子どもの学力と豊かな心を育むために、絵本を読むことがいいと言われています。どんな絵本を選んで、どんな風に読んであげるのがいいのでしょうか。年齢に応じた絵本の選び方と読み聞かせ方について、発達心理学が専門の内田伸子先生に伺いました。年齢にあった絵本の選び方と読み聞かせ方「赤ちゃんには、イラストや写真が大きくハッキリしていて、色も単純なものがいいでしょう。食べ物や動物、乗り物など、身近なもので子どもの興味を引くものが描かれている絵本がおすすめです。最初のうちは絵本をめくって絵を見せるだけもよく、絵本を通した『遊び』だという感覚を大切にすることがポイントです」「かわいいニャンニャン」「ピカピカ、キレイだね」などと、解説を加えたり、擬音を楽しんだりするのもいいそうです。「3歳までは、絵本の挿絵について話すなどしてもいいでしょう。4歳になったら、絵本の言葉は吟味されていますから、それを大事に、絵本に書かれているまま読み聞かせてあげてください。5歳ぐらいになると、『大きなカブ』のような、くり返しの文章を好むようになります」年齢によって楽しみ方が少しずつ変わってくるのですね。どの年齢にも共通して大切なポイントは、お子さんのリズムに合うように、語りかけるようにして読み聞かせることだそうです。1冊の絵本をじっくり読み込むのと、たくさんの絵本を読んで多くの語彙に触れるのとどっちがいい?「語彙を得るために本を読むのではありません。本というのは、親子で手を取り合って入っていく世界なのです。親も楽しみながら、真心をこめて読んであげてください」内田先生は、絵本の持つ力について次のお話をしてくださいました。「ベッテルハイムという児童精神科医の病院に、注意欠陥・多動性障害の子どもが入院していました。遊戯療法や箱庭療法など、さまざまな治療を施しましたが、症状は軽くなりませんでした。あるとき、ベッテルハイムが絵本を持って病室に入ると、その子はパッと絵本を見ました。ベッテルハイムが『読んであげようか』と言うと、ふだんは少しもじっとしていられない子が、動かずにじっと絵を見つめお話を聞いていたのです。次の日、ベッテルハイムが来る時間が近づくと、その子は入り口を見ていました。ベッテルハイムが来ることが楽しみだったのでしょう。ベッテルハイムが来て『絵本を読んであげようか』と言うと、その子は数冊ある絵本の中からまた同じ絵本を選びました。30回くり返したそうです。30回読んであげたら、やっと次の本に興味を持った。つまり、30回かけてその本の栄養を吸収しつくしたということです。絵本には栄養があります。十分に味わわせてあげてください。子どもは何度でも『読んで』とせがみます。『昨日、読んだわよ。違うのにしましょう』ではいけないのです」子どもが求めている限り、その本を読み続けてあげるのがいいのですね。親子で絵本を楽しみながら、大切な「見えない力」と豊かな心を育んであげましょう。(佐々木月子)今回取材に協力してくださったのは内田 伸子先生十文字学園女子大学特任教授・お茶の水女子大学名誉教授・学術博士。専門は発達心理学、認知心理学、保育学。国立教育政策研究所「幼児の論理的思考の発達調査プロジェクト会議」(主査)、最高裁「裁判員制度の有識者会議」(委員)、文化庁国語審議会委員なども務めるほか、NHK Eテレの「おかあさんといっしょ」の番組開発やコメンテーター、ベネッセの子どもチャレンジの監修、しまじろうパペットの開発、創造力知育玩具「エポンテ」(シャチハタ)の開発なども担当。著書は、『発達心理学―ことばの獲得と教育』(岩波書店)、『よくわかる乳幼児心理学』(ミネルヴァ書房)、『 子育てに「もう遅い」はありません 』(冨山房インターナショナル)など多数。
2016年01月02日幼児期や学生時代に成績のよかった子どもたちは、将来、大人になってからも優秀なのでしょうか。そして実際に、大人になってからも活躍している人たちは、どんな幼児期を過ごしたのでしょうか。これらについて、発達心理学や認知心理学が専門の内田信子先生にお話を伺いました。偏差値68以上、医者や弁護士などの難関資格に合格した人たちの子ども時代「23~27歳のお子さんを持ち、しかも2人以上のお子さんを育て上げた親御さんを2,000組抽出しました。その中から、受験偏差値68以上の大学を卒業し、医者、弁護士、検事、国家公務員一種、家庭裁判所の調査官などの難関資格を取ったお子さんの親御さんに、どんな子育てを行ったのか伺いました」社会的には「エリート」と呼ばれる人たちですね。彼らがどんな子ども時代を過ごしたのか、気になる結果は次の通りです。小学校就学前にとても意識的に取り組んでいたこと●幼児期に思いきり遊ばせた●遊びの時間を子どもたちと過ごすことが多かった●絵本の読み聞かせをたくさんした●子どもの趣味や好きなことに集中して取り組ませるようにした難関校を突破した人たちは、子ども時代に思いっきり遊び、親子で一緒に楽しい時間を過ごすことが多かったようです。難関校突破組は子ども時代によく遊んだ(内田,2014より)子育てスタイルの傾向(共有型しつけ or 強制型しつけ)難関校を突破した人たちの多くは、「共有型しつけ」を受けていました。難関校突破組は共有型しつけを受けていた(内田,2014より)共有型しつけとは、親が子どもの気持ちや親子のふれあいを大切にし、一緒に楽しい時間を共有することが多い、しつけスタイルです。強制型しつけとは、親が自分の考えやルールを強制し、言葉による命令や力によって子どもをしつけるスタイルです。(詳しくは 子どもの学力格差は幼児期に決まる? 親の「しつけスタイル」が重要な理由 ~「幸せ力」の育て方vol.11~ )遊びとしつけスタイルが大切な理由 子どもの能力を伸ばす、幼稚園や保育園選びのポイント ~「幸せ力」の育て方vol.10~ でご紹介したように、遊びは子どもの能力を伸ばします。「自分の自発的な行動を、大好きな親が『面白そうだね』と共感してくれたり褒めてくれたりすると、子どもは嬉しくなり、達成感が増します。それは、小さな成功体験です。成功体験があると、難題をつきつけられても『きっと自分は解決できる』という気持ちになり、挑戦する力がわいてきます。こうして大人になるまで、自分で目標にしたことはなんとか自力で達成することを積み重ねた結果が、難関試験を突破する力に育っていったのでしょう」問題を解決したり、目標を達成したりする力は、エリートになるために限らず、子ども自身が幸せに生きるために必要な力です。子どもを思いっきり遊ばせ、共有型しつけを行い、大切な力を育んであげましょう。(佐々木月子)今回取材に協力してくださったのは内田 伸子先生十文字学園女子大学特任教授・お茶の水女子大学名誉教授・学術博士。専門は発達心理学、認知心理学、保育学。国立教育政策研究所「幼児の論理的思考の発達調査プロジェクト会議」(主査)、最高裁「裁判員制度の有識者会議」(委員)、文化庁国語審議会委員なども務めるほか、NHK Eテレの「おかあさんといっしょ」の番組開発やコメンテーター、ベネッセの子どもチャレンジの監修、しまじろうパペットの開発、創造力知育玩具「エポンテ」(シャチハタ)の開発なども担当。著書は、『発達心理学―ことばの獲得と教育』(岩波書店)、『よくわかる乳幼児心理学』(ミネルヴァ書房)、『 子育てに「もう遅い」はありません 』(冨山房インターナショナル)など多数。
2016年01月01日テレビと現実の違いを判断できる子に必要なこと の続きです。本連載もいよいよ最終回。今回は、「どうしたらメディアの情報に振り回されない子どもに育てられるか」についてお話ししましょう。テレビからの情報を鵜呑みにさせないために今まで見てきたように、テレビはウソではないけれど、情報をうまく利用しているという側面を持っています。そうした面に関して、最近は批判も出てきています。たとえば、子役のタレントや俳優を利用して、テレビを見ている子どもたちに、むやみにあこがれを抱かせるのはどうなのかという意見があります。芸能人として小さな頃からスポットライトを浴びることがすべて悪いとは言いませんが、中学生や高校生ぐらいの大事な時期に、テレビなどにずっと出演しているのを見ると、中には「学校や勉強は大丈夫なんだろうか」と心配になってくる人もいるでしょう。勉強ができることや高い学歴があることが人生を決定づける世の中でもなくなってきていますし、そもそもよその家庭のことなので、そこをとやかく言うのは余計なお世話かもしれませんが、テレビを通じてそうした子役タレントを見ていると、数年後にどうなっているのかが心配になってくるという意見は少なくないようです。また、そうしてスポットライトの中心に立てていらればまだしも、その後ろには数多くのそうでない子どもたちがいます。幼いうちからアイドルになるためにオーディションを何度も何度も受けている子どもの話や、アイドルのやることなすことを次から次へと盲目的にまねすることに熱中しているような子どもの話を聞くと、そうした子どもは将来どうなってしまうのかと、やはり心配になります。なぜなら、自分で情報を選択するすべを知らないように思えるからです。親自身が情報を鵜呑みにしていないか、問いかけ直してみよう現代は高度に情報化が進展している社会です。必要な情報を早く的確に得て、それを利用することが必要不可欠な世の中になっています。そういう社会であるからこそ、情報の洪水の中から必要な情報をより分け、正しい形で選び取ることが大事になってきますし、得た情報を鵜呑みにするのではなく、自分なりに分析検討できる能力が重要になってきています。情報に接した時に、それに対して批判や検討を加えることもなく、ただ鵜呑みにするような癖が付いてしまうと、何かあった時に自分で判断を下す能力が育たなくなってしまうおそれもあるでしょう。最終的には情報に押し流され、流行にのせられてうまく操られてしまったり、本来の自分というものを見失ったりすることにもつながりかねません。当然ながら子どもたちには、こうした情報の取捨選択について経験が不足しています。このため、情報をどのように取り入れ、それに批判を加えて自分なりの見方を確立するかということを親は子どもに教える必要があります。そのためには親が情報の取捨選択をできなければなりません。まずは親自身が情報媒体の言うことを鵜呑みしていないかどうか自身に問いかけ直してみることが必要になってくるでしょう。(子育ての達人)
2015年12月31日知らず知らずのうちに行っている子どもへの「しつけ」によって、子どもの能力に大きな差が出てしまうことがわかりました。発達心理学が専門の内田伸子先生に、詳しく説明していただきました。しつけスタイルは大きく2種類●共有型しつけ子どもの気持ちを中心に考え、子どもとのふれあいや会話を大切にし、楽しい経験を子どもと共有しようとする、しつけスタイル。●強制型しつけ大人中心で、言いつけ通りに子どもを従わせようとする、しつけスタイル。罰を与えたり、力によるしつけを行ったりすることもある。似たような家庭環境で、しつけスタイルだけが違うとどうなるのか「年収900万円以上の高所得層で、母親が四年制大学あるいは大学院を卒業し、現在は専業主婦をしている家庭の中から、共有型しつけと強制型しつけの極端な例を30組ずつ計60世帯選び、親子のやりとりを観察しました。すると、図形を組み合わせるブロックパズル課題で、こんな場面が見られました。共有型しつけを行っているお母さんは、お子さんをじっと見守っています。一方、強制型しつけを行っているお母さんは、何かと口を出し、指図します。子どもがパズルをやろうとすると、『そっちは難しいわよ。こっちからにしなさい』『左右の色を同じにしたらキレイでしょう』などと言うのです。また『きつねのおきゃくさま』という絵本の読み聞かせにおいても、違いが見られました。『きつねのおきゃくさま』は、優しいきつねがほかの動物たちを守るために死んでしまうお話です。共有型しつけを行っているお母さん方は、子どもがどんな反応をするかと子どもの顔を心配そうに見ています。子どもは『きつねさん、どうして死んじゃったの? あんなに親切なのにかわいそう』などと言います。それを受けてお母さんは『そうね、かわいそうね』と共感的なサポートをします。一方、強制型しつけを行っている母親は『はい。今のお話はどういうお話だった? 言ってごらん』、子どもが答えると『違うでしょ。お話の記憶、テストに出るわよ』などと勝ち負けの言葉を投げ付けます」強制型しつけのもとでは、高所得層であっても語彙得点・リテラシーともに低い「この子どもたちの学力を調査したところ、共有型しつけを受けている子どもは語彙得点、リテラシー(読み書き能力)ともに高く、強制型しつけを受けている子どもは語彙得点もリテラシーも低かったのです」しつけスタイルと語彙力は関連する(内田・浜野,2012より)なぜ、しつけスタイルが学力に影響するのでしょうか。「子どもの学力を高めるためには、お父さんやお母さん、保育者たちが、子どもの主体性を大事にするかかわり方をすることが重要です。共有型しつけをしている親は、こどもに考える余地を与える援助的なサポートが多く、子どもをよく褒め、子どもに合わせて柔軟な対応をしていました。そうした親のもとで、子どもは伸び伸びと活動していました」 叱られながらやる勉強はなぜ身に付かないのか ~「幸せ力」の育て方vol.6~ でご紹介したように、自分から興味を持ち、楽しいと感じているときは脳の働きが活発になります。「強制型しつけは逆に、子どもに考える余地を与えない、指示的・独断的な介入が多い、しかも過度に介入する、情緒的なサポートが少ない、褒め言葉が少ないという特徴がありました。こうした親のもとでは、子どもは主体的に行動することができず、親の顔色を見ながらおどおどと行動していました」これでは脳の働きが低下するうえ、言われたことしかできない「指示待ち族」になる危険性があります。しつけスタイルは母親の思いひとつで変えることができます。子どもが伸びる共有型しつけを心がけていきたいですね。(佐々木月子)今回取材に協力してくださったのは内田 伸子先生十文字学園女子大学特任教授・お茶の水女子大学名誉教授・学術博士。専門は発達心理学、認知心理学、保育学。国立教育政策研究所「幼児の論理的思考の発達調査プロジェクト会議」(主査)、最高裁「裁判員制度の有識者会議」(委員)、文化庁国語審議会委員なども務めるほか、NHK Eテレの「おかあさんといっしょ」の番組開発やコメンテーター、ベネッセの子どもチャレンジの監修、しまじろうパペットの開発、創造力知育玩具「エポンテ」(シャチハタ)の開発なども担当。著書は、『発達心理学―ことばの獲得と教育』(岩波書店)、『よくわかる乳幼児心理学』(ミネルヴァ書房)、『 子育てに「もう遅い」はありません 』(冨山房インターナショナル)など多数。
