きょうご紹介したいのは、『コカ・コーラ流 100年企業の問題解決術』(デビッド バトラー、リンダ ティシュラー著、北川知子訳、早川書房)。「ザ コカ・コーラ カンパニー」のイノベーション&アントレプレナーシップ担当バイスプレジデントである著者が、途上国を含む世界各国に販売網を広げたコカ・コーラの成長戦略を明かした興味深い書籍です。オリジナリティのかたまりのような内容で興味深いのですが、きょうはそのなかから「 100種類を提供するドリンクマシン」についての記述を引き出してみます。■ドリンクマシンは100年前のアイデア「ドリンクマシンの前に立ち、カップをコカ・コーラで満たす」という光景はすっかりおなじみ。しかし意外なことに、これは100年前に考案された方法なのだそうです。最初のコカ・コーラは、有名な緑がかったガラスのボトルで販売されていたわけではなく、グラスに原液を入れ、氷と炭酸水を加えて混ぜて提供されていたということ。いってみれば、手動のドリンクマシン。それが時代とともに、機械化されていったわけです。その結果、1998年には、アメリカで販売された96億ケースの炭酸飲料のうち、ドリンクマシンを通じた売り上げは約22%を占めることに。しかし従来のドリンクマシンでは、拡大するブランドポートフォリオに対応することは不可能。コーク・ゼロからミニッツメイドのレモネードまで、多様化するニーズに応える必要に迫られることになりました。■ドリンクマシンは100種類から選べるそこでコカ・コーラ社は、何度もプロトタイプを作成したのち、選択肢を重視したバージョン1.0のドリンクマシン「フリースタイル」を開発。70種類の低カロリー飲料を含む合計100種類以上の選択肢を提供できるドリンクマシンを生み出したのです。高濃縮溶液の入ったカートリッジを利用するため、従来のように重い原液の袋を輸送する必要もなし。カートリッジは使いやすいので、誰にでもプリンターのインクと同じように手軽に交換可能。そればかりか、ウェブと結びつけて新製品の販売を加速させ、顧客がなにを本当に望むかを迅速に学べるようにしたのだそうです。またフェイスブックにフリースタイル専用のページを立ち上げ、ファンとオリジナルドリンクのレシピを共有できるようにもしたのだとか。そして、これらの方法の成果は、予想をはるかに上回ったのだといいます。フリースタイルを知る消費者の約3分の2は、食事をする店や映画を観る場所を決めるとき、フリースタイルがあるかどうかで選ぶというのですからかなりの効果。おかげでコカ・コーラ社の売上高は30%も伸び、レストランも順調で、来店客数は4~5%、飲みものの売り上げも2桁で増えているのだそうです。*この話題からも想像できるように、興味深いエピソード満載。雑学的であると同時に、さまざまなビジネスに応用できるヒントも数多く収録されています。(文/書評家・印南敦史)【参考】※デビッド バトラー、リンダ ティシュラー(2015)『コカ・コーラ流 100年企業の問題解決術』早川書房
2015年10月07日『「年齢とともにヤセにくくなった」と思う人ほど成功する 食事10割で代謝を上げる』(森拓郎著、ワニブックス)の帯には、「40歳から始めるべき食習慣10」と書かれています。しかし、だからといって、40歳以前の人には無関係な話だということではないはず。むしろ、早い時期から本書に書かれていることを実践してこそ、40歳以降に影響が出ると考えるべきではないでしょうか?そこで、きょうは「食事の50%をたんぱく質主体の食品にする」に焦点を当ててみたいと思います。■著者推奨のPFCバランスは40:30:30代謝の悪さを自覚している人がまずすべきは、肉、魚、卵などの動物性食品、納豆、豆腐などの大豆製品など、たんぱく質が豊富に含まれている食品を買い揃えておくこと。ちなみに厚生労働省と農林水産省が推奨する「食事バランスガイド」では、理想のPFCバランス(たんぱく質、脂質、炭水化物から得るエネルギーの割合)をたんぱく質:脂質:炭水化物(糖質)=15:25:60としているそうです。しかし、著者はこれを40:30:30に置き換え、「高たんぱく質・低糖質」の食事を目指すとか。■1食の見た目の50%をたんぱく質主体になお、メニューを選ぶときは、ご飯、パスタ、うどんなどの主食を主体にしがちですが、大切なのは「今夜はなににするか」を中心に考えること。動物性たんぱく質が多く含まれる肉、魚、卵、植物性たんぱく質が豊富な納豆や豆腐などを上手に組み合わせ、1食の見た目50%をたんぱく質主体の食品が占めるようにするとよいそうです。■動物性たんぱく質+植物性たんぱく質しかし、いくら動物性たんぱく質がよいといっても、肉、魚、卵ばかり食べているわけにもいきません。そこで、「動物性たんぱく質で補いきれない量を、植物性たんぱく質で補っていく」というのが著者の考え方。肉 or 魚 or 卵で7割、納豆や豆腐、豆乳、みそ汁など摂りやすい植物性たんぱく質を3割というイメージで、献立を組み立ててみるということ。なお、「カロリーが木になるから」「体重が増えるのがイヤだから」といってこの逆のパターン、つまり肉を少し、豆腐をたっぷりといったやり方は厳禁だとか。本気で代謝を上げたいなら、カロリーや体重への思い込みを一度捨てることが大切なのだそうです。■成人女性の1日のたんぱく質の目安は?でも、たんぱく質主体の食品50%とは、実際どれくらいの量になるのでしょうか?厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」によれば、成人が1日に最低限必要なたんぱく質は、体重1キロあたり1グラム。体重50キロの女性なら、50グラムのたんぱく質が必要だということです。ただし代謝アップを狙うなら、これ以上の量を目指した方が効果的。目安は、牛肉、豚肉、鶏肉、魚介類なら、1食あたり手のひら1枚ぶん(約100グラム)におさまるような分量。1日でいうと、肉と魚を手のひら2枚分、卵3個、納豆や豆腐などを2~3品摂ることを目標に。*他にも、代謝を上げるためにおぼえておきたい情報満載。カロリーばかりが気になってしまう人は、読んでおくといいかもしれません。(文/印南敦史)【参考】※森拓郎(2015)『「年齢とともにヤセにくくなった」と思う人ほど成功する 食事10割で代謝を上げる』ワニブックス
2015年10月06日『絶対こうなる!日本経済ここが正念場!』(田原総一朗責任編集、アスコム)は、ジャーナリストの田原総一朗氏が、経済問題に関する巨頭である榊原英資、竹中平蔵両氏とともに日本経済の未来を先読みした書籍。きょうはそのなかから、誰もが気になる「人口減少」を取り上げた部分をご紹介したいと思います。■人口減少は40年前からわかっていたこの問題についてはまず竹中氏が、「人口減少は止められない、と私は思います」と断言しています。日本の合計特殊出生率(ひとりの女性が一生の間に産む子どもの平均数)は、団塊ジュニア世代の子どもが生まれた1972~73年は2.14と高かったのだそうです。しかしそれが、74年の2.05を最後に、ずっと2を下回り続けているのだとか。つまり、現在のような状況になることは40年前からわかっていたのだというのです。そして「なんで止めなかった?」という田原氏の質問に対し、竹中氏は「止めるという意識が、そもそもなかった」と答えています。日本は豊かになればなるほど、「もっと豊かになりたい」と考え、子どもの数を減らしてきました。その証拠に日本でいちばん所得の高い東京で出生率が低く、いちばん所得の低い沖縄で出生率が高い。これは自然にそうなっているのではなく、「豊かになりたい」「よりよい生活をしたい」という欲求がそうさせているのだというのこと。だから竹中氏は、この流れは並大抵のことでは止められないと主張しています。■全国523箇所で人口が1万人未満そして話は、地方の問題にまで及びます。ここで田原氏が持ち出したのは、岩手県知事や総務大臣をやった増田寛也さんが、2014年5月に日本創生会議で出したレポートの話題。子どもを産む人の95%を占める20~39歳女性の人口を、出生率や社会的移動を考えて計算したところ、いまから25年後の2040年に、ほぼ半数の市区町村で半減する。推計対象の全国約1,800市町村のうち、523箇所で人口が1万人未満となってしまうのだそうです。■地方創生を自分たちでどうするかさらに竹中氏は、日本の地方創生を考えるとき、日本は他の国と根本的に違うところがあるといいます。それは、地方自らが自分の首を絞めているという問題。たとえば、農業がダメになったのは農協がダメだから。シャッター通りができたのは、立ち退かず居座っている人たちがいるから。地方が非常に多くの規制を、自らに課しているというわけです。だから地方創生の中身も、「自分たちでどうするか」をちゃんと考えなければ、実効性のあるものにならないというわけです。*対談形式になっているため、とても読みやすいところが魅力。「知りたいけれどなかなか聞けない」経済についての疑問を、解消できるかもしれません。(文/書評家・印南敦史)【参考】※田原総一朗(2015)『絶対こうなる!日本経済ここが正念場!』アスコム
2015年10月05日『あの会社はなぜ「違い」を生み出し続けられるのか13のコラボ事例に学ぶ「共創価値」のつくり方』(仲山進也著、宣伝会議)が訴えているのは、タイトルにもある「共創」の重要性です。共創とは、わかりやすくいえば「コラボ」。自分の強みと他社の強みを持ち寄ることで、そこにしかない独自の価値を生み出そうという考え方です。■「競争の4P」から「共創の3C」へただし本書が強調している共創とは、「ブランド×ブランド」のコラボ商品などよりも、もっと広い意味合いなのだとか。売り手、買い手、異業種・異形態、営利・非営利、大人・子ども、会社・社会、全部ひっくるめて「共有された理念やビジョンのもと、自分の強みと他人の強みを掛け合わせて価値を生み出すこと」が共創だということ。そして競争から共創へシフトするためには、考え方のフレームワークを「競争の4P」から「共創の3C」へのシフトだといいます。「競争の4P」とは、[1]Product(製品)[2]Price(価格)[3]Place(流通)[4]Promotion(プロモーション)これが「共創の3C」になると、[1]モノ、値段(Product、Price)から【コンテンツ(Content)】へ[2]販促(Promotion)から【対話(Communication)】へ[3]売り場(Place)から【遊び場(Community)】へということになるのだそうです。それぞれを見ていきましょう。■「共創の3C」とは具体的になにか[1]モノ、値段(Product、Price)から【コンテンツ(Content)】へ「価格(Price)」競争や「模倣(Product)」競争といった消耗戦に持ち込むのではなく、自分が売っているものに関する知識・経験と愛情をなんらかの「コンテンツ」として発信していく。そうやってお客様との信頼関係を築き、「この店で買いたい」と思ってもらえるようになるということ。[2]販促(Promotion)から【対話(Communication)】へこのことについて、著者は「魅力の公式」というものを引き合いに出しています。「魅力伝達度 = コミュニケーション量の2乗」つまり、コミュニケーション量が増えれば増えるほど、加速度的に魅力が伝わるようになるということです。重要なのは、一方的な情報発信ではなく、お客様が自分で話したり体験したりする「双方向」のコミュニケーション。[3]モノ・値段(Product、Price)から【コンテンツ(Content)】へ単に商品を並べた「売り場」を増やすだけで価値を生み出すことは不可能。お客様と一緒に「遊ぶ場(Community)」をつくることが価値を生み出すと著者はいいます。そこに参加することによって得られる「心地よい居場所、人とのつながりや学び」が価値になるというわけ。そして、モノを決まった価格で販売するスタイル(静的コマース)から、オークションや共同購入、クラウドファンディングなど、「参加型企画」による動きのあるスタイル(動的コマース)へと移行することが重要だと著者は説いています。*これらの基本を踏まえた成功例も多数紹介されているため、共創の価値をしっかりと理解できるはず。将来のビジネスを成功させるために、ぜひ読んでおきたい一冊です。(文/印南敦史)【参考】※仲山進也(2015)『あの会社はなぜ「違い」を生み出し続けられるのか13のコラボ事例に学ぶ「共創価値」のつくり方』宣伝会議
