『博士と彼女のセオリー』『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』への出演で知られるフェリシティ・ジョーンズが、映画監督のチャールズ・ガードと結婚したことが明らかになった。ガード監督の代表作には、韓国映画『箪笥』のリメイク映画『ゲスト』などがある。「Us Weekly」誌によれば、2人は昨年5月に2年間の交際を経て婚約。翌月にフェリシティはレッドカーペットでダイヤの婚約指輪を指に輝かせていたが、婚約を公表することはなかった。そして先月30日(現地時間)、イギリス・オックスフォードシャーのコッツウォルズにあるスードリー城で式を挙げたという。招待客の顔ぶれは『博士と彼女のセオリー』で共演したエディ・レッドメインや、『インフェルノ』で共演したトム・ハンクスなど。日頃、プライベートなことに関してはあまり語らないフェリシティだが、過去に自身の恋愛観について「私はものすごくロマンティックなの。だからロマンティックな物語も好きだし、そういう映画に出演し続けているわ」、「どんなにラブストーリーを見ても退屈することがないのは、きっとそれが夢見ていることだからなんでしょうね。誰かと本物の絆を築くって、夢みたいなことでしょう?」と「Telegraph」紙に語っていた。(Hiromi Kaku)
2018年07月03日ジョニー・デップと1998年から2012年まで交際し、2人の子どもをもうけたヴァネッサ・パラディが、フランス人のサミュエル・ベンシェトリと結婚した。ともに45歳。ヴァネッサは過去にレニー・クラヴィッツ、ジョニーと長年に渡る交際歴があるが、結婚は今回が初めて。サミュエルは小説家、映画監督、俳優と多彩な顔を持つ人物で、ヴァネッサとは自身の小説「Chien」を原作とした映画『Dog』(原題)で、監督と主演女優として出会ったという。同作は今年のカンヌ国際映画祭で上映された。2人は2016年から交際を始め、昨年11月に婚約。サミュエルは故マリー・トランティニャンとの結婚生活で一女をもうけ、アナ・ムグラリスとの間にも娘がいる。フランスの「Le Parisien」紙によれば、結婚式は6月30日(現地時間)にサン・シメオンという小さな村で行われた。昨年他界したヴァネッサの父が愛し、レストランを経営していた村だという。招待客はヴァネッサの子どものリリー=ローズとジャックくんを含む20数名で、こじんまりとした式だったようだ。結婚式の数日前、ヴァネッサが新作のプレミアを「息子が病気で…」との理由で欠席したためジャックくんに重病説がささやかれたが、結婚式には元気に出席していた。(Hiromi Kaku)
2018年07月02日2017年カンヌ国際映画祭「ある視点部門」ポエティックストーリー賞を受賞した、パリが生んだ20世紀最高の歌姫“バルバラ”に飲み込まれた女優の激情ドラマ『バルバラ~セーヌの黒いバラ~』の予告編が、いち早くシネマカフェに到着した。■伝説的歌姫バルバラに飲み込まれた女優と映画監督の不穏な関係今回解禁された予告編映像は、伝説的歌姫“バルバラ”を演じる女優・ブリジットが彼女を知るほどにその存在そのものに飲み込まれていく様が描かれた映像となっている。ブリジットは、バルバラに近づこうとすればするほど彼女の存在と自分自身の区別がつかなくなり、周りに当たり散らす。予告編にも「私の衣装に近寄らないで!」とブリジットが怒りをあらわにするシーンが登場しているが、抱える不安さえもそれが自分のものなのか、バルバラのものなのかブリジットにはわからなくなっていた。そして、そんな彼女にのめり込んでいく映画監督のイヴ。2人が次第に現実との境目を失っていく様子は、世界を熱狂させた魅惑の歌姫の一面を感じさせる。実際のバルバラのステージ映像を交えながら、女優と監督の熱情の愛のドラマを通して、20世紀最高の歌姫バルバラの人生を垣間見ることができる映像だ。監督・脚本・出演は、『そして僕は恋をする』『潜水服は蝶の夢を見る』『007 慰めの報酬』などのマチュー・アマルリック。そして彼の元パートナーのジャンヌ・バリバールが、バルバラという時代を駆け抜けた1人の女性を、まるで乗り移ったかのように熱演している。『バルバラ~セーヌの黒いバラ~』は11月16日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:バルバラ~セーヌの黒いバラ~ 2018年11月16日よりBunkamuraル・シネマほか全国にて順次公開© 2017 - WAITING FOR CINEMA - GAUMONT - FRANCE 2 CINEMA – ALICELEO
2018年06月25日「家族とは何か」を問われるような事件が多く起きるなか、家族の絆や愛について考えさせられる注目の映画をご紹介したいと思います。世界中の映画祭で高く評価されているドキュメンタリーとは……。話題作『祝福~オラとニコデムの家~』!【映画、ときどき私】 vol. 172ポーランドのワルシャワ郊外。14歳の少女オラは、自閉症の弟ニコデムとお酒の問題を抱える父親と3人で暮らしていた。母親は別の男性と生活していたため、家事も家族の面倒もすべてオラの役目。厳しい現実を突きつけられながらも、オラは心のどこかで希望を抱きはじめる。それは弟の聖体式が成功すれば、家族がもう一度ひとつのなれるのではないか、というものだった。そんな家族を待ち受ける運命とは……。今回は、ひとりの少女とその家族の日常を生々しく映し出していますが、この作品が生まれたきっかけなどについて、こちらの方にお話を聞いてきました。それは……。ポーランドのアンナ・ザメツカ監督!アンナ監督は、ジャーナリズムから人類学、写真学までを学び、ドキュメンタリー作家や映画監督としてだけでなく、脚本家、プロデューサーとしても幅広く活躍している多才な女性。待望の長編デビューとなった本作の見どころや撮影での苦労などについて語ってもらいました。まず、日本ではあまり知られていない聖体式ですが、ポーランドではどのような意味を持っていますか?監督ほかの宗教にも同じような儀式がありますが、聖体式というのは子どもが大人になるための第一歩。ポーランドでは99%の家庭がカトリックなので、とても大事な儀式でもあります。ただ、最近ではある種のセレモニーになっていて、宗教的な意味合いよりも家族が集まる行事になりつつあるかもしれません。なので、神のためというよりも、いまは家族のためという印象ですね。今回、オラの家族を題材にしようと思ったきっかけを教えてください。監督最初は短いフィクションの映画を作ろうと考えていたんですが、そのあとに偶然この家族と知り合って、とても興味深いと思ったので、フィクション映画は諦めて、ドキュメンタリーを撮ろうと決心しました。ただし、オラの信頼を得ることは難しかったそうですが、カメラを回すまではどのくらいの時間がかかりましたか?監督だいたい1年と3か月くらいはかかりました。短い期間で彼女の信頼を得ることはとてもできなかったので、撮影に入るまでにものすごく長いプロセスが必要だったんです。なぜなら、オラは問題のある両親のもとで育ったので、大人に対する信頼がほとんどない女の子。それに対して、私は大人の世界の人間だったこともあり、それは大きな障害になりました。では、その壁をどのようにして乗り越えて、彼女との信頼関係を築いたのですか?監督特別な方法は何もなかったですが、とにかく彼女には誠実に付き合うこと。そして、私にとってこの映画がどれだけ大切かということと制作の意図を正直に話したんです。それから、彼女にとってもこの映画が大事なものになるんだということをわかって欲しかったので、そのことも伝えました。実際に完成した映画を観たとき、彼女はどのような反応でしたか?監督いまではすごくポジティブにとらえてくれています。というのも、つい最近もFacebookを通じて、同じ年頃の男の子から「僕も同じような環境で育ってきたけど、この映画を観てすごく安心した」というメッセージがオラに送られてきたそうです。これまでにもいろいろな人が彼女にそういった感想を言ってくれているのですが、それによってオラは自分が抱えていた重荷を初めて下ろすことができるようになっているみたいですね。いまでもオラとはよく連絡を取り合っているのですか?監督もちろん、オラとはいまでもコンタクトを取っています。実は映画を撮影したあと、お父さんが亡くなってお母さんと一緒に住むことになったり、彼女を取り囲む環境にもたくさん変わったことがありました。いまは家を出て、寄宿舎付きの学校に通っているので、とりあえず衣食住の心配はない状況といえますね。ドキュメンタリーでは先が読めないことが多いと思いますが、撮影中に予想外の事態に見舞われたことは?監督予期せぬ出来事というのは特になかったですが、弟のニコデムがどういうふるまいをするのかはというのは、私にとってはいつも想像できないことでした。なかでも、お風呂場のシーンで「現実はフィクションである」という彼の言葉は私の心にものすごく深く突き刺さりました。確かに劇中のニコデムの鋭い発言にはたびたびドキっとさせられましたが、彼はどんな存在でしたか?監督この映画のなかで、彼は詩人であり、預言者でもあるような立場でした。なので、私は彼が言ったことをすべてメモして、取ってあるくらいなんですよ。そのなかでも、彼と撮ったシーンで印象的なエピソードを教えてください。監督告解の練習の場面で神父さまとのやりとりが私には一番おもしろかったですね。というのも、ニコデムは神父さまが考えもしないようなことを言ったり、まるでその場にそぐわないような冗談をわかっていて言ったりするんです。多くの人が自閉症の子どもにはユーモアのセンスがないと思っていますが、彼にはそれがあって、本当にジョークを言うのが上手なんですよ。だから、神父さまに「徳とは何か?」と聞かれて、「信仰・希望・愛」の3つを答えなければいけないのに、愛の代わりに「大食」って言ってしまうんです。本当は愛だと知っているんですけど、彼は食べるのが大好きなんですよ(笑)。でも、これはある意味この映画にとっては象徴的なことであって、「本当は愛が大事だけれど、隠れてしまっている」という暗示とも言えると思っています。いっぽうでオラの強さには驚かされましたが、その様子を間近でご覧になってどう感じましたか?監督彼女はもともとすごく強い性格ですが、それはお母さん譲りだと思います。ただ、ああいう家庭環境で育ったので、それが彼女を余計に強くしたというのもありますね。とはいえ、そうしないととても生きていけなかったとも感じました。なので、そんな彼女と映画を作るというのは本当に大変なことでしたが、実は最近になって彼女が撮影中のふるまいや不機嫌な態度をとってしまったことを私に謝ってくれたんです!映画を初めて上映したときからはすでに2年が経っているんですけど(笑)。もちろん、私は彼女に「許すわ」と伝えましたよ。これだけ難しい撮影を終えたあと、今後はどのような作品を撮りたいと思っていますか?監督またドキュメンタリーを作りたいですが、自分の意図とは関係なく誰かを傷つけてしまうこともあり、リスクを伴うことでもありますよね。だから、自分がもう一度そういう責任を負えるかどうか、そして私にその権利があるのかどうかもいまはまだわからない状態です。そういう意味ではフィクションのほうが安全かなとは思いますが、私にとってはそっちのほうが退屈かもしれないですね。それでは最後に、ananweb読者に向けて、メッセージをお願いします!監督いまの私はまだ若い人たちにアドバイスを言ったりできる立場じゃないと思っています。おそらく、あと20年くらいしたらたくさんの経験をして、もっと言えることがあるとは思いますが、いまはちょっと難しいですね(笑)。ただ、ほかの監督がananwebの読者に「俳優とは付き合うな」とメッセージを送ったと聞いたんですが、それについては全面的に同意見です(笑)。でも、付け加えるなら映画監督ともデートしてはダメですよ!なぜなら、監督にとって一番大事なものは、ほかでもなく自分の作品。私も監督と付き合っていた経験があるからよくわかります。実際、私も作品に自分のすべてを捧げていて、まるで自分の子どもみたいな存在だから地球上で一番愛おしいものなんです。だから、映画監督との関係というのは、本当に難しいと思うからやめたほうがいいですね(笑)。試練と信じる力は人を強くする!日々の生活には楽しいことばかりではなく、つらいこともあるけれど、そんなときこそ、過酷な状況にも負けることなく立ち向かう人の姿には背中を押されるもの。14歳にして、たくましく生きるオラの強さと美しさに、人間が持つ可能性を感じさせられるはず。心がざわつく予告編はこちら!作品情報『祝福~オラとニコデムの家~』6月23日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開配給:ムヴィオラⓒHBO Europe s.r.o., Wajda Studio Sp. z o.o, Otter Films Wszelkie prawa zastrzeżone. 2016
2018年06月22日アレハンドロ・アメナーバル監督の8年ぶりとなる新作『Regression』(原題)が、『リグレッション』の邦題で、9月15日(土)より日本でも公開されることがわかった。併せて、日本版ポスタービジュアルも発表された。■あらすじ1980年代後半から90年代初頭、アメリカでは悪魔崇拝者による事件が大流行していた。そんななか、父親による少女虐待の事件が起こる。事件を担当する刑事(イーサン・ホーク)は、少女(エマ・ワトソン)の記憶や証言が曖昧なことから、心理学者(デヴィッド・シーリス)に捜査協力を仰ぐことに。しかし捜査を続けるうちに、ただの虐待事件でないことが明らかとなっていく。■実話を基にしたサスペンスホラー本作は、1990年のアメリカ・ミネソタ州で起きた実話を基にした、衝撃のサスペンスホラー。監督のアレハンドロ・アメナーバルは、ゴシックホラーの傑作とも言われる『アザーズ』で知られ、2004年にはハビエル・バルデム主演の『海を飛ぶ夢』を監督したことでも話題となった。また主演のブルース・ケナー役は、『ビフォア』シリーズのイーサン・ホークが演じる。俳優のほかにも、作家や脚本家、映画監督などマルチな才能を見せ、『ブルーに生まれついて』ではジャズトランペット奏者であるチェット・ベイカーを演じた。2014年には『6才のボクが、大人になるまで。』で、2度目のアカデミー賞にノミネートされた。ヒロインのアンジェラ役には、『ハリー・ポッター』シリーズのエマ・ワトソン。昨年公開された『美女と野獣』は世界中で大ヒットとなり、ますますトップ女優としての魅力に磨きがかかる。本作では、父親からの虐待を告発する少女という役で、今までエマのイメージにはない役柄をどう演じきっているのか注目したい。■ダークさ全開のポスタービジュアル今回発表された日本版ポスターは、悲痛な面持ちのエマ・ワトソンとイーサン・ホークのシリアスな表情が印象的だ。その下には、どこか禍々しい雰囲気を醸し出す荒れ果てた小屋、外壁には逆さ十字が赤く浮き上がっている。さらに、「恐怖が 謎を 深くする」というキャッチコピーが、アメナーバルらしいゴシックホラーを彷彿とさせるようなダークさを浮き彫りにしており、待ちに待った新作に期待が高まる。『リグレッション』は9月15日(土)新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2018年06月22日映画『夜明け』が、2019年1月18日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー。主演は柳楽優弥、メガホンを取るのは、是枝裕和監督の愛弟子・広瀬奈々子監督だ。柳楽優弥が一人の秘密を抱える青年に『誰も知らない』で日本人初、カンヌ史上最年少で主演男優賞を受賞し、映画『ディストラクション・ベイビーズ』『銀魂』などで抜群の演技力を発揮してきた俳優・柳楽優弥が、次に演じるのは一人の青年。「シンイチ」と自らを名乗るが、実はある秘密を抱えて逃れてきたため、本名を明かせないでいる。ある日、そんな「シンイチ」を川辺で見つけた、初老の男・哲郎。水際に倒れていた「シンイチ」を自宅で介抱し、元気になった彼を自らが経営する木工所に連れていき、技術を教える。徐々に距離を縮め、何かを埋め合うように信頼関係を築いていくように見えた二人だが、しかし哲郎も決して忘れられない過去を抱えていた。柳楽優弥とタッグを組むのは、映画初共演となる俳優・小林薫だ。是枝裕和・西川美和監督の愛弟子、広瀬奈々子が監督デビューメガホンをとるのは、是枝裕和監督の愛弟子といわれる広瀬奈々子監督。『万引き家族』の是枝裕和監督、映画『永い言い訳』の西川美和監督が立ち上げた制作者集団「分福」卒業の広瀬奈々子監督は、映画『夜明け』がデビュー作。ある秘密を抱えて逃れてきた青年と、彼を偶然助けることとなった見ず知らずの初老の男が“家族”になろうとした、その先に見た物は……?孤独な魂を抱えた二人の物語をドラマティックに描き出す。主演の柳楽優弥、小林薫のほか、堀内敬子、YOUNG DAISなどがキャストとして参加する。なお、映画『夜明け』は第19回東京フィルメックスにてスペシャル・メンションを受賞。世界各国の映画祭への招待が相次いでいる。あらすじ地方の町で木工所を営む哲郎(小林薫)は、ある日河辺で倒れていた見知らぬ青年(柳楽優弥)を助け、自宅で介抱する。「シンイチ」と名乗った青年に、わずかに動揺する哲郎。偶然にもそれは、哲郎の亡くなった息子と同じ名前だった。シンイチはそのまま哲郎の家に住み着き、彼が経営する木工所で働くようになる。木工所の家庭的な温かさに触れ、寡黙だったシンイチは徐々に心を開きはじめる。シンイチに父親のような感情を抱き始める哲郎。互いに何かを埋め合うように、ふたりは親子のような関係を築いていく。だがその頃、彼らの周りで、数年前に町で起きた事件にまつわる噂が流れ始める──。詳細映画『夜明け』公開日:2019年1月18日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー監督・脚本:広瀬奈々子出演:柳楽優弥/ YOUNG DAIS鈴木常吉堀内敬子芹川藍高木美嘉清水葉月竹井亮介飯田芳岩崎う大(かもめんたる)/ 小林薫配給:マジックアワー