2015年12月31日気がつけば2015年も残りわずか。皆さんはどのような1年を過ごされたでしょうか。私自身は第二子の出産、実父の逝去と大きな出来事が2つあり、人の生死について考えることが多かった1年でした。こんな出来事があっても、年々早くなる時の流れにくさびを打ち込むことはできないんだ…としんみり感じ入る年の瀬です。(実際はイラスト描いたり赤子に乳をやったり上の子のトイレに付き合ったりする間にしんみりしております)自分にとってはあっという間の1年でも、今年の1月に産まれた赤子にとってはまさに進化の1年。ほとんど目も見えず、泣いて乳を飲んで寝て…の繰り返しだった新生児から、乳以外のものを食べ、床に落ちている小さなゴミを拾い、自力で移動できるようになったのですから、すごい成長です。そういえば、先日実家で見たアルバムには、母の字で「バックでハイハイするのが得意」という一文が添えられた赤ちゃん(私)の写真が貼られていました。それはまさしく数ヵ月前の我が子の姿。腹ばいになって動こうとするものの、手足の力のバランスが取れず、後ろにジリジリと進んでしまう赤ちゃんの姿を思わず写真に収めた母の気持ち、今ならよくわかります。母の視線は今の私の視線であり、おそらく人が子どもを産み育てるたびに投げかけられる、人類共通の眼差しなのでしょう。生まれてくる赤ちゃんを慈しみ、その成長を見守るという営みが、どうか途絶えることのない世界であってほしい…。オムツを替えながら、また想いに耽る年の瀬でした。今日のかるた「進みたいのに遠ざかる」
2015年12月30日大切なのは、テレビの戦略に振り回されないこと の続きです。前回は「テレビをはじめとした情報媒体が出す情報を鵜呑みにし、必要以上に振り回されることがないよう、子どもを見守る親としては気をつける必要がある」ということをお話ししました。今回はそれを受けて、「テレビと現実の違いを判断できる子に必要なこと」について解説します。テレビと現実を冷静に判断できる子どもに育てよう現在、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞、そしてWebも含めたメディアのほとんどにおいて、広告が欠かせない存在になっていることはたしかです。テレビを見ていても、日々たくさんのCMが目に入ってきます。それらを見て、たとえば幼い子が影響され、テレビアニメのヒーロー・ヒロインのポーズをまねしたり、テレビアイドルの物まねをして歌ったりというのは、見ていてほほえましく感じられるのではないでしょうか。しかしながら、そうした幼い頃であればともかく、小学校の高学年になってまでテレビの影響をもろに受けているような子どもは少し心配だと考えられています。というのも、子どもがテレビの影響をもろに受けるということは、そうしたメディアに晒されている時間が長すぎるおそれがあるからです。それ以外にも、現在の自分に対して不満を抱いていたり、家族に愛されておらず本当の自分を認めてもらっていないと感じていたりするような場合にも、こうした傾向が見られることがあります。「ありのままの自分でいい」と認識することで、テレビと現実を区別できるようになるとはいえ、テレビをはじめとする情報媒体が出す情報に踊らされた経験がまったくないという人はいないでしょう。現代人であれば、誰しも一度ぐらいは騙された経験があるはずです。こうした情報媒体には、実際には皆が共通して持っていないようなものや概念といったものを、あたかも共有しているかのごとく見せてしまうという性質があります。そして、「多くの人々と何か1つのことを共通して持っている」という感覚は、現実の生活に充足感を持っていなかったり、心に寂しさを抱えたりしているような人間をあっさりと虜(とりこ)にする傾向が強いものです。心理学的な一例を挙げると、・自分の今のあり方にどこかで疑問を持ち、こんなはずじゃなかった感をくすぶらせている女性たちが韓流ドラマにハマる・友だち関係がうまくいかない子どもがアイドルグループにハマる・ストレスを溜めた男性たちがワールドカップの時だけ熱烈に応援運動をするといった具合です。ありのままの自分でいい、ときちんと感じていれば、子どもはこうした情報媒体からの同調圧力に引きずられることはありません。テレビの中で起きていることと現実の自分とは違っているけど、それでもいいんだとしっかりと感じることができるからです。テレビが流行をけたたましく宣伝していても、それを冷静に受け止めて、「自分には関係ない」と判断することができますし、同じぐらいの年齢の子どもがテレビで脚光を浴びているのを見ても、自分もそうなりたいと盲目的に思い込むようなこともありません。次回はいよいよ、皆さんがもっとも知りたいであろう「テレビの情報を鵜呑みにしない子に育てるにはどうしたらよいのか?」についてお話しします。(子育ての達人)
2015年12月30日前回 、幼稚園や保育園の保育形態の違いが、子どもの学力格差につながるという話をしました。さらに、保育形態の違いは、運動能力にまで影響を及ぼしてしまうのだそうです。保育形態の違いによって学力や運動能力に差が出てしまうのはなぜか、発達心理学や保育学が専門の内田伸子先生にお話を伺いました。幼児期に運動指導を受けている子どもは、かえって運動能力が低い「東京学芸大学の杉原隆先生が、全国9,000名3~5歳の子どもを対象に、運動能力に関する調査を実施しました。すると、体育の時間を設けている幼稚園や保育園に通っている子どものほうが、子どもの自主性や主体的な遊びを大切にしている子ども中心の保育の幼稚園や保育園に通っている子どもたちよりも運動能力が低いという結果になりました。さらに、運動の指導を受けている子どもたちは、運動嫌いになっていることが多かったのです」運動指導を受けることで、かえって運動能力が下がってしまうとは、驚きの事実です。なぜ、そんなことになってしまうのでしょうか。「特定の部位を動かす運動をまるで強制的なトレーニングのようにくり返していると、それ以外の動きをする機会を失います。さらに、運動のための説明を聞いている時間が長く、肝心の動き回る時間が少なくなっていることも問題です。また、トレーニングのように行う運動は面白くありませんから、子どもは飽きてしまいます。またこのトレーニングについていけない子どもはつらくなり、落ちこぼれてしまうのです。そのうえ、子どもは5歳ころになると、『展示ルール』が確立されてきます。展示ルールとは、他者の気持ちを考えて自分のふるまいを決めるルールのことです。つまり他人の目を気にしはじめるのです。すると、友だちより自分ができないことは嫌だと思うようになります。そして、運動嫌いになってしまうのです」運動能力を高め、運動を好きになる方法「運動能力を高めるために大切なことは、自由遊びです。子どもは遊びを通して、走ったり、登ったり、運んだり、自由にたくさんの種類の運動を経験します。それが運動能力を高めることにつながるのです。体を使って楽しく遊べるよう、ときどき保育者が誘ってあげるといいですね。たとえば、あひるさんになって向こうまで行こうとか、踏み台を使って高いところにあるものを取るのを手伝うとか」それなら運動を楽しみながら、運動能力を伸ばしていけますね。運動神経と学力を伸ばすポイントは「自由保育」「この調査結果から、杉原先生は、遊びを大切にする自由保育(※1)がいいとおっしゃっています。私たちが行った子どもの学力に関する研究結果もまったく同じでした。自由保育を行っている幼稚園や保育園に通っている子どもの語彙得点は非常に高く、一斉保育(※2)を行っている幼稚園や保育園に通っている子どもの語彙得点は低く、その差は年齢が高くなるほど開いていくことがわかっています。(詳しくは 前回の記事 をご覧ください)」(※1) 自由保育とは:自由遊びの時間が長く、子どもが主体となって自発的にやりたいことに取り組む、子ども中心の保育形態のこと。放任とは違い、子どもの自主性を尊重しつつも、幼児期に学んでほしい目標や狙いを達成できるよう保育士が誘導する。国立大学附属幼稚園や公立幼稚園や私立幼稚園の一部、社会福祉法人の保育所では子ども中心の保育であり、子どもたちは好きな遊びに主体的に取り組み保育者は援助者として子どもの学びに寄り添い、子どもが困っているとき助けてあげる「わき役」である。(※2) 一斉保育とは:全員に同じこと(体育や音楽、お絵かきなど)をさせる、カリキュラム中心の保育形態のこと。小学1年生の準備教育や英会話などを取り入れ、体操選手をつくるということなどを教育目標にかかげる私立幼稚園や私立保育園の一部にみられる。 遊びを通して子どもは学習するのですね。「そういうことです。幼児にとって遊びとは『自発的活動』であり、頭がイキイキと活発に働いている状態です。扁桃体が快感状態にあるので、吸収力が大きくなるのです」考える力と運動能力を高められるよう、子どもをたくさん遊ばせてあげましょう。(佐々木月子)今回取材に協力してくださったのは内田 伸子先生十文字学園女子大学特任教授・お茶の水女子大学名誉教授・学術博士。専門は発達心理学、認知心理学、保育学。国立教育政策研究所「幼児の論理的思考の発達調査プロジェクト会議」(主査)、最高裁「裁判員制度の有識者会議」(委員)、文化庁国語審議会委員なども務めるほか、NHK Eテレの「おかあさんといっしょ」の番組開発やコメンテーター、ベネッセの子どもチャレンジの監修、しまじろうパペットの開発、創造力知育玩具「エポンテ」(シャチハタ)の開発なども担当。著書は、『発達心理学―ことばの獲得と教育』(岩波書店)、『よくわかる乳幼児心理学』(ミネルヴァ書房)、『 子育てに「もう遅い」はありません 』(冨山房インターナショナル)など多数。
2015年12月30日みなさんは、お子さんがお友達をつくる力について気になったことはありませんか?「うちの子は、内弁慶。家では、言いたいこと言っているけど、幼稚園や保育園・学校では、ほとんど友だちがいないし、自分からも話しかけていない」「なんだか、友だちから言われっぱなしで、自分の思っていることは、言葉にできていない気がする」そんなふうに、お子さんの友人づくりの力について心配しているお母さんは少なくありません。子どもたちの約8割は、小3になり自然と「ふつうに友だちをつくることができる子」になっていくのですが、2割くらいは、小学校や中学校で不登校になってしまうのです。では、どうすればいいか。答えは一つ。できるだけ、早いうちから、同世代や少し上の子どもたちとの遊ぶ関係を体験する機会をつくっていくことです。私たちカウンセラーのもとに、不登校になってやってくる子どもは、「大人とは仲良くなれるけど、同じくらいの子ども同士の関係は苦手」という子が圧倒的に多いからです。しかし、「同じ年や少し上の子どもと遊ぶ体験」をつくる機会をつくりたくても、なかなかつくれない、と多くのお母さんは、悩みます。そして、そんな「同じ年や少し上の子どもと遊ぶ体験」を与える貴重なチャンスが、お正月にやってくるのです。兄妹の少ない今、いとこと関わることは人間関係を育てるのに最適な環境です。私の娘もそうでした。2歳のころ、福岡の実家に帰省した際、少し上のお姉さん、お兄さんと遊んでもらっているうちに、わずか2、3日のあいだに、娘のボキャブラリーが驚くほど、増えたのです。それまで、単語をいくつか並べることが多かったのが、「~はね、~なのよ」と主語と述語を明確にして話すことが途端に増えたのです。こんな短期間のうちに、これほど、手に取るように、子どもの発達の様子がわかることはめったにないので、さすがに驚きました。いとこのお姉ちゃんとの会話の中で、お姉ちゃんたちがよく使っていた表現を模倣して身につけたのでしょう。おそらく、同じように保育園で少し上の子どもたちとのかかわることで、娘はいろいろなことを学んでいることでしょう。子どもの数の都合で、娘はある年、「数カ月から1才年上の子ども」たちといっしょのクラスになって、毎日を過ごしています。この「少しだけ上の子どもと遊ぶ体験というのが、子どもの知的発達にとって大きな効果があることが発達心理学の成果として言われています。知的発達ばかりではありません。社会性の面「少しだけ上の段階」にある子どもとのやりとりが刺激となって、発達がワンステップ上昇していくのだと、発達心理学では、考えています。「少しだけ年上の子どもたちといっしょに生活体験を重ねる」ことが、子どもにとって最大の成長の機会になります。年齢の近い兄弟姉妹がいる時、弟や妹のほうが、言葉の習得も社会性の獲得も早いとよく言われることがありますが、あれも、理に適ったことです。オリンピックでメダルをとる選手にも、第一子よりも第二子や第三子が多いのです。それも、お兄ちゃん、お姉ちゃんを見ているからかもしれません。忙しい毎日。正月に、地方の実家に帰省するのも面倒くさいという方もいるかもしれません。しかし、私たち自身の子ども時代を振り返ってみると、どうでしょう。盆や正月を父や母の実家で過ごし、全国から集まってくるいとこたちと遊んだのが、何か、とても大切で、懐かしい思い出になっている方も少なくないのではないでしょうか。さらに、いとこたちとの遊びを絶えずあたたかく見守ってくれる祖父母や叔父、叔母など、大勢の大人たちに支えられ、見守られている感覚を持つことができたことも、私の子どもの折の成長にとって大きな意味を持っていたように思います。正月だけに限らず、「少しうえのいとこと遊ぶ体験」は、大きな成長のチャンスになります。その体験が、将来不登校になるのを防ぎ、友人作りや恋愛、結婚、職場での人間関係作りなどに、たいへん役に立つのです!(諸富祥彦)