2015年10月04日『40歳からは食べてはいけない 病気になる食べもの』(南清貴著、KADOKAWA)というタイトルだけを見て、「自分にはまだ関係ない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ここに書かれていることは、決して「まだ若いから」と無視できないもの。寿命を縮める加工食品が蔓延しているからこそ、食生活のあり方を考えなおしてみようという主張が込められているのです。きょうはそのなかから、「カロリー0の恐怖」に焦点を当ててみます。■人工甘味料が使われている理由「カロリーのない甘いものをつくり出せばよい」というのは、グローバルに展開する大企業の発想。そしてグローバル企業が食品の世界で行っているのは、食べるものを自然界から得るのではなく、化学的に合成し、つくり出すこと。つまり健康を意識しているのではなく、化学的につくり出した物質が「食品に使えるから」という理由で転用しているだけだというわけです。たとえば遺伝子組換え食品も同じですが、そんな動きが加速するなかで生み出されたのが人工甘味料だと著者は指摘しています。■体内で分解されずに行き着く先私たちが食べものを食べるとき、もっとも大事なのは、消化・分解・吸収・代謝・排泄というプロセスがそこにあることであるはず。ところが人工甘味料は人工だからこそ、これらの過程をショートカットしてしまうもの。たとえばスクラロース、アセスルファムKなどの人工甘味料が摂取されても、消化も代謝もされません。つまり、これらの人工甘味料は、私たちのからだのなかで分解されずにそのまま巡り、排泄もされずにやがて肝臓、腎臓などの臓器に蓄積されていくのだといいます。その結果、やがて肝臓、腎臓などの臓器の機能が衰え、免疫力が落ちていくことに。■人工甘味料にカロリーない理由これらの人工甘味料が代謝されないのは、ブドウ糖に分解されないからなのだそうです。だから、カロリーがないということ。つまり、「カロリー0」とはそういうことなのだといいます。これは、とても恐ろしいことではないでしょうか?しかもカロリー0の人工甘味料はドリンク類だけではなく、料理にも使われているのだとか。カロリーが極端に低い料理が開発されているのは、そういう理由があるからで、注意が必要。そして、カロリーがないことを中心として食べるものや飲むものを考えたり選択したりするのは、明らかに間違いであることを知ってほしいと著者は訴えています。*他にも、知るだけで恐ろしくなるような話がたくさん。しかしそれらは、私たちが直視しなければならないことでもあるはずです。(文/印南敦史)【参考】※南清貴(2015)『40歳からは食べてはいけない 病気になる食べもの』KADOKAWA
2015年10月03日きょうご紹介したいのは、『世界が一瞬で変わる 潜在意識の使い方』(石山喜章著、あさ出版)。組織開発コンサルタントである著者が、「潜在意識」の重要性について説いた書籍。自分の世界、相手の世界をつくっている潜在意識を理解できれば、ムダに悩むこともムダに傷つくこともなくなる。そんな考え方を軸に、人間関係を円滑にするコミュニケーション能力を身につける方法を紹介しているわけです。■自分の価値観以外を受け入れることが大切ベースになっているのは、「マインドーム」という概念。「マインド(心)」と「ホーム(家)」を合わせた造語で、人間が持っている「判断基準」をさすのだとか。自分の知っている世界のなかだけでは、自分の価値観だけでしか物事が判断できないもの。だからこそ、自分の価値観以外の世界を受け入れ、従来の判断基準を手放すことが大切だという考え方です。では、マインドームの概念からみた「コミュニケーション能力」とはどういうものなのでしょうか?著者は、これからの時代は、4つのコミュニケーション能力を統合した「4C能力」が必要とされると説いています。マインドームの重要な考え方で、この力を備えていれば、本質的な問題解決が可能になり、組織でも必要な人材になれるのだといいます。それは、次の4つです。[1]カウンセリング(Counselling)[2]コーチング(Coaching)[3]コンサルティング(Consulting)[4]コミュニケーション(Communication)■現代に必要な「4C能力」とはどんな能力?[1]カウンセリング能力カウンセリング能力は、相手の心を理解し、判断基準やアイデンティティーができた背景を理解することによって、悩みや迷いの原因に気づかせる能力。過去の話を聞いて、「なぜ、いまの状態になってしまったのか」に気づかせ、解決策を明確にするわけです。[2]コーチング能力コーチング能力は、「将来、どのようになりたいのか」と未来の目標やゴールのイメージを明確にさせ、実現に至るステップを整理し、気づかせる質問力。目指すべき最終地点を指揮させ、それをサポートしていくわけです。[3]コンサルティング能力コンサルティング能力は、クライアントの観点の外側から、問題点や解決法、ビジョンなどを明確に伝えるためのスキル。なにが問題なのかを診断し、根本原因、解決策、明確なビジョンを伝達していくということです。[4]コミュニケーション能力コミュニケーション能力は、相手の立場や状況を十分に理解して認めることにより、信頼のつながりへと転換していける力。交流によって信頼関係を築くわけです。*マインドームの概念と4C能力を活用すれば、円滑なコミュニケーションが可能になるということ。人との関係性を考えなおすためにも、参考にしたいところです。(文/印南敦史)【参考】※石山喜章(2015)『世界が一瞬で変わる 潜在意識の使い方』あさ出版
2015年10月02日『松居一代の開運生活』(松居一代著、アスコム)は、独自の開運術でも知られる女優の松居一代さんが、誰にでも簡単にできる「松居流開運術」を紹介した書籍。そうじから人間関係までのカテゴリーごとに、51種におよぶ法則が収められています。きょうは「お金の開運術」から、いくつかをご紹介しましょう。■1:金運アップの財布を使用する財布の選び方も人それぞれ。しかし単なるお金の保管場所ではなく、財布に求めるべきは「お金を呼び寄せることのできるパワー」だと松居さんはいいます。財布環境の良し悪しで、金運は大きく変わっていくということ。だから、金運アップを願うのなら、いちばん大切なのは好きな財布を持つこと。そして価格的には、少し背伸びをした値段のものを選ぶことが望ましいそうです。なぜなら、それは財布に対して敬意を表すことになり、大枚をはたいて買った財布は大切に使うから。また、毎日使うものなので使いやすさも重要なポイント。愛着が増すと、どんどん強いエネルギーの糸で結ばれるもの。それが、金運アップにつながっていくということです。■3:人相をよくして開運する顔には、その人の生き方が正直に現れてくるもの。つまり、人相をよくするも悪くするも自分次第。福々しい顔がつくれたなら苦労や貧乏神は寄りつきませんが、貧相な顔をつくってしまったなら、幸もお金も寄りつかず、不幸ばかりが集まってくるわけです。また、シワの多い人には、苦労がどこからともなく集まりやすいのだとか。開運を望むなら、なるべくシワを目立たなくする努力も必要だといいます。ちなみに女性は、化粧で運を切り開くことが可能。化粧で顔は変わるので、運命も化粧で変えられるという発想です。普段なにげなくしている化粧は、女性の運気と強いつながりがあることを忘れてはいけない。そう強調する松居さんが特に気をつけているのは眉だそうです。なぜなら、眉と金運は関係が深いから。具体的に望むのは、ナチュラルでなるべく太眉。いずれにせよ、福顔を思い描きながら化粧をする習慣をつけるといいそうです。■3:貯金と信用を積み立てて開運する借りるのは簡単でも、お金を返すことは苦しくつらいもの。ところが、そのつらさは地獄に落ちて初めて知ることになるものでもあると松居さんはいいます。そんな人生を送らないようにするために大切なのは、収入と支出のバランスを保つ金銭感覚を身につけること。つまり、仕事をする業を磨くのと同じように、お金を管理する業も身につけなければいけないという考え方。「宵越しの金は持たない」という生き方では、アクシデントに見舞われたときに困ってしまうもの。金融機関や友人に融資を頼むにしても、自分の貯金はゼロでは誰も貸してはくれないものです。そこで、開運したいなら、第一に、貯金をする習慣を身につけることが大切。そして第二段階は、溜まったお金をどう増やしていくか。計画的に資産形成ができるかどうかは、自分自身にかかっているということです。*松居流開運術は、それぞれがユニークで。人柄をそのまま反映したような語り口は、それだけで楽しみがいがあります。(文/印南敦史)【参考】※松居一代(2015)『松居一代の開運生活』アスコム
