自分で事業を立ち上げる場合、健康保険、労災保険などの社会保険はどうなるのしょうか。事業の代表者として、社会保険にを放ったらかしにしておくと「知らないうちに法律違反をしていた」「思っていたよりたくさんの保険料がかかってしまった」ということになりかねません。今回は、個人事業主の社会保険について解説します。そもそも、個人事業主とは自分がリーダーになって事業を始めるには、大きく2つの選択肢があります。法人を立ち上げて、その代表者になる個人事業主になる法人…株式会社、合同会社など法人を立ち上げるには、必要な書類を揃え、法務局で申請をするなどの手順があります。社長1人しかいなくても会社は作れますし、合同会社の場合、5万円もあれば設立登記も可能です。株式会社の代表に就任すれば「代表取締役」、合同会社であれば「代表社員」を定めて経営者になります。個人事業主…個人名や、屋号で活動会社を立ち上げずに、個人で継続して事業を行う場合は「個人事業主」です。1人で事業を行う場合に限らず、従業員を雇って事業を行う場合もあります。”オフィス〇〇”、”〇〇商店”など屋号を付けることもできます。同じ”自営業”でも、個人にするか・法人にするかで社会保険の扱いは大きく違います。個人事業主になった場合、社会保険はどうなるのでしょうか?個人事業主でも、社会保険に加入?個人事業主である”代表者自身”は、社会保険の対象になりません。労災保険を除いて、任意に加入することもできません。ただし、経営する事業所には社会保険が適用されることがあります。つまり「事業主は」社会保険に加入できなくても、雇っている「従業員を」社会保険に加入させる必要があります。個人事業主でも、従業員数や業種によって、従業員を社会保険に加入させる手続きや、社会保険料の支払いをしなければいけないのです。各社会保険が適用される条件社会保険の種類ごとに詳しく確認しましょう。「厚生年金保険と健康保険」、また「雇用保険と労災保険」では、互いの取り扱いが似ているところがあります。[adsense_middle]1.厚生年金保険・健康保険老齢・死亡・障害状態のとき、年金が受け取れる厚生年金保険。また病気やケガのとき、治療にかかる負担額を抑えてくれる健康保険。行っている事業が「強制適用事業所」に該当する場合は、厚生年金保険・健康保険が適用されます。ただし、個人事業主自身は厚生年金保険・健康保険に加入できません。従業員数・業種によって、社会保険の加入義務個人事業の場合、次の2つをどちらも満たす場合に、強制適用事業所になります。常時5人以上の従業員がいること適用業種であること(例…製造業、金融業、保険業、医療業など16業種)なお、一定の船舶も強制適用事業所になります(厚生年金の場合)。強制適用事業所ではない場合は?従業員が5人未満の場合や、非適用業種の場合は、当然には厚生年金保険・健康保険が適用されません。「暫定任意適用事業」と呼ばれ、次のステップを踏んで、適用事業所となることができます。労働者の2分の1以上の同意を得る事業主が申請する厚生労働大臣が認可するなぜ、わざわざ申請して、社会保険の適用事業所になるの?求職者や従業員にとっては、自分で支払う「国民年金・国民健康保険の保険料」は大きな負担です。そのため”社会保険完備”の職場を選ぶ求職者も多いでしょう。求人の際にプラスに働く可能性があります。2.雇用保険失業、休職、職業訓練などの際に、給付を受けられる雇用保険。労働者を1人でも雇うと、雇用保険が強制的に適用される事業所となります。ただし、個人事業主自身は、雇用保険に加入できません。農林水産業では加入がゆるやか個人経営で、農林業・畜産業・養蚕業・水産業(船員を雇用する場合を除く)、かつ常時5人未満の労働者しかいない場合は、「暫定任意適用事業」となります。当然には雇用保険が適用されません。暫定任意適用事業の場合は、厚生年金保険・健康保険と同様に、適用事業となるよう認可の申請をすることができます。3.労災保険仕事中のケガなどに対し、治療費や収入を補填してくれる労災保険。労働者を1人でも雇うと、労災保険が強制的に適用される事業所となります。ただし、個人事業主自身は、この”労働者”にはあたりません。個人経営で、農林水産業、かつ雇用する従業員の数が一定数以下(危険作業のない農業の場合は5人未満、など)の場合は、「暫定任意適用事業」となります。当然には労災保険が適用されず、適用事業となるよう認可の申請をすることができます。事業主は、希望があれば労災保険に加入できる個人事業主自身は、通常は労災保険で保証されません。ただし、希望する事業主が”特別に加入”できる制度があります。中小事業主の特別加入従業員数の少ない中小事業の代表者は、労災保険の「特別加入」を申請できます。なお、特別加入するためには、労働保険の事務処理を「労働保険事務組合」に委託します。一人親方の特別加入人を雇わずに、次の個人事業をしている場合も、労災保険の特別加入を申請できます。個人タクシー、個人運送業大工の一人親方林業、漁業など一人親方で組織する組合などを通して、申請する必要があります。妻や子供が、雇用者の場合は?従業員が、同居している親族”のみ”の場合、これらの親族は「労働者」とはみなされません。同居の親族以外にも従業員がいる場合は「ほかの従業員と同じように、事業主の指揮命令に従っていることが明確である」などの条件を満たして、各社会保険に加入できる場合があります。個人事業主自身が、社会保険に加入する方法ここまで見てきたように、労災保険を除いて、個人事業主自身は社会保険に加入できません。事業主が社会保険に入りたい場合はどうすればよいでしょうか。社会保険に加入したいなら”会社をつくる”個人事業主と異なり、代表取締役などの「法人の代表者」は、加入できる社会保険が増えます。社会保険に加入すると、負担が増える?社会保険に加入すれば、もちろん保険料を支払わなくてはなりません。会社員として勤めていると、保険料の負担は2分の1です。しかし経営者としては、残った2分の1も会社負担分として納付しなければなりません。従業員に支払う給与や自分が受け取る報酬に、上乗せして負担がかかります。事業主+事業主の家族の保険料=安くなることもいっぽうで、社会保険に加入できない事業主は「国民年金保険料」や「国民健康保険料(国保)」など、別の保険料を納める必要があります。国民健康保険料は世帯人数に応じた保険料がかかるため、扶養する家族がいると特に割高になりがちです。家族がいる”ひとり社長”は、社会保険に加入することでかえって保険料が安くなる可能性もあります。国保だけでは保障が不安だから…と、さらに民間の保険に加入している場合もあるかもしれません。社会保険に加入することで、こうした保険は節約できます。個人事業主の社会保険に関するまとめ事業をスタートする時、個人で始めるか、法人を立ち上げるかは、大きな選択肢です。その判断材料には「税金がお得なのは」「事務作業の手間は」「取引先からの信用は」といったもののほか、「社会保険」も必須の事項として考える必要があります。個人事業にも社会保険料がかかる場合があることや、個人事業主自身は社会保険に加入できないことなど、ポイントを押さえておきましょう。
2019年11月13日年末調整で生命保険料控除を受けるには「保険料控除申告書」を毎年勤務先に提出しなければなりません。申告書を書くのが初めての人、毎回どう書けばいいか迷っている人は、この記事で申告書の書き方と注意点を確認しておきましょう。生命保険料控除とは日本生命保険料控除証明書の主な記載項目証券番号保険料払込期間保険種類/年金種類適用制度(旧契約・新契約)払込方法契約日保険期間/年金支払期間保険金(年金)受取人名(年金契約の場合)年金支払開始日証明書作成時点までの保険料払込額(証明額)その年の12月まで払い込んだ場合の保険料払込額の見込み額(申告額)生命保険料控除対象となるか分かりにくい契約保険期間5年未満の貯蓄保険や財形貯蓄などは対象外貯蓄性を重視した保険期間が5年未満の保険契約は控除対象とはなりません。そのほか保険型の「財形貯蓄」商品やケガのみを補償する傷害保険、外国保険会社と国外で契約した保険契約なども控除対象外です。変額個人年金保険は一般生命保険料控除の対象運用成果によって受取額などが変動する変額個人年金保険は、一般の生命保険料控除の対象となります(個人年金保険料控除の対象ではない)。離婚後に元妻が保険金受取人となっている契約の保険料を支払っても控除対象外生命保険料控除の対象となるには、保険金等の受取人のすべてが保険料支払者、またはその配偶者その他親族であるという要件があります。妻が保険金受取人となっている契約の保険料を納税者が支払っており、離婚後も引き続き保険料の支払いを継続する場合、離婚成立以降に支払われる保険料は控除対象となりません。子どものために加入している死亡保険などであれば、保険金の受取人を元妻から子どもに変更すれば引き続き控除を受けられます。一時払い保険料と全期前納保険料の取り扱い保険料の支払い方法には月払いや年払いのほか、契約時にすべての保険料を支払う一時払いや全期前納払いという方法があります。生命保険料控除の対象となる契約の保険料を一時払いあるいは全期前納払いした場合、控除における取り扱いに次のような違いがあります。一時払い…保険料を支払った年のみ控除対象となる全期前納払い…支払った保険料を保険料払込期間で按分し、保険料払込期間中は毎年控除を受けられる一時払い保険料100万円の契約と全期前納保険料100万円(保険料払込期間10年)の契約であれば、どちらも契約時に支払う保険料は100万円です。一時払い契約では控除を受けられるのは契約した年の一度のみ(控除対象額は100万円)であるのに対し、全期前納払いでは契約後10年間にわたって毎年10万円ずつ控除を受けられます。生命保険料控除には後述のように控除限度額があり、控除対象額が限度額を超えればそれ以上は控除されません。そのため生命保険料控除については、通常一時払いよりも全期前納払いのほうが有利といえます。保険料控除申告書の記入法・注意点年末調整による生命保険料控除の適用は、勤務先に「給与所得者の保険料控除申告書」を提出して行います。保険料控除申告書は、生命保険料控除だけでなく他の保険料控除の申告書も兼ねています。出典:国税庁(筆者により加筆)生命保険料控除の記入欄には、生命保険料控除欄に保険料控除証明書に記載された内容から必要項目を転記し、前述の計算式を使って計算した控除額を記載します。保険料控除証明書から必要項目を転記する控除額を計算して記入控除額証明書の添付[adsense_middle]【保険料控除申告書の記入①】保険料控除証明書から必要項目を転記する記入が必要な項目は、基本的に保険料控除証明書に記載された内容を保険料控除申告書に転記します。保険金等の受取人については証明書に記載がないため、保険証券や契約内容のお知らせ(通知書)、保険会社の契約者サイトなどによる確認が必要です。〈記入例(見本)〉出典:国税庁(筆者により加筆)保険会社等の名称保険等の種類保険期間又は年金支払期間保険等の契約者の氏名保険金等の受取人氏名・続柄新・旧の区分あなたが本年中に支払った保険料等の金額(1)保険会社等の名称契約している保険会社の名称を記入します。(2)保険等の種類控除証明書に記載された「保険種類」または「年金種類」に記載されている保険(・年金)種類を転記します。(3)保険期間又は年金支払期間控除証明書に記載された「保険期間」または「年金支払期間」に記載されている期間を転記します。(4)保険等の契約者の氏名控除証明書に記載された「契約者名」を転記します。(5)保険金等の受取人氏名・続柄受取人の氏名は保険証券や契約内容のお知らせ(通知書)、保険会社の契約者サイトなどで確認し、納税者との続柄を記入します。年金契約であれば控除証明書に記載された「年金受取人名」と「年金支払開始日」を転記します。(6)新・旧の区分控除証明書に記載された「適用制度」欄から新契約・旧契約の区分を確認し、該当するほうに○を付けます。(7)あなたが本年中に支払った保険料等の金額支払った保険料等の金額には、控除証明書の「申告額」(12月まで保険料を払い込んだ場合の見込額)に記載された金額を転記します(年内にその契約を解約した場合を除く)。控除証明書発行後、年内に保険を解約した場合控除証明書が届いた後、年内に保険契約を解約した場合、保険料控除申告書には実際にその年に支払った保険料の金額を記入します。申告の際には控除証明書の原則添付が必要ですが、このケースでは証明書に記載された申告額(証明額)と実際の支払額が異なってしまいます。この場合、保険会社に控除証明書の再発行を依頼するか、手元にある控除証明書にその旨を付記して対応します。手元にある控除証明書に付記して対応する場合、まずは保険会社の問い合わせ窓口などに連絡して、何月分までの保険料が支払い済みであるかを確認します。その上で、控除証明書の余白に「本年中に支払った保険料は○カ月分であることを保険会社に確認済み」の旨を記入します。勤務先によってはこの対応が認められない場合もあるため、担当部署に確認した上で行うようにしましょう。【保険料控除申告書の記入②】控除額を計算して記入控除証明書から転記した保険料等の金額をもとに、以下の計算方法により控除額を計算し記入します。[adsense_middle]生命保険料控除額の計算旧契約と新契約では控除額の計算方法も異なり、それぞれの保険料控除区分ごとに計算した後に全体で控除額の調整を行います。新旧両方の契約がある場合の計算方法・上限額(*)新旧両方の契約がある場合、各保険料区分ごとに次のように計算します。旧契約保険料が6万円超の場合:旧契約の支払保険料のみで計算した控除額(最高5万円)旧契約保険料が6万円以下の場合:新契約の支払保険料で計算した控除額と旧契約の支払保険料で計算した控除額の合計額(最高4万円)新契約の控除額の計算方法契約日が2012年1月1日以降の新契約の控除額は、3つの保険料区分(新生命保険料・介護医療保険料・新個人年金保険料)ごとに、次の計算式により計算します。*支払保険料等は、その年に支払った保険料から受け取った剰余金・割戻金を差し引いた金額旧契約の控除額の計算方法契約日が2011年12月31日以前の旧契約の控除額は、2つの保険料区分(旧生命保険料・旧個人年金保険料)ごとに、次の計算式により計算します。*支払保険料等は、その年に支払った保険料から受け取った剰余金・割戻金を差し引いた金額実際の計算例ここでは下図の場合を例に説明します。〈控除額の計算・記入例(見本)〉出典:国税庁(筆者により加筆)一般生命保険料区分の計算上図の例では、一般生命保険料区分に新契約に該当する契約が2本と旧契約に該当する契約が1本あります。新契約の控除額新契約に該当する契約に支払った保険料の合計額は9万円。8万円以上であるため、控除額は上限額の4万円となります。旧契約の控除額旧契約に該当する契約に支払った保険料は12万円。10万円以上であるため、控除額は上限額の5万円となります。旧契約のみで控除を受ける場合の5万円のほうが、新旧契約を併用する場合の4万円より大きいため、一般生命保険料区分の控除額は5万円となります。介護医療保険料区分の計算介護医療保険区分に該当する契約の保険料は3万円。新契約(新保険料)の控除額計算式位にあてはめて計算し、控除額は2万5,000円となります。個人年金保険料区分の計算個人年金保険料区分には、新契約と旧契約に該当する契約がそれぞれ1本あります。新契約の控除額新契約に該当する契約に支払った保険料は12万円。8万円以上であるため、控除額は上限額の4万円となります。旧契約の控除額旧契約に該当する契約に支払った保険料は4万円。旧契約(旧保険料)の控除額計算式にあてはめて計算すると、控除額は3万2,500円となります。旧契約のみで控除を受ける場合の3万2,500円よりも新旧契約を併用した場合の4万円のほうが大きく、個人年金保険料区分の控除額は4万円となります。3つの保険料区分の控除額を合計それぞれの保険料区分ごとに控除額を計算したら、それらを合計して最終的な控除額を求めます。3つの保険料区分をあわせた控除額の上限は12万円です。例の場合、5万円(一般)+2万5,000円(介護医療)+4万円(個人年金)=11万5,000円各保険料区分の控除額の合計は上限額12万円以下であり、最終的な生命保険料控除額は11万5,000円となります。この金額は源泉徴収票にも記載されます。【保険料控除申告書の記入③】控除額証明書の添付保険料控除申告書には、記入した契約の控除証明書を添付するのが原則です。しかし次のような契約の控除証明書は添付を省略できます。勤務先で加入している団体保険などで、勤務先が契約内容・支払保険料などを把握している契約旧契約(契約日が2011年12月31日以前)かつ年間保険料が9,000円以下の契約(確定申告を行う場合)年末調整で控除の適用を受けた契約年末調整に証明書を提出できなかった場合契約した時期や再発行によって控除証明書の発行が間に合わず、年末調整の際に証明書を提出できないこともあります。この場合、翌年の1月末日までに証明書を提出することを条件に、年末調整で生命保険料控除を受けることができます。後日提出する旨は勤務先に伝えておきましょう。控除限度額に達するまでの契約だけ申告すればOK同じ保険料区分内で控除限度額(旧契約であれば年間保険料10万円以上、新契約であれば年間保険料8万円以上)に達すると、それ以上はいくら申告する契約を増やしても控除額は増えません。生命保険料控除の申告自体が任意なので、申告書には控除限度額に達するまでの契約だけ記入すれば問題ありません。記入しない契約については証明書の添付も不要です。たとえば上記の一般保険料区分の場合、旧契約1本(年間保険料12万円)の内容だけ記入すれば、満額の控除を受けられます。一度下書きしてから申告書に記入するのがおすすめ申告漏れや書き間違いなどを防ぐため、一旦すべての契約を別の紙に書き出し、控除額を計算した上で申告が必要な契約だけ申告書に記載するとよいでしょう。生命保険料控除申告書の書き方に関するまとめ生命保険料控除の仕組みや申告書の書き方を理解していれば、年末調整で迷わないだけでなく、どの契約まで記入すれば控除を上限まで受けられるか判断できるようになり、記入の手間を減らすことができます。生命保険料控除の手続きは年に1回とはいえ毎年必要な手続きです。しっかりと理解しておきましょう。
2019年11月10日この記事では、所得税(・住民税)の扶養控除について、家族のうち誰が扶養控除の対象となるのか、扶養控除の対象範囲や社会保険の扶養との違いや、年末調整で扶養控除の適用を受けるための手続きについて解説します。扶養控除とは国税庁また血縁関係のある親族のほか、知事から養育を委託された児童(里子)や、市町村長から養護を委託された老人も扶養親族に含みます。内縁関係(事実婚)のパートナーは控除対象にならない税法上、内縁関係(事実婚)のパートナーは配偶者ではなく、その他親族にも該当しません。そのため控除対象配偶者、控除対象扶養親族のいずれでもありません。要件2:納税者と生計を一にしている納税者が実際に生活費や教育費、療養費などを負担しているかどうかが「生計を一にしている」かの基準です。単身赴任や下宿などで別居していたとしても、定期的に生活費や教育費の仕送りなどを行っていれば「生計を一にしている」とみなされます。控除対象となる例納税者が仕送りをしている下宿中の子ども納税者が仕送りをしている海外留学中の子ども(非居住者)納税者が仕送りをしている故郷の両親単身赴任中の納税者の収入で生活している別居の家族同居している親族は原則扶養とみなされる要件1の親族に該当する人が同居している場合には、お互いが明らかに独立して生活している場合を除き「生計を一にしている」とみなされます。1人を重複して扶養することはできない複数の納税者に対して扶養親族となる要件を満たしていたとしても、重複して扶養親族にすることはできません。たとえば複数の子どもから親が仕送りを受けている場合、仕送りをしている子のうち1人だけが親を扶養にできます(父親と母親の両方を扶養にできる場合、それぞれ別々の子が扶養にするのはOK)。誰の扶養とするかは、仕送り額などに関わらず話し合いによって決めることができます。また子が母親を扶養とした場合、父親は配偶者控除の適用を受けられなくなります。そのため子の扶養とする場合と父親の控除対象配偶者とする場合、どちらが有利になるかを比較して判断する必要があります。要件3:所得が38万円以下(令和2年分以降48万円)扶養(納税者の収入で生活している)とみなされるのは、対象者の年間合計所得金額が38万円以下(令和2年分以降48万円)の場合です。収入が給与のみの人であれば給与所得控除(令和元年分まで65万円、令和2年分以降55万円)が適用されるため、給与収入が103万円以下であれば収入要件を満たします。要件4:青色申告者の事業専従者として年間を通じて一度も給与支払いを受けていない、または白色申告者の事業専従者でない事業を行っている納税者は、その事業へ専ら従事する配偶者やその他親族(事業専従者)へ支払った給与を、必要経費として所得から差し引くことができます(「青色事業専従者給与(青色申告者)」または「事業専有者控除(白色申告者)」)。専従者として以下に該当する親族は、控除対象とすることができません。納税者が青色申告者の場合:青色事業専従者として控除を受けようとする年に給与支払いを受けている親族納税者が白色申告者の場合:白色事業専従者である親族要件5:12月31日時点で16歳以上要件1〜4を満たす人のうち控除対象となるのは、控除を受けようとする年の12月31日時点で16歳以上の人です。16歳未満の扶養親族(年少扶養親族)については、扶養控除の対象ではありません。社会保険の扶養との違い全国健康保険協会同居が不要同居が必要・直系尊属(父母・祖父母・曽祖父母)・配偶者(内縁関係を含む)・子・孫・兄弟姉妹・左記以外の被保険者の3親等内の親族・内縁関係の配偶者の父母および子・内縁関係の配偶者が亡くなった後における父母および子収入要件社会保険の被扶養者となるのは、主として被保険者に生計を維持されており、その人の年間収入が130万円(60歳以上または障害者の場合は180万円)以下かつ、次の要件を満たした人です。同居の場合:収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満(原則)別居の場合:収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満年間収入は将来の見込み収入額が基準収入要件における年間収入は過去の収入ではなく、被扶養者となる日以降の見込み収入額が基準となります。年間収入となっていますが、実際には各月ごとの収入を基準に判定され、年間収入が130万円未満であっても、月収が10万8,333円(=130万円÷12カ月)を超えると扶養から外れます。年末調整で所得税(住民税)の扶養控除を受けるために必要な書類と手続き扶養控除は年末調整の際、勤務先に〈給与所得者の扶養控除等申告書〉を提出することで適用を受けられます。申告書は、控除を受ける年において最初に給与支払いを受ける日の前日までに提出する必要があり、前年の年末調整の時期にあわせて翌年分の申告書を提出するのが一般的です(中途就職の場合には就職後最初の給与支払いを受けるまでに提出)。給与所得者の扶養控除等申告書の書き方(記入例)国税庁控除対象扶養親族欄への記載事項16歳以上の控除対象扶養親族に関する事項は申告書の中段に記載します。出典:国税庁 (一部抜粋・加筆)(1)個人番号(マイナンバー)個人番号欄には、各控除対象扶養親族の個人番号(マイナンバー)を記載します。勤務先が一定の要件に基づいて作成した帳簿を備えていれば個人番号の記載を省略できる場合もあります。記載するかは勤務先の指示に従いましょう。(2)老人扶養親族欄・特定扶養親族欄控除を受けようとする年の12月31日時点で70歳以上の場合には、老人扶養親族欄(上段)のいずれか(「同居老親等」または「その他」)該当するチェックボックスにチェックを入れます。控除を受けようとする年の12月31日時点で19歳以上23歳未満の場合には、特定扶養親族欄(下段)のチェックボックスにチェックを入れます。(3)所得の見積額欄所得の見積額欄には、それぞれ控除対象扶養親族のその年の見込み所得額を記載します。所得額が38万円(令和2年分以降48万円)を超える見込みであれば控除対象扶養親族には該当せず、扶養控除を受けられません。所得金額が38万円以下となる収入金額の目安収入金額収入が給与所得のみの場合103万円収入が公的年金等に係る雑所得のみの場合65歳未満108万円65歳以上158万円住民税に関する事項欄(16歳未満の扶養親族)申告書の下段には住民税に関する事項(16歳未満の扶養親族)を記載します。16歳未満の扶養親族(年少扶養親族)は扶養控除の対象外ですが、住民税の非課税限度額を計算する際の扶養親族にはカウントされるため記載が必要となります。出典:国税庁 (一部抜粋・加筆)住民税の非課税限度額住民税の非課税限度額とは住民税が課税されるかどうかの判断基準となる金額のこと。前年中の合計所得金額が非課税限度額以下であれば住民税がかからないメリットがあります。限度額は「控除額」ではなく、あくまで「課税されるかされないかの基準」。限度額を超えた場合の住民税額計算には影響しません(年少扶養親族は控除対象扶養親族とならない)。住民税の非課税限度額所得割・均等割いずれも非課税住民税の所得割が非課税扶養親族がいない場合35万円35万円扶養親族がいる場合35万円×(本人+扶養親族等の数*3)+21万円35万円×(本人+扶養親族等の数*3)+32万円(*3年少扶養親族を含む)単身児童扶養者欄令和2年分以降の申告書からは〈単身児童扶養欄〉が新たに設けられます。この欄は離婚や死別(生死不明を含む)などによって、ひとり親として子ども(所得見積額48万円以下・令和2年分以降)を扶養し、児童扶養手当の支給を受けている人が記入します。該当者はチェックボックスにチェックを入れ、「児童扶養手当証書の番号」「生計を一にする児童の氏名」「その児童の所得見積額」を記入します。児童扶養手当証書の番号が不明な場合には、住んでいる市町村の担当課で確認できます。扶養等控除申告書提出後に変更(異動)が生じた場合申告書のを提出した後に、家族構成などが変化して記載内容に変更(異動)が生じた場合、その後最初に給与支払を受ける日の前日までに変更後の内容を記載した申告書を提出する必要があります。結婚した場合には配偶者に関する項目の変更が必要ですが、通常扶養親族に変更はありません。ただし連れ子などがいる場合には、扶養親族の変更もあわせて必要となります。年末調整の扶養控除に関するまとめ扶養控除は年齢や収入によって控除対象となるか、控除対象となる範囲がやや分かりにくい部分もあります。控除対象となる範囲を正しく理解して、もれのない申告を行いましょう。