2015年12月29日テレビは有害? それとも無害? の続きです。「テレビは情報を伝える媒体だが、同時にテレビを放送することで収益が出ないとテレビ局としては成立しない。そのため、都合がいい情報を流すという側面があり、テレビの内容を鵜呑みにせず、吟味する力も必要」ということを前回お話ししました。今回は、テレビの戦略の事例を見て、テレビに振り回されないようにするための知識をつけましょう。テレビの情報操作(戦略)の一例を見てみよう派手な富裕層を指して「セレブ」などともてはやすことがあります。テレビでもセレブの豪邸を紹介したり、派手な暮らしぶりを放送したりといったことがよく行われています。そして、そんなセレブになることこそが人生の一番の目的であるかのような情報を流したりします。テレビがこういった番組を作って情報を発信するのにはきちんとした狙いがあります。たとえば、そうした「『セレブ』が使っている商品を売りたいスポンサー」の意向を汲んだ番組構成をしている場合です。これは、テレビの特性を活かしてセレブへのあこがれをあおり、その人が使っている商品を買わせようとする試みです。単なる販売促進活動に過ぎず何ら違法性はありませんが、それでもテレビの番組がそういったことをある程度狙っているのではないかと意識しておくことは大切です。こういう場合、実際に最初から「セレブ」と言われている層があり、その事実をテレビなどが取材して情報発信しているというよりも、テレビがそうやってそこに焦点を当てて「セレブ」をリピートしたことによって「セレブ」という層が生まれてきた、というような側面もあります。そうしたカラクリに気づかずにテレビから発信される情報を鵜呑みにしてしまうと、現在そういった派手で裕福な暮らしをしていない自分や家族、あるいは両親が、みずからをいわゆる「負け組」なんだと思い込むことが起きてくるかもしれません。あるいは、自分もそうしたセレブたちに近づこうとして高価な品物を買い集めたり、裕福な暮らしをするためお金を儲けようとして借金までして株に手を出したりといったことをするようになるかもしれません。テレビをはじめとした情報媒体が出す情報を鵜呑みにし、それに基づいて行動してしまうと、見事に操られてしまうことになります。メディアから発信されている情報には、送り手の意図が必ず潜んでいます。ですからテレビの画面でなんらかの情報が紹介された時には、見たままを信じこむのではなく、実際とはどこか何かが違っているかもしれない、という意識を常に持っておくことが必要と言えるでしょう。こうした意識を持ってメディアに接するのは、大人でも案外難しいものです。これが子どもであれば、さらに難しくなります。華やかな芸能界などにあこがれを持ちやすい傾向のある子どもは、特に注意したほうがいいでしょう。最近では「庶民派」などと称して、さほど特別そうにも見えない若い女の子が芸能界でスポットライトを浴びたりする場合があります。そういう例を見せられれば、自分だって機会さえあれば、と子どもたちが思い込んでしまったとしても責められないのではないでしょうか。このようなかたちで、子どもたちを含め発信される情報に、必要以上に振り回されることがないよう、子どもを見守る親としては気をつける必要があるのです。ところで、そのようにテレビの情報を鵜呑みにせず、テレビと現実との違いを冷静に判断できる力を持つために大切なこととは、一体何なのでしょう。それについては、次回ご紹介します。(子育ての達人)
2015年12月29日2010年7月、文部科学省の幼稚園課が気になる調査結果を公表しました。「幼稚園卒の子どものほうが、保育園卒の子どもよりも、学力テストの成績が高い」というものです。本当でしょうか? 本当だとしたら、なぜでしょうか?この発表を受けて、発達心理学や保育学が専門の内田伸子先生が詳しい調査を行いました。親の経済格差が子どもの学力格差につながる?文部科学省の発表に対し、一部で「学力格差は経済格差を反映している。保育園に通わせる家庭は低所得者が多いため、学力も低いのではないか」という意見が出されました。そこで内田先生は、経済格差が子どもの発達や親子のコミュニケーションにどのような影響をもたらしているのか、日本、韓国、中国、ベトナム、モンゴルにて各国の3~5歳児3,000名を対象に調査しました。「日本では、世帯所得が700万円以上を高所得、700万円未満を低所得とし、子どもの『読み書き能力』を比較しました。その結果、文字を書く能力、読む能力のどちらにも、親の経済力による差はありませんでした」子どもの教育に配慮している家庭の子どもは、語彙が豊富「ただし、知能テストと相関が高い『絵画語彙検査』では、所得の高い家庭の子どものほうが成績が高いという結果になりました」「絵画語彙検査」とは、絵を見せ、その絵が示す言葉を知っているか尋ねるテストです。語彙の豊かさは知能と相関しているので、語彙の多い子ほど知能が高いと言われています。「所得が高い家庭は子どもに習い事をさせていることが多いので、それが影響しているのではないかと思い、調べました。すると、習い事をしている子のほうが、していない子より絵画語彙検査の得点が高いという結果がでました。ただし、運動系の習い事をしている子と、学習系の習い事をしている子の間に成績の差はありませんでした」ということは、習い事の内容が知能を高めているわけではないようです。習い事によって、友だちや先生などとコミュニケーションを取る機会が増えるため、語彙も増えるのではないかと推察されます。「自由保育」の幼稚園や保育園に通っている子どもは学力が高いさらに、保育形態によって子どもの語彙得点に大きな差があることがわかりました。「自由保育(※1)で、子ども中心の保育を行い、自由遊びの時間が長い幼稚園や保育園に通っている子どもの語彙得点が非常に高かったのです。反対に、一斉保育(※2)で、小学校一年生の授業を先取りして準備教育を行っている幼稚園や保育園に通っている子どもは得点が低い結果となりました。しかも、子どもの年齢が高くなるほどその差が開いていきました。幼稚園か保育園かは、まったく関係がありませんでした。韓国、ベトナム、モンゴルでの調査も同じ結果でした。唯一、中国は保育園での一斉保育しかないので、比較ができませんでした」 (※1) 自由保育とは:自由遊びの時間が長く、子どもが主体となって自発的にやりたいことに取り組む、子ども中心の保育形態のこと。放任とは違い、子どもの自主性を尊重しつつも、幼児期に学んでほしい目標や狙いを達成できるよう保育士が誘導する。国立大学附属幼稚園や公立幼稚園や私立幼稚園の一部、社会福祉法人の保育所では子ども中心の保育であり、子どもたちは好きな遊びに主体的に取り組み保育者は援助者として子どもの学びに寄り添い、子どもが困っているとき助けてあげる「わき役」である。(※2) 一斉保育とは:全員に同じこと(体育や音楽、お絵かきなど)をさせる、カリキュラム中心の保育形態のこと。小学1年生の準備教育や英会話などを取り入れ、体操選手をつくるということなどを教育目標にかかげる私立幼稚園や私立保育園の一部にみられる。園種より保育形態が語彙力と関連する(内田・浜野,2012より)「文部科学省の調査の対象となった国立大学付属幼稚園はすべて自由保育を行っています」つまり、子どもの学力格差は幼稚園と保育園の違いによるものではなく、自由保育か一斉保育かの違いによるものだったのです。保育形態の違いによって差が出てしまうのはなぜなのか、次回の記事で詳しくお伝えします。(佐々木月子)今回取材に協力してくださったのは内田 伸子先生十文字学園女子大学特任教授・お茶の水女子大学名誉教授・学術博士。専門は発達心理学、認知心理学、保育学。国立教育政策研究所「幼児の論理的思考の発達調査プロジェクト会議」(主査)、最高裁「裁判員制度の有識者会議」(委員)、文化庁国語審議会委員なども務めるほか、NHK Eテレの「おかあさんといっしょ」の番組開発やコメンテーター、ベネッセの子どもチャレンジの監修、しまじろうパペットの開発、創造力知育玩具「エポンテ」(シャチハタ)の開発なども担当。著書は、『発達心理学―ことばの獲得と教育』(岩波書店)、『よくわかる乳幼児心理学』(ミネルヴァ書房)、『 子育てに「もう遅い」はありません 』(冨山房インターナショナル)など多数。
2015年12月29日生まれた時からすでにある程度、男の子と女の子の性質は決まっているようです。なぜ、違いが生まれるのでしょう。性差の秘密について、発達心理学が専門の内田伸子先生にお話を伺いました。知能テストでも、男の子と女の子に違いが出る「知能テストを行うと、『アのつく言葉をたくさん言って』というような、言葉の流暢さや言語発達を測定する課題は女の子のほうが好成績です。棒をひっくり返して反対側の溝に倒さずに並べていくような、指先の器用さを測定する課題でも女の子のほうが高得点が出ます。男の子が得意なのは、心的回転力検査です。異なった角度から見た図形の中で、同じ図形はどれかを当てる検査のことで、頭の中で図形を回転させて考える必要があります。また、ダーツのように的を狙うものも男の子のほうが得点が出ます」男の子と女の子では、能力を発揮できる得意分野が違うのですね。男女の得意分野が違うのは、脳の性質が違うから「脳の左側(左脳)は理性の脳と呼ばれ、言語や概念、計算を担っています。右側(右脳)は感性の脳と呼ばれ、地図を読み取ったり、平面から立体を想像したり、音楽を聴くときなどに使います。感情や気持ちを感じ取るのは右脳ですが、『あ、ママのご機嫌が斜め』というようにラベルを付けるのは左脳の仕事です。このように右脳と左脳は違う働きをし、互いに協力しあっています。右脳と左脳が協力しあえるよう、情報を伝えたり制御したりするのが脳梁(のうりょう)という部分です。脳梁は、脳の成熟が早い女の子の方が大きくなります」それはなんと、生まれる前に浴びるホルモンの影響なのだそうです。「妊娠中、男の子になる受精卵(XY型の性染色体)には男性ホルモンが浴びせられ、将来、男の子になるための準備が始まります。このとき、男性ホルモンの影響によって、成長ホルモンが抑制されるため、身体と脳の成熟が一時的に抑えられます。その後、相対的に右脳が発達するため、男の子は図形や空間などの認識が得意だと言われています。一方、女の子になる受精卵(XX型の性染色体)には男性ホルモンによるストップがかかりませんから、脳が成熟し続けます。特に左脳が早く成熟します。それは、脳も身体も左側が先に成熟するためです。そして、女の子は左右の脳の成熟度がアンバランスになり、左右をバランスよく使うために脳梁が発達するのです」なるほど。女の子は言語を司る左脳が発達しているうえ脳梁が太いので、思いを言葉にしたり、物事を同時に処理したりすることが得意なのですね。男の子は口ベタで甘えん坊「女の子は3歳くらいで小さなレディになりますが、男の子は小学校6年生くらいまで『ママ、ママ』と甘えん坊です。また、病気になったとき、保育園を何日も休むのは男の子のほうが多く、女の子は回復が早い傾向があります。熱に弱いのも男の子のほうが多いようですよ」それは、女の子の染色体XX型に比べて、男の子のXY型は小さくてデリケートなことが影響しているとも言われています。「ですから、小学校を卒業するまでは『男の子でしょ』なんてプレッシャーをかけずに育ててあげてください。そうすると、思春期に第二次性徴がやってきて、しっかり自立していきます」つまり一般的に、女の子は成熟が早くて言葉が達者、一度にいろいろなことをこなせて器用。男の子はひとつのことに集中して取り組み、甘えん坊の傾向があるということのようです。男女の違いを知ったうえで、その子にあった子育てをしていきたいですね。(佐々木月子)今回取材に協力してくださったのは内田 伸子先生十文字学園女子大学特任教授・お茶の水女子大学名誉教授・学術博士。専門は発達心理学、認知心理学、保育学。国立教育政策研究所「幼児の論理的思考の発達調査プロジェクト会議」(主査)、最高裁「裁判員制度の有識者会議」(委員)、文化庁国語審議会委員なども務めるほか、NHK Eテレの「おかあさんといっしょ」の番組開発やコメンテーター、ベネッセの子どもチャレンジの監修、しまじろうパペットの開発、創造力知育玩具「エポンテ」(シャチハタ)の開発なども担当。著書は、『発達心理学―ことばの獲得と教育』(岩波書店)、『よくわかる乳幼児心理学』(ミネルヴァ書房)、『 子育てに「もう遅い」はありません 』(冨山房インターナショナル)など多数。