2015年10月01日ファスティング(専用飲料と水による酵素断食)や、ローフード(未加工食材を使用した食品や食材を、生で摂取する食生活)が話題になっています。そこでご紹介したいのが、『美人は7日でつくられる。』(前田由紀子著、フォレスト出版)。ファスティングとローフードのメソッドを、わかりやすく紹介した書籍です。でもローフードはともかく、“プチ断食”としてのファスティングは大変そうにも思えます。実際『マイナビウーマン』のアンケートでも、経験者は22歳~34歳の働く女性のなかで12.5%しかいませんでした。そこで、そんなイメージを覆すべく、「ファスティングで艶めくモテ体質になる『3つの理由』」に焦点を当てたいと思います。■ファスティングの意外な効果とは著者によれば、ファスティングを行うと具体的には次のような効果があるそうです。(1)エネルギーがあふれてくる(2)ポジティブになる(3)行動できるようになるそれぞれについての解説を見てみましょう。■モテ体質になれる「3つの理由」(1)エネルギーがあふれてくる理由モテる人とは、自然と引き寄せられ、憧れたり、そばにいたいと思わせる人。そういう人は、エネルギーにあふれているものだと著者はいいます。いいかえれば、「生命力にあふれている人」だということ。あふれるようなエネルギーがある人は健康ですから、まずは食事で食生活を整え、エネルギーをチャージすることが大切。すると肌がキレイになったり、見た目もすっきりしてきたり、外見的な美しさにもつながるといいます。(2)ポジティブになる理由ファスティングをするとメンタルが強化され、考え方もポジティブになってくるそうです。そしてファスティングのいちばんの心の変化は、行動力にあらわれてくるのだとか。ちょっとのことではへこたれなくなるということです。つまり、心とからだの執着心が取れ、捨てるということが怖くなくなるので、自分に強くなれるということ。だからファスティングをしてみれば、無理なくモテる状況になるのだと著者はいいます。(3)行動できるようになる理由ファスティング前の状態は、いってみれば両手に重い荷物を抱えているようなもの。でも自分が整ってくると、「古いものを手放せば、もっと魅力的なものが入ってくる」ということを感覚的に理解できるそうです。そして大切なのは、食生活の改善と、「こうなりたい」というゴール設定を一緒に行うこと。食事な生きるうえで必要不可欠な、“生きる”という根っこの部分と深く関わっているため、そこを整えさせすればすべてが整うというわけです。そして、リバウンドもしにくいそうです。*もちろんファスティングのみならず、ローフードについて知りたいことも満載。レシピもついているので、すぐに快適な生活を実践できそうです。(文/印南敦史)【参考】※前田由紀子(2015)『美人は7日でつくられる。』フォレスト出版※リアルな感想がコレ!プチ断食&ファスティングってどう?「リバウンドした」「1年で22キロ減」-マイナビウーマン
2015年09月30日『「会社の悪口」は8割正しい コンサルタントが教えるダメな会社の困った病』(秋山進著、SBクリエイティブ)の著者は、経営・組織コンサルタント。本書は、ダイヤモンドオンライン「組織の病気~成長を止める真犯人」の連載記事を大幅に加筆修正したものです。タイトルからも想像できるように、コンサルタントならではの視点で明らかにしているのは「どこにでもある組織の病」。痛いところを鋭く突っつき、「そこからどう進むべきか」を提案しているわけです。きょうはそのなかから、日本企業とお金の関係について書かれた部分に焦点を当ててみます。■「お金を使えない病」が急増中?この項で著者は、企業人に深刻な「お金を使えない病」が蔓延していることに対する危機感を明らかにしています。たとえばバブルのころなら、よくも悪くもみんなお金を使いまくったもの。しかしいまでは、「お金を使うことができない」人ばかりになってしまったということです。なぜ、そんなことになってしまったのでしょうか?■投資経験のある人が減っているしかし、この理由について「誰が悪いのでもない」と著者は書いています。会社ではあらゆる面で無駄を削られるため、長期にわたって新しい試みができなくなっている。合言葉が「経費削減」だから、先の見えない不確定なものに投資する経験を持つ人が少なくなってしまったということ。これは特定の会社の問題ではなく、日本企業全体の問題だといいます。ただし、今後はそう悲観することばかりではないだろうとも著者はいいます。なぜなら現在は昔とくらべ、情報を活用するビジネスにおいては、先行投資もさほどかからず、小規模でスタートできるようになっているから。大企業で大がかりな新規事業や野心的なプロジェクトをはじめるのは難しくとも、既存事業を補完するような情報ビジネスなどであれば、新たな感性を持っている若い人にどんどん仕事を任せられるというわけです。■若手が場数を踏むことが重要!だとすれば、重要な鍵は若い世代だということになるはず。著者も実際、経営幹部になる人のための「幹部育成研修」などやめて、期待できる優秀な若手人材に、さまざまなプロジェクトを任せるべきだと主張しています。「お金の使い方や事業開発の流れをテキストで学ぶより、実際に損を出したり、利益を上げたりしながら現場で学ぶことのほうが断然効果がある。特にお金を使うことに関しては、場数を踏むこと以外で身につかないスキルも多い」このフレーズは、多くの企業人が心しておくべき大切なことではないでしょうか?(文/印南敦史)【参考】※秋山進(2015)『「会社の悪口」は8割正しい コンサルタントが教えるダメな会社の困った病』SBクリエイティブ
2015年09月29日『「小顔」ってニホンではホメ言葉なんだ!? ~ドイツ人が驚く日本の「日常」』(サンドラ・ヘフェリン著、 流水りんこ漫画、KKベストセラーズ)の著者は、ドイツ・ミュンヘン出身。“日本居住歴17年の日独ハーフ”という立場から、「ハーフとバイリンガル問題」「ハーフといじめ問題」など、「多文化共生」をテーマに執筆活動を続けています。とはいえそのアプローチは決して堅苦しくなく、むしろライトで楽しいもの。本書でも、漫画を中心とした構成によって、日本人とドイツ人の違いをわかりやすく解説しています。漫画については実際に読むまでのお楽しみにしていただくとして、ここでは「値段」についてのコラムをクローズアップしたいと思います。■日本はなんでも値段が高いイメージ!?ドイツ人が日本に対して抱くイメージのひとつが、「日本はなんでも値段が高い」ということ。だからドイツ人の多くは、日本に来て「松屋」や「吉野家」、あるいは回転寿司チェーン店など安価なお店を見ると、「意外に安く食事ができる」とビックリするのだとか。でも著者によれば、ドイツ人に「日本=物価が高い」というイメージが浸透していることには理由があるのだそうです。■「日本=高い」というイメージの秘密つまりドイツでは、東京の家賃の高さや、「高級寿司店では値段が書かれていないことがある」などの情報ばかりが報道されているから。安いお店には触れられることがないそれらの情報を聞いて、「日本は“なんでも”高い」と思ってしまうというのです。マスコミの影響力はどこの国でも大きいので、仕方がないことだともいえるでしょう。けれど、だからこそ「休みお店もある」ことも報道してほしいところではあります。■ドイツは日本以上にお金がかかる?しかも問題は、決して日本だけが高いわけではないということ。たとえば食事に関しては、むしろ日本の方がドイツよりもリーズナルブな値段でランチできるお店が多いのだといいます。日本で「1,000円のランチ」というと、豪華で贅沢だと感じる人も少なくないはず。でもドイツでは外食というと、日本以上にお金がかかるものなのだそうです。いちばん顕著な例が、日本ではお水が無料で提供されること。私たちはそれを当然のことだと考えてもいますし、だからランチの際にも料理だけを頼めばいいわけです。つまり、お財布にもやさしいということ。ところがドイツではお水が無料で出てくることはなく、飲みものを注文するだけで、日本円に換算すれば500円かかるのだとか。日本とドイツでは、値段についての考え方もだいぶ違うようです。*漫画も楽しく、挟み込まれている著者のコラムも、上記のように親しみやすい話題ばかり。休日などにページをめくってみれば、文句なしに楽しめそうです。(文/印南敦史)【参考】※サンドラ・ヘフェリン(2015)『「小顔」ってニホンではホメ言葉なんだ!? ~ドイツ人が驚く日本の「日常」』KKベストセラーズ
2015年09月28日『バラ肉のバラって何? 誰かに教えたくてたまらなくなる”あの言葉”の本当の意味』(金澤信幸著、講談社)は、とても楽しい本です。タイトルから想像できるとおり、ちょっと気になることばの意味を解説してくれているから。しかも一項目が数行なので、空いた時間を利用してサクサク読むことができます。きょうはそのなかから、数字に関連することばを引き出してみましょう。■1:「四六時中」の「四六時」って?「四六時中」とは、「いつも」とか「しょっちゅう」などの意味を持つことば。なぜ「いつも」という意味なのかといえば、「四六時」が一日を意味するからなのだそうです。四六とは九九のひとつで、答えは二十四。つまり四六時中とは、24時間で、言い換えれば一日中ということになるわけです。■2:「しあさって」の「し」って?今日の次が明日、明日の次が明後日、そしてその次は明々後日(しあさって)。ところで、この「し」とはどんな意味でしょう?答えは簡単。今日を一日目と考えると、明々後日は四日目にあたります。つまり「し」とは四のことなのです。■3:「海千山千」の「千」って?ものごとの表も裏も知り尽くした、したたかな人のことを「海千山千」といいます。これは、「海に千年、山に千年住んだ蛇は竜になる」という中国の故事からきているもの。長く生きて、さまざまな場所でさまざまなことをしてきた人物のたとえで、要するに「海千山千」の「千」は千年のこと。■4:「百葉箱」の「百葉」って?なかに温度計、湿度計が入れられた百葉箱は、小学校の校庭の端に置かれていた白い木製の箱。この「百葉」とは中国語に由来することばで、「(牛や羊)の胃」という意味なのだといいます。牛の胃にはひだひだがたくさんありますが、それが「多くの葉がある」ように見えることから、「百葉」と呼ばれるようになったとのこと。百葉箱は風通しをよくし、日光と雨が入りにくくするために、司法が鎧戸になっています。この戸のかたちが牛の胃に似ていることから、この名がついたと推測されています。■5:「三平汁」の三平って?サケ、ニシンなど魚の塩漬けや粕漬けと野菜を入れて煮た「三平汁」は、北海道の郷土料理。1789年に書かれた『東遊雑記』という本でも紹介されているので、いまから200年前にはつくられていたことになるとか。「三平」の由来はいくつかありますが、有力と考えられているのが、北海道・松前藩士の斎藤三平が考え出したというもの。また、松前藩士が狩りに出た際に休憩した家の主人がもてなしたという説や、津軽藩士が北海道にわたって考えたという説も。主人の名も津軽藩士の名も三平とされていることから、「三平」はつくった人の名前だと考えられているといいます。*ちなみに数字とか関係ありませんが、最後にタイトルの種明かしを。バラ肉のバラとは、あばら骨のこと。あばら骨についている肉だから、バラ肉というのだそうです。(文/印南敦史)【参考】※金澤信幸(2015)『バラ肉のバラって何? 誰かに教えたくてたまらなくなる”あの言葉”の本当の意味』講談社