2018年06月22日「フランス映画祭2018 オープニングセレモニー」が6月21日(木)、横浜みなとみらいホールにて開催され、映画祭団長のナタリー・バイ、フランソワ・オゾン監督、フェスティバル・ミューズの常盤貴子、スペシャルゲストの是枝裕和監督などが豪華集結した。■フランス映画祭が13年ぶりに横浜で開催今年で26回目を迎える「フランス映画祭2018」は、日仏交流160周年を迎え、6月21日(木)から6月24日(日)まで、13年ぶりに横浜の地で開催。今年もファン待望のラインナップが揃い、各作品の上映の前に、オープニングセレモニーが行われた。■レッドカーペットイベントに豪華映画人が集結レッドカーペットイベントには、横浜出身の常盤さんが最初に登場。あいさつのためにマイクを持つと、「自分の育った街でフランス映画祭が行われることを本当に誇りに思います。これから映画祭が横浜にどんどん馴染んでいって、“横浜といえばフランス映画祭、フランス映画祭といえば横浜”というふうになったら、横浜がもっと、もっとおしゃれな雰囲気になるのではとすごく期待しています」と笑顔を弾けさせた。最後に「フランス映画祭が横浜に戻ってきてくれて本当に感謝しています」などとフランス語で心境を言葉に。常盤さんは、フェスティバル・ミューズとして、映画祭団長のナタリー・バイ、フランソワ・オゾン監督、同映画祭オープニング作品『セラヴィ!』のオリヴィエ・ナカシュ監督&エリック・トレダノ監督など豪華ゲストを出迎えた。■是枝裕和監督、映画祭に対する思いをスピーチホール内に場所を移して行われたオープニングセレモニーでは、カンヌ国際映画祭で日本人監督としては21年ぶりに最高賞となる「パルム・ドール」を映画『万引き家族』で受賞した是枝裕和監督が、お祝いに駆けつけた。是枝監督は「僕たち作り手にとっても本当に貴重な時間であり、場所です」と映画祭に対する思いを実感を込めて言葉にした。「尊敬するフランスの映画人の方たち、映画を愛し、映画祭を支えている方たちと同じ壇上に立つことができて光栄です」と感激の様子で祝辞のスピーチを行った。■常盤貴子&ナタリー・バイが高らかに開会宣言ナタリー・バイ団長と常盤さんが開会宣言を行うことになったが、ナタリー・バイ団長がフランス語で開会宣言を行った後、いったん日本語通訳がナタリー・バイ団長の言葉を日本語に翻訳して「フランス映画祭2018の開会を宣言します」と会場に紹介。続いてマイクの前に立った常盤さんは「(通訳の方と)同じことになってしまいますが(笑)」と声を上げて大笑いした後、改めて、「フランス映画祭2018、本日、横浜にて開催いたします!」と宣言し、オープニングイベントを盛り上げた。(竹内みちまろ)
2018年06月21日女優の相楽樹(23)が21日、自身のブログを更新し、映画監督の石井裕也氏(35)と結婚したことを報告した。相楽樹「ご報告」と題した投稿で、「いつも応援してくださってるみなさまへ私事ではございますが、この度石井裕也さんと入籍いたしました」と報告。「新しい命も授かることができ、現在は穏やかな日々を過ごしております」と妊娠も明かした。そして、「これからの人生を彼と共に過ごし、家庭を守っていきたいと思います」と続け、「まだまだ未熟な私でありますが、これからも周りの方々への感謝の気持ちを忘れずに毎日を大切に過ごしてまいりたいと思います」と伝えた。
2018年06月21日現代能『陰陽師 安倍晴明~晴明 隠された謎…~』が9月、梅若実、野村萬斎、大空ゆうひ、桂南光(語り部)らによって上演される。公演に先駆けて記者会見が行われ、葦屋道満役の梅若実と、安倍晴明役の野村萬斎が登壇した。【チケット情報はこちら】映画監督の吉田喜重が原作を書き、梅若実(当時・玄祥)が節付・演出・出演し、Mr.マリックの超魔術も取り入れて2001年に初演された本作。海外を含め各地で20回以上公演を重ね、変化・発展を遂げながら今に至る。2016年の大阪公演では、野村萬斎が安倍晴明役を演じ、玄祥、脚本補綴の藤間勘十郎と共同で演出も手がけたが、今回は萬斎の単独演出で生まれ変わる。梅若実は「この作品を初演した2001年はちょうど、萬斎さんが映画『陰陽師』をなさった時期。萬斎さんの人気にあやかって、回数をさせていただきました(笑)。フランス、オランダなどにも参りましたし、晴明神社でも上演するなど、新作能としては、絶え間なく上演させていただいています。初演から10数年経ちましたので、今回は新しい視点、角度から見直すべく、萬斎さんに全面的に演出をしていただくことになりました。普段の能では考えられないような趣向もあり、面白い舞台になると思います」と語る。野村萬斎は、「(実)先生と私と、葛葉姫の大空ゆうひさんと、“異形なる者”が3人集まり、安倍晴明の世界をお見せします。先生と私の陰陽師対決もあります。私は映画に出て以来、自分と安倍晴明という役のセット感に悩み、敢えて避けていたところもありますが、羽生結弦さんのおかげで少し離れることができたかなと思います。演技、音曲性、謡、舞踊などが詰まった、ミュージカルに負けない伝統芸能の深さを感じ取っていただきたいですね」と意気込む。初演以来、様々なマジックや最新テクノロジーを用いていることも話題の本作。その意図や、古典的な表現との兼ね合いは?「能というと幽玄の静かなイメージがあるけれど、能の世界にもイリュージョンのようなことを行った時代があったんですよ。僕がこの題材を最初に選んだのは、あまり皆さんに能を杓子定規でとらえないようにしていただきたいという思いがあったから。我々も楽しんでやっている作品ですし、そういうところは萬斎さんに任せれば絶対、大丈夫です」(実)「我々の芸能のアドバンテージは、魑魅魍魎が都に跋扈する中世の時代感、闇が出せるところ。ですから、能狂言ではあまり使わない照明や音楽の効果、マジカルな演出なども取り入れつつ、何より能狂言であることを生かした、想像力をかき立てるダイナミズムを追求したいですね。“ジャパニーズ・アイデンティティ”を醸すパフォーミングアーツになると思います」(萬斎)中世と現代が出会う、刺激的な公演となりそうだ。公演は9月6日(木)・7日(金)に東京・新宿文化センター大ホールにて。チケットの一般発売に先駆けて、現在プレリザーブを実施中。受付は6月26日(火)午前11時まで。取材・文:高橋彩子
2018年06月20日今「映画」と「私たち」の関係は大きく変わろうとしている。動画ストリーミングサービスを使えば、月額1000円足らずで数千タイトルの映画がスマートフォンで見放題。私達は、映画を観るのに、映画館に行く必要もレンタルビデオ屋に行く必要もなくなった。また、個性豊かな「ミニシアター」の映画館が街から姿を消して「シネマコンプレックス」と呼ばれる大型の映画館にとって変わったことで、大手映画会社が制作する漫画やドラマなどが原作のキャッチーで分かりやすい「メディアミックス作品」が人気を博している。それに伴い日本の映画を取り巻く環境も大きな転換期を迎えている。そんななか、「自分達の世代でなんとか邦画の現状を変えたい」と語る映画監督がいる。彼女の名前は、枝 優花(えだ ゆうか)。まだ24歳の新鋭だが、去年撮影した初長編監督作品「少女邂逅(しょうじょかいこう)」が、自主制作のインディーズ映画ながら、第42回香港国際映画祭で異例ともいえる正式招待上映を果たして、上映後はサイン待ちに長蛇の列が出来るなど、業界では既に国内外で注目を集める存在だ。同作品は、2018年6月30日に一般公開を控えているが、公開前から10代の女性ファンの間で「聖地巡礼」や「少女邂逅ごっこ」が流行るなど、SNSで大きな反響を呼び、ネットで販売していた前売り券は即日売り切れ状態。「こんな時代だからこそ、ミニシアターの映画館でじっくり観る映画の魅力を同世代や若い世代の人達にも伝えていきたい」と話す彼女。彼女がライフワークとしての映画にたどり着くまでには、いったいどんな物語があったのだろうか。そして、彼女が映画にこだわり続ける理由、人生を賭けて追求する「本物の映画」とは何なのか。東京・上野の路地裏にある数十年変わらぬであろう純喫茶の店内。大好物のメロンソーダを注文した彼女は、映画に賭ける思いを語りはじめた。「ターニングポイントで出会った大人達の言葉で私は形成されてきた」と語る彼女。その後、高校まで地元の高崎で過ごし、大学で上京。そこで映画サークルに入り、そのまま映画の世界に飛び込むまでの経緯をきいたところ意外な答えが返ってきた。ずっと心に秘めていた映画を撮りたいという思いを叶えるために、東京の大学に進学したので、入学直後から、将来この世界でどうやって生きていくかということばかり考えていました。でも、今の環境にたどりつけたのは、人生の分岐点で出会った才能を認めてくれる大人達の言葉に「流された」結果だと思います。幼い頃からの憧れである反面、将来の保障はなく安定とは程遠い映画の世界。その世界で生きていくという人生の大きな決断を「流されて」したとはどういうことだろうか。大学4年生のとき、このまま映画の道で生きていくか、一旦普通に就職をするか、進路にめちゃくちゃ悩んでた時期がありました。そのとき出会った、父と同じ年の照明技師さんに人生相談をしたらこんな答えが返ってきました。「流されろ。この世界は何か決めても何にも意味ないぞ。俺は流されてここまで来た」その人の生き様含めて、凄く説得力があって心に響きました。それでゆるっと流されたのがこの世界に飛び込んだきっかけです。彼女は、普段は映画館に行かない10代の若者にも、自身の映画を知ってもらえるきっかけをつくるためにSNSを活用して、積極的に情報発信を行っている。最も力を入れているInstagramは、写真家でもある彼女が撮影した鮮やかなポートレートと、思わず共感してしまう味のある文章が人気を博し、フォロワーは1万人を越えている。Instagramは若い世代に向けた発信のためにやっています。映画に関心がない人に私の存在を知ってもらって、映画に興味を持ってもらうって大変なことだと思うんですが、Instagramはそこを簡単に超えていける可能性があると思っています。どんなきっかけ、どんな動機でもいいので、「あの人の映画ちょっと観に行ってみよう」と思ってくれたらなと。どれだけ、若い人達をこっちの世界に引っ張りこめるかだと思っています。昨年、初長編監督作品の「少女邂逅」を撮影する際には、クラウドファンディングを活用して、資金を集めるかたわら、Twitterで公式アカウントを開設して定期的に撮影の様子を発信するなど、積極的にプロモーションを展開して、公開前から日本全国にファンをつくることに成功した。インディーズ映画ということに甘えずに、ちゃんとお客さんが観に来てくれる映画を提供できるようにならないとけない。わかる人だけ届けばいいみたいなやり方は物凄く傲慢だと思う。映画を観てもらうためには手段選ばない姿勢の背景には、映画をつくる人間としての徹底したプロフェッショナル意識が垣間見える。映画に関わる人は、もっとお客さんを信じていいと思う、と語る彼女。だから、本当は映画において、煽りやわかりやすさやは必ずしも必要ではないと言う。お客さんを信じて、作り手としての責任を果たし続けることが全てだと思ってます。作り手はお客さんの100倍以上、物事を考えて作っていかないと、きっとなにも届かないと思うので。だから終わりがなくて、毎日定期テストの3日前みたいな日が延々続くんですけど、それがやりがいでもあります。楽しいですよ。最近は、映画以外にも、ドラマやミュージックビデオの撮影などの仕事も手掛ける彼女。様々なバックグランドの人が集まる仕事の現場で、作り手としての意識や姿勢の違いを痛感することもあると言う。映画って簡単には出来ないんですよ。たとえば、衣裳ひとつとっても、その役の設定によって、持つアイテムやブランドは全然変わってきますよね。凄く細かいと感じるかもしれないんですけど、そういう「奥行き」をつくっていけるのも映画の魅力だと思うので、衣裳さんも美術さんも職人としてのこだわりが活きるし、役者も、その役の人生をどう生きるかということが試されていると思います。たまに、そういったこだわりを軽視して「それっぽいもの」をつくればいいみたいな意識の人と仕事で出会ったときは、こっちはこれに人生賭けてるんだぞ、なめんなよと思います(笑)映画館で映画を見る場合、お客さんは2時間、暗室の中に閉じ込められて映画と対峙することになる。その環境で観るメディアだからこそ、細部への徹底的なこだわりによって、無限に奥行きを広げて行くことも可能になる。また、奥行きがある映画は、観る人それぞれの人生というフィルターを通して、その人の心のなかに様々な化学反応を生み出すことが出来る。彼女が語る「本物の映画」が少し見えた気がした。「映画館に年に1回しか行かないような、デートの口実でしか映画を観ないような、ネットでザッピングが当たり前のような、そもそも映画に金を払う考えがないような、それが日本の8割以上なんてことはわかっているのですが、私は、映画館で観る映画は人生のスペシャルになると、信じてるので、やっているよ。やり続けるよ」(via Instagram)彼女はきっと誰よりも映画の可能性を信じている。その、したたかな情熱が、いつか、邦画の未来を切り開くかもしれない。彼女が現時点での集大成だと語る映画「少女邂逅」は、そんな、新しい世代の可能性を感じさせてくれる作品となっている。枝優花Twitter|Instagram1994年まれ。群馬県出身。小学生の時から演技を学び、大学入学後、映画監督、写真家として活動を開始。好きなのものは、映画、最近家にやって来た愛犬のボストンテリア、そして、好きな人達と一緒に食べる美味しいごはん。▶︎オススメ記事・#005 「ファンの一言で、服への意識が変わった」。昔は服をたくさん捨てていた“読モ”が、服を捨てなくなった理由|赤澤えると『記憶の一着』・「西洋の真似だと芯が弱い」。東京に和菓子カフェを開いた28歳の女性がトレンドよりも本物を追求する理由All photos by Yuki NobuharaText by yuki kanaitsukaーBe inspired!
