がよくわからず、“何のために貯めているんだろう?”という気持ちになることがあります。だから、賢く使っている人がいるんだろうなと思うと損した気持ちになると同時に、羨ましくなる。それに、ポイント使いが上手な人は、人とのコミュニケーションにおけるポイントの使い方にも長けているんじゃないかと思うんです。“貸し”ではないけど、何かをしてあげることで、その人に対するポイントが貯まる。相手の私へのポイントと比べた時に“私のほうが高いから、少しズルしても大丈夫かな”と、調整できるわけです。たとえば私の今のマネージャーさんは、オファーを受ける時に、「次はこうだと嬉しいです」と、後々のことを考えながら駆け引きをしていて、そのやり取りがいいなと思いました。また、前のマネージャーさんは、集合時間がギリギリの現場に行く時に、タクシーの運転手さんに「そんなに急がなくていいですけど、急げるんだったら急いでください」と言っていて。なんでそんな言い方をするのかと聞くと、「神様は見ているから、もっと急がなきゃいけない時に、そのカードを切りたい」と。そうしてポイントを貯め、いざという時に使う考え方が、すごく面白いと思いました。ポイントを貯めるには、ごひいき先を決めるとよさそうです。“ドラッグストアはここ”と決めて買う。すると貯まりやすいし、ポイントカードが無駄に増えることもありません。人も同様、上司など気になる人に絞ってポイントを貯めておくと、“結婚式で前日から休みたい”という時に、希望が通りやすかったりするかもしれません。貯めるポイントを見極めて、うまく使いましょう!よこさわ・なつこ芸人。『バイキング』(フジテレビ系)や『王様のブランチ』(TBS系)など、数多くのバラエティ番組にレギュラー出演している。著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。※『anan』2019年5月29日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2019年05月22日出会った女性がネタの源という横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、お肌のケアを怠らない皮膚科を頼る女性、「顔の吹き出物を放置しない女」になりきり。“ブツ”は疲れのサイン。しっかり治しましょう!私は“ブツ”と呼んでいるのですが、顔に吹き出物ができることって、誰しもあると思うんです。私はこれまで、面倒くさくて“放っておけば治るでしょ~”と、そのままにしておくタイプでした。でも、このあいだ、仕事のスタッフさんで、おでこに大きなブツができた人がいて、絆創膏のようなものを貼っていたんです。「本当は嫌だけど、貼ったほうが早く治るから」と話すのを聞いて、“ちゃんとケアをすると早く治って恥ずかしい期間が短くなるんだ”“クリームとか薬を塗れば治るのに、なぜ、我慢しているんだろう”と、今さらながらハッとさせられました。そもそも、顔は自分の看板みたいなものだからこそ大事にしなきゃいけないし、特に、口回りにできるブツは、健康状態が原因ともいわれています。そうして自分の印象を左右するものだから、自然治癒するまで放っておくのではなく、食事や生活リズムを見直し、しっかりとお手入れをして、治すことが必要だと思いました。そんなふうに肌を大事にする人の中には、定期的に皮膚科に通っている人も多いはず。お医者さんに処方してもらった薬のほうが早く治ることが多いし、顔の皮膚に合った刺激の少ない薬をもらえたりと、いいことがたくさん。ビタミン剤を処方してくれるなど、肌のことをさまざまな角度からサポートしてくれるところもあります。そんな皮膚科に頼らない手はないですよね。肌への意識を高めるためには、基本ですが、ちゃんと化粧を落としてから寝るようにする。また、“お肌のために生きる週間”を作り、その期間はお酒を減らしたり、夜中のラーメンをやめるなど努力してみるのもよさそう。顔のブツは、体が疲れている証拠。いたわって、早く治してあげましょう!よこさわ・なつこ芸人。『バイキング』(フジテレビ系)や『王様のブランチ』(TBS系)など、数多くのバラエティ番組にレギュラー出演している。著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。※『anan』2019年5月22日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2019年05月21日「大人になってからもいろんな“はじめて”は起こり続けるんだ、と気づきまして。嬉しいことも、そうでないことも、胸を揺さぶられる“はじめて”には、その出来事を通して自分が少しずつ育ってゆく前向きな響きがあるように感じたんです」大人の女性に訪れる“はじめて”に切なさが止まらない!大人の女性が出逢う“はじめて”をテーマにした連作集を描こうと思ったきっかけを、谷川史子さんはこう語る。たしかに年齢を重ねて、わかったつもりになっていても、“はじめて”は思いがけないところからやってきて、大人げなくときめいたり、動揺したりしてしまうもの。3巻までに描かれてきたのは、結婚に踏み切れない女性や、自分以外の人と仲良くしている親友に嫉妬する女性、そして谷川さんが「離れる読者の方がいることも覚悟した」と打ち明ける、妻子ある人を好きになってしまった女性など。最新刊では、同級生に10年間も片思いしている女性と、恋愛に縁遠い女性が登場する。「後者は“遅れてきた初恋”がテーマです。年齢的には35歳と十分大人で、思慮や理性や自信のなさで身動きの取れないヒロインなのですが、甘酸っぱい感情に首まで浸からせたいと思って描きました」いろんな読者に「この子、自分に近いかも」と思ってもらえるよう、幅のあるキャラクターを心がけているというだけあって、登場する女性たちの恋愛や人生に対する価値観はさまざま。