2015年09月27日『投資バカの思考法』(藤野英人著、SBクリエイティブ)は、25年もの経験を持つファンドマネージャーである著者が、投資のプロとしての経験と知見、メソッドを凝縮させた書籍。ここで著者は、未来が予測できない時代だからこそ動いていくことが大切だと主張し、その手段として投資を勧めています。ていねいに世の中を観察し、客観的に物事を判断して、リスクを恐れず決断していけば、短期的には多少の負けがあったとしても、長期的には「勝ち続けることは不可能ではない」という考え方。とはいっても、投資を始めるのはなかなか難しそうです。しかし著者によれば、投資のハードルは下がっているのだとか。初めての投資の不安を解消するために、「投資を『ギャンブル』にしない資産運用5つのコツ」を見てみましょう。■初めての投資で知っておくべきことは?著者は、初心者の投資で大切なポイントは次の5つだと言っています。[1]すぐにはじめる[2]「手に汗をかかない額」を投資する(小さく)[3]情報をしっかり集める[4]一気に投じない(ゆっくり)[5]最低3年間は実践する(長く)各項目について、以下でご説明しましょう。■初心者の投資で大切な5つのポイント[1]すぐにはじめる本を読んで理論武装するよりも、とにかく、すぐにはじめた方が「株とはなにか」を理解しやすいのだとか。株式市場や経済の成り立ちについて「頭ではなく、肌で」感じることが大切だということ。そして投資をはじめたあとで入門書を通読し、全体像をつかむといいそうです。[2]「手に汗をかかない額」からはじめる1,000万円を投資してもドキドキしない人もいれば、10万円の投資で緊張する人も。「いくら投資しなければいけない」という絶対的な金額はないので、自分の保有金額や金銭感覚によって投資額を決めることが大切。[3]情報をしっかり集めるよい会社かどうかを見極めるためには、会社の情報を集めることが重要。そして投資先が決まったら、会社のウェブサイトをチェックし、次のことを確認すべきだといいます。・会社の理念に共感できるか(自分と相性がよさそうか)・「売上」や「営業利益」「当期純利益」などの数字が伸びているか・ウェブサイトに、社長や役員の顔写真があるか特に重要なのは「顔写真」。なぜなら自ら顔を出すことは、経営責任から逃げないという責任の表れだから。[4]一気に投じないたとえば10万円の株式を買うときは、一気にではなく、3ヶ月に分けて買うなどして、時間分散をすべき。たとえば毎月コツコツ一定の金額を投資していくと、相場の変動をある程度抑えていくことができるそうです。[5]最低3年間は実践する景気の1サイクルは「3~5年くらい」なので、その時間は投資を実践したいところ。また長期的に投資をした方が経験を蓄積できるので、リターンをあげる確率が高まるといいます。できれば、5年間続けるのが理想。相場循環は5~6年程度の動きをしているので、3年で手放すと「相場のピークの手前で買い、ボトムで売る」ことになりかねないからだそうです。*たしかにこうして確認すれば、投資は思うほど難しくはなさそうです。小さく、ゆっくり、そして長く。将来のため、本書を参考にしながら具体的に考えてみてはいかがでしょうか?(文/印南敦史)【参考】※藤野英人(2015)『投資バカの思考法』SBクリエイティブ
2015年09月26日仕事を除いた人生の選択肢が著しく限定されているため、“世界一孤独”とされているのが日本人男性。対する日本人女性も、婚活・妊活・保活などの「リミット」に追われ続け、結婚後の家庭でも自分の時間を確保しづらい状況にあります。では、双方が幸福になるためには、なにが必要なのでしょうか?『「居場所」のない男、「時間」がない女』(水無田気流著、日本経済新聞出版社)は、誰にでも当てはまるそんな身近な問題を読み解いた書籍。女性と仕事との関係について、「日本女性の『時間貧困』」から要点を引き出してみたいと思います。■主婦は本当に余裕があるのか優雅に高級フレンチのランチコースを頼む主婦グループなどが、よくメディアで紹介されます。それらを見るたびに男性サラリーマンは文句をいうわけですが、ここには留意すべきポイントがあると著者は指摘しています。それは、「昼間優雅に過ごしている」かに見える女性たちは、実は「集まれるのはこの時間帯だけ」だという点。つまり女性たちは「昼間から暇」なのではなく、「昼間の、子供が不在の時間だけが唯一の休憩時間」だということ。■労働時間の認識にズレがある基本的に、「ケアすべき対象」=「家族」がいる時間はすべて、女性にとっての労働時間だということ。しかし男性はそれを「働いている」とは見なしていないため、すれ違いが生じるというわけです。また、生活時間・空間のズレは、「忙しい時間帯」の時間差も生んでしまうもの。これが、男性が女性を暇だと見なしたがる要因になっていると著者。■日本人女性は睡眠時間も短い他の先進諸国と比較すると、日本女性の就労率は低く、有償時間も長くはありません。ところが有償労働と無償労働時間を合算した「総労働時間」は、長時間労働が指摘される日本男性よりも長くなるのだそうです。そればかりか睡眠時間も、男性より女性の方が短いといいます。先進国で女性の睡眠時間が短いのは珍しい傾向だとか。■夫に家事分担を期待できないしかも共働き夫婦を見てみても、夫の7人に1人がまったく家事をしないのだといいます。日本ではまだまだ、育児や家事負担が極度に女性に偏重しているということ。だから、子どものいない妻は、夫の日ごろの家事貢献度に基づいて将来の家庭風景を「この人と一緒に子育てをするのは難しい」と、マイナス方向に想像してしまう。近年では夫婦間出生力も2を割り込み、「子どもを持たない」「生んだとしても一人だけ」という夫婦も増えています。が、妻が夫に家事分担を期待できないことも、貧困の一端なのではないかと著者は分析しています。なかなか思い至らないことではありますが、たしかにそうなのかもしれません。*このように、考え方自体が新鮮。しかも実際には明確なデータを引き出して解説がなされているため、さらに理解しやすくなっています。本当の幸せをつかむためにも、読んでおいて損はなさそうです。(文/印南敦史)【参考】※水無田気流(2015)『「居場所」のない男、「時間」がない女』日本経済新聞出版社
2015年09月25日『一流の人をつくる 整える習慣』(小林弘幸著、KADOKAWA)の著者は、多くのプロスポーツ選手、アーティスト、文化人へのコンディショニング、パフォーマンス向上指導に関わっている自律神経の第一人者。本書では多くの実績を軸として、「絶好調を手に入れるルール」を80種も紹介しています。きょうはそのなかから、ビジネスパーソンならきっと気になる「座っている時間が長い人ほど早く死ぬ」をご紹介したいと思います。■座っている時間が長い人の死亡リスクアメリカのがん学会が発表したデータによると、1日に6時間以上座って過ごす人と3時間未満の人をくらべると、より長く座っているグループは男性で17%、女性で37%も死亡のリスクが高まるのだそうです。そして著者によれば、これはまさに自律神経にも該当すること。長時間座り続けていると血流が悪くなり、脳をはじめとする体全体に、十分な栄養素が行き渡らなくなるのだというのです。そしてその結果、集中力が落ちてぼーっとしてくることに。それでは、仕事にも支障が出ることになっても仕方がありません。■1時間に一度休憩とるだけで効果大つまり、「長生きするため」ということももちろんですが、自らのコンディションを整え、仕事において常に高いパフォーマンスを発揮するためにも、こまめに動くことが大切なのです。そこで、1時間に一度席を立ち、休憩することが必要。さらに理想的なのは、少しだけ外に出て、空を見上げてストレッチをすることだといいます。そしてその際にはしっかりと深呼吸をし、水を一杯飲めば、自律神経は完璧にリセットされるのだとか。そうやって常に体のコンディションを整える意識を持っていれば、確実に仕事のクオリティーは上がると著者。ちょっとしたことが、大きな効果を生むということなのでしょう。■こまめに立ち上がるだけでも効果ありただ、「いちいち外に出て休憩なんかできないよ」という人もいるはず。そんなときは、さまざまな作業をする際に、こまめに立ち上がって、動くことを習慣にするだけでも違うそうです。与えられた環境下で、最高の動きを実現するべきだということ。つまりは、自分次第なのです。逆にいちばんよくないのが、自分で動こうとせず、なんでも人にやってもらう人。たとえば資料をプリントアウトした場合には、プリンターの近くにいる人に持ってきてもらい、必要なものがあったら「◯◯さん、あれ持ってきて」と人に頼んでしまうような人。結果的に、1日のうちで席を立つのはトイレのときだけなどということになると、健康的に最悪。たしかに立場が上になってくると、そういうタイプになってしまいがちです。しかしそれでは、自分のコンディションが崩れ、パフォーマンスも下がる一方だということ。おまけに早死にしてしまうのだとすれば、心当たりがある人は意識した方がいいかもしれません。*このように、短かなことがらが満載されているだけに、書かれていることを自分のライフスタイルに投影していけるはず。だからこそ、ビジネスパーソンならぜひとも読んでおきたい一冊です。(文/印南敦史)【参考】※小林弘幸(2015)『一流の人をつくる 整える習慣』KADOKAWA
2015年09月24日現代社会においては、無数の情報に埋もれることなく、それらをうまく使いこなすことが重要。そして、そのために求められるのは、情報を整理するための「枠組み」。それが、『あらゆるニュースをお金に換える億万長者の情報整理術』(加谷珪一著、朝日新聞出版)のコンセプトです。つまり著者は本書で、情報をお金に変える「枠組み」の使い方を説いているのです。■大半の人はトップ1%の人をイメージできない少し前、フランスの経済学者トマ・ピケティの『21世紀の資本』(みすず書房)がベストセラーになりました。ここで扱われているのは格差問題ですが、世間で語られているピケティ論をなにも考えずに聞いてしまうと。「お金持ちがますますお金持ちになっている」と考えてしまいがち。そもそも日本には当てはまらないという意見もあるでしょう。ピケティ氏の基本的な主張は、豊かな人とそうでない人との差が拡大していて、上位1%の人が得る所得の割合が年々上昇しているというもの。その原因は、いつの時代も資産の収益率(r)が所得の伸び(g)を上回っていることであり、これによって資産を持つ人が有利になっていることだとしています。そこでピケティ氏に関する多くのコンテンツは、格差是正の必要性を訴えるのです。しかし、こうしたコンテンツを消費している人の大半が、「トップ1%の人とは具体的にどんな人なのか」をイメージできていないと著者はいいます。でも情報を使いこなせる人は、それを具体的なイメージに落とし込めるはず。■情報確認する時はまず統計データを当たろうでは日本において、ピケティ氏がいう1%という富裕層はどのような人たちのことなのでしょうか?この問いについてある識者が「1,300万円」と答えたところ、多くの人が「そんなはずがない」と反論したそうです。たしかに、世界屈指の経済大国のトップ1%の年収が1,300万円とは信じがたいですが、日本の場合は必ずしもそうではないとか。そして著者は、こうした情報を確認するためには統計データに当たることが大切だとしています。なぜならビジネスや投資で成功する人は、必ずデータを確認するものだから。■日本のトップ1%が年収1,300万円はかなり現実的国税庁の調べによると、日本における給与所得者の上位1%は1,500万円以上。厚労省が行っている国民生活基礎調査では、上位1%は2,000万円から。なお、この調査は給与だけではなくあらゆる所得が対象になっているため、より全体的な傾向を示しているとか。一方、これは世帯全体の数字なので、個人になるとさらに数字が小さくなるはず。さらに対象をトップ5%まで広げると、1,000万円くらいから対象範囲になることに。これらを総合的に考えると、1,300万円という数字はかなり現実的だというわけです。■実は港区民が所得の伸びに大きく貢献していた!そしてこの結果には、日本において、給与所得だけではお金持ちになりにくいという現実が映し出されているといいます。具体的にいえば、資産価値上昇の恩恵を受ける人が少ない日本において、単期間で大きなお金をつくるためには、現実問題として投資をしないとお金持ちにはなれないということ。事実、港区の住人には株式や不動産の投資をしている人が多いため、これがアベノミクスの株高によって、所得の伸びに大きく貢献したのだそうです。この層が、本当の意味での富裕層だというわけです。たとえばピケティ氏の話を耳にするにしても、ここまで考える人とそうでない人との間に大きな差がつくのは当然だというわけです。*このように本書では、難しそうなことがらもわかりやすく解説されています。そのため、ずっと解決できなかった疑問を解決し、それをビジネスに活かすノウハウを身につけられるかもしれません。(文/印南敦史)【参考】※加谷珪一(2015)『あらゆるニュースをお金に換える億万長者の情報整理術』朝日新聞出版