2018年06月19日もっと料理を楽しみたいと思ったら、何を備えておくべき?基本のき、といえばやはり包丁。料理上手でも知られる作家の辻仁成さんがその向き合い方を綴ります。「味を引き締めるもの」包丁というのは切れすぎてもいけません。和食の達人などは包丁が切れすぎると魚が美味しくならないというのでわざとちょっと切れを悪くするような料理人さえいるくらいです。刺身なんかは繊維に対する刃の入れ方次第で美味しさが変わりますから切れ味は大事ですが、魚を知り、包丁を知り尽くしていないと最高の味を引き出せないわけです。母方の先祖が立花藩の刀鍛冶でしたから包丁を持つことが子供の頃から好きでした。でも、とくにこだわりはありません。有次も使えばグローバルも使います。とくに料理は毎日のことなので圧倒的にグローバルが便利です。有次は刀に近いのでしょっちゅう面倒みてやらないとなりませんし、血の匂いのような鉄成分を嗅ぎ分けて研ぎ続けなければならず維持に手間がかかります。グローバルの包丁は研ぎ石じゃなくてイケアで買った研ぎ機で十分ですから重宝しますし、タリアータ肉のような表面が硬く中が柔らかい肉でさえも、すっと引くことができます。けれども月に一度は近所の市場に出る研ぎ屋さんに行き調整方々研いでもらっています。プロが研いだ後の包丁はまるで別物。恐ろしい感じさえしますよ。しかし、生きていたものを料理するわけですから、この緊張感と畏怖が味を引き締めているのも間違いありません。包丁を究め、包丁と向き合うことが料理上達の一番の鍵なのです。手順が色々とある包丁研ぎは、プロに任せればより安心。『築地・有次』では、ひとつひとつ手研ぎで丁寧に研ぐので、包丁を傷めず大満足の仕上がりに。他社製品も受け付け、修理にも対応。1丁1000円前後~。東京都中央区築地4-13-6TEL:03・3541・68906:00~15:00不定休郵送可。つじ・ひとなり作家、ミュージシャン、映画監督。SNSで紹介している、一人息子に作る、愛情たっぷりの料理が話題に。レシピ本、料理小説などの著書も。最新刊は『真夜中の子供』(河出書房新社)。※『anan』2018年6月20日号より。写真・中島慶子イラスト・勝山八千代文・辻 仁成(by anan編集部)
2018年06月18日『戦場のピアニスト』『ゴーストライター』などを手掛ける鬼才、ロマン・ポランスキー監督が仕掛ける戦慄のミステリー『告白小説、その結末』。この度、本作で10年以上ぶりにフランス映画(正しくは、フランス・ベルギー・ポーランド合作)に出演し、久しぶりに母国語を披露していることも話題のエヴァ・グリーンのインタビュー映像がシネマカフェに到着した。■主人公は対極的な2人の女性昨年のカンヌ国際映画祭に正式出品された本作は、ポランスキー監督がオリヴィエ・アサイヤス監督を脚本の共同執筆者として迎え、初めて2人の女性を主人公に据えた極上のミステリー。今回インタビューに応じたエヴァが演じるのは、主人公の1人、エル。『007 カジノ・ロワイヤル』『ダーク・シャドウ』『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』などに出演し、人気を集める彼女だが、今回は、スランプに陥っていたベストセラー作家デルフィーヌ(エマニュエル・セニエ)の前に現れる、熱心なファンであると称する謎の女を好演。本作にはエマニュエルとエヴァ、2人のヒロインが登場するが、当初、監督は妻で創作上のミューズでもあるエマニュエルにどちらの役が向いているか迷っていたそう。しかし、脚本を書き始めるとすぐにデルフィーヌにぴったりだと気づき、その不安を掻き立てるような相手役として真っ先に思い浮かんだのが、それまで面識のなかったエヴァだったという。■エルは「吸血鬼みたいな女性」インタビューでエヴァは、「依頼を受けて光栄だったわ。伝説的な映画監督でしょ。脚本を読まなくても思い切って飛び込むわね」とオファー時をふり返っており、また監督との仕事について、最初は圧倒されたそうだが、「彼は完璧主義者なのよ。細部にこだわって何時間もカメラをのぞいてる。最初は戸惑うけど、やり方に慣れると戸惑いの別のものに昇華できる」と明かしている。謎めいた女性、エルについては、少しずつデルフィーヌの人生を彼女が浸食していく様子から「吸血鬼みたいな女性」と表現。しかし一方で、「とても洗練されてエレガントに見える。自信に満ちているし、ある種の威厳もある。私が思うに、デルフィーヌが夢で憧れる理想的な女性像なのよ」と自己分析も。■「不安だった」エマニュエルとの共演そして、もう一人のヒロインを演じたエマニュエルとの共演もふり返ったエヴァ。昨年のカンヌでは、フォトセッションでキスを交わし大きな注目を集めたが、最初は「不安だった」「厄介かもと心配したわ」と印象を明かす。しかし、「すべて取り越し苦労だった。寛大でいい人よ。この業界では珍しい」と共演したことで印象が変化したと言い、また「彼女とは息が合った。おかげでスクリーンでも化学変化が起きたのね」とコメントしている。『告白小説、その結末』は6月23日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて順次公開。(cinemacafe.net)
2018年06月17日ショートショートフィルムフェスティバル & アジア 2018「Branded Shorts 2018」のスペシャルトークイベント「ショートフィルムの魅力」powered by ネスレ日本が13日に行われ、別所哲也、黒木瞳、TAKAHIRO(EXILE)、LiLiCoが登場した。企業や広告会社が制作した、ブランディングを目的として作られたショートフィルムを表彰する「Branded Shorts 2018」。スペシャルトークには、「ショートショートフィルムフェスティバル & アジア 2018」に関わりの深い4人が集まり、ショートフィルムの魅力について語り合った。映画『ウタモノガタリ-CINEMA FIGHTERS project-』(6月22日公開)内の一作『カナリア』に主演するTAKAHIROは、「台詞が二言くらいしかなくて、大丈夫なのかと思いながら、挑ませていただきました。言葉にできない葛藤だったり、心の中のものをどう表現していくのか、役者としてスタートに立たされた気分」と撮影を振り返る。監督からも、”EXILE TAKAHIRO”を消すように言われたというTAKAHIROに、実施に映画を観たLiLiCoも「このオスのような素敵なフェロモンを消せるんだなと思って」と驚き。別所が「オスのような、じゃなくてオスですよ」とツッコむと、LiLiCoは「男とオスは違いますよ? 別所さんは程よいイケメンです。こちら(TAKAHIRO)はイケメンです。その違いです」と持論を展開した。また、別所から「監督デビューとか、どうですか」と質問されたTAKAHIROは「いつかはやってみたい」と希望しつつ、「役者としてまだまだ学ぶべきことがたくさんあるので、学びながらいつかはやってみたいとは思いますけど」と語る。しかし、監督としても活躍する黒木が「全く女優の時と違う川岸から見ています。心で思っていても、それが画面に出ないということのアドバイスをしています」と心得を明かすと、TAKAHIROは「黒木さんが美人すぎて内容が……横顔を見てました」と見惚れてしまった様子だった。さらに今後の監督活動に対して「貪欲に」という黒木に、別所が「その時は、イケメンと程よいイケメンは」、LiLiCoが「野獣みたいな女は」と立ち上がり、黒木に頭を下げる一幕も。TAKAHIROは改めて「一部分を切り取ってある中に、これまで生きたことの歴史だったり、これからどうなっていくかが描かれて、可能性を感じる。役者としても少しずつ勉強させていただければと思っています」と、ショートフィルムの魅力について語った。
2018年06月13日映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』が2018年8月31日(金)より全国東宝系にて公開。篠原涼子、広瀬すずら豪華女優陣を迎え、大根仁監督が原作映画『サニー 永遠の仲間たち』を再構築する。主演は篠原涼子、高校時代を広瀬すずが演じきる主人公・奈美役には、『人魚の眠る家』『今日も嫌がらせ弁当』などの出演作が続く篠原涼子。平凡な専業主婦である・奈美が、女子高校生時代のかつての仲間、グループ「サニー」の再集結のために奮闘する。「サニー」の仲間役には、板谷由夏、小池栄子、ともさかりえ、渡辺直美が抜擢。20年以上の時を経て、久しぶりの親友たちとの再会がもたらすのは、それぞれが抱える問題との直面だった…。奈美の高校時代は、人気女優・広瀬すずが演じきる。映画『先生!』『ちはやふる』シリーズでフレッシュな表情を魅せた広瀬すずが、90年代の女子高生“コギャル”を熱演。また、池田エライザ、山本舞香ら若手陣が「サニー」メンバーの若き頃を担当する。安室奈美恵ら、小室哲哉プロデュース90年代J-POPが劇中楽曲にデビュー日の9月16日をもって引退を発表した安室奈美恵の「SWEET 19 BLUES」「Don’t wanna cry」などの小室哲哉プロデュース楽曲、JUDY AND MARYの「そばかす」、CHARAの「やさしいきもち」、そして映画サブタイトルにも使用された小沢健二の「強い気持ち・強い愛」など、90年代の日本を彩ったJ-POPを劇中楽曲として使用し、女たちの青春と再会の物語を描き出す。小室哲哉最後の映画音楽本映画のサウンドトラックを担当するのは、2018年1月に引退を表明した小室哲哉。数々の名曲を世に送り出してきた同氏最後の映画音楽となる劇伴25曲全てを完全オリジナルで制作した。また、映画の公開に先駆け、2018年8月29日(水)には25曲全てをまとめたサウンドトラックが発売される。映画と共に、最後の映画“TKサウンド”にも注目したい。『モテキ』の大根仁が人気映画を日本版に再構築原作は、カン・ヒョンチョル監督が手掛けた韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』。『モテキ』『バクマン。』など数々のヒット作を飛ばす大根仁監督が、この原作映画のファンだったことから映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』はスタートした。大根仁が監督のほか、脚本も務め、作品の舞台を日本に移し再構築している。あらすじ90年代に青春を謳歌した女子高生グループ<サニー>の6人。20年以上の時を経て、彼女たちはそれぞれ問題を抱える大人になっていた。メンバーのひとりだった専業主婦の奈美は、ある日、久しぶりにかつての親友・芹香と再会するが、彼女は末期ガンに冒されていた…。「死ぬ前にもう一度だけ、みんなに会いたい」芹香の願いを叶えるため、止まっていた時が動き出す――【詳細】映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』公開日:2018年8月31日(金)より全国東宝系にて公開監督・脚本:大根仁音楽:小室哲哉企画・プロデュース:川村元気出演:篠原涼子、広瀬すず、小池栄子、ともさかりえ、渡辺直美、池田エライザ、山本舞香、野田美桜、田辺桃子、富田望生、三浦春馬、 リリー・フランキー、板谷由夏配給:東宝■小室哲哉「SUNNY 強い気持ち・強い愛」オフィシャルサウンドトラック発売日:2018年8月29日(水)価格:2,500円+税収録楽曲:全25曲