別の回で脇役として出てきた人が、ヒロインとして再登場したりして(逆もしかり)、すぐそばにいる人のまったく違う物語を楽しめるのも、連作集だからこそ。「改めて振り返ると、ひとりひとり誰にでも大切にしたい人生がある、ということを描きたいのかなと思います。小さな出来事や事柄に心惹かれることが多いのですが、それをひとつのお話に仕上げるのに短編は向いていて、連作集はそのバリエーションだと感じます。短編を多く描くと型みたいなものができて、既視感のある展開になりがちなのが難しいのですが、『この人とこの人が友人だった』などと設定すると、描いた本人なのに、世界は広くて狭い!と感心できたりして楽しいですね」谷川作品の真骨頂といえる“切なさ”と“はじめて”の親和性の高さにしみじみ。日々のささやかな“はじめて”を大切にしたくなるはず。『はじめてのひと』“はじめて”をめぐるシリーズ連載。4巻では、以前からチラチラ登場しているお堅いイメージの博物館職員・北別府さんが主人公に。意外な素顔がかわいすぎ!集英社440円たにかわ・ふみこ1986年デビュー。『おひとり様物語』(既刊8巻)を『Kiss』で連載中。今秋、都内で原画展を開催予定。詳細は本作連載中の『ココハナ』のTwitterなどで告知します。※『anan』2019年5月22日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2019年05月21日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「景気回復」です。景気実感を得るには、新しい仕事を自分で生み出さないと。政府は、4月の月例経済報告にて、「輸出や生産の一部に弱さも見られるが、緩やかに回復している」と発表。日銀が発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、企業の業況判断指数が、大企業・製造業でプラス12。昨年12月から7ポイント悪化しています。景気の問題が頻繁に取り上げられている理由は、豊かさがなかなか実感できず、不安感が広がっているからです。実質賃金は横ばいかやや下降が続いています。安倍政権はデフレから脱却するため、物価を上げたいと思っていますが、日銀が設定した2%の物価上昇率は達成されず、賃金は下降。世界的に、原材料や資材価格は高騰。人手不足で人件費も上がり、企業は収益を給与に反映できずにいます。このまま進むと、賃金は上がらないにもかかわらず、物価は上昇する「スタグフレーション」という最悪の事態を引き起こしかねません。しかし、企業からすれば、リーマンショックのように突発的に景気が悪くなることに備え、資金を会社に留保しておきたいのです。空前の人手不足だから、そのうち賃金も上がるだろうと楽観視する人もいますが、日本はこの春から外国人材の受け入れを拡大しています。日本に働きに来る外国人が増えれば、賃金が抑えられた状況は続くでしょう。いま、景気を底上げしているのは、株や為替など金融資産を持つ人たちです。金融取引により蓄財を増やしていますが、それができる人は一部。SMBCコンシューマーファイナンスの意識調査によると、30~40代で貯蓄額が0万円の人は23.1%。1万~50万円の人が24.6%。約半数の人たちが、投資を始める余裕がありません。与野党も、納めた税金が社会保障として還元される仕組みを作ろうと言っていますが、具体策は見えてきません。私たちが実感を得られるような景気回復は、待っていても起こりません。誰も気づいていないニーズを掘り起こし、新しい仕事を開拓していかないと厳しいでしょう。一つの勤め先だけに頼るのではなく、あちらこちらで仕事をしていく。一人一人が自分自身で新たな付加価値を生み出す、創造的な働き方が求められています。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年5月22日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年05月17日怪談専門文芸誌『幽』で連載されていた作品を中心に、書き下ろしなどを加えた8編を収録。どれもぞくっとさせられる怖いお話でもあるけれど、その恐怖の源流は、霊魂や呪詛などではなく、もっと日常に横たわっている“ふつう”のものではないか。そんな気持ちにさせられるのが、『くらやみガールズトーク』だ。女性たちが人生で感じてきた違和感。突き詰めたら、ホラーな社会でした。著者は、『わたし、定時で帰ります。』で話題の朱野帰子さん。「有名な幽霊話といえば、四谷怪談や番町皿屋敷…、女性が化けるお話が多いですよね。考えてみれば、どの時代でも虐げられてしまうのが女性。そのどろどろとした暗い思いをストレートに吐き出せば、怖い物語になると思っていました。ただ、それがジェンダーの問題とつながったことに、私もちょっと驚きました」女の子らしさや娘らしさの呪縛に囚われた女性の物語「鏡の男」や、結婚したら妻が夫の名字に変わるのが普通だと言う夫や家族、社会の価値観に苦しむ「花嫁衣装」などにそういった面が表れる。「私自身は、男女ともに就職氷河期に見舞われた世代。そもそも差別されていることで被害者のようにふるまうことにも抵抗があります。けれど、これまで疑問に思いながらも、妥協してきた部分や抑圧してきた部分が意外にあったのだな、孤独だったなという気持ちが、書きながらわき上がってきたんですね。実際、女性の方が就職、結婚、出産とライフステージの変化も、それに合わせて変わるよう強いられることも多い。それだけに澱も溜まるのかなと」だが、ヒロインたちのダークな心情がつぶさに描かれながら、各編の最後には小さな希望が灯るような読後感が本書の魅力だ。なかでも、朱野さん自身の出産体験を元に書かれた一編「獣の夜」は、主人公が人間から離れていくほどに崇高さを備えていくようで、揺さぶられる。