2015年09月23日『6歳までの子育てに悩んだら読む本』(北條博厚著、あさ出版)は、子育てに四苦八苦するお母さんにとって有意義な一冊です。著者は静岡県立特別支援学校の校医、そして静岡市葵区の幼稚園の園医を勤めているという、いわば子育てについてのプロフェッショナル。長い経験を軸に、さまざまな角度から子育てについての考え方を記しているのです。ところで子どもの成長を見守るなか、体重の増減を気にしている方も多いはず。そこできょうは、小さな子どもの肥満について解説した「3歳までの肥満はあとをひかない」を取り上げてみたいと思います。■子どもの食事は「からだをつくる材料」赤ちゃんが5、6ヶ月になると離乳食がはじまりますが、なかには単期間で驚くほど食べるようになる子がいます。そんなとき、「食べてくれるのはうれしいけれど、太りすぎなのでは?」と不安になっても不思議はありません。ただし、ここで意識しておきたいのは食事についての意義。食事は、からだが活動するためのエネルギーを得るために必要なものですが、お子さんの場合は、もうひとつの目的があるのだというのです。それは「成長発達」という、からだをつくるための材料を取り込むこと。■3~4歳の体重は1年で1キロ増ぐらい成長発達の度合いは、体重の増え方を見るとわかるそうです。約3キロで生まれた赤ちゃんは、満1歳で約9キロになります。1年間で6キロ増え、生まれたときの3倍になるわけです。しかし、その後は体重の増え方がゆるくなっていきます。たとえば3~4歳だと、1年で1キロくらいしか増えないことはよくあるのだそうです。ただし身長は伸び、からだのバランスも変化して、活発に動くようになります。■3歳までの肥満はあとをひかない!そしてこの時期になると、意外なことに子どもはあまり食べなくなるのだといいます。特に女の子は小食で、1日3食のうち、1食はそれなりに食べるものの、残りの2食はお茶碗半分も食べられないことも珍しくないそうです。するとお母さんは心配になるでしょう。食べすぎも、小食も気になるものです。しかし、どれくらい食べるかは、子どもに任せてみるのが大切だと著者はいいます。そしてぜひとも記憶にとどめておきたいのは、「3歳までの肥満はあとをひかない」ということ。大人になってからの肥満には、直接の因果関係がないのです。■3歳までは小食でも気にしなくていい逆に、もし小食だったとしても心配は不要。なぜなら子どもは、自分に必要な分を食べているものだから。必要なだけ食べたら、おなかいっぱいになるわけです。なのに、心配になったお母さんが「もっと食べなさい」と横槍を入れると、子どもはがんばって食べてしまい、満腹感や空腹感をコントロールできなくなるのだといいます。無理して食べるので、「おなかいっぱい」の感覚がわからなくなるということ。少なくとも3歳までは、たとえ小食だったとしても、いつも元気に遊び、よく眠り、楽しそうに過ごしているなら、まったく悩む必要はないそうです。ただし4歳をすぎてから体重が増える傾向にある場合は、多少気にかける必要があるとか。4歳以降になると、自分で冷蔵庫を開けたり、引き出しからお菓子を見つけてきたりして、自分でたべてしまうからだそうです。*他にも「しつけ」「ほめ方・怒り方」など、6歳までの子育てについて知りたいことがぎっしり。誰にも相談できないときなど、日常の子育てについてのヒントを得ることができるでしょう。(文/印南敦史)【参考】※北條博厚(2015)『6歳までの子育てに悩んだら読む本』あさ出版
2015年09月22日『東大式 相手をひきつける、最強トーク術』(石浦 章一著、KKベストセラーズ)は、東京大学大学院総合文化研究科教授である著者がトークのコツや注意点を明かした書籍。大学院向けの副専攻プログラムを通じての経験に基づいているだけに、究極というべきトーク術を身につけることができます。第4章「ひきつけ最強トークの基礎知識」のなかに、「『数字』だけでは、伝わらないこともある」という気になる項目があるので、今回はそこをクローズアップしてみたいと思います。■数字は本当に重要なもの?営業トークにおいては、「数字を使うことがポイント」だとよくいわれます。みなさんも一度や二度は聞いたことがあるのではないでしょうか。しかし著者は、「数字を用いること=伝わる」ということになるのだろうかと疑問を投げかけています。たしかに数字は、曖昧なことをより明確にするために有効です。たとえば「この本はすごく売れています」と主観的ないい方をするよりも、この本は100万部売れていて、ランキング1位になっています」と数字を用いることで、「売れている」という信憑性と客観的判断が下せるようになるわけです。■数字はただの記号にすぎないしかし「100万部」「ランキング1位」という数字は、あくまでも「すごく売れている」ということばを客観的に実証するための裏づけにすぎないと著者。「数字」があるから伝わっているのではなく、「裏づけ」ができているから理解してもらえるのだという考え方です。著者によれば、数字は客観的かつ具体的に理解できるものではなく、人の主観次第で捉え方が変化するもの。たとえば「家から会社まで30分」だという場合、A「家から会社まで30分しかかからない」B「家から会社まで30分もかかる」と、数字の前後のことば次第でイメージは変わってくるはず。つまり数字は、トークのなかにおいては記号にすぎないということ。科学の資料で得られた数値、細かな数字が並んだ決算書などは、見ただけでは理解できない場合が少なくありません。そこで報告書やプレゼン資料では、グラフを使って数字を可視化するわけです。なぜなら細かい数字は、ときに話をややこしくしてしまうから。■大切なのは「伝える→伝わる」たとえば、ある敷地の広さを表現するとき「1万4265㎡」といわれても、ピンとくる人は少ないでしょう。しかし「1万4,265㎡は、東京ドーム3個分の広さです」と誰もが知っているアイコンを使って話せば、広さは一瞬で伝わります。つまりトークで大切なのは、「伝える→伝わる」ということ。そう考えると、数字を使えば伝わるというわけではないということがわかるのではないでしょうか?大切なのは、数字を「どう使うか」だという考え方です。(文/印南敦史)【参考】※石浦章一(2015)『東大式 相手をひきつける、最強トーク術』KKベストセラーズ
2015年09月21日『結果を出す男は「飲み会」で何をしているのか?』(戸賀敬城著、KADOKAWA)の著者は、雑誌『MEN’S CLUB』編集長。奥様の誕生日を除き、年365日中364日会食しているのだそうですが、つまり本書では、飲み会で使える気づかいの仕方を伝授しているわけです。■いまでも「飲み会で仕事の結果は変わる」とはいえ著者は、「飲み会をうまくやれば、仕事がすべてうまくいく」などということを主張しているわけではありません。バブルのころならともかく、この不景気の時代に「飲み会をやっていれば仕事がもらえて、すべてが順調に進む」などということはあり得ない話。しかしそれでも著者は、「飲み会で仕事の結果は変わる」と断言できるのだそうです。■仕事の中身は結果を出すための最低条件現実的には、仕事は「中身」。つまりお客様は、「商品が魅力的」であればお金を出してくれます。逆にいえば、どんなに性格がよく、たくさん接待してくれたとしても、仕事の中身がダメなら、「仕事をお願いしよう」「この人にお金を出そう」とは思わないということになります。つまり仕事の中身は、結果を出すための最低条件。内容が伴っていなければ、いくら飲み会で奮闘しても無駄だということです。しかしその一方、仕事の中身だけがよくても、結果がついてくるとは限らないともいいます。著者のこれまでの経験からいえば、結果を左右するのは、飲み会を含めた「仕事の中身以外の部分」なのだとか。結果の80%は仕事の中身で決まるけれども、20%は飲み会で決まるという感覚なのだそうです。そして、「たった2割」ではありますが、この2割が結果を左右する重要な役割を占めるのだといいます。■グレーな80%を20%が輝かせてくれるたとえば企画のプレゼンを受けた結果、とても魅力的な内容で、ぜひ採用したいという気持ちに傾いているとします。そんなとき、プレゼンをした相手が何度も仕事をしたことのある気心の知れている人なら、即決するかもしれません。しかし初めて仕事する相手だったとしたら、80%はよいと思っても、「果たして鵜呑みにしていいのか?」とグレーの部分が残ることになります。つまり、その不安を払拭するのが「飲み会」を通じたコミュニケーションだということ。一緒に食事の席をともにすれば、相手の人柄や誠意などが垣間見えるもの。そこで相手によい印象を持ってもらえれば、安心して仕事を任せてもらえる可能性が高まるというわけです。つまり飲み会は、グレーに曇っていた80%の仕事の中身を「透明感のある80%」にする大事なプロセス。だから、どんなにすばらしい企画も、20%の飲み会がなければ輝かない。それが、著者の考え方です。*なおタイトルは「結果を出す男」となっていますが、男女ともに応用できる内容だと思います。興味をお持ちになったら、ぜひ一度手にとってみてください。(文/印南敦史)【参考】※戸賀敬城(2015)『結果を出す男は「飲み会」で何をしているのか?』KADOKAWA