2019年11月08日働く人が職場で加入する保険のことを「被用者保険」と言います。雇用保険健康保険(+介護保険)厚生年金保険これらの保険料は、給与から天引きされ支払います。このうち「健康保険・厚生年金保険」を、特に社会保険と呼んだりします。40歳以上65歳未満であれば、健康保険料と併せて、介護保険料も支払います。パートタイマー・アルバイト従業員は、どのくらい働いた場合に社会保険に加入することになるのでしょうか。実は、「勤務先の規模」によっても異なります。パート・アルバイトの定義とはパートタイマー、アルバイトという言葉は、健康保険法や厚生年金保険法には登場しません。パートやアルバイトといった働き方を、これらの法律では「短時間労働者」と呼んでいます。ここでいう短時間労働者とは、1週間の所定労働時間が「同一の事業所に雇用される”通常の労働者”に比べて短い労働者」です。所定労働時間…会社ごと、労働者ごとに、個別に決めた労働時間のことです。これに対し、「法律で」決まっている労働時間の上限のことを「法定労働時間」と呼びます。通常の労働者とは、いわゆる「正社員」のことです。同じ職場に正社員がいない場合は、正社員に準ずるような働き方をしている社員を基準にします。同じ業務に就いている正社員より勤務時間が短い場合は、無期限で雇われていても「短時間労働者」となります。パートしかいない会社の場合は?パートタイマーしか勤務しておらず、比較できる正社員がいない場合は、パートタイマーが通常の労働者になってしまうのでしょうか?この場合は「事業所の営業時間に対して、どのくらい勤務しているか」などをもとに総合的に判断されます(日本年金機構疑義照会より)。正社員を雇うことのある会社で、たまたまパートタイマーしかいない場合などでは、パートタイマーが「通常の労働者」にはならないということです。パートタイマーが社会保険に加入する条件事業所の中には、社会保険が適用される「適用事業所」と、そうでない事業所があります。適用事業所であれば、パート・アルバイトなどの短時間労働者が社会保険に加入するかどうかは、①4分の3基準、②5要件と呼ばれる2つの決まりで判断します。どちらかに該当すれば、社会保険に加入し、保険料を支払う必要があります。①4分の3基準では、週30時間以上働く場合に対象となる可能性が高く、②5要件では週20時間以上働く場合に対象になります。ただし、これらの条件を満たしても適用除外となる場合もあるので、併せて説明します。①4分の3基準を満たす次の2つの条件に、どちらも当てはまる場合は、健康保険・厚生年金保険の被保険者になります。1週間の所定労働時間が、通常の労働者と比べて4分の3以上1カ月の所定労働日数が、通常の労働者と比べて4分の3以上所定労働日数…会社ごと、労働者ごとに、個別に決めた労働日数のことです。4分の3基準を満たす場合は、次の5要件に関係なく、被保険者となります。一般的に、正社員の労働時間は法律の上限と同じ「週40時間」になっていることが多いです。そのため「正社員の4分の3」とは「週30時間」を目安にできます。[adsense_middle]②5要件を満たす4分の3基準のどちらか片方でも当てはまらない場合には、次の5つの要件すべてに当てはまるとき、健康保険・厚生年金保険の被保険者になります。労働時間が週20時間以上1年以上雇われる見込みがある月給8.8万円以上ある学生ではない大企業、もしくは労使合意のある中小企業に勤めている5つの要件を詳しく確認しましょう。1)1週間あたりの決まった勤務時間が20時間以上であること20時間以上かどうかは「あらかじめ決められた」労働時間で判断します。たとえば、普段は18時間勤務だが、残業でたまたま20時間以上になった場合などは、残業時間は判断に含めません。2)雇用期間の見込みが1年以上であること期間を決めずに(ずっと)雇われる場合や、契約期間が「1年」「2年」などの場合は、雇用期間1年以上の見込みがあると判断されます。雇用期間が「6カ月」などと短い場合でも、次のような場合には雇用期間の見込みが1年以上と判断されます。「更新の可能性有り」と契約書で明らかにされている同じ条件で働く他のパートタイマーが、実際に1年以上雇われている実績がある3)賃金の月額が88,000円以上であることあらかじめ決まった賃金で判断します。年額だと105.6万円の賃金ですが、判断は「月額の賃金」で行います。残業した分の賃金は除いて判断するなど、次の手当は計算に含めません。精勤手当、皆勤手当通勤手当家族手当時間外労働・休日労働・深夜労働に対して払われる賃金賞与これらの賃金は、88,000円以上かどうかの判断をする際には賃金に含めません。ただし、保険料を計算する時には、これらの賃金も含めた金額をもとに保険料が発生します。4)学生等でないこと昼間学生を指します。夜間学校・定時制・通信制などに通う人は、加入対象になります。5)従業員数の要件被保険者数が501人以上の会社で働いている被保険者数が500人以下の会社で働いていて、社会保険に加入することについて労使で合意がなされている「国・地方公共団体に属する事業所」もこの中に含まれます。人数は店舗・支店ごとではなく、企業全体で判断します。適用除外(加入できない場合)適用除外に当てはまる場合は、たとえ「4分の3基準」や「5要件」を満たしていても、健康保険・厚生年金保険が適用されません。日雇労働者(※健康保険では、日雇労働者のための保険制度もあります)2カ月以内の期間限定で働く1年のうちのある季節だけ行われる仕事で働く(…酒造業など)臨時的事業で働く(…博覧会など)所在地が一定しない事業所で働く(…サーカスなど)日雇いで働く人が1カ月より長く働いた場合や、当初2カ月と決めていたが3カ月働くようになった場合は、それより後は被保険者になります。季節を定めていても4か月を超える期間働く場合や、臨時的事業でも6カ月を超えて働く場合は、はじめから被保険者になります。船員保険・国保組合・後期高齢者医療は優先また、健康保険の場合「船員保険」「国民健康保険組合」「後期高齢者医療保険」に加入している人も適用除外です。健康保険ではなく、これらの保険が優先されます。「国民健康保険”組合”」と「国民健康保険」は別のものです。国民健康保険組合とは、医師国保・土木建築国保など、同じ業種の組合員で組織されています。国民健康保険とは、職場で健康保険に加入していない人を対象に、市区町村単位で運営されています。扶養されているかどうかは、加入要件に関係ない適用除外の中には「被扶養者であること」という条件はありません。被扶養者…扶養されている人のこと。たとえば、会社員の夫と短時間パートの妻の場合「妻」のことを指して言います。家族の被扶養者になっていても、基準を超えて働けば、社会保険に必ず加入しなければいけません。扶養に入るか、勤務先で保険に加入するかを自分で選択することはできません。扶養にもなれず、勤務先で保険に加入できない場合もある勤務時間の短いパートタイマーだが時給が高い場合や、ボーナスが高額な場合などです。被扶養者になるには年収基準(130万円未満/60歳未満の場合)があるので、年収が高くなると被扶養者にはなれません。自分の勤務先で保険に加入しようと思えば、4分の3基準、もしくは5要件で決まっている労働時間以上働いている必要があります。「配偶者の扶養にもなれないし、勤務先で社会保険にも加入できない」という場合もあり得るのです。(国民健康保険や、国民年金に加入する必要があります)[adsense_middle]パートタイマーでも、社会保険の対象者が増える!?今後の法改正の動向実は、この5要件が登場したのはごく最近です。近年、社会保険の加入対象者が広がっています。”被用者保険の適用拡大”と言われるものです。今後はどうなるでしょうか。2016年大企業を中心にパート加入者拡大前述の「5要件」が新設され、大企業と国の事業所を中心に、パートタイマーの社会保険適用が拡大されました。この時は、国の事業所・被保険者数501人以上の企業のみ対象でした。2017年500人以下の企業も加入できるように2017年4月からは、被保険者数500人以下の企業でも労使合意があれば、パートタイマーの適用拡大が可能になりました。地方公共団体に属する事業所も適用対象になりました。そして…501人以上、の決まりは廃止?保険に加入するパートタイマーをさらに増やすことが、厚生労働省で議論されている途中です。この9月にも最新の検討状況が明らかにされたところです。501人以上、という企業規模の条件をなくし、すべての中小企業を対象にする賃金月額8.8万円以上、という要件をなくす特に企業規模の要件については、撤廃すべきと議論に上がっています。就職活動をするとき、通常は労使合意があるかまでは分かりません。入社した会社によって保険に入れないのは不合理…とも考えられます。健康保険・厚生年金保険、適用が広がる背景には…適用拡大の背景には、女性・高齢者の労働参加や、人手不足が挙げられます。パートでも自分の職場で社会保険に加入できれば、”130万円の壁”と呼ばれる扶養の要件を気にする必要はなくなります。扶養から外れないようにと年末にシフトを少なく調整し、現場では人手不足…といった問題の解消も狙っています。「主婦パート→厚生年金」は意外と少なく、約2割ただし、適用が広がったため社会保険に加入した人のうち、国民年金第3号被保険者(いわゆる主婦パート)だった人は2割ほどに留まります。実は一番多いのは、自分で保険料を納めないといけない「国民年金第1号被保険者」だった人で、約4割です。これらの人のうち約半分は、国民年金保険料が未払いだったり、減免されていたりしました。社会保険に加入することで、年金保険料を確実に納め、年金額を増やすことができます。保障がなかった人が、社会保険の対象にここから分かるのは、社会保険の適用拡大は、”配偶者に扶養されていた”いわゆる主婦パートの人のみを対象にしているのではないということです。生活スタイルや家族の形も多様化しています。これまで将来の年金が確保できなかった人たちにとっては、生活を支える大きな保障になります。社会保険に加入する利点健康保険・厚生年金保険に加入して「被保険者」になると、受け取れる給付金も増えます。いずれも、被扶養者であれば受け取れないものです。私生活のケガ、病気で仕事を休んだ…傷病手当金出産で仕事を休んだ…出産手当金老後の年金、2階建て部分…老齢厚生年金比較的軽い(3級)障害でも受け取れる年金…障害厚生年金受け取れる遺族の範囲が広い年金…遺族厚生年金納めた保険料は「出費が増えるから損」ではなく、もしもの時のリスクに備えるお金になっています。これだけの保障を、加入時の健康状態にかかわらずカバーしてくれます。パートの社会保険加入に関するまとめ社会保険に加入しなければいけないパートタイマー・アルバイトの人の範囲は、年々広がっています。社会保険に入りたくても入れなかった人にとっては、嬉しい流れと言えるでしょう。今は社会保険に入っていないという人も、法律の改正によって、将来は加入の対象になる可能性があります。「家族の扶養に入れるかどうか」で労働時間を調整する働き方は、一般的でなくなるかもしれません。加入する要件や、加入した場合のメリットについて、今のうちに押さえておきましょう。
2019年11月01日こんにちは、婚活FP山本です。会社員なら税金のことは年末調整で済みますが、この時に学資保険がどうなるのか気になる方も多いと言えます。年末調整の経験がある方なら生命保険の申告経験もあることが多いですが、何となく学資保険は対象外にも思えますよね。でも、その感覚のままでは損に繋がってしまうかもしれません。そこで今回は、年末調整での学資保険の基本や申告書の書き方、注意点をお伝えします。あなたの人生に、お役立て下さいませ。年末調整では各種の控除を申告する年末調整とは、納税手続きを簡単にするための制度ですから、このように記入も簡単にできるように作られています。年末調整が初めての方でも、落ち着いて書き写しましょう。ちなみに生命保険料控除証明書は、おおよそ10月頃には手元に届くはずです。そして生命保険料控除証明書は、単に書き写すだけでなく、基本的に申告書と一緒に提出する必要もあります。届かなかったり、無くしてしまったりした場合は、早めに生命保険会社へ問い合わせましょう。証明書には2種類の数字がある?唯一、気を付けて頂きたい事として、一般的に「生命保険料控除証明書には2種類の数字が書いてある」点が挙げられます。一つは「証明書発送時点での支払い保険料総額」、もう一つは「年末まで保険料を支払った場合の総額」です。以下の見本で、ご確認下さいませ。基本的に年末調整で使うのは、年末まで保険料を支払う前提で後者のほうになります。初めて年末調整するという方は、しっかりと内容を読んで正しいほうの数字を書きましょう。[adsense_middle]加入時期による種別・区分の違いに注意ここからは、年末調整における学資保険の注意点についてお伝えします。まず、生命保険は「加入時期」によって、受けられる控除が違ってくる制度です。少しややこしいので、注意しましょう。具体的には、以下のような違いがあります。先ほどの年末調整の申告書や生命保険料控除証明書にも「新旧」の種別・区分がありましたが、このような理由があります。また他の2種類の生命保険料控除も同様の内容となっており、3つ合計で最大12万円の控除を受けることが可能です。なお、上記の通り一般の生命保険料控除は「最大で8万円超支払った場合の4万円」になります。たとえば別の死亡保険で枠を使い切っている場合は、学資保険は控除を受けられません。この点にも注意しておきましょう。保険期間5年未満だと控除対象外の可能性も基本的に学資保険は子供が小さいうちに入りますが、大きくなってから加入したような場合は注意が必要です。というのも、保険期間が5年未満の学資保険は、生命保険料控除の対象外になる可能性があります。念のため、自分の学資保険の内容を確認しておきましょう。また、このような一定の条件というのは、他の生命保険についても同様にあります。何となく不安な方は、加入中の生命保険会社に連絡して確認してみましょう。生命保険料の一時・一括払いだと一度だけ生命保険料の一括払い(一時払い)にも注意が必要です。基本的に生命保険の保険料は「毎月払い」ですが、他にも以下のような支払い方法があります。前納払い:生命保険会社にお金を預けているだけ。時期ごとに保険料に充てられる。一括払い:期間中の保険料全額を支払ったことになる。一括払いのほうが有利に保険加入できることもありますが、この支払い方法では生命保険料控除は「支払った年」しか使えません。このため、毎年の生命保険料控除と比べてどちらの方が得かをしっかり考えて選んだほうが無難です。強いて言えば、先ほども触れた通り生命保険料控除には「年間保険料8万円」という上限があります。このため、すでにこの上限を超えているなら控除は関係ありませんから、その時には一括払いするのもアリかもしれませんね。もし忘れたら確定申告するのも手年末調整で生命保険料控除の申告をうっかり忘れた場合は、少し面倒かもですが「確定申告をする」ことで対処できます。確定申告で、改めて生命保険料控除の申告をすれば良いわけです。確定申告の練習にもなりますし、一度やってみるのもアリかもしれませんね。なお、確定申告の時期が過ぎたあとで生命保険料控除が使えることが分かった場合は、「還付申告」することも可能です。還付申告とは、簡単に言えば「お金を還付してもらう(返してもらう)前提の確定申告」になります。還付申告なら、確定申告の時期に関係なく5年間できますから、この間に申告しましょう。[adsense_middle]学資保険に入っていれば大丈夫な時代ではない最後に、学資保険に付随する大切なことをお伝えします。一昔前なら、学資保険は「入っておけば大丈夫」と言われるほどのものでした。しかし今や時代は随分と変わり、一般的な学資保険は「大学費用の一部補助」程度にしかなりません。昨今の大学費用は、一人当たり約700万円も必要です。また「学資保険の利率」も、昔とは全然違います。昔は相応に増えるのが学資保険でしたが、最近の学資保険は微々たる程度にしか増えません。中には元本割れするような学資保険すらあります。このままで、十分な子供の教育費を準備できるでしょうか?もちろん、現代でも学資保険には生命保険料控除など一定のメリットもあります。しかし少なくとも、学資保険に入っていれば大丈夫な時代ではありません。もっと色んな準備方法を考えて実行することをおすすめします。子供の未来を少しでも明るいものに!従来の子供の教育費というのは、「絶対に不足してはいけないお金」でした。しかし現代は、半数程度の学生が奨学金を利用している時代です。それほど、準備が難しいお金とも言えます。また奨学金や教育ローンなどは、「単なる借金」ですから、利用するほどに家族の将来が苦しくなりかねません。あくまで学資保険も含めてですが、子供の未来を、そして家族の未来を少しでも明るいものにするために、たとえば資産運用など一定の方法を考えていきましょう。学資保険に入っているなら年末調整で申告を!学資保険に入っているなら、年末調整で申告することによって生命保険料控除を受けられ、その分だけ所得税が安くなります。少なくとも、加入しているのに申告しないのは「ただの損」です。決して年末調整は難しいものではありませんから、不慣れであっても挑戦してみましょう。
2019年11月01日こんにちは、婚活FP山本です。最近では副業をしている方も増えてきましたが、仕事を掛け持ちしている場合の年末調整はどうなるのか、不安な方も増えてきました。特に勤め先が副業禁止としているような場合は、尚更かもしれません。失敗したら会社バレするかもしれませんし、やはり正しい知識を身に着けておくべきでしょうね。そこで今回は、副業している場合の年末調整について基礎知識や注意点をお伝えします。あなたの人生に、お役立て下さいませ。年末調整とは源泉徴収された所得税の精算なお、住民税の税額は所得額に関わらず一律10%となっています。また住民税の納付書は6月頃に届きますから、少し支払いまでに時間差があるため、支払い用のお金を残しておきましょう。給与所得の場合は役所で事前確認を!副業が給与所得の場合は、住民税を「自分で納付」にしても会社バレすることがあります。これは、ハッキリ言って「役所の応対次第」です。このため、できれば給与所得の副業を始める前に役所に確認しておいたほうが無難と言えます。あるいは、無難に雑所得に当たるような副業を選ぶのもアリです。これから始めようとしている副業の収入が何所得に該当するのか……会社員の方は注意して調べておくことをおすすめします。会社バレを防ぐためにも税金は申告しよう最後に、副業している会社員の確定申告における注意点をお伝えします。そもそも、日本では「全ての利益」に対して税金がかかる制度です。たとえ少額の副業収入であっても、確定申告が必要なのにサボると、一定のペナルティ的な税金を負わされることもあります。また確定申告をサボると、その確認のための連絡が勤め先に行き、それが元で会社バレするケースもあるわけです。つまり副業をする場合は、基本的に確定申告しないという選択肢はありえません。会社バレを防ぐためにも、ペナルティを防ぐためにも、しっかり副業するなら確定申告しましょう。確定申告できれば「やれる事」が広がる!多くの人にとって確定申告は、「できれば避けたい難しい事」です。しかし確定申告が普通にできるようになれば、「やれる事」が一気に広がります。たとえば「ふるさと納税」をすることもできますし、「医療費控除」を使って節税することもできるようになるわけです。何事も、できないままにしておくよりはできるようになった方が得ではないでしょうか。せっかく副業にも行動の手を広げたのなら、ついでに確定申告にまで広げておきましょう。副業・掛け持ちは年末調整ではなく確定申告を前提に!副業にも励んでいくつもりなら、どうしても会社員であっても年末調整では済まず、確定申告もする前提で挑む必要があります。確定申告をサボると、会社バレするかもですし、ペナルティを負うかもしれません。自分の身を守るため、より稼いでいくため、そして節税するためにも、今後は確定申告も学んでいきましょう。
2019年10月31日こんにちは、婚活FP山本です。会社員なら税金のことは年末調整で済みますが、それでもイマイチ分からない方も極めて多いと言えます。特に転職などを挟み、自分で支払った国民健康保険料があるような場合、わずかでも周囲と違うことで分からなくなることが多いです。しかし、分からないからと記入しなかったら損に繋がります。そこで今回は、年末調整や確定申告での国民健康保険の基本や対象、書き方などをお伝えします。あなたの人生に、お役立て下さいませ。国民健康保険の保険料は金額全てが社会保険料控除の対象強いて言えば、国民健康保険の保険料は基本的に「支払った保険料の合計額が記載された証明書」のようなものがもらえません(稀にもらえる自治体もあります)。このため、数字を間違えてしまう可能性があります。保険料の領収書とともに電卓を用意し、落ち着いて間違いのないよう計算しましょう。また、中ほどの「保険料を負担することになっている人」は、必ずしも本人とは限りません。家族の誰かの分を支払うこともありますからね。名前と続柄にも注意しましょう。期間中、他の支払いもなかったか確認しよう一般的に、転職活動中に国民健康保険料を支払ったような場合は、合わせて国民年金保険料も支払っていることが多いです。先ほども触れた通り、(自分で支払った)国民年金保険料も社会保険料控除の対象になります。年末調整時には、他の支払いもなかったか確認しましょう。ちなみに計算期間は、毎年1月から12月までです。この期間に支払った保険料を申告することになります。まれに4月から3月までで数える人もいますから、ご注意下さいませ。確定申告での国民健康保険の書き方確定申告の場合についてもお伝えします。一般的な会社員が確定申告をする場合は、「確定申告書A」という書類を使うのが基本です。そして第一表の社会保険料控除の欄に合計額を記載し、第二表の社会保険料控除の欄に内訳を記載することになります。以下を見本として、やってみましょう。年末調整とは、あくまで会社に勤めている方に限り利用できる制度です。たとえば退職した後に就職活動に励んだものの、年内に転職先が見つからないケースも十分にありえます。そんな時には確定申告が必要になることもありますから、しっかり覚えておきましょう。書き方がわからない方は税務署へ行くのもアリ確定申告になると、途端に難易度が高いと感じて面倒になり、書かなくなってしまう方も一定数おられます。お気持ちは分かるものの、転職活動時の確定申告は還付金がもらえる可能性が高いので勿体ない行為です。どうしても書き方がわからない方は、税務署に直接行って相談しながら書くこともできます。最近ではインターネットで簡単に調べることも可能です。なんとか書き上げましょう。[adsense_middle]前納分、追納分についても忘れずに最後に、年末調整における国民健康保険の注意点についてお伝えします。すでに触れた通り、国民健康保険は毎年「1月から12月の間に支払った保険料」が対象です。これは少し広範囲に解釈され、たとえば翌年分の一部を今年支払った場合は、今年の控除にすることができます。また過去の未納分を追納した場合も、追納した年の年末調整で社会保険料控除にすることが可能です。これは家族の分でも同じ扱いになります。ただし、家族の分を支払う場合は「生計を一にしている」ことが条件なので、たとえば生計が別の別居している子供の分を支払った場合は対象外です。逆にたとえば子供が大学生で、定期的に仕送りをしているような場合は「生計を一にしている」と見なされ、控除対象になります。面倒でも、分からなくてもがんばろう!国民健康保険のことに限らず、年末調整に不慣れなうちは面倒に感じ、これでいいのか分からなくて不安にも感じがちです。しかし、だからといって何も書かずに提出するのは、実益は元より経験のうえでも損と言えます。この理屈は確定申告であっても変わりません。そもそも年末調整も確定申告も、毎年することです。何回かこなせば、誰もが相応に慣れてこなせるようになります。最初は調べながら、誰かに聞きながらでもチャレンジしましょう。年末調整では国民健康保険をお忘れなく!今年中に自分で支払った国民健康保険の保険料は、年末調整で社会保険料控除の対象になり、その分だけ税金が割安になります。せっかく支払ったのなら、申告しないのは損になりかねません。不慣れだと面倒に感じるでしょうが、練習の意味でも年末調整に挑戦しましょう。