「実際に産んで育ててみると、自分が自然の一部になって、もう死んで土に還ったみたいな、命は次に移ったみたいな感覚になったんですよね。死が悪い意味で出てくる箇所もありますが、死ぬって、一度それまでの自分を全部捨てて楽になるという変化もあると思うんです」暗闇を抱えていたっていいんだよと、がんばっている女性たちを慰撫してくれるような短編集だ。『くらやみガールズトーク』嫉妬、コンプレックス、憎悪など、自分の黒い本音をのぞき見た女性たちが、ふと気持ちを切り替える瞬間を描く。共感たっぷりの8編。KADOKAWA1400円あけの・かえるこ2009年、『マタタビ潔子の猫魂』でダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞。現在放送中のドラマ原作『わたし、定時で帰ります。』の続刊『わたし、定時で帰ります。ハイパー』も好評。※『anan』2019年5月22日号より。写真・土佐麻理子(朱野さん)中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2019年05月16日子どもから大人まで幅広い人々を魅了する、当代一流の絵本作家のひとり、ヨシタケシンスケさん。ゆるかわな絵のタッチも、思いがけない角度から切り込む発想も、親近感が湧いて愛でずにはいられないヨシタケさんの絵本たち。このたび、著者初となるイラストエッセイ集『思わず考えちゃう』が刊行された。ゆるかわスケッチとエッセイの中に、新感覚のヨシタケ流哲学が見え隠れ。「講演会などで、“常日頃から手帳に描いているスケッチを、手元カメラでスクリーンに映し出してもらい、そのイラストに対してコメントする”というようなことをよくやっていたんです。それをテーマごとにまとめてみたのがこの本です」だが、イラストのほっこり加減とは裏腹に、コペルニクス的転回が起きそうな鋭い名アドバイスが並んでいる。やる気を出す方法として〈もう明日やるよ。すごくやるよ。っていう言葉を三回唱えてから寝る〉。仕事に対して〈できないことをそのままにするっていう覚悟の決め方(略)もあるんじゃないか〉等々、目からウロコ。「いまの社会でメジャーな前向きな考え方やものの言い方にこそ、やる気を鼓舞される方もいると思うんです。ただ、7~8割の人がそう考えていても、2~3割の人はきっとそう思えなくて、世の中の隅っこで悶々としている。じゃあ、陽が当たらない意見側の僕みたいな人間は、どんな言葉ならほっとするのだろう。やる気が出るのだろう。そんな自分に対する言い訳や負け惜しみを集めた本でもあって(笑)。もしこれを読んで救われたとか共感したと思う誰かがいるのならそれはうれしいし、何よりそう描くことで、僕自身が救われたいんだと思いますね」日常のスケッチを始めたのは大学時代。社会人1年目に、ノートを手のひらサイズのシステム手帳に変更して以来、こつこつ描き溜めたものがすでに約80冊ある。コピックというサインペンの0.3mmを愛用。できあがりの絵のサイズは数cm四方と、驚くほど小さい。「“描いておかないと忘れてしまいそうなくらいどうでもいいこと”が、何を描くかの基準のひとつです。自分の気分を盛り上げるためだけに描いていたものが、他の人にも喜んでもらえるというのは不思議な感覚。人生何があるかわからないものだなあと、我ながら面白いです」『思わず考えちゃう』どうでもいいことの中にその人らしさは宿り、ときに哲学も生まれる。イラスト100点以上収録、描き下ろしのスケッチ解説エッセイ付き。新潮社1000円1973年、神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。絵本デビュー作『りんごかもしれない』で一躍注目を集め、話題に。MOE絵本屋さん大賞第1位をはじめ、受賞歴多数。※『anan』2019年5月15日号より。写真・土佐麻理子(ヨシタケさん)中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2019年05月12日あなたは、“母親”についてどれだけのことを知っているだろうか?生まれたときから身近に感じていたら、感覚的には知っているつもりになるかもしれない。でも、パーソナルな情報を思い出そうとすると、実はあやふや…。その“母親”についての知識を直球で問うのが『母の日テスト Dear Mom』である。いちばん近くにいた人と“文字”を介して、再び出会う日。昨年、「母の日」をまえに、西武・そごうが公式サイトで公開した「全国一斉母の日テスト」の動画が話題となった。母親に関する100の質問と、その解答への母親からのコメントのやりとりは、温かな笑いと感動を生んだ。そのテストをもとに作られたのがこの本である。設問は、「あなたの母の年齢」から、「あなたの母がじつは好きだったアイドル」など、事実から母の胸中まで、実に幅広い。答えているうちに、そもそも聞いたこともなかったり、いかに知らないことが多いかと呆然とする人も続出するだろう。それと同時に、親子の会話の多くが、親から子への問いかけと子から親への社会への疑問で成立していたことにも気づくかもしれない。この本の楽しみは、自分で書き込むことはもとより、母親による答え合わせで倍となる。昨年の例をみると、そこには、甘い採点や、容赦ないコメント、思いがけない突っ込みも…。文字を介すると、独自の愛情表現がにじむような余白が生まれる。書籍化にあたり、自由に書ける往復書簡や質問項目もプラス。コミュニケーションツールとして、より深く踏み込める作りとなっている。再び手元に戻ってきたときには、自分の知らなかった一人の人間としての“母”が浮かび上がるだろう。今年は、5月12日が「母の日」だ。今更、深く語り合うのが照れくさい人ほど、この本を使ってみてはどうだろうか。互いに書き上げる過程や、世界で一冊のこの本が完成した瞬間から、相手への新たな問いかけや、答えが生まれる。そこから、また新たな母の日の物語が始まっていく。『母の日テストDear Mom』100の質問のほか、母との思い出を振り返ったり、これからを考えるページもあり完成が楽しみになる。カバーはメッセージカード付き。祥伝社1500円※『anan』2019年5月15日号より。写真・中島慶子(by anan編集部)