2015年09月20日毎日の暮らしのなかで、「ちょっと気になる」疑問は少なくないもの。でも、そういうことに限って、人には聞きにくかったりもします。しかし、そんな疑問のいくつかは、『「サバを読む」の「サバ」の正体: NHK 気になることば』(NHKアナウンス室著、新潮社)を読めば解消できるかもしれません。なぜならここではタイトルどおり、報道関係者としての立場に基づいて、NHKアナウンス室が多くの疑問に答えているからです。きょうは第1章「数え方の不思議」から、「一階、二階、三階数の読み方」を取り上げてみたいと思います。■「四階、七階」の読み方の不思議「一階、二階、三階、四階、五階……十階」と声に出して読んでみると、気づくことがあるはずです。一階(いっかい)、二階(にかい)と、ほとんどは「漢語」の発音で読むのに、四階や七階だけは「よんかい」「ななかい」と「和語」の発音をするのです。「しかい」や「しちかい」ではないわけです。■「四階(しかい)」が消えた理由でも「四階」はもともと、「しかい」と発音されていたのだとか。それが「よ(ん)」に変わっていったのは、漢語の「し」が「死」を連想するから。同じように「七」も「しち」だと「いち」と間違えやすいため、「なな」と読むようになったのだといいます。■「さんかい」?「さんがい」?では、「三階」は「さんかい」でしょうか?それとも「さんがい」でしょうか?答えは「さんがい」。理由は、日本語には「『ん』のあとは濁ることが多い」という傾向があるからなのだそうです。ただ「さんがい」が正しいといいながらも、最近では「さんかい」という人の割合が増えているそうです。なお、「ん」のあとが濁るのは、「神社」や「万歳」のような熟語にもいえること。「天下」も昔は「てんが」と濁って発音していたというのですから、ちょっと意外ではありますね。「ん」のあとすべてが濁るわけではないけれど、そういう傾向があるため「三階」は「さんがい」と濁るというわけです。でも、「よんかい」は「ん」のあとなのに「かい」で、濁りません。これは、もともと漢語の発音の「しかい」が「よん」に置き換わっただけなので、そのまま濁らない「かい」となったのだということ。■「数の読み方」ルールは一部だけところで、「十%」はなんと読むでしょうか?ジッ%?それともジュッ%?これはどちらも間違いではないそうです。歴史的には「十」の発音はもともと「ジフ」で、そこから「ジッ」となったといいます。しかし一方で「ジュウ」にも変化したため、現在「十」の表記は「ジッ」と「ジュッ」の2とおりあるのだということ。だからNHKの放送でも、伝統的な「ジッ」を優先しているものの、「ジュッ」も認めているのだとか。数の読み方すべてにルールがあるなら問題ないものの、そうはいかないから難しいということ。そこが、日本語の難しいところかもしれません。(文/印南敦史)【参考】※NHKアナウンス室(2015)『「サバを読む」の「サバ」の正体: NHK 気になることば』新潮社
2015年09月19日『すごい人のすごい流儀』(伊藤正二郎著、サンマーク出版)の著者は、メジャーリーガーのダルビッシュ有選手や、サッカー日本代表の本田圭佑選手など多くのスーパースターのブランディングを担当している人物。本書ではそんなキャリアをもとに、独自の「3C」というセルフブランディング手法について解説しています。これがなかなかユニークなので、基本的な考え方をご紹介したいと思います。■スーパースターをつくる技術「3C」とは?「『スーパースター』は意図的につくることができる」と断言する著者は、社会的影響力や高感度を高める方法として、「3C」を用いているのだといいます。聞きなれない用語ですが、長年にわたりコンテンツ価値を最大化する仕事に携わってきたなかで培ったノウハウなのだとか。「スーパースターをつくる技術」として、公の場で話すこともあるというのですが、なんだか難しそうなイメージもあります。が、実は意外にシンプル。「3C」には、以下のような意味があるのだそうです。(1)Concept「コンセプト」を決める(2)Consistency外見・主張・行動にコンセプトを反映し、「一貫性」を持たせる(3)Continuity一貫性を「継続」するコンセプト(Concept)を決め、それを外見・主張・行動に反映させ、一貫性(Consistency)持たせる。そして、一貫性を継続(Continuity)させる。これだけです。■「3C」は人から認知され評価される要素なお、「スーパースターをつくる技術」がこの3つに集約されることには理由があるそうです。人が人から認知され、評価される要素は「外見」「主張」「行動」の3つしかないから。つまり、「どんな外見で」「どんな主張をし」「どんな行動をとるのか」が重要になるということ。■「3C」の格であるコンセプトが共感を生むそして、そのときに核となるのが「コンセプト」。コンセプトはその人の強みや物事に対する姿勢、雰囲気、イメージを表すもので、同時に差別化と優位性の源泉ともなるのだといいます。だからクライアントであるアスリートの価値を高めるとき、著者もまずはコンセプトを決めるのだと明かしています。そして決定したコンセプトがアスリートの「外見」「主張」「行動」に反映されるかどうかをもとに、すべての案件を取捨選択して決定を下すのだそうです。つまり、こうすることによって、クライアントの一挙手一投足に一貫性を持たせることができるようになる。そしてそれを継続していくと、次第にアスリートのコンセプトが多くの人に認知され、共感につながっていくというわけです。そしてその結果、そのアスリートの価値は最大化し、単なる「アスリート」や「スター」ではなく、「トップアスリート」「スーパースター」になっていくということ。*ダルビッシュ有選手も本田圭佑選手も、このような考え方に基づいてブランディングされていたとは驚き。しかしこの考え方は、ビジネスにも広く応用できそうです。興味を持った方は、ぜひ本書からそのエッセンスを吸収してみてください。(文/印南敦史)【参考】※伊藤正二郎(2015)『すごい人のすごい流儀』サンマーク出版
2015年09月18日『ぼくらは「数学」のおかげで生きている』(柳谷晃著、実務教育出版)は、微分方程式などを専門とする著者が、数学のおもしろさをさまざまな角度から紹介した書籍。身近な話題が多く取り上げられているため、数学が苦手な人でも無理なく楽しめる内容になっています。その一例として、PART3「お金にまつわる『数学』」から「『余事象』で探る宝くじの当せん確率」をご紹介しましょう。■「余事象」とは起こらない事象のことかつては1等3億円だった宝くじも、いまや7億円。全体の当せん金額が増えると、当たったときのことを期待したくなっても無理はありません。でも、果たして宝くじは、現実問題としてどのくらいの確率で当たるものなのでしょうか?その点を突き詰めるべく、ここでは宝くじの当せん確率について「余事象」の確率を使って考えています。ちなみに余事象とは、「ある事象に対して、『それが起こらない』という事象のことだそうです。■年末ジャンボ当せん確率は小さい平成15年の年末ジャンボ宝くじは、100組1,000万枚の発売単位で、1等2億円と前後賞の5,000万円を合わせて3億円。1等とその前後賞の数は、1,000万本のうちの3本なので、「10,000,000分の3=0.0000003」となり、ものすごく小さな確率です。物理の専門家によれば、こういう確率を「起こり得ない」というのだとか。■宝くじ当せん確率を余事象で出すところで、世の中には宝くじについて「買わなければ当たらない」と主張する人がいますよね。では、何回も買い続ければ宝くじが当たりやすくなるのでしょうか?どのくらいの確率になるのかは、「何回買っても当たらない確率」を1から引けば求められるといいます。これが「余事象」の考え方。つまり、1回買って当たらない確率は、1-0.0000003=0.9999997。これをもとに、何回買っても当たらない確率を計算するということ。たとえば、3,000回買って当たらない確率を計算する場合は、1回買って当たらないことが3,000回なので、0.9999997を3,000乗するということ。結果は0.9991で、これが3,000回買って当たらない確率だそうです。■当たる確率は90万円賭けて0.1%ということは、3,000回買って当たる確率はどうなるのでしょうか?この場合は1から0.9991を引けばいいので、1-0.9991=0.0009ということになり、約0.001、つまり0.1%。ちなみに3,000枚買うためには90万円かかるので、90万円賭けて当然確率を0.1%にすることが割に合うか否かは、判断が分かれるところではないでしょうか?*他にも、気になる数字ネタがたくさん。肩肘を張らず、気軽にページをめくってみると、意外な収穫があるかもしれません。(文/印南敦史)【参考】※柳谷晃(2015)『ぼくらは「数学」のおかげで生きている』実務教育出版
2015年09月17日人は、いまの自分ができないことを重要視し、できることを軽視しがち。その点を指摘したうえで、『今すぐ変わりたい人の行動イノベーション』(大平信孝著、秀和システム)の著者は「行動すること」の重要性を訴えかけています。しかも本書でクローズアップされているのは、「たった10秒」のアクション。その10秒を行動するかしないかで、人生は大きく変わってくるというのです。■「いつか」を「いまから」に変えること著者が提案する「10秒アクション」の定義とは、「1日のどこかで10秒間を使って、なにかひとつだけ自分の気分を上げる『行動』をしてみよう」というもの。3つでも5つでもなく、ひとつだけ。しかも「行動」は、自分があがるものならなんでもOKなのだそうです。簡単すぎるようにも思えますが、この考え方には根拠があるようです。なにかやりたい夢があるのだとしたら、それを実現させるために大切なのは、「行動」を開始すること。やりたいことに対して「いつかはやろうと思っているんだけど……」と考えている人は少なくないはずですが、この「いつか」を「いまから」に変えれば、人生は動き始めるということです。■はじめの一歩で展開が大きく変わるとはいえ、なぜ「1日たったの10秒の行動で人生を変えられる」などといい切れるのでしょうか?著者によればそれは、たった10秒で行う「最初の行動」には、「ドミノ倒し」や「自転車の漕ぎ出し」のイメージがあるからだとか。たとえばドミノ倒しの場合、最初の1枚が倒れなければ、その他のドミノは倒れていきません。逆にいえば1枚目が倒れるとき、それは「ゼロから1が生まれる瞬間」になるということ。はじめの一歩があるからこそ、その後の展開が大きく変わっていくわけです。そして「行動」を物語るもうひとつのポイントは、「はじめの一枚を倒す力は、指でチョンと押すだけ」だということ。ほんの少しの「行動」でいいのです。■最初の一歩で人生が変わるのはなぜか「自転車の漕ぎ出し」についても同じ。自転車のペダルを踏み出すときには力を入れてペダルを踏み込みますが、自転車が動き出してしまえばあとは楽。そしてこのシーンにも、「行動」の本質がふたつ隠れていると著者はいいます。ひとつ目は、「まったく動いていない物体を動かそうと思えば、必ず力が必要になる」ということ。ドミノ倒しで1枚目を倒すことと通じるものがあります。もうひとつは、「いったん動き出してしまえば、あとは簡単に動けるようになる」ということ。つまり、「最初の一歩で人生が変わる」というのは、こういう考え方。だからこそ、最初の「行動」をするために費やす時間は、1日のなかの「たった10秒」で十分だというわけです。*このように基本的な考え方を軸として、本書には「10秒アクション」によって人生を変革させるためのメソッドがわかりやすく紹介されています。心のなかにモヤモヤしたものがある人は、読んでみると気づきを得ることができるかもしれません。(文/印南敦史)【参考】※大平信孝(2015)『今すぐ変わりたい人の行動イノベーション』秀和システム