2015年12月28日現代はテレビがあるのがほぼ当たり前の時代であり、多くの人が毎日の生活に必要な情報をテレビを通じて受け取っています。テレビが子どもにどんな影響を与える可能性があるのかについて、少し考えてみましょう。テレビは場合によっては有害にもなり得る?最近はテレビがない家や、あってもほとんど見ないといった家もありますが、そうした家庭はまだまだごく少数にとどまっているのではないでしょうか。今のところ、テレビは情報を受け取るためのメインデバイスであり、いわば生活に必要なものと位置づけられているかと思います。テレビに対する考え方も最近はいろいろで、テレビなんて害ばかりで見る価値がない、といったことを言う人も中にはいます。テレビを見なくても、何らかのかたちで現在の世界情勢や流行などを追いかけることができていればいいのですが、それがない状態で情報媒体としてのテレビを生活から遠ざけてしまうのは、社会情勢に適応できなくなるという意味で現実的ではないと思います。特に、子どもが友だち同士うまくやっていくためには、テレビはほぼ必需品となっているところがあります。世の中で今流行っていることをキャッチし、それによって友人間でのコミュニケーションをスムースにするのに欠くことができないものとなっているからです。子どもたちの間でうまくやっていくには、最近話題のテレビドラマや流行曲、タレントの情報やバラエティ番組の内容などを知っていないと、なかなかに難しいものがあります。一方、テレビに害があるという意識を持った人も増えてきているのも、また事実です。この、「テレビは使い方によって有害にもなり得る」という考え方は、ある点では当たっています。テレビが生活の中で必要であると位置づけられている今だからこそ、そうした危険性をきちんと意識しておくことは必要でしょう。こういった危険性をきちんと分かっていれば、テレビが発信している情報を何も考えず鵜呑みにしたり、テレビ中毒のような状態に陥ってしまったりせずにすみます。テレビは情報を伝える媒体でもありますが、同時に経済性を追求する企業が行っている活動でもあります。つまり、テレビを放送することで収益が出ないとテレビ局としては成立しないわけです。言い方は悪いかもしれませんが、テレビはその情報を発信する主体にとって都合がいい情報を流しますし、所有側が好きな情報を流すのは当然の権利とも考えられます。テレビというものの本質の中にそうした側面があることを理解し、ある程度批判的にその内容を吟味する力も必要なのです。次回は、テレビの内容を吟味する力をつけるための一例をご紹介します。(子育ての達人)
2015年12月27日物事には多面的な見方があることを教えよう の続きです。子どもには物事を一面的に捉える傾向があり、それゆえに不登校になってしまうものです。大人のように見方を変えて捉えることができれば、不登校になるほど悩むこともないはず。そこで今回は、子どもに多面的な見方を教えるためのヒントをご紹介します。物事を多面的に捉える技術を手に入れるには子どもが物事を多面的に捉える技術を身につけるには、やはりきっかけが必要です。けれどもそれは、家庭の中で用意できることです。チャンスはたくさんありますので、子どもにとって身近なことを利用して教えていけばいいのです。たとえば、食べ物を例として見てみましょう。子どもは割合に好き嫌いが多いものですが、その一方、ふとしたきっかけで嫌いなものを食べられるようになることもあります。ある食べ方では苦手だったものが、別の調理方法を使ったりメニューを変えたりすればおいしく食べられる、といった経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。こうした発見は、子どもにとって物事を多面的に捉えることのいい例になります。あれほど苦手で食べられなかった食材が、この料理にしたらむしろおいしく食べられた、というのはかなりのインパクトを与えることだからです。その際に、物事を多面的に捉えることについて話してみれば、効果はさらに上がります。このような経験を豊富にしてきた子どもは、物事を多面的に捉えるための気づきをたくさん得ることができますので、ほかの点で何か問題が起きた時にそれを応用し、自分の中で問題を解決しやすくなります。一見嫌でたまらないことが起きた場合でも、その出来事について別の評価をするだけで感じ方を変えられることを知れば、どっぷりはまり込んで悩むこともなくなるはずです。多面的な捉え方を教えると、好き嫌いがなくなる!?食べ物の場合に大事になってくるのは、親が子どものためにできるだけ料理を手作りすることです。そしてその中で、子どもに好き嫌いが多いからといって、子どもの好きなものばかり作らないことも重要です。子どもが嫌いな食材があったとしても、いろんな料理法やメニューを試してみるのが大事なのです。そして、工夫次第で嫌いな物でもおいしく食べられるようになるのだということを、身をもって子どもに示すこともできます。このやり方にはうれしいおまけもついてきます。それは、子どもの好き嫌いが結果的に減るという効果です。嫌いなものが減れば健康にもいい効果がありますし、食事の楽しみも増すので、子どもはその点でも幸せを感じることができます。このように日常には些細な困難がたくさんあります。それらに出くわした時に、「避ける」という対処法を採るのではなく、「解決する」という対処法を採るように(採れるように)、親がサポートしていく姿勢が重要なのではないでしょうか。(子育ての達人)
2015年12月26日息子の生後1カ月を祝って、お宮参りに出かけることになった。そもそもお宮参りとは、その土地の守り神にこどもの誕生を報告し、健やかな成長を願うためのもの。せっかくの機会なので、わたしたち夫婦が結婚式を挙げた歴史ある東京の某神社でお宮参りをすることにした。振り返れば結婚、妊娠と、今の住まいに引っ越してから大きな変化があった。息子の成長をこの土地の神様に見守ってもらえたらありがたい。お宮参り当日、天気も良好。両家の家族が集まり、それぞれおしゃれをして、息子を囲む。息子には親戚がお祝いでくれた、可愛い刺繍の入ったベビー服を着せた。家族全員、終始笑顔が絶えない。あぁ、なんと幸せな日なんだろう。息子が誕生して一カ月が経ったのと同時に、わたしも母親になり一カ月。今日まで体調も良く、しっかり大きく成長してよかった。親バカだけれど、もうそれだけで親孝行な子だと言ってもいい。お世話になった宮司さんに挨拶を済ませ、受け付けへ。御初穂料をお渡しすると「こちらにお子さまのお名前をお書きください」と言われたので、お父さんになって、これまた一カ月の夫が気合いを入れて一筆書くことになった。受け付けが終わり、しばらく待っていると、、「あれ? 何か違和感が…」名前を見直すと、これはびっくり!息子の名前は、「歓」。しかし、受け付けには「勧」と書いてあるではないか…!「ちょっと! ちょっと! 間違えてるよ!!」と、激しく夫にツッコミを入れる。「はははははは…、本当すみません」。申し訳なさそうな顔でわたしの両親に詫びを入れる夫。まだ書き慣れていない息子の名前とはいえ、間違えるなんて相当な天然である。大事なお宮参りにこんな珍事件を起こすなんて、さすがわたしの夫だ。宮司さんも苦笑いをしながら「はは…、新しくお持ちしましょうか。」と快く差し替えてくれた。子どもの名前を間違えるとは、あぁ、なんと恥ずかしい。もう一度、今度は間違いのないように綺麗に一筆、「歓」と書いた。これで一安心。しばらくして、わたしたちの番になり、本殿の中で祝詞をあげてもらう。ドンドンドン!! と、太鼓の音が響き渡り、息子の名前が読み上げられるとさっきまで静かにしていた息子が目を丸くして「おぎゃ~わ~わ~わ~」と声をあげて泣き出した。まるで神様と会話をしているようで、その声を聞きながらわたしは心の中で「この子が生涯にわたって健康でありますように」と願った。これから先、育児に悩むことがきっと出てくるだろう。そんな時はここに戻って来て、今日のことを思い出すんだ。わたしはきっと、生涯にわたって、ずっとこの子の健康を願うだろう…。(Boojil)つづく次回は「あいたたた…悶絶!骨盤矯正」をお送りします。
2015年12月24日なぜ子どもは不登校になるのか? の続きです。「子どもが不登校になってしまうのは、大人に比べると子どもの生きている世界が『狭い』ということに起因する」ことを前回ご紹介しました。今回は、そうした一見狭く見える世界も、見方を変えると道が開けることもある…ということについてお話しします。物事を多面的に捉えることが必要学校では、ものの言い方や友だちへの態度、ふとした弾みで取った行動などを契機として、それまで親しい友だちづきあいをしていた相手がこちらに敵意を向けてくる、などということは割合頻繁に起きる事柄です。大人にしてみれば、世界は何も学校だけでできているわけではないのだから、と思えるようなことでも、子どもにとっては学校での人間関係が自分の世界のほとんどを占めているわけですから、ものすごく大きな問題となって見えるわけです。ちょっとした行き違いで友だちにそっぽを向かれたり、学校で自分の居場所がなくなってしまったというように感じたりする子どもはいくらでもいます。そうなった時に、「もうどうにもならない」「一生嫌われた」「学校に行ってももう居場所がない」などと考え始め、最終的には不登校というかたちに行き着くことになるのです。大人であれば、よほどのことがない限り、そして、やり直そうという気持ちがある限り、どんな状態からでも挽回ができるということを理解しています。皆無とは言いませんが、「もうどうにもならない」ことなどほとんどありません。ところが、まだ未熟な子どもは物事を一面的にしか見ることができないため、そういう理解の仕方ができないと考えられています。極論すれば、・ある友だちに嫌われてしまったとしても、別の友だちを見つければすむことです。・クラス全員にそっぽを向かれたのであれば、1人で遊んでもいいでしょう。・何かで教師に怒られた場合でも、それ以後きちんとすることで見直してもらえばいいだけのことです。・最悪その学校でどうにもならない状態に陥ったとしても、そんなものはその学校を卒業するまでのことなのですから、学校には卒業まで我慢して通いつつ、学校以外のところで何か他のものを見つける努力をすればいいだけのことです。このように、大人がしているように物事を多面的に捉えるようにすれば、今以外の道がいくつも見えてきます。そうすれば、何も不登校になってしまうほど悩む必要は低減するはずです。しかし、子どもはこうした見方ができませんから、物事を一面的に捉えてそこにはまり込んでしまい、悩み過ぎた上に不登校になってしまうのです。せっかくのびやかに過ごすことのできる子ども時代を送っているはずなのに、これは大変もったいないことだと思います。そんなふうにならないためにも、物事を多面的に捉える技術をきちんと身につけておくことが大事になってきます。では、子どもに多面的な物事の捉え方を教えるには、どうするのがよいのでしょう? 次回ご紹介します。(子育ての達人)
2015年12月24日こんにちは、師走の日暮れの早さについていけないイラストレーター栗生です。そろそろ今年1年分の経理作業をやらねばならんのですが、まだ一文字も入力しておらず、加えて年末の〆切の早さと年明けの〆切の近さと部屋の寒さが相まって震えが止まりません。そんな私のほっとステーションである赤子は最近、新生児のころ使用していたベビーバスに自ら出入りして遊ぶのがお気に入りのご様子。出産からわずか1カ月ほどしか使わなかったベビーバスも、再び日の目を浴びることができてさぞ喜んでいることでしょう。思い起こせば、ベビーバスでの初めての沐浴はとても肩がこる難しい作業でした。慣れたころには沐浴が終了しお風呂デビューとなっていたので、こちらの洗浄技術があと一歩及ばないもどかしさがあったものです。特に首や脇の下、足の付け根、手指の間などのムチムチお肉で隠れた箇所は汚れを落とすのが難しく、気がつけば赤くかぶれていたことも…。ちなみに手のひらの汚れはお風呂で洗い落とすのは諦めて、入浴後にじっくり取り除いていたのですが、これ、何気に楽しいひとときでした。手指に挟まっているほこりを「〇〇ちゃんの宝物」と呼んでいる人もいるそうなんですが、確かにこれをつまみ出す行為にはかなりのお宝発掘感があります。それにしても、手のひらをずっと握っているのに、赤子はいつどこでこんなにほこりを仕込んでいるのか。謎は深まるばかりです。3カ月くらいになると手を開くようになるので、この仕込まれたほこりも産まれたて限定のレアグッズということになるのでしょうか。今日のかるた「シワの中はワンダーランド」