2019年05月11日ダンス&ボーカルグループ・EXILEのメインボーカルTAKAHIROが11日、主演映画『僕に、会いたかった』(5月10日公開)の公開記念舞台挨拶に、松坂慶子、山口まゆ、柴田杏花、秋山真太郎、錦織良成監督と共に登場した。同作は、島で一二を争う凄腕の漁師の主人公・池田徹(TAKAHIRO)が、とある事故をきっかけに記憶を失い、島の人々の優しさに触れるうちに、新しい自分を見つけ出す家族の絆と再生を描く感動の物語。島根県隠岐の島を舞台にした作品を多く手がける錦織良成監督がメガホンを取り、劇団EXILE所属の秋山真太郎が、プロデューサー兼共同脚本を務める。TAKAHIROは、母親役の松坂に手を伸ばし、エスコートしてステージへ。「ジェントルマンなんで!」と胸を張った。松坂は「こんな素敵な息子の母ということで、どきどきしちゃうんですけど、隠岐島に入り、日に焼けて無精髭もはやして、精悍な漁師さんになられてて、びっくりしました」と撮影を振り返った。また「誰とこの作品を見たいか」と聞かれた山口に、「彼氏?」とジョークを飛ばすTAKAHIROだが、山口が「彼氏ですかね」と乗っかると、「お父さん、許さないぞ!」とご立腹。さらに柴田の衣装には「島にはここまで背中の空いてる子いないですね」とつっこみ、「風邪ひかないでね」と心配する。TAKAHIROは、島留学生役の2人に「心配なんですよ、布は。これから夏ですし、あんまり布が少なくなってくると、露出が増えるので、できるだけ布は使って欲しい」と渋い顔。「全体の舞台挨拶の時は背中に思いっきり穴が空いていたので、洋服買ってあげないとなと思って。親心がすごくあふれ出します」と愛を見せていた。さらに、イベントの翌日が「母の日」のため、TAKAHIROから松坂へサプライズでカーネーションの花束をプレゼント。「これからも息子でいさせて欲しいという一心で!」というTAKAHIROは、松坂と熱いハグを交わす。松坂は「すごい! ありがとうございます。感激です」と喜び、降壇時もTAKAHIROからのエスコートを受けていた。
2019年05月11日小学生や中学生のときに、誰もが経験したであろう合唱。しかしながら思春期には特に気恥ずかしさも手伝って、その魅力がわからずじまいだった人も意外と多いのでは。漫画『はしっこアンサンブル』2について、作者の木尾士目さんにお話を聞きました。工業高校×合唱、悩めるキミよ、歌でつながろう!「実を言うと、私もやりたくないです(笑)。声を出すのも恥ずかしいし、下手くそなのを聞かれるのを想像するだけで恥ずかしい。でもそういうコンプレックスを仲間となら越えていけるという構図が、合唱はとても作りやすいんですよね」主人公・藤吉晃は、作者の木尾さんと同様、低い声にコンプレックスを抱いている。工業高校に進学したのも、声を使わなくてもいい仕事に就けることを期待したから。声のせいで性格自体も引っ込み思案なのだが、その独特な声を熱烈に称賛したのが、合唱部を作ろうと意気込む同級生の木村仁だった。「工業高校を舞台にしたのは、単純に男声合唱をやりたいので、男が多い舞台が必要だったのと、もうひとつは理系的なアプローチがしたかったから。声を出す、歌う、ハモるといった行為を理屈で説明できれば、私のようなひねくれた人間でも納得できるのではないかと考えました」合唱が好きすぎて周囲から浮いている木村が、その理系的アプローチの役割を担っているのだが、合唱の魅力や声の出る仕組みを情熱的に説明する姿に、藤吉のみならず読み手も思わず引き込まれてしまう。またマイクを自作したり、ちぎれたコードをハンダづけしたりなど、工業高校ならではの小ネタも。2巻までは、部の前身となる同好会を作るため、メンバー集めに奔走する様子がメインに描かれるのだが、常にケンカ腰な金髪ヤンキーや、ピアノを挫折した不器用な女子など、前途多難な雰囲気たっぷりの個性的な面々。「行き当たりばったりなところもあるのですが、こういうライブ感でキャラが入り乱れるのが、木尾士目の一番おいしいところなんですよ、たぶん(笑)。キャラが出そろって、ようやく面白くなってきてくれたかな、と正直ホッとしています」名曲が数々登場し、歌声が聞こえてきそうな音楽シーンも見どころ。「今後は部に昇格するための実績作りとして、コンクールや演奏会に参加するようになっていきます」ついに本格的(?)に始動する同好会。その行く末を見届けよう。『はしっこアンサンブル』2リアルな工業高校の日常と、合唱に挑戦するはみだし者たち。不登校、虐待、親の過度な期待など、さまざまな問題を抱えた高校生が歌でつながる青春物語。講談社648円きお・しもく1994年「点の領域」でアフタヌーン四季賞を受賞してデビュー。主な作品に『四年生』『五年生』『げんしけん』など。『はしっこアンサンブル』3巻は夏に発売予定。※『anan』2019年5月15日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2019年05月09日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「薬物依存症」です。徹底した警鐘と、依存症者には支援。この両輪が必要。著名人が麻薬取締法違反容疑で逮捕、起訴されるニュースが流れました。最も急務なのは、どういう経路でコカインや大麻を入手したのかを解き明かすことでしょう。また、社会的責任を負う立場であるのに、やめられなかったのはなぜか?どんな気持ちで続けていたのか?そこに目を向けることが大事だと思います。