2015年09月16日いまはまだ「自分には関係ない」と思っていたとしても、いずれ降りかかってくる可能性を否定できないのが相続の問題。そこでご紹介したいのが、『相続でもめたくなければ○○しなさい!』(嵩原安三郎著、フォレスト出版)。相続問題・介護問題・労働問題などさまざまな問題に携わってきた弁護士が、“争族”を解決するための術をつづった書籍です。きょうはそのなかから、「基礎知識時が解決しない!? 相続問題の4つのタイムリミットとは?」をご紹介したいと思います。■相続問題は時が解決してくれない著者はよく、「相続問題って、いつまでに解決すればいいの?」と聞かれるのだそうですが、原則として、相続問題の解決には時間は関係ないのだそうです。たとえば亡くなった父親名義の土地を誰も使わず、誰の名義にも変えないまま30年が経ち、相続人のひとりであった母親も亡くなり、3人の子どもだけが残ったとします。この場合、残った土地は「3人の共有」。そしてこの3人の子どもがその子ども(父親から見ると孫たち)を残してみんな亡くなったとすると、その孫たちが土地を共有していることに。こうした「相続問題の世代またぎ」は決して少なくなく、つまり相続問題は時が解決してくれないということ。■相続問題の“4つのタイムリミット”(1)相続税納付のタイムリミットとはいえ、相続問題にはいくつかのタイムリミットもあるそうです。まず「相続税納付のタイムリミット」は、「被相続人(亡くなった方)死亡の翌日から10カ月。それまでに相続問題が解決していようがいまいが、いったん相続税を納めなければならず、間に合わなければ高率の延滞税や無申告加算税・重加算税などの大きな負担があるといいます。(2)相続放棄のタイムリミット次は、「相続放棄のタイムリミット。「相続放棄」とは、裁判所で行う「私は相続しない」という手続きのことで、これは「被相続人の死亡時から3カ月」と定められているのだとか。なお被相続人が亡くなったことを知らなかった場合は、「知ったときから3カ月以内」に手続きをすることが定められているそうです。(3)遺留分減殺請求のタイムリミットそれ以外に、「遺留分減殺請求のタイムリミット」も。これは、遺言で自分の相続分を減らされた人が、不服を申し立てる期間のこと。被相続人が亡くなったこと、そして自分の遺留分を侵害する遺言があることの両方を知ったときから1年以内に行う必要があるのです。(4)相続回復請求のタイムリミットまた、「相続回復請求のタイムリミット」というものも。「相続回復請求」とは、相続人でない者が相続して本来の相続人が相続できなくなってしまったとき、本来の相続人が遺産を取り戻すという手続き。これは自分の相続権が侵害されていることを知ったときから5年以内、相続開始から20年以内に行う必要があるのだそうです。*こうしたことを知らなければ、思わぬ損害をうけてしまうということ。そうならないためにも、本書で知識をつけておきたいものです。(文/印南敦史)【参考】※嵩原安三郎(2015)『相続でもめたくなければ○○しなさい!』フォレスト出版
2015年09月15日タイトルからもわかるとおり、『マジシャンだけが知っている最強の心理戦略』(スティーブ・コーエン著、宮原育子訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者はプロのマジシャン。その心理戦略を明かした本書は、人前で自信とカリスマ性をフルに発揮できるようになることを目的として書かれています。つまり、マジシャンならではのスキルを、ビジネスに活かしてしまおうという大胆な発想。「時間」に焦点を当てた、「カリスマは『時間』をあやつる」をクローズアップしてみます。■ゆっくり話して動くことが重要!話すときに勢い込む人がいますが、人が1分間に受け入れられる情報量には限界があるのだと著者。情報を詰め込みすぎても、相手は少ししか理解できないもの。こちらにとってはわかりきったことでも、受け手には初めてのこと。彼らの頭脳が新しい刺激を処理するには余分に時間がかかるので、普段よりゆっくり話したり行動したりする配慮が重要だといいます。ゆっくり話して動くことのもうひとつのメリットは、自信に満ちて見えること。ゆっくり話せば、相手は「重要なことを話しているのだ」と考えるもの。じっくり聴いてみる価値があると感じるわけです。もっとテンポを落として話せば、相手はこちらのことばを待つようにもなるとか。そして、人と会話するときのペースをコントロールできるようになるわけです。■相手を自分のペースに乗せようマジシャンである著者はいつも、定時より遅れてショーを開始するのだといいます。なぜなら、「相手を待たせることができる人間が場の主導権を握る」ということを理解しているから。事実、ブロードウェイのプロデューサーも、観客の期待を高めるため、わざと10分遅れでショーをはじめるのだそうです。商談でも同じで、待たせる側の人間は、相手の心理に、これから起こることへの期待を膨らませることができるもの。いいかえれば、人を待たせるとき、こちらは優位に立っているということ。■自分のペースを知るとうまくいくちなみに著者は、アップテンポのダンスミュージックがかかっているパーティーで仕事をしたことがあるそうです。しかしその音楽は自分のスタイルとはかけ離れたものだったため、無理をしてその音楽に合わせてペースを上げても、よい演技はできないと感じたのだといいます。そこで、どうしたか?驚くべきことに、あえてゆっくり落ち着いて演技をしたというのです。その結果、観客は思惑どおり著者のペースに乗ってしまうことに。つまり、大切なのは自分のペースを知ること。そして、どうやったら最大の効果をあげられるかを知ること。著者はそう記しています。*マジシャンのスキルをビジネスに応用すると聞くと、少し怪しく感じてしまうかもしれません。しかしこのように、すべての考え方がビジネスと直結しています。だからこそ、応用範囲は予想以上に広いと思います。(文/印南敦史)【参考】※スティーブ・コーエン(2015)『マジシャンだけが知っている最強の心理戦略』ディスカヴァー・トゥエンティワン
2015年09月14日『セールスは1分で決まる!』(宮崎美千子著、ダイヤモンド社)の著者は、営業経験ゼロで研修トレーナーになったものの、独自のセールストークで驚異的な売り上げを生み出してきた「1時間で1億売るカリスマ社長」。関わると必ず売上が上がる「表参道のスーパーOL」として、女性誌の取材が殺到したこともあったのだそうです。本書ではそんな実績を軸として、セールスの極意を明かしているということ。そのなかから、「五感をフルに活用する」に焦点を当ててみましょう。■五感を使ったセールストークとは多くのお客様への商品説明をするにあたり、著者は先輩たちとの事前の意打ち合わせの流れを無視し、自分で考えた流れ、内容で話をしたことがあったのだそうです。しかも一方的に説明するのではなく、順番はお客様からみて「聞く」→「見る」→「さわる」→「かぐ」→「答える」だったのだとか。いったいどういうことでしょうか?(1)聞く「みなさん、こんにちは。いきなりですが、質問です。(みなさんは)夏の間エアコンをガンガンかけていた人?うっかり日焼け止めを使わず、外出しちゃった人?」いきなりこんな感じで話し出されたら、驚かれても不思議はありません。けれど驚きながらも、ちゃんと手を挙げてくれるものなのだそうです。(2)見る「はい、いま手を挙げた人、思いきり笑ってください。その笑顔を隣の方、ちょっと見てくださいね。目の下、シワシワになっていませんか?」またも大胆な質問ですが、みなさん「うわ~、シワシワになってる」「ほんとだ」と、さまざまな反応を示したのだとか。「思い切り最高の笑顔をつくったら、シワシワ笑顔、ぞっとしますよね。実はきょう、この目の下のシワを改善してくれるすごい商品を持ってきました~!」こう伝えた瞬間に、みなさんの目が輝いたのは、この時点で「目の下のシワシワに効くクリーム」ということがインプットされたから。単に「これが新商品のアイクリームです」というのとではインパクトが違うわけです。(3)さわる次に説明しながら、商品を実際に手にとっていただきたなら使い方を話すことに。そのときも「すごくしっとりするでしょ?」「肌にスッとのびて使いやすいでしょ?」と必ず自分も手にのばしながら、ことばをかけるのだといいます。(4)かぐ「ほら、香りもとってもいいんですよ。私、この香り大好きです」というと、みなさん手の甲を鼻に持って行き、香りを確かめてくれるそうです。「この香りは、先ほどご説明した植物成分の香りなんですよ」(5)答える「みなさん、どうですか?」このように尋ねると、思い思いの感想をいってくれるといいます。■自分にもお客様にも五感を使おうこの流れで大切なのは、お客様に使ってもらいつつ、ひとつひとつ確認していく作業を「五感を通じて行う」こと。お客様の記憶に残る商品にするためには、「耳で聞いて、目で見て、手で触れて、鼻で香りをかいで、口でことばに出す」。自分の五感もお客様の五感もフルに使って話す、それが重要だというわけです。*このようなセールス術もさることながら、著者の人生そのものがエキサイティングなので読みものとしても充分に楽しめる内容。読み終えたときには、力が湧いてくるかもしれません。(文/印南敦史)【参考】※宮崎美千子(2015)『セールスは1分で決まる!』ダイヤモンド社
2015年09月13日私たちの住む世界は、すべてがなんらかの「物質」でできており、そのほとんどは分子からできているもの。つまり、この世界はすべて化学物質からできている。『ぼくらは「化学」のおかげで生きている』(齋藤勝裕著、実務教育出版)のタイトルには、そんな意味が込められているわけです。きょうは、「濃度」についての記述を引き出してみます。■意外と知らない「濃度」の意味お酒のアルコール度数を表す「%(度)」とは、重さの割合?それとも体積の割合でしょうか?答えは、「お酒に含まれるエタノールの体積の割合(パーセント濃度)」。ビールで5%程度、日本酒やワインで10~15%、ウィスキーやブランデーなら40~60%。ウォッカやアブサンなどは90%近いので、エタノールの水溶液というよりは水のエタノール溶液といった方がいいかも。それはともかく一般的に、溶液のなかに溶質(溶けている物質)がどれくらい溶けているかを表す指標を「濃度」と呼ぶのだそうです。■体積は増えたり減ったりする!なお、お酒の濃度などに使われるのは、「体積パーセント濃度」だそうです。溶質の体積を、溶液の体積で割った割合のこと。体積パーセント濃度(%)=(溶質の体積)÷(溶液の体積)×100なお注意しなければならないのは、「溶液の体積は溶質の体積と溶媒の体積の和ではない(「1+1=2」とはならない)」ということ。なぜなら、液体の組み合わせによっては、混ぜると体積が増えたり(たとえば塩酸と水酸化ナトリウム)、逆に混ぜると体積が減ったりする(エタノールと水など)からだといいます。■試さないと体積はわからないしたがって、体積濃度10%のエタノール水溶液1リットルをつくるには、次のような手順で行うのだそうです。1リットルのメスフラスコにエタノール100ミリリットルを入れ、そこに水を加えてちょうど1リットルになるようにします。でも実は、このときの水の量は900ミリリットルよりも多くなるのだとか。理由は、水とエタノールを混ぜると、全体の量は減るから。そのため、きちんと1リットルにするための調整が必要になってくるというわけです。液体にはこのように、混ぜると体積が減る場合と、反対に増える場合があるということ。しかも、どのような組み合わせだと減り、どのような組み合わせが増えるのかは、実際にやってみないとわからないのだといいます。化学の世界は、なかなか奥が深そうですね。*化学ということばに難解なイメージを持つ人もいらっしゃるかと思いますが、著者の表現はソフトでわかりやすいもの。文系の人でも、無理なく理解できるはずです。(文/印南敦史)【参考】※齋藤勝裕(2015)『ぼくらは「化学」のおかげで生きている』実務教育出版