2015年12月23日文部科学省によれば、平成25年度の小中学生の不登校は約12万人であり、前年度に比べると7,000人程度増加しています。さらに詳しく見ていくと、小学生の不登校は24,175人で、前年度比較で2,932人増加。中学生の場合は95,181人で、前年度比較で3,932人増加という結果になっています。このように不登校になってしまう子どもは増えてきていますが、自分の子どもが不登校に陥ってしまわないようにするためにはどんな点に注意すればいいのか、一緒に考えていきましょう。子どもの世界は狭い子どもが不登校になってしまうのは、大人に比べると子どもの生きている世界が「狭い」ことに起因すると考えられています。大人の場合、家庭以外にも幅広い人間関係を持っているものです。たとえば会社のほかにも、趣味に関する仲間、昔の友人関係、学校関係の知人、近所の人間関係、行きつけのお店など、その人間関係の種類は多岐にわたります。このため、TPOに応じて自分のキャラクターを変える機会も多いものです。会社では部下をよくまとめる上司、近所づきあいでは面倒見のいいお母さん、学校行事では子どもたちと一緒に楽しんで活動するお父さん、などといった具合です。これに対し、子どもの人間関係はぐっと幅が狭まります。家庭の人間関係のほかには、まずなんといっても学校、そしてそこにせいぜい塾などの習い事が含まれる程度でしょう。少し前であればここに近所の遊び相手としての子どもたち、というのが入ったものですが、近頃は少子化の進展によって子どもの数が減っているため、近所で学校における人間関係とまったく違った人間関係を構築することが、あまりできなくなってきています。就学前の子どもの世界のほとんどは家庭で成り立っています。子どもが大きくなって学校に行きだすと、学校における人間関係が重要性を増し始め、しばらくすると人間関係の中心が、家庭→学校での人間関係に取って代わるようになります。子どもたちにとって学校は、毎日相当の時間を過ごしている場所ですから、そこでの人間関係は必然的に濃密なものになり、ほかの世界をあまり知らない子どもにとっては、それがすべてといったことになりがちです。ですが、学校での人間関係というのは得てして不安定なもので、ほんのささいな出来事や行動によって、ある日突然まったく別の様相を見せ始めることがあります。皆さんもその昔、学校に通っていた頃の経験を思い出してみれば、うなずけるところがあるのではないでしょうか。そんな不安定な学校での人間関係をうまく乗り切るためには、どのようにするのがよいのでしょうか? 次回、その方法を紹介します。(子育ての達人)
2015年12月23日お子さんが引っ込み思案であることで悩んでいる親御さんは少なくありません。「うちの子は、なんで自分の考えを言えないんだろう」「ほかの子は話をよくするのに、なんで、うちの子はしないんだろう」「このままでは、ほかの子のいいなりになってしまうんじゃないだろうか。9歳くらいから、いじめも増えてくるみたいだし、心配だなぁ。いじめられても、何も言えず、溜め込んでしまうんじゃないかなぁ。つらい思いをするかも」こんな心配をするのです。親としては、当然ですよね安心してください、引っ込み思案は直ります何を隠そう、私自身も、子どもの頃は、相当な引っ込み思案でした。小学校の頃、授業中に手をあげて発言した記憶がありません。ほとんど、一言も話すことができない子でした。しかし、大丈夫。ほとんどの引っ込み思案の子は、そのうち、自分の気持ちをちゃんと話せるようになります。私自身も現在、全国で多くの子育てに関する講演などを行っています。次々、いくらでも言葉が出てきます。ですので、長期的に見ると、ほとんどの引っ込み思案は、「自然と」いつのまにか直ってしまいます。心配はいりません。でも、やはりそうは言っても、できれば早いうちに、引っ込み思案を直してあげたいものですよね。では、どうすればいいか。次の3つのポイントを、大切にしてください。 子どもの引っ込み思案を直すポイント(1)責めない「どうして、自分の気持ちを、ちゃんと言えないの!」などと、責めないこと。これが一番、大切なことです。引っ込み思案の子の多くには、「自分は『言えない子』なんだ」と、「気にすれば気にするほど、話せなくなる」という特徴があります。気にすることで、ますますそれができなくなってしまいます。私たち心理士は「神経症状」と呼びますが、これは「気にすれば、気にするほど、ますますそれが強くなってしまう」のです。引っ込み思案のほかにも、つめかみ、歯ぎしりなど、さまざまなことがこれに当たります。これに対する親の対応のポイントの一番は、「あまり意識させないこと」です。そしてそのためには、まず、親御さん自身が、「お子さんの引っ込み思案」を「意識しない」ようにすることです。親が気にすればするほど、子どももそれを気にするようになる。そして、自分の引っ込み思案を気にすればするほど、ますますそれは強くなってしまうのです。子どもの引っ込み思案を直すポイント(2)親がモデルを見せる2つ目は、親が「モデル」を見せることです。お子さんの引っ込み思案を目の当たりにしていると、親としてはつい、イラッとしてしまいます。「どうして、自分で言えないの!」となってしまいがちです。しかし、これは逆効果。子どもはますます言えなくなってしまいます。そんな時、そっとお子さんの側に寄って言って「○○くんに、『○○』って、言ってみようか」「だいじょうぶだよ、言ってみよう」と声がけしてください。それでも言えない時は、お母さんがお子さんの後ろに行って、お子さんの代わりに言葉を言ってあげてもいいでしょう。そして、だんだんそれを少なくしていく(お子さん自身に一言でも言ってもらうようにする)のです。 子どもの引っ込み思案を直すポイント(3)言えない言葉を紙に書く言えない言葉を「紙」に書いてもらう。自分の考えを「言う」ことはできなくても「紙に書く」ことはできる子がいます。幼稚園や保育園、小学校の先生方と相談して、ほかの子が言っている場面で、替わりに、「紙に書く」ことを許可してもらいましょう。そして、先生に代わりに読んでもらうのです。読んでもらった後、クラスのみんなから大きな「拍手」をしてもらうと、さらに効果的です。私自身の「引っ込み思案」が治るきっかけになったのは、小学校2年生の時の学級担任の先生が、これをやってくれたことです。「今日の授業で一番、おもしろかったのは、諸富くんの意見でした。先生が読みます」私の考えたジョークが先生に読んでもらえたその瞬間、学級全体で、ドッとあたたかい笑いがおき、拍手になりました。私は、その時をきっかけに、徐々に人前で話すことができるようになりました。引っ込み思案の子の多くは、「人からどう思われるか」が気になって、緊張しています。みんなからあたたかく、受け入れられる体験をすることで、引っ込み思案の多くは直っていきます。これは先生方の協力なしには、無理なことです。ぜひ、このページを先生方に見せながら、協力してもらってください!(諸富祥彦)
2015年12月22日私は、子育てのカウンセリングをして、30年になります。その中で、もっとも多いと感じるのが、「私は、自分の子どもがかわいいと思えません。だめな親なんでしょうか」という相談です。子どもを愛せないことに罪悪感を持つ母親は多いとりわけ、「下の子が生まれてから、上の子をかわいいと思えなくなりました。どうしても上の子をきつく叱ってしまうんです」とか、「息子のことはかわいいのですが、娘のことがかわいいと思えません。つい厳しくしてしまいます。愛情不足の子に育ってしまわないか心配です」といった相談が少なくありません。いずれの場合も、どちらも自分の子なのに、一方の子は愛せるのに、もう一方の子は愛せないことに罪の意識を抱いているのです。では、一人っ子の親はどうでしょう。きょうだいを持つ母親と同様に「私は自分の子どもがかわいいと思えません。親失格なのでしょうか」と訴えます。そして、自分を責め、涙を流すのです。完全な親なんてどこにもいない私は、こうした相談を聞いた後、こう伝えることが多いです。「そうですか。自分の子どもだから、愛したいし、愛さなくてははらないと思っている。自分の子どもだったらかわいくて仕方ないのが当たり前なのに、そう思えない。そんな自分はおかしいのではないか。だめな親なのではないか。そう思っているんですね。そして自分を責めて苦しんでおられるんですね。でも、そんなことないですよ。自分の子どもをかわいいと思えない人は、たくさんいます。そして、それは自然な感情です。完全な親なんて、どこにもいません。かわいいと思えなくても、いいのです。無理して、かわいいと思わなくては、と、自分を追い詰めると、どんどん苦しくなってきます。ストレスも溜まります。そして、自分の中に、溜め込んだ気持ちが爆発するとキレてしまい、子どもに、『あんたはどうしてそうなの!』と八つ当たりしてしまう方が多いのです」いいも悪いも、自然に湧いてくる感情を受け入れるしかない「かわいいと思えない子どものことを、無理にかわいいと思おうとする必要はありません。かわいくないものは、かわいくない。仕方ないのです。そして、下の子に比べて、上の子はかわいいと思えない場合も、かわいいと思えないなら思えないなりに、親としてできるだけ大切に育てていこう。そんなつもりで、無理せずやっていかれてはどうでしょうか」そう言います。実際、子どもに手をあげてしまっている親御さんには、真面目すぎるがゆえに、「自分の子をかわいいと思えない自分を責めてイライラし、気づいたら子どもをぶってしまっていた。もしかすると私のしていることは、虐待の一歩手前ではないか」と、ハッとしてカウンセリングに相談にきた、という方が少なくありません。あえてハッキリ言いますが、子どもをかわいいと思える親もいれば、かわいいとは思えない親もいます。きょうだいのどちらかしか、かわいいと思えない親もたくさんいます。そして、それでいいのです。いいも悪いも、それが自然に湧いてくる感情なのであれば、それを受け入れるしかないのです。そして、子どものことをあまりかわいいと思えないならば、その気持ちはそのままにしながら、親としてするべきことは、きちんと分け隔てなくしていけばいいのです。「自分の子どもならば、かわいいと思えるはず」というのは、ただの迷信です。事実では、ありません。かわいいと思えないなら、かわいいと思えないからこそ、差別やえこひいきにならないように、自分の子どもへの言動に注意すればよいのです。「かわいいと思えないなら思えないまま、それでも、親としての務めはきちんと果たしていく」そんな、無理のないスタンスで、わが子に関わっていくのがおすすめです。(諸富祥彦)
2015年12月20日プレママと0歳児ママに楽しいお産と育児のコツを教えてくれるイベント『いっしょに「ママ」になろう』。レポート後編は、オムツはずしや離乳食、出産準備法などのお話です。 前編はこちら 子どもと笑顔で向き合うには、まず生活リズムを整えよう「本来、オムツは子どもには必要ないものです」と話すのはさくら幼稚園副園長の千野郁子先生。たしかに江戸時代には紙オムツはなかったはず。赤ちゃんにオムツをはかせるのは「外出が大変」「家の中を汚したくない」など文化的生活をしたい大人の事情からです。最近の紙オムツは高性能なので、汚れてもすぐに変えない人もいます。しかし、敏感な部分に汚物をつけっぱなしにするのは、赤ちゃんの五感を鈍らせかねません。確かに紙オムツは楽なので、親もなかなかとろうとせず、使用年齢は昔に比べて広がる傾向に。近年、ビッグよりも大きい小学生サイズの子ども用も発売しているのだとか。「最近は、小学生が病院の排泄(はいせつ)外来に通う子どももいます。ずっとオムツをしていたせいで、トイレで排泄ができない子がいるんです。子ども自身も恥ずかしいと思っていて、かわいそうなんですよね」と千野先生。そんなふうに子どもを悩ませないためには、生後5カ月くらいからオムツはずしをはじめるとスムーズにいくことが多いとのこと。ちなみに、さくらキッズガーデンの保育園では、もれたら子どもが不快感をおぼえる布オムツを使っているそうです。オムツをはずすには、まず生後4カ月あたりから生活リズムを整えることからはじめます。食事や睡眠の時間が整うと、自然と排泄のタイミングも決まってくるからです。生活リズムは、夜は午後8時までに寝かせ、朝は6時に起こし、昼寝は午後2時半ごろまでに終えるくらいを目安に、子どもの様子をみながら調節。ちなみに生活リズムは2週間ほどで整えられるそうです。オムツを外す際は、ママが「そろそろかな?」と思うタイミングで、タオルを広げたり、風呂場につれていったりすると、開放感からおしっこをする子が多いようです。このように早くからオムツはずしに挑戦するのは、紙オムツに比べて時間も手間もかかるので、はじめは面倒に感じるかもしれません。しかし、育児には手間をかけることが必要不可欠。そうやって手をかけたことは必ず子どもに愛情として伝わるのだと千野先生は強調します。「面倒な事をするという出発点は、“子どもを慈しむ気持ちから”うまれているんです。子どもの生活リズムを整えることは、結果として、健康になる、オムツが取れる、家事の時間や手作りの食事の準備ができるなど、非常に効率的です。