主に南米で採取されているコカインの原料は、希少性が高いことから、世界的に高価で取引されており、セレブのドラッグと呼ばれています。アメリカでは、トランプ大統領が不法移民を入国させないために壁の建設に固執したり、すでに入国している不法移民の子供を本国に強制送還するなど、厳しい措置をとっていますが、アメリカを目指す移民のほとんどは中南米からです。麻薬カルテルが横行して自国の治安が悪化し、安定した職を得られない、安心して暮らせないので、やむを得ずアメリカに逃げようとしているのです。その麻薬を実際に買っているのは先進国の人たち。つまり、日本でコカインや大麻を使用することは、中南米の人たちの平和な生活を脅かす一因になっているかもしれないのです。売人は心の隙間を狙い、日常に簡単に入り込もうとします。パチンコ店の入り口で張り込み声をかけ、主婦が軽い気持ちで使ってしまい抜けられなくなるというケースも多くあります。誰にも相談できず、金もなく困っているところに、「客を連れてきたら分けてやる」と、芋づる式に団地ごと汚染させようとした売人も。依存性の高い薬物は、自分を傷つけるだけでなく、家族や友人、周囲にも影響を及ぼしますから、絶対に手を出してはいけません。違法薬物の怖さを徹底的に伝える一方で、依存症になってしまった人に対しては糾弾ではなく、立ち直りの支援が必要です。各都道府県には、「精神保健福祉センター」があり、ここでは警察に通報することなく、薬物依存症の人や家族の相談に乗ってくれます。また、NPO法人「東京ダルク」では、薬物依存に苦しむ人の回復支援を行っています。他人事ではありませんから、違法薬物に対する正しい知識を持つことも必要なのかもしれません。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年5月15日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年05月09日女優の松坂慶子(66)が5月7日公開の日清食品・袋麺シリーズ新CMに出演した。3月まで放送されていたNHK朝ドラ「まんぷく」で安藤サクラ(33)演じる立花福子の母・今井鈴役として出演し人気となった松坂は、CMでも天真爛漫な“おばあちゃん”役に。さらに孫役として同じく「まんぷく」に出演した深川麻衣(28)、二宮輝生(12)、三宅希空(10)が起用。“まんぷく尽くし”のCMは、早くもネットで話題を呼んでいる。日清の袋麺シリーズといえば「チキンラーメン」「出前一丁」「日清焼そば」でお馴染み。CMで松坂はそれぞれの袋麺を美味しそうに食べる孫たちに「おいしいのは、一口目だけよ」「ごまラー油が手に付くやない」「歯に青のりが付くからいや」といったイジワルな反応をしてみせる。しかし結局おなかが鳴ってしまい、“てへぺろ”を照れ隠しに披露。最後には空っぽになった皿やラーメン鉢を前に、みんなで「あ~、まんぷく!」と満足そうに声を揃える。各メディアによると松坂は、今回のCM出演について「こういう役どころも、板についてきたかなと実感しています」とコメントを寄せたという。Twitterでも《鈴さんそのものじゃないですか 好き~》《鈴さん再来!これは日清さん、やってくれましたね!最後に「まんぷく」という台詞を言うのもいい》《素敵なCMありがとうございます。なんかこの4人に会えたのが嬉しくて涙出ました》と喜ぶ声が上がった。松坂といえば79年のドラマ「水中花」(TBS系)に出演し、ドラマ主題歌「愛の水中花」も歌唱。セクシーな歌声で大ヒットを記録し、以降も色気を発揮する役柄が続いた。しかし近年はチャーミングで魅力的な大人の女性役を務め、評判を呼んでいる。10年の朝ドラ「ゲゲゲの女房」(NHK総合)で演じた貸本屋の店主・田中美智子は、その暖かな人柄が評判だった。「まんぷく」の鈴も魅力的で、「私は武士の娘です!」という台詞は視聴者に強い印象を残した。しかしがどこかお騒がせな役どころであり、ときに“うざ可愛い”と評されることも。そんな鈴を演じることに当初、松坂は苦戦したという。「松坂さんにとって鈴はコミカル過ぎたようで、『面白さはわかるけど、どう演じれば……』と悩んだそうです。しかし松坂さんは制作側から渡された関西弁の方言指導の音源を聞いて猛特訓することで、大阪の女性がどういった気質であるかを理解。そうすることで、次第にキャラが開花していったといいます。見事キャラは大ハマリとなり、放送後にはNHK大阪放送局の局長も『最後までドラマを引っ張っていただいた』と大絶賛するほどでした」(ドラマ制作関係者)「まんぷく」で新たなファンを獲得した松坂。“アラ70”となり、その魅力は増すばかりだ。
2019年05月07日幻想的でありながら、リアルな手触りを感じる世界を描き出し、デビュー時から高い評価を得ていた金子薫さん。『壺中に天あり獣あり』の主人公は〈言葉によって造られる迷宮のなか〉を彷徨っている光。光が幽閉されているのは、廊下の延長も無限なら部屋の数も無限だという、極めて広大なホテルのような場所だ。迷宮から脱出する希望を持ってはいけないと自らを戒めつつ、同時に希望を抱いて行動してしまう。そんな矛盾のスパイラルが永遠に続くかと思われた矢先、光は10階建ての有限のホテルが建っているホールに足を踏み入れる。「観念的、抽象的に書いてしまう部分もあるけれど、物や場所、手作業をするときの体の動かし方などは、『そこにある』と自分で信じられるくらい具体的に細かく描写します。実在していなくても、言葉を積み重ねてそこに一つの世界を作ってみようというのは、僕の思考の型みたいなもの。ホテルの中にホテルがあるということを思いついたときに、やっと、これで最後まで書けるかなと」無機質で均質な空間が、無限を連想させると感じた、と金子さん。