2019年10月29日こんにちは、婚活FP山本です。税金のことは会社員なら年末調整で済みますが、それでも難しいと感じる方も想像以上に多いと言えます。普段は見ないような必要書類も色々ありますから、尚更かもしれません。ですが、漏れがあっては還付金が減るなどの損も発生しかねませんから、しっかり応対しましょう。そこで今回は、年末調整の必要書類について全般的にお伝えします。あなたの人生に、お役立て下さいませ。会社や提出先に出す年末調整の必要書類一覧まずは、会社や提出先に直接的に提出する必要書類についてお伝えします。年末調整で提出する必要書類は、以下の3つです。給与所得者の保険料控除申告書給与所得者の扶養控除等(異動)申告書給与所得者の配偶者控除等申告書どれも漢字が並んでいて難しそうに捉えてしまうかもしれませんが、誰もが提出する、誰でも書ける書類と言えます。また実際に書くのは書類の一部分だけですから、そこまで負担も大きくありません。ちょっとだけ気合を入れて、サッと済ませてしまいましょう。次の章から、一つずつお伝えしますね。給与所得者の保険料控除申告書この書類では、大きく以下のことを書きます。生命保険について地震保険について(自分で支払った)社会保険料について(自分で支払った)年金について多くの場合、実際に記入するのは上2つだけです。その記入も、後述する各種の証明書の内容を書き写すだけですから、そんなに難しいわけではありません。書かなかった場合は未加入と見なされて、その分だけ税金が上がりますから、しっかり書きましょう。なお、転職前後なら自分で社会保険料を支払うこともあります。また、中にはiDeCo(個人型確定拠出年金)をやっている方もいますが、それらの場合は忘れず下2つの欄に書きましょう。給与所得者の扶養控除等(異動)申告書簡単に言えば、この書類では「家族のこと」を書きます。自分の家族のことですから、誰でも書けるでしょう。唯一の注意点は「配偶者(結婚相手)のこと」でしょうか。この書類の配偶者の欄は、以下の両方の条件を満たす場合にのみ書きます。本人の所得900万円以下(年収なら1120万円以下)配偶者の所得85万円以下(年収なら150万円以下)あとは「子供の年齢」にも注意しましょう。16歳以上か未満かで、書く欄が変わってきます。16歳未満なら、一番下の欄に書いて下さい。給与所得者の配偶者控除等申告書この書類は、少しだけ注意しましょう。具体的には、以下の流れで記入することになります。「計算表」の部分で夫婦の所得を計算する自分と配偶者の所得から「区分」を書く一番下の表で「控除額」を見て、どちらかの控除欄に記入するちなみに計算表については、あなたが会社員で給料以外の収入がないなら、「源泉徴収票」で計算を省略することもできます。源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」を、年末調整の「所得金額」の欄に書きましょう。年末調整時に準備・添付する提出物一覧年末調整とは、「所得税の清算」のために行います。そのために、正確な「税金計算上の経費」を申告して、正確な税金額を計算してもらうわけです。ただし、架空の経費計上を防止するため、様々な証明書などを資料として提出する必要があります。次の章から、年末調整時に準備して添付すべき提出物の一覧をお伝えします。どれもが基本的に「該当する人だけ」ですが、該当するならしっかり添付して節税に努めましょう。配偶者の源泉徴収票(扶養控除申告書のため)生命保険料控除証明書地震保険料控除証明書(自分で支払った)社会保険料の領収書iDeCo(個人型確定拠出年金)掛金払込証明書住宅ローンの年末残高証明書[adsense_middle]配偶者の源泉徴収票(扶養控除申告書のため)税金計算においては、結婚している人は配偶者を「配偶者控除」として経費にできる可能性があります。ただし、経費にできる金額は「配偶者の年収次第」です。そんな配偶者の年収を、この書類で証明することになります。なお、納税者の年収でも控除額は変わり、具体的には以下の通りです。生命保険料控除証明書あなたが生命保険に加入しているなら、その保険料を「生命保険料控除」として経費にできます。具体的には以下の通りです。介護医療保険料控除……年間保険料8万円超で最大4万円一般の生命保険料控除…年間保険料8万円超で最大4万円個人年金保険料控除……年間保険料8万円超で最大4万円上記の合計最大12万円なお、2011年12月31日以前に加入した保険については、保険料控除の内容が少し違います。この書類は加入中の生命保険会社から送られてきますから、届いたらしっかり保管しておきましょう。地震保険料控除証明書あなたが地震保険に加入しているなら、その保険料を「地震保険料控除」として経費にできます。地震保険料控除の金額は、以下の通りです。5万円までは保険料全額、5万円超は一律5万円なお、こちらも昔は少し内容が違ったのですが、たとえ両方の契約があっても「最大5万円」となっています。加入していれば、損害保険会社から証明書が届くはずです。金額を確認したうえで、しっかり保管しておきましょう。ちなみに地震保険は、基本的に火災保険とセットでないと加入できません。まずは火災保険に加入しているかどうかを確認しましょう。(自分で支払った)社会保険料の領収書特に転職が絡む場合、今は会社員として社会保険料を差し引かれているとしても、自分で支払った分もあることが多いです。そんな場合は、支払い時にもらった領収書を添えることで、「社会保険料控除」として経費にすることができます。ちなみに社会保険料(控除)は、支払った保険料の全額を経費にできる効果が大きいものです。もし自分で支払った分があるなら、経費にしないのは相当な損と言えます。特に「子供に代わって支払った国民年金保険料」などは忘れがちなので、注意しましょう。iDeCo(個人型確定拠出年金)掛金払込証明書あなたがiDeCo(個人型確定拠出年金)をしているなら、その掛金の全額を経費にすることができます。おおよそ10月末頃に、国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金払込証明書」という名前の書類が届くはずです。忘れず保管し、書類に添付しましょう。ちなみにiDeCoの掛金は税金上、「小規模企業共済等掛金控除」となります。社会保険料控除とは分類が違うものの、同じく全額を経費にできる効果が大きいものです。あなたが少しでも節税したいのなら、この機にiDeCoを試してみるのも良いかもしれませんね。住宅ローンの年末残高証明書あなたが住宅ローンを組んで住宅を購入したのなら、いわゆる「住宅ローン控除」を受けられます。住宅ローンを組んだ金融機関から10月頃に証明書が送られてくるはずです。住宅ローン控除は「税額控除」という節税効果が極めて高いものですから、忘れず申告しましょう。なお、住宅ローン控除を使う場合は、合わせて「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」も提出する必要があります。初年度に確定申告をしたのなら、税務署から9年分まとめて送られてきているはずですから、合わせて提出しましょう。なお、無くした場合は税務署で再交付してもらえますから、ご安心下さい。年末調整に関係する必要書類はどれも簡単!年末調整は「納税を簡素にする制度」ですから、提出物も記入方法も簡単にできています。このため、決して怖がる必要はないものの、サボった人ほど税金が重くなりかねないものです。書ける部分は書き、添付できる書類は添付して、少しでも有利に確定申告を終えましょう。
2019年10月29日東日本大震災、熊本地震と震災が身近で発生し地震保険への関心が高まっていますが、分譲マンションでも地震保険に加入できるとご存じですか?分譲マンションの地震保険は、戸建ての地震保険とは少々違う考え方で加入を検討します。今回は分譲マンション住まいにおける地震保険加入の必要性やメリットなどをご紹介します。地震保険の基礎知識まずは地震保険の基礎知識をご紹介します。地震保険で押さえておくべき基礎知識は3つ挙げられます。地震保険は火災保険とあわせて加入地震保険は損害区分を基準に保険金が支払われる建物の構造や所在地で保険料が異なる地震保険は火災保険とあわせて加入地震保険は火災保険とあわせて加入する必要があります。地震保険に入りたいとお客さまからの問い合わせをいただくことがあるのですが、「地震保険は単体での加入はできないので火災保険と一緒に加入する必要があります」とご案内しています。地震保険を用意する場合は火災保険とあわせてご加入ください。地震保険は損害区分を基準に保険金が支払われる地震保険には4つの損害区分があります。全損大半損小半損一部損万一の際はこの4つの損害区分で損害を判定し、保険金が支払われます。損害区分が一つ違うと受け取る保険金が数十%違ってきます。査定は保険会社が指定する鑑定人によって行われますが、鑑定人により査定結果に差が出るので注意が必要です。建物の構造や所在地で保険料が異なる地震保険では、建物の構造や所在地により保険料が異なります。地震発生の際に被害が大きい首都圏では比較的高い保険料、地震が少ない地方では保険料が安く設定されています(下表は地震保険の保険料最安値と最高値)。保険料が高いため地震保険に入らない方もいらっしゃいますが、必要最低限の保障は用意されたほうがいいでしょう。※保険期間1年、地震保険金額1000万円、割引適用なしとして算出分譲マンション住まいの場合は地震保険に加入する必要性はあるの?地震保険は分譲マンション住まいも加入する必要があると考えています。東日本大震災や熊本地震以後、地震保険の加入率は上昇傾向にあり、2008年に22.8%だった地震保険の世帯加入率は2018年に32.2%となりました。このように地震保険の世帯加入率が10年間で10%増加したのは、大規模地震に備える方が増え、地震保険への関心が高まっているからだと推測されます。ここでは、まず地震保険の基礎知識を紹介し、次に分譲マンションの地震保険についてご紹介します。分譲マンションは専有部分と共用部分で分けて地震保険加入を検討する分譲マンションには専有部分と共有部分がありますが、分譲マンションで地震保険を検討する際はこれらを分けて検討します。専有部分は簡単に言うと部屋の内側、共有部分はそれ以外の場所です。注意したいポイントは、共有部分はエントランスや廊下だけでなく、排水、電気設備などや、ベランダや窓も共用部分に含まれる点です。専用部分で地震保険を検討する場合分譲マンションの専用部分の地震保険を検討する場合は、いくらの保障が必要なのかを考えます。ただし、地震保険は火災保険とあわせて加入する必要があり、保険金額は火災保険の保険金の3割から5割の金額で設定します。これらに基づき、ご自身のマンションの価値がどれくらいなのか、被災したときにいくらの保険金を用意するのか、家財に対する保障はどうするのかを検討してください。共用部分で地震保険を検討する場合共用部分の地震保険加入にはマンションの全世帯の合意が必要なため、地震保険はマンションの管理組合が加入する場合がほとんどです。そして、共用部分に新たに地震保険をかける場合は金銭的な負担が生じるため、マンション全世帯の合意を取るのは難しいです。ですから現在共用部分で地震保険に加入していないマンションに住まれている場合は、ご自身が居住する専有部分の地震保険だけを検討するのが現実的です。分譲マンションを購入する際に確認しておきたいこと分譲マンションを購入する際には共用部分に地震保険が掛けてあるかどうかを確認してください。新築の場合は、マンションの管理組合が地震保険に加入する予定があるかどうかをご確認ください。マンションは構造的に強く造られているため、東日本大震災規模の地震が起きても大丈夫と言われたりもしますが、それ以上の震災が来ないとは言い切れません。また、共用部分の地震保険加入を検討中、もしくはすでに加入しているマンションであれば、万一の時を考えられる住人が多いマンションだという判断基準にもなります。非常事態のことに備えられる人たちが多いマンションだと万一の時に安心できますね。分譲マンションでは専有部分の建物と家財の地震保険のご用意を!分譲マンション住まいの場合、地震保険の加入は専有部分だけを検討することが現実的でした。次に地震保険の対象を詳しくご紹介します。[adsense_middle]地震保険の対象は建物と家財地震保険の対象は大きく分けて2つあります。建物家財地震保険の「建物」と「家財」は、火災保険の建物家財の保険金3割から5割の金額で保険金を決定します(建物の上限は5,000万円、家財の上限は1,000万円)。例えば、建物2,000万円、家財1,000万円の火災保険で地震保険に加入すると、600万円から1,000万円の建物の保険金、300万円から500万円の家財の保険金を設定できます。また、地震保険の対象は居住用の家とそこにある家財である点をご注意ください。建物の地震保険の内容建物の地震保険は、用途が居住の建物を保険の対象としています。法人や個人事業主が自宅を事務所として使っている場合も地震保険の対象です。家財の地震保険の内容家財の地震保険は、居住用として使用されるの建物の中にある家財を対象としています。対象外の家財は、30万円以上の貴金属などの装飾品、通貨、預貯金証書、印紙、切手、自動車等は対象外です。これは地震保険が「生活を立て直すため」に設立されたものであり、ぜいたく品や趣味嗜好性の高いものは対象外としているからです。分譲マンション住まいで地震保険に加入するときのポイント分譲マンション住まいで地震保険に加入するときのポイントは、2つあります。建物だけでも用意しておくと安心貯蓄でカバーできるなら必要なし建物だけでも加入しておくと安心分譲マンションで地震保険に加入する際は、建物だけでも加入しておくと安心できます。地震保険の保険金の用途は限定されていないので、建物、家財どちらかで資金が用意できれば問題ありません。仮にご自宅が被災し地震保険の保険金を受け取った場合、その保険金を生活費に充ててもいいし、新しい生活に必要なものをそろえる資金として活用できます。震災後に新しい生活を始める必要最低限の金額を建物の地震保険で受け取れるようにしておけば、家財の保障はいらない場合もあります。万一の時の資金が用意できるなら加入不要保険全般に言えることですが、万一の時に必要な資金を用意できる場合は保険に加入する必要はありません。生命保険や損害保険は本来、万一の時に今の生活を維持する保障を用意するのが目的です。保険加入が税金対策として有効な場合がありますが、基本的には必要のない保険には加入しないというスタンスで保険をご活用ください。分譲マンションの地震保険のメリット/デメリット最後に分譲マンションの地震保険に加入するメリット/デメリットをご紹介します。分譲マンションのメリット/デメリットとしていますが、地震保険全体のメリット/デメリットだと言っていいかもしれません。分譲マンションであっても戸建ての住宅であっても地震保険のメリット/デメリットは共通する部分が多いです。[adsense_middle]分譲マンションの地震保険のメリット分譲マンションの地震保険に加入する場合のメリットは2つ挙げられます。被災した際に時まとまった資金が用意できる地震保険料控除が受けられる被災した際にまとまった資金が用意できる筆者は熊本在住なのですが、熊本地震の際に地震保険に加入していて助かったという話をよく耳にします。保障内容は覚えていなかったけど、全損だったので2,000万円近く保険金が支払われたというお客さまもいらっしゃいます。地震保険に加入していれば万一の時にまとまったお金を受け取れるので、それを資金として新たな生活をすぐに始められます。被災して精神的に苦しい状態の中、当面のお金の心配をしなくていいことはとても重要です。地震保険料控除が受けられる地震保険に加入していると、毎年の所得税、住民税の控除が受けられます。所得税は地震保険の保険料に応じて保険料の全額~5万円までが控除され、住民税は地震保険料の控除に応じて保険料の全額~15,000円までが控除されます。例えば、地震保険を年間40,000円支払っている方だと、所得税で4,000円、住民税で2,000円、あわせて6,000円の節税効果があります(※所得税、住民税ともに10%として計算)。10年間で6万円、30年間で18万円の控除額になるのでメリットは大きいです。分譲マンションの地震保険のデメリット分譲マンションの地震保険に加入する場合のデメリットは3つ挙げられます。火災保険が必要ない場合は火災保険の保険料が無駄になる査定結果によっては十分な保険金を受け取れない可能性もある時価査定のため、買った時の金額よりも少ない保険金が支払われる火災保険が必要ない場合は火災保険の保険料が無駄になる地震保険は火災保険とあわせて加入する必要がありますが、地震保険に加入したいために火災保険に加入する場合は、火災保険が全く必要ない世帯だと火災保険の保険料が無駄になります。火災の発生割合は全国共通で、地震の発生割合は地域によって差があります。火災保険に加入するかしないかは考え方で違ってくるので個々の判断が重要です。査定結果によっては十分な保険金を受け取れない可能性もある地震保険は、損害保険の鑑定人により査定結果が異なる場合があります。地震保険の査定基準で、1つ違えば受け取る保険金は数十%違ってきます。鑑定に不服の場合は再調査も依頼できますが、被災後の状況で早急に資金が必要な場合は時間をかけられないこともあります。また分譲マンションですので、階数や場所により被害状況が異なれば、査定結果も違ってきます。隣の部屋が大半損なのに自分の家は一部損だったということも十分考えられるので、そういったリスクを含んだデメリットもあるとご承知ください。時価査定のため買った時の金額よりも少ない保険金が支払われる地震保険は保険金を支払うときの基準として時価査定を使っています。時価査定とは、被災して同じマンションを購入する際に、購入してから経過した年数を引いて査定することです。例えば2,500万円で購入したマンションが10年後被災して全損となった場合、マンション購入金額から10年経過分の金額数百万円を差し引いて保険金が支払われます。地震保険では、マンション購入から時間が経過している場合は、同じクラスのマンションを再購入する費用には足りないこともあるので注意が必要です。分譲マンションの地震保険に関するまとめ分譲マンションの地震保険はこれからますます需要が増えることが予想されます。地震保険では年間数万円の保険料で万一の時に新しい生活の資金を用意できます。万一の時に不安であったり、資金を用意できない場合は地震保険への加入をご検討ください。地震がいつ発生してもいいように、早めの検討をおすすめします。
2019年10月28日社会保険は、ケガや病気などのリスクに備えるため、法律で決められた制度です。保険会社が販売する民間の保険とは違い、法律で決められた要件に当てはまる場合は、本人の意思にかかわらず加入しなければなりません。社会人になると、いきなり社会保険料が給与から天引きされ始めますが、保障内容については事前に聞いていないことが多いのではないでしょうか。社会保険に加入する要件、加入するメリットについて解説します。「社会保険」という言葉の意味は、大きく分けて2通り「社会保険」と言うとき、大きく2通りの意味があります。広義の社会保険1つ目は”広い意味での”社会保険です。医療保険・年金保険・介護保険・雇用保険・労働保険の5つがあります。社会全体でリスクに備えるための公的な保険を指します。個人が支払う保険料にプラスして、国も費用を出して運営されていることがほとんどです。狭義の社会保険(本記事で解説する社会保険)2つ目は”狭い意味での”社会保険です。会社などに勤務する人を対象にした保険は「健康保険」「厚生年金保険」「雇用保険」「労災保険」の4つがあります。このうち「雇用保険・労災保険」の2つが「労働保険」と言われるのに対し、「健康保険・厚生年金保険」の2つが、「社会保険」と呼ばれています。”パートタイマーだが、社会保険に加入することになった”といった文脈で使われるときは、この2つの保険を「社会保険」と捉えていることが多いでしょう。アルバイトなど短時間で働く人が、段々と勤務時間を増やしていく場合は、次の順で保険の対象になることが一般的です。労災保険(必ず加入)雇用保険(週20時間以上働く)健康保険・厚生年金保険(正社員と比べて4分の3以上働く)今回は、狭い意味での社会保険である「健康保険」「厚生年金保険」について解説します。社会保険が適用される要件健康保険・厚生年金保険は、全ての労働者に適用されるわけではありません。事業所(会社など)が条件に合うかそれぞれの労働者が条件に合うか適用…「加入する」「対象になる」と言われる状態です。1.事業所(会社など)が条件に合うか次の事業所は、法律上当然に、健康保険・厚生年金が適用される”強制適用事業所”となります。国、地方公共団体の事業所法人(〇〇会社、〇〇法人など)個人経営で、常時5人以上の従業員がおり、かつ"適用業種"であること(例…製造業、金融業、保険業、医療業など)船員法で定める船舶(厚生年金のみ)個人経営の場合、適用業種に該当しないもの…①農林水産業、②飲食店・理美容業などサービス業の一部、③弁護士など自由業、④宗教業逆に、当然には適用事業所に該当しないものは次の通りです。個人事業で、従業員が常時5人未満個人事業で、業種が「①農林水産業、②飲食店・理美容業などサービス業の一部、③弁護士など自由業、④宗教業」強制適用事業所に該当しない場合は、事業主が厚生労働大臣に申請して認可を受けた場合のみ、健康保険・厚生年金が適用されます。2.それぞれの労働者が条件に合うか適用事業所に勤務すると、原則として、本人の意思にかかわらず、健康保険・厚生年金保険の被保険者となります。「社会保険に加入する・しない」を自分の意志で決めることはできません。ただし、日雇労働者・ごく短期間雇われる者などは適用が除外されます。被保険者…保険に加入している本人のことです。健康保険・厚生年金保険に加入できない労働者の例日雇労働者2カ月以内の期間限定で働く人パート・アルバイト等で一定の要件に当てはまらない人など契約書上は「日雇い」となっていても、1カ月を超えて雇用された場合は、それ以降社会保険に加入することになります。初めに短い期間で雇い入れたことだけを理由に、社会保険に加入させない、といった取り扱いはできません。社会保険の保険料は、給料の約15%健康保険料・厚生年金保険料は、いずれも毎月の給与から、事業所が控除(天引き)して支払います。社会保険料は合計して、給料の約15%程度が目安です。[adsense_middle]3つの保険料に共通の事項毎月受け取る給与から事業所が控除する実際に納付する義務があるのは事業所「標準報酬月額」に保険料率をかけて保険料を計算する標準報酬月額=だいたいの月給のこと給料の額にそのまま保険料率をかけると事務処理の手間がかかるため、健康保険では50等級・厚生年金保険では31等級の「標準報酬月額」が定められています。例えば、入社時の給料が198,000円だった場合、標準報酬月額は「20万円」になります。どの標準報酬月額に該当するかは、年に1回定期的に見直されるほか、大幅に昇給・減給があった場合にも見直されます。保険料は勤務先と従業員で半分ずつ負担するため、実際に従業員が負担する保険料は、この半分の額です。健康保険料主に中小企業に勤めている場合は「全国健康保険協会(通称:協会けんぽ)」が保険事業を行います。保険料は都道府県ごとに決まり、毎年見直されます。おおむね約10%です。大企業の場合は、独自に保険事業を行う「〇〇健康保険組合」が設置されていることもあります。健康保険組合の保険料は各組合ごとに定めます。介護保険料40歳以上65歳未満の場合、健康保険料と併せて徴収されます。保険料率は毎年見直しされます。厚生年金保険料平成29年9月まで、段階的に引き上げられてきました。現在は18.3%で固定されています。年金財政が厳しくなった場合は「保険料を引き上げる」のではなく「給付額を減らす」ことで、保険料と給付額のバランスをとるように改正されたためです。(公務員・私学教職員はこれより低い保険料率でしたが、令和9年までに、会社員と同じ水準に引き上げられます)私立学校教員については、保険料は15.77%(令和元年)です。令和9年4月までに18.3%まで段階的に引き上げられ、会社員・公務員・教員の保険料が統一化されることになっています。さらに、雇用保険料がかかるこの3つの保険料のほかに、給与に対して雇用保険料がかかります。「一般の事業」の保険料率は0.9%で、従業員が負担するのは0.3%です。(平成31年度)なお、労災保険については、全額が事業主負担のため従業員が負担する保険料はありません。健康保険・厚生年金保険に加入するメリット保険料がかかるために、給料が減る、家計の負担が増えると敬遠されることの多い社会保険ですが、保険料を支払った分、様々な給付を受けることができます。健康保険のメリット(扶養されている時との違い)メリット1:ケガや病気で休んだとき、給料の一部が保障される健康保険の被保険者になると、業務に関係のない病気やケガで休業したときに”傷病手当金”が受け取れます。例えば、月給30万円だったが病気で会社を休み、給料が支払われなかった場合、1年半で最大約360万円が受け取れます。メリット2:出産のため休んだとき、給料の一部が保障される出産のため休んだ場合には”出産手当金”を受け取ることができます。例えば、月給30万円だった人が産休を取った場合、産前~産後の計約3カ月の休業に対し、合計約65万円が受け取れます。厚生年金保険のメリット(自営業など国民年金加入者との違い)メリット1:老齢年金の額が増える20歳以上60歳未満の人は、基本的に全員が、公的年金制度に加入しなければいけません。ほぼ同じ金額の保険料を支払った場合でも、国民年金か厚生年金かで将来受け取れる年金の額は差があります。この例では厚生年金のほうが年額47万円多く、20年間受け取った場合では約940万円のプラスになります。メリット2:障害状態になった時に、年金を受け取れる可能性が高まる業務に関係のないケガや病気で障害状態になり、障害年金の受給を申請する場合、初めて医師の診察を受けた「初診日」に厚生年金に加入していると、支給額がプラスになります。障害等級1級、2級の場合重い障害で、生活が自宅・病院の中に制限されるような場合です。老後に受け取る年金と同じように”2階建て年金”があり「障害厚生年金」を受給できます。例えば、月給30万円・厚生年金の加入期間が25年未満・障害等級1級と認められ、障害基礎年金を受け取る場合、毎年約66万円の障害厚生年金がプラスされます。障害等級3級の場合1級・2級よりは軽度の障害の状態だが、働くことに制限がある…として障害等級3級と認められた場合です。初診日に厚生年金の被保険者であれば「障害厚生年金」が受給できます。国民年金にしか加入していなかった場合、3級の障害年金は受け取ることができません。3級の障害厚生年金では、最低でも毎年約58万円が受け取れます。メリット3:自分が亡くなったとき、年金を受け取れる遺族の範囲が広がる国民年金のみ加入していた人が亡くなって「遺族年金」を受け取ることができるのは、18歳年度末までの子供がいる場合のみです(障害状態の子は20歳年度末まで)。一方で、厚生年金の被保険者であった場合には、小さな子供がいない配偶者や、55歳以上の父母・祖父母など、年金を受け取ることができる遺族の範囲が広がります。例えば、月給30万円・厚生年金の加入期間が25年だった場合、毎年約37万円が受け取れます。デメリット…受け取れなくなる手当もある夫婦どちらかが片方をずっと扶養していると、本人が65歳になってから受け取る老齢厚生年金に「配偶者加給年金」が加算されます。いわば”扶養手当”のようなもので、約22万円(年齢に応じ約3~16.5万円の加算あり)が、配偶者が65歳になるまで受け取れます。共働きでお互いに充分な厚生年金被保険者期間(20年以上)がある場合、この加給年金は受け取れません。社会保険に加入できないときはどうすればいい?勤務先で社会保険に入れない場合でも、何かしらの「公的医療保険」「年金保険」に加入しなければなりません。[adsense_middle]家族の「被扶養者」になる「扶養」という言葉が指すものも様々です。「所得税」を計算する時の”扶養”と、「社会保険」の”扶養”はそれぞれ別の判断基準です。被扶養者…扶養されている人のことです。主婦や主夫など。厚生年金での扶養厚生年金保険に加入している人の「配偶者」が、扶養されていると認定された場合、配偶者は国民年金の第3号被保険者となります。第3号被保険者である期間は、年金保険料を支払う必要はありませんが、厚生年金の受給額を増やすこともできません。健康保険での扶養健康保険では、配偶者以外も「被扶養者」になることができます。続柄(親兄弟や、おいめいも対象になる)同居か別居か(子・親・兄弟等は同居でなくでもOK)年収(130万円未満もしくは180万円未満で、同居の場合は被保険者の2分の1未満…など条件有)この3つを基準に判断されます。国民年金、国民健康保険の被保険者になる従業員5人未満の個人事業に勤めている生計を維持する家族がいない健康保険は親の被扶養者になっているが、年金保険には加入していないこういった場合、自分で年金保険・公的医療保険に加入する必要があります。健康保険の代わりに「国民健康保険」に、厚生年金保険の代わりに「国民年金保険」に加入します。居住地の市区町村役場で手続きができます。多くの場合で「健康保険」よりも「国民健康保険」のほうが保険料が高くなります。国民健康保険の保険料は、居住地の市区町村役場に確認してみましょう。勤務先で健康保険に加入できない場合は、まず家族の被扶養者になれないかを検討し、その後に国民健康保険の加入を検討することをおススメします。社会保険に関するまとめケガや病気による休業、長期の障害状態、老後の収入減少など、社会保険がカバーしているリスクは多岐に渡ります。民間保険を契約する場合は、社会保険の保障だけでは不足する部分を補うものと位置付けましょう。社会保険について知っておくことは「貰えるはずのお金の申請漏れを防ぐ」「必要以上の民間保険を契約しなくて済む」ことにも繋がります。