2018年06月09日これまで家族をテーマにした作品を撮り続け、国内外の映画祭にて賞を獲得してきた是枝裕和監督。最新作『万引き家族』ではあのカンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞した。本作が海外でも高い評価を得たのはなぜか。今回はそんな本作の魅力についてまとめてみた。■あらすじ再開発が進むなか、ポツンと残された古い住宅街。日雇い仕事の父・治と息子の祥太“親子”ならではの連携プレーで万引きに精を出している。その帰り道、団地の廊下で凍えている幼い女の子を目にした治は思わず家に連れて帰ってしまう。突然、子どもを連れてきた夫に腹をたてる信代だったが、体じゅう傷だらけのゆりの境遇を察し、面倒をみることにした。祖母・初枝の年金を頼りに暮らすその一家は、風俗のバイトをしている信代の妹・亜紀、そして新しい家族のゆりも加わり、貧しいながらも幸せに暮らしていた。しかし、ある事件をきっかけに家族の隠された秘密が明らかになっていく――。■是枝監督常連キャストから、ニューフェイスまで揃った豪華な布陣これまで多くの作品でオリジナルの脚本を自身で書き、監督を行ってきた是枝監督。本作ではこれまでの作品に出演した常連キャストと、初めて参加したキャストのアンサンブルも大きな見どころの一つになっている。リリー・フランキー/柴田治役『そして父になる』で庶民的な父親を好演したリリーさんが、本作には息子と共に万引きで生計を立てる柴田治役として出演。是枝監督とは本作で4度目のタッグとなり、「純粋に嬉しいです。是枝組独特の穏やかで澄んだ空気感の中、本作は社会や人にとって、とても重大なのに、ほんの1日で黙殺されてしまうような出来事にフォーカスを当てていく。是枝監督らしい、いい作品になると感じています」とコメントしていた。安藤サクラ/柴田信代役是枝監督作には初参加となる安藤さん。リリーさん演じる柴田治の妻・信代を演じるにあたり、「いまこのタイミングでこの作品に出演できることをとても嬉しく思っています」と感動をあらわにしていた。本作での高い演技力は、監督・共演者の度肝を抜くほど。監督は、いま安藤さん以上の女優はいないのではないかと思うほどだったそう。松岡茉優/柴田亜紀役こちらも安藤さんと同じく、本作で初めて是枝監督作に出演した松岡さん。オファーを受けた際は「あの本を読んだ、あの映画を見た。産まれて、育ててもらって、生きてきたすべてのことが正しかったんだと肯定されたような気持ちでした。夢のような顔合わせは現実には思えなかったです」と心境を明かした。樹木希林/柴田初枝リリーさん同様、いくつもの是枝監督作に出演してきた大御所・樹木さん。本作でもその存在感は健在だが、「是枝作品の中に居るのは これで おしまいちょいと ブラブラしすぎる台本は読みちがえるわ 口は出すわ悪口は言うわ 都合悪けりゃボケたふりするわ困ったもんだ」と是枝作品内での引退をほのめかすようなコメントも。小さくても、作中で大きな存在感を放つ子役たち治と信代の息子・祥太と、治が家に招いた少女・ゆりは是枝監督のオーディションによって選ばれた2人。祥太役を演じた城桧吏はNetflixオリジナルドラマ「僕だけがいない街」に出演しており、ゆりを演じた佐々木みゆは、なんと本作が映画初出演だ。監督はキャスティング理由ついて、桧吏くんは「オーディションで部屋に入ってきたときにこの子だってピンときた。いつまでも見てられると思った」と語り、みゆちゃんについては「オーディションで部屋の隅でポテトチップスを食べるシーンを演じてもらったんですが、そのポテトチップスの食べ方がよかった(笑)」と明かした。ほかにも脇を固めるキャストには、池松壮亮、高良健吾、池脇千鶴ら実力派俳優が揃っており、圧倒的キャスト陣で本作は挑まれているのだ。■あのケイト・ブランシェットが大絶賛! パルムドール受賞の理由とは?第71回カンヌ国際映画祭にて上映された際にはスタンディングオベーションが起こり、なんと9分間も続いた。辛口で知られる海外メディアからも高評価を得て、授賞式では最高賞であるパルムドールを獲得!日本作品では、今村昌平監督の『うなぎ』(’97)以来、実に21年ぶりという快挙を成し遂げた。この受賞理由について、審査員長のケイト・ブランシェットは「演技、監督、撮影などトータルで素晴らしかった」と述べるだけでなく、安藤さんの芝居についても熱を帯びた口調で絶賛。彼女の泣くシーンについて、「今後、私も含め今回の審査員を務めた俳優の中で、今後あの泣き方をしたら、彼女の真似をしたと思って」とコメントするほどだった。■ポスターを『海街Diary』と比較してみた本作には、クランクインに先駆けて昨年の夏に2日間だけ海で撮ったオフショットが存在する。台本も完成していない中、“家族”6人で撮ったそうで、リリーさんはその写真を「なんか劣化版の『海街diary』みたいだな」とボソリ。すると、安藤さんまでもが「そうそう、ポスタービジュアルの縁側の写真も劣化版の『海街diary』みたいなね…」と同調。続けてリリーさんが「あのポスタービジュアルの家族の笑顔と『万引き家族』ってタイトルみると、ソフトバンクの新しい家族割りみたいだよな」と話すと笑いに包まれた。お茶目なリリーさんに現場はさぞ和んだことだろう。■安藤さん、パルムドール受賞について語るも…?実は、パルムドール受賞発表前から撮影で大阪にいたという安藤さん。「この“家族たち”と夜中だけどYouTubeで中継をみようとやりとりをしていて」と準備万端で授賞式の中継を見ていたものの、「いつの間にか眠ってしまいまして…」とまさかの寝落ちをしてしまったことを告白。「そしたら、リリーさんから『サクラ起きろ!』とメールがすごい来ていて、マネージャーさんには、真っ暗にして寝ていた部屋で『パルムドールです!』と言われて…それですぐにTVをつけてニュースが流れているをみて、これは残さなきゃとフィルムのカメラでその画面を撮りました(笑)」と、受賞の瞬間をふり返った。■本作に向けられる意見に、監督はどう向き合ったのか?是枝監督は、パルムドール受賞を受けて行われた外国人特派員協会での記者会見で「社会的、政治的問題を喚起する映画を作ったわけではない」と断った上で、「2000年代に海外の映画祭で一番言われたのが『日本映画には社会と政治がない。なぜだ?』ということ。それは、そういう作品は、興行として成立しにくいという判断を、日本の大きな興行会社をしてきたから。それは日本の映画の幅を狭くしていると自覚はしていました」と語った。しかし、パルムドール受賞という最大級の結果に、様々な反響が寄せられるようになり、是枝監督は「21年ぶりの(日本映画の)パルムドールということで、思った以上に取り上げられて、普段、映画について語らない人たちもこの映画について語る状況になって、一部で、僕と僕の映画が物議を醸しているかのような状況になっていますが」と、是枝監督を取り巻く状況が一変したことを明かしつつも、「それはこの映画が、通常の枠を超えて多くの人のところに届いているのだなと個人的には前向きに捉えています」とコメントしてみせた。海外でも非常に高い評価を得た本作。今回の受賞によって、日本と海外の距離が縮まったようにも感じる。なにより映画好きの人は、カンヌの舞台裏などを監督のコメントからも知ることができ、作品以外にも注目したい点は盛りだくさんだ。そんな魅力満載の『万引き家族』をぜひ劇場で。『万引き家族』は6月8日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:万引き家族 2018年6月8日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開© 2018フジテレビジョンギャガAOI Pro.
2018年06月09日2017年4月28日に渋谷にオープンした複合施設、「SHIBUYA CAST.」。都会のど真ん中にあるこの場所で、血縁にも地縁にもよらない「拡張家族」になることを目的に、共に暮らし、共に働く集団がいる。名前は「Cift(シフト)」。現在のメンバーは39名。半数以上が起業をしていたり、フリーランスのような形で働いている。ファシリテーター、弁護士、映画監督、美容師、デザイナー、ソーシャルヒッピー、木こり見習いなどなど、全員の肩書きを集めると100以上に。大多数のメンバーがCift以外にも、東京から地方都市、海外まで、様々な場所に拠点を持っていてその数も合わせると100以上になる。メンバーのうち約半数は既婚者で、何人かは離婚経験者。2人のメンバーはパートナーや子どもも一緒にCiftで暮らしている。そうした“家族”も含めると、年齢は0歳から50代にわたる。バックグラウンドも活動領域もライフスタイルも異なる39人が、なぜ渋谷に集い、なぜ「拡張家族」になることを目指しているのか。本連載では、CiftのメンバーでありこれまでにBe inspired!で記事の執筆もしてきたアーヤ藍が、多様なメンバーたちにインタビューを重ねながら、新しい時代の「家族」「コミュニティ」「生き方」を探っていく。アーヤ藍Photo by Jun Hirayama最終回となる第6回目は、世界的なニュースメディア「ハフポスト日本版(HUFFPOST)」ブランド・マネジャー/ニュースエディターの笹川かおりさん。2017年11月から、「家族のかたち」という特集をはじめ、その取材を進めるなかでCiftと出会い、メンバーにも加わった笹川さん。家族の形をはじめ、多様性のある社会や暮らし方について、そして、個人個人の変化と社会の変化の結びつきについて、アーヤと対談形式で語り合った。笹川かおりさんニュースメディアに移って気づいたジェンダー・ギャップアーヤ藍(以下、アーヤ):ハフポストに入る前はどんなことをしていたの? 笹川かおり(以下、笹川):高校生くらいからずっと編集者になることが夢だったんだ。カルチャー女子で映画とかがすごく好きだったから、雑誌や本をよく読んでたんだけど、編集者って会いたい人に会いにいけて、行きたいところに行って、自分が教えてもらったことを人に伝えて還元できて最高!って思ってね。 新卒で出版社に入社して、途中転職もしつつ、約9年間は出版社で働いてた。やりたかったカルチャーやエンターテインメント、ライフスタイルの本を手がけられたし、仕事はすごく楽しかったんだけど、出版業界にいて紙媒体だけで伝えることに限界を感じて、ウェブメディアに挑戦してみたいって思ったんだよね。ちょうどその頃にハフポスト(※当時の名称はハフィントンポスト)が日本に上陸することになって、良いご縁で立ち上げ初期のタイミングでジョインさせてもらったの。そこから今5年くらい経ったところかな。アーヤ:ハフポストではどんな取材に力を入れてきたの? 笹川:出版からニュースメディアの世界に来て一番びっくりしたのが、記事の主語が、男性ばかりだったこと。政治のニュースも経済のニュースも。フロントページは男性の写真ばっかりで、この国の意思決定者は男性なんだって実感した。出版社で働いていた時は、出産後に働いている人もいっぱいいたし、年齢とか性別関係なくヒットを出した編集者が評価される世界だった。だからあまりジェンダー・ギャップを意識したことがなかったんだよね。でも世の中はだいぶ違うらしいって気づいて、そのあたりからジェンダーのイシューが自分事になっていったかな。 それでジェンダーや働き方についてしばらく取材を続けていくうちに、ふっと隣をみたら、LGBTQっていう女性よりもっと生きづらそうなマイノリティの存在に気づいた。ちょうどアメリカで同性婚が認められて、渋谷区や世田谷区で同性パートナーシップ制度の議論が始まった頃だったこともあって、反響も大きくていろんな切り口から取材をしていったよ。特集の原点は「戸籍制度をロックに批判したい」という思い笹川:ハフポストは「ダイバーシティ」を掲げて、“一人ひとりが自分らしく生きること”を大切にしているのだけど、私はニュースやライフスタイルのカテゴリーを通じて、自分事として捉えられるようなイシューから広げていっている感じかな。子どもが生まれてからは子育て世代の課題に関心が強まったし、ベビーカーを押して歩くようになってからは、車椅子の人たちのことも考えるようになった。自分の人生が多様に広がると、共感できるポイントが増えるなって感じているよ。仕事と子育てでいっぱいいっぱいだったから、第3の場所に入ってみたアーヤ:Ciftは「家族のかたち」の連載を進めるなかで知ったの? 笹川:そうそう。「家族のかたち」がスタートしたのが去年の11月で、その月にBe inspired!編集長の平山 潤くんに出会ったんだけど、特集の話をしたら、「拡張家族っていうのがありますよ」ってCiftのことを教えてもらったんだ。その後同僚からも、さおたん(※神田沙織)を紹介されたりして、翌月に取材に来た感じ。だからきっかけは平山くん(笑)。 アーヤ:ウェブメディア同士で情報交換しているとは思わなかった! 笹川:ハフポストとBe inspired!、方向性が似ている発信もあるけど、ハフポストは、ユーザーとの対話も大切にしてるけど、政治とか経済とか「社会を変える」っていう立ち位置の発信もしてる。一方、平山くんは、「僕らは政治とかは簡単に変えられないので、目の前の経済や暮らしから変えていく」っていう話をしていて、その等身大な感じは大事だなって思ったんだよね。私自身ちょうど育休から復帰したところで、自分の目の前の暮らしがいっぱいいっぱいなのに「社会のために…」って発信しているのはアンバランスに思えて…。自分の足元の暮らしを見直すきっかけをもらったかな。 アーヤ:Ciftに入ろうって思った一番のポイントはどこにあったの?取材先に自分が入り込むってなかなかないでしょ? 笹川:私、結構マイペースで一人の時間も好きだから、何年か前の私だったら入っていなかったと思う。でもちょうど自分が「うまくいっていない」って感じていた時期だったんだよね。はたから見れば、子育てしながら働くことができているように見えると思うけど、インプットの時間が全然とれなくて枯渇感があったし、仕事と子育てだけでいっぱいになっている自分にモヤモヤしてた。Ciftは穏やかで安心安全を感じられる場でありながらも、ユニークな働き方、暮らし方をしている人が多いし、そのメンバーと対話をする機会も多いから、新しい世界が広がる感じがしたんだよね。Ciftコモンスペースでの夕食タイム。時に熱く、時にゆるやかに対話をしている大人たちのすぐそばで、子どもたちも遊ぶPhoto via Cift笹川:それに「家族のかたち」の連載で、「血のつながらない家族も家族だし、いろんな家族のかたちがある」って発信しているのに、自分の家族は夫と子どもの核家族。言っていることと自分のリアルが違うって思ってね。血がつながらない人たちと家族になるってどういうことなんだろうとか、ともに子育てするっていうのがどういう感じなんだろうっていうのを、肌感覚でわかってみたいって思った。 