「頭の隅には、数学者のヒルベルトが考えた無限ホテルのパラドックス(無限ホテルに“満室”の札があっても、1号室の客を2号室に、2号室の客を4号室に、n号室の客を2n号室に、という具合に移動させれば、無限に奇数号の部屋が空き、新たに無限の客を泊められることになる)がありました。思えばカフカの『失踪者』でも、主人公はアメリカを放浪し、ホテルに職を得ています」光は、無限の迷宮の存在を忘れるためにこのホテルを切り盛りし、全知の世界を構築しようと考えるが…。「光のそういう感覚は、僕もよくわかります。何でも作っているとき、計画しているときがいちばん楽しくて、実現してしまえば、そこにとどまることはできない。また次の夢を見てしまうものじゃないでしょうか。僕にとっては小説の執筆もそう」独特の作風は、誰からの影響なのか。好きな作家を尋ねると、「高校時代に中島らもとか好きでした。最近『裸のランチ』を再読したらすごく面白くて。あの頃、バロウズやケルアックに入れ込んでたのを思い出しました。僕の作品とはあまり結びつきませんね(笑)」かねこ・かおる1990年、神奈川県生まれ。2014年に『アルタッドに捧ぐ』で文藝賞を受賞し、デビュー。’18年に『わたくし、つまりnobody賞』、および『双子は驢馬に跨がって』で野間文芸新人賞を受賞。『壺中に天あり獣あり』美酒佳肴にあふれた、現世の別世界を意味する「壺中の天地」。その言葉と連接する美しい世界が、著者の緻密な描写によって眼前にそびえ立つ。講談社1600円※『anan』2019年5月1日-8日合併号より。写真・土佐麻理子(金子さん)中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2019年05月04日令和へと持ち越された、眞子さまと小室圭さんのご結婚延期問題。タレントでエッセイストの小島慶子さんは、お二人の結婚に「賛成」だという。その理由とは?■報道を見る限り、もしかしたら小室さんは、多くの国民が諸手を挙げてお祝いできるお相手ではないのかもしれません。だけど、望ましい結婚の形でないとしても、本人が幸せであれば、それでいいと思うのです。もとよりひとりの人間として、眞子さまには「結婚に失敗する自由と権利」もあるのではないでしょうか。私は、眞子さまが、ご自分とお相手の方の意志のみでご結婚なさるということには賛成です。当人同士が思い合っているのであれば、その合意のみで結婚する権利があります。家族であっても止めることはできません。たとえ「結婚後に苦労しそうだな」と周りが思ったとしても……。象徴天皇制のもとでは、天皇の基本的人権が制限を受けるという考え方がありますが、眞子さまは結婚されれば皇籍を離れるお立場ですし、お相手も一般の方。人権の制限は最小限に留まると考えてよいのではないでしょうか。日本の国民にはどこか「象徴天皇制のもと、税金で生活しているのだから、皇族は国民が納得する生活をしなければならない。ご結婚相手もふさわしい人を選ばなければならない」という考えがあるように思われます。しかし、「象徴」とはそもそも何なのでしょうか?社会の皇室へのまなざしが変わり、皇族自身が生き方を模索されるようになっているにもかかわらず、国民が象徴としての今の皇室に何を求めるべきか、ほとんど議論されてこなかったのではないでしょうか。皇室をめぐる報道において、メディアは「家族の問題」として報道し、論じてきました。たとえば雅子さまについて言えば、外交の第一線でキャリアを積んできた女性が、結婚を機に皇太子妃となり、深刻な不調から適応障害に……。それは国民から見て「現代女性の葛藤の象徴」でもありました。新しい時代の皇室は、これまでよりも「個人」を尊重されていいと私は思います。秋篠宮さまが悠仁さまの学校としてお茶の水女子大学の附属校を選ばれたのは興味深いことです。皇族教育の伝統がある学習院を離れ、しがらみなく民主的な学風のお茶の水で学ばれる悠仁さま。成長されるにつれ、将来の天皇であるご自身には職業選択の自由もなく、制約だらけの人生であることに強い疑問を抱かれることもあるでしょう。時代が変わりゆく中で皇室を存続させるために、秋篠宮さまがあえてその選択をされたということでしょうか。「眞子さまは皇族として世の中の期待に応えるべき」なのか。それとも「ご自身の意志で自由な選択をすべき」なのか。象徴としての皇室に「現代の家族の形」をみるのであれば、親が苦渋の中で我が子に失敗する自由を与えるという、自立した親子の関係を選んでもよいのではないかと思うのです。
2019年05月04日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「コンビニの時短営業」です。コンビニの問題から自身の働き方もぜひ振り返ってみて。セブン‐イレブンの東大阪南上小阪店が、スタッフを確保できず夜中の営業を中断したところ、本部から契約解除と違約金1700万円を請求されました。メディアで問題視され、請求はすぐに取り下げられましたが、コンビニエンスストアの時短営業について、各所で議論されるようになりました。現在、コンビニスタッフの人手不足は深刻な問題になっています。結果、オーナー家族に負荷がかかり、心身を壊すという事態が起きているのです。いまやコンビニは、モノを売るだけの場所ではありません。ATMがあり、公共料金の支払いや宅配便の窓口でもあり、各種チケットの発券、コピーやプリンターなど行えることは多岐にわたります。地方では、夜間の町の防犯の意味でも大事な存在になっています。とても便利で私たちの生活は助けられていますが、本当に24時間営業が必要なのかどうか。ヨーロッパなどで、ほとんどの店が日が暮れたら閉まる光景を目にすると、日本の経済活動の過剰さを痛感します。24時間店を開けるということは、商品や電力、資源もそのぶん消費しているということです。ローソンの統計によると、2017年度の売れ残り食品は1店舗あたり1日9.2kgでした。食品廃棄物のうち40%以上はリサイクルをしているそうですが、それでも少なくはない数字です。