2019年10月25日こんにちは、婚活FP山本です。一般的な会社員なら年末調整で還付金がもらえることが多いですが、「もらえる時期」が気になる方もおられますね。中には「もっと欲しい」と考える方もいますから、関心の高さが伺えるとも言えるかもしれません。年末調整の仕組みを知れば、実際に還付金を増やすことができるかもしれませんよ。そこで今回は、年末調整の還付金がもらえる時期や仕組み、ポイントなどについてお伝えします。あなたの人生に、お役立て下さいませ。還付金がもらえる時期は「1月前後」まずは年末調整の還付金がもらえる時期についてお伝えします。結論から言えば、明確なものは実は分かりません。勤め先の会社次第とも言えます。実は年末調整の還付金は、支払い時期や方法について特に定められておらず、会社に委ねられているわけです。ただそれでも、一般的には「1月前後」に支払ってくれる会社が多いと言えます。厳密に言えば、1月の給料支払いと同時に還付金も合わせて支払う会社が多いです。とは言え、中には12月の給料に合わせるところもあれば、2月になるところもあるのが実情と言えます。給料と同時ではなく、還付金だけ別に支払っている会社もあるので、本当に会社次第です。ひとまず、おおよその目安として「1月頃にもらえる」と覚えておくと良いでしょう。手続きする時期でも返還時期は変わってくる年末調整の還付金は、勤め先が手続きする時期でも返還時期は変わってきます。シンプルに、早めに手続きする会社は返還も早く、遅い会社は返還も遅いのが一般的です。勤め先の事務処理速度によっては、早めに着手したのに完了や還付が遅くなる可能性も考えられます。いずれにしても、年末調整の還付金がもらえる時期は少し不明瞭です。このため、この還付金をアテにした「何らかの支払い予定・計画」を立てるのは控えたほうが無難と言えます。年末調整の内容は払い戻し・返金だけではない合わせて、年末調整についての注意点もお伝えします。確かに、年末調整では還付金がもらえることが多いのですが、年末調整の内容は払い戻し・返金だけではありません。場合によっては「不足額の調整」として、支払いとなるようなことも十分にありえます。年末調整の内容が支払いになってしまうようなケースとしては、ざっくり以下のようなケースです。年内に急激に年収が上がった途中入社した配偶者や子が働きだした(扶養控除から外れた)去年と特に何も状況が変わっていない中でなら、突然に支払いになるようなことは考えにくいです。しかし上記のような「急激な一定の変化があった時」には、年末調整で支払いになるような可能性が高まると言えます。求められたら、しっかり応対するようにしましょう。翌1~2月で分割払いもできる年末調整で還付ではなく徴収される場合は、「年末調整をする月の給料で清算」という形で支払います。つまり、この場合も自動的に源泉徴収されてしまうわけですね。あなたとしては手間がかからないのでラクかもしれませんが、実質的に給料が減るわけですから、注意しましょう。なお、清算額が多い場合(給料が70%未満になるような場合)は、一定の手続きの元、翌1~2月での分割払いにしてもらうこともできます。念のため、覚えておきましょう。年末調整とは源泉徴収した所得税の清算ここからは、年末調整の仕組みについてお伝えします。年末調整とは、簡単に言えば「簡易的な確定申告」であり「所得税の清算」です。というのも、会社員は毎月「源泉徴収」という形で給料から所得税を差し引かれます。しかし、この毎月の所得税は仮払いのようなものなのです。あくまで仮払いだからこそ、年末には正確な所得税額を計算して、差額を清算しなければなりません。それが年末調整になります。つまり、年末調整の還付金というのは、収めすぎた所得税の払い戻しという意味合いです。まただからこそ、時には支払わなければならない所得税が源泉徴収では徴収しきれていないケースもあり、そんな時には追加で所得税を納めることになります。ひとまず、このような年末調整の仕組みについて覚えておきましょう。扶養控除の変化や控除額の増減など色々ある毎月の所得税額と正確な所得税額がズレるのは、極めて普通です。なぜなら、徴収する会社もあなたの全てを知っているわけではありません。それに、扶養控除が変化したり控除額が当人の都合で増減したりすることもよくあります。状況が変化する度に毎月の所得税額を変えるのは、それこそ手間でしょう。年末調整は、当人にとっても会社にとっても、そして税務署にとっても納税を簡易にするための制度です。制度の趣旨を理解し、こちらも合わせていきましょう。税金の計算式を知れば還付金額も増えるかも?会社員の所得税は、ざっくり以下のように計算します。年収から「給与所得控除」を差し引く1から「14種類の所得控除(当てはまる場合)」を差し引く2に税率を掛ける年末調整では、上記の計算式で正確な税金額を計算し、源泉徴収した額との差額を清算するわけです。そして税金は、「14種類の所得控除」を差し引けるほどに割安になります。つまり、この所得控除を増やす努力をすれば、還付金額も増やせるかもしれません。なお、所得控除の代表例は以下の通りです。基礎控除:38万円(誰でも差し引ける)配偶者控除:1~38万円(結婚相手の年収による)生命保険料控除:最大12万円(加入中の生命保険次第)所得控除は、本人の事情で自動的に使えるものもあれば、自主的に増やせるものもあります。少しずつ学んでいくのも良いのではないでしょうか。年末調整の内訳も少しずつ学ぼう年末調整の内訳は、「簡易的な確定申告」です。つまり、元となる確定申告や税金のことを知るほどに、自分に有利になるようにすることもできます。年末調整とは還付金がもらえる手続き……などと考えるだけで済ませておくのは、あまりに勿体ないかもしれません。税金と聞くと、つい「難しそう」と捉えてしまい、考えることすら拒否する方も多いですが、自分の得になると思えばいかがでしょうか?実際に還付金が増えれば喜べるでしょうし、ぜひちょっとずつでも学んでいくことをおすすめします。「ふるさと納税」も還付金を増やす方法の一つ!今度は、さらに還付金を増やす方法についてお伝えします。先ほど触れた通り、基本的な還付金を増やす方法は「所得控除を増やす」です。しかし最近では様々な方法があり、以下の方法でも還付金は増えます。「ふるさと納税」をする(寄付金控除)「iDeCo(個人型確定拠出年金)」をする(小規模企業共済等掛金控除)確定申告をする(医療費控除や雑損控除が使えるようになる)現在のふるさと納税は、一定の手続きをすれば年末調整でもすることができます。iDeCoは簡単に言えば「投資行為」なので、イヤがる人も多いですが節税効果は高いです。会社員でも確定申告はできますし、チャレンジするなら使える所得控除も広がります。ひとまず、ふるさと納税は返礼品ももらえますから人気も高いです。まずはこのあたりから始め、できればiDeCoにもチャレンジし、少しずつ還付金を増やしていくのはいかがでしょうか。黙って何もしない人が一番損をする例えば生命保険に加入したとしても、それを申告せずに黙っていれば未加入と見なされます。先ほどのふるさと納税やiDeCoは、自主的にやった人だけが恩恵を受けられるわけです。結局のところ、黙って何もしない人が一番損をすることになるのが税金であり年末調整です。普段は仕事で頭がいっぱいかもしれませんね。しかし今は、どんなに仕事をがんばっても中々年収が上がらない時代です。こういう時代だからこそ、少しでも得を増やすために別のことにもチャレンジしてはいかがでしょうか。[adsense_middle]あなたは年末調整の還付金をどう使う?最後に、ぜひとも少し考えて頂きたいことをお伝えします。あなたは年末調整の還付金を、どのように使う予定でしょうか?生活費の補てん、貯金、豪遊……使い方は様々ですし自由です。特に最近は低年収な人も多いですから、すぐに無くなってしまう方もいるかもしれませんね。一方で今回お伝えしたように、税金の勉強をすれば還付金を増やせる可能性が出てきます。同様に「投資の勉強」をすれば、お金を増やせる可能性が出てくるわけです。投資するには「投資金」が必要となります。投資以外であっても、意外と勉強にはお金が必要です。お金は、直接的な生活に使うばかりではなく、未来のための先行投資に使うこともできます。何も考えなければ、いずれ生活費として消えるだけでしょう。ぜひ還付金が入ったタイミングで、このお金をどう使うか強めに考えてみてはいかがでしょうか。できれば未来を改善するために使おう!年末調整の還付金は、ある意味で「第二のボーナス」とも言えます。余裕が少ない人ほど、たとえ少額であっても「少しは物事を考える余裕ができる瞬間」です。相応に余裕がある人でも、お金のことが少しは気になる瞬間とも言えます。今は「老後資金として2000万円必要」などと言われている時代です。誰もが、将来的に困窮する可能性があります。せっかくの年末調整の還付金ですから、できれば未来を改善するために使って頂きたいところです。年末調整の還付金は「お金の勉強」に最適!勉強を嫌う方も多いですが、「実際の利益になること」ならいかがでしょうか?年末調整自体、知ることが勉強になりますし、還付金を勉強に使うこともできます。勉強はモノを知って覚えるだけでなく、深く考えて新たなモノを生み出せる可能性も秘めている行為です。ぜひ年末調整や還付金を、「最初のお金の勉強」と考えてみて下さいませ。
2019年10月23日年末調整の手続きで記入が必要なマイナンバー(個人番号)ですが、一定の要件を満たしていれば記入が不要となるケースもあります。この記事ではマイナンバーの記入が必要な書類と、記入が不要となるケースについて解説します。マイナンバー(個人番号)制度とはマイナンバー(個人番号)とは、日本に住民票のあるすべての人に割り振られる12桁の番号のこと。マイナンバー制度は、社会保障・税・災害対策の3つの分野において、複数の機関に存在する個人情報を紐付ける仕組みです。マイナンバー制度の目的マイナンバー制度には、大きく次の3つの目的があります。国民の利便性の向上行政の効率化公平・公正な社会の実現マイナンバー制度の導入によって、これまで市町村役場や税務署などを回って準備しなければならなかった書類が不要になるなど、利便性が向上しています。マイナンバーは原則一生変更されないマイナンバーは、漏えいして不正に使用される恐れがある場合を除き原則一生変更されないため、慎重に管理する必要があります。マイナンバーの目的外利用は禁止されているマイナンバーは、法令で定められた社会保障・税・災害対策に関する手続きにのみ利用が認められており、目的外利用は厳しく罰せられます。マイナンバーを提供する義務があるのは、主に次のようなケースです。年末調整でマイナンバーの記入が必要な書類年末調整は税金に関する手続きとして、勤務先に提出する書類のうち、次の書類にマイナンバーの記入が求められます。給与所得者の扶養控除等申告書給与所得者の配偶者控除等申告書給与所得者の扶養控除等申告書給与所得者の扶養控除等申告書には、「従業員本人」および「控除対象配偶者」「16歳以上の控除対象扶養親族」「16歳未満の扶養親族」のマイナンバーの記入が必要です(配偶者、扶養親族がいなければ記入不要)。出典:国税庁(筆者により加筆)*給与支払者のマイナンバー(法人/個人番号)の欄は、申告書を受領した会社が記入して税務署に提出するため、記入する必要はありません。給与所得者の配偶者控除等申告書給与所得者の配偶者控除等申告書には、「控除対象配偶者」のマイナンバーの記入が必要です。出典:国税庁(筆者により加筆)*給与支払者のマイナンバー(法人/個人番号)の欄は、申告書を受領した会社が記入して税務署に提出するため、記入する必要はありません。保険料控除申告書などにマイナンバーの記入は不要年末調整の際に提出する、次の書類についてはマイナンバーの記入は必要ありません。給与所得者の保険料控除申告書(*1)給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書(*2)(*1)年末調整で生命保険料控除・地震保険料控除・小規模企業共済掛金控除・社会保険料控除の適用を受ける場合に提出(*2)年末調整で住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の適用を受ける場合に提出マイナンバーの記入が不要となる場合「給与所得者の扶養控除等申告書」と「給与所得者の配偶者控除等申告書」には、原則マイナンバーを記入する必要があります。ただし、以下の場合にはマイナンバーの記入が省略できます。[adsense_middle]会社(給与支払者)が一定の要件を満たす帳票を備えている場合会社(給与支払者)が一定の要件を満たす帳簿を備えている場合、マイナンバーの記載を省略できます。マイナンバーの記載が必須となっている税務署提出用の源泉徴収票には、帳簿をもとに会社がマイナンバーを転記します。帳簿を備えるかどうかは会社(給与支払者)の判断によるため、それによってマイナンバーの記入が必要となるかが決まります。帳簿に記載する情報の収集方法についての要件帳簿は給与支払者が従業員から提出を受けた、以下の書類をもとに作成されたものに限られています。給与所得者の扶養控除等申告書従たる給与についての扶養控除等申告書給与所得者の配偶者控除等申告書退職所得の受給に関する申告書公的年金等の受給者の扶養親族等申告書記載すべき内容の記載された帳簿を備えていたとしても、その内容が上記以外の方法で収集されているとマイナンバーの記入は省略できません。帳簿に記載する必要のある項目帳簿には、扶養控除等申告書・配偶者控除等申告書に記載されるべきマイナンバーなどの情報のほか、作成に用いた税務関係書類の名称や提出日が記載されていなければなりません。当該書類に記載されるべき提出者本人、控除対象となる配偶者、控除対象扶養親族等の「氏名」「住所」「マイナンバー」(*3)帳簿の作成にあたり提出を受けた申告書の名称上記申告書の提出年月帳簿の記載されている内容に変更があった場合、あなた(従業員)は変更前後の内容を記載した会社所定の届出書または異動に関する控除申告書を会社に提出する必要があります。会社はその書類をもとに帳簿の記載内容を訂正します。扶養控除等申告書に記載すべき内容と帳簿に記載された内容が異なっている場合にも、マイナンバーの記入を省略することはできません。マイナンバーの指定を受けていない場合マイナンバーの指定を受ける前に日本を出国し、マイナンバーの指定を受けていない扶養親族等のマイナンバーは記入不要です(そもそも記入すべきマイナンバーを有していないため)。マイナンバーの指定を受けた後に出国し、海外に居住している扶養親族等のマイナンバーは記入が必要です。マイナンバーの記入が必要な書類に記入しないとどうなる?では、マイナンバーの記入が必要な書類にマイナンバーを記入しなかったらどうなるのでしょうか。控除や税額の計算には影響しない扶養控除等申告書・配偶者控除等申告書にマイナンバーの記載がなかったとしても、扶養控除などを適用するために必要となる事項が記載されていれば、控除や税額の計算には影響しません。マイナンバーが記載されている場合と同様に年末調整が行われ、課税関係は終了します。マイナンバーを記入しないことによる罰則はない扶養控除等申告書・配偶者控除等申告書にマイナンバーを記入しなかったとしても、罰則はありません。とはいえ年末調整におけるマイナンバーの提供は法律によって義務付けられたもの。あなた(従業員)がマイナンバーの提供を拒否した場合、会社が義務違反を疑われ迷惑をかけてしまう恐れもあります。マイナンバーを記入しないことによる税額計算への影響や罰則はないとはいえ、特段の事情がない限り勤務先の指示に従い記入するようにしましょう。マイナンバーを記入すると副業が会社にバレる?会社がマイナンバーをもとに行政機関にその人の収入額や納税額を問い合わせることは目的外利用にあたります。そのためマイナンバーを記入したからといって収入額や納税額を把握され、副業がバレることはありません。税務署には副業収入が把握される雇用契約や業務委託契約などを結んだ副業先から報酬を受け取った場合、副業先へのマイナンバー提供義務が生じます。副業先は提供されたマイナンバーを記載した源泉徴収票(雇用契約の場合)、または支払調書(業務委託契約などの場合)を作成し税務署に提出することになっているため、税務署には支払われた報酬(副業収入)が把握されます。税務署に収入(所得)を把握されやすくなったことで、所得の申告漏れがあれば税務調査を受け、ペナルティ(追徴課税)を課せられる可能性が高くなったといえます(これまでも当然申告しなければならなかったものですが...)。年末調整でマイナンバーを記入するかを自分で判断することはできない年末調整で提出する書類へマイナンバー記入しなくてもよいケースもあります。ただし、それには勤務先(会社)が一定の帳簿を備えている必要があり、あなた自身の判断でマイナンバーを書くか書かないかを決めることはできません。勤務先の指示に従うようにしましょう。
2019年10月21日こんにちは、婚活FP山本です。会社員は税金について確定申告しなくていいのでラク……ではありますが、意外と年末調整も簡単ではないと感じる方が多いと言えます。きっとあなたも、年末調整の書き方が分からず困ったこともあるのではないでしょうか。知らないままでは余計な損に繋がる可能性もありますから、注意が必要です。そこで今回は、年末調整の書き方について、記入方法や注意点を分かりやすくお伝えします。あなたの人生に、お役立て下さいませ。年末調整で書くことは限られている?次は、「給与所得者の保険料控除申告書」についてです。この用紙には、大きく以下のことを書きます。生命保険:加入中の生命保険について(生命保険料控除)地震保険:加入中の地震保険について(地震保険料控除)社会保険:自分で支払っている社会保険料があれば(社会保険料控除)年金:自分で支払っている年金保険料があれば(小規模企業共済等掛金控除)多くの場合、書くことになるのは「生命保険」と「地震保険」の項目だけです。これらの項目も、それぞれ未加入ならば書く必要はありません(書けません)。つまり加入していれば書けて、その分だけ税金も安くできるわけです。この機に加入するのもアリかもしれません。生命保険と地震保険については、加入しているなら各生損保会社から「保険料控除証明書」が送られてくるはずです。年末調整への記入方法は「内容を書き写すだけ」で済みますから、書き方に怖がらず試してみましょう。年金などは個人的に支払った場合のみ社会保険と年金は、給料から差し引かれている分は(会社が分かっているので)書かなくて問題ありません。書く可能性があるのは、最近では個人的に個人型確定拠出年金(iDeCo)をやっている方でしょうか。掛け金は全額が控除対象になりますから、忘れず書きましょう。強いて言えば、最近では転職も一般的になってきましたが、転職前後での事情によっては自分で支払うこともありえます。そんな時には、忘れずにこちらに記入するようにしましょう。家族構成はそのまま書けばOK今度は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」についてです。簡単に言えば、この用紙には「家族のこと」を書きます。基本的に家族構成をそのまま書けば良いので、落ち着いて書きましょう。ちなみに、少し注意が必要なのが以下の場合です。家族に障害者がいる場合(項目C)他の所得者が家族に関する控除を受ける場合(項目D)16歳未満の家族がいる場合特に悩むことが多いのは、「他の所得者が家族に関する控除を受ける場合」でしょう。夫婦が共働きの場合、どちらが控除を受けるべきかで悩むことも多いと言えます。これは結論から言えば「年収が高いほうの控除にする」が正解です。パートであっても慎重に給与所得計算しよう「源泉控除対象配偶者(A)」の項目にも注意しましょう。配偶者とは簡単に言えば「結婚相手」のことですが、ここには以下の両方に該当する場合に限り、記入します。あなたの所得が900万円以下(年収なら1120万円)配偶者の所得が85万円以下(年収なら150万円)お相手がパートなど低収入の場合は気を抜く方もいるのですが、慎重に給与所得を計算しましょう。所得金額などは例や見本のままではダメそして「給与所得者の配偶者控除等申告書」についてです。これは最近追加された書類で、少し不慣れだと難しいかもしれません。簡単に書き方と流れをお伝えすると、以下の手順になります。先に「合計所得金額の見積額の計算表」で、自分と配偶者の所得額を計算するその上の2つの枠内に、それぞれの見積額を書き、それぞれの「区分」を書く一番下の表で当てはまる数字を「配偶者控除・配偶者特別控除」のどちらかに書くなお、年収と所得は少し違い、年収から以下の「給与所得控除」を差し引いた金額が給与所得になります。若干の計算が必要になりますが、給与額は個々人で違います。配偶者も絡めれば尚更ですから、何らかの例や見本を丸写しするようなことは控えて下さいね。会社員なら源泉徴収票がわかりやすい中には、「肝心の年収(収入金額等)が分からない」と、困惑する方も意外と多いですね。自分(と配偶者)の年収は、会社員なら「源泉徴収票」が貰えますから、これで確認することができます。源泉徴収票の「支払金額」が年収です。また源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」は、年末調整の「(給与)所得金額」と同じ数字になります。こちらのほうが計算もなく、わかりやすいかもしれませんね。[adsense_middle]年末調整の「対象外控除」には注意を!最後に、年末調整の注意点についてお伝えします。年末調整とは、簡単に言えば「簡易的な確定申告」です。つまり、簡易的な範囲を超えてしまうと、年末調整では処理できないのが基本となります。具体的には、以下の場合には確定申告が必要です。病院に行った・薬を買った(医療費控除)「ふるさと納税」をした(寄付金控除)自然災害や盗難に会った(雑損控除)税金とは簡単に言えば、「〇〇控除」を多くできた分だけ割安にすることができます。ただ、それらの控除を申請するかどうかは「本人の自由」です。どうしても確定申告を避けたいなら年末調整で済ます(上記の控除を使わない)ことも可能ですが、勿体ないでしょうね。医療費控除は保険金にも注意を先ほどの3つの控除では、それぞれ以下の点でも注意しましょう。医療費控除:保険金が出た分は対象外寄付金控除:「ワンストップ特例制度」を使えば、年末調整で処理可能雑損控除:「災害減免法による所得税の軽減免除」と比べ、有利なほうを選べる寄付金控除の例外を除いて、年末調整では関係ない要素ですが、知っておいて損はありません。将来的には確定申告にも挑戦し、税金知識を増やしていきましょう。年末調整の書き方を理解して少しでも得しよう!年末調整の書き方が分かってくると、自然と「税金の仕組み」についても理解が深まります。理解が深まるほどに、「節税の仕方」も分かってくることが多いです。それは総じて、自身の得に繋がってきます。最初は不十分でも勉強を重ね、少しずつ「得できる範囲」を広げていきましょう。