2015年09月12日『この習慣で美人になれる』(仁香著、フォレスト出版)は、人気のカリスマモデルであると同時に姿勢・ウォーキングアドバイザーとしても活躍する著者が、「姿勢」と「歩き方」について解説した書籍。努力しても成果が出ない人に対しては「がんばりすぎている」という実感があるため、あえて「がんばらないほど、キレイになれる」をテーマにしている点もユニークです。きょうは「姿勢」について書かれた章のなかから、正しい姿勢になる「手のひら1.5枚のS字ライン」のつくり方に焦点を当ててみたいと思います。■正しい姿勢は足首からつくる!正しく歩けば正しく筋肉が使われるため、さまざまな好循環が生まれるもの。そしてこの効果を最大にするため、歩く前には「脚のマッサージ」と「姿勢のチェック」をしておくべきだと著者。そこで、まずは足首を柔らかくして、基本姿勢のチェックを。理想的なのは足指から太ももまでを刺激する基本マッサージをフルで行うことですが、時間がない場合は「足首」を最優先すべきだそうです。方法は、足首をグルグル回すだけ。手を使って円を描くようにしっかりと内回し、外回しをして、関節がスムーズに稼働するように整えてあげればOKです。次に、姿勢のチェック。左右のかかとと親指をくっつけ、壁際に立ちます。そして「後頭部」「肩甲骨」「ヒップ」「ふくらはぎ」「かかと」が壁についているかを確認。真横から見ると、耳、肩、ひじ、中指、くるぶしが一直線上にあるのが正しい状態。肩甲骨をしっかり開き、おなかに力を入れて背中の方に近づけ、背中と壁の間に手のひら1.5枚分の隙間をつくります(それ以上の隙間が空いていたら、反り腰気味なので注意)。これで、背骨はあるべきゆるやかなS字ラインを描き、骨盤が立って、いちばん負担のかからない、楽で正しい姿勢のできあがり。いちばんのポイントは、おなかと背中をくっつけて、背中のS字ラインを適正に保つこと。この状態をしっかり記憶すれば、あとはたまの確認だけでいいといいます。■時間がないときの姿勢の正し方なお、これに加え、「鏡を使ってチェックするなんてめんどくさい」「チェックする時間がない」という方のための方法も紹介されています。それは、「両手を上げて、姿勢を一瞬で正す方法」。(1)手をお尻に置く。(2)息を吸い、吐きながら手を上に伸ばしていく。(3)腕がきちんと耳の後ろを通っているかチェックする。両方の親指をくっつけ、手を合わせたら、両手を伸ばしたまま、いけるところまで上に伸ばす。このとき、デコルテ(襟ぐり)が垂直になっているかどうかをチェック。(4)3秒キープしたら、ゆっくり手を下ろす。たったこれだけで、姿勢が大きく正されるのだとか。朝起きた時間にやってみれば、すがすがしい気分になれるといいます。*他にも、すぐに役立つメソッド満載。姿勢が気になっている人は、ぜひ手にとってみてください。(文/印南敦史)【参考】※仁香(2015)『この習慣で美人になれる』フォレスト出版
2015年09月11日お金持ちになれる人となれない人を比較すると、そこには明確な生活習慣の違いがあると主張するのは、『お金持ちになる習慣「生きたお金の使い方」が身につく本』(加谷珪一著、清流出版)の著者。つまり、日ごろの何気ない行動のなかに、お金を引き寄せる力と遠ざける力が働くということです。そして本書では、著者が接してきた富裕層の行動をもとに、毎日の生活習慣とお金の関係を明らかにしているわけです。きょうはそのなかから、貯金に対する考え方を抜き出してみたいと思います。■多くのお金持ちは貯金に否定的?日本人が貯蓄好きだといわれているのは有名な話。ある程度の貯金があっても、「まだまだ足りない」と考えている人たちも決して少なくないと著者はいいます。一方、最近は若い世代にお金がなく、貯金ゼロの人が急増しているという報道も。しかし著者は、ただやみくもに貯金をすればよいというものではないと主張しています。そればかりか意外なことに、お金持ちの人は総じて、無目的な貯金には否定的なのだとか。なぜならお金に縁のある人は、お金の使い方について、普通の人よりもずっと敏感だからだといいます。■貯金はピンチのときに役立つのか貯金をすべきだという考え方の根底にあるものの大半は、「いざというとき」に備えるという考え方。想定していなかった事態に直面したとき、まとまったお金があるのとないのとでは雲泥の差があるからです。しかし、貯金が多いからといって、アクシデントに対して無限に対応できるわけではありません。■貯金以上にスキルや人脈が大切年収400万円で年間支出が350万円程度だった人が、職を失ったとします。しかし収入がなくなったからといって、支出もゼロにすることは不可能。だとすれば、年収がゼロでも支出は300万円近くかかるということになります。その場合、仮に500万円の貯金があっても、それで食いつなげるのは1年半。では、そんなときにはなにが頼りになるのでしょう?ここが重要で、つまりこうした場合に頼りになるのは、むしろお金ではなく、すぐに転職や独立を実現できるスキルや人脈を持っていること。ひと昔前なら、将来を見通すことは簡単でした。しかしこれからは、イノベーションの発達により、職業のスキルは10年で陳腐化するといいます。だからこそ、世のなかの変化に合わせて、自分の技能も変えていくことが必要。そのためには自己投資が不可欠なので、いざというときに必要な額を除いては、まとまったお金は「自己投資」に利用すべきだということです。つまりはこの点が、お金持ちになる人となれない人との分岐点。*他にも、お金持ち特有の考え方が多数紹介されています。その多くはきっと、大切な気づきとなるはずことでしょう。(文/印南敦史)【参考】※加谷珪一(2015)『お金持ちになる習慣「生きたお金の使い方」が身につく本』清流出版
2015年09月10日『人生の授業』(木村達哉著、あさ出版)の著者は、「キムタツ」の愛称で知られる灘高教諭。多くの参考書や英単語帳などを出版していることでも有名ですが、「僕は決して特別な能力を持った人間ではありません」と断言してもいます。つまり本書ではそんな考え方を軸として、独自の人生論を展開しているわけです。きょうはそのなかから、「10年後」について書かれた部分を引き出してみます。■相手と10年後もつきあっているか考える人とぶつかってしまうことは誰にでもありますし、それは著者も同じ。しかし対人関係のトラブルに巻き込まれたときには、こう考えることにしているのだといいます。「この人と10年後もつきあっているかなぁ……」大半は10年後もつきあっているだろうと思える人たちばかりだといいますが、一方で講演やセミナーに初めて来られた方から、後日、イベントの内容についての酷評が届くこともあるのだそうです。■傷ついたら前向きに気持ちを修復するもちろん自分に至らない部分があったのなら、素直に改善すべき。しかし現実的には、自分勝手で一方的な批判もすくなくないのだとか。理不尽な批判をされたら、誰だってショックです。カリスマと呼ばれる著者にしても同じこと。しかし深く傷つく一方で、著者はこうも考えるようにしているのだそうです。「別にええわ。どうせこの人とは10年後にはつきあってへんし」「10年後には名前も忘れてるような人のことばで傷ついてたら、人生やってられへん」と前向きに考え、気持ちを修復するようにしているというわけです。でも逆に、「この人とは、きっと10年後もつきあっている」と感じた場合には、とことんまで話して誤解を解こうとし、関係を改善するように最大限の配慮をする。その部分でバランスをとるということです。■対人関係を10年で区切るといい理由ところで、なぜ10年なのでしょうか?詳細こそ書かれていませんが、著者は以前、精神的なダメージを負うような大きなトラブルに直面したことがあるそうで、そのときの経験から「10年」という期間をなにかしらのひとくくりだと考えているのだそうです。いうまでもなく、10年とはとても長い時間。だから人との関係において、「10年後」を判断の物差しにしているということ。そして、そういう基準で人を見ると、いろんなことが見えてくるといいます。人生を豊かにしてくれるのは、10年後もつきあっている人たち。たしかにそう考えると、無駄なストレスを感じることなく、豊かな気持ちで生きていけそうです。*関西弁を生かした文体にソフトな印象があることもあり、とても読みやすい一冊。楽な気持ちで目を通してみれば、ほっとした気分になれるはずです。(文/印南敦史)【参考】※木村達哉(2015)『人生の授業』あさ出版
2015年09月09日私たちのからだは、6割が水。子どもでは7割、胎児にいたっては9割だといいます。たとえば体重60kgの人には約36リットルもの水が含まれており、これを「体内水」と呼ぶそうです。そして、体内水をいかにきれいに維持するかが病気を遠ざけるポイントだと主張するのは、『医師が教える 不調を治す水の飲み方・選び方 「4つの体内水」を流して健康になる本』(森下克也著、KADOKAWA)の著者。■1日約1.2リットルの水が必要!きれいな体内水を維持するためには、1日約1.2リットルの水を摂り続けることが必要。そうしないと「慢性脱水症」になってしまうというので、軽く考えるわけにはいかないようです。では、1日のなかでどのように水を飲めばいいのでしょうか?■意識すべき水の量は「3・5・4」この問いについて著者は、「3・5・4」と覚えるべきだと記しています。「3・5・4」とは、1日を「午前」「日中」「夜」と分けたときの、それぞれの時間帯に飲む水の量の目安。具体的には次のようになります。「午前」とは、朝起きてから昼食まで。「3」とは0.3リットル。「日中」とは、昼食後から夕食まで。「5」とは0.5リットル。「夜」とは、夕食後から寝るまで。「4」とは0.4リットル。時間で区切るのではなく、あくまで食事を基準に考えるのは、摂取する水との兼ね合い。飲み方の基本は、「ちびちび飲み」だそうです。(午前)就寝中には水分を摂らないので、起床時は軽度の脱水に陥っている状態。そこで、起き抜けにまずコップ1杯の水を飲むことが大切。そして、それからはちびちびと飲み続けるわけですが、昼食の前後はいったん飲むのを中止。これは、昼食に際して分泌される遺産が薄まるのを防止するためだといいます。(日中)日中は仕事など活動中の時間帯であり、口が乾いてしまうこともしばしば。すると脱水に陥るため、「ちびちび飲み」には変わらないものの、「5」の範囲内でコップ1杯程度の水を一気に飲んでもかまわないとか。運動をしたときも同様。ジョギング程度なら0.4リットルを、それ以上に激しい運動なら0.8リットルを上乗せ。発汗量にもよりますが、夏の暑い時期は0.5~1.0リットル程度の上乗せが必要。もちろん、携行する水の温度は常温で、やはり夕食の前後30分は飲水を控えること。(夜)アルコールには利尿作用があるので脱水に傾くため、飲酒の機会があるときは、少し多めに水を飲んでおくのがいいそうです。できれば飲酒はほどほどにして、その最中も水を補給するように。また入浴に際しては汗をかくので、しっかり飲水しておくことが重要。そして寝床に入る1~2時間前に、「ちびちび飲み」を終了。それ以降も飲んでしまうと、夜間に尿意で目が覚めてしまいかねないからです。*他にも、役立つ情報満載。毎日の生活習慣を改善するためにも、読んでおきたい一冊です。(文/印南敦史)【参考】※森下克也(2015)『医師が教える 不調を治す水の飲み方・選び方 「4つの体内水」を流して健康になる本』KADOKAWA
2015年09月08日