あとは、子どもがいたことが一番大きかったかな。以前保育の専門家に取材したとき、小さい子はママとか保育士さんとか、若い女性と接する時間がすごく長いけど、世の中はもっと多様だから、小さい頃からいろんな面白い人に会わせてあげることが一番って言っていたんだ。Ciftはおもしろい大人が集まっているから、みんなが遊んでくれたら、それだけで子どもにとってすごい財産になるだろうなって思った。5月19日に開催されたCift1周年イベントでは、「拡張子育て」をテーマとしたセッションで笹川さんもトークをした。Photo via Cift「知らない」から怖くて遠ざけたくなるアーヤ:暮らしを共にすると、一緒に過ごす時間の長さも頻度も違うもんね。私は独身で子どもがいないけど、時々30分とか1時間とかCiftキッズたちと一緒に過ごすのはいいリフレッシュになるし、違う視点をもらえたり、視野が広がる感じもするんだよね。だから「負担をシェアする」っていう感じではなくて、むしろエネルギーをもらっている感じがしてる。 あと自分のなかで発見だったのが、この間電車のなかで泣いている子がいた時、即座に笑いかけられたんだよね。それまで気にかかりはしても「笑いかけて泣きやまなかったらどうしよう…」って思っちゃって、行動できなかった。でもCiftで小さい子たちと過ごすなかで、「子どもって泣くのは自然なことなんだ!」って知ったからできたんだと思う。 笹川:わかる。私も子どもが生まれるまでは、友達のお子さんとか抱いて、泣いちゃうとすぐ返していたから(笑)。個人の「10分」の変化が、社会の変化に繋がるアーヤ:Ciftに入ってみての発見や感じていることはある? 笹川:長屋みたいに、一つの家の延長上に頼りになる人たちがいるっていうのは、すごい安心感があるんだなって知った。仕事と家しか居場所がないっていう人が今の社会では大半だと思うけど、それってすごく不安定なことだと思う。第3の安心できる場所があることってすごく意味があるんじゃないかな。 やっぱり自分に余裕がなかったり満たされていないと、人への優しさって生まれないと思うんだよね。不安だと自衛に走っちゃう。Ciftが大事にしていることでもあるけど、一番大切なのは「個人の意識」が変わることなんじゃないかなって思う。それに、そういう発信のほうが今求められているという感覚もあるかな。全6回にわたった、拡張家族ハウス“Cift”メンバーたちへのインタビュー。記事で取り上げたのは約40人いるメンバーのうち、たった6人だが、紹介できていないメンバーも含め、一人ひとり、Ciftに参加した経緯も、Ciftで過ごしたこれまでの日々での気づきや変化も異なる。共通しているのは、程度の差はあれども、従来の「家族」の枠を越えることを厭わず、「それまでの日々からの変化」を自ら選択したことだろう。Ciftという場は、新しい家族の形に挑戦する一つの事例であり、まだ「実験」の道半ばだ。ここがあらゆる人に共通の「正解」の場ともならないだろう。だが一人ひとりの能動的な挑戦とそれによる個々人の変化は、Ciftの枠をも越え、各々のフィールドやコミュニティで、新しい種としてまた芽吹いていくだろう。そしてその蓄積はいつか社会をも変えうるのではないだろうか。CiftWebsite|FacebookKaori Sasagawa(笹川かおり)出版社を経て、2013年からハフポスト日本版ニュースエディター。副編集長を経てブランド・マネージャー。働きかた、ジェンダー、LGBTQのほか、ライフスタイル領域の記事を執筆、イベントを企画している。特集「だからひとりが好き」「家族のかたち」「アタラシイ時間」などを担当。1児の母。鉄子。果て好き。猫好き。▶︎これまでのCiftの連載はこちら・#1 平和のための“ホーム”を渋谷につくる「建てない建築家」・#002 「人生が楽になった」。一児の母が39人の大人が住む家で子育てして気付いた“家族には正解はない”ということ・#003 “我慢と孤独”を抜け出した女性が「39人の家族」で見つけた、“ゆとり”を持ち寄ることで得られる豊かさ・#004 「子どものために用意されたものは、大人にもいいはず」24歳の鍼灸師が“他人の子ども”と暮らして気づいたこと・#005 長野と東京の2拠点生活をする男性が、「ホテルで一人暮らし」から「39人との共同生活」にシフトした理由▶︎オススメ記事・「失恋」を理由に会社で有給を取ることが、日本で当たり前になるべき理由・現代社会で軽視されがちな“感情”の大切さをアートを通じて思い出させてくれる「ビジュアル哲学者」All photos by Shiori Kirigaya unless otherwise stated. Text by Ayah AiーBe inspired!
2018年06月09日カンヌ国際映画祭で最高賞であるパルムドールを受賞した是枝裕和監督が総合監修を務める、日本を舞台にした国際共同プロジェクト映画『十年Ten Years Japan』。このたび特報映像とティザービジュアルが解禁された。今年のカンヌ国際映画祭で日本人監督として史上4人目、21年ぶりのパルムドールを受賞した是枝裕和監督が、初めてオムニバス映画の総合監修を務める。このたび解禁された特報映像は、昨年の釜山国際映画祭で行われた製作発表から始まる。「フランス World Wide Festival」など国内外の大型フェスに出演しアジア、ヨーロッパでも活躍、ドラマ「僕たちがやりました」(CX/’17)の劇伴を担当するなど、世界を舞台にマルチに活 躍するKan Sano(origami PRODUCTIONS)が紡ぎ出す繊細なピアノの旋律律にのり、是枝監督によって脚本のオリジナリティ、クオリティ、将来性から選ばれた5人の新鋭監督たちが描く“5つの未来”が、美しく、そして力強く描き出されている。また、各作品の主演である杉咲花、國村隼、太賀、川口覚、池脇千鶴の“未来を見据える表情”も印象的な特報映像となっている。なお、タイ版はアピチャッポン・ウィーラセタクン(『ブンミおじさんの森』)が監督として参加し、先日の第71回カンヌ国際映画祭「特別招待作品」に選出。台湾版は台北国際映画祭「コンペティション部門」(6月28日~7月14日開催)に選出されている。『十年 Ten Years Japan』は今秋、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2018年06月08日イスラエルの映画監督、サミュエル・マオズの最新作『運命は踊る』(原題:FOXTROT)が、2018年9月29日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国の劇場にて順次公開される。デビュー作『レバノン』で金獅子賞、サミュエル・マオズ監督の長編2作目監督自身も兵士として参加した1982年のレバノン戦争を舞台に、極限状態の4人の兵士を通して戦争の恐怖を描いた『レバノン』で、2009年の第66回ヴェネツィア国際映画祭・金獅子賞を獲得したサミュエル・マオズによる最新作。本作においては、第74回ヴェネチア国際映画祭審査員グランプリ、イスラエル・アカデミー賞2017で最多の8部門を受賞している。『レバノン』に続く長編2作目となる本作でも、自身の体験をベースにした物語を作り上げたマオズ。戦争のために前線に赴いている息子と、その帰りを故郷イスラエルのアパートで待つ両親の3人の視点から、運命の不条理さと人生のやるせなさを緻密に描き出した。あらすじイスラエル・テルアビブのアパートに暮らすミハエルとダフナ夫妻のもとに、息子ヨナタンの戦死を知らせるため、軍の役人がやって来る。ショックのあまり気を失うダフナと、平静を装いながらも役人の対応にいらだちをおぼえるミハエル。そんな中、戦死の報が誤りだったと分かる。安堵するダフナとは対照的に、ミハエルは怒りをぶちまけ、息子を呼び戻すよう要求する。その一方でヨナタンは、戦場でありながらどこか間延びした時間を、ラクダが通る検問所で過ごしている。ある日、若者たちが乗った車が来訪。いつも通りの簡単な取り調べを行うはずだったが…。遠く離れたふたつの場所で、家族3人の運命が、“フォックストロット=社交ダンスの1つ”のステップのように交錯する。作品情報映画『運命は踊る』公開日:2018年9月29日(土) ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開監督・脚本:サミュエル・マオズ出演:リオール・アシュケナージー、サラ・アドラー(『アワーミュージック』)、ヨナタン・シライ原題:FOXTROT© Pola Pandora - Spiro Films - A.S.A.P. Films - Knm - Arte France Cinéma – 2017
2018年06月07日タレント・伊集院光がパーソナリティを務めるTBSラジオ『伊集院光とらじおと』(毎週月曜~木曜 8:30~)。4日の放送では、スペシャルウィーク(11日~14日)のゲストが発表された。有田哲平ゲストが登場するのは、トークコーナー「伊集院光とらじおとゲストと」(10:00~)。毎回、伊集院が様々なゲストとトークを繰り広げている。11日に登場するのは、お笑いコンビ・くりぃむしちゅーの有田哲平。伊集院と有田は、有田のブレイク前から交流がある。伊集院はそのときのことを振り返り、「(有田が)全然暇なときにはお世話する側ですよ、僕は。それをこう、思いっきり抜かれてゲストに呼ぶ感じ(笑)? すげえ恥ずかしいわ」と苦笑いを浮かべていた。翌12日には、元プロ野球選手でプロ野球解説者の江夏豊氏が登場する。野球好きの伊集院は「すげえドキドキする。伝説だらけなんで。江夏豊の伝説、その口から色々聞きたいと思ってます」と興奮した様子で話す。13日のゲストは小堺一機。かつて小堺は関根勤とともに、TBSラジオで『コサキンDEワァオ!』(81年~09年)という人気番組のパーソナリティを長らく務めてきた。小堺からは当時のエピソードも語られる予定だ。そして14日は映画監督・山田洋次氏が出演する。山田氏が監督を務めた映画『妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII』が現在公開中だ。伊集院は以前同番組に山田氏が出演した際のことを振り返り、「『寅さん』を本当はもう1本撮りたいという話をしたんだよな」と振り返っていた。
2018年06月05日ダイニングバーの常連客「ナインティナイン」岡村隆史と店主「ロンドンブーツ1号2号」田村亮が、有名人から“ここだけ”の話を引き出すシチュエーショントークバラエティー「おかべろ」。6月2日(土)放送回には、女優・夏木マリと、映画監督の河瀬直美が出演する。御年66歳、芸能生活45年を迎えるが、そうとは思えぬ若々しさや美貌を保ち続けている夏木さん。そんな美の秘訣について問われると、「女は朝が勝負!」「寝る前にパックするのは普通!」と断言。また、毎朝必ず食べている果物についてや、シャンパンにも合うおススメのおつまみを披露する。さらに、59歳のときに一緒にバンドを組んでいた男性と結婚した夏木さん。それまでは「一人でいる方が本当は楽だし、誰かが自分の部屋に入ってくるのも嫌だった」と結婚の選択肢はなかったそうだが、夫には自分からアプローチしたという結婚までのウラ話も暴露!独り身の楽さに共感する岡村さんは、「結婚は何がいいですか?」と直球質問。果たして、夏木さんの答えとは――?今回ゲストに出演した2人は、もうすぐ公開となる映画『Vision』に出演する役者と監督。河瀬監督が生まれ故郷の奈良県を舞台に、フランスの名女優ジュリエット・ビノシュと永瀬正敏をW主演に迎えた本作は、世界中を旅しながら紀行文エッセイを執筆しているフランスの女性エッセイスト・ジャンヌ(ジュリエット・ビノシュ)は、とあるリサーチのためアシスタントと共に奈良の吉野を訪れ、杉の木立が連立する山間で生活をしている山守の男・智(永瀬正敏)と出会う。2人は言葉や文化の壁を超え、次第に心を通わせていく…というストーリー。夏木さんが本作で演じているのは、山で生き、古くから伝わる薬草を作り、自然と共存しながら静かに暮らしている老女・アキ。ほかにも、「EXILE/三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE」岩田剛典、森山未來、田中泯らが参加している。番組では、夏木さん自身も憧れていたという河瀬映画の独特の撮影方法について、岡村さんも思わず「しんど~い!」と言った“俳優同士の私語厳禁”、夏木さんがしんどかったという「○○しか食べない生活」と、超過酷な撮影現場の様子が明かされる。「おかべろ」は6月2日(土)14時27分~(関西地区)、5日(火)深夜0時40分~(関東地区)カンテレ・フジテレビにて放送。『Vision』は6月8日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:Vision 2018年6月8日より全国にて公開©2018“Vision”LDH JAPAN, SLOT MACHINE, KUMIE INC.