2019年10月21日毎年のことですが、会社員・公務員等の給与所得者は年末調整の時期になってきました。勤務先から書類が渡されたり、保険会社から控除証明書が届いたりと、準備を進めている方もいらっしゃると思います。今回は2019年(令和元年)の年末調整の手続きのポイントについてお伝えします。 提出する書類の準備はできていますか? 年末調整では、保険料の支払いや住宅ローンを利用して主に10年以下の方などに所得税・住民税を減額する控除の適用を申請しますが、提出する書類があります。ここでは、多くの方が利用される準備が必要な書類をご説明します。 1. 生命保険料(地震保険料)控除証明書生命保険や地震保険を2019年中に支払った金額がある場合、保険料の控除証明書が10月中旬頃までを目途に保険会社から届きます。一括払いの場合は、保険証券に同封していることもあります。届かない場合は、保険会社に連絡して再発行してもらうと良いでしょう。 2. 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書住宅ローン減税(正式には住宅借入金等特別控除)の適用を受ける人は、金融機関から10月中旬頃までを目途に届きます。2年目以降の住宅ローン減税の適用を受ける人はこの年末残高等証明書と合わせて、税務署から届く「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」を提出します。 3. 社会保険料控除証明書勤務先の社会保険以外に国民健康保険料や国民年金保険料を支払った期間がある場合には、国民健康保険料はお住まいの市区町村から、国民年金保険料は日本年金機構から社会保険料の控除証明書が届きますので、年末調整で社会保険料控除が追加できます。 4. 小規模企業共済等掛金払込証明書確定拠出年金・個人型(iDeCo)や中小企業基盤整備機構の共済、心身障害者扶養共済制度の掛金がある場合は、各団体から払込証明書が届きます。こちらは、小規模企業共済等掛金控除の対象となります。 上記の書類が間に合わなかった場合は、人事・総務等の年末調整担当部署に確認して後日の提出ができるか確認をされると良いでしょう。それでも年末調整に間に合わなかった場合は、翌年1月4日から税務署で確定申告をすれば年末調整でできなかった控除の追加ができ、年末調整と同じ税額になり、還付を受けることができます。 また、病気の治療費や分娩費用で多額の医療費がかかった場合の「医療費控除」や2019年に購入した住宅でのはじめての「住宅ローン減税」、災害や盗難などの被害があった場合に適用される「雑損控除」は年末調整では申請できませんので、こちらも確定申告を行うこととなります。 2018年から記入する用紙が3枚になりました昨年の2018年(平成30年分)から配偶者控除・配偶者特別控除についての用紙が増え、記入する用紙が3枚になりました。 「給与所得者の配偶者控除等申告書」、「給与所得者の扶養控除等(異動) 申告書」、「給与所得者の保険料控除申告書」の3枚が年末調整の際に記入して提出する用紙となっています。 2020年の所得税・年末調整について年末調整はその年の1月~12月の給与や賞与から源泉徴収している所得税を、保険料や住宅ローンの控除等を考慮して、年末に再計算(調整)する手続きですが、2020年(令和2年)の1月からの源泉徴収額を計算する上での扶養人数を確認する場でもあります。 詳細は来年の年末調整で確認いただきたいのですが、年収850万円を超える人は所得税が2019年より上がる可能性があることに伴い、毎月の源泉徴収額が増える可能性がありますので、覚えておかれると良いでしょう。逆に年収850万円以下の人は源泉徴収額が多少変化する可能性はありますが、1年単位では所得税の影響はありません。 毎年手続きが煩わしい年末調整ですが、12月から1月に掛けて多くの方が還付を受けられる手続きでもありますので、頑張って漏れのないように手続きをしていただければと思います。 監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2019年10月20日年末調整の際、住宅ローン控除を適用できると還付額がとても多くなるイメージがあります。ではそもそも住宅ローン控除とはどのような控除のことを言うのでしょうか?住宅ローン控除とは住宅借入金等特別控除ともいい、適用要件はありますが住宅ローンによってマイホームを取得した場合、その住宅ローンの借入金の残高によって所得税から控除できるというものです。では年末調整で住宅ローンを控除する方法と適用要件とは何なのでしょうか?今回の記事では住宅ローン控除を申請する方法と必要書類の種類、書類の書き方について解説していきます。住宅ローン控除の概要と適用要件少し先述しましたが、住宅ローン控除とはそもそも何なのでしょうか?ここでは住宅ローン控除の概要と適用要件もあわせて紹介していきます。住宅ローン控除の概要について住宅ローン控除とは、個人が住宅ローン等を利用して自宅の新築や取得又は増改築などをした場合に様々な要件はありますが、その要件を満たすと、住宅ローン等の年末残高の合計額を基準にして計算した金額を、一般的に10年間にわたって納めた所得税から差し引くことができるというものです。なお各種の要件については下記のとおりとなります。居住要件について年収要件について床面積の要件について借入金の要件について譲渡の際の特例を受けていないこと居住要件について住宅ローン控除には、居住についての要件があります。要件として、自宅の新築や自宅の取得の日から起算して6ヶ月以内に住み始めて、その後住宅ローン控除を受ける年の年末まで住み続けていることが要件とされています。つまり新築や住居を取得して、そのまま放置しているだけでは要件を満たさないということになります。年収要件について住宅ローン控除には、年収について要件があります。基準としては3,000万円になりますが、年収3,000万円ではなく合計所得が3,000万円以下であることが適用要件になります。なお年収と所得の違いについてですが、年収が収入の額面金額であるのに対して、所得とは収入から各種の所得控除を差し引いた金額のことをいいます。そのため、例えば年収が3,000万円であれば各種の控除を差し引けば合計所得が3,000万円以下になるため、適用要件を満たす形となります。床面積の要件について住宅ローン控除には、床面積についての要件があります。要件として自宅の新築や自宅の取得をした建物の床面積が50㎡以上で、床面積の50%以上を居住用として使用していることとなっています。床面積の判断基準などの詳細につきましては国税庁HPなども参考にしていただければと思いますが、このように床面積についても要件がある点には注意が必要です。借入金の要件について住宅ローン控除の借入金についても要件があります。10年以上にわたって分割して返済する予定になっている、新築や取得のための一定の借入金で、住宅とともに土地を取得するための借入金も含みます。こちらについても詳細は国税庁HPを参照いただければと思いますが、借入金の要件としては金融機関からの借入などが要件となっております。譲渡の際の特例を受けていないことその他の要件として、居住した日の年の前後の2年ずつの5年間に、居住用財産の譲渡した場合の特例を受けていないことなどが要件となっています。例えば今まで居住していた物件を譲渡して、新築する場合などはこの要件を満たさない可能性もあるため特に注意が必要です。税金から直接控除できるので減税額が大きい可能性が高い住宅ローン控除は通常の所得控除とは異なり税額控除という種類のものになります。所得控除とは収入から差し引ける金額のことで、収入から所得控除を差し引いたものが所得というイメージです。そして所得をもとに税額の%を掛けて所得税を計算する流れになります。一方、税額控除とはその名のとおり税額から控除できます。つまり税金から直接差し引くことができる控除になるため、納めた税金の額が大きければその分、減税額も大きい可能性が高いです。住宅ローン控除の申請方法先述したように住宅ローン控除は減税効果が大きいものではありますが、適用するためにはどのようにすればいいのでしょうか?ここでは住宅ローン控除の申請方法について紹介します。初年度に確定申告しておく2年目からは年末調整で処理が可能となりますが、初年度だけは確定申告をしておかなければなりません。初年度の確定申告については、内容が煩雑になるため専門家への依頼も選択肢の1つとなります。参考:床面積の居住割合に注意確定申告の際の注意点として、建物の総床面積のうち居住割合が50%以上ないと住宅ローン控除が受けられないという点については見落としやすいので注意が必要です。税理士などの専門家へ依頼する際も確認されるかと思いますので要件を満たしておかなければいけません。せっかく念願のマイホームを購入しても、住宅ローン控除が受けられなくては喜びも半減となってしまうため購入の前によく検討していただくことが大事です。2年目の年末調整前の準備初年度の確定申告後の注意点として、確定申告をした年に2年目以降の年末調整に使用する住宅ローン控除に関する書類が複数年分まとめて送られてくることになります。書類の保管場所を決めておかないと紛失してしまう可能性もあります。再交付も可能ですが、紛失しないことが一番なので送られてきた際は大事に保管しておくことが重要です。年末調整時に提出住宅ローン控除は確定申告後、2年目以降は年末調整で控除が可能です。そのため年末調整時に提出している給与所得者の扶養控除等申告書や保険料控除申告書などと一緒に必要な書類を準備します。住宅ローン控除の提出書類住宅ローン控除を年末調整で処理するためには、通常の年末調整の書類の他にも書類を提出しなければいけません。ここでは2種類の提出書類について紹介します。[adsense_middle]給与所得者の住宅ローン控除申告書の書き方今回のケースでは、新築で自宅と土地を夫婦折半で購入した場合について考えていきます。まずは、まとめて送られてきている給与所得者の住宅ローン控除申告書(給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書)の中から該当年度の書類を使って記入していきます。使わなかった書類は翌年度以降に使用するため、保管場所などを決めて大事に保管しておくことをおすすめします。住所等の記入欄書類の左側から書き方について紹介します。税務署長:お勤め先の管轄の税務署名を記入します。給与の支払者の名称(氏名):お勤めの勤務先の名称を記入します。給与の支払者法人番号:お勤め先で管理している場合が多いため確認して記入します。給与の支払者の所在地(住所):お勤め先の住所を記載します。あなたの氏名:氏名を記入し、認印などで押印をします。その上には世帯主の氏名と続柄の記入をします。あなたの住所又は居所:新築等で取得した自宅の住所を記入します。計算の記入欄(前半)次に計算の記入欄(前半)について紹介します。左側の記入欄が新築や購入に関する計算となるため、今回のケースでは左側の記入欄について紹介します。記入欄①:今回のケースでは自宅と土地の購入という形なので、Cの記入欄の住宅及び土地等に金額を記入します。なお記入金額については夫婦折半の金額で個人ごとの金額を記入する形です。記入欄②:書類の一番下が確定申告時の内容の証明書となっています。そのため②のA、Bについては証明書の内容を転記する形となります。最後に②のCについてはA、Bの合計金額を記入します。記入欄③:②と同様に③のA、Bについては証明書の内容を転記する形となります。最後に③のCについてはA、Bの割合の合計を記入します。計算の記入欄(後半)計算の記入欄(後半)について紹介します。記入欄④:①のCの金額を転記します。記入欄⑤:①のCの金額を転記します。記入欄⑪:①のCの金額を記入します。記入欄⑭:⑪×1%(取得時の年月日によって異なりますが今回は1%のケースとしておきます)その他の記入欄その他の記入欄について紹介します。年間所得の見積額:所得要件があるため見積でいいので所得金額を記入します。連帯債務による住宅借入金等の年末残高:住宅ローンの夫婦の総額の年末残高を金融機関から送られてきた残高証明書を参照しながら記入します。備考:連帯債務がある場合は、住宅ローンの債務の総額と個人の負担額を記載して住所、記名押印、勤務先住所、勤務先等を記入します。住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書とは?住宅ローンを組んでいる金融機関等からは、毎年年末残高が記入されている住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書が送られてきます。住宅ローン控除では住宅ローンの年末残高を基準として、所得税の控除金額を計算するため大変重要な書類となります。一般的に10月頃から届き始めるので到着したら、税務署から送られてくる給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書と一緒に保管しておくのも1つの方法です。参考:繰り上げ返済などを行った場合先述したように金融機関の残高証明書は10月頃送られてくるのですが、通常通り返済した場合の予定の残高となります。そのため10月以降に繰り上げ返済などをすると当然、年末の予定残高も変わってきてしまいます。繰り上げ返済などをした場合は、早めに金融機関に問い合わせをして書類の再発行の手続きを取ることをおすすめします。年末調整による住宅ローン控除に関するまとめ今回の記事では年末調整による住宅ローン控除について、申請方法や書類の書き方について紹介しました。1年目に確定申告を自分で行った人は、年末調整での住宅ローン控除申請は楽に思えるかもしれません。しかし1年目の確定申告を専門家に依頼した人にとっては、年末調整での住宅ローン控除申請は書類の種類も増えるため手間がかかるものです。確かに手間はかかるかもしれませんが、書類の管理さえ徹底することができれば必要以上に構える必要はありません。この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。
2019年10月13日一年の終わりが近づいてくると、会社や個人事業主の事業所で勤務されている方は年末調整の用紙を渡されて記入を会社からお願いされるかと思います。その際、提出期限を区切って提出を頼まれることがも多いかと思いますが、その提出期限を過ぎてしまうとどうなるのでしょうか?また書類には、実際のところどのような意味があるのかについても気になるところです。そこで今回の記事では、年末調整の提出期限の意味や年末調整に必要な書類などの年末調整の疑問点について紹介していきます。年末調整の概要・記入書類年末調整の概要年末調整とは、会社や事業所で勤務されている方が毎月概算で源泉徴収されている源泉所得税を、最終的に個人の計算期間である1月分から12月分までに源泉徴収された所得税と、実際のその人の所得税の金額を計算して差額を調整する処理のことをいいます。そして会社では税金の差額を調整し、1年間の収入を確定させて源泉徴収票という書類を発行する流れとなります。例えば、毎月の概算の所得税が実際の所得税よりも多かった場合は還付、少なかった場合は不足ということで所得税の差額を従業員に戻したり、徴収したりします。年末調整で記入する書類一般的には記入を依頼される書類として給与所得者の扶養控除等申告書と給与所得者の保険料控除申告書のセットを渡されるケースが多いです。どちらの書類にも上段に自分の住所と氏名などを記入する欄があるのですが、若い人の中にはまだ扶養家族もなく、民間の保険にも特に加入していないという人がいるため、上段の住所と氏名などを記入して提出という場合があります。このように記入する箇所が少ないと、とても楽に感じますが各書類の提出にはどのような意味があるのでしょうか?次に各書類の概要について紹介していきます。給与所得者の扶養控除等申告書会社や事業所で書類の記載を依頼される場合に、渡される書類です。内容としては個人の状況や扶養親族の人数を記入する書類になります。例えば前年と同じ扶養人数のままで毎月の所得税を差し引いているケースの場合、年末調整の提出の際、扶養親族が扶養から外れていた場合などは年末調整の計算によって所得税の金額が不足していることが考えられます。このように前年と今年とで扶養親族の扶養状況などが変わっている場合は、年末調整で所得税の差額が計算される場合があります。給与所得者の保険料控除申告書主に民間の保険会社に保険料を支払っている場合などに、記載していく書類になります。下記に各控除について記載していきます。生命保険料控除民間の保険会社に保険料を支払っている場合、保険料控除証明書という書類が届くので、これらの書類をもとに必要事項に記載していきます。生命保険料控除は一般の生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の3種類の項目があり各項目で最大4万円までを控除することができます。(合計で最大12万円が保険料控除になります。)なお記載については保険料控除証明書にどの項目に該当するのか、新保険料か旧保険料かなどが表示されているため、それらを参考にして記載していきます。地震保険料控除建物などに保険をかけている場合、地震保険料控除証明書という書類が送られてきます。この書類を参考に地震保険料控除の欄に記載をしていきます。社会保険料控除勤務先の会社や事業所で社会保険に加入していない場合は、その年の国民健康保険料と国民年金の支払金額を記載していく形となります。また、会社や事業所で社会保険の加入をしていても国民健康保険料や国民年金を支払っている場合もあります。(例:前職で社会保険の加入がなく、新しい勤務先で社会保険に加入した場合など)そのような場合もやはり、その年の国民健康保険料と国民年金の支払金額を記載していきます。小規模企業共済等掛金控除例としてiDeco(イデコ)などの確定拠出年金への支払が挙げられます。確定拠出年金などの支払をしている場合も小規模企業共済掛金払込証明書などの書類が送られてきますので、その書類をもとに記載をしていきます。これらの控除が何もとれないという人が、特に若い人に多い傾向にあります。もしこれらの控除をとれるのであれば、面倒がらずに積極的に記載していくことをおすすめします。年末調整にはなぜ期限があるの?会社や事業所から年末調整の用紙の記入について依頼される場合は、いつからいつまでに提出して下さいなどと期限を区切られている場合が多いのですが、ここではなぜ期限が区切られているのかの理由について紹介します。[adsense_middle]毎年、源泉徴収の結果を調整する月が決まっているため年末調整は毎年行われている手続きなので、その調整する月も会社や事業所によって毎年のルールがある場合が多いです。例として年内に年末調整の処理を完了させてしまう会社もあれば、年明けに年末調整の処理を完了させる会社もあります。このように会社によって年末調整を完了させる月は違いますが、会社ごとに年末調整の結果を調整する月に間に合わせるために期限を区切る場合が多いのです。給与支払報告書という書類の提出期日に間に合わせるため会社や事業所では、各従業員の年末調整の計算後、給与支払報告書という書類を作成します。この書類は、毎年1月31日までに会社や事業所で計算された年末調整の結果を各市町村に提出する書類です。この給与支払報告書を提出することによって、各市町村ではその会社や事業所が、給与として従業員にどのくらいの金額を支払っているのか、住所はどこなのかなどの個人情報を把握することができるようになるのです。年末調整で収入が確定する最終的には確定申告で収入が確定するという例外はありますが、基本的には給与所得者の方は、年末調整でその年の収入が確定する形となります。市区町村では、年末調整で計算された収入をもとに作成された給与支払報告書によって各個人のその年の収入を把握します。そしてその把握した収入をもとに住民税の計算をします。以上の理由から年末調整は、各種の手続きの土台となる重要な手続きであると言えるのです。会社への提出締め切りに間に合わない場合はどうなるの?年末調整の処理を担当している部署などから、いつまでの締め切りに間に合わない場合は、会社では年末調整をしないので確定申告を行ってくださいと言われることはないでしょうか?前の記事で少し上述しましたが、基本的に給与収入を得ている給与所得者の人は年末調整によって収入が確定する形となります。しかし会社の締め切りに間に合わず、年末調整で正しい処理ができなかった場合や、年末調整で処理できない項目がある場合などは、その人自身が確定申告を行うことで最終的に収入が確定する形になります。つまり収入の確定の流れとして第一段階として年末調整、最終段階として確定申告というイメージになります。ここでは詳細について紹介していきます。会社への書類の提出が間に合わない場合基本的には会社や事業所で、扶養控除等(異動)申告書、保険料控除申告書の二枚を渡されて、いつまでの締め切りに提出して下さいと言われる形かと思います。しかし日々の業務に忙殺されてしまい、書類の準備を忘れてしまったり、準備が遅れてしまったりといった具合に締め切りに間に合わない場合もあります。このような場合、会社では、その人の年末調整は未済という形で源泉徴収票を発行します。こうして発行された源泉徴収票は年末調整がされていない形の書類となるため、最終的には自分で確定申告をして税金の差額を調整する必要が出てくるのです。年末調整では処理できない項目がある場合給与所得者の人は、年末調整でその年の収入が基本的には確定する形となります。しかし次のような項目がある場合は年末調整で処理できない項目になるため、最終的に確定申告を行って収入や税金を確定させる形となります。その会社での収入以外の収入がある場合ふるさと納税をした場合初年度の住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)医療費控除上記の他にも年末調整できない項目はありますが、給与所得者の人の確定申告の注意項目として主に上記が挙げられます。確定申告について年末調整が正しくできなかった場合や、追加項目がある場合は最終的に確定申告を行うことによって、その人の収入や所得税の税額などが確定します。ここでは確定申告について紹介していきます。[adsense_middle]確定申告の期限耳にする機会があるかもしれませんが、所得税の確定申告の期限はその年の3月15日までとなります。個人の人の所得税の計算期間は、その年の1月から12月までと定められていますが、その間の書類をまとめて約2ヶ月半で計算して確定申告書を提出する流れとなります。確定申告については基本的には自分で必要書類を集めて書類の提出をしなければなりません。次に主に給与所得者の方が確定申告をする際に必要な書類について紹介していきます。確定申告の必要書類確定申告書給与所得者の確定申告書の書類は確定申告書Aという書類になります。確定申告をする場合は、紙で提出する方法と電子申告をする方法があります。作成については国税庁のHPに確定申告書等作成コーナーというページがあるため参考にしてみて下さい。源泉徴収票2ヶ所から給与をもらっている場合は、源泉徴収票がそれぞれの会社や事業所から発行されます。源泉徴収票は、その人の1年間の収入金額、給与から天引きされた所得税の金額や社会保険料の金額などが記載されています。確定申告ではそれらの数字を使って入力していきます。その他の追加項目給与所得者の方が、2ヶ所から給与をもらっている以外に年末調整では処理できない項目は上述したとおり、主にふるさと納税をした場合や、住宅ローン控除を初めて行う場合、医療費控除を確定申告で行う場合などが考えられます。ここでは各項目について紹介していきます。ふるさと納税をしている場合の必要書類自分が応援したいと思う自治体に寄附をするふるさと納税を行っている人も多いかと思います。この場合、確定申告を行うことで寄附金控除という控除が取れるため、最終的に計算される所得税の金額が少なくなる形になります。必要書類としては寄附金受領証明書という書類が必要となります。寄附金受領証明書は寄附をした自治体から発行される書類で、おおよそ申込完了日から2ヶ月くらいで発行されるケースが多いようです。医療費控除を行う場合の必要書類必要書類としては、医療費の明細書もしくはそれに代わるエクセルなどで医療費を集計した書類になります。医療機関受診の際、受け取る領収書を1年分取っておくか、協会けんぽから送られてくる医療費のお知らせを参考に書類を記入する形になります。初年度の住宅ローン控除を行う場合の必要書類住宅ローン控除は住宅借入金等特別控除ともいい、2年目からは年末調整での処理が可能ですが、初年度だけは確定申告によって書類の提出をしなければいけない形となっています。必要書類としては主に下記のとおりです。建物・土地の不動産売買契約書のコピー建物・土地の登記事項証明書住民票(本当にその人がその住所に住んでいるのかを税務署で確認するため必要となります)借入金残高証明書(金融機関から発行されます)住宅借入金等特別控除額の計算明細書初年度の住宅ローン控除がある確定申告については、上記の他にも書類が必要となる場合もあり複雑になる傾向があります。もし今回の記事を見て、自分で申告を行うのが難しそうと感じた場合は税理士などの専門家に依頼するのも1つの方法です。年末調整のしかた・年末調整はいつまでかに関するまとめ年末調整は、毎年書類の提出を頼まれるので面倒だと思う人も多いのではないでしょうか?方法としては、会社の締め切りに間に合わなくても確定申告という最終の手段があります。イメージとしては年末調整よりも自分で行うため面倒になりますが、更に期限を延ばすことが可能です。しかし、年末調整では処理できない項目がある場合に確定申告をするのは仕方ないことですが、基本的には会社の年末調整で手続きを終わらすことができるのであれば、確定申告をしなくても済むよう締め切りまでに書類の提出をするのが、結局は手間が省けることになるためおすすめです。この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。
2019年10月10日年末調整で行う地震保険料控除申請がよくわからず地震保険料控除申請を行わない方もいらっしゃいます。毎年の地震保険料控除申請で減税できる金額は微々たるものでも、10年、20年と積み重なると数十万円を超える場合もあるので、地震保険に加入されている方は地震保険料控除申請を行うことをおすすめしています。今回は地震保険に加入されている方、加入を検討されている方向けに、地震保険の基礎知識と地震保険料控除のポイントをご紹介します。知っておきたい地震保険の基礎知識地震保険料控除に関するまとめ今回は年末調整時に行う地震保険料控除のポイントをご紹介しました。国が定める控除は私たちの利益につながるものが多いので、地震保険料控除だけでなくその他の税金に関する控除も積極的に活用して減税制度を最大限活用しましょう。小さいことの積み重ねが大きなお金を生み出します。ぜひ将来的に節税できる金額を想像しつつ、楽しんで地震保険料控除申請を行われてください。
2019年10月08日所得控除のひとつである「地震保険料控除」。この記事では年末調整で地震保険料控除を受けるにはどうすればいいのか。控除額の計算方法や必要書類の書き方について解説します。地震保険料控除とは三井住友海上保険料控除証明書の例(2年目以降)三井住友海上旧長期損害保険に係る経過措置地震保険料控除が2007(平成19)年から適用開始されたのと同時に、火災保険や傷害保険など幅広い保険種類が対象となっていた「損害保険料控除」が廃止されました。経過措置として一定の要件を満たす損害保険は地震保険料控除の対象となる損害保険料控除廃止に伴う経過処置として、以下の要件を満たす長期損害保険の保険料については、「旧長期損害保険料」として地震保険料控除の対象となっています。2006年12月31日までに締結した契約(保険(共済)期間の始期が2007年1月1日以後のものは除く)満期返戻金のあるもので保険(共済)期間が10年以上の契約2007年1月1日以後に、その損害保険契約等の変更をしていないもの(*1)*1 旧長期損害保険契約に該当する火災保険に地震保険が付帯されている場合、地震保険料のみの変更はここでの変更とはみなされず、保険料変更後も経過措置の対象となります。地震保険料控除額の計算方法国税庁保険料控除証明書三井住友海上保険料控除申告書における地震保険料控除に関する事項の書き方給与所得者の保険料控除申告書に記載する項目は以下のようなものです。契約している保険会社等の名称保険等の種類(保険の目的)保険期間保険等の契約者の氏名保険等の対象となった家屋に居住または家財を利用している者等の氏名・申告者からみた続柄地震保険料・旧長期損害保険料の区分その年に支払った保険料のうち、選択した区分の金額控除額の計算結果給与所得者の保険料控除申告書(地震保険料控除欄)の記載例国税庁記入のポイント記入の際には次のようなポイントに注意が必要です。保険契約者と保険対象となっている家屋の居住者・家財の利用者との関係保険対象となっている家屋などに住んでいる人、家財を利用している人は、申告者(納税者)本人または本人と生計を一にしている親族でなければなりません。これは地震保険料控除を受けるための要件であり、もし異なれば控除を受けられません。控除額の計算控除額の欄には、保険会社から届く保険料控除証明書に記載の金額をもとに、先述の「地震保険料控除の控除額の計算方法」に従って計算した結果を記入します。地震保険料と旧長期損害保険料の両方がある場合、それぞれ別々に控除額を計算したものを合算して控除額を求めます。その場合の上限は5万円です。地震保険料の控除額の上限は5万円、旧長期損害保険料の控除額の上限は1万5,000円ですが、単純な合計ではない点に注意が必要です。年末調整で地震保険料控除を受ける方法に関するまとめ地震保険料控除は年末調整で控除を受けられます。控除申請に必要な情報は基本的に保険料控除証明書に記載されており、多少の計算は必要ですが、仕組みを理解できていれば難しいものではありません。年末調整で申請し忘れた場合、控除を受けるには確定申告が必要になってしまいます。控除の対象となっている人は申請を忘れないようにしましょう。