コンビニ大手も人手不足対策を相次いで打ち出しています。セブン-イレブンとローソンでは、「セルフレジ」を年内に全店で導入することにしました。時短営業もセブンの一部の店舗で実験的に行われています。ただ、「24時間営業」が前提の経営スタイルなので、簡単には時短営業店舗が広がっていくという流れにはならない模様です。4月5日には経済産業省がコンビニ8社に対し、オーナーの不満を解消する行動計画を出すよう指示。今回の件は、オーナーによる訴えに対してメディアが反応し、企業側も反応し、社会が問題を注視するようになった、示唆に富む出来事でした。無理を強いられているのはコンビニに限りません。働き方改革は様々な形があります。自分の働き方を見直し、権利を守ることに意識が向けばいいなと思います。堀潤ジャーナリスト。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年5月1日‐8日合併号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年05月02日新興文芸の胎動が聞こえてきた大正末期。東京で新雑誌『文藝春秋』が産声を上げたのと同じ年、大阪では小山内薫が率いるプラトン社が『苦楽』の創刊に着手。永美太郎さんの『エコール・ド・プラトーン』は、そのプラトン社に集う文士たちの群像劇だ。だが、最初に浮かんだアイデアは、少し違っていたそう。「女性マンガが好きなんです。時代を遡って掘っていくうちに、大正時代の少女雑誌の挿絵や挿絵画家たちに興味が湧いて、そんなマンガを描いてみたいと思ったものの、さすがにテーマがニッチすぎる(笑)。その世界の隣に近代文学があり、こちらの切り口からいこうと思いました」1巻で活躍するのは、川口松太郎と直木三十五。さらに、芥川龍之介や谷崎潤一郎、菊池寛など、のちに文豪と呼ばれる作家たち。岡本かの子や夫の一平、少年時代の太郎なども登場する。「文芸史や大正の文壇については好きでなんとなく読んでいたんですが、連載が決まってから改めて調べ直しました。ネームを組み立てていくうちに『こういうエピソードがあったらいいのに』とアンテナを立てておくと、新しい発見があったりする。ただ『たくさん調べました』というだけの表現はマンガとして面白くないので、史実に忠実でありつつも、肉付けやさじ加減には腐心しています」永美さんが仰ぎ見ている作家のひとりが、故・杉浦日向子。「師匠でもある山田参助さんともよく話していたんですが、杉浦さんって作中のセリフを生み出す達人なんですよね。彼女のマンガのように、作品のムードにハマる印象的な言葉を見つけられるかも勝負です」舞台がレトロな分、作画も苦労が尽きない。たとえば当時の生活描写や着物の描き方。「着物姿とか、実は正確に描けたからといって絵として決まらないんですね。日本髪や着物が美しく見える角度も、当時の美的感覚とともに絵に織り込めたらいいなと思っているので、ネットで見つけた資料や郷土資料などを頼りにしています。ちなみに、本作を描くようになってから、自分でも着物を着るようになりました。また、著名な文豪たちの顔は、教科書などでよく知られている分、リアリティとデフォルメの加減が難しい。さっぱりした線が好きなのですが、軽すぎる絵柄になると史実の重みが薄れてしまうので、説得力を持たせるタッチはどういうものだろうと。試行錯誤は続いています」岩田専太郎ら挿絵画家たちの物語が始まる2巻の刊行が待ち遠しい。『エコール・ド・プラトーン 1』新雑誌の創刊に関わる文士たち。編集者として活躍した後、第1回直木賞受賞者となる川口松太郎を軸に、熱き交流が描かれる。リイド社720円©永美太郎/リイド社ながみ・たろう1984年生まれ、兵庫県出身。京都造形芸術大学卒。書店員、山田参助氏のアシスタントを経て本作が初連載。大正~昭和初期の群像劇を描くことは10年来の悲願だったとか。※『anan』2019年5月1日-8日合併号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2019年05月02日出会った女性がネタの源という横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、眠るまでの時間を穏やかに過ごす女性、「寝る前にホットミルクを飲む女」になりきり。温かい牛乳は私たちを癒すアロマのようなもの!“寝る前にホットミルクを飲んでいる”という人って、ものすごくゆとりを感じませんか?ミルクを温めるところから、眠りの準備に入ってるんです。その、導入部分が素敵ですよね。私は何も飲んでいないし、なんなら寝酒をしちゃうことも…。絶対に体によくないですよね~。そうして赤ちゃんの頃からの習わしをずっと続け、ちゃんと体を落ち着かせてから眠りに入るなんて、まるでおとぎ話のようです。きっと、カフェのように小鍋で煮て、立ち上る湯気でも眠くなっちゃう。「ホットミルクを飲まないと眠れないんだよね」というセリフもカワイイし、飲むとスッと眠れる習慣が身についていることも羨ましい。こうして寝る準備がしっかりできる人は、翌朝の準備もきちんとしているだろうし、規則正しい生活を送っているはず。それに、冷蔵庫に牛乳が入っていること自体、ちゃんとしている感じがします。カルシウムが摂れるから骨折もしません。私はダイエットをしていた時に、牛乳でお腹を満たそうとしてよく飲んでいたのですが、満腹感はもちろん、満ち足りた幸せな気持ちになれるんです。そうしてイライラもしないから、ストレスによるいびきや歯ぎしりもしないだろうし、翌日の目覚めもいいはずです。普段、牛乳をあまり飲まない人も多いと思うので、まずはホットミルクを一度、寝る前に飲んでみるのがいいと思います。温めたミルクをフーフーしたり、その香りをかぐだけでも、まるでアロマセラピーのように心が落ち着くはず。そして、“最近、牛乳でヒゲを作っていますか?