2018年06月02日普段、観たい映画を選ぶとき、出演する俳優やストーリーを基準にしているという人が多いと思いますが、ときには監督に興味を持ってから入るというのもオススメ。そこで今回ご紹介するのは、ついに日本で劇場初公開をはたしたこちらの方……。『ルイ14世の死』を手掛けたアルベール・セラ監督!【映画、ときどき私】 vol. 168フランスにヴェルサイユ宮殿を建造し、“太陽王” とも呼ばれたルイ14世ですが、亡くなるまでの数週間を驚くべき観点で描いて、話題となっているのがスペイン出身のセラ監督。「21世紀の前衛」と呼ばれ、映画のみならず戯曲の執筆や映像によるインスタレーションなどで世界的に高い評価を得ている注目の鬼才です。本作は長編4作目ではあるものの、日本の劇場で公開されるのははじめてとなるため、まだ監督については謎に包まれているところ。そこで、来日をしていた監督に直撃し、素顔に迫ってきました。これまでに本作のHPやチラシなどで、サングラス姿の監督の写真を見た人のなかには、「アルベール・セラ監督とはいったい何者?」と感じた人も多いはず。まずは監督自身のことをお聞きしたいのですが、そもそも映画監督になったきっかけを教えてください。監督26歳くらいのとき、多くの若者同様に僕も退屈をしていたんだ。つまり、大学に行って、ときどきアルバイトをして、夏休みには遊ぶという同じことの繰り返しで、年々その遊びが楽しくなくなることに気が付いてしまったんだよ。そんなとき、2000年くらいの夏にデジタルが到来して、「映画を作ろう」と決めたんだ。なぜなら、デジタルなら古典的な映画産業を経由しなくても映画を作れるし、技術的にも簡単で安価だということもあったからね。ただ、大学では文学や比較文学、文学理論といったものを8年間学んでいたので、映画の勉強はしたことはなかった。でも、もともと映画は好きだったし、何か違うことをしたいと思って映画を選んだんだ。映画作りに監督を駆り立てたものは何ですか?監督映画で何ができるのかということについては、いくつかの考えはあったけど、そのときの動機はあくまでも遊びみたいなもので、実は友だちとただ一緒に楽しもうと思っただけなんだ。そこに関しては、いまも同じかな。でも、そういう楽しさがあるからこそ、いまでも監督を続けているのだと思うよ。お金を稼ぐためだったら、もっとほかの職業があるでしょ(笑)。僕はただ「人とは違う芸術家としての人生を生きよう」と思っただけで、それが驚くほど楽しいからここまで来たんだ。遊びを追求している監督だけに、撮影スタイルも独自のもの。撮影前には読み合わせもリハーサルもせず、撮影初日に俳優と会って撮影をするという驚きのスタイルを取っているのも興味深いところ。その瞬間にしか生まれないライブ感みたいなものを大切にしているのでしょうか?監督それもひとつの理由だけど、僕はシナリオのなかの登場人物だけに興味を持っているのではなくて、それを演じる俳優にも関心を持っているんだ。ただ、俳優というのは、ひとりだけではダメで、ほかの俳優と組み合わせてはじめて、本質が出てくるもの。その人の虚栄心がどういう形で出てくるのか、というのがわかるのは、ほかの俳優と混ぜたときだけで、そこでより多くの可能性が見えてくるものなんだよ。事前に作りこまないことには不安はないですか?監督テストやリハーサルは退屈だから、僕はそういうことはしない約束。しかも、もしそこで素晴らしいものを引き出せたとしても、カメラが回ってなければ何の意味もないし、本番のほうが悪いものになることもあるしね。俳優のインスピレーションはコントロールできないものではあるけれど、それを撮影で引き出すのが僕の役目なんだ。俳優というのは怠惰なところもあるから(笑)。ところで、若い女性が読者ということで、ちょっとアドバイスしたいことがあるんだけど、いいかな?女性へのアドバイス、ぜひお願いします!監督これはとてもいい話だと思うし、アドバイスというよりは、科学的に確認されたことといってもいいかな。僕が発見したことではなくて、フランスを代表する詩人のボードレールもすでに若い人への忠告として述べていたことなんだけど、それは「俳優とは付き合うな!」ということ。なぜなら、俳優と付き合うと絶対に不幸になるからなんだ(笑)。えっ!?絶対ですか(笑)?監督そう、例外はないんじゃないかな。冗談ではなく、本気だよ!俳優というのは虚栄心が強いので、一緒にいると幸福や喜びは得られないということなんだ。とはいえ、幸いにして世界には俳優はあまり多い職業ではないので、大きな危険ではなく、小さな危険とはいえるけど、若い男女にとって、俳優と付き合うことは、麻薬やアルコール中毒よりも暴力団の仲間になることよりも、危ないことなんじゃないかな(笑)。だから、もし俳優のなかでもおもしろくて、まじめで、いい人がいたとしたら、その人物が世界で一番嫌っていることは俳優として自分の仕事をすること。名優マーロン・ブランドがいい例で、彼が一番嫌だったことは、俳優としてほかの俳優に囲まれていたことだったんだ。これは僕が言っていることが正しいというひとつの証拠だといえるんじゃないかな!では、映画監督と付き合うのはどうでしょうか?監督そうだね、監督は違うよ(笑)!なぜなら、監督の場合は、毎日さまざまな問題に対処しているから、ノーマルといえるよね。たとえば、俳優の写真と監督の写真を並べて見たらわかると思うけど、俳優はフェイクな感じがするけれど、監督は普通に見えるでしょ?それは、たとえば監督が俳優として映画に出演したときにも表れていて、監督が素晴らしい俳優にもなれるのは、「映画とは何か」ということをわかっているし、ニセモノの演技をするほどずる賢くもなく、自発的にイノセントになるからなんだ。それは映画監督として、世界の複雑さと戦っているからこその強さなんだと思うよ。とはいえ、作家主義の映画を作っている監督はあまりお金がないから、付き合うのは安心できることではないかもしれないね(笑)。しかも、自由気ままな人が多いから、結婚して安定した生活をする相手としてはちょっとどうかなと思うけど……。となると、結婚相手にいい職業は何だと思いますか?監督僕はジャーナリストがすごく好きだから、ジャーナリストをオススメしたいね。というのも、彼らは僕の知らない話とか、ときには公表できないできないような情報を持っているので、一緒にいておもしろいんだ。でも、もっといいのは純粋な作家かもしれないな。彼らは本当に賢くて、知的な存在だから。ただし、作家のそばにいるというのも難しいことだよね。そういう意味では、自由人ではなくて、お金もある実業家がいいかもしれないけど、退屈なんじゃないかな……。まあ、すべてを兼ね備えている完璧な人を見つけるのは、大変なことだよね(笑)。確かに完璧な人というのはなかなか難しいですが、監督からの忠告、しっかりと受け止めたいと思います(笑)。話を戻しますが、何に対してもエネルギッシュな監督にとってクリエイティブの源になっているものとは?監督僕はこの世界をよりよいカタチで保存したいと思っているんだけど、たとえば、因習的な映画産業のシステムに対して、戦おうという気持ちがあるんだ。つまり、大量に動員できる映画ばかりを作って、人々の好みを悪いほうに変えてしまおうとしている人たちに対してだよ。なぜなら、動員のことしか考えていないのに、さもその作品の質がいいものだと観客に思わせて、操作しているように見えるからなんだ。そういう状況には自然と憎しみが湧いてきて、それと戦いたいと思うことが、僕の原動力でありエネルギー。人々はいまのメディアによって目をくもらされてしまっているから、その目を開かせなければいけないとも感じるし、そういう意味でも、芸術や作家主義の映画を擁護することはとても重要なことなんだと思っているよ。それでは最後に、これから観る方に向けてメッセージをお願いします!監督『ルイ14世の死』は僕の作品のなかでも、動員数という点でもっとも成功を収めた作品なので、日本の観客にとっては私を知ってもらういい導入になるんじゃないかな。顔の表情だけで、複雑な感動を伝えることができる素晴らしい俳優の神秘的な演技も見れるし、僕の周りでは、この映画を観て好きでないと言った人はいないので、みなさんもきっと好きになってくれると思っているよ。僕は他人に対して絶対的な信頼を寄せることをしない人間なので、友人であっても、自分と趣味の合う人であっても、彼らの好みに対してはいつも警戒心を持っていて、つねに自分の目で判断するようにしているんだ。だから、観客のみなさんにもぜひご自分の目でどう思うかを判断してもらいたいね。セラ監督しか描けなかった視点を共有する!ルイ14世のことを知っている人も知らない人も、死にゆく王のリアルな姿に、ひきこまれてしまうはず。どこを切り取っても絵画のような美しさのある映像とともに、セラ監督の世界観にどっぷりと浸ってみては?心をかき乱す予告編はこちら!作品情報『ルイ14世の死』シアター・イメージフォーラム、6月2日(土)より第七藝術劇場ほか全国順次公開中配給:ムヴィオラCopyright ©CAPRICCI FILMS,ROSA FILMES,ANDERCRAUN FILMS,BOBI LUX 2016
2018年06月02日日本テレビ系の「金曜ロードSHOW!」では、細田守監督の最新作『未来のミライ』が公開されるのを記念して、「夏のスーパーアニメ祭り 第1弾」と銘打ち、7月20日(金)から2週連続で細田作品を放送することが決まった。監督した多くの作品が日本アカデミー賞アニメーション作品賞ほか、国内外での映画賞を多数受賞してきた細田監督。最新作『未来のミライ』は第71回カンヌ国際映画祭・監督週間にアニメーション作品で唯一選出・上映されるなど、いまや世界から最も注目されるアニメーション映画監督の1人となった。そんな待望の最新作が公開されるタイミングで、「金曜ロードSHOW!」では『時をかける少女』と『バケモノの子』を放送する。7月20日(金)放送『時をかける少女』高校2年生の真琴は、クラスメイトの千昭と功介と放課後に野球をしたり、カラオケをしたりするごく普通の女の子。ある日突然、時空を飛び越える能力を手に入れた真琴は、深い考えもないまま小さな欲求に従って過去と現在を行き来するうちに、自分にとって一番大事なかけがえのない時間がそこにあったことに気づく…。■7月27日(金)放送『バケモノの子』物語の舞台は、東京・渋谷と、渋谷によく似たバケモノの異世界・渋天街。ひとりぼっちの孤独な少年・九太が、ひょんなことから渋天街の暴れん坊の熊徹と出会い、彼の元で“修行”することになる。共に暮らし修行を続けるうちに、2人は本当の親子のような固い絆で結ばれていくのだが…。■細田監督から、今回の放送に向けてのメッセージも!新作公開のタイミングでこの2本が放送されることについて、細田監督は「『時をかける少女』は少女の懐かしい青春もの、夏の物語です。『バケモノの子』も、夏の少年の冒険もの、ということで、夏休みのはじめに解放感と一緒に体験するのに、これ以上ふさわしい映画はないと思います。夏休みの子ども達の気分を代弁して、励まして、盛り上げるような役割を果たせれば嬉しく思います」とコメント。今回放送される2作と、最新作『未来のミライ』の共通点に関して「青空の質感も近いし、ミライちゃんが、真琴(「時をかける少女」主役)みたいにも思える。他にも、くんちゃん(「未来のミライ」の主役の少年)が九太(「バケモノの子」の主役)みたいになるかもしれないです。実は、そうした共通項もあり、その辺もお楽しみいただければと思います」と説明し、視聴者に向けて「自由になれた開放感…そのくらいの感じで楽しんでいただければ。夏休みの狼煙をあげる…『自分も冒険するぞ!』『チャレンジするぞ』、と感じてもらえれば。若い人たちを夏休みに向けて盛り上げる二本、になってくれれば最高です」と、メッセージを寄せた。『時をかける少女』は7月20日(金)21:00~、『バケモノの子』は7月27日(金)21:00~、それぞれ日本テレビ系「金曜ロードSHOW!」にて放送。『未来のミライ』は7月20日(金)より全国公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:時をかける少女 (2010) 2010年3月13日より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネスイッチ銀座ほか全国にて公開© 「時をかける少女」製作委員会2010バケモノの子 2015年7月11日より全国東宝系にて公開© 2015 THE BOY AND THE BEAST FILM PARTNERS未来のミライ 2018年7月20日より全国東宝系にて公開ⓒ 2018 スタジオ地図
2018年06月01日泣ける映画として感動を集めた映画『今夜、ロマンス劇場で』が8月17日(金)にファン待望のBlu-ray&DVDで発売が決定したことを受け、本作で初共演した主演の綾瀬はるかと坂口健太郎のコメントが緊急で到着した。モノクロ映画の中から現実世界に飛び出してきたヒロイン、美雪役の綾瀬さんは、「映画の中に生きる王女美雪と映画監督を目指す青年健司の奇跡のラブストーリーを是非DVDでご覧下さい。それでは『今夜、ロマンス劇場で』お会いしましょう」とコメント。また、彼女に恋をする映画監督志望の青年・健司役の坂口さんは、「大切に作ったこの作品を更に多くの皆様に見ていただけると思うと、とても嬉しいです。健司と美雪の切なくも暖かい純粋な愛を、是非感じてください」とコメント。Blu-rayとDVDの豪華版には、メイキング、イベント映像集に加え、この特典でしか楽しめない未公開シーン集などの特典映像をたっぷりと収録するほか、情報満載のブックレットも封入の予定。<逢いたい>気持ちが奇跡を起こすロマンティックで切ないラブストーリーをこの夏見届けてみて。『今夜、ロマンス劇場で』は2018年8月17日(金)よりリリース。※レンタル同日開始(text:cinemacafe.net)■関連作品:今夜、ロマンス劇場で 2018年2月10日より全国にて公開© 2018「今夜、ロマンス劇場で」製作委員会
2018年06月01日映画『悲しみに、こんにちは』が、2018年7月21日(土)より、渋谷ユーロスペースほか全国の劇場で順次公開される。スペインの新鋭女性監督が描くメガホンを取ったのは、スペインの新鋭女性監督、カルラ・シモン。本作で長編デビューを飾った彼女は、是枝裕和監督の『万引き家族』が最高賞を受賞したことで話題の第71回カンヌ国際映画祭にて、映画界で活躍する女性を称える「ウーマン・イン・モーション・アワード」を受賞した。映画『悲しみに、こんにちは』は、ベルリン国際映画祭およびスペインのアカデミー賞とされるゴヤ賞の新人賞を受賞し、2018年アカデミー賞のスペイン代表に選出。世界最大級の映画レビューサイト「ロッテン・トマト」では、最高評価の100%Freshを獲得するなど、世界が注目する女性監督の1人である。実話を元にした少女のひと夏の物語映画『悲しみに、こんにちは』は、そんなカルラ・シモンが、自身の子供の時の体験や記憶を元に、幼き心がはじめて生と死に触れる特別なひと夏を描いた作品。無邪気さと繊細さをあわせ持つ思春期前の少女の心の動きを、美しいカタルーニャ地方の風景と共に映し出した。ストーリーフリダは、荷物がダンボールに詰められるのを静かに見つめていた。その姿は、まるで母親が最後に残していった置物のようだ。両親を“ある病気”で亡くし一人になった彼女は、バルセロナからカタルーニャの田舎へ引っ越し、若い叔父夫婦の元で暮らすことになる。叔父と叔母、そして幼いいとこのアナは、家族の一員としてフリダを温かく迎え入れるが、新しい家族として暮らすには互いに時間がかかり・・・。作品情報映画『悲しみに、こんにちは』公開日:2018年7月21日(土)、渋谷ユーロスペースほか全国順次公開脚本・監督:カルラ・シモン製作:バレリー・デルピエール出演:ライラ・アルティガス、パウラ・ロブレス、ブルーナ・クッシ、ダビド・ヴェルダグエル、フェルミ・レイザック撮影:サンディアゴ・ラカ編集:ディダク・パロ、アナ・プファ2017年/スペイン/カタルーニャ語/100分/英題:SUMMER1993/日本語字幕:手束紀子