2019年10月04日娘の同級生のお母さんとの会話から娘が高校3年生の時のことUpload By 荒木まち子当時、我が家では子どもの通院や入院の保険は親の生命保険に家族特約を付けて補っていました。個人賠償責任保険(他人を怪我させてしまったり、他人の物を壊してしまったりしたときの補償)は自動車保険に個人賠償責任特約を付けてカバーしていました。また学資保険にも加入していたので、我が家は娘が未成年の間は娘自身が保険に入る必要はないと考えていました。娘が19歳の時娘が就職して2年目。前の年に比べ勤務状況も安定し、毎月の収支の目途が立ちやすくなってきたので、私達は保険の資料を集め始めました。Upload By 荒木まち子知的障害や発達障害、ダウン症やてんかんがあっても加入できる保険届いたパンフレットによると保険の保障内容には死亡や入院、通院、個人賠償責任保険の他に権利擁護費用保険(※)が含まれていました。(※)法律相談費用、弁護士委任費用、弁護士接費用同封されていた支払い事例集には「病気やケガによる支払い」の他に「いじめやパワハラの相談」「携帯電話などの購入などに関する相談」「痴漢と誤解されたときの相談費用の支払い」のなどが具体的な事例が記載されていました。Upload By 荒木まち子資料を見て安心した娘は、その後しばらく申込書を放置していました。20歳になってしばらくして娘が血相を変えて会社から帰って来ました。Upload By 荒木まち子社会人になり行動範囲が広くなった娘は、一人での外出の機会も増えました。今回のようなケースに限らず娘は今後、さまざまなアクシデントに遭遇することでしょう。娘は押しの強い相手に言い返すことができません。強引な勧誘や詐欺など、相手が悪意を持って接してきた場合、それを上手くかわすことは難しいということは娘自身も十分自覚しています。娘は他人に危害を加えるタイプではありません。また小さいころに比べ近ごろは大きな怪我や病気をすることもなくなっていたので、娘は保険に対してのんびり構えていたようです。しかしながら今回のことで「やはり自分には保険(特に権利擁護費用保険)は必要」と思ったようです。娘は埋もれていた資料を引っ張り出してきて、自分の給与で無理なく保険料が払えそうな補償プランを選び、申し込みをしました。ニーズに合った保険を探す最近は自転車損害賠償責任保険加入を義務化する地域、自治体も増えてきています。令和2年には新たに知的障害・発達障害等のある人とその家族向けのがん保険(※)の販売も予定されているようです。(※)特徴としては①保険に加入する際に、知的障害等の治療に関する告知が不要。②家族ががんの重度状態(StageⅣ)となった場合に、知的障害等のある人を被後見人とした成年後見制度を利用するための費用を補償する「がん成年後見費用等補償特約」をセットできる。子どもや親の年齢、子どもの障害の種類や特性、行動範囲などによって必要な保険は違ってきます。これからもアンテナを張って最新の情報を集め、自分達に合った保険選びをしていこうと思います。参考:神奈川県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例 | 神奈川県
2019年10月03日年末が近づいてくると、年末調整の対象になるのか又は対象じゃないのかという話を耳にする機会があるかと思いますが、そもそも年末調整とはどのような手続きのことをいうのでしょうか?年末調整とは、会社で行う各個人の所得税の精算の手続きのことなのですが、そもそもアルバイトやパートの人の場合も年末調整をされているのかどうかも気になるところです。今回はアルバイトやパートの人が年末調整の対象になるのか、収入が103万円以内の人やアルバイトなどの掛け持ちの人の場合も含めて紹介していきます。年末調整とは源泉徴収された所得税の精算手続き会社や個人事業主の事業所に勤務している人は、アルバイトやパートの人でも扶養している家族がいない場合、月88,000円以上の給与収入があれば概算の所得税が差し引かれて給与が支給されています。この給料収入から概算で所得税を差し引く処理を源泉徴収と呼びます。学生や派遣の人は年末調整の対象?年末調整の手続きは、学生であることや派遣で勤務していることなどの条件に関わらず行われます。年末調整とは源泉徴収された所得税を、最終的に12月までの各個人の所得控除分を考慮して精算する手続きのことをいいます。ではなぜその年の12月までの所得控除分で所得税の精算をするのでしょうか?理由として個人の所得税の計算期間が、暦上の1年の始まりである1月から1年の終わりである12月までの間の期間で計算される点が挙げられるからです。このように源泉徴収では概算で毎月の所得税が差し引かれていて、最終的に個人の計算期間である1年間で計算した給与収入の金額が103万円以内の人は、年末調整によって最終的に所得税はかからない形になります。年末調整の計算によって、最終的に各個人から源泉徴収された所得税の金額が多すぎた場合はその分の金額を還付し、逆に源泉徴収した所得税の金額が少なかった場合は、不足分の金額を徴収して年末調整の手続きが終了する流れになります。参考:103万円の基準とは?よく103万円の壁という話を聞く場合が多いかと思いますが、なぜ103万円以下だと税金がかからないのでしょうか?基本的には収入から経費を差し引いて残った金額に%をかけることによって所得税は計算されます。給与収入の場合、経費に該当するものとして給与所得控除が挙げられます。2019年現在、103万円以下であれば給与所得控除は65万円取れます。この結果、給与収入103万円から給与所得控除65万円を差し引いて残った額が38万円となります。残った額の38万円というのは、人が基本的に誰でも取れる所得控除である、基礎控除の38万円と同じ金額になります。こうして残額の38万円から基礎控除38万円を差し引くと0円ということになるため所得税がかからないというわけです。掛け持ちの場合は?それでは掛け持ちでアルバイトやパートをしている人はどうなるのでしょうか?結論としては掛け持ちでアルバイトやパートをしている人は、主なアルバイト先のみの給料額で年末調整されます。しかし二か所目の勤務先では年末調整を行うことができないため確定申告をする流れになります。そもそも年末調整の手続きは、給与所得者の扶養控除申告書という書類を提出した会社や個人事業主の事業所で行われます。この書類は主な勤務先にのみ提出ができる書類で、主な勤務先の判断基準としては収入額が多いか少ないかで決めるケースが一般的です。なぜ収入額が多い勤務先を主な勤務先にするかというと、主な勤務先では源泉徴収する税額を甲欄と呼ばれる低い税額で計算できるのですが、二か所目の勤務先は従たる勤務先という扱いになり、源泉徴収する税額が甲欄より高い乙欄の源泉徴収税額で差し引かなければならなくなるからです。例を挙げると、月88,000円で扶養家族がいない人の場合、甲欄で源泉徴収される税額は130円なのですが、乙欄で源泉徴収される税額は3,200円になります。同じ金額を稼いでも甲欄と乙欄の税額ではこれだけの違いがでてくるため、一般的には収入額で主な勤務先と従たる勤務先を判断する形になります。このように主な勤務先でのみ年末調整が行われる形となり、確定申告が必要になる流れとなります。確定申告とは?先述のように、掛け持ちでアルバイトをしている場合、二か所目の勤務先が従たる勤務先という扱いになり源泉徴収が乙欄で行われています。このようなケースでは、確定申告をすることによって乙欄で高めに源泉徴収されている所得税の金額を年末調整をした所得税の金額と合算して最終的な所得税を計算することができる形となります。合算すると乙欄では、やはり高めに差し引かれているケースが多いため最終的に所得税が還付になる可能性があります。[adsense_middle]対象者は?確定申告の対象者は、次の通りです。給与所得がある方公的年金等にかかる雑所得のみの方退職所得がある方上記以外の方ここからは特に、確定申告の対象者となっている給与所得のある方について詳細を紹介していきます。給与所得のある方とは?先ほど記載したとおり、通常ですと給与所得のある人は年末調整で所得税の精算手続きが終了していると考えられるため確定申告は不要です。しかし次のような場合は確定申告が必要とされています。給与収入金額が2000万円を超える給与所得、退職所得以外の所得金額の合計額が20万円を超える二か所以上から給与を受けていて、乙欄の給与収入と給与所得、退職所得以外の所得の合計額が20万円を超えるつまり給与収入を得ている人で、2000万円を超える金額の場合や、給与や退職所得以外の副業などで得た収入から経費を差し引いた残りの金額が20万円を超えている場合(収入から控除などの経費を差し引いたものが所得という形になります)がこれに当たります。また二か所以上から給与を受けていて、従たる勤務先の給与収入と副業などで得た収入から経費を差し引いた残りの金額が20万円を超えている場合は確定申告が必要ということになります。確定申告書の作成について先述したとおり、確定申告が必要な条件に当てはまっている場合は、当然のことながら確定申告が必要になります。手続きとしては自分で作成するか、専門家に依頼するかのどちらかで作成していく形になるかと思います。インターネットを使える方は、インターネットで国税庁HPに確定申告等作成コーナーがあるため、その指示に従って入力していけば自分でも簡単に作成することができます。例として二か所から給料を受けている場合、具体的な必要書類としては二か所から給与を得ているため、二枚の源泉徴収票が必要になってきます。年末調整通りの内容の場合は、二枚の源泉徴収票に記載されている内容をそのまま入力することによって合算された最終的な所得税が精算される形になります。また、その他個人確認用の書類としてマイナンバーの記載や、マイナンバーカードの写しの添付が必要となります。もしマイナンバーカードを取得していない場合はマイナンバー通知書と写真付き身分証明書の写しが必要となってきます。このようにして作成できた書類を添付書類と一緒に管轄の税務署に直接持ち込むか、又は書類を管轄の税務署に郵送すれば確定申告は完了です。なおもう一部同じ書類を作成し、控にも収受印を押してもらうことをおすすめします。専門家への依頼の検討確定申告書は二か所から給与を受けているだけのケースの場合は、自分でも時間をかければ作成することは可能かと思います。しかし時間がなかなか取れなかったり、他にも医療費控除などの所得控除を受けたいという場合もあるかもしれません。そこで時間の節約や間違いを未然に防ぐ意味でも、確定申告が複雑になりそうであれば税理士などの専門家への依頼を検討することをおすすめします。給与所得者の扶養控除申告書って何?あまり意識されていないかもしれませんが、年末調整は給与所得者の扶養控除申告書という書類の内容を基に手続きが進められます。ではそもそも給与所得者の扶養控除申告書とはどのような書類なのでしょうか?[adsense_middle]扶養控除申告書の詳細について給与所得者の扶養控除申告書とは、別名、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書ともいいます。会社で保管義務のある書類で、本人の氏名や扶養する家族の有無、人数を把握するための書類になります。会社ではこの書類の内容に基づいて毎月差し引く源泉徴収の金額を計算します。具体的には、まず書類上部の左から会社の所在地を管轄する税務署名や会社名などを記入する欄がありますが、この部分は会社の方ですでに記載してくれているのが一般的です。自分たちで記載しなければいけないのは下記になります。自分の氏名(フリガナ):名前の横に押印自分の個人番号自分の住所又は居所:ここの記載内容に基づいて住民税の用紙が郵送されるため、実務的には生活の場所を記載するのが一般的です。自分の生年月日世帯主の氏名自分と世帯主の続柄:世帯主が自分自身であれば本人という記載で大丈夫です。配偶者の有無:該当箇所に○を付けます扶養親族について書類の中央の欄は扶養親族について記載する箇所になります。なおこの箇所は、独身の方であれば書類の上部の記載のみで終了という形になります。源泉対象控除配偶者基本的には配偶者を記載する形になります。しかし配偶者の控除の条件が2018年分からさらに厳しくなったため、次の条件に該当する場合に記載する形になります。本人の合計所得金額が900万円以下上記の人と生計を一にする配偶者で、合計所得金額が85万円以下の人上記の他にも細かな条件はありますが、基本的にはこの条件に該当する場合が源泉対象控除配偶者ということで控除が取れる形になることをご承知おきください。控除対象扶養親族基本的には、その年の12月31日時点の年齢が16歳以上の人で、給与のみの収入の場合は103万円以下の人を扶養している場合に記載します。障害者、寡婦又は寡夫又は勤労学生その他、障害者、寡婦、寡夫、勤労学生に該当する人を扶養している場合に記載します。住民税に関する記載書類の下部は、16歳未満の扶養親族がいる場合には住民税の控除の対象となるため記載します。アルバイトをしている場合の年末調整に関するまとめ以上、ここまで年末調整について紹介してきました。基本的には、1か所だけでの勤務先での勤務の場合は年末調整によって所得税の精算が完了する場合が多いかと思います。しかし二か所の勤務先で掛け持ちでアルバイトをしている場合や、副業などによって所得が20万円を超えるような場合は確定申告をする必要があります。確定申告については、国税庁のHPで作成しやすいような工夫がなされていますが、それでも自分だけで作成するのは時間がかっかったり難しかったりするケースもあります。そのような場合は無理せず税理士などの専門家への依頼を検討することも1つの方法です。この記事が少しでも、お役にたてれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。
2019年10月02日養老保険は、保険の契約期間中に死亡した場合でも、満期を迎えた場合でも同額の保険金を受け取ることができる生命保険です。そのため、死亡保険と貯蓄型保険の両方を兼ね備えた生命保険であると考えることもできますが、本記事では、オリコン顧客満足度ランキングの紹介と養老保険のメリットやデメリットといった特徴について触れていきます。オリコン顧客満足度ランキング:養老保険ランキングTOP10上記データは、価格.com 保険がWEBサイトで公開しているカカクコム・インシュアランスにおける契約申込者の割合ですが、養老保険の申込割合が驚きの0%です。データを見た人の中には、価格.com 保険だからではないか?といった反論をされる人もおられるかもしれませんが、今度は同じく比較情報サイトである保険市場の例を見てみましょう。保険市場の場合保険市場の場合、養老保険を選んで比較検討をしようとしても、条件に該当する保険商品がヒットせず、これは価格.com 保険と同じように、養老保険の申込をする人がいないことを意味します。なぜ、このようなことになっているのか、養老保険に加入するメリットとデメリットを紹介しながら、その理由について考えてみます。養老保険に加入するメリットとは養老保険に加入するメリットは、保険契約の期間中に死亡しても、満期を迎えて生存していたとしても同額の保険金が支払われるところにあります。つまり、養老保険は、死亡保険金または満期保険金のいずれかの保険金が必ず受け取れることになるため、仮に死亡した場合は葬式費用に、生存していた場合は、将来の老後資金や子供のための学資資金など、幅広く活用できるメリットがあります。養老保険に加入するデメリットとは養老保険に加入するデメリットは、メリット以上に多くあるのが現状であり、考えられる主なデメリットは以下の通りです。養老保険に加入するのに必要な保険料が高額死亡保障が一生涯ではない契約の仕方によっては、元本割れする可能性がある満期保険金を受け取った場合で差益が生じた場合は課税対象になる不要な保障まで抱き合わせになる可能性がある(郵便局=かんぽ生命)など養老保険の返礼率が高いのは、もはや過去のお話養老保険が多くの保険会社で販売されていた当時は、解約返戻金の返礼率が高いことや一時払い(一括払い)で養老保険の保険料を払い込んでしまうことで、普通預金などでお金をコツコツ貯めるよりも多くのお金が得られるといった考え方が主流でした。しかしながら、現在ではこのような考え方はもはや過去のお話であり、時間とお金をかけてより多くの資産形成をする上で、適当な方法では無くなっているのが現状です。生命保険の予定利率が低くなっているのが現状こちらは養老保険に限りませんが、たとえば低解約型返戻終身保険、学資保険、個人年金保険など、生命保険の解約や満期を迎えることで得られる保険金も、保険会社の予定利率が低いことなどが原因で大きく期待できない状況です。そのような時代の中で、高額な保険料を支払ってまで養老保険に加入するメリットや期待値が大きく損なわれていることも、養老保険が個人の方から受け入れられない原因の1つであるとも考えられます。[adsense_middle]養老保険のシミュレーションが、WEBでほとんどできない一般に保険会社のWEBサイトでは、保険料などのシミュレーションが簡易にできるところも多くなっています。しかしながら、養老保険の場合、シミュレーションをWEBでほとんどできないのが現状となっており、見積もりを保険会社へ直接依頼しなければならない手間や時間がかかってしまっています。このような部分も、養老保険が個人に受け入れられない原因の1つなのではないかと思われます。養老保険を販売している主な保険会社(令和元年度現在)令和元年度現在において、養老保険を販売している主な保険会社を紹介しておきます。なお、紹介順はランキングではなく五十音順とします。かんぽ生命JA共済ジブラルタ生命住友生命ソニー生命第一生命第一フロンティア生命大樹生命日本生命プルデンシャル生命三井住友海上あいおい生命明治安田生命メットライフ生命令和元年度現在において、養老保険を販売している主な保険会社は13社あります。先に紹介したオリコン顧客満足度ランキングの養老保険ランキングTOP10の内、2位にランキングしていた東京海上日動あんしん生命保険では現在養老保険を販売していないという部分は、大きな特徴とも言えそうです。そもそもおすすめの養老保険はあるのか?こちらは筆者個人の見解となりますが、養老保険は、現代の生命保険の保障や資産形成を考慮する上で、残念ながらおすすめできるものではないと考えています。実際に養老保険を販売している保険会社も少ないことが、これまで解説した需要とのバランスを物語っているようにも思えますが、次項では参考情報として、オリコン顧客満足度ランキングの養老保険ランキングTOP10の内、3位までの養老保険について特徴をそれぞれ紹介しておきます。なお、2位の東京海上日動あんしん生命保険は販売を行っていないため、順位を繰り上げての紹介となります。[adsense_middle]第3位:第一生命保険「ジャスト養老保険」第一生命の「ジャスト養老保険」は、一定期間に渡って死亡保障を備えながら将来の資金を形成することができる特徴があり、特に時の経過に応じて解約返戻金が増える点が大きな特徴とも言えます。なお、主な概要は以下の通りです。契約年齢範囲:3歳~80歳保険期間:13歳~90歳保険料払込期間:保険期間と同一保険料払込方法:年一括払・半年一括払・月払保険金額:最低保険金額300万円、最高保険金額7億円診 査:診査扱・告知書扱配当方式:毎年配当保険料例:20歳 10,750円、30歳 14,630円、40歳 22,440円、50歳 45,720円契約内容の変更:保険期間の変更、保険金額の減額、契約者貸付制度、払済保険への変更が可能第2位:かんぽ生命保険「新フリープラン」かんぽ生命の「新フリープラン」の主な特徴として、保険金の倍額支払があり、不慮の事故や感染症で死亡した場合で所定の条件を満たしている場合、当初の死亡保険金の倍額が支払われる特徴があります。なお、保険期間は10年から最長50年の間で、1歳きざみに設定できる特徴もあります。契約年齢範囲:0歳~80歳(契約種類により異なる)保険期間:10年~50年(ただし、被保険者の年齢により異なる)保険料払込期間:保険期間と同一保険料払込方法:月掛保険金額:最低保険金額100万円、最高保険金額1,000万円(ただし、被保険者の年齢により異なる)診 査:告知書扱配当方式:毎年配当保険料例:30歳 48,563円、35歳 63,679円、40歳 93,725円契約内容の変更:保険金額の減額、契約者貸付制度、払済保険への変更が可能第1位:ソニー生命保険「5年ごと利差配当付養老保険」ソニー生命の「5年ごと利差配当付養老保険」は、責任準備金などの運用成果に応じて、契約後6年目から5年ごとに契約者配当金が支払われるほか、被保険者が不慮の事故により180日以内に所定の身体障害の状態になったときは、以後の保険料の払込が免除されます。また、保険金額が500万円以上の場合、高額割引制度が適用される特徴もあります。契約年齢範囲:0~78歳保険期間:20年~30年(5年きざみ)、60・65・70・77・88歳で選択保険料払込期間:年満期:保険期間と同一、歳満期:保険期間と同一保険料払込方法:年払・半年払・月払保険金額:最低保険金額100万円、最高保険金額7億円診 査:診査扱・告知書扱等(契約年齢および保険金額により異なる)配当方式:5年ごと利差配当保険料例:25歳24,220円、30歳28,750円、35歳35,120円、40歳44,690円、45歳 60,580円契約内容の変更:保険期間の変更、保険金額の減額、契約者貸付制度、払済保険への変更が可能養老保険のおすすめ人気ランキングに関するまとめ現状では、個人が生命保険の加入や見直しにあたり、養老保険を活用することは、一昔前とは異なり不利になってしまう点が多くあるため、あまりおすすめできる生命保険とは言えません。実際のところ、養老保険を販売している保険会社もさほど多くなく、さらに比較情報サイトを基に比較検討や情報を集めることができない現状も踏まえますと、いかに養老保険の需要が無いのかご理解いただけるのではないでしょうか。
2019年09月24日養老保険とは、保険契約を締結した保険期間(保障期間)に、養老保険の保障対象となる人(被保険者)が死亡した場合は死亡保険金が支払われ、生存していた場合は満期保険金が支払われる生命保険です。一般に、養老保険は貯蓄機能に優れていると言われることがあるのですが、現代の事情や若年者の皆さんの将来を考慮しますと、はたして養老保険に加入することは得策なのか疑問が残ります。そこで本記事では、養老保険のメリットやデメリットをはじめとした養老保険の考え方について解説を進めていきます。養老保険の仕組み養老保険とは、どのような生命保険なのか冒頭で紹介しましたが、改めて、図を活用して、その仕組みについて触れておきます。養老保険は、保険契約した時から満期までの保険期間(保障期間)に渡って死亡しても生存しても保険金が受け取れる生命保険であることが分かります。また、養老保険の契約の仕方によって異なるものの、保険料の払込期間(支払い続ける期間)も契約から満期までになっている点もポイントと言えます。養老保険に加入するメリットとは養老保険に加入するメリットは、保険契約の期間中に死亡しても、満期を迎えて生存していたとしても同額の保険金が支払われるところにあります。養老保険は、死亡保険金または満期保険金のいずれかの保険金が必ず受け取れることになるため、仮に死亡した場合は葬式費用、生存していた場合は老後資金やその他の足しにといった具合に活用できるメリットがあります。養老保険のデメリットとは養老保険のデメリットは、保険料が、終身保険や定期保険などといった死亡などが原因で支払われる生命保険に比べて、かなり高額な点が挙げられます。併せて、養老保険の保障内容を提示された際の保険設計書に記載されている配当金は、あくまでも概算値であるため、将来必ず支払われる金額ではない点もデメリットと言えます。これ以外に考えられる養老保険のデメリットは次項の通りです。死亡保障が一生涯ではない養老保険に加入しますと、養老保険の被保険者が死亡した場合に死亡保険金が支払われることになりますが、満期を迎えることによって満期保険金を受け取り保障が終了します。そのため養老保険は、終身保険のように死亡保障が一生涯ではないデメリットがあります。契約の仕方によっては、元本割れする可能性がある養老保険は、契約の仕方によって元本割れを起こしてしまう可能性があり、将来受け取ることになる満期保険金と総支払保険料の差額がどのくらいになるのかしっかりと確認しておくことが極めて重要です。仮に、養老保険に加入する前に提案された保険設計書などで、将来の元本割れが起こる場合、加入を見送ったり、加入内容を見直したりする必要があります。養老保険の差益は課税対象になる養老保険に加入し、受け取った満期保険金が、これまで支払ってきた総支払保険料よりも多くなった場合、その差益は一時所得として課税対象になります。総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)=一時所得の金額たとえば、満期保険金が1,000万円、総支払保険料が900万円だったとしますと、50万円(1,000万円-900万円-50万円)が一時所得の金額となりますが、税法上、50万円の2分の1にあたる25万円が課税対象です。不要な保障まで抱き合わせになる可能性があるこちらはすべての養老保険ではありませんが、保険会社が販売している養老保険の中には、死亡保障だけではなく、医療保障など不要な保障まで抱き合わせで付帯されてしまう可能性があります。そのため養老保険に加入する前は、保険会社間の比較はもちろんですが、どのような保障が付帯されることになるのか、あらかじめしっかりと確認しておくことが大切です。養老保険への加入は、おすすめできるのか?養老保険のメリットとデメリットについて紹介しましたが、実際のところ、養老保険に加入することはどうなのか気になる人もおられると思います。こちらにつきましては、個々によって考え方は異なりますが、筆者個人の見解としては養老保険の加入をおすすめしません。以下、その理由について、参考程度となりますが紹介していきます。[adsense_middle]昔と今で時代が大きく変化しており、生命保険の活用方法や意味合いも変化しているため養老保険の活用を振り返りますと、一昔前は予定利率や解約返戻金の返礼率が高く、さらに養老保険は、死亡しても生存しても保険金が支払われる大きなメリットがあるため、評判や人気が高かったことは確かです。