しかし、これらは効率的な育児を目指すために行うのではなく、どれも子どもといる時間を豊かに過ごすために自然と必要になっていたことのように思います」と千野先生。確かに、子どもが泣いているのにご飯の支度をしているから遊んであげられない、オムツを変えてあげられないというのは、大人の事情に子どもを付きあわせていること。ママも泣いている子どもを横目に家事をする毎日が続けば精神的にも辛くなってきます。それならば、毎日子どもの昼寝の時間に夕ごはんを準備をする、夜寝た後に食器を洗うなど、子どもの生活習慣に合わせていけば、慌ただしく家事をすることもなくなり、より子どもと向き合う時間が充実したものへと変わります。何よりも、子育てで一番大切とも言える、“ママが笑顔で子育てをすること”ができるのです。ちなみに、参加していたママたちもおまるに挑戦してみたところ、「なんとなくおしっこのタイミングがわかってきた」「初めておまるでキャッチできた」といった報告がたくさんありました。子どものサインがわかり、ママたちもより育児を楽しんでいるようです。「手づかみ食べは大事!」離乳食のヒントさくらキッズ栄養士の井上美穂さんからは、離乳食の進め方について話がありました。離乳食はうまく進められないと、イライラしたり、悩んだりしがち。でも、子どもの様子をよく観察しながら進めていくと、子どもたちは「食べることは楽しくて嬉しいな」と思ってくれるようになるそうです。井上さんのアドバイスのなかから、悩みがちなママのヒントになりそうなポイントをいくつかご紹介します。・中期以降の栄養バランスは、2~3日のなかで取れているくらいでOK。・離乳食の時期の手づかみ食べは大事。食べる意欲が生まれ、食べ物に興味が出てきたということ。スプーンで食べさせてあげるだけだと、食材の重さや固さを感じられない。・一度食べなかった食材も、あきらめずに再挑戦を。子どもの気分や体調もあるので。あげるときは「どうせ食べないだろうな」と思いながらあげると子どもに気持ちが伝わってしまうので、ママも気持ちをリセットして「おいしいよ」と声がけしながら。・ドロドロなものを食べないからといって早く固形物に移行しても、上手に咀嚼(そしゃく)ができていないと本来の食べ物の味がわからないことも。子どもの様子をよく観察することが大切。キャサリン妃の出産でも話題になった「HypnoBirthing(R)(ヒプノバーシング)」とは?イベントでは専門家による講座もありました。ハリウッド女優のジェシカ・アルバさんやイギリスのキャサリン妃の出産準備法として話題となった「HypnoBirthing(R)(ヒプノバーシング)」について紹介してくれたのは、ヒプノバーシングジャパン代表公認プラクティショナーの龍野恵里子さんです。HypnoBirthing(R)(ヒプノバーシング)とは、アメリカ生まれの出産準備メソッド。「催眠=深いリラクゼーション」のテクニックを使って、自然でお母さんと赤ちゃんにやさしく穏やかな出産をするためのプログラムです。ベースになっているのは、1920年代に活躍した産科医ドクター・グラントリー・ディック・リード氏が提唱したFTP理論。ドクターいわく、「恐れや不安、緊張がなく、ハイリスクな妊娠でもない場合出産は痛みをともなわない」のだそう。つまり「お産は痛くて苦しいもの」という思いが、痛いという現実を作っているというのです。「さかのぼると2世紀の終わりごろから、ヨーロッパでは女性侮蔑の歴史が始まったといいます。出産が女性を支配する道具になり、抑圧の手段として文化のなかに組み込まれていきました。支配する側からすると、トラウマを作って恐怖で思考停止させると管理統制がしやすい。そのため、トラウマとなるようにお産は痛くて苦しいものに変えられ、人々の意識に深く浸透していったんです」と龍野さん。現在でもお産に対する恐怖心を持っている人は多いですが、本来は深淵なる命が誕生する宇宙的なもの。そこで、リラクゼーションのスキルを身につけ、痛くないお産ができるよう、出産に向けて心と体を整えていくのが、このHypnoBirthing(R)(ヒプノバーシング)。自然なお産をしたいという妊婦さんから注目を集めているメソッドです。副作用のないレメディーで心身の不調を整える「ホメオパシー」第4回目のイベントでは、ホメオパス(ホメオパシーの専門家)の関口裕季子さんから、ホメオパシーの説明がありました。ホメオパシーは、約200年前にドイツの医師サミュエル・ハーネマン氏によって確立された副作用のないやさしい医療です。ホメオパシーの原理は「似たものが似たものを癒す」というもの。たとえば、一般的にやけどは冷やすのが常識ですが、ホメオパシーだと、なんとお湯につけるそう。関口さんいわく、「やけどは熱のエネルギーが体内に入ってしまって出ていかない状態。やけどの表面が熱をもっているのは熱を外に出そうとしているから」。水につけると、外に出ようとする熱にふたをしてしまうことになるため、ぬるま湯につけるのだそうです。ホメオパシーは、そのとき問題となっている一部の症状をみるだけでなく、体と心の全体をみるのが特徴。もともとセルフケアとして確立されたものではないものの、用法要領に留意しつつ、風邪やお腹の調子が悪いときなどのセルフケアに活用している人も少なくないそうです。イベントを終えて ~子育てをもっと楽しもう~4回のイベントを通して、参加したママたちは、子育てをより楽しいこと、すてきなことだと感じられるようになっていったようです。参加したママのひとりは「子どもの月齢が低いうちは育児も手探りになりがち。ここで似たような悩みを抱えたママと出会え、そしてプロの先生方の話を聞けて、得たものはたくさんありました。これからの育児に生かしたいです」と話していました。毎回、イベントの最初に手遊びと絵本の読み聞かせをしてくれた原先生は、最終回に「うまれてきてくれてありがとう」(にしもとよう著/童心社)という絵本を読んでくれました。わが子が生まれてきた喜びをあらためて感じられるとてもすてきな一冊です。育児には迷いがつきもので、それを解決するヒントはこのイベントでもたくさんもらったけれど、やっぱり一番大事なのはシンプルなこの気持ち。「お子さんがいることの幸せを感じながら、子育てを思いっきり楽しんでくださいね」という原先生の言葉に、みなさんすがすがしい表情でうなずいていました。育児に自信がもてなかったり、誰にも相談できなかったり……。そんなママたちには必要なのは、ネットに流れる膨大な育児情報ではなく、こうして気持ちを共有できるリアルな場なのでしょう。「いっしょにママになろう」は母としての「心ある子育て」や「世代をつなぐ子育て」を応援する場所です。不定期ですが、今後も開催される予定とのことなので、興味のある方は参加してみてはいかがですか。
2015年12月19日出産や育児でわからないことがあったら、まずネットで調べるというママは多いはず。インターネットの普及でさまざまな情報を手軽に入手できるようになった反面、逆に情報が多すぎて何が正しいのかわからなくて悩んでしまうことはありませんか? なかには間違った情報や知識によって不安になったり、子育てがうまくいかなくなってしまったりするママも少なくないようです。そんなママたちの役に立ちたい、ひとりぼっちで育児をしているママがすてきなママ友と出会ってほしい。そうした思いから、東京都世田谷区にある 学校法人芳村学園 さくらキッズガーデン では、プレママと0歳児ママに向けたイベント『いっしょに「ママ」になろう』を数年前から不定期で開催。毎回好評を博しています。イベントは平日の午前2時間×全4回。内容は、文部科学省子育て支援モデル園でもあるさくら幼稚園副園長が子育ての話をしてくれたり、出産や育児に関する外部のプロたちが講演をしてくれたりします。先ごろ、2015年10~11月にかけておこなわれた第6弾のイベントに参加してきました。全4回の内容をダイジェストでレポートします。9歳までのシングルエイジ期を大切にイベントの核となるのが、さくら幼稚園副園長の千野郁子先生による子育てのお話です。さくら幼稚園の施設内には未就園児クラスや小学生の学童クラブもあり0~12歳までの子どもたちが通っています。そんな幅広い年齢の子どもたちを見てきた千野先生が、自身の教育経験を活かし、さらに2児のママとしての出産・育児体験も交えながら、育児のコツをわかりやすく話してくれました。千野先生は、「つ」のつく年齢、つまり9つ、9歳までのシングルエイジ期を大切にしてほしいといいます。乳幼児期の育児は、建物を建てることにたとえると、いわば基礎工事にあたる部分だからです。「0~2歳ではママとのやりとりのなかで基本的信頼関係を獲得していきます。人として生きていくうえで、自己肯定感はとても大切。自分を信頼するためには、まずは人を信じることからなんです」と千野先生。信頼関係を築くにはまずスキンシップが大事だといいます。「とくに0歳児はたくさん肌を触れ合わせて、抱き癖がつくくらいに抱いてあげてほしい。ベビーカーよりは、なるべく抱っこ。散歩のときも季節を感じながら、いろいろ語りかけてほしいなと思います。子どもに“抱っこして”といわれる期間なんて、実は10年もないんですよね。今は大変でも、あの時期が一番輝いていたなあ、と思うときがきます」ちなみに2歳になったらある程度自立させることも必要。「歩けるようになったら歩かせましょう。抱っこは歩行の手段ではないですから」。食事も自分で食べるようにして、6歳までに生活の基礎を身につけるようにするとよいそうです。また、乳幼児期は子どもが好きなことにとことんつきあってあげると、子どもの「何かをやりたい」という意欲を伸ばしてあげられるそうです。泥遊びをしたい子供に「服が汚れるからやめてほしい」というのは親の都合の押し付けなんですよね。 子育ては世界を変えることができる!子育てのゴールは、子どもを自立させること。子どもは社会に返す存在だと千野先生はいいます。「今、世の中を動かしている人たちも、みんなお母さんに育てられたんですよね。みなさんの仕事というのは、世の中を動かす人を育てるというとても大事な仕事。子育ては世界を変えることができるんですよ。よりよい世界にしたいと思うなら、よりより子どもを育てていけばいいんです。すごく長い時間のかかる膨大な仕事です。でもこれ以上にやりがいのある仕事ってあるでしょうか」と千野先生は力を込めます。スキンシップをすると“幸せホルモン”が出るイベントは毎回、さくらキッズ保育士の原美奈先生による手遊びや絵本の読み聞かせからはじまりました。手遊びで顔や体をたくさんなでたり、音楽をかけながら体を動かしたりしていると、ママも楽しそうだし、赤ちゃんもとっても嬉しそうです。スキンシップの大切さは原先生も話していました。赤ちゃんは妊娠6週目には触覚(皮膚感覚)が形成されるといわれ、皮膚感覚をとおして周りの人や物を認識しているそう。スキンシップをたくさんとると“幸せホルモン”とも呼ばれる「オキシトシン」が分泌されて赤ちゃんの情緒が安定し、親子の距離も縮まるそうです。「赤ちゃんが何を欲しているかわからなくて迷うこともあると思いますが、たくさんスキンシップをすると、赤ちゃんの欲求やママに出しているサインがわかるようになりますよ」と原先生。赤ちゃんの気持ちを落ち着かせるには、背中をさすってあげることも効果的。また、第2の心臓ともいわれる足の裏をマッサージしてあげるのもおすすめだそうです。ハイハイはとっても大事!施設内の学童保育の職員である粕谷匡男さんからは、子どもと体についての話がありました。「幼少期の遊びの経験不足などから運動に苦手意識を持ってしまう子もいます。ぜひ体を動かすことに興味をもたせてあげてください」と粕谷さん。赤ちゃんの成長段階の動きにはそれぞれ重要な役割があり、なかでも「ハイハイは飽きるまで、いや飽きてもやってほしい」とのこと。転んだときに手を出せるようになり、自分の体重を自分で支えられるようになるからです。つかまり立ちをはじめてハイハイに飽きてしまったころには、パパやママが先頭に立ってハイハイで追いかけっこをしたり、後ろ向きのハイハイを見せたりして、「ハイハイっておもしろいな」と感じさせてあげてみてください。後編では、千野先生によるおむつはずしや生活リズムの話。外部講師によるヒプノバーシングやホメオパシーの話など、さらに育児ノウハウに寄ったお話をレポートします。