2018年05月31日映画『万引き家族』で、カンヌ国際映画祭の最高賞のパルム・ドールを受賞した是枝裕和監督(55)。『誰も知らない』『そして父になる』『海街diary』など数々の作品を生み出してきた映画界の“巨匠”だ。 日本人監督作品としては、実に21年ぶりとなる快挙を成し遂げた是枝監督。そこには、特別な思いが込められていたという。 「是枝監督は、いわゆる“ウケるモノ”を分析して世に出してきました。ただ、そこには目的がありました。それは『商業作品で得た資金をもとに、自分が本当に撮りたい作品を作る』というものでした。そして今回の『万引き家族』こそ、監督が撮りたかったもの。構想に10年もかけた意欲作です。それがパルム・ドールに輝いたのですから喜びもひとしおでしょう」(映画制作会社関係者) これまで家族をテーマに撮り続けてきた是枝監督は9歳から28歳までの約20年、東京都清瀬市にある旭が丘団地で暮らしてきた。16年公開の映画『海よりもまだ深く』には、自身が暮らした団地での体験が描かれている。そんな是枝監督が映画監督になるため背中を押した人物、それは彼の父親だ。親友の母が振り返る。 「コレちゃんが映画の道へ進もうとしたとき、お母さんは『もう少し堅実な仕事に就いたほうが……』と心配していたそうです。でもそんなとき、お父さんは『人生は一度きりなんだから、自分の好きな道を選びなさい』と言ってくれたそうです。お父さんは戦争で足を負傷されたそうで、リハビリに通われていました。そんな経験をされたお父さんだからこそ、息子には夢に向かって進んでほしいと思われたのかもしれませんね」 だが残念ながら、その父は息子の成功を見ることなく早逝してしまう。是枝監督は父の言葉を胸に、いっそう夢に向かって邁進した。そんな思いが“家族映画”の原動力にーー。是枝監督は『海街diary』についてのインタビューで、こう語っている。 「死んでしまったからって、どこかにいなくなっちゃうわけじゃない。なぜかって言うと“死んだ人のことを考える時間”がどうしたって、増えるから」 背中を押してくれた父はきっと、今回の受賞を祝福してくれているだろう。
2018年05月31日(写真:アフロ) 「もしお母さんが生きていたら今回の受賞をとっても喜んだと思うんです。“コレちゃん”は本当に、家族と仲が良かったので……」と語るのは、是枝裕和監督(55)の親友の母だ。映画『万引き家族』で、カンヌ国際映画祭の最高賞であるパルム・ドールを受賞した是枝監督。日本人監督作品としては、実に21年ぶりとなる快挙となる。 是枝監督はこれまで“家族”をテーマに撮り続けてきた。そのこだわりはどこからくるのだろうか。その原点を追ったところ、見えてきたのは“家族との日々”だった──。 是枝監督は9歳から28歳までの約20年、東京都清瀬市にある旭が丘団地で暮らしてきた。16年に監督が手掛けた映画『海よりもまだ深く』には、そこでの体験が描かれている。前出の親友の母が振り返る。 「コレちゃんにはお姉さんが2人いて、あの子が末っ子。ご両親は初めて男の子を授かったので、とても可愛がっていました。お母さんは映画好きで、よくコレちゃんと映画館へ足を運んでいました。私、コレちゃんに『映画監督になったのは、お母さんの影響があるの?』と聞いたことがあるんです。彼は『そうですね』と言って笑っていました」 そんな母は、いつも是枝監督の味方だった。親友の母がこう続ける。 「コレちゃんは早稲田大学を卒業した後、2年間ほど映画関係の専門学校に通ったそうです。その夢を応援したいという思いがあったのか、お母さんはずっとケーキ工場のパートを続けて家計を支えていました」 専門学校を卒業した是枝監督は、テレビ番組制作会社に入社。働きながら映画監督を目指すことになった。しかし監督として芽が出るには時間が必要。そんな厳しい業界で奮闘する息子を、母は陰ながら支え続けた。是枝監督が世の中に評価された後も、母のけなげな“宣伝活動”は続いたという。 「コレちゃんが忙しくなり始めると、年に1~2回しか会えなくなってしまって。お母さんは少し寂しそうでしたね。前にお母さんがうちの息子と会ったとき、『子どもはいつまで経っても子ども。お母さんは心配しているんだよ。だから実家に帰ってあげて』と言ったことがあったそうです。そうした話を聞いてか、コレちゃんは『もっと帰ってあげればよかった。後悔している……』と言っていたそうです」 是枝監督が40代のころ、母はこの世を去った。団地でひとり暮らしていたところ、倒れたのだという。『海よりもまだ深く』には、そんな監督の後悔の念も込められているのだろう。“泊まらず帰るという息子のため、母がわざわざお風呂を焚く”というエピソードが盛り込まれているが、それも是枝監督とお母さんの実際のやりとりだった。 「お母さんはお勝手(台所)で倒れて入院されたんです。コレちゃんは『なかなか病院に行けない』と悩んでいました。お母さんが亡くなっていちばん辛い思いをしたのは、コレちゃんだと思います。というのも実はもう家族が住んでいないこの団地を、今でもたまに見に来ているんです。ここに来れば、両親に会えるような気がするのかもしれませんね」
2018年05月31日(写真:アフロ) 「体調が悪そうに見えたのにカメラが回ると、女優・朝丘雪路に戻る。その姿を見て本当にすごいと思いました」と語るのは、映画監督の遠藤一平さん(43)。 4月27日に女優や舞踏家として活躍した朝丘雪路さんがアルツハイマー型認知症のため亡くなった。享年82。逝去が発表されたのは約3週間後だったが、これは生前の朝丘さんの意思だったという。 「まだ朝丘さんもお元気だったころ、夫の津川雅彦さん(78)やお嬢さんの真由子さん(44)と“終活”についても話し合ったのだそうです。朝丘さんは『自分の葬儀はひっそりと』とおっしゃっていたそうで、家族葬なども終わるまで逝去は公にされませんでした」(朝丘の知人) アルツハイマー型認知症を発症したのは4~5年ほど前。’14年5月に撮影に臨んだ映画『プラシーボ』が遺作となった。前出の遠藤一平監督が朝丘さんの“最後の演技”を語る。 「役どころはヒロインの踊りの先生でした。撮影に入る直前に『ちょっと健忘症のようになっていまして……』とおうかがいしました。そこで朝丘さんのご体調を考慮し、撮影は3時間だけと決めたのです。しかし朝丘さんが『ご迷惑をかけて申し訳ないから』と、倍の6時間を割いてくださることになったのです」 朝丘さんはセリフを忘れないことに苦労している様子だったという。 「お付きの人が、演技をしながら読めるようにカンペ(※セリフを書いた紙)を用意してくれたのに、それを読むことすらつらいようでした。でも(役柄や状況の)雰囲気をいったんつかんでしまえば、アドリブを使っても芝居をつなげてしまうのです。カメラが回ると、まるで別人のようになる姿に驚かされました」 だが残念なことに、この遺作映画は“お蔵入り”状態なのだという。 「『プラシーボ』は’16年に完成しましたが、プロデューサーが失踪したために、いまだにきちんとした形で公開できていないのが、残念です」
2018年05月31日多くの人の支持を集めることが人気のバロメーターである一方、常に評価の目にさらされる宿命にあるのが著名人たち。それぞれの職業観の中で、どのような言葉を支えにして苦境を切り抜けているのか。連載「わたしの金言」は、著名人たちが心の拠り所としている言葉を聞く。第8回は、吉田羊が主演する『ラブ×ドック』で初の映画監督を務めた鈴木おさむ氏。弱冠19歳で放送作家デビューして以降、数多くのタレントたちと番組を共にしてきた鈴木氏が、今も心に留めている言葉とは。『ラブ×ドック』で初の映画監督を務めた鈴木おさむ氏撮影:大塚素久(SYASYA)○放送作家の不遇時代「お前に何があるの?」大事にしているのは、「自分に何の付加価値があるのか」。19歳でこの世界に入って、ある現場のスタッフから「こいつのこと知ってる?」と紹介された方が、有名な不祥事の当事者だったんです。ニュースを見て、「この人の人生、終わったな」と思っていた人が、この世界では「面白い人」として紹介されていて、ご本人はすごく恐縮されていたんですけどね(笑)。イジっている周りの方が、何となく誇らしげでした。その頃の僕は、何を書いても評価されませんでした。「お前に何があるの?」といつも言われていた。もちろん犯罪はダメなことですが、この世の中において否定されていることが、その人の付加価値になることもあるんだと知った出来事でした。○企画書の価値基準「東大出身」が付加価値と思っていても、テレビ局に行けば、東大出身なんてたくさんいる。「イケメン」というだけで田舎の高校ではモテるけど、都会に出たり、芸能事務所に入ったりすれば、ものすごい数のイケメンがいて厳しい現実を知る。みんなが知っている付加価値は、世の中に出ると意外と通用しないものなんです。そういう中で、自分にどうやって付加価値を付けていくのか。すごく大事だなと思います。普通の会社でも「普通の社員」と「美人の社員」の企画書、ほとんど同じ内容だった場合はどちらを採用しますか? きっと、美人の方が採用される確率は高いはずです。自分が選ぶ側だったら、美人の付加価値の方がよく思えてしまうし、「世界一周してきた人」の企画書と「普通の人」の企画書、内容が同じだったら「世界一周のしてきた人」を採用する。世界中のいろいろなものを見てきたという期待値です。自分には何の付加価値があるのか。僕は、今でも常に考えています。■プロフィール鈴木おさむ1972年4月25日生まれ。千葉県出身。大学在学中に放送作家デビュー。多数の人気バラエティ番組を担当。これまで、『ラブ★コン』(06)、『ハンサム★スーツ』(08)、『ONE PIECE FILM Z』(12)、『新宿スワン』(15)などの映画で脚本を担当。現在公開中の『ラブ×ドック』が初の映画監督作品となる。また現在配信中のAbemaTV開局2周年記念連続ドラマ『会社は学校じゃねぇんだよ』の脚本も担当。
2018年05月25日実力はあるのに認めてもらえなかったり、思い描いていた人生と違う生活を送っていたり……働く女子なら一度はそんな思いを経験したことありますよね?そこで、積もり積もったストレスを一気に発散できる話題の映画をご紹介します。それは……。イタリア発の痛快コメディ『いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち』!【映画、ときどき私】 vol. 165大学を追われた神経生物学者のピエトロは、同じく不遇な扱いを受けていた仲間の学者たちと合法ドラッグを製造。一時は大金を手にするものの、逮捕されて服役することになってしまう。そんななか、世間では新しいドラッグが次々とまん延。手に負えなくなった警察は犯罪履歴を帳消しにすることを条件に捜査への協力を彼らに依頼するのだった。国内外にバラバラになった研究者仲間が集結し、事件解決へと乗り出すのだが……。本作は、2014年にイタリアで大ヒットした人気シリーズの2作目。とはいえ、1作目を観ていない人でも、問題なく楽しめるようになっているのが、この作品の素晴らしいところ。そこで、さらなる魅力についてこちらの方にお話を聞いてきました。それは……。才能あふれるシドニー・シビリア監督!この作品で監督・原案・脚本を務めて一躍脚光を浴びたシビリア監督ですが、本シリーズはなんと自身初の長編映画。今回は、そんな思い入れの強い本作の撮影秘話や自身の経験についても語ってもらいました。まずはイタリアのみならず、世界中で高く評価されたことについてどう感じていますか?監督僕としては、海外でも評判がよかったのは意外なことだったよ。というのも、イタリア特有のシチュエーションを描いたつもりでいたし、そもそもイタリアでもそんなに成功しないんじゃないかなと思っていたくらいだったから(笑)。だから、あらゆる国で人気となって驚いているけれど、実はユニバーサルな映画だったんだということに改めて気づいて、誇りにも感じているよ。では、もともとはどういう映画を目指していたのですか?監督自分の制作意図としては、「ただ笑える映画を作りたかった」ということだけ。しかも、当時住んでいた家の近くに大学があったから、「自分の近所で起きていることを語ろうじゃないか」くらいの気持ちだったんだ。それがこれほどまでに受け入れられたのはうれしいことだよ。「ただ笑える映画」といいつつも、風刺コメディでもあるので、国によっては観客の反応も違ったのでは?監督そうだね、特に主人公たちがナチスの車両を走らせるシーンは、自分たちとしても「ちょっとやりすぎかな?」と思ったこともあったよ(笑)。でも、「いいからやってみよう!」と挑戦的なところもあったんだ。あとは、僕の大好きな『インディ・ジョーンズ』のなかでも同じようにナチスの車両に乗っているシーンがあったから、パロディという意味も込められているんだよ。しかも、運転しているのは同じ考古学者だしね。最初は観客も戸惑うかなと思ったんだけど、実際はみんなすごく笑ってくれたよ。ちなみに、そのシーンではなんと1939年にナチスが実際に使っていた車両を使っているんだ。『インディ・ジョーンズ』ではセットだったけど、僕たちのは本物だから、そういう意味ではこの作品のほうがすごいでしょ(笑)!本物のナチスの車両を使用していたとは驚きですが、それでは撮影もかなり苦労したのでは?監督とにかく古い車両だから、3秒ごとに止まっちゃうし、後ろから押さないと発進すらしないような車だったから大変だったけど、俳優たちはすごく上手に運転してくれていたよ。ただ、隊列を組んで走っているシーンを撮影していたとき、1テイク撮ったら元の位置に戻らないといけなかったんだけど、普通に公道で撮影していたから、戻るときに一般の車に交じって走っていたんだ。そうすると、信号待ちのときに周りのドライバーたちに不審な顔で見られたこともあったよ。だって、俳優たちはナチスの服を着て運転していたからね(笑)。しかも、主役のエドアルド・レオはイタリアでは有名だから、それを目撃した人に「エドアルド、お前はナチなのか?」というようなコメントをSNSに書かれてしまったりもしたんだ。それにしても、すごくシュールな場面だったよ(笑)。もともとは「主席の学者がゴミ収集員をしている」という記事を目にしたことや、イタリア人の研究者たちが次々と海外に稼ぎを求める “国の頭脳流出問題” がこの作品を作ったきっかけだったという監督。ご自身も映像分野でのキャリアを積みながらアルバイトで生計を立てていたそうですが、何をしていたのですか?