しかしながら、平成から令和の時代に入った現在におきましては、掛金が高額で、予定利率や解約返戻金の返礼率が低くなっており、貯蓄機能に優れている強みを活かすことがかなり難しくなっています。一時払い養老保険の強みも低下一時払い養老保険とは、たとえば、保険期間(保障期間)が10年の養老保険であれば、10年分の保険料を一括で支払うもので、いわば10年分の保障を一度に買ってしまうイメージです。一時払い養老保険も当初は、高い予定利率に貯蓄機能の強みもありましたが、現在では掛金が高額で低い予定利率によって強みが見出せず、さらにまとまった多額のお金があるのであれば、もっと効果の高いお金の活用ができる時代になっています。積立投資を活用した投資制度の充実現在、つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)といった、自助努力によって将来の老後資金などを作るための投資制度が充実しており、少なくとも養老保険に加入するよりも、これらの投資制度を活用した方が大きなメリットが得られます。たとえば、節税効果やお金の流れを表すキャッシュフローといった点におきましても、養老保険よりもこれらの投資制度を活用した方が有利になる場合がほとんどです。養老保険への加入と投資制度の活用を目的別に比較前項では、養老保険の加入をおすすめできない理由について、筆者個人の見解を紹介させていただきましたが、ここでは養老保険と投資制度の活用において、加入目的別に簡易に比較したものを2つ紹介しておきます。なお、比較する上において、養老保険を販売している某保険会社(公平性の観点から保険会社名は公開しません)が、保険料例としてWEBで公開している以下情報を下に考えていきます。[adsense_middle]比較の前提条件養老保険に加入契約した年齢は、30歳とし、満期は60歳とします死亡保険金および満期保険金は、1,000万円とします毎月の掛金(保険料)は、男性で30,110円、女性で29,900円としますつみたてNISAは、20年間で1,000万円の資産形成をするものとしますiDeCoは、30歳から60歳まで30年間、資産運用するものとします上記以外の条件は加味しないものとします将来が心配なので、特別な事情を考えず、普通に1,000万円準備しておきたいはじめに、将来が心配なので特別な事情を考えず、普通に1,000万円準備しておきたいといった考え方の下、養老保険に加入する場合とつみたてNISAを活用する場合を比較してみます。1,000万円を準備するのに、養老保険では30年間という期間を要し、つみたてNISAでは20年間という期間を要していることがわかり、10年間の差は大きいことが確認できます。付け加えて、養老保険は差損益がマイナス、つみたてNISAではプラスとなっており、養老保険の活用がおすすめできない理由が明白であることが分かります。老後の生活が心配なので、老齢年金にプラスした老後資金1,000万円を準備したい今度は、老後の生活が心配なので、老齢年金にプラスした老後資金1,000万円を準備したいといった考え方の下、養老保険に加入する場合とiDeCoを活用する場合を比較してみます。iDeCoは、年齢が60歳になるまで老後資金を自ら準備するための投資制度であるため、仮に30歳からiDeCoに加入した場合、前提条件にある運用期間はいずれも30年で同じになります。この時、1,000万円を準備するのに、養老保険は差損益がマイナス、iDeCoではプラスとなっているほか、毎月の掛金が養老保険に比べてiDeCoは少なく済んでいるため、他の必要な部分にお金を充てられることも分かります。毎年の所得控除額による節税効果にも大きな差が生じる養老保険に拠出した1年間の生命保険料は生命保険料控除として所得控除の対象となり、iDeCoに拠出した1年間の掛金は、小規模企業共済等掛金控除としてこちらも所得控除の対象となります。しかしながら、これら2つの所得控除は税法上大きな違いがあり、前提条件を基にした1年間の所得控除額による違いは以下の通りです。養老保険の保険料とiDeCoの掛金に対する所得控除の取り扱いは全く異なり、iDeCoの掛金として拠出した場合、掛金の全額が所得控除の対象となるため、納めるべき所得税および住民税が大きく軽減される効果が得られます。同じ時間やお金を活用する場合、養老保険に加入するメリットが見出せないここまで、養老保険とつみたてNISAやiDeCoの活用を目的別に比較したものを紹介しましたが、それぞれの比較結果を踏まえますと、同じ時間やお金を活用する場合、養老保険に加入するメリットが残念ながら見出すことができないと筆者は考えます。筆者が、養老保険に加入することをおすすめできないと申し上げた理由には、先に紹介した比較内容や税法上の取り扱いなど、養老保険の加入者側が不利になる内容が多いからです。それでも養老保険に加入する場合、比較検討をして判断する養老保険に加入することをおすすめしない理由について、筆者個人の見解をお伝えさせていただきましたが、それでも養老保険に加入する場合、保険会社間で比較検討することが大切になります。また、あくまでも参考程度に留めておく必要がありますが、養老保険のランキングを比較検討するための材料として活用してみるのも1つの方法とも言えるでしょう。養老保険に関するまとめ養老保険には、保険金を必ず受け取れるメリットがあるものの、加入目的によっては、養老保険に加入するよりも得策なお金の活用方法があることは確かです。特に投資制度を活用した積立投資におきましては、同じ金額や同じ時間を活用した場合、養老保険よりも得られるメリットが大きくなることも十分考えられます。そのため、それぞれの効果を比較検討しながら、ご自身にとって効果的なお金の活用方法を探されてみることをおすすめします。
2019年09月23日「この10月から、全国的に火災保険料の大幅な値上げが実施されます。それは、損害保険会社が保険料算出の基準にする『参考純率』が、平均5.5%引き上げられたためです」そう語るのは、「保険相談サロンFLP用賀SBS店」所属で、ファイナンシャルプランナーの佐藤和士さん。建物や家財を守る火災保険。火事だけでなく、台風による窓の破損や床上浸水、雪の重みによる屋根の倒壊など、風災や水害、雪害も補償対象だ。住まいを守るために欠かすことのできないこの保険が値上がりした要因は、’18年5月、「参考純率」が4年ぶりに見直されたこと。火災保険の保険料は、「損害保険料率算出機構」が決めた「参考純率」をもとにして、保険会社が個別の状況(経営状況、価格戦略等)をふまえて決めている。そしてこの保険料は地域や、建物構造(マンション・鉄骨造住宅・木造住宅の3種類)、築年数、補償内容などによって異なる。今回、「参考純率」が最も大きく引き上げられたのは鹿児島県のマンション。その改定率は40.1%と、平均を大きく上回っている。引き上げの背景を、佐藤さんは次のように話す。「近年、ゲリラ豪雨や台風などによる水害、豪雪の被害が多発し、保険金の支払いが急増していることが影響しているでしょう。これまで保険金の支払いは4,000億円前後だったのですが、’18年度には1兆円を超えてしまう見込みです」参考純率は’14年にも改定されているが、それ以降も大規模な雪害や水害が起こっている。九州を中心に襲った’15年の台風15号、記録的な暴風や猛烈な雨で被害をもたらした’18年7月の西日本豪雨……。とくに’18年9月の台風21号は大阪府をはじめとした地域が甚大な被害を受け、保険金の支払いは過去最高額の9,698億円に。莫大な保険金額を今後も支払うことを予想し、民間の各保険会社は値上げのプランを明らかにしている。東京海上日動の火災保険を例にとってみよう。次の都道府県、建物構造に当てはまる住居は、30%以上の値上げがなされる。■栃木県、群馬県、富山県、石川県、山口県、九州7県、沖縄県のマンション■山形県、栃木県、群馬県、山口県、熊本県、鹿児島県の鉄骨住宅■熊本県の木造住宅佐藤さんが続ける。「三井住友海上は築年数が10年以上の場合、大幅に値上げされることがほとんど。ただし、木造住宅はほか2つの建物構造と比べ、上昇率が据え置かれている印象です」
2019年09月19日住宅ローンを組むときに、団体信用生命保険に加入する人は、生命保険を見直しましょう。必要な死亡保障額を算出し、その分だけ民間の生命保険で賄えるようにすれば、保険金による十分なサポートを確保しつつ、月の支払いを抑えることができ、家計が楽になる可能性があります。■ 1. 住宅ローンと生命保険の関係は?スイマー / PIXTA(ピクスタ)一般的に、銀行等で住宅ローンを組む場合、団体信用生命保険(=団信)に加入することが条件とされることがほとんどです。1-1住宅ローンと団体信用生命保険住宅ローンの返済者が返済途中で死亡した場合は、団信の保険金で残りの住宅ローンが一括返済される仕組みになっています。つまり、団信は生命保険なのです。金融機関が団信加入を必須にするのは、ローン返済者がいなくなったときに債務が残らないようにするためです。住宅ローンを借りる人が併せて団体信用生命保険に加入することで、万一のことがあっても、銀行は住宅ローンの返済が滞る心配をしなくて済みます。遺族は住宅ローンの返済を免除されて住宅を手元に残すことができるようになっていて、住宅ローンの借り手・貸し手の双方にとってメリットがある保険といえます。団信加入不要の金融商品は「フラット35」ほか、数えるほどしかありません。1-2団信の補償内容と民間の生命保険の保障内容団信が生命保険ならば、自分の入っている民間の生命保険と同じ保障内容になっている可能性があるために、それぞれの保障内容を確認する必要があります。保障内容がかぶっているものがあれば、内容を精査し、最低限の保障内容になるようにしましょう。削減した場合は保険料が月数万円安くなる、総額で数百万円安くなる場合もあります。削減した保険料では貯蓄や住宅ローンの繰り上げ返済などに回すことができ、さらに住宅に支払う費用を抑える効果が期待できます。■ 2. 生命保険の内容、どう見直せばいいの?CORA / PIXTA(ピクスタ)生命保険見直しの必要性が理解できたら、次に、実際どのように見直せばよいかを見ていきましょう。2-1残される家族の生活費を考える契約者が亡くなってしまったあとは、ローンの残債に充てるお金のほかにも様々なお金が必要なはずです。例を挙げると、残された家族の住居費(家賃)、食費、光熱費、通信費、日用品費、娯楽費、医療費、教育費などがあると思います。それらをなるべく正確に算出しましょう。2-2必要保障額を算出する必要な費用の合計額を算出したら、そこから遺族年金や死亡退職金等の死亡後の収入、貯蓄額を差し引きます。この「必要保障額」が生命保険の保障金額にすべき金額です。2-3両方の保険を使ってカバーできるようにする団体信用生命保険により万一の場合のローン返済はされます。そのために、民間の保険では、必要保障額が補償金として支払われるように設定しましょう。両方の保険によってうまく保障内容を設定すれば、余分な出費がなくなります。■ 3.まとめtombo / PIXTA(ピクスタ)住宅ローンを組んだら、団体信用生命保険に加入することになるため、既存の生命保険と保障が重複する場合があります。重複を避けるために、必要保障額を算出し、最低限のカバーができるように保障内容を再設定しましょう。ただし、ライフステージによって必要な死亡保障額が変わってくる可能性があります。定期的に見直しをすることを忘れないようにしましょう。ファイナンシャルプランナー(AFP)/宅地建物取引士一般社団法人/家族信託普及協会®会員吉井希宥美
2019年09月18日「生命保険は健康な人でないと加入できない」といった話は聞いたことがあるでしょうか。生命保険は健康な人を基準として加入の条件を決めているので、大きな病気やケガをしている状態や治ったばかりの状況では加入できないことも少なくありません。 出産に備える医療保険や万一の際にお子さんに必要な生活費や教育費を残す生命保険に加入しようとした場合に加入できず後悔しないためにも生命保険の加入と健康状態についてお伝えします。 医療保険の加入は妊娠前に検討を生命保険は、死亡保険・がん保険・医療保険など種類がいくつかありますが、保険の種類によって加入ができるかできないかの判断となる健康状態の基準が異なります。その中で医療保険は基準が厳しく、詳細に内容の確認がされます。 例えば、軽微な病気でも治療中であったり、治ったばかりの状態では加入ができなかったり、病気の部位(例:胃潰瘍であれば胃、難聴であれば耳)の治療については一定期間、保険金が給付されない条件=特定部位不担保となったりするケースがあります。逆に死亡保険は、死亡につながる可能性の高い病気・ケガでなければ、多少の病気・ケガであっても加入が制限されることは多くありません。 出産のため、妊娠高血圧症候群や異常分娩に備えて医療保険の加入を希望される方もいらっしゃると思いますが、ほとんどの保険会社では妊娠中の方の加入については、「現在進行中の妊娠・出産には入院や手術には保険金を給付しない条件」を付けることになっています。 そのため、妊娠・出産に備えて医療保険に加入したい場合は、①妊娠前に医療保険に加入するか、②現在進行中の妊娠・出産でも保険金を給付してくれる保険会社で加入するかのいずれかとなります。希望する保険に加入できずに後悔するよりは、子どもを設けようと思った際に医療保険に加入することを検討してみましょう。 保険加入の際の健康状態の判断は保険会社によって異なります生命保険の種類や内容が保険会社ごとによって異なるように、保険加入にあたっての健康状態の判断は保険会社によって異なります。生命にかかわる病気や完治が難しい病気の判断は差が出にくいのですが、軽度・中度の病気やケガについては、保険会社の判断が分かれる場合があります。 ある保険会社では、保険金が給付されない条件=特定部位不担保が5年と判断されましたが、別の保険会社では保険金が給付されない条件=特定部位不担保がつかないと判断されたケースもあります。そのため、健康診断で指摘事項があったり、現在または直近2年間に通院があったりする際には、複数の保険会社で見積りを取ると良いでしょう。 告知書はアンケートではなく保険加入には欠かせない判断材料生命保険の加入には、医師の診断や健康診断や人間ドックの結果の提出が必要なものもあれば、“告知書”と呼ばれる書類に健康状態の記載をするだけで医師の診断や健康診断の代替ができるものがあります。告知書はご自身で内容を記載するので、アンケート程度に思っている方もいらっしゃるのですが、実際には医師の診断や健康診断結果と同じ役割をするものです。曖昧な回答や虚偽の回答では、後日保険金が支払われない可能性があります。 持病があるので告知書に書こうとしたら、保険の担当者が「書かなくて良いですよ」と言ったやりとりは過去には散見されたようですが、このまま手続きしてしまうと、死亡時や入院時等に保険金が支払われず、保険が役に立たなくなってしまいます。保険は加入が目的ではなく、いざという時に保険金が給付されてはじめて役立つものですので、告知書の記入は正確にしましょう。病気やケガがある場合や健康診断で指摘事項のある場合は、治療や検査をしっかり行ったうえで、完治後や正常値になった際に申し込みを行うことも検討しましょう。 生命保険は結婚、妊娠、出産などのライフイベントをきっかけに加入する方多いと思いますが、その時の健康状態が良くないと加入できなかったり、条件が付いたりする可能性が出てきます。保険に加入しようと思った際には、内容や保険料が適正かどうかを考えた後に必要と判断できた場合は、健康状態が悪くなってから後悔しないように健康状態が良いときに手続きをされることをおすすめします。 監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2019年08月21日生命保険は、死亡などによって保険金が支払われるものから、病気やけがによる治療によって保険金が支払われるものなど様々な種類があります。なお、税法上、受け取った保険金は、税金がかかるものとかからないものに分けられる特徴があるのですが、相続税がかかる生命保険とは、基本的に受け取った死亡保険金の金額や保険契約が大きく関係します。そこで本記事では、生命保険と相続税の関係についてポイントの解説を進めていきます。重要!相続税は、すべての人にかかる税金ではない法定相続人には、配偶者、子供、父母、祖父母、兄弟姉妹など、家族構成や人数が大きく関係しますが、妻や夫といった配偶者は、常に相続人になる決まりとなっています。なお、上記図の計算例では、夫が死亡し、法定相続人が配偶者である妻と子供1人の場合となっており、計算式にあてはめて計算すると相続税の基礎控除額は4,200万円と計算されます。法定相続人には順位が設けられている法定相続人は、法律上、故人の財産を相続できる順位が設けられており、ポイントは以下の通りです。法定相続人には、第1位順位から第3位順位まであり、ポイントは、先順位の人が1人でもいる場合は、後順位の人は相続人にならないところにあります。たとえば、上記図の若草太郎さんが亡くなった場合で長男と長女が生存している場合、法定相続人は、配偶者と子供である長男および長女の3人になります。仮に、若草太郎さんが死亡した時点で両親や兄弟姉妹などが生存していたとしても法定相続人にはあたらず、基本的に財産を相続する権利が発生しません。相続税を考える上で、基礎控除額がいくらになるかが大きなポイント前項の例の場合、相続税は、故人の財産が4,800万円(3,000万円+600万円×3人)を超えた場合に課されると判定することができ、相続税を考える上において、まずは、基礎控除額がいくらになるかが大きなポイントになります。そのため、たとえば、生命保険の受け取った死亡保険金のみをベースに単独で相続税が課されるものではないため、故人の財産をトータルで考えることが極めて重要になるわけです。生命保険と相続税の重要ポイント配偶者=1,500万円-1,500万円×1,500万円÷3,000万円=750万円長男および長女=750万円-1,500万円×750万円÷3,000万円=375万円計算の結果、配偶者に課税される死亡保険金の課税対象は、受け取った死亡保険金1,500万円の内750万円、長男および長女に課税される死亡保険金の課税対象は、それぞれ受け取った死亡保険金750万円の内375万円ということになります。相続税の基礎控除額を超えない場合、相続税がかかることはない若草太郎さんが死亡した場合における相続税の基礎控除額は、法定相続人が配偶者、長男、長女の3人で4,800万円(3,000万円+600万円×法定相続人の数)です。この時、配偶者が受け取った死亡保険金の内750万円、長男および長女が受け取った死亡保険金の内375万円ずつが課税対象となるため、合計1,500万円(750万円+350万円+350万円)が相続税の課税対象になります。この時、基礎控除額4,800万円よりも金額が低いため、結果として、それぞれが受け取った死亡保険金に対して相続税がかからないと判定をすることができます。相続税が課税されるパターンは、基礎控除額を超えた場合相続税が、かからない場合故人の財産合計は6,600万円に対して、故人の債務や基礎控除額を合算した合計金額は6,700万円となっており、これらを差し引きますと、マイナス100万円(6,600万円-6,700万円)です。計算の結果、マイナスになった場合は、0円として取り扱われることになり、このような場合、相続税がかからないことになります。相続税が課税される場合、いつまでに税金を支払いする必要があるのか相続税が課税される場合は、相続税の申告期限までに相続税の申告書を作成し、亡くなった人の住所地を所轄する税務署に対して申告書類を提出しなければなりません。なお、相続税の申告期限とは、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行うことになっており、たとえば、1月10日に死亡した場合、その年の11月10日が申告期限になるイメージです。ちなみに、相続税の納付は、原則として申告期限までに金銭で納めることになっておりますが、延納や物納といった制度によって納付することもできます。相続税を納めている人の現状国税庁が公開している最新の統計データによると、2017年度に相続税が課税された人の割合は、8.3%となっており、さほど多くないことが分かります。相続税の基礎控除額が大幅に引き下げられた法改正があってからは、相続税を納める人の割合が4%台から8%台に増加しているものの、それでも、全体的に見ると、相続税を納めなければならない人というのは、ごく僅かであることが見て取れます。相続税の納税金額を見ると、全体的にかなり高額であることも分かり、相続税は、自分とはご縁のないものと感じるのも無理のない話です。とはいえ、特に、不動産や上場株式をはじめとした金融商品は、故人の財産を評価する際、専門的な知識がなければならず、安易に考えることは、リスクが伴う場合があります。仮に、不動産や金融商品を多く抱えている場合は、税理士を通じて財産評価や相続税対策をしておくのが望ましいでしょう。まとめ生命保険の契約状況と受け取った死亡保険金額によって相続税がかかる場合とかからない場合があります。ただし、相続税は、故人の財産から故人の債務や非課税金額、基礎控除額を差し引くことで、はじめて、相続税がかかるのか、かからないのかが判定できるものとなります。そのため、生命保険のみの単独で判断できるものではなく、全体的な財産状況と債務状況を把握することが必要になることを理解しておく必要があります。
2019年08月18日生命保険に加入するためには、健康体であることや過去の病歴や治療歴に著しい問題がないと加入の申し込みをした保険会社から判断されることが必要です。ただし、現在では、長い期間に渡っていつまでも治らない、いわゆる持病を持っている人でも生命保険に加入できることは確かです。そこで本記事では、持病を持っている人を対象に、加入できる生命保険や加入しやすい生命保険を中心にポイントの解説を進めていきます。持病があっても加入できる生命保険持病がある場合、健康体の人が加入できる生命保険に加入することができない場合や加入できたとしても保障が手厚くない、保険料負担が重くなるなどのデメリットがあります。そのため、まずは、これらのデメリットを理解した上で、それでもなお生命保険の保障が必要と判断された人が加入するべきものであることを念頭に入れておく必要があるでしょう。ちなみに、持病があっても加入できる生命保険の1つに、無選択型の生命保険があります。無選択型の生命保険とは無選択型の生命保険とは、通常、生命保険に加入する際に必要な告知や医師の診査が求められない生命保険のことを言います。つまり、持病があることによって、生命保険に加入できない人や年齢制限によって生命保険に加入できない人であったとしても無選択型の生命保険であれば加入できることを意味します。ただし、次項で解説するようなデメリットをあらかじめ理解した上で契約加入する必要がある点に注意です。無選択型の生命保険は、保険料が高く保障が薄い無選択型の生命保険は、健康体の人が加入できる一般の生命保険や医療保険などに比べて保険料が高く保障が薄いデメリットがあります。たとえば、死亡保障を得るために無選択型の生命保険に加入したとしても、死亡した時期や契約日との関係によって、これまで払い込んできた保険料が戻ってくるだけといったこともあり、本来の加入目的がしっかりと果たせない場合もある点に注意が必要です。無選択型の生命保険は、免責範囲が広い免責とは、ざっくり言いますと、保険会社が保険金を支払わない部分のことを言い、無選択型の生命保険に加入したとしても、場合によっては、保険金が支払われないデメリットが生じます。当然のことながら、これでは何のために生命保険に加入しているのか分かりません。そのため、どのような場合に保険金が支払われ、どのような場合に保険金が支払われないのか、加入前に必ず保険約款や契約のしおりなどで確認する必要があります。無選択型の生命保険は、種類が少ない無選択型の生命保険は、無選択型終身保険や無選択型医療保険などがあるものの、実際に販売している保険会社は多くなく、種類も少ない特徴があります。そのため、生命保険の見直しや先々の保障準備をする上において、選択肢が限られてしまい、どこがいいのか比較検討しづらいデメリットがあります。無選択型生命保険の特徴を保険会社同士で比較無選択型の生命保険には、無選択型終身保険や無選択型医療保険があることを解説しましたが、ここでは、これらの生命保険の特徴を保険会社同士で比較してみます。なお、比較する上での前提条件は、以下の通りとします。無選択型終身保険は、アフラックとFWD富士生命の2社を比較し、それぞれ、各社が公開しているWEBサイトやパンフレッドの情報を基に比較したものとします無選択型医療保険は、太陽生命とチャブ保険の2社を比較し、それぞれ、各社が公開しているWEBサイトやパンフレットの情報を基に比較したものとします年齢は、50歳男性のものとします無選択型終身保険の特徴比較アフラックの場合、毎月の支払保険料が定額な特徴があり、FWD富士生命では、希望する保険金のプランに合わせて支払保険料が変化する特徴があります。いずれの保険も、契約日から2年以内に病気で死亡した場合は、既払込保険料相当額が保険金となる点には注意が必要です。たとえば、アフラックのどなたでも6,000円コースに加入し、契約から1年半後(18ヶ月)に病気で死亡した場合、死亡保険金は、108,000円(6,000円×18ヶ月)といったイメージです。無選択型終身保険は、保険料が掛け捨てではない無選択型終身保険は、他の生命保険に比べて保険料が割増に設定されているものの、保険料は掛け捨てではなく、中途解約をすることによって解約返戻金を受け取ることができます。ただし、貯蓄型の生命保険のように、解約返戻金がこれまで支払ってきた保険料を上回ることによって保険差益が得られず、むしろ、長い期間に渡って継続加入することで、累計払込保険料が保険金よりも上回る点に注意が必要です。加入するタイミングが重要な生命保険と言えます。無選択型医療保険の特徴比較無選択型医療保険の大きな特徴は、一般の医療保険と異なり、保障に免責期間が設けられているところにあり、契約から90日が経過し、91日目からでなければ保険金が支払われません。そのため、たとえば医師から、がんをはじめとした三大疾病や大きな病名を告げられたことによって、すべり込みで保険契約をしたとしても保険金が支払われることはありません。持病があっても加入しやすい生命保険無選択型の生命保険は、持病があっても加入できる生命保険でしたが、持病があっても加入しやすい生命保険として、引受基準緩和型生命保険があります。