そんなことで笑っていた自分を忘れていませんか?”と、自分に尋ねてみると、何か、忙しい日々で忘れていたものに気づくことができるかもしれません…!よこさわ・なつこ芸人。『バイキング』(フジテレビ系)や『王様のブランチ』(TBS系)など、数多くのバラエティ番組にレギュラー出演している。著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。※『anan』2019年5月1日-8日合併号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2019年04月26日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「頻発するデモ活動」です。世界各地で不満が爆発。格差を是正することが必須。いま、世界各地で政権への不満を訴えるデモが起きています。ベネズエラでは、マドゥロ政権が経済政策に失敗し、国内のインフレ率が229万%に。物価が上がりすぎて、国民の生活がままならなくなりました。マドゥロ大統領に反対するデモが続き、野党指導者のグアイド国会議長が自ら暫定大統領に就任すると宣言。大統領が2人という異常事態が続いています。欧米諸国はグアイド氏を支持していますが、中国やロシアはマドゥロ大統領を支持。シリアのように、国を分断する状態に陥らないか、不安が高まっています。スーダンでは、昨年12月に政府がパンの価格を3倍に引き上げ。スーダン貨幣は大きく下落し、現金が底を尽き、給料が振り込まれても引き出せなくなりました。闇マーケットでは現金貨幣が倍以上の価格で取引され、混乱を来しています。人々は30年間圧政を続けるバシル大統領の辞任を求め、反政府デモが行われました。大統領は非常事態宣言を発令し、緊迫した状態が続いています。アルジェリアでは、長期政権による腐敗政治への不満から、5期目を目指した82歳のブーテフリカ大統領の退陣を求めて大規模デモが頻発。大統領周辺の企業や政府要人に富が偏り、若者たちの失業率は29.1%に。多くの国民が貧困に喘いでいました。そして先日、ついに大統領は辞任しました。これらのデモの頻発は、2010年暮れから中東~北アフリカ諸国に広がった民主化運動「アラブの春」の延長にあるともいわれています。長期独裁政権により富が偏り、苦しむ国民が事態を打開する唯一の術がデモだったのです。長期政権ではありませんが、デモは先進国のフランスでも起きています。昨年11月から続く、マクロン大統領への抗議デモ、「黄色いベスト運動」が最近再び活発になりました。市民デモに便乗した過激派グループが暴力行為を起こし、観光名所が一時閉鎖される事態にも。すべての根源は経済格差です。それは日本にも広がりつつある深刻な問題。シリアのような悲劇を二度と起こさないためにも、いま世界各地で起きているデモの背景を、正しく知ってほしいと思います。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年4月24日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年04月23日最近、女性ファンが増えつつある日本酒だが、著者・はるこさんのような人もいまだ少なくないだろう。「もともと私は洋酒派で、日本酒に興味を持ち始めてはいたものの、難しいというイメージがありました」しかし原案協力の「酔っぱライター」こと、江口まゆみさんのアドバイスもあり、いまや主人公の日本酒好きOL・藤井松子並みにその魅力にハマっているご様子。アラサーOLの恋を“つまみ”に日本酒の魅力に酔いしれる。松子は彼氏ナシの32歳。結婚や出産で同世代の飲み友が減るなかで、若干焦りつつも、カップ酒を家飲みする気ままな暮らしを楽しんでいる。カップ酒なんていきなりハードルが高いし、オッサンくさい……。そんな思いが少しでもよぎった人こそ、読み進めてほしい。飲み切るのにちょうどよいサイズだし、レンジでお燗をするのに適した形状で、しかも飲み比べもしやすいので初心者にぴったりなのだ。こんなふうに日本酒の楽しみ方や、シーンに合わせたおすすめの銘柄がたくさん登場するのだが、単なるうんちくで終わらないのが本作の面白いところ。会社で隣の席のクールで思わせぶりな年下男子に翻弄されたり、日本酒の趣味が合う年上男子とお店で意気投合したりして、お酒ほどには素直に酔えない松子の恋の行方も気になってしかたがない。「恋愛模様の描き方は、リアル感とマンガらしさのバランスにこだわっています。喜怒哀楽それぞれをつまみに酔うのもあり、というノリで。好きな人やものがあるって楽しいし、どんな日も楽しむことを忘れない松子を描ければと思っています」恋愛したいのに、尻込みしてしまうアラサーの本音に共感しながら、日本酒が飲みたくなることも必至。「日本酒は日常から旅先まで多彩な姿で楽しめて、大人の読者様には話のネタに、日々のスパイスにしていただけるのではと思います。江口さんからいただくお酒選びなどの情報を私自身も毎回楽しみにしていて、知らなかったご当地情報を学べたり、日本の魅力再発見につながるお酒なんだなあと感じています。まだ出ていない地域のお酒もこれからどんどん登場しますし、松子も現地に飲みに出かけたりする予定です!」『酒と恋には酔って然るべき』ひとりは楽しいけれど恋もしたい、日本酒好きな悩める松子の恋模様をコミカルに描く。気になる銘柄が続々出てきて、入門者も日本酒好きも楽しめます!秋田書店680円©はるこ(秋田書店)2019はるこマンガ家。最新刊に『お高い彼の誘惑キス』(ぶんか社)。美波はるこ名義でも活動しており、『背徳のセブンセクシー』シリーズ(ZITTO)など連載作を多数執筆している。※『anan』2019年4月24日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2019年04月23日