監督僕はずっと短編を作っていたんだけど、その当時の本職はどちらかというとアルバイト。だからこそ、劇中では貧しさをリアルに語ることができたんじゃないかな(笑)!で、何をしていたかというと、16歳から20歳までは夏のバカンス中に旅行者が長期滞在する場所でショーやゲームのスタッフ。そのあとはロンドンに行って、ファーストフード店でレジ係もしていたよ。ただ、そのときは「こちらでお召し上がりですか、それともお持ち帰りですか?」と「ほかにご注文は?」と「お食事をお楽しみください」と、この3フレーズしか発していなかったけどね(笑)。それから、ミラノのマーケティング業界でも働いていたよ。では、それらを辞めて映画の仕事に専念できるようになったのはいつ頃ですか?監督短編映画を作っている頃は全然収入がなかったから、僕にとっての収入源はそれらの仕事だったけど、2010年に『いつだってやめられる』の1作目の脚本を書く契約をしたことで、ほかの仕事を辞めることができたんだ。ただ、将来は何が起こるかわからないから、またロンドンに戻って例の3つのフレーズをまた言うかもしれないという覚悟ではいるよ(笑)。とはいえ、これだけ映画が大ヒットしたので、経済的にはかなり余裕ができたのでは?監督いやいや、そんなことはないよ!それに、すごく有名なイタリアの脚本家の言葉で、「映画の危機というのは、脚本家や監督が公共の交通手段で移動しなくなったことから始まった」というのがあるんだ。つまり、映画に関わる者というのは、つねに庶民のなかにいなければいけないのに、お金ができて自家用車に乗るようになれば、映画の衰退が始まってしまうということ。だから、僕も生活は変えていないよ!それに、そもそも僕の見た目はお金持ちには見えないよね(笑)?今回は監督自身の経験だけでなく、専門的な内容も含まれていましたが、脚本を作るうえで難しかったところは?監督映画というのは、どうしても個人的なものを反映してしまうものだけど、今回は科学的や学術的なところは専門家に話を聞いたり、大学に行ったりして、かなりリサーチを重ねたんだ。ただ、リサーチは本当に楽しかったよ。というのも、こういうきっかけでもなければ一生知ることがないような世界に足を踏み入れて、知識を得たので、この映画を通じて、冒険をしているような気分にもなったよ。この作品が描いている社会問題を代表するように、イタリアはヨーロッパのなかでも若者の就職難や失業率が高く、15年ほど前に私がイタリアに留学していたときにも、同じような問題について聞いたこともあるほど。リサーチを通じてさまざまな事実を知ったと思いますが、これらの問題を改善するために必要なこととは?監督もしわかっていたら言えるけど、正直僕にもわからないよ。でも、いまはアナログ世代とデジタル世代が混在している状態で過渡期だと思うから、突破口になるような希望があるとすれば、やっぱり新しい世代が変化を担うことになるんじゃないかな。僕は政治家ではないから、解決策を与えることはできないけど、映画監督としては問題にカメラを向けることが役割。まあ、もし政治家だったらもっとお金持ちになっていたと思うけどね(笑)。とにかく、映画こそが僕からのメッセージです!抱腹絶倒の逆襲劇が幕を開ける!思い通りにいかないことが多いのも人生であり、ときには予想だにしない方向へと進んでしまうこともあるかもしれないけれど、そこで大逆転できるかどうかは自分次第。どん底に落ちても、頭脳をフル回転すれば、まだまだ人生のチャンスは手にすることができるはず。落ちこぼれインテリたちが繰り広げる “史上最大の敗者復活戦” は、一度見だしたらやめられない!?アドレナリンを放出させる予告編はこちら!作品情報『いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち』5月26日(土)、Bunkamuraル・シネマ他全国順次ロードショー配給:シンカ©2017 groenlandia srl /fandango srl取材協力:ギャラリー册
2018年05月23日2017年4月28日に渋谷にオープンした複合施設、「SHIBUYA CAST.」。都会のど真ん中にあるこの場所で、血縁にも地縁にもよらない「拡張家族」になることを目的に、共に暮らし、共に働く集団がいる。名前は「Cift(シフト)」。現在のメンバーは39名。半数以上が起業をしていたり、フリーランスのような形で働いている。ファシリテーター、弁護士、映画監督、美容師、デザイナー、ソーシャルヒッピー、木こり見習いなどなど、全員の肩書きを集めると100以上に。大多数のメンバーがCift以外にも、東京から地方都市、海外まで、様々な場所に拠点を持っていてその数も合わせると100以上になる。メンバーのうち約半数は既婚者で、何人かは離婚経験者。2人のメンバーはパートナーや子どもも一緒にCiftで暮らしている。そうした“家族”も含めると、年齢は0歳から50代にわたる。バックグラウンドも活動領域もライフスタイルも異なる39人が、なぜ渋谷に集い、なぜ「拡張家族」になることを目指しているのか。本連載では、CiftのメンバーでありこれまでにBe inspired!で記事の執筆もしてきたアーヤ藍が、多様なメンバーたちにインタビューを重ねながら、新しい時代の「家族」「コミュニティ」「生き方」を探っていく。アーヤ藍Photo by Jun Hirayama第5回目は、長野県小布施町で行政を絡めたまちづくりの現場に、約5年間携わっている大宮 透(おおみや とおる)さん。普段は長野県北部の小布施(おぶせ)町に拠点を持ちながら、月の4分の1ほど、出張のタイミングとあわせてCiftで暮らしている。Ciftの意思決定の場である月に一度の「家族会議」の場で、多様なメンバーたちの意見を調整するファシリテーター役も担っている。大宮透さん自分を育ててくれた街が失われていく寂しさと危機感アーヤ藍(以下、アーヤ):今、長野県の小布施町に住みながら、いろいろな活動をしているけど、もともと小布施にルーツがあるわけではないんだよね? 大宮透(以下、大宮)うん。もともとは6、7歳まで、山形の蔵王にある、10世帯くらいしか住んでいない山際の集落で育ったんだ。だから山があって雪がある景色が、懐かしさを覚える場所ではあるね。 そのあと群馬県高崎市に引っ越して、高校卒業までいたんだけど、当時高崎の街は、古着屋とか本屋とかおもしろいカフェとかが結構あって、そういう場所で学校帰りに、自分よりも10〜15歳上の大人によく遊んでもらってた。自分の親は大学の教員をしていて、それ以外の職業って全然知らなかったし、自分も進学校の高校に通っていたんだけど、街で会う大人たちは、中卒、高卒の人も多くて、フリーターでバイトをしながら音楽をガシガシやってますっていう人とか、「俺は日本全国にライブハウスをつくる!」って野望を語ってくれる経営者とかもいて、生き方の多様さを教えてもらった。 東京の大学に進学してからも2週間に1回くらいは週末群馬に帰っていたんだけど、その頃から街が変わっていったんだよね。大型商業施設ができて、街中の古着屋とかセレクトショップもどんどんなくなっていって、すごく悲しかった。自分の好きな場所、自分を育ててくれた街がなくなっていくことへの寂しさと危機感は、今の仕事に至る大きな原点だと思う。2009年、大宮さんが大学3年生の時に撮影していた高崎の街並み。当時、こうした建物がどんどん壊されていっていたため、「なくなってしまうかもしれない」と思って、よくフィルムで街を撮影していたとのこと。Photo by Toru Omiyaアーヤ:でも、高崎の街おこしではなくて、小布施に…? 大宮:大学院にいた頃に、高崎の中心市街地の活性化に関わらないかっていうお誘いと、小布施の町長から、今までとはまったく違う形のまちづくりをしたいから一緒にやらないか、っていうお誘いとを同時期にもらったんだ。最初は同時並行で関わっていたんだけど、徐々に高崎のプロジェクトのほうは、面白いけれども、違和感ももつようになったんだよね。 高崎のほうはどちらかというと民間ベースで、行政に頼らずに進めていくプロジェクト。身内のような信頼できる知り合いと一緒に活動させてもらっていたし、ある種とても恵まれた環境だったんだけど、そこに自分が役割を感じられなかったのと、活動をしていくなかで、僕はやっぱり行政のことがやりたいんだ、と気づいたんだよね。 大学の卒業論文を書くとき、「まちづくり条例」っていうものについて研究していて。たとえばある街で大きな商業施設を建てる計画ができました、と。でも住民は寝耳に水だった。そういうときに今までだったら反対する手段は裁判ぐらいしかなかった。でも裁判になったら完全に対立構造になっちゃう。だからそれよりも前に、行政と住民とが、専門家も交えながら、お互いに調整をしていく…っていう仕組み。それがすごく面白かったんだよね。住民が声をあげられる手段があって、ただ単にクレーマーになってしまうのではなく、お互いがお互いに街をよりよくしていくために協働する。それこそがガバナンスだなって。 そういう行政の仕組みに興味を持つなかで、小布施のほうはまさに、「もっと行政を開いていこう」とする動きで、しかも町長自ら主導している。毎回行くたびに、行政職員のほかに、町外のコンサルの人とか、30代中盤後半の若手の商工会メンバーとか、大学生も大学教授もいて、みんなが同じテーブルについている。その多様性が難しさでもありつつ、すごく面白く感じた。だから小布施のほうにコミットすることを決めたんだ。大宮さんも制作に携わった、小布施町のまちづくりのドキュメンタリー映像『おぶせびと』。20分あたりには、大宮さんと小布施町長のツーショットシーンも。※動画が見られない方はこちら大好きなホテル暮らしを手放して飛び込んだCiftアーヤ:透くんはけんちゃん(Ciftの発起人・藤代健介)と元々知り合いだったから、けんちゃんからCiftに誘われたのだと思うけど、入ろうって決めたポイントはどこにあったの? 大宮:複合的な理由があるかな。もともと月の5分の1くらいは仕事で東京に通っていて、そのときはいつもホテルに泊まってたんだよね。お気に入りのホテルがあって、常連になって、大体いつも同じ部屋を用意してくれるようになってたりして(笑)。 当時はホテルに定期的に住まうことが自分に必要だったんだよね。小布施にいると自宅にもいつも地域内外の人が来ては、仕事に関わるような話をしていたから、常にオンモード。東京に出る時はさらに、必要なリソースをとりに行くから“狩りをしにいく”感覚。だから、誰にも干渉されることなく、一人で「自分」に戻れるような場所がほしかった。ホテルの部屋に入るともうウキウキで(笑)、すぐ風呂!そしてあがったらビール!(笑)っていう感じで過ごしてた。東京の特に若い世代…年齢ではないかもしれないけど、定住せずにぴょんぴょん移動し続けている人だと、例えば近所の年配の人から、ゴミ出しについてしつこく注意されたら、「じゃあもう出て行くよ!」ってなっちゃうと思うんだよね。自由に選べるからこそ深まっていかない。でもそうやって口うるさく言ってくるおばちゃんも、ちゃんとコミュニケーションをとっていったら、そこには何か事情だったり意味があるかもしれない。 Ciftは「暮らしを共にする」っていうことが肝だと思うんだけど、ちゃんと入り口も出口もオープンにはなっているけど、とはいえ、住まいを変えるのって大変だしさ。1年とか2年とか一定期間でもいいから、住み続けるっていう意志をもってみんな入ってきてるでしょ。定住はしてはいないけど、多拠点のうちの一つがこういう深めていくコミュニティになっているのは、すごい大事なんじゃないかなって思っているよ。 アーヤ:私も定住せずにぴょんぴょんしている身だから刺さってくるわ(笑)。「拡張家族」ならではのガバナンスのあり方アーヤ:Ciftに入って1年ほど経つけど、どう?特に、年明けから「家族会議」(Ciftで月に一度、重要事項についてメンバーで話し合ったり意思決定をしたりする機会)の運営を、透くんたちが担うようになったから、Ciftでも気を抜きにくくなっていないか心配になる時もあるけど…? 大宮:最初の半年くらいは慣れなかったというか…。東京に来るときの“狩りのモード”が抜けなくて、帰ってくると疲れきっているから「ひとりになりたい」っていう気持ちが先行して、共有スペースに行く気になれなかった。特にここはクリエイティブな人たちがいっぱいいるから、「Hey!」って元気にいかないといけないような気もしていたし。だから、自分の部屋に直行して寝ちゃうことが多かった。安らぐホテル生活から、気を遣うホテル生活に変わったみたいな感じだったね(笑)。 でも徐々に、「一人で時間を過ごすためにCiftに入ったわけじゃない!」っていう思いも強くなって、意識的に共有スペースに出るようになっていった。それに逆に役割を得たことが僕にとっては大きかったかな。自分の立ち位置とか貢献できる部分、関われる部分があることで安心できる。それって血縁の家族や他のコミュニティでも同じところがあるんじゃないかと思う。住まいも、仕事も、情報源も、恋愛も、関わるコミュニティも、かなり自由に「選択」ができるようになっている現代の日本。それはともすると、嫌なことや辛いことがあったときに、諦めたり逃げたりすることも容易にしうる。そんな時代において、「家族」という拘束感のある選択をしはじめた私たち「拡張家族」。そこには生まれながらの家族以上に、「家族になる」決意が必要になる。そしてそこでの経験が、ひるがえって、オリジナルの家族を見つめ返す視点や、他のコミュニティとの関係性を結びなおすヒントも生み出しうる。複数の”居場所”をもつことで、それぞれでの学びや反省が「循環」していけば、社会全体がより豊かな繋がりに満ちていくのではないだろうか。次回の連載もお楽しみに!CiftWebsite|FacebookToru Omiya(大宮透)政策コンサルタント、共創コーディネーター1988年山形県生まれ、群馬県出身。大学・大学院で都市計画やコミュニティデザインを学び実践したのち、2013年に長野県小布施町に拠点を移し、政策立案や官民協働を推進する仕事をはじめる。現在は、公共を担う行政組織が、民間企業や大学、市民などの多様な主体とつながり、共創的に課題解決を実現するための場づくりや仕組みづくりを主な生業に、長野をはじめ全国の自治体と協働している。▶︎これまでのCiftの連載はこちら・#1 平和のための“ホーム”を渋谷につくる「建てない建築家」・#002 「人生が楽になった」。一児の母が39人の大人が住む家で子育てして気付いた“家族には正解はない”ということ・#003 “我慢と孤独”を抜け出した女性が「39人の家族」で見つけた、“ゆとり”を持ち寄ることで得られる豊かさ・#004 「子どものために用意されたものは、大人にもいいはず」24歳の鍼灸師が“他人の子ども”と暮らして気づいたこと▶︎オススメ記事・感度の高い若者に聞いた、都会から2時間半離れた「田舎暮らし」から得られる「都心では味わえない幸せ」とは・今時「豪邸に住むこと」なんて夢見ない。消費社会でポートランドが気づいた、“本当の自由”が手に入るタイニーな暮らしAll photos by Shiori Kirigaya unless otherwise stated. Text by Ai AyahーBe inspired!
2018年05月18日