引受基準緩和型生命保険は、一般の生命保険と同じように、保険会社に対する告知は必要になるものの、告知事項が少なく、持病があっても加入しやすい生命保険です。また、保険の種類も、死亡保障を対象にしたものから医療保障やがん保障まで様々なタイプのものが販売されています。[adsense_middle]引受基準緩和型生命保険は、持病があっても入りやすいが確実ではない引受基準緩和型生命保険には、引受基準緩和型終身保険、引受基準緩和型医療保険、引受基準緩和型がん保険などの種類が販売されておりますが、保険会社によって取り扱いは全く異なります。また、現在の症状や過去の治療歴などによっては、引受基準緩和型生命保険の告知事項にすべて問題がなかったとしても、必ず加入できる生命保険になるものではありませんので、この点には注意が必要です。引受基準緩和型医療保険の安い保険料ランキングこちらは参考情報となりますが、引受基準緩和型生命保険の内、多くの保険会社で販売されている引受基準緩和型医療保険の安い保険料をランキングで紹介します。なお、保険料が最も安いものを高ランクとし、それ以外にかかる保障内容などは一切加味しないものとします。40歳男性、入院給付金5,000円の引受基準緩和型医療保険の場合5位:メットライフ生命月額3,881円4位:アクサ生命月額3,859円3位:東京海上日動あんしん生命月額3,726円2位:オリックス生命月額3,621円1位:メディケア生命月額3,100円引受基準緩和型医療保険に加入する前の注意点引受基準緩和型医療保険には、無選択型生命保険のように重要な注意点があるため、この注意点をあらかじめ知った上で加入の申し込みをすることがとても大切です。契約日から1年以内の保障は半減引受基準緩和型医療保険は、無選択型医療保険のように、保障がされない免責期間というものはありませんが、契約日から1年以内に保険金の支払事由に該当した場合、受け取ることができる保険金は、災害などの特殊な事情を除いて、当初契約した保険金の半分になります。なお、健康状態について詳細に告知をすることによって、引受基準緩和型ではなく一般の医療保険に加入できる場合もあります。保険料の払込期間を選択できない一般の医療保険では、保険料の払込期間を60歳や65歳のように払込期間を選択できるものの、引受基準緩和型の医療保険は、保障は一生涯であるものの、保険料の払込期間も基本的に死亡するまで払い続けていかなくてはなりません。そのため、引受基準緩和型や無選択型の生命保険に加入を検討している場合、次項で解説する内容を読み進めていただき、じっくり家族と話し合って方向性を決めてみることを強くおすすめします。持病がある場合、安い保険料の生命保険に加入するのは難しい持病がある人が生命保険に加入する場合、持病の内容などによるものの、引受基準緩和型の生命保険や無選択型の生命保険でなければ加入することが難しいのが現状です。また、安い保険料を求める程、保障が薄くなったり、保障範囲が限定されるなどのデメリットがあることを認知した上で加入手続きを取る必要があると言えます。[adsense_middle]持病がある場合、一般・緩和型・無選択型の順番で申し込むのがおすすめ生命保険に加入するための引受基準は、保険会社によってそれぞれ異なるため、一概に持病があるからといった理由で健康体の人が加入できる一般の生命保険に加入できないとは言い切れない部分があることも確かです。そのため、手間や時間がかかってしまうものの、一般の生命保険・引受基準緩和型の生命保険・無選択型の生命保険の順番で、加入の申し込みをしてみるのがおすすめです。保険の申し込み前に、公的保険や公的年金制度の保障について知っておこう持病を抱えている人にとって、引受基準緩和型や無選択型の生命保険に対するニーズが高いことも十分わかるのですが、持病があっても無くても公的保険や公的年金の保障が受けられることに変わりありません。そのため、これらの制度を加味した医療費などの準備を医療貯蓄という形で計画的に行うことができれば、無駄な支出を削減し、効果的にお金を残せることも知っておく必要があります。FPなどの専門家へ医療貯蓄を相談する選択肢も持ちたい引受基準緩和型や無選択型の生命保険は、保険料が高く保障に厚みがないため、持病を抱えている人ほど、計画的な医療貯蓄は効果が高いと考えられます。持病を抱えている人は、医療費が心配、保険に加入していると安心などといった目先の部分にどうしても目がいきがちですが、保険料負担と医療貯蓄にかかるお金の出入り(キャッシュフロー)をFPなどの専門家を通じて比較検討することで、お金のロスを防げる可能性が高くなります。まとめ持病があっても加入できる生命保険や加入しやすい生命保険はあるものの、一般の生命保険に比べてデメリットが多いことは確かです。そのため、現状だけではなく、将来のことを考えた上で、本当に加入する必要性があるのかしっかりと検討する必要があると言えます。特に、公的保険や公的年金制度で受けられる各種保障も考慮すると高い保険料を支払ってまで厚みのない保障を準備する必要があるのかどうかの判断基準になるものと思われます。
2019年08月16日顧客の利益を無視した保険契約が横行していたかんぽ生命。でも、これも人ごとじゃないかも——。保険の販売員が教えてくれない保険見直しのNG行動とは?——月13万円ほどの年金収入がある軽度認知症の高齢女性は、複数の保険に加入させられ、月25万円もの保険料を取られていた。日本郵政グループの「かんぽ生命保険」による不正販売。8月1日時点で、過去5年間の不適切な契約が18万3,000件に上っていることが確認されている。一方、民間の保険会社では’05年に起きた保険金不払い問題で金融庁から指導が入り、このような不正契約は起きにくくなっているという。だが、あからさまではなくても、顧客の利益よりも自分たちの利益を優先する業者は多い。保険に詳しいファイナンシャルプランナーの飯村久美さんはこう語る。「保険会社は不利なことは伝えてくれません。特に、“損する”行動を取りやすいのが、保険の見直しのタイミング。自分で確認すべきことは調べましょう」そこで飯村さんに、保険の見直し時に「損するNG行動5」を教えてもらった。【NG1】お宝保険を解約する「まず、今の保険が貯蓄型か、掛け捨て型かを確認してください。終身保険など、貯蓄型の場合は、加入年をチェックしましょう。加入時期により、『予定利率』が違います。これは、保険会社が契約者の保険料を運用している利回りのこと。この利率が高いほど、保険契約の満期時や解約時の返戻金が多くなります」(飯村さん・以下同)’80年代から’90年代前半にかけて、予定利率は5%以上あった。「特にバブル時代のものは、『お宝保険』と呼ばれています。40代後半以上の人なら、お宝保険に入っている可能性も高い」一方、保険会社としては、“割が合わない”。お宝保険に入っていると知らずに、保険外交員に『いい保険が新しく出たので乗り換えませんか?』と言われて乗り換えてしまう人も多いという。現在の予定利率は1%に満たない。「人によっては、かなりの額を損することになります。保険証書の裏側に返戻金のことが書いてあるので、見直す前に確認してください。利率が2%以上あった’00年以前に加入したものであれば、とりあえず解約しないのが正解」【NG2】“転機”なのにそのまま“子どももまだ小さいし、夫が亡くなったら、教育費に困ってしまう”。そう思って、結婚や出産を機に、生命保険に加入する人は多い。「たとえば、子どもも巣立って、これから老後を迎える50代の夫婦が死亡保障額を3,000万円に設定していたら、もったいないですよね。20代、30代に契約した保障額を見直さないと、保険料も高いまま」家を買ったときも、見直しどき。「住宅ローンを組んだ場合、夫に“万が一”が起きても、ローンはなくなり、家が資産として残るので、保障額を下げてもいいです」いずれにせよ、ライフステージに変化があったら、保障内容を見直さないと損することになる。【NG3】1社だけで検討する「うちはずっと○○生命なので」。そんな理由で見直しの選択肢を絞っていたら、間違いなく損だ。「保険を選ぶときは、保障内容と保険料などから2〜3社で比較検討したいもの。会社によって得意とする保障分野が異なるのです。広告費がかからないぶん保険料が安く抑えられているネット保険や、営利を目的としない共済もあります」【NG4】保険を「自動更新」掛け捨ての保険には、5年や10年ごとの更新期に、契約者から解約や減額の申し出がない限り、自動更新され続けるものがある。「保障額をそのままで更新すると保険料がアップする保険が多くあります。更新期の前に、通知が来るので、必ず内容を確認すること。保険料が高いと思ったら、保障額を減額すると、安くなります」【NG5】公的な保障を考えない“専業主婦だし、夫が病気になったり、亡くなったりしたら、収入が途絶えてしまう”。そんな不安から、高額な生命保険に入っている人もいるだろう。だが、公的な社会保障を十分に確認していない人が多いという。「厚生年金に加入していれば、夫が亡くなったときに申請すれば遺族厚生年金が入ります。また、病気で休業を余儀なくされた場合でも、傷病手当をもらうことができますし、高額療養費制度もありますので、医療費の自己負担額にも上限があります。企業内保障が存在することもあるので、夫の勤務する会社の福利厚生も知っておくべきです」社会保障だけで、万が一のときに生活が成り立つことも。それを確認しないまま、保険を見直すと損をする原因となる。最後に飯村さんは願いを込めて、こう語った。「自分と家族にとって、人生の助けになるべきものが保険です。契約者をないがしろにしたかんぽ生命の問題をきっかけに、入っている保険が、営業マンのためではなく、家族のためのものになっているか、見直してみてください」
2019年08月15日生命保険料控除は、保険会社に対して支払った生命保険料がある場合、一定の計算式にあてはめて計算した金額を所得税や住民税といった税金を計算する上で控除することができるものを言います。ざっくり言ってしまいますと、生命保険に加入している場合、税金を少なくすることができることになりますが、本記事は、この生命保険料控除の計算方法を中心に押さえておきたいポイントを紹介していきます。生命保険料控除の計算をするための重要ポイント2つ.手元にある生命保険料控除証明書を新制度と旧制度に分ける新制度で、一般用の合計金額は、120,000円でしたので、上記計算式にあてはめると、80,000円超に該当し、この結果、一般用の生命保険料控除は40,000円であると計算されます。また、新制度で、介護医療用の合計金額は、60,000円でしたので、上記計算式にあてはめると、40,000円超80,000円以下に該当し、この結果、介護医療用の生命保険料控除は35,000円であると計算されます。結果、一般用40,000円と介護医療用35,000円を合算した75,000円が生命保険料控除の金額となります。参考大同生命と第一生命の2つの保険契約があった場合の生命保険料控除金額大同生命と第一生命の2つの保険契約があった場合の生命保険料控除金額は、一般用266,870円、介護医療用104,492円といずれも80,000円超に該当しているため、どちらも一律40,000円の控除金額となります。したがって、一般用40,000円と介護医療用40,000円を合算した80,000円が生命保険料控除の金額となります。生命保険料控除のシュミレーションは、控除証明書がすべて届いた後に行う生命保険料控除を正しく計算するためには、現在加入している生命保険の控除証明書がすべて届いてから行うことが重要なポイントとなります。この理由は、計算方法の流れの中でも紹介しましたように、生命保険料控除証明書に記載されている制度や金額を基に生命保険料控除が計算されるためです。したがって、生命保険料控除証明書が届く秋ごろに行い、以後、行うことになる年末調整や確定申告前の対策とするのが最も望ましい方法と言えます。[adsense_middle]年末調整で適用し忘れた生命保険料控除は確定申告で行える会社員や公務員などのような給与所得者の場合、毎年12月頃に勤務先が行う年末調整によって1年間の税金精算手続きが完了することになります。この時、年末調整で適用をし忘れた生命保険料控除や誤った生命保険料控除で税金の精算を終えた場合、確定申告をすることによって訂正することができます。特に、次項で紹介するようなパターンにあてはまる場合は、再確認しておくことが望ましいでしょう。夫婦いずれも給与所得者(課税対象者含む)である場合の注意点本人と配偶者が共に給与所得者で、いずれも年末調整をする場合、生命保険料控除の適用の仕方に工夫をした方が得策な場合があります。たとえば、生命保険料控除の適用対象者になる人とは、その生命保険料を実際に負担している人だけに限らず、別の家族を適用対象とすることができ、大まかなイメージを次項で紹介します。参考生命保険料控除の賢い適用の仕方こちらはあくまでも参考情報であり、それぞれの世帯における状況をあらかじめ確認精査する必要があると前置きした上で、生命保険料控除の賢い適用の仕方を紹介します。なお、生命保険料控除の計算方法で紹介した以下、2つの生命保険に加入していると仮定し、いずれも保険料を支払っている人は夫であるものとします。夫婦で分散して生命保険料控除を適用する大同生命と第一生命の生命保険料控除を夫だけに単独で適用した場合と夫婦それぞれが1つずつ適用した場合の違いは以下の表の通りです。(計算過程は省略します)生命保険料控除を夫が単独で適用すると、夫個人の生命保険料控除は、分散するよりも多くなりますが、世帯で考えますと、妻が全く生命保険料控除の適用ができない分、ロスが大きくなることが分かります。生命保険料控除の計算に医療費や医療保険金が影響することはない生命保険料控除は、あくまでも1年間に支払った生命保険料に対して控除されるものにあたるため、医療費控除のように、実際に支払った医療費や受け取った医療保険金の金額が生命保険料控除の計算に影響を与えるということはありません。ごく稀に、生命保険料控除や医療費控除をごちゃまぜに考えてしまう人もおられますので、この点には注意が必要と言えそうです。1年の途中で新規加入や見直しをする場合は、年払いが得策生命保険料控除は、1月1日から12月31日までの1年間で実際に支払った保険料を基に算出される控除となります。そのため、この1年間の途中で生命保険の新規加入や見直しをする場合、保険料の支払方法を月払いではなく年払いにすることによって、月払いよりも総支払保険料を安く抑えられ、かつ、生命保険料控除を多く適用できる可能性があるため得策です。とても細かいですが、この辺もできる限り意識しておきたいものです。まとめ生命保険料控除は、仕組上、新制度および旧制度の違いのほか、夫婦共働き世帯なのかどうかなど、置かれている世帯の状況によっては、適用の仕方が節税になるかどうかの違いを生じさせます。そのため、少なくとも生命保険の新規加入や見直しを行った場合、自分たちはどのような組み合わせで生命保険料控除を適用するのが最適なのか、時には、FPなどの専門家を通じてしっかりと確認しておくことが望ましいでしょう。
2019年08月13日生命保険料控除は、1月1日から12月31日までの1年間で支払った生命保険料を基に計算される税金の軽減制度のことを言います。この生命保険料控除は、制度による違いや加入している生命保険の種類によって分類や計算の仕方をはじめ、控除される金額も異なります。加えて、生命保険料控除には、控除ができる上限額も決められていることから、本記事では、この生命保険料控除の上限額を中心に押さえておきたいポイントを解説します。生命保険料控除で適用できる最大の控除限度額わかりやすい例で解説しますと、新制度が対象の生命保険契約を締結し、一般用、介護医療用、個人年金用のそれぞれの契約に、1年間でそれぞれ120,000円ずつ支払ったものとします。この時に算出される生命保険料控除は、以下のように計算されます。一般用・介護医療用・個人年金用をそれぞれ単独で計算式にあてはめて計算一般用:年間支払保険料120,000円のため80,000円超に該当控除額40,000円介護医療用:年間支払保険料120,000円のため80,000円超に該当控除額40,000円個人年金用:年間支払保険料120,000円のため80,000円超に該当控除額40,000円上記3つの生命保険料控除をすべて合算することで、1年間に適用できる生命保険料控除が確定することになります。よって、新制度における生命保険料控除の最大控除限度額は120,000円(40,000円+40,000円+40,000円)となるわけです。生命保険料控除の旧制度とは生命保険料控除の旧制度とは、平成23年12月31日以前に締結した保険契約のことを言い、ざっくり説明しますと、昔から加入している生命保険を引き続いて契約している場合などは、旧制度による取り扱いイメージとなります。なお、旧制度における生命保険料控除は、新制度とは異なり、一般用、介護医療用、個人年金用といった3つの控除ではなく、一般の生命保険料控除と個人年金保険料控除の2つの控除に分けられます。旧制度における生命保険料控除の最大控除限度額は100,000円旧制度の生命保険料控除は、加入した生命保険の種類や契約内容によって、一般の生命保険料控除と個人年金保険料控除の2つの控除に分けられますが、こちらも先に解説した新制度と同じように、それぞれの種類ごとに以下の計算式にあてはめて生命保険料控除を算出する必要があります。なお、新制度と計算式や控除金額が異なる点には要注意です。わかりやすい例で解説しますと、旧制度が対象の生命保険契約を締結しており、一般の生命保険料控除と個人年金保険料控除のそれぞれの契約に、1年間でそれぞれ120,000円ずつ支払っていたものとします。この時に算出される生命保険料控除は、以下のように計算されます。一般の生命保険料控除と個人年金保険料控除をそれぞれ単独で計算式にあてはめて計算一般の生命保険料控除:年間支払保険料120,000円のため100,000円超に該当控除額50,000円個人年金保険料控除:年間支払保険料120,000円のため100,000円超に該当控除額50,000円上記2つの生命保険料控除をすべて合算することで、1年間に適用できる生命保険料控除が確定することになります。よって、旧制度における生命保険料控除の最大控除限度額は100,000円(50,000円+50,000円)となるわけです。誰でもできる新制度と旧制度の判別方法生命保険料控除証明書は、保険会社によって書式は異なりますが、上記イメージ図のように、適用制度が新制度なのか旧制度なのかが必ず記載されておりますので、そちらを確認することで判別が誰でも簡単に行えます。[adsense_middle]生命保険料控除の金額は、保険種類や契約の仕方によって変化する生命保険料控除の金額は、新制度と旧制度の違い、支払保険料のほか、実際に加入している生命保険の種類や契約の仕方によっても変化します。なお、現在、生命保険の新規加入や見直しにかかる生命保険料控除の適用制度は、すべて新制度になることを踏まえ、本項では、新制度に対応した保険種類と契約の仕方について解説を進めます。加入している保険種類によって、異なる3つの生命保険料控除新制度の生命保険料控除は、加入した生命保険の種類や契約内容によって、一般用、介護医療用、個人年金用といった3つの控除に分けられることをすでに解説しています。ここでは、主な生命保険の種類と適用となる生命保険料控除の関係について箇条書きで大まかに紹介しておきます。一般用:終身保険・定期保険・収入保障保険・学資保険など介護医療用:医療保険・がん保険・介護保険など個人年金用:個人年金保険(契約の仕方に要注意)個人年金用のみ保険契約の仕方に注意が必要生命保険料控除の中でも、一般用と介護医療用は、契約内容による控除の違いが生じることはありませんが、個人年金用に限っては、保険契約の仕方によって、一般用または個人年金用のいずれかに該当することになるため要注意です。なお、個人年金保険に加入するメリットの1つには、個人年金用の生命保険料控除が適用できることもあげられ、仮に、個人年金保険への加入を検討している方は、次項の内容を参考に条件を満たしているか必ず確認しておきましょう。個人年金用の生命保険料控除を適用するための条件個人年金用の生命保険料控除を適用するためには、保険会社が販売している個人年金保険に加入することに加え、税制適格要件と呼ばれる条件を満たした個人年金保険の契約を締結していなければなりません。なお、税制適格要件を満たした個人年金保険の契約とは、以下、3つの条件をすべて満たしている保険契約となります。個人年金保険の保険金受取人は、保険契約者(本人)または、配偶者となっている契約個人年金保険の保険料支払期間が10年以上の契約個人年金保険の保険金支払いは、保険金受取人の年齢が60歳になってから支払われるもので、かつ、10年以上に渡って支払われる契約上記3つの条件をすべて満たしていなければ、個人年金用の生命保険料控除は適用されず、一般用の生命保険料控除としての取り扱いになります。これによって、生命保険料控除を上限額いっぱいまで最大限に活かせない結果となるため注意が必要と言えるわけです。生命保険料控除(所得控除)による税金対策はあくまでも限定的なもの生命保険料控除(所得控除)を適用することによって、個人に対して課される所得税や住民税といった税金を軽減させられる効果が得られることは確かです。ただし、実際に適用をすることができる生命保険料控除には上限が設けられているため、生命保険の極端な掛け過ぎによるメリットは得られない点には注意が必要だと言えます。極端な例ではありますが、たとえば、1年間で終身保険料を10万円支払ったとしても、100万円支払ったとしても、生命保険料控除額は、一律40,000円で同額です。このように、生命保険料を多く支払ったからといって、生命保険料控除の恩恵が多く受けられるわけではないため、税効果と保障内容のどちらもニーズに沿った対策を取ることが望ましいと言えます。新制度と旧制度の保険契約が混じった生命保険料控除の上限額生命保険の契約をしている人の中には、新制度の保険契約と旧制度の保険契約のどちらの契約もある場合があります。実のところ、このような2つの制度が対象になる保険契約を締結している場合、生命保険料控除の適用方法によって、税効果が、有利になったり不利になったりする場合があります。このようなことから、次項より一例を紹介しながら新制度と旧制度の保険契約が混じった生命保険料控除と上限額について解説を進めます。[adsense_middle]新制度と旧制度の保険契約が混じった生命保険料控除の適用ルール生命保険料控除の適用において、新制度と旧制度のいずれも適用をすることができる場合、新制度および旧制度の計算式にあてはめ、それぞれの生命保険料控除の区分ごとに、どちらの控除額を適用(または併用)するか任意に選択できることになっています。つまり、現在加入している新制度と旧制度の生命保険料控除証明書を用いて、それぞれ生命保険料控除を計算し、自分にとって最も有利(得)になる選択をすることができるといった意味になります。新制度と旧制度の保険契約が混じった生命保険料控除の選択前項の解説だけではよくわからないため、以下のような前提条件で、最も有利な選択とは、どのような選択なのかイメージを持っていただければと思います。新制度(一般用):年間支払保険料40,000円旧制度(一般):年間支払保険料120,000円医療保険(介護医療用):年間支払保険料30,000円新制度(個人年金用):年間支払保険料40,000円旧制度(個人年金):年間支払保険料110,000円前提条件の支払保険料を基に、上記の生命保険料控除の計算式にあてはめて計算した場合における生命保険料控除は、以下の表のようにまとめられます。制度区分年間支払保険料生命保険料控除額新制度(一般用)40,000円30,000円旧制度(一般)120,000円50,000円新制度と旧制度の併用160,000円40,000円制度区分年間支払保険料生命保険料控除額医療保険(介護医療用)30,000円25,000円制度区分年間支払保険料生命保険料控除額新制度(個人年金用)40,000円30,000円旧制度(個人年金)110,000円50,000円新制度と旧制度の併用150,000円40,000円生命保険料控除を最も有利になるように適用するには、金額が最も高いものを適用すれば良いことになります。したがって、すべての生命保険料控除を併用して適用するのではなく、旧制度(一般)、医療保険(介護医療用)、旧制度(個人年金)の3つを組み合わせて適用するのがベストな選択肢であると判定することができます。新制度と旧制度を組み合わせた場合の最大上限金額は120,000円前項の解説より、旧制度(一般)、医療保険(介護医療用)、旧制度(個人年金)の3つを組み合わせて適用するのがベストな選択肢であることが分かりましたが、これらの生命保険料控除金額を合計しますと125,000円となります。しかしながら、生命保険料控除の適用ルールとして、新制度と旧制度を組み合わせた場合の最大上限金額は120,000円という決まりがあるため、生命保険料控除金額は125,000円ではなく120,000円となる点に注意が必要です。それぞれの保険会社が無料で提供しているシミュレーターを活用しよう生命保険料控除の計算は、制度の確認と支払保険料さえ間違えなければ、それぞれの保険会社が無料で提供しているシミュレーターを活用すると早くて便利、かつ、正確に計算結果が表示されることになります。そのため、自分に合ったシミュレーターを見つけて活用されてみることをおすすめします。なお、筆者個人としては、第一生命のシミュレーターが使いやすかったので、以下、シミュレーターのリンクを紹介しておきます。生命保険料控除は、確定申告や年末調整で適用を受ける生命保険料控除は、所得税や住民税といった個人に対して課される税金を軽減させられる効果がありますが、実際に生命保険料控除の適用を受けるには、年末調整または確定申告の手続きが必要です。また、年末調整や確定申告で手続きを行う際、保険会社から郵送された生命保険料控除証明書を添付する必要があります。なお、年末調整や確定申告での手続き方法は、同サイト内で公開されている以下記事をそれぞれ読み進めていただければと思います。まとめ生命保険料控除が適用される上限は、新制度と旧制度によって異なるほか、実際に加入している生命保険の種類や契約内容によって変わることが分かりました。また、生命保険料控除を適用することによって税金を軽減させられる効果が得られるものの、上限が設けられていることから、極端な掛け過ぎによるメリットは得られないこともご理解いただけたと思います。新規加入や見直しをする上に置かれましては、保障内容の重視は当然のことながら、生命保険料控除を考慮した組み合わせを考えることも大切なポイントになると言えます。
2019年08月12日