2015年12月19日産後1カ月が経過し、検診も終え我が家へ戻ることになった。実家から帰る日、わたしはお気に入りの赤いワンピースに着替え、息子は親戚から出産祝いでいただいた、高級ブランド“ラルフ◯ーレン”のロンパースを着せた。実家ではほとんど寝間着で過ごしていたので、今日くらいお洒落をして新生活をスタートさせたい。晴れ晴れしい気持ちで実家を後にし、東京へ戻った。これからは両親の助けなしで家事をこなさなくてはならない。お料理、掃除、洗濯。そして、わたしはイラストレーターとして仕事もしているので家事、育児、仕事を全て両立しなくてはいけない。夫はサラリーマンだし、日中は一人でやるしかない。う~む、息子のためだ!少々の不安は置いといて、楽しく頑張れるだろう!さっそく始まった新生活。梅雨真っ只中の時期だった。子どもが産まれて間もなく、家事の中で一番変化があるものそれは…。洗濯物の量である。赤ちゃんは汗っかき! 着替えさせては洗濯かごへ。あぁ、またミルクをこぼしたよ~。着替えさせて、またもや洗濯かごへ。今度はお漏らし!? はいは~い。着替えさせて、更に洗濯かごへ。こんな感じで朝から晩まで洗濯物は増えていき、気づいた時には、洗濯かごは一晩で山盛りに…。そんなことになっているご家庭はたくさんあることだろう。我が家の洗濯物も見事増え、毎朝洗濯機をまわしている。洗濯機と同じリズムでグルグルとスピードを上げて過ぎていく日々。あぁ、わたしの母もこうして毎日洗濯をしてくれていたのだなあ。実家から離れた途端、母への感謝が止まらない。カゴから洗濯物を拾い上げ、一枚一枚干していく。すると、何かがおかしい…。 ……あれ?息子の肌着の一部に黒い点がいくつも付いている。よく見てみると、それはなんとカビだった!!梅雨の影響で洗濯物がカビているではないか。ものすごい勢いで、自分の服も見直してみる。大丈夫だ! 自分の服はカビていない!!!!それにしても、なぜ息子の肌着だけ…。思い返してみると、息子の服はいつも母乳がついてしまっていたのだった。授乳するたびに必ずと言っていいほど、わたしの母乳は勢い良く飛び出し息子の服に飛び散ってしまうのだった。母乳が出ることはありがたいことだけれど、息子の服は毎度毎度乳臭くなっている。あぁ、これは遥か昔に嗅いだことがある臭いと似ている。小学生時代給食当番で、こぼした牛乳を雑巾で拭いて、それがそのまま乾いた時の臭いに似ている。ショックのあまり顔が引きつる。そんな中、最悪の事態が。「ぎゃーどうしてよりによってこの服が!?」なんと、息子の一張羅、高級ブランドベビー服にも黒い点がびっしりとついている。カ、カビが生えているではないか!!「息子の一張羅があぁぁぁぁ~!」あまりのショックに何度も見直してみるが、やはりカビに違いなかった。その週は毎日雨が降っていて洗濯ができなかったのだ。たった一晩放置しただけで、こうして息子の服はカビだらけになってしまった。なんということ…。洗濯物との戦いは始まったばかり。今日も、そして明日も洗濯戦争は続いていく。(Boojil)つづく次回は「お宮参りで大失敗!」をお届けします。
2015年12月17日こんにちは。先日我が家の赤子が一人で2~3秒立つという事件があり、思わず「ちょ!待てよ!」と叫んでしまったイラストレーター栗生です。事件でもなんでもなく、喜ばしい成長なんですが、もっと…もっと赤ちゃんを堪能したい! と、勝手なことを考えていたのは本人には内緒にしておきたいものです。さて、新生児の頭髪の量・長さについて 前々回 で触れましたが、生まれて数ヶ月経った赤ちゃんの髪の毛はどうでしょう。我が家の上の子は、生まれた時から黒髪フサフサ。多少薄くなりつつもハゲることなくそのまま伸びましたが、下の子はある時期から布団に髪の毛が散らばるようになり、6カ月を過ぎるころには、上部と襟足のみに毛が生えて、まるで里芋のような頭になっていました。赤ちゃんの抜け毛はよくあることだそうで、布団に擦れて後頭部や側頭部が薄くなってしまうのは珍しくないようです。中にはまだらになったり、前頭部からツルッと行き後頭部に毛が残る、リトル磯野波平的な赤ちゃんもいたりします。でも「安心してください。みんなちゃんと伸びますよ」。今日のかるた「さといも似の頭」
2015年12月16日ついにその日はやってきた。そう、1カ月検診である。息子が誕生してから1カ月。初めて外の世界に連れ出す日がやってきたのだ。今までずっと家の中で暮らしていたものだから、外に出るだけでも何かと心配ごとが増える。えーっと、お出かけするには何か必要なんだっけ?オムツは何枚? おくるみも持っていった方がいいかな。着替えは?下着と…帽子もあったほうがいいかしら。泣き出したときはどうしたらいいんだろうなぁ…。21歳のころ、初めてのひとり旅でタイとラオスに出かけた時よりも不安だ。自分一人で出かけるときと訳が違う。外に出る前に、友達から借りていたスリングに息子をいれる練習をしてみる。両手にすっぽり収まる小さな体。1カ月経ったとはいえ、頼りなく見える。「わたしが守ってあげるよお~」。誰かに奪われるわけでもないのに、自然とそんな言葉が出て来てしまう。スリングにくるまれた息子はなんだか安心したようで眠ったまま。よし、このタイミングで出たほうがいいな。予約しておいた時間に到着できるよう、余裕をもって家を出た。ドアを閉め、前日用意した持ち物を念入りに確認し、いざゆかん! 1カ月検診へ!!眠ったままの息子を抱きながら、駅までの道を歩く。目の前には昔通った小学校がある。この道は、わたしが幼いころから何も変わっていない。いじめられて泣きながら歩いたこともあったし、今は亡き愛犬と毎日のように散歩をしたこともあった。母と喧嘩をして家を飛び出したこともあったっけ。この道を何往復もして、わたしはここで育ったんだ。いろんなことがあったけれど、そんなわたしも今こうして母親になったんだな。産後体調を崩していたわたしは、外を歩いているだけなのにいろんな想いを巡らせて目頭が熱くなった。さんさんと太陽が輝く、とても気持ちの良い日。息子を抱っこしたまま、電車とバスを利用して病院へ。何をするにもいちいち気を使って緊張してしまい、40分の道のりがやけに長く感じた。病院に到着するなり、入り口に立っていたおばあさんに声をかけられる。「あらぁ、かわいい。こんなに小さな子、何十年振りに見るわぁ!」「今日、1カ月検診なんです」わたしがそう答えると、ニコニコと「それはおめでとうございます」と答えてくれた。きっと息子を抱いていなければ、話すことのなかったおばあさん。“赤ちゃん”が持っているパワーはすごい。と感じた出来事だった。この子がいるだけで、誰かが笑顔になるなんて幸せだなあ、と思う。受け付けを済ませ、息子の服を脱がせ、オムツ一枚に。おくるみで巻いたまま抱きかかえ、名前が呼ばれるまで待機。「歓く~ん」初めて息子の名前が呼ばれた。中に入るなり、毎日の授乳回数を伝えてから、体重、身長を計り、聴覚、視覚の検査、そして、おちんちんの状態を先生がチェックする。見るところ、異常もないように見えるわが息子。はて、結果はどうだろう…。ソワソワしながら先生の言葉を待つ。「乳児湿疹もないし、肌もきれい。異常なし! 体重も順調に増えているし、とても健康です」この言葉を待っていた! あぁ、よかったぁ。息子の体重は4300gほどになり、産まれた時の体重から1.5kg増えたことになる。たった1カ月の間に、わたしは250回以上おっぱいをあげてきた。その積み重ねが、この子を大きくしていたんだなぁ。と思うと、感慨深い。産後体調を崩していたわたしは、この結果に本当に救われた。1カ月検診は、お母さんのオリンピックだ。子供の成長は、毎日のおっぱいをへてようやく結果が出る。子供の体重増加は、お母さんの頑張った証。お母さんはみんなメダリスト。今日は自分にメダルをあげたい。帰りも息子はぐっすりと眠っていて、何事もなく無事家に帰ってくることが出来た。「よしよし、大きくなったねえ。よかったねえ」これから先、この子が大人になるまでずーっと側で成長を見守ってやりたいと思う。つづく次回は「カビと戦う洗濯ママ」をお送りします。
2015年12月10日もうすぐやってくる冬休み。いつもより子どもと長い時間を過ごすとなると、「実際何して過ごせばいいかわからない」というお母さんたちの声が私の耳に届いています。出かけるとしても混んでいるし、家族みんなでとなると、出費もばかになりませんよね。そんなお母さん、お父さんは、時間がたっぷりあるからこそ子どもと工作を楽しんでみてはいかがでしょうか。熱中体験を通して集中力アップにつなげよう!子どもの集中力がぐ~っと上がるきっかけはすべて熱中体験にあります。子どもによって、それぞれ入り込む対象は違うのですが、何かを創造することに熱中する子どもはとても多いもの。そして作ることで満足するだけでなく、そこから遊びに展開するところまでもっていけたら100点満点。熱中することで養われる集中力と自己肯定感に勝るものはありません。そのため、私は保育のなかで0歳から毎月自由画を取り入れるようにしています。最初はクレヨンに興味を示さず薄い線やクレヨンの先っぽを打ち付けた点だけ、5分ももたない状態でしたが、少しずつ「絵」として完成していきます。色の使い方や発想にかなり差がでるように感じています。基本的に子どもに何かをやらせるときに早いも遅いもありません。首が座って自分で座れるようになったら、いろんなことをできる範囲でやらせてあげてください。ただ、“工作”と聞くと「難しい、面倒だ」と感じる人が多いかもしれませんが、今回は家庭で簡単にできる遊びや工作を紹介しているサイトを国内外問わずご紹介。ぜひ参考にしてみてください。保育士向けウェブサイト「保育のひきだし」 保育のひきだし 公式サイト 白梅学園が運営する保育士向けのサイトです。良い工作が思い浮かばないときに、保育士や幼稚園の先生が実際に参考にしています。身近なもので作るものや簡単な外遊びなど子どもとの楽しい時間を過ごすための情報が満載。保育士のプロによる実践ノウハウが載っています。海外ならではのかわいい創作が詰まった「OH HAPPY DAY」 OH HAPPY DAY 公式サイト 外国のモノってキラキラ輝いて見えませんか? 色使いやデザインなど独特な可愛らしさがありますよね。このサイトは、主に子ども向けホームパーティなどに使う飾りやグッズなどの作り方をレクチャーしています。透明なカップを可愛いらしくデコレートするだけでも日々の食卓に彩りが増え、楽しく食事ができるかもしれませんね。ほとんどのデザインは簡単にプリントアウトすることができるので、親子でできそうなものから挑戦してみてください。NHKまいにちスクスクでもおなじみの佐藤蕗さんのサイト私が子どもとの時間を過ごすときに一番参考にしているのはこちら。 佐藤蕗 公式サイト NHK「まいにちスクスク」出演、有名育児サイトに連載中で注目を集めるおもちゃ作家・佐藤蕗さんのサイトです。簡単にできるおもちゃや工作の手順を教えてくれます。家庭にある簡単なもので、作った後も楽しめるおもちゃが紹介されています。私はサイトだけでなく、著書の 『親子で笑顔になれる “魔法の手作りおもちゃ"レシピ』 も参考に子どもたちとおもちゃを作っているのですが、0歳から3歳まで一番吸収の良い時期にぴったりのおもちゃを紹介しているので各年齢にあったものを作って楽しんでいます。本で紹介されているもの中でも、長時間の移動の際に役立つおもちゃは思わず拍手をしてたくなってしまうほど。「こんなに簡単で便利なおもちゃを買わずに自分の手で作ることができるのか」と子どもだけでなく親としての自己肯定感も芽生えそうなものばかりです!冬の険しく長い寒い日、おうちのなかで子どもとゆっくりおもちゃ作りを通して向き合ってみてはいかがでしょうか?(ポセイドン・ヨーコ)
2015年12月09日こんにちは。冬の家族の体調管理に右往左往するイラストレーターこと栗生です。みなさまお変わりなくお過ごしでしょうか。今日のような寒い日でも我が子たちは元気に掛け布団から飛び出しています。飛び出る際に横で寝ている私に必ず蹴りかかり、頭突きを食らわしてくるのはなぜなのか。以前も少し書きましたが、赤ちゃんの力って想像以上に強いと思いませんか? 我が家の場合は生後6カ月ごろから手足がぶつかると痛いな~と感じることが増え、7カ月ごろからははっきりと「こいつ…オレをいたぶってもてあそんでいやがる…」と思うようになりました。上の子の乳児期にはあまり感じなかったことなので個人差があるかもしれませんが、どうでしょう。赤ちゃんの攻撃に困っている方は挙手願います(挙手しても何も出ませんが、私と痛みをわかちあえます)。赤ちゃんも「歯茎がむずむずする」とか「服やおむつから解放されたい」とか「力の加減はできない」などと色々な事情があるかとは思います。それはわかります。私も、数年後に振り返ったときいい思い出となるよう、今は耐えつつ心とイラストに刻む所存です。でも、噛んだり髪を引っ張ったり鼻に指を突っ込んだりするのはもう少し控えてもらえるとうれしいな。今日のかるた「攻撃力が意外と高い」
2015年12月09日モンテッソーリ教育は、シュタイナー法と並び「世界2大幼児教育法」と称される教育法です。根底にあるのは、子どもの「敏感期」がどういうものかを知り(→知る)、子どもをきちんと観察し(→見守る)、子どもに適切に声がけ、働きかけをする(→ときどき助ける)という子育てメソッド。欧米で実績のある手段なのだそうです。『知る、見守る、ときどき助けるモンテッソーリ流「自分でできる子」の育て方』(神成美輝著、百枝義雄監修)は、そんなモンテッソーリ教育を子育てに取り入れるためのコツを紹介した書籍。3章「『観察→発見→見守る』から始まる、今すぐできる10のこと」から、要点を引き出してみましょう。■1:観察する観察の目的は、子どもの「興味の中心」を見つけること。たとえば電車の名前をおぼえるのが好きだった子は、そこから、駅、地図、そこで働く人など、興味を広げていくもの。つまり子どもの興味の中心さえ見つけることができれば、そこから広がりを得ることができるということです。そこで、まずは子どもがなにに本当に興味があるのか、じっくり観察してみることが大切だと著者はいいます。■2:自由に選択させる「~しなさい」と親が決めたことをさせるだけでは、子どももやる気を失うもの。そうではなく、大切なのは「選択肢」を与え、判断力を育むこと。具体的には、小さいうちは「2択」。大きくなるにつれ、選択肢の数を増やしていくといいそうです。選択するという行動は、考える力につながるもの。なにかの困難にぶつかったときにも、「どうすればいいのだろう」と考えることができるようになるわけです。■3:見守り、挑戦させる子どもの方から「手伝って」「助けて」というサインを見せるまでは、大人はじっと待った方がいいのだと著者はいいます。なぜなら失敗をして、新たなやり方を見つける、もう一回最初からやってみるというようなことを繰り返すことによって、子どもは自分でいちばんいい方法を見つけ出すことができるから。「教えない教え」によって、やる気と自信、気づきの機会を与えるべきだということです。だからこそ、子どもの方から「手伝って」「助けて」のサインを見せるまでは、大人はじっと待った方がいいのだと著者はいいます。■4:ゆっくり見せる子どもにとって、大人の動きは早送りのDVDを見ているようなもの。普通のスピードでなにかを教えたとしても、まったくついていくことができないのだそうです。また子どもは、手と耳を同時に働かせることが苦手。口で説明をしながらなにかを教えても、混乱するばかりだといいます。子どもの動き方を教えるときには、(1)子どもがわかるように、ゆっくり見せる。(2)見せるときと聴かせるときを区別する。言葉での説明を同時にしない。ということを意識すべき。■5:子どもを待つ大人から見て、子どものペースが「のんびり」に見えたとしても、子どもは大人が思っている以上に考えているもの。順番を守ったり、習慣にこだわったりするなど、子どものなかには「厳しい秩序」があるので、そう簡単には進められないということです。そこで待ち時間は、「考える力」が伸びる時間であると心得ることが大切。■6:察するのをやめるお茶がほしいと目で訴えれば、なにもいわなくても用意してあげるなど、子どもの気持ちを察して先回りして動くことが多いのが大人。でも「察してしまう」ことが、意思を自分で伝える訓練の妨げになっているとか。知らんぷりをすることも、「伝える力」を伸ばすものであるということ。■7:ルールを設ける自由のなかに、ルールを持たせることも大切。きちんとルールがあり、それを破ると楽しめなかったり、トラブルになったりするということが学べるわけです。大切なのは、ルールをきちんと伝え、あとは見守ること。■8:オーバーにほめない子どもがなにかを「できた」と伝えてきたとき、大人は「やった~。すごいね~」とオーバーにほめてしまいがち。しかし子どもは何度も失敗してようやくできるようになったので、「これだけ練習したんだから、できて当たり前」「そんなにすごくはない」と思っているのだとか。しかし子どもは、「ほめられる」より「認められたい」もの。そこで、オーバーにほめずに、認めてあげることが大切だといいます。■9:共感する1歳半~3歳くらいまでの子どもは、なんでも「イヤイヤ」というイヤイヤ期。そんなときの対処法のひとつは、「イヤなのね。でも、いまから○○するからお片づけしよう」というように、“やりたくない気持ち”を受け入れることが大切。うれしいことも、イヤなことも共感することで、子どもとの心の距離がぐっと近くなり、「チャレンジ精神」が向上するそうです。■10:失敗させる子どもは失敗しながら多くのことを学ぶもの。だからこそ、間違っているときに教えてしまうのではなく、あえて失敗を「見せる」勇気が学力向上につながるのだと著者はいいます。*これらはほんの一例で、他にも「知る、見守る、ときどき助ける」ためにおぼえておきたいことが満載。子育てに四苦八苦している方は必読です。(文/書評家・印南敦史)【参考】※神成美輝(2015)『知る、見守る、ときどき助けるモンテッソーリ流「自分でできる子」の育て方』日本実業出版社
2015年12月05日子どもをきちんとしつけようとして、きびしく叱る親御さんもいます。しかし、叱り方を間違えると、一生、心に傷が残ってしまいます。実際、3歳から5歳くらいのお子さんを持つお母さんから「私、叱り始めると、つい、止まらなくなってしまうんです。『もしかしたら、虐待では?』と思うこともあって。どうしたらいいですか?」と相談を受けることも少なくありません。では、子どもの心に「一生心の傷になって残る」リスクのある、「これは、絶対ダメ!」という叱り方には、どのようなものがあるでしょうか?クセになった暴力は、絶対ダメ!まず、最悪はこれ。愛のムチ、という言葉をよく耳にします。「子どものため」を思って行った平手打ちなら、それは教育上意味がある、という考え方です。けれど、多くの子どもにとって、暴力は、ただイヤな思い出でしかないようです。とくに・説明もなく、いきなり殴られた時・たいした理由もなく、親が自分を殴るのがクセになっているのが、子どもから見てもわかる時 こんな時、子どもの心の中には、親に対する不信感が育まれます。自分は親にとって「単に面倒くさい存在」であるかのように感じてしまうのです。こうやって身につけた不信感はかなり根深いものがあり、その後、どんなに良いことを親が言ったとしても、子どもは素直に聞く気持ちになれません。とにかく、子どもにとって納得のいかない暴力は、百害あって一利なし。よーく心得ておきましょう。自分の気分次第で叱ったりほめたりするのははダメ2番目に良くないのがこれです。仕事がうまくいっているなど、何らかの理由で機嫌がいい時には、子どもにめっぽうやさしい。逆に、仕事で滅入っていたり、何かつらいことがあったりしてストレスが溜まっている時には、子どもにも厳しくあたってしまう。そんな親がいます。もちろん、人生いろんなことがありますから、そうなってしまう気持ちもわからないではありません。いつも同じ、一貫した態度で子どもに接することなど、普通の親には、なかなかできるものではありません。 しかし、あまり喜怒哀楽が激しく、自分の気分次第で、子どもにやたら優しくしたり、冷たくしたりを繰り返していては、子どもはいったい、何をどうすれば、親に喜んでもらえるかわかりません。親を喜ばせるつもりで何かをしたのに叱られた。あるいは逆に、何もしていないのにやたらとほめられた。そうなると、子どもとしてはどうしていいかわからず混乱します。ほかに、心を傷つけてしまうダメな叱り方には、次のようなものがあります。・「お姉ちゃんなのに」「お兄ちゃんなのに」と叱る・「マサル君はもう~なのに、サトシはまだそれしかできないの」とほかの子どもと比較して叱る・「せっかく、~教室に通っているのに、そんなんじゃ、お金の無駄ね」とお金のことを出して叱る・努力したにもかかわらず、「何だ、~点か」と、結果のみ見て叱る これらを頭に入れて、お子さんの叱り方に気を配ってみてはいかがでしょうか。(諸富祥彦)
2015年12月04日乳児から始めたいトイレトレーニング方法 を書いて以降「保育園に子どもを預けている私達はどうすればいいの?」という声が多くのワーキングマザーのみなさまからの声が私のもとに寄せられています。ということで今回は、「通園先の保育園ではトイレトレーニングをしてくれない」「男の子は女の子と比べておむつが外れづらいと言われた」「もうとっくに0歳なんて過ぎているけど、もしかしてトイレトレーニングを始めるのはもう遅い?」という、悩みを抱えている、保育園に通園しているお子さんを持つママたち向けたオムツの外し方をお伝えしたいと思います。ステップ1「おむつを外す宣言をしよう」保育園は公立か私立か細かく言えば認証、認可そして無認可などさまざまな園があります。形態がそれぞれ違うのと同じで、トイレトレーニングについても園それぞれに方針があるので、まず保育園にトイレトレーニングをしたいことを伝えることが必要です。園によっては「まだ大丈夫ですよ」「まだ適齢ではないです」なんて言われてしまう可能性もありますが、そもそも大丈夫なんてことはありませんし、オムツを外すのに適齢なんてありません。そう言われても、先生たちから「まだ外さなくて良い」と言われると、返す言葉が見つからないと思ってしまう方もいらっしゃると思います。そんなときは「おむつ代もかさむし、外出時の荷物ももういい加減減らしたいのでぜひ協力してほしい」という思いを伝えてみましょう。ステップ2「最後のおしっこ時間を教えてもらおう」オムツを外すと宣言したら、いよいよ本格的なトイレトレーニングが始まります。お迎え時、保育園の先生に最後におしっこをした時間を必ず聞いてください。たとえば1歳~2歳前後だと排泄間隔は平均的に1時間前後です。17時が最後のおしっこだとしたら次は18時前後と予想することができるわけです。このように最後の排泄時間を確認しておくことで、次の見通しをたてることができます。家に帰って「そろそろかな」と思うタイミングでオマルに座らせましょう。成功するかしないかはさておき定期的に排泄に挑戦する、オマルでの排泄に慣れることを目的とします。それ以降は以下の時間帯に必ずオマルに座らせるようにしてください。・寝る前・朝起きた直後・(余裕があれば)保育園に行く前そして、何よりも大切なのは 乳児から始めたいトイレトレーニング方法 と同じ「排泄表」を作ることです。たとえば、表を少し大きめに作り「オマルでおしっこできたらシール貼ろうね」なんてゲーム感覚で楽しめるようにしてあげるのもいいですね!日中、保育園で過ごしていたとしても、家庭でできることを少しずつ行うだけで小さな経験値がたまっていきます。千里の道も一歩から、毎日の小さな積み重ねを大切にして、オムツのいらない毎日を手に入れましょう。(ポセイドン・ヨーコ)
2015年12月03日へその緒。それはお母さんと赤ちゃんをつなぐ、大切な大切な命綱。皆さんは、ご自身が生まれた時についていたへその緒を見たことがあるだろうか?わたしの場合、母が大切に保管していてくれたので、中学生に上がったころ、一度見せてもらったことがある。小さな木箱に納められた自分のへその緒は、カラッからに乾燥していて、くちゃくちゃになっていた。それはまるでホームに捨てられ、誰かに踏まれたガムのようだった。当時の私はこう思った。「へその緒なんて、つまらないものだな」。そう思っていた自分が恥ずかしい。母になった今、へその緒がどんなに尊いものか分かる。母体の胎盤から赤ちゃんへ栄養を送り届けるために必死に頑張ってきたへその緒。あぁ、お前がいなかったらこの子が育っていないのだねえ。ありがとう、へその緒よ。死ぬ思いで産み落とした我が子。あの瞬間のことは今でも忘れられない。「へその緒、切りますね」先生の言葉がやけに重く感じた。息子と私はまさにつながっていたんだ。生後4週間が経ったころ、だんだん育児にも慣れてきて、おしめ替えや授乳も暮らしに定着してきた。みるみるうちに大きくなっていく息子。もうすぐ1カ月検診が迫っている。検診が終わったらいよいよ実家での暮らしともお別れだ。朝、いつものようにおしめを替えていると、「ポロリ」とへその緒が取れた。「わ~! やっと取れた。これがへその緒か」。まじまじと見つめてみると、昔私が見たへその緒と形状もほとんど同じように感じる。生まれた瞬間ついていたへその緒は水分を含んだ状態でぶわぶわだったのに、今はこんなにもちっちゃくなってカラッカラだ。息子から離れたばかりのへその緒。なんだか愛おしく感じる。日本ではへその緒を大切に保管している人が多く、中にはお守りとして扱う人もいるらしい。「さて、私はどうしようかな。そうだ、後で母に相談しよう。保管するにもケースを買わなくちゃ。とりあえず、へその緒は枕元に置いて…と! さて、朝食にしようかな」。私の両親は共働きで、その日、母は仕事に出ていた。息子を抱っこしながら、母が用意してくれた朝食を食べる。しばらくゴロゴロしてから部屋に戻ると、、、あれ、ない。へその緒がないではないか!おむつケースの中、枕元、部屋の隅から隅まで探してみるも、さっきまであったはずのへその緒はどこを探してもなかった!はっ! そういえば、さっき朝食を食べている間、私の部屋から掃除機の音がしていたな…。これは…父だ!!!たまたま休みだった父が、産後の私を気遣い、家の掃除していたのだった。なんと!! まさか、まさかの最悪パターンである。父は気付かずに、掃除機でへその緒を吸い込んだのである。「うわ~ん、大事なへその緒が~」なぜこのタイミングに掃除なんて…。しかし、悪気のない父を怒れるはずもなく、私は自己管理の悪さも重なって、涙がボロリと出てきてしまった。いつもなら頑固で絶対に謝ることのない父も、今回ばかりはかわいい孫のためなのか、申し訳なさそうな顔で「きっとあるよ。掃除機のパックをあさったら出てくるかもしれないぞ」と言う。そこで、わたしは泣く泣く掃除機のパックの中を探すことにした。悲しいことに、パックの中は糸くずやホコリ、髪の毛、時には虫までもが詰まったゴミの山。しかし、諦める訳にはいかない!!! この中にへその緒が…!なんとしてでも……!母は強し。息子のためになんのその。手づかみでゴミの中を探っていったが見つからない。15分くらいして、ようやく出て来た!「あ! あった!!」……と思ってよくよく見てみると、なんとそれはゴキブリの死骸だった。「ギャーーーーーーーーーーーーー!」こうして、息子のへその緒の行方は未だ分からず、残ったものといえば、ゴキブリの死骸の感触だけだった。(Boojil)つづく「次回は、いざゆかん!一ヶ月検診へ